JP2005010328A - 画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び該画像形成装置に用いられる現像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像同時クリーニング方式の画像形成方法において、現像剤担持体上の現像剤が迅速且つ均一に帯電する画像形成方法を提供する。
【解決手段】像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する現像工程と、現像剤像を転写材へ静電転写する転写工程と、転写された現像剤像を加熱・定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、該現像工程は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が0.20≦p(002)≦0.95であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする。
【選択図】図6
【解決手段】像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電された像担持体に静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する現像工程と、現像剤像を転写材へ静電転写する転写工程と、転写された現像剤像を加熱・定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、該現像工程は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が0.20≦p(002)≦0.95であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする。
【選択図】図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体または静電記録誘電体等の像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化するための画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び該画像形成装置に用いられる現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、転写型の電子写真方式を用いた複写機・プリンタ・ファクシミリなどの画像形成装置は、像担持体として光導電性物質を利用した一般に回転ドラム型の感光体を用い、この回転感光体を帯電手段により所定の極性・電位に一様に帯電する帯電工程、その回転感光体の一様帯電面に像露光手段(レーザー光走査露光手段、原稿画像の投影結像露光手段など)により像露光を行なって露光画像情報に対応した静電潜像を形成させる像露光工程、形成された静電潜像を現像手段によりトナー画像として現像する現像工程、そのトナー画像を転写手段により感光体側から紙などの転写材に転写する転写工程、感光体から分離させた転写材のトナー画像を定着手段により転写材面に熱や圧力などで定着させる定着工程、転写材に対するトナー画像転写後の感光体面に転写されずに残留したトナーを除去して感光体面を清掃するクリーニング工程により画像形成を実行させて画像形成物(複写物・印刷物)を得るものである。そしてクリーニング後の感光体は繰り返して画像形成に供するものである。上記における各工程手段としては具体的には種々の方式・構成のものが知られている。
【0003】
近年、このような画像形成装置においては小型化が進んできたが、装置を構成する像担持体や各工程手段機器をそれぞれ小型化するだけでは小型化には限界があった。また、転写材に対するトナー画像転写後の感光体面に残留しているトナーは、クリーニング手段(クリーニング装置)によって除去されて廃トナーとなるが、環境保全や資源の有効利用などの点から、そのような廃トナーは出ないことが望まれていた。これに対し、廃トナーの出ないシステムとして、現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されている。しかしながら、従来の現像同時クリーニング又はクリーナレスに関する技術の開示は、特許文献1にあるように画像上に転写残余のトナーの影響によるポシメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主である。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な転写材に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な転写材に対し満足するものではない。
【0004】
更に、クリーナレスに関連する技術の開示を行っている先行技術としては、特許文献2〜9があるが、これらの先行技術は、いずれも、望ましい画像形成方法については述べておらず、現像装置の現像剤担持体構成についても言及していない。
【0005】
また、現像同時クリーニング又はクリーナレスに好ましく適用される現像方法として、従来は本質的にクリーニング装置を有さない現像同時クリーニングでは、潜像担持体表面をトナー及び現像剤担持体としての現像スリーブにより擦る構成が必須とされてきたため、トナー或いは現像スリーブが潜像担持体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナーを回収するために、トナー或いは現像スリーブが潜像担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、従来の接触現像方法を適用した現像同時クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用によるトナー劣化、現像スリーブ表面劣化又は磨耗等を引き起こし、現像装置の耐久特性に対して充分な解決がなされていない。更に、画像形成のスピードアップが望まれる今日、よりプロセススピードの速い装置の現像同時クリーニングでは、現像での転写残トナーの回収性を高めるための回収前転写残トナーの帯電制御、回収されたトナーを再利用するにあたっての現像の安定性保持の面でも従来技術では充分な解決がなされていない。一般にはプロセススピードが速くなると、現像同時クリーニングにおける転写残トナー粒子の回収性が低下する傾向がある。プロセススピードが速くなることで、一次帯電における転写残トナー粒子の帯電制御が十分には行われ難く、一次帯電から吐き出されて現像での回収に向かう転写残トナー粒子の帯電が不均一となり易いこと、及び現像にて回収された転写残トナー粒子の混入によるトナーの摩擦帯電性への影響を抑制することが困難となる方向であることが理由として考えられる。
【0006】
さらに、今日、高画質化および高品位化が図られる画像形成の手段として小粒径のトナーが多く用いられてきているが、トナーの粒径が小径化するに伴って、転写でトナー粒子にかかるクローン力に比して、トナー粒子の感光体への付着力(鏡像力やファンデルワールス力など)が大きくなったり、あるいは現像スリーブ上でトナーがチャージアップしてトナーの摩擦帯電性が不均一になったりして、結果として転写残トナーが増加する傾向となり、現像同時クリーニングの安定化がより一層難しくなっている。更に、転写工程後の感光体上の転写残トナーを現像同時クリーニングで除去・回収・再使用する際、現像スリーブに回収されたトナーは現像スリーブの回転に伴って現像装置内に搬送され、現像スリーブとの摺擦により所定の値に摩擦帯電されるのだが、回収されたトナーは、現像装置内に補給されてあるトナーとの摩擦帯電量とは必ずしも同じではなく、一時的に現像装置内におけるトナーの摩擦帯電量の不均一化を招き、この傾向はトナーの粒径が小粒径化するほど顕著になっている。その結果、回収されたトナーは現像スリーブ近傍に存在する可能性が高く、十分に現像装置内のトナーと同レベルに摩擦帯電制御されないうちに現像領域に搬送される場合や、上述したようなトナーがチャージアップし現像スリーブ表面に固着することで摩擦機会が持てなくなる場合に、トナーが不均一な摩擦帯電を有するようになり、画像濃度低下やカブリ画像及びスリーブゴースト等が発生すると共に転写残トナーが増加する傾向にある。
【0007】
従って、このような画像形成方法に用いられるトナーは、従来以上に現像スリーブで迅速且つ均一に摩擦帯電されていることと、更に感光体とは、離型性に優れていることが要求されている。
【0008】
感光体からのトナーの離型性を高め、トナーの転写性を向上させる手段として、球形に近いトナーを用いることが多く提案されているが、確かに球形のトナーを用いると転写性が向上するものの、このような球形のトナーは現像スリーブ上で耐久によりチャージアップしやすくなり、現像スリーブ表面への固着及びそれに伴うトナーの帯電量低下や帯電の不均一化が生じる傾向にある。このため、上述と同様にこのような状況下で画像を形成すると、画像濃度低下やカブリ及びスリーブゴースト等の画像不良が発生しやすくなると共に転写残トナーが増加することによる帯電不良も起こしやすい。
【0009】
一方、現像剤担持体として、過剰な電荷を有する現像剤の発生や、現像剤の強固な付着を防止するため、特許文献10及び11等においては、樹脂中に、結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末を分散させた被覆層が金属基体上に設けられている現像スリーブを現像装置に用いる方法が提案されている。この方法を用いることにより、上記した現象は大幅に軽減されることが認められる。
【0010】
しかしながら、この方法では、上記粉末を多量に添加した場合には、チャージアップやスリーブゴーストに対しては良好となるが、トナーへの良好な帯電付与能力が不十分となり、更に迅速にトナーへ帯電付与できにくいため、特に高温高湿の環境下においては十分な画像濃度を得られにくい。更に、上記粉末を多量に添加した場合には被覆層が脆性化して削れやすくなると共に表面形状が不均一となり、耐久を進めていった場合に被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こりやすくなる。
【0011】
また、前記の結晶性グラファイトを分散させた被覆層をもちいた場合は、被覆層表面が結晶性グラファイトの燐片状の構造から起因して潤滑性を有するようになるのでチャージアップやスリーブゴーストに対しては十分な効果を発揮するが、形状が燐片状であるがために被覆層表面形状が不均一となり、さらに結晶性グラファイトの硬度が低いため、被覆層表面で結晶性グラファイト自体の摩耗や脱離が発生しやすく、耐久を進めていった場合に被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こりやすくなる。
【0012】
一方、添加量が少量の場合には、結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末の効果が薄く、チャージアップやスリーブゴーストに対して不十分であるという問題が残る。
【0013】
また、特許文献12においては、樹脂中に結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末、更に球状粒子を分散させた導電性被覆層を金属基体上に設けた現像スリーブが提案されている。この現像スリーブでは、被覆層の耐磨耗性が向上するとともに、被覆層表面の形状も均一化し、耐久による表面粗さの変化も比較的少なくなる。これにより、スリーブ上のトナーコーティングが安定化してトナーの帯電をある程度均一化することができ、スリーブゴースト、画像濃度、画像濃度ムラ等に問題が無い画質が安定化する傾向にある。しかしながら、この現像スリーブにおいてもトナーへの迅速且つ均一な帯電制御性の安定化には不十分であり、また耐摩耗性においても、更なる長期間の耐久で、被覆層の球状粒子や結晶性グラファイトが摩耗あるいは脱落することで生じる被覆層表面の粗さの変化や粗さの不均一化、それに伴う被覆層のトナー汚染及びトナー融着等が生じ、このような場合にはトナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる。
【0014】
特許文献13においては、導電性被覆層中に分散された球状粒子が低比重且つ導電性の球状粒子であり、これにより導電性被覆層中に均一に導電性球状粒子が分散されることで被覆層の耐磨耗性及び被覆層表面の形状が均一化してトナーへの均一な帯電付与性が向上し、且つ被覆層が多少摩耗した際にもトナー汚染及びトナー融着が抑制されうる現像スリーブが提案されている。
【0015】
しかしながら、この現像スリーブにおいても、耐摩耗性、トナーへの均一且つ迅速な帯電及びトナーへの帯電付与能力の点では完全ではなく、現像同時クリーニングの現像装置に用いられる現像スリーブに適応するには不十分であり、現像スリーブ上に回収されたトナーと現像担持体上に回収される前から存在したトナーとが均一に摩擦帯電しにくいため画像不良を招きやすい。また、更なる長期間の耐久においては、被覆層表面の導電性球状粒子が存在しない部分から、結晶性グラファイト等の導電性粒子が摩耗あるいは脱落しやすく、この摩耗及び脱落した部分から被覆層の摩耗が促進されてトナー汚染及びトナー融着が生じ、トナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる場合がある。
【0016】
一方、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体上に潜像を形成する方法についても様々な方法が知られている。例えば、電子写真法では、像担持体としての光導電性物質を利用した感光体上を所要の極性・電位に一様に帯電処理した後に、画像パターン露光を施すことにより電気的潜像を形成する方法が一般的である。
【0017】
従来、像担持体を所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としてはコロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。近年では、像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0018】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、▲1▼放電帯電機構と▲2▼直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0019】
接触帯電装置は、接触帯電部材として帯電ローラを用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。従来のローラ帯電方式における帯電機構は前記▲1▼の放電帯電機構が支配的である。
【0020】
ここで、これらの接触帯電方法を現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法に適用した場合を考える。現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないために感光体上に残余する転写残トナーが、そのまま接触帯電部材と接触し、付着或いは混入する。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に一定量以上に付着或いは混入すると、帯電性の低下が起こる。
【0021】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的な帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着或いは混入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0022】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させる。
【0023】
また、現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなり、転写残トナーの帯電極性及び帯電量の制御を帯電部材によって行うこととなる。
【0024】
これについて具体的に一般的なレーザプリンタを例として説明する。マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化されたトナー像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、現像剤の現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上現像スリーブの方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残トナーは残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立する。
【0025】
しかしながら、転写残トナーが接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様に転写残トナーの帯電極性を揃えることができず、現像スリーブによってトナーを回収することが困難となる。
また、現像スリーブに摺擦等の機械的力によって回収されたとしても、転写残トナーの帯電が不均一で現像担持体に回収される転写残トナー量が多くなるため、現像担持体上のトナーの帯電制御性に悪影響を及ぼし、現像特性を著しく低下させる。
【0026】
すなわち、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法に於ては、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性、更には転写残トナーの現像スリーブへの混入による帯電制御性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっていて、長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、画像品質を高めるために更なる改良の余地がある。
【0027】
【特許文献1】
特開平5−2287号公報
【特許文献2】
特開昭59−133573号公報
【特許文献3】
特開昭62−203182号公報
【特許文献4】
特開昭63−133179号公報
【特許文献5】
特開昭64−20587号公報
【特許文献6】
特開平2−302772号公報
【特許文献7】
特開平5−2289号公報
【特許文献8】
特開平5−53482号公報
【特許文献9】
特開平5−61383号公報
【特許文献10】
特開平02−105181号公報
【特許文献11】
特開平03−036570号公報
【特許文献12】
特開平03−200986号公報
【特許文献13】
特開平08−240981号公報
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記のような問題点を解決した現像同時クリーニングの画像形成装置を提供することである。より詳しくは、現像同時クリーニングの構成を用いた画像形成方法において、現像剤担持体上の現像剤が迅速且つ均一に帯電する画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジおよびこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することである。
【0029】
また、本発明の目的は、現像剤の転写性に優れ、転写残現像剤の回収性に優れた現像同時クリーニング画像形成を可能とする画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0030】
また、本発明の目的は、繰り返し複写又は耐久による現像剤担持体表面の劣化が生じ難く、高耐久性を有し、現像剤担持体上の現像剤が安定して迅速且つ均一に帯電することで良好な画像が得られる現像同時クリーニング画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0031】
また、本発明の目的は、長期にわたる繰り返し使用においても、現像剤の転写性及び回収性に優れており、被帯電体の帯電不良を生じない良好な画像が得られる現像同時クリーニング画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0032】
また、本発明の目的は、異なる環境条件下においても長期に渡って、濃度低下、スリーブゴースト及びカブリの如き問題点が発生せず、画像濃度が高い高品位の画像を安定して得られる現像同時クリーニング画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0033】
また、本発明の目的は、粒径の小さいトナーや球形のトナーを用いた場合に現われる、現像剤担持体表面へのトナー付着を軽減させることにとり、トナーの不均一な帯電を制御すると共にトナーに迅速に帯電を与えることで、良好な画像を安定して得られる現像同時クリーニング画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明の構成によって達成される。
【0035】
本発明は、像担持体を帯電させる帯電工程と、
帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
下記(a)〜(d)を含む現像工程と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる工程;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する工程;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する工程;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する工程;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写工程と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、
該現像工程は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする画像形成方法によって達成される。
【0036】
さらに、本発明は、像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、この可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするためのプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を帯電するための帯電手段と、該像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、該現像剤像が記録媒体たる転写材に転写された後に、該像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像装置とを少なくとも有し、該現像装置及び該潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成をとっており、
該現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有しており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とするプロセスカートリッジによって達成される。
【0037】
更に本発明は、静電潜像を担持するための像担持体と、像担持体を帯電するための帯電手段と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
下記(a)〜(d)を含む現像手段と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる手段;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する手段;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する手段;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する手段;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写手段と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、
該現像装置は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング手段を兼ねており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする画像形成装置によって達成される。
【0038】
更に本発明は、静電潜像を担持するための像担持体と、像担持体を帯電するための帯電手段と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
下記(a)〜(d)を含む現像手段と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる手段;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する手段;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する手段;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する手段;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写手段と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着手段と、を有する画像形成装置に用いられる現像装置において、
該現像装置は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング手段を兼ねており、該現像装置に用いられる現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする現像装置によって達成される。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明は、現像工程が、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が0.20≦p(002)≦0.95であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする。
【0040】
本発明者らは、現像工程が、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねている画像形成方法において、現像剤に摩擦帯電電荷を付与する現像剤担持体表面について検討を重ねた結果、現像剤担持体の基体上に樹脂被覆層を形成し、且つその形成された樹脂被覆層を少なくとも特定の黒鉛化度と押し込み硬さ値を有する黒鉛化粒子を含有するものとすることで、粒径の小さい現像剤や球形の現像剤に対しても過剰な電荷を有する現像剤の発生や、現像剤担持体表面への現像剤の強固な付着を有効に防止しすると共に、現像時に現像剤担持体上で回収された現像剤と現像容器内にある現像剤とを同じレベルに迅速且つ均一に摩擦帯電制御することで、像担持体上にカブリの少ない高品質な画像が形成されることを見出した。更に、前記の構成により像担持体上に現像された現像剤の帯電量が均一となることにより転写効率が良好となり、転写残現像剤の帯電阻害を十分に抑制しつつ転写残現像剤が帯電部材で均一に帯電しやすくなるため、転写残現像剤を現像時に円滑に回収可能となり、安定した高品位な画像が得られることを見出した。
【0041】
まず、本発明の現像剤担持体を構成する基体表面に被覆された樹脂被覆層に用いられる黒鉛化粒子について説明する。
【0042】
本発明に使用される黒鉛化粒子としては、黒鉛化度p(002)が0.20≦p(002)≦0.95であり、且つ、押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60であることが特徴である。
【0043】
該黒鉛化粒子は、現像剤担持体の被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に、被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つ現像剤のトナー汚染やトナー融着を発生し難くするために添加するものである。
更に、該黒鉛化粒子はトナーへの迅速且つ均一な摩擦帯電付与性を高める効果もある。
【0044】
上記の黒鉛化度p(002)とは、Franklinのp値といわれるもので、黒鉛のX線回折図から得られる格子間隔d(002)を測定することで、下記式(1)を用いて求められる値である。
d(002)=3.440−0.086(1−p(002)2) (1)
【0045】
このp(002)値は、炭素の六方網目平面積み重なりのうち、無秩序な部分の割合を示すもので、p(002)値が小さいほど黒鉛化度は大きい。
【0046】
該黒鉛化粒子は、特許文献10及び11等において現像剤担持体表面の被覆層中に用いられていた、コークスなどの骨剤をタールピッチ等により固めて成形後1000〜1300℃程度で焼成してから2500〜3000℃程度で黒鉛化して得た人造黒鉛、あるいは天然黒鉛からなる結晶性のグラファイトとは、該黒鉛化粒子の原材料及び製造工程が異なる。そのため、該黒鉛化粒子は従来用いていた結晶性グラファイトより黒鉛化の度合いは若干低いものの、従来に用いられていた結晶性グラファイトと同様に高い導電性や潤滑性を有しており、更に粒子の形状が従来に用いられていた結晶性グラファイトの燐片状あるいは針状とは異なり、概略球状でしかも粒子自身の硬度が比較的高いのが特徴である。従って、上記のような特性を有する該黒鉛化粒子は樹脂被覆層中で均一に分散しやすくなるため、均一な表面粗度と耐磨耗性を被覆層表面に与え、且つ粒子自身の形状が変化しがたいために結着樹脂分等の削れ、またはその影響による粒子自身の脱落が生じたとしても、樹脂層中から粒子が再度突出あるいは露出してくることもあり、表面形状の変化を小さくおさえることができる。
【0047】
更に、現像剤担持体表面の被覆層中に該黒鉛化粒子を用いると、トナーのチャージアップを発生させることなく、従来の結晶性グラファイトを用いた場合よりもトナーへの迅速且つ均一で適度な摩擦帯電量を安定的に付与することが可能となる。
【0048】
本発明の黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)は、0.20≦p(002)≦0.95であることが好ましく、0.25≦p(002)≦0.75であることがより好ましい。
【0049】
p(002)が0.95を超える場合は、耐磨耗性には優れているが、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、現像剤担持体上のトナーの帯電が不均一となって、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなると共に、トナーの転写性及び回収性が悪化することによってもカブリや濃度ムラ等の画像不良を発生し易くなる。更に現像剤規制部材として、弾性ブレードを使用した場合にブレード傷が発生する場合があり、画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。
【0050】
p(002)が0.20未満の場合は、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下してしまう。
【0051】
更に、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60であることを特徴とする。この押し込み硬さ値HUT[68]は好ましくは20〜55であり、より好ましくは25〜50である。
【0052】
押し込み硬さ値HUT[68]が15未満である場合には、樹脂被覆層の耐磨耗性や機械的強度及びトナーへの迅速且つ均一な帯電付与性が低下する傾向がある。一方、押し込み硬さ値HUT[68]が60を超えると、樹脂被覆層の耐磨耗性には優れるが、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなる。
【0053】
本発明における押し込み硬さ値HUT[68]とは、(株)アカシ製微小硬度計MZT−4で、軸芯に対する面角が68度の三角錐のダイヤモンド圧子を用いて測定される押し込み硬さ値HUT[68]であり、下記式(2)で表される。
押し込み硬さ値HUT[68]=K×F/(h2)2 (2)
[但し、K:係数、F:試験荷重、h2:圧子の最大押し込み深さ]
【0054】
上記硬さ値は、その他の硬度等よりも微小な荷重で測定できると共に、弾性、塑性を有する材料に関しても、弾性変形、塑性変形分を含んだ硬度が得られるので、好ましく用いられる。
【0055】
具体的な測定方法としては以下の通りである。測定用に用意される試料として、現像剤担持体の樹脂被覆層表面を#2000の研磨テープを用いて、樹脂被覆中の黒鉛化粒子が露出するように平滑に磨いたものを用いる。
【0056】
黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]は、前記試料を固定して、研磨して被覆樹脂層表面に露出している10μm以上の大きさの黒鉛化粒子に圧子の照準を併せて測定を行い、同一試料の異なる黒鉛化粒子を10点以上測定してその平均値を黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]として求める。
【0057】
主な測定条件は以下のとおりである。
TEST MODE A
【0058】
TEST MODE Aとは、試料に押し込む荷重を設定して測定を行うものであり、付加する荷重が基準荷重F0と呼ばれる初荷重と最終負荷荷重である試験荷重F1の二つがある。測定の際に、圧子が試料に接触した後、基準荷重を試料に負荷し、圧子は基準荷重の負荷により試料に押し込まれる。基準荷重により圧子が押し込まれた点を押し込み深さのゼロ点とし、圧子に試験荷重を加えて、設定した保持時間、試験荷重を保持し、圧子の試験荷重保持後の押し込み深さh2(圧子の最大押し込み深さ)が求められる。押し込み深さ値HUT[68]は以下の(2)’式から求められる。
押し込み硬さ値HUT[68]=K×〔(F1)0.5−(F0)0.5〕2/(h2)2 (2)’
[但し、F1:試験荷重(mN)、F0:基準荷重(mN)、h2:圧子の試験荷重保持後の押し込み深さ(μm)、K:係数(K=2.972 三角錐圧子 68°を用いたSI単位系の係数)]
試験荷重F1:49.0mN 基準荷重F0:4.9mN 押し込み速度V:1.00μm/sec
保持時間T2:5sec
除荷時間T3:5sec
【0059】
試験荷重及び圧子の最大押し込み深さは、被覆層表面の表面粗さの影響を受けず、且つ下地の基体の影響を受けない程度の範囲が好ましく、本発明においては、試験荷重圧子の最大押し込み深さが1〜2μm程度である。
【0060】
更に、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、下記(3)式より求められる平均円形度SF−1が0.64以上であることが好ましい。平均円形度SF−1が0.64未満である場合には、被覆層中への黒鉛化粒子の分散性が低下すると共に、被覆層表面粗さの不均一化が発生し、トナーの迅速且つ均一な帯電性付与性及び導電性被覆層の耐磨耗性や強度の点で不十分となってしまう場合がある。
【0061】
本発明において、黒鉛化粒子の平均円形度SF−1は下記(3)式
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (3)
[式中、MLは粒子投影像のピタゴラス法最大長を表し、Aは粒子像の投影面積を表す。]
で計算された値の平均値を意味する。
【0062】
本発明において、上述した平均円形度SF−1を求めるための具体的な手法としては、光学系により拡大された黒鉛化粒子投影像を画像解析装置に取り込み、個々の粒子についての円形度の値を算出し、これらを平均することにより求められる。
【0063】
なお、本発明においては、平均値として信頼性が得られ、また、樹脂被覆層への特性に与える影響が大きい円相当径2μm以上の粒子範囲に限定して円形度を測定している。また、これらの値の信頼性を得るために測定粒子数は3000個程度以上、好ましくは5000個以上を測定する。
【0064】
このように多数の黒鉛化粒子の円形度の解析を効率的に行うことが可能な具体的な測定装置としては、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)がある。
【0065】
マルチイメージアナライザーは、電気抵抗法による粒度分布測定装置に、CCDカメラにより粒子像を撮影する機能と撮影された粒子像を画像解析する機能を組み合わせたものである。詳細には、電解質溶液中に超音波等により均一に分散した測定粒子を、電気抵抗法による粒度分布測定装置であるマルチサイザーのアパーチャーを粒子が通過する際の電気抵抗変化で検知し、これに同期してストロボを発光してCCDカメラで粒子像を撮影する。この粒子像をパソコンに取り込み、2値化後、画像解析するものである。
【0066】
本発明に使用される黒鉛化粒子としては、個数平均粒径が0.5〜25μmであることが好ましく、1μm〜20μmであることがより好ましい。
【0067】
黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果とトナーへの良好な摩擦帯電付与性を高める効果が少なく、被覆層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなる場合がある。個数平均粒径が25μmを超える場合には、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまうと共に、被覆層の機械的強度が低下し易い。
【0068】
本発明の黒鉛化粒子を得る方法としては、以下に示すような方法が好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。
【0069】
本発明に使用される好ましい黒鉛化粒子を得る方法としては、原材料としてメソカーボンマイクロビーズやバルクメソフェーズピッチなどの光学的に異方性で、しかも単一の相からなる粒子を用いて黒鉛化することが、該黒鉛化粒子の黒鉛化の度合いを高め且つ概略球状の形状を保持させるために好ましく用いられる。
【0070】
上記の原材料の光学的異方性は、芳香族分子の積層から生じるものであり、その秩序性が黒鉛化処理でさらに発達し、黒鉛化の度合いが高い黒鉛化粒子が得られる。
【0071】
本発明に用いられる黒鉛化粒子を得る原材料として、前記のバルクメソフェーズピッチを用いる場合は、加熱化で軟化溶融するものを用いることが概略球状で黒鉛化の度合いが高い黒鉛化粒子を得るために好ましい。
【0072】
前記のバルクメソフェーズピッチを得る方法として代表的なものは、例えば、コールタールピッチ等から溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行うことによって得られるメソフェーズピッチである。また前記重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼンまたはトルエン等により溶剤可溶分を除去することで得られるメソフェーズピッチである。
【0073】
このバルクメソフェーズピッチはキノリン可溶分が95質量%以上であることが好ましい。9質量%未満のものを用いると、粒子内部が液相炭化しにくく、固相炭化するため粒子が破砕状のままとなり、球状のものが得られにくい。
【0074】
次に前記のメソフェーズピッチを用いて黒鉛化する方法としては、まず、前記のバルクメソフェーズピッチを2μm〜25μmに微粉砕して、これを空気中で約200℃〜350℃で熱処理することにより、軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチは表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化焼成時の溶融、融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチは酸素含有量が5質量%〜15質量%であることが好ましい。5質量%未満であると熱処理時の粒子同士の融着が激しく均一な形状の粒子が得られにくく、15質量%を超えると粒子内部まで酸化されてしまい、形状が破砕状のまま黒鉛化し球状のものが得られにくい。
【0075】
次に上記の酸化処理したバルクメソフェーズピッチを窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、約800℃〜1200℃で一次焼成することにより炭化し、続いて約2000℃〜3500℃で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0076】
