JP3755856B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体に関し、詳しくは特定の電荷輸送物質を含有する表面層を有する電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は、米国特許第2297691号明細書に示されるように、画像露光の間に受けた照射量に応じて電気抵抗が変化し、かつ暗所では絶縁性の物質をコーティングした支持体よりなる光導電性材料を用いる。この光導電性材料を用いた電子写真に要求される基本的な特性としては、(1)暗所で適当な電位に帯電できること、(2)暗所において電位の散逸が少ないこと、および(3)光照射によって速やかに電荷を散逸させること、等が挙げられる。
【0003】
従来より、電子写真感光体としては、セレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機光導電性化合物を主成分とする感光層を有する無機感光体が広く使用されてきた。しかしこれらは前記(1)〜(3)の条件は満足するが、熱安定性、耐湿性、耐久性、生産性において必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
無機感光体の欠点を克服する目的で、様々な有機光導電性化合物を主成分とする電子写真感光体の開発が近年盛んに行われている。たとえば米国特許3837851号明細書には、トリアリルピラゾリンを含有する電荷輸送層を有する感光体、米国特許3871880号明細書には、ペリレン顔料の誘導体からなる電荷発生層と3−プロピレンとホルムアルデヒドの縮合体からなる電荷輸送層とからなる感光体等が開示されている。
【0005】
さらに有機光導電性化合物は、その化合物によって電子写真感光体の感光波長域を自由に選択することが可能であり、たとえばアゾ顔料では特開昭61−272754号公報、特開昭56−167759号公報に示された物質は、可視領域で高感度を示すと記載されており、また特開昭57−19567号公報、特開昭61−228453号公報で示された化合物は、赤外領域まで感度を有していることが示されている。
【0006】
これらの材料のうち、赤外領域に感度を示すものは、近年進歩の著しいレーザービームプリンター(以下LBPと略す)やLEDプリンターに使用されその需要頻度は高くなってきている。
【0007】
これら有機光導電性化合物を用いた電子写真感光体は、電気的、機械的双方の特性を満足させるために、電荷輸送層と電荷発生層を積層させた機能分離型の感光体として利用される場合が多い。一方、当然のことながら電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、さらには光学的特性を備えていることが要求される。
【0008】
特に、繰り返し使用される電子写真感光体においては、その電子写真感光体表面にはコロナまたは直接帯電、画像露光、トナー現像、転写工程、表面クリーニングなどの電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性も要求される。
【0009】
具体的には帯電時のオゾン、および窒素酸化物による電気的劣化や、帯電時の放電、クリーニング部材の摺擦によって表面が摩耗したり傷が発生したりする機械的劣化、電気的劣化に対する耐久性が求められている。
【0010】
電気的劣化は、光が照射した部分にキャリアーが滞留し、光が照射していない部分と電位差が生じる現象が特に問題でありこれはフォトメモリーを生じる。
【0011】
機械的劣化は、特に無機感光体と異なり、物質的に柔らかいものが多い有機感光体には、機械的劣化に対する耐久性が劣ることから、耐久性向上は特に切望されているものである。
【0012】
上記のような感光体に要求される耐久特性を満足させるために、いろいろ試みがなされてきた。
【0013】
表面層によく使用され、摩耗性、電気特性に良好な樹脂としては、ビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹脂が注目されているが、前述したような問題点すべてを解決できるわけでもなく、次のような問題点を有している。
【0014】
(1)溶解性に乏しくジクロロメタンや1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類の一部にしか良好な溶解性を示さないうえ、これらの溶剤は低沸点のため、これらの溶剤で調製した塗工液を用いて感光体を製造すると塗工面が白化しやすい。塗工液の固形分管理などにも手間がかかる。
【0015】
(2)ハロゲン化脂肪族炭化水素類以外の溶剤に対しては、テトラヒドラフラン、ジオキサン、シクロヘキサンノンあるいはそれらの混合溶剤に一部可溶であるが、その溶液は数日でゲル化するなど経時性が悪く、感光体製造には不向きである。
【0016】
(3)さらに上記(1)、(2)が改善されたとしても、ビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹脂にはソルベントクラックが発生しやすい。
【0017】
(4)加えて、従来のポリカーボネート樹脂では、該樹脂で形成された被膜に潤滑性がないため感光体に傷がつきやすく、電子写真感光体の摩耗量を低くするようなクリーニング設定では、画像欠陥になったり、クリーニングブレードの早期の劣化によるクリーニング不良、トナー融着などが生じてしまうことがあった。
【0018】
前記(1)、(2)に挙げた溶液安定性については、ポリマーの構造単位として嵩高いシクロヘキシレン基を有するポリカーボネートZ樹脂を使用するか、ビスフェノールZ、ビスフェノールCなどと共重合させることによって解決されてきた。
【0019】
