JP2018045138A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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修平 岩崎
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大祐 三浦
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達也 山合
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Abstract

【課題】 電気的特性に優れ、かつ耐久電位変動を抑制した電子写真感光体を提供すること。【解決手段】 支持体と、電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有する電子写真感光体であって、該電荷輸送層が、式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、該電荷輸送層中のフェノール性水酸基を有する化合物の量が500ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体、並びに、係る電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真感光体の電荷輸送層は、電荷輸送剤と結着樹脂を含有して構成される。電荷輸送層の結着樹脂として、ポリカーボネート樹脂を用いた電子写真感光体は、電気的特性に優れることが知られている。特許文献1と2には、電気的特性に優れた感光体を提供するための技術として、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂が開示されている。
特開平6−317917号公報 国際公開第2012/115088号公報
ポリカーボネート樹脂を電荷輸送層の結着樹脂として用いた場合、優れた電気的特性が得られる一方で、樹脂構造によっては、繰り返し使用後の明部電位が初期の明部電位に対して変動する(耐久電位変動)という技術課題が生じる。これは、電子写真感光体中でのキャリア移動の滞りが生じやすい構造の樹脂を用いた場合、電子写真感光体中にキャリアが蓄積してしまうことが要因と考えられている。
したがって、本発明の目的は、高い電気的特性を保持したまま、耐久電位変動を高いレベルで抑制した電子写真感光体を提供することにある。また、本発明の別の目的は、係る電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる電子写真感光体は、支持体と、電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有し、該電荷輸送層が、式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、該電荷輸送層中のフェノール性水酸基を有する化合物の量が500ppm以下であることを特徴とする。
(式(1)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、水素原子、もしくは炭素数1〜9のアルキル基を示す。i211は0〜3の整数を示す。)
本発明によれば、電気的特性に優れ、かつ、耐久電位変動を抑制した電子写真感光体を提供することができる。また、係る電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 実施例で用いたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。 研磨シートを用いた研磨機の一例を示す図である。 乾式ブラスト処理装置の一例を示す図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明者らが検討を行った結果、特定のポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層を有する電子写真感光体を用いることで、高い電気的特性を保持したまま、耐久電位変動を抑制できることを見出した。具体的には、支持体と、電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有する電子写真感光体であって、該電荷輸送層が、式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、該電荷輸送層中のフェノール性水酸基を有する化合物の量が500ppm以下である。
(式(1)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R215は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、水素原子、もしくは炭素数1〜9のアルキル基を示す。i211は0〜3の整数を示す。)
本発明がその効果を奏する詳細な作用機序については不明であるが、以下のように推定している。本発明の構造のポリカーボネート樹脂は、本発明の構造を有さないポリカーボネートと比較して、電子写真感光体の結着樹脂として用いた場合に耐久電位変動を抑制できる。
この理由としては、第一に、式(1)に示した分岐側鎖構造が耐久電位変動の原因となるキャリアの滞留を抑制するためと考えている。分岐側鎖構造は、分岐構造を有さない側鎖構造と比較して、側鎖を構成する分子の回転自由度が高いため、分岐側鎖近傍に、低分子材料の安定配置に適した空間が形成され、低分子材料である電荷輸送剤が形成された空間に均一に配置されることで、電荷輸送剤の凝集が抑制されると推測している。電荷輸送剤の均一分散の結果、電荷輸送層中でキャリアの局所的な滞留が生じにくくなり、耐久電位変動が抑制されたものと考えている。
第二に、ポリカーボネート樹脂に含まれる極性基の含有比率が小さいことで、キャリアの滞留が抑制されるためと考えている。ポリカーボネート樹脂のフェノール性水酸基は、極性が高いため、電荷輸送層中でキャリアをトラップし、耐久電位変動を生じさせる原因となると考えられる。本発明の構造のポリカーボネート樹脂は、フェノール性水酸基の含有比率を500ppm以下とすることで、滞留するキャリア数が少なくなり、耐久電位変動が抑制されたものと考えている。
上記の観点から、前記式(1)において、R211〜R214は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基を、R215は、水素原子、メチル基、エチル基を、R216とR217は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を、i211は0〜2の整数を示すポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
上記式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を合成する方法としては、例えば、以下2つの方法が挙げられる。1つ目は、式(2)で示されるビスフェノール化合物を、ホスゲンと直接反応させる方法(ホスゲン法)である。2つ目は、式(2)で示されるビスフェノール化合物を、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどのビスアリールカーボネートとエステル交換反応させる方法(エステル交換法)である。
ホスゲン法においては、通常、酸結合剤及び溶剤の存在下において、式(2)で示されるビスフェノール化合物とホスゲンを反応させる。このとき用いる酸結合剤としては、ピリジンや、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。また溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムなどが挙げられる。更に、縮重合反応を促進するために、触媒や分子量調節剤を加えても良い。触媒としては、トリエチルアミンのような第三級アミン、または第四級アンモニウム塩などが挙げられる。分子量調節剤としては、フェノール、p−クミルフェノール、t−ブチルフェノール、長鎖アルキル置換フェノールなどの一官能基化合物が挙げられる。
(式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。RとRは、それぞれ独立に、水素原子、もしくは炭素数1〜9のアルキル基を示す。i211は0〜3の整数を示す。)
また、ポリカーボネート樹脂を合成する際に、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤;フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を用いてもよい。また、ポリカーボネート樹脂を合成するときの反応温度は、0〜150℃が好ましく、5〜40℃がより好ましい。反応時間は、反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間が好ましく、1分〜2時間がより好ましい。また、反応中は、反応系のpHを10以上にすることが好ましい。
(式(1)で示される構造単位)
式(1)で示される構造単位の具体例を、下記式(1−1)〜(1−6)に示す。このような構造単位を有するポリカーボネート樹脂を用いることで、電荷輸送層において、樹脂中の電荷輸送物質間の距離が均一になり、キャリアの滞留が抑制され、耐久電位変動が抑制されると考えられる。
また本発明において、上記式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂は、主鎖骨格上に、上記式(1)で示される構造単位以外の構造単位を有してもよい。式(1)で示される構造単位以外の構造単位としては、例えば、下記式(2−1)〜(2−6)で示される構造単位が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂に占める、前記式(1)で示される構造単位の含有比率は、30mol%以上80mol%以下であることが好ましく、40mol%以上75mol%以下であることがより好ましい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、30,000以上80,000以下であることが好ましく、40,000以上70,000以下であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が30,000より小さいと機械的強度が低く、耐久電位変動抑制効果が十分に得られない場合がある。一方、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が80,000より大きいと、電荷輸送層用塗布液の保存安定性が十分に得られない場合がある。後述する実施例において、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、ウベローデ粘度計を使用し、20℃、0.5w/v%ポリカーボネートジクロロメタン溶液、ハギンズ定数0.45で極限粘度[η]を測定し、以下の式により求めた。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
