JP6634011B2 - ポリカーボネート共重合体、塗工液、電子写真感光体、および電気機器 - Google Patents

ポリカーボネート共重合体、塗工液、電子写真感光体、および電気機器 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート共重合体、塗工液、電子写真感光体、および電気機器に関する。
ポリカーボネート樹脂は、機械的性質、熱的性質、および電気的性質に優れている。そのため、ポリカーボネート樹脂は、様々な産業分野において成形品等の素材に用いられてきた。近年、ポリカーボネート樹脂の前述の特性に併せて、さらに光学的性質等をも利用することで、ポリカーボネート樹脂は、機能的な製品の分野においても多用されている。このような用途および分野の拡大に伴って、ポリカーボネート樹脂に対する要求される性能も多様化している。
ポリカーボネート樹脂に対するこのような要求に応えるため、様々な化学構造を有するポリカーボネート共重合体が、その用途および要求特性に応じて提案されている。
例えば、特許文献1には、ビフェノール化合物やビスフェノール化合物等の二価フェノール化合物から誘導されるビスクロロホーメートオリゴマーと、二価フェノール化合物とを重縮合させてなるポリカーボネート共重合体が記載されている。特許文献2には、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニルと、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、または2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)からなるポリカーボネート共重合体が記載されている。特許文献3には、二価フェノール成分と3−tertブチルイソフタル酸を含有する芳香族ジカルボン酸成分とからなるポリアリレート樹脂が記載されている。
特開2011−026574号公報 特開2012−051983号公報 特許第3402936号公報 特開昭57−177017号公報
ところで、ポリカーボネート樹脂の電気的性質および光学的性質を利用した製品の一例として、ポリカーボネート樹脂を、電荷発生材料および電荷輸送材料等の機能性材料のバインダー樹脂として使用した電子写真感光体が挙げられる。
電子写真感光体は、電子写真プロセスに応じて、所定の感度、電気特性および光学特性を備えていることが要求される。
また、電子写真感光体は、その感光層の表面に、種々の操作(例えば、コロナ帯電、トナー現像、紙への転写、およびクリーニング処理等)が繰返し行われるため、これら操作を行う度に電気的な外力および機械的な外力の少なくともいずれかが加えられる。従って、長期間に亘って電子写真の画質を維持するためには、電子写真感光体の表面に設けた感光層に、これら外力に対する耐久性が要求される。
感光層の機械的強度を向上させるための効果的な技術として、ポリカーボネート共重合体が知られている。
例えば、溶解性の良好なビスフェノールZ骨格に耐摩耗性の良好なビフェノールを共重合してポリカーボネート共重合体を製造する技術が知られている。特許文献1には、オリゴマーの量体数を低減した原料から製造したポリマーが開示されている。当該ポリマーは、耐摩耗性の良好なビフェノール等の骨格の共重合比を25〜47モル%まで向上しており、機械強度が良好になることが報告されている。しかしながら、機械強度がさらに向上したポリカーボネート樹脂が求められている。
また、近年では、ポリカーボネート共重合体に対し、機械的強度に加えて電気的強度の更なる向上が要求されるようになってきた。
特許文献2に記載のポリカーボネート共重合体は、耐摩耗性に優れるが、電気的強度が十分ではなく、機能的な製品に応用するには性能不十分であった。
また、特許文献3に記載のポリアリレート樹脂は、電気的強度に優れるが、機械的強度については十分でなく、近年の高耐久化ニーズには性能不十分であった。
本発明の目的は、機械的強度および電気的強度に優れたポリカーボネート共重合体、当該ポリカーボネート共重合体を用いた塗工液、並びに機械的強度および電気的強度に優れた電子写真感光体および当該電子写真感光体を用いた電気機器を提供することである。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、PPE(ポリフェニレンエーテル,Polyphenylene ether)骨格を共重合させたポリカーボネート共重合体が、機械的強度および電気的強度に優れていることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の一態様に係るポリカーボネート共重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位Aを有し、連鎖末端が一価の芳香族基または一価のフッ素含有脂肪族基により封止されている。
(前記一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であり、平均繰り返し数nは6〜40の数であり、Lは1〜4の整数であり、芳香環にRが2つ以上置換する場合(L≧2)、Rは、互いに同じまたは異なる。)
本発明の一態様に係る塗工液は、本発明の一態様に係るポリカーボネート共重合体と有機溶剤とを含む。
本発明の一態様に係る電子写真感光体は、本発明の一態様に係るポリカーボネート共重合体を含む。
本発明の一態様に係る電子写真感光体は、基板と、前記基板上に設けられた感光層と、を有し、前記感光層は、本発明の一態様に係るポリカーボネート共重合体を含む。
本発明の一態様に係る電気機器は、本発明の一態様に係る電子写真感光体を有する。
本発明によれば、耐摩耗性等の機械的強度が極めて良好で、接触帯電等の放電に対する電気的強度にも優れるポリカーボネート共重合体、当該ポリカーボネート共重合体を用いた塗工液、並びに機械的強度および電気的強度に優れる電子写真感光体および当該電子写真感光体を用いた電気機器を提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態におけるポリカーボネート共重合体(以下、ポリカーボネート共重合体を単に「PC共重合体」と表記することもある)、当該PC共重合体を用いた塗工液、当該PC共重合体を用いた電子写真感光体、および当該電子写真感光体を用いた電気機器について詳細に説明する。
[PC共重合体の構造]
本実施形態のPC共重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位Aを有し、連鎖末端が一価の芳香族基または一価のフッ素含有脂肪族基により封止されている。
前記一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であり、平均繰り返し数nは6〜40の数であり、Lは1〜4の整数であり、芳香環にRが2つ以上置換する場合、複数のRは、互いに同じまたは異なる。なお、前記一般式(1)において、芳香環にRが2つ以上置換する場合とは、L≧2となる場合である。
前記一般式(1)において、平均繰り返し数nは、6〜30の数であることが好ましく、より好ましくは6〜25である。
本実施形態のPC共重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位Aを有し、連鎖末端が一価の芳香族基または一価のフッ素含有脂肪族基により封止されていることがさらに好ましい。
前記一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であり、平均繰り返し数nは6〜15の数であり、Lは1〜4の整数であり、芳香環にRが2つ以上置換する場合、複数のRは、互いに同じまたは異なる。なお、前記一般式(1)において、芳香環にRが2つ以上置換する場合とは、L≧2となる場合である。
平均繰り返し数nは、8〜13の数であることがさらにより好ましい。
ここで、本発明において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、すなわち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、および三重水素(tritium)を包含する。
前記一般式(1)において、Rを構成する炭素数1〜2のアルキル基としては、メチル基およびエチル基が挙げられ、好ましくは、メチル基である。
本実施形態のPC共重合体の連鎖末端は、一価の芳香族基または一価のフッ素含有脂肪族基により封止されている。
一価の芳香族基は、アルキル基等の脂肪族基を含有する基であってもよい。
一価のフッ素含有脂肪族基は、芳香族基を含有する基であってもよい。
また、一価の芳香族基および一価のフッ素含有脂肪族基には、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、およびアリール基等の置換基が付加していてもよい。これらの置換基には、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、およびアリール基等の置換基がさらに付加していてもよい。また、置換基が複数ある場合、これらの置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
連鎖末端を構成する一価の芳香族基は、炭素数6〜12のアリール基を含むことが好ましい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基およびビフェニル基等が挙げられる。
芳香族基に付加する置換基、および芳香族基に付加しているアルキル基に付加する置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。また、芳香族基に付加する置換基として、例えば、炭素数1〜20のアルキル基等が挙げられる。このアルキル基は、上記のようにハロゲン原子が付加した基であってもよく、アリール基が付加した基であってもよい。
連鎖末端を構成する一価のフッ素含有脂肪族基としては、例えば、フッ素含有アルコールから誘導される一価の基等が挙げられる。
フッ素含有アルコールとしては、炭素数2〜6である複数のフルオロアルキル鎖同士が、エーテル結合を介して連結し、全フッ素原子数が13〜19のフッ素含有アルコールが好ましい。全フッ素原子数が13以上であれば、十分な撥水性および撥油性を発現させることができる。一方、全フッ素原子数が19以下であれば、重合時の反応性の低下を抑制し、得られたPC共重合体の機械的強度、表面硬度、および耐熱性等が向上し得る。
さらに、一価のフッ素含有脂肪族基としては、エーテル結合を2つ以上有するフッ素含有アルコールから誘導される一価の基でも好ましい。このようなフッ素含有アルコールを用いることで、塗工液におけるPC共重合体の分散性が良くなり、成形体および電子写真感光体における耐摩耗性を向上させ、摩耗後の、表面潤滑性、撥水性および撥油性を保持することができる。
あるいは、フッ素含有アルコールとしては、下記一般式(30)もしくは(31)で表されるフッ素含有アルコール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等のフッ素含有アルコール、または下記一般式(32)、(33)、もしくは(34)で表されるエーテル結合を介したフッ素含有アルコールも好ましい。
H(CFn1CHOH・・・(30)
F(CFm1CHOH・・・(31)
前記一般式(30)において、n1は1〜12の整数であり、前記一般式(31)において、m1は1〜12の整数である。
F−(CF 31−OCFCH−OH・・・(32)
F−(CFCF 32−(CFCFO) 33−CFCHOH・・・(33)
C(R)−(CF 35−O−(CFCFO) 34−CFCHOH・・・(34)
前記一般式(32)において、n31は1〜10の整数であり、好ましくは、5〜8の整数である。
前記一般式(33)において、n32は0〜5の整数であり、好ましくは、0〜3の整数である。n33は1〜5の整数であり、好ましくは、1〜3の整数である。
前記一般式(34)において、n34は1〜5の整数であり、好ましくは、1〜3の整数である。n35は0〜5の整数であり、好ましくは、0〜3の整数である。Rは、CFまたはFである。
本実施形態において、電気特性および耐摩耗性の改善の点から、PC共重合体の連鎖末端は、下記一般式(9)で表されるフェノールから誘導される一価の基または下記一般式(10)で表されるフッ素含有アルコールから誘導される一価の基により封止されていることが好ましい。
前記一般式(9)において、R10は炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のフルオロアルキル基を表し、pは1〜3の整数である。
前記一般式(10)において、Rは、炭素数が5以上、かつ、フッ素原子数が11以上であるパーフルオロアルキル基、あるいは下記一般式(11)で表されるパーフルオロアルキルオキシ基を示す。
前記一般式(11)中、Rf2は炭素数1〜6の直鎖または分岐のパーフルオロアルキル基である。mは1〜3の整数である。
本実施形態のPC共重合体は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
前記一般式(2)中、Arは下記一般式(3)で表される基である。
前記一般式(3)中、R11およびR12は、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のフルオロアルキル基、または
炭素数1〜3のアルコキシ基である。
Xは、
単結合、
−O−、
−CO−、
−CR1314−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、または
置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリーレン基である。
13およびR14は、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基である。
sおよびtは、各々独立に、1〜4の整数である。芳香環にR11が2つ以上置換する場合、すなわちs≧2である場合、複数のR11は互いに同じまたは異なる。芳香環にR12が2つ以上置換する場合、すなわちt≧2である場合、複数のR12は互いに同じまたは異なる。
本実施形態のPC共重合体は、前記一般式(2)で表される繰り返し単位として、Arの異なる複数の繰り返し単位を有していてもよい。
中でも、前記一般式(2)で表される繰り返し単位として、下記一般式(4)で表される繰り返し単位Bおよび下記一般式(6)で表される繰り返し単位Cを有することが好ましい。
前記一般式(4)中、Arは下記一般式(5)で表される基である。
前記一般式(5)中、RおよびRは、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のフルオロアルキル基、または
炭素数1〜3のアルコキシ基である。
は、
−CR−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、または
置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリーレン基である。
