JP5866991B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
例えば、画像書き込みに使用される電子写真感光体(適宜「感光体」と記す)は、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段などの電気的、機械的外力による傷や磨耗を抑制するため、表面層を構成する材料として機械強度の高い樹脂を使用することで、長寿命化が図られている。
特許文献2では、エポキシ樹脂及びエポキシ基を有する電荷輸送材料を用いることが開示されている。
特許文献3及び4では、保護層にフェノール樹脂及び水酸基を有する電荷輸送材料を用いることが開示されている。
例えば、特許文献5では、感光体の表面層中にフッ素系樹脂粒子を分散することにより、感光体の表面層の表面エネルギーを低減する方法が開示されている。
さらに、特許文献6には、更なる高耐久化を図るにあたり、感光体表面に不飽和重合性官能基を有した化合物を重合させた保護層中にフッ素系樹脂粒子を分散することが提案されている。
さらに、特許文献7には、更なる高画質・高耐久化を図るにあたり、感光体表面に潤滑剤を供給することが提案されている。
さらに、特許文献8には、グアナミン化合物およびメラミン化合物から選択される少なくとも1種と−OH、−OCH3、−NH2、−SHおよび−COOHから選択される置換基の少なくとも1つを持つ電荷輸送性材料の少なくとも1種との架橋物を含み、前記架橋物をなす前記電荷輸送性材料を層中の全固形分に対して80質量%以上含有する表面層を有すると共に、前記表面層上に潤滑剤が付与された像保持体を備えた画像形成装置が提案されている。
導電性基体、前記導電性基体上に配置されている感光層、及び、前記感光層上に配置されており、フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を含有する表面保護層を有し、
前記表面保護層が、グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、アルコキシ基を有する電荷輸送物質に由来する構造と、水酸基を有する電荷輸送物質に由来する構造とを含み、
前記フッ素系樹脂粒子及び前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた表面保護層の全固形分に対する、前記グアナミン化合物及び前記メラミン化合物の総含有量が5質量%以上20質量%以下であり、
前記フッ素系樹脂粒子及び前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた表面保護層の全固形分に対する、前記アルコキシ基を有する電荷輸送物質に由来する構造の含有量が10質量%以上40質量%以下である電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナー粒子及びステアリン酸亜鉛を含む現像剤を収容し、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記電子写真感光体の表面に残留する現像剤を除去するクリーニング手段と、
を備え、
画像部と非画像部を有する画像密度7%の画像形成を繰り返して前記電子写真感光体を50000回転させた後の前記電子写真感光体の表面をX線光電子分光法(XPS)で分析したときの亜鉛被覆率が下記式(1)を満たし、
前記電子写真感光体の表面のうち、前記画像部に相当する領域における亜鉛被覆率と前記非画像部に相当する領域における亜鉛被覆率との差が10%以下である画像形成装置。
55%≦亜鉛被覆率≦100% (1)
請求項2に係る発明は、
前記フッ素系樹脂粒子が、4フッ化エチレンの重合体及び4フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の画像形成装置。
請求項3に係る発明は、
前記フッ化アルキル基含有共重合体が、下記構造式A及び下記構造式Bで表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
(構造式A及び構造式Bにおいて、l、m及びnは1以上の整数を、p、q、r及びsは0または1以上の整数を、tは1以上7以下の整数を、R1、R2、R3及びR4は水素原子又はアルキル基を、Xはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−又は単結合を、Yはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(CzH2z−1(OH))−又は単結合を表す。zは1以上の整数を表す。Qは−O−又は−NH−を表す。)
請求項1に係る発明によれば、前記電子写真感光体の表面のうち、前記画像部に相当する領域における亜鉛被覆率と前記非画像部に相当する領域における亜鉛被覆率との差が10%を超える場合に比べ、画像部/非画像部に係わらず電子写真感光体の摩耗が全面的に抑制される画像形成装置が提供される。
請求項2に係る発明によれば、前記フッ素系樹脂粒子が、4フッ化エチレンの重合体及び4フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種を含まない場合に比べ、耐摩耗性が維持されるとともに、像流れの発生が抑制される画像形成装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、電子写真感光体の表面保護層に含まれるフッ化アルキル基含有共重合体が、前記構造式A及び前記構造式Bで表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体でない場合に比べ、耐摩耗性が維持されるとともに、像流れの発生が抑制される画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置は、導電性基体、前記導電性基体上に配置されている感光層、及び、前記感光層上に配置されており、フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を含有する表面保護層を有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナー粒子及びステアリン酸亜鉛を含む現像剤を収容し、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記電子写真感光体の表面に残留する現像剤を除去するクリーニング手段と、を備え、画像部と非画像部を有する画像密度7%の画像形成を繰り返して前記電子写真感光体を50000回転させた後の前記電子写真感光体の表面をX線光電子分光法(XPS)で分析したときの亜鉛被覆率が下記式(1)を満たす画像形成装置である。
50%≦亜鉛被覆率≦100% (1)
図7(A)に示す画像パターンでは、画像密度が100%の帯状画像部10Aと該帯状画像部10Aを挟むように画像密度が30%の2つの帯状画像部12Aを有し、全体として画像密度が7%となっている。なお、「画像密度」は、出力した用紙上にのっているトナーの割合(=トナーが載っている面積/用紙の面積)によって測定される値である。
図7(B)に示す画像パターンでは、画像密度100%の帯状画像部10Bは図7(A)における画像部10Aよりも細い反面、画像密度30%の帯状画像部12Bは図7(A)における画像部12Aよりも太く、全体として画像密度が7%となっている。
図7(C)に示す画像パターンでは、画像密度30%の画像部は無いが、画像密度100%の帯状画像部10Cは図7(A)における帯状画像部10Aよりも太く、全体として画像密度が7%となっている。
フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体がマイナスに帯電しやすい性質を持っていること、ステアリン酸亜鉛がプラスに帯電しやすい性質を持っているために、最表面層にフッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体が含まれている場合、含まれていない場合に比べステアリン酸亜鉛の被覆効率が上昇することが予想される。一方、ステアリン酸亜鉛は劈開性が高いため、被覆したステアリン酸亜鉛の上に像流れの原因となる放電生成物が蓄積され、ステアリン酸亜鉛ごと放電生成物が除去されているためと考えられる。
感光体の表面における亜鉛の被覆率を規定することにより、感光体の劣化が抑制され、また感光体表面を清掃する清掃手段(クリーニング手段)を有する場合には、該清掃手段の劣化が抑制される。その結果、長期にわたって良好な画質が形成される。
本実施形態において、XPS分析による亜鉛の被覆率は、JPS 9010(日本電子(株)製)により測定した亜鉛の全元素に対する比の値に基づいて決定した。XPS分析は感光体の極表面の分析であるため、ステアリン酸亜鉛の塗布量の増加に対して亜鉛の全元素に対する比の値が飽和する。飽和した亜鉛の全元素に対する比の値を被覆率100%として感光体表面の亜鉛の被覆率を決定した。本明細書に記載の値は、当該方法によって測定されたものである。
尚、XPS分析による亜鉛の被覆率が100%になるステアリン酸亜鉛の塗布量であって最小の塗布量は次のようにして決定される。
ステアリン酸亜鉛を全く塗布しない場合の感光体表面の分析値を0%とし、感光体表面へのステアリン酸亜鉛の塗布量に対するXPS分析による亜鉛の全元素に対する比の値をプロットしたときに、塗布量の増加に従って亜鉛の全元素に対する比の値は増加するが、ある塗布量以上になると亜鉛の全元素に対する比の値が飽和して一定値を示すようになる。プロットから明らかになる変曲点における塗布量が上記被覆率が100%になるステアリン酸亜鉛の最小の塗布量となる。
また、感光体の表面のうち、画像部に相当する領域における亜鉛被覆率と非画像部に相当する領域における亜鉛被覆率との差が10%以下であることが望ましい。
潤滑剤供給装置を用いてステアリン酸亜鉛を供給する場合は、画像部・非画像部に係らず同じように供給されることになるが、クリーニング手段としてクリーニングブレードを用いている場合は、トナーと共にステアリン酸亜鉛も掻き取られてしまうため、画像部の亜鉛被覆率が低くなる傾向がある。一方で例えば、図7(A)に示すような画像パターンの画像形成を繰り返した場合、感光体表面において、画像密度100%に相当する画像部に相当する領域ではトナー粒子とともにステアリン酸亜鉛も供給されるため、トナーで掻き取られる量が非画像部に比べ多くても高い亜鉛被覆率を維持することが出来る。一方、非画像部に相当する領域ではステアリン酸亜鉛の供給量は小さくても一緒に掻き取られるトナーが存在しないこと、および感光体の幅方向(回転方向と直交する方向)の全体に渡ってクリーニングブレードやクリーニングブラシが接するようにクリーニング手段を設けることで、ステアリン酸亜鉛が感光体の幅方向全体にわって供給され、亜鉛被覆率のバラツキが抑制される。電子写真感光体表面において画像部に相当する領域の亜鉛被覆率と非画像部に相当する領域の亜鉛被覆率との差が10%以下となるようにすることで、画像部/非画像部に係わらず、感光体全面にわって摩耗及び像流れの発生がより効果的に抑制される。
