JP5394615B2 - ポリカーボネート樹脂、塗工液、および電子写真感光体 - Google Patents
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Description
ら製造されるポリカーボネート樹脂は、透明性が高く、優れた機械的性質を有することから、光学材料や電子材料など種々の用途に使用されている。例えば、近年になって、電子写真感光体用としての用途が広がっている。
この電子写真感光体は、その感光層の表面に、コロナ帯電あるいはロールやブラシを用いた接触帯電、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理などの操作が繰り返し行われるため、これらの操作を行うたびに電気的、機械的外力が加えられる。したがって、長期間に亘って電子写真の画質を維持するためには、電子写真感光体の表面に設けた感光層に、これら外力に対する耐久性が要求される。具体的には、摩擦による表面の摩耗や傷の発生、コロナ帯電や接触帯電、転写でのオゾンなどの活性ガスや放電による表面の劣化に対する耐久性が要求される。
そこで、上記の問題を解決する手法として、主鎖あるいは末端にシロキサン結合を有す構造を具備したポリカーボネート樹脂を含有する電子写真感光体が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献4には、本発明のポリカーボネート樹脂と類似する樹脂を電子写真感光体の感光層中のバインダー樹脂に使用する技術が開示されている。しかし、ポリシロキサン部位の繰返し単位数が小さいため、耐擦傷性の改善効果は十分とは言えなかった。
そこで、本発明は、電子写真感光体に用いた場合に、優れた耐擦傷性および電気特性(帯電特性等)を付与できるポリカーボネート樹脂、該樹脂を含む塗工液、および、前記したポリカーボネート樹脂を用いた電子写真感光体を提供することにある。
[1]下記式(1)に示すモノマー単位を有するポリカーボネート樹脂であって、少なくとも一端が下記式(2)で示す末端基により封止された構造であり、該ポリカーボネート樹脂を、THF(テトラヒドロフラン)に10質量%の濃度で溶解した溶液のヘーズ(JIS K7105に準拠、光路長10mm)が5%以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
(式中、Arは、2価の芳香族基を示す。)
{式中、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数6〜12のアリールオキシ基から選ばれたいずれかの官能基を示す。Xは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CX1X2−(ここで、X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、置換または無置換の炭素数1〜10のアルキル基、および置換または無置換の炭素数6〜12のアリール基から選ばれる官能基を示す。)、置換または無置換の炭素数5〜11のシクロアルキリデン基、置換または無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、置換または無置換の9,9−フルオレニリデン基、置換または無置換の炭素数6〜12のアリーレン基、下記式(4)で示されるテルペン類から誘導される二価の官能基、ならびに下記式(5)で示される炭素数8〜16のアルキリデンアリーレンアルキリデン基から選ばれる官能基を示す。ただし、X1とX2がともにメチル基の場合は、Xは−CX1X2−単独であることはない。}
[PC樹脂の構造]
本発明のPC樹脂は、下記式(1)に示すモノマー単位を有するPC樹脂であって、少なくとも一端が下記式(2)で示す末端基により封止された構造を備えている。
ここで、シロキサン単位の繰り返し数(シロキサン鎖長)nが40未満であると、PC樹脂を電子写真感光体のバインダ樹脂として用いた場合に耐擦傷性が劣るので好ましくない。また、nが700を越えると、電子写真感光体のバインダ樹脂塗工用としてTHF等に溶解した場合に、その塗工液が白濁してしまい好ましくない。塗工液が白濁した状態で塗工すると、結果的に帯電特性の劣った電子写真感光体が得られるからである。
それ故、シロキサン鎖長nとしては、50〜350であることが好ましく、55〜220であることがより好ましく、60〜160であることがさらに好ましい。
また、式(2)の末端基は、PC樹脂の両末端を封止していてもよいし、もう一方を、アルキルフェノールなど、他の末端停止剤で封止された構造であってもよい。
このようにTHF溶液のヘーズが高いと、すなわち白濁を生じるようなPC樹脂では、例えば、湿式成形して電子写真感光体用のバインダ樹脂として用いた場合、白濁した部分が電荷移動のトラップとなるため、電子写真特性(感度)が悪化する場合がある。
上記式(3)において、Xは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CX1X2−(ここで、X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、置換または無置換の炭素数1〜10のアルキル基、および置換または無置換の炭素数6〜12のアリール基から選ばれる官能基を示す。)、置換または無置換の炭素数5〜11、好ましくは炭素数5〜9のシクロアルキリデン基、置換または無置換の炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜6のα,ω−アルキレン基、置換または無置換の,9−フルオレニリデン基、置換または無置換の炭素数6〜12、好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基、下記式(4)で示されるテルペン類から誘導される二価の官能基、ならびに下記式(5)で示される炭素数8〜16のアルキリデンアリーレンアルキリデン基から選ばれる官能基を示す。ただし、X1とX2がともにメチル基の場合は、Xは−CX1X2−単独であることはない。例えば、一般式(1)に該当するモノマーとして、ビスフェノールAを採用し、一般式(2)に該当するモノマー(末端封止剤)との2元共重合体を製造した場合、ポリマーの結晶性が高いために溶解性に影響が現れ、塗工液を製造する際に使用する溶媒が限定される。このため、X1とX2がともにメチル基の場合は、例えば、Xが単結合のような構造単位をも含む共重合PC樹脂とすることが好ましい。
