JP4473904B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
そこで、フェノール構造単位として、ビスフェノールAと特定のビフェノールとを混合した原料を用いて重縮合を行い、透明性を損なうことなく耐熱性に優れたポリカーボネート共重合体を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1)。また、この共重合体を電子写真感光体に適用する技術も知られている(例えば、特許文献2)。
また、溶融共重縮合により、YIが1.3〜1.4程度のポリカーボネート共重合体を得る技術(例えば、特許文献3)、界面重縮合時に、ナトリウムビスフェノラート溶液中の溶存酸素量を150ppb未満にして低黄色度(YI)のポリカーボネートを得る技術(例えば、特許文献4)も知られている。
また、特許文献3のように、溶融共重縮合で得られたポリカーボネート共重合体は、不純物の除去が困難であるという問題がある。さらに特許文献4に開示されているのは、ビフェノール類としてビスフェノールAを単独で用いたポリカーボネートであって、共重縮合を行うような特殊な系については何ら開示されていない。ビスフェノールAと共重縮合させるコモノマーの種類により着色の挙動は全く異なるため、特許文献4に開示された技術を前記したポリカーボネート共重合体の重合管理に適用することは困難である。
そこで、本発明の目的は、重合後だけでなく成形後にも着色が少なく、静電気特性にも優れたポリカーボネート共重合体、該共重合体からなる成形体、光学材料および電子写真感光体を提供することにある。
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子,炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基またはハロゲン原子を示す。)
(式中、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基またはハロゲン原子を示し、Xは、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、9,9−フルオレニリデン基、下記式(2a)、(2b)、(2c)および(2d)で示されるいずれかの結合基である。)
(式中、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜12のアリール基を示す。また、R5、R6は互いに結合して炭素数4〜12のシクロアルキリデン基を構成していてもよい。)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。また、Rのうち少なくとも一つ、好ましくは3つが炭素数1〜3のアルキル基である。)
(式中、結合位置は、0−、m−、p−のいずれでもよい。)
(式中、R7〜R12は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは単結合またはアルキレン基からなる結合基を示す。ただし、R7〜R12のうち2つが結合基であり、残りは水素または炭素数1〜4のアルキル基である。)
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子,炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基またはハロゲン原子を示す。)
前記式(3)で示されるビフェノール類の含有量とは、重縮合反応後における共重合PC中の未反応残存量であり、60質量ppm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは30質量ppm以下であり、最も好ましくは10質量ppm以下である。
本発明の成形体によれば、ビフェノール類の含有量が90ppm以下であると、光、熱、酸化性物質、湿気などによる劣化が抑制されるため、成形体の経時的変色が抑制され、結果として品質の劣化が少ない。また、電子写真感光体として用いた場合には、繰り返し使用時の残留電位の上昇が特に抑制されるので非常に有用である。
ここで、電子写真感光体とは、例えば、導電性基板上に感光層を設けた電子写真感光体であって、前記した共重合PCをバインダー樹脂や表面コート樹脂として好適に用いることができる。
本発明の電子写真感光体によれば、前記した共重合PCをいわゆるバインダー樹脂等として用いているので、静電気特性に優れており、特に繰り返し使用時の残留電位の上昇幅が小さいため極めて有用である。
[共重合PCの構造]
本発明の共重合PCは、下記式(1)で示されるモノマー単位0.1〜50モル%と、下記式(2)で示されるモノマー単位とを含んで構成されるポリカーボネート共重合体であって、下記式(3)で示される構造を有するビフェノール類の含有量が90質量ppm以下である。
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子,炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基またはハロゲン原子を示す。)
(式中、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基またはハロゲン原子を示し、Xは、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、9,9−フルオレニリデン基、下記式(2a)、(2b)、(2c)および(2d)で示されるいずれかの結合基である。)
(式中、R5、R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜12のアリール基を示す。また、R5、R6は互いに結合して炭素数4〜12のシクロアルキリデン基を構成していてもよい。)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。また、Rのうち少なくとも一つ、好ましくは3つが炭素数1〜3のアルキル基である。)
(式中、結合位置は、0−、m−、p−のいずれでもよい。)
(式中、R7〜R12は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは単結合またはアルキレン基からなる結合基を示す。ただし、R7〜R12のうち2つが結合基であり、残りは水素または炭素数1〜4のアルキル基である。)
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子,炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基またはハロゲン原子を示す。)
