JP5711902B2 - ポリカーボネート共重合体、それを用いた塗工液、及び電子写真感光体 - Google Patents
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Description
この電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じて、所定の感度や電気特性、光学特性を備えていることが要求される。この電子写真感光体は、その感光層の表面に、コロナ帯電、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理などの操作が繰返し行われるため、これら操作を行う度に電気的、機械的な外力が加えられる。したがって、長期間にわたって電子写真の画質を維持するためには、電子写真感光体の表面に設けた感光層に、これら外力に対する耐久性が要求される。
また、電子写真感光体は、通常機能性材料と共にバインダー樹脂を有機溶剤に溶解し、導電性基板等にキャスト製膜する方法で製造されることから、有機溶剤への溶解性や溶液の安定性が求められる。
特許文献2には、オリゴマーの量体数を低減した原料を用い、ビフェノールの共重合比を増加させたポリマーとして、ビスフェノールAとビフェノールの交互共重合ポリカーボネートが開示されている。この交互共重合体に占めるビフェノールの共重合割合は50モル%となる。
特許文献3には、ビスフェノールAやビスフェノールZなどと、ホスゲンとを反応させて、ビスクロロホーメート化合物を製造する技術が開示されている。
そして、特許文献3には、ビスクロロホーメート化合物がポリカーボネートの原料として使用可能である点しか開示されておらず、ポリカーボネート樹脂の構造については開示されていない。
[1]下記式(1)に記載の繰り返し単位からなる構造を有し、かつAr2/(Ar1+Ar2)で表されるモル共重合組成が29モル%以上50モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
尚、nは平均値なので、整数以外の数値も取りうる。
[3]上記[2]に記載のポリカーボネート共重合体において、二価の有機シロキサン変性フェニレン基は、下記式(2A)又は式(2B)で示される基であり、一価の有機シロキサン変性フェニル基は、下記式(2C)で示される基であることが好ましい。
R23は、各々独立に炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
n1は、2〜4の整数であり、n2は、1〜600の整数である。)
R32は各々独立に炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
R33は、脂肪族不飽和結合を含まない同種又は異種の一価炭化水素基である。
R34は、脂肪族不飽和結合を含まない同種又は異種の一価炭化水素基である。
Y及びY’は、炭素数2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン、又は酸素原子である。
naは0又は1、nbは1又は2、ncは1又は2である。ただし、na+nb+ncは3である。
n1〜n4は、それぞれ0以上の整数であり、n1、n2、n3及びn4の和は、2〜600の整数であり、n3及びn4の和は1以上の整数である。
aは、0または1〜4までの整数である。)
R41は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。
R42〜R45は各々独立に水素、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
R46〜R49は各々独立に炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
nは2〜600の数であり、分子量分布を持つ場合には平均繰返し単位数を示す。)
[6]上記[1]から[5]のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体において、当該ポリカーボネート共重合体に、ジアルキルカルバミン酸クロリドが含まれている場合、前記ジアルキルカルバミン酸クロリドの含有量は、当該ポリカーボネート共重合体全質量基準で100質量ppm以下であることが好ましい。
例えば、高い溶解性に寄与する骨格を持つ二価フェノール化合物の低量体数オリゴマーから誘導される単位と耐摩耗性に寄与する骨格を持つ二価フェノール化合物のモノマーから誘導される単位を繰り返し単位として有するポリカーボネート共重合体は、有機溶剤への高い溶解性や安定性を保持するので、このポリカーボネート共重合体を用いた塗工液は白濁がなく透明なものが得られ、かつ、このポリカーボネート共重合体を電子写真感光体の感光層のバインダー樹脂として用いた場合には、耐摩耗性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
また、本発明に係るポリカーボネート共重合体は連鎖末端が封止されている。これにより、ポリカーボネート共重合体は、例えば電子写真感光体用のバインダー樹脂として用いた際に、電気特性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
[PC共重合体の構造]
本発明のPC共重合体は、下記式(1)に記載の繰り返し単位からなる構造を有し、かつAr2/(Ar1+Ar2)で表されるモル共重合組成が25モル%以上50モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体である。
Ar2が50モル%を超えると、製造したPC共重合体の連鎖末端にOH基が残り易くなり、樹脂が着色したり、電子写真感光体用のバインダー樹脂に適用した際に帯電量の低下や感度の低下などの問題が発生するため好ましくない。
また、Ar2が25モル%を下回ると、PC共重合体を構成する片方の成分の割合が他方と比べて極端に少なくなるため、Ar1とAr2がそれぞれ有する二種類の異なる特性を併せ持つ共重合体を提供することが困難になる。上記のモル%は、Ar2/(Ar1+Ar2)で表されるモル共重合組成をパーセントで示した値である。
フェニレン基やナフチレン基が置換基を有する場合の置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基を挙げることができる。
Ar1としては更に、式(2)で表される二価の基が挙げられる。
また、Xとしては、単結合、−CR3R4−(ただし、R3、R4は各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、トリフルオロメチル基または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基である)、炭素数5〜20の置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基、炭素数5〜20の置換もしくは無置換のビシクロ又はトリシクロ炭化水素ジイル基、置換もしくは無置換の9,9−フルオレニリデン基、1,8−メンタンジイル基、2,8−メンタンジイル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基、あるいは式(3)の基が好ましい。これらの基を有することにより、本発明のPC共重合体の耐摩耗性および電気特性がより良好となる。
R3、R4としては、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基が好ましい。これらの基を有することにより、本発明のPC共重合体の耐摩耗性および電気特性がより良好となる。
R1、R2、R3、R4を構成する炭素数1〜12のアルキル基としては、直鎖アルキルあるいは分岐アルキルが挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、各種のプロピル基、各種のブチル基、各種のペンチル基、各種のヘキシル基である。また、シクロヘキシル基などの環状アルキルであってもよい。さらに、これらの基における水素原子の一部又は全部がハロゲン原子に置換されたものであってもよい。他の置換基としては、トリフルオロメチル基や、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基が挙げられる。これらの置換基を構成するアルキル基としては前記の基が挙げられ、アリール基としては、後記の基が挙げられる。
R1、R2、R3、R4を構成する炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基等が挙げられる。
R1、R2を構成する炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基を構成するアルキル基、アリール基としては、前記の基が挙げられる。
