JP4467764B2 - 磁性トナー、該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法等の画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するためのトナー、該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電荷像担持体(以下、「感光体」ともいう)上に静電潜像を形成し、次いで該潜像をトナーにより現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの記録媒体にトナー像を転写した後、熱あるいは圧力等により記録媒体上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。
【0003】
静電潜像をトナーにより可視化する方法としては、カスケード現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法、キャリアとトナーからなる二成分系トナーを用いる磁気ブラシ現像法、トナー担持体が像担持体と非接触でトナーをトナー担持体から像担持体へ飛翔させる非接触一成分現像法、トナー担持体を像担持体に圧接させ電界によってトナーを転移させる接触一成分現像法、さらには、磁性トナーを用い、中心に磁極を配した回転スリーブを用い感光体上とスリーブ上の間を電界にて飛翔させる、いわゆるジャンピング法も用いられている。
【0004】
ジャンピング法としては、例えば特開昭54−43027号公報において、磁性トナー担持体上に絶縁性磁性磁性トナーを薄く塗布し、これを摩擦帯電させ、次いでこれを磁界の作用下で静電潜像にきわめて近接させ、かつ接触することなく対向させ、現像する方法が開示されている。この方法によれば、絶縁性磁性トナーを磁性トナー担持体上に薄く塗布することにより磁性トナーの十分な摩擦帯電を可能とし、しかも磁性トナーを磁力によって支持しつつ静電潜像に接することなく現像が行われるため、非画像部への磁性トナーの転移、いわゆるカブリが抑制されて高精細な画像を得ることが可能となる。
【0005】
このような一成分現像方式は二成分方式のようにガラスビーズや鉄粉等のキャリア粒子が不要な為、現像装置自体を小型化・軽量化出来る。さらには、二成分現像方式は磁性トナー中のトナー濃度を一定に保つ必要がある為、トナー濃度を検知し必要量のトナーを補給する装置が必要である。よって、ここでも現像装置が大きく重くなる。一成分現像方式ではこのような装置は必要とならない為、やはり小さく軽く出来るため好ましい。
【0006】
また、プリンター装置はLED、LBPプリンターが最近の市場の主流になっており、技術の方向としてより高解像度、即ち、従来240、300dpiであったものが400、600、800dpiとなって来ている。従って現像方式もこれにともなってより高精細が要求されてきている。また、複写機においても高機能化が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進みつつある。この方向は、静電潜像をレーザで形成する方法が主である為、やはり高解像度の方向に進んでおり、ここでもプリンターと同様に高解像・高精細の現像方式が要求されてきている。
【0007】
この要求を満たす一つの手段としてトナーの小粒径化が進んでおり、特開平1−112253号公報、特開平1−191156号公報、特開平2−214156号公報、特開平2−284158号公報、特開平3−181952号公報、特開平4−162048号公報などでは特定の粒度分布の粒径の小さいトナーが提案されている。
【0008】
一方、現像工程で感光体上に形成されたトナー像は転写工程で記録媒体に転写されるが、感光体上に残った画像部の転写残トナー及び非画像部のカブリトナーはクリーニング工程でクリーニングされ、廃トナー容器にトナーは蓄えられる。このクリーニング工程については、従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等が用いられている。装置面からみると、かかるクリーニング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指すときのネックになっている。さらには、エコロジーの観点より、トナーの有効活用と言う意味で廃トナーの少ないシステムが望まれており、転写効率が高くカブリの少ないトナーが求められている。
【0009】
こういった画像形成プロセスにおいて用いられる磁性トナーは、結着樹脂と着色剤を主成分とし、他に、荷電制御剤、離型剤などトナーとして必要な特性をひき出すための添加剤を含有しているのが一般的である。磁性トナーの着色剤としては、磁性粉体をそのまま着色剤として用いるか、カーボンブラックあるいは非磁性の無機化合物、有機顔料、染料等が磁性粉体と共に用いられ、離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンといった結着樹脂とは相溶しにくい材料が用いられる。
【0010】
離型剤を用いる目的は、被転写体上への定着性の良好なトナーを定着部材表面に付着させないことである。近年、プリンター装置は高速化が進んでいるが、それに伴いトナーのより一層の低温定着化も求められ、それに付随してトナーの定着部材表面への付着、いわゆるオフセットの改良にも多大な努力が払われている。
【0011】
トナー中に離型剤としてワックスを含有させることは、例えば特公昭52−3304号公報、特公昭52−3305号公報、特開昭57−52574号公報等に技術が開示されている。また、特開平3−50559号公報、特開平2−79860号公報、特開平1−109359号公報、特開昭62−14166号公報、特開昭61−273554号公報、特開昭61−94062号公報、特開昭61−138259号公報、特開昭60−252361号公報、特開昭60−252360号公報、特開昭60−217366号公報などにワックス類を含有させる技術が開示されている。
【0012】
しかしながら前述のように、離型剤は一般的に結着樹脂との相溶性が良くないためトナー中に均一に分散させることが比較的難しく、材料の分散が不均一なトナーではトナー帯電量も不均一となり、カブリといった非画像部の汚れの無い高画質や高耐久性の達成は容易ではない。さらに、トナー流動性を悪化させトナー帯電量が一層不均一となったり、高温下で長時間トナーとさらされた際にワックスがトナー表面にマイグレーションして現像性や転写性がいっそう悪化したりもする。
【0013】
一方、絶縁性磁性トナーを用いる現像方法には、用いる絶縁性磁性トナーに関わる不安定要素がある。その一つは、絶縁性磁性トナー中には微粉末状の磁性粉体が相当量混合分散されており、該磁性粉体の一部がトナー粒子の表面に露出しているため、磁性トナーの流動性及び摩擦帯電性に影響し、結果として、磁性トナーの現像特性、転写性、耐久性等の磁性トナーに要求される種々の特性の変動あるいは劣化を引き起こすというものである。
【0014】
従来の磁性粉体を含有する磁性トナーを用いた場合に、上述した問題が生じてしまうのは、磁性トナーの表面に磁性粉体が露出していることがその大きな原因と考えられる。すなわち、磁性トナーの表面に、トナーを構成する樹脂に比して相対的に抵抗の低い磁性粉体が露出することにより、トナー帯電性能の低下、トナー流動性の低下、その上、長期間の使用においては、トナー同士あるいは規制部材との摺擦による磁性粉体の剥離に伴う画像濃度の低下などトナーの劣化などが引き起こされるのである。
【0015】
さらにもう一つの不安定要素として、磁性粉体の分散性が挙げられる。すなわち、理想的には個々のトナー粒子の磁性粉体含有量が均一なことが望ましいが、一般的には有機物から成るトナー用結着樹脂や離型剤と無機物である磁性粉体とは馴染みが良くなく、さらに比重差や磁気凝集などのため、現実的には完全に均一な磁性粉体の分散は不可能に近い。また、磁性粉体の分散が悪いと、それに付随して離型剤の分散状態も不均一となる。
【0016】
また、前述したように、近年の技術の方向として、より高解像度で高精細の現像方式が要求されてきており、こういった要求に答えるために、トナーの粒径を小さくする方向に進んでいるが、このようにトナー粒径が小さくなるほど、材料の均一分散は重要な技術となる。即ち、細かい個々のトナー粒子に均一量の磁性粉体及び離型剤を均一状態で含有させないと、画像特性やその安定性の低下がより顕著に現れやすい。これは、単純にトナーの粒径が小さくなるだけで、転写工程でトナー粒子にかかるクーロン力に比して、トナー粒子の感光体への付着力(鏡映力やファンデルワールス力など)が大きくなり、結果として転写残トナーが増加することに加えて、トナーの小径化には帯電量の増加や流動性の悪化がどうしても伴うため、分散性の違いが大きな物性差となって現れやすくなり、カブリや転写性の悪いトナーの割合が多くなるためである。また、磁性粉体や離型剤の分散性が悪いものは、スリーブゴーストと呼ばれる濃淡ムラがでる現象が生じてしまう。
【0017】
これに対し、従来より、磁性トナーに含有される磁性酸化鉄に関する提案は出されているが、いまだ改良すべき点を有している。
【0018】
例えば、特開昭62−279352号公報においては、ケイ素元素を含有する磁性酸化鉄を含有する磁性トナーが提案されている。かかる磁性酸化鉄は、意識的にケイ素元素を磁性酸化鉄内部に存在させているが、該磁性酸化鉄を含有する磁性トナーの流動性に、いまだ改良すべき点を有している。
【0019】
特公平3−9045号公報においては、ケイ酸塩を添加することで、磁性酸化鉄の形状を球形に制御する提案がされている。この方法で得られた磁性酸化鉄は、粒子形状の制御のためにケイ酸塩を使用するため磁性酸化鉄内部にケイ素元素が多く分布し、磁性酸化鉄表面におけるケイ素元素の存在量が少なく、磁性酸化鉄の平滑度が高いため、磁性トナーの流動性はある程度改良されるが、磁性トナーを構成する結着樹脂と磁性酸化鉄との密着性が不十分である。
【0020】
特開昭61−34070号公報においては、四三酸化鉄への酸化反応中にヒドロシソケイ酸塩溶液を添加して四三酸化鉄の製造方法が提案されている。この方法による四三酸化鉄は、表面近傍にSi元素を有するものの、Si元素が四三酸化鉄表面近傍に層を成して存在し、表面が摩擦のごとき機械的衝撃に対して弱いという問題点を有している。
【0021】
一方、トナーは、結着樹脂、着色剤等を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置により粉砕し、分級機により分級して、所望の粒径を有するトナーとして製造(粉砕法)されて来たが、トナーの微小粒径化には材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくてはならない。この要求から、樹脂着色剤分散体を脆くするため、この樹脂着色剤分散体を実際に高速で微粉砕する場合に、広い粒径範囲の粒子が形成され易く、特に比較的大きな割合の微粒子(過度に粉砕された粒子)がこれに含まれるという問題が生ずる。更に、このように高度に脆性の材料は、複写機等において現像用トナーとして使用する際、しばしば、更に微粉砕ないし粉化を受ける。
【0022】
また、粉砕法では、磁性粉体あるいは着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合によっては、かぶりの増大、画像濃度の低下の原因となる。さらに、粉砕法は、本質的に、トナーの表面に磁性酸化鉄粒子が露出してしまうため、トナーの流動性や過酷環境下での帯電安定性にどうしても問題が残る。
【0023】
すなわち、粉砕法においては、高精彩、高画質化で要求されるトナーの微粒子化に限界があり、それに伴い粉体特性、特にトナーの均一帯電性および流動性が著しく減衰する。上述の様な粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、更には上記のごとき要求を満たすため懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。
【0024】
一般に、懸濁重合によるトナー(以後重合トナー)は、トナーの微粒子化が容易に可能であり、更には、得られるトナーの形状が球状であることから流動性に優れ、高画質化に有利となる。
【0025】
しかしながら、この重合トナー中に磁性粉体を含有することにより、その流動性及び帯電特性は著しく低下する。これは、磁性粉体は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいためであり、この問題を解決するためには磁性粉体の有する表面特性の改質が重要となる。
【0026】
重合トナー中の磁性粉体の分散性向上のための表面改質に関しては、数多く提案されている。例えば、特開昭59−200254号公報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59−224102号公報等に磁性粉体の各種シランカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭63−250660号公報、特開平10−239897号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシランカップリング剤で処理する技術が開示されている。
【0027】
しかしながら、これらの処理によりトナー中の分散性はある程度向上するものの、磁性粉体表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって、磁性粉体同士の合一や疎水化されていない磁性粉体の発生を避けることができず、磁性粉体の内包性が十分ではなく、また、磁性粉体の分散性を良好なレベルにまで向上させるには不十分である。加えて、同時に離型剤を使用する際は、先述の様にその離型剤の分散性にも悪影響を及ぼす。
【0028】
このような磁性粉体の分散が不十分のトナーにおいては多数枚印刷時に磁性粉体の少ないトナー、あるいは粒径の大きなトナーから消費されてしまい、多数枚画出し前後においてトナー物性が異なり、最後まで良好な画像を得る事が出来ない。また、このようなトナーは帯電性にもむらがあり、均一な帯電を行う事が出来ず、転写効率の低下を生じる。更には、ゴーストの発生を招き好ましくない。
【0029】
さらに、重合トナーにおいては、トナー粒径を小さくすると、トナーの粒度分布の制御が困難になると共に、磁性粉体、離型剤等の分散がより悪化する傾向にあり、前述した種々の課題の解決が十分にはなされていない。
【0030】
ここで、磁性粉体の分散性については、特開昭52−098530号公報、特開昭54−126039号公報、特開昭55−028020号公報、特開昭61−180247号公報等に磁性粉体含有量の異なる2種以上の磁性トナーを混合し、積極的に磁性粉体の含有量に分布を持たせたトナーについての記載があるが、いずれも小粒径側のトナーの磁気特性または磁性粉体含有量を大きくしたものであり、本発明とは逆であり、特に、実質上トナー表面に磁性粉体を有しないトナーとするには上記問題の解決は未達のままである。
【0031】
また、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー粒子に外部添加剤として無機微粉体を添加する方法が提案され、広く用いられている。
【0032】
例えば、特開平5−66608号公報、特開平4−9860号公報等で疎水化処理を施した無機微粉体若しくは疎水化処理した後さらにシリコーンオイル等で処理した無機微粉体を添加、あるいは特開昭61−249059号公報、特開平4−264453号公報、特開平5−346682号公報で疎水化処理無機微粉体とシリコーンオイル処理無機微粉体を併用添加する方法が知られている。
【0033】
また、外部添加剤として導電性微粒子を添加する方法は数多く提案されている。例えば、導電性微粒子としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付与するため、或いはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ分布を均一化させるため等の目的で、トナー表面に付着或いは固着するための外部添加剤として用いることが広く知られている。また、特開昭57−151952号公報、特開昭59−168458号公報、特開昭60−69660号公報では、高抵抗磁性トナーにそれぞれ酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粒子を外部添加することが開示されている。また、特開昭61−275864号公報、特開昭62−258472号公報、特開昭61−141452号公報、特開平02−120865号公報では、トナーにグラファイト、マグネタイト、ポリピロール導電性粒子、ポリアニリン導電性粒子を添加することが開示されているほか、多種多様な導電性微粒子をトナーに添加することが知られている。
【0034】
しかしながら、これらの提案も解像度を高める為により粒径の小さなトナー粒子を用いた場合、前述の問題の改善には更なる改良の余地がある。
【0035】
一方、従来の画像形成法としては、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法など多数の方法が知られている。例えば、電子写真法は、一般には像担持体としての光導電性物質を利用した感光体上に、種々の手段により静電潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行なって可視像とし、必要に応じて紙などの記録媒体にトナー像を転写した後、熱・圧力等により記録媒体上にトナー画像を定着して画像を得るものである。
【0036】
静電潜像を可視化する方法としては、カスケード現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が知られている。さらには、磁性トナーを用い、中心に磁極を配した回転スリーブを用い感光体上とスリーブ上の間を電界にて飛翔させる方法も用いられている。
【0037】
例えば、特開昭54−43027号公報においては、磁性トナー担持体上に磁性トナーを薄く塗布し、これを摩擦帯電させ、次いでこれを磁界の作用下で静電潜像にきわめて近接させ、かつ接触することなく対向させ、現像する方法が開示されている。この方法によれば、磁性トナーを磁性トナー担持体上に薄く塗布することにより磁性トナーの十分な摩擦帯電を可能とし、しかも磁性トナーを磁力によって支持しつつ静電潜像に接することなく現像が行われるため、非画像部への磁性トナーの転移、いわゆるカブリが抑制されて高精細な画像を得ることが可能となる。
【0038】
このような一成分現像方式は二成分方式のようにガラスビーズや鉄粉等のキャリア粒子が不要な為、現像装置自体を小型化・軽量化出来る。さらには、二成分現像方式は磁性トナー中のトナー濃度を一定に保つ必要がある為、トナー濃度を検知し必要量のトナーを補給する装置が必要である。よって、ここでも現像装置が大きく重くなる。一成分現像方式ではこのような装置は必要とならない為、やはり小さく軽く出来るため好ましい。
【0039】
また、現像工程で感光体上に形成されたトナー像は転写工程において、記録媒体に転写されるが、感光体上に残った転写残トナーはクリーニング工程でクリーニングされ、廃トナー容器にトナーは蓄えられる。このクリーニング工程については、従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等が用いられている。装置面からみると、このようなクリーニング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指すときのネックになっており、さらには、エコロジーの観点より、トナーの有効活用と言う意味で高転写効率のトナーを用いた廃トナー少ないシステムが望まれている。
【0040】
一般に、高く均一な帯電量分布を有するトナーを用いた場合、転写効率は高いものになるが、前述の通り、磁性トナーではこのようなトナーはいまだ得られていない。
【0041】
また、球形のトナーはその形状から転写効率が高いとされている。これに関して、特開昭61−279864号公報においては形状係数SF1及びSF2を規定した提案がなされており、特開昭63−235953号公報においては機械的衝撃力により球形化した磁性トナーが提案されている。しかしながら、これらのトナーの転写効率はいまだ不十分であり、さらなる改良が必要である。
【0042】
一方、このような球形のトナーは、粉砕トナーに比べ転写効率が高いという利点を有する反面、球形故にクリーニングされにくいという性質も有している。さらに、前述の様にトナー粒径は小粒径の方向に向かっており、転写残トナーを完全にクリーニングする事はより困難となっている。しかし、クリーニング装置の改良等により、トナーすり抜けは大きな問題を生じないレベルまで抑制する事が可能であり、従来のコロナ帯電方式を有する画像形成方法においては実用上問題の無い画像を形成する事が可能である。
【0043】
しかし、近年では環境保護の観点から従来から使用されているコロナ放電を利用した一次帯電及び転写プロセスから、低オゾン、低電力等の利点が大きい感光体当接部材を用いた一次帯電(接触帯電)、転写プロセス(接触転写)が主流となりつつある。
【0044】
例えば、特開昭63−149669号公報や特開平2−123385号公報が提案されている。これらは、接触帯電方法や接触転写方法に関するものであり、感光体に導電性弾性ローラを当接し、該導電性ローラに電圧を印加しながら該感光体表面を一様に帯電し、次いで露光、現像工程によってトナー像を得た後、該感光体に電圧を印加した別の導電性ローラを押圧しながらその間に転写材を通過させ、該感光体上のトナー画像を転写材に転写した後、定着工程を経て複写画像を得ている。
【0045】
しかしながら、接触帯電方法あるいは接触転写方法においては、コロナ放電を用いる場合とは異なり、憂慮すべき問題点があることがわかった。
【0046】
具体的には、まず接触帯電方法の場合、帯電部材が押接圧を持って感光体表面に圧接されている。そのため、未転写の残留トナーすなわち転写残トナーの存在により、接触帯電部材と感光体とが十分な接触を保つことが難しくなり、帯電性が悪化するため、反転現像などにおいては非画像部へのトナーの転移、すなわちカブリが発生しやすくなる。また、帯電部材にトナーが蓄積することにより感光体を均一に帯電することが出来ず、画像濃度の低下やがさつきを生じてしまう。さらには帯電部材が圧接されていることにより、トナー融着が発生しやすく、これらの傾向は転写残トナーが多いほど顕著となって表れる。
【0047】
次に、接触転写方法の場合、転写部材が転写時に転写部材を介して感光体に当接されるため、感光体上に形成されたトナー像を転写材へ転写する際にトナー像が圧接され、所謂転写中抜けと称される部分的な転写不良の問題が生じる。加えて、近年の技術の方向として、より高解像度で高精細の現像方式が要求されてきており、こういった要求に答えるために、トナーの粒径を小さくする方向に進んでいるが、このようにトナー粒径が小さくなるほど、転写工程でトナー粒子にかかるクーロン力に比して、トナー粒子の感光体への付着力(鏡映力やファンデルワールス力など)が大きくなり、結果として転写残トナーが増加することになり、転写不良が一層悪化する傾向にある。
【0048】
このように、環境を考慮すると非常に好ましい接触帯電方法及び接触転写方法を用いる画像形成方法においては、転写性が高く、帯電安定性に優れ、トナー融着の起こりにくい磁性トナー、及び画像形成方法の開発が望まれている。
【0049】
一方、上記の如き転写効率の高いトナーについては、廃トナーのでないシステムとして、現像兼クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されている。
【0050】
しかしながら、従来の現像兼クリーニング又はクリーナレスに関する技術の開示は、特開平5−2287号公報にあるように画像上に転写残余のトナーの影響によるポジメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主である。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な記録媒体に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な記録媒体に対し満足するものではない。
【0051】
クリーナレスに関連する技術の開示を行っているものに特開昭59−133573号公報、特開昭62−203182号公報、特開昭63−133179号公報、特開昭64−20587号公報、特開平2−302772号公報、特開平5−2289号公報、特開平5−53482号公報、特開平5−61383号公報等があるが、望ましい画像形成方法については述べられておらず、トナー構成についても言及されていない。
【0052】
現像兼クリーニング又はクリーナレスに好ましく適用される現像方法として、従来は本質的にクリーニング装置を有さない現像兼クリーニングでは、像担持体表面をトナー及びトナー担持体により擦る構成が必須とされてきたため、トナー或いはトナーが像担持体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナーを回収するために、トナー或いはトナーが像担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、接触現像方法を適用した現像兼クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用によるトナー劣化、トナー担持体表面劣化、感光体表面劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方法による現像兼クリーニング方法が望まれている。
【0053】