前記式(1)で表されるモノマー単位の割合が0.1モル%未満であると、ビフェノール骨格による改質効果が得られず、耐熱性が不足したり、湿式成形時の塗工液が白化(ゲル化)する。また、電子写真感光体用の成形体(バインダー樹脂)として用いた場合に、電荷輸送層の結晶化の防止や耐刷寿命の向上の達成が困難となる。一方、このモノマー単位の割合が50モル%を越えた場合には、共重合PCの一部(ビフェノール骨格)に結晶化が起こりやすくなり透明性が悪化するので電子写真感光体用バインダー樹脂としては不適当なものとなる。例えば、透過光量が低下すると電子写真感光体の感度が低下する。また、ヘイズが大きいと、画像ぼけが発生して好ましくない。
前記式(1)で示されるモノマー単位の好ましい範囲は、1〜40モル%であり、より好ましくは、5〜30モル%である。
このビフェノール類の含有量とは重縮合反応における未反応残存量であり、60質量ppm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは30質量ppm以下であり、最も好ましくは10質量ppm以下である。
なお、本発明の共重合PCは、本発明の目的に支障のない範囲で、前記以外の他のモノマー単位を有していてもよく、また、他のポリカーボネート成分や添加物を適宜添加配合して使用することもできる。
本発明の共重合PCは、下記式(3)示されるモノマーと、下記式(4)で示されるモノマーとの混合モノマーを用いて重縮合反応を行うことで容易にフレーク状の粉体として得ることができる。
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子,炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基またはハロゲン原子を示す。)
(式中、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12のアリール基またはハロゲン原子を示し、Xは、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、9,9−フルオレニリデン基、前記式(2a)、(2b)、(2c)および(2d)で示されるいずれかの結合基である。)
さらに好ましくは、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである。
このようなビスフェノール化合物をモノマーとして製造された共重合PCを電子写真感光体に適用すると、クリーニング工程などにおいて他の部材との摩擦によっても摩耗しにくくなり、結果として耐久性が向上するため好ましい。
例えば、ホスゲンをはじめとする各種のジハロゲン化カルボニル、あるいはクロロフォルノート化合物等のハロホルメート類、炭酸エステル化合物などを用いて、酸結合剤の存在下に界面重縮合を行うことで好適に炭酸エステル結合を形成することができる。あるいは、エステル交換反応を採用してもよい。これらの反応は、必要に応じて末端停止剤および/または分岐剤の存在下で行われる。
H(CF2)nCH2OH
(nは、1〜12の整数)
F(CF2)mCH2OH
(mは、1〜12の整数)
これら末端停止剤の添加割合は、共重合組成比として、0.05〜30モル%、さらに好ましくは0.1〜10モル%であり、この割合が30モル%を超えると機械的強度の低下を招くことがあり、0.05モル%未満であると成形性の低下を招くことがある。
これら分岐剤の添加量は、共重合組成比で30モル%以下、好ましくは5モル%以下であり、これが30モル%を超えると成形性の低下を招くことがある。
さらに、必要に応じて、この反応系に亜硫酸ナトリウムやハイドロサルファイト塩などの酸化防止剤を少量添加してもよい。
反応温度は、冷却下に通常0〜70℃、好ましくは5〜65℃であり、反応時間は15分間〜4時間、好ましくは30分間〜3時間程度である。このようにして得られるポリカーボネートオリゴマーの平均分子量は6000以下、重合度は,通常20以下、好ましくは2〜10量体のものである。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよいが、通常は、常圧もしくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応時間は、反応温度によって左右されるが、通常0.5分間〜10時間、好ましくは1分間〜2時間程度である。
この反応にあたって、二価フェノールは、有機溶媒溶液および/またはアルカリ水溶液として添加するのが望ましい。その添加順序については、特に制限はない。なお、触媒、末端停止剤および分岐剤などは、上記の製造法において、必要に応じ、ポリカーボネートオリゴマーの製造時、その後の高分子量化の反応時のいずれか、またはその両方において添加して用いることができる。
本発明においては、共重合PCをフレーク化した後は、未反応モノマーや低分子量不純物がポリマー固体内部に取り込まれるため、水などの液体で洗浄しても、フレーク表面に付着したものしか除去されない。一方、ポリマー溶液の洗浄においては、アルカリ可溶成分である残留モノマー等を逆抽出することにより不純物を低減することができる。
HCI水溶液の好適な濃度範囲は、アルカリが中和される濃度(例えば、0.001〜0.1N)であればよい。HCI水溶液での洗浄では、残存するアルカリ成分が、ポリマーの分解に影響しない程度まで洗浄する。例えば、後述する本発明の実施例では1〜3回程度である。
また、この共重合PCには、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、前記式(1)および前記式(2)以外の構造単位を有するポリカーボネート単位や、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン構造を有する単位を含有しているものであってもよい。
さらにまた、共重合PCのYIを3以下に制御するには、ビフェノール類中の3−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルの含有量を370質量ppm以下、好ましくは300質量ppm以下、より好ましくは30質量ppm以下とすることも有効である。
また、得られた反応生成物(粗生成物)は、公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のものを共重合PCとして回収することができる。
本発明の電子写真感光体は、上述の共重合PCを感光層中のバインダー樹脂として利用する限り、公知の種々の形式の電子写真感光体はもとより、どのようなものとしてもよいが、感光層が、少なくとも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電荷輸送層を有する有機電子写真感光体、または、一層に電荷発生物質と電荷輸送物質を有する有機電子写真感光体とすることが好ましい。