まず、本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る電子写真用感光体の構成の一例を概略的に示し、図2及び図3はそれぞれ電子写真感光体の他の構成を概略的に示している。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2及び電荷輸送層3を順次形成して構成された感光層が設けられ、その上に最表面層として表面保護層5が設けられた構造を有するものである。
なお、図1乃至図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けても設けなくてもよい。また、下引層1と感光層との間に中間層を設けてもよい。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。
表面保護層5は、電子写真感光体7Aにおける最表面層であり、電荷発生層2及び電荷輸送層3から構成される感光層を保護するために設けられる層である。本実施形態に係る表面保護層5は、少なくともフッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を含んで構成される。かかる表面保護層5を有することで、感光体7Aの表面に、磨耗、傷などに対する耐性を持たせ、且つトナーの転写効率の向上が図られる。
本実施形態の画像形成装置では、主に、感光体の表面保護層に含まれるフッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体の含有量と、現像剤に含まれるステアリン酸亜鉛の含有量を調整することにより、画像部と非画像部を有する画像密度7%の画像形成を繰り返して50000回転後の感光体表面の亜鉛被覆率が前記式(1)を満たすことが実現される。
表面保護層5がフッ素系樹脂粒子を含有することで、トナー像を転写した後の感光体の表面に残留するトナー等を除去するためのクリーニングブレード等の接触部材との摩擦力が軽減され、電子写真感光体の表面の摩耗が効果的に抑制される。その一方、残留トナーとクリーニングブレードとの間の摩擦力は保たれ、残留トナー等の異物は除去され易いと考えられる。
尚、上記フッ素系樹脂粒子の平均一次粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)を用いて、フッ素系樹脂粒子が分散された分散液と同じ溶剤に希釈した測定液を屈折率1.35で測定した値である。
表面保護層5の固形分全量に対するフッ素系樹脂粒子の含有量は1質量%以上40質量%以下が望ましく、3質量%以上20質量%以下がさらに望ましい。
表面保護層5がフッ化アルキル基含有共重合体を含有することで、フッ素系樹脂微粒子の分散安定性が保たれる。
表面保護層5に含まれるフッ化アルキル基含有共重合体としては、特に限定されるものではないが、下記構造式A及び構造式Bで表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体であることが望ましく、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、等からなるマクロモノマー及びパーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートを用いて例えばグラフト重合により合成される樹脂であることがより望ましい。ここで、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを示す。
フッ化アルキル基含有共重合体において、構造式Aと構造式Bとの含有比、即ちl:mは、1:9乃至9:1が望ましく、3:7乃至7:3がさらに望ましい。
尚、R5、R6としては、水素原子、メチル基、エチル基が望ましく、これらの中でもメチル基がさらに望ましい。
また、表面保護層5におけるフッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体の総含有量は40質量%以下であることが望ましく、20質量%以下がより望ましい。当該総含有量が40質量%以下であれば、解像度の低下を最低限に抑えながら、耐摩耗性が向上し易い。ただし、フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体の総含有量は、耐摩耗性向上の効果を確実に発現させるという観点から、1質量%以上が望ましく、3質量%以上がより望ましい。
グアナミン化合物及びメラミン化合物の総含有量は、フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を除いた最表面層の全固形分に対して0.1質量%以上20質量%以下であり、フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を除いた最表面層の全固形分に対する、アルコキシ基を有する電荷輸送物質に由来する構造の含有量が10質量%以上40質量%以下であることが望ましい。
表面保護層5が上記構成を有することで、電子写真感光体の耐摩耗性及び電気的安定性がより向上し、また像流れの発生も抑制し、良好な画質の形成が繰り返し得られ、画像形成装置の高信頼性、長寿命化がより高められる。
ここで、グアナミン化合物について説明する。本実施形態で用いるグアナミン化合物は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
グアナミン化合物としては、特に下記一般式(A)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(A)で示される化合物は、一種単独で用いもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、一般式(A)で示される化合物を2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。
一般式(A)中、R1を示すフェニル基は、炭素数6以上10以下であるが、より望ましくは6以上8以下である。当該フェニル基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、R1を示す脂環式炭化水素基は、炭素数4以上10以下であるが、より望ましくは5以上8以下である。当該脂環式炭化水素基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、R2乃至R5を示す「−CH2−O−R6」において、R6を示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以上8以下であり、より望ましくは炭素数が1以上6以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。望ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(A)で示される化合物としては、特に望ましくは、R1が炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基を示し、R2乃至R5がそれぞれ独立に−CH2−O−R6で示される化合物である。また、R6は、メチル基又はn−ブチル基から選ばれることが望ましい。
一般式(A)で示される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成される。
次に、メラミン化合物について説明する。本実施形態で用いるメラミン化合物としては、メラミン骨格(構造)を有する化合物であり、特に下記一般式(B)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物又はその多量体は、一種単独で用いもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物又はその多量体と併用してもよい。特に、一般式(B)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上する。
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法で(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂と同様に)合成される。
また、一般式(B)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
次に、電荷輸送性材料について説明する。表面保護層に含まれる電荷輸送性材料としては、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも1つを持つものが挙げられる。特に、電荷輸送性材料としては、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、及び−COOHから選択される置換基を少なくとも2つ(さらには3つ)持つものが挙げられる。この如く、電荷輸送性材料に反応性官能基(当該置換基)が増えることで架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、電子写真感光体の磨耗が抑制される。
F−((−R1−X)n1(R2)n2−Y)n3 (I)
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、n2は0又は1を示し、n3は1以上4以下の整数を示す。Xは酸素、NH、又は硫黄原子を示し、Yは−OH、−OCH3、−NH2、−SH、又は−COOHを示す。
一般式(I)中、Fを示す正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基における正孔輸送能を有する化合物としては、アリールアミン誘導体が挙げられる。アリールアミン誘導体としては、トリフェニルアミン誘導体、テトラフェニルベンジジン誘導体が挙げられる。
なお、一般式(II)におけるDの総数は、一般式(I)におけるn3に相当し、望ましくは、2以上4以下であり、さらに望ましくは3以上4以下である。つまり、一般式(I)や一般式(II)において、Dの総数を、望ましくは一分子中に2以上4以下、さらに望ましくは3以上4以下とすると、架橋密度が上がり、より強度の高い架橋膜が得られ、特にクリーニングブレードを用いた際の電子写真感光体の回転トルクが低減され、ブレードへのダメージの抑制や、電子写真感光体の磨耗が抑制される。この詳細は不明であるが、反応性官能基の数が増すことで、架橋密度の高い硬化膜が得られ、電子写真感光体の極表面の分子運動が抑制されてブレード部材表面分子との相互作用が弱まるためと推測される。