上記の基において、アリール基やアリールオキシ基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基を挙げることができる。他の置換基としては、ハロゲン原子やトリフルオロメチル基が挙げられる。
R1、R2は全て水素原子であってもよく、水素原子以外の基が複数ある場合には、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
Xを構成する炭素数2〜12の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基としては、直鎖又は分岐アルキレン基が挙げられる。例えば、エタン、プロパン、ブタンに由来する二価の基が挙げられる。α,ω−アルキレン基に付加する置換基としては、例えば、炭素数6〜12のアリール基や炭素数6〜12のアリール基を挙げることができる。
Xを構成する置換もしくは無置換の9,9−フルオレニリデン基、1,8−メンタンジイル基、2,8−メンタンジイル基においては、置換基として、炭素数1〜6のアルキル基や炭素数6〜12のアリール基等が付加した基であってもよい。
Xを構成する炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基が挙げられる。アリーレン基に付加する置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基や炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
前記のR1、R2、R3、R4やXの説明で記載した、置換基としての炭素数1〜6のアルキル基や炭素数6〜12のアリール基の具体例としては、R1、R2、R3、R4の説明で挙げた基を挙げることができる。
本発明のPC共重合体を電子写真感光体に使用する場合のAr2の好ましい例として、置換もしくは、無置換のフェニレン基、置換もしくは、無置換のナフチレン基が挙げられる。置換基及び酸素原子との結合位置については、Ar1の説明と同じである。
二価の有機シロキサン変性フェニル基としては、例えば、下記式(2A)で示される基である。
ハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルコキシ基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基としては、R1,R2の説明で示した基が挙げられる。
R21およびR22としては、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルコキシ基であり、更に好ましくは、後記する具体的構造が挙げられる。
R23は、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基としては、R1,R2の説明で示した基が挙げられる。好ましくは、フェニル基やメチル基である。
n1は、2〜4の整数であり、n2は、1〜600の整数である。)
ハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルコキシ基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基としては、R1,R2の説明で示した基が挙げられる。
R32は各々独立に炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基としては、R1,R2の説明で示した基が挙げられる。好ましくは、フェニル基やメチル基である。
R33は、脂肪族不飽和結合を含まない同種又は異種の一価炭化水素基である。
一価炭化水素基としては、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基が挙げられる。これらの中では炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。
R34は、脂肪族不飽和結合を含まない同種又は異種の一価炭化水素基である。
一価炭化水素基としては、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基が挙げられる。これらの中では炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。
naは0又は1、nbは1又は2、ncは1又は2である。ただし、na+nb+ncは3である。
n1〜n4は、それぞれ0以上の整数であり、n1、n2、n3及びn4の和は、2〜600の整数であり、n3及びn4の和は1以上の整数である。
aは、0または1〜4までの整数である。好ましくは、aは、0または1である。)
このような二価の有機シロキサン変性フェニレン基としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
nを600以下とすることにより、PC共重合体との相溶性が良好となり、重合工程で反応を完結させることができる。従って、未反応の有機シロキサン変性フェノール化合物が最終のPC共重合体中に残存することを防止できるため、樹脂が白濁することなく、電子写真感光体のバインダー樹脂として適用した場合に残留電位の上昇を抑制できる。
一方、nを1以上とすることにより、電子写真感光体に表面エネルギー性を十分に付与でき、さらに異物の付着を良好に防止できる。
PC共重合体中の二価の有機シロキサン変性フェニレン基の割合は、0.01質量%以上50質量%以下、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上10質量%以下、最も好ましくは1質量%以上6質量%以下である。
当該割合を0.1質量%以上とすることにより、異物の付着をさらに良好に防止できる。一方、当該割合を50質量%以下とすることにより、耐摩耗性に優れた、十分な機械的強度を有する電子写真感光体用として好適に用いることができる。
連鎖末端を構成する芳香族基は、炭素数6〜12のアリール基であると好ましい。例えば、フェニル基やビフェニル基が挙げられる。芳香族基や芳香族基に付加するアルキル基に付加する置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。また、芳香族基に付加する置換基として炭素数1〜20アルキル基が挙げられる。このアルキル基は、上記のようにハロゲン原子が付加した基であってもよく、アリール基が付加した基であってもよい。
連鎖末端を構成する一価のフッ素含有脂肪族基としては、炭素数1〜20のフッ素含有アルキル基が挙げられる。
一価の有機シロキサン変性フェニル基としては、例えば、下記式(2C)で示される基である。
R41は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
R42〜R45は各々独立に水素、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
R46〜R49は各々独立に炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基としては、R1,R2の説明で示した基が挙げられる。好ましくは、フェニル基やメチル基である。
nは2〜600の整数であり、分子量分布を持つ場合には平均繰返し単位数を示す。)
上記の効果を発現させる場合に必要な、一価の有機シロキサン変性フェニル基の割合は、PC共重合体全体に対して、0.01質量%以上、50質量%以下である。さらに好適には、0.1質量%以上、20質量%以下、特に好適には、0.5質量%以上、10質量%以下である。
一価の有機シロキサン変性フェニル基のほかに、二価の有機シロキサン変性フェニレン基に由来する単位が主鎖に含まれるPC共重合体においては、この単位も合算する。
式(5)のビスクロロホーメートオリゴマーにおいて、その平均量体数n’は、1.0以上1.99以下の範囲にある。平均量体数が1.0以上1.99以下の範囲にあるビスクロロホーメートオリゴマーを使用することで、本発明のPC共重合体の製造が容易になる。平均量体数の算出方法として、実施例において後記する方法が挙げられる。
アミド化合物の含有量を700質量ppm以下とすることにより、電子写真感光体のバインダー樹脂としてPC共重合体を適用した場合に残留電位が上昇することを抑制できる。なお、ビスクロロホーメートオリゴマーは、固形物に限らず、液体でもよい。
ビスクロロホーメートオリゴマーを製造する際、トリエチルアミンなどのアミン化合物を大量に使用した場合、アミン化合物とビスクロロホーメート化合物が反応してアミド化合物が不純物として生成する場合がある。
しかしながら、ビスクロロホーメートオリゴマーの洗浄回数を増やすことにより、上記のように、アミド化合物の含有量を減らすことができる。
