JP2011112868A - 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 Download PDF

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【課題】405±5nmの波長域で高い感度特性を有し、光によって疲労劣化しない高耐久性に優れた電子写真感光体及びその電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】導電性基体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層が順次積層され、波長405±5nmの範囲にある露光光源で使用される電子写真感光体において、電荷輸送層が、電荷輸送物質として、以下の一般式(I)(式中、R1、R2およびR3は、互いに
独立してC1〜C4アルキルまたはアルコキシ基を表す)で示されるトリフェニルアミンダイマー化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体により上記課題を解決する。
Figure 2011112868

【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる電子写真感光体とそれを備えた画像形成装置に関する。
電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置(以下「電子写真装置」ともいう)は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに多用されている。
電子写真装置は、一般に、電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)、帯電器、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段を備えている。
通常、上記の感光体は、導電性材料からなる導電性基体上に光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成されている。
また、上記の感光体には、アモルファスセレン(a−Se)またはアモルファスセレン砒素(a−AsSe)などからなる層を感光層に用いたセレン系感光体;酸化亜鉛(ZnO)または硫化カドミウム(CdS)を感光層に用いた酸化亜鉛系感光体または硫化カドミウム系感光体;およびアモルファスシリコン(a−Si)を感光層に用いたアモルファスシリコン系感光体(a−Si感光体)などの無機系感光体と有機系光導電性材料、すなわち有機光導電体(Organic Photoconductor;略称:OPC)を用いた感光体(以下、「有機系感光体」ともいう)がある。
有機系感光体は、感度、耐久性および環境に対する安定性などに若干の問題を有するが、無機系感光体に比べると、毒性、製造原価および材料設計の自由度などの点において、多くの利点を有している。
さらに、有機系感光体は、感光層を、例えば浸漬塗布法に代表される容易かつ安価な方法で形成できるという特徴を有しているので、現在では、感光体の主流を占めてきている。
このような有機系感光体の構成としては、導電性材料からなる導電性基体上に電荷発生物質および電荷輸送物質(「電荷移動物質」ともいう)の双方を結着樹脂(「バインダ樹脂」、「結着剤樹脂」ともいう)に分散させ、感光層を形成させた単層型構造、導電性基体上に電荷発生物質を結着樹脂に分散させた電荷発生層と、電荷輸送物質を結着樹脂に分散させた電荷輸送層とを、この順でまたは逆の順で積層させ感光層を形成させた積層型構造または逆二層積層型構造などの様々な構成が提案されている。
これらの中でも感光層として電荷発生層上に電荷輸送層を積層した機能分離型の感光体は、電子写真特性および耐久性に優れ、材料選択の自由度の高さから感光体特性を様々に設計できることから広く実用化されている。
レーザー光を露光用光源とする電子写真装置としては、レーザープリンタが代表的な例であるが、近年では複写機においてもデジタル化が進みレーザーが露光用光源に用いられることが一般的となってきた。
主に露光用光源として用いられるレーザーとしては、低コストで消費エネルギーが少なく軽量小型である半導体レーザーが実用化されており、発振波長や出力の安定性、寿命の点において800nm付近の近赤外領域に発振波長を有するものが一般的なものであった。
これは上記の波長より、短波長で発振するレーザーが技術的な問題から実用化にはいたっていなかったためである。
この事を受けて、レーザーを露光光源とした電子写真装置で用いられる電荷発生材料は、長波長領域に光を吸収して感度を有する有機化合物、特にフタロシアニン顔料を電荷発生層に、トリフェニルアミン化合物(特公昭58−32372号公報:特許文献1、特開平2−190862号公報:特許文献2)、スチルベン化合物(特開昭54−151955号公報:特許文献3、特開昭58−198043号公報:特許文献4)、ヒドラゾン化合物(特開昭54−150128号公報:特許文献5、特公昭55−42380号公報:特許文献6、特開昭55−52063号公報:特許文献7)、フェニレンジアミン化合物(特開平4−291266号公報:特許文献8)、エナミン化合物(特開平7−134430号公報:特許文献9)を電荷輸送層に含有した積層型感光体が開発されてきた。
1990年に青色発光ダイオードの製造方法が発明され(特許第2628404号公報:特許文献10)それ以後、青色半導体レーザーの関連技術は活発に開発が進められブルーレイディスクと呼ばれる次世代ディスクが急速に普及しつつある。
この一方で、近年、電子写真装置の出力画像の画質向上を図るために、画質の高解像度化が検討されている。記録密度の高い高解像度の画質を達成するひとつの手段として、光学的な方法としてはレーザービームのスポット径を絞り、書込み密度を上げることが挙げられる。そこで使用するレンズの焦点距離を短くすれば良いが光学系の設計上の難しさに加え、800nm付近の近赤外域に発振波長を持つレーザーでは、光学系の操作でビーム径を細くしてもスポット輪郭の鮮明さが得られにくい。その原因はレーザー光の回折限界にあり、これは避けることの出来ない現象である。
一般に 感光体の表面に収束されるレーザーのスポット径は、スポット径をDとすると、スポット径Dとレーザービームの波長及びレンズ開口数NAとは次の式で示される関係にある。
D=1.22λ/NA
(式中、λはレーザービームの波長、NAはレンズ開口数を表す)
この式から、スポット径Dはレーザー光の発振波長に比例しており、スポット径Dを小さくするには発振波長の短いレーザーを用いればよい。
つまり、現在主流の近赤外半導体レーザーに替えて、青色半導体レーザーを用いれば現在の感光体よりさらなる高解像度が実現できることが判る。
しかし、このような青色系レーザーは光ディスクの記録密度を向上させるものという意味で大きな成果を挙げたが、従来の電子写真感光体はこの波長域に感度を示さないことから電子写真装置の露光用光源としてはほとんど期待されていなかった。
従来の積層型電子写真感光体は導電性基体の上に電荷発生層、電荷輸送層を順に積層したものが一般的に実用化されているが、410nm以下の波長にも吸収を示す電荷発生材料を用いれば、一般的に410nm以下の短波長レーザーの露光にも感度を示すはずである。
