JP4371643B2 - トナー及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法等において静電荷潜像を顕像化するための画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成法としては、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法など多数の方法が知られている。例えば、電子写真法は、一般には光導電性物質を利用した感光体などの像担持体の上に、種々の手段により電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行って可視像のトナー像とし、必要に応じて紙などの記録媒体にトナー像を転写した後、熱・圧力等により記録媒体上にトナー像を定着して画像を得るものである。
【0003】
一般には、この際、転写後に像担持体上に記録媒体に転写せずに残余したトナーが、種々の方法でクリーニングされ廃トナーとして廃トナー容器に蓄えられるクリーニング工程を経て、上述の工程が繰り返される画像形成法が用いられてきた。
【0004】
これに対し、廃トナーのでないシステムとして、現像兼クリーニング又はクリーナーレスと呼ばれる技術も提案されている(例えば、特許文献1乃至9参照)。しかしながら、従来の現像兼クリーニング又はクリーナーレスに関する技術の開示は、画像上に転写残余のトナーの影響によるポジメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主である。電子写真の利用が進んでいる今日、様々な記録媒体に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な記録媒体に対し満足するものではない。
【0005】
現像兼クリーニング又はクリーナーレスに好ましく適用される現像方法として、本質的にクリーニング装置を有さない現像兼クリーニングでは、像担持体表面をトナー及びトナー担持体により擦る構成が必須とされてきたため、トナー或いはトナーが像担持体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナーを回収するために、トナー或いはトナーが像担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、接触現像方法を適用した現像兼クリーニング又はクリーナーレスプロセスでは、長期間使用によるトナー劣化、トナー担持体表面劣化、像担持体表面劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方法による現像兼クリーニング方法が望まれていた。
【0006】
また、電子写真装置や静電記録装置等に用いられる画像形成方法において、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体上に潜像を形成する方法についても様々な方法が知られている。
【0007】
近年では、像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0008】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、(1)放電帯電機構と(2)直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0009】
(1)放電帯電機構
接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象により被帯電体表面が帯電する機構である。放電帯電機構は接触帯電部材と被帯電体に一定の放電しきい値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オゾンなど活性イオンによる弊害は避けられない。
【0010】
(2)直接注入帯電機構
接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する系である。直接帯電、あるいは注入帯電、あるいは電荷注入帯電とも称される。より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この帯電系はイオンの発生を伴わないため放電生成物による弊害は生じない。しかし、直接注入帯電であるため、接触帯電部材の被帯電体への接触性が帯電性に大きく効いてくる。そこでより高い頻度で被帯電体に接触する構成をとるため、接触帯電部材はより密な接触点を持つ、被帯電体との速度差を多く持つ等の構成が必要となる。
【0011】
接触帯電装置は、接触帯電部材として導電ローラー(帯電ローラー)を用いたローラー帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。
【0012】
従来のローラー帯電における帯電機構は前記(1)の放電帯電機構が支配的である。帯電ローラーは、導電あるいは中抵抗のゴム材あるいは発泡体を用いて作成される。さらにこれらを積層して所望の特性を得たものもある。
【0013】
帯電ローラーは被帯電体との一定の接触状態を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接注入帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下や接触性の不足やローラー形状による接触ムラや被帯電体の付着物による帯電ムラは避けられない。
【0014】
図7は電子写真法における接触帯電の帯電効率例を表わしたグラフである。横軸に接触帯電部材に印加したバイアス、縦軸にはその時得られた被帯電体(以下、感光体)の帯電電位を表わすものである。ローラー帯電の場合の帯電特性はAで表わされる。即ち凡そ−500Vの放電閾値を過ぎてから帯電が始まる。
【0015】
従って、−500Vに帯電する場合は−1000Vの直流電圧を印加するか、あるいは、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つようにピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して感光体の電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0016】
より具体的に説明すると、厚さ25μmのOPC感光体に対して帯電ローラーを加圧当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。
【0017】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには帯電ローラーにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0018】
しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0019】
このため、更なる帯電の均一化を図るために、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる(例えば、特許文献10参照)。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。ところが、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、接触帯電部材から感光体への放電現象を用いているため、先に述べたように接触帯電部材に印加する電圧は感光体表面電位以上の値が必要とされ、ある程度量のオゾンは発生する。
【0020】
また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合にはさらなるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による感光体表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0021】
また、ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。このファーブラシ帯電もその帯電機構は前記(1)の放電帯電機構が支配的である。このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の帯電特性は図7のBに示される特性をとる。従って、ファーブラシ帯電の場合も、高い帯電バイアスを印加し放電現象を用いて帯電を行っている。
【0022】
これらに対し、磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0023】
この磁気ブラシ帯電の場合はその帯電機構は前記(2)の直接注入帯電機構が支配的である。磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一に直接注入帯電を可能にする。図7の帯電特性グラフのCにあるように、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能になる。しかしながら、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等の弊害もある。
【0024】
ここで、これらの接触帯電方法を現像兼クリーニング方法、クリーナーレス画像形成方法に適用した場合を考える。
【0025】
現像兼クリーニング方法、クリーナーレス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないために感光体上に残余する転写残トナーが、そのまま接触帯電部材と接触し、付着或いは混入する。また、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、放電エネルギーによるトナー劣化に起因する帯電部材への付着性の悪化も生ずる。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に付着或いは混入すると、帯電性の低下が起こる。
【0026】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こる。
【0027】
これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着或いは混入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0028】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度のムラ幅を拡大させる或いはカブリを増大させる。
【0029】
また、現像兼クリーニング方法、クリーナーレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなり、転写残トナーの帯電極性及び帯電量制御を帯電部材によって行うこととなる。
【0030】
これについて具体的に一般的なレーザープリンターを例として説明する。
【0031】
マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化された像を記録媒体に転写することになるが、記録媒体の種類(厚み、抵抗値、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残トナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残トナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された転写残トナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には現像電界の関係上トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残トナーは残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残トナーの帯電極性を制御することにより、現像兼クリーニング、クリーナーレス画像形成方法が成立する。
【0032】
しかしながら、転写残トナーが接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様に転写残トナーの帯電極性を揃えることができず、トナー担持体によってトナーを回収することが困難となる。また、トナー担持体に摺擦等の機械的力によって回収されたとしても、転写残トナーの帯電が均一に揃えられていないと、トナー担持体上のトナーの帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。
【0033】
すなわち、現像兼クリーニング、クリーナーレス画像形成方法に於いては、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。
【0034】
帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行うために、接触帯電部材の被帯電体面との接触面に粉末を塗布するという技術もあるが、この場合にも、接触帯電部材(帯電ローラー)が被帯電体(感光体)に対し従動回転(速度差駆動なし)であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原理は前述のローラー帯電の場合と同様に依然として放電帯電機構が主である。特に、より安定した帯電均一性を得るために、DC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加することが好ましく、この場合には、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合には、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、クリーナーレスの画像形成装置に適用した場合には、転写残トナーの混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に付着していることが困難となり、均一帯電を行う効果が薄れてしまう(例えば、特許文献11参照)。
【0035】
また、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、トナー中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性粒子を含有させるという技術もある(例えば、特許文献12参照)。しかし、ここで用いられた接触帯電或いは近接帯電は、放電帯電機構によるもので直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、クリーナーレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して多量の導電性粒子及び転写残トナーが帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性粒子及び転写残トナーの現像工程における回収性、回収された導電性粒子及び転写残トナーによるトナーの現像特性への影響に関して何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残トナーの影響による帯電不良を生じてしまう。
【0036】
また、近接帯電では、多量の導電性粒子及び転写残トナーにより感光体を均一帯電することが困難であり、転写残トナーのパターンを均す効果が得られないため転写残トナーのパターン画像露光を遮光するためのパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断或いは紙詰まり時にはトナーによる機内汚染が著しくなる。
【0037】
また、現像兼クリーニング画像形成方法において、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性を向上させることで現像兼クリーニング性能を向上させるために、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するトナーを用いるという技術もある(例えば、特許文献13参照)。更に、現像兼クリーニング画像形成方法において、トナーの形状係数を規定した転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー量を減少させることで現像兼クリーニング性能を向上させることも提案されている。しかしながら、ここで用いられた接触帯電も放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、これらの提案は、接触帯電部材の転写残トナーによる帯電性低下を抑制する効果はあっても、帯電性を積極的に高める効果は期待できない。
【0038】
更には、市販の電子写真プリンターの中には、転写工程と帯電工程の間に感光体に当接するローラー部材を用い、現像での転写残トナー回収性を補助或いは制御する現像兼クリーニング画像形成装置もある。このような画像形成装置は、良好な現像兼クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、コストが高くなり、小型化の点でも現像兼クリーニングの利点を損ねている。
【0039】
これらに対し、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含むトナーを、直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用することが試みられている(例えば、特許文献14参照)。この場合、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。
【0040】
また、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性粒子を含むトナーを、直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用し、導電性粒子に転写促進効果を持たせるという試みもある(例えば、特許文献15参照)。
【0041】
微粒子の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及びより良好な帯電均一性を得るために微粒子の粒径を10nm〜50μmとする試みや、人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとする試みもある(例えば、特許文献16、17参照)。
【0042】
また、微粒子の粒径をトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害する、あるいは現像バイアスが微粒子を介してリークすることを防止し、画像の欠陥を抑制し、更に、微粒子の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、像担持体に微粒子が埋め込まれ露光光を遮光する弊害を解決し、優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を達成する試みもなされている(例えば、特許文献18参照)。
【0043】
確かにこれらの提案によれば、現像兼クリーニング画像形成方法が達成され、クリーナーレスシステムが可能となる。
【0044】
但し、上記提案中では、帯電促進粒子として導電性の高い微粉子を使用しており、かつ感光体表面が一定範囲内の抵抗特性を持つという前提でクリーナーレスシステムが成り立っている。しかしながら、一般の感光体表面の抵抗特性はある程度不均一なものであり、低抵抗の微小点、所謂ピンホールというものがどうしても存在する。こういったピンホールを持つ感光体と導電性微粒子を組み合わせて接触帯電機構を用いると、ピンホールの部分で過剰な電流が流れてしまい、画像欠陥が発生する。例えば軽度の欠陥としては黒点として現れ、重度な場合は帯電に必要な電流がピンホールに集中して感光体が帯電されず、非画像部分であっても帯電部材接触部分に対応して現像されてしまうといった問題が発生する。
【0045】
これに対し、転写工程の後にクリーニング工程を設けた画像形成方法においても、クリーニング工程をすり抜ける微粒子は必ず存在し、像担持体上に残留して接触帯電部材と像担持体との当接部まで持ち運ばれるため、上記の問題は不可避なものと言える。
【0046】
このような問題は部材の抵抗が低下しやすい高湿下において特に顕著に発生する。従来の技術ではこういった実際面での問題は考慮されていない。
【0047】
また、環境の変動が生じた場合や長期耐久の場合におけるトナーの摩擦帯電量の変動を抑制し、画像濃度の低下を抑制するために、トナーに金属酸化物微粒子を添加するという技術も知られている。
【0048】
例えば、トナーを構成する結着樹脂中に、体積抵抗値が1×105〜1×108Ωcmの公知の金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズなど)を添加する技術が知られており、また、金属酸化物の還元体)やアンチモン含有酸化スズ、カーボンブラック粉体、金属粒子などの低抵抗化粒子をトナーに外添させる技術も知られている(例えば、特許文献19乃至21参照)。
【0049】
アルミナ、酸化亜鉛、酸化スズなどの公知の金属酸化物は、常温常湿の環境下では、表面の水酸基の影響で1×106〜1×107Ωcm程度の抵抗値を示すことが多い。しかしながら、抵抗値が湿度に依存して絶えず抵抗が変動する為に、トナーに含有しても物性が安定しないことがある。
【0050】
アンチモンを含有する酸化スズは、大気雰囲気下の焼成で容易に導電性を発現させることができるので湿度による抵抗変動は防止されるが、焼成品は青色から黒青色を呈している。トナーに外添して用いた場合、画像形成工程でトナーから遊離した酸化スズが転写紙に転写されると、有色による画質低下を引き起こす。また、カラートナーへの添加では、色再現性を低下させる要因にもなる。
【0051】
酸化スズ、酸化チタンなどの金属酸化物を水素ガスなどの還元性雰囲気下で焼成しスズ成分の一部を還元することにより導電性を発現させた酸化物、もしくはカーボンブラック等は、還元処理により焼成品は黒色を帯びてしまい、上述のアンチモンを含有する酸化スズと同様にトナーの色再現性や画質低下を引き起こす。
【0052】
更には、金属粒子のような低抵抗物質は、高電界を必要とする現像工程においてリーク現象を引き起こす要因になることがある為に長期安定性に欠ける。
【0053】
また、上記の微粒子は、単一粒子構成であり、凝集性が高く、粒度分布がブロードなことが多い。目的の粒径や粒度分布を達成するには、造粒管理技術はもちろんのこと、機械的な粉砕、解砕、分級などの後工程に多くの時間を要することになる。粒径によっては、造粒管理では対応困難な場合があったり、小径粒子の生産では粒子の凝集性から粉砕や分級の効率が低下することもあり、更には、公知の製造方法では、凝集性を改良するには限界も指摘されていた。このような粒子を含有するトナーは、流動性が不均一になることがあり、画像形成時に濃度の変動や画像カブリを引き起こしやすいという課題があった。
【0054】
また、芯材上にリン元素、フッ素元素、アンチモン元素でそれぞれドープされた酸化スズ層を有する導電性顔料、或いはフィラーも知られているが、これらを現像剤に添加しようという試みはなされていない(例えば、特許文献22乃至24参照)。
【0055】
また、タングステン元素をドープした酸化スズも知られているが、現像剤に適用するという試みはなされていない(例えば、特許文献25参照)。
【0056】
【特許文献1】
特開平5−2287号公報
【特許文献2】
特開昭59−133573号公報
【特許文献3】
特開昭62−203182号公報
【特許文献4】
特開昭63−133179号公報
【特許文献5】
特開昭64−20587号公報
【特許文献6】
特開平2−302772号公報
【特許文献7】
特開平5−2289号公報
【特許文献8】
特開平5−53482号公報
【特許文献9】
特開平5−61383号公報
【特許文献10】
特開昭63−149669号公報
【特許文献11】
特公平7−99442号公報
【特許文献12】
特開平5−150539号公報
【特許文献13】
特開平1−15206号公報
【特許文献14】
特開平10−307456号公報
【特許文献15】
特開平10−307421号公報
【特許文献16】
特開平10−307455号公報
【特許文献17】
特開平10−307457号公報
【特許文献18】
特開平10−307458号公報
【特許文献19】
特開平6−175392号公報
【特許文献20】
特公平7−113781号公報
【特許文献21】
