JP4072384B2 - 磁性トナー、該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法等の画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するためのトナー、該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真法の分野において装置のコンパクト化やコスト、エコロジーの観点等よりいくつかの技術の流れが生じている。その一つは現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術である。
【0003】
従来電子写真の工程において、一般には転写後に潜像担持体上に記録媒体に転写せずに残余したトナーが、種々の方法でクリーニングされ廃トナーとして廃トナー容器に蓄えられるクリーニング工程を経て、上述の工程が繰り返される画像形成法が用いられてきた。
【0004】
このクリーニング工程については、従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等が用いられていた。いずれの方法も力学的に転写残余のトナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へと捕集されるものであった。よって、このような部材が潜像担持体表面に押し当てられることに起因する問題が生じていた。例えば、部材を強く押し当てることにより潜像担持体を摩耗させ短命化することが挙げられる。また、装置面からみると、かかるクリーニング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。更には、省資源、廃棄物削減の観点及びトナーの有効活用と言う意味で廃トナーの出ないシステム、定着性、耐オフセット性にすぐれたシステムが望まれていた。
【0005】
これに対し、廃トナーの出ないシステムとして、現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されており、具体的にクリーナレスに関連する技術の開示を行っているものとしては特開昭59−133573号公報、特開昭62−203182号公報、特開昭63−133179号公報、特開昭64−20587号公報、特開平2−302772号公報、特開平5−2289号公報、特開平5−53482号公報、特開平5−61383号公報等がある。
【0006】
このようなクリーナレス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないために感光体上に残余する転写残トナーがそのまま接触帯電部材と接触し、付着或いは混入し、長期使用において帯電性の低下が起こる。この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させる。
【0007】
すなわち、クリーナレス画像形成方法においては、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。このため、クリーナレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、帯電部材を汚染させずに現像工程で安定して転写残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなる。そのため帯電部材への付着・混入特性の観点から帯電工程に関する技術が数多く開示されている。
【0008】
まず、帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行なうために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成も特公平7−99442号公報に開示されている。しかしながら、クリーナーレスの画像形成装置に適用した場合には、転写残トナーの混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に付着していることが困難となり、均一帯電を行なう効果が薄れてしまう。
【0009】
また、特開平5−150539号公報には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、トナー中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性粒子を含有することが開示されている。しかし、クリーナーレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して多量の導電性微粒子及び転写残トナーが帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性微粒子及び転写残トナーの現像工程における回収性、回収された導電性微粒子及び転写残トナーによるトナーの現像特性への影響に関して何ら考慮されていない。
【0010】
また、近接帯電では、多量の導電性微粒子及び転写残トナーにより感光体を均一帯電することが困難であり、転写残トナーのパターンを均す効果が得られないため転写残トナーのパターン画像露光を遮光するためのパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断或いは紙詰まり時にはトナーによる機内汚染が著しくなる。
【0011】
更には、転写工程と帯電工程の間に感光体または帯電部材に当接するローラー部材/ファーブラシ等を用い、現像での転写残トナー回収性を補助或いは制御する現像同時クリーニング画像形成方法も例えば特開2001−188416号公報、特開2001−215798号公報、特開2001−215799号公報等に開示されている。
【0012】
該公報では二成分現像方式を用いた接触帯電クリーナーレスシステムが提案されているが、確かに帯電不良に関してはある程度の効果があるものの、二成分現像のキャリアの穂に伴う摺擦によって感光体が削れ易く、深い傷等に起因するハーフトーンムラ等が特に発生しやすい為、感光体寿命の観点等も含め更なる改良が必要とされている。また、このような画像形成装置は、良好な現像同時クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、二成分現像方式であるためコストが高くなり、小型化の点でも現像同時クリーニングの利点を損ねている。
【0013】
このため、キャリアを用いない一成分ジャンピングクリーナーレスシステムが要望されている。しかし、非磁性一成分現像剤を用いると、トナー飛散やトナー漏れの問題がある。そのため、磁性一成分現像方法が好ましいが、上記公報は磁性一成分現像剤に適したものではなく、更なる改良の余地がある。
【0014】
また、転写・帯電性・回収性等も考慮に入れたトナーの改良も必要とされているが、従来の技術においては望ましいトナー構成についても言及されていないか、耐久性・印字比率の変化に対する帯電安定性等が考慮されておらず、いまだ不十分なものであった。
【0015】
例えば、特開昭59−133573号公報、特開昭62−203182号公報、特開昭63−133179号公報、特開昭64−20587号公報、特開平2−302772号公報、特開平5−2289号公報、特開平5−53482、特開平5−61383号公報、特開2001−194864号公報等があるが、望ましい画像形成方法については述べられておらず、トナー構成についても言及されていない。
【0016】
また、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性を向上させることで現像同時クリーニング性能を向上させるものとして、特開平11−15206号公報では、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するトナーを用いた画像形成方法が提案されている。更に、現像同時クリーニング画像形成方法に於て、トナーの形状係数を規定した転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー量を減少させることで現像同時クリーニング性能を向上させることも提案されている。
【0017】
しかしながら、ここで提案されたトナーは非磁性一成分であり、上述の如き問題点がある。
【0018】
加えて近年の耐刷スピードの増加やトナーの小粒径化に伴う高画質化への動きに伴い、帯電不足によるトナーカブリの増大や転写残トナーの増加、トナー帯電分布が広がる等の現象も生じやすい傾向であり、これらを考慮した適切な現像性、回収性を有するトナー、クリーナーレス画像形成方法についていまだ満足できるものは得られていない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、長時間の使用においても画像濃度が高くハーフトーンが均一で、カブリ、遮光が無い高品位な画像を得ることが出来る磁性トナー及びクリーナーレス画像形成方法、プロセスカートリッジを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、帯電部材に電圧を印加し、像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に静電潜像として画像情報を書き込む静電潜像形成工程と、磁性トナーを担持するトナー担持体に層厚規制部材を当接させ、該トナー担持体上にトナー層を形成せしめ、前記像担持体と、トナー担持体とを一定の間隔を設けて配置することにより現像部を形成し、交番電界が印加されている前記現像部において、前記磁性トナーを前記静電潜像に転移させてトナー像を形成すると共に、像担持体上に残余するトナーを回収する工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程とを有し、像担持体上に繰り返して作像が行われる画像形成方法に用いられる磁性トナーであって、
転写工程より下流であり、且つ、前記帯電工程よりも上流に位置し、像担持体上のトナーを正規極性に帯電処理すると共に、トナーの帯電量を調整する帯電量調整部材を有し、該帯電量調整部材は像担持体に接触しており、
前記トナー担持体と像担持体の間隔が100〜340μmであり、
トナー担持体に印加される交番電界の現像時の最大電界強度(V/μm)、交番電界の交流成分の周波数(Hz)、及び像担持体の周速(mm/sec)の関係が式(1)を満たし、
前記トナーは少なくとも磁性体及び結着樹脂を有し、
該トナーのCarrの噴流性指数とCarrの流動性指数の関係が式(2)を満たすことを特徴とする磁性トナー、該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジに関する。
(1) 22≦(交番電界の周波数/像担持体の周速)×現像時の最大電界強度≦120
(2) 8≦(交番電界の周波数/像担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)≦50
【0021】
【発明の実施の形態】
磁性一成分クリーナーレスシステムにおいて最も重要な点は帯電を如何に安定して行うかであり、その為には転写残トナー、カブリトナーを抑制すると共に、像担持体上に残余するトナーを効率良く回収することが重要である。回収が上手く行えないと、紙上カブリが増大したり、像担持体上に残余するトナーにより帯電が均一に行えず高精細な画像が得られないと共に、帯電不良等の画像欠陥を生じる。
【0022】
そこで、本発明者らが鋭意検討したところ、
▲1▼転写工程より下流であり、且つ、前記帯電工程よりも上流に位置し、像担持体上のトナーを正規極性に帯電処理すると共に、トナーの帯電量を調整する帯電量調整部材を有し、該帯電量調整部材は像担持体に接触している
▲2▼像担持体とトナー担持体の距離が100〜340μmである
▲3▼(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×現像時の最大電界強度の値が22〜120
▲4▼(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)が8〜50
とすることで上記問題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0023】
まず▲1▼についであるが、均一帯電を行う為には、帯電部材は像担持体に接触し、帯電を行うことが必要である。また、接触帯電を行うことにより、オゾン等の発生を抑制でき、像担持体の劣化が生じ難くなるために、長期の使用においても高精細な画像を得ることができる。しかし、クリーナーレスシステムにおいて接触帯電を行うと、転写残トナーやカブリトナー等の像担持体上に残余するトナーが帯電部材に付着し、帯電の均一性を損ねたり、帯電不良等を引き起こす。このため、クリーナーレスシステムにおいて帯電を安定に行う為には、帯電部材にトナーを付着させないことが重要である。そこで検討を重ねたところ、転写工程より下流であり、且つ、前記帯電工程よりも上流に位置し、トナーの帯電量を調整する帯電量調整部材にトナーと同極性の電圧を印加し、該帯電部材に転写残トナー、カブリトナーを一時滞留せしめ、該残余トナーに適正な電荷を与え吐き出すことが重要であることが分かった。
【0024】
また、残余トナーを一時滞留させることにより、正規トナーに対し帯電性が逆の残余トナー(反転トナー)は該帯電量調整部材に静電的に付着し、正規の極性に印加、注入される。また、正規の極性であっても帯電量が低いものも物理的に帯電量調整部材に付着し、適度な帯電量を印加される。これら正規に、且つ、適切な電荷を印加されたトナーは帯電量調整部材と同極性であるため、静電反発により次第に帯電量調整部材から吐き出される。
【0025】
次に、これら吐き出されたトナーは次の帯電部材と像担持体の当接部に突入するが、該帯電部材とトナーは同極性の為に帯電部材には付着せず、均一帯電を行うことが可能となる。
【0026】
また、これらトナーは正規の適度な帯電量を有しているために現像部において現像トナーと同様な挙動をし、現像部の交番電界により回収される。
【0027】
一方、帯電量調整部材が像担持体に非接触であると、像担持体上に残余するトナーを保持出来ない為に残余トナーを正規な極性に帯電せしめ、かつ、回収に適した電荷を印加することが出来ない。このため、帯電部材を汚染したり、残余トナーの回収が上手く行かず、カブリ等の画像不良を生じてしまう。
【0028】
帯電量調整部材としては公知の部材が使用可能であるが、像担持体に残余するトナーを一時滞留せしめ、吐き出すという特性が求められるので固定された導電性ブラシであることが非常に好ましい。
【0029】
導電性ブラシとしては、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましく良い。また、導電性繊維は、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
【0030】
例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
【0031】
このような導電性ブラシを用いることにより、像担持体上に残余するトナーを滞留せしめ、効率的に電荷を注入、印加することが可能である。
【0032】
また、このような帯電量調整部材に印加するバイアスとしては、直流、交流あるいはその組み合せのいずれも使用可能であるが、交流成分が大きいと、残余トナーの滞留時間が不十分になりやすく好ましくない。よって直流電圧に交流成分を重畳する場合、ピークtoピークの値で200〜2000Vであることが好ましい。
【0033】
印可する直流電圧は600〜1500Vであることが好ましい。印加する電圧が600V未満の場合、滞留する残余トナーに適度な電荷を持たせることが困難となる。一方、印加電圧が1500Vよりも大きいと像担持体の暗電位が上がり画像が抜け気味になると共に、像担持体の放電劣化が起り、高精細な画像を得ることが難しい。
【0034】
次に▲2▼の像担持体とトナー担持体の距離(S−D間)についてであるが、本発明のトナーとの組み合せでは100〜340μmであることが必要であり、より好ましくは100〜220μmである。S−D間と像担持体上のカブリの関係を検討したところ、S−D間が広い場合、像担持体へのカブリが増加すると共に反転トナー量も増大することが判明した。
【0035】
この理由についての詳細は明らかではないが、本発明のトナー噴流性指数における係数の一つである分散度や流動性指数とある程度の相関が見受けられることから、ある程度流動性に優れる本発明のトナーと現像条件(後述)とを組み合わせた場合、トナー同士等の帯電の受け渡しが起き易く、さらにSD間が広がることによってその効果が増大してしまう為と考えている。
【0036】
安定した帯電の為には転写残トナーやカブリトナーの低減が必要であり、これら残余トナーが多い場合、帯電量調整部材の滞留量が多くなりすぎてしまい、滞留と吐き出しのバランスが崩れてしまう。特に、S−D間が広く反転トナーが多い場合、反転トナーは静電的に帯電量調整部材に付着するので、完全に正規極性の電荷を印加、注入されるまで帯電量調整部材から吐き出されない。このため、滞留量が増加しやすく、好ましくない。一方、S−D間が狭くなると像担持体上のカブリトナーが減少すると共に、反転トナー成分が非常に減少し、帯電量調整部材が滞留するトナーで飽和することが起こらず帯電の均一性が保たれる。しかし、S−D間が100μmよりも近くなると、トナー担持体上に形成されたトナー層が実質的に像担持体に接することとなり、接触することによる物理的なカブリの増大やトナーと共に回収された紙粉による電荷リークの増大を招いてしまうので、S−D間は100〜340μmであることが重要であり、好ましくは100〜220μmである。
【0037】
次に▲3▼についてであるが、(交番電界の交流成分の周波数/トナー担持体の周速)×現像時の最大電界強度の値が22〜120であることが必要であり、好ましくは30〜105である。
【0038】
これについて説明すると、(交番電界の交流成分の周波数/トナー担持体の周速)は現像領域での現像と引き戻しの振幅回数であると捕らえることができ、さらに、最大電界強度を掛け合わせることにより、現像領域での現像のしやすさ及び、残余トナーの回収のしやすさとして捕らえることが出来ると考えている。クリーナーレスシステムにおいては、前述の如き如何に残余トナーを回収するかがキーポイントである。その為、回収性の目安である(交番電界の交流成分の周波数/トナー担持体の周速)×現像時の最大電界強度は大きい方が好ましく、22よりも小さいと回収性が低下してしまう。一方、この値が大き過ぎてもカブリの増大等を招いてしまう。これは、この値を大きくしようとすると、トナー担持体に印加する交番電界の交流成分の周波数を大きくするか、最大電界強度を大きくすることが考えられる。しかし、周波数を大きくすると、カブリは低減するもののトナーがバイアスに追従しにくくなり、回収性が低下し好ましくない。また、最大電界強度を上げると、回収性は向上するものの、現像時のカブリが増加すると共に絶縁破壊により現像バイアスがリークしてしまい、画像を得ることが出来ない。
【0039】
以上のことから、良好な現像性と回収性を両立させる為には、トナー担持体に印加する交番電界の交流成分の周波数/トナー担持体の周速×現像時の最大電界強度が22〜120であることが必要である。なお、ここで言う現像領域とは、実質的にトナーが像担持体上に飛翔する領域を意味する。
【0040】
次に、▲4▼についてであるが、(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)の値が8〜50であり、8〜35であるとより好ましい。
【0041】
前述のように残余トナーの回収性は残余トナーの帯電性と、現像領域でのトナーの挙動、及びトナー担持体に印加する交番電界により決ると考えられる。
また現像性については磁力・帯電性等のトナー物性のほかに、前記したように本発明の流動性指数や分散度等も関与してカブリ・転写性が決定される。
【0042】
このようにクリーナーレスシステムにおいては帯電条件や現像条件といったプロセス的な要素の他に、現像性・回収性を含めたトナー物性のバランスが必要とされる。そこで、帯電量調整部材に滞留するトナー量とトナー物性の関係や、現像部における反転成分量/カブリ量等を検討したところ、前記の流動性/噴流性を含めた関係式(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)の値を一定の範囲とすることで現像・回収のプロセス的要素の適用範囲が広がることが判明した。
【0043】
Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数の値が大きなものは主に圧縮度や凝集度等の低下や分散度の増大が生じており、反転成分やカブリ等の残余トナー量が増大し、さらに帯電量調整部材で圧密されやすいため吐き出しが上手く行かず、反転トナーの正規帯電化が不十分であったり、帯電量が足りない残余トナーへの適切な帯電量の印加が阻害されると予想される。更には吐き出しトナーが凝集気味となり、露光を妨げることにより生じる遮光を生じ易くなることも予想される。一方、Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数の値が小さなものは流動性に優れすぎてしまい、結果として帯電量調整部材をすり抜け易くなるために滞留量が少なく、この場合も残余トナーの帯電量の正規化が行えなかったり、適切な帯電量を与えることが出来ず、回収性の低下が予想される。
【0044】
そこで、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)と回収性について検討したところ、この値と現像領域でのバイアスの受け方である(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)との積の値が、トナーの回収性と関連があることが判明した。この理由は定かではないが、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)を特定の値とすることで、帯電量調整部材において適度な滞留量を有する為に残余トナーが回収に適した帯電量を有していること、トナー担持体上のトナーの穂立ちが非常に均一になると共に現像領域が広がること、及び、特定な回収バイアス条件下でトナーが回収に適した挙動を取るためであると考えている。
【0045】
一方、(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)が8未満の場合、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)が小さいか、交番電界の周波数が小さいことを意味する。前者の場合、先述の如き、像担持体上の残余トナーは帯電量調整部材をすり抜けやすく、十分な電荷を得ることが出来ず、回収性が低下してしまう。また、後者の場合、一般にジャンピング現像において現像時の周波数が低いとカブリの増大を招く傾向にある。このため、帯電量調整部材に突入する残余トナーの総量が増加してしまい、帯電量調整部材が飽和することにより、残余トナーの回収性が低下してしまうと考えている。
【0046】
一方、(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)が50より大きいと言うことは、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)が大きい、あるいは、トナー担持体に印加する交番電界の周波数が大きい、あるいは、双方の値が大きいことを示唆する。この場合も、これまでの説明と同様なことが起り、回収性が低下してしまうと考えている。
【0047】
これまで述べてきたように、
▲1▼転写工程より下流であり、且つ、前記帯電工程よりも上流に位置し、像担持体上のトナーを正規極性に帯電処理すると共に、トナーの帯電量を調整する帯電量調整部材を有し、該帯電量調整部材は像担持体に接触していること
▲2▼像担持体とトナー担持体の距離が100〜340μmとすることでカブリトナーを低減させること
▲3▼(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×現像時の最大電界強度 を22〜120とすることで、良好な現像性と回収性を備えた現像バイアスを用いること
▲4▼(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)を8〜50とすることで帯電量調整部材に滞留する残余トナーの滞留量を調節すること
の4つの相乗効果で、クリーナーレスシステムにおける長期使用においても帯電安定性に優れ、高精細な画像を得ることが出来ると考えている。
【0048】
本発明のトナーは高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するため、トナーの重量平均径は3〜12μmであることが好ましく、更には4〜10μmであることがより好ましい。重量平均粒径が3μm未満のトナーにおいては、転写効率の低下から感光体上の転写残トナーが多くなり、帯電安定性が損なわれる。さらに、粉体としての流動性及び撹拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となることに加え、トナー粒子一粒が含有する磁性粉体の量が減少することからカブリの増大を招き好ましくない。
【0049】
一方、トナーの重量平均粒径が12μmを超える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。さらに装置が高解像度になっていくと12μm超のトナーは1ドットの再現が悪化する傾向にある。
【0050】
本発明の磁性トナーは、重量平均粒径/数平均粒径の比が1.40以下であることが好ましく、より好ましくは1.35以下である。重量平均粒径/数平均粒径の比が1.40より大きいと言うことはトナーの粒度分布が広いことを意味し、選択現像が生じ易くなり、長期使用において転写性やカブリの悪化を招きやすい。
【0051】
ここで、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0052】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5mlを加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径、即ち数平均粒径(D1)を求める。後述の実施例においても同様に測定した。
【0053】
本発明のトナーは(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)の値が0.8〜2.0であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5である。前記のように(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)と帯電量調整部材への残余トナーの供給量や滞留量には相関関係がある。ただし、前述の如き、滞留量が多すぎても少なすぎても残余トナーの良好な回収性は望めない。そこで、長期使用において安定した画像を得る為には、帯電量調整部材で適切な滞留時間を有し、捕集と吐き出しのバランスを取ることが重要である。その為には、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)が上記範囲であることが重要であると考えている。なお、Carrの噴流性指数やCarrの流動性指数には、トナーのワックスや着色剤・帯電制御剤・結着樹脂種等の内添剤や、外添剤の種類、量、強度、トナー形状等全てが関与するが、特に比重の大きい磁性トナーにおいては磁性体の表面処理剤、例えばポリシロキサン化合物の量に依存する傾向がある。
【0054】
トナーにポリシロキサン化合物が存在することで、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)の値を制御することが出来る理由は定かではないが、ポリシロキサン化合物がトナー表面に一部存在することで、表面張力が変化し、トナーの流動性、安息角、崩壊角等(後述)が変化するためであると考えている。トナー中に有するポリシロキサンの量が0.01質量%よりも少ないと、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)の値が低くなりやすく、0.20質量%よりも多いと、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)の値が大きくなりやすい。ここで、噴流性指数は、フラッシング(飛散)現象の起こりやすさを表示する指数であって、流動性指数、崩壊角指数、差角指数及び分散度指数の合計値として求めることができる。また、流動性指数は、重力による流出の難易を評価する指数であって、安息角指数、圧縮度指数、スパチュラ角指数、及び均一度指数又は凝集度指数の合計値として求めることができる。これらの各指数は、通常パウダーテスターを用いて、粉粒体の各種物理的特性を測定し、測定値を所定指数表により指数化することによって求められる。
【0055】
具体的には、パウダーテスターPT−R型(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、「改訂 増補 粉体物性図説(粉体工学会 日本粉体工業技術協会編)」151〜155頁に記載の方法に準じて測定されるものであり、以下の如き方法によって求められる。
【0056】
[Carrの流動性指数の測定方法]
下記の4項目に関する測定を行い、下記換算表(表1)に基づき、各々の指数を算出する。その合計値を流動性指数とする。
A)安息角
B)圧縮度
C)スパチュラ角
D)凝集度
【0057】
【表1】
【0058】
A)安息角測定方法
直径8cmの円板上に漏斗を介してトナーを落下させ、形成された円錐状の堆積層の角度を、分度器を用いて直接測定する。その際のトナーの供給は、漏斗の上に目開き608μm(24メッシュ)の篩いを配置し、その上にトナーを乗せ、振動を加え漏斗へ供給する。
【0059】
B)圧縮度測定方法
圧縮度Cは下記式により算出する。
【0060】
C=〔(ρP−ρA)/ρP〕×100
ここで、ρAは嵩密度であり、直径5.03cm,高さ5.03cmの円筒容器へ目開き608μm(24メッシュ)の篩いを通して上方から均一に供給し、上面をすり切って秤量することによりρAを得る。
【0061】
ρPはタッピング密度であり、上記ρA測定後円筒状のキャップをはめ、この上縁まで粉体を加えてタップ高さ1.8cmのタッピングを180回行う。終了後、キャップを外して容器の上面で粉体をすり切って秤量し、この状態の密度をρPとする。
【0062】
C)スパチュラ角測定方法
22×120mmの金属製のスパチュラを上下に昇降する受け皿のすぐ上に水平にセットし、その上に目開き608μm(24メッシュ)の篩を通過させた粉体を堆積させる。十分に堆積させた後、受け皿を静かに下げ、その時のスパチュラ上に堆積した粉体の側面の角度を▲1▼とする。次にスパチュラを支持するアーム上に重錐落下による衝撃を一回加えて再び測定した角度を▲2▼とする。上記▲1▼と▲2▼の平均値をスパチュラ角とする。
【0063】
D)凝集度測定方法
測定は3種類の目開きの篩を目開きの粗い方から上、中、下段に重ね、その上に2gの粉体を設置し、1mmの振幅で振動を加えた後の篩上の残存量から凝集度を算出する。用いる篩は嵩密度の値により決定する。
【0064】
嵩密度が0.4g/cm3未満の場合には、目開き355μm(40メッシュ)、263μm(60メッシュ)、154μm(100メッシュ)の篩を使用し、嵩密度が0.4g/cm3以上0.9g/cm3未満の場合には、目開き263μm(60メッシュ)、154μm(100メッシュ)、77μm(200メッシュ)の篩を使用し、嵩密度が0.9g/cm3以上である場合には、目開き154μm(100メッシュ)、77μm(200メッシュ)、43μm(325メッシュ)の篩を使用する。
【0065】
その際の振動時間T(sec)は、下記式より決定される。
【0066】
T=20+{(1.6−ρW)/0.016}
ρW=(ρP−ρA)×(C/100)+ρA
凝集度は上、中、下段の振動後の残存量w1、w2、w3を測定し、下記式により求める。
C0=w1×100×(1/2)+w2×100×(1/2)×(3/5)+w3×100×(1/2)×(1/5)
【0067】
[Carrの噴流性指数測定方法]
下記の4項目に関する測定を行い、下記換算表(表2)に基づき、各々の指数を算出する。その合計値を噴流性指数とする。
E)流動性
F)崩壊角
G)差角
H)分散度
【0068】
【表2】
【0069】
E)流動性
流動性は、流動性指数をそのまま用いる。
【0070】
F)崩壊角
崩壊角は、安息角を測定した後に、注入安息角ベースを乗せた短形バットに重錐落下による一定の衝撃を与えて、堆積層を崩壊させ、崩壊後の斜面の角度を崩壊角とする。
【0071】
G)差角
安息角と崩壊角の差を差角とする。
【0072】
H)分散度
図1に示すように、内径98mm,長さ344mmのガラス円筒を通して上方から10gの粉体を一度に落下させて時計皿の上にたまった量wを測定して、下記式より求める。
分散度(%)=(10−w)×100/10
【0073】
本発明の磁性トナーの平均円形度は0.960以上であることが好ましく、より好ましくは0.970以上である。トナーの平均円形度が0.960以上であると、磁性トナーは現像部で均一な穂を形成しやすく、潜像に対し忠実な現像を行うことが可能となり、画質の向上が期待出来る。さらに、平均円形度が0.970以上のようなトナーは、トナー形状がかなりそろっていることから、帯電が均一になり易く、カブリの抑制にも大きな効果がある。
【0074】
さらに、このようなトナーは現像領域が広がることから良好な現像性及び回収性を得ることが出来る。
【0075】
また、平均円形度が0.960以上であるとトナーの転写性が良好なものとなる。これはトナー粒子と感光体との接触面積が小さく、鏡映力やファンデルワールス力等に起因するトナー粒子の感光体への付着力が低下する為と考えている。さらに、このようなトナーは流動性が高く、残余トナーが帯電量調整部材で滞留する場合においても帯電量調整部材との良好な接触帯電/注入帯電が行われ、回収に適した帯電量を有しやすくなる。
【0076】
また、トナーの円形度分布において、モード円形度が0.99以上であると、トナー粒子の多くが真球に近い形状を有することを意味しており、上記作用がより一層顕著になり、非常に好ましい。
【0077】
なお、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亞医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)を下式(9)によりそれぞれ求め、さらに下式(10)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数(m)で除した値を平均円形度(C)と定義する。
【0078】
【数1】
【0079】
また、モード円形度は、円形度を0.40から1.00までを0.01毎に61分割し、測定した粒子の円形度をそれぞれの円形度に応じて各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布において頻度値が最大となるピークの円形度である。
【0080】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及びモード円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及びモード円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及びモード円形度の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及びモード円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視出来る程度のものであり、本発明においては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
測定手順としては、以下の通りである。
【0081】
界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mlに、磁性トナー約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20KHz,50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度及びモード円形度を求める。
【0082】
本発明における平均円形度とは、磁性トナーの凹凸の度合いの指標であり、磁性トナーが完全な球形の場合1.000を示し、磁性トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
【0083】
なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないからである。
【0084】
本発明の磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率は、0.05〜3.00%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.50%であり、最も好ましくは0.05〜1.00%である。
【0085】
本発明において、磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率とは、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により測定されたものである。パーティクルアナライザーはJapan Hardcopy97論文集の65〜68ページに記載の原理で測定を行う。該装置はトナー等の微粒子を一個づつプラズマへ導入し、微粒子の発光スペクトルから発光物の元素、粒子数、粒子の粒径を知ることが出来る。
【0086】
この中で、遊離率とは、結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、鉄原子の発光の同時性から次式(11)により求めたものと定義する。
(11) 鉄及び鉄化合物の遊離率(%)=100×鉄原子のみの発光回数/(炭素原子と同時に発光した鉄原子の発光回数+鉄原子のみの発光回数)
ここで、炭素原子と鉄原子の同時発光とは、炭素原子の発光から2.6msec以内に発光した鉄原子の発光を同時発光とし、それ以降の鉄原子の発光は鉄原子のみの発光とする。
【0087】
本発明では磁性粉体を多く含有している為、炭素原子と鉄原子が同時発光するということは、トナー中に磁性粉体が分散していることを意味し、鉄原子のみの発光は、磁性粉体がトナーから遊離していることを意味すると言い換えることも可能である。
【0088】
具体的な測定方法は以下の通りである。0.1%酸素含有のヘリウムガスを用い、23℃で湿度60%の環境にて測定を行い、トナーサンプルは同環境下にて一晩放置し、調湿したものを測定に用いる。また、チャンネル1で炭素原子(測定波長247.860nm、Kファクターは推奨値を使用)、チャンネル2で鉄原子(測定波長239.56nm、Kファクターは3.3764を使用)を測定し、一回のスキャンで炭素原子の発光数が1000〜1400個となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光数が総数で10000以上となるまでスキャンを繰り返し、発光数を積算する。この時、炭素元素の発光個数を縦軸に、元素の三乗根電圧を横軸にとった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定を行う。そして、このデータを元に、全元素のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い、鉄及び鉄化合物の遊離率を算出する。後述の実施例においても同様に測定した。
【0089】
また、荷電制御剤であるアゾ系の鉄化合物等といった、鉄原子を含有する無機化合物以外の材料もトナー中に含まれている場合があるが、こういった化合物は鉄原子と同時に有機化合物中の炭素も同時に発光するため、遊離の鉄原子としてはカウントされない。
【0090】
ここで、鉄及び鉄化合物の遊離率が高いトナーは、トナーの帯電量が低くなる上に、遊離の磁性粉体がトナー担持体上に不規則に蓄積してしまい、トナーの均一帯電性が妨げられ転写効率の低下を招くため、結果として残余トナーが増大してしまい好ましくない。また、このようなトナーを用いると遊離の磁性粉体が帯電部材を汚染する、あるいは帯電部材と像担持体のニップ部を通過する際に像担持体を傷つけることにより画質の劣化が生じ易く好ましくない。
【0091】
このため本発明においては、鉄及び鉄化合物の遊離率が3.00%以下、好ましくは1.50%以下、更に好ましくは1.00%以下であることが良い。
【0092】
一方、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%より少ないと、実質的に磁性粉体はトナーから遊離していないことを意味する。このように鉄及び鉄化合物の遊離率が低いトナーは高い帯電量を有するものの、帯電のリークサイトが存在しないためにチャージアップしやすくなり、均一帯電し難くなってしまう。その為に、反転カブリが増加する傾向にあり、好ましくない。
