JP2010231086A - 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる画像形成装置、及びプロセスカート十里の提供。
【解決手段】電子写真感光体と、帯電手段と、静電潜像形成手段と、現像手段と、残留トナー除去手段を備え、前記電子写真感光体における前記表面保護層が有する表面自由エネルギーが、10mN/m以上30mN/m以下であり、前記現像手段における前記トナーが、シリカを含むトナーであり、前記残留トナー除去手段が、ベース層と、23℃においてタイプAデュロメータ硬さでHsA75以上HsA90以下であり且つベース層が有する硬さよりも高い硬さを有するエッジ層と、を有するブレード部材を備えた画像形成装置
【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
近年、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段を有する、いわゆるゼログラフィー方式の画像形成装置は、各部材、システムの技術進展により一層の高速化、長寿命化が図られている。これに伴い、各サブシステムの高速対応性、高信頼性に対する要求が従来にまして高くなっている。特に、画像書き込みに使用される電子写真感光体は、帯電器、現像器、転写装置、及びクリーニング器などにより、電気的、機械的外力を多く受けるため、傷、磨耗、欠けなどによる画像欠陥を生じやすく、高速対応性、高信頼性に対する要求が一層強い。
このような傷や磨耗を抑制するため電子写真感光体では機械強度の高い樹脂が使用されており、さらに長寿命化も図られている。例えば、特許文献1では、結着樹脂にエポキシ樹脂を用いた感光体が用いられており、特許文献2では、エポキシ樹脂及びエポキシ基を有する電荷輸送材料を用いられている。また、特許文献3及び4では、保護層にフェノール樹脂及び水酸基を有する電荷輸送材料が用いられている。また、特許文献5には、トナーの平均円形度及び電子写真感光体表面の表面自由エネルギーの範囲を規定した画像形成装置が記載される。
特開昭56−51749号公報 特開平8−278645号公報 特開2002−82469号公報 特開2003−186234号公報 特開2004−317950号公報
本発明の課題は、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる画像形成装置を提供することである。
本発明の課題は、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られるプロセスカートリッジを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
導電性基体上に感光層及び表面保護層をこの順に有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、前記トナー像の転写後に前記電子写真感光体上に残留するトナーを除去する残留トナー除去手段とを備え、
前記電子写真感光体における前記表面保護層が有する表面自由エネルギーが、10mN/m以上30mN/m以下であり、
前記現像手段における前記トナーが、シリカを含むトナーであり、
前記トナー除去手段が、ベース層と、23℃においてタイプAデュロメータ硬さでHsA75以上HsA90以下であり且つ前記ベース層が有する硬さよりも高い硬さを有するエッジ層と、を有するブレード部材を備える、
ことを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、前記表面保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選ばれる置換基の少なくとも1つを有する電荷輸送性材料の少なくとも1種と、を含む組成物の架橋物からなる層であり、
前記グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物の前記組成物における固形分濃度が、0.1質量%以上5質量%以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、前記電荷輸送性材料が、下記一般式(I)で示される化合物である請求項1又は請求項3に記載の画像形成装置である。
F−((−R−X)n1(Rn2−Y)n3 (I)
(一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、n3は1以上4以下の整数を示す。Xは酸素原子、NH、又は硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、又は−COOHを示す。)
請求項4に係る発明は
前記電荷輸送性材料の前記組成物中における固形分濃度が、80質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項5に係る発明は、
前記クリーニング部材における前記エッジ層の硬さが、23℃において、タイプAデュロメータ硬さがHsA75以上HsA90以下であり、且つ、前記ベース層の硬さが、23℃において、タイプAデュロメータ硬さがHsA60以上HsA75以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項6に係る発明は、
前記現像手段における前記トナーの平均形状係数が、100以上150以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
(実施形態中にて記載)
請求項7に係る発明は、
電子写真感光体、及び前記電子写真感光体の表面に残留した残留トナーを除去するトナー除去手段と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、及び前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーによってトナー像に現像する現像手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備え、
前記電子写真感光体が導電性基体上に感光層及び表面保護層をこの順に有し、
前記電子写真感光体における前記表面保護層が有する表面自由エネルギーが、10mN/m以上30mN/m以下であり、
前記現像手段における前記トナーが、シリカを含むトナーであり、
前記残留トナー除去手段が、ベース層と、23℃においてタイプAデュロメータ硬さでHsA75以上HsA90以下であり且つ前記ベース層が有する硬さよりも高い硬さを有するエッジ層と、を有するブレード部材を備える、
ことを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項1に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる画像形成装置が提供される。
請求項2に係る発明によれば、電子写真感光体の表面保護層に含まれるグアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物の化合物の種類及び含有量を考慮しない場合に比較して、より効果的に、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる画像形成装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、電子写真感光体の表面保護層が含む電荷輸送性材料の種類を考慮しない場合に比較して、より効果的に、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる画像形成装置が提供される。
請求項4に係る発明によれば、電子写真感光体の表面保護層に用いられる電荷輸送性材料の含有量を考慮しない場合に比較して、より効果的に、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる画像形成装置が提供される。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、より効果的に、トナー像を転写した後の電子写真感光体表面に残存するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる画像形成装置が提供される。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、平均形状係数が100以上150以下のトナーを用いた場合にも、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残存するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる画像形成装置が提供される。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、トナー像を転写した後の電子写真感光体表面に残存するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られるプロセスカートリッジが提供される。
実施形態に係る電子写真感光体の概略部分断面図である。 実施形態に係る電子写真感光体の概略部分断面図である。 実施形態に係る電子写真感光体の概略部分断面図である。 実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 実施形態に係る他の画像形成装置を示す概略構成図である。 実施形態に係るクリーニング装置が備えるクリーニングブレードの一例を示す模式断面図である。 付着濡れの状態と接触角を示す側面図である。 ゴーストの評価パターンと評価基準を示す図である。
本実施形態に係る画像形成装置は、導電性基体上に感光層及び表面保護層をこの順に有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、前記トナー像の転写後に前記電子写真感光体上に残留するトナーを除去する残留トナー除去手段とを備え、前記電子写真感光体における前記表面保護層が有する表面自由エネルギーが、10mN/m以上30mN/m以下であり、前記現像手段における前記トナーが、シリカを含むトナーであり、前記トナー除去手段が、ベース層と、23℃においてタイプAデュロメータ硬さでHsA75以上HsA90以下であり且つ前記ベース層が有する硬さよりも高い硬さを有するエッジ層と、を有するブレード部材を備える、ことを特徴としている。
上記のごとく、本実施形態に係る画像形成装置は、所定の電子写真感光体と、所定のトナーと、所定の残留トナー除去手段とを組み合わせた構成を有することを特徴としており、かかる組み合わせにより、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、まず、本実施形態に係る画像形成装置における特徴的な構成要素である、電子写真感光体(以下、適宜「感光体」とも称する。)、トナー、及び残留トナー除去手段(以下、適宜「クリーニング装置」とも称する)について説明し、しかる後に、画像形成装置及びプロセスカートリッジの構成例について説明する。
[電子写真感光体]
まず、本実施形態に係る電子写真感光体について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、実施形態に係る電子写真用感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図2乃至図3はそれぞれ他の実施形態に係る電子写真感光体を示す模式断面図である。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2及び電荷輸送層3が順次形成された感光層が設けられ、その上に表面保護層5が設けられた構造を有するものである。
図2に示す電子写真感光体7Bは、図1に示す電子写真感光体7Aと同様に、電荷発生層2と、電荷輸送層3とに機能が分離された機能分離型感光体であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷輸送層3及び電荷発生層2が順次形成された感光層が設けられ、その上に表面保護層5が設けられた構造を有するものである。
また、図3に示す電子写真感光体7Cは、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(電荷発生/電荷輸送層6)に含有する機能分離型感光体であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生/電荷輸送層6、及び表面保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Cにおいては、電荷発生/電荷輸送層6からなる単層型の感光層が構成されている。
なお、図1乃至図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けても設けなくてもよい。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。
<表面保護層>
表面保護層5について説明する。
表面保護層5は、電子写真感光体7Aにおける最表面層であり、電荷発生層2及び電荷輸送層3から構成される感光層を保護するために別途設けられた層である。表面保護層6を有することで、感光体の最表面に、磨耗、傷などに対する耐性を持たせ、且つトナーの転写効率を向上させうる。
表面保護層6の特徴的な構成の一つは、該表面保護層16が有する表面自由エネルギーが、10mN/m以上30mN/m以下であることである。
表面保護層16が有する表面自由エネルギーは、例えば、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、脂肪酸金属塩等の添加等により制御しうる。
これらの中でも、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物を添加することが望ましい。この場合、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物は、多く添加すると表面自由エネルギーが低くなる傾向にある。
※添加剤の添加で表面自由エネルギーは低くなっても、添加する以前より高くなることはないと思います。
表面自由エネルギーの制御に適用されるシリコーン系化合物としては、シリコーン粒子、シリコーンオイルなどが挙げられる。そのようなシリコーン系化合物として具体的には、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサンなどが例示される。
また、表面自由エネルギーの制御に適用されるフッ素系化合物としては、フッ素樹脂粒子、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子などが挙げられる。そのようなフッ素系化合物として具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどが例示される。
ここで、表面自由エネルギーについて説明する。
トナーが含むトナー母粒子又は外添剤等と、電子写真感光体との相互付着力に大きく影響する表面物性として濡れ性があり、電子写真感光体表面の濡れ性が低いほど、トナー像を転写した後の電子写真感光体表面に残存するトナーの除去(クリーニング)がし易いということができる。電子写真感光体表面の濡れ性すなわち付着力は、表面自由エネルギー(表面張力と同義)を指標として表すことができる。
表面自由エネルギー(γ)とは、物質を構成する分子間に作用する力である分子間力が、表面において起こす現象である。
図8は、付着濡れの状態を例示する側面図である。図8に示す付着濡れにおいて、濡れ性と表面自由エネルギー(γ)との関係は、下記に示すYoungの式(1)によって表される。
γ=γ・cosθ+γ12…(1)
ここで、γ:物質1表面の表面自由エネルギー
γ:物質2表面の表面自由エネルギー
γ12:物質1と物質2との界面自由エネルギー
θ:物質1に対する物質2の接触角
式(1)より、物質1に対する物質2の濡れ性の低減、即ちθを大きくして濡れにくくすることは、電子写真感光体と異物との濡れ仕事に関連する界面自由エネルギーγ12を大きくし、各表面自由エネルギーγ及びγを小さくすることによって達成される。
式(1)において、電子写真感光体の表面に対するトナーの付着を考える場合、物質1を電子写真感光体、物質2をトナーとすればよい。したがって、実際の電子写真感光体をクリーニングする場合、電子写真感光体の表面自由エネルギーγを制御することにより、式(1)右辺の濡れ性、即ち電子写真感光体に対するトナーの付着状態を制御することができる。
電子写真感光体の表面状態を規定する従来技術としては、例えば、特開昭60−22131号公報のごとき文献に開示されるように、純水との接触角を用いるものがある。しかしながら、固体と液体との間の濡れ性に関しては、前述の図8に示すようにその接触角θを測定しうるが、電子写真感光体とトナーとのように、固体と固体との間の場合に関しては、接触角θを測定しえない。したがって、前述の文献に記載される技術は、電子写真感光体表面と純水との間における濡れ性については適用されるものの、現像剤を構成するトナーなどの固体に対する濡れ性及びクリーニング性との関係については充分に説明するものではない。
電子写真感光体とトナー等とのように、固体同士間の濡れ性については、非極性な分子間力について述べたForkes理論を、さらに極性及び水素結合性の分子間力による成分まで拡張しうるとされている(北崎寧昭、畑敏雄外;「Forkes式の拡張と高分子固体の表面張力の評価」、日本接着協会誌、日本接着協会、1972年、Vol.8、No.3、pp.131〜141参照)。この拡張Forkes理論によれば、各物質の表面自由エネルギーは2〜3成分で求められる。電子写真感光体表面に対するトナーなどの付着に該当する付着濡れの場合における表面自由エネルギーについては、3成分で求めることができる。
以下、固体物質間における表面自由エネルギーについて説明する。
拡張Forkes理論では、下記式(2)に示す表面自由エネルギーの加算則が成立つものと仮定する。
γ=γ+γ+γ…(2)
ここで、γ:双極子成分(極性による濡れ)
γ:分散成分(非極性の濡れ)
γ:水素結合成分(水素結合による濡れ)
式(2)の加算則をForkes理論に適用すると、ともに固体である物質1と物質2との間の界面自由エネルギーγ12は、下記式(3)のように求められる。
γ12=γ+γ−{2√(γ ・γ )+2√(γ ・γ )+2√(γ ・γ )}・・・(3)
ここで、γ:物質1の表面自由エネルギー
γ:物質2の表面自由エネルギー
γ ,γ :物質1,物質2の双極子成分