また、ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)[測定器:アライアンスHPLCシステム(Waters製)]を用い、Shodex KF−805Lカラム(昭和電工製)2本、0.25w/v%クロロホルム溶液サンプル、1ml/分クロロホルム溶離液、254nmのUV検出の条件で測定し、ポリスチレン換算の値として算出した。
また、上記ポリカーボネート樹脂の極限粘度は、0.3dL/g〜2.0dL/gが好ましい。
<ポリカーボネート樹脂の具体例>
式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂の具体例を表1に示す。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、支持体と、支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に有する。また、支持体と電荷発生層の間に、導電層または下引き層、またはこの両方を設けてもよい。さらに電荷輸送層の上側に保護層を設けてもよい。以下、各層について説明する。
電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布法が好ましい。
<支持体>
本発明において、支持体は、導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金などの金属又は合金で形成される支持体や、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスなどの絶縁性支持体上に、アルミニウム、クロム、銀、金などの金属の薄膜;酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性材料の薄膜;銀ナノワイヤーを加えた導電性インクの薄膜を形成した支持体が挙げられる。
支持体の表面には、電気的特性の改善や干渉縞の抑制のため、陽極酸化などの電気化学的な処理や、湿式ホーニング処理、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の形状としては円筒状またはフィルム状などが挙げられる。
<導電層>
本発明において、支持体の上に導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体のムラや欠陥の被覆、干渉縞の防止が可能となる。導電層の平均膜厚は5μm以上40μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
導電層は、導電性粒子と、結着樹脂を含有することが好ましい。導電性粒子としては、カーボンブラック、金属粒子及び金属酸化物粒子などが挙げられる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化亜鉛、鉛白、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズの粒子が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンの粒子が好ましい。特に、酸化チタン粒子は、可視光及び近赤外光をほとんど吸収せず、白色であるため、高感度化の観点から好ましい。酸化チタンの結晶型として、例えば、ルチル型、アナターゼ型、ブルカイト型及びアモルファス型があり、いずれの結晶型を用いてもよい。また、針状結晶、粒状結晶の酸化チタン粒子も用いてもよい。より好ましくは、ルチル型の酸化チタン結晶の粒子である。金属酸化物粒子の個数基準の平均一次粒径は、0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。
結着樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中でも、他の層を形成するために用いる塗布液中の溶剤に対する耐性、導電性支持体に対する密着性、金属酸化物粒子の分散性・分散安定性という観点から、硬化性樹脂が好ましい。より好ましくは、熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性のフェノール樹脂、熱硬化性のポリウレタン樹脂が挙げられる。
<下引き層>
本発明において、支持体又は導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、バリア機能と接着機能が高まる。下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、アガロース樹脂、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などが挙げられる。下引き層の平均膜厚は、0.3μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
また、下引き層には、電子輸送物質、あるいは金属酸化物粒子を含有させてもよい。係る構成により、電荷発生層で発生した電荷のうち、電子を支持体にまで輸送することができるので、電荷輸送層の電荷輸送能が向上しても電荷発生層中での電荷の失活、トラップの増加を抑制できる。よって、初期の電気特性及び繰り返し使用時における電気特性が向上する。
電子輸送物質としては、例えば、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、ナフチルイミド化合物、ペリレンイミド化合物が挙げられる。電子輸送物質は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、メトキシ基などの重合性官能基を有することが好ましい。
金属酸化物粒子としては、上記導電層において説明したものと同様である。
電子輸送物質を含む組成物を重合反応することで、下引き層を作製する例を以下に示す。下引き層は、電子輸送物質を含む組成物を含有する下引き層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。下引き層用塗布液の塗膜乾燥時に、電子輸送物質を含む組成物が重合するが、その際に熱や光のエネルギーを印加することで重合反応(硬化反応)が促進される。組成物の例をそれぞれ説明する。
(1)電子輸送物質
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物などが挙げられる。本発明において、電子輸送物質は、重合性官能基を有する電子輸送物質であることが好ましい。特に、同一分子内に2つ以上の重合性官能基を有する電子輸送物質であることがより好ましい。重合性官能基としては、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、メトキシ基などが挙げられる。本発明においては、電子輸送物質が、下記一般式(A1)〜(A11)で示される化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(A1)〜(A11)において、R11〜R16の少なくとも1つ、R21〜R30の少なくとも1つ、R31〜R38の少なくとも1つ、R41〜R48の少なくとも1つ、R51〜R60の少なくとも1つ、R61〜R66の少なくとも1つ、R71〜R78の少なくとも1つ、R81〜R90の少なくとも1つ、R91〜R98の少なくとも1つ、R101〜R110の少なくとも1つ、R111〜R120の少なくとも1つは、下記一般式(A)で示される1価の基であり、それ以外は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基、複素環、アルキル基の主鎖中のCHの1つがO、S、NH又はNR121(R121はアルキル基)で置き換わった基である。アルキル基、アリール基、複素環は、更に置換基を有していてもよい。アルキル基の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アリール基、複素環の置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基が挙げられる。
21、Z31、Z41及びZ51は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、又は酸素原子を示す。Z21が酸素原子である場合はR29及びR30は存在せず、Z21が窒素原子である場合はR30は存在しない。Z31が酸素原子である場合はR37及びR38は存在せず、Z31が窒素原子である場合はR38は存在しない。Z41が酸素原子である場合はR47及びR48は存在せず、Z41が窒素原子である場合はR48は存在しない。Z51が酸素原子である場合はR59及びR60は存在せず、Z51が窒素原子である場合はR60は存在しない。
一般式(A)において、α、β、及びγの少なくとも1つは置換基を有する基であり、係る置換基は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基からなる群より選択される。l及びmは、それぞれ独立に、0又は1であり、lとmの和は、0以上2以下である。
αは、主鎖の原子数が1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキル基で置換された主鎖の原子数が1〜6のアルキレン基、ベンジル基で置換された主鎖の原子数1〜6のアルキレン基、アルコシキカルボニル基で置換された主鎖の原子数1〜6のアルキレン基、又はフェニル基で置換された主鎖の原子数が1〜6のアルキレン基を示す。これらの基は、置換基として、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有しても良い。アルキレン基の主鎖中のCHの1つは、O、S、NR122(式中、R122は、水素原子、又はアルキル基を示す。)で置き換わっても良い。
βは、フェニレン基、炭素数1〜6のアルキル置換フェニレン基、ニトロ置換フェニレン基、ハロゲン基置換フェニレン基、又はアルコキシ基置換フェニレン基を示す。これらの基は、置換基として、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有しても良い。
