JP3984861B2 - 現像剤担持体及び該現像剤担持体を用いた現像装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
現像剤担持体及び該現像剤担持体を用いた現像装置及びプロセスカートリッジInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体又は静電記録誘導体等の像担持体上に形成された潜像を現像して顕像化するための現像装置に用いられる現像剤担持体に関する。また、本発明は上記現像剤担持体を用いた現像装置及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像保持体(感光ドラム)上に電気的潜像を形成し、次いで該静電潜像を現像剤(トナー)で現像を行って可視像化し、必要に応じて紙などの転写材にトナー像を転写した後、熱・圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。
【0003】
電子写真法における現像方式は主として一成分現像方式と二成分現像方式に分けられる。近年、電子写真装置の軽量・小型化等を目的として複写装置部分を小さくする必要があるため、一成分現像方式を用いた現像装置が使用されることが多い。
【0004】
一成分現像方式は、二成分現像方式のようにガラスビーズや鉄粉等のキャリア粒子が不要なため、現像装置自体を小型化・軽量化できる。一方、二成分現像方式は現像剤中のトナー濃度を一定に保つ必要があるため、トナー濃度を検知し必要量のトナーを補給する装置が必要である。よって、ここでも現像装置が大きく重くなる。一成分現像方式では、このような装置は必要とならないため、やはり小さく軽く出来るため好ましい。
【0005】
一成分現像方式を用いた現像装置としては、静電潜像保持体としての感光ドラム表面に静電潜像を形成し、現像剤担持体(現像スリーブ)とトナーとの摩擦、及び/或いは現像スリーブ上のトナーコート量を規制するための現像剤層厚規制部材とトナーとの摩擦により、トナーに正或いは負の電荷を与える。そして電荷が付与されたトナーを現像スリーブ上に薄く塗布して感光ドラムと現像スリーブとが対向した現像領域に搬送し、現像領域においてトナーを感光ドラム表面の静電潜像に飛翔・付着させて現像し、静電潜像をトナー像として顕像化するものが知られている。
【0006】
しかし、この様な一成分現像方式を用いる場合にはトナーの帯電の調整が難しく、トナーによる工夫が種々行われているものの、トナー帯電の不均一性や帯電の耐久安定性に関わる問題は、完全には解決されていない。
【0007】
特に、現像スリーブが繰り返し回転を行っているうちに、現像スリーブ上にコーティングされたトナーの帯電量が現像スリーブとの接触により高くなりすぎ、トナーが現像スリーブ表面との鏡映力により引き合って現像スリーブ表面上で不動状態となり、現像スリーブから感光ドラム上の潜像に移動しなくなる、所謂、チャージアップ現象が特に低湿下で起こりやすくなる。この様なチャージアップ現象が発生すると、上層のトナーは帯電しにくくなってトナーの現像量が低下するため、ライン画像の細りやベタ画像の画像濃度薄等の問題点を生じる。更に、チャージアップにより適正に帯電されないトナーが規制不良となってスリーブ上に流出し、斑点状、波状のムラとなる、所謂ブロッチ現象も発生する。
【0008】
更に、画像部(トナー消費部)と非画像部とのトナー層の形成状態が変わり、帯電状態が異なってしまうため、例えば、現像スリーブ上において一度画像濃度の高いベタ画像を現像した位置が、現像スリーブの次の回転時に現像位置に来てハーフトーン画像を現像すると、画像上にベタ画像の跡が現れてしまう、所謂、スリーブゴースト現象も生じやすくなる。
【0009】
また、最近では電子写真装置のデジタル化、又更なる高画質化のために、トナーの小粒径化及び微粒子化が図られている。例えば、解像度や文字シャープ性を向上させ潜像を忠実に再現するためには、重量平均粒径約5〜12μmのトナーを用いるのが一般的である。また、エコロジーの観点から、及び装置の更なる軽量・小型化等を目的として、廃トナーを軽減させるために、トナーの転写効率の向上が図られている。例えば、平均粒子径が0.1〜3μmの転写効率向上剤とBET比表面積50〜300m2/gの疎水性シリカ微粉末をトナーに含有させることで、トナーの体積抵抗を低減させ、感光ドラム上に転写効率向上剤の薄膜層を形成することにより転写効率を向上させるとともに、更にはトナー自身を機械的衝撃力により球形化処理し、転写効率を向上させる方法等が知られている。
【0010】
また、ファーストコピー時間の短縮化や省電力化の目的で、トナーの定着温度を下げる傾向にある。この様な状況下、特に低温低湿下におけるトナーは、単位質量当たりの電荷量が増えるため更に現像スリーブ上へ静電的に付着しやすくなり、高温高湿下におけるトナーは、外部からの物理的な力や流動化しやすい材料を用いているため変質しやすくなり、トナーによるスリーブ汚染やスリーブ融着が起こりやすくなっている。
【0011】
この様な現象を解決する方法として、特開平02−105181号公報、特開平03−036570号公報等においては、樹脂中に結晶性グラファイト及びカーボン等の導電性微粉末を分散させてなる被覆層が金属基体上に設けられている現像スリーブを現像装置に用いる方法が提案されている。この方法を用いることにより、上記した現象は大幅に軽減されることが認められる。
【0012】
しかしながら、この方法では、上記粉末を多量に添加した場合には、チャージアップやスリーブゴーストに対しては良好となるが、トナーへの適度な帯電付与能力が不十分となり、特に高温高湿の環境下においては十分な画像濃度を得られにくい。更に、上記粉末を多量に添加した場合には被覆層が脆性化して削れやすくなると共に表面形状が不均一となり、耐久的な使用を進めていった場合に被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こりやすくなる。
【0013】
また、前記の結晶性グラファイトを分散させた被覆層を用いた場合は、被覆層表面が結晶性グラファイトの燐片状の構造から起因して潤滑性を有するようになるのでチャージアップやスリーブゴーストに対しては十分な効果を発揮するが、形状が燐片状であるがために被覆層表面形状が不均一となり、さらに結晶性グラファイトの硬度が低いため、被覆層表面で結晶性グラファイト自体の摩耗や脱離が発生しやすく、耐久的な使用を進めていった場合に被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こりやすくなる。
【0014】
一方、現像スリーブの金属基体上に形成される被覆層への上記導電性微粉末の添加量が少量の場合には、結晶性グラファイト及びカーボン等の導電性微粉末の効果が薄く、チャージアップやスリーブゴーストに対する対策が不十分であるという問題が残る。
【0015】
また、特開平03−200986号公報においては、樹脂中に結晶性グラファイト及びカーボン等の導電性微粉末、更に球状粒子を分散させた導電性被覆層を金属基体上に設けた現像スリーブが提案されている。この現像スリーブでは、被覆層の耐磨耗性がある程度向上するとともに、被覆層表面の形状も均一化し、耐久的な使用による表面粗さの変化も比較的少なくなることから、スリーブ上のトナーコーティングが安定化してトナーの帯電をある程度均一化することができ、スリーブゴースト、画像濃度、画像濃度ムラ等に問題が無く、画質が安定化する傾向にある。しかしながら、この現像スリーブにおいてもトナーへの迅速且つ均一な帯電制御性及びトナーへの適度な帯電付与能力の安定化には不十分である。また、耐摩耗性においても、更なる長期間の耐久的な使用により、現像スリーブにおける被覆層の球状粒子や結晶性グラファイトが摩耗あるいは脱落することで生じる被覆層表面の粗さの変化や粗さの不均一化、それに伴う被覆層のトナー汚染及びトナー融着等が生じ、このような場合にはトナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる。
【0016】
特開平08−240981号公報においては、導電性被覆層中に分散された球状粒子が低比重且つ導電性の球状粒子であり、これにより導電性被覆層中に均一に導電性球状粒子が分散されることで被覆層の耐磨耗性及び被覆層表面の形状が均一化してトナーへの均一な帯電付与性が向上し、且つ被覆層が多少摩耗した際にもトナー汚染及びトナー融着が抑制されうる現像スリーブが提案されている。しかしながら、この現像スリーブにおいても、トナーへの迅速且つ均一な帯電付与性及びトナーへの適度な帯電付与能力の点では完全ではない。また、耐磨耗性においても更なる長期間の耐久的な使用においては、被覆層表面の導電性球状粒子が存在しない部分から、結晶性グラファイト等の導電性粒子が摩耗あるいは脱落しやすく、この摩耗及び脱落した部分から被覆層の摩耗が促進されてトナー汚染及びトナー融着が生じ、トナーの帯電が不安定となり画像不良の原因となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、異なる環境条件下においても、濃度低下、画像濃度ムラ、スリーブゴースト及びカブリ等の問題点が発生せず、均一で濃度ムラが無く、画像濃度が高い高品位の画像を安定して得ることのできる現像剤担持体、該現像剤担持体を用いた現像装置及びプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【0018】
また、本発明は、粒径の小さいトナーや球形のトナーを用いて画像形成を行った場合に現れる、現像剤担持体表面へのトナー付着を軽減させることにより、トナーの不均一な帯電を制御すると共にトナーへ適度な帯電を迅速に与えることのできる現像剤担持体、該現像剤担持体を用いた現像装置及びプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【0019】
また、本発明は、繰り返し複写又は耐久的な使用による現像剤担持体表面の樹脂被覆層の劣化が生じ難く、高耐久性を有し、安定した画質が得られる現像剤担持体、該現像剤担持体を用いた現像装置及びプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【0020】
さらに、本発明は、長期間にわたる連続複写においても現像剤担持体上のトナーへ迅速且つ均一に適度な帯電を付与するとともに、チャージアップを起こさずに安定した電荷を常時付与することで、耐久使用中の画像濃度低下や濃度ムラ、カブリのない、濃度が均一で高品位の画像を得られる現像剤担持体、該現像剤担持体を用いた現像装置及びプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、現像剤担持体表面の樹脂被覆層を特定の範囲の黒鉛化度と押し込み硬さ値を有する黒鉛化粒子を樹脂中に分散させた構成にすることにより、均一な表面形状と潤滑性を有する樹脂被覆層が形成されると共に樹脂被覆層の表面から黒鉛化粒子が摩耗や脱離を起こしにくくなることを見出した。また、現像剤担持体を上記構成とすることにより、樹脂被覆層が磨耗したとしても樹脂被覆層中から再び黒鉛化粒子が露出するため、多数枚の画出しにおいても現像剤担持体の表面被覆層の粗さ、表面形状の均一性及び表面の材料組成の変化を抑制できる効果を見出した。更に該黒鉛化粒子を含有させた樹脂被覆層はトナー汚染やトナーのチャージアップを発生させることが無く、トナーへ迅速且つ均一に適度な帯電量を付与する効果があることを本発明者は見出した。
【0022】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)磁性トナーを含む磁性一成分系現像剤を担持するための現像剤担持体において、
前記現像剤担持体は、静電潜像担持体に担持された静電潜像を可視化するための、現像剤を担持する現像剤担持体であって、
前記現像剤担持体は、基体と、前記基体表面に形成された樹脂被覆層とを少なくとも有し、前記樹脂被覆層は、黒鉛化度p(002)が0.20〜0.95であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を、少なくとも含有し、
前記黒鉛化粒子はメソカーボンマイクロビーズ又はバルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られたものであり、
前記樹脂被覆層中に分散される前記黒鉛化粒子の含有量が、被覆樹脂100質量部に対して4〜100質量部であることを特徴とする現像剤担持体。
(2)前記樹脂被覆層の摩擦係数μsが0.10≦μs≦0.35であることを特徴とする(1)記載の現像剤担持体。
(3)前記黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5〜25μmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の現像剤担持体。
(4)現像剤を収容する現像剤容器、及び前記現像剤容器内に収容されている現像剤を層状に担持する現像剤担持体を有し、静電潜像担持体に対向する現像領域へ前記担持された現像剤を搬送し、前記搬送された現像剤により静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像して可視化するための現像装置であって、
前記現像剤が磁性一成分系現像剤であって、
前記現像剤担持体が(1)〜(3)のいずれかに記載の現像剤担持体であることを特徴とする現像装置。
(5)静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって可視化してトナー画像を形成し、前記トナー画像を転写材に転写することにより画像を形成するための画像形成装置本体に脱着可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
静電潜像を担持するための静電潜像担持体と、前記静電潜像を現像剤によって現像し、現像画像を形成するための現像手段と、
(i) 静電潜像担持体を帯電させる帯電手段、 (ii) 前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段、 (iii) 前記現像画像を転写材に転写する転写手段、及び( iv )静電潜像担持体上の転写残余の現像剤を除去するクリーニング手段から選ばれ、且つ前記現像手段と一体に支持される少なくとも1つの手段とを有し、前記現像手段は、磁性一成分系現像剤を収容する現像剤容器と、(1)〜(3)のいずれかに記載の現像剤担持体とを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明について詳述する。まず、本発明の現像剤担持体について説明する。
