JP3984859B2 - 現像剤担持体、それを用いた現像装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、或いは静電記録誘導体等の像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化するための現像剤担持体、それを用いた現像装置及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真における現像方法としては、大別して少量のトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤を用いる方法と、キャリアを用いることなくトナー単独で現像に供する、いわゆる一成分系現像剤を用いる方法とがある。いずれの場合にも現像剤は現像剤担持体により担持搬送され、潜像担持体と対向する現像領域へと移動する。
【0003】
上述の現像に用いられる現像剤担持体としては、従来、例えば、金属、その合金又はその化合物を円筒状に成型し、その表面を電解、ブラスト、ヤスリ等で所定の表面粗度になるように処理したものが用いられる。
【0004】
一成分系現像剤において、このような現像剤担持体を用いる場合、規制部材によって現像剤担持体表面に形成される現像剤層中の現像剤担持体表面近傍に存在する現像剤は非常に高い電荷を有することとなり、担持体表面に鏡映力により強烈に引きつけられてしまい、これによりトナーと担持体との摩擦機会が持てなくなるため、現像剤は好適な電荷を持てなくなる。このような状況下では、十分な現像及び転写は行われず、画像濃度ムラや文字飛び散り等の多い画像となってしまう。
【0005】
また、近年では省エネのための現像剤の低温定着化及び高精細画像形成のための小粒径化が望まれているため、このような機種においては上記方法では不十分である。例えば、現像剤の低温定着化のため、現像剤のTg(ガラス転移温度)をより低目に設定したり、ワックス等の低融点物質を多目に添加したりする傾向にあるため、本体の昇温等に影響され、現像剤が現像剤担持体上に融着し易くなり、その結果、画像濃度低下、白筋、ブロッチ等が発生する。
【0006】
また、特開平1−112253号公報や特開平2−284158号公報等には、高画質化及び高精細化のために粒径の小さいトナーを用いることが提案されている。このような粒径の小さいトナーでは単位質量当りの表面積が大きくなるため、表面電荷が大きくなり易く、所謂チャージアップ現象によりトナーが現像剤担持体に固着し、その結果、新たに現像剤担持体上に供給された現像剤が帯電されにくくなり、現像剤の帯電量が不均一となり易く、画像上にスリーブゴーストが発生し易く、ベタやハーフトーン等の画像がスジ状画像やモヤ状画像等、不均一になり易い。
【0007】
このような現象を解決する方法として、特開平02−105181号公報や特開平03−036570号公報等においては、樹脂中に結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末を分散させてなる被覆層が、金属基体上に設けられている現像スリーブを現像装置に用いる方法が提案されている。この方法を用いることにより、上記した現象は大幅に軽減されることが認められる。
【0008】
しかしながら、この方法では、上記粉末を多量に添加した場合には、チャージアップやスリーブゴーストに対しては良好となるが、トナーへの帯電付与能力が不十分となり、特に高温高湿の環境下においては十分な画像濃度を得られにくい。更に、上記粉末を多量に添加した場合には被覆層が脆性化して削れ易くなると共に表面形状が不均一となり、耐久を進めていった場合に被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こり易くなる。
【0009】
また、前記の結晶性グラファイトを分散させた被覆層を用いた場合は、被覆層表面が結晶性グラファイトの添加効果により潤滑性を有するようになるので、チャージアップやスリーブゴーストに対しては十分な効果を発揮するが、その形状が燐片状や針状等の如く不定形であるために被覆層表面形状が不均一となり、更に結晶性グラファイトの硬度が低いため、被覆層表面で結晶性グラファイト自体の摩耗や脱離が発生し易く、耐久を進めていった場合に、被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こり易くなる。一方、添加量が少量の場合には、結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末の効果が薄く、チャージアップやスリーブゴーストに対して不十分であるという問題が残る。
【0010】
また、特開平03−200986号公報においては、樹脂中に結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末、更に球状粒子を分散させた導電性被覆層を金属基体上に設けた現像スリーブが提案されている。この現像スリーブでは、被覆層の耐磨耗性がある程度向上すると共に、被覆層表面の形状も均一化し、耐久による表面粗さの変化も比較的少なくなることから、スリーブ上のトナーコーティングが安定化してトナーの帯電を均一化することができ、スリーブゴースト、画像濃度、画像濃度ムラ等に問題がない画質が安定化する傾向にある。
【0011】
しかしながら、この現像スリーブにおいても耐摩耗性、トナーへの均一帯電及びトナーへの帯電付与能力の安定化には不十分であり、更なる長期間の耐久においては、被覆層の球状粒子や結晶性グラファイトが摩耗或いは脱落することで生じる被覆層表面の粗さの変化や粗さの不均一化、それに伴う被覆層のトナー汚染及びトナー融着等が生じ、このような場合にはトナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる。
【0012】
特開平08−240981号公報においては、導電性被覆層中に分散された球状粒子が低比重且つ導電性の球状粒子であり、これにより導電性被覆層中に均一に導電性球状粒子が分散されることで、被覆層の耐磨耗性及び被覆層表面の形状が均一化してトナーへの均一な帯電性が向上し、且つ被覆層が多少摩耗した際にもトナー汚染及びトナー融着が抑制され得る現像スリーブが提案されている。
【0013】
しかしながら、この現像スリーブにおいても、耐摩耗性、トナーへの均一帯電及びトナーへの帯電付与能力の点では完全ではなく、更なる長期間の耐久においては、被覆層表面の導電性球状粒子が存在しない部分から、結晶性グラファイト等の導電性粒子が摩耗或いは脱落し易く、この摩耗及び脱落した部分から被覆層の摩耗が促進されて、トナー汚染及びトナー融着が生じ、トナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる。更にこの現像スリーブを用いた場合、トナーへの高い帯電付与能力という点でも不十分で、現像スリーブ上で摩擦帯電を繰り返して劣化したトナー等に対しては、高い画像濃度を得るための十分な帯電量を付与することができない場合がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、トナーの転写性を向上させ、感光体のクリーナーレスを実現するためにトナーの球形化が望まれているが、このような球形トナーはその表面がより平滑なため過剰帯電し易く、上記のような一成分系及び二成分系を問わず現像剤として用いた場合、前述のようなトナーのチャージアップ現象が更に起こり易くなる。
【0015】
このような過剰な電荷を有する現像剤を低減するには、特開平2−105181号公報に記載されているような技術を用い、更に現像剤担持体表面被覆層中の固体潤滑材及び導電材として用いられているグラファイトを小粒径化して用い被覆層の導電性を向上させると共に、現像剤との接触機会を増やすことでチャージをリークさせる必要がある。更に導電材として小粒径で高導電性のカーボンブラックを該被膜中に用い、現像剤担持体表面層に均一な高導電性を持たせることで、過剰帯電した現像剤を良好にリークさせてやる必要がある。
【0016】
しかし、これらの物質を添加したのみで導電性を上げるだけでは、導電材との摩擦の影響でトリボが低下する可能性もある。従って、トナーに対して高トリボ付与しながらチャージアップを防止するために、更に荷電制御剤を被覆層中に添加する方法が好ましく用いられる。しかし、一般的に荷電制御剤の添加は被覆層の脆性化といった耐久性の問題を引き起こす場合が多い。そのため、被覆層の耐久性を向上させる目的で各種の補強用フィラーを添加することもある。
【0017】
また、所望のトリボを与えるために荷電制御剤を多量に添加する必要がある場合、被覆層の導電性の低下といった問題を引き起こすこともある。この場合、導電性を上げるために更に導電剤を添加していくことで、耐久性の低下や被覆層用塗料の粘度の上昇が起こり易い。上記塗料粘度が上昇すると、例えば、スプレーにより樹脂組成物を塗布する場合、現像剤担持体表面層の形成に不具合が生じ易い。即ち現像剤担持体表面に不均一な被覆層が形成されてしまう。例えば、現像剤担持体表面被覆層が非常にポーラスで荒れた表面に形成された場合、画像濃度低下、カブリ、飛び散りといった画像不良が発生し易くなる。更には被覆層の耐久性も著しく低下する。
【0018】
一方、現像剤担持体表面にはある程度の表面粗さを付与する必要があり、凹凸を形成する目的で粗し材粒子を添加することもある。粗し材粒子は、前述したような耐久性を向上させるための補強用フィラーの役割を兼ねる場合も多く、その場合、樹脂層と粗し粒子との硬さが異なるため、耐久によって被覆層全体での削れ方にムラができることがある。また、磁性ブレード系では弾性ブレード系に比べ現像剤担持体表面が受ける摺擦力が弱いため、被覆層中材料の磨耗性の違いによる削れムラも大きく、耐久による表面粗さの上昇が起こる場合もある。そのため、耐久全般にわたって一定、且つ均一な表面粗さを保持していく必要がある。
【0019】
そこで、本発明の目的は、長期間にわたる連続複写においても、現像剤担持体上の現像剤に高くて均一な帯電を付与すると共に、現像剤への過剰帯電を防止し、且つ現像剤の帯電を安定に保持させることで、それらの結果から生じる画像濃度低下、カブリ及び飛び散り等が起こりにくい現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【0020】
また、本発明の目的は、異なる環境条件下においても、濃度低下、画像濃度ムラ、スリーブゴースト及びカブリの如き問題点が発生せず、均一で濃度ムラがなく、画像濃度が高い高品位の画像を安定して得ることのできる現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【0021】
更に、本発明の目的は、粒径の小さいトナーや球形のトナーを用いた場合に現われる、現像剤担持体表面へのトナー付着を軽減させることにより、トナーの不均一な帯電を制御すると共に、トナーに十分な帯電を与えることのできる現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、潜像担持体上に形成された潜像を現像剤担持体により担持搬送された磁性トナーを含む磁性一成分系現像剤により現像し、可視像化する現像装置に用いられる現像剤担持体において、該現像剤担持体は、少なくとも基体及び基体表面に形成された導電性被覆層を有してなり、該導電性被覆層は、結着樹脂、該結着樹脂中に分散された黒鉛化度PA(002)が0.20≦PA(002)≦0.95である黒鉛化粒子、及び黒鉛化度PB(002)がPB(002)≦0.35である鱗片状又は針状黒鉛を少なくとも含有している樹脂被覆層であり、該黒鉛化粒子は、メソカーボンマイクロビーズまたはバルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られたものであって、該黒鉛化粒子の黒鉛化度PA(002)と該鱗片状又は針状の黒鉛の黒鉛化度PB(002)との関係が、PB(002)≦PA(002)を満たし、樹脂被覆層中の該黒鉛化粒子の含有量が、該結着樹脂100質量部に対して2〜100質量部であり、該鱗片状又は針状の黒鉛の含有量が、該結着樹脂100質量部に対して2〜100質量部であって、且つ、該樹脂被覆層中に含有される該黒鉛化粒子と該鱗片状又は針状の黒鉛の比率(黒鉛化粒子/鱗片状又は針状黒鉛)が質量比で1/10〜10/1であることを特徴とする現像剤担持体を提供する。
【0023】
また、本発明は、現像剤容器内に収容された現像剤を現像剤担持体上に担持し、現像剤層厚規制部材により該現像剤担持体上に現像剤の薄層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像剤により現像し可視像化する現像装置において、該現像剤が、磁性トナーを含む磁性一成分系現像剤であって、該現像剤担持体が、前記本発明の現像剤担持体であることを特徴とする現像装置を提供する。
【0024】
また、本発明は、画像形成装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジにおいて、該プロセスカートリッジが、(i)静電潜像を保持するための静電潜像保持体、及び(ii)該静電潜像を現像領域で現像剤によって現像し、現像画像を形成するための現像手段を少なくとも一体的に有しており、該現像手段が、磁性一成分系現像剤を収容する現像剤容器、及び該現像剤容器内に収容されている現像剤を担持し、且つ該現像剤を現像領域へ搬送するための現像剤担持体を有しており、該現像剤担持体が、前記本発明の現像剤担持体であることを特徴とするプロセスカートリッジを提供する。
【0025】
本発明者らは、前期の課題について鋭意検討を行った結果、現像剤担持体表面の樹脂被覆層を前記のような構成にすることにより、均一な表面形状を有する樹脂被覆層が形成されると共に、耐久が進むにつれ現像剤担持体上のキャリアやトナーに含まれる磁性体や研磨剤等の外添剤、更には、現像剤層厚規制部材等からの力を受けてグラファイトや結着樹脂等が削れていくが、それらに比べ黒鉛化粒子は磨耗しにくく、また、その影響で粒子自身が脱落したとしても、樹脂被覆層中から粒子が再度突出或いは露出してくることで、表面の凹凸形状の変化を小さく抑えることができ、被覆層の材料組成が多数枚の画出しにおいても変化しずらくなる効果を見出したのである。また、黒鉛化粒子と燐片状若しくは針状の黒鉛粒子とを樹脂被覆層に含有させることにより、トナー汚染やトナーのチャージアップを発生させることなく、トナーへ均一で高い帯電を付与する効果と、トナー成分の付着・融着を防ぐことができる効果を見出したものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。先ず、本発明の現像剤担持体における導電性被覆層の構成について説明する。図1にその一例を模式的に示すが、アルミニウム円筒状基体56上の樹脂層54中に本発明で用いられる特定の黒鉛化度と円形度を有する黒鉛化粒子51と、鱗片状又は針状の黒鉛粒子52とがそれぞれ分散されている。この場合、黒鉛化粒子51及び黒鉛粒子52が樹脂被覆層54の表面の凹凸形成に寄与している。潤滑性を有する黒鉛粒子を併用することにより、耐磨耗性に関しては不利な方向ではあるが、トナー成分の付着や融着を防ぐことができる構成である。
