JP6946099B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
を有するポリカーボネート樹脂を含有し、
電荷輸送物質が、式(209)、(302)、(602)又は(603)で示される電荷輸送物質である
ことを特徴とする。
を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体は、支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とをこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である。支持体と電荷発生層との間にその他の層を設けてもよい。以下、各層について説明する。
本発明において、支持体は、導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金などの金属又は合金で形成される支持体や、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスなどの絶縁性支持体上に、アルミニウム、クロム、銀、金などの金属の薄膜;酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性材料の薄膜;銀ナノワイヤーを加えた導電性インクの薄膜を形成した支持体が挙げられる。
本発明において、支持体の上に導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体のムラや欠陥の被覆、干渉縞の防止が可能となる。導電層の平均膜厚は5μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
本発明において、支持体又は導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、バリア機能と接着機能が高まる。下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、アガロース樹脂、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などが挙げられる。下引き層の平均膜厚は、0.3μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
本発明において、支持体と電荷輸送層との間に、電荷発生層を有する。電荷発生層は、電荷輸送層に隣接していることが好ましい。電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.3μm以下であることがより好ましい。
本発明において、電荷輸送層は、電荷輸送物質、及び、後述する構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有する。
(I)第1の実施形態
(ポリカーボネート樹脂の構造)
本発明者らが検討を行った結果、特定のポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いることで、かぶり現象と濃度ムラを抑制できることを見出した。具体的には、電荷輸送層が、式(1−1)で示される構造単位、式(1−2)で示される構造単位、及び式(1−3)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
本発明の構造のポリカーボネート樹脂は、本発明の構造を有さないポリカーボネートと比較して耐摩耗性が向上している。そのため、繰り返し使用した際の摩耗が抑制され、感光体表面の帯電電位の安定性が向上した結果、画像の全白部へのトナーかぶり(かぶり現象)が抑制されたと考えている。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
また、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)[測定器:アライアンスHPLCシステム(Waters製)]を用い、Shodex KF−805Lカラム(昭和電工製)2本、0.25w/v%クロロホルム溶液サンプル、1ml/分クロロホルム溶離液、254nmのUV検出の条件で測定し、ポリスチレン換算の値として算出した。
ポリカーボネート樹脂の具体例を表1に示す。
一例として、樹脂I−1のホスゲン法による合成方法を以下に示す。その他のポリカーボネート樹脂は、以下の方法において、式(1−1)〜式(1−3)の構造単位となる化合物の種類と添加量を適宜変えることにより合成可能である。また、樹脂の粘度平均分子量は、分子量調節剤の添加量を適宜変えることにより調整可能である。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂は、エステル交換法によって合成してもよい。
(ポリカーボネート樹脂の構造)
本発明者らが検討を行った結果、特定のポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いることで、耐摩耗性と耐クラック性に優れることを見出した。具体的には、電荷輸送層が、式(2−1)で示される構造単位、式(2−2)で示される構造単位、及び式(2−3)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
本発明の構造のポリカーボネート樹脂は、本発明の構造を有さないポリカーボネートと比較して耐摩耗性が向上している。これは、主に前述の式(2−2)が共重合する際に、高い配向性を示しながら規則性を持って共重合するためと考えている。特にエーテル構造を有する構造体は、高分子鎖がフレキシブルに折りたたまれやすく、また式(2−2)は左右対称性が高いため規則的に配向する傾向が強いことから、耐摩耗性を飛躍的に向上させられ、高耐久性を有することができると推察される。
ポリカーボネート樹脂の具体例を表2に示す。
一例として、樹脂II−1のホスゲン法による合成方法を以下に示す。その他のポリカーボネート樹脂は、以下の方法において、式(2−1)〜式(2−3)の構造単位となる化合物の種類と添加量を適宜変えることにより合成可能である。また、樹脂の粘度平均分子量は、分子量調節剤の添加量を適宜変えることにより調整可能である。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂は、エステル交換法によって合成してもよい。