【0093】
なお、鉄及び鉄化合物の遊離率はトナーが含有する磁性粉体の量、及び、磁性粉体の粒度、粒度分布、トナーの製造方法等に依存し、本発明の好適な製造方法である懸濁重合法(後述)においては、磁性体の疎水化度、処理の均一性、及び、造粒条件等に依存するものであるが、一例として、磁性粉体の表面処理が不均一である場合、表面処理が充分に施されていない(親水性が強い)磁性粉体はその一部あるいは全てが遊離してしまう。
【0094】
本発明の磁性トナーは、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。まず、粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂、磁性粉体、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色剤等の磁性トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶させた中に磁性粉体等の他の磁性トナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることが出来る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0095】
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。本発明に係わる特定の円形度を有するトナーを得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、あるいは補助的に機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
【0096】
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法、また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0097】
機械的衝撃法を用いる場合においては、処理温度をトナーのガラス転移点Tg付近の温度(Tg±10℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止、生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、トナーのガラス転移点Tg±5℃の範囲の温度で行うことが、転写効率を向上させるのに特に有効である。
【0098】
本発明に関わるトナーを粉砕法により製造する場合の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが単独或いは混合して使用できる。特に、スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。
【0099】
トナーのガラス転移点温度(Tg)は、40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは45〜70℃である。Tgが40℃よりも低いとトナーの保存性が低下し、80℃よりも高いと定着性に劣る。トナーのガラス転移点の測定には例えば、パーキンエルマー社製DSC−7の様な高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定を行う。測定方法は、ASTMD3418−8に準じて行う。本発明においては、試料を1回昇温させ履歴をとった後、急冷し、再度昇温速度10℃/min、温度30〜200℃の範囲で昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
【0100】
本発明の磁性トナーは、上述のように粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明に係わるトナーの好ましい条件である平均円形度が0.960以上という物性を得る為には、機械的・熱的あるいは何らかの特殊な処理を行うことが必要となり、生産性が劣るものとなる。そこで、本発明のトナーは分散重合法、会合凝集法、懸濁重合法等、湿式媒体中でトナーを製造することが好ましく、特に懸濁重合法は、本発明の好ましい条件を満たしやすく、非常に好ましい。
【0101】
懸濁重合法とは、重合性単量体および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散させて重合性単量体系とした後、この重合性単量体系を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後重合トナー)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.970以上、モード円形度が0.99以上という本発明に好適な物性要件を満たすトナーが得られやすく、さらにこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している。
【0102】
しかしながら前述の如く、重合トナー中に通常の磁性粉体を含有させても、遊離の磁性粉体が多数存在し、トナー粒子の帯電特性が著しく低下する。また、磁性粉体の分散も悪くなる傾向にあり、本発明の必須要件である磁性粉体の分散性を満たすことは難しい。さらに、懸濁重合トナーの製造時に磁性粉体と水との相互作用が強いことにより、円形度が高いトナーが得られ難く、トナーの粒度分布が広いものとなる。
【0103】
これは、▲1▼磁性粉体は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいこと、▲2▼水溶媒撹拌時に磁性粉体が乱雑に動き、それに単量体から成る懸濁粒子表面が引きずられ、形状が歪んで円形になりにくいこと等が原因と考えられる。こういった問題を解決するためには磁性粉体の有する表面特性の改質が重要である。
【0104】
重合トナーに使用される磁性粉体の表面改質に関しては、前述の如く数多く提案されているものの、磁性粉体表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって、磁性粉体同士の合一や疎水化されていない磁性粉体の発生を避けることができず、磁性粉体の分散性は十分では無く、粒度分布も広いものとなってしまう。
【0105】
また、疎水化磁性酸化鉄を用いる例として、特公昭60−3181号公報にアルキルトリアルコキシシランで処理した磁性酸化鉄を含有するトナーが提案されている。この磁性酸化鉄の添加により、確かにトナーの電子写真諸特性は向上しているものの、磁性酸化鉄の表面活性は元来小さく、処理の段階で合一粒子が生じたり、疎水化が不均一であったりで、必ずしも満足のいくものではなく、本発明の画像形成方法に適用するにはさらなる改良が必要である。さらに、処理剤等を多量に使用したり、高粘性の処理剤等を使用した場合、疎水化度は確かに上がるものの、粒子同士の合一等が生じて分散性は逆に悪化してしまう。
【0106】
このように、従来の表面処理磁性粉体を用いた重合トナーでは、疎水性と分散性の両立は必ずしも達成されておらず、高精細な画像を安定して得ることは難しい。
【0107】
そこで、本発明の磁性トナーに使用される磁性粉体は、カップリング剤で疎水化処理されていることが好ましい。磁性粉体表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性粉体を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることがより好ましく、さらには、水溶液中で製造した磁性体を洗浄後、乾燥させずに疎水化処理することが非常に好ましい。水中での疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性粉体同士の合一が生じにくくより均一な処理が行える。また、乾燥工程を経ずに疎水化処理するものは、乾燥時に生じる凝集が起こらないので、処理時にはほぼ一次粒径に分散されているので非常に均一な表面処理をすることが出来る。
【0108】
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性粉体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では磁性粉体同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は絶大である。
【0109】
本発明に係わる磁性粉体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(I)で示されるものである。
【0110】
RmSiYn (I)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。ただし、m+n=4である。]
一般式(I)で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0111】
この中で、十分な疎水性を得る為に下記一般式(II)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を用いることが好ましい。
【0112】
CpH2p+1−Si−(OCqH2q+1)3 (II)
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
上記式におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、遊離の磁性粉体を抑制することが難しくなる。またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性粉体同士の合一が多くなり、トナー中へ磁性粉体を十分に分散性させることが困難になり好ましくない。
【0113】
また、qが3より大きいと、シランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。特に、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。
【0114】
その処理量は磁性粉体100質量部に対して、シランカップリング剤の総量が0.5〜5.0質量部であることが好ましく、磁性粉体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
【0115】
磁性粉体の表面処理として水系媒体中でカップリング剤で処理するには、水系媒体中で適量の磁性粉体およびカップリング剤を撹拌する方法が挙げられる。撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機で、磁性粉体が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
【0116】
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが上げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5質量%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸等無機酸が挙げられる。有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
【0117】
なお、上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、あるいは複数の種類を併用して処理することが可能であり、併用する場合、それぞれのカップリング剤を同時、あるいは時間差をもって投入し、磁性粉体の処理を行う。
【0118】
こうして得られる磁性粉体は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、重合トナー用の材料として用いた場合、トナー粒子の均一性が良好なものとなる。
【0119】
なお、本発明に用いられるポリシロキサン化合物は極めて微量で本発明の噴流性指数/流動性指数に効果を発揮する反面、樹脂との相溶化が著しく、耐ブロッキング性や転写性の低下を生じやすいという特徴も有する。その為に本発明のトナーにポリシロキサン化合物を用いる場合には、添加量を制御し製造安定性を高める必要があり、本発明者らの検討の結果、添加する手段として磁性粉体100質量部に対し、0.05〜0.40質量部のポリシロキサン化合物を処理した磁性粉体を用いることが好ましいことを見出した。このような磁性粉体を用いると、トナー化する時に、磁性粉体そのものの凝集性が改善されるためトナー着色力も向上し、更に遊離量としても微量の状態でポリシロキサンが存在可能な為、本発明の効果を安定して発揮しやすくなると考えている。特に本発明の好適なトナーの製造方法である懸濁重合においては、ポリシロキサン化合物がトナー表面に集まりやすい為、その傾向が強い。
【0120】
これに対し、シリコーンオイル等のポリシロキサン化合物を別に添加する場合、転写性の低下に伴うトナー回収性の悪化やカブリ等が生じる傾向が強くなってしまう為、好ましくない傾向となる。
【0121】
磁性粉体にポリシロキサン化合物を処理する方法としては、水系媒体中でシランカップリング剤を酸性域で加水分解を行い、その後温度を上げる、または、製造時のpHをアルカリ域にすることで縮合反応を短時間で行うことにより磁性体表面をカップリング処理すると共に、ポリシロキサン化合物で処理することが出来る。
【0122】
この場合、疎水性処理の均一性とポリシロキサンの相乗効果を発揮する為には各々の処理量が重要であり、磁性粉体100質量部に対し0.5〜5.0質量部のシランカップリング剤で処理されており、なお且つ、0.05〜0.40質量部のポリシロキサン化合物で処理されていることが好ましい。
【0123】
上記ポリシロキサン化合物の量は、上記反応条件や、投入するカップリング剤の量、種類で制御することが可能である。
【0124】
なお、ポリシロキサン化合物の量の測定は以下のように行う。
【0125】
本発明におけるポリシロキサンはトナー粒子中で溶解/分散状態にあると考えられる為、トナー粒子の溶媒抽出操作によって定量を行う。具体的にはトナー粒子中のポリシロキサンを測定する場合は、トナーをIPA溶媒中に超音波分散し、ろ過/真空乾燥して外部の添加剤を除いた後、THF溶媒中にて抽出し、抽出物のNMR(Si)を測定し、ポリシロキサン成分ピーク強度の積分値を、あらかじめシリコーンオイル等で測定した検量線と比較することによって定量する。
【0126】
磁性粉より直接測定する場合は疎水化処理磁性粉体100gとトルエン中に投入し、1時間超音波処理を行う。処理後、磁性粉体とトルエン溶液を濾別する。その後、トルエン溶出前後のSi元素量またはカーボン量から溶出したポリシロキサン化合物の量を算出する。また、濾別したトルエン溶液を濃縮し、得られた化合物量からポリシロキサン化合物の量を求めても良い。
【0127】
また、本発明の磁性トナーに用いられる磁性粉体は、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよく、四三酸化鉄、γ−酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものであり、これらを1種または2種以上併用して用いられる。これら磁性粉体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2〜30m2/gが好ましく、特に3〜28m2/gがより好ましい。また、モース硬度が5〜7のものが好ましい。
【0128】
磁性粉体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。
【0129】
また、本発明の磁性粉体は、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)におけるトナーの磁化の強さ(飽和磁化:σs)と残留磁化(σr)の比、σr/σsが0.11以下であることが好ましい。σr/σsが0.11よりも大きいと言うことは、トナーの残留磁化が大きいことを示唆し、現像後のトナーが磁気凝集によりチェーン(鎖状)として存在し易くなる。この状態は転写残トナーやカブリトナーでも同様であり、この場合、トナーは大きな塊として挙動せざるを得なく、適度な帯電性を有していても回収領域での回収性が劣るものとなってしまう。
【0130】
このような意味から、磁性粉体の形状としては残留磁化の少ない球形、多面体、6面体であることがより好ましい。さらに、磁性粉体のリン、珪素等の元素を有させることにより、σr/σsをより低くすることが可能である。なお、磁性粉体の形状はSEMあるいはTEMなどによって確認することができ、形状に分布がある場合は、存在する形状の内、最も多い形状をもって該磁性粉体の形状とする。
【0131】
磁性粉体の体積平均粒径としては0.05〜0.40μmが好ましい。体積平均径が0.05μm未満の場合、黒色度の低下が顕著となり、白黒用トナーの着色剤としては着色力が不十分となるうえに、複合酸化物粒子どうしの凝集が強くなるため、分散性が悪化する傾向となる。また、赤味の黒になる傾向にあり、画像品位が落ちるものとなる。一方、体積平均粒径が0.40μmを超えてしまうと、一般の着色剤と同様に着色力が不足するようになる。加えて、特に小粒径トナー用の着色剤として使用する場合、個々のトナー粒子に均一に磁性粉体を分散させることが確率的に困難となり、分散性が悪化しやすく好ましくない。
【0132】
なお、磁性粉体の体積平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、ミクロトームにより薄片上のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性粉体粒子径を測定する。そして、磁性粉体の投影面積に等しい円の相当径をもとに、体積平均粒径の算出を行った。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
【0133】
本発明では、磁性粉体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色剤としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いることが好ましい。
【0134】
本発明に用いる磁性粉体の疎水化度は35〜95%であることが好ましく、より好ましくは40〜95%である。疎水化度は磁性粉体表面の処理剤の種類、量、及び処理方法により任意に変えることが可能である。疎水化度とは磁性粉体の疎水性を示しており、疎水化度が低いものは親水性が高いことを意味する。そのため、疎水化度が低い磁性粉体を用いた場合、本発明のトナーを製造する際に好適に用いられる懸濁重合法では、造粒中に磁性粉体が水系に移行してしまい、粒度分布がブロードになると共に、遊離の磁性粉体として存在することになり好ましくない。さらに、磁性粉体の分散も悪化する傾向にある。また、疎水化度を95%より高くするためには磁性粉体表面の処理材を多量に使用しなければならず、この様な状態では磁性粉体の合一が生じ易く、処理の均一性が損なわれてしまう。
【0135】
なお、本発明における疎水化度とは以下の方法により測定されたものである。
【0136】
磁性粉体の疎水化度の測定は、メタノール滴定試験により行う。メタノール滴定試験は、疎水化された表面を有する磁性粉体の疎水化度を確認する実験的試験である。
【0137】
メタノールを用いた疎水化度測定は次のように行う。磁性粉体0.1gを容量250mlのビーカーの水50mlに添加する。その後メタノールを液中に徐々に添加し滴定を行う。この際メタノールは液底部より供給し、緩やかに撹拌しながら行う。磁性粉体の沈降終了は、液面に磁性粉体の浮遊物が確認されなくなった時点とし、疎水化度は、沈降終了時点に達した際のメタノール及び水混合液中のメタノールの体積百分率としてあらわされる。後述の実施例においても同様に測定した。
【0138】
本発明の磁性トナーに用られる磁性粉体は、結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部を用いることが好ましい。さらに好ましくは20〜180質量部を用いることが良い。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を超えると、トナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性粉体の均一な分散が難しくなるだけでなく、磁気凝集しやすくなり好ましくない。