また、本発明に用いられる黒鉛化粒子を得るためのもう一つの好ましい原材料であるメソカーボンマイクロビーズを得る方法として代表的なものは、例えば、石炭系重質油または石油系重質油を300℃〜500℃の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズを生成し、反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離などの処理に供することによりメソカーボンマイクロビーズを分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄し、更に乾燥することによって得られる。
【0077】
前記のメソカーボンマイクロビーズを用いて黒鉛化する方法としては、まず乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズ破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
【0078】
この一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズは、不活性雰囲気下において200℃〜1500℃の温度で一次焼成され、炭化される。一次加熱処理を終えた炭化物は、やはり炭化物を破壊させない程度の温和な力で炭化物を機械的に分散させることが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
【0079】
一次焼成を終えた炭化物は、不活性雰囲気下において約2000℃〜3500℃で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0080】
また、前記のいずれの原材料から得られた黒鉛化粒子は、いずれの製法にかかわらず、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。
【0081】
また、いずれの原材料を用いた黒鉛化粒子の生成方法においても、黒鉛化粒子の焼成温度は2000〜3500℃が好ましく、2300℃〜3200℃がより好ましい。
【0082】
焼成温度が2000℃以下の場合は、黒鉛化粒子の黒鉛化度が不十分であり、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなり、更に弾性ブレードを使用した場合にブレード傷が発生する場合があり、画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。焼成温度が3500℃以上の場合は黒鉛化粒子の黒鉛化度が高すぎてしまう場合があり、そのため黒鉛化粒子の硬度が下がり、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下しやすい。
【0083】
本発明の現像剤担持体を構成する樹脂被覆層の結着樹脂材料としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱あるいは光硬化性樹脂等を使用することができる。なかでもシリーコン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、或いはポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。
【0084】
本発明において、現像剤担持体の樹脂被覆層の体積抵抗は、107Ω・cm以下、より好ましくは106〜10−2Ω・cmを有する導電性被覆層であることがよい。樹脂被覆層の体積抵抗が107Ω.cmを超える場合には、トナーのチャージアップが発生し易くなり、樹脂被服層へのトナー汚染を引き起こし易い。
【0085】
本発明においては、樹脂被覆層の体積抵抗を上記の値に調整するため、樹脂被覆層中に前記の黒鉛化粒子と併用して、他の導電性微粒子を分散含有させてもよい。
【0086】
この導電性微粒子としては、個数平均粒径が、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01〜0.8μmのものがよい。この樹脂被覆層中に黒鉛化粒子と併用して分散含有させる導電性微粒子の個数平均粒径が1μmを超えた場合には、樹脂被覆層の体積抵抗を低く制御しづらくなり、トナーのチャージアップによるトナー汚染が発生しやすくなる。
【0087】
本発明で使用することのできる導電性微粒子としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン及び酸化インジウム等の金属酸化物等;アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属、グラファイト、金属繊維、炭素繊維等の無機系充填剤等が挙げられる。
【0088】
本発明の現像剤担持体を構成する樹脂被覆層には、更に別の球状粒子を併用して分散させると、より本発明の効果が促進されるため好ましい。
【0089】
該球状粒子は、現像剤担持体の樹脂被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に耐磨耗性を向上し、更に樹脂被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つトナー汚染やトナー融着を発生しにくくする効果がある。
【0090】
本発明に使用される球状粒子としては、個数平均径が1〜30μm、好ましくは2〜20μmである。
【0091】
球状粒子の個数平均粒径が1μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果と耐磨耗性を高める効果が少なく、トナーへの均一な帯電が不十分となると共に、樹脂被覆層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなるため好ましくない。個数平均粒径が30μmを超える場合には、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまうと共に、被覆層の機械的強度が低下してしまうため好ましくない。
【0092】
また、本発明で使用する球状粒子の真密度は、3g/cm3以下、好ましくは2.7g/cm3以下、より好ましくは0.9〜2.3g/cm3であることが良い。即ち、球状粒子の真密度が3g/cm3を超える場合には、被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となる為、被覆層表面に均一な粗さを付与しにくくなり、トナーの均一な帯電化及び被覆層の強度が不十分となってしまい好ましくない。
【0093】
球状粒子の真密度が0.9g/cm3より小さい場合にも、被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となるため好ましくない。
【0094】
本発明において、導電性球状粒子における球状とは、粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度の物を意味しており、本発明において好ましくは、長径/短径の比が1.0〜1.2の粒子を使用することが良い。
【0095】
球状粒子の長径/短径の比が1.5を超える場合には、樹脂被覆層中への球状粒子の分散性が低下すると共に、被覆層表面粗さの不均一化が発生し、トナーの均一な帯電化及び樹脂被覆層の強度の点で好ましくない。
【0096】
本発明に用いられる球状粒子は、公知の球状粒子が使用可能である。例えば、球状の樹脂粒子、球状の金属酸化物粒子、球状の炭素化物粒子などがある。
【0097】
球状の粒子としては、例えば、懸濁重合、分散重合法等による球状の樹脂粒子などが用いられる。球状の樹脂粒子は、より少ない添加量で好適な表面粗さが得られ、更に均一な表面形状が得られやすい。この様な球状粒子としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子、等々が挙げられる。粉砕法により得られた樹脂粒子を熱的にあるいは物理的な球形化処理を行ってから用いてもよい。
【0098】
また、該球状粒子の表面に無機物を付着させる、あるいは固着させて用いてもよい。この様な無機微粉体としては、Si02,SrTiO3,CeO2,CrO,Ai2O3,ZnO,MgO,の如き酸化物、Si3N4の如き窒化物、SiCの如き炭化物、CaSO4,BaSO4,CaCO3,の如き炭化物、炭酸塩、等々が挙げられる。このような無機微粉末は、カップリング剤により処理して用いても良い。
【0099】
特に結着樹脂との密着性を向上させる目的、あるいは粒子に疎水性を与える、等々の目的では好ましく用いることが可能である。このようなカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等がある。より具体的には、例えばシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛の硅素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0100】
このように球状樹脂粒子表面に対して無機微粉末で処理することにより、被覆層中への分散性、被覆層表面の均一性、被覆層の耐汚染性、トナーへの帯電付与性、被覆層の耐磨耗性等を向上させることができる。
【0101】
また、本発明に使用する球状粒子は、導電性であることが好ましい。即ち、球状粒子に導電性を持たせることによって、その導電性のゆえに粒子表面にチャージが蓄積しにくく、トナー付着の軽減やトナーの帯電付与性を向上させることができるからである。本発明において、球状粒子の導電性としては、体積抵抗値が106Ω・cm以下、より好ましくは103〜106Ω・cmの粒子であることが好ましい。
【0102】
本発明において、球状粒子の体積抵抗が106Ω・cmを超えると、摩耗によって被覆層表面に露出した球状粒子を核としてトナーの汚染や融着を発生しやすくなるとともに、迅速且つ均一な帯電が行われにくくなるため、好ましくない。
本発明に使用する現像剤担持体を構成する被覆層には、更に潤滑粒子を併用して分散させても良い。
【0103】
この潤滑性粒子としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、雲母、フッ化グラファイト、銀―セレン化ニオブ、塩化カルシウム―グラファイト、滑石、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等が挙げられ、中でもグラファイト粒子が導電性被覆層の導電性が損なわれないので特に好ましく用いられる。これらの潤滑性粒子は、個数平均粒径が好ましくは0.2〜20μm程度、より好ましくは1〜15μmのものを使用するのが良い。潤滑性粒子の個数平均粒径が0.2μm未満の場合には、潤滑性が十分に得られ難く、個数平均粒径が20μmを超える場合には、導電性被覆層表面の粗さが不均一となり、トナーの均一な帯電化、及び被覆層の強度の点で不十分となる場合がある。
【0104】
本発明の樹脂被覆層には、更にトナーへの帯電付与能を制御するため帯電制御剤を添加することも可能である。帯電制御剤としては例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩などによる変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;チブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン類、イミダゾール化合物、フッソ系樹脂、ポリアミド樹脂、含窒素のアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0105】
次に本発明の現像剤担持体の構成について説明する。
【0106】
現像剤担持体は基体とそれを取り巻いて被覆する樹脂被覆層とからなる。基体の形状としては、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等がある。感光ドラムに非接触の現像方法においては金属の円筒状部材が好ましく用いられ、具体的には金属製の円筒管が好ましく用いられる。金属製円筒管は主としてステンレススチール、アルミニウムおよびその合金等の非磁性のものが好適に用いられる。また、感光ドラムに直接接触させる現像方法の場合の基体としては、金属製の芯金にウレタン、EPDM、シリコン等のゴムやエラストマーを含む層構成を有する円中状部材が好ましく用いられる。
【0107】
また、磁性現像剤を用いる現像方法においては、現像剤を現像剤担持体上に磁気的に吸引かつ保持するために、磁石が内設されているマグネットローラ等を現像剤担持体内に配置する。その場合、基体を円筒状としその内部にマグネットローラを配置すればよい。
【0108】
樹脂被覆層を構成する各成分の構成比について説明するが、これは本発明において特に好ましい範囲である。
【0109】
樹脂被覆層中に分散されている黒鉛化粒子の含有量としては、被覆樹脂100質量部に対して好ましくは2〜150質量部、より好ましくは4〜100質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。黒鉛化粒子の含有量が2質量部未満の場合には黒鉛化粒子の添加効果が小さく、150質量部を超える場合には樹脂被覆層の密着性が低くなり過ぎて耐磨耗性が悪化してしまう場合がある。
【0110】
前記した、樹脂被覆層中に導電性微粒子を併用して分散含有させる場合の1μm以下の導電性微粒子の含有量としては、被覆樹脂100質量部に対して、好ましくは40質量部以下、より好ましくは2〜35質量部の範囲で使用すると特に好ましい結果が得られる。
【0111】
即ち、導電性微粒子の含有量が40質量部を超える場合には、樹脂被覆層の強度の低下が認められ好ましくない。
【0112】
樹脂被覆層中に球状粒子を併用して含有させる場合には、球状粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは2〜120質量部、より好ましくは2〜80質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。球状粒子の含有量が2質量部未満の場合には球状粒子の添加効果が小さく、120質量部を超える場合にはトナーの帯電性が低くなり過ぎてしまう場合がある。
【0113】
樹脂被覆層中に荷電制御剤を併用して含有させる場合には、荷電制御剤の含有量は、被覆樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。
1質量部未満では添加による帯電制御性の効果が見られず、100質量部を超えると被覆樹脂中への分散不良となり被膜強度の低下を招き易い。
【0114】
本発明において、樹脂被覆層表面の粗度としては、中心線平均粗さ(以下、「Ra」と称す。)が、好ましくは0.3〜3.5μmの範囲内であり、より好ましくは0.5〜3.0μmの範囲内であることが良い。樹脂被覆層表面のRaが0.3μm未満の場合には、樹脂被覆層表面に現像剤の搬送を十分に行うための凹凸付与の形成しにくくなり、現像剤担持体上の現像剤量が不安定になると共に樹脂被覆層の耐摩耗性及び耐トナー汚染性も不十分となる場合があるため好ましくない。
【0115】
Raが3.5μmを超える場合には、現像剤担持体上の現像剤の搬送量が多くなりすぎて現像剤に均一に帯電付与しにくくなると共に樹脂被覆層の機械的強度も低下してしまうため好ましくない。
【0116】
上記したような構成の樹脂被覆層の層厚は、好ましくは25μm以下、より好ましくは22μm以下、更に好ましくは4μm〜22μmであると均一な膜厚を得るために好ましいが、特にこの層厚に限定されるものではない。これらの層厚は、樹脂被覆層に使用する材料にもよるが、付着質量として、4000〜20000mg/m2程度にすれば得られる。
【0117】
本発明の樹脂被覆層を形成する方法については、特に限定されず、通常の方法によって行える。例えば、現像剤担持体の基材に、上記被覆層用結着樹脂及び上記黒鉛化粒子等を含有する塗布液をディッピング法、スプレー法、はけ塗り法などの方法で塗布し乾燥させれば、本発明に用いられる現像剤担持体が得られる。
【0118】
次に、本発明の現像装置で用いられるトナーについて説明する。トナーは主として樹脂、離型剤、荷電制御剤、着色剤等を溶融混練し、固化した後粉砕し、しかる後分級等をして粒度分布をそろえた微粉体である。トナーに用いられる結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。
【0119】
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックス等が単独或は混合して使用できる。
【0120】
また、トナー中には顔料を含有することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ランプ黒、スーダンブラックSM、ファースト・イエローG、ベンジジン・イエロー、ピグメント・イエロー、インドファースト・オレンジ、イルガジン・レッド、パラニトロアニリン・レッド、トルイジン・レッド、カーミンFB、パーマネント・ボルドーFRR、ピグメント・オレンジR、リソール・レッド2G、レーキ・レッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチル・バイオレッドBレーキ、フタロシアニン・ブルー、ピグメント・ブルー、ブリリアント・グリーンB、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、ザボン・ファーストイエローCGG、カヤセットY963、カヤセットYG、ザボン・ファーストオレンジRR、オイル・スカーレット、オラゾール・ブラウンB、ザボン・ファーストスカーレットCG、オイルピンクOP等が適用できる。
【0121】
トナーを磁性トナーとして用いるために、トナーの中に磁性粉を含有せしめてもよい。このような磁性粉としては、磁場の中におかれて磁化される物質が用いられ、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末、又はマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の合金や化合物がある。この磁性粉の含有量はトナー質量に対して15〜70質量%が良い。
【0122】
トナーに、定着時の離型性向上、定着性向上の目的で、ワックス類を含有させることができる。そのようなワックス類としては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプッシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体等で、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタム等も利用できる。
【0123】
必要に応じて、トナーに荷電制御剤を含有させてもよい。荷電制御剤には、負荷電制御剤、正荷電制御剤がある。例えば、トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。
【0124】
また、トナーを正帯電させるための物質としては下記のようなものがある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。
【0125】
トナーは必要に応じて、流動性改善等の目的で無機微粉末の如き粉末を外添して用いられる。このような微粉末としては、シリカ微粉末、アルミナ、チタニア、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化物;及び窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム等の窒化物等の無機微粉体が用いられる。
【0126】
これらの微粉体は、有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤等で有機処理して用いることが可能である。例えば、有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。
【0127】
また、未処理の微粉体を窒素含有のシランカップリング剤で処理したものを用いてもよい。特にポジトナーの場合好ましい。そのような処理剤の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール、等がある。
【0128】
上記シランカップリング剤により無機微粉体を処理する方法としては、例えば、1)スプレー法、2)有機溶媒法、3)水溶液法等がある。一般に、スプレー法による処理とは、ピグメントを撹拌しここにカップリング剤の水溶液或いは溶媒液をスプレーし、この後水或いは溶媒を120〜130℃程度で除去乾燥する方法である。また、有機溶媒法による処理とは、少量の水とともに加水分解用触媒を含む有機溶媒(アルコール、ベンゼン、ハロゲン化炭化水素等)にカップリング剤を溶解し、これにピグメントを浸積した後、濾過或は圧搾により固液分離を行い120〜130℃程度で乾燥させるものである。水溶液法とは0.5%程度のカップリング剤を、一定pHの水或いは水−溶媒中で加水分解させ、ここにピグメントを浸積し後、同様に固液分離を行い乾燥するものである。
【0129】
他の有機処理としてシリコーンオイルで処理された微粉体を用いることも可能である。好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度がおよそ0.5〜10000mm2/sec、好ましくは1〜1000mm2/secのものが用いられ、例えば、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルフェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0130】
また、側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイルを用いてもよい。特にポジトナーの場合は好ましい。シリコーンオイルによる処理は、例えば、次のようにして行って得られる。必要に応じて加熱しながら顔料を激しく撹乱しており、これに上記シリコーンオイル或いはその溶液をスプレー若しくは気化して吹き付けるか、又は顔料をスラリー状にしておき、これを撹拌しつつシリコーンオイル或いはその溶液を滴下することによって容易に処理できる。これらのシリコーンオイルは1種或いは2種以上の混合物或いは併用や多重処理して用いられる。また、シランカップリング剤による処理と併用しても構わない。
【0131】
このようなトナーは、種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。更に、トナーの円形度aが0.950以上の粒子を個数基準の累積値で50%以上有するものであることが、より好ましい。
【0132】
前記のトナーの円形度aは、東亜医用電子(株)製フロー式粒子像測定装置FPIA−1000型を用いて測定を行い、下式を用いて算出した値である。
円相当径=(粒子投影面積)1/2×2
円形度a=L0/L
(式中、L0は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは、粒子の投影像の周囲長を示す。)
【0133】
ここで粒子投影面積とは、二値化されたトナー粒子像の面積であり、粒子投影像の周囲長とは、該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。本発明において用いる上記で定義される円形度は、トナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0134】
上記のようなトナーを得るための球形化処理、表面平滑化処理を行う方法には種々方法があるが、そのような方法としては、例えば、撹拌羽根またはブレード等、ライナーまたはケーシング等を有する装置で、トナーをブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したりトナーを球形化したりする方法、温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等がある。その他、球状のトナーを作る方法としては、水中にトナー結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナー化する方法がある。一般的な方法としては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、離型剤、その他の添加剤を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層、例えば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナーを得る方法等がある。
【0135】
トナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることもできる。キャリア材料としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルトといった磁性体金属、及びそれらの合金、或いは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト及びリチウム系フェライト等のソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライトといった鉄系酸化物、及びそれらの混合物、更には、ガラス、炭化ケイ素等のセラミックス粒子、樹脂粉体、磁性体を含有する樹脂粉体等をあげることができ、通常は平均粒径が20〜300μm程度の粒状物として用いる。
【0136】
このようなキャリアは上記に挙げた粒状物を直接キャリア粒子として用いてもよいが、トナーの摩擦帯電電荷を調整したりキャリアへのトナースペントを防止したりするために、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂等のコート剤により適宜粒子表面に樹脂コートを施して用いることもできる。
【0137】
また、本発明は、感光体表面に離型性を付与することが好ましく、感光体表面の水に対する接触角は85度以上であることが好ましい。より好ましくは感光体表面の水に対する接触角は90度以上である。
【0138】
感光体表面が高い接触角を有することは、感光体表面が高い離型性有することを示し、この効果により、転写残余のトナー量を著しく減少させることができ、転写残トナーによる遮光がほとんどなくネガゴースト画像を本質的に防止できると共に現像時に転写残トナーの現像域での回収効率も向上し、ポジゴースト画像を防止する。
【0139】
ここで、ゴースト画像の発生メカニズムを説明する。
【0140】
転写残トナーによる遮光が特に問題となるのは、一枚の転写材に対し感光体表面が繰り返し使用される場合、つまり感光体一周分の長さが転写材の進行方向長さよりも短い場合、転写残トナーが感光体上に存在する状態で帯電、露光及び現像をしなければならないため、転写残トナーの存在する感光体表面部での電位が充分落ちきらず現像コントラストが不十分になるため反転現像については周囲よりも濃度が低い、ネガゴーストとして画像上に現れる。
【0141】
一方、現像時に転写残トナーのクリーニング効果が不十分であれば、転写残トナーの存在する感光体表面上に、トナーが現像されるため周囲よりも濃度が高く、ポジゴーストが発生する。
【0142】
本発明の構成にて、上記説明のゴースト画像を本質的に防止できる。
【0143】
本発明の画像形成方法において、感光体表面が高分子結着剤を主体として構成される場合に有効である。例えば、(i)セレン、アモルファスシリコンの如き無機感光体の上に、樹脂を主体とした保護膜を設ける場合;(ii)機能分離型有機感光体の電荷輸送層として、電荷輸送材と樹脂を有する表面層をもつ場合;(iii)さらにその上に上記のような保護層を設ける場合がある。このような表面層に離型性を付与する手段としては、
▲1▼膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる、
▲2▼撥水、親油性を付与するような添加剤を加える、
▲3▼高い離型性を有する材料を粉体状にして分散する、
が挙げられる。▲1▼としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基を導入することにより達成する。▲2▼としては、界面活性剤を添加剤として添加すればよい。▲3▼としては、ポリ4フツ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン及びフッ化カーボンの如きフッ素原子を含む化合物を用いることが挙げられる。
【0144】
これらの手段によって感光体表面の水に対する接触角を85度以上とすることができる。感光体表面の水に対する接触角が85度未満では耐久によるトナーおよびトナー担持体の劣化が生じやすい。
【0145】
この中でも特にポリ4フッ化エチレンやポリフッ化ビニリデンの如き含フッ素樹脂が好適である。本発明においては、▲3▼の粉体として含フッ素樹脂を離型性粉体として用いた場合には、最表面層への分散が好適である。
【0146】
これらの粉体を表面に含有させるためには、バインダー樹脂中に該粉体を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最表面層に該粉体を分散させれば良い。
【0147】
該粉体の表面層への添加量は、表面層総質量に対して、1〜60質量%、さらには2〜50質量%が好ましい。1質量%より少ないと転写残余のトナーが充分に減少せず、転写残トナーのクリーニング効率も充分でなく、ゴースト防止効果が不十分であり、60質量%を超えると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下したりするため、好ましくない。該粉体の粒径については、画質の面から、1μm以下、好ましくは0.5μm以下が望ましい。1μmより大きいと入射光の散乱によりラインの切れが悪くなり実用に耐えない。
【0148】
本発明に用いられる感光体の好ましい様態のひとつを以下に説明する。
【0149】
導電性基体としては、アルミニウム又はステンレスの如き金属;アルミニウム合金又は酸化インジウム−酸化錫合金による被膜層を有するプラスチック;導電性粒子を含侵させた紙又はプラスチック;導電性ポリマーを有するプラスチック;の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0150】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上、塗工性改良、基体の保護、基体上に欠陥の被覆、基体からの電荷注入性改良及び感光層の電気的破壊に対する保護を目的として下引き層を設けても良い。
【0151】
下引き層は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、ポリウレタン又は酸化アルミニウムの材料によって形成される。下引き層の膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μmが良い。
【0152】
電荷発生層は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素又はセレンや非晶質シリコンの如き無機物質の電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工する、あるいは蒸着により形成する。なかでもフタロシアニン系顔料が感光体感度を本発明に適合する感度に調整するうえで好ましい。結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80質量%以下、好ましくは0〜40質量%であることが良い。電荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0153】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜厚は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレンの如き多環芳香族化合物;インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリンの如き含窒素環式化合物;ヒドラゾン化合物;スチリル化合物;セレン;セレン−テルル;非晶質シリコン;硫化カドニウムが挙げられる。
【0154】
これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びポリアミド樹脂の如き樹脂;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンの如き有機光導電性ポリマーが挙げられる。
【0155】
表面層として、保護層を設けてもよい。保護層の樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。
【0156】
保護層の樹脂中に導電性微粒子を分散してもよい。導電性微粒子の例としては、金属又は金属酸化物が挙げられる。好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化スズ被膜酸化チタン、スズ被膜酸化インジウム、アンチモン被膜酸化スズ又は酸化ジルコニウムの超微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。一般的に保護層に粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、保護層に分散される導電性、絶縁性粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。保護層中での含有量は、保護層総質量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0157】
表面層の塗工は、樹脂分散液をスプレーコーティング、ビームコーティングあるいは浸透(ディッピング)コーティングすることによって行うことができる。
【0158】
本発明に用いられる好ましい現像工程としては、現像剤と感光体表面が近接あるいは接触しているということと、反転現像方法を用いることが好ましい。二成分磁気ブラシ現像方法を用いる場合は、そのキャリアとして、フェライト、マグネタイト、鉄粉あるいは、それらをアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等でコーティングしたものが用いられる。このとき、現像時あるいは現像前後の空白時には、直流あるいは交流成分のバイアスを印加し、現像と感光体上の残余のトナーを回収出来るような電位に制御される。このとき直流成分は、明部電位と暗部電位の間に位置する。
【0159】
一成分現像剤の場合、現像剤担持体と感光体表面とは非接触又は接触のいずれであっても良いが、現像剤担持体表面上のトナー層と感光体表面が近接もしくは接触していることが好ましい。このとき、トナーは磁性又は非磁性のいずれであっても良い。
【0160】
現像剤担持体が実質的に感光体表面と接触して用いる時は、芯金と芯金を被覆する導電性弾性層有する弾性ローラを現像剤担持体の基体として用いることが好ましい。
【0161】
現像剤担持体表面は、感光体表面の移動方向と同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合感光体の周速に対して、周速比で100%以上であることが望ましい。100%未満であると、画像品質が悪い。周速比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。具体的には、現像剤担持体表面の移動速度が感光体表面の移動速度に対し、1.0〜3.0倍の速度であることが好ましい。
【0162】
転写工程においては、感光体表面に転写材を介して転写手段を当接させながらトナー画像を転写材に静電転写する接触転写方式を用いることが好ましい。転写手段の感光体表面に対する当接圧力としては、好ましくは線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが良く、より好ましくは9.8〜490N/m(10〜500g/cm)であることが良い。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。当接圧力が高すぎる場合には、感光体表面の劣化やトナーの付着を招き、結果として、感光体表面へのトナー融着を生じるようになる。
【0163】
接触転写工程における転写手段としては、転写ローラあるいは転写ベルトを有する装置が使用される。転写ローラは少なくとも芯金と芯金を被覆する導電性弾性層を有し、導電性弾性層はカーボンの如き導電性微粒子を分散させたウレタンやEPDMの如き体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体で作られている。
【0164】
本発明は、感光体の表面が有機化合物である様な画像形成装置において特に有効に用いられる。即ち、有機化合物が感光体の表面層を形成している場合には、無機材料を用いた他の感光体よりもトナー粒子に含まれる結着樹脂との接着性が高いことから転写性がより低下する傾向にあるという技術課題を有している。従って、本発明で用いる現像工程に起因する高い転写性による効果は、より顕著となる。
【0165】
帯電方法としては、コロトロンあるいはスコロトロンと呼ばれる公知のコロナ帯電方法が用いられるほか、ピン電極を用いた方法も使用できる。巧に感光体表面に帯電部材を当接させて帯電を行なう接触帯電法も同様に使用できる。本発明は、帯電手段が帯電部材を感光体に当接させる接触帯電法の場合に特に効果的である。すなわち、クリーニングの後の残トナーが多いと、それが後工程である接触帯電部材に付着してしまい、帯電不良を引き起こす。従って、帯電手段が感光体に接することのないコロナ放電に比べて、残トナーの量はより少なく、付着し難くする必要がある。
【0166】
接触帯電部材として帯電ローラを用いたときの好ましいプロセス条件としては、帯電ローラの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)、より好ましくは9.8〜392N/m(10〜400g/cm)であり、さらに、転写残トナーの極性を感光体帯電極性と同じ極性に揃え、現像時での回収を容易にするため、直流電圧の印加あるいは直流電圧に交流電圧を
重畳することが好ましい。
【0167】
この他の接触帯電部材としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0168】
接触帯電部材としては、ローラまたはブレードの場合は、導電性基体として、鉄、銅、ステンレスの如き導電性金属;カーボン分散樹脂;金属あるいは金属酸化物分散樹脂が用いられる。ブレードの場合には、その形状としては棒状、板状が使用できる。弾性ローラの構成としては、導電性基体上に弾性層、導電層及び抵抗層を設けたものが用いられる。
【0169】
弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム及びプチルゴムの如きゴム又はゴムの発泡体であるスポンジ、スチレン−ブタジエンサーモプラスチックエラストマー、ポリウレタン系サーモプラスチックエラストマー、ポリエステル系サーモプラスチックエラストマー、エチレン−酢ビサーモプラスチックエラストマーの如きサーモプラスチックエラストマーで形成することができる。
【0170】
導電層は、体積抵抗率が好ましくは、107Ω・cm以下、より好ましくは101〜106Ω・cmであることが良い。導電層としては、例えば、金属蒸着膜、導電性粒子分散樹脂、導電性樹脂等が用いられる。具体例としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅、及び鉄の如き導電性金属の蒸着膜;カーボン、アルミニウム、ニッケル及び酸化チタンの如き導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体及びポリメタクリル酸メチル如き樹脂中に分散した導電性粒子分散樹脂;4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン及びポリエチレンイミンの如き導電性樹脂が挙げられる。
【0171】
抵抗層は、体積抵抗率が106〜1012Ω・cmの層であることが良い。抵抗層としては、半導性樹脂又は導電性粒子分散絶縁樹脂を用いることができる。半導性樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリビニルヒドリン又はカゼインが用いられる。導電性粒子分散樹脂としては、例えば、カーボン、アルミニウム、酸化インジウム、酸化チタンの如きの導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチルの如き絶縁性樹脂中に少量分散したものが挙げられる。