ソルベントクラックについても特開平6−51544号公報、特開平6−75415号公報に開示されているように、シリコーン変成ポリカーボネート、エーテル変成ポリカーボネートを用いることにより解決することが可能である。ところが、これら変成ポリカーボネートは、従来のポリカーボネート樹脂に比べソルベントクラックを対策するために、ポリマー内の内部応力に対して柔軟性をもたせる構造をとっているため、結果、重合体本体の機械的強度が低下するという欠点があった。
【0020】
また、強度の向上のために特開平5−323630号公報に開示されているように、アリル基を持つポリカーボネート樹脂を熱あるいはエネルギーにて架橋させているが、この場合でも電荷輸送物質が低分子状態でいるため、強度の面やクラックの面で改善の余地が残されていた。
【0021】
【発明が解決しようとしている課題】
さらに近年、特開昭57−17826号公報、特開昭58−40566号公報に開示してあるような帯電部材に直接電圧をかけ、電子写真感光体に電荷を印加する直接帯電方式が主流となりつつある。
【0022】
これは導電ゴムなどで構成されたローラー状の帯電部材を直接電子写真感光体に当接させて電荷を印加する方法であり、スコロトロンなどに比べ、オゾン発生量が格段に少ない、スコロトロンは帯電器に流す電流の80%前後はシールドに流れるため浪費されるのに対して、直接帯電はこの浪費分がなく、非常に経済的である、などのメリットをもつ。
【0023】
しかし、直接帯電はパッシェン則による放電による帯電のため、帯電安定性が非常に悪いという欠点をもつ。この対策として、直流電圧に交流電圧を重畳させた、いわゆるAC/DC帯電方式が考案されている(特開昭63−149668号公報)。
【0024】
この帯電方式により帯電時の安定性は良化したが、ACを重畳するために、電子写真感光体表面の放電量は大幅に増大し、電子写真感光体の削れ量が増加してしまうという欠点を新たに生じ、機械的強度のみならず、電気的強度も要求されるようになってきた。
【0025】
本発明の目的は、従来の表面層が有していた問題点を解決し、優れた耐ソルベントクラック性を有し、機械的強度が強く、かつ直接帯電による放電に対する耐電気特性が良好であり、電子写真特性の環境変動の小さい電子写真感光体を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、前記電子写真感光体の表面層が、下記式(A)及び(C)から選ばれる少なくとも1つの電荷輸送化合物のみを硬化させることによって得られる樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0027】
【化4】
【0028】
(上記式(A)中、Ar 1 およびAr 2 は置換されてもよい芳香環基を示し、Ar 3 は置換されてもよい2価の芳香環基または2価の複素環基を示し、R 3 は置換されてもよいアルキル基または芳香環基を示し、R 4 は水素原子、置換されてもよいアルキル基または芳香環基を示す。R 3 とR 4 は結合して環を形成してもよく、Ar 1 及びAr 2 の少なくとも1つ、及び、R 3 及びR 4 の少なくとも1つは下記式(1)で示される置換基を有する。)
【0029】
【化5】
【0030】
(上記式(C)中、R 5 は水素原子または置換されてもよいアルキル基を示し、R 6 およびR 7 は置換されてもよいアルキル基、アラルキル基または芳香環基を示し、Aは置換されてもよい芳香環基、複素環基または−CH=C(R 8 )R 9 (R 8 およびR 9 は水素原子、芳香環基または複素環基を示すがR 8 とR 9 が同時に水素原子であることはない)を示し、A及び、R 6 及びR 7 の少なくとも1つは下記式(1)で示される置換基を有する。)
【0031】
【化6】
【0032】
(上記式(A)中、Qは炭素数が1〜4であるアルコキシ基を示し、R 2 は置換もしくは無置換の1価炭化水素基を示し、nは2≦n≦5の整数を示す。)
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記式(1)で表される置換基を有する電荷輸送化合物を硬化させることによって得られる樹脂は、たとえば、反応可能な2官能アルコキシシリル基を有する電荷輸送物質を加水分解反応により縮合させることによって得られる。
【0034】
反応可能な2官能アルコキシシリル基を有する電荷輸送物質は、たとえば、常法で合成された下記式(2)で示される末端不飽和結合を含む置換基を有する電荷輸送物質と、相当する2官能アルコキシシランとを触媒存在下で反応させることにより得られる。
【0035】
−(CH2)y−CH=CH2 (2)
(式中、yは0以上の整数を示す。)
【0036】
つぎに、本発明において用いられる、上記式(A)および(C)で表される化合物について詳しく説明する。
【0037】
式(A)において、Ar1およびAr2はフェニル、ナフチルおよびアンスリルなどの芳香環基を示す。Ar3はベンゼン、ナフタレンおよびアントラセンなどの芳香環またはチオフェンおよびフランなどの複素環より2個の水素原子をとった2価の芳香環基または2価の複素環基を示す。R3はメチル、エチル、プロピル、およびブチルなどのアルキル基またはフェニル基およびナフチル基などの芳香環基を示す。R4はメチル、エチル、プロピル、およびブチルなどアルキル基;フェニルおよびナフチルなどの芳香環基または水素原子を示す。
【0038】
Ar1、Ar2、Ar3、R3およびR4はいずれも置換基を有してもよく、有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピルおよびブチルなどのアルキル基;メトキシ、エトキシおよびプロポキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、およびナフトキシなどのアリールオキシ基;フッ素、塩素および臭素等のハロゲン原子;またはジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジフェニルアミノ等のジ置換アミノ基などが挙げられる。また、R 3 とR 4 は直接、または炭素原子、硫黄原子および酸素原子などを介して結合することにより環を形成してもよい。Ar 1 及びAr 2 の少なくとも1つ、及び、R 3 及びR 4 の少なくとも1つは前記式(1)で示される置換基を有する。
