JP2017072803A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
Description
(i)前記支持体と、前記電荷発生層との間に互いに隣接している中間層、及び
(ii)前記電荷発生層と、前記表面層との間に互いに隣接している中間層、
の少なくとも何れかを有し、前記中間層のマルテンス硬さが、500N/mm2以下であることを特徴とする。
(A)下引き層は、(i)の場合(図1における(A−i))及び(ii)の場合(図1における(A−ii))も共に、支持体aと電荷発生層bとの間に互いに隣接するように設けられる。
(B)下引き層は、(i)の場合(図1における(B−i))、中間層yと電荷発生層bとの間に互いに隣接するように設けられ、(ii)の場合(図1における(B−ii))、電荷発生層bと表面層cとの間に互いに隣接するように設けられる。
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真装置本体に着脱可能に構成されたものである。そして、本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電する帯電部材及び電子写真感光体に現像剤を供給する現像剤担持部材から選択される少なくとも何れかと、を有する。更に、帯電部材及び/又は現像剤担持部材は、電子写真感光体との間隔を保持するための間隔保持部材などの当接部材を有する。更に、転写部材やクリーニング部材を有していてもよい。
本発明の電子写真感光体は、支持体と、電荷発生層と、表面層とをこの順に有する。更に、第1の部分において、電荷発生層の直下に隣接して下引き層を有し、第2の部分において、特定の層間に中間層を有する。感光体の第1の部分の表面が、画像形成を行うことが可能な領域(画像形成領域)を含み、感光体の第2の部分の表面が、当接部材が当接する領域を含む。第2の部分は、感光体の端部であることが好ましい。係る構成、即ち、感光体の端部において当接部材と当接するような構成とすることで、画像形成領域を最大限確保できる。第2の部分は、感光体の両端に設けられていることが好ましく、感光体の端部から、長手方向に20mm以下の範囲で設けられることが好ましい。
本発明において、支持体は、導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金などの金属又は合金で形成される支持体や、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスなどの絶縁性支持体上に、アルミニウム、クロム、銀、金などの金属の薄膜;酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性材料の薄膜;銀ナノワイヤーを加えた導電性インクの薄膜を形成した支持体が挙げられる。
本発明において、支持体の上に導電層を設けてもよい。導電層は、金属酸化物粒子を含有することが好ましい。
本発明において、電荷発生層は、電荷発生物質を含有する。更に、電子写真感光体の第1の部分で、電荷発生層は、支持体に対抗する面(表面層に対向する面と反対側の面)において、後述する下引き層と隣接する。
本発明において、表面層は、電子写真感光体の最表面に設けられる層である。具体的には、電荷輸送層のみから構成される場合や、表面保護層のみから構成される場合や、電荷輸送層及び表面保護層で構成される場合が挙げられる。以下、電荷輸送層、表面保護層についてそれぞれ説明する。
本発明において、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び樹脂を含有することが好ましい。
本発明において、表面保護層の具体例としては、導電性粒子、電荷輸送物質、樹脂を含有するものが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、酸化スズ粒子などの金属酸化物粒子が挙げられる。更に、潤滑材などの添加剤を含有してもよい。また、樹脂自体が導電性や電荷輸送性を有する場合には、導電性粒子や電荷輸送物質を含有しなくてもよい。
本発明において、下引き層は、電子輸送物質と架橋剤を含む組成物の重合物を含有する。更に、電子輸送物質と架橋剤と樹脂を含む組成物の重合物であってもよい。上記組成物における、電子輸送物質とそれ以外の材料(架橋剤、樹脂など)の質量比率は、2/7〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。上記組成物の重合物を得る際の重合温度は、120℃〜200℃であることが好ましい。
光源:水銀・キセノンランプ
照射波長:633nm
受光範囲:3CCDの赤領域のみ
対物レンズ:5倍(NA0.15)
光量設定:700