(ポリカーボネート樹脂の構造)
本発明者らが検討を行った結果、特定のポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いることで、電位変動抑制効果に優れることを見出した。具体的には、電荷輸送層が、式(3−1)で示される構造単位及び式(3−2)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
本発明の構造のポリカーボネート樹脂を電荷輸送層のバインダーとして用いることで、機械的強度の向上と、キャリア移動の滞りの抑制を同時に達成できるため、耐久電位変動が抑制されたと考えている。本発明の構造のポリカーボネート樹脂を用いると、電荷発生層と電荷輸送層との界面と、電荷輸送層中とに電荷輸送物質が均一な距離で配置され、その結果、キャリア移動の滞りが抑制されると考えている。加えて、フタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と組み合わせて用いることで、電荷発生層と電荷輸送層の界面でのキャリア移動の滞りが特に少なくなり、高いレベルで耐久電位変動が抑制されたものと考えている。電荷発生物質と電荷輸送物質の間でのキャリア移動を滞りなく行うためには、電荷発生物質近傍の好適な位置に電荷輸送物質が存在する必要があると考えられる。フタロシアニン結晶を構成するフタロシアニン分子は、分子構造の高い対称性に起因して、キャリア移動に好適な方向が多数存在すると考えられ、本発明の構造のポリカーボネート樹脂による電荷輸送物質の均一な配置と組み合わされることで、電荷発生物質と電荷輸送物質の間でのキャリアの滞りが特に少なく、高いレベルで耐久電位変動が抑制されるものと考えている。一方、アゾ顔料などの、対称性の低い分子から構成される電荷発生物質のみを含有する電荷発生層を用いた場合、顔料に対してキャリア移動に好適な方向が制限されており、本発明の構造のポリカーボネート樹脂により形成された、電荷輸送物質の均一な配置に起因する、電荷発生層と電荷輸送層の界面でのキャリア移動の滞りを抑制する効果が十分に発揮されないものと考えている。
具体的には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパンなどが挙げられる。
具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチルー4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4―ヒドロキシフェニル)スルフィドなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の具体例を表3に示す。
一例として、樹脂III−1の合成方法を以下に示す。その他のポリカーボネート樹脂は、以下の方法において、式(3−1)及び式(3−2)の構造単位となる化合物の種類と添加量を適宜変えることにより合成可能である。また、樹脂の粘度平均分子量は、分子量調節剤の添加量を適宜変えることにより調整可能である。
(ポリカーボネート樹脂の構造)
本発明者らが検討を行った結果、特定のポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いることで、耐摩耗性とフォトメモリーの抑制効果に優れることを見出した。具体的には、電荷輸送層が、式(4−1)で示される構造単位及び式(4−2)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
式(4−2)の構造を有するポリカーボネート樹脂は機械的強度が高いという特徴を有することに加え、同時に電荷輸送物質を凝集させやすい特徴も有する。そのため、機械的強度を高めるために共重合比率を上げていくと電荷輸送物質の凝集によりキャリアの滞留が起こり、フォトメモリーが発生しやすくなる。本発明のポリカーボネート樹脂は式(4−1)の構造を有することで直鎖アルキル基が電荷輸送物質の凝集を抑え、その結果、(4−2)の構造の共重合比率を上げても耐摩耗性とフォトメモリーの抑制を高いレベルで両立できたと考えている。この効果を得るには、直鎖アルキル基の炭素数は6〜15であることが好ましく、8〜12であることがより好ましい。炭素数が少ないと電荷輸送物質の凝集の抑制ができず、逆に炭素数が多すぎてもアルキル基自体が立体障害となり、電荷輸送物質の凝集抑制の効果が得られないと考えられる。
ポリカーボネート樹脂の具体例を表4に示す。
一例として、樹脂IV−1のホスゲン法による合成方法を以下に示す。その他のポリカーボネート樹脂は、以下の方法において、式(4−1)及び式(4−2)の構造単位となる化合物の種類と添加量を適宜変えることにより合成可能である。また、樹脂の粘度平均分子量は、分子量調節剤の添加量を適宜変えることにより調整可能である。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂は、エステル交換法によって合成してもよい。
電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物及びトリアリルメタン化合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トリアリールアミン化合物を用いることが好ましい。
以下、(CTM−1)の例示化合物を示す。化合物(102)の酸化電位は0.76Vである。
以下、(CTM−2)の例示化合物を示す。化合物(201)と化合物(212)の酸化電位はそれぞれ0.74V、0.72Vである。
以下、(CTM−3)の例示化合物を示す。化合物(304)と化合物(305)の酸化電位はそれぞれ0.76V、0.81Vである。
以下、(CTM−4)の例示化合物を示す。
以下、(CTM−5)の例示化合物を示す。
以下、(CTM−6)の例示化合物を示す。化合物(603)の酸化電位は0.67Vである。
以下、(CTM−7)の例示化合物を示す。
図1は、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
