JP2007183482A - 現像剤担持体及び現像剤担持体の製造方法 - Google Patents

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稔 伊藤
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正良 嶋村
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Kazunori Saiki
一紀 齊木
Satoshi Otake
智 大竹
Yasuko Michigami
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Abstract

【課題】繰り返し複写又は耐久的な使用による現像剤担持体表面の樹脂被覆層の劣化が生じ難く、高耐久性を有し、終始安定した画質が得られ、安定した電荷をトナーに常時付与することが可能で、耐久中の画像濃度低下、濃度ムラやカブリのない高品位の画像を得ることのできる現像剤担持体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基体表面に形成された樹脂被覆層が少なくとも結着樹脂及び黒鉛化粒子からなり、該黒鉛化粒子は、体積平均粒径2.0μm以上13.0μm以下、かつ、体積粒度分布のピークが粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に少なくとも2つ存在し、さらに、樹脂被覆層の黒鉛d(002)が0.3359以上0.3450nm以下の範囲に観察される現像剤担持体。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法等を利用した記録方法で静電潜像担持体上に形成された静電潜像を顕像化(現像)するために用いられる現像剤担持体並びに該現像剤担持体の製造方法に関する。
電子写真装置では、一般的に光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像担持体(感光ドラム)上に静電潜像を形成し、次いで該静電潜像を現像剤(トナー)によりトナー画像を感光ドラム上に形成(現像)し、次いで、紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、溶剤蒸気等により転写材に定着し、印画物が得られる。
電子写真装置は、従来の複写機以外に、近時、プリンタ、ファクシミリ等多数になっている。
静電潜像を顕像化する際の現像方式は、キヤリア粒子を用いる二成分現像方式とキヤリア粒子を用いない一成分現像方式に大別される。また、一成分現像方式には、磁性粒子をトナーに内包し磁力の作用により現像剤の担持搬送を行う磁性一成分現像方式と、磁性粒子を使用しない現像剤を現像剤の摩擦帯電等を利用して現像剤担持体へ担持させる非磁性一成分現像方法がある。なお、磁性一成分現像方式においては、磁性粒子を着色剤と兼用させることもできる。
二成分現像方式は、ガラスビーズ、鉄粉等のキヤリア粒子が必要であること、あるいはキャリア粒子とトナーの混合物中のトナーの濃度を一定に保つ必要があるため、トナーの濃度を検知して必要量のトナーを補給する装置が必要であり、現像装置が大きくなり、かつ複雑な構成となる。また、二成分現像方式ではトナーのキヤリア粒子への付着(スペント)が起きやすいため、キヤリア粒子を度々交換する必要がある。
この点、一成分現像方式では、キヤリア粒子や複雑な構成は不必要となり、現像装置自体を小型化や軽量化することが可能であり、さらにはキヤリア粒子の交換が必要でないため、メンテナンスも容易となる。
しかし、磁性一成分現像方式は、暗黒色の磁性粒子を含むトナーを使用するため、カラー化が困難である。一方、二成分現像方式は、トナー濃度を検知し、調整するなどにより細かく現像状態を調整することができるため、カラー現像用に好ましい。
しかしながら、近年、電子写真装置の軽量・小型化等を目的として、画像形成・現像部分を小さくする必要性があり、一成分現像方式を用いた現像装置が使用されることが多くなっている。
一成分現像方式は、トナー帯電量を調整することが難しく、トナーに対し種々工夫が行われているものの、トナー帯電が不均一になりやすいこと、帯電を長期にわたり安定に保持できないこと等の問題は、完全には解決されていない。
特に、現像剤担持体(現像スリーブ)が繰り返し回転しているうちに、現像スリーブ上に担持されたトナーが現像スリーブとの接触により高く帯電し過ぎ、トナーが現像スリーブ表面に強く引きつけられる。そうなると、現像スリーブ表面上で不動状態となり、現像スリーブから感光ドラム上の静電潜像に移動しなくなるという、いわゆるチャージアップ現象が、特に低湿環境下にて、発生しやすくなる。チャージアップ現象が発生すると、現像スリーブに担持されたトナーでは上層にあるトナーは実質トナー同士の摩擦になるので帯電しにくくなる、すなわち、帯電不足になる。帯電量が不足するトナーは、静電潜像へのトナーの移行量(現像量)が低下する。その結果、ライン画像の細りやベタ画像の画像濃度不足のような問題点を生じる。さらに、チャージアップ現象により、適正に帯電されていないトナーは規制不良となり、現像スリーブ上に流出し、画像上に斑点状、波上のムラを形成する現象、いわゆるブロッチ現象も発生する。
また、最近、プリンタ装置はLED(発光ダイオード)やLB(レーザービーム)を用いたものが広く流通するようになっている。そして、技術の方向としては、従来300dpi、400dpiであったものが600dpi、800dpi、1200dpiと、より高解像度が要求されるようになっている。従って、現像方式もこれに伴って、更なる高精細化に対応できることが要求されている。
複写機もデジタル化が主流となっており、ファクシミリやプリンタとしても同時に使える、いわゆるマルチファンクション化を目指した設計が主となりつつある。このため、複写機とプリンタの違いは徐々になくなり、ここでも高解像・高精細の要求に対応できる現像方式が要求されている。これらの要求に対して、トナーは小径化することが提案され、高い解像度が要求されるに伴いトナーは、中心粒径が5μm以上9μm以下であるものが主流となっている。
また、環境保護の観点から、装置のより軽量・小型化を目的として、廃トナー量を減らすために、トナーの現像スリーブから静電潜像への転写効率の向上が図られている。例えば、(1)トナー粒子の表面に平均粒子径0.1μm以上3μm以下の転写効率向上剤及びBET比表面積50m2/g以上300m2/g以下の疎水性シリカ微粉末を添着し、トナーの体積抵抗を低減させる、(2)感光ドラム上に転写効率向上剤の薄膜層を形成することにより転写効率を向上させる、(3)トナー粒子を、機械的衝撃力により球形化したり、顕濁重合によりより球形のものとしたりし、転写効率を向上させる等が行なわれている。
さらに、ファーストコピー時間の短縮化や省電力化の目的で、トナーとして軟化点の低い結着樹脂を用いることにより定着可能温度を下げることが試みられ、同時に、定着装置の設定温度も下げる傾向にある。
この様な状況下、特に低温低湿下において、トナーは、単位質量当たりの帯電量が増えるためさらに現像スリーブ上へ静電的に付着しやすくなり、高温高湿下におけるトナーは、外部からの物理的な力や流動化しやすい材料を用いているため変質しやすくなり、トナーによるスリーブ汚染やスリーブ融着が起きやすくなっている。
上記方式の現像に用いられる現像スリーブとして、例えば金属、その合金又はその化合物を円筒状に成型し、その表面を電解、ブラスト、ヤスリ等で所定の表面粗さになるように処理したものが従来から用いられてきた。通常、現像剤担持体上に均一なトナー層を形成するために規制部材が用いられている。この様に金属等の円筒を現像剤担持体とした場合、規制部材によって現像剤担持体表面に形成されるトナー層中の現像剤担持体表面近傍に存在する現像剤は非常に高く帯電することとなり、現像剤担持体表面に強く引きつけられて不動状態となり、これによりトナーと現像剤担持体との摩擦機会が持てなくなるため、トナーは好適な帯電量が保持できなくなる。このような状況下では、十分な現像及び転写は行われず、得られた画像は濃度ムラや文字飛び散りの多いものになってしまう。
このような過剰に帯電した現像剤の発生や、現像剤の強固な付着を防止するため、樹脂中に、カーボン、結晶性グラファイト等の導電性物質やグラファイト等の固体潤滑剤を分散させた樹脂被覆層を上記現像剤担持体上に形成する方法がある(特許文献1)。
このような結晶性グラファイトを分散させた樹脂被覆層を設けた場合、樹脂被覆層表面は結晶性グラファイトの燐片状の構造に起因して潤滑性を有するようになり、チャージアップやスリーブゴーストに対しては十分な効果を発揮する。しかし、グラファイトは形状が燐片状であるがために樹脂被覆層の表面形状が不均一となりやすく、さらにグラファイトは硬度が低いため樹脂被覆層表面からグラファイト自体の摩耗や脱離が発生しやすい。従って、耐久を進めていった(長期使用した)場合に、該樹脂被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与が不均一化となりやすくなる。
一方、グラファイトの添加量が少量の場合には、グラファイト添加の効果があまり得られず、チャージアップやスリーブゴーストに対して不十分であるという問題が残っている。
また、導電性樹脂被覆層中に低密度かつ導電性の球状粒子を分散した、被覆層の耐摩耗性の向上及びトナーへの均一な帯電が達成され、被覆層が多少摩耗してもトナー汚染及びトナー融着が抑制されている現像スリーブが提案されている(特許文献2)。
しかしながら、この現像スリーブにおいても、耐摩耗性、トナーへの均一な帯電及びトナーへの帯電付与能力の点ではいまだ充分ではない。特に、より長い期間の耐久においては、樹脂被覆層表面の導電性球状粒子が存在しない部分から、結晶性グラファイト等の導電性物質が摩耗や脱落が発生しやすく、摩耗や脱落の発生した部分から樹脂被覆層の摩耗が促進される。その結果、トナー汚染やトナー融着が生じ、トナーへの帯電が不安定となり、画像不良の原因となる。また、この現像スリーブでは、トナーへの帯電付与能力という点で、現像スリーブ上で摩擦帯電を繰り返して劣化したトナーに対して、十分な帯電量を付与することができない場合があり、高い画像濃度を得ることができないことがある。
また、樹脂中に固体潤滑剤及び導電性微粉末、さらに球状粒子を分散させた導電性樹脂被覆層を金属基体上に設けた現像剤担持体も提案されている(特許文献3)。この現像剤担持体は、樹脂被覆層の耐摩耗性が向上し、樹脂被覆層表面の形状が均一化し、さらに表面粗さの変化も少ない。この結果、現像剤担持体上のトナー担持性が安定化し、画像濃度、ベタ画像等のスジ・ムラ等の画質がより良化するとされている。しかし、この現像剤担持体においても、低湿度又は高湿度環境下で、あるいはより長い耐久において、トナーの帯電が不安定となり、スリーブゴースト、フェーディング等の画像不良をもたらすことがある。この現像剤担持体では、樹脂被覆層表面への固体潤滑剤及び導電性微粉末の露出の程度が不十分で導電性不足となりやすい。また、球状粒子の摩耗や脱落した場所を起点として、トナーによるスリーブ汚染及びスリーブ融着が発生する可能性がある。これら原因から、画像不良となりやすい。
さらに、導電性被覆層を表面処理した現像剤担持体、例えば、樹脂中に固体潤滑剤及び結晶性グラファイトのような導電性微粉末を分散させた導電性樹脂被覆層表面が、一定の粒度分布をもつ砥粒でブラストあるいは研磨された現像剤担持体も提案されている(特許文献4)。この現像剤担持体では、樹脂被覆層表面への固体潤滑剤及びカーボンや結晶性グラファイトのような導電性微粉末の露出の割合が大きくなり、チャージアップやスリーブゴーストに対して効果は見られる。しかし、より長期の耐久においては、耐摩耗性及び耐久による表面粗さの安定性に関して不十分であるという問題が残っている。
また、結晶性グラファイトに代え、結晶性が制御された高硬度の黒鉛化粒子を用いて、均一な表面形状と潤滑性を有する樹脂被覆層が形成されると共に、樹脂被覆層の表面から黒鉛化粒子の摩耗や脱離が起きにくい現像剤担持体が提案されている(特許文献5)。この現像剤担持体では耐磨耗性は格段に向上している。しかしながら、潤滑性や導電性を高めるために樹脂被覆層中に高硬度黒鉛粒子を多量に添加した場合、表面に局部的に強い摺擦力が加わると、その部分を起点として樹脂被覆層が現像剤担持体表面から脱離し、現像剤担持体表面の周方向にスジが発生することがある。
また、粒径の異なる2種類のフィラーを樹脂被覆層中に含有させた、例えば、ケイ酸マグネシウムと炭酸カルシウムを添加分散した、現像スリーブが提案されている(特許文献6)。この方法では、含有させたフィラー自体の導電性や潤滑性が低いためスリーブ上でのトナー融着が発生しやすくなる。
以上述べてきたように、繰り返し複写又は耐久的な使用による現像剤担持体の現像性の変化や現像剤担持体表面の樹脂被覆層の耐久性が課題となっている。しかし、全てを満たす技術は未だ確立されていない。
特開平05−066680号公報 特開平08−240981号公報 特開平03−200986号公報 特開平03−252679号公報 特開2003−323042号公報 特開平04−24670号公報
本発明の課題は、繰り返し複写又は耐久的な使用による現像剤担持体表面の樹脂被覆層の劣化が生じ難く、高耐久性を有し、終始安定した画質が得られ、かつ、繰り返し複写又は耐久においても現像剤担持体上のトナーに高くて均一な帯電を付与することと共に、チャージアップ現象も発生せず、安定した電荷をトナーに常時付与することが可能で、耐久中の画像濃度低下、濃度ムラやカブリのない高品位の画像を得ることのできる現像剤担持体及び該現像剤担持体の製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、以下の手段により達成される。