ここで、接触帯電方法を現像兼クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法に適用した場合を考える。現像兼クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないために感光体上に残余する転写残トナーが、そのまま接触帯電部材と接触し、付着或いは混入する。また、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、放電エネルギーによるトナー劣化に起因する帯電部材への付着性の悪化も生ずる。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に付着或いは混入すると、帯電性の低下が起こる。
【0054】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着或いは混入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0055】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させる。
【0056】
また、現像兼クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなり、転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御を帯電部材によって行うこととなる。
【0057】
これについて具体的に一般的なレーザプリンターを例として説明する。マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を記録媒体に転写することになるが、記録媒体の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電させる際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残トナーは残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像兼クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立する。
【0058】
しかしながら、転写残トナーが接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様に転写残トナーの帯電極性を揃えることができず、現像部材によってトナーを回収することが困難となる。また、トナー担持体に摺擦等の機械的力によって回収されたとしても、転写残トナーの帯電が均一に揃えられていないと、トナー担持体上のトナーの帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。
【0059】
すなわち、現像兼クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。
【0060】
帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行なうために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成も特公平7−99442号公報に開示されている。しかしながら、接触帯電部材(帯電ローラ)が被帯電体(感光体)に従動回転(速度差駆動なし)であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原理は前述のローラ帯電の場合と同様に依然として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためにはDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合には、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、クリーナレスの画像形成装置に適用した場合には、転写残トナーの混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に付着していることが困難となり、均一帯電を行なう効果が薄れてしまう。
【0061】
また、特開平5−150539号公報には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレード等のクリーニング手段によりクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、トナー中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性微粒子を含有することが開示されている。しかし、ここで用いられた接触帯電或いは近接帯電は放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、クリーナレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して多量の導電性微粒子及び転写残トナーが帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性微粒子及び転写残トナーの現像工程における回収性、回収された導電性微粒子及び転写残トナーによるトナーの現像特性への影響に関して何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残トナーの影響による帯電不良を生じてしまう。
【0062】
また、近接帯電では、多量の導電性微粒子及び転写残トナーにより感光体を均一帯電することが困難であり、転写残トナーのパターンを均す効果が得られないため転写残トナーのパターン画像露光を遮光するためのパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断或いは紙詰まり時にはトナーによる機内汚染が著しくなる。
【0063】
また、現像兼クリーニング画像形成方法において、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性を向上させることで現像兼クリーニング性能を向上させるものとして、特開平11−15206号公報では、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するトナーを用いた画像形成方法が提案されている。更に、現像兼クリーニング画像形成方法に於て、トナーの形状係数を規定した転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー量を減少させることで現像兼クリーニング性能を向上させることも提案されている。しかしながら、ここで用いられた接触帯電も放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、これらの提案は、接触帯電部材の転写残トナーによる帯電性低下を抑制する効果はあっても、帯電性を積極的に高める効果は期待できない。
【0064】
更には、市販の電子写真プリンターの中には、転写工程と帯電工程の間に感光体に当接するローラ部材を用い、現像での転写残トナー回収性を補助或いは制御する現像兼クリーニング画像形成装置もある。このような画像形成装置は、良好な現像兼クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、コストが高くなり、小型化の点でも現像兼クリーニングの利点を損ねている。
【0065】
これらに対し、特開平10−307456号公報において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含むトナーを直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。
【0066】
また、特開平10−307421号公報においては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性粒子を含むトナーを直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用し導電性粒子に転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されている。
【0067】
更に、特開平10−307455号公報では導電性微粉末の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及びより良好な帯電均一性を得るために導電性微粉末の粒径を10nm〜50μmとすることが記載されている。
【0068】
特開平10−307457号公報では人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載されている。
【0069】
更に、特開平10−307458号公報によれば、導電性微粉末の粒径はトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害する、あるいは現像バイアスが導電性微粉末を介してリークすることを防止し画像の欠陥をなくすことができること、及び導電性微粉末の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、像担持体に導電性微粉末が埋め込まれ露光を遮光する弊害も解決し、優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法が記載されている。
【0070】
特開平10−307456号公報によれば、トナーに導電性微粉末を外部添加し、少なくとも可穣性の接触帯電部材と像担持体との当接部に前記トナー中に含有の導電性微粉末が、現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じない良好な画像が得られる現像兼クリーニング画像形成装置が開示されている。
【0071】
しかしながら、これらの提案も長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる場合の性能に更なる改良の余地がある。
【0072】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安定した帯電性能を有し、長時間の使用においても画像濃度が高く、ゴーストの無い、高品位な画像を得る事が出来るトナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0073】
本発明の目的は、良好な定着性を得る事の出来るトナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0074】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決して、良好な現像兼クリーニング画像形成を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0075】
また、本発明の目的は、良好な帯電性を安定して得られるクリーナーレス画像形成を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0076】
また、本発明の目的は、転写性に優れ、転写残トナーの回収性に優れた現像兼クリーニング画像形成を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0077】
さらに本発明の目的は、良好な定着性を得る事の出来るトナーを用いたプロセスカートリッジを提供することにある。
【0078】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも結着樹脂、離型剤及び磁性粉体を含有する磁性トナー粒子を有し、重量平均粒径が3〜10μmの磁性トナーにおいて、該磁性トナー粒子は、重合性単量体、磁性粉体及び離型剤を少なくとも含有する重合性単量体系を水系媒体に分散し、造粒し、該重合性単量体系に含有される重合性単量体を重合して製造されたものであり、該磁性粉体は、水系媒体中で分散しつつシランカップリング剤を加水分解しながら疎水化処理された磁性酸化鉄であり、シランカップリング剤による処理量が、該磁性酸化鉄100質量部に対して、0.05〜20質量部であり、該磁性トナーは磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am2/kg(emu/g)であり、該磁性トナーの粒度分布は、重量平均粒径/数平均粒径の比が1.40以下であり、該磁性トナーの平均円形度は0.970以上であり、該磁性トナーは、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜1.50%であり、該磁性トナーを風力分級により、重量比がおおむね1:1となるように2分割したときの、平均粒径が小さい側の粒子群である磁性トナー(F)と、平均粒径が大きい側の粒子群である磁性トナー(G)に関し、それぞれの飽和磁化をσsf、σsgとしたときに下式(1)を満たし、示差走査熱量計により測定される前記磁性トナー(F)、(G)それぞれの前記離型剤の吸熱量をHf、Hgとしたときに、下式(2)を満たすことを特徴とする磁性トナー及び該磁性トナーを用いた画像形成方法、プロセスカートリッジに関する。
【0079】
【数6】
(1) 0.80<σsf/σsg<1.00
(2) 0.25<Hg/Hf<1.00
【0080】
【発明の実施の形態】
<1>本発明の磁性トナー
本発明の磁性トナーは、少なくとも結着樹脂、離型剤及び磁性粉体を有し、重量平均粒径が3〜10μmの磁性トナーであり、平均円形度は0.970以上である。
【0081】
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、トナーの平均円形度が0.970以上であると、トナーの転写性が非常に良好なものとなる事が判明した。これはトナー粒子と感光体との接触面積が小さく、鏡映力やファンデルワールス力等に起因するトナー粒子の感光体への付着力が低下する為と考えられる。さらに、トナーの円形度が非常に高い為、磁性トナーは現像部で均一で細い穂を形成し潜像に対し忠実な現像を行う事が可能となり、画質の向上が期待出来る。
【0082】
また、トナーの円形度分布において、モード円形度が0.99以上であると、トナー粒子の多くが真球に近い形状を有する事を意味しており、上記作用がより一層顕著になり、好ましい。
【0083】
従って、このようなトナーを用いれば転写効率が高く、転写残トナーが非常に低減する為、帯電部材と感光体との圧接部におけるトナーが非常に少なくなり、安定した帯電が行われると共にトナー融着が防止され、画像欠陥が著しく抑制されるものと考えられる。
【0084】
これらの効果は、転写中抜けの発生しやすい接触転写工程を含む画像形成方法においては、より顕著となって現れる。
【0085】
なお、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亞医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)を下式(9)によりそれぞれ求め、さらに下式(10)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数(m)で除した値を平均円形度(C)と定義する。
【0086】
【数7】
また、モード円形度は、円形度を0.40から1.00までを0.01毎に61分割し、測定した粒子の円形度をそれぞれの円形度に応じて各分割範囲に割り振り、円形度頻度分布において頻度値が最大となるピークの円形度である。
【0087】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及びモード円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及びモード円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及びモード円形度の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及びモード円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視出来る程度のものであり、本発明においては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
【0088】
測定手順としては、以下の通りである。
【0089】
界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mlに、磁性トナー約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20KHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度及びモード円形度を求める。
【0090】
本発明における平均円形度とは、磁性トナーの凹凸の度合いの指標であり、磁性トナーが完全な球形の場合1.000を示し、磁性トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
【0091】
なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないからである。
【0092】
本発明の磁性トナーは、該磁性トナーよりも重量平均粒径が小さい磁性トナー(F)と、該磁性トナーよりも重量平均粒径が大きな磁性トナー(G)に2分割したときの、(F)、(G)、それぞれの磁性トナーの飽和磁化をσsf、σsgとし、離型剤由来の吸熱量をHf、Hgとすると、0.80<σsf/σsg<1.00且つ0.25<Hg/Hf<1.00であり、好ましくは0.87<σsf/σsg<1.00且つ0.60<Hg/Hf<1.00であり、より好ましくは0.92<σsf/σsg<1.00且つ0.80<Hg/Hf<1.00であり、さら好ましくは0.94<σsf/σsg<1.00且つ0.85<Hg/Hf<1.00である。
【0093】
σsf/σsgとHg/Hfを上記の様に制御する事で、転写効率が高く、且つ、ゴーストの発生を抑制出来る事を見出した。これは以下の様な理由であると考えている。
【0094】
第一に、本発明のトナーは実質上トナー表面に磁性粉体が露出していないため、帯電量がリークし難く、特に微粉側のトナーと磁性トナー担持体表面の鏡映力が大きくなり、磁性トナー担持体表面からの離脱を阻害する事になり易く、微粉の蓄積を生じ易い。さらに、磁性トナーの微粉側に磁性粉体を多く含有させることも、特に磁性を用いる現像方法においては、磁性トナー担持体表面からの離脱を阻害する方向となり、好ましくない。一方、磁性トナーの微粉側の磁性粉体が少なすぎると、磁性を用いる現像方法においては、磁性トナー担持体表面からの磁性トナーの離脱が容易になりすぎてしまい、好ましくない。このように、現像バランスの崩れた系では、多数枚画出し前後で磁性トナー粒径が変化するいわゆる選択現像を生じてしまうと共に、スリーブゴーストを生じてしまう。また、トナー粒子間で、磁性体の含有量のばらつきが大きいと、トナー帯電の均一性が損なわれ好ましくない。
【0095】
このため、磁性トナーの選択現像を抑制する為には、鏡映力と磁気力のバランスを保ち、現像を行う事が重要であり、σsf/σsgを上記の様に制御する事によりそれを達成出来る。
【0096】
第二に、本発明の磁性トナーは定着性改善の為に、離型剤を含有しているが、離型剤の分散性が悪い場合、離型剤を非常に多く含む粒子が存在する事になり、磁性トナー表面への離型剤のしみ出し等を生じ易くなり、磁性トナーの保存性が劣り、帯電の均一性が損なわれてしまう。このため、離型剤の分散性が悪い磁性トナーでは、選択現像が生じ易くなり好ましくない。
【0097】
一方、定着性を考えた場合、本発明の磁性トナーのように重量平均粒径が10μm以下のトナーでは、紙等の記録媒体を用いた場合、磁性トナー、特に微粉側の磁性トナーが紙の繊維の隙間に入り込み、熱定着用ローラからの熱の受け取りが不十分となり、低温オフセットを生じてしまう。しかし、本発明のように、微粉側のトナーに離型剤を多く含ませる事により、熱の受け取りが不十分であってもオフセットを改善出来る。その為、離型剤の分散性は0.25<Hg/Hf<1.00である事が重要である。
【0098】
このように0.80<σsf/σsg<1.00且つ、0.25<Hg/Hf<1.00とする事で、それぞれの効果の相乗作用により、良好な定着性を有し、ゴーストの無い高精細な画像を得る事が出来ると考えている。
【0099】
さらに、平均円形度が0.970以上であるという磁性トナーの形状因子との相乗効果により、帯電性がより均一になり、転写効率は非常に高く、カブリの無い高精細な画像を得ることが出来る。
【0100】
なお、本発明において、磁性トナーを(F)、(G)に2分割する方法としては、エルボージェット分級装置(EJ-L-3:日鉄鉱業製)等を用いる風力分級により行い、2分割後の(F)、(G)、それぞれの重量比がおおむね1:1となるように分級を行う。分級して得られた(F)、(G)、それぞれのトナーについて飽和磁化ならびに示差走査熱量計にて離型剤の吸熱量を測定する。このようにして得られたσsf、σsg、Hf、Hgからσsf/σsg、Hg/Hfを求める。後述の実施例においても同様に測定した。
σsf/σsg、Hg/Hfは磁性粉体の処理剤の種類、量、処理方法、離型剤の量、種類等により調整することが可能である。
まず、磁性粉体の処理剤、処理方法については、均一な疎水化処理が施されている事が重要である。磁性粉体の表面処理が均一でない物は、処理時に磁性粉体の合一、凝集を起こしており、トナー粒子間に磁性粉体を均一に含有させることが困難となる。更に、本トナーの好適な製造方法である懸濁重合法(後述)においては、磁性粉体の表面処理が不均一であると、十分に疎水化されていない磁性粉体がトナー表面に露出、あるいは、トナーから遊離してしまうため、トナー粒子間での均一な分散性を得ることが出来ず好ましくない。
また、均一な処理であっても、結着樹脂と磁性粉体のなじみが良くないものは、磁性粉体の均一分散性を損なってしまう。
一方、トナー粒子間での磁性粉体の分散性が悪いものは、離型剤の分散性も悪化してしまう。これは、磁性粉体と離型剤とのなじみがあまり良くないためである。一例として、磁性粉体の分散性が劣る場合、磁性粉体の少ないトナー粒子には、離型剤が多く存在することになる。このため、離型剤の分散性の向上には、磁性粉体の分散性が良好であるとが重要となる。
【0101】
本発明の画像形成方法において、更に高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、トナーの重量平均径は3〜10μmが好ましく、更には4〜9μmであることがより好ましい。重量平均粒径が3μm未満のトナーに於いては、転写効率の低下から感光体上の転写残トナーが多くなり、接触帯電工程での感光体の削れやトナー融着の抑制が難しくなる。さらに、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び攪拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となることからカブリや転写性が悪化傾向となり、削れや融着以外にも画像の不均一ムラの原因となりやすいため、本発明で使用するトナーには好ましくない。また、トナーの重量平均粒径が10μmを越える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。さらに装置が高解像度になっていくと10μm以上のトナーは1ドットの再現が悪化する傾向にある。
【0102】
また、本発明の磁性トナーは、重量平均粒径/数平均粒径の比が1.40以下である事が重要で有り、より好ましくは1.35以下である。
重量平均粒径/数平均粒径の比が1.40より大きいと言う事はトナーの粒度分布が広い事を意味し、選択現像が生じ易くなると共に、帯電量分布も広くなり好ましくない。
【0103】
ここで、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整する。たとえば、ISOTON R-II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0104】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5mlを加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径、即ち数平均粒径(D1)を求める。後述の実施例においても同様に測定した。
本発明の磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率は、0.05〜3.00%である事が好ましく、より好ましくは0.05〜1.50%であり、最も好ましくは0.05〜1.00%である。
【0105】
本発明において、磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率とは、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により測定されたものである。パーティクルアナライザーはJapan Hardcopy97論文集の65〜68ページに記載の原理で測定を行う。該装置はトナー等の微粒子を一個づつプラズマへ導入し、微粒子の発光スペクトルから発光物の元素、粒子数、粒子の粒径を知る事が出来る。
【0106】
この中で、遊離率とは、結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、鉄原子の発光の同時性から次式(11)により求めたものと定義する。
【0107】
【数8】
(11) 鉄及び鉄化合物の遊離率(%)=100×(鉄原子のみの発光回数/炭素原子と同時に発光した鉄原子の発光回数+鉄原子のみの発光回数)
ここで、炭素原子と鉄原子の同時発光とは、炭素原子の発光から2.6msec以内に発光した鉄原子の発光を同時発光とし、それ以降の鉄原子の発光は鉄原子のみの発光とする。
【0108】
