JP4622393B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に関し、より詳しくは、中間転写ベルトを備える画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置では、帯電手段により電子写真感光体(以下、場合により単に「感光体」という)を一様に帯電させた後、帯電した感光体に露光光を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、さらにトナー像を紙などの被転写媒体に転写することにより画像形成が行われる。そして、転写後の感光体は、必要に応じてクリーニング手段により残存トナーを除去した後、次の画像形成プロセスに繰り返し使用される。このように、電子写真感光体の表面には、帯電手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段等により、電気的、機械的な外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。
また、感光体を帯電させる帯電手段としては、従来、コロトロンやスコロトロンを用いてコロナ放電を生じさせ感光体を帯電させるコロナ放電方式が使用されてきた。しかしながら、コロナ放電方式の場合、コロナ放電に伴い発生するオゾンやNO等のコロナ生成物により感光体表面が変質し、画像ボケや感光体の劣化等の現象が発現するという問題がある。更に、コロナ放電方式の場合、帯電効率が悪く、感光体を十分に帯電するためには大きな電力を要するなどの欠点もある。
そこで、近年、コロナ帯電方式に代わり、感光体に帯電部材を直接接触させ電圧を印加する接触帯電方式が実用化されてきている(例えば、特許文献1参照)。接触帯電方式はコロナ帯電方式に比べて帯電効率が高く、同時にオゾン等の発生量が著しく少ないものである。
しかし、このような接触帯電方式を用いた場合、感光体表面には帯電部材による機械的な外力が加わるため、感光体の磨耗が大幅に増加することとなる。また、感光体に局所的な劣化部が存在すると、接触帯電時に局所的な高電場が劣化部に加わって電気的なピンホールが生じ、画質欠陥の原因となる。
また、このような画像形成装置における転写方式としては、感光体表面のトナー像を被転写媒体に直接転写するものと、感光体表面のトナー像を中間転写ベルト等の中間転写体に1次転写し、その1次転写像を被転写媒体に2次転写するもの(中間転写方式)とに大別される。このうち、中間転写方式は、カラーの原稿画像を色分解して所定の色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなど)のトナー像を形成し、これらを中間転写ベルトに重ねて転写することによってカラー画像を再現できるので、特にフルカラー画像形成装置に広く利用されている(例えば、特許文献2参照)。
このような中間転写方式を用いた場合にも、感光体表面は中間転写ベルトと接触するため、感光体の損傷や磨耗の増加が生じやすい。また、画像形成装置内に異物が混入した場合、トナー像の転写の際に感光体表面に異物が突き刺さって感光体リークを発生させ、画質欠陥を生じさせる原因となることがあった。更に、感光体と中間転写ベルトとの組み合わせによっては、異物が大きいと突き刺さった異物が感光体の基体まで到達してしまい容易に感光体リークを発生させるという問題があった。
これらの問題を改善する方法として、例えば、電子写真感光体表面を硬くして機械的強度を高める方法が検討されている。これにより、接触帯電方式や中間転写方式を採用することによる感光体の損傷や摩耗の抑制が図られている。特に、感光体表面を中間転写ベルト表面よりも十分に硬くすることで、中間転写ベルト表面との接触による感光体表面の損傷や摩耗の抑制が図られている。
しかしながら、感光体表面を硬いものとし、中間転写ベルト表面を相対的に軟らかいものとした場合、トナー像の転写の際に中間転写ベルトが損傷したり、色ずれ等の画質欠陥が発生したりといった不具合が発生する。そのため、感光体としての寿命は長くなったとしても、中間転写ベルトの寿命が短くなるとともに、画質欠陥も発生しやすくなり、画像形成装置全体としては、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することが困難である。
そこで、電子写真感光体表面を十分に硬くするとともに、中間転写ベルト表面も十分に硬くする方法が検討されている。
しかしながら、この場合には、トナー像の転写の際に硬いもの同士が接触することになるため、感光体と中間転写ベルトの双方に損傷や摩耗が生じやすいという問題がある。更に、感光体及び中間転写ベルトの表面の機械的強度が高いと、クリーニングブレード等のクリーニング手段により感光体表面及び中間転写ベルトの残存トナーを除去する際に、クリーニングブレードが損傷しやすくなり、クリーニングブレードの寿命が短くなるとともに、損傷したクリーニングブレードの破片が異物となって感光体表面に突き刺さり、感光体リークを発生させやすいという問題がある。そのため、画像形成装置全体としては、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することが困難である。
特開平1−211779号公報 特開平9−138539号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、中間転写ベルト表面の硬さを特定の範囲とするとともに、電子写真感光体表面の硬さを中間転写ベルト表面の硬さよりも小さくし、且つ、感光体における下引層の膜厚を特定の範囲とすることにより、上記目的を達成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の画像形成装置は、導電性基体、該導電性基体上に配置された下引層、及び、該下引層上に配置された感光層を有する電子写真感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、トナーにより静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、中間転写ベルトを有し、トナー像を中間転写ベルトに1次転写し、該中間転写ベルト上の1次転写像を被転写媒体に2次転写する転写手段と、感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、を備え、中間転写ベルト表面のダイナミック硬度が30.8×10〜36×10N/mであり、感光体表面のダイナミック硬度が7×10 〜9.5×10 N/m であり、下引層が金属酸化物微粒子及び結着樹脂を含有し膜厚が7μm以上であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置では、帯電手段により感光体を帯電させた後、露光により静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像されて感光体表面にトナー像が形成される。このトナー像は感光体から中間転写ベルトに1次転写され、更に中間転写ベルトから被転写媒体に2次転写される。このとき、中間転写ベルトとして表面のダイナミック硬度が上記の範囲のものを用いるとともに、感光体として表面のダイナミック硬度が中間転写ベルト表面のダイナミック硬度よりも小さいものを用いることにより、感光体及び中間転写ベルトが損傷することを十分に抑制することができ、且つ、画質欠陥の発生を十分に抑制することができる。更に、感光体が上記範囲の膜厚を有する下引層を備えていることにより、感光体表面の摩耗による感光体特性の低下を十分に低減することができる。特に、画像形成装置内に異物が混入し、感光体表面に異物が突き刺さった場合、この異物が導電性基体まで到達することを十分に防止することができ、異物による感光体リークの発生を十分に抑制することができる。したがって、本発明の画像形成装置は、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することができる。
なお、本発明でいうダイナミック硬度とは、以下の手順で得られる値をいう。すなわち、ダイナミック硬度とは、稜間角115°、先端曲率半径0.1μmのダイアモンド圧子が装着された微小硬度測定装置において、当該ダイアモンド圧子を応力速度0.05N/secで感光体又は中間転写体の表面に押し込んだときの押し込み深さ[m]及び押し込み荷重[N]を測定し、これらの測定値から下記式(a):
DH=3.8584P/D (a)
[式中、DHはダイナミック硬度(N/m)を表し、Pは押し込み荷重(N)を表し、Dは押し込み深さ(m)を表す]
に基づいて得られる値[N/m]を意味する。
また、本発明の画像形成装置において、帯電手段は、感光体の表面に接触して当該感光体を帯電させる接触帯電手段であり、現像手段は、カラートナーにより静電潜像を現像してカラートナー像を形成する手段であることが好ましい。
かかる画像形成装置では、接触帯電手段により感光体を帯電させた後、露光により静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像されて感光体表面にカラートナー像が形成される。このカラートナー像は感光体から中間転写ベルトに1次転写され、更に中間転写ベルトから被転写媒体に2次転写される。このように帯電手段として接触帯電手段を用いると、コロナ放電方式等の非接触型の帯電手段を用いた場合に比べて高い帯電効率を得ることができるとともに、オゾンやNO等の発生を十分に抑制して、画像ボケや感光体の劣化等を十分に抑制することができる。そして、接触帯電手段を用いた場合においても、中間転写ベルトとして表面のダイナミック硬度が上記の範囲のものを用いるとともに、感光体として表面のダイナミック硬度が中間転写ベルト表面のダイナミック硬度よりも小さいものを用いることにより、感光体及び中間転写ベルトが損傷することを十分に抑制することができ、且つ、画質欠陥の発生を十分に抑制することができる。更に、感光体が上記範囲の膜厚を有する下引層を備えていることにより、感光体表面の摩耗による感光体特性の低下を十分に低減することができる。特に、画像形成装置内に異物が混入し、感光体表面に異物が突き刺さった場合、この異物が導電性基体まで到達することを十分に防止することができ、異物による感光体リークの発生を十分に抑制することができる。したがって、かかる画像形成装置は、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することができる。
また、本発明においては、上記の通り、感光体表面のダイナミック硬度が7×10〜13×10N/mである
感光体表面のダイナミック硬度が上記範囲であることにより、感光体及び中間転写ベルトの損傷をより十分に抑制することができ、良好な画質の画像をより長期間にわたって安定して形成することが可能な画像形成装置を得ることができる。
更に、本発明においては、感光体の最表面層が、樹脂粒子を含有していることが好ましい。
感光体の最表面層が樹脂粒子を含有していることにより、感光体表面の滑性、耐摩耗性及びトナーの脱着性を向上させることができる。したがって、感光体表面と接触帯電手段との接触時や中間転写ベルトとの接触時において、感光体表面の損傷や摩耗をより十分に抑制することができる。また、クリーニング手段による感光体表面の残像トナーの除去が低圧力で容易に行うことが可能となるため、このときの感光体表面の損傷や摩耗が十分に抑制されるとともに、クリーニング手段の損傷が十分に抑制される。したがって、良好な画質の画像をより長期間にわたって安定して形成することが可能な画像形成装置を得ることができる。
ここで、感光体の最表面層とは、感光体を構成する層のうち導電性基体から最も離れた位置に配置される層を意味する。例えば、感光体の構造によっては、最表面層は、感光層に相当する場合と、感光層上に形成された保護層に相当する場合とがある。また、感光層が、電荷発生層と電荷輸送層とから構成されたいわゆる機能分離型の感光層の場合であって感光層が感光体の最上部に位置する構成の場合には、電荷発生層及び電荷輸送層のうちのトナーが付着されることになる層が最表面層となる。
また、本発明においては、下引層が、金属酸化物微粒子及び結着樹脂を含有し、28℃、85%RHで1×10V/mの電場を印加したときの体積抵抗が1×10〜1×1013Ω・cmであり、且つ、10℃、15%RHで1×10V/mの電場を印加したときの体積抵抗が28℃、85%RHで1×10V/mの電場を印加したときの体積抵抗の500倍以下であることが好ましい。
感光体がこのような下引層を備えていることにより、リーク防止性と電気特性との双方が十分に高められ、画質欠陥を生じることなく良好な画像品質をより長期間にわたって得ることができる。また、良好な画像品質を維持したまま、画像形成装置の小型化及び高速化を図ることが可能となる。
画像形成装置の小型化を図るためには、感光体の径を小さくしてプロセススピードを早くする必要がある。しかしながら、従来の画像形成装置において早いプロセススピードで長期間にわたって画像形成を行うと、感光体の帯電性が不安定となり、画像濃度が変化するという問題が生じる。これに対して、上記の下引層を備える感光体を用いた画像形成装置であれば、長期間にわたって画像形成を行った場合であっても感光体の帯電性を安定なものとすることができる。したがって、かかる画像形成装置においては、感光体が上記下引層を備えていることにより、良好な画像品質を維持したまま、装置の小型化及び高速化を図ることが可能となる。
また、本発明においては感光層にヒドロキシガリウムフタロシアニンを含有することが好ましい。
感光層がこのような構成をとることで、優れた電子写真特性を示すことができ、良好な画質の画像を形成することが可能な画像形成装置を得ることができる。
また、本発明においては、中間転写ベルトが、少なくとも1種類以上のカーボンブラックを含有する熱硬化性ポリイミドを含むことが好ましい。
中間転写ベルトが上記構成を有していることにより、上述した範囲のダイナミック硬度を有する中間転写ベルトを容易に形成することができるとともに、中間転写ベルトの耐摩耗性及び電気特性を向上させることができる。そのため、良好な画質の画像をより長期間にわたって安定して形成することが可能な画像形成装置を得ることができる。
本発明によれば、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。図1に示した装置はいわゆるタンデム方式の画像形成装置であり、ハウジング100内において4つの電子写真感光体1a〜1dが中間転写ベルト9に沿って相互に並列に配置されている。
感光体1a〜1dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール(帯電装置)2a〜2d、現像装置4a〜4d、1次転写ロール10a〜10d、クリーニングブレード15a〜15dが配置されている。現像装置4a〜4dのそれぞれにはトナーカートリッジ5a〜5dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナー(カラートナー)が供給可能であり、また、1次転写ロール10a〜10dはそれぞれ中間転写体9を介して感光体1a〜1dに当接している。更に、ハウジング100内の所定の位置にはレーザー光源3が配置されており、レーザー光源3から出射されたレーザー光を帯電後の感光体1a〜1dの表面に照射することが可能となっている。これにより、感光体1a〜1dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト9上に重ねて転写される。
中間転写ベルト9は駆動ロール6、バックアップロール7及びテンションロール8により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール13は、中間転写体9を介してバックアップロール7と当接するように配置されている。バックアップロール7と2次転写ロール13との間を通った中間転写ベルト9はクリーニングブレード14により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング100内の所定の位置にはトレイ11が設けられており、トレイ11内の被転写媒体(紙など)が移送ロール12により中間転写ベルト9と2次転写ロール13との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール14の間に順次移送された後、ハウジング100の外部に排紙される。
(電子写真感光体)
図2は感光体1a〜1d(図2の説明においては単に「感光体1」という)の構成を模式的に示す断面図である。図2において、感光体1は、導電性基体21上に下引層22、電荷発生層23、電荷輸送層24が順次積層された構成を有しており、電荷発生層23と電荷輸送層24とで感光層26が構成されている。そして、感光体1表面のダイナミック硬度は、7×10 〜9.5×10 N/m であり、下引層22の膜厚は7μm以上となっている。なお、感光体1表面のダイナミック硬度は、感光層26を構成する層23〜24及び下引層22の材料(結着樹脂など)や、結着樹脂の硬化条件などを適宜選定することにより調整することができる。
導電性基体21は、例えば、アルミニウムを円筒状(ドラム状)に成形したものである。基体21として、アルミニウム素管をそのまま用いてもよいが、予め鏡面研削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウェットホーニング等の処理を施してもよい。
導電性基体21の材質としては、アルミニウムの他、ステンレス、ニッケル等の金属材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フェノール樹脂等の高分子材料;硬質紙等の絶縁材料に導電物質(カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、金属、ヨウ化銅等)を分散させて導電処理したもの;上記絶縁材料に金属泊を積層したもの;上記絶縁材料に金属の蒸着膜を形成したもの等を用いることができる。また、基体21の形状は、シート状、プレート状等であってもよい。
下引層22は、感光層26の帯電時において、導電性基体21から感光層26への電荷の注入を防止する機能を有する層である。
下引層22は、結着樹脂、有機あるいは無機の粉末、電子輸送性物質等から任意に選択された材料により構成されるが、少なくとも金属酸化物微粒子及び結着樹脂を含んで構成されている導電性基体21と感光層26との間に、金属酸化物微粒子及び結着樹脂を含有する下引層22が形成されることにより、リーク防止性と電気特性との双方が十分に高められる。その結果、後述する接触帯電手段と共に用いた場合であってもかぶり等の画質欠陥を生じることなく良好な画像品質を得ることが可能となる。
また、下引層22は、28℃、85%RHで1×10V/mの電場を印加したときの体積抵抗が1×10〜1×1013Ω・cm(より好ましくは1×10〜1×1011Ω・cm)であり、且つ、10℃、15%RHで1×10V/mの電場を印加したときの体積抵抗が28℃、85%RHで1×10V/mの電場を印加したときの体積抵抗の500倍以下(より好ましくは100倍以下)であることが好ましい。下引層22がこのような条件を満たすことにより、リーク防止性と電気特性との双方がより十分に高められ、画像形成装置は画質欠陥を生じることなく良好な画像品質をより長期間にわたって得ることができる。
下引層22の体積抵抗は、例えば、金属酸化物微粒子及び結着樹脂の種類とその配合量とを適宜選定し、更に金属酸化物微粒子の結着樹脂中への分散性を高めることによって上記範囲内に制御することができる。