水洗以外の低減手段として、蒸留や吸着剤の使用、カラム分別が挙げられる。
ジアルキルカルバミン酸クロリドの含有量を100質量ppm以下とすることにより、残留電位が上昇することを抑制して、良好な感度を有する電子写真感光体が得られる。
本発明のPC共重合体の製造方法としては、例えば、連鎖末端基を封止するためのフェノール性化合物あるいはフッ素含有アルコール性化合物の存在下に、下記式(7)で示される二価フェノール化合物から誘導されるビスクロロホーメートオリゴマーと、前記二価フェノールとは異なる骨格の下記式(8)で示される二価フェノール化合物とを重縮合させる方式が挙げられる。
HO−Ar1−OH ・・・(7)
HO−Ar2−OH ・・・(8)
また、ビスフェノール化合物として、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、レゾルシン、2,7−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンなどが挙げられる。これらのビスフェノール化合物は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
H(CF2)nCH2OH ・・・(10)
(nは、1〜12の整数)
F(CF2)mCH2OH ・・・(11)
(mは、1〜12の整数)
これら末端停止剤の添加割合は、共重合組成比として、0.05モル%以上30モル%以下、さらに好ましくは0.1モル%以上10モル%以下であり、この割合が30モル%を超えると機械的強度の低下を招くことがあり、0.05モル%未満であると成形性の低下を招くことがある。
これら分岐剤の添加量は、共重合組成比で30モル%以下、好ましくは5モル%以下であり、これが30モル%を超えると成形性の低下を招くことがある。
さらに、必要に応じて、この反応系に亜硫酸ナトリウムやハイドロサルファイト塩などの酸化防止剤を少量添加してもよい。
このビスクロロホーメートオリゴマーを製造する方法としては、次に示す方法によって製造されたものを用いると、ポリカーボネート共重合体製造時の洗浄工程が簡略化できることなどの点で好ましい。
反応温度は、冷却下に通常0〜70℃、好ましくは5〜65℃であり、滴下時間、反応時間は共に15分間〜4時間、好ましくは30分間〜3時間程度である。このようにして得られるポリカーボネートオリゴマーの平均量体数(n’)は好ましくは1.00以上1.99以下、さらに好ましくは1.00以上1.60以下である。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよいが、通常は、常圧もしくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応時間は、反応温度によって左右されるが、通常0.5分間〜10時間、好ましくは1分間〜3時間程度である。
また、このPC共重合体には、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、Ar1およびAr2以外の構造単位を有するポリカーボネート単位や、ポリエステル、ポリエーテル構造を有する単位を含有しているものであってもよい。
また、得られた反応生成物(粗生成物)は、公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のものをPC共重合体として回収することができる。
本発明の塗工液は、少なくとも本発明のPC共重合体、及び本PC共重合体を溶解、又は分散可能な溶剤を含んでなる。また、塗工液には上記以外に低分子化合物、染料、顔料などの着色剤、電荷輸送材、電子輸送材、正孔輸送材、電荷発生材料等の機能性化合物、無機又は有機のフィラー、ファイバー、微粒子などの充填材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸捕捉剤等の添加剤を含んでいても良い。樹脂以外に含まれても良い物質の例は、例えば後述する電子写真感光体の構成成分に含まれるものが挙げられる。また、塗工液には本発明の効果を損なわない限り他の樹脂を含んでいても良く、その例は下記電子写真感光体の構成成分の例として挙げられる。また、本発明で使用される溶媒は本PC共重合体、他の材料の溶解性、分散性、粘度、蒸発速度、化学的安定性、物理的変化に対する安定性などを考慮し、単独、あるいは複数の溶媒を混合して使用することができる。その例は、後述する電子写真感光体の構成成分の例として挙げられる。
また本塗工液中のPC共重合体と電荷輸送物質との割合は、通常、質量比で20:80〜80:20、好ましくは30:70〜70:30とすることが望ましい。
本発明の塗工液中、本発明のPC共重合体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の電子写真感光体は、上述のPC共重合体を感光層中に用いる限り、公知の種々の形式の電子写真感光体はもとより、どのようなものとしてもよいが、感光層が、少なくとも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電荷輸送層を有する積層型電子写真感光体、または、一層に電荷発生物質と電荷輸送物質を有する単層型電子写真感光体とすることが好ましい。
本発明の電子写真感光体において、前記した本発明のPC共重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、所望に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリカーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させてもよい。さらに、酸化防止剤等の添加物を含有させてもよい。
前記した電荷発生層や電荷輸送層のバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知の各種のものを使用することができる。具体的には、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、メタクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ビニルトルエン−スチレン共重合体、大豆油変性アルキッド樹脂、ニトロ化ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリイソプレン、ポリチオカーボネート、ポリアリレート、ポリハロアリレート、ポリアリルエーテル、ポリビニルアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いることもできるし、また、2種以上を混合して用いることもできる。なお、電荷発生層や電荷輸送層におけるバインダー樹脂としては、前記した本発明のPC共重合体を使用することが好適である。
この電荷輸送層において、本発明のPC共重合体は1種単独で用いることもでき、また2種以上混合して用いることもできる。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を本発明のPC共重合体と併用することも可能である。
本発明のPC共重合体と共に使用できる電荷輸送物質としては、公知の各種の化合物を使用することができる。このような化合物としては、カルバゾール化合物、インドール化合物、イミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、アニリン化合物、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、スチルベン化合物、フルオレノン化合物、ブタジエン化合物、キノン化合物、キノジメタン化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、イミダゾロン化合物、イミダゾリジン化合物、ビスイミダゾリジン化合物、オキサゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、キナゾリン化合物、ベンゾフラン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール樹脂、あるいはこれらの構造を主鎖や側鎖に有する重合体などが好適に用いられる。これら化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これら電荷輸送物質の中でも、特開平11−172003公報において具体的に例示されている化合物が特に好適に用いられる。
なお、本発明の電子写真感光体においては、電荷発生層か電荷輸送層の少なくともいずれかに本発明のPC共重合体をバインダー樹脂として用いることが好適である。
このような酸化防止剤の具体例としては、特開平11−172003号公報の明細書に記載された化学式[化94]〜[化101]の化合物が好適である。