およびRは、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基である。但し、RおよびRがともに水素原子であることはない。
qおよびrは、各々独立に、1〜4の整数であり、芳香環にRが2つ以上置換する場合、すなわちq≧2である場合、複数のRは互いに同じまたは異なる。芳香環にRが2つ以上置換する場合、すなわちr≧2である場合、複数のRは互いに同じまたは異なる。
前記一般式(6)中、Arは下記一般式(7)で表される基である。但し、ArはArと異なる骨格である。
前記一般式(7)中、RおよびRは、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のフルオロアルキル基、または
炭素数1〜3のアルコキシ基である。
は、
単結合、
−O−、
−CO−、または
−CR−である。
およびRは、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基である。
本実施形態のPC共重合体が、前記一般式(4)で表される繰り返し単位B、および前記一般式(6)で表される繰り返し単位Cを有する場合、ArとArとは、互いに異なる。
11、R12、R、R、R、およびRを構成する炭素数1〜3のアルキル基としては、直鎖アルキルあるいは分岐アルキルが挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、および各種のプロピル基が挙げられる。
11、R12、R、R、R、およびRを構成する炭素数1〜3のフルオロアルキル基としては、上記の炭素数1〜3のアルキル基に1または2以上のフッ素原子が置換した基が挙げられる。好ましくは、パーフルオロアルキル基であり、例えば、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
11、R12、R、R、R、およびRを構成する炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、および各種のプロポキシ基が挙げられる。
前記一般式(1)で表される繰り返し単位A、前記一般式(4)で表される繰り返し単位B、および前記一般式(6)で表される繰り返し単位Cを有するPC共重合体において、前記繰り返し単位Aのモル数をM、前記繰り返し単位Bのモル数をM、前記繰り返し単位Cのモル数をMとし、前記繰り返し単位A、B、およびCを合わせた繰り返し単位のモル数(M+M+M)のモル百分率を100モル%としたときの、
PC共重合体における繰り返し単位Aのモル百分率:
{M/(M+M+M)}×100
は、1モル%以上7モル%以下であることが好ましく、より好ましくは2モル%以上6モル%以下、さらに好ましくは2モル%以上5モル%以下である。
繰り返し単位Aのモル百分率が1モル%以上であれば、電気的強度の低下を抑えることができるため、帯電劣化が起こり難くなる。また、前記繰り返し単位Aのモル百分率が7モル%以下であれば、機械的強度の低下を抑えることができる。したがって、機械的強度と電気的強度とをより良好に両立させることができる。機械的強度とは、耐摩耗性等の特性である。電気的強度とは、電気的劣化が起こりにくい特性である。
なお、上記のモル%は、モル共重合組成をパーセントで示した値である。モル共重合組成は、核磁気共鳴スペクトルから測定することができ、具体的には実施例に記載の方法で求めることができる。
PC共重合体における前記繰り返し単位Bのモル百分率:
{M/(M+M+M)}×100
は、15モル%以上89モル%以下であることが好ましく、より好ましくは30モル%以上79モル%以下、さらに好ましくは50モル%以上69モル%以下、さらにより好ましくは54モル%以上62モル%以下である。
繰り返し単位Bのモル百分率が89モル%以下であれば、溶解性が高くなりすぎることがないため、耐溶剤性が良好となり、クラックの発生を防止することができる。繰り返し単位Bのモル百分率が15モル%以上であれば、溶解性を適度に保つことができ、有機溶媒に溶解させた場合にポリマー溶液が白濁することもない。
PC共重合体における前記繰り返し単位Cのモル百分率:
{M/(M+M+M)}×100
は、10モル%以上80モル%以下であることが好ましく、より好ましくは20モル%以上70モル%以下、さらに好ましくは30モル%以上49モル%以下、さらにより好ましくは35モル%以上43モル%以下である。
繰り返し単位Cのモル百分率が80モル%以下であれば、繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bの割合が減ることなく、繰り返し単位Aによる効果と、繰り返し単位Bと、繰り返し単位Cとによる効果をバランスよく得られる。そのため、電気的強度に加え、適度な溶解性もあり、有機溶媒に溶解させた場合にポリマー溶液が白濁するという不都合がなく、耐溶剤性も併せ持つことでクラックの発生も抑制できる。繰り返し単位Cのモル百分率が10モル%以上であれば、繰り返し単位Cの耐摩耗性改善の効果が十分に得られ、PC共重合体において、耐摩耗性が十分となる。
また、PC共重合体における前記繰り返し単位Aの重量%は、3重量%以上60重量%以下が好ましく、より好ましくは4重量%以上40重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上30重量%以下、さらにより好ましくは5%重量以上20重量%以下である。
繰り返し単位Aの重量%が60重量%以下であれば、繰り返し単位Aによる効果と、繰り返し単位Bと、繰り返し単位Cとによる効果をバランスよく得られる。そのため、電気的強度に加え、適度な溶解性もあり、有機溶媒に溶解させた場合にポリマー溶液が白濁するという不都合がない。繰り返し単位Aの重量%が3重量%以上であれば、繰り返し単位Aの耐摩耗性、および電気的強度の効果が十分に得られ、PC共重合体において、耐久性が十分となる。
また、Arからなるブロック成分の溶解性は低いため、本実施形態のPC共重合体は、前記繰り返し単位C同士が結合したブロックを含まないことが好ましい。前記繰り返し単位C同士が結合したブロックを含まないPC共重合体であれば、有機溶媒に溶解させた場合に、ポリマー溶液が白濁することを抑制でき、塗工液に好適に用いることができる。
本実施形態のPC共重合体において、前記繰り返し単位Aは、放電劣化に強く、ポリカーボネート骨格に導入することで、電気的劣化に対する耐性(電気的強度)が向上する。また主骨格であるポリカーボネート骨格に、さらに繰り返し単位Bおよび繰り返し単位Cを導入し、これら繰り返し単位A,B,Cの含有割合を特定組成に限定することで、耐摩耗性等の機械的強度、および接触帯電等の放電に対する電気的強度がより優れたPPE−PC共重合体を得ることができる。
前記繰り返し単位A、前記繰り返し単位B、および前記繰り返し単位Cを有するPC共重合体は、下記一般式(8)で表されることが好ましい。
前記一般式(8)において、aは前記繰り返し単位Aのモル共重合比を表し、bは前記繰り返し単位Bのモル共重合比を表し、cは前記繰り返し単位Cのモル共重合比を表す。
aは、繰り返し単位A、繰り返し単位B、および繰り返し単位Cを合わせた全繰り返し単位のモル数(M+M+M)のモル百分率を100モル%としたときの、繰り返し単位Aのモル百分率[{M/(M+M+M)}×100]に相当する値であり、前記説明した通り1モル%以上7モル%以下であることが好ましい。bは、繰り返し単位Bのモル百分率[{M/(M+M+M)}×100]に相当する値であり、15モル%以上89モル%以下であることが好ましい。cは、繰り返し単位Cのモル百分率[{M/(M+M+M)}×100]に相当する値であり、10モル%以上80モル%以下であることが好ましい。
なお、上記一般式(8)において、各繰り返し単位は必ずしも連続していない。
上記一般式(8)で表されるPC共重合体は、ブロック共重合体、交互共重合体、およびランダム共重合体等、いずれであってもよいが、上述のように塗工液に用いる場合には、繰り返し単位C同士が結合したブロックを含まないことが、溶解性の面でより好ましい。
また、本実施形態において、PC共重合体の還元粘度[ηSP/C]は、濃度0.5g/dLであるPC共重合体の塩化メチレン溶液の20℃における値である。本実施形態のPC共重合体の還元粘度[ηSP/C]は、0.60dL/g以上4.0dL/g以下であることが好ましく、0.80dL/g以上3.0dL/g以下であることがより好ましく、0.80dL/g以上2.5dL/g以下であることがさらに好ましい。電子写真感光体に用いるPC共重合体の還元粘度[ηSP/C]が0.60dL/g以上であれば、電子写真感光体は、十分な耐摩耗性を得ることができる。また、還元粘度[ηSP/C]が4.0dL/g以下であれば、塗工液から電子写真感光体等の成形体を製造する時に、適切な塗工粘度に保つことができ、電子写真感光体等の成形体の生産性を上げることができる。
なお、還元粘度の測定は、自動粘度測定装置を用い、自動粘度用ウッベローデ改良型粘度計(RM型)で測定した値である。
[PC共重合体の製造方法]
以下に、前記一般式(8)で表されるPC共重合体を例に、PC共重合体の製造方法を示す。
本実施形態のPC共重合体は、例えば、下記一般式(100)で示すビスクロロホーメートオリゴマーと、下記一般式(14)に示す二価フェノール性化合物と、下記一般式(12)に示すポリフェニレンエーテルとを酸結合剤存在下で界面重縮合をさせることで、好適に炭酸エステル結合を形成させて、得られる。また、本実施形態のPC共重合体は、下記一般式(100)で示すビスクロロホーメートオリゴマーと、下記一般式(13)に示す二価フェノール性化合物と、下記一般式(14)に示す二価フェノール性化合物と、下記一般式(12)に示すポリフェニレンエーテルとを酸結合剤存在下で界面重縮合させることで、好適に炭酸エステル結合を形成させて、得られる。PC共重合体のこれらの合成反応は、例えば、前記一般式(9)で表される末端封止剤および下記一般式(10)で表される末端封止剤の少なくともいずれかの存在下で行われる。また、PC共重合体のこれらの合成反応において、必要に応じて分岐剤も使用される。
前記一般式(13)および(100)において、Arは、前記一般式(5)で表される基である。前記一般式(14)において、Arは、前記一般式(7)で表される基である。また、前記一般式(12)において、R、nおよびLは、それぞれ前記一般式(1)におけるR、nおよびLと同義である。
前記一般式(12)で表されるポリフェニレンエーテルは、公知の方法により製造することができる。例えば、特公昭60−34571号公報に従って、ポリフェニレンエーテルの重合反応を実施し、重合直後の溶液を大過剰のメタノールと混合し、得られた沈殿物を純粋なメタノールと混合および攪拌後、ろ別する操作を実施することにより得ることができる。
ここで、前記一般式(100)中のn11は、ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数を示す。前記一般式(100)のビスクロロホーメートオリゴマーにおいて、その平均量体数n11は、1.0以上1.3以下の範囲にあることが好ましい。平均量体数が1.0以上1.3以下の範囲にあるビスクロロホーメートオリゴマーを使用することで、前記一般式(13)に示す二価フェノール性化合物、および前記一般式(14)に示す二価フェノール性化合物を併用した場合でも、前記一般式(100)に示すビスクロロホーメートオリゴマーの量体数を超える高量体数ブロックの生成を抑制でき、PC共重合体の製造が容易になる。
なお、前記一般式(100)に示す平均量体数1.0のビスクロロホーメートオリゴマーと、コモノマー、例えば、前記一般式(14)に示される二価フェノール性化合物をモル比1:1で反応させたとしても、Arのモル百分率は50モル%を超える場合が多い。それは、前記一般式(100)に示すビスクロロホーメートオリゴマーを形成した後、前記一般式(14)に示されるコモノマーとの反応時に、ビスクロロホーメートオリゴマー末端のクロロホーメート基が、反応系内に存在する塩基と反応して水酸基となり、これが末端塩素のArオリゴマー(前記一般式(100)のビスクロロホーメートオリゴマー)と重縮合する場合があるからである。
平均量体数n11の算出方法は、後述する実施例において説明する方法が挙げられる。
前記一般式(13)で示されるモノマー(二価フェノール性化合物)としては、ビスフェノール化合物が挙げられる。具体的には、例えば、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−ペンタフルオロエチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−ヘプタフルオロプロピル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ペンタフルオロエチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヘプタフルオロプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ペンタフルオロエチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ヘプタフルオロプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
これらのビスフェノール化合物の中で、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、および1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタンが好ましい。このビスフェノール化合物を用いたPC共重合体は、電子写真感光体用のPC共重合体として適用した場合に良好な塗工液が得られる。
また、前記一般式(14)で示されるモノマー(二価フェノール性化合物)としては、ビフェノール化合物およびビスフェノール化合物が挙げられる。具体的には、例えば、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジエチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジプロピル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェノール、3,3’−ビス(ペンタフルオロエチル)−4,4’−ビフェノール、3,3’−ビス(ヘプタフルオロプロピル)−4,4’−ビフェノール、3,3’,5−トリメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−ペンタフルオロエチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−ヘプタフルオロプロピル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ペンタフルオロエチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および2,2−ビス(3−ヘプタフルオロプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