本発明では磁性粉体を多く含有している為、炭素原子と鉄原子が同時発光するという事は、トナー中に磁性粉体が分散している事を意味し、鉄原子のみの発光は、磁性粉体がトナーから遊離している事を意味すると言い換えることも可能である。
具体的な測定方法は以下の通りである。0.1%酸素含有のヘリウムガスを用い、23℃で湿度60%の環境にて測定を行い、トナーサンプルは同環境下にて1晩放置し、調湿したものを測定に用いる。また、チャンネル1で炭素原子(測定波長247.860nm、Kファクターは推奨値を使用)、チャンネル2で鉄原子(測定波長239.56nm、Kファクターは3.3764を使用)を測定し、一回のスキャンで炭素原子の発光数が1000〜1400個となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光数が総数で10000以上となるまでスキャンを繰り返し、発光数を積算する。この時、炭素元素の発光個数を縦軸に、元素の三乗根電圧を横軸にとった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定を行う。そして、このデータを元に、全元素のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い、鉄及び鉄化合物の遊離率を算出する。後述の実施例においても同様に測定した。
【0109】
又、荷電制御剤であるアゾ系の鉄化合物等といった、鉄原子を含有する無機化合物以外の材料もトナー中に含まれている場合があるが、こういった化合物は鉄原子と同時に有機化合物中の炭素も同時に発光するため、遊離の鉄原子としてはカウントされない。
【0110】
本発明者らが検討を行ったところ、鉄及び鉄化合物の遊離率とトナー表面への露出量には深い関連があり、遊離の磁性粉体量が3.00%以下であれば、おおむね磁性粉体のトナー表面への露出が抑制されるとともに、選択現像が起りにくい事が判明した。鉄及び鉄化合物の遊離率は磁性粉体の疎水化度、粒度分布、処理の均一性、重合性単量体とのなじみ性等に依存するものであるが、一例として、磁性粉体の表面処理が不均一である場合、表面処理が充分に施されていない(親水性が強い)磁性粉体はトナー表層に存在すると共に、その一部あるいは全てが遊離してしまう事に起因する。この為、特に磁性を用いる現像方式の場合、鉄及び鉄化合物の遊離率が高い物は、磁性粉体がトナー担持体上に蓄積してしまい、トナーの帯電性の低下、選択現像等を生じてしまう傾向がある。
【0111】
一方、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%より少ないと、実質的に磁性粉体はトナーから遊離していない事を意味する。このように鉄及び鉄化合物の遊離率が低いトナーは高い帯電量を有するものの、多数枚画出し時にトナーのチャージアップに起因する画像濃度の低下、及び、画像のがさつきが生じてしまう傾向がある。
【0112】
これは、次の様な理由であると考えている。一般的に、トナー担持体上のトナーは感光体上へ全て現像される事は無く、現像直後においてもトナー担持体上にはトナーは存在する。特に磁性トナーを用いたジャンピング現像においてはその傾向が強く、現像効率はさほど高くない。さらに円形度の高い磁性トナーは前述の通り、現像部において、均一な細い穂を形成しており、穂の先端部に存在するトナーから現像されてしまい、磁性トナー担持体付近の磁性トナーはなかなか現像されないものと考えられる。そのため、磁性トナー担持体付近の磁性トナーは繰り返し帯電部材による摩擦帯電を受け、チャージアップしてしまい、さらに現像されにくくなるという悪循環に陥ってしまう。また、この様な状態では、磁性トナーの帯電均一性は損なわれ、画像のがさつきを生じてしまう。
【0113】
ここで、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%以上の磁性トナーを用いた場合、遊離の磁性粉体あるいは磁性トナー表面にわずかに存在している磁性粉体により磁性トナーのチャージアップが抑制されると共に、磁性トナーの帯電量の均一性が促され、がさつきは抑制される。これらの理由により、鉄及び鉄化合物の遊離率は0.05〜3.00%である事が好ましい。
本発明の磁性トナーは、粉砕法によっても製造することができ、粉砕法により製造する場合は、公知の方法が用いられるが、例えば、結着樹脂、磁性粉体、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色剤等の磁性トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて熔融混練して樹脂類をお互いに相熔させた中に磁性粉体等の他の磁性トナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることが出来る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0114】
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。本発明に係わる特定の円形度を有するトナーを得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、あるいは補助的に機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
【0115】
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法、また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0116】
機械的衝撃法を用いる場合においては、処理温度をトナーのガラス転移点Tg付近の温度(Tg±10℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止、生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、トナーのガラス転移点Tg±5℃の範囲の温度で行うことが、転写効率を向上させるのに特に有効である。
本発明に関わるトナーを粉砕法により製造する場合の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが単独或いは混合して使用できる。特に、スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。
【0117】
トナーのガラス転移点温度(Tg)は、50〜70℃であることが好ましく、50℃よりも低いとトナーの保存性が低下し、70℃よりも高いと定着性に劣る。トナーのガラス転移点の測定には例えば、パーキンエルマー社製DSC-7の様な高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定を行う。測定方法は、ASTMD3418-8に準じて行う。本発明においては、試料を1回昇温させ前履歴をとった後、急冷し、再度昇温速度10℃/min、温度30〜200℃の範囲で昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
さらにまた、本発明に係わるトナーは、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等を用いトナーを製造する方法でも製造が可能である。
【0118】
本発明の磁性トナーは、上述のように粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明に係わるトナーの必須要件である平均円形度が0.970以上という物性を得る為には、機械的・熱的あるいは何らかの特殊な処理を行う事が必要となり、生産性が劣るものとなる。
【0119】
そこで、本発明においては、トナーを重合法、特には懸濁重合法により製造することが好ましい。この懸濁重合法においては重合性単量体および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散させて重合性単量体系とした後、この重合性単量体系を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後重合トナー)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.970以上、モード円形度が0.99以上という本発明に必須な物性要件を満たすトナーが得られやすく、さらにこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している。
また、このような製造方法を用いて、本発明の如き磁気特性を有する磁性トナーを得るには、粒度及び磁性粉体含有量の異なるトナーを作成した後、混合する方法や、製造段階において磁性粉体の分散を異ならせる方法が考えられるが、特に後者の場合は粉砕法で製造されたトナーでは磁性粉体が微粉側に偏析する傾向があるので、本発明のトナーは重合法で製造することが好ましい。
しかしながら、重合トナー中に通常の磁性粉体を含有させても、トナー表面に磁性粉体が多数存在し、トナー粒子の帯電特性が著しく低下する。さらに、懸濁重合トナーの製造時に磁性粉体と水との相互作用が強いことにより、円形度が0.970以上のトナーが得られ難く、さらに、トナーの粒度分布が広いものとなる。 これは、▲1▼磁性粉体は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいこと、▲2▼水溶媒撹拌時に磁性粉体が乱雑に動き、それに単量体から成る懸濁粒子表面が引きずられ、形状が歪んで円形になりにくいこと等が原因と考えられる。こういった問題を解決するためには磁性粉体の有する表面特性の改質が重要である。
【0120】
重合トナーに使用される磁性粉体の表面改質に関しては、数多く提案されている。前述したように、特開昭59−200254号公報、特開昭59−200256号公報、特開昭59−200257号公報、特開昭59−224102号公報等に磁性粉体の各種シランカップリング剤処理技術が提案されており、特開昭63−250660号公報では、ケイ素元素含有磁性粒子をシランカップリング剤で処理する技術が開示されている。しかしながら、これらの処理により磁性粉体の遊離はある程度抑制されるものの、磁性粉体表面の疎水化を均一に行うことが困難であるという問題があり、したがって、磁性粉体同士の合一や疎水化されていない磁性粉体の発生を避けることができず、磁性粉体の分散性は十分では無く、粒度分布も広いものとなってしまう。
【0121】
また、疎水化磁性酸化鉄を用いる例として特公昭60−3181号公報にアルキルトリアルコキシシランで処理した磁性酸化鉄を含有するトナーが提案されている。この磁性酸化鉄の添加により、確かにトナーの電子写真諸特性は向上しているものの、磁性酸化鉄の表面活性は元来小さく、処理の段階で合一粒子が生じたり、疎水化が不均一であったりで、必ずしも満足のいくものではなく、本発明の画像形成方法に適用するにはさらなる改良が必要である。さらに、処理剤等を多量に使用したり、高粘性の処理剤等を使用した場合、疎水化度は確かに上がるものの、粒子同士の合一等が生じて分散性は逆に悪化してしまう。このような磁性粉体を用いて製造されたトナーは、摩擦帯電性が不均一であり、それに起因してカブリや転写性が良くないものとなる。
【0122】
このように、従来の表面処理磁性粉体を用いた重合トナーでは、疎水性と分散性の両立は必ずしも達成されておらず、このような重合トナーを本発明の接触帯電工程を含む画像形成方法に適用しても、高精細な画像を安定して得ることは難しい。
【0123】
そこで、本発明の磁性トナーに使用される磁性粉体は、カップリング剤で疎水化処理されていることが好ましい。磁性粉体表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性粉体を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性粉体同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性粉体間の帯電反発作用が働き、磁性粉体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0124】
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性粉体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では磁性粉体同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は絶大である。
【0125】
本発明に係わる磁性粉体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(I)で示されるものである。
【0126】
【化1】
RmSiYn (I)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。ただし、m+n=4である。]
一般式(I)で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0127】
この中で、磁性粉体の分散性の向上の点から、二重結合を有するシランカップリング剤を用いる事が好ましく、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
これは、特に懸濁重合を行う場合、二重結合を有するカップリング剤で処理すると、磁性粉体と重合性単量体とのなじみが良好になる為であると考えられ、その結果磁性粉体の分散性が向上する。
【0128】
しかし、これら二重結合を有するカップリング剤のみの使用では、磁性粉体に十分な疎水性を持たせる事は困難であり、トナーの粒度分布も広い物となってしまう。この理由は定かではないが、カップリング剤自身の疎水性や、磁性粉体表面の活性基との反応性、及び、磁性粉体表面の被覆性が劣る事によるものであると考えている。また、疎水性が低い磁性粉体を使用すると、特に重合トナーの場合は、得られるトナーの粒度分布が広くなる傾向にあると共に、磁性粉体の分散性も悪い傾向にあり、好ましく無い。このため、十分な疎水性を得る為に二重結合を有さない少なくとも1種以上のシランカップリング剤と併用することが好ましい。具体的には、下記一般式(II)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を併用する事がより好ましい。
【0129】
【化2】
CpH2p+1−Si−(OCqH2q+1)3 (II)
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
上記式におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、トナー粒子からの磁性粉体の露出を抑制するのが難しくなる。またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性粉体同士の合一が多くなり、トナー中へ磁性粉体を十分に分散性させることが困難になり、カブリや転写性が悪化傾向となる。
【0130】
また、qが、3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。特に、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。
【0131】
その処理量は磁性粉体100質量部に対して、シランカップリング剤の総量が0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部であり、磁性粉体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
【0132】
磁性粉体の表面処理として水系媒体中でカップリング剤で処理するには、水系媒体中で適量の磁性粉体およびカップリング剤を撹拌する方法が挙げられる。撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混合装置)で、磁性粉体が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
【0133】
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが上げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5質量%添加するのが良い。pH調製剤としては、塩酸等無機酸が挙げられる。有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
【0134】
なお、複数種のシランカップリング剤を用いる場合、同時、あるいは時間差をもって複数種のカップリング剤を投入し、磁性粉体の処理を行う。
【0135】
こうして得られる磁性粉体は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、重合トナー用の材料として用いた場合、トナー粒子の均一性が良好なものとなる。
【0136】
また、本発明の磁性トナーに用いられる磁性粉体は、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい四三酸化鉄、γ-酸化鉄等、酸化鉄を主成分とするものであり、これらを1種または2種以上併用して用いられる。これら磁性粉体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2〜30m2/gが好ましく、特に3〜28m2/gがより好ましい。
【0137】
また、モース硬度が5〜7のものが好ましい。
【0138】
磁性粉体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった磁性粉体の形状はSEMなどによって確認することができる。
【0139】
磁性粉体の体積平均粒径としては0.05〜0.40μmが好ましい。体積平均径が0.05μm未満の場合、黒色度の低下が顕著となり、白黒用トナーの着色剤としては着色力が不十分となるうえに、複合酸化物粒子どうしの凝集が強くなるため、分散性が悪化する傾向となる。また、赤味の黒になる傾向にあり、画像品位が落ちるものとなる。一方、体積平均粒径が0.40μmを越えてしまうと、一般の着色剤と同様に着色力が不足するようになる。加えて、特に小粒径トナー用の着色剤として使用する場合、個々のトナー粒子に均一に磁性粉体を分散させることが確率的に困難となり、分散性が悪化しやすい。
【0140】
なお、磁性粉体の体積平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、ミクロトームにより薄片上のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性粉体粒子径を測定する。そして、磁性粉体の投影面積に等しい円の相当径をもとに、体積平均粒径の算出を行った。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。後述の実施例においても同様に測定した。
【0141】
本発明では、磁性粉体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色剤としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いても良い。
【0142】
また、本発明に用いられる磁性粉体は、体積平均変動係数が35以下である事が好ましい。体積平均変動係数が35より大きいと言う事は磁性粉体の粒度分布が広い事を意味する。このような磁性粉体を使用すると、前述の磁性粉体の処理の均一性が劣るとともに、トナー中での分散性が悪化する傾向がある。さらには、造粒時にトナー粒子一粒一粒に磁性粉体が均一に入りにくくなり、トナー粒子間で磁性粉体の含有量に大きな差が生じ易くなり、好ましくない。
【0143】
なお、本発明において、体積平均変動係数は次式(12)により求めるものと定義する。
【0144】
【数9】
本発明に用いる磁性粉体の疎水化度は25〜95%である事が好ましく、より好ましくは35〜95%である。疎水化度は磁性粉体表面の処理剤の種類、及び量により任意に変える事が可能である。
疎水化度とは磁性粉体の疎水性を示しており、疎水化度が低いものは親水性が高い事を意味する。そのため、疎水化度が低い磁性粉体を用いた場合、本発明のトナーを製造する際に好適に用いられる懸濁重合法では、造粒中に磁性粉体が水系に移行してしまい、粒度分布がブロードになると共に、遊離の磁性粉体として存在する事になり好ましくない。また、疎水化度が95%とするためには磁性粉体表面の処理材を多量に使用しなければならず、この様な状態では磁性粉体の合一が生じ易く、処理の均一性が損なわれてしまう。
【0145】
なお、本発明における疎水化度とは以下の方法により測定されたものである。
【0146】
磁性粉体の疎水化度の測定は、メタノール滴定試験により行う。メタノール滴定試験は、疎水化された表面を有する磁性粉体の疎水化度を確認する実験的試験である。
メタノールを用いた疎水化度測定は次のように行う。磁性粉体0.1gを容量250mlのビーカーの水50mlに添加する。その後メタノールを液中に徐々に添加し滴定を行う。この際メタノールは液底部より供給し、緩やかに攪拌しながら行う。磁性粉体の沈降終了は、液面に磁性粉体の浮遊物が確認されなくなった時点とし、疎水化度は、沈降終了時点に達した際のメタノール及び水混合液中のメタノールの体積百分率としてあらわされる。後述の実施例においても同様に測定した。
【0147】
本発明の磁性トナーに用られる磁性粉体は、結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部を用いることが好ましい。さらに好ましくは20〜180質量部を用いることが良い。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を越えると、トナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性粉体の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしまう。
【0148】
なお、トナー中の磁性粉体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで、トナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存重量を近似的に磁性粉体量とする。
【0149】
本発明の磁性トナーに用いられる磁性粉体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造される。
【0150】
第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜14)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
【0151】
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜14に維持しながら空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応をすすめ種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。酸化反応がすすむにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のpHを調製し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に攪拌し、カップリング剤を添加して十分に混合攪拌し、攪拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水性処理された磁性酸化鉄粉体が得られる。あるいは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粉体を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調製し、十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、本発明の画像形成方法における重要なポイントである。
【0152】
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。
【0153】
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5〜2mol/lが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。又、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
【0154】
このようにして製造された疎水性磁性粉体を材料とした磁性トナーを使用することにより、安定したトナーの帯電性が得られ、転写効率が高く、高画質及び高安定性が可能となる。
本発明においては、トナーが磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am2/kg(emu/g)である磁性トナーであることが好ましい。これは、現像装置内に磁気力発生手段を設けることで、磁性トナーではトナーの漏れを防止でき、トナーの搬送性或いは攪拌性を高められるばかりでなく、磁性トナー担持体上に磁力が作用するように磁気力発生手段を設けることで、転写残トナーの回収性が更に向上し、又磁性トナーが穂立ちを形成するためにトナーの飛散を防止することが容易となる。しかし、トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10Am2/kg未満であると、上記の効果が得られず、トナー担持体上に磁力を作用させるとトナーの穂立ちが不安定となり、トナーへの帯電付与が均一に行えないことによるカブリ、画像濃度ムラ、転写残トナーの回収不良等の画像不良を生じる易くなる。一方、トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが50Am2/kgよりも大きいと、トナーに磁力を作用させると磁気凝集によりトナーの流動性が著しく低下し、現像性が低下しトナーがダメージを受けやすくなり、トナー劣化が著しくなる。さらに、転写性も低下することで転写残トナーが増加し好ましくない。
