JP6946099B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6946099B2
JP6946099B2 JP2017144953A JP2017144953A JP6946099B2 JP 6946099 B2 JP6946099 B2 JP 6946099B2 JP 2017144953 A JP2017144953 A JP 2017144953A JP 2017144953 A JP2017144953 A JP 2017144953A JP 6946099 B2 JP6946099 B2 JP 6946099B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
electrophotographic photosensitive
photosensitive member
structural unit
charge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017144953A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018025780A (ja
Inventor
翔馬 日當
翔馬 日當
彰 榊原
彰 榊原
陽太 伊藤
陽太 伊藤
達也 山合
達也 山合
孟 西田
孟 西田
大祐 三浦
大祐 三浦
宣夫 小坂
宣夫 小坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Publication of JP2018025780A publication Critical patent/JP2018025780A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6946099B2 publication Critical patent/JP6946099B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/05Organic bonding materials; Methods for coating a substrate with a photoconductive layer; Inert supplements for use in photoconductive layers
    • G03G5/0528Macromolecular bonding materials
    • G03G5/0557Macromolecular bonding materials obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsatured bonds
    • G03G5/0564Polycarbonates
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B69/00Dyes not provided for by a single group of this subclass
    • C09B69/10Polymeric dyes; Reaction products of dyes with monomers or with macromolecular compounds
    • C09B69/103Polymeric dyes; Reaction products of dyes with monomers or with macromolecular compounds containing a diaryl- or triarylmethane dye
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/75Details relating to xerographic drum, band or plate, e.g. replacing, testing
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/05Organic bonding materials; Methods for coating a substrate with a photoconductive layer; Inert supplements for use in photoconductive layers
    • G03G5/0528Macromolecular bonding materials
    • G03G5/0557Macromolecular bonding materials obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsatured bonds
    • G03G5/0582Polycondensates comprising sulfur atoms in the main chain

Description

本発明は、電子写真感光体、並びに、係る電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
繰り返し使用が想定される電子写真感光体には、高い耐久性が求められる。表面層として電荷輸送層を有する場合、電荷輸送層の耐久性が高い必要がある。電荷輸送層の耐久性を向上するために、電荷輸送層のバインダーとして用いる樹脂、特に、ポリカーボネート樹脂の構造の検討がされている(特許文献1〜12)。
特開平7−271062号公報 特開2012−048174号公報 特開2011−026574号公報 特開平5−113680号公報 特開平4−149557号公報 特開平6−011877号公報 特開2005−338446号公報 特開平6−317917号公報 特開平7−013363号公報 特開2008−146089号公報 特開2014−235251号公報 特開2014−235273号公報
一方で、電荷輸送層としては、電子写真記録プロセスの高速化に伴い、耐久性と共に、得られる電子写真感光体性能の向上も期待されている。求められる電子写真感光体性能としては、例えば、かぶり現象や濃度ムラの抑制効果や、電位変動の抑制効果や、フォトメモリーの抑制効果などが挙げられる。
したがって、本発明の目的は、耐久性に優れ、十分な電子写真感光体性能を有する電子写真感光体を提供することにある。また、本発明の別の目的は、係る電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。本発明は何れの実施形態においても、支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とをこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体である。
そして、本発明にかかる電子写真感光体の第1の実施形態は、電荷輸送層が、式(1−1)で示される構造単位、式(1−2)で示される構造単位、及び式(1−3)で示される構造単位
Figure 0006946099
(式(1−1)において、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。)
Figure 0006946099
(式(1−2)において、R15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子を示す。)
Figure 0006946099
(式(1−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜9のアルキル基を示す。i211は0〜3の整数を示す。)
を有するポリカーボネート樹脂を含有し、
電荷輸送物質が、式(209)、(302)、(602)又は(603)で示される電荷輸送物質であ
Figure 0006946099

Figure 0006946099

Figure 0006946099

Figure 0006946099

ことを特徴とする。
本発明にかかる電子写真感光体の第2の実施形態は、電荷輸送層が、式(2−1)で示される構造単位、式(2−2−1、(2−2−2)又は(2−2−5)で示される構造単位、及び式(2−3)で示される構造単位
Figure 0006946099
(式(2−1)において、Rは、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示す。)
Figure 0006946099
Figure 0006946099
(式(2−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基を示す。i211は0〜2の整数を示す。)
を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
本発明にかかる電子写真感光体の第3の実施形態は、電荷輸送層が、式(3−1)で示される構造単位及び式(3−2)で示される構造単位
Figure 0006946099
(式(3−1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、アルコキシ基を示す。Rは、置換若しくは無置換の炭素数1〜9のアルキル基を示す。iは0〜3の整数を示す。)
Figure 0006946099
(式(3−2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子を示す。)
を有するポリカーボネート樹脂を含有し、
電荷輸送物質が、式(102)、(212)、(305)又は(503)で示される電荷輸送物質であ
Figure 0006946099