【0027】
図2においては、黒鉛化粒子51及び黒鉛粒子52が、樹脂被覆層54の表面に比較的大きな凹凸を形成し、更に結着樹脂中に黒鉛化粒子51に加えて導電性微粒子53を添加することで更に導電性を高めた構成であり、導電性微粒子53自体は実質的な凹凸形成にはあまり寄与していない。しかしながら、導電性微粒子53に限らず、添加される別の固体粒子により微小な凹凸が形成される様態も本発明に含まれる。
【0028】
図3は、球状粒子55が樹脂被覆層54の表面に比較的大きな凹凸を与えるために結着樹脂中に更に添加されたモデルを示し、黒鉛化粒子51及び黒鉛粒子52は樹脂被覆層54の表面に小さな凹凸を形成している。このような構成は、現像剤規制部材が現像剤担持体に対して(トナーを介して)弾性的に圧接されるタイプの現像装置に用いる場合に有利である。即ち、この樹脂被覆層54の表面の球状粒子55により、弾性規制部材の圧接力を規制し且つ黒鉛化粒子51は小さな凹凸を形成して、トナーと被覆層の樹脂及び黒鉛化粒子51との接触帯電機会やトナーとの離型性を調整する役割も果たす。
【0029】
図4は、黒鉛化粒子51と球状粒子55の双方が樹脂被覆層54の表面の凹凸形成に寄与している。このような形態は、例えば、球状粒子55に凹凸付与以外に導電性や帯電付与性及び耐磨耗性等の別の機能を持たせようとした場合に実施される場合がある。
【0030】
次に本発明の被覆層を構成する材料について説明する。まず、本発明の現像剤担持体を構成する基体表面に被覆された樹脂被覆層に用いられる黒鉛化粒子について説明する。
【0031】
本発明に使用される黒鉛化粒子としては、黒鉛化度PA(002)が0.20≦PA(002)≦0.95で、下記式(1)で計算された値の平均値である平均円形度SF−1が0.64以上であることを満足していることが好ましい。
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (1)
[式中、MLは粒子投影像のピタゴラス法最大長を表し、Aは粒子像の投影面積を表す。]
【0032】
前記黒鉛化粒子は、現像剤担持体の被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に、被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つトナー汚染やトナー融着を発生し難くするために添加するものである。更に、該黒鉛化粒子はトナーへの帯電付与性を高める効果もある。
【0033】
黒鉛化度P(002)とは、FranklinのP値といわれるもので、黒鉛のX線回折図から得られる格子間隔d(002)を測定することで、d(002)=3.440−0.086(1−P2)で求められる。このP値は、炭素の六方網目平面積み重なりのうち、無秩序な部分の割合を示すもので、P値が小さいほど黒鉛化度は大きい。
【0034】
前記黒鉛化粒子は、特開平02−105181号公報や特開平03−036570号公報等において現像剤担持体表面の被覆層中に用いられていた、コークス等の骨剤をタールピッチ等により固めて成形後1,000〜1,300℃程度で焼成してから、2,500〜3,000℃程度で黒鉛化して得た人造黒鉛、或いは天然黒鉛からなる結晶性のグラファイトとは、該黒鉛化粒子の原材料及び製造工程が異なる。そのため、該黒鉛化粒子は従来用いていた結晶性グラファイトより黒鉛化度は若干低いものの、従来に用いられていた結晶性グラファイトと同様に高い導電性や潤滑性を有しており、更に粒子の形状が従来に用いられていた結晶性グラファイトの燐片状或いは針状とは異なり、概略球状でしかも粒子自身の硬度が比較的高いのが特徴である。
【0035】
従って、上記のような特性を有する黒鉛化粒子は樹脂被覆層中で均一に分散し易くなるため、均一な表面粗度と耐磨耗性を被覆層表面に与え、且つ粒子自身の形状が変化しがたいために結着樹脂分等の削れ、又はその影響による粒子自身の脱落が生じたとしても、樹脂層中から粒子が再度突出或いは露出してくることもあり、表面形状の変化を小さく抑えることができる。
【0036】
更に、現像剤担持体表面の被覆層中に該黒鉛化粒子を用いると、トナーのチャージアップを発生させることなく、従来の結晶性グラファイトを用いた場合よりもトナーへの摩擦帯電付与能を向上することが可能となる。
【0037】
本発明で使用する黒鉛化粒子の黒鉛化度PA(002)は、0.20≦PA(002)≦0.95であることが好ましく、0.25≦PA(002)≦0.75であることがより好ましい。PA(002)が0.95を超える場合は、耐磨耗性には優れているが、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化し易くなり、更に弾性ブレードを使用した場合に、ブレード傷が発生する場合があり、画像にスジや濃度ムラ等が発生し易くなる。一方、PA(002)が0.20未満の場合は、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により、被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下してしまう。
【0038】
また、黒鉛化粒子の黒鉛化度PA(002)と併用する鱗片状又は針状黒鉛の黒鉛化度PB(002)との関係は、PB(002)≦PA(002)を満たすことが望ましい。PB(002)>PA(002)となる場合は、黒鉛化粒子の硬度低下により、被覆層表面の耐磨耗性が損なわれるので望ましくない。
【0039】
更に、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、下記(1)式より求められる平均円形度SF−1が0.64以上であることが好ましい。平均円形度SF−1が0.64未満である場合には、被覆層中への黒鉛化粒子の分散性が低下すると共に、被覆層表面粗さの不均一化が発生し、トナーの迅速且つ均一な帯電化及び導電性被覆層の耐磨耗性や強度の点で好ましくない。本発明において、黒鉛化粒子の平均円形度SF−1は下記(1)式
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (1)
[式中、MLは粒子投影像のピタゴラス法最大長を表し、Aは粒子像の投影面積を表す。]
で計算された値の平均値を意味する。
【0040】
本発明において、上述した平均円形度SF−1を求めるための具体的な手法としては、光学系により拡大された黒鉛化粒子投影像を画像解析装置に取り込み、個々の粒子についての円形度の値を算出し、これらを平均することにより求められる。尚、本発明においては、平均値として信頼性が得られ、また、樹脂被覆層への特性に与える影響が大きい円相当径2μm以上の粒子範囲に限定して円形度を測定している。また、これらの値の信頼性を得るために測定粒子数は3,000個程度以上、好ましくは5,000個以上を測定する。
【0041】
このように多数の黒鉛化粒子の円形度の解析を効率的に行うことが可能な具体的な測定装置としては、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)がある。マルチイメージアナライザーは、電気抵抗法による粒度分布測定装置に、CCDカメラにより粒子像を撮影する機能と撮影された粒子像を画像解析する機能を組み合わせたものである。詳細には、電解質溶液中に超音波等により均一に分散した測定粒子を、電気抵抗法による粒度分布測定装置であるマルチサイザーのアパーチャーを粒子が通過する際の電気抵抗変化で検知し、これに同期してストロボを発光してCCDカメラで粒子像を撮影する。この粒子像をパソコンに取り込み、2値化後、画像解析するものである。
【0042】
本発明に使用される黒鉛化粒子としては、個数平均粒径が0.5〜25μm、好ましくは1μm〜20μmである。黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果と帯電性能を高める効果が少なく、現像剤への迅速且つ均一な帯電が不十分となると共に、被覆層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化や画像濃度低下を生じ易くなるために好ましくない。
【0043】
一方、個数平均粒径が25μmを越える場合には、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまうと共に、被覆層の機械的強度が低下してしまうために好ましくない。
【0044】
本発明で使用する黒鉛化粒子を得る方法としては、以下に示すような方法が好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。本発明に使用される特に好ましい黒鉛化粒子を得る方法としては、原材料としてメソカーボンマイクロビーズやバルクメソフェーズピッチ粒子等の光学的に異方性で、しかも単一の相からなる粒子を用いて黒鉛化することが、該黒鉛化粒子の黒鉛化度を高め且つ球状の形状を保持させるために好ましい。
【0045】
上記の原材料の光学的異方性は、芳香族分子の積層から生じるものであり、その秩序性が黒鉛化処理で更に発達し、高度の黒鉛化度を有する黒鉛化粒子が得られる。前記のバルクメソフェーズピッチ粒子を用いる場合は、加熱下で軟化溶融するものを用いることが球状で黒鉛化度の高い黒鉛化粒子を得るために好ましい。
【0046】
前記のバルクメソフェーズピッチ粒子の代表的なものは、例えば、コールタールピッチ等から溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行うことによって得られるメソフェーズピッチ粒子である。また、前記重質化処理後、メソフェーズピッチを微粉砕し、次いでベンゼン又はトルエン等により溶剤可溶分を除去することで得られるメソフェーズピッチ粒子である。このバルクメソフェーズピッチ粒子はキノリン可溶分が95質量%以上であることが好ましい。95質量%未満のものを用いると、粒子内部が液相炭化しにくく、固相炭化するために粒子が破砕状のままとなり、球状のものが得られない。
【0047】
次に前記のメソフェーズピッチ粒子を用いて黒鉛化する方法としては、まず、前記のバルクメソフェーズピッチを2〜25μmに微粉砕して、これを空気中で約200℃〜350℃で熱処理することにより、軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチ粒子は表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化熱処理時の溶融や融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチ粒子は酸素含有量が5〜15質量%であることが好ましい。酸素含有量が5質量%未満であると熱処理時の粒子同士の融着が激しいので好ましくなく、一方、酸素含有量が15質量%を超えると粒子内部まで酸化されてしまい、形状が破砕状のまま黒鉛化し、球状のものが得られにくい。
【0048】
次に上記の酸化処理したバルクメソフェーズピッチ粒子を窒素やアルゴン等の不活性雰囲気下にて、約800〜1,200℃で一次焼成することにより炭化し、続いて約2,000〜3,500℃で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0049】
また、黒鉛化粒子を得るためのもう一つの好ましい原材料であるメソカーボンマイクロビーズを得る方法として代表的なものは、例えば、石炭系重質油又は石油系重質油を300〜500℃の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズを生成し、反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離等の処理に供することにより、メソカーボンマイクロビーズを分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄し、更に乾燥することによって得られる。
【0050】
前記のメソカーボンマイクロビーズを用いて黒鉛化する方法としては、まず、乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズを破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
【0051】
この一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズは、不活性雰囲気下において200〜1,500℃の温度で一次加熱処理され、炭化される。一次加熱処理を終えた炭化物は、やはり炭化物を破壊させない程度の温和な力で炭化物を機械的に分散させることが、黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。二次分散処理を終えた炭化物は、不活性雰囲気下において約2,000〜3,500℃で二次加熱処理することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0052】
また、前記のいずれの原材料から得られた黒鉛化粒子は、いずれの製法にかかわらず、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。また、いずれの原材料を用いた黒鉛化粒子の生成方法においても、黒鉛化粒子の焼成温度は2,000〜3,500℃が好ましく、2,300〜3,200℃がより好ましい。
【0053】
焼成温度が2,000℃未満の場合は、黒鉛化粒子の黒鉛化度が不十分であり、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化し易くなり、更に弾性ブレードを使用した場合にブレード傷が発生する場合があり、画像にスジや濃度ムラ等が発生し易くなる。焼成温度が3,500℃を超える場合は黒鉛化粒子の黒鉛化度が高すぎてしまう場合があり、そのため黒鉛化粒子の硬度が下がり、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下し易い。
【0054】