γは、水素原子、主鎖の原子数が1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルキル基で置換された主鎖の原子数が1〜6のアルキル基を示す。これらの基は、置換基として、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有しても良い。アルキル基の主鎖中のCHの1つは、O又はS又はNR123(式中、R123は、水素原子又はアルキル基を示す。)で置き換わっていても良い。
以下、一般式(A1)〜(A11)で示される化合物の具体例を示す。
<一般式(A1)で示される化合物の具体例>
<一般式(A2)で示される化合物の具体例>
<一般式(A3)で示される化合物の具体例>
<一般式(A4)で示される化合物の具体例>
<一般式(A5)で示される化合物の具体例>
<一般式(A6)で示される化合物の具体例>
<一般式(A7)で示される化合物の具体例>
<一般式(A8)で示される化合物の具体例>
<一般式(A9)で示される化合物の具体例>
<一般式(A10)で示される化合物の具体例>
<一般式(A11)で示される化合物の具体例>
一般式(A1)〜(A11)で示される化合物は、一般式(A1)〜(A11)の構造を有する誘導体(一般式(A1)〜(A11)で示される化合物の重合性官能基がハロゲン原子に置き換わっている化合物)を得た後、これに重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を導入することで得ることができる。
一般式(A1)〜(A11)の構造を有する誘導体を得る方法は、それぞれ以下の通りである。一般式(A1)の構造を有する誘導体は、東京化成工業、ジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッドから購入可能な、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物とモノアミン誘導体との反応で合成可能である。一般式(A2)〜(A6)、(A9)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、東京化成工業、シグマアルドリッチジャパン、ジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッドから購入可能である。一般式(A7)の構造を有する誘導体は、東京化成工業、シグマアルドリッチジャパンから購入可能な、フェノール誘導体を原料として合成可能である。一般式(A8)の構造を有する誘導体は、東京化成工業、シグマアルドリッチジャパンから購入可能な、ペリレンテトラカルボン酸二無水物とモノアミン誘導体との反応で合成可能である。一般式(A10)の構造を有する誘導体は、公知の合成方法(例えば、特許第3717320号公報)を用いて、ヒドラゾン構造を有するフェノール誘導体を、有機溶媒中、過マンガン酸カリウム等の適当な酸化剤で酸化することによって合成可能である。一般式(A11)の構造を有する誘導体は、東京化成工業、シグマアルドリッチジャパン、ジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッドから購入可能な、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物とモノアミン誘導体とヒドラジンとの反応で合成可能である。
一般式(A1)〜(A11)の構造を有する誘導体(以下、単に「誘導体」ともいう)に重合性官能基を導入する方法は以下の通りである。例えば、誘導体にパラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、重合性官能基を有するアリール基を導入する方法;誘導体にFeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、重合性官能基を有するアルキル基を導入する方法;誘導体にリチオ化を経た後にエポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法などが挙げられる。
(2)架橋剤
架橋剤としては、公知の材料を何れも用いることができる。具体的には、山下晋三,金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)に記載されている化合物などが挙げられる。本発明において、架橋剤は重合性官能基を有することが好ましい。
本発明において、架橋剤はイソシアネート化合物、アミノ化合物であることが好ましい。以下、それぞれの化合物について説明する。
(2−1)イソシアネート化合物
本発明において、イソシアネート化合物は、イソシアネート基を有する。イソシアネート基の数は同一分子内に3〜6個であることが好ましい。イソシアネート化合物は、反応性の制御が難しい場合があるため、塗布液中に添加する際には、イソシアネート基を保護基で保護したブロックイソシアネート化合物の形で用いることが好ましい。
イソシアネート基を保護する保護基としては、下記式(H1)〜式(H6)で示される基が好ましい。これらの保護基で保護されたイソシアネート基は、−NHCOX(Xは保護基)の形をとる。
具体的なイソシアネート化合物としては、例えば、トリイソシアネートベンゼン、トリイソシアネートメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネート、リジントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネートなどのジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、トリメチロールプロパンやペンタエリストールとのアダクト変性体などの変性体各種が挙げられる。これらの中でも、イソシアヌレート変性体とアダクト変性体が特に好ましい。
以下、イソシアネート化合物の具体例として、B1〜B21を示す。
(2−2)アミノ化合物
本発明において、アミノ化合物は、−CH−OH、−CH−O−R(Rは炭素数1以上10以下のアルキル基(分岐していてもよい)を示す)で示される基を有する化合物であることが好ましい。更には、下記一般式(C1)〜(C5)に示される化合物であることが好ましく、分子量が200以上1,000以下であることが、均一な硬化膜を形成する上でより好ましい。
一般式(C1)〜(C5)において、R121〜R126、R131〜R135、R141〜R144、R151〜R154、R161〜R164はそれぞれ独立に、水素原子、−CH−OH、−CH−O−Rを示し、Rは炭素数1以上10以下のアルキル基(分岐していてもよい)を示す。アルキル基は、重合性の観点からメチル基、エチル基、ブチル基が好ましい。
市販されている材料としては、一般式(C1)で示される化合物:スーパーメラミン90(日本油脂製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60、L−105−60、L127−60、L110−60、J−820−60、G−821−60(DIC製)、ユーバン2020(三井化学製)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業製)、ニカラックMW−30、MW−390、MX−750LM(日本カーバイド製);一般式(C2)で示される化合物:スーパーベッカミン(R)L−148−55、13−535、L−145−60、TD−126(DIC製)、ニカラックBL−60、BX−4000(日本カーバイド製);一般式(C3)で示される化合物:ニカラックMX−280(日本カーバイド製);一般式(C4)で示される化合物:ニカラックMX−270(日本カーバイド製);一般式(C5)で示される化合物:ニカラックMX−290(日本カーバイド製)などが挙げられる。
以下、一般式(C1)〜(C5)で示される化合物の具体例をそれぞれ示す。尚、以下の具体例は、単量体を示しているが、これらを構造単位とする多量体であるオリゴマーであっても良い。多量体である場合、その重合度は2以上100以下であることが好ましい。また、これらは、2種以上を混合して用いてもよい。
<一般式(C1)で示される化合物>
<一般式(C2)で示される化合物>
<一般式(C3)で示される化合物>
<一般式(C4)で示される化合物>
<一般式(C5)で示される化合物>
(3)樹脂
樹脂としては、これら架橋剤と重合(硬化)することが可能な重合性官能基を有する樹脂を用いることができる。重合性官能基として好ましくは、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基またはメトキシ基が挙げられる。重合性官能基を有する熱可塑性樹脂としては、下記式(4)で示される構造単位を有する樹脂が好ましい。
式(4)中、R301は、水素原子またはアルキル基を示す。R302は、単結合、アルキレン基またはフェニレン基を示す。R303は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基を示す。
式(4)で示される構造単位を有する樹脂としては、例えば、アセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂が挙げられる。上記式(4)で示される構造単位は、以下に示す特徴的な構造の中に有してもよいし、特徴的な構造以外に有してもよい。特徴的な構造を以下の(S−1)〜(S−6)に示す。(S−1)は、アセタール樹脂の構造単位である。(S−2)は、ポリオレフィン樹脂の構造単位である。(S−3)は、ポリエステル樹脂の構造単位である。(S−4)は、ポリエーテル樹脂の構造単位である。(S−5)は、ポリアミド樹脂の構造単位である。(S−6)は、セルロース樹脂の構造単位である。
上記式中、R304〜R308は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または水素原子を示す。R309〜R313は、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基を示す。R304がCである場合はブチラールと示す。R314〜R319は、アセチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、または水素原子を示す。
式(4)で示される構造単位を有する樹脂は、例えば、シグマアルドリッチジャパン(株)や東京化成工業(株)から購入可能な、重合性官能基を有するモノマーを重合させることで得られる。
