JP4590066B2 - 磁性トナー及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット方式記録法などを利用した、静電潜像を顕像化するためのトナー及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により像担持体(以下、「感光体」ともいう)上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行なって可視像とし、必要に応じて紙などの転写材にトナー像を転写した後、熱あるいは圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。
【0003】
電気的潜像をトナーにより可視化する方法としては、カスケード現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法、キャリアとトナーからなる二成分系トナーを用いる磁気ブラシ現像法、トナー担持体が像担持体と非接触でトナーをトナー担持体から像担持体へ飛翔させる非接触一成分現像法、トナー担持体を像担持体に圧接させ電界によってトナーを転移させる接触一成分現像法、さらには、磁性トナーを用い、中心に磁極を配した回転スリーブを用い感光体上とスリーブ上の間を電界にて飛翔させる、いわゆるジャンピング法も用いられている。
【0004】
ジャンピング法としては、例えば、特開昭54−43027号公報においては、トナー担持体上に絶縁性磁性現像剤を薄く塗布し、これを摩擦帯電せしめ、次いでこれを磁界の作用下で静電潜像にきわめて近接させ、かつ接触することなく対向させ、現像する方法が開示されている。この方法によれば、絶縁性磁性現像剤をトナー担持体上に薄く塗布することにより現像剤の十分な摩擦帯電を可能とし、しかも現像剤を磁力によって支持しつつ静電潜像に接することなく現像が行われるため、非画像部への現像剤の転移、いわゆるカブリが抑制されて高精細な画像を得ることが可能となる。
【0005】
このような一成分現像方式は二成分方式のようにガラスビーズや鉄粉等のキャリア粒子が不要な為、現像装置自体を小型化・軽量化出来る。さらには、二成分現像方式は現像剤中のトナー濃度を一定に保つ必要がある為、トナー濃度を検知し必要量のトナーを補給する装置が必要である。よって、ここでも現像装置が大きく重くなる。一成分現像方式ではこのような装置は必要とならない為、やはり小さく軽く出来るため好ましい。
【0006】
また、プリンター装置はLED、LBPプリンターが最近の市場の主流になっており、技術の方向としてより高解像度即ち、従来240、300dpiであったものが400、600、800dpiとなって来ている。従って現像方式もこれにともなってより高精細が要求されてきている。また、複写機に於ても高機能化が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進みつつある。この方向は、静電潜像をレーザで形成する方法が主である為、やはり高解像度の方向に進んでおり、ここでもプリンターと同様に高解像・高精細の現像方式が要求されてきている。 この要求を満たす一つの手段としてトナーの小粒径化が進んでおり、特開平1−112253号公報、特開平1−191156号公報、特開平2−214156号公報、特開平2−284158号公報、特開平3−181952号公報、特開平4−162048号公報などでは特定の粒度分布の粒径の小さいトナーが提案されている。
【0007】
一方、現像工程で感光体上に形成されたトナー像は転写工程で転写材に転写されるが、感光体上に残った画像部の転写残トナー及び非画像部のカブリトナーはクリーニング工程でクリーニングされ、廃トナー容器に蓄えられる。このクリーニング工程については、従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等が用いられている。装置面からみると、かかるクリーニング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指すときのネックになっている。さらには、エコロジーの観点より、トナーの有効活用と言う意味で廃トナーの少ないシステムが望まれており、転写効率が高くカブリの少ないトナーが求められていた。
【0008】
さて、こういった画像形成プロセスにおいて用いられる現像剤は、結着樹脂と着色剤を主成分とし、他に、荷電制御剤、離型剤などトナーとして必要な特性をひき出すための添加剤を含有しているのが一般的である。磁性トナーの着色剤としては、磁性材料をそのまま着色剤として用いるか、カーボンブラックあるいは非磁性の無機化合物、有機顔料、染料等が磁性材料と共に用いられ、離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンといった結着樹脂とは相溶しにくい材料が用いられる。
【0009】
離型剤を用いる目的は、被転写体上への定着性の良好なトナーを定着部材表面に付着させないことである。近年、プリンター装置は高速化が進んでいるが、それに伴いトナーのより一層の低温定着化も求められ、それに付随してトナーの定着部材表面への付着、いわゆるオフセットの改良にも多大な努力が払われている。トナー中に離型剤としてワックスを含有させることは、例えば特公昭52−3304号公報、特公昭52−3305号公報、特開昭57−52574号公報等に技術が開示されている。
【0010】
また、特開平3−50559号公報、特開平2−79860号公報、特開平1−109359号公報、特開昭62−14166号公報、特開昭61−273554号公報、特開昭61−94062号公報、特開昭61−138259号公報、特開昭60−252361号公報、特開昭60−252360号公報、特開昭60−217366号公報などにワックス類を含有させる技術が開示されている。
【0011】
しかしながら前述のように、離型剤は一般的に結着樹脂との相溶性が良くないためトナー中に均一に分散させることが比較的難しく、このような材料分散の不均一なトナーではトナー帯電量も不均一となり、カブリといった非画像部の汚れの無い高画質や高耐久性の達成は容易ではない。さらに、トナー流動性を悪化させトナー帯電量が一層不均一となったり、高温下に長時間トナーがさらされた際にワックスがトナー表面にマイグレーションして現像性や転写性がいっそう悪化したりもする。
【0012】
一方、絶縁性磁性トナーを用いる現像方法には、用いる絶縁性磁性トナーに関わる不安定要素がある。その一つは、絶縁性磁性トナー中には微粉末状の磁性体が相当量混合分散されており、該磁性体の一部がトナー粒子の表面に露出しているため、磁性トナーの流動性及び摩擦帯電性に影響し、結果として、磁性トナーの現像特性、転写性、耐久性等の磁性トナーに要求される種々の特性の変動あるいは劣化を引き起こすというものである。
【0013】
従来の磁性体を含有する磁性トナーを用いた場合に、上述した問題が生じてしまうのは、磁性トナーの表面に磁性体が露出していることがその大きな原因と考えられる。すなわち、磁性トナーの表面に、トナーを構成する樹脂に比して相対的に抵抗の低い磁性体微粒子が露出することにより、トナー帯電性能の低下、トナー流動性の低下、その上、長期間の使用においては、トナー同士あるいはトナー層厚規制部材との摺擦による磁性体の剥離に伴う画像濃度の低下やスリーブゴーストと呼ばれる濃淡のムラの発生などトナーの劣化などが引き起こされるのである。こういった問題は摩擦帯電量の低下しやすい高湿下において特に顕著に現れる。
【0014】
さらにもう一つの不安定要素として、磁性体の分散性が挙げられる。すなわち、理想的には個々のトナー粒子の磁性体含有量及び粒子内部での分散状態が均一なことが望ましいが、一般的には有機物から成るトナー用結着樹脂や離型剤と無機物である磁性体とは馴染みが良くなく、さらに比重差や磁気凝集などのため、現実的には完全に均一な磁性体の分散は不可能に近い。トナー粒子内部での磁性体の分散が悪いと、それに付随して離型剤の分散状態も不均一となる。
【0015】
また、前述したように、近年の技術の方向として、より高解像度で高精細の現像方式が要求されてきており、こういった要求に答えるために、トナーの粒径を小さくする方向に進んでいるが、このようにトナー粒径が小さくなるほど、材料の均一分散は重要な技術となる。即ち、細かい個々のトナー粒子に均一量の磁性材料及び離型剤を均一状態で含有させないと、画像特性やその安定性の低下がより顕著に現れやすい。これは、単純にトナーの粒径が小さくなるだけで、転写工程でトナー粒子にかかるクーロン力に比して、トナー粒子の感光体への付着力(鏡像力やファンデルワールス力など)が大きくなり、結果として転写残トナーが増加することに加えて、トナーの小径化には帯電量の増加や流動性の悪化がどうしても伴うため、分散性の違いが大きな物性差となって現れやすくなり、カブリや転写性の悪いトナーの割合が多くなるためである。
【0016】
従来より、磁性トナーに含有される磁性体として、磁性酸化鉄に関する提案は出されているが、いまだ改良すべき点を有している。例えば、特開昭62−279352号公報においては、ケイ素元素を含有する磁性酸化鉄を含有する磁性トナーが提案されている。かかる磁性酸化鉄は、意識的にケイ素元素を磁性酸化鉄内部に存在させているが、該磁性酸化鉄を含有する磁性トナーの流動性に、いまだ改良すべき点を有している。
【0017】
また、特公平3−9045号公報においては、ケイ酸塩を添加することで、磁性酸化鉄の形状を球形に制御する提案がされている。この方法で得られた磁性酸化鉄は、粒子形状の制御のためにケイ酸塩を使用するため磁性酸化鉄内部にケイ素元素が多く分布し、磁性酸化鉄表面におけるケイ素元素の存在量が少なく、磁性酸化鉄の平滑度が高いため、磁性トナーの流動性はある程度改良されるが、磁性トナーを構成する結着樹脂と磁性酸化鉄との密着性が不十分である。
【0018】
特開昭61−34070号公報においては、四三酸化鉄への酸化反応中にヒドロシソケイ酸塩溶液を添加して四三酸化鉄の製造方法が提案されている。この方法による四三酸化鉄は、表面近傍にSi元素を有するものの、Si元素が四三酸化鉄表面近傍に層を成して存在し、表面が摩擦のごとき機械的衝撃に対して弱いという問題点を有している。
【0019】
一方、トナーは、結着樹脂、着色剤等を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置により粉砕し、分級機により分級して、所望の粒径を有するトナーとして製造(粉砕法)されているが、トナーの微小粒径化には材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくてはならない。この要求から、樹脂着色剤分散体を脆くするため、この樹脂着色剤分散体を実際に高速で微粉砕する場合に、広い粒径範囲の粒子が形成され易く、特に比較的大きな割合の微粒子(過度に粉砕された粒子)がこれに含まれるという問題が生ずる。更に、このように高度に脆性の材料は、複写機等において現像用トナーとして使用する際、しばしば、更に微粉砕ないし粉化を受ける。
【0020】
また、粉砕法では、磁性体あるいは着色剤等の固体微粒子や相溶性の低い離型剤を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合によっては、かぶりの増大、画像濃度の低下の原因となる。さらに、粉砕法は、本質的に、トナーの表面に磁性体や離型剤が露出してしまうため、トナーの流動性や高湿などの過酷環境下での帯電安定性にどうしても問題が残る。すなわち、粉砕法においては、高精彩、高画質化で要求されるトナーの微粒子化に限界があり、それに伴い粉体特性特にトナーの均一帯電性および流動性が著しく減衰する。
【0021】
上述の様な粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、更には上記のごとき要求を満たすため懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。
【0022】
懸濁重合によるトナー(以後重合トナー)は、トナーの微粒子化が容易に可能であり、更には、得られるトナーの形状が球状であることから流動性に優れ、高画質化に有利となる。
【0023】
この懸濁重合法では、水のごとき極性の大なる分散媒中で単量体組成物の液滴を生成せしめるため、単量体組成物に含まれる極性基を有する成分は水相との界面である表層部に存在しやすく、非極性の成分は表層部に存在しないという、いわゆるコア/シェル構造を形成することができる。即ち、重合法によるトナーは、一般に極性の低い離型剤成分の内包化により、低温定着性、耐高温オフセット性をトナー内部に維持したままトナー表面でのワックスの影響は完全に抑制されるという理想的なトナー設計を可能とする。しかしながら、この重合トナー中に磁性体と離型剤を同時に含有せしめることにより、その流動性及び帯電特性は著しく低下する。これは、一つには磁性体粒子は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいためであり、もう一つには、比重差あるいは磁気凝集によりトナー粒子内部で磁性体粒子が偏って存在しやすく、それと相まって離型剤も偏在しやすいためである。極端な場合、トナー粒子の片側半分に磁性体が、残り片方に離型剤が分かれて存在することもありうる。また、磁性体がトナー粒子の中心部に偏在すれば、離型剤は粒子の外側に追いやられトナー表面に露出してしまい、前述したように流動性の低下や高温下での画像特性及び耐久性の悪化につながる。さらには低温定着の目的で低融点の離型剤を用いていれば、耐ブロッキング性、即ち放置時のトナー凝集性も悪化する。
【0024】
この問題を解決し、重合法トナーの長所を発揮させるためには、磁性体の有する表面特性の改質及び有機物との馴染みという物性の改良の2点が重要となる。
重合トナー中の磁性体の分散性向上のための表面改質に関しては、数多く提案されている。例えば、特開昭59−200254号公報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59−224102号公報等に磁性体の各種シランカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭63−250660号公報、特開平10−239897号公報では、ケイ素元素含有磁性体粒子をシランカップリング剤で処理する技術が開示されている。
【0025】
しかしながら、これらの処理によりトナー中の分散性はある程度向上するものの、磁性体表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって、磁性体同士の合一や疎水化されていない磁性体粒子の発生を避けることができず、トナー中の分散性を良好なレベルにまで向上させるには不十分である。加えて、同時に離型剤を使用する際は、先述のようにその離型剤の分散性にも悪影響を及ぼす。
【0026】
また、疎水化磁性酸化鉄を用いる例として特公昭60−3181号公報にアルキルトリアルコキシシランで処理した磁性酸化鉄を含有するトナーが提案されている。この磁性酸化鉄の添加により、確かにトナーの電子写真諸特性は向上しているものの、磁性酸化鉄の表面活性は元来小さく、処理の段階で合一粒子が生じたり、疎水化が不均一であったりで、必ずしも満足のいくものではない。
【0027】
このように、従来の表面処理磁性体では、離型剤を内包する重合トナーに用いるには疎水性と材料分散性の両立は必ずしも達成されておらず、こういった磁性材料を用いて重合トナーを製造しても優れた性能を有するトナー得ることは難しい。
【0028】
一方、こういったトナー製法あるいは材料分散法とは別に、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー母粒子に外部添加剤として無機微粒子を添加する方法も提案され、広く用いられている。
【0029】
例えば、特開平5−66608号公報、特開平4−9860号公報等で疎水化処理を施した無機微粒子若しくは疎水化処理した後さらにシリコーンオイル等で処理した無機微粒子を添加、あるいは特開昭61−249059号公報、特開平4−264453号公報、特開平5−346682号公報で疎水化処理無機微粒子とシリコーンオイル処理無機微粒子を併用添加する方法が知られている。
【0030】
また、外部添加剤として導電性微粒子を添加する方法も数多く提案されている。例えば、導電性微粒子としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付与するため、或いはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ分布を均一化させるため等の目的で、トナー表面に付着或いは固着するための外部添加剤として用いることが広く知られている。また、特開昭57−151952号公報、特開昭59−168458号公報、特開昭60−69660号公報では、高抵抗磁性トナーにそれぞれ酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粒子を外部添加することが開示されている。また、特開昭56−142540号公報では、高抵抗磁性トナーに酸化鉄、鉄粉、フェライトの如き導電性磁性粒子を添加し、導電性磁性粒子に磁性トナーへの電荷誘導を促進させることで現像性と転写性を両立するトナーが提案されている。更に、特開昭61−275864号公報、特開昭62−258472号公報、特開昭61−141452号公報、特開平2−120865号公報では、トナーにグラファイト、マグネタイト、ポリピロール導電性粒子、ポリアニリン導電性粒子を添加することが開示されているほか、多種多様な導電性微粒子をトナーに添加することが知られている。
【0031】
しかしながら、これらの改良手段も材料分散性の良くないトナーに対しては、その効果は十分とは言えない。
【0032】
さて、先述したような装置のコンパクト化あるいはエコロジーの観点より、近年では廃トナーのでないシステムとして、現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されている。
【0033】
しかしながら、従来の現像同時クリーニング又はクリーナレスに関する技術の開示は、特開平5−2287号公報にあるように画像上に転写残余のトナーの影響によるポジメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主であった。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な記録媒体に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な記録媒体に対し満足するものではなかった。
【0034】
クリーナレスに関連する技術の開示を行っているものに特開昭59−133573号公報、特開昭62−203182号公報、特開昭63−133179号公報、特開昭64−20587号公報、特開平2−302772号公報、特開平5−2289号公報、特開平5−53482号公報、特開平5−61383号公報等があるが、望ましい画像形成方法については述べられておらず、トナー構成についても言及されていない。
【0035】
現像同時クリーニング又はクリーナレスに好ましく適用される現像方法として、従来は本質的にクリーニング装置を有さない現像同時クリーニングでは、像担持体表面をトナー及びトナー担持体により擦る構成が必須とされてきたため、トナー或いはトナーが像担持体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナーを回収するために、トナー或いはトナーが像担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、接触現像方法を適用した現像同時クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用によるトナー劣化、トナー担持体表面劣化、感光体表面劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方法による現像同時クリーニング方法が望まれていた。
【0036】
また、電子写真装置や静電記録装置等に用いられる画像形成方法において、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体上に潜像を形成する方法についても様々な方法が知られている。
【0037】
例えば、電子写真法では、像担持体としての光導電性物質を利用した感光体上を所要の極性・電位に一様に帯電処理した後に、画像パターン露光を施すことにより電気的潜像を形成する方法が一般的である。
【0038】
従来、像担持体を所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としてはコロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、ワイヤ電極等の放電電極と該放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を被帯電体である像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することにより生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持体面をさらすことで像担持体面を所定に帯電させるものである。
【0039】
近年では、像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0040】
接触帯電装置は、像担持体等の被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0041】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、▲1▼放電帯電機構と▲2▼直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
▲1▼放電帯電機構
接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象により被帯電体表面が帯電する機構である。放電帯電機構は接触帯電部材と被帯電体に一定の放電閾値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オゾンなど活性イオンによる弊害は避けられない。
▲2▼直接注入帯電機構
接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する系である。直接帯電、あるいは注入帯電、あるいは電荷注入帯電とも称される。より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この帯電系はイオンの発生を伴わないため放電生成物による弊害は生じない。しかし、直接注入帯電であるため、接触帯電部材の被帯電体への接触性が帯電性に大きく効いてくる。そこでより高い頻度で被帯電体に接触する構成をとるため、接触帯電部材はより密な接触点を持つ、被帯電体との速度差を多く持つ等の構成が必要となる。
【0042】
接触帯電装置は、接触帯電部材として導電ローラ(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。
【0043】
従来のローラ帯電における帯電機構は前記▲1▼の放電帯電機構が支配的である。帯電ローラは、導電あるいは中抵抗のゴム材あるいは発泡体を用いて作成される。さらにこれらを積層して所望の特性を得たものもある。
【0044】
帯電ローラは被帯電体との一定の接触状態を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接注入帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下や接触性の不足やローラ形状による接触ムラや被帯電体の付着物による帯電ムラは避けられない。
【0045】
図2は電子写真法における接触帯電の帯電効率例を表わしたグラフである。横軸に接触帯電部材に印加したバイアス、縦軸にはその時得られた被帯電体(以下、感光体と記す)帯電電位を表わすものである。ローラ帯電の場合の帯電特性はAで表わされる。即ち凡そ−500Vの放電閾値を過ぎてから帯電が始まる。従って、−500Vに帯電する場合は−1000Vの直流電圧を印加するか、あるいは、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つようにピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。より具体的に説明すると、厚さ25μmのOPC感光体に対して帯電ローラを加圧当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を放電開始電圧Vthと定義する。