これら酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい、そして、これらは前記感光層のほか、表面保護層や下引き層、ブロッキング層に添加してもよい。
各層の塗布は公知のものなど各種の塗布装置を用いて行なうことができ、具体的には、例えば、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、チップコーター、ロールコーター、ディップコーター、リングコーター、ドクタブレード等を用いて行なうことができる。
<製造例1:ビスフェノールAオリゴマー(ビスクロロホーメート)の合成>
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)80.2g(0.352モル)を塩化メチレン450mLで懸濁し、そこにトリエチルアミン70.4g(0.702モル)を加えて溶解した。これをホスゲン69.8g(0.631モル)を塩化メチレン250mLに溶解した液に14〜18.5℃で2時間50分かけて滴下した。18.5℃〜19℃で1時間撹拌後、10〜22℃で塩化メチレン250mLを留去した。残液に純水73mL、濃塩酸4.5mL、ハイドロサルファイト0.47gを加え洗浄した。その後、純水330mLで4回洗浄を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するビスフェノールAオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。得られた溶液のクロロホーメート濃度は0.88モル/L、固形物濃度は0.21kg/L、平均量体数は1.49であった。また、得られたビスフェノールAオリゴマーに含まれるアミド化合物の含有量は、ビスフェノールAオリゴマー中の全窒素質量からトリエチルアミンに由来する窒素量を差し引いた値であり、ビスフェノールAオリゴマー質量基準で150質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。なお、ビスフェノールAオリゴマー中の窒素質量は、JIS K2609に準拠した化学発光法に従って全窒素量を定量した。これからガスクロ分析でトリエチルアミン量を定量し、これを窒素量に換算して、全窒素量から差し引き、アミド化合物に由来する窒素質量とした。以後、この得られた原料をA−CFという。
ビスクロロホーメート化合物の塩化メチレン溶液から、塩化メチレンを50℃、減圧条件で乾固した。得られた固形分を用いて測定を行った。この結果を、別途ピリジンを標準物質として作成した検量線と比較する事で、窒素量の定量を行った。得られた結果を、ビスクロロホーメート化合物の塩化メチレン中での濃度で換算する事で、ビスクロロホーメート化合物中の全窒素量を算出した。
トリエチルアミンの定量は、上記の方法で得たビスクロロホーメート化合物の固形分に0.5N−NaOH水溶液を加えてpHを8以上とし、これにクロロホルムを添加して、クロロホルム抽出成分をトリエチルアミンとして、ガスクロマトグラフィー分析し、絶対検量線法で定量した。
機種:アジレント・テクノロジー製 7890A
カラム:CP−VOLAMINE(Varian製) 60m×0.32mm(内径)
注入口温度:150℃
カラム温度:40℃から150℃まで50℃/分で昇温、150℃で10分保持後、250℃まで50℃/分で昇温
キャリアガス:ヘリウム 40cm/秒 一定
注入量:2μl
注入方式:スプリットレス
検出器:FID
FID温度:260℃
平均量体数(n’)=1+(Mav−M1)/M2・・・(数1)
(式(数1)において、Mavは(2×1000/(CF価))であり、M2は(M1−98.92)であり、M1は前記式(5)において、n’=1のときのビスクロロホーメート化合物の分子量であり、CF価(N/kg)は(CF値/濃度)であり、CF値(N)は反応溶液1Lに含まれる前記式(5)で表されるビスクロロホーメート化合物中のクロル分子数であり、濃度(kg/L)は反応溶液1Lを濃縮して得られる固形分の量である。ここで、98.92は、ビスクロロホーメート化合物同士の重縮合で脱離する2個の塩素原子、1個の酸素原子および1個の炭素原子の合計の原子量である。)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)73.0g(0.272モル)を塩化メチレン410mLで懸濁し、そこにトリエチルアミン55.3g(0.546モル)を加えて溶解した。これをホスゲン54.5g(0.551モル)を塩化メチレン225mLに溶解した液に14〜18.5℃で2時間50分かけて滴下した。18.5℃〜19℃で1時間撹拌後、10〜22℃で塩化メチレン250mLを留去した。残液に純水73mL、濃塩酸4.5mL、ハイドロサルファイト0.47gを加え洗浄した。その後、純水330mLで4回洗浄を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するビスフェノールZオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。得られた溶液のクロロホーメート濃度は0.91モル/L、固形物濃度は0.22kg/L、平均量体数は1.31であった。なお、得られたビスフェノールZオリゴマー中のアミド化合物の含有量は、90質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。以後この得られた原料をZ−CFという。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)73.0g(0.341モル)を塩化メチレン410mLで懸濁し、そこにトリエチルアミン68.7g(0.682モル)を加えて溶解した。これをホスゲン65.0g(0.689モル)を塩化メチレン245mLに溶解した液に14〜18.5℃で2時間50分かけて滴下した。18.5℃〜19℃で1時間撹拌後、10〜22℃で塩化メチレン250mLを留去した。残液に純水73mL、濃塩酸4.5mL、ハイドロサルファイト0.47gを加え洗浄した。その後、純水330mLで4回洗浄を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するビスフェノールEオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。得られた溶液のクロロホーメート濃度は0.98モル/L、固形物濃度は0.21kg/L、平均量体数は1.37であった。なお、得られたビスフェノールEオリゴマー中のアミド化合物の含有量は、90質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。以後この得られた原料をE−CFという。
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)230g(0.897mol)、塩化メチレン1058ml、ホスゲン187g(1.89mol)の混合液に、トリエチルアミン199.4g(1.97mol)を塩化メチレン460mlで希釈した溶液を13〜16℃で3時間6分かけて滴下した。反応混合物を14〜16℃で1時間38分撹拌した。反応混合物に濃塩酸5.0mlと純水200mlを加え洗浄した。その後水層が中性になるまで水洗を繰り返した。取り出した塩化メチレン溶液は、ビスクロロホーメート化合物含有溶液であり、1848.4gであった。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は1.16モル/L、固形物濃度は0.24kg/L、平均量体数は1.12であった。なお、得られたビスフェノールCオリゴマー中のアミド化合物の含有量は、280質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。以後この得られた原料をC−CFという。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン43.6g(0.124モル)を塩化メチレン410mLで懸濁し、そこにトリエチルアミン25.0g(0.248モル)を加えて溶解した。これをホスゲン24.8g(0.250モル)を塩化メチレン225mLに溶解した液に14〜18.5℃で2時間50分かけて滴下した。18.5℃〜19℃で1時間撹拌後、10〜22℃で塩化メチレン250mLを留去した。残液に純水73mL、濃塩酸4.5mL、ハイドロサルファイト0.47gを加え洗浄した。その後、純水330mLで4回洗浄を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有する1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカンオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。得られた溶液のクロロホーメート濃度は0.92モル/L、固形物濃度は0.23kg/L、平均量体数は1.06であった。なお、得られた1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカンオリゴマー中のアミド化合物の含有量は、210質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。以後この得られた原料をCDE−CFという。