【0039】
式(C)において、R5はメチル、エチル、およびプロピルなどのアルキル基または水素原子を示す。R6およびR7はメチル、エチル、およびプロピルなどのアルキル基、ベンジル、およびフェネチル等のアラルキル基、またはフェニル、ナフチルおよびアンスリル等の芳香環基を示す。なお、R6とR7は結合して環を形成してもよい。また、R5,R6およびR7はいずれも置換基を有してもよく、有してもよい置換基としてはメチルおよびエチルなどのアルキル基;メトキシおよびエトキシ等のアルコキシ基;またはフッ素、塩素および臭素等のハロゲン原子が挙げられる。
【0040】
Aはフェニル、ナフチル、アンスリルおよびピレニルなどの芳香環基;チェニル、フリル、n−メチルカルバゾールおよびn−エチルカルバゾール等の複素環基;または−CH=C(R8)R9(ここでR8とR9は水素原子、芳香環基または複素環基を示すが、R8とR9が同時に水素原子であることはない。)を示す。A及び、R 6 及びR 7 の少なくとも1つは前記式(1)で示される置換基を有する。また、これらの芳香環基および複素環基は置換基を有してもよく、有してもよい置換基としてはメチルおよびエチル等のアルキル基;メトキシおよびエトキシ等のアルコキシ基;フッ素、塩素、および臭素等のハロゲン原子;ジメチルアミノおよびジエチルアミノ等のジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノおよびジフェネチルアミノ等のジアラルキルアミノ基;またはジフェニルアミノおよびジ(p−トリル)アミノ等のジアリールアミノ基などが挙げられる。
【0041】
また、以下に、上記反応可能なアルコキシシリル基を有する電荷輸送物質の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
本発明による電子写真感光体は、機械的強度が強く、かつ直接帯電による放電に対する耐電気特性が良好であり、電子写真特性の環境変動が少ないという特性を有するものである。
【0049】
本発明において、電荷輸送層は、電荷輸送物質をシロキサン結合による3次元架橋で高分子化しているため、機械的強度に優れていると考えられている。また、シロキサン結合による架橋のため帯電による劣化も小さくなっていると考えられる。さらに、2官能アルコキシシリル基を用いることで、架橋後の遊離水酸基ができにくくなり高湿環境などでの電子写真特性の変化が少ないと考えられる。また、反応可能なアルコキシシリル基を2つ以上もつ電荷輸送物質を使用する場合、特に機械的強度の向上がみられる。また、電荷輸送物質自体を架橋し電荷輸送層としていることで、電荷発生層との電荷のやりとりがよりスムーズになるため、電子写真特性の良化につながっていると考えられる。
【0050】
本発明の電子写真感光体においては、電荷輸送物質が1種類であっても、2種類以上の別種のものであってもよい。
【0051】
以下、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
【0052】
本発明の電子写真感光体は、感光層が電荷輸送物質と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型であっても、電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型でもよいが電子写真特性的には積層型が好ましい。
【0053】
使用する導電性基体は導電性を有するものであればよく、アルミニウム、ステンレスなどの金属、あるいは導電層を設けた金属、紙、プラスチックなどが挙げられ、形状はシート状、円筒状などがあげられる。
【0054】
LBPなど画像入力がレーザー光の場合は散乱による干渉縞防止、または基盤の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラック、金属粒子などの導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μm、好ましくは10〜30μmが適当である。
【0055】
そのうえに接着機能を有する中間層をもうける。中間層の材料としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、などが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μm、好ましくは0.3〜1μmが適当である。
【0056】
中間層の上には電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生物質としてはセレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン、非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。機能分離型の場合、電荷発生層は前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着剤樹脂および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。電荷発生層の膜厚は5μm以下、好ましくは0.1〜2μmが適当である。
【0057】
電荷輸送層は、電荷輸送物質を溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成することができる。電荷輸送層の膜厚は5〜40μm、好ましくは15〜30μmが適当である。
