次に本発明の画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の画像形成方法を実施するために用いることができる具体的な装置の一例を示す。
図1において、1は感光体(感光ドラム)で、その周囲に一次帯電ローラー6、現像器7、転写帯電ローラー8が設けられている。そして感光体1は一次帯電ローラー6によって帯電される。そして、レーザー発生装置によりレーザー光Lを感光体1に照射することによって露光される。感光体1上の静電潜像は現像器7によってトナーで現像され、転写材5を介して感光体に当接された転写帯電ローラー8により転写材5上へ転写される。トナー画像をのせた転写材5は搬送ガイドを経て定着器3へ運ばれ転写材上に定着される。又、一部感光体上に残されたトナーは感光体に接触する弾性クリーニングブレード4により感光体表面上から除去される画像形成方法である。
本発明の特徴は、図1で示す感光体1が、表面層に分子内に不飽和重合性官能基を重合させた化合物を含有していることであり、耐久を通じて画像形成中の該感光体に接触する弾性クリーニングブレードの動摩擦力の標準偏差(動摩擦偏差)Cが10×9.8mN≦C≦45×9.8mNであることである。標準偏差Cが45×9.8mNを超えると、弾性ブレードが振動或はびびってしまい、弾性ブレードが捲れてしまい画像不良が生じたり、びびりが生じることで、ブレードと感光体との間に隙間が生まれ、そこからブレード部に堰き止められていた転写残のトナーがすり抜けてしまったり、ブレードと感光体との当接ニップ部に異物が挟まれ易くなり、それを起点に感光体に傷が発生してしまう。又、弾性を有するブレードに強い負荷がかかり、それにより、ブレードの先端が欠けてしまい、そこから転写残トナーのすり抜けが発生してしまう。
逆に標準偏差(動摩擦偏差)Cが10×9.8mN未満であると、感光体と弾性ブレードが極端に滑ってしまい、滑ることで転写残トナーを堰き止めることが不可能になりクリーニング不良が発生してしまう。より好ましい範囲は15×9.8mN≦C≦30×9.8mNの範囲である。
ブレードの動摩擦力の標準偏差(動摩擦偏差)Cの測定方法を、図2を用いて説明する。試料である感光体11を、駆動系(不図示)により、矢印R11方向に所定(実使用上の速度)の面速度(周速度)で回転駆動する。感光体11の周囲には、弾性クリーニング部材12(すなわち、弾性ブレード)を所定(実使用上の角度)の当接角αで固定したホルダー13、帯電器15、露光系16、現像器17が適宜な角度で配置される。更に必要に応じて、実使用上で使用する場合は、潤滑材供給用部材(潤滑材供給手段)やクリーニングローラ(いずれも不図示)等の補助部材を配置する。
ホルダー13は、バランスアーム18により、無負荷の状態で水平にて感光体11に当接するように調整される。更にホルダー13は、上皿19を有し、ここに当接圧用の負荷を加える。当接圧用の負荷質量は、実使用で使用する場合の圧になるように質量を選択する。更に、ホルダー13には荷重変換器14が設置され、同図の左右方向にかかる力を検出する。更に、荷重変換器14は動歪みアンプ(新東科学製HEIDON 3K−84A)を介して、オシロスコープ及びコンピュータ等20へと接続される。
更に、長さ50mmの弾性クリーニング部材12に負荷を載せ、当接圧を調節した後、弾性ブレードの感光体への当接角度や、当接面が感光体に傾きや感光体から浮いていることがないようにブレードを調整し、感光体と弾性ブレードとの当接面に実使用上で用いるトナーを弾性ブレードの長さ全体に均一に介在するように感光体上にトナーを載せた後に弾性ブレードを感光体11に当接させる。更に、駆動系(不図示)により、感光体11を所定の速度(画像形成で用いるプロセススピード)で5秒間回転させ、回転開始時及び回転までの荷重変換器14にかかる力を摩擦力として動歪みアンプ、オシロスコープ等20の機器により検出する。
図3(a)に、検出された摩擦力の例を示す。横軸に時間、縦軸に摩擦力を取っている。抗力、即ち負荷を持ってクリーニング部材12が感光体11に当接された状態で、感光体11とクリーニング部材12が所定の相対速度で駆動されるとき、駆動開始時の直前には、摩擦力は最大の最大静止摩擦力となる。そして、その後の定常回転時(定常駆動時)には、ほぼ一定の範囲でばらつく摩擦力となる。ここで定常回転での平均値を動摩擦力という。
感光体11と弾性クリーニング部材12の表面粗さや凝着等の表面状態により、定常回転時において、必ずしも摩擦力は動摩擦力に安定しておらず、微少な変動を伴う。この定常回転時、即ち動摩擦力が作用するときのその摩擦力のばらつきとして、動摩擦力の標準偏差(弾性クリーニング部材の動摩擦力の標準偏差の値C)を算出した。つまり、弾性クリーニング部材の動摩擦力の標準偏差の値Cは測定時間内で抽出した各測定時間における動摩擦力の測定値をXとし、その測定数をnとしたときに、
動摩擦偏差=((nΣX2−(ΣX)2)/n2)(1/2)
で算出することができる。
更に、抗力としてホルダー13に付随の上皿19の負荷を変化させ、動摩擦力の負荷依存性を評価する。そして、負荷質量、つまり当接部の圧力に対しての動摩擦力の相関をとり、0点を通る近似式を求め、その傾きを動摩擦係数とする。
前述のように、動摩擦偏差はクリーニング部材12の当接部の摩擦の変動を意味し、この動摩擦偏差が小さいということは、クリーニング部材12と感光体11との当接部が、クリーニング部材12のバタツキや引っかかり等のない、スムーズな摺擦がなされていることを示す。
感光体1が不飽和重合性官能基を重合させた化合物を含有することにより膜強度が向上し耐久による感光体の表面層の削れが抑制され、高耐久化が図られる。つまり、不飽和重合とは、ラジカル及びイオン等によって不飽和基、例えば、C=C、C≡C、C=O、C=N、C≡N等が重合する反応であるが、主にはC=Cである。
これらの不飽和重合性官能基を有する化合物を重合及び架橋させることで、その感光層中において不飽和重合性官能基を有する化合物は少なくとも2つ以上の架橋点をもって三次元架橋構造の中に共有結合を介して取り込まれる。前記不飽和重合性官能基を有する化合物は、それのみを重合及び架橋させる、或いは他の重合性基を有する化合物と混合させることのいずれもが可能であり、その種類/比率は全て任意に決定できる。
不飽和重合性官能基を有する化合物とその他の重合性化合物の官能基が、同一の基或いは互いに重合可能な基である場合には、両者は共有結合を介した共重合三次元架橋構造をとることが可能である。両者の官能基が互いに重合しない官能基である場合には、感光層は少なくとも二つ以上の三次元硬化物の混合物或いは主成分の三次元硬化物中に他の重合性化合物単量体、或いはその硬化物を含んだものとして構成されるが、その配合比率/製膜方法をうまくコントロールすることで、IPN(Inter Penetrating Network)、即ち、相互進入網目構造を形成することが可能である。
このように上記のように感光体の表面層が三次元架橋構造を有することにより、膜強度が高くなり、転写残トナーを除去するための弾性ブレード等の、感光体と摺擦する部材との摺擦による削れ、一次帯電による表面層の劣化による膜強度の低下が防止でき、長期の耐久による画像形成が可能な感光体を提供することができる。
以下に、不飽和重合性官能基の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
(上記中、Rは置換基を有してもよいメチル基、エチル基及びプロピル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基及び置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基等のアリール基又は水素原子等を示す。)
又、トナーを介在させた状態での弾性ブレードと感光体の動摩擦係数Dが0.1≦D≦1.0であることが好ましい。1.0を超えると標準偏差の値Cが大きくなる傾向がみられ、そのためにブレードのびびりや捲れ等の不良が生じ、0.1未満であると標準偏差の値Cが小さくなる傾向がみられ、トナーの堰き止め能力が劣り、トナーのすり抜け等の不良が生じ易い。動摩擦係数の測定は上述で記載した方法により測定を行った。
更に、不飽和重合官能基をもつ化合物が正孔輸送性化合物であることが好ましい。正孔輸送性化合物であると、電荷発生材料からの電荷(正孔)の注入が起こり易く、残留電位の上昇や、感度悪化、繰り返し使用時の電位変動を抑制し易くなるからである。
以下に好ましい正孔輸送性化合物の例を下記の一般式(1)で示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(P1及びP2は不飽和重合性官能基を示し、P1とP2は同一でも異なってもよい。Zは置換基を有してもよい有機残基を示し、Yは水素原子を示す。a、b及びdは、0又は1以上の整数を示す。但し、a=0の場合はb+dは3以上の整数、b又はdが0の場合はaは2以上の整数、その他の場合はa+b+dは3以上の整数を示す。又、aが2以上の場合P1は同一でも異なってもよく、dが2以上の場合P2は同一でも異なってもよく、又bが2以上の場合、Zは同一でも異なってもよい。)