Figure 0006946099

Figure 0006946099

Figure 0006946099

ことを特徴とする。
本発明によれば、耐久性に優れ、十分な電子写真感光体性能を有する電子写真感光体を提供することができる。また、係る電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 1ドット桂馬パターン画像を説明する図である。 実施例で用いたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。 実施例で用いたクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。 実施例で用いたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とをこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である。支持体と電荷発生層との間にその他の層を設けてもよい。以下、各層について説明する。
電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布法が好ましい。
<支持体>
本発明において、支持体は、導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金などの金属又は合金で形成される支持体や、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスなどの絶縁性支持体上に、アルミニウム、クロム、銀、金などの金属の薄膜;酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性材料の薄膜;銀ナノワイヤーを加えた導電性インクの薄膜を形成した支持体が挙げられる。
支持体の表面には、電気的特性の改善や干渉縞の抑制のため、陽極酸化などの電気化学的な処理や、湿式ホーニング処理、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の形状としては円筒状又はフィルム状などが挙げられる。
<導電層>
本発明において、支持体の上に導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体のムラや欠陥の被覆、干渉縞の防止が可能となる。導電層の平均膜厚は5μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
導電層は、導電性粒子と、結着樹脂を含有することが好ましい。導電性粒子としては、カーボンブラック、金属粒子及び金属酸化物粒子などが挙げられる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化亜鉛、鉛白、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズの粒子が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンの粒子が好ましい。特に、酸化チタン粒子は、可視光及び近赤外光をほとんど吸収せず、白色であるため、高感度化の観点から好ましい。酸化チタンの結晶型として、例えば、ルチル型、アナターゼ型、ブルカイト型及びアモルファス型があり、いずれの結晶型を用いてもよい。また、針状結晶、粒状結晶の酸化チタン粒子も用いてもよい。より好ましくは、ルチル型の酸化チタン結晶の粒子である。金属酸化物粒子の個数基準の平均一次粒径は、0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。
結着樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中でも、他の層を形成するために用いる塗布液中の溶剤に対する耐性、導電性支持体に対する密着性、金属酸化物粒子の分散性・分散安定性という観点から、硬化性樹脂が好ましい。より好ましくは、熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性のフェノール樹脂、熱硬化性のポリウレタン樹脂が挙げられる。
<下引き層>
本発明において、支持体又は導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、バリア機能と接着機能が高まる。下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、アガロース樹脂、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などが挙げられる。下引き層の平均膜厚は、0.3μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
また、下引き層には、電子輸送物質、あるいは金属酸化物粒子を含有させてもよい。係る構成により、電荷発生層で発生した電荷のうち、電子を支持体にまで輸送することができるので、電荷輸送層の電荷輸送能が向上しても電荷発生層中での電荷の失活、トラップの増加を抑制できる。よって、初期の電気特性及び繰り返し使用時における電気特性が向上する。
電子輸送物質としては、例えば、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、ナフチルイミド化合物、ペリレンイミド化合物が挙げられる。電子輸送物質は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、メトキシ基などの重合性官能基を有することが好ましい。
金属酸化物粒子としては、上記導電層において説明したものと同様である。
<電荷発生層>
本発明において、支持体と電荷輸送層との間に、電荷発生層を有する。電荷発生層は、電荷輸送層に隣接していることが好ましい。電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.3μm以下であることがより好ましい。
本発明において、電荷発生層は、電荷発生物質と結着樹脂を含有することが好ましい。
電荷発生層中の、電荷発生層の全重量に対する電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全重量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
電荷発生層における電荷発生物質の含有量A(質量%)と、電荷輸送層における電荷輸送物質の含有量B(質量%)との比(A/B)が、1.0以上3.0以下であることが好ましく、1.2以上2.5以下であることがより好ましい。
電荷発生物質としては、チタニウムフタロシアニン結晶、もしくはガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。中でも、優れた感度を有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、クロロガリウムフタロシアニン結晶が、より好ましい。感度向上の観点から、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θ±0.3°において27.2°にピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θ±0.3°において7.4°及び28.3°にピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θ±0.3°において7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°にピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶がより好ましい。
また、ガリウムフタロシアニン結晶は、結晶内にN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−プロピルホルムアミド、N−ビニルホルムアミドなどのアミド化合物を含有するガリウムフタロシアニン結晶であることが好ましい。
アミド化合物の含有量は、ガリウムフタロシアニン結晶中のガリウムフタロシアニンに対して0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上1.9質量%以下であることがより好ましい。尚、アミド化合物の含有量は、H−NMR法により測定できる。
アミド化合物を結晶内に含有するガリウムフタロシアニン結晶は、アシッドペースティング法又は乾式ミリングにより処理したガリウムフタロシアニンと、アミド化合物とを含んだ溶剤を、湿式ミリング処理して結晶変換する工程によって得られる。
湿式ミリング処理とは、ガラスビーズ、スチールビーズ、アルミナボールなどの分散剤とともにサンドミル、ボールミルなどのミリング装置を用いて行う処理である。
結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、アクリロニトリル共重合体及びポリビニルベンザールなどの樹脂が挙げられる。これらの中でも、ガリウムフタロシアニン結晶を分散させる樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザールが好ましい。
<電荷輸送層>
本発明において、電荷輸送層は、電荷輸送物質、及び、後述する構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有する。
(ポリカーボネート樹脂)
(I)第1の実施形態
(ポリカーボネート樹脂の構造)
本発明者らが検討を行った結果、特定のポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いることで、かぶり現象と濃度ムラを抑制できることを見出した。具体的には、電荷輸送層が、式(1−1)で示される構造単位、式(1−2)で示される構造単位、及び式(1−3)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
Figure 0006946099
(式(1−1)において、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。)
Figure 0006946099
(式(1−2)において、R15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子、スルホニル基を示す。)
Figure 0006946099
(式(1−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜9のアルキル基を示す。i211は0〜3の整数を示す。尚、i211が0のときは単結合である。)
本発明の構造のポリカーボネート樹脂は、本発明の構造を有さないポリカーボネートと比較して耐摩耗性が向上している。そのため、繰り返し使用した際の摩耗が抑制され、感光体表面の帯電電位の安定性が向上した結果、画像の全白部へのトナーかぶり(かぶり現象)が抑制されたと考えている。
一方、プロセススピードを変更して画像形成すると、画像間に濃度ムラが生じる場合があった。これには電子写真感光体の高速記録応答性が影響しており、露光後の表面電位を速やかに安定させる必要があった。本発明の構造のポリカーボネート樹脂は、本発明の構造を有さないポリカーボネートと比較して高速記録応答性が向上しているため、濃度ムラを抑制できたと考えている。
これは本発明のポリカーボネート樹脂が、式(1−1)及び式(1−2)で示される構造単位の両方を有することで、耐摩耗性を維持したまま構造の過度な配向を抑制でき、更に式(1−3)で示されるアルキル基の分岐鎖構造を有する構造単位を組み合わせることで、ポリカーボネート樹脂と電荷輸送物質のような低分子化合物との相溶性が向上したと考えている。その結果、電荷輸送層中の電荷輸送物質が膜内に適度に分散されて、キャリアの受け渡しに障害が少ないような分子配置になり、電荷輸送層にかかる電界強度が小さい領域でもキャリアがスムーズに吐き出され、高速記録応答性が向上したと考えられる。
上記の観点から、前記式(1−1)において、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を示すことが好ましい。更には、R11〜R14は、水素原子を示すことがより好ましい。
前記式(1−2)において、R15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を示すことが好ましく、Xは酸素原子、硫黄原子、スルホニル基を示すことが好ましい。更には、R15〜R18は、水素原子を示すことがより好ましく、Xは酸素原子を示すことがより好ましい。
前記式(1−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を示すことが好ましく、R215は、水素原子、メチル基、エチル基を示すことが好ましく、R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を示すことが好ましく、i211は0〜2の整数を示すことが好ましい。更には、R211〜R214は、水素原子を示すことがより好ましく、R215は水素原子、メチル基を示すことがより好ましく、R216とR217は、メチル基を示すことがより好ましく、i211は0又は1であることがより好ましい。
樹脂に占める、式(1−1)で示される構造単位、式(1−2)で示される構造単位、及び式(1−3)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa、b、及びcとしたときに、c/(a+b+c)が、0.40〜0.80であることが好ましい。また、a/bが0.25〜4.00であることが好ましい。この範囲であれば、高いレベルで耐摩耗性と高速記録応答性を維持できる。
また、式(1−1)〜式(1−3)で示される構造単位以外の構造単位を含有してもよい。その場合は、式(1−1)〜式(1−3)で示される構造単位が、その他の構造単位に対して、mol比率で1.0倍以上であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、30,000以上80,000以下であることが好ましく、40,000以上70,000以下であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が30,000より小さいと耐摩耗性が低下する場合がある。一方、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が80,000より大きいと、電荷輸送層用塗布液の保存安定性が十分に得られない場合がある。また、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)は30,000以上110,000以下であることが好ましく、40,000以上90,000以下であることがより好ましい。後述する実施例において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、ウベローデ粘度計を使用し、20℃、0.5w/v%ポリカーボネートジクロロメタン溶液、ハギンズ定数0.45で極限粘度[η]を測定し、以下の式により求めた。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
また、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)[測定器:アライアンスHPLCシステム(Waters製)]を用い、Shodex KF−805Lカラム(昭和電工製)2本、0.25w/v%クロロホルム溶液サンプル、1ml/分クロロホルム溶離液、254nmのUV検出の条件で測定し、ポリスチレン換算の値として算出した。
また、上記ポリカーボネート樹脂の極限粘度は、0.3dL/g〜2.0dL/gが好ましい。
電荷輸送層中における、電荷輸送物質(後述)の含有量が、ポリカーボネート樹脂の含有量に対して、0.5倍以上0.9倍以下であることが好ましい。0.5倍より小さいと十分な高速記録応答性を得られない場合がある。また、0.9倍より大きいと十分な耐摩耗性を得られない場合がある。
<式(1−1)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<式(1−2)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<式(1−3)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<ポリカーボネート樹脂の具体例>
ポリカーボネート樹脂の具体例を表1に示す。
Figure 0006946099
(ポリカーボネート樹脂の合成方法)
一例として、樹脂I−1のホスゲン法による合成方法を以下に示す。その他のポリカーボネート樹脂は、以下の方法において、式(1−1)〜式(1−3)の構造単位となる化合物の種類と添加量を適宜変えることにより合成可能である。また、樹脂の粘度平均分子量は、分子量調節剤の添加量を適宜変えることにより調整可能である。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂は、エステル交換法によって合成してもよい。
