JP2006267652A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐磨耗性及びディレッション防止性に優れ、且つ、電気特性を長期に亘って高水準に維持することが可能な電子写真感光体、並びに、それを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 上記課題を解決する電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体上に設けられており、導電性基体から最も遠い側に最表面層を有する感光層とを備え、最表面層が、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料と、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の硬化性樹脂とを含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
いわゆるゼログラフィー方式の画像形成装置は、電子写真感光体(以下、場合により「感光体」という)、帯電装置、露光装置、現像装置及び転写装置を備え、それらを用いた電子写真プロセスにより画像形成を行う。そして、画像形成装置の中核をなす感光体については、現在一部にアモルファスシリコン、砒素−セレン系などの無機光導電材料が使われているが、主流は製造性及び廃棄性に優れる有機感光体である。
しかし、有機感光体は、一般的に無機感光体に比べて機械的強度が低いため、クリーニングブレード、現像ブラシ、用紙などの機械的外力による摺擦傷又は磨耗が起こりやすく、寿命が短いという問題がある。また、電子写真装置の帯電装置としては、エコロジーの観点から接触帯電方式の帯電装置が広く利用されているが、接触帯電方式の場合、コロトロンを用いた帯電方式の場合に比べて大幅に感光体の磨耗が増加してしまう。このような摺擦傷や磨耗の発生は、感光体の寿命を短くするだけでなく、感光体の感度低下による画像濃度の低下、帯電電位の低下によるカブリの発生などの原因となる。
このような傷や磨耗を抑制する手段としては、電子写真感光体の表面に機械強度の高い保護層を設ける方法がある。例えば、特許文献1には、電荷移動剤を含むシリケート構造体からなる保護層を備える感光体が開示されている。
特開平4−15659号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の感光体であっても、以下の理由により高画質化を十分に達成することができない。
すなわち、上記特許文献1に記載の感光体においては、機械強度の向上により感光体の表面の傷や磨耗は抑制されるものの、その一方で表面層が硬いため感光体表面が研磨されにくく、感光体表面に付着する放電生成物等が除去されにくい。特に、上記接触帯電方式の場合、より多くの放電生成物が発生する傾向にあり、さらに、高温高湿環境下では感光体表面に蓄積した付着物が空気中の水分を取り込むため、ディレッション等の画質欠陥が発生しやすい。
なお、感光体表面の付着物を除去する手段として、無機微粒子が外添されたトナーや研磨ローラ、研磨パッドなどの研磨手段を用いて感光体表面を研磨する方法が考えられるが、このような方法は感光体表面の損傷の原因となり、画質低下の虞がある。
また、上記特許文献1に記載の感光体は、その繰り返し使用時に残留電位が上昇するなど電気特性が必ずしも十分とはいえず、ゴースト及びかぶりなどの画質欠陥の発生を長期に亘って防止する観点からも更なる改善の必要がある。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、耐磨耗性及びディレッション防止性に優れ、且つ、電気特性を長期に亘って高水準に維持することが可能な電子写真感光体、並びに、それを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明者らは鋭意検討した結果、感光体の最表面層を構成する成分として特定の硬化性樹脂と特定の電荷輸送材料とを以下の(i)〜(iv)に示される組み合わせで用いることにより、得られる各感光体が耐磨耗性に優れるとともに繰り返し使用された場合であってもディレッションの発生が十分防止され、さらには、十分小さい残留電位を示すとともにその優れた電気特性を長期に亘って維持可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
(i)フェノール樹脂、エポキシ樹脂及び特定の電荷輸送材料
(ii)エポキシ樹脂、メラミン樹脂及び特定の電荷輸送材料
(iii)フェノール樹脂、メラミン樹脂及び特定の電荷輸送材料
(iv)フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂及び特定の電荷輸送材料
すなわち、本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体上に設けられており、導電性基体から最も遠い側に最表面層を有する感光層とを備え、最表面層が、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料と、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の硬化性樹脂とを含むことを特徴とする。
本発明の電子写真感光体によれば、上記の最表面層を備えることで、耐磨耗性及びディレッション防止性の双方を高水準でバランスよく達成することができ、且つ、電気特性を長期に亘って高水準に維持することができるので、高画質化を十分に達成できる。このような効果が得られる理由については必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下の通り推察する。
すなわち、上記(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の組み合わせである、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及び上記の電荷輸送材料を含む塗膜から形成される最表面層、エポキシ樹脂、メラミン樹脂及び上記の電荷輸送材料を含む塗膜から形成される最表面層、フェノール樹脂、メラミン樹脂及び上記の電荷輸送材料を含む塗膜から形成される最表面層、及び、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂及び上記の電荷輸送材料を含む塗膜から形成される最表面層では、かかる2種もしくは3種の樹脂と上記官能基を有する電荷輸送材料とが互いに非常に密な架橋構造を形成できる。そして、かかる架橋構造では、上記複数の樹脂と上記電荷輸送材料とが均一に分散分布しているため、電荷のトラップサイトの形成が十分抑制され、優れた電気特性を発揮できると考えられる。また、非常に密な架橋構造によって、最表面層の機械強度が十分向上するとともに、放電生成物などに対する優れたガスバリア性能が最表面層に付与され、感光層の深さ方向への膜の腐食も十分抑制されるものと考えられる。その結果、耐磨耗性及びディレッション防止性の双方が高水準でバランスよく達成され、且つ、電気特性が長期に亘って高水準に維持され、高画質化が達成されたものと推察される。
上述のように、本発明の電子写真感光体によれば、上記いずれかの最表面層を備えることで、耐磨耗性及びディレッション防止性の双方を高水準でバランスよく達成することができ且つ長期に亘って電気特性を維持できるので、高画質化が達成されたものと推察される。
なお、上記(i)〜(iv)の組み合わせにおいて硬化性樹脂が1種のみである場合、上記した本発明の効果を得ることができない。すなわち、最表面層が硬化性樹脂としてエポキシ樹脂のみを含む場合、残留電位を十分に小さくし耐磨耗性を十分に確保しつつディレッションを十分防止することができない。また、最表面層が硬化性樹脂としてフェノール樹脂のみを含む場合、耐磨耗性及びディレッション防止性を十分に確保しつつ残留電位を十分に小さくすることができない。また、最表面層が硬化性樹脂としてメラミン樹脂のみを含む場合、耐磨耗性及びディレッション防止性を十分に確保しつつ残留電位を十分に小さくすることができない。
また、近年、高画質化の観点から、感光層が電荷発生層及び電荷輸送層から構成される機能分離型感光体を使用する傾向にあるが、本発明の電子写真感光体は、このような機能分離型感光体への適用が好適である。その理由は、機能分離型感光体は除電後の残留電位が高くなる傾向にあり、前サイクルの情報が次サイクルに残留することに起因してゴーストが発生しやすくなる。特に、近時の画像形成装置の高速化に伴い、感光体の光感度、応答特性を向上させると、像露光により生成された電荷が、現像および転写工程後も感光体内部に残りやすくなり、次サイクルでの帯電後に感光体の表面電位が低下することにより、前サイクルでの像が浮き出やすくなる。また、残留電位が高くなると階調に優れた画像を形成することが困難となる。しかし、本発明の電子写真感光体によれば、感光層が機能分離型であっても、かかる感光層が上記樹脂と上記電荷輸送材料とを含む最表面層を備えることにより残留電位の上昇を十分に抑制できるので、ゴーストの発生や階調の低下を十分に防止でき、高画質化を達成できる。
また、中間転写体を用いない直接転写方式においては、紙面中のタルク成分などが感光体に付着して引き起こされるディレッションが発生しやすい傾向にあるが、本発明の電子写真感光体によれば、このようなディレッションも長期に亘って防止でき、高画質化を達成できる。
本発明の電子写真感光体においては、電荷輸送性及び機械強度をさらに向上させる観点から、最表面層が、上記電荷輸送材料として、下記一般式(1)で示される化合物若しくはその誘導体、下記一般式(2)で示される化合物若しくはその誘導体又は下記一般式(3)で示される化合物若しくはその誘導体を含むことが好ましい。
F[−(X)y1−R−OH]x1 ・・・(1)
式(1)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Rは炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、x1は、1〜4の整数を示し、y1は0又は1を示す。
F[−(Ry2−Ar−OH]x2 ・・・(2)
式(2)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Rは炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Arは、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、及び、置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、x2は、1〜4の整数を示し、y2は0又は1を示す。
F[−(X)y3−(Rz3−R(−Ar−OH)w3x3 ・・・(3)
式(3)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Rは炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Rは、置換基を有してもよい(1+W3)価の炭化水素基を示し、Arは、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、及び、置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、x3は、1〜4の整数を示し、y3及びz3はそれぞれ0又は1を示す。ただし、z3が0のときy3も0である。
また、本発明の電子写真感光体においては、材料の相溶性が良好であることに起因する塗布液の安定性の観点から、最表面層が、上記硬化性樹脂として、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
さらに、耐磨耗性を向上させる観点から、最表面層が、上記硬化性樹脂として、レゾール型フェノール樹脂を含むことが好ましい。かかる樹脂は、自己架橋することにより耐磨耗性を向上させる。
また、本発明のプロセスカートリッジは、上記本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、及び、転写後の電子写真感光体をクリーニングするクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1種とを備えることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、上記本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、電子写真感光体上に静電潜像を形成するための露光手段と、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、トナー像を被転写体に転写するための転写手段とを備えることを特徴とする。
本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置では、上記本発明の電子写真感光体を備えることから長期にわたって良好な画質を提供することができる。