4,4’−ビフェノール50.0g(0.269mol)、塩化メチレン500ml、ホスゲン80.0g(0.809mol)の混合液中にトリエチルアミン59.8g(0.591mol)を塩化メチレン100mlで希釈した溶液を滴下した以外は、製造例4と同様に行った。取り出した塩化メチレン溶液は、ビスクロロホーメート化合物含有溶液であり、897.5gであった。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は0.77モル/L固形物濃度は0.12kg/L、平均量体数は1.00であった。なお、得られた4,4’−ビフェノールオリゴマー中のアミド化合物の含有量は、380質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。以後この得られた原料をBP−CFという。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン33.0g(0.103mol)、塩化メチレン330ml、ホスゲン30.6g(0.309mol)の混合液に、トリエチルアミン23.2g(0.229mol)と塩化メチレン66mlを混合した液を滴下した以外は、製造例4と同様に行った。288.2gのビスクロロホーメート含有溶液を得た。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は0.87モル/L、固形物濃度は0.21kg/L、平均量体数は1.11であった。なお、得られた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アダマンタンオリゴマー中のアミド化合物の含有量は、410質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。以後この得られた原料を22Ad−CFという。
9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン250g(0.661mol)、塩化メチレン1175ml、ホスゲン148g(1.50mol)の混合液に、トリエチルアミン146.8g(1.45mol)と塩化メチレン500mlを混合した液を滴下した以外は、製造例4と同様に行った。2944.5gのビスクロロホーメート含有溶液を得た。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は0.55モル/L、固形物濃度は0.15kg/L、平均量体数は1.11であった。なお、得られたビスクレゾールフルオレンオリゴマー中のアミド化合物の含有量は、400質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。以後この得られた原料をBCF−CFという。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)56.6kg(224モル)を塩化メチレン1080Lで懸濁し、そこにホスゲン66.0kg(667モル)を加えて溶解させた。これにトリエチルアミン44.0kg(435モル)を塩化メチレン120Lに溶解させた液を2.2〜17.8℃で2時間50分かけて滴下した。17.9℃〜19.6℃で30分間撹拌後、14〜20℃で塩化メチレン900Lを留去した。残液に純水210L、濃塩酸1.2kg、ハイドロサルファイト450gを加え洗浄した。その後、純水210Lで5回洗浄を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するビスフェノールZオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。得られた溶液のクロロホーメート濃度は1.14モル/L、固形物濃度は0.22kg/L、平均量体数は1.02であった。なお、得られたビスフェノールZオリゴマー中のアミド化合物の含有量は、20質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。以後この得られた原料をC−CF2という。
製造例2において、ビスフェノールZオリゴマーの合成反応後に行った純水洗浄の回数を、4回から2回に減らした以外は、製造例2と同様にして製造した。
また、得られたビスフェノールZオリゴマー中のアミド化合物の含有量は、ビスフェノールZオリゴマー中の窒素質量に基づき求められ、ビスフェノールZオリゴマー全質量基準で720質量ppmであることが分かった。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル(DHDE)45.2g(224ミリモル)を塩化メチレン1080mLで懸濁し、そこにホスゲン66.0g(667ミリモル)を加えて溶解した。これにトリエチルアミン44.0g(435ミリモル)を塩化メチレン120mLに溶解した液を2.2〜17.8℃で2時間50分かけて滴下した。17.9℃〜19.6℃で30分間撹拌後、14〜20℃で塩化メチレン900mLを留去した。残液に純水210mL、濃塩酸1.2g、ハイドロサルファイト450mgを加え洗浄した。その後、純水210mLで5回洗浄を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するDHDEビスクロロホーメートの塩化メチレン溶液を得た。得られた溶液のクロロホーメート濃度は1.14モル/L、固形物濃度は0.19kg/L、平均量体数は1.03であった。なお、得られたDHDEビスクロロホーメート中のアミド化合物の含有量は、90質量ppmであることが分かった。また、トリエチルアミン由来の窒素量は0.3質量ppmであった。以後この得られた原料をDHDE−CFという。
(PC共重合体の製造)
メカニカルスターラー、撹拌羽根、邪魔板を装着した反応容器に、製造例1のA−CF(17mL)と塩化メチレン(43mL)を注入した。これに末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール(以下、PTBPと表記)(0.045g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。この溶液に、別途調製したビフェノールモノマー溶液を全量添加し(モノマー溶液調製法:2Nの水酸化ナトリウム水溶液10mLを調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、4,4’−ビフェノール1.4gを添加し、完全に溶解して調製した)、反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を0.2mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.2L、水0.1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.1Lで一回、0.03N塩酸0.1Lで1回、水0.1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−1)を得た。
このようにして得られたポリカーボネート共重合体(PC−1)を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を調製し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、1.13dl/gであった。なお、得られたPC−1の構造及び組成を1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルにより分析したところ、下記の繰り返し単位、繰り返し単位数、及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、15質量ppmであった。
Ar2/(Ar1+Ar2)=1/(n+1)・・・(数2)