【0172】
接触帯電部材としての導電性ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネ−ト又はポリエステルが挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金及び銀の如き導電性金属;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタンの如き導電性金属の酸化物;又はカーボンブラックの如き導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0173】
導電性ブラシの形状としては、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当り1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
【0174】
本発明の画像形成方法においては、前記帯電工程より上流、且つ該転写工程より下流に位置していて、前記トナー像を転写材に転写した後の像担持体上に残留する残留トナーを正規極性に帯電するトナー(現像剤)帯電量制御工程を有していることが好ましい。これにより、像担持体上の転写残トナーの帯電を正規極性に制御することで転写残トナーの帯電手段への付着をより軽減でき、かつ帯電手段で転写残トナーを均一且つ適正な帯電量に制御しやすくなり、現像工程での転写残トナーの回収も効率的に行われやすくなって、より安定した現像同時クリーニングの画像形成装置を達成できる。
【0175】
前記のトナー(現像剤)帯電量制御工程後のトナー帯電量は現像工程後のトナー帯電量の2倍以上であることが、帯電工程での帯電手段へのトナー付着が軽減されるために好ましい。
【0176】
更に本発明の画像形成方法においては、前記トナー(現像剤)帯電量制御工程より上流、かつ転写工程より下流に位置していて、前記のトナー像を転写材に転写した後の像担持体面上に残留する残留トナー像を均一化する残留トナー(現像剤)均一化工程を用いても良い。
【0177】
前記の残留トナー均一化工程は、転写部からトナー帯電量制御工程へ持ち運ばれる像担持体上のパターン上の転写残トナーを、像担持体面上に分散分布化して、非パターン化する工程である。具体的には、像担持体面を摺擦部材で摺擦することで残留トナーパターンを掻き崩し、あるいは攪乱してトナーを像担持体面に分散分布化する手段や、像担持体面上の残留トナーを捕集部材に捕集させ、その捕集トナーを像担持体面に分散分布状態で再付着させる、などの手段である。
【0178】
前記の残留トナー均一化工程があることで、次の前記のトナー帯電量制御工程による転写残留トナーの均一な正規極性帯電化処理をより安定化させて、転写残トナーの帯電手段への付着防止がより効果的に行える。また、残留トナー像パターンが消去されることで前記の残留トナーパターンのゴースト像の発生が厳に防止される。
【0179】
上記の残留トナー均一化工程とトナー帯電量制御工程に用いられる部材としては、適度の導電性を持ったブラシ状部材が用いられる。
【0180】
これらの導電性ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート又はポリエステルが挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金及び銀の如き導電性金属;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタンの如き導電性金属の酸化物;又はカーボンブラックの如き導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0181】
以下に本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置について図を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0182】
図1は、磁性一成分現像剤を用いた本発明に用いられる現像装置の模式図を示す。図1において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する像担持体、例えば、電子写真感光ドラム1は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体8としての現像スリーブ8は、現像容器としてのホッパー3によって供給された磁性トナーを有する現像剤4を担持して、矢印A方向に回転することによって、現像スリーブ8と感光ドラム1とが対向している現像領域Dに現像剤4を搬送する。図1に示すように、現像スリーブ8内には、現像剤4を現像スリーブ8上に磁気的に吸引且つ保持する為に、磁石が内接されているマグネットローラ5が配置されている。
【0183】
本発明において現像装置で用いられる現像スリーブ8は、上述の現像剤担持体を用いれば良く、具体的には基体としての金属円筒管6上に被覆された樹脂被覆層7を有する。ホッパー3中には、現像剤4を攪拌するための攪拌翼10が設けられている。12は現像スリーブ8とマグネットローラ5とが非接触状態にあることを示す間隙である。
【0184】
現像剤4は、現像剤相互間及び現像スリーブ8上の樹脂被覆層7との摩擦により、感光ドラム1上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図1の例では、現像領域Dに搬送される現像剤4の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としてウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス鋼等の金属弾性を有する材料の弾性板からなる現像剤層厚規制部材2を使用し、現像スリーブ8に対してカウンター方向に現像剤を介し弾性的に圧接することによって現像剤の薄層を形成している。この様にして、現像スリーブ8上に形成される現像剤4の薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
【0185】
現像スリーブ8に対する現像剤層厚規制部材2の当接圧力は線圧4.9〜49N/m(5〜50g/cm)であることが、現像剤の規制を安定化させ、現像剤層厚を好適にさせることが出来る点で好ましい。現像剤層厚規制部材の当接圧力が線圧4.9N/m(5g/cm)未満の場合には、現像剤の規制が弱くなり、カブリやトナーもれの原因となり、線圧9〜49N/m(50g/cm)を超える場合には、トナーへのダメージが大きくなり、トナー劣化やスリーブ及びブレードへの融着の原因となり易い。
【0186】
上記現像スリーブ8に担持された一成分系現像剤4を飛翔させる為、上記現像スリーブ8にはバイアス手段としての電源9によりバイアス電圧が印加される。
この現像バイアスとして直流電圧を使用するときに、静電潜像の画像部(現像剤4が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。現像された画像の濃度を高め、或は階調性を向上するためには、現像スリーブ8に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部電位と背景部電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。
【0187】
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用する。高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤4は少なくとも現像スリーブ8との摩擦により帯電される。
【0188】
図2は本発明における別の形態の現像装置の模式図を示す。図2では現像剤層厚規制部材を現像スリーブ8に対して順方向に現像剤を介し弾性的に圧接したものである。
【0189】
図3は本発明における別の形態の現像装置の模式図を示す。図3では現像剤層厚規制部材2としての強磁性金属製の磁性規制ブレードが、現像スリーブ8の表面から約50〜500μmのギャップ幅をもって現像スリーブ8に臨む様に、ホッパー3から垂下されている。マグネットローラ5の磁極N1からの磁力線が磁性規制ブレード2に集中することにより、現像スリーブ8上に現像剤4の薄層が形成される。本発明においては、この磁性規制ブレード2に代えて非磁性ブレードを使用することもできる。
【0190】
図2及び図3の現像装置の他の基本的構成は図1に示した現像装置と同じであり、同符号のものは、基本的には同一の部材であることを示す。
【0191】
図1〜図3はあくまでも本発明の現像装置を模式的に例示したものであり、現像剤容器(ホッパー3)の形状、撹拌翼10の有無、磁極の配置に様々な形態があることは言うまでもない。勿論、これらの装置では、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤を用いる現像に使用することもできる。
【0192】
図4及び図5は、非磁性一成分現像剤を用いた場合に用いられる現像装置の構成の一例を模式的に示す。
【0193】
図4において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する像担持体、例えば電子写真感光ドラム1は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ8は、金属製円筒管(基体)6とその表面に形成される樹脂被膜層7から構成されている。非磁性一成分現像剤を用いるために金属製円筒管6の内部には磁石は内設されていない。金属製円筒管の替わりに円柱状部材を用いることもできる。
【0194】
現像器であるホッパー3中には非磁性一成分現像剤4を撹拌するための撹拌翼10が設けられている。
【0195】
現像スリーブ8に現像剤4を供給し、かつ現像後の現像スリーブ8の表面に存在する現像剤4を剥ぎ取るための現像剤供給・剥ぎ取り部材15が現像スリーブ8に当接している。現像剤供給・剥ぎ取り部材である供給・剥ぎ取りローラ15が現像スリーブ8と同じ方向に回転することにより、供給・剥ぎ取りローラ15の表面は、現像スリーブ8の表面とカウンター方向に移動することになり、ホッパー3から供給された非磁性トナーを有する一成分非磁性現像剤は、現像剤スリーブ8に供給され、現像スリーブ8が一成分現像剤4を担持して、矢印A方向に回転することにより、現像スリーブ8と感光ドラム1とが対向した現像部Dに非磁性一成分現像剤4を搬送する。現像スリーブ8に担持されている一成分現像剤は、現像スリーブ8の表面に対して現像剤層を介して圧接する現像剤層厚規制部材2により現像剤層厚が規定される。非磁性一成分現像剤4は現像スリーブ8との摩擦により、感光ドラム1上の静電潜像を現像可能な摩擦帯電電荷を得る。
【0196】
現像スリーブ8上に形成される非磁性一成分現像剤4の薄層の厚みは、現像部における現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙Dよりも更に薄いものであることが好ましい。しかし、現像部において現像剤層の厚みが現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙D以上の厚みである接触型現像装置にも、本発明は適用することができる。
【0197】
説明の煩雑を避けるため、以下の説明では、非接触型現像装置を例に採って行う。
【0198】
上記現像スリーブ8には、これに担持された非磁性トナーを有する一成分非磁性現像剤4を飛翔させるために、電源9により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(非磁性現像剤4が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧が、現像スリーブ8に印加されることが好ましい。現像画像の濃度を高め或は階調性を向上するために、現像スリーブ8に交番バイアス電圧を印加して、現像部に向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合、上記画像部の電位と背景部の電位の間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を現像スリーブ8に印加することが好ましい。
【0199】
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部に現像剤を付着させて可視化する所謂正規現像では、静電潜像の極性と逆極性に帯電する現像剤を使用する。
静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する所謂反転現像では、現像剤は静電潜像の極性と同極性に帯電する現像剤を使用する。高電位と低電位というのは、絶対値による表現である。いずれにしても、非磁性一成分現像剤4は現像スリーブ8との摩擦により静電潜像を現像するための極性を帯電する。
【0200】
現像剤供給・剥ぎ取り部材15としては、芯金13に樹脂、ゴム、スポンジの如き弾性部材からなる弾性層14を設けた弾性ローラが好ましい。剥ぎ取り部材としては、弾性ローラに代えてベルト部材又はブラシ部材を用いることもできる。感光体1に現像移行されなかった現像剤を現像剤供給・剥ぎ取り部材15により、一旦スリーブ表面から剥ぎ取ることにより、スリーブ上の不動の現像剤の発生を防いだり、現像剤の帯電を均一化する働きを有する。
【0201】
現像剤供給・剥ぎ取り部材として弾性ローラからなる供給・剥ぎ取りローラ15を用いる場合には、供給・剥ぎ取りローラ15の周速は、表面がカウンター方向に回転する場合、現像スリーブ8の周速100%に対して、好ましくは20〜120%、より好ましくは30〜100%であることが良い。
【0202】
供給・剥ぎ取りローラ15の周速が20%未満の場合には、現像剤の供給が不足し、ベタ画像の追従性が低下し、ゴースト画像の原因となり、120%を超える場合には、現像剤の供給量が多くなり現像剤層厚の規制不良や帯電量不足によるカブリの原因となり、さらにトナーにダメージを与えやすいため、トナー劣化によるカブリやトナー融着の原因となり易い。
【0203】
供給・剥ぎ取りローラの回転方向が現像スリーブの表面と同(順)方向の場合には、供給ローラの周速は、スリーブ周速に対して、好ましくは100〜300%、より好ましくは101〜200%であることが上記のトナー供給量の点で良い。
【0204】
供給・剥ぎ取りローラの回転方向は、現像スリーブの表面とカウンター方向に回転することが、剥ぎ取り性及び供給性の点でより好ましい。
【0205】
現像スリーブ8に対する現像剤供給・剥ぎ取り部材15の侵入量は、0.5〜2.5mmであることが、現像剤の供給及び剥ぎ取り性の点で好ましい。
【0206】
現像剤供給・剥ぎ取り部材15の侵入量が0.5mm未満の場合には、剥ぎ取り不足により、ゴーストが発生し易くなり、侵入量が2.5mmを超える場合には、トナーのダメージが大きくなり、トナー劣化により融着やカブリの原因となり易い。
【0207】
図4の現像装置では、現像スリーブ8上の非磁性一成分現像剤4の層厚を規制する部材として、ウレタンゴム、シリコーンゴムの如きゴム弾性を有する材料、或はリン青銅、ステンレス銅の如き金属弾性を有する材料の弾性規制ブレード2を使用し、この弾性規制ブレード2を図4の現像装置では現像スリーブ8に回転方向と逆の姿勢で圧接させ、現像スリーブ8上に更に薄い現像剤層を形成することができる。
【0208】
この弾性規制ブレード2としては、特に安定した規制力とトナーへの安定した(負)帯電付与性のためには、安定した加圧力の得られるリン青銅板表面にポリアミドエラストマー(PAE)を貼り付けた構造のものを用いることが好ましい。ポリアミドエラストマー(PAE)としては、例えばポリアミドとポリエーテルの共重合体が挙げられる。
【0209】
現像スリーブ8に対する現像剤層厚規制部材2の当接圧力は、線圧4.9〜49N/m(5〜50g/cm)であることが、現像剤の規制を安定化させ、現像剤層厚を好適にさせることができる点で好ましい。
【0210】
現像剤層厚規制部材2の当接圧力が線圧4.9N/m(5g/cm)未満の場合には、現像剤の規制が弱くなり、カブリやトナーもれの原因となり、線圧49N/m(50g/cm)を超える場合には、トナーへのダメージが大きくなり、トナー劣化やスリーブ及びブレードへの融着の原因となり易い。
【0211】
本発明の現像剤担持体は、このような現像スリーブ8に対して、現像剤供給・剥ぎ取り部材15及び現像剤層厚規制部材2が圧接する装置に適用した場合に、特に有効である。
【0212】
すなわち、現像スリーブ8に対して、現像剤供給・剥ぎ取り部材15及び現像剤層厚規制部材2が圧接する場合には、現像スリーブ8の表面がこれらの圧接される部材によって摩耗や現像剤の融着がより生じ易い使用環境にあることから、本発明の多数枚耐久性に優れた樹脂被覆層を有する現像剤担持体による効果が有効に発現されることになる。
【0213】
図5は、非磁性一成分現像剤を用いた本発明に用いられる別の形態の現像装置の模式図を示す。
【0214】
図5の現像装置で用いられる現像担持体としての現像ローラ18は、基体として鉄、銅、ステンレスの如き導電性金属からなる芯金17上にゴムや樹脂からなる中抵抗の弾性層16を被覆した弾性ローラからなり、更にこの弾性ローラ基体上を被覆する樹脂被覆層7を有する。
【0215】
ホッパー3中には、現像剤4を現像ローラ18に塗布する手段として供給・剥ぎ取りローラ15を設け、前記の現像スリーブに当接させている。この接触部において供給・剥ぎ取りローラ15は現像ローラ18と反対方向に回転することにより現像剤を現像ローラ18上に塗布する。
【0216】
図5の現像装置は感光体1と現像ローラ18が現像剤層を介して接触している。
【0217】
本発明は、これらの現像手段、像保持体、帯電手段を一体化してプロセスカートリッジとして用いることもできる。
【0218】
図6を参照しながら、図1で例示した本発明の現像剤担持体を有する現像装置を使用した画像形成装置の一例について説明する。先ず、一次帯電手段としての接触(ローラ)帯電手段19により像担持体としての感光ドラム1の表面を負極性に帯電させ、レーザ光の露光20によるイメージスキャニングにより静電潜像が感光ドラム1上に形成される。次に、現像剤層厚規制部材2を有し、現像剤担持体としての現像スリーブ8が具備されている現像装置によって、上記静電潜像が、現像容器としてのホッパー3内のトナーを有する負帯電性一成分系現像剤4によって反転現像される。
【0219】
図6に示す様に、現像領域Dにおいて感光ドラム1は現像スリーブに接地されており、現像スリーブ8には電源9により交番バイアスが印加されている。次に、転写材Pが搬送されて転写部に来ると、転写手段としての接触(ローラ)転写手段21により転写材Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段22で帯電されることにより、感光ドラム1の表面上に形成されている現像画像が接触(ローラ)転写手段21で転写材P上へ転写される。
【0220】
次に、感光ドラム1から分離された転写材Pは、定着手段としての加熱加圧ローラ定着器23に搬送され、該定着器によって転写材P上の現像画像の定着処理がなされる。
【0221】
上記の一連の工程において、感光ドラム(即ち、像担持体)1は感光層及び導電性基体を有するものであり、矢印B方向に動く。現像スリーブ8は、現像領域Dにおいて感光ドラム1の表面と同方向(矢印A方向)に進む様に回転する。ホッパー3内の一成分系現像剤4は現像スリーブ8上に担持され、且つ現像スリーブ8の表面との摩擦及び/又トナー同士の摩擦によって、例えば、マイナスのトリボ電荷が与えられる。更に、現像剤層厚規制部材12により、現像剤層の厚さを薄く(30〜300μm)且つ均一に規制して、現像領域Dにおける感光ドラム1と現像スリーブ8との間隙よりも薄い現像剤層を形成させる。
【0222】
現像スリーブ8は像担持体に対して100〜500μmの離間距離を有して対向して設置されることが好ましい。現像スリーブ8の像担持体に対する離間距離が100μmよりも小さいと、離間距離の振れに対するトナーの現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。現像スリーブ8の像担持体に対する離間距離が500μmよりも大きいと、現像装置への転写残トナーの回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、像担持体上の静電潜像に対するトナーの追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招く。好ましくは110〜350μmがよい。
【0223】
また、現像スリーブ8の回転速度を調整することによって、現像スリーブ8の表面速度が感光ドラム1の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度となる様にすることが好ましい。現像領域Dにおいて、現像スリーブ8に現像バイアス電圧として、交番バイアスを電源9により印加してもよい。現像スリーブ8と潜像保持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106V/m、周波数100〜5000Hzの交番電界を現像バイアスとして印加することが好ましく良い。
【0224】
現像領域Dにおける現像剤の移転に際し、感光ドラム1の表面の静電気力、及び交番バイアスの如き現像バイアス電圧の作用によって、現像剤は静電潜像側に移転する。
【0225】
ここで現像同時クリーニング画像形成方法において、画像形成プロセス中でのトナー粒子の挙動について説明する。
【0226】
感光ドラム1上の転写残トナーはレーザ光の露光20による露光工程を通るので、転写残トナー上から露光されるが、転写残トナーの量がすくないため、大きな影響は現れない。
【0227】
露光工程を経た転写残トナーは、感光ドラム1上の静電潜像の現像時に現像装置に回収除去されると共に、適当量のトナーが感光ドラム1側に移行する。
【0228】
感光ドラム1上のトナー像は転写工程の接触転写手段21により転写材側Pに転移する。トナーと逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、像担持体上のトナーの帯電量が均一であればトナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、トナーの帯電量が不均一であると転写材側に移転しにくいトナーが多くなり、感光ドラム1上に付着保持されて残留する。
【0229】
クリーナを用いない画像形成方法では、転写後の感光ドラム上に残存の転写残トナーは、感光ドラム1と接触(ローラ)帯電部材19のニップ部である帯電部に感光ドラム面の移動でそのまま持ち運ばれて接触(ローラ)帯電部材19にて再度帯電され、現像装置により除去回収されて、以後同様な工程が繰り返し実施されるが、前記の感光ドラム1上に付着保持された転写残トナーが多くなると、転写残トナーが接触(ローラ)帯電部材19に許容量以上に付着して帯電不良を生じると共に転写残トナーの帯電が不均一となり現像工程での回収不良を招く。
【0230】
図6の画像形成装置の現像工程では、現像スリーブ8の樹脂被覆層により感光体上に現像されるトナーの帯電を常に均一に保ち、それによりトナーの高い転写効率を維持させることで安定した現像同時クリーニングが行われる。
【0231】
図6の画像形成装置には、現像同時クリーニングを更に安定化するため、接触(ローラ)帯電部材19より上流、且つ転写工程の接触(ローラ)転写手段21より下流に位置していて、前記トナーを転写材に転写した後の感光ドラム1上に残留する転写残トナーを正規極性に揃えるためのトナー(現像剤)帯電量制御手段26を設けている。これにより、転写残トナーの帯電極性を正規極性に揃え、更に下流に位置する帯電工程で、転写残トナーの上から感光ドラム1面上を帯電処理する際に、感光ドラム1への鏡映力を大きくし、転写残トナーの接触(ローラ)帯電部材19への付着を防止する。転写残トナーの接触(ローラ)帯電部材19への付着を防止し、帯電不良画像の発生を抑制するためには、転写残トナーの帯電量を、現像時のトナーの帯電量の2倍以上にすることが好ましい。
【0232】
また、前記のトナー(現像剤)帯電量制御手段26により正規極性に揃えられた転写残トナーを現像装置3で回収させるためには、現像時のトナー帯電量に近い値に除電を行う必要がある。
【0233】
接触(ローラ)帯電部材19には、感光ドラム1の周面を帯電処理するために、直流電圧と共に交流電圧が印加されることにより、転写残トナーは交流除電され、交流電圧のVppの大きさを制御することで転写残トナーの除電量を制御する。
【0234】
感光ドラム1上の転写残トナーが現像装置に回収されるためのトナー帯電量は、現像時のトナー帯電量の0.5〜1.8倍であることが好ましい。
【0235】
図7の画像形成装置は、図6の画像形成装置に更に前記のトナー(現像剤)帯電量制御手段26より上流、且つ転写工程の接触(ローラ)転写手段21より下流に位置していて、前記トナーを転写材に転写した後の感光ドラム1上に残留する転写残トナーを均一化する残留トナー(残留現像剤)均一化手段27を設けている。
【0236】
前記の残留トナー(残留現像剤)均一化手段27とトナー(現像剤)帯電量制御手段26は、共に導電性を有するブラシ状部材で感光ドラム1に接触している。残留トナー(残留現像剤)均一化手段はアース接地されており、トナー(現像剤)帯電量制御手段26には正規極性の電圧が電源24より印加されている。
【0237】
転写工程における転写材Pに対するトナー画像転写後の感光ドラム1上に残留の転写残トナーは、引き続く感光ドラム1の回転で残留トナー(残留現像剤)均一化手段27と感光ドラム1との接触部に至り、一旦残留トナー(残留現像剤)均一化手段27に吸引する。ここで、残留トナー(残留現像剤)均一化手段27が抱え得るトナー量には限界があるため、飽和状態に達した後は徐々にトナーが離脱して感光ドラム1面上に付着して搬送されるが、感光ドラム1面上におけるトナーの付着状態、即ち感光ドラム1面上に付着するトナーの分布は均一化される。
【0238】
残留トナー(残留現像剤)均一化手段27で均一化された感光ドラム面上の転写残トナーは、引き続く感光ドラム1の回転でトナー(現像剤)帯電量制御手段26と感光ドラム1との接触部に至り、このトナー(現像剤)帯電量制御手段26を通過する感光ドラム1上の転写残トナーはその帯電極性がより均一に正規極性に揃えられる。
【0239】
これにより、更に下流に位置する帯電工程で、転写残トナーの上から感光ドラム1面上を帯電処理する際に、感光ドラム1への転写残トナーの鏡映力を一様に大きくし、転写残トナーの接触(ローラ)帯電部材19への付着をより一層防止する。
【0240】
図8の画像形成装置は、図6の画像形成装置からトナー(現像剤)帯電量制御手段26を取り除き、更に図5に示した接触型現像装置を設けたものである。
【0241】
現像装置のホッパー3に収納されている非磁性の負帯電性一成分系現像剤4は、現像剤供給・剥ぎ取りローラ15及び現像剤層厚規制部材2としての弾性ブレード2により現像ローラ18に塗布され、現像ローラ18上のトナー層を感光ドラム1の表面に接触させて感光ドラム1上の静電潜像を反転現像法により現像され、トナー画像を感光ドラム1上に形成される。現像ローラ18の回転方向に対して、現像剤供給・剥ぎ取りローラ15は、矢印で示す通りお互いの表面がカウンター方向に移動する。現像ローラ18にはバイアス印加手段9により少なくとも直流バイアスが印加される。感光ドラム1上のトナー画像は搬送されてくる転写材としての記録材P上へ、バイアス印加手段22によりバイアスが印加されている接触(ローラ)転写手段21により転写され、記録材上に転写されたトナー画像は、加熱ローラと加圧ローラとを有する加熱加圧定着手段23により定着される。
【0242】
転写工程後の感光ドラム1上の転写残トナーは、ブレードクリーニング手段の如きクリーニング部材によるクリーニング工程を経由することなく、接触(ローラ)帯電部材19の所まで搬送される。転写残トナーを有する感光ドラム1は、再度、接触(ローラ)帯電部材19で帯電され、帯電後にレーザ光の露光20により静電潜像が形成される。転写残トナーを有する感光ドラム1は、現像ローラ18上のトナーによる静電潜像の現像とともに、転写残トナーの現像ローラ18への回収がおこなわれる。現像同時クリーニング工程後の感光ドラム1上のトナー画像は、搬送されてくる記録材P上に接触転写手段21により転写される。転写工程後の感光ドラム1は、接触(ローラ)帯電部材19により再度帯電され、以後同様な工程が繰り返し実施される。現像装置は、図5に示すように感光ドラム1に現像剤担持体としての現像スリーブ18上のトナー層が接触し、バイアス印加手段9で直流バイアスが印加されている芯金17に中抵抗のゴム部材からなる弾性層16、更に弾性層16を被覆する樹脂被覆層7を有する弾性ローラからなる現像剤担持体としての現像ローラ18が配設され、現像部で転写残トナーが回収されると共に現像ローラ上のトナーが現像される。現像装置のホッパー3の中には、芯金13と弾性層14を有する現像剤供給・剥ぎ取りローラ15が配設されていて、現像剤供給・剥ぎ取りローラ15は芯金13を通じてアース接地されている。
【0243】
現像スリーブ18に付着して搬送される現像剤層厚規制部材2として、リン青銅板表面にポリアミドエラストマー(PAE)を貼り付けた弾性規制ブレード2が配設され、弾性規制ブレード2の現像スリーブ18に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量(トナー層厚)が制御される。
【0244】
以下に本発明に関わる物性の測定方法について述べる。
【0245】
(1)黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)
黒鉛化度p(002)は、マックサイエンス社製の強力型全自動X線回折装置“MXP18”システムにより、黒鉛のX線回折スペクトルから得られる格子間隔d(002)を測定することで、d(002)=3.440−0.086(1−P2)で求めた。
【0246】
尚、格子間隔d(002)は、CuKαをX線源とし、CuKβ線はニッケルフィルターにより除去している。標準物質に高純度シリコンを使用し、C(002)及びSi(111)回折パターンのピーク位置から算出した。主な測定条件は以下のとおりである。
X線発生装置 :18kw
ゴニオメータ :横型ゴニオメータ
モノクロメータ :使用
管電圧 : 30.0kV
管電流 :10.0mA
測定法 :連続法
スキャン軸 :2θ/θ
サンプリング間隔:0.020deg
スキャン速度 :6.000deg/min
発散スリット :0.50deg
散乱スリット :0.50deg
受光スリット :0.30mm
【0247】
(2)樹脂被覆層に添加する粒子の平均円形度SF−1
多数の粒子の円形度の解析を効率的に行うことが可能な具体的な測定装置として、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定を行った。
【0248】
マルチイメージアナライザーは、電気抵抗法による粒度分布測定装置に、CCDカメラにより粒子像を撮影する機能と撮影された粒子像を画像解析する機能を組み合わせたものである。詳細には、電解質溶液中に超音波等により均一に分散した測定粒子を、電気抵抗法による粒度分布測定装置であるマルチサイザーのアパーチャーを粒子が通過する際の電気抵抗変化で検知し、これに同期してストロボを発光してCCDカメラで粒子像を撮影する。この粒子像をパソコンに取り込み、2値化後、画像解析するものである。
【0249】
上記の装置により、粒子投影像のピタゴラス法最大長ML、投影面積Aを求め、2μm以上の3000個の粒子についての円形度の値を下記式(3)から算出し、これらを平均することにより平均円形度SF−1を求める。
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (3)
【0250】
(3)トナー及び樹脂粒子の粒径測定
電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。
【0251】
それから、体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径を求める。
【0252】
(4)現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)の測定
JIS B0601の表面粗さに基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE−3300にて、軸方向3点×周方向2点=6点について各々測定し、その平均値をとった。
【0253】
(5)樹脂被覆層の体積抵抗の測定
100μmの厚さのPETシート上に7〜20μmの厚さの被覆層を形成し、ASTM規格(D−991−82)及び、日本ゴム協会標準規格SRIS(2301−1969)に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積抵抗測定用の4端子構造の電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所製)を使用して測定した。尚、測定環境は20〜25℃、50〜60RH%とする。
【0254】
(6)1μm以上の導電性粒子の粒径測定
黒鉛化粒子等の導電性粒子の粒径は、レーザ回折型粒度分布計のコールターLS−130型粒度分布計(コールター社製)を用いて測定する。測定方法としては、水系モジュールを用い、測定溶媒としては純水を使用する。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行する。
【0255】
次に純水10ml中に界面活性剤3〜4滴を加え、更に測定試料を5〜25mg加える。試料を懸濁した水溶液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行ない試料液を得て、前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、個数分布から算術した個数平均粒径を求める。
【0256】
(7)1μm未満の導電性微粒子の粒径測定
電子顕微鏡を用いて、導電性微粒子の粒径を測定する。撮影倍率は6万倍とするが、難しい場合は低倍率で撮影した後に6万倍となるように写真を拡大プリントする。写真上で一次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とする。
【0257】
(8)黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]
(株)アカシ製微小硬度計MZT−4で、軸芯に対する面角が68度の三角錐のダイヤモンド圧子を用いて測定される押し込み硬さ値HUT[68]であり、下記式(2)で表される。
押し込み硬さ値HUT[68]=K×F/(h2)2 (2)
[但し、K:係数、F:試験荷重、h2:圧子の最大押し込み深さ]
【0258】
測定用に用意される試料として、現像剤担持体の樹脂被覆層表面を#2000の研磨テープを用いて、樹脂被覆中の黒鉛化粒子が露出するように平滑に磨いたものを用いる。
【0259】
黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]は、前記試料を固定して、研磨して被覆樹脂層表面に露出している10μm以上の大きさの黒鉛化粒子に圧子の照準を併せて測定を行い、同一試料の異なる黒鉛化粒子を10点以上測定してその平均値を黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]として求める。
【0260】
主な測定条件は以下のとおりである。
TEST MODE A
試験荷重F1:5.00gf
基準荷重F0:0.50gf
押し込み速度V:1.00μm/sec
保持時間T2:5sec
除荷時間T3:5sec
【0261】
試験荷重及び圧子の最大押し込み深さは、被覆層表面の表面粗さの影響を受けず、且つ下地の基体の影響を受けない程度の範囲が好ましく、本発明においては、試験荷重圧子の最大押し込み深さが1〜2μm程度で測定を行う。
【0262】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0263】
〈感光体製造例〉
負帯電用の有機光導電性物質を用いた感光体(以下「OPC感光体」と表記する)を製造した。感光体の基体には、直径30mmのアルミニウム製のシリンダーを用いた。このシリンダー上に下記の各層を浸漬塗布することにより順次積層して感光体を作製した。
【0264】
第1層は導電層であり、アルミニウム基体の欠陥等をならすため、またレーザ露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする)である。
【0265】
第2層は正電荷注入防止層であり、アルミニウム基体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、メトキシメチル化ナイロンによって106Ω・cm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0266】
第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料をプチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザ露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0267】
第4層は電荷輸送層であり、ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂に8:10の質量比で溶解したものを主体とし、さらに4フッ化エチレン粉体(粒径0.2μm)を総固形分に対して10質量%添加したものを使用した。膜厚は25μmであった。感光体の表面の水に対する接触角は74度であった。
【0268】
<2>現像剤の製造
(現像剤の製造例1)
反応容器のイオン交換水500部に0.1M−Na3PO4水溶液320部を投入し60℃に加温した後、1M−CaCl2水溶液を47部を徐々に添加してCa3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0269】
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・不飽和ポリエステル樹脂 2部
・飽和ポリエステル樹脂 3部
・モノアゾ染料系のFe化合物 1部
・疎水化処理磁性体 90部
上記材料をアトライターを用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃)6部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解した。前記水系溶媒中に上記重合性単量体を投入し、60℃,N2パージ下において、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて10000rpmで15分間攪拌し、造粒した。その後、パドル攪拌翼にて攪拌しつつ60℃で6時間反応させた。その後、液温を80℃とし更に4時間攪拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO4)2を溶解し、ろ過、水洗、乾燥をおこない、重量平均粒径6.6μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子の円形度a=0.950以上の粒子は個数基準の累積値で86.2%であった。
【0270】
このトナー粒子100部に、ヘキサメチルシラザンで処理した疎水性シリカ1.2部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、現像剤1とした。
【0271】
(現像剤の製造例2)
・スチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸ブチル
・ハーフエステル共重合体 100部
・カーボンブラック 7部
・負帯電性制御剤 3部
・低分子量ポリエチレン 5部
上記材料組成をヘンシェルミキサーにて予備混合した後、130℃に設定した二軸式エクストルーダーを用いて溶融混練を行った。得られた混練物を冷却後、スピードミルで粗粉砕を行い、更にジェットミルを用いて微粉砕を行った。この微粉砕物をエルボジェット分級機を用いて分級した。更にローターを回転して機械的衝撃力を与える方式の表面改質装置を用いて表面処理を行った。以上のようにして得られた磁性トナーは、その粒度分布において、重量平均粒径が7.1μmであり、円形度a=0.950以上の粒子は、個数基準の累積値で78.5%であった。
【0272】
このトナー100部に対し、シランカップリング剤とシリコーンオイルで処理した疎水性コロイダルシリカ1.2部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、現像剤2とした。
【0273】