Xのうちの置換または無置換の炭素数5〜11のシクロアルキリデン基としては、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基などが挙げられる。置換または無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基としては、α,ω−エチレン基、α,ω−プロピレン基、α,ω−ブチレン基などが挙げられる。置換または無置換の炭素数6〜12のアリーレン基としては、フェニレン基、アルキル置換フェニレン基、ナフチレン基、アルキル置換ナフチレン基などが挙げられる。
なお、シロキサン鎖長とポリシロキサンの質量分率は、ともに前記した範囲にあることが好ましい。
例えば、式(1)のモノマー単位は、式(3)に示すXが単結合であるいわゆるビフェノール単位と、Xが−CX1X2−および/またはシクロアルキリデン基であるビスフェノール単位との組み合わせであることがより好ましい。
なお、ビフェノール単位も広義のビスフェノール単位であるが、本願においては、Xが単結合である場合を、特にビフェノール単位として区別する。また、これらに対応するモノマーをビフェノール化合物、ビスフェノール化合物のように区別して記載することもある。
本発明のPC樹脂は、本発明の目的に支障のない範囲で、式(1)のモノマー単位以外の他のモノマー単位(繰り返し単位)を有していてもよい。
本発明のPC樹脂は、その主鎖については、例えば、下記式(6)で示されるモノマーを用いて界面重縮合することにより容易に製造することができる。ここで、下記式(6)のArの具体的構造は、前記式(1)のArと同じである。
また、ビスフェノール化合物として、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,7−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、末端フェノールポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシロキシ−ω−ビス{3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピルジメチルシロキシ}−メチルシロキシ−2−ジメチルシリルエチル−ポリジメチルシロキサン、およびα,ω−ビス(3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピル)−ジメチルシロキシ−ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらのビスフェノール化合物は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、三価以上のフェノールを用いて分岐構造を持たせてもよい。
このようなビスフェノール化合物をモノマーとして製造されたPC樹脂を電子写真感光体に適用すると、クリーニング工程などにおいて他の部材との摩擦によっても傷が発生しにくくなり、結果として耐久性(耐傷性)が向上するため好ましい。
ここで、本発明のPC樹脂の製造においては、式(6)のモノマー(二価フェノール)として、前記したビフェノール化合物およびビスフェノール化合物を併用して共重合体としてもよい。
H(CF2)nCH2OH
(nは、1〜12の整数)
F(CF2)mCH2OH
(mは、1〜12の整数)
これら末端停止剤の添加割合は、共重合組成比として、0.05〜30モル%、さらに好ましくは0.1〜10モル%であり、この割合が30モル%を超えると機械的強度の低下を招くことがあり、0.05モル%未満であると成形性の低下を招くことがある。
これら分岐剤の添加量は、共重合組成比で30モル%以下、好ましくは5モル%以下であり、これが30モル%を超えると成形性の低下を招くことがある。
さらに、必要に応じて、この反応系に亜硫酸ナトリウムやハイドロサルファイト塩などの酸化防止剤を少量添加してもよい。
反応温度は、冷却下に通常0〜70℃、好ましくは5〜65℃であり、反応時間は15分間〜4時間、好ましくは30分間〜3時間程度である。このようにして得られるポリ
カーボネートオリゴマーの平均分子量は6000以下、重合度は,通常20以下、好ましくは2〜10量体のものである。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよいが、通常は、常圧もしくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応時間は、反応温度によって左右されるが、通常0.5分間〜10時間、好ましくは1分間〜2時間程度である。
ここで、ポリシロキサンの繰り返し単位数が多くなるほど、同じ重合条件では、得られたPC樹脂がTHF溶液中で白濁しやすくなる(ヘーズが上昇)。これを防止するためには、ポリシロキサンの繰り返し単位数が多くなるほど、重合時の上記オリゴマー固形分濃度(溶媒中の重合活性成分量)を下げることが必要である。例えば、ポリカーボネートオリゴマーの固形分濃度をシロキサン鎖長(繰り返し単位数)に応じて、下記のような範囲とすることが好ましい。なお、溶媒は塩化メチレンが好ましいが他の溶媒でも傾向は同じである。