ここで、「aが2以上の場合P1は同一でも異なってもよく」とは、それぞれ異なるn種類の不飽和重合性官能基をP11、P12、P13、P14、P15…plnと示した場合、例えば、a=3の時に正孔輸送性化合物Aに直接結合する不飽和重合性官能基P1は3つとも同じものでも、二つ同じで一つは違うもの(例えば、P11とP11とP12)でも、それぞれ3つとも異なるもの(例えば、P12とP15とP17)でもよいということを意味するものである(「dが2以上の場合P2は同一でも異なってもよく」というのも、「bが2以上の場合、Zは同一でも異なってもよい」というのもこれと同様なことを意味するものである)。
上記一般式(1)のAは正孔輸送性基を示し、正孔輸送性を示すものであればいずれのものでもよく、P1やZを水素原子に置き換えた水素付加化合物(正孔輸送性化合物)として示せば、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体及びN−フェニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。
以下に正孔輸送性化合物の好ましい例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
又、本発明においては、不飽和重合性官能基の重合及び架橋を放射線により行うことが好ましい。放射線による重合の最大の利点は、重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な三次元感光層マトリックスの作製が可能となり、良好な電子写真特性を確保することができる。又、短時間で、且つ効率的な重合反応であるがゆえに生産性も高い。更に、放射線は透過性に優れるので、添加剤等の遮蔽物質が層中に存在したり、厚い層を形成する際の硬化阻害の影響が非常に小さいこと等も挙げられる。但し、連鎖重合性基の種類や中心骨格の種類によっては重合反応が進行しにくい場合があり、その際には影響のない範囲内で重合開始剤を添加することは可能である。
使用する放射線としては、電子線及びγ線が挙げられるが、効率の点では電子線が好ましい。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型及びラミナー型等いずれの形式も使用することができる。又、電子線を照射する場合に、本発明においては、電気特性及び耐久性能を発現させる上で照射条件が非常に重要である。加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。又、線量は好ましくは10〜1,000kGyの範囲である。線量が10kGyよりも少ない場合には架橋が不十分となり易く、1,000kGyを超えると感光体の劣化が起こり易いので注意が必要である。
前記感光体の表面層にはフッ素系樹脂粉体が含有していることが好ましい。フッ素系樹脂粉体を含有することにより感光体の表面の滑り性が向上し、又、一次帯電による滑り性の低下も抑制されるので、弾性ブレードの振動の標準偏差の値が低く抑えられる。表面層へのフッ素系樹脂粉体の好ましい含有量は表面層全質量に対して5〜40質量%である。5質量%未満では滑り性の向上に効果がみられず、40質量%を超えると表面層の膜強度が低下し、又、表面層とその下層との密着性も低下するので膜の剥がれ等の問題が生じ易い。
又、フッ素系樹脂粉体を含有する感光体が回転体であり、表面層を塗布後、不飽和重合性官能基を重合し硬化する前に回転体を回転させた後に重合させることが好ましい。フッ素系樹脂粉体を含有した表面層を塗布し、重合させただけではフッ素系樹脂粉体の最表面への露出が十分ではなく、フッ素系樹脂粉体を重合させた化合物が覆ってしまい、十分な滑り性効果が発揮されない。そのために重合前に回転させ、回転させることによる遠心力でフッ素系樹脂粉体が最表面に突出し、表面層上にフッ素の樹脂粉体が露出することで十分な滑り性を発揮させることができるので好ましい。
回転工程は表面層を塗布しながら同時でも構わないが、塗布と同時であると、表面性(粗さ)の乱れが生じ易いので好ましくない。又、好ましい回転体の回転速度は50〜1,500mm/sである。50mm/s未満であるとフッ素系樹脂粉体の露出効果が十分でなく、1,500mm/sを超えると、表面粗さが悪化する傾向にあるので好ましくない。
更に回転工程では感光体を加熱させながら回転させると、よりフッ素系樹脂粉体の露出効果が現れる。これは加熱させることで塗布された表面層の粘度が低下し、遠心力によるフッ素系樹脂粉体の最表面への移動がよりし易くなるためと推測される。加熱温度としては感光体の表面温度が80〜300℃が好ましい。50℃未満ではフッ素系樹脂粉体の露出効果が十分でなく、300℃を超えると感光層の劣化が顕著になり、感光体の電位特性(残留電位等)が悪化し、又、表面層の表面粗さも悪化する傾向にあるので好ましくない。
表面へのフッ素系樹脂粉体の露出効果の確認は、例えば、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、感光体の表面層をカミ剃りで削るように採取し、加速電圧2kVで5,000倍視野で観察し、露出しているフッ素系樹脂粉体の個数を評価することでフッ素系樹脂粉体の表面露出効果を確認できる。
本発明で使用するトナーは、そのトナー表面に潤滑性を有する化合物が存在していることが好ましい。潤滑性を有する化合物を含有したトナーとしては、特開2001−209206号公報、特開平6−175393号公報及び特開平9−288380号公報等が挙げられるが、それらには、特に感光体の規定はない。しかしながら、特に摩耗量が少ない不飽和重合性官能基を有した化合物を重合させた重合体を含有した感光体を用いる場合においては、感光体と弾性ブレードとの間に介在した場合にトナー自体の潤滑効果のために振動標準偏差の値を抑制させることができるので更に好ましく、潤滑性粒子の遊離率も下記に示した範囲が特に好ましい。
本発明で用いる潤滑性を有する化合物を判断するためには次のような方法を用いることができる。試験する化合物や粉体20質量部とウレタンプレポリマー100質量部とを攪拌混合し、硬化剤5質量部を添加混合した後ポリエチレンテレフタレート(PET)板上にスプレー塗布して試験サンプルを作製する。この時トルエンとメチルエチルケトン(MEK)との混合溶媒により塗料粘度の調整を行い均一な塗装表面が得られるように注意する。一方、試験する粉体を添加しない以外は同様にして比較サンプルを作製する。
次に表面性測定機HEIDON 14−DR(新東科学社製)を用いて両者の滑り抵抗を測定する。測定方法としては、測定対象物として未塗装のPET板をASTM D−1894で規定された平面圧子に固定し、200gfの垂直荷重下に100mm/minの速度で塗装サンプルを水平移動させる。試験サンプルの滑り抵抗が比較サンプルの80%以下であれば試験粉体は潤滑性を有する化合物や粉体と判断できる。
好ましい高潤滑性粉体として、例えば、下記のものが挙げられるが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。フッ素ゴム、フッ素エラストマー、黒鉛やグラファイトにフッ素が結合したフッ化炭素及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等の樹脂のようなフッ素化合物の粉体、シリコン樹脂粒子、シリコンゴム、シリコンエラストマー等のシリコン系の粉体、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、アルミナ、酸化マグネシウム等の無機粉体等であり、これらを単独又は複数混合して使用することもできる。
特にトナー表面への分散性等を考慮すると、好ましい潤滑性を有する化合物としてはフッ素系樹脂、脂肪酸金属塩、シリコン系樹脂が好ましい。又、潤滑性を有する化合物や粉体の形状や粒径も特に限定されるものではなく、球状、繊維状、板状、不定型等、潤滑性が得られればどのような形状でも使用でき、粒径も制限はないものの、トナー表面への分散性や表面性を考慮すると0.005μm〜1μmの範囲が好ましい。これらの粉体には潤滑性を阻害しない範囲で必要に応じて表面処理を行ってもよい。
又、潤滑性を有する化合物のトナー粒子からの遊離率が5〜90%であることが好ましい。遊離率が5%未満ではトナー粒子から遊離している潤滑性化合物の量が少なく、ブレードと感光体にトナーが介在した場合に潤滑効果が発揮されにくく振動を抑制できないので好ましくなく、90%を超えると潤滑性化合物の遊離量が多いので、現像特性への影響(現像器への蓄積、飛散)が懸念されるので好ましくない。更に、好ましい範囲は20〜50%である。
潤滑性を有する化合物の遊離率は、トナー粒子に含まれる炭素原子と潤滑性化合物に含まれる原子(例えば、フッ素樹脂ならフッ素原子、ステアリン酸亜鉛なら亜鉛原子)との個数の和に対する、トナー粒子に含まれない潤滑性化合物に含まれる原子の個数の比によって表される。上記遊離率は、Japan Hardcopy97論文集の65〜68ページに記載の原理で測定することができ、具体的には、トナー粒子を一個ずつプラズマへ導入し、得られる発光スペクトルからトナー粒子中の元素、トナー粒子数、トナー粒子の粒径を知ることができ、この発光スペクトルから上記遊離率を測定することができる。