金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、これらの金属酸化物微粒子の粉体抵抗値は10〜1011Ω・cmであることが好ましく、10〜1010Ω・cmであることがより好ましい。金属酸化物微粒子の粉体抵抗値が10Ω・cm未満であると、十分なリーク防止性が得られない傾向があり、一方、粉体抵抗値が1011Ω・cmを超えると、画像形成装置において残留電位の上昇が起こりやすくなる傾向がある。
また、金属酸化物微粒子の平均一次粒径は、100nm以下であることが好ましく、10〜90nmであることがより好ましい。金属酸化物微粒子の平均一次粒径が100nmを超えると、結着樹脂中への分散性が低下する傾向があり、その結果、リーク防止性と電気特性との両立が困難となる傾向がある。
これらの好ましい金属酸化物微粒子は公知の製造方法によって得ることができる。例えば、酸化亜鉛の場合は、JIS K1410に記載されている間接法(フランス法)、直接法(アメリカ法)、湿式法、アークプラズマ法等により製造することができ、酸化チタンの場合は、硫酸法、塩素法、フッ酸法、塩化チタンカリウム法、四塩化チタン水溶液法、アークプラズマ法等により製造することができる。
金属酸化物微粒子は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種のカップリング剤で被覆処理されていることが好ましい。カップリング剤での被覆処理が施された金属酸化物微粒子を用いることによって、金属酸化物微粒子の結着樹脂中への分散性がより向上するとともに、下引層22の体積抵抗及びその環境依存性を容易に且つ確実に制御することが可能となり、リーク防止性と電気特性との双方をより向上させることができる。
ここで、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルピロホフェート)、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
カップリング剤としては、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、カップリング剤としては、これらの中でも、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート等のアミノ基を有するカップリング剤を用いると、当該カップリング剤による被覆処理を効率よく且つ確実に行うことができるので好ましく、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン等の2個のアミノ基を有するカップリング剤を用いることがより好ましい。
これらのカップリング剤を用いた被覆処理は、溶媒中にカップリング剤を溶解させ、この溶液(処理液)に金属酸化物微粒子を分散させることにより行うことができる。このような溶媒としては、トルエン、エチルベンゼン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレン、クロロホルム、クロルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール等が挙げられるが、中でもトルエン等の高沸点溶媒を用いることが好ましい。
また、処理液を調製する際には、撹拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等を用いてカップリング剤を溶媒中に分散することができる。また、処理温度は室温から溶媒の沸点の範囲で任意に設定可能である。更に、金属酸化物微粒子に対する溶媒量は任意に設定可能であるが、金属酸化物微粒子と溶媒との質量比は、好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:2〜1:4である。溶媒の質量が金属酸化物微粒子の質量の1倍未満であると、攪拌しにくくなる上にゲル化する場合があり、均一な処理が困難となる傾向がある。また、溶媒の質量が金属酸化物微粒子の質量の10倍を超えると、未反応のカップリング剤が残存しやすくなる傾向がある。また、カップリング剤の量は、電気特性、画質維持性、成膜性等の点から、金属酸化物微粒子100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、0.1〜5.0質量部がより好ましい。
上記被覆処理は撹拌下で行われるが、カップリング剤による被覆をより均一に行うために、シリカゲル、アルミナ、ジルコニア等の分散メディア(好ましくはメディア径が0.5〜50mmのもの)を用いることが好ましい。更に、被覆処理後の混合物から溶媒を除去したときに金属酸化物微粒子が凝集した場合には、その後の熱処理の前に予め粉砕することが好ましい。また、被覆処理後に溶媒を速やかに除去するために、所定の圧力条件下(好ましくは、0.133hPa〜1013hPa(0.1〜760mmHg))で蒸留を行うことが好ましい。なお、ろ過により溶媒を除去することも可能であるが、未反応のカップリング剤が流出しやすく、所望の特性を得るために必要なカップリング剤量の制御が困難となるため好ましくない。
また、被覆処理後の金属酸化物微粒子におけるカップリング剤の表面被覆率は7〜20%であることが好ましい。表面被覆率が7%未満であると、金属酸化物微粒子の抵抗値を十分に高めることができず、下引層22のブロッキング性が低下して画質が悪化する傾向がある。また、表面被覆率が20%を超えると、電子写真感光体の繰り返し使用に伴い残留電位が上昇しやすくなり、また、体積抵抗の環境変動が増大する傾向がある。なお、ここでいう表面被覆率とは、カップリング剤によって被覆された金属酸化物微粒子表面の割合[%]をいい、被覆処理前の金属酸化物微粒子のBET比表面積及びカップリング剤の配合量に基づいて求められるものである。
すなわち、表面被覆率100%とするのに必要なカップリング剤の質量は次式:
(表面被覆率100%とするのに必要なカップリング剤の質量[g])={(金属酸化物微粒子の質量[g])×(金属酸化物のBET比表面積[m2/g])}/(カップリング剤の最小被覆面積[m2/g])で与えられ(式中、カップリング剤の最小被覆面積とは、カップリング剤1gが単分子膜を形成したときに被覆可能な最小面積を意味する)、表面被覆率は次式:
(表面被覆率[%])=100×(被覆処理に使用したカップリング剤の質量[g])/(表面被覆率100%とするのに必要なカップリング剤の質量[g])
により求めることができる。
このようにして被覆処理された金属酸化物微粒子について所定の熱処理を施すこともできる。熱処理を施すことによって、カップリング剤の反応による被膜の形成をより完全なものとすることができる。ここで、熱処理温度は、120℃以上であることが好ましく、200〜300℃であることがより好ましく、200〜250℃であることが更に好ましい。熱処理温度が120℃未満であると、残存する吸着水やカップリング剤が十分に除去されず、暗減衰等の電気特性が不十分となる傾向がある。一方、熱処理温度が300℃を超えると、カップリング剤により形成された被膜の分解や金属酸化物微粒子表面の酸化により、電荷のトラップサイトが発現して残留電位が上昇しやすくなる傾向がある。また、熱処理時間は、カップリング剤の種類及び熱処理温度に応じて適宜選定されるが、通常、10分〜100時間程度である。
また、被覆処理された金属酸化物微粒子を熱処理する際には、異なる熱処理温度で複数段階の加熱を行うこともでき、上述した熱処理を行う前に、別工程の熱処理を行うことが好ましい。このとき、別工程の熱処理の温度としては、溶媒の沸点以上であることが好ましい。
上述のカップリング剤による被覆処理及び熱処理が施された金属酸化物微粒子を用いることによっても、金属酸化物微粒子の結着樹脂中への分散性が高められ、下引層22の体積抵抗及びその環境依存性を容易に且つ確実に制御することができ、その結果、リーク防止性と電気特性との双方をより向上させることができる。
下引層22に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子樹脂化合物等が挙げられる。
下引層22は、金属酸化物微粒子及び結着樹脂のみからなるものであってもよく、また、体積抵抗及びその環境依存性が上述の条件を満たす限りにおいて、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のための添加物を含有してもよい。このような添加物としては、例えば、クロラニルキノン、ブロモアニルキノン、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質;多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料;シランカップリング剤、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物等が挙げられる。
ここで、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。これらの化合物は単独で、又は複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
下引層22は、例えば金属酸化物微粒子と結着樹脂とを、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、又はこれらの数種の混合系等の所定の溶媒に混合/分散して下引層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体21上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
かかる塗布液を調製する際の混合/分散方法としては、ペイントコンディショナー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等による方法が適用可能である。また、塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。また、塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
このようにして得られる下引層22の膜厚は7μm以上であることが必要であり、15μm以上であることが好ましく、15〜30μmであることがより好ましく、18〜30μmであることが特に好ましい。下引層22の膜厚が7μm未満であると、十分なリーク防止性が得られない。また、感光体表面に異物が突き刺さった場合に、この異物が導電性基体まで到達することを十分に防止することが困難となる。なお、下引層22の膜厚が30μmを超えると、成膜が困難となる傾向があり、また、残留電位の上昇による画質低下が生じやすくなる傾向がある。
電荷発生層23は、電荷発生材料及び必要に応じて結着樹脂を含んで構成されるものである。
電荷発生材料としては特に制限されないが、フタロシアニン系顔料を用いることが好ましい。フタロシアニン系顔料を用いることによって、高感度且つ繰り返し安定性に優れる電子写真感光体1を得ることができる。なお、フタロシアニン系顔料には数種の結晶型が存在するが、目的にあった感度が得られる顔料であるならば、その結晶型は特に制限されない。特に好ましく用いられる電荷発生材料の具体例を以下に示す。
本発明における電荷発生物質としては、既知のもの特に制限なく使用することができるが、特に金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特定の結晶を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニンが好ましく、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが優れた電子写真特性を示すため特に好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピークが810〜839nmの範囲内に吸収を有するものが好ましい。このような吸収を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンを電子写真感光体の材料として用いた場合、結着樹脂に対する分散性が良好であり、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性が得られ、それにより長期間にわたって安定した画像品質を得ることが可能となる。
また、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのBET法による比表面積値は、好ましくは45m/g以上、より好ましくは50m/g以上、更に好ましくは55m/g以上である。更に、ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有することが好ましい。
上記の好ましいヒドロキシガリウムフタロシアニンは、例えば以下に示す方法により得ることができる。
先ず、o−フタロジニトリルまたは1,3−ジイミノイソインドリンと三塩化ガリウムとを所定の溶媒中で反応させる方法(I型クロロガリウムフタロシアニン法);o−フタロジニトリル、アルコキシガリウムおよびエチレングリコールを所定の溶媒中で加熱し反応させてフタロシアニン二量体(フタロシアニン・ダイマー)を合成する方法(フタロシアニン・ダイマー法)、等により粗ガリウムフタロシアニンを製造する。上記の反応における溶媒としては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メトキシナフタレン、ジメチルアミノエタノール、ジフェニルエタン、エチレングリコール、ジアルキルエーテル、キノリン、スルホラン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミドなどの不活性且つ高沸点の溶剤を用いることが好ましい。
次に、上記の工程で得られた粗ガリウムフタロシアニンについてアシッドペースティング処理を行うことによって、粗ガリウムフタロシアニンを微粒子化するとともにI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に変換する。ここで、アシッドペースティング処理とは、具体的には、粗ガリウムフタロシアニンを硫酸などの酸に溶解させたものあるいは硫酸塩などの酸塩としたものを、アルカリ水溶液、水または氷水中に注ぎ、再結晶させることをいう。前記アシッドペースティング処理に用いる酸としては硫酸が好ましく、中でも濃度70〜100%(特に好ましくは95〜100%)の硫酸がより好ましい。
次に、上記のアシッドペースティング処理によって得られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を溶剤とともに湿式粉砕処理して結晶変換することによって、目的のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が得られる。ここで、湿式粉砕処理は、外径0.1〜3.0mmの球形状メディアを使用した粉砕装置により行うことが好ましく、外径0.2〜2.5mmの球形状メディアを用いることが特に好ましい。メディアの外形が3.0mmより大きい場合、粉砕効率が低下するため粒子径が小さくならずに凝集体が生成し易い。また、0.1mmより小さい場合、メディアとヒドロキシガリウムフタロシアニンを分離し難くなる。さらに、メディアが球形状でなく、円柱状や不定形状等、他の形状の場合、粉砕効率が低下するとともに、粉砕によってメディアが磨耗し易く、磨耗粉が不純物となりヒドロキシガリウムフタロシアニンの特性を劣化させ易くなる。
メディアの材質は、特に制限されないが、顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生しにくいものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノーなどを好ましく使用できる。また、容器材質は、特に制限されないが、顔料中に混入した場合にも画質欠陥を発生しにくいものが好ましく、ガラス、ジルコニア、アルミナ、メノー、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイドなどを好ましく使用できる。また、鉄、ステンレスなどの金属容器の内面にガラス、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイドなどをライニングしても良い。
メディアの使用量は、使用する装置によっても異なるが、I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1質量部に対して50質量部以上、好ましくは55〜100質量部が選択される。また、メディアの外径が小さくなると同じ質量でも装置内に占めるメディア密度が高まり、混合溶液の粘度が上昇して粉砕効率が変化するため、メディア外径を小さくするに従い、適宜メディア使用量と溶剤使用量をコントロールすることによって最適な混合比で湿式処理を行うことが望ましい。
また、湿式粉砕処理の温度は、0〜100℃、好ましくは、5〜80℃、より好ましくは10〜50℃の範囲で行う。温度が低い場合には、結晶転移の速度が遅くなり、また、温度が高すぎる場合にはヒドロキシガリウムフタロシアニンの溶解性が高くなり結晶成長しやすく微粒化が困難となってしまう。
湿式粉砕処理に使用される溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−アミルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルiso−ブチルケトンなどのケトン類の他に、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶剤の使用量はヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1質量部に対して通常1〜200質量部、好ましくは1〜100質量部が選択される。
湿式粉砕処理に用いられる装置としては、振動ミル、自動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボールミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミルなどのメデイアを分散媒体として使用する装置を用いることができる。
結晶変換の進行スピードは、湿式粉砕処理工程のスケール、攪拌スピード、メディア材質などによって大きく影響されるが、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの分光吸収スペクトルの600〜900nmの範囲における最大ピークが810〜839nmの範囲内に吸収を有するように、結晶変換状態を湿式粉砕処理液の吸収波長測定によりモニターしながら、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニンに変換されるまで継続する。一般的には、湿式粉砕処理の処理時間は5〜500時間の範囲、好ましくは7〜300時間の範囲で行われる。処理時間が5時間より少ないと、結晶変換が完結せず、電子写真特性の低下、特に感度不足の問題が生じやすい。また、処理時間が500時間より増えると、粉砕ストレスの影響により感度低下を生じたり、生産性低下、メディアの摩滅粉の混入などの問題が生じる。湿式粉砕処理時間をこのように決定することにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニン粒子が均一に微粒子化した状態で湿式粉砕処理を完了することが可能となる。
上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料以外の顔料は、公知の方法で製造される顔料結晶を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。