導電性基体としてアルミニウム金属を蒸着したポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その表面に、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層して積層型感光層を形成した電子写真感光体を製造した。電荷発生物質としてオキソチタニウムフタロシアニン0.5質量部を用い、バインダー樹脂としてブチラール樹脂0.5質量部を用いた。これらを溶媒の塩化メチレン19質量部に加え、ボールミルにて分散し、この分散液をバーコーターにより、前記導電性基体フィルム表面に塗工し、乾燥させることにより、膜厚約0.5ミクロンの電荷発生層を形成した。
つぎに、電荷輸送物質として、下記式(14)の化合物(CTM−1)0.5g、前記で得られたポリカーボネート共重合体(PC−1)0.5gを10ミリリットルのテトラヒドロフランに分散し、塗工液を調製した。この塗工液をアプリケーターにより、前記電荷発生層の上に塗布し、乾燥し、膜厚約20ミクロンの電荷輸送層を形成した。
PC共重合体の溶解性は前述の塗工液の調製時に、調製した塗工液の白濁度を目視で観察することにより評価した。PC共重合体が溶解し白濁が認められない場合を○、不溶解部分がある場合を×、白濁した場合を「白濁」とした。
また、PC共重合体、及び電子写真感光体の耐摩耗性の評価を、以下の通り実施した。
〔1〕共重合体の耐摩耗性評価サンプル作製:PC−1(2g)を塩化メチレン(12mL)に溶解し、アプリケーターを用い市販のPETフィルム上にキャスト製膜した。このフィルムを減圧下加熱し溶剤を除去し、厚み約30μmのフィルムサンプルを得た。
〔2〕感光体の耐摩耗性評価サンプル作製:PC−1(1g)、及び上記CTM−1(1g)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、アプリケーターを用い市販のPETフィルム上にキャスト製膜した。このフィルムを減圧下加熱し溶剤を除去し、厚み約30μmのフィルムサンプルを得た。
〔3〕評価:前記〔1〕、〔2〕で作製したフィルムのキャスト面の耐摩耗性をスガ摩耗試験機NUS−ISO−3型(スガ試験機社製)を用いて評価した。試験条件は4.9Nの荷重をかけた摩耗紙(粒径3μmのアルミナ粒子を含有)を感光層表面と接触させて2,000回往復運動を行い、質量減少量を測定した。
〔4〕PC共重合体中に含まれる不純物(ジエチルカルバミン酸クロリド)の含有量の測定:ジエチルカルバミン酸クロリドは、ガスクロマトグラフィーを用いた絶対検量線法で測定した。
測定条件は次のとおりである。
サンプル:PC共重合体0.5gを塩化メチレン13.3gに溶解し、測定サンプルとした。
機器:アジレント・テクノロジー製 7890A
カラム:HP−1 30m×0.25mm(内径)(膜厚:0.25μm)
温度:40℃から、毎分10℃で300℃まで昇温し、300℃で30分保持
注入口:スプリット 300℃
検出器:310℃(FID)
キャリアガス:ヘリウム 40cm/秒
注入量:1μl
これらの結果を表1に示し、後述する実施例2〜12および比較例1〜3についても同様の評価を行い、結果を表1に示す。
実施例1において、A−CF(17mL)を製造例2のZ−CF(17mL)、塩化メチレンの量を43mL、PBTPの量を0.02gに変更し、ビフェノールを2,7−ジヒドロキシナフタレン1.1gに変更し、水酸化ナトリウム水溶液の替わりに2Nの水酸化カリウム水溶液12mLを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、PC共重合体(PC−2)を製造した。
PC−2の還元粘度[ηsp/C]は1.13dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、10質量ppmであった。
実施例1において、A−CF(17mL)を製造例3のE−CF(17mL)に変更し、塩化メチレンの量を43mL、PTBP量を0.05g、ビフェノール量を1.6g、水酸化ナトリウム水溶液の量を14mLに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、PC共重合体(PC−3)を製造した。
PC−3の還元粘度[ηsp/C]は1.24dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、10質量ppmであった。
実施例1において、A−CF(17mL)を製造例4のC−CF(30mL)に変更し、塩化メチレンの量を30mL、PTBP量を0.05gに変更し、ビフェノールを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン5.0gに変更して、水酸化ナトリウム水溶液の替わりに2Nの水酸化カリウム水溶液29mLを用い、反応時間を3時間に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、PC共重合体(PC−4)を製造した。
PC−4の還元粘度[ηsp/C]は0.51dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、30質量ppmであった。
実施例1において、A−CF(17mL)を製造例5のCDE−CF(16mL)に変更し、塩化メチレンの量を44mL、PTBP量を0.02gに変更し、ビフェノールをレゾルシン0.8gに変更して、水酸化ナトリウム水溶液の替わりに2Nの水酸化カリウム水溶液12mLを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、PC共重合体(PC−5)を製造した。
PC−5の還元粘度[ηsp/C]は1.11dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、20質量ppmであった。
実施例1において、A−CF(17mL)を製造例6のBP−CF(60mL)に変更し、塩化メチレンを加えない様に変更し、PTBP量を0.03gに変更し、さらにビフェノールを2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン2.8gに変更して、水酸化ナトリウム水溶液の替わりに2Nの水酸化カリウム水溶液28mLを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、PC共重合体(PC−6)を製造した。
PC−6の還元粘度[ηsp/C]は0.50dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、35質量ppmであった。
実施例1において、A−CF(17mL)を製造例7の22Ad−CF(18mL)に変更し、塩化メチレンの量を42mL、PTBP量を0.03gに変更し、ビフェノールを、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン2.1gに変更して、水酸化ナトリウム水溶液の替わりに2Nの水酸化カリウム水溶液13mLを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、PC共重合体(PC−7)を製造した。
PC−7の還元粘度[ηsp/C]は1.13dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、35質量ppmであった。
実施例1において、A−CF(17mL)を製造例8のBCF−CF(19mL)に変更し、塩化メチレンの量を41mL、PTBP量を0.01gに変更し、ビフェノールを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2.1gに変更し、水酸化ナトリウム水溶液の替わりに2Nの水酸化カリウム水溶液11mLを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、PC共重合体(PC−8)を製造した。
PC−8の還元粘度[ηsp/C]は0.50dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、35質量ppmであった。
実施例1において、PTBP量を0.100gに変更した以外は実施例1と同様にして、PC共重合体(PC−9)を製造した。
PC−9の還元粘度[ηsp/C]は0.52dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、20質量ppmであった。
実施例2において、2,7−ジヒドロキシナフタレン1.1gを4,4’−ビフェノール1.8gに変更した以外は実施例2と同様にして、PC共重合体(PC−10)を製造した。
PC−10の還元粘度[ηsp/C]は1.16dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、15質量ppmであった。
メカニカルスターラー、撹拌羽根、邪魔板を装着した反応容器に、製造例9のC−CF2(24mL)と塩化メチレン(36mL)を注入した。これに末端停止剤としてPTBP(0.04g)と下式10Aで示す有機シロキサン変性フェノール化合物0.1gを添加し、十分に混合されるように撹拌した。