【0046】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには帯電ローラにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行なう方法を「DC帯電方式」と称する。
【0047】
しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しい。
【0048】
このため、更なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報に開示されるように、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。
【0049】
ところが、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、接触帯電部材から感光体への放電現象を用いているため、先に述べたように接触帯電部材に印加する電圧は感光体表面電位以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。
【0050】
また、帯電均一化のためにAC帯電を行なった場合にはさらなるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による感光体表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となっていた。
また、ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。このファーブラシ帯電もその帯電機構は前記▲1▼の放電帯電機構が支配的である。
【0051】
ファーブラシ帯電器は固定タイプとロールタイプが実用化されている。中抵抗の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを電極に接着したものが固定タイプで、ロールタイプはパイルを芯金に巻き付けて形成する。繊維密度としては100本/mm2程度のものが比較的容易に得られるが、直接注入帯電により十分均一な帯電を行うにはそれでも接触性は不十分であり、直接注入帯電により十分均一な帯電を行うには感光体に対し機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要があり、現実的ではない。
【0052】
このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の帯電特性は図2のBに示される特性をとる。従って、ファーブラシ帯電の場合も、固定タイプ、ロールタイプどちらも多くは、高い帯電バイアスを印加し放電現象を用いて帯電を行っている。
【0053】
これらに対し、磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0054】
この磁気ブラシ帯電の場合はその帯電機構は前記▲2▼の直接注入帯電機構が支配的である。磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一に直接注入帯電を可能にする。図2の帯電特性グラフのCにあるように、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能になる。しかしながら、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等の弊害もある。
【0055】
ここで、これらの接触帯電方法を現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法に適用した場合を考える。
【0056】
現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないために感光体上に残余する転写残トナー(転写バイアスとは逆極性のため転写されずに残るカブリトナーも含まれる)が、そのまま接触帯電部材と接触し、付着或いは混入する。また、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、放電エネルギーによるトナー劣化に起因する帯電部材への付着性の悪化も生ずる。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に付着或いは混入すると、帯電性の低下が起こる。
【0057】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着或いは混入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0058】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させる。また、現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して感光体上のトナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなり、転写残トナーの帯電極性及び帯電量の制御を帯電部材によって行うこととなる。
これについて具体的に一般的なレーザプリンターを例として説明する。マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を記録媒体に転写することになるが、記録媒体の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。また、非画像部にはトナー帯電量の不均一性から発生する逆極性のカブリトナーが現像されている。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーが転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、あるいはもともと逆極性のカブリトナーであっても一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部には、マイナスに帯電された転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位では、現像電界の関係上トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上にトナーが残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に感光体上のトナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立する。
【0059】
しかしながら、転写残トナーが接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様にトナーの帯電極性を揃えることができず、現像部材によってトナーを回収することが困難となる。また、トナー担持体に回収されたとしても、回収トナーの帯電が均一に揃えられていないと、トナー担持体上のトナーの帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。さらには、材料分散性の不良なトナーを用いると、長期使用と共に劣悪なトナーが現像器内に蓄積し、著しい画像特性の低下を招く。
【0060】
すなわち、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法に於ては、トナー粒子中での磁性体及び離型剤の均一分散性、それと関連して現像性及び転写性といったトナー性能、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、画像特性及び耐久特性に密接につながっている。
【0061】
帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行なうために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成も特公平7−99442号公報に開示されている。しかしながら、接触帯電部材(帯電ローラ)が被帯電体(感光体)に従動回転(速度差駆動なし)であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原理は前述のローラ帯電の場合と同様に以前として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためにはDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合には、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、クリーナレスの画像形成装置に適用した場合には、転写残トナーの混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に付着していることが困難となり、均一帯電を行なう効果が薄れてしまう。
【0062】
また、特開平5−150539号公報には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、トナー中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性微粒子を含有することが開示されている。しかし、ここで用いられた接触帯電或いは近接帯電は放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、クリーナーレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して多量の導電性微粒子及び転写残トナーが帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性微粒子及び転写残トナーの現像工程における回収性、回収された導電性微粒子及び回収トナーによるトナーの現像特性への影響に関して何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残トナーの影響による帯電不良を生じてしまう。
【0063】
また、近接帯電では、多量の導電性微粒子及び転写残トナーにより感光体を均一帯電することが困難であり、転写残トナーのパターンを均す効果が得られないため転写残トナーのパターン画像露光を遮光するためのパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断或いは紙詰まり時にはトナーによる機内汚染が著しくなる。
【0064】
また、現像同時クリーニング画像形成方法に於て、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性を向上させることで現像同時クリーニング性能を向上させるものとして、特開平11−15206号公報では、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するトナーを用いた画像形成方法が提案されている。更に、現像同時クリーニング画像形成方法に於て、トナーの形状係数を規定した転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー量を減少させることで現像同時クリーニング性能を向上させることも提案されている。しかしながら、ここで用いられた接触帯電も放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、これらの提案は、接触帯電部材の転写残トナーによる帯電性低下を抑制する効果はあっても、帯電性を積極的に高める効果は期待できない。
【0065】
更には、市販の電子写真プリンターの中には、転写工程と帯電工程の間に感光体に当接するローラ部材を用い、現像での転写残トナー回収性を補助或いは制御する現像同時クリーニング画像形成装置もある。このような画像形成装置は、良好な現像同時クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、コストが高くなり、小型化の点でも現像同時クリーニングの利点を損ねている。
【0066】
これらに対し、特開平10−307456号公報において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含むトナーを直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像同時クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。
【0067】
また、特開平10−307421号公報においては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性粒子を含むトナーを直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用し導電性粒子に転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されている。
【0068】
更に、特開平10−307455号公報では導電性微粉末の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及びより良好な帯電均一性を得るために導電性微粉末の粒径を10nm〜50μmとすることが記載されている。
【0069】
特開平10−307457号公報では、人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載されている。
【0070】
更に、特開平10−307458号公報によれば、導電性微粉末の粒径はトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害する、あるいは現像バイアスが導電性微粉末を介してリークすることを防止し画像の欠陥をなくすことができること、及び導電性微粉末の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、像担持体に導電性微粉末が埋め込まれ露光光を遮光する弊害も解決し優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法が記載されている。
【0071】
特開平10−307456号公報によれば、トナーに導電性微粉末を外部添加し、少なくとも可穣性の接触帯電部材と像担持体との当接部に前記トナー中に含有の導電性微粉末が、現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じない良好な画像が得られる現像同時クリーニング画像形成装置が開示されている。
【0072】
しかしながら、これらの提案も長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる場合、その性能に更なる改良の余地があった。しかもトナー粒子そのものの性能が伴わなければ、これらの効果は限られるものである。
【0073】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決したトナー及び画像形成方法を提供する事にある。すなわち本発明の目的は、環境に左右されず安定した帯電性能、そして画像特性を有するトナーを提供することに有る。
【0074】
また、本発明の目的は、高温環境における長期間の使用においても画像特性が安定したトナー及び画像形成方法を提供する事にある。
【0075】
さらに、本発明の目的は、良好な現像同時クリーニング画像形成を可能とするトナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0076】
本発明の目的は、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像同時クリーニング画像形成を可能とし、かつ長期にわたる繰り返し使用においても、帯電不良を生じない良好な画像が安定して得られる現像同時クリーニング画像形成方法及びそれに用いられるトナーを提供することにある。
【0077】
また、本発明の目的は、良好な帯電性を安定して得られるクリーナーレス画像形成を可能とするトナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0078】
また、本発明の目的は、転写性に優れ、転写残トナーの回収性に優れた現像同時クリーニング画像形成を可能とするトナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0079】
本発明の目的は、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる際においても良好な画像を安定して得られる現像同時クリーニング画像形成方法及び及びそれに用いられるトナーを提供することにある。
【0080】
【課題を解決するための手段】
先述したように、磁性体及び離型剤のトナー粒子内部での分散状態はトナー性能に大きく関わるものであり、特に小粒径トナーの場合その性能を左右する重要な技術と言える。さらに、トナーの転写性及びカブリ特性をより向上できれば、環境的に好ましいオゾン発生の少ない接触帯電方法、更にはクリーナレス画像形成方法においても高画質の長期的維持を容易に達成できる。
【0081】
そこで本発明者等が磁性トナーの物性及び材料について種々の検討を行った結果、ヘキサン溶液中での分散状態が良好な磁性体を含有し、表面に実質的に磁性体が露出しておらず、平均円形度が0.970以上である磁性トナーは、トナー内部での磁性体及び離型剤の分散状態が非常に均一であり、その結果、耐ブロッキング性に優れ、高転写性、良好なカブリ特性、そして優れた現像性を有することを見出した。さらに、トナー表面に露出した離型剤の影響を受けて現像性の低下や転写残トナーの増加あるいは耐久性が低下しやすい高温下においても、現像性が良好であり、高い画像濃度での高画質画像を長期的に得ることが可能であった。さらにはこのタイプの磁性トナーを用いることにより、環境的に好ましい接触帯電方法、更にはクリーナレス画像形成方法においても高画質画像の長期的維持が達成できることが判明し、本発明の画像形成方法を完成するに至った。
【0082】
即ち、本発明は以下の通りである。
【0083】
本発明は、結着樹脂、離型剤及び磁性体を少なくとも含有する磁性トナー粒子の表面に無機微粉末を有する磁性トナーにおいて、前記磁性トナー粒子は、懸濁重合法によって製造され、前記磁性トナーは、平均円形度が0.970以上であり、重量平均粒径(D4)が3〜10μmであり、前記磁性トナー粒子は、前記磁性体として磁性酸化鉄を含有しており、前記磁性トナーは、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am/kg(emu/g)であり、水溶液法により酸化反応で製造した水系媒体中の磁性酸化鉄粒子を乾燥工程を経ずに該水系媒体中に分散させた分散液中でシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で表面処理されたものであり、前記磁性酸化鉄の体積平均粒径は、0.05〜0.3μmであり、前記磁性酸化鉄は、ヘキサン溶液中での分散状態において、分散後5分経過した後の500nmにおける吸光度をa−5、分散後30分経過した後の500nmにおける吸光度をa−30、分散後60分経過した後の500nmにおける吸光度をa−60とした時、a−5、a−30、a−60が下式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする磁性トナー。
【数4】
0.8<(a−30)/(a−5) 式(1)
0.8<(a−60)/(a−5) 式(2)
【0084】
また、本発明は、帯電部材に電圧を印加し、像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、前記像担持体と、表面に磁性トナーを担持するためのトナー担持体とを一定の間隔を設けて配置し、磁性トナーを前記トナー担持体表面に前記間隔よりも薄い厚さにコートさせ、交流電圧が印加されている現像部において前記磁性トナーを前記静電潜像に転移させてトナー像を現像する現像工程と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に静電転写させる転写工程と、を少なくとも有する画像形成方法において、前記現像工程においてトナー担持体上のトナーは、本発明の磁性トナーであることを特徴とする画像形成方法である。
【0085】
さらに本発明は、静電潜像を担持するための像担持体と、
帯電部材に電圧を印加し、前記像担持体を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
前記像担持体に形成された静電潜像に、トナー担持体上に担持された磁性トナーを転移させてトナー像を像担持体上に形成させる現像手段と、
前記像担持体表面に形成されたトナー像を転写材に静電転写する転写手段と、転写材上のトナー像を固着させる定着手段と、を有する画像形成装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、
前記像担持体と、前記帯電手段とからなる群から選ばれる少なくとも1つの手段が、前記現像手段と一体に支持され、
前記トナー担持体上に担持されたトナーは、本発明のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0086】
【発明の実施の形態】
<1>本発明の磁性トナー
本発明の磁性トナーは、結着樹脂、離型剤及び磁性体を少なくとも有する磁性トナー粒子の表面に無機微粉末を有するトナーである。
【0087】
本発明の磁性トナーに用いられる結着樹脂としては、磁性トナーを粉砕方法で製造する際は以下のものが挙げられる。
【0088】
本発明のトナーを粉砕法により製造する場合の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが単独或いは混合して使用できる。特に、スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。
【0089】
また、本発明のトナーを懸濁重合法で製造する場合、使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0090】
重合性単量体としては、スチレン・o−メチルスチレン・m−メチルスチレン・p−メチルスチレン・p−メトキシスチレン・p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル・アクリル酸エチル・アクリル酸n−ブチル・アクリル酸イソブチル・アクリル酸n−プロピル・アクリル酸n−オクチル・アクリル酸ドデシル・アクリル酸2−エチルヘキシル・アクリル酸ステアリル・アクリル酸2−クロルエチル・アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル・メタクリル酸エチル・メタクリル酸n−プロピル・メタクリル酸n−ブチル・メタクリル酸イソブチル・メタクリル酸n−オクチル・メタクリル酸ドデシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ステアリル・メタクリル酸フェニル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル・メタクリロニトリル・アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用する事がトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0091】
本発明の磁性トナー粒子は、離型剤を有する。離型剤としてワックスが用いられるが、本発明の磁性トナーに使用可能なワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
【0092】
本発明の磁性トナーは離型剤が含有されているが、その使用量としては結着樹脂100質量部に対して0.5〜50質量部であることが好ましい。含有量が0.5質量部未満ではオフセット抑制効果に乏しく、50質量部を超えてしまうとどうしても長期間の保存性が悪化すると共に、トナー内部での分散状態が不均一となり、トナー表面への露出を抑えることが難しいため、トナーの流動性の悪化や画像特性及び耐久性の低下につながることから好ましくない。
【0093】