湿式粉砕処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、又はこれらの数種の混合系、あるいは水とこれら有機溶剤との混合系が挙げられる。溶剤の使用量は、顔料結晶1質量部に対して1〜200質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましい。また、湿式粉砕処理における処理温度は、0℃〜溶剤の沸点以下が好ましく、10〜60℃がより好ましい。また、粉砕の際に食塩等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤の使用量は、顔料に対して、0.5〜20倍が好ましく、1〜10倍がより好ましい(いずれも質量換算値)。
更に、公知の方法で製造される顔料結晶について、アシッドペースティング、あるいはアシッドペースティングと上述したような乾式粉砕又は湿式粉砕との組み合わせによって結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度70〜100%が好ましく、95〜100%がより好ましく、硫酸の量は、顔料結晶の質量に対して、1〜100倍が好ましく、3〜50倍がより好ましい(いずれも質量換算値)。また、溶解温度は、−20〜100℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。結晶を酸から析出させる際の溶剤としては、水、あるいは水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
これらの電荷発生材料は、加水分解性基を有する有機金属化合物又はシランカップリング剤で被覆処理してもよい。かかる被覆処理によって電荷発生材料の分散性や電荷発生層用塗布液の塗布性が向上し、平滑で分散均一性の高い電荷発生層を容易に且つ確実に形成することができる。その結果、カブリやゴースト等の画質欠陥が防止され、画質維持性を向上させることができる。また、電荷発生層用塗布液の保存性も著しく向上するので、ポットライフ(pot life)の延長の点でも効果的であり、感光体のコストダウンも可能となる。
上記加水分解性基を有する有機金属化合物又はシランカップリング剤は、下記一般式(1):
−M−Y (1)
[式中、Rは有機基を示し、Mはアルカリ金属以外の金属原子又はケイ素原子を示し、Yは加水分解性基を示し、p及びqはそれぞれ1〜4の整数を示し、pとqとの和はMの原子価に相当する]
で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(1)中、Rで表される有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;トリル基等のアルカリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアリールアルキル基;スチリル基等のアリールアルケニル基;フリル基、チエニル基、ピロリジニル基、ピリジル基、イミダゾリル基等の複素環残基等が挙げられる。これらの有機基は1または2種以上の各種の置換基を有していてもよい。
また、前記一般式(1)中、Yで表される加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジロキシ基等のエーテル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ベンゾイルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、ベンジロキシカルボニル基等のエステル基;塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
また、前記一般式(1)中、Mはアルカリ金属以外の金属原子又はケイ素原子であれば特に制限されるものではないが、好ましくはチタン原子、アルミニウム原子、ジルコニウム原子又はケイ素原子である。すなわち、本発明においては、上記の有機基や加水分解性の官能基を置換した有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、さらにはシランカップリング剤が好ましく用いられる。
上記一般式(1)で表されるシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。特に好ましいシランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
また、上記の有機金属化合物及びシランカップリング剤の加水分解生成物も使用することができる。この加水分解生成物としては、上記一般式(1)で示される有機金属化合物のM(アルカリ金属以外の金属原子又はケイ素原子)に結合するY(加水分解性基)やR(有機基)に置換する加水分解性基が加水分解したものが挙げられる。なお。有機金属化合物及びシランカップリング剤が加水分解基を複数含有する場合は、必ずしも全ての官能基を加水分解する必要はなく部分的に加水分解された生成物であってもよい。また、これらの有機金属化合物及びシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
上記加水分解性基を有する有機金属化合物及び/又はシランカップリング剤(以下、単に「有機金属化合物」という。)を用いてフタロシアニン顔料を被覆処理する方法としては、フタロシアニン顔料の結晶を整える過程で該フタロシアニン顔料を被覆処理する方法、フタロシアニン顔料を結着樹脂に分散する前に被覆処理する方法、フタロシアニン顔料の結着樹脂への分散時に有機金属化合物を混合処理する方法、フタロシアニン顔料の結着樹脂への分散後に有機金属化合物で更に分散処理する方法等が挙げられる。
より具体的には、顔料の結晶を整える過程で予め被覆処理する方法としては、有機金属化合物と結晶が整う前のフタロシアニン顔料とを混合した後加熱する方法、有機金属化合物を結晶が整う前のフタロシアニン顔料に混合し機械的に乾式粉砕する方法、有機金属化合物の水または有機溶剤中の混合液を結晶が整う前のフタロシアニン顔料に混合し湿式粉砕処理方法等が挙げられる。
また、フタロシアニン顔料を結着樹脂に分散する前に被覆処理する方法としては、有機金属化合物、水又は水と有機溶剤との混合液、並びにフタロシアニン顔料を混合して加熱する方法、有機金属化合物をフタロシアニン顔料に直接噴霧する方法、有機金属化合物をフタロシアニン顔料と混合しミリングする方法等が挙げられる。
また、分散時に混合処理する方法としては、分散溶剤に有機金属化合物、フタロシアニン顔料、結着樹脂を順次添加しながら混合する方法、これらの電荷発生層形成成分を同時に添加し混合する方法等が挙げられる。
また、フタロシアニン顔料を結着樹脂中に分散した後に有機金属化合物で更に分散処理する方法としては、例えば溶剤で希釈した有機金属化合物を分散液に添加し攪拌しながら分散する方法が挙げられる。また、かかる分散処理の際、より強固にフタロシアニン顔料に付着させるために、触媒として硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸等の酸を添加してもよい。
これらの中でも、フタロシアニン顔料の結晶を整える過程で予め被覆処理する方法、又はフタロシアニン顔料を結着樹脂に分散する前に被覆処理する方法が好ましい。
電荷発生層23に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂等が挙げられ、中でもポリビニルアセタール樹脂が特に好ましい。これらの結着樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。電荷発生層23における電荷発生物質と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。
電荷発生層23は、電荷発生材料の真空蒸着、あるいは電荷発生材料及び結着樹脂を含む塗布液の塗布により形成される。塗布液の溶媒としては、結着樹脂を溶解することが可能であれば特に制限されず、例えばアルコール、芳香族化合物、ハロゲン化炭化水素、ケトン、ケトンアルコール、エーテル、エステル等から任意で選択することができ、より具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
上記電荷発生材料及び結着樹脂を溶媒に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の方法を用いることができる。この分散の際の電荷発生材料の粒子サイズは、0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、0.15μm以下が更に好ましい。また、この電荷発生層用塗布液には電気特性向上、画質向上等のために、下引層22の説明において例示された添加剤を配合することもできる。
更に、かかる塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。また、塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。このようにして得られる電荷発生層23の膜厚は、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.1〜2.0μmである。
電荷輸送層24は、電子写真感光体1において最表面層となる層である。この電荷輸送層24は、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層であるが、更に樹脂粒子を含む層であることが好ましい。電荷輸送層24が樹脂粒子を含むことにより、感光体表面の滑性、耐摩耗性及びトナーの脱着性を向上させることができる。
また、電荷輸送層24がこのような樹脂粒子を含む場合、電荷輸送層24中の樹脂粒子の含有量は、電荷輸送層24全量に対して0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。含有量が0.1質量%未満では樹脂粒子の分散による上述した効果が十分に得られない傾向があり、一方、40質量%を越えると光通過性が低下し、かつ、繰り返し使用による残留電位の上昇が生じる傾向がある。
上記樹脂粒子としては、フッ素系樹脂粒子が好ましく、中でも、上記の効果がより十分に得られることから、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、これらのフッ素系樹脂粒子の中でも特に、4フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
上記樹脂粒子の平均一次粒径は0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。樹脂粒子の平均一次粒径が0.05μm未満であると、分散時の凝集が進みやすくなる傾向があり、平均一次粒径が1μmを超えると、画質欠陥が発生しやすくなる傾向がある。
電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン、ブロモアニルキノン、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素ゴム、ポリ−N−カルバゾール、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等があげられる。これらの中でも、電気絶縁性の樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂は電荷輸送材料との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れており好ましく用いられる。これらの結着樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電荷輸送層24は、上述した電荷輸送材料、結着樹脂、及び、必要に応じて添加される樹脂粒子を適当な溶媒に溶解又は分散させた溶液を電荷発生層23上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層の形成に使用される溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテル系溶剤、或いはこれらの混合溶剤などを用いることができる。なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は10:1〜1:5が好ましく、6:4〜3:7がより好ましい。当該配合比が上記範囲外の場合には、電気特性や膜強度が低下する傾向がある。
また、電荷輸送層24中に上述した樹脂粒子を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コロイドミル、衝突式メディアレス分散機、貫通式メディアレス分散機等の方法を用いることができる。
電荷輸送層24を形成する塗布液の分散例としては、溶媒に溶解した結着樹脂、電荷輸送材料等の溶液中に樹脂粒子を分散する方法が挙げられる。
電荷輸送層形成用塗布液を調製する際の温度は、0℃〜50℃とすることが好ましい。このような温度に制御する方法としては、水で冷やす、風で冷やす、冷媒で冷やす、製造工程の室温を調節する、温水で暖める、熱風で温める、ヒーターで暖める、発熱しにくい材料で塗布液製造設備を作る、放熱しやすい材料で塗布液製造設備を作る、蓄熱しやすい材料で塗布液製造設備を作る等の方法が利用できる。また、塗布液の前混合方法としては、スターラー、攪拌羽による攪拌、ロールミル、サンドミル、アトライター、ボールミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機等の方法が利用できる。また、分散方法としては、サンドミル、アトライター、ボールミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、ロールミル等の方法が利用できる。
また、電荷輸送層形成用塗布液の分散安定性を向上させるため、及び塗膜形成時の凝集を防止するために、塗布液中に分散助剤を少量添加することも有効である。分散助剤としては、フッ素系界面活性剤、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、シリコーンオイル等が挙げられる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、スプレー塗布法、ロールコータ塗布法、グラビアコータ塗布法等が挙げられる。また、電荷輸送層24の膜厚は5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。更に、表面の平滑性を向上させる目的で、電荷輸送層24中にシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。
また、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体1の劣化を防止する目的で、感光層26(電荷発生層23、電荷輸送層24等)中に酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤等の添加剤を添加することができる。
上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
より具体的には、上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン
−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチルN−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
上記有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
上記有機燐系酸化防止剤としは、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフィート等が挙げられる。
上記の酸化防止剤のうち、有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と呼ばれ、フェノール系又はアミン系酸化防止剤等の1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
上記光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系等の誘導体が挙げられる。より具体的には、上記ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
また、上記ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。その他、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメート等を用いてもよい。
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、感光層26(電荷発生層23、電荷輸送層24等)に少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。かかる電子受容性物質としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系又はキノン系化合物や、Cl、CN、NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
なお、電子写真感光体1は、電荷輸送層24上に更に保護層(図示せず)を備えたものであってもよい。
感光体1が保護層を備えるものである場合、感光体1表面のダイナミック硬度は、感光層26を構成する層23〜24、下引層22及び保護層の材料(結着樹脂など)や、結着樹脂の硬化条件などを適宜選定することにより調整され、ダイナミック硬度が7×10 〜9.5×10 N/m となるように構成される。
保護層は、電子写真感光体1の帯電時の電荷輸送層24の化学的変化を防止したり、感光層26の機械的強度を更に改善する為に用いられる。この保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させた塗布液を感光層26上に塗布することにより形成される。
導電性材料は特に限定されるものではなく、例えば、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体の担体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、あるいは、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を被覆したもの等が挙げられる。
保護層に使用する結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が用いられる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
保護層の膜厚は1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。
保護層を形成するための塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。また、保護層を形成するための塗布液に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独であるいは2種以上を混合して用いることができるが、この塗布液が塗布される感光層26を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