本発明よれば、耐磨耗性及びディレッション防止性に優れ、且つ、電気特性を長期に亘って高水準に維持することが可能な電子写真感光体、並びに、長期にわたって良好な画質を得ることが可能なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができる。
<電子写真感光体>
図1は、本発明の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2と、感光層3とから構成されている。感光層3は、導電性支持体2上に、下引層4、電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順序で積層された構造を有している。図1に示す電子写真感光体1では、電荷輸送層6がヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料と、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の硬化性樹脂とを含む。
また、図2〜5はそれぞれ本発明の電子写真感光体の他の好適な実施形態を示す模式断面図である。図2〜3に示す電子写真感光体は、図1に示す電子写真感光体と同様に電荷発生層5と電荷輸送層6とに機能が分離された感光層3を備えるものである。また、図4〜5は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層8)に含有するものである。
図2に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、電荷発生層5、電荷輸送層6及び保護層7が順次積層された構造を有するものである。また、図3に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、電荷輸送層6、電荷発生層5、保護層7が順次積層された構造を有するものである。図2及び3に示す電子写真感光体1において、保護層7がヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料と、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の硬化性樹脂とを含む。
また、図4に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、単層型感光層8が順次積層された構造を有するものであり、単層型感光層8がヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料と、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の硬化性樹脂とを含む。
また、図5に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、単層型感光層8、保護層7が順次積層された構造を有するものであり、保護層7がヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料と、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の硬化性樹脂とを含む。なお、電子写真感光体1においては、下引層4は必ずしも設けられなくともよい。
上記のように、本発明の電子写真感光体が備える感光層は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層に含有する単層型感光層、又は電荷発生材料を含有する層(電荷発生層)と電荷輸送材料を含有する層(電荷輸送層)とを別個に設けた機能分離型感光層のいずれであってもよい。機能分離型感光層の場合、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序はいずれが上層であってもよい。なお、機能分離型感光層の場合、それぞれの層がそれぞれの機能を満たせばよいという機能分離ができるため、より高い機能を実現できる。
以下、代表例として図2に示す電子写真感光体1に基づいて、各要素について説明する。
導電性支持体2の材質としては、導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類;アルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO(酸化インジウムスズ)等の薄膜を設けたプラスチックフィルム;導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙又はプラスチックフィルム、等が挙げられる。これらの導電性支持体の形状としては特に制限されないが、例えば、ドラム状、シート状、プレート状等の形状で使用される。
また、導電性支持体2として金属パイプを用いる場合、金属パイプは素管のまま用いてもよいが、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング、着色処理等の処理を施したものを用いることが好ましい。表面処理により基材表面を粗面化することで、レーザビームのような可干渉光源を用いた場合に発生しうる感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。
次に、下引層4について説明する。下引層4は、積層構造を有する感光層3の帯電の際に、導電性支持体2から感光層3への電荷の注入を阻止するとともに、感光層3を導電性支持体2に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用を有するものである、また、下引層4は、場合によっては導電性支持体2の光の反射防止作用等示すことができる。かかる効果を有し、高画質な画像を維持する観点から、本発明にかかる電子写真感光体1は、下引層4を備えていることが好ましい。
下引層4の材料としては、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子樹脂化合物、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。また、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等を用いることができる。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でも上層(例えば、電荷発生層2)形成用塗布液に含まれる溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。更に、ジルコニウムキレート化合物、シランカップリング剤は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
下引層5中には、感光体特性向上のために、導電性物質を含有させることができる。導電性物質としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の金属酸化物等が挙げられるが、所望の感光体特性が得られるのであれば、公知のいかなるものでも使用することができる。
これらの金属酸化物には表面処理を施すことができる。表面処理を施すことで、抵抗値の制御、分散性制御、感光体特性向上を図ることができる。表面処理剤としては、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。これらの化合物は単独あるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でもシランカップリング剤は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ない、画質特性に優れるなど性能上優れている。
シランカップリング剤、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物の例としては前述した例と同じ物質が挙げられる。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。
乾式法により表面処理を施す場合、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、シランカップリング剤を直接又は有機溶媒に溶解させて滴下し、それらの混合物を乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって、均一な表面処理が行われる。シランカップリング剤の滴下及び混合物の噴霧は、使用する溶剤の沸点以下の温度で行うことが好ましい。滴下又は噴霧を溶剤の沸点以上の温度で行うと、均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、シランカップリング剤が局部的に凝集して均一な処理ができにくくなる傾向がある。
このようにして表面処理された金属酸化物粒子について、更に100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法としては、金属酸化物微粒子を溶剤中に攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、シランカップリング剤溶液を添加して、攪拌又は分散した後、溶剤を除去することで均一に処理される。溶剤は蒸留により留去することが好ましい。なお、ろ過による除去方法では未反応のシランカップリング剤が流出しやすく、所望の特性を得るためのシランカップリング剤量をコントロールしにくくなる傾向がある。溶剤除去後には更に100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法においては金属酸化物微粒子含有水分除去法として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法等を用いることもできる。
下引層4中の金属酸化物微粒子に対するシランカップリング剤の量は、所望の電子写真特性が得られる量であればいかなる量でも用いることができる。また、下引層4中に用いられる金属酸化物微粒子と樹脂との割合は、所望の電子写真特性が得られる割合であれば任意に設定できる。
下引層4中には、光散乱性の向上等の目的により、各種の有機もしくは無機微粉末を混合することができる。かかる微粉末の好ましい例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料や、テフロン(登録商標)樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が挙げられる。これらの微粉末の粒径は、0.01〜2μmであることが好ましい。微粉末は必要に応じて添加される成分であるが、添加する場合の配合量は、下引層4に含まれる固形分に対して、質量比で10〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
また、下引層4の形成に用いられる塗布液(下引層形成用塗布液)には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を用いることができる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料等が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するに際し、前述の導電性物質や光散乱物質等の微粉末を混入させる場合には、樹脂成分を溶解した溶液中に微粉末を添加して分散処理が行うことが好ましい。微粉末を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の方法を用いることができる。
また、下引層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
下引層4の膜厚は、好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.05〜30μmである。
次に、電荷発生層5について説明する。電荷発生層5は、電荷発生材料及び結着樹脂を含んで構成される。
かかる電荷発生材料としては、公知の電荷発生材料を特に制限なく使用することができるが、中でも金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましく用いられ、特定の結晶を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニンが特に好ましく用いられる。
電荷発生層5において好ましく用いられる電荷発生材料は、公知の方法で製造される顔料結晶を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、及びニーダー等を用いて機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、及びニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。
湿式粉砕処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、又はこれらの数種の混合系、あるいは水とこれら有機溶剤との混合系が挙げられる。