鎖長40〜58:150g/L以下
鎖長59〜92:120g/L以下
鎖長93〜137:100g/L以下
鎖長138〜158:60g/L以下
鎖長159〜350:30g/L以下
鎖長351〜700:10g/L以下
この反応にあたって、二価フェノールは、有機溶媒溶液および/またはアルカリ水溶液として添加するのが望ましい。その添加順序については、特に制限はない。なお、触媒、末端停止剤および分岐剤などは、上記の製造法において、必要に応じ、ポリカーボネートオリゴマーの製造時、その後の高分子量化の反応時のいずれか、またはその両方において添加して用いることができる。
このPC樹脂には、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、式(1)以外の構造単位を有するポリカーボネート単位や、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル構造を有する単位を含有しているものであってもよい。
を前記の範囲にするには、例えば、前記反応条件の選択、分岐剤や分子量調節剤の使用量の調節など各種の方法によってなすことができる。また、場合により、得られたPC樹脂に適宜物理的処理(混合、分画など)および/または化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所定の還元粘度[ηsp/C]のPC樹脂として取得することもできる。
また、得られた反応生成物(粗生成物)は、公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のものをPC樹脂として回収することができる。
本発明の電子写真感光体は、上述のPC樹脂を感光層中に用いる限り、公知の種々の形式の電子写真感光体はもとより、どのようなものとしてもよいが、感光層が、少なくとも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電荷輸送層を有する有機電子写真感光体、または、一層に電荷発生物質と電荷輸送物質を有する有機電子写真感光体とすることが好ましい。
本発明の電子写真感光体において、前記した本発明のPC樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、所望に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリカーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させてもよい。さらに、酸化防止剤等の添加物を含有させてもよい。
前記した電荷発生層や電荷輸送層のバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知の各種のものを使用することができる。具体的には、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、メタクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ビニルトルエン−スチレン共重合体、大豆油変性アルキッド樹脂、ニトロ化ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリイソプレン、ポリチオカーボネート、ポリアリレート、ポリハロアリレート、ポリアリルエーテル、ポリビニルアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いることもできるし、また、2種以上を混合して用いることもできる。なお、電荷発生層や電荷輸送層におけるバインダー樹脂としては、前記した本発明のPC樹脂を使用することが好適である。
この電荷輸送層において、本発明のPC樹脂は1種単独で用いることもでき、また2種以上混合して用いることもできる。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を本発明のPC樹脂と併用することも可能である。
本発明のPC樹脂と共に使用できる電荷輸送物質としては、公知の各種の化合物を使用することができる。このような化合物としては、カルバゾール化合物、インドール化合物、イミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、アニリン化合物、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、スチルベン化合物、フルオレノン化合物、ブタジエン化合物、キノン化合物、キノジメタン化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、イミダゾロン化合物、イミダゾリジン化合物、ビスイミダゾリジン化合物、オキサゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、キナゾリン化合物、ベンゾフラン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール樹脂、あるいはこれらの構造を主鎖や側鎖に有する重合体などが好適に用いられる。これら化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これら電荷輸送物質の中でも、特開平11−172003号公報において具体的に例示されている化合物が特に好適に用いられる。