これらのビフェノール化合物およびビスフェノール化合物の中で、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジエチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェノール、3,3’−ビス(ペンタフルオロエチル)−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。この化合物を用いてPC共重合体を製造し、当該PC共重合体を電子写真感光体に用いた場合、当該電子写真感光体の耐摩耗性がより向上する。
前記一般式(12)で表されるポリフェニレンエーテル化合物としては、例えば、下記式(15)〜(17)で表される化合物が好適に用いられる。n12は平均繰り返し数である。
本実施形態のPC共重合体の製造方法において、連鎖末端を生成させる末端封止剤としては、例えば、一価のカルボン酸およびその誘導体、または一価のフェノールを用いることができる。
例えば、p−tert−ブチル−フェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−(パーフルオロノニルフェニル)フェノール、p−(パーフルオロヘキシル)フェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、p−パーフルオロオクチルフェノール、1−(p−ヒドロキシベンジル)パーフルオロデカン、p−〔2−(1H,1H−パーフルオロトリドデシルオキシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕フェノール、3,5−ビス(パーフルオロヘキシルオキシカルボニル)フェノール、p−ヒドロキシ安息香酸パーフルオロドデシル、p−(1H,1H−パーフルオロオクチルオキシ)フェノール、および2H,2H,9H−パーフルオロノナン酸等が好適に用いられる。
あるいは、連鎖末端を生成させる末端封止剤として、前記一般式(30)もしくは(31)で表されるフッ素含有アルコール、または1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−プロパノール等の一価のフッ素含有アルコールも好適に用いられる。また、前記一般式(32)、(33)、または(34)で表されるエーテル結合を介したフッ素含有アルコールを用いることも好ましい。
連鎖末端を生成させる末端封止剤としては、これらの中でも、電気特性および耐摩耗性の改善の点から、前記一般式(9)で表される一価のフェノールまたは前記一般式(10)で表される一価のフッ素含有アルコールを用いることが好ましい。
前記一般式(9)で表される一価のフェノールとしては、例えば、p−tert−ブチル−フェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−パーフルオロヘキシルフェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、およびp−パーフルオロオクチルフェノール等が好適に用いられる。すなわち、本実施形態においては、連鎖末端は、p−tert−ブチル−フェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−パーフルオロヘキシルフェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、およびp−パーフルオロオクチルフェノールからなる群から選ばれる末端封止剤を用いて封止されていることが好ましい。
前記一般式(10)で表されるエーテル結合を介したフッ素含有アルコールとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる。すなわち、本実施形態の連鎖末端は、下記フッ素含有アルコールのいずれかから選ばれる末端封止剤を用いて封止されていても好ましい。
末端封止剤の添加割合は、繰り返し単位A、繰り返し単位B、繰り返し単位C、および連鎖末端の共重合組成のモル百分率として、好ましくは0.05モル%以上30モル%以下であり、さらに好ましくは0.1モル%以上10モル%以下である。末端封止剤の添加割合が、30モル%以下であると機械的強度の低下を抑制でき、0.05モル%以上であると成形性の低下を抑制できる。
また、本実施形態のPC共重合体の製造方法において用いることができる分岐剤は、特に限定されない。分岐剤の具体例としては、例えば、フロログルシン、ピロガロール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、2,4−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス〔4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、2,4−ビス〔2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス〔4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ〕メタン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌル酸、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、および5−ブロモイサチン等が挙げられる。
これら分岐剤の添加割合は、共重合組成比で30モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。分岐剤の添加割合が30モル%以下であると、成形性の低下を抑制できる。
界面重縮合を行う場合、酸結合剤としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、および水酸化セシウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウム等)、アルカリ金属弱酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および酢酸カルシウム等)、アルカリ土類金属弱酸塩、並びに有機塩基(例えば、ピリジン等)等が挙げられる。界面重縮合を行う場合に好ましい酸結合剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物、並びにアルカリ土類金属水酸化物である。また、これらの酸結合剤は、混合物としても用いることができる。酸結合剤の使用割合も反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調製すればよい。具体的には、原料である二価フェノールの水酸基の合計1モル当たり、1当量もしくはそれより過剰量の酸結合剤を使用すればよく、好ましくは1〜10当量の酸結合剤を使用すればよい。
本実施形態のPC共重合体の製造方法で用いる溶媒としては、得られた共重合体に対して一定以上の溶解性を示せば問題無い。溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、およびクロロベンゼン等)、ケトン類(例えば、シクロヘキサノン、アセトン、およびアセトフェノン等)、エーテル類(テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサン等)等が好適な溶媒として挙げられる。これら溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、互いに混ざり合わない2種の溶媒を用いて界面重縮合反応を行ってもよい。
また、本実施形態のPC共重合体の製造方法で用いる触媒としては、特に限定されない。例えば、第三級アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、N,N−ジエチルアニリン、およびN,N−ジメチルアニリン等)、四級アンモニウム塩(例えば、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、およびテトラブチルアンモニウムブロマイド等)、並びに四級ホスホニウム塩等(例えば、テトラブチルホスホニウムクロライドおよびテトラブチルホスホニウムブロマイド等)が好適である。
さらに、必要に応じて、本実施形態のPC共重合体の反応系に亜硫酸ナトリウムおよびハイドロサルファイト塩等の酸化防止剤を少量添加してもよい。
本実施形態のPC共重合体の製造方法は、前述したPC共重合体の製造方法以外にも、具体的には様々な態様で実施可能である。例えば、前記一般式(13)の二価フェノール性化合物とホスゲン等とを反応させて、前記一般式(100)のビスクロロホーメートオリゴマーを製造する。ついで、このビスクロロホーメートオリゴマーに、前記一般式(12)のポリフェニレンエーテル、並びに前記一般式(14)の二価フェノール性化合物、または前記一般式(13)および前記一般式(14)の二価フェノール性化合物を使用して、前記溶媒および酸結合剤のアルカリ水溶液の混合液の存在下に反応させる方法を採用することができる。この方法は、全繰り返し単位のモル百分率を100モル%としたときのAr骨格単位(前記一般式(4)で表される繰り返し単位B)のモル百分率を好ましい範囲に容易に調整できる点で好ましい。
前記一般式(100)のn11値が1.0以上1.3以下の範囲である低量体数のビスクロロホーメートオリゴマーを製造する方法としては、詳細には、後述する製造例で示す方法があるが、概略以下の通りである。
まず、前記一般式(13)の二価フェノール性化合物を塩化メチレン等の疎水性溶媒に懸濁させ、さらにホスゲンを加えて第一の溶液を形成する。一方、トリエチルアミン等の第三級アミンを塩化メチレン等の疎水性溶媒に溶解させて第二の溶液を形成し、この第二の溶液を前記第一の溶液に滴下して、反応させる。得られた反応混合物を含む第三の溶液に塩酸と純水を加えて洗浄し、低量体数のポリカーボネートオリゴマーを含む有機層を得る。
滴下温度や反応温度は、通常−10℃以上40℃以下であり、好ましくは0℃以上30℃以下である。滴下時間および反応時間は、共に、通常15分間以上4時間以下、好ましくは30分間以上3時間以下程度である。このようにして得られるポリカーボネートオリゴマーの平均量体数(n11)は、好ましくは1.0以上1.3以下であり、さらに好ましくは1.0以上1.2以下である。
当該製造方法により製造されたポリカーボネートオリゴマーを用いると、PC共重合体製造時の洗浄工程を簡略化できること等の点で好ましい。
このようにして得られた低量体数のビスクロロホーメートオリゴマーを含む有機層に、前記一般式(14)に示される二価フェノール性化合物(モノマー)、および前記一般式(12)に示されるポリフェニレンエーテルを加えて反応させる。反応温度は、0℃以上150℃以下であり、好ましくは5℃以上40℃以下であり、さらに好ましくは7℃以上20℃以下である。
反応圧力は、減圧、常圧、または加圧のいずれでもよいが、通常は、常圧または反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応時間は、反応温度によって左右されるが、通常0.5分間以上10時間以下であり、好ましくは1分間以上3時間以下程度である。
この反応にあたって、前記一般式(14)に示される二価フェノール性化合物および前記一般式(12)に示されるポリフェニレンエーテルは、水溶液、または有機溶媒溶液として添加するのが望ましい。その添加順序については、特に制限はない。なお、触媒、末端封止剤および分岐剤等は、上記の製造法において、必要に応じ、ビスクロロホーメートオリゴマーの製造時、およびその後の高分子量化の反応時のいずれか、またはその両方において添加して用いることができる。
上記のようにして得られるPC共重合体は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位A、前記一般式(4)で表される繰り返し単位B、および前記一般式(6)で表される繰り返し単位Cとからなる共重合体である。
また、このPC共重合体は、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、繰り返し単位A、繰り返し単位Bおよび繰り返し単位C以外の構造単位を有するポリカーボネート単位や、ポリエステル構造を有する単位、ポリエーテル構造を有する単位を含有していてもよい。
また、得られるPC共重合体の還元粘度[ηsp/C]は、例えば、前記反応条件の選択、分岐剤および末端封止剤の使用量の調節等、各種の方法によって前記範囲に調整することができる。また、場合により、得られたPC共重合体に適宜、物理的処理(例えば、混合および分画等)並びに化学的処理(例えば、ポリマー反応、架橋処理、および部分分解処理等)の少なくとも一方を施して、所定の還元粘度[ηsp/C]のPC共重合体として取得することもできる。
また、得られた反応生成物(粗生成物)は、公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のPC共重合体として回収することができる。
[塗工液の構成]
本実施形態の塗工液は、少なくとも本実施形態のPC共重合体、および当該PC共重合体を溶解、または分散可能な有機溶剤を含む。また、塗工液には上記PC共重合体および有機溶剤以外に低分子化合物、着色剤(例えば、染料および顔料等)、機能性化合物(例えば、電荷輸送材、電子輸送材、正孔輸送材、および電荷発生材料等)、充填材(例えば、無機または有機のフィラー、ファイバー、および微粒子等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、並びに酸捕捉剤等の添加剤を含んでいても良い。PC共重合体以外に含まれても良い物質の例は、例えば後述する電子写真感光体の構成成分に含まれる物質が挙げられる。また、塗工液には、本発明の効果を損なわない限り他の樹脂を含んでいても良く、その例は下記電子写真感光体の構成成分の例として挙げられる。また、本実施形態で使用される有機溶剤は本実施形態のPC共重合体、他の材料の溶解性、分散性、粘度、蒸発速度、化学的安定性、および物理的変化に対する安定性等を考慮し、単独、あるいは複数の溶媒を混合して使用することができる。その例は、後述する電子写真感光体の構成成分の例として挙げられる。
本実施形態の塗工液中のPC共重合体成分の濃度は、同塗工液の使用法に合わせた適切な粘度であれば良い。塗工液中のPC共重合体成分の濃度は、好ましくは0.1質量%以上40質量%以下であり、1質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。塗工液中のPC共重合体成分の濃度が40質量%以下であれば、粘度が高くなりすぎることもなく塗工性が良好となる。0.1質量%以上であれば、適度な粘度に保つことができ、均質な膜が得られる。また、塗工後の乾燥時間の短縮および容易に目標とする膜厚とするのに、適度な濃度となる。
本実施形態のPC共重合体は前記電荷輸送材との相溶性がよい上に、前記有機溶剤に溶解しても白化またはゲル化を起こすことがない。従って、上記PC共重合体および有機溶媒を含有する本実施形態の塗工液は、さらに電荷輸送材を含有する場合であっても、長期に亘ってPC重合体成分の白化またはゲル化を起こすことなく安定に保存することが可能である。また、この塗工液(電荷輸送材を含有する塗工液)を用いて電子写真感光体の感光層を形成した場合、感光層が結晶化を起こすこともなく、画質状のディフェクトを生じない優れた電子写真感光体を作製することができる。
