次に、本発明について更に詳細に説明する。
前述のように、結着樹脂中に結晶性グラファイトが分散された導電性樹脂被覆層をスリーブ上に設けた現像剤担持体は、実用化され、複写機やレーザープリンター等の製品に用いられている。樹脂被覆層は結晶性グラファイトの作用により表面に凹凸が形成される。しかしながら、結晶性グラファイトはそれ自身へき開性を有するため、脆く、現像剤や層厚規制ブレードから受ける力により磨耗し、それと同時に表面粗さも低下する。従って、樹脂層の導電性は維持されるが、表面粗さの低下により現像剤の搬送量が低下してしまうため、トナーがチャージアップを起こしやすくなり、得られる画像においてスリーブゴースト、カブリ、濃度低下が発生しやすくなる。したがって、複写機やレーザープリンターに用いられるプロセスカートリッジの使用ボリュームの増加に対応するため、上記技術を改良し、より現像剤搬送量を維持できることが求められてきた。これに対し、結晶性グラファイト以外に球状粒子を添加することにより凹凸を形成し、現像剤の搬送性を維持可能としたものである。特に、導電性球状粒子は、例えば、樹脂で形成されている非導電性の球状粒子においては、樹脂被覆層の磨耗により球状粒子が表面に露出した場合、非絶縁性の粒子は現像剤の摩擦帯電性に影響を与え易いため、耐久により現像剤の摩擦帯電電荷(トリボ)に影響を与えやすくなるのに対して、導電性球状粒子は摩擦帯電電荷(トリボ)に影響を与へにくいので優位であると言える。
しかしながら、これら球状粒子で表面凹凸を形成する系においても、さらに高寿命を要求された場合に必ずしも満足するとは言えず、耐久により磨耗は進行する傾向がある。すなわち、図1に模式的に示されるように、表面の凹凸を形成する粒子同士間には、樹脂層が存在し、樹脂層の部分で磨耗が進行していく。このような状況では、球状粒子が存在し、球状粒子間の樹脂被覆層が磨耗するために結果として表面粗さは増大し、現像剤搬送量が増加する傾向となり、トナーの摩擦帯電量が低下する傾向になり、反転カブリ、濃度薄、現像スリーブネガゴーストが発生しやすくなる。また、部分的に樹脂被覆層の削れ量が異なってくるため、スジ画像、斑点画像のようなムラの多い画像になりやすい。さらに磨耗が進行した場合、下地の現像スリーブ基体が露出してくるため、その部分トナーが過剰帯電となりブロッチが発生しやすくなる。従って、表面の凹凸を形成する粒子(粗し粒子)の間の樹脂被覆層も補強されることが要求される。
粒径の粗いシリカによる粗し粒子の粒子間に5〜100nmという微粒子のシリカを分散した被覆層が提案されているが、本発明者らが検討した結果によれば、シリカの微粒子では樹脂被覆層の補強効果は得られないことがわかった。理由としては必ずしも明確ではないが、トナー粒子がこのような微粒子に対しはるかに大きく、トナーによる力によって微粒子が樹脂層と同時に磨耗してしまうからと推察される。実験的には、現像剤担持体に担持される現像剤粒子の粒径が大きいほど補強粒子の粒径が大きい必要があることが検討の結果判明している。通常トナーとしては重量平均粒径が約4〜約15μmのものが用いられるが、実験結果から2μm以上の粒径の粒子を樹脂被覆層の補強用の粒子として用いることが好ましいことが判明した。
一方、粗し粒子に補強性のある高硬度の粒子4を用いた場合には、前述のように層厚規制ブレードを傷つけることもあり好ましいとは言えない。粗し粒子3としては、少なくともその表面が炭素質で形成されている粗し粒子を用いることが好ましい。表面が炭素質の粒子は潤滑性が高く導電性を示すため、層厚規制ブレードを傷つけにくく、トナー9の融着もおこりにくい。また表面に露出した場合にも導電性を損ねることもなく、トナーの摩擦帯電を低下させることもない。
図2には本発明の好ましい様態の一例を模式図として示している。図2においては、1は現像剤担持体の基体を、2は導電性樹脂被覆層を示している。さらに樹脂被覆層中には表面が炭素質の粗し粒子3およびこの粗し粒子3より平均粒径が小さい補強用の高硬度粒子4が分散されている。さらに好ましくは、ここには表示されない導電剤としての導電性微粒子6又は/及び潤滑性(導電性を有していても、導電剤として用いられても良い)の微粒子6が分散されている。補強用の高硬度粒子4としては硬めのものが用いられるが、硬さの目安としてはモース硬度6以上が好ましい。さらに補強用の高硬度粒子4は前述のように樹脂層2に含有されることで現像剤の摩擦帯電性に影響を与える。非導電性の粒子を用いた場合、トナー9の摩擦帯電性への影響があることから、導電性無機粒子が高硬度粒子4として選択される。二成分現像装置用の現像剤担持体の樹脂被覆層としてモース硬度6以上の粒子を用いることが提案されているが、トナーを摩擦帯電させるキヤリアを有する二成分系現像剤と異なり、一成分系現像剤においては、トナーの摩擦帯電を適正且つ安定化させるために現像剤担持体の樹脂被覆層の材料選択が要求される。
さらに本発明のより好ましい様態として、次のような点が挙げられる。すなわち、このような導電性の補強粒子はトナーの摩擦帯電に極端に影響を与えることはないが、一般的にはトナーの摩擦帯電を誘発しにくいので、トナーの現像剤担持体上でのトリボは粒子添加により減少する傾向にある。特に、樹脂層強化にため、量的に多目に添加される場合においてはトナーのトリボの値は減少する。従って、樹脂被覆層の補強によって低下したトナートリボを補償する必要が生じてくる。そのような補償形態のひとつは、荷電制御剤7を樹脂層中に高硬度粒子4としての導電性無機粒子に加え更に添加して用いる方法であり、荷電制御性樹脂を荷電制御剤の如く結着樹脂に添加して用いても良い。他のひとつの方法としてはトナーに摩擦帯電を付与しやすい絶縁性無機粒子8を導電性無機粒子とともに樹脂層中に更に添加し、導電性無機粒子と絶縁性無機粒子を併用することである。この絶縁性無機粒子もモース硬度が6以上であることで耐磨耗性に寄与させることができ、さらに導電性無機粒子との添加量を調整することでトナーのトリボを調整するともできる。モース硬度とは旧モース硬度を示し、滑石を1、石膏を2、方解石を3、蛍石を4、燐灰石を5、正長石を6、水晶を7、黄玉を8、鋼玉を9、ダイヤモンドを10とし、それら標準となる鉱物と試料を相互に引き合わせ、傷のつく方が軟らかく、硬度が小であるとする定性的な方法により決められた値である。また更に、前記の理由から絶縁性無機粒子は粗し粒子3よりも平均粒径は小さいことが好ましく、さらに平均粒径が2μm以上であることが耐磨耗性に関してはより好ましい。この形態の模式図を図3、図4に示す。また必要に応じて荷電制御剤と絶縁性無機粒子を併用して用いることも可能である。
次に、本発明の現像剤担持体の構成についてより詳しく説明する。
本発明の現像剤担持体は、基体1および樹脂被覆層2を有している。
現像剤担持体の基体1としては、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等があるが、感光ドラムに非接触の現像方法においては、金属のような剛体の円筒管もしくは中実棒が好ましく用いられる。このような基体はアルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の非磁性の金属または合金を円筒状あるいは円柱状に成型し、研磨、研削等を施したものが好適に用いられる。これらの基体1は画像の均一性を良くするために、高精度に成型あるいは加工されて用いられる。例えば長手方向の真直度は30μm以下もしくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下が好ましい。さらに、垂直面に対し均一なスペーサーを介して突き当て、現像スリーブを回転させた場合に、垂直面と現像スリーブとの間隙の振れも30μm以下もしくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であることが好ましい。材料コストや加工のしやすさから基体1はアルミニウムが好ましく用いられる。
また、弾性層を有する基体1としては、芯材と、ウレタン、EPDM、シリコン等のゴムやエラストマーを含む層構成を有する円筒部材が、特にドラムに現像剤担持体を直接接触させる現像方法の場合好ましく用いられる。
本発明の現像剤担持体を構成する導電性被覆層2の結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱あるいは光硬化性樹脂等が挙げられる。なかでもシリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、或いはポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような機械的性質に優れたものが好ましく用いられる。更に、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂は、現像剤に摩擦帯電を付与させるという観点から見ても好ましい。
本発明において、上記した形成材料によって現像剤担持体上に形成される被覆層は、チャージアップによる現像剤の現像剤担持体上への固着や、現像剤のチャージアップに伴って生じる現像剤担持体の表面から現像剤への摩擦帯電付与不良を防ぐためには、樹脂被覆層の体積抵抗値としては、104Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは103Ω・cm以下であるのが良い。現像剤担持体表面の導電性被覆層の体積抵抗値が104Ω・cmを超えると現像剤への摩擦帯電付与不良が発生し易く、その結果、ブロッチ(斑点画像や波模様画像)や画像濃度低下が発生し易い。