(現像剤の製造例3)
反応容器のイオン交換水10000部に0.1M−Na3PO4水溶液100部ならびに1M−HCl水溶液を85部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmにて攪拌しながら、10M−CaCl2水溶液60部を一括投入し、pH6.5のCa3(PO4)2を含む水系媒体を調製した。
【0274】
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・カーボンブラック 7部
・ポリエステル樹脂 5.5部
・サリチル酸金属化合物 1部
・エステルワックス 15部
架橋剤(ジビニルベンゼン) 0.25部
別容器中で上記材料を65℃に保温し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。反応容器中の前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃,N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル攪拌翼にて攪拌しつつ65℃で6時間、さらに85℃に昇温し、9時間反応させた後、85℃で蒸留を行った。重合反応終了後、反応容器を冷却し、塩酸を加え、リン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をおこない、重量平均粒径7.5μmのトナーを得た。このトナーの円形度a=0.950以上の粒子は個数基準の累積値で87.6%であった。
【0275】
得られたトナー粒子100部に、疎水性酸化チタン微粉体1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、現像剤3とした。
【0276】
〔実施例1〕
<現像スリーブの製造>
現像スリーブの製造について述べる。
【0277】
樹脂被覆層に添加する黒鉛化粒子として、バルクメソフェーズピッチ粒子を酸化性雰囲気下で熱安定化処理した後に3000℃で焼成することにより黒鉛化して得た個数平均径5.6μmの黒鉛化粒子A−1を用いた。黒鉛化粒子A−1の物性を表1に示す。前記の黒鉛化粒子と併用して用いる球状粒子としては、表1に示した球状のフェノール樹脂粒子を2200℃で焼成した球状炭化粒子からなる球状粒子a−5を用いた。
【0278】
・レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 200部
・黒鉛化粒子(A−1) 45部
・導電性カーボンブラック 5部
・球状粒子(a−5) 8部
・メタノール 120部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて分散し、更にメタノールで分散液の固形分を27質量%に希釈して塗工液を得た。
【0279】
この塗工液を用いてスプレー法により外径16mmφのアルミニウム製円筒管上に樹脂被覆層を形成させ、続いて熱風乾燥炉により150℃、30分間加熱して樹脂被覆層を硬化させ現像剤担持体B−1を作製した。表2に現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を示す。
【0280】
<画像形成装置1>
画像形成装置として、LBP−1760を改造したものを用いた。本改造機は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)であり、プロセススピードを151.4mm/sに速め、更に図6に示すようにトナー(現像剤)帯電量制御手段として導電性ブラシが感光体に接触するように設けられている。
【0281】
また、クリーニングブレードの如きクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては磁性一成分系現像剤を使用し、現像装置としては図1に示した現像装置を用いて現像剤担持体上の現像剤層と像担持体が非接触となるよう配置された装置である。
【0282】
接触帯電部材としてゴムローラ帯電器を先に製造した感光体に当接させ、直流電圧−650Vdcに交流電圧1.7kVppを重畳したバイアスを印加して感光体上を一様に帯電させる。帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成させる。
【0283】
この時、暗部電位Vd=−650V、明部電位VL=−150Vとした。感光ドラムと現像スリーブとの間隙は180μmとし、現像磁極85mT(850ガウス)、現像剤層厚規制部材として厚み1.0mm、自由長1.0mmのウレタンゴム製ブレードを25N/mの線圧で当接させた。
【0284】
次いで、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=−450V、重畳する交流バイアス成分Vpp=1kV、f=2000Hzを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(151.4mm/sec)に対して順方向に130%のスピード(196.8mm/sec)とした。
【0285】
トナー(現像剤)帯電量制御手段としての導電性ブラシに印加するバイアスとしては、直流−900Vとした。
【0286】
また転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を感光体周速(151.4mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0287】
感光体としては前記の製造例で示したものを用いた。
【0288】
以上のようにLBP−1760を改造した画像形成装置をLBP−1760改造機1とした。
【0289】
<画像評価>
現像剤担持体B−1を組み込んだ現像装置に現像剤として現像剤1を使用し、24℃,10%RHの常温低湿(N/L)、20℃,60%RHの常温常湿(N/N)及び30℃,80%RHの高温高湿(H/H)環境下においてLBP−1760改造機1を用いて画出し試験を行った。転写材としては75g/m2の紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、非画像へのカブリのない良好な画像が得られた。
【0290】
次に、印字面積比率5%の横ラインのみからなる画像パターンで2.5万枚画出しにより、耐久性の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
【0291】
下記に挙げる評価項目について耐久試験評価を行った。
【0292】
(1)画像濃度
反射濃度計RD918(マクベス製)を使用し、ベタ印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。
【0293】
(2)カブリ
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
【0294】
カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0295】
(3)スリーブゴースト
ベタ白部とベタ黒部が隣り合う画像を現像した現像スリーブの位置が、現像スリーブの次の回転時には現像位置に来て、ハーフトーン画像を現像するようにして、ハーフトーン画像上に現れる濃淡差を目視で下記の基準に基づいて評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:実用上問題となる濃淡差が見られる。
【0296】
(4)帯電ムラ
転写残トナーによる一次帯電不良に起因する画像不良、即ち帯電ムラはハーフトーン画像上で評価した。ハーフトーン画像上に現れる濃淡差(ムラ)を目視で下記の基準で評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:濃淡差が顕著に見られ、実用不可。
【0297】
(5)転写率
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【0298】
【数1】
【0299】
転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0300】
(6)被覆層の耐汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をSEMで観察し、トナー汚染の程度を下記の基準で評価した。
A:軽微な汚染が観察される。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
【0301】
(7)樹脂被覆層の耐磨耗性
耐久前後の現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)と樹脂被服層の膜厚の削れ量を測定した。
【0302】
〔実施例2〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を30部に変え、更に表1に示した潤滑性粒子a−1を15部添加したことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−2を得た。
【0303】
この現像剤担持体B−2の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−2と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0304】
〔実施例3〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を15部に変え、潤滑性粒子a−1を30部添加したことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−3を得た。
【0305】
この現像剤担持体B−3の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−3と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0306】
〔実施例4〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を5部に変え、潤滑性粒子a−1を40部添加したことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−4を得た。
【0307】
この現像剤担持体B−4の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−4と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0308】
〔実施例5〜12〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、表1に示した黒鉛化粒子A−2〜A−9を用いたことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−5〜B−12を得た。
【0309】
これらの現像剤担持体B−5〜B−12の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−5〜B−12と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0310】
〔比較例1〜4〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、a−1〜a−4の粒子を用いたことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体C−1〜C−4を得た。
【0311】
これらの現像剤担持体C−1〜C−4の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。現像剤担持体C−1〜C−4と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0312】
〔実施例13〕
<現像スリーブの製造>
・MMA−DM共重合体樹脂(共重合比=88/12、Mn=6800、Mw=16300、Mw/Mn=2.4、酢酸エチル50%含有) 200部
・黒鉛化粒子(A−1) 30部
・導電性カーボンブラック 3.5部
・球状粒子(a−2) 9部
・酢酸エチル 120部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて分散し、更にメタノールで分散液の固形分を25%に希釈して塗工液を得た。この塗工液を用いたことを除いては、実施例1と同様にして現像剤担持体B−13を得た。
【0313】
この現像剤担持体B−13の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。
【0314】
<画像形成装置>
画像形成装置として、LBP−1760を以下のように改造したものを用いた。本改造機は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)であり、プロセススピードは94.2mm/sである。本改造機は図7に示すようにトナー(現像剤)帯電量制御手段としての導電性ブラシと残留トナー(残留現像剤)均一化手段としての導電性ブラシが感光体に接触するように設けられている。
【0315】
また、クリーニングブレードの如きクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては非磁性一成分系現像剤を使用し、現像装置としては図4に示した現像装置を用いて現像剤担持体上の現像剤層と像担持体が非接触となるよう配置された装置である。
【0316】
帯電部材としてゴムローラ帯電器を先の製造例で製造した感光体に当接させ、直流電圧−550Vdcに交流電圧1.7kVppを重畳したバイアスを印加して感光体上を一様に帯電させる。帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成させる。
【0317】
この時、暗部電位Vd=−550V、明部電位VL=−170Vとした。感光ドラムと現像スリーブとの間隙は180μmとし、現像剤層厚規制部材としてリン青銅板表面にポリアミドエラストマーを貼り付けたブレードを20N/mの線圧で当接させた。
【0318】
次いで、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=−330V、重畳する交流バイアス成分Vpp=1.2kV、f=2200Hzを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(94.2mm/sec)に対して順方向に120%のスピード(113mm/sec)とした。
【0319】
トナー(現像剤)帯電量制御手段としての導電性ブラシに印加するバイアスとしては、直流−900Vとした。
【0320】
現像剤供給・剥ぎ取り部材としての弾性ローラの周速は、現像スリーブの表面とカウンター方向に100%(113mm/sec)のスピードとした。
【0321】
また転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を感光体周速(151.4mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0322】
感光体としては前記の製造例で示したものを用いた。
【0323】
以上のようにLBP−1760を改造した画像形成装置をLBP−1760改造機2とした。
【0324】
<画像評価>
現像剤担持体B−13を組み込んだ現像装置に現像剤として現像剤2を使用し、24℃,10%RHの常温低湿(N/L)、20℃,60%RHの常温常湿(N/N)及び30℃,80%RHの高温高湿(H/H)環境下においてLBP−1760改造機2を用いて画出し試験を行った。転写材としては75g/m2の紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、非画像へのカブリのない良好な画像が得られた。
【0325】
次に、印字面積比率5%の横ラインのみからなる画像パターンで1万枚画出しにより、耐久性の評価を行った。得られた結果を表6に示す。
【0326】
下記に挙げる評価項目について耐久試験評価を行った。
【0327】
(1)画像濃度
反射濃度計RD918(マクベス製)を使用し、ベタ印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。
【0328】
(2)カブリ
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
【0329】
カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0330】
(3)帯電ムラ
転写残トナーによる一次帯電不良に起因する画像不良、即ち帯電ムラはハーフトーン画像上で評価した。ハーフトーン画像上に現れる濃淡差(ムラ)を目視で下記の基準で評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:濃淡差が顕著に見られ、実用不可。
【0331】
(4)転写率
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【0332】
【数2】
【0333】
転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0334】
(5)被覆層の耐汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をSEMで観察し、トナー汚染の程度を下記の基準で評価した。
A:軽微な汚染が観察される。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
【0335】
(6)樹脂被覆層の耐磨耗性
耐久前後の現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)と樹脂被服層の膜厚の削れ量を測定した。
【0336】
〔実施例14〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を15部に変え、潤滑性粒子a−1を15部添加したことを除いては、実施例13と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−14を得た。
【0337】
この現像剤担持体B−14の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−14と現像剤2を用いて実施例13と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0338】
〔実施例15〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を5部に変え、潤滑性粒子a−1を25部添加したことを除いては、実施例13と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−15を得た。
【0339】
この現像剤担持体B−15の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−15と現像剤2を用いて実施例13と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0340】
〔実施例16〜20〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、表1に示した黒鉛化粒子A−2〜A−9を用いたことを除いては、実施例13と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−16〜B−19を得た。
【0341】
これらの現像剤担持体B−16〜B−19の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−16〜B−19と現像剤2を用いて実施例13と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0342】
〔比較例5〜8〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、a−1〜a−4の粒子を用いたことを除いては、実施例13と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体C−5〜C−8を得た。
【0343】
これらの現像剤担持体C−5〜C−8の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。現像剤担持体C−5〜C−8と現像剤2を用いて実施例13と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0344】
〔実施例21〕
<現像スリーブの製造>
・ウレタン樹脂溶液(トルエン50%含有) 200部
・黒鉛化粒子(A−4) 12部
・導電性カーボンブラック 3部
・球状粒子(a−2) 25部
・トルエン 120部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて分散し、更にトルエンで分散液の固形分を25%に希釈して塗工液を得た。この塗工液を用いてディピング法により、ジメチルシリコーンゴム(硬度ASKER C47度、体積抵抗5×105Ω・cm)からなる弾性ローラ(外径16mmφ、ステンレス芯金6mmφ)表面に樹脂被覆層を形成させ、続いて熱風乾燥炉により150℃,30分間加熱して樹脂被覆層を硬化させ現像剤担持体B−21を作製した。表2に現像剤担持体B−21の樹脂被覆層の処方と物性を示す。
【0345】
<画像形成装置>
画像形成装置として、LBP−1760を以下のように改造したものを用いた。本改造機は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)であり、プロセススピードは94.2mm/sである。本改造機は図8に示すようにトナー(現像剤)帯電量制御手段及び残留トナー(残留現像剤)均一化手段はいずれも設けられていない。
【0346】
また、クリーニングブレードの如きクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては非磁性一成分系現像剤を使用し、現像装置としては図5に示した現像装置を用いて現像剤担持体上と像担持体が接触するよう配置された装置である。
【0347】
帯電部材としてゴムローラ帯電器を先の製造例で製造した感光体に当接させ、直流電圧−800Vdcのバイアスを印加して感光体上を一様に帯電させる。帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成させる。
【0348】
この時、暗部電位Vd=−800V、明部電位VL=−150Vとした。現像剤層厚規制部材としてリン青銅板表面にポリアミドエラストマーを貼り付けたブレードを20N/mの線圧で現像剤担持体表面に当接させた。
【0349】
次いで、現像バイアスとして−450Vの直流バイアス(Vdc=−450V)を用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(94.2mm/sec)に対して順方向に180%のスピード(169.6mm/sec)とした。
【0350】
現像剤供給・剥ぎ取り部材としての弾性ローラーの周速は現像スリーブの表面とカウンター方向に100%(169.6mm/sec)のスピードとした。
【0351】
また転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を感光体周速(151.4mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0352】
感光体としては前記の製造例で示したものを用いた。
【0353】
以上のようにLBP−1760を改造した画像形成装置をLBP−1760改造機3とした。
【0354】
<画像評価>
現像剤担持体B−16を組み込んだ現像装置に現像剤として現像剤3を使用し、24℃,10%RHの常温低湿(N/L)、20℃,60%RHの常温常湿(N/N)及び30℃,80%RHの高温高湿(H/H)環境下においてLBP−1760改造機3を用いて画出し試験を行った。転写材としては75g/m2の紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、非画像へのカブリのない良好な画像が得られた。
【0355】
次に、印字面積比率5%の横ラインのみからなる画像パターンで1万枚画出しにより、耐久性の評価を行った。得られた結果を表7に示す。
【0356】
下記に挙げる評価項目について耐久試験評価を行った。
【0357】
(1)画像濃度
反射濃度計RD918(マクベス製)を使用し、ベタ印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。
【0358】
(2)カブリ
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
【0359】
カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0360】
(3)帯電ムラ
転写残トナーによる一次帯電不良に起因する画像不良、即ち帯電ムラはハーフトーン画像上で評価した。ハーフトーン画像上に現れる濃淡差(ムラ)を目視で下記の基準で評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:濃淡差が顕著に見られ、実用不可。
【0361】
(4)転写率
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【0362】
【数3】
【0363】
転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0364】
(5)被覆層の耐汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をSEMで観察し、トナー汚染の程度を下記の基準で評価した。
A:軽微な汚染が観察される。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
【0365】
(6)樹脂被覆層の耐磨耗性
耐久前後の現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)と樹脂被服層の膜厚の削れ量を測定した。
【0366】
〔実施例22〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−4を6部、カーボンブラックを9部に変更しことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−22を得た。
【0367】
この現像剤担持体B−22の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−22と現像剤3を用いて実施例21と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0368】
〔実施例23〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−4を18部に変更し、カーボンブラックを添加しないことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−23を得た。
【0369】
この現像剤担持体B−23の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−23と現像剤3を用いて実施例21と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0370】
〔実施例24〜26〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−4を用いることに替えて、表1に示した黒鉛化粒子A−10〜A−12を用いたことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−24〜B−26を得た。
【0371】
これらの現像剤担持体B−24〜B−26の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−24〜B−26と現像剤3を用いて実施例14と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0372】
〔比較例9〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−4を用いることに替えて、表1に示したa−1の粒子を用いたことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体C−9を得た。
【0373】
この現像剤担持体C−9の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。現像剤担持体C−9と現像剤3を用いて実施例21と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0374】
〔比較例11、12〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、a−7及びa−8の粒子を用いたことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体C−7及びC−8を得た。
【0375】
現像剤担持体C−7及びC−8の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。現像剤担持体C−7及びC−8と現像剤3を用いて実施例21と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0376】
【表1】
【0377】
【表2】
【0378】
【表3】
【0379】
【表4】
【0380】
【表5】
【0381】
【表6】
【0382】
【表7】
【0383】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、現像同時クリーニングの画像形成方法において、現像剤担持体表面の樹脂被覆層が特定の範囲の黒鉛化度と円形度を有する黒鉛化粒子を樹脂中に分散させた構成である現像剤担持体を有する現像装置を用いることで、現像剤担持体上の現像剤が絶えず迅速且つ均一に帯電し、現像剤の転写性及び回収性に優れ、被帯電体の帯電不良を生じない良好な画像が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる樹脂被覆層が形成されている現像剤担持体を有する磁性一成分現像方式の一実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図2】図1の現像装置における、現像剤層の規制部材が異なる本発明の他の実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図3】図1の現像装置における、現像剤層の規制部材が異なる本発明の他の実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図4】本発明に用いる樹脂被覆層が形成されている現像剤担持体を有する非磁性一成分現像方式の一実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図5】本発明に用いる樹脂被覆層が弾性ローラ上に形成されている現像剤担持体を有する非磁性一成分現像方式の一実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図6】本発明の画像形成装置の概略説明図を示す。
【図7】本発明の他の画像形成装置の概略説明図を示す。
【図8】本発明の他の画像形成装置の概略説明図を示す。
【符号の説明】
1:感光ドラム(静電潜像保持体)
2:現像剤層規制部材
3:ホッパー(現像剤容器)
4:現像剤
5:マグネットローラー(磁石)
6:金属円筒管(基体)
7:樹脂被覆層
8:現像スリーブ(現像剤担持体)
9:現像バイアス電源
10:撹拌翼
11:弾性規制ブレード
13:芯金
14:弾性層
15:現像剤供給・剥ぎ取りローラ(現像剤供給・剥ぎ取り部材)
16:弾性層
17:芯金
18:現像ローラ(現像剤担持体)
19:接触(ローラ)帯電手段
20:露光
21:接触(ローラ)転写手段
22:バイアス印加手段
23:過熱加圧定着手段
24:バイアス印加手段
25:バイアス印加手段
26:トナー(現像剤)帯電量制御手段
27:残留トナー(残留現像剤)均一化手段
N1,N2,S1,S2:磁極
A:現像スリーブ回転方向
B:感光ドラム回転方向
D:現像領域
P:被記録材
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体または静電記録誘電体等の像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化するための画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び該画像形成装置に用いられる現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、転写型の電子写真方式を用いた複写機・プリンタ・ファクシミリなどの画像形成装置は、像担持体として光導電性物質を利用した一般に回転ドラム型の感光体を用い、この回転感光体を帯電手段により所定の極性・電位に一様に帯電する帯電工程、その回転感光体の一様帯電面に像露光手段(レーザー光走査露光手段、原稿画像の投影結像露光手段など)により像露光を行なって露光画像情報に対応した静電潜像を形成させる像露光工程、形成された静電潜像を現像手段によりトナー画像として現像する現像工程、そのトナー画像を転写手段により感光体側から紙などの転写材に転写する転写工程、感光体から分離させた転写材のトナー画像を定着手段により転写材面に熱や圧力などで定着させる定着工程、転写材に対するトナー画像転写後の感光体面に転写されずに残留したトナーを除去して感光体面を清掃するクリーニング工程により画像形成を実行させて画像形成物(複写物・印刷物)を得るものである。そしてクリーニング後の感光体は繰り返して画像形成に供するものである。上記における各工程手段としては具体的には種々の方式・構成のものが知られている。
【0003】
近年、このような画像形成装置においては小型化が進んできたが、装置を構成する像担持体や各工程手段機器をそれぞれ小型化するだけでは小型化には限界があった。また、転写材に対するトナー画像転写後の感光体面に残留しているトナーは、クリーニング手段(クリーニング装置)によって除去されて廃トナーとなるが、環境保全や資源の有効利用などの点から、そのような廃トナーは出ないことが望まれていた。これに対し、廃トナーの出ないシステムとして、現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されている。しかしながら、従来の現像同時クリーニング又はクリーナレスに関する技術の開示は、特許文献1にあるように画像上に転写残余のトナーの影響によるポシメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主である。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な転写材に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な転写材に対し満足するものではない。
【0004】
更に、クリーナレスに関連する技術の開示を行っている先行技術としては、特許文献2〜9があるが、これらの先行技術は、いずれも、望ましい画像形成方法については述べておらず、現像装置の現像剤担持体構成についても言及していない。
【0005】
また、現像同時クリーニング又はクリーナレスに好ましく適用される現像方法として、従来は本質的にクリーニング装置を有さない現像同時クリーニングでは、潜像担持体表面をトナー及び現像剤担持体としての現像スリーブにより擦る構成が必須とされてきたため、トナー或いは現像スリーブが潜像担持体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナーを回収するために、トナー或いは現像スリーブが潜像担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、従来の接触現像方法を適用した現像同時クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用によるトナー劣化、現像スリーブ表面劣化又は磨耗等を引き起こし、現像装置の耐久特性に対して充分な解決がなされていない。更に、画像形成のスピードアップが望まれる今日、よりプロセススピードの速い装置の現像同時クリーニングでは、現像での転写残トナーの回収性を高めるための回収前転写残トナーの帯電制御、回収されたトナーを再利用するにあたっての現像の安定性保持の面でも従来技術では充分な解決がなされていない。一般にはプロセススピードが速くなると、現像同時クリーニングにおける転写残トナー粒子の回収性が低下する傾向がある。プロセススピードが速くなることで、一次帯電における転写残トナー粒子の帯電制御が十分には行われ難く、一次帯電から吐き出されて現像での回収に向かう転写残トナー粒子の帯電が不均一となり易いこと、及び現像にて回収された転写残トナー粒子の混入によるトナーの摩擦帯電性への影響を抑制することが困難となる方向であることが理由として考えられる。
【0006】
さらに、今日、高画質化および高品位化が図られる画像形成の手段として小粒径のトナーが多く用いられてきているが、トナーの粒径が小径化するに伴って、転写でトナー粒子にかかるクローン力に比して、トナー粒子の感光体への付着力(鏡像力やファンデルワールス力など)が大きくなったり、あるいは現像スリーブ上でトナーがチャージアップしてトナーの摩擦帯電性が不均一になったりして、結果として転写残トナーが増加する傾向となり、現像同時クリーニングの安定化がより一層難しくなっている。更に、転写工程後の感光体上の転写残トナーを現像同時クリーニングで除去・回収・再使用する際、現像スリーブに回収されたトナーは現像スリーブの回転に伴って現像装置内に搬送され、現像スリーブとの摺擦により所定の値に摩擦帯電されるのだが、回収されたトナーは、現像装置内に補給されてあるトナーとの摩擦帯電量とは必ずしも同じではなく、一時的に現像装置内におけるトナーの摩擦帯電量の不均一化を招き、この傾向はトナーの粒径が小粒径化するほど顕著になっている。その結果、回収されたトナーは現像スリーブ近傍に存在する可能性が高く、十分に現像装置内のトナーと同レベルに摩擦帯電制御されないうちに現像領域に搬送される場合や、上述したようなトナーがチャージアップし現像スリーブ表面に固着することで摩擦機会が持てなくなる場合に、トナーが不均一な摩擦帯電を有するようになり、画像濃度低下やカブリ画像及びスリーブゴースト等が発生すると共に転写残トナーが増加する傾向にある。
【0007】
従って、このような画像形成方法に用いられるトナーは、従来以上に現像スリーブで迅速且つ均一に摩擦帯電されていることと、更に感光体とは、離型性に優れていることが要求されている。
【0008】
感光体からのトナーの離型性を高め、トナーの転写性を向上させる手段として、球形に近いトナーを用いることが多く提案されているが、確かに球形のトナーを用いると転写性が向上するものの、このような球形のトナーは現像スリーブ上で耐久によりチャージアップしやすくなり、現像スリーブ表面への固着及びそれに伴うトナーの帯電量低下や帯電の不均一化が生じる傾向にある。このため、上述と同様にこのような状況下で画像を形成すると、画像濃度低下やカブリ及びスリーブゴースト等の画像不良が発生しやすくなると共に転写残トナーが増加することによる帯電不良も起こしやすい。
【0009】
一方、現像剤担持体として、過剰な電荷を有する現像剤の発生や、現像剤の強固な付着を防止するため、特許文献10及び11等においては、樹脂中に、結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末を分散させた被覆層が金属基体上に設けられている現像スリーブを現像装置に用いる方法が提案されている。この方法を用いることにより、上記した現象は大幅に軽減されることが認められる。
【0010】
しかしながら、この方法では、上記粉末を多量に添加した場合には、チャージアップやスリーブゴーストに対しては良好となるが、トナーへの良好な帯電付与能力が不十分となり、更に迅速にトナーへ帯電付与できにくいため、特に高温高湿の環境下においては十分な画像濃度を得られにくい。更に、上記粉末を多量に添加した場合には被覆層が脆性化して削れやすくなると共に表面形状が不均一となり、耐久を進めていった場合に被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こりやすくなる。