[電子写真感光体の作製]
(実施例I−1)
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン製)3.6部、1−メトキシ−2−プロパノール50部、及び、メタノール50部からなる溶液を、ボールミルで20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
表6に記載の、ポリカーボネート樹脂、電荷輸送物質、電荷輸送層中のポリカーボネート樹脂の含有量に対する電荷輸送物質の含有量となるように、上記(実施例I−1)からそれぞれ変更して電子写真感光体を作製した。比較例に用いたポリカーボネート樹脂の構造を表5に示す。尚、樹脂I−19は電荷輸送層用塗布液中に溶解せず、感光体を作製できなかったため、後述する評価は行っていない。
上記で作製した電子写真感光体を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表6に示す。
レーザービームプリンターCP−4525(ヒューレット・パッカード製)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)、露光光量及び現像バイアスを調整できるように改造した評価装置Xと、評価装置Xを更にプロセススピード(電子写真感光体の回転速度)が1.5倍早くなるように改造した評価装置Yを用意した。
A:画像濃度差が0.02未満であった
B:画像濃度差が0.02以上0.04未満であった
C:画像濃度差が0.04以上0.06未満であった
D:画像濃度差が0.06以上0.08未満であった
E:画像濃度差が0.08以上0.10未満であった
F:画像濃度差が0.10以上であった。
レーザービームプリンターCP−4525(ヒューレット・パッカード製)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)を調整できるように改造し、帯電電位(暗部電位)を−700Vに設定して評価装置として用いた。
A:かぶり値が1.5未満であった
B:かぶり値が1.5以上2.0未満であった
C:かぶり値が2.0以上2.5未満であった
D:かぶり値が2.5以上3.0未満であった
E:かぶり値が3.0以上4.0未満であった
F:かぶり値が4.0以上であった。
(ガリウムフタロシアニン結晶の合成)
電荷発生物質として用いるガリウムフタロシアニン結晶を以下の通り合成した。
(実施例II−1)
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン製)3.6部、1−メトキシ−2−プロパノール50部、及び、メタノール50部からなる溶液を、ボールミルで20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
表8に記載の、ポリカーボネート樹脂、電荷輸送物質、電荷輸送層中のポリカーボネート樹脂の含有量に対する電荷輸送物質の含有量となるように、上記(実施例II−1)からそれぞれ変更して電子写真感光体を作製した。比較例に用いたポリカーボネート樹脂の構造を表7に示す。
上記で作製した電子写真感光体を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表8に示す。
レーザービームプリンターCP−4525(ヒューレット・パッカード製)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)及び露光光量を調整できるように改造し、評価装置として用いた。
A:摩耗量が1.0μm未満であった
B:摩耗量が1.0μm以上1.5μm未満であった
C:摩耗量が以上1.5μm以上2.0μm未満であった
D:摩耗量が2.0μm以上であった。
以下の評価法1及び評価法2に従って評価を行った。
初期評価として、オイルを含有した膜を作製し、その膜を本発明の電子写真感光体に密着させ、温度23℃、湿度50%RHの常温常湿環境下で、密着10秒〜12時間まで経時変化を追った。オイル含有膜は、KF99(信越化学工業)1部、N−メトキシメチル化ナイロン10部、メタノール50部より構成される塗料を、膜厚約100μmのシート状のアルミニウム支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃で5分乾燥し、膜厚0.2μmのオイル含有膜を形成した。上記オイル含有膜を縦20mm、横20mmに切り出し、電子写真感光体に密着させて評価を行った。上記評価によるクラックの評価基準は以下のとおりである。以下の基準においては、A〜Cを好ましいレベルとし、Dを許容できないレベルとした。
A:12時間経過後もクラックの発生が確認されなかった
B:5時間以上12時間未満の間にクラックの発生が確認された
C:30分以上5時間未満の間にクラックの発生が確認された
D:30分未満の経過時間でもクラックの発生が確認された。
評価法1の評価後の電子写真感光体を上述の評価装置に装着した。そして、電子写真感光体の1周目の回転でベタ黒画像を記録した後、電子写真感光体の2周目の回転以降に記録したベタ黒画像の画像濃度を、マクベス濃度計(マクベス製)を用いて測定し、耐クラック性を評価した。尚、電子写真感光体にクラックが発生すると画像濃度は低下する。即ち、本評価においては、画像濃度が高いほど、耐クラック性が高いことを意味する。以下の基準においては、A〜Cを好ましいレベルとし、Dを許容できないレベルとした。
A:画像濃度が1.45以上であった
B:画像濃度が1.35以上1.45未満であった
C:画像濃度が1.20以上1.35未満であった
D:画像濃度が1.20未満であった。
(ガリウムフタロシアニン結晶の合成)
電荷発生物質として用いるガリウムフタロシアニン結晶を以下の通り合成した。
窒素フローの雰囲気下、フタロニトリル5.46部及びα−クロロナフタレン45部を反応釜に投入した後、加熱し、温度30℃まで昇温させた後、この温度を維持した。次に、この温度(30℃)で三塩化ガリウム3.75部を投入した。投入時の混合液の水分値は150ppmであった。その後、温度200℃まで昇温させた。次に、窒素フローの雰囲気下、温度200℃で4.5時間反応させた後、冷却し、温度150℃に達したときに生成物を濾過した。得られた濾過物をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて温度140℃で2時間分散洗浄した後、濾過した。得られた濾過物をメタノールで洗浄した後、乾燥させ、クロロガリウムフタロシアニン(ClGaPc)を4.65部(収率71%)得た。