また、図2に示した電子写真感光体1においては、導電性基体21から近い順に電荷発生層23、電荷輸送層24が積層されているが、電荷発生層23と電荷輸送層24との順序は逆であってもよい。更に、図1に示した電子写真感光体1は電荷発生層23と電荷輸送層24とが別個に設けられた機能分離型の感光層26を備えるものであるが、電荷発生材料と電荷輸送材料との双方を含有する単層型感光層を備えるものであってもよい。
本発明における感光体1は、感光層26のうちの少なくとも1層が、電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂、及び0.1〜20質量%の酸化防止剤を含有することが好ましい。上記架橋構造を有するシロキサン系樹脂は、透明性、耐絶縁破壊性、光安定性等の点で特に好ましいものである。以下、上記架橋構造を有するシロキサン系樹脂について説明する。
上記架橋構造を有するシロキサン系樹脂は、シロキサン、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、その他必要な成分等を3次元的に架橋した樹脂であるが、本発明においては、下記G及びFを含む架橋構造を有するシロキサン系樹脂(以下、場合により「化合物(I)」という)が上記の特徴に加え、耐摩耗性、電荷輸送性等の点で特に優れており、好ましい。
G:無機ガラス質ネットワークサブグループ
F:電荷輸送性サブユニット
また、GとFの間に下記Dを介在させ、GとFとを連結させることもできる。
D:可とう性有機サブユニット
上記Gのうち、特に好ましいものは反応性を有するSi基であり、互いに架橋反応を起こして3次元的なSi−O−Si結合、すなわち無機ガラス質ネットワークを形成する。具体的には、Gは−SiR (3−a)で表される加水分解性基を有する置換ケイ素基が挙げられる。ここで、Rは水素原子、アルキル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示す。
上記Dは、電荷輸送性を付与するためのFを、3次元的な無機ガラス質ネットワークGに直接結合で結びつけるためのものである。また、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強度を向上させるという働きもある。Dとして具体的には、nを1〜15の整数とした場合の、−C2n−、C(2n−2)−、−CnH(2n−4)−で表わされる2価の炭化水素基、および−COO−、−S−、−O−、−CH−C−、−N=CH−、−(C)−(C)−、およびこれらの組み合わせや置換基を導入したものなどが挙げられる。
上記Fとしては、光キャリア輸送特性を有する構造として、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等が挙げられる。
また、感光体1において、感光層26のうちの少なくとも1層は、酸化防止剤を含有することが好ましく、上記架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含む層が酸化防止剤を含有することがより好ましい。該酸化防止剤の含有量としては、硬化膜全体に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
感光体1において、上記架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含む層は、最表面層であることが好ましい。
更に、感光体1は、帯電露光のみを10万回以上繰り返したときの残留電位の変動が250V以下であることが好ましい。
(中間転写ベルト)
中間転写ベルト9は、感光体1a〜1dに形成された各色のカラートナー像を重ねるときの転写媒体であり、その表面のダイナミック硬度は30.8×10〜36×10N/mであり、且つ、感光体1表面のダイナミック硬度よりも大きくなるように設定されている。中間転写ベルト9表面のダイナミック硬度が36×10N/mを超えると、感光体1表面の損傷や摩耗の増加が起こりやすく、画像形成装置の長寿命化を図ることが困難であるとともに、一次転写時に感光体1からトナー像が転写されにくく、虫食い画像が発生する。一方、ダイナミック硬度が22×10N/m未満であると、中間転写ベルトが軟らかすぎるため、クリーニング手段との接触等により中間転写ベルト9表面の損傷や摩耗が起こりやすく、画像形成装置の長寿命化を図ることが困難となる。なお、画像形成装置の長寿命化をより確実に図る観点から、中間転写ベルト9表面のダイナミック硬度は、30.5×10N/m〜35×10N/m以下であることが好ましい。
中間転写ベルト9は、熱硬化樹脂を構成成分の一つとして含むものであることが好ましい。該熱硬化樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアニリン等が挙げられ、この中でも、ポリイミド樹脂が好ましい。
中間転写ベルト9は、ポリイミド樹脂を含む場合、以下の手順で製造することができる。すなわち、略等モルのテトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体とジアミンとを所定の溶媒中で重合反応させてポリアミド酸溶液を得る。このポリアミド酸溶液を円筒状金型に供給・展開して膜(層)形成を行った後、さらにイミド転化を行うことによって、ポリイミド樹脂からなる中間転写ベルト9を得ることができる。
かかるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記一般式(2):
[式中、Rは脂肪族鎖式炭化水素基、脂肪族環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基、並びにこれらの炭化水素基に置換基が結合した基からなる群より選ばれる4価の有機基を示す]
で表される化合物が挙げられる。より具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−β−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ベンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHO(CH)NH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性等の点から極性溶媒が好ましい。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が好ましく、中でもN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等の低分子量のものがより好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、中間転写ベルト9の膜抵抗を調整するために、ポリイミド樹脂中にカーボンを分散させることが好ましい。カーボンの種類は特に限定されないが、カーボンブラックの酸化処理によりその表面に酸素含有官能基(カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等)が形成された酸化処理カーボンブラックを用いることが好ましい。ポリイミド樹脂中に酸化処理カーボンブラックを分散すると、電圧を印加したときに酸化処理カーボンブラックに過剰な電流が流れるため、ポリイミド樹脂が繰返しの電圧印加による酸化の影響を受けにくくなる。また、酸化処理カーボンブラックはその表面に形成された酸素含有官能基によりポリイミド樹脂中への分散性が高いので、抵抗バラツキを小さくすることができると共に電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が起こりにくくなる。従って、転写電圧による抵抗低下を防止し、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性が少なく、さらに環境による抵抗の変化の少ない、用紙走行部が白く抜けること等の画質欠陥の発生が抑制された高画質を得ることができる中間転写体を得ることができる。
上記酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを高温雰囲気下で空気と接触、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾン等と反応させる方法、高温下での空気酸化後、低温下でオゾン酸化する方法などにより得ることができる。また、酸化処理カーボンとして、三菱化学製のMA100(pH3.5、揮発分1.5%)、同,MA100R(pH3.5、揮発分1.5%)、同MA100S(pH3.5、揮発分1.5%)、同#970(pH3.5、揮発分3.0%)、同MA11(pH3.5、揮発分2.0%)、同#1000(pH3.5、揮発分3.0%)、同#2200(pH3.5,揮発分3.5%)、同MA230(pH3.0、揮発分1.5%)、同MA220(pH3.0、揮発分1.0%)、同#2650(pH3.0、揮発分8.0%)、同MA7(pH3.0、揮発分3.0%)、同MA8(pH3.0、揮発分3.0%)、同OIL7B(pH3.0、揮発分6.0%)、同MA77(pH2.5、揮発分3.0%)、同#2350(pH2.5、揮発分7.5%)、同#2700(pH2.5、揮発分10.0%)、同#2400(pH2.5、揮発分9.0%);デグサ社製のプリンテックス150T(pH4.5、揮発分10.0%)、同スペシャルブラック350(pH3.5、揮発分2.2%)、同スペシャルブラック100(pH3.3、揮発分2.2%)、同スペシャルブラック250(pH3.1、揮発分2.0%)、同スペシャルブラック5(pH3.0、揮発分15.0%)、同スペシャルブラック4(pH3.0、揮発分14.0%)、同スペシャルブラック4A(pH3.0、揮発分14.0%)、同スペシャルブラック550(pH2.8、揮発分2.5%)、同スペシャルブラック6(pH2.5、揮発分18.0%)、同カラーブラックFW200(pH2.5、揮発分20.0%)、同カラーブラックFW2(pH2.5、揮発分16.5%)、同カラーブラックFW2V(pH2.5、揮発分16.5%);キャボット社製MONARCH1000(pH2.5、揮発分9.5%)、同MONARCH1300(pH2.5、揮発分9.5%)、同MONARCH1400(pH2.5、揮発分9.0%)、同MOGUL−L(pH2.5、揮発分5.0%)、同REGAL400R(pH4.0、揮発分3.5%)、などの市販品を用いてもよい。
上記酸化処理カーボンブラックは、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性の相違により導電性が異なるがこれらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、実質的に導電性の異なるものを2種以上組み合わせて用いることが好ましい。このように物性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること
等が可能である。
これら酸化処理カーボンブラックの配合量は、ポリイミド樹脂100質量部に対して10〜50質量部であることが好ましく、12〜30質量部であることがより好ましい。当該配合量が10質量部未満であると、電気抵抗の均一性が低下し、耐久使用時の表面抵抗率の低下が大きくなる場合があり、一方、50質量部を超えると、所望の抵抗値が得られにくく、また、成型物として脆くなる場合がある。
2種類以上の酸化処理カーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液の製造方法としては、溶媒中に2種類以上の酸化処理カーボンブラックを予め分散した分散液中に前記酸二無水物成分及びジアミン成分を溶解・重合する方法、2種類以上の酸化処理カーボンブラックを各々溶媒中に分散させ2種類以上のカーボンブラック分散液を作製し、この分散液に酸無水物成分及びジアミン成分を溶解・重合させた後、各々のポリアミド酸溶液を混合する方法、などが挙げられる。
中間転写ベルト9は、このようにして得られたポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に供給・展開して被膜とし、加熱によりポリアミド酸をイミド転化させることにより得られる。かかるイミド転化の際には、所定の温度で0.5時間以上保持することによって、良好な平面度を有する中間転写ベルト9を得ることができる。
ポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に供給する際の供給方法としては、ディスペンサーによる方法、ダイスによる方法などが挙げられる。ここで、円筒上金型としては、その内周面が鏡面仕上げされたものを用いることが好ましい。
また、金型に供給されたポリアミド酸溶液から被膜を形成するとしては、加熱しながら遠心成形する方法、弾丸状走行体を用いて成形する方法、回転成形する方法などが挙げられ、これらの方法により均一な膜厚の被膜が形成される。
このようにして形成された被膜をイミド転化させて中間転写ベルト9を成形する方法としては、(i)金型ごと乾燥機中に入れ、イミド転化の反応温度まで昇温する方法、(ii)ベルトとして形状を保持できるまで溶媒の除去を行った後、金型内面から被膜を剥離して金属製シリンダ外面に差し替えた後、このシリンダごと加熱してイミド転化を行う方法、などが挙げられる。本発明においては、得られる中間転写ベルト9の表面のダイナミック硬度が上記の条件を満たせば上記(i)、(ii)のいずれの方法でイミド転化を行ってもよいが、方法(ii)によりイミド転化を行うと、平面度及び外表面精度が良好な中間転写体を効率よく且つ確実に得ることができるので好ましい。以下、方法(ii)について詳述する。
上記方法(ii)において、溶媒を除去する際の加熱条件は、溶媒を除去できれば特に制限されないが、加熱温度は80〜200℃であることが好ましく、加熱時間は0.5〜5時間であることが好ましい。このようにしてベルトとしてそれ自身形状を保持することができるようになった成形物は金型内周面から剥離されるが、かかる剥離の際に金型内周面に離型処理を施してもよい。
次いで、ベルト形状として保持できるまで加熱・硬化させた成形物を、金属製シリンダ外面に差し替え、差し替えたシリンダごと加熱することにより、ポリアミド酸のイミド転化反応を進行させる。かかる金属製シリンダとしては、線膨張係数がポリイミド樹脂よりも大きいものが好ましく、また、シリンダの外径をポリイミド成形物の内径より所定量小さくすることで、ヒートセットを行うことができ均一な膜厚でムラのない無端ベルトを得ることができる。また、金属製シリンダ外面の表面粗度(Ra)は、1.2〜2.0μmであることが好ましい。金属製シリンダ外面の表面粗度(Ra)が1.2μm未満であると、金属製シリンダ自身が平滑過ぎるため、得られる中間転写ベルト9においてベルトの軸方向に対する収縮による滑りが発生しないため、延伸がこの工程で行われ、膜厚のバラツキや平面度の精度の低下が発生する場合がある。また、金属製シリンダ外面の表面粗度(Ra)が2.0μmを超えると、金属製シリンダ外面がベルト状中間転写体の内面に転写し、さらには外面に凹凸を発生させ、これにより画像不良が発生しやすくなる場合がある。なお、本発明でいう表面粗度とはJIS B601に準じて測定されるRaをいう。
また、イミド転化の際の加熱条件としては、ポリイミド樹脂の組成にもよるが、加熱温度が220〜280℃、加熱時間0.5〜2時間であることが好ましい。このような加熱条件でイミド転化を行うと、ポリイミド樹脂の収縮量がより大きくなるため、ベルトの軸方向についての収縮を緩やかに行うことにより、膜厚バラツキや平面度の精度の低下を防ぐことができる。
このようにして得られたポリイミド樹脂からなる中間転写ベルト9の外面の表面粗度(Ra)は、1.5μm以下であることが好ましい。中間転写体の表面粗度(Ra)が1.5μmを超えるとがさつき等の画像欠陥が発生しやすくなる傾向にある。なお、がさつきの発生は、転写の際に印加される電圧や剥離放電による電界がベルト表面の凸部に局所的に集中して凸部表面が変質することによって、新たな導電経路の発現により抵抗が低下し、その結果得られる画像の濃度低下が起こることに起因すると考えられる。
このようにして得られる中間転写ベルト9はシームレスベルトであることが好ましい。シームレスベルトの場合、厚さはその使用目的に応じて適宜決定しうるが、強度や柔軟性等の機械的特性の点から、20〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。また、中間転写体の表面抵抗は、その表面抵抗率(Ω/□)の常用対数値が8〜15(logΩ/□)であることが好ましく、11〜13(logΩ/□)であることがより好ましい。なお、ここでいう表面抵抗率とは、22℃、55%RH環境下で100Vの電圧を印加し、電圧印加開始時から10秒後に測定される電流値に基づいて得られる値をいう。
上述のように、本発明における中間転写ベルト9のダイナミック硬度は、22×10〜36×10N/mであることを必須とする。中間転写ベルト9のダイナミック硬度を上記範囲にする手段としては、中間転写ベルト9の分子構造(ポリイミド等)、C/B含有率、焼成温度、分子量等の条件設定を変化させる方法が挙げられる。
本発明において、ダイナミック硬度は以下の方法で測定されるものである。すなわち、稜間角115°、先端曲率半径0.1μm以下のダイアモンド圧子を用い、中間転写体表面を、応力速度0.05mN/secの条件で、押し込み測定により測定する。詳しくは、中間転写体ベルトを適当な大きさに切り出し、この表面を稜間角115°、先端曲率半径0.1μm以下のダイアモンド圧子を装着した微小硬度測定装置で測定する。このとき押し込み応力速度は0.05mN/secに設定する。押し込み深さは圧子の変位から、押し込み荷重は圧子につけたロードセルから読み取る。ダイナミック硬度は下記式(a)により求める。
DH=3.8584P/D (a)
[式中、DHはダイナミック硬度(N/m)を示し、Pは押し込み荷重(N)を示し、Dは押し込み深さ(m)を示す。]
中間転写ベルト9の表面層の下の層が著しく柔らかく、ダイナミック硬度の測定が困難な場合には以下に示す方法で、最表面層のみでダイナミック硬度測定をする方法を使用する。すなわち、ガラス基板上に中間転写ベルト或いは感光体最表面層を含浸塗布、バーコーター塗布、スプレー塗布、蒸着などで膜厚1.0〜10.0μm程度で形成し、この表面を稜間角115°、先端曲率半径0.1μm以下のダイアモンド圧子を装着した微小硬度測定装置で測定する。このとき押し込み応力速度は0.09mN/secに設定する。押し込み深さは圧子の変位から、押し込み荷重は圧子につけたロードセルから読み取る。ダイナミック硬度は上記式(a)により求める。
(現像手段)
本発明の画像形成装置における現像手段(現像装置4a〜4d)に使用されるトナーとしては、以下のように形成されるものが使用される。
トナー粒子の形成方法としては、(i)原料を混練、粉砕、分級する混練粉砕法にて得られた粒子に、機械的衝撃力または熱エネルギーを加えることによりトナー粒子を得る方法、(ii)重合性単量体を乳化重合させて得られた結着樹脂を含んでなる分散液と、着色剤を含んでなる分散液と、離型剤を含んでなる分散液と、さらに必要に応じて帯電制御剤等を含んでなる分散液と、を混合し、凝集させ、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、(iii)結着樹脂の前駆体である重合性単量体と、着色剤と、離型剤と、さらに必要に応じて帯電制御剤等と、を含んでなる溶液を水系溶媒に懸濁させて重合することによりトナー粒子を得る懸濁重合法、(iv)結着樹脂と、着色剤と、離型剤と、さらに必要に応じて帯電制御剤等と、を含んでなる溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒することによりトナー粒子を得る溶解懸濁法、等を用いることができる。また上記のような方法で得られたトナー粒子をコア粒子として、このコア粒子表面にさらに凝集粒子を付着させ加熱融合させることにより、コアシェル構造をもたせたトナー粒子としてもよい。