【0139】
なお、トナー中の磁性粉体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで、トナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性粉体量とする。
【0140】
本発明の磁性トナーに用いられる磁性粉体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造される。
【0141】
第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜14)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
【0142】
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜14に維持しながら空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応をすすめ種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpHを選択することにより、磁性粉体の形状をコントロールすることが可能である。酸化反応がすすむにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応終了後、そのままpH等を調整してカップリング処理することも可能であるが、酸反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粉体を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを酸性領域にし、十分撹拌しながらシランカップリング剤を添加し、加水分解後、温度を上げる、あるいは、アルカリ域にpHをすることでカップリング処理を行うことが好ましい。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、カップリング処理前に乾燥させてしまうと、磁性粉体を均一に水系媒体中に分散させることが難しく、均一な処理が行えない。
【0143】
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。
【0144】
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5〜2mol/lが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0145】
このようにして製造された疎水性磁性粉体を材料とした磁性トナーを使用することにより、安定したトナーの帯電性が得られ、転写効率が高く、高画質及び高安定性が可能となる。
【0146】
本発明においては、トナーが磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am2/kg(emu/g)である磁性トナーである。これは、現像装置内に磁気力発生手段を設けることで、磁性トナーではトナーの漏れを防止でき、トナーの搬送性或いは撹拌性を高められるばかりでなく、磁性トナーが穂立ちを形成するためにトナーの飛散を防止することが容易となるためである。しかし、トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10Am2/kg未満であると、上記の効果が得られず、トナー担持体上に磁力を作用させるとトナーの穂立ちが不安定となり、トナーへの帯電付与が均一に行えないことによるカブリ、画像濃度ムラを生じる易くなる。また、現像領域において像担持体上のトナーの引き戻し(回収)は現像バイアスとトナー担持体内部の磁力により行われているが、トナーの磁化の強さが10Am2/kg未満であると磁力による引き戻しが起こらず、像担持体上に残余するトナーの回収性が劣るものとなる。一方、トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが50Am2/kgよりも大きいと、トナーに磁力を作用させると磁気凝集によりトナーの流動性が著しく低下し、現像性が低下しトナーがダメージを受けやすくなり、トナー劣化が著しくなると共に転写性も低下することで転写残トナーが増加し好ましくない。さらに、磁気凝集を生じ易くなるためにトナーの回収性等が悪化しやすく好ましくない。トナーの磁化の強さ(飽和磁化)は、含有する磁性粉体の量、磁性粉体の飽和磁化により任意に変えることが可能である。このため、磁性粉体の飽和磁化は磁場796kA/mにおいて30〜120Am2/kgであることが好ましい。
【0147】
本発明において磁性トナーの飽和磁化、及び残留磁化の強さは、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定する。また、磁性粉体の磁気特性についても、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場796kA/mで測定することができる。
【0148】
本発明の磁性トナーは定着性向上の為、離型剤を含有しても良く、結着樹脂に対し1〜30質量%を含有することが好ましく、より好ましくは、3〜25質量%である。
【0149】
離型剤の含有量が1質量%未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、30質量%を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、トナー表面へのしみ出し等によりトナーの帯電均一性が劣るものとなり、転写効率の低下を招き好ましくない。さらに多量のワックスを内包するために、トナー形状がいびつになりやすくなる。
【0150】
本発明に係わる磁性トナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等、天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
【0151】
これらの離型剤成分の内でも、示差熱分析による吸熱ピークが40〜110℃のもの、即ち、示差走差熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40〜110℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、さらには45〜90℃の領域に有するものがより好ましい。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、良好な定着性を有すと共に、離型剤成分のしみ出し等を抑制出来るので好ましい。最大吸熱ピークが40℃未満であると離型剤成分の自己凝集力が弱くなり、結果として離型剤成分のしみだしが生じ易くなり、トナーの帯電均一性が低下する。一方、該最大吸熱ピークが110℃を超えると、本発明の好適な製造方法である懸濁重合法において、離型剤の重合性単量体への溶解性が極めて悪くなるため、離型剤の分散性が悪化し、好ましくない。
【0152】
離型剤の吸熱量ならびに最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−99」および「ASTM D 3417−99」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、試料を一回200℃まで昇温させ熱履歴を除いた後、急冷し、再度、昇温速度10℃/minにて温度30〜200℃の範囲で昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。後述の実施例においても同様に測定した。
【0153】
本発明の磁性トナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0154】
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー100質量部に対し、好ましくは0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部である。
【0155】
しかしながら、本発明の磁性トナーは、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0156】
次に本発明の磁性トナーを好適に製造出来る懸濁重合法による製造方法を説明する。本発明に係わる重合トナーは、一般にトナー組成物、すなわち結着樹脂となる重合性単量体中に、磁性粉体、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合によって着色剤等、トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、分散機等に依って均一に溶解または分散させた重合性単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁して製造できる。
【0157】
本発明に関わる重合トナーの製造において、重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0158】
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいは他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0159】
本発明に係わる重合トナーの製造においては、重合性単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の重合性単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐ブロッキング性、現像性の良好なトナーを得ることができる。
【0160】
これらの樹脂の中でも特にポリエステル樹脂を含有することにより、その効果は大きなものとなる。これは次に述べる理由からと考えている。ポリエステル樹脂は比較的極性の高い官能基であるエステル結合を数多く含む為、樹脂自身の極性が高くなる。その極性の為、水系分散媒中では液滴表面にポリエステルが偏在する傾向が強くなり、その状態を保ちながら重合が進行し、トナーとなる。この為、トナー表面にポリエステル樹脂が偏在することで表面状態や、表面組成が均一なものとなり、その結果帯電性が均一になると共に、離型剤の内包性が良好なこととの相乗効果により非常に良好な現像性を得ることが出来る。
【0161】
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、例えばトナーの帯電性、耐久性および定着性などの物性をコントロールする上で、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
【0162】
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
【0163】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、また式(イ)で表されるビスフェノール誘導体;
【0164】
【化1】
[式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。]、あるいは式(イ)の化合物の水添物また、式(ロ)で示されるジオール;
【0165】
【化2】
、あるいは式(ロ)の化合物の水添物のジオールが挙げられる。
【0166】
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
【0167】
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
【0168】
上記ポリエステル樹脂の中では、帯電特性、環境安定性が優れておりその他の電子写真特性においてバランスのとれた前記のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく使用される。この化合物の場合には、定着性やトナーの耐久性の点においてアルキレンオキサイドの平均付加モル数は2〜10が好ましい。
【0169】
本発明におけるポリエステル樹脂は全成分中45〜55モル%がアルコール成分であり、55〜45モル%が酸成分であることが好ましい。
【0170】
本発明の磁性トナーにおいてトナー粒子表面に存在し、得られるトナー粒子が安定した帯電性を発現するために、ポリエステル樹脂は0.1〜50mgKOH/樹脂1gの酸価を有していることが好ましい。0.1mgKOH/樹脂1g未満だとトナー表面への存在量が絶対的に不足し、50mgKOH/樹脂1gを超えるとトナーの帯電性に悪影響を及ぼす。さらに本発明では、5〜35mgKOH/樹脂1gの酸価の範囲がより好ましい。
【0171】
本発明においては、得られるトナー粒子の物性に悪影響を及ぼさない限り2種以上のポリエステル樹脂を併用したり、例えば、シリコーンやフルオロアルキル基含有化合物により変性したりして物性を調製することも好適に行われる。
【0172】
また、このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。5,000未満、特に4,000以下では、本重合体が表面付近に集中し易いことから、現像性、耐ブロッキング性、耐久性が悪化する傾向にあるので好ましくない。
【0173】
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部超添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。
【0174】
さらに、重合性単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることが出来る。
【0175】
本発明の磁性トナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行なうと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。
【0176】
重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0177】
本発明の磁性トナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量部である。
【0178】
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0179】
本発明の磁性トナーを重合法で製造する方法では、一般に上述のトナー組成物等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させた重合性単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることも出来る。
【0180】
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。
【0181】
本発明の磁性トナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
【0182】
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部使用することが望ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種併用してもよい。さらに、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0183】
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。
【0184】
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
【0185】
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行なう。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。
【0186】
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により無機微粉体を混合し表面に付着させることで、本発明の磁性トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも可能である。
【0187】
本発明において、トナーに良好な流動性を付与し、且つ、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)を特定の値とするためにトナーに微粒子を添加することが好ましい。これら微粒子は有機微粒子、無機微粒子のいずれも使用することが可能で、公知のもの全てを用いることが出来る。
【0188】
ただし、トナーと逆極性の微粒子は帯電量調整部材に蓄積し易いので、用いる場合は低抵抗の微粒子を選択するか、あるいは、添加量としてトナー粒子100質量部に対し0.01から1.00質量部の少量であることが好ましい。
【0189】
さらに、本発明においてトナーは、流動化剤として個数平均一次粒径4〜80nmの無機微粉体が添加されることも好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
【0190】
無機微粉体の個数平均一次粒径が80nmよりも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粉体が添加されていない場合には、転写残トナーが帯電部材へ付着した際に帯電部材に固着し易くなり、安定して良好な帯電特性を得ることが困難である。また、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題を避けられない。無機微粉体の個数平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体或いは磁性トナー担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには無機微粉体の個数平均一次粒径は6〜35nmであることがより良い。
【0191】
本発明において、無機微粉体の個数平均一次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉体の一次粒子を100個以上測定し、個数基準の平均一次粒径、個数平均一次粒径を求めることで測定出来る。
【0192】
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用できる。
【0193】
ケイ酸微粉体としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0194】
個数平均一次粒径が4〜80nmの無機微粉体の添加量は、トナー粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%以上では定着性が悪くなる。
【0195】
また、無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
【0196】
また本発明において無機微粉体は、疎水化処理された物であることが環境安定性が向上し好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、帯電量が不均一になり易く、トナー飛散が起こり易くなる。
【0197】
疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
【0198】
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体をシラン化合物で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
【0199】
そのような無機微粉体の処理方法としては、例えば第一段反応として、シラン化合物でシリル化反応を行ないシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
【0200】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉体に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0201】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0202】