一般式(II)中、Ar1乃至Ar4としては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが望ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar1乃至Ar4の各々に連結され得る「−(D)C1」乃至「−(D)C4」を総括的に示した「−(D)C」と共に示す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記式(8)又は(9)で表されるものが望ましい。
また、式(7)中のZ’としては、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが望ましい。
上記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが望ましい。但し、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、以下に示す化合物I−1乃至I−34が挙げられる。なお、上記一般式(I)で示される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。
グアナミン化合物(例えば、一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(例えば、一般式(B)で示される化合物)の総含有量が上記範囲内であれば、上記範囲未満である場合に比べて緻密な膜となり、耐摩耗性が向上し、上記範囲外である場合に比べて電気特性や耐ゴースト性が向上する。
なお、表面保護層5中における、上記電荷輸送性材料の総含有量や、上記グアナミン化合物及びメラミン化合物の総含有量は、表面保護層を形成するための塗布液におけるこれらの化合物の固形分濃度を調整することによって制御される。
表面保護層5には、グアナミン化合物(例えば一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(例えば一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種と、上記電荷輸送性材料(例えば一般式(I)で示される化合物)との架橋物と共に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂などを混合して用いてもよい。また、強度を向上させるために、スピロアセタール系グアナミン樹脂(例えば「CTU−グアナミン」(味の素ファインテクノ(株)))など、一分子中の官能基のより多い化合物を当該架橋物中の材料に共重合させることも効果的である。
表面保護層5には、放電生成ガスを吸着しすぎないように、放電生成ガスによる酸化を効果的に抑制する目的で、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの他の熱硬化性樹脂を混合してもよい。
また、フッ素原子を有する界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基を持つ界面活性剤が挙げられ、さらに具体的には、パーフルオロアルキルスルホン酸類(例えば、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸など)、パーフルオロアルキルカルボン酸類(例えば、パーフルオロブタンカルボン酸、パーフルオロオクタンカルボン酸など)、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステルが挙げられる。パーフルオロアルキルスルホン酸類、及びパーフルオロアルキルカルボン酸類は、その塩及びそのアミド変性体であってもよい。
パーフルオロアルキルスルホン酸類の市販品としては、例えばメガファックF−114(大日本インキ化学工業株式会社製)、エフトップEF−101、EF102、EF−103、EF−104、EF−105、EF−112、EF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A(以上、JEMCO社製)、A−K、501(以上、ネオス社製)などが挙げられる。
パーフルオロアルキルカルボン酸類の市販品としては、例えばメガファックF−410(大日本インキ化学工業株式会社製)、エフトップ EF−201、EF−204(以上、JEMCO社製)などが挙げられる。
パーフルオロアルキル基含有リン酸エステルの市販品としては、メガファックF−493、F−494(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)エフトップ EF−123A、EF−123B、EF−125M、EF−132、(以上、JEMCO社製)などが挙げられる。
ポリエチレングリコールとしては数平均分子量が2000以下のものが望ましく、数平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール2000(数平均分子量2000)、ポリエチレングリコール600(数平均分子量600)、ポリエチレングリコール400(数平均分子量400)、ポリエチレングリコール200(数平均分子量200)等が挙げられる。
また、ポリエーテル消泡剤としては、PE−M、PE−L(以上、和光純薬工業社製)、消泡剤No.1、消泡剤No.5(以上、花王社製)等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が用いられる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が用いられる。
ここで、アルコールに溶解する樹脂とは、炭素数5以下のアルコールに1質量%以上溶解する樹脂を意味する。アルコール系溶剤に溶解する樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などがあげられる。特に、電気特性の点でポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が望ましい。
また、当該樹脂の添加量はフッ素系樹脂粒子、あるいはフッ化アルキル基含有共重合体を除いた場合において1質量%以上40質量%以下が望ましく、1質量%以上30質量%以下がより望ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに望ましい。当該樹脂の添加量が1質量%未満であると樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、40質量%を超えると高温高湿下(例えば28℃、85%RH)での画像ボケが発生しやすくなる。
酸化防止剤の添加量としてはフッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を除いた場合において20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」が挙げられ、チオエーテル系として「スミライザ−TPS」、「スミライザーTP−D」が挙げられ、ホスファイト系として「マーク2112」、「マークPEP−8」、「マークPEP−24G」、「マークPEP−36」、「マーク329K」、「マークHP−10」等が挙げられる。
ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒径1nm以上100nm以下、望ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、アルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものが使用される。これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下である。シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状が改善される。すなわち、強固な架橋構造中にバラツキが小さく取り込まれた状態で、電子写真感光体の表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期にわたって良好な耐磨耗性、耐汚染物付着性が維持される。
導電性粒子の平均粒径は保護層の透明性の点で0.3μm以下、特に0.1μm以下が望ましい。
硬化触媒として含硫黄系材料を用いることにより、この含硫黄系材料がグアナミン化合物(例えば一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(例えば一般式(B)で示される化合物)や電荷輸送材料の硬化触媒として優れた機能を発揮し、硬化反応を促進して得られる表面保護層5の機械的強度がより向上される。
硬化触媒としての含硫黄系材料は、常温(例えば25℃)、又は、加熱後に酸性を示すものが望ましく、接着性、ゴースト、電気特性の観点で有機スルホン酸及びその誘導体の少なくとも1種が特に望ましい。保護層5中におけるこれらの触媒の存在は、XPS等により容易に確認される。
熱潜在性触媒として、たとえば有機スルホン化合物等をポリマーで粒子状に包んだマイクロカプセル、ゼオライトの如く空孔化合物に酸等を吸着させたもの、プロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体を塩基でブロックした熱潜在性プロトン酸触媒や、プロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体を一級もしくは二級のアルコールでエステル化したもの、プロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体をビニルエーテル類及び/又はビニルチオエーテル類でブロックしたもの、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素のピリジン錯体などがあげられる。
中でも、触媒能、保管安定性、入手性、コストの面でプロトン酸及び/又はプロトン酸誘導体を塩基でブロックしたものが望ましい。
1級アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、セカンダリーブチルアミン、アリルアミン、メチルヘキシルアミン等が挙げられる。