(1)少なくとも基体表面に樹脂被覆層が形成された現像剤担持体において、該樹脂被覆層は少なくとも結着樹脂及び黒鉛化粒子からなるものであり、該黒鉛化粒子は、その体積平均粒径が2.0μm以上13.0μm以下の範囲にあり、かつ、その体積粒度分布におけるピークが粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に少なくとも2つ存在するものであり、さらに、樹脂被覆層のX線回折で測定される黒鉛(002)面の面間隔が0.3359nm以上0.3450nm以下の範囲にあることを特徴とする現像剤担持体。
(2)黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に存在するピークの内、少なくとも2つのピークが粒径1.2μm以上7.5μm以下の範囲にあることを特徴とする上記(1)の現像剤担持体。
(3)黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に存在するピークの内、最大強度のピーク及び2番目のピークが粒径1.2μm以上3.0μmの範囲及び粒径3.5μm以上7.5μm以下の範囲のそれぞれ別の範囲にあることを特徴とする上記(1)又は(2)の現像剤担持体。
(4)黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲に観測されるピークの内、最大強度のピークが粒径3.5μm以上7.5μm以下の範囲に存在し、2番目のピークが粒径1.2μm以上3.0μm以下の範囲に存在することを特徴とする上記(3)の現像剤担持体。
(5)黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に存在するピークの内、最大強度のピーク及び2番目のピークが粒径で3.0μm以上離れていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかの現像剤担持体。
(6)黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に存在するピークの内、最大強度のピーク及び2番目のピークの内、大粒径ピークの強度をA、小粒径ピークの強度をBとした時、1≦(A/B)<3であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかの現像剤担持体。
(7)黒鉛化粒子が、メソカーボンマイクロビーズ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子を含むことを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかの現像剤担持体。
(8)黒鉛化粒子が、バルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子を含むことを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかの現像剤担持体。
(9)樹脂被覆層のX線回折から得られる黒鉛(002)面の面間隔が、0.3363nm以上0.3420nm以下の範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかの現像剤担持体。
(10)少なくとも基体表面に少なくとも結着樹脂及び黒鉛化粒子からなる樹脂被覆層を有する現像剤担持体の製造方法において、樹脂被覆層の形成工程が、少なくとも、結着樹脂に黒鉛化粒子を分散して塗料を調製する工程及び該塗料を基体表面に塗工する工程を有しており、結着樹脂に分散される黒鉛化粒子が、体積粒度分布において最頻径が異なる黒鉛化粒子を2種以上混合したものであり、混合黒鉛化粒子の体積平均粒径は2.0μm以上13.0μm以下の範囲にあり、混合黒鉛化粒子のX線回折から得られる黒鉛(002)面の面間隔は0.3359nm以上0.3450nm以下であり、かつ、混合黒鉛化粒子の体積粒度分布のピークが1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に少なくとも2つ存在することを特徴とする現像剤担持体の製造方法。
(11)混合して用いられる黒鉛化粒子は、その最頻径がいずれも1.5μm以上7.8μm以下の範囲内にあることを特徴とする上記(10)の現像剤担持体の製造方法。
(12)混合して用いられる黒鉛化粒子の内、最大の最頻径を有する黒鉛化粒子はその最頻径が5.0μm以上7.8μm以下の範囲にあり、2番目に大きな最頻径を有する黒鉛化粒子はその最頻径が1.5μm以上4.0μm以下の範囲にあることを特徴とする上記(11)の現像剤担持体の製造方法。
(13)混合して用いられる黒鉛化粒子は、最大の最頻径を有する粒子の最頻径と2番目に大きな最頻径を有する粒子の最頻径との差が3.0μm以上であることを特徴とする上記(10)〜(12)のいずれかの現像剤担持体の製造方法。
(14)混合して用いられる黒鉛化粒子の少なくとも1つが、メソカーボンマイクロビーズ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子であることを特徴とする上記(10)〜(13)のいずれかの現像剤担持体の製造方法。
(15)混合して用いられる黒鉛化粒子の少なくとも1つが、バルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子であることを特徴とする上記(10)〜(13)のいずれかの現像剤担持体の製造方法。
(16)混合して用いられる黒鉛化粒子は、そのX線回折から得られる黒鉛(002)面の面間隔が0.3363nm以上0.3420nm以下の範囲にあることを特徴とする上記(10)〜(15)のいずれかの現像剤担持体の製造方法。
本発明の現像剤担持体は、高耐久性を有し、現像剤担持体表面からの樹脂被覆層の部分的な欠落が起きにくく、現像剤担持体表面周方向のスジ(以下「周スジ」と称す)が発生せず、樹脂被覆層表面粗さの変化も小さい。この現像剤担持体を用いると、多数枚の繰り返し複写を行っても各複写画像間に現像バラツキがない画像を提供できる。さらに、現像剤担持体は現像剤への帯電付与性は良好であり、多数枚の繰り返し複写を行った後であってもチャージアップ現象の発生もなく、良好な画像をプリントすることができる。
また、本発明の現像剤担持体の製造方法により、良好な現像性と高耐久性とが両立した現像剤担持体が製造できる。
本発明の現像剤担持体についてさらに詳細に述べる。
図1に、本発明の現像剤担持体の一例(磁性一成分現像方式)の模式的断面図を示す。
本発明の現像剤担持体は、円筒状の基体6の表面上に導電性樹脂被覆層7が形成された現像スリーブ8があり、該現像スリーブ8中に磁性ローラ5が収納されている。なお、非磁性一成分現像方式では磁性ローラは不要であるので、基体6は円筒状のスリーブ形式でも円柱状の中実のものでもよい。
現像剤担持体の基体6としては、現像剤等に応じて、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等があるが、感光ドラムに非接触の現像方法においては、金属のような剛体の円筒管もしくは中実棒が好ましく用いられる。すなわち、基体6としてはアルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の非磁性の金属又は合金を円筒状あるいは円柱状に成型し、研磨、研削等を施したものが好適に用いられる。これらの基体は画像の均一性を達成するために、高精度に成型あるいは加工される。例えば、長手方向の真直度は30μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下とされ、現像剤担持体と感光ドラムとの間隙の振れ、例えば、垂直面に対し均一なスペーサーを介して突き当て、現像剤担持体を回転させた場合の垂直面との間隙の振れも30μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下とされている。なお、材料コストや加工の容易さからアルミニウムが好ましく用いられる。
基体6の表面は、現像剤の搬送性を高めるためにブラスト処理、サンドペーパー処理等を行っても良い。具体的には、球形ガラスビーズ等のブラスト材を用い、ブラストノズルから上記ガラスビーズを基体表面に所定の圧力で所定時間吹き付けて基体表面に多数の窪みを形成させる。あるいは、サンドペーパーで基体表面をこすって基体表面に凹凸を形成する。
本発明の現像剤担持体は、図1(a)に示すように、粒径の異なる2種類の黒鉛化粒子b及びcが結着樹脂aに分散された導電性樹脂被覆層7が円筒状の基体6の上に形成された現像スリーブ8及びその現像スリーブ8はマグネットローラ5が収納されている。なお、ここで粒径の大きい方の黒鉛化粒子をcとした。
導電性樹脂層の導電性は結着樹脂aに分散された導電性粒子である黒鉛化粒子b及び黒鉛化粒子cにより調整されている。また、該被覆層7の表面の凹凸(粗さ)は黒鉛化粒子cにより形成されている。
なお、該被覆層表面の凹凸をコントロールするために、図1(b)に示すように、黒鉛化粒子b及び黒鉛化粒子cと共にその他の固体粒子dを結着樹脂に分散させても良い。この固体粒子dとしては、樹脂被覆層7に対して、導電性、帯電性、潤滑性、耐摩耗性等を付与するものが好ましい。
ここで、黒鉛化粒子は、その体積平均粒径が2.0μm以上13.0μm以下の範囲にあることが必要である。樹脂被覆層に含有される黒鉛化粒子の体積平均粒径が2μm未満であると、現像剤担持体に十分な耐久性を付与することができず、周スジも発生しやすくなる。また、樹脂被覆層に含有される黒鉛化粒子の体積平均粒径が13.0μm超であると、樹脂被覆層の表面粗さの影響が大きくなり過ぎて、スリーブ上でのトナーコートを均一化することが困難となる。その結果画質が非常に悪化し、さらに、黒鉛化粒子ごと脱離を起こして耐磨耗性にも悪影響を及ぼすことがある。
黒鉛化粒子は、現像剤担持体の被覆層表面に均一な表面粗さを形成すると同時に、被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗さ変化が少なく、トナー担持量を安定化させる働きをする。それと共にトナーのチャージアップやトナー汚染を防止し、トナーの均一な帯電性を安定化させるために添加するものである。さらに、この黒鉛化粒子は被覆層表面へ高耐久性を付与する効果もある。
本発明で用いる黒鉛化粒子は、従来使用されている結晶性グラファイトより黒鉛化の程度は若干低いものの、結晶性グラファイトと同様に高い導電性や潤滑性を有している。さらに粒子の形状が、従来から用いられている結晶性グラファイトが燐片状あるいは針状であるのに対して、概略球状でしかも粒子自身の硬度が比較的高い。なお、結晶性グラファイトを樹脂被覆層に配した現像剤担持体は特開平02−105181号公報、特開平03−036570号公報等において開示されている。結晶性グラファイトは、コークスなどの骨剤をタールピッチ等により固めて成形した後、まず1000℃以上1300℃以下で焼成し、次いで2500℃以上3000℃以下で黒鉛化して得た人造黒鉛や天然黒鉛が知られている。しかし、本発明で使用する黒鉛化粒子は、結晶性グラファイトとは、X線回折で測定する黒鉛(002)面の面間隔(以下、「黒鉛d(002)」と略す)が異なるものである。
従って、上記のような特性を有する黒鉛化粒子は樹脂被覆層中で均一に分散しやすく、均一な表面形状と耐磨耗性を被覆層表面に与え、且つ粒子自身の形状が変化し難いために被覆層の樹脂部分等の選択的な削れ、又はその影響による粒子自身の脱落が生じたとしても、樹脂層中から粒子が再度突出あるいは露出してくることもあり、表面形状の変化を小さく抑えることが可能となる。
さらに、本発明の黒鉛化粒子を含む樹脂被覆層では、トナーのチャージアップを発生させることなく、従来の結晶性グラファイトを用いた場合よりもトナーへの摩擦帯電付与性を向上することが可能となる。
本発明で用いる黒鉛化粒子は、そのX線回折から求めた黒鉛d(002)が0.3359nm以上0.3450nm以下の範囲にあることが、樹脂被覆層で測定する黒鉛d(002)を0.3359nm以上0.3450nm以下に制御するために好ましい。さらに好ましくは、0.3363nm以上0.3420nm以下の範囲にあることである。黒鉛d(002)が0.3359nm未満である黒鉛化粒子を用いた場合、初期の現像特性や融着軽減には有効であるが、黒鉛化が進み過ぎていて、硬度が低くなっており、現像剤担持体に耐久性を十分に付与することができない。また、黒鉛d(002)が0.3450nm超である黒鉛化粒子は、粒子自体の黒鉛化が十分に進行していないため、現像性向上、耐融着性向上などの画像良化の効果は少なく、画像安定性が悪くなる。なお、本明細書では、樹脂被覆層の黒鉛d(002)の測定は樹脂被覆層を削り取り、測定したものである。
また、本発明では、樹脂被覆層に添加する固体粒子の内、最も大きい体積平均粒径の固体粒子は分級等の処理により粒度分布をある程度シャープになっていることが、樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。
本発明で使用する黒鉛化粒子としては、体積平均粒径が2.0μm以上13.0μm以下の範囲に在り、体積粒度分布において粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲に少なくとも2つのピークが存在することが必要である。このような黒鉛化粒子は単独でこのような性質を持っていればそのまま使用することが可能であるが、好ましくは、体積粒度分布において最頻径が異なる黒鉛化粒子を2種以上併用することである。