トナーの磁化の強さ(飽和磁化)は、含有する磁性粉体の量、磁性粉体の飽和磁化により任意に変えることが可能である。
磁性粉体の飽和磁化は磁場796kA/mにおいて30〜120Am2/kgである事が好ましい。
【0155】
本発明において磁性トナーの飽和磁化の強さは、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定する。また、磁性粉体の磁気特性についても、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場796kA/mで測定することができる。
また、本発明のトナーのように0.970以上の円形度を有することによって、磁性トナー担持体上でのトナーの穂立ちが細く密になることによって、帯電が均一化され更にかぶりが大幅に減少する。
【0156】
本発明の磁性トナーは離型剤を含有しているが、結着樹脂に対し1〜30質量%を含有することが好ましい。より好ましくは、3〜25質量%である。
離型剤の含有量が1質量%未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、30質量%を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、離型剤、磁性粉体等のトナー材料の分散性が悪くなり、磁性トナーの流動性の悪化や画像特性の低下につながる。さらに多量のワックスを内包するために、トナー形状がいびつになりやすくなる。
【0157】
記録媒体上に転写されたトナー像はその後、熱・圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半永久的画像が得られる。この際、熱ロール式定着が一般に良く用いられる。先述したように、重量平均粒径が10μm以下のトナーを用いれば非常に高精細な画像を得ることができるが、粒径の細かいトナー粒子は紙等の記録媒体を使用した場合に紙の繊維の隙間に入り込み、熱定着用ローラからの熱の受け取りが不十分となり、低温オフセットが発生しやすい。しかしながら、本発明に係わるトナーにおいて、適正量の離型剤を含有せしめ、且つ、離型剤の分散性を前述の如きに制御することにより、高画質と定着性を両立させることが可能となる。
【0158】
本発明に係わる磁性トナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
【0159】
これらの離型剤成分の内でも、示差走査熱量分析による吸熱ピークが40〜110℃のもの、即ち、示差走差熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40〜110℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、さらには45〜90℃の領域に有するものがより好ましい。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現する。最大吸熱ピークが40℃未満であると離型剤成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化する。また、離型剤のしみだしが生じ易くなり、トナーの帯電量が低下する。一方、該最大吸熱ピークが110℃を越えると定着温度が高くなり低温オフセットが発生しやすくなり好ましくない。さらに、水系媒体中で造粒/重合を行い重合方法により直接トナーを得る場合、該最大吸熱ピーク温度が高いと主に造粒中に離型剤成分が析出する等の問題を生じ、離型剤の分散性が悪化し、好ましくない。また、分散性のわるい離型剤、磁性粉体の分散性も阻害し、好ましくない。
【0160】
離型剤の吸熱量ならびに最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、試料を一回200℃まで昇温させ熱履歴を除いた後、急冷し、再度、昇温速度10℃/minにて温度30〜200℃の範囲で昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。後述の実施例においても同様に測定した。
本発明の磁性トナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0161】
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー100質量部に対し、好ましくは0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部である。
しかしながら、本発明の磁性トナーは、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層圧規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
次に本発明の画像形成方法に関わる重合トナーの懸濁重合法による製造方法を説明する。本発明に係わる重合トナーは、一般にトナー組成物、すなわち結着樹脂となる重合性単量体中に、磁性粉体、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合によって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、分散機等に依って均一に溶解または分散させた重合性単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁して製造できる。
本発明に関わる重合トナーの製造において、重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0162】
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいは他の単量体と混合して使用する事がトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0163】
本発明に係わる重合トナーの製造においては、重合性単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の重合性単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐ブロッキング性、現像性の良好なトナーを得ることができる。
【0164】
これらの樹脂の中でも特にポリエステル樹脂を含有する事により、その効果は大きな物となる。これは次に述べる理由からと考えている。ポリエステル樹脂は比較的極性の高い官能基であるエステル結合を数多く含む為、樹脂自身の極性が高くなる。その極性の為、水系分散媒中では液滴表面にポリエステルが偏在する傾向が強くなり、その状態を保ちながら重合が進行し、トナーとなる。この為、トナー表面にポリエステル樹脂が偏在する事で表面状態や、表面組成が均一な物となり、その結果帯電性が均一になると共に、離型剤の内包性が良好な事との相乗効果により非常に良好な現像性を得る事が出来る。
【0165】
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、例えばトナーの帯電性、耐久性および定着性などの物性をコントロールする上で、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
【0166】
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
【0167】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、また式(III)で表されるビスフェノール誘導体及びその水添物;
【0168】
【化3】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
また下記一般式(IV)で示されるジオール類及びその水添物;
【0169】
【化4】
(式中、R'は−CH2CH2−又は下記一般式(V)で示されるいずれかであり、x',y'は0以上の整数であり、かつ、x'+y'の平均値は0〜10である。)が挙げられる。
【0170】
【化5】
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
【0171】
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
【0172】
上記ポリエステル樹脂の中では、帯電特性、環境安定性が優れておりその他の電子写真特性においてバランスのとれた前記のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく使用される。この化合物の場合には、定着性やトナーの耐久性の点においてアルキレンオキサイドの平均付加モル数は2〜10が好ましい。
【0173】
本発明におけるポリエステル樹脂は全成分中45〜55モル%がアルコール成分であり、55〜45モル%が酸成分であることが好ましい。
【0174】
ポリエステル樹脂は、本発明の磁性トナーの製造方法においてトナー粒子表面に存在し、得られるトナー粒子が安定した帯電性を発現するためには、0.1〜50mgKOH/樹脂1gの酸価を有していることが好ましい。0.1mgKOH/樹脂1g未満だとトナー表面への存在量が絶対的に不足し、50mgKOH/樹脂1gを越えるとトナーの帯電性に悪影響を及ぼす。さらに本発明では、5〜35mgKOH/樹脂1gの酸価の範囲がより好ましい。
【0175】
本発明においては、得られるトナー粒子の物性に悪影響を及ぼさない限り2種以上のポリエステル樹脂を併用したり、例えば、シリコーンやフルオロアルキル基含有化合物により変性したりして物性を調製することも好適に行われる。
【0176】
また、このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。5,000以下、特に4,000以下では、本重合体が表面付近に集中し易い事から、現像性、耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。
【0177】
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部以上添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。
【0178】
さらに、重合性単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることが出来る。
【0179】
本発明の画像形成方法に関わる重合トナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行なうと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。
【0180】
重合開始剤例としては、2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0181】
本発明の画像形成方法に関わる重合トナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量%である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0182】
本発明の磁性トナーを重合法で製造する方法では、一般に上述のトナー組成物等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させた重合性単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加える事も出来る。
【0183】
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。
【0184】
本発明の画像形成方法に関わる重合トナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
【0185】
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用する事が望ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナーの微粒化はやや苦手であるので、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0186】
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことが出来る。
【0187】
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
【0188】
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行なう。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げる事は可能である。
【0189】
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により無機微粉体を混合し表面に付着させることで、本発明の磁性トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、本発明の望ましい形態の一つである。
【0190】
本発明においてトナーは、流動化剤として個数平均1次粒径4〜80nmの無機微粉体が添加されることも好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
【0191】
無機微粉体の個数平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粉体が添加されていない場合には、転写残トナーが帯電部材へ付着した際に帯電部材に固着し易くなり、安定して良好な帯電特性を得ることが困難である。また、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題を避けられない。無機微粉体の個数平均1次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、1次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体或いは磁性トナー担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには無機微粉体の個数平均1次粒径は6〜35nmであることがより良い。
【0192】
本発明において、無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉体の1次粒子を100個以上測定し、個数基準の平均1次粒径、個数平均1次粒径を求めることで測定出来る。
【0193】
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用できる。
【0194】
ケイ酸微粉体としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0195】
個数平均1次粒径が4〜80nmの無機微粉体の添加量は、トナー粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%以上では定着性が悪くなる。
また、無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
【0196】
また本発明において無機微粉体は、疎水化処理された物であることが高温高湿環境下での特性から好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなる。
【0197】
疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
【0198】
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体をシラン化合物で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
【0199】
そのような無機微粉体の処理方法としては、例えば第一段反応として、シラン化合物でシリル化反応を行ないシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉体に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0200】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0201】
無機微粉体をシリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、シラン化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、無機微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
シリコーンオイルの処理量は、無機微粉体100質量部に対し1〜40質量部、好ましくは3〜35質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる傾向がある。
【0202】
本発明で用いられる無機微粉体は、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20〜350m2/g範囲内のものが好ましく、より好ましくは25〜300m2/gのものが更に良い。
【0203】
比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
【0204】
また、本発明の磁性トナーは、上記トナーの重量平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する導電性微粉体をさらに有する事が好ましい。導電性微粉体は上記無機微粉体の個数平均1次粒径よりも大きいことが更に好ましい。
重量平均粒径と体積平均粒径等は同じ尺度で比較するものではないが、導電性微粉体は磁性トナーより比較的小さいので、本発明においては、磁性トナーと導電性微粉体の大きさを比較する一つの指標としてこれらを用いた。
本発明の磁性トナーは導電性微粉体を有する事により転写効率が向上し、細線再現性が非常に良好なものとなる。この理由は定かではないが、導電性微粉体がトナー中に均一に存在する事でトナーの帯電量の均一性が促され、現像性、転写性が向上するものであると考えている。また、導電性微粉体が存在する事で、トナーのチャージアップが抑制され、転写時の飛び散りが抑制され細線の再現性が向上するものであると考えている。
【0205】
また、本発明の磁性トナーを現像兼クリーニングを利用した画像形成方法に適用する場合には、導電性微粉体は重要な役割を果たす。
【0206】
ここで、トナー粒子に導電性微粉体を外部添加した場合の画像形成プロセス中でのトナー粒子及び導電性微粉体の挙動を説明する。
【0207】
トナーに含有させた導電性微粉体は、現像工程における像担持体側の静電潜像の現像時にトナー粒子とともに適当量が像担持体側に移行する。像担持体上のトナー像は転写工程において記録媒体側に転移する。像担持体上の導電性微粉体も一部は記録媒体側に付着するが残りは像担持体上に付着保持されて残留する。トナーと逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、トナーは記録媒体側に引かれて積極的に転移するが、像担持体上の導電性微粉体は導電性であることで記録媒体側には積極的には転移せず、一部は記録媒体側に付着するものの残りは像担持体上に付着保持されて残留する。
【0208】
クリーナを用いない画像形成方法では、転写後の像担持体面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉体は、像担持体と接触帯電部材の当接部である帯電部に像担持体面の移動でそのまま持ち運ばれて接触帯電部材に付着・混入する。従って、像担持体と接触帯電部材との当接部に導電性微粉体が介在した状態で像担持体の接触帯電が行なわれる。
この導電性微粉体の存在により、接触帯電部材への転写残トナーが少ない場合、転写残トナーの付着・混入による汚染にかかわらず、接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該接触帯電部材による像担持体の帯電を良好に行なわせることができる。
【0209】
また、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナーは、帯電部材から像担持体へ印加される帯電バイアスによって、帯電バイアスと同極性に帯電を揃えられて接触帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出され、像担持体面の移動とともに現像部に至り、現像工程において現像兼クリーニング(回収)される。
【0210】
更に、画像形成が繰り返されることで、トナーに含有させてある導電性微粉体が、現像部で像担持体面に移行し該像担持面の移動により転写部を経て帯電部に持ち運ばれて帯電部に逐次に導電性微粉体が供給され続けるため、帯電部において導電性微粉体が脱落等で減少したり、劣化するなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0211】
また、このようにトナーの帯電量の均一性を促す為に、導電性微粉体の抵抗は、1×109Ωcm以下が好ましい。導電性微粉体の抵抗が、1×109Ωcmよりも大きいと導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在させ、接触帯電部材の導電性微粉体を介しての像担持体への緻密な接触性を維持させても、良好な帯電性を得るための帯電促進効果が得られない。導電性微粉体の帯電促進効果を十分に引き出し、良好な帯電性を安定して得るためには、導電性微粉体の抵抗が、接触帯電部材の表面部或いは像担持体との接触部の抵抗よりも小さいことが好ましい。更に、導電性微粉体の抵抗が、1×106Ωcm以下であることが、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーへの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電をより良好に行なわせる上で好ましく良い。
【0212】
本発明においては導電性微粉体のトナー全体に対する含有量は、0.5〜10質量%であることが好ましい。導電性微粉体のトナー全体に対する含有量が0.5質量%よりも少ないと、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーへの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行なわせるのに十分な量の導電性微粉体を、帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電性が低下し帯電不良を生じる。また、含有量が10質量%よりも多い場合では、現像兼クリーニングによって回収される導電性微粉体が多くなりすぎることによる現像部でのトナーの帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生ずる傾向がある。導電性微粉体のトナー全体に対する含有量は、0.5〜5質量%であることが好ましく良い。
【0213】
導電性微粉体の粒径として具体的には、体積平均粒径が0.1μm以上であり、トナーの重量平均粒径よりも小さいことが好ましい。導電性微粉体の体積平均粒径が小さいと、現像性の低下を防ぐために導電性微粉体のトナー全体に対する含有量を小さく設定しなければならない。導電性微粉体の体積平均粒径が0.1μm未満では、導電性微粉体の有効量を確保できず、帯電工程において、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーへの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行なわせるのに十分な量の導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電不良を生じ易くなる。
【0214】
また、導電性微粉体の体積平均粒径がトナーの重量平均粒径よりも大きいと、帯電部材から脱落した導電性微粉体は静電潜像を書き込む露光を遮光或いは拡散し、静電潜像の欠陥を生じ画像品位を低下させることがある。更に、導電性微粉体の体積平均粒径が大きいと、単位重量当りの粒子数が減少するため、帯電部材からの導電性微粉体の脱落等による減少、劣化を考慮して導電性微粉体を帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に逐次に導電性微粉体が供給し続け介在させるために、また、接触帯電部材が導電性微粉体を介して像担持体への緻密な接触性を維持し良好な帯電性を安定して得るためには、導電性微粉体のトナー全体に対する含有量を大きくしなければならない。しかし、導電性微粉体の含有量を大きくしすぎると、特に高湿環境下でのトナー全体としての帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生ずる。このような観点から、導電性微粉体の体積平均粒径は好ましくは5μm以下が良い。
【0215】
