JP5054871B2 - 現像剤担持体の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法において、電子写真感光体或いは静電記録誘電体の如き静電潜像保持体上に形成された静電潜像を現像して顕像化する際に用いられる現像剤担持体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像保持体(感光ドラム)上に電気的潜像を形成し、次いで該静電潜像を現像剤(トナー)で現像を行って可視像化し、必要に応じて紙等の転写材にトナー像を転写した後、熱・圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。
【0003】
上記電子写真法における現像方式は、主として一成分現像方式と二成分現像方式とに分けられる。近年、電子写真装置の軽量・小型化等を目的として複写装置部分を小さくする必要があるため、一成分現像方式を用いた現像装置が使用されることが多い。一成分現像方式は、二成分現像方式のようにガラスビーズや鉄粉等のキャリア粒子が不要なため、現像装置自体を小型化・軽量化できる。一方、二成分現像方式は、現像剤中のトナー濃度を一定に保つ必要があるため、トナー濃度を検知して必要量のトナーを随時補給する装置が必要となり、現像装置が大きく重くなるが、一成分現像方式では、このような装置が必要とならないため、この点からいっても装置を小さく軽くできるので好ましい。
【0004】
一成分現像方式を用いた現像装置としては、静電潜像保持体としての感光ドラム表面に静電潜像を形成し、現像剤担持体(以下、現像スリーブを代表例として説明する)とトナーとの摩擦、及び/或いは現像スリーブ上のトナーコート量を規制するための現像剤層厚規制部材との摩擦により、トナーに正或いは負の電荷を与え、そのトナーを現像スリーブ上に薄く塗布して感光ドラムと現像スリーブとが対向した現像領域に搬送し、現像領域においてトナーを感光ドラム表面の静電潜像に飛翔・付着させて現像し、静電潜像をトナー像として顕像化するものが知られている。
【0005】
しかし、このような一成分現像方式を用いる場合にはトナー帯電の調整が難しく、トナーによる工夫が種々行われているものの、トナー帯電の不均一性や帯電の耐久安定性に関わる問題は、完全には解決されていない。特に、現像スリーブが繰り返し回転を行っているうちに、現像スリーブ上にコーティングされたトナーの帯電量が現像スリーブとの接触により高くなり過ぎ、トナーが現像スリーブ表面との鏡映力により引き合って現像スリーブ表面上で不動状態となり、現像スリーブから感光ドラム上の潜像に移動しなくなる、所謂、チャージアップ現象が、特に低湿下で起こり易くなる。このようなチャージアップ現象が発生すると、上層のトナーは帯電しにくくなってトナーの現像量が低下するため、ライン画像の細りや、ベタ画像の画像濃度薄の如き問題点を生じる。更に、チャージアップにより適正に帯電されないトナーが規制不良となってスリーブ上に流出し、斑点状、波状のムラとなる、所謂、ブロッチ現象も発生する。更に、画像部(トナー消費部)と非画像部とのトナー層の形成状態が変わり、帯電状態が異なってしまうため、例えば、一度画像濃度の高いベタ画像を現像した位置が、現像スリーブの次の回転時に現像位置に来てハーフトーン画像を現像すると、画像上にベタ画像の跡が現れてしまう、所謂、スリーブゴースト現象も生じ易くなる。
【0006】
又、最近では、電子写真装置のデジタル化、又、更なる高画質化を目的として、トナーの小粒径化及び微粒子化が図られている。例えば、解像度や文字シャープ性を向上させ潜像を忠実に再現するためには、重量平均粒径が約5〜12μmのトナーを用いるのが一般的である。又、エコロジーの観点から、及び装置の更なる軽量・小型化等を目的として、廃トナーを軽減させるため、下記のようなトナーの転写効率の向上が図られている。例えば、平均粒子径が0.1〜3μmの転写効率向上剤と、BET比表面積50〜300m2/gの疎水性シリカ微粉末を含有させることでトナーの体積抵抗を低減させ、感光ドラム上に転写効率向上剤の薄膜層を形成することにより転写効率を向上させることが行われ、更には、トナー自身を機械的衝撃力等の手段によって球形化処理し、これを用いることで転写効率を向上させる方法等が知られている。又、ファーストコピー時間の短縮化や省電力化を目的として、トナーの定着温度を下げる傾向にある。このような状況下、特に、低温低湿下におけるトナーは、単位重量当たりの電荷量が増えるため、更に現像スリーブ上へ静電的に付着し易くなり、一方、高温高湿下におけるトナーは、外部からの物理的な力や流動化し易い材料を用いているため変質し易くなり、トナーによるスリーブ汚染やスリーブ融着が起こり易くなっている。
【0007】
このような現象を解決する方法として、特開平01−277256号公報、特開平03−036570号公報等では、現像装置を構成する現像スリーブとして、金属基体上に、樹脂中に固体潤滑剤及びカーボンの如き導電性微粉末を分散させた樹脂被覆層を設けた構成のものを用いることが提案されている。このような構成の現像スリーブを用いることにより、前記した現象は大幅に軽減されることが認められる。しかしながら、この方法では、上記した如き粉末を樹脂被覆層中に多量に添加した場合には、チャージアップやスリーブゴーストの抑制効果に対しては良好となるものの、被覆層が削れ易くなり、耐久を進めていった場合に表面粗さが不均一となり、トナーへの帯電付与が不均一となり易いという、別の問題が生じる。一方、添加量が少量である場合には、固体潤滑剤及びカーボンの如き導電性微粉末を添加した効果が薄く、チャージアップやスリーブゴーストの現象を抑制することに対しては不十分であるという問題が残る。
【0008】
又、特開平03−252679号公報においては、樹脂中に固体潤滑剤及びカーボンの如き導電性微粉末を分散させた導電性樹脂被覆層表面を、一定の粒度分布をもつ砥粒でブラスト或いは研磨した現像スリーブを現像装置に用いる方法が提案されている。この方法を用いれば、被覆層表面への固体潤滑剤及びカーボンの如き導電性微粉末の露出の割合が大きくなり、チャージアップやスリーブゴーストの発生を抑制することに対しての効果は見られるものの、更なる長期にわたる耐久においては、耐磨耗性及び表面粗さの均一性に関して不十分であるという問題が残る。
【0009】
特開平04−246673号公報、特開平04−246674号公報、特開平04−246675号公報、特開平04−246676号公報等においては、樹脂中に少なくともグラファイトを分散させた導電性被覆層表面を磨き加工した現像スリーブを現像装置に用いる方法が提案されている。この方法においても、やはり被覆層表面へのグラファイトの露出の割合が大きくなるが、更なる長期にわたる耐久においては、耐磨耗性及び表面粗さの均一性に関しては不十分であるという問題が残る。
【0010】
又、特開平03−200986号公報においては、樹脂中に固体潤滑剤及びカーボンの如き導電性微粉末、更に球状粒子を分散させた導電性被覆層を金属基体上に設けた現像スリーブが提案されている。この現像スリーブを用いれば、被覆層の耐磨耗性が向上すると共に、被覆層表面の形状が均一化し、更に表面粗さの変化も少ないことから、スリーブ上のトナーコーティングが安定化するためトナーの帯電が均一化し、スリーブゴースト、画像濃度、ベタ画像等のスジ・ムラ等の画質がより安定化する。しかしながら、この現像スリーブにおいても耐摩耗性は完全ではなく、更なる長期における耐久においては、被覆層に摩耗が生じ、その場合にはトナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる。又、この現像スリーブにおいても、被覆層表面への固体潤滑剤及びカーボンの如き導電性微粉末の露出の割合は不十分であり、上記のような表面処理方法は球状粒子の磨耗及び脱落を促進してしまい、前記したような低温定着トナーを用いた場合、球状粒子の摩耗及び脱落に起因して、トナーによるスリーブ汚染及びスリーブ融着が発生する可能性があり、これまた画像不良の原因となり易い。
【0011】
特開平08−240981号公報には、導電性被覆層中に分散した粒子を導電性の球状粒子とした、更に被覆層の耐摩耗性を向上でき、被覆層表面の形状を更に安定させることができると共に、トナー帯電を更に向上させ、且つ被覆層が多少摩耗した際にもトナーによるスリーブ汚染及びスリーブ融着が抑制され得る表面層を有する現像スリーブが提案されている。しかしながら、この現像スリーブにおいても、被覆層表面への固体潤滑剤及びカーボンの如き導電性微粉末の露出の割合は不十分であり、上記のような表面処理方法を用いると、更なる長期耐久においては、導電性被覆層の磨耗量と導電性球状粒子の磨耗量との違いにより、耐久初期と耐久後期の被覆層の表面粗さの変化が大きくなる可能性があり、耐久初期と耐久後期においてのトナーコート量が変化し、画像劣化の原因となる可能性がある。又、前記のような高転写性を有する小粒径トナーを用いる場合には、被覆層の表面粗さの変化がトナーコート量に与える影響が、より顕著となり易く、これまた画像劣化の原因となり易い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、画像形成に用いた場合に、トナーのチャージアップ現象及びブロッチの発生が抑制され、異なる環境下においても長期に渡ってトナーに適正な帯電量を与えることのできる現像剤担持体の製造方法を提供することである。
又、本発明の目的は、画像形成に用いた場合に、異なる環境下においても長期間に渡って、画像濃度低下、及びカブリの如き問題点が発生せず、高品位の画像を安定的に得ることができ、又、現像剤担持体表面にトナーによるスリーブ汚染及びスリーブ融着を生ずることがなく、スジ・ムラ等の不良画像を発生しない現像剤担持体の製造方法を提供することである。
又、本発明の目的は、画像形成に用いた場合に、異なる環境下においても長期間に渡って、現像剤担持体表面の表面粗さの変化を小さくすることができ、これにより、現像剤担持体上のトナーコート量を一定量に制御することのできる現像剤担持体の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、基体と導電性樹脂被覆層とを有している現像剤担持体の製造方法であって、基体上に凹凸形成粒子としての導電性球状粒子によって表面に平均間隔Smの凹凸が形成されている導電性樹脂被覆層を形成する工程と、該平均間隔Smの値以下の平均粒径を有する砥粒を用いて、乾式ブラスト処理で該導電性樹脂被覆層の表面を処理する工程と、を有することを特徴とする現像剤担持体の製造方法である。
【0014】
更に、上記本発明にかかる現像剤担持体の製造方法の好ましい形態としては、前記導電性球状粒子が、導電性の球状炭素粒子であり、かつ、前記導電性樹脂被覆層は、フェノール樹脂を含むことが挙げられる。又、前記砥粒が、ガラスビーズであることが挙げられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、上記した従来技術の課題に対して鋭意検討した結果、現像スリーブ表面に、少なくとも結着樹脂、固体潤滑剤及び/又は導電性微粉末、及び被覆層表面に凹凸を形成するための粒子を有する導電性樹脂被覆層を設け、更に、その表面を、導電性樹脂被覆層表面の凹凸平均間隔Sm値以下の平均粒径を有する砥粒を用いて表面処理し、表面処理後の被覆層表面が被覆層表面及びその近傍に存在する凹凸形成粒子によって被覆層表面に凹凸が形成されるようにすることで、トナーに対する帯電付与性を安定化させ、トナーコート量をも安定化させると共に、繰り返し複写又は耐久によって現像スリーブ表面の導電性樹脂被覆層の摩耗、及びトナーによるスリーブ汚染及び融着を生じ難くさせることができ、長期使用における耐久性が向上させることが可能となる結果、画像濃度低下、スリーブゴーストの発生及びカブリの悪化、画像スジや画像ムラの生じ難い高品位な画像を長期にわたり提供することができる。
【0018】
以下、本発明を詳しく説明する。先ず、本発明に使用される導電性樹脂被覆層の材料構成について説明する。
本発明においては、導電性樹脂被覆層中に、表面粗さを均一にし、且つ適切な表面粗さを維持させるようにするために、凹凸形成粒子を添加する。本発明に使用される凹凸形成粒子としては、球状のものが好ましい。球状粒子であることにより、不定形粒子に比べ、より少ない添加量で所望の表面粗さが得られると共に、表面形状の均一な凹凸面が得られる。