上記結着樹脂としては、例えば、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレンーアクリル酸アルキル共重合体、スチレンーメタクリル酸アルキル共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。また、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
上記着色剤としては、例えば、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げることができる。
上記離型剤としては、例えば、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げることができる。
また、トナーを作製する際には、その原料に必要に応じて帯電制御剤等が外添及び/又は内添されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、例えば、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。特に、湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。また、本発明に用いられるトナーは、その内部に、磁性材料を内包させた磁性トナー、あるいは、磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
このようにして得られたトナーに対し、研磨剤等の添加剤をトナー粒子表面に外添する場合には、トナー粒子及び上記添加剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することにより行うことができる。また、トナー粒子を湿式法にて製造する場合は、湿式法にて外添することも可能である。
本発明における電子写真用現像剤は、上記のようにして作成されたトナーと、キャリアと、を混合したものからなる。ここで、上記キャリアとしては、公知のキャリアを用いることができ、例えば、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉等、または、これらの表面に樹脂等をコーテイングしたものが使用される。また、トナーと、キャリアと、の混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。また、感光体表面を保護し、クリーニング機能を向上させ、表面層の摩耗を低減する目的で、滑性粒子を用いることもできる。この滑性粒子は、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用でき、これらの材料を単独あるいは併用しても良い。これらの中でも脂肪酸亜鉛塩が感光体の表面保護に対し特に優れている。
本発明におけるトナー粒子は、平均形状係数(ML/A)が110〜135であることが好ましい。平均形状係数(ML/A)が110未満である場合には、現像後に感光体表面にトナーが残留すると、クリーニング性能が大きく低下してしまい、クリーニング不良が発生し易くなる場合がある。また、平均形状係数(ML/A)が135を超える場合には、感光体表面に形成されたトナー像の記録媒体への転写効率が低下してしまい、画質の低下や、画像形成に利用されない廃棄トナーが増大してしまう場合がある。なお、平均形状係数(ML/A)は、その値が100に近い程、トナー粒子の形状が真球に近いことを意味するものである。
トナー粒子には、必要に応じて、研磨剤や帯電制御剤を外添することもできる。研磨剤としては、例えば無機酸化物粒子が用いられる。無機酸化物粒子の材料種としては、公知の無機酸化物材料を用いることができるが、例えば、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、アルミナ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、シリカ、酸化チタン、窒化ホウ素、ピロリン酸カルシウム、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、これらの複合材料を用いてもよい。また、付着物の研磨・除去能力を有し、上述したような無機酸化物材料と同程度の化学的安定性を有する他の無機材料を用いることも可能である。これらの無機酸化物粒子の中でも、チタン酸ストロンチウム粒子が研磨剤として特に好ましく用いられる。
研磨剤の体積平均一次粒径(以下、場合により単に「粒径」という)は、0.1〜3.0μmであることが好ましく、0.2〜2.0μmであることがより好ましい。粒径が0.1μm未満である場合には、付着物の研磨・除去効果が十分に得られず、カラー色用の感光体表面に発生する放電生成物の除去が不十分となる傾向がある。また、粒径が3.0μmを超える場合には、感光体表面に傷が発生し易く、感光体の寿命が短くなる傾向がある。
研磨剤の添加量は、シアン、マゼンタおよびイエロー色のいずれにおいても、トナー粒子の全量を100質量部として、0.1〜2.0質量部であることが好ましく、0.3〜1.0質量部であることがより好ましい。添加量が、0.1質量部未満である場合には、付着物の研磨・除去効果が不充分であり、感光体上に発生した放電生成物の除去が不十分となる場合がある。また、2.0質量部を超える場合には、トナークラウドが発生し易くなる場合がある。
本発明に用いられる全ての色のトナー粒子表面には、上記したカラー色の粒子表面に外添される研磨剤以外にも、必要に応じて他の添加剤を外添することもできる。例えば、トナー粒子の粉体流動性や帯電性等の制御の為には、体積平均一次粒径が40nm以下の小径の無機酸化物粒子(以下、場合により「添加剤A」という)を用いることが好ましい。添加剤Aを構成する材料としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、より効果的に粉体流動性や帯電性等の制御を行うために、添加剤Aの表面が、i−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、シリコーンオイル等の有機・無機複合材料や有機材料等により被覆処理されていることが好ましい。
また、トナー粒子の帯電性の制御、及び/又は、転写性の向上(すなわち、感光体表面に対するトナー粒子の付着力低減効果を利用した、感光体表面に形成されたトナー像の転写効率の向上)の為には、体積平均一次粒径が、40nmよりも大きく、より好ましくは100nm以上の無機酸化物粒子(以下、場合により「添加剤B」という)を用いることが好ましい。特に、転写性の向上には、添加剤Bの体積平均一次粒径は100nm以上であることが好ましい。
添加剤Bを構成する材料としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等を用いることができる。また、より効果的に帯電性の制御や転写性向上効果を発揮するために添加剤Bの表面が、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)や、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン等により被覆処理されていることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、図1を用いて先に説明した構成を有しており、電子写真感光体、中間転写ベルト及び現像手段として、それぞれ上述した構成を有するものを備えている。
画像形成装置において、帯電手段(帯電装置)としては、特に制限はなく、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等の帯電部材を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などのそれ自体公知の帯電器が挙げられる。これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましい。前記帯電手段は、前記電子写真感光体に対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流をさらに重畳させて印加してもよい。
上記帯電部材の材料としては、アルミニウム、鉄、銅等の金属、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッソゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のエラストマー材料にカーボンブラック、沃化銅、沃化銀、硫化亜鉛、炭化ケイ素、金属酸化物等の金属酸化物微粒子を分散したもの等を用いることができる。金属酸化物の例としてはZnO、SnO、TiO、In、MoO、又はこれらの複合酸化物等が挙げられる。また、エラストマー材料中に過塩素酸塩を含有させて導電性を付与してもよい。
また、帯電部材の表面に被覆層を設けることもできる。この被覆層を形成する材料としては、N−アルコキシメチル化ナイロン、セルロース樹脂、ビニルピリジン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、メラミン等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、エマルジョン樹脂系材料、例えばアクリル樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、ポリウレタン、特にソープフリーのエマルジョン重合により合成されたエマルジョン樹脂を用いることもできる。これらの樹脂には、さらに抵抗率を調整するために導電剤粒子を分散してもよいし、劣化を防止するために酸化防止剤を含有させることもできる。また、被覆層を形成するときの成膜性を向上させるために、エマルジョン樹脂にレベリング剤または界面活性剤を含有させることもできる。
上記帯電部材は、弾性層、導電層及び抵抗層を有し、体積抵抗率が10〜1010Ω・cmであることが好ましく、10〜1010Ω・cmであることがより好ましい。また、この帯電部材に電圧を印加する場合、当該印加電圧は、直流、交流のいずれも用いることができ、さらには直流電圧と交流電圧とを重畳したものを用いることもできる。
また、画像形成装置において、露光手段(露光装置)としては、特に制限はなく、例えば、上記電子写真感光体1表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して所望の像様に露光できる光学系機器等が挙げられる。
更に、画像形成装置において、現像手段(現像装置)としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器等が挙げられる。
本発明の画像形成装置は、必要に応じて光除電手段(光除電装置)を備えていてもよい。かかる光除電手段としては、例えば、タングステンランプ、LED等が挙げられ、該光除電プロセスに用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光等が挙げられる。該光除電プロセスにおける照射光強度としては、通常、電子写真感光体の半減露光感度を示す光量の数倍乃至30倍程度になるよう出力設定される。
また、本発明の画像形成装置は、必要に応じて定着手段(定着装置)を備えていてもよい。かかる定着手段としては、特に制限はなく、それ自体公知の定着器、例えば熱ローラ定着器、オーブン定着器等が挙げられる。クリーニング手段としては、特に制限はなく、それ自体公知のクリーニング装置等を用いればよい。
また、本発明の画像形成装置は、イレース光照射装置等の除電装置を更に備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
本発明の画像形成装置は、上述した電子写真感光体1及び中間転写ベルト9を備えていることにより、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することができる。
本発明の画像形成装置は、図1に示す構成の画像形成装置に限定されるものではなく、例えば、図3に示す構成を有するものであってもよい。図3は、本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置200において、電子写真感光体1は駆動装置(図示せず)により所定の回転速度で矢印Aの向きに回転可能となっている。この電子写真感光体1の略上方には、電子写真感光体1の外周面を帯電させる帯電装置2が設けられている。
また、帯電装置2の略上方には露光装置3が配置されている。この露光装置は、例えば、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などの非接触型帯電器となっている。
電子写真感光体1の側方には現像装置4が配置されており、現像装置4は回転可能に配置されたローラ状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器38Y,38M,38C,38Kが設けられている。現像器38Y,38M,38C,38Kは各々現像ローラ40を備え、内部に各々イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色トナーを貯留している。
また、電子写真感光体1の略下方には無端の中間転写ベルト9が配設されている。中間転写ベルト9はローラ46,48,50に巻掛けられており、外周面が電子写真感光体1の外周面に接触するように配置されている。ローラ46,48,50はモータ(図示せず)の駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト9を矢印Bの向きに回転させる。
中間転写ベルト9を挟んで電子写真感光体1の反対側には転写器52が配置されている。電子写真感光体1の外周面上に形成されたトナー像は転写器52によって中間転写ベルト9の画像形成面に転写される。
中間転写ベルト9よりも下方側にはトレイ54が配置されており、トレイ54内には記録材料としての用紙Pが多数枚積層された状態で収容されている。図3におけるトレイ54の左斜め上方には取り出しローラ56が配置されており、取り出しローラ56による用紙Pの取り出し方向下流側にはローラ対58、ローラ60が順に配置されている。積層状態で最も上方に位置している記録紙は、取り出しローラ56が回転されることによりトレイ54から取り出され、ローラ対58、ローラ60によって搬送される。
また、中間転写ベルト9を挟んでローラ50の反対側には転写器62が配置されている。ローラ対58、ローラ60によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト9と転写器62の間に送り込まれ、中間転写ベルト9の画像形成面に形成されたトナー像が転写器62によって転写される。転写器62よりも用紙Pの搬送方向下流側には、定着ローラ対を備えた定着器64が配置されており、トナー像が転写された用紙Pは、転写されたトナー像が定着器64によって溶融定着された後に画像形成装置200の機体外へ排出され、図示しない排紙トレイ上に載置される。
また、電子写真感光体1を挟んで現像装置4の反対側には、電子写真感光体1の外周面を除電する機能及び外周面上に残留している不要トナーを除去する機能を備えた除電・清掃器(クリーニング手段)42が配置されている。電子写真感光体1の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト9に転写されると、電子写真感光体1の外周面のうち転写されたトナー像を担持していた領域は、除電・清掃器42によって清掃される。
図3に示した画像形成装置200では、電子写真感光体1が4回転する回転過程においてフルカラー画像の形成が行われる。すなわち、電子写真感光体1が4回転する間、帯電装置2は電子写真感光体1の外周面の帯電、除電・清掃器42は外周面の除電を継続し、露光装置3は、形成すべきカラー画像を表すY,M,C,Kの画像データのうちの何れかに応じて変調したレーザビームを電子写真感光体1の外周面上で走査させることを、電子写真感光体1が1回転する毎にレーザビームの変調に用いる画像データを切替えながら繰り返す。また、現像装置4は、現像器38Y,38M,38C,38Kの何れかの現像ローラ40が電子写真感光体1の外周面に対応している状態で、外周面に対応している現像器を作動させ、電子写真感光体1の外周面に形成された静電潜像を特定の色に現像し、電子写真感光体1の外周面上に特定色のトナー像を形成させることを、電子写真感光体1が1回転する毎に、静電潜像の現像に用いる現像器が切り替わるように収容体を回転させながら繰り返す。
これにより、電子写真感光体1が1回転する毎に、電子写真感光体1の外周面上には、Y,M,C,Kのトナー像が互いに重なるように順次形成されることになり、電子写真感光体1が4回転した時点で電子写真感光体1の外周面上にフルカラーのトナー像が形成されることになる。
かかる構成を有する画像形成装置200においても、上述した電子写真感光体1及び中間転写ベルト9を備えていることにより、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することができる。
なお、上記2つの実施形態ではカラートナーを用いる画像形成装置の例を示したが、本発明の画像形成装置は、黒色トナーのみを用いる白黒画像形成用のものであってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(電子写真感光体の作製)
(1)導電性基体の作製
JIS A3003合金よりなる直径30mm、長さ404mmの引き抜き管を用意し、センタレス研磨装置により研磨し、表面粗さをRz=0.6μmとした。洗浄工程としてこのシリンダーを脱脂処理し、導電性基体を得た。
(2)下引層の形成
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製試作品)100質量部と、カップリング剤としてのN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン10質量%を含有するトルエン溶液10質量部と、メタノール20質量部と、トルエン200質量部と、を混合し、撹拌しながら2時間還流を行って混合液を得た。その後、得られた混合液を7.5hPa(10mmHg)に減圧してトルエンを留去し、120℃で2時間熱処理を行って金属酸化物微粒子Aを得た。
この金属酸化物微粒子A33質量部、ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)6質量部及びメチルエチルケトン25質量部を30分間混合した後、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)5質量部及びレベリング剤(シリコーンオイルSH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01質量部を添加し、サンドミルにて2時間の分散処理を行って分散液を得た。この分散液にシリコーンボール(トスパール120、東芝シリコーン社製)3質量部を更に添加し、下引層形成用塗布液を得た。
得られた塗布液を上記導電性基体の外周面に浸漬塗布法により塗布し、170℃で40分間乾燥硬化を行って下引層(膜厚:23.5μm)を形成した。