5質量%の水酸化ナトリウム水溶液2200mlに、式(1−1−1)の構造単位となる4,4’−ジヒドロキシビフェニル(東京化成工業製、製品コードB0464)を37.2g(0.20mol)と、式(1−2−1)の構造単位となる4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル(東京化成工業製、製品コードD2121)を60.7g(0.30mol)と、式(1−3−1)の構造単位となる4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノール(東京化成工業製、製品コードD3267)を135.2g(0.500mol)と、ハイドロサルファイト0.2gを溶解した。これにメチレンクロライド1000mlを加えて攪拌しつつ、15℃に保ちながら、次いでホスゲン120gを60分で吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール(東京化成工業製、製品コードB0383)2.6gを加えて攪拌して、反応液を乳化させた。乳化後0.8mlのトリエチルアミンを加え、23℃にて1時間攪拌し、重合させた。重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、110℃、24時間乾燥して、ポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm−1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、ポリカーボネート樹脂であることが確認された。また、得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、54,000、重量平均分子量(Mw)は、74,000であった。
(II)第2の実施形態
(ポリカーボネート樹脂の構造)
本発明者らが検討を行った結果、特定のポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いることで、耐摩耗性と耐クラック性に優れることを見出した。具体的には、電荷輸送層が、式(2−1)で示される構造単位、式(2−2)で示される構造単位、及び式(2−3)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
Figure 0006946099
(式(2−1)において、Rは、水素原子、メチル基、フェニル基を示す。)
Figure 0006946099
(式(2−2)において、R15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子、スルホニル基を示す。)
Figure 0006946099
(式(2−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基を示す。i211は0〜2の整数を示す。尚、i211が0のときは単結合である。)
本発明の構造のポリカーボネート樹脂は、本発明の構造を有さないポリカーボネートと比較して耐摩耗性が向上している。これは、主に前述の式(2−2)が共重合する際に、高い配向性を示しながら規則性を持って共重合するためと考えている。特にエーテル構造を有する構造体は、高分子鎖がフレキシブルに折りたたまれやすく、また式(2−2)は左右対称性が高いため規則的に配向する傾向が強いことから、耐摩耗性を飛躍的に向上させられ、高耐久性を有することができると推察される。
一方、高い耐摩耗性を有する半面、可塑剤等の化学物質の暴露にあうと、クラック性に劣ることが検討でわかった。これは、高い配向性を示しているがゆえに配向性が異なる物質からのアタックを受けると、分子鎖の規則性が崩されやすく、もろくなるものと考えられる。そこで、規則性を持った配向を大半で維持しつつ、一部の規則性を意図的に崩すことが出来れば、耐摩耗性と耐クラック性を高次元で両立できるのではないかと考えた。検討の結果、式(2−2)の骨格構造に類似するものとして式(2−1)と式(2−3)を適度に混在させることで耐摩耗性と耐クラック性を高次元で両立させることができた。
これは、式(2−2)のような規則性を持った構造により耐摩耗性の向上を達成したところに、式(2−1)や式(2−3)のように、式(2−2)と類似の骨格構造を有しつつも分岐鎖を有する構造を共重合時に適度にブレンドさせることで、高い規則性を保ちつつも、一部の配向性を意図的に崩すことができ、耐クラック性に優れる特性を見いだせたものと考えている。また、式(2−1)は主鎖に対してフェニル基が少なくとも片側についた構造になっていることからか、主鎖の規則性を適度に崩すものとして最適であり、耐クラック性を向上させるために欠かせないものと考えている。
上記の観点から、前記式(2−2)において、R15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を示すことが好ましく、Xは酸素原子、硫黄原子、スルホニル基を示すことが好ましい。更には、R15〜R18は、水素原子を示すことがより好ましく、Xは酸素原子を示すことがより好ましい。
前記式(2−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を示すことが好ましく、R215は、水素原子、メチル基、エチル基を示すことが好ましく、R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基を示すことが好ましく、i211は0〜2の整数を示すことが好ましい。更には、R211〜R214は、水素原子を示すことがより好ましく、R215は、水素原子、メチル基を示すことがより好ましく、R216とR217は、メチル基を示すことがより好ましく、i211は0又は1を示すことがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂に占める、式(2−1)で示される構造単位、式(2−2)で示される構造単位、及び式(2−3)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa、b、及びcとしたときに、a/(a+b+c)が、0.10〜0.40であることが好ましい。また、b/(a+b+c)が、0.30〜0.60であることが好ましい。また、式(2−1)で示される構造単位及び式(2−2)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa及びbとしたときに、a/bが、0.20〜1.20であることが好ましい。この範囲であれば、高いレベルで耐摩耗性と耐クラック性を両立できる。
また、式(2−1)〜式(2−3)で示される構造単位以外の構造単位を含有してもよい。その場合は、式(2−1)〜式(2−3)で示される構造単位が、その他の構造単位に対して、mol比率で1.0倍以上であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、30,000以上90,000以下であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が30,000より小さいと耐摩耗性が低下する場合がある。一方、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が90,000より大きいと、表面層塗布液の保存安定性が十分に得られない場合がある。また、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)は30,000以上110,000以下であることが好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂の極限粘度は、0.3dL/g〜2.0dL/gが好ましい。
電荷輸送層中における、電荷輸送物質(後述)の含有量が、ポリカーボネート樹脂の含有量に対して、0.5倍以上0.9倍以下であることが好ましい。0.5倍より小さいと十分な高速記録応答性を得られない場合がある。また、0.9倍より大きいと十分な耐摩耗性を得られない場合がある。
<式(2−1)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<式(2−2)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<式(2−3)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<ポリカーボネート樹脂の具体例>
ポリカーボネート樹脂の具体例を表2に示す。
Figure 0006946099
(ポリカーボネート樹脂の合成方法)
一例として、樹脂II−1のホスゲン法による合成方法を以下に示す。その他のポリカーボネート樹脂は、以下の方法において、式(2−1)〜式(2−3)の構造単位となる化合物の種類と添加量を適宜変えることにより合成可能である。また、樹脂の粘度平均分子量は、分子量調節剤の添加量を適宜変えることにより調整可能である。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂は、エステル交換法によって合成してもよい。
5質量%の水酸化ナトリウム水溶液2200mlに、式(2−1−1)の構造単位となる4,4’−(α―メチルベンジリデン)ビスフェノール(東京化成工業製、製品コードM1098)を64.2g(0.20mol)と、式(2−2−1)の構造単位となる4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(東京化成工業製、製品コードD2121)を60.7g(0.30mol)と、式(2−3−1)の構造単位となる4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノール(東京化成工業製、製品コードD3267)を135.2g(0.500mol)と、ハイドロサルファイト0.2gを溶解した。これにメチレンクロライド1000mlを加えて攪拌しつつ、15℃に保ちながら、次いでホスゲン120gを60分で吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール(東京化成工業製、製品コードB0383)2.6gを加えて攪拌して、反応液を乳化させた。乳化後0.8mlのトリエチルアミンを加え、23℃にて1時間攪拌し、重合させた。重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、110℃、24時間乾燥して、ポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm−1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、ポリカーボネート樹脂であることが確認された。また、得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、55,000、重量平均分子量(Mw)は、66,000であった。
(III)第3の実施形態
(ポリカーボネート樹脂の構造)
本発明者らが検討を行った結果、特定のポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いることで、電位変動抑制効果に優れることを見出した。具体的には、電荷輸送層が、式(3−1)で示される構造単位及び式(3−2)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
Figure 0006946099
(式(3−1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、アルコキシ基を示す。Rは、置換基若しくは無置換の炭素数1〜9のアルキル基を示す。iは0〜3の整数を示す。尚、iが0のときは単結合である。)
Figure 0006946099
(式(3−2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子を示す。)
本発明の構造のポリカーボネート樹脂を電荷輸送層のバインダーとして用いることで、機械的強度の向上と、キャリア移動の滞りの抑制を同時に達成できるため、耐久電位変動が抑制されたと考えている。本発明の構造のポリカーボネート樹脂を用いると、電荷発生層と電荷輸送層との界面と、電荷輸送層中とに電荷輸送物質が均一な距離で配置され、その結果、キャリア移動の滞りが抑制されると考えている。加えて、フタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と組み合わせて用いることで、電荷発生層と電荷輸送層の界面でのキャリア移動の滞りが特に少なくなり、高いレベルで耐久電位変動が抑制されたものと考えている。電荷発生物質と電荷輸送物質の間でのキャリア移動を滞りなく行うためには、電荷発生物質近傍の好適な位置に電荷輸送物質が存在する必要があると考えられる。フタロシアニン結晶を構成するフタロシアニン分子は、分子構造の高い対称性に起因して、キャリア移動に好適な方向が多数存在すると考えられ、本発明の構造のポリカーボネート樹脂による電荷輸送物質の均一な配置と組み合わされることで、電荷発生物質と電荷輸送物質の間でのキャリアの滞りが特に少なく、高いレベルで耐久電位変動が抑制されるものと考えている。一方、アゾ顔料などの、対称性の低い分子から構成される電荷発生物質のみを含有する電荷発生層を用いた場合、顔料に対してキャリア移動に好適な方向が制限されており、本発明の構造のポリカーボネート樹脂により形成された、電荷輸送物質の均一な配置に起因する、電荷発生層と電荷輸送層の界面でのキャリア移動の滞りを抑制する効果が十分に発揮されないものと考えている。
上記式(3−1)で示される構造単位と、式(3−2)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を合成する方法としては、例えば、以下2つの方法が挙げられる。
1つ目は、式(3−1)’で示されるビスフェノール化合物と、式(3−2)’で示されるビスフェノール化合物を、ホスゲンと直接反応させる方法(ホスゲン法)である。
Figure 0006946099
(式(3−1)’において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、アルコキシ基を示す。Rは、置換基若しくは無置換の炭素数1〜9のアルキル基を示す。iは0〜3の整数を示し、iが0のときは単結合である。)
具体的には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパンなどが挙げられる。
Figure 0006946099
(式(3−2)’において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子を示す。)
具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチルー4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4―ヒドロキシフェニル)スルフィドなどが挙げられる。
2つ目は、上述した少なくとも2種のビスフェノール化合物を、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどのビスアリールカーボネートとエステル交換反応させる方法(エステル交換法)である。
ホスゲン法においては、通常、酸結合剤及び溶剤の存在下において、上述した少なくとも2種のビスフェノール化合物とホスゲンを反応させる。このとき用いる酸結合剤としては、ピリジンや、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。また溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムなどが挙げられる。更に、縮重合反応を促進するために、触媒や分子量調節剤を加えても良い。触媒としては、トリエチルアミンのような第三級アミン、又は第四級アンモニウム塩などが挙げられる。分子量調節剤としては、フェノール、p−クミルフェノール、t−ブチルフェノール、長鎖アルキル置換フェノールなどの一官能基化合物が挙げられる。
また、ポリカーボネート樹脂を合成する際に、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤;フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を用いてもよい。また、ポリカーボネート樹脂を合成するときの反応温度は、0〜150℃が好ましく、5〜40℃がより好ましい。反応時間は、反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間が好ましく、1分〜2時間がより好ましい。また、反応中は、反応系のpHを10以上にすることが好ましい。
上記式(3−1)で示される構造単位と、式(3−2)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂は、更に、電荷輸送層用塗工液の保存安定性などを目的として、式(3−1)で示される構造単位と式(3−2)で示される構造単位以外のその他の構造単位を含有してもよい。その他の構造単位として、例えば、下記式(3−3)から(3−5)で示される構造単位が挙げられる。
Figure 0006946099