【0019】
本発明に使用する球状粒子としては、個数平均粒径が0.3〜30μmのものが好ましく、更に好ましくは2〜20μmのものを用いる。このような球状粒子を添加することによって、本発明の現像剤担持体における導電性樹脂被覆層表面に均一な表面粗さを保持させると共に、導電性樹脂被覆層表面が摩耗した場合でも、導電性樹脂被覆層の表面粗さの変化が少なく、現像剤担持体上のトナーの層厚の変化が起きにくくすることができ、この結果、トナーの帯電を均一化し、スリーブゴーストが良好で、スジ・ムラが発生しにくく、又現像剤担持体上でトナーによるスリーブ汚染及び融着の発生をしにくくするという効果を、長期に渡り発揮させることができる。
【0020】
即ち、球状粒子の個数平均粒径が0.3μm未満の場合には、導電性樹脂被覆層表面に均一な表面粗さを付与する効果が少なく、導電性樹脂被覆層の摩耗によるトナーのチャージアップ、トナーによるスリーブ汚染及び融着が発生し易く、それにより、スリーブゴーストによる画像の悪化や画像濃度低下が生じ易くなるため、好ましくない。個数平均粒径が30μmを超えるものを使用した場合には、導電性樹脂被覆層の表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの搬送量が多くなることで、現像スリーブ表面のトナーコートが不均一となり、トナーの帯電が均一に行われにくくなってしまう。又、粗い粒子が突出することにより画像スジやバイアスリークによる白ポチ・黒ポチの原因ともなる。更に、導電性被樹脂覆層の機械的強度が低下してしまうため、好ましくない。
【0021】
本発明で好適に使用される球状粒子における球状とは、粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度のものを意味しており、本発明において好ましくは、長径/短径の比が1.0〜1.2の粒子を、特に好ましくは、真球状の粒子を使用することがよい。球状粒子の長径/短径の比が1.5を超える場合には、導電性被覆層中への球状粒子の分散性が低下したり、所望の表面粗さを得るために多目の粒子添加が必要となるので、導電性被樹脂覆層表面形状が不均一となり、トナーの均一な帯電化及び導電性樹脂被覆層の強度の点で好ましくない。
【0022】
本発明において使用される球状粒子としては、その個数平均粒径が0.3〜30μmであれば従来公知の球状粒子をいずれも使用することができる。例えば、球状の樹脂粒子、球状の金属酸化物粒子、球状の炭素化物粒子等が挙げられる。これらの中でも、球状の樹脂粒子は、導電性樹脂被覆層中に添加した場合に、より少ない添加量で好適な表面粗さが得られ、且つ均一な表面形状が得られ易いので好ましい。本発明で使用することができる球状の樹脂粒子は、例えば、懸濁重合、分散重合法等によって容易に得られる。勿論、粉砕法により得られた樹脂粒子を、熱的な或いは物理的な球形化処理を行って球状化した粒子を用いてもよい。
【0023】
本発明において好適に用いられる球状樹脂粒子としては、具体的には、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の、一般に公知の樹脂によって作製した球状粒子が挙げられる。
【0024】
又、本発明で使用する球状粒子は、その表面に、無機微粉体を付着させたり、或いは固着させたものであってもよい。例えば、球状の樹脂粒子表面を下記に挙げるような無機微粉体で処理することによって、該無機微粉体を表面に付着或いは固着させた樹脂粒子を用いれば、導電性樹脂被覆層中への球状粒子の分散性の向上、形成される被覆層の表面の均一性、被覆層の耐汚染性、トナーへの帯電付与性、被覆層の耐摩耗性等を、更に向上させることができる。
【0025】
この際の無機微粉体としては、例えば、SiO2、SrTiO3、CeO2、CrO、Al2O3、ZnO、MgOの如き酸化物、Si3N4の如き窒化物、SiCの如き炭化物、CaSO4、BaSO4、CaCO3の如き硫酸塩や炭酸塩等を使用することができる。これらの無機微粉末は、カップリング剤によって処理されたものであってもよい。特に、結着樹脂との密着性を向上させる目的で、或いは粒子に疎水性を与える等を達成する目的で、カップリング剤により処理された無機微粉体を用いることが好ましい。
【0026】
この際に使用されるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、シランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し、且つ末端に位置する単位に夫々1個当ての硅素原子に結合した水酸基が含有されたジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0027】
更に、本発明においては、球状粒子として真密度3g/cm3以下の粒子を用いることが好ましく、又、本発明においては、球状粒子として導電性のものを用いることが好ましい。即ち、好ましくは、真密度が3g/cm3以下である導電性球状粒子を用いる。このように、球状粒子に導電性を持たせることによって、絶縁性粒子に比べ、その導電性ゆえに粒子表面にチャージが蓄積しにくくできる。従って、導電性樹脂被覆層に、このような導電性球状粒子を含有させることによって、耐久を通じて表面粗さを均一化する効果を有すると共に、トナーの粒子への付着が軽減されることで、トナーのスリーブ汚染及び融着の発生源が更に抑制されると共に、それによって、トナーへの帯電付与性をより向上させ、より一層現像性を向上させる。
【0028】
本発明で使用する球状粒子としては、その真密度が、3g/cm3以下、好ましくは2.7g/cm3以下、より好ましくは0.9〜2.5g/cm3であることが挙げられる。即ち、球状粒子の真密度が3g/cm3を超える場合には、適切な表面粗さを付与するために多量の粒子添加が必要となるため好ましくなく、更に、結着樹脂との密度差が大き過ぎるため、導電性樹脂被覆層中で球状粒子の分散性が不十分となり、被覆層表面に均一な粗さを付与しにくくなり、この結果、トナーに均一な帯電を与えにくくなるので好ましくない。
【0029】
又、本発明において使用される導電性球状粒子の導電性とは、体積抵抗値が106Ω・cm以下のものをいい、好ましくは、体積抵抗値が103〜10-6Ω・cmの粒子を使用する。導電性球状粒子の体積抵抗値が106Ω・cmを超える場合には、粒子を導電性とする効果、即ち、摩耗によって導電性被覆層表面に露出した球状粒子を核として、トナーによるスリーブ汚染及び融着を抑制するという効果が損われる。
【0030】
本発明で使用できる導電性球状粒子を得る方法としては、以下に述べるような方法が好ましいが、必ずしもこれらに限定されるものではない。本発明に使用される特に好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、例えば、樹脂系球状粒子やメソカーボンマイクロビーズを焼成することにより炭素化及び/又は黒鉛化して、低濃度且つ良導電性の球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。そして、樹脂系球状粒子に用いられる樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルが挙げられる。又、メソカーボンマイクロビーズは、通常、中ピッチを加熱焼成していく過程で生成する球状結晶を多量のタール、中油、キノリンの如き溶剤で洗浄することによって製造することができる。
【0031】
より好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルの如き材料からなる球状粒子表面に、メカノケミカル法によってバルクメソフェーズピッチを被覆し、被覆された粒子を酸化性雰囲気下で熱処理した後に焼成して炭素化及び/又は黒鉛化し、導電性の球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。
【0032】
上記した方法で得られる導電性の球状炭素粒子は、いずれの方法でも、焼成条件を変化させることによって得られる球状炭素粒子の導電性をある程度は制御することが可能であり、本発明において好ましく使用される。又、上記の方法で得られる球状炭素粒子は、場合によっては、更に導電性を高めるために、導電性球状粒子の真密度が3g/cm3を超えない程度の範囲で、導電性の金属及び/又は金属酸化物のめっきを施していてもよい。
【0033】
本発明で使用される導電性球状粒子を得る他の方法としては、球状樹脂粒子からなる芯粒子に対して、芯粒子の粒径よりも小さい導電性微粒子を適当な配合比で機械的に混合することによって、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により芯粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着させた後、例えば、機械的衝撃力を付与することによって生ずる局部的温度上昇により芯粒子表面を軟化させ、芯粒子表面に導電性微粒子を成膜して導電化処理した球状樹脂粒子を得る方法が挙げられる。
【0034】
上記の芯粒子には、有機化合物からなる真密度の小さい球形の樹脂粒子を使用することが好ましく、樹脂としては、例えば、PMMA、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、又はこれらの共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。芯粒子(母粒子)の表面に成膜する際に使用される導電性微粒子(小粒子)としては、導電性微粒子被膜を均一に設けるために、小粒子の粒径が母粒子の粒径の1/8以下のものを使用するのが好ましい。
【0035】
本発明に使用される導電性球状粒子を得る更に他の方法としては、球状樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させることにより、導電性微粒子が分散された導電性球状粒子を得る方法が挙げられる。球状樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させる方法としては、例えば、結着樹脂と導電性微粒子とを混練して導電性微粒子を分散させた後、冷却固化し、所定の粒径に粉砕し、機械的処理及び熱的処理により球形化して導電性球状粒子を得る方法;又は、重合性単量体中に重合開始剤、導電性微粒子及びその他の添加剤を加え、分散機によって均一に分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に撹拌機によって所定の粒子径になるように懸濁させて重合を行い、導電性微粒子が分散された球状粒子を得る方法が挙げられる。
【0036】
これらの方法で得られた導電性微粒子が分散された導電性球状粒子においても、前記した芯粒子よりも小さい粒径の導電性微粒子と適当な配合比で機械的に混合して、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により導電性球状粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着させた後、例えば、機械的衝撃力を付与することにより生ずる局部的温度上昇により導電性球状粒子の表面を軟化させ、該表面に導電性微粒子を成膜して、更に導電性を高めて使用してもよい。
【0037】
以上述べたようにして得られる球状粒子を導電性樹脂被覆層中に分散させることによって、現像スリーブ表面の表面粗さを最適化し、更に表面形状を均一化することができる。この結果、スリーブ上のトナー層の搬送力が均一になると共に、摩耗が生じた際の表面粗さの減少を抑制することが可能となり、耐久による搬送力の低下が抑制され、又、チャージアップ防止効果及びスリーブゴースト防止効果、トナーによるスリーブ汚染及び融着を防止する効果を長期の耐久に渡って発揮させることができる。中でも球状炭素粒子は、導電性樹脂被覆層の導電性が損なわれず、粒子を核としたトナー付着/融着を防止できるので、特に好ましく用いることができる。
【0038】