本発明の電子写真感光体において、前記した本発明の共重合PCは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、所望に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリカーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させてもよい。さらに、酸化防止剤等の添加物を含有させてもよい。
前記した電荷発生層や電荷輸送層のバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知の各種のものを使用できる。具体的には、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ブチラール樹脂、ポリエステル、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、メタクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ビニルトルエン−スチレン共重合体、大豆油変性アルキッド樹脂、ニトロ化ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポイソプレン、ポリチオカーボネート、ポリアリレート、ポリハロアリレート、ポリアリルエーテル、ポリビニルアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いることもできるし、また、2種以上を混合して用いることもできる。なお、電荷発生層や電荷輸送層におけるバインダー樹脂としては、前記した共重合PCを使用することが好適である。
この電荷輸送層において、本発明の共重合PCは1種単独で用いることもでき、また2種以上混合して用いることもできる。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を本発明の共重合PCと併用することも可能である。
本発明の共重合PCと共に使用できる電荷輸送物質としては、公知の各種の化合物を使用することができる。このような化合物としては、カルバゾール化合物、インドール化合物、イミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、アニリン化合物、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、スチルベン化合物、フルオレノン化合物、ブタジエン化合物、キノン化合物、キノジメタン化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、イミダゾロン化合物、イミダゾリジン化合物、ビスイミダゾリジン化合物、オキサゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、キナゾリン化合物、ベンゾフラン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール樹脂、あるいはこれらの構造を主鎖や側鎖に有する重合体などが好適に用いられる。これら化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これら電荷輸送物質の中でも、特開平11−172003公報において具体的に例示されている化合物が特に好適に用いられる。
なお、本発明の電子写真感光体においては、電荷発生層か電荷輸送層の少なくともいずれかに本発明の共重合PCをバインダー樹脂として用いる。
前記可塑剤の具体例としては、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、ハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ラウリル酸ブチル、メチルフタリールエチルグリコレート、ジメチルグリコールフタレート、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、ポリプロピレン、ポリスチレン、フルオロ炭化水素などが挙げられる。
このような酸化防止剤の具体例としては、特開平11ー172003号公報の明細書に記載された化学式([化94]〜[化101])の化合物が好適である。
これら酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい、そして、これらは前記感光層のほか、表面保護層や下引き層、ブロッキング層に添加してもよい。
各層の塗布は公知のものなど各種の塗布装置を用いて行なうことができ、具体的には、例えば、アプリケータ、スプレーコーター、ベーコーター、チップコーター、ロールコーター、ディップコーター、ドクタブレード等を用いて行なうことができる。
具体的には、所定のビスフェノール化合物モノマーとビフェノール化合物モノマーとを用いて重縮合反応を行って共重合PCを製造し、さらにこれを用いて電子写真感光体を製造した後各種の評価を行った。
(共重合PCの製造)
2,2−ビス(4−ビドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)74gを6質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550mlに溶解した溶液と、塩化メチレン250mlとを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを950ml/分の割合で15分間吹き込んだ。次いで、この反応液を静置分離し、有機層に重合度が2〜4であり、分子末端にクロロホルメート基を有するオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。得られたオリゴマー溶液に塩化メチレンを加えて全量を450mlとした。
次に、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(トリヒドロキシビフェニル含有量:321質量ppm、3−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル含有量:349質量ppm)24gを8質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液150mlに溶解し、これに分子量調節剤であるp−tert−ブチルフェノール3.0gを加えた(ビフェノール水溶液)。本実施例においては、4,4’−ジヒドロキシビフェニルは、市販品を精製せずに用いた。また、4,4’−ジヒドロキシビフェニル中の不純物含有量は、液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