【0024】
本発明の現像剤担持体は、静電潜像担持体に担持された静電潜像を可視化するための現像剤を担持する現像剤担持体であり、基体と、該基体表面に形成された樹脂被覆層とを少なくとも有する。また、本発明の現像剤担持体は、上記樹脂被覆層の黒鉛化度p(002)が0.20〜0.95であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を、少なくとも含有することを特徴とする。
【0025】
上記のような特定の黒鉛化度p(002)及び押し込み硬さ値HUT[68]を有する黒鉛化粒子を、現像剤担持体を構成する樹脂被覆層に含有させることにより、被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に、被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つ樹脂被覆層の潤滑性や均一な導電性にも優れていることから、現像剤汚染や現像剤融着を発生し難くすることができる。更に、前記の黒鉛化粒子は現像剤担持体を構成する樹脂被覆層に含有されると現像剤に含有されるトナーへの迅速且つ均一な帯電付与性を高める効果もある。
【0026】
上記の黒鉛化度p(002)とは、Franklinのp値といわれるもので、黒鉛のX線回折図から得られる格子間隔d(002)を測定することにより、下記式(1)を用いて求められる値である。
【0027】
【数1】
d(002)=3.440−0.086(1−p(002)2) (1)
このp(002)値は、炭素の六方網目平面積み重なりのうち、無秩序な部分の割合を示すものであり、p(002)値が小さいほど黒鉛化度は大きい。
【0028】
上記黒鉛化粒子は、特開平02−105181号公報、特開平03−036570号公報等において現像剤担持体表面の被覆層中に用いられている、コークスなどの骨剤をタールピッチ等により固めて成形後1000〜1300℃程度で焼成してから2500〜3000℃程度で黒鉛化して得た人造黒鉛、あるいは天然黒鉛からなる結晶性のグラファイトとは、原材料及び製造工程が異なる。本発明に用いられる黒鉛化粒子は上記各公報に開示されているような結晶性グラファイトより黒鉛化度は若干低いものの、上記結晶性グラファイトと同様に高い導電性や潤滑性を有している。更に、本発明で用いられる黒鉛化粒子は、結晶性グラファイトの形状が燐片状または針状であるのとは異なり、粒子の形状が概略球状でありしかも粒子自身の硬度が比較的高いことが特徴である。従って、上記のような特性を有する黒鉛化粒子は樹脂被覆層中で均一に分散しやすいため、均一な表面粗度と耐磨耗性を被覆層表面に与えることができる。これに加えて黒鉛化粒子自身の形状が変化しがたいために樹脂被覆層中の被覆樹脂分等の削れ、またはその影響により粒子自身の脱落が生じたとしても、樹脂層中から粒子が再度突出あるいは露出してくることもあり、樹脂被覆層の表面形状の変化を小さくおさえることができる。
【0029】
更に、現像剤担持体表面の樹脂被覆層中に上記黒鉛化粒子を含有させると、被覆層表面にトナーのチャージアップを発生させることなく、従来の結晶性グラファイトを用いた場合よりもトナーへの迅速且つ均一な摩擦帯電付与能を向上することが可能となる。
【0030】
本発明で用いられる黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)は、0.20〜0.95である。このp(002)は、0.25〜0.75であることが好ましく、0.25〜0.70であることがより好ましい。
【0031】
p(002)が0.95を超える場合は、樹脂被覆層の耐磨耗性には優れるが、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなる。更に、現像工程において弾性ブレードを使用した場合にブレード傷が発生する場合があり、画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。一方、p(002)が0.20未満の場合は、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの迅速且つ均一な帯電付与性が低下してしまう。
【0032】
更に、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60であることを特徴とする。この押し込み硬さ値HUT[68]は好ましくは20〜55であり、より好ましくは25〜50である。
【0033】
押し込み硬さ値HUT[68]が15未満である場合には、樹脂被覆層の耐磨耗性や機械的強度及びトナーへの迅速且つ均一な帯電付与性が低下する傾向がある。一方、押し込み硬さ値HUT[68]が60を超えると、樹脂被覆層の耐磨耗性には優れるが、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなる。
【0034】
本発明における押し込み硬さ値HUT[68]とは、(株)アカシ製微小硬度計MZT−4で、軸芯に対する面角が68度の三角錐のダイヤモンド圧子を用いて測定される押し込み硬さ値HUT[68]であり、下記式(2)で表される。
【0035】
【数2】
押し込み硬さ値HUT[68]=K×F/(h2)2 (2)
[但し、K:係数、F:試験荷重、h2:圧子の最大押し込み深さ]
上記硬さ値は、その他の硬度等よりも微小な荷重で測定できると共に、弾性、塑性を有する材料に関しても、弾性変形、塑性変形分を含んだ硬度が得られるので、好ましく用いられる。
【0036】
具体的な測定方法としては以下の通りである。測定用に用意される試料として、現像剤担持体の樹脂被覆層表面を#2000の研磨テープを用いて、樹脂被覆中の黒鉛化粒子が露出するように平滑に磨いたものを用いる。
【0037】
黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]は、前記試料を固定して、研磨して被覆樹脂層表面に露出している10μm以上の大きさの黒鉛化粒子に圧子の照準を併せて測定を行い、同一試料の異なる黒鉛化粒子を10点以上測定してその平均値を黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]として求める。
【0038】
主な測定条件は以下のとおりである。
TEST MODE Aで測定を行う。TEST MODE Aとは、試料に押し込む荷重を設定して測定を行うものであり、付加する荷重が基準荷重F0と呼ばれる初荷重と最終負荷荷重である試験荷重F1の二つがある。測定の際に、圧子が試料に接触した後、基準荷重を試料に負荷し、圧子は基準荷重の負荷により試料に押し込まれる。基準荷重により圧子が押し込まれた点を押し込み深さのゼロ点とし、圧子に試験荷重を加えて、設定した保持時間、試験荷重を保持し、圧子の試験荷重保持後の押し込み深さh2(圧子の最大押し込み深さ)が求められる。押し込み深さ値HUT[68]は以下の(3)式から求められる。
【数3】
押し込み硬さ値HUT[68]=
K×〔(F1)0.5−(F0)0.5〕2/(h2)2 (3)
[但し、F1:試験荷重(mN)、F0:基準荷重(mN)、h2:圧子の試験荷重保持後の押し込み深さ(μm)、K:係数(K=2.972、三角錐圧子、68°を用いたSI単位系の係数)]
試験荷重F1:49.0mN
基準荷重F0:4.9mN
押し込み速度V:1.00μm/sec
保持時間T2:5sec
除荷時間T3:5sec
試験荷重及び圧子の最大押し込み深さは、被覆層表面の表面粗さの影響を受けず、且つ下地の基体の影響を受けない程度の範囲が好ましく、本発明においては、試験荷重圧子の最大押し込み深さが1〜2μm程度となる試験荷重で測定を行う。
【0039】
更に、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、下記式(4)により得られる円形度の平均値である平均円形度SF−1が0.64以上であることが好ましく、0.66以上であることがより好ましく、0.68以上であることが更に好ましい。
【0040】
平均円形度SF−1が0.64未満である場合には、樹脂被覆層中への黒鉛化粒子の分散性が低下すると共に、樹脂被覆層の表面粗さの不均一化が発生し、トナーへの迅速且つ均一な帯電付与及び樹脂被覆層の耐磨耗性や強度の点で好ましくない。
【0041】
本発明において、黒鉛化粒子の平均円形度SF−1は下記(4)式より得られる円形度の平均値を意味する。
【0042】
【数4】
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (4)
[式中、MLは粒子投影像のピタゴラス法最大長を表し、Aは粒子投影像の面積を表す。]
本発明において、上述した平均円形度SF−1を求めるための具体的な手法としては、光学系により拡大された黒鉛化粒子投影像を画像解析装置に取り込み、個々の粒子についての円形度の値を算出し、これらを平均することにより求められる。
【0043】
なお、本発明においては、平均値として信頼性が得られ、また、樹脂被覆層への特性に与える影響が大きい円相当径2μm以上の粒子範囲に限定して円形度を測定している。また、これらの値の信頼性を得るために測定粒子数は3000個程度以上、好ましくは5000個以上を測定する。
【0044】
このように多数の黒鉛化粒子の円形度の解析を効率的に行うことが可能な具体的な測定装置としては、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)がある。
【0045】
マルチイメージアナライザーは、電気抵抗法による粒度分布測定装置に、CCDカメラにより粒子像を撮影する機能と撮影された粒子像を画像解析する機能を組み合わせたものである。詳細には、超音波等により電解質溶液中に均一に分散した測定粒子を、電気抵抗法による粒度分布測定装置であるマルチサイザーのアパーチャーを粒子が通過する際の電気抵抗変化で検知し、これに同期してストロボを発光してCCDカメラで粒子像を撮影する。この粒子像をパソコンに取り込み、2値化後、画像解析するものである。
【0046】
本発明に使用される黒鉛化粒子は、個数平均粒径が0.5〜25μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
【0047】
黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5μm未満の場合、樹脂被覆層表面に均一な粗さと潤滑性を付与する効果及びトナーへの帯電付与性能を高める効果が少なく、トナーへの迅速且つ均一な帯電が不十分となると共に、被覆層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなるため好ましくない。また、個数平均粒径が25μmを越える場合には、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーへの帯電が十分に行われにくくなってしまうと共に、被覆層の機械的強度が低下してしまうため好ましくない。
【0048】
黒鉛化粒子の個数平均粒径の調整は、使用する原材料や製造方法によって異なるが、黒鉛化する前の原材料の粒径を粉砕や分級で制御する手段や黒鉛化後に更に分級することによって制御が可能である。
【0049】
上記黒鉛化度p(002)及び押し込み硬さ値を有する黒鉛化粒子を得る方法としては、以下に示すような方法が好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。
【0050】
本発明に使用される特に好ましい黒鉛化粒子を得る方法としては、原材料としてメソカーボンマイクロビーズやバルクメソフェーズピッチ粒子などの光学的に異方性を有し、しかも単一の相からなる粒子を用いて黒鉛化することが、該黒鉛化粒子の黒鉛化度を高め且つ潤滑性を維持しながら適度な硬度と概略球状の形状を保持させるために好ましい。
【0051】
上記の原材料の光学的異方性は、芳香族分子の積層から生じるものであり、その秩序性が黒鉛化処理でさらに発達し、高度の黒鉛化度を有する黒鉛化粒子が得られる。
【0052】
本発明に用いられる黒鉛化粒子を得る原材料として、前記のバルクメソフェーズピッチ粒子を用いる場合は、加熱下で軟化溶融するものを用いることが、球状で黒鉛化度の高い黒鉛化粒子を得るために好ましい。
【0053】
上記バルクメソフェーズピッチ粒子を得る方法として代表的なものは、例えば、コールタールピッチ等から溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行うことによってバルクメソフェーズピッチ粒子を得る方法である。また上記方法において重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼンまたはトルエン等により溶剤可溶分を除去してバルクメソフェーズピッチ粒子を得てもよい。
【0054】
このバルクメソフェーズピッチ粒子はキノリン可溶分が95wt%以上であることが好ましい。95wt%未満のものを用いると、粒子内部が液相炭化しにくく、固相炭化するため粒子が破砕状のままとなり、球状のものが得られにくい。
【0055】
上記のようにして得られたバルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化する方法を以下に示す。まず、上記バルクメソフェーズピッチを2〜25μmに微粉砕して、これを空気中で約200〜350℃で熱処理することにより軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチ粒子は表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化焼成時の溶融、融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチ粒子は酸素含有量が5〜15wt%であることが好ましい。酸素含有量が5wt%未満であると熱処理時の粒子同士の融着が激しいので好ましくなく、15wt%を超えると粒子内部まで酸化されてしまい、形状が破砕状のまま黒鉛化し球状のものが得られにくい。
【0056】
次に、上記酸化処理されたバルクメソフェーズピッチ粒子を窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、約800〜1200℃で一次焼成することにより炭化し、続いて約2000〜3500℃で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0057】
