JP5888271B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
即ち、電子写真感光体表面を帯電手段で目的とする極性及び電位に帯電させ、帯電後の電子写真感光体表面を、像露光により選択的に除電することにより静電潜像を形成させた後、現像手段で該静電潜像にトナーを付着させることにより、潜像をトナー像として現像し、トナー像を転写手段で被転写媒体に転写させることにより、画像形成物として排出させるといったものである。
これら画像形成装置において用いられる電子写真感光体としては、従来からのセレン、セレンーテルル合金、セレンーヒ素合金、硫化カドミウム等無機光導電材料を用いた電子写真感光体(無機感光体)が知られており、近年では、安価で製造性及び廃棄性の点で優れた利点を有する有機光導電材料を用いた有機感光体(有機感光体)が主流を占めるようになってきている。
また、トナー像を被転写媒体に転写させる転写方式としては、直接紙に転写する方式が主流であったが、転写される紙の自由度が広がることから、近年では中間転写体を用いて転写する方式が盛んに用いられている。
さらに、近年では高解像度の画像を得るために、トナーを小粒径化し、より精細な画像を得る検討がなされている。トナーの小粒径化は、高精細な画像を得るには好ましいが、一方、小粒径化するほど感光体から転写体への転写が困難となり、感光体と転写体との押しつけ圧を上げる、あるいは、感光体と転写体に若干の周速差を持たせ、機械的に転写されやすくする方法などが取られる。転写体としては、フレキシブルなベルトを用いることが一般的であるが、このベルトにも当然ながら抵抗値の低環境依存性、引っ張り伸びが少ないこと、割れなどの破壊強度が高いこと、摩耗耐性が高いことなどの長寿命に対する要望が高く、そのために高強度のポリイミドが使用される場合が多い。このポリイミドは、非常に強度が高いため、上記トナーの転写効率を向上させる手段は、それと対向する感光体に非常に大きなストレスがかかることとなる。また、感光体上に残留したトナーを除去する所謂クリーニングも困難となりやすく、感光体へのクリーニングブレードの押しつけ圧を上げるなどの方法が取られる。これは、感光体表面を機械的に摩擦することとなる。これら機械的ストレスは、感光体表面層の削れの増大をまねき、感光体の寿命を短くする主要な原因となっており、機械的な強度に優れる感光体が長寿命化、高信頼性化に必須となっている。
保護層を形成する材料系としては、以下のものが提案されている。
即ち、例えば、特許文献1には、光硬化型アクリル系単量体を含有する液を硬化した膜が、特許文献2には、炭素−炭素二重結合を有する単量体、炭素−炭素二重結合を有する電荷移動材、及び結着樹脂の混合物を、熱又は光のエネルギーによって前記単量体の炭素−炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素−炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が、特許文献3、4には、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物で構成された膜が、保護層として開示されている。また、特許文献5には、スチリル基変性した正孔輸送性化合物を重合した化合物で構成された膜を用いた電子写真感光体が開示されている。
これら連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、硬化条件、硬化雰囲気等の影響を強く受けることから、例えば、特許文献6には、真空中、又は不活性ガス中で放射線照射後に加熱されることによって形成された膜が、特許文献7には、不活性ガス中で加熱硬化された膜が開示されている。
更に、例えば、特許文献2、8には、電荷輸送材料自身をアクリル変性し、架橋可能とすると共に、電荷輸送性を有さない反応性単量体を添加し、膜強度を向上させることも開示されている。
例えば、特許文献9には、電荷輸送材料自身を3官能以上の多官能に変性し、これを重合した化合物を含有する保護層が開示されている。また、特許文献10には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質の重合物を保護層に使用する技術が開示されており、また、摩擦特性を向上させるために、潤滑剤としてフッ素原子含有化合物を保護層中に含有する技術が開示されている。加えて、特許文献11には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質の濃度を最表面から内部に向かって傾斜を持たせることで、機械特性と電気特性が両立されることが開示されている。
特許文献17には、電荷輸送性を有さない多官能スチリル基含有単量体中に反応性基を有さない電荷輸送材料をドープし、放射線照射により硬化した硬化膜を有する感光体が開示されている。
導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有し、
最表面層が、下記一般式(I)及び一般式(II)で示され、且つ非電荷輸送性の化合物のうち少なくとも1種の位置異性体の混合物と、非反応性の電荷輸送材料の少なくとも1種と、を含有する組成物の硬化物で構成された層である電子写真感光体である。
前記一般式(I)で示される化合物のF1に連結する基が、下記一般式(III)又は下記一般式(IV)で示される基である請求項1に記載の電子写真感光体である。
前記一般式(II)で示される化合物のF2に連結する基が、下記一般式(V)又は下記一般式(VI)で示される基である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体である。
前記最表面層が、樹脂粒子を含有している請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
前記樹脂粒子が、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、6フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂の粒子である請求項4に記載の電子写真感光体である。
少なくとも、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジである。
少なくとも請求項1〜5に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置である。
請求項4、5に係る発明によれば、最表面層が、樹脂粒子を含まない場合に比べ、最表面層の摩耗が抑制された電子写真感光体が得られる。
請求項6、7に係る発明によれば、後述する化合物(A)又は(B)を含む層を有する電子写真感光体を備えた場合に比べ、繰り返し画像形成を行っても、画質の高い画像を維持するプロセスカートリッジ及び画像形成装置が得られる。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有する。
そして、最表面層は、一般式(I)及び一般式(II)で示され、且つ非電荷輸送性の化合物(以下、「特定の非電荷輸送性の化合物」と称する場合がある)のうち少なくとも1種の位置異性体の混合物と、非反応性の電荷輸送材料の少なくとも1種と、を含有する組成物の硬化物で構成された層である。