なお、本発明の電子写真感光体においては、電荷発生層か電荷輸送層の少なくともいずれかに本発明のPC樹脂をバインダー樹脂として用いることが好適である。
このような酸化防止剤の具体例としては、特開平11−172003号公報の明細書に記載された化学式([化94]〜[化101])の化合物が好適である。
これら酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい、そして、これらは前記感光層のほか、表面保護層や下引き層、ブロッキング層に添加してもよい。
各層の塗布は公知のものなど各種の塗布装置を用いて行なうことができ、具体的には、例えば、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、チップコーター、ロールコーター、ディップコーター、ドクタブレード等を用いて行なうことができる。
具体的には、上述した式(6)のビスフェノールモノマー(各種のビスフェノール化合物とビフェノール化合物との組み合わせ)と、式(7)のポリシロキサンモノマー(末端封止剤)とを用いて重縮合反応を行ってPC樹脂を製造した。そして、このPC樹脂を用いて電子写真感光体を製造した後各種の評価を行った。
(製造例1:ビスフェノールAオリゴマーの合成)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン0.2kgを10質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.3kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.0kgとを混合して撹拌しながら、反応熱を除去する目的で冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合でpHが9以下になるまで吹き込んだ。次いで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た(固形分濃度0.28kg/L)。以後、このオリゴマーを、PCO−Aという。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン0.2kgを16質量%の水酸化カリウム水溶液1.2kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.3kgとを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合でpHが9以下になるまで吹き込んだ。次いで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た(固形分濃度0.26kg/L)。以後、このオリゴマーをPCO−Zという。
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン0.2kgを16質量%の水酸化カリウム水溶液1.2kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.0kgとを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合でpHが9以下になるまで吹き込んだ。次いで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た(固形分濃度0.30kg/L)。以後、このオリゴマーを、PCO−Cという。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン0.2kgを12質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.2kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.0kgとを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合でpHが9以下になるまで吹き込んだ。次いで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た(固形分濃度0.26kg/L)。以後、このオリゴマーを、PCO−Eという。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン0.2kgを12質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.0kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.0kgとを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合でpHが9以下になるまで吹き込んだ。次いで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た(固形分濃度260g/L)。以後、このオリゴマーを、PCO−Bという。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン0.2kgを16質量%の水酸化カリウム水溶液1.2kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.3kgとを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合でpHが9以下になるまで吹き込んだ。次いで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た(固形分濃度0.26kg/L)。以後、このオリゴマーを、PCO−Iという。