また、導電性微粉体は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉体であることが、記録媒体上に転写される導電性微粉体がカブリとして目立たないため好ましく良い。潜像形成工程における露光の妨げとならない意味でも導電性微粉体は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉体であることがよく、より好ましくは、導電性微粉体は、露光に対する透過率が30%以上であることが良い。
【0216】
本発明においては、導電性微粉体の光透過性については以下の手順で測定することができる。片面に接着層を有する透明のフィルムの導電性微粉体を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射しフィルム背面に透過した光を集光し光量を測定する。フィルムのみと導電性微粉体を付着したときの光量から正味の光量として導電性微粉体の透過率を算出する。実際にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定することができる。
【0217】
本発明における導電性微粉体の体積平均粒径の測定には、コールター社製、LS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取付けて0.04〜2000μmの測定範囲で行う。測定法としては、純水10ccに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉体の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー )にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
本発明において、導電性微粉体の粒度の調整方法としては、導電性微粉体の一次粒子が製造時において所望の粒度が得られるように製造法、製造条件を設定する方法以外にも、一次粒子の小さな粒子を凝集させる方法、一次粒子の大きな粒子を粉砕する方法或いは分級による方法等が可能であり、更には、所望の粒度の基材粒子(導電性微粉体を調製するにあたり、導電性材料を付着あるいは固定化する際に母体となる粒子)の表面の一部もしくは全部に導電性微粉体を付着或いは固定化する方法、所望の粒度の粒子に導電性成分が分散された形態を有する導電性微粉体を用いる方法等も可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性微粉体の粒度を調整することも可能である。
導電性微粉体の粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義される。導電性微粉体は、1次粒子の状態で存在するばかりでなく2次粒子の凝集した状態で存在することも問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電部材と像担持体との当接部或いはその近傍の帯電領域に介在し、帯電補助或いは促進の機能が実現できればその形態は問わない。
【0218】
本発明において、導電性微粉体の抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求める。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に凡そ0.5gの粉体試料を入れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出する。
【0219】
本発明における導電性微粉体としては、例えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉体;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉体;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などが必要に応じて粒度及び粒度分布を調整することで使用できる。これらの中でも酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の無機酸化物微粉体が特に好ましい。
【0220】
また、導電性無機酸化物の抵抗値を制御する等の目的で、アンチモン、アルミニウムなどの元素をドープした金属酸化物、導電性材料を表面に有する微粉体なども使用できる。例えば酸化スズ・アンチモンで表面処理された酸化チタン微粉体、アンチモンでドープされた酸化第二スズ微粉体、あるいは酸化第二スズ微粉体などである。
【0221】
市販の酸化スズ・アンチモン処理された導電性酸化チタン微粉体としては、例えばEC−300(チタン工業株式会社)、ETー300、HJ−1、HI−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテリアル株式会社)などが挙げられる。
【0222】
市販のアンチモンドープの導電性酸化スズとしては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)やSN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式会社)などが挙げられる。
【0223】
また、本発明の磁性トナーは、クリーニング性向上等の目的で、さらに一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
【0224】
本発明に用いられる磁性トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末等の滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いる事もできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
【0225】
本発明の磁性トナーは、選択現像性が良好なだけでなく、カブリが少なく、転写性が高いために、接触帯電工程を用いる画像形成方法に好適に用いられ、さらにはクリーナレス画像形成方法にも用いる事が出来、これらの使用形態もまた本発明の一部である。
【0226】
接触帯電工程から構成される画像形成方法においては、転写されずに帯電工程に移行するトナー、即ち転写残トナーとカブリトナーの低減がキー技術であるが、このような性能を備えた本発明の磁性トナーを用いることにより本発明の画像形成方法が達成される。
【0227】
また、クリーナレスの画像形成方法においては、転写残トナーが帯電工程をすり抜けて現像工程で現像器内に回収されるが、このようなトナーは材料の分散性などから帯電性の劣るものが多いため、耐久と共に現像器内に蓄積されて画像特性が悪化しやすい。しかしながら本発明の磁性トナーは良好な画像特性を有するため、クリーナレスの画像形成方法に用いても長期に渡って高画質を安定に維持できることから、この磁性トナーを用いることにより本発明の画像形成方法が達成される。
【0228】
以下に本発明の画像形成方法について説明する。
<2>本発明の画像形成方法
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程とを含むものであり、現像工程におけるトナーを本発明の磁性トナーを用い、さらに帯電工程は、像担持体と当接部を形成して接触する接触帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程である。
【0229】
次に、本発明の画像形成方法の実施形態を図に沿って詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0230】
図2において、像担持体としての感光体100の周囲に、接触帯電部材である一次帯電ローラ117、現像器140、転写ローラ114、クリーナ116、レジスタローラ124等が設けられている。そして感光体100は、一次帯電ローラ117によって−700Vに帯電される。(印加電圧は交流電圧−2.0kVpp(Vpp:ピーク間電位)、直流電圧−700Vdc)そして、レーザビームスキャナ121によりレーザ光123を感光体100に照射する事によって露光される。感光体100上の静電潜像は現像器140によって一成分磁性トナーで現像され、記録媒体を介して感光体に当接された転写ローラ114により記録媒体上へ転写される。トナー像をのせた記録媒体Pは、搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ記録媒体P上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナ116によりクリーニングされる。現像器140は、図3に示すように感光体100に近接して、アルミニウム、ステンレス等非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体102(以下、「現像スリーブ」ともいう)が配設され、感光体100と現像スリーブ102との間隙は、図示されないスリーブ/感光体間隙保持部材等により約230μmに維持されている。この間隙は、必要により替えることは可能である。現像スリーブ102内にはマグネットローラ104が、現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し、現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラ104には図示の如く複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響している。現像スリーブ102に付着して搬送される磁性トナー量を規制する部材として、弾性ブレード103が配設され、弾性ブレード103の現像スリーブ102に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量が制御される。現像領域では、感光体100と現像スリーブ102との間に直流電圧及び交流電圧の現像バイアスが印加され、現像スリーブ102上トナーは静電潜像に応じて感光体100上に飛翔し可視像となる。
【0231】
本発明の画像形成方法において、現像工程は、トナー像を転写材上に転写した後に感光体に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねる現像兼クリーニング工程あるいはクリーナレス工程を有する画像形成方法であっても好ましい。
【0232】
さらに、現像兼クリーニング画像形成方法あるいはクリーナレス画像形成方法において、現像工程はトナーによって像担持体上の静電潜像を現像する工程であり、帯電工程は像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電する工程であり、且つ少なくとも帯電部材と像担持体との当接部及び/又はその近傍に、本発明の磁性トナー中に含まれる導電性微粉体が現像工程で像担持体に付着し、転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在している画像形成方法であることが好ましい。
本発明の画像形成方法における帯電工程は、被帯電体であり像担持体でもある感光体に、図2における上記一次帯電ローラであるローラ型(帯電ローラ)の他に、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型(帯電ブレード)等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)と当接部を形成して接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させる接触帯電装置を用いることができる。これらの接触帯電部材も、高電圧が不要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0233】
上記図2のように帯電ローラを用いたときの好ましいプロセス条件として、ローラの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)で、直流電圧あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが用いられる。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いる場合は、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±5kVが好ましい。
【0234】
このときの交流電圧は、2×Vth(Vth:直流電圧印加における放電開始電圧)(V)未満のピーク電圧を有するものであるのが好ましい。
【0235】
直流電圧に印加される交流電圧のピーク電圧が、2×Vth未満でないと、像担持体上の電位が不安定となることがあり好ましくない。直流電圧に交流電圧を重畳されたバイアスを印加する際の交流電圧として、より好ましくはVth未満のピーク電圧を有するものである。それにより、実質的な放電現象を伴うことなく、像担持体を帯電させることができる。
帯電工程において用いられる交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交流電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0236】
また、本発明の画像形成方法、特にクリーナレス画像形成方法においては、帯電部材が、帯電部材と像担持体との間に導電性微粉体を介在させる当接部を設ける上で弾性を有することが好ましく、帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電するために導電性であることが好ましい。従って、帯電部材は導電性弾性ローラ、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシ部を有し該磁気ブラシ部を感光体に接触させた磁気ブラシ接触帯電部材或いは導電性繊維から構成されるブラシであることが好ましく良い。
【0237】
本発明において、接触帯電部材として用いる導電性弾性のローラ部材の硬度は、アスカーC硬度が50度以下であることが好ましい。硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、更に、帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粉体を介在させることでローラ部材表層を削り或いは傷つけ、安定した帯電性が得られない。また、硬度が高すぎると被帯電体との間に帯電当接部を確保できないだけでなく、被帯電体表面へのミクロな接触性が悪くなる。さらには、アスカーC硬度で25〜50度が好ましい範囲である。
【0238】
ローラ部材は、弾性を持たせて被帯電体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を充電するに十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方では被帯電体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として感光体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークを得るには、体積抵抗値が1×103〜1×108Ωcmの抵抗であることが良く、より好ましくは体積抵抗値が1×104〜1×107Ωcmであることが良い。
【0239】
ローラ部材の体積抵抗値は、ローラの芯金に総圧1kgの加重がかかるよう直径30mmの円筒状アルミドラムにローラを圧着した状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測することにより測定できる。
【0240】
本発明におけるローラ部材は、例えば、芯金上に可撓性部材としてのゴムあるいは発泡体の中抵抗層を形成することにより作成され得る。中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、芯金の上にローラ状に形成する。その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状を整えローラ部材を作成することができる。該ローラ部材表面は導電性微粉体を介在させるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。
【0241】
このセルは、球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有しており、上記窪みを空隙部としたローラ部材の表面の空隙率は15〜90%であるのが好ましい。
【0242】
ローラ部材の表面の平均セル径が5μmより小さい場合は、導電性微粉体の供給が不足し、300μmを越える場合は、導電性微粉体の供給が過剰となり、いずれも像担持体の帯電電位が不均一となり好ましくない。また、空隙率が15%より少ないと、導電性微粉体の供給が不足し、90%を越えると導電性微粉体の供給が過剰となり、いずれも像担持体の帯電電位が不均一となることから好ましくない。
ローラ部材の材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものがあげられる。また、導電性粒子を分散せずに、或いは導電性粒子と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0243】
また、ローラ部材に用いられる芯金としては、アルミニウム、SUS等が挙げられる。
ローラ部材は、像担持体としての被帯電体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、ローラ部材と像担持体の当接部である帯電当接部を形成させる。この帯電当接部幅は特に制限されるものではないが、ローラ部材と像担持体の安定して密な密着性を得るため1mm以上、より好ましくは2mm以上が良い。
【0244】
また、接触帯電部材としてのブラシ部材としては、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整された帯電ブラシが挙げられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の導電性金属或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性金属の酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0245】
接触帯電部材として帯電ブラシを用いる場合には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状帯電ブラシとしては、例えば、導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとすることができる。導電性繊維は、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
【0246】
帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましく良い。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯電部材と像担持体との帯電当接部及びその近傍の導電性微粉体の介在密度に依存しているため、帯電部材の選択の範囲は広められている。
【0247】
帯電ブラシに用いられる芯金としては、帯電ローラ部材に用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0248】
帯電ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10が特に好ましく挙げられる。
【0249】
また、接触帯電部材が可撓性を有していることが、接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粉体が像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましく良い。つまり、接触帯電部材が導電性微粉体を介して密に像担持体に接触して、接触帯電部材と像担持体の当接部に存在する導電性微粉体が像担持体表面を隙間なく摺擦することで、接触帯電部材による像担持体の帯電は帯電促進粒子の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラ帯電等では得られない高い帯電効率が得られ、接触帯電部材に印加した電圧とほぼ同等の電位を像担持体に与えることができる。
【0250】
更に、当接部を形成する帯電部材の表面の移動速度と像担持体の表面の移動速度には、相対速度差を設けることで、接触帯電部材と像担持体の当接部において導電性微粉体が像担持体に接触する機会を格段に増加させ、より高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましく良い。
【0251】
接触帯電部材と像担持体との当接部に導電性微粉体を介在させることにより、導電性微粉体の潤滑効果(摩擦低減効果)により、接触帯電部材と像担持体との間に大幅なトルクの増大及び接触帯電部材及び像担持体表面の顕著な削れ等を伴うことなく速度差を設けることが可能となる。
【0252】
帯電部に持ち運ばれる像担持体上の転写残トナーを接触帯電部材に一時的に回収し均すために、接触帯電部材と像担持体は、当接部において互いに逆方向に移動させることが好ましく良い。例えば、接触帯電部材を回転駆動し、さらに、その回転方向は、当接部において像担持体表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。即ち、逆方向回転で像担持体上の転写残トナーを一旦引き離し帯電を行なうことにより、優位に直接注入帯電を行なうことが可能である。
【0253】
帯電部材を像担持体表面の移動方向と同じ方向に移動させて速度差をもたせることも可能であるが、直接注入帯電の帯電性は像担持体の周速と帯電部材の周速の比に依存するため、逆方向と同じ周速比を得るには順方向では帯電部材の回転数が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が回転数の点で有利である。
【0254】
速度差を設ける構成としては、接触帯電部材を回転駆動して像担持体と該接触帯電部材に速度差を設けることができる。ここで記述した周速比は、下式(13)で表せる。
【0255】
【数10】
(13)
周速比(%)=(帯電部材周速/像担持体周速)×100
像担持体上の転写残トナーを一時的に回収するとともに導電性微粉体を担持し直接注入帯電を優位に実行する上でも、接触帯電部材として先述したような可撓性部材である導電性弾性のローラ部材或いは回動可能な帯電ブラシロールを用いることが好ましい。
【0256】
像担持体と接触帯電部材との当接部における導電性微粉体の介在量は、少なすぎると、該粒子による潤滑効果が十分に得られず、像担持体と接触帯電部材との摩擦が大きくて接触帯電部材を像担持体に対して速度差を持って回転駆動させることが困難である。つまり、駆動トルクが過大となるし、無理に回転させると接触帯電部材や像担持体の表面が削れてしまう。更に導電性微粉体による接触機会増加の効果が得られないこともあり十分な帯電性能が得られない。一方、介在量が多過ぎると、導電性微粉体の接触帯電部材からの脱落が著しく増加し作像上に悪影響が出る。
【0257】
以上のことより、帯電部材と像担持体との当接部における導電性微粉体の介在量は103個/mm2以上が好ましく、より好ましくは104個/mm2以上が良い。103個/mm2より低いと十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られず帯電性能の低下が生じる傾向がある。104個/mm2より低いと転写残トナーが多い場合に帯電性能の低下が生じる傾向がある。
帯電当接部での導電性微粉体の介在量及び潜像形成工程での像担持体上の導電性微粉体の存在量の測定方法について述べる。導電性微粉体の介在量は接触帯電部材と像担持体の接触面部を直接測ることが望ましいが、当接部を形成する接触帯電部材の表面と像担持体の表面には速度差を設けている場合、接触帯電部材に接触する前に像担持体上に存在した粒子の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部材に剥ぎ取られることから、本発明では接触面部に到達する直前の接触帯電部材表面の粒子量をもって介在量とする。
【0258】
具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で像担持体及び導電性弾性のローラ部材の回転を停止し、像担持体及び導電性弾性のローラ部材の表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影する。導電性弾性のローラ部材については、導電性弾性のローラ部材を像担持体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影する。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測する。また、像担持体上の存在量についても像担持体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測する。
【0259】
本発明の画像形成方法において、感光体は光導電性物質を利用したものであり、表面層を有するものであることが好ましい。
例えば、セレン、アモルファスシリコンなどの無機感光体の上に樹脂を主体とした保護膜を設ける場合、又は機能分離型有機像担持体の電荷輸送層として、電荷輸送物質と樹脂からなる表面層をもつ場合、さらにその上に上記のような保護層を設ける場合等がある。このような表面層に離型性を付与する手段としては、
▲1▼膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる、