なお、特定の非電荷輸送性の化合物のうち少なくとも1種の位置異性体の混合物を、総称して「特定の位置異性体混合物」と称する場合がある。
具体的には、最表面層が保護層として機能する層の場合、導電性基体上に、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層、又は単層型感光層)、及び最表面層として保護層が順次形成された態様が挙げられる。一方、最表面層が電荷輸送層として機能する層の場合、導電性基体上に、電荷発生層、及び最表面層として電荷輸送層が順次形成された態様が挙げられる。
その理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
また、特定の非電荷輸送性の化合物は、上記構造であることにより、非反応性の電荷輸送材料との相溶性に優れると考えられる。そのため、非反応性の電荷輸送材料は、結晶化が抑制された状態で架橋された特定の非電荷輸送性の化合物中に、偏在し難くなると考えられる。
そのため、特定の位置異性体混合物は、特定の位置異性体混合物でない特定の非電荷輸送性の化合物に比べ、対称性が崩れた化合物の集合体となり易く、溶媒に対する溶解性がさらに高まる傾向にあると考えられる。
したがって、特定の位置異性体混合物は、最表面層の構成成分として適用した場合、層中において架橋したときに結晶化し難いと考えられる。
また、特定の位置異性体混合物は、上記構造であることにより、非反応性の電荷輸送材料との相溶性に優れると考えられる。そのため、非反応性の電荷輸送材料は、結晶化が抑制された状態で架橋された特定の位置異性体混合物中に、偏在し難くなると考えられる。
加えて、上記構成の層は、特定の位置異性体混合物がスチリル基を3つ以上有する3官能以上の単量体の混合物であることから、強度が向上する傾向にあると考えられる。
そして、本実施形態に係る電子写真感光体を備えた画像形成装置(又はプロセスカートリッジ)は、繰り返し画像形成を行っても、画質の高い画像を維持すると考えられる。
また、電子写真感光体は放電により帯電して使用するが、その際に電気的負荷、放電ガス(例えばオゾン)による負荷により、最表面層の構成材料の劣化が起こり、結果として放電生成物(例えば硝酸アンモニウム等のイオン性物質)を吸着しやすくなる。そのために、特に、高湿下で水分を吸着し、最表表面層の表面抵抗が低下し、潜像滲みを生じ、結果として画像の画像流れを生じやすい。これを抑制するために最表面層を適度に磨耗させ、潜像滲みを抑制する必要がある。この磨耗量は、帯電方式、クリーニング方式、トナー形状などの影響が大きく、システムによって大きく左右されるため、最表面層の強度を調整とすることが必要となる。この点、本実施形態に係る電子写真感光体では、例えば、未反応の反応性化合物の種類及び量、非反応性電荷輸送材料の種類及び量、並びに、硬化方法の選択により、最表面層の機械的強度(耐摩耗性)の調整が実現される。その結果、繰り返し画像形成を行っても、画質の高い画像の維持が実現される。
図2に示す電子写真感光体7Bにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Bにおいては、電荷輸送層3及び電荷発生層2により感光層が構成される。
なお、図1、図2及び図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
保護層5(最表面層)は、電子写真感光体7Aにおける最表面層であり、特定の位置異性体混合物と、非反応性の電荷輸送材料の少なくとも1種と、を含有する組成物の硬化物で構成されている。つまり、保護層5は、特定の位置異性体混合物の架橋物と、非反応性の電荷輸送材料の少なくとも1種とを含んで構成されている。
また、保護層5は、上記の他、その他の添加剤を含んでいてもよい。
特定の位置異性体混合物は、下記一般式(I)及び一般式(II)で示される非電荷輸送性の化合物のうち少なくとも1種の位置異性体の混合物である。
つまり、下記一般式(I)で示される化合物及び一般式(II)で示される化合物から選択される少なくとも1種のうち、位置異性体の混合物に該当するものである。
なお、特定の位置異性体混合物は、反応性化合物である。
なお、スチリル基におけるベンゼン環に置換されたビニル基の置換位置とは、具体的には、オルト位、メタ位及びパラ位のことを示す。
具体的には、F1及びF2は、窒素原子を有さない基であることを示す。つまり、F1は、窒素原子を有さず、芳香環を有するm1価の有機基であることがよく、F2は、窒素原子を有さず、芳香環を有するm2価の有機基であることがよい。
F1及びF2が示す基として具体的には、例えば、以下の構造式(1)〜(9)が挙げられる。
但し、F1又はF2が示す基は、その価数に応じて、構造式(1)〜(9)で示される基中の芳香環から水素原子を除いたm1価又はm2価の基である。
また、構造式(1)〜(9)中、kは、0以上3以下(望ましくは0以上2以下)の整数を示す。
構造式(1)〜(9)中の芳香環が有してもよい置換基としては、例えば、1以上6以下のアルキル基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、ハロゲン基が挙げられる。
具体的には、例えば、L1は、アルキレン基と、−C(=O)−O−及び−O−から選択される少なくとも1種以上と、を有する2価の連結基を示す。
L1で示される2価の連結基としては、例えば、
アルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−O−が介在した2価の連結基、
が挙げられる。
なお、L1で示される連結基は、アルキレン基中に、−C(=O)−O−、又は−O−の基が2つ介在してもよい。
*−(CH2)r−C(=O)−O−(CH2)s−、
*−(CH2)r−O−C(=O)−(CH2)t−C(=O)−O−(CH2)s−、
*−(CH2)r−O−(CH2)s−、
*−(CH2)r−O−(CH2)t−O−(CH2)s−
等が挙げられる。
ここで、L1で示される連結基中、rは、0又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。sは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。tは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、L1で示される連結基中、「*」は、F1と連結する部位を示している。
ここで、X1及びX2で示される2価の連結基は、例えば、−(CH2)p3−(但しp3は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す))が挙げられる。当該2価の連結基としては、アルキルオキシ基も挙げられる。
L2は、具体的には、例えば、アルカンから誘導される3価又は4価の基と、−C(=O)−O−及び−O−から選択される少なくとも1種以上と、を有するn2+1価の連結基を示す。