無機微粉体をシリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、シラン化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、無機微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0203】
シリコーンオイルの処理量は、無機微粉体100質量部に対し1〜40質量部、好ましくは3〜35質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる傾向がある。
【0204】
本発明で用いられる無機微粉体は、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20〜350m2/g範囲内のものが好ましく、より好ましくは25〜300m2/gのものが更に良い。
【0205】
比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
【0206】
また、本発明の磁性トナーは以下に説明する導電性微粉末を含有することが好ましく、導電性微粉末のトナー全体に対する含有量は、0.2〜10質量%であることが好ましい。本発明では、現像部において回収されるトナーと新たに供給/現像される新トナーとの帯電量差が小さいことが好ましく、このため導電性微粉末をトナー粒子に添加することで回収/現像工程における帯電のならし効果も発揮される。
【0207】
また、トナーに導電性微粉末を添加することで、帯電量調整部材においてトナーへの注入帯電性が向上し、回収に適した帯電量をトナーが有しやすくなる。導電性微粉末のトナー全体に対する含有量が0.2質量%よりも少ないと上記効果が薄れる上に、帯電の分布が広がり現像性が低下する傾向にある。
【0208】
一方、含有量が10質量%よりも多い場合では、現像領域で回収される導電性微粉末が多くなりすぎることで現像部でのトナーの帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生じ易くなる。このため、導電性微粉末のトナー全体に対する含有量は、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。
【0209】
また、導電性微粉末の抵抗値は、109Ω・cm以下であることが好ましい。導電性微粉末の抵抗値が109Ω・cmよりも大きいと上記と効果が十分に得られ難く、導電性微粉末の抵抗値が106Ω・cm以下であることがより好ましく良い。
【0210】
また、本発明の磁性トナーに含まれる導電性微粉末は、磁性トナー粒子の体積平均粒径よりも小さい平均粒径のものを用いることが好ましく、体積平均粒子径は0.3μm以上のものを用いることがより好ましく良い。導電性微粉末の平均粒子径が0.3μmよりも小さいと、長期使用によりトナーの帯電量が低下する傾向にあり好ましくない。
【0211】
また、導電性微粉末の体積平均粒子径が磁性トナー粒子の平均粒径よりも大きいと、は静電潜像を書き込む露光光を遮光或いは拡散し、静電潜像の欠陥を生じ画像品位を低下させる。
【0212】
また、導電性微粉末は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉末であることが、転写材上に転写される導電性微粉末がカブリとして目立たないため好ましく良い。潜像形成工程における露光光の妨げとならない意味でも導電性微粉末は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉末であることがよく、より好ましくは、導電性微粉末の露光光に対する透過率が30%以上であることが良い。
【0213】
さらに像担持体や帯電部材からの離型性を向上して安定した帯電性を得るために、導電性微粉末は本発明の抵抗値を阻害しない範囲であれば前記の無機微粉末同様カップリング剤や潤滑剤によって表面処理することも好ましい。
【0214】
導電性微粉末を表面処理する潤滑剤としては、天然或いは合成のオイル類、ワニス、ワックス、脂肪酸及びその誘導体、含フッ素化合物或いはフッ素原子を含む樹脂等が挙げられる。これらは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
【0215】
導電性微粉末に表面処理を施す潤滑剤としては、導電性微粉末表面を均一に処理することが容易であり、導電性微粉末表面から容易に脱離しないものが好ましい。これらの観点から、潤滑剤としては、(各種変性)シリコーンオイル、(各種変性)シリコーンワニス、炭素数5以上の脂肪酸或いはその誘導体、フッ素変性化合物が好ましい。この中でも、シリコーンオイル、炭素数5以上のアルキル部位を有するチタニウムカップリング剤或いはアルミニウムカップリング剤、炭素数5以上の脂肪酸金属塩、フッ素変性カップリング剤が特に好ましい。
【0216】
なお検討の結果、流動性に優れる本発明のトナー粒子と前記無機微粉末、表面処理された導電性微粉末を用いてトナー化し、本発明の流動性指数、噴流性指数の比を得る場合には、混合条件の調整が重要であり、例えばシリコーンオイル処理された導電性微粉末を用いてトナー化する場合には、付着強度を弱めとする必要がある。
【0217】
本発明における導電性微粉末としては、例えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉末;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などが必要に応じて粒度及び粒度分布を調整することで使用できる。これらの中でも酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の無機酸化物を少なくとも表面に有する微粒子が特に好ましい。
【0218】
また、導電性無機酸化物の抵抗値を制御する等の目的で、該導電性無機酸化物の主金属元素と異なるアンチモン、アルミニウムなどの元素を0.1〜5質量%含有した金属酸化物、導電性材料を表面に有する微粒子なども使用できる。例えば酸化スズ・アンチモンで表面処理された酸化チタン微粒子、アンチモンでドープされた酸化第二スズ微粒子、あるいは酸化第二スズ微粒子などである。ここで、「酸化物の主金属元素」とは、酸化物が例えば、酸化チタン、酸化すずの場合、それぞれ、チタン、すずのように酸素と結合している主な金属元素を意味する。
【0219】
また、該無機酸化物を酸素欠損型としたものも好ましく用いられる。市販の酸化スズ・アンチモン処理された導電性酸化チタン微粒子としては、例えばEC−300(チタン工業株式会社)、ET−300、HJ−1,HI−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテリアル株式会社)などが挙げられる。市販のアンチモンドープの導電性酸化スズとしては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)やSN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式会社)などが挙げられる。特に好ましいのは、現像性の観点からアルミニウムを含有する金属酸化物及び/または酸素欠損型の金属酸化物である。
【0220】
本発明における導電性微粉末の体積平均粒径及び粒度分布の測定には、コールター社製、LS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取付けて0.04〜2000μmの測定範囲で測定した。測定法としては、純水10mlに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉末の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定した。
【0221】
本発明において、導電性微粉末の粒度及び粒度分布の調整方法としては、導電性微粉末の一次粒子が製造時において所望の粒度及び粒度分布が得られるように製造法、製造条件を設定する方法以外にも、一次粒子の小さな粒子を凝集させる方法、一次粒子の大きな粒子を粉砕する方法或いは分級による方法等が可能であり、更には、所望の粒度及び粒度分布の基材粒子の表面の一部もしくは全部に導電性粒子を付着或いは固定化する方法、所望の粒度及び粒度分布の粒子に導電性成分が分散された形態を有する導電性微粒子を用いる方法等も可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性微粉末の粒度及び粒度分布を調整することも可能である。
【0222】
導電性微粉末の粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義される。導電性微粉末は、一次粒子の状態で存在するばかりでなく二次粒子の凝集した状態で存在することも問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電部材と像担持体との当接部またはその近傍の帯電領域に介在し、帯電補助或いは促進の機能が実現できればその形態は問わない。本発明において、導電性微粉末の抵抗値の測定は、錠剤法により測定し正規化して求めた。即ち、底面積2.26cm2の円筒内におよそ0.5gの粉体試料を入れ上下電極に147N(15kg)の加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出した。
【0223】
本発明の磁性トナーは、クリーニング性向上等の目的で、さらに一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
【0224】
本発明に用いられる磁性トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
【0225】
本発明においては、これまで述べてきたように、
▲1▼転写工程より下流であり、且つ、前記帯電工程よりも上流に位置し、像担持体上のトナーを正規極性に帯電処理すると共に、トナーの帯電量を調整する帯電量調整部材を有し、該帯電量調整部材は像担持体に接触していること
▲2▼像担持体とトナー担持体の距離が100〜340μmとすることでカブリトナーを低減させること
▲3▼(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×現像時の最大電界強度を22〜120とすることで、良好な現像性と回収性を備えた現像バイアスを用いること
▲4▼(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)を8〜50とすることで帯電量調整部材に滞留する残余トナーの滞留量を調節すること
の4つの相乗効果で磁性一成分クリーナーレスシステムにおいても良好な画像が得られ、その画像形成方法も本発明の一部である。
【0226】
そこで、以下に本発明の画像形成方法について説明する。
【0227】
まず、本発明の画像形成方法の好ましい実施形態を図に沿って詳細に説明するが、本発明はこれらになんら限定されるのもではない。
【0228】
図2において、像担持体としての感光体100の周囲に、帯電量調整部材116と、接触帯電部材である帯電ローラ117、現像器140、転写ローラ114、レジスタローラ124等が設けられている。そして感光体100は、帯電量調整部材116及び帯電ローラ117によって帯電される(帯電量調整部材116の印加電圧は直流電圧:−1000V、帯電ローラー117の印加電圧は交流電圧1.8kVpp(Vpp:ピーク間電位)、直流電圧−620Vdc。電源は不図示)。そして、レーザビームスキャナ121によりレーザ光123を感光体100に照射することによって露光される。感光体100上の静電潜像は現像器140によって一成分磁性トナーで現像され、記録媒体を介して感光体に当接された転写ローラ114により記録媒体上へ転写される。トナー像をのせた記録媒体Pは、搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ記録媒体P上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーは帯電量調整部材116により滞留し、電荷注入された後、吐き出され、帯電ローラー117を通過し、現像器140に回収される。現像器140は、図3に示すように感光体100に近接して、アルミニウム、ステンレス等非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体102(以下、「現像スリーブ」ともいう)が配設され、感光体100と現像スリーブ102との間隙は、図示されないスリーブ/感光体間隙保持部材等により150μmに維持されている。この間隙は、必要により替えることは可能である。現像スリーブ102内にはマグネットローラ104が、現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し、現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラ104には図示の如く複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響している。現像スリーブ102に付着して搬送される磁性トナー量を規制する部材として、弾性ブレード103が配設され、弾性ブレード103の現像スリーブ102に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量が制御される。現像領域では、感光体100と現像スリーブ102との間に直流電圧及び交流電圧の現像バイアスが印加され、現像スリーブ102上トナーは静電潜像に応じて感光体100上に飛翔し可視像となる。
【0229】
本発明の画像形成方法において、感光体は光導電性物質を利用したものであり、有機感光体、アモルファスシリコン等の感光体等が好適に使用される。
【0230】
例えば、セレン、アモルファスシリコンなどの無機感光体の上に樹脂を主体とした保護膜を設ける場合、又は機能分離型有機像担持体の電荷輸送層として、電荷輸送物質と樹脂からなる表面層をもつ場合、さらにその上に上記のような保護層を設ける場合等がある。このような表面層に離型性を付与する手段としては、
▲1▼膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる、
▲2▼撥水、親油性を付与するような添加剤を加える、
▲3▼高い離型性を有する材料を粉体状にして分散する、
などが挙げられる。
【0231】
▲1▼の例としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基等を導入することにより達成する。▲2▼としては、界面活性剤等を添加剤とすればよい。▲3▼としては、フッ素原子を含む化合物、すなわちポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化カーボン等が挙げらる。
【0232】
これらの手段によって感光体表面の水に対する接触角を85度以上とすることができ、トナーの転写性及び感光体の耐久性を一層向上させることができる。好ましくは水に対する接触角は90度以上がよい。
【0233】
これらの手段の中でも、▲3▼の含フッ素樹脂などの離型性粉体を最表面層への分散させる方法が好適であり、特にポリ4フッ化エチレンを用いることが好適である。
【0234】
これらの粉体を表面に含有させるためには、バインダー樹脂中に該粉体を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最上層に該粉体を分散させれば良い。添加量は、表面層総質量に対して、1〜60質量%、さらには、2〜50質量%が好ましい。1質量%より少ないとトナーの転写性及び感光体の耐久性改善の効果が不十分であり、60質量%を超えると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下したりするため、好ましくない。
【0235】
接触角の測定は、滴下式の接触角計(例えば、協和界面科学(株)の接触角計CA−X型)を用いて水の自由表面が感光体に接する場所で、液面と感光体表面のなす角(液の内部にある角)で定義する。なお、上記測定は室温(約21〜25℃)で行われるものとする。
【0236】
次に、本発明に用いられる像担持体の好ましい形態の一つを以下に説明する。
【0237】
導電性基体としては、アルミニウム、ステンレス等の金属、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化錫合金等による被膜層を有するプラスチック、導電性粒子を含侵させた紙、プラスチック、導電性ポリマーを有するプラスチック等の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0238】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上・塗工性改良・基体の保護・基体上に欠陥の被覆・基体からの電荷注入性改良・感光層の電気的破壊に対する保護等を目的として下引き層を設けても良い。下引き層は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、ポリウレタン、酸化アルミニウム等の材料によって形成される。その膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μm程度である。
【0239】
電荷発生層は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素、セレン、非晶質シリコン等の無機物質などの電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工するあるいは蒸着等により形成される。結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80質量%以下、好ましくは0〜40質量%である。また、電荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0240】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜圧は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン、フェナントレンなどの構造を有する多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、オキサジアゾール、ピラゾリンなどの含窒素環式化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、セレン、セレン−テルル、非晶質シリコン、硫化カドニウム等が挙げられる。また、これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。
【0241】
また表面層として、保護層を設けてもよい。保護層の樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤等が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。
【0242】
また、体積抵抗値を調整するために保護層の樹脂中に導電粒子を分散してもよい。導電粒子の例としては、金属、金属酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化スズ被膜酸化チタン、スズ被膜酸化インジウム、アンチモン被膜酸化スズ、酸化ジルコニウム等の超微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。一般的に保護層に導電粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、本発明における保護層に分散される導電粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。また、保護層中での含有量は、保護層総質量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0243】
表面層の塗工は、樹脂分散液をスプレーコーティング、ビームコーティングあるいは浸透(ディッピング)コーティングすることによって行うことができる。
【0244】