上記ワックス成分の内でも、示差走差熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時に40〜110℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、45〜90℃の領域に有するものがより好ましい。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現する。該最大吸熱ピークが40℃未満であるとワックス成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化する傾向がある。一方、該最大吸熱ピークが110℃を越えると定着温度が高くなり低温オフセットが発生しやすくなり好ましくない。さらに、水系媒体中で造粒/重合を行い重合方法により直接トナーを得る場合、該最大吸熱ピーク温度が高いと主に造粒中にワックス成分が析出する等の問題を生じることがあり好ましくない。
【0094】
ワックス成分の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
【0095】
また、トナーを測定試料とし、ワックスに帰属される吸熱ピーク面積、即ちトナー中のワックスの吸熱量を求め、同ワックスの含有量が既知のサンプルと比較することにより、試料トナー中のワックス含有量を求めることができる。
【0096】
本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、主に磁性酸化鉄からなる。より詳しくは、ヘキサン溶液中での分散状態において、分散後5分経過した後の500nmにおける吸光度をa−5、分散後30分経過した後の500nmにおける吸光度をa−30とした時、a−5、a−30が下記式(1)を満たすような磁性体を用いる。
【0097】
【数5】
0.8<a−30/a−5 式(1)
さらには、ヘキサン溶液中に分散後60分経過した後の500nmにおける吸光度をa−60とした時、a−5、a−60が下記式(2)を満たす磁性体であることが一層好ましい。
【0098】
【数6】
0.8<a−60/a−5 式(2)
a−30/a−5≦0.8である磁性体の場合、即ちヘキサン溶液中に分散させた際に沈降速度の速い磁性体の場合、トナー粒子内部での均一分散が難しく、離型剤の分散状態にも偏りを生じさせることがある。
【0099】
上記式(1)を満たす磁性体としては、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウムなどの元素を含んでもよい、四三酸化鉄、γ-酸化鉄等の磁性酸化鉄を主成分とするものに均一な表面処理を施すことにより得られるものであり、トナーにはこれらを1種または2種以上併用して用いられる。
【0100】
磁性体のさらに好ましい物性としては、ヘキサン溶液中に分散後30分経過した後の500nmにおける吸光定数が1000以上であることが良く、分散後60分経過した後の500nmにおける吸光定数が1000以上であることが一層好ましい。ヘキサン溶液中に分散後30分経過した後の500nmにおける吸光定数が1000未満の場合は有機物中での分散性があまり良くないことを意味しており、さらに着色力の高いトナーも得られにくいため好ましくない。
【0101】
本発明において、磁性体のヘキサン溶液中での分散状態における吸光度及び吸光定数の測定は、以下のようにして行える。
【0102】
本発明においては、島津自記分光光度計、UV−2200(島津社製)を用いて測定している(後述の実施例においても同様)。
【0103】
測定試料である磁性体を秤量する。このときの質量をA1kgとする。秤量した試料を密閉可能な容器に入れる。そこに体積を秤量したヘキサン溶液を加え、密閉する。この時のヘキサン溶液の体積をB1とする。この際の試料濃度としては、ヘキサン溶液1リットル当たり磁性体0.0002kg前後が好ましい。この容器を手で軽く振とう後、超音波で10秒間分散処理を行う。
【0104】
得られた試料分散溶液を光透過距離1cmの石英セルに入れて装置にすばやくセッティングし、、セルのセッティング5分後に500nmの波長における吸光度を測定する。この時の吸光度を磁性体のa−5とする。
【0105】
そのままセルを装置内に静置し、セルのセッティング30分後に500nmの波長における吸光度を測定する。この時の吸光度を磁性体のa−30とする。同様に、セルのセッティング60分後に500nmの波長における吸光度を測定し、この時の吸光度を磁性体のa−60とする。
【0106】
次に、試料濃度A1/B1(kg/L)を計算し、a−30/(A1/B1)を分散後30分経過した後の500nmにおける吸光定数とし、a−60/(A1/B1)を分散後60分経過した後の500nmにおける吸光定数とする。
【0107】
なお、磁性体の体積平均粒径としては0.05〜0.3μmが好ましく、さらには0.06〜0.25μmが一層好ましい。体積平均粒径が0.05μm未満の場合、黒色度の低下が顕著となり、白黒用トナーの着色剤としては着色力が不十分となるうえに、磁性粒子どうしの凝集が強くなるため、分散性の悪化傾向が避けられないことがある。一方、平均粒径が0.3μmを越えてしまうと、磁性体1粒子あたりの質量が重くなり、ヘキサン溶液中で沈降しやすくなるため、トナー粒子内部での分散状態が偏ったものとなる。加えて、個々のトナー粒子に同個数の磁性体を分散させることが確率的に困難となり、分散性が悪化しやすい。
【0108】
なお、磁性体の体積平均粒径(Dm)は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、測定するトナーの粉体サンプルを透過型電子顕微鏡で4万倍で観察し、視野中において0.01μm以上の磁性体粒子100個の粒子径を測定して、平均粒径を求める。0.01μm未満の磁性体粒子の存在は離型剤の分散状態にはほとんど影響せず、また、多少トナー表面に露出していても摩擦帯電を阻害するほどの悪影響は及ぼさないので、本発明においては基本的にその影響は無視して考えて良い。
【0109】
磁性体の粒子形状としては、主として6面体、8面体、又は14面体の多面体であることが好ましい。球状の場合に比べて磁性体の嵩が高くなり、凝集性が低下するため、トナー製造時の分散性がより向上する。こういった磁性体の形状はSEM(走査型電子顕微鏡)などによって確認することができる。すなわち、SEMにより磁性体粒子の形状を観察し、粒子個数割合が最も多い形状をもってその試料の粉体形状とする。
【0110】
また、本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、水系媒体中でカップリング剤により表面処理されていることも好ましい形態である。その表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性体粒子を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働き、磁性体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0111】
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では磁性体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は絶大である。
【0112】
本発明に係わる磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(I)で示されるものである。
【0113】
【化1】
mSiYn (I)
[式中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。ただし、m+n=4である。]
一般式(I)で示されるシランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0114】
特に、一般式(II)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用して水系媒体中で磁性体を疎水化処理するのが良い。
【0115】
【化2】
p2p+1−Si−(OCq2q+13 (II)
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
上記式におけるpが2より小さいと疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、トナー粒子からの磁性体の露出を抑制するのが難しくなる。またpが20より大きいと疎水性は十分になるが、磁性体粒子同士の合一が多くなり、トナー中へ磁性体粒子を均一に分散性させることが困難になり、カブリや転写性さらには選択現像性が悪化傾向となる。
【0116】
また、qが、3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。
特に、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。
【0117】
その処理量は磁性体100質量部に対して、0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部とするのが良い。
【0118】
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが上げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5質量%添加するのが良い。pH調製剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられる。有機溶剤としては、メタノール等が挙げられる。有機溶剤は水に対して0〜500質量%添加するのが好ましい。
【0119】
磁性体の表面処理として水系媒体中でカップリング剤で処理するには、水系媒体中で適量の磁性体及びカップリング剤を攪拌する方法が挙げられる。撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混合装置)で、磁性体粒子が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
【0120】
こうして得られる表面処理磁性体は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、重合トナー用の材料として用いた場合、トナー粒子中での分散性が非常に良好であり、同時に離型剤の分散性も飛躍的に向上する。しかもトナー粒子表面からの磁性体や離型剤の露出が無く、ほぼ球形に近い重合トナーが得られる。
【0121】
磁性体の磁気特性としては、磁場79.6kA/mで、飽和磁化が10〜200Am2/kg、残留磁化が1〜100Am2/kg、抗磁力が1〜30kA/mであるものが好ましく用いられる。磁性体の磁気特性は、振動型磁力計(東英工業(株)製VSM−3S−15)を用いて測定できる。
【0122】
こういった磁性体を用いることにより、平均円形度が0.970以上で、表面に実質的に磁性体や離型剤が露出していない本発明の磁性トナーを得ることが可能となり、また、D4/D1が1.4未満であるような粒度分布のシャープなトナーも容易に得られる。さらにはこのトナーを本発明の画像形成方法で用いれば、高温下あるいは高湿環境下においても高画質の安定化が達成できるのである。
【0123】
本発明のトナーに用いられる磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部を用いることが好ましい。さらに好ましくは20〜180質量部を用いることが良い。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を越えると、トナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性体の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしまう傾向がある。
【0124】
本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造される。
【0125】
第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、鉄元素に対して0.05〜5.0質量%のリン元素となるよう水溶性リン化合物(例えばヘキサメタリン酸ソーダ、第一リン酸アンモニウム等のリン酸塩、正リン酸塩、亜リン酸塩等のリン酸塩)水溶液、場合によって鉄元素に対して0〜5.0質量%の珪素元素となるよう水溶性珪素化合物(例えば水ガラス、珪酸ソーダ、珪酸カリウム)水溶液を加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH7〜10)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性体粒子を生成する。
【0126】
酸化反応の終期に液のpHを調製し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に攪拌し、カップリング剤を添加して十分に混合攪拌し、攪拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで表面処理磁性体を得ることができる。あるいは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粒子を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調製し、十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、本発明の磁性トナーを得るための重要なポイントである。
【0127】
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。
【0128】
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5〜2mol/lが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。又、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。このようにして製造された表面処理磁性粉末を用いることにより、本発明の優れた磁性トナーが得られ、また、このような磁性トナーを本発明の画像形成方法にしようすることにより、過酷環境放置時のトナー劣化及び高湿下での高画質の達成が可能となる。
【0129】
本発明の磁性トナーは、上記結着樹脂、離型剤及び磁性体を有する磁性トナー粒子の表面に無機微粉末を有する。
【0130】
本発明のトナーは、流動化剤として個数平均1次粒径4〜80nmの無機微粉末が、トナー全体に対し0.1〜4質量%添加されていることも非常に好ましい使用形態である。無機微粉末は、トナーの流動性改良及びトナー母粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉末を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい。
【0131】
無機微粉末の個数平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、現像性の悪化に加えて耐久時のカブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題を避けられない傾向がある。無機微粉末の平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉末どうしの凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、この凝集体による像担持体或いはトナー担持体等を傷つけることなどによる画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには、無機微粉末の個数平均1次粒径は6〜35nmであることがより好ましい。
【0132】
また、無機微粉末の添加量がトナー全体に対して0.1質量%未満の場合、トナーの流動性の改良効果が小さくなり、また4質量%を越えるとトナーの定着性が悪化する傾向がある。
【0133】
無機微粉末の個数平均1次粒径は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉末の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉末の1次粒子を100個以上測定し、個数平均1次粒径を求めることで測定出来る。
【0134】
また、無機微粉末の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
【0135】
本発明のトナーに添加する無機微粉末としては、シリカ、アルミナ、チタニアなどが使用できる。例えば、シリカとしてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0136】
無機微粉末は、疎水化処理された物であることが、特に高湿環境下での特性を向上させる点から好ましい。トナーに添加された無機微粉末が吸湿すると、トナーとしての帯電量が著しく低下し、現像性、転写性が悪化し易くなる。
【0137】
無機微粉末を疎水化する疎水化処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカッブリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤が挙げられ、単独で或いは併用して処理しても良い。
【0138】
その中でも、シリコーンオイルにより処理することが好ましく、より好ましくは、無機微粉末を疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理することより好ましい。そのように疎水化処理された無機微粉末を用いることは、高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
【0139】
そのような無機微粉末の処理条件としては、例えば第一段反応としてシラン化合物等でシリル化反応を行ない表面の活性水素基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。シリル化剤の使用量としては、無機微粉末に対し5〜50質量%が好ましい。5質量%未満では無機微粉末表面の活性水素基を消失させるのに十分でなく、50質量%を越えると余分なシリル化剤どうしの反応で生成するシロキサン化合物が糊の役割となって無機微粉末どうしの凝集が起こり、画像欠陥を生じ易くなる。
【0140】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉末に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0141】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物でシリル化処理された無機微粉末とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉末にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、無機微粉末を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉末の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0142】
シリコーンオイルの処理量は無機微粉末100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとやはり無機微粉末の凝集が起こりやすい。
【0143】
また、本発明の磁性トナーは、上記の無機微粉末に加えて、トナーの体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する導電性微粉末を添加して用いることにより、より優れた画像特性及び耐久性を示すことから好ましい。
【0144】
その添加効果の理由としては、トナーの摩擦帯電量分布のシャープ化という機能に由来するものと考えられる。本発明のトナーは表面に実質的に磁性体が露出していないため電荷移動が決して速い構成とは言えない。そのためトナー粒子によっては帯電量の低いものも存在し、転写性やカブリという現像性の観点ではやや不利であることは否めない。こういった構成のトナーに導電性微粉末を添加すると、帯電量の高いトナーから低いトナーへの電荷移動というエントロピー的に好ましい帯電量の均一化反応が起こりやすくなることが考えられる。
【0145】
導電性微粉末のトナー全体に対する含有量は、0.2〜10質量%であることが好ましい。導電性微粉末のトナー全体に対する含有量が0.2質量%よりも少ないと、低湿下における帯電量の均一化反応速度が十分でないことがある。一方、10質量%を越えると、高湿下において十分な帯電量を維持することが困難になり、カブリや転写性が低下し、耐久性が悪化する傾向がある。好ましくは0.5〜5質量%がよい
また、導電性微粉末の好ましい抵抗は、1×109Ω・cm以下である。導電性微粉末の抵抗が、1×109Ω・cmよりも大きいと、やはり均一化反応速度が十分ではない傾向がある。さらには1×106Ω・cm以下とすれば、低湿下においても帯電量の分布が非常にシャープ化される。
【0146】
導電性微粉末の体積平均粒径は0.1〜5μmであることが好ましい。体積平均粒子径が0.1μm未満では、均一化反応速度の促進効果が低い。これはトナー粒子どうしの接触部に導電性微粉末が存在する確立が減るため高帯電量のトナーから低帯電量のトナーへの電荷移動がそれほど促進されないためではないかと推測している。
【0147】
また、導電性微粉末の体積平均粒径が5μmよりも大きいとトナー粒子とのファンデルワールス力が低下し、トナー粒子から遊離してトナー担持体に付着しやすく、トナーの摩擦帯電を阻害する傾向がある。これらの観点から、導電性微粉末の体積平均粒径は好ましくは0.15μm以上、更に好ましくは0.2μm以上、4μm以下が良く、トナー担持体への付着を抑制するために非磁性の材料であることが好ましい。
【0148】
また、導電性微粉末は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉末であることが、転写材上に転写される導電性微粉末がカブリとして目立たないため好ましく良い。潜像形成工程における露光光の妨げとならない意味でも導電性微粉末は透明、白色或いは淡色の導電性微粉末であることがよく、より好ましくは、導電性微粉末の露光光に対する透過率が30%以上であることが良い。
【0149】
本発明においては、粒子の光透過性については以下の手順で測定することができる。片面に接着層を有する透明のフィルムの導電性微粉末を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射しフィルム背面に透過した光を集光し光量を測定する。フィルムのみと導電性微粉末を付着したときの光量から正味の光量として粒子の透過率を算出する。具体的にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定することができる。
【0150】
本発明における導電性微粉末としては、非磁性であるものが好ましく、例えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉末;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などが挙げられ、必要に応じて粒度及び粒度分布を調整することで使用できる。これらの中でも酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の無機酸化物微粒子が特に好ましい。
【0151】
また、導電性無機酸化物の抵抗値を制御する等の目的で、アンチモン、アルミニウムなどの元素をドープした金属酸化物、導電性材料を表面に有する微粒子なども使用できる。例えば酸化スズ・アンチモンで表面処理された酸化チタン微粒子、アンチモンでドープされた酸化第二スズ微粒子、あるいは酸化第二スズ微粒子などである。
【0152】
市販の酸化スズ・アンチモン処理された導電性酸化チタン微粒子としては、例えばEC−300(チタン工業株式会社)、ET−300、HJ−1、HI−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテリアル株式会社)などが挙げられる。
【0153】
市販のアンチモンドープの導電性酸化スズとしては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)やSN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式会社)などが挙げられる。
【0154】