【0011】
また、前記の結晶性グラファイトを分散させた被覆層をもちいた場合は、被覆層表面が結晶性グラファイトの燐片状の構造から起因して潤滑性を有するようになるのでチャージアップやスリーブゴーストに対しては十分な効果を発揮するが、形状が燐片状であるがために被覆層表面形状が不均一となり、さらに結晶性グラファイトの硬度が低いため、被覆層表面で結晶性グラファイト自体の摩耗や脱離が発生しやすく、耐久を進めていった場合に被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こりやすくなる。
【0012】
一方、添加量が少量の場合には、結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末の効果が薄く、チャージアップやスリーブゴーストに対して不十分であるという問題が残る。
【0013】
また、特許文献12においては、樹脂中に結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末、更に球状粒子を分散させた導電性被覆層を金属基体上に設けた現像スリーブが提案されている。この現像スリーブでは、被覆層の耐磨耗性が向上するとともに、被覆層表面の形状も均一化し、耐久による表面粗さの変化も比較的少なくなる。これにより、スリーブ上のトナーコーティングが安定化してトナーの帯電をある程度均一化することができ、スリーブゴースト、画像濃度、画像濃度ムラ等に問題が無い画質が安定化する傾向にある。しかしながら、この現像スリーブにおいてもトナーへの迅速且つ均一な帯電制御性の安定化には不十分であり、また耐摩耗性においても、更なる長期間の耐久で、被覆層の球状粒子や結晶性グラファイトが摩耗あるいは脱落することで生じる被覆層表面の粗さの変化や粗さの不均一化、それに伴う被覆層のトナー汚染及びトナー融着等が生じ、このような場合にはトナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる。
【0014】
特許文献13においては、導電性被覆層中に分散された球状粒子が低比重且つ導電性の球状粒子であり、これにより導電性被覆層中に均一に導電性球状粒子が分散されることで被覆層の耐磨耗性及び被覆層表面の形状が均一化してトナーへの均一な帯電付与性が向上し、且つ被覆層が多少摩耗した際にもトナー汚染及びトナー融着が抑制されうる現像スリーブが提案されている。
【0015】
しかしながら、この現像スリーブにおいても、耐摩耗性、トナーへの均一且つ迅速な帯電及びトナーへの帯電付与能力の点では完全ではなく、現像同時クリーニングの現像装置に用いられる現像スリーブに適応するには不十分であり、現像スリーブ上に回収されたトナーと現像担持体上に回収される前から存在したトナーとが均一に摩擦帯電しにくいため画像不良を招きやすい。また、更なる長期間の耐久においては、被覆層表面の導電性球状粒子が存在しない部分から、結晶性グラファイト等の導電性粒子が摩耗あるいは脱落しやすく、この摩耗及び脱落した部分から被覆層の摩耗が促進されてトナー汚染及びトナー融着が生じ、トナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる場合がある。
【0016】
一方、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体上に潜像を形成する方法についても様々な方法が知られている。例えば、電子写真法では、像担持体としての光導電性物質を利用した感光体上を所要の極性・電位に一様に帯電処理した後に、画像パターン露光を施すことにより電気的潜像を形成する方法が一般的である。
【0017】
従来、像担持体を所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としてはコロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。近年では、像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0018】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、▲1▼放電帯電機構と▲2▼直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0019】
接触帯電装置は、接触帯電部材として帯電ローラを用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。従来のローラ帯電方式における帯電機構は前記▲1▼の放電帯電機構が支配的である。
【0020】
ここで、これらの接触帯電方法を現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法に適用した場合を考える。現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、クリーニング部材を有さないために感光体上に残余する転写残トナーが、そのまま接触帯電部材と接触し、付着或いは混入する。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に一定量以上に付着或いは混入すると、帯電性の低下が起こる。
【0021】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的な帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着或いは混入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0022】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させる。
【0023】
また、現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなり、転写残トナーの帯電極性及び帯電量の制御を帯電部材によって行うこととなる。
【0024】
これについて具体的に一般的なレーザプリンタを例として説明する。マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の転写部材によって可視化されたトナー像を転写材に転写することになるが、転写材の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、マイナス帯電性の感光体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、感光体表面と共に転写残余のトナーまでもが、転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、一様にマイナス側へ帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、現像剤の現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残余のトナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上現像スリーブの方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残トナーは残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立する。
【0025】
しかしながら、転写残トナーが接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様に転写残トナーの帯電極性を揃えることができず、現像スリーブによってトナーを回収することが困難となる。
また、現像スリーブに摺擦等の機械的力によって回収されたとしても、転写残トナーの帯電が不均一で現像担持体に回収される転写残トナー量が多くなるため、現像担持体上のトナーの帯電制御性に悪影響を及ぼし、現像特性を著しく低下させる。
【0026】
すなわち、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法に於ては、転写残トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性、更には転写残トナーの現像スリーブへの混入による帯電制御性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっていて、長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、画像品質を高めるために更なる改良の余地がある。
【0027】
【特許文献1】
特開平5−2287号公報
【特許文献2】
特開昭59−133573号公報
【特許文献3】
特開昭62−203182号公報
【特許文献4】
特開昭63−133179号公報
【特許文献5】
特開昭64−20587号公報
【特許文献6】
特開平2−302772号公報
【特許文献7】
特開平5−2289号公報
【特許文献8】
特開平5−53482号公報
【特許文献9】
特開平5−61383号公報
【特許文献10】
特開平02−105181号公報
【特許文献11】
特開平03−036570号公報
【特許文献12】
特開平03−200986号公報
【特許文献13】
特開平08−240981号公報
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記のような問題点を解決した現像同時クリーニングの画像形成装置を提供することである。より詳しくは、現像同時クリーニングの構成を用いた画像形成方法において、現像剤担持体上の現像剤が迅速且つ均一に帯電する画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジおよびこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することである。
【0029】
また、本発明の目的は、現像剤の転写性に優れ、転写残現像剤の回収性に優れた現像同時クリーニング画像形成を可能とする画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0030】
また、本発明の目的は、繰り返し複写又は耐久による現像剤担持体表面の劣化が生じ難く、高耐久性を有し、現像剤担持体上の現像剤が安定して迅速且つ均一に帯電することで良好な画像が得られる現像同時クリーニング画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0031】
また、本発明の目的は、長期にわたる繰り返し使用においても、現像剤の転写性及び回収性に優れており、被帯電体の帯電不良を生じない良好な画像が得られる現像同時クリーニング画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0032】
また、本発明の目的は、異なる環境条件下においても長期に渡って、濃度低下、スリーブゴースト及びカブリの如き問題点が発生せず、画像濃度が高い高品位の画像を安定して得られる現像同時クリーニング画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0033】
また、本発明の目的は、粒径の小さいトナーや球形のトナーを用いた場合に現われる、現像剤担持体表面へのトナー付着を軽減させることにとり、トナーの不均一な帯電を制御すると共にトナーに迅速に帯電を与えることで、良好な画像を安定して得られる現像同時クリーニング画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びこの画像形成装置に用いられる現像装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明の構成によって達成される。
【0035】
本発明は、像担持体を帯電させる帯電工程と、
帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
下記(a)〜(d)を含む現像工程と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる工程;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する工程;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する工程;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する工程;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写工程と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、
該現像工程は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする画像形成方法によって達成される。
【0036】
さらに、本発明は、像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、この可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするためのプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を帯電するための帯電手段と、該像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、該現像剤像が記録媒体たる転写材に転写された後に、該像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像装置とを少なくとも有し、該現像装置及び該潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成をとっており、
該現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有しており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とするプロセスカートリッジによって達成される。
【0037】
更に本発明は、静電潜像を担持するための像担持体と、像担持体を帯電するための帯電手段と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
下記(a)〜(d)を含む現像手段と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる手段;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する手段;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する手段;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する手段;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写手段と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、
該現像装置は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング手段を兼ねており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする画像形成装置によって達成される。
【0038】
更に本発明は、静電潜像を担持するための像担持体と、像担持体を帯電するための帯電手段と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
下記(a)〜(d)を含む現像手段と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる手段;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する手段;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する手段;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する手段;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写手段と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着手段と、を有する画像形成装置に用いられる現像装置において、
該現像装置は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング手段を兼ねており、該現像装置に用いられる現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする現像装置によって達成される。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明は、現像工程が、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が0.20≦p(002)≦0.95であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする。
【0040】
本発明者らは、現像工程が、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねている画像形成方法において、現像剤に摩擦帯電電荷を付与する現像剤担持体表面について検討を重ねた結果、現像剤担持体の基体上に樹脂被覆層を形成し、且つその形成された樹脂被覆層を少なくとも特定の黒鉛化度と押し込み硬さ値を有する黒鉛化粒子を含有するものとすることで、粒径の小さい現像剤や球形の現像剤に対しても過剰な電荷を有する現像剤の発生や、現像剤担持体表面への現像剤の強固な付着を有効に防止しすると共に、現像時に現像剤担持体上で回収された現像剤と現像容器内にある現像剤とを同じレベルに迅速且つ均一に摩擦帯電制御することで、像担持体上にカブリの少ない高品質な画像が形成されることを見出した。更に、前記の構成により像担持体上に現像された現像剤の帯電量が均一となることにより転写効率が良好となり、転写残現像剤の帯電阻害を十分に抑制しつつ転写残現像剤が帯電部材で均一に帯電しやすくなるため、転写残現像剤を現像時に円滑に回収可能となり、安定した高品位な画像が得られることを見出した。
【0041】
まず、本発明の現像剤担持体を構成する基体表面に被覆された樹脂被覆層に用いられる黒鉛化粒子について説明する。
【0042】
本発明に使用される黒鉛化粒子としては、黒鉛化度p(002)が0.20≦p(002)≦0.95であり、且つ、押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60であることが特徴である。
【0043】
該黒鉛化粒子は、現像剤担持体の被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に、被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つ現像剤のトナー汚染やトナー融着を発生し難くするために添加するものである。
更に、該黒鉛化粒子はトナーへの迅速且つ均一な摩擦帯電付与性を高める効果もある。
【0044】
上記の黒鉛化度p(002)とは、Franklinのp値といわれるもので、黒鉛のX線回折図から得られる格子間隔d(002)を測定することで、下記式(1)を用いて求められる値である。
d(002)=3.440−0.086(1−p(002)2) (1)
【0045】
このp(002)値は、炭素の六方網目平面積み重なりのうち、無秩序な部分の割合を示すもので、p(002)値が小さいほど黒鉛化度は大きい。
【0046】
該黒鉛化粒子は、特許文献10及び11等において現像剤担持体表面の被覆層中に用いられていた、コークスなどの骨剤をタールピッチ等により固めて成形後1000〜1300℃程度で焼成してから2500〜3000℃程度で黒鉛化して得た人造黒鉛、あるいは天然黒鉛からなる結晶性のグラファイトとは、該黒鉛化粒子の原材料及び製造工程が異なる。そのため、該黒鉛化粒子は従来用いていた結晶性グラファイトより黒鉛化の度合いは若干低いものの、従来に用いられていた結晶性グラファイトと同様に高い導電性や潤滑性を有しており、更に粒子の形状が従来に用いられていた結晶性グラファイトの燐片状あるいは針状とは異なり、概略球状でしかも粒子自身の硬度が比較的高いのが特徴である。従って、上記のような特性を有する該黒鉛化粒子は樹脂被覆層中で均一に分散しやすくなるため、均一な表面粗度と耐磨耗性を被覆層表面に与え、且つ粒子自身の形状が変化しがたいために結着樹脂分等の削れ、またはその影響による粒子自身の脱落が生じたとしても、樹脂層中から粒子が再度突出あるいは露出してくることもあり、表面形状の変化を小さくおさえることができる。
【0047】
更に、現像剤担持体表面の被覆層中に該黒鉛化粒子を用いると、トナーのチャージアップを発生させることなく、従来の結晶性グラファイトを用いた場合よりもトナーへの迅速且つ均一で適度な摩擦帯電量を安定的に付与することが可能となる。
【0048】
本発明の黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)は、0.20≦p(002)≦0.95であることが好ましく、0.25≦p(002)≦0.75であることがより好ましい。
【0049】
p(002)が0.95を超える場合は、耐磨耗性には優れているが、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、現像剤担持体上のトナーの帯電が不均一となって、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなると共に、トナーの転写性及び回収性が悪化することによってもカブリや濃度ムラ等の画像不良を発生し易くなる。更に現像剤規制部材として、弾性ブレードを使用した場合にブレード傷が発生する場合があり、画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。
【0050】
p(002)が0.20未満の場合は、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下してしまう。
【0051】
更に、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60であることを特徴とする。この押し込み硬さ値HUT[68]は好ましくは20〜55であり、より好ましくは25〜50である。
【0052】
押し込み硬さ値HUT[68]が15未満である場合には、樹脂被覆層の耐磨耗性や機械的強度及びトナーへの迅速且つ均一な帯電付与性が低下する傾向がある。一方、押し込み硬さ値HUT[68]が60を超えると、樹脂被覆層の耐磨耗性には優れるが、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなる。
【0053】
本発明における押し込み硬さ値HUT[68]とは、(株)アカシ製微小硬度計MZT−4で、軸芯に対する面角が68度の三角錐のダイヤモンド圧子を用いて測定される押し込み硬さ値HUT[68]であり、下記式(2)で表される。
押し込み硬さ値HUT[68]=K×F/(h2)2 (2)
[但し、K:係数、F:試験荷重、h2:圧子の最大押し込み深さ]
【0054】
上記硬さ値は、その他の硬度等よりも微小な荷重で測定できると共に、弾性、塑性を有する材料に関しても、弾性変形、塑性変形分を含んだ硬度が得られるので、好ましく用いられる。
【0055】
具体的な測定方法としては以下の通りである。測定用に用意される試料として、現像剤担持体の樹脂被覆層表面を#2000の研磨テープを用いて、樹脂被覆中の黒鉛化粒子が露出するように平滑に磨いたものを用いる。
【0056】
黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]は、前記試料を固定して、研磨して被覆樹脂層表面に露出している10μm以上の大きさの黒鉛化粒子に圧子の照準を併せて測定を行い、同一試料の異なる黒鉛化粒子を10点以上測定してその平均値を黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]として求める。
【0057】
主な測定条件は以下のとおりである。
TEST MODE A
【0058】
TEST MODE Aとは、試料に押し込む荷重を設定して測定を行うものであり、付加する荷重が基準荷重F0と呼ばれる初荷重と最終負荷荷重である試験荷重F1の二つがある。測定の際に、圧子が試料に接触した後、基準荷重を試料に負荷し、圧子は基準荷重の負荷により試料に押し込まれる。基準荷重により圧子が押し込まれた点を押し込み深さのゼロ点とし、圧子に試験荷重を加えて、設定した保持時間、試験荷重を保持し、圧子の試験荷重保持後の押し込み深さh2(圧子の最大押し込み深さ)が求められる。押し込み深さ値HUT[68]は以下の(2)’式から求められる。
押し込み硬さ値HUT[68]=K×〔(F1)0.5−(F0)0.5〕2/(h2)2 (2)’
[但し、F1:試験荷重(mN)、F0:基準荷重(mN)、h2:圧子の試験荷重保持後の押し込み深さ(μm)、K:係数(K=2.972 三角錐圧子 68°を用いたSI単位系の係数)]
試験荷重F1:49.0mN 基準荷重F0:4.9mN 押し込み速度V:1.00μm/sec
保持時間T2:5sec
除荷時間T3:5sec
【0059】
試験荷重及び圧子の最大押し込み深さは、被覆層表面の表面粗さの影響を受けず、且つ下地の基体の影響を受けない程度の範囲が好ましく、本発明においては、試験荷重圧子の最大押し込み深さが1〜2μm程度である。
【0060】
更に、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、下記(3)式より求められる平均円形度SF−1が0.64以上であることが好ましい。平均円形度SF−1が0.64未満である場合には、被覆層中への黒鉛化粒子の分散性が低下すると共に、被覆層表面粗さの不均一化が発生し、トナーの迅速且つ均一な帯電性付与性及び導電性被覆層の耐磨耗性や強度の点で不十分となってしまう場合がある。
【0061】
本発明において、黒鉛化粒子の平均円形度SF−1は下記(3)式
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (3)
[式中、MLは粒子投影像のピタゴラス法最大長を表し、Aは粒子像の投影面積を表す。]
で計算された値の平均値を意味する。
【0062】
本発明において、上述した平均円形度SF−1を求めるための具体的な手法としては、光学系により拡大された黒鉛化粒子投影像を画像解析装置に取り込み、個々の粒子についての円形度の値を算出し、これらを平均することにより求められる。
【0063】
なお、本発明においては、平均値として信頼性が得られ、また、樹脂被覆層への特性に与える影響が大きい円相当径2μm以上の粒子範囲に限定して円形度を測定している。また、これらの値の信頼性を得るために測定粒子数は3000個程度以上、好ましくは5000個以上を測定する。
【0064】
このように多数の黒鉛化粒子の円形度の解析を効率的に行うことが可能な具体的な測定装置としては、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)がある。
【0065】
マルチイメージアナライザーは、電気抵抗法による粒度分布測定装置に、CCDカメラにより粒子像を撮影する機能と撮影された粒子像を画像解析する機能を組み合わせたものである。詳細には、電解質溶液中に超音波等により均一に分散した測定粒子を、電気抵抗法による粒度分布測定装置であるマルチサイザーのアパーチャーを粒子が通過する際の電気抵抗変化で検知し、これに同期してストロボを発光してCCDカメラで粒子像を撮影する。この粒子像をパソコンに取り込み、2値化後、画像解析するものである。
【0066】
本発明に使用される黒鉛化粒子としては、個数平均粒径が0.5〜25μmであることが好ましく、1μm〜20μmであることがより好ましい。
【0067】
黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果とトナーへの良好な摩擦帯電付与性を高める効果が少なく、被覆層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなる場合がある。個数平均粒径が25μmを超える場合には、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまうと共に、被覆層の機械的強度が低下し易い。
【0068】
本発明の黒鉛化粒子を得る方法としては、以下に示すような方法が好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。
【0069】
本発明に使用される好ましい黒鉛化粒子を得る方法としては、原材料としてメソカーボンマイクロビーズやバルクメソフェーズピッチなどの光学的に異方性で、しかも単一の相からなる粒子を用いて黒鉛化することが、該黒鉛化粒子の黒鉛化の度合いを高め且つ概略球状の形状を保持させるために好ましく用いられる。
【0070】
上記の原材料の光学的異方性は、芳香族分子の積層から生じるものであり、その秩序性が黒鉛化処理でさらに発達し、黒鉛化の度合いが高い黒鉛化粒子が得られる。
【0071】
本発明に用いられる黒鉛化粒子を得る原材料として、前記のバルクメソフェーズピッチを用いる場合は、加熱化で軟化溶融するものを用いることが概略球状で黒鉛化の度合いが高い黒鉛化粒子を得るために好ましい。
【0072】
前記のバルクメソフェーズピッチを得る方法として代表的なものは、例えば、コールタールピッチ等から溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行うことによって得られるメソフェーズピッチである。また前記重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼンまたはトルエン等により溶剤可溶分を除去することで得られるメソフェーズピッチである。
【0073】
このバルクメソフェーズピッチはキノリン可溶分が95質量%以上であることが好ましい。9質量%未満のものを用いると、粒子内部が液相炭化しにくく、固相炭化するため粒子が破砕状のままとなり、球状のものが得られにくい。
【0074】
次に前記のメソフェーズピッチを用いて黒鉛化する方法としては、まず、前記のバルクメソフェーズピッチを2μm〜25μmに微粉砕して、これを空気中で約200℃〜350℃で熱処理することにより、軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチは表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化焼成時の溶融、融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチは酸素含有量が5質量%〜15質量%であることが好ましい。5質量%未満であると熱処理時の粒子同士の融着が激しく均一な形状の粒子が得られにくく、15質量%を超えると粒子内部まで酸化されてしまい、形状が破砕状のまま黒鉛化し球状のものが得られにくい。
【0075】
次に上記の酸化処理したバルクメソフェーズピッチを窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、約800℃〜1200℃で一次焼成することにより炭化し、続いて約2000℃〜3500℃で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0076】
また、本発明に用いられる黒鉛化粒子を得るためのもう一つの好ましい原材料であるメソカーボンマイクロビーズを得る方法として代表的なものは、例えば、石炭系重質油または石油系重質油を300℃〜500℃の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズを生成し、反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離などの処理に供することによりメソカーボンマイクロビーズを分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄し、更に乾燥することによって得られる。
【0077】
前記のメソカーボンマイクロビーズを用いて黒鉛化する方法としては、まず乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズ破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
【0078】
この一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズは、不活性雰囲気下において200℃〜1500℃の温度で一次焼成され、炭化される。一次加熱処理を終えた炭化物は、やはり炭化物を破壊させない程度の温和な力で炭化物を機械的に分散させることが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
【0079】
一次焼成を終えた炭化物は、不活性雰囲気下において約2000℃〜3500℃で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0080】
また、前記のいずれの原材料から得られた黒鉛化粒子は、いずれの製法にかかわらず、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。
【0081】
また、いずれの原材料を用いた黒鉛化粒子の生成方法においても、黒鉛化粒子の焼成温度は2000〜3500℃が好ましく、2300℃〜3200℃がより好ましい。
【0082】
焼成温度が2000℃以下の場合は、黒鉛化粒子の黒鉛化度が不十分であり、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなり、更に弾性ブレードを使用した場合にブレード傷が発生する場合があり、画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。焼成温度が3500℃以上の場合は黒鉛化粒子の黒鉛化度が高すぎてしまう場合があり、そのため黒鉛化粒子の硬度が下がり、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下しやすい。
【0083】
本発明の現像剤担持体を構成する樹脂被覆層の結着樹脂材料としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱あるいは光硬化性樹脂等を使用することができる。なかでもシリーコン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、或いはポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。
【0084】
本発明において、現像剤担持体の樹脂被覆層の体積抵抗は、107Ω・cm以下、より好ましくは106〜10−2Ω・cmを有する導電性被覆層であることがよい。樹脂被覆層の体積抵抗が107Ω.cmを超える場合には、トナーのチャージアップが発生し易くなり、樹脂被服層へのトナー汚染を引き起こし易い。
【0085】
本発明においては、樹脂被覆層の体積抵抗を上記の値に調整するため、樹脂被覆層中に前記の黒鉛化粒子と併用して、他の導電性微粒子を分散含有させてもよい。
【0086】
この導電性微粒子としては、個数平均粒径が、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01〜0.8μmのものがよい。この樹脂被覆層中に黒鉛化粒子と併用して分散含有させる導電性微粒子の個数平均粒径が1μmを超えた場合には、樹脂被覆層の体積抵抗を低く制御しづらくなり、トナーのチャージアップによるトナー汚染が発生しやすくなる。
【0087】
本発明で使用することのできる導電性微粒子としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン及び酸化インジウム等の金属酸化物等;アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属、グラファイト、金属繊維、炭素繊維等の無機系充填剤等が挙げられる。
【0088】
本発明の現像剤担持体を構成する樹脂被覆層には、更に別の球状粒子を併用して分散させると、より本発明の効果が促進されるため好ましい。
【0089】
該球状粒子は、現像剤担持体の樹脂被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に耐磨耗性を向上し、更に樹脂被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つトナー汚染やトナー融着を発生しにくくする効果がある。
【0090】
本発明に使用される球状粒子としては、個数平均径が1〜30μm、好ましくは2〜20μmである。
【0091】
球状粒子の個数平均粒径が1μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果と耐磨耗性を高める効果が少なく、トナーへの均一な帯電が不十分となると共に、樹脂被覆層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなるため好ましくない。個数平均粒径が30μmを超える場合には、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまうと共に、被覆層の機械的強度が低下してしまうため好ましくない。
【0092】
また、本発明で使用する球状粒子の真密度は、3g/cm3以下、好ましくは2.7g/cm3以下、より好ましくは0.9〜2.3g/cm3であることが良い。即ち、球状粒子の真密度が3g/cm3を超える場合には、被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となる為、被覆層表面に均一な粗さを付与しにくくなり、トナーの均一な帯電化及び被覆層の強度が不十分となってしまい好ましくない。
【0093】
球状粒子の真密度が0.9g/cm3より小さい場合にも、被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となるため好ましくない。
【0094】
本発明において、導電性球状粒子における球状とは、粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度の物を意味しており、本発明において好ましくは、長径/短径の比が1.0〜1.2の粒子を使用することが良い。
【0095】
球状粒子の長径/短径の比が1.5を超える場合には、樹脂被覆層中への球状粒子の分散性が低下すると共に、被覆層表面粗さの不均一化が発生し、トナーの均一な帯電化及び樹脂被覆層の強度の点で好ましくない。
【0096】
本発明に用いられる球状粒子は、公知の球状粒子が使用可能である。例えば、球状の樹脂粒子、球状の金属酸化物粒子、球状の炭素化物粒子などがある。
【0097】
球状の粒子としては、例えば、懸濁重合、分散重合法等による球状の樹脂粒子などが用いられる。球状の樹脂粒子は、より少ない添加量で好適な表面粗さが得られ、更に均一な表面形状が得られやすい。この様な球状粒子としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子、等々が挙げられる。粉砕法により得られた樹脂粒子を熱的にあるいは物理的な球形化処理を行ってから用いてもよい。
【0098】
また、該球状粒子の表面に無機物を付着させる、あるいは固着させて用いてもよい。この様な無機微粉体としては、Si02,SrTiO3,CeO2,CrO,Ai2O3,ZnO,MgO,の如き酸化物、Si3N4の如き窒化物、SiCの如き炭化物、CaSO4,BaSO4,CaCO3,の如き炭化物、炭酸塩、等々が挙げられる。このような無機微粉末は、カップリング剤により処理して用いても良い。
【0099】
特に結着樹脂との密着性を向上させる目的、あるいは粒子に疎水性を与える、等々の目的では好ましく用いることが可能である。このようなカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等がある。より具体的には、例えばシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛の硅素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0100】