▲2▼撥水、親油性を付与するような添加剤を加える、
▲3▼高い離型性を有する材料を粉体状にして分散する、
などが挙げられる。
▲1▼の例としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基等を導入することにより達成する。▲2▼としては、界面活性剤等を添加剤とすればよい。▲3▼としては、フッ素原子を含む化合物、すなわちポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化カーボン等が挙げらる。
【0260】
これらの手段によって感光体表面の水に対する接触角を85度以上とすることができ、トナーの転写性及び感光体の耐久性を一層向上させることができる。好ましくは水に対する接触角は90度以上がよい。
【0261】
これらの手段の中でも、▲3▼の含フッ素樹脂などの離型性粉体を最表面層への分散させる方法が好適であり、特にポリ4フッ化エチレンを用いることが好適である。
【0262】
これらの粉体を表面に含有させるためには、バインダー樹脂中に該粉体を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最上層に該粉体を分散させれば良い。添加量は、表面層総重量に対して、1〜60質量%、さらには、2〜50質量%が好ましい。1質量%より少ないとトナーの転写性及び感光体の耐久性改善の効果が不十分であり、60質量%を越えると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下したりするため、好ましくない。
【0263】
接触角の測定は、滴下式の接触角計(例えば、協和界面科学(株)の接触角計CA−X型)を用いて水の自由表面が感光体に接する場所で、液面と感光体表面のなす角(液の内部にある角)で定義する。
【0264】
なお、上記測定は室温(約21〜25℃)で行われるものとする。後述の実施例においても同様に測定した。
本発明の画像形成方法は、帯電手段が帯電部材を感光体に当接させる直接帯電法であり、オゾンの発生が少ない点で好ましいが、 帯電手段が感光体に接することのないコロナ放電等による方法にくらべて感光体表面に対する負荷が大きいので、上記の構成は感光体寿命という点で改善効果が顕著であり、好ましい適用形態のひとつである。
【0265】
本発明に用いられる感光体のさらに好ましい態様のひとつを以下に説明する。
【0266】
本発明において、感光体の最表面層の体積抵抗値は、1×109〜1×1014Ωcmであることにより、より良好な帯電性を与えることができ好ましい。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体である感光体側の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受が行えるようになる。このためには、最表面層の体積抵抗値としては1×1014Ωcm以下であることが好ましく良い。一方、像担持体として静電潜像を一定時間保持する必要するためには、最表面層の体積抵抗値としては1×109Ωcm以上であることが好ましく良い。
【0267】
更に、感光体の最表面層の体積抵抗値が1×109〜1×1014Ωcmであることにより、プロセススピードの速い装置においても、十分な帯電性を与えることができより好ましい。
【0268】
導電性基体としては、アルミニウム、ステンレス等の金属、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化錫合金等による被膜層を有するプラスチック、導電性粒子を含侵させた紙、プラスチック、導電性ポリマーを有するプラスチック等の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0269】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上・塗工性改良・基体の保護・基体上に欠陥の被覆・基体からの電荷注入性改良・感光層の電気的破壊に対する保護等を目的として下引き層を設けても良い。下引き層は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、ポリウレタン、酸化アルミニウム等の材料によって形成される。その膜圧は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μm程度である。
【0270】
電荷発生層は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素、セレン、非晶質シリコン等の無機物質などの電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工するあるいは蒸着等により形成される。結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80質量%以下、好ましくは0〜40質量%である。また、電荷発生層の膜圧は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0271】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜圧は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン、フェナントレンなどの構造を有する多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、オキサジアゾール、ピラゾリンなどの含窒素環式化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、セレン、セレン−テルル、非晶質シリコン、硫化カドニウム等が挙げられる。また、これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。
【0272】
また表面層として、保護層を設けてもよい。保護層の樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤等が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。
【0273】
また、体積抵抗値を調整するために保護層の樹脂中に導電粒子を分散してもよい。導電粒子の例としては、金属、金属酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化スズ被膜酸化チタン、スズ被膜酸化インジウム、アンチモン被膜酸化スズ、酸化ジルコニウム等の超微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。一般的に保護層に導電粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、本発明における保護層に分散される導電粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。また、保護層中での含有量は、保護層総重量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0274】
表面層の塗工は、樹脂分散液をスプレーコーティング、ビームコーティングあるいは浸透(ディッピング)コーティングすることによって行うことができる。
【0275】
なお、本発明における像担持体の最表面層の体積抵抗値の測定方法は、表面に金を蒸着させたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に像担持体の最表面層と同様の組成からなる層を作成し、これを体積抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140B pA MATER)にて、23℃、65%の環境で100Vの電圧を印加して測定する方法が挙げられる。
次に、本発明の画像形成方法において好ましく適用される接触転写工程について具体的に説明する。本発明において、像担持体からトナー像の転写を受ける記録媒体は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。記録媒体を中間転写体とする場合、中間転写体から紙などの転写材に再度転写することでトナー像が得られる。
【0276】
接触転写工程とは、感光体が記録媒体を介して転写部材と当接しながらトナー像を記録媒体に静電転写するものであるが、転写部材の当接圧力としては線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m(20g/cm)以上である。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、記録媒体の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
【0277】
また、接触転写工程における転写部材としては、転写ローラあるいは転写ベルト等が使用される。図1に転写ローラの構成の一例を示す。転写ローラ34は少なくとも芯金34aと導電性弾性層34bからなり、導電性弾性層34bはカーボン等の導電材を分散させたウレタンやエピクロルヒドリンゴム等の、体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体で作られており、転写バイアス電源35により転写バイアスが印加されている。
【0278】
本発明における接触転写方法は、感光体の表面が有機化合物である画像形成装置において特に有効である。即ち、有機化合物が感光体の表面層を形成している場合には、無機材料を用いた他の感光体よりもトナー粒子に含まれる結着樹脂との接着性が強く、転写性がより低下する傾向にあるためである。
【0279】
また、本発明における接触転写方法を適用する場合、有機化合物として使用される感光体の表面物質としては、たとえばシリコーン樹脂、塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−メチルメタクリレート、スチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されることはなく他のモノマーあるいは前述の結着樹脂間での共重合体およびブレンド体等も使用することができる。
【0280】
また、接触転写方法を適用した本発明の画像形成方法は、直径が50mm以下の小径の感光体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、小径感光体の場合には、同一の線圧に対する曲率が大きく、当接部における圧力の集中が起こりやすいためである。ベルト感光体でも同一の現象があると考えられるが、本発明は、転写部での曲率半径が25mm以下の画像形成装置に対しても有効である。
【0281】
また本発明の画像形成方法においては、カブリの無い高画質を得るために磁性トナー担持体上に磁性トナー担持体−感光体の最近接距離(S−D間)よりも小さい層厚で、磁性トナーを塗布し、交流電圧を印加して現像を行う現像工程で現像される。すなわち、磁性トナー担持体上の磁性トナーを規制する層圧規制部材によって磁性トナー担持体上のトナー層厚よりも感光体と磁性トナー担持体の最近接間隙が広くなるように設定して用いるが、磁性トナー担持体上の磁性トナーを規制する層圧規制部材が磁性トナーを介して磁性トナー担持体に当接されている弾性部材によって規制される事が磁性トナーを均一帯電させる観点から特に好ましい。
【0282】
上記のことから、磁性トナー担持体上に5〜50g/m2のトナー層を形成することが好ましく良い。磁性トナー担持体上のトナー量が5g/m2よりも小さいと、十分な画像濃度が得られにくく、トナーの帯電が過剰になることによるトナー層のムラを生じる。磁性トナー担持体上のトナー量が50g/m2よりも多くなると、トナー飛散を生じ易くなる。
本発明に使用される磁性トナー担持体は、アルミニウム、ステンレススチール等の金属又は合金で形成された導電性円筒(現像ローラ)が好ましく使用される。充分な機械的強度及び導電性を有する樹脂組成物で導電性円筒が形成されていても良く、導電性のゴムローラを用いても良い。また、上記のような円筒状に限られず、回転駆動する無端ベルトの形態をしても良い。
【0283】
また、本発明に使用される磁性トナー担持体の表面粗さはJIS中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。Raが0.2μm未満では磁性トナー担持体上の帯電量が高くなり、現像性が不充分となる傾向がある。Raが3.5μmを超えると、磁性トナー担持体上のトナーコート層にむらが生じ、画像上で濃度むらとなる傾向がある。さらに好ましくは、0.5〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0284】
本発明において、磁性トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JIS B 0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式(14)によって求められる値をミクロメートル(μm)で表したものを言う。
【0285】
【数11】
本発明における磁性トナー担持体の表面粗度(Ra)を上記範囲にするには、例えば、トナー担持体の表層の研磨状態を変える、あるいは球状炭素粒子、カーボン微粒子、グラファイト等を添加することにより可能となる。
さらに、本発明の磁性トナーは高い帯電能力を有するために、現像に際してはトナーの総帯電量をコントロールすることが望ましく、本発明に係わる磁性トナー担持体の表面は導電性微粒子及び/又は滑剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
【0286】
磁性トナー担持体の被覆層に含まれる導電性微粒子は、11.7Mpa(120kg/cm2)で加圧した後の抵抗値が0.5Ωcm以下であるものが好ましい。導電性微粒子としては、カーボン微粒子、カーボン微粒子と結晶性グラファイトとの混合物、または結晶性グラファイトが好ましい。導電性微粒子は、粒径0.005〜10μmを有するものが好ましい。
【0287】
樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂を使用することができる。
【0288】
中でもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、あるいはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。特に、フェノール樹脂が好ましい。
【0289】
導電性微粒子は、樹脂成分10質量部当り、3〜20質量部使用するのが好ましい。
【0290】
カーボン微粒子とグラファイト粒子を組み合わせて使用する場合は、グラファイト10質量部当り、カーボン微粒子1〜50質量部を使用するのが好ましい。
【0291】
導電性微粒子が分散されてる磁性トナー担持体の樹脂層の体積抵抗率は10-6〜106Ωcmが好ましい。
【0292】
また本発明においては、磁性トナーを担持する磁性トナー担持体表面は、像担持体表面の移動方向と同方向に移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよい。その移動方向が同方向である場合像担持体の移動速度に対して、比で100%以上であることが望ましい。100%未満であると、画像品質が悪くなりやすい。移動速度比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。具体的には、磁性トナー担持体表面の移動速度が像担持体表面の移動速度に対し、1.05〜3.0倍の速度であることが好ましい。
【0293】
また、磁性トナー担持体は像担持体に対して100〜1000μmの間隔を有して対向して設置されることが好ましく良い。トナー担持体の像担持体に対する間隔が100μmよりも小さいと、間隔の振れに対するトナーの現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。磁性トナー担持体の像担持体に対する間隔が1000μmよりも大きいと、像担持体上の潜像に対する磁性トナーの追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招く傾向がある。好ましくは120〜500μmが良い。
【0294】
本発明の画像形成方法において、現像工程は磁性トナー担持体に対して交番電界を現像バイアスとして印加して、感光体の静電潜像にトナーを転移させてトナー像を形成する工程であることが好ましく、印加現像バイアスは直流電圧に交番電界を重畳した電圧でもよい。
【0295】
交番電界の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電界の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0296】
トナーを担持をする磁性トナー担持体と像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106V/m、周波数500〜5000Hzの交番電界を現像バイアスとして印加することが好ましく良い。
【0297】
本発明においては、像担持体の帯電面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程が、像露光手段により行われることが好ましい。静電潜像形成のための画像露光手段としては、デジタル的な潜像を形成するレーザ走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
<3>本発明のプロセスカートリッジ
また、本発明は、感光体上に形成された静電潜像をトナーを転移させて可視化してトナー像を形成し、該トナー像を転写材に転写することにより画像を形成する、本発明の画像形成方法が用いられる画像形成装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであり、感光体と、帯電手段と、現像手段とから選ばれる少なくとも2つ以上は一体に支持され、トナーは、本発明の磁性トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0298】
また、感光体、帯電手段、現像手段は、本発明の画像形成方法で用いられるものがそれぞれ使用できる。
【0299】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
<1>磁性粉体の製造
以下のようにして、表面処理磁性粉体1〜13と磁性粉体1'を得た。
<磁性粉体1の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対してl.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約6に調製し、十分攪拌しながらn-ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄に対し1.50質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランカップリング剤を0.50質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性粉体を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を十分解砕処理し、表面処理磁性粉体1を得た。得られた磁性粉体1の物性を表1に示す。
<磁性粉体2の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤1.50質量部をn−デシルトリメトキシシランカップリング剤0.75質量部とし、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを1.25質量部とした事以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体2を製造した。得られた磁性粉体2の物性を表1に示す。
<磁性粉体3の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を1.00質量部とし、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランカップリング剤1.25質量部をフェニルトリメトキシシランカップリング剤1.00質量部とした事以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体3を製造した。得られた磁性粉体3の物性を表1に示す。
<磁性粉体4の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤1.50質量部を1.00質量部とした事以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体4を製造した。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<磁性粉体5の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤1.50質量部を0.50質量部とした事以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体5を製造した。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<磁性粉体6の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤1.50質量部を0.25質量部とした事以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体6を製造した。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<磁性粉体7の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、処理剤をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのみとし、添加量を0.5質量部とした事以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体7を製造した。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<磁性粉体8の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、処理剤をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのみとし、添加量を5.00質量部とした事以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体8を製造した。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<磁性粉体9の製造>
表面処理磁性粉体1の製造と同様に酸化反応を進め、酸化反応後に生成した磁性酸化鉄粉体を洗浄、濾過後、乾燥を行った。その後、得られた磁性酸化鉄に対し、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤1.00質量部、フェニルトリメトキシシランカップリング剤1.00質量部を用い、気相中にて表面処理を行った。その後、凝集している粒子を粉砕処理し、表面処理磁性粉体9を得た。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<磁性粉体10の製造>
磁性酸化鉄粉体の合成時の硫酸第一鉄水溶液量を増やし、空気の吹き込み量を減少させ、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を1.80質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを0.60質量部とした事以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体10を製造した。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<磁性粉体11の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、添加する苛性ソーダ溶液の量及び反応条件を調整した、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を0.90質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを0.30質量部とし事以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体11を製造した。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<磁性粉体12の製造>
表面処理磁性粉体1の製造と同様に、酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性酸化鉄粉体を洗浄、濾過、乾燥し、凝集している粒子を十分に解砕処理し磁性粉体を得た。この磁性粉体100質量部を、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5.0質量部を含むトルエン溶液に分散させ、100℃で3時間熱処理を行うと共に乾燥した。その後、凝集している粒子を十分に解砕処理し、表面磁性粉体12を得た。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<磁性粉体1'の製造>