これら溶剤の使用量は、顔料結晶1質量部に対して1〜200質量部、好ましくは10〜100質量部が望ましい。また、湿式粉砕処理における処理温度は、0℃以上溶剤の沸点以下、好ましくは10〜60℃である。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いてもよい。磨砕助剤は、顔料に対して0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍(いずれも質量換算値)用いればよい。
また、公知の方法で製造される顔料結晶について、アシッドペースティング又はアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕又は湿式粉砕との組み合わせによって結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、この硫酸の濃度は70〜100%、好ましくは95〜100%の濃度のものが使用される。この濃硫酸の量は、顔料結晶の質量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍(いずれも質量換算値)の範囲に設定される。また、溶解温度は、−20〜100℃、好ましくは0〜60℃の範囲に設定される。結晶を酸から析出させる際の溶剤としては、水、或いは水と有機溶剤の混合溶剤を任意の量で使用できる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
これらの電荷発生材料は、加水分解性基を有する有機金属化合物又はシランカップリング剤で被覆処理してもよい。かかる被覆処理によって電荷発生材料の分散性や電荷発生層用塗布液の塗布性が向上し、平滑で分散均一性の高い電荷発生層5を容易に且つ確実に成膜することができ、その結果、カブリやゴースト等の画質欠陥が防止され、画質維持性を向上させることができる。また、電荷発生層用塗布液の保存性も著しく向上するので、ポットライフの延長の点でも効果的であり、感光体のコストダウンも可能となる。
上記加水分解性基を有する有機金属化合物は、下記一般式(A):
Rp−M−Yq (A)
で表される化合物である。なお、式中、Rは有機基を表し、Mはアルカリ金属以外の金属原子又はケイ素原子を表し、Yは加水分解性基を表し、p及びqはそれぞれ1〜4の整数であり、pとqとの和はMの原子価に相当する。
一般式(A)中、Rで表される有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアリールアルキル基、スチリル基等のアリールアルケニル基、フリル基、チエニル基、ピロリジニル基、ピリジル基、イミダゾリル基等の複素環残基等が挙げられる。これらの有機基は1または2種以上の各種の置換基を有していてもよい。
また、一般式(A)中、Yで表される加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ベンジロキシ基等のエーテル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ベンゾイルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、ベンジロキシカルボニル基等のエステル基、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
また、一般式(A)中、Mはアルカリ金属以外であれば特に制限されるものではないが、好ましくはチタン原子、アルミニウム原子、ジルコニウム原子又はケイ素原子である。すなわち、本発明に係る感光体においては、上記の有機基や加水分解性の官能基を置換した有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、さらにはシランカップリング剤が好ましく用いられる。
また、上記シランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
また、上記の有機金属化合物及びシランカップリング剤の加水分解生成物も使用することができる。この加水分解生成物としては、上記一般式(A)で示される有機金属化合物のM(アルカリ金属以外の金属原子又はケイ素原子)に結合するY(加水分解性基)やR(有機基)に置換する加水分解性基が加水分解したものが挙げられる。なお、有機金属化合物及びシランカップリング剤が加水分解性基を複数含有する場合は、必ずしも全ての官能基を加水分解する必要はなく、部分的に加水分解された生成物であってもよい。また、これらの有機金属化合物及びシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
上記の加水分解性基を有する有機金属化合物及び/又はシランカップリング剤(以下、単に「有機金属化合物」という)を用いてフタロシアニン顔料を被覆処理する方法としては、フタロシアニン顔料の結晶を整える過程で該フタロシアニン顔料を被覆処理する方法、フタロシアニン顔料を結着樹脂に分散する前に被覆処理する方法、フタロシアニン顔料の結着樹脂への分散時に有機金属化合物を混合処理する方法、フタロシアニン顔料の結着樹脂への分散後に有機金属化合物で更に分散処理する方法等が挙げられる。
より具体的には、顔料の結晶を整える過程で予め被覆処理する方法としては、有機金属化合物と結晶が整う前のフタロシアニン顔料とを混合した後加熱する方法、有機金属化合物を結晶が整う前のフタロシアニン顔料に混合し機械的に乾式粉砕する方法、有機金属化合物の水または有機溶剤中の混合液を結晶が整う前のフタロシアニン顔料に混合し湿式粉砕処理方法等が挙げられる。
また、フタロシアニン顔料を結着樹脂に分散する前に被覆処理する方法としては、有機金属化合物、水又は水と有機溶剤との混合液、並びにフタロシアニン顔料を混合して加熱する方法、有機金属化合物をフタロシアニン顔料に直接噴霧する方法、有機金属化合物をフタロシアニン顔料と混合しミリングする方法等がある。
また、分散時に混合処理する方法としては、分散溶剤に有機金属化合物、フタロシアニン顔料、結着樹脂を順次添加しながら混合する方法、これらの電荷発生層2形成成分を同時に添加し混合する方法等が挙げられる。
また、フタロシアニン顔料を結着樹脂中に分散した後に有機金属化合物で更に分散処理する方法としては、例えば溶剤で希釈した有機金属化合物を分散液に添加し攪拌しながら分散する方法が挙げられる。また、かかる分散処理の際、より強固にフタロシアニン顔料に付着させるために、触媒として硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸等の酸を添加してもよい。
これらの中でも、フタロシアニン顔料の結晶を整える過程で予め被覆処理する方法、又はフタロシアニン顔料を結着樹脂に分散する前に被覆処理する方法が好ましい。
電荷発生層5に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸との重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい
電荷発生層5は、例えば、電荷発生材料及び結着樹脂を含む塗布液の塗布により形成される。塗布液の溶媒としては、結着樹脂を溶解することが可能であれば特に制限なく使用することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独で又は2種以上混合して用いることができる。
電荷発生材料及び結着樹脂を溶媒に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって電荷発生材料の結晶型が変化しない条件で行うことが好ましい。また、この分散の際、電荷発生材料を好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
また、かかる塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層5の膜厚は、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2.0μmである。
次に、電荷輸送層6について説明する。電荷輸送層6は、電荷輸送材料及び結着樹脂を含んで構成されるものである。
電荷輸送層6に用いる電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質;クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質;あるいは上記化合物から水素原子等を除いた残基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電荷輸送層6に用いる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリエステル樹脂、ビスフェノールAタイプ或いはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電荷輸送層6は、上記の電荷輸送材料及び結着樹脂を所定の溶媒に溶解及び/又は分散させた塗布液を塗布し乾燥することによって形成することができる。塗布液に用いる溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状又は直鎖状エーテル系溶剤、あるいはこれらの混合溶剤等を用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は3:7〜6:4が好ましい。
このような塗布液を塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、スプレー塗布法、ロールコータ塗布法、グラビアコータ塗布法等が挙げられる。また、電荷輸送層6の膜厚は、5〜50μmであることが好ましく、10〜35μmであることがより好ましい。
本発明にかかる電子写真感光体1においては、画像形成装置中で発生するオゾンやNO、あるいは光や熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層3、電荷輸送層6等に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等が挙げられる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペン等の誘導体が挙げられる。
保護層7は、上述したように、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料と、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の硬化性樹脂とを含む。
先ず、保護層7に含まれる、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料について説明する。
上記電荷輸送材料としては、例えば、下記一般式(1)で示される化合物及びその誘導体、下記一般式(2)で示される化合物及びその誘導体、並びに、下記一般式(3)で示される化合物及びその誘導体が挙げられる。
F[−(X)y1−R−OH]x1 ・・・(1)
式(1)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Rは炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、x1は、1〜4の整数を示し、y1は0又は1を示す。
F[−(Ry2−Ar−OH]x2 ・・・(2)
式(2)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Rは炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Arは、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、及び、置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、x2は、1〜4の整数を示し、y2は0又は1を示す。
F[−(X)y3−(Rz3−R(−Ar−OH)w3x3 ・・・(3)
式(3)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Rは炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Rは、置換基を有してもよい(1+W3)価の炭化水素基を示し、Arは、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、及び、置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、x3は、1〜4の整数を示し、y3及びz3はそれぞれ0又は1を示す。ただし、z3が0のときy3も0である。
上記一般式(1)で示される化合物のより具体的なものとしては、例えば、下記一般式(I)で示される化合物、下記一般式(II)で示される化合物及び下記一般式(III)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006267652