この下引層について、対抗電極としてφ1mmの金電極を用い、10V/mの電場を印加したときの体積抵抗を測定した。その結果測定は、高温高湿(28℃、85%RH)、低温低湿(10℃、15%RH)の2条件で行った。このときの下引層の体積抵抗は、28℃、85%RH条件で5×1010Ω・cm、10℃、15%RH条件で7×1010Ω・cmであった。
(3)電荷発生層の形成
次に、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.6°及び28.2°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン3質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)2質量部、及び、n−酢酸ブチル120質量部をサンドミルにて4時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を下引層上に浸漬塗布し、150℃で8分間乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(4)電荷輸送層の形成
下記式(3)で表されるベンジシン化合物2質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート(粘度平均分子量39,000)3質量部とを、テトロヒドロフラン280質量部及びトルエン120質量部に十分に溶解混合した後、4フッ化エチレン樹脂粒子10質量部を加えて混合し、混合液を得た。このとき、室温を25℃に設定し、混合時の液温度を25℃に保った。その後、得られた混合液をガラスビーズを用いたサンドグラインダーにて分散し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。このとき、サンドクラインダーのベッセルに24℃の水を流し、分散液の温度を50度に保持した。得られた塗布液を電荷発生層上に浸漬コーティング法により塗布し、115℃、40分間の加熱を行なって膜厚32μmの電荷輸送層を形成した。これにより、電子写真感光体の作製を完了した。
(トナー粒子の作製)
(1)結着樹脂微粒子分散液の調製
スチレン370質量部、n−ブチルアクリレート30質量部、アクリル酸8質量部、ドデカンチオール24質量部、及び、四臭化炭素4質量部を混合して溶解した溶液Aと、非イオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)6質量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬社製)10質量部をイオン交換水550質量部に溶解した溶液Bと、過硫酸アンモニウム4質量部をイオン交換水50質量部に溶解した溶液Cと、を準備した。次に、フラスコ中に溶液Aと溶液Bとを加え、ゆっくりと混合攪拌しながら、10分間かけて溶液Cを徐々に加えることにより乳化重合させた。
上記フラスコ内を窒素置換した後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより、体積平均一次粒径が150nm、ガラス転移点Tgが58℃、重量平均分子量Mwが11500の結着樹脂粒子が溶液中に分散した結着樹脂微粒子分散液を得た。この結着樹脂粒子分散液の固形分濃度は40質量%であった。
(2)着色剤分散液(1)の調製
カーボンブラック(モーガルL、キャボット社製)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)6質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤(1)を得た。
(3)着色剤分散液(2)の調製
Cyan顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:3)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)5質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(Cyan顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(2)を得た。
(4)着色剤分散液(3)の調製
Magenta顔料(C.I.ピグメント・レッド122)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)5質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(Magenta顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(3)を得た。
(5)着色剤分散液(4)の調製
Yellow顔料(C.I.ピグメント・イエロー180)90質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)5質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(Yellow顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(4)を得た。
(6)離型剤分散液の調製
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋社製、融点85℃)100質量部、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王社製)5質量部、イオン交換水240質量部を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径550nmの離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調整した。
(7)トナー粒子K1の作製
上記結着樹脂微粒子分散液234質量部、上記着色剤分散液(1)30質量部、上記離型剤分散液40質量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)0.5質量部、イオン交換水600質量部を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分間保持した後、D50(体積平均粒径)4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。
その後、加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持した。この際の、D50は5.3μmであった。この凝集体粒子を含む分散液に上記結着樹脂微粒子分散液26質量部を添加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで下げて30分間保持した。次に、この凝集体粒子を含む分散液に、1N水酸化ナトリウムを添加することによりpHを7.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱して4時間保持した。この凝集体粒子を含む分散液を冷却した後、凝集体粒子(トナー粒子)を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥して黒色のトナー粒子K1を得た。トナー粒子K1のD50は5.9μm、平均形状係数(ML/A)は132であった。
(8)トナー粒子C1の作製
着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(2)を用いた以外は上記トナー粒子K1の作製方法と同様の方法を用いて、シアン色のトナー粒子C1を得た。トナー粒子C1のD50は5.8μm、平均形状係数(ML/A)は131であった。
(9)トナー粒子M1の作製
着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(3)を用いた以外は上記トナー粒子K1の作製方法と同様の方法を用いて、マゼンタ色のトナー粒子M1を得た。このトナー粒子M1のD50は5.5μm、平均形状係数(ML/A)は135であった。
(10)トナー粒子Y1の調整
着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(4)を用い用いた以外は上記トナー粒子K1の作製方法と同様の方法を用いて、イエロー色のトナー粒子Y1を得た。このトナー粒子Y1のD50は5.9μm、平均形状係数(ML/A)は130であった。
(11)トナー粒子の形状評価
トナー粒子の平均形状係数(ML/A)は以下のようにして求めた。まず、1000個のトナー粒子について、トナー粒子の画像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEX
III、ニレコ社製)に取り込み、トナー粒子の投影像の最大長および面積を求めた。但し、上記最大長とは、平面上にトナーが設置された場合において、この平面に垂直に入射する平行光によりトナーが投影された際に形成される投影像の最大の長さを意味し、上記面積とは、この投影像の面積を意味する。この最大長および面積から、個々のトナー粒子の形状係数、すなわち、(最大長)×π×100/(面積×4)を求め、これら個々のトナー粒子の形状係数の平均値を平均形状係数(ML/A)とした。なお、真球の場合の形状係数は100となる。
(現像剤の作製)
(1)キャリアの作製
まず、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体(成分比:15/85)2質量部、カーボンブラック(VXC72、キャボット社製)0.2質量部、トルエン14質量部をサンドミルにて10分間撹拌させ、分散処理した被覆液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(平均粒径:35μm)100質量部とを真空脱気型ニーダーに入れ、攪拌しながら、温度60℃、圧力を560mmHg(74660Pa)まで減圧し、30分間混合した。その後、さらに昇温および減圧させ90℃、40mmHg(5330Pa)で30分間攪拌・乾燥させることによりキャリアを得た。得られたキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ω・cmであった。
(2)C、M、Y色トナーの作製
トナー粒子C1、トナー粒子M1、トナー粒子Y1のそれぞれ100質量部に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)0.55質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、酸化セリウム(E10、粒径:0.6μm、三井金属鉱業社製)0.4質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.2質量部を添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、表面に添加剤が外添されたC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)色トナーを得た。
(3)K色トナーの作製
100質量部のトナー粒子K1に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)1.0質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.3質量部を添加し、上記C、M、Y色トナーの作製方法と同様の方法を用いて、表面に添加剤が外添されたK(ブラック)色トナーを得た。
(4)現像剤の作製
上記の表面に添加剤が外添されたC、M、Y、K色トナーのそれぞれについて、該トナー8質量部と、上記キャリア100質量部とを、V−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
(中間転写ベルトの作製)
宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスS75質量部にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)25質量部を加え、サンドミルで7時間分散させて分散液を作製した。この分散液を、環状塗布方法により円筒状金型外面に400μmに塗布し、6rpmで回転させながら150℃で45分間加熱した後、室温に戻し、次に焼成炉に入れ350℃で3時間焼成し、イミド転化反応を完結させた。
その後、室温に戻し、目的の中間転写ベルトを得た。このベルトの厚さは75μmであった。又表面抵抗率は11.7(logΩ/□)であった。
(ダイナミック硬度の測定)
上記の感光体及び中間転写ベルトについて、稜間角115°、先端曲率半径0.07μmのダイアモンド圧子を装着した超微小硬度計(DUH−201、島津製作所社製)を用いて、圧子押し込み測定モードでダイナミック硬度を測定した。このときの押し込み圧力は0.09mN/secとした。下記式(a)を用いて、押し込み深さ1.0μm以下の下地の影響を受けない領域でのダイナミック硬度を計算し、表面のダイナミック硬度とした。その結果を表1に示す。
DH=3.8584P/D (a)
[式中、DHはダイナミック硬度(N/m)を示し、Pは押し込み荷重(N)を示し、Dは押し込み深さ(m)を示す。]
(画像形成装置の作製)
上記の感光体、中間転写ベルト及び現像剤を、タンデム式カラー画像形成装置(DocuCentre Color400CP、富士ゼロックス社製)に搭載し、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、本実施例においては、帯電装置として接触帯電ロールを備えるもの、クリーニング装置としてポリウレタン製クリーニングブレードを備えるものを用いた。
(画質評価)
上記の画像形成装置を用い、文字画像を複写するプリント試験を行って画質を評価した。プリント試験の条件としては、A4用紙たて送りで文字画像を5枚プリントし、次の10枚を休むという操作を繰り返し、5000枚/日の割合で合計70000枚のプリントを行った。このときの画質の変化(画質欠陥発生状況)を評価した。また、70000枚目プリント後の感光体表面の残留電位の変動(70000枚目プリント時の残留電位から1枚目プリント時の残留電位を引いた値)についても確認した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
現像剤の作製を以下の手順で行った以外は実施例1と同様にして、実施例2の画像形成装置を作製した。実施例2における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
(現像剤の作製)
(1)キャリアの作製
実施例1と同様の手順でキャリアを作製した。
(2)C、M、Y色トナーの作製
トナー粒子C1、トナー粒子M1、トナー粒子Y1のそれぞれ100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:i−ブチルトリメトキシシラン処理)1.0質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、酸化セリウム(E10、粒径:0.6μm、三井金属鉱業社製)0.4質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.3質量部を添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、表面に添加剤が外添されたC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)色トナーを得た。
(3)K色トナーの作製
100質量部のトナー粒子K1に対して、アナターゼ型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:i−ブチルトリメトキシシラン処理)1.0質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.3質量部を添加し、上記C、M、Y色トナーの作製方法と同様の方法を用いて、表面に添加剤が外添されたK(ブラック)色トナーを得た。
(4)現像剤の作製
上記の表面に添加剤が外添されたC、M、Y、K色トナーのそれぞれについて、該トナー8質量部と、上記キャリア100質量部とを、V−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
参考例3
金属酸化物微粒子Aの代わりに、以下の手順で作製した金属酸化物微粒子Bを用い、現像剤の作製を以下の手順で行い、中間転写ベルトとして以下の手順で作製したものを用いた以外は実施例1と同様にして、参考例3の画像形成装置を作製した。参考例3における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
(金属酸化物微粒子Bの作製)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製試作品)100質量部と、カップリング剤としてのN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン10質量%を含有するトルエン溶液10質量部と、メタノール20質量部と、トルエン200質量部と、を混合し、撹拌しながら2時間還流を行って混合液を得た。その後、得られた混合液を7.5hPa(10mmHg)に減圧してトルエンを留去し、180℃で2時間熱処理を行って金属酸化物微粒子Bを得た。
上記金属酸化物微粒子Bを用いて形成した下引層の体積抵抗は、高温高湿(28℃、85%RH)条件で3×10Ω・cm、低温低湿(10℃、15%RH)条件で4×1010Ω・cmであった。
(現像剤の作製)
(1)キャリアの作製
実施例1と同様の手順でキャリアを作製した。
(2)C、M、Y色トナーの作製
トナー粒子C1、トナー粒子M1、トナー粒子Y1のそれぞれ100質量部に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)1質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、シリカ(粒径:40nm、表面処理:シリコーンオイル処理、粒子作製法:気相酸化法)2.0質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.2質量部を添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、表面に添加剤が外添されたC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)色トナーを得た。
(3)K色トナーの作製
実施例1と同様の手順で表面に添加剤が外添されたK(ブラック)色トナーを得た。
(4)現像剤の作製
上記の表面に添加剤が外添されたC、M、Y、K色トナーのそれぞれについて、該トナー8質量部と、上記キャリア100質量部とを、V−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
(中間転写ベルトの作製)
宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスA75質量部にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)25質量部を加え、サンドミルで7時間分散させ分散液を作製した。この分散液を、環状塗布方法により円筒状金型外面に400μmに塗布し、6rpmで回転させながら150℃で60分間加熱した後室温に戻して成形し、次に焼成炉に入れ300℃で2.5時間焼成し、イミド転化反応を完結させた。