上記の測定方法によれば、潤滑性化合物の遊離率は、トナー粒子に含まれる結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、潤滑性化合物の原子の発光から次式により求められる。
潤滑性を有する化合物の遊離率(%)=100×(潤滑性を有する化合物に含まれる原子のみの発光回数)/((炭素原子と同時に発光した潤滑性を有する化合物に含まれる原子の発光回数)+(潤滑性を有する化合物に含まれる原子のみの発光回数))
上記式において「同時に発光した」とは、潤滑性を有する化合物に含まれる原子の発光であって炭素原子の発光から2.6msec以内の発光をいい、それ以降の潤滑性を有する化合物に含まれる原子の発光は潤滑性を有する化合物に含まれる原子のみの発光とする。又、炭素原子と潤滑性を有する化合物に含まれる原子が同時発光するということはトナー粒子と同期していることを意味し、潤滑性を有する化合物に含まれる原子のみの発光は、潤滑性を有する化合物がトナー粒子から遊離していることを意味する。
遊離率の測定方法は、発光スペクトルを利用したパーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)を使用し測定を行った。具体的な測定方法は以下の通りである。先ず0.1質量%酸素含有のヘリウムガスを用い、23℃で湿度60%の環境にて測定を行い、トナーサンプルを同環境下にて1晩放置し、調湿する。測定に際しては、チャンネル1で炭素原子(測定波長247.860nm、Kファクターは推奨値を使用)、チャンネル2で潤滑性を有する化合物に含まれる原子を測定し、一回のスキャンで炭素原子の発光回数が1,000〜1,400回となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光回数が総数で10,000回以上となるまでスキャンを繰り返し、発光回数を積算する。この時、炭素原子の発光回数を縦軸に、炭素原子の三乗根電圧を横軸にとった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定を行う。そして、このデータを元に、全原子のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い、潤滑性を有する化合物の遊離率を算出する。尚、後述の実施例においても同様に測定した。
更に使用するトナー粒子の平均円形度が0.97以上であることが好ましい。平均円形度が0.97以上であると、ブレードと感光体との間に介在した場合にトナー自体の潤滑作用によりブレードが滑り易くなり、振動の標準偏差が抑制されるので好ましい。
トナー粒子の平均円形度とは、トナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合は1.000を示し、トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法を用いて表されるものであり、トナー粒子の平均円形度は、トナーの円形度を下記式(i)によって求め、更に下記式(ii)で示すように、測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数(m)で除した値として求められる。
トナーの平均円形度は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。測定に際しては、3μm以上の円相当径の粒子群について測定することが好ましい。3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ平均円形度を測定する理由としては、3μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して存在する無機微粉末等の外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その影響によりトナー粒子群についての平均円形度が正確に見積もれないからである。
平均円形度の具体的な測定方法を以下に示す。界面活性剤を約0.1mg溶解している水10mlに現像剤約5mgを分散させて分散液を調整し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5,000〜2万個/μLとして、前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度を求める。
本発明の感光体は、支持体上に感光層として電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を、この順に積層した構成或いは逆に積層した構成、又、電荷発生物質と電荷輸送物質を同一層中に分散した単層からなる構成のいずれの構成をとることも可能である。前者の積層型においては電荷輸送層が二層以上の構成、又、後者の単層型においては電荷発生物質と電荷輸送物質を同一に含有する感光層上に更に電荷輸送層を構成してもよく、更には電荷発生層或いは電荷輸送層上に保護層を形成することも可能である。
これらいずれの場合においても、先の不飽和重合性官能基を有する正孔輸送性化合物及び/又は前記正孔輸送性化合物を重合及び架橋したものを感光層が含有していればよい。但し、電子写真感光体としての特性、特に残留電位等の電気的特性及び耐久性の点より、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した機能分離型感光体構成が好ましく、本発明の利点も電荷輸送能を低下させることなく表面層の高耐久化が可能になった点にある。
電子写真感光体が有する支持体は、導電性を有するものであればよい。例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属や合金をドラム状又はシート状に成形したもの、アルミニウム及び銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化錫等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又は結着樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
本発明においては、支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能をもつ下引き層を設けることができる。下引き層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、又、感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
下引き層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン等が挙げられる。下引き層は、これらの材料をそれぞれに適した溶剤に溶解した溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成される。膜厚は、0.1〜2μmであることが好ましい。
上述のように、積層型の感光層は、電荷発生層及び電荷輸送層を有する。電荷発生物質としては、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染料、又、各種の中心金属及び結晶系、具体的には、例えば、α、β、γ、ε及びX型等の結晶型を有するフタロシアニン化合物、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料、非対称キノシアニン顔料、キノシアニン及び特開昭54−143645号公報に記載のアモルファスシリコン等が挙げられる。
電荷発生層は、前記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アドライダー及びロールミル等の方法でよく分散し、得られた分散液を塗布し、乾燥することによって形成されるか、前記電荷発生物質の蒸着膜等、単独組成の膜として形成される。その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることが好ましい。
結着樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明における不飽和重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、前述した電荷発生層上に電荷輸送層として、若しくは電荷発生層上に電荷輸送物質と結着樹脂からなる電荷輸送層を形成した後に正孔輸送能力を有する表面保護層として用いることができる。この表面保護層は正孔輸送能力を有するので、感光層の定義の範囲内に含める。いずれの場合も、前記正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合及び架橋反応させるのが好ましいが、前もって正孔輸送性化合物を含む溶液を反応させて硬化物を得た後に、再度溶剤中に分散或いは溶解させたもの等を用いて、表面層を形成することも可能である。