式(I)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Ar11、Ar12及びAr13はそれぞれ独立に、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基及び置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、a1、b1及びc1はそれぞれ0又は1を示し、m1及びn1はそれぞれ0又は1を示す。
Figure 2006267652


式(II)中、R21、R22及びR23はそれぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Ar21、Ar22、Ar23及びAr24はそれぞれ独立に、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基及び置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、a2、b2及びc2はそれぞれ0又は1を示し、m2、n2及びl2はそれぞれ0又は1を示す。なお、Ar21とAr22は置換基を介して共同で環をなしてもよい。
Figure 2006267652


式(III)中、R31、R32、R33及びR34はそれぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Ar31、Ar32、Ar33及びAr34はそれぞれ独立に、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基及び置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、a3、b3、c3及びd3はそれぞれ0又は1を示し、m3、n3及びl3はそれぞれ0又は1を示す。なお、Ar31とAr34は置換基を介して共同で環をなしてもよい。
上記一般式(3)で示される化合物のより具体的なものとしては、例えば、下記一般式(IV)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006267652


式(IV)中、R41は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、R42は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基を示し、Ar41及びAr42はそれぞれ独立に、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基及び置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、Ar43は、置換基を有してもよいアリレーン基又は置換基を有してもよい2価の複素環基を示し、R43及びR44はそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、m4及びn4はそれぞれ0又は1を示す。ただし、n4が0のときm4も0である。
上記一般式(2)で示される化合物のより具体的なものとしては、例えば、下記一般式(V)で示される化合物及び下記一般式(VI)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006267652


式(V)中、R51は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Ar51及びAr52はそれぞれ独立に、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基及び置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、R52及びR53はそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を示し、m5は0又は1を示す。なお、Ar51とAr52は置換基を介して共同で環をなしてもよい。
Figure 2006267652


式(V)中、R61及びR62はそれぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Ar61、Ar62、Ar63及びAr64はそれぞれ独立に、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基及び置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、R63は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を示し、m6及びn6はそれぞれ0又は1を示す。なお、Ar61とAr62及びAr63とAr64は置換基を介して共同で環をなしてもよい。
上記一般式(I)〜(VI)で示される化合物の具体例としては、以下の化合物(I−1)〜(I−12)、化合物(II−1)〜(II−6)、化合物(III−1)〜(III−4)、化合物(IV−1)〜(IV−3)、化合物(V−1)及び化合物(V−2)、並びに、化合物(VI−1)〜(VI−3)が挙げられる。
Figure 2006267652

Figure 2006267652

Figure 2006267652

Figure 2006267652

Figure 2006267652

Figure 2006267652

Figure 2006267652

また、上記一般式(1)で示される化合物として、下記の化合物(1−1)〜(1−19)が更に挙げられる。なお、下記表中、結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を示す。
Figure 2006267652