しかし実際には電荷発生層の上に積層された電荷輸送層、特に電荷輸送物質が410nmの波長に吸収を示すことから、露光光源として用いた短波長のレーザー光が感光層の表面で吸収されて電荷発生層まで到達できないことから、積層型電子写真感光体ではこの波長域に感度を示さないもしくは、低感度になる。
更に、波長成分の揃った高強度の光で露光されるために電荷輸送材料や電荷発生材料が変質しやすく、長期の使用によって感光体の感度が低下し高画質が維持できないという問題もあった。これらの問題に対応した電子写真感光体が開発されている(特許第3937602号公報:特許文献11)が、膜の透過率と高感度化を両立できたものはなかった。
特公昭58−32372号公報 特開平2−190862号公報 特開昭54−151955号公報 特開昭58−198043号公報 特開昭54−150128号公報 特公昭55−42380号公報 特開昭55−52063号公報 特開平4−291266号公報 特開平7−134430号公報 特許第2628404号公報 特許第3937602号公報
本発明は、405±5nmの波長域で高い感度特性を有し、光によって疲労劣化しない高耐久性に優れた電子写真感光体を提供することにある。
更に別の目的は、この感光体と発振波長が405±5nmの範囲にある半導体レーザーを使用することによって、高感度で高解像力を有する電子写真装置を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意努力研究を重ねた結果、特定のトリフェニルアミンダイマー化合物を電荷輸送物質として用いることにより、波長405±5nmの露光波長において、十分な光透過率を示し、かつ良好な感度特性、高安定性、高解像力および高耐刷性を有する電子写真感光体を提供できることを見出し、本発明を完成した。
しかるに、本発明によれば、導電性基体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層が順次積層され、波長405±5nmの範囲にある露光光源で使用される電子写真感光体において、電荷輸送層が、電荷輸送物質として、以下の一般式(I):
Figure 2011112868
(式中、R1、R2およびR3は、互いに独立してC1〜C4アルキルまたはアルコキシ基を表す)
で示されるトリフェニルアミンダイマー化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、上記の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して波長405±5nmの露光光を発する露光手段と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
さらに、本発明によれば、前記露光光が、405±5nmの波長を有する青紫色半導体レーザー光である画像形成装置が提供される。
一般的な電荷輸送物質は、電子雲を可能な限り広げることで、電荷の高移動度を実現している。このことから、これまで電荷輸送物質については、電荷輸送物質の構造において電子雲を広げる方向で検討しており、そのような電荷輸送物質の構造においては官能基がないほうが優れた電気特性を有していると思われていた。
しかしながら、上記のように、電荷輸送物質の構造において電子雲を広げれば、電荷輸送物質の吸収波長は、長波長化する傾向がある。
本発明による電子写真感光体において、電荷輸送物質として用いられているトリフェニルアミンダイマー化合物は、電子雲の広がりは比較的小さく抑えられているものの、実使用上十分な電荷移動度を有している。
すなわち、405±5nmの範囲にある露光光に対する吸光度と、電荷移動度とのバランスが非常に優れている構造になっている。
したがって、本発明のトリフェニルアミンダイマー化合物を電荷輸送層に含有させることで、405±5nmの範囲にある露光光に対して良好な光透過性を示し、かつ良好な電気特性を示すことが出来る。
すなわち、波長405±5nmの露光光を使用する電子写真感光体において、該電子写真感光体中に一般式(I)で示される本トリフェニルアミンダイマー化合物を含有させる
ことによって、高感度、高解像力および高耐刷性を有する電子写真感光体及び該感光体を備える電子写真装置を提供することができる。
また、露光光として、405±5nmの波長域の青紫色半導体レーザー光を用いることにより、印刷時における感光体へのデータの書き込みのスポット径を小さくできることから、高画質化を図ることができる。
また、本発明による感光体は、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間に中間層を有することで、基板上の欠陥等の隠蔽および露光光源によるモアレの発生を抑制でき、高画質化を図ることが出来る。
さらに、本発明による感光体を備えることにより、高画質な印刷が可能な画像形成装置が提供される。
本発明の一つの積層型感光体構成を示す模式断面図である。 本発明の他の積層型感光体構成を示す模式断面図である。 本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
本発明による電子写真感光体における電荷輸送層は、電荷輸送物質として、以下の一般式(I):
Figure 2011112868
(式中、R1、R2およびR3は、互いに独立してC1〜C4アルキルまたはアルコキシ基を表す)
で示されるトリフェニルアミンダイマー化合物を含有することを特徴とする。
上記の一般式(I)における置換基R1、R2およびR3が意味するC1〜C4アルキル基としてはエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル基が挙げられる。
また、上記の一般式(I)における置換基R1、R2およびR3が意味するC1〜C4アルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシ基が挙げられる。
具体的には、上記の一般式(I)における置換基R1、R2およびR3はメチル、エチルまたはメトキシ基である。
さらに具体的には前記一般式(I)のトリフェニルアミンダイマー化合物としては、前記一般式(I)において、R1、R2およびR3がメチル基であり、以下の式(1):
Figure 2011112868
で表される化合物(1)、
1およびR3がメチル基であり、R2がメトキシ基であり、以下の式(2):
Figure 2011112868
で表される化合物(2)、および
1およびR3がメチル基であり、R2がエチル基であり、以下の式(3):
Figure 2011112868
で表される化合物(3)があげられる。
次いで、一般的に用いられる電子写真感光体の材料について説明する。尚、本発明に係る感光体材料は以下に記載の内容に限定されるものではない。
図1は、本発明による電子写真感光体の一例である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す概略断面図である。電子写真感光体1は、導電性材料からなるシート状の導電性支持体11上に、中間層18を設け、その上に電荷発生物質12を含有する電荷発生層15と、電荷輸送物質13および電荷輸送物質13を結着させるバインダ樹脂17を含有する電荷輸送層16とが、導電性支持体11から外方に向かってこの順序で積層されてなる積層構造からなる感光層14を有する積層型感光体1である。
導電性支持体11