また、本発明に用いられる黒鉛化粒子を得るためのもう一つの好ましい原材料であるメソカーボンマイクロビーズを得る方法として代表的なものを以下に例示する。まず、石炭系重質油または石油系重質油を300〜500℃の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズを生成する。得られた反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離などの処理に供することによりメソカーボンマイクロビーズを分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄し、更に乾燥することによって得られる。
【0058】
得られたメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化するに際し、まず乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズ破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
【0059】
一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズは、不活性雰囲気下において200〜1500℃の温度で一次焼成され、炭化される。一次焼成を終えた炭化物は、やはり炭化物を破壊させない程度の温和な力で炭化物を機械的に分散させることが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
【0060】
一次焼成を終えた炭化物は、不活性雰囲気下において約2000〜3500℃で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
【0061】
なお、前記いずれの原材料から得られた黒鉛化粒子も、いずれの製法を用いた場合にかかわらず、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。
【0062】
また、いずれの原材料を用いた黒鉛化粒子の生成方法においても、黒鉛化の焼成温度は2000〜3500℃であることが好ましく、2300〜3200℃であることがより好ましい。
【0063】
黒鉛化の焼成温度が2000℃以下の場合は、黒鉛化粒子の黒鉛化度が不十分であり、導電性や潤滑性が低下してトナーのチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなる。更に弾性ブレードを使用した場合にブレード傷が発生する場合があり、画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。また、焼成温度が3500℃以上の場合は黒鉛化粒子の黒鉛化度が高すぎてしまう場合があり、そのため黒鉛化粒子の硬度が下がり、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度及びトナーへの帯電付与性が低下しやすい。
【0064】
本発明において、現像剤担持体の樹脂被覆層の摩擦係数μsは0.10≦μs≦0.35であることが好ましく、0.12≦μs≦0.30であることがより好ましい。樹脂被覆層の摩擦係数μsが0.1未満であると、現像剤の搬送性が低下して、十分な画像濃度を得られなくなる場合がある。樹脂被覆層の摩擦係数μsが0.35を越える場合には、トナーのチャージアップが発生しやすくなり、樹脂被覆表面上にトナー汚染やトナー融着が生じて、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質が悪化しやすくなる。
【0065】
上記のような樹脂被覆層の摩擦係数μsの範囲は、本発明に用いられる黒鉛化粒子を被覆樹脂層中に分散させることで得られる。
【0066】
摩擦係数μsの測定方法は、現像剤担持体を水平な場所に固定し、その長手方向にHEIDON製のトライボギア ミューズ(TYPE:94i)の黄銅(ハードクロム処理)スライダーを接触させて行う。また、摩擦係数μsの値は現像剤担持体表面の測定場所を適宜に変えて10点測定し、その平均値から求める。
【0067】
本発明の現像剤担持体を構成する樹脂被覆層の被覆樹脂材料としては、従来より現像剤担持体の樹脂被覆層に一般に用いられている公知の樹脂を使用することが可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱あるいは光硬化性樹脂等を使用することができる。なかでもシリコン樹脂、フッ素樹脂のような離型性のあるもの、或いはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミド、フェノール、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような機械的性質に優れたものがより好ましい。
【0068】
本発明において、現像剤担持体の樹脂被覆層の体積抵抗は好ましくは10-2〜105Ω・cmであり、より好ましくは10-2〜104Ω・cmである。樹脂被覆層の体積抵抗が105Ω・cmを越える場合には、トナーのチャージアップが発生し易くなり、樹脂被服層へのトナー汚染を引き起こし易い。
【0069】
本発明においては、樹脂被覆層の体積抵抗を上記の値に調整するため、樹脂被覆層中に前記の黒鉛化粒子と併用して、他の導電性微粒子を分散含有させてもよい。
【0070】
この導電性微粒子としては、個数平均粒径が好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01〜0.8μmのものがよい。この樹脂被覆層中に黒鉛化粒子と併用して分散含有させる導電性微粒子の個数平均粒径が1μmを越える場合には、樹脂被覆層の体積抵抗を低く制御しづらくなり、トナーのチャージアップによるトナー汚染が発生しやすくなる。
【0071】
本発明で使用することのできる導電性微粒子としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン及び酸化インジウム等の金属酸化物等;アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属、グラファイト、金属繊維、炭素繊維等の無機系充填剤等が挙げられる。
【0072】
本発明の現像剤担持体を構成する樹脂被覆層には、該樹脂被覆層表面に凹凸を付与する球状粒子を更に併用して分散させると、本発明の効果がより促進されるため好ましい。
【0073】
球状粒子は、現像剤担持体の樹脂被覆層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に耐磨耗性を向上させ、更に樹脂被覆層表面が摩耗した場合でも被覆層の表面粗度の変化が少なく、且つ樹脂被覆層表面のトナー汚染やトナー融着を発生しにくくする効果がある。
【0074】
本発明に使用される球状粒子としては、個数平均粒径が1〜30μm、好ましくは2〜20μmである。
【0075】
球状粒子の個数平均粒径が1μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果と耐磨耗性を高める効果が少なく、現像剤への均一な帯電が不十分となると共に、樹脂被覆層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じやすくなるため好ましくない。また、個数平均粒径が30μmを越える場合には、被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行われにくくなってしまうと共に、被覆層の機械的強度が低下してしまうため好ましくない。
【0076】
本発明で使用する球状粒子の真密度は、3g/cm3以下であることが好ましく、2.7g/cm3以下であることがより好ましく、0.9〜2.3g/cm3であることがさらに好ましい。即ち、球状粒子の真密度が3g/cm3を越える場合には、樹脂被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となる為、樹脂被覆層表面に均一な粗さを付与しにくくなり、トナーの均一な帯電化及び被覆層の強度が不十分となってしまうため好ましくない。
【0077】
また、球状粒子の真密度が0.9g/cm3より小さい場合にも、被覆層中での球状粒子の分散性が不十分となるため好ましくない。
【0078】
本発明で用いられる球状粒子における球状とは、粒子投影像における粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度の物を意味しており、本発明において好ましくは長径/短径の比が1.0〜1.2の粒子を使用することが良い。
【0079】
球状粒子の長径/短径の比が1.5を越える場合には、樹脂被覆層中への球状粒子の分散性が低下すると共に、該樹脂被覆層表面粗さの不均一化が発生し、トナーの均一な帯電化及び樹脂被覆層の強度の点で好ましくない。
【0080】
このような本発明に用いられる球状粒子としては、公知のものが使用可能であり、特に限定されないが、例えば、球状の樹脂粒子、球状の金属酸化物粒子、球状の炭素化物粒子などを挙げることができる。
【0081】
球状の樹脂粒子としては、例えば懸濁重合、分散重合法等により得られるものを用いることができる。球状の樹脂粒子は、より少ない添加量で好適な表面粗さを樹脂被覆層に付与することができ、更に該樹脂被覆層の表面形状を均一にしやすいため、上記各球状粒子の中でも好適に用いることができる。この様な球状の樹脂粒子の材料としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子、等が挙げられる。粉砕法により得られた樹脂粒子を熱的にあるいは物理的に球形化処理を行ってから用いてもよい。
【0082】
また、上記球状粒子の表面に無機物を付着させたり、固着させて用いてもよい。この様な無機物としては、SiO2、SrTiO3、CeO2、CrO、Ai2O3、ZnO、MgO等の酸化物、Si3N4等の窒化物;SiC等の炭化物;CaSO4、BaSO4、CaCO3等の炭化物または炭酸塩等が挙げられる。このような無機物は、カップリング剤により処理して用いても良い。
【0083】
カップリング剤により処理された無機物は、特に球状粒子と被覆樹脂との密着性を向上させる目的、あるいは球状粒子に疎水性を与える等の目的では好ましく用いることが可能である。このようなカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等がある。より具体的には、例えばシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び、1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛の硅素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0084】
このように球状樹脂粒子表面に無機物を付着または固着させて処理することにより、樹脂被覆層中への分散性、被覆層表面の均一性、被覆層の耐汚染性、トナーへの帯電付与性、被覆層の耐磨耗性等を向上させることができる。
【0085】
また、本発明に使用する球状粒子は、導電性であることが好ましい。即ち、球状粒子に導電性を持たせることによって、粒子表面にチャージが蓄積しにくく、トナー付着の軽減やトナーの帯電付与性を向上させることができるからである。
【0086】
本発明において、球状粒子の導電性としては、体積抵抗値が106Ω・cm以下、より好ましくは10-3〜106Ω・cmの粒子であることが好ましい。球状粒子の体積抵抗が106Ω・cmを超えると、摩耗によって樹脂被覆層表面に露出した球状粒子を核としてトナーの汚染や融着を発生しやすくなるとともに、迅速且つ均一な帯電が行われにくくなるため、好ましくない。
【0087】
本発明で用いられる樹脂被覆層には、トナーへの帯電付与能を制御するため帯電制御剤をさらに添加することも可能である。帯電制御剤としては例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩などによる変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)高級脂肪酸の金属塩;ブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;チブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン類、イミダゾール化合物、フッ素系樹脂、ポリアミド樹脂、含窒素のアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0088】
次に、本発明の現像剤担持体の構成について説明する。本発明の現像剤担持体は、基体と、該基体表面に形成された樹脂被覆層とを有する。
【0089】
基体の形状としては、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等がある。感光ドラムに非接触の現像方法を用いる場合は金属の円筒状部材が好ましく用いられ、具体的には金属製の円筒管が好ましく用いられる。金属製円筒管は主としてステンレススチール、アルミニウム及びその合金等の非磁性のものが好適に用いられる。
【0090】
また、感光ドラムに直接接触させる現像方法を用いる場合の基体としては、金属製の芯金にウレタン、EPDM、シリコン等のゴムやエラストマーを含む層構成を有する円中状部材が好ましく用いられる。また、磁性現像剤を用いる現像方法においては、現像剤を現像剤担持体上に磁気的に吸引かつ保持するために、磁石が内設されているマグネットローラ等を現像剤担持体内に配置する。その場合、基体を円筒状としその内部にマグネットローラを配置すればよい。
【0091】
以下、本発明の現像剤担持体における樹脂被覆層の構成について説明する。図1〜図4は本発明の現像剤担持体の一部分を示す断面模式図である。各図1〜4において、特定の黒鉛化度と硬度を有する黒鉛化粒子aが被覆樹脂b中に分散されてなる樹脂被覆層17が、金属円筒管からなる基体16上に積層されている。
【0092】
図1では、黒鉛化粒子aが被覆樹脂b中に分散されている様子を示す。黒鉛化粒子aは樹脂被覆層17の表面への比較的小さな凹凸形成や導電付与性、トナーに対する離型性及びトナーへの帯電付与性等に寄与している。
【0093】