体積粒度分布において粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲に唯一つピークを示す黒鉛化粒子を1種類用いても、黒鉛化粒子自体の高導電性により十分な画像特性と、現像剤担持体に機械的強度を付与した十分な耐久性を得ることは可能である。しかし、被覆層表面に局部的に強い摺擦力が加わった場合、局部的に被覆層が欠落して周スジを発生することがあり、帯電性、耐久性等に最も好ましい粒径であると言えないこともあった。
本発明のように、体積粒度分布において粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲に2つ以上のピークを示す黒鉛化粒子を使用することで、層厚規制部材から強い力が加わった場合でも周スジを発生しない耐久性を得ることが可能となる。なお、最頻径が異なる黒鉛化粒子を2種以上組み合わせて用いると、帯電性、耐久性等に最も好ましい粒径を持った粒子を使用することが可能となる。
体積粒度分布のピークを制御して、現像剤担持体がさらなる高次元のプリント画質と耐久性を得るために、小粒径の黒鉛化粒子と大粒径の黒鉛化粒子の2種類を混合して用いると好ましい。2種類の粒子はどちらの粒子も現像剤担持体へよりよい帯電性能付与や高耐久性発現のために寄与しているものの、特に、小粒径黒鉛化粒子は好適な帯電性能を発現し、高画質の安定化をはかることに大きく寄与し、大粒径黒鉛化粒子は現像剤担持体に機械的強度を付与し、高耐久化をはかるために大きく寄与している。これにより、現像剤担持体の表面粗さを必要以上に大きくすることなく、画像特性の安定化と高耐久性を得ることができる。
黒鉛化粒子として、体積平均粒径が2.0μm未満のものを用いると、樹脂被覆層の表面粗さを十分とすることができず、現像剤担持体に十分な耐久性を付与することができなくなり、周スジも発生しやすくなる。また、13.0μm超のものを用いると、導電性、帯電性、潤滑性、耐磨耗性を付与しても、表面粗さが大きくなりすぎ、スリーブ上でのトナーコートを均一化することが困難となる。その結果画質が非常に悪化し、さらに、黒鉛化粒子ごと脱離を起こして耐磨耗性にも悪影響を及ぼす。
また、黒鉛化粒子は、体積粒度分布において粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲に少なくとも2本のピークを示すものであるが、さらに、この粒径範囲で観察されるピークのうち少なくとも2本が粒径1.2μm以上7.5μm以下の範囲にあることが好ましい。
なお、黒鉛化粒子の体積粒度分布において、複数のピークが重なりあっていても、ピーク分離が可能であれば、ショルダーであってもピークと解釈する。しかし、後記するように少なくとも最大強度のピークと2番目のピークの間隔が3μm以上離れており、かつ、その間に極小強度を示すものであることが望ましい。
また、黒鉛化粒子は、体積粒度分布において、最大強度のピーク及び2番目のピークが粒径1.2μm以上3.0μm以下の範囲及び粒径3.5μm以上7.5μm以下の範囲のそれぞれ別の範囲にあることが好ましい。さらに好ましくは、最大強度のピークが粒径3.5μm以上7.5μm以下の範囲にあることである。
黒鉛化粒子として、体積粒度分布において、複数のピーク位置が粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲にあることが必須であるのは以下の理由による。粒径1.0μm未満にピークがあると微小粒径の黒鉛化粒子が多く存在することを意味し、そのような黒鉛化粒子では、帯電性能を高める効果が少なく、現像剤への迅速且つ均一な帯電が不十分となる。同時に、樹脂被覆層から黒鉛化粒子が欠落しやすく、トナーのチャージアップ、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなる。一方、粒径13.0μm超のピークがある場合には、粗粒の黒鉛化粒子が多いことを意味し、そのような黒鉛化粒子では、樹脂被覆層の表面粗さが大きくなってしまい、均一なトナーへの帯電が困難となり、画質が悪化してしまうことがある。また、同時に、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまい、樹脂被覆層の機械的強度が低下することがある。
さらに黒鉛化粒子が体積粒度分布における最大強度のピークと2番目のピーク間に極小強度値を持たない時、形成される樹脂被覆層の特性が、配された黒鉛化粒子が1ピーク(単分散)のものに近づいてしまい、高帯電性や高耐久性を維持できないことがある。
また、黒鉛化粒子の体積粒度分布で最大強度のピークと、2番目のピークの粒径差が3μm以上であることが好ましい。これら2ピークの粒径差が3μm未満である時、これらピークの間に極小強度値を示さない場合と同様に、配された黒鉛化粒子が1ピークのものに近づいてしまい、高帯電性や高耐久性を維持できないことがある。
また、黒鉛化粒子は、体積粒度分布における最大強度のピークと2番目のピークの内、大粒径ピークの強度をA、小粒径ピークの強度をBとした時、その比(A/B)が1以上3未満にあることが好ましい。この範囲以上に大粒径ピークの強度が強すぎると、レベルの高い十分な帯電性能を発現することができず、画質が悪化することがある。逆に小粒径ピークの強度が強すぎる(すなわち、A/Bが1未満となる)と、高耐久性が十分得られにくく、現像剤担持体上に周スジが発生することがある。なお、上記したように最大強度のピークは粒径3.5μm以上7.5μm以下の範囲にあり、2番目のピークは粒径1.5μm以上3.0μm以下の範囲にあり、かつその位置間隔が3.0μm以上であることが好ましい。
なお、本発明では、導電性樹脂被覆層を削り取り、その樹脂被覆層の粉末をX線回折で測定したときに、黒鉛(002)面に基づくピークが0.3359nm以上0.3450nm以下に観察されることが必要である。従って、導電性樹脂被覆層に配する黒鉛化粒子として、X線回折で測定したときに、黒鉛(002)面に基づくピークが0.3359nm以上0.3450nm以下にあるものを用いると、容易に樹脂被覆層での黒鉛d(002)をコントロールすることができるので好ましい。
樹脂被覆層中の黒鉛化粒子の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して好ましくは2質量部以上150質量部以下、より好ましくは4質量部以上100質量部以下である。黒鉛化粒子の含有量が2質量部未満の場合には黒鉛化粒子を添加する効果が小さく、150質量部を越える場合には樹脂被覆層の密着性が低くなり過ぎて耐磨耗性が悪化してしまう場合がある。
本発明の樹脂被覆層に用いる結着樹脂(被覆樹脂)として、一般に現像剤担持体の導電性樹脂被覆層に使用されている公知の樹脂が使用可能であり、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、有機溶剤に対して比較的溶解性が高く、黒鉛化カーボンや黒鉛化粒子、及び他の添加剤の分散性にも優れており、さらに薄層化も容易にできる。また、これらの樹脂は基体との密着性や耐摩耗性にも優れているばかりでなく、特に現像剤(トナー)が負帯電性の場合、現像剤(トナー)に対して適度な帯電を付与することができ、他の樹脂やプレポリマー、重合体等と架橋反応させて変性することによって、耐摩耗性の更なる向上を図ることができ、耐溶剤性や柔軟性を改良することが可能である。さらに、十分な機械的強度を有するものであれば、熱可塑性樹脂でも、熱硬化性樹脂でも十分適用可能である。
本発明において、上記した材料によって現像剤担持体上に形成される樹脂被覆層は、チャージアップによる現像剤の現像剤担持体上への固着や、現像剤のチャージアップに伴って生じる現像剤担持体の表面から現像剤への帯電付与不良を防ぐためには、導電性であることが望ましい。
また、樹脂被覆層の体積抵抗値としては、好ましくは104Ω・cm以下、より好ましくは103Ω・cm以下10-2Ω・cm以上である。現像剤担持体表面の導電性被覆層の体積抵抗値が104Ω・cmを超えると、現像剤への帯電付与不良が発生しやすく、その結果、いわゆるブロッチが発生しやすい。
本発明の樹脂被覆層中に黒鉛化粒子以外に、さらに、下記に挙げる導電性微粒子を含有させても良い。この導電性微粒子は、樹脂被覆層形成に用いる塗料の粘度調整、樹脂被覆層の導電性のコントロール等を司る。導電性微粒子の粒径は細かい方が望ましく、粒径1μm以下であることが好ましい。この際に使用される導電性物質としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属粉体、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ等の金属酸化物、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト等の炭素物等が挙げられる。本発明においては、これらのうち一次粒径が1μm以下と細かいカーボンブラックを好適に用いうる。とりわけ導電性のアモルファスカーボンは、特に電気伝導性に優れ、高分子材料に充填して導電性を付与し、その添加量をコントロールするだけで、ある程度任意の導電度を得ることができるために好ましい。
本発明の樹脂被覆層中に、表面に凹凸を形成するための球状粒子を併用することも可能であり、このような球状粒子として、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルアクリレート、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のビニル系重合体や共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂粒子、アルミナ、酸化亜鉛、シリコーン、酸化チタン、酸化錫等の酸化物粒子、その他、例えばイミダゾール化合物のような有機化合物を粒子状にして用いることも可能である。この場合にイミダゾール化合物は、トナーに摩擦帯電電荷を付与する役割も果たす。
この球状粒子の体積平均粒径は、0.3μm以上30μm以下であることが好ましく、0.5μm以上13.0μm以下であることがさらに好ましい。すなわち、球状粒子の粒径が0.3μm未満では樹脂被覆層に均一な凹凸を形成することが難しく、必要な表面粗さを形成しようとした場合、配合量を過大にする必要があり、そのために樹脂被覆層が脆くなり、耐摩耗性が低下することがある。逆に30μmを超えると、粒子が樹脂被覆層表面から突出し、担持する現像剤の量(現像剤層厚み)が大きくなり過ぎ、現像剤(トナー)の帯電が不足したり、不均一になったりしやすくなることがある。そのうえ、バイアス電圧を負荷した際に感光ドラムへのリークポイントになることがある。
本発明においては、現像剤担持体の帯電性を調整するために、樹脂被覆層中にカーボンブラック、黒鉛化粒子、球状粒子と共に荷電制御剤を含有させてもよい。
ここで使用できる荷電制御剤として、例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩などによる変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩;及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等);高級脂肪酸の金属塩;ブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;チブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン類;イミダゾール化合物等が挙げられる。
これらの荷電制御剤の中でも、特に球形化度の高い負帯電性トナーを用いる場合は、荷電制御剤として鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を樹脂被覆層中に含有させることが、トナーへの帯電付与性を向上させる点で好ましい。
このとき、前記樹脂被覆層は、樹脂構造中にアミノ基、=NH基、又はNH−結合の少なくともいずれかを有することがさらに好ましい。
現像剤担持体上に上記の第4級アンモニウム塩化合物と特定の被覆樹脂を組み合わせた樹脂被覆層を設けたものを用いることで、球形化度の高い負帯電性トナーの過剰帯電を防ぐことが可能となり、負帯電性トナーへの適正な摩擦帯電することができる。これにより、現像剤担持体上でのトナーのチャージアップを防ぎ、樹脂被覆層表面にトナー融着が発生しにくくトナーの高い帯電安定性を保持でき、その結果環境安定性及び長期安定性を有する高精細画像を提供することが可能となる。
本発明において好適に使用される、上記した機能を有する第4級アンモニウム塩化合物としては、鉄粉に対して正帯電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007183482
式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、アルアルキル基を表し、X-は酸の陰イオンを表す。
一般式(1)においてX-で表されている酸の陰イオンとしては、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機リン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、モリブデン原子或いはタングステン原子を含むヘテロポリ酸イオン等が好ましい。
本発明に好適に用いられる、それ自身が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物として、例えば、下記表1〜3に記載するものが挙げられる。