また、式(4)で示される構造単位を有する樹脂は、一般的に購入することも可能である。購入可能な樹脂としては、例えば、日本ポリウレタン工業(株)製AQD−457、AQD−473、三洋化成工業(株)製サンニックスGP−400、GP−700などのポリエーテルポリオール系樹脂、日立化成工業(株)製フタルキッドW2343、DIC(株)製ウォーターゾールS−118、CD−520、ベッコライトM−6402−50、M−6201−40IM、ハリマ化成(株)製ハリディップWH−1188、日本ユピカ社製ES3604、ES6538などのポリエステルポリオール系樹脂、DIC(株)製、バーノックWE−300、WE−304などのポリアクリルポリオール系樹脂、(株)クラレ製クラレポバールPVA−203などのポリビニルアルコール系樹脂、積水化学工業(株)製BX−1、BM−1などのポリビニルアセタール系樹脂、ナガセケムテックス(株)製トレジンFS−350などのポリアミド系樹脂、日本触媒(株)製アクアリック、鉛市(株)製ファインレックスSG2000などのカルボキシル基含有樹脂、DIC(株)製、ラッカマイドなどのポリアミン樹脂、東レ(株)製QE−340Mなどのポリチオール樹脂などが挙げられる。これらの中でもポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルポリオール系樹脂などが重合性、電子輸送層の均一性の観点からより好ましい。
重量平均分子量(Mw)は600〜400,000の範囲であることがより好ましい。
樹脂中の重合性官能基の定量法は、以下のような方法が挙げられる。すなわち、水酸化カリウムを用いたカルボキシル基の滴定、亜硝酸ナトリウムを用いたアミノ基の滴定、無水酢酸と水酸化カリウムを用いた水酸基の滴定、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)を用いたチオール基の滴定がある。また、重合性官能基導入比率を変化させた試料のIRスペクトルから得られる検量線法がある。
表2に、樹脂の具体例を示す。表2中、「特徴的な部位」の欄は、上記(S−1)〜(S−6)のいずれかで示される構造単位を示す。
(4)触媒
硬化反応を促進させるために、触媒を含有しても良い。触媒としては、例えば金属アシレート、金属アルコキシド、金属キレート、有機酸及びそれらの塩、有機塩基及びそれらの塩が挙げられる。
金属アシレートとしては、例えば、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ヘキサン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉄、2−エチルヘキサン酸鉄、乳酸鉄、ステアリン酸鉄、クエン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅、ナフテン酸銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸マンガン、2−エチルヘキサン酸マンガン、乳酸マンガン、ステアリン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ジオクチルスズジラウレート、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、2−エチルヘキサン酸ビスマス、シュウ酸チタン、が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
金属アルコキシド及び金属キレートとしては、例えば、アルミニウムブチレート、アルミニウムプロピレート、ジルコニウムプロピレート、ジルコニウムブチレート、チタンプロピレート、チタンブチレート、亜鉛アセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンジプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
有機酸及びそれらの塩としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸アミン塩、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸アミン塩、が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
有機塩基及びそれらの塩としては、例えばジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンフェノール塩、テトラメチルブタンジアミン、トリエチルアミン、N,N,N‘,N‘,N‘‘−ペンタメチルジエチルトリアミンが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
下引き層は、本発明に用いる化合物以外にも、成膜性や電気的特性を高めるために、他の物質を含有しても良く、例えば樹脂、有機粒子、無機粒子、レベリング剤などを含有してもよい。ただし、下引き層におけるそれらの含有量は、下引き層の全質量に対して50質量%未満であることが好ましく、20質量%未満であることがより好ましい。
<電荷発生層>
本発明において、支持体または導電層または下引き層と、電荷輸送層との間に、電荷発生層を有する。電荷発生層は、電荷輸送層に隣接していることが好ましい。電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.3μm以下であることがより好ましい。
本発明において、電荷発生層は、電荷発生物質と結着樹脂を含有することが好ましい。
電荷発生層中の、電荷発生層の全重量に対する電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全重量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料やフタロシアニン結晶が挙げられる。中でも、チタニウムフタロシアニン結晶、もしくはガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。さらに、感度向上の観点から、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θ±0.3°において27.2°にピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン結晶、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θ±0.3°において7.4°及び28.3°にピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶や、CuKα線のX線回折におけるブラッグ角2θ±0.3°において7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°にピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶がより好ましい。
また、ガリウムフタロシアニン結晶は、結晶内にN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−プロピルホルムアミド、N−ビニルホルムアミドなどのアミド化合物を含有するガリウムフタロシアニン結晶であることが好ましい。
アミド化合物の含有量は、ガリウムフタロシアニン結晶中のガリウムフタロシアニンに対して0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上1.9質量%以下であることがより好ましい。アミド化合物の含有量が0.1質量%以上3.0質量%以下であると、電荷発生層内部及び電荷発生層と電荷輸送層の界面でのキャリア移動の滞りが抑制されると考えており、本発明の耐久電位変動抑制効果をより高めることができる。尚、アミド化合物の含有量は、H−NMR法により測定できる。
アミド化合物を結晶内に含有するガリウムフタロシアニン結晶は、アシッドペースティング法又は乾式ミリングにより処理したガリウムフタロシアニンと、アミド化合物とを含んだ溶剤を、湿式ミリング処理して結晶変換する工程によって得られる。
湿式ミリング処理とは、ガラスビーズ、スチールビーズ、アルミナボールなどの分散剤とともにサンドミル、ボールミルなどのミリング装置を用いて行う処理である。
結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、アクリロニトリル共重合体及びポリビニルベンザールなどの樹脂が挙げられる。これらの中でも、ガリウムフタロシアニン結晶を分散させる樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザールが好ましい。
<電荷輸送層>
本発明において、電荷輸送層は、電荷輸送物質、ポリカーボネート樹脂を溶媒と混合して電荷輸送層用塗布液を調製し、電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることで形成することができる。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、7μm以上30μm以下であることがより好ましい。
電荷輸送層中の、電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全重量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、電子写真感光体の耐久電位変動抑制効果及び長期保存安定性の向上の観点から、30質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物、又はトリフェニルアミンが挙げられる。また、電荷輸送物質としては、これらの化合物から誘導される基を主鎖又は側鎖に有するポリマーも挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物又はベンジジン化合物が、繰り返し使用時の電位安定性点で好ましい。また、電荷輸送物質は複数の種類を共に含有させてもよい。以下、電荷輸送物質の具体例を示す。
本発明において、電荷輸送層は、式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有する。また、電荷輸送層は式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂以外のその他の樹脂を混合して形成してもよい。以下に、式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂と混合して用いることができるその他の樹脂の具体例を示す。
また、本発明において、削れを抑制する目的で表面層に有機微粒子、無機微粒子などのフィラーを含有してもよい。