3級アミンとして、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリt−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N,N’,N’ーテトラメチルー1,2ージアミノエタン、N,N,N’,N’ーテトラメチルー1,3ージアミノプロパン、N,N,N’,N’ーテトラアリルー1,4ージアミノブタン、Nーメチルピペリジン、ピリジン、4ーエチルピリジン、Nープロピルジアリルアミン、3−ジメチルアミノプロパノ−ル、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、2−メチル−4−エチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、N,N,N’,N’ −テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、3−メチル−4−エチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、4−(5−ノニル)ピリジン、イミダゾ−ル、N−メチルピペラジン等が挙げられる。
ここで、触媒の配合量は、上記グアナミン化合物(例えば一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(例えば一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種の量(塗布液におけるフッ素系樹脂粒子、あるいはフッ化アルキル基含有共重合体を除いた場合の固形分濃度)に対し、0.1質量%以上50質量%以下の範囲であることが望ましく、特に10質量%以上30質量%以下が望ましい。この配合量が上記範囲未満であると、触媒活性が低すぎることがあり、上記範囲を超えると耐光性が悪くなることがある。なお、耐光性とは、感光層が室内光などの外界からの光にさらされたときに、照射された部分が濃度低下を起こす現象のことを言う。原因は、明らかではないが、特開平5−099737号公報にあるように、光メモリー効果と同様の現象が起こっているためであると推定される。
以上の構成の表面保護層5は、フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を含み、望ましくは、グアナミン化合物(一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種と前記特定の電荷輸送性材料とを含む表面保護層形成用塗布液を用いて形成される。この表面保護層形成用塗布液は、必要に応じて、表面保護層5の任意の他の構成成分が添加される。
表面保護層形成用塗布液の調製は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶剤を用いて行ってもよい。かかる溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用されるが、望ましくは沸点が100℃以下のものである。溶剤としては、特に、少なくとも1種以上の水酸基を持つ溶剤(例えば、アルコール類等)を用いることがよい。
溶剤量は任意に設定されるが、少なすぎるとグアナミン化合物(例えば一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(例えば一般式(B)で示される化合物)が析出しやすくなるため、グアナミン化合物(例えば一般式(A)で示される化合物)及びメラミン化合物(例えば一般式(B)で示される化合物)から選択される少なくとも1種の1質量部に対し0.5質量部以上30質量部以下、望ましくは1質量部以上20質量部以下で使用される。
そして、表面保護層形成用塗布液を電荷輸送層3の上に、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法により塗布した後、必要に応じて例えば温度100℃以上170℃以下で加熱して硬化させることで、表面保護層5が得られる。
表面保護層5の膜厚は、望ましくは1μm以上15μm以下、より望ましくは3μm以上10μm以下である。表面保護層5の膜厚が1μm以上であれば、長寿命を達成しやすく、15μm以下であれば良好な電気特性を達成しやすい。
導電性基体4としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、及び金属ベルト、又は、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体4の表面に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、又は回転する砥石に導電性基材4を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
ここで、陽極酸化による粗面化処理は、アルミニウムを陽極とし、電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが望ましい。
また、導電性基体4には、酸性水溶液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
下引層1は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有して構成される。
無機粒子としては、粉体抵抗(体積抵抗率)102Ω・cm以上1011Ω・cm以下のものが望ましく用いられる。これは下引層1はリーク耐性、キャリアブロック性獲得のために適切な抵抗を得ることが必要であるためである。なお、上記範囲の下限よりも無機粒子の抵抗値が低いと十分なリーク耐性が得られず、この範囲の上限よりも高いと残留電位の上昇を引き起こしてしまう懸念がある。
中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子(導電性金属酸化物)を用いるのが望ましく、特に酸化亜鉛は望ましく用いられる。
無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いてもよい。
無機粒子の体積平均粒径は50nm以上2000nm以下(望ましくは60以上1000以下)の範囲であることが望ましい
また、無機粒子としては、BET法による比表面積が10m2/g以上のものが望ましく用いられる。比表面積値が10m2/g未満のものは帯電性低下を招きやすく、良好な電子写真特性を得にくい傾向がある。
アクセプター性化合物としては、所望の特性が得られるものならばいかなるものでも使用されるが、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。さらに、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
アクセプター化合物は、下引層の塗布時に添加するだけでもよいし、無機粒子表面にあらかじめ付着させておいてもよい。無機粒子表面にアクセプター化合物を付与させる方法としては、乾式法又は湿式法が挙げられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、所望の電子写真感光体特性を得られるものであればいかなる物でも用いてもよいが、具体的例としてはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
下引層1中の無機粒子に対するシランカップリング剤の量は、所望の電子写真特性が得られる量であれば任意に設定されるが分散性向上の観点から、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が望ましい。
これらの化合物は単独に若しくは複数の化合物の混合物又は重縮合物として用いてもよい。
また、これらの溶剤は単独又は2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かし得る溶剤であれば、いかなるものでも使用される。
このようにして得られた下引層形成用塗布液を用い、導電性基体上に下引層1が成膜される。
また、下引層1は、ビッカース硬度が35以上とされていることが望ましい。
下引層1の厚さが15μm未満であるときには、充分な耐リーク性能が得られ難く、また、50μm以上であるときには、長期使用した場合に残留電位が残りやすくなるため画像濃度異常を招きやすい欠点がある。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂などの粒子を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が用いられる。
ここで、下引層1は、結着樹脂及び導電性金属酸化物を含み、且つ厚み20μmにおける波長950nmの光に対する光透過率が40%以下(望ましくは10%以上35%以下、より望ましくは15%以上30%以下)であることが望ましい。長寿命化を目標とした電子写真感光体において、安定した高画質を維持することが必要である。架橋型最表面層(保護層)を用いる場合にも同様の特性が求められる。架橋型最表面層(表面保護層)を使用した場合、多くの場合硬化のために酸触媒が用いられ、最表面層(表面保護層)中の固形分に対して量が多いほど膜強度が得られ、耐刷性を高められるため長寿命化が図られる。
この下引層1の光透過率は、前記、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いた分散時の分散時間を調整することで、制御される。分散時間は、特に限定しないが、5分から1000時間の任意の時間が望ましく、さらには30分から10時間がより望ましい。分散時間を長くすると、光透過率は低下する傾向にある。
下引層1は、導電性基体4上に塗布した前述の下引層形成用塗布液を乾燥させることで得られる。通常、乾燥は、溶剤が蒸発して製膜される温度で行われる。
電荷発生層2は電荷発生材料及び結着樹脂を含有する層である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が挙げられる。これらの中でも、近赤外域のレーザー露光に対しては、金属及又は無金属フタロシアニン顔料が望ましく、特に、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報、特開平5−43823号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより望ましい。また、近紫外域のレーザー露光に対してはジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、チオインジゴ系顔料、ポルフィラジン化合物、酸化亜鉛、三方晶系セレン等がより望ましい。電荷発生材料としては、380nm以上500nmの露光波長の光源を用いる場合には無機顔料が望ましく、700nm以下800nmの露光波長の光源を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料が望ましい。