ポリカーボネート樹脂に占める、式(3−1)で示される構造単位の含有比率が、25mol%以上70mol%以下であることが好ましく、30mol%以上60mol%以下であることがより好ましい。また、式(3−1)で示される構造単位の含有比率と、前記式(3−2)で示される構造単位の含有比率の合計が70mol%以上であることが好ましく、80mol%以上であることがより好ましい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、30,000以上80,000以下であることが好ましく、40,000以上70,000以下であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が30,000より小さいと機械的強度が低く、耐久電位変動抑制効果が十分に得られない場合がある。一方、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が80,000より大きいと、電荷輸送層用塗布液の保存安定性や塗工性が十分に得られない場合がある。また、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)は30,000以上110,000以下であることが好ましく、40,000以上90,000以下であることがより好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂の極限粘度は、0.3dL/g〜2.0dL/gが好ましい。
電荷輸送層中における、電荷輸送物質(後述)の含有量が、ポリカーボネート樹脂の含有量に対して、0.3倍以上0.7倍以下であることが好ましく、0.4倍以上0.6倍以下であることがより好ましい。
<式(3−1)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<式(3−2)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<ポリカーボネート樹脂の具体例>
ポリカーボネート樹脂の具体例を表3に示す。
Figure 0006946099
(ポリカーボネート樹脂の合成方法)
一例として、樹脂III−1の合成方法を以下に示す。その他のポリカーボネート樹脂は、以下の方法において、式(3−1)及び式(3−2)の構造単位となる化合物の種類と添加量を適宜変えることにより合成可能である。また、樹脂の粘度平均分子量は、分子量調節剤の添加量を適宜変えることにより調整可能である。
5質量%の水酸化ナトリウム水溶液1100mlに、式(3−1−1)の構造単位となる1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン(和光純薬工業製、製品コード131―11331)を48.5g(0.200mol)と、式(3−2−1)の構造単位となるビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル(東京化成工業製、製品コードD2121)を40.4g(0.200mol)と、ハイドロサルファイト0.1gを溶解した。これにメチレンクロライド500mlを加えて攪拌しつつ、15℃に保ちながら、次いでホスゲン60gを60分で吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール(東京化成工業製、製品コードB0383)1.3gを加えて攪拌して、反応液を乳化させた。乳化後0.4mlのトリエチルアミンを加え、23℃にて1時間攪拌し、重合させた。重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、110℃、24時間乾燥して、ポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm−1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、ポリカーボネート樹脂であることが確認された。
(IV)第4の実施形態
(ポリカーボネート樹脂の構造)
本発明者らが検討を行った結果、特定のポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いることで、耐摩耗性とフォトメモリーの抑制効果に優れることを見出した。具体的には、電荷輸送層が、式(4−1)で示される構造単位及び式(4−2)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
Figure 0006946099
(式(4−1)において、R11〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を示す。R16は炭素数6〜15の直鎖アルキル基を示す。)
Figure 0006946099
(式(4−2)において、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子、単結合、スルホニル基を示す。)
式(4−2)の構造を有するポリカーボネート樹脂は機械的強度が高いという特徴を有することに加え、同時に電荷輸送物質を凝集させやすい特徴も有する。そのため、機械的強度を高めるために共重合比率を上げていくと電荷輸送物質の凝集によりキャリアの滞留が起こり、フォトメモリーが発生しやすくなる。本発明のポリカーボネート樹脂は式(4−1)の構造を有することで直鎖アルキル基が電荷輸送物質の凝集を抑え、その結果、(4−2)の構造の共重合比率を上げても耐摩耗性とフォトメモリーの抑制を高いレベルで両立できたと考えている。この効果を得るには、直鎖アルキル基の炭素数は6〜15であることが好ましく、8〜12であることがより好ましい。炭素数が少ないと電荷輸送物質の凝集の抑制ができず、逆に炭素数が多すぎてもアルキル基自体が立体障害となり、電荷輸送物質の凝集抑制の効果が得られないと考えられる。
上記の観点から、式(4−1)において、R11〜R15は、水素原子を示すことが好ましく、R16は炭素数8〜12の直鎖アルキル基を示すことが好ましい。また、式(4−2)において、R21〜R24は、水素原子を示すことが好ましく、Xは酸素原子を示すことが好ましい。
ポリカーボネート樹脂に占める、式(4−2)で示される構造単位の含有比率が、20mol%以上80mol%であることが好ましく、50mol%以上80mol%以下であることがより好ましい。この範囲であれば、高いレベルで耐摩耗性とフォトメモリーの両立が可能となる。
上記式(4−1)で示される構造単位と、式(4−2)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂は、更に、電荷輸送層用塗工液の保存安定性などを目的として、式(4−1)及び式(4−2)で示される構造単位以外のその他の構造単位を含有してもよい。その他の構造単位として、例えば、下記式(4−3)で示される構造単位及び(4−4)で示される構造単位が挙げられる。
Figure 0006946099
本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、30,000以上80,000以下であることが好ましく、40,000以上70,000以下であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が30,000より小さいと耐摩耗性が低下する場合がある。一方、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が80,000より大きいと、電荷輸送層用塗布液の保存安定性が十分に得られない場合がある。また、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)は30,000以上110,000以下であることが好ましく、40,000以上90,000以下であることがより好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂の極限粘度は、0.3dL/g〜2.0dL/gが好ましい。
電荷輸送層中における、電荷輸送物質(後述)の含有量が、ポリカーボネート樹脂の含有量に対して、0.3倍以上1.2倍以下であることが好ましく、0.3倍以上0.6倍以下であることがより好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂の式(4−1)で示される構造単位のmol数が、前記電荷輸送物質のmol数に対して、0.2倍以上7.0倍以下であることが好ましい。この範囲であれば、高いレベルで耐摩耗性とフォトメモリー抑制を維持できる。
<式(4−1)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<式(4−2)で示される構造単位の具体例>
Figure 0006946099
<ポリカーボネート樹脂の具体例>
ポリカーボネート樹脂の具体例を表4に示す。
Figure 0006946099
(ポリカーボネート樹脂の合成方法)
一例として、樹脂IV−1のホスゲン法による合成方法を以下に示す。その他のポリカーボネート樹脂は、以下の方法において、式(4−1)及び式(4−2)の構造単位となる化合物の種類と添加量を適宜変えることにより合成可能である。また、樹脂の粘度平均分子量は、分子量調節剤の添加量を適宜変えることにより調整可能である。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂は、エステル交換法によって合成してもよい。
5質量%の水酸化ナトリウム水溶液1100mlに、デカナール(和光純薬工業製、製品コード 049−21535)より誘導して得られた式(4−1−1)の構造単位となる1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカンを39.1g(0.12mol)と、式(4−2−1)の構造単位となるビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル(東京化成工業製、製品コードD2121)を56.6g(0.28mol)と、ハイドロサルファイト0.1gを溶解した。これにメチレンクロライド500mlを加えて攪拌しつつ、15℃に保ちながら、次いでホスゲン60gを60分で吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール(東京化成工業製、製品コードB0383)1.3gを加えて攪拌して、反応液を乳化させた。乳化後0.4mlのトリエチルアミンを加え、23℃にて1時間攪拌し、重合させた。重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、110℃、24時間乾燥して、ポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm−1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、ポリカーボネート樹脂であることが確認された。また、得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、56,000、重量平均分子量(Mw)は、75,000であった。
(電荷輸送物質)
電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物及びトリアリルメタン化合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トリアリールアミン化合物を用いることが好ましい。
電荷輸送物質の分子量は300以上1,000以下が好ましい。電気特性及び長期保存安定性の向上の観点からは、600以上800以下がより好ましい。
以下、電荷輸送物質の具体例として、一般式と、各一般式を満足する例示化合物をそれぞれ示す。
Figure 0006946099
(上記式において、Ar101、Ar102はそれぞれ独立に、置換基を有しても良いアリール基を示し、R101、R102はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、あるいは置換基を有しても良いアリール基を示す。該置換のアリール基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。)
以下、(CTM−1)の例示化合物を示す。化合物(102)の酸化電位は0.76Vである。
Figure 0006946099
Figure 0006946099
(上記式において、Ar103〜Ar106はそれぞれ独立に、置換基を有しても良いアリール基を示し、Z101は置換基を有しても良いアリーレン基、あるいは複数のアリーレン基がビニレン基を介して結合した2価の基を示す。Ar103〜Ar106上の2つの隣接する置換基が互いに結合して環を形成していてもよい。該置換のアリール基、アリーレン基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。)
以下、(CTM−2)の例示化合物を示す。化合物(201)と化合物(212)の酸化電位はそれぞれ0.74V、0.72Vである。
Figure 0006946099
Figure 0006946099
(上記式において、R103はアルキル基、シクロアルキル基、あるいは置換基を有しても良いアリール基を示し、R104は水素原子、アルキル基、あるいは置換基を有しても良いアリール基を示し、Ar107は置換基を有しても良いアリール基を示し、Z102は置換基を有しても良いアリーレン基を示す。n101は1〜3、mは0〜2の整数を示し、m+n101=3である。mが2の場合、R103は同一でも異なっていても良い。R103上の2つの隣接する置換基が互いに結合して環を形成していてもよい。R103とZ102とが結合して環を形成していてもよい。また、Ar107とR104とがビニレン基により結合して環を形成していてもよい。該置換のアリール基、アリーレン基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。)
以下、(CTM−3)の例示化合物を示す。化合物(304)と化合物(305)の酸化電位はそれぞれ0.76V、0.81Vである。
Figure 0006946099
Figure 0006946099
(上記式において、Ar108〜Ar111はそれぞれ独立に、置換基を有しても良いアリール基を示す。該置換のアリール基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、4−フェニル−ブタ−1,3−ジエニル基である。)
以下、(CTM−4)の例示化合物を示す。
Figure 0006946099
Figure 0006946099
(上記式において、Ar112〜Ar117はそれぞれ独立に、置換基を有しても良いアリール基を示し、Z103はフェニレン基、ビフェニレン基、あるいは二つのフェニレン基がアルキレン基を介して結合した2価の基を示す。該置換のアリール基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。)
以下、(CTM−5)の例示化合物を示す。
Figure 0006946099
Figure 0006946099
(上記式において、R105〜R108の少なくとも1つは下記式で示される1価の基であり、それ以外はそれぞれ独立してアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を示し、Z104は置換基を有しても良いアリーレン基、あるいは複数のアリーレン基がビニレン基を介して結合した2価の基を示す。n102は0又は1を示す。該置換のアリール基、アリーレン基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。)
Figure 0006946099
(上記式において、R109とR110はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基を示し、Ar118は置換基を有しても良いアリール基を示す。Z105は置換基を有しても良いアリーレン基を示す。nは1〜3の整数を示す。該置換のアリール基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基である。該置換のアリーレン基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。)
以下、(CTM−6)の例示化合物を示す。化合物(603)の酸化電位は0.67Vである。
Figure 0006946099
Figure 0006946099
(上記式において、Ar119は置換基を有しても良いアリール基、式(7−1)又は式(7−2)で示される1価の基を示し、Ar120、Ar121はそれぞれ独立に置換基を有しても良いアリール基を示す。該置換のアリール基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。)
Figure 0006946099
(上記式において、Ar122、Ar123はそれぞれ独立に置換基を有しても良いアリール基、もしくは置換基を有しても良いアラルキル基を示す。該置換のアリール基、アラルキル基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。)
Figure 0006946099