有機微粒子としては、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン樹脂粒子、アクリル樹脂のような高分子樹脂粒子が挙げられる。フッ素原子含有樹脂粒子は、四フッ化エチレン樹脂粒子、三フッ化エチレン樹脂粒子、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂粒子、フッ化ビニル樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子、二フッ化二塩化エチレン樹脂粒子が好ましい。また、それらの共重合体の粒子が好ましい。これらの中でも、四フッ化エチレン樹脂粒子がより好ましい。
フッ素樹脂粒子の一次粒子経は0.05〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.6μmが好ましい。
フッ素樹脂粒子を表面層中に均一に分散させるために、分散助剤を用いる事ができる。フッ素樹脂粒子の分散助剤は、既存のものを使用する事ができるが、フッ素樹脂粒子と親和性のある部位と、表面層の樹脂と親和性のある部位の両方を有する化合物である事が好ましい。これらのフッ素樹脂粒子分散助剤は、一般的に購入することも可能である。購入可能な樹脂としては、例えば、モディパーシリーズ(日本油脂社製)、サーフロンシリーズ(AGCセイミケミカル社製)などが挙げられる。
無機微粒子としては、一般的に導電性を有しないとされる無機微粒子全般が使用可能であり、例えば、無機塩化物や無機臭化物等の無機塩類、一部の無機酸化物、粘土や窒化ケイ素等のセラミックス等が挙げられる。なかでも、無機酸化物が化合物の化学的安定性の点から好ましい。とりわけ、ケイ素の酸化物であるシリカや、アルミニウムの酸化物であるアルミナが好ましい。
無機微粒子の平均一次粒径は、電荷輸送層の透明性の点で、1.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがさらに好ましい。また、機械的強度を効果的に付与する点から、0.02μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。
また、無機微粒子表面を疎水化処理した微粒子を用いてもよい。表面処理剤としては、
例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤として、具体的には、
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル) アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシ
シラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメ
トキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン及びp−メチルフェニルトリメ
トキシシラン等が挙げられる。
更に、トナーの転写効率を上げる目的で離型剤や、汚れなどを抑制する目的で指紋付着防止剤や、潤滑性を向上させる目的で潤滑剤などを含有してもよい。潤滑剤としては、シロキサン構造を有する樹脂を用いることが好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶剤;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;ハロゲン原子で置換されたジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素などの炭化水素溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性有機溶媒などが挙げられる。これらは、2種類以上を併用してもよい。
電荷輸送層を電子感光体の表面層として用いる場合、電荷輸送層表面に加工を施してもよい。表面加工の手法としては、研磨加工や粗面化加工が挙げられる。
<保護層>
本発明において、電荷輸送層の上に保護層を有していてもよい。保護層は、機械的な力に対する耐摩耗性の向上のために、連鎖重合、遂次重合の少なくとも一種に関係する重合性官能基を有する化合物を含有する組成物の硬化物からなる。更に、重合反応を開始させる目的で重合開始剤や、トナーの転写効率を上げる目的で離型剤や、汚れなどを抑制する目的で指紋付着防止剤や、削れを抑制する目的でフィラーや、潤滑性を向上させる目的で潤滑剤などを含有してもよい。
本発明において、保護層は、連鎖重合、遂次重合の少なくとも一種に関係する重合性官能基を有する化合物を含有する組成物を溶媒と混合して保護層用塗布液を調整し、保護層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させ、熱、光(紫外線など)、放射線(電子線など)などの外部エネルギーを与えることで硬化物を形成することができる。
連鎖重合は、連鎖重合性官能基有する化合物を含有する組成物を硬化させる。連鎖重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アルコキシシリル基及びエポキシ基などが挙げられる。遂次重合は、遂次重合性官能基有する化合物を含有する組成物を硬化させる。重合性官能基としては、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基などが挙げられる。
また、本発明における電位変動の抑制効果を高めるために、保護層には電荷輸送機能を有することが好ましい。保護層に電荷輸送機能を持たせる方法として、重合性官能基を有する電荷輸送物質を含有させる、重合性官能基を有さない電荷輸送物質を含有させることなどが挙げられる。
保護層の膜厚は、2μm以上10μm以下であることが好ましく、3μm以上8μm以下であることがより好ましい。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
図1は、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
1は円筒状(ドラム状)の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3により、正または負の所定電位に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。露光光4は、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光である。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像または反転現像)され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写されていく。このとき、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写材7が紙である場合、転写材7は給紙部(不図示)から取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して給送される。
電子写真感光体1からトナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離されて、定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。
転写材7にトナー像を転写した後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9により、トナー(転写残りトナー)などの付着物の除去を受けて清浄される。近年、クリーナレスシステムも開発され、転写残りトナーを直接、現像器などで除去することも可能である。更に、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6及びクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納めて一体に支持してプロセスカートリッジを形成してもよい。そして、このプロセスカートリッジを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成することが可能である。例えば、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9から選択される少なくとも1つを電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化する。そして、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光であってもよい。または、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動もしくは液晶シャッターアレイの駆動などにより放射される光であってもよい。
本発明の電子写真感光体1は、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用することができる。
以下、実施例及び参考例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例及び参考例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例及び参考例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
〔支持体例〕
アルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。支持体の加工の有無及び種類、長さ、直径は表3に記載する。なお,ホーニング加工は以下の方法に従って行った。
<ホーニング加工>
熱間押し出しにより得たA6063の外径φ30.5mm、内径φ28.5mm、長さ260.5mm、振れ精度100μm、表面の十点平均粗さRz=10μmのアルミニウム素管を準備した。この素管を施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径30.0±0.02mm、振れ精度15μm、表面の十点平均粗さRz=0.2μmになるように切削加工した。この時の主軸回転数は3000rpm、バイトの送り速度は0.3mm/revで、加工時間はワークの着脱を除き24秒であった。得られたアルミニウム切削管に対して、液体(湿式)ホーニング装置(不二精機製造所社製)を用いて、下記条件にて液体ホーニング加工を行った。
<液体ホーニング条件>
研磨材砥粒=球状アルミナビーズ 平均粒径30μm (商品名:CB−A30S 昭和電工株式会社製)