また当該塗工液中のPC共重合体と電荷輸送物質との割合は、通常、質量比で20:80〜80:20、好ましくは30:70〜70:30とすることが望ましい。
本実施形態の塗工液中、本実施形態のPC共重合体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の塗工液は、通常、感光層が少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含む積層型電子写真感光体の、当該電荷輸送層の形成に好適に用いられる。また、上記塗工液に、さらに上記電荷発生物質を含有させることにより、単層型の電子写真感光体の感光層の形成に使用することも可能である。
[成形体の構成]
本実施形態のPC共重合体および本実施形態の塗工液の少なくとも一方を用いて、成形体を形成することができる。
成形体としては、例えば、光学部材が挙げられ、光学部材としては、例えば、電子写真感光体、および光学レンズ等が挙げられる。また、基材がフィルム状である場合、成形体の一態様としての積層フィルムは、例えば、インモールド成型用フィルムおよび加飾フィルムとして適用できる。その他、当該積層フィルムは、液晶および有機ELディスプレイ等に使用されるタッチパネル用フィルム、光学補償フィルムおよび反射防止フィルム等の光学フィルム、並びに導電性フィルム等としても適用できる。
本実施形態のPC共重合体を含む成形体は、白化がなく、透明性に優れるとともに、耐摩耗性等の機械的強度および電気的強度に優れる。
[電子写真感光体の構成]
本発明の電子写真感光体は、本実施形態のPC共重合体を含んでいる。
本発明の一実施形態に係る電子写真感光体は、基板と、前記基板上に設けられた感光層とを有し、前記感光層に、本実施形態のPC共重合体を含んでいる。
電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じて、所定の感度、電気特性、および光学特性を備えていることが要求される。この電子写真感光体は、その感光層の表面に、コロナ帯電、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理等の操作が繰り返し行われるため、これら操作を行う度に電気的、機械的な外力が加えられる。したがって、長期間にわたって電子写真の画質を維持するためには、電子写真感光体の表面に設けた感光層に、これら外力に対する耐久性が要求される。また、電子写真感光体は、通常、機能性材料と共にバインダー樹脂を有機溶剤に溶解し、導電性基板等にキャスト製膜する方法で製造される事から、有機溶剤への溶解性・安定性が求められる。
また、電子写真感光体表面を帯電させる方式としては、帯電ロールを感光ドラム表面に直接接触させる方式(接触式帯電方式)が多く採用されている。そして、上記帯電ロールへの帯電方式としては、DC電圧印加方式が考えられてきた。しかしながら、このようなDC接触帯電方式では、パッシェン則に従った帯電のため、帯電安定性が非常に悪いという欠点をもち、帯電時に微小な放電ムラが発生し、結果として帯電電位のムラを生じさせてしまう。この対策としてDC電圧にAC電圧を重畳させた、AC/DC重畳帯電方式が考案された。この帯電方式により、帯電時の安定性は極めて改善したが、AC電圧を重畳するために電子写真感光体表面の放電量は大幅に増大するため電子写真感光体の削れ量が増加してしまうという新たな問題を生じてしまい、機械的強度のみならず電気的強度も要求されるようになってきている。
上述の特許文献2に記載のポリカーボネート共重合体では、電子写真感光体と帯電ロールとの間の接触ニップでの放電により、分子間に結合断裂が生じることで、帯電劣化が引き起こされる。その結果、ポリカーボネート共重合体の耐摩耗性が極めて低下してしまう。また、特許文献3に記載のポリアリレート樹脂は、電子写真プロセスにおける感度、電気的特性について、ポリカーボネート樹脂よりも劣っており、機械的強度、電気的強度に優れ、かつ電子写真プロセスにおける感度、電気特性にも問題のない電子写真感光体の作製が困難である。
一方、本実施形態の電子写真感光体は、本実施形態のPC共重合体を感光層に用いているため、耐摩耗性等の機械的強度、および電気的強度に優れる。そのため、電子写真プロセスにおける感度や電気特性にも問題のない電子写真感光体を得ることができる。
本実施形態の電子写真感光体は、本実施形態のPC共重合体を感光層中に用いる限り、公知の種々の形式の電子写真感光体はもとより、どのような電子写真感光体としてもよいが、感光層が、少なくとも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電荷輸送層とを有する積層型電子写真感光体、または、一層に電荷発生物質と電荷輸送物質とを有する単層型電子写真感光体とすることが好ましい。
PC共重合体は、感光層中のどの部分にも使用してもよいが、本発明の効果を十分に発揮するためには、電荷輸送層中において電荷移動物質のバインダー樹脂として使用するか、単一の感光層のバインダー樹脂として使用することが望ましい。また、感光層のみならず、表面保護層として使用することが望ましい。電荷輸送層を2層有する多層型の電子写真感光体の場合には、そのいずれかの電荷輸送層に使用することが好ましい。
本実施形態の電子写真感光体において、本実施形態のPC共重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、所望に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリカーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させてもよい。さらに、酸化防止剤等の添加物を含有させてもよい。
本実施形態の電子写真感光体は、感光層を導電性基板上に有する。感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを有する場合、電荷発生層上に電荷輸送層が積層されていてもよく、また逆に電荷輸送層上に電荷発生層が積層されていてもよい。また、一層中に電荷発生物質と電荷輸送物質を同時に含む感光層であってもよい。さらにまた、必要に応じて表面層に導電性または絶縁性の保護膜が形成されていてもよい。表面層に本実施形態のPC共重合体を用いることで、機械的強度および電気的強度に優れ、電子写真プロセスにおける感度や電気特性にも問題のない電子写真感光体を得ることができる。
さらに、各層間の接着性を向上させるための接着層あるいは電荷のブロッキングの役目を果すブロッキング層等の中間層等が形成されていてもよい。
本実施形態の電子写真感光体に用いられる導電性基板材料としては、公知の材料等各種の材料を使用することができ、具体的には、アルミニウム、ニッケル、クロム、パラジウム、チタン、モリブデン、インジウム、金、白金、銀、銅、亜鉛、真鍮、ステンレス鋼、酸化鉛、酸化錫、酸化インジウム、ITO(インジウムチンオキサイド:錫ドープ酸化インジウム)もしくはグラファイトからなる、板、ドラム、およびシート、蒸着、スパッタリング、または塗布等によりコーティングする等して導電処理した、ガラス、布、紙、およびプラスチックのフィルム、シートもしくはシームレスベルト、並びに電極酸化等により金属酸化処理した金属ドラム等を使用することができる。
前記電荷発生層は少なくとも電荷発生材料を有する。この電荷発生層はその下地となる基板上に真空蒸着もしくはスパッタ法等により電荷発生材料の層を形成するか、またはその下地となる基板上に電荷発生材料を、バインダー樹脂を用いて結着してなる層を形成することによって得ることができる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法としては公知の方法等各種の方法を使用することができる。通常、例えば、電荷発生材料をバインダー樹脂と共に適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥せしめて湿式成形体として得る方法が好適である。
前記電荷発生層における電荷発生材料としては、公知の各種の材料を使用することができる。具体的な化合物としては、セレン単体(例えば、非晶質セレン、および三方晶セレン等)、セレン合金(例えば、セレン−テルル等)、セレン化合物もしくはセレン含有組成物(例えば、AsSe等)、周期律表第12族および第16族元素からなる無機材料(例えば、酸化亜鉛、およびCdS−Se等)、酸化物系半導体(例えば、酸化チタン等)、シリコン系材料(例えば、アモルファスシリコン等)、無金属フタロシアニン顔料(例えば、τ型無金属フタロシアニン、およびχ型無金属フタロシアニン等)、金属フタロシアニン顔料(例えば、α型銅フタロシアニン、β型銅フタロシアニン、γ型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、X型銅フタロシアニン、A型チタニルフタロシアニン、B型チタニルフタロシアニン、C型チタニルフタロシアニン、D型チタニルフタロシアニン、E型チタニルフタロシアニン、F型チタニルフタロシアニン、G型チタニルフタロシアニン、H型チタニルフタロシアニン、K型チタニルフタロシアニン、L型チタニルフタロシアニン、M型チタニルフタロシアニン、N型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、X線回折図におけるブラック角2θが27.3±0.2度に強い回折ピークを示すチタニルフタロシアニン、およびガリウムフタロシアニン等)、シアニン染料、アントラセン顔料、ビスアゾ顔料、ピレン顔料、多環キノン顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、ピリリウム染料、スクアリウム顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、アゾ顔料、チオインジゴ顔料、キノリン顔料、レーキ顔料、オキサジン顔料、ジオキサジン顔料、トリフェニルメタン顔料、アズレニウム染料、トリアリールメタン染料、キサンチン染料、チアジン染料、チアピリリウム染料、ポリビニルカルバゾール、並びにビスベンゾイミダゾール顔料等が挙げられる。これら化合物は、1種を単独であるいは2種以上の化合物を混合して、電荷発生物質として用いることができる。これら電荷発生物質の中でも、好適な電荷発生物質としては、特開平11−172003号公報に具体的に記載の電荷発生物質が挙げられる。
前記電荷輸送層は、下地となる基板上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層を形成することによって、湿式成形体として得ることができる。
前記した電荷発生層や電荷輸送層のバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知の各種の樹脂を使用することができる。具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、メタクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ビニルトルエン−スチレン共重合体、大豆油変性アルキッド樹脂、ニトロ化ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリイソプレン、ポリチオカーボネート、ポリアリレート、ポリハロアリレート、ポリアリルエーテル、ポリビニルアクリレート、およびポリエステルアクリレート等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いることもできるし、また、2種以上を混合して用いることもできる。なお、電荷発生層および/または電荷輸送層におけるバインダー樹脂としては、前記した本実施形態のPC共重合体を使用することが好適である。
電荷輸送層の形成方法としては、公知の各種の方式を使用することができるが、電荷輸送物質を本実施形態のPC共重合体とともに適当な溶媒に分散または溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥して湿式成形体として得る方法が好適である。電荷輸送層形成に用いられる電荷輸送物質とPC共重合体との配合割合は、好ましくは質量比で20:80〜80:20、さらに好ましくは30:70〜70:30である。
この電荷輸送層において、本実施形態のPC共重合体は1種単独で用いることもでき、また2種以上混合して用いることもできる。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を本実施形態のPC共重合体と併用することも可能である。
このようにして形成される電荷輸送層の厚さは、通常5μm以上100μm以下程度、好ましくは10μm以上30μm以下である。この厚さが5μm以上であれば、初期電位が低くなることもなく、100μm以下であれば、電子写真特性の低下を防ぐことができる。
本実施形態のPC共重合体と共に使用できる電荷輸送物質としては、公知の各種の化合物を使用することができる。このような化合物としては、例えば、カルバゾール化合物、インドール化合物、イミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、アニリン化合物、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、スチルベン化合物、フルオレノン化合物、ブタジエン化合物、キノン化合物、キノジメタン化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、イミダゾロン化合物、イミダゾリジン化合物、ビスイミダゾリジン化合物、オキサゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、キナゾリン化合物、ベンゾフラン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール樹脂、あるいはこれらの構造を主鎖や側鎖に有する重合体等が好適に用いられる。これら化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これら電荷輸送物質の中でも、特開平11−172003号公報において具体的に例示されている化合物、および以下の構造で表される電荷輸送物質が特に好適に用いられる。
なお、本実施形態の電子写真感光体においては、電荷発生層および電荷輸送層の少なくともいずれかに本実施形態のPC共重合体をバインダー樹脂として用いることが好適である。