1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン0.2kgを16質量%の水酸化カリウム水溶液1.2kgに溶解した溶液と、塩化メチレン1.3kgとを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを1L/分の割合でpHが9以下になるまで吹き込んだ。次いで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜6であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た(固形分濃度0.26kg/L)。以後、このオリゴマーを、PCO−PMという。
PC樹脂をTHFに対して10質量%となるように溶解して、25℃で12時間静置した後、自公転式混合機(シンキー社製「あわとり練太郎」ARE−250)で、均一化・脱気したものを測定試料とした。
前記試料を、ガラスセル(光路幅:10mm、外幅:30mm、高さ:50mm)に入れ、泡が消えたことを確認した後、スガ試験機製全自動直続ヘーズコンピュータ(HGM−2D)を用い、JIS K7105に準拠して、25℃におけるヘーズを測定した。その際、光を通すスリットの直径を13mmとして測定した。
(PC樹脂の製造)
反応容器に、攪拌モーター、撹拌羽根、邪魔板を装着し、PCO−A(96mL)に塩化メチレン(354mL)を添加し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.06kg/Lになるように調製した。
次に、特開平7−173275号公報の段落〔0051〕に記載の製造例2−1に準拠して、シロキサン鎖長(Ts鎖長)が158になるように、ブチルリチウムとヘキサメチルシクロトリシロキサンの仕込み比を変更し、芳香族ヒドロキシ基を一方の末端に有するポリジメチルシロキサンを得た(以後、Tsモノマーという)。このTsモノマーにおけるZ(前記式(7)参照)は炭素数3のメチレン鎖である。
前記したPCO−A溶液にこのTsモノマーを0.3g、他の末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)0.36gを添加し、十分に混合されるように撹拌した。
本溶液に、別途調製した2N水酸化ナトリウム水溶液30mLを添加後、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1mL添加した。10分後、別途調製したモノマー溶液を全量添加し、引続き1時間撹拌を継続した。ここで、モノマー溶液は、2Nの水酸化ナトリウム水溶液120mLを室温以下に冷却した後、Na2S2O4を0.1g、4,4’−ビフェノール(BP)7gを添加し、完全に溶解して調製した。
得られた反応混合物を塩化メチレン2L、水1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水1Lで1回、0.1N水酸化ナトリウム水溶液1Lで1回、0.01Nの塩酸1Lで1回、水1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥する事によりPC樹脂(PC−1)を得た。
PC−1を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を作成し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、1.14dl/gであった。なお、PC−1の化学構造を1H−NMRにより分析したところ、下記式(8)の構造で示されるPC樹脂であることが確認された。以後は、下記のようなPC樹脂の各繰り返し単位を、各々ビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位と表現する。なお、末端基としては、PTBPにもとづくp−tert−ブチルフェニル基もあるが式(8)では省略している。
PC−1におけるポリシロキサン単位の質量分率は1%であった。PC−1の粘度平均分子量は、上記還元粘度から50000と計算された。PC−1をTHFに対して10質量%に溶解した溶液を調製し、白濁度を目視で観察するとともに、溶液のヘーズを測定した。結果を表1に示す。
導電性基体としてアルミニウム金属を蒸着したポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その表面に、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層して積層型感光層を形成した電子写真感光体を製造した。電荷発生物質としてオキソチタニウムフタロシアニン0.5質量部を用い、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂0.5質量部を用いた。これらを溶媒の塩化メチレン19質量部に加え、ボールミルにて分散し、この分散液をバーコーターにより、上記導電性基体フィルム表面に塗工し、乾燥させることにより、膜厚約0.5ミクロンの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として、下記式(9)の化合物(CTM−1)0.5g、上記で得られたPC樹脂(PC−1)0.5gを10ミリリットルのテトラヒドロフランに分散し、塗工液を調製した。この塗工液は、溶解初期、および1ヶ月間の放置によっても白化、ゲル化などは起こさなかった。この塗工液をアプリケーターにより、上記電荷発生層の上に塗布し、乾燥し、膜厚約20μmの電荷輸送層を形成した。