【0058】
本発明においては、前もって電荷輸送物質を部分的に反応させてシロキサン結合をもたせてもよい。この場合には、感光体への塗布に支障のない溶液または分散液であれば用いることができる。
【0059】
また、上記電荷輸送物質と樹脂の架橋硬化には、必ずしも触媒は必要ではないが、硬化に要する時間、硬化温度などを考慮して、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジウラレート、ジブチル錫オクマエート等のアルキル錫有機酸塩等またはノルマルブチルチタネート等の有機チタン酸エステルから適宜選択される。
【0060】
【実施例】
以下実施例にしたがって説明する。
【0061】
(実施例1)
30φ254mmのAlシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸せき法で塗布し140℃、30分熱硬化させて15μmの導電層を形成した。
【0062】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール、メトキシプロパノール 0.2/0.8 20部
【0063】
次にこの上にNメトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部、nブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸せき法で塗布し0.5μmの中間層を形成した。
【0064】
次にCuKαのX線回折スペクトルにおける回折角2θ±0.2°が9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有するTiOPc4部とポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部およびシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散したあとエチルアセテート100部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸せき法で塗布し0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0065】
次に、電荷輸送物質例No.(A)−1記載の化合物10部をモノクロロベンゼン10部、ジクロロメタン10部の混合溶媒に溶解した。
【0066】
この塗料を浸せき法で塗布し120℃2時間乾燥し25μmの電荷輸送層を形成した。
【0067】
次に評価について説明する。
【0068】
この電子写真感光体を−500Vに帯電し、波長680nmの光で電子写真特性(EΔ400V:−100Vまで帯電電位が減少するために必要な露光量)を測定した。
【0069】
次にヒューレットパッカード製LBP「レーザージェット4plus」(プロセススピード71mm/sec)を改造して用いて評価を行った。改造は一次帯電の制御を定電流制御を定電圧制御とした。作成した電子写真感光体をこの装置で23℃50%RH下で暗部電位を測定し、次に装置を28℃90%RH下に移し同様の測定を行い各暗部電位の差(ΔVd=Vd(NN)−Vd(HH))により電位の環境変動を評価した。さらに、23℃50%RH下に戻し、通紙耐久をおこなった。シーケンスはプリント1枚ごとに1回停止する間欠モードとした。トナーがなくなったならば補給した。7000枚耐久した時点で削れ量を測定し、画像評価をした。また、装置を28℃90%RH下に移し、画像評価を行った。
【0070】
その結果を表2に示す。
【0071】
(実施例2〜5)
電荷輸送層の電荷輸送物質の組み合わせを表1の条件2〜5のものを用いた以外は実施例と同様に電子写真感光体を作製し評価した。その結果を表2に示す。
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】
(比較例1)
電荷輸送層を以下の手順で形成したほかは、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0075】
(電荷輸送層作製手順)
次に下記構造式のアミン化合物10部
【0076】
【化7】
【0077】
と、下記構造式重合体(重量平均分子量35000)10部をモノクロロベンゼン30部、ジクロロメタン70部の混合溶媒に溶解した。
【0078】
【化8】
【0079】
この塗料を浸せき法で塗布し120℃2時間乾燥し25μmの電荷輸送層を形成した。
【0080】
(比較例2)
電荷輸送層の電荷輸送物質をメチルジメトキシシランの代わりにトリプロポキシシランを用いて合成したものを用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0081】
比較例1、2の電子写真感光体について評価した結果を表3に示す。
【0082】
【表9】
【0083】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高感度を維持しながら、電子写真感光体表面の放電量の大幅な増大を伴い勝ちなAC/DC帯電方式に適用した場合にも、機械的強度に優れているために、電子写真感光体の削れ量の増加が抑制し、さらに電子写真特性の環境変動が小さい電子写真感光体を構成することが可能となった。
Claims (1)
- 支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、前記電子写真感光体の表面層が、下記式(A)及び(C)から選ばれる少なくとも1つの電荷輸送化合物のみを硬化させることによって得られる樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体:
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