懸濁媒体=水
研磨材/懸濁媒体=1/9(体積比)
アルミニウム切削管の回転数=1.67s−1
エア吹き付け圧力=0.05MPa
ガン移動速度=20.0mm/sec
ガンノズルとアルミニウム管の距離=150mm
ホーニング砥粒吐出角度=60°
研磨液投射回数=1回(片道)
ホーニング後のシリンダー表面粗さは、RmaxD=1.10μm、Rz=0.32μm、Ra=0.09μm、Sm=48μmであった。
〔導電層作製例1〕
金属酸化物粒子としてのリン(P)がドープされている酸化スズ(SnO)で被覆されている酸化チタン粒子(TiO)粒子207部、結着材料としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325)144部、及び、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して15質量%になるように、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120)を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、シリコーンオイル(商品名:SH28PA)を分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を、表1に記載のいずれかの支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層1を形成した。
〔導電層作製例2〕
金属酸化物粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO)が被覆されている硫酸バリウム微粒子(粉体抵抗率:120Ω・cm、酸化スズの被覆率:40%)200部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製、平均粒径0.27μm)、 フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325)166部、及び溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール100部を、直径0.8mmのガラスビーズ400部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:3時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%になるように、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120)を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、シリコーンオイル(商品名:SH28PA)を分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間145℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が20μmの導電層2を形成した。
〔導電層作製例3〕
金属酸化物粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO)が被覆されている酸化チタン(TiO)粒子214部、結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分:60質量%)132部、及び、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、平均粒径2μm)を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)を分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層3を形成した。
〔導電層作製例4〕
酸化亜鉛粒子(平均一次粒径:50nm、比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm、テイカ製)100部をトルエン500部に撹拌しながら混合した。これに表面処理剤としてN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学製)1.25部を添加し、6時間攪拌しながら混合した。その後、トルエンを減圧留去して、6時間130℃で乾燥させることによって、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
酸化チタン粒子(テイカ(株)製、JR−405、平均一次粒子径:210nm)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.75部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、表面処理された酸化チタン粒子を得た。
表面処理された酸化亜鉛粒子75部、上記ブロック化されたイソシアネート化合物(商品名:スミジュール3175、固形分:75質量%、住友バイエルウレタン製)16部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学工業製)9部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業製)1部、干渉縞を防止する目的で表面処理された酸化チタン粒子8.65部を、メチルエチルケトン60部とシクロヘキサノン60部の混合溶剤に加えて分散液を調製した。この分散液に、平均粒径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて23℃雰囲気下、回転数1,500rpmで3時間分散処理した。分散処理後、得られた分散液に架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(商品名:SSX−103、平均粒径:3μm、積水化学工業製)5部と、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.01部を添加して攪拌することで、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を40分間160℃で加熱、重合させることによって、膜厚が30μmの導電層4を形成した。
〔下引き層作製例1〕
共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)10部及びメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を支持体または導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層1を形成した。
〔下引き層作製例2〕
下記式で示される電子輸送物質を5部、ブロックされたイソシアネート化合物(商品名:SBN−70D、旭化成ケミカルズ(株)製)8.6部、ポリビニルアセタール樹脂(商品名:KS−5Z、積水化学工業(株)製)0.6部、ヘキサン酸亜鉛(II)(商品名:ヘキサン酸亜鉛(II)、三津和化学薬品(株)製)0.15部を、1−メトキシ−2−プロパノール45部とテトラヒドロフラン45部の混合溶媒に溶解した。得られた溶解液に、シリカ粒子がイソプロパノールに分散されたスラリー(商品名:IPA−ST−UP、シリカ比率:15質量%、日産化学(株)製)を3.3部加えて撹拌した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を20分間170℃で加熱し、硬化(重合)させることによって、膜厚が0.6μmの下引き層2を形成した。
〔下引き層作製例3〕
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン/ヘキサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。この下引き層用塗布液を支持体または導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって、膜厚が1.2μmの下引き層3を形成した。
〔電荷発生層作製例〕
図2に示される結晶形を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業製)5部、及び、シクロヘキサノン250部を、直径1.0mmのガラスビーズを用いたサンドミルで6時間分散処理した。この分散液に酢酸エチル250部を加えて希釈することによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.20μmの電荷発生層1を形成した。
〔電荷輸送層作製例〕
表4〜7に記載の、例示化合物の種類及び粘度平均分子量Mv、例示化合物以外の混合樹脂の種類及び粘度平均分子量Mv、例示化合物と混合樹脂の質量比、電荷輸送物質の種類(2種併用の場合はその質量比)、電荷輸送物質と樹脂の部数、溶剤の種類とその部数、フィラーの種類及び部数、膜厚、表面加工の種類となるように、電荷輸送層1〜189を形成した。
溶剤としては、o−キシレン(Xy)、ジメトキシメタン(DMM)、安息香酸メチル(MB)、シクロペンタノン(CPN)、トルエン(TOL)、テトラヒドロフラン(THF)から2種類または3種類を表4〜7に記載の質量比で混合して用いた。
有機微粒子フィラーとしては、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)を表6に記載の部数用いた。また、特許4436456号公報に記載の製造例(E−1)で製造した重合体(E−A、Mw=22,000)を分散助剤として添加した液を調製した。この液を高速液衝突型分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)にて500kg/cmの圧力で2回通過させて、四フッ化エチレン樹脂粒子を高圧分散させ、電荷輸送層用塗布液とした。分散後の四フッ化エチレン樹脂粒子の平均粒径は0.32μmであった。
無機微粒子フィラーとしては、シリカ粒子(平均一次粒径0.1μm、商品名:KMPX−100、信越化学工業(株)製)またはアルミナ粒子(平均一次粒径0.1μm、商品名:LS−231、日本軽金属(株)製)を表5に記載の部数用いた。これらの粒子を表3に記載の部数添加した後、高速液衝突型分散(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)を用い、600kg/cmの圧力で2回通過させて、電荷輸送層用塗布液とした。
また、電荷輸送層表面の研磨処理及び粗面化処理は以下の加工方法に従って行った。