本実施形態の電子写真感光体においては、前記導電性基板と感光層との間に、通常使用されるような下引き層を設けることができる。この下引き層としては、例えば、微粒子(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタン酸、ジルコン酸、ランタン鉛、チタンブラック、シリカ、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、酸化錫、酸化インジウム、および酸化珪素等)、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、カゼイン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、並びにポリビニルブチラール樹脂等の成分を使用することができる。また、この下引き層に用いる樹脂として、前記バインダー樹脂を用いてもよいし、本実施形態のPC共重合体を用いてもよい。これら微粒子および樹脂は、単独または種々混合して用いることができる。これらの混合物として用いる場合には、無機質微粒子と樹脂を併用すると、平滑性のよい皮膜が形成されることから好適である。
この下引き層の厚みは、0.01μm以上10μm以下、好ましくは0.1μm以上7μm以下である。この厚みが0.01μm以上であると、下引き層を均一に形成することが可能となり、また10μm以下であると電子写真特性が低下することを抑制できる。
また、前記導電性基体と感光層との間には、通常使用されるような公知のブロッキング層を設けることができる。このブロッキング層としては、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。また本実施形態のPC共重合体を用いてもよい。このブロッキング層の厚みは、0.01μm以上20μm以下、好ましくは0.1μm以上10μm以下である。この厚みが0.01μm以上であると、ブロッキング層を均一に形成することが可能となり、また20μm以下であると電子写真特性が低下することを抑制できる。
さらに、本実施形態の電子写真感光体には、感光層の上に、保護層を積層してもよい。この保護層には、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。また、本実施形態のPC共重合体を用いることが特に好ましい。この保護層の厚みは、0.01μm以上20μm以下、好ましくは0.1μm以上10μm以下である。そして、この保護層には、前記電荷発生物質、電荷輸送物質、添加剤、金属およびその酸化物、窒化物、または塩、合金、カーボンブラック、並びに有機導電性化合物等の導電性材料を含有していてもよい。
さらに、この電子写真感光体の性能向上のために、前記電荷発生層および電荷輸送層には、結合剤、可塑剤、硬化触媒、流動性付与剤、ピンホール制御剤、および分光感度増感剤(増感染料)等を添加してもよい。また、繰り返し使用に対しての残留電位の増加、帯電電位の低下、および感度の低下を防止する目的で種々の化学物質、酸化防止剤、界面活性剤、カール防止剤、およびレベリング剤等の添加剤を添加することができる。
前記結合剤としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリクロロプレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合樹脂、およびポリエステルカーボネート樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂の少なくとも一方も使用できる。いずれにしても、電気絶縁性で通常の状態で皮膜を形成し得る樹脂であり、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に制限はない。
前記可塑剤の具体例としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、ハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ラウリル酸ブチル、メチルフタリールエチルグリコレート、ジメチルグリコールフタレート、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびフルオロ炭化水素等が挙げられる。
前記硬化触媒の具体例としては、例えば、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびジノニルナフタレンジスルホン酸等が挙げられ、流動性付与剤としては、例えば、モダフロー、およびアクロナール4F等が挙げられ、ピンホール制御剤としては、例えば、ベンゾイン、およびジメチルフタレートが挙げられる。これら可塑剤、硬化触媒、流動性付与剤、およびピンホール制御剤は、前記電荷輸送物質に対して、5質量%以下で用いることが好ましい。
また、分光感度増感剤としては、増感染料を用いる場合には,例えば、トリフェニルメタン系染料(例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、およびビクトリアブルー等)、アクリジン染料(例えば、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、およびフラペオシン等)、チアジン染料(例えば、メチレンブルー、およびメチレングリーン等)、オキサジン染料(カプリブルー、およびメルドラブルー等)、シアニン染料、メロシアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料、並びにチオピリリウム塩染料等が適している。
感光層には、感度の向上、残留電位の減少、反復使用時の疲労低減等の目的で、電子受容性物質を添加することができる。その具体例としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、2,3−ジクロロベンゾキノン、ジクロロジシアノパラベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4’−ジニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)アクリル酸エチル、9−アントラセニルメチルマロンジニトリル、1−シアノ−(p−ニトロフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノニトリル)、ポリニトロ−9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノジニトリル)、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、およびメリット酸等の電子親和力の大きい化合物が好ましい。これら化合物は電荷発生層および電荷輸送層のいずれに加えてもよく、その配合割合は、電荷発生物質または電荷輸送物質の量を100質量部としたときに、0.01質量部以上200質量部以下、好ましくは0.1質量部以上50質量部以下である。
また、表面性の改良のため、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体、並びにフッ素系グラフトポリマー等を用いてもよい。これら表面改質剤の配合割合は、前記バインダー樹脂に対して、0.1質量%以上60質量%以下、好ましくは5質量%以上40質量%以下である。この配合割合が0.1質量%以上であれば、表面耐久性および表面エネルギー低下等の表面改質が充分となり、60質量%以下であれば、電子写真特性の低下を招くこともない。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、スルフィド系酸化防止剤、および有機リン酸系酸化防止剤等が好ましい。これら酸化防止剤の配合割合は、前記電荷輸送物質に対して、通常、0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。
このような酸化防止剤の具体例としては、特開平11−172003号公報の明細書に記載された化学式[化94]〜[化101]の化合物が好適である。
これら酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい、そして、これらは前記感光層のほか、表面保護層や下引き層、ブロッキング層に添加してもよい。
前記電荷発生層および/または電荷輸送層の形成の際に使用する前記溶媒の具体例としては、例えば、芳香族系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびクロロベンゼン等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、およびシクロヘキサノン等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、およびイソプロパノール等)、エステル(例えば、酢酸エチル、およびエチルセロソルブ等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン等)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、およびジオキサン等)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド等)、並びにアミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド等)等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、あるいは、2種以上を混合溶媒として使用してもよい。
単層型電子写真感光体の感光層は、前記の電荷発生物質、電荷輸送物質、および添加剤を用い、本実施形態のPC共重合体をバインダー樹脂として適用することで容易に形成することができる。また、電荷輸送物質としては前述したホール輸送性物質および電子輸送物質の少なくとも一方を添加することが好ましい。電子輸送物質としては、特開2005−139339号公報に例示される電子輸送物質が好ましく適用できる。
各層の塗布は公知の装置等各種の塗布装置を用いて行うことができ、具体的には、例えば、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、チップコーター、ロールコーター、ディップコーター、およびドクタブレード等を用いて行うことができる。
電子写真感光体における感光層の厚さは、5μm以上100μm以下、好ましくは8μm以上50μm以下であり、これが5μm以上であると初期電位が低くなることを防ぐことができ、100μm以下であると電子写真特性が低下することを抑制することができる。電子写真感光体の製造に用いられる電荷発生物質:バインダー樹脂の比率は、質量比で1:99〜30:70、好ましくは3:97〜15:85である。また、電荷輸送物質:バインダー樹脂の比率は、質量比で10:90〜80:20、好ましくは30:70〜70:30である。
このようにして得られる電子写真感光体は、本実施形態のPC共重合体を用いるため、感光層作製時に塗工液が白濁することがなく、ゲル化することもない。また、感光層中に本実施形態のPC共重合体をバインダー樹脂として有しているため、耐久性(耐摩耗性)に優れるとともに、優れた電気特性(帯電特性)をしており、長期間にわたって優れた電子写真特性を維持する感光体であり、複写機(モノクロ、マルチカラー、フルカラー;アナログ、デジタル)、プリンター(レーザー、LED、液晶シャッター)、ファクシミリ、製版機、およびこれら複数の機能を有する機器等各種の電子写真分野に好適に用いられる。
また、本実施形態のPC共重合体(共重合ポリカーボネート樹脂)は表面物性等にも優れるため、当該PC共重合体を電子写真感光体に用いた場合、クリーニング特性に優れる電子写真感光体を提供することができる。クリーニング特性が高いと、感光体表面に付着したトナーのクリーニングブレードすり抜けを抑制することができる。また、感光体上にフィルミングも発生し難い。
クリーニング特性は、感光体表面に付着したトナーを光学顕微鏡を用いて観察することで確認することができる。
ここで、電子写真感光体のクリーニング特性に関係する、本実施形態のPC共重合体の構成要素としては、PPE(ポリフェニレンエーテル)骨格が挙げられる。PPE骨格がPC共重合体中に含まれることで、良好なクリーニング特性が発現する。
なお、本実施形態の電子写真感光体を使用するにあたっては、帯電には、コロナ放電(コロトロン、スコロトロン)、接触帯電(帯電ロール、帯電ブラシ)等が用いられる。帯電ロールとしては、DC帯電方式やAC電圧を重畳させたAC/DC重畳帯電方式が挙げられる。また、露光には、ハロゲンランプや蛍光ランプ、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式のいずれを採用してもよい。現像には、カスケード現像、二成分磁気ブラシ現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像等の乾式現像方式や湿式現像方式が用いられる。転写には、例えば、静電転写法(例えば、コロナ転写、ローラ転写、およびベルト転写等)、圧力転写法、並びに粘着転写法等が用いられる。定着には、例えば、熱ローラ定着、ラジアントフラッシュ定着、オープン定着、および圧力定着等が用いられる。さらに、クリーニングおよび除電には、例えば、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、およびブレードクリーナー等が用いられる。なお、クリーナーレス方式を採用してもよい。また、トナー用の樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、および環状炭化水素の重合体等が適用できる。トナーの形状は、球形でも不定形でもよい。一定の形状(例えば、回転楕円体状およびポテト状等)に制御されたトナーも適用できる。トナーは、粉砕型トナー、懸濁重合トナー、乳化重合トナー、ケミカル造粒トナー、あるいはエステル伸長トナーのいずれでもよい。
[電気機器の構成]
本実施形態の電気機器は、本実施形態の電子写真感光体(例えば、本実施形態の電子写真感光体を用いた感光体ドラム等)を有する。このような電気機器としては、例えば、複写機、およびレーザープリンター等のプリンター等が挙げられる。
本実施形態の電気機器は、耐摩耗性に優れる本実施形態の電子写真感光体を有しているため、感光体ドラム等の交換頻度が少なくなり、コスト的なメリットが大きい。
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良等は、本発明に含まれる。
例えば、前記一般式(2)で表される繰り返し単位として、下記一般式(18)で表される繰り返し単位Dおよび下記一般式(20)で表される繰り返し単位Eを有するポリカーボネート共重合体であってもよい。
前記一般式(18)中、Arは下記一般式(19)で表される基である。
前記一般式(19)中、R15およびR16は、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のフルオロアルキル基、または
炭素数1〜3のアルコキシ基である。
は、
−CR1718−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、または
置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリーレン基である。
17およびR18は、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基である。