次に、撹拌羽根を装着したバッフル付き容器を別途用意し、これにメタノール2リットルを投入した。容器中のメタノールを撹拌羽根で十分撹拌しながら、前記したポリマー溶液のうち1リットルを、粒子が形成される速度でゆっくり滴下し、再沈によるフレーク化処理を行った。滴下終了後、撹拌速度を十分保ちながらさらに10分間撹拌した後、さらにメタノールを2リットル追加投入し、撹拌をさらに5分間継続した。得られたフレークを濾過・乾燥して評価用の共重合PC(PC−1)とした。
PC−1について、その状態(フレーク状粉体)のままでYIの測定を行った(JIS K 7105に準拠)。
次に、PC−1を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を作成し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、0.82dl/gであった。なお、PC−1の化学構造を1H−NMRにより分析したところ、下記式(5)で示される共重合PCであることが確認された。
PC−1(2.5g)を、共栓付三角フラスコに入れ、塩化メチレン25mlで溶解した。次に、酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ製 イルガノックス1010、30mg)を添加した後、溶液をマグネチックスターラーで強撹拌しながら、アセトン100ml、ヘキサン100mlを順次約1分間づつかけて徐々に添加しながら樹脂分を析出させた。析出物を吸引濾過した後、濾液を濃縮用容器に移し、45℃の湯浴に付けた状態で窒素ガスを吹き込みながら溶剤を揮発させて濃縮した。得られた濃縮物をテトラヒドロフラン10mlに溶解後、4,4’−ビフェノールの量をHPLC(High performance liquid chromatography)により絶対検量線法で測定した(Agilent社製100シリーズ、カラム:TOSOH社製 ODS系、内径4.6mm、長さ25cm)。ここで、測定時の移動相は、蒸留水(蟻酸を0.1容量%添加)とアセトニトリルの混合系を使用し、グランジェントモード(アセトニトリル濃度:30〜100容量%−20min、流量:1.0ml/min)を用いて紫外検出器(280nm)により測定した。
なお、PC−1中に残存する4,4’−ビフェノール濃度(質量ppm)は、4,4’−ビフェノール(純品)を樹脂中に所定濃度添加した系について、別途回収率(%)を求めておき、「HPLCにより測定した4,4’−ビフェノール濃度(質量ppm)/(回収率(%)/100)」とする補正を行って求めた。
射出成形品のYI:2以下を◎、4以下を○、4を越えるものを×とした。
全光線透過率 :89%以上を○、89%未満を×とした。
導電性基体としてアルミニウム金属を蒸着したポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その表面に、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層して積層型感光層を形成する電子写真感光体を製造した。具体的には、電荷発生層と電荷輸送層を以下のようにして形成した。
電荷発生物質としてオキソチタニウムフタロシアニン0.5質量部を用い、バインダー樹脂としてブチラール樹脂0.5質量部を用いた。これらを溶媒の塩化メチレン19質量部に加え、ボールミルにて分散し、この分散液をバーコーターにより、上記導電性基体フィルム表面に塗工し、乾燥させることにより、膜厚約0.5μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として、下記式(6)で示される化合物(CTM−1)0.5gと、PC−1のフレーク0.5gとを10mlのテトラヒドロフランに分散し、塗工液を調製した。この塗工液をアプリケータにより上記の電荷発生層の上に塗布して乾燥し、膜厚約20μmの電荷輸送層を形成した。
得られた電子写真感光体について、静電気帯電試験装置EPA−8100(川口電機製作所製)を用いて電子写真特性を評価した。具体的には、スタティックモードで−6kVのコロナ放電を行い、初期表面電位(VO)、光照射(10Lux)5秒後の残留電位(初期残留電位 VR)、半減露光量(初期感度、E1/2)を測定した。また、市販のプリンター(京セラ製 FS−600)を改造して感光体の表面電位を測定可能とした上で、前記感光体をドラム上に装着し、帯電特性の評価を行った。具体的には、高温・高湿下(35℃、85%RH)において、トナーおよび紙を通さない条件で、24時間繰り返し運転前後の帯電特性(繰返し残留電位上昇(ΔVR))の評価を行った。
前記した各項目は、以下のような評価基準により判断した。
初期表面電位(V0):−700V以下を○、この値を越えたものを×とした。
初期残留電位(VR):−40V以上(絶対値としては40V以下の値)を○、この値を下回ったもの(絶対値が40Vを越えるもの)を×とした。
初期感度(E1/2) :0.85Lux・sec以下を○、この値を越えたものを×とした。
繰返し残留電位上昇(ΔVR):繰り返しによる残留電位の絶対値の上昇幅が40V以内を○、その値を越えたものを×とした。
実施例1の共重合PCの製造において、水洗が終了したポリマー溶液に、アセトンに溶解した4,4’−ジヒドロキシビフェニル(本州化学製、トリヒドロキシビフェニル含有量:321質量ppm、3−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル含有量:49質量ppm)を、樹脂固形分全量に対して、90質量ppmとなる量を計算して添加した。(溶剤への溶出量と、固形分への残存量の比率を実験により求め添加量を決定した)。
前記した以外は、実施例1と同様にして共重合PC(PC−2)を製造した。PC−2を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を作成し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、0.82dl/gであった。また、PC−2の化学構造を1H−NMRにより分析したところ、PC−1と同一の構造であることが確認された。