不飽和重合性基を有する正孔輸送性化合物を電荷輸送層として用いた場合の正孔輸送性化合物の量は、硬化後の電荷輸送層の全質量に対して、正孔輸送性基(例えば、一般式(1)中のA)の水素付加物が20質量%以上、好ましくは40質量%以上含有されていることが好ましい。20質量%に満たないと電荷輸送能が低下し、感度の低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易くなる。電荷輸送層の膜厚は、1〜50μmであることが好ましく、特には3〜30μmであることが好ましい。
正孔輸送性化合物を電荷発生層/電荷輸送層上の表面保護層として用いた場合、その下層に当たる電荷輸送層は適当な電荷輸送物質、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体及びヒドラジン誘導体等の低分子化合物等を適当な結着樹脂(前述の電荷発生層用樹脂の中から選択できる)と共に溶剤に分散/溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
この場合の電荷輸送物質と結着樹脂の比率は、両者の全質量を100とした場合に電荷輸送物質の質量が30〜100であることが好ましく、特には50〜100であることが好ましい。電荷輸送物質の量が30に満たないと、電荷輸送能が低下し、感度の低下及び残留電位の上昇等の問題点が生じ易くなる。電荷輸送層の膜厚は、上層の表面保護層と合わせた総膜厚が1〜50μmとなることが好ましく、特には5〜30μmであることが好ましい。
本発明においては上述のいずれの場合においても、連鎖重合性基を有する正孔輸送性化合物の硬化物を含有する感光層に、前記電荷輸送物質を含有することが可能である。単層型感光層の場合は、正孔輸送性化合物と電荷発生物質の両方を含有する溶液を重合及び架橋することによって形成するか、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する単層型感光層上に正孔輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合及び架橋することによって形成する。
本発明における感光層には、上述したフッ素系樹脂粉体以外にも各種添加剤を添加することができる。添加剤とは酸化防止剤及び紫外線吸収剤等の劣化防止剤、その他である。
上記各層用の溶液を塗布する方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法及びスピンコーティング法等が挙げられるが、効率性や生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。又、蒸着、プラズマ、その他の公知の製膜方法が適宜選択できる。
本発明で用いるトナーは、粉砕法や重合法により製造することができる。先ずは、粉砕法を例示する。結着樹脂、着色剤、場合によって磁性材料、離型剤、荷電制御剤等のトナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサーやボールミル等の混合器により十分混合してから、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融混練して、冷却固化、粉砕後、分級し、必要に応じて(具体的には球形度を向上させる等)表面処理を行ってトナー粒子を得ることができる。得られたトナー粒子に、無機微粉末や潤滑剤等の外添剤を混合させてトナーとする。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。粉砕工程は、機械衝撃式やジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。
トナーに使用される着色剤としては、従来より知られている染料及び/又は顔料が使用可能である。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザーイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー等が挙げられる。着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜20質量部、更にトナー像を定着したOHPフィルムの透過性をよくするためには12質量部以下が好ましく、更に好ましくは0.5〜9質量部がよい。
本発明におけるトナーに使用される結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、ビニル系単量体が挙げられる。ビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の二重結合を有するモノカルボン酸若しくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル等の二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;等が挙げられる。これらは、単独若しくは2つ以上用いられる。
又、更に結着樹脂は、架橋性モノマーで架橋された重合体又は共重合体であってもよい。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等のエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等の芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;商品名MANDA(日本化薬)等のポリエステル型ジアクリレート類;等が挙げられる。
更に、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等も架橋性モノマーとして挙げられる。
これらの架橋性モノマーは、他のモノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、更に好ましくは0.03〜5質量部用いることができる。これらの架橋性モノマーのうち、定着や、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類等が挙げられる。更に、結着樹脂としてはポリエステル系樹脂も好ましい。
本発明におけるトナーは、荷電制御剤をトナー粒子に配合(内添)して用いることが好ましい。荷電制御剤によって、現像方法に応じた最適の荷電量コントロールが可能となり、特に本発明においては、粒度分布と荷電のバランスを更に安定にしたものとすることが可能であり、荷電制御剤を用いることで先に述べた粒径範囲毎による高画質化のための機能分離及び相互補完性をより明確にすることができる。
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩;等を単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系化合物及び四級アンモニウム塩等の荷電制御剤が、特に好ましく用いられる。更に、スチレン、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等を正荷電制御剤として用いることができ、この場合、これらの荷電制御剤は結着樹脂(の全部又は一部)としての作用をも有する。
負荷電制御剤としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体等がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及び金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。
上述した荷電制御剤(結着樹脂としての作用を有しないもの)は、微粒子の形態として用いることが好ましい。この場合、この荷電制御剤の個数平均粒径は、具体的には4μm以下、更には3μm以下が好ましい。トナーに内添する際、このような荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部(好ましくは0.2〜10質量部)用いる。
本発明におけるトナーに用いられる離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体等で、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。更には、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、或いはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等示差熱分析における吸熱ピークを45℃以上110℃以下、更には50℃以上90℃以下に有するものが好ましい。離型剤の含有量としては、トナー全体に対して0.5〜50質量%の範囲が好ましい。含有量が0.5質量%未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、50質量%を超えてしまうと長期間の保存性が悪化することがある。