この溶液に、別途調製したビフェノールモノマー溶液を全量添加し(モノマー溶液調製法:2Nの水酸化ナトリウム水溶液10mLを調整し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、4,4’−ビフェノール2.6gを添加し、完全に溶解して調製した)、反応容器内の温度が15℃になるまで冷却した後、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を0.2mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.2L、水0.1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.1Lで1回、0.03N塩酸0.1Lで1回、水0.1Lで5回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下温水中に滴下投入し、塩化メチレンを蒸発させると共に樹脂固形分を得た。得られた析出物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−10A)を製造した。なお、PC共重合体(PC−10A)中の有機シロキサン変性フェニレン基部分の質量割合は、PC共重合体全質量基準で3質量%である。また、下式10Aにおいて、n=39である。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、5質量ppmであった。
実施例10において、4,4’−ビフェノール1.8gを、4,4’−ビフェノール1.8gと下式10Bで示す有機シロキサン変性フェノール化合物0.2gの混合物に変更した以外は実施例10と同様にして、PC共重合体(PC−10B)を製造した。
なお、PC共重合体(PC−10B)中の有機シロキサン変性フェニレン基部分の質量割合は、PC共重合体全質量基準で3質量%である。また、下式10Bにおいて、n=90である。
実施例10において、4,4’−ビフェノール1.8gを、4,4’−ビフェノール1.8gと下式10Cで示す有機シロキサン変性フェノール化合物0.2gの混合物に変更した以外は実施例10と同様にして、PC共重合体(PC−10C)を製造した。なお、PC共重合体(PC−10C)中の有機シロキサン変性フェニレン基部分の質量割合は、PC共重合体全質量基準で3質量%である。また、下式10Cにおいて、n=150である。
実施例10において、4,4’−ビフェノール1.8gを、4,4’−ビフェノール1.8gと下式10Dで示す有機シロキサン変性フェノール化合物0.2gの混合物に変更し、PTBP量を0.039gに変更した以外は実施例10と同様にして、PC共重合体(PC−10D)を製造した。なお、PC共重合体(PC−10D)中の有機シロキサン変性フェニル基部分の質量割合は、PC共重合体全質量基準で3質量%である。また、下式10Dにおいて、n=60である。また、PC共重合体中に含まれるジエチルカルバミン酸クロリドの含有量は、5質量ppmであった。
メカニカルスターラー、撹拌羽根、邪魔板を装着した反応容器に、製造例11のDHDE−CF(24mL)と塩化メチレン(36mL)を注入した。これに末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール(以下、PTBPと表記)(0.04g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。
この溶液に、別途調製したビフェノールモノマー溶液を全量添加し(モノマー溶液調製法:2Nの水酸化ナトリウム水溶液10mLを調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、4,4’−ビフェノール2.6gを添加し、完全に溶解して調製した)、反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を0.2mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.2L、水0.1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.1Lで1回、0.03N塩酸0.1Lで1回、水0.1Lで5回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下温水中に滴下投入し、塩化メチレンを蒸発させると共に樹脂固形分を得た。得られた析出物をろ過、乾燥することにより下記構造のポリカーボネート共重合体(PC−101)を得た。
PC−101の還元粘度[ηsp/C]は1.05dl/gであり、構造は前記式(1)において、下記の繰り返し単位及び組成からなるポリカーボネート共重合体であることが確認された。PC共重合体中のジエチルカルバミン酸クロリド量は10質量ppmであった。
PC共重合体単独でフィルムを作製し、このフィルムを用いて超純水による接触角の測定を行った。
接触角の測定には、測定装置としてDM700(協和界面科学株式会社製)を用いた。
上述したように、PC共重合体を用いて電子写真感光体を作製し、市販のプリンター(FS−600、京セラ(株)製)を用いて評価した。
具体的には、プリンターに電子写真感光体をドラム状に装着し、常温・常湿条件下(23℃、50%)で、1時間繰返し運転を行った。
そして、電子写真感光体の中央の一定範囲内(2cm×2cmの正方形)での付着状態を目視確認した。評価基準は、以下の通りである。
◎:電子写真感光体の評価範囲内にトナーの付着がない。
○:トナーの付着がわずかに有る。エアーを吹き付けることで除去できる。
×:トナーの付着が有る。エアーを吹き付けても除去ができない。
特開平5−70582の実施例2に従い、GPCポリスチレン換算の質量平均分子量が6万であるPC共重合体(PC−11)を以下の通り製造した。
撹拌機、温度計を備えた反応容器に塩化メチレン625mLを加え、撹拌しながら、ビスフェノールAビスクロロ蟻酸エステル35.3gを加え溶解した。さらにこれにイオン交換水125mLを加えた後、十分撹拌しながら、3.5%の水酸化ナトリウム水溶液228.6gにビフェノール18.6gを溶解した液を20〜25℃において1時間で滴下した。滴下後、同温で撹拌を続け、4時間後に28%の水酸化ナトリウム水溶液14.3gを加えさらに5時間撹拌を続け、分子量が6万(GPC、ポリスチレン換算)となったところで、撹拌を停止し、静置した。
得られた反応液を氷水中に注入し、析出する結晶をろ取し、水洗、乾燥後、アセトンを用いて再結晶を行い、PC−11を得た。
本PC共重合体の還元粘度[ηsp/C]は0.53dl/gであった。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)(0.17kg)、4,4’−ビフェノール(0.03kg)を2Nの水酸化カリウム水溶液1.5L溶液と、塩化メチレン1.0kgとを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合でpHが9以下になるまで吹き込んだ。次いで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホーメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
次に、反応容器に、メカニカルスターラー、撹拌羽根、邪魔板を装着し、前記オリゴマー(26mL)に塩化メチレン(34mL)を添加した。これに末端停止剤としてPTBP(0.065g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。本溶液に、別途調製したビフェノールモノマー溶液を全量添加し(モノマー溶液調製法:2Nの水酸化ナトリウム水溶液15mLを調製し、室温以下に冷却した後、ハイドロサルファイトを0.02g、4,4’−ビフェノール1.2gを添加し、完全に溶解して調製した)、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を0.2mL添加し、引続き1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.2L、水0.1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.1Lで1回、0.01N塩酸0.1Lで1回、水0.1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−12)を得た。