図2では、黒鉛化粒子aが樹脂被覆層17の表面に比較的大きな凹凸を形成し、更に被覆樹脂b中に黒鉛化粒子aに加えて導電性微粒子cを添加することで導電性を高めた構成を示す。この導電性微粒子c自体は実質的な凹凸形成にはあまり寄与していない。しかしながら、導電性微粒子cに限らず、添加される別の固体粒子により微小な凹凸が形成される様態も含まれる。
【0094】
図3において、樹脂被覆層17の表面に比較的大きな凹凸を与えるために、球状粒子dが被覆樹脂b中に更に添加されたモデル図を示し、このとき黒鉛化粒子aは樹脂被覆層17の表面に小さな凹凸を形成している。このような構成は、現像剤規制部材が現像剤担持体に対して(トナーを介して)弾性的に圧接されるタイプの現像装置に用いる場合に有利である。すなわち、この樹脂被覆層7の表面の球状粒子dにより弾性規制部材の圧接力を規制し、且つ黒鉛化粒子aが小さな凹凸を形成することによりトナーと樹脂被覆層の樹脂及び黒鉛化粒子aとの接触帯電機会やトナーの樹脂被覆層表面に対する離型性を調整する役割も果たす。
【0095】
図4は、黒鉛化粒子aと球状粒子dの双方が樹脂被覆層17の表面の凹凸形成に寄与している。このような形態は、例えば、球状粒子dに凹凸付与以外に導電性や帯電付与性及び耐磨耗性等の別の機能を持たせようとした場合に実施される場合がある。
【0096】
このように、本発明では、現像剤担持体に求められる付加的機能や現像方式の違いに応じて、黒鉛化粒子、導電性微粒子及び球状粒子の粒径をそれぞれ調整することによって上記のような各態様の樹脂被覆層を形成することが可能である。
【0097】
次に、樹脂被覆層を構成する各成分の構成比について説明する。この構成比は本発明において特に好ましい範囲であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0098】
樹脂被覆層中に分散される黒鉛化粒子の含有量としては、被覆樹脂100質量部に対して好ましくは2〜150質量部、より好ましくは4〜100質量部の範囲で、現像剤担持体の表面形状の維持及びトナーへの帯電付与の効果がより発揮される。黒鉛化粒子の含有量が2質量部未満の場合には黒鉛化粒子の添加効果が小さく、150質量部を越える場合には樹脂被覆層の密着性が低くなり過ぎて耐磨耗性が悪化してしまう場合がある。
【0099】
上記黒鉛化粒子とともに樹脂被覆層中に含有されうる導電性微粒子の含有量は、被覆樹脂100質量部に対して好ましくは40質量部以下、より好ましくは2〜35質量部とした場合に、樹脂被覆層に求められる他の物理的性質を損なうことなく体積抵抗を上記したような所望の値に調整することができるため、好ましい。
【0100】
導電性微粒子の含有量が40質量部を越える場合には、樹脂被覆層の強度の低下が認められ好ましくない。
【0101】
樹脂被覆層中に球状粒子を上記黒鉛化粒子と併用して含有させる場合には、球状粒子の含有量は、被覆樹脂100質量部に対して好ましくは2〜120質量部、より好ましくは2〜80質量部の範囲とすることにより、樹脂被覆層の表面粗度の維持及びトナー汚染やトナー飛散の防止の点において、特に好ましい結果を与える。球状粒子の含有量が2質量部未満の場合には球状粒子の添加効果が小さく、120質量部を越える場合にはトナーの帯電性が低くなり過ぎてしまう場合がある。
【0102】
本発明においては、現像剤担持体の帯電性を調整するために、上記樹脂被覆層中に荷電制御剤を上記黒鉛化粒子等と併用して含有させてもよい。その場合、荷電制御剤の含有量は、被覆樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。1質量部未満では添加による帯電制御性の効果が見られず、100質量部を超えると樹脂被覆層中で分散不良が起こり被膜強度の低下を招き易い。
【0103】
本発明では、樹脂被覆層表面の粗度として、算術平均粗さ(以下、「Ra」と称す。)が0.3〜3.5μmであることが好ましく、0.5〜3.0μmであることがより好ましい。樹脂被覆層表面のRaが0.3μm未満の場合には、樹脂被覆層表面に現像剤の搬送を十分に行うための凹凸が形成しにくくなり、現像剤担持体上の現像剤量が不安定になると共に樹脂被覆層の耐摩耗性及び耐トナー汚染性も不十分となる場合がある。
【0104】
Raが3.5μmを越える場合には、現像剤担持体上の現像剤の搬送量が多くなりすぎて現像剤に均一に帯電付与しにくくなると共に樹脂被覆層の機械的強度も低下してしまうことがある。
【0105】
上記したような構成の樹脂被覆層の層厚は、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは4〜20μmであることが均一な膜厚を得るために好ましいが、特にこの層厚に限定されるものではない。これらの層厚は、樹脂被覆層に使用する材料にもよるが、付着質量として4000〜20000mg/m2程度にすれば得られる。
【0106】
次に、上記した様な本発明の現像剤担持体を有する本発明の現像装置、該現像装置を有する画像形成装置及び本発明のプロセスカートリッジについて説明する。図5は、現像剤として磁性一成分現像剤を用いた場合の、本発明の現像剤担持体を有する現像装置の一実施形態を示す模式図である。図5において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を保持する静電潜像担持体としての電子写真感光ドラム(電子写真用感光体)1は、矢印B方向に回転される。
【0107】
現像剤担持体としての現像スリーブ8は、電子写真感光ドラム1との間に所定の間隙をもって対向するように配置されている。この現像スリーブ8は、現像剤容器としてのホッパー3によって供給された磁性トナーを有する一成分系現像剤4を担持して矢印A方向に回転することによって、感光ドラム1表面において現像スリーブ8と対向する最近接部である現像領域Dに現像剤4を搬送する。図5に示す様に、現像スリーブ8内には、現像剤4を現像スリーブ8上に磁気的に吸引し且つ保持する為に、磁石を内蔵するマグネットローラ5が配置されている。
【0108】
本発明の現像装置で用いられる現像スリーブ8は、基体としての金属円筒管6上に被覆された樹脂被覆層としての導電性被覆層7を有する。ホッパー3中には、現像剤4を撹拌する為の撹拌翼10が設けられている。12は現像スリーブ8とマグネットローラ5とが非接触状態にあることを示す間隙である。
【0109】
現像剤4は、磁性トナー相互間及び現像スリーブ8上の導電性被覆層7との摩擦によって、感光ドラム1上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図5では、現像領域Dに搬送される現像剤4の層を形成しこの層厚を規制する為に、現像剤層厚規制部材としての強磁性金属製の磁性規制ブレード2が、現像スリーブ8の表面から約50〜500μmのギャップ幅をもって現像スリーブ8に臨む様に、ホッパー3から垂下されている。マグネットローラ5の磁極N1からの磁力線が磁性規制ブレード2に集中することにより、現像スリーブ8上に現像剤4の薄層が形成される。なお、本発明においては、この磁性規制ブレード2に代えて非磁性ブレードを使用することもできる。この様にして現像スリーブ8上に形成される現像剤4の薄層の厚さは、現像領域Dにおける現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
【0110】
本発明の現像剤担持体は、以上の様な現像剤の薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち、非接触型現像装置に組み込むのが特に有効であるが、現像領域Dにおいて、現像剤層の厚みが現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、即ち、接触型現像装置にも本発明の現像剤担持体を適用することができる。以下の説明では、説明の煩雑を避ける為、上記した様な非接触型現像装置を例に採って行う。
【0111】
現像スリーブ8に担持された磁性トナーを有する一成分系現像剤4を飛翔させる為、上記現像スリーブ8にはバイアス手段としての現像バイアス電源9により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときには、静電潜像の画像部(現像剤4が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位の中間の値の電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。現像された画像の濃度を高め、或いは階調性を向上させる為には、現像スリーブ8に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに、向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部の電位と背景部の電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ8に印加するのが好ましい。
【0112】
高電位部と低電位部とを有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用する。高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂、反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用する。高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、現像剤4は少なくとも現像スリーブ8との摩擦により帯電する。
【0113】
図6及び図7は、それぞれ本発明の現像装置の他の実施形態を示す構成模式図である。
【0114】
図6及び図7に示した現像装置では、現像スリーブ8上の現像剤4の層厚を規制する現像剤層厚規制部材として、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス鋼等の金属弾性を有する材料の弾性板からなる弾性規制ブレード(弾性規制部材)11を使用している。図6の現像装置では、この弾性規制ブレード11を現像スリーブ8の回転方向と順方向の向きで圧接させており、図7の現像装置では、この弾性規制ブレード11を現像スリーブ8の回転方向と逆方向の向きで圧接させているのが特徴である。これらの現像装置では、現像剤層を介して現像剤層厚規制部材を現像スリーブ8に弾性的に圧接させている。これにより現像スリーブ上に現像剤の薄層が形成されるため、図5で説明した磁性規制ブレードを用いた場合よりも更に薄い現像剤層を、現像スリーブ8上に形成することができる。
【0115】
なお、図6及び図7の現像装置において、他の基本的構成は図5に示した現像装置と同じであり、同符号のものは基本的には同一の部材であることを示す。
【0116】
図5〜図7はあくまでも本発明の現像装置を模式的に例示したものであり、現像剤容器(ホッパー3)の形状、撹拌翼10の有無、磁極の配置等に様々な形態があることは言うまでもない。勿論、これらの装置では、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤を用いる現像に使用することもできる。
【0117】
図8は、非磁性一成分現像剤を用いた場合の本発明の現像装置の構成の一例を示す模式図である。図8において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する像担持体としての電子写真感光ドラム1は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ8は、金属製円筒管(基体)6とその表面に形成される樹脂被膜層7とから構成されている。非磁性一成分現像剤を用いるため、金属製円筒管6の内部に磁石は内設されていない。金属製円筒管の代わりに円柱状部材を用いることもできる。
【0118】
現像剤容器であるホッパー3中には非磁性一成分現像剤4'を撹拌するための撹拌翼10が設けられている。
【0119】
現像スリーブ8に現像剤4'を供給し、かつ現像後の現像スリーブ8の表面に存在する現像剤4'を剥ぎ取るための現像剤供給・剥ぎ取り部材13が現像スリーブ8に当接している。現像剤供給・剥ぎ取り部材である供給・剥ぎ取りローラ13が現像スリーブ8と同じ方向に回転することにより、供給・剥ぎ取りローラ13の表面は現像スリーブ8の表面とカウンター方向に移動することになる。これにより、ホッパー3から供給された非磁性トナーを有する一成分非磁性現像剤が現像剤スリーブ8に供給される。現像スリーブ8が一成分現像剤4'を担持して矢印A方向に回転することにより、感光ドラム1表面において現像スリーブ8と対向する領域である現像領域Dに非磁性一成分現像剤4'が搬送される。現像スリーブ8に担持された一成分現像剤は、現像スリーブ8の表面に現像剤層を介して圧接する現像剤層厚規制部材11により現像剤層厚が規定される。非磁性一成分現像剤4'は現像スリーブ8との摩擦により、感光ドラム1上の静電潜像を現像可能な摩擦帯電電荷を得る。
【0120】
現像スリーブ8上に形成される非磁性一成分現像剤4'の薄層の厚みは、現像部における現像スリーブ8と感光ドラム1との間の現像領域Dにおける最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。このような現像剤層により静電潜像を現像する非接触型現像装置に、本発明は特に有効である。しかし、現像部において現像剤層の厚みが現像スリーブ8と感光ドラム1との間の最小間隙以上の厚さとなる接触型現像装置にも、本発明は適用することができる。なお、説明の煩雑を避けるため、以下の説明では、非接触型現像装置を例に採って行う。
【0121】
上記現像スリーブ8には、これに担持された非磁性トナーを有する一成分非磁性現像剤4'を飛翔させるために、現像バイアス電源9により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(非磁性現像剤4'が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位の間の値の電圧が、現像スリーブ8に印加されることが好ましい。現像画像の濃度を高めるため或いは階調性を向上するために、現像スリーブ8に交番バイアス電圧を印加して、現像部に向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合、上記画像部の電位と背景部の電位の間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を現像スリーブ8に印加することが好ましい。
【0122】