Figure 2007183482
Figure 2007183482
Figure 2007183482
これら4級アンモニウム塩との組合せで構造中にアミノ基、=NH又は−NH−の少なくとも1つを含む好ましい樹脂として、その製造工程において触媒として含窒素化合物を用いて製造されたフェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドを硬化剤として用いたエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、これらの樹脂を一部に含んだ共重合体等が挙げられる。これら被覆樹脂との混合物の成膜時に第4級アンモニウム塩化合物が被覆樹脂の構造中に容易に取り込まれる。
現像剤担持体表面、すなわち樹脂被覆層表面の粗さは、その現像方式によって異なるが、一般的には、JIS B0601−2001に規定の算術平均粗さ(Ra)で0.20μm以上3.50μm以下の範囲にあることが好ましい。同様に樹脂被覆層の膜厚に関しても、現像方式によって好適な膜厚は異なるものの、一般的には5.0μm以上50.0μm以下の範囲にあることが好ましい。
例えば、図2に示されるような、磁性トナーを用い、現像剤層厚規制部材として現像剤担持体と間隙をもって配置された磁性ブレードを有するような現像装置では、Raが0.20μm以上2.50μm以下であることが望ましい。0.20μm未満の場合には、現像剤が十分に搬送されず、現像剤不足による画像濃度薄や、過剰な帯電による飛び散りやブロッチなどが発生しやすく、2.50μm超の場合には、トナーの摩擦帯電が不均一となり、スジむらや、反転カブリ、帯電不足による画像濃度薄などが発生しやすい。
例えば、図3、図4に示されるような、弾性部材が現像剤担持体に圧接して用いられる現像装置の場合には、Raが、0.30μm以上3.50μm以下にあることが望ましい。0.30μm未満の場合には、現像剤が十分に搬送されず、現像剤不足による画像濃度薄や、過剰な帯電による飛び散りやブロッチなどが発生することがあり、現像剤担持体へのトナー融着も発生しやすい。また、3.50μm超の場合には、トナーの摩擦帯電が不均一となり、スジむらや、反転カブリ、帯電不足による画像濃度薄などを発生しやすい。
本発明の樹脂被覆層を得る方法としては、例えば、各成分を溶剤中に分散混合して塗料化し、前記基体上に塗工することにより得ることが可能である。各成分の分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを利用した公知の分散装置が好適に利用可能である。また塗工方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等公知の方法が適用可能である。
すなわち、樹脂被覆層の形成は、少なくとも結着樹脂と黒鉛化粒子を少なくとも含有する樹脂組成物を分散させる工程と、分散された樹脂組成物を基体表面に塗工する工程からなる。
黒鉛化粒子としては、体積粒度分布において異なる最頻径を有する黒鉛化粒子を2種類以上混合して用い、且つ該最頻径が2.0μm以上15.0μm以下の範囲にあり、X線回折から得られる黒鉛d(002)が0.3359nm以上0.3450nm以下の範囲にあり、混合黒鉛化粒子で体積平均粒径が2.0μm以上13.0μm以下の範囲にあることが好ましい。
ここで黒鉛化粒子は、体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲に少なくとも2つピークを有するものである。なお、ここで最大強度のピークは3.5μm以上7.5μm以下、2番目のピークは1.2μm以上3.0μm以下にあることが好ましい。
なお、黒鉛化粒子2種類以上を使用するが、それぞれの黒鉛化粒子は最頻径が1.5μm以上15.0μm以下のものを適宜選択して混合する。その際に最頻径1.5μm未満のものを使用すると、混合して用いられる黒鉛化粒子が体積平均粒径で2.0μm未満となり易く、また、体積粒径分布において粒径1.0μm未満にピークが観察され不適当である。一方、15.0μm超のものを用いると、混合して用いられる黒鉛化粒子が体積平均粒径で13.0μm超となり易く、また、体積粒径分布において粒径13.0μm超にピークが観察され不適当である。
本発明に好ましく用いられる黒鉛化粒子は、以下に示すような方法で得られるが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。
本発明で使用する黒鉛化粒子の特に好ましいものを得る方法としては、原材料としてメソカーボンマイクロビーズ、バルクメソフェーズピッチ粒子等の光学的に異方性で、しかも単一の相からなる粒子を用いて黒鉛化することが、黒鉛化粒子の黒鉛化の程度を高めかつ球状の形状を保持させるために好ましい。上記の原材料の光学的異方性は、芳香族分子の積層から生じるものであり、その秩序性が黒鉛化処理でさらに発達し、高度に黒鉛化した黒鉛化粒子が得られる。
黒鉛化粒子を得る原材料として、バルクメソフェーズピッチを用いる場合は、加熱化で軟化溶融するものを用いることが球状で黒鉛化の低度が高い黒鉛化粒子を得るために好ましい。バルクメソフェーズピッチを得る方法として代表的なものは、例えば、コールタールピッチ等から溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行うことによって得られるメソフェーズピッチである。また重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼン又はトルエン等により溶剤可溶分を除去することで得られるメソフェーズピッチである。このバルクメソフェーズピッチはキノリン可溶分が95wt%以上であることが好ましい。95wt%未満のものを用いると、粒子内部が液相炭化しにくく、固相炭化するため粒子が破砕状のままとなり、球状のものが得られないことがある。
メソフェーズピッチを用いて黒鉛化粒子を得る方法としては、まず、前記のバルクメソフェーズピッチを2μm以上25μm以下に微粉砕して、これを空気中200℃以上350℃以下で熱処理して、軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチ粒子は表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化熱処理時の溶融、融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチ粒子は酸素含有量が5質量%以上15質量%以下であることが適当である。なお、酸素含有量が5質量%未満であると熱処理時の粒子同士の融着が激しくなる、15質量%を超えると粒子内部まで酸化されてしまい、形状が破砕状のまま黒鉛化し球状のものが得られにくい等の不具合がある。次にこのように酸化処理したバルクメソフェーズピッチ粒子を窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、1000℃以上3500℃以下で熱処理することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
また、本発明に用いられる黒鉛化粒子を得るためのもう一つの好ましい原材料であるメソカーボンマイクロビーズを得る方法として、代表的なものは、石炭系重質油又は石油系重質油を300℃以上500℃以下の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズを生成し、反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離などの処理をしてメソカーボンマイクロビーズを分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄し、さらに乾燥することである。
このメソカーボンマイクロビーズを用いて黒鉛化する方法としては、まず乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズを破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。この一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズは、不活性雰囲気下において200℃以上1500℃以下の温度で一次加熱処理され、炭化される。一次加熱処理を終えた炭化物は、やはり炭化物を破壊させない程度の温和な力で炭化物を機械的に分散させることが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。二次分散処理を終えた炭化物は、不活性雰囲気下において1000℃以上3500℃以下で二次加熱処理することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
いずれの原材料を用いた黒鉛化粒子の製造においても、その焼成温度は1000℃以上3500℃以下とするのが好ましい。焼成温度が1000℃未満の場合は、黒鉛化粒子の硬度が高いので耐久性は良化する傾向にあるが、黒鉛化粒子の黒鉛化が不十分であり、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、画像濃度不足、カブリ、文字の飛び散り等で画質が悪化しやすくなり、さらに規制部材に弾性部材を使用した場合に規制部材表面に摺擦キズが発生する場合があり、ベタ画像にスジ・ムラ等が発生しやすくなる。焼成温度が3500℃超では黒鉛化粒子の黒鉛化が過ぎてしまう場合があり、そのため黒鉛化粒子の硬度が下がり、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下しやすい。
本発明では、上記のようにして製造された黒鉛化粒子を適宜選択して用いる。なお、用いるに際しては、最頻径が異なる2種以上を併用することが望ましい。
図2は、本発明の現像剤担持体を組み込んだ現像装置の一例を示す模式図である。
静電潜像を担持するための静電潜像担持体(感光ドラム)1は矢印B方向に回転されている。感光ドラム1に対峙した現像スリーブ8は、金属製円筒管(基体)6とその表面に形成される導電性樹脂被覆層7から構成されている。ホッパー3中には、磁性一成分トナー4を攪拌する攪拌翼10が設けられている。ホッパー3から現像スリーブ8に供給された磁性一成分トナー4は、現像スリーブ8上に担持されており、現像スリーブ8が矢印A方向に回転することによって、現像スリーブ8と感光ドラム1とが対峙した現像領域Dへと搬送される。現像スリーブ8内には、磁性一成分トナー4を現像スリーブ8上に磁気的に吸引、保持するための磁石5が配置されている。磁性一成分トナー4は、現像スリーブ8及び撹拌翼10との摩擦によって、感光ドラム1上の静電潜像を現像可能とする摩擦帯電する。磁石5のN1極からの磁力線が磁性ブレード2に集中することにより磁性一成分トナー4の薄層が現像スリーブ8上に形成される。なお、磁気ブレード2と現像スリーブ8との間隙としては、通常50μm以上500μm以下とする。
現像スリーブ8上に、磁性ブレード2によって形成される磁性一成分トナー4の薄層は、現像領域Dにおける現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。すなわち、このようなトナー薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、いわゆる、非接触型現像装置に特に有効である。上記現像スリーブ8には、これに担持された磁性一成分トナー4を飛翔させるために、電源9により現像バイアス電圧が印加されている。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(トナーが付着して可視化される領域)の電位と、背景部の電位との間の値の電圧を現像スリーブ8に印加することが好ましい。一方、現像画像の濃度を高め、或いは階調性を向上させるために、現像スリーブ8に交番バイアス電圧を印加して、現像部に向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した画像部の電位と背景部の電位の間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を、現像スリーブ8に印加する。
また、高電位部と低電位部とを有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、いわゆる、正規現像においては、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用し、一方、静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、いわゆる、反転現像においては、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。なお、高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。いずれにしても、磁性一成分トナー4は、現像スリーブ8との摩擦によって静電潜像を現像するための極性に帯電される。
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、感光ドラムの回転により転写部(不図示)に移動し、そこで感光ドラム1の回転と同期して供給される転写部材(不図示)上に静電的に転写される。トナー像が転写された転写部材は更に定着部に送られて、定着されて画像が形成される。
現像スリーブ8上への磁性一成分トナー4の層厚をコントロールするのは、磁性ブレード2である必要はなく、図4に示すように、弾性ブレード2を用いても良い。