γ ,γ :物質1,物質2の分散成分
γ ,γ :物質1,物質2の水素結合成分
被測定対象の固体物質における式(2)に示す各成分の表面自由エネルギー(γ,γ,γ)は、各成分の表面自由エネルギーが既知である試薬を使用し、その試薬との付着性を測定することによって算出される。したがって、物質1及び物質2のそれぞれについて、各成分の表面自由エネルギーを求め、さらに各成分の表面自由エネルギーから式(3)によって物質1と物質2との表面自由エネルギーを求めることができる。
本明細書に適用される表面自由エネルギーの測定方法については、後述する実施例中にてさらに具体的に示す。
表面保護層5は、グアナミン構造を有する化合物(以下、適宜「グアナミン化合物」と称する。)及びメラミン構造を有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、適宜「メラミン化合物」と称する。)と、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選ばれる置換基の少なくとも1つを有する電荷輸送性材料(以下、適宜「特定の電荷輸送性材料」と称する。)の少なくとも1種と、を含む組成物の架橋物からなる層であることが望ましい。また、グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種の化合物は、該化合物及び特定の電荷輸送性材料を含む組成物における固形分濃度が0.1質量%以上5質量%であることが望ましい。
表面保護層5が、上記構成を有することで、電子写真感光体の機械的強度及び電気的安定性がより向上するため、画像形成装置の高信頼性、長寿命化がより高められる。
まず、グアナミン化合物について説明する。
グアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
グアナミン化合物としては、特に下記一般式(A)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(A)で示される化合物は、一種単独で用いもよりが、2種以上を併用してもよい。特に、一般式(A)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上される。
一般式(A)中、Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数4以上10以下の置換若しくは未置換の脂環式炭化水素基を示す。R乃至Rは、それぞれ独立に水素、−CH−OH、又は−CH−O−Rを示す。Rは、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基を示す。
一般式(A)において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上5以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。
一般式(A)中、Rを示すフェニル基は、炭素数6以上10以下であるが、より望ましくは6以上8以下である。当該フェニル基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、Rを示す脂環式炭化水素基は、炭素数4以上10以下であるが、より望ましくは5以上8以下である。当該脂環式炭化水素基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、R乃至Rを示す「−CH−O−R」において、Rを示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上6以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。望ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(A)で示される化合物としては、特に望ましくは、Rが炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基を示し、R乃至Rがそれぞれ独立に−CH−O−Rを示される化合物である。また、Rは、メチル基又はn-ブチル基から選ばれることが望ましい。
一般式(A)で示される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成される。
以下、一般式(A)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
一般式(A)で示される化合物の市販品としては、例えば、”スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126”以上大日本インキ社製、”ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000”以上日本カーバイド社製、などが挙げられる。
また、一般式(A)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
次に、メラミン化合物について説明する。
メラミン化合物としては、メラミン骨格(構造)であり、特に下記一般式(B)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)と同様に、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物又はその多量体は、一種単独で用いもよりが、2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物又はその多量体と併用してもよい。特に、一般式(B)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上される。
一般式(B)中、R乃至R11はそれぞれ独立に、水素原子、−CH−OH、−CH−O−R12を示し、R12は炭素数1以上5以下の分岐してもよいアルキル基を示す。当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂と同様に合成される)で合成される。
以下、一般式(B)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
一般式(B)で示される化合物の市販品としては、例えば、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(大日本インキ社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
また、一般式(B)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
次に、特定の電荷輸送性材料について説明する。特定の電荷輸送性材料は、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも1つを持つものである。特に、特定の電荷輸送性材料としては、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選択される置換基を少なくとも2つ(さらには3つ)持つものが好適に挙げられる。この如く、特定の電荷輸送性材料に反応性官能基(当該置換基)が増えることで、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、特にブレードクリーナーを用いた際の電子写真感光体の回転トルクが低減され、ブレードへのダメージの抑制や、電子写真感光体の磨耗が抑制される。この詳細は不明であるが、反応性官能基の数が増すことで、架橋密度の高い硬化膜が得られることから、電子写真感光体の極表面の分子運動が抑制されてブレード部材表面分子との相互作用が弱まるためと推測される。
特定の電荷輸送性材料としては、下記一般式(I)で示される化合物であることが望ましい。
F−((−R−X)n1(Rn2−Y)n3 (I)
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、n3は1以上4以下の整数を示す。Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、又は−COOHを示す。
一般式(I)中、Fを示す正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基における正孔輸送能を有する化合物としては、アリールアミン誘導体が好適に挙げられる。アリールアミン誘導体としては、トリフェニルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体が好適に挙げられる。
そして、一般式(I)で示される化合物は、下記一般式(II)で示される化合物であることが望ましい。一般式(II)で示される化合物は、特に、電荷移動度、酸化などに対する安定性等に優れる。
一般式(II)中、Ar乃至Arは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、Arは置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは−(−R−X)n1(Rn2−Yを示し、cはそれぞれ独立に0又は1を示し、kは0又は1を示し、Dの総数は1以上4以下である。また、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、又は−COOHを示す。
一般式(II)中、Dを示す「−(−R−X)n1(Rn2−Y」は、一般式(I)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基である。また、n1として望ましくは、1である。また、n2として望ましくは、1である。また、Xとして望ましくは、酸素である。また、Yとして望ましくは水酸基である。
なお、一般式(II)におけるDの総数は、一般式(I)におけるn3に相当し、望ましくは、2以上4以下であり、さらに望ましくは3以上4以下である。つまり、一般式(I)や一般式(II)において、Dの総数を、望ましくは一分子中に2以上4以下、さらに望ましくは3以上4以下とすると、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、特にブレードクリーナーを用いた際の電子写真感光体の回転トルクが低減され、ブレードへのダメージの抑制や、電子写真感光体の磨耗が抑制される。この詳細は不明であるが、反応性官能基の数が増すことで、架橋密度の高い硬化膜が得られ、電子写真感光体の極表面の分子運動が抑制されてブレード部材表面分子との相互作用が弱まるためと推測される。
一般式(II)中、Ar乃至Arとしては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar乃至Arの各々に連結され得る「−(D)C1」乃至「−(D)C4」を総括的に示した「−(D)」と共に示す。
式(1)乃至(7)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R10乃至R12はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、D及びcは一般式(II)における「D」、「c」と同様であり、sはそれぞれ0又は1を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)又は(9)で表されるものが望ましい。
式(8)、(9)中、R13及びR14はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1以上3以下の整数を表す。
また、式(7)中のZ’としては、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。
式(10)乃至(17)中、R15及びR16はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ1以上10以下の整数を表し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を表す。
上記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
また、一般式(II)中、Arは、kが0のときはAr乃至Arの説明で例示された上記(1)乃至(7)のアリール基であり、kが1のときはかかる上記(1)乃至(7)のアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基である。
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、以下に示す化合物I−1乃至I−34が挙げられる。なお、上記一般式(I)で示される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。
上記特定の電荷輸送性材料の少なくとも1種の前記組成物における固形分濃度は、80質量%以上であることが望ましく、より望ましくは90質量%以上であり、更に望ましくは95質量%以上である。この固形分濃度は、上記範囲内にある場合ことで、感光体外部から電気的或いは機械的なストレスが、感光体に付与された場合における耐性がより高まる。この固形分濃度は、上記範囲内にある場合に比べ、上記範囲未満であると電気特性が悪化する場合がある。なお、この固形分濃度の上限は、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種や、他の添加剤が有効に機能する限り限定されるものではなく、多いほうが望ましい。
また、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種の塗布液における固形分濃度は、既述のごとく0.1質量%以上5質量%以下であることが望ましく、より望ましくは1質量%以上3質量%以下である。この固形分濃度が、上記範囲内にある場合に比べ、上記範囲未満であると、緻密な膜となりにくいため十分な強度が得られ難く、上記範囲を超えると電気特性や耐ゴースト性が悪化する場合がある。
さらに、表面保護層5中における、特定の電荷輸送性材料の少なくとも1種の含有量は、80質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
また、表面保護層5中における特定の電荷輸送性材料の含有量は、前記組成物中における特定の電荷輸送性材料を調整することによって制御される。該固形分濃度は、0.1質量%以上5質量%以下であることが望ましく、より望ましくは1質量%以上3質量%以下である。
なお、表面保護層5中における、特定の電荷輸送性材料の少なくとも1種、又は、上記グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種の含有量は、前記組成物中におけるこれらの化合物の固形分濃度を調整することによって制御される。
以下、表面保護層5についてさらに詳細に説明する。
表面保護層5には、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種と特定の電荷輸送性材料(一般式(I)で示される化合物)との架橋物と共に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂などを混合して用いてもよいい。また、強度を向上させるために、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」(味の素ファインテクノ(株)))など、一分子中の官能基のより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させることも効果的である。
また、表面保護層5には、放電生成ガスを吸着しすぎないように、添加することで放電生成ガスによる酸化を効果的に抑制する目的から、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの他の熱硬化性樹脂を混合して用いてもよい。
また、表面保護層5には界面活性剤を添加することが好ましく、用いる界面活性剤としては、フッ素原子、アルキレンオキサイド構造、シリコーン構造のうち少なくとも一種類以上の構造を含む界面活性剤であれば特に制限はないが、上記構造を複数有するものが電荷輸送性有機化合物との親和性・相溶性が高く、表面保護層用塗布液の成膜性が向上し、表面保護層55のシワ・ムラが抑制されるため、好適に挙げられる。
フッ素原子を有する界面活性剤としては、様々なものが挙げられる。フッ素原子およびアクリル構造を有する界面活性剤として具体的は、ポリフローKL600(共栄社化学社製)、エフトップEF−351、EF−352、EF−801、EF−802、EF−601(以上、JEMCO社製)などが挙げられる。アクリル構造を有する界面活性剤とは、アクリルもしくはメタクリル化合物などのモノマーを重合もしくは共重合したものが主に挙げられる。
また、フッ素原子を有する界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基を持つ界面活性剤が挙げられ、さらに具体的には、パーフルオロアルキルスルホン酸類(例えば、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸など)、パーフルオロアルキルカルボン酸類(例えば、パーフルオロブタンカルボン酸、パーフルオロオクタンカルボン酸など)、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステルが好適に挙げられる。パーフルオロアルキルスルホン酸類、及びパーフルオロアルキルカルボン酸類は、その塩及びそのアミド変性体であってもよい。
パーフルオロアルキルスルホン酸類の市販品としては、例えばメガファックF−114(大日本インキ化学工業株式会社製)、エフトップEF−101、EF102、EF−103、EF−104、EF−105、EF−112、EF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A(以上、JEMCO社製)、A−K、501(以上、ネオス社製)などが挙げられる。
パーフルオロアルキルカルボン酸類の市販品としては、例えばメガファックF−410(大日本インキ化学工業株式会社製)、エフトップ EF−201、EF−204(以上、JEMCO社製)などが挙げられる。