また、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の最大粒径(一次粒子径の最大値)は、1.2μm以下であることが望ましく、1.0μm以下であることがより望ましく、より望ましくは0.3μm以下である。かかる最大粒径が上記範囲を超えると、微小黒点が発生しやすい傾向にある。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に回折ピークを有するものであることが望ましい。
ここで、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の平均粒径及びBET比表面積を規定することによって,初期のかぶりや黒点の発生を抑えられることが知られてきたが,長期使用によりかぶりや黒点が発生するという問題があった.これに対し,後述する所定の最表面層(グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種と特定の電荷輸送材料とを用いた架橋膜からなる保護層)を組み合わせることによって,従来の最表面層及び電荷発生層の組み合わせで問題となっていた長期間の使用によるかぶりや黒点の発生が抑えられる。これは,長期使用によって発生する膜磨耗や帯電能力の低下が前記保護層を使用することによって抑制されるためであると考えられる。また,電気特性改善(残留電位低減)に効果がある電荷輸送層の薄膜化に対しても、従来感光体では発生してしまうかぶりや黒点の抑制も実現される。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、電荷発生層2を形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
このようにして得られる電荷発生層2の膜厚は、望ましくは0.1μm以上5.0μm以下、さらに望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合物があげられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が望ましい。
また、電荷輸送材料として高分子電荷輸送材を用いてもよい。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシランなどの電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、他種に比べ高い電荷輸送性を有しており、特に望ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも成膜されるが、結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層2の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層3の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上30μm以下である。
図4は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。画像形成装置100は、図4に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7を露光する位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。
帯電装置8としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等が使用される。また、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器も使用される。なお、本実施形態では、耐摩耗性や高速時における帯電能力の観点から、感光体と接触せずに帯電を行う非接触型の帯電手段を用いることが望ましい。
なお、図示しないが、画像の安定性を高める目的で、電子写真感光体7の周囲には、電子写真感光体7の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための感光体加熱部材を設けてもよい。
静電潜像形成手段となる露光装置9としては、例えば、感光体7の表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、所望の像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体の分光感度領域にあるものが使用される。半導体レーザーの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下近傍に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビーム出力をするタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤等を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行ってもよい。その現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、上記一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが望ましい。
以下、現像装置11に使用されるトナーについて説明する。
本実施形態のトナーは、少なくともトナー粒子及びステアリン酸亜鉛を含む。ステアリン酸亜鉛はトナー粒子の表面に外添される外添剤として含まれることが望ましい。
またトナー粒子は、少なくとも結着樹脂を含み、必要に応じて離型剤、着色剤等のその他の成分を含んでもよい。
以下、トナーに含まれる各成分について説明する。
本実施形態において、結着樹脂は、低温定着性が得られる点で、結晶性樹脂を含むことが望ましい。
一般にトナーに用いられる結着樹脂として、結晶性樹脂を用いると、低温定着性が得られるものの、高温高湿下での放置によりトナー帯電性が変化し、転写効率が下がり、さらにフィルミングが起こりやすくなるという傾向にある。しかし、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを用いることにより、低温定着性を損なわずに、フィルミングが抑えられる。
測定方法に関しては、示差走査熱量計((株)島津製作所製:DSC−60A)を用いて、サンプル量8mg、基準補正材料はアルミナ粉体を用い、昇温速度10℃/minで測定した際の高温側のベースラインに対し吸熱ピークの半値幅が8℃以内であることを意味する。
結晶性樹脂の重量平均分子量Mwが4,000以上であると、定着時にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込むために生じる定着ムラの発生が抑制され、また、定着された画像の折り曲げに対する耐性が良好であるので望ましい。重量平均分子量Mwが50,000以下であると、溶融時の粘度低下制御が良好であり、オフセット等の問題を生じないので望ましい。
また、結晶性樹脂単独では樹脂自身の強度が非結晶性樹脂に比べて低く、粉体の信頼性に問題が生じる場合がある。特に、高温下での保管により、現像機内でのブロッキングの発生や、感光体上へのフィルミングが起こりやすくなるという問題が生じる場合がある。そこで、強度改善が期待される方法として、結晶性樹脂と非結晶性樹脂を混合して用いることが望ましい。
以下、本実施形態で用いられる結着樹脂について、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とに分けて説明する。
結晶性樹脂は、トナーを構成する成分のうち、5乃至30%の範囲で使用されることが望ましく、より望ましくは8から20%の範囲である。結晶性樹脂の割合(質量比)が30%以上では良好な定着特性は得られるものの、定着像中の相分離構造がかたより、定着画像の強度、特に引っかき強度が低下し、傷がつきやすくなるといった問題を呈することがある。一方、5%未満では、結晶性樹脂由来のシャープメルト性が得られず、単純に非結晶性樹脂の可塑化し、良好な低温定着性を確保しつつ、耐トナーブロッキング性、画像保存性を保つことが困難となる場合がある。
なお、「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。一方、半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性樹脂を意味するが、本実施形態における非結晶性樹脂としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることが望ましい。
結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
また、多価カルボン酸酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが望ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散が良好になる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、粒子を作成する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しなくても、乳化或いは懸濁される。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%以上であることが望ましく、より望ましくは、90%以上である。前記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造され、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
触媒としては、例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
非結晶樹脂としては、公知の樹脂材料が用いられるが、非結晶性ポリエステル樹脂が特に望ましい。非結晶性ポリエステル樹脂とは、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
非結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液が容易に調製される点で有利である。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01から1.00質量%とすることが望ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与されるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立し得ることが容易となる。
ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整される。また、多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによって、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