一般式(II)中、L2で示される連結基としては、例えば、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した(n2+1)価の連結基、分枝状に連結したアルキレン基中に−O−が介在した(n2+1)価の連結基、が挙げられる。
なお、L2で示される連結は、分枝状に連結したアルキレン基中に、−C(=O)−O−、又は−O−の基が2つ介在してもよい。
*−(CH2)r−CH[C(=O)−O−(CH2)s−]2、
*−(CH2)r−CH[(CH2)t−O−(CH2)s−]2、
*−(CH2)r−C(=O)−O−C[(CH2)t−O−(CH2)s−]3
等が挙げられる。
ここで、L2で示される連結基中、rは、0又は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。sは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。tは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。uは、1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、L2で示される連結基中、「*」は、F2と連結する部位を示している。
*−(CH2)r−CH[C(=O)−O−(CH2)s−]2、
*−(CH2)r−CH[(CH2)t−O−(CH2)s−]2、
がよい。
ここで、Y1及びY2で示される2価の連結基は、例えば、−(CH2)q3−(但しq3は1以上6以下(望ましくは1以上5以下)の整数を示す)が挙げられる。当該2価の連結基としては、アルキルオキシ基も挙げられる。
また、n2は、2が望ましい。
即ち、一般式(I)、一般式(II)で示される化合物の位置異性体は、前駆体であるカルボン酸、又はアルコールに対して、対応するクロロメチルスチレン等でのエステル化、エーテル化等を行うことにより合成される。
ここで、特定の位置異性体混合物を合成する方法としては、前駆体をエステル化、エーテル化してスチリル基を付与するとき、ベンゼン環に対するビニル基の位置関係が異なる位置異性体の関係にある2種以上のスチリル基を有する化合物を含む混合物を添加する方法が挙げられる。
具体的には例えば、以下の合成スキームの場合、スチリル基を付与するとき、ベンゼン環に対するビニル基の置換位置が異なる2種以上のクロロメチルスチレンの混合物(具体的には、例えば、ビニル基の置換位置がオルト位のクロロメチルスチレン、メタ位のクロロメチルスチレン及びパラ位のクロロメチルスチレンの混合物、ビニル基の置換位置がメタ位のクロロメチルスチレン及びパラ位のクロロメチルスチレンの混合物)を添加する方法が挙げられる。
添加する位置異性体の化合物の混合物は、上記3種の異性体の化合物の混合物であってもよいし、いずれか2種の異性体の化合物の混合物であってもよい。
また、エステル結合にて反応基を導入する場合、カルボン酸と、ヒドロキシメチルスチレンを酸触媒にて脱水縮合させる通常のエステル化や、カルボン酸と、ハロゲン化メチルスチレンを、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基を用いて縮合させる方法が使用されるが、ハロゲン化メチルスチレンを用いる方法が副生成物が抑制されるため望ましい。−COOH基に対し、ハロゲン化メチルスチレンを1当量以上、望ましくは、1.2当量以上、より望ましくは1.5当量以上加えることが望ましく、塩基はハロゲン化メチルスチレンに対し0.8当量以上3.0当量以下、望ましくは、1.0当量以上2.0当量以下で用いられる。溶剤としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、トルエン、クロロベンゼン、1―クロロナフタレンなどの芳香族系溶剤などが有効であり、カルボン酸の1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、望ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられる。反応温度は目的に合わせて設定される。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶剤で抽出、水洗し、さらに、目的に合わせて、活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
非反応性の電荷輸送材料は、連鎖重合性官能基を有さない電荷輸送材料である。
非反応性の電荷輸送材料としては、公知の電荷輸送材料を用いてもよく、具体的には、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物や、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物が挙げられる。
これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
ここで、上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
ここで、上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。
本実施形態に係る電子写真感光体は、最表面層に樹脂粒子を含むことがよい。理由は定かではないが、最表面層に樹脂粒子を含むと、電子写真感光体と接触する部材との摩擦係数が低下するため、最表面層の摩耗が抑制された電子写真感光体が得られると考えられる。
また、最表面層に樹脂粒子を含むと、電気特性及び耐摩耗性が共に高くなり易くなると考えられる。特に、最表面層に樹脂粒子(特にフッ素系樹脂粒子)を含むと、電子写真感光体の表面の滑性、耐摩耗性及びトナーの脱着性が向上する。
樹脂粒子としては、フッ素系樹脂粒子が望ましく、中でも、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体から選択される少なくとも1種であることが望ましい。また、これらのフッ素系樹脂粒子の中でも特に、4フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が望ましい。
なお、樹脂粒子を塗布液に分散させるための各種分散剤を併用してもよい。
樹脂粒子の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所製)を用いて測定した値をいう。
保護層5(最表面層)を構成する膜は、不飽和結合を有する化合物を併用してもよい。
不飽和結合を有する化合物としては、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよく、また、電荷輸送性骨格を有していてもよい。
1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレン、などが挙げられる。
3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
・連鎖重合性官能基(スチリル基を除く連鎖重合性官能基)及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物