(上記式において、R111、R112はそれぞれ独立に置換基を有しても良いアリール基を示し、Z106は置換基を有しても良いアリーレン基を示す。該置換のアリール基、アリーレン基の置換基はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。)
以下、(CTM−7)の例示化合物を示す。
Figure 0006946099
電荷輸送物質の酸化電位は0.80V以下であることが好ましく、電気特性の観点から0.77V以下であることがより好ましい。電荷輸送物質の酸化電位が0.80Vより大きいと、電荷発生層と電荷輸送層の界面でのキャリア移動に滞りが生じると考えており、耐久電位変動抑制効果が十分に得られない場合がある。本発明において、酸化電位の測定は以下のようにして行った。飽和カロメル電極を参照電極とし、電解液に0.1Nの(n−Bu)ClO アセトニトリル溶液を用い、ポテンシャルスイーパーによって作用電極の電位をスイープし、得られた電流−電位曲線のピーク位置を酸化電位の値とした。
詳しくは、サンプルを、0.1Nの(n−Bu)ClO アセトニトリル溶液に、5〜10mmol%の濃度になるように溶解した。次に、このサンプル溶液に電圧を印加し、低電位から直線的に電圧を変化させたときの電流変化を測定し、電流−電位曲線を得た。この電流−電位曲線における電流値のピークに達した電位値を酸化電位とした。
更に、トナーの転写効率を上げる目的で離型剤や、汚れなどを抑制する目的で指紋付着防止剤や、削れを抑制する目的でフィラーや、潤滑性を向上させる目的で潤滑剤などを含有してもよい。潤滑剤としては、シロキサン構造を有する樹脂を用いることが好ましい。シロキサン構造を有する樹脂とは、具体的には下記部位を有する樹脂を意味する。
Figure 0006946099
式中、aは括弧内の構造の繰り返し数を示し、シロキサン構造を有する樹脂におけるaの平均値は、20以上200以下であることが好ましい。
シロキサン構造を有する樹脂を用いる場合、シロキサン構造を有する樹脂の含有量が、ポリカーボネート樹脂の含有量に対して、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。0.1質量%より小さいと、潤滑材の機能が十分に発揮されず、耐クラック性が十分に確保できない場合がある。一方、30質量%より多いと、ポリカーボネート樹脂の規則的な配向性を崩すこともあり、耐摩耗性に劣る場合がある。尚、シロキサン部位の含有量は、一般的な分析手法で解析可能である。以下に、分析手法の例を示す。まず、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層を溶剤で溶解させる。その後、サイズ排除クロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーなどの各組成成分を分離回収可能な分取装置で、表面層である電荷輸送層に含有される種々の材料を分取する。分取された成分であるシロキサン構造を有する樹脂を、H−NMR測定による水素原子(樹脂を構成している水素原子)のピーク位置及びピーク面積比による換算法によって構成材料構造及び含有量を確認することができる。それらの結果より、シロキサン部位の繰り返し数やモル比を算出し、含有量(質量比)に換算する。また、分取された成分であるシロキサン構造を有する樹脂をアルカリ存在下などで加水分解させ、カルボン酸部分とビスフェノール部分に分解する。得られたビスフェノール部分に対し、核磁気共鳴スペクトル分析や質量分析により、シロキサン部位の繰り返し数やモル比を算出し、含有量(質量比)に換算することができる。
本発明において、電荷輸送層は、電荷輸送物質、ポリカーボネート樹脂を溶媒と混合して電荷輸送層用塗布液を調製し、電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることで形成することができる。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶剤;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;ハロゲン原子で置換されたジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などの炭化水素溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジメトキシメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性有機溶媒などが挙げられる。これらは、2種類以上を併用してもよい。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、7μm以上30μm以下であることがより好ましい。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
図1は、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
1は円筒状(ドラム状)の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。露光光4は、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光である。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像又は反転現像)され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写されていく。このとき、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写材7が紙である場合、転写材7は給紙部(不図示)から取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して給送される。
電子写真感光体1からトナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて、定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。
転写材7にトナー像を転写した後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9により、トナー(転写残りトナー)などの付着物の除去を受けて清浄される。近年、クリーナレスシステムも開発され、転写残りトナーを直接、現像器などで除去することも可能である。更に、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6及びクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納めて一体に支持してプロセスカートリッジを形成してもよい。そして、このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することが可能である。例えば、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9から選択される少なくとも1つを電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化する。そして、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光であってもよい。又は、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動もしくは液晶シャッターアレイの駆動などにより放射される光であってもよい。
本発明の電子写真感光体1は、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。また、実施例I−9、実施例II−17、及び実施例IV−1〜実施例IV−16は参考例である。
<第1の実施形態に対応する実施例>
[電子写真感光体の作製]
(実施例I−1)
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン製)3.6部、1−メトキシ−2−プロパノール50部、及び、メタノール50部からなる溶液を、ボールミルで20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体として長さ261.5mm、直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)10部及びメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層(UCL−1)を形成した。
次に、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θにおいて27.2°にピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)5部、及び、シクロヘキサノン250部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルで6時間分散処理した。この分散液に酢酸エチル250部を加えて希釈することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.20μmの電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂として樹脂I−1を10部、電荷輸送物質として式(602)の化合物を5部、テトラヒドロフラン35部とトルエン35部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分120℃で乾燥させることによって、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。以上のようにして、実施例I−1の電子写真感光体を作製した。
(その他の実施例及び比較例)
表6に記載の、ポリカーボネート樹脂、電荷輸送物質、電荷輸送層中のポリカーボネート樹脂の含有量に対する電荷輸送物質の含有量となるように、上記(実施例I−1)からそれぞれ変更して電子写真感光体を作製した。比較例に用いたポリカーボネート樹脂の構造を表5に示す。尚、樹脂I−19は電荷輸送層用塗布液中に溶解せず、感光体を作製できなかったため、後述する評価は行っていない。
Figure 0006946099
比較例に使用したポリカーボネート樹脂の構造単位を以下に示す。
Figure 0006946099
[評価]
上記で作製した電子写真感光体を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表6に示す。
(濃度ムラ抑制効果)
レーザービームプリンターCP−4525(ヒューレット・パッカード製)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)、露光光量及び現像バイアスを調整できるように改造した評価装置Xと、評価装置Xを更にプロセススピード(電子写真感光体の回転速度)が1.5倍早くなるように改造した評価装置Yを用意した。
上記で作製した電子写真感光体を評価装置X及びYのプロセスカートリッジ(シアン色)にそれぞれ装着し、温度23℃、相対湿度50%環境下で、A4サイズの普通紙に対し、図2に示す「1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像」を評価用画像X及びYとして出力した。このとき、帯電条件としては、電子写真感光体の表面電位(暗部電位)が−700Vになるように、印加バイアスを調整した。露光条件としては、露光光量が0.4μJ/cmとなるように調整した。現像条件は、現像バイアスが−350Vとなるように調整した。
評価用画像X及びYの画像濃度差(マクベス濃度差)を濃度計RD−918(マクベス製)で測定し、濃度ムラ抑制効果を評価した。具体的には、電子写真感光体1周分に相当する画像領域内の任意の10点に関して、SPIフィルターを使用して、直径5mm丸の画像の反射濃度を測定し、10点の平均値を評価用画像の画像濃度とした。画像濃度差が小さい程、濃度ムラ抑制効果が高い。以下の基準においては、A〜Dを好ましいレベルとし、E、Fを許容できないレベルとした。
A:画像濃度差が0.02未満であった
B:画像濃度差が0.02以上0.04未満であった
C:画像濃度差が0.04以上0.06未満であった
D:画像濃度差が0.06以上0.08未満であった
E:画像濃度差が0.08以上0.10未満であった
F:画像濃度差が0.10以上であった。
(かぶり現象抑制効果)
レーザービームプリンターCP−4525(ヒューレット・パッカード製)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)を調整できるように改造し、帯電電位(暗部電位)を−700Vに設定して評価装置として用いた。
上記で作製した電子写真感光体を評価装置のプロセスカートリッジ(シアン色)に装着し、温度23℃、相対湿度50%環境下で、A4サイズの普通紙に対し、印字比率1%のテストチャートによる画像出力を30,000枚連続して行った。テストチャートによる画像出力は、3枚の連続出力と6秒間の出力停止を繰り返して行った。
30,000枚耐久後、画像の白地部の反射濃度最悪値Fと画像形成前の普通紙の反射平均濃度Fを測定し、F−Fを「かぶり値」とした。濃度の測定には、反射濃度計リフレクトメーターTC−6DS(東京電色製)を用いた。かぶり値が小さい程、かぶり現象抑制効果が高い。以下の基準においては、A〜Dを好ましいレベルとし、E、Fを許容できないレベルとした。
A:かぶり値が1.5未満であった
B:かぶり値が1.5以上2.0未満であった
C:かぶり値が2.0以上2.5未満であった
D:かぶり値が2.5以上3.0未満であった
E:かぶり値が3.0以上4.0未満であった
F:かぶり値が4.0以上であった。
Figure 0006946099
<第2の実施形態に対応する実施例>
(ガリウムフタロシアニン結晶の合成)
電荷発生物質として用いるガリウムフタロシアニン結晶を以下の通り合成した。
窒素フローの雰囲気下、フタロニトリル5.46部及びα−クロロナフタレン45部を反応釜に投入した後、加熱し、温度30℃まで昇温させた後、この温度を維持した。次に、この温度(30℃)で三塩化ガリウム3.75部を投入した。投入時の混合液の水分値は150ppmであった。その後、温度200℃まで昇温させた。次に、窒素フローの雰囲気下、温度200℃で4.5時間反応させた後、冷却し、温度150℃に達したときに生成物を濾過した。得られた濾過物をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて温度140℃で2時間分散洗浄した後、濾過した。得られた濾過物をメタノールで洗浄した後、乾燥させ、クロロガリウムフタロシアニン(ClGaPc)を4.65部(収率71%)得た。
上記で得たClGaPc4.65部を、温度10℃で濃硫酸139.5部に溶解させ、攪拌下、氷水620部中に滴下して再析出させて、フィルタープレスを用いて濾過した。得られたウエットケーキ(濾過物)を2%アンモニア水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いて濾過した。次いで、得られたウエットケーキ(濾過物)をイオン交換水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いた濾過を3回繰り返し、その後、固形分23%のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)6.6kgをハイパー・ドライ乾燥機HD−06R(日本バイオコン製、周波数(発振周波数):2455MHz±15MHz)を用いて以下のように乾燥させた。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、専用円形プラスチックトレイにフィルタープレスより取り出したままの固まりの状態(含水ケーキ厚4cm以下)で載せ、遠赤外線はオフ、乾燥機の内壁の温度は50℃になるように設定した。そして、マイクロ波照射時は真空ポンプとリークバルブを調整し、真空度を4.0〜10.0kPaに調整した。
先ず、第1工程として、4.8kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に50分間照射し、次に、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は88%であった。第2工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0〜10.0kPa)に調整した。その後、1.2kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に5分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第2工程を更に1回繰り返した(計2回)。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は98%であった。第3工程として、第2工程でのマイクロ波を1.2kWから0.8kWに代えた以外は第2工程と同様にしてマイクロ波照射を行った。この第3工程を更に1回繰り返した(計2回)。第4工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0〜10.0kPa)に復圧した。その後、0.4kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に3分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第4工程を更に7回繰り返した(計8回)。以上、合計3時間で、含水率1%以下のヒドロキシガリウムフタロシアニンを1.52kg得た。