本発明において、樹脂被膜層の抵抗値を、上記の値に調整するためには、下記に挙げる導電性物質を被覆層中に含有させることが好ましい。この際に使用される導電性物質としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属粉体の微粉末、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウムの如き導電性金属酸化物、各種カーボンファイバー、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、グラファイトの如き炭素物、金属繊維が挙げられる。
本発明においては、これらのうち、カーボンブラック、特に導電性のアモルファスカーボンは、電気伝導性に優れ、高分子材料に充填して導電性を付与し、その添加量をコントロールするだけで、任意の導電度を得ることができるため好適に用いられる。また塗料にした場合のチキソ性効果により分散安定性・塗工安定性も良好となりうるのでアモルファスカーボンは好ましい。
また、本発明においてカーボンブラックの添加量は、カーボンブラックの粒径によっても異なるが、結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部の範囲とすることが好ましい。1質量部未満では被覆層の抵抗値を所望のレベルに下げることは、通常困難であり、また、現像剤担持体被覆層に用いられる結着樹脂に対するトナー付着が発生する可能性が高い。100質量部超であると、樹脂被覆層2の強度(摩耗性)が低下する傾向にある。
更に、本発明においては、現像剤担持体表面への現像剤の付着をより軽減化するため、樹脂被覆層2中に固体潤滑材を混合させることもできる。この際に使用し得る固体潤滑材としては、例えば、二硫化モリブデン、窒化硼素、グラファイト、フッ化グラファイト、銀−セレンニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石が挙げられる。中でも二硫化モリブデン、グラファイト、窒化硼素がより好ましく用いられる。また、本発明で使用することのできるこれらの固体潤滑材の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部の範囲とすることが好ましい。1質量部未満では被覆層の結着樹脂表面に対する現像剤の付着性の改善効果は少なく、100質量部超となると、特にサブミクロンオーダーの粒径を有する微粉体が多く含まれる材料を用いた場合、被覆層の強度(摩耗性)が低下する傾向にある。これらの潤滑性粒子は、個数平均粒径が好ましくは0.2〜20μmであるもの、より好ましくは1〜15μmのものを使用するのが良い。潤滑性粒子の個数平均粒径が0.2μm未満の場合には、潤滑性が十分に得られ難く好ましくなく、個数平均粒径が20μmを超える場合には、導電性被覆層表面の形状への影響が大きく表面性が不均一となりやすく、トナーの摩擦帯電が不均一となりやすい。また、本発明において、樹脂被覆層の構成の特徴から潤滑性粒子の個数平均粒径は粗し粒子3の個数平均粒径より小さいことが好ましい。潤滑性粒子は特に球状ではないことから球状の粗し粒子3に比較すると樹脂被覆層の表面粗さに与える影響は、同じ粒径で比較した場合は小さいが、0.2μmより大きく、粗し粒子の個数平均粒径より小さいことが好ましい。粗し粒子の個数平均粒径より大きい場合には、初期における表面粗さに潤滑性粒子の影響が大きくなってしまうことから、潤滑性粒子自身の削れ・脱落により耐久による表面粗さ変化(現像剤の搬送量変化)に影響を与える可能性が高い。
本発明における導電性の樹脂被覆層2に凹凸を与える粒子としては、少なくともその表面が炭素質である粒子が用いられる。表面を炭素質とすることで、導電性および潤滑性を有し、チャージアップ防止、トナー付着・融着防止、現像スリーブによるトルクアップ防止、層厚規制ブレードのキズ防止などに効果を発揮する。
本発明に使用される表面が炭素質の粒子としては、個数平均粒径が3〜30μm、好ましくは3μm〜20μmである。前述のように、無機粒子添加による耐磨耗効果は、その個数平均粒径が2μm以上である必要があり、またその無機粒子添加による悪影響を抑制するためには、炭素粒子の平均粒径は無機粒子の平均粒径よりも大きいことが好ましい。特に炭素粒子の個数平均粒径が3μm以上の場合の方が表面に均一な粗さを付与する効果があるため、現像剤のコート量を安定化させやすく、現像剤への迅速且つ均一な帯電に対し有利であり、トナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生しにくく、ゴーストが発生しにくく、画像濃度低下を生じ難くなるため好ましい。また個数平均粒径が3μm以上の炭素粒子は樹脂被覆層2の磨耗を抑える効果を与える。一方、個数平均粒径が30μmを超える場合、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの摩擦帯電が不均一かつ不十分となりやすく、被覆層の膜厚が低い場合、粒子の脱落の可能性が高く、被覆層の機械的強度の低下が起こりやすい。
表面が炭素質の粒子としては、例えば次のような方法で得られる炭素粒子がある。フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルの如き球状樹脂粒子表面に、メカノケミカル法によってバルクメソフェーズピッチを被覆し、被覆された粒子を酸化性雰囲気化で熱処理した後に不活性雰囲気下または真空下で焼成して炭素化した及び/又は黒鉛化した導電性の球状炭素粒子が挙げられる。この方法で得る導電性の球状炭素粒子は、黒鉛化すると得られる球状炭素粒子の被覆部の結晶化が進んだものとなるので導電性、潤滑性がより向上し好ましい。上記した方法で得られる導電性の球状炭素粒子は、焼成条件を変化させることによって、得られる球状炭素粒子の導電性を制御することが可能であり、本発明において好ましく使用される。
また例えば次のような、黒鉛化度PA(002)が0.20≦PA(002)≦0.95を満足する黒鉛化粒子も好ましく用いることができる。黒鉛化度P(002)とは、FranklinのP値といわれるもので、黒鉛のX線回折図から得られる格子間隔d(002)を測定することで、d(002)=3.440−0.086(1−P2)で求められる。このP値は、炭素の六方網目平面積み重なりのうち、無秩序な部分の割合を示すもので、P値が小さいほど黒鉛化度は大きい。
前記黒鉛化粒子は、特開平02−105181号公報や特開平03−036570号公報に記載の人造黒鉛、或いは天然黒鉛からなる結晶性のグラファイトとは、黒鉛化粒子の原材料及び製造工程が異なる。そのため黒鉛化粒子は従来用いていた結晶性グラファイトより黒鉛化度は若干低いものの、従来に用いられていた結晶性グラファイトと同様に高い導電性や潤滑性を有しており、更に粒子の形状が従来に用いられていた結晶性グラファイトの燐片状或いは針状とは異なり、概略球状でしかも粒子自身の硬度が比較的高いのが特徴である。
本発明で使用する黒鉛化粒子の黒鉛化度PA(002)は、0.20≦PA(002)≦0.95であることが好ましく、0.25≦PA(002)≦0.75であることがより好ましい。PA(002)が0.95を超えない場合の方が、導電性や潤滑性が低下によるトナーのチャージアップの発生を抑制し、スリーブゴーストの発生、カブリの発生、画像濃度の低下を抑制する。更に弾性ブレードを使用した場合に、ブレード傷の発生を抑がえられるため、画像にスジや濃度ムラが発生しにくくなる。一方、PA(002)が0.20以上の場合の方が、黒鉛化粒子の耐磨耗性が良好であり、被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性への効果を得やすい。
黒鉛化粒子を得る方法としては、以下に示すような方法が好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。原材料としてメソカーボンマイクロビーズやバルクメソフェーズピッチ等の光学的に異方性で、しかも単一の相からなる粒子を用いて黒鉛化することが、該黒鉛化粒子の黒鉛化度を高め且つ球状の形状を保持させるために好ましい。上記の原材料の光学的異方性は、芳香族分子の積層から生じるものであり、その秩序性が黒鉛化処理で更に発達し、高度の黒鉛化度を有する黒鉛化粒子が得られる。バルクメソフェーズピッチを用いる場合は、加熱下で軟化溶融するものを用いることが球状で黒鉛化度の高い黒鉛化粒子を得るために好ましい。バルクメソフェーズピッチを得る方法として代表的なものは、例えば、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加及び重質化処理を行うことによって得られるメソフェーズピッチである。また、重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼン又はトルエンにより溶剤可溶分を除去することで得られるメソフェーズピッチである。このバルクメソフェーズピッチはキノリン可溶分が95質量%以上であることが好ましい。95質量%以上のものの方が、粒子内部が液相炭化しにやすく、固相炭化しにくいために粒子が破砕状のままとなりにくく、球状のものを得られやすい。またメソフェーズピッチを用いて黒鉛化する方法としては、バルクメソフェーズピッチを2〜25μmに微粉砕して、これを空気中で約200℃〜350℃で熱処理することにより、軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチは表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化熱処理時の溶融や融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチは酸素含有量が5〜15質量%であることが好ましい。酸素含有量が5質量%以上である方が熱処理時の粒子同士の融着が起こり難く好ましい、一方、酸素含有量が15質量%以下の方が粒子内部まで酸化されてることが少なく、形状が破砕状のまま黒鉛化しにくく、球状のものが得られやすい。