また、「当接部材に接触し得る領域の総面積」とは、電子写真感光体の第2の部分のうち、当接部材の幅に対応した全周分の表面積であり、例えば、当接部材の幅が4mmであり、シリンダーの直径が30mmの場合、4(mm)×周長[30(mm)×3.14]で計算され、376.8mmとなる。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物などが挙げられる。本発明において、電子輸送物質は、重合性官能基を有する電子輸送物質であることが好ましい。特に、同一分子内に2つ以上の重合性官能基を有する電子輸送物質であることがより好ましい。重合性官能基としては、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、メトキシ基などが挙げられる。本発明においては、電子輸送物質が、下記一般式(A1)〜(A11)で示される化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
Z21、Z31、Z41及びZ51は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、又は酸素原子を示す。Z21が酸素原子である場合はR29及びR30は存在せず、Z21が窒素原子である場合はR30は存在しない。Z31が酸素原子である場合はR37及びR38は存在せず、Z31が窒素原子である場合はR38は存在しない。Z41が酸素原子である場合はR47及びR48は存在せず、Z41が窒素原子である場合はR48は存在しない。Z51が酸素原子である場合はR59及びR60は存在せず、Z51が窒素原子である場合はR60は存在しない。
架橋剤としては、公知の材料を何れも用いることができる。具体的には、具体的には、山下晋三,金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)に記載されている化合物などが挙げられる。本発明において、架橋剤は重合性官能基を有することが好ましい。
本発明において、イソシアネート化合物は、イソシアネート基を有する。イソシアネート基の数は同一分子内に3〜6個であることが好ましい。イソシアネート化合物は、反応性の制御が難しい場合があるため、塗布液中に添加する際には、イソシアネート基を保護基で保護したブロックイソシアネート化合物の形で用いることが好ましい。
以下、イソシアネート化合物の具体例として、B1〜B21を示す。
本発明において、アミノ化合物は、−CH2−OH、−CH2−O−R1(R1は炭素数1以上10以下のアルキル基(分岐していてもよい)を示す)で示される基を有する化合物であることが好ましい。更には、下記一般式(C1)〜(C5)に示される化合物であることが好ましく、分子量が200以上1,000以下であることが、均一な硬化膜を形成する上でより好ましい。
一般式(C1)で示される化合物
本発明において、下引き層は、電子輸送物質と架橋剤と樹脂を含む組成物の重合物を含有してもよい。樹脂の重量平均分子量は、5,000以上400,000以下であることが好ましい。
AQD−457、AQD−473(以上、日本ポリウレタン工業製)、GP−400、GP−700(以上、三洋化成工業製サンニックス製)などのポリエーテルポリオール系樹脂;
フタルキッドW2343(日立化成工業製)、ウォーターゾールS−118、CD−520、ベッコライトM−6402−50、M−6201−40IM(以上、DIC製)、ハリディップWH−1188(ハリマ化成製)、ES3604、ES6538(以上、日本ユピカ製)などのポリエステルポリオール系樹脂;
バーノックWE−300、WE−304(以上、DIC製)などのポリアクリルポリオール系樹脂;
クラレポバールPVA−203(クラレ製)などのポリビニルアルコール系樹脂;
BX−1、BM−1、KS−5(以上、積水化学工業製)などのポリビニルアセタール系樹脂;
トレジンFS−350(ナガセケムテックス製)などのポリアミド系樹脂;
アクアリック(日本触媒製)、ファインレックスSG2000(鉛市製)などのカルボキシル基含有樹脂;
ラッカマイド(DIC製)などのポリアミン樹脂;
QE−340M(東レ製)などのポリチオール樹脂などが挙げられる。これらの中でも重合性官能基を有するポリビニルアセタール系樹脂、重合性官能基を有するポリエステルポリオール系樹脂などが重合性、下引き層の均一性の観点からより好ましい。
本発明の電子写真感光体は、第2の部分において、マルテンス硬さが500N/mm2以下である中間層を、
(i)支持体と、電荷発生層との間に互いに隣接して、
(ii)電荷発生層と、表面層との間に互いに隣接して、又は
(iii)支持体と、電荷発生層と、表面層との間に互いに隣接して、
有する。
測定条件
・測定圧子形状;三角錐圧子(稜間隔115度、ベルコビッチタイプ)
・測定圧子材料;ダイヤモンド
・測定温度;25℃
・荷重速度および除荷速度;0.1mN/10s
・荷重時間;5.0s
尚、上記測定において、中間層より下に形成されている層の硬さの影響が非常に小さいことを、以下の方法で確認した。ガラス基板上に中間層用塗布液を塗布して乾燥させて、感光体に形成された中間層と同様の層を形成させた場合のマルテンス硬さを測定したところ、上記測定方法で測定した中間層のマルテンス硬さと同様の値になった。これは、上記測定機の測定時の変位精度がナノメートルオーダー以下と非常に小さいためであると考えられる。