本発明で用いられる鱗片状または針状黒鉛粒子としては、結晶性グラファイトが好ましく用いられる。結晶性グラファイトは、大別すれば天然黒鉛と人造黒鉛に分けられるが、天然黒鉛は、永い間の天然の地熱と地下の高圧によって完全に黒鉛化したものが地中より産出するものである。人造黒鉛は、例えば、ピッチコークスをタールピッチ等により固めて1,000〜1,300℃位で一度焼成・炭化させてから種々のピッチに含浸させて黒鉛化炉に入れ、2,500〜3,000℃位の高温で処理することで、炭素の結晶を成長させ黒鉛に変化させたものである。これら黒鉛を、粉砕・分級することで所望の粒径の黒鉛粒子が得られる。これらの黒鉛の結晶構造は六方晶とその他に菱面晶系に属するものがあり、完全な層状構造を有しているため、これら黒鉛粒子の形状は燐片状または針状となる。
【0055】
結晶性グラファイトからなる鱗片状または針状黒鉛粒子を被覆層中に添加する目的としては、主に、被覆層に導電性及びその潤滑性を与えることで、チャージアップやスリーブゴースト及びトナー融着を軽減させることである。これらの粒子自体は、柔らかくせん断され易いため耐磨耗性に劣る点はあるが、本発明においてはそれを補うために、前述した黒鉛化度PA(002)が0.20≦PA(002)≦0.95である黒鉛化粒子を併用する。
鱗片状または針状黒鉛粒子の黒鉛化度PB(002)は、PB(002)≦0.35であることが好ましい。黒鉛化度PB(002)が0.35を超えると、その潤滑性及び導電性が低下する傾向にあるので、トナーのチャージアップや、耐久における被覆層へのトナー融着が発生し易くなり、スリーブゴースト、カブリ及び画像濃度等の画質が悪化し易くなる。
【0056】
本発明に用られる鱗片状又は針状黒鉛粒子は潤滑性を有するが、これとは別に潤滑性粒子を更に添加してもよい。この潤滑性粒子としては、例えば、二硫化モリブデン、窒化硼素、雲母、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらの潤滑性粒子は、個数平均粒径が好ましくは0.2〜20μm程度、より好ましくは1〜15μmのものを使用する。潤滑性粒子の個数平均粒径が0.2μm未満の場合には、潤滑性が十分に得られ難く好ましくなく、個数平均粒径が20μmを越える場合には樹脂被覆層の耐摩耗性の点で好ましくない。
【0057】
本発明の現像剤担持体を構成する樹脂被覆層の結着樹脂材料としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱或いは光硬化性樹脂等を使用することができる。なかでもシリコン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、或いはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等のような機械的性質に優れたものがより好ましい。
【0058】
本発明において、現像剤担持体の樹脂被覆層は、その体積抵抗は、105Ω・cm以下、より好ましくは104〜10-2Ω・cmを有する導電性被覆層である。樹脂被覆層の体積抵抗が105Ω・cmを越える場合には、トナーのチャージアップが発生し易くなり、樹脂被覆層へのトナー汚染を引き起こし易い。本発明においては、樹脂被覆層の体積抵抗を上記の値に調整するため、樹脂被覆層中に前記の黒鉛化粒子と併用して、他の導電性微粒子を分散含有させてもよい。
【0059】
この導電性微粒子としては、個数平均粒径が、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01〜0.8μmのものがよい。この樹脂被覆層中に黒鉛化粒子と併用して分散含有させる導電性微粒子の個数平均粒径が1μmを越える場合には、樹脂被覆層の体積抵抗を低く制御しづらくなり、トナーのチャージアップによるトナー汚染が発生し易くなる。
【0060】
本発明で使用することのできる導電性微粒子としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン及び酸化インジウム等の金属酸化物等;アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属、グラファイト、金属繊維、炭素繊維等の無機系充填剤等が挙げられる。
【0061】
本発明の現像剤担持体を構成する樹脂被覆層には、更に別の球状粒子を併用して分散させると、より本発明の効果が促進されるために好ましい。前記球状粒子は、現像剤担持体の樹脂被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に耐磨耗性を向上し、更に樹脂被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つトナー汚染やトナー融着を発生しにくくする効果がある。本発明に使用される球状粒子としては、個数平均径が1〜30μm、好ましくは2〜20μmである。
【0062】
球状粒子の個数平均粒径が1μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果と耐磨耗性を高める効果が少なく、現像剤への均一な帯電が不十分となると共に、樹脂被覆層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化や画像濃度低下を生じ易くなるために好ましくない。個数平均粒径が30μmを越える場合には、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまうと共に、被覆層の機械的強度が低下してしまうために好ましくない。
【0063】
また、本発明で使用する球状粒子の真密度は、3g/cm3以下、好ましくは2.7g/cm3以下、より好ましくは0.9〜2.3g/cm3である。即ち、球状粒子の真密度が3g/cm3を越える場合には、被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となるため、被覆層表面に均一な粗さを付与しにくくなり、トナーの均一な帯電化及び被覆層の強度が不十分となってしまい好ましくない。球状粒子の真密度が0.9g/cm3より小さい場合にも、被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となるために好ましくない。
【0064】
本発明において、導電性球状粒子における球状とは、粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度のものを意味しており、本発明において好ましくは、長径/短径の比が1.0〜1.2の粒子を使用する。
【0065】
球状粒子の長径/短径の比が1.5を越える場合には、樹脂被覆層中への球状粒子の分散性が低下すると共に、被覆層表面粗さの不均一化が発生し、トナーの均一な帯電化及び樹脂被覆層の強度の点で好ましくない。
【0066】
本発明に用いられる球状粒子は、公知の球状粒子が使用可能である。例えば、球状の樹脂粒子、球状の金属酸化物粒子、球状の炭素化物粒子等がある。球状の粒子としては、例えば、懸濁重合や分散重合法等による球状の樹脂粒子等が用いられる。球状の樹脂粒子は、より少ない添加量で好適な表面粗さが得られ、更に均一な表面形状が得られ易い。
【0067】
このような球状粒子としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子等が挙げられる。粉砕法により得られた樹脂粒子を熱的に或いは物理的な球形化処理を行ってから用いてもよい。
【0068】
上記球状粒子を、特に図3又は図4に示すような形態で用いる場合、これらの粒子の中では特に導電性の粒子を用いることが好ましい。即ち、粒子に導電性を持たせることによって、その導電性のゆえに粒子表面にチャージが蓄積しにくく、トナー付着の軽減やトナーの帯電付与性を向上させることができるからである。本発明において、粒子の導電性としては、体積抵抗値が106Ω・cm以下、より好ましくは10-3〜106Ω・cmの粒子である。
【0069】
このような粒子の体積抵抗が106Ω・cmを超えると、摩耗によって被覆層表面に露出した球状粒子を核としてトナーの汚染や融着を発生し易くなると共に、迅速且つ均一な帯電が行われにくくなる。更には粒子の真密度としては3,000kg/m3程度以下であることがより好ましい。導電性であっても、粒子の真密度が高すぎる場合、同じ粗さを形成するための添加量は増加してくることと、樹脂又は樹脂組成物と真密度差が大きくなるため、製造時の粒子の分散状態が非均一となり易く、従って形成された被覆層においても分散状態が不均一となり好ましくない。また、粒子が球状であると、圧接される現像剤規制部材等との接触面積が低減されるので、摩擦力によるスリーブ回転トルクの増加や、トナーの付着等を軽減することができるのでより好ましい。特に下記に示すような導電性の球状粒子を用いた場合には、より良い効果が得られる。
【0070】
即ち、特に好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、例えば、樹脂系球状粒子やメソカーボンマイクロビーズを焼成して炭素化及び/又は黒鉛化して得た低密度且つ良導電性の球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。そして、樹脂系球状粒子に用いられる樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。また、メソカーボンマイクロビーズは、通常、中ピッチを加熱焼成していく過程で生成する球状結晶を多量のタール、中油、キノリンの如き溶剤で洗浄することによって製造することができる。
【0071】
より好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルの如き球状樹脂粒子表面に、メカノケミカル法によってバルクメソフェーズピッチ粒子を被覆し、被覆された球状樹脂粒子を酸化性雰囲気下で熱処理した後に不活性雰囲気下又は真空下で焼成して炭素化及び/又は黒鉛化し、導電性球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。この方法で得る球状炭素粒子は、黒鉛化すると得られる球状炭素粒子の被覆部の結晶化が進んだものとなるので導電性が向上し、より好ましい。
【0072】
上記した方法で得られる導電性の球状炭素粒子は、いずれの方法でも、焼成条件を変化させることによって得られる球状炭素粒子の導電性を制御することが可能であり、本発明において好ましく使用される。また、上記の方法で得られる球状炭素粒子は、場合によっては、更に導電性を高めるために導電性球状粒子の真密度が大きくなりすぎない範囲で、導電性の金属及び/又は金属酸化物のメッキを施していてもよい。
【0073】
粗し粒子の個数平均粒径は5〜50μmであることが好ましい。粗し粒子の個数平均粒径が5μm以下の場合、樹脂被覆層に均一な凹凸を形成する効果が少なく樹脂被覆層の磨耗により搬送性の低下が起こり易いために好ましくない。個数平均粒径50μmを超える場合には、樹脂被覆層表面の凹凸が大きすぎるために、規制が不十分で現像剤の搬送が不均一となってスジ・濃度ムラ等が発生し易くなる。また、現像剤にかかる摺擦力が強くなり、耐久時の現像剤の劣化及び樹脂被覆層表面へのトナー汚染が発生し易くなると共に、樹脂被覆層の機械的強度も低下してしまうために好ましくない。
【0074】
本発明の現像剤担持体は、主として基体である金属円筒管及びそれを取り巻いて被覆する樹脂層とから構成される。金属円筒管は主として、ステンレススチール及びアルミニウムが好適に用いられる。
【0075】
次に、樹脂被覆層を構成する各成分の構成比について説明するが、これは本発明において特に好ましい範囲である。樹脂被覆層中に含有される黒鉛化粒子と鱗片状又は針状黒鉛粒子の比率としては質量比で、黒鉛化粒子/鱗片状又は針状黒鉛粒子=1/10〜10/1の範囲で好ましい結果を与える。質量比1/10未満の場合は、帯電付与性が低下する傾向があり、また、耐磨耗性が悪化する場合があるために好ましくない。質量比10/1を超えると、被膜の潤滑性が損なわれる場合があるため、長期間使用すると樹脂被覆層表面にトナーの汚染が発生し易くなる傾向がある。
【0076】
樹脂被覆層中に含有される黒鉛化粒子の含有量としては、鱗片状又は針状黒鉛粒子の含有量との兼ね合いとなるが、被覆樹脂100質量部に対して好ましくは2〜100質量部、より好ましくは2〜80質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。黒鉛化粒子の含有量が2質量部未満の場合には黒鉛化粒子の添加効果が小さく必要な凸部が形成されにくい。一方、100質量部を越える場合には黒鉛化粒子と樹脂被覆層の密着性が低くなり過ぎて耐磨耗性が悪化してしまう場合がある。
【0077】
樹脂被覆層中に含有される鱗片状又は針状黒鉛粒子の含有量としては、前述した黒鉛化粒子の含有量との兼ね合いとなるが、被覆樹脂100質量部に対して好ましくは2〜100質量部、より好ましくは2〜80質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。鱗片状又は針状黒鉛粒子の含有量が2質量部未満の場合には潤滑性効果が小さく、被覆層表面にトナー汚染が発生し易くなる傾向がある。また、100質量部を越える場合には鱗片状又は針状黒鉛粒子と樹脂被覆層の密着性が低くなり過ぎて耐磨耗性が悪化してしまう場合がある。
【0078】
樹脂被覆層中に粗し粒子を含有させる場合の含有量としては、被覆樹脂100質量部に対して好ましくは2〜120質量部、より好ましくは2〜80質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。粗し粒子の含有量が2質量部未満の場合には粗し粒子の添加効果が小さく必要な凸部が形成されにくい、120質量部を越える場合には粗し粒子と樹脂被覆層の密着性が低くなり過ぎて耐磨耗性が悪化してしまう場合がある。
【0079】
樹脂被覆層中に潤滑性粒子を含有させる場合の含有量としては、被覆樹脂100質量部に対して好ましくは5〜120質量部、より好ましくは10〜100質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。潤滑性粒子の含有量が120質量部を越える場合には、被膜強度の低下が認められ、5質量部未満では長期間使用した場合等、樹脂被覆層表面にトナーの汚染が発生し易くなる傾向がある。
【0080】
樹脂被覆層中に導電性微粒子を含有させる場合の含有量としては、被覆樹脂100質量部に対して、好ましくは40質量部以下、より好ましくは2〜35質量部の範囲で使用すると特に好ましい結果が得られる。即ち、導電性微粒子の含有量が40質量部を越える場合には、被膜強度の低下が認められるので好ましくない。
【0081】