次に、酸化処理したバルクメソフェーズピッチを窒素やアルゴンの如き不活性雰囲気下にて、約800〜1,200℃で一次焼成することにより炭化し、続いて約2,000〜3,500℃で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。また、黒鉛化粒子を得るためのもう一つの好ましい原材料であるメソカーボンマイクロビーズを得る方法としては、例えば、石炭系重質油又は石油系重質油を300〜500℃の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズを生成し、反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離等の処理に供することにより、メソカーボンマイクロビーズを分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き溶剤で洗浄し、更に乾燥することによって得られる。メソカーボンマイクロビーズを用いて黒鉛化する方法としては、乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズを破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。この一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズは、不活性雰囲気下において200〜1,500℃の温度で一次加熱処理され炭化される。一次加熱処理を終えた炭化物は、炭化物を破壊させない程度の温和な力で炭化物を機械的に分散させることが、黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。二次分散処理を終えた炭化物は、不活性雰囲気下において約2,000〜3,500℃で二次加熱処理することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。また、前記の原材料から得られた黒鉛化粒子は、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。また、黒鉛化粒子の焼成温度は2,000〜3,500℃が好ましく、2,300〜3,200℃がより好ましい。
焼成温度が2,000℃以上の場合は、黒鉛化粒子の黒鉛化度を十分としやすく、導電性や潤滑性が低下しにくいためトナーのチャージアップが発生しにくく、画質が低下しにくい。更に弾性ブレードを使用した場合にもブレード傷が発生しにくく、画像にスジや濃度ムラが発生しにくい。焼成温度が3,500℃以下の場合の方が黒鉛化粒子の黒鉛化度が高くなりすぎることがなく、そのため黒鉛化粒子の十分な硬度が得られ、良好な被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性を得られやすい。
導電性樹脂被覆層に凹凸を与える粒子としては、体積抵抗値が106Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗値が106Ω・cmを超えると、樹脂被覆層全体の体積抵抗値を上げることになるとともに、それ自身の体積抵抗が高くなれば、その粒子起因により濃度薄やカブリが発生しやすくなる。
本発明で用いられる導電性無機粒子としては、例えば、炭化ホウ素、炭化チタン、硼化ジルコニウム、硼化チタン、炭化珪素、硼化カルシウム、窒化チタン、硼化珪素、炭化モリブデンが挙げられる。先に述べた理由で、用いられる導電性無機粒子は、個数粒径が2μm以上であり且つ個数平均粒径が粗し粒子より小さいことが好ましい。個数平均粒径が2μmより小さい場合には、補強効果が小さく磨耗が進行しやすくなり画像に影響を与える傾向にある。粗し粒子の個数平均粒径より大きくなると、表面粗さおよび表面粗さ変化に影響を大きく与えることとなり、さらに層厚規制ブレードを傷つけることとなり、これまた画像に影響を与えやすい。特に、炭化ホウ素などは、真密度が3g/cm3以下と小さく、塗料化した場合の分散安定性上好ましく用いられる。
導電性無機粒子とは、ここでは体積抵抗値が106Ω・cm以下であるものを示す。体積抵抗値が106Ω・cmを超えると、樹脂被覆層全体の体積抵抗値を上げることになるとともに、それ自身の体積抵抗が高くなれば、その粒子起因によるトナーが発生しやすくなり、濃度薄やカブリ発生しやすい傾向にある。
本発明で用いられる絶縁性無機粒子としては、例えば、ホウ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、酸化セリウムが挙げられる。特に、負帯電性のトナーの摩擦帯電量を上げるためにはトナー自身より正に帯電しやすい粒子が好ましく、酸化アルミニウム粒子、ホウ酸アルミニウム粒子が好ましく用いることができる。
絶縁性無機粒子としては、導電性無機粒子と同様に、個数粒径が2μm以上であり且つ個数平均粒径が粗し粒子より小さいものを用いることが好ましい。個数平均粒径が2μmより小さい場合には、補強効果が小さく磨耗が進行しやすくなり画像に影響を与える傾向にある。粗し粒子の個数平均粒径より大きくなると、表面粗さおよび表面粗さ変化に影響を大きく与えることとなり、さらに層厚規制ブレードを傷つけることとなり、これまた画像に影響を与える傾向にある。
これら、導電性無機粒子または/および絶縁性無機粒子は、下記式(1)により得られる円形度の平均値である平均円形度SF−1が、0.60以上であることがより好ましい。
円形度=(4×A)/{(ML)2×π}
[式中、MLは粒子投影像のピタゴラス法最大長を表し、Aは粒子投影像の面積を表す。]
円形度SF−1が0.60以上であることにより、粗し粒子の存在しない間隙部分の樹脂層の微小凹凸において、凹凸形状が均一となり、トナーの摩擦帯電量も均一化し安定化する。
例えば、本発明者らの検討の結果、ウィスカーを補強剤に用いる方法もあるが、この場合、高硬度の同じ材料を用いればどちらを用いても基体上に形成される樹脂被覆層の強度(耐削れ性)は向上することがわかったが、表面の凹凸に関して見たところ、粒状物の方がウィスカーに比べ均一な凹凸が形成でき、現像剤担持体による現像剤の搬送量も均一でありそれに伴い現像剤の摩擦帯電量も安定することが判った。すなわち、ウィスカーを用いても表面の凹凸は形成され、凹凸があるだけですむようなプロセスにおいては流用可能であるが、例えば現像剤担持体上の現像剤を薄層化して用いる現像方法のように、より高精細な画像を供給するためのより高精度なプロセスにおいては、現像剤担持体の被覆層表面および被覆層全体にわたり均一性を保てるという点で粒子状物の方が好ましい。さらにこの粒状物においてもより球形に近いほど、現像剤層の搬送量、摩擦帯電量が安定する。
導電性無機粒子または/および絶縁性無機粒子が、有機処理されていることも更に好ましい。このような有機処理方法としては、前記無機粒子と反応あるいは物理吸着するシランカップリング剤、チタンカップリング剤の如き有機金属化合物で処理する方法、シリコーンオイルの如き有機硅素化合物で処理する方法、もしくはカップリング剤で処理した後、あるいはカップリング剤で処理すると同時にシリコーンオイルの如き有機硅素化合物で処理する方法が挙げられる。
本発明において無機粒子の処理剤として好適に用いられるカップリング剤は、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤アルミニウムカップリング剤がある。
シランカップリング剤としては公知のもの(例えば従来、シリカ、ガラスの表面改質に用いられていたもの)が挙げられる。下記一般式
(1)RmSiYm
R:アルコキシ基
m:1〜3の整数
Y:アルキル基
n:1〜3の整数
で表わされるシラン化合物が挙げられる。例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランを用いることができる。
本発明において、上述したようなシランカップリング剤は、(未処理)無機粒子100質量部に対して、好ましくは0.0001〜0.5質量部(より好ましくは0.001〜0.2質量部)用いられる。
このカップリング剤の上記使用量が0.0001質量部未満では、このカップリング剤使用による効果が認められず、一方該使用量が0.5質量部を超えると、無機粒子との反応に関与しないカップリング剤が生じ易くなるため、好ましくない。
次に、チタン系カップリング剤の一般式を下記に示す。
上記一般式で表されるチタン系カップリング剤のうち更に具体的化合物としては下記のようなものが挙げられる。
無機粒子に対するチタン系カップリング剤の処理量は、無機粒子の粒度,表面構造によっても異なるが、無機粒子100質量部に対して0.0001〜0.5質量部用いることが好ましい。上記アルミニウムカップリング剤の処理量が0.0001質量部未満では無機粒子の分散性に対して効果が少なく、また、0.5質量部を超えると無機粒子と結合しない遊離のカップリング剤が多く発生することになり好ましくない。
アルミニウムカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。無機化合物粒子に対する処理量は、無機化合物100質量部に対して0.0001〜0.5質量部用いることが好ましい。上記アルミニウムカップリング剤の処理量が0.0001質量部未満では無機化合物粒子の分散性に対して効果が少なく、また、0.5質量部を超えると無機化合物と結合しない遊離のカップリング剤が多く発生することになり好ましくない。