導電性支持体11を構成する導電性材料としては、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼およびチタンなどの金属材料、ならびに、表面に金属箔ラミネート、金属蒸着処理、または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層の蒸着もしくは塗布を行ったポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙またはガラスなどを挙げることが出来る。
特に好ましくは、JIS3003系、JIS5000系およびJIS6000系などのアルミニウム合金を用いるのが好ましい。
また、導電性支持体11の形状は、シート状、ドラム状、無端ベルト状などが上げられる。
導電性支持体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理を施してもよい。
レーザーを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザー光の波長が揃っているため、入射するレーザー光と電子写真感光体内で反射された光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥が発生することがある。導電性支持体11の表面に前述のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザー光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
中間層18
本発明の積層型感光体は、導電性支持体11と感光層14との間に中間層18を有するのが好ましい。
中間層18は、例えば、樹脂材料を適当な溶剤に溶解させて中間層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成できる。
中間層は、導電性支持体から積層型感光層への正の電荷の注入を防止できる機能を有する。すなわち、中間層により、感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生を防止される。
特に、中間層は、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりの発生を防止できる。
また、中間層で導電性支持体の表面を被覆する中間層は、導電性支持体の表面の欠陥である凹凸の度合を軽減して表面を均一化し、積層型感光層の成膜性を高め、導電性支持体と感光層との密着性を向上させることができる。
中間層に用いられる樹脂材料としては、後述する積層型感光層に含まれるものと同様のバインダ樹脂に加えて、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどの天然高分子材料などが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。
これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂が好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂が特に好ましい。アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロンおよび12−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などが挙げられる。
樹脂材料を溶解または分散させる溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルカルビトール、ブチルカルビトールなどのグライム類、ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタンなどの塩素系溶剤、アセトン、ジオキソラン、これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤などが挙げられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
中間層18の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法のうちから、塗布の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に導電性支持体11を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって導電性支持体11上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。
また、中間層形成用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。
金属酸化物粒子は、中間層の体積抵抗値を容易に調節でき、導電性支持体から積層型感光層への正の電荷の注入をさらに抑制できると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持できる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどが挙げられる。
中間層形成用塗布液におけるバインダ樹脂と金属酸化物粒子との合計重量Cと溶剤の重量Dとの比率(C/D)は、1/99〜40/60が好ましく、2/98〜30/70が特に好ましい。
また、バインダ樹脂の重量Eと金属酸化物粒子の重量Fとの比率E/Fは、90/10〜1/99が好ましく、70/30〜5/95が特に好ましい。
中間層の膜厚は特に限定されないが、0.01〜20μmが好ましくは、0.05〜10μmが特に好ましい。
中間層の膜厚が20μmを超える場合には、均一な中間層を形成し難く、また中間層上に均一な積層型感光層を形成し難く、感光体の感度が低下するおそれがある。一方、中間層の膜厚が0.01μm未満の場合には、中間層として実質的に機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面が得られないおそれがある。すなわち、導電性支持体からの積層型感光層への電荷の注入を防止することができなくなり、帯電性の低下が生じる。
なお、導電性支持体の構成材料がアルミニウムの場合には、アルマイトを含む層(アルマイト層)を形成し、中間層とすることができる。
電荷発生層15
電荷発生層15は、光を吸収することによって電荷を発生させる電荷発生物質12を主成分として含有する。
電荷発生物質12として有効な物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類およびチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素、ならびにセレンおよび非晶質シリコンなどの無機材料などを挙げることができる。これらの電荷発生物質12は、1種を単独でまたは2種以上を組合わせて使用できる。
これらの電荷発生物質12の中でも、下記一般式:
Figure 2011112868
(式中、X1、X2、X3およびX4は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、r、s、yおよびzは、それぞれ0〜4の整数を示す)
で示されるオキソチタニルフタロシアニンを用いることが好ましい。