本発明におけるトナーが磁性トナーとして用いられる場合に、トナーに含有される磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、或いは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)及びニッケル粉(Ni)等が挙げられる。
上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せで使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄等の磁性酸化鉄の微粉末である。磁性酸化鉄には着色剤としての効果もあるのでより好ましい。磁性材料の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部、好ましくは20〜150質量部であるのがよい。
次に重合法として懸濁重合法を例示する。
結着樹脂となる重合性単量体及び着色剤、更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、離型剤、可塑剤、磁性材料、酸化スズ微粒子を内添する場合は酸化スズ微粒子、その他の添加剤等をホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解又は分散させた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加するとき同時に加えてもよいし、水系媒体中に懸濁する直前に混合してもよい。又、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体或いは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。
重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
これらの単量体は単独、又は混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、或いは他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
重合性単量体系に樹脂を添加して重合してもよい。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等の親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい場合には、これらとスチレン或いはエチレン等のビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、或いはグラフト共重合体等の共重合体の形にして、或いはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等の重付加重合体の形で使用が可能となる。
こうした極性官能基を含む高分子重合体の樹脂をトナー中に共存させると、離型剤を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得ることができる。このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。5,000未満、特に4,000以下では、本重合体が表面付近に集中し易いことから、現像性や耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。又、極性重合体としては特にポリエステル樹脂が好ましい。
又、材料の分散性や定着性、或いは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中に添加してもよく、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等が単独或いは混合して使用できる。これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部を超えて添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる傾向がある。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
架橋剤を添加してもよく、好ましい添加量としては、結着樹脂100質量部に対して0.001〜15質量部である。架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独若しくは混合物として用いられる。
分散安定剤としては、界面活性剤や有機・無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が分散安定性の面から好ましい。無機分散剤としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用することが望ましいが、超微粒子を発生し難いものの、トナーを微粒化するには不十分であるので、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
本発明に係るトナーは、上述した潤滑剤の他に、流動化剤及び転写助剤として平均一次粒径4〜80nmの無機微粉末が添加されるのが好ましい。無機微粉末は、トナーの流動性改良、トナー粒子の摩擦帯電量均一化及び転写性の向上のために添加されるが、無機微粉末を疎水化処理する等の処理によってトナー粒子の摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
無機微粉末の平均一次粒径が80nmよりも大きい場合、又は80nm以下の無機微粉末が添加されていない場合には、転写残トナーが多くなり、安定して良好な帯電特性を得ることが困難である。又、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題を避けられない。無機微粉末の平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉末の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体又はトナー担持体等を傷つける等による画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の摩擦帯電量分布をより均一とするためには無機微粉末の平均一次粒径は6〜70nmであることが更に好ましい。
本発明において、無機微粉末の平均一次粒径の測定方法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉末の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー粒子表面に付着又は遊離して存在している無機微粉末の一次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径を求めることができる。
本発明で用いられる無機微粉末としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、或いはそれらの複合酸化物等が使用できる。例えば、シリカ、所謂ケイ酸微粉末としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉末の内部にあるシラノール基が少なく、又、Na2O、SO3 -等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。又、乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉末を得ることも可能でありそれらも包含する。
平均一次粒径が4〜80nmの無機微粉末の添加量は、トナーに対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%を超えると定着性が悪くなる傾向がある。
無機微粉末は、疎水化処理された物であることが高温高湿環境下での特性から好ましい。トナー粒子と混合された無機微粉末が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなる。疎水化処理の処理剤としては、シリコンワニス、各種変性シリコンワニス、シリコンオイル、各種変性シリコンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物のような処理剤を単独で又は併用して処理してもよい。その中でも、シリコンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉末をシラン化合物(ヘキサメチルジシラザン等)で疎水化処理すると同時又は処理した後に、シリコンオイルにより処理したものが、高湿環境下でも現像剤の摩擦帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