現像剤4が非磁性一成分トナーであるときは、図3に示すように、現像剤担持体8は、基体6が必ずしも円筒状である必要はなく、円柱状であっても構わない。なお、現像剤担持体8には、該現像剤担持体8に新たな非磁性一成分トナーを供給すると共に現像に使用されずにホッパー3に戻ってくる非磁性一成分トナーを掻き落とす弾性ローラ13が当接している。この弾性ローラ13は、現像剤担持体8、現像剤層厚規制部材(弾性ブレード)11と共に、非磁性一成分トナー4を摩擦帯電させる働きもしている。
現像剤担持体8上に担持された非磁性一成分トナーは弾性ブレード11により層厚(担持量)が規制されると共に感光ドラム1に形成されている静電潜像の現像に必要な帯電量になり、更に、現像剤担持体8の回転により感光ドラム1と対峙した現像領域Dに送られる。
現像領域Dで現像剤担持体8上から非磁性一成分トナーは静電的に静電潜像に飛翔或いは接触移行して、静電潜像を現像する。なお、この現像に際し、非磁性一成分トナーの静電潜像への移行を効率よくするために、感光ドラム1と現像剤担持体8との間に静電圧を電源9より負荷する。この際に、現像トナー像のコントラストを上げるために上記で記載したような交番電圧を印加することもできる。
現像剤担持体8は更に回転して、現像に使用されなった非磁性一成分トナーを担持したままホッパー3に戻り、そこで表面から非磁性一成分トナーが弾性ローラ13にて掻き取られ、また、弾性ローラ13により新たに非磁性一成分トナーが担持される。
一方、感光ドラム1上に形成されたトナー像は、感光ドラム1の回転に伴い、転写領域へ移動し、そこで同期して供給されてきた転写部材へ静電的に移される。トナー像が移された転写部材は定着領域へ運ばれ、そこでトナー像は転写部材に固定される。
図5は本発明の2成分現像方式に用いられる画像形成装置例の概略構成の模式図である。1は像担持体としての感光ドラムである。この感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)の表面に、光の干渉を抑え、上層の接着性を向上させる下引き層と、光電荷発生層と、電荷輪送層の3層から構成されている。
15は感光ドラム1の周面を一様に帯電処理する帯電装置であり、本例では磁気ブラシ型帯電装置である。マグネットローラ15aの有する磁力によって、搬送スリーブの表面に磁性粒子15bよりなる磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを感光ドラム1の表面に接触させ、感光ドラム1を帯電する。なお、搬送スリーブには、バイアス印加手段17により帯電バイアスが印加されている。16は帯電処理された感光ドラム1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置であり、本例はレーザビームスキャナである。不図示の画像読み取り装置などのホスト装置からプリンタ側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光Lを出力して回転感光ドラム1の一様帯電処理面を、露光位置においてレーザ走査露光をする。このレーザ走査露光により、感光ドラム1面のレーザ光Lで照射されたところの電位が低下することで、回転感光ドラム1面には走査露光した画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
12は感光ドラム1上に静電潜像に現像剤(トナー)を供給し静電潜像を可視化する現像手段としての現像装置(現像器)であり、本例は二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置である。
3は現像容器、8は現像スリーブであり、通常、アルミニウム及びその合金、ステンレス鋼などの金属の円筒体からなる基体6とその上に導電性樹脂被覆層7が形成されている。円筒体用の金属は成型加工が容易であればよく、特に限定されない。この現像スリーブ8はその外周面の一部を外部に露呈させて現像容器3内に回転可能に配設してある。5は非回転に固定して現像スリーブ8内に挿設したマグネットローラである。2は現像剤コーティングブレード、4は現像容器3に収容した二成分現像剤、3aは現像容器3内の底部側に配設した現像剤攪拌部材、3bはトナーホッパーであり、補給用トナーを収容させてある。
現像容器3内の二成分現像剤4はトナーと磁性キャリアの混合物であり、現像剤攪拌材3aにより攪拌される。トナーは基本的には、現像剤攪拌部材3aの攪拌によって、磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。また、現像スリーブ8の近傍に存在するトナーは現像スリーブ8との摺擦によっても摩擦帯電される。現像スリーブ8の表面には前記したよう導電性樹脂被覆層7が形成されており、トナーは正規極性、本例では負極性に摩擦帯電される。
現像スリーブ8は感光ドラム1との最近接距離(S−Dgapと称する)が100μm以上1000μm以下、通常は350μmに保たれて感光ドラム1に近接させて対向配設してある。
S−Dgapをこの範囲とすることで、キャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。すなわち、100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく、画像濃度が低くなり、また1000μmを超えると磁極からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性が悪化しやすく、キャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じやすくなる。
この感光ドラム1と現像スリーブ8との対向部が現像部である。現像スリーブ8は現像部において感光ドラム1の進行方向とは逆方向に回転駆動される。この現像スリーブ8の外周面に該スリーブ内のマグネットローラ5の磁力により現像容器3内の二成分現像剤4の一部が磁気ブラシ層として吸着保持される。この二成分現像剤4は現像スリーブ8の回転に伴い搬送され、現像剤コーティングブレード2により所定の薄層に整層され、現像部において感光ドラム1の面に対して接触して感光ドラム面を適度に摺擦する。
現像スリーブ8には電源9から所定の現像バイアスが印加される。本例において、現像スリーブ8に対する現像バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。振動電圧のピーク間の電圧は300V以上3000V以下が好ましく、周波数は500Hz以上10000Hz以下、好ましくは1000Hz以上7000Hz以下であり、それぞれプロセスにより適宜選択して用いることができる。この場合、波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形、断続的な交番重畳電界等種々選択して用いることができる。回転する現像スリーブ8により現像部に搬送された現像剤中のトナー分が現像バイアスによる電界によって感光ドラム1面に静電潜像に対応して選択的に付着することで静電潜像がトナー画像として現像される。本例の場合は感光ドラム1面の露光明部にトナーが付着して静電潜像が反転現像される。
現像部を通過した現像スリーブ8上の現像剤の磁気ブラシは引き続く現像スリーブの回転に伴い現像容器3内の現像剤溜り部に戻される。現像容器3内の二成分現像剤4のトナー濃度を所定の略一定範囲内に維持させるために、現像容器3内の二成分現像剤4のトナー濃度が不図示の例えばコイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサーによって検知され、その検知情報に応じてトナーホッパー3bが駆動制御されて、トナーホッパー3b内のトナーが現像容器3内の二成分現像剤4に補給される。二成分現像剤4に補給されたトナーは攪拌部材3aにより攪拌される。
一方、感光ドラム1上に形成されたトナー画像は感光ドラム1の回転により転写部に移動し、これと同期して供給された紙等の転写材Pに、転写部において感光ドラム1に対向して設けられた転写部材(本図では転写ローラ)18により、転写される。転写部材18にはトナーとは逆の電圧(転写電圧)が電源19より印加されている。トナー画像が転写された転写材Pは感光ドラムから離れ、定着装置20に送られ、そこでトナー画像は定着される。
なお、カラー画像形成装置では、感光ドラムから離れた転写材Pは、次の色の画像形成のために上述するような画像形成装置に送られ、次の色のトナー画像が重ね合わされる。通常、黄、マゼンタ、シアン及び黒の4つのトナー画像が転写材P上で重ね合わされた後に定着装置に送られ、トナー画像は定着される。この際のトナー画像の重ね合わせを、転写材P上で直接行なうのではなく、転写シートあるいは転写ドラム上に重ね合わせたトナー画像を形成し、そのトナー画像を転写材Pへ一括転写することも可能である。
トナー画像を転写し終わった感光ドラム1はさらに回転して、必要によりクリーニング、除電等がされて、帯電領域に移動し、以下、繰り返される。
図2〜5は本発明の現像剤担持体が使用可能な現像装置を模式的に例示したものであり、前記した層厚規制部材以外にも、現像容器の形状、攪拌翼の有無、磁極の配置、補給容器の有無等に様々な形態がある。
次に、本発明の現像装置にて用いられる現像剤(トナー)について説明する。
本発明に使用する現像剤(トナー)は、現像剤用結着樹脂に着色剤、荷電制御剤、離型剤、無機微粒子等を配合したもので、形式として、磁性材料を必須成分とする磁性一成分現像剤と磁性材料を含まない非磁性一成分現像剤がある。形式は現像装置に適応して適宜選択される。
また、本発明で使用する現像剤(トナー)は、いずれの形式であっても、重量平均粒径が4μm以上11μm以下の範囲にあることが好ましい。このようなものを使用すれば、トナーの帯電量あるいは画質及び画像濃度等がバランスのとれたものとなる。
現像剤(トナー)用結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能であり、例えばビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられるが、この中でもビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
現像剤(トナー)には帯電特性を向上させる目的で、荷電制御剤をトナー粒子に包含させる(内添)、又はトナー粒子と混合して用いる(外添)ことができる。これは、荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となるためである。
正の荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン、トリアミノトリフェニルメタン系染料及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレード、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレートを単独であるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
また、負の荷電制御剤としては、例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効である。その例としては、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシャリーブチルサリチル酸クロム等があり、特にアセチルアセトン金属錯体、モノアゾ金属錯体、ナフトエ酸あるいはサリチル酸系の金属錯体又は塩が好ましい。
現像剤(トナー)が、磁性現像剤(トナー)である場合、磁性材料として、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄系金属酸化物;Fe、Co、Niのような磁性金属、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等を配合する。この際は、これら磁性材料を、着色剤としての役目を兼用させても構わない。
現像剤(トナー)に配合する着色剤として、従来からこの分野で使用している顔料、染料を使用することが可能であり、適宜選択して使用すればよい。
現像剤(トナー)には離型剤を配合することが好ましく、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス、モンタンワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類等が適当である。
さらに、現像剤(トナー)には、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上及びクリーニング性向上のために、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体を外添すること、すなわち現像剤表面近傍に存在させていることが好ましい。中でも、シリカ微粉体が好ましい。
無機微粉体以外の外添剤をさらに加えて用いても良い。例えば、テフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンのような滑剤(中では、ポリフッ化ビニリデン)、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム等の研磨剤がある。