特開平6−118693号公報
【特許文献22】
特開平8−109341号公報
【特許文献23】
特開平6−192592号公報
【特許文献24】
特開平5−17622号公報
【特許文献25】
特開平9−278445号公報
【0057】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、環境変動に強く、高画質な画像が得られるトナーを提供することにある。
【0058】
本発明の目的は、耐久性に優れ、高画質な画像が得られるトナーを提供することにある。
【0059】
本発明の目的は、接触帯電機構を用いる際、ピンホールでの過剰電流を抑制し、高湿下でも安定した帯電性能を有し、長時間の使用においても画像再現性に優れた画像形成方法を提供することにある。
【0060】
また本発明の目的は、転写残トナーの回収性に優れ、良好な現像兼クリーニング画像形成を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0061】
また、本発明の目的は、安定した帯電性及び現像兼クリーニング性を組み合わせることによりクリーナーレス画像形成を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0062】
本発明の目的は、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる際においても良好な画像を安定して得られるクリーナーレス画像形成方法を提供することにある。
【0063】
さらに本発明の目的は、高湿下においても良好な画像を長期に渡って安定して得られるクリーナーレス画像形成方法を提供することにある。
【0064】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と微粒子とを有し、
該トナー粒子は、重量平均粒径が3乃至10μmであり、
該微粒子は、i)体積平均粒径が0.1乃至5μmであり、ii)母体粒子にタングステン元素を含有するスズ化合物を被覆した構成を有し、スズ元素(Sn)の質量をSn(mass)、母体粒子の質量をB(mass)としたとき、スズ元素(Sn)の母体粒子(B)に対する質量比(Sn(mass)/B(mass))が0.01乃至2.0であり、タングステン元素(W)のモル数をW(mol)、スズ元素(Sn)のモル数をSn(mol)としたとき、タングステン元素(W)のスズ元素(Sn)に対するモル比(W(mol)/Sn(mol))が0.001乃至0.3であり、
該微粒子のトナー粒子からの遊離率が5883%であることを特徴とするトナーに関する。
【0065】
更に、本発明は、帯電部材に電圧を印加して像担持体に接触させて、像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された前記像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、トナー担持体上に担持させたトナーを、前記像担持体表面に保持された前記静電潜像に転移させてトナー像を形成する現像工程と、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写材に静電転写する転写工程とを少なくとも含む画像形成方法において、前記トナーとして、上記のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0066】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明のトナーに含有される微粒子について説明する。
【0067】
<1>トナーに含有される微粒子
本発明のトナーに含有される微粒子は、母体粒子にタングステン元素を含有するスズ化合物を被覆した構成を有し、スズ元素(Sn)の質量をSn(mass)、母体粒子の質量をB(mass)としたとき、スズ元素(Sn)の母体粒子(B)に対する質量比(Sn(mass)/B(mass))が0.01乃至2.0であり、タングステン元素(W)のモル数をW(mol)、スズ元素(Sn)のモル数をSn(mol)としたとき、タングステン元素(W)のスズ元素(Sn)に対するモル比(W(mol)/Sn(mol))が0.001乃至0.3であるものである。このような微粒子は、白色或いは白色に近い色調を有するものであり、また、これを含有したトナーは、均一な摩擦帯電性が長期的に得られるので、良好な画質が得られる。特に、低湿度下での異常な摩擦帯電によるチャージアップが防止されたり、高湿度下では、トナーの吸湿による摩擦帯電量の低下を防止し、安定な摩擦帯電性を付与したりすることができる。このような摩擦帯電性の付与効果を損なわない範囲であれば、その他の元素を併用しても良い。
【0068】
トナーに係る微粒子は、酸化スズを母体粒子に担持した2層構成であり、これを含有した本発明のトナーは、流動性に優れ且つ均一に調製できるので、急激な環境変動や長期放置後においても摩擦帯電性が効率よく立ち上がり、その結果、連続して高画質が得られる。
【0069】
トナーに係る微粒子は、酸化スズが母体粒子に良好に担持されているものであり、長期の使用においてもはがれにくく、粒子特性の経時変化が小さいものである。
【0070】
また、本発明のトナーに含有される微粒子は、スズ元素(Sn)の母体粒子(B)に対する質量比(Sn/B)で、0.01乃至2.0の割合で含有されているスズ化合物によって、適度な導電性を有するものとなる。帯電工程における電圧印加時、帯電部材と像担持体との間に微粒子が存在する場合には、電流はスズ化合物中を伝って流れることになるが、母体粒子に対するスズ化合物の量が規定されているため、大電流が流れにくく、そのため、像担持体表面にピンホールが存在していても過剰に電流が流れるのが抑制され、同時に画像欠陥の発生も抑制される。更に、スズ化合物が含有されているため、微粒子としては比較的低抵抗であり、通常の電流値の範囲内で帯電工程を行った場合には、トナーの帯電の均一性を大きく向上できることも明らかとなった。
【0071】
また、母体粒子にスズ化合物を担持させる場合には、Sn(mass)/B(mass)が0.01未満では摩擦帯電性の環境変動が発生することがある。また、製造上の容易さから、Sn(mass)/B(mass)は2.0以下であることが好ましい。また、Sn(mass)/B(mass)が2.0を超えると流動性を向上させる効果が低下することがある。
【0072】
また、タングステン元素(W)のモル数をW(mol)、スズ元素(Sn)のモル数をSn(mol)としたとき、微粒子がスズ元素に対し、モル比(W(mol)/Sn(mol))0.001乃至0.3でタングステン元素(W)を有する場合に、大電流がより流れにくく、過剰な電流の抑制効果が一層顕著であった。
【0073】
(mol)/Sn(mol)が0.001未満では摩擦帯電性の環境変動が発生することがあり、0.3を超えると酸化スズの機械的強度が低下し十分な耐久性が得られないことがある。
【0074】
微粒子中のスズ元素およびタングステン元素は、ICPやESCAなどで定性定量することができる。
【0075】
具体的には、以下のようにして求める。
【0076】
母体粒子が酸及びアルカリに対して不溶である場合:先ず、ESCA分析によりスズ元素とタングステン元素のモル比を求める。次に、微粒子を塩酸で処理した後、アルカリ溶液で処理し、被覆層を除去し、母体の質量を求める。そして、予め測定しておいた処理前の微粒子の質量と母体質量の差より、被覆層の質量を求め、それとESCA分析により求めたスズ元素とタングステン元素のモル比より、母体粒子に対するスズ元素の質量比(Sn(mass)/B(mass))を求める。
【0077】
母体粒子が酸或いはアルカリに対して可溶である場合:先ず、ESCA分析によりスズ元素とタングステン元素のモル比を求める。次に、pHを調整して、スズ元素或いはタングステン元素と同時に微粒子を溶解し、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)により、スズ元素或いはタングステン元素と母体粒子中の他の元素とのモル比を求める。これらのモル比より母体粒子に対するスズ元素の質量比(Sn(mass)/B(mass))を求める。
【0078】
また微粒子のESCA分析において、スズ元素、タングステン元素、そして母体粒子に含まれるこれら以外の元素の比をエッチング時間を増加減しつつ分析し、タングステン元素がスズ元素と共に存在するか、さらに母体粒子の表面にのみ存在するか、を確認することができる。
【0079】
スズ化合物としては、微粒子に導電性を付与するという点で低抵抗の酸化スズが好ましい。タングステン元素としては、低抵抗のスズ化合物中を流れる電流量を制御するという点でスズ化合物中に含有されていることが好ましい。
【0080】
また、スズ化合物が母体粒子の表面に担持されたものを微粒子として使用すれば、少量のスズ化合物で導電性が発現して均一な帯電性が得られ、一方で電流は微粒子表面のみを伝って流れるため過剰電流の制御が容易で、ピンホールによる画像欠陥を抑制しやすく、好ましい使用形態である。
【0081】
このような微粒子は、湿式法により製造することができる。
【0082】
例えば、スズの塩類化合物溶液、タングステンの塩類化合物溶液を母体粒子を懸濁させた溶液に混合した後に加水分解し次いで焼成する方法、上記の方法でスズ成分のみを母体粒子に担持、焼成させた後に、湿式でタングステン成分を含侵させ再度焼成する方法などが挙げられる。焼成後は、解砕、分級等により微粒子を得る。
【0083】
微粒子の製造に用いるスズ元素を含む化合物としては、塩化スズ(第一、第二)、オキシ塩化スズ、スズ酸、スズ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、有機スズ化合物(例えば、スズアルコキシド化合物)が挙げられる。
【0084】
微粒子の製造に用いるタングステン元素を含む化合物としては、塩化タングステン、オキシ塩化タングステン、タングステン酸、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸カルシウム、有機タングステン化合物が挙げられる。
【0085】
焼成は、トンネルキルン、ロータリーキルン、電気炉、マッフル炉、減圧乾燥機などが使用できる。焼成雰囲気は、大気雰囲気の他に必要により酸素分圧を調整した酸化雰囲気、水素ガス等を導入する還元性雰囲気、不活性ガスを導入する不活性雰囲気なども採用できる。
【0086】
また、スズ化合物を表面に担持する母体粒子としては、樹脂で構成された有機粒子、金属又は金属酸化物の如き無機粒子等の公知の粒子が使用されるが、中でも無機粒子が好ましく、更には金属酸化物の如き酸素を含む金属化合物が好ましい。これは、帯電部材と像担持体との当接部でのストレスに対する強度、及び母体粒子表面とスズ化合物との密着性に起因している。具体的な化合物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸化合物が挙げられる。
【0087】
微粒子は、抵抗値が1×109Ωcm以下であることが好ましい。微粒子の抵抗値が1×109Ωcmよりも大きいと、現像兼クリーニングを用いた画像形成方法に適用する際、微粒子を帯電部材と像担持体との当接部またはその近傍の帯電領域に介在させ、接触帯電部材の微粒子を介しての像担持体への緻密な接触性を維持させても、良好な帯電性を得るための帯電促進効果が得られないことがある。さらに、微粒子の帯電促進効果を十分に引き出し、良好な帯電性を安定して得るためには、微粒子の抵抗値が、接触帯電部材の表面部或いは像担持体との接触部の抵抗よりも小さいことが好ましい。また、抵抗値が1×10Ωcmよりも大きな場合、湿度による抵抗変動が大きくなる傾向があり好ましくない。微粒子の抵抗値としては、1×10乃至1×10Ωcmであることがより好ましく、更には、1×10乃至1×10Ωcmであることがより好ましい。抵抗値が1×10Ωcm未満では、製造上、白色化が損なわれることがある。
【0088】
上記の範囲に抵抗を制御する方法として、酸化スズの金属の酸価(酸化スズの場合、スズの価数は4価)によって価数を選択した異種元素を適当量含有させることにより制御が可能になる。つまり、4価の金属酸化物である酸化スズに対して好ましく用いられる異種元素は、価数5価のものが好ましく、本発明においてそのような異種元素としてタングステンが用いられる。
【0089】
微粒子の抵抗の測定は以下のようにして行う。円筒形の絶縁性セルに試料を充填し、試料に接するように上下に電極を配し、上部電極には荷重7kgf/cm2を加える。この状態で電極間に電圧V(本発明においては50V)を印加し、その時に流れる電流I(A)から本発明における微粒子の抵抗(体積抵抗値RV)を測定する。この時、電極面積をS(cm2)、試料厚みをM(cm)とすると、抵抗は下記式で表される。
【0090】
RV(Ωcm)=V×S/I/M
微粒子としては、体積平均粒径が0.05μm以上のものを用いることが好ましい。微粒子の体積平均粒径が0.05μmよりも小さいと、高湿下での現像性の低下を防ぐために、トナー全体に対する微粒子の含有量を小さく設定しなければならない。そうすると、微粒子の有効量を確保できず、帯電工程において、接触帯電部材への絶縁性の転写残トナーの付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行わせるのに十分な量の微粒子を帯電部材と像担持体との当接部またはその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電不良を生じ易くなる。
【0091】
更に、微粒子の体積平均粒径が大きいと、帯電部材からも遊離しやすいことに加え、単位重量当りの粒子数が減少するため、帯電部材からの微粒子の脱落等による減少、劣化を考慮して微粒子を帯電部材と像担持体との当接部またはその近傍の帯電領域に逐次に微粒子が供給し続け介在させるために、また、接触帯電部材が微粒子を介して像担持体への緻密な接触性を維持し良好な帯電性を安定して得るためには、微粒子のトナー全体に対する含有量を大きくしなければならない。しかし、微粒子の含有量を大きくしすぎると、特に高湿環境下での摩擦帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生ずる。このような観点から、微粒子の平均粒径は好ましくは5μm以下が良い。更には、微粒子は、体積平均粒径が0.1〜5μm、特には0.5〜3μmであることが好ましく、像担持体の磨耗性も考慮すると、5μm以上の粒子が3個数%以下であることが一層好ましい。
【0092】
また、微粒子の体積平均粒径(S)(μm)とトナー粒子の重量平均粒径(T)(μm)との比(S/T)が0.5以下(更には、0.01乃至0.3)であることが好ましく、この比が0.5よりも大きいと、微粒子をトナー粒子と混合した際、トナーから遊離しやすく、現像工程において現像容器から像担持体への供給量が不足し、十分な帯電性が得られにくい。また、帯電部材から脱落した微粒子は静電潜像を書き込む露光光を遮光或いは拡散し、静電潜像の欠陥を生じ画像品位を低下させる。
【0093】
重量平均粒径と体積平均粒径は同じ尺度で比較するものではないが、粒子はトナー粒子より比較的小さいので、本発明においては、トナー粒子と微粒子の大きさを比較する一つの指標としてこれらを用いた。
【0094】
微粒子の粒径の測定は、コールター社製のLS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けて0.04〜2000μmの粒径を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布により粒子の体積平均粒径(体積50%粒径)、5μm以上の個数%を算出する。測定は、水10mlに微量の界面活性剤を添加し、これに粒子10mgを加え、超音波分散機で10分間分散した後、測定時間90秒間、測定回数1回の条件で測定を行う。
【0095】
微粒子のトナー粒子から遊離した遊離率は10.0〜95.0%である事が好ましく、さらには20.0〜95.0%であることがより好ましい。微粒子の遊離率が10.0%よりも少ないと像担持体への供給量が不足し、十分な帯電性が得られにくく、95.0%より多いと、現像兼クリーニングによって回収される微粒子の量が多くなり、現像装置内での微粒子の蓄積によるトナーの摩擦帯電性及び現像性の低下を生じ易いことから好ましくない。
【0096】
トナー粒子から遊離した微粒子の遊離率とは、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により測定されたものであり、Japan Hardcopy97論文集の65−68ページに記載の原理で測定を行う。具体的には、該装置はトナー等の粉体を一個づつプラズマへ導入して発光させ、粉体の発光スペクトルから発光物の元素、粒子数、粒子の粒径を知ることが出来る。
【0097】
そして、遊離率とは、トナー粒子用結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、微粒子中のスズ原子の発光の同時性から次式により定義される値である。
【0098】
微粒子の遊離率(%)=100×(スズ原子のみの発光回数/炭素原子と同時に発光したスズ原子の発光回数+スズ原子のみの発光回数
ここで、炭素原子とスズ原子の同時発光とは、炭素原子の発光から2.6msec以内に発光したスズ原子の発光を同時発光とし、それ以降のスズ原子の発光はスズ原子のみの発光とする。
【0099】
具体的な測定方法は以下の通りである。0.1%酸素含有のヘリウムガスを用い、23℃で湿度60%の環境にて測定を行い、トナーサンプルは同環境下にて1晩放置し、調湿したものを測定に用いる。また、チャンネル1で炭素原子、チャンネル2でスズ原子を測定し(測定波長及びKファクターは推奨値を使用)、一回のスキャンで炭素原子の発光数が1000〜1400個となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光数が総数で10000以上となるまでスキャンを繰り返し、発光数を積算する。この時、炭素元素の発光個数を縦軸に、炭素元素の三乗根電圧を横軸にとった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定を行う。そして、このデータを元に、全元素のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い微粒子の遊離率を算出する。
【0100】
また、微粒子は、透明、白色或いは淡色の微粒子であることが、転写材上に転写される微粒子がカブリとして目立たないため好ましく良い。静電潜像形成工程における露光光の妨げとならない意味でも微粒子は、透明、白色或いは淡色の微粒子であることがよく、より好ましくは、微粒子の露光光に対する透過率が30%以上であることが良い。
【0101】
本発明においては、微粒子の光透過性については以下の手順で測定する。片面に接着層を有する透明のフィルムに微粒子を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射しフィルム背面に透過した光を集光し光量を測定する。フィルムのみと微粒子を付着したときの光量から正味の光量として粒子の透過率を算出する。実際にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定する。
【0102】
本発明において、微粒子をトナーに含有させる方法として、内部添加および外部添加がある。前述のような本発明の作用効果をより迅速かつ効率的に行うには、微粒子はトナー表面に存在することが好ましく、このような達成手段として、制御が容易な外部添加が好ましいが、その他には内部添加後に粉砕や研磨などの機械的な方法で表面に露出させる手段なども挙げられる。
【0103】
更に、トナー粒子表面に存在する微粒子は、トナー粒子1個当たり0.3個以上の割合であることが好ましく、より好ましくはトナー粒子1個当たり1.0乃至50.0個、特に好ましくは1.0乃至10個である。トナー粒子表面に存在する微粒子が0.3個未満では、トナーの流動性を向上させる効果が低下することがあるので好ましくない。
【0104】
トナー粒子表面に存在する微粒子は、トナー粒子表面の直接観察により存在の有無、及び存在の割合を得ることができる。即ち、微粒子を含有するトナーを走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてトナー粒子10個を一つの集合体として捕らえ、各トナー粒子の表面に存在する微粒子の個数を数える。微粒子の定性はSEMに併設させた定性分析装置を用い、スズ元素をマッピングすることにより行うことができる。この方法で10体の集合体(トナー粒子総計100個)について測定を行い、トナー粒子1個当たりの微粒子の存在割合を算出する。
【0105】
なお、上述した如く、特開平9−278445号公報において、ドーパントとしてタングステン元素を含有する導電性酸化スズの製造方法及び使用形態に関する技術が開示されている。但し、該公報での使用形態は導電性塗料や帯電防止剤としてのものであり、その導電性に着眼点が置かれている。これに対し、本発明においては、電子写真という特殊な分野において種々の材料及び使用条件と適宜組み合わせることにより、微粒子の導電性のみならず過剰電流を抑制するという特殊な使用形態に関するものであり、従って、本発明の思想及び技術内容は、特開平9−278445号公報から容易には類推し難いものである。
【0106】
また、特開平6−183733号公報においては、アンチモン元素を必須成分とし、タングステン元素を併用する酸化スズからなる導電性粉末について開示されているが、本発明とはスズ元素の含有比率が異なっており、本発明の思想及び技術内容とは内容を異にするものである。加えて、アンチモン元素を必須成分とする酸化スズ粒子は過剰電流を制御しにくいため、特開平6−183733号公報に記載の技術をそのまま本発明に適用することは難しい。
【0107】
<2>トナー
本発明に係るトナー粒子の粒径に関しては、一般に高画質化のためにより微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、重量平均粒径は3〜10μmであることが好ましい。重量平均粒径が3μm未満のトナー粒子においては、トナーの転写効率の低下から像担持体上の転写残トナーが多くなり、接触帯電工程に用いた場合に、帯電部材を汚染しやすくなる。また、帯電部材と像担持体との当接部に微粒子が介在しているような場合には、微粒子による帯電促進効果が低下する傾向がある。さらに、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び攪拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に摩擦帯電させることが困難となることから、カブリや転写性に関して劣る傾向となり、帯電性以外の要因による画像欠陥の原因となりやすいため、本発明で使用するトナー粒子としては好ましくない。また、トナー粒子の重量平均粒径が10μmを超える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。さらに装置が高解像度になっていくと1ドットの再現性に劣るようになる傾向にもなる。また、低湿度環境下において凝集することもあり好ましくない。
【0108】
本発明におけるトナー粒子の重量平均粒径及び数平均粒径はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能である。具体的には、下記のように測定できる。コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定手順は以下の通りである。前記電解水溶液を100〜150ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーにより100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係わる所の体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)及び個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径、すなわち数平均粒径(D1)を求める。
【0109】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを用いた(チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)。
【0110】
本発明のトナーは、前述の微粒子に加え、以下に説明する無機微粉末を含有することが好ましい。
【0111】