上記で得たヒドロキシガリウムフタロシアニンGa−0 0.5部と、N−メチルホルムアミド10部を、直径0.8mmのガラスビーズ20部と共にボールミルでミリング処理を室温(23℃)下、120rpmの条件で300時間行った。この分散液からガリウムフタロシアニン結晶をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて取り出し、濾過し、濾過器上をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。濾取物を真空乾燥させて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−1を0.45部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図3に示す。
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、N−メチルホルムアミド10部をN,N−ジメチルホルムアミド10部に、ミリング処理時間を300時間から400時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−2を0.40部得た。得られたGa−2の粉末X線回折は、図3と同様であった。また、NMR測定により、Ga−2結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが1.4質量%含有されていることが確認された。
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、N−メチルホルムアミド10部をN−プロピルホルムアミド10部に、ミリング処理時間を300時間から500時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−3を0.40部得た。得られたGa−3の粉末X線回折は、図3と同様であった。また、NMR測定により、Ga−3結晶内に、プロトン比率から換算し、N−プロピルホルムアミドが1.4質量%含有されていることが確認された。
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、N−メチルホルムアミド10部をN−ビニルホルムアミド10部に、ミリング処理時間を300時間から100時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−4を0.40部得た。得られたGa−4結晶の粉末X線回折は、図3と同様であった。また、NMR測定により、Ga−4結晶内に、プロトン比率から換算し、N−ビニルホルムアミドが1.8質量%含有されていることが確認された。
上記で得たクロロガリウムフタロシアニン(ClGaPc)0.5部を直径0.8mmのガラスビーズ20部と共にボールミルで乾式ミリング処理を室温(23℃)下で40時間行った。そこにN,N−ジメチルホルムアミド10部を加え湿式ミリング処理を室温(23℃)下で100時間行った。この分散液からガリウムフタロシアニン結晶をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて取り出し、濾過し、濾過器上をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。濾取物を真空乾燥させて、クロロガリウムフタロシアニン結晶Ga−5を0.44部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図4に示す。
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、ミリング処理時間を300時間から48時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−6を0.46部得た。測定により、Ga−6結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが2.1質量%含有されていることが確認された。
上記(ガリウムフタロシアニン結晶Ga−1の合成)において、N−メチルホルムアミド10部をN,N−ジメチルホルムアミド10部に、ミリング処理時間を300時間から100時間に変更した以外は同様にして、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶Ga−7を0.40部得た。得られた結晶の粉末X線回折図を図5に示す。また、NMR測定により、Ga−7結晶内に、プロトン比率から換算し、N,N−ジメチルホルムアミドが2.2質量%含有されていることが確認された。
以下、電子写真感光体の各層の膜厚は、渦電流式膜厚計Fischerscope(フィッシャーインストルメンツ製)で実測するか、単位面積当たりの質量から比重換算で算出した。
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン製)3.6部、1−メトキシ−2−プロパノール50部、及び、メタノール50部からなる溶液を、ボールミルで20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
表9に記載の、導電層の有無、下引き層の種類、電荷発生層に用いる電荷発生物質の種類(2種併用の場合はその質量比)、電荷輸送層における、樹脂の種類及び粘度平均分子量Mv、重量平均分子量Mw、電荷輸送物質の種類(2種併用の場合はその質量比)、電荷輸送物質と樹脂の部数、溶剤の種類とその部数となるように、上記(実施例III−1)からそれぞれ変更して電子写真感光体を作製した。尚、樹脂E−1は、構造単位3−1−1のみからなる重合体(Mv:55,000、Mw:76,000)である。また、下引き層UCL−2及びUCL−3の形成方法、電荷発生物質CGM−1及びCGM−2を用いた電荷発生層の形成方法を以下に示す。