導電性樹脂被覆層中に分散されている導電性球状粒子等の凹凸形成粒子の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して好ましくは2〜120質量部、より好ましくは2〜80質量部の範囲で特に好ましい結果を与える。即ち、導電性球状粒子の含有量が2質量部未満の場合には導電性球状粒子の添加効果が小さく、120質量部を超える場合にはトナーの帯電性が低くなり過ぎてしまう場合がある。
【0039】
又、本発明においては、導電性樹脂被覆層中に凹凸形成粒子と併用して、更にトナーの帯電性を安定化させるために、必要に応じて一般的に公知の帯電付与物質を添加して使用することも可能である。負帯電性の制御剤としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としては、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩が挙げられる。他には、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体が挙げられる。これらは、単独で或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
正帯電性の制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレートが挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0041】
本発明において、上記に挙げたものをいずれも使用可能であるが、負帯電性トナーへの帯電性向上、及び正帯電性トナーの帯電性抑制を目的として使用される帯電付与物質としては、下記に挙げるような含窒素複素環化合物が好ましい。本発明に使用する含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、イミダリン、イミダゾロン、ピラゾリン、ピラゾール、ピラゾロン、オキサゾリン、オキサゾール、オキサゾロン、チアゾリン、チアゾール、チアゾロン、セレナゾリン、セレナゾール、セレナゾロン、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾセレナゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、オキサジン、チアジン、テトラジン、ポリアザイン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、イソインドール、インダゾール、カルバゾール、キノリン、ピリジン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キナキサリン、フタラジン、プリン、ピロール、トリアゾール、フェナジン、等の含窒素複素環基を有する化合物が挙げられる。本発明においては、特にイミダゾール化合物を用いることが、現像剤担持体とトナーとの相互作用による効果を促進することができるため、好ましい。
【0042】
イミダゾール化合物の中でも、特に下記一般式(イ)又は(ロ)で示されるイミダゾール化合物を用いることが、トナーへの迅速且つ均一な帯電性の達成、及びこれらを含有させた場合における被覆層の強度の点で、より好ましい。その理由は、下記の一般式(イ)又は(ロ)で示す構造のイミダゾール化合物は、置換基として炭素数3〜30の直鎖状アルキル基を有するので、被覆層に用いる結着樹脂に対する分散性が良好であり、且つ、トナーとの摩擦帯電特性が良好であるためと考えられる。
【0043】
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、R1及びR2は同一であっても異なっていてもよい。R3及びR4は、炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表し、R3及びR4は同一であってもよい。]
【0044】
[式中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、R5及びR6は同一であってもよい。R7は炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表す。]
又、上記一般式(イ)又は(ロ)で示される含窒素複素環化合物を構成する含窒素複素環基は、単環であっても他の基と縮環していてもよく、又、置換されていてもよい。
【0045】
上記の含複素環基が置換されている場合における置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、置換アミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキル又はアリールチオ基、アルキル又はアリールスルホニル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルボシル基、リン酸アミド基、ジアシルアミノ基、イミド基等を用いることができる。上記の置換基は、更に置換基を有していてもよい。その置換基の例としては、含窒素複素環の置換基で挙げた置換基を用いることができる。
【0046】
上記に挙げたような含窒素複素環化合物は、個数平均粒径が好ましくは20μm以下、より好ましくは0.1〜15μmのものを使用する。含窒素複素環化合物の個数平均粒径が20μmを超える場合には、該樹脂被覆層中への含窒素複素環化合物の分散性不良による帯電性能の向上効果が十分に得られ難く、好ましくない。
【0047】
導電性被覆層中に分散されている含窒素複素環化合物の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5〜60質量部、より好ましくは1〜50質量部の範囲である場合に、特に好ましい結果を与える。含窒素複素環化合物の含有量が0.5質量部未満の場合には含窒素複素環化合物の添加効果が小さく、60質量部を超える場合には、導電性被覆層の体積抵抗を低く制御しづらくなり、チャージアップ現象が発生し易くなると共に、球状粒子の添加効果が得られ難くなる。
【0048】
又、本発明おいて、負帯電性トナーの帯電性抑制及び正帯電性トナーの帯電性向上を目的として使用される帯電付与物質としては、ベンジル酸の金属化合物を含有させることが好ましい。例えば、ベンジル酸のアルミニウム化合物を含有させることにより、トナーの帯電量を好ましい範囲に制御できるので好ましい。本発明に用いることのできるベンジル酸のアルミニウム化合物としては、下記一般式(ハ)で示される未置換の、又は置換基を有するベンジル酸のアルミニウム化合物が挙げられる。
【0049】
【0050】
又、前記ベンジル酸のアルミニウム化合物は、下記一般式(ニ)で示されるベンジル酸のアルミニウム化合物であることが好ましいが、ベンジル酸2molとアルミニウム原子1molからなる錯体及び/又は錯塩であれば、下記一般式(ニ)に限定されるものではない。
【0051】
以上のように、導電性樹脂被覆層中にベンジル酸のアルミニウム化合物を分散させることにより、正帯電性トナーの帯電性が向上し、帯電量の高い負帯電性トナーに対しては帯電量を抑制するという効果が発揮され、いずれのトナーに対しても適正な帯電量を均一に付与することができる。これにより、画像濃度低下、スリーブゴーストやカブリ等を防止し、又、チャージアップによるブロッチ等も防止すること効果がある。
【0052】
上記に示したような樹脂層中における負荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。より好ましくは2〜50質量部である。1質量部未満では添加による帯電付与性の向上が見られず、100質量部を超えると結着樹脂中への分散過多となり、被膜強度の低下を招き易い。
【0053】
更に、正帯電性トナーの帯電性向上、及び帯電量の高い負帯電性トナーの帯電性抑制を目的として、本発明において使用される樹脂被覆層に添加する他の帯電付与物質の1つとして、特開平10−326040号公報、特開平11−052711号公報、特開平11−249414号公報に記載されている、第4級アンモニウム塩化合物を用いることが挙げられる。本発明者らは、従来、トナーの正荷電制御剤として知られている第4級アンモニウム塩化合物、即ち、それ自体が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を用い、結着樹脂として、特に、結着樹脂の一部又は全てが、その分子構造中に、少なくとも−NH2基、=NH基、−NH−結合のいずれかを有するものを用いて摩擦帯電付与部材の被覆層を形成すると、第4級アンモニウム塩化合物が結着樹脂中に取り込まれ、樹脂(樹脂層)自身が強い負帯電性を示し、正帯電性トナーに対して良好な帯電付与性を示すことを見いだしており、特開平10−326040号公報、特開平11−052711号公報、特開平11−249414号公報において、上記構成を摩擦帯電付与部材として現像装置に用いることで、非常に良好な画像が得られる旨の提案を既に行っている。
【0054】
この方法の、例えば、トナーに正帯電性を付与するために、シリカ、フッ素樹脂粉末、負帯電制御剤を添加させた系と比較して優れた点は、結着樹脂の溶媒中に第4級アンモニウム塩化合物を溶け込んで、樹脂中に均一に存在させることができるため、樹脂層を形成した場合に、樹脂層全体が均一な負帯電性材料となる結果、シリカ添加系のようにマトリクス的に分散しているものに比較して良好な帯電付与性を示し、更には、粉末添加系ではないので樹脂層表面の均一性を更に向上させることができる点にある。
【0055】
又、負帯電性を有し、且つ帯電性の高いトナーを用いる現像装置にも、従来よりトナーの正荷電制御剤として知られている前記第4級アンモニウム塩化合物、即ち、それ自体が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を用い、且つ結着樹脂として、特に結着樹脂の一部又は全てが、その分子構造中に、−NH2基、=NH基、−NH−結合のいずれかを有するものを用い、現像剤担持体の樹脂被覆層を形成することにより、帯電性の高い負帯電性トナーのチャージアップ現象や、ブロッチの発生や、現像剤担持体表面へのトナーの強固な付着を有効に防止することができ、且つ、第4級アンモニウム塩化合物の添加量を調整することで負帯電性トナーの摩擦帯電量を好適なレベルに帯電させることが可能である。
【0056】
本発明に好適に用いられる、前記した機能を有する第4級アンモニウム塩化合物としては、鉄粉に対して正帯電性を有するものが用いられる。例えば、下記一般式(ホ)で表される化合物が挙げられる。
(式(ホ)中のR1、R2、R3、R4は、各々、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、アルアルキル基を表すが、R1〜4は各々同一でも或いは異なっていてもよい。又、X-は酸の陰イオンを表す。)
【0057】
これに対し、例えば、下記式(へ)で表されるような、それ自身が鉄粉に対して負帯電性を有する含フッ素4級アンモニウム塩化合物についても検討を行ったが、該化合物の添加によっては本発明の所期の目的が達成されないことがわかった。即ち、下記式(ヘ)で表される化合物は、電子吸引性の強いフッ素樹脂原子が構造中にあるので、それ自身が鉄粉に対して負帯電性を有するものであるが、本発明の場合と同様に、該化合物を樹脂中に分散させた樹脂組成物を結着樹脂とし、これを加熱乾燥させてキャリア芯材に被覆層を形成したとしても、それ自身が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物を樹脂被覆層に含有させた場合ほどには、効果は得られなかった。
【0058】
【0059】
本発明に好適に用いられる、それ自身が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物としては、具体的には、以下のようなものが挙げられる。勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0060】
【0061】
本発明で、上記に示したような第4級アンモニウム塩化合物を使用する場合における添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。より好ましくは2〜50質量部である。1質量部未満では添加による帯電付与性の向上が見られず、100質量部を超えると結着樹脂中への分散不良が生じ、被膜強度の低下を招き易い。又、樹脂分に対して余剰となった正帯電性の四級アンモニウム塩が存在してしまうため、本発明の有効な効果の低下が生じてしまう。