前記各粒子の結着材溶液中への分散には一般的に公知の分散装置、例えば、ペイントシェーカー、サンドミル、アトライター、ダイノミル、パールミル等のビーズを用いた分散機が好ましく用いられる。現像剤担持体への樹脂被覆層の形成方法としては、導電性支持体をスプレーガンの移動方向に平行に垂直に立てて、導電性支持体を回転させつつ、導電性支持体とスプレーガンのノズル先端との距離を一定に保ちスプレーガンを一定速度で上昇させながら上記材料を分散した塗料を用いてエアスプレー法により塗料を基体に塗布することで得られる。一般にエアスプレー法では塗料を安定して微粒子液滴化させることにより分散の良好な被覆層を得ることができる。これを高温乾燥機にて150℃/30分乾燥硬化させることにより樹脂被覆層を表面に有する現像剤担持体を得ることができる。
【0082】
本発明において、現像剤担持体の樹脂被覆層の体積抵抗は、104Ωcm以下、より好ましくは103〜10-2Ωcmである。被覆層の体積抵抗が104Ωcmを越える場合には、トナーのチャージアップが発生し易くなり、樹脂被覆層へのトナー汚染を引き起こし易い。樹脂被覆層の体積抵抗は100μmの厚さのPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に7〜20μmの厚さの被覆層を形成し、ローレスターAP(三菱油化社製)に4端子プローブを取付けて測定した。
【0083】
上記したような構成の樹脂被覆層の層厚は、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは4〜20μmであると均一な層厚を得るために好ましいが、特にこの層厚に限定されるものではない。これらの層厚は、基体の外径や樹脂被覆層に使用する材料にもよるが、付着重量として4,000〜20,000mg/m2程度にすれば得られる。
【0084】
次に、上記したような本発明の現像剤担持体が組み込まれている本発明の現像装置及びプロセスカートリッジについて説明する。図5は、本発明の現像剤担持体を有する一実施形態の現像装置の模式図である。
【0085】
図5において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する静電潜像保持体、例えば、電子写真感光ドラム1は、矢印B方向に回転する。現像剤担持体としての現像スリーブ8は、現像剤容器としてのホッパー3によって供給された磁性トナーを有する一成分系現像剤4を担持して矢印A方向に回転することによって、現像スリーブ8と感光ドラム1とが対向している現像領域Dに現像剤4を搬送する。
【0086】
図5に示すように、現像スリーブ8内には、現像剤4を現像スリーブ8上に磁気的に吸引し且つ保持するために磁石が内接されているマグネットローラー5が配置されている。本発明の現像装置で用いられる現像スリーブ8は、基体としての金属円筒管6上に被覆された導電性被覆層7を有する。ホッパー3中には、現像剤4を撹拌するための撹拌翼10が設けられている。12は現像スリーブ8とマグネットローラー5とが非接触状態にあることを示す間隙である。
【0087】
現像剤4は、磁性トナー相互間及び現像スリーブ8上の導電性被覆層7との摩擦によって、感光ドラム1上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図5の例では、現像領域Dに搬送される現像剤4の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としての強磁性金属製の磁性規制ブレード2が、現像スリーブ8の表面から約50〜500μmのギャップ幅をもって現像スリーブ8に臨むように、ホッパー3から垂下されている。マグネットローラー5の磁極N1からの磁力線が磁性規制ブレード2に集中することにより、現像スリーブ8上に現像剤4の薄層が形成される。
【0088】
本発明においては、この磁性規制ブレード2に代えて非磁性ブレードを使用することもできる。このようにして現像スリーブ8上に形成される現像剤4の薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
【0089】
本発明の現像剤担持体は、以上のような現像剤の薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち、非接触型現像装置に組み込むのが特に有効であるが、現像領域Dにおいて、現像剤層の厚みが現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、即ち、接触型現像装置にも本発明の現像剤担持体を適用することができる。説明の煩雑を避けるため、以下の説明では、上記したような非接触型現像装置を例に採って行う。
【0090】
現像スリーブ8に担持された磁性トナーを有する一成分系現像剤4を飛翔させるため、上記現像スリーブ8にはバイアス手段としての現像バイアス電源9により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときには、静電潜像の画像部(現像剤4が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との中間の値の電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。現像された画像の濃度を高め、或いは階調性を向上させるためには、現像スリーブ8に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部の電位と背景部の電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。
【0091】
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用する。高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。高電位及び低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤4は少なくとも現像スリーブ8との摩擦により帯電する。
【0092】
図6は、本発明の現像装置の他の実施形態を示す構成模式図であり、図7は、本発明の現像装置の更に他の実施形態を示す構成模式図である。図6及び図7に示した現像装置では、現像スリーブ8上の現像剤4の層厚を規制する現像剤層厚規制部材として、ウレタンゴムやシリコーンゴムの如きゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス鋼の如き金属弾性を有する材料の弾性板からなる弾性規制ブレード11を使用する。
【0093】
この弾性規制ブレード11を図6の現像装置では現像スリーブ8の回転方向と逆方向の向きで圧接させており、図7の現像装置では、この弾性規制ブレード11を現像スリーブ8の回転方向と順方向の向きで圧接させているのが特徴である。これらの現像装置では、現像スリーブ8に対して、現像剤層を介して現像剤層厚規制部材を弾性的に圧接することによって、現像スリーブ上に現像剤の薄層を形成することから、現像スリーブ8上に、上記した図5の例の場合よりも更に薄い現像剤層を形成することができる。
【0094】
図6及び図7の現像装置の他の基本的構成は、図5に示した現像装置と同じであり、同符号のものは、基本的には同一の部材であることを示す。図5〜図7はあくまでも本発明の現像装置を模式的に例示したものであり、現像剤容器(ホッパー3)の形状、撹拌翼10の有無、磁極の配置に様々な形態があることは言うまでもない。勿論、これらの装置では、現像剤として非磁性一成分現像剤を用いた場合、またトナーとキャリアを含む二成分系現像剤を用いる現像に使用することもできる。
【0095】
図8を参照しながら、図7で例示した本発明の現像装置を使用した画像形成装置の一例について説明する。先ず、一次帯電手段としての接触(ローラー)帯電手段29により静電潜像担持体としての感光ドラム1の表面を負極性に帯電し、レーザー光の露光25によるイメージスキャニングによりデジタル潜像が感光ドラム1上に形成される。次に、現像剤層厚規制部材としての規制ブレード11を有し、現像剤担持体としての現像スリーブ8が具備されている現像装置によって、上記のデジタル潜像が、現像容器としてのホッパー3内の磁性トナーを有する負帯電性一成分系現像剤4によって反転現像される。
【0096】
図4に示すように、現像領域Dにおいて感光ドラム1の導電性基体は接地されており、現像スリーブ8にはバイアス印加手段9により交互バイアス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。次に、被記録材Pが搬送されて転写部に来ると、転写手段としての接触(ローラー)転写手段23により被記録材Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段24で帯電されることにより、感光ドラム1の表面上に形成されている現像画像が接触転写手段23で被記録材P上へ転写される。次に、感光ドラム1から分離された被記録材Pは、定着手段としての加熱加圧ローラー定着器27に搬送され、該定着器27によって被記録材P上の現像画像の定着処理がなされる。
【0097】
転写工程後の感光ドラム1に残留する一成分系現像剤4は、クリーニングブレード28aを有するクリーニング手段28で除去される。残留する一成分系現像剤4が少ない場合には、クリーニング工程を省くことも可能である。クリーニング後の感光ドラム1は、必要によりイレース露光26により除電され、再度、一次帯電手段としての接触(ローラー)帯電手段29による帯電工程から始まる上記工程が繰り返される。
【0098】
上記の一連の工程において、感光ドラム(即ち、静電潜像担持体)1は感光層及び導電性基体を有するものであり、矢印方向に動く。現像スリーブ8は、現像領域Dにおいて感光ドラム1の表面と同方向に進むように回転する。ホッパー3内の一成分系現像剤4は、現像スリーブ8上に担持され、且つ現像スリーブ8の表面との摩擦及び/又はトナー同士の摩擦によって、例えば、マイナスのトリボ電荷が与えられる。
【0099】
更に、規制ブレード11により、現像剤層の厚さを薄く(30〜300μm)且つ均一に規制して、現像領域Dにおける感光ドラム1と現像スリーブ8との間隙よりも薄い現像剤層を形成させる。現像スリーブ8の回転速度を調整することによって、現像スリーブ8の表面速度が感光ドラム1の表面の速度と実質的に等速、若しくはそれに近い速度となるようにする。現像領域Dにおいて、現像スリーブ8に現像バイアス電圧として、交流バイアス又はパルスバイアスをバイアス印加手段9により印加してもよい。この交流バイアスはfが200〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであればよい。
【0100】
現像領域Dにおける現像剤の移転に際し、感光ドラム1の表面の静電気力、及び交流バイアス又はパルスバイアスの如き現像バイアス電圧の作用によって、現像剤は静電潜像側に移転する。また、一次帯電手段としては、以上の如く接触帯電手段として帯電ローラー29を用いて説明したが、帯電ブレード、帯電ブラシの如き接触帯電手段でもよく、更に非接触のコロナ帯電手段でもよい。しかしながら、帯電によるオゾンの発生が少ない点で接触帯電手段の方が好ましい。転写手段としては、以上の如く転写ローラー23の如き接触転写手段を用いて説明したが、非接触のコロナ転写手段でもよい。しかしながら、こちらも転写によるオゾンの発生が少ない点で接触転写手段の方が好ましい。
【0101】
図9に、本発明のプロセスカートリッジの一具体例を示す。以下のプロセスカートリッジの説明において、図8を用いて説明した画像形成装置の構成部材と同様の機能を有するものについては、図8と同じ符号を用いて説明する。本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも現像手段と静電潜像保持体とが一体的にカートリッジ化されたものであり、画像形成装置本体(例えば、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ装置)に着脱可能に構成されている。
【0102】
図9に示した実施形態では、現像手段120、ドラム状の静電潜像保持体(感光ドラム)101、クリーニングブレード118aを有するクリーニング手段118、一次帯電手段としての接触(ローラー)帯電手段119を一体としたプロセスカートリッジ150が例示される。本実施形態では、現像手段120は、現像スリーブ108と、弾性規制ブレード111と現像剤容器103内に磁性トナーを有する一成分系現像剤104とを有し、該現像剤104を用い、現像時にはバイアス印加手段からの現像バイアス電圧により感光ドラム101と現像スリーブ108との間に所定の電界が形成されて現像工程が実施される。この現像工程を好適に実施するためには、感光ドラム101と現像スリーブ108との間の距離が非常に大切である。
【0103】
上記では、現像手段120、静電潜像保持体101、クリーニング手段118及び一次帯電手段119の4つの構成要素を一体的にカートリッジ化した実施形態について説明したが、本発明においては、現像手段と静電潜像保持体との少なくも2つの構成要素が一体的にカートリッジ化されたものであればよく、現像手段、静電潜像保持体及びクリーニング手段の3つの構成要素、現像手段、静電潜像保持体及び一次帯電手段の3つの構成要素、或いは、その他の構成要素を加えて一体的にカートリッジ化することも可能である。
【0104】
次に、本発明の現像装置で用いられるトナーについて説明する。トナーは主として樹脂、離型剤、荷電制御剤、着色剤等を溶融混練し、固化した後粉砕し、しかる後分級等をして粒度分布をそろえた微粉体である。トナーに用いられる結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。
【0105】
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックス等が単独或は混合して使用できる。
【0106】
また、トナー中には顔料を含有することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ランプ黒、スーダンブラックSM、ファースト・イエローG、ベンジジン・イエロー、ピグメント・イエロー、インドファースト・オレンジ、イルガジン・レッド、パラニトロアニリン・レッド、トルイジン・レッド、カーミンFB、パーマネント・ボルドーFRR、ピグメント・オレンジR、リソール・レッド2G、レーキ・レッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチル・バイオレッドBレーキ、フタロシアニン・ブルー、ピグメント・ブルー、ブリリアント・グリーンB、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、ザボン・ファーストイエローCGG、カヤセットY963、カヤセットYG、ザボン・ファーストオレンジRR、オイル・スカーレット、オラゾール・ブラウンB、ザボン・ファーストスカーレットCG、オイルピンクOP等が適用できる。