オキソチタニルフタロシアニンは、現在一般的に用いられているレーザー光およびLED光の発信波長域(近赤外光)で高い電荷発生効率と電荷注入効率とを有する電荷発生物質12として用いられ、光を吸収することによって多量の電荷を発生させるとともに、発生した電荷をその内部に蓄積することなく電荷輸送物質13に効率よく注入する。
前記一般式で示されるオキソチタニルフタロシアニン化合物は、たとえばモーザー及びトーマスの「フタロシアニン化合物」(Moser, and Thomas. "Phthalocyanine Compounds", Reinhold Publishing Corp., New York, 1963)に記載されている公知の製造方法によって製造することができる。
たとえば、前記一般式で示されるオキソチタニルフタロシアニン化合物のうち、X1、X2、X3およびX4が共に水素原子であるオキソチタニルフタロシアニンは、フタロニトリルと四塩化チタンとを、加熱融解するかまたはα−クロロナフタレンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることによってジクロロチタニルフタロシアニンを合成した後、塩基または水で加水分解することによって得られる。またイソインドリンとテトラブトキシチタンなどのチタニルテトラアルコキシドとを、N−メチルピロリドンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることによっても、オキソチタニルフタロシアニンを製造することができる。
電荷発生物質12は、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料またはチオピリリウム塩染料などの増感染料と組合わされて使用されてもよい。
電荷発生層15の形成方法としては、電荷発生物質12を導電性支持体11上に真空蒸着する方法、または溶剤中に電荷発生物質12を分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性支持体11上に塗布する方法などがある。これらの中でも、結着剤であるバインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質12を従来公知の方法によって分散し、得られた塗布液を導電性支持体11上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
上記のバインダ樹脂には、たとえばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などからなる群から選ばれる1種が単独でまたは2種以上が混合されて使用される。共重合体樹脂の具体例としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂をバインダ樹脂として使用することができる。
溶剤には、たとえばジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン(THF)およびジオキサンなどのエーテル類;1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類;またはN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが用いられる。
また、これらの溶剤を2種以上混合した混合溶剤を用いることもできる。
地球環境に対する配慮すると、非ハロゲン溶剤を用いることが好ましい。
電荷発生物質12とバインダ樹脂との配合比率は、電荷発生物質12の割合が10重量%〜99重量%の範囲にあることが好ましい。電荷発生物質12の割合が10重量%未満であると、感度が低下する。電荷発生物質12の割合が99重量%を越えると、電荷発生層15の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質12の分散性が低下して粗大粒子が増大し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少して画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多くなる。したがって、10重量%〜99重量%が好ましい。
バインダ樹脂溶液中に電荷発生物質12を分散させる前に、予め電荷発生物質12を粉砕機によって粉砕処理してもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などを挙げることができる。
電荷発生物質12をバインダ樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミルまたはサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
電荷発生物質12をバインダ樹脂溶液中に分散して得られる電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの塗布方法のうちから、塗布の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に導電性支持体11を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって導電性支持体11上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるため、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
電荷発生層15の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層15の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感度が低下する。電荷発生層15の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光体表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感度が低下する。
電荷輸送層16
電荷輸送層16は、電荷発生物質12で発生した電荷を受入れ輸送する能力を有する電荷輸送物質13を、バインダ樹脂17中に含有させることによって得られる。電荷輸送物質13としては、前記の一般式(I)のトリフェニルアミンダイマー化合物が用いられる

前記の一般式(I)で表されるトリフェニルアミンダイマー化合物は、特開2000−
256276記載の方法に従って製造できる。
本発明における一般式(I)で表されるトリフェニルアミンダイマー化合物としては、
例えば、次のような化合物がある。
Figure 2011112868
Figure 2011112868
電荷輸送層16のバインダ樹脂17には、電荷輸送物質13との相溶性に優れるものが選ばれる。具体例としては、たとえばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂などの樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもよい。これらの樹脂は、単独で使用されてもよく、また2種以上混合されて使用されてもよい。前述した樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れており、また皮膜性および電位特性などにも優れているので、これらをバインダ樹脂17に用いることが特に好ましい。