パーフルオロアルキル基含有リン酸エステルの市販品としては、メガファックF−493、F−494(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)エフトップ EF−123A、EF−123B、EF−125M、EF−132、(以上、JEMCO社製)などが挙げられる。
アルキレンオキサイド構造を持つ界面活性剤としてはポリエチレングリコール、ポリエーテル消泡剤、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。ポリエチレングリコールとしては数平均分子量が2000以下のものが好ましく、数平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール2000(数平均分子量2000)、ポリエチレングリコール600(数平均分子量600)、ポリエチレングリコール400(数平均分子量400)、ポリエチレングリコール200(数平均分子量200)等が挙げられる。
また、ポリエーテル消泡剤としては、PE−M、PE−L(以上、和光純薬工業社製)、消泡剤No.1、消泡剤No.5(以上、花王社製)等が挙げられる。
シリコーン構造を有する界面活性剤としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、ジフェニルシリコーンやそれらの誘導体のような一般的なシリコーンオイルが挙げられる。
さらに、フッ素原子、アルキレンオキサイド構造の両方を有する界面活性剤としてはアルキレンオキサイド構造、もしくはポリアルキレン構造を側鎖に有するものや、アルキレンオキサイドもしくはポリアルキレンオキサイド構造の末端がフッ素を含む置換基で置換されたものなどが挙げられる。アルキレンオキサイド構造を有する界面活性剤として、具体的には、例えば、メガファックF−443、F−444、F−445、F−446(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、POLY FOX PF636、PF6320、PF6520、PF656(以上、北村化学社製)などが挙げられる。
また、アルキレンオキサイド構造、シリコーン構造の両方を有する界面活性剤としてはKF351(A)、KF352(A)、KF353(A)、KF354(A)、KF355(A)、KF615(A)、KF618、KF945(A)、KF6004(以上、信越化学工業社製)、TSF4440、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4453、TSF4460(以上、GE東芝シリコン社製)、BYK−300、302、306、307、310、315、320、322、323、325、330、331、333、337、341、344、345、346、347、348、370、375、377,378、UV3500、UV3510、UV3570等(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社社製)が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、表面保護層5の固形分全量に対して、望ましくは0.01質量%以上1質量%以下、より望ましくは0.02質量%以上0.5質量%以下である。フッ素原子を有する界面活性剤の含有量が0.01質量%以上とすることでシワ・ムラが抑制などの塗膜欠陥防止効果がより大きくなる傾向にある。また、フッ素原子を有する界面活性剤の含有量が1質量%以下とすることで、当該フッ素原子を有する界面活性剤と硬化樹脂の分離しにくくなり、得られる硬化物の強度が維持される傾向にある。
また、表面保護層5には、さらに、膜の成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いてよい。この化合物として、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が用いられる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が用いられる。
また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えても良い。シランカップリング剤は任意の量で使用されるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが望ましい。この使用量を超えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
また、表面保護層5の放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的でアルコールに溶解する樹脂を加えてもよい。
ここで、アルコールに可溶な樹脂とは、炭素数5以下のアルコールに1質量%以上溶解する樹脂を意味する。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などがあげられる。特に、電気特性の点でポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が望ましい。当該樹脂の重量平均分子量は2,000以上100,000以下が望ましく、5,000以上50,000以下がより望ましい。樹脂の分子量が2,000未満であると樹脂の添加による効果が不充分となる傾向にあり、また、100,000を超えると溶解度が低下して添加量が制限され、さらには塗布時に製膜不良を招く傾向にある。また、当該樹脂の添加量は1質量%以上40質量%以下が望ましく、1質量%以上30質量%以下がより望ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに望ましい。当該樹脂の添加量が1質量%未満であると樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、40質量%を超えると高温高湿下(例えば28℃、85%RH)での画像ボケが発生しやすくなる。
表面保護層5には、帯電装置で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが望ましい。感光体表面の機械的強度を高め、感光体が長寿命になると、感光体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系又はヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の市販品としては、「イルガノックス1076」、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1098」、「イルガノックス245」、「イルガノックス1330」、「イルガノックス3114」、「イルガノックス1076」、「3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル」等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」が挙げられ、チオエーテル系として「スミライザ−TPS」、「スミライザーTP−D」が挙げられ、ホスファイト系として「マーク2112」、「マークPEP−8」、「マークPEP−24G」、「マークPEP−36」、「マーク329K」、「マークHP−10」等が挙げられる。
更に、表面保護層5には、残留電位を下げる目的、又は強度を向上させる目的で、各種粒子を添加してもよい。粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒径1nm以上100nm以下、望ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、アルコール、ケトン、又はエステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。保護層5中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から、保護層5の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものが使用される。これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下である。シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状が改善される。すなわち、強固な架橋構造中にバラツキが生じることなくに取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期にわたって良好な耐磨耗性、耐汚染物付着性が維持される。保護層5中のシリコーン粒子の含有量は、保護層5の全固形分全量を基準として、望ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
また、その他の粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される如く、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO2−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In23、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
また、表面保護層5には、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等を添加してもよい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は保護層の透明性の点で0.3μm以下、特に0.1μm以下が望ましい。
表面保護層5には、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)や電荷輸送材料の硬化を促進するために硬化触媒を使用してもよい。硬化触媒として酸系の触媒を望ましく用いられる。酸系の触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、などの脂肪族、及び芳香族スルホン酸類などが用いられるが、含硫黄系材料を用いることが望ましい。
硬化触媒として含硫黄系材料を用いることにより、この含硫黄系材料がグアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)や電荷輸送材料の硬化触媒として優れた機能を発揮し、硬化反応を促進して得られる表面保護層5の機械的強度がより向上される。更に、電荷輸送性材料として上記一般式(I)(一般式(II)含む)で表される化合物を用いる場合、含硫黄系材料は、これら電荷輸送性材料に対するドーパントとしても優れた機能を発揮し、得られる機能層の電気特性がより向上される。その結果、電子写真感光体を形成した場合に、機械強度、成膜性及び電気特性の全てが高水準で達成される。
硬化触媒としての含硫黄系材料は、常温(例えば25℃)、又は、加熱後に酸性を示すものが望ましく、接着性、ゴースト、電気特性の観点で有機スルホン酸及びその誘導体の少なくとも1種が最も望ましい。保護層5中にこれら触媒の存在は、XPS等により容易に確認される。
有機スルホン酸及び/又はその誘導体としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、触媒能、成膜性の観点から、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が望ましい。また、硬化性樹脂組成物中で、ある程度解離されれば、有機スルホン酸塩を用いてもよい。
また、一定以上の温度をかけたときに触媒能力が高くなる、所謂、熱潜在性触媒を用いることで、液保管温度では触媒能が低く、硬化時に触媒能が高くなるため、硬化温度の低下と、保存安定性が両立される。
熱潜在性触媒として、たとえば有機スルホン化合物等をポリマーで粒子状に包んだマイクロカプセル、ゼオライトの如く空孔化合物に酸等を吸着させたもの、プロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体を塩基でブロックした熱潜在性プロトン酸触媒や、プロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体を一級もしくは二級のアルコールでエステル化したもの、プロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体をビニルエーテル類及び/又はビニルチオエーテル類でブロックしたもの、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素のピリジン錯体などがあげられる。
中でも、触媒能、保管安定性、入手性、コストの面でプロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体を塩基でブロックしたものが望ましい。
熱潜在性プロトン酸触媒のプロトン酸として、硫酸、塩酸、酢酸、ギ酸、硝酸、リン酸、スルホン酸、モノカルボン酸、ポリカルボン酸類、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フタル酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、o、m、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。また、プロトン酸誘導体として、スルホン酸、リン酸等のプロトン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属円などの中和物、プロトン酸骨格が高分子鎖中に導入された高分子化合物(ポリビニルスルホン酸等)等が挙げられる。プロトン酸をブロックする塩基として、アミン類が挙げられる。
アミン類として、1級、2級又は3級アミンに分類される。特に制限はなく、いずれも使用してもよい。
1級アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、セカンダリーブチルアミン、アリルアミン、メチルヘキシルアミン等が挙げられる。
2級アミンとして、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジt−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、N−イソプロピルN−イソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジセカンダリーブチルアミン、ジアリルアミン、N−メチルヘキシルアミン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、モルホリン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
3級アミンとして、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリt−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N,N’,N’ーテトラメチルー1,2ージアミノエタン、N,N,N’,N’ーテトラメチルー1,3ージアミノプロパン、N,N,N’,N’ーテトラアリルー1,4ージアミノブタン、Nーメチルピペリジン、ピリジン、4ーエチルピリジン、Nープロピルジアリルアミン、3−ジメチルアミノプロパノ−ル、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、2−メチル−4−エチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、N,N,N’,N’ −テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、3−メチル−4−エチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、4−(5−ノニル)ピリジン、イミダゾ−ル、N−メチルピペラジン等が挙げられる。
市販品としては、キングインダストリーズ社製の「NACURE2501」(トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.2以下、解離温度80℃)、「NACURE2107」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度90℃)、「NACURE2500」(p−トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度65℃)、「NACURE2530」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH5.7以上pH6.5以下、解離温度65℃)、「NACURE2547」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度107℃)、「NACURE2558」(p−トルエンスルホン酸解離、エチレングリコール溶媒、pH3.5以上pH4.5以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−357」(p−トルエンスルホン酸解離、メタノール溶媒、pH2.0以上pH4.0以下、解離温度65℃)、「NACUREXP−386」(p−トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH6.1以上pH6.4以下、解離温度80℃)、「NACUREXC―2211」(p−トルエンスルホン酸解離、pH7.2以上pH8.5以下、解離温度80℃)、「NACURE5225」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5414」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE5528」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5925」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、pH7.0以上pH7.5以下、解離温度130℃)、「NACURE1323」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン溶媒、pH6.8以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE1419」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン/メチルイソブチルケトン溶媒、解離温度150℃)、「NACURE1557」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、ブタノール/2−ブトキシエタノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACUREX49−110」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃)、「NACURE3525」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.5以下、解離温度120℃)、「NACUREXP−383」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE3327」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE4167」(リン酸解離、イソプロパノール/イソブタノール溶媒、pH6.8以上pH7.3以下、解離温度80℃)、「NACUREXP−297」(リン酸解離、水/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃、「NACURE4575」(リン酸解離、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度110℃)等が挙げられる。