現像剤(トナー)を作成するには、まず、結着樹脂、着色剤としての顔料又は染料、離型剤、必要に応じて磁性材料や荷電制御剤、その他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミキサー等の混合機により充分に混合する。次いで、これを加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融して樹脂類を互いに相溶せしめた中に離型剤、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめる。この溶融物を、冷却固化した後、粉砕及び分級を行ってトナー粒子を得る。さらに、必要に応じて所望の添加剤を加え、ヘンシェルミキサー等の混合機により充分に混合して、現像剤(トナー)とすることもできる。
このような現像剤は、種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。そのような方法としては、攪拌羽根又はブレードなど、及びライナー又はケーシングなどを有する装置で、例えば、現像剤をブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したり現像剤を球形化したりする方法、温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等がある。
また、球状の現像剤を直接作る方法としては、水中に現像剤結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナーとする方法がある。一般には、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、磁性材料、荷電制御剤、離形剤、その他の添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤含有の連続層、例えば水相中に適当な攪拌機を用いて適度な粒滴に分散し、さらに重合反応を行わせ、所望の粒子径を有する現像剤を得る方法である。
以下に本発明に関わる物性の測定方法について述べる。
(1)樹脂被覆層の結着樹脂の重量平均分子量
株式会社島津製作所製のHLC8120GPC(商品名)を用い、THFを展開溶媒とし、以下の条件で測定した。なお、重量平均分子量はポリスチレン換算で求めたものである。
検出器 :屈折率計。
カラム条件 :下記の5本のTSKgel(東ソー株式会社製)にTSK Guard Column(東ソー株式会社製)を直列に連結したもの。
TSKgel Super2000
TSKgel Super3000
TSKgel Super4000
TSKgel Super5000
TSKgel Super6000
測定条件 :測定温度 40℃
流量 0.6ml/分
サンプル注入量 20μl
サンプル濃度 0.5%
(2)樹脂被覆層の体積抵抗
厚さ100μmのPETシート上に7μm以上20μm以下の厚さの樹脂被覆層を形成し、ASTM規格D−991−89(1994)及び日本ゴム協会標準規格SRIS 2301−1969に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積抵抗測定用4端子構造電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所株式会社製)を使用し、測定環境を20℃以上25℃以下、50%RH以上60%RH以下として測定した。
(3)カーボンボンブラックのDBP吸油量(OA)
カーボンボンブラックのDBP吸油量(OA)の測定は、JIS K6217−1997に準じて測定した。
すなわち、DBP吸油量測定器(フロンテックス、S−410(商品名))を用い、ローター回転数を125rpm、トルク用リミットスイッチの目盛りを5、トルク目盛りが10から0になるまでの所要時間が3秒になるようにダンパーバルブを調節し、ジブチルフタレート(DBP)の滴下速度を4ml/minに設定し、アブソープトメーター混合室に乾燥したカーボンブラック20gを入れ、ビュレットカウンターを0点に合わせ滴下を開始した。トルクが5になり滴下が停止した時のビュレットカウンターの目盛り(V)を読み、次式(式1)で吸油量を算出した。
OA=(V/Wd)×100 (式1)
ここで、OAは吸油量(ml/100g)、Vは終点までに用いたDBPの使用量(ml)及びWdはカーボンブラックの質量(g)である。
(4)カーボンブラック及び1μm未満の微粒子の粒径測定
電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S4800(商品名))を用いて、導電性微粒子を撮影倍率6万倍又は30万倍で撮影し、得られた写真上で一次粒子の長軸と短軸を測り、平均した値をその粒子の粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって一次粒子径とした。なお、撮影を所定の倍率で撮影するのが難しい場合は低倍率で撮影した後に所定倍率となるように写真を拡大プリントした。
(5)1μm以上の黒鉛化粒子の粒径(体積平均粒径)
グラファイト、黒鉛化粒子等の導電性粒子の粒径は、ベックマン・コールター株式会社製の「レーザ回折散乱法粒度分布測定装置LS−230型」(商品名)を用いて測定した。
すなわち、IPA50mlに、測定試料1mg〜25mgを加え、超音波分散機で1分間〜3分間分散処理して、試料液を得る。一方、少量モジュールを用い、測定溶媒をイソプロピルアルコール(IPA)とし、まず、IPAにて装置の測定系内を約5分間洗浄した後バックグラウンドファンクションを実行する。その後、測定系内に試料液を徐々に加えて装置の画面上のPIDSが45%〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整してから測定を行う。測定結果から作成された体積分布から体積平均粒径を求める。
(6)現像剤担持体表面の表面粗さ(Ra:算術平均粗さ)
表面粗さ(JIS B0601−2001)に準拠する株式会社小坂研究所製の表面粗さ測定器「サーフコーダSE−3500」(商品名)にて、軸方向3箇所×周方向3箇所の計9箇所について測定し、その平均値を表面粗さRaとする。なお、カットオフ0.8mm、測定距離8.0mm及び送り速度0.5mm/secとした。
(7)樹脂被覆層の膜厚及び削れ量
レーザ光にて円筒の外径を測定する株式会社キーエンス製の寸法測定器「LS5000シリーズ」(商品名)を用い、樹脂被覆層形成前のスリーブの外径(S0)、樹脂被覆層形成後の外径(S1)及び耐久使用後の外径(S2)をそれぞれ測定し、それらの値から、樹脂被覆層の厚み(S1−S0)及び樹脂被覆層の削れ量(膜削れ)(S1−S2)を算出する。
測定には、該装置のコントローラLS−5500及びセンサーヘッドLS−5040Tを用い、スリーブ固定治具及びスリーブ送り機構を取り付けた装置にセンサー部を別途固定し、スリーブ長手方向に対し30分割して30箇所、さらにスリーブを周方向に90°回転させた後さらに30箇所、合計60箇所についてスリーブの外径寸法を測定した。外径寸法はその平均値とする。
なお、耐久使用後のスリーブ外径の測定は、表面上に融着しているトナー融着物をメチルエチルケトン中で超音波洗浄により除去してから行う。
(8)黒鉛化粒子及び樹脂被覆層の黒鉛(002)面の面間隔(黒鉛d(002))
樹脂被覆層は現像スリーブ上から樹脂被覆層を削り取った粉末状物で、また、黒鉛化粒子(カーボンブラック、グラファイト)はそのまま測定試料とし、無反射試料板に充填したものを、株式会社リガク製の試料水平型強力X線回折装置 RINT/TTR−II(商品名)にてCuKα線を線源としたX線回折チャートを得る。なお、CuKα線としてモノクロメーターにより単色化したものを使用した。
このX線回折チャートからの面間隔d(002)は、X線回折スペクトルから黒鉛(002)面からの回折線のピーク位置を求め、ブラッグの公式(下記式(2))より黒鉛d(002)を算出する。ここでCuKα線の波長λは、0.15418nmである。
黒鉛d(002)=λ/2sinθ 式(2)
主な測定条件:
光学系 :平行ビーム光学系
ゴニオメータ :ローター水平型ゴニオメータ(TTR−2)
管電圧/電流 :50kV/300mA
測定法 :連続法
スキャン軸 :2θ/θ
測定角度 :10°〜50°
サンプリング間隔:0.02°
スキャン速度 :4°/min
発散スリット :開放
発散縦スリット :10mm
散乱スリット :開放
受光スリット :1.00mm
以下に、実施例をもって、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。なお、以下の配合における部、%は、特に断らない限り、それぞれ質量部、質量%である。
参考例1(黒鉛化粒子A−1の製造)
石炭系重質油を熱処理して得たメソカーボンマイクロビーズを洗浄・乾燥した後、アトマイザーミルで機械的に分散し、窒素雰囲気下に800℃で一次加熱処理により炭化させた。次いで、アトマイザーミルで二次分散を行った後、窒素雰囲気下に3000℃で熱処理した後、分級して体積平均粒径1.3μmの黒鉛化粒子を集め、黒鉛化粒子A−1を得た。
参考例2(黒鉛化粒子A−2の製造)
石炭系重質油を熱処理して得たバルクメソフェーズピッチ粒子を洗浄・乾燥した後、アトマイザーミルで機械的に分散し、窒素雰囲気下において800℃で一次加熱処理により炭化させた。次いで、アトマイザーミルで二次分散を行った後、窒素雰囲気下に2800℃で熱処理し、さらに分級して体積平均粒径1.8μmの黒鉛化粒子を集め、黒鉛化粒子A−2を得た。
参考例3、5、7、9、12(黒鉛化粒子A−3、5、7、9、12の製造)
焼成温度、粉砕条件及び分級条件を適宜変える以外は参考例1と同様にして、黒鉛化粒子A−3(体積平均粒径3.0μm)、黒鉛化粒子A−5(体積平均粒径6.0μm)、黒鉛化粒子A−7(体積平均粒径10.0μm)、黒鉛化粒子A−9(体積平均粒径22.0μm)又は黒鉛化粒子A−12(体積平均粒径4.5μm)を作製した。
参考例4、6、8、13(黒鉛化粒子A−4、6、8、13の製造)
焼成温度、粉砕条件及び分級条件を適宜変える以外は参考例2と同様にして、黒鉛化粒子A−4(体積平均粒径4.1μm)、黒鉛化粒子A−6(体積平均粒径7.5μm)、又は黒鉛化粒子A−8(体積平均粒径15.0μm)又は黒鉛化粒子A−13(体積平均粒径4.8μm)を作製した。
参考例10(黒鉛化粒子A−10の製造)
原材料として、コークスとタールピッチの混合物を用い、この混合物をタールピッチの軟化点以上の温度で練り込み、押出し成型し、窒素雰囲気下において1000℃で一次焼成して炭化し、続いてコールタールピッチを含浸させた後、窒素雰囲気下において2800℃で二次焼成をして黒鉛化し、さらに粉砕及び分級して体積平均粒径4.5μmの黒鉛化粒子A−10を得た。なお、本黒鉛化粒子A−10はグラファイトである。
参考例11(黒鉛化粒子A−11の製造)
粉砕及び分級条件を変えた以外は参考例10と同様にして、黒鉛化粒子A−11(体積平均粒径8.1μm)を作製した。なお、本黒鉛化粒子A−11はグラファイトである。
以上の参考例1〜13で作製した黒鉛化粒子について、焼成温度、体積平均粒径及び黒鉛d(002)を表4に示す。
Figure 2007183482
実施例1
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)333.3部(固形分として200部)、黒鉛化粒子A−3(表4参照)45部、黒鉛化粒子A−6(表4参照)55部及び導電性カーボンブラック#5500(商品名、東海カーボン株式会社製、1次粒子径25nm、DBP吸油量155ml/100g)20部にメタノール300部を加え、これをサンドミル(直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として使用)で2時間分散し、篩を用いてガラスビーズを分離した後、固形分濃度が33%になる様にメタノールを添加して、塗工液を得た。
上下端部にマスキングを施し、垂直に立てて、一定速度で回転している、径24.5mmφ、算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管上に、上記塗工液を、スプレーガンを一定速度で下降させながら塗布して樹脂被覆層を形成し、続いて熱風乾燥炉中150℃で30分間加熱して該樹脂被覆層を硬化し、現像スリーブS−1を作成した。現像スリーブS−1の樹脂被覆層の膜厚は、16μmであった。なお、表5、表6に現像スリーブS−1の樹脂被覆層の処方及び物性を示す。
得られた現像スリーブS−1にマグネットローラを挿入し、両端にフランジを取り付けて現像剤担持体とした。これを静電潜像担持体がアモルファスシリコンドラム感光体であるキヤノン株式会社製デジタル複写機IR6010(商品名)の現像器に組み込み、現像装置とした。なお、規制力を強めるため、マグネットローラは製品に用いているマグネットローラに比べて磁力を全て1割増加させた全極磁力アップマグネットロールとした。さらに、トナーコート形成手段(磁気ブレード)を強磁性体の鉄で形成したものを先端が、マグネットの磁極と対向するように配設した。なお、このトナーコート形成手段はトナー収容部に支持する部分を厚み1.6mmに、また、現像剤担持体に対向する部分の先端を厚み0.6mmとなるように傾斜をつけて形成したものである。なお、この現像装置は、概略、図2に挙げたようなものである。
トナーとして、NPG−16(キヤノン株式会社製、商品名)を用い、連続モードで50万枚画出し(耐久)を行った。画出し途中の100枚目(初期)と耐久終了(50万枚)時に評価用画像出力を行い、画像評価をした。なお、画出し及び評価画像出力は、常温常湿度環境(23℃、50%RH;N/N)において実施した。
画像評価は、画像濃度、カブリ、画質、画像スジ、樹脂被覆層の耐久性(削れ量)、スリーブ周スジ耐久性(周スジ)、及びスリーブ表面粗さRaであり、下記の評価方法及び評価基準によった。また、得られた評価結果を表7に示す。