連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における連鎖重合性官能基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性官能基としては、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基であることが望ましい。
また、連鎖重合性官能基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に持つ化合物における電荷輸送性骨格としては電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が望ましい。
市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
ラジカル重合性基を有するケイ素含有化合物、フッ素含有化合物としては、特開2007−11005号公報に記載の化合物などが挙げられる。
劣化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744(以上、三共ライフテック社製)、チヌビン144、チヌビン622LD(以上、チバ・ジャパン社製)、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63(以上、アデカ社製)が挙げられ、チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP−D(以上、住友化学社製)が挙げられ、ホスファイト系として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
この粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、望ましくは平均粒径1nm以上100nm以下、より望ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、又はアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれる。該粒子としては一般に市販されているものを使用してもよい。
これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下である。
表面層中のシリコーン粒子の含有量は、保護層5(最表面層)の全固形分全量を基準として、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着での混合でもよい。導電性粒子の平均粒径は0.3μm以下、特に0.1μm以下が望ましい。
保護層5(最表面層)を形成するために用いる組成物は、各成分を溶媒中に溶解又は分散してなる保護層形成用塗布液として調製されることが望ましい。
この保護層形成用塗布液は、無溶媒であってもよいし、必要に応じて、トルエン、キシレンなどの芳香族、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのセロソルブ系、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール系等の溶媒などの単独又は混合溶媒を用いて調製される。
保護層5形成用塗布液は、被塗布面(図1に示す態様では電荷輸送層3)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、光、電子線又は熱を付与してラジカル重合を生起させて、該塗膜を重合、硬化させる。
硬化の方法は、熱、光、放射線などが用いられる。熱、光で重合、硬化を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒又は熱重合開始剤を用いてもよい。この光硬化触媒及び熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が望ましい。
硬化の方法は、熱、光、放射線などが用いられる。熱、光で重合、硬化を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒又は熱重合開始剤を用いてもよい。この光硬化触媒及び熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が望ましい。
なお、本実施形態のように、特定の位置異性体混合物が3官能以上である場合、硬化の方法は、加熱により行うことがより望ましい。
これは、3官能以上の単量体は、2官能単量体に比べて分子運動が凍結され易い傾向にあるところ、加熱による硬化方法であれば、架橋反応中の特定の位置異性体混合物、及び電荷輸送材料の熱運動が促進される傾向にあり、分子分散状態を維持しつつ架橋密度が向上すると考えられる。その結果、特定の位置異性体混合物が架橋構造を形成し、該構造中に電荷輸送材料が偏在せずに含有されている硬化物を含む保護層5が得られると考えられるためである。
また、加熱のみでの硬化方法は、重合反応が他の方法に比べて均一に進行すると考えられる。
なお、光、放射線で硬化を行う場合、照射側が反応しやすいため、重合反応が不均一となり易いと考えられる。そのため、光、放射線で重合を開始した後に加熱し、反応の均一化を図ることが望ましい。
電子線を用いる場合、加速電圧は300KV以下が望ましく、より望ましくは150KV以下である。また、線量は望ましくは1Mrad以上100Mrad以下の範囲、より望ましくは3Mrad以上50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300KV以下であることにより感光体特性に対する電子線照射のダメージが抑制される。また、線量が1Mrad以上であることにより架橋が行なわれ、100Mrad以下であることにより感光体の劣化が抑制される。
光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ、バンドパスフィルター等のフィルターを用いて好適な波長を選択してもよい。照射時間、光強度は目的に合わせて選択されるが、例えば照度(365nm)は300mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が望ましく、例えば600mW/cm2のUV光を照射する場合、5−360秒程度照射すればよい。
より具体的には、ベンジルケタール系として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
アミノアルキルフェノン系としては、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モリホニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
ホスフィノキサイド系としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシム系としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。