本発明のトナーは、流動性向上剤及び転写助剤として平均1次粒径4〜80nmの無機微粉末が添加されるのが好ましい。該無機微粉末は、トナーの流動性改良、トナー粒子の摩擦帯電量均一化、及び転写性の向上のために添加されるが、無機微粉末を疎水化処理するなどの処理によってトナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
【0112】
無機微粉末の平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、または80nm以下の無機微粉末が添加されていない場合には、転写残トナーが多くなり、安定して良好な帯電特性を得ることが困難である。また、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子の帯電が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題を避けられない。無機微粉末の平均1次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉末の凝集性が強まり、1次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体またはトナー担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の摩擦帯電量分布をより均一とするためには無機微粉末の平均1次粒径は6〜70nmであることが更に好ましい。
【0113】
本発明において、無機微粉末の平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉末の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着または遊離して存在している無機微粉末の1次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径を求めることが出来る。
【0114】
本発明で用いられる無機微粉末としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、又はそれらの複合酸化物などが使用できる。
【0115】
例えば、シリカ、所謂ケイ酸微粉末としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉末の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 -等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、複合酸化物としては、例えば、乾式シリカの製造工程において、例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉末を得ることができる。
【0116】
平均1次粒径が4〜80nmの無機微粉末の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.01〜8質量部であることが好ましく、0.1〜3.0質量部であることがより好ましい。添加量が0.01質量部未満ではその効果が十分ではなく、8.0質量部を超えると定着性が悪くなることがある。
【0117】
無機微粉末は、疎水化処理された物であることが高温高湿環境下での特性から好ましく、メタノール滴定試験によって測定される疎水化度が30〜80の範囲にあるようなものが好ましい。トナー粒子と混合された無機微粉末が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなる。
【0118】
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物のような処理剤を単独でまたは併用して処理しても良い。
【0119】
具体的な処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0120】
中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉末をシラン化合物等で疎水化処理すると同時または処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが、高湿環境下でもトナーの摩擦帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
【0121】
無機微粉末の処理条件としては、例えば第一段反応としてシラン化合物等でシリル化反応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
【0122】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉末に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0123】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粉末とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉末にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、シリカ微粉末を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉末の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0124】
シリコーンオイルの処理量は無機微粉末100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる。
【0125】
本発明で用いられる無機微粉末は、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が30m2/g以上のものが好ましく、更には、50m2/g以上、特には50〜250m2/gの範囲内のものが好ましい。
【0126】
比表面積はBET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
【0127】
本発明においては磁性あるいは非磁性いずれのトナー粒子を用いることも可能であるが、磁性トナーを用いる場合は、トナーの平均円形度が0.970以上であり、トナーの磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが10〜50Am2/kg(emu/g)であることが、転写残トナー量及びカブリを低減させ、良好な帯電性を維持するために好ましい。
【0128】
本発明の画像形成方法において磁性トナー粒子を適用する場合、微粒子は現像時に像担持体上にトナーと共に飛翔すべきものであるから、非磁性のものが好ましい。磁性を持つと、磁性1成分現像方法で使用されるトナー担持体から飛翔しにくいためである。
【0129】
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA-1000」を用いて測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円径度(ai)を下式(1)によりそれぞれもとめ、さらに下式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を、全粒子数(m)で除した値を平均円形度(a)と定義する。
【0130】
【外1】
Figure 0004371643
【0131】
【外2】
Figure 0004371643
【0132】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出式で算出される平均円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的に無視出来る程度のものであり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出式を用いても良い。
【0133】
測定手段としては以下の通りである。界面活性剤を約0.1mg溶解している水10mlにトナー5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度を求める。
【0134】
本発明における平均円形度とは、トナー凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.000を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
【0135】
なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないからである。
【0136】
また、本発明において磁性トナーの磁化の強さは、振動型磁力計VSMP−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定する。
【0137】
本発明のトナーは、粉砕法、重合法により製造することができる。
【0138】
まずは、粉砕法を例示する。
【0139】
結着樹脂、着色剤(場合によって磁性体)、必要に応じて、離型剤、荷電制御剤等とその他の添加剤(上記微粒子を添加しても良い)等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて熔融混練して、冷却固化、粉砕後、分級し、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることが出来る。得られたトナー粒子に、上記微粒子、無機微粉末等を混合させてトナーとする。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。
【0140】
粉砕法によりトナー粒子を製造する際に使用される結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂が挙げられる。
【0141】
さらには、結着樹脂としてスチレン系共重合体を用いる場合には、架橋性モノマーで架橋されていてもよい。芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
【0142】
更には、架橋剤として、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0143】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.03〜5質量部用いることができる。架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0144】
スチレン系共重合体は、例えば以下の方法で合成することができる。合成方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法が利用できる。
【0145】
また、結着樹脂として、ポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂を構成する全成分の45〜55mol%がアルコール成分であり、55〜45mol%が酸成分であることが好ましい。
【0146】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノール誘導体、ジオール類、グリセリン、ソルビット、ソルビタンの如き多価アルコール類が挙げられる。
【0147】
全酸成分中50mol%以上を含む2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられ、また、3価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物が挙げられる。
【0148】
特に好ましいポリエステル樹脂のアルコール成分としてはビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、n−ドデセニルコハク酸又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸類;トリメリット酸又はその無水物のトリカルボン酸類が挙げられる。
【0149】
次に、重合法によりトナー粒子を製造する場合について記載する。ここでは、懸濁重合法によってトナー粒子を製造する場合に関して説明する。
【0150】
結着樹脂となる重合性単量体および着色剤、更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、離型剤、可塑剤、磁性体、その他の添加剤などをホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加するとき同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加える事もできる。
【0151】
重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げる事は可能である。反応終了後、懸濁液を冷却し、濾過、水洗、乾燥等を行い、トナー粒子を得る。得られたトナー粒子に、上記微粒子、無機微粉末等の外添剤を混合させてトナーとする。
【0152】
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドが挙げられる。
【0153】
これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用する事がトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0154】
単量体組成物に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基の如き親水性官能基を有する単量体成分をトナー中に導入したい場合には、これらとスチレンあるいはエチレンの如きビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体の如き共重合体の形にして使用することができる。あるいはポリエステル、ポリアミドの如き重縮合体、ポリエーテル、ポリイミンの如き重付加重合体としても用いることができる。こうした極性官能基を含む高分子重合体の樹脂をトナー中に共存させると、離型剤を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得ることができる。このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。分子量5,000未満、特に4,000以下では、本重合体が表面付近に集中し易い事から、現像性、耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。また、極性重合体としては特にポリエステル樹脂が好ましい。
【0155】
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部以上添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる傾向がある。
【0156】
重合開始剤としては、2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0157】
架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、単量体全体の0.001〜15質量%である。架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートの如き二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0158】
分散安定剤としては、界面活性剤や有機分散剤或いは無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が分散安定性の面から好ましい。無機分散剤としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物が挙げられる。無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用する事が望ましいが、超微粒子を発生し難い単量体組成物を微粒化するには不十分であるので、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムが挙げられる。
【0159】
本発明のトナーには、荷電制御剤をトナー粒子に配合(内添)して用いることが好ましい。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となり、特に本発明においては、粒度分布と荷電のバランスを更に安定にしたものとすることが可能であり、荷電制御剤を用いることで先に述べた粒径範囲毎による高画質化の為の機能分離及び相互補完性をより明確にすることが出来る。
【0160】
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩;イミダゾール化合物を単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることが出来る。これらの中でも、ニグロシン系化合物及び四級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。さらに、モノマーの単重合体、又は、前述した様なスチレン、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができ、この場合、これらの荷電制御剤は結着樹脂(の全部又は一部)としての作用をも有する。
【0161】
負荷電性制御剤としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、或いはビスフェノール等のフェノール誘導体類がある。
【0162】
上述した荷電制御剤(結着樹脂としての作用を有しないもの)は、微粒子状として用いることが好ましい。この場合、この荷電制御剤の個数平均粒径は、具体的には4μm以下(更には3μm以下)が好ましい。トナーに内添する際、この様な荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部(より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部)用いる。
【0163】
本発明のトナーを磁性トナーとする場合には、磁性材料として、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0164】
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)及びニッケル粉(Ni)が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上を組み合わせて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。磁性体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部、好ましくは20〜150質量部であるのが良い。
【0165】
トナーに使用される着色剤としては、従来知られている染料及び/又は顔料が使用可能である。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザーイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエローが挙げられる。着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜20質量部、更にトナー像を定着したOHPフィルムの透過性をよくする為には12質量部以下が好ましく、更に好ましくは0.5〜9質量部がよい。
【0166】
必要に応じて離型剤を、トナー粒子中に含有させることが好ましい。
【0167】
離型剤としては次のものが挙げられる。フィッシャートロプシュワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。離型剤は、結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部が好ましい。
【0168】
トナーに含有されるワックスの示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱メインピーク温度が好ましくは60〜140℃の範囲、より好ましくは60〜120℃の範囲にあることが、上述した特定の粒度分布を有するトナーにおいて特に好ましく、降温時の発熱メインピーク温度が好ましくは60〜150℃の範囲、より好ましくは60〜130℃の範囲にあることが特に好ましい。
【0169】
本発明のトナーは、ガラス転移温度は好ましくは45〜80℃、より好ましくは50〜70℃である。また、トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定されるDSC曲線において、昇温時の吸熱メインピーク温度が好ましくは60〜140℃の範囲、より好ましくは60〜120℃の範囲にあり、降温時の発熱メインピーク温度が60〜150℃の範囲、更には60〜130℃の範囲にあること好ましい。更に、GPC測定による分子量分布において、数平均分子量(Mn)は1000〜50000、重量平均分子量(Mw)は6000〜1000000であることが好ましい。酸価は、好ましくは90mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下である。
【0170】
現像剤のガラス転移点(Tg)、吸熱・発熱ピーク温度は、示差熱分析装置(DSC測定装置:DSC−7(パーキンエルマー社製))を用い下記の条件で測定した。
試料:5〜20mg、好ましくは10mg
温度曲線:昇温I(20℃→180℃、昇温速度10℃/min.)
降温I(180℃→10℃、降温速度10℃/min.)
昇温II(10℃→180℃、昇温速度10℃/min.)
昇温IIで測定されるTgを測定値とする。
測定法:試料をアルミパン中にいれ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。吸熱ピークが出る前と出た後のべースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をガラス転移点Tgとした。
【0171】
<3>画像形成方法
本発明の画像形成方法は、帯電工程として接触帯電工程を用い、トナーとして上記トナーを用いることを特徴とする。さらに、本発明の画像形成方法は、転写後に像担持体に残存している転写残トナーをトナー担持体で回収する現像兼クリーニング工程を有することが好ましい。
【0172】
帯電工程として、像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる接触帯電工程を用いることで、低オゾン・低電力等の多数のメリットが得られる。
【0173】
また、上記微粒子が混合されたトナーを用いることにより、該トナー中の微粒子が、現像工程で接触帯電部材と像担持体との当接部に付着し、転写工程後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電が均一となり良好な画像が得られる。この効果はクリーニング工程の有無によらず見られる。
【0174】
本発明において好ましく用いられる現像兼クリーニング画像形成方法は、詳しくは、静電荷像担持体を帯電する帯電工程と、像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む静電潜像形成工程と、その静電潜像をトナー担持体上に担持させたトナーによりトナー像として可視化する現像工程と、そのトナー像を転写材に転写する転写工程を有し、前記現像工程がトナー像を転写材に転写した後に像担持体上に残留したトナーを回収するクリーニング工程を兼ねており、像担持体上に繰り返して作像が行われる画像形成方法(又はクリーナーレス画像形成方法)である。帯電工程は、像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる工程であり、かつ、少なくとも帯電部材と像担持体との当接部及び/又はその近傍に、トナー中に含有される前記微粒子が現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在している。現像工程は、上記トナーによって像担持体の静電潜像を現像する工程である。
【0175】