本発明において、当接部材は、上述した電子写真感光体の第2の部分の表面と当接する。当接部材としては、例えば、帯電部材及び/又は現像剤担持部材と、電子写真感光体との間隔を保持するための間隔保持部材が挙げられる。
本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電部材及び現像剤担持部材から選択される少なくとも何れかの部材とを有する。更に、露光手段や転写手段を有してもよい。
(1)支持体の用意
(支持体A)
長さ260.5mm、直径30mmであるアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を導電性の支持体Aとして用いた。
長さ261.6mm、直径24mmであるアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を導電性の支持体Bとして用いた。
支持体Aを施盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて、外径30.0±0.02mm、振れ精度15μm、表面の十点平均粗さRz=0.2μmになるように切削加工した。この時の主軸回転数は3,000rpm、バイトの送り速度は0.3mm/revで、加工時間はワークの着脱を除き24秒であった。得られたアルミニウム切削管に対して、液体(湿式)ホーニング装置(不二精機製造所製)を用いて、下記条件にて液体ホーニング加工を行った。加工後の支持体の表面粗さRzは0.32μmであった。
液体ホーニング条件
研磨材砥粒:球状アルミナビーズCB−A30S(昭和電工製;平均粒径30μm)
懸濁媒体:水
研磨材/懸濁媒体=1/9(体積比)
アルミニウム切削管の回転数=1.67s−1
エア吹き付け圧力:0.05MPa
ガン移動速度:20.0mm/sec
ガンノズルとアルミニウム管の距離:150mm
ホーニング砥粒吐出角度:60°
研磨液投射回数:1回(片道)
金属酸化物粒子として酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子214部、結着樹脂としてフェノール樹脂:プライオーフェンJ−325(大日本インキ化学工業製)132部、メタノール40部、1−メトキシ−2−プロパノール58部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)を用いてガラスビーズを取り除いた後、表面粗し付与材としてシリコーン樹脂粒子:トスパール120(モメンティブ製)を分散液中の金属酸化物粒子と結着樹脂の合計質量に対して10質量%になるように分散液に添加し、レベリング剤としてシリコーンオイル:SH28PA(東レダウコーニング製)を分散液中の金属酸化物粒子と結着樹脂の合計質量に対して0.01質量%になるように分散液に添加した。この分散液を撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。
(中間層用塗布液A)
平均粒子径:70nm、比表面積値:15m2/gである酸化亜鉛粒子(テイカ製)1000部をトルエン5000部と攪拌混合し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン KBM602(信越化学工業製)12.5部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
ポリビニルアセタール樹脂:BM−1(積水化学工業製)60部及びブロック化イソシアネート:スミジュール3175(住化バイエルンウレタン製)54部をメチルエチルケトン1600部に溶解させた。
アルキッド樹脂:ベッコゾール1307−60−EL(大日本インキ化学工業製)108部、アミン樹脂:スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業製)72部、酸化チタン:CR−EL(石原産業製)180部、メチルエチルケトン1800部、シクロヘキサノン450部を混合、撹拌し、均一なスラリーを調製した。その後、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で25℃雰囲気下で5時間分散し、中間層用塗布液Cを調製した。
(中間層用塗布液C)の調製において、アルキッド樹脂を48部に、アミノ樹脂を32部に、酸化チタンを280部に変更した以外は同様にして、中間層用塗布液Dを調製した。
(中間層用塗布液A)の調製において、表面処理された酸化亜鉛粒子100部を、150部に変更した以外は同様にして、中間層用塗布液Eを調製した。
(中間層用塗布液B)の調製において、表面処理された酸化亜鉛粒子300部を、280部に変更した以外は同様にして、中間層用塗布液Fを調製した。
(中間層用塗布液C)の調製において、アルキッド樹脂を84部に、アミノ樹脂を56部に、酸化チタンを210部に変更した以外は同様にして、中間層用塗布液Gを調製した。