より具体的には、ベンゾフェノン系として、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系としては、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ベンジル系としては、ベンジル、(±)−カンファーキノン、p−アニシルなどが挙げられる。
熱重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤又はその誘導体が挙げられ、具体的には、例えば、V−30、V−40、V−59、V601、V65、V−70、VF−096、VE−073、Vam−110、Vam−111(和光純薬工業製)、OTazo−15、OTazo−30、AIBN、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤;パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(化薬アクゾ社製)、ルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531(アルケマ吉富社製)などが挙げられる。
特に、特定の反応性基含有電荷輸送材料と熱による硬化とを組み合わせることで、塗膜の構造緩和の促進が図られ、表面性状に優れた高い保護層5が得られ易くなる。
導電性基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、及び金属ベルトが挙げられる。また、導電性基体4としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等も挙げられる。
ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜が形成される。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。
下引層1は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有して構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)102Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。
無機粒子のBET法による比表面積は、10m2/g以上が望ましい。
無機粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60nm以上1000nm以下)の範囲であることが望ましい。
アクセプター性化合物としては、上記特性が得られるものであれば限定されず、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。更にヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、下引層1に含有される結着樹脂として、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等を用いてもよい。
これらの中も、結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が用いられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層形成用塗布液に添加してもよい。
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、ジルコニウムキレート化合物の例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
溶媒として、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、Iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
更に、下引層1を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
更に、下引層1は、所望の特性が得られるのであれば、いかなる厚さに設定されてもよいが、厚さ15μm以上が望ましく、更に望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が用いられる。
また、表面粗さ調整のために下引層表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。LED,有機ELイメージアレイなどの非干渉性光源を用いる場合には平滑な表面を用いてもよい。
電荷発生層2は、電荷発生材料及び結着樹脂を含有する層である。また、結着樹脂を含有しない蒸着膜として形成してもよい。特に、LED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用いる場合に望ましい。
また、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料として、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン、特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が用いられる。
これに対し、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料などのn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じにくく、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥が抑制される。450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレーなどの非干渉性光源を用い、平滑な基材上に平滑な下引層を形成し、さらにn−型の電荷発生材料を用いることで、感光層を20μm以下の薄膜にしても画像欠陥を生じず、長期に渡って高解像度の画像が得られる。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定でき、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
更にこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、更に望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して形成される。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1から1:5までが望ましい。
電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独又は2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の分散方法としては、公知の方法が使用される。