uおよびvは、各々独立に、1〜4の整数であり、芳香環にR15が2つ以上置換する場合(u≧2)、R15は互いに同じまたは異なり、芳香環にR16が2つ以上置換する場合(v≧2)、R16は互いに同じまたは異なる。
前記一般式(20)中、Arは下記一般式(21)で表される基である。但し、ArはArと異なる骨格である。
前記一般式(21)中、R19およびR20は、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のフルオロアルキル基、または
炭素数1〜3のアルコキシ基である。
は、
単結合、または
−O−である。
wおよびは、各々独立に、1〜4の整数であり、芳香環にR19が2つ以上置換する場合(w≧2)、R19は互いに同じまたは異なり、芳香環にR20が2つ以上置換する場合(y≧2)、R20は互いに同じまたは異なる。
zは、0または1である。
この場合、前記繰り返し単位Aのモル数をM、前記繰り返し単位Dのモル数をM、前記繰り返し単位Eのモル数をMとし、前記繰り返し単位A、D、およびEを合わせた繰り返し単位のモル数(M+M+M)のモル百分率を100モル%としたとき、前記繰り返し単位Aのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が1モル%以上7モル%以下であることが好ましい。
また、前記繰り返し単位Dのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が15モル%以上89モル%以下であり、
前記繰り返し単位Eのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が10モル%以上80モル%以下であることが好ましい。
またこの場合、PC共重合体における前記繰り返し単位Aの重量%は、3重量%以上60重量%以下が好ましく、より好ましくは4重量%以上40重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上30重量%以下、さらにより好ましくは5%重量以上20重量%以下である。
繰り返し単位Aの重量%が60重量%以下であれば、繰り返し単位Aによる効果と、繰り返し単位Dと、繰り返し単位Eとによる効果をバランスよく得られる。そのため、電気的強度に加え、適度な溶解性もあり、有機溶媒に溶解させた場合にポリマー溶液が白濁するという不都合がない。繰り返し単位Aの重量%が3重量%以上であれば、繰り返し単位Aの耐摩耗性、および電気的強度の効果が十分に得られ、PC共重合体において、耐久性が十分となる。
上記のようにして得られるPC共重合体は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位A、前記一般式(18)で表される繰り返し単位D、および前記一般式(20)で表される繰り返し単位Eとからなる共重合体は、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、繰り返し単位A、繰り返し単位Dおよび繰り返し単位E以外の構造単位を有するポリカーボネート単位、ポリエステル構造を有する単位、並びにポリエーテル構造を有する単位等を含有していてもよい。
次に、本発明を実施例および比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されず、本発明の思想を逸脱しない範囲での種々の変形および応用が可能である。
〔製造例:オリゴマーの調製〕
<製造例1:BisZオリゴマー(ビスクロロホーメート)の合成>
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)56.6kg(224モル)を塩化メチレン1080Lで懸濁し、そこにホスゲン66.0kg(667モル)を加えて溶解させた。これに、トリエチルアミン44.0kg(435モル)を塩化メチレン120Lに溶解させた液を2.2℃〜17.8℃で2時間50分かけて滴下した。17.9℃〜19.6℃で30分間撹拌後、14℃〜20℃で塩化メチレン900Lを留去した。残液に純水210L、濃塩酸1.2kg、およびハイドロサルファイト450gを加え洗浄した。その後、純水210Lで5回洗浄を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するビスフェノールZオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は1.14モル/L、固形物濃度は0.22kg/L、平均量体数は1.02であった。以後、製造例1で得られた原料をZ−CFという。
尚、平均量体数(n11)は、次の数式を用いて求めた。
平均量体数(n11)=1+(Mav−M1)/M2・・・(数1)
(式(数1)において、Mavは(2×1000/(CF価))であり、M2は(M1−98.92)であり、M1は前記一般式(100)において、n11=1のときのビスクロロホーメート化合物の分子量であり、CF価(N/kg)は(CF値/濃度)であり、CF値(N)は反応溶液1Lに含まれる前記一般式(100)で表されるビスクロロホーメート化合物中のクロル原子数であり、濃度(kg/L)は反応溶液1Lを濃縮して得られる固形分の量である。ここで、98.92は、ビスクロロホーメート化合物同士の重縮合で脱離する2個の塩素原子、1個の酸素原子および1個の炭素原子の合計の原子量である。)
<製造例2:ビスフェノールBオリゴマー(ビスクロロホーメート)の合成>
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)210g(0.867mol)、塩化メチレン1058mL、およびホスゲン183g(1.85mol)の混合液中に、トリエチルアミン200.8g(1.98mol)を塩化メチレン460mLで希釈した溶液を14℃〜18.5℃で2時間50分かけて滴下した。反応混合物を18.5℃〜19℃で1時間撹拌後、10℃〜22℃で塩化メチレン600mLを留去した。反応混合物に、濃塩酸15.0mL、純水150mL、およびハイドロサルファイト0.100gを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するビスフェノールBオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は1.16モル/L、固形物濃度は0.24kg/L、平均量体数は1.08であった。以後、製造例2で得られた原料をB−CFという。
<製造例3:ビスフェノールCオリゴマー(ビスクロロホーメート)の合成>
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)152g(0.595mol)、塩化メチレン1020mL、ホスゲン187g(1.89mol)の混合液に、トリエチルアミン199.4g(1.97mol)を塩化メチレン460mLで希釈した溶液を13℃〜16℃で3時間6分かけて滴下した。反応混合物を14℃〜16℃で1時間38分撹拌した。反応混合物に濃塩酸5.0mLと純水200mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するビスフェノールCオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は1.04モル/L、固形物濃度は0.23kg/L、平均量体数は1.05であった。以後、製造例3で得られた原料をC−CFという。
<製造例4:[ビスフェノールCZオリゴマー(ビスクロロホーメート)の合成>
1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールCZ)243g(0.821mol)、塩化メチレン1058mL、およびホスゲン187g(1.89mol)の混合液に、トリエチルアミン199.4g(1.97mol)を塩化メチレン460mLで希釈した溶液を13℃〜16℃で3時間6分かけて滴下した。反応混合物を14℃〜16℃で1時間38分撹拌した。反応混合物に濃塩酸5.0mLと純水200mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するビスフェノールCZオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は1.10モル/L、固形物濃度は0.24kg/L、平均量体数は1.01であった。以後、製造例4で得られた原料をCZ−CFという。
<製造例5:DHPEオリゴマー(ビスクロロホーメート)の合成>
4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル(DHPE)45.2kg(224モル)を塩化メチレン1080Lで懸濁し、そこにホスゲン66.0kg(667モル)を加えて溶解させた。これに、トリエチルアミン44.0kg(435モル)を塩化メチレン120Lに溶解させた液を2.2℃〜17.8℃で2時間50分かけて滴下した。17.9℃〜19.6℃で30分間撹拌後、14℃〜20℃で塩化メチレン900Lを留去した。残液に純水210L、濃塩酸1.2kg、およびハイドロサルファイト450gを加え洗浄した。その後、純水210Lで5回洗浄を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するDHPEオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は1.14モル/L、固形物濃度は0.19kg/L、平均量体数は1.03であった。以後、製造例5で得られた原料をDHPE−CFという。
〔実施例1〕
(PC共重合体の製造)
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1で得られた原料Z−CF(160mL)と塩化メチレン(324mL)とを注入した。これに前記一般式(12)に表されるポリフェニレンエーテル(2.28g)、および末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(以下、PTBPと表記)(0.235g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応容器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した4,4’−ビフェノール溶液(4,4’−ビフェノール溶液調製法:1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液160mL(水酸化ナトリウム10.3g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイト0.25gを添加し、さらに4,4’−ビフェノール15.1gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.5mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.2L、および水0.1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.1Lで1回、0.03N塩酸0.1Lで1回、水0.1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−1)を得た。
(PC共重合体の特定)
このようにして得られたPC共重合体(PC−1)を塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dLの溶液を調製し、20℃における還元粘度[ηsp/C]を測定したところ、1.23dL/gであった。なお、得られたPC共重合体(PC−1)の構造および組成をH−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルにより分析したところ、下記の繰り返し単位、および組成からなるPC共重合体であることが確認された。
なお、還元粘度の測定は、離合社製、自動粘度測定装置VMR−042を用い、自動粘度用ウッベローデ改良型粘度計(RM型)で測定した。
a= 1.3
b= 56.6
c= 42.2
また、PC共重合体(PC−1)中の繰り返し単位Aの重量%は、5.4重量%であった。
尚、前記一般式(PC−1)における構造は、次の手順で確認した。まず、H−NMRスペクトルを用いて、帰属解析を行い、積分強度から、各繰り返し単位のモル共重合比a、b、cを算出した。
(塗工液および電子写真感光体の製造)
導電性基体としてアルミニウム金属を蒸着したポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを用い、その表面に、電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層して積層型感光層を形成した電子写真感光体を製造した。
電荷発生物質としてオキソチタニウムフタロシアニン0.5gを用い、バインダー樹脂としてブチラール樹脂0.5gを用いた。これらを溶媒の塩化メチレン19gに加え、ボールミルにて分散し、この分散液をバーコーターにより、前記導電性基体フィルム表面に塗工し、乾燥させることにより、膜厚約0.5μmの電荷発生層を形成した。
つぎに、電荷輸送物質として下記式(23)の化合物(CTM−1)0.5g、および前記実施例で得られたPC共重合体(PC−1)0.5gを10mLのテトラヒドロフランに分散させて、塗工液を調製した。この塗工液をアプリケーターにより、前記電荷発生層の上に塗布し、乾燥し、膜厚約20μmの電荷輸送層を形成した。
(PC共重合体および電子写真感光体の評価)
PC共重合体の溶解性は前述の塗工液の調製時に、調製した塗工液の白濁度を目視で観察することにより評価した。PC共重合体が溶解し白濁が認められない場合を「溶解」、不溶解部分がある場合を「不溶」、白濁した場合を「白濁」とした。
また、PC共重合体、および電子写真感光体の耐摩耗性の評価を、以下の通り実施した(下記〔作製1〕、〔作製2〕、および〔評価3−1〕)。併せて、PC共重合体、および電子写真感光体の電気的強度の指標となる耐プラズマ性の評価を、以下の通り実施した(下記〔作製1〕、〔作製2〕、および〔評価3−2〕)。
〔作製1〕共重合体の評価サンプル作製
PC共重合体(PC−1)(2g)を塩化メチレン(12mL)に溶解し、アプリケーターを用い市販のPETフィルム上にキャスト製膜した。このフィルムを減圧下加熱し溶剤を除去し、厚み約30μmのフィルムサンプルを得た。
〔作製2〕感光体の評価サンプル作製
PC共重合体(PC−1)(1g)、および上記CTM−1(0.67g)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、アプリケーターを用い市販のPETフィルム上にキャスト製膜した。このフィルムを減圧下加熱し溶剤を除去し、厚み約30μmのフィルムサンプルを得た。
〔評価〕
〔評価3−1〕耐摩耗性の評価
前記〔作製1〕および〔作製2〕で作製したフィルムのキャスト面の耐摩耗性をテーバー摩耗試験機(東洋精機製作所社製)を用いて評価した。試験条件は500gの荷重をかけた摩耗輪(型番:CS−10)をフィルム表面と接触させて、〔作製1〕の場合1,000回転後、〔作製2〕の場合500回転後、質量減少量を測定した。