高電位部と低電位部とを有する静電潜像の高電位部に現像剤を付着させて可視化する所謂正規現像では、静電潜像の極性と逆極性に帯電する現像剤を使用する。また、静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する所謂反転現像では、現像剤は静電潜像の極性と同極性に帯電する現像剤を使用する。なお、高電位と低電位というのは、絶対値による表現である。いずれにしても、非磁性一成分現像剤4'は現像スリーブ8との摩擦により静電潜像を現像するための極性を帯電する。
【0123】
現像剤供給・剥ぎ取り部材13としては、樹脂、ゴム、スポンジ等の弾性ローラ部材が好ましい。剥ぎ取り部材としては、弾性ローラに代えてベルト部材又はブラシ部材を用いることもできる。感光体1に現像移行されなかった現像剤を現像剤供給・剥ぎ取り部材2により、一旦スリーブ表面から剥ぎ取ることにより、スリーブ上の不動の現像剤の発生を防いだり、現像剤の帯電を均一化する。
【0124】
現像剤供給・剥ぎ取り部材として弾性ローラからなる供給・剥ぎ取りローラ13を用いる場合には、供給・剥ぎ取りローラ13の周速は、該ローラ13表面が現像スリーブ8に対してカウンター方向に回転する場合、現像スリーブ8の周速100%に対して、好ましくは20〜120%、より好ましくは30〜100%である。
【0125】
供給・剥ぎ取りローラ13の周速が20%未満の場合には、現像剤の供給が不足し、ベタ画像の追従性が低下してゴースト画像の原因となり、周速が120%を超える場合には、現像剤の供給量が多くなり現像剤層厚の規制不良や帯電量不足によるカブリの原因となり、さらにトナーにダメージを与えやすいため、トナー劣化によるカブリやトナー融着の原因となり易い。
【0126】
供給・剥ぎ取りローラ13の表面における回転方向が現像スリーブの表面の回転方向と同(順)方向の場合には、供給ローラの周速は、スリーブ周速に対して好ましくは100〜300%、より好ましくは101〜200%であることが上記のトナー供給量の点で良い。
【0127】
供給・剥ぎ取りローラ13の表面における回転方向は、現像スリーブの表面における回転方向とカウンター方向に回転することが、剥ぎ取り性及び供給性の点でより好ましい。
【0128】
現像スリーブ8に対する現像剤供給・剥ぎ取り部材13の侵入量は、0.5〜2.5mmであることが、現像剤の供給及び剥ぎ取り性の点で好ましい。
【0129】
現像剤供給・剥ぎ取り部材13の侵入量が0.5mm未満の場合には、剥ぎ取り不足によりゴーストが発生し易くなり、侵入量が2.5mmを超える場合には、トナーのダメージが大きくなり、トナー劣化により融着やカブリの原因となり易い。
【0130】
図8の現像装置では、現像スリーブ8上の非磁性一成分現像剤4'の層厚を規制する部材として、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス銅の如き金属弾性を有する材料の弾性規制ブレード11を使用している。この弾性規制ブレード11を現像スリーブ8の回転方向と逆の姿勢で該現像スリーブ8に圧接させることにより、現像スリーブ8上に更に薄い現像剤層を形成することができる。
【0131】
この弾性規制ブレード11としては、特に安定した規制力とトナーへの安定した(負)帯電付与性のために、安定した加圧力の得られるリン青銅板表面にポリアミドエラストマー(PAE)を貼り付けた構造のものを用いることが好ましい。ポリアミドエラストマー(PAE)としては、例えばポリアミドとポリエーテルの共重合体が挙げられる。
【0132】
現像スリーブ8に対する現像剤層厚規制部材11の当接圧力は、線圧5〜50g/cmであることが、現像剤の規制を安定化させ、現像剤層厚を好適に調整することができる点で好ましい。
【0133】
現像剤層厚規制部材11の当接圧力が線圧5g/cm未満の場合には、現像剤の規制が弱くなり、カブリやトナーもれの原因となり、線圧50g/cmを超える場合にはトナーへのダメージが大きくなり、トナー劣化やスリーブ及びブレードへの融着の原因となり易い。
【0134】
本発明の現像剤担持体は、このような現像スリーブ8に対して、現像剤供給・剥ぎ取り部材13及び現像剤層厚規制部材11が圧接する装置に適用した場合に、特に有効である。
【0135】
すなわち、現像スリーブ8に対して、現像剤供給・剥ぎ取り部材13及び現像剤層厚規制部材11が圧接する場合には、現像スリーブ8の表面がこれらの圧接される部材によって摩耗や現像剤の融着がより生じ易い使用環境にあることから、本発明の多数枚耐久性に優れた樹脂被覆層を有する現像剤担持体による効果が有効に発現されることになる。
【0136】
次に、図9を参照しながら、図7で例示した本発明の現像装置を使用した画像形成装置の一例について説明する。先ず、一次帯電手段としての接触(ローラ)帯電手段119により静電潜像担持体としての感光ドラム101の表面を負極性に帯電し、潜像形成手段としてのレーザー光の露光115によるイメージスキャニングによりデジタル潜像(静電潜像)が感光ドラム101上に形成される。次に、現像剤層厚規制部材としての弾性規制ブレード111を有し、多極永久磁石105が内包された現像剤担持体としての現像スリーブ108が具備された現像装置(現像手段)によって、上記デジタル潜像が、ホッパー103内の磁性トナーを有する一成分系現像剤104によって反転現像される。図9に示す様に、現像領域Dにおいて感光ドラム101の導電性基体は接地されており、現像スリーブ108にはバイアス印加手段109により交互バイアス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加されている。次に、被記録材Pが搬送されて転写部に来ると、転写手段としての接触(ローラ)転写手段113により被記録材Pの背面(感光ドラム側と反対面)から電圧印加手段114で帯電されることにより、感光ドラム101の表面上に形成されている現像画像(トナー画像)が接触転写手段113で被記録材P上へ転写される。次に、感光ドラム101から分離された被記録材Pは、定着手段としての加熱加圧ローラ定着器117に搬送され、該定着器117によって被記録材P上のトナー画像の定着処理がなされる。
【0137】
転写工程後の感光ドラム101に残留する一成分系現像剤104は、クリーニングブレード118aを有するクリーニング手段118によって除去される。残留する一成分系現像剤104が少ない場合にはクリーニング工程を省くことも可能である。クリーニング後の感光ドラム101は、必要によりイレース露光116により除電され、再度、一次帯電手段としての接触(ローラ)帯電手段119による帯電工程から始まる上記工程が繰り返される。
【0138】
上記の一連の工程において、感光ドラム(即ち、静電潜像担持体)101は感光層及び導電性基体を有するものであり、矢印方向に回転する。現像剤担持体である非磁性の円筒の現像スリーブ108は、現像領域Dにおいて感光ドラム101の表面と同方向に進む様に回転する。現像スリーブ108の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)105が回転しない様に配されている。現像剤容器103内の一成分系現像剤104は、現像スリーブ108上に塗布されて担持され、且つ現像スリーブ108の表面との摩擦及び/又は磁性トナー同士の摩擦によって、例えば、マイナスのトリボ電荷が与えられる。更に、弾性規制ブレード111を現像スリーブ108を弾性的に押圧する様に設け、現像剤層の厚さを薄く(30〜300μm)且つ均一に規制して、現像領域Dにおける感光ドラム101と現像スリーブ108との間隙よりも薄い現像剤層を形成させる。現像スリーブ108の回転速度を調整することにより、現像スリーブ108の表面速度が感光ドラム101の表面の速度と実質的に等速、またはそれに近い速度となる様にする。現像領域Dにおいて、現像スリーブ108に現像バイアス電圧として、交流バイアス又はパルスバイアスをバイアス印加手段109により印加してもよい。この交流バイアスはfが200〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであればよい。
【0139】
現像領域Dにおける現像剤(磁性トナー)の移転に際し、感光ドラム101の表面の静電気力、及び交流バイアス又はパルスバイアス等の現像バイアス電圧の作用によって、磁性トナーは静電潜像側に移転する。
【0140】
弾性規制ブレード111の代わりに、鉄等の磁性ドクターブレードを用いることも可能である。一次帯電手段としては、上記したような接触帯電手段としての帯電ローラ119を用いて説明したが、帯電ブレード、帯電ブラシ等の接触帯電手段でもよく、更に非接触のコロナ帯電手段でもよい。しかしながら、帯電によるオゾンの発生が少ない点から接触帯電手段の方が好ましい。又、転写手段としては、上記したような転写ローラ113等の接触転写手段を用いて説明したが、非接触のコロナ転写手段でもよい。しかしながら、こちらも転写によるオゾンの発生が少ない点から接触転写手段の方が好ましい。
【0141】
図10に、本発明のプロセスカートリッジの一具体例を示す。以下のプロセスカートリッジの説明において、図9を用いて説明した画像形成装置の構成部材と同様の機能を有するものについては、図9と同じ符号を用いて説明する。本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも現像手段と静電潜像担持体とが一体的にカートリッジ化されたものであり、画像形成装置本体(例えば、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ装置)に着脱可能に構成されている。
【0142】
図10に示した実施形態では、現像手段120、ドラム状の静電潜像担持体(感光ドラム)101、クリーニングブレード118aを有するクリーニング手段118、一次帯電手段としての接触(ローラ)帯電手段119を一体としたプロセスカートリッジ150が例示される。本実施形態では、現像手段120は、現像スリーブ108と、弾性規制ブレード111と、現像剤容器103と、該現像剤容器103内に収容された、磁性トナーを有する一成分系現像剤104とを有する。この現像手段120における現像工程は、現像剤104を用い、現像時にはバイアス印加手段からの現像バイアス電圧により感光ドラム101と現像スリーブ108との間に所定の電界が形成されて現像が行われる。この現像工程を好適に実施する為には、感光ドラム101と現像スリーブ108との間の距離が非常に大切である。
【0143】
図10では、現像手段120、静電潜像担持体101、クリーニング手段118及び一次帯電手段119の4つの構成要素を一体的にカートリッジ化した実施形態について説明したが、本発明においては、現像手段と静電潜像担持体との少なくも2つの構成要素が一体的にカートリッジ化されたものであればよく、現像手段、静電潜像担持体及びクリーニング手段の3つの構成要素からなるものであっても、現像手段、静電潜像担持体及び一次帯電手段の3つの構成要素からなるものであってもよく、或いはその他の構成要素を加えて一体的にカートリッジ化することも可能である。
【0144】
次に、本発明の現像装置で用いられる現像剤について説明する。本発明で用いられる現像剤はトナーを主成分とする(キャリアを含まない)一成分系現像剤であってもトナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、本発明で用いられる現像剤が一成分系現像剤である場合において、トナーが磁性トナーである磁性一成分系現像剤であっても、非磁性トナーである非磁性一成分系現像剤であってもよい。
【0145】
トナーは主として結着樹脂、離型剤、荷電制御剤、着色剤等を溶融混練し、固化した後粉砕し、しかる後分級等を行い粒度分布をそろえた微粉体である。トナーに用いられる結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。
【0146】
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックス等が単独或いは混合して使用できる。
【0147】
また、トナーは着色剤として顔料を含有することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ランプ黒、スーダンブラックSM、ファースト・イエローG、ベンジジン・イエロー、ピグメント・イエロー、インドファースト・オレンジ、イルガジン・レッド、パラニトロアニリン・レッド、トルイジン・レッド、カーミンFB、パーマネント・ボルドーFRR、ピグメント・オレンジR、リソール・レッド2G、レーキ・レッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチル・バイオレッドBレーキ、フタロシアニン・ブルー、ピグメント・ブルー、ブリリアント・グリーンB、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、ザボン・ファーストイエローCGG、カヤセットY963、カヤセットYG、ザボン・ファーストオレンジRR、オイル・スカーレット、オラゾール・ブラウンB、ザボン・ファーストスカーレットCG、オイルピンクOP等が適用できる。
【0148】
トナーを磁性トナーとして用いるために、トナーの中に磁性粉を含有させてもよい。このような磁性粉としては、磁場の中におかれて磁化される物質が用いられ、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末、又はマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の合金や化合物がある。この磁性粉の含有量はトナー質量に対して15〜70質量%が良い。
【0149】
トナーの定着時の離型性向上、定着性向上の目的で、トナーにワックス類を含有させることもできる。そのようなワックス類としては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプッシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体等が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタム等も利用できる。
【0150】
必要に応じて、トナーに荷電制御剤を含有させてもよい。荷電制御剤には、負荷電制御剤と正荷電制御剤とがある。トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。
【0151】
また、トナーを正帯電させるための物質としては下記のようなものがある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。