本発明における導電性微粉末の平均粒径及び粒度分布は、コールター社製、LS−230型レーザ回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取付けて0.04〜2000μmの測定範囲で測定することにより実施できる。測定法としては、純水10mlに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉末の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定する方法が挙げられる。
【0155】
本発明において、導電性微粉末の粒度及び粒度分布の調整方法としては、導電性微粉末の一次粒子が製造時において所望の粒度及び粒度分布が得られるように製造法、製造条件を設定する方法以外にも、一次粒子の小さな粒子を凝集させる方法、一次粒子の大きな粒子を粉砕する方法或いは分級による方法等が可能であり、更には、所望の粒度及び粒度分布の高抵抗の基材粒子の表面の一部もしくは全部に、前述の導電性粒子を付着或いは固定化する方法、所望の粒度及び粒度分布の粒子に導電性成分が分散された形態を有する導電性微粒子を用いる方法等も可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性微粉末の粒度及び粒度分布を調整することも可能である。
【0156】
導電性微粉末の粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての体積平均粒径として定義される。導電性微粉末は、一次粒子の状態で存在するばかりでなく二次粒子の凝集した状態で存在することも問題はない。どのような凝集状態であれ、帯電量の均一化反応促進の機能が実現できればその形態は問わない。
【0157】
本発明において、導電性微粉末の抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求めることができる。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に凡そ0.5gの導電性微粉末試料を入れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出する。
【0158】
本発明の磁性トナーには、クリーニング性向上等の目的で、一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が50m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
【0159】
本発明の磁性トナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。該荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対し0.5〜10質量部使用することが好ましい。しかしながら、本発明の磁性トナーには、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0160】
また、本発明の磁性トナーは着色剤を含むことも可能であり、着色剤として、先述の磁性体のみを着色材料として用いても良いが、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料等を併用しても良い。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いても良い。
【0161】
本発明に用いられる磁性トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いる事もできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
<2>本発明の磁性トナーの特性
本発明の磁性トナーの平均円形度は0.970以上である。平均円形度が0.970以上の磁性トナーはカブリ特性、転写性に非常に優れている。この理由としては、円形度が非常に高い為に磁性トナーが現像部で細い穂を形成し、個々のトナー粒子の帯電が均一となるためカブリの原因となる帯電量のバラツキが少ないこと、トナー粒子と感光体との接触面積が小さく鏡像力やファンデルワールス力等に起因するトナー粒子の感光体への付着力が低下するため転写されやすいこと、などが考えられる。
【0162】
この際、トナーの円形度分布において、モード円形度が0.99以上であることがより好ましい。モード円形度が0.99以上であると、トナー粒子の多くが真球に近い形状を有する事を意味しており、上記作用がより一層顕著になり、カブリ特性や転写性が一層向上する。
【0163】
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する指標として用いたものであり、本発明では東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(ai)を下記式(3)により求め、さらに下記式(4)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数(m)で除した値を平均円形度(am)と定義する。
【0164】
【数7】
円形度(ai)=L0/L 式(3)
(式中、 L0は磁性トナー粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは磁性トナー粒子の投影像の周囲長を示す。)
【0165】
【数8】
m
平均円形度(am)=Σai/m 式(4)
i=1
また、モード円形度とは、円形度を0.40から1.00まで0.01毎に61分割し、測定した各粒子の円形度をそれぞれ各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布において頻度値が最大となるピークの円形度である。
【0166】
なお、本発明で用いる測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及びモード円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及びモード円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及びモード円形度の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及びモード円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度のものであり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
【0167】
測定手順としては、以下の通りである。
【0168】
界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mlに、磁性トナー約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20KHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度及びモード円形度を求める。
【0169】
本発明における平均円形度とは、磁性トナーの凹凸の度合いの指標であり、磁性トナーが完全な球形の場合1.000を示し、磁性トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
【0170】
なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子郡にはトナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないからである。
【0171】
また、本発明の磁性トナーは実質上トナー表面に磁性体が露出していないことも特徴であり、その為、粉砕法で得られる通常のトナーと異なりトナーの帯電量がリークし難く、例えば高湿下での画像濃度の高い良好な画像を得ることが可能である。
【0172】
このように球形トナーを小径化し、さらに離型剤を含有させて、良好な定着性を維持しつつ一層の高解像性を達成しようとする場合、離型剤の分散状態の制御もまた重要な技術である。
【0173】
しかしながら、先述のように、磁性体と離型剤とを同時に用いることはトナー粒子内部での材料分散に偏りが生じやすく、トナー表面への離型剤の露出の抑制が困難なため、様々な弊害が発生する。特にトナーの粒径が小さくなるほどその悪影響が顕著となる。
【0174】
そこで、本発明の磁性トナーにおいて、ヘキサン溶液中での分散状態が良好な上述の磁性体を用いることが大きな特徴である。ヘキサン溶液中で均一に分散し、沈降速度が遅い磁性体は結着樹脂中での分散状態も良好であり、トナー製造時にも凝集などが起こらない。こういった磁性体はトナー粒子内部においても偏りが無く均一に分散しうるため、同時に存在する離型剤もトナー粒子内部に均一に存在でき、トナー表面に露出しにくい。そのため定着性と耐ブロッキング性のバランスが非常に良く、高温下においても転写性及び現像性が良好で、さらには現像性にも優れた本発明の小粒径磁性トナーが得られる。
【0175】
こういった磁性体を含有せしめた磁性トナーの磁気特性は、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am2/kg(emu/g)である。10Am2/kg(emu/g)未満の場合、トナー形状により摩擦帯電特性が改善できてもカブリ特性を十分改良することが難しく、また、磁気力を利用する磁性トナーとしては十分でないことがある。また、50Am2/kg(emu/g)を越えると、やはり現像性が低下する傾向にある。
【0176】
なお、磁性トナーの磁気特性は、磁性体と同様、振動型磁力計(東英工業(株)製VSM−3S−15)を用いて測定可能である。
【0177】
本発明者らの検討では、上述したような磁性体を用いて、重量平均粒径が3〜10μmの小粒径磁性トナーを製造した場合に、より微小な潜像ドットを忠実に現像しうるため、画像特性の向上効果が顕著であった。トナーの重量平均径が3μm未満の場合は、上述の磁性体を用いても転写効率の低下が避け難く、また、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となることからカブリの悪化抑制が難しい傾向がある。一方、トナーの重量平均径が10μmを越える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。より好ましい磁性トナーの重量平均粒径は、4〜9μmである。
【0178】
なお、この際、トナーの重量平均粒径(D4)と数平均粒径(D1)との比D4/D1を1.4未満とすることが、トナーの解像性と転写効率及びカブリ抑制の向上効果のバランスのためにより好ましい。トナーの重量平均径が3μm以上であっても、D4/D1が1.4以上では粒度分布の上で粒径の小さいトナー粒子の割合が多いため、転写効率の低下やカブリの悪化を避けるのが難しい。
【0179】
ここで、トナーの平均粒径はコールターカウンターTA-II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料(トナー)を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。
【0180】
それから、本発明に係わる所の体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)及び体積平均粒径(D)と個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径、即ち数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0181】
また、本発明の磁性トナーは実質上トナー表面に磁性体が露出していないことも好ましい特徴であり、具体的には、X線光電子分光分析により測定される磁性トナーの表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が0.001未満である場合が好ましく、さらには0.0005未満がより好ましい。これにより、表面に電荷のリークサイトとなる磁性体が露出しておらず、高湿下でもトナー粒子が高い帯電量を持つことが可能となり、例えば高湿下においてもカブリが少なく転写性が良好な画像印刷が長期間可能となり、高画質及び耐久安定性が格段に向上する。この効果は接触転写工程及びクリーナレスプロセスを組み合わせた画像形成方法においてより顕著である。
【0182】
トナー表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)の測定方法は以下の通りである。
【0183】
本発明に係わる、トナー粒子表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)は、ESCA(X線光電子分光分析)により表面組成分析を行い算出する。
本発明では、ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:PHI社製 1600S型 X線光電子分光装置
測定条件:X線源 MgKα(400W)
分光領域 800μMφ
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度を算出する。本測定はトナーを超音波洗浄し、トナー粒子表面に付着している外添剤を除去した後、磁気力にて分離し、乾燥し測定することが好ましい。
【0184】
なお、トナー粒子表面に磁性体粒子が露出していない特殊なトナーは、特開平7−209904号公報においても既に開示されている。しかしながら、特開平7−209904号公報においては、開示されているトナーの円形度に関する言及がなされていない。本発明の画像形成方法においては、特定の平均円形度を有するトナーの使用が必須要素であり、特開平7−209904号公報に記載されているような現像剤を本発明のような使用形態で用いても同じような効果が発現するかどうかは不明である。また、特開平7−209904号公報においては、離型剤の分散状態に関する説明がなされていない。特開平7−209904号公報において、トナー材料としてポリエチレンを用いる実施例が記載されているが、磁性体粒子がトナー粒子の中心部に存在するならばポリエチレンは粒子の表面に存在することになり、トナー表面からの露出が避けがたい。結果として、トナー物性及び画像特性の低下が懸念される。
【0185】
さらに、特開平7−209904号公報において開示されているトナー構成を要約すれば、トナー粒子表面付近に磁性体粒子の存在しない樹脂層が一定量以上の厚みで形成されている構造から成るものであり、これは、磁性体粒子が存在しないトナー表層部分がかなりの割合で存在することを意味している。しかしながら言い換えると、このようなトナーは、例えば平均粒径が10μmと小さい場合、磁性体粒子が存在しうる容積が小さくなるため、十分な量の磁性体粒子を内包しにくいということでもある。しかも、こういったトナーでは、トナーの粒度分布において粒径の大きいトナー粒子と小さい粒子とでは磁性体粒子の存在しない表面樹脂層の割合が異なり、従って、内包される磁性体含有量も異なるため、現像性や転写性もトナーの粒径によって異なってしまい、粒径に依存する、選択現像性が見られやすい。従って、こういった磁性トナーで長期に渡り印刷を行うと、磁性体を多く含み現像されにくい粒子、即ち粒径の大きなトナー粒子が残りやすく、画像濃度及び画質の低下、さらには定着性の悪化にもつながる。
【0186】
上記の説明から導かれるように、トナー粒子中における好ましい磁性体分散状態とは、磁性体粒子が凝集せずになるべくトナー粒子全体に均一に存在する状態であり、これもまた本発明の画像形成方法に係わる磁性トナーの特徴の根幹をなしている。即ち、トナーの体積平均粒径をC、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた磁性トナーの断層面観察において、磁性体とトナー粒子表面との距離の最小値をDとしたとき、D/C≦0.02である磁性トナーを用いることもまた、本発明における特徴の一つである。
【0187】
本発明において、D/C≦0.02の関係を満たすトナー粒子数が50%以上であることが好ましく、65%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましい。その理由は以下の通りである。
【0188】
D/C≦0.02を満たさない場合には、トナー粒子において少なくともD/C=0.02の境界線よりも外側には磁性体粒子が全く存在しないことになる。仮に前述のような粒子を球形として想定すると、1つのトナー粒子を全空間とした場合に磁性体が存在しない空間は、トナー粒子の表面に少なくとも11.5%は存在することになる。実際には、最近接位置に磁性体粒子が均一に整列してトナー粒子内部に内壁を作るように存在するわけではないので12%以上になることは明らかである。1粒子あたりこれだけの空間に磁性体粒子が存在しないと、
▲1▼トナー粒子内部に磁性体が偏り、磁性体の凝集が起こる可能性が極めて高まる。その結果として着色力の低下を招く。
▲2▼磁性体の含有量に応じてトナー粒子の比重が高くなるものの、トナー粒子表面は結着樹脂やワックス成分が偏在する。そのため、仮に何らかの手段で最表面に表面層をトナー粒子表面に設けても、トナー粒子やトナーの製造時にトナー粒子に応力などがかかる場合、融着や変形が起こりやすくなり、製造時での扱いが複雑になったり、変形により得られるトナーの粉体特性に分布が生じ、電子写真特性に悪影響を及ぼしたり、トナーの貯蔵時でのブロッキング性が悪化する可能性が高まる。
▲3▼トナー粒子表面が結着樹脂およびワックスのみで、内部が磁性体粒子が偏在する粒子構造では、トナー粒子外部が柔らかく、内部が硬い構造となるために外添剤の埋め込みが非常に起こりやすく、トナーの耐久性が悪化する。
といった弊害を招く恐れが高まる。
【0189】
D/C≦0.02となるトナー粒子数が50%未満であると前述のような着色力の低下、ブロッキング性の悪化および耐久性の悪化などの弊害は顕著になる傾向にある。
【0190】
そのため、本発明ではD/C≦0.02を満足するトナー粒子の数が50%以上であることが好ましいものである。
【0191】
TEMによる具体的な観察方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中へ観察すべき粒子を十分に分散させた後に温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、そのまま、あるいは凍結してダイヤモンド歯を備えたミクロトームにより薄片状のサンプルとして観察する方法が好ましい。
【0192】
該当する粒子数の割合の具体的な決定方法については以下の通りである。
【0193】
TEMにてD/Cを決定するための粒子は、顕微鏡写真での断面積から円相当径を求め、その値が数平均粒径の±10%の幅に含まれるものを該当粒子とし、D/Cを計算する。こうして計算されたD/C値が0.02以下の粒子の割合を、下記式により求めるものと定義する。このときの顕微鏡写真は精度の高い測定を行うために、1万〜2万倍の倍率が好適である。本発明では、透過型顕微鏡(日立製H−600型)を装置として用い、加速電圧100kVで観察し、拡大倍率が1万倍の顕微鏡写真を用いて観察・測定する。
【0194】
【数9】
Figure 0004590066
該磁性トナーの数平均粒径は後述するコールターカウンターにて決定するのが良い。
<3>本発明の磁性トナーの製造方法
本発明のトナーを粉砕法により製造する場合は、公知の方法が用いられるが、例えば、上述の結着樹脂、磁性体、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて熔融混練して樹脂類をお互いに相熔せしめた中に、必要に応じて磁性体等の他のトナー材料をさらに分散又は溶解せしめ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行なってトナー粒子を得、必要に応じて無機微粉末等を添加混合することによって本発明のトナーを得ることが出来る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0195】
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。本発明に係わる特定の円形度を有するトナーを得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、あるいは補助的に機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
【0196】
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法、また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0197】
機械的衝撃法を用いる場合においては、処理温度をトナーのガラス転移点Tg付近の温度(Tg±30℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止、生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、トナーのガラス転移点(Tg±20℃)の範囲の温度で行うことが、転写効率を向上させるのに特に有効である。
【0198】
さらにまた、本発明のトナーは、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等を用いトナーを製造する方法でも製造が可能である。
【0199】
本発明に係わるトナーは、粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明に係わるトナーの必須要件である平均円形度が0.970以上という物性、さらにはモード円形度が0.99とするためには機械的・熱的あるいは何らかの特殊な処理を行うことが必要となる。さらに粉砕法では、本質的にトナー粒子表面に磁性体が露出してしまうため、磁性トナーの表面に実質的に磁性体が露出していないという本発明に必須のトナー構成要件を満たすことが困難であり、高湿下での画像特性及び耐久性の改良という問題が解決できないことがある。
【0200】
そこで、上述の諸問題を解決するため、本発明においては、トナーを懸濁重合法により製造することが好ましい。この懸濁重合法においては重合性単量体、磁性体の如き着色剤及び離型剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後重合トナー)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.970以上という本発明に必須な物性要件を満たすトナーが得られやすく、さらにこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している。
【0201】
しかしながら、重合トナー中に通常の磁性体を含有させても、粒子表面からの磁性体の露出を抑えることは難しい。さらにはトナー粒子の流動性及び帯電特性が著しく低下するだけでなく、懸濁重合トナーの製造時に磁性体と水との相互作用が強いことにより、平均円形度が0.970以上のトナーが得られ難い。
【0202】
これは、▲1▼磁性体は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいこと、▲2▼水溶媒撹拌時に磁性体が乱雑に動き、それに単量体から成る懸濁粒子表面が引きずられ、形状が歪んで円形になりにくいこと等が原因と考えられる。こういった問題を解決するためには、先述のようなヘキサン溶液中における分散状態が良好な磁性体を用いる必要があり、そのためには磁性体の有する表面特性が改質された、カップリング剤で表面処理された磁性体を用いることが好ましい。該磁性体を重合トナー用の材料として用いた場合、トナー粒子中への分散性が非常に良好となり、磁性体がトナー粒子表面に露出することも無くほぼ球形に近い磁性トナーを得ることができる。即ち、平均円形度0.970以上、さらにモード円形度が0.99以上で、X線光電子分光分析により測定される磁性トナーの表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が0.001未満という磁性トナーを得ることが可能となる。
【0203】
また、D/C≦0.02の関係を満たすトナー粒子の個数が50%以上とするためには、例えば、磁性トナー粒子を懸濁重合法により製造する際に、トナー粒子の表面層を形成するための極性官能基を有する樹脂の重合性単量体組成物への添加量を調整したり、磁性体の疎水化度を調製することにより製造することができる。