(中間層用塗布液C)の調製において、アルキッド樹脂を48部に、アミノ樹脂を32部に、酸化チタンを240部に変更した以外は同様にして、中間層用塗布液Hを調製した。
(中間層用塗布液A)の調製において、表面処理された酸化亜鉛粒子100部を、30部に変更した以外は同様にして、中間層用塗布液Iを調製した。
ポリカーボネートジオール:ベネビオール(三菱化学製)6部、ヘキサメチレンジシアナート(東京化成製)12部を、テトラヒドロフラン50部に溶解させて、中間層用塗布液Jを調製した。
ポリビニルアセタール樹脂:BM−1(積水化学工業製)150部及びブロック化イソシアネート:スミジュール3175(住化バイエルンウレタン製)135部をメチルエチルケトン2200部に溶解させて、中間層用塗布液Kを調製した。
アルキッド樹脂:ベッコゾール1307−60−EL(大日本インキ化学工業製)108部、アミン樹脂:スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業製)72部、メチルエチルケトン1800部、シクロヘキサノン450部を混合し、中間層用塗布液Lを調製した。
N−メトキシメチル化ナイロン:トレジンEF−30T(ナガセケムテックス;ガラス転移温度:10℃)6部を、メタノール45部/n−ブタノール10部の混合溶媒に混合し、溶解させて、中間層用塗布液Mを調製した。
ポリアセタール樹脂:BM−1(積水化学工業製;ガラス転移温度:67℃)10部を、メチルエチルケトン45部/n−ブタノール100部の混合溶媒に混合し、溶解させて、中間層用塗布液Nを調製した。
(中間層用塗布液C)の調製において、アルキッド樹脂を48部に、アミノ樹脂を32部に、酸化チタンを350部に変更した以外は同様にして、中間層用塗布液Oを調製した。
ポリアミド樹脂:アミランCM8000(東レ製;ガラス転移温度:40℃)15部及びN−メトキシメチル化ナイロン:トレジンEF−30T(ナガセケムテックス)35部を、メタノール600部/n−ブタノール400部の混合溶媒に混合し、溶解させて、中間層用塗布液Pを調製した。
ポリアミド樹脂:アミランCM8000(東レ製)50部を、メタノール600部/n−ブタノール400部の混合溶媒に混合し、溶解させて、中間層用塗布液Qを調製した。
N−メトキシメチル化ナイロン:トレジンEF−30T(ナガセケムテックス)50部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶媒に混合し、溶解させて、中間層用塗布液Rを調製した。
ポリビニルアルコール樹脂:PVA500(キシダ化学製;ガラス転移温度:85℃)10部を、メタノール120部/純水80部の混合溶媒に混合し、40℃に加熱溶解させて、中間層用塗布液Sを調製した。
ポリカーボネート樹脂:ユーピロンZ400(三菱瓦斯化学製;ガラス転移温度:140℃)5部を、O−キシレン120部/THF80部の混合溶媒に混合し、溶解させて、中間層用塗布液Tを調製した。
N−メトキシメチル化ナイロン:トレジンEF−30T(ナガセケムテックス)50部を、メタノール500部/テトラヒドロフラン500部の混合溶媒に混合し、溶解させて、中間層用塗布液Uを調製した。
以下の表に記載の種類及び使用量(部)の電子輸送物質、架橋剤、樹脂を、触媒としてのヘキサン酸亜鉛(II)(三津和化学薬品製)0.05部と共に、テトラヒドロフラン50部と1−メトキシ−2−プロパノール50部の混合溶媒に溶解し、撹拌することによって、下引き層用塗布液を調製した。尚、表中の樹脂D1は、2.5mmol/gのヒドロキシル基を有するポリビニルブチラール樹脂(重量平均分子量:340,000)である。D2は、2.1mmol/gのヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂(重量平均分子量:10,000)である。D3は、2.8mmol/gのメトキシ基を有するポリオレフィン樹脂(重量平均分子量:7,000)である。D4は、3.3mmol/gのヒドロキシル基を有するポリビニルブチラール樹脂(重量平均分子量:40,000)である。
電荷発生物質としてヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(CuKα線を用いたX線回折パターン(ブラッグ角2θ±0.2°)におけるピーク位置:7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°)10部、ポリアセタール樹脂:エスレックBX−1(積水化学工業製)5部、及びシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、1.5時間分散処理した。次に、これに酢酸エチル250部を加えることで、電荷発生層用塗布液を調製した。
電荷輸送物質として下記式で示されるアミン化合物7部と、
以下の方法で、電子写真感光体をそれぞれ作製した。更に、得られた感光体に関し、各層の平均膜厚、中間層のマルテンス硬さ、当接部材との接触領域における下引き層の存在面積(当接部材に接触し得る領域に存在する下引き層の総面積/当接部材に接触し得る領域の総面積)をそれぞれ上述の方法で測定した。支持体及び各塗布液の種類、物性値などを各々表に示した。