【0062】
本発明にかかる現像剤担持体を構成する被覆層に用いられる結着樹脂としては特に限定はされないが、結着樹脂の一部又は全部が、その分子構造中に少なくとも−NH2基、=NH基、若しくは−NH−結合のいずれかの構造を有していることが好ましい。このような樹脂を用いて被覆層を形成することで、本発明の効果が、より容易に発揮される。本発明において、現像剤担持体の樹脂層として上記のような構成のものを用いると、自身が負帯電付与性へと変化することについての明確な理由は定かではないが、本発明で用いる、それ自身が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物、及び、−NH2基、=NH基、若しくは−NH−結合の少なくとも一つの構造を有している結着樹脂を用いて樹脂被覆層を形成することにより、樹脂の構造中に第4級アンモニウム塩が取り込まれる。その際、正極性を有する第4級アンモニウム塩の元の構造が失われ、これらを取り込んだ樹脂の帯電性が、均一且つ十分な負帯電性を有するようになるためではないかと考えられる。
【0063】
−NH2基を有する物質としては、R−NH2で表される第1アミン若しくはそれらを有するポリアミン、RCO−NH2で表される第1アミド若しくはそれらを有するポリアミド等、=NH基を有する物質としては、R=NHで表される第2アミン若しくはそれらを有するポリアミン、(RCO)2=NHで表される第2アミド若しくはそれらを有するポリアミド等、−NH−結合を有する物質としては、前述したポリアミン、ポリアミド等の他に−NHCOO−結合を有するポリウレタン等が挙げられる。以上の物質は、1種又は2種以上、或いは共重合体として含有し、工業的に合成された樹脂が好適に用いられる。
【0064】
それらのうち汎用性等の面から、アンモニアを触媒としたフェノール樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂等が好ましい。フェノール樹脂としては、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、その製造工程において含窒素化合物を触媒として使用したフェノール樹脂を用いることで、加熱硬化時に該4級アンモニウム塩化合物がフェノール樹脂の構造中に取り込まれ易いことがわかった。そのため、このようなフェノール樹脂を現像剤担持体上の樹脂被覆層を構成する材料の1つとして用いることで、良好な現像装置が得られる。
【0065】
フェノール樹脂の製造工程において触媒として用いることのできる含窒素化合物としては、酸性触媒としては、例えば、硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、スルファミド酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウムといった、酸のアンモニウム又はアミノ塩類が挙げられる。又、塩基性触媒としては、例えば、アンモニア、或いはジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジアミルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、n,n−ジn−ブチルアニリン、n,n−ジアミルアニリン、n,n−ジt−アミルアニリン、n−メチルエタノールアミン、n−エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、ジn−ブチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラアミン等のアミノ化合物、ピリジン、αピコリン、βピコリン、γピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン等のピリジン及びその誘導体、キノリン化合物、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール及びその誘導体、等の含窒素複素環式化合物、等が挙げられる。
【0066】
又、ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、66、610、11、12、9、13、Q2ナイロン等、或いはこれらを主成分とするナイロンの共重合体等、或いはN−アルキル変性ナイロン、N−アルコキシルアルキル変性ナイロン等、いずれも好適に用いることができる。更には、ポリアミド変性フェノール樹脂等のようにポリアミドにて変性された各種樹脂、或いは、硬化剤としてポリアミド樹脂を用いたエポキシ樹脂、といったように、ポリアミド樹脂分を含有している樹脂であれば、いずれも好適に用いることができる。
【0067】
又、ウレタン樹脂としてはウレタン結合を含んだ樹脂で有れば、いずれも好適に用いることができる。このウレタン結合は、ポリイソシアネートとポリオールとの重合付加反応によって得られる。ポリウレタン樹脂の主原料となるポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニレンメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI )、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、ジメチルジイソシアネート等が使用可能である。
【0068】
又、ポリウレタン樹脂の主原料となるポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペートエステル、ポリブチレンアジペートエステル、ポリジエチレングリコールアジペートエステル、ポリヘキセンアジペートエステル、ポリカプロラクトンエステル等のポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール等が使用可能である。
【0069】
以上述べたように、本発明の現像剤担持体を構成する導電性樹脂被覆層を形成する際に、前記した導電性球状粒子と併用して、前記に挙げた第4級アンモニウム塩化合物、及び−NH2基、=NH基、若しくは−NH−結合の少なくとも一つの構造を有している、又はそれらの構造を有する群により変性されている結着樹脂を用いることで、正帯電性トナーの帯電性を向上させ、又帯電量の高い負帯電性トナーのチャージアップ現象やブロッチの発生を防止し、いずれのトナーに対しても好適な摩擦帯電レベルに制御でき、被覆層に磨耗が生じた際もトナーによるスリーブ汚染及びスリーブ融着を更に抑制できる、といった効果が相乗して発揮されて、より一層の現像特性を向上させることが可能となる。
【0070】
又、導電性樹脂被覆層を形成するための結着樹脂材料としては、上記に挙げたものの他に、一般に公知の樹脂を使用することが可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂、又は光硬化性樹脂等を使用することができる。これらの中でも、シリコ−ン樹脂及びフッ素樹脂のような離型性のあるもの、或いは、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリエステル、スチレン系樹脂及びアクリル樹脂のような機械的に優れたものがより好ましい。
【0071】
但し、帯電付与物質として、先に挙げたような第4級アンモニウム塩化合物を用いる場合は、前述のごとく、−NH2基、=NH基、若しくは−NH−結合の少なくとも一つの構造を有している、又はそれらの構造を有する群により変性されている結着樹脂を用いることが好ましい。又、これらを、上記に挙げた一般的な結着樹脂と混合して用いることも可能である。
【0072】
又、本発明の現像剤担持体を構成する導電性樹脂被覆層には、前記した導電性球状粒子に併用して、固体潤滑剤及び/又は導電性微粉末を分散させる。このように構成することで、より本発明の効果を促進させることができる。この際に使用する固体潤滑剤としては、例えば、結晶性グラファイト、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、雲母、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石及びステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩からなる物質等が挙げられる。中でも結晶性グラファイトは、導電性球状粒子と併用した場合に導電性被覆層の導電性が損われないので、特に好ましく用いられる。
【0073】
本発明で使用することのできる固体潤滑剤は、その個数平均粒径が、好ましくは0.2〜20μm程度、より好ましくは1〜15μmのものが挙げられる。固体潤滑剤の個数平均粒径が0.2μm未満の場合には、潤滑性が十分に得られ難く、好ましくなく、個数平均粒径が20μmを超える場合には、表面粗さに対する影響が大きくなり、且つ、耐久により削れることで表面粗さが変化し易く、導電性樹脂被覆層表面が不安定となり、スリーブ上へのトナーコーティング、及びトナーの帯電が不安定になるという点で好ましくない。
【0074】
導電性樹脂被覆層中に固体潤滑剤を含有させる場合の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜120質量部、より好ましくは10〜100質量部の範囲で、特に好ましい結果を与える。固体潤滑剤の含有量が120質量部を超える場合には、被膜強度の低下、及びトナーの帯電量の低下が認められ、5質量部未満の場合には、7μm以下の小粒径トナーを用いて長時間使用した場合に、導電性樹脂被覆層表面にトナーの汚染が発生し易くなる傾向がある。
【0075】
本発明においては、現像剤担持体の導電性樹脂被覆層の体積抵抗を、好ましくは103Ω・cm以下、より好ましくは103〜10-2Ω・cmとなるように調整する。即ち、導電性樹脂被覆層の体積抵抗が103Ω・cmを超える場合には、トナーのチャージアップが発生し易くなり、スリーブゴーストの悪化や濃度低下を引き起こし易い。
【0076】
本発明においては、導電性樹脂被覆層の体積抵抗を調整するため、導電性樹脂被覆層中に、先に述べた導電性球状粒子と併用して他の導電性微粉末を分散含有させてもよい。この際に使用する導電性微粉末としては、個数平均粒径が、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01〜0.8μmのものがよい。即ち、導電性樹脂被覆層中に、導電性球状粒子と併用して分散含有させる導電性微粉末の個数平均粒径が1μmを超える場合には、導電性樹脂被覆層の体積抵抗を低く制御しづらくなり、トナーのチャージアップ現象が発生し易くなる。
【0077】
本発明で使用することのできる導電性微粉末としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックの如きカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン及び酸化インジウムの如き金属酸化物等;アルミニウム、銅、銀及びニッケルの如き金属;グラファイト、導電性金属繊維及び導電性炭素繊維の如き無機系充填剤が挙げられる。
【0078】
導電性被覆層中に導電性球状粒子と併用して導電性微粉末を分散含有させる場合の導電性微粉末の含有量としては、結着樹脂100質量部に対し、好ましくは40質量部以下、更には2〜35質量部の範囲で使用すると、特に好ましい結果が得られる。即ち、導電性微粉末の含有量が40質量部を超える場合には、被膜強度の低下、及びトナーの帯電量の低下が認められることが多い。
【0079】
次に、本発明にかかる現像剤担持体を形成する場合の、導電性被覆層の表面処理方法について説明する。本発明における被覆層表面の処理方法としては、表面処理後の被覆層表面に、被覆層表面及びその近傍に存在する凹凸形成粒子によって良好な状態で凹凸が形成されるものであれば、いずれの公知の表面処理方法を適用することも可能であるが、本発明では、被覆層表面の凹凸の平均間隔Sm値以下の平均粒径を有する砥粒を用いての表面処理方法を適用する。具体的には、上記したような特定の砥粒を用いての乾式ブラスト処理方法、及び湿式ホーニング処理方法が特に好ましく用いられる。これらの方法について、下記に説明する。