【0204】
さらに、トナーのD4/D1の比が1.4未満であり、トナーの重量平均粒径が3〜10μmとなるためには、重合を行う際の攪拌条件や用いる分散安定剤を適宜選択することにより達成できる。具体的には、攪拌を強くすると、粒径は小さくなり、弱くすると大きくなる。
【0205】
次に本発明の磁性トナーの懸濁重合法による製造方法を説明する。
【0206】
本発明に係わる重合トナーに使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体は、前記したものが使用できる。
【0207】
本発明に係わる重合トナーの製造においては、単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー中に共存させると、前述の表面処理磁性体及びワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得ることができる。このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。5,000以下、特に4,000以下では、本重合体が表面付近に集中し易い事から、現像性、耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。
【0208】
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。
【0209】
これら樹脂の添加量としては、単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部以上添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。
【0210】
さらに、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることが出来る。
【0211】
本発明に係わる重合トナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行なうと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0212】
本発明に係わる重合トナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、0.001〜15重量%である。
【0213】
本発明に関わる重合トナーの製造方法では、一般に上述のトナー組成物、すなわち重合性単量体、磁性体、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合によって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加える事も出来る。
【0214】
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。
【0215】
本発明に係わる重合トナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
【0216】
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用しても良く、重量平均粒径が5μm以下のトナー粒子を製造する際は、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0217】
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
【0218】
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
【0219】
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行なう。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げる事は可能である。
【0220】
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粉末を混合し表面に付着させることで、トナーを得ることができる。また、製造工程にに分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、本発明の望ましい形態の一つである。
【0221】
本発明の磁性トナー粒子は、上述のように全体が懸濁重合法によって製造されているものが挙げられるが、一部が懸濁重合によって製造された磁性トナー粒子でも良い。一部が懸濁重合によって製造されたトナー粒子としては、荷電制御剤をトナー粒子と混合したものが挙げられる。この手法によっても、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となり、本発明の画像形成方法においては、トナー粒度分布と摩擦帯電量とのバランスを更に安定したものとすることが可能となる。
【0222】
本発明の磁性トナーは選択現像性が良好なだけでなく、カブリが少なく、転写性が高いために、接触帯電工程を用いる画像形成方法、さらにはクリーナレス画像形成方法にも好適に用いられ、これらの使用形態もまた本発明の一部である。接触帯電工程から構成される画像形成方法においては、転写されずに帯電工程に移行するトナー、即ち転写残トナーとカブリトナーの低減がキー技術であるが、まさにそういった性能を備えた本発明の磁性トナーを用いることにより本発明の画像形成方法が達成される。
【0223】
また、クリーナレスの画像形成方法においては、転写残トナーが帯電工程をすり抜けて現像工程で現像器内に回収されるが、こういったトナーは材料の分散性などから帯電性の劣るものが多いため、耐久と共に現像器内に蓄積されて画像特性が悪化しやすい。しかしながら本発明の磁性トナーは全てのトナー粒子が均一に良好な画像特性を有するため、離型剤の分散状態の影響を受けやすい高温下でクリーナレスの画像形成方法に用いても長期に渡って高画質を安定に維持できることから、この磁性トナーを用いることにより本発明の画像形成方法が達成される。
<4>本発明の画像形成方法
本発明の画像形成方法は、帯電部材に電圧を印加し、像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、前記像担持体と、表面に磁性トナーを担持するためのトナー担持体とを一定の間隔を設けて配置し、磁性トナーを前記トナー担持体表面に前記間隔よりも薄い厚さにコートさせ、交流電圧が印加されている現像部において前記磁性トナーを前記静電潜像に転移させてトナー像を現像する現像工程と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に静電転写させる転写工程と、を少なくとも有する画像形成方法において、前記現像工程においてトナー担持体上のトナーは本発明の磁性トナーであることを特徴とする画像形成方法である。
【0224】
次に、本発明の画像形成方法の実施形態を図に沿って詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0225】
図1において、像担持体としての感光ドラム100の周囲に、接触帯電部材である一次帯電ローラ117、現像器140、転写ローラ114、クリーナ116、レジスタローラ124等が設けられている。そして感光ドラム100は、一次帯電ローラ117によって−700Vに帯電される。(印加電圧は交流電圧−2.0kVpp(Vpp:ピーク間電位)、直流電圧−700Vdc)そして、レーザビームスキャナ121によりレーザ光123を感光ドラム100に照射する事によって露光される。感光ドラム100上の静電潜像は現像器140によって一成分磁性トナーで現像され、転写材を介して感光ドラムに当接された転写ローラ114により転写材上へ転写される。トナー像をのせた転写材は、搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光ドラム上に残されたトナーはクリーナ116によりクリーニングされる。現像器140は、感光ドラム100に近接して、アルミニウム、ステンレス等非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体102(以下、「現像スリーブ」ともいう)が配設され、感光ドラム100と現像スリーブ102との間隙は、図示されないスリーブ/感光ドラム間隙保持部材等により約300μmに維持されている。この間隙は、必要により替えることは可能である。現像スリーブ102内には、図示されないが、マグネットローラが現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し、現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラは複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響している。現像スリーブ102に付着して搬送される磁性トナー量を規制するトナー層厚規制部材として、弾性ブレード103が配設され、弾性ブレード103の現像スリーブ102に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量が制御される。現像領域では、感光ドラム100と現像スリーブ102との間に直流電圧及び交流電圧の現像バイアスが印加され、現像スリーブ102上トナーは静電潜像に応じて感光ドラム100上に飛翔し可視像となる。
【0226】
本発明の画像形成方法においては帯電部材が像担持体に当接されていることが好ましい。それはオゾンが発生しないことで環境保全の好ましい形態となっているからである。
【0227】
上記図1のように帯電ローラを用いたときの好ましいプロセス条件として、帯電ローラは感光ドラムと当接部を形成して接触しており、感光ドラムに対する当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)で、直流電圧あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが用いられる。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いる場合は、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±5kVが好ましい。
【0228】
接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは直流電圧のみでも良好な帯電性を得ることが可能であるが、図1に示す上記装置のように直流電圧に交流電圧(交番電圧)を重畳してもよい。
【0229】
このときの交流電圧は、2×Vth(Vth:直流電圧印加における放電開始電圧)(V)未満のピーク電圧を有するものであるのが好ましい。
【0230】
直流電圧に印加される交流電圧のピーク電圧が、2×Vth未満でないと、像担持体上の電位が不安定となることがあり好ましくない。直流電圧に交流電圧を重畳されたバイアスを印加する際の交流電圧として、より好ましくはVth未満のピーク電圧を有するものである。それにより、実質的な放電現象を伴うことなく、像担持体を帯電させることができる。
【0231】
交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交流電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0232】
また、本発明においては、帯電部材が、帯電部材と像担持体との間に導電性微粉末を介在させる当接部を設ける上で弾性を有することが好ましく、帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電するために導電性であることが好ましい。従って、帯電部材は、導電性弾性ローラ、導電性弾性ブレード、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシ部を有し該磁気ブラシ部を感光体に接触させた磁気ブラシ接触帯電部材或いは導電性繊維から構成されるブラシであることが好ましく良い。
【0233】
またそれらの表面に離型性被膜を設けてもよい。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PVdC(ポリ塩化ビニリデン)、フッ素アクリル樹脂などが適用可能である。
【0234】
本発明の画像形成方法において、現像工程は、トナー像を転写材上に転写した後に感光体に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねる現像同時クリーニング工程あるいはクリーナレス工程を有する画像形成方法であっても好ましい。
【0235】
さらに、現像同時クリーニング画像形成方法あるいはクリーナレス画像形成方法において、現像工程はトナーによって像担持体上の静電潜像を現像する工程であり、帯電工程は像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であり、且つ少なくとも帯電部材と像担持体との当接部及び/又はその近傍に、本発明の磁性トナー中に含まれる導電性微粉末が現像工程で像担持体に付着し、転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在している画像形成方法であることが好ましい。
【0236】
まず、現像同時クリーニング画像形成方法において、磁性トナー粒子に導電性微粉末を外部添加した場合の画像形成プロセス中でのトナー粒子及び導電性微粉末の挙動を説明する。
【0237】
トナーに含有させた導電性微粉末は、現像工程において像担持体上の静電潜像に、トナー粒子とともに適当量が像担持体側に移行する。
【0238】
像担持体上のトナー像は、転写工程において転写材側に転移する。像担持体上の導電性微粉末も一部は転写材側に付着するが、残りは像担持体上に付着保持されて残留する。トナーと逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、トナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、像担持体上の導電性微粉末は導電性であることで、転写材側には積極的には転移せず、一部は転写材側に付着するものの、残りは像担持体上に付着保持されて残留する。
【0239】
クリーナを用いない画像形成方法では、転写後の像担持体面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉末は、像担持体と接触帯電部材の当接部である帯電部に像担持体面の移動でそのまま持ち運ばれて、接触帯電部材に付着・混入する。従って、像担持体と接触帯電部材との当接部に導電性微粉末が介在した状態で像担持体の接触帯電が行なわれる。
【0240】
この導電性微粉末の存在により、接触帯電部材への転写残トナーの付着・混入による汚染にかかわらず、接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該接触帯電部材による像担持体の帯電を良好に行なわせることができる。また、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナーは、帯電部材から像担持体へ印加される帯電バイアスによって、帯電バイアスと同極性に帯電を揃えられて接触帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出され、像担持体面の移動とともに現像部に至り、現像工程において現像同時クリーニング(回収)される。
【0241】
更に、画像形成が繰り返されることで、トナーに含有させてある導電性微粉末が、現像部で像担持体面に移行し該像担持面の移動により転写部を経て帯電部に持ち運ばれて帯電部に逐次に導電性微粉末が供給され続けるため、帯電部において導電性微粉末が脱落等で減少したり、劣化するなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0242】
像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉末の介在量は、少なすぎると、該導電性微粉末による潤滑効果が十分に得られず、像担持体と接触帯電部材との摩擦が大きくて接触帯電部材を像担持体に速度差を持って回転駆動させることが困難である。つまり、駆動トルクが過大となるし、無理に回転させると接触帯電部材や像担持体の表面が削れてしまう。更に導電性微粉末による接触機会増加の効果が得られないこともあり十分な帯電性能が得られない。一方、介在量が多過ぎると、導電性微粉末の接触帯電部材からの脱落が著しく増加し作像上に悪影響が出ることがある。
【0243】
上記のことから、像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉末の介在量は1×103個/mm2以上が好ましく、より好ましくは1×104〜5×105個/mm2が良い。1×103個/mm2より低いと十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られず帯電性能の低下が生じることがある。1×104個/mm2より低いと転写残トナーが多い場合に帯電性能の低下が生じることがある。
【0244】
導電性微粉末の塗布密度範囲は、導電性微粉末をどれぐらいの密度で像担持体上に塗布することで均一帯電性の効果が得られるかでも決定される。
【0245】
帯電時は少なくともこの記録解像度(静電潜像での解像度)よりは均一な接触帯電が必要なことは言うまでもない。
【0246】
また、導電性微粉末の塗布量の上限値は、導電性微粉末が像担持体上に1層均一に塗布されるまでであり、それ以上塗布されても効果が向上するわけではなく逆に、露光源を遮ったり、散乱させたりという弊害が生じる。
【0247】
塗布密度上限値は導電性微粉末の粒径によっても変わってくるために、一概にはいえないが、強いて記述するならば、導電性微粉末が像担持体上に1層均一に塗布される量が上限である。
【0248】
導電性微粉末の量は、5×105個/mm2を超えると、導電性微粉末の像担持体への脱落が著しく増加し、微粉末自体の光透過性を問わず、像担持体への露光量不足が生じる。5×105個/mm2以下では脱落する粒子量も低く抑えられ露光の阻害を改善できる。該介在量範囲において像担持体上に脱落した粉末の存在量を測ると1×102〜1×105個/mm2であったことから、作像上弊害がない該存在量としては1×104〜5×105個/mm2の介在量が好ましい。
【0249】
帯電当接部での導電性微粉末の介在量及び静電潜像形成工程での像担持体上の導電性微粉末の存在量の測定方法について述べる。導電性微粉末の介在量は、接触帯電部材と像担持体の接触面部を直接測ることが望ましいが、当接部を形成する接触帯電部材の表面と像担持体の表面には速度差を設けている場合、接触帯電部材に接触する前に像担持体上に存在した粉末の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部材に剥ぎ取られることから、本発明においては、接触面部に到達する直前の接触帯電部材表面の粉末量をもって介在量とする。
【0250】
具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で像担持体及び導電性弾性ローラの回転を停止し、像担持体及び導電性弾性ローラの表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影する。導電性弾性ローラについては、導電性弾性ローラを像担持体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影する。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粉末の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測する。また、像担持体上の存在量についても像担持体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測する。
【0251】
本発明において、接触帯電部材として用いる導電性弾性のローラ部材の硬度は、アスカーC硬度が50度以下であることが好ましい。硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、更に、帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粒子を介在させることでローラ部材表層を削り或いは傷つけ、安定した帯電性が得られない。また、硬度が高すぎると被帯電体との間に帯電当接部を確保できないだけでなく、被帯電体表面へのミクロな接触性が悪くなる。さらには、アスカーC硬度で25〜50度が好ましい範囲である。
【0252】
ローラ部材は、弾性を持たせて被帯電体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を充電するに十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方では被帯電体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として電子写真用感光体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークを得るには、体積抵抗値が103〜108Ω・cm、より好ましくは104〜107Ω・cmの抵抗であることが良い。
【0253】
ローラ部材の体積抵抗値は、ローラの芯金に総圧1kgの加重がかかるようφ30mmの円筒状アルミドラムにローラを圧着した状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測することにより測定できる。
【0254】
本発明におけるローラ部材は、例えば、芯金上に可撓性部材としてのゴムあるいは発泡体の中抵抗層を形成することにより作成され得る。中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、芯金の上にローラ状に形成する。その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状を整えローラ部材を作成することができる。該ローラ部材表面は導電性微粒子を介在させるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。
【0255】
このセルは、球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有しており、上記窪みを空隙部としたローラ部材の表面の空隙率は15〜90%であるのが好ましい。
【0256】
ローラ部材の材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものがあげられる。また、導電性物質を分散せずに、或いは導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0257】
また、ローラ部材に用いられる芯金としては、アルミニウム、SUS等が挙げられる。
【0258】
ローラ部材は、像担持体としての被帯電体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、ローラ部材と像担持体の当接部である帯電当接部を形成させる。この帯電当接部幅は特に制限されるものではないが、ローラ部材と像担持体の安定して密な密着性を得るため1mm以上、より好ましくは2mm以上が良い。
【0259】
また、接触帯電部材としてのブラシ部材としては、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整された帯電ブラシが挙げられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の導電性金属或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性金属の酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0260】
接触帯電部材として帯電ブラシを用いる場合には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状帯電ブラシとしては、例えば、導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとすることができる。導電性繊維は、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
【0261】
帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましく良い。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯電部材と像担持体との帯電当接部及びその近傍の導電性微粒子の介在密度に依存しているため、帯電部材の選択の範囲は広められている。
【0262】
帯電ブラシに用いられる芯金としては、帯電ローラ部材に用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0263】
帯電ブラシの体積抵抗値は、ローラ部材の場合と同様に十分な帯電性と耐リークを得るには103〜108Ω・cmの抵抗であることが良い。
【0264】
帯電ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10が特に好ましく挙げられる。
【0265】
また、接触帯電部材が可撓性を有していることが、接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粒子が像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましく良い。つまり、接触帯電部材が導電性微粒子を介して密に像担持体に接触して、接触帯電部材と像担持体の当接部に存在する導電性微粒子が像担持体表面を隙間なく摺擦することで、接触帯電部材による像担持体の帯電は帯電促進粒子の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラ帯電等では得られない高い帯電効率が得られ、接触帯電部材に印加した電圧とほぼ同等の電位を像担持体に与えることができる。
【0266】
更に、当接部を形成する帯電部材の表面の移動速度と像担持体の表面の移動速度には、相対速度差を設けることで、接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粉末が像担持体に接触する機会を格段に増加させ、より高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましく良い。
【0267】
接触帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粒子を介在させることにより、導電性微粉末の潤滑効果(摩擦低減効果)により、接触帯電部材と像担持体との間に大幅なトルクの増大及び接触帯電部材及び像担持体表面の顕著な削れ等を伴うことなく速度差を設けることが可能となる。
【0268】
帯電部に持ち運ばれる像担持体上の転写残トナーを接触帯電部材に一時的に回収し均すために、接触帯電部材と像担持体は、当接部において互いに逆方向に移動させることが好ましく良い。例えば、接触帯電部材を回転駆動し、さらに、その回転方向は、当接部において像担持体表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。即ち、逆方向回転で像担持体上の転写残トナーを一旦引き離し帯電を行なうことにより、優位に直接注入帯電を行なうことが可能である。
【0269】
帯電部材を像担持体表面の移動方向と同じ方向に移動させて速度差をもたせることも可能であるが、直接注入帯電の帯電性は像担持体の周速と帯電部材の周速の比に依存するため、逆方向と同じ周速比を得るには順方向では帯電部材の回転数が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が回転数の点で有利である。
【0270】
速度差を設ける構成としては、接触帯電部材を回転駆動して像担持体と該接触帯電部材に速度差を設けることができる。ここで記述した周速比は、下式(5)で表せる(帯電部材周速は当接部において帯電部材表面が像担持体表面と同じ方向に移動するとき正の値である)。
【0271】
【数10】
周速比(%)=(帯電部材周速/像担持体周速)×100 式(5)
相対速度差を示す指標としては、下式(6)で表される相対移動速度比がある。
【0272】
【数11】
相対移動速度比(%)=|(Vc−Vp)/Vp|×100 式(6)
(式中、Vcは帯電部材表面の移動速度、Vpは像担持体表面の移動速度であり、Vcは、当接部において帯電部材表面が像担持体表面と同じ方向に移動するとき、Vpと同符号の値とする。)
相対移動速度比は、通常には10〜500%である。
【0273】
像担持体上の転写残トナーを一時的に回収するとともに導電性微粒子を担持し直接注入帯電を優位に実行する上でも、接触帯電部材として先述したような可撓性部材である導電性弾性のローラ部材或いは回動可能な帯電ブラシロールを用いることが好ましい。
【0274】
次に像担持体について説明する。本発明の画像形成方法において、像担持体(以下、「感光体」ともいう)の最表面層の体積抵抗値は、1×109以上、1×1015Ω・cm未満であることが好ましい。感光体の最表層が上記範囲の体積抵抗値であることにより、より良好な帯電性を与えることができ好ましい。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体である感光体側の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受が行えるようになる。このためには、最表面層の体積抵抗値としては1×1015Ω・cm未満であることが好ましく良い。一方、像担持体として静電潜像を一定時間保持する必要するためには、最表面層の体積抵抗値としては1×109Ω・cm以上であることが好ましく良い。
【0275】
なお、本発明における像担持体の最表面層の体積抵抗値の測定方法は、表面に金を蒸着させたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に像担持体の最表面層と同様の組成からなる層を作成し、これを体積抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140BpAMATER)にて、23℃、65%の環境で100Vの電圧を印加して測定する方法が挙げられる。
【0276】
本発明の感光体は、アモルファスセレン、アモルファスシリコン、CdS、ZnO2または有機系感光物質等の光導電性物質を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトであることが好ましい。
【0277】
また、本発明において、感光体表面の水に対する接触角は85度以上であることが好ましく、このような感光体とするには、感光体表面が有機感光層である高分子結着剤を主体とし、さらに離型性を付与することによって構成されるものを用いることができる。例えば、セレン、アモルファスシリコンなどの無機感光体の上に樹脂を主体とした表面層を設ける場合、又は機能分離型感光体の電荷輸送層として、電荷輸送物質と樹脂からなる表面層をもつ場合、さらにその上に上記のような表面層を設ける場合等がある。このような表面層に離型性を付与する手段としては、下記のことが挙げられる。
(1)膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる。
(2)撥水、親油性を付与するような添加剤を加える。
(3)高い離型性を有する材料を粉体状にして樹脂中に分散する。
【0278】
(1)の例としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基等を導入することにより達成する。(2)としては、界面活性剤等を添加剤とすればよい。(3)の離型性を有する材料としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂又はポリオレフィン樹脂等から選ばれる1種以上の潤滑性微粒子が挙げられ、中でもフッ素原子を含む化合物、すなわちポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化カーボン等が挙げられる。
【0279】
これらの手段によって感光体表面の水に対する接触角を85度以上とすることができ、トナーの転写性及び感光体の耐久性を一層向上させることができる。好ましくは90度以上がよい。この中でも特にポリ四フッ化エチレンが好適である。本発明においては、(3)の含フッ素系樹脂などの離型性粉体の最表面層への分散する手段が好適である。この場合、表面層の樹脂に加える潤滑性微粒子の量を多くすれば、水に対する接触角を大きくすることができる。
【0280】
接触角の測定は、滴下式の接触角計により水の自由表面が感光体に接する場所で、液面と感光体表面のなす角(液の内部にある角)で定義する。
【0281】
なお、上記測定は室温(約21〜25℃)で行われるものとする。
【0282】
これらの潤滑性微粒子を感光体表面に含有させるためには、表面層に用いる樹脂中に潤滑性微粒子を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最表面層に潤滑性微粒子を分散させれば良い。添加量は、表面層総重量に対して、1〜60質量%、さらには、2〜50質量%が好ましい。1質量%より少ないとトナーの転写性及び感光体の耐久性改善の効果が不十分であり、60質量%を越えると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下したりするため、好ましくない。
【0283】
本発明の画像形成方法は、帯電工程が帯電部材を感光体に当接部を形成するように当接させて、電圧を印加することにより感光体を帯電させる直接帯電法であり、オゾンの発生が少ない点で好ましいが、帯電手段が感光体に接することのないコロナ放電等による方法にくらべて感光体表面に対する負荷が大きいので、上記の構成は感光体寿命という点で改善効果が顕著であり、好ましい適用形態のひとつである。
【0284】
また、本発明に用いられる感光体の好ましい態様のひとつを以下に説明する。
感光体は、導電性基体上に有機感光層を有する。
【0285】
有機感光層として、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送物質を同一に含有する単一層型でもよく、または電荷輸送層と電荷発生層を有する機能分離型感光層であっても良い感光層を用いる。即ち、導電性基体上に有機感光層を設け、その表面に保護層を設ける。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0286】
導電性基体としては、アルミニウム・ステンレス等の金属、アルミニウム合金・酸化インジウム−酸化錫合金等による被膜層を有するプラスチック、導電性粒子を含侵させた紙・プラスチック、導電性ポリマーを有するプラスチック等の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。これら導電性基体上には、感光層の接着性向上・塗工性改良・基体の保護・基体上に欠陥の被覆・基体からの電荷注入性改良・感光層の電気的破壊に対する保護等を目的として下引き層を設けても良い。
【0287】
下引き層は、ポリビニルアルコール・ポリ−N−ビニルイミダゾール・ポリエチレンオキシド・エチルセルロース・メチルセルロース・ニトロセルロース・エチレン−アクリル酸コポリマー・ポリビニルブチラール・フェノール樹脂・カゼイン・ポリアミド・共重合ナイロン・ニカワ・ゼラチン・ポリウレタン・酸化アルミニウム等の材料によって形成される。その膜圧は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μm程度である。
【0288】
電荷発生層は、アゾ系顔料・フタロシアニン系顔料・インジゴ系顔料・ペリレン系顔料・多環キノン系顔料・スクワリリウム色素・ピリリウム塩類・チオピリリウム塩類・トリフェニルメタン系色素、セレン・非晶質シリコン等の無機物質などの電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工するあるいは蒸着等により形成される。結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂・ポリエステル樹脂・ポリビニルブチラール樹脂・ポリスチレン樹脂・アクリル樹脂・メタクリル樹脂・フェノール樹脂・シリコン樹脂・エポキシ樹脂・酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80質量%以下、好ましくは0〜40質量%に選ぶ。また、電荷発生層の膜圧は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0289】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着剤と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜圧は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン・アントラセン・ピレン・フェナントレンなどの構造を有する多環芳香族化合物、インドール・カルバゾール・オキサジアゾール・ピラゾリンなどの含窒素環式化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、セレン・セレンーテルル・非晶質シリコン・硫化カドニウム等が挙げられる。
【0290】
また、これら電荷輸送物質を分散させる結着剤としては、ポリカーボネート樹脂・ポリエステル樹脂・ポリメタクリル酸エステル・ポリスチレン樹脂・アクリル樹脂・ポリアミド樹脂等の樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール・ポリビニルアントラセン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。
【0291】
又、表面層として、保護層を設けてもよい。保護層の樹脂としては、ポリエステル・ポリカーボネート・アクリル樹脂・エポキシ樹脂・フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤等が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。
【0292】
また、保護層の樹脂中に導電性微粒子を分散してもよい。導電性微粒子の例としては、金属・金属酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化亜鉛・酸化チタン・酸化スズ・酸化アンチモン・酸化インジウム・酸化ビスマス・酸化スズ被膜酸化チタン・スズ被膜酸化インジウム・アンチモン被膜酸化スズ・酸化ジルコニウム等の超微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
【0293】
一般的に保護層に粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、本発明における保護層に分散される導電性微粒子、絶縁性の潤滑性微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。また、保護層中での含有量は、保護層総重量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0294】
表面層の塗工は、樹脂分散液をスプレーコーティング、ビームコーティングあるいは浸透(ディッピング)コーティングすることによって行うことができる。
【0295】
次に、本発明の画像形成方法において好ましく適用される接触転写工程について具体的に説明する。本発明において、像担持体からトナー画像の転写を受ける記録媒体は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。記録媒体を中間転写体とする場合、中間転写体から紙などの転写材に再度転写することでトナー像が得られる。
【0296】
接触転写工程とは、感光体と転写材を介して転写手段を当接しながら現像画像を転写材に静電転写するものであるが、転写手段の当接圧力としては線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m(20g/cm)以上である。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
【0297】
また、接触転写工程における転写手段としては、転写ローラあるいは転写ベルトを有する装置が使用される。図4に転写ローラの構成の一例を示す。転写ローラ34は少なくとも芯金34aと導電性弾性層34bからなり、導電性弾性層はカーボン等の導電材を分散させたウレタンやEPDM等の、体積抵抗1×106〜1×1010Ω・cm程度の弾性体で作られており、転写バイアス電源35により転写バイアスが印加されている。
【0298】
本発明の画像形成方法は、感光体の表面が有機化合物である様な画像形成装置に接触転写方法を用いる場合において特に有効である。即ち、有機化合物が感光体の表面層を形成している場合には、無機材料を用いた他の感光体よりもトナー粒子に含まれる結着樹脂との接着性が強く、転写性がより低下する傾向にあるためである。
【0299】
また、本発明の画像形成方法に接触転写方法を適用する場合、使用される感光体としては特に制限はなく、上述のものが挙げられる。
【0300】
また、接触転写方法を適用した本発明の画像形成方法は、直径が50mm以下の小径の感光体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、小径感光体の場合には、同一の線圧に対する曲率が大きく、当接部における圧力の集中が起こりやすいためである。ベルト感光体でも同一の現象があると考えられるが、本発明は、転写部での曲率半径が25mm以下の画像形成装置に対しても有効である。
【0301】
また本発明の画像形成方法においては、カブリの無い高画質を得るためにトナー担持体上にトナー担持体−感光体の最近接距離(S−D間)よりも薄い層厚で、磁性トナーを塗布し、交流電圧を印加して現像を行う現像工程で現像される。すなわち、トナー担持体上の磁性トナーを規制するトナー層厚規制部材によってトナー担持体上のトナー層厚よりも感光体とトナー担持体の最近接間隙が広くなるように設定して用いるが、トナー担持体上の磁性トナーを規制するトナー層厚規制部材がトナーを介してトナー担持体に当接されている弾性部材によって規制される事が、トナーを温湿度環境の影響を受けにくく、トナー飛散の起こりにくい均一な帯電を得る観点から特に好ましい。
【0302】
本発明において、トナー担持体は感光体に対して100〜1000μmの離間距離を有して対向して設置されることが好ましく良い。トナー担持体の感光体に対する離間距離が100μmよりも小さいと、離間距離の振れに対するトナーの現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となることがある。トナー担持体の感光体に対する離間距離が1000μmよりも大きいと、感光体上の潜像に対するトナーの追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招く。好ましくは120〜500μmが良い。
【0303】
本発明において、トナー担持体上に5〜50g/m2のトナー層を形成し、トナー層からトナーを感光体上に転移させ静電潜像を現像することが好ましく良い。トナー担持体上のトナー量が5g/m2よりも小さいと、十分な画像濃度が得られにくく、トナーの帯電が過剰になることによるトナー層のムラを生じる。トナー担持体上のトナー量が50g/m2よりも多くなると、トナー飛散を生じ易くなる。
【0304】
本発明において、トナー担持体に対して交番電界を印加して現像を行う現像工程で現像されることが好ましく、印加現像バイアスは直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳してもよい。
【0305】
現像バイアスに用いられる交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0306】
トナーを担持をするトナー担持体と像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で1×106〜1×107V/m、周波数100〜5000Hzの交番電界を現像バイアスとして印加することが好ましく良い。
【0307】
本発明に使用されるトナー担持体は、アルミニウム、ステンレススチールの如き金属又は合金で形成された導電性円筒(現像ローラ)が好ましく使用される。また、充分な機械的強度及び導電性を有する樹脂組成物で導電性円筒が形成されていても良く、導電性のゴムローラを用いても良い。さらに、上記のような円筒状に限られず、回転駆動する無端ベルトの形態をしても良い。
【0308】
本発明に使用されるトナー担持体の表面粗さはJIS中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。
【0309】
Raが0.2μm未満ではトナー担持体上の帯電量が高くなり、現像性が不充分となる。Raが3.5μmを超えると、トナー担持体上のトナーコート層にむらが生じ、画像上で濃度むらとなる。さらに好ましくは、0.5〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0310】
本発明において、トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JIS B 0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式(7)によって求められる値をミクロメートル(μm)で表したものを言う。
【0311】
【数12】
Figure 0004590066
さらに、本発明の磁性トナーは高い帯電能力を有するために、現像に際してはトナーの総帯電量をコントロールすることが望ましく、本発明に係わるトナー担持体の表面は導電性微粒子及び/又は滑剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
【0312】
トナー担持体の被覆層において、樹脂材料に含まれる導電性微粒子は、11.7Mpa(120kg/cm2)で加圧した後の抵抗値が0.5Ω・cm以下であるものが好ましい。
【0313】
トナー担持体に用いられる導電性微粒子としては、カーボン微粒子、カーボン微粒子と結晶性グラファイトとの混合物、または結晶性グラファイトが好ましい。導電性微粒子は、粒径0.005〜10μmを有するものが好ましい。
【0314】
樹脂材料は、例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂を使用することができる。
【0315】
中でもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、あるいはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。特に、フェノール樹脂が好ましい。
【0316】
トナー担持体に用いる導電性微粒子は、被覆層の樹脂成分10質量部当り、3〜20質量部使用するのが好ましい。
【0317】
カーボン微粒子とグラファイト粒子を組み合わせて使用する場合は、グラファイト10質量部当り、カーボン微粒子1〜50質量部を使用するのが好ましい。
【0318】
導電性微粒子が分散されてるトナー担持体の樹脂コート層の体積抵抗率は1×10-6〜1×106Ω・cmが好ましい。
【0319】
また本発明においては、トナーを担持するトナー担持体表面は、像担持体表面の移動方向と同方向に移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよい。その移動方向が同方向である場合像担持体の移動速度に対して、比で100%以上であることが望ましい。100%未満であると、画像品質が悪い。移動速度比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。具体的には、トナー担持体表面の移動速度が像担持体表面の移動速度に対し、1.05〜3.0倍の速度であることが好ましい。
<5>本発明のプロセスカートリッジ
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置から着脱可能に構成されており、像担持体と帯電手段とからなる群から選ばれる少なくとも1つの手段が、現像手段と一体に支持されているものである。
【0320】
本発明のプロセスカートリッジにおいて使用される現像手段は、トナー、トナーを収容するトナー容器、トナー担持体等を有している通常の現像器が挙げられる。
【0321】
本発明のプロセスカートリッジにおいて使用されるトナーは、本発明の上述した磁性トナーを用いることが好ましい。
【0322】