これらの熱潜在性触媒は単独又は二種類以上組み合わせても使用される。
ここで、触媒の配合量は、上記グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種の量(塗布液における固形分濃度)に対し、0.1質量%以上50質量%以下の範囲であることが望ましく、とくに10質量%以上30質量%以下が望ましい。この配合量が上記範囲未満であると、触媒活性が低すぎることがあり、上記範囲を超えると耐光性が悪くなることがある。なお、耐光性とは、感光層が室内光などの外界からの光にさらされたときに、照射された部分が濃度低下を起こす現象のことを言う。原因は、明らかではないが、特開平5−099737号公報にあるように、光メモリー効果と同様の現象が起こっているためであると推定される。
以上の構成の表面保護層5は、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種と特定の電荷輸送性材料の少なくとも1種とを少なくとも含む表面保護層用塗布液を用いて形成される。この表面保護層用塗布液は、必要に応じて、表面保護層5の任意の構成成分が添加される。
表面保護層5の調製は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶剤を用いて行ってもよい。かかる溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用されるが、望ましくは沸点が100℃以下のものである。溶剤としては、特に、少なくとも1種以上の水酸基を持つ溶剤(例えば、アルコール類等)を用いることがよい。
溶剤量は任意に設定されるが、少なすぎるとグアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)が析出しやすくなるため、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種の1質量部に対し0.5質量部以上30質量部以下、望ましくは、1質量部以上20質量部以下で使用される。
また、上記成分を反応させて塗布液を得るときには、単純に混合、溶解させるだけでもよいが、室温(例えば25℃)以上100℃以下、望ましくは、30℃以上80℃以下で10分以上100時間以下、望ましくは1時間以上50時間以下加温してもよい。また、この際に超音波を照射することも望ましい。これにより、恐らく部分的な反応が進行し、塗膜欠陥のなく膜厚のバラツキが少ない膜が得られやすくなる。
そして、表面保護層用塗布液を電荷輸送層3の上に、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法により塗布し、必要に応じて例えば温度100℃以上170以下で加熱することで、硬化させることで、表面保護層5が得られる。
表面保護層5の膜厚は、望ましくは1μm以上15μm以下、より望ましくは3μm以上10μm以下である。
<導電性基体>
導電性基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、及び金属ベルト、又は、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
電子写真感光体1Aがレーザープリンターに使用される場合、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、導電性基体4の表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。Raが0.04μm未満であると、鏡面に近くなるので干渉防止効果が不十分となる傾向があり、Raが0.5μmを越えると、被膜を形成しても画質が粗くなる傾向がある。なお、非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、導電性基体4表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体4表面に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、又は回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、導電性基体4表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も望ましく用いられる。
ここで、陽極酸化による粗面化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが望ましい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。この膜厚が0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向にある。
また、導電性基体4には、酸性水溶液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。酸性水溶液による処理としては、例えば、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液による処理はが挙げられる。リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液による処理は、以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は、42℃以上48℃以下が望ましいが、処理温度を高く保つことにより、当該処理温度の範囲よりも低い場合に比べ一層速く、かつ厚い被膜が形成される。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行われる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の他種に比べ被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
<下引層>
下引層1は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有して構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)102Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。これは下引層1はリーク耐性、キャリアブロック性獲得のために適切な抵抗を得ることが必要でるためである。なお、上記範囲の下限よりも無機粒子の抵抗値が低いと十分なリーク耐性が得られず、この範囲の上限よりも高いと残留電位上昇を引き起こしてしまう懸念がある。
中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子(導電性金属酸化物)を用いるのが望ましく、特に酸化亜鉛は望ましく用いられる。
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。無機粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60以上1000以下)の範囲であることが望ましい
また、無機粒子としては、BET法による比表面積が10m2/g以上のものが望ましく用いられる。比表面積値が10m2/g未満のものは帯電性低下を招きやすく、良好な電子写真特性を得にくい傾向がある。
さらに、無機粒子と共にアクセプター性化合物を含有させることで、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性に優れた下引層が得られる。
アクセプター性化合物としては、所望の特性が得られるものならばいかなるものでも使用可能であるが、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。さらに、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
これらのアクセプター性化合物の含有量は所望の特性が得られる範囲であれば任意に設定してもよいが、望ましくは無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下含有される。さらに電荷蓄積防止と無機粒子の凝集を防止する観点から0.05質量%以上10質量%以下が望ましい。無機粒子の凝集は、導電路形成にバラツキが生じやすくなり、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすくなるだけでなく、黒点などの画質欠陥も引き起こしやすくなる。
アクセプター化合物は、下引層の塗布時に添加するだけでもよいし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法又は湿式法が挙げられる。
乾式法にて表面処理を施す場合には、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによってバラツキが生じることなく処理される。添加又は噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが望ましい。溶剤の沸点以上の温度で噴霧すると、バラツキが生じることなく攪拌される前に溶剤が蒸発し、アクセプター化合物が局部的にかたまってしまいバラツキのない処理ができにくい欠点があり、望ましくない。添加又は噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施される。
湿式法としては、無機粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミル等を用いて分散し、アクセプター化合物を添加し攪拌又は分散したのち、溶剤除去することでバラツキが生じることなく処理される。溶剤除去方法はろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施される。湿式法においては表面処理剤を添加する前に無機粒子含有水分を除去することもでき、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いてもよい。
また、無機粒子はアクセプター化合物を付与する前に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては所望の特性が得られるものであればよく、公知の材料から選択される。例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材等が挙げられる。特に、シランカップリング剤は良好な電子写真特性を与えるため望ましく用いられる。さらにアミノ基を有するシランカップリング剤は下引層1に良好なブロッキング性を与えるため望ましく用いられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、所望の電子写真感光体特性を得られるものであればいかなる物でも用いてもよいが、具体的例としてはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用してもよい。前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いてもよいシランカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの表面処理剤を用いた表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法又は湿式法を用いることがよい。また、アクセプター付与とカップリング剤等による表面処理を同時に行ってもよい。
下引層1中の無機粒子に対するシランカップリング剤の量は、所望の電子写真特性が得られる量であれば任意に設定されるが分散性向上の観点から、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が望ましい。
下引層1に含有される結着樹脂としては、良好な膜が形成されるもので、かつ、所望の特性が得られるものであれば公知のいかなるものでも使用可能であるが、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等を用いられる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が望ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が望ましく用いられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層形成用塗布液中の、表面にアクセプター化合物を付与した無機粒子(アクセプター性を付与した金属酸化物)と結着樹脂、又は、無機粒子と結着樹脂との比率は所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で任意に設定される。
下引層1中には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を用いてもよい。添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに下引層形成用塗布液に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、ジルコニウムキレート化合物の例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの化合物は単独に若しくは複数の化合物の混合物又は重縮合物として用いてもよい。
下引層形成用塗布液を調製するための溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択される。溶媒として、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が用いられる。
また、これらの溶剤は単独又は2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
下引層形成用塗布液を調製する際の無機粒子の分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法が用いられる。
さらに、下引層1を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、導電性基体上に下引層1が成膜される。
また、下引層1は、ビッカース硬度が35以上とされていることが望ましい。
さらに、下引層1は、所望の特性が得られるのであれば、いかなる厚さに設定されるが、厚さ15μm以上が望ましく、さらに望ましくは15μm以上50μm以下とされていることが望ましい。
下引層1の厚さが15μm未満であるときには、充分な耐リーク性能を得ることができず、また、50μm以上であるときには、長期使用した場合に残留電位が残りやすくなるため画像濃度異常を招きやすい欠点がある。
また、下引層1の表面粗さ(十点平均粗さ)はモアレ像防止のために、使用される露光用レーザー波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整される。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等を用いられる。
ここで、下引き層は、結着樹脂及び導電性金属酸化物を含み、且つ厚み20μmにおける波長950nmの光に対する光透過率が40%以下(望ましくは10%以上35%以下、より望ましくは15%以上30%以下)であることがよい。長寿命化を目標とした電子写真感光体において、安定した高画質を維持することが必要である。架橋型最表面層(保護層)を用いる場合にも同様の特性が求められる。架橋型最表面層(表面保護層)を使用した場合、多くの場合硬化のために酸触媒が用いられ、最表面層(表面保護層)中の固形分に対して量が多いほど膜強度が得られ、耐刷性を高められるため長寿命化が可能である。一方でバルク中の残留触媒が電荷のトラップサイトとなるため、光疲労耐性が低くなりメンテナンス時などの光曝露等によって画像濃度ムラが生じる原因となる。この耐光性(光疲労耐性)は、材料(特に電荷輸送材料、酸触媒)の量を最適化することで実使用上問題ないレベルまでは改善可能であるが、通常のオフィスなどより明るい環境、例えばショウルームなどの場所での照射や、電子写真感光体表面に付着した異物を観察するときなどの高輝度かつ長時間の曝露に対しては十分とはいえるものではなく、さらなる長寿命化を図るために硬化触媒を増やし、膜強度を高める必要があるが、その場合、光耐性が十分ではなくなることある。そこで、上記所定の光透過率(即ち光透過率が低い)を有する下引き層を用いることによって、電子写真感光体への入射光を下引き層が吸収することによって、強度の強い光に対する耐光性に優れ、長期に渡り安定して画像が得られる。即ち、導電性基体表面からの反射光が減るため、高輝度かつ長時間の光曝露に対して耐光性(光疲労耐性)が獲得されると共に、例えば硬化触媒量を増やし最表面層(表面保護層)強度を高め耐刷性を向上させても、長寿命化が実現される。