【0080】
先ず、本発明に用いることのできる乾式ブラスト処理方法について説明する。図3は、現像スリーブ表面にブラスト処理を施している工程を示した図である。図3において、1はブラストノズルであり、ブラストノズル1は、ノズルホルダー2によりホールドされている。ノズルホルダー2の内部には、圧縮空気を噴射するための噴射ノズル3が設けられており、ここから高速に加速された空気が流れる。又、該噴射ノズル3の噴射口位置には、流入口4から流入させた砥粒6が供給されるようになっており、上記加速された空気による砥粒6の吸い込みが可能となっている。又、ブラストノズル1は、ネジ5によって固定されており、このネジ5を緩めることによってブラストノズル1を自由に交換できる。更に、ノズルホルダー2は固定台10に取り付けられており、ボールネジ9により、上下に移動できる構造となっている。一方、スリーブ8は、回転モータ(図示せず)により矢印方向に回転するように支持されており、表面にはマスキング治具7が取り付けられている。
【0081】
このようなブラスト装置においては、加速された噴射エアーが噴射ノズル3内を通ることにより、ノズルホルダー2内が負圧になる結果、砥粒流入口4から砥粒6が吸引され、やがて噴射エアーと共にブラストノズル1を通って加速されて砥粒6が空気中に噴射される。これにより、加速された砥粒6は回転しているスリーブ8表面に衝突し、現像スリーブ表面の樹脂被覆層を表面処理する。更に、ブラストノズルホルダー2が、固定台10と共にボールネジ9によって上下に往復移動することで、スリーブ8表面の全域に渡ってブラスト処理が行われる。又、本発明は、このようなブラスト装置の他に、図4に示したようにブラストノズルが回転軸を中心に円弧運動を行って、被加工物である現像スリーブ表面にブラスト加工が行われるような装置も適用可能である。
【0082】
又、図5は、先に説明した図3及び図4に示されるようなブラスト装置部分を、実際に使用する際の本体装置のフローを模式図を用いて表したものである。ブラスト装置101の内部には、ここでは詳しく図示されていないが、図3及び図4に示されるようなブラストノズル部分102が組み込まれている。103からは圧縮空気が送られ、ブラストノズル部分102に供給される。ブラスト処理に供された砥粒及び剥離された樹脂被覆層の粉末は、排出口104へと落下し、バグフィルター110に付随したブロワー112の吸気作用により配管105を通ってサイクロン106へと送られる。ここで、比較的粒径の大きな砥粒粒子は排出口107へと落下回収され、圧縮空気103による吸引作用により配管108を通ってノズル102へと戻って行く。又、比較的粒径の小さい剥離された樹脂層の微粉末は、配管109を通りバグフィルター110へ運ばれ、吸引エアーと分離され、回収部111へと回収される。113は、磨耗、粉砕等されたために、配管109を通り回収された砥粒の不足分を補給するための補給装置である。
【0083】
本発明においては、上記したような装置によるブラスト処理によって現像スリーブ表面の樹脂被覆層の表面処理を行う際のブラスト処理の条件が、特に重要である。即ち、被覆層を表面処理する際に、被覆層表面の表面粗さを変化させないこと、被覆層表面及びその近傍に存在する凹凸形成粒子が磨耗及び脱落されることなく被覆層表面に凹凸を形成していること、という要件を満足するようにしてブラスト処理が行われる必要がある。
【0084】
本発明において、砥粒として用いる固体粒子の平均粒径は、被覆層表面の凹凸の平均間隔Sm値以下であることが必要であり、例えば、20μm〜180μmのものを用いることが好ましい。表面処理に使用する砥粒の平均粒径を、被覆層表面の凹凸の平均間隔Sm値以下とすることで、被覆層表面の凹部まで砥粒による均一な表面処理が可能となり、本発明の目的を達成することができる。しかし、砥粒の平均粒径が20μmよりも小さいと、強いエアー圧で放出された場合においても粒子が空気抵抗の影響を受けてしまい、十分な表面処理効果が得られにくく、処理できた場合でも操作時間が長くなってしまう。更には、ブラスト装置構成において、平均粒径が小さ過ぎるためサイクロン部分で分級回収されずに、削られた樹脂被覆層の粉末と共にバグフィルター方向へ移送され、除去されてしまう可能性(比率)が高くなる。一方、砥粒の平均粒径が180μmを超えるものを使用した場合には、被覆層表面の凹部における砥粒による表面処理が不十分であり、本発明の目的を達成することができない。又、ブラスト時に、下記に示すエアー圧力の影響と粒子の圧力の相互作用で現像スリーブを変形させ、振れを増大させてしまう。又、被覆層の表面処理後の表面粗さが適正値に制御できにくくなり、耐久初期と耐久後期において、被覆層の表面形状が異なってしまい、画像不良の原因となり易い。
【0085】
本発明において、砥粒を放出するノズルの内径は、基体の外径の0.15倍〜1.0倍であることが好ましい。ノズルの内径が基体外径の0.15倍よりも小さい場合には、砥粒の衝突位置が偏って削られるため、表面処理が均一となりにくく、処理後にも、現像スリーブの振れが悪化する。逆に1.0倍よりも大きくした時には、ノズルからの吐出を全面から均一に吐出させるためにはブラスト圧を高く設定する必要が生じ、砥粒の吐出量の過剰とブラストエアー圧力との相互作用により現像スリーブを曲げてしまい振れの悪化を招き、砥粒の現像スリーブに対する衝突効率が悪い、粉塵濃度が上がるのでサイクロンでの分離が不十分となる、基体の接線方向に近い角度で衝突する粒子が多いため表面形状が不均一になる、等の問題がある。
【0086】
ブラスト用のノズルは、通常、断面は円形であるが、楕円形等の変形したタイプも使用可能である。このような場合には、ノズルが現像スリーブに相対した時に、現像スリーブの直径方向の内径を1.0倍以下の長さとし、且つ基体外径の0.15倍〜1.0倍相当の円形状とした時の断面積以内の断面積のノズル開口とすることが好ましい。又、本発明においては、ブラストの吐出圧を、1×105Pa〜5×105Paとすることが好ましい。1×105Paよりも小さい圧力の場合は、研磨力が低下するのは勿論のこと、吐出量が不安定になり、表面処理が不均一になり易い。逆に、ブラストの吐出圧が5×105Paを超える場合には、現像スリーブを曲げてしまい振れの悪化を招く。より好ましくは、4×105Pa以下に抑えるとよい。
以上のようなブラスト条件を満たすことで、均一な表面処理が可能となり、且つ現像スリーブの振れの悪化を伴わずに表面処理が可能である。
【0087】
又、本発明において使用される砥粒の材質については、天然研磨材であるサンド(天然硅素)、ガーネット(ザクロ石)、人造研磨材であるアランダム、金属研磨材であるスチールショット、カットワイヤショット、トルーショット、他にはガラスビーズ、プラスチックビーズ等の種々の砥粒を使用してもよい。
【0088】
本発明においては、更に、ブラストの砥粒として用いる固体粒子の真密度が、0.8g/cm3〜5.0g/cm3の範囲内にあるものを用いることが好ましい。より好ましい上限は、4.5g/cm3である。真密度が0.8g/cm3より小さいと、強いエアー圧で放出された場合においても粒子が空気抵抗の影響を受け易くなり、十分な表面処理効果が得られにくく、処理できた場合でも操作時間が長くなってしまう。更には、ブラスト装置構成において、使用する砥粒の真密度が小さ過ぎるためサイクロン部分で分級回収されずに、削られた樹脂被覆層の粉末と共にバグフィルター方向へ移送され、除去されてしまう可能性(比率)が高くなる。一方、真密度が5.0g/cm3を超える場合には、ブラスト時に、下記に示すエアー圧力の影響と粒子の圧力の相互作用で現像スリーブを変形させ、振れを増大させてしまう。又、被覆層の表面処理後の表面粗さが適正値に制御できにくくなり、耐久初期と耐久後期において、被覆層の表面形状が異なってしまい、画像不良の原因となり易い。
【0089】
本発明においては、現像スリーブに施す表面処理は、現像スリーブの中心を軸として等速回転させてブラスト処理させることが好ましい。現像スリーブの回転数はその外径により周速度が変化するため、所望する現像スリーブに基づき任意に設定してかまわないが、均一な表面処理を行うためには、50rpm〜150rpm程度とすることが好ましい。回転数が小さいと表面処理が不均一となる可能性がある。上限はとくに制約されるものではないが、エアーの圧力がかかるため、均一な回転を保持するためには、あまり高速回転にすると装置の精度、強度が必要となり、コストアップ要因となる。更に、本発明においては、ノズルの移動は、図3及び図4に記載されている如く、現像スリーブの中心軸方向に移動させて処理することが好ましい。軸方向からの傾斜が大きい場合には、表面処理が不均一となる可能性が生じ、画像上に斜めのスジとなって現れることがある。
【0090】
又、本発明で行う表面処理における砥粒の吐出量は、砥粒の真比重により異なるが、10kg/hr〜100kg/hr程度が好ましい。吐出量が過小の場合には表面処理が不均一となり易く、過大な場合は、エアー吐出圧過大、真密度大、平均粒径大等と共に、現像スリーブの振れ悪化や、更に、循環量が増大することによりサイクロン部での砥粒の分離不良の原因となり易い。
【0091】
本発明において、被覆層の表面処理後、現像スリーブ上の砥粒粒子や被覆層の削りカス等の付着物を除去する工程を付加することが、より好ましい。固体粒子のみであれば、現像スリーブに圧縮エアーを吹き付け除去する方法も可能であるが、例えば、固体ではなくオイル等の付着物があると、画像不良等の原因となるので、被覆層が不溶な溶剤等を用いて洗浄してもよい。より好ましい形態としては、界面活性剤溶液で、熱、超音波等を加えて洗浄した後、温水洗浄を行う、所謂、水洗浄方式を用い、乾燥させてもよい。
【0092】
次に、本発明で行う表面処理に用いることのできる湿式ホーニング処理について説明する。図6に示すホーニング方法は、砥粒を液体に懸濁させて被加工物204に、細いノズル201の先からエアー圧で投射させて表面を処理する方法で、懸濁媒体207としては一般的に水を用いて、メディアとしては上記したような砥粒が用いられる。
【0093】
これらのメディアは、懸濁媒体(主に水)に対して2%〜30%の割合で混合される。メディアの割合が2%未満だと加工の効率が低下してしまい、30%を超えると懸濁媒体の流動性が悪くなりノズルからの吐出量が少なくなる、或いは出なくなってしまう。液体ホーニングは、砥粒を懸濁させた液体をポンプ211で循環し、ノズル201の噴射口形状が円形の場合、口径5mm〜20mmのノズルの先から吐出させ、被加工物204に投射するのであるが、毎分5リットルから50リットル程度の循環量では、懸濁液が被加工物に当たっても表面処理の程度は小さい。上記の方法においては、投射時のエアーの圧力により、大きく表面処理の程度が変化する。液体ホーニングにおけるエアー圧力は、一般には、0.01MPaから0.6MPa程度である。この範囲以下では、加工の効率が落ち、この範囲以上では表面粗さが大きくなり過ぎる傾向にある。
【0094】
ノズル201先端と被加工物204との距離は、近いほど効率がよいが、一般的に、円筒状のものを回転させながらノズル1を移動させていく方法では、ノズルを近付け過ぎると加工ムラがでてしまうため、10mmから400mmの距離で加工を行っている。ノズルの移動速度は、毎分0.2mから2m程度であり、一般に、被加工物を回転させながら、ノズルを移動させてホーニングする方法が用いられる。回転数は速い程ムラが出にくいが、(1/2)s-1から10s-1程度が好ましく、ノズルの移動速度に合わせて調節する。ノズルから吐出された砥粒は、同時に吐出された水の影響で被加工物にソフトに衝突する。そのため、懸濁媒体(水)を用いない乾式サンドブラスト方法よりも、砥粒の衝撃が少なく、従って、表面処理の程度は、乾式ブラスト処理方法よりも同じ条件では小さく、砥粒の割れる割合も少ないという利点がある。
【0095】