非結晶性樹脂の軟化点は80から130℃の範囲に存在することが望ましく、より望ましくは90から120℃の範囲である。軟化点が80℃以下の場合は、定着後及び保管時のトナー及びトナーの画像安定性が悪化する場合がある。また軟化点が130℃以上の場合は、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
結晶性ポリエステルの樹脂粒子分散液の作製については、例えば、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、調製される。
樹脂粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700堀場製作所製)で測定される。
本実施形態で用いるトナーはステアリン酸亜鉛を有する。
ステアリン酸亜鉛の平均粒径は、感光体への被覆を効率的に行うという観点から、0.1μm以上10μm以下であることが望ましく、0.2μm以上8μm以下であることがより望ましい。
トナー(トナー粒子及び外添剤)に対するステアリン酸亜鉛の含有量は、画像部と非画像部を有する画像密度7%の画像形成を繰り返して前記電子写真感光体を50000回転させた後の前記電子写真感光体の表面をX線光電子分光法(XPS)で分析したときの亜鉛被覆率が50%以上100%以下となるようにする観点から、0.01質量%以上2質量%以下が望ましく、0.05質量%以上1質量%以下がより望ましい。
また、本実施形態のトナーにはステアリン酸亜鉛と併用して、公知の外添剤を外添してもよい。外添剤としては例えばシリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどの無機粒子が利用される。外添剤の添加方法は特に限定されないが、乾燥状態で剪断力を加えてトナー粒子表面に添加してもよい。
また、BET法による比表面積は20m2/g以上500m2/g以下の範囲であることが望ましい。トナーに混合される割合は0.01質量%以上5質量%以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは0.01質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
なお、ここでいうシリカ粉末はSi−O−Si結合を有する粉末であり、乾式法及び湿式法で製造されたもののいずれもが含まれる。また、無水二酸化ケイ素の他、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛などいずれでもよいが、SiO2を85質量%以上含むものが望ましい。
これらシリカ粉末の具体例としては種々の市販のシリカがあるが、表面に疎水性基を有するものが望ましく、例えばAEROSIL R−972、R−974、R−805、R−812(以上、アエロジル社製)、タラックス500(タルコ社製)等が挙げられる。その他シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル、側鎖にアミンを有するシリコーンオイル等で処理されたシリカ粉末などが使用可能である。
本実施形態のトナーに用いられる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されない。例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料が挙げられる。
また、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などが例示され、これらを1種又は2種以上を併せて使用される。
本実施形態のトナーは離型剤を含有してもよい。本実施形態のトナーに用いられる離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロピッシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが望ましく、60℃以上であることがより望ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが望ましく、100℃以下であることがより望ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲内であることが望ましく、2質量部以上20質量部以下の範囲内であることがより望ましい。離型剤の含有量が1質量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30質量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
トナー粒子は、帯電制御剤、磁性材料等のその他の成分を含んでもよい。
帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が用いられる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが望ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
トナーに含まれるトナー粒子の製造方法は特に限定されないが、例えば、結着樹脂、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。
また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法が使用される。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
前記トナー粒子の好適な製造方法としては、例えば、少なくとも樹脂粒子が分散され、必要に応じて着色剤粒子及び離型剤粒子が分散された分散液中で、凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子を加熱して該凝集粒子を融合する融合工程と、を含む湿式製法が挙げられる。この方法によりトナー粒子を得ることは、シャープな粒度分布を有する小粒子径トナーが製造されるとともに、高画質カラー画像を形成するカラートナーが得られる観点から好適である。
凝集粒子の体積平均粒径は2から9μmの範囲にあることが望ましい。このようにして形成された凝集粒子に、樹脂粒子(追加粒子)を追加添加し、凝集粒子の表面に被覆層を形成してもよい(付着工程)。この付着工程において追加添加する樹脂粒子(追加粒子)は、上述の凝集工程において使用した樹脂粒子分散液と同じものでもよく、異なるものでもよい。
また、上述の凝集工程又は付着工程に使用する樹脂は、外部添加剤を遊離させやすくするために、比較的分子量の高い樹脂を混合することが望ましい。具体的にはZ平均分子量Mzが100000から500000の樹脂が望ましい。
またトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪族アミド類やカルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用される。これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用して使用される。但し、平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が望ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は望ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも望ましく使用される。
有機粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等が挙げられる。
また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために望ましい。
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」と称す場合がある。)は、本実施形態のトナーを含むものであり、目的に応じて他の成分を配合してもよい。
具体的には、本実施形態のトナーを単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。二成分系の静電荷像現像剤とする場合、トナー濃度は1質量%以上10質量%以下の範囲とすることが望ましい。
ここでキャリアには特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された芯材が樹脂層で被覆されたキャリア(樹脂被覆キャリア)等の公知のキャリアが使用される。
被覆層を形成する被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー等の単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
クリーニング装置13は、電子写真感光体の表面に接するクリーニングブレード131およびクリーニングブラシ132を備え、転写後に感光体表面に残留する現像剤を除去する。
クリーニングブレード131としては、例えば、支持部材(支持部)とゴム部材を備えたものが使用される。ゴム部材は、感光体(不図示)表面へ圧接させる部材であり、エッジ層及びベース層からなる2層構造を有して構成されてもよい。
クリーニングブレード131の感光体に対する圧接力は、10N/m以上80N/m以下であることが望ましく、より望ましくは15N/m以上60N/m以下であり、さらに望ましくは20N/m以上50N/m以下である。この圧接力を上記範囲とすることで、トナー除去能が向上されると共に、感光体表面への局所的な力が働くことが抑制される。結果、感光体表面の局所的な磨耗が抑制され、長期にわたって繰り返し良好な画像が得られ易い。
クリーニングブラシ132は、感光体ドラム7の回転軸と平行に延びた中心線から放射状に延びた毛(ブラシ繊維)を有する。ブラシ繊維の材質としては、公知の材質を用いることが可能であるが、その中でも、ナイロン、アクリル又はポリプロピレンが好ましく、この中でも特にナイロンが長期安定性に優れるため好ましい。ブラシ表面の繊維太さは2デニール以上17デニール以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは3デニール以上10デニール以下の範囲である。