まず、現像兼クリーニング画像形成方法において、トナーに導電性の微粒子を外部添加したトナーを用いる場合の画像形成プロセス中での、トナー及び微粒子の挙動を説明する。
【0176】
トナー中に含有させた微粒子は、現像工程における像担持体側の静電潜像の現像時にトナーとともに適当量が像担持体側に移行する。像担持体上のトナー像は転写工程において転写材側に転移する。像担持体上の微粒子も一部は転写材側に付着するが残りは像担持体上に付着保持されて残留する。トナーと逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、トナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、像担持体上の微粒子は導電性であることで転写材側には積極的には転移せず、一部は転写材側に付着するものの残りは像担持体上に付着保持されて残留する。
【0177】
クリーナーを用いない画像形成方法では、転写後の像担持体面に残存の転写残トナーおよび上記の残存微粒子は、像担持体と接触帯電部材の当接部である帯電部に、像担持体の回転によってそのまま運ばれて接触帯電部材に付着・混入する。従って、像担持体と接触帯電部材との当接部に微粒子が介在した状態で像担持体の接触帯電が行われる。
【0178】
この微粒子の存在により、接触帯電部材への転写残トナーの付着・混入による汚染にもかかわらず、接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該接触帯電部材による像担持体の帯電を良好に行わせることができる。
【0179】
また、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナーは、帯電部材から像担持体へ印加される帯電バイアスによって、帯電バイアスと同極性に帯電を揃えられて接触帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出され、像担持体面の移動とともに現像部に至り、現像工程において現像兼クリーニング(回収)される。
【0180】
更に、画像形成が繰り返されることで、トナー中に含有させてある微粒子が、現像部で像担持体面に移行し該像担持面の移動により転写部を経て帯電部に持ち運ばれて帯電部に逐次に微粒子が供給され続けるため、帯電部において微粒子が脱落等で減少したり、劣化したりするなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。
【0181】
しかしながら、一般に微粒子を含有するトナーを、現像兼クリーニング画像形成方法に適用した場合には、微粒子の偏析がより大きな影響を画像特性に与えてしまう。すなわち、前述のように、トナーに含有させた微粒子は、現像工程においてトナー粒子とともに適当量が像担持体側に移行した後、転写工程において像担持体上の微粒子も一部は転写材側に付着するが残りは像担持体上に付着保持されて残留する。転写バイアスを印加することで転写を行う場合には、トナー粒子は転写材側に引かれて積極的に転移するが、像担持体上の微粒子は導電性であることで転写材側には積極的には転移せず、一部は転写材側に付着するものの残りは像担持体上に付着保持されて残留する。
【0182】
クリーニング機構を有しない画像形成方法では、クリーナーを用いないため転写後の像担持体面に残存の転写残トナーおよび上記の残存微粒子は、接触帯電部材に付着・混入する。このとき、接触帯電部材に付着・混入する微粒子の転写残トナーに対する量の比率は、微粒子とトナー粒子の転写性の差から、元のトナー中での微粒子の量比率よりも明らかに多くなる。この状態で接触帯電部材に付着・混入した微粒子は、転写残トナーと共に接触帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出されて像担持体面の移動とともに現像部に至り、現像工程において現像兼クリーニング(回収)される。すなわち、現像兼クリーニングによって、微粒子の比率が著しく多いトナーが回収されることにより、微粒子の偏析が大幅に加速され、先述したように高湿環境下においては摩擦帯電性能が大きく低下し、著しい画像濃度低下等による画像性の低下を招いてしまう。
【0183】
これに対して、従来のクリーニング機構を有する画像形成装置における場合と同様に、トナー粒子に微粒子を固着させて微粒子の偏析を低減しようとすると、転写工程においても微粒子がトナー粒子とともに挙動するため、トナー粒子とともに転写材側に転移してしまい、接触帯電部材に付着・混入して帯電部において微粒子が介在することができず、また介在したとしても転写残トナー量に対して微粒子の介在量が不十分となり、転写残トナーによる帯電性阻害に打ち勝って帯電性を維持することができず、更に、接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できず、接触帯電部材による像担持体の帯電性が低下し、カブリ及び画像汚れを生じてしまう。接触帯電部材を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に微粒子を含有させたトナーを適用するには、上述のような困難があった。
【0184】
これに対し、本発明者らは、前述した如きタングステン元素及びスズ元素を有する微粒子を含有するトナーを用いることにより、オゾンの発生を低減できる接触帯電部材を用い、廃トナーを生じないクリーナーレス画像形成方法においても良好な帯電性を維持しつつ、微粒子の偏析を大幅に緩和し、画像濃度低下等の画像性の低下を実用上問題無いレベルまで改良できることを解明した。これは、微粒子が持つ特異な抵抗特性あるいは摩擦帯電特性により、転写工程においてトナーと共に適度な量の微粒子が転写材側に転移し、転写残トナー中における微粒子の量の比率が適正となって、クリーナーレスで回収されても現像装置内の微粒子の偏析が大幅に抑制されるためと考えられる。
【0185】
次に、本発明の画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の画像形成方法を実施可能な画像形成装置の概略図を示す。
【0186】
像担持体としての感光ドラム100の周囲に、帯電部材としての一次帯電ローラー117、現像手段としての現像装置140、転写部材としての転写帯電ローラー114、クリーナー116、レジスタローラ124等が設けられている。そして感光ドラム100は一次帯電ローラー117によって例えば−700Vに帯電される(印加電圧は交流電圧−2.0kVpp、直流電圧−700Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光ドラム100に照射する事によって露光される。感光ドラム100上の静電潜像は、現像装置140に配設されたトナー担持体102に担持されたトナーによって現像され、転写材を介して感光ドラム100に当接された転写ローラー114により転写材上へ転写される。トナー像をのせた転写材は搬送ベルト125等により定着装置126へ運ばれ転写材上に定着される。尚、141は、トナー担持体102にトナーを供給するトナー供給ローラーである。
【0187】
また、一部感光ドラム100上に残されたトナーはクリーナー116によりクリーニングされる。なお、クリーナー116は、上記のように、現像工程がトナー像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した転写残トナーを回収するクリーニング工程を兼ねている場合には、必要ではない。その場合、マグネットローラーの磁力により転写残トナーの現像装置への回収が容易となる磁性トナーも好ましく用いられる。
【0188】
また、図2はそのような磁性トナーを用いる際に使用される現像装置の一例の概略図を示す。
【0189】
現像装置140は感光ドラム100に近接してアルミニウム、ステンレスの如き非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体102(以下、「現像スリーブ」とも称す)が配設され、感光ドラム100と現像スリーブ102との間隙は図示されないスリーブ/感光ドラム間隙保持部材等により、例えば300μmに維持される。現像スリーブ内にはマグネットローラ104が現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラ104には複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響している。現像スリーブ102に付着して搬送される磁性トナー量を規制するトナー層厚規制部材として、弾性ブレード103が配設され、弾性ブレード103の現像スリーブ102に対する当接圧により現像部に搬送されるトナー量が制御される。
【0190】
現像部では、感光ドラム100と現像スリーブ102との間に直流及び交流の現像バイアスが印加され、現像スリーブ上トナーは静電潜像に応じて感光ドラム100上に飛翔しトナー像となる。
【0191】
まず、本発明の画像形成方法における帯電工程について以下説明する。
【0192】
帯電工程では、像担持体と当接部を形成して接触する帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させる。
【0193】
本発明の画像形成方法では、帯電部材と像担持体との間に微粒子を介在させる当接部が設けられる。したがって帯電部材は、弾性を有することが好ましく、帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電させるために導電性であることが好ましい。このため、帯電部材は弾性導電性ローラー部材、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシ部を有し該磁気ブラシ部を被帯電体に接触させた磁気ブラシ接触帯電部材または導電性繊維から構成されるブラシ部材であることが好ましい。
【0194】
また、像担持体上の転写残トナーを一時的に回収するとともに微粒子を担持し直接注入帯電を優位に実行する上でも、接触帯電部材として、可撓性部材である弾性導電性を有するローラー部材または回動可能な帯電ブラシロールを用いることが好ましい。
【0195】
接触帯電部材が可撓性を有していると、接触帯電部材と像担持体の当接部及び/又は近傍において粒子が像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させることができる。つまり、接触帯電部材が微粒子を介して密に像担持体に接触して、接触帯電部材と像担持体の当接部に存在する微粒子が像担持体表面を隙間なく摺擦することで、接触帯電部材による像担持体の帯電は、微粒子の存在により放電現象を用いない安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となり、従来のローラー帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、接触帯電部材に印加した電圧とほぼ同等の電位を像担持体に与えることができる。
【0196】
更に、当接部を形成する帯電部材の表面の移動速度と、像担持体の表面の移動速度に相対的速度差を設けると、接触帯電部材と像担持体の当接部において微粒子が像担持体に接触する機会を格段に増加させ、より高い接触性を得ることができるので、直接注入帯電性を向上させる点で好ましい。
【0197】
接触帯電部材と像担持体との当接部に微粒子を介在させることにより、微粒子の潤滑効果(摩擦低減効果)により接触帯電部材と像担持体との間に大幅なトルクの増大や、接触帯電部材及び像担持体表面の顕著な削れ等を伴うことなく速度差を設けることが可能となる。
【0198】
速度差を設けるための構成としては、接触帯電部材を回転駆動して像担持体と該接触帯電部材に速度差を設けることが挙げられる。
【0199】
帯電部に持ち運ばれる像担持体上の転写残トナーを接触帯電部材に一時的に回収し均すために、接触帯電部材と像担持体は互いに逆方向に移動させることが好ましい。例えば、接触帯電部材を回転駆動し、さらに、その回転方向は像担持体表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。即ち、逆方向回転で像担持体上の転写残トナーを一旦引離し帯電を行うことにより優位に直接注入帯電を行うことが可能だからである。
【0200】
帯電部材を像担持体表面の移動方向と同じ方向に移動させて速度差をもたせることも可能であるが、直接注入帯電の帯電性は像担持体の周速と帯電部材の周速の比に依存するため、逆方向と同じ相対速度比を得るには順方向では帯電部材の回転数が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が回転数の点で有利である。
【0201】
相対速度差を示す指標としては、次式(3)で表される相対移動速度比がある
相対移動速度比(%)=|(Vc−Vp)/Vp|×100 (3)
(式中、Vcは帯電部材表面の移動速度、Vpは像担持体表面の移動速度であり、Vcは、当接部において帯電部材表面が像担持体表面と同じ方向に移動するとき、Vpと同符号の値とする。)
相対移動速度比は、通常には10〜500%である。
【0202】
帯電方法としては、帯電ローラー部材、帯電ブレード部材、帯電ブラシ部材等の帯電部材を用いる接触帯電手段を利用する方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不要になり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0203】
接触帯電手段に用いる帯電ローラー部材及び帯電ブレード部材の材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けてもよい。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PVdC(ポリ塩化ビニリデン)、フッ素アクリル樹脂などが適用可能である。
【0204】
具体的に例えば、帯電ローラー部材は芯金上に可撓性部材としてのゴムあるいは発泡体等の中抵抗層を形成することにより作成される。その表面に上記離型性被膜を設けてもよい。中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性物質(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、芯金の上にローラー状に形成させる。その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状を整え、帯電ローラー部材を作成することができる。
【0205】
帯電ローラー部材の材質としては、ゴムあるいは発泡体に限定するものでは無く、弾性体であればよく、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものがあげられる。また、導電性物質を分散せずに、または導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0206】
帯電ローラー部材の硬度はアスカーC硬度で50度以下が好ましく、さらには25〜50度が好ましい。硬度が低すぎると形状が安定しないために像担持体との接触性が悪くなり、更に、帯電ローラー部材と像担持体との当接部に微粒子を介在させる場合、帯電ローラー部材表層を削り或いは傷つけやすく安定した帯電性が得られにくい。また、硬度が高すぎると像担持体との間に帯電当接部を確保できないだけでなく、像担持体表面へのミクロな接触性が悪くなる。アスカーC硬度の具体的測定方法としては、高分子計器株式会社製のアスカー硬度計C型を使用し、荷重500gの条件で測定する。
【0207】
帯電ローラー部材は弾性を持たせて像担持体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する像担持体を充電するのに十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方、像担持体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。十分な帯電性と耐リークを得るには、体積固有抵抗値が103〜108Ωcmの抵抗値が好ましく、より好ましくは104〜107Ωcmの抵抗値であることが良い。
【0208】
帯電ローラー部材の体積固有抵抗値は以下のように測定する。帯電ローラー部材の芯金に総圧1kgの加重がかかるよう直径30mmの円筒状アルミドラムに帯電ローラー部材を圧着した状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測した抵抗値、計測時のニップ幅および弾性体の厚みから計算する。
【0209】
帯電ローラー部材表面は微粒子を介在させるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。つまり、帯電ローラー部材は少なくとも表面が球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有しており、該窪みを空隙部としたローラー部材表面の空隙率は15〜90%であることが好ましい。
【0210】
平均セル径が5μm未満、空隙率が90%を超えると、ローラー部材表面に酸化スズ微粒子を保持させる能力が減少し、当接部への酸化スズ微粒子の介在量が減少することで一次帯電性が悪化する傾向がある。さらに感光体との摩擦力が大きくなり、像担持体の削れが増大するので好ましくない。平均セル径が300μmを越え、空隙率が15%未満になると、帯電ローラー部材と感光体との接触均一性が減少し、一次帯電性の帯電均一性、帯電電位が低下し、ハーフトーン画像などに帯電ムラの画像不良を生じるので好ましくない。
【0211】
帯電ローラー部材は像担持体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、帯電ローラー部材と像担持体の当接部である帯電当接部を形成させる。この帯電当接部幅は特に制限されるものではないが、帯電ローラー部材と像担持体の安定して密な密着性を得るため1mm以上、より好ましくは2mm以上が良い。
【0212】
接触帯電部材としての帯電ブラシ部材は、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の導電性金属或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性金属の酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0213】
帯電ブラシ部材の材質として具体的には、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、さらに東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10が特に好ましく良い。
【0214】
接触帯電部材として導電性の帯電ブラシ部材を用いる場合には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状帯電ブラシ部材としては、例えば導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとすることができる。導電性繊維は、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
【0215】
帯電ブラシ部材は、一次帯電均一性の観点から、よりブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましく良い。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
【0216】
しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイントが主には帯電部材と像担持体との帯電当接部及びその近傍の微粒子の介在密度に依存しているため、帯電ブラシ部材の選択の範囲は広められており、帯電ブラシ部材を単独で用いる場合よりブラシ密度は少なくても構わない。
【0217】
次に、像担持体と接触帯電部材との当接部における微粒子の介在量について以下説明する。
【0218】
像担持体と接触帯電部材との当接部における微粒子の介在量は、少なすぎると、微粒子による潤滑効果が十分に得られず、像担持体と接触帯電部材との摩擦が大きくて接触帯電部材を像担持体に速度差を持って回転駆動させることが困難である。つまり、駆動トルクが過大となるし、無理に回転させると接触帯電部材や像担持体の表面が削れてしまう。更に微粒子による接触機会増加の効果が得られないこともあり十分な帯電性能が得られない。一方、介在量が多過ぎると、微粒子の接触帯電部材からの脱落が著しく増加し作像上に悪影響が出る。
【0219】
微粒子の介在量は102個/mm2以上が好ましい。102個/mm2より低いと十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られず帯電性能の低下が生じ、また、転写残トナーが多い場合に帯電性能の低下が生じやすい。
【0220】
微粒子の塗布密度範囲は、微粒子をどれぐらいの密度で像担持体上に塗布すれば均一帯電性の効果が得られるかでも決定される。帯電時は少なくともこの記録解像度よりは均一な接触帯電が必要である。しかしながら人間の目の視覚特性に関して、空間周波数が10cycles/mm以上では、画像上の識別諧調数が限りなく1に近づいていく、すなわち濃度ムラを識別できなくなる。この特性を積極的に利用すると、像担持体上に微粒子を付着させた場合、少なくとも像担持体上で10cycles/mm以上の密度で微粒子を存在させ、直接注入帯電を行えば良いことになる。たとえ微粒子の存在しないところにミクロな帯電不良が発生したとしても、その帯電不良によって発生する画像上の濃度ムラは、人間の視覚特性を越えた空間周波数領域に発生するため、画像上では問題は無いことになる。
【0221】
微粒子の塗布密度が変化したときに、画像上に濃度ムラとしての帯電不良が認知されるかどうかについては、微粒子がわずかにでも塗布されれば(例えば10個/mm2)、帯電ムラ発生抑制に効果が認められるが、画像上の濃度ムラが人間にとって許容可能かどうかと言う点においてはまだ不十分である。
【0222】
ところがその塗布量を102個/mm2以上にすると、画像の客観評価において急激に好ましい結果が得られるように改良される。
【0223】
直接注入帯電方式による帯電では、放電帯電方式とは根本的に異なり、帯電部材が像担持体に確実に接触する事で帯電が行われている訳であるが、たとえ微粒子を像担持体上に過剰に塗布したとしても、接触できない部分は必ず存在する。ところが人間の視覚特性を積極的に利用した微粒子の塗布を行うことで、実用上この問題点を解決する。
【0224】
しかしながら、直接注入帯電方式を現像兼クリーニング画像形成における像担持体の一様帯電として適用する場合には、転写残トナーの帯電部材への付着または混入による帯電特性の低下が生ずる。転写残トナーの帯電部材への付着及び混入を抑制し、または転写残トナーの帯電部材への付着または混入による帯電特性への悪影響に打ち勝って、良好な直接注入帯電を行うには、像担持体と接触帯電部材との当接部における微粒子の介在量が102個/mm2以上であることが好ましい。
【0225】
また、微粒子の塗布量の上限値は、微粒子が像担持体上に1層均一に塗布されるまでであり、それ以上塗布されても効果が向上するわけではなく逆に、露光光源を遮ったり、散乱させたりという弊害が生じる。
【0226】
塗布密度上限値は微粒子の粒径によっても変わってくるために、一概にはいえないが、微粒子が像担持体上に1層均一に塗布される量が上限といえる。
【0227】
微粒子の量は5×105個/mm2を超えると、微粒子の像担持体への脱落が著しく増加し、微粒子自体の光透過性を問わず、像担持体への露光量不足が生じる傾向がある。5×105個/mm2以下では脱落する微粒子量も低く抑えられ露光の阻害を改善できる。微粒子の介在量を102〜5×105個/mm2として画像形成を行い、像担持体上に脱落した微粒子の存在量を測定したところ、102〜105個/mm2であり、作像上の弊害はなかった。したがって、微粒子の好ましい介在量の上限は、5×105個/mm2である。
【0228】
帯電当接部での微粒子の介在量及び潜像形成工程での像担持体上の微粒子存在量の測定方法について述べる。微粒子の介在量は接触帯電部材と像担持体の接触面部を直接測ることが望ましいが、当接部を形成する接触帯電部材の表面と像担持体の表面には速度差を設けている場合、接触帯電部材に接触する前に像担持体上に存在した微粒子の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部材に剥ぎ取られることから、本発明では接触面部に到達する直前の接触帯電部材表面の微粒子量をもって介在量とする。