上述の各カップリング剤は必要に応じて2種以上の組合せとして用いてもよい。
カップリング剤により無機粒子を処理する方法としては、例えば、有機溶媒法及び水溶液法がある。一般に、有機溶媒法による処理とは、少量の水とともに加水分解用触媒を含む有機溶媒(アルコール、ベンゼン、ハロゲン化炭化水素等)にカップリング剤を溶解し、これに無機化合物粒子を浸漬した後、濾過或いは圧搾により固液分離を行い、約120〜約130℃で乾燥させるものである。また、水溶液法とは、0.5質量%のカップリング剤を、一定pHの水、或いは水−有機溶媒の混合溶媒中で加水分解させ、ここに無機粒子を浸漬した後、同様に固液分離を行い、乾燥させるものである。
他の有機処理であるシリコーンオイルとしては、一般に次式により示されるものである。
R:C1〜C3のアルキル基
R’:アルキル,ハロゲン変性アルキル,フェニル,変性フェニル等のシリコーンオイル変性基
R”:C1〜C3のアルキル基又はアルコキシ基
好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5〜1,000mm2/s、好ましくは1〜1,000mm2/sのものが用いられる。分子量が低すぎるシリコーンオイルは加熱処理により、希発分が発生することがあり、また、分子量が高すぎると粘度が高くなりすぎ処理操作がしにくくなる。シリコーンオイルの種類としては、例えば、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルフェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが好ましい。
上記シリコーンオイルによる処理は、例えば、次のようにして行い得る。必要に応じて加熱しながら無機粒子を激しく撹乱させておき、これに、上記シリコーンオイル或いはその溶液をスプレー若しくは気化して吹き付けるか、又は、無機粒子をスラリー状にしておき、これを撹拌しつつシリコーンオイル或いはその溶液を滴下することによって処理できる。これらのシリコーンオイルは1種或いは2種以上の混合物或いは併用や多重処理して用いられる。また、カップリング剤による処理と併用しても構わない。
荷電制御剤には、負荷電制御剤又は正荷電制御剤がある。例えば負荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類が挙げられる。また、正帯電させるための物質としては下記のようなものがある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
特に、負帯電性トナーに対しては、イミダゾール化合物を現像剤担持体の樹脂被覆層中に添加させることで、トナーの帯電性を上げるのにより効果を発揮する。
特に、イミダゾール化合物の中でも、下記一般式(101)又は(102)
〔式中、R1及びR2は、水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R1及びR2は同一であっても異なっていても良い。R3及びR4は炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表し、R3及びR4は同一であっても良い。〕
〔式中、R5及びR6は、水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R5及びR6は同一であっても良い。R7は、炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表す。〕
で示されるイミダゾール化合物が該トナーの迅速且つ均一な帯電性及び被覆層の強度の点でより好ましい。
また、極性基を有するモノマーをベースモノマーに共重合させ適当な分子量に重合させたポリマーを樹脂被覆層に添加し、樹脂制御剤として用いることも可能である。
例えば、負帯電性の樹脂制御剤としては、少なくともビニル重合性単量体とスルホン酸含有アクリルアミド系単量体との共重合体が挙げられる。より詳しくは、ビニル重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、プロピル(メタ)クリレート、n−ブチル(メタ)クリレート、iso−ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、ジメチル(アミノ)エチルメタクリレート、ジエチル(アミノ)メタクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)クリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等であり、これらは単独で、もしくは2種以上の混合で使用し、重合することができる。好ましくはスチレンとアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルとの組み合わせて重合した共重合体が挙げられる。
またスルホン酸含有アクリルアミド系単量体としては、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミドーn一オクタンスルホン酸、2一アクリルアミドーn−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドー2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸などを挙げることができる。好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。
さらに、正帯電性の樹脂制御剤としては、少なくともビニル重合性単量体と含窒素ビニル単量体との共重合体が挙げられる。より詳しくは、含窒素ビニルモノマーの代表例としては、例えば、p−ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートがあり、さらに、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルベンズイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルピペリジン、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルインドールの如き含窒素複素環式N−ビニル化合物がある。特に、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートの如き下記一般式に示される含窒素ビニルモノマー又は、4級アンモニウム基含有ビニルモノマーを用いることが好ましい。
[但し、R1、R2、R3、R4は水素原子あるいは炭素数1〜4の飽和炭化水素基を示し、nは1〜4の整数を示す。]
本発明に用いられる4級アンモニウム基含有ビニルモノマーとしては、ビニル重合性モノマーと共重合可能なものであれば特にその構造は限定されるものではないが、より好ましい4級アンモニウム基含有ビニルモノマーとしては、下記一般式(2)に示される4級アンモニウム基含有ビニルモノマーがある。
〔式中、R5は、水素原子又はメチル基を示し、R6は、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R7〜R9は、メチル基、エチル基又はプロピル基を示し、X1は、−COO−又は−CONH−を示し、A−は、C1−,(1/2)SO4 2−の如きアニオンを示す。〕
本発明で好適に使用される上記のような構成を有する現像剤担持体表面の被覆層の表面粗さは、JIS中心線平均粗さ(Ra)で0.3〜3.5μmの範囲にあることが好ましい。更に好ましくは、0.4〜2.5μmである。Raが0.3μm未満では、現像剤担持体上におけるトナーの帯電量が高くなり過ぎ現像性が低下し、また、現像領域への現像剤の搬送性が低下し、充分な画像濃度が得られにくくなる。一方、Raが3.5μmを超えると、現像剤担持体上に形成されるトナーコート層厚にムラが生じやすく、画像上での濃度ムラの原因となりやすい。
次に本発明の現像剤担持体を有する現像装置について説明する。
図6は、本発明の現像剤担持体を有する一実施形態の現像装置の模式図を示す。
図6において,公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する静電潜像保持体、例えば、電子写真感光ドラム501は,矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ508は、現像容器503に供給された磁性トナーを有する一成分系現像剤を担持して、矢印A方向に回転することによって、現像スリーブ508と感光ドラム501とが対向している現像領域Dに現像剤を搬送する。第8図に示すように、現像ローラー510においては、現像スリーブ508内に,現像剤を現像スリーブ508上に磁気的に吸引且つ保持する為に,磁石(マグネットローラー)509が配置されている。
本現像装置で用いられる現像スリーブ508は、基体としての金属円筒管506上に被覆された導電性樹脂被覆層507を有する。現像容器503中には、ここには図示されていない現像剤補給容器から現像剤供給部材(スクリューなど)512を経由して現像剤が送り込まれてくる。現像容器は、第一室514、第二室515に分割されており、第一室514に送り込まれた現像剤は攪拌搬送部材により現像容器503および仕切り部材514により形成される隙間を通過して第二室515に送られる。現像剤はマグネットローラー509による磁力の作用により現像スリーブ508上に担持される。第二室515中には現像剤が滞留するのを防止するための攪拌部材511が設けられている。