【0107】
トナーを磁性トナーとして用いるために、トナーの中に磁性粉を含有せしめてもよい。このような磁性粉としては、磁場の中におかれて磁化される物質が用いられ、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末、又はマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の合金や化合物がある。この磁性粉の含有量はトナー質量に対して15〜70質量%が良い。
【0108】
トナーに、定着時の離型性向上、定着性向上の目的で、ワックス類を含有させることができる。そのようなワックス類としては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプッシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体等で、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタム等も利用できる。
【0109】
必要に応じて、トナーに荷電制御剤を含有させてもよい。荷電制御剤には、負荷電制御剤、正荷電制御剤がある。例えば、トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。
【0110】
また、トナーを正帯電させるための物質としては下記のようなものがある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物等がある。
【0111】
トナーは必要に応じて、流動性改善等の目的で無機微粉末の如き粉末を外添して用いられる。このような微粉末としては、シリカ微粉末、アルミナ、チタニア、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化物;及び窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム等の窒化物等の無機微粉体が用いられる。
【0112】
これらの微粉体は、有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤等で有機処理して用いることが可能である。例えば、有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。
【0113】
また、未処理の微粉体を窒素含有のシランカップリング剤で処理したものを用いてもよい。特にポジトナーの場合好ましい。そのような処理剤の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール等がある。
【0114】
上記シランカップリング剤により無機微粉体を処理する方法としては、例えば、1)スプレー法、2)有機溶媒法、3)水溶液法等がある。一般に、スプレー法による処理とは、ピグメントを撹拌しここにカップリング剤の水溶液或いは溶媒液をスプレーし、この後水或いは溶媒を120〜130℃程度で除去乾燥する方法である。また、有機溶媒法による処理とは、少量の水と共に加水分解用触媒を含む有機溶媒(アルコール、ベンゼン、ハロゲン化炭化水素等)にカップリング剤を溶解し、これにピグメントを浸積した後、濾過或は圧搾により固液分離を行い120〜130℃程度で乾燥させるものである。水溶液法とは0.5%程度のカップリング剤を、一定pHの水或いは水−溶媒中で加水分解させ、ここにピグメントを浸積し後、同様に固液分離を行い乾燥するものである。
【0115】
他の有機処理としてシリコーンオイルで処理された微粉体を用いることも可能である。好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度がおよそ0.5〜10,000mm2/sec、好ましくは1〜1,000mm2/secのものが用いられ、例えば、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルフェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0116】
また、側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイルを用いてもよい。特にポジトナーの場合は好ましい。シリコーンオイルによる処理は、例えば、次のようにして行ない得る。必要に応じて加熱しながら顔料を激しく撹乱しており、これに上記シリコーンオイル或いはその溶液をスプレー若しくは気化して吹き付けるか、又は顔料をスラリー状にしておき、これを撹拌しつつシリコーンオイル或いはその溶液を滴下することによって容易に処理できる。これらのシリコーンオイルは1種或いは2種以上の混合物或いは併用や多重処理して用いられる。また、シランカップリング剤による処理と併用しても構わない。
【0117】
このようなトナーは、種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。そのような方法としては、攪拌羽根又はブレード等、及びライナー又はケーシング等を有する装置で、例えば、トナーをブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したりトナーを球形化したりする方法、温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等がある。
【0118】
また、球状のトナーを作る方法としては、水中にトナー結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナー化する方法がある。一般的な方法としては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、離形剤、その他の添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層、例えば、水相中に適当な攪拌機を用いて適度な粒径に分散し、更に重合反応を行わせ、所望の粒径を有する現像剤を得る方法である。
【0119】
トナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることもできる。キャリア材料としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルトといった磁性体金属、及びそれらの合金、或いは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト及びリチウム系フェライト等のソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライトといった鉄系酸化物、及びそれらの混合物、更には、ガラス、炭化ケイ素等のセラミックス粒子、樹脂粉体、磁性体を含有する樹脂粉体等をあげることができ、通常は平均粒径が20〜300μm程度の粒状物として用いる。
【0120】
このようなキャリアは上記に挙げた粒状物を直接キャリア粒子として用いてもよいが、トナーの摩擦帯電電荷を調整したりキャリアへのトナースペントを防止したりするために、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂等のコート剤により適宜粒子表面に樹脂コートを施して用いることもできる。
【0121】
以下に本発明に関わる物性の測定方法について述べる。
(1)黒鉛化粒子の黒鉛化度P(002)
黒鉛化度P(002)は、マックサイエンス社製の強力型全自動X線回折装置“MXP18”システムにより、黒鉛のX線回折スペクトルから得られる格子間隔d(002)を測定することで、d(002)=3.440−0.086(1−P2)で求めた。
【0122】
尚、格子間隔d(002)は、CuKαをX線源とし、CuKβ線はニッケルフィルターにより除去している。標準物質に高純度シリコンを使用し、C(002)及びSi(111)回折パターンのピーク位置から算出した。主な測定条件は以下のとおりである。
【0123】
X線発生装置:18kw
ゴニオメータ:横型ゴニオメータ
モノクロメータ:使用
管電圧:30.0kV
管電流:10.0mA
測定法:連続法
スキャン軸:2θ/θ
サンプリング間隔:0.020deg
スキャン速度:6.000deg/min
発散スリット:0.50deg
散乱スリット:0.50deg
受光スリット:0.30mm
【0124】
(2)粒子の平均円形度SF−1
多数の粒子の円形度の解析を効率的に行うことが可能な具体的な測定装置として、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定を行った。マルチイメージアナライザーは、電気抵抗法による粒度分布測定装置に、CCDカメラにより粒子像を撮影する機能と撮影された粒子像を画像解析する機能を組み合わせたものである。
【0125】
詳細には、電解質溶液中に超音波等により均一に分散した測定粒子を、電気抵抗法による粒度分布測定装置であるマルチサイザーのアパーチャーを粒子が通過する際の電気抵抗変化で検知し、これに同期してストロボを発光してCCDカメラで粒子像を撮影する。この粒子像をパソコンに取り込み、2値化後、画像解析するものである。
【0126】
上記の装置により、粒子投影像のピタゴラス法最大長ML、投影面積Aを求め、2μm以上の30,00個の粒子についての円形度の値を下記式(1)から算出し、これらを平均することにより平均円形度SF−1を求めた。
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (1)
【0127】
(3)トナー及び樹脂粒子の粒径測定
電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、前述したコールターカウンターマルチサイザーにより17μm又は100μm等の適宜トナーサイズに合わせたアパチャーを用いて体積を基準として0.3〜40μmの粒度分布等を測定するものとする。
【0128】
この条件で測定した個数平均粒径、重量平均粒径をコンピュータ処理により求め、更に個数基準の粒度分布より個数平均粒径の1/2倍径累積分布以下の累積割合を計算し、1/2倍径累積分布以下の累積値を求める。同様に体積基準の粒度分布より重量平均粒径の2倍径累積分布以上の累積割合を計算し、2倍径累積分布以上の累積値を求める。
【0129】
(4)現像剤担持体表面の中心線平均粗さ(Ra)の測定
JIS B0601の表面粗さに基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE−3300にて、軸方向3点×周方向2点=6点について各々測定し、その平均値をとった。
【0130】
(5)樹脂被覆層の体積抵抗の測定
100μmの厚さのPETシート上に7〜20μmの厚さの被覆層を形成し、ASTM規格(D−991−82)及び、日本ゴム協会標準規格SRIS(2301−1969)に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積抵抗測定用の4端子構造の電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所製)を使用して測定した。尚、測定環境は20〜25℃、50〜60RH%とする。
【0131】
(6)1μm以上の導電性粒子の粒径測定
黒鉛化粒子等の導電性粒子の粒径はレーザー回折型粒度分布計のコールターLS−130型粒度分布計(コールター社製)を用いて測定する。測定方法としては、水系モジュールを用い、測定溶媒としては純水を使用する。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行する。
【0132】
次に純水10ml中に界面活性剤3〜4滴を加え、更に測定試料を5〜25mg加える。試料を懸濁した水溶液は超音波分散機で約1 ̄3分間分散処理を行ない試料液を得て、前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、個数分布から算術した個数平均粒径を求める。
【0133】
(7)1μm未満の導電性微粒子の粒径測定
電子顕微鏡を用いて、導電性微粒子の粒径を測定する。撮影倍率は6万倍とするが、難しい場合は低倍率で撮影した後に6万倍となるように写真を拡大プリントする。写真上で1次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とする。
【0134】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。尚、以下の配合における比率は質量比である。
[トナー製造例1]
四つ口フラスコ内にキシレン300部を投入し、攪拌しながら容器内を十分に窒素で置換した後、昇温して還流させ、この還流下でスチレン68.8部、アクリル酸n−ブチル22部、マレイン酸モノブチル9.2部、及びジ−tert−ブチルパーオキサイド1.8部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持して重合を完了し、脱溶剤して重合体L1を得た。この重合体L1のGPC測定を行ったところ、ピーク分子量15,000であった。
【0135】
次に、四つ口フラスコ内に脱気水180部とポリビニルアルコールの2%水溶液20部を投入した後、スチレン74.9部、アクリル酸n−ブチル20部、マレイン酸モノブチル5.0部、及び2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン0.2部の混合液を加え、攪拌し懸濁液とした。フラスコ内を十分に窒素で置換した後、90℃まで昇温して重合を開始した。24時間同温度に保持して重合を完了し、重合体H1を得た。その後重合体H1を濾別し、乾燥した後、GPC測定を行ったところ、ピーク分子量800,000であった。重合体L1と重合体H1を70:30の質量比でキシレン溶液中で混合して、結着樹脂1を得た。
【0136】