なお、上記下引き層の光透過率は次のようにして測定される。下引き層形成用塗布液を、ガラスプレート上に乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布し、乾燥後、分光光度計を用いて波長950nmでの膜の光透過率を測定する。光度計による光透過率は、分光光度計として装置名「Spectrophotometer(U−2000)」、日立社製を用いる。
この下引き層の光透過率は、前記、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いた分散時の分散時間を調整することで、制御可能である。分散時間は、特に限定しないが、5分から1000時間の任意の時間が好ましく、さらには30分から10時間がより好ましい。分散時間を長くすると、光透過率は低下する傾向にある。
また、表面粗さ調整のために下引層表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が用いられる。
下引層1は、導電性基体4上に塗布した前述の下引層形成用塗布液を乾燥させることで得られるが、通常、乾燥は、溶剤を蒸発しうる、製膜可能な温度で行われる。
<電荷発生層>
電荷発生層2は電荷発生材料及び結着樹脂を含有する層である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対しては、金属及又は無金属フタロシアニン顔料が望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン等がより望ましい。電荷発生材料としては、380nm以上500nmの露光波長の光源を用いる場合には無機顔料が望ましく、700nm以下800nmの露光波長の光源を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料が望ましい。
電荷発生材料としては、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いることが望ましい。このヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料とは異なるものであり、より優れた分散性が得られるため望ましい。このように、分光吸収スペクトルの最大ピーク波長を従来のV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料よりも短波長側にシフトさせることにより、顔料粒子の結晶配列が好適に制御された微細なヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料となり、電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られる。
また、上記の810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が特定の範囲であり、且つ、BET比表面積が特定の範囲であることが望ましい。具体的には、平均粒径が0.20μm以下であることが望ましく、0.01μm以上0.15μm以下であることがより望ましく、一方、BET比表面積が45m/g以上であることが望ましく、50m/g以上であることがより望ましく、55m/g以上120m/g以下であることが特に望ましい。平均粒径は、体積平均粒径(d50平均粒径)でレーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所社製)にて測定した値である。また、BET式比表面積測定器(島津製作所製:フローソープII2300)を用い窒素置換法にて測定した値である。
平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積値が45m/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成されており、電子写真感光体の材料として用いた場合の分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい傾向にあり、それにより画質欠陥を生じやすい傾向にある。
また、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒子径の最大値)は、1.2μm以下であることが望ましく、1.0μm以下であることがより望ましく、より望ましくは0.3μm以下である。かかる最大粒径が上記範囲を超えると、微小黒点が発生しやすい傾向にある。
更に、感光体が蛍光灯などに暴露されたことに起因する濃度ムラをより確実に抑制する観点から、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、平均粒径が0.2μm以下、最大粒径が1.2μm以下であり、且つ、比表面積値が45m/g以上であることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するものであることが望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、25℃から400℃まで昇温したときの熱重量減少率が2.0%以上4.0%以下であることが望ましく、2.5%以上3.8%以下であることがより望ましい。なお、熱重量減少率は熱天秤等により測定される。上記熱重量減少率が4.0%を超えると、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に含有される不純物が電子写真感光体に影響を及ぼし、感度特性、繰り返し使用時における電位の安定性や画像品質の低下が生じる傾向にある。また、2.0%未満であると、感度の低下が生じる傾向にある。これは、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が結晶中に微量含有する溶剤分子との相互作用によって増感作用を示すことに起因すると考えられる。
上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を電子写真感光体の電荷発生材料として用いた場合には、感光体の最適な感度や優れた光電特性が得られる点、及び感光層に含まれる結着樹脂中への分散性に優れているので画質特性に優れる点で特に有効である。
ここで、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の平均粒径及びBET比表面積を規定することによって,初期のかぶりや黒点の発生を抑えられることが知られてきたが,長期使用によりかぶりや黒点が発生するという問題があった.これに対し,後述する所定の最表面層(グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種と特定の電荷輸送材料とを用いた架橋膜からなる保護層)を組み合わせることによって,従来の最表面層及び電荷発生層の組み合わせで問題となっていた長期間の使用によるかぶりや黒点の発生を抑えることが可能となる。これは,長期使用によって発生する膜磨耗や帯電能力の低下が前記保護層を使用することによって抑制されるためであると考えられる。また,電気特性改善(残留電位低減)に効果がある電荷輸送層の薄膜化に対しても、従来感光体では発生してしまうかぶりや黒点の抑制も実現される。
電荷発生層2に使用される結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが望ましい。ここで、「絶縁性」とは、ここで、「絶縁性」とは体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
電荷発生層2は、電荷発生材料及び結着樹脂を所定の溶剤中に分散した塗布液を用いて形成される。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、電荷発生材料及び結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いられる。これらの分散方法により、分散による電荷発生材料の結晶型の変化が防止される。さらにこの分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
また、電荷発生層2を形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いられる。
このようにして得られる電荷発生層2の膜厚は、望ましくは0.1μm以上5.0μm以下、さらに望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
<電荷輸送層>
電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が望ましい。
構造式(a−1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示す。nは1又は2を示す。Ar及びArは各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C−C(R)=C(R10)(R11)、又は−C−CH=CH−CH=C(R12)(R13)を示し、R乃至R13はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。
構造式(a−2)中、R14及びR14’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、を示す。R15、R15’、R16、及びR16’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R17)=C(R18)(R19)、又は−CH=CH−CH=C(R20)(R21)を示し、R17乃至R21は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。m及びnは各々独立に0以上2以下の整数を示す。
ここで、上記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び上記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(R12)(R13)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(R20)(R21)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度、保護層との接着性、前画像の履歴が残ることで生じる残像(以下「ゴースト」と言う場合がある)などの観点で優れ望ましい。
電荷輸送層3に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。また、上述のように、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等高分子電荷輸送材を用いてもよい。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は質量比で10:1から1:5までが望ましい。
特に、結着樹脂としては、特に限定しないが、粘度平均分子量50000以上80000以下のポリカーボネート樹脂、及び粘度平均分子量50000以上80000以下のポリアリレート樹脂の少なくとも1種が良好な成膜が得やすいことから望ましい。
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材を用いてもよい。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものを用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、他種に比べ高い電荷輸送性を有しており、特に望ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜可能であるが、後述する結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層3は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独又は2種以上混合して用いられる。また、上記各構成材料の分散方法としては、公知の方法が使用される。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層2の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層3の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上30μm以下である。
なお、上記では、図1に示される電子写真感光体7Aが有する機能分離型の感光層の例を説明したが、図3に示される電子写真感光体7Cが有する単層型感光層6(電荷発生/電荷輸送層)中の電荷発生材料の含有量は、10質量%以上85質量%以下程度、望ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、電荷輸送材料の含有量は5質量%以上50質量%以下とすることが望ましい。単層型感光層6(電荷発生/電荷輸送層)の形成方法は、電荷発生層2や電荷輸送層3の形成方法と同様である。単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)6の膜厚は5μm以上50μm以下程度が望ましく、10μm以上40μm以下とするのがさらに望ましい。
なお、図1〜図3に示した電子写真感光体7A〜7Cにおいて感光層を構成する各層には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層を構成する各層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。
光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等や、一般式(2)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、フルオレノン系、キノン系やCl−、CN−、NO−等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
さらに、図1〜図3に示した電子写真感光体7A〜7Cにおける表面保護層5を、ブレード部材の場合と同様にフッ素系樹脂を含有する水性分散液で処理すると、さらなるトルク低減が図れるとともに転写効率の向上も図れるため好ましい。
[トナー]
以下、本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーについて説明する。
本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーはシリカを含有するトナーであり、より具体的には、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナー粒子(以下、トナー母粒子ともいう。)に、外添剤としてシリカを添加してなる静電潜像現像用トナーである。
ここで、本明細書において「トナー」とは、トナー粒子及びこれに添加される外添剤を含むものを意味する。
本実施形態の画像形成装置に用いられるトナーとしては、平均形状係数が100以上150以下であるものを用いることも望ましい。
ここで、平均形状係数とは、トナー粒子について求めた形状係数の個数平均値である。各トナー粒子の形状係数は、トナーを光学顕微鏡で観察したときの像を画像解析装置(例えばLUZEX III、ニレコ社製)に取り込んで円相当径を測定し、その最大長及び面積から下記式(i):
(ML/A)=(最大長)×π×100/[4×(投影面積)] (i)
に従い求めることができる。真球の場合、ML/L=100となる。
平均形状係数は、例えば任意の100個のトナー粒子について、式(i)に基づいて形状係数を求め、それらの値を個数平均することで求めることができる。
画像形成装置において、上記式(i)で示される形状係数(ML/A)が、100以上150以下のトナーごとき、所謂、球形トナーを用いた場合には、該トナーが球形であるが故に、残留トナー除去手段により転写後の電子写真感光体表面に残存するトナーを除去する際において、トナーがブレード部材をすり抜けてしまうことなどに起因して、残留トナーの除去性が低下する傾向がある。しかし、本実施形態に係る画像形成装置においては、前述したその特徴的な構成により、平均形状係数(ML/A)が、100以上150以下のトナーを用いた場合であっても、電子写真感光体と残留トナー除去手段が備えるブレード部材との間におけるトナーのすり抜けが効果的に抑制されるため、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られる。
<結着樹脂>
結着樹脂は、特に限定されず、公知の樹脂材料を用いることができる。結着樹脂としては、結晶性樹脂、非晶性樹脂が挙げられ、特に低温定着性を付与するには、シャープメルト性(鋭敏な溶融特性)がある結晶性樹脂が有用である。
結晶性樹脂は、トナーを構成する成分のうち、5質量%以上30質量%以下の範囲で使用されることが望ましい。より好ましくは8質量%以上20質量%以下の範囲である。結晶性樹脂の割合が、30質量%以上では、良好な定着特性は得られるものの、定着像中の相分離構造が不均一となり、定着画像の強度、特に引っかき強度が低下し、傷がつきやすくなるといった問題を呈することがある。一方、結晶性樹脂の割合が、5質量%未満では、結晶性樹脂由来のシャープメルト性が得られず、単純に非結晶性樹脂の可塑化するのみで、良好な低温定着性を確保しつつ、耐トナーブロッキング性、画像保存性を保つことができない傾向がある。
なお、「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。ここで、結晶性樹脂における「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。一方、半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性樹脂を意味するが、本実施形態に係るトナーが含む非結晶性樹脂としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることが好ましい。