<研磨工程>
得られた保護層を、ラッピングシートを用いて研磨した。図3はラッピングシートを用いた研磨装置を上から見たときの模式図である。ラッピングシートは、研磨砥粒が結着樹脂に分散されたものが基材に塗布されたシートである。ラッピングシート10は2つの軸9にロールトゥロールで巻かれており、4本のガイドローラ11とバックアップローラ8を介していずれの方向にも巻き取ることができる。軸9には、巻き取りを行うためのモータと、シートが送られる方向と逆方向に、ラッピングシート10に張力が与えるためのモータ(不図示)が配置されている。
この装置を用いて、以下に示す条件で電荷輸送層表面の研磨を行った。
ラッピングシート:品名:MAXIMA−GC−#2000
(日本レフライト工業株式会社製)
研磨砥粒:SiC(平均粒径:9μm)
基材:ポリエステルフィルム(厚さ:75μm)
ラッピングシート送り:B方向、400mm/min
ラッピングシートの張架力:1N/m2
バックアップローラ:材質:発泡ウレタン
アスカーC硬度:20°
電子写真感光体回転数:30rpm
電子写真感光体のバックアップローラへの侵入量:3mm
処理時間:12秒
以上のようにして、研磨された電荷輸送層を得た。この感光体の研磨目の方向は、B方向である。また表面粗さRzjis(A)は、0.60μmであった。
<租面化工程>
乾式ブラスト装置を用いてブラスト処理を行った。粗面化処理の方法を図4に示す。その際、噴射ノズルのブラストノズル部分は内径7mm、圧縮エアのノズル径は3mmとしている。
研磨粒子としては、ガラスビーズ(1)(粒度規格:38〜45μm、JISR6002で測定した場合の50%径:43.9μm、鋭角:0.1%、泡:20.8%、双子:0.5%、偏平:0.3%)を使用した。ブラスト処理における圧縮エアの圧力は0.21MPaとした。噴射ノズルは、回転軸方向に沿って移動し、その速度は200mm/分とした。感光体の回転速度は60rpm、ノズルと感光体の距離は100mm、ノズルの延長線と感光体の接線あるいは回転軸のなす角度は共に90°、研磨粒子の供給量は200g/分とした。以上の条件で、上記の保護層表面が全面粗面化処理されるまでブラストを行った。
以上のようにして、粗面化された電荷輸送層を得た。得られた表面粗さRzjis(A)は、0.60μmであった。
また、電荷輸送層中のフェノール性水酸基を有する化合物量の測定は、以下の方法によって行った。
<電荷輸送層中のフェノール性水酸基を有する化合物量の測定方法>
電荷輸送層を約1gカッター等で削り取る等により採取し、その質量を測定した。採取した電荷輸送層をクロロホルム2.00mL に溶解し、メタノールを総質量が10gになるまで添加してポリカーボネート樹脂を含んだ固形分を沈殿させ、上澄みをろ過した。このろ過した上澄み液をGC/MSで分析した。予めフェノールで検量線を作成しておき、電荷輸送層の質量とピーク面積から求められるフェノールの量から電荷輸送層中のフェノール性水酸基を有する化合物、すなわちフェノール濃度を求めた。なお、GC/MSの測定条件は、以下の通りである。
・装置:サーモエレクトロン製 VoyagerGC/MSシステム
・GC
カラム:「SPB−20(30m)
昇温条件:80℃(10分ホールド)→150℃(10℃/分)→280℃(50℃/分)
・MS
モード:スプリットレス
注入量:10μL
検出:「SIM モード(m/z)=94」
注入口温度:25℃
〔保護層作製例1〕
分散剤としてフッ素元素含有樹脂(商品名:GF−400、東亜合成製)1.5部を、1,1,2,2,3,3,4−へプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン製)45部及び1−プロパノール45部の混合溶剤に溶解した。その後、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業製)30部を加え、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、Microfluidisc製)に通し、分散液を得た。更に、下記式(OCL−1−1)で示される重合性官能基を有する電荷輸送化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−へプタフルオロシクロペンタン30部及び1−プロパノール30部を前記分散液に加え、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋製)で濾過を行い、保護層用塗布液を調整した。
この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧60kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。その後、窒素雰囲気下にて塗膜の温度が130℃になる条件で1分間加熱処理を行った。なお、電子線の照射から1分間の加熱処理までの酸素濃度は20ppmであった。次に、待機中において、塗膜が110℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚5μmである保護層1を形成した。
(感光体作製例1〜216)
電子写真感光体を各層の作製例を組み合わせて、電子写真感光体とした。具体的には、感光体作製例1〜216により電子写真感光体を作製した。感光体作製例1〜216を表8に示す。
(感光体作製例217)
酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子(粉体抵抗率:120Ω・cm、酸化スズの被覆率:40%)50部、フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分:60%)40部、メトキシプロパノール55部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液における酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子の平均粒径を、(株)堀場製作所製の粒度分布計(商品名:CAPA700)を用い、テトラヒドロフランを分散媒とし、回転数5000rpmにて遠心沈降法で測定した。その結果、平均粒径は0.30μmであった。
この導電層用塗布液を長さ260.5mm及び直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間160℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が20μmの導電層を形成した。
次に、A101で示される化合物1.0部、D23で示される樹脂0.2部、2−エチルヘキサン酸亜鉛0.005部を、メトキシプロパノール60部とテトラヒドロフラン60部の混合溶媒に溶解した。
この溶液に、1.5部相当のイソシアネート系架橋剤(H1で示す構造を保護基として有するイソシアネート化合物B1)を加え、下引き層用塗布液を調製した。樹脂D23の特徴的な部位である上記式(4)のR301は、水素原子である。
この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間170℃で加熱し、溶媒を蒸発させるとともに、硬化させることによって、膜厚が0.75μmの下引き層4を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)を用意した。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部及びシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、2時間分散処理した。次に、これに酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(5)で示されるアミン化合物(正孔輸送物質)6部、(6)で示されるアミン化合物(正孔輸送物質)2部並びに、下記式(7)及び(8)で示される構造単位を5/5の割合で有している、重量平均分子量(Mw)が100,000であるポリエステル樹脂10部を、ジメトキシメタン40部及びオルトキシレン60部の混合溶剤に溶解させることによって、正孔輸送層用塗布液を調製した。
この正孔輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が25μmの正孔輸送層を形成した。このときの正孔輸送層中のフェノール性水酸基を有する化合物量は、300ppmであった。
このようにして、支持体上に導電層、下引き層、電荷発生層及び正孔輸送層を有する電子写真感光体217を作製した。
(感光体作製例218〜231)
前記感光体作製例217に記載の下引き層4を、下記表の下引き層5〜18に変更した以外は、前記感光体作製例217と同様に電子写真感光体を作製した。
〔評価例1〕
作製した電子写真感光体を温度15℃、湿度10%RHの環境下において、ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:Color LaserJet Pro M252n)の改造機に装着した。そして、表面電位の測定を行った。詳しくは以下のとおりである。
表面電位評価の測定は、上記レーザービームプリンターのプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8)を装着し、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344)を使用して測定した。感光体の表面電位は、初期暗部電位(Vd)が−500V、初期明部電位(Vl)が−100Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
上記、レーザービームプリンター(Color LaserJet Pro M252n)は、感光体の直径が20mm、1分あたりの出力枚数がA4サイズで20枚であり、除電光を照射しない方式である。帯電方式はローラに直流電圧を印加する方式であり、転写は中間転写ベルト方式を用いている。また、現像方式は接触現像方式であり、評価に使用したトナーは乳化凝集トナーを用いている。また、ウレタン樹脂製ブレードによるクリーニング機構を設けている。
上記、レーザービームプリンター(Color LaserJet Pro M252n)を用いて、A4サイズの普通紙で、印字率1%の文字画像による出力を10,000枚行った。
〔評価例2〕
作製した電子写真感光体を温度15℃、湿度10%RHの環境下において、ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:LJP1005)の改造機に装着した。そして、表面電位の測定を行った。詳しくは以下のとおりである。