【0229】
具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で像担持体及び帯電ローラー部材の回転を停止し、像担持体及び帯電ローラー部材の表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR-3100)で撮影する。帯電ローラー部材については、帯電ローラー部材を像担持体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影する。得られたデジタル画像から個々の微粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、微粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測する。また、像担持体上の存在量についても像担持体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測する。
【0230】
本発明の画像形成方法における帯電工程は、像担持体(被帯電体)に、接触帯電部材を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させる。接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは直流電圧のみでも良好な帯電性を得ることが可能であるが、直流電圧に交流電圧を重畳してもよい。
【0231】
交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交流電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0232】
本発明においては帯電部材が像担持体に当接されていることが好ましく、オゾンが発生しないことで環境保全上好ましい形態となっている。また、帯電工程では、帯電部材に直流電圧を印加することにより像担持体を帯電するか、または、帯電部材に直流印加における放電開始電圧Vth(V)の2倍未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより、更には帯電部材に直流印加に置ける放電開始電圧Vth(V)未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳した電圧を印加することにより、像担持体を帯電させることが好ましい。
【0233】
一つの形態としてローラー部材を用いたときの好ましいプロセス条件としては、ローラー部材の像担持体に対する当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)で、直流電圧あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが用いられる場合である。直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いる場合は、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±5kVとする条件が好ましい。
【0234】
次に、像担持体について説明する。像担持体としては、例えば感光体を使用することができる。本発明の画像形成方法では、像担持体の最表面層の体積固有抵抗値が1×109〜1×1014Ωcmであることが好ましく、これにより、より良好な帯電性を与えることができる。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体側の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受が行えるようになる。このためには、最表面層の体積固有抵抗値としては1×1014Ωcm以下であることが好ましい。一方、像担持体として静電潜像を一定時間保持する必要するためには、最表面層の体積固有抵抗値としては1×109Ωcm以上であることが好ましい。
【0235】
更に、像担持体が電子写真感光体であり、該電子写真感光体の最表面層の体積固有抵抗値が1×109〜1×1014Ωcmであることにより、プロセススピードの速い装置においても、十分な帯電性を与えることができる。
【0236】
なお、本発明における像担持体の最表面層の体積固有抵抗値の測定は、表面に金を蒸着させたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に像担持体の最表面層と同様の組成からなる層を作成し、これを体積固有抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140B pA MATER)を用いて、23℃、65%の環境で100Vの電圧を印加して測定することにより行う。
【0237】
また、像担持体はアモルファスセレン、CdS、ZnO2、アモルファスシリコン又は有機系感光物質の様な光導電性物質を利用した感光ドラムもしくは感光ベルト等の感光体であることが好ましく、アモルファスシリコン感光層又は有機感光層を有する感光体が特に好ましく用いられる。
【0238】
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送物質を同一層に含有する単一層型でもよく、又は電荷輸送層と電荷発生層を有する機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0239】
像担持体の最表面層の体積固有抵抗値を1×109〜1×1014Ωcmに調整することで、更に安定して均一に帯電を行うことができる。
【0240】
像担持体の表面抵抗を上記範囲に調整することによって電荷注入をより効率化或いは促進するために、像担持体としての電子写真感光体の最表面層として電荷注入層を設けることも好ましい。
【0241】
電荷注入層を設ける形態としては、例えば、
(i)セレン、アモルファスシリコン等の無機感光体もしくは単一層型有機感光体の上に、電荷注入層を設ける場合、
(ii)機能分離型有機感光体の電荷輸送層として、電荷輸送物質と樹脂から構成される表面層に電荷注入層としての機能を兼ねさせる場合(例えば、電荷輸送層として樹脂中に電荷輸送物質と導電性微粒子を分散させる、あるいは電荷輸送物質自体もしくはその存在状態によって、電荷輸送層に電荷注入層としての機能を持たせる場合)、
(iii)さらに機能分離型有機感光体上に最表面層として電荷注入層を設ける場合、
等があるが、最表面層の体積固有抵抗値が1×109〜1×1014Ωcmの範囲にあることが好ましい。
【0242】
電荷注入層としては、例えば、金属蒸着膜等の無機の層、あるいは導電性微粒子を結着樹脂中に分散させた導電性微粒子分散樹脂層等によって構成され、蒸着膜は蒸着、導電性微粒子分散樹脂層はディッピング塗工法、スプレー塗工法、ロールコート塗工法及びビーム塗工法等の適当な塗工法にて塗工することによって形成される。
【0243】
また、絶縁性の結着樹脂に光透過性の高いイオン導電性を持つ樹脂を混合もしくは共重合させて構成するもの、または中抵抗で光導電性のある樹脂単体で構成されるものでもよい。
【0244】
この中でも、像担持体の最表面層が、少なくとも金属酸化物からなる導電性微粒子が分散された樹脂層であることが好ましい。それは、電子写真感光体の表面の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受が行え、かつ像担持体として静電潜像を保持している間に表面の抵抗を下げたことで静電潜像電荷が拡散することによる潜像のボケもしくは流れを抑制できるからである。
【0245】
像担持体の最表面層が導電性微粒子分散層である場合、分散された導電性微粒子による入射光の散乱を防ぐために、入射光の波長よりも導電性微粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、分散される導電性微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。導電性微粒子の含有量は、最表面層の総質量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜70質量%がより好ましく良い。2質量%より少ない場合には、所望の体積固有抵抗値を得にくくなり、また90質量%より多い場合には、膜強度が低下してしまい電荷注入層が削りとられやすくなり、感光体の寿命が短くなる傾向があり、また抵抗が低くなってしまい静電潜像電位が流れることによる画像不良を生じやすくなるためである。
【0246】
最表面層の層厚は0.1〜10μmが好ましく、静電潜像の輪郭のシャープさを得る上では5μm以下であることがより好ましく、電荷注入層の耐久性の点からは1μm以上であることがより好ましい。
【0247】
また、電荷注入層の結着樹脂は、電荷注入層の下の層に用いられる結着樹脂と同じとすることも可能であるが、この場合には電荷注入層の塗工時に下の層(例えば電荷輸送層)の塗工面を乱してしまう可能性があるため、形成方法を特に選択する必要がある。
【0248】
また、本発明においては、像担持体最表面層に離型性を付与させることが好ましく、像担持体表面の水に対する接触角は85度以上であることが好ましく、接触角は90度以上であることがより好ましい。
【0249】
最表面層に離型性を付与する手段としては、
(1)最表面層を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる、
(2)最表面層に撥水、親油性を付与するような添加剤を加える、
(3)最表面層に高い離型性を有する滑剤微粒子を分散させる
などが挙げられる。(1)の例としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基等を導入することにより達成できる。(2)としては、界面活性剤等を添加剤とすればよい。(3)としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の滑剤微粒子が挙げられる。
【0250】
フッ素系樹脂としては、すなわちポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化カーボン等が挙げられる。
【0251】
これらの手段によって感光体表面の水に対する接触角を85度以上とすることができ、トナーの転写性及び感光体の耐久性を一層向上させることができる。好ましくは90度以上とするのがよい。この中でもポリ4フッ化エチレン樹脂粒子を滑剤微粒子として分散させる手段が好適である。
【0252】
これらの滑剤微粒子を表面に含有させるためには、最表面層の結着樹脂中に滑剤微粒子を分散させるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最表面層に滑剤微粒子を分散させれば良い。滑剤微粒子の添加量は、最表面層総質量に対して、1〜60質量%、さらには、2〜50質量%が好ましい。1質量%より少ないとトナーの転写性及び感光体の耐久性改善の効果が不十分であり、60質量%を超えると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下したりするため、好ましくない。
【0253】
図8は、最表面層として電荷注入層を設けた感光体の層構成の一例を示す。即ち、導電性基体(アルミニウム基体)11上に導電層12、正電荷注入防止層13、電荷発生層14、電荷輸送層15の順に重ねて塗工された一般的な有機感光体ドラムに、電荷注入層16を塗布することにより、帯電性能を向上したものである。
【0254】
電荷注入層16は、体積固有抵抗値が1×109〜1×1014Ωcmの範囲にある。本構成のように電荷注入層16を設けない場合でも、例えば電荷輸送層15が上記抵抗値の範囲に或る場合は同等の効果が得られる。例えば、最表面層の体積固有抵抗値が約1×1013Ωcmであるアモルファスシリコン感光体等を用いても同様に良好な帯電性が得られる。電荷注入層には、導電性微粒子を分散させることもでき、必要に応じて用いられる。
【0255】
本発明に用いられる感光体の好ましい様態のひとつを以下に説明する。
【0256】
導電性基体としては、アルミニウム、ステンレスの如き金属;アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化錫合金による被膜層を有するプラスチック;導電性粒子を含侵させた紙、プラスチック、導電性ポリマーを有するプラスチックの円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0257】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上、塗工性改良、基体の保護、基体上に欠陥の被覆、基体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護等を目的として下引き層を設けても良い。下引き層は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、ポリウレタン、酸化アルミニウムの如き材料によって形成される。その膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μm程度である。
【0258】
電荷発生層は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素、セレン・非晶質シリコンの如き無機物質の電荷発生物質を適当な結着樹脂に分散し塗工するか、あるいは蒸着する等により形成される。結着樹脂としては、広範囲な樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着樹脂の量は80質量%以下、好ましくは0〜40質量%である。また、電荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0259】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜厚は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン、フェナントレンなどの構造を有する多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、オキサジアゾール、ピラゾリンの如き含窒素環式化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、セレン・セレンーテルル、非晶質シリコン、硫化カドニウムが挙げられる。
【0260】
また、これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンの如き有機光導電性ポリマーが挙げられる。
【0261】
上記の導電性微粒子分散層あるいは/または接触角85度以上の層を最表面層としても良いが、これらとは別に最表面層として、保護層を設けてもよい。
【0262】
保護層の樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。
【0263】
また、保護層の樹脂中に導電性微粒子を分散してもよい。導電性微粒子の例としては、金属・金属酸化物が挙げられ、好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化スズ被膜酸化チタン、スズ被膜酸化インジウム、アンチモン被膜酸化スズ、酸化ジルコニウムの超微粒子である。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
【0264】
一般的に保護層に導電性微粒子を分散させる場合、導電性微粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも導電性微粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、本発明における保護層に分散される導電性微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。また、保護層中での含有量は、保護層総質量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0265】
本発明の画像形成方法は、表面が有機化合物である感光体を用いて接触転写方法を行う場合において特に有効である。即ち、有機化合物が感光体の表面層を形成している場合には、無機材料を用いた他の感光体よりもトナー粒子に含まれる結着樹脂との接着性が強く、転写性がより低下する傾向にあるためである。
【0266】
また、本発明の画像形成方法に接触転写方法を適用する場合、使用される感光体の表面物質としては、たとえばシリコーン樹脂、塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−メチルメタクリレート、スチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネートが挙げられるが、これらに限定されることはなく他のモノマーあるいは前述の結着樹脂間での共重合体およびブレンド体も使用することができる。
【0267】
また、接触転写方法を適用した本発明の画像形成方法は、直径が50mm以下の小径の感光体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、小径感光体の場合には、同一の線圧に対する曲率が大きく、当接部における圧力の集中が起こりやすいためである。ベルト感光体でも同一の現象があると考えられるが、本発明は、転写領域での曲率半径が25mm以下の画像形成装置に対しても有効である。
【0268】
次に、静電潜像形成工程について説明する。本発明の画像形成方法では、像露光により像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む露光工程を用いるのが好ましい。すなわち、像担持体の帯電面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段は、像露光手段であることが好ましい。静電潜像形成のための像露光手段としては、デジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子や、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるものなどが挙げられ、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0269】
像担持体は静電記録誘電体等であっても良く、この場合は、該誘電体面を所定の極性・電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0270】
次に、現像工程について説明する。本発明の画像形成方法の現像工程では、本発明におけるトナーによって、像担持体の静電潜像を現像する。まず、現像で使用するトナー担持体について説明する。
【0271】
本発明に使用されるトナー担持体は、アルミニウム、ステンレススチールの如き金属又は合金で形成された導電性円筒(現像ローラー)が好ましく使用される。充分な機械的強度及び導電性を有する樹脂組成物で導電性円筒が形成されていても良く、導電性ゴムローラを用いても良い。また、上記のような円筒状に限られず、回転駆動する無端ベルトの形態を有していても良い。
【0272】
本発明においては、トナー担持体上に5〜50g/m2のトナー層を形成させることが好ましい。トナー担持体上のトナー量が5g/m2未満であると、十分な画像濃度が得られにくく、トナーの帯電が過剰になることによるトナー層のムラを生じる。トナー担持体上のトナー量が50g/m2よりも多くなると、トナー飛散を生じ易くなる。
【0273】
また、本発明に使用されるトナー担持体の表面粗さは、JIS中心線平均粗さ(Ra)で0.2〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。Raが0.2μm未満ではトナー担持体上の帯電量が高くなり、現像性が不充分となる傾向がある。Raが3.5μmを超えると、トナー担持体上のトナーコート層にむらが生じ、画像上で濃度むらとなる傾向がある。さらに好ましくは、0.5〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0274】
本発明において、トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JISB0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式(4)によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものを言う。
【0275】
【外3】
Figure 0004371643
【0276】
本発明に係わるトナーは高い帯電能力を有するために、現像に際してはトナーの総帯電量をコントロールすることが望ましく、本発明に係わるトナー担持体の表面は、導電性微粒子及び/又は滑剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
【0277】
トナー担持体の樹脂層において、樹脂材料に含まれる導電性微粒子は、120kg/cm2で加圧した後の体積固有抵抗値が0.5Ωcm以下であるものが好ましい。
【0278】
トナー担持体の樹脂層に用いる導電性微粒子としては、カーボン微粒子、カーボン微粒子と結晶性グラファイト粒子との混合物、または結晶性グラファイト粒子が好ましい。トナー担持体に用いる導電性微粒子は、粒径が0.005〜10μmを有するものが好ましい。
【0279】
トナー担持体の樹脂層に用いる樹脂は、例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂を使用することができる。
【0280】
中でもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、あるいはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。特に、フェノール樹脂が好ましい。
【0281】
トナー担持体の樹脂層に用いる導電性微粒子は、樹脂成分100質量部当り、10〜200質量部使用するのが好ましい。カーボン微粒子と結晶性グラファイト粒子を組み合わせて使用する場合は、結晶性グラファイト粒子100質量部当り、カーボン微粒子10〜500質量部を使用するのが好ましい。導電性微粒子が分散されるトナー担持体の樹脂層の体積固有抵抗値は10-6〜106Ωcmが好ましく、10-1〜106Ωcmが更に好ましい。
【0282】
また、本発明の画像形成方法の現像工程において、トナーを担持して現像部に搬送するトナー担持体の移動速度を、像担持体の移動速度に対して速度差をもたせることにより、トナー担持体側から像担持体側へトナー粒子および微粒子を十分に供給することができるため、良好な画像を得ることができる。
【0283】
トナーを担持するトナー担持体表面は、像担持体表面の移動方向と同方向に移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよい。その移動方向が同方向である場合像担持体の移動速度に対して、比で1.05倍以上であることが望ましい。1.05倍未満であると、画像品質が悪い場合がある。移動速度比が高まれば高まるほど、現像部に供給されるトナーの量は多く、静電潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、静電潜像に忠実な画像が得られる。速度比は、以下の式により求めた値である。
(式)
速度比(倍)=トナー担持体速度/像担持体速度
具体的には、トナー担持体表面の移動速度が像担持体表面の移動速度に対し、1.05〜3.0倍の速度であることが好ましい。3.0倍を超えると、耐久時のトナー劣化が促進されやすい。
【0284】
本発明において非接触現像方法を適用するために、トナー担持体と像担持体を一定の間隙を設けて配置し、該間隙よりもトナー担持体上のトナー層を薄く形成することが好ましい。現像工程は像担持体に対してトナー層を非接触として、像担持体の静電潜像をトナー像として可視化する非接触現像方法を適用することで、電気抵抗値が低い微粒子をトナー中に添加しても、現像バイアスが像担持体へ注入することによる現像カブリが発生しない。そのため、良好な画像を得ることができる