結晶性樹脂としては、結晶性を持つ樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられるが、定着時の紙への定着性や帯電性、及び好ましい範囲での融点調整の観点から結晶性ポリエステルが好ましい。また、結晶性樹脂としては、更に適度な融点をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、一般的に、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを用いて合成される。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、多価カルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、微粒子を作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能である。
スルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して0モル%以上20モル%が望ましく、0.5モル%以上100モル%以下含有することがより望ましい。0.5モル%よりも含有量が少ないと、乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、10モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下場合がある。加えて、後述する凝集合一法によりトナーを作製する場合、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるという不具合が生じる場合がある。
さらに、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが望ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより望ましい。
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが望ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、脂肪族ジオール成分の含有量は80モル%以上であることが好ましく、より望ましくは90%以上である。脂肪族ジオール成の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造され、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させても良い。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結晶性ポリエステルの樹脂微粒子分散液については、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、調製することが可能である。
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、及びアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」なる記述は、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含むことを意味するものである。
結晶性樹脂の融点としては、望ましくは50℃以上100℃であり、より望ましくは60℃以上80℃以下である。融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合がある一方、100℃より高いと従来のトナーに比べて十分な低温定着が得られない場合がある。また結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本明細書においては、最大のピークをもって融点とみなす。
非結晶樹脂としては、公知の樹脂材料を用いることができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。非結晶性ポリエステル樹脂とは、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
非結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いてもよい。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが望ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより望ましい。また、良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、及び/又はモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、及び/又はカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整してもよい。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどが挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造される。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150℃以上250℃以下で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
非結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1.00重量%とすることが望ましい。
非結晶性樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5000以上1000000以下であることが望ましく、更に好ましくは7000以上500000以下であり、数均分子量(Mn)は2000以上10000以下であることが望ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5以上100以下であることが望ましく、更に望ましくは2〜60である。
重量平均分子量及び数平均分子量が、上記範囲より小さい場合には、上記範囲内の場合と比較して、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させるため、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす場合がある。その一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、上記範囲内の場合と比較して、耐ホットオフセット性は充分付与されるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
なお、本明細書において、樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー(株)製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
また、ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、前記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1mgから30mgKOH/gであることが望ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
また、公知の非結晶性樹脂として、スチレンアクリル系樹脂も使用できる。この場合使用できる単量体としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類:ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類:ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類:エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類:などの単量体の重合体、これらを2種以上組み合せて得られる共重合体又はこれらの混合物を挙げられ、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物やこれらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等も使用しうる。
非結晶性樹脂のガラス転移温度は、35℃以上100℃以下であることが好ましく、貯蔵安定性とトナーの定着性のバランスの点から、50℃以上80℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度が35℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像器中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
また、非結晶性樹脂の軟化点は80℃以上130℃以下の範囲に存在することが好ましい。より望ましい軟化点は、90℃以上120℃以下の範囲である。軟化点が80℃以下の場合は、定着後及び保管時のトナー及びトナーの画像安定性が著しく悪化する。また軟化点が130℃以上の場合は、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
非結晶性樹脂の軟化点の測定はフローテスター(島津社製: CFT−500C)、 予熱: 80℃/300sec, プランジャー圧力: 0.980665MPa, ダイサイズ: 1mmφ×1mm, 昇温速度: 3.0℃/min の条件下における溶融開始温度と溶融終了温度との中間温度を指す。
<離型剤>
トナーは離型剤を含んでもよい。
離型剤としては、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークが50〜140℃の範囲内にある物質が望ましい。主体極大ピーク50℃未満であると定着時にオフセットを生じやすくなる場合がある。また、140℃を超えると定着温度が高くなり、画像表面の平滑性が不充分なため光沢性を損なう場合がある。
主体極大ピークの測定には、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
また、離型剤の160℃における粘度η1は、20mPa・s以上600mPa・sの範囲内であることが好ましい。粘度η1が20mPa・sよりも小さいとホットオフセットを生じ易く、600mPa・sより大きいと定着時のコールドオフセットを生じる場合がある。
また、離型剤の160℃における粘度η1と200℃における粘度η2との比(η2/η1)は、0.5以上0.7以下の範囲内が好ましい。η2/η1が0.5より小さいと低温度時のブリード量が少なくコールドオフセットを生じる場合がある。また、0.7より大きいと高温での定着の際のブリード量が多くなり、ワックスオフセットを生じることがあるばかりでなく、剥離の安定性に問題を生じる場合がある。
離型剤の具体的な例としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのごとき動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用できる。
<着色剤>
トナーが含有する着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。着色剤としては、以下に挙げる顔料などを用いることができる。
黒顔料としてはカーボンブラック、磁性粉等が使用できる。黄色顔料としては、例えば、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローNCG等があげられる。赤色顔料としては、ベンガラ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。
また、これらの顔料を混合し、更には固溶体の状態で使用できる。
これらの着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
また、これらの着色剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散し、着色剤粒子分散液を作製することができる。
<外添剤>
本実施形態の画像形成装置に用いるトナーは、外添剤としてはシリカを含む。シリカは帯電性が高く、遊離した状態でも感光体に付着しやすく、かつ電気抵抗が適当に高いため、転写され難い。そのため残留トナー除去手段(クリーニング装置)へ供給し易いことから、外添剤としてシリカを含むことで、本実施形態に係る画像形成装置の効果が顕著に発揮される。
本実施形態において、外添剤として用いられるシリカは、体積平均粒径が80nm以上1000nm以下であることが望ましい。体積平均粒径が80nm未満であると、それ以上の粒径を有する場合に比較して、非静電的な付着力の低減に有効に働かなくなり易い。特に、体積平均粒径が80nm未満のシリカは、画像形成装置内のストレスにより、トナー粒子に埋没し易くなり、遊離しえないことがある。一方、体積平均粒径が1000nmを超えたシリカは、それ以下の粒径を有する場合に比較して、トナー粒子から離脱し易くなり、遊離はするものの、転写残トナーがトナーダムを形成する前に感光体上に残ったトナーに付着しにくい傾向となる。シリカの体積平均粒のより望ましい範囲としては80nm以上500nm以下であり、特に望ましい範囲としては150nm以上300nm以下である。
ここで、シリカ等の外添剤のように、測定する粒子直径が2μm未満の場合の粒径の測定方法としては、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて行う。測定法としては、分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とする。
また、シリカは、単分散且つ球形であることが好ましい。単分散且つ球形のシリカ(以下、単分散球形シリカともいう。)は、トナー粒子表面に均一に分散し、安定したスペーサー効果を得ることができる。
ここで、本明細書における「単分散」の定義としては、凝集体を含め平均粒径に対する標準偏差で議論することができ、標準偏差として体積平均粒径D50×0.22以下であることが望ましい。また、本明細書における「球形」の定義としては、Wadellの球形化度で議論することができ、球形化度が0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがより望ましい。
体積平均粒径が80nm以上1000nmの単分散球形シリカは、湿式法であるゾルゲル法により得ることができる。また、そのようにして得られたシリカの真比重は、湿式法かつ焼成することなしに作製されるため、蒸気相酸化法に比べ低く制御することができる。また、疎水化処理工程での疎水化処理剤種、あるいは処理量を制御することにより更に調整しうる。単分散球形シリカの粒径は、ゾルゲル法の加水分解、縮重合工程のアルコキシシラン、アンモニア、アルコール、水の重量比、反応温度、攪拌速度、供給速度により自由に制御することができる。単分散、球形形状も本手法にて作製することにより達成することができる。
具体的な単分散球形シリカの製造方法の一例としては、以下の方法がある。
テトラメトキシシランを水、アルコールの存在下、アンモニア水を触媒として温度をかけながら滴下、攪拌を行う。次に、反応により得られたシリカゾル懸濁液の遠心分離を行い、湿潤シリカゲルとアルコールとアンモニア水に分離する。湿潤シリカゲルに溶剤を加え再度シリカゾルの状態にし、疎水化処理剤を加え、シリカ表面の疎水化を行う。疎水化処理剤としては、一般的なシラン化合物を用いることができる。次に、この疎水化処理シリカゾルから溶媒を除去、乾燥、シーブすることにより、目的の単分散球形シリカが得られる。このようにして得られたシリカを再度処理を行っても構わない。単分散球形シリカの製造方法は、前記製造方法に限定されるものではない。
単分散球形シリカの製造に用いるシラン化合物としては、水溶性のものが使用される。
このようなシラン化合物としては、下記の化学構造式で表される化合物が挙げられる。
SiX4−a
(上記式中、aは0〜3の整数であり、Rは、水素原子、アルキル基、又はアルケニル基等の有機基を表し、Xは、塩素原子、メトキシ基及びエトキシ基等の加水分解性基を表す。)
前記シラン化合物としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれのタイプを使用してもよい。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ −グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランを代表的なものとして例示することができる。本発明における疎水化処理剤は、特に好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シリカは、トナーの流動性及び帯電性を制御するために、トナー粒子表面を充分に被覆することが好ましく、必要に応じて、小粒径の無機化合物や、有機粒体を併用することが望ましい。小粒径の無機化合物としては、体積平均粒径80nm以下の無機化合物が好ましく、50nm以下の無機化合物がより好ましい。具体的には、例えば、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。さらに、滑剤を添加することもできる。滑剤として、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩が挙げられる。
<トナーの製造方法>
次に、トナーの好適な製造方法の一例について説明する。
トナーが含むトナー粒子(トナー母粒子)は、少なくとも樹脂微粒子及び着色剤粒子を分散させた分散液中で凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子を加熱して該凝集粒子を融合する融合工程と、を含む湿式製法により得ることが、シャープな粒度分布を有する小粒子径トナーとすることができるとともに、高画質フルカラー画像が形成することが可能なカラートナーを得る観点から好適である。
凝集工程では、少なくとも結着樹脂を含む樹脂微粒子分散液と、着色剤を含む着色剤分散液とを用い、更に必要に応じて離型剤分散液などのその他の成分を添加混合して調製された分散液を混合し、そこに凝集剤を加え、攪拌しながら加熱することにより樹脂微粒子及び着色剤などを凝集させて凝集体粒子を形成する。