本発明の画像形成方法における帯電工程は、被帯電体であり像担持体でもある感光体とローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、ブレード型(帯電ブレード)等の導電性の帯電部材とを当接部を形成して接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させる接触帯電装置を用いる。また、このように接触帯電を行うことで、安定した均一な帯電を行うことができ、さらに、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0245】
しかし、一般に、固定タイプの帯電部材を用いた場合、帯電部材と回転する像担持体の接触を均一に保事が難しく、帯電ムラが生じ易くなってしまう。このため、像担持体との接触を均一に保ち、均一な帯電を行う為に、像担持体と同方向に回転する帯電部材(帯電ローラー)を用いることがより好ましい。
【0246】
帯電ローラを用いたときの好ましいプロセス条件として、ローラの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)で、直流電圧に交流電圧を重畳したものが用いられる。この場合、交流電圧は0.5〜5kVpp、交流周波数は50〜5kHz、直流電圧としては電圧の絶対値が200〜1000Vであることが好ましい。なお、電圧の極性は用いる画像形成方法による。
【0247】
帯電工程において用いられる交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等、適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交流電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0248】
帯電ローラーを用い、上述の如き条件で帯電を行うことにより、像担持体上に残余するトナーが帯電部材を通過する際にも安定な均一な帯電を行うことが出来る。これは、帯電ローラーが適度な当接圧を有し像担持体と当接しており、なお且つ、交流成分を重畳することにより、残余トナーが帯電ローラーと像担持体とのニップ部を通過する際の抵抗変動の影響を少なくでき、安定且つ均一帯電のラチチュードが広がる為であると考えている。
【0249】
ローラ部材の材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものがあげられる。また、導電性粒子を分散せずに、或いは導電性粒子と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0250】
また、ローラ部材に用いられる芯金としては、アルミニウム、SUS等が挙げられる。ローラ部材は、像担持体としての被帯電体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、ローラ部材と像担持体の当接部である帯電当接部を形成させる。
【0251】
次に、本発明の画像形成方法において好ましく適用される接触転写工程について具体的に説明する。
【0252】
接触転写工程とは、感光体が記録媒体を介して転写部材と当接しながらトナー像を記録媒体に静電転写するものであるが、転写部材の当接圧力としては線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m(20g/cm)以上である。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、記録媒体の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
【0253】
また、接触転写工程における転写部材としては、転写ローラあるいは転写ベルト等が使用される。図4に転写ローラの構成の一例を示す。転写ローラ34は少なくとも芯金34aと導電性弾性層34bからなり、導電性弾性層34bはカーボン等の導電材を分散させたウレタンやエピクロルヒドリンゴム等の、体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体で作られており、転写バイアス電源35により転写バイアスが印加されている。
【0254】
また、接触転写方法を適用した本発明の画像形成方法は、直径が50mm以下の小径の感光体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、小径感光体の場合には、同一の線圧に対する曲率が大きく、当接部における圧力の集中が起こりやすいためである。ベルト感光体でも同一の現象があると考えられるが、本発明は、転写部での曲率半径が25mm以下の画像形成装置に対しても有効である。
【0255】
また本発明の画像形成方法においては、カブリの無い高画質を得るために磁性トナー担持体上に磁性トナー担持体−感光体の最近接距離(S−D間)よりも薄い層厚で磁性トナーを塗布し、現像工程で現像されることが好ましい。一般に、磁性トナー担持体上の磁性トナーを規制する層厚規制部材(磁気カット、規制ブレード等)によって磁性トナー担持体上のトナー層厚を規制するが、本発明では層厚規制部材が磁性トナーを介して磁性トナー担持体に当接することによって規制することが必要である。トナー担持体に当接する層厚規制部材としては、規制ブレードが一般的であり、本発明においても好適に使用できる。
【0256】
規制ブレードを像担持体に当接させトナー層厚を規制することにより、転写効率の向上及び、カブリの低減に効果がある。これは、規制ブレードの材質をトナーの帯電性に合せて設計出来る上、規制ブレードがトナー担持体と特定な当接圧を有し接していることにより、十分な摩擦帯電が行われ、トナーの帯電量が高くなると共に、均一な帯電性が得られる為であると考えている。また、このようにカブリを押さえ、高転写効率を上げることで良好なクリーナーレス性が維持され、帯電不良等の画像欠陥が生じず、長期使用においても高精細な画像が維持出来る。
【0257】
規制ブレードとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体が使用できさらに、それらの複合体であっても使用できる。好ましくは、ゴム弾性体が良い。
【0258】
規制ブレードの材質は、トナー担持体上のトナーの帯電に大きく関与する。そのため、規制ブレードとして弾性体を用いた場合、弾性体中に有機物又は無機物の物質を添加しても良く、溶融混合させても良いし、分散させても良い。添加する物質としては、例えば、金属酸化物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、無機繊維、染料、顔料、界面活性剤があげられる。更に、ゴム、合成樹脂、金属弾性体の如き弾性支持体に、トナーの帯電性をコントロールする目的で、樹脂、ゴム、金属酸化物、金属の如き帯電コントロール物質をトナー担持体当接部分に当たるようにつけたものを用いても良い。また、金属弾性体に樹脂、ゴムをトナー担持体当接部に当たるように貼り合わせるものが好ましい。
【0259】
トナーが負帯電性である場合には、弾性ブレード及び帯電コントロール物質としては、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂の如き正極性に帯電しやすいものが好ましい。トナーが正帯電性である場合には、弾性ブレード及び帯電コントロール物質としては、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂の如き負極性に帯電しやすいものが好ましい。
【0260】
トナー担持体当接部分が樹脂又はゴムの成型体の場合はトナーの帯電性を調整するためにその中に、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化亜鉛の如き金属酸化物、カーボンブラック、一般にトナーに用いられる荷電制御剤を含有させることも好ましい。
【0261】
規制ブレード上辺部側である基部はトナー容器側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性力に抗してトナー担持体の順方向或いは逆方向にたわめ状態にしてトナー担持体表面に適度の弾性押圧力をもって当接させる。
【0262】
ブレードとトナー担持体との当接圧力は、トナー担持体母線方向の線圧として、0.98N/m(1g/cm)以上、好ましくは、1.27〜245N/m(3〜250g/cm)、更に好ましくは4.9〜118N/m(5〜120g/cm)が有効である。当接圧力が0.98N/m(1g/cm)より小さい場合、トナーの均一塗布が困難となり、カブリや飛散の原因となる。当接圧力が245N/m(250g/cm)を超えると、トナーに大きな圧力がかかり、トナーの劣化が起こりやすくなり好ましくない。
【0263】
トナー担持体上のトナー層としては、5〜50g/m2のトナー層を形成することが好ましい。磁性トナー担持体上のトナー量が5g/m2よりも小さいと、十分な画像濃度が得られにくく、トナーの帯電が過剰になることによるトナー層のムラを生じる。磁性トナー担持体上のトナー量が50g/m2よりも多くなると、トナーの均一帯電が困難となり転写性が低下すると共に、カブリの増大を招き好ましくない。
【0264】
本発明に使用される磁性トナー担持体は、アルミニウム、ステンレススチール等の金属又は合金で形成された導電性円筒(現像ローラ)が好ましく使用される。充分な機械的強度及び導電性を有する樹脂組成物で導電性円筒が形成されていても良く、導電性のゴムローラを用いても良い。また、上記のような円筒状に限られず、回転駆動する無端ベルトの形態をしても良い。
【0265】
本発明に使用される磁性トナー担持体の表面粗さはJIS中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。Raが0.2μm未満では磁性トナー担持体上の帯電量が高くなり、現像性が不充分となる傾向がある。Raが3.5μmを超えると、磁性トナー担持体上のトナーコート層にむらが生じ、画像上で濃度むらとなる傾向がある。さらに好ましくは、0.5〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0266】
本発明において、磁性トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JIS B 0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式(12)によって求められる値をミクロメートル(μm)で表したものを言う。
【0267】
【数2】
【0268】
本発明における磁性トナー担持体の表面粗度(Ra)を上記範囲にするには、例えば、トナー担持体の表層の研磨状態を変える、あるいは球状炭素粒子、カーボン微粒子、グラファイト等を添加することにより可能となる。
【0269】
さらに、本発明の磁性トナーは高い帯電能力を有するために、現像に際してはトナーの総帯電量をコントロールすることが望ましく、本発明に係わる磁性トナー担持体の表面は導電性微粒子及び/又は滑剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
【0270】
磁性トナー担持体の被覆層に含まれる導電性微粒子は、11.7Mpa(120kg/cm2)で加圧した後の抵抗値が0.5Ωcm以下であるものが好ましい。導電性微粒子としては、カーボン微粒子、カーボン微粒子と結晶性グラファイトとの混合物、または結晶性グラファイトが好ましい。導電性微粒子は、粒径0.005〜10μmを有するものが好ましい。
【0271】
樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂を使用することができる。
【0272】
中でもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、あるいはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。特に、フェノール樹脂が好ましい。導電性微粒子は、樹脂成分10質量部当り、3〜20質量部使用するのが好ましい。
【0273】
カーボン微粒子とグラファイト粒子を組み合わせて使用する場合は、グラファイト10質量部当り、カーボン微粒子1〜50質量部を使用するのが好ましい。
【0274】
導電性微粒子が分散されてる磁性トナー担持体の樹脂層の体積抵抗率は10-6〜106Ωcmが好ましい。
【0275】
本発明においては、磁性トナーを担持する磁性トナー担持体表面は、像担持体表面の移動方向と同方向に移動することが好ましい。また、トナー担持体の移動速度は、像担持体の移動速度に対して、比で1.00〜1.80倍であることが好ましい。移動速度比が1.00倍未満であると、画像品質が悪くなりやすく、移動速度比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対し潜像に忠実な画像が得られる。しかしながら、トナー担持体の移動速度が1.80倍よりも早いと、トナー劣化が生じ易く、長期使用により画質の低下が生じてしまう。
【0276】
本発明の像担持体は内部に多極を有する固定されたマグネットを有していることが好ましく、磁極は3〜10極有することが好ましい。また、通常マグネットの現像極の中心は像担持体とトナー担持体の中心を結ぶ線上に位置するが、本発明においてはマグネットの現像極の中心を像担持体とトナー担持体の中心を結ぶ線上よりも3°〜10°上流にずらすと、長期使用においてもカブリの増加が起こらず好ましい。現像極の中心が像担持体とトナー担持体の中心を結ぶ線上にある場合、像担持体上に存在する残余トナーの回収は現像領域のみで行われるものと考えられる。しかし、現像極の中心を上流にずらすことにより、通常の現像領域よりも上流側で磁界による残余トナーの回収が始まり、回収性が向上することにより長期使用においてもカブリを抑制出来ると考えている。しかし、電界による現像領域は磁界の位置によらずほぼ一定の為、現像極の中心を10°以上上流にずらしてしまうと、現像性の低下を招き、画像抜け等を生じてしまい好ましくない。
【0277】
本発明において、現像(兼クリーニング)工程は、磁性トナー担持体に対して交番電界を現像バイアスとして印加して、感光体の静電潜像にトナーを転移させてトナー像を形成する工程であることが好ましく、印加現像バイアスは直流電圧に交番電界を重畳した電圧でもよい。
【0278】
交番電界の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等、適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電界の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0279】
トナーを担持をする磁性トナー担持体と像担持体との間に印加する現像バイアスとしては、現像時の最大電界強度で3.8〜4.8V/μmであることが好ましく、周波数は1600〜4500Hzであることが好ましい。
【0280】
現像時の最大電界強度は次式で表される。
最大電界強度={1/2Vpp+(VL−Vdc)}/(S−D間)
【0281】
ここで、Vppは交流電圧のピーク to ピーク電圧、VLは像担持体の明電位、Vdcは直流電圧の電位である。なお、現像時にかかる電界の時間と引き戻しの電界の時間の比が異なる場合(後述)は、1/2Vppの代わりに交流成分の現像時の電位を用いる。
【0282】
最大電界強度を高めることにより、像担持体との密着性が強い高トリボトナーの現像が行われる為に、高精細な画像が得られるようになる。また、交流電圧のVppを上げることにより最大電界強度を上げることが出来るが、この場合、像担持体から戻しの電界強度も強くなるために回収性が向上する。これらの理由により現像時の最大電界は3.8V/μm以上であることが好ましい。しかし、最大電界強度を上げるとカブリが増大する傾向にあり、最大電界強度が4.8V/μmより大きいとカブリの増大を招くと共に、絶縁破壊が起こりやすくなり好ましくない。
【0283】
また、交流バイアスの周波数について検討したところ、1600Hz未満ではカブリトナーが増加すると共に、現像及び引き戻し回数が減少するために画質が低下する。一方、4500Hzより高周波数ではトナーがバイアスに追従出来なくなり、濃度の低下、回収性の低下が生じ好ましくない。
【0284】
また、トナー担持体に印加する交番電界の交流成分のうち、トナーを飛ばす方向にかかる電圧の印加時間をt1、像担持体からトナーを戻す方向にかかる電圧の印加時間をt2とした時、t1/t2の比が1.10〜2.30であると良好な現像性を維持すると共にカブリが減少し好ましい。
【0285】
これは以下の理由であると考えている。
【0286】
t1/t2の比を上げると現像方向にかかる電圧の印加時間が長い反面、電圧は低くなる。一方、戻しの電圧の印加時間は短くなるが、戻しの電圧は高くなり、像担持体上のトナーの引き戻し強度が高くなるためにカブリが減少するので好ましい。一方、t1/t2が大きすぎると濃度薄が生じると共に、選択現像か起きやすくなり、耐久後半にカブリ等を生じ好ましくない。このため、t1/t2の比が1.10〜2.30であることが好ましく、1.15〜1.80であることがより好ましい。
【0287】
本発明においては、像担持体の帯電面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程が、像露光手段により行われることが好ましい。静電潜像形成のための画像露光手段としては、デジタル的な潜像を形成するレーザ走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0288】
次に、本発明のプロセスカートリッジについて説明する。
【0289】
本発明は、感光体上に形成された静電潜像をトナーを転移させて可視化してトナー像を形成し、該トナー像を転写材に転写することにより画像を形成する、本発明の画像形成方法が用いられる画像形成装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであり、感光体と、帯電手段と、現像手段とから選ばれる少なくとも2つ以上は一体に支持され、トナーは、本発明の磁性トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジである。また、感光体、帯電手段、現像手段は、本発明の画像形成方法で用いられるものがそれぞれ使用できる。
【0290】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0291】
<1>磁性粉体の製造
以下のようにして、表面処理磁性粉体1〜13と磁性粉体1を得た。
【0292】
<表面処理磁性粉体1の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対してl.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で1.5質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ、鉄元素に対して珪素元素換算で1.5質量%の珪酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0293】
水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
【0294】
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約4.5に調整し、十分撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100部に対し2.0部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、分散液のpHを約10にし、縮合反応を行い、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性粉体を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を十分解砕処理し、平均粒径が0.20μmの球形の表面処理磁性粉体1を得た。得られた磁性粉体1の物性を表3に示す。
【0295】
<表面処理磁性粉体2の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤2.0部を1.1部としたこと以外は表面処理磁性粉体2と同様にして、表面処理磁性粉体2を製造した。得られた磁性粉体2の物性を表3に示す。
【0296】
<表面処理磁性粉体3の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤2.0部を0.6部としたこと以外は表面処理磁性粉体3と同様にして、表面処理磁性粉体3を製造した。得られた磁性粉体3の物性を表3に示す。