また、本発明の画像形成方法の現像工程においては、カブリの無い高画質を得るためにトナー担持体上に、トナー担持体−像担持体(例えば感光体)の最近接距離(S−D間)よりも小さい層厚で、トナーを塗布し、交流バイアスを印加して現像を行う現像工程で現像されることが好ましい。トナー担持体上のトナーを規制するトナー層厚規制部材によって、トナー担持体上のトナー層厚よりも感光体とトナー担持体の最近接間隙が広くなるように設定して用いるが、トナー担持体上のトナー層厚規制部材は、トナーを介してトナー担持体に当接されている弾性部材であることが、トナーを均一に帯電させる観点から特に好ましい。
【0285】
また、トナー担持体は像担持体に対して100〜1000μmの間隙を有して対向して設置されることが好ましく、120〜500μmの間隙を有して対向して設置されることが更に好ましい。
【0286】
トナー担持体の像担持体に対する間隙が100μmよりも小さいと、間隙の振れに対するトナーの現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。トナー担持体の像担持体に対する間隙が1000μmよりも大きいと、現像装置への転写残トナーの回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、像担持体上の静電潜像に対するトナーの追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招きやすい。
【0287】
本発明において、トナー担持体に対して交番電界を印加して現像を行う現像工程で現像されることが好ましく、印加現像バイアスは直流電圧に交流電圧を重畳したものでもよい。
【0288】
交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交流電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0289】
トナー担持体と像担持体との間に、ピークトゥーピークの電界強度が3×106〜10×106V/mであり、周波数100〜5000Hzの交番電界を現像バイアスとして印加することが好ましい。トナー担持体と像担持体との間に印加される現像バイアスの電界強度が3×106V/mよりも小さいと、現像装置への転写残トナーの回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、現像力が小さいために画像濃度の低い画像となり易い。一方、現像バイアスの電界強度が10×106V/mよりも大きいと現像力が大き過ぎることによる細線の潰れによる解像性の低下、カブリの増大による画質低下を生じ易く、現像バイアスの像担持体へのリークによる画像欠陥を生じ易くなる。また、トナー担持体と像担持体との間に印加される現像バイアスの交流成分の周波数が100Hzよりも小さいと、静電潜像に対するトナーの脱着頻度が少なくなり、現像装置への転写残トナーの回収性が低下しやすく、画像品質も低下し易い。現像バイアスの交流成分の周波数が5000Hzよりも大きいと、電界の変化に追従できるトナーが少なくなるために、転写残トナーの回収性が低下し、現像性が低下しやすい。
【0290】
交番電界を現像バイアスとして印加する等によって、トナー担持体と像担持体間に高電位差がある場合でも、現像部による像担持体への電荷注入が生じないため、トナー担持体側のトナー中に添加された微粒子が均等に像担持体側に移行されやすく、均一に微粒子を像担持体に塗布し、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることが出来る。
【0291】
次に、本発明の画像形成方法の接触転写工程について具体的に説明する。本発明において、像担持体からトナー像の転写を受ける転写材は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。転写材を中間転写体とする場合、中間転写体から紙などに再度転写することでトナー像が得られる。
【0292】
接触転写工程とは、感光体が転写材を介して転写部材と当接しながらトナー像を転写材に静電転写するものであるが、転写部材の当接圧力としては線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m(20g/cm)以上である。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
【0293】
また、接触転写工程を行うための転写手段としては、転写ローラーあるいは転写ベルト等の接触転写部材を有する装置が使用される。図4に転写ローラーの構成の一例を示す。転写ローラー34は少なくとも芯金34aと導電性弾性層34bからなり、導電性弾性層はカーボン等の導電材を分散させたウレタンやエチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)等の、体積固有抵抗値106〜1010Ωcm程度の弾性体で作られており、転写バイアス電源35により転写バイアスが印加されている。
【0294】
次に、本発明の一態様である現像兼クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)の画像形成方法を、図5を参照して具体的に説明する。
【0295】
図5は本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例の概略構成図である。この画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを利用した現像兼クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザープリンター(記録装置)である。クリーニングブレード等のクリーニング部材を有するクリーニング手段を除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては磁性一成分系トナーを使用し、トナー担持体上のトナー層と像担持体が非接触となるよう配置される非接触現像の例を示す。
【0296】
像担持体としての回転ドラム型OPC感光体21は、矢印Xの方向に一定速度の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。接触帯電部材としての帯電ローラー22は、感光体21に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体21と帯電ローラー22との帯電当接部である。帯電ローラー22は感光体21との接触面である帯電当接部nにおいて対向方向(感光体表面の移動方向と逆方向)に回転駆動される。即ち、接触帯電部材としての帯電ローラー22の表面は感光体21の表面に対して速度差を持たせてある。
【0297】
帯電ローラー22の表面には、塗布量が均一になるように前記微粒子が塗布されている。
【0298】
帯電ローラー22の芯金22aには、帯電バイアス印加電源から直流電圧が帯電バイアスとして印加される。ここで、感光体21の表面は帯電ローラー22に対する印加電圧とほぼ等しい電位に直接注入帯電方式にて一様に帯電処理される。
【0299】
露光手段としての露光器23により感光体21の表面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。感光体21の表面の静電潜像は、現像装置24によりトナー像として現像される。
【0300】
現像装置24は、非接触型の反転現像装置である。トナー担持体としての現像スリーブ24aは、感光体21との対向部である現像部a(現像領域)において感光体21の回転方向と順方向に一定速度の周速で回転する。トナー層厚規制部材である弾性ブレード24cによって、トナーが現像スリーブ24a上に薄層にコートされ、電荷が付与される。現像スリーブ24aにコートされたトナーは、現像スリーブ24aの回転により、感光体21と現像スリーブ24aの対向部である現像部aに搬送される。また、現像スリーブ24aには現像バイアス印加電源(不図示)より現像バイアス電圧が印加される。そして、現像スリーブ24aと感光体21の間aで1成分ジャンピング現像が行われる。尚、24bは、現像スリーブ24aにトナーを供給すると共にトナーの撹拌を行う部材である。
【0301】
接触転写部材としての転写ローラー25は、感光体21に一定の線圧で圧接され、転写当接部bを形成させてある。この転写当接部bに不図示の給紙部から所定のタイミングで転写材Pが給紙され、かつ転写ローラー25に転写バイアス印加電源から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体21側のトナー像が転写当接部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0302】
そして、一定のローラー抵抗値のものを用い直流電圧を印加して転写を行う。即ち、転写当接部bに導入された転写材Pは挟持搬送されて、その表面側に感光体21の表面に形成担持されているトナー像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0303】
転写当接部bに給紙されて感光体21側のトナー像の転写を受けた転写材Pは、感光体1の表面から分離されて、熱定着方式の定着装置26に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0304】
このプリンターはクリーニング手段が除去されており、転写材Pに対するトナー像転写後の感光体21の表面に残留の転写残トナーはクリーナーで除去されることなく、感光体21の回転にともない帯電部nを経由して現像部aに至り、現像装置24において現像兼クリーニング(回収)される。
【0305】
図5においては、感光体21、帯電ローラー22及び現像装置24を一括して有するプロセスカートリッジ27として構成されており、このプロセスカートリッジ27はプリンター本体に対して着脱自在である。プロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等は上記に限られるものではなく任意である。例えば、現像装置と感光体の組み合わせ、現像装置と帯電ローラーの組み合わせ、現像装置と感光体と帯電ローラーの組み合わせ等が考えられる。28はプロセスカートリッジの着脱案内・保持部材である。
【0306】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0307】
(A−1)微粒子の製造
(1)微粒子A−1の製造
タングステン(W)とスズ(Sn)のモル比(W(mol)/Sn(mol))が0.05になるように塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液を混合した。母体粒子となる酸化チタン200質量部を水2000質量部に分散させた懸濁溶液に、スズ元素:酸化チタンとが質量比率で2.2:1となる割合で上記の混合水溶液を90℃で攪拌しながら滴下し、更にその後に、塩酸を加え、生成した共沈殿物をろ過・乾燥した。
【0308】
乾燥品は、窒素雰囲気の電気炉(600℃)で焼成を行い、解砕・分級して、体積平均粒粒径を0.8μmに調整した。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=2.0、W(mol)/Sn(mol)=0.045、体積抵抗=9×10Ωcmであった。これを微粒子A−1とする。
(2)微粒子A−2の製造
微粒子A−1の製造において、モル比(W(mol)/Sn(mol))が0.015になるように塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液の混合割合を変更し、更に酸化チタンに対する混合水溶液の割合、及び焼成条件を変更した以外は同様な方法で製造し、体積平均粒径0.9μm、体積抵抗3×10Ωcmの微粒子A−2を得た。尚、得られた微粒子A−2は、Sn(mass)/B(mass)=0.01、W(mol)/Sn(mol)=0.01であった。
(3)微粒子A−3の製造
微粒子A−1の製造において、モル比(W(mol)/Sn(mol))が0.10になるように塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液の混合割合を変更し、更に酸化チタンに対する混合水溶液の割合、及び焼成条件を変更した以外は同様な方法で製造し、体積平均粒径0.8μm、体積抵抗1×10Ωcmの微粒子A−3を得た。尚、得られた微粒子A−3は、Sn(mass)/B(mass)=1.6、W(mol)/Sn(mol)=0.10であった。
(4)微粒子A−4の製造
微粒子A−1の製造において、酸化チタンの代わりに球状シリカを用い、モル比(W(mol)/Sn(mol))が0.10になるように塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液の混合割合を変更し、更に球状シリカと混合水溶液の割合を変更した以外は同様な方法で製造し、体積平均粒径2.1μm、体積抵抗3×10Ωcmの微粒子A−4を得た。尚、得られた微粒子A−4は、Sn(mass)/B(mass)=0.8、W(mol)/Sn(mol)=0.10であった。
(5)微粒子A−5の製造
微粒子A−1の製造例において、粒径の異なる酸化チタンを用い、W(mol)/Sn(mol)を0.075に変更し、更に酸化チタンに対する混合水溶液の割合を変更して焼成を行った。焼成品を解砕・分級して体積平均粒径0.4μm、体積抵抗2×10Ωcmの微粒子A−5を得た。尚、得られた微粒子A−5は、Sn(mass)/B(mass)=1.8、W(mol)/Sn(mol)=0.075であった。
【0309】
(A−2)トナー粒子の製造
▲1▼トナー粒子A−1の製造
ポリエステル樹脂(Tg:63℃、分子量:Mp7800、Mn3500、Mw61000)100質量部、カーボンブラック5質量部、モノアゾ金属錯体(負荷電制御剤)2質量部、低分子量エチレン−プロピレン共重合体(吸熱メインピーク温度:84℃,発熱メインピーク温度:86℃)3.5質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、温度135℃に設定した2軸混練機にて混練した。混練物は冷却しハンマーミルにて粗粉砕した後に機械式粉砕機で粉砕した。更に気流式分級機で分級し、重量平均粒径が6.8μmの非磁性のトナー粒子A−1を得た。
▲2▼トナー粒子A−2の製造
トナー粒子A−1の製造において、ポリエステル樹脂をスチレン−アクリル酸ブチル共重合体(Tg:59℃、分子量:Mp18000、Mn13000、Mw315000)に変更した以外は同様な方法で製造し、重量平均粒径が7.9μmの非磁性のトナー粒子A−2を得た。
▲3▼トナー粒子A−3の製造
スチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸ブチルハーフエステル共重合体(Tg63℃、分子量:Mp15500、Mn6800、Mw240000)100質量部、磁性酸化鉄(平均粒子径:0.22μm、σs:83.8Am2/kg)90質量部、モノアゾ金属錯体(負荷電制御剤)2.5質量部、低分子量エチレン−プロピレン共重合体3質量部をトナー粒子A−1の製造例と同様な方法で製造し、重量平均粒径が7.1μmの磁性を有するトナー粒子A−3を得た。
【0310】
[実施例A−1](参考例)
(1)トナーA−1の製造
トナー粒子A−1(100質量部)に微粒子A−1(1.5質量部)とジメチルシリコーンオイルで処理した疎水性シリカ微粉体(1.2質量部)を添加しヘンシェルミキサーにて外添し、トナーA−1を調製した。微粒子のトナー表面に存在する割合は、トナー粒子1個当たり5.0個であり、微粒子のトナー平均径に対する粒径比は0.09であった。
(2)キャリアA−1の製造
二成分現像剤用現像キャリアとして、45μmのフェライト粒子100質量部に対しアクリル樹脂を0.8質量部コートした現像キャリアA−1を作製した。
(3)二成分系現像剤A−1の調製
現像キャリアA−1:100質量部に対して、トナーA−1:7質量部を混合して二成分系現像剤A−1を得た。
【0311】
得られた現像剤を用いて、以下の方法により評価を行った。
【0312】
評価方法
画像形成装置として、デジタル複写機(キヤノン製:GP405)の現像部を本検討用に改造して使用した。現像器は、一成分ジャンピング現像器を二成分現像用に改造し、現像スリーブは、SUSスリーブを表面粗さRaが1.0μmになるようにガラスビーズでブラスト処理した。現像スリーブには、300Vの直流電圧に1kVpp,2kHzの交流電圧を重畳し、また現像部において感光体と同方向であり感光体周速に対し150%の周速に調整した。更に、感光体としては、a−Si感光体を用いるように変更した。
【0313】
23℃/60%の環境下で、印字比率6%のテストチャートを用いて、連続で2万枚の画出しを行い、耐久後の画像における画像カブリ、細線再現性、及び、耐久後の感光体の磨耗度合いを評価した。
【0314】
画像カブリは、カブリ測定用反射測定機REFLECTMETER(東京電色(株))にて、画像白地部と未使用紙の反射率を測定し、その差(未使用紙反射率−画像白地部の反射率)をカブリ[%]とした。
【0315】
画像カブリ評価は、以下の基準に従った。
A:カブリ0.5%未満
B:カブリ0.5〜1.0%未満
C:カブリ1.0〜2.0%未満
D:カブリ2.0%以上
細線再現性の評価は、以下の基準に従った。
A:再現性良好
B:軽微な細線の細りや重なりが発生するが実用上は問題なし
C:一部で細線の細りや重なりが発生
D:細線の細りや重なりが顕著
感光体磨耗は、磨耗起因の画像濃度変化および画像カブリの発生により評価した。
A:磨耗起因の画像劣化無し
B:軽微な濃度変化が発生するが実用上は問題なし
C:一部で濃度変化および画像カブリが発生
D:濃度変化、画像カブリが顕著
実施例A−1においては、高画質な画像が得られた。上記の項目に関する評価結果を表1に示す。
【0316】
[実施例A−2](参考例)
トナーA−1の製造において、トナー粒子A−2及び微粒子A−2を用いるように変更し、且つ微粒子の添加量を1.0質量部に変更する以外は同様にして、トナーA−2を調製した。微粒子のトナー表面に存在する割合は、トナー粒子1個当たり2.2個であり、微粒子のトナー平均径に対する粒径比は0.07であった。
【0317】
トナーA−2を用いる以外は、実施例A−1と同様にして、二成分系現像剤A−2を調製し、同様に評価を行った。実施例A−2においては、高画質な画像が得られた。上記の項目に関する評価結果を表1に示す。
【0318】
[実施例A−3](参考例)
トナーA−1の製造において、トナー粒子A−3及び微粒子A−3を用いるように変更し、且つ微粒子の添加量を3.0質量部に変更する以外は同様にして、トナーA−3を調製した。微粒子のトナー表面に存在する割合は、トナー粒子1個当たり10.5個であり、微粒子のトナー平均径に対する粒径比は0.08であった。
【0319】
実施例A−1で用いた現像器を一成分ジャンピング現像用に変更した以外は同様な方法で、トナーA−3を用いて画像評価を行った。現像スリーブとしては、SUS製のスリーブをRaが0.6μmになるようにガラスビーズでブラスト処理を行ったものを用いた。実施例A−3においては、高画質な画像が得られた。上記の項目に関する評価結果を表1に示す。
【0320】
[実施例A−4](参考例)
トナーA−1の製造において、トナー粒子A−3及び微粒子A−4を用いるように変更し、且つ微粒子の添加量を1.0質量部に変更する以外は同様にして、トナーA−4を調製した。微粒子のトナー表面に存在する割合は、トナー粒子1個当たり1.1個であり、微粒子のトナー平均径に対する粒径比は0.21であった。
【0321】
トナーA−4を用いる以外は、実施例A−3と同様にして評価を行った。実施例A−4においては、高画質な画像が得られた。上記の項目に関する評価結果を表1に示す。
【0322】
[実施例A−5](参考例)
実施例A−1で評価が終了した画像形成装置を30℃/80%の環境に移動し、24時間環境に馴染ませてから、実施例A−1と同様な評価を行った
【0323】
その結果、耐久初期から画像カブリ及び細線再現性に優れており、良好な摩擦帯電の立ち上がりが確認された。耐久中も良好な画質が維持されており、最終的にも実施例1と同等な画質が維持されていた。
【0324】
さらに、画像形成装置を15℃/5%の環境に移動し、24時間環境に馴染ませてから、実施例1と同様な評価を行った。
【0325】
その結果、耐久初期からチャージアップや不均一な帯電が抑制されており、良好な摩擦帯電性が得られることが確認された。耐久中も良好な画質が維持されており、最終的にも実施例1と同等な画質が維持された。
【0326】
また、現像スリーブの磨耗に起因する画質低下も認められなかった。
【0327】
[比較例A−1]
モル比(Sb(mol)/Sn(mol))が0.02である塩化アンチモンと塩化スズの水溶性混合物をシリカ粒子上に共沈させてから焼成することにより、シリカ粒子表面に導電性のSbドープ酸化スズ層を形成させた粒子(抵抗5×10Ωcm、体積平均粒径1.5μm、Sn(mass)/B(mass)=1.0、W(mol)/Sn(mol)=0)を、実施例A−1の微粒子A−1の代わりに用いて実施例A−1と同様な評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0328】
[比較例A−2]
SnOで被覆した硫酸バリウム粒子とSnFの混合体を焼成することによりSnO層にフッ素がドープされた導電性粒子を得た(抵抗3×10Ωcm、粒径1.1μm、Sn(mass)/B(mass)=2.5、W(mol)/Sn(mol)=0)。これを実施例A−1の微粒子A−1の代わりに用い、実施例A−1と同様な評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0329】
[比較例A−3]
酸化チタン粒子の表面をZnOで被覆した粒子(粒径5.5μm、Zn/B=1.9)を実施例A−1の微粒子A−1の代わりに用いて実施例A−1と同様な評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0330】
【表1】
Figure 0004371643
【0331】
<スズ化合物及びタングステン元素を有する微粒子の製造例>
(微粒子の製造例B−1)
タングステン(W)とスズ(Sn)のモル比(W(mol)/Sn(mol))が0.05になるように塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液を混合した。母体粒子となる酸化チタン200質量部を水2000質量部に分散させた懸濁溶液に、スズ元素:酸化チタンとが質量比率で0.6:1となる割合で上記の混合水溶液を90℃攪拌しながら滴下し、更にその後に、塩酸を加え、生成した共沈殿物をろ過・乾燥した。
【0332】
乾燥品は、窒素雰囲気の電気炉(600℃)で焼成を行い、解砕・分級して、体積平均粒径を0.8μmに調整した。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.59、W(mol)/Sn(mol)=0.045、体積抵抗=9×10Ωcmであった。これを微粒子B−1とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0333】
(微粒子の製造例B−2)
微粒子B−1の製造において、W(mol)/Sn(mol)のモル比(0.10)と焼成条件を変更した以外は同様な方法で製造し、体積平均粒径=0.8μmの微粒子を得た。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.59、W(mol)/Sn(mol)=0.092、体積抵抗=1×10Ωcmであった。これを微粒子B−2とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0334】
(微粒子の製造例B−3)
微粒子B−1の製造において、酸化チタンの代わりに球状シリカを用い、塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液の混合水溶液量を変更して、体積平均粒径=7.9μmの粒子を得た。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.52、W(mol)/Sn(mol)=0.093、体積抵抗=1×10Ωcmであった。これを微粒子B−3とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0335】
(微粒子の製造例B−4)