凝集体粒子の体積平均粒径は2μm以上9μm以下の範囲にあることが望ましい。このようにして形成された凝集体粒子に、樹脂粒子(追加粒子)を追加添加し凝集体粒子の表面に被覆層を形成してもよい(付着工程)。この付着工程において追加添加する樹脂粒子(追加粒子)は、上述の凝集工程において使用した樹脂粒子分散液と同じものである必要はない。
なお、凝集体粒子の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700堀場製作所製)で測定することができる。
また、上述の凝集工程、あるいは付着工程に使用する樹脂としては、外添剤を遊離させ易くするために、比較的分子量の高い樹脂を混合することが好ましい。そのような樹脂としては具体的には、Z平均分子量Mzが100000から500000の樹脂が好ましい。
次いで、融合工程では、例えば、樹脂のガラス転移点以上の温度、一般には70℃以上120℃以下に加熱処理して凝集体粒子を融合させ、トナー粒子含有液(トナー粒子分散液)を得る。次いで、得られたトナー粒子含有液は、遠心分離又は吸引濾過により処理して、トナー粒子を分離し、イオン交換水によって1から3回洗浄する。その際pHを調整することで洗浄効果をより高めることができる。その後、トナー粒子を濾別し、イオン交換水によって1から3回洗浄し、乾燥する。これにより、本実施形態に係るトナーに用いるトナー粒子を得ることができる。
本実施形態に係るトナーには、トナー粒子に外添剤としてシリカが添加される。その際の、トナー粒子に対するシリカの添加量としては0.3質量%以上15質量%以下であることが望ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより望ましい。
また、キャリアと混合して使用してもよく、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂を被覆したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、設定される。
[残留トナー除去手段]
本実施形態に係る残留トナー除去手段(クリーニング装置)は、ベース層と、23℃においてタイプAデュロメータ硬さでHsA75s以上HsA90以下であり且つ前記ベース層が有する硬さよりも高い硬さを有するエッジ層と、を有するブレード部材(以下、適宜「クリーニングブレード」と称する。)を備える。図6は、本実施形態に係るクリーニング装置に備えるクリーニングブレードを示す概略構成図である。
クリーニングブレード131は、図6に示すように、支持部材131D(支持部)に、ゴム部材131Cとを備える。ゴム部材131Cは、電子写真感光体(不図示)表面へ圧接させる部材であり、エッジ層131A及びベース層131Bからなる2層構造を有して構成される。ゴム部材131Cは、支持部材131Dの一端部(幅方向に一端部)の主面に、ベース層131Bがその主面を対向させて接着などにより接合している。
ゴム部材131Cにおいて、エッジ層131Aは、感光体表面に残留したトナーを掻き取る機能を有し、ベース層131Bは弾性ゴム部材131Cのエッジ部が像担持体に圧接する力を調節する機能を有する。
エッジ層131Aは、その硬さが、23℃において、タイプAデュロメータ硬さでHsA75以上HsA90以下であり、且つ、該硬さはベース層131Bが有する硬さよりも高い。
エッジ層131Aとしては、23℃において、タイプAデュロメータ硬さがHsA75以上HsA90以下(望ましくは、HsA80以上HsA90以下)であり、かつ、反発弾性率が5%以上20%以下(望ましくは、8%以上15%以下)であり、かつ、永久伸びが5%以下(望ましくは、1%以上3%以下)である材料からなるものであることが望ましい。
エッジ層131Aが有するタイプAデュロメータ硬さが75未満であると、硬さが充分でなく、感光体に残留するトナーを掻き取る際に、エッジ層131Aにかかる圧接力の分布のピーク値が小粒径トナーや球形トナーをクリーニングしきれないものとなることがある。また、エッジ層131Aが有するタイプAデュロメータ硬さが90を超えると、硬さが高すぎるがために感光体の表面を傷つけてしまうことがある。
なお、本明細書において「タイプAデュロメータ硬さ」とはJIS K 7312に準じて、スプリング式タイプAデュロメータ硬さ試験機により測定される値である。
また、エッジ層131Aが有する反発弾性率が20%を超える場合、クリーニングブレード100が、感光体の動きに追随しスティック−スリップ挙動(感光体回転時のブレードエッジの振動挙動)を起こすことがあり、トナーのすり抜けや異音発生を引き起こすことがある。
なお、本明細書において「反発弾性率」とは、JIS K 7312の反発弾性試験に準じて測定される値である。
エッジ層131Aが有する永久伸びが5%を超える場合、長期間ブレードが感光体に当接された時にへたりを生じ、安定した圧接力が長期間得られなくことがある。
なお、本明細書において「永久伸び」とは、JIS K 7312の永久伸び試験に準じて測定される値である。ただし伸長率は200%とする。
ベース層131Bは、エッジ層131Aが有する硬さよりも低い硬さを有する層である。ベース層131Bとしては、23℃において、タイプAデュロメータ硬さがHsA60以上HsA75以下(望ましくは、HsA62以上HsA72以下)であり、反発弾性率が25%以上40%(望ましくは、28%以上35%以下)であり、かつ、永久伸びが1.5%以下(望ましくは、0.5%以上1.2%以下)である材料からなるものであることが望ましい。
ベース層131Bが有するタイプAデュロメータ硬さが上記の範囲外の場合は、エッジ層131Aにおける感光体と接触部と、感光体との圧接力を調整するのことが難しくなることがある。
また、ベース層131Bが有する反発弾性率が25%未満の場合、エッジ層131Aと感光体との圧接力が充分でなくなり、トナーのすり抜けを起こすことがあり、40%を超える場合はエッジ部の振動を吸収しきれなくなり、クリーニングブレード100の寿命を縮める場合がある。ベース層131Bが有する永久伸びが1.5%を超えると、長期間ブレードが感光体に当接された場合へたりを生じ、安定した圧接力が長期間得られなくことがある。
図6中のaで示すエッジ層131Aの厚さとして、0.2mm以上1.5mm以下が望ましく、0.5mm以上1.0mm以下がさらに望ましい。図6中のbで示すベース層131Bの厚さとして、1.0mm以上3.0mm以下が望ましく、1.5mm以上2.5mm以下がさらに望ましい。また、エッジ層131Aとベース層131Bの厚さの比(a:b)としては、1:20〜1:2が望ましく、1:10〜1:3がさらに望ましい。
ゴム部材131Cを形成するための弾性材料としては、具体的には、例えば、ポリウレタンからなるものであることが望ましい。ポリウレタンとしては、通常ポリウレタンの形成に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオールなどのポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー、及び、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの架橋剤を原料とするものが、得られるゴム部材が、耐摩耗性にすぐれ、機械的強度が大きいという点から望ましい。なお、ウレタンプレポリマーとしては、例えばNCO基の含有量が4質量%以上10質量%以下、70℃での粘度が1000mPa・s以上3000mPa・s以下のものが望ましい。
ゴム部材131Cをポリウレタンから製造する際には、通常、用いられるポリウレタン成形方法を用いれば良く、例えば、以下に示す方法等を挙げることができる。まず、脱水処理を行った上記ポリオールと上記イソシアネートとを混合し、温度100℃以上120℃以下で30分間以上90分間以下反応させて得られるプレポリマーに、上記架橋剤等を加えて、140℃に予熱した遠心成形機の金型内に注入し、5分間以上15分間以下硬化させて、ベース層131Bを形成する。硬化反応の後、同様に前処理したエッジ層用材料を硬化したベース層上に注入し、30〜60分間硬化させて、エッジ層131Aを形成する。硬化反応後、金型から取り出すことにより、厚さ2mm以上3mm以下の円柱状の2層構造シート体を得る。これを幅5mm以上30mm、長さ200〜500mmの短冊状にカットし、ゴム部材131Cを得る。
支持部材131Dは、特に限定されず、例えば、クリーニング装置の筐体と一体となるものや、当該筐体に取り付けるための取り付け金具などが該当する。この取り付け金具は、例えば、金属、プラスチック、セラミックなどからなるものが挙げられるが、特に、無処理の鋼板、リン酸亜鉛処理やクロメート処理などの表面処理を施した鋼板、そのほかメッキ処理を施した鋼板などからなる取り付け金具が、とくに腐蝕などの経時変化を起こさないという点から望ましい。
ゴム部材131Cと支持部材131Dとの接着方法としては特に限定されず、例えば、EVA系、ポリアミド系、ポリウレタン系ホットメルト接着剤やエポキシ系、フェノール系接着剤を用いる接着方法等を用いることができる。これら接着方法の中ではホットメルト接着法を用いることが望ましい。
クリーニングブレード100(ゴム部材131C)の電子写真感光体に対する圧接力は、20N/m以上80N/m以下であることが望ましく、より望ましくは20N/m以上60N/m以下であり、さらに望ましくは20N/m以上50N/m以下である。この圧接力を上記範囲とすることで、トナー除去能が向上されると共に、電子写真感光体表面への局所的な力が働くことが抑制される。結果、電子写真感光体表面の局所的な磨耗が抑制され、長期にわたって繰り返し良好な画像が得られる。
[画像形成装置/プロセスカートリッジ]
図4は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。画像形成装置100は、図4に示すように。電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光可能な位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。
図4におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8、現像装置11及びクリーニング装置13を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード131(ブレード部材)を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。
クリーニングブレード131の構成例については、先に図6を用いて説明した通りである。
また、潤滑材14を感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、クリーニングをアシストする繊維状部材133(平ブラシ状)を用いた例を示してあるが、これらは必要に応じて使用してもよい。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
なお、図示しないが、画像の安定性を高める目的で、電子写真感光体7の周囲には、電子写真感光体7の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための感光体加熱部材を設けてもよい。
露光装置9としては、例えば、感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、所望の像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザーの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下近傍に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビーム出力が可能なタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤等を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、上記一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが望ましい。
現像装置11に使用されるトナーとしては、先に詳述したトナーが用いられる。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いられる。
画像形成装置100は、上述した各装置の他に、例えば、感光体7に対して光除電を行う光除電装置を備えていてもよい。
図5は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略断面図である。画像形成装置120は、図5に示すように、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
タンデム型の画像形成装置に本発明の電子写真感光体を用いた場合、4本の感光体の電気特性が安定することから、より長期に渡ってカラーバランスの優れた画質が得られる。
また、本実施形態に係る画像形成装置(プロセスカートリッジ)において、現像装置(現像手段)は、磁性体を有する現像剤保持体を備え、磁性キャリア及びトナーを含む2成分系現像剤で静電潜像を現像するものであることが望ましい。この構成では、一成分系現像剤、特に非磁性一成分現像剤の場合に比べ、カラー画像でよりきれいな画質が得られ、更に高水準で高画質化及び高寿命化が実現される。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[感光体1]
<下引き層>
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛100質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛顔料を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛顔料60質量部と硬化剤ブロック化イソシアネート スミジュール3175(住友バイエルンウレタン社製):13.5質量部とブチラール樹脂BM−1(積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン:25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子トスパール145(GE東芝シリコーン社製):40質量部を添加し、170℃、40分の乾燥硬化を行い下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に浸漬塗布し、厚さ21μmの下引層を得た。
<電荷発生層>
次いで、このアルミニウム基材上に電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1質量部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1質量部とともに酢酸ブチル100質量部に加え、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させた後、得られた塗布液を前記下引層表面に浸漬塗布し、100℃にて10分間加熱乾燥して、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。
<電荷輸送層>
更に、下記式で示される化合物1を2質量部、下記構造式1で示される高分子化合物(粘度平均分子量:39,000)3質量部をテトラヒドロフラン10質量部及びトルエン5質量部に溶解して得られた塗布液を前記電荷発生層表面に浸漬塗布し、135℃にて35分加熱乾燥して、膜厚22μmの電荷輸送層を形成した。
<表面保護層>
次に、下記式で表される化合物2を9.4部、シクロペンタノールを35部、テトラヒドロフランを9部、及び蒸留水を0.9部混合し、それにイオン交換樹脂(アンバーリスト15E)を0.5部加え、室温で攪拌することにより2時間加水分解を行った。さらに、ベンゾグアナミン樹脂(ニカラックBL−60、三和ケミカル社製)を0.5部、ジメチルポリシロキサン(グラノール450、共栄社化学(株)製)を0.1部、NACURE2500(キングインダストリー社製)を0.01部加え保護層形成用塗布液を調製した。この表面保護層用塗布液を浸漬コーティング法で電荷輸送層の上に塗布し155℃で45分乾燥し、膜厚約7μmの表面保護層を形成した感光体を、感光体1とした。
[感光体2]
感光体1の表面保護層の形成において、化合物2を9.35部とし、ベンゾグアナミン樹脂をメチル化メラミン樹脂(B−2:ニカラックMW−30HM、三和ケミカル社製)に変更し、さらにジメチルポリシロキサンを0.2部とした以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体2とした。
[感光体3]
感光体1の表面保護層の形成において、化合物2の代わりに下記式で表される化合物3(I−21として前掲した化合物)を9.7部、ベンゾグアナミン樹脂を0.2部とした以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体3とした。
[感光体4]
感光体3の表面保護層の形成において、ベンゾグアナミン樹脂の代わりにメチル化メラミン樹脂(B−2:ニカラックMW−30HM、三和ケミカル社製)を用いた以外は感光体3と同様にして得られた感光体を、感光体4とした。
[感光体5]
感光体1の表面保護層の形成において、化合物2を8.45部、ベンゾグアナミン樹脂を0.5部、ジメチルポリシロキサンを0.05部とし、さらにブチラール樹脂
(エスレックBL−1、積水化学社)を1部加えた以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体5とした。
[感光体6]
感光体2の表面保護層の形成において、化合物2を7.4部、メチル化メラミン樹脂を1.0部、ジメチルポリシロキサンを0.1部とし、さらにブチラール樹脂
(エスレックBL−1、積水化学社)を1.5部加えた以外は感光体2と同様にして得られた感光体を、感光体6とした。
[感光体7]
感光体5の表面保護層の形成において、化合物2を8.5部に変更し、さらにジメチルポリシロキサンを1.0部とした以外は感光体5と同様にして得られた感光体を、感光体7とした。
[感光体8]
感光体6の表面保護層の形成において、メチル化メラミン樹脂を2.5部、ジメチルポリシロキサンを0.05部に変更した以外は感光体6と同様にして得られた感光体を、感光体8とした。
[感光体9]