Figure 2006267652

Figure 2006267652

Figure 2006267652

また、上記一般式(2)で示される化合物として、下記の化合物(2−1)が更に挙げられる。
Figure 2006267652

保護層7には、上記した電荷輸送材料のうち1種を単独で又は2種以上を含有させることができる。
保護層7に含まれるフェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂は、硬化可能なものであれば特に限定されず、熱硬化性であっても光硬化性であってもよい。本実施形態においては、耐磨耗性の観点から熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
フェノール樹脂としては、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類若しくはトリメチロールフェノール類のモノマー、それらの混合物、それらがオリゴマー化されたもの、又はそれらモノマーとオリゴマーの混合物が挙げられる。このようなフェノール樹脂は、レゾルシン、ビスフェノール等、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸触媒又はアルカリ触媒下で反応させることで得られるものである。フェノール樹脂としては、一般にフェノール樹脂として市販されているものを使用できる。これらのフェノール樹脂は、2種以上を併用してもよい。また、フェノール樹脂としては、耐磨耗性の観点から、自己架橋するレゾール型フェノール樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、ハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。また、これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。
メラミン樹脂としては、メチロール基がそのままのメチロールタイプ、メチロール基がすべてアルキルエーテル化されたフルエーテルタイプ、又はフルイミノタイプ、メチロールとイミノ基の混合タイプなど種々のものが使用できる。これら中でも、塗布液の安定性の観点から、エーテルタイプのものが好ましい。
本実施形態においては、材料の相溶性が良好であることに起因する塗布液の安定性の観点から、フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを組み合わせて保護層7に含有させることが好ましい。
保護層7は、必要に応じて可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤などの添加剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素が挙げられる。
表面改質剤としては、例えば、シリコーン系オイル、フッ素系オイル等のレベリング剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、環境変動時の電位安定性及び画質を向上させる観点から、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、チオエーテル、またはフォスファイト部分構造をもつ酸化防止剤などを使用することが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などが挙げられる。
また、電子写真感光体1における最外層である保護層7中には、電子写真感光体1の表面の平滑性を向上させる目的で、シリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。
保護層7中の上記電荷輸送材料及び上記樹脂の含有量としては、電荷輸送材料の含有量が上記樹脂の合計100質量部に対して45〜215質量部が好ましく、65〜150質量部がより好ましい。かかる含有量が、45質量部未満であると、残留電位が上昇する傾向にあり、一方、215質量部を超えると、耐磨耗性が低下する傾向にある。
また、保護層7におけるフェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂の含有量については、各樹脂の組み合わせに対して以下の含有割合とすることが好ましい。
保護層7がフェノール樹脂及びエポキシ樹脂を含有する場合には、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との質量比([フェノール樹脂の質量]/[エポキシ樹脂の質量])を2/3〜10/1とすることが好ましい。かかる質量比が2/3未満であると、すなわちフェノール樹脂が少なすぎるとディレッションが発生し易くなる傾向にあり、一方、10/1を超えると残留電位が上昇する傾向にある。
保護層7がエポキシ樹脂及びメラミン樹脂を含有する場合には、エポキシ樹脂とメラミン樹脂との質量比([エポキシ樹脂の質量]/[メラミン樹脂の質量])を2/3〜10/1とすることが好ましい。かかる質量比が2/3未満であると、すなわちエポキシ樹脂が少なすぎると残留電位が上昇する傾向にあり、一方、10/1を超えるとディレッションが発生し易くなる傾向にある。
保護層7がフェノール樹脂及びメラミン樹脂を含有する場合には、フェノール樹脂とメラミン樹脂との質量比([フェノール樹脂の質量]/[メラミン樹脂の質量])を2/3〜10/1とすることが好ましい。かかる質量比が2/3未満であると、すなわちフェノール樹脂が少なすぎると残留電位が上昇する傾向にあり、一方、10/1を超えても残留電位が上昇する傾向にある。
保護層7がフェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂を含有する場合には、それぞれの樹脂の含有量が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂の合計100質量部に対して5〜90質量部とすることが好ましい。
保護層7は、上記のフェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂のうちの2種以上と、上記の電荷輸送材料と、必要に応じて上記添加物と、を所定の溶媒に溶解及び/又は分散させた塗布液を塗布し乾燥することによって形成することができる。
塗布液に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を併用してもよい。また、本実施形態においては、沸点が100℃以下のものが好ましい。
塗布液における溶媒の含有量は、任意に設定できるが、少なすぎると固形分が析出しやすくなるため、固形分1質量部に対して好ましくは0.5〜40質量部、より好ましくは1〜30質量部である。
塗布液における上記電荷輸送材料の含有量は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂の合計100質量部に対して、45〜215質量部が好ましく、65〜150質量部がより好ましい。かかる含有量が、45質量部未満であると、残留電位が上昇する傾向にあり、一方、215質量部を超えると、耐磨耗性が低下する傾向にある。
このような塗布液を塗布する方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。また、保護層7の膜厚は、0.1〜100μmとすることが好ましい。
上記塗布液の塗膜から保護層を形成する際の反応温度及び反応時間は、使用する原料の種類によっても異なるが、通常、0〜100℃、好ましくは10〜70℃、特に好ましくは15〜50℃の温度で、10分〜100時間とすることができる。反応時間が長くなるとゲル化を生じ易くなる。
<画像形成装置>
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
図6は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図6に示す画像形成装置200は、帯電装置402a〜402dが接触帯電装置であり、転写装置が中間転写方式を採用する構成を有しており、且つ、帯電装置402a〜402d、露光装置403、及び現像装置404a〜404dを少なくとも備える画像形成ユニットを2以上有するタンデム式画像形成装置である。
より具体的には、このタンデム式画像形成装置200は、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。また、この画像形成装置200には、さらに、クリーニング手段415a〜415dが備わっている。ここで、画像形成装置200に搭載されている電子写真感光体401a〜401dは、それぞれ先に述べた本発明の電子写真感光体の構成を有するものである。
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d(電子写真感光体を帯電させる接触帯電装置)、現像装置404a〜404d(露光装置により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置)、1次転写ロール410a〜410d{現像装置により形成されたトナー像を後述の中間転写ベルト409(中間転写体)に1次転写するための転写装置}、クリーニングブレード415a〜415d(クリーニング手段)が配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409(1次転写像を被転写媒体500に転写する中間転写体)を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
更に、ハウジング400内の所定の位置にはレーザ光源となる露光装置403(帯電装置により帯電される電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光装置)が配置されており、レーザ光源403から出射されたレーザ光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。
これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
上記帯電装置(帯電用部材)402a〜402dは、ローラ状置され、感光体に電圧を均一に印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。帯電装置にはアルミニウム、鉄、銅等の金属、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッソゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のエラストマー材料にカーボンブラック、沃化銅、沃化銀、硫化亜鉛、炭化ケイ素、金属酸化物等の金属酸化物微粒子を分散したもの等を用いることができる。
この金属酸化物の例としてはZnO、SnO、TiO、In、MoO等、あるいはこれらの複合酸化物が挙げられる。また、帯電装置402a〜402dにはエラストマー材料中に過塩素酸塩を含有させて導電性を付与したものを使用しても良い。
更に、帯電装置402a〜402dにはその表面に被覆層を設けてもよい。被覆層を形成する材料としては、N−アルコキシメチル化ナイロン、セルロース樹脂、ビニルピリジン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、メラミン等が単独、あるいは併用して用いられる。また、エマルジョン樹脂系材料、たとえば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、ポリウレタン、特にソープフリーのエマルジョン重合により合成されたエマルジョン樹脂を用いることも出来る。
これらの樹脂にはさらに抵抗率を調整するために、導電剤粒子を分散してもよいし、劣化を防止するために酸化防止剤を含有させることもできる。また、被覆層を形成する時の成膜性を向上させるために、エマルジョン樹脂にレベリング剤または界面活性剤を含有させることもできる。また、この接触帯電用部材の形状としては、ローラ状、ブレード状、ベルト状、ブラシ状等が挙げられる。
更に、帯電装置402a〜402dの電気抵抗値は、好ましくは10〜1014Ωcm、さらに好ましくは10〜1012Ωcmの範囲が良い。また、この接触帯電用部材への印加電圧は、直流、交流いずれも用いることができる。又、直流+交流の形(直流電圧と交流電圧とを重畳したもの)で印加することもできる。
また、転写装置410a〜410dとしては、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等、が挙げられる。
また、上記現像装置404a〜404dとしては、一成分系、二成分系等の正規または反転現像剤を用いた従来公知の現像装置等を用いることができる。このような現像剤のうち画質の向上という理由から、二成分現像剤を用いる二成分現像方式を用いて行うことが好ましい。この場合、静電潜像の可視化のために用いる現像剤は、トナーとキャリアとで構成される。また、使用されるトナーの形状は特に制限されず、例えば粉砕法による不定形トナーや重合法による球形トナーが好適に使用される。
また、上記クリーニング手段415a〜415dは、転写工程後の電子写真感光体401a〜401dの表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体401a〜401dは上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング手段415a〜415dとしては、クリーニングブレード、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
また、上記中間転写ベルト409は以下の手順で製造することができる。すなわち、略等モルのテトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体とジアミンとを所定の溶媒中で重合反応させてポリアミド酸溶液を得る。このポリアミド酸溶液を円筒状金型に供給・展開して膜(層)形成を行った後、さらにイミド転化を行うことによって、ポリイミド樹脂からなる中間転写ベルト409を得ることができる。
かかるテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が例示される。
また、ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ベンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHO(CH)NH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性等の点から極性溶媒が好ましい。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が好ましく、中でもN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等の低分子量のものがより好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、中間転写ベルト409の膜抵抗を調整するために、ポリイミド樹脂中にカーボンを分散してもよい。カーボンの種類は特に限定されないが、カーボンブラックの酸化処理によりその表面に酸素含有官能基(カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等)が形成された酸化処理カーボンブラックを用いることが好ましい。ポリイミド樹脂中に酸化処理カーボンブラックを分散すると、電圧を印可したときに酸化処理カーボンブラックに過剰な電流が流れるため、ポリイミド樹脂が繰返しの電圧印加による酸化の影響を受けにくくなる。また、酸化処理カーボンブラックはその表面に形成された酸素含有官能基によりポリイミド樹脂中への分散性が高いので、抵抗バラツキを小さくすることができると共に電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が起こりにくくなる。従って、転写電圧による抵抗低下を防止し、電気抵抗の均一性を改善し、電界依存性が少なく、さらに環境による抵抗の変化の少ない、用紙走行部が白く抜けること等の画質欠陥の発生が抑制された高画質を得ることができる中間転写ベルトを得ることができる。
酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを高温雰囲気下で空気と接触、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾン等と反応させる方法、高温下での空気酸化後、低温下でオゾン酸化する方法等により得ることができる。