[電子写真感光体の作製]
(実施例II−1)
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン製)3.6部、1−メトキシ−2−プロパノール50部、及び、メタノール50部からなる溶液を、ボールミルで20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体として長さ261.5mm、直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)10部及びメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層(UCL−1)を形成した。
次に、上記で合成したガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)5部、及び、シクロヘキサノン250部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルで6時間分散処理した。この分散液に酢酸エチル250部を加えて希釈することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.23μmの電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂として樹脂II−1を10部、電荷輸送物質として式(102)の化合物(酸化電位:0.76V)と、式(201)の化合物(酸化電位:0.74V)の混合物(混合比率が9:1)5部、潤滑剤として、下記式(PCSi−1)で示されるシロキサン構造を有する樹脂
Figure 0006946099
を0.2部、o−キシレン(Xy)70部とジメトキシメタン(DMM)20部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分120℃で乾燥させることによって、膜厚が18μmの電荷輸送層を形成した。以上のようにして、実施例II−1の電子写真感光体を作製した。
(その他の実施例及び比較例)
表8に記載の、ポリカーボネート樹脂、電荷輸送物質、電荷輸送層中のポリカーボネート樹脂の含有量に対する電荷輸送物質の含有量となるように、上記(実施例II−1)からそれぞれ変更して電子写真感光体を作製した。比較例に用いたポリカーボネート樹脂の構造を表7に示す。
Figure 0006946099
比較例に使用したポリカーボネート樹脂の構造単位を以下に示す。
Figure 0006946099
[評価]
上記で作製した電子写真感光体を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表8に示す。
(耐摩耗性)
レーザービームプリンターCP−4525(ヒューレット・パッカード製)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)及び露光光量を調整できるように改造し、評価装置として用いた。
上記で作製した電子写真感光体を評価装置のプロセスカートリッジ(シアン色)に装着し、温度23℃、相対湿度50%環境下で、A4サイズの普通紙に対し、印字比率6%のテストチャートによる画像出力を、画像出力1枚ごとに1 度停止する間欠モードにて10,000枚通紙耐久にて行った。このとき、帯電条件としては、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)が−700Vになるように、印加バイアスを調整した。露光条件としては、露光光量が0.4μJ/cmとなるように調整した。
通紙耐久評価前の感光体の膜厚を測定し(膜厚値S)、上述の10000枚の間欠モードにて通紙耐久を行った後、さらに温度15℃、相対湿度10%環境下にて、さらに10000枚の連続通紙耐久を行い、その後の感光体の膜厚を同じく測定した(膜厚値L)。膜厚値S−膜厚値Lを「摩耗量」とし、この値から以下の評価基準で耐摩耗性の評価を行った。以下の基準においては、A〜Cを好ましいレベルとし、Dを許容できないレベルとした。
A:摩耗量が1.0μm未満であった
B:摩耗量が1.0μm以上1.5μm未満であった
C:摩耗量が以上1.5μm以上2.0μm未満であった
D:摩耗量が2.0μm以上であった。
(耐クラック性)
以下の評価法1及び評価法2に従って評価を行った。
(1)評価法1
初期評価として、オイルを含有した膜を作製し、その膜を本発明の電子写真感光体に密着させ、温度23℃、湿度50%RHの常温常湿環境下で、密着10秒〜12時間まで経時変化を追った。オイル含有膜は、KF99(信越化学工業)1部、N−メトキシメチル化ナイロン10部、メタノール50部より構成される塗料を、膜厚約100μmのシート状のアルミニウム支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃で5分乾燥し、膜厚0.2μmのオイル含有膜を形成した。上記オイル含有膜を縦20mm、横20mmに切り出し、電子写真感光体に密着させて評価を行った。上記評価によるクラックの評価基準は以下のとおりである。以下の基準においては、A〜Cを好ましいレベルとし、Dを許容できないレベルとした。
A:12時間経過後もクラックの発生が確認されなかった
B:5時間以上12時間未満の間にクラックの発生が確認された
C:30分以上5時間未満の間にクラックの発生が確認された
D:30分未満の経過時間でもクラックの発生が確認された。
(2)評価法2
評価法1の評価後の電子写真感光体を上述の評価装置に装着した。そして、電子写真感光体の1周目の回転でベタ黒画像を記録した後、電子写真感光体の2周目の回転以降に記録したベタ黒画像の画像濃度を、マクベス濃度計(マクベス製)を用いて測定し、耐クラック性を評価した。尚、電子写真感光体にクラックが発生すると画像濃度は低下する。即ち、本評価においては、画像濃度が高いほど、耐クラック性が高いことを意味する。以下の基準においては、A〜Cを好ましいレベルとし、Dを許容できないレベルとした。
A:画像濃度が1.45以上であった
B:画像濃度が1.35以上1.45未満であった
C:画像濃度が1.20以上1.35未満であった
D:画像濃度が1.20未満であった。
Figure 0006946099
<第3の実施形態に対応する実施例>
(ガリウムフタロシアニン結晶の合成)
電荷発生物質として用いるガリウムフタロシアニン結晶を以下の通り合成した。
(ヒドロキシガリウムフタロシアニンGa−0の合成)
窒素フローの雰囲気下、フタロニトリル5.46部及びα−クロロナフタレン45部を反応釜に投入した後、加熱し、温度30℃まで昇温させた後、この温度を維持した。次に、この温度(30℃)で三塩化ガリウム3.75部を投入した。投入時の混合液の水分値は150ppmであった。その後、温度200℃まで昇温させた。次に、窒素フローの雰囲気下、温度200℃で4.5時間反応させた後、冷却し、温度150℃に達したときに生成物を濾過した。得られた濾過物をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて温度140℃で2時間分散洗浄した後、濾過した。得られた濾過物をメタノールで洗浄した後、乾燥させ、クロロガリウムフタロシアニン(ClGaPc)を4.65部(収率71%)得た。
上記で得たClGaPc4.65部を、温度10℃で濃硫酸139.5部に溶解させ、攪拌下、氷水620部中に滴下して再析出させて、フィルタープレスを用いて濾過した。得られたウエットケーキ(濾過物)を2%アンモニア水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いて濾過した。次いで、得られたウエットケーキ(濾過物)をイオン交換水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いた濾過を3回繰り返し、その後、固形分23%のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)を得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)6.6kgをハイパー・ドライ乾燥機HD−06R(日本バイオコン製、周波数(発振周波数):2455MHz±15MHz)を用いて以下のように乾燥させた。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、専用円形プラスチックトレイにフィルタープレスより取り出したままの固まりの状態(含水ケーキ厚4cm以下)で載せ、遠赤外線はオフ、乾燥機の内壁の温度は50℃になるように設定した。そして、マイクロ波照射時は真空ポンプとリークバルブを調整し、真空度を4.0〜10.0kPaに調整した。
先ず、第1工程として、4.8kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に50分間照射し、次に、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は88%であった。第2工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0〜10.0kPa)に調整した。その後、1.2kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に5分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第2工程を更に1回繰り返した(計2回)。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は98%であった。第3工程として、第2工程でのマイクロ波を1.2kWから0.8kWに代えた以外は第2工程と同様にしてマイクロ波照射を行った。この第3工程を更に1回繰り返した(計2回)。第4工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を前記設定値内(4.0〜10.0kPa)に復圧した。その後、0.4kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に3分間照射し、また、マイクロ波を一旦切ってリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第4工程を更に7回繰り返した(計8回)。以上、合計3時間で、含水率1%以下のヒドロキシガリウムフタロシアニン(Ga−0)を1.52kg得た。
(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)
上記で得たヒドロキシガリウムフタロシアニンGa−0 0.5部と、N−メチルホルムアミド10部を、直径0.8mmのガラスビーズ20部と共にボールミルでミリング処理を室温(23℃)下、120rpmの条件で300時間行った。この分散液からガリウムフタロシアニン結晶をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて取り出し、濾過し、濾過器上をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。濾取物を真空乾燥させて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−1を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図3に示す。
また、重硫酸を溶媒として用いたH‐NMR法[測定器:AVANCEIII 500(BRUKER製)]により、Ga−1結晶内に、N−メチルホルムアミドが0.9質量%含有されていることが確認された。
(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−2の合成)
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、N−メチルホルムアミド10部をN,N−ジメチルホルムアミド10部に、ミリング処理時間を300時間から400時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−2を0.40部得た。得られたGa−2の粉末X線回折は、図3と同様であった。また、NMR測定により、Ga−2結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが1.4質量%含有されていることが確認された。
(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−3の合成)
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、N−メチルホルムアミド10部をN−プロピルホルムアミド10部に、ミリング処理時間を300時間から500時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−3を0.40部得た。得られたGa−3の粉末X線回折は、図3と同様であった。また、NMR測定により、Ga−3結晶内に、プロトン比率から換算し、N−プロピルホルムアミドが1.4質量%含有されていることが確認された。
(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−4の合成)
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、N−メチルホルムアミド10部をN−ビニルホルムアミド10部に、ミリング処理時間を300時間から100時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−4を0.40部得た。得られたGa−4結晶の粉末X線回折は、図3と同様であった。また、NMR測定により、Ga−4結晶内に、プロトン比率から換算し、N−ビニルホルムアミドが1.8質量%含有されていることが確認された。
(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−5の合成)
上記で得たクロロガリウムフタロシアニン(ClGaPc)0.5部を直径0.8mmのガラスビーズ20部と共にボールミルで乾式ミリング処理を室温(23℃)下で40時間行った。そこにN,N−ジメチルホルムアミド10部を加え湿式ミリング処理を室温(23℃)下で100時間行った。この分散液からガリウムフタロシアニン結晶をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて取り出し、濾過し、濾過器上をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。濾取物を真空乾燥させて、クロロガリウムフタロシアニン結晶Ga−5を0.44部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図4に示す。
また、重硫酸を溶媒として用いたH‐NMR法[測定器:AVANCEIII 500(BRUKER製)]により、Ga−5結晶内に、N,N−ジメチルホルムアミドが1.0質量%含有されていることが確認された。
(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−6の合成)
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、ミリング処理時間を300時間から48時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−6を0.46部得た。測定により、Ga−6結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが2.1質量%含有されていることが確認された。
(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−7の合成)
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、N−メチルホルムアミド10部をN,N−ジメチルホルムアミド10部に、ミリング処理時間を300時間から100時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−7を0.40部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図5に示す。また、NMR測定により、Ga−7結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが2.2質量%含有されていることが確認された。
[電子写真感光体の作製]
以下、電子写真感光体の各層の膜厚は、渦電流式膜厚計Fischerscope(フィッシャーインストルメンツ製)で実測するか、単位面積当たりの質量から比重換算で算出した。