その後、室温に戻し、目的の中間転写ベルトを得た。このベルトの厚さは75μmであった。又表面抵抗率は12.0(logΩ/□)であった。
[実施例4]
金属酸化物微粒子Aの代わりに、以下の手順で作製した金属酸化物微粒子Cを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4の画像形成装置を作製した。実施例4における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
(金属酸化物微粒子Cの作製)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製試作品)100質量部と、カップリング剤としてのN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン10質量%を含有するトルエン溶液10質量部と、メタノール20質量部と、トルエン200質量部と、を混合し、撹拌しながら2時間還流を行って混合液を得た。その後、得られた混合液を7.5hPa(10mmHg)に減圧してトルエンを留去し、250℃で2時間熱処理を行って金属酸化物微粒子Cを得た。
上記金属酸化物微粒子Cを用いて形成した下引層の体積抵抗は、高温高湿(28℃、85%RH)条件で2×10Ω・cm、低温低湿(10℃、15%RH)条件で4×1010Ω・cmであった。
[実施例5]
中間転写ベルトとして以下の手順で作製したものを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の画像形成装置を作製した。実施例5における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
(中間転写ベルトの作製)
宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスA12質量部とポリイミドUワニスS60質量部とを混合した後にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)28質量部を加え、サンドミルで8時間分散させ分散液を作製した。この分散液を、環状塗布方法により円筒状金型外面に400μmに塗布し、10rpmで回転させながら150℃で60分間加熱した後、室温に戻し、次に焼成炉に入れ300℃で2.5時間焼成し、イミド転化反応を完結させた。
その後、室温に戻し、目的の中間転写ベルトを得た。このベルトの厚さは75μmであった。又表面抵抗率は11.9(logΩ/□)であった。
参考例6
電子写真感光体の電荷輸送層を構成する材料であるビスフェノールZポリカーボネート(粘度平均分子量39,000)に代えて、ビスフェノールZポリカーボネート(粘度平均分子量80,000)を用い、中間転写ベルトの作製において、宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスA18質量部とポリイミドUワニスS54質量部とを混合した後にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)28質量部を加え、サンドミルで7時間分散させて分散液を作製した以外は実施例5と同様にして、参考例6の画像形成装置を作製した。参考例6における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
参考例7
電子写真感光体の電荷輸送層を構成する材料であるビスフェノールZポリカーボネート(粘度平均分子量39,000)に代えて、ビスフェノールZポリカーボネート(粘度平均分子量30,000)を用い、中間転写ベルトの作製において、宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスA54質量部とポリイミドUワニスS18質量部とを混合した後にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)28質量部を加え、サンドミルで7.5時間分散させ分散液を作製した以外は実施例5と同様にして、参考例7の画像形成装置を作製した。なお、中間転写ベルトの厚さは75μmであり、表面抵抗率は11.0(logΩ/□)であった。参考例7における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
[比較例1]
電子写真感光体として、電荷輸送層上に以下の手順で保護層を形成したものを用い、中間転写ベルトとして以下の手順で作製したものを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の画像形成装置を作製した。比較例1における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
(保護層の作製)
下記式(4)で表される化合物2質量部、下記式(5)で表される化合物2質量部、及び、テトラメトキシシラン0.5質量部を、イソプロピルアルコール5質量部、テトラヒドロフラン3質量部、及び、蒸留水0.3質量部に溶解させた溶液を調製した。この溶液にイオン交換樹脂(アンバーリスト15E:ローム・アンド・ハース社製)0.5部を加え、室温で24時間攪拌することにより加水分解を行った。
加水分解を完結させた後、イオン交換樹脂を濾過分離した液体2質量部に対し、アルミニウムトリスアセチルアセトナート0.04質量部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.1質量部を加えて保護層形成用塗布液を調製した。この塗布液を電荷輸送層上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した。その後、170℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚3μmの保護層を形成した。
(中間転写ベルトの作製)
宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスS82質量部にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)18質量部を加え、サンドミルで2時間分散させて分散液を作製した。この分散液を、環状塗布方法により円筒状金型外面に400μmに塗布し、6rpmで回転させながら150℃で60分間加熱した後室温に戻し、次に焼成炉に入れ380℃で3時間焼成し、イミド転化反応を完結させた。
その後、室温に戻し、目的の中間転写ベルトを得た。このベルトの厚さは75μmであった。又表面抵抗率は9.5(logΩ/□)であった。
[比較例2]
電子写真感光体として、電荷輸送層上に比較例1に示した手順と同様の手順で保護層を形成したものを用い、中間転写ベルトとして以下の手順で作製したものを用いた以外は実施例3と同様にして、比較例2の画像形成装置を作製した。比較例2における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
(中間転写ベルトの作製)
宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスA68質量部にデグサ社製のカーボンブラック(Special Black4)32質量部を加え、サンドミルで10時間分散させて分散液を作製した。この分散液を、環状塗布方法により円筒状金型外面に400μmに塗布し、7rpmで回転させながら150℃で60分間加熱した後室温に戻して成形し、次に焼成炉に入れ220℃で2.5時間焼成し、イミド転化反応を完結させた。
その後、室温に戻し、目的の中間転写ベルトを得た。このベルトの厚さは75μmであった。又表面抵抗率は9.6(logΩ/□)であった。
[比較例3]
電子写真感光体として、以下の手順で下引層を形成したものを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例3の画像形成装置を作製した。比較例3における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
(下引層の形成)
共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ社製)1質量部をメタノール6質量部とブタノール4質量部との混合液に溶解して下引層形成用塗布液を調製した。得られた塗布液を上記導電性基体の外周面に浸漬塗布法により塗布し、100℃で10分間乾燥硬化させて下引層(膜厚:0.3μm)を形成した。
上記下引層の体積抵抗は、高温高湿(28℃、85%RH)条件で3.1×1014Ω・cm、低温低湿(10℃、15%RH)条件では体積抵抗が高すぎて測定不能であった。
[比較例4]
電子写真感光体として、下引層の膜厚を5μmとしたものを用い、現像剤の作製を以下の手順で行った以外は実施例2と同様にして、比較例4の画像形成装置を作製した。比較例4における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
(現像剤の作製)
(1)キャリアの作製
実施例1と同様の手順でキャリアを作製した。
(2)C、M、Y色トナーの作製
トナー粒子C1、トナー粒子M1、トナー粒子Y1のそれぞれ100質量部に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)0.55質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、及び、酸化セリウム(E10、粒径:0.6μm、三井金属鉱業社製)0.4質量部を添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、表面に添加剤が外添されたC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)色トナーを得た。(3)K色トナーの作製
実施例1と同様の手順で表面に添加剤が外添されたK(ブラック)色トナーを得た。
(4)現像剤の作製
上記の表面に添加剤が外添されたC、M、Y、K色トナーのそれぞれについて、該トナー8質量部と、上記キャリア100質量部とを、V−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
[比較例5]
現像剤の作製を以下の手順で行った以外は比較例3と同様にして、比較例5の画像形成装置を作製した。比較例5における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、画質評価の結果を表1に示す。
(現像剤の作製)
(1)キャリアの作製
実施例1と同様の手順でキャリアを作製した。
(2)C、M、Y色トナーの作製
トナー粒子C1、トナー粒子M1、トナー粒子Y1のそれぞれ100質量部に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)0.55質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、及び、酸化セリウム(E10、粒径:0.6μm、三井金属鉱業社製)0.4質量部を添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、表面に添加剤が外添されたC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)色トナーを得た。(3)K色トナーの作製
実施例1と同様の手順で表面に添加剤が外添されたK(ブラック)色トナーを得た。
(4)現像剤の作製
上記の表面に添加剤が外添されたC、M、Y、K色トナーのそれぞれについて、該トナー8質量部と、上記キャリア100質量部とを、V−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
表1に示した結果から明らかなように、本発明の画像形成装置(実施例1、2、4、及び5)によれば、比較例1〜5の画像形成装置と比較して、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することが可能であることが確認された。
参考例8
(電子写真感光体の作製)
(1)導電性基体の作製
JIS A3003合金よりなる直径30mm、長さ404mmの引き抜き管を用意し
、センタレス研磨装置により研磨し、表面粗さをRz=0.6μmとした。洗浄工程とし
てこのシリンダーを脱脂処理し、導電性基体を得た。
(2)下引層の形成
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製試作品)100質量部と、カップリング剤としてのN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン10質量%を含有するトルエン溶液10質量部と、メタノール20質量部と、トルエン200質量部と、を混合し、撹拌しながら2時間還流を行って混合液を得た。その後、得られた混合液を7.5hPa(10mmHg)に減圧してトルエンを留去し、120℃で2時間熱処理を行って金属酸化物微粒子Aを得た。
この金属酸化物微粒子A33質量部、ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)6質量部及びメチルエチルケトン25質量部を30分間混合した後、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)5質量部及びレベリング剤(シリコーンオイルSH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01質量部を添加し、サンドミルにて2時間の分散処理を行って分散液を得た。この分散液にシリコーンボール(トスパール120、東芝シリコーン社製)3質量部を更に添加し、下引層形成用塗布液を得た。
得られた塗布液を上記導電性基体の外周面に浸漬塗布法により塗布し、180℃で30分間乾燥硬化を行って下引層(膜厚:20μm)を形成した。
この下引層について、対抗電極としてφ1mmの金電極を用い、10V/mの電場を印加したときの体積抵抗を測定した。その結果測定は、高温高湿(28℃、85%RH)、低温低湿(10℃、15%RH)の2条件で行った。このときの下引層の体積抵抗は、28℃、85%RH条件で5×1010Ω・cm、10℃、15%RH条件で8×1010Ω・cmであった。
(3)電荷発生層の形成
次に、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)において少なくとも7.6°及び28.2°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン3質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)2質量部、及び、n−酢酸ブチル120質量部をサンドミルにて4時間分散処理し、電荷発生層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を下引層上に浸漬塗布し、150℃で8分間乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(4)電荷輸送層の形成
上記式(3)で表されるベンジシン化合物2質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート(粘度平均分子量39,000)3質量部とを、クロロベンゼン20質量部に溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を電荷発生層上に浸漬コーティング法により塗布し、115℃、40分間の加熱を行なって膜厚32μmの電荷輸送層を形成した。これにより、電子写真感光体の作製を完了した。
(トナー粒子の作製)
(1)結着樹脂微粒子分散液の調製
スチレン370質量部、n−ブチルアクリレート30質量部、アクリル酸8質量部、ドデカンチオール24質量部、及び、四臭化炭素4質量部を混合して溶解した溶液Aと、非イオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)6質量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬社製)10質量部をイオン交換水550質量部に溶解した溶液Bと、過硫酸アンモニウム4質量部をイオン交換水50質量部に溶解した溶液Cと、を準備した。次に、フラスコ中に溶液Aと溶液Bとを加え、ゆっくりと混合攪拌しながら、10分間かけて溶液Cを徐々に加えることにより乳化重合させた。
上記フラスコ内を窒素置換した後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。これにより、体積平均一次粒径が150nm、ガラス転移点Tgが58℃、重量平均分子量Mwが11500の結着樹脂粒子が溶液中に分散した結着樹脂微粒子分散液を得た。この結着樹脂粒子分散液の固形分濃度は40質量%であった。
(2)着色剤分散液(1)の調製
カーボンブラック(モーガルL、キャボット社製)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)6質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤(1)を得た。
(3)着色剤分散液(2)の調製
Cyan顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:3)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)5質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(Cyan顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(2)を得た。
(4)着色剤分散液(3)の調製
Magenta顔料(C.I.ピグメント・レッド122)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)5質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(Magenta顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(3)を得た。
(5)着色剤分散液(4)の調製
Yellow顔料(C.I.ピグメント・イエロー180)90質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成社製)5質量部、イオン交換水240質量部を混合して溶解させ、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理を行うことで、平均粒子径250nmの着色剤(Yellow顔料)粒子が分散された着色剤分散剤(4)を得た。
(6)離型剤分散液の調製
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋社製、融点85℃)100質量部、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王社製)5質量部、イオン交換水240質量部を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径550nmの離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調整した。
(7)トナー粒子K1の作製