上記したような乾式ブラスト処理方法や湿式ホーニング処理方法では、一般に被加工物の表面を削ると考えられているが、実際には殆ど表面は削れておらず、主に砥粒が衝突した衝撃で表面を適度に研磨処理することができる。特に、球状の砥粒を用いた場合にはその傾向が強い。それゆえに、乾式ブラスト処理方法や液体ホーニング処理方法では、本発明にかかる現像スリーブの被覆層表面の凹凸平均間隔Sm値以下の平均粒径を有する砥粒を用いて処理することにより、被覆層表面の凹凸部が隈なく表面処理され、被覆層表面及びその近傍に存在する凹凸形成粒子が、磨耗及び脱落されることなく該被覆層表面に凹凸を形成することができる。この結果、本発明の目的がより効果的に発揮される。又、ホーニングやブラストによる表面処理方法を行う場合、被加工物面に対して吐出砥粒を垂直に当てるよりも角度を小さくして斜めに当てると、砥粒噴射時の加工面積が広がる等してムラ無く処理できる傾向にある。
【0096】
液体ホーニングによる被加工物表面の工程後は、通常、表面の洗浄を行い、付着した研磨材(砥粒)、研磨液、ごみ、油系物質、人の指紋等の除去を行う。しかし、この洗浄する工程までの間に被加工物表面が乾燥し易い。被加工物表面が一旦乾燥してしまうと砥粒が表面にこびりつき、その後、洗浄しても洗い落とせずに表面に残留してしまうことがあり、そのような現像スリーブを現像装置に使用すると、ベタ画像上に白抜け、黒点、濃度ムラ等の画像欠陥が発生する原因となる。
【0097】
本発明において、被覆層に凹凸を形成するための粒子は、被覆層を構成するマトリクス部分(樹脂製の基部)よりも高硬度であることが好ましい。凹凸を形成するための粒子の硬さが、被覆層を構成するマトリクス部分の硬さよりも大きいものを用いた場合には、長期にわたる耐久で被覆層が磨耗した場合でも、被覆層表面の表面粗さが耐久初期と耐久後期で殆ど変化しない。凹凸を形成するための粒子の硬さが、被覆層を構成するマトリクス部分の硬さよりも小さいものを用いた場合には、長期にわたる耐久で被覆層が磨耗した場合、被覆層表面の表面粗さの変化が大きく、トナーコーティングが不安定化するためトナーの帯電が不均一化し、スリーブゴースト、画像濃度、ベタ画像等のスジ・ムラ等の画質不良の原因となり易く、好ましくない。
【0098】
本発明において、導電性被樹脂覆層表面の表面粗さとしては、JIS B0601−1994の表面粗さに基づき、凹凸の平均間隔(以下、「Sm」と称す)及び算術平均粗さ(以下、「Ra」と称す)が、好ましくは、Smが20μm〜180μm及びRaが0.2〜4.5μmの範囲内であり、より好ましくはSmが40μm〜100μm及びRaが0.4〜2.0μmの範囲内であることがよい。導電性樹脂被覆層表面のSmが180μmを超え、Raが0.2μm未満の場合には、トナーの搬送性が低下してしまい十分な画像濃度が得られなくなる場合があり、導電性樹脂被覆層表面のSmが20μm未満、Raが4.5μmを超える場合には、トナーの搬送量が多くなり過ぎてトナーが十分に帯電できなくなり、いずれも好ましくない。上記したような構成の導電性樹脂被覆層の層厚は、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは4〜20μmであると均一な層厚を得るために好ましい。しかし、特にこの層厚に限定されるものではない。
【0099】
本発明において、上記の構成で形成される導電性樹脂被覆層を有する現像剤担持体の基体としては、例えば、金属、その合金又はその化合物が好適に用いられ、特に、ステンレススチール及びアルミニウムの円筒状に成形したものが好適に用いられる。これら基体の表面は、ブラスト、ホーニング、ヤスリ、切削等で所定の表面粗さになるように処理されていてもよく、電解・無電解メッキ等で処理されていてもよい。又、基体はステンレス等の金属の芯金状に成形したものでもよく、これら基体の表面も上記のような表面処理が施されていてもよい。
【0100】
次に、上記したような本発明の現像剤担持体を有する現像装置について説明する。
現像装置としては、例えば、図1及び図2に示すような現像装置が知られている。図1において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する静電潜像保持体、例えば、電子写真感光ドラム301は、矢印A方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ308は、現像剤容器303に収容された一成分系磁性トナーとしての現像剤304を担持して、矢印B方向に回転することによって、現像スリーブ308と感光ドラム301とが対向している現像領域Dに現像剤304を搬送する。図1に示すように、現像スリーブ308は、基体としての金属円筒管306上に形成された導電性樹脂被覆層307を有し、又、現像スリーブ308内には現像剤304を現像スリーブ308上に磁気的に吸引且つ保持するために、マグネットローラー305が配置、固着されている。現像スリーブ308とマゲネットローラー305とは非接触状態にある。
【0101】
又、現像剤容器303中には、矢印C方向に回転することによって、現像剤304を攪拌する攪拌翼309、310、現像剤容器303中に現像剤304を供給するスクリュー311、現像剤容器303中の現像剤量を調整する攪拌壁312が設けられている。現像剤304は、磁性トナー相互間及び現像スリーブ308上の導電性樹脂被覆層307との摩擦により、感光ドラム301上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図1の例では、現像領域Dに搬送される現像剤304の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としての強磁性金属製の磁性規制ブレード302が、現像スリーブ308の表面から約50〜500μmのギャップ幅を持って現像スリーブ308に臨むように、現像剤容器303から垂下されており、マグネットローラー305のN極からの磁力線が磁性規制ブレード302に集中することにより、現像スリーブ308上に現像剤304の薄層が形成される。本発明においては、図1に示したような磁性規制ブレードに代えて、図2に示したような非磁性ブレード、弾性ブレードを使用することもできる。このようにして現像スリーブ308上に形成される現像剤304の薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像スリーブ308と感光ドラム301との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
【0102】
本発明の現像剤担持体は、以上のような現像剤の薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち、非接触型現像装置に組み込むのが特に有効であるが、現像領域Dにおいて、現像剤層の厚みが現像スリーブ308と感光ドラム301との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、即ち、接触型現像装置にも本発明の現像剤担持体を適用することができる。説明の煩雑を避けるため、以下の説明では、上記したような非接触型現像装置を例に採って行う。
【0103】
上記現像スリーブ308に担持された磁性トナーを有する一成分系現像剤304を飛翔させるため、上記現像スリーブ308には、バイアス手段としての現像バイアス電源313により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときに、静電潜像の画像部(現像剤304が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を、現像スリーブ308に印加するのが好ましい。
【0104】
現像された画像の濃度を高め、或いは階調性を向上するためには、現像スリーブ308に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部の電位と背景部の電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ308に印加するのが好ましい。高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用する。高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤304は少なくとも現像スリーブ308との摩擦により帯電する。
【0105】
図1は、あくまでも本発明の現像装置を模式的に例示したものであり、現像剤容器303の形状、攪拌翼309、310の有無、磁極の配置に様々な形態があることは言うまでもない。勿論、これらの装置は、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤を用いる現像に使用することもできる。
【0106】
次に、本発明において、静電潜像から可視画像を得るために用いられる現像剤(トナー)について説明する。現像剤に含まれるトナーは大別して乾式トナーと湿式トナーに分かれるが、湿式トナーは溶剤揮発の問題が大きいため、現在では乾式トナーが主流となっている。トナーは、主として、結着樹脂、離型剤、荷電制御剤及び着色剤の如き材料を溶融混練し、溶融物を冷却固化した後粉砕し、しかる後に分級をして粒度分布をそろえた微粉体である。
【0107】
トナーに用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート;ポリブチルメタクリレート;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリビニルブチラール;ポリアクリル酸樹脂;ロジン;変性ロジン;テルペン樹脂;フェノール樹脂;脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂;芳香族系石油樹脂;パラフィンワックス;カルナバワックスを単独或いは混合して使用することができる。
【0108】
トナーをカラートナー(非磁性トナー)として用いる場合には、トナー中には、着色剤として顔料を含有させることができる。顔料としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ランプ黒、スーダンブラックSM、ファースト・イエローG、ベンジジン・イエロー、ピグメント・イエロー、インドファースト・オレンジ、イルガジン・レッド、パラニトロアニリン・レッド、トルイジン・レッド、カーミンFB、パーマネント・ボルドーFRR、ピグメント・オレンジR、リソール・レッド2G、レーキ・レッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチル・バイオレットBレーキ、フタロシアニン・ブルー、ピグメント・ブルー、ブリリアント・グリーンB、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、ザボン・ファーストイエローCGG、カヤセットY963、カヤセットYG、ザボン・ファーストオレンジRR、オイル・スカーレット、オラゾール・ブラウンB、ザボン・ファーストスカーレットCG、オイルピンクOPが挙げられ、これらの中から適宜に選択して使用することが可能である。
【0109】
トナーを磁性トナーとして用いる場合には、トナーの中に磁性粉を含有させるが、このような磁性粉としては、磁場の中におかれて磁化される物質が用いられる。磁性粉としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケルの如き強磁性金属の粉末;マグネタイト、ヘタマイト、フェライトの如き合金や化合物が挙げられる。これらの磁性粉の含有量は、トナー質量に対して15〜70質量%程度とするのが好ましい。
【0110】
トナー中に各種離型剤を添加して含有させる場合もあるが、そのような離型剤としては、ポリフッ化エチレン、フッ素樹脂、フッ炭素油、シリコンオイル、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン及び各種ワックス類が挙げられる。更には、必要に応じて、正或いは負に帯電させ易くするために、各種の荷電制御剤を添加する場合もある。
【0111】
本発明において、上記非磁性トナーは、キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることも、或いは、キャリアと混合せずに非磁性一成分系現像剤として用いることも可能である。更に、本発明において、上記磁性トナーは、一成分系現像剤として用いることが可能である。
【0112】
以下に、本発明に関わる物性値の測定方法について説明する。
[測定方法]