上記構成のように現像手段が、着脱可能となるプロセスカートリッジであることにより、トナーの寿命が終了したとしても、各々の手段、部材を変更するだけで画像形成装置としては成立し、無駄なく使用することができる。
【0323】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。
【0324】
なお、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0325】
また、本発明のトナー及びその他の物性の測定方法は、上述の詳細な説明中で記載された方法で測定可能である。
<1>磁性体の製造
以下のようにして、表面処理磁性体1〜8と磁性体1を得た。
<表面処理磁性体1の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対してl.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0326】
水溶液のpHを9前後に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、磁性粒子のスラリー液を得た。洗浄、濾過した後この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約6に調製し、十分攪拌しながらシランカップリング剤(n−C1021Si(OCH33)を磁性酸化鉄に対し0.2質量部(磁性粒子の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性体を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を十分解砕処理した。次に、得られた疎水性磁性体に対し0.3質量部のシランカップリング剤(n−C1021Si(OCH33)で乾式により再度疎水化処理を行い、表面処理磁性体1を得た。得られた表面処理磁性体の物性を表1に示す。
<磁性体1の製造>
表面処理磁性体1の製造と同様に酸化反応を進め、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過後乾燥し、凝集している粒子を解砕処理して磁性体1を得た。
<表面処理磁性体2の製造>
上記磁性体1を、別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約6に調製し、十分攪拌しながらシランカップリング剤(n−C1021Si(OCH33)を表面処理磁性体1に対し0.5質量部添加し、カップリング処理を行った。得られた磁性粒子スラリーを常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで凝集している粒子を解砕処理して、表面処理磁性体2を得た。得られた表面処理磁性体2の物性を表1に示す。
<表面処理磁性体3の製造>
表面処理磁性体2の製造において、シランカップリング剤(n−C1021Si(OCH33)の使用量を磁性体1に対し0.5質量部とし気相中にて表面処理した以外は表面処理磁性体2の製造と同様にして、表面処理磁性体3を得た。得られた磁性体の物性を表1に示す。
<表面処理磁性体4の製造>
シランカップリング剤として、(n−C1021Si(OCH33)に代えて(n−C613Si(OCH33)を用いた以外は表面処理磁性体1の製造と同様の手法により、表面処理磁性体4を得た。得られた磁性体の物性を表1に示す。
<表面処理磁性体5の製造>
シランカップリング剤として、(n−C1021Si(OCH33)に代えて(n−C1837Si(OCH33)を用いた以外は表面処理磁性体1の製造と同様の手法により、表面処理磁性体5を得た。得られた磁性体の物性を表1に示す。
<表面処理磁性体6〜8の製造>
表面処理磁性体1の製造において、磁性体の製造条件(pH、撹拌速度、酸化反応速度、空気の吹き込み量等)及び疎水化処理剤量を適宜変えて、表面処理磁性体6〜8を得た。得られた磁性体の物性を表1に示す。
【0327】
【表1】
Figure 0004590066
<2>導電性微粉末の製造
以下のようにして、導電性微粉末1〜5を得た。
<導電性微粉末1>
体積平均粒径3.7μm、粒度分布における0.5μm以下が6.6体積%、5μm以上が8個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗80Ω・cm、一次粒子径0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子を圧力により造粒した得られた物、白色)を導電性微粉末1とする。
【0328】
この導電性微粉末1は、走査型電子顕微鏡にて3000倍及び3万倍で観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜10μmの凝集体からなっていた。
【0329】
後述する実施例1の画像形成装置で画像露光に用いられるレーザービームスキャナの露光光波長740nmにあわせて、波長740nmの光源を用いて、この波長域における透過率をX−Rite社製310T透過型濃度計を用い測定したところ、この導電性微粉末1の透過率はおよそ35%であった。
<導電性微粉末2>
導電性微粒末1を風力分級して得られた、体積平均粒径2.4μm、粒度分布における0.5μm以下が4.1体積%、5μm以上が1個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗440Ω・cm、透過率35%)を導電性微粉末2とする。
【0330】
この導電性微粉末2は、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜5μmの凝集体からなっていたが、導電性微粉末1と比較すると、一次粒子は減少していた。
<導電性微粉末3>
導電性微粒末1を風力分級して得られた、体積平均粒径1.5μm、粒度分布における0.5μm以下が35体積%、5μm以上が0個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗1500Ω・cm、透過率35%)を導電性微粉末3とする。
この導電性微粉末3は、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜4μmの凝集体からなっていたが、導電性微粉末2と比較すると、一次粒子は増加していた。
<導電性微粉末4>
体積平均粒径0.3μm、粒度分布における0.5μm以下が80体積%、5μm以上が0個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗100Ω・cm、一次粒子径0.1〜0.3μm、白色、透過率35%、純度99%以上)を導電性微粉末4とする。この導電性微粉末4は、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、凝集体の少ない0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子からなっていた。
<導電性微粉末5>
酸化スズ・アンチモンで表面処理された体積平均粒径2.8μmのホウ酸アルミニウムを風力分級によって粗粒子を除いた後に、水系に分散しての濾過を繰り返し行うことで微粒子を除き、体積平均粒径3.2μm、粒度分布における0.5μm以下が0.4体積%、5μm以上が1個数%の灰白色の導電性粒子を得た。これを導電性微粉末5とする。
【0331】
導電性微粉末1〜5の代表的物性値を下記表2に示す。
【0332】
【表2】
Figure 0004590066
<3>磁性トナーの製造
(a)磁性トナー粒子の製造
<磁性トナー粒子1の製造>
イオン交換水709gに0.1M−Na3PO4水溶液451gを投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7gを徐々に添加した後、塩酸を加えて溶液のpHを約8.5に調整し、Ca3(PO42を含む水系媒体を得た。
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・不飽和ポリエステル樹脂 5部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物)
(下記一般式(III)に示される化合物) 1部
・表面処理磁性体1 90部
【0333】
【化3】
Figure 0004590066
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。なお、以下の磁性トナーに用いられる負電荷性制御剤も上記一般式(III)で表されるものである。
【0334】
この単量体組成物を60℃に加温し、そこにベヘニン酸ベヘニルを主体とするエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃)20部を添加混合し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[t1/2 =140分、60℃条件下]7g及びジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート[t1/2 =270分、60℃条件下;t1/2 =80分、80℃条件下]2gを溶解した。
【0335】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で7時間反応させた。その後液温を80℃とし更に3時間撹拌を続けた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO42を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径6.6μmの磁性トナー粒子1を得た。
【0336】
得られた磁性トナー粒子1の物性を、以下の磁性トナー粒子の製造にて得られた磁性トナー粒子のものと併せ、表3に示す。
<磁性トナー粒子2〜8の製造>
磁性トナー粒子1の製造において、表面処理磁性体1に代えて表面処理磁性体2〜8を用いる以外は同様の手法により、各々磁性トナー粒子2〜8を得た。
<磁性トナー粒子9の製造>
磁性トナー粒子1の製造において、表面処理磁性体1に代えて磁性体1を用いる以外は同様の手法により、磁性トナー粒子9を得た。
<磁性トナー粒子10の製造>
磁性トナー粒子1の製造において、Na3PO4水溶液の投入量及びCaCl2水溶液の添加量を調整して水系媒体中のCa3(PO42量を変更し、さらにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることにより、重量平均粒径が2.9μmの磁性トナー粒子10を得た。
<磁性トナー粒子11、12の製造>
磁性トナー粒子1の製造において、表面処理磁性体1の処方量を9部、202部とそれぞれ変更する以外は同様の手法により、磁性トナー粒子11、12を得た。
<磁性トナー粒子13、14の製造>
磁性トナー粒子1の製造において、エステルワックスの処方量を0.47部、50.6部とそれぞれ変更する以外は同様の手法により、磁性トナー粒子13、14を得た。
<磁性トナー粒子15の製造>
磁性トナー粒子1の製造において、エステルワックスに代えてポリエチンを主体とするワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値115℃)を用いる以外は同様の手法により、磁性トナー粒子15を得た。
<磁性トナー粒子16の製造>
イオン交換水709gに0.1M−Na3PO4水溶液451gを投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7gを徐々に添加した後、塩酸を加えて溶液のpHを約8.5に調整してCa3(PO42を含む水系媒体を得た。
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・不飽和ポリエステル樹脂 5部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1.2部
・表面処理磁性体1 108部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこに磁性トナー粒子1の製造で使用したエステルワックス24部を添加混合し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[t1/2 =140分、60℃条件下]7.2部及びジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート[t1/2 =270分、60℃条件下;t1/2 =80分、80℃条件下]2部を溶解した。
【0337】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で3時間反応させた。その後液温を80℃とし更に1時間撹拌を続けた。
次に、この水系懸濁液中に
・スチレン 16部
・n−ブチルアクリレート 4部
・2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 0.4部
・ベヘニン酸ナトリウム 0.1部
・水 20部
の混合物を添加し、再度、液温を80℃として6時間撹拌を続けた。
反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO42を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径7.5μmの磁性トナー粒子16を得た。
Figure 0004590066
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径7.5μmの黒色粉体17を得た。
<磁性トナー粒子18の製造>
上記磁性トナー粒子17を、衝撃式表面処理装置(処理温度55℃、回転式処理ブレード周速90m/sec.)を用いて球形化処理することにより、磁性トナー粒子18を得た。
【0338】
【表3】
Figure 0004590066
【0339】
磁性トナー1の処方を、以下に示す磁性トナー2〜21の製造例及び比較用の磁性トナー1’〜5’のものと併せ、表4に示す。
<磁性トナー2の製造>
磁性トナー粒子2を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体0.6部を混合して、磁性トナー2を調製した。
<磁性トナー3〜6の製造>
磁性トナー粒子4〜7を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体1部を混合して、磁性トナー3〜6を調製した。
<磁性トナー7、8の製造>
磁性トナー粒子8、12を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体0.6部を混合して、磁性トナー7、8を調製した。
<磁性トナー9、10の製造>
磁性トナー粒子13、14を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体1部を混合して、磁性トナー9、10を調製した。
<磁性トナー11の製造>
磁性トナー粒子15を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体0.6部を混合して、磁性トナー11を調製した。
<磁性トナー12の製造>
磁性トナー粒子16を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体1部を混合して、磁性トナー12を調製した。
<磁性トナー13の製造>
磁性トナー粒子18を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体1.0部を混合して、磁性トナー13を調製した。
<磁性トナー14〜16の製造>
磁性トナー粒子1を100部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面を処理し処理後のBET値が200m2/gの疎水性シリカ微粉体1部、iso-ブチルトリメトキシシランで表面を処理し処理後のBET値が100m2/gの疎水性酸化チタン微粉体1部、または表面をiso-ブチルトリメトキシシランで処理し処理後のBET値が150m2/gの疎水性アルミナ微粉体1部を各々混合して、磁性トナー14〜16を調製した。
<磁性トナー17の製造>
磁性トナー粒子1を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体を1部及び導電性微粉末1を2部混合して、磁性トナー17を調製した。
<磁性トナー18〜21の製造>
磁性トナー粒子1を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体を1部及び各々導電性微粉末2〜5のいずれかを2部混合して、磁性トナー18〜21を調製した。
<磁性トナー1’の製造>
磁性トナー粒子3を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体0.6部を混合して、磁性トナー1’を調製した。
<磁性トナー2’の製造>
磁性トナー粒子9を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体0.6部を混合して、磁性トナー2’を調製した。
<磁性トナー3’の製造>
磁性トナー粒子10を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体2.0部を混合して、磁性トナー3’を調製した。
<磁性トナー4’の製造>
磁性トナー粒子11を100部に対し、磁性トナー1の製造で用いた疎水性シリカ微粉体0.6部を混合して、磁性トナー4’を調製した。
<磁性トナー5’の製造>
磁性トナー粒子17を100部に対し、磁性トナ1ーの製造で用いた疎水性シリカ微粉体1.0部を混合して、磁性トナー5’を調製した
【0340】
【表4】
Figure 0004590066
【0341】
【実施例1】
画像形成装置として、LBP−1760を改造し、上記実施の形態で示したのと同様の図1に示されるものを用いた。
【0342】
まず、本発明の実施例に用いる像担持体として、以下の感光体1を製造した。
<感光体1の製造>
感光体としては直径30mmのアルミニウムシリンダーを基体とした。これに、図3に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体1を作成した。
(1)導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μm。
(2)下引き層:変性ナイロン、及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚0.6μm。
(3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6μm。
(4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量2万)に8:10の質量比で溶解したものを主体とし、さらにポリ四フッ化エチレン粉体(平均粒径0.2μm)を総固形分に対して10質量%添加し、均一に分散した。膜厚25μm。水に対する接触角は95度であった。
【0343】
なお、接触角の測定は、純水を用い、装置は、協和界面科学(株)、接触角計CAーX型を用いた。
像担持体として、上記で得られた感光体1の有機感光体(OPC)ドラムを用いた。この感光体に一次帯電部材として導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆されたゴムローラ帯電器を当接させ(当接圧60g/cm)、直流電圧−700Vdcに交流電圧2.0kVppを重畳したバイアスを印加して感光体上を一様に帯電する。一次帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成する。この時、暗部電位Vd=−700V、明部電位VL=−150Vとした。
【0344】
感光ドラムと現像スリーブとの間隙は300μmとし、トナー担持体として下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に形成した現像スリーブを使用し、現像磁極85mT(850ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm、自由長1.0mmのシリコーンゴム製ブレードを29.4N/m(30g/cm)の線圧で当接させた。
・フェノール樹脂 100部
・グラファイト(平均粒径約7μm)90部
・カーボンブラック 10部
次いで、現像バイアスとして−500Vの直流電圧と周波数2000Hz、ピーク間電圧1600Vの交流電圧を重畳したものを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(94mm/sec)に対して順方向に110%のスピード(103mm/sec)とした。
【0345】
また、図4のような転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン-プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ω・cm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を図4中A方向の感光体周速(94mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0346】
定着方法としてはLBP−1760のオイル塗布機能のない、フィルムを介してヒータにより加熱加圧定着する方式の定着装置を用いた。この時加圧ローラはフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラの直径は30mmであった。また、定着温度は180℃、ニップ幅を7mmに設定した。
【0347】
最初に、磁性トナーとして磁性トナー1を使用した。まず、50℃の温度下で3日間放置した。その後、この磁性トナーで、30℃、80%RH環境下において画出し試験を行った。転写材としては90g/m2の紙を使用した。その結果、磁性トナー1では、初期において高い転写性を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、非画像部へのカブリのない良好な画像が得られた。
【0348】
次に、印字率4%の画像パターンで耐久性の評価を行った。
【0349】
画像評価は以下のように行った。
【0350】
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をc、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をd、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をeとした時、近似的に以下の式(8)で計算した。
【0351】
【数13】
Figure 0004590066
転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0352】
また、耐久初期の解像力は、潜像電界によって電界が閉じやすく、再現しにくい600dpiにおける小径孤立1ドットの再現性によって評価した。
◎非常に良好:100個中の欠損が5個以下
○良好 :100個中の欠損が6〜10個
△実用可 :100個中の欠損が11〜20個
×実用不可 :100個中の欠損が20個以上
非画像部分のカブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターとしてはグリーンフィルターを用い、下記(9)式より算出した。数値が小さい程、カブリが少ない。
【0353】
【数14】
Figure 0004590066
カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
画像濃度はマクベス濃度計RD918(マクベス社製)で測定した。
初期画像濃度は画出し20枚目の濃度とした。
定着オフセット性は、初期から耐久100枚までの画像サンプルの裏側に発生する汚れを観察し、発生枚数を数えた。
【0354】
トナー粒子内部における離型剤の分散状態の判断は、50℃下3日間放置後の画像特性及び耐久性の評価により判断した。離型剤の分散状態が良くない場合、この放置により離型剤の一部がトナー表面に露出してしまい、トナー性能が低下する。得られた結果を表5に示す。表5から分かるように、磁性トナー1は50℃下3日間放置後の耐久性評価でも、印字2000枚まで良好な結果を示した。
【0355】
[参考例2、5〜7、及び13、並びに、実施例3〜4、8〜12及び14〜21]
磁性トナーとして、磁性トナー2〜21を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、初期の画像特性も問題無く、印字2000枚までいずれも大きな問題の無い結果が得られた。結果を表5に示す。