このように球状樹脂粒子表面に対して無機微粉末で処理することにより、被覆層中への分散性、被覆層表面の均一性、被覆層の耐汚染性、トナーへの帯電付与性、被覆層の耐磨耗性等を向上させることができる。
【0101】
また、本発明に使用する球状粒子は、導電性であることが好ましい。即ち、球状粒子に導電性を持たせることによって、その導電性のゆえに粒子表面にチャージが蓄積しにくく、トナー付着の軽減やトナーの帯電付与性を向上させることができるからである。本発明において、球状粒子の導電性としては、体積抵抗値が106Ω・cm以下、より好ましくは103〜106Ω・cmの粒子であることが好ましい。
【0102】
本発明において、球状粒子の体積抵抗が106Ω・cmを超えると、摩耗によって被覆層表面に露出した球状粒子を核としてトナーの汚染や融着を発生しやすくなるとともに、迅速且つ均一な帯電が行われにくくなるため、好ましくない。
本発明に使用する現像剤担持体を構成する被覆層には、更に潤滑粒子を併用して分散させても良い。
【0103】
この潤滑性粒子としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、雲母、フッ化グラファイト、銀―セレン化ニオブ、塩化カルシウム―グラファイト、滑石、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等が挙げられ、中でもグラファイト粒子が導電性被覆層の導電性が損なわれないので特に好ましく用いられる。これらの潤滑性粒子は、個数平均粒径が好ましくは0.2〜20μm程度、より好ましくは1〜15μmのものを使用するのが良い。潤滑性粒子の個数平均粒径が0.2μm未満の場合には、潤滑性が十分に得られ難く、個数平均粒径が20μmを超える場合には、導電性被覆層表面の粗さが不均一となり、トナーの均一な帯電化、及び被覆層の強度の点で不十分となる場合がある。
【0104】
本発明の樹脂被覆層には、更にトナーへの帯電付与能を制御するため帯電制御剤を添加することも可能である。帯電制御剤としては例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩などによる変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;チブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン類、イミダゾール化合物、フッソ系樹脂、ポリアミド樹脂、含窒素のアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0105】
次に本発明の現像剤担持体の構成について説明する。
【0106】
現像剤担持体は基体とそれを取り巻いて被覆する樹脂被覆層とからなる。基体の形状としては、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等がある。感光ドラムに非接触の現像方法においては金属の円筒状部材が好ましく用いられ、具体的には金属製の円筒管が好ましく用いられる。金属製円筒管は主としてステンレススチール、アルミニウムおよびその合金等の非磁性のものが好適に用いられる。また、感光ドラムに直接接触させる現像方法の場合の基体としては、金属製の芯金にウレタン、EPDM、シリコン等のゴムやエラストマーを含む層構成を有する円中状部材が好ましく用いられる。
【0107】
また、磁性現像剤を用いる現像方法においては、現像剤を現像剤担持体上に磁気的に吸引かつ保持するために、磁石が内設されているマグネットローラ等を現像剤担持体内に配置する。その場合、基体を円筒状としその内部にマグネットローラを配置すればよい。
【0108】
樹脂被覆層を構成する各成分の構成比について説明するが、これは本発明において特に好ましい範囲である。
【0109】
樹脂被覆層中に分散されている黒鉛化粒子の含有量としては、被覆樹脂100質量部に対して好ましくは2〜150質量部、より好ましくは4〜100質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。黒鉛化粒子の含有量が2質量部未満の場合には黒鉛化粒子の添加効果が小さく、150質量部を超える場合には樹脂被覆層の密着性が低くなり過ぎて耐磨耗性が悪化してしまう場合がある。
【0110】
前記した、樹脂被覆層中に導電性微粒子を併用して分散含有させる場合の1μm以下の導電性微粒子の含有量としては、被覆樹脂100質量部に対して、好ましくは40質量部以下、より好ましくは2〜35質量部の範囲で使用すると特に好ましい結果が得られる。
【0111】
即ち、導電性微粒子の含有量が40質量部を超える場合には、樹脂被覆層の強度の低下が認められ好ましくない。
【0112】
樹脂被覆層中に球状粒子を併用して含有させる場合には、球状粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは2〜120質量部、より好ましくは2〜80質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。球状粒子の含有量が2質量部未満の場合には球状粒子の添加効果が小さく、120質量部を超える場合にはトナーの帯電性が低くなり過ぎてしまう場合がある。
【0113】
樹脂被覆層中に荷電制御剤を併用して含有させる場合には、荷電制御剤の含有量は、被覆樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。
1質量部未満では添加による帯電制御性の効果が見られず、100質量部を超えると被覆樹脂中への分散不良となり被膜強度の低下を招き易い。
【0114】
本発明において、樹脂被覆層表面の粗度としては、中心線平均粗さ(以下、「Ra」と称す。)が、好ましくは0.3〜3.5μmの範囲内であり、より好ましくは0.5〜3.0μmの範囲内であることが良い。樹脂被覆層表面のRaが0.3μm未満の場合には、樹脂被覆層表面に現像剤の搬送を十分に行うための凹凸付与の形成しにくくなり、現像剤担持体上の現像剤量が不安定になると共に樹脂被覆層の耐摩耗性及び耐トナー汚染性も不十分となる場合があるため好ましくない。
【0115】
Raが3.5μmを超える場合には、現像剤担持体上の現像剤の搬送量が多くなりすぎて現像剤に均一に帯電付与しにくくなると共に樹脂被覆層の機械的強度も低下してしまうため好ましくない。
【0116】
上記したような構成の樹脂被覆層の層厚は、好ましくは25μm以下、より好ましくは22μm以下、更に好ましくは4μm〜22μmであると均一な膜厚を得るために好ましいが、特にこの層厚に限定されるものではない。これらの層厚は、樹脂被覆層に使用する材料にもよるが、付着質量として、4000〜20000mg/m2程度にすれば得られる。
【0117】
本発明の樹脂被覆層を形成する方法については、特に限定されず、通常の方法によって行える。例えば、現像剤担持体の基材に、上記被覆層用結着樹脂及び上記黒鉛化粒子等を含有する塗布液をディッピング法、スプレー法、はけ塗り法などの方法で塗布し乾燥させれば、本発明に用いられる現像剤担持体が得られる。
【0118】
次に、本発明の現像装置で用いられるトナーについて説明する。トナーは主として樹脂、離型剤、荷電制御剤、着色剤等を溶融混練し、固化した後粉砕し、しかる後分級等をして粒度分布をそろえた微粉体である。トナーに用いられる結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。
【0119】
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックス等が単独或は混合して使用できる。
【0120】
また、トナー中には顔料を含有することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ランプ黒、スーダンブラックSM、ファースト・イエローG、ベンジジン・イエロー、ピグメント・イエロー、インドファースト・オレンジ、イルガジン・レッド、パラニトロアニリン・レッド、トルイジン・レッド、カーミンFB、パーマネント・ボルドーFRR、ピグメント・オレンジR、リソール・レッド2G、レーキ・レッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチル・バイオレッドBレーキ、フタロシアニン・ブルー、ピグメント・ブルー、ブリリアント・グリーンB、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、ザボン・ファーストイエローCGG、カヤセットY963、カヤセットYG、ザボン・ファーストオレンジRR、オイル・スカーレット、オラゾール・ブラウンB、ザボン・ファーストスカーレットCG、オイルピンクOP等が適用できる。
【0121】
トナーを磁性トナーとして用いるために、トナーの中に磁性粉を含有せしめてもよい。このような磁性粉としては、磁場の中におかれて磁化される物質が用いられ、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末、又はマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の合金や化合物がある。この磁性粉の含有量はトナー質量に対して15〜70質量%が良い。
【0122】
トナーに、定着時の離型性向上、定着性向上の目的で、ワックス類を含有させることができる。そのようなワックス類としては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプッシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体等で、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタム等も利用できる。
【0123】
必要に応じて、トナーに荷電制御剤を含有させてもよい。荷電制御剤には、負荷電制御剤、正荷電制御剤がある。例えば、トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。
【0124】
また、トナーを正帯電させるための物質としては下記のようなものがある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。
【0125】
トナーは必要に応じて、流動性改善等の目的で無機微粉末の如き粉末を外添して用いられる。このような微粉末としては、シリカ微粉末、アルミナ、チタニア、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化物;及び窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム等の窒化物等の無機微粉体が用いられる。
【0126】
これらの微粉体は、有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤等で有機処理して用いることが可能である。例えば、有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。
【0127】
また、未処理の微粉体を窒素含有のシランカップリング剤で処理したものを用いてもよい。特にポジトナーの場合好ましい。そのような処理剤の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール、等がある。
【0128】
上記シランカップリング剤により無機微粉体を処理する方法としては、例えば、1)スプレー法、2)有機溶媒法、3)水溶液法等がある。一般に、スプレー法による処理とは、ピグメントを撹拌しここにカップリング剤の水溶液或いは溶媒液をスプレーし、この後水或いは溶媒を120〜130℃程度で除去乾燥する方法である。また、有機溶媒法による処理とは、少量の水とともに加水分解用触媒を含む有機溶媒(アルコール、ベンゼン、ハロゲン化炭化水素等)にカップリング剤を溶解し、これにピグメントを浸積した後、濾過或は圧搾により固液分離を行い120〜130℃程度で乾燥させるものである。水溶液法とは0.5%程度のカップリング剤を、一定pHの水或いは水−溶媒中で加水分解させ、ここにピグメントを浸積し後、同様に固液分離を行い乾燥するものである。
【0129】
他の有機処理としてシリコーンオイルで処理された微粉体を用いることも可能である。好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度がおよそ0.5〜10000mm2/sec、好ましくは1〜1000mm2/secのものが用いられ、例えば、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルフェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0130】
また、側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイルを用いてもよい。特にポジトナーの場合は好ましい。シリコーンオイルによる処理は、例えば、次のようにして行って得られる。必要に応じて加熱しながら顔料を激しく撹乱しており、これに上記シリコーンオイル或いはその溶液をスプレー若しくは気化して吹き付けるか、又は顔料をスラリー状にしておき、これを撹拌しつつシリコーンオイル或いはその溶液を滴下することによって容易に処理できる。これらのシリコーンオイルは1種或いは2種以上の混合物或いは併用や多重処理して用いられる。また、シランカップリング剤による処理と併用しても構わない。
【0131】
このようなトナーは、種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。更に、トナーの円形度aが0.950以上の粒子を個数基準の累積値で50%以上有するものであることが、より好ましい。
【0132】
前記のトナーの円形度aは、東亜医用電子(株)製フロー式粒子像測定装置FPIA−1000型を用いて測定を行い、下式を用いて算出した値である。
円相当径=(粒子投影面積)1/2×2
円形度a=L0/L
(式中、L0は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは、粒子の投影像の周囲長を示す。)
【0133】
ここで粒子投影面積とは、二値化されたトナー粒子像の面積であり、粒子投影像の周囲長とは、該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。本発明において用いる上記で定義される円形度は、トナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0134】
上記のようなトナーを得るための球形化処理、表面平滑化処理を行う方法には種々方法があるが、そのような方法としては、例えば、撹拌羽根またはブレード等、ライナーまたはケーシング等を有する装置で、トナーをブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したりトナーを球形化したりする方法、温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等がある。その他、球状のトナーを作る方法としては、水中にトナー結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナー化する方法がある。一般的な方法としては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、離型剤、その他の添加剤を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層、例えば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナーを得る方法等がある。
【0135】
トナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることもできる。キャリア材料としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルトといった磁性体金属、及びそれらの合金、或いは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト及びリチウム系フェライト等のソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライトといった鉄系酸化物、及びそれらの混合物、更には、ガラス、炭化ケイ素等のセラミックス粒子、樹脂粉体、磁性体を含有する樹脂粉体等をあげることができ、通常は平均粒径が20〜300μm程度の粒状物として用いる。
【0136】
このようなキャリアは上記に挙げた粒状物を直接キャリア粒子として用いてもよいが、トナーの摩擦帯電電荷を調整したりキャリアへのトナースペントを防止したりするために、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂等のコート剤により適宜粒子表面に樹脂コートを施して用いることもできる。
【0137】
また、本発明は、感光体表面に離型性を付与することが好ましく、感光体表面の水に対する接触角は85度以上であることが好ましい。より好ましくは感光体表面の水に対する接触角は90度以上である。
【0138】
感光体表面が高い接触角を有することは、感光体表面が高い離型性有することを示し、この効果により、転写残余のトナー量を著しく減少させることができ、転写残トナーによる遮光がほとんどなくネガゴースト画像を本質的に防止できると共に現像時に転写残トナーの現像域での回収効率も向上し、ポジゴースト画像を防止する。
【0139】
ここで、ゴースト画像の発生メカニズムを説明する。
【0140】
転写残トナーによる遮光が特に問題となるのは、一枚の転写材に対し感光体表面が繰り返し使用される場合、つまり感光体一周分の長さが転写材の進行方向長さよりも短い場合、転写残トナーが感光体上に存在する状態で帯電、露光及び現像をしなければならないため、転写残トナーの存在する感光体表面部での電位が充分落ちきらず現像コントラストが不十分になるため反転現像については周囲よりも濃度が低い、ネガゴーストとして画像上に現れる。
【0141】
一方、現像時に転写残トナーのクリーニング効果が不十分であれば、転写残トナーの存在する感光体表面上に、トナーが現像されるため周囲よりも濃度が高く、ポジゴーストが発生する。
【0142】
本発明の構成にて、上記説明のゴースト画像を本質的に防止できる。
【0143】
本発明の画像形成方法において、感光体表面が高分子結着剤を主体として構成される場合に有効である。例えば、(i)セレン、アモルファスシリコンの如き無機感光体の上に、樹脂を主体とした保護膜を設ける場合;(ii)機能分離型有機感光体の電荷輸送層として、電荷輸送材と樹脂を有する表面層をもつ場合;(iii)さらにその上に上記のような保護層を設ける場合がある。このような表面層に離型性を付与する手段としては、
▲1▼膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる、
▲2▼撥水、親油性を付与するような添加剤を加える、
▲3▼高い離型性を有する材料を粉体状にして分散する、
が挙げられる。▲1▼としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基を導入することにより達成する。▲2▼としては、界面活性剤を添加剤として添加すればよい。▲3▼としては、ポリ4フツ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン及びフッ化カーボンの如きフッ素原子を含む化合物を用いることが挙げられる。
【0144】
これらの手段によって感光体表面の水に対する接触角を85度以上とすることができる。感光体表面の水に対する接触角が85度未満では耐久によるトナーおよびトナー担持体の劣化が生じやすい。
【0145】
この中でも特にポリ4フッ化エチレンやポリフッ化ビニリデンの如き含フッ素樹脂が好適である。本発明においては、▲3▼の粉体として含フッ素樹脂を離型性粉体として用いた場合には、最表面層への分散が好適である。
【0146】
これらの粉体を表面に含有させるためには、バインダー樹脂中に該粉体を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最表面層に該粉体を分散させれば良い。
【0147】
該粉体の表面層への添加量は、表面層総質量に対して、1〜60質量%、さらには2〜50質量%が好ましい。1質量%より少ないと転写残余のトナーが充分に減少せず、転写残トナーのクリーニング効率も充分でなく、ゴースト防止効果が不十分であり、60質量%を超えると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下したりするため、好ましくない。該粉体の粒径については、画質の面から、1μm以下、好ましくは0.5μm以下が望ましい。1μmより大きいと入射光の散乱によりラインの切れが悪くなり実用に耐えない。
【0148】
本発明に用いられる感光体の好ましい様態のひとつを以下に説明する。
【0149】
導電性基体としては、アルミニウム又はステンレスの如き金属;アルミニウム合金又は酸化インジウム−酸化錫合金による被膜層を有するプラスチック;導電性粒子を含侵させた紙又はプラスチック;導電性ポリマーを有するプラスチック;の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0150】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上、塗工性改良、基体の保護、基体上に欠陥の被覆、基体からの電荷注入性改良及び感光層の電気的破壊に対する保護を目的として下引き層を設けても良い。
【0151】
下引き層は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、ポリウレタン又は酸化アルミニウムの材料によって形成される。下引き層の膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μmが良い。
【0152】
電荷発生層は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素又はセレンや非晶質シリコンの如き無機物質の電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工する、あるいは蒸着により形成する。なかでもフタロシアニン系顔料が感光体感度を本発明に適合する感度に調整するうえで好ましい。結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80質量%以下、好ましくは0〜40質量%であることが良い。電荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0153】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜厚は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレンの如き多環芳香族化合物;インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリンの如き含窒素環式化合物;ヒドラゾン化合物;スチリル化合物;セレン;セレン−テルル;非晶質シリコン;硫化カドニウムが挙げられる。
【0154】
これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びポリアミド樹脂の如き樹脂;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンの如き有機光導電性ポリマーが挙げられる。
【0155】
表面層として、保護層を設けてもよい。保護層の樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。
【0156】
保護層の樹脂中に導電性微粒子を分散してもよい。導電性微粒子の例としては、金属又は金属酸化物が挙げられる。好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化スズ被膜酸化チタン、スズ被膜酸化インジウム、アンチモン被膜酸化スズ又は酸化ジルコニウムの超微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。一般的に保護層に粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、保護層に分散される導電性、絶縁性粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。保護層中での含有量は、保護層総質量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0157】
表面層の塗工は、樹脂分散液をスプレーコーティング、ビームコーティングあるいは浸透(ディッピング)コーティングすることによって行うことができる。
【0158】
本発明に用いられる好ましい現像工程としては、現像剤と感光体表面が近接あるいは接触しているということと、反転現像方法を用いることが好ましい。二成分磁気ブラシ現像方法を用いる場合は、そのキャリアとして、フェライト、マグネタイト、鉄粉あるいは、それらをアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等でコーティングしたものが用いられる。このとき、現像時あるいは現像前後の空白時には、直流あるいは交流成分のバイアスを印加し、現像と感光体上の残余のトナーを回収出来るような電位に制御される。このとき直流成分は、明部電位と暗部電位の間に位置する。
【0159】
一成分現像剤の場合、現像剤担持体と感光体表面とは非接触又は接触のいずれであっても良いが、現像剤担持体表面上のトナー層と感光体表面が近接もしくは接触していることが好ましい。このとき、トナーは磁性又は非磁性のいずれであっても良い。
【0160】
現像剤担持体が実質的に感光体表面と接触して用いる時は、芯金と芯金を被覆する導電性弾性層有する弾性ローラを現像剤担持体の基体として用いることが好ましい。
【0161】
現像剤担持体表面は、感光体表面の移動方向と同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合感光体の周速に対して、周速比で100%以上であることが望ましい。100%未満であると、画像品質が悪い。周速比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。具体的には、現像剤担持体表面の移動速度が感光体表面の移動速度に対し、1.0〜3.0倍の速度であることが好ましい。
【0162】
転写工程においては、感光体表面に転写材を介して転写手段を当接させながらトナー画像を転写材に静電転写する接触転写方式を用いることが好ましい。転写手段の感光体表面に対する当接圧力としては、好ましくは線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが良く、より好ましくは9.8〜490N/m(10〜500g/cm)であることが良い。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。当接圧力が高すぎる場合には、感光体表面の劣化やトナーの付着を招き、結果として、感光体表面へのトナー融着を生じるようになる。
【0163】
接触転写工程における転写手段としては、転写ローラあるいは転写ベルトを有する装置が使用される。転写ローラは少なくとも芯金と芯金を被覆する導電性弾性層を有し、導電性弾性層はカーボンの如き導電性微粒子を分散させたウレタンやEPDMの如き体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体で作られている。
【0164】
本発明は、感光体の表面が有機化合物である様な画像形成装置において特に有効に用いられる。即ち、有機化合物が感光体の表面層を形成している場合には、無機材料を用いた他の感光体よりもトナー粒子に含まれる結着樹脂との接着性が高いことから転写性がより低下する傾向にあるという技術課題を有している。従って、本発明で用いる現像工程に起因する高い転写性による効果は、より顕著となる。
【0165】
帯電方法としては、コロトロンあるいはスコロトロンと呼ばれる公知のコロナ帯電方法が用いられるほか、ピン電極を用いた方法も使用できる。巧に感光体表面に帯電部材を当接させて帯電を行なう接触帯電法も同様に使用できる。本発明は、帯電手段が帯電部材を感光体に当接させる接触帯電法の場合に特に効果的である。すなわち、クリーニングの後の残トナーが多いと、それが後工程である接触帯電部材に付着してしまい、帯電不良を引き起こす。従って、帯電手段が感光体に接することのないコロナ放電に比べて、残トナーの量はより少なく、付着し難くする必要がある。
【0166】
接触帯電部材として帯電ローラを用いたときの好ましいプロセス条件としては、帯電ローラの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)、より好ましくは9.8〜392N/m(10〜400g/cm)であり、さらに、転写残トナーの極性を感光体帯電極性と同じ極性に揃え、現像時での回収を容易にするため、直流電圧の印加あるいは直流電圧に交流電圧を
重畳することが好ましい。
【0167】
この他の接触帯電部材としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0168】
接触帯電部材としては、ローラまたはブレードの場合は、導電性基体として、鉄、銅、ステンレスの如き導電性金属;カーボン分散樹脂;金属あるいは金属酸化物分散樹脂が用いられる。ブレードの場合には、その形状としては棒状、板状が使用できる。弾性ローラの構成としては、導電性基体上に弾性層、導電層及び抵抗層を設けたものが用いられる。
【0169】
弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム及びプチルゴムの如きゴム又はゴムの発泡体であるスポンジ、スチレン−ブタジエンサーモプラスチックエラストマー、ポリウレタン系サーモプラスチックエラストマー、ポリエステル系サーモプラスチックエラストマー、エチレン−酢ビサーモプラスチックエラストマーの如きサーモプラスチックエラストマーで形成することができる。
【0170】
導電層は、体積抵抗率が好ましくは、107Ω・cm以下、より好ましくは101〜106Ω・cmであることが良い。導電層としては、例えば、金属蒸着膜、導電性粒子分散樹脂、導電性樹脂等が用いられる。具体例としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅、及び鉄の如き導電性金属の蒸着膜;カーボン、アルミニウム、ニッケル及び酸化チタンの如き導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体及びポリメタクリル酸メチル如き樹脂中に分散した導電性粒子分散樹脂;4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン及びポリエチレンイミンの如き導電性樹脂が挙げられる。
【0171】
抵抗層は、体積抵抗率が106〜1012Ω・cmの層であることが良い。抵抗層としては、半導性樹脂又は導電性粒子分散絶縁樹脂を用いることができる。半導性樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリビニルヒドリン又はカゼインが用いられる。導電性粒子分散樹脂としては、例えば、カーボン、アルミニウム、酸化インジウム、酸化チタンの如きの導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチルの如き絶縁性樹脂中に少量分散したものが挙げられる。
【0172】
接触帯電部材としての導電性ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネ−ト又はポリエステルが挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金及び銀の如き導電性金属;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタンの如き導電性金属の酸化物;又はカーボンブラックの如き導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0173】
導電性ブラシの形状としては、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当り1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
【0174】
本発明の画像形成方法においては、前記帯電工程より上流、且つ該転写工程より下流に位置していて、前記トナー像を転写材に転写した後の像担持体上に残留する残留トナーを正規極性に帯電するトナー(現像剤)帯電量制御工程を有していることが好ましい。これにより、像担持体上の転写残トナーの帯電を正規極性に制御することで転写残トナーの帯電手段への付着をより軽減でき、かつ帯電手段で転写残トナーを均一且つ適正な帯電量に制御しやすくなり、現像工程での転写残トナーの回収も効率的に行われやすくなって、より安定した現像同時クリーニングの画像形成装置を達成できる。
【0175】
前記のトナー(現像剤)帯電量制御工程後のトナー帯電量は現像工程後のトナー帯電量の2倍以上であることが、帯電工程での帯電手段へのトナー付着が軽減されるために好ましい。
【0176】
更に本発明の画像形成方法においては、前記トナー(現像剤)帯電量制御工程より上流、かつ転写工程より下流に位置していて、前記のトナー像を転写材に転写した後の像担持体面上に残留する残留トナー像を均一化する残留トナー(現像剤)均一化工程を用いても良い。
【0177】
前記の残留トナー均一化工程は、転写部からトナー帯電量制御工程へ持ち運ばれる像担持体上のパターン上の転写残トナーを、像担持体面上に分散分布化して、非パターン化する工程である。具体的には、像担持体面を摺擦部材で摺擦することで残留トナーパターンを掻き崩し、あるいは攪乱してトナーを像担持体面に分散分布化する手段や、像担持体面上の残留トナーを捕集部材に捕集させ、その捕集トナーを像担持体面に分散分布状態で再付着させる、などの手段である。
【0178】
前記の残留トナー均一化工程があることで、次の前記のトナー帯電量制御工程による転写残留トナーの均一な正規極性帯電化処理をより安定化させて、転写残トナーの帯電手段への付着防止がより効果的に行える。また、残留トナー像パターンが消去されることで前記の残留トナーパターンのゴースト像の発生が厳に防止される。
【0179】
上記の残留トナー均一化工程とトナー帯電量制御工程に用いられる部材としては、適度の導電性を持ったブラシ状部材が用いられる。
【0180】
これらの導電性ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート又はポリエステルが挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金及び銀の如き導電性金属;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタンの如き導電性金属の酸化物;又はカーボンブラックの如き導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
【0181】
以下に本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置について図を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0182】
図1は、磁性一成分現像剤を用いた本発明に用いられる現像装置の模式図を示す。図1において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する像担持体、例えば、電子写真感光ドラム1は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体8としての現像スリーブ8は、現像容器としてのホッパー3によって供給された磁性トナーを有する現像剤4を担持して、矢印A方向に回転することによって、現像スリーブ8と感光ドラム1とが対向している現像領域Dに現像剤4を搬送する。図1に示すように、現像スリーブ8内には、現像剤4を現像スリーブ8上に磁気的に吸引且つ保持する為に、磁石が内接されているマグネットローラ5が配置されている。
【0183】
本発明において現像装置で用いられる現像スリーブ8は、上述の現像剤担持体を用いれば良く、具体的には基体としての金属円筒管6上に被覆された樹脂被覆層7を有する。ホッパー3中には、現像剤4を攪拌するための攪拌翼10が設けられている。12は現像スリーブ8とマグネットローラ5とが非接触状態にあることを示す間隙である。
【0184】
現像剤4は、現像剤相互間及び現像スリーブ8上の樹脂被覆層7との摩擦により、感光ドラム1上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図1の例では、現像領域Dに搬送される現像剤4の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としてウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス鋼等の金属弾性を有する材料の弾性板からなる現像剤層厚規制部材2を使用し、現像スリーブ8に対してカウンター方向に現像剤を介し弾性的に圧接することによって現像剤の薄層を形成している。この様にして、現像スリーブ8上に形成される現像剤4の薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
【0185】
現像スリーブ8に対する現像剤層厚規制部材2の当接圧力は線圧4.9〜49N/m(5〜50g/cm)であることが、現像剤の規制を安定化させ、現像剤層厚を好適にさせることが出来る点で好ましい。現像剤層厚規制部材の当接圧力が線圧4.9N/m(5g/cm)未満の場合には、現像剤の規制が弱くなり、カブリやトナーもれの原因となり、線圧9〜49N/m(50g/cm)を超える場合には、トナーへのダメージが大きくなり、トナー劣化やスリーブ及びブレードへの融着の原因となり易い。
【0186】
上記現像スリーブ8に担持された一成分系現像剤4を飛翔させる為、上記現像スリーブ8にはバイアス手段としての電源9によりバイアス電圧が印加される。
この現像バイアスとして直流電圧を使用するときに、静電潜像の画像部(現像剤4が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。現像された画像の濃度を高め、或は階調性を向上するためには、現像スリーブ8に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部電位と背景部電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。
【0187】
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用する。高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤4は少なくとも現像スリーブ8との摩擦により帯電される。
【0188】
図2は本発明における別の形態の現像装置の模式図を示す。図2では現像剤層厚規制部材を現像スリーブ8に対して順方向に現像剤を介し弾性的に圧接したものである。
【0189】
図3は本発明における別の形態の現像装置の模式図を示す。図3では現像剤層厚規制部材2としての強磁性金属製の磁性規制ブレードが、現像スリーブ8の表面から約50〜500μmのギャップ幅をもって現像スリーブ8に臨む様に、ホッパー3から垂下されている。マグネットローラ5の磁極N1からの磁力線が磁性規制ブレード2に集中することにより、現像スリーブ8上に現像剤4の薄層が形成される。本発明においては、この磁性規制ブレード2に代えて非磁性ブレードを使用することもできる。
【0190】
図2及び図3の現像装置の他の基本的構成は図1に示した現像装置と同じであり、同符号のものは、基本的には同一の部材であることを示す。
【0191】
図1〜図3はあくまでも本発明の現像装置を模式的に例示したものであり、現像剤容器(ホッパー3)の形状、撹拌翼10の有無、磁極の配置に様々な形態があることは言うまでもない。勿論、これらの装置では、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤を用いる現像に使用することもできる。
【0192】
図4及び図5は、非磁性一成分現像剤を用いた場合に用いられる現像装置の構成の一例を模式的に示す。
【0193】