無機微粉末の処理条件としては、例えば、第一段反応としてシラン化合物でシリル化反応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。上記シリコンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、更には3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉末に安定性がなく、熱及び機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
使用されるシリコンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイル、α−メチルスチレン変性シリコンオイル、クロルフェニルシリコンオイル、フッ素変性シリコンオイル等が特に好ましい。シリコンオイルの処理の方法としては、上述のように例えば、シラン化合物で処理された無機微粉末とシリコンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉末にシリコンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。
或いは適当な溶剤にシリコンオイルを溶解或いは分散させた後、無機微粉末を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉末の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。シリコンオイルの処理量は無機微粉末100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる。
本発明で用いられる平均一次粒径が4〜80nmの無機微粉末は、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が20〜250m2/g範囲内のものが好ましい。比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
本発明におけるトナーは、高画質化のためにより微小な潜像ドットを忠実に現像するために、重量平均粒径が3〜10μmであることが好ましい。重量平均粒径が3μm未満のトナーは、トナーの転写効率の低下から像担持体上の転写残トナーが多くなり、接触帯電工程に用いた場合に帯電部材を汚染してしまう傾向がある。更に、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び攪拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に摩擦帯電させることが困難となることからカブリや転写性が悪化傾向となり、帯電性以外の要因による画像欠陥の原因となり易い。又、トナーの重量平均粒径が10μmを超える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じ易く、高解像度が得られにくい。更に装置が高解像度になっていくと1ドットの再現が悪化する傾向にもなる。
トナーの平均粒径の調整方法は、風力や目開きの違うふるいを用いて分級操作を行うことで調整できる。本発明のトナーの重量平均粒径及び体積平均粒径はコールターカウンターTA−II型或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能である。具体的には、下記のように測定できる。コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布及び体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調整する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定手順は以下の通りである。前記電解水溶液を100〜150ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行ない前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積及び個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係わる所の体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)を求める。
又、本発明の画像形成方法には、感光体に接触し、感光体を摺擦する補助部材を有した方が好ましい。感光体に接触する補助部材を有することで、感光体表面の滑り性を低下させる、感光体上に蓄積した放電生成物をその補助部材を感光体に摺擦させることで除去させること、又、除去させ易くすることが可能になり、感光体表面の滑り性の低下を緩和させることが可能になるからである。
補助部材の配設場所としてはクリーニング工程に対して感光体の回転方向上流側で、転写工程に対して感光体の回転方向下流側に配置することが好ましい。そのような場所であると、補助部材がクリーニングの補助部材としての作用(転写残トナーの掻き取りや、クリーニングブレード部への安定したトナー粒子の供給等)効果もあるからである。又、他の場所であると、前露光、像露光、感光体上に現像されたトナー像等を妨げる、乱す恐れがあるので好ましくない。
前記補助部材としてのファーブラシの条件としては、素材としてはナイロンの他、レーヨンやポリエステル、アクリル等の様々な素材で適用でき、又、織度としては、0.2〜3.3Tex、好ましくは0.3〜2.2Tex、より好ましくは0.4〜1.1Texが良好で、繊維密度としては、15.5〜310本/mm2、好ましくは46.5〜155本/mm2が良好である。
0.2Tex未満、密度15.5本/mm2未満では放電生成物の除去効果が少なく、ドラム表面の滑り性の低下を抑制させることが困難であるので好ましくなく、3.3Tex、密度310本/mm2を超えると感光体の表面を摺擦する力が増し、感光体の表面に傷の発生や、感光体の削れが増すので好ましくない。ブラシの織度や密度は10〜300倍程度の倍率で光学顕微鏡を用いて観察することで測定することができる。
前記補助部材としてのスポンジローラとしては、発泡ポリウレタン、発泡シリコン、発泡EPDM等のスポンジローラを用いている。例えば、発泡ポリウレタンは、ポリイソシアネートプレポリマーとポリエーテル系ポリオールとを主体とした主原料と、シリコンをアルキルベンゼン溶媒に溶かした整泡剤である低粘性混合液等を配合して調整溶液を作り、これを反応成形してウレタンゴムスポンジ体であるローラ本体を成形し、このローラにシャフトを装着して製作されるものである。
スポンジローラ表面のセルの大きさは、像担持体表面の転写残トナーの掻き取りや、廃トナー塗布に影響し、好ましくはセルの直径が0.1〜100μmが好適であり、0.1μm未満では補助部材の感光体の回転に対するトルクが上昇するので好ましくなく、100μmを超えると放電生成物の除去が困難になるので好ましくない。更に好ましくは1〜10μmが好適である。
スポンジローラ表面のセル径は日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、300〜1,000倍に拡大した部材を観察することで測定することができる。スポンジローラ硬度としては10〜50°(アスカーC)が好ましく、10°未満では摺擦力不足となり、放電生成物の除去が困難になり、50°を超えると、摺擦力が増し、感光体に対して傷をつけてしまうからであり、より好ましくは20〜40°である。
感光体上の転写残余のトナーをクリーニングする弾性ブレードの材質としてはシリコンゴム又はウレタンゴム等の弾性体材料、或いはこれらの発泡体やフェルト等が採用される。その中でも高硬度でしかも弾性に富み、耐摩耗性、機械的強度、耐油性、耐オゾン性に卓越しているウレタンゴムからなるクリーニングブレードによって前記残留トナーを掻き落すようなものが、その構成が簡単でコンパクトで低コストであり、しかもトナー除去機能も優れているので広く実用化されている。
又、弾性ブレードと感光体との摩擦力を低減させるために、クリーニングブレードと感光体との当接部に黒鉛、ボロンナイトライド、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、二酸化ケイ素等の無機物質や、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド(ナイロン樹脂)、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリイミド等の有機物質の固形粉末(潤滑剤)を塗布することによって摩擦力を軽減させても構わないが、装置の長期使用にともなってクリーニングブレードのエッジ部から潤滑剤がなくなり、再び摩擦力が増加するため、クリーニングブレードと感光体との摩擦力軽減のための抜本的な解決とはならない。又、この対策をとるためには、上記の潤滑剤をクリーニングブレードのエッジ部に定期的に供給するための様々な装置が必要で、その結果、クリーニング装置の構成が複雑となり、コストの大幅なアップとなる問題が生じる。