(実施例III−1)
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン製)3.6部、1−メトキシ−2−プロパノール50部、及び、メタノール50部からなる溶液を、ボールミルで20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体として長さ261.5mm、直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)10部及びメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層(UCL−1)を形成した。
次に、ガリウムフタロシアニン結晶Ga−7(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)5部、及び、シクロヘキサノン250部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルで6時間分散処理した。この分散液に酢酸エチル250部を加えて希釈することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.23μmの電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂として樹脂III−1(Mv:54,000、Mw:74,000)10部、電荷輸送物質として式(102)の化合物(酸化電位:0.76V)と、式(201)の化合物(酸化電位:0.74V)の混合物(混合比率が9:1)5部、潤滑剤として下記式(PcSi−1)で示されるシロキサン構造を有する樹脂0.38部を、o−キシレン(Xy)70部とジメトキシメタン(DMM)20部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間125℃で乾燥させることによって、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 0006946099
以上のようにして、実施例III−1の電子写真感光体を作製した。
(その他の実施例及び比較例)
表9に記載の、導電層の有無、下引き層の種類、電荷発生層に用いる電荷発生物質の種類(2種併用の場合はその質量比)、電荷輸送層における、樹脂の種類及び粘度平均分子量Mv、重量平均分子量Mw、電荷輸送物質の種類(2種併用の場合はその質量比)、電荷輸送物質と樹脂の部数、溶剤の種類とその部数となるように、上記(実施例III−1)からそれぞれ変更して電子写真感光体を作製した。尚、樹脂E−1は、構造単位3−1−1のみからなる重合体(Mv:55,000、Mw:76,000)である。また、下引き層UCL−2及びUCL−3の形成方法、電荷発生物質CGM−1及びCGM−2を用いた電荷発生層の形成方法を以下に示す。
(下引き層UCL−2)
下記式の電子輸送性化合物10部、
Figure 0006946099
架橋剤として下記式で示されるブロック化されたイソシアネート化合物(商品名:スミジュール3175、固形分:75質量%、住友バイエルウレタン製)17部、
Figure 0006946099
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)2部、添加剤として酪酸亜鉛(II)0.2部をテトラヒドロフラン100部と1−メトキシ−2−プロパノール100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間160℃で加熱し、乾燥させ、硬化させることによって、膜厚が0.7μmの下引き層UCL−2を形成した。
(下引き層UCL−3)
酸化亜鉛粒子(平均一次粒径:50nm、比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm、テイカ製)100部をトルエン500部に撹拌しながら混合した。これに表面処理剤としてN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学製)1.25部を添加し、6時間攪拌しながら混合した。その後、トルエンを減圧留去して、6時間130℃で乾燥させることによって、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。表面処理された酸化亜鉛粒子75部、上記ブロック化されたイソシアネート化合物(商品名:スミジュール3175、固形分:75質量%、住友バイエルウレタン製)16部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業製)9部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業製)1部を、メチルエチルケトン60部とシクロヘキサノン60部の混合溶剤に加えて分散液を調製した。この分散液に、平均粒径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて23℃雰囲気下、回転数1,500rpmで3時間分散処理した。分散処理後、得られた分散液に架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(商品名:SSX−103、平均粒径:3μm、積水化学工業製)5部と、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.01部を添加して攪拌することで、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を40分間160℃で加熱、重合させることによって、膜厚が30μmの下引き層UCL−3を形成した。
(電荷発生物質CGM−1を用いた電荷発生層)
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の27.3°にピークを有するY型オキシチタニウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)12部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)10部と、シクロヘキサノン250部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理して分散液を調製した。次に、この分散液に酢酸エチル500部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間温度80℃で乾燥することによって、膜厚が0.20μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生物質CGM−2を用いた電荷発生層)
電荷発生物質CGM−2として、下記式で表されるビスアゾ顔料20部、
Figure 0006946099
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)10部と、テトラヒドロフラン150部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理して電荷発生層用塗布液を調製した。そしてこの塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を110℃で30分間乾燥して、膜厚0.30μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生物質CGM−3を用いた電荷発生層)
電荷発生物質CGM−3として、下記式で表されるビスアゾ顔料10部、
Figure 0006946099
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)5部と、シクロヘキサノン85部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、12時間分散処理して分散液を調製した。次に、この分散液にテトラヒドロフラン150部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。そしてこの塗布液を下引き層上にスプレー塗布し、得られた塗膜を80℃で15分間乾燥して、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生物質CGM−4を用いた電荷発生層)
電荷発生物質CGM−4として、下記式で表されるビスアゾ顔料12部、
Figure 0006946099
ポリビニルベンザール(ベンザール化率80%、重量平均分子量11000)8部と、シクロヘキサノン320部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、24時間分散処理して分散液を調製した。次に、この分散液にメチルエチルケトン460部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。そしてこの塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を110℃で30分間乾燥して、膜厚0.20μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生物質CGM−2とガリウムフタロシアニン結晶Ga−7を用いた電荷発生層)
電荷発生物質CGM−2として、下記式で表されるビスアゾ顔料1部、
Figure 0006946099
シクロヘキサノン60部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、64時間分散処理した。
次に、この分散液に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)を5質量%含むシクロヘキサノン溶液100部と、ガリウムフタロシアニン結晶Ga−7を9部加え、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、2時間分散処理して分散液を調整した。シクロヘキサノン:酢酸エチル=1:2の混合液1000部を加えることによって電荷発生層用塗布液を調製した。そしてこの塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を100℃で10分間乾燥して、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
[評価]
上記で作製した電子写真感光体、又は、電荷輸送層用塗布液を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表9に示す。
レーザービームプリンターCP−4525(ヒューレット・パッカード製)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)及び露光光量を調整できるように改造し、評価装置として用いた。
上記で作製した電子写真感光体を評価装置のプロセスカートリッジ(シアン色)に装着し、温度15℃、相対湿度10%環境下で、A4サイズの普通紙に対し、印字比率4%のテストチャートによる画像出力を10,000枚連続して行った。このとき、帯電条件としては、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)が−600Vになるように、印加バイアスを調整した。露光条件としては、露光光量が0.4μJ/cmとなるように調整した。
上記繰り返し使用前及び繰り返し使用後の、電子写真感光体の明部電位をそれぞれ以下の方法で測定した。電子写真感光体の明部電位は、評価装置のプロセスカートリッジから現像器を取り外し、現像位置に電位測定プローブ(商品名:model6000B−8、トレック製)を配置し、表面電位計(model344、トレック製)を使用して測定した。電子写真感光体に対する電位測定プローブの位置は、電子写真感光体の軸方向の中央とし、電子写真感光体の表面と電位測定プローブの測定面との距離は3mmとした。そして、繰り返し使用前後での電子写真感光体の明部電位の変動値(差分)を、電子写真感光体の電位変動抑制効果を評価した。明部電位の変動値が小さい程、電子写真感光体の繰返し使用時の電位変動抑制効果が高い。
Figure 0006946099
<第4の実施形態に対応する実施例>
[電子写真感光体の作製]
(実施例IV−1)
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン製)3.6部、1−メトキシ−2−プロパノール50部、及び、メタノール50部からなる溶液を、ボールミルで20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体として長さ261.5mm、直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)10部及びメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層(UCL−1)を形成した。
次に、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θにおいて27.2°にピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)5部、及び、シクロヘキサノン250部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルで6時間分散処理した。この分散液に酢酸エチル250部を加えて希釈することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.20μmの電荷発生層を形成した。
次に、ポリカーボネート樹脂として樹脂IV−1を10部、電荷輸送物質として式(602)の化合物を5部、テトラヒドロフラン35部とトルエン35部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分120℃で乾燥させることによって、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。以上のようにして、実施例IV−1の電子写真感光体を作製した。
(その他の実施例及び比較例)
表11に記載の、ポリカーボネート樹脂、電荷輸送物質、電荷輸送層中のポリカーボネート樹脂の含有量に対する電荷輸送物質の含有量となるように、上記(実施例IV−1)からそれぞれ変更して電子写真感光体を作製した。尚、比較例に用いたポリカーボネート樹脂の構造を表10に示す。
Figure 0006946099
比較例に使用したポリカーボネート樹脂の構造単位を以下に示す。
Figure 0006946099
[評価]
上記で作製した電子写真感光体を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表11に示す。
(フォトメモリー抑制効果)
レーザービームプリンターCP−4525(ヒューレット・パッカード製)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)を調整できるように改造し、帯電電位(暗部電位)を−600Vに設定して評価装置として用いた。
電子写真感光体の表面において、周方向の一部を遮光し、白色蛍光灯を用いて非遮光部分に2,000luxの光を10分間照射した。この電子写真感光体を、評価装置のプロセスカートリッジ(シアン色)に装着し、蛍光灯の光照射完了から30分経過後に、温度23℃、相対湿度50%環境下で、A4サイズの普通紙に対し、図2に示す「1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像」の出力を行った。ハーフトーン画像における、遮光部分(非照射部分)と非遮光部分(照射部分)に対応する領域を目視で観察し、その濃度差からフォトメモリー抑制効果を評価した。評価基準は以下の通りである。以下の基準においては、A〜Cを好ましいレベルとし、D及びEを許容できないレベルとした。
A:濃度差が確認できなかった
B:僅かに濃度差があった
C:濃度差があるが、実使用上問題とならないレベルであった
D:濃度差があるが、領域間の境界が鮮明ではなかった
E:明確な濃度差があり、領域間の境界が鮮明になっている部分があった。
(耐摩耗性)
評価装置としては、キヤノン製レーザービームプリンターLBP−5050を用いた。評価は、温度23℃、相対湿度50%環境下で行った。評価装置の780nmのレーザー光源の露光量(画像露光量)については、電子写真感光体の表面での光量が0.3μJ/cmとなるように設定した。電子写真感光体の表面電位(暗部電位及び明部電位)の測定は、電子写真感光体の端部から130mmの位置に電位測定用プローブが位置するように固定された冶具と現像器とを交換して、現像器位置で行った。電子写真感光体の非露光部の暗部電位は−450Vとなるように設定した。
A4サイズの普通紙を用い、連続して画像出力を10,000枚行い、繰り返し画像出力の前後の感光体の膜厚差から、「摩耗量」を求めた。膜厚の測定は、膜厚測定機(フィッシャー製、フィッシャーMMS渦電流法プローブEAW3.3)で行った。
Figure 0006946099
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (15)