(1)画像濃度
画像比率5.5%のテストチャートを画像出力して得られたコピー上のφ5mmベタ黒丸部のコピー画像濃度を、反射濃度計RD918(マクベス社製、商品名)により反射濃度測定を行い、その10点の平均値を画像濃度とした。
(2)カブリ
(1)で得たコピー上のベタ白部の反射率を、反射率計TC−6DS(東京電色製、商品名)によって、ランダムに10箇所測定し、その最悪値から未使用の転写紙の反射率(10箇所の平均値)を差し引いたものをカブリ濃度とした。そして、この値を基準として、下記の評価をした。
A:1.0%以下(目視ではカブリは認められない)。
B:1.0%超2.0%以下(注視しなければカブリは認められない)。
C:2.0%超3.0%以下(カブリはあるものの実用上問題なし)。
D:3.0%超4.0%以下(カブリが目立ちNGレベル)。
E:4.0%超(カブリがひどく当然NG)。
(3)画質
約2mm角の「電」の文字を複写し、光学顕微鏡観察により「電」の文字周辺のトナー飛散等の文字シャープ性レベルを確認し、下記評価基準で評価した。
A:倍率が10倍のルーペで見ても飛び散りのない鮮明な画像である。
B:目視で見る限り鮮明な画像である。
C:若干飛び散りが見られるものの実用上問題ない。
D:飛び散り以外に文字のカスレが目立ちNG。
E:目視で見ても飛び散りや文字のカスレがはっきり確認できNG。
(4)画像スジ
現像剤担持体上に発生した周スジの影響で、周スジ部分の画像上に発生した白く縦方向の画像スジを目視により観察し、下記評価基準で評価した。
A:画像上にスジの発生がまったく見られない。
B:画像上にスジの発生がわずかに確認できる。
C:画像上にスジの発生が確認できるものの実用上問題ない。
D:画像上に白抜けした縦スジが発生し、NG。
E:画像上に1cm以上の幅の白抜けした縦スジが発生し、NG。
(5)削れ量
現像剤担持体の外径を測定し、使用前の値から耐久後の値を引いて、樹脂被覆層の削れ量とし、その平均値を全体の削れ量とした。なお、耐久後の測定に当たっては現像剤担持体の表面をイソプロパノールで洗浄した。下記基準にて評価した。
A:削れ量が4μm未満。
B:削れ量が4μm以上6μm未満。
C:削れ量が6μm以上8μm未満(実用上問題ない)。
D:削れ量が8μm以上10μm未満でNG。
E:削れ量が10μm以上でNG。
(6)周スジ
耐久終了後の現像剤担持体表面を目視により観察し、下記基準にて評価した。
A:周スジが全く発生していない。
B:現像剤担持体表面の周方向スジ状に、色味の変化が見られる。その部分の削れ量は変わらない。
C:現像剤担持体表面が周方向スジ状に削れているが、画像には表れていないので実用上問題ない。
D:現像剤担持体表面が周方向スジ状に削れて、画像に白スジとして表れているのでNG。
E:現像剤担持体表面が周方向スジ状に削れて、その部分の素管が見えているのでNG。
(7)樹脂被覆層の耐摩耗性(表面粗さRa)
使用前と耐久後に現像剤担持体表面の算術平均粗さRaを測定した。
実施例2
黒鉛化粒子A−3を40部に減らし、黒鉛化粒子A−6に替えて黒鉛化粒子A−7(表4参照)60部を用い、さらに第4級アンモニウム塩(表1の例示1)10部を加えた他は実施例1と同様にして現像スリーブS−2を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−2の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
実施例3
黒鉛化粒子A−3及び黒鉛化粒子A−6に替えてそれぞれ黒鉛化粒子A−5(表4参照)40部及び黒鉛化粒子A−7 60部を用いた他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−3を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−3の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
実施例4
導電性物質A−3及び黒鉛化粒子A−6に替えてそれぞれ黒鉛化粒子A−6 40部及び黒鉛化粒子A−7 60部を用いた他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−4を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−4の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
実施例5
黒鉛化粒子A−3に替えて黒鉛化粒子A−2(表4参照)60部を用い、黒鉛化粒子A−6を40部に減らした他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−5を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−5の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
実施例6
黒鉛化粒子A−3に替えて黒鉛化粒子A−4(表4参照)60部を用い、黒鉛化粒子A−6を40部に減らした他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−6を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−6の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
実施例7
黒鉛化粒子A−3及び黒鉛化粒子A−6に替えて、それぞれ黒鉛化粒子A−13(表4参照)50部及び黒鉛化粒子A−7 50部を用いた他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−7を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−7の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
比較例1
黒鉛化粒子A−3及び黒鉛化粒子A−6に替えて黒鉛化粒子A−1(表4参照)100部を用い、さらに第4級アンモニウム塩(表1の例示1)10部を加えた他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−8を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−8の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
比較例2
黒鉛化粒子A−3を100部に増やし、黒鉛化粒子A−6を用いずに、実施例1と同様にして現像スリーブS−9を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−9の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
比較例3
導電性物質A−3及び黒鉛化粒子A−6に替えて、黒鉛化粒子A−5(表4参照)100部を用い、さらに第4級アンモニウム塩(表1の例示1)20部を加えた他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−10を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−10の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
比較例4
黒鉛化粒子A−3を20部に減らし、黒鉛化粒子A−6に替えて黒鉛化粒子A−12(表4参照)80部を用いた他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−11を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−11の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
比較例5
黒鉛化粒子A−3に替えて黒鉛化粒子A−5 40部を用い、黒鉛化粒子A−6を60部に増やした他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−12を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−12の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
比較例6
黒鉛化粒子A−3及び黒鉛化粒子A−6に替えてそれぞれ黒鉛化粒子A−1 70部及び黒鉛化粒子A−5 30部を用いた他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−13を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−13の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
比較例7
黒鉛化粒子A−3及び黒鉛化粒子A−6に替えてそれぞれ黒鉛化粒子A−1 70部及び黒鉛化粒子A−5 30部を用いた他は、実施例1と同様にして現像スリーブS−14を製造し、実施例1と同様の評価をした。この現像スリーブS−14の樹脂被覆層の処方と物性を表5、表6に、また、評価結果を表7に示す。
Figure 2007183482
Figure 2007183482
Figure 2007183482
実施例8
MMA−DM樹脂(メチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、共重合比=88/12、Mn=6800、Mw=16300、Mw/Mn=2.4、トルエン50%含有)400部に、黒鉛化粒子A−3(表4参照)45部、黒鉛化粒子A−8(表4参照)55部、導電性カーボンブラック#5500(商品名)20部及び酢酸エチル300部を加え、これをサンドミル(直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として使用)で2時間分散し、篩を用いてガラスビーズを分離した後、固形分濃度が33%になる様に酢酸エチルを添加して調整して、塗工液を得た。
上下端部にマスキングを施し、垂直に立てて、一定速度で回転している、径16mmφ、算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管上に、上記塗工液を、スプレーガンを一定速度で下降させながら塗布して樹脂被覆層を形成し、続いて熱風乾燥炉中150℃で30分間加熱して樹脂被覆層を乾燥し、現像スリーブS−15を作成した。現像スリーブS−15の樹脂被覆層の膜厚は、14μmであった。この現像スリーブS−8の樹脂被覆層の処方と物性を表8、表9に示す。
得られた現像剤担持体S−15を、市販のレーザービームプリンタ“LBP2160”(キヤノン株式会社製、商品名)のEP82シアンカートリッジの現像剤担持体として組み込んだ後LBP2160に装着し、EP82シアンカートリッジに用いているキヤノン純正トナーを供給しながら1枚/10秒の間欠モードで3万枚画出し(耐久)評価を行った。なお、トナーへの規制を強めるため、現像剤担持体長手方向にトナー規制ブレードの接触圧を線圧で30g/cmとした。なお、この現像装置は、概略、図4に挙げたようなものである。
画出しの途中の100枚目(初期)と耐久終了(3万枚)時に評価用画像出力を行い、実施例1と同様の画像評価をした。得られた評価結果を表10に示す。
実施例9
黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−7 80部、黒鉛化粒子A−8 20部及び黒鉛化粒子A−1 10部を用いた他は、実施例8と同様にして現像スリーブS−16を製造し、実施例8と同様の評価をした。この現像スリーブS−16の樹脂被覆層の処方と物性を表8、表9に、また、評価結果を表10に示す。
実施例10
黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−4 80部及び黒鉛化粒子A−7 20部を用いた他は、実施例8と同様にして現像スリーブS−17を製造し、実施例8と同様の評価をした。この現像スリーブS−17の樹脂被覆層の処方と物性を表8、表9に、また、評価結果を表10に示す。
比較例8
黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−7 100部を用いた他は、実施例8と同様にして現像スリーブS−18を製造し、実施例8と同様の評価をした。この現像スリーブS−18の樹脂被覆層の処方と物性を表8、表9に、また、評価結果を表10に示す。
Figure 2007183482
Figure 2007183482
Figure 2007183482
実施例11
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)333.3部(固形分200部)に、黒鉛化粒子A−3 25部、黒鉛化粒子A−6 75部、導電性カーボンブラック20部及びメタノール300部を加え、これをサンドミル(直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として使用)で2時間分散し、篩を用いてガラスビーズを分離した後、固形分濃度が33%になる様にメタノールを添加して濃度を調整し、塗工液を得た。