現像剤は、磁性トナー相互間及び現像スリーブ508上の導電性被覆層507との摩擦により,感光ドラム501上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る.図6の例では、現像領域Dに搬送される現像剤の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としての強磁性金属製の磁性規制ブレード502が、現像スリーブ508の表面から約50〜500μmのギャップ幅を持って現像スリーブ508に臨む様にホッパー503から垂下されている。マグネットローラー509の磁極N1からの磁力線が磁性規制ブレード502に集中することにより、現像スリーブ508上に現像剤の薄層が形成される。本発明においては、この磁性規制ブレード502にかえて非磁性ブレードを使用することもできる。この様にして、現像スリーブ508上に形成される現像剤の薄層の厚みは,現像領域Dにおける現像スリーブ508と感光ドラム501との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
本発明の現像剤担持体は、以上の様な現像剤の薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち、非接触型現像装置に組み込むのが特に有効であるが,現像領域Dにおいて、現像剤層の厚みが現像スリーブ508と感光ドラム501との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、即ち接触型現像装置にも本発明の現像剤担持体を適用することができる。
説明の煩雑を避けるため、以下の説明では,上記したような非接触型現像装置を例に採って行う。上記現像スリーブ508に担持された磁性トナーを有する一成分系現像剤を飛翔させる為,上記現像スリーブ508にはバイアス手段としての現像バイアス電源513により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときに、静電潜像の画像部(現像剤が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を現像スリーブ508に印加するのが好ましい。現像された画像の濃度を高め、或は階調性を向上するためには,現像スリーブ508に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には,上記した現像画像部の電位と背景部の電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ508に印加するのが好ましい。
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用する。高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する反転現像の場合には,静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。高電位,低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤は少なくとも現像スリーブ508表面(導電性被覆層507)との摩擦により帯電する。
図6においては、現像スリーブ508上の現像剤の層厚を規制する現像剤層厚規制部材として、現像スリーブから離間されて配置された磁性ブレードの例を示したが、図7に示される如く、ウレタンゴム,シリコーンゴムの如きゴム弾性を有する材料,或いはリン青銅,ステンレス鋼の如き金属弾性を有する材料の弾性板からなる弾性規制ブレードを使用し、この弾性規制ブレードを現像スリーブに対して、現像剤を介して接触あるいは圧接させて用いても良い。
層厚規制ブレード516を接触又は圧接させるタイプの現像装置では、現像剤層はさらに強い規制を受けながら現像スリーブ上に現像剤の薄層を形成することから、現像スリーブ508上に、上記した図6の引用例の場合よりも更に薄い現像剤層を形成することができる。
図6、図7は、あくまでも本発明の現像装置を模式的に例示したものであり、前記した層厚規制部材以外にも、現像容器503(ホッパー)の形状、攪拌翼505、511の有無、磁極の配置、供給部材512の形状、補給容器の有無、などに様々な形態があることは言うまでもない。
次に、本発明の現像装置に用いられる現像剤について説明する。
トナーは主として樹脂,離型剤,荷電制御剤,着色剤等を溶融混練し、固化した後粉砕し、しかる後分級などをして粒度分布をそろえた微粉体である。トナーに用いられる結着樹脂としては,一般に公知の樹脂が使用可能である。
例えば,スチレン,α−メチルスチレン,p−クロルスチレンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体,スチレン−ビニルトルエン共重合体,スチレン−アクリル酸エチル共重合体,スチレン−アクリル酸ブチル共重合体,スチレン−アクリル酸オクチル共重合体,スチレン−ジメチルアミノエチル共重合体,スチレン−メタクリル酸メチル共重合体,スチレン−メタクリル酸エチル共重合体,スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体,スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体,スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体,スチレン−ビニルメチルケトン共重合体,スチレン−ブタジエン共重合体,スチレン−イソプレン共重合体,スチレン−マレイン酸共重合体,スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレート,ポリ酢酸ビニル,ポリエチレン,ポリプロピレンポリビニルブチラール,ポリアクリル酸樹脂,ロジン,変性ロジン,テンペル樹脂,フェノール樹脂,脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂,芳香族系石油樹脂,パラフィンワックス,カルナバワックスなどが挙げられる。これらは単独或は混合して使用できる。
又、トナー中には顔料を含有することができる。例えば,カーボンブラック,ニグロシン染料,ランプ黒,スーダンブラックSM,ファースト・イエローG,ベンジジン・イエロー,ピグメント・イエロー,インドファースト・オレンジ,イルガジン・レッド,パラニトロアニリン・レッド,トルイジン・レッド,カーミンFB,パーマネント・ボルドーFRR,ピグメント・オレンジR,リソール・レッド2G,レーキ・レッドC,ローダミンFB,ローダミンBレーキ,メチル・バイオレッドBレーキ,フタロシアニン・ブルー,ピグメント・ブルー,ブリリアント・グリーンB,フタロシアニングリーン,オイルイエローGG,ザボン・ファーストイエローCGG,カヤセットY963,カヤセットYG,ザボン・ファーストオレンジRR,オイル・スカーレット,オラゾール・ブラウンB,ザボン・ファーストスカーレットCG,オイルピンクOP等が挙げられる。
トナーを磁性トナーとして用いるために、トナーの中に磁性粉を含有せしめる。このような磁性粉としては、磁場の中におかれて磁化される物質が用いられ、鉄,コバルト,ニッケル等の強磁性金属の粉末,又はマグネタイト,ヘマタイト,フェライト等の合金や化合物がある。この磁性粉の含有量はトナー重量に対して15〜70重量%が良い。
トナーに、定着時の離型性向上、定着性向上の目的で、ワックス類を含有させることができる。そのようなワックス類としては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプッシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタム等も利用できる。
必要に応じて、トナーに荷電制御剤を含有させてもよい。荷電制御剤には、負荷電制御剤、正荷電制御剤がある。例えばトナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。また、トナーを正帯電させるための物質としては下記のようなものがある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。
トナーは必要に応じて、流動性改善の目的で無機微粉末の如き粉末を外添して用いられる。このような微粉末としては、シリカ微粉末、アルミナ、チタニア、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化物;及び窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム等の窒化物等の無機微粉体が用いられる。これらの微粉体は、有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤等で有機処理して用いることが可能である。例えば有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、および1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。また、未処理の微粉体を窒素含有のシランカップリング剤で処理したものを用いてもよい。特にポジトナーの場合好ましい。そのような処理剤の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール等がある。