【0297】
<表面処理磁性粉体4の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤2.0部を2.5部としたこと以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体4を製造した。得られた磁性粉体4の物性を表3に示す。
【0298】
<表面処理磁性粉体5の製造>
表面処理磁性粉体1をトルエン中に投入し、30分間超音波分散を行った。この処理を3回行った後、常法により濾過、乾燥し、得られた粒子を十分に解砕処理し、表面処理磁性粉体5を得た。得られた磁性粉体5の物性を表3に示す。
【0299】
<表面処理磁性粉体6の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対してl.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で1.5質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ、鉄元素に対して珪素元素換算で1.5質量%の珪酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0300】
水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
【0301】
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液のpHを13に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約4.5に調整し、十分撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100部に対し2.0部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、分散液のpHを約10にし、縮合反応を行い、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性粉体を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を十分解砕処理し、平均粒径が0.19μmの八面体の表面処理磁性粉体6を得た。得られた磁性粉体6の物性を表3に示す。
【0302】
<表面処理磁性体の製造例7>
表面処理磁性粉体1の製造と同様に、酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性酸化鉄粉体を洗浄、濾過、乾燥し、凝集している粒子を解砕処理し磁性粉体を得た。この磁性粉体を再び水系媒体中に分散させた後、再分散液のpHを約4.5に調整し、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100部に対し0.6部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、分散液のpHを約10にし、縮合反応を行い、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性粉体を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を十分解砕処理し、表面処理磁性粉体7を得た。得られた磁性粉体7の物性を表3に示す。
【0303】
<磁性粉体1の製造>
表面処理磁性粉体1の製造と同様に酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性酸化鉄粉体を洗浄、濾過、乾燥し、凝集している粒子を十分に解砕処理し、磁性粉体1を得た。得られた磁性粉体の物性を表3に示す。
【0304】
【表3】
【0305】
<2>導電性微粉末の製造
<導電性微粉末の製造例1>
アルミニウム元素を含有する、抵抗が100Ω・cmの酸化亜鉛微粉末(一次粒子の個数平均粒径が0.1μmであり、一次粒子が凝集した粒子径が0.7〜7μmの凝集体からなる)をヘキサメチルジシラザン1質量%で処理後ジメチルシリコーンオイル1質量%で表面処理し、表面処理後解砕することにより、抵抗が1000Ω・cmの酸化亜鉛微粉末を得た。これを導電性微粉末1とした。この導電性微粉末1は、一次粒子の個数平均粒径が0.1μmであり、一次粒子が凝集した粒子径が1.3μmの凝集体からなっていた。
【0306】
電性微粉末の抵抗は、底面積2.26cm2の円筒内に約0.5gの粉体試料を入れ、粉体試料の上下に配置された上下電極間に147N(15kg)の加重を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出した。
【0307】
導電性微粉末の粒度分布は、純水10mlに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉末の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、リキッドモジュールを取り付けたコールター社製、LS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、0.04〜2000μmを粒子径の測定範囲とし、測定時間90秒、測定回数1回で測定し、得られる体積基準の粒度分布の主たるピークの粒径をもって導電性微粉末の粒径とした。また、導電性微粉末は、走査型電子顕微鏡にて3000倍及び3万倍で、一次粒子及び凝集体の状態を観察した。
【0308】
<導電性微粉末の製造例2>
導電性微粉末の製造例1の中で、ヘキサメチルジシラザンで処理せずにジメチルシリコーンオイル5質量%で表面処理する以外は全て導電性微粉末の製造例1と同様の処理を行い、抵抗が2500Ω・cmの酸化亜鉛微粉末を得た。これを導電性微粉末2とした。
【0309】
<3>磁性トナーの製造
<磁性トナー1の製造>
イオン交換水720部に0.1M−Na3PO4水溶液450部、1N塩酸を19部投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含むpH=5.2の水系媒体を得た。
【0310】
・スチレン 83部
・n−ブチルアクリレート 17部
・飽和ポリエステル樹脂 5部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 1部
・表面処理磁性粉体1 80部
・ジビニルベンゼン 0.8部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク72℃)10部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解した。
【0311】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃,N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃で8時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてpH=2以下で分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子1を得た。
【0312】
このトナー粒子1を100部と、個数平均一次粒径12nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理後にシリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0部と導電性微粉末1 1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い、4000rpm,2分の条件で混合し、重量平均粒径が7.2μmの磁性トナー1を調製した。磁性トナー1の物性を表4に示す。
【0313】
<磁性トナー2の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体2に変えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー2を製造した。磁性トナー2の物性を表4に示す。
【0314】
<磁性トナー3の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体3に変えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー3を製造した。磁性トナー3の物性を表4に示す。
【0315】
<磁性トナー4の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体4に変えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー4を製造した。磁性トナー4の物性を表4に示す。
【0316】
<磁性トナー5の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体4に変え、単量体組成物にシリコーンオイル1部をさらに加えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー5を製造した。磁性トナー5の物性を表4に示す。
【0317】
<磁性トナー6の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体5に変えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー6を製造した。磁性トナー6の物性を表4に示す。
【0318】
<磁性トナー7の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体6に変えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー7を製造した。磁性トナー7の物性を表4に示す。
【0319】
<磁性トナー8の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体7に変えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー8を製造した。磁性トナー8の物性を表4に示す。
【0320】
<磁性トナー9の製造>
・スチレン 65.0部
・2−エチルヘキシルアクリレート 35.0部
・ジビニルベンゼン 0.8部
・磁性粉体1 98.0部
・磁性トナー1で用いた飽和ポリエステル 5部
上記処方をアトライターを用い均一に分散混合した。その後、60℃に加温し、磁性トナー1の製造で用いたエステルワックス10部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.5部を添加し、溶解した。
【0321】
次いで、リン酸三カルシウム4質量%の水性コロイド溶液650部を60℃に加温した後、上記の重合性単量体系217.3部を添加し、TKホモミキサーを用いて室温にて、回転数10000rpmで3分間乳化分散させた。
【0322】
その後、窒素雰囲気下にて撹拌を続けながら、85℃で10時間反応を行った後、室温まで冷却し、磁性トナー粒子分散液を得た。
【0323】
次に、スチレン13.0部、2−エチルヘキシルアクリレート7.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部、ジビニルベンゼン0.2部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1部を水20部に投入し、超音波ホモジナイザーを用い分散させ、水乳濁液40.7部を得た。
【0324】
これを、前記磁性トナー粒子分散液中に滴下し、粒子を膨潤させた。その後、窒素雰囲気下にて撹拌を行い、85℃で10時間反応を行った。その後、懸濁液を冷却し、磁性トナー1と同様に洗浄、濾過、乾燥し、次いで風力分級を行い磁性トナー粒子9を得た。
【0325】
この磁性トナー粒子9を100部と、磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0部、導電性微粉末1 1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い4000rpm,2分の条件で混合し、重量平均粒径が7.8μmの磁性トナー9を調製した。磁性トナー9の物性を表4に示す。
【0326】
<磁性トナー10の製造>
・スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体 100部
(質量比78/22)
・飽和ポリエステル樹脂 5部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 4部
・表面処理磁性粉体1 80部
・磁性トナー1の製造で用いたエステルワックス 10部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して磁性トナー粒子10を得た。この磁性トナー粒子10を100部に対して磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0部、導電性微粉末1 1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い4000rpm,2分の条件で混合し、重量平均粒径が8.1μmの磁性トナー10を調製した。磁性トナー10の物性を表4に示す。
【0327】
<磁性トナー11の製造>
磁性トナー10の製造で得た磁性トナー粒子10をハイブリタイザーを用い、6000回転で3分間の処理を2回行い磁性トナー粒子11を得た。この磁性トナー粒子100部に対して磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0部、導電性微粉末1 1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い4000rpm,2分の条件で混合し、磁性トナー11を調製した。磁性トナー11の物性を表4に示す。
【0328】
<磁性トナー12の製造>
(樹脂微粒子分散液の調製)
スチレン 330部
n−ブチルアクリレート 80部
アクリル酸 6部
ジビニルベンゼン 2.3部
ドデカンチオール 6部
四臭化炭素 4部
前記成分を混合溶解して溶液を調製した。
【0329】
また、非イオン性界面活性剤6部、及びアニオン性界面活性剤10部をイオン交換水550部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化して10分間ゆっくり撹拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム5部を溶解したイオン交換水50部を投入した。次いで、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを撹拌しながらオイルバスで70℃まで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して、中心径150nm、ガラス転移温度59℃、Mw50000の樹脂微粒子を含有するアニオン性樹脂微粒子分散液1を得た。
【0330】
(磁性体分散液の調製)
磁性体粉体1 150部
非イオン性界面活性剤 10部
イオン交換水 400部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザーにより10分間分散し、磁性体分散液1を得た。
【0331】
(離型剤分散液の調製)
パラフィンワックス 50部
カチオン性界面活性剤 5.5部
イオン交換水 200部
前記成分を加圧下98℃に加熱して十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理を施し、中心径0.16μmの離型剤粒子を含有する離型剤分散液1を得た。
【0332】
(トナーの製造)
樹脂微粒子分散液1 200部
磁性体分散液1 283部
離型剤分散液1 64部
ポリ塩化アルミニウム 1.23部
前記成分をホモジナイザーで十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら凝集温度58℃まで加熱した。その後、58℃で60分間保持した後、さらに樹脂微粒子分散液1を30部追加して緩やかに撹拌した。
【0333】
その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを7.0に調整した後、フラスコを密閉し、撹拌を継続しながら80℃まで加熱した。その後、pHを4.0まで低下して6時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水による十分な洗浄を行った後、濾過、洗浄、乾燥を行い磁性粒子12を得た。得られた磁性粒子12を100部と、磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0部、導電性微粉末1 1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い4000rpm,2分の条件で混合し、重量平均粒径が6.6μmの磁性トナー12を調製した。磁性トナー12の物性を表4に示す。
【0334】
<磁性トナー13の製造>
磁性トナー10の製造例の中で、疎水性シリカ 1.0部、導電性微粉末1 1.0質量部を疎水性シリカ 2.0部、導電性微粉末2 3.0部に変更し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い2000rpm,1分の条件で混合し、磁性トナー13を調製した。磁性トナー13の物性を表4に示す。
【0335】
<磁性トナー14の製造>
導電性微粒子1を用いなかったこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー14を得た。磁性トナー14の物性を表4に示す。
【0336】
【表4】
【0337】
なお、上記各磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さは、いずれの磁性トナーも24〜28Am2/kgであった。
【0338】
〔実施例1〕
<画像形成装置>
画像形成装置として、LBP−1760を改造して図2と同様のものを用いた。
【0339】
像担持体(感光体)100に、帯電部材として導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆したゴムローラ帯電器117を当接させ(当接圧60g/cm)、直流電圧−620Vに交流電圧1.8kVppを重畳したバイアスを印加して、感光体上を一様に帯電する。帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成する。この時、暗部電位Vd=−600V、明部電位VL=−120Vとした。
【0340】
また、帯電量調整部材として、導電性ブラシを用い、これに直流電圧−1000Vを印加した。
【0341】
感光体と現像スリーブとの間隙は150μmとし、磁性トナー担持体として、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層を形成した現像スリーブ102を使用し、現像磁極85mT(850ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm、自由長0.70mmのウレタン製ブレードを39.2N/m(40g/cm)の線圧で当接させた。
・フェノール樹脂 100部
・グラファイト(粒径約7μm) 90部
・カーボンブラック 10部
なお、現像磁極は像担持体とトナー担持体の中心を結ぶ線よりも5°上流にずらしている。
【0342】
次いで、現像バイアスとして直流電圧Vdc=−440V、重畳する交番電界として0.7kVpp、周波数2500Hz、現像側の電界の時間と引き戻し側の電界の時間の比(t1/t2)を1.50としたものを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(96mm/sec)に対して順方向に110%のスピード(106mm/sec)とした。
【0343】
この時の最大電界強度は4.0V/μmであり、(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×現像時の最大電界強度(以後 値Aと略)は94.3であった。
【0344】