電荷輸送層として本実施形態の表面層材料を使用してもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)について詳細に説明する。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように。電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。なお、図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を被転写体(記録媒体)に転写する二次転写装置も有している。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザの波長としては、780nm近くに発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
非干渉性の露光光源は、インコヒーレント光を照射する光源であり、例えば、非干渉性の露光光源としては、LED,有機ELイメージアレイなどが採用される。
非干渉性の露光光源によって露光される電子写真感光体表面の露光スポットの面積は1000μm2以下であり、且つ非干渉性の露光光源の発光の中心波長は450nm以上780nm以下であることがよい。
図6は露光ヘッドの一例を示す図であり、図7は露光ヘッドにより感光体に露光を施している状態を示す図である。各露光ヘッドは、図6及び図7に示すように、例えば、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と、結像部(レンズ70)と、を備えている。
発光素子アレイ60Bは、例えば、有機EL素子(発光素子60A)で構成される発光部と有機EL素子が実装される実装基板(図6の発光素子アレイ基板61に相当)とを備える。
有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)と結像部(レンズ70)とは、発光部(発光素子60A)と結像部の光入射面70Aとの光学距離が結像部の作動距離となるように、離間した状態で保持部材により保持されている。
そして、結像部では、発光部からの発光を光の入射面70Aから入射すると共に光の出射面70Bから出射して予め定められた位置に結像させる、つまり、発光素子60Aからの発光を感光体30に結像することによって、感光体30が露光されて潜像が形成される(図7)。
ここで、有機EL素子アレイ(発光素子アレイ60B)について説明する。
有機EL素子アレイは、例えば発光部から照射される光を実装基板(発光素子アレイ基板61)側から取り出す、所謂、ボトムエミッション方式となっている。無論、トップエミッション方式であってもよい。
発光部は、例えば、単一の発光素子60Aの群で構成されている。発光素子60Aは、実装基板(発光素子アレイ基板61)の長手方向に沿って線状(直列)又は千鳥格子状に配置して、発光部を構成している。発光素子60Aの群で構成された発光部は、感光体30の画像形成領域以上の長さとしている。
結像部は、例えば、ロッドレンズが複数配列されたレンズアレイで構成されている。レンズアレイとして具体的には、例えば、セルフォックレンズアレイ(SLA:セルフォックは、日本板硝子(株)の登録商標)と呼ばれる屈折率分散型レンズアレイを適用することがよいが、シリンドリカルレンズを組み合わせても良い。さらに、個々の光源用有機EL素子上にマイクロレンズを接合しても良い。
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤等を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、上記一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが望ましい。
現像剤は、トナー単独の一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤であってもよい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
使用した電荷輸送材料を以下に示す。
(合成例1)
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、50質量部、クロロメチルスチレン(メタ位体及びパラ位体混合物:セイミケミカル社製、CMS-P)、90質量部、ニトロベンゼン、0.1質量部、ヨウ化ナトリウム、5質量部、炭酸カリウム、81質量部、メチルエチルケトン400mlを1Lのフラスコに入れ、窒素気流下で15時間加熱還流した。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧留去したのち、トルエン400ml、水400mlを加え、溶解したのち、有機層を分離した。有機層をさらに水洗した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトで精製し、無色のオイル(上述の例示化合物5)を105質量部得た。
BIR−PC(旭有機材工業(株))、20質量部、クロロメチルスチレン(メタ位体及びパラ位体混合物:セイミケミカル社製、CMS-P)、52質量部、ニトロベンゼン、0.1質量部、ヨウ化ナトリウム、2質量部、炭酸カリウム、47質量部、メチルエチルケトン300mlを1Lのフラスコに入れ、窒素気流下で15時間加熱還流した。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧留去したのち、トルエン400ml、水400mlを加え、溶解したのち、有機層を分離した。有機層をさらに水洗した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトで精製し、無色のオイル(上述の例示化合物11)を25質量部得た。
(下引層の作製)
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、プルプリン誘導体1.0質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてプルプリン誘導体を付与させた酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いプルプリン誘導体付与酸化亜鉛を得た。
このプルプリン誘導体酸化亜鉛60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)45質量部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引き層1を得た。Raは約0.3μmであった。
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、100℃で5分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送層をCTM−1,40質量部、CTM−2,10質量部、結着樹脂のPC(Z)(ビスフェノールZポリカーボネート樹脂、三菱ガス化学(株)製、粘度平均分子量:6万、重量平均分子量5万)、55質量部をクロロベンゼン800質量部に加えて溶解し,電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