上記シランカップリング剤により無機微粉体を処理する方法としては、例えば,1)スプレー法,2)有機溶媒法,3)水溶液法などがある。一般に,スプレー法による処理とは,ピグメントを撹拌し、カップリング剤の水溶液あるいは溶媒液をスプレーし,この後水あるいは溶媒を約120〜約130℃で除去乾燥する方法である。また,有機溶媒法による処理とは,少量の水とともに加水分解用触媒を含む有機溶媒(アルコール,ベンゼン,ハロゲン化炭化水素等)にカップリング剤を溶解し,これにピグメントを浸積した後,濾過或は圧搾により固液分離を行い約120〜約130℃で乾燥させるものである。水溶液法とは0.5%程度のカップリング剤を、一定PHの水あるいは水−溶媒中で加水分解させ、ここにピグメントを浸積し後,同様に固液分離を行い乾燥するものである。
他の有機処理としてシリコーンオイルで処理された微粉体を用いることも可能である。好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度がおよそ0.5〜10000mm2/s、好ましくは1〜1000mm2/sのものが用いられ、例えばメチルハイドロジエンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルフェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどが挙げられる。また、側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイルを用いても良い。特にポジトナーの場合は好ましい。シリコーンオイルによる処理は,例えば次のようにして行ない得る。必要に応じて加熱しながら顔料を激しく撹乱しており、これに上記シリコーンオイル或いはその溶液をスプレーもしくは気化して吹き付けるか、叉は顔料をスラリー状にしておき、これを撹拌しつつシリコーンオイル或いはその溶液を滴下することによって容易に処理できる。これらのシリコーンオイルは1種あるいは2種以上の混合物あるいは併用や多重処理して用いられる。また、シランカップリング剤による処理と併用しても構わない。このようなトナーは、種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。そのような方法としては、攪拌羽根またはブレードなど、およびライナーまたはケーシングなどを有する装置で、例えば、トナーをブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したりトナーを球形化したりする方法、温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等がある。また、球状のトナーを直接作る方法としては、水中にトナー結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナー化する方法がある。一般的な方法としては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、離形剤、その他の添加剤を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層、例えば水相中に適当な攪拌機を用いて適度な粒径に分散し、さらに重合反応を行わせ、所望の粒径を有する現像剤を得る方法である。
(実施例)
次に具体的な実施例をもって本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1
以下のようにして樹脂組成物を調製した。
・重量平均分子量Mw=1800のフェノール樹脂中間体 250質量部
・個数平均粒径2.5μmの結晶性グラファイト 100質量部
・メタノール 250質量部
・イソプロピルアルコール 100質量部
これらの材料を、ガラスビーズを用いた横型連続式サンドミルにより分散し、塗料原液Aを得た。この塗料原液Aの粒度分布を測定したところ、個数平均粒径は1.9μmであった。
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 100質量部
(個数平均粒径3.0μm、SF−1=0.64、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
上記組成の塗料1を作成した。塗料原液Aに、炭化ホウ素100質量部およびイソプロピルアルコール270質量部を加え、ガラスビーズを用いた縦型サンドミルを用いて分散を行い、さらに残りのイソプロピルアルコールと球状炭素粒子30質量部を加え、更に分散を加えた。この塗料を250メッシュおよび450メッシュの篩いを通過させた。この塗料1の粘度は、75mPa・sであった。片側に現像スリーブ用フランジを取り付けたアルミニウム円筒管をセンタレス加工により、外径24.5mmφ、表面粗さRa=0.2μm、振れ10μm以下とした現像スリーブ用のワークを準備した。回転台にワークを直立させ、スリーブ両端部をマスキングしながら回転させ、前記塗料1をスプレーガンにて、一定速度で下降させながらワークにスプレー塗布を行い、塗布スリーブを得た。この塗布スリーブを150℃の通風式乾燥機に、30分間投入し、塗料を乾燥硬化させ樹脂表面層を形成させた。この時の樹脂被覆層の厚みは12.5μm、表面粗さはRa=1.25μm、被覆層の体積抵抗値は0.95Ω・cmであった。
この現像スリーブにマグネットローラーを装着してステンレス製フランジを嵌合し、現像ローラとした。この現像ローラは、キヤノン社製IR−3300(ディジタル複写機)改造機に装着可能とした。さらに現像装置を図7に模式的に示したような弾性規制ブレードを装着可能なように改造し、弾性ブレードを現像スリーブに対し弾性当接させた。弾性ブレードとしてはシリコーンゴムにシリカを分散させたシリコーンゴムブレードを用いた。さらにスリーブ/ドラム周速比は約1.15とした。下記に示す磁性トナーを用いて画像評価を行った。L/L(23℃/10%RH)、N/N(23℃/60%RH)、H/H(30℃/80%RH)の3環境において5千枚の連続画出しを行い、画像性能を比較した。N/Nにおいては、10万枚までの連続耐久を実施し、耐久性を確認した。
スチレン−ブチルアクリレート系樹脂 100質量部
マグネタイト 90質量部
炭化水素系ワックス 3質量部
アゾ系鉄錯体化合物(負電荷制御剤) 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで分散混合後、130℃に加熱されたニ軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をカッターミルで粗粉砕した。粗粉砕物を、ローターとライナーを有する機械粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、質量平均粒径が7.5μmのトナー微粒子を得た。さらにライナーとローター式のブレードを有し、ライナーとブレード間隙を2mmとした球形化装置により球形化処理を行った。できあがった磁性トナー微粒子の粒度分布は、質量平均粒径7.2μm、4.0μm以下の粒子の個数割合が12.1%、12.7μm以上の粒子の質量割合が1.1%であった。この磁性トナー100質量部に対し、シランカップリング剤で疎水化処理し、さらにシリコーンオイルにて処理したコロイダルシリカ0.8質量部、およびチタン酸ストロンチウム微粒子4質量部を、ヘンシェルミキサーにて外添混合し、一成分磁性現像剤とした。
結果を表1〜3に示す。
物性測定方法および画像評価方法
測定方法
(1)面粗さの測定
算術平均粗さ(Ra)は、JISB0601(2001)に準じて測定される算術平均粗さRaを示し、本発明における表面粗さの測定は、小坂研究所製:表面粗度計SE−3500を用い、測定条件としては、カットオフλc0.8、評価長さ4.0mm、送り速度0.5mm/secにて9箇所の測定値の平均をとった。
(2)被覆層の体積抵抗の測定
100μmの厚さのPETシート上に樹脂被覆層と同等の厚さの被覆層を形成し、ASTM規格(D−991−82)及び、日本ゴム協会標準規格SRIS(2301−1969)に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積低抗測定用の4端子構造の電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所製)を使用して測定した。尚、測定環境は20〜25℃、50〜60RH%とする。
(3)グラファイト・炭素粒子および塗料の粒径測定
レーザー回折型粒度分布計のコールターLS−230型粒度分布計(コールター社製)を用いて測定する。測定方法としては、有機溶剤用の循環モジュールを用い、測定溶媒としてはイソプロピルアルコールを使用する。イソプロピルアルコールにて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、バックグラウンドファンクションを実行する。
次にイソプロピルアルコール10ml中に測定試料を5〜25mg加える。試料を懸濁したイソプロピルアルコール溶液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行ない試料液を得て、前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整する。溶媒の屈折率としてはイソプロピルアルコールの1.379を用い、試料の屈折率としては、実数部1.5、虚数部0.3の光学モデルを作成して用いる。測定を行い、個数分布から算術した個数平均粒径および体積平均粒径を求める。
(4)無機粒子の粒径測定
電子顕微鏡を用いて、無機粒子の粒径を測定する。撮影倍率は1千〜1万倍とする。写真上で1次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とする。また粗し粒子についても同様な方法で確認を行い、上記LS230による測定結果と実質的に数値に差のないことを確認した。