電荷輸送物質13(A)とバインダ樹脂17(B)との比率A/Bは、10/12〜10/30で用いられる。前記比率A/Bが10/30未満でありバインダ樹脂17の比率が高くなると、浸漬塗布法によって電荷輸送層16を形成する場合、塗布液の粘度が増大するので、塗布速度低下を招き生産性が著しく悪くなる。また塗布液の粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶剤の量を多くすると、ブラッシング現象が発生し、形成された電荷輸送層16に白濁が発生する。また前記比率A/Bが10/12を超えバインダ樹脂17の比率が低くなると、バインダ樹脂17の比率が高いときに比べて耐刷性が低くなり、感光層の摩耗量が増加する。
電荷輸送層16には、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させるために、必要に応じて、可塑剤またはレベリング剤などの添加剤を添加してもよい。可塑剤としては、たとえば二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などを挙げることができる。レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤などを挙げることができる。
また電荷輸送層16には、機械的強度の増強や電気的特性の向上を図るために、無機化合物または有機化合物の微粒子を添加してもよい。
電荷輸送層16は、たとえば前述の電荷発生層15を形成する場合と同様に、適当な溶剤中に電荷輸送物質13およびバインダ樹脂17、ならびに必要な場合には前述の添加剤を溶解または分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗布液をスプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法または浸漬塗布法などによって、電荷発生層15上に塗布することによって形成される。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述したように種々の点で優れているので、電荷輸送層16を形成する場合にも多く利用されている。
塗布液に用いられる溶剤には、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;THF、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類;ならびにN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤などからなる群から選ばれる1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。またこれらの溶剤に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することもできる。
また、地球環境への配慮から非ハロゲン系有機溶剤を用いることが好ましい。
電荷輸送層16の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下である。電荷輸送層16の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下する。電荷輸送層16の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下する。
感光層14には、感度の向上を図り、繰返し使用時の残留電位の上昇および疲労などを抑えるために、さらに1種以上の電子受容物質や色素を添加してもよい。
電子受容物質には、たとえば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸および4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレンおよびテレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノンおよび1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノンおよび2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物、ならびにジフェノキノン化合物などの電子吸引性材料、またはこれらの電子吸引性材料を高分子化したものなどを用いることができる。
色素には、たとえばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料または銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
図2は、本発明による電子写真感光体のさらに他の例である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す概略断面図である。電子写真感光体2は、図1に示す電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
注目すべきは、電子写真感光体2が、電子写真感光体1の最外層に表面保護層150を設けていることである。
表面保護層150
表面保護層150 に使用されるバインダ樹脂としてはポリスチレン、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂が有効に使用される。摩耗特性、電気的特性を考慮した場合、ポリカーボネート、ポリアリレートが好ましい。これらのバインダ樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
また、感光体の表面保護層150 にはその他、耐摩耗性を向上する目的でフィラー材料が添加される。
有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられる。
また、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。
特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。
また、フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが表面保護層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。これらフィラーは分散性向上などの理由から無機物、有機物で表面処理されてもよい。
一般に、撥水性処理としてシランカップリング剤で処理したもの、あるいはフッ素系シランカップリング剤で処理したもの、高級脂肪酸で処理したもの。無機物処理としてはフィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカで処理したもの知られている。
表面保護層 中のフィラー材料濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、保護層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度である。また、表面保護層中に前記電荷輸送物質13を含有してもよい。