例示化合物5を20質量部、CTM−1を10質量部、OTazo−15(大塚化学、分子量354.4)0.2質量部をTHF20質量部、酢酸ブチル40質量部に溶解し、突き上げ塗布にて電荷輸送層上に塗布した。室温(25℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(25℃)から10℃/分の速度で160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約5μmの保護層を形成した。これを電子写真感光体1とする。
OTazo−15を1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、BASF社製)0.5質量部に変えた以外は、表面層の塗布までは電子写真感光体1と同様に行い、室温(25℃)で30分風乾した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で酸素濃度200ppmの窒素下で光照射を行ない、塗布膜を硬化させた。更に150℃で20分乾燥を加え膜厚約5μmの保護層を形成した。これを電子写真感光体2とする。
OTazo−15を加えなかった以外は、保護層の塗布までは電子写真感光体1と同様に行い、室温(25℃)で30分風乾した後、酸素濃度20ppmの窒素下で感光体を300rpmの速度で回転させながら照射距離が30mm、電子線加速電圧が90kV、電子線ビーム電流が2mA、電子線照射時間が1.0秒の条件で感光体に電子線を照射した。照射後すぐに、酸素濃度20ppmの窒素下で150℃に加熱し、20分保持して硬化反応を完結させ、膜厚約5μmの保護層を形成した。これを電子写真感光体3とする。
電荷輸送層までは電子写真感光体1と同様に作製した。この電荷輸送層上に、例示化合物5に変えて下記化合物(A)を20質量部、CTM−1を10質量部、OTazo−15(大塚化学、分子量354.4)0.2質量部をTHF20質量部、シクロペンチルメチルエーテル40質量部に溶解し、突き上げ塗布にて電荷輸送層上に塗布した。室温(25℃)で30分風乾して保護層を形成した。これを比較電子写真感光体1とした。比較電子写真感光体1の保護層には風乾の際に結晶化が発生し、表面が若干白濁した。
ヒドロキノン20g、4−クロロメチルスチレン67g、ヨウ化ナトリウム2g、炭酸カリウム60g、メチルエチルケトン320mlを1Lのフラスコに入れ、8時間加熱還流した。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧留去した後、トルエン500ml、水300mlを加え、加熱溶解した後、有機層を分液した。有機層をさらに水洗したのち、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して生じた結晶をろ過し、化合物(A)を46g得た。
電荷輸送層までは電子写真感光体1と同様に作製した。この電荷輸送層上に、例示化合物5に変えて下記化合物(B)(ダイセルサイテック社製、DPHA)を20質量部、CTM−1を10質量部、OTazo−15(大塚化学、分子量354.4)0.2質量部をTHF20質量部、シクロペンチルメチルエーテル40質量部に溶解し、突き上げ塗布にて電荷輸送層上に塗布した。室温(25℃)で30分風乾して保護層を形成した。これを比較電子写真感光体2とした。比較電子写真感光体2の保護層には風乾の際に結晶化が発生し、若干表面が白濁した。
電荷輸送層までは電子写真感光体1と同様に作製した。例示化合物5を20質量部、CTM−1を10質量部、PTFE(ルブロンL−2:ダイキン社製)3質量部、GF400(東亜合成社製)0.3質量部をTHF20質量部、シクロペンチルメチルエーテル40質量部に溶解し、超音波ホモジェナイザーで分散した。分散終了後、OTazo−15(大塚化学、分子量354.4)0.2質量部を加え、突き上げ塗布にて電荷輸送層上に塗布した。室温(25℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(25℃)から10℃/分の速度で160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約5μmの保護層を形成した。これを電子写真感光体4とする。
電荷発生層までは電子写真感光体1と同様に作製した。この電荷発生層上に、例示化合物5を20質量部、CTM−1を10質量部、CTM−2を10質量部、OTazo−15(大塚化学、分子量354.4)0.2質量部をTHF20質量部、シクロペンチルメチルエーテル20質量部に溶解し、突き上げ塗布にて電荷発生層上に塗布した。室温(25℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(25℃)から10℃/分の速度で160℃まで昇温し、160℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約20μmの保護層を形成した。これを電子写真感光体5とする。
電荷発生層までは電子写真感光体1と同様に作製した。この電荷発生層上に、表1の組成で電荷輸送層、保護層を実施例1と同様に作製し電子写真感光体6〜14を作製した。
なお、例示化合物は、上述した例示化合物の合成方法に準じて合成した。
作製した電子写真感光体について、以下の項目で評価した。結果は表2、3に示す。
上述のようにして得た電子写真感光体について、画像形成を伴う試験の前に、富士ゼロックス社内製電気特性評価装置を用い、初期電位を−700Vに帯電し、波長780nmで3.7mJ/m2露光し、30msec後の表面電位(VL)を測定し、以下の基準で評価した。
この値の絶対値が小さいほど、光応答性が高く、高速での使用に適することを意味する。
A:−80V以上
B:−80V未満−110V以上
C:−110V未満−140V以上
D:−140V未満
各例で作製した感光体を富士ゼロックス社製、ApeosPort−IV C5575に装着し、低温低湿(8℃、20%RH)及び高温高湿(28℃、85%RH)において、以下の画質評価を連続して行なった。
まず、低温低湿(8℃、20%RH)10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価(ゴースト、カブリ、スジ、黒点、文字解像度、画像流れ)を実施した。また、画像形成テスト中、ブレード鳴きの評価も実施した。そして、画質評価終了後の感光体表面付着を測定した。
次に、低温低湿環境下での画質評価に続いて、高温高湿(28℃、85%RH)の環境下にて10000枚の画像形成テストを行なった。10000枚目の画質評価(ゴースト、カブリ、スジ、黒点、文字解像度、画像流れ)を実施した。また、画像形成テスト中、ブレード鳴きの評価も実施した。そして、画質評価終了後の感光体表面付着、感光体摩耗量を評価した。
ゴーストは、図8(A)に示したGと画像濃度50%の灰色領域を有するパターンのチャートをプリントし、50%の灰色部分にGの文字の現れ具合を目視にて評価した。
A:図8(A)のように良好又は軽微である。