図4において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する像担持体、例えば電子写真感光ドラム1は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ8は、金属製円筒管(基体)6とその表面に形成される樹脂被膜層7から構成されている。非磁性一成分現像剤を用いるために金属製円筒管6の内部には磁石は内設されていない。金属製円筒管の替わりに円柱状部材を用いることもできる。
【0194】
現像器であるホッパー3中には非磁性一成分現像剤4を撹拌するための撹拌翼10が設けられている。
【0195】
現像スリーブ8に現像剤4を供給し、かつ現像後の現像スリーブ8の表面に存在する現像剤4を剥ぎ取るための現像剤供給・剥ぎ取り部材15が現像スリーブ8に当接している。現像剤供給・剥ぎ取り部材である供給・剥ぎ取りローラ15が現像スリーブ8と同じ方向に回転することにより、供給・剥ぎ取りローラ15の表面は、現像スリーブ8の表面とカウンター方向に移動することになり、ホッパー3から供給された非磁性トナーを有する一成分非磁性現像剤は、現像剤スリーブ8に供給され、現像スリーブ8が一成分現像剤4を担持して、矢印A方向に回転することにより、現像スリーブ8と感光ドラム1とが対向した現像部Dに非磁性一成分現像剤4を搬送する。現像スリーブ8に担持されている一成分現像剤は、現像スリーブ8の表面に対して現像剤層を介して圧接する現像剤層厚規制部材2により現像剤層厚が規定される。非磁性一成分現像剤4は現像スリーブ8との摩擦により、感光ドラム1上の静電潜像を現像可能な摩擦帯電電荷を得る。
【0196】
現像スリーブ8上に形成される非磁性一成分現像剤4の薄層の厚みは、現像部における現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙Dよりも更に薄いものであることが好ましい。しかし、現像部において現像剤層の厚みが現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙D以上の厚みである接触型現像装置にも、本発明は適用することができる。
【0197】
説明の煩雑を避けるため、以下の説明では、非接触型現像装置を例に採って行う。
【0198】
上記現像スリーブ8には、これに担持された非磁性トナーを有する一成分非磁性現像剤4を飛翔させるために、電源9により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(非磁性現像剤4が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧が、現像スリーブ8に印加されることが好ましい。現像画像の濃度を高め或は階調性を向上するために、現像スリーブ8に交番バイアス電圧を印加して、現像部に向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合、上記画像部の電位と背景部の電位の間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を現像スリーブ8に印加することが好ましい。
【0199】
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部に現像剤を付着させて可視化する所謂正規現像では、静電潜像の極性と逆極性に帯電する現像剤を使用する。
静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する所謂反転現像では、現像剤は静電潜像の極性と同極性に帯電する現像剤を使用する。高電位と低電位というのは、絶対値による表現である。いずれにしても、非磁性一成分現像剤4は現像スリーブ8との摩擦により静電潜像を現像するための極性を帯電する。
【0200】
現像剤供給・剥ぎ取り部材15としては、芯金13に樹脂、ゴム、スポンジの如き弾性部材からなる弾性層14を設けた弾性ローラが好ましい。剥ぎ取り部材としては、弾性ローラに代えてベルト部材又はブラシ部材を用いることもできる。感光体1に現像移行されなかった現像剤を現像剤供給・剥ぎ取り部材15により、一旦スリーブ表面から剥ぎ取ることにより、スリーブ上の不動の現像剤の発生を防いだり、現像剤の帯電を均一化する働きを有する。
【0201】
現像剤供給・剥ぎ取り部材として弾性ローラからなる供給・剥ぎ取りローラ15を用いる場合には、供給・剥ぎ取りローラ15の周速は、表面がカウンター方向に回転する場合、現像スリーブ8の周速100%に対して、好ましくは20〜120%、より好ましくは30〜100%であることが良い。
【0202】
供給・剥ぎ取りローラ15の周速が20%未満の場合には、現像剤の供給が不足し、ベタ画像の追従性が低下し、ゴースト画像の原因となり、120%を超える場合には、現像剤の供給量が多くなり現像剤層厚の規制不良や帯電量不足によるカブリの原因となり、さらにトナーにダメージを与えやすいため、トナー劣化によるカブリやトナー融着の原因となり易い。
【0203】
供給・剥ぎ取りローラの回転方向が現像スリーブの表面と同(順)方向の場合には、供給ローラの周速は、スリーブ周速に対して、好ましくは100〜300%、より好ましくは101〜200%であることが上記のトナー供給量の点で良い。
【0204】
供給・剥ぎ取りローラの回転方向は、現像スリーブの表面とカウンター方向に回転することが、剥ぎ取り性及び供給性の点でより好ましい。
【0205】
現像スリーブ8に対する現像剤供給・剥ぎ取り部材15の侵入量は、0.5〜2.5mmであることが、現像剤の供給及び剥ぎ取り性の点で好ましい。
【0206】
現像剤供給・剥ぎ取り部材15の侵入量が0.5mm未満の場合には、剥ぎ取り不足により、ゴーストが発生し易くなり、侵入量が2.5mmを超える場合には、トナーのダメージが大きくなり、トナー劣化により融着やカブリの原因となり易い。
【0207】
図4の現像装置では、現像スリーブ8上の非磁性一成分現像剤4の層厚を規制する部材として、ウレタンゴム、シリコーンゴムの如きゴム弾性を有する材料、或はリン青銅、ステンレス銅の如き金属弾性を有する材料の弾性規制ブレード2を使用し、この弾性規制ブレード2を図4の現像装置では現像スリーブ8に回転方向と逆の姿勢で圧接させ、現像スリーブ8上に更に薄い現像剤層を形成することができる。
【0208】
この弾性規制ブレード2としては、特に安定した規制力とトナーへの安定した(負)帯電付与性のためには、安定した加圧力の得られるリン青銅板表面にポリアミドエラストマー(PAE)を貼り付けた構造のものを用いることが好ましい。ポリアミドエラストマー(PAE)としては、例えばポリアミドとポリエーテルの共重合体が挙げられる。
【0209】
現像スリーブ8に対する現像剤層厚規制部材2の当接圧力は、線圧4.9〜49N/m(5〜50g/cm)であることが、現像剤の規制を安定化させ、現像剤層厚を好適にさせることができる点で好ましい。
【0210】
現像剤層厚規制部材2の当接圧力が線圧4.9N/m(5g/cm)未満の場合には、現像剤の規制が弱くなり、カブリやトナーもれの原因となり、線圧49N/m(50g/cm)を超える場合には、トナーへのダメージが大きくなり、トナー劣化やスリーブ及びブレードへの融着の原因となり易い。
【0211】
本発明の現像剤担持体は、このような現像スリーブ8に対して、現像剤供給・剥ぎ取り部材15及び現像剤層厚規制部材2が圧接する装置に適用した場合に、特に有効である。
【0212】
すなわち、現像スリーブ8に対して、現像剤供給・剥ぎ取り部材15及び現像剤層厚規制部材2が圧接する場合には、現像スリーブ8の表面がこれらの圧接される部材によって摩耗や現像剤の融着がより生じ易い使用環境にあることから、本発明の多数枚耐久性に優れた樹脂被覆層を有する現像剤担持体による効果が有効に発現されることになる。
【0213】
図5は、非磁性一成分現像剤を用いた本発明に用いられる別の形態の現像装置の模式図を示す。
【0214】
図5の現像装置で用いられる現像担持体としての現像ローラ18は、基体として鉄、銅、ステンレスの如き導電性金属からなる芯金17上にゴムや樹脂からなる中抵抗の弾性層16を被覆した弾性ローラからなり、更にこの弾性ローラ基体上を被覆する樹脂被覆層7を有する。
【0215】
ホッパー3中には、現像剤4を現像ローラ18に塗布する手段として供給・剥ぎ取りローラ15を設け、前記の現像スリーブに当接させている。この接触部において供給・剥ぎ取りローラ15は現像ローラ18と反対方向に回転することにより現像剤を現像ローラ18上に塗布する。
【0216】
図5の現像装置は感光体1と現像ローラ18が現像剤層を介して接触している。
【0217】
本発明は、これらの現像手段、像保持体、帯電手段を一体化してプロセスカートリッジとして用いることもできる。
【0218】
図6を参照しながら、図1で例示した本発明の現像剤担持体を有する現像装置を使用した画像形成装置の一例について説明する。先ず、一次帯電手段としての接触(ローラ)帯電手段19により像担持体としての感光ドラム1の表面を負極性に帯電させ、レーザ光の露光20によるイメージスキャニングにより静電潜像が感光ドラム1上に形成される。次に、現像剤層厚規制部材2を有し、現像剤担持体としての現像スリーブ8が具備されている現像装置によって、上記静電潜像が、現像容器としてのホッパー3内のトナーを有する負帯電性一成分系現像剤4によって反転現像される。
【0219】
図6に示す様に、現像領域Dにおいて感光ドラム1は現像スリーブに接地されており、現像スリーブ8には電源9により交番バイアスが印加されている。次に、転写材Pが搬送されて転写部に来ると、転写手段としての接触(ローラ)転写手段21により転写材Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段22で帯電されることにより、感光ドラム1の表面上に形成されている現像画像が接触(ローラ)転写手段21で転写材P上へ転写される。
【0220】
次に、感光ドラム1から分離された転写材Pは、定着手段としての加熱加圧ローラ定着器23に搬送され、該定着器によって転写材P上の現像画像の定着処理がなされる。
【0221】
上記の一連の工程において、感光ドラム(即ち、像担持体)1は感光層及び導電性基体を有するものであり、矢印B方向に動く。現像スリーブ8は、現像領域Dにおいて感光ドラム1の表面と同方向(矢印A方向)に進む様に回転する。ホッパー3内の一成分系現像剤4は現像スリーブ8上に担持され、且つ現像スリーブ8の表面との摩擦及び/又トナー同士の摩擦によって、例えば、マイナスのトリボ電荷が与えられる。更に、現像剤層厚規制部材12により、現像剤層の厚さを薄く(30〜300μm)且つ均一に規制して、現像領域Dにおける感光ドラム1と現像スリーブ8との間隙よりも薄い現像剤層を形成させる。
【0222】
現像スリーブ8は像担持体に対して100〜500μmの離間距離を有して対向して設置されることが好ましい。現像スリーブ8の像担持体に対する離間距離が100μmよりも小さいと、離間距離の振れに対するトナーの現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。現像スリーブ8の像担持体に対する離間距離が500μmよりも大きいと、現像装置への転写残トナーの回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、像担持体上の静電潜像に対するトナーの追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招く。好ましくは110〜350μmがよい。
【0223】
また、現像スリーブ8の回転速度を調整することによって、現像スリーブ8の表面速度が感光ドラム1の表面の速度と実質的に等速、もしくはそれに近い速度となる様にすることが好ましい。現像領域Dにおいて、現像スリーブ8に現像バイアス電圧として、交番バイアスを電源9により印加してもよい。現像スリーブ8と潜像保持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106V/m、周波数100〜5000Hzの交番電界を現像バイアスとして印加することが好ましく良い。
【0224】
現像領域Dにおける現像剤の移転に際し、感光ドラム1の表面の静電気力、及び交番バイアスの如き現像バイアス電圧の作用によって、現像剤は静電潜像側に移転する。
【0225】
ここで現像同時クリーニング画像形成方法において、画像形成プロセス中でのトナー粒子の挙動について説明する。
【0226】
感光ドラム1上の転写残トナーはレーザ光の露光20による露光工程を通るので、転写残トナー上から露光されるが、転写残トナーの量がすくないため、大きな影響は現れない。
【0227】
露光工程を経た転写残トナーは、感光ドラム1上の静電潜像の現像時に現像装置に回収除去されると共に、適当量のトナーが感光ドラム1側に移行する。
【0228】
感光ドラム1上のトナー像は転写工程の接触転写手段21により転写材側Pに転移する。トナーと逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、像担持体上のトナーの帯電量が均一であればトナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、トナーの帯電量が不均一であると転写材側に移転しにくいトナーが多くなり、感光ドラム1上に付着保持されて残留する。
【0229】
クリーナを用いない画像形成方法では、転写後の感光ドラム上に残存の転写残トナーは、感光ドラム1と接触(ローラ)帯電部材19のニップ部である帯電部に感光ドラム面の移動でそのまま持ち運ばれて接触(ローラ)帯電部材19にて再度帯電され、現像装置により除去回収されて、以後同様な工程が繰り返し実施されるが、前記の感光ドラム1上に付着保持された転写残トナーが多くなると、転写残トナーが接触(ローラ)帯電部材19に許容量以上に付着して帯電不良を生じると共に転写残トナーの帯電が不均一となり現像工程での回収不良を招く。
【0230】
図6の画像形成装置の現像工程では、現像スリーブ8の樹脂被覆層により感光体上に現像されるトナーの帯電を常に均一に保ち、それによりトナーの高い転写効率を維持させることで安定した現像同時クリーニングが行われる。
【0231】
図6の画像形成装置には、現像同時クリーニングを更に安定化するため、接触(ローラ)帯電部材19より上流、且つ転写工程の接触(ローラ)転写手段21より下流に位置していて、前記トナーを転写材に転写した後の感光ドラム1上に残留する転写残トナーを正規極性に揃えるためのトナー(現像剤)帯電量制御手段26を設けている。これにより、転写残トナーの帯電極性を正規極性に揃え、更に下流に位置する帯電工程で、転写残トナーの上から感光ドラム1面上を帯電処理する際に、感光ドラム1への鏡映力を大きくし、転写残トナーの接触(ローラ)帯電部材19への付着を防止する。転写残トナーの接触(ローラ)帯電部材19への付着を防止し、帯電不良画像の発生を抑制するためには、転写残トナーの帯電量を、現像時のトナーの帯電量の2倍以上にすることが好ましい。
【0232】
また、前記のトナー(現像剤)帯電量制御手段26により正規極性に揃えられた転写残トナーを現像装置3で回収させるためには、現像時のトナー帯電量に近い値に除電を行う必要がある。
【0233】
接触(ローラ)帯電部材19には、感光ドラム1の周面を帯電処理するために、直流電圧と共に交流電圧が印加されることにより、転写残トナーは交流除電され、交流電圧のVppの大きさを制御することで転写残トナーの除電量を制御する。
【0234】
感光ドラム1上の転写残トナーが現像装置に回収されるためのトナー帯電量は、現像時のトナー帯電量の0.5〜1.8倍であることが好ましい。
【0235】
図7の画像形成装置は、図6の画像形成装置に更に前記のトナー(現像剤)帯電量制御手段26より上流、且つ転写工程の接触(ローラ)転写手段21より下流に位置していて、前記トナーを転写材に転写した後の感光ドラム1上に残留する転写残トナーを均一化する残留トナー(残留現像剤)均一化手段27を設けている。
【0236】
前記の残留トナー(残留現像剤)均一化手段27とトナー(現像剤)帯電量制御手段26は、共に導電性を有するブラシ状部材で感光ドラム1に接触している。残留トナー(残留現像剤)均一化手段はアース接地されており、トナー(現像剤)帯電量制御手段26には正規極性の電圧が電源24より印加されている。
【0237】
転写工程における転写材Pに対するトナー画像転写後の感光ドラム1上に残留の転写残トナーは、引き続く感光ドラム1の回転で残留トナー(残留現像剤)均一化手段27と感光ドラム1との接触部に至り、一旦残留トナー(残留現像剤)均一化手段27に吸引する。ここで、残留トナー(残留現像剤)均一化手段27が抱え得るトナー量には限界があるため、飽和状態に達した後は徐々にトナーが離脱して感光ドラム1面上に付着して搬送されるが、感光ドラム1面上におけるトナーの付着状態、即ち感光ドラム1面上に付着するトナーの分布は均一化される。
【0238】
残留トナー(残留現像剤)均一化手段27で均一化された感光ドラム面上の転写残トナーは、引き続く感光ドラム1の回転でトナー(現像剤)帯電量制御手段26と感光ドラム1との接触部に至り、このトナー(現像剤)帯電量制御手段26を通過する感光ドラム1上の転写残トナーはその帯電極性がより均一に正規極性に揃えられる。
【0239】
これにより、更に下流に位置する帯電工程で、転写残トナーの上から感光ドラム1面上を帯電処理する際に、感光ドラム1への転写残トナーの鏡映力を一様に大きくし、転写残トナーの接触(ローラ)帯電部材19への付着をより一層防止する。
【0240】
図8の画像形成装置は、図6の画像形成装置からトナー(現像剤)帯電量制御手段26を取り除き、更に図5に示した接触型現像装置を設けたものである。
【0241】
現像装置のホッパー3に収納されている非磁性の負帯電性一成分系現像剤4は、現像剤供給・剥ぎ取りローラ15及び現像剤層厚規制部材2としての弾性ブレード2により現像ローラ18に塗布され、現像ローラ18上のトナー層を感光ドラム1の表面に接触させて感光ドラム1上の静電潜像を反転現像法により現像され、トナー画像を感光ドラム1上に形成される。現像ローラ18の回転方向に対して、現像剤供給・剥ぎ取りローラ15は、矢印で示す通りお互いの表面がカウンター方向に移動する。現像ローラ18にはバイアス印加手段9により少なくとも直流バイアスが印加される。感光ドラム1上のトナー画像は搬送されてくる転写材としての記録材P上へ、バイアス印加手段22によりバイアスが印加されている接触(ローラ)転写手段21により転写され、記録材上に転写されたトナー画像は、加熱ローラと加圧ローラとを有する加熱加圧定着手段23により定着される。
【0242】
転写工程後の感光ドラム1上の転写残トナーは、ブレードクリーニング手段の如きクリーニング部材によるクリーニング工程を経由することなく、接触(ローラ)帯電部材19の所まで搬送される。転写残トナーを有する感光ドラム1は、再度、接触(ローラ)帯電部材19で帯電され、帯電後にレーザ光の露光20により静電潜像が形成される。転写残トナーを有する感光ドラム1は、現像ローラ18上のトナーによる静電潜像の現像とともに、転写残トナーの現像ローラ18への回収がおこなわれる。現像同時クリーニング工程後の感光ドラム1上のトナー画像は、搬送されてくる記録材P上に接触転写手段21により転写される。転写工程後の感光ドラム1は、接触(ローラ)帯電部材19により再度帯電され、以後同様な工程が繰り返し実施される。現像装置は、図5に示すように感光ドラム1に現像剤担持体としての現像スリーブ18上のトナー層が接触し、バイアス印加手段9で直流バイアスが印加されている芯金17に中抵抗のゴム部材からなる弾性層16、更に弾性層16を被覆する樹脂被覆層7を有する弾性ローラからなる現像剤担持体としての現像ローラ18が配設され、現像部で転写残トナーが回収されると共に現像ローラ上のトナーが現像される。現像装置のホッパー3の中には、芯金13と弾性層14を有する現像剤供給・剥ぎ取りローラ15が配設されていて、現像剤供給・剥ぎ取りローラ15は芯金13を通じてアース接地されている。
【0243】
現像スリーブ18に付着して搬送される現像剤層厚規制部材2として、リン青銅板表面にポリアミドエラストマー(PAE)を貼り付けた弾性規制ブレード2が配設され、弾性規制ブレード2の現像スリーブ18に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量(トナー層厚)が制御される。
【0244】
以下に本発明に関わる物性の測定方法について述べる。
【0245】
(1)黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)
黒鉛化度p(002)は、マックサイエンス社製の強力型全自動X線回折装置“MXP18”システムにより、黒鉛のX線回折スペクトルから得られる格子間隔d(002)を測定することで、d(002)=3.440−0.086(1−P2)で求めた。
【0246】
尚、格子間隔d(002)は、CuKαをX線源とし、CuKβ線はニッケルフィルターにより除去している。標準物質に高純度シリコンを使用し、C(002)及びSi(111)回折パターンのピーク位置から算出した。主な測定条件は以下のとおりである。
X線発生装置 :18kw
ゴニオメータ :横型ゴニオメータ
モノクロメータ :使用
管電圧 : 30.0kV
管電流 :10.0mA
測定法 :連続法
スキャン軸 :2θ/θ
サンプリング間隔:0.020deg
スキャン速度 :6.000deg/min
発散スリット :0.50deg
散乱スリット :0.50deg
受光スリット :0.30mm
【0247】
(2)樹脂被覆層に添加する粒子の平均円形度SF−1
多数の粒子の円形度の解析を効率的に行うことが可能な具体的な測定装置として、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定を行った。
【0248】
マルチイメージアナライザーは、電気抵抗法による粒度分布測定装置に、CCDカメラにより粒子像を撮影する機能と撮影された粒子像を画像解析する機能を組み合わせたものである。詳細には、電解質溶液中に超音波等により均一に分散した測定粒子を、電気抵抗法による粒度分布測定装置であるマルチサイザーのアパーチャーを粒子が通過する際の電気抵抗変化で検知し、これに同期してストロボを発光してCCDカメラで粒子像を撮影する。この粒子像をパソコンに取り込み、2値化後、画像解析するものである。
【0249】
上記の装置により、粒子投影像のピタゴラス法最大長ML、投影面積Aを求め、2μm以上の3000個の粒子についての円形度の値を下記式(3)から算出し、これらを平均することにより平均円形度SF−1を求める。
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (3)
【0250】
(3)トナー及び樹脂粒子の粒径測定
電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。
【0251】
それから、体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径を求める。
【0252】
(4)現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)の測定
JIS B0601の表面粗さに基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE−3300にて、軸方向3点×周方向2点=6点について各々測定し、その平均値をとった。
【0253】
(5)樹脂被覆層の体積抵抗の測定
100μmの厚さのPETシート上に7〜20μmの厚さの被覆層を形成し、ASTM規格(D−991−82)及び、日本ゴム協会標準規格SRIS(2301−1969)に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積抵抗測定用の4端子構造の電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所製)を使用して測定した。尚、測定環境は20〜25℃、50〜60RH%とする。
【0254】
(6)1μm以上の導電性粒子の粒径測定
黒鉛化粒子等の導電性粒子の粒径は、レーザ回折型粒度分布計のコールターLS−130型粒度分布計(コールター社製)を用いて測定する。測定方法としては、水系モジュールを用い、測定溶媒としては純水を使用する。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行する。
【0255】
次に純水10ml中に界面活性剤3〜4滴を加え、更に測定試料を5〜25mg加える。試料を懸濁した水溶液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行ない試料液を得て、前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、個数分布から算術した個数平均粒径を求める。
【0256】
(7)1μm未満の導電性微粒子の粒径測定
電子顕微鏡を用いて、導電性微粒子の粒径を測定する。撮影倍率は6万倍とするが、難しい場合は低倍率で撮影した後に6万倍となるように写真を拡大プリントする。写真上で一次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とする。
【0257】
(8)黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]
(株)アカシ製微小硬度計MZT−4で、軸芯に対する面角が68度の三角錐のダイヤモンド圧子を用いて測定される押し込み硬さ値HUT[68]であり、下記式(2)で表される。
押し込み硬さ値HUT[68]=K×F/(h2)2 (2)
[但し、K:係数、F:試験荷重、h2:圧子の最大押し込み深さ]
【0258】
測定用に用意される試料として、現像剤担持体の樹脂被覆層表面を#2000の研磨テープを用いて、樹脂被覆中の黒鉛化粒子が露出するように平滑に磨いたものを用いる。
【0259】
黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]は、前記試料を固定して、研磨して被覆樹脂層表面に露出している10μm以上の大きさの黒鉛化粒子に圧子の照準を併せて測定を行い、同一試料の異なる黒鉛化粒子を10点以上測定してその平均値を黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]として求める。
【0260】
主な測定条件は以下のとおりである。
TEST MODE A
試験荷重F1:5.00gf
基準荷重F0:0.50gf
押し込み速度V:1.00μm/sec
保持時間T2:5sec
除荷時間T3:5sec
【0261】
試験荷重及び圧子の最大押し込み深さは、被覆層表面の表面粗さの影響を受けず、且つ下地の基体の影響を受けない程度の範囲が好ましく、本発明においては、試験荷重圧子の最大押し込み深さが1〜2μm程度で測定を行う。
【0262】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0263】
〈感光体製造例〉
負帯電用の有機光導電性物質を用いた感光体(以下「OPC感光体」と表記する)を製造した。感光体の基体には、直径30mmのアルミニウム製のシリンダーを用いた。このシリンダー上に下記の各層を浸漬塗布することにより順次積層して感光体を作製した。
【0264】
第1層は導電層であり、アルミニウム基体の欠陥等をならすため、またレーザ露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする)である。
【0265】
第2層は正電荷注入防止層であり、アルミニウム基体から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、メトキシメチル化ナイロンによって106Ω・cm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0266】
第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料をプチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザ露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0267】
第4層は電荷輸送層であり、ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂に8:10の質量比で溶解したものを主体とし、さらに4フッ化エチレン粉体(粒径0.2μm)を総固形分に対して10質量%添加したものを使用した。膜厚は25μmであった。感光体の表面の水に対する接触角は74度であった。
【0268】
<2>現像剤の製造
(現像剤の製造例1)
反応容器のイオン交換水500部に0.1M−Na3PO4水溶液320部を投入し60℃に加温した後、1M−CaCl2水溶液を47部を徐々に添加してCa3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0269】
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・不飽和ポリエステル樹脂 2部
・飽和ポリエステル樹脂 3部
・モノアゾ染料系のFe化合物 1部
・疎水化処理磁性体 90部
上記材料をアトライターを用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃)6部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解した。前記水系溶媒中に上記重合性単量体を投入し、60℃,N2パージ下において、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて10000rpmで15分間攪拌し、造粒した。その後、パドル攪拌翼にて攪拌しつつ60℃で6時間反応させた。その後、液温を80℃とし更に4時間攪拌を続けた。反応終了後、80℃で更に2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO4)2を溶解し、ろ過、水洗、乾燥をおこない、重量平均粒径6.6μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子の円形度a=0.950以上の粒子は個数基準の累積値で86.2%であった。
【0270】
このトナー粒子100部に、ヘキサメチルシラザンで処理した疎水性シリカ1.2部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、現像剤1とした。
【0271】
(現像剤の製造例2)
・スチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸ブチル
・ハーフエステル共重合体 100部
・カーボンブラック 7部
・負帯電性制御剤 3部
・低分子量ポリエチレン 5部
上記材料組成をヘンシェルミキサーにて予備混合した後、130℃に設定した二軸式エクストルーダーを用いて溶融混練を行った。得られた混練物を冷却後、スピードミルで粗粉砕を行い、更にジェットミルを用いて微粉砕を行った。この微粉砕物をエルボジェット分級機を用いて分級した。更にローターを回転して機械的衝撃力を与える方式の表面改質装置を用いて表面処理を行った。以上のようにして得られた磁性トナーは、その粒度分布において、重量平均粒径が7.1μmであり、円形度a=0.950以上の粒子は、個数基準の累積値で78.5%であった。
【0272】
このトナー100部に対し、シランカップリング剤とシリコーンオイルで処理した疎水性コロイダルシリカ1.2部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、現像剤2とした。
【0273】
(現像剤の製造例3)
反応容器のイオン交換水10000部に0.1M−Na3PO4水溶液100部ならびに1M−HCl水溶液を85部投入し、N2パージしながら65℃で60分保温した。TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmにて攪拌しながら、10M−CaCl2水溶液60部を一括投入し、pH6.5のCa3(PO4)2を含む水系媒体を調製した。
【0274】
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・カーボンブラック 7部
・ポリエステル樹脂 5.5部
・サリチル酸金属化合物 1部
・エステルワックス 15部
架橋剤(ジビニルベンゼン) 0.25部
別容器中で上記材料を65℃に保温し、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmにて均一に溶解、分散した。これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。反応容器中の前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、65℃,N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル攪拌翼にて攪拌しつつ65℃で6時間、さらに85℃に昇温し、9時間反応させた後、85℃で蒸留を行った。重合反応終了後、反応容器を冷却し、塩酸を加え、リン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥をおこない、重量平均粒径7.5μmのトナーを得た。このトナーの円形度a=0.950以上の粒子は個数基準の累積値で87.6%であった。
【0275】
得られたトナー粒子100部に、疎水性酸化チタン微粉体1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、現像剤3とした。
【0276】
〔実施例1〕
<現像スリーブの製造>
現像スリーブの製造について述べる。
【0277】
樹脂被覆層に添加する黒鉛化粒子として、バルクメソフェーズピッチ粒子を酸化性雰囲気下で熱安定化処理した後に3000℃で焼成することにより黒鉛化して得た個数平均径5.6μmの黒鉛化粒子A−1を用いた。黒鉛化粒子A−1の物性を表1に示す。前記の黒鉛化粒子と併用して用いる球状粒子としては、表1に示した球状のフェノール樹脂粒子を2200℃で焼成した球状炭化粒子からなる球状粒子a−5を用いた。
【0278】
・レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 200部
・黒鉛化粒子(A−1) 45部
・導電性カーボンブラック 5部
・球状粒子(a−5) 8部
・メタノール 120部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて分散し、更にメタノールで分散液の固形分を27質量%に希釈して塗工液を得た。
【0279】
この塗工液を用いてスプレー法により外径16mmφのアルミニウム製円筒管上に樹脂被覆層を形成させ、続いて熱風乾燥炉により150℃、30分間加熱して樹脂被覆層を硬化させ現像剤担持体B−1を作製した。表2に現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を示す。
【0280】
<画像形成装置1>
画像形成装置として、LBP−1760を改造したものを用いた。本改造機は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)であり、プロセススピードを151.4mm/sに速め、更に図6に示すようにトナー(現像剤)帯電量制御手段として導電性ブラシが感光体に接触するように設けられている。
【0281】
また、クリーニングブレードの如きクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては磁性一成分系現像剤を使用し、現像装置としては図1に示した現像装置を用いて現像剤担持体上の現像剤層と像担持体が非接触となるよう配置された装置である。
【0282】
接触帯電部材としてゴムローラ帯電器を先に製造した感光体に当接させ、直流電圧−650Vdcに交流電圧1.7kVppを重畳したバイアスを印加して感光体上を一様に帯電させる。帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成させる。
【0283】
この時、暗部電位Vd=−650V、明部電位VL=−150Vとした。感光ドラムと現像スリーブとの間隙は180μmとし、現像磁極85mT(850ガウス)、現像剤層厚規制部材として厚み1.0mm、自由長1.0mmのウレタンゴム製ブレードを25N/mの線圧で当接させた。
【0284】
次いで、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=−450V、重畳する交流バイアス成分Vpp=1kV、f=2000Hzを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(151.4mm/sec)に対して順方向に130%のスピード(196.8mm/sec)とした。
【0285】
トナー(現像剤)帯電量制御手段としての導電性ブラシに印加するバイアスとしては、直流−900Vとした。
【0286】
また転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を感光体周速(151.4mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0287】
感光体としては前記の製造例で示したものを用いた。
【0288】
以上のようにLBP−1760を改造した画像形成装置をLBP−1760改造機1とした。
【0289】
<画像評価>
現像剤担持体B−1を組み込んだ現像装置に現像剤として現像剤1を使用し、24℃,10%RHの常温低湿(N/L)、20℃,60%RHの常温常湿(N/N)及び30℃,80%RHの高温高湿(H/H)環境下においてLBP−1760改造機1を用いて画出し試験を行った。転写材としては75g/m2の紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、非画像へのカブリのない良好な画像が得られた。
【0290】
次に、印字面積比率5%の横ラインのみからなる画像パターンで2.5万枚画出しにより、耐久性の評価を行った。得られた結果を表4に示す。
【0291】
下記に挙げる評価項目について耐久試験評価を行った。
【0292】
(1)画像濃度
反射濃度計RD918(マクベス製)を使用し、ベタ印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。
【0293】
(2)カブリ
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
【0294】
カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0295】
(3)スリーブゴースト
ベタ白部とベタ黒部が隣り合う画像を現像した現像スリーブの位置が、現像スリーブの次の回転時には現像位置に来て、ハーフトーン画像を現像するようにして、ハーフトーン画像上に現れる濃淡差を目視で下記の基準に基づいて評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:実用上問題となる濃淡差が見られる。
【0296】
(4)帯電ムラ
転写残トナーによる一次帯電不良に起因する画像不良、即ち帯電ムラはハーフトーン画像上で評価した。ハーフトーン画像上に現れる濃淡差(ムラ)を目視で下記の基準で評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:濃淡差が顕著に見られ、実用不可。
【0297】
(5)転写率
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【0298】
【数1】
【0299】
転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0300】
(6)被覆層の耐汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をSEMで観察し、トナー汚染の程度を下記の基準で評価した。
A:軽微な汚染が観察される。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
【0301】
(7)樹脂被覆層の耐磨耗性
耐久前後の現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)と樹脂被服層の膜厚の削れ量を測定した。
【0302】
〔実施例2〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を30部に変え、更に表1に示した潤滑性粒子a−1を15部添加したことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−2を得た。
【0303】