表面電位評価の測定は、上記レーザービームプリンターのプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8)を装着し、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344)を使用して測定した。感光体の表面電位は、初期暗部電位(Vd)が−500V、初期明部電位(Vl)が−100Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
上記、レーザービームプリンター(LJP1005)は、感光体の直径が24mm、1分あたりの出力枚数がA4サイズで15枚であり、除電光を照射しない方式である。帯電方式はローラに直流電圧を印加する方式であり、転写は転写ローラ方式を用いている。また、現像方式はジャンピング現像方式であり、評価に使用したトナーは乳化凝集トナーを用いている。また、ウレタン樹脂製ブレードによるクリーニング機構を設けている。
上記、レーザービームプリンター(LJP1005)を用いて、A4サイズの普通紙で、印字率1%の文字画像による出力を10,000枚行った。
〔評価例3〕
作製した電子写真感光体を温度15℃、湿度10%RHの環境下において、ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:HP LaserJet Enterprise Color M553dn)の改造機に装着した。そして、表面電位の測定を行った。詳しくは以下のとおりである。
表面電位評価の測定は、上記レーザービームプリンターのプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8)を装着し、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344)を使用して測定した。感光体の表面電位は、初期暗部電位(Vd)が−500V、初期明部電位(Vl)が−100Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
上記、レーザービームプリンター(HP LaserJet Enterprise Color M553dn)は、感光体の直径が24mm、1分あたりの出力枚数がA4サイズで40枚であり、除電光を照射する方式である。帯電方式はローラに直流電圧を印加する方式であり、転写は中間転写ベルト方式を用いている。また、現像方式は接触現像方式であり、評価に使用したトナーは乳化凝集トナーを用いている。また、ウレタン樹脂製ブレードによるクリーニング機構を設けている。
上記、レーザービームプリンター(HP LaserJet Enterprise Color M553dn)を用いて、A4サイズの普通紙で、印字率1%の文字画像による出力を10,000枚行った。
〔評価例4〕
作製した電子写真感光体を温度15℃、湿度10%RHの環境下において、ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:CP5525)の改造機に装着した。そして、表面電位の測定を行った。詳しくは以下のとおりである。
表面電位評価の測定は、上記レーザービームプリンターのプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8)を装着し、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344)を使用して測定した。感光体の表面電位は、初期暗部電位(Vd)が−500V、初期明部電位(Vl)が−100Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
上記、レーザービームプリンター(CP5525)は、感光体の直径が30mm、1分あたりの出力枚数がA3サイズで30枚であり、除電光を照射する方式である。帯電方式はローラに直流電圧を印加する方式であり、転写は中間転写ベルト方式を用いている。また、現像方式は接触現像方式であり、評価に使用したトナーは乳化凝集トナーを用いている。また、ウレタン樹脂製ブレードによるクリーニング機構を設けている。
上記、レーザービームプリンター(CP5525)を用いて、A4サイズの普通紙で、印字率1%の文字画像による出力を10,000枚行った。
〔評価例5〕
作製した電子写真感光体を温度15℃、湿度10%RHの環境下において、ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:HP LaserJet
Enterprise 600 Printer M602dn)の改造機に装着した。そして、表面電位の測定を行った。詳しくは以下のとおりである。
表面電位評価の測定は、上記レーザービームプリンターのプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8)を装着し、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344)を使用して測定した。感光体の表面電位は、初期暗部電位(Vd)が−500V、初期明部電位(Vl)が−100Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
上記、レーザービームプリンター(HP LaserJet Enterprise 600 Printer M602dn)は、感光体の直径が30mm、1分あたりの出力枚数がA4サイズで60枚であり、除電光を照射しない方式である。帯電方式はローラに直流電圧と交流電圧を印加する方式であり、転写は転写ローラ方式を用いている。また、現像方式はジャンピング現像方式であり、評価に使用したトナーは粉砕トナーを用いている。また、ウレタン樹脂製ブレードによるクリーニング機構を設けている。
上記、レーザービームプリンター(CP5525)を用いて、A4サイズの普通紙で、印字率1%の文字画像による出力を10,000枚行った。
〔評価例6〕
電子写真感光体の直径及び長さを調整し、作製例で作製した電子写真感光体を温度15℃、湿度10%RHの環境下において、ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:CP2025dn)の改造機に装着した。そして、表面電位の測定を行った。詳しくは以下のとおりである。
表面電位評価の測定は、上記レーザービームプリンターのプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8)を装着し、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344)を使用して測定した。感光体の表面電位は、初期暗部電位(Vd)が−500V、初期明部電位(Vl)が−100Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
上記、レーザービームプリンター(CP2025dn)は、感光体の直径が24mm、1分あたりの出力枚数がA4サイズで20枚であり、除電光を照射しない方式である。帯電方式はローラに直流電圧を印加する方式であり、転写は中間転写ベルト方式を用いている。また、現像方式は接触現像方式であり、評価に使用したトナーは乳化凝集トナーを用いている。また、ウレタン樹脂製ブレードによるクリーニング機構を設けている。
上記、レーザービームプリンター(CP2025dn)を用いて、A4サイズの普通紙で、印字率1%の文字画像による出力を10,000枚行った。
〔評価例7〕
電子写真感光体の直径及び長さを調整し、作製例で作製した電子写真感光体を温度15℃、湿度10%RHの環境下において、ヒューレットパッカード(株)製のレーザービームプリンター(商品名:LBP2510)の改造機に装着した。そして、表面電位の測定を行った。詳しくは以下のとおりである。
表面電位評価の測定は、上記レーザービームプリンターのプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8)を装着し、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344)を使用して測定した。感光体の表面電位は、初期暗部電位(Vd)が−500V、初期明部電位(Vl)が−100Vになるよう、画像露光の光量を設定した。
上記、レーザービームプリンター(LBP2510)は、感光体の直径が30mm、1分あたりの出力枚数がA4サイズで17枚であり、除電光を照射する方式である。帯電方式はローラに直流電圧を印加する方式であり、転写は紙搬送ベルト(ETB)方式を用いている。また、現像方式は接触現像方式であり、評価に使用したトナーは乳化凝集トナーを用いている。また、ウレタン樹脂製ブレードによるクリーニング機構を設けている。
上記、レーザービームプリンター(LBP2510)を用いて、A4サイズの普通紙で、印字率1%の文字画像による出力を10,000枚行った。
〔実施例1〜216、参考例1〜15〕
上記、感光体作製例及び評価例にしたがって、10,000枚画像形成前後の明部電位差を測定した。明部電位の変動値が小さい程、電子写真感光体の繰返し使用時の電気特性は高い。明部電位差は、下記式に基づき、耐久後の明部電位(Vlt)と初期の明部電位(Vl)の差分によって評価した。結果を表10に示す。
ΔVl=|耐久後明部電位(Vlt)−初期明部電位(Vl)|

Claims (3)

  1. 支持体と、電荷発生層と、電荷輸送層と、をこの順に有する電子写真感光体であって、
    該電荷輸送層が、式(1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含有し、
    該電荷輸送層中のフェノール性水酸基を有する化合物の量が500ppm以下であることを特徴とする電子写真感光体。

    (式(1)において、R211〜R215は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基を示す。R216とR217は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜9のアルキル基を示す。i211は0〜3の整数を示す。)
  2. 請求項1に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  3. 請求項1に記載の電子写真感光体、並びに、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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