又、クリーニングブレードと感光体との摩擦力の軽減を図る方法として、弾性ブレードの感光体との当接面に摩擦力低減効果のあるナイロン樹脂やフッ素樹脂層を配設したクリーニングブレードを用いる方法があるが、これも長期使用によって樹脂層が削れ、摩耗することにより、摩擦力が増大する問題を生じる。上述より、高耐久の感光体を用いた場合に、長期の使用を通じて弾性ブレード自体で感光体との動摩擦の標準偏差を好ましい範囲に収めるには困難である。
以下に本発明の実施例を具体的に示すが、本発明はこれらに限られるものではない。先ず本発明の画像形成方法に使用される感光体と現像剤についての具体例を示す。尚、実施例及び比較例中の部及び%は質量部を表す。
感光体製造例1)
直径30mm×357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分熱硬化して、膜厚が18μmの導電層を形成した。
・導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
・抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
・バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
・レベリング材:シリコンオイル 0.001部
・溶剤:メタノール/メトキシプロパノール(0.2/0
.8)混合溶剤 15部
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部及びnブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬コーティング法で塗布して、膜厚が0.7μmの中間層を形成した。次にCuKα特性X線回折のブラック角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン4部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン80部を直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル80部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬コーティング法で塗布して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
次いで下記構造式のスチリル化合物7部
及びポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ(登録商標)800、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)10部をモノクロロベンゼン105部及びジクロロメタン35部の混合溶媒中に溶解して調整した電荷輸送層用塗料を用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を形成した。このときの電荷輸送層の膜厚は10μmであった。
次いで、下記構造式
の正孔輸送性化合物45部をn−プロピルアルコール55部に溶解し表面保護層用塗料を調整した。この塗料を用いて、前記電荷輸送層上に保護層を塗布したのち、加速電圧150KV、線量200kGyの条件で電子線を照射し、膜厚5μmの保護層を形成し、感光体1を得た。
感光体製造例2)
感光体製造例1の正孔輸送性化合物45部をn−プロピルアルコール55部に溶解し、5部のポリテトラフルオロエチレン微粒子(テフロン(登録商標)、デュポン社)を添加分散し、表面保護層用塗料を調整した以外は感光体製造例1と同様の感光体2を得た。
感光体製造例3)
感光体製造例1の正孔輸送性化合物48.5部をn−プロピルアルコール55部に溶解し、1.5部のポリテトラフルオロエチレン微粒子(テフロン(登録商標)、デュポン社)を添加分散し、表面保護層用塗料を調整した以外は感光体製造例1と同様の感光体3を得た。SEMで感光体表面層を観察したところ、フッ素系樹脂粉体の表面への露出効果、つまり露出している個数は殆どないことを確認した。
感光体製造例4)
感光体製造例1の正孔輸送性化合物27.5部をn−プロピルアルコール55部に溶解し、22.5部のポリテトラフルオロエチレン微粒子(テフロン(登録商標)、デュポン社)を添加分散し、表面保護層用塗料を調整した以外は感光体製造例1と同様の感光体4を得た。SEMで感光体表面層を観察したところ、フッ素系樹脂粉体の表面への露出効果、つまり露出している個数は感光体2に比べて1.5倍であることを確認した。
感光体製造例5)
感光体製造例2で電荷輸送層を塗布後、電子線を照射する前に、200mm/sの回転速度で5分間回転させた後に電子線を照射した以外は感光体製造例2と同様の感光体5を得た。SEMで感光体表面層を観察したところ、フッ素系樹脂粉体の表面への露出効果、つまり露出している個数は感光体2に比べて2倍であることを確認した。
感光体製造例6)
感光体製造例5で感光体を回転させる際に感光体の表面温度が100℃になるように加熱しながら回転させた以外は感光体製造例5と同様の感光体6を得た。SEMで感光体表面層を観察したところ、フッ素系樹脂粉体の表面への露出効果、つまり露出している個数は感光体2に比べて50倍であることを確認した。
感光体製造例7)
感光体製造例2で電子線の線量を5kGyとした以外は感光体製造例2と同様の感光体7を得た。
感光体製造例8)
感光体製造例2で電子線の線量を1,500kGyとした以外は感光体製造例2と同様の感光体8を得た。
下記の表1に感光体の照射線量、フッ素系樹脂粉体添加量及び表面への露出程度を纏めて示す。
次にトナーの製造例を示す。
トナー製造例1)
・(樹脂)スチレン−ブチルアクリレート共重合体(共
重合比80:20) 100部
・(着色剤)C.I.ピグメントレッド202
4部
・(荷電制御剤)2,5−ジ−tert−ブチルサリチ
ル酸のAl化合物 2部
・(離型剤)エステルワックス(軟化点 75℃)
3部
・(その他)飽和ポリエステル樹脂 5部
上記材料をあらかじめ混合し、二軸押し出し機にて130℃で溶融混練を行った。この溶融混練物をハンマーミルにて粗砕し、1mmメッシュパスのトナー粗砕物を得た。更にこの粗砕物をジェット気流を利用した衝突式粉砕機で微粉砕した後、風力分級し、体積平均粒径7.5μmのトナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の100部に対して、シリカ母体の表面をシランカップリング剤及びシリコンオイルで疎水化処理した疎水性シリカ(体積平均粒径10nm)を1.0部と酸化チタン(体積平均粒径50nm)を0.8質量をヘンシェルミキサーで外添した平均円形度が0.93の粉砕トナー1を得た。
トナー製造例2)
トナー粒子1の100部に対して、シリカ母体の表面をシランカップリング剤及びシリコンオイルで疎水化処理した疎水性シリカ(体積平均粒径10nm)を1.0部と酸化チタン(体積平均粒径50nm)を0.8質量、ステアリン酸亜鉛1.0部をヘンシェルミキサーで外添した平均円形度が0.93、ステアリン酸亜鉛の遊離率が25%の粉砕トナー2を得た。
トナー製造例3)
トナー粒子1の100部に対して、シリカ母体の表面をシランカップリング剤及びシリコンオイルで疎水化処理した疎水性シリカ(体積平均粒径10nm)を1.0部と酸化チタン(体積平均粒径50nm)を0.8部、フッ化カーボン(体積平均粒径1.5μm)を1.0部をヘンシェルミキサーで外添した平均円形度が0.93、フッ化カーボンの遊離率が40%の粉砕トナー3を得た。
トナー製造例4)
トナー粒子1の100部に対して、シリカ母体の表面をシランカップリング剤及びシリコンオイルで疎水化処理した疎水性シリカ(体積平均粒径10nm)を1.0部と酸化チタン(体積平均粒径50nm)を0.8部、チタン酸ストロンチウム(体積平均粒径1.5μm)を0.5部をヘンシェルミキサーで外添した平均円形度が0.93、チタン酸ストロンチウムの遊離率が15%である粉砕トナー4を得た。
トナー製造例5)
2L用四つ口フラスコ中のイオン交換水710gに、0.1M−Na3PO4水溶液450gを投入し、60℃に加温した後、高速攪拌装置TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12,000rpmにて攪拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、微小な難水溶性分散安定剤を含む水系分散媒体を得た。
一方、分散質として
・(モノマー)スチレン 160g
・n−ブチルアクリレート 40g
・(着色剤)C.I.ピグメントレッド202 8g