表面処理磁性粉体1の製造と同様に酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性酸化鉄粉体を洗浄、濾過、乾燥し、凝集している粒子を十分に解砕処理し、磁性粉体1'を得た。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
【0300】
【表1】
<2>導電性微粉体
<導電性微粉体1>
体積平均粒径3.8μm、粒度分布における0.5μm以下が5.3体積%、5μm以上が8個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗80Ωcm、一次粒子径0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子を圧力により造粒した得られた物、白色)を風力分級して得られた、体積平均粒径2.4μm、粒度分布における0.5μm以下が3.8体積%、5μm以上が0個数%の微粒子酸化亜鉛(抵抗1500Ωcm)を導電性微粉体1とする。
【0301】
この導電性微粉体1は、走査型電子顕微鏡にて3000倍及び3万倍で観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜5μmの凝集体からなっていた。
【0302】
後述する実施例1の画像形成装置で画像露光に用いられるレーザビームスキャナの露光光波長740nmにあわせて、波長740nmの光源を用いて、この波長域における透過率をX−Rite社製310T透過型濃度計を用い測定したところ、この導電性微粉体1の透過率はおよそ35%であった。
<導電性微粉体2>
酸化スズ、アンチモンで表面処理された体積平均粒径2.8μmのホウ酸アルミニウムを風力分級によって粗粒子を除いた後に、水系に分散しての濾過を繰り返し行うことで微粒子を除き、体積平均粒径3.5μm、粒度分布における0.5μm以下が0.4体積%、5μm以上が1個数%の灰白色の導電性微粉体2を得た(抵抗40Ωcm)。これを導電性微粉体2とする。
<3>磁性トナーの製造
<磁性トナー1の製造>
イオン交換水720質量部に0.1M−Na3PO4水溶液450質量部、1N塩酸を19質量部投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を添加してCa3(PO4)2を含むpH=5.3の水系媒体を得た。
・スチレン 78質量部
・n−ブチルアクリレート 22質量部
・不飽和ポリエステル樹脂 6質量部
・飽和ポリエステル樹脂 1質量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物)1質量部
・表面処理磁性粉体1 80質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク72℃)10質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部を溶解した。
【0303】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃で8時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてpH2以下で分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径6.9μmのトナー粒子1を得た。
【0304】
このトナー粒子1の100質量部と、個数平均1次粒径12nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理後にシリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0質量部、導電性微粉体1を1.5質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、磁性トナー1を調製した。
【0305】
得られた磁性トナー1、200gを風力分級を行い(エルボージェット分級装置 EJ-L-3:日鉄鉱業製)、磁性トナー(F)を98g、磁性トナー(G)を101g得た。得られた磁性トナー(F)、(G)それぞれについて飽和磁化並びに離型剤の吸熱量の測定を行ったところ、σsf/σsgは0.99であり、Hg/Hfは0.98であった。磁性トナー1の物性を表2に示す。
<磁性トナー2の製造>
イオン交換水720質量部に0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を添加してCa3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
・スチレン 78質量部
・n−ブチルアクリレート 22質量部
・不飽和ポリエステル樹脂 6質量部
・飽和ポリエステル樹脂 1質量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物)1質量部
・表面処理磁性粉体2 80質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク72℃)10質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート4質量部を溶解した。
【0306】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃で8時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてpH2以下で分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径7.1μmの磁性トナー粒子2を得た。
【0307】
この磁性トナー粒子2、100質量部と、個数平均1次粒径12nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0質量部、導電性微粉体1を1.5質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、磁性トナー2を調製した。磁性トナー2の物性を表2に示す。
<磁性トナー3の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体3に変えた事以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー3を製造した。磁性トナー3の物性を表2に示す。
<磁性トナー4の製造>
導電性微粉体1のかわりに導電性微粉体2を用いた事以外は磁性トナー1と同様にして、磁性トナー4を製造した。磁性トナー4の物性を表2に示す。
<磁性トナー5の製造>
導電性微粉体1を用いなかった事以外は磁性トナー1と同様にして、磁性トナー5を製造した。磁性トナー5の物性を表2に示す。
<磁性トナー6の製造>
磁性トナー1の製造で得た磁性トナー粒子1、100質量部と、個数平均1次粒径7nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理し、処理後のBET値が280m2/gの疎水性シリカ微粉体0.8質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い混合して、磁性トナー6を調製した。
磁性トナー6の物性を表2に示す。
<磁性トナー7の製造>
磁性トナー1の製造で得た磁性トナー粒子1、100質量部と、個数平均1次粒径90nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理し、処理後のBET値が25m2/gの疎水性シリカ微粉体4.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い混合して、磁性トナー7を調製した。磁性トナー7の物性を表2に示す。
<磁性トナー8の製造>
エステルワックスの量を0.7質量部とした事以外は磁性トナー5と同様にして磁性トナー8を製造した。磁性トナー8の物性を表2に示す。
<磁性トナー9の製造>
エステルワックスの量を35質量部とした事以外は磁性トナー5と同様にして磁性トナー9を製造した。磁性トナー9の物性を表2に示す。
<磁性トナー10の製造>
表面処理磁性粉体1の量を30質量部とした事以外は磁性トナー5と同様にして磁性トナー10を製造した。磁性トナー10の物性を表2に示す。
<磁性トナー11の製造>
表面処理磁性粉体1の量を160質量部とした事以外は磁性トナー5と同様にして磁性トナー11を製造した。磁性トナー11の物性を表2に示す。
<磁性トナー12の製造>
エステルワックス10質量部をポリエチレンワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク115℃)4質量部に変えた事以外は、磁性トナー粒子1と同様として、磁性トナー粒子12を製造した。
【0308】
この磁性トナー粒子12、100質量部と、磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)で混合し、磁性トナー12を調製した。磁性トナー12の物性を表2に示す。
<磁性トナー13の製造>
ポリエチレンワックス4質量部を8質量部に変えた事以外は、磁性トナー12と同様にして磁性トナー13を製造した。磁性トナー13の物性を表2に示す。
<磁性トナー14の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体5に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー14を製造した。磁性トナー14の物性を表2に示す。
<磁性トナー15の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体5に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー15を製造した。磁性トナー15の物性を表2に示す。
<磁性トナー16の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体6に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー16を製造した。磁性トナー16の物性を表2に示す。
<磁性トナー17の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体7に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー17を製造した。磁性トナー17の物性を表2に示す。
<磁性トナー18の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体8に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー18を製造した。磁性トナー18の物性を表2に示す。
<磁性トナー19の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体9に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー19を製造した。磁性トナー19の物性を表2に示す。
<磁性トナー20の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体10に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー20を製造した。磁性トナー20の物性を表2に示す。
<磁性トナー21の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体11に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー21を製造した。磁性トナー21の物性を表2に示す。
<磁性トナー22の製造>
表面処理磁性粉体1を磁性粉体1に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー22を製造した。磁性トナー22の物性を表2に示す。
<磁性トナー23の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体12に変えた事以外は、磁性トナー5と同様にして磁性トナー23を製造した。磁性トナー23の物性を表2に示す。
<磁性トナー24の製造>
・スチレン 65.0質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 35.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.8質量部
・磁性粉体1 98.0質量部
・磁性トナー1で用いた不飽和ポリエステル 2質量部
・磁性トナー1で用いた飽和ポリエステル 8質量部
上記処方をアトライターを用い均一に分散混合した。その後、60℃に加温し、磁性トナー1の製造で用いたエステルワックス10質量部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.5質量部を添加し、溶解した。
【0309】
次いで、リン酸三カルシウム4質量%の水性コロイド溶液650質量部を60℃に加温した後、上記の重合性単量体系222.3質量部を添加し、TKホモミキサーを用いて室温にて、回転数10000rpmで3分間乳化分散させた。
【0310】
その後、窒素雰囲気下にて攪拌を続けながら、85℃で10時間反応を行った後、室温まで冷却し、磁性トナー粒子分散液を得た。
次に、スチレン13.0質量部、2−エチルヘキシルアクリレート7.0質量部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部、ジビニルベンゼン0.2質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1質量部を水20質量部に投入し、超音波ホモジナイザーを用い分散させ、水乳濁液40.7質量部を得た。
これを、前記磁性トナー粒子分散液中に滴下し、粒子を膨潤させた。その後、窒素雰囲気下にて攪拌を行い、85℃で10時間反応を行った。その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加え分散媒を溶解し、濾過、水洗、乾燥し、ついで風力分級を行い、重量平均粒径7.8μmの磁性トナー粒子24を得た。
【0311】
この磁性トナー粒子24を100質量部と磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)で混合し、磁性トナー24を調製した。磁性トナー24の物性を表2に示す。
<磁性トナー25の製造>
・スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体 100質量部
(重量比78/22)
・不飽和ポリエステル樹脂 6質量部
・飽和ポリエステル樹脂 1質量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 4質量部
・表面処理磁性粉体1 80質量部
・磁性トナー1の製造で用いたエステルワックス 10質量部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径8.4μmの磁性トナー粒子25を得た。この磁性トナー粒子25の100質量部に対して磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部を加え、ヘンシェルミキサーを用い混合し磁性トナー25を調製した。磁性トナー25の物性を表2に示す。
<磁性トナー26の製造>
磁性トナー25の製造で得た磁性トナー粒子25をハイブリタイザーを用い、6000回転で3分間の処理を2回行い磁性トナー粒子26を得た。この磁性トナー粒子26、100質量部に対して磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部を加え、ヘンシェルミキサーを用い混合し磁性トナー26を調製した。磁性トナー26の物性を表2に示す。
<磁性トナー27の製造>
・スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体 100質量部
(重量比78/22)
・不飽和ポリエステル樹脂 6質量部
・飽和ポリエステル樹脂 1質量部
・負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 4質量部
・表面処理磁性粉体1 60質量部
・磁性トナー1の製造で用いたエステルワックス 4質量部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径6.2μmの磁性トナー粒子27'を得た。得られた磁性トナー粒子27'をハイブリタイザーを用い、6000回転で3分間の処理を2回行い、磁性トナー粒子27を得た。
【0312】
この磁性トナー粒子27を50質量部と磁性トナー粒子26を50質量部、磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部を加え、ヘンシェルミキサーを用い混合し磁性トナー27を調製した。磁性トナー27の物性を表2に示す。
【0313】
【表2】
なお、上記各磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さは、磁性トナー20が17.2Am2/kgであり、磁性トナー11が35.9Am2/kg、他の磁性トナーはいずれも24〜28Am2/kgであった。
【0314】
【実施例1】
<感光体1の製造>
感光体としては直径30mmのAlシリンダーを基体とした。これに、図5及び下記に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体1を作成した。
(1)導電被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μm。
(2)下引き層:変性ナイロン及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚0.6μm。
(3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6μm。
(4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量2万)に8:10の質量比で溶解したものを主体とし、さらにポリ4フッ化エチレン粉体(粒径0.2μm)を総固形分に対して10質量%添加し、均一に分散した。膜厚25μm。水に対する接触角は95度であった。
【0315】
なお、接触角の測定は、純水を用い、装置は協和界面科学(株)の接触角計CA−X型を用いた。
<画像形成装置>
画像形成装置として、LBP−1760を改造して、上記実施の形態で示した図2と同様のものを用いた。像担持体としての感光体100には、上記の感光体1を用いた。
【0316】
この感光体に、帯電部材として導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆したゴムローラ帯電器117を当接させ(当接圧60g/cm)、直流電圧−680Vdcに交流電圧2.0kVppを重畳したバイアスを印加して、感光体上を一様に帯電する。帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成する。この時、暗部電位Vd=−680V、明部電位VL=−150Vとした。
【0317】
感光ドラムと現像スリーブとの間隙は230μmとし、磁性トナー担持体として、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層を形成した現像スリーブ102を使用し、現像磁極85mT(850ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm、自由長0.5mmのウレタン製ブレードを39.2N/m(40g/cm)の線圧で当接させた。
・フェノール樹脂 100質量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90質量部
・カーボンブラック 10質量部
次いで、現像バイアスとして直流電圧Vdc=−450V、重畳する交番電界として5.22×106V/m、周波数2100Hzのものを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(94mm/sec)に対して順方向に110%のスピード(103mm/sec)とした。
また、転写部材114としては、図1のような転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を図1中A方向の感光体周速(94mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0318】
定着方法としてはLBP−1760のオイル塗布機能のない、フィルムを介してヒータにより加熱加圧定着する方式の定着装置126を用いた。加圧ローラはフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラの直径は30mmであった。また、定着温度は160℃、ニップ幅を7mmに設定した。
【0319】
最初に、磁性トナー1を使用し、常温常湿環境下(23℃、60%RH)において、印字率3%の横線のみからなる画像パターンで6000枚の画出し試験を行った。なお、記録媒体としては75g/m2の紙を使用した。その結果、磁性トナー1では、初期において高い転写性を示し、転写中抜け、ゴーストもなく、非画像部へのカブリのない良好な画像が得られた。評価結果を表3に示す。
【0320】
本発明の実施例並びに比較例中に記載の評価項目とその判断基準について以下に述べる。
<画像濃度>
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。
<転写効率>
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に下式(15)で計算した。
【0321】
【数12】
上記の計算結果から得られた転写効率を以下の基準で判断した。
A:転写効率が96%以上。
B:転写効率が92%以上、96%未満。
C:転写効率が89%以上、92%未満。
D:転写効率が89%未満。
<画質>
画質の判断基準は、画像の均一性、細線再現性を総合的に評価したものである。
なお、画像の均一性はべた黒画像、ならびに、ハーフトーン画像で判断を行う。
A:細線再現性、画像の均一性に優れ、鮮明な画像。
B:細線再現性、画像の均一性が若干劣るものの、良好な画像。
C:実用的には問題の無い画質。
D:細線再現性、画像の均一性が悪く、実用上好ましくない画像。
<ゴースト>
10mm×10mmのベタ画像複数個を画像の前半に出し、後半は2ドット3スペースのハーフトーン画像をだし、ハーフトーン画像上に前記ベタ画像の痕跡がどの程度出るかを目視で判断する。
A:非常に良好(ゴースト未発生)。
B:良好。
C:実用的には問題の無い画像。
D:ゴーストのレベルがひどく、実用上好ましくない画像。
<カブリ>
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC-6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下式(16)より算出した。
【0322】
【数13】
(16)
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上、2.5%未満)
C:普通(2.5%以上、4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
<定着性>
定着性は、初期から耐久終了までの画像サンプルの裏側に発生する汚れを観察し、発生の有無で判断を行う。
【0323】
【実施例2〜15及び20〜21、並びに参考例1〜4】
トナーとして、磁性トナー2〜21を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、初期の画像特性も問題無く、印字6000枚までいずれも大きな問題の無い結果が得られた。結果を表3に示す。
【0324】
【比較例1〜6】
トナーとして、磁性トナー22〜27を使用し、実施例1と同様の画像形成方法で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、耐久試験と共に画像濃度、転写効率の低下、カブリ、ゴースト、画質の悪化が生じた。これはトナー粒子内部での磁性粉体、離型剤の不均一な分散状態を反映しているものと考えられる。結果を表3に示す。
【0325】
【表3】
【0326】
【実施例22】
また、本発明の磁性トナーは、クリーナレス画像形成方法あるいは現像兼クリーニング(回収)画像形成方法にも適用可能である。以下、具体的実施例によって本発明の画像形成方法を説明するが本発明はなんらこれに限定されるものではない。
<感光体2の製造>
感光体は負帯電用の有機光導電性物質を用いた感光体であり、直径30mmのアルミニウム製のシリンダーを基体とした。これに、図4及び下記に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体2を作成した。
(1)第1層は導電層であり、アルミニウム基体の欠陥等をならすため、またレーザ露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする)である。
(2)第2層は正電荷注入防止層(下引き層)であり、アルミニウム支持体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果し、メトキシメチル化ナイロンによって106Ωcm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