この現像剤担持体B−2の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−2と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0304】
〔実施例3〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を15部に変え、潤滑性粒子a−1を30部添加したことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−3を得た。
【0305】
この現像剤担持体B−3の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−3と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0306】
〔実施例4〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を5部に変え、潤滑性粒子a−1を40部添加したことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−4を得た。
【0307】
この現像剤担持体B−4の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−4と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0308】
〔実施例5〜12〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、表1に示した黒鉛化粒子A−2〜A−9を用いたことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−5〜B−12を得た。
【0309】
これらの現像剤担持体B−5〜B−12の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−5〜B−12と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0310】
〔比較例1〜4〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、a−1〜a−4の粒子を用いたことを除いては、実施例1と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体C−1〜C−4を得た。
【0311】
これらの現像剤担持体C−1〜C−4の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。現像剤担持体C−1〜C−4と現像剤1を用いて実施例1と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0312】
〔実施例13〕
<現像スリーブの製造>
・MMA−DM共重合体樹脂(共重合比=88/12、Mn=6800、Mw=16300、Mw/Mn=2.4、酢酸エチル50%含有) 200部
・黒鉛化粒子(A−1) 30部
・導電性カーボンブラック 3.5部
・球状粒子(a−2) 9部
・酢酸エチル 120部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて分散し、更にメタノールで分散液の固形分を25%に希釈して塗工液を得た。この塗工液を用いたことを除いては、実施例1と同様にして現像剤担持体B−13を得た。
【0313】
この現像剤担持体B−13の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。
【0314】
<画像形成装置>
画像形成装置として、LBP−1760を以下のように改造したものを用いた。本改造機は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)であり、プロセススピードは94.2mm/sである。本改造機は図7に示すようにトナー(現像剤)帯電量制御手段としての導電性ブラシと残留トナー(残留現像剤)均一化手段としての導電性ブラシが感光体に接触するように設けられている。
【0315】
また、クリーニングブレードの如きクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては非磁性一成分系現像剤を使用し、現像装置としては図4に示した現像装置を用いて現像剤担持体上の現像剤層と像担持体が非接触となるよう配置された装置である。
【0316】
帯電部材としてゴムローラ帯電器を先の製造例で製造した感光体に当接させ、直流電圧−550Vdcに交流電圧1.7kVppを重畳したバイアスを印加して感光体上を一様に帯電させる。帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成させる。
【0317】
この時、暗部電位Vd=−550V、明部電位VL=−170Vとした。感光ドラムと現像スリーブとの間隙は180μmとし、現像剤層厚規制部材としてリン青銅板表面にポリアミドエラストマーを貼り付けたブレードを20N/mの線圧で当接させた。
【0318】
次いで、現像バイアスとして直流バイアス成分Vdc=−330V、重畳する交流バイアス成分Vpp=1.2kV、f=2200Hzを用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(94.2mm/sec)に対して順方向に120%のスピード(113mm/sec)とした。
【0319】
トナー(現像剤)帯電量制御手段としての導電性ブラシに印加するバイアスとしては、直流−900Vとした。
【0320】
現像剤供給・剥ぎ取り部材としての弾性ローラの周速は、現像スリーブの表面とカウンター方向に100%(113mm/sec)のスピードとした。
【0321】
また転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を感光体周速(151.4mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0322】
感光体としては前記の製造例で示したものを用いた。
【0323】
以上のようにLBP−1760を改造した画像形成装置をLBP−1760改造機2とした。
【0324】
<画像評価>
現像剤担持体B−13を組み込んだ現像装置に現像剤として現像剤2を使用し、24℃,10%RHの常温低湿(N/L)、20℃,60%RHの常温常湿(N/N)及び30℃,80%RHの高温高湿(H/H)環境下においてLBP−1760改造機2を用いて画出し試験を行った。転写材としては75g/m2の紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、非画像へのカブリのない良好な画像が得られた。
【0325】
次に、印字面積比率5%の横ラインのみからなる画像パターンで1万枚画出しにより、耐久性の評価を行った。得られた結果を表6に示す。
【0326】
下記に挙げる評価項目について耐久試験評価を行った。
【0327】
(1)画像濃度
反射濃度計RD918(マクベス製)を使用し、ベタ印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。
【0328】
(2)カブリ
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
【0329】
カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0330】
(3)帯電ムラ
転写残トナーによる一次帯電不良に起因する画像不良、即ち帯電ムラはハーフトーン画像上で評価した。ハーフトーン画像上に現れる濃淡差(ムラ)を目視で下記の基準で評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:濃淡差が顕著に見られ、実用不可。
【0331】
(4)転写率
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【0332】
【数2】
【0333】
転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0334】
(5)被覆層の耐汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をSEMで観察し、トナー汚染の程度を下記の基準で評価した。
A:軽微な汚染が観察される。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
【0335】
(6)樹脂被覆層の耐磨耗性
耐久前後の現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)と樹脂被服層の膜厚の削れ量を測定した。
【0336】
〔実施例14〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を15部に変え、潤滑性粒子a−1を15部添加したことを除いては、実施例13と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−14を得た。
【0337】
この現像剤担持体B−14の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−14と現像剤2を用いて実施例13と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0338】
〔実施例15〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を5部に変え、潤滑性粒子a−1を25部添加したことを除いては、実施例13と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−15を得た。
【0339】
この現像剤担持体B−15の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−15と現像剤2を用いて実施例13と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0340】
〔実施例16〜20〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、表1に示した黒鉛化粒子A−2〜A−9を用いたことを除いては、実施例13と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−16〜B−19を得た。
【0341】
これらの現像剤担持体B−16〜B−19の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−16〜B−19と現像剤2を用いて実施例13と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0342】
〔比較例5〜8〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、a−1〜a−4の粒子を用いたことを除いては、実施例13と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体C−5〜C−8を得た。
【0343】
これらの現像剤担持体C−5〜C−8の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。現像剤担持体C−5〜C−8と現像剤2を用いて実施例13と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0344】
〔実施例21〕
<現像スリーブの製造>
・ウレタン樹脂溶液(トルエン50%含有) 200部
・黒鉛化粒子(A−4) 12部
・導電性カーボンブラック 3部
・球状粒子(a−2) 25部
・トルエン 120部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて分散し、更にトルエンで分散液の固形分を25%に希釈して塗工液を得た。この塗工液を用いてディピング法により、ジメチルシリコーンゴム(硬度ASKER C47度、体積抵抗5×105Ω・cm)からなる弾性ローラ(外径16mmφ、ステンレス芯金6mmφ)表面に樹脂被覆層を形成させ、続いて熱風乾燥炉により150℃,30分間加熱して樹脂被覆層を硬化させ現像剤担持体B−21を作製した。表2に現像剤担持体B−21の樹脂被覆層の処方と物性を示す。
【0345】
<画像形成装置>
画像形成装置として、LBP−1760を以下のように改造したものを用いた。本改造機は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナーレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)であり、プロセススピードは94.2mm/sである。本改造機は図8に示すようにトナー(現像剤)帯電量制御手段及び残留トナー(残留現像剤)均一化手段はいずれも設けられていない。
【0346】
また、クリーニングブレードの如きクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカードリッジを有し、現像剤としては非磁性一成分系現像剤を使用し、現像装置としては図5に示した現像装置を用いて現像剤担持体上と像担持体が接触するよう配置された装置である。
【0347】
帯電部材としてゴムローラ帯電器を先の製造例で製造した感光体に当接させ、直流電圧−800Vdcのバイアスを印加して感光体上を一様に帯電させる。帯電に次いで、レーザ光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成させる。
【0348】
この時、暗部電位Vd=−800V、明部電位VL=−150Vとした。現像剤層厚規制部材としてリン青銅板表面にポリアミドエラストマーを貼り付けたブレードを20N/mの線圧で現像剤担持体表面に当接させた。
【0349】
次いで、現像バイアスとして−450Vの直流バイアス(Vdc=−450V)を用いた。また、現像スリーブの周速は感光体周速(94.2mm/sec)に対して順方向に180%のスピード(169.6mm/sec)とした。
【0350】
現像剤供給・剥ぎ取り部材としての弾性ローラーの周速は現像スリーブの表面とカウンター方向に100%(169.6mm/sec)のスピードとした。
【0351】
また転写ローラ(導電性カーボンを分散したエチレン−プロピレンゴム製、導電性弾性層の体積抵抗値108Ωcm、表面ゴム硬度24゜、直径20mm、当接圧59N/m(60g/cm))を感光体周速(151.4mm/sec)に対して等速とし、転写バイアスは直流1.5kVとした。
【0352】
感光体としては前記の製造例で示したものを用いた。
【0353】
以上のようにLBP−1760を改造した画像形成装置をLBP−1760改造機3とした。
【0354】
<画像評価>
現像剤担持体B−16を組み込んだ現像装置に現像剤として現像剤3を使用し、24℃,10%RHの常温低湿(N/L)、20℃,60%RHの常温常湿(N/N)及び30℃,80%RHの高温高湿(H/H)環境下においてLBP−1760改造機3を用いて画出し試験を行った。転写材としては75g/m2の紙を使用した。その結果、初期において高い転写性を示し、文字やラインの転写中抜けもなく、非画像へのカブリのない良好な画像が得られた。
【0355】
次に、印字面積比率5%の横ラインのみからなる画像パターンで1万枚画出しにより、耐久性の評価を行った。得られた結果を表7に示す。
【0356】
下記に挙げる評価項目について耐久試験評価を行った。
【0357】
(1)画像濃度
反射濃度計RD918(マクベス製)を使用し、ベタ印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。
【0358】
(2)カブリ
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
【0359】
カブリは、2.0%以下であれば良好な画像である。
【0360】
(3)帯電ムラ
転写残トナーによる一次帯電不良に起因する画像不良、即ち帯電ムラはハーフトーン画像上で評価した。ハーフトーン画像上に現れる濃淡差(ムラ)を目視で下記の基準で評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:濃淡差が顕著に見られ、実用不可。
【0361】
(4)転写率
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【0362】
【数3】
【0363】
転写効率は90%以上であれば問題の無い画像である。
【0364】
(5)被覆層の耐汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をSEMで観察し、トナー汚染の程度を下記の基準で評価した。
A:軽微な汚染が観察される。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
【0365】
(6)樹脂被覆層の耐磨耗性
耐久前後の現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)と樹脂被服層の膜厚の削れ量を測定した。
【0366】
〔実施例22〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−4を6部、カーボンブラックを9部に変更しことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−22を得た。
【0367】
この現像剤担持体B−22の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−22と現像剤3を用いて実施例21と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0368】
〔実施例23〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−4を18部に変更し、カーボンブラックを添加しないことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−23を得た。
【0369】
この現像剤担持体B−23の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−23と現像剤3を用いて実施例21と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0370】
〔実施例24〜26〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−4を用いることに替えて、表1に示した黒鉛化粒子A−10〜A−12を用いたことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体B−24〜B−26を得た。
【0371】
これらの現像剤担持体B−24〜B−26の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。現像剤担持体B−24〜B−26と現像剤3を用いて実施例14と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0372】
〔比較例9〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−4を用いることに替えて、表1に示したa−1の粒子を用いたことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体C−9を得た。
【0373】
この現像剤担持体C−9の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。現像剤担持体C−9と現像剤3を用いて実施例21と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0374】
〔比較例11、12〕
現像スリーブの樹脂被覆層の作製において、黒鉛化粒子A−1を用いることに替えて、a−7及びa−8の粒子を用いたことを除いては、実施例21と同様にして塗工液を作製し、現像剤担持体C−7及びC−8を得た。
【0375】
現像剤担持体C−7及びC−8の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。現像剤担持体C−7及びC−8と現像剤3を用いて実施例21と同様に耐久試験評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0376】
【表1】
【0377】
【表2】
【0378】
【表3】
【0379】
【表4】
【0380】
【表5】
【0381】
【表6】
【0382】
【表7】
【0383】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、現像同時クリーニングの画像形成方法において、現像剤担持体表面の樹脂被覆層が特定の範囲の黒鉛化度と円形度を有する黒鉛化粒子を樹脂中に分散させた構成である現像剤担持体を有する現像装置を用いることで、現像剤担持体上の現像剤が絶えず迅速且つ均一に帯電し、現像剤の転写性及び回収性に優れ、被帯電体の帯電不良を生じない良好な画像が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる樹脂被覆層が形成されている現像剤担持体を有する磁性一成分現像方式の一実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図2】図1の現像装置における、現像剤層の規制部材が異なる本発明の他の実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図3】図1の現像装置における、現像剤層の規制部材が異なる本発明の他の実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図4】本発明に用いる樹脂被覆層が形成されている現像剤担持体を有する非磁性一成分現像方式の一実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図5】本発明に用いる樹脂被覆層が弾性ローラ上に形成されている現像剤担持体を有する非磁性一成分現像方式の一実施形態の現像装置の模式図を示す。
【図6】本発明の画像形成装置の概略説明図を示す。
【図7】本発明の他の画像形成装置の概略説明図を示す。
【図8】本発明の他の画像形成装置の概略説明図を示す。
【符号の説明】
1:感光ドラム(静電潜像保持体)
2:現像剤層規制部材
3:ホッパー(現像剤容器)
4:現像剤
5:マグネットローラー(磁石)
6:金属円筒管(基体)
7:樹脂被覆層
8:現像スリーブ(現像剤担持体)
9:現像バイアス電源
10:撹拌翼
11:弾性規制ブレード
13:芯金
14:弾性層
15:現像剤供給・剥ぎ取りローラ(現像剤供給・剥ぎ取り部材)
16:弾性層
17:芯金
18:現像ローラ(現像剤担持体)
19:接触(ローラ)帯電手段
20:露光
21:接触(ローラ)転写手段
22:バイアス印加手段
23:過熱加圧定着手段
24:バイアス印加手段
25:バイアス印加手段
26:トナー(現像剤)帯電量制御手段
27:残留トナー(残留現像剤)均一化手段
N1,N2,S1,S2:磁極
A:現像スリーブ回転方向
B:感光ドラム回転方向
D:現像領域
P:被記録材
Claims (56)
- 像担持体を帯電させる帯電工程と、
帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
下記(a)〜(d)を含む現像工程と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる工程;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する工程;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する工程;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する工程;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写工程と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着工程と、を有する画像形成方法において、
該現像工程は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング工程を兼ねており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする画像形成方法。 - 該黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)が、0.25≦p(002)≦0.75であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 該黒鉛化粒子はメソカーボンマイクロビーズ粒子を黒鉛化して得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 該黒鉛化粒子はバルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 該黒鉛化合物の個数平均粒径が0.5〜25μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、導電性微粒子を更に含有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、潤滑性粒子を更に含有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、該被覆層表面に凹凸を付与する個数平均径1〜30μmの球状粒子を更に含有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 該樹脂被覆層が、0.3乃至3.5の中心線表面粗さRaを有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 該現像剤層厚規制部材が、磁性規制ブレードであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 該現像剤層厚規制部材が、該現像剤担持体に該現像剤を介して弾性的に圧接されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 該現像剤層厚規制部材が、弾性規制部材であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
- 該帯電工程より上流、且つ該転写工程より下流に位置していて、前記現像剤像を転写材に転写した後の像担持体上に残留する残留現像剤を正規極性に帯電する現像剤帯電量制御工程を有する請求項1乃至12のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 該現像剤帯電量制御工程より上流、かつ該転写工程より下流に位置していて、該現像剤像を転写材に転写した後の像担持体面上に残留する残留現像剤像を均一化する残留現像剤像均一化工程を有していることを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
- 像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、この可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするためのプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を帯電するための帯電手段と、該像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、該現像剤像が記録媒体たる転写材に転写された後に、該像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像装置とを少なくとも有し、該現像装置及び該潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成をとっており、
該現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有しており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 該黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)が、0.25≦p(002)≦0.75であることを特徴とする請求項15に記載のプロセスカートリッジ。
- 該黒鉛化粒子はメソカーボンマイクロビーズ粒子を黒鉛化して得られたものであることを特徴とする請求項15又は16に記載のプロセスカートリッジ。
- 該黒鉛化粒子はバルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られたものであることを特徴とする請求項15又は16に記載のプロセスカートリッジ。
- 該黒鉛化合物の個数平均粒径が0.5〜25μmであることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、導電性微粒子を更に含有していることを特徴とする請求項15乃至19のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、潤滑性粒子を更に含有していることを特徴とする請求項15乃至20のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、該被覆層表面に凹凸を付与する個数平均径1〜30μmの球状粒子を更に含有していることを特徴とする請求項15乃至21のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 該樹脂被覆層が、0.3乃至3.5の中心線表面粗さRaを有していることを特徴とする請求項15乃至22のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 該現像剤層厚規制部材が、磁性規制ブレードであることを特徴とする請求項15乃至23のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 該現像剤層厚規制部材が、該現像剤担持体に該現像剤を介して弾性的に圧接されていることを特徴とする請求項15乃至23のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 該現像剤層厚規制部材が、弾性規制部材であることを特徴とする請求項25に記載のプロセスカートリッジ。
- 該帯電手段より上流、且つ該転写手段より下流に位置していて、該現像剤像を転写材に転写した後の像担持体上に残留する残留現像剤を正規極性に帯電する現像剤帯電量制御手段を有することを特徴とする請求項15乃至26のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
- 該現像剤帯電量制御手段より上流、かつ該転写手段より下流に位置していて、該現像剤像を転写材に転写した後の像担持体面上に残留する残留現像剤像を均一化する残留現像剤像均一化手段を有していることを特徴とする請求項227に記載のプロセスカートリッジ。
- 静電潜像を担持するための像担持体と、像担持体を帯電するための帯電手段と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
下記(a)〜(d)を含む現像手段と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる手段;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する手段;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する手段;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する手段;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写手段と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、
該現像装置は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング手段を兼ねており、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする画像形成装置。 - 該黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)が、0.25≦p(002)≦0.75であることを特徴とする請求項29に記載の画像形成装置。
- 該黒鉛化粒子はメソカーボンマイクロビーズ粒子を黒鉛化して得られたものであることを特徴とする請求項29又は30に記載の画像形成装置。
- 該黒鉛化粒子はバルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られたものであることを特徴とする請求項29又は30に記載の画像形成装置。
- 該黒鉛化合物の個数平均粒径が0.5〜25μmであることを特徴とする請求項29乃至32のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、導電性微粒子を更に含有していることを特徴とする請求項29乃至33のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、潤滑性粒子を更に含有していることを特徴とする請求項29乃至34のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、該被覆層表面に凹凸を付与する個数平均径1〜30μmの球状粒子を更に含有していることを特徴とする請求項29乃至35のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 該樹脂被覆層が、0.3乃至3.5の中心線表面粗さRaを有していることを特徴とする請求項29乃至36のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 該現像剤層厚規制部材が、磁性規制ブレードであることを特徴とする請求項29乃至37のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 該現像剤層厚規制部材が、該現像剤担持体に該現像剤を介して弾性的に圧接されていることを特徴とする請求項29乃至37のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 該現像剤層厚規制部材が、弾性規制部材であることを特徴とする請求項39に記載の画像形成装置。
- 該帯電手段より上流、且つ該転写手段より下流に位置していて、該現像剤像を転写材に転写した後の像担持体上に残留する残留現像剤を正規極性に帯電する現像剤帯電量制御手段を有することを特徴とする請求項29乃至40のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 該現像剤帯電量制御手段より上流、かつ該転写手段より下流に位置していて、該現像剤像を転写材に転写した後の像担持体面上に残留する残留現像剤像を均一化する残留現像剤像均一化手段を有していることを特徴とする請求項41に記載の画像形成装置。
- 静電潜像を担持するための像担持体と、像担持体を帯電するための帯電手段と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
下記(a)〜(d)を含む現像手段と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる手段;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する手段;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する手段;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する手段;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写手段と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着手段と、を有する画像形成装置に用いられる現像装置において、
該現像装置は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング手段を兼ねており、該現像装置に用いられる現像剤担持体は、少なくとも基体及び該基体表面に黒鉛化度p(002)が
0.20≦p(002)≦0.95
であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂被覆層を有することを特徴とする現像装置。 - 該黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)が、0.25≦p(002)≦0.75であることを特徴とする請求項43に記載の現像装置。
- 該黒鉛化粒子はメソカーボンマイクロビーズ粒子を黒鉛化して得られたものであることを特徴とする請求項43又は44に記載の現像装置。
- 該黒鉛化粒子はバルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られたものであることを特徴とする請求項43又は44に記載の現像装置。
- 該黒鉛化合物の個数平均粒径が0.5〜25μmであることを特徴とする請求項43乃至46のいずれか一項に記載の現像装置。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、導電性微粒子を更に含有していることを特徴とする請求項43乃至47のいずれか一項に記載の現像装置。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、潤滑性粒子を更に含有していることを特徴とする請求項43乃至48のいずれか一項に記載の現像装置。
- 該樹脂被覆層が、該黒鉛化粒子に加えて、該被覆層表面に凹凸を付与する個数平均径1〜30μmの球状粒子を更に含有していることを特徴とする請求項43乃至49のいずれか一項に記載の現像装置。
- 該樹脂被覆層が、0.3乃至3.5の中心線表面粗さRaを有していることを特徴とする請求項43乃至50のいずれか一項に記載の現像装置。
- 該現像剤層厚規制部材が、磁性規制ブレードであることを特徴とする請求項43乃至51のいずれか一項に記載の現像装置。
- 該現像剤層厚規制部材が、該現像剤担持体に該現像剤を介して弾性的に圧接されていることを特徴とする請求項43乃至52のいずれか一項に記載の現像装置。
- 該現像剤層厚規制部材が、弾性規制部材であることを特徴とする請求項53に記載の現像装置。
- 静電潜像を担持するための像担持体と、像担持体を帯電するための帯電手段と、帯電された像担持体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成手段と、
下記(a)〜(d)を含む現像手段と、
(a)現像容器内に収容されている現像剤を現像剤担持体上に担持させる手段;(b)該現像剤担持体上の該現像剤の層厚を現像剤層厚規制部材により規制する手段;(c)層厚を規制された現像剤を該現像剤担持体と該像担持体とが対向する現像領域へ担持搬送する手段;(d)該現像剤担持体上の現像剤を該像担持体上の静電潜像に転移させて現像剤像を形成する手段;
該像担持体表面に形成された現像剤像を転写材へ静電転写する転写手段と、
該転写材上に転写された現像剤像を加熱・定着する定着手段と、を有する画像形成装置において、
該現像装置は、現像剤像を転写材上に転写した後に像担持体に残留した現像剤を回収するクリーニング手段を兼ねており、
転写材に転写した後の像担持体上に残留する残留現像剤を正規極性に帯電する現像剤帯電量制御手段が該帯電手段より上流、且つ該転写手段より下流に位置している画像形成装置に用いられることを特徴とする請求項43乃至54のいずれか一項に記載の現像装置。 - 該現像剤帯電量制御手段より上流、かつ該転写手段より下流に位置していて、該現像剤像を転写材に転写した後の像担持体面上に残留する残留現像剤像を均一化する残留現像剤像均一化手段を有している画像形成装置に用いられることを特徴とする請求項55に記載の現像装置。
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