また、(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)(以後 値Bと略)は28.3であった。
【0345】
転写部材114は、転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を用い、感光体周速(96mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.4kVとした。
【0346】
最初に、磁性トナー1を使用し、常温常湿環境下(23℃,60%RH)において、印字率4%の格子パターンで6000枚の間欠画出し試験を行った。なお、初期及び耐久後には画像濃度、ベタ黒3枚連続通紙後のベタ白上のカブリと、ベタ黒3枚後のハーフトーン画像の均一性、及び遮光について評価を行った。記録媒体としては75g/m2の紙を使用した。その結果、磁性トナー1では、耐久前後で非画像部へのカブリが無く、遮光が起こらず均一なハーフトーン画像が得られた。評価結果を表5に示す。
【0347】
本発明の実施例並びに比較例中に記載の評価項目とその判断基準について以下に述べる。
【0348】
<画像濃度>
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。
【0349】
<ハーフトーン均一性>
ベタ黒3枚後のハーフトーン画像の均一性で判断を行う。
A:画像の均一性に優れ、鮮明な画像。
B:画像の均一性が若干劣るものの、良好な画像。
C:実用的には問題の無い画質。
D:画像の均一性が悪く、実用上好ましくない画像。
【0350】
<遮光>
ベタ黒3枚後のハーフトーン画像上の遮光(白ポチ)について目視評価を行う。
A:遮光は未発生。
B:若干遮光が起きているものの、実用上全く問題の無いレベル。
C:遮光が起きているものの、実用上問題の無いレベル。
D:遮光がひどく、実用上好ましくない画像。
【0351】
<カブリ>
ベタ黒3枚後の白画像を出力し、紙上カブリの測定を行い、以下の基準で判断した。なお、カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下式(16)より算出した。
(16) カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
【0352】
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上、2.5%未満)
C:普通(2.5%以上、4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
【0353】
〔実施例2〜13〕
トナーとして、磁性トナー2〜12及び14を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、初期の画像特性も問題無く、印字6000枚までいずれも大きな問題の無い結果が得られた。常温常湿環境下での評価結果を表5に示す。
【0354】
〔比較例1〕
トナーとして、磁性トナー13を使用し、実施例1と同様の画像形成方法で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、耐久試験を進めると画像濃度の低下、カブリ、遮光の悪化等が生じた。さらに、帯電部材をトナーが汚染した為にハーフトーンの均一性に劣る画像であった。常温常湿環境下での評価結果を表5に示す。
【0355】
【表5】
【0356】
次に、クリーナーレスシステムの適用範囲を求める為に、プロセススピードをアップし、現像スリーブの周速は感光体周速(192mm/sec)に対して順方向に110%のスピード(211mm/sec)とした。なお、現像条件は上述の実施例1と同様とした。
【0357】
〔実施例14〜26〕
トナーとして、磁性トナー1〜5及び7〜14を使用し、上記の条件にて実施例1と同様の画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、初期の画像特性も問題無く、印字6000枚までいずれも大きな問題の無い結果が得られた。常温常湿環境下での評価結果を表6に示す。
【0358】
〔比較例2〕
トナーとして、磁性トナー6を使用し、実施例14と同様の画像形成方法で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、耐久試験と共に画像濃度の低下、カブリ、遮光の悪化等が生じた。さらに、帯電部材をトナーが汚染した為にハーフトーンの均一性に劣る画像であった。常温常湿環境下での評価結果を表6に示す。
【0359】
【表6】
【0360】
上記表5及び6から、プロセススピードによらずクリーナーレスシステムにおいて良好な画像を得るためには一定の範囲があり、(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)が8〜50であることが必要なことが分かる。
【0361】
<黒色トナー1の製造>
磁性トナー10の製造において、磁性粉体1をカーボンブラック15部に変えたこと以外は磁性トナー10と同様にして黒色トナー1を得た。
【0362】
このトナーの重量平均粒径は6.9μm、D4/D1は1.32、平均円形度は0.951、モード円形度は0.96、(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)は1.3であった。
【0363】
〔比較例3〕
平均粒径35μmのフェライトキャリア100部に対し、黒色トナー1が8%となるように調整し、図2の機械を二成分用に改造し、二成分磁気ブラシ現像にて画像評価を行った。
【0364】
像担持体及び帯電ローラーは実施例1で使用したものと同品を使用した。
【0365】
また、現像剤担持体上のトナー規制手段として、磁気カットを用い、現像剤担持体と磁気カットブレードの間隔は450μmとした。
【0366】
帯電ローラー2には直流電圧として−520V、交流電圧として1.4kVpp、1000Hzを重畳しており、像担持体の暗部電位は−500V、明部電位は−100Vである。
【0367】
また、帯電量調整部材として、実施例1と同様導電性ブラシを用い、これに直流電圧−1000Vを印加した。
【0368】
ついで、像担持体と現像剤担持体の間隔(S−D間)は350μmとし、現像剤担持体には直流電圧として−350V、交流電圧として1.6kVpp、2500Hzが重畳されている。
【0369】
実施例1と同様に画出し試験を行うと、初期は実用上問題ない画像が得られるものの、耐久終了時には像担持体が削れてしまった為にハーフトーンの均一性が劣るものであった。評価結果を表7に示す。
【0370】
【表7】
【0371】
〔実施例27、比較例4、5〕
磁性トナー1を用い、トナー担持体と像担持体の間隔(S−D間)を90μm、230μm、350μmとして、実施例14と同様に画出し評価を行った。なお、S−D間が変わると最大電界強度が異なるため、トナー担持体上に印加する交流電圧のVppを表8に示す様に変えている。画出し評価結果を表9に示す。S−D間が230μmでは耐久を通じ問題の無い画像が得られた。
【0372】
一方、S−D間が90μmではカブリ、がさつきが多く、実用上好ましくないレベルであった。
【0373】
また、S−D間が350μmの場合、耐久試験を進めるうちに帯電量調整部材がカブリトナーで飽和し、すり抜けた残余トナーが帯電部材を汚染した為かハーフトーンの均一性が劣るものとなった。
【0374】
【表8】
【0375】
【表9】
【0376】
〔実施例28〜29、比較例6〜7〕
磁性トナー1を用い、トナー担持体と像担持体の間隔(S−D間)を150μmとして、実施例14と同様に画出し評価を行った。なお、トナー担持体に印加する交流電圧のVpp、周波数、及び直流電圧を表10に示すように変えている。画出し評価結果を表11に示す。
【0377】
実施例28〜29は耐久を通じ実用上問題の無い画像が得られた。比較例6〜7は残余トナーの回収性が悪い為か、帯電不良を起こしておりハーフトーンの均一が劣り、カブリも悪かった。
【0378】
【表10】
【0379】
【表11】
【0380】
〔実施例30〜35〕
磁性トナー1を用い、トナー担持体と像担持体の間隔(S−D間)を150μmとして、トナー担持体に印可する交流電圧を2500Hz、700Vpp、直流電圧を−440Vとして実施例14と同様に画出し評価を行った。なお、今回はt1/t2及び、現像磁極の位置について検討を行った。
【0381】
表中、現像磁極の位置については、像担持体とトナー担持体の中心を結ぶ線上に現像磁極がある場合を±0°と表示した。なお、値Bは全て14.2であった。
【0382】
各現像条件を表12に、画出し評価結果を表13に示す。
【0383】
【表12】
【0384】
【表13】
【0385】
【発明の効果】
本発明の磁性トナーを用いることにより、多数枚耐久においてもカブリが少なく、均一性に優れたハーフトーンが像が得られる。また、画像濃度が高く、遮光等の画像不良が無い良好な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分散度を測定する器具を示す。
【図2】本発明の方法を実施するための画像形成装置の概略構成図を示す。
【図3】本発明の方法を実施するための現像器の概略構成図を示す。
【図4】本発明の方法を実施するための接触転写部材の概略構成図を示す。
【符号の説明】
34: 転写ローラ
34a: 芯金
34b: 弾性層
100: 感光体
102: 現像スリーブ
103: 弾性ブレード
104: マグネットローラ
114: 転写ローラ
116: 帯電量調整部材
117: 帯電ローラ
121: レーザビームスキャナ
124: レジスタローラ
125: 搬送ベルト
126: 定着器
140: 現像器
141: 撹拌部材
Claims (31)
- 帯電部材に電圧を印加し、像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に静電潜像として画像情報を書き込む静電潜像形成工程と、磁性トナーを担持するトナー担持体に層厚規制部材を当接させ、該トナー担持体上にトナー層を形成せしめ、前記像担持体と、トナー担持体とを一定の間隔を設けて配置することにより現像部を形成し、交番電界が印加されている前記現像部において、前記磁性トナーを前記静電潜像に転移させてトナー像を形成すると共に、像担持体上に残余するトナーを回収する工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程とを有し、像担持体上に繰り返して作像が行われる画像形成方法に用いられる磁性トナーであって、
転写工程より下流であり、且つ、前記帯電工程よりも上流に位置し、像担持体上のトナーを正規極性に帯電処理すると共に、トナーの帯電量を調整する帯電量調整部材を有し、該帯電量調整部材は像担持体に接触しており、
前記トナー担持体と像担持体の間隔が100〜340μmであり、
トナー担持体に印加される交番電界の現像時の最大電界強度(V/μm)、交番電界の交流成分の周波数(Hz)、及びトナー担持体の周速(mm/sec)の関係が式(1)を満たし、
前記トナーは少なくとも磁性体及び結着樹脂を有し、
該トナーのCarrの噴流性指数とCarrの流動性指数の関係が式(2)を満たすことを特徴とする磁性トナー。
(1) 22≦(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×現像時の最大電界強度≦120
(2) 8≦(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)≦50 - 該磁性トナーは、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am2/kg(emu/g)であることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
- 前記トナーの重量平均粒径が3〜12μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 前記磁性トナーの粒度分布において、重量平均粒径/数平均粒径の比が1.40以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
- 前記Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数が0.8〜2.0であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性トナー。
- 前記Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数が1.0〜1.5であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜3.00%であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜1.50%であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜1.00%であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該トナーの平均円形度が0.960以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該トナーの平均円形度が0.970以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該トナーのモード円形度が0.99以上であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の磁性トナー。
- 磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における前記磁性トナーの磁化の強さ(飽和磁化)をσs、残留磁化をσrとすると、σr/σsが0.11以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーは、トナー粒子内部にポリシロキサン化合物を0.01から0.2質量%有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の磁性トナー。
- 前記磁性体は、磁性粉体100質量部に対し、0.5〜5.0質量部のシランカップリング剤で疎水化処理されており、さらに0.05〜0.40質量部のポリシロキサン化合物で処理されていることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーは、抵抗値が1×109Ω・cm以下であり、トナーの体積平均粒径よりも小さい非磁性導電性微粉末を磁性トナー全体に対し、0.2〜10質量%有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の磁性トナー。
- 該非磁性導電性微粉末の抵抗値が1×106Ω・cm以下であることを特徴とする請求項16に記載の磁性トナー。
- 該非磁性導電性微粉末がカップリング剤または潤滑剤により表面処理されていることを特徴とする特許請求項16または17に記載の磁性トナー。
- 帯電部材に電圧を印加し、像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に静電潜像として画像情報を書き込む静電潜像形成工程と、トナーを担持するトナー担持体に層厚規制部材を当接させ、該トナー担持体上にトナー層を形成せしめ、前記像担持体と、トナー担持体とを一定の間隔を設けて配置することにより現像部を形成し、交番電界が印加されている前記現像部において、前記磁性トナーを前記静電潜像に転移させてトナー像を形成すると共に、像担持体上に残余するトナーを回収する工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程とを有し、像担持体上に繰り返して作像が行われる画像形成方法において、
転写工程より下流であり、且つ、前記帯電工程よりも上流に位置し、像担持体上のトナーを正規極性に帯電処理すると共に、トナーの帯電量を調整する帯電量調整部材を有し、該帯電量調整部材は像担持体に接触しており、
前記トナー担持体と像担持体の間隔が100〜340μmであり、
トナー担持体に印加される交番電界の現像時の最大電界強度(V/μm)、交番電界の交流成分の周波数(Hz)、及びトナー担持体の周速(mm/sec)の関係が式(1)を満たし、
前記トナーは少なくとも磁性体及び結着樹脂を有し、
該トナーのCarrの噴流性指数とCarrの流動性指数の関係が式(2)を満たすトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
(1) 22≦(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×現像時の最大電界強度≦120
(2) 8≦(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)≦50 - 前記画像形成方法に用いられる磁性トナーは、請求項2乃至18のいずれか一項に記載の磁性トナーであることを特徴とする請求項19に記載の画像形成方法。
- 前記帯電部材は像担持体に接触し、像担持体と同方向に回転し帯電を行うことを特徴とする請求項19に記載の画像形成方法。
- 前記帯電部材に交番電界を印加し、像担持体を帯電することを特徴とする請求項21に記載の画像形成方法。
- 前記トナー担持体上に印加する交番電界の現像時の最大電界強度が3.8〜4.8V/μmであることを特徴とする請求項19乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記トナー担持体上に印加する交番電界の交流成分の周波数が1600〜4500Hzであることを特徴とする請求項19乃至23のいずれかに記載の画像形成方法。
- トナー担持体に印加される交番電界の現像時の最大電界強度(V/μm)、交番電界の周波数(Hz)、及びトナー担持体の周速(mm/sec)の関係が式(3)を満たすことを特徴とする請求項19乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
(3) 30≦(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×現像時の最大電界強度≦105 - トナー担持体に印加される交番電界の周波数(Hz)、及びトナー担持体の周速(mm/sec)、Carrの噴流性指数、及び、Carrの流動性指数の関係が式(4)を満たすことを特徴とする請求項19乃至25に記載の画像形成方法。
(4) 8≦(交番電界の周波数/トナー担持体の周速)×(Carrの噴流性指数/Carrの流動性指数)≦35 - 前記トナー担持体上に印加する交番電界の交流成分のうち、トナーを飛ばす方向にかかる電界の時間をt1、前記像担持体からトナーを戻す方向にかかる電界の時間をt2とした時、t1とt2が式(5)を満たすことを特徴とする請求項19乃至26に記載の画像形成方法。
(5) 1.10≦t1/t2≦2.30 - 前記トナー担持体上に印加する交番電界の交流成分のうち、トナーを飛ばす方向にかかる電界の時間をt1、前記像担持体からトナーを戻す方向にかかる電界の時間をt2とした時、t1とt2が式(6)を満たすことを特徴とする請求項19乃至26に記載の画像形成方法。
(6) 1.15≦t1/t2≦1.80 - 前記トナー担持体は、回転可能な中空円筒部材の内部に多極を有する固定されたマグネットを有することを特徴とする請求項19乃至28に記載の画像形成方法。
- 前記マグネットの現像極が像担持体とトナー担持体の中心を結ぶ線上よりも3°〜10°上流にずれて位置することを特徴とする請求項29に記載の画像形成方法。
- 感光体上に形成された静電潜像をトナーを転移させて可視化してトナー像を形成し、該トナー像を記録媒体に転写することにより画像を形成する画像形成装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、感光体と、前記感光体を所定の電位に帯電させる帯電手段と、前記感光体上に形成された静電潜像にトナーを転移させて可視化し、トナー像を形成する現像手段と、から選ばれる少なくとも2つ以上は一体に支持され、前記トナーは、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の磁性トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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