〔評価3−2〕耐プラズマ性の評価
前記〔作製1〕および〔作製2〕で作製したキャストサンプルについて、コロナ表面処理機AGI−020S(春日電気社製)を用いて、表面を処理後、水の接触角を測定した。放電処理前と処理後の接触角の差を変化量Δとして求め、耐プラズマ性の評価指標とした。試験条件としては、放電量を58W・min/mで実施した。
〔評価3−3〕電子写真感光体の帯電特性評価
次に、前述の通り製造した電子写真感光体について、電子写真特性を静電気帯電試験装置EPA−8100(川口電機製作所社製)を用いて測定した。スタティックモード、−6kVのコロナ放電を行い、初期表面電位(V),光照射(10Lux)5秒後の残留電位(初期残留電位(VR)),および半減露光量(E1/2)を測定した。また、市販のプリンター(FS−600、京セラ製)を改造し、感光体の表面電位を測定可能にし、前記感光体をドラム状に装着・評価可能とし、高温・高湿条件下(35℃、85%)で、トナー、紙は通さない条件で24時間繰り返し運転前後の帯電特性(繰り返し残留電位(VR))の評価を行った。
〔評価3−4〕電子写真感光体のクリーニング特性評価
市販のFS−600から使用ドラムを取り出し、感光層を溶剤で除去した後、得られたアルミ素管に、電荷発生物質(CGM)としてY型チタニルフタロシアニン顔料をジルコニアビーズを用いたボールミルで分散して塗液(バインダー樹脂:ポリビニルブチラール、CGM:樹脂=3:2の比率で固形分濃度が4重量%になるようにTHFに溶解および分散して調製)を調製し、得られた塗液をディッピングにより塗布した。
得られたドラムを減圧条件、70℃で30分乾燥した後、電荷輸送層としての塗液(PC共重合体(PC−1)60g、電荷輸送物質(CTM)としてスチルベン系化合物(23)40gを、THF500gに溶解した溶液)をディッピングにより塗布し、得られたドラムを減圧条件、110℃で2時間乾燥し、積層型電子写真感光体を得た。得られたドラムを再びFS600にセットした。
室温条件下(25℃)で、2000枚印字を繰り返した後、運転前後での感光体表面のトナー付着の度合いを光学顕微鏡で観察し、下記の基準で評価を行った。
[評価基準]
A:感光体表面の付着トナーが極めて少ない
B:感光体表面の付着トナーが少ない
C:感光体表面の付着トナーがやや多い
D:感光体表面の付着トナーがひどく多い(不良)
これらの評価結果を表1に示す。後述する実施例2〜7および比較例1についても、PC共重合体(PC−1)の代わりに各実施例で得られたPC共重合体を用いて共重合体および感光体の評価サンプルを作製し、〔評価3−1〕〜〔評価3−3〕と同様の評価を行った。それらの結果も表1に示す。また、比較例1については、PC共重合体(PC−1)の代わりにPC共重合体(PC−8)を用いて、〔評価3−4〕と同様の評価を行った。
〔実施例2〕
実施例1において、前記一般式(12)に表されるポリフェニレンエーテルの量を7.04gに変更した以外は、実施例1と同様の操作で、下記の構造からなるPC共重合体(PC−2)を得た。
PC共重合体(PC−2)の還元粘度[ηsp/C]は1.17dL/gであり、構造はNMRにおいて、下記の繰り返し単位および組成からなるPC共重合体であることが確認された。
a= 4.0
b= 55.6
c= 40.4
また、PC共重合体(PC−2)中の繰り返し単位Aの重量%は、15.3重量%であった。
〔実施例3〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例4で得られた原料CZ−CF(152mL)と塩化メチレン(340mL)とを注入した。これに前記一般式(12)に表されるポリフェニレンエーテル(2.28g)、および末端封止剤としてPTBP(0.235g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応容器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した4,4’−ビフェノール溶液(4,4’−ビフェノール溶液調製法:1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液160mL(水酸化ナトリウム10.3g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.25gを添加し、さらに4,4’−ビフェノール15.1gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.5mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.2L、および水0.1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.1Lで1回、0.03N塩酸0.1Lで1回、水0.1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−3)を得た。
PC共重合体(PC−3)の還元粘度[ηsp/C]は1.15dL/gであり、構造はNMRにおいて、下記の繰り返し単位および組成からなるPC共重合体であることが確認された。
a= 1.4
b= 57.6
c= 41.0
また、PC共重合体(PC−3)中の繰り返し単位Aの重量%は、5.5重量%であった。
〔実施例4〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例3で得られた原料C−CF(160mL)と塩化メチレン(324mL)とを注入した。これに前記一般式(12)に表されるポリフェニレンエーテル(2.28g)、および末端封止剤としてPTBP(0.245g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応容器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した4,4’−ビフェノール溶液(4,4’−ビフェノール溶液調製法:1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液160mL(水酸化ナトリウム10.3g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイト0.25gを添加し、さらに4,4’−ビフェノール15.1gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.5mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.2L、および水0.1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.1Lで1回、0.03N塩酸0.1Lで1回、水0.1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−4)を得た。
PC共重合体(PC−4)の還元粘度[ηsp/C]は1.18dL/gであり、構造はNMRにおいて、下記の繰り返し単位および組成からなるPC共重合体であることが確認された。
a= 4.2
b= 55.5
c= 40.3
また、PC共重合体(PC−4)中の繰り返し単位Aの重量%は、16.3重量%であった。
〔実施例5〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例2で得られた原料B−CF(144mL)と塩化メチレン(324mL)とを注入した。これに前記一般式(12)に表されるポリフェニレンエーテル(4.76g)、および末端封止剤としてPTBP(0.238g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応容器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製したビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル溶液(ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル溶液調製法:1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液160mL(水酸化ナトリウム10.3g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイト0.25gを添加し、さらにビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル16.0gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.5mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.2L、および水0.1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.1Lで1回、0.03N塩酸0.1Lで1回、水0.1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−5)を得た。
PC共重合体(PC−5)の還元粘度[ηsp/C]は1.15dL/gであり、構造はNMRにおいて、下記の繰り返し単位および組成からなるPC共重合体であることが確認された。
a= 4.3
b= 55.6
c= 40.1
また、PC共重合体(PC−5)中の繰り返し単位Aの重量%は、16.7重量%であった。
〔実施例6〕
実施例1において、前記一般式(12)に表されるポリフェニレンエーテルの量を22.20gに、4,4’−ビフェノールの量を11.70gに変更した以外は、実施例1と同様の操作で、下記の構造からなるPC共重合体(PC−6)を得た。
PC共重合体(PC−6)の還元粘度[ηsp/C]は1.16dL/gであり、構造はNMRにおいて、下記の繰り返し単位および組成からなるPC共重合体であることが確認された。
a= 10.2
b= 54.4
c= 35.4
また、PC共重合体(PC−6)中の繰り返し単位Aの重量%は、32.8重量%であった。
〔実施例7〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例2のB−CF(59.6mL)、製造例5のDHPE−CF(143.7mL)と塩化メチレン(400mL)とを注入した。これに、前記一般式(12)に表されるポリフェニレンエーテル(4.76g)、および末端停止剤としてPTBP(0.189g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル溶液(4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル溶液調製法:2.0Nの水酸化カリウム水溶液200mL(水酸化カリウム26.6g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、4,4−ジヒドロキシジフェニルエーテル24.25gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を2.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.3Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.2Lで1回、0.03N塩酸0.2Lで1回、水0.2Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−7)を得た。
PC共重合体(PC−7)の還元粘度[ηsp/C]は1.21dl/gであり、構造はNMRにおいて、下記の繰り返し単位および組成からなるPC共重合体であることが確認された。
a= 4.3
b= 27.6
c= 68.1
また、PC共重合体(PC−7)中の繰り返し単位Aの重量%は、17.4重量%であった。
〔比較例1〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1で得られた原料Z−CF(160mL)と塩化メチレン(324mL)とを注入した。これに、末端封止剤としてPTBP(0.235g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した4,4’−ビフェノール溶液(4,4’−ビフェノール溶液調製法:2.0Nの水酸化カリウム水溶液162mL(水酸化カリウム10.3g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.25g、4,4’−ビフェノール15.80gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を2.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.2L、および水0.1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.1Lで1回、0.03N塩酸0.1Lで1回、水0.1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−8)を得た。
PC共重合体(PC−8)の還元粘度[ηsp/C]は1.17dL/gであり、構造はNMRにおいて、下記の繰り返し単位およびモル共重合比からなるPC共重合体であることが確認された。
a= 59.9
b= 40.1
〔評価結果〕
表1に実施例1から7および比較例1の評価結果を示す。実施例1から7と、比較例1とを比較すると、実施例1から7のPC共重合体では、良好な耐摩耗性を示し、放電処理による接触角変化量Δが小さく、帯電劣化が起こりにくいことが確認された。
実施例1から5,7のPC共重合体は、繰り返し単位Aのモル百分率が、1モル%以上7モル%以下であり、より良好な耐摩耗性を示すことが確認された。
特に、実施例1から5のPC共重合体は、繰り返し単位Aのモル百分率が、1モル%以上7モル%以下、繰り返し単位Bのモル百分率が、50モル%以上69モル%以下、繰り返し単位Cのモル百分率が、30モル%以上49モル%以下、の関係を満たしており、極めて良好な耐摩耗性を示すことが確認された。
また、実施例1から7の電子写真感光体も、良好な耐摩耗性を示し、放電処理による接触角変化量Δが小さく、帯電劣化が起こりにくいことが確認された。
さらに、上述の〔評価3−4〕によるクリーニング特性の評価において、実施例1のPC共重合体を用いた電子写真感光体の評価結果はAであり、良好なクリーニング特性を示した。
これに対して、比較例1の共重合体は、耐摩耗性は良好であるが、放電処理による接触角変化量Δが大きく、帯電劣化し易く電気的強度が不足していることが確認された。
また、比較例1の電子写真感光体は、耐摩耗性は良好であるが、放電処理による接触角変化量Δが大きく、帯電劣化し易いことが確認された。また、クリーニング特性の評価結果もCで、感光体表面の付着トナーがやや多いことが確認された。
本発明のPC共重合体は、電子写真感光体等に好適に用いることができる。また、本発明の電子写真感光体を用いて作られた感光体ドラムは、複写機、およびレーザープリンター等のプリンター等の電気機器に好適に使用できる。