【0152】
トナーは必要に応じて、流動性改善等の目的で無機微粉体等の微粉体を外添して用いられる。このような微粉体としては、シリカ微粉体、アルミナ、チタニア、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化物;及び窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム等の窒化物等の無機微粉体が用いられる。
【0153】
これらの微粉体は、有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤等で有機処理して用いることが可能である。例えば、有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。
【0154】
また、未処理の微粉体を窒素含有のシランカップリング剤で処理したものを用いることも、特にポジトナーの場合好ましい。そのような処理剤の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール、等がある。
【0155】
上記シランカップリング剤により微粉体を処理する方法としては、例えば、1)スプレー法、2)有機溶媒法、3)水溶液法等がある。一般に、スプレー法による処理とは、ピグメントを撹拌しここにカップリング剤の水溶液或いは溶媒液をスプレーし、この後水或いは溶媒を120〜130℃程度で除去乾燥する方法である。また、有機溶媒法による処理とは、少量の水とともに加水分解用触媒を含む有機溶媒(アルコール、ベンゼン、ハロゲン化炭化水素等)にカップリング剤を溶解し、これにピグメントを浸漬した後、濾過或いは圧搾により固液分離を行い120〜130℃程度で乾燥させるものである。水溶液法とは0.5%程度のカップリング剤を、一定pHの水或いは水−溶媒中で加水分解させ、ここにピグメントを浸漬した後、同様に固液分離を行い乾燥するものである。
【0156】
他の有機処理としてシリコーンオイルで処理された微粉体を用いることも可能である。好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度がおよそ0.5〜10000mm2/sec、好ましくは1〜1000mm2/secのものが用いられ、例えば、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルフェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0157】
また、側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイルを用いて上記微粉体を処理することも、特にポジトナーの場合は好ましい。シリコーンオイルによる処理は、例えば、次のようにして行うことができる。必要に応じて加熱しながら無機微粉体を激しく撹乱しており、これに上記シリコーンオイル或いはその溶液をスプレー若しくは気化して吹き付けるか、又は無機微粉体をスラリー状にしておき、これを撹拌しつつシリコーンオイル或いはその溶液を滴下することによって容易に処理できる。これらのシリコーンオイルは1種或いは2種以上の混合物或いは併用や多重処理して用いられる。また、シランカップリング剤による処理と併用しても構わない。
【0158】
上記したような本発明で用いられるトナーは、種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。そのような方法としては、攪拌羽根又はブレード等、及びライナー又はケーシング等を有する装置を用い、例えば、トナーをブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したりトナーを球形化したりする方法が挙げられる。また、温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法や、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等もある。
【0159】
また、球状のトナーを作る方法としては、水中にトナー結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナー化する方法がある。一般的な方法としては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、離型剤、その他の添加剤を均一に溶解又は分散させて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層、例えば、水相中に適当な攪拌機を用いて適度な粒径に分散し、更に重合反応を行わせ、所望の粒径を有する現像剤を得る方法である。
【0160】
また、本発明で用いられる現像剤は、トナーとキャリアとを混合して二成分現像剤として用いることもできる。キャリア材料としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルトといった磁性体金属、及びそれらの合金、或いは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト及びリチウム系フェライト等のソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライトといった鉄系酸化物、及びそれらの混合物、更にはガラス、炭化ケイ素等のセラミックス粒子、樹脂粉体、磁性体を含有する樹脂粉体等をあげることができ、通常は平均粒径が20〜300μm程度の粒状物として用いる。
【0161】
このようなキャリアは上記に挙げた粒状物を直接キャリア粒子として用いてもよいが、トナーの摩擦帯電電荷を調整したりキャリアへのトナースペントを防止したりするために、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂等のコート剤により適宜粒子表面に樹脂コートを施して用いることもできる。
【0162】
以下に本発明に関わる物性の測定方法について述べる。
(1)黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)
黒鉛化度p(002)は、マックサイエンス社製の強力型全自動X線回折装置"MXP18"システムにより、黒鉛のX線回折スペクトルから得られる格子間隔d(002)を測定し、d(002)=3.440−0.086(1−p(002)2)により求める。
【0163】
尚、格子間隔d(002)は、CuKαをX線源とし、CuKβ線はニッケルフィルターにより除去している。標準物質に高純度シリコンを使用し、C(002)及びSi(111)回折パターンのピーク位置から算出する。主な測定条件は以下のとおりである。
X線発生装置:18kw
ゴニオメータ:横型ゴニオメータ
モノクロメータ:使用
管電圧:30.0kV
管電流:10.0mA
測定法:連続法
スキャン軸:2θ/θ
サンプリング間隔:0.020deg
スキャン速度:6.000deg/min
発散スリット:0.50deg
散乱スリット:0.50deg
受光スリット:0.30mm
【0164】
(2)黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]
(株)アカシ製微小硬度計MZT−4で、軸芯に対する面角が68度の三角錐のダイヤモンド圧子を用いて測定される押し込み硬さ値HUT[68]であり、下記式(2)で表される。
【0165】
【数5】
押し込み硬さ値HUT[68]=K×F/(h2)2 (2)
[但し、K:係数、F:試験荷重、h2:圧子の最大押し込み深さ]
測定用に用意される試料として、現像剤担持体の樹脂被覆層表面を#2000の研磨テープを用いて、樹脂被覆中の黒鉛化粒子が露出するように平滑に磨いたものを用いる。
【0166】
黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]は、前記試料を固定して、研磨して被覆樹脂層表面に露出している10μm以上の大きさの黒鉛化粒子に圧子の照準を併せて測定を行い、同一試料の異なる黒鉛化粒子を10点以上測定してその平均値を黒鉛化粒子の押し込み硬さ値HUT[68]として求める。
【0167】
主な測定条件は以下のとおりである。
TEST MODE Aで測定を行う。TEST MODE Aとは、試料に押し込む荷重を設定して測定を行うものであり、付加する荷重が基準荷重F0と呼ばれる初荷重と最終負荷荷重である試験荷重F1の二つがある。測定の際に、圧子が試料に接触した後、基準荷重を試料に負荷し、圧子は基準荷重の負荷により試料に押し込まれる。基準荷重により圧子が押し込まれた点を押し込み深さのゼロ点とし、圧子に試験荷重を加えて、設定した保持時間、試験荷重を保持し、圧子の試験荷重保持後の押し込み深さh2(圧子の最大押し込み深さ)が求められる。押し込み深さ値HUT[68]は以下の(3)式から求められる。
【数6】
押し込み硬さ値HUT[68]=
K×〔(F1)0.5−(F0)0.5〕2/(h2)2 (3)
[但し、F1:試験荷重(mN)、F0:基準荷重(mN)、h2:圧子の試験荷重保持後の押し込み深さ(μm)、K:係数(K=2.972、三角錐圧子、68°を用いたSI単位系の係数)]
試験荷重F1:49.0mN
基準荷重F0:4.9mN
押し込み速度V:1.00μm/sec
保持時間T2:5sec
除荷時間T3:5sec
試験荷重及び圧子の最大押し込み深さは、被覆層表面の表面粗さの影響を受けず、且つ下地の基体の影響を受けない程度の範囲が好ましく、本発明においては、試験荷重圧子の最大押し込み深さが1〜2μm程度で測定を行う。
【0168】
(3)摩擦係数μs
現像剤担持体を水平な場所に固定し、その長手方向にHEIDON製のトライボギア ミューズ(TYPE:94i)の黄銅(ハードクロム処理)スライダーを接触させて行う。また、摩擦係数μsの値は現像剤担持体表面の測定場所を適宜に変えて10点測定し、その平均値から求める。
【0169】
(4)粒子の平均円形度SF−1
多数の粒子の円形度の解析を効率的に行うことが可能な具体的な測定装置として、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定を行う。
【0170】
マルチイメージアナライザーは、電気抵抗法による粒度分布測定装置に、CCDカメラにより粒子像を撮影する機能と撮影された粒子像を画像解析する機能を組み合わせたものである。詳細には、電解質溶液中に超音波等により均一に分散した測定粒子を、電気抵抗法による粒度分布測定装置であるマルチサイザーのアパーチャーを粒子が通過する際の電気抵抗変化で検知し、これに同期してストロボを発光してCCDカメラで粒子像を撮影する。この粒子像をパソコンに取り込み、2値化後、画像解析するものである。
【0171】
上記の装置により、粒子投影像のピタゴラス法最大長ML、投影面積Aを求め、2μm以上の3000個の粒子についての円形度の値を下記式(4)から算出し、これらを平均することにより平均円形度SF−1を求める。
【0172】
【数7】
円形度=(4×A)/{(ML)2×π} (4)
【0173】
(5)トナーの粒径測定
電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、前述したコールターカウンターマルチサイザーにより17μmまたは100μm等の適宜トナーサイズに合わせたアパーチャーを用いて体積を基準として0.3〜40μmの粒度分布等を測定するものとする。この条件で測定した個数平均粒径、重量平均粒径をコンピュータ処理により求め、さらに個数基準の粒度分布より個数平均粒径の1/2倍径累積分布以下の累積割合を計算し、1/2倍径累積分布以下の累積値を求める。同様に体積基準の粒度分布より重量平均粒径の2倍径累積分布以上の累積割合を計算し、2倍径累積分布以上の累積値を求める。
【0174】
(6)現像剤担持体表面の算術平均粗さ(Ra)の測定
JIS B0601の表面粗さに基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE−3400を用いて、測定条件としてはカットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.5mm/sにて、軸方向3点×周方向2点=6点について各々測定し、その平均値をとった。
【0175】
(7)樹脂被覆層の体積抵抗の測定
100μmの厚さのPETシート上に7〜20μmの厚さの被覆層を形成し、ASTM規格(D−991−82)及び、日本ゴム協会標準規格SRIS(2301−1969)に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積抵抗測定用の4端子構造の電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所製)を使用して測定した。尚、測定環境は20〜25℃、50〜60RH%とする。
【0176】
(8)粒径1μm以上の導電性粒子の粒径測定
黒鉛化粒子等の導電性粒子の粒径はレーザー回折型粒度分布計のコールターLS−130型粒度分布計(コールター社製)を用いて測定する。測定方法としては、水系モジュールを用い、測定溶媒としては純水を使用する。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行する。
【0177】
次に純水10ml中に界面活性剤3〜4滴を加え、更に測定試料を5〜25mg加える。試料を懸濁した水溶液は超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行って試料液を得る。この試料液を前記測定装置の測定系内に徐々に加え、装置の画面上のPIDSが45〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、個数分布から算術した個数平均粒径を求める。
【0178】
(9)粒径1μm未満の導電性粒子の粒径測定
電子顕微鏡を用いて、導電性粒子の粒径を測定する。撮影倍率は6万倍とするが、難しい場合は低倍率で撮影した後に6万倍となるように写真を拡大プリントする。写真上で1次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とする。
【0179】
(10)樹脂被覆層の膜厚(削れ量)の測定