下記式の電子輸送性化合物10部、
酸化亜鉛粒子(平均一次粒径:50nm、比表面積:19m2/g、粉体抵抗:4.7×106Ω・cm、テイカ製)100部をトルエン500部に撹拌しながら混合した。これに表面処理剤としてN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学製)1.25部を添加し、6時間攪拌しながら混合した。その後、トルエンを減圧留去して、6時間130℃で乾燥させることによって、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。表面処理された酸化亜鉛粒子75部、上記ブロック化されたイソシアネート化合物(商品名:スミジュール3175、固形分:75質量%、住友バイエルウレタン製)16部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業製)9部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業製)1部を、メチルエチルケトン60部とシクロヘキサノン60部の混合溶剤に加えて分散液を調製した。この分散液に、平均粒径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて23℃雰囲気下、回転数1,500rpmで3時間分散処理した。分散処理後、得られた分散液に架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(商品名:SSX−103、平均粒径:3μm、積水化学工業製)5部と、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.01部を添加して攪拌することで、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を40分間160℃で加熱、重合させることによって、膜厚が30μmの下引き層UCL−3を形成した。
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の27.3°にピークを有するY型オキシチタニウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)12部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)10部と、シクロヘキサノン250部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理して分散液を調製した。次に、この分散液に酢酸エチル500部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間温度80℃で乾燥することによって、膜厚が0.20μmの電荷発生層を形成した。
電荷発生物質CGM−2として、下記式で表されるビスアゾ顔料20部、
電荷発生物質CGM−3として、下記式で表されるビスアゾ顔料10部、
電荷発生物質CGM−4として、下記式で表されるビスアゾ顔料12部、
電荷発生物質CGM−2として、下記式で表されるビスアゾ顔料1部、
上記で作製した電子写真感光体、又は、電荷輸送層用塗布液を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表9に示す。
[電子写真感光体の作製]
(実施例IV−1)
酸化スズで被覆した硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂(商品名:トスパール120、東芝シリコーン製)3.6部、1−メトキシ−2−プロパノール50部、及び、メタノール50部からなる溶液を、ボールミルで20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
表11に記載の、ポリカーボネート樹脂、電荷輸送物質、電荷輸送層中のポリカーボネート樹脂の含有量に対する電荷輸送物質の含有量となるように、上記(実施例IV−1)からそれぞれ変更して電子写真感光体を作製した。尚、比較例に用いたポリカーボネート樹脂の構造を表10に示す。
上記で作製した電子写真感光体を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表11に示す。
レーザービームプリンターCP−4525(ヒューレット・パッカード製)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)を調整できるように改造し、帯電電位(暗部電位)を−600Vに設定して評価装置として用いた。
A:濃度差が確認できなかった
B:僅かに濃度差があった
C:濃度差があるが、実使用上問題とならないレベルであった
D:濃度差があるが、領域間の境界が鮮明ではなかった
E:明確な濃度差があり、領域間の境界が鮮明になっている部分があった。
評価装置としては、キヤノン製レーザービームプリンターLBP−5050を用いた。評価は、温度23℃、相対湿度50%環境下で行った。評価装置の780nmのレーザー光源の露光量(画像露光量)については、電子写真感光体の表面での光量が0.3μJ/cm2となるように設定した。電子写真感光体の表面電位(暗部電位及び明部電位)の測定は、電子写真感光体の端部から130mmの位置に電位測定用プローブが位置するように固定された冶具と現像器とを交換して、現像器位置で行った。電子写真感光体の非露光部の暗部電位は−450Vとなるように設定した。
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
Claims (15)
- 支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とをこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体であって、
該電荷輸送層が、式(1−1)で示される構造単位、式(1−2)で示される構造単位、及び式(1−3)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、
該電荷輸送物質が、式(209)、(302)、(602)又は(603)で示される電荷輸送物質である