(電子写真感光体1−1〜1−92の作製)
先ず、導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させることによって、導電層を形成した(感光体1−85、86は導電層を形成しない)。この浸漬塗布の際、支持体の片端(浸漬塗布時の上部)から2mmまでの領域は導電層用塗布液を塗布せず、もう片端(浸漬塗布時の下部)から2mmまでの領域は浸漬塗布後に拭き取った。
(i)感光体1−1〜44、87〜91は、中間層用塗布液を支持体の片端(浸漬塗布時の下部)から15mmまでの領域に浸漬塗布し、得られた塗膜を60分間170℃(感光体1−35〜44は6分間70℃)で乾燥・熱硬化させることによって、下端部のみに中間層を形成した(乾燥・熱硬化+下端部のみ)。
(ii)感光体45〜77、85、86は、中間層用塗布液を支持体の両端からそれぞれ15mmまでの領域に浸漬塗布し、得られた塗膜を2分間室温下で風乾させることによって、両端部に中間層を形成した(風乾+両端部)。
(iii)感光体78〜84は、中間層用塗布液を支持体の片端(浸漬塗布時の下部)から15mmまでの領域に浸漬塗布し、得られた塗膜を2分間室温下で風乾させることによって、下端部のみに中間層を形成した(風乾+下端部のみ)。
(iv)感光体92は、中間層用塗布液を支持体の片端(浸漬塗布時の下部)から17mmまでの領域に浸漬塗布し、得られた塗膜を2分間室温下で風乾させることによって、下端部のみに中間層を形成した(風乾+下端部のみ)。
得られた中間層に関し、支持体の片端から130mm位置における十点平均粗さRzJIS(基準長さ0.8mm)を、表面粗さ測定器サーフコーダーSE−3400(小坂研究所製)を用いて測定した。
電子写真感光体1−1の作製において、以下の変更点以外は、同様にして電子写真感光体1−93を作製した。
(1)支持体を、長さ357.5mm、直径30mmであるアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)に変更した。
(2)中間層用塗布液を浸漬塗布し中間層を形成する領域を15mmまでの領域から18mmまでの領域に変更した。
(3)表面層用塗布液を塗布せずに、代わりに、以下の電荷輸送層用塗布液及び表面保護層用塗布液を用いて、膜厚が18μmである電荷輸送層と、膜厚が5μmである表面保護層をこの順に形成した。
電子写真感光体1−93の作製において、表面保護層を形成する際の、以下の表面保護層用塗布液に変更し、電子線の吸収線量を8500Gyに変更した以外は、同様にして、電子写真感光体1−94を作製した。
先ず、中間層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を60分間170℃(感光体2−35〜44は6分間70℃)で乾燥・熱硬化させることによって、中間層を形成した。得られた中間層に関し、支持体の片端から130mm位置における十点平均粗さRzJIS(基準長さ0.8mm)を、表面粗さ測定器サーフコーダーSE−3400(小坂研究所製)を用いて測定した。
(7−1)の電子写真感光体1−1〜1−92の作製において、電荷発生層と中間層の塗布順序を逆にした以外は同様にして、電子写真感光体3−1〜3−92を作製した。即ち、電荷発生層用塗布液を、下引き層が形成された支持体に浸漬塗布し、電荷発生層を形成した後に、中間層用塗布液を支持体の片端又は両端に浸漬塗布し、中間層を形成した。
先ず、下引き層用塗布液を、支持体に浸漬塗布し、得られた塗膜を60分間160℃で加熱し、重合させることによって、下引き層を形成した。この浸漬塗布の際、支持体の片端(浸漬塗布時の上部)から15mmまでの領域は下引き層用塗布液を塗布せず、もう片端(浸漬塗布時の下部)から15mmまでの領域は浸漬塗布後、シクロヘキサノン溶剤で濡らし、ゴムブレードで掻くことで下引き層の一部又は全部を剥離させた。
(i)感光体4−1〜3は、中間層用塗布液を支持体の片端(浸漬塗布時の下部)から17mmまでの領域に浸漬塗布し、得られた塗膜を2分間室温下で風乾させることによって、下端部のみに中間層を形成した(風乾+下端部のみ)。
(ii)感光体4−4、5は、中間層用塗布液を支持体の両端からそれぞれ17mmまでの領域に浸漬塗布し、得られた塗膜を2分間室温下で風乾させることによって、両端部に中間層を形成した(風乾+両端部)。
(iii)感光体4−6、7は、中間層の浸漬塗布の際、支持体の片端(浸漬塗布時の上部)から3mmまでの領域は中間層用塗布液を塗布せず、もう片端(浸漬塗布時の下部)から3mmまでの領域は浸漬塗布後に拭き取った。得られた塗膜を2分間室温下で風乾させることによって、中間層を形成した(全域+風乾)。
得られた中間層に関し、支持体の片端から130mm位置における十点平均粗さRzJIS(基準長さ0.8mm)を、表面粗さ測定器サーフコーダーSE−3400(小坂研究所製)を用いて測定した。