上下端部にマスキングを施し、垂直に立てて、一定速度で回転している、径16mmφ、算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管上に、上記塗工液を、スプレーガンを一定速度で下降させながら塗布して樹脂被覆層を形成し、続いて熱風乾燥炉中150℃で30分間加熱して該樹脂被覆層を乾燥させ、現像スリーブS−19を作成した。現像スリーブS−19の樹脂被覆層の膜厚は、13μmであった。この現像スリーブS−10の樹脂被覆層の処方と物性を表11、表12に示す。
得られた現像スリーブS−19にマグネットローラを挿入し、両端にフランジを取り付けて現像剤担持体とし、これを静電潜像担持体がOPCドラムであるキヤノン社製デジタル複写機IR1300(商品名)の現像器に組み込み、現像装置とした。なお、この現像装置は、概略、図3に挙げたようなもので、現像剤層厚規制部材として、シリコンゴム製弾性ブレードを使用したものである。
トナーとしては、IR1300用キヤノン純正トナーを用い、1枚/10秒の間欠モードで10万枚画出し(耐久)を行った。その途中の100枚目(初期)と耐久終了(10万枚)時に評価用画像出力を行い、画像評価をした。なお、画出し及び評価画像出力は、実施例1と同様に実施した。得られた評価結果を表13に示す。
実施例12
黒鉛化粒子として、導電性物質A−3 40部及び黒鉛化粒子A−7 60部を用いた他は、実施例11と同様にして現像スリーブS−20を製造し、実施例11と同様の評価をした。この現像スリーブS−20の樹脂被覆層の処方と物性を表11、表12に、また、評価結果を表13に示す。
実施例13
黒鉛化粒子として、導電性物質A−3 80部、黒鉛化粒子A−8 20部及び黒鉛化粒子A−9 20部を用いた他は、実施例11と同様にして現像スリーブS−21を製造し、実施例11と同様の評価をした。この現像スリーブS−21の樹脂被覆層の処方と物性を表11、表12に、また、評価結果を表13に示す。
比較例9
黒鉛化粒子A−3及び黒鉛化粒子A−6に替えて、いずれもグラファイトである黒鉛化粒子A−10(表4参照)40部及び黒鉛化粒子A−11(表4参照)60部を用い、さらに第4級アンモニウム塩(表1の例示1)10部を加えた他は、実施例11と同様にして現像スリーブS−22を製造し、実施例11と同様の評価をした。この現像スリーブS−22の樹脂被覆層の処方と物性を表11、表12に、また、評価結果を表13に示す。
Figure 2007183482
を与える黒鉛化粒子成分。
Figure 2007183482
Figure 2007183482
実施例14
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)333.3部(固形分200部)に、黒鉛化粒子A−3 40部、黒鉛化粒子A−7 60部、導電性カーボンブラック#5500(商品名)20部及びメタノール300部を加え、サンドミル(直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として使用)で2時間分散し、篩を用いてガラスビーズを分離した後、固形分濃度が33%になる様にメタノールを添加して濃度を調整し、塗工液を得た。
上下端部にマスキングを施し、垂直に立てて、一定速度で回転している、径16mmφ、算術平均粗さRa2.0μmのブラスト加工したアルミニウム製円筒管上に、上記塗工液を、スプレーガンを一定速度で下降させながら塗布して樹脂被覆層を形成し、続いて熱風乾燥炉中150℃で30分間加熱して該樹脂被覆層を乾燥させ、現像スリーブS−23を作成した。現像スリーブS−23の樹脂被覆層の膜厚は、13μmであった。この現像スリーブS−13の樹脂被覆層の処方と物性を表14、表15に示す。
得られた現像スリーブS−23にマグネットローラを挿入し、両端にフランジを取り付けて現像剤担持体とし、これを静電潜像担持体がOPCドラムであるキヤノン株式会社製デジタル複写機IRC3200N(商品名)のシアンの現像器に組み込み、現像装置とした。なお、この現像装置は、概略、図5に挙げたようなものである。
トナーとして、IRC3200N用キヤノン純正トナーを用い、連続モードで10万枚画出し(耐久)を行った。その途中の100枚目(初期)と耐久終了(10万枚)時に評価用画像出力を行い、画像評価をした。なお、画出し及び評価画像出力は、実施例1と同様に実施し、得られた評価結果を表16に示す。
実施例15
黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−4 50部、黒鉛化粒子A−7 50部及び黒鉛化粒子A−8 20部を用い、さらに第4級アンモニウム塩(表1の例示1)10部を加えた他は実施例14と同様にして現像スリーブS−24を製造し、実施例14と同様の評価をした。この現像スリーブS−24の樹脂被覆層の処方と物性を表14、表15に、また、評価結果を表16に示す。
実施例16
黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−4 30部及び黒鉛化粒子A−8 70部を用い、さらに第4級アンモニウム塩(表1の例示1)20部を加えた他は、実施例13と同様にして現像スリーブS−25を製造し、実施例13と同様の評価をした。この現像スリーブS−25の樹脂被覆層の処方と物性を表14、表15に、また、評価結果を表16に示す。
実施例17
導電性カーボンブラック、黒鉛化粒子A−3及び黒鉛化粒子A−7に替えて、黒鉛化粒子A−2(表4参照)30部、黒鉛化粒子A−6 40部及び黒鉛化粒子A−9 50部を用い、さらに第4級アンモニウム塩(表1の例示1)20部を加えた他は、実施例14と同様にして現像スリーブS−26を製造し、実施例14と同様の評価をした。この現像スリーブS−26の樹脂被覆層の処方と物性を表14、表15に、また、評価結果を表16に示す。
比較例10
黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−4 40部及び黒鉛化粒子A−9 60部を用いた他は、実施例14と同様にして現像スリーブS−27を製造し、実施例14と同様の評価をした。この現像スリーブS−27の樹脂被覆層の処方と物性を表14、表15に、また、評価結果を表16に示す。
比較例11
黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−4 10部及び黒鉛化粒子A−9 90部を用いた他は、実施例14と同様にして現像スリーブS−28を製造し、実施例14と同様の評価をした。この現像スリーブS−28の樹脂被覆層の処方と物性を表14、表15に、また、評価結果を表16に示す。
Figure 2007183482
Figure 2007183482
Figure 2007183482
現像剤担持体の模式的部分断面図である。 磁性一成分現像剤を使用する現像装置の一例を示す図である。 非磁性一成分現像剤を使用する現像装置の一例を示す図である。 磁性一成分現像剤を使用する現像装置の他の一例を示す図である。 ニ成分現像剤を使用する現像装置の一例を示す図である。
符号の説明
1 静電潜像担持体(感光ドラム)
2 現像剤層厚規制部材(磁性ブレード、現像剤コーティングブレード)
3 現像剤容器(ホッパー)
3a 現像剤撹拌部材
3b トナーホッパー
4 現像剤
5 多極性磁石(マグネットローラ)
6 基体(金属製円筒管)
7 導電性樹脂被覆層
8 現像剤担持体(現像スリーブ)
9 電源
10 攪拌翼
11 現像剤層厚規制部剤(弾性ブレード)
12 現像装置
15 帯電装置
15a マグネットローラ
15b 磁性粒子
16 レーザビームスキャナ
17 帯電装置印加電源
18 転写部材(転写ローラ)
19 転写部材印加電源
20 定着装置
a 結合樹脂
b 小粒径黒鉛化粒子
c 大粒径黒鉛化粒子
d 添加剤(固体粒子)
A 現像スリーブ回転方向
B 静電潜像担持体(感光ドラム)回転方向
D 現像領域
L レーザ光
P 転写材

Claims (16)

  1. 少なくとも基体表面に樹脂被覆層が形成された現像剤担持体において、
    該樹脂被覆層は少なくとも結着樹脂及び黒鉛化粒子からなるものであり、
    該黒鉛化粒子は、その体積平均粒径が2.0μm以上13.0μm以下の範囲にあり、かつ、その体積粒度分布におけるピークが粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に少なくとも2つ存在するものであり、
    さらに、樹脂被覆層のX線回折で測定される黒鉛(002)面の面間隔が0.3359nm以上0.3450nm以下の範囲にある
    ことを特徴とする現像剤担持体。
  2. 黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に存在するピークの内、少なくとも2つのピークが粒径1.2μm以上7.5μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持体。
  3. 黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に存在するピークの内、最大強度のピーク及び2番目のピークが粒径1.2μm以上3.0μm以下の範囲及び粒径3.5μm以上7.5μm以下の範囲のそれぞれ別の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像剤担持体。
  4. 黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲に観測されるピークの内、最大強度のピークが粒径3.5μm以上7.5μm以下の範囲に存在し、2番目のピークが粒径1.2μm以上3.0μm以下の範囲に存在することを特徴とする請求項3に記載の現像剤担持体。
  5. 黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に存在するピークの内、最大強度のピーク及び2番目のピークが粒径で3.0μm以上離れていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像剤担持体。
  6. 黒鉛化粒子の体積粒度分布において、粒径1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に存在するピークの内、最大強度のピーク及び2番目のピークの内、大粒径ピークの強度をA、小粒径ピークの強度をBとした時、1≦(A/B)<3であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像剤担持体。
  7. 黒鉛化粒子が、メソカーボンマイクロビーズ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の現像剤担持体。
  8. 黒鉛化粒子が、バルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の現像剤担持体。
  9. 樹脂被覆層のX線回折から得られる黒鉛(002)面の面間隔が、0.3363nm以上0.3420nm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の現像剤担持体。
  10. 少なくとも基体表面に少なくとも結着樹脂及び黒鉛化粒子からなる樹脂被覆層を有する現像剤担持体の製造方法において、
    樹脂被覆層の形成工程が、少なくとも、結着樹脂に黒鉛化粒子を分散して塗料を調製する工程及び該塗料を基体表面に塗工する工程を有しており、
    結着樹脂に分散される黒鉛化粒子が、体積粒度分布において最頻径が異なる黒鉛化粒子を2種以上混合したものであり、混合黒鉛化粒子の体積平均粒径は2.0μm以上13.0μm以下の範囲にあり、混合黒鉛化粒子のX線回折から得られる黒鉛(002)面の面間隔は0.3359nm以上0.3450nm以下であり、かつ、混合黒鉛化粒子の体積粒度分布のピークが1.0μm以上13.0μm以下の範囲内に少なくとも2つ存在することを特徴とする現像剤担持体の製造方法。
  11. 混合して用いられる黒鉛化粒子は、その最頻径がいずれも1.5μm以上7.8μm以下の範囲内にあることを特徴とする請求項10に記載の現像剤担持体の製造方法。
  12. 混合して用いられる黒鉛化粒子の内、最大の最頻径を有する黒鉛化粒子はその最頻径が5.0μm以上7.8μm以下の範囲にあり、2番目に大きな最頻径を有する黒鉛化粒子はその最頻径が1.5μm以上4.0μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項11に記載の現像剤担持体の製造方法。
  13. 混合して用いられる黒鉛化粒子は、最大の最頻径を有する粒子の最頻径と2番目に大きな最頻径を有する粒子の最頻径との差が3.0μm以上であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の現像剤担持体の製造方法。
  14. 混合して用いられる黒鉛化粒子の少なくとも1つが、メソカーボンマイクロビーズ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の現像剤担持体の製造方法。
  15. 混合して用いられる黒鉛化粒子の少なくとも1つが、バルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の現像剤担持体の製造方法。
  16. 混合して用いられる黒鉛化粒子は、そのX線回折から得られる黒鉛(002)面の面間隔が0.3363nm以上0.3420nm以下の範囲にあることを特徴とする請求項10〜15のいずれか一項に記載の現像剤担持体の製造方法。
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