また、酸化処理カーボンとしては、三菱化学製のMA100(pH3.5、揮発分1.5%)、同,MA100R(pH3.5、揮発分1.5%)、同MA100S(pH3.5、揮発分1.5%)、同#970(pH3.5、揮発分3.0%)、同MA11(pH3.5、揮発分2.0%)、同#1000(pH3.5、揮発分3.0%)、同#2200(pH3.5,揮発分3.5%)、同MA230(pH3.0、揮発分1.5%)、同MA220(pH3.0、揮発分1.0%)、同#2650(pH3.0、揮発分8.0%)、同MA7(pH3.0、揮発分3.0%)、同MA8(pH3.0、揮発分3.0%)、同OIL7B(pH3.0、揮発分6.0%)、同MA77(pH2.5、揮発分3.0%)、同#2350(pH2.5、揮発分7.5%)、同#2700(pH2.5、揮発分10.0%)、同#2400(pH2.5、揮発分9.0%);デグサ社製のプリンテックス150T(pH4.5、揮発分10.0%)、同スペシャルブラック350(pH3.5、揮発分2.2%)、同スペシャルブラック100(pH3.3、揮発分2.2%)、同スペシャルブラック250(pH3.1、揮発分2.0%)、同スペシャルブラック5(pH3.0、揮発分15.0%)、同スペシャルブラック4(pH3.0、揮発分14.0%)、同スペシャルブラック4A(pH3.0、揮発分14.0%)、同スペシャルブラック550(pH2.8、揮発分2.5%)、同スペシャルブラック6(pH2.5、揮発分18.0%)、同カラーブラックFW200(pH2.5、揮発分20.0%)、同カラーブラックFW2(pH2.5、揮発分16.5%)、同カラーブラックFW2V(pH2.5、揮発分16.5%);キャボット社製MONARCH1000(pH2.5、揮発分9.5%)、同MONARCH1300(pH2.5、揮発分9.5%)、同MONARCH1400(pH2.5、揮発分9.0%)、同MOGUL−L(pH2.5、揮発分5.0%)、同REGAL400R(pH4.0、揮発分3.5%)、等の市販品を用いてもよい。また、このような酸化処理カーボンとしては、pH4.5以下であり、揮発分1.0%以上であるものが好ましい。
上記の酸化処理カーボンは、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性の相違により導電性が異なるがこれらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、実質的に導電性の異なるものを2種以上組み合わせて用いることが好ましい。このように物性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。
これら酸化処理カーボンブラックの含有量は、ポリイミド樹脂に対して10〜50質量%が好ましく、より好ましくは12〜30質量%である。当該含有量が10質量%未満であると、電気抵抗の均一性が低下し、耐久使用時の表面抵抗率の低下が大きくなる場合があり、一方、50質量%を超えると、所望の抵抗値が得られにくく、また、成型物として脆くなるため好ましくない。
2種類以上の酸化処理カーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液の製造方法としては、溶媒中に2種類以上の酸化処理カーボンブラックを予め分散した分散液中に上記酸二無水物成分及びジアミン成分を溶解・重合する方法、2種類以上の酸化処理カーボンブラックを各々溶媒中に分散させ2種類以上のカーボンブラック分散液を作製し、この分散液に酸無水物成分及びジアミン成分を溶解・重合させた後、各々のポリアミド酸溶液を混合する方法、等が挙げられる。
中間転写ベルト409は、このようにして得られたポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に供給・展開して被膜とし、加熱によりポリアミド酸をイミド転化させることにより得られる。かかるイミド転化の際には、所定の温度で0.5時間以上保持することによって、良好な平面度を有する中間転写ベルトを得ることができる。
ポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に供給する際の供給方法としては、ディスペンサーによる方法、ダイスによる方法等が挙げられる。ここで、円筒上金型としては、その内周面が鏡面仕上げされたものを用いることが好ましい。
また、金型に供給されたポリアミド酸溶液から被膜を形成する方法としては、加熱しながら遠心成形する方法、弾丸状走行体を用いて成形する方法、回転成形する方法等が挙げられ、これらの方法により均一な膜厚の被膜が形形成される。
このようにして形成された被膜をイミド転化させて中間転写ベルトを成形する方法としては、(a)金型ごと乾燥機中に入れ、イミド転化の反応温度まで昇温する方法、(b)ベルトとして形状を保持できるまで溶媒の除去を行った後、金型内面から被膜を剥離して金属製シリンダ外面に差し替えた後、このシリンダごと加熱してイミド転化を行う方法等が挙げられる。本発明においては、得られる中間転写ベルトの表面のダイナミック硬度が上記の条件を満たせば上記(a)、(b)のいずれの方法でイミド転化を行ってもよいが、方法(b)によりイミド転化を行うと、平面度及び外表面精度が良好な中間転写体を効率よく且つ確実に得ることができるので好ましい。以下、方法(b)について詳述する。
方法(b)において、溶媒を除去する際の加熱条件は、溶媒を除去できれば特に制限されないが、加熱温度は80〜200℃であることが好ましく、加熱時間は0.5〜5時間であることが好ましい。このようにしてベルトとしてそれ自身形状を保持することができるようになった成形物は金型内周面から剥離されるが、かかる剥離の際に金型内周面に離型処理を施してもよい。
次いで、ベルト形状として保持できるまで加熱・硬化させた成形物を、金属製シリンダ外面に差し替え、差し替えたシリンダごと加熱することにより、ポリアミド酸のイミド転化反応を進行させる。かかる金属製シリンダとしては、線膨張係数がポリイミド樹脂よりも大きいものが好ましく、また、シリンダの外径をポリイミド成形物の内径より所定量小さくすることで、ヒートセットを行うことができ均一な膜厚でムラのない無端ベルトを得ることができる。また、金属製シリンダ外面の表面粗度(Ra)は、1.2〜2.0μmであることが好ましい。金属製シリンダ外面の表面粗度(Ra)が1.2μm未満であると、金属製シリンダ自身が平滑過ぎるため、得られる中間転写ベルトにおいてベルトの軸方向に対する収縮による滑りが発生しないため、延伸がこの工程で行われ、膜厚のバラツキや平面度の精度の低下が発生する傾向にある。また、金属製シリンダ外面の表面粗度(Ra)が2.0μmを超えると、金属製シリンダ外面がベルト状中間転写体の内面に転写し、さらには外面に凹凸を発生させ、これにより画像不良が発生しやすくなる傾向にある。なお、本実施形態でいう表面粗度とはJIS B601に準じて測定されるRaをいう。
また、イミド転化の際の加熱条件としては、ポリイミド樹脂の組成にもよるが、加熱温度が220〜280℃、加熱時間0.5〜2時間であることが好ましい。このような加熱条件でイミド転化を行うと、ポリイミド樹脂の収縮量がより大きくなるため、ベルトの軸方向についての収縮を緩やかに行うことにより、膜厚バラツキや平面度の精度の低下を防ぐことができる。
このようにして得られたポリイミド樹脂からなる中間転写ベルトの外面の表面粗度(Ra)は、1.5μm以下であることが好ましい。中間転写体の表面粗度(Ra)が1.5μmを超えるとがさつき等の画像欠陥が発生しやすくなる傾向にある。なお、がさつきの発生は、転写の際に印加される電圧や剥離放電による電界がベルト表面の凸部に局所的に集中して凸部表面が変質することによって、新たな導電経路の発現により抵抗が低下し、その結果得られる画像の濃度低下が起こることに起因すると本発明者らは推察する。
このようにして得られる中間転写ベルト409はシームレスベルトであることが好ましい。このシームレスベルトの場合、中間転写ベルト409の厚さはその使用目的に応じて適宜決定しうるが、強度や柔軟性等の機械的特性の点から、20〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。また、中間転写ベルト409の表面抵抗は、その表面抵抗率(Ω/□)の常用対数値が8〜15(logΩ/□)であることが好ましく、11〜13(logΩ/□)であることがより好ましい。なお、ここでいう表面抵抗率とは、22℃、55%RH環境下で100Vの電圧を印加し、電圧印可開始時から10秒後に測定される電流値に基づいて得られる値をいう。ここで、「表面抵抗率[Ω/□]」とは、「薄膜ハンドブック(オーム社刊)」p.896に記載の「表面抵抗率」と同義であり、面状の抵抗体を正方形に切り出して対向する2辺間の抵抗で表わしたものを示す。この表面抵抗率は、抵抗分布が一様ならば正方形の寸法に無関係である。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって指示されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409はクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙等の被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
このように電子写真感光体401a〜401dの回転工程において、帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を順次行うことによって画像形成が繰り返し行われる。ここで、電子写真感光体401a〜401dは、上述した電子写真感光体100であり、耐磨耗性、ディレッション防止性及び電気特性が十分に高水準で達成されたものであるため、接触帯電装置402a〜402dと共に用いた場合であっても長期に亘って良好な画像品質を得ることが可能となる。従って、本実施形態により、長期にわたり繰り返し使用される場合であっても画像品質の優れたカラー画像を高速で形成できる画像形成装置200が実現される。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図6に示した装置は、電子写真感光体401a〜401dと接触帯電装置402a〜402dとを含んで構成されるプロセスカートリッジを備えるものであってもよい。かかるプロセスカートリッジを用いることによって、メンテナンスをより簡便に行うことができる。
また、本発明の画像形成装置はイレース光照射装置等の除電装置をさらに備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象がより確実に防止されるので、画像品質をより高めることができる。
<プロセスカートリッジ>
次に、本発明のプロセスカートリッジについて説明する。
図7は、本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ300は、電子写真感光体307とともに、帯電装置308、現像装置311、中間転写体320(中間転写装置)、クリーニング装置313、露光のための開口部318、及び、除電露光のための開口部317を取り付けレール316を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。また、プロセスカートリッジ300は、転写装置312の転写方式が、トナー像を中間転写体320を介して被転写媒体500に転写する中間転写方式を採用する構成を有している。なお、電子写真感光体307は、上述した本発明にかかる電子写真感光体の構成を有するものである。
そして、このプロセスカートリッジ300は、転写装置312と、定着装置315と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
なお、本発明のプロセスカートリッジにおいて、帯電装置308(帯電用部材)は、帯電ロール、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電チューブ等による接触帯電方式を採用することができる。接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、或いはローラ状等何れでもよいが、特にローラ状部材が好ましい。通常、ローラ状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。更に必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
上述した本発明のプロセスカートリッジに使用される現像装置311について具体的に説明すると、現像装置311としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器等が挙げられる。また、トナーとしては、機械的な粉砕方や化学重合で作られる。トナーの形状としては不定形なものから球形のものが挙げられる。
上述した本発明のプロセスカートリッジに使用される中間転写装置320について具体的に説明すると、中間転写装置320としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。これらの中でも、転写帯電補償能力に優れる点で接触型転写帯電器が好ましい。なお、本発明においては、上記転写帯電器の他、剥離帯電器等を併用することもできる。
上述した本発明のプロセスカートリッジに使用されるクリーニング装置313について具体的に説明すると、クリーニング装置313としては、特に制限はなく、それ自体公知のクリーニング装置等を用いればよい。例えば、ウレタン製のブレードやクリーニングブラシ等が挙げられる。
上述した本発明のプロセスカートリッジに使用される除電装置(光除電装置)について具体的に説明すると、光除電装置としては、例えば、タングステンランプ、LED等が挙げられ、該光除電プロセスに用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光等が挙げられる。該光除電プロセスにおける照射光強度としては、通常、電子写真感光体の半減露光感度を示す光量の数倍乃至30倍程度になるよう出力設定される。本実施形態においては、開口部317からこのような光除電装置からの光を取り込み、感光体を除電する。
このような本発明のプロセスカートリッジは、先に述べた画像形成装置に装着されるものであり、上記電子写真感光体を搭載していることにより、傷や磨耗に対する耐久性に十分優れているとともにゴースト及びかぶり並びにディレッションの発生が十分抑制されるので、良好な画質を長期に亘って得ることができ、高画質化を十分に達成することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ベース感光体の作製>
(ベース感光体−1)
先ず、ホーニング処理を施した外径30mmφの円筒状アルミニウム基材を準備した。次に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を20質量部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)を2.5質量部、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)を20質量部、及びブタノールを45質量部混合し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、膜厚1.0μmの下引層を形成した。
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.3°、16.0°、24.9°及び28.0°に強い回折ピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニンを15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(商品名:VMCH、日本ユニカー社製)を10質量部、及び酢酸n−ブチルを300質量部混合し、さらにガラスビーズとともに横型サンドミルで0.5時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(CT−1)で示される電荷輸送材料を2質量部、下記式(B−1)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量:39000)を3質量部、テトラヒドロフランを15質量部及びクロロベンゼンを5質量部混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
Figure 2006267652