(3)第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料をブチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザ露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
(4)第4層は電荷輸送層であり、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾン化合物を分散した厚さ約25μmの層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
(5)第5層は電荷注入層であり、光硬化性のアクリル樹脂に導電性酸化スズ超微粒子及び粒径約0.25μmの四フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものである。具体的には、アンチモンをドーピングし低抵抗化した粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を樹脂に対して100質量%、更に四フッ化エチレン樹脂粒子を20質量%、分散剤を1.2質量%分散したものである。このようにして調製した塗工液をスプレ−塗工法にて厚さ約2.5μmに塗工し、光照射により硬化させて電荷注入層とした。
【0327】
得られた感光体の表面の抵抗は、5×1012Ωcm、感光体表面の水に対する接触角は、102度であった。
<帯電部材の製造>
直径6mm、長さ264mmのSUSローラを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整え、可撓性部材である、直径12mm、長さ234mmの帯電ローラを作成した。
【0328】
得られた帯電ローラは、抵抗が105Ωcmであり、硬度は、アスカーC硬度で30度であった。また、この帯電ローラ表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均セル径は約100μmで、空隙率は60%であった。
<画像形成装置>
図6は本発明に従う画像形成装置の一例の概略構成模型図である。
【0329】
実施例22で用いる画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを利用した現像兼クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンター(記録装置)である。クリーニングブレード等のクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、磁性トナーとしては磁性トナー1を使用し、磁性トナー担持体上のトナー層と像担持体が非接触となるよう配置される非接触現像の例である。
(1)本実施例プリンターの全体的な概略構成
像担持体としての、上記感光体2を用いた回転ドラム型OPC感光体21は、矢印のX方向に94mm/secの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0330】
接触帯電部材としての上記帯電部材である帯電ローラ22は、感光体21に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体21と帯電ローラ22の当接部である帯電当接部である。本例では、帯電ローラ22は感光体21との接触面である帯電当接部nにおいて対向方向(矢印Y方向)に100%の周速で回転駆動されている。即ち接触帯電部材としての帯電ローラ22の表面は感光体21の表面に対して速度差を持たせた。また、帯電ローラ22の表面には、塗布量がおよそ1×104個/mm2で均一になるように前記導電性微粉体1を塗布した。
【0331】
また帯電ローラ22の芯金22aには帯電バイアス印加電源から−700Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加するようにした。本例では感光体21の表面は帯電ローラ22に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−680V)に直接注入帯電方式にて一様に帯電処理される。これについては後述する。
【0332】
23はレーザダイオード・ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光器)である。このレーザビームスキャナは目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザ光を出力し、該レーザ光で上記感光体21の一様帯電面を走査露光Lする。この走査露光Lにより回転感光体21の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0333】
24は現像器である。感光体21の表面の静電潜像はこの現像器によりトナー像として現像される。本例の現像器24においては、磁性トナーとして実施例1で使用した磁性トナー1を用いた、非接触型の反転現像装置である。磁性トナー1には導電性微粉体1が外添添加されている。
【0334】
感光ドラム21と現像スリーブ24aとの間隙は230μmとし、磁性トナー担持体24aとして、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成のJIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層(層厚約7μm)を形成した現像スリーブを使用し、現像磁極85mT(850ガウス)のマグネットロールを内包し、トナー規制部材24cとして厚み1.0mm、自由長0.5mmのウレタン製ブレードを39.2N/m(40g/cm)の線圧で当接させた。
・フェノール樹脂 100質量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90質量部
・カーボンブラック 10質量部
また、感光体21との対向部である現像部a(現像領域部)にて感光体21の回転方向と順方向(矢印W方向)に感光体21の周速の120%の周速で回転させる。この現像スリーブ24aに弾性ブレード24cにより磁性トナーが薄層にコートされる。磁性トナーは弾性ブレード24cで現像スリーブ24aに対する層厚が規制され、また電荷が付与される。この時、現像スリーブ24aにコートされた磁性トナー量は、15g/m2であった。
【0335】
現像スリーブ24aにコートされた磁性トナーはスリーブ24aの回転により、感光体21とスリーブ24aの対向部である現像部aに搬送される。また、現像スリーブ24aには現像バイアス印加電源より現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は、−450Vの直流電圧と、周波数1800Hz、5.22×106V/mの交番電界を重畳したものを用い、現像スリーブ24aと感光体21の間aで1成分ジャンピング現像を行なわせた。
接触転写手段としての中抵抗の転写ローラ25は、感光体に98N/m(100g/cm)の線圧で圧接させて転写ニップbを形成させてある。この転写ニップ部bに不図示の給紙部から所定のタイミングで記録媒体としての転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ25に転写バイアス印加電源から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体21側のトナー像が転写ニップ部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0336】
本例ではローラ抵抗値は5×108Ωcmのものを用い、+3000Vの直流電圧を印加して転写を行なった。即ち、転写ニップ部bに導入された転写材Pはこの転写ニップ部bを挟持搬送されて、その表面側に感光体21の表面に形成担持されているトナー像が順次に静電気力と押圧力によって転写されていく。
【0337】
26は熱定着方式等の定着器である。転写ニップ部bに給紙されて感光体21側のトナー像の転写を受けた転写材Pは感光体1の表面から分離されてこの定着装置26に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0338】
本例のプリンターはクリーニングユニットを除去しており、転写材Pに対するトナー像転写後の感光体21の表面に残留の転写残トナーはクリーナで除去されることなく、感光体21の回転にともない帯電部nを経由して現像部aに至り、現像装置24において現像兼クリーニング(回収)される。
【0339】
27はプリンター本体に対して着脱自在の画像形成装置及びプロセスカートリッジである。本例のプリンターは、感光体21、帯電ローラ22、現像器24の3つのプロセス機器を一括してプリンター本体に対して着脱自在の画像形成装置及びプロセスカートリッジとして構成してある。画像形成装置及びプロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等は上記に限られるものではなく任意である。28はプロセスカートリジの着脱案内・保持部材である。
(2)本実施例における導電性微粉体の挙動について
現像器24中の磁性トナーに混入させた導電性微粉体は、現像器24による感光体21側の静電潜像のトナー現像時にトナーとともに適当量が感光体21側に移行する。
【0340】
感光体21上のトナー像は転写部bにおいて転写バイアスの影響で記録媒体である転写材P側に引かれて積極的に転移するが、感光体21上の導電性微粉体は導電性であることで転写材P側には積極的には転移せず、感光体21上に実質的に付着保持されて残留する。
【0341】
本例においては、画像形成装置はクリーニング工程を有さないため、転写後の感光体21の表面に残存の転写残トナーおよび上記の残存導電性微粉体は感光体21と接触帯電部材である帯電ローラ22の当接部である帯電部nに感光体21面の移動でそのまま持ち運ばれて、帯電ローラ22に付着或いは混入する。したがって、感光体21と帯電ローラ22との当接部nにこの導電性微粉体が存在した状態で感光体21の直接注入帯電が行なわれる。
【0342】
この導電性微粉体の存在により、帯電ローラ22にトナーが付着・混入した場合でも、帯電ローラ22の感光体21への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該帯電ローラ22による感光体21の直接注入帯電を行なわせることができる。
【0343】
つまり、帯電ローラ22が導電性微粉体を介して密に感光体21に接触して、帯電ローラ22と感光体21の相互接触面に存在する導電性微粉体が感光体21表面を隙間なく摺擦することで、帯電ローラ22による感光体21の帯電は導電性微粉体の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、帯電ローラ22に印加した電圧とほぼ同等の電位を感光体21に与えることができる。
【0344】
また帯電ローラ22に付着或いは混入した転写残トナーは帯電ローラ22から徐々に感光体21上に吐き出されて感光体21面の移動とともに現像部に至り、現像手段において現像兼クリーニング(回収)される。
【0345】
現像兼クリーニングは、転写後に感光体21上に残留したトナーを、引き続く画像形成工程の現像時、即ち引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、該潜像の現像時において、現像装置のかぶり取りバイアス、即ち現像器に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vbackによって回収するものである。本実施例におけるプリンターのように反転現像の場合では、この現像兼クリーニングは、現像バイアスによる感光体の暗部電位から現像スリーブにトナーを回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位へトナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0346】
また、画像形成装置が稼働されることで、現像器24の磁性トナー中に混入させてある導電性微粉体が現像部aで感光体21面に移行し該像担持面の移動により転写部bを経て帯電部nに持ち運ばれて帯電部nに新しい導電性微粉体が逐次に供給され続けるため、帯電部nにおて導電性微粉体が脱落等で減少したり、該粉体が劣化するなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0347】
かくして、接触帯電方式、転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、接触帯電部材として簡易な帯電ローラ22を用いて、しかも該帯電ローラ22の転写残トナーによる汚染にかかわらず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることが出来、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0348】
また、前述のように導電性微粉体は帯電性を損なわないために、電気抵抗値が1×109Ωcm以下である必要がある。そのため、現像部aにおいて磁性トナーが直接感光体21に接触する接触現像器を用いた場合には、現像像剤中の導電性微粉体を通じて、現像バイアスにより感光体21に電荷注入され、画像かぶりが発生してしまう。
【0349】
しかし、本例では現像器は非接触型現像器であるので、現像バイアスが感光体21に注入されることがなく、良好な画像を得ることが出来る。また、現像部aにおいて感光体21への電荷注入が生じないため、ACのバイアスなど現像スリーブ24aと感光体21間に高電位差を持たせることが可能であり、導電性微粉体が均等に現像されやすく、均一に導電性微粉体を感光体21表面に塗布し、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることが出来き、良好な画像を得ることが可能となる。
【0350】
帯電ローラ22と感光体21との接触面nに導電性微粉体を介在させることにより、該導電性微粉体の潤滑効果(摩擦低減効果)により帯電ローラ22と感光体21との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。
【0351】
帯電ローラ22と感光体21との間に速度差を設けることにより、帯電ローラ22と感光体21の相互接触面部nにおいて導電性微粉体が感光体21に接触する機会を格段に増加させ、高い接触性を得ることができ、良好な直接注入帯電を可能としている。
【0352】
本実施例では、帯電ローラ22を回転駆動し、その回転方向は感光体21表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することで、帯電部nに持ち運ばれる感光体21上の転写残トナーを帯電ローラ22に一時的に回収し均す効果を得ている。即ち、逆方向回転で感光体21上の転写残トナーを一旦引離し帯電を行なうことにより優位に直接注入帯電を行なうことが可能である。
【0353】
更に、本実施例では像担持体としての感光ドラム21と接触帯電部材としての帯電ローラ22との帯電当接部nにおける適当な量の導電性微粉体の介在によって、導電性微粉体による潤滑効果により帯電ローラ22と感光ドラム21との摩擦を低減し、帯電ローラ22を感光ドラム21に速度差を持って回転駆動させることが容易である。つまり、駆動トルクが低減し、帯電ローラ22や感光ドラム21の表面の削れ或いは傷を防止できる。更に該粒子による接触機会増加により十分な帯電性能が得られる。また、導電性微粉体の帯電ローラ22からの脱落よる作像上に悪影響もない。
(3)評価
23℃、60%RH環境下において画出し試験を行った。感光体としては最表面層の体積抵抗が5×1012Ωcmの上述の感光体2を用い、転写材としては75g/m2の紙を使用した。初期画像特性においては、帯電不良に起因するカブリは見られず、解像性の高い良好な画像濃度が得られた。この時、直接注入帯電後感光体電位は、印加帯電バイアス−700Vに対して−680Vであった。次に、印字率3%の横線のみからなる画像パターンで耐久性の評価を行った。その結果、6000枚の間欠プリント後まで帯電不良に起因する画像欠陥を生じず、良好な直接注入帯電性が得られた。
【0354】
6000枚の間欠プリント後の直接注入帯電後感光体電位は、印加帯電バイアス−700Vに対して−660Vであり、初期からの帯電性の低下は20Vと軽微であり、帯電性の低下による画像品質の低下は認められなかった。得られた結果を表4に示す。
【0355】
【表4】
表4から分かるように、磁性トナー1を用いれば、本発明のクリーナレス画像形成方法においても選択現像性が少なく、耐久6000枚まで良好な耐久性を示した。
【0356】
【実施例23〜25】
磁性トナー2、3、5を用い、実施例22と同様の条件で耐久性の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
【0357】
表4から分かるように、いずれのクリーナレス画像形成方法においても選択現像性が少なく、耐久6000枚まで良好な耐久性を示した。
【0358】
【発明の効果】
本発明の磁性トナーを用いることにより、多数枚耐久においても良好なトナー性能が維持されると共に、ゴースト、カブリの無い高精細な画像を長期間安定して与える事が出来る。
【0359】
更に、本発明の磁性トナーを用いた接触帯電方法及び磁性一成分現像方法から成る画像形成方法、及び接触帯電方式、当接転写方式、トナーリサイクルプロセスを用いる画像形成方法においても、トナーの性能劣化が無いため、繰り返し使用においても良好な画像を長期間安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法を実施するための接触転写部材の概略構成図を示す。
【図2】 本発明の方法を実施するための画像形成装置の概略構成図を示す。
【図3】 本発明の方法を実施するための現像器の概略構成図を示す。
【図4】 本発明の方法を実施するための像担持体の層構成模式図を示す。
【図5】 本発明の方法を実施するための像担持体の層構成模式図を示す。
【図6】 実施例22〜25における画像形成装置の概略構成図を示す。
【符号の説明】
100:感光体
34:転写ローラ
34a:芯金
34b:弾性層
102:現像スリーブ
114:転写ローラ
116:クリーナ
117:帯電ローラ
121:レーザビームスキャナ
124:レジスタローラ
125:搬送ベルト
126:定着器
140:現像器
141:攪拌部材
103:弾性ブレード
104:マグネットローラ
11:アルミニウム基体
12:導電層
13:正電荷注入防止層
14:電荷発生層
15:電荷輸送層
16:電荷注入層
16a:導電粒子(導電フィラー)
21:感光体
22:帯電ローラ
22a:芯金
23:レーザビームスキャナ
24:現像器
24a:現像スリーブ
24b:攪拌部材
24c:トナー規制部材
25:転写ローラ
26:定着器
26a:ヒータ
26b:定着フィルム
26c:加圧ローラ
27:プロセスカートリッジ
28:カートリッジ保持部材
Claims (16)
- 少なくとも結着樹脂、離型剤及び磁性粉体を含有する磁性トナー粒子を有し、重量平均粒径が3〜10μmの磁性トナーにおいて、
該磁性トナー粒子は、重合性単量体、磁性粉体及び離型剤を少なくとも含有する重合性単量体系を水系媒体に分散し、造粒し、該重合性単量体系に含有される重合性単量体を重合して製造されたものであり、
該磁性粉体は、水系媒体中で分散しつつシランカップリング剤を加水分解しながら疎水化処理された磁性酸化鉄であり、シランカップリング剤による処理量が、該磁性酸化鉄100質量部に対して、0.05〜20質量部であり、
該磁性トナーは磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am2/kg(emu/g)であり、
該磁性トナーの粒度分布は、重量平均粒径/数平均粒径の比が1.40以下であり、
該磁性トナーの平均円形度は0.970以上であり、
該磁性トナーは、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05〜1.50%であり、
該磁性トナーを風力分級により、重量比がおおむね1:1となるように2分割したときの、平均粒径が小さい側の粒子群である磁性トナー(F)と、平均粒径が大きい側の粒子群である磁性トナー(G)に関し、それぞれの飽和磁化をσsf、σsgとしたときに下式(1)を満たし、
示差走査熱量計により測定される前記磁性トナー(F)、(G)それぞれの前記離型剤の吸熱量をHf、Hgとしたときに、下式(2)を満たすことを特徴とする磁性トナー。
【数1】
(1) 0.80<σsf/σsg<1.00
(2) 0.25<Hg/Hf<1.00 - 前記磁性粉体が、水酸化第一鉄を含む水溶液において、該水酸化第一鉄の酸化反応を行うことによって得られた磁性酸化鉄を、酸化反応終了後、乾燥工程を経ないでシランカップリング剤によって疎水化処理したものであることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
- 前記磁性トナーの粒度分布において、重量平均粒径/数平均粒径の比が1.35以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 前記飽和磁化σsf、σsgが下記式(3)を満たし、及び前記吸熱量Hf、Hgが下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性トナー。
【数2】
(3)0.87<σsf/σsg <1.00
(4)0.60<Hg/Hf <1.00 - 前記磁性トナーは、離型剤を結着樹脂に対し1〜30質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- 前記離型剤の示差走査熱量分析による吸熱ピークは、40〜110℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- 前記該磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率は、0.05〜1.00%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- 前記磁性粉体は、二重結合を有するシランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- 前記磁性粉体は、二重結合を有さない少なくとも一種類以上のシランカップリング剤と、二重結合を有するシランカップリング剤で表面処理されている事を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁性トナー。
- 帯電部材に電圧を印加し、像担持体を帯電させる帯電工程と、
帯電された像担持体に静電潜像として画像情報を書き込む静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を表面に保持する像担持体と、磁性トナーを表面に担持する磁性トナー担持体とを一定の間隔を設けて配置することにより現像部を形成し、磁性トナーを前記磁性トナー担持体表面に前記間隔よりも薄い厚さにコートさせ、交番電界が印加されている前記現像部において前記磁性トナーを前記静電潜像に移転させてトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程とを有し、像担持体上に繰り返して作像が行われる画像形成方法において、
前記磁性トナーは、請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁性トナーであることを特徴とする画像形成方法。 - 前記現像工程は、トナー像を記録媒体上に転写した後に像担持体に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
- 前記帯電工程において、少なくとも帯電部材と像担持体の当接部に、導電性微粉体が介在していることを特徴とする請求項10又は11に記載の画像形成方法。
- 前記帯電工程は、アスカーC硬度が25〜50度のローラ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記帯電工程は、前記ローラ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であり、前記ローラ部材は、少なくとも表面が球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有しており、前記窪みを空隙部としたローラ部材の表面の空隙率が15〜90%であることを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
- 前記帯電工程は、前記帯電部材として、導電性を有するブラシ部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 感光体上に形成された静電潜像をトナーを転移させて可視化してトナー像を形成し、該トナー像を記録媒体に転写することにより画像を形成する画像形成装置から着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、感光体と、前記感光体を所定の電位に帯電させる帯電手段と、トナーを有し、前記感光体上に形成された静電潜像に該トナーを転移させて可視化し、トナー像を形成する現像手段と、から選ばれる少なくとも2つ以上は一体に支持され、前記トナーは、請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁性トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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