微粒子B−1の製造において、粒径の異なる酸化チタンを用い、W(mol)/Sn(mol)=0.075に変更して焼成を行った。焼成品を解砕/分級して体積平均粒径=0.03μmに調整した。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.58、W(mol)/Sn(mol)=0.069、体積抵抗=2×10Ωcmであった。これを微粒子B−4とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0336】
(微粒子の製造例B−5)
微粒子B−1の製造において、WとSnのモル比(W(mol)/Sn(mol))が0.10になるように塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液を混合し、酸化チタンの代わりに球状シリカを用い、更に懸濁溶液に添加する混合水溶液の量を製造例B−1の1/20にし、90℃で加熱混合した後に塩酸を加え、生成した共沈殿物をろ過・乾燥した。
【0337】
乾燥品は、窒素雰囲気の電気炉(600℃)で焼成を行い、解砕・分級して、体積平均粒径を0.3μmに調整した。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.04、W(mol)/Sn(mol)=0.092、体積抵抗=4×10Ωcmであった。これを微粒子B−5とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0338】
(微粒子の製造例B−6)
微粒子B−1の製造においてタングステン酸を添加しないで、タングステン酸の代わりに三塩化アンチモンをSbとSnのモル比(Sb(mol)/Sn(mol))が0.07になるよう添加した。得られた微粒子は、体積平均粒径=1.2μm、Sn(mass)/B(mass)=0.68、Sb(mol)/Sn(mol)=5.9、体積抵抗=6×10Ωcmであった。これを微粒子B−6とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0339】
(微粒子の製造例B−7)
WとSnのモル比(W(mol)/Sn(mol))が0.0007、SbとSnのモル比(Sb(mol)/Sn(mol))が0.07になるように、塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)と三塩化アンチモンの水溶液を混合した。これを酸化チタンの懸濁溶液に添加し90℃で加熱混合した後に塩酸を加え、生成した共沈殿物をろ過・乾燥した。
【0340】
乾燥品は、窒素雰囲気の電気炉(600℃)で焼成を行い、解砕・分級して、体積平均粒径を0.6μmに調整した。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.90、W(mol)/Sn(mol)=0.0005、体積抵抗=9×10Ωcmであった。これを微粒子B−7とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0341】
(微粒子の製造例B−8)
WとSnのモル比(W(mol)/Sn(mol))が0.0015になるように塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液を混合した。これを酸化チタンの懸濁溶液に添加し90℃で加熱混合した後に塩酸を加え、生成した共沈殿物をろ過・乾燥した。
【0342】
乾燥品は、窒素雰囲気の電気炉(600℃)で焼成を行い、解砕・分級して、体積平均粒径を0.7μmに調整した。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.70、W(mol)/Sn(mol)=0.001、体積抵抗=1×10Ωcmであった。これを微粒子B−8とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0343】
(微粒子の製造例B−9)
微粒子1の製造において、モル比(W(mol)/Sn(mol))が0.29となるように、塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液の混合比を変更し、且つ焼成条件を変更した以外は同様の方法で製造し、体積平均粒径=1.2μmの微粒子を得た。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.60、W(mol)/Sn(mol)=0.26、体積抵抗=3×10Ωcmであった。これを微粒子B−9とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0344】
(微粒子の製造例B−10)
微粒子1の製造において、モル比(W(mol)/Sn(mol))が0.35となるように、塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液の混合比を変更し、且つ焼成条件を変更した以外は同様の方法で製造し、体積平均粒径=1.5μmの微粒子を得た。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.48、W(mol)/Sn(mol)=0.32、体積抵抗=1×10Ωcmであった。これを微粒子B−10とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0345】
(微粒子の製造例B−11)
微粒子B−1の製造において、WとSnのモル比(W(mol)/Sn(mol))が0.10になるように塩化スズ(SnCl・5HO)とタングステン酸(HWO)の水溶液を混合し、酸化チタンの代わりに作成した球状シリカを用い、且つ懸濁溶液に添加する混合水溶液量を製造例B−1の1/40にし、90℃で加熱混合した後に塩酸を加え、生成した共沈殿物をろ過・乾燥した。
【0346】
乾燥品は、窒素雰囲気の電気炉(600℃)で焼成を行い、解砕・分級して、体積平均粒径を0.3μmに調整した。得られた微粒子は、Sn(mass)/B(mass)=0.02、W(mol)/Sn(mol)=0.092、体積抵抗=3×10Ωcmであった。これを微粒子B−11とする。微粒子の物性を表2に示す。
【0347】
得られた上記微粒子B−1〜5、7〜11の表面をアルゴンイオンによりエッチング処理した後にもESCAによる表面分析を行ったところ、やはりエッチング処理時間に依らずスズ元素及びタングステン元素の両者の原子比はほぼ一定であった。さらに処理時間とともに珪素元素あるいはチタン元素に対し、両者の原子割合がほぼ同じ割合で減少していき、この方法によってもスズ元素及びタングステン元素の両元素ともに、母体粒子の主に表面に存在していることが分かった。
【0348】
【表2】
Figure 0004371643
【0349】
<トナーの製造例>
(トナーの製造例B−1)
・スチレン/n-ブチルアクリレート共重合体 20部
(モノマー比80/20)
・負荷電性制御剤 4部
(下記一般式(1)に示すモノアゾ染料系のFe化合物)
【外4】
Figure 0004371643
【0350】
・マグネタイト 80部
・低分子量ポリエチレン 5部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径7.3μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対して、1次粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉末を1.2部と、微粒子B−1を2.0部加えた混合物をヘンシェルミキサーで混合しトナーB−1を調製した。トナーB−1の物性を以下のトナーの物性と併せ、表3に示す。
【0351】
(トナーの製造例B−2〜7)
トナーの製造例B−1において、微粒子B−1に代えて微粒子B−2〜5,8,9を用いる以外は同様の手法によりトナーB−2〜7を調製した。物性を表3に示す。
【0352】
(トナーの製造例B−8)
トナーの製造例B−1と同様の手法により重量平均粒径7.3μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対して微粒子B−1を2.0部加えた混合物を、衝撃式表面処理装置ハイブリダイザー(奈良機械(株))にて表面改質した後、トナーの製造例B−1で用いた疎水性シリカ微粉末1.2部を添加してヘンシェルミキサーで混合し、トナーB−8を調製した。物性を表3に示す。
【0353】
(トナーの製造例B−9)
トナーの製造例B−1において、微粉砕の条件及び風力分級の条件を変えて、重量平均粒径2.9μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対して、トナーの製造例B−1で用いた疎水性シリカ微粉末2.5部と微粒子B−1を2.0部加えた混合物をヘンシェルミキサーで混合し、トナーB−9を調製した。物性を表3に示す。
【0354】
(トナーの製造例B−10)
トナーの製造例B−1において、微粉砕の条件及び風力分級の条件を変えて、重量平均粒径10.2μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対して、トナーの製造例B−1で用いた疎水性シリカ微粉末0.9部と微粒子B−1を2.0部加えた混合物をヘンシェルミキサーで混合し、トナーB−10を調製した。物性を表3に示す。
【0355】
(トナーの製造例B−11)
硫酸第一鉄水溶液中に苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。空気を吹き込みながら酸化反応を行い、種晶を生成させるためのスラリー液を調製した。
【0356】
次いで、このスラリー液を当初のアルカリ量に対し0.9〜1.05当量となるように硫酸第一鉄濃度を調整した後、さらに空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、生成した磁性酸化鉄粒子を洗浄、濾過して一旦取り出した。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、十分攪拌しながらシランカップリング剤(n−C1021Si(OCH33)を添加し、カップリング処理を行った。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、表面処理磁性体を得た。
【0357】
次に、イオン交換水710部に0.1mol/リットル−Na3PO4水溶液450部を投入し60℃に加温した後、1.0mol/リットル−CaCl2水溶液67部を徐々に添加してCa3(PO42を含む水系媒体を得た。
【0358】
下記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して、単量体組成物を調製した。
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・ポリエステル樹脂 5部
・負荷電性制御剤 1部
(上記一般式(1)に示したモノアゾ染料系のFe化合物)
・上記表面処理磁性体 80部
この単量体組成物を60℃に加温し、そこにトナーの製造例B−1で用いた低分子量ポリエチレン5部を添加し、さらに分散し、これに重合開始剤2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を溶解した。
【0359】
前記Ca3(PO42を含む水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))を用い、10,000rpmで20分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO42を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径6.8μmのトナー粒子を得た。
【0360】
このトナー粒子100部に対して、トナーの製造例B−1で用いた疎水性シリカ微粉末1.2部と微粒子B−1を2.0部加えた混合物をヘンシェルミキサーで混合し、トナーB−11を調製した。物性を表3に示す。
【0361】
(トナーの製造例B−12〜14)
トナーの製造例B−1と同様の手法により重量平均粒径7.3μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部に対し、微粒子B−1を2.0部と、ヘキサメチルジシラザンで表面を処理し、処理後のBET値が200m2/gの疎水性シリカ微粉末1.2部、或いは、iso−ブチルトリメトキシシランで表面を処理し、処理後のBET値が100m2/gの疎水性酸化チタン微粉末1.2部、或いは、iso−ブチルトリメトキシシランで表面を処理し、処理後のBET値が150m2/gの疎水性アルミナ微粉末1.2部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、トナーB−12〜14を調製した。物性を表3に示す。
【0362】
(トナーの比較製造例B−1)
トナーの製造例B−1において、微粒子B−1を用いないこと以外は同様の手法により比較トナーB−1を調製した。物性を表3に示す。
【0363】
(トナーの比較製造例B−2〜5)
トナーの製造例B−1において、微粒子B−1に代えて微粒子B−6、7、10、11を用いる以外は同様の手法により比較トナーB−2〜5を調製した。物性を表3に示す。
【0364】
なお、トナーB−1〜13及び比較トナーB−1〜5の磁場79.6kA/mにおける磁化の強さは、いずれも26〜30Am2/kgであった。
【0365】
【表3】
Figure 0004371643
【0366】
<感光体の製造例>
(感光体の製造例1)
直径30mmのアルミニウムシリンダーを基体とした。これに、図3に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、有機光導電性物質を用いた負帯電用の感光体1を作成した。
(1)第1層は導電層であり、酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μm。
(2)第2層は下引き層であり、変性ナイロン及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚0.6μm。
(3)第3層は電荷発生層であり、長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6μm。
(4)第4層は電荷輸送層であり、ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量2万)中に、8:10の質量比で分散させたものを主体とし、さらにポリ4フッ化エチレン樹脂粒子(体積平均粒径0.2μm)を総固形分(アミン化合物とポリカーボネート樹脂の合計)に対して10質量%添加し、均一に分散させた層である。膜厚25μm。
【0367】
得られた感光体(1)の水に対する接触角は95度であった。なお、接触角の測定は、純水を用い、装置は、協和界面科学(株)、接触角計CA−X型を用いた。感光体(1)の最表面層の体積固有抵抗値は2×1015Ωcmであった。
【0368】
(感光体の製造例2)
直径30mmのアルミニウムシリンダーを基体とした。これに、図8に示すような構成の層を順次浸漬塗布により積層して、有機光導電性物質を用いた負帯電用の感光体(2)を作成した。
(1)第1層は導電層であり、アルミニウムシリンダーの欠陥等をならすため、またレーザー露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする)である。
(2)第2層は正電荷注入防止層(下引き層)であり、アルミニウム基体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果し、メトキシメチル化ナイロンによって106Ωcm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
(3)第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系顔料をブチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
(4)第4層は電荷輸送層であり、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾン化合物を分散した厚さ約25μmの層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
(5)第5層は電荷注入層であり、光硬化性のアクリル樹脂に導電性酸化スズ超微粒子及び粒径約0.25μmのポリ4フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものである。具体的には、アンチモンをドーピングし低抵抗化した粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を樹脂に対して100部、更にポリ4フッ化エチレン樹脂粒子を20部、分散剤を1.2部分散したものである。このようにして調製した塗工液をスプレー塗工法にて厚さ約2.5μmに塗工した後光照射により硬化させて電荷注入層とした。
【0369】
得られた感光体(2)の表面の体積固有抵抗値は、5×1012Ωcm、感光体表面の水に対する接触角は、102度であった。
【0370】
(感光体の製造例3)
感光体(2)の第5層に、ポリ4フッ化エチレン樹脂粒子と分散剤を分散しなかったこと以外は、感光体製造例2と同様にして感光体(3)を作成した。これにより、感光体表面層の体積固有抵抗値は、2×1012Ωcm、感光体表面の水に対する接触角は、78度であった。
【0371】
(感光体の製造例4)
感光体(2)の第5層において、アンチモンをドーピングして低抵抗化した粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を光硬化性のアクリル樹脂100部に対して300部分散したものを加えたこと以外は、感光体の製造例2と同様にして感光体(4)を作成した。この場合、感光体表面層の体積固有抵抗値は、2×107Ωcm、感光体表面の水に対する接触角は、88度であった。
【0372】
(感光体の製造例5)
感光体(2)の第5層(電荷注入層)を設けないで、電荷輸送層を最外層とする4層構成の感光体とすること以外は、感光体の製造例2と同様にして感光体(5)を作成した。この場合、感光体表面層の体積固有抵抗値は、1×1015Ωcm、感光体表面の水に対する接触角は、73度であった。
【0373】
いずれの感光体に対しても、後述の評価のために、最後に表面を針で突いて極微小面積の表層膜を剥ぎ取った。
【0374】
<帯電部材の製造例>
(帯電部材の製造例1)
直径6mm、長さ264mmのSUSローラーを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性物質としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラー状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整え、可撓性部材として直径12mm、長さ234mmの帯電ローラー部材(1)を作成した。
【0375】
得られた帯電ローラー部材(1)は、体積固有抵抗値が105Ωcmであり、硬度がアスカーC硬度で30度であった。また、この帯電ローラー表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均セル径は約100μmで、空隙率は60%であった。
【0376】
(帯電部材の製造例2)
直径6mm、長さ264mmのSUSローラーを芯金とし、芯金上に導電性ナイロン繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロール状帯電ブラシ部材(2)を作成した。帯電ブラシ部材(2)のブラシは、ナイロン繊維にカーボンブラックを分散させて抵抗調整されたものであり、繊維の太さが6デニール(300デニール/50フィラメント)、ブラシの繊維の長さは3mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり10万本で植毛されたものである。
【0377】
[実施例B−1]
画像形成装置として、キヤノン製プリンター:LBP−1760を改造し、上記実施の形態で示した図1と同様のものを用いた。像担持体としての感光体には、上記感光体(1)を用いた。この感光体に、帯電部材として導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆された帯電ローラーを当接させ(当接圧60g/cm)、直流電圧−700Vdcに交流電圧2.0kVppを重畳したバイアスを印加して感光体上を一様に帯電させた。帯電に次いで、レーザー光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成する。この時、暗部電位Vd=−700V、明部電位VL=−150Vとした。
【0378】
トナー担持体として、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成の層厚約7μm、JIS表面粗度(Ra)1.0μmの樹脂層を、形成した現像スリーブを使用し、現像スリーブには、現像磁極85mT(850ガウス)である磁石を内包させた。
・フェノール樹脂 100部
・結晶性グラファイト粒子(体積平均粒径:約7μm) 90部
・カーボンブラック微粒子 10部
トナー層厚規制部材としては、厚み1.0mm、自由長1.0mmのシリコーンゴム製ブレードを用い、29.4N/m(30g/cm)の線圧で現像スリーブに当接させた。感光体と現像スリーブとの間隙は、290μmとした。
【0379】
現像スリーブに印加する現像バイアスとして、−500Vの直流電圧に、周波数2000Hz、ピーク間電圧1600Vの交流電圧を重畳したものを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(94mm/sec)に対して、現像部において順方向で1.1倍のスピード(103mm/sec)とした。
【0380】
また、転写手段としては、図4のような導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム層を導電性弾性層として有する転写ローラーを用いた。転写ローラー34は体積固有抵抗値1×108Ωcm、表面ゴム硬度24度、直径20mmであり、59N/m(60g/cm)の当接圧で感光体に当接させた。図4中、矢印A方向の感光体100の周速(94mm/sec)に対して、当接部において順方向で等速とし、転写バイアスは直流電圧1.5kVとした。
【0381】
定着手段としてはLBP−1760のオイル塗布機能を有していなく、加圧ローラーによって、未定着画像を担持した転写材をフィルムを介してヒーターに当接させ、加熱加圧定着を行う方式の定着装置を用いた。この時、加圧ローラーはフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラーの直径は30mmであった。また、定着温度は180℃、ニップ幅を7mmに設定した。
【0382】
トナーとして、トナーB−1を使用し、25℃、湿度80%の環境下において画出し試験を行った。転写材としては90g/m2の紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示し、非画像部へのカブリのない良好な画像が得られた。また、以下のような評価を行った。
【0383】
25℃、湿度5%の環境下において、印字面積比率5%の横ラインからなる画像パターンで耐久性の評価を行った。
【0384】
トナー中の微粒子の一部がクリーナーをすり抜けて帯電ローラーまで到達するため、耐久と共に帯電ローラーへの微粒子の付着量が増加する。この付着量の増加に従い、帯電工程における電荷のリークが生じやすくなる。感光体(1)上の表面を針で突いて極微小面積の膜を剥ぎ取られた部分で、電荷のリークが生じ、それに起因する画像不良が発生するか否か、及び耐久何枚目で発生するかを評価した。発生するまでの耐久枚数が多い程、画像形成方法の耐久性が良好なことを意味する。
【0385】
また、リークは発生しなくても帯電性が良くない場合、ハーフトーン画像上に画像不良(潜像電位ムラに起因する濃度ムラ)が発生するため、ハーフトーン画像の目視による帯電性の評価も行った。
【0386】
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、以下の式で計算した。転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0387】
転写効率(%)=(D−C/D−E)×100