  1. 支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とをこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体であって、
    該電荷輸送層が、式(1−1)で示される構造単位、式(1−2)で示される構造単位、及び式(1−3)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、
    該電荷輸送物質が、式(209)、(302)、(602)又は(603)で示される電荷輸送物質であ
    ことを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006946099

    (式(1−1)において、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。)
    Figure 0006946099

    (式(1−2)において、R15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子を示す。)
    Figure 0006946099

    (式(1−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜9のアルキル基を示す。i211は0〜3の整数を示す。)
    Figure 0006946099

    Figure 0006946099

    Figure 0006946099

    Figure 0006946099
  2. 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(1−1)で示される構造単位、前記式(1−2)で示される構造単位、及び前記式(1−3)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa、b、及びcとしたときに、c/(a+b+c)が、0.40〜0.80である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(1−1)で示される構造単位及び前記式(1−2)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa及びbとしたときに、a/bが0.25〜4.00である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記電荷輸送層中における、前記電荷輸送物質の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂の含有量に対して、0.5倍以上0.9倍以下である請求項13の何れか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とをこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体であって、
    該電荷輸送層が、式(2−1)で示される構造単位、式(2−2−1、(2−2−2)又は(2−2−5)で示される構造単位、及び式(2−3)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006946099

    (式(2−1)において、Rは、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示す。)
    Figure 0006946099

    Figure 0006946099

    (式(2−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基を示す。i211は0〜2の整数を示す。)
  6. 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(2−1)で示される構造単位、前記式(2−2−1、(2−2−2)又は(2−2−5)で示される構造単位、及び前記式(2−3)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa、b、及びcとしたときに、a/(a+b+c)が、0.10〜0.40である請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(2−1)で示される構造単位、前記式(2−2−1、(2−2−2)又は(2−2−5)で示される構造単位、及び前記式(2−3)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa、b、及びcとしたときに、b/(a+b+c)が、0.30〜0.60である請求項5又は6に記載の電子写真感光体。
  8. 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(2−1)で示される構造単位及び前記式(2−2−1、(2−2−2)又は(2−2−5)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa及びbとしたときに、a/bが、0.20〜1.20である請求項57の何れか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とをこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体であって、
    該電荷輸送層が、式(3−1)で示される構造単位及び式(3−2)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、
    該電荷輸送物質が、式(102)、(212)、(305)又は(503)で示される電荷輸送物質であ
    ことを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006946099

    (式(3−1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、アルコキシ基を示す。Rは、置換若しくは無置換の炭素数1〜9のアルキル基を示す。iは0〜3の整数を示す。)
    Figure 0006946099

    (式(3−2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子を示す。)
    Figure 0006946099

    Figure 0006946099

    Figure 0006946099

    Figure 0006946099
  10. 前記電荷発生物質が、フタロシアニン結晶である請求項9に記載の電子写真感光体。
  11. 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(3−1)で示される構造単位の含有比率が、25mol%以上70mol%以下である請求項9又は10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記電荷輸送物質が、トリアリールアミン化合物である請求項5〜8の何れか1項に記載の電子写真感光体。
  13. 前記電荷輸送層中に、シロキサン構造を有する樹脂を含有する請求項1の何れか1項に記載の電子写真感光体。
  14. 請求項1の何れか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  15. 請求項1の何れか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置。
JP2017144953A 2016-08-01 2017-07-26 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Active JP6946099B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016151194 2016-08-01
JP2016151194 2016-08-01

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018025780A JP2018025780A (ja) 2018-02-15
JP6946099B2 true JP6946099B2 (ja) 2021-10-06

Family

ID=60951445

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017144953A Active JP6946099B2 (ja) 2016-08-01 2017-07-26 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

Country Status (4)

Country Link
US (2) US10209637B2 (ja)
JP (1) JP6946099B2 (ja)
CN (1) CN107678254B (ja)
DE (1) DE102017117241A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220019094A (ko) * 2019-06-10 2022-02-15 미츠비시 가스 가가쿠 가부시키가이샤 폴리카보네이트 수지
US11126126B2 (en) * 2019-07-19 2021-09-21 Canon Kabushiki Kaisha Image forming apparatus that determines image failure

Family Cites Families (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61137157A (ja) * 1984-12-07 1986-06-24 Canon Inc 電子写真感光体
JP3089648B2 (ja) * 1990-06-19 2000-09-18 ソニー株式会社 リール台間隔調整装置
JP2936654B2 (ja) * 1990-06-19 1999-08-23 ソニー株式会社 リール台間隔調整装置
JPH04149557A (ja) 1990-10-13 1992-05-22 Canon Inc 電子写真感光体
JPH04149558A (ja) * 1990-10-13 1992-05-22 Canon Inc 電子写真感光体
JP3080444B2 (ja) 1991-08-05 2000-08-28 キヤノン株式会社 電子写真感光体、該電子写真感光体を備えた電子写真装置並びにファクシミリ
JP3050701B2 (ja) 1992-06-26 2000-06-12 キヤノン株式会社 電子写真感光体、それを有する電子写真装置及びファクシミリ
JP3323581B2 (ja) 1993-04-30 2002-09-09 キヤノン株式会社 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置
JPH0713363A (ja) 1993-06-29 1995-01-17 Konica Corp 電子写真感光体及び製造方法
JP3250368B2 (ja) 1994-03-31 2002-01-28 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体
JP4409103B2 (ja) * 2000-03-24 2010-02-03 株式会社リコー 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジ、長鎖アルキル基含有ビスフェノール化合物及びそれを用いたポリマー
JP4763728B2 (ja) 2000-03-24 2011-08-31 株式会社リコー 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジ、長鎖アルキル基含有ビスフェノール化合物及びそれを用いたポリマー
WO2002062736A1 (fr) * 2001-02-08 2002-08-15 Honshu Chemical Industry Co., Ltd. Diphenol et procede de production de ce diphenol
JP4396396B2 (ja) 2004-05-27 2010-01-13 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 有機感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
WO2007078006A1 (ja) * 2006-01-06 2007-07-12 Mitsubishi Chemical Corporation 電子写真感光体並びにそれを用いた画像形成装置及び電子写真感光体カートリッジ
CN101379436B (zh) * 2006-01-31 2012-01-18 佳能株式会社 电子照相感光构件、处理盒及电子照相设备
CN101405349A (zh) * 2006-03-20 2009-04-08 三菱化学株式会社 酞菁结晶、使用该酞菁结晶的电子照相感光体、电子照相感光体盒以及图像形成装置
JP5347245B2 (ja) * 2007-06-28 2013-11-20 三菱化学株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP5035273B2 (ja) * 2009-03-04 2012-09-26 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 有機感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP5711902B2 (ja) 2009-06-26 2015-05-07 出光興産株式会社 ポリカーボネート共重合体、それを用いた塗工液、及び電子写真感光体
JP4764953B1 (ja) * 2009-12-09 2011-09-07 キヤノン株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP5492705B2 (ja) 2010-08-30 2014-05-14 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、及び画像形成装置
JP6003669B2 (ja) * 2013-01-21 2016-10-05 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP5899158B2 (ja) 2013-05-31 2016-04-06 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体及び画像形成装置
JP5899159B2 (ja) 2013-05-31 2016-04-06 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体及び画像形成装置
CN105377943B (zh) * 2013-07-12 2017-05-24 三菱化学株式会社 电子照相感光体、电子照相感光体盒、图像形成装置、以及聚芳酯树脂
US9310702B2 (en) * 2014-03-26 2016-04-12 Fuji Xerox Co., Ltd. Electrophotographic photoreceptor, process cartridge, and image forming apparatus
JP6455025B2 (ja) * 2014-08-27 2019-01-23 三菱瓦斯化学株式会社 電子写真感光体
DE102015013852B4 (de) * 2014-11-11 2020-03-12 Canon Kabushiki Kaisha Elektrophotographisches lichtempfindliches Element, Prozesskartusche und elektrophotographische Vorrichtung
DE102016103345B4 (de) * 2015-02-27 2021-02-04 Canon Kabushiki Kaisha Elektrofotografisches fotosensitives element, verfahren zum herstellen eines elektrofotografischen fotosensitiven elements, prozesskartusche und elektrofotografischer apparat
EP3062153B1 (en) * 2015-02-27 2018-09-26 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic photosensitive member, method for manufacturing electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
US20190121251A1 (en) 2019-04-25
US20180031985A1 (en) 2018-02-01
JP2018025780A (ja) 2018-02-15
CN107678254A (zh) 2018-02-09
CN107678254B (zh) 2021-10-15
DE102017117241A1 (de) 2018-02-01
US10209637B2 (en) 2019-02-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6929736B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
KR100862780B1 (ko) 전자 사진 감광체, 공정 카트리지 및 전자 사진 장치
EP3062153B1 (en) Electrophotographic photosensitive member, method for manufacturing electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
JP4795217B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP6700833B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP6855310B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP6946099B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2018045138A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
US5283143A (en) Electrophotographic imaging member containing arylamine terpolymers with CF3 substituted moieties
JP4411232B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP4847247B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2006251487A5 (ja)
CN105929642B (zh) 电子照相感光构件及其制造方法、处理盒和电子照相设备
JP2007193210A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
US20160252833A1 (en) Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
JP4250275B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2016105156A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2000162810A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP2023170603A (ja) 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置ならびに電子写真感光体の製造方法およびそれに用いる下引き層用塗布液
JP2019179077A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
KR20140042675A (ko) 전자 사진 감광체, 프로세스 카트리지, 및 전자 사진 장치
JP2011112868A (ja) 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置
JP2014010158A (ja) 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置
JP2017076126A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2019211522A (ja) 電荷輸送層用塗布液及び電子写真感光体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200716

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210406

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210602

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210817

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210915

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6946099

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151