得られた電子写真感光体について、静電気帯電試験装置EPA−8100(川口電機製作所社製)を用いて電子写真特性を評価した。具体的には、スタティックモードで−6kVのコロナ放電を行い、初期表面電位(VO),光照射(10Lux)5秒後の残留電位(VR),半減露光量(初期感度、E1/2)を測定した。また、市販のプリンター(FS−600、京セラ製)を改造して感光体の表面電位を測定可能とした上で、前記感光体をドラム上に装着し、帯電特性の評価を行った。具体的には、高温・高湿下(35℃、85%RH)において、トナーおよび紙を通さない条件で、24時間繰り返し運転前後の帯電特性(繰返し残留電位上昇(ΔVR))の評価を行った。
PC−1を1.0g、および式(9)の化合物(CTM−1)を1.0g秤量して、テトラヒドロフラン(THF)12mLに溶解した。この溶液を、PETフィルム(厚さ0.5mm)上に塗付した。乾燥後に得られたPC樹脂キャスト膜(30μm)を試験用試料とした。
次に、スガ試験機製スガ摩耗試験機を用い、摩耗輪にPPC用紙を10mm幅に切ったものを両面テープで貼り付けた後、前記試料をセットし、加重20gfで100回往復させた。このような荷重下でPPC用紙を往復させることにより、試料表面に線状に傷が発生する。傷がついた試料の中心部分に着目し、用紙の往復方向と直角をなす方向について傷の数を目視で数えた。n=3で実験し、以下のような基準で耐擦傷性を評価した。
目視にて認められた傷の平均数が3以下の場合を◎、4〜10の場合を○、11以上の場合を×とした。なお、この耐擦傷性は、PC樹脂を電子写真感光体のバインダ樹脂として使用した場合を想定しており、電子写真感光体としての耐擦傷性と同等である。
表1に、実施例1および後述する実施例2〜10、比較例1、2の評価結果を示す。
実施例1において、PCO−Aの量を96mLから241mL、塩化メチレン量を209mLに変更し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.15kg/Lになるように調製し、BP量を18g、Ts鎖長を58、Tsモノマー量を1.0g、PTBPを0.81gに変更し、Tsモノマーにおけるメチレン鎖(前記式(7)におけるZ)の炭素数を4とした。それ以外は、実施例1と同様にして、PC樹脂(PC−2)を製造した。PC−2の[ηsp/C]は、1.18dl/g、粘度平均分子量は、52000であった。PC−2のビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.8:0.2:0.001であった。PC−2におけるポリシロキサン単位の質量分率は1%であった。PC−2およびPC−2から実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、PCO−A(96mL)をPCO−Z(260mL)、塩化メチレン量を190mLに変更し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.15kg/Lになるように調製し、BP量を12g、Ts鎖長を58、Tsモノマー量を2.3g、PTBPを0.40gに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、PC樹脂(PC−3)を製造した。PC−3の[ηsp/C]は1.16dl/g、粘度平均分子量は51000であった。PC−3のビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.85:0.15:0.002であった。PC−3におけるポリシロキサン単位の質量分率は3%であった。
PC−3およびPC−3から実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、PCO−A(96mL)をPCO−Z(173mL)、塩化メチレン量を277mLに変更し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.10kg/Lになるように調製し、BP量を8g、Ts鎖長を91、Tsモノマー量を1.5g、PTBPを0.27gに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、PC樹脂(PC−4)を製造した。PC−4の[ηsp/C]は、1.19dl/g、粘度平均分子量は、52000であった。PC−2のビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.85:0.15:0.001であった。PC−4におけるポリシロキサン単位の質量分率は3%であった。
PC−4およびPC−4から実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、PCO−A(96mL)をPCO−Z(104mL)、塩化メチレン量を346mLに変更し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.06kg/Lになるように調製し、BP量を5g、Ts鎖長を158、Tsモノマ−量を0.9g、PTBPを0.16gに変更し、o−アリルフェノールに代えてp−アリルフェノールを使用して、メチレン鎖の結合位置をパラ位にした。それ以外は、実施例1と同様にして、PC樹脂(PC−5)を製造した。PC−5の[ηsp/C]は、1.15dl/g、粘度平均分子量は、50000であった。PC−5のビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.85:0.15:0.001であった。PC−5におけるポリシロキサン単位の質量分率は3%であった。