・(荷電制御剤)2,5−ジ−tert−ブチルサリ
チル酸のAl化合物 4g
・(離型剤)エステルワックス(軟化点 75℃)
10g
・(その他)飽和ポリエステル樹脂 10g
上記処方のうち、着色剤と2,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のAl化合物とスチレンだけをエバラマイルダー(荏原製作所製)を用いて予備混合を行った。次に上記処方すべてを60℃に加温し、溶解、分散して単量体混合物とした。更に、60℃に保持しながら、開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを加えて溶解し、単量体組成物を調製した。
前記ホモミキサーの2リットルフラスコ中で調製した分散媒体に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて、10,000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で6時間反応させた後、80℃で10時間重合させた。
重合反応終了後反応生成物を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO4)2を溶解し、濾過、水洗及び乾燥することにより、体積平均粒径約7μmの着色懸濁トナー粒子2を得た。このトナー粒子2の100部に対して、シリカ母体の表面をシランカップリング剤及びシリコンオイルで疎水化処理した疎水性シリカ(体積平均粒径10nm)を0.7部と酸化チタン(体積平均粒径50nm)を0.5部をヘンシェルミキサーで外添した平均円形度が0.985のトナー5を得た。
トナー製造例6)
トナー粒子2の100部に対して、シリカ母体の表面をシランカップリング剤及びシリコンオイルで疎水化処理した疎水性シリカ(体積平均粒径10nm)を0.7部と酸化チタン(体積平均粒径50nm)を0.5部、ステアリン酸亜鉛0.8部をヘンシェルミキサーで外添した平均円形度が0.985、ステアリン酸亜鉛の遊離率が20%であるトナー6を得た。
トナー製造例7)
トナー製造例6における外添時間を長くし、ステアリン酸亜鉛の遊離率を3%としたこと以外はトナー6と同様のトナー7を得た。
トナー製造例8)
トナー製造例6における外添時間を短くし、ステアリン酸亜鉛の遊離率を93%としたこと以外はトナー6と同様のトナー8を得た。
下記の表2に潤滑性を有する化合物のトナー粒子からの遊離率、トナー円形度をまとめて示す。
本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置として、レーザービームを用いた有機感光体デジタル複写機(キヤノン社製:GP405)を用意した。該装置の概略は、感光体の帯電手段として帯電ローラを備え、現像手段として感光体上の現像剤と感光体が非接触であって一成分ジャンピング現像方法を採用した一成分現像器を備え、転写手段として帯電ローラを備え、ブレードクリーニング手段、帯電前露光手段を備える。又、感光体帯電器、クリーニング手段及び感光体は一体型のユニットとなっている。プロセススピードは210mm/sである。該装置を以下のように改造を施した。
先ず、現像部分を磁性キャリア(Cu−Znフェライトの表面をフッ素アクリル樹脂で被覆した体積平均粒径40μmのコートキャリア)とトナーで構成され、感光体と接触し、現像工程を行う2成分現像器(現像剤に含まれるトナー量は約8%に調整)に改造し、現像スリーブを現像部で感光体の回転方向と同方向になるようにし、回転速度は250mm/sとした。
更に図4に示すよう、クリーニング部を、厚さγ2mm、感光体と当接する部分から、ブレードが板金等で固定されるまでの長さ、つまり感光体当接部からのブレードの非拘束部分の長さβが10mmに、感光体への当接させる角度αが25度になるように、更に感光体への当接圧を加圧バネ(301)で調整できるようにクリーニング工程部の改造を行った。
ブレードの感光体への加圧力はブレードが感光体に当接する部分のブレードの押し圧をブレードとダミー感光体との間に圧力センサー設置して測定した。ドラム上電位の設定は現像コントラストは250V、バックコントラストは150Vとなるようにドラム上の暗及び明電位から、帯電及び現像の直流電圧を変えることにより調整した。尚、帯電の交流電圧の制御は周波数は1.8kHzのサイン波で、初期に交流電流が2.1mAとなるようにVppを可変にし、その交流電圧で一定定電圧に設定し、現像の周波数は4kHz、1.8kVppの矩形波の一定定電圧とした。
以下の表3に実施例及び比較例に用いたトナー、感光体及びクリーニングブレードの圧力を示す。
但し実施例14の感光体No.8についての耐久評価は感光体No.1の感光体に比べて電位特性がやや悪く十分な現像コントラストがとれずに現像コントラストは200V、バックコントラストは100Vで他の実施例及び比較例とトナーの消費量が同じになるように耐久画像を調整して評価を行った。
上記の画像形成装置を用いて評価環境23℃/60%で画像比率6%A4横通紙7万枚耐久を行い、以下に示す評価方法に従い評価を行った。
評価方法1)
耐久前と耐久後のクリーニングブレード(すなわち、弾性クリーニング部材)の動摩擦力の標準偏差の値Cを明細書に記載の方法で23℃/60%の環境下で測定した。
評価方法2)
耐久前と耐久後の動摩擦係数を明細書に記載の方法で23℃/60%の環境下で測定した。
評価方法3)
耐久中のクリーニングブレードのびびりや欠けによるクリーニング部からのトナーのすり抜けを、耐久前後で未使用の測定用感光体を用いて、一定交流電圧印加で帯電ローラの帯電交流電流値を測定し(トナーがすり抜けて帯電ローラが汚れると抵抗が高くなり帯電電流が低下する現象が生じる)耐久後の電流の低下量を評価することで以下の評価項目に従い評価を行った。
・◎:耐久後の帯電電流の低下電流が0.05mA未満。
・○:耐久後の帯電電流の低下電流が0.05以上0.10mA未満。
・△:耐久後の帯電電流の低下電流が0.10以上0.3mA未満。
・×:耐久後の帯電電流の低下電流が0.3mA以上。
評価方法4)
耐久後の感光体表面の傷を300倍の光学顕微鏡を用いてドラム長手方向全域を観察し、ドラム1mm長さの間の傷の本数を測定し、以下の評価項目に従い評価を行った。
・◎:耐久後の感光体表面上に傷が殆ど確認できない。
・○:耐久後の感光体表面上に傷が数本(5本未満/ドラム1mm間)程度確認できる。
・△:耐久後の感光体表面上に傷が数十本(5〜25本/ドラム1mm間)程度確認できる。
・×:耐久後の感光体表面上に傷が数百本以上(25本超/ドラム1mm間)確認できる。
以下の表4に実施例、比較例の評価結果を示す。
但し実施例13の耐久後の感光体の摩耗量は、実施例8に比べて10倍であった。
次に上記画像形成装置を以下のように改造を行い、その機械を用いて同様の評価を行った。先ずクリーニング工程に対して感光体の回転方向の上流で、転写工程に対して感光体回転方向の下流位置である図1の9の位置に下記の補助部材をブラシ及びローラともに侵入量が1mm程度になるように当接させ、補助部材と感光体との接触位置で、各々の回転方向が反対方向になるように補助部材を回転させ、補助部材の回転速度を52.5mm/secとなるように調節した以外は上記と同様の画像形成装置に改造を行った。評価に用いた感光体とトナーは実施例6の感光体No.2、トナーはNo.7を、ブレード圧は1,000×9.8mNを用いた。
補助部材1)
ファーブラシとして、導電性の繊維を基布に植え付け、それを直径1.5mmの芯金上に巻き付けて直径5mmのブラシ状に構成し芯金は接地されており、導電性繊維として、太さ2.0Texのナイロンの導電糸を用い、繊維密度が93本/mm2となるようにW織りで基布に植え込んだものをシート状に形成し、芯金との導通を確保するようにして螺旋状に巻き付けたファーブラシを補助部材1とした。
補助部材2)
補助部材1の繊維の太さを0.1Texとした以外は補助部材1と同様の補助部材2を作製した。
補助部材3)
補助部材1の繊維の太さを3.7Texとした以外は補助部材1と同様の補助部材3を作製した。
補助部材4)
スポンジローラとして発泡ポリウレタンは、ポリイソシアネートプレポリマーとポリエーテル系ポリオールとを主体とした主原料と、シリコンをアルキルベンゼン溶媒に溶かした整泡剤である低粘性混合液等を配合して調整溶液を作り、これを反応成形してウレタンゴムスポンジ体であるローラ本体成形し、このローラにシャフトを装着して製作されるものである。スポンジローラの芯金は1.5mm、ローラの外径は5mmであり、その硬度は30°(アスカーC)であり、又、スポンジローラ表面のセルの大きさは、7μmである補助部材4を作製した。
補助部材5)
補助部材4のセルの大きさを0.05μmとした以外は補助部材4と同様の補助部材5を作製した。硬度は60°(アスカーC)であった。
補助部材6)
補助部材4のセルの大きさを120μmとした以外は補助部材4と同様の補助部材5を作製した。硬度は15°(アスカーC)であった。
以下の表5に実施例の評価結果をまとめて示す。評価方法は、前記と同じである。