(1) 凹凸の平均間隔Sm及び算術平均粗さRaの測定
JIS B0601−1994の表面粗さに基づき、サーフコーダーSE−3500(小坂研究所製)にて、軸方向3点×周方向2点=6点についてそれぞれ測定し、その平均値をとった。
【0113】
(2) 被覆層の膜厚測定
レーザー測長器(KEYENCE社製:コントローラLS−5500、センサーヘッドLS5040T)で被覆層形成前後の外径を測定した。その前後の測定値より、30点の平均値をとって膜厚(μm)とした。
【0114】
(3) 被覆層の体積抵抗測定
100μmの厚さのPETシート上に、7〜20μmで導電性樹脂被覆層を形成し、抵抗率計ロレスタAP、又はハイレスタIP(共に三菱油化製)にて4端子プローブを用いて体積抵抗値を測定した。尚、測定環境は、20〜25℃、50〜60%RHとした。
【0115】
(4)凹凸形成粒子(球状粒子)の体積抵抗測定
粒状試料を40mmφのアルミリングに入れ、2500Nで加圧成形し、抵抗率計ロレスタAP、又はハイレスタIP(共に三菱油化製)にて4端子プローブを用いて体積抵抗値を測定した。尚、測定環境は、20〜25℃、50〜60%RHとした。
【0116】
(5)凹凸形成粒子(球状粒子)の真密度測定
球状粒子の真密度は、乾式密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定した。
【0117】
(6)凹凸形成粒子(球状粒子)の粒径測定
レーザー回折型粒度分布計のコールターLS230型粒度分布計(コールター社製)を用いて測定し、個数分布から算出した個数平均粒径を求めた。
【0118】
(7)凹凸形成粒子(球状粒子)の長径/短径比
電子顕微鏡を用いて、6000倍程度で撮影し、写真上で粒子の長径及び短径を測定した。これを無作為の100サンプルについて測定し、その平均値を長径/短径比とした。
【0119】
(8)被覆層のマトリクス部分及び凹凸形成粒子(球状粒子等)の硬さ測定
Akasi製微小硬度計MZT−4で、軸芯に対する面角が68度の、三角錐圧子を用いて測定したユニバーサル硬さ値HUであり、下記式で表される。
HU=K×F/(h2)2
[但し、K:係数 F:試験荷重(mN) h2:圧子の最大押し込み深さ(μm)]
【0120】
又、測定用に用意される試料は、被覆層に関しては、アルミニウム基体上に圧子の最大押し込み深さの10倍以上の膜厚となるよう被覆層を形成し、表面を研磨処理を施したもので、凹凸形成粒子に関しては、被覆層に用いる結着樹脂中に凹凸形成粒子を隙間なく分散し、アルミニウム基体上に圧子の最大押し込み深さの10倍以上の膜厚となるよう被覆層を形成し、表面を研磨処理を施したものを用いた。
又、試験荷重及び圧子の最大押し込み深さは、被覆層表面の表面粗さの影響を受けず、且つ、下地の基体の影響を受けない程度の範囲が好ましく、本発明においては、圧子の最大押し込み深さが1〜10μm程度の範囲で測定を行った。
【0121】
(9)トナーの粒径測定
コールターカウンターのマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定し、体積分布から算出した重量基準の重量平均径を求めた。
【0122】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を更に詳しく説明する。尚、実施例及び比較例中の「%」及び「部」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
<現像剤スリーブ製造例1>
先ず、下記のようにして現像スリーブの基体表面に導電性被覆層を形成する際に用いる塗工液を作製した。その際、導電性球状粒子として、下記のようにして調製した導電性の球状炭素粒子を用いた。先ず、個数平均粒径5.5μmの球状フェノール樹脂100質量部の表面に、ライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて、個数平均粒径1.5μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14質量部を均一に被覆した。次に、この粒子を、酸化性雰囲気下で熱安定化処理した後に、2,200℃で焼成することによって黒鉛化して導電性の球状炭素粒子を得た。得られた導電性の球状炭素粒子は、個数平均粒径5.0μm、真密度1.50g/cm3、体積抵抗7.5×102Ω・cm、長径/短径比が1.15であった。又、そのユニバーサル硬さ値は、該導電性球状粒子を含んで形成した後述する樹脂被覆層のマトリクス部分の硬さ値よりも大きかった。
【0123】
・フェノール樹脂中間体(固形分50%)200部
・カーボンブラック 4部
・結晶性グラファイト 36部
・上記で調製した導電性の球状炭素粒子(個数平均
粒径5.0μm 10部
・イソプロパノール 179部
上記材料を、サンドミルを用いて分散した。フェノール樹脂中間体のメタノール溶液の一部にカーボンブラックと結晶性グラファイトを添加し、ガラスビーズをメディアとしたサンドミル分散を行った。ここに、残りのフェノール樹脂中間体のメタノール溶液、及び個数平均粒径5μmの球状炭素粒子を添加し、更にサンドミル分散を進め、固形分35%の塗工液とした。この塗工液をスプレー法にて、外径24.5mmφ及び32.5mmφのアルミ製円筒基体表面に塗布し、15μm程度の導電性樹脂被覆層を形成させ、これを熱風乾燥機にて150℃で30分間乾燥硬化させた後、所定のフランジ及びマグネットローラを装着し、現像スリーブIとした。表1に、得られた現像スリーブIの表面層である導電性樹脂被覆層の、構成及び表面物性を示した。
【0124】
<現像スリーブ製造例2>
現像スリーブ製造例1において、更に、下記式(イ−1)に示したイミダゾール化合物を10部添加した塗工液を用いた以外は、現像スリーブの製造例1と同様にして現像スリーブを作製し、現像スリーブIIとした。表1に、得られた現像スリーブIIの表面層である導電性樹脂被覆層の、構成及び表面物性を示した。
【0125】
<現像スリーブ製造例3>
現像スリーブ製造例1において、更に、ベンジル酸2molとアルミニウム原子1molから成るベンジル酸のアルミニウム化合物を10部添加した塗工液を用いた以外は現像スリーブ製造例1と同様にして、現像スリーブを作製し、現像スリーブIIIとした。表1に、得られた現像スリーブIIIの表面層である導電性樹脂被覆層の、構成及び表面物性を示した。
【0126】
<現像スリーブ製造例4>
現像スリーブ製造例1において、結晶性グラファイトの添加量を36部から18部に変え、更に、二硫化モリブデンを18部添加した塗工液を用いた以外は現像スリーブ製造例1と同様にして、現像スリーブを作製し、現像スリーブIVとした。表1に、得られた現像スリーブIVの表面層である導電性樹脂被覆層の、構成及び表面物性を示した。
【0127】
<現像スリーブ製造例5>
現像スリーブ製造例4において、更に、下記式(イ−1)に示したイミダゾール化合物を10部添加し塗工液を用いた以外は現像スリーブ製造例1と同様にして、現像スリーブを作製し、現像スリーブVとした。表1に、得られた現像スリーブVの表面層である導電性樹脂被覆層の、構成及び表面物性を示した。
【0128】
<現像スリーブ製造例6>
現像スリーブ製造例4において、更に、ベンジル酸2molとアルミニウム原子1molから成るベンジル酸のアルミニウム化合物を10部添加し塗工液を用いた以外は現像スリーブ製造例1と同様にして、現像スリーブを作製し、現像スリーブVIとした。表1に、得られた現像スリーブVIの表面層である導電性樹脂被覆層の、構成及び表面物性を示した。
【0129】
<現像スリーブ製造例7>
現像スリーブ製造例1において、個数平均粒径5.0μmの球状炭素粒子を用いずに塗工液を用いた以外は現像スリーブ製造例1と同様にして、現像スリーブを作製し、現像スリーブVIIとした。表1に、得られた現像スリーブVIIの表面層である導電性樹脂被覆層の、構成及び表面物性を示した。
【0130】
【0131】
上記で得られた各現像スリーブに対して、更に、下記に挙げる各表面処理方法で表面処理を行った。各表面処理方法について、用いた砥粒の種類及び、その平均粒径を表2にまとめて示した。
【0132】
<表面処理方法1>
図5に示したブラスト装置を用いて下記のブラスト条件で表面処理を行った。
・ブラストノズル内径:10mmφ
・ブラスト吐出圧:1.0×105Pa
・砥粒の種類:真密度2.5g/cm3の球形ガラスビーズ
・砥粒の平均粒径:30μm
・ブラスト処理時間:15sec
・スリーブの回転数:100rpm
以上の条件による表面処理方法を、表面処理方法aとした。
【0133】
<表面処理方法2>
表面処理方法aにおいて、砥粒として平均粒径が200μmの球形ガラスビーズを用いた以外は、表面処理方法aと同様の条件で表面処理した。この方法を、表面処理方法bとした。
【0134】
<表面処理方法3>
図6に示したホーニング装置を用いて下記のホーニング条件で表面処理を行った。
・ホーニングノズル内径:10mmφ
・ホーニング吐出圧:3.0×105Pa
・砥粒の種類:真密度2.7g/cm3の球形アルミナビーズ
・砥粒の平均粒径:30μm
・懸濁液:(水:砥粒)=(100:15)
・ホーニング処理時間:30sec
・スリーブの回転数:100rpm
以上の条件による表面処理方法を、表面処理方法cとした。
【0135】
<表面処理方法4>
表面処理方法cにおいて、砥粒として平均粒径が200μmの球形アルミナビーズを用いた以外は、表面処理方法cと同様の条件で表面処理した。この方法を、表面処理方法dとした。
【0136】
【0137】
<トナー製造例1>
下記の方法で、一成分現像剤としての磁性ネガトナーを作製した。
・スチレン−アクリル系樹脂 100部
・マグネタイト 90部
・負帯電制御剤(サリチル酸のクロム錯体) 2部
・炭化水素系ワックス 3部
上記材料をヘンシェルミキサーにより混合し、二軸式のエクストルーダーにより溶融混練分散を行った。混練物を冷却後、ジェット気流を用いた粉砕機により微粉砕し、更に気流式分級機を用いて分級を行って、重量平均粒径7.4μm、4μm以下の粒子の個数割合が12.0%、10.1μm以上の粒子の質量割合が5.0%の粒度分布を有する分級品を得た。次に、得られた分級品である着色樹脂微粉末に、疎水性コロイダルシリカを上記分級品100質量部に対して、1.0質量部の割合でヘンシェルミキサーを用いて外添混合し、一成分現像剤としての磁性トナーAを得た。
【0138】
<トナー製造例2>
下記の方法で、一成分現像剤としての磁性ポジトナーを作製した。
・スチレン−アクリル系樹脂 100部
・マグネタイト 85部
・正帯電制御剤(トリフェニルメタン化合物)2部
・炭化水素系ワックス 3部
上記材料をヘンシェルミキサーにより混合し、二軸式のエクストルーダーにより溶融混練分散を行った。混練物を冷却後、ジェット気流を用いた粉砕機により微粉砕し、更に気流式分級機を用いて分級を行って、重量平均粒径7.3μm、4μm以下の粒子の個数割合が18.0%、10.1μm以上の粒子の質量割合が7.0%の分布を有する分級品を得た。次に、得られた分級品である着色樹脂微粉末に、疎水性コロイダルシリカを、上記分級品100質量部に対して1.0質量部の割合でヘンシェルミキサーを用いて外添混合し、一成分現像剤としての磁性トナーBを得た。
【0139】
<実施例1>
前記した現像スリーブIを表面処理方法aで表面処理した現像スリーブと、上記で調製したトナーAとを用い、これらを図1に示すような現像装置に組み込んで画像形成を行って画出し、評価をした。画出しには、キヤノン製複写機NP6350の改造機を用いて、所定の現像バイアスを印加して、画出し評価を行った。画出しは、23℃、5%RHの常温低湿(N/L)、及び30℃、80%RHの高温高湿(H/H)の各環境下にて、25万枚(250k)までの耐久で行った。以下の評価方法による評価結果を表3−2〜表3−4に示した。又、画出しに使用した現像スリーブ及びトナー等の評価条件を表3−1にまとめて示した。
【0140】
[評価]
(1)画像濃度
ベタ黒画像の濃度を、反射濃度計RD918(マクベス社製)により反射濃度測定を行い、5点の平均値をとって画像濃度とした。
【0141】
(2)カブリ及び反転カブリ