ブラシ表面の繊維長さ(起毛の接着層厚は含まない)は2.5mm以上7mm以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは3mm以上6.5mm以下の範囲である。またブラシ表面の繊維密度は、15×103本/inch2以上200×103本/inch2以下(23.4本/mm2以上310本/mm2以下)の範囲が好ましく、さらに好ましくは20×103本/inch2以上80×103本/inch2以下(31.0本/mm2以上124本/mm2以下)の範囲である。
タンデム型の画像形成装置に本実施形態の電子写真感光体を用いた場合、4本の感光体の電気特性が安定することから、より長期に渡ってカラーバランスの優れた画質が得られる。
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛100質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛顔料を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート 0.005質量部、シリコーン樹脂粒子トスパール145(GE東芝シリコーン社製) 40質量部を添加し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、下引層形成用塗布液を得た。
この塗布液を浸漬塗布法にて直径60mm、長さ357mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に浸漬塗布し、厚さ20μmの下引層を得た。
次いで、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1質量部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1質量部とともに酢酸ブチル100質量部に加え、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させた。その後、得られた塗布液を前記下引層の表面に浸漬塗布し、100℃にて10分間加熱乾燥して、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。
更に、下記式で示される化合物1を2.1質量部、下記構造式1で示される高分子化合物(粘度平均分子量:39,000)2.9質量部をテトラヒドロフラン10質量部及びトルエン5質量部に溶解して得られた塗布液を、電荷発生層の表面に浸漬塗布し、135℃にて35分間加熱乾燥して、膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
4フッ化エチレン樹脂粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業製)10部、及び下記構造式2で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(重量平均分子量50,000、l:m=1:1、s=1、n=60)0.5部をシクロペンタノン40部に十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。
次いで、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興業製 YSNM−1500AR)を用いて、700kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を25回繰返した後、NACURE5225(キングインダストリー社製)を0.1部加えて表面保護層形成用塗布液を調製した。この表面保護層形成用塗布液を浸漬塗布法で電荷輸送層の上に塗布して155℃で35分間乾燥し、膜厚約8μmの表面保護層を形成して得た感光体を、感光体1とした。
感光体1の表面保護層の形成において、ルブロンL−2(ダイキン工業製)を5部、フッ化アルキル基含有共重合体を0.25部、シクロペンタノンを20部に変更し、十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。それ以降は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体2とした。
感光体1の表面保護層の形成において、ルブロンL−2(ダイキン工業製)を3部、フッ化アルキル基含有共重合体0.15部、シクロペンタノンを12部に変更し、十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。それ以降は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体3とした。
感光体1の表面保護層の形成において、ルブロンL−2(ダイキン工業製)を20部、フッ化アルキル基含有共重合体1.0部、シクロペンタノンを80部に変更し、十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。それ以降は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体4とした。
感光体1の表面保護層の形成において、ベンゾグアナミン樹脂をメチル化メラミン樹脂(B−2:ニカラックMW−30HM、三和ケミカル社製)に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体5とした。
感光体1の表面保護層の形成において、化学式I−8で表される化合物を95部、化学式I−26で表される化合物を0部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体6とした。
感光体1の表面保護層の形成において、化学式I−8で表される化合物を85部、化学式I−26で表される化合物を10部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体7とした。
感光体1の表面保護層の形成において、化学式I−8で表される化合物を60部、化学式I−26で表される化合物を20部、ベンゾグアナミン樹脂を20部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体8とした。
感光体1の表面保護層の形成において、化学式I−8で表される化合物を70部、化学式I−26で表される化合物を29.9部、ベンゾグアナミン樹脂を0.1部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体9とした。
感光体1の表面保護層の形成において、化学式I−8で表される化合物を47.5部、化学式I−26で表される化合物を47.5部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体10とした。
感光体8の表面保護層の形成において、化学式I−26で表される化合物を下記式で表される化合物2に変更した以外は感光体8と同様にして得られた感光体を、感光体11とした。
感光体1の表面保護層の形成において、化学式I−8で表される化合物を化学式I−16で表される化合物に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体12とした。
感光体12の表面保護層の形成において、ベンゾグアナミン樹脂をメチル化メラミン樹脂に変更した以外は感光体12と同様にして得られた感光体を、感光体13とした。
電荷輸送層の形成までは感光体1と同様にして作製した。
4フッ化エチレン樹脂粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業製)10部、及び前記構造式2で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(重量平均分子量50,000、l:m=1:1、s=1、n=60)0.5部をシクロペンタノン40部に十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。
・下記構造の化合物5 : 2質量部
・メチルトリメトキシシラン : 2質量部
・テトラメトキシシラン : 0.5質量部
・コロイダルシリカ : 0.3質量部
得られた感光体を、感光体14とした。
電荷輸送層の形成までは感光体1と同様にして作製した。
次に、前述の化学式I−8で表される化合物を70部、化学式I−26で表される化合物を25部、ベンゾグアナミン樹脂(ニカラックBL−60、三和ケミカル社製)を5部、それぞれシクロペンタノン240部に加えて、十分に溶解混合した後に、ジメチルポリシロキサン(グラノール450、共栄社化学)を0.1部、NACURE5225(キングインダストリー社製)を0.1部加え保護層形成用塗布液を調製した。この表面保護層形成用塗布液を浸漬塗布法で電荷輸送層の上に塗布し155℃で35分乾燥し、膜厚約8μmの表面保護層を形成した感光体を、感光体15とした。
電荷輸送層の形成までは感光体1と同様にして作製した。
感光体1の表面保護層の形成において、化学式I−8で表される化合物を60部、化学式I−26で表される化合物を15部、ベンゾグアナミン樹脂を25部に変更した以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体16とした。
感光体1において表面保護層を形成しなかったこと以外は感光体1と同様にして得られた感光体を、感光体17とした。
〔顔料分散液の調製〕
C.I.ピグメントブルーB15:3 : 20質量部
酢酸エチル : 75質量部
溶媒除去したディスパロンDA−703−50 : 4質量部
(ポリエステル酸アマイドアミン塩、楠本化成(株)製) ソルスパース5000(顔料誘導体、ゼネカ(株)製) : 1質量部
以上の成分をサンドミルを用いて溶解/分散し、顔料分散液を作製した。
離型剤としてパラフィンワックス(融点89℃)30部と酢酸エチル270部をDCPミルSF−12(日本アイリッヒ製)を用い10℃に冷却した状態で、湿式粉砕し、離型剤分散液を作製した。
アジピン酸153部、1,6−ヘキサンジオール118部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で4時間、さらに減圧下210℃で4時間反応させ、重量平均分子量(Mw)12,000、融点68℃の結晶性樹脂を得た。
テレフタル酸ジメチル97部、イソフタル酸ジメチル78部、無水ドデセニルコハク酸27部、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物174部、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物189部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させ後、無水トリメリット酸8部を加え、さらに減圧下30分反応させ、重量平均分子量(Mw)55,000、ガラス転移点(Tg)56℃の非結晶性樹脂(1)を得た。