【0356】
【比較例1〜5】
磁性トナーとして、磁性トナー1’〜5’を使用し、実施例1と同様の画像形成方法で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、放置直後の画像特性に問題が有り、耐久試験と共に一層悪化した。これはトナー粒子内部での離型剤の不均一な分散状態を反映していると考えられる。結果を表5に示す。
【0357】
【表5】
Figure 0004590066
【0358】
【実施例22】
また本発明のトナーは、クリーナレス画像形成方法あるいは現像同時回収画像形成方法にも、適用可能である。
【0359】
まず、本発明の実施例に用いる像担持体として、以下の感光体2を製造した。
<感光体2の製造>
感光体は負帯電用の有機光導電性物質を用いた感光体(以下OPC感光体)であり、直径30mmのアルミニウム製のシリンダーを基体とした。これに、図6に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体を作成した。
(1)導電層:アルミニウムシリンダーの欠陥等をならすため、またレーザ露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする)である。
(2)正電荷注入防止層(下引き層):アルミニウム基体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果し、メトキシメチル化ナイロンによって106Ω・cm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
(3)電荷発生層:ジスアゾ系の顔料をブチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザ露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
(4)電荷輸送層:ポリカーボネート樹脂にヒドラゾン化合物を分散した厚さ約25μmの層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
(5)電荷注入層:光硬化性のアクリル樹脂に導電性酸化スズ超微粒子及び粒径約0.25μmの四フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものである。具体的には、アンチモンをドーピングし低抵抗化した粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を樹脂に対して100質量%、更にポリ四フッ化エチレン樹脂粒子を20質量%、分散剤を1.2質量%分散したものである。このようにして調製した塗工液をスプレー塗工法にて厚さ約2.5μmに塗工し、光照射により硬化させて電荷注入層とした。
【0360】
得られた感光体の表面の抵抗は、5×1012Ω・cm、感光体表面の水に対する接触角は、102°であった。
【0361】
次に、本発明の実施例に用いる帯電部材の製造例について述べる。
<帯電部材1の製造>
直径6mm、長さ264mmのSUSローラを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整え、可撓性部材として直径12mm、長さ234mmの帯電ローラーを作成した。得られた帯電ローラは、抵抗が105Ω・cmであり、硬度は、アスカーC硬度で30度であった。また、この帯電ローラ表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ平均セル径は約90μmで、空隙率は55%であった。
【0362】
図5は本発明に従う画像形成装置の一例の概略構成模型図である。
【0363】
本例の画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンター(記録装置)である。クリーニングブレードの如きクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては磁性トナーを使用し、トナー担持体上のトナー層と像担持体が非接触となるよう配置される非接触現像の例である。
(1)本例プリンターの全体的な概略構成
像担持体としての、上記で得られた感光体2の回転ドラム型OPC感光体21は、矢印のX方向に94mm/secの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0364】
接触帯電部材としての上記帯電部材1である帯電ローラ22は、感光体21に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体21と帯電ローラ22の当接部である帯電当接部である。本例では、帯電ローラ22は感光体21との接触面である帯電当接部nにおいて対向方向(感光体表面の移動方向と逆方向=矢印Y方向)に100%の周速で回転駆動されている。即ち接触帯電部材としての帯電ローラ22の表面は感光体21の表面に対して速度差を持たせた。また、帯電ローラ22の表面には、塗布量がおよそ1×104個/mm2で均一になるように前記導電性微粉末1を塗布した。
【0365】
また帯電ローラ22の芯金22aには帯電バイアス印加電源から−700Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加するようにした。本例では感光体21の表面は帯電ローラ22に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−680V)に直接注入帯電方式にて一様に帯電処理される。これについては後述する。
【0366】
露光手段としてのレーザダイオード・ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光器)23は、目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザ光を出力し、該レーザ光で上記感光体21の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により回転感光体21の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0367】
感光体21の表面の静電潜像は、現像装置24によりトナー像として現像される。
【0368】
本例の現像装置24においては、現像剤として実施例17で使用した磁性トナー17を用いた、非接触型の反転現像装置である。前述のように磁性トナー17には導電性微粉末1を外添添加してある。
【0369】
感光ドラム21と、トナー担持体としての現像スリーブ24aとの間隙は310μmとし、現像スリーブ24aとして下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に形成した現像スリーブを使用し、現像磁極90mT(900ガウス)のマグネットロールを内包し、トナー層厚規制部材として厚み1.0mm、自由長1.5mmのウレタン製の弾性ブレード24cを29.4N/m(30g/cm)の線圧で当接させた。
・フェノール樹脂 100部
・グラファイト(平均粒径約7μm)90部
・カーボンブラック 10部
また、感光体21との対向部である現像部a(現像領域部)にて感光体21の回転方向と順方向(矢印W方向)に感光体21の周速の120%の周速で回転させる。
【0370】
この現像スリーブ24aに弾性ブレード24cでトナーが薄層にコートされる。トナーは弾性ブレード24cで現像スリーブ24aに対する層厚が規制され、また電荷が付与される。この時、現像スリーブ24aにコートされたトナー量は、16g/m2であった。
【0371】
現像スリーブ24aにコートされたトナーは、スリーブ24aの回転により、感光体21と現像スリーブ24aの対向部である現像部aに搬送される。
【0372】
また、現像スリーブ24aには現像バイアス印加電源より現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は、−420Vの直流電圧と周波数1600Hz、ピーク間電圧1500V(電界強度5×106V/m)の矩形の交流電圧を重畳したものを用い、現像スリーブ24aと感光体21の間aで1成分ジャンピング現像を行なわせた。
【0373】
接触転写手段としての中抵抗の転写ローラ25は、感光体21に98N/m(100g/cm)の線圧で圧接させて転写ニップ部bを形成させてある。この転写ニップ部bに不図示の給紙部から所定のタイミングで記録媒体としての転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ25に転写バイアス印加電源から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体21側のトナー像が転写ニップ部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0374】
本例ではローラ抵抗値は5×108Ω・cmのものを用い、+3000Vの直流電圧を印加して転写を行なった。即ち、転写ニップ部bに導入された転写材Pはこの転写ニップ部bを挟持搬送されて、その表面側に感光体21の表面に形成担持されているトナー像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0375】
26は熱定着方式等の定着装置である。転写ニップ部bに給紙されて感光体21側のトナー像の転写を受けた転写材Pは感光体21の表面から分離されてこの定着装置26に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0376】
本例のプリンターはクリーニングユニットを除去しており、転写材Pに対するトナー像転写後の感光体21の表面に残留の転写残トナーはクリーナーで除去されることなく、感光体21の回転にともない帯電当接部nを経由して現像部aに至り、現像装置24において現像同時クリーニング(回収)される。
【0377】
本例のプリンターは、感光体21、帯電ローラ22、現像装置24の3つのプロセス機器を一括してプリンター本体に対して着脱自在の画像形成装置及びプロセスカートリッジ27として構成してある。画像形成装置及びプロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等は上記に限られるものではなく任意である。28はプロセスカートリジの着脱案内・保持部材である。
(2)本実施例における導電性微粉末の挙動について
現像装置24中の磁性トナーに混入させた導電性微粉末は、現像装置24による感光体21側の静電潜像のトナー現像時にトナーとともに適当量が感光体21側に移行する。
【0378】
感光体21上のトナー像は転写ニップ部bにおいて転写バイアスの影響で記録媒体である転写材P側に引かれて積極的に転移するが、感光体21上の導電性微粉末は導電性であることで転写材P側には積極的には転移せず、感光体21上に実質的に付着保持されて残留する。
【0379】
本発明においては、画像形成装置はクリーニング工程を有さないため、転写後の感光体21の表面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉末は感光体21と接触帯電部材である帯電ローラ22の当接部である帯電当接部nに感光体21面の移動でそのまま持ち運ばれて、帯電ローラ22に付着或いは混入する。したがって、感光体21と帯電ローラ22との帯電当接部nにこの導電性微粉末が存在した状態で感光体21の直接注入帯電が行なわれる。
【0380】
この導電性微粉末の存在により、帯電ローラ22にトナーが付着・混入した場合でも、帯電ローラ22の感光体21への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該帯電ローラ22による感光体21の直接注入帯電を行なわせることができる。
【0381】
つまり、帯電ローラ22が導電性微粉末を介して密に感光体21に接触して、帯電ローラ22と感光体21の相互接触面に存在する導電性微粉末が感光体21表面を隙間なく摺擦することで、帯電ローラ22による感光体21の帯電は導電性微粉末の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、帯電ローラ22に印加した電圧とほぼ同等の電位を感光体21に与えることができる。
【0382】
また帯電ローラ22に付着或いは混入した転写残トナーは帯電ローラ22から徐々に感光体21上に吐き出されて感光体21面の移動とともに現像部に至り、現像手段において現像同時クリーニング(回収)される。
【0383】
現像同時クリーニングは、転写後に感光体21上に残留したトナーを、引き続く画像形成工程の現像時、即ち引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、該潜像の現像時において、現像装置のかぶり取りバイアス、即ち現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vbackによって回収するものである。本実施例におけるプリンターのように反転現像の場合では、この現像同時クリーニングは、現像バイアスによる感光体の暗部電位から現像スリーブにトナーを回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位へトナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0384】
また、画像形成装置が稼働されることで、現像装置24のトナー中に混入させてある導電性微粉末が現像部aで感光体21面に移行し該像担持面の移動により転写ニップ部bを経て帯電当接部nに持ち運ばれて帯電当接部nに新しい粒子が逐次に供給され続けるため、帯電当接部nにおて導電性微粉末が脱落等で減少したり、該粒子が劣化するなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0385】
かくして、接触帯電方式、転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、接触帯電部材として簡易な帯電ローラ22を用いて、しかも該帯電ローラ22の転写残トナーによる汚染にかかわらず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることが出来、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0386】
また、前述のように導電性微粉末は帯電性を損なわないために、電気抵抗値が抵抗値が1×109Ω・cm以下である必要がある。そのため、現像部aにおいてトナーが直接感光体21に接触する接触現像装置を用いた場合には、トナー中の導電性微粉末を通じて、現像バイアスにより感光体21に電荷注入され、画像かぶりが発生してしまう。
【0387】
しかし、本例では現像装置は非接触型現像装置であるので、現像バイアスが感光体21に注入されることがなく、良好な画像を得ることが出来る。また、現像部aにおいて感光体21への電荷注入が生じないため、交流のバイアスなど現像スリーブ24aと感光体21間に高電位差を持たせることが可能であり、導電性微粉末が均等に現像されやすく、均一に導電性微粉末を感光体21表面に塗布し、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることが出来き、良好な画像を得ることが可能となる。
【0388】
帯電ローラ22と感光体21との帯電当接部nに導電性微粉末を介在させることにより、該導電性微粉末の潤滑効果(摩擦低減効果)により帯電ローラ22と感光体21との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。
【0389】
帯電ローラ22と感光体21との間に速度差を設けることにより、帯電ローラ22と感光体21の帯電当接部nにおいて導電性微粉末が感光体21に接触する機会を格段に増加させ、高い接触性を得ることができ、良好な直接注入帯電を可能としている。
【0390】
本実施例では、帯電ローラ22を回転駆動し、その回転方向は感光体21表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することで、帯電当接部nに持ち運ばれる感光体21上の転写残トナーを帯電ローラ22に一時的に回収し均す効果を得ている。即ち、逆方向回転で感光体21上の転写残トナーを一旦引離し帯電を行なうことにより優位に直接注入帯電を行なうことが可能である。
【0391】
更に、本実施例では像担持体としての感光ドラム21と接触帯電部材としての帯電ローラ22との帯電当接部nにおける適当な量の導電性微粉末の介在によって、該微粉末による潤滑効果により帯電ローラ22と感光ドラム21との摩擦を低減し、帯電ローラ22を感光ドラム21に速度差を持って回転駆動させることが容易である。つまり、駆動トルクが低減し、帯電ローラ22や感光ドラム21の表面の削れ或いは傷を防止できる。更に該粒子による接触機会増加により十分な帯電性能が得られる。また、導電性微粉末の帯電ローラ22からの脱落よる作像上に悪影響もない。
(3)評価
本実施例では、トナーカートリッジ内に、50℃下で3日間放置した磁性トナー17を200g充填し、30℃、80%RH環境下において画出し試験を行った。感光体としては感光体2の最表面層の体積抵抗が5×1012Ω・cmの感光体を用い、転写材としては90g/m2の紙を使用した。初期画像特性においては、帯電不良に起因するカブリは見られず、解像性の高い良好な画像濃度が得られた。この時、直接注入帯電後感光体電位は、印加帯電バイアス−690Vに対して−670Vであった。次に、印字率4%の画像パターンで耐久性の評価を行った。その結果、2000枚の間欠プリント後まで帯電不良に起因する画像欠陥を生じず、良好な直接注入帯電性が得られた。
2000枚の間欠プリント後の直接注入帯電後感光体電位は、印加帯電バイアス−690Vに対して−655Vであり、初期からの帯電性の低下は15Vと軽微であり、帯電性の低下による画像品質の低下は認められなかった。得られた結果を表6に示す。表6から分かるように、磁性トナー17を用いれば、本発明のクリーナレス画像形成方法においても選択現像性が少なく、耐久2000枚まで良好な耐久性を示した。
【0392】
【実施例23〜26】
磁性トナー18〜21を用い、実施例22と同様の条件で耐久性の評価を行った。得られた結果を表6に示す。表6から分かるように、いずれのクリーナレス画像形成方法においても選択現像性が少なく、耐久2000枚まで良好な耐久性を示した。
【0393】
【表6】
Figure 0004590066
【0394】
【発明の効果】
本発明によれば、特殊な物性を持ち分散性が改良された微小な磁性体及び離型材を含有し、該磁性体が表面に実質的に露出しておらず、特殊な表面形状と粒径を有する磁性トナーにより、過酷環境下に放置しても良好なトナー性能が維持され、そのまま過酷環境下において使用しても、高精細な画像を長期間安定して与えることができる。
【0395】
更に、本発明の磁性トナーを用いた接触帯電方法及び磁性一成分現像方法から成る画像形成方法、及び接触帯電方式、当接転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置においても、トナーの性能劣化が無いため、過酷環境下放置後の長期にわたる繰り返し使用において良好な画像を長期間安定して得ることができる。
【0396】
また、接触帯電部材として簡易な部材を用いることも可能であり、均一な帯電性を与えることが出来、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置及びプロセスカートリッジを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための画像形成装置の概略構成図を示す。
【図2】接触帯電部材の帯電特性グラフを示す。
【図3】本発明の方法を実施するための像担持体の概略構成図を示す。
【図4】本発明の方法を実施するための接触転写部材の概略構成図を示す。
【図5】実施例22〜26における画像形成装置の概略構成図を示す。
【図6】本発明の方法を実施するための像担持体の層構成模式図を示す。
【符号の説明】
100:感光ドラム(像担持体)
102:現像スリーブ(トナー担持体)
103:弾性ブレード
114:転写ローラ
116:クリーナ
117:1次帯電ローラ
121:レーザビームスキャナ
124:レジスタローラ
125:搬送ベルト
126:定着器
140:現像器
141:攪拌部材
P:転写材
34:転写ローラ
34a:芯金
34b:導電性弾性層
21:感光体
22:帯電ローラ
22a:芯金
23:レーザビームスキャナ
24:現像装置
24a:現像スリーブ
24b:攪拌部材
24c:弾性ブレード(トナー層規制部材)
25:転写ローラ
26:定着装置
26a:ヒータ
26b:定着フィルム
26c:加圧ローラ
27:プロセスカートリッジ
28:カートリッジ保持部材
11:アルミ基体
12:導電層
13:注入防止層
14:電荷発生層
15:電荷輸送層
16:電荷注入層
16a:導電粒子(導電フィラー)

Claims (3)

  1. 結着樹脂、離型剤及び磁性体を少なくとも含有する磁性トナー粒子の表面に無機微粉末を有する磁性トナーにおいて、
    前記磁性トナー粒子は、懸濁重合法によって製造され、
    前記磁性トナーは、平均円形度が0.970以上であり、重量平均粒径(D4)が3〜10μmであり、
    前記磁性トナー粒子は、前記磁性体として磁性酸化鉄を含有しており、
    前記磁性トナーは、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am/kg(emu/g)であり、
    前記磁性酸化鉄は、水溶液法により酸化反応で製造した水系媒体中の磁性酸化鉄粒子を乾燥工程を経ずに該水系媒体中に分散させた分散液中でシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で表面処理されたものであり
    前記磁性酸化鉄の体積平均粒径は、0.05〜0.3μmであり、
    前記磁性酸化鉄は、ヘキサン溶液中での分散状態において、分散後5分経過した後の500nmにおける吸光度をa−5、分散後30分経過した後の500nmにおける吸光度をa−30、分散後60分経過した後の500nmにおける吸光度をa−60とした時、a−5、a−30、a−60が下式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする磁性トナー。
    【数1】
    0.8<(a−30)/(a−5) 式(1)
    【数2】
    0.8<(a−60)/(a−5) 式(2)
  2. 帯電部材に電圧を印加し、像担持体を帯電させる帯電工程と、
    帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
    前記像担持体と、表面に磁性トナーを担持するためのトナー担持体とを一定の間隔を設けて配置し、磁性トナーを前記トナー担持体表面に前記間隔よりも薄い厚さにコートさせ、交流電圧が印加されている現像部において前記磁性トナーを前記静電潜像に転移させてトナー像を現像する現像工程と、
    像担持体上に形成されたトナー像を転写材に静電転写させる転写工程と、を少なくとも有する画像形成方法において、
    前記磁性トナーとして、請求項1に記載の磁性トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
  3. 静電潜像を担持するための像担持体と、
    帯電部材に電圧を印加し、前記像担持体を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
    前記像担持体に形成された静電潜像に、トナー担持体上に担持された磁性トナーを転移させてトナー像を像担持体上に形成させる現像手段と、
    前記像担持体表面に形成されたトナー像を転写材に静電転写する転写手段と、転写材上のトナー像を固着させる定着手段と、を有する画像形成装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、前記像担持体と、前記帯電手段とからなる群から選ばれる少なくとも1つの手段が、前記現像手段と一体に支持され、前記トナー担持体上に担持された磁性トナーは、請求項1に記載の磁性トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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