Figure 2006267652

この塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、135℃で45分の熱風乾燥を行ない、膜厚29μmの電荷輸送層を形成した。このように、アルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された感光体を「ベース感光体−1」とした。
(ベース感光体−2)
先ず、酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製試作品)を100質量部及びトルエンを500質量部攪拌混合し、シランカップリング剤(商品名:KBM603、信越化学社製)を1.5質量部添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、150℃で2時間焼き付けを行った。
表面処理を施した酸化亜鉛を60質量部、硬化剤としてブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)を15質量部、ブチラール樹脂を(商品名:BM−1、積水化学社製)を15質量部、及びメチルエチルケトンを85質量部混合して混合液を得た。得られた混合液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレートを0.005質量部添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にてアルミニウム基材(直径30mm、長さ340mm、肉厚1mm、円筒状)上に塗布し、160℃で100分の乾燥硬化を行い、膜厚20μmの下引層を形成した。
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.3°、16.0°、24.9°及び28.0°に回折ピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニンを15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂(商品名:VMCH、日本ユニカー社製)を10質量部、及び酢酸n−ブチルを300質量部混合し、ガラスビーズとともに横型サンドミルで0.5時間処理して分散させ、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を、上記で形成した下引き層上に浸漬コートして100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、上記式(CT−1)で示される電荷輸送材料を2質量部、上記式(B−1)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量:39000)を3質量部、テトラヒドロフランを15質量部及びクロロベンゼンを5質量部混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、135℃で45分の熱風乾燥を行ない、膜厚29μmの電荷輸送層を形成した。このように、アルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された感光体を「ベース感光体−2」とした。
<保護層形成用塗布液の調製>
(保護層形成用塗布液−1)
ブチルアルコールを27質量部に、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料を5質量部、エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)を1質量部、及び、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)を4質量部混合して溶解し、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−1」とした。
(保護層形成用塗布液−2)
ブチルアルコールを25質量部に、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料を5質量部、エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)を2.5質量部、及び、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)を2.5質量部混合して溶解し、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−2」とした。
(保護層形成用塗布液−3)
エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)の代わりに、エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP−4088S、旭電化工業(株)製)を1質量部用いたこと以外は保護層形成用塗布液−1と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−3」とした。
(保護層形成用塗布液−4)
エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)の代わりに、エポキシ樹脂(商品名:アデカレジンEP−4085S、旭電化工業(株)製)を1質量部用いたこと以外は保護層形成用塗布液−1と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−4」とした。
(保護層形成用塗布液−5)
レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)の代わりに、レゾール型フェノール樹脂(商品名:アデカレジンPL−4852、旭電化工業(株)製)を2.5質量部用いたこと以外は保護層形成用塗布液−2と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−5」とした。
(保護層形成用塗布液−6)
レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)の代わりに、レゾール型フェノール樹脂(商品名:BLS−204、昭和高分子(株)製)を2.5質量部用いたこと以外は保護層形成用塗布液−2と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−6」とした。
(保護層形成用塗布液−7)
レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)の代わりに、ノボラック型フェノール樹脂(商品名:CMK−2400、昭和高分子(株)製)を2.5質量部用いたこと以外は保護層形成用塗布液−2と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−7」とした。
(保護層形成用塗布液−8)
ブチルアルコールを26質量部に、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料を5.5質量部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)を4.5質量部混合して溶解し、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−8」とした。
(保護層形成用塗布液−9)
ブチルアルコールを28質量部に、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料を4.5質量部、エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)を5.5質量部混合して溶解し、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−9」とした。
(保護層形成用塗布液−10〜保護層形成用塗布液−17)
電荷輸送材料として、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料の代わりに上記式(I−3)、上記式(I−4)、上記式(I−8)、上記式(II−2)、上記式(III−4)、上記式(IV−2)、上記式(V−1)、上記式(VI−1)で示される電荷輸送材料をそれぞれ用いたこと以外は保護層形成用塗布液−1と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。これらの塗布液をそれぞれ「保護層形成用塗布液−10」〜「保護層形成用塗布液−17」とした。
(保護層形成用塗布液−18〜保護層形成用塗布液−25)
電荷輸送材料として、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料の代わりに上記式(I−3)、上記式(I−4)、上記式(I−8)、上記式(II−2)、上記式(III−4)、上記式(IV−2)、上記式(V−1)、上記式(VI−1)で示される電荷輸送材料をそれぞれ用いたこと以外は保護層形成用塗布液−2と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。これらの塗布液をそれぞれ「保護層形成用塗布液−18」〜「保護層形成用塗布液−25」とした。
(保護層形成用塗布液−26〜保護層形成用塗布液−33)
電荷輸送材料として、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料の代わりに上記式(I−3)、上記式(I−4)、上記式(I−8)、上記式(II−2)、上記式(III−4)、上記式(IV−2)、上記式(V−1)、上記式(VI−1)で示される電荷輸送材料をそれぞれ用いたこと以外は保護層形成用塗布液−8と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。これらの塗布液をそれぞれ「保護層形成用塗布液−26」〜「保護層形成用塗布液−33」とした。
(保護層形成用塗布液−34〜保護層形成用塗布液−41)
電荷輸送材料として、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料の代わりに上記式(I−3)、上記式(I−4)、上記式(I−8)、上記式(II−2)、上記式(III−4)、上記式(IV−2)、上記式(V−1)、上記式(VI−1)で示される電荷輸送材料をそれぞれ用いたこと以外は保護層形成用塗布液−9と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。これらの塗布液をそれぞれ「保護層形成用塗布液−34」〜「保護層形成用塗布液−41」とした。
(保護層形成用塗布液−42)
電荷輸送材料として、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料の代わりに下記式(CT−2)で示される化合物を用いたこと以外は保護層形成用塗布液−1と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−42」とした。
Figure 2006267652