テレフタル酸ジメチル97部、イソフタル酸ジメチル78部、無水ドデセニルコハク酸27部、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物164部、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物179部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させ、重量平均分子量(Mw)13000、ガラス転移点(Tg)60℃の非結晶性樹脂(2)を得た。
炭酸カルシウム45部と水55部との比率で分散した炭酸カルシウム分散液124部と、セロゲンBS−H(第一工業製薬(株))の2%水溶液99部と、水160部とをホモジナイザー(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて5分間撹拌した(この液をB液とした)。さらにホモジナイザー(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて前記B液345部を10,000rpmで撹拌している中に前記A液250部を加え、1分間撹拌し混合液を懸濁し、室温常圧でプロペラ型撹拌機を用いて撹拌し、溶媒を除去した。次に塩酸を加えて、炭酸カルシウムを溶解した後、イオン交換水の添加混合と、ろ別による水洗とを、ろ液の電気伝導度が2μS/cmとなるまで繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。エルボジェット分級機を用いて微粉及び粗粉を除き、体積平均粒径6.4μmのシアントナー母粒子1を得た。
Mn−Mgフェライト粒子(体積平均粒径=40μm) : 1,000質量部
スチレン(St)/メチルメタクリレート(MMA)樹脂 : 23質量部
(共重合比25:75)
カーボンブラック : 2質量部
トルエン : 400質量部
以上の組成物を減圧加熱型ニーダーに投入して混合し、70℃に加熱しながら減圧乾燥した。得られたものを粒度メッシュ200のSUS篩にて篩分し、キャリア1を得た。
市販のルチル型酸化チタン(n−デシルトリメトキシシラン処理)、体積平均粒径20nmを用意した。
気相法で作製したシリカ微粒子(ジメチルシリコーンオイル処理)、体積平均粒径12nmを用意した。
〔ステアリン酸亜鉛1の製造例〕
エタノール5,000部にステアリン酸1,145部を加え、75℃で混合したものに、水酸化亜鉛200部を少しずつ加えていき、投入終了後から1時間混合した。混合後20℃まで冷却し、生成物をろ別してエタノール及び反応残渣を除き、取り出した生成固形物を加熱型真空乾燥機を用いて150℃で3時間乾燥させた。乾燥機から取り出し放冷後、ステアリン酸亜鉛の固形物を得た。
ステアリン酸亜鉛の固形物をジェットミルで粉砕した後、エルボージェット分級機(マツボー製)で分級し、個数平均粒径2.6μm、平均円形度0.43の粉体状のステアリン酸亜鉛1を得た。
トナー母粒子1 : 100質量部
外添剤1 : 1.0質量部
外添剤2 : 2.0質量部
ステアリン酸亜鉛1 :0.2質量部
以上各成分をヘンシェルミキサーにて3,000rpmで3分間混合し、目開き45μmのφ200mmステンレス製試験用ふるい(東京スクリーン(株)製)を用いて粗大粒子を除去し、トナー1を得た。
トナー1の作製において、ステアリン酸亜鉛1の量を0.4質量部にした以外はトナー1の作製と同様にして得られたトナーをトナー2とした。
次いで、トナー2を6.0部に対し前記キャリア1を100部の比率でV−ブレンダーに投入し、40rpmで20分間混合撹拌した後、目開き212μmのφ200mmステンレス製試験用ふるい(東京スクリーン(株)製)を用いて篩うことにより、現像剤2を得た。
トナー1の作製において、ステアリン酸亜鉛1の量を0.1質量部にした以外はトナー1の作製と同様にして得られたトナーをトナー3とした。
次いで、トナー3を6.0部に対し前記キャリア1を100部の比率でV−ブレンダーに投入し、40rpmで20分間混合撹拌した後、目開き212μmのφ200mmステンレス製試験用ふるい(東京スクリーン(株)製)を用いて篩うことにより、現像剤3を得た。
トナー1の作製において、ステアリン酸亜鉛1を用いなかった以外はトナー1の作製と同様にして得られたトナーをトナー4とした。
次いで、トナー4を6.0部に対し前記キャリア1を100部の比率でV−ブレンダーに投入し、40rpmで20分間混合撹拌した後、目開き212μmのφ200mmステンレス製試験用ふるい(東京スクリーン(株)製)を用いて篩うことにより、現像剤4を得た。
<実施例1乃至17及び比較例1乃至4>
感光体1乃至17を用い表3に示すように感光体と現像剤を組み合わせて画像形成テストを行った。実験機は富士ゼロックス社製 DocuCentre−II C7500のドラムカートリッジから潤滑剤供給装置を外して使用した。テストは白黒モード(75枚/分)を使用した。テストは高温高湿(28℃、80%RH)環境下において図7(A)に示すような画像密度100%画像部と、30%画像部と、0%非画像部が存在し、全体の画像密度が7%になるように調整した画像の出力を、感光体が50000回転(誤差1%以内)するまで画像出力(A4用紙にしておよそ2.5万枚)した。
画像出力後、電気特性評価、解像度評価、感光体1000回転当たりの表面保護層の画像部(100%画像部)、非画像部(0%画像部)それぞれの摩耗量(nm)及びZn被覆率の測定を実施した。
感光体として感光体1を、現像剤として現像剤4を用いて画像形成テストを実施した。実験機として富士ゼロックス社製 DocuCentre−II C7500のドラムカートリッジを潤滑剤を外さずそのまま使用した以外は、上記画像形成テストと同様に評価を実施し、電気特性評価、解像度評価、感光体1000回転当たりの表面保護層の画像部(100%画像部)、非画像部(0%画像部)それぞれの摩耗量(nm)及びZn被覆率の測定を実施した。
まず初期の感光体の電気特性評価として、現像手段を取り外し、電位計を設置して、感光体表面電位が−700Vになるように、スコロトロン(非接触型帯電手段)のグリッド電圧を調整した。次に露光部電位が−350Vになるように露光光量を設定した。この露光光量を用いて10万枚の画像形成を行った後に、再び露光部電位を測定し、初期との差分をΔVLで表した。
○:ΔVL<10
△:10≦ΔVL<15
×:15≦ΔVL
初期の感光体電気特性評価と同様にして、グリッド電圧と露光光量を調整した。次に3pt文字を印字し、その文字を拡大・観察し、文字に乱れ・つぶれがないか評価を行った。
○:図6(A)のごとく良好である
△:図6(B)のごとく部分的な乱れやかすれがある(文字の判別は可)
×:図6(C)のごとく文字がつぶれ、判読不可。
摩耗量の測定は上記画像形成テスト時において、表面保護層の初期膜厚をあらかじめ測定しておき、初期膜厚と感光体1000回転後の膜厚との差分を測定し、表面保護層の摩耗量(nm)を算出した。なお、膜厚は自作の干渉式膜厚測定器を用いて測定したが、摩耗量を算出されれば市販の膜厚測定器(たとえばフィッシャースコープ社製パーマスコープなど)を用いてもよい。
○:画像部/非画像部とも2.5nm未満
△:画像部/非画像部のうち大きいほうが2.5nm以上、5nm未満
×:画像部/非画像部のどちらかもしくは両方が5nm以上
XPS分析による亜鉛の被覆率は、JPS 9010(日本電子(株)製)により測定した亜鉛の全元素に対する比の値に基づいて決定した。XPS分析は感光体の極表面の分析であるため、ステアリン酸亜鉛の塗布量の増加に対して亜鉛の全元素に対する比の値が飽和する。飽和した亜鉛の全元素に対する比の値を被覆率100%として感光体表面の亜鉛の被覆率を決定した。
電気特性評価、解像度評価、摩耗量、亜鉛の被覆率の各評価の結果に基づき、以下の基準で総合判定をした。
○:良好(全ての項目が○)
△:若干劣るが問題なし(△が1つまで)
×:使用不可(×が1つ以上)
Claims (3)
- 導電性基体、前記導電性基体上に配置されている感光層、及び、前記感光層上に配置されており、フッ素系樹脂粒子及びフッ化アルキル基含有共重合体を含有する表面保護層を有し、
前記表面保護層が、グアナミン化合物及びメラミン化合物から選択される少なくとも1種と、アルコキシ基を有する電荷輸送物質に由来する構造と、水酸基を有する電荷輸送物質に由来する構造とを含み、
前記フッ素系樹脂粒子及び前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた表面保護層の全固形分に対する、前記グアナミン化合物及び前記メラミン化合物の総含有量が5質量%以上20質量%以下であり、
前記フッ素系樹脂粒子及び前記フッ化アルキル基含有共重合体を除いた表面保護層の全固形分に対する、前記アルコキシ基を有する電荷輸送物質に由来する構造の含有量が10質量%以上40質量%以下である電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナー粒子及びステアリン酸亜鉛を含む現像剤を収容し、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を前記現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記電子写真感光体の表面に残留する現像剤を除去するクリーニング手段と、
を備え、
画像部と非画像部を有する画像密度7%の画像形成を繰り返して前記電子写真感光体を50000回転させた後の前記電子写真感光体の表面をX線光電子分光法(XPS)で分析したときの亜鉛被覆率が下記式(1)を満たし、
前記電子写真感光体の表面のうち、前記画像部に相当する領域における亜鉛被覆率と前記非画像部に相当する領域における亜鉛被覆率との差が10%以下である画像形成装置。
55%≦亜鉛被覆率≦100% (1) - 前記フッ素系樹脂粒子が、4フッ化エチレンの重合体及び4フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記フッ化アルキル基含有共重合体が、下記構造式A及び下記構造式Bで表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
(構造式A及び構造式Bにおいて、l、m及びnは1以上の整数を、p、q、r及びsは0または1以上の整数を、tは1以上7以下の整数を、R1、R2、R3及びR4は水素原子又はアルキル基を、Xはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−又は単結合を、Yはアルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(CzH2z−1(OH))−又は単結合を表す。zは1以上の整数を表す。Qは−O−又は−NH−を表す。)
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