PC−2および、この共重合PCから実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の共重合PCの製造において、反応生成物の水酸化ナトリウム水溶液による洗浄回数を3回に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合PC(PC−3)を製造した。PC−3を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を作成し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、0.82dl/gであった。また、PC−3の化学構造を1H−NMRにより分析したところ、PC−1と同一の構造であることが確認された。
PC−3および、この共重合PCから実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の共重合PCの製造において、2,2−ビス(4−ビドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)74gを1,1−ビス(4−ビドロキシフェニル)シクロヘキサン87gに変更し、6質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550mlを1.5規定の水酸化カリウム水溶液550mlに変更した以外は、実施例1と同様にして共重合PC(PC−4)を製造した。PC−4を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を作成し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、0.83dl/gであった。また、PC−4の化学構造を1H−NMRにより分析したところ、下記式(7)で示される共重合PCであることが確認された。PC−4および、この共重合PCから実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の共重合PCの製造において、2,2−ビス(4−ビドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)74gを1,1−ビス(4−ビドロキシフェニル)エタン69gに変更し、6質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550mlを1.5規定の水酸化カリウム水溶液550mlに変更した以外は、実施例1と同様にして共重合PC(PC−5)を製造した。PC−5を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を作成し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、0.83dl/gであった。また、PC−5の化学構造を1H−NMRにより分析したところ、下記式(8)で示される共重合PCであることが確認された。PC−5および、この共重合PCから実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の共重合PCの製造において、2,2−ビス(4−ビドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)74gを2,2−ビス(4−ビドロキシフェニル)ブタン79gに変更し、6質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550mlを1.5規定の水酸化カリウム水溶液550mlに変更した以外は、実施例1と同様にして共重合PC(PC−6)を製造した。PC−6を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を作成し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、0.82dl/gであった。また、PC−6の化学構造を1H−NMRにより分析したところ、下記式(9)で示される共重合PCであることが確認された。PC−6および、この共重合PCから実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の共重合PCの製造において、2,2−ビス(4−ビドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)74gを2,2−ビス(3−メチル−4−ビドロキシフェニル)プロパン83gに変更し、6質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550mlを1.5規定の水酸化カリウム水溶液550mlに変更した以外は、実施例1と同様にして共重合PC(PC−7)を製造した。PC−7を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を作成し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、0.82dl/gであった。また、PC−7の化学構造を1H−NMRにより分析したところ、下記式(10)で示される共重合PCであることが確認された。PC−7および、この共重合PCから実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1の共重合PCの製造において、重縮合反応終了後、塩化メチレンで希釈されたポリマー溶液の洗浄方法を、水1.5リットルで2回、0.01規定塩酸1リットルで1回、水1リットルで2回の順に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合PC(PC−8)を製造した。PC−8を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dlの溶液を作成し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、0.83dl/gであった。また、PC−8の化学構造を1H−NMRにより分析したところ、PC−1と同一の構造であることが確認された。
PC−8および、この共重合PCから実施例1と同様にして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。
表1に、実施例1〜7および比較例1の評価結果を示す。
Claims (2)
- 下記式(1)で示されるモノマー単位0.1〜50モル%と、下記式(2)で示されるモノマー単位とを含んで構成されるポリカーボネート共重合体であって、下記式(3)で示される構造を有するビフェノール類の含有量が90質量ppm以下であるポリカーボネート共重合体を含むことを特徴とする電子写真感光体。
- 請求項1に記載の電子写真感光体において、
前記ポリカーボネート共重合体を湿式成形してなる成形体を含むことを特徴とする電子写真感光体。
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