PC−5およびPC−5から実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、PCO−A(96mL)をPCO−E(173mL)、塩化メチレン量を277mLに変更し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.10kg/Lになるように調製し、BPの替わりに9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン23g、Ts鎖長を97、Tsモノマー量を1.3g、PTBPを0.27gに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、PC樹脂(PC−6)を製造した。PC−6の[ηsp/C]は、1.63dl/g、粘度平均分子量は、71000であった。PC−6のビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.8:0.2:0.002であった。PC−6におけるポリシロキサン単位の質量分率は2%であった。
PC−6およびPC−6から実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、PCO−A(96mL)をPCO−B(173mL)、塩化メチレン量を277mLに変更し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.10kg/Lになるように調製し、BPの替わりに9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン26g、Ts鎖長を80、Tsモノマー量を0.7g、PTBPを1.10gに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、PC樹脂(PC−7)を製造した。PC−7の[ηsp/C]は、0.56dl/g、粘度平均分子量は、23000であった。PC−7のビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.8:0.2:0.0005であった。PC−7におけるポリシロキサン単位の質量分率は1%であった。
PC−7およびPC−7から実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、PCO−A(96mL)をPCO−C(150mL)、塩化メチレン量を300mLに変更し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.10kg/Lになるように調製し、BPの替わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)1−フェニルエタン17g、Ts鎖長を80、Tsモノマー量を2.6g、PTBPを0.35gに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、PC樹脂(PC−8)を製造した。PC−8の[ηsp/C]は、0.71dl/g、粘度平均分子量は、30000であった。PC−8のビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.8:0.2:0.003であった。PC−8におけるポリシロキサン単位の質量分率は5%であった。
PC−8およびPC−8から実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、PCO−A(96mL)をPCO−Z(52mL)、塩化メチレン量を398mLに変更し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.03kg/Lになるように調製し、BP量を2.4g、Ts鎖長を300、Tsモノマー量を0.5g、PTBPを0.08gに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、PC樹脂(PC−9)を製造した。PC−9の[ηsp/C]は、1.10dl/g、粘度平均分子量は、48000であった。PC−9のビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.8:0.2:0.0004であった。PC−9におけるポリシロキサン単位の質量分率は3%であった。
PC−9およびPC−9から実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、PCO−A(96mL)をPCO−Z(52mL)、塩化メチレン量を398mLに変更し、塩化メチレン中の固形分濃度が0.03kg/Lになるように調製し、BP量を2.4g、Ts鎖長を158、Tsモノマー量を0.5g、PTBPを0.08gに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、PC樹脂(PC−10)を製造した。PC−10の[ηsp/C]は、1.12dl/g、粘度平均分子量は、49000であった。PC−10のビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比、0.8:0.2:0.0008であった。PC−10におけるポリシロキサン単位の質量分率は3%であった。
PC−10およびPC−10から実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例9において、TsモノマーのTs鎖長を710に変更した以外は、実施例9と同様にしてPC樹脂(PC−11)を製造した。
PC−11を実施例1と同様にして評価したところ、[ηsp/C]は1.12dl/g、粘度平均分子量は49000であった。また、このPC−11におけるビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.8:0.2:0.0002であった。PC−11におけるポリシロキサン単位の質量分率は3%であった。