上記結着樹脂1を100部、磁性酸化鉄(平均粒子径:0.20μm、795.8kA/m磁場での特性Hc:9.2kA/m、σs:82Am2/kg、σr:11.5Am2/kg)を90部、モノアゾ金属錯体(負荷電制御剤)を3部、パラフィンワックス(融点75℃、針入度(25℃)6.5mm、GPCにより測定された数平均分子量(ポリエチレン換算)390)を3部と、ポリプロピレンワックス(融点143℃、針入度(25℃)0.5mm、GPCにより測定された数平均分子量(ポリエチレン換算)1010)を3部、予め均一に混合し、これを130℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて粗粉砕して、トナー製造用粉体原料である粉体原料A(粗粉砕物)を得た。
【0137】
粉体原料Aを図10に示す装置システムで粉砕及び分級を行った。機械式粉砕機301には、ターボ工業(株)製ターボミルT−250型を用い、図11に示す回転子314と固定子310の間隔を1.5mmとし、回転子314の周速を130m/sで運転した。
【0138】
本実施例では、テーブル式の第1定量供給機315にて粗粉砕物からなる粉体原料を、40kg/hの割合で機械式粉砕機301に供給し、粉砕した。機械式粉砕機301で粉砕された粉体原料は、排気ファン224からの吸引エアーに同伴されながらサイクロン229にて補集され、第2定量供給機へと導入される。尚、この時に機械式粉砕機301で粉砕されて得られた微粉砕品は、重量平均径が6.6μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が40.3個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を2.9体積%含有するシャープな粒度分布を有していた。
【0139】
次に、上記の機械式粉砕機301で粉砕されて得られた微粉砕品を、気流式分級機にて粗粉体及び微粉体を除去し分級品(中粉体)を得た。この分級品100部に対して、疎水性シリカ微粉体(BET 120m2/g)1.0部をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて外添添加して評価用トナーE−1とした。
【0140】
<実施例1>
下記に示す方法によって現像スリーブを作成した。先ず、下記に示す配合比にて現像スリーブ表面に設ける樹脂被覆層の塗工液の作成を行なった。
・レゾール型フェノール樹脂
(50%メタノール溶液) 400質量部
・黒鉛化粒子 A−1 40質量部
・グラファイト B−1 40質量部
・導電性カーボンブラック 20質量部
・導電性球状粒子 C−1 15質量部
・イソプロピルアルコール 280質量部
【0141】
黒鉛化粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて3,000℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径3.84μmの黒鉛化粒子A−1を使用した。黒鉛化粒子A−1の物性を表1に示す。鱗片状若しくは針状黒鉛に関しては、表2に示すようなグラファイトB−1を使用した。
【0142】
球状粒子として、個数平均粒径7.8μmの球状フェノール樹脂粒子100部にライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて個数平均粒径2μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14部を均一に被覆し、空気中下280℃で熱安定化処理した後に窒素雰囲気下2,000℃で焼成することにより黒鉛化し、更に分級して得られた個数平均径11.7μmの球状導電性炭素粒子(球状粒子C−1)を用いた。この球状粒子C−1の真密度は1.48g/cm3、体積抵抗は8.5×10-2Ω・cm、球状粒子の長径/短径の比は1.07であった。
【0143】
上記材料を、ガラスビーズを用いてサンドミルにて分散した。分散方法としては、レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有)をイソプロピルアルコールの一部で希釈する。導電性カーボンブラック、黒鉛化粒子A−1、グラファイトB−1を添加し、直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として用いたサンドミルにて分散した。ここに、更に残りのイソプロピルアルコール中に分散した上記導電性球状粒子C−1を添加し、更にサンドミル分散を進めて塗工液を得た。
【0144】
上記塗工液を用いてスプレー法により外径20mmφのアルミニウム製円筒管上に導電性被覆層を形成させ、続いて熱風乾燥炉により150℃、30分間加熱して導電性被覆層を硬化させて現像剤担持体D−1を作製した。この現像剤担持体D−1の導電性被覆層の物性を表3に示す。
D−1の現像剤担持体の評価にあたっては、市販のレーザービームプリンターLaser Jet HP9000(ヒューレットパッカード社製)を用い、現像剤に関しては上記一成分系現像剤E−1を用いて評価を行なった。
【0145】
[評価]
下記に挙げる評価項目について耐久試験を行い、実施例及び比較例の現像剤担持体の評価を行った。表4に、低温低湿下における画像濃度の耐久性、耐久カブリ、耐久ゴースト、耐磨耗性、耐汚染性の評価結果を示した。表5に、常温常湿下における画像濃度の耐久性、耐久ゴースト、耐磨耗性、耐汚染性の評価結果を示した。また、表6に、高温高湿下における画像濃度の耐久性、文字シャープ性の耐久性、耐久ゴーストの評価、耐磨耗性、耐汚染性の評価及び結果を示した。
【0146】
耐久環境としては、低温/低湿(L/L)下、常温/常湿(N/N)下、及び高温/高湿(H/H)下の3つの耐久環境について行った。具体的には、低温/低湿(L/L)下を15℃/10%RHの環境下とし、常温/常湿(N/N)下を24℃/55%RHの環境下とし、高温/高湿(H/H)下を32.5℃/85%RHとした。
【0147】
<評価方法>
(1)画像濃度
画像濃度は、反射濃度計RD918(マクベス社製)を使用し、ベタ印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。
(2)ゴースト
ベタ白とベタ黒部が隣り合う画像を画像先端部(スリーブ回転1周目)で現像し、2周目以下のハーフトーン上に現れるベタ白跡とベタ黒跡の濃度差を主として目視で比較し、画像濃度測定の参考にした。評価結果は、下記の指標で表示した。
【0148】
A:濃淡差が全く見られない。
B:見る角度によって僅かな濃淡差が確認できる程度。
C:目視では濃淡差が確認できるが、画像濃度差は0.01以内である。
D:エッジがはっきりしない程度の濃淡差が確認できるが、実用上はOKレベル。
E:濃淡差がややはっきりし、実用レベル下限。
F:濃淡差がはっきり確認でき、画像濃度差として確認できる。実用レベルに劣る。
G:濃淡差がかなり大きく、反射濃度計での濃度差が0.05以上ある。
【0149】
(3)カブリ
ベタ白画像の反射率を測定し、更に未使用の転写紙の反射率を測定し、これらの値の差である(ベタ白画像の反射率の最悪−未使用転写紙の反射率の最高値)の値をカブリ濃度とし、その数値でカブリの程度を示した。カブリ濃度に対するカブリの目安は、下記のようであった。但し、反射率の測定は、ランダムに10回の測定を行った。反射率はTC−6DS(東京電気職製)で測定した。
【0150】
1.5以下:殆どわからない。
1.5〜2.5:注意深く見ないとわからない。
2.5〜3.5:次第にカブリが認識できるようになる。
4.0:実用レベル下限で一見してカブリが確認できる。
5.0以上:かなり悪い。
【0151】
(4)文字シャープ性
高温高湿環境下(32.5℃、85%)で画出した転写紙上の文字を約30倍に拡大し、以下の評価基準に従って評価を行った。
A:ラインが非常にシャープで飛び散りは殆ど無い。
B:僅かに飛び散っている程度でラインは比較的シャープ。
C:飛び散りがやや多くラインがぼんやりした感じになる。
D:Cのレベルに満たない。
【0152】
(5)被膜層の耐磨耗性
耐久前後で現像剤担持体表面の算術平均粗さ(Ra)を測定した。
(6)被覆層の耐汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をSEMで観察し、トナー汚染の程度を下記の基準で評価した。
A:軽微な汚染が観察される。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
【0153】
<実施例2>
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の添加量を40部から10部に、グラファイトB−1の添加量を40部から70部に変更する以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体D−2を作製した。この現像剤担持体D−2の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−2の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0154】
<実施例3>
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の添加量を40部から70部に、グラファイトB−1の添加量を40部から10部に変更する以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体D−3を作製した。この現像剤担持体D−3の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−3の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0155】
<実施例4>
黒鉛化粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて3,200℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径3.65μmの黒鉛化粒子A−2を使用した。黒鉛化粒子A−2の物性を表1に示す。
【0156】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−2を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体D−4を作製した。この現像剤担持体D−4の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−4の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0157】
<実施例5>
黒鉛化粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて2,300℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径3.55μmの黒鉛化粒子A−3を使用した。黒鉛化粒子A−3の物性を表1に示す。
【0158】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−3を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体D−5を作製した。この現像剤担持体D−5の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−5の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0159】
<実施例6>
黒鉛化粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて2,000℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径3.71μmのA−4を使用した。黒鉛化粒子A−4の物性を表1に示す。
【0160】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−4を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体D−6を作製した。この現像剤担持体D−6の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−6の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0161】
<実施例7>
黒鉛化粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて3,000℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径9.62μmのA−5を使用した。黒鉛化粒子A−5の物性を表1に示す。
【0162】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−5を使用し、導電性球状粒子C−1を20部入れる代わりに10部入れた以外は実施例1と同様にして現像剤担持体D−7を作製した。この現像剤担持体D−7の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−7の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0163】
<実施例8>
黒鉛化粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて2,300℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径21.5μmのA−6を使用した。黒鉛化粒子A−6の物性を表1に示す。
【0164】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−6を使用し、導電性球状粒子C−1を添加しなかった以外は実施例1と同様にして現像剤担持体D−8を作製した。この現像剤担持体D−8の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−8の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0165】
<実施例9>
黒鉛化粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて2300℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径1.72μmのA−7を使用した。黒鉛化粒子A−7の物性を表1に示す。