なお、表面保護層150の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。さらに1.0〜8.0μmの範囲であることが好ましい。長期的に繰り返し使用される感光体は、機械的に耐久性が高く、摩耗しにくいものとする。しかし実機内では、帯電部材などから、オゾン及びNOxガスなどが発生し、感光体の表面に付着する。これらの付着物が存在すると、画像流れが発生する。この画像流れを防止するためには、感光層をある一定速度以上に摩耗する必要がある。そのためには、長期的な繰り返し使用を考慮した場合、表面保護層は少なくとも1.0μm以上の膜厚であることが好ましい。また表面保護層の膜厚が8.0μmよりも大きい場合は、残留電位上昇や微細ドット再現性の低下が考えられる。
本発明の電子写真装置は、本発明の積層型感光体と、積層型感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された積層型感光体に対して青色レーザーダイオードによる露光を施す露光手段と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする。
図面を用いて本発明の画像形成装置およびその動作について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図3の画像形成装置(レーザープリンタ)100は、本発明の積層型感光体1(図1参照)と、露光手段(半導体レーザー)31と、帯電手段(コロナ帯電器)32と、現像手段(現像器)33と、転写手段(転写帯電器)34と、搬送ベルト(図示せず)と、定着手段(定着器)35、クリーニング手段(クリーナ)36とを含んで構成される。図番51は転写紙を示す。
積層型感光体1は、図示しない画像形成装置100本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線44回りに矢符41方向に回転駆動される。
駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を積層型感光体1の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、積層型感光体1を所定の周速度で回転駆動させる。
帯電器32、露光手段31、現像器33、転写帯電器34およびクリーナ36は、この順序で、積層型感光体1の外周面に沿って、矢符41で示される積層型感光体1の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器32は、積層型感光体1の外周面を均一に所定の電位に帯電させる帯電手段である。
本発明の画像形成装置における帯電手段は、有害なオゾンガス発生低減の観点から、正帯電であるのが好ましい。
露光手段31は、波長405±5nmの露光光を発する青色半導体レーザーを露光光源として備え、光源から出力されるレーザー光を、帯電器32と現像器33との間の積層型感光体1の表面に照射することによって、帯電された積層型感光体1の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。
このレーザー光は、主走査方向である積層型感光体1の回転軸線44の延びる方向に繰返し走査され、これらが結像して積層型感光体1の表面に静電潜像が順次形成される。すなわち、帯電器32により均一に帯電された積層型感光体1の帯電量がレーザービームの照射および非照射によって差異が生じて静電潜像が形成される。
現像器33は、露光によって積層型感光体1の表面に形成される静電潜像を、現像剤(トナー)によって現像する現像手段であり、積層型感光体1を臨んで設けられ、積層型感光体1の外周面にトナーを供給する現像ローラ33aと、現像ローラ33aを積層型感光体1の回転軸線44と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33bとを備える。
転写帯電器34は、現像によって積層型感光体1の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符42方向から積層型感光体1と転写帯電器34との間に供給される記録媒体である転写紙51上に転写させる転写手段である。
転写帯電器34は、例えば、帯電手段を備え、転写紙51にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙51上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ36は、転写帯電器34による転写動作後に積層型感光体1の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、積層型感光体1の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード36aと、クリーニングブレード36aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング36bとを備える。また、このクリーナ36は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
また、画像形成装置100には、積層型感光体1と転写帯電器34との間を通過した転写紙51が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器35が設けられる。定着器35は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ35aと、加熱ローラ35aに対向して設けられ、加熱ローラ35aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ35bとを備える。
また、符号37は、転写紙と感光体を分離する分離手段、38は画像形成方法の各手段を収容するハウジング(ケーシング)を示す。
この画像形成装置100による画像形成動作は、次のようにして行われる。まず、積層型感光体1が駆動手段によって矢符41方向に回転駆動されると、露光手段31による光の結像点よりも積層型感光体1の回転方向上流側に設けられる帯電器32によって、積層型感光体1の表面が正の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段31から、積層型感光体1の表面に対して画像情報に応じた光が照射される。積層型感光体1は、この露光によって、光が照射された部分の表面電荷が除去され、光が照射された部分の表面電位と光が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段31による光の結像点よりも積層型感光体1の回転方向下流側に設けられる現像器33から、静電潜像の形成された積層型感光体1の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
積層型感光体1に対する露光と同期して、積層型感光体1と転写帯電器34との間に、転写紙51が供給される。転写帯電器34によって、供給された転写紙51にトナーと逆極性の電荷が与えられ、積層型感光体1の表面に形成されたトナー像が、転写紙51上に転写される。
トナー像の転写された転写紙51は、搬送手段によって定着器35に搬送され、定着器35の加熱ローラ35aと加圧ローラ35bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙51に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙51は、搬送手段によって画像形成装置100の外部へ排紙される。