(電子写真感光体1−1〜1−92、2−1〜2−49、3−1〜3−92、4−1〜4−7)
上記で作製した電子写真感光体を、以下のレーザービームプリンターX又はYに装着した。その際、電子写真感光体の両端部(浸漬塗布時の上部と下部をそれぞれ「上端部」と「下端部」という)に、現像剤担持部材との間隔を保持するための間隔保持部材(円筒状。ポリオキシメチレン素材)を当接させた。当接の際の中心位置は、感光体の両端部からそれぞれ9mmとした。尚、電子写真感光体の画像形成領域は、上端部から約20mm〜下端部から約20mmの領域であった。
・レーザービームプリンターX:HP LaserJet Enterprise600 M603(ヒューレットパッカード製);非接触現像方式、プリント速度:A4縦60枚/分、間隔保持部材の幅が4mm
・レーザービームプリンターY:HP LaserJet Enterprise 500 Color M551(ヒューレットパッカード製);接触現像方式、プリント速度:A4縦30枚/分、間隔保持部材の幅が2mm
何れのレーザービームプリンターも、間隔保持部材から電子写真感光体の上端部及び下端部にかかる圧力(当接力)を独立に制御できるように改造を施した。
A:変化がなかった
B:軽微な浮きが観察された
C:一部浮きが観察されたが、剥がれには至っていなかった
D:剥がれが観察された。
用いた電子写真感光体及びレーザービームプリンターの種類、感光体の上端部及び下端部にかかる当接力、並びに、評価結果を以下の表に示した。
電子写真感光体1−93及び1−94をそれぞれ
カラー複写機:iR−ADV C5255(キヤノン製);2成分現像方式、プリント速度:A4横55枚/分、端部シール部材の幅が5mm
のBkステーションに装着した。その際、電子写真感光体の両端部に、現像剤が漏れないようにするための端部シール部材を当接させた。当接の際の中心位置は、感光体の両端部からそれぞれ15mmとした。そして、上記と同様の評価方法及び評価基準で評価を行った。
Claims (9)
- 電子写真感光体を帯電する帯電部材及び電子写真感光体に現像剤を供給する現像剤担持部材から選択される少なくとも何れかの部材と、当接部材を介して当接する電子写真感光体であって、
前記電子写真感光体が、その長手方向に沿って、第1の部分と、前記第1の部分と異なる第2の部分とを有し、前記第2の部分において、前記当接部材と当接し、
前記電子写真感光体が、支持体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、表面層とをこの順に有し、
前記第1の部分において、前記電子写真感光体が、電子輸送物質と架橋剤を含む組成物の重合物を含有する下引き層を、前記電荷発生層の前記支持体に対向する面と隣接して有し、
前記第2の部分において、前記電子写真感光体が、
(i)前記支持体と、前記電荷発生層との間に互いに隣接している中間層、及び
(ii)前記電荷発生層と、前記表面層との間に互いに隣接している中間層、
の少なくとも何れかを有し、
前記中間層のマルテンス硬さが、500N/mm2以下であることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記電子写真感光体が、前記第2の部分においてのみ、前記中間層を有している請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記中間層のマルテンス硬さが、100N/mm2以下である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記中間層が、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有する請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記樹脂のガラス転移温度が、100℃以下である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記中間層の表面の、JIS B 0601:2001における十点平均粗さRzJIS(基準長さ0.8mm)が0.5μm以上2.5μm以下である請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記電子写真感光体の、前記第2の部分における前記電荷発生層の平均膜厚が、前記第1の部分における前記電荷発生層の平均膜厚より小さい請求項1乃至6の何れか1項に記載の電子写真感光体。
- 電子写真装置本体に着脱可能に構成されており、請求項1乃至7の何れか1項に記載の電子写真感光体と、前記帯電部材及び前記現像剤担持部材から選択される少なくとも何れかの部材と、を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の電子写真感光体と、前記帯電部材及び前記現像剤担持部材から選択される少なくとも何れかの部材と、を有することを特徴とする電子写真装置。
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