【0166】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−7を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体D−9を作製した。この現像剤担持体D−9の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−9の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0167】
<実施例10>
黒鉛化粒子として、石炭系重質油を熱処理することで得られたメソカーボンマイクロビーズを、洗浄・乾燥した後、アトマイザーミルで機械的に分散を行い、窒素雰囲気下において1,200℃で一次加熱処理を行い炭化させた。次いで、マトマイザーミルで二次分散を行った後窒素雰囲気下において2,800℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径4.81μmのA−8を使用した。黒鉛化粒子A−8の物性を表1に示す。
【0168】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−8を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体D−10を作製した。この現像剤担持体D−10の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−10の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0169】
<実施例11>
黒鉛化粒子として、石炭系重質油を熱処理することで得られたメソカーボンマイクロビーズを、洗浄・乾燥した後、アトマイザーミルで機械的に分散を行い、窒素雰囲気下において1,200℃で一次加熱処理を行い炭化させた。次いで、マトマイザーミルで二次分散を行った後窒素雰囲気下において2,300℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径4.92μmのA−9を使用した。黒鉛化粒子A−9の物性を表1に示す。
【0170】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−9を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体D−11を作製した。この現像剤担持体D−11の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−11の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0171】
<実施例12>
実施例1の塗工液に用いたグラファイトB−1の代わりに個数平均径4.12μmのグラファイトB−2に変更する以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体D−12を作製した。この現像剤担持体D−12の導電性被覆層の物性を表2に示す。D−12の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0172】
<実施例13>
実施例12の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−2を使用した以外は実施例12と同様にして現像剤担持体D−13を作製した。この現像剤担持体D−13の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−13の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0173】
<実施例14>
実施例12の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−4を使用した以外は実施例12と同様にして現像剤担持体D−14を作製した。この現像剤担持体D−14の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−14の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0174】
<比較例1>
黒鉛化粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて1,500℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径3.91μmのA−10を使用した。黒鉛化粒子A−10の物性を表1に示す。
【0175】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−10を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体d−1を作製した。この現像剤担持体d−1の導電性被覆層の物性を表3に示す。d−1の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0176】
<比較例2>
黒鉛化粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて3,500℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径3.85μmのA−11を使用した。黒鉛化粒子A−11の物性を表1に示す。
【0177】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−11を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体d−2を作製した。この現像剤担持体d−2の導電性被覆層の物性を表3に示す。d−2の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0178】
<比較例3>
黒鉛化粒子として、石炭系重質油を熱処理することで得られたメソカーボンマイクロビーズを、洗浄・乾燥した後、アトマイザーミルで機械的に分散を行い、窒素雰囲気下において1,200℃で一次加熱処理を行い炭化させた。次いで、マトマイザーミルで二次分散を行った後窒素雰囲気下において3,200℃で熱処理し、更に分級して得られた個数平均径4.85μmのA−12を使用した。黒鉛化粒子A−12の物性を表1に示す。
【0179】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−12を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体d−3を作製した。この現像剤担持体d−3の導電性被覆層の物性を表3に示す。d−3の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0180】
<比較例4>
黒鉛化粒子として、個数平均粒径6.40μmの球状フェノール樹脂粒子を窒素雰囲気下において2,200℃で焼成することで黒鉛化し、更に分級して得られた個数平均径5.30μmのA−13を使用した。黒鉛化粒子A−13の物性を表1に示す。
【0181】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−13を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体d−4を作製した。この現像剤担持体d−4の導電性被覆層の物性を表3に示す。d−4の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0182】
<比較例5>
黒鉛化粒子として、コークス及びタールピッチを2,600℃程度で焼成することで黒鉛化し、更に分級して得られた個数平均径5.52μmのA−14を使用した。黒鉛化粒子A−14の物性を表1に示す。
【0183】
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−14を使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体d−5を作製した。この現像剤担持体d−5の導電性被覆層の物性を表3に示す。d−5の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0184】
<比較例6>
実施例1の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1を用いずに、グラファイトB−1を80質量部使用した以外は実施例1と同様にして現像剤担持体d−6を作製した。この現像剤担持体d−6の導電性被覆層の物性を表2に示す。d−6の現像剤担持体を使用して、実施例1と同様に一成分系現像剤E−1を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0185】
[トナー製造例2]
トナーとしては、下記のものを用いた。
・スチレン−アクリル系樹脂 100質量部
・マグネタイト 85質量部
・正帯電制御剤(トリフェニルメタン化合物)
2質量部
・炭化水素系ワックス 3質量部
【0186】
上記材料をヘンシェルミキサーにより混合し、二軸式のエクストルーダーにより溶融混練分散を行った。混練物を冷却後、ジェット気流を用いた粉砕機により微粉砕を行い、更に気流式分級機を用いて分級を行い、重量平均粒径7.5μm、4μm以下の粒子の個数割合が20.0%、10.1μm以上の粒子の質量割合が12.0%の分布を有する分級品を得た。次に疎水性コロイダルシリカを、上記分級品100質量部に対し、1.0質量部ヘンシェルミキサーを用いて外添混合し、一成分現像剤としての磁性トナーE−2とした。
【0187】
<実施例15>
・レゾール型フェノール樹脂
(50%メタノール溶液) 400質量部
・黒鉛化粒子 A−1 40質量部
・グラファイト B−1 40質量部
・導電性カーボンブラック 20質量部
・導電性球状粒子 C−2 20質量部
・イソプロピルアルコール 200質量部
【0188】
球状粒子として、個数平均粒径5.5μmの球状フェノール樹脂粒子100質量部にライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて個数平均粒径1.5μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14質量部を均一に被覆し、空気中下280℃で熱安定化処理した後に窒素雰囲気下2,000℃で焼成することにより黒鉛化し、更に分級して得られた個数平均径5.0μmの球状導電性炭素粒子(球状粒子C−2)を用いた。この球状粒子C−2の真密度は1.50g/cm3、体積抵抗は7.5×10-2Ω・cm、球状粒子の長径/短径の比は1.07であった。
【0189】
上記材料を、ガラスビーズを用いてサンドミルにて分散した。分散方法としては、レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有)をイソプロピルアルコールの一部で希釈する。導電性カーボンブラック、黒鉛化粒子A−1、グラファイトB−1を添加し、直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として用いたサンドミルにて分散した。ここに、更に残りのイソプロピルアルコール中に分散した上記導電性球状粒子C−2を添加し、更にサンドミル分散を進めて塗工液を得た。
【0190】
アルミニウム円筒管を研削加工し、外径32mmφ、表面粗さRa=0.2μm、振れ5〜10μm程度とし、これに片側に現像スリーブ用フランジを取り付けたワークを用意した。回転台にワークを立て、スリーブ端部をマスキングしながら回転させ、上記塗工液をスプレーガンにて、一定速度で下降させながらワークにスプレー塗布した。これを通風式乾燥機にて150℃、30分間、乾燥硬化させ樹脂表面層を形成させ、現像剤担持体D−15を得た。
【0191】
この現像スリーブにマグネットを装着してステンレス製フランジを嵌合した。評価機は、キヤノン社製複写機GP605を70枚機に改造したものを用いた。
磁性トナーE−2を補給しながら、20万枚までの連続耐久を行い、評価を行った。評価としては、総合的な画像評価及び被覆層の耐久性を判断基準とした。環境は、24℃/10%の常温低湿(N/L)環境、24℃/55%の常温常湿(N/N)環境、30℃/80%の高温高湿(H/H)環境にて行った。結果を表7に示す。画像及び耐久性共に良好な結果が得られた。
【0192】
[評価]
(1)画像濃度
複写機においては、画像比率5.5%のテストチャート上の5mmφ黒丸のコピー画像濃度を、反射濃度計RD918(マクベス製)により反射濃度測定を行い、5点の平均値をとって画像濃度とした。
【0193】
(2)カブリ
現像適性条件におけるベタ白画像の反射率を測定し、更に未使用の転写紙の反射率を測定し、(ベタ白画像の反射率の最悪値−未使用転写紙の反射率の最高値)をカブリ濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。ここで、測定値を目視で判断した場合、1.5以下は目視では殆ど確認できないレベル、2.0〜3.0程度はよく見ると確認できるレベル、4.0を超えると一見してカブリが確認できるレベルである。
【0194】
(3)ブロッチ(画像不良)
ベタ黒、ハーフトーン、ライン画像等の各種画像及び、その際、現像スリーブ上の波状ムラ、及びブロッチ(斑点状ムラ)等、スリーブ上でのトナーコート不良の目視による観察を参考にして、評価結果を下記の指標で示した。
【0195】
A:ブロッチが全くみられない。
B:HT画像に軽微なブロッチがみられる。
C:HT画像にブロッチがややみられるが、実用レベル下限。
D:ベタ黒画像にもブロッチがみられ、実用不可レベル。
E:ベタ黒画像にも顕著なブロッチがみられる。
【0196】
(4)スリーブゴースト
画像耐久中にベタ白を流した後、画像チャートのスリーブ一周分の白上にベタ黒の太文字や象形画像を置き、残り部分をハーフトーンとした画像チャートを用い、ハーフトーン上に太文字や象形画像のゴーストがどの程度発生するかで評価した。
【0197】
A:濃淡差が全くみられない。
B:軽微な濃淡差がみられる。
C:濃淡差がややみられるが、実用レベル下限。
D:濃淡差がみられ、実用不可レベル。
E:顕著な濃淡差がみられる。
【0198】
(5)トナーによるスリーブ汚染及び融着(耐汚染及び耐融着)
各環境下で画出し評価した後、現像スリーブを取り外し、電界放射型−走査型顕微鏡(FE−SEM)によりスリーブ上を観察し、評価結果を下記の指標で示した。
【0199】