一方、転写帯電器34によるトナー像の転写後も積層型感光体1の表面上に残留するトナーは、クリーナ36によって積層型感光体1の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された積層型感光体1の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、積層型感光体1の表面上の静電潜像が消失する。その後、積層型感光体1はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
以下に実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
なお、化合物の同定には、以下の条件でNMRを測定した。
核磁気共鳴装置:NMR(ブルカーバイオスピン社製、型式:DPX−200)
サンプル調整 約4mg試料/0.4m(CDCl3
測定モード 1H(通常)
製造例1
化合物(1)の製造(特開2000−256276記載の方法で合成)
撹拌器、ジムロート冷却器および滴下ロートなどの必要器具を備えた100mlのガラス製4口フラスコに、以下の式(4):
Figure 2011112868
で表される化合物(4)10.0g(24.6mmol)とo−ジクロロベンゼン200mlを加え、さらに、以下の式(5):
Figure 2011112868
で表される化合物(5)10.8g(59.0mmol)、反応促進剤としてのポリエチレングリコール(和光純薬社製のPEG−6000(商品名))1.04g、炭酸カリウム27.3g(0.198mol)、及び銅(粉末)6.35g(98.7mmol)を加えて攪拌下、還流した。
高速液体クロマトグラフィーにより反応を追跡し原料及び中間体のピークがなくなるまで攪拌下還流した(22時間)。熱時濾過後、生成物をジクロロメタンで濾液の色が薄くなるまで洗浄し、溶剤を減圧留去した。残留物をシリカクロマトグラフィーにより精製することにより、化合物(1)を得た。
得られた化合物の1H−NMRスペクトルは、δ 2.00(brs、12H)、2.30(brs、12H)、6.64〜7.40(m、20H)を示した。
製造例2
化合物(C)の製造
製造例1において用いた化合物(5)を、以下の式(6):
Figure 2011112868
で表される化合物(6)に変えた以外は、製造例1と同様の操作で、以下の式(C):
Figure 2011112868
で表される化合物(C)を合成した。また合わせて、化学構造分析も行った。
得られた化合物(C)の1H−NMRスペクトルは、δ 2.10(s、6H)、2.32(s、12H)、6.90〜7.18(m、18H)、7.41〜7.48(m、4H)を示した。
製造例3
化合物(D)の製造
上記の製造例1において用いた化合物(4)を、以下の式(7):
Figure 2011112868
で表される化合物(7)に変え、かつ化合物(5)を、以下の式(8):
Figure 2011112868
で表される化合物(8)に変えた以外は、製造例1と同様の操作で、以下の式(D):
Figure 2011112868
で表される化合物(D)を合成した。また合わせて、化学構造分析も行った。
得られた化合物(D)の1H−NMRスペクトルは、δ 2.04(s、12H)、2.32(brs、12H)、6.70〜7.56(m、20H)を示した。
実施例1
酸化チタン(商品名:タイベークTTO−D−1、石原産業株式会社製)3重量部および市販のポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)2重量部を、メチルアルコール25重量部に加え、ペイントシェーカにて8時間分散処理し、中間層形成用塗工液3リットルを調製した。得られた中間層用塗布液を、塗布槽に満たし、導電性支持体を浸漬後引上げ、自然乾燥して膜厚1μmの中間層18を形成した。導電性支持体としては、切削加工(JISB−0601規定の十点表面粗さRz:0.80μmに加工)した後、表面洗浄した直径:30mm、長さ:357mmのアルミニウム製導電性基持体を用いた。
次いで、ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、チタニウムテトライソプロポキシド17.0gを加え、窒素雰囲気下に140℃で2時間反応させた。放冷した後析出物を濾取し、クロロホルムで洗浄、2%の塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥の後25.5g(88.5%)の下記構造式:
Figure 2011112868
で表されるオキソチタニルフタロシアニンを得た。
得られたオキソチタニルフタロシアニン1重量部およびブチラール樹脂(商品名:BM−2、電気化学工業(株)製)1重量部をメチルエチルケトン98重量部に混合し、ペイントシェーカにて分散処理して電荷発生層形成用塗工液3リットルを調製した。この電荷発生層形成用塗工液を、中間層形成の場合と同様の方法で中間層表面に塗布し、自然乾燥して膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、電荷輸送物質として前記表1に記載の化合物(1)100重量部、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)150重量部、シリコンオイルSH200(東レ・ダウコーニング社製)0.02重量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として固形分25重量%の電荷輸送層形成用塗工液3リットルを調製した。この電荷輸送層形成用塗工液を中間層と同様の方法により、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、120℃で1時間乾燥して膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、図1に示す積層型感光体を作製した。
実施例2
上記の実施例1における化合物(1)に変えて前記表1に記載の化合物(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1の積層型感光体を作製した。
実施例3
上記の実施例1における化合物(1)に変えて前記表1に記載の化合物(3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1の積層型感光体を作製した。
比較例1
上記の実施例1における化合物(1)に変えて、以下の式(A):
Figure 2011112868
で表される化合物(A)(商品名:D2448、東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1の積層型感光体を作製した。
比較例2
上記の実施例1における化合物(1)に変えて、以下の式(B):
Figure 2011112868
で表される化合物(B)(商品名:D2269、東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1の積層型感光体を作製した
比較例3
上記の実施例1における化合物(1)に変えて、以下の式(C):
Figure 2011112868
で表される化合物(C)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1の積層型感光体を作製した。