B:図8(B)のように若干目立つ程度である
C:図8(C)のようにはっきり確認される。
カブリ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナー付着程度を目視にて観察し、カブリ(画像のない白地部分にトナーが現像される現象)の有無を判断した。
A:カブリなし。
B:うっすらとカブリあり。
C:画質上問題となるカブリあり。
スジ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナー付着程度を目視にて観察し、スジ(感光体の回転方向に直線的にトナーが残存し、用紙にスジ状の画像欠陥が観察される現象)の有無を判断した。
A:スジなし。
B:うっすらとスジあり。
C:画質上問題となるスジあり。
黒点評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部の点状の画質欠陥程度を目視にて観察し、黒点(画像の無い部分に1mm程度の大きさの点状の画像欠陥が観察される現象)の有無を判断した。
A:黒点発生なし。
B:多少の黒点発生。
C:画質上問題となる黒点あり。
文字解像度評価は8ポイントサイズの文字「響」を印字し、解像度を目視にて観察し判断した。
A:文字のつぶれなし。
B:若干の文字のつぶれあり。
C:解像度が明らかに不良。
画像流れは上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて観察し、画像流れ(画像端部、又は細線などが感光体表面の電位流れによって太ったり、細ったりする現象)の有無を判断した。
A:画像流れなし。
B:連続的に画像形成している時は問題ないが、1日(24時間)放置後に発生。
C:連続的に画像形成しているときにも発生。
電子写真感光体表面付着の評価は、画像形成後の電子写真感光体表面を目視にて判断した。
A:付着物の付着なし。
B:部分的にスジ状に付着があり、電子写真感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭くことで除去される。
C:全面にスジ状に付着があり、電子写真感光体表面をイソプロパノールをしみ込ませた布で軽く拭いても除去されない。
画像形成中にブレード鳴き(電子写真感光体とクリーニングブレードとの摩擦により発生する音)グレードを評価した。
A:鳴きなし。
B:若干鳴きあり。
C:明らかに鳴きが聞こえる。
渦電流式膜厚測定装置(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて、上述した画質評価後の電子写真感光体の膜厚を測定し、予め測定しておいた感光体の膜厚との差(μm)を求め、電子写真感光体摩耗量を評価した。
A:1.5μm以上
B:1.5μm以上3μm未満
C:3μm以上4μm未満
D:4μm以上5μm未満
E:5μm以上
上記低温低湿、高温高湿での画質評価、電気特性評価、摩耗量評価を総合し、感光体、画像形成システムの総合評価を行った。
A:特に優れる
B:優れる
C:若干課題はあるが、実用上の大きな問題はない
D:実用上の課題あり
また、保護層にPTFEを含む本実施例4と、保護層にPTFEを含まないこと以外は同じ組成分の実施例1とを比べると、PTFEを含む実施例4の電子写真感光体の方が摩耗量が少ないことがわかる。
さらに、合成した例示化合物及び以下に示す化合物(C)について、溶媒に対する溶解性を評価した。ここで化合物(C)は、特定の位置異性体混合物でない特定の非電荷輸送性の化合物である。
20℃において、化合物(C)1gをテトラヒドロフラン10mlに加え、1時間撹拌し、目視にて溶解性を確認した。溶解している場合をA、若干不溶分が認められる場合にB、白濁している場合をCとした。
また、溶媒をテトラヒドロフランからトルエン、キシレン、ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸ブチルに代えたときの溶解性についても評価した。
・PC(Z):ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製、粘度平均分子量:6万、重量平均分子量5万)
・PTFE:フッ素樹脂粒子「ルブロンL2(ダイキン工業(株)社製)」
・イルガノックス1076:ヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス1076(BASF社製)」
・OTazo−15:熱重合開始剤「OTazo−15(大塚化学社製、分子量354.4)」
・イルガキュア184:光重合開始剤「イルガキュア184(BASF社製)」
Claims (7)
- 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、を有し、
最表面層が、下記一般式(I)及び一般式(II)で示され、且つ非電荷輸送性の化合物のうち少なくとも1種の位置異性体の混合物と、非反応性の電荷輸送材料の少なくとも1種と、を含有する組成物の硬化物で構成された層である電子写真感光体。
〔上記一般式(I)中、F1は、電荷輸送性を有さず、芳香環を有するm1価の有機基を示す。L1は、−C(=O)−O−及び−O−から選択される少なくとも1種以上を含む2価の連結基を示す。m1は3以上の整数を示す。〕
〔上記一般式(II)中、F2は、電荷輸送性を有さず、芳香環を有するm2価の有機基を示す。L2は、−C(=O)−O−及び−O−から選択される少なくとも1種以上を含む(n2+1)価の連結基を示す。m2は、2以上の整数を示す。n2は、2以上3以下の整数を示す。〕 - 前記一般式(I)で示される化合物のF1に連結する基が、下記一般式(III)又は下記一般式(IV)で示される基である請求項1に記載の電子写真感光体。
〔X1及びX2は、それぞれ独立して2価の連結基を示し、p1及びp2は、それぞれ独立して0又は1を示す。〕 - 前記一般式(II)で示される化合物のF2に連結する基が、下記一般式(V)又は下記一般式(VI)で示される基である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
〔Y1及びY2は、それぞれ独立して2価の連結基を示し、q1及びq2は、それぞれ独立して0又は1を示す。〕 - 前記最表面層が、樹脂粒子を含有している請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記樹脂粒子が、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、6フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂の粒子である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 少なくとも、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 少なくとも請求項1〜5に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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