実施例8のTsモノマーを、Ts鎖長が20のものに変更した以外は、比較例1と同様にしてPC−12を製造した。
PC−12を実施例1と同様にして評価したところ、[ηsp/C]は0.72dl/g、粘度平均分子量は30000であった。また、このPC−12におけるビスフェノール単位、ビフェノール単位およびポリシロキサン単位のモル比は、0.8:0.2:0.01であった。PC−12におけるポリシロキサン単位の質量分率は1%であった。
表1に、実施例1〜10および比較例1、2の評価結果を示す。実施例1〜10よりわかるように、本発明のPC樹脂をバインダー樹脂として用いた電子写真感光体は、各種電気特性および耐擦傷性に優れる。一方、比較例1ではTHF溶液がかなり白濁しているが、そのためCTM−1の分散状態が悪化し、分散不良により発生した界面部分が電荷移動時のトラップサイトになり、結果として電気特性に劣っている。具体的には、表1において、初期残留電位(VR)のマイナス値、初期感度(E1/2)、繰返し残留電位上昇(ΔVR)が大きいことから、電子写真の画像の鮮明性に劣ることがわかる。また、比較例2では、Ts鎖長が短いため、耐擦傷性に劣っている。
Claims (7)
- 下記式(1)に示すモノマー単位を有するポリカーボネート樹脂であって、
少なくとも一端が下記式(2)で示す末端基により封止された構造であり、
該ポリカーボネート樹脂を、THF(テトラヒドロフラン)に10質量%の濃度で溶解した溶液のヘーズ(JIS K7105に準拠、光路長10mm)が5%以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
(式中、Arは、2価の芳香族基を示す。)
(式中、Zは、炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基、R1は、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、R2〜R5は各々独立に水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示す。nは40〜700の整数である。) - 請求項1に記載のポリカーボネート樹脂において、
前記式(1)におけるArが下記式(3)で示される官能基を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂。
{式中、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基および炭素数6〜12のアリールオキシ基から選ばれたいずれかの官能基を示す。Xは、単結合、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CX1X2−(ここで、X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、置換または無置換の炭素数1〜10のアルキル基、および置換または無置換の炭素数6〜12のアリール基から選ばれる官能基を示す。)、置換または無置換の炭素数5〜11のシクロアルキリデン基、置換または無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、置換または無置換の9,9−フルオレニリデン基、置換または無置換の炭素数6〜12のアリーレン基、下記式(4)で示されるテルペン類から誘導される二価の官能基、ならびに下記式(5)で示される炭素数8〜16のアルキリデンアリーレンアルキリデン基から選ばれる官能基を示す。ただし、X1とX2がともにメチル基の場合は、Xは−CX1X2−単独であることはない。}
(式中、R8〜R10は、R6およびR7と同様の官能基を示す。)
(式中、R11〜R13は、R6およびR7と同様の官能基を示す。) - 請求項2に記載のポリカーボネート樹脂において、
前記式(3)におけるXが−CHCH3−、−C(CH3)C2H5−、単結合、置換または無置換の炭素数5〜11のシクロアルキリデン基、および置換または無置換の9,9−フルオレニリデン基から選ばれる官能基であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。 - 請求項2または請求項3に記載のポリカーボネート樹脂において、
前記式(3)で示される官能基が、(A)Xが単結合である官能基と、Xが単結合以外である官能基との組み合わせ、(B)Xが置換または無置換の炭素数5〜11のシクロアルキリデン基である官能基と、Xが置換または無置換の炭素数5〜11のシクロアルキリデン基以外である官能基との組み合わせ、(C)Xが置換または無置換の9,9−フルオレニリデン基である官能基と、Xが置換または無置換の9,9−フルオレニリデン基以外である官能基との組み合わせ、(D)Xが炭素数8〜16のアルキリデンアリーレンアルキリデン基である官能基と、Xが炭素数8〜16のアルキリデンアリーレンアルキリデン基以外である官能基との組み合わせであることを特徴とするポリカーボネート樹脂。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂において、
前記式(2)で示される末端基の該ポリカーボネート樹脂全体に占める割合が0.01〜50質量%であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂、および溶媒を含有することを特徴とする塗工液。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする電子写真感光体。
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