被覆層の削れ量(膜削れ)の測定としてはKEYENCE社製レーザー寸法測定器を用いた。コントローラLS−5500及びセンサーヘッドLS−5040Tを用い、スリーブ固定治具及びスリーブ送り機構を取り付けた装置にセンサー部を別途固定し、スリーブの外径寸法の平均値から測定を行った。測定はスリーブ長手方向に対し30分割して30箇所測定し、更にスリーブを周方向に90°回転させた後更に30箇所、計60箇所の測定を行い、その平均値をとった。表面被覆層塗布前のスリーブの外径を予め測定しておき、表面被覆層形成後の外径、更に耐久使用後の外径を測定し、その差分をコート膜厚及び削れ量とした。
【0180】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本実施例は本発明を何ら限定するものではない。尚、実施例及び比較例中の「%」及び「部」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0181】
〈実施例1〉
黒鉛化粒子の原材料として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加により重質化処理を行った後、続いてトルエンにより溶剤可溶分を除去することでバルクメソフェーズピッチを得た。このバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、それを空気中において、約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて1200℃で一次焼成して炭化し、続いて窒素雰囲気下にて3000℃で二次焼成することにより黒鉛化し、更に分級して個数平均粒径6.5μmの黒鉛化粒子A−1を得た。黒鉛化粒子A−1の物性を表1に示す。
【0182】
【表1】
【0183】
・レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 200部
・黒鉛化粒子(A−1) 60部
・メタノール 150部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて分散し、更にメタノールで分散液の固形分を30%に希釈して塗工液を得た。
【0184】
この塗工液を用いてスプレー法により外径16mmφ、中心線平均粗さRa=0.3μmの研削加工したアルミニウム製円筒管上に樹脂被覆層を形成させ、続いて熱風乾燥炉により150℃、30分間加熱して樹脂被覆層を硬化させ現像剤担持体B−1を作製した。得られた現像剤担持体B−1の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。
【0185】
【表2】
【0186】
B−1の現像剤担持体を、図7の現像装置を有する図9の画像形成装置(接触ローラ帯電手段、接触ローラ転写手段を装備)LBP1710(キヤノン製)に装着して一成分系現像剤を供給しながら、1.5万枚の現像剤担持体の耐久評価テストを行った。一成分系現像剤としては次のものを用いた。
・スチレン−アクリル樹脂 100部
・マグネタイト 95部
・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のAl錯体 2部
・低分子量ポリプロピレン 4部
上記材料をヘンシェルミキサーにより混合し、二軸式のエクストルーダにより溶融混練分散を行った。混練物を冷却後、ハンマーミルにて粗粉砕し、更に機械式粉砕機で微粉砕した後に、気流式分級機を用いて分級を行い、個数平均粒径が6.0μmの微粉体(トナー粒子)を得た。この微粉体100部にシランカップリング剤で処理した疎水性コロイダルシリカ1.2部を外添して、磁性トナーとし、この磁性トナーを一成分系現像剤とした。
(評価)
下記に挙げる評価項目について耐久試験をし、実施例及び比較例の各現像剤担持体の評価を行った。
【0187】
画像濃度、カブリ、スリーブゴースト、ブロッチ、ハーフトーン均一性等の画像評価、現像剤担持体上のトナー帯電量(Q/M)及びトナー搬送量(M/S)、樹脂被覆層の耐磨耗性について、20℃/60%の常温常湿(N/N)環境、24℃/10%の常温低湿(N/L)環境、30℃/80%の高温高湿(H/H)環境にて、それぞれ耐久評価を行った。
【0188】
結果を表3及び表4に示す。画像及び耐久性共に良好な結果が得られた。
(1)画像濃度
反射濃度計RD918(マクベス製)を使用し、ベタ印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、その平均値を画像濃度とした。
【0189】
(2)カブリ濃度
画像形成した記録紙のベタ白部の反射率(D1)を測定し、更に画像形成に用いた記録紙と同一カットの未使用の記録紙の反射率(D2)を測定し、D1−D2の値を5点求め、その平均値をカブリ濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。
【0190】
(3)スリーブゴースト
ベタ白部とベタ黒部が隣り合う画像を現像した現像スリーブの位置が、現像スリーブの次の回転時には現像位置に来て、ハーフトーン画像を現像するようにして、ハーフトーン画像上に現れる濃淡差を目視で下記の基準に基づいて評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:実用上問題となる濃淡差がスリーブ1周分出る。
E:実用上問題となる濃淡差がスリーブ2周分以上出る。
【0191】
(4)ブロッチ(画像不良)
ベタ黒、ハーフトーン、ライン画像等の各種画像の画像形成を行い、形成された画像の波状ムラ、ブロッチ(斑点状ムラ)等の画像不良及び、画像形成を行った際の現像スリーブ上でのトナーコート不良の目視による観察を参考にして、評価結果を下記の基準に基づいて評価した。
【0192】
A:画像にもスリーブ上にも全く確認できない。
B:スリーブ上でわずかに確認できるが、画像ではほとんど確認できない。
C:ハーフトーン画像又はベタ黒画像の1枚目で、スリーブ周期の1周目に確認できる。
D:ハーフトーン画像又はベタ黒画像で確認できるが実用可。
E:ベタ黒画像全体で実用上問題となる画像不良が確認できる。
F:ベタ白画像上にも実用上問題となる画像不良が確認できる。
【0193】
(5)ハーフトーン均一性(白スジ、白帯)
特にハーフトーンに発生する、画像形成進行方向に走る線状、帯状のスジについて、形成された画像について目視による観察を行い、下記基準にて評価した。
A:画像にもスリーブ上にも全く確認できない。
B:良く見ると軽微に確認できるが、一見ではほとんど確認できない。
C:ハーフトーンでは軽微に確認できるが、ベタ黒では問題ないレベル。
D:ハーフトーンでは、スジが確認できるが、ベタ黒では軽微に確認できるレベル。
E:ベタ黒画像でも濃淡差が確認できるが、実用可。
F:ベタ黒画像全体で実用上問題となる濃淡差が目立つ。
G:濃度が低く、スジの非常に多い画像。
【0194】
(6)トナー帯電量(Q/M)及びトナー搬送量(M/S)
現像スリーブ上に担持されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、捕集されたトナー質量Mと、トナーを吸引した面積Sから、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)と単位面積当たりのトナー質量M/S(dg/m2)を計算し、それぞれトナー帯電量(Q/M)、トナー搬送量(M/S)とした。
【0195】
(7)樹脂被覆層の耐磨耗性
耐久試験前後の現像剤担持体表面の算術平均粗さ(Ra)と樹脂被服層の膜厚の削れ量を測定した。
【0196】
【表3】
【0197】
【表4】
【0198】
〈実施例2〜3〉
実施例1において、黒鉛化粒子A−1とは表1に示すように、二次焼成温度を変更したことを除いては、同様の方法を用いて黒鉛化粒子A−2〜A−3を得た。得られた各黒鉛化粒子A−2〜A−3の物性を表1に示す。これら黒鉛化粒子A−2〜A−3を、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、A−1の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体B−2〜B−3を作製し、実施例1と同様の評価を行った。これらの現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0199】
〈実施例4〉実施例1において、黒鉛化粒子A−1とは、用いた原材料のバルクメソフェーズピッチ粒子の微粉砕条件と二次焼成後の分級条件を変えたことを除いては、同様の方法を用いて個数平均粒径3.3μmの黒鉛化粒子A−4を得た。
【0200】
得られた黒鉛化粒子A−4の物性を表1に示す。黒鉛化粒子A−4を、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、A−1の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体B−4を作製し、実施例1と同様の評価を行った。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0201】
〈実施例5〉
黒鉛化粒子の原材料として、石炭系重質油を熱処理し、生成した粗メソカーボンマイクロビーズを遠心分離し、ベンゼンで洗浄精製して乾燥した後、アトマイザーミルで機械的に分散を行うことでメソカーボンマイクロビーズを得た。このメソカーボンマイクロビーズを窒素雰囲気下において1200℃で一次焼成を行い炭化させ、続いてアトマイザーミルで二次分散を行った後、窒素雰囲気下において2800℃で二次焼成を行い黒鉛化し、更に分級して個数平均粒径6.7μmの黒鉛化粒子A−5を得た。黒鉛化粒子A−5の物性を表1に示す。
【0202】
実施例1において、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、A−1の代わりに黒鉛化粒子A−5を用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体B−5を作製し、実施例1と同様の評価を行った。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0203】
〈実施例6〜7〉
実施例5において、黒鉛化粒子A−5を得るための二次焼成温度を変更したことを除いては、同様の方法を用いて黒鉛化粒子A−6〜A−7を得た。得られた黒鉛化粒子A−6〜A−7の物性を表1に示す。
【0204】
これらの黒鉛化粒子A−6〜A−7を、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、A−1の代わりにを用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体B−6〜B−7を作製し、実施例1と同様の評価を行った。これらの現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0205】
〈比較例1〉
黒鉛化粒子の原材料として、コークスとタールピッチの混合物を用い、この混合物をタールピッチの軟化点以上の温度で練り込み、押出し成型し、窒素雰囲気下において1000℃で一次焼成を行い炭化させ、続いてコールタールピッチを含浸させた後、窒素雰囲気下において2800℃で二次焼成を行い黒鉛化し、更に粉砕及び分級して個数平均粒径6.7μmの黒鉛化粒子a−1を得た。黒鉛化粒子a−1の物性を表1に示す。
【0206】
実施例1において、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、A−1の代わりに黒鉛化粒子a−1を用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体C−1を作製し、実施例1と同様の評価を行った。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0207】
〈比較例2〉
黒鉛化粒子の原材料として、球状のフェノール樹脂粒子を用い、窒素雰囲気下において2200℃で焼成を行い、更に分級して個数平均粒径6.4μmの黒鉛化粒子a−2を得た。黒鉛化粒子a−2の物性を表1に示す。
【0208】
実施例1において、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、A−1の代わりに黒鉛化粒子a−2を用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体C−2を作製し、実施例1と同様の評価を行った。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0209】
〈比較例3〉
実施例1において、黒鉛化粒子A−1とは表1に示すように、二次焼成温度を変更したことを除いては、同様の方法を用いて黒鉛化粒子a−3を得た。得られた黒鉛化粒子a−3の物性を表1に示す。この黒鉛化粒子a−3を、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、A−1の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体C−3を作製し、実施例1と同様の評価を行った。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0210】
〈比較例4〉
実施例5において、黒鉛化粒子A−5とは表1に示すように、二次焼成温度を変更したことを除いては、同様の方法を用いて黒鉛化粒子a−4を得た。得られた黒鉛化粒子a−4の物性を表1に示す。
【0211】
この黒鉛化粒子a−4を、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、A−1の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体C−4を作製し、実施例1と同様の評価を行った。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表3及び表4に示す。
【0212】
〈実施例8〉実施例1において、黒鉛化粒子A−1とは、用いた原材料のバルクメソフェーズピッチ粒子の微粉砕条件と二次焼成後の分級条件を変えたことを除いては、同様の方法を用いて個数平均粒径13.2μmの黒鉛化粒子A−8を得た。
・レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 200部
・黒鉛化粒子(A−8) 45部
・導電性カーボンブラック 5部
・球状粒子a−7(フェノール樹脂粒子を2200℃で焼成した炭化粒子) 8部