(5)トナー粒子粒径の測定
コールターカウンターのマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定し、体積分布から出した質量基準の質量平均径および分布を求めた。
(6)樹脂被覆層の膜厚(削れ量)の測定
KEYENCE社製レーザー寸法測定器を用いた。コントローラLS−5500およびセンサーヘッドLS−5040Tを用い、スリーブ固定治具およびスリーブ送り機構を取り付けた装置にセンサー部を別途固定し、スリーブの外径寸法の平均値から測定を行った。測定はスリーブ長手方向に対し30分割して30箇所測定し、さらにスリーブを周方向に90°回転させた後さらに30箇所、計60箇所の測定を行い、その平均値をとった。表面被覆層塗布前のスリーブの外径を予め測定しておき、表面被覆層形成後の外径、さらに耐久使用後の外径を測定し、その差分をコート膜厚および削れ量とした。
(7)SF−1の測定
マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
平均円形度SF−1は下記(1)式
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (1)
[式中、MLは粒子投影像のピタゴラス法最大長を表し、Aは粒子投影像の面積を表す。]
より得られる円形度の平均値を意味する。具体的には、光学系により拡大された黒鉛化粒子投影像を画像解析装置に取り込み、個々の粒子についての円形度の値を算出し、これらを平均することにより求められる。なお、本発明においては、平均値として信頼性が得られ、また、樹脂被覆層への特性に与える影響が大きい円相当径2μm以上の粒子範囲に限定して円形度を測定している。また、これらの値の信頼性を得るために測定粒子数は3000個程度以上、好ましくは5000個以上を測定する。
評価方法
(1)画像濃度
画像比率5.5%のテストチャート上の5mmφ黒丸のコピー画像濃度を、反射濃度計RD918(マクベス製)により反射濃度測定を行い、5点の平均値をとって画像濃度とした。反射濃度としては、1.20以上あることが好ましく、より好ましくは1.30以上であり1.40あれば申し分ない。1.00〜1.20ではベタやハーフトーンがカスレ気味となり、1.00以下であると、文字などのラインにもカスレが目立つようになる。
(2)カブリ
現像適性条件におけるベタ白画像の反射率を測定し、更に未使用の転写紙の反射率を測定し、(ベタ白画像の反射率の最悪値−未使用転写紙の反射率の最高値)をカブリ濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。ここで、測定値を目視で判断した場合、1.5以下は目視ではほとんど確認できないレベル、2.0〜3.0程度はよく見ると確認できるレベル、4.0を超えると一見してカブリが確認できるレベルである。
(3)トナー帯電量(Q/M)及びトナー搬送量(M/S)
現像スリーブ上に担持されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、捕集されたトナー質量Mと、トナーを吸引した面積Sから、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)と単位面積当たりのトナー質量M/S(dg/m2)を計算し、それぞれトナー帯電量(Q/M)、トナー搬送量(M/S)とした。
(4)ハーフトーン均一性(フェーディング)
ハーフトーンやベタに発生する、特に画像進行方向に濃度の薄い部分となる帯状の濃度薄(フェーディング)について、下記指標にて評価した。
A :画像では確認できない。
BA:良く(すかして)見るとわずかに確認できるが、一見ではほとんど確認できない。
B :ハーフトーンではわずかに確認されるが、ベタ黒では問題ないレベル。
BC:ハーフトーンでは確認できるが、ベタ黒ではほんのわずか確認できるレベル。
C :ベタ黒画像でも濃淡差が確認できる。
D :ベタ黒画像全体で濃淡差が目立つ。
E :濃度が低く、フェーディング範囲の広い画像。
(5)スリーブゴースト
画像耐久中にベタ白を流した後、画像チャートのスリーブ一周分の白上にベタ黒の太文字や象形画像を置き、残り部分をハーフトーンとした画像チャートを用い、ハーフトーン上に太文字や象形画像のゴーストがどの程度発生するかで評価した。
A :ゴーストなし。
BA :ごくわずかに濃淡差がみられるが良好
B :やや濃淡差が確認できるが問題とならないレベル
BC:BとCの中問レベル
C :ややゴーストが目立つ。実用レベル内。
N1:実用には問題となるネガゴースト(ゴースト部が薄い)がスリーブ1周分出る
P1:実用には問題となるポジコースト(ゴースト部が濃い)がスリーブ1周分出る
N2:実用には問題となるネガゴーストがスリーブ2周分以上出る
P2:実用には問題となるポジコーストがスリーブ2周分以上出る
(6)ブレード傷
規制ブレードに発生する傷およびその傷によりハーフトーンおよびベタ画像上に現れるスジを下記のランクにより評価した。
A :ブレード上に傷の発生がほとんどない。
B :ブレード上に多少の傷があるが、画像では確認されない浅い傷。
C :ブレード上の傷と対応する位置のハーフトーン画像上にわずかに確認できる程度で実用上許容範囲。
D :ハーフトーン画像上でスジが明確にわかり、実用上問題となる場合がある。または、複数本のスジがハーフトーン画像で観察されるレベル。
E :ズジがベタ黒上でも判別できる。または、ハーフトーンで多数のスジが観察されるレベル。
実施例2
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 100質量部
(個数平均粒径3.2μm、SF−1=0.54、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
上記組成の塗料2を作成した。分散方法は実施例1に準じた。この塗料2の粘度は77.5mPa・sであった。実施例1と同様のワークを用いて、同様の操作により樹脂被覆層を形成した。この時の樹脂被覆層の厚みは12.5μm、表面粗さはRa=1.20μm、体積抵抗は0.96Ω・cmであった。実施例1と同様にこの現像スリーブをIR−3300改造機に取り付け可能な現像ローラとした。さらに実施例1と同様な評価を行った。結果を表1〜3に示す。
以下の実施例3〜19および比較例1〜6についても同様に現像スリーブ(樹脂被覆層)の作成、現像ローラ化、および画像評価を行った。結果を表1〜3に示す。さらに被覆層厚み、表面粗さRa、体積抵抗、塗料粘度については表4に示す。
実施例3
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 50質量部
(個数平均粒径6.5μm、SF−1=0.65、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 450質量部
比較例1
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 100質量部
(個数平均粒径1.0μm、SF−1=測定なし、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
比較例2
・塗料原液A 700質量部
・球状炭素粒子 35質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 365質量部
実施例4
・塗料原液A 700質量部
・窒化チタン 100質量部
(個数平均粒径2.3μm、SF−1=0.64、抵抗値4×10−5Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
比較例3
・塗料原液A 700質量部
・窒化チタン 100質量部
(個数平均粒径0.5μm、SF−1=測定なし、抵抗値4×10−5Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
比較例4
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 40質量部
(個数平均粒径9.5μm、SF−1=0.61、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 40質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径6.5μm)
・イソプロピルアルコール 450質量部
比較例5
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 100質量部
(個数平均粒径6.5μm、SF−1=0.65、抵抗値0.5Ω・cm)
・イソプロピルアルコール 485質量部
実施例5
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 100質量部
(個数平均粒径3.0μm、SF−1=0.64、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
一般式(101)のイミダゾール化合物 10質量部
(R1、R2:CH3、R3、R4:n−C11H23)
・イソプロピルアルコール 560質量部
実施例6
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 75質量部
(個数平均粒径3.0μm、SF−1=0.64、抵抗値0.5Ω・cm)
ホウ酸アルミニウム 25質量部