(保護層形成用塗布液−43)
レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)の代わりに、メチル化メラミン樹脂(商品名:ニカラックMW−30、三和ケミカル(株)製)を4質量部用いたこと以外は保護層形成用塗布液−1と同様にして、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−43」とした。
(保護層形成用塗布液−44)
ブチルアルコールを27質量部に、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料を5質量部、メチル化メラミン樹脂(商品名:ニカラックMW−30、三和ケミカル(株)製)を1質量部、及び、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)を4質量部混合して溶解し、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−44」とした。
(保護層形成用塗布液−45)
ブチルアルコールを27質量部に、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料を5質量部、メチル化メラミン樹脂(商品名:ニカラックMW−30、三和ケミカル(株)製)を1質量部、エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)を1質量部、及び、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)を3質量部混合して溶解し、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−45」とした。
(保護層形成用塗布液−46)
ブチルアルコールを27質量部に、上記式(CT−2)で示される電荷輸送材料を3質量部、及びレゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−2407、群栄化学工業(株)製)を7質量部混合して溶解し、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−46」とした。
(保護層形成用塗布液−47)
ブチルアルコールを25質量部に、上記式(I−1)で示される電荷輸送材料を5質量部、及び、メチル化メラミン樹脂(商品名:ニカラックMW−30、三和ケミカル(株)製)を5質量部混合して溶解し、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液を「保護層形成用塗布液−47」とした。
<電子写真感光体の作製>
(実施例1)
上記で作製したベース感光体−1の電荷輸送層上に、上記で得た保護層形成用塗布液−1をリング型浸漬塗布法により塗布した。続いて、この塗膜を室温で10分風乾した後、150℃で60分間加熱処理して硬化させ、膜厚約3μmの保護層を形成することにより、実施例1の感光体を得た。
(実施例2〜7)
保護層形成用塗布液−1の代わりに、保護層形成用塗布液−2〜保護層形成用塗布液−7をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜7の感光体を得た。
(実施例8〜23)
保護層形成用塗布液−1の代わりに、保護層形成用塗布液−10〜保護層形成用塗布液−25をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8〜23の感光体を得た。
(実施例24)
上記で作製したベース感光体−2の電荷輸送層上に、上記で得た保護層形成用塗布液−1をリング型浸漬塗布法により塗布した。続いて、この塗膜を室温で10分風乾した後、140℃で60分間加熱処理して硬化させ、膜厚約3μmの保護層を形成することにより、実施例24の感光体を得た。
(実施例25)
保護層形成用塗布液−1の代わりに、保護層形成用塗布液−43を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例25の感光体を得た。
(実施例26及び27)
保護層形成用塗布液−1の代わりに、保護層形成用塗布液−44、保護層形成用塗布液−45をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例26及び27の感光体を得た。
(比較例1及び2)
保護層形成用塗布液−1の代わりに、保護層形成用塗布液−8、保護層形成用塗布液−9をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1及び2の感光体を得た。
(比較例3〜18)
保護層形成用塗布液−1の代わりに、保護層形成用塗布液−26〜保護層形成用塗布液−41をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3〜18の感光体を得た。
(比較例19及び20)
保護層形成用塗布液−1の代わりに、保護層形成用塗布液−8、保護層形成用塗布液−9をそれぞれ用いたこと以外は実施例24と同様にして、比較例19及び20の感光体を得た。
(比較例21)
保護層形成用塗布液−1の代わりに、保護層形成用塗布液−42を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例21の感光体を得た。
(比較例22)
保護層が設けられていないベース感光体−1を比較例22の感光体とした。
(比較例23、24)
保護層形成用塗布液−1の代わりに、保護層形成用塗布液−46、保護層形成用塗布液−47をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例23及び24の感光体を得た。
上記で得られた実施例1〜27及び比較例1〜24の感光体の、残留電位、電気特性維持性、画質維持性及び耐磨耗性について、下記試験により評価した。
[残留電位測定及び評価]
低温低湿(10℃、15%RH)環境下、グリッド印加電圧−700Vのスコロトロン帯電器で感光体を帯電した。次に、帯電させてから1秒後の感光体に、780nmの半導体レーザを用いて、10mJ/mの光を照射して放電を行わせた。続いて、放電させてから3秒後の感光体に50mJ/mの赤色LED光を照射して除電を行った。そして、このときの感光体の表面の電位(V)を測定し、この値を残留電位の値とした。得られた結果を表13〜16の「残留電位初期(V)」の欄に示す。
さらに、上記で測定した残留電位が100V以下であるときを、初期の残留電位が十分に低いものとして、表13〜16の残留電位(初期)を示した欄の右欄に記号「○」で示し、残留電位が100Vを越えるときを、初期の残留電位が高いものとして記号「×」で示した。
[電気特性維持性の評価]
上記残留電位の測定方法で残留電位を測定した後の感光体を、高温高湿(28℃、85%RH)環境下、グリッド印加電圧−700Vのスコロトロン帯電器で帯電させた。続いて、帯電させてから3秒後の感光体に50mJ/mの赤色LED光を照射して除電を行った。これらの操作を30万回繰り返した後、再度感光体の残留電位を上記と同様の方法で測定した。この残留電位から、上記初期の残留電位を引いた値を30万サイクル後変化量(V)とした。得られた結果を表13〜16の「電気特性維持30万サイクル後変化量(V)」の欄に示す。
さらに、表13〜16中の30万サイクル後変化量を示した欄の右欄に、上記で測定した変化量が−30V以上50V以下であるときを、電気特性維持が十分であるとして記号「○」を示し、変化量が−50V以上−30V未満、又は、50Vを越え80V以下であるときを、電気特性維持がやや低いが実用レベルにあるものとして記号「△」で示し、変化量が−50V未満、又は、80Vを越えるときを、電気特性維持が不十分であるとして記号「×」を示した。
[画質維持性評価]
感光体を、フルカラープリンター(DocuCentre 400CP、富士ゼロックス社製)に装着して、高温高湿(28℃、85%RH)の環境下で15万枚の連続プリント試験を行った。次いで、低温低湿(10℃、15%RH)の環境下で15万枚の連続プリント試験を行った。この試験後、A3用紙で20%濃度の全面ハーフトーン出力試験を行い、タルクディレッションについて下記の基準に基づいて目視で評価した。結果を表13〜16に示す。
「発生なし」:1ドットラインが十分に解像する
「発生」:1ドットラインが解像しない
[耐磨耗性評価]
感光体の磨耗量を測定し、1000回転当りの磨耗率(nm/kcycle)として計算した。得られた結果を表13〜16の「磨耗率(nm/kcycle)」の欄に示す。また、磨耗率が、5nm/kcycle以下であるときを、耐磨耗性が十分であるとして磨耗率を示した欄の右欄に記号「○」で示し、磨耗率が、5nm/kcycleを超えるときを、耐磨耗性が不十分であるとして記号「×」で示した。
Figure 2006267652

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表13及び14に示されるように、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂のうちの少なくとも2種と、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料とを含む保護層形成用塗布液から形成した保護層を備える実施例1〜27の感光体は、耐磨耗性に優れ、使用初期から繰り返し使用後まで十分に低い残留電位を示し、繰り返し使用された場合であってもディレッションの発生が十分に防止されることが確認された、したがって、本発明の電子写真感光体によれば、長期にわたって良好な画像を提供することができる。
本発明の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真感光体の好適な他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真感光体の好適な他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真感光体の好適な他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真感光体の好適な他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す模式図である。 本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態を示す模式図である。
符号の説明
1…電子写真感光体、2…導電性支持体、3…感光層、4…下引層、5…電荷発生層、6…電荷輸送層、7…保護層、8…単層型感光層、200…画像形成装置、300…プロセスカートリッジ、307…電子写真感光体、308…帯電装置、311…現像装置、312…中間転写装置、313…クリーニング装置、315…定着装置、316…取り付けレール、317…除電露光のための開口部、318…露光のための開口部、400…ハウジング、401a〜401d…電子写真感光体、402a〜402d…帯電装置、403…露光装置、404a〜404d…現像装置、405a〜405d…トナーカートリッジ、406…駆動ロール、407…テンションロール、408…バックアップロール、409…中間転写ベルト、410a〜410d…1次転写ロール、411…トレイ(被転写体トレイ)、412…移送ロール、413…2次転写ロール、414…定着ロール、416…クリーニングブレード、500…被転写媒体。

Claims (6)

  1. 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられており、前記導電性基体から最も遠い側に最表面層を有する感光層と、を備え、
    前記最表面層が、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシアルキルチオ基、及び、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する電荷輸送材料と、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも2種の硬化性樹脂と、を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記最表面層が、前記電荷輸送材料として、下記一般式(1)で示される化合物若しくはその誘導体、下記一般式(2)で示される化合物若しくはその誘導体又は下記一般式(3)で示される化合物若しくはその誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
    F[−(X)y1−R−OH]x1 ・・・(1)
    [式(1)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Rは炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、x1は、1〜4の整数を示し、y1は0又は1を示す。]
    F[−(Ry2−Ar−OH]x2 ・・・(2)
    [式(2)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Rは炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Arは、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、及び、置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、x2は、1〜4の整数を示し、y2は0又は1を示す。]
    F[−(X)y3−(Rz3−R(−Ar−OH)w3x3 ・・・(3)
    [式(3)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Rは炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、Rは、置換基を有してもよい(1+W3)価の炭化水素基を示し、Arは、置換基として、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、及び、置換基を有してもよい複素環基のうちの1つ以上を有してもよい2価の芳香族基を示し、Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、x3は、1〜4の整数を示し、y3及びz3はそれぞれ0又は1を示す。ただし、z3が0のときy3も0である。]
  3. 前記最表面層が、前記硬化性樹脂として、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記最表面層が、前記硬化性樹脂として、レゾール型フェノール樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、露光により形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置、及び、転写後の前記電子写真感光体をクリーニングするクリーニング装置から選択される少なくとも1種と、
    を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
    帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、
    前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。

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