・メタノール 130部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加えてサンドミルにて分散し、更にメタノールで分散液の固形分を33%に希釈して塗工液を得た。
【0213】
この塗工液を用いてスプレー法により外径20mmφ、中心線平均粗さRa=0.4μmの研削加工したアルミニウム製円筒管上に樹脂被覆層を形成し、続いて熱風乾燥炉により150℃で30分間加熱して樹脂被覆層を硬化させて現像剤担持体B−8を作成した。得られた現像剤担持体B−8の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。
【0214】
現像剤担持体B−8を、図7の現像装置を有する図9の画像形成装置(接触ローラ帯電手段、接触ローラ転写手段を装備)LBP1910(キヤノン製)に装着して一成分系現像剤を供給しながら、3万枚の現像剤担持体の耐久評価テストを行った。一成分系現像剤としては次のものを用いた。
・ポリエステル樹脂 100部
・マグネタイト 100部
・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のAl錯体 1部
・低分子量ポリプロピレン 5部
上記材料をヘンシェルミキサーにより混合し、二軸式のエクストルーダニより溶融混練分散を行った。混練物を冷却後、ハンマーミルにて粗粉砕し、更にジェット気流式粉砕機で微粉砕した後に、気流式分級機を用いて分級を行い、個数平均粒径が5.8μmの微粉体(トナー粒子)を得た。
【0215】
この微粉体100部にシランカップリング剤で処理した疎水性コロイダルシリカ1.2部を外添して磁性トナーとし、この磁性トナーを一成分系現像剤とした。
(評価)
下記に挙げる評価項目について耐久試験をし、実施例及び比較例の各現像剤担持体の評価を行った。
【0216】
画像濃度、カブリ、スリーブゴースト、ブロッチ、ハーフトーン均一性等の画像評価、現像剤担持体上のトナー帯電量(Q/M)及びトナー搬送量(M/S)、樹脂被覆層の耐磨耗性については、実施例1における評価方法と同様の方法を用いて評価した。また、現像剤担持体の樹脂被覆層の耐汚染性については以下の方法により評価を行った。なお、いずれの評価項目についても20℃/60%の常温常湿(N/N)環境、24℃/10%の常温低湿(N/L)環境、32℃/80%の高温高湿(H/H)環境において、それぞれ耐久評価を行った。結果を表5及び表6に示す。画像及び耐久性共に良好な結果が得られた。
【0217】
(樹脂被覆層の耐汚染性)
耐久試験後の現像剤担持体表面をKEYENCE社製の超深度形状測定顕微鏡を用いて約200倍で観察し、トナー汚染の程度を下記の基準に基づいて評価した。
A:軽微な汚染しか観察されない。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
【0218】
【表5】
【0219】
【表6】
【0220】
〈実施例9〉実施例1の黒鉛化粒子A−1において、用いた原材料のバルクメソフェーズピッチ粒子の微粉砕条件と二次焼成後の分級条件を変えたことを除いては、同様の方法を用いて個数平均粒径19.7μmの黒鉛化粒子A−9を得た。
【0221】
実施例8において、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−8の代わりに黒鉛化粒子A−9をそれぞれ用いた以外は実施例8と同様の方法を用いて現像剤担持体B−9を作製し、実施例8と同様の評価を行った。この現像剤担持体B−9の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表5及び表6に示す。
【0222】
〈比較例5〉
黒鉛化粒子の原材料として、コークスとタールピッチの混合物を用い、この混合物をタールピッチの軟化点以上の温度で練り込み、押出し成型し、窒素雰囲気下において1000℃で一次焼成を行い炭化させ、続いてコールタールピッチを含浸させた後、窒素雰囲気下において2800℃で二次焼成を行い黒鉛化し、更に粉砕及び分級して個数平均粒径13.6μmの黒鉛化粒子a−5を得た。黒鉛化粒子a−5の物性を表1に示す。
【0223】
実施例8において、この黒鉛化粒子a−5を、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子としてA−8の代わりに用いた以外は、実施例8と同様にして現像剤担持体C−5を作製した。この現像剤担持体C−5について、実施例8と同様の評価を行った。現像剤担持体C−5の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表5及び表6に示す。
【0224】
〈比較例6〉
実施例8の黒鉛化粒子A−8の製造において、表1に示すように二次焼成温度を変更したことを除いては、同様の方法を用いて黒鉛化粒子a−6を得た。得られた黒鉛化粒子a−6の物性を表1に示す。この黒鉛化粒子a−6を、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子としてA−8の代わりに用いた以外は、実施例8と同様にして現像剤担持体C−6を作製し、実施例8と同様の評価を行った。
【0225】
この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表5及び表6に示す。
〈実施例10〉
・レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 200部
・黒鉛化粒子(A−1) 36部
・導電性カーボンブラック 5部
・メタノール 120部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて分散し、更にメタノールで分散液の固形分を35%に希釈して塗工液を得た。
【0226】
この塗工液を用いてスプレー法により外径32mmφ、中心線平均粗さRa=0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管上に樹脂被覆層を形成させ、続いて熱風乾燥炉により150℃、30分間加熱して樹脂被覆層を硬化させ現像剤担持体B−10を作製した。得られた現像剤担持体B−10の樹脂被覆層の処方と物性を表2に示す。
【0227】
B−10の現像剤担持体を、図5の現像装置を有する図9の画像形成装置(コロナ帯電手段、コロナ転写手段を装備)IR8500(キヤノン製)に装着して一成分系現像剤を供給しながら、80万枚の現像剤担持体の耐久評価テストを行った。一成分系現像剤としては次のものを用いた。
・スチレンアクリル樹脂 100部
・マグネタイト 95部
・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のAl錯体 2部
・低分子量ポリプロピレン 4部
上記材料をヘンシェルミキサーにより混合し、二軸式のエクストルーダニより溶融混練分散を行った。混練物を冷却後、ハンマーミルにて粗粉砕し、更に機械式粉砕機で微粉砕した後に、気流式分級機を用いて分級を行い、個数平均粒径が6.3μmの微粉体(トナー粒子)を得た。
【0228】
この微粉体100部にシランカップリング剤で処理した疎水性コロイダルシリカ1.2部、及びチタン酸ストロンチウム微粉体3部を外添して磁性トナーとし、この磁性トナーを一成分系現像剤とした。
(評価)
下記に挙げる評価項目について耐久試験をし、実施例及び比較例の各現像剤担持体の評価を行った。
【0229】
画像濃度、カブリ、スリーブゴースト、ブロッチ、ハーフトーン均一性等の画像評価、現像剤担持体上のトナー帯電量(Q/M)及びトナー搬送量(M/S)、樹脂被覆層の耐磨耗性、現像剤担持体の樹脂被覆層の耐汚染性について、実施例1における評価方法と同様の方法を用いて評価した。なお、いずれの評価項目についても20℃/60%の常温常湿(N/N)環境、24℃/10%の常温低湿(N/L)環境、32℃/80%の高温高湿(H/H)環境において、それぞれ耐久評価を行った。結果を表7及び表8に示す。画像及び耐久性共に良好な結果が得られた。
【0230】
【表7】
【0231】
【表8】
【0232】
〈実施例11〜13〉
実施例10において、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−1の代わりに黒鉛化粒子A−2〜A−4をそれぞれ用いた以外は実施例10と同様の方法を用いて現像剤担持体B−11〜B−13を作製し、実施例10と同様の評価を行った。これら現像剤担持体B−11〜B−13の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表7及び表8に示す。
【0233】
〈比較例7〜9〉
実施例10において、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子として、黒鉛化粒子A−1の代わりに黒鉛化粒子a−1〜a−3を用いた以外は実施例10と同様の方法を用いて現像剤担持体C−7〜C−9を作製し、実施例10と同様の評価を行った。これら現像剤担持体C−7〜C−9の樹脂被覆層の処方と物性を表2に、評価結果を表7及び表8に示す。
【0234】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、現像剤担持体表面の樹脂被覆層を、特定の範囲の黒鉛化度と押し込み硬さ値を有する黒鉛化粒子を樹脂中に分散させた構成にすることにより、均一な表面形状と潤滑性を有する樹脂被覆層が形成されると共に樹脂被覆層の表面から黒鉛化粒子が摩耗や脱離を起こしにくくすることができる。また、樹脂被覆層が磨耗したとしても樹脂被覆層中から再び黒鉛化粒子が露出するため、多数枚の画出しにおいても現像剤担持体の表面被覆層の粗さ、表面形状の均一性及び表面の材料組成の変化を防ぎほぼ一定に保つことができる。更に該黒鉛化粒子を含有させた樹脂被覆層は、異なる環境下においてもトナー汚染やトナーのチャージアップを発生させることが無く、トナーへ迅速且つ均一に適度な帯電量を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤担持体の一部分を示す断面模式図
【図2】本発明の現像剤担持体の一部分を示す断面模式図
【図3】本発明の現像剤担持体の一部分を示す断面模式図
【図4】本発明の現像剤担持体の一部分を示す断面模式図
【図5】磁性一成分現像剤を用いた場合の、本発明の現像装置の一実施形態を示す模式図
【図6】本発明の現像装置の他の実施形態を示す模式図
【図7】本発明の現像装置の他の実施形態を示す模式図
【図8】非磁性一成分現像剤を用いた場合の、本発明の現像装置の一実施形態を示す模式
【図9】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【図10】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図
【符号の説明】
1、81、101 電子写真感光ドラム(静電潜像担持体)
2 磁性規制ブレード(現像剤層厚規制部材)
3、103 ホッパー(現像剤容器)
4、104 現像剤
5、105 マグネットローラ(磁石)
6、16 金属円筒管(基体)
7、17 樹脂被覆層
8、108 現像スリーブ(現像剤担持体)
9、109 現像バイアス電源(バイアス手段)
111 弾性規制ブレード
120 現像手段
N1、N2、S1、S2、 磁極
a 黒鉛化粒子
b 被覆樹脂
c 導電性微粒子
d 球状粒子
Claims (5)
- 磁性トナーを含む磁性一成分系現像剤を担持するための現像剤担持体において、
前記現像剤担持体は、静電潜像担持体に担持された静電潜像を可視化するための、現像剤を担持する現像剤担持体であって、
前記現像剤担持体は、基体と、前記基体表面に形成された樹脂被覆層とを少なくとも有し、前記樹脂被覆層は、黒鉛化度p(002)が0.20〜0.95であり且つ押し込み硬さ値HUT[68]が15〜60である黒鉛化粒子を、少なくとも含有し、
前記黒鉛化粒子はメソカーボンマイクロビーズ又はバルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られたものであり、
前記樹脂被覆層中に分散される前記黒鉛化粒子の含有量が、被覆樹脂100質量部に対して4〜100質量部であることを特徴とする現像剤担持体。 - 前記樹脂被覆層の摩擦係数μsが0.10≦μs≦0.35であることを特徴とする請求項1記載の現像剤担持体。
- 前記黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5〜25μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤担持体。
- 現像剤を収容する現像剤容器、及び前記現像剤容器内に収容されている現像剤を層状に担持する現像剤担持体を有し、静電潜像担持体に対向する現像領域へ前記担持された現像剤を搬送し、前記搬送された現像剤により静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像して可視化するための現像装置であって、
前記現像剤が磁性一成分系現像剤であって、
前記現像剤担持体が請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像剤担持体であることを特徴とする現像装置。 - 静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって可視化してトナー画像を形成し、前記トナー画像を転写材に転写することにより画像を形成するための画像形成装置本体に脱着可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
静電潜像を担持するための静電潜像担持体と、前記静電潜像を現像剤によって現像し、現像画像を形成するための現像手段と、
(i) 静電潜像担持体を帯電させる帯電手段、 (ii) 前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段、 (iii) 前記現像画像を転写材に転写する転写手段、及び( iv )静電潜像担持体上の転写残余の現像剤を除去するクリーニング手段から選ばれ、且つ前記現像手段と一体に支持される少なくとも1つの手段とを有し、前記現像手段は、磁性一成分系現像剤を収容する現像剤容器と、請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像剤担持体とを有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
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