比較例4
上記の実施例1における化合物(1)に変えて、以下の式(D):
Figure 2011112868
で表される化合物(D)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1の積層型感光体を作製した。
[評価]
解像度1200dpi負帯電方式のデジタル複写機(商品名:MX−2600、シャープ株式会社製)の画像形成工程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計TREC(TREC JAPAN社製、Model 344)を設けて、各感光体の電気特性および環境安定性を評価した。
まず、温度22℃、相対湿度65%のN/N環境下において、帯電器による帯電動作直後の感光体の表面電位を帯電電位V0(V)として測定した。また、レーザー光(波長:780nm)によって露光を施した直後の感光体の表面電位をN/N環境下における露光後電位VL(V)として測定した。併せて初期画像の画質評価を行った。具体的には、黒モードにおいて、自己印字モードで1ライン画像、縦横の2ライン画像、黒ベタの1ライン抜け画像、1by1ドット(1ドット置きに1ドットを印字)画像の評価を行った。
さらに上記複写機の露光ユニット(780nm)を青色半導体レーザー(405nm)用に改造し、解像度2400dpiに改造した。また、上記と同様に各感光体の電気特性、環境安定性および画像特性を評価した。
次に、所定のパターンのテスト画像(ISO 19752に規定された文字テストチャート)を記録用紙10万枚に連続して複写させた後、初期と同様にして帯電動作直後の感光体の表面電位を帯電電位V0(V)として、露光後の感光体の表面電位を残留電位VL(V)として測定した。併せて、10万枚複写前後の膜厚をMCPD−3000(大塚電子株式会社製)を用いて測定することで、感光体10万回転あたりの電荷輸送層の膜減量を求めた。
実施例および比較例で用いた電荷輸送層形成用塗工液を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(略称PET)フィルム上にアプリケーターによって塗布し、120℃の熱風で60分間乾燥させ、膜厚20μmの電荷輸送層を作製した。このフィルムをU−4000型分光光度計(日立製作所社製)により405nmの波長における光透過率を%単位で求めた。
評価結果を、以下の表に示す。
Figure 2011112868
実施例1〜3、比較例1〜4より、電荷輸送物質に本発明のトリフェニルアミンダイマー化合物を用いた電子写真感光体は、波長405nmの露光における電荷輸送膜の透過率も高く、高感度であり、かつ膜減量が少ないことが判った。
ただし、780nm波長の露光では、例示化合物より比較例の化合物のほうが良好な電機特性および画像特性を示すことが判った。
すなわち、従来の電子雲を広げる方向で開発されたトリフェニルアミンダイマー化合物では、405nm波長の露光においては良好な特性を示さないことが判った。
このことより、本発明の化合物は、405nmの露光においてのみ、良好な特性を示すことが判った。
また、本発明のトリフェニルアミンダイマー以外だと膜の透過率が悪いか、もしくは、溶剤への溶解性が悪く感光体を作製出来ないという問題があることが判った。
また、本発明のトリフェニルアミンダイマー化合物を用いることで、高解像度化においても露光光源の短波長化による光学系のメリットを十分に生かした画像形成装置が実現できることが判った。
波長405±5nmの露光光源で使用される電子写真感光体において、電荷輸送物質として一般式(I)で示される本トリフェニルアミンダイマー化合物を含有することで高感
度、高解像力、高耐刷性を有する電子写真感光体及び電子写真装置を提供することができる。
1、2 電子写真感光体
11 導電性支持体
12 電荷発生物質
13 電荷輸送物質
14 感光層
15 電荷発生層
16 電荷輸送層
17 バインダ樹脂
18 中間層
31 露光手段(半導体レーザー)
32 帯電手段(コロナ帯電器、帯電器)
33 現像手段(現像器)
33a 現像ローラ
33b ケーシング
34 転写手段(転写帯電器)
35 定着手段(定着器)
35a 加熱ローラ
35b 加圧ローラ
36 クリーニング手段(クリーナ)
36a クリーニングブレード
36b 回収用ケーシング
37 分離手段
38 ハウジング(ケーシング)
41 矢符(回転駆動方向)
42 転写紙供給方向
44 回転軸線
51 転写紙
100 画像形成装置(レーザープリンター)
150 表面保護層

Claims (7)

  1. 導電性基体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層が順次積層され、波長405±5nmの範囲にある露光光源で使用される電子写真感光体において、電荷輸送層が、電荷輸送物質として、以下の一般式(I):
    Figure 2011112868
    (式中、R1、R2およびR3は、互いに独立してC1〜C4アルキルまたはアルコキシ基を表す)
    で示されるトリフェニルアミンダイマー化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記トリフェニルアミンダイマーが、前記一般式(I)において、R1、R2およびR3が、互いに独立してメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル基またはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシ基からなる群から選択される基である請求項1に記載の感光体。
  3. 前記トリフェニルアミンダイマーが、前記一般式(I)において、R1、R2およびR3が、互いに独立してメチル、エチルまたはメトキシ基からなる群から選択される基である請求項1または2に記載の感光体。
  4. 前記トリフェニルアミンダイマーが、前記一般式(I)において、R1、R2およびR
    3がメチル基であり、以下の式(1):
    Figure 2011112868
    で表される化合物(1)か、
    1およびR3がメチル基であり、R2がメトキシ基であり、以下の式(2):
    Figure 2011112868
    で表される化合物(2)か、または
    1およびR3がメチル基であり、R2がエチル基であり、以下の式(3):
    Figure 2011112868
    で表される化合物(3)である請求項1〜3のいずれか一つに記載の感光体。
  5. 前記導電性支持体と前記感光層との間に中間層を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して波長405±5nmの露光光を発する露光手段と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  7. 前記露光光が、405±5nmの波長を有する青紫色半導体レーザー光であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2014203541A1 (ja) * 2013-06-19 2017-02-23 出光興産株式会社 芳香族アミン誘導体及び有機エレクトロルミネッセンス素子

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