Claims (16)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位A、下記一般式(4)で表される繰り返し単位Bおよび下記一般式(6)で表される繰り返し単位Cを有し、連鎖末端が一価の芳香族基または一価のフッ素含有脂肪族基により封止されていることを特徴とするポリカーボネート共重合体。

    (前記一般式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であり、平均繰り返し数nは6〜40の数であり、Lは1〜4の整数であり、芳香環にRが2つ以上置換する場合(L≧2)、Rは、互いに同じまたは異なる。)
    [前記一般式(4)中、Ar は下記一般式(5)で表される基である。

    (前記一般式(5)中、R およびR は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のフルオロアルキル基、または
    炭素数1〜3のアルコキシ基である。
    は、
    −CR −、
    置換もしくは無置換の炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、または
    置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリーレン基である。
    およびR は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
    置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基である。但し、R およびR がともに水素原子であることはない。
    qおよびrは、各々独立に、1〜4の整数であり、芳香環にR が2つ以上置換する場合(q≧2)、R は互いに同じまたは異なり、芳香環にR が2つ以上置換する場合(r≧2)、R は互いに同じまたは異なる。)]

    [前記一般式(6)中、Ar は下記一般式(7)で表される基である。但し、Ar はAr と異なる骨格である。

    (前記一般式(7)中、R およびR は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のフルオロアルキル基、または
    炭素数1〜3のアルコキシ基である。
    は、
    単結合、
    −O−、
    −CO−、または
    −CR −である。
    およびR は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
    置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基である。)]
  2. 請求項1に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記一般式(1)中の平均繰り返し数nが6〜15の数であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記繰り返し単位Aのモル数をM、前記繰り返し単位Bのモル数をM、前記繰り返し単位Cのモル数をMとし、前記繰り返し単位A、B、およびCを合わせた繰り返し単位のモル数(M+M+M)のモル百分率を100モル%としたとき、
    前記繰り返し単位Aのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が1モル%以上7モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  4. 請求項に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記繰り返し単位Bのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が15モル%以上89モル%以下であり、
    前記繰り返し単位Cのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が10モル%以上80モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  5. 請求項から請求項のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記繰り返し単位Aの重量%が前記ポリカーボネート共重合体全量基準で3重量%以上60重量%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記繰り返し単位Aのモル数をM、前記繰り返し単位Bのモル数をM、前記繰り返し単位Cのモル数をMとし、前記繰り返し単位A、B、およびCを合わせた繰り返し単位のモル数(M+M+M)のモル百分率を100モル%としたとき、
    前記繰り返し単位Aのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が1モル%以上7モル%以下であり、
    前記繰り返し単位Bのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が50モル%以上69モル%以下であり、
    前記繰り返し単位Cのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が30モル%以上49モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記連鎖末端が、下記一般式(9)で表されるフェノールから誘導される一価の基または下記一般式(10)で表されるフッ素含有アルコールから誘導される一価の基により封止されていることを特徴とするポリカーボネート共重合体。

    (前記一般式(9)において、R 10 は炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、pは1〜3の整数であり、
    前記一般式(10)において、R は炭素数5以上かつフッ素原子数11以上のパーフルオロアルキル基、または下記一般式(11)によって表されるパーフルオロアルキルオキシ基である。)

    (前記一般式(11)において、R f2 は炭素数1〜6の直鎖又は分岐パーフルオロアルキル基であり、mは1〜3の整数である。)
  8. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位A、下記一般式(18)で表される繰り返し単位Dおよび下記一般式(20)で表される繰り返し単位Eを有し、連鎖末端が一価の芳香族基または一価のフッ素含有脂肪族基により封止されていることを特徴とするポリカーボネート共重合体。

    (前記一般式(1)中、R は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であり、平均繰り返し数nは6〜40の数であり、Lは1〜4の整数であり、芳香環にR が2つ以上置換する場合(L≧2)、R は、互いに同じまたは異なる。)

    [前記一般式(18)中、Arは下記一般式(19)で表される基である。

    (前記一般式(19)中、R15およびR16は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のフルオロアルキル基、または
    炭素数1〜3のアルコキシ基である。
    は、
    −CR1718−、
    置換もしくは無置換の炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、または
    置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリーレン基である。
    17およびR18は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
    置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基である。但し、R17およびR18がともに水素原子であることはない。
    uおよびvは、各々独立に、1〜4の整数であり、芳香環にR15が2つ以上置換する場合(u≧2)、R15は互いに同じまたは異なり、芳香環にR16が2つ以上置換する場合(v≧2)、R16は互いに同じまたは異なる。)]

    [前記一般式(20)中、Arは下記一般式(21)で表される基である。但し、ArはArと異なる骨格である。

    (前記一般式(21)中、R19およびR20は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のフルオロアルキル基、または
    炭素数1〜3のアルコキシ基である。
    は、
    単結合、または
    −O−である。
    wおよびは、各々独立に、1〜4の整数であり、芳香環にR19が2つ以上置換する場合(w≧2)、R19は互いに同じまたは異なり、芳香環にR20が2つ以上置換する場合(y≧2)、R20は互いに同じまたは異なる。
    zは、0または1である。)]
  9. 請求項に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記繰り返し単位Aのモル数をM、前記繰り返し単位Dのモル数をM、前記繰り返し単位Eのモル数をMとし、前記繰り返し単位A、D、およびEを合わせた繰り返し単位のモル数(M+M+M)のモル百分率を100モル%としたとき、
    前記繰り返し単位Aのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が1モル%以上7モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  10. 請求項に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記繰り返し単位Dのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が15モル%以上89モル%以下であり、
    前記繰り返し単位Eのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が10モル%以上80モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  11. 請求項8から請求項10のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記連鎖末端が、下記一般式(9)で表されるフェノールから誘導される一価の基または下記一般式(10)で表されるフッ素含有アルコールから誘導される一価の基により封止されていることを特徴とするポリカーボネート共重合体。

    (前記一般式(9)において、R 10 は炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、pは1〜3の整数であり、
    前記一般式(10)において、R は炭素数5以上かつフッ素原子数11以上のパーフルオロアルキル基、または下記一般式(11)によって表されるパーフルオロアルキルオキシ基である。)

    (前記一般式(11)において、R f2 は炭素数1〜6の直鎖又は分岐パーフルオロアルキル基であり、mは1〜3の整数である。)
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記ポリカーボネート共重合体の還元粘度[ηsp/C]が0.60dL/g以上4.0dL/g以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体と有機溶剤とを含むことを特徴とする塗工液。
  14. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  15. 基板と、
    前記基板上に設けられた感光層と、を有し、
    前記感光層は、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  16. 請求項14または請求項15に記載の電子写真感光体を有することを特徴とする電気機器。
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