感光体1において保護層を塗布せずに電荷輸送層までとしたものを感光体9とした。
[感光体10]
感光体1表面保護層の形成において、ベンゾグアナミン樹脂をレゾール型フェノール樹脂(PL−2215、群栄化学社製)に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体10とした。
<クリーニングブレードの作製>
[クリーニングブレード1]
タイプAデュロメータ硬さHsA81、反発弾性率11%、永久伸び4%、厚さ0.5mmのウレタンゴムをエッジ層、タイプAデュロメータ硬さHsA64、反発弾性率33%、永久伸び0.5%、厚さ1.5mmのウレタンゴムをベース層として用いたゴム部材(それぞれ320mm×15mm)を用い、これをメッキ鋼板からなる支持部材に接着し、電子写真装置用クリーニングブレードを作製した。これをクリーニングブレード1とする。
[クリーニングブレード2]
タイプAデュロメータ硬さHsA88、反発弾性率5.5%、永久伸び4%、厚さ0.5mmのウレタンゴムをエッジ層に用いた以外はクリーニングブレード1と同様にして作製したクリーニングブレードをクリーニングブレード2とする。
[クリーニングブレード3]
タイプAデュロメータ硬さHsA77、反発弾性率19%、永久伸び1.5%、厚さ0.5mmのウレタンゴムをエッジ層に用いた以外はクリーニングブレード1と同様にして作成したクリーニングブレードをクリーニングブレード3とする。
[クリーニングブレード4]
タイプAデュロメータ硬さHsA93、反発弾性率4%、永久伸び5%、厚さ0.5mmのウレタンゴムをエッジ層に用いた以外はクリーニングブレード1と同様にして作製したクリーニングブレードをクリーニングブレード4とする。
[クリーニングブレード5]
タイプAデュロメータ硬さHsA70、反発弾性率25%、永久伸び2%、厚さ0.5mmのウレタンゴムをエッジ層に用いた以外はクリーニングブレード1と同様にして作製したクリーニングブレードをクリーニングブレード5とする。
[クリーニングブレード6]
タイプAデュロメータ硬さHsA73、反発弾性率26%、永久伸び3%、厚さ1.5mmのウレタンゴムをベース層としてに用いた以外はクリーニングブレード1と同様にして作製したクリーニングブレードをクリーニングブレード6とする。
[クリーニングブレード7]
タイプAデュロメータ硬さHsA62、反発弾性率38%、永久伸び1.5%、厚さ1.5mmのウレタンゴムをベース層としてに用いた以外はクリーニングブレード1と同様にして作製したクリーニングブレードをクリーニングブレード7とする。
[クリーニングブレード8])
タイプAデュロメータ硬さHsA76、反発弾性率21%、永久伸び3%、厚さ1.5mmのウレタンゴムをベース層としてに用いた以外はクリーニングブレード1と同様にして作製したクリーニングブレードをクリーニングブレード8とする。
[クリーニングブレード9]
タイプAデュロメータ硬さHsA58、反発弾性率40%、永久伸び1%、厚さ1.5mmのウレタンゴムをベース層としてに用いた以外はクリーニングブレード1と同様にして作製したクリーニングブレードをクリーニングブレード9とする。
[クリーニングブレード10]
タイプAデュロメータ硬さ70Hs、反発弾性率25%、永久伸び2%、厚さ0.5mmのウレタンゴムをエッジ層、タイプAデュロメータ硬さHsA76、反発弾性率21%、永久伸び3%、厚さ1.5mmのウレタンゴムをベース層として用いた弾性ゴム部材(それぞれ320mm×15mm)を用い、これをメッキ鋼板からなる支持部材に接着し、電子写真装置用クリーニングブレードを作製した。これをクリーニングブレード10とする。
[現像剤の作製]
以下の説明において、各物性値の測定は以下の方法にて行った。
<トナー粒子、複合粒子粒度分布>
マルチサイザー(日科機社製)を用い、アパーチャー径100μmのもので測定した。
<トナー粒子及び複合粒子の平均形状係数(ML/A)>
トナー粒子又は複合粒子を光学顕微鏡で観察し、その像を画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込んで円相当径を測定した。次いで、トナー粒子又は複合粒子の最大長及び投影面積から、個々の粒子について下記式(i)に従って形状係数ML/Lの値を求め、トナー粒子100個についての個数平均を求めることで平均形状係数を求めた。
(ML/A)=(最大長)×π×100/[4×(投影面積)] (i)
(現像剤−1)
トナー母粒子の製造
<樹脂微粒子分散液の調整>
スチレン370g、n−ブチルアクリレート30g、アクリル酸8g、ドデカンチオール24g及び四臭化炭素4gを混合して溶解させた溶液と、非イオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)6g及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製)10gをイオン交換水550gに溶解させた溶液とを混合してフラスコ中で乳化重合を開始し、10分間ゆっくり撹拌しながら混合溶液に過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入した。フラスコ内の窒素置換を行った後、混合溶液を攪拌しながら混合液の温度が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒径150nm、ガラス転移温度(Tg)58℃、重量平均分子量(Mw)11,500の樹脂微粒子が分散された樹脂微粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40質量%であった。
<着色剤分散液−1の調製>
カーボンブラック(モーガルL、キャボット製)60g、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)6g及びイオン交換水240gを混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌した。その後、アルティマイザーにて分散処理し、平均粒子径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散液−1を調製した。
<離型剤分散液の調製>
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋(株)製、融点:85℃)100g、カチオン性界面活性剤 (サニゾールB50:花王(株)製)5g及びイオン交換水 240gを混合し、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間分散した。その後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
<トナー母粒子K1の調製>
上記の樹脂微粒子分散液を234質量部、着色剤分散液−1を30質量部、離型剤分散液を40質量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)を0.5質量部、イオン交換水を600質量部、それぞれ丸型ステンレス鋼鉄フラスコに投入し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて混合・分散した。その後、加熱用オイルバス中で混合液を攪拌しながら加熱し、40℃で30分保持した。このとき、混合液中にD50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。さらに加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持したところ、D50は5.3μmとなった。この凝集体粒子を含む分散液に26質量部の樹脂微粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスを用いて50℃で30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液に1N水酸化ナトリウムを追加して分散液のpHを7.0に調整した後、フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら加熱して80℃で4時間保持した。分散液を冷却した後、分散液中に生成したトナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K1を得た。トナー母粒子K1のD50は5.9μm、平均形状係数は132であった。
<キャリアの製造>
トルエン14質量部、スチレン−メタクリレート共重合体(成分比:90/10)2質量部及びカーボンブラック(R330:キャボット社製)0.2部を混合し、10分間スターラーで撹拌して分散処理した被覆液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(平均粒径:50μm)100質量部を真空脱気型ニーダーに入れて、60℃で30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し乾燥させることによりキャリアを得た。このキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ω・cmであった。
<トナー−1及び現像剤−1の調製>
上記トナー母粒子K1100質量部と、ルチル型酸化チタン(粒径:20nm,n−デシルトリメトキシシラン処理したもの)1質量部、シリカ(粒径:40nm、気相酸化法により調製し、シリコーンオイル処理したもの)2.0質量部、酸化セリウム(平均粒径:0.7μm)1質量部、高級脂肪酸アルコール(分子量700の高級脂肪酸アルコールをジェットミルで粉砕し、平均粒径8.0μmとしたもの)0.3質量部を5Lヘンシェルミキサーで周速30m/sで15分間ブレンドした。
その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー−1(ブラック)を得た。また、キャリア100質量部とトナー−1の5質量部を、V−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌し、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤−1(ブラック)を得た。
(現像剤−2)
トナー−1及び現像剤−1の調製において、シリカを除いた以外は同様にして作製した現像剤を現像剤2とした。
<表面自由エネルギーの測定方法の説明>
各感光体の表面保護層の表面自由エネルギーは、表面自由エネルギーの双極子成分、分散成分および水素結合成分が既知である試薬を使用し、その試薬との付着性を測定することによって求められる。
具体的には、試薬に純水、ヨウ化メチレン、α−ブロモナフタレン、ドデシル硫酸ナトリウムを使用し、接触角計CA−X(商品名;協和界面株式会社製)を用いて、感光体1表面に対する接触角を測定し、測定結果に基づき表面自由エネルギー解析ソフトEG−11(商品名;協和界面株式会社製)を用いて各成分の表面自由エネルギーを算出することができる。なお、試薬は、前述の純水、ヨウ化メチレン、α−ブロモナフタレン、ドデシル硫酸ナトリウムに限定されるものではなく、双極子成分、分散成分、水素結合成分が適宜な組合せの試薬を用いてもよい。
本実施例では接触角の測定は室温22℃〜24℃、湿度50%〜60%にコントロールされた環境で行い、滴下する試薬としては純水と、ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を2水準(2.7mmol/L、5.3mmol/L)とを用いた。滴下する液滴は2.5μL、接触角測定までの時間は試薬を滴下してから60秒後の接触角を測定し、これらの接触角から表面自由エネルギー解析ソフトEG−11(商品名;協和界面株式会社製)を用いて表面自由エネルギーを算出した。なお、感光体は作製後、画像形成装置などに一度も搭載されていない未使用のものを使用した。
表1に、測定した各感光体の表面自由エネルギーの値を示す。
[画像形成テスト]
表2に記載の組み合わせで、感光体1〜10、クリーニングブレード1〜10、現像剤を用い、を用いて画像形成テストを行った。実験機は富士ゼロックス社製DocuCentre Colore a450を用いた。テストはフルカラーにて高温高湿(28℃、80%RH)環境下で画像密度5%のA4用紙を10万枚画像形成を行った後、ゴースト、トナーのすり抜け、及び1000回転あたりの摩耗量(nm)に関して評価し、更に総合判定を行った。
1.ゴースト評価
ゴースト評価は、図8に示すように、Gの文字と黒領域を有するパターンのチャートをプリントし、黒べた部分にGの文字の現れ具合を目視にて観察し、以下の基準で評価した
○:図8(A)のように良好乃至軽微である、
△:図8(B)のように若干目立つ程度である、
×:図8(C)のようにはっきり確認できる。
2.トナーすり抜け
トナーすり抜けの確認は、用紙サイズA3、画像濃度Cin=100% 5枚 未転写の画像をクリーニングした際のクリーニング後の感光体上のトナーのすり抜け具合を観察し、以下の基準で評価した。
○:良好
△:部分的な(全体の10%程度以下)トナーのすり抜けあり
×:広範な領域にトナーのすり抜けあり
3.摩耗量
摩耗量の測定は上記画像形成テスト時において、初期膜厚をあらかじめ測定しておき、初期膜厚と10万枚画像形成後の膜厚との差分を測定し、感光体1000回転あたりの摩耗量(nm)を算出した。
4.総合判定の評価基準
コースト、トナーすり抜け、摩耗量の各評価の結果に基づき、以下の基準で総合判定をした。
○:良好
△:若干劣るが実用上問題なし
×:使用不可
表2に示すように、本実施例では、比較例に比べ、トナー像を被転写体媒体に転写した後の電子写真感光体表面に残留するトナーの除去性に優れ、長期に亘って繰り返し良好な画像が得られていることが判る。
1 下引層
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4 導電性基体
5 保護層
6 単層型感光層
7 電子写真感光体
8 帯電装置
9 露光装置
11 現像装置
13 クリーニング装置
14 潤滑材
40 転写装置
50 中間転写体
100 画像形成装置
120 画像形成装置
131 クリーニングブレード
131A エッジ層、
131B ベース層、
131C ゴム部材、
131D 支持部材度
132 繊維状部材(ロール状)
133 繊維状部材(平ブラシ状)
300 プロセスカートリッジ

Claims (7)

  1. 導電性基体上に感光層及び表面保護層をこの順に有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、前記トナー像の転写後に前記電子写真感光体上に残留するトナーを除去する残留トナー除去手段とを備え、
    前記電子写真感光体における前記表面保護層が有する表面自由エネルギーが、10mN/m以上30mN/m以下であり、
    前記現像手段における前記トナーが、シリカを含むトナーであり、
    前記トナー除去手段が、ベース層と、23℃においてタイプAデュロメータ硬さでHsA75以上HsA90以下であり且つ前記ベース層が有する硬さよりも高い硬さを有するエッジ層と、を有するブレード部材を備える、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記表面保護層が、グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、−OH、−OCH、−NH、−SH、及び−COOHから選ばれる置換基の少なくとも1つを有する電荷輸送性材料の少なくとも1種と、を含む組成物の架橋物からなる層であり、
    前記グアナミン構造を有する化合物及びメラミン構造を有する化合物から選択される少なくとも1種の化合物の前記組成物における固形分濃度が、0.1質量%以上5質量%以下である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記電荷輸送性材料が、下記一般式(I)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の画像形成装置。
    F−((−R−X)n1(Rn2−Y)n3 (I)
    (一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、n3は1以上4以下の整数を示す。Xは酸素原子、NH、又は硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH、−NH、−SH、又は−COOHを示す。)
  4. 前記電荷輸送性材料の前記組成物中における固形分濃度が、80質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記クリーニング部材における前記エッジ層の硬さが、23℃において、タイプAデュロメータ硬さがHsA75以上HsA90以下であり、且つ、前記ベース層の硬さが、23℃において、タイプAデュロメータ硬さがHsA60以上HsA75以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記現像手段における前記トナーの平均形状係数が、100以上150以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 電子写真感光体、及び前記電子写真感光体の表面に残留した残留トナーを除去するトナー除去手段と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、及び前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーによってトナー像に現像する現像手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備え、
    前記電子写真感光体が導電性基体上に感光層及び表面保護層をこの順に有し、
    前記電子写真感光体における前記表面保護層が有する表面自由エネルギーが、10mN/m以上30mN/m以下であり、
    前記現像手段における前記トナーが、シリカを含むトナーであり、
    前記残留トナー除去手段が、ベース層と、23℃においてタイプAデュロメータ硬さでHsA75以上HsA90以下であり且つ前記ベース層が有する硬さよりも高い硬さを有するエッジ層と、を有するブレード部材を備える、
    ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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