ベタ白画像の反射率を測定し、更に未使用の転写紙の反射率を測定し、(ベタ白画像の反射率の最悪値−未使用転写紙の反射率の最高値)をカブリ濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。但し、測定値を目視で判断した場合、1.5以下は目視ではほとんど確認できないレベル、2.0〜3.0程度はよく見ると確認できるレベル、4.0を超えると一見してカブリが確認できるレベルである。
【0142】
(3)スリーブ上トナー帯電量(Q/M)及びトナー搬送量(M/S)
現像スリーブ上に担持されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、捕集されたトナー質量Mと、トナーを吸引した面積Sから、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)と単位面積当たりのトナー質量M/S(mg/cm2)を計算し、それぞれトナー帯電量(Q/M)、トナー搬送量(M/S)とした。
【0143】
(4)ゴースト
ベタ白とベタ黒部が隣り合う画像を画像先端部(スリーブ回転1周目)で現像し、2周目以下のハーフトーン画像上に現れるベタ白跡とベタ黒跡の濃淡差を目視により観察し、評価結果を下記の指標で示した。
○ :濃淡差が全く見られない。
○△:目視で軽微な濃淡差が確認できる。
△ :濃淡差がややはっきりしているが、実用レベル下限。
△×:濃淡差がはっきり確認でき、実用不可レベル。
× :顕著な濃淡差が確認できる。
【0144】
(5)スジ・ムラ
ベタ黒画像及びハーフトーン(HT)画像を現像し、それぞれの画像においてスジ・ムラを目視により観察し、評価結果を下記の指標で示した。
○ :スジ・ムラが全くみられない。
○△:HT画像に軽微なスジ・ムラがみられる。
△ :HT画像にスジ・ムラがややみられるが、実用レベル下限。
△×:ベタ黒画像にもスジ・ムラがみられ、実用不可レベル。
× :ベタ黒画像にも顕著なスジ・ムラがみられる。
【0145】
(6)導電性被覆層の削れ量(削れ量)
各環境下で画出し評価した後、現像スリーブを取り外し、レーザー測長器(KEYENCE社製:コントローラLS−5500、センサーヘッドLS5040T)で外径を測定した。この測定値と、画出し前の現像スリーブの外径測定値から導電性被覆層の削れ量を計算し、30点の平均値をとって膜削れ量(μm)とした。
【0146】
(7)トナーによるスリーブ汚染及び融着(耐汚染及び耐融着)
各環境下で画出し評価した後、現像スリーブを取り外し、電界放射型−走査型顕微鏡(FE−SEM)によりスリーブ上を観察し、評価結果を下記の指標で示した。
○ :汚染及び融着が全くみられない。
○△:軽微な汚染及び融着がみられる。
△ :汚染及び融着がややみられるが、実用レベル下限。
△×:汚染及び融着がみられ、実用不可レベル。
× :顕著な汚染及び融着がみられる。
【0147】
<実施例2>
実施例1において、現像スリーブの表面処理方法aを表面処理方法cに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0148】
<実施例3>
実施例1において、現像スリーブIを現像スリーブIIに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0149】
<実施例4>
実施例3において、表面処理方法aを表面処理方法cに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0150】
<実施例5>
実施例1において、現像スリーブIを現像スリーブIVに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0151】
<実施例6>
実施例5において、表面処理方法aを表面処理方法cに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0152】
<実施例7>
実施例1において、現像スリーブIを現像スリーブVに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0153】
<実施例8>
実施例7において、表面処理方法aを表面処理方法cに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0154】
<比較例1>
実施例1において、表面処理方法aを表面処理方法bに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0155】
<比較例2>
実施例1において、表面処理方法aを表面処理方法dに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0156】
<比較例3>
実施例1において、表面処理方法aを用いなかった以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0157】
<比較例4>
実施例1において、現像スリーブIを現像スリーブVIIに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表3−1〜表3−4に示した。
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
<実施例9>
前記した現像スリーブIを表面処理方法aで表面処理した現像スリーブと、上記で調製したトナーBとを用い、これらを図1に示すような現像装置に組み込んで画像形成を行って画出し、評価をした。画出しには、キヤノン製複写機GP605の改造機を用いて、所定の現像バイアスを印加して、画出し評価を行った。画出しは、23℃、5%RHの常温低湿(N/L)、及び30℃、80%RHの高温高湿(H/H)の各環境下にて、25万枚(250k)までの耐久で行った。そして、実施例1と同様の評価方法及び評価基準による評価を行い、その結果を、表4−2〜表4−4に示した。又、画出しに使用した現像スリーブ及びトナー等の評価条件を表4−1にまとめて示した。
【0163】
<実施例10>
実施例9において、表面処理方法aを表面処理方法cに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0164】
<実施例11>
実施例9において、現像スリーブIを現像スリーブIIIに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0165】
<実施例12>
実施例11において、表面処理方法aを表面処理方法cに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0166】
<実施例13>
実施例9において、現像スリーブIを現像スリーブIVに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0167】
<実施例14>
実施例13において、表面処理方法aを表面処理方法cに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0168】
<実施例15>
実施例1において、現像スリーブIを現像スリーブVIに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0169】
<実施例16>
実施例15において、表面処理方法aを表面処理方法cに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0170】
<比較例5>
実施例9において、表面処理方法aを表面処理方法bに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0171】
<比較例6>
実施例9において、表面処理方法aを表面処理方法dに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0172】
<比較例7>
実施例9において、表面処理方法aを用いなかった以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0173】
<比較例8>
実施例9において、現像スリーブIを現像スリーブVIIに代えた以外は、実施例1と同様の方法及び条件下で画出しを行い、評価した。評価条件及び評価結果を表4−1〜表4−4に示した。
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、画像形成に用いた場合に、トナーのチャージアップ現象及びブロッチを防止し、異なる環境下においても長期に渡って、トナーに適正な帯電量を与えることのできる現像剤担持体、それを用いた現像装置が提供される。又、本発明によれば、画像形成に用いた場合に、異なる環境下においても長期間に渡って、画像濃度低下、及びカブリの如き問題点が発生せず、高品位の画像を安定的に得ることができ、しかも、現像剤担持体表面にトナーによるスリーブ汚染及びスリーブ融着を生じず、スジ・ムラ等の不良画像を発生しない現像剤担持体、それを用いた現像装置が提供される。又、本発明によれば、画像形成に用いた場合に、異なる環境下においても長期間に渡って、現像剤担持体表面の表面粗さの変化を小さくすることができ、現像剤担持体上のトナーコート量を一定量に制御することのできる現像剤担持体、それを用いた現像装置が提供される。本発明によれば、上記した優れた特性を有する現像剤担持体を容易に得らることができる現像剤担持体表面処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の導電性樹脂被覆層を有する現像剤担持体を用いた、現像装置の模式図である。
【図2】 本発明の導電性樹脂被覆層を有する現像剤担持体を用いた、現像装置の模式図である。
【図3】 本発明の被覆層の表面処理方法に用いる、乾式ブラスト装置部分の模式図である。
【図4】 本発明の被覆層の表面処理方法に用いる、乾式ブラスト装置部分の模式図である。
【図5】 本発明の被覆層の表面処理方法の一例である、乾式ブラスト処理方法の模式図である。
【図6】 本発明の被覆層の表面処理方法の一例である、湿式ホーニング処理方法の模式図である。
【符号の説明】
<図1及び図2>
301:静電潜像保持体(感光ドラム)
302:現像剤層厚規制部材(磁性ブレード及び弾性ブレード)
303:現像剤容器
304:現像剤(トナー)
305:磁石(マグネットローラー)
306:円筒部材
307:導電性樹脂被覆層
308:現像剤担持体(現像スリーブ)
309〜310、314:現像剤攪拌翼
311:現像剤搬送スクリュー
312:攪拌壁
313:バイアス電源
A:感光ドラム回転方向
B:現像スリーブ回転方向
C:攪拌翼回転方向
D:現像領域
<図3及び図4>
1 :ブラストノズル
2 :ノズルホルダー(支持体)
3 :噴射ノズル(噴射手段)
4 :砥粒流入口(研磨材の流入手段)
5 :ネジ
6 :砥粒(研磨材)
7 :マスキング冶具
8 :現像剤担持体(現像スリーブ)
9 :ボールネジ
10:固定台
<図5>
101:ブラスト装置部
102:ブラストノズル部
103:圧縮空気投入部
104、107:砥粒捕集部
105、108:砥粒循環管
106:サイクロン
109:砥粒排出管
110:バグフィルター
111:砥粒回収部
112:ブロワー
113:砥粒補給装置
<図6>
201:ホーニングのノズル
202:エア供給管
203:ホーニング液循環管
204:ワーク(円筒基体)
205:ワーク置き台
206:ワーク回転モータ
207:ホーニング液
208:撹拌モータ
209:撹拌用プロペラ
Claims (3)
- 基体と導電性樹脂被覆層とを有している現像剤担持体の製造方法であって、
基体上に凹凸形成粒子としての導電性球状粒子によって表面に平均間隔Smの凹凸が形成されている導電性樹脂被覆層を形成する工程と、
該平均間隔Smの値以下の平均粒径を有する砥粒を用いて、乾式ブラスト処理で該導電性樹脂被覆層の表面を処理する工程と、を有することを特徴とする現像剤担持体の製造方法。 - 前記導電性球状粒子が、導電性の球状炭素粒子であり、かつ、前記導電性樹脂被覆層は、フェノール樹脂を含む請求項1に記載の現像剤担持体の製造方法。
- 前記砥粒が、ガラスビーズである請求項1又は2に記載の現像剤担持体の製造方法。
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