(個数平均粒径2.6μm、SF−1=0.73、抵抗値約1013Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
実施例7
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 75質量部
(個数平均粒径3.2μm、SF−1=0.54、抵抗値0.5Ω・cm)
ホウ酸アルミニウム 25質量部
(個数平均粒径2.6μm、SF−1=0.73、抵抗値約1013Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
実施例8
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 60質量部
(個数平均粒径3.0μm、SF−1=0.64、抵抗値0.5Ω・cm)
酸化アルミニウム 40質量部
(個数平均粒径3.5μm、SF−1=0.70、抵抗値約1014Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
実施例9
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 60質量部
(個数平均粒径3.0μm、SF−1=0.64、抵抗値0.5Ω・cm)
酸化アルミニウム 40質量部
(個数平均粒径3.2μm、SF−1=0.57、抵抗値約1014Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
実施例10
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 60質量部
(個数平均粒径3.2μm、SF−1=0.54、抵抗値0.5Ω・cm)
酸化アルミニウム 40質量部
(個数平均粒径3.2μm、SF−1=0.57、抵抗値約1014Ω・cm)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 540質量部
実施例11
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 85質量部
(個数平均粒径3.0μm、SF−1=0.64、抵抗値0.5Ω・cm)
ホウ酸アルミニウム 15質量部
(個数平均粒径2.6μm、SF−1=0.73、抵抗値約1013Ω・cm)
一般式(101)のイミダゾール化合物 10質量部
(R1、R2:CH3、R3、R4:n−C11H23)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 560質量部
実施例12
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 85質量部
(個数平均粒径3.0μm、SF−1=0.64、抵抗値0.5Ω・cm)
ホウ酸アルミニウム 15質量部
(個数平均粒径2.6μm、SF−1=0.73、抵抗値約1013Ω・cm)
一般式(102)のイミダゾール化合物 10質量部
(R5、R6:H、R7:CH3)
・球状炭素粒子 30質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径10.0μm)
・イソプロピルアルコール 560質量部
比較例6
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 60質量部
(個数平均粒径9.5μm、SF−1=0.61、抵抗値0.5Ω・cm)
ホウ酸アルミニウム 40質量部
(個数平均粒径2.6μm、SF−1=0.73、抵抗値約1013Ω・cm)
・イソプロピルアルコール 485質量部
実施例13
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 50質量部
(個数平均粒径2.1μm、SF−1=0.67、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 60質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径6.5μm)
・イソプロピルアルコール 505質量部
実施例14
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 50質量部
(個数平均粒径2.1μm、SF−1=0.67、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 60質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径6.5μm)
一般式(101)のイミダゾール化合物 10質量部
(R1、R2:CH3、R3、R4:n−C11H23)
・イソプロピルアルコール 525質量部
実施例15
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 50質量部
(個数平均粒径2.4μm、SF−1=0.55、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 60質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径6.5μm)
・イソプロピルアルコール 505質量部
比較例7
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 100質量部
(個数平均粒径1.0μm、SF−1=測定なし、抵抗値0.5Ω・cm)
・球状炭素粒子 60質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径6.5μm)
・イソプロピルアルコール 595質量部
実施例16
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 75質量部
(個数平均粒径2.1μm、SF−1=0.67、抵抗値0.5Ω・cm)
ホウ酸アルミニウム 25質量部
(個数平均粒径2.6μm、SF−1=0.73、抵抗値約1013Ω・cm)
・球状炭素粒子 60質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径6.5μm)
・イソプロピルアルコール 595質量部
実施例17
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 75質量部
(個数平均粒径2.1μm、SF−1=0.67、抵抗値0.5Ω・cm)
ホウ酸アルミニウム 25質量部
(個数平均粒径2.6μm、SF−1=0.73、抵抗値約1013Ω・cm)
・球状炭素粒子 23質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径15.4μm)
・イソプロピルアルコール 530質量部
実施例18
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 75質量部
(個数平均粒径2.1μm、SF−1=0.67、抵抗値0.5Ω・cm)
ホウ酸アルミニウム 25質量部
(個数平均粒径2.6μm、SF−1=0.73、抵抗値約1013Ω・cm)
・球状炭素粒子 15質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径22.3μm)
・イソプロピルアルコール 515質量部
実施例19
・塗料原液A 700質量部
・炭化ホウ素 75質量部
(個数平均粒径2.1μm、SF−1=0.67、抵抗値0.5Ω・cm)
ホウ酸アルミニウム 25質量部
(個数平均粒径2.6μm、SF−1=0.73、抵抗値約1013Ω・cm)
・球状炭素粒子 10質量部
(表面が黒鉛化された球状の炭素粒子、個数平均粒径29.5μm)
・イソプロピルアルコール 505質量部
以上の検討結果より、比較例2では、少なくとも5千枚、あるいは2万枚程度の耐久においては、実用上、問題のない画像が得られるが、表1−2からわかるように、5万枚を超える耐久においては、被覆層の削れによる画像悪化が生じてくる。外観的には、削れ量や下地露出、表面粗さ変化に表れている。これに対して実施例1のように、導電性無機粒子を添加することで、削れ量は減少し、表面粗さの低下も少なく被覆層の耐久性が向上することから画像の劣化は起こらなくなる。導電性無機粒子添加によるQ/Mの低下による初期における画像濃度の立ち上がりや画像濃度レベルの低下、カブリ、ハーフトーン画像の劣化がわずかに起こる傾向はあるが、導電性無機粒子の平均粒径を2μm以上としていることで、耐久性を向上させるとともにトナーの摩擦帯電への影響を極力押えられるので実用上問題となるレベルとはならない。比較例1などに見られるように、導電性無機粒子は小さい場合には、被覆層の削れを抑制する効果は小さく、またトナーの帯電に悪影響を与えやすいので、画像濃度低下やゴースト、カブリなどの不良を起こしやすくなる。また、比較例5のように表面を粗すことのできる粒径の大きめの導電性無機粒子を用いた場合、比較例4のように粗し粒子として用いている炭素系の粒子に比較して導電性無機粒子の平均粒径が大きい場合には、耐久によりブレードスジが悪化し、画像に支障をきたすことになる。
更には、所定粒径の導電性無機粒子と荷電制御剤あるいは荷電制御樹脂を併用した場合、あるいは、トナーに摩擦帯電を持たせやすい、絶縁性無機粒子を併用することにより、初期の画像濃度の立ち上がり、画像濃度レベル低下の防止、カブリ、ゴースト、フェーディングの悪化を押えることができ、炭素系の粗し粒子に加え、導電性無機粒子単独で用いる場合に比べ、さらに良好な画像が得られるようになる。