PC−12の還元粘度[ηsp/C]は1.10dl/gであった。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)0.2kgを16質量%の水酸化カリウム水溶液1.2kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.3kgとを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合でpHが9以下になるまで吹き込んだ。ついで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホーメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
次に、反応容器に、メカニカルスターラー、撹拌羽根、邪魔板を装着し、前記オリゴマー(260mL)に塩化メチレン190mLを添加した。末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール(0.89g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。本溶液に、別途調製した2N水酸化カリウム水溶液30mLを添加後、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1mL添加した。10分後、別途調製したビフェノールモノマー溶液を全量添加し(モノマー溶液調製法:2Nの水酸化カリウム水溶液120mLを調製し、室温以下に冷却した後、ハイドロサルファイトを0.1g、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン17.3gを添加し、完全に溶解して調製した)、引続き1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン2L、水1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水1Lで1回、0.01N塩酸1Lで1回、水1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより、連鎖末端がp−tert−ブチルフェニル基で封止された、ビスフェノールZのPC重合体(PC−13)を得た。
PC−13の還元粘度[ηsp/C]は0.50dl/gであった。
実施例10で使用したビスフェノールZオリゴマーを製造例10で製造されたビスフェノールZオリゴマーに変更した以外は、実施例10と同様にしてPC共重合体(PC−14)を製造した。なお、PC共重合体(PC−14)の構造及び還元粘度は、実施例10と同様である。PC共重合体中のジエチルカルバミン酸クロリド量は110質量ppmであった。
表1に実施例1〜12および比較例1〜3の評価結果を示す。実施例1から12と、比較例1から3とを比較すると、実施例1から12のPC共重合体では、有機溶剤への安定な溶解性を保持し、かつ、耐摩耗性評価において質量減少量が小さいことから、耐摩耗性に優れることがわかった。また、実施例1から11の電子写真感光体では、初期残留電位(VR)の値が小さく、繰り返し残留電位(VR上昇)も小さいことから、耐摩耗性、電気特性、及び帯電特性のすべてについて優れていることがわかった。
一方、比較例1、2のPC共重合体では、溶解性が悪く、電子写真感光体では、初期残留電位および繰返し残留電位ともに大きな値を示すか、測定不能であることから、電気特性、及び帯電特性が悪いことがわかった。
また、比較例3のPC共重合体及び電子写真感光体では、耐摩耗性を示す質量減少量の値が大きく、耐摩耗性が悪いことがわかった。
なお、実施例1〜11では、ビスクロロホーメートの洗浄回数を多くしたため、PC共重合体中に不純物量がほとんど残らず、初期残留電位及び繰り返し残留電位が良好であった。しかし、実施例12では、ビスクロロホーメートの洗浄回数が少なかったため、PC共重合体中に不純物量が多く残り、初期残留電位及び繰り返し残留電位が実施例1〜11よりは悪くなることが分かった。
さらに、表2に示すように、実施例10A〜10Cでは、PC共重合体中に二価の有機シロキサン変性フェニレン基を有し、実施例10Dでは、PC共重合体中に一価の有機シロキサン変性フェニル基を有するため、有機シロキサン変性フェニレン基又はフェニル基を有しない実施例10よりも、水の接触角及びトナー付着性が向上することが分かった。
なお、表1中、「*」は、ジエチルカルバミン酸クロリドの含有量を示す。
Claims (8)
- 下記式(1)に記載の繰り返し単位からなる構造を有し、かつAr2/(Ar1+Ar2)で表されるモル共重合組成が29モル%以上50モル%以下である
ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。
- 請求項1に記載のポリカーボネート共重合体において、
Ar 2 が有機シロキサン変性フェニレン基をさらに含み、かつ連鎖末端の一価の芳香族基が有機シロキサン変性フェニル基であるか、
Ar 2 が有機シロキサン変性フェニレン基をさらに含むか、又は、
連鎖末端の一価の芳香族基が有機シロキサン変性フェニル基である
ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。 - 請求項2に記載のポリカーボネート共重合体において、
二価の有機シロキサン変性フェニレン基は、下記式(2A)又は式(2B)で示される基であり、
一価の有機シロキサン変性フェニル基は、下記式(2C)で示される基である
ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。
R23は、各々独立に炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
n1は、2〜4の整数であり、n2は、1〜600の整数である。)
R32は各々独立に炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
R33は、脂肪族不飽和結合を含まない同種又は異種の一価炭化水素基である。
R34は、脂肪族不飽和結合を含まない同種又は異種の一価炭化水素基である。
Y及びY’は、炭素数2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン、又は酸素原子である。
naは0又は1、nbは1又は2、ncは1又は2である。ただし、na+nb+ncは3である。
n1〜n4は、それぞれ0以上の整数であり、n1、n2、n3及びn4の和は、2〜600の整数であり、n3及びn4の和は1以上の整数である。
aは、0または1〜4までの整数である。)
R41は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。
R42〜R45は各々独立に水素、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
R46〜R49は各々独立に炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
nは2〜600の数であり、分子量分布を持つ場合には平均繰返し単位数を示す。) - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体において、
下記式(5)に示されるビスクロロホーメートオリゴマーを原料とし、前記ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数(n’)が1.0以上1.99以下である
ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。
- 請求項4に記載のポリカーボネート共重合体において、
前記式(5)に示されるビスクロロホーメートオリゴマーを含む原料に、アミド化合物が含まれている場合、
前記アミド化合物の含有量は、前記ビスクロロホーメートオリゴマーを含む原料に含まれる窒素原子の質量に基づいて求められ、溶媒を除く前記ビスクロロホーメートオリゴマーを含む原料の全質量基準で700質量ppm以下である
ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体において、
当該ポリカーボネート共重合体に、ジアルキルカルバミン酸クロリドが含まれている場合、
前記ジアルキルカルバミン酸クロリドの含有量は、当該ポリカーボネート共重合体全質量基準で100質量ppm以下である
ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体、及び有機溶剤を含む
ことを特徴とする塗工液。 - 導電性基板上に感光層を設けた電子写真感光体において、感光層の一成分として、
請求項5に記載のポリカーボネート共重合体を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体。
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