また、耐久初期の解像力は、静電潜像電界によって電界が閉じやすく、再現しにくい600dpiにおける小径孤立1ドットの再現性によって評価した。
A:100個中の欠損が5個以下
B:100個中の欠損が6〜10個
C:100個中の欠損が11〜20個
D:100個中の欠損が20個以上
紙上カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC-6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。カブリの数値は、ベタ白画像で下記の式より算出した。紙上カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0388】
カブリ(反射率)(%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
画像濃度はマクベス濃度計RD918(マクベス社製)で測定した。初期濃度は画出し20枚目の濃度とした。
【0389】
これらの得られた結果を表4に示す。
【0390】
[実施例B−2]
トナーB−1の代わりにトナーB−2を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様に良好な結果が得られた。
【0391】
[実施例B−3(参考例)、4(参考例)
トナー1の代わりにトナーB−3、4を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様に特に問題の無い結果が得られた。但し、トナーB−3を用いた場合、OHPシート上の非画像部がやや不透明であった。
【0392】
[実施例B−5]
トナーB−1の代わりにトナーB−5を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様に良好な結果が得られた。
【0393】
[実施例B−6]
トナーB−1の代わりにトナーB−6を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様に1300枚以降に軽微なリークが発生し、1600枚以降は帯電性がやや不安定となったが、特に問題の無い結果が得られた。
【0394】
[実施例B−7]
トナーB−1の代わりにトナーB−7を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様に良好な結果が得られた。
【0395】
[実施例B−8(参考例)、9(参考例)
トナーB−1の代わりにトナーB−8、9を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様に抵抗が高めの微粒子を含有させたトナーB−8を用いた場合、1000枚以降に帯電性がやや不安定となり、重量平均粒径が3μm未満のトナーB−9を用いた場合、転写残が多めとなって1800枚以降に帯電性がやや不安定となったが、特に問題の無い結果が得られた。
【0396】
[実施例B−10(参考例)
トナーB−1の代わりに、重量平均粒径が10μmを超えるトナーB−10を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様に解像性にはやや劣るものの、その他は良好な結果が得られた。
【0397】
[実施例B−11]
トナーB−1の代わりにトナーB−11を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様に非常に良好な結果が得られた。
【0398】
[実施例B−12〜14]
トナーB−1の代わりにトナーB−12〜14を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、表4に示した様にほぼ良好な結果が得られた。
【0399】
[比較例B−1]
トナーB−1の代わりに比較トナーB−1を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、耐久試験約400枚ほどでハーフトーン画像上に濃度ムラが発生し耐久と共に悪化していったため、800枚でプリントアウトを中止した。なお、リークした痕跡は見られなかった。結果を表4に示す。
【0400】
[比較例B−2]
トナーB−1の代わりに比較トナーB−2を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、耐久試験約600枚ほどで画像上にリークした跡が発生したため画出し試験を中断した。帯電性は特に問題無かった。結果を表4に示す。
【0401】
[比較例B−3]
トナーB−1の代わりに比較トナーB−3を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、耐久試験約800枚ほどで画像上にリークした跡が発生したため画出し試験を中断した。帯電性は特に問題無かった。結果を表4に示す。
【0402】
[比較例B−4]
トナーB−1の代わりに比較トナーB−4を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、耐久試験約1100枚ほどでハーフトーン画像上に濃度ムラが発生し、その後1200枚の時点でリークした跡が見られたためプリントアウトを中止した。結果を表4に示す。
【0403】
[比較例B−5]
トナーB−1の代わりに比較トナーB−5を使用し、実施例B−1と同様の画像形成方法で画出し試験を行った。その結果、耐久試験約500枚ほどでハーフトーン画像上に濃度ムラが発生し、耐久と共に悪化していったため、1000枚でプリントアウトを中止した。なお、リークした痕跡は見られなかった。結果を表4に示す。
【0404】
【表4】
Figure 0004371643
【0405】
[実施例B−15]
また本発明のトナーは、クリーナーレス画像形成方法あるいは現像兼クリーニング画像形成方法にも、適用可能である。画像形成装置として、上記実施の形態で示した図5と同様のものを用いた。
【0406】
転写式電子写真プロセスを利用した現像兼クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)を有するレーザープリンター(記録装置)である。クリーニングブレード等のクリーニング部材を有するクリーニング手段を除去したプロセスカードリッジを有し、トナーとしてはトナーB−1を使用し、トナー担持体上のトナー層と像担持体が非接触となるよう配置される非接触現像法を用いる。
【0407】
(1)本例の画像形成装置の全体的な概略構成
像担持体としての、上記感光体の製造例2で得られた感光体(2)は、回転ドラム型OPC感光体であり、矢印のX方向に94mm/secの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0408】
接触帯電部材としては、上記帯電部材の製造例1で得られた帯電ローラー部材(1)が用いられ、図5に示すように帯電ローラー22は感光体21に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体21と帯電ローラー22の当接部である帯電当接部である。本例では、帯電ローラー22は感光体21との接触面である帯電当接部nにおいて対向方向(矢印Y方向)に100%の周速で回転駆動されている。即ち、帯電ローラー22の表面は感光体21の表面に対して、相対移動速度比200%の相対速度差を有している。また、帯電ローラー22の表面には、塗布量がおよそ1×104個/mm2で均一になるように前記微粒子1を塗布した。
【0409】
また帯電ローラー22の芯金22aには、帯電バイアス印加電源から−650Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加するようにした。本例では感光体21の表面は帯電ローラー22に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−630V)に直接注入帯電方式にて一様に帯電処理される。これについては後述する。
【0410】
露光手段であるレーザーダイオード・ポリゴンミラー等を含むレーザービームスキャナー(露光器)23は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザー光を出力し、該レーザー光で上記感光体21の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により回転感光体21の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。現像手段としての現像装置24により、感光体21の表面の静電潜像はトナー像として現像される。
【0411】
本例の現像装置24は、トナーとしてトナーB−1を有する非接触型の反転現像装置である。
【0412】
トナー担持体として、下記の構成の層厚約7μm、JIS表面粗度(Ra)1.0μmの樹脂層を、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に形成した現像スリーブ24aを使用し、現像磁極90mT(900ガウス)のマグネットロールを内包し、トナー層厚規制部材として、厚み1.0mm、自由長1.5mmのウレタン製の弾性ブレード24cを29.4N/m(30g/cm)の線圧で当接させた。感光体21と現像スリーブ24aとの間隙は290μmとした。
・フェノール樹脂 100部
・グラファイト(体積平均粒径:約7μm) 90部
・カーボンブラック 10部
また、現像スリーブ24aは、感光体21との対向部である現像部a(現像領域)にて感光体21の回転方向と順方向(矢印W方向)に感光体21の周速の120%の周速で回転させる。
【0413】
この現像スリーブ24aに弾性ブレード24cでトナーが薄層にコートされる。トナーは弾性ブレード24cで現像スリーブ24aに対する層厚が規制され、また電荷が付与される。この時、現像スリーブ24aにコートされたトナー量は、15g/m2であった。
【0414】
現像スリーブ24aにコートされたトナーは、現像スリーブ24aの回転により、感光体21と現像スリーブ24aの対向部である現像部aに搬送される。また、スリーブ24aには現像バイアス印加電源より現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は、−420Vの直流電圧と、周波数1600Hz、ピーク間電圧1500V(電界強度5×106V/m)の矩形の交流電圧を重畳したものを用い、現像スリーブ24aと感光体21の間、現像部aで1成分ジャンピング現像を行わせた。
【0415】
接触転写手段としての中抵抗の転写ローラー25は、感光体21に98N/m(100g/cm)の線圧で圧接させて転写当接部bを形成させてある。この転写当接部bに不図示の給紙部から所定のタイミングで転写材Pが給紙され、かつ転写ローラー25に転写バイアス印加電源から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体21側のトナー像が転写当接部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0416】
本例では転写ローラー25の体積固有抵抗値は5×108Ωcmのものを用い、+3000Vの直流電圧を印加して転写を行った。即ち、転写当接部bに導入された転写材Pは挟持搬送されて、その表面側に感光体21の表面に形成担持されているトナー像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。転写当接部bに給紙されて感光体21側のトナー像の転写を受けた転写材Pは感光体の表面から分離されて、定着手段である熱定着方式等の定着装置26に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0417】
(b)評価
本実施例では、トナーカートリッジ内に120gのトナーB−1を充填して、印字面積比率2%の横ラインのみからなる画像パターンにより、トナーカートリッジ内でトナー量が少なくなるまで使用した。転写材としては75g/m2のA4コピー紙を用い、間欠モードで2000枚のプリントを行ったが現像性の低下は見られなかった。
【0418】
また、2000枚の間欠プリント後、帯電ローラー22上で感光体21との帯電当接部nに対応する部分をテーピングし、観察したところ、微量の転写残トナーが確認されるものの、ほぼ微粒子B−1で覆われており、介在量はおよそ3×104個/mm2であった。帯電部材と像担持体との当接部に介在している転写残トナーを走査型顕微鏡で観察したところ、表面を非常に粒径が細かい微粒子で固着しているように覆われたような転写残トナーは観察されなかった。
【0419】
また、感光体21と帯電ローラー22との帯電当接部nに微粒子B−1が存在した状態で、かつ微粒子の抵抗値が9×103Ωcmと十分に低いために、初期より2000枚の間欠プリント後まで帯電不良に起因する画像欠陥を生じず、良好な直接注入帯電性が得られた。
【0420】
さらに、タングステン元素を含有する酸化スズを母体粒子表面に担持した特殊な構成の微粒子であるため、リークによる画像不良も発生しなかった。
【0421】
像担持体として感光体の製造例2の最表面層の体積固有抵抗値が5×1012Ωcmの感光体を用いたことにより、静電潜像を維持することでシャープな輪郭の文字画像が得られ、2000枚の間欠プリント後も十分な帯電性が得られる直接注入帯電を実現ができる。2000枚の間欠プリント後の直接注入帯電後感光体電位は、印加帯電バイアス−650Vに対して−580Vであり、初期からの帯電性の低下は50Vと軽微であり、帯電性の低下による画像品質の低下は認められなかった。
【0422】
更に、像担持体の表面の水に対する接触角が102度である感光体製造例2の感光体(2)を用いたこととあいまって、転写効率は初期及び2000枚の間欠プリント後も非常に優れていた。転写後の感光体上に転写残トナー量が少ないことを勘案しても、2000枚の間欠プリント後の帯電ローラー22上での転写残トナーが微量であったことと非画像部のカブリが少ないことより、現像での転写残トナーの回収性が良好であったことがわかる。更に、2000枚の間欠プリント後も感光体上の傷は軽微であり、この傷に対応して画像上に生じる画像欠陥は実用上許容できるレベルに抑制されていた。
【0423】
プリント画像の評価法のうち、画像濃度、画像カブリ及び転写効率は、実施例B−1と同様に行い、帯電性と微粒子介在量は以下のとおりに評価した。結果を表5に示す。
(1)帯電性
初期及びプリントアウト試験終了後、一様帯電後の感光体表面電位を現像装置位置にセンサーを配置し測定し、その差分により帯電性を評価した。差分がマイナスに大きくなるほど帯電性の低下が大きいことを示す。
(2)像担持体と接触帯電部材との帯電当接部における微粒子の介在量
感光体と接触帯電部材との帯電当接部における微粒子の介在量を前述の方法で測定した。1×102〜5×105個/mm2の介在量が好ましい。
【0424】
[実施例B−16〜19]
実施例B−15で用いた、感光体の製造例2で得られた感光体(2)の代わりに、感光体の製造例1、3〜5で得られた感光体(1)、(3)〜(5)のいずれかを用いる以外は、実施例B−15と同様に画出しテストを行った。結果を表5に示す。
【0425】
感光体(3)を用いた実施例B−17では、実施例B−15と比較するとやや転写性に劣るものの問題の無い画像が得られた。
【0426】
感光体(4)を用いた実施例B−18では、実施例B−15と比較するとややトナー像の輪郭のシャープさが劣るが、それ以外はほぼ良好な性能を示した。
【0427】
感光体(5)を用いた実施例B−19では、実施例B−15と比較すると初期の帯電効率が悪く、印加帯電バイアス電源−650Vに対し帯電後の感光体表面電位は初期から−620Vとやや劣り、2000枚後の帯電性は−560Vまで低下していた。
【0428】
[実施例B−20]
実施例B−16で用いた帯電ローラー部材(1)の代わりに、帯電部材の製造例2で得られた帯電ブラシ部材(2)を用いる以外は、実施例B−16と同様に画出しテストを行った。帯電ブラシ部材(2)を帯電部材として用いた画像形成装置の概略図を図6に示す。結果を表5に示す。
【0429】
実施例B−16と比較すると、感光体21と帯電ブラシ部材22との帯電当接部nにおける微粒子の介在量がやや少なく、帯電均一性に劣るものの、特に問題の無い画像が得られた。
【0430】
[実施例B−21、22(参考例)、23(参考例)、24〜26、27(参考例)、28(参考例)、29(参考例)、30〜33]
実施例B−16で用いたトナーB−1の代わりに、表3に示すトナーB−2〜14を用いる以外は、実施例B−16と同様に画出しテストを行った。結果を表5に示す
[比較例B−6、7]
実施例B−16で用いたトナーB−1の代わりに比較トナーB−2、3を用いる以外は実施例B−16と同様に行った。結果を表5に示す。いずれのトナーにおいても、耐久試験の早い段階からリークが発生してしまった。
【0431】
[比較例B−8、9]
実施例B−16で用いたトナーB−1代わりに比較トナーB−4、5を用いる以外は実施例B−16と同様に行った。結果を表5に示す。いずれのトナーにおいても、耐久試験の早い段階から帯電不良が発生してしまい、耐久試験を中断した。
【0432】
【表5】
Figure 0004371643
【0433】
【発明の効果】
本発明のタングステン元素を含有する微粒子を含有したトナーは、均一な摩擦帯電性が得られるので高画質が達成される。特に、流動性に優れ且つ均一に調製できるので、急激な環境変動や長期放置後においても摩擦帯電性が効率よく立ち上がり、高画質を維持することができる。
【0434】
更には、感光体の磨耗を防止、高耐圧性、現像スリーブの磨耗を防止にも優れた効果を発揮するので、長期的な高画質の維持も達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための画像形成装置の概略構成図を示す。
【図2】本発明の方法を実施するための一成分現像用現像装置の概略構成図を示す。
【図3】本発明の方法を実施するための感光体の概略構成図を示す。
【図4】本発明の方法を実施するための接触転写部材の概略構成図を示す。
【図5】本発明の一つの実施の形態の画像形成装置の概略構成図を示す。
【図6】本発明の一つの実施の形態の画像形成装置の概略構成図を示す。
【図7】接触帯電部材の帯電特性グラフを示す。
【図8】本発明の方法を実施するための感光体の層構成模式図を示す。
【符号の説明】
11 アルニウムミ基体
12 導電層
13 正電荷注入防止層
14 電荷発生層
15 電荷輸送層
16 電荷注入層
16a 導電粒子(導電フィラー)
21 感光体
22 帯電部材
22a 芯金
23 レーザービームスキャナー(静電潜像形成手段、露光装置)
24 現像装置
24a 現像スリーブ(トナー担持体)
24b 攪拌部
24c 弾性ブレード(層規制部材)
25 転写ローラー
26 定着装置
26a ヒーター
26b 定着フィルム
26c 加圧ローラー
27 プロセスカートリッジ
28 カートリッジ保持部材
34a 芯金
34b 導電性弾性層
100 感光体(像担持体)
102 現像スリーブ(トナー担持体)
103 弾性ブレード(層規制部材)
104 マグネットローラー
114 転写ローラー(転写部材)
116 クリーナー
117 帯電ローラー(接触帯電部材)
121 レーザービームスキャナー(静電潜像形成手段、露光装置)
124 給紙ローラー
125 搬送部材
126 定着装置
140 現像装置
141 攪拌部材

Claims (16)

  1. 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と微粒子とを有し、
    該トナー粒子は、重量平均粒径が3乃至10μmであり、
    該微粒子は、i)体積平均粒径が0.1乃至5μmであり、ii)母体粒子にタングステン元素を含有するスズ化合物を被覆した構成を有し、スズ元素(Sn)の質量をSn(mass)、母体粒子の質量をB(mass)としたとき、スズ元素(Sn)の母体粒子(B)に対する質量比(Sn(mass)/B(mass))が0.01乃至2.0であり、タングステン元素(W)のモル数をW(mol)、スズ元素(Sn)のモル数をSn(mol)としたとき、タングステン元素(W)のスズ元素(Sn)に対するモル比(W(mol)/Sn(mol))が0.001乃至0.3であり、
    該微粒子のトナー粒子からの遊離率が58〜83%であることを特徴とするトナー。
  2. 該母体粒子が、無機粒子であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 該無機粒子が、シリカ、酸化チタン及びアルミナからなる群より選ばれることを特徴とする請求項2に記載のトナー。
  4. トナー粒子表面において、トナー粒子1個当たり0.3個以上の割合で該微粒子が存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 該微粒子は、5μm以上の粒子の含有量が3個数%以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー。
  6. 該微粒子の平均径(S)と該トナー粒子の平均径(T)の比(S/T)が、0.5以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー。
  7. 該微粒子の抵抗が、1×10Ωcm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のトナー。
  8. 帯電部材に電圧を印加して像担持体に接触させて、像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された前記像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、トナー担持体上に担持させたトナーを、前記像担持体表面に保持された前記静電潜像に転移させてトナー像を形成する現像工程と、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写材に静電転写する転写工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
    該トナーが、請求項1乃至のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。
  9. 該現像工程において、転写工程後に像担持体上に残存している転写残トナーをトナー担持体で回収することを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
  10. 該現像工程において、該像担持体と該トナー担持体とを一定の間隔を設けて配置し、トナー担持体表面に該間隔よりも薄い厚さでトナー層を形成させ、交流バイアスが印加されている現像部において該トナーを静電潜像に転移させて現像を行うことを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
  11. 該トナー担持体に担持されたトナー層の層厚が、トナー層厚規制部材によって規制されており、該トナー層厚規制部材がトナーを介して前記トナー担持体に当接されていることを特徴とする請求項乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. トナー中に含有された微粒子が現像工程で像担持体に付着し、転写工程後も像担持体上に残留し運ばれて、前記帯電部材と前記像担持体との当接部及び/又は近傍に介在することを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 該帯電工程において、該帯電部材の表面の移動速度と該像担持体の表面の移動速度が、当接部において相対的速度差を有しつつ像担持体の帯電が行われることを特徴とする請求項乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. 該帯電部材は、アスカーC硬度が50度以下のローラー部材であることを特徴とする請求項乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
  15. 該帯電部材が、表面が球形換算での平均セル径が5〜300μmである窪みを有しており、該窪みを空隙部とした部材表面の空隙率が15〜90%であるローラー部材であることを特徴とする請求項乃至14のいずれかに記載の画像形成方法。
  16. 該帯電部材が、導電性を有するブラシ部材であることを特徴とする請求項乃至13のいずれかに記載の画像形成方法。
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