A:汚染及び融着が全くみられない。
B:軽微な汚染及び融着がみられる。
C:汚染及び融着がややみられるが、実用レベル下限。
D:汚染及び融着がみられ、実用不可レベル。
E:顕著な汚染及び融着がみられる。
(6)被膜層の耐磨耗性
耐久前後で現像剤担持体表面の算術平均粗さ(Ra)を測定した。
【0200】
<実施例16>
実施例15の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−2を使用した以外は実施例15と同様にして現像剤担持体D−16を作製した。この現像剤担持体D−16の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−16の現像剤担持体を使用して、実施例15と同様に一成分系現像剤E−2を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0201】
<実施例17>
実施例15の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−3を使用した以外は実施例15と同様にして現像剤担持体D−17を作製した。この現像剤担持体D−17の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−17の現像剤担持体を使用して、実施例15と同様に一成分系現像剤E−2を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0202】
<実施例18>
実施例15の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−4を使用した以外は実施例15と同様にして現像剤担持体D−18を作製した。この現像剤担持体D−18の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−18の現像剤担持体を使用して、実施例15と同様に一成分系現像剤E−2を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0203】
<実施例19>
実施例15の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−9を使用した以外は実施例15と同様にして現像剤担持体D−19を作製した。この現像剤担持体D−19の導電性被覆層の物性を表3に示す。D−19の現像剤担持体を使用して、実施例15と同様に一成分系現像剤E−2を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0204】
<比較例7>
実施例15の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−10を使用した以外は実施例15と同様にして現像剤担持体d−7を作製した。この現像剤担持体d−7の導電性被覆層の物性を表3に示す。d−7の現像剤担持体を使用して、実施例15と同様に一成分系現像剤E−2を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0205】
<比較例8>
実施例15の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−11を使用した以外は実施例15と同様にして現像剤担持体d−8を作製した。この現像剤担持体d−8の導電性被覆層の物性を表3に示す。d−8の現像剤担持体を使用して、実施例15と同様に一成分系現像剤E−2を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0206】
<比較例9>
実施例15の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1の代わりにA−12を使用した以外は実施例15と同様にして現像剤担持体d−9を作製した。この現像剤担持体d−9の導電性被覆層の物性を表3に示す。d−9の現像剤担持体を使用して、実施例15と同様に一成分系現像剤E−2を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0207】
<比較例10>
実施例15の塗工液に用いた黒鉛化粒子A−1を用いずに、グラファイトB−1を80質量部使用した以外は実施例15と同様にして現像剤担持体d−10を作製した。この現像剤担持体d−10の導電性被覆層の物性を表3に示す。d−10の現像剤担持体を使用して、実施例15と同様に一成分系現像剤E−2を供給しながら、耐久評価テストを行った。
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
【0223】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、長期間にわたる連続複写においても、現像剤担持体表面の粗さが一定且つ均一に保つことができ、良好な画像が得られる現像剤担持体を有する現像装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【0224】
更に、本発明によれば、現像剤担持体上の現像剤に高くて均一な帯電を付与できると共に、現像剤への過剰帯電を防止し、且つ現像剤の帯電を安定に保持させることが可能であり、それらの結果から生じる画像濃度低下・カブリ・飛び散り等が起こりにくい現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【0225】
また、本発明によれば、異なる環境条件下においても、濃度低下、画像濃度ムラ、スリーブゴースト及びカブリの如き問題点が発生せず、均一で濃度ムラが無く、画像濃度が高い高品位の画像を安定して得ることのできる現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【0226】
更に、本発明によれば、粒径の小さいトナーや球形のトナーを用いた場合に現われる、現像剤担持体表面へのトナー付着が軽減でき、トナーの不均一な帯電を制御すると共にトナーに十分な帯電を与えることのできる現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の現像剤担持体表層の構成の一例を示す模式図。
【図2】 本発明の現像剤担持体表層の構成の一例を示す模式図。
【図3】 本発明の現像剤担持体表層の構成の一例を示す模式図。
【図4】 本発明の現像剤担持体表層の構成の一例を示す模式図。
【図5】 本発明に用いられる現像装置の構成例を示す模式図。
【図6】 本発明に用いられる現像装置の構成例を示す模式図。
【図7】 本発明に用いられる現像装置の構成例を示す模式図。
【図8】 本発明に用いられる画像形成装置の構成例を示す模式図。
【図9】 本発明に用いられるプロセスカートリッジの構成例を示す模式図。
【図10】 トナーの製造方法を実施するための装置システムの一具体例を示す概略図。
【図11】 トナーの粉砕工程において使用される一例の機械式粉砕機の概略断面図。
【符号の説明】
1:電子写真感光ドラム
2:現像剤層厚規制部材
3:ホッパー(トナー容器)
4:現像剤
5:マグネットローラー
6:金属製円筒管
7:樹脂被覆層
8:現像スリーブ
9:電源
10:トナー攪拌翼
11:現像剤層厚規制部材
12:間隙
23:転写手段
24:転写電圧印加手段
25:露光
26:イレース露光
27:加熱加圧ローラ定着器
28:クリーニング手段
28a:クリーニングブレード
29:接触(ローラ)帯電手段
51:黒鉛化粒子
52:鱗片状又は針状黒鉛
53:導電性微粒子
54:樹脂被覆層
55:球状粒子
56:円筒状基体
101:多分割分級機
102:第2定量供給機
103:振動フィーダー
104、105、106:補集サイクロン
111a、112a、113a:排出導管
114、115:入気管
116:原料供給ノズル
120:第1気体導入調節手段
121:第2気体導入調節手段
128、129:静圧計
135:インジェクションフィーダー
212:渦巻室
219:パイプ
220:ディストリビュータ
222:バグフィルター
224:排気ファン
229:補集サイクロン
301:機械式粉砕機
302:粉体排出口
310:固定子
311:粉体投入口
312:回転軸
313:ケーシング
314:回転子
315:第1定量供給機
316:ジャケット
317:冷却水供給口
318:冷却水排出口
320:後室
321:冷風発生手段
Claims (24)
- 潜像担持体上に形成された潜像を現像剤担持体により担持搬送された磁性トナーを含む磁性一成分系現像剤により現像し、可視像化する現像装置に用いられる現像剤担持体において、
該現像剤担持体は、少なくとも基体及び基体表面に形成された導電性被覆層を有してなり、
該導電性被覆層は、結着樹脂、該結着樹脂中に分散された黒鉛化度PA(002)が0.20≦PA(002)≦0.95である黒鉛化粒子、及び黒鉛化度PB(002)がPB(002)≦0.35である鱗片状又は針状黒鉛を少なくとも含有している樹脂被覆層であり、
該黒鉛化粒子は、メソカーボンマイクロビーズまたはバルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られたものであって、
該黒鉛化粒子の黒鉛化度PA(002)と該鱗片状又は針状の黒鉛の黒鉛化度PB(002)との関係が、PB(002)≦PA(002)を満たし、
樹脂被覆層中の該黒鉛化粒子の含有量が、該結着樹脂100質量部に対して2〜100質量部であり、該鱗片状又は針状の黒鉛の含有量が、該結着樹脂100質量部に対して2〜100質量部であって、且つ、該樹脂被覆層中に含有される該黒鉛化粒子と該鱗片状又は針状の黒鉛の比率(黒鉛化粒子/鱗片状又は針状黒鉛)が質量比で1/10〜10/1である
ことを特徴とする現像剤担持体。 - 前記黒鉛化粒子の黒鉛化度PA(002)が、0.25≦PA(002)≦0.75である請求項1に記載の現像剤担持体。
- 前記黒鉛化粒子は、下記式(1)で計算された値の平均値である平均円形度SF−1が0.64以上である請求項1又は2に記載の現像剤担持体。
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (1)
[式中、MLは粒子投影像のピタゴラス法最大長を表し、Aは粒子像の投影面積を表す。] - 前記黒鉛化粒子の個数平均粒径が、0.5〜25μmである請求項1〜3の何れか1項に記載の現像剤担持体。
- 前記導電性被覆層が、導電性微粒子を更に含有している請求項1〜4の何れか1項に記載の現像剤担持体。
- 前記導電性被覆層が、潤滑性粒子を更に含有している請求項1〜5の何れか1項に記載の現像剤担持体。
- 前記導電性被覆層が、該導電性被覆層に凹凸を付与する目的で球状粒子を更に含有している請求項1〜6の何れか1項に記載の現像剤担持体。
- 前記導電性被覆層が、10-2〜105Ω・cmの体積抵抗を有している請求項1〜7の何れか1項に記載の現像剤担持体。
- 前記導電性被覆層が、0.3〜3.5の中心線平均粗さRa(μm)を有している請求項1〜8の何れか1項に記載の現像剤担持体。
- 現像剤容器内に収容された現像剤を現像剤担持体上に担持し、現像剤層厚規制部材により該現像剤担持体上に現像剤の薄層を形成しながら、潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像剤により現像し可視像化する現像装置において、該現像剤が、磁性トナーを含む磁性一成分系現像剤であって、該現像剤担持体が、請求項1〜9の何れか1項に記載された現像剤担持体であることを特徴とする現像装置。
- 前記現像装置が、前記現像剤担持体上に前記現像剤の層を形成するための現像剤層厚規制部材を更に有している請求項10に記載の現像装置。
- 前記現像剤層厚規制部材が、磁性規制ブレードである請求項11に記載の現像装置。
- 前記現像剤層厚規制部材が、前記現像剤担持体に前記現像剤を介して弾性的に圧接されている請求項11に記載の現像装置。
- 前記現像剤層厚規制部材が、弾性規制部材である請求項13に記載の現像装置。
- 前記現像装置が、前記現像領域で振動電界を形成するための手段を有する電源を更に有している請求項10〜14の何れか1項に記載の現像装置。
- 前記電源が、前記現像剤担持体に交番バイアス電圧を印加するためのものである請求項15に記載の現像装置。
- 前記現像剤担持体の表面に形成する前記現像剤の層厚が、前記現像領域を形成するための静電潜像保持体と該現像剤担持体との間の最小間隙よりも薄い請求項10〜14の何れか1項に記載の現像装置。
- 前記現像装置が、前記現像領域で振動電界を形成するための手段を有する電源を更に有しており、前記現像剤担持体の表面に形成する前記現像剤の層厚が、該現像領域を形成するための静電潜像保持体と該現像剤担持体との間の最小間隙よりも薄い請求項10〜14の何れか1項に記載の現像装置。
- 画像形成装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジにおいて、該プロセスカートリッジが、(i)静電潜像を保持するための静電潜像保持体、及び(ii)該静電潜像を現像領域で現像剤によって現像し、現像画像を形成するための現像手段を少なくとも一体的に有しており、該現像手段は、磁性一成分系現像剤を収容する現像剤容器、及び該現像剤容器内に収容されている現像剤を担持し、且つ該現像剤を現像領域へ搬送するための現像剤担持体を有しており、該現像剤担持体は、請求項1〜9の何れか1項に記載の現像剤担持体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 前記静電潜像保持体が、電子写真感光体である請求項19に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記プロセスカートリッジが、前記現像剤担持体上に現像剤の層を形成するための現像剤層厚規制部材を更に有している請求項19又は20に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記現像剤層厚規制部材が、磁性規制ブレードである請求項21に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記現像剤層厚規制部材が、前記現像剤担持体に前記現像剤を介して弾性的に圧接されている請求項21に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記現像剤層厚規制部材が、弾性規制部材である請求項23に記載のプロセスカートリッジ。
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