ことを特徴とする電子写真感光体。
(式(1−1)において、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。)
(式(1−2)において、R15〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子を示す。)
(式(1−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜9のアルキル基を示す。i211は0〜3の整数を示す。)
- 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(1−1)で示される構造単位、前記式(1−2)で示される構造単位、及び前記式(1−3)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa、b、及びcとしたときに、c/(a+b+c)が、0.40〜0.80である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(1−1)で示される構造単位、及び前記式(1−2)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa及びbとしたときに、a/bが0.25〜4.00である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層中における、前記電荷輸送物質の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂の含有量に対して、0.5倍以上0.9倍以下である請求項1〜3の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とをこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体であって、
該電荷輸送層が、式(2−1)で示される構造単位、式(2−2−1)、(2−2−2)又は(2−2−5)で示される構造単位、及び式(2−3)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
(式(2−1)において、Rは、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示す。)
(式(2−3)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基を示す。i211は0〜2の整数を示す。) - 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(2−1)で示される構造単位、前記式(2−2−1)、(2−2−2)又は(2−2−5)で示される構造単位、及び前記式(2−3)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa、b、及びcとしたときに、a/(a+b+c)が、0.10〜0.40である請求項5に記載の電子写真感光体。
- 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(2−1)で示される構造単位、前記式(2−2−1)、(2−2−2)又は(2−2−5)で示される構造単位、及び前記式(2−3)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa、b、及びcとしたときに、b/(a+b+c)が、0.30〜0.60である請求項5又は6に記載の電子写真感光体。
- 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(2−1)で示される構造単位、及び前記式(2−2−1)、(2−2−2)又は(2−2−5)で示される構造単位の繰り返し数をそれぞれa及びbとしたときに、a/bが、0.20〜1.20である請求項5〜7の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とをこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体であって、
該電荷輸送層が、式(3−1)で示される構造単位、及び式(3−2)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、
該電荷輸送物質が、式(102)、(212)、(305)又は(503)で示される電荷輸送物質である
ことを特徴とする電子写真感光体。
(式(3−1)において、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、アルコキシ基を示す。R5は、置換若しくは無置換の炭素数1〜9のアルキル基を示す。iは0〜3の整数を示す。)
(式(3−2)において、R6〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子を示す。)
- 前記電荷発生物質が、フタロシアニン結晶である請求項9に記載の電子写真感光体。
- 前記ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(3−1)で示される構造単位の含有比率が、25mol%以上70mol%以下である請求項9又は10に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送物質が、トリアリールアミン化合物である請求項5〜8の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層中に、シロキサン構造を有する樹脂を含有する請求項1〜12の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜13の何れか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜13の何れか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置。
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