上記結着樹脂微粒子分散液234質量部、上記着色剤分散液(1)30質量部、上記離型剤分散液40質量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)0.5質量部、イオン交換水600質量部を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分間保持した後、D50(体積平均粒径)4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。
その後、加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持した。この際の、D50は5.3μmであった。この凝集体粒子を含む分散液に上記結着樹脂微粒子分散液26質量部を添加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃まで下げて30分間保持した。次に、この凝集体粒子を含む分散液に、1N水酸化ナトリウムを添加することによりpHを7.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら80℃まで加熱して4時間保持した。この凝集体粒子を含む分散液を冷却した後、凝集体粒子(トナー粒子)を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥して黒色のトナー粒子K1を得た。トナー粒子K1のD50は5.9μm、平均形状係数(ML/A)は132であった。
(8)トナー粒子C1の作製
着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(2)を用いた以外は上記トナー粒子K1の作製方法と同様の方法を用いて、シアン色のトナー粒子C1を得た。トナー粒子C1のD50は5.8μm、平均形状係数(ML/A)は131であった。
(9)トナー粒子M1の作製
着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(3)を用いた以外は上記トナー粒子K1の作製方法と同様の方法を用いて、マゼンタ色のトナー粒子M1を得た。このトナー粒子M1のD50は5.5μm、平均形状係数(ML/A)は135であった。
(10)トナー粒子Y1の調整
着色剤分散液(1)の代わりに、着色剤分散液(4)を用い用いた以外は上記トナー粒子K1の作製方法と同様の方法を用いて、イエロー色のトナー粒子Y1を得た。このトナー粒子Y1のD50は5.9μm、平均形状係数(ML/A)は130であった。
(11)トナー粒子の形状評価
トナー粒子の平均形状係数(ML/A)は以下のようにして求めた。まず、1000個のトナー粒子について、トナー粒子の画像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEX
III、ニレコ社製)に取り込み、トナー粒子の投影像の最大長および面積を求めた。但し、上記最大長とは、平面上にトナーが設置された場合において、この平面に垂直に入射する平行光によりトナーが投影された際に形成される投影像の最大の長さを意味し、上記面積とは、この投影像の面積を意味する。この最大長および面積から、個々のトナー粒子の形状係数、すなわち、(最大長)×π×100/(面積×4)を求め、これら個々のトナー粒子の形状係数の平均値を平均形状係数(ML/A)とした。なお、真球の場合の形状係数は100となる。
(現像剤の作製)
(1)キャリアの作製
まず、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体(成分比:15/85)2質量部、カーボンブラック(VXC72、キャボット社製)0.2質量部、トルエン14質量部をサンドミルにて10分間撹拌させ、分散処理した被覆液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(平均粒径:35μm)100質量部とを真空脱気型ニーダーに入れ、攪拌しながら、温度60℃、圧力を560mmHg(74660Pa)まで減圧し、30分間混合した。その後、さらに昇温および減圧させ90℃、40mmHg(5330Pa)で30分間攪拌・乾燥させることによりキャリアを得た。得られたキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ω・cmであった。
(2)C、M、Y色トナーの作製
トナー粒子C1、トナー粒子M1、トナー粒子Y1のそれぞれ100質量部に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)0.55質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、酸化セリウム(E10、粒径:0.6μm、三井金属鉱業社製)0.4質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.2質量部を添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、表面に添加剤が外添されたC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)色トナーを得た。
(3)K色トナーの作製
100質量部のトナー粒子K1に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)1.0質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.3質量部を添加し、上記C、M、Y色トナーの作製方法と同様の方法を用いて、表面に添加剤が外添されたK(ブラック)色トナーを得た。
(4)現像剤の作製
上記の表面に添加剤が外添されたC、M、Y、K色トナーのそれぞれについて、該トナー8質量部と、上記キャリア100質量部とを、V−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
(中間転写ベルトの作製)
実施例1と同様の手順で中間転写ベルトを作製した。
(ダイナミック硬度の測定)
上記の感光体及び中間転写ベルトについて、実施例1における測定方法と同様の方法でダイナミック硬度を測定した。その結果を表2に示す。
(画像形成装置の作製)
上記の感光体、中間転写ベルト及び現像剤を、カラー画像形成装置(DocuCentre Color500、富士ゼロックス社製)に搭載し、図3に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、本実施例においては、帯電装置としてスコロトロン帯電器を備えるもの、クリーニング装置としてポリウレタン製クリーニングブレードを備えるものを用いた。
(画質評価)
上記の画像形成装置を用い、文字画像を複写するプリント試験を行って画質を評価した。プリント試験の条件としては、プロセススピードを420mm/secとし、A4用紙たて送りで文字画像を5枚プリントし、次の10枚を休むという操作を繰り返し、5000枚/日の割合で合計70000枚のプリントを行った。このときの画質の変化(画質欠陥発生状況)を評価した。また、70000枚目プリント後の感光体表面の残留電位の変動(70000枚目プリント時の残留電位から1枚目プリント時の残留電位を引いた値)についても確認した。更に、70000枚目プリント後の帯電性変化(70000枚目プリント時の帯電電位から1枚目プリント時の帯電電位を引いた値)についても確認した。その結果を表2に示す。
参考例9
金属酸化物微粒子Aの代わりに、以下の手順で作製した金属酸化物微粒子Bを用い、現像剤の作製を以下の手順で行った以外は参考例8と同様にして、参考例9の画像形成装置を作製した。参考例9における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、参考例8と同様の方法で行った画質評価の結果を表2に示す。
(金属酸化物微粒子Bの作製)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製試作品)100質量部と、カップリング剤としてのN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン10質量%を含有するトルエン溶液10質量部と、メタノール20質量部と、トルエン200質量部と、を混合し、撹拌しながら2時間還流を行って混合液を得た。その後、得られた混合液を7.5hPa(10mmHg)に減圧してトルエンを留去し、180℃で2時間熱処理を行って金属酸化物微粒子Bを得た。
上記金属酸化物微粒子Bを用いて形成した下引層の体積抵抗は、高温高湿(28℃、85%RH)条件で3×1011Ω・cm、低温低湿(10℃、15%RH)条件で4×1012Ω・cmであった。
(現像剤の作製)
(1)キャリアの作製
参考例8と同様の手順でキャリアを作製した。
(2)C、M、Y色トナーの作製
トナー粒子C1、トナー粒子M1、トナー粒子Y1のそれぞれ100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:i−ブチルトリメトキシシラン処理)1.0質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、酸化セリウム(E10、粒径:0.6μm、三井金属鉱業社製)0.4質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.3質量部を添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、表面に添加剤が外添されたC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)色トナーを得た。
(3)K色トナーの作製
100質量部のトナー粒子K1に対して、アナターゼ型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:i−ブチルトリメトキシシラン処理)1.0質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.3質量部を添加し、上記C、M、Y色トナーの作製方法と同様の方法を用いて、表面に添加剤が外添されたK(ブラック)色トナーを得た。
(4)現像剤の作製
上記の表面に添加剤が外添されたC、M、Y、K色トナーのそれぞれについて、該トナー8質量部と、上記キャリア100質量部とを、V−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
参考例10
金属酸化物微粒子Aの代わりに、以下の手順で作製した金属酸化物微粒子Dを用い、現像剤の作製を以下の手順で行い、中間転写ベルトとして以下の手順で作製したものを用いた以外は参考例8と同様にして、参考例10の画像形成装置を作製した。参考例10における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、参考例8と同様の方法で行った画質評価の結果を表2に示す。
(金属酸化物微粒子Dの作製)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製試作品)100質量部と、カップリング剤としてのN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン10質量%を含有するトルエン溶液10質量部と、メタノール20質量部と、トルエン200質量部と、を混合し、撹拌しながら2時間還流を行って混合液を得た。その後、得られた混合液を7.5hPa(10mmHg)に減圧してトルエンを留去し、100℃で1時間熱処理を行って金属酸化物微粒子Dを得た。
上記金属酸化物微粒子Dを用いて形成した下引層の体積抵抗は、高温高湿(28℃、85%RH)条件で3×1011Ω・cm、低温低湿(10℃、15%RH)条件で4×1012Ω・cmであった。
(現像剤の作製)
(1)キャリアの作製
実施例8と同様の手順でキャリアを作製した。
(2)C、M、Y、K色トナーの作製
トナー粒子C1、トナー粒子M1、トナー粒子Y1、トナー粒子K1のそれぞれ100質量部に対して、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm、表面処理:n−デシルトリメトキシラン処理)1質量部、シリカ(粒径:140nm、表面処理:HMDS処理、粒子作製法:ゾルゲル法)2.0質量部、シリカ(粒径:40nm、表面処理:シリコーンオイル処理、粒子作製法:気相酸化法)2.0質量部、及び、ステアリン酸亜鉛(ZNS−S、粒径:6μm、旭電化工業社製)0.2質量部を添加し、5Lヘンシェルミキサーで周速30m/s×15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、表面に添加剤が外添されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)色トナーを得た。
(3)現像剤の作製
上記の表面に添加剤が外添されたC、M、Y、K色トナーのそれぞれについて、該トナー8質量部と、上記キャリア100質量部とを、V−ブレンダーで、40rpm×20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤を得た。
(中間転写ベルトの作製)
参考例7と同様の手順で中間転写ベルトを作製した。
参考例11
金属酸化物微粒子Aの代わりに、以下の手順で作製した金属酸化物微粒子Cを用いた以外は参考例8と同様にして、参考例11の画像形成装置を作製した。参考例11における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、参考例8と同様の方法で行った画質評価の結果を表2に示す。
(金属酸化物微粒子Cの作製)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製試作品)100質量部と、カップリング剤としてのN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン10質量%を含有するトルエン溶液10質量部と、メタノール20質量部と、トルエン200質量部と、を混合し、撹拌しながら2時間還流を行って混合液を得た。その後、得られた混合液を7.5hPa(10mmHg)に減圧してトルエンを留去し、250℃で2時間熱処理を行って金属酸化物微粒子Cを得た。
上記金属酸化物微粒子Cを用いて形成した下引層の体積抵抗は、高温高湿(28℃、85%RH)条件で2×10Ω・cm、低温低湿(10℃、15%RH)条件で4×1010Ω・cmであった。
参考例12
中間転写ベルトとして以下の手順で作製したものを用いた以外は参考例8と同様にして、参考例12の画像形成装置を作製した。参考例12における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、参考例8と同様の方法で行った画質評価の結果を表2に示す。
(中間転写ベルトの作製)
実施例5と同様の手順で中間転写ベルトを作製した。
[比較例6]
比較例1と同様の手順で画像形成装置を作製した。比較例6における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック硬度、並びに、参考例8と同様の方法で行った画質評価の結果を表2に示す。
[比較例7]
電荷輸送層を参考例8と同様の手順で作製した以外は比較例4と同様にして、比較例7
の画像形成装置を作製した。比較例7における感光層及び中間転写ベルトのダイナミック
硬度、並びに、参考例8と同様の方法で行った画質評価の結果を表2に示す。
表2に示した結果から明らかなように、参考例の画像形成装置(参考例8〜12)によれば、比較例6〜7の画像形成装置と比較して、良好な画質の画像を長期間にわたって安定して形成することが可能であることが確認された。
本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。 本発明にかかる電子写真感光体の好適な一例を示す模式断面図である。 本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
100・・・ハウジング、1a〜1d・・・電子写真感光体、2a〜2d・・・帯電装置、3・・・露光装置、4a〜4d・・・現像装置、5a〜5d・・・トナーカートリッジ、6・・・駆動ロール、7・・・テンションロール、8・・・バックアップロール、9・・・中間転写ベルト、10a〜10d・・・1次転写ロール、11・・・用紙トレイ、12・・・移送ロール、13・・・2次転写ロール、14・・・定着ロール、21・・・導電性基体、22・・・下引層、23・・・電荷発生層、24・・・電荷輸送層、25・・・保護層、26・・・感光層。

Claims (8)

  1. 導電性基体、該導電性基体上に配置された下引層、及び、該下引層上に配置された感光層を有する電子写真感光体と、
    前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
    前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
    トナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    中間転写ベルトを有し、前記トナー像を前記中間転写ベルトに1次転写し、該中間転写ベルト上の1次転写像を被転写媒体に2次転写する転写手段と、
    前記感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、を備え、
    前記中間転写ベルト表面のダイナミック硬度が30.8×10〜36×10N/mであり、
    前記感光体表面のダイナミック硬度が7×10 〜9.5×10 N/m であり、
    前記下引層が金属酸化物微粒子及び結着樹脂を有し膜厚が7μm以上であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記帯電手段は、前記感光体の表面に接触して当該感光体を帯電させる接触帯電手段であり、
    前記現像手段は、カラートナーにより前記静電潜像を現像してカラートナー像を形成する手段であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記感光体の最表面層が、樹脂粒子を含有していることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 前記樹脂粒子が、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
  5. 前記下引層が、金属酸化物微粒子及び結着樹脂を含有し、28℃、85%RHで1×10V/mの電場を印加したときの体積抵抗が1×10〜1×1013Ω・cmであり、且つ、10℃、15%RHで1×10V/mの電場を印加したときの体積抵抗が28℃、85%RHで1×10V/mの電場を印加したときの体積抵抗の500倍以下であることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記金属酸化物微粒子が、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種のカップリング剤で被覆処理されていることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
  7. 前記カップリング剤がアミノ基を有する化合物であることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
  8. 前記中間転写ベルトが、少なくとも1種類以上のカーボンブラックを含有する熱硬化性ポリイミドを含むこと特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の画像形成装置。
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