JP2004189873A - ホルムアルデヒド捕捉剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホルムアルデヒドを原料とした接着剤を用いて得られた木質材料から発生するホルムアルデヒドを、木質材料に煩雑な処理を行うことなく、また、その強度や耐水性を失うことなく、長期間、木質材料から発生するホルムアルデヒドを抑制することができるホルムアルデヒド捕捉剤組成物を提供する。
【解決手段】ヒドラジン又はその誘導体とポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤とからなるホルムアルデヒド捕捉剤組成物を使用する。
【解決手段】ヒドラジン又はその誘導体とポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤とからなるホルムアルデヒド捕捉剤組成物を使用する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はホルムアルデヒド捕捉剤、特に木質材料中のホルムアルデヒド捕捉剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、化学物質に過敏に反応するシックハウス症候群が大きな社会問題となっており、特に住宅用木質材料においてはホルムアルデヒドがその化学物質の対象となっている。住宅用木質材料は尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等のホルムアルデヒドを原料とした接着剤を使用した合板、パーティクルボード、MDFやハードボード等の繊維板を使用しており、これら木質材料に残存する、あるいは木質材料から分解によって発生するホルムアルデヒドがシックハウス症候群の原因の一つと言われている。
【0003】
これまで、木質材料からのホルムアルデヒドの発生を抑える種々の方法が提案されてきた。例えば、繊維板の製造に際し繊維マットをホットプレス装置にて加熱加圧成形した後、ホルムアルデヒド捕捉剤(ホルムアルデヒドキャッチャー剤)が添加された水を散布又は塗布することにより、繊維板の調湿と同時に繊維板製造に用いられるホルマリン系接着剤による残存ホルムアルデヒド臭を捕集することが公知である(例えば、特許文献1)。ホルムアルデヒド捕捉剤として尿素、酢酸アンモン、亜硫酸アンモン、亜硫酸ソーダ、チオセミカルバジド、エチレンジアミン、天然蛋白質等が挙げられている。
【0004】
また、多層構成の木質繊維板において、特定組成のアミノ樹脂をバインダーとして用い、かつ木質繊維にホルムアルデヒドと反応しうる捕捉剤を混合することにより、耐水性良好で、過酷な条件下においても長期間放散ホルムアルデヒド量を制御させうることも公知である(例えば、特許文献2)。この際使用されたホルムアルデヒド補足剤として硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニム等のアンモニウム塩、尿素、チオ尿素、メラミン、ジシアンジアミド、ベンゾグアナミン等の分子内にアミノ基、アミド基、イミノ基を有する化合物、さらに、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム等の亜硫酸塩または重亜硫酸塩が挙げられている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−293009号公報
【特許文献2】
特開平10−76505号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
繊維板等に従来公知のホルムアルデヒド捕捉剤を散布または塗布する方法では長期間ホルムアルデヒドの放出を抑制する効果が得られないという問題があった。また、接着剤の中にホルムアルデヒド捕捉剤を混合して使用した場合、接着剤の硬化反応時の架橋密度が低下し、合板や繊維板等の木質材料の満足する強度や耐水性が得られない問題があり、これら技術では長期間満足した強度とホルムアルデヒド発生を抑制することは困難であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は木質材料に煩雑な処理を行うことなく、また、その強度や耐水性を失うことなく、長期間、木質材料からのホルムアルデヒド発生の抑制に効果のあるホルムアルデヒド捕捉剤組成物を提供することにある。即ち、本発明は、ヒドラジン又はその誘導体と非イオン型界面活性剤からなるホルムアルデヒド捕捉剤組成物に関し、より詳しくは、ヒドラジン又はその誘導体とポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤からなるホルムアルデヒド捕捉剤組成物に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物中のヒドラジン又はその誘導体としては例えば、ヒドラジン及びメチルヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン等のヒドラジン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物等が挙げられ、特にアジピン酸ジヒドラジドが好ましい。含有量はホルムアルデヒド捕捉剤組成物中1〜15重量%が好ましく、更に好ましくは3〜10重量%である。ヒドラジン又はその誘導体の含有量が1%未満の場合はホルムアルデヒド発生を抑制する効果が十分に得られない。また、その含有量が15%を越えるとコストのみアップし効果は頭打ちとなりこれ以上の添加の必要がない。
【0009】
本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物は、ヒドラジン又はその誘導体とポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤とからなる。前記ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤としては、下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤が好ましい。
【0010】
【化1】
【0011】
式(1)中、Rはアルキル基アルケニル基を表し、直鎖状でも分岐状でもよい。Rは炭素数8〜20が更に好ましい。EOはオキシエチレン基、AOはオキシプロピレン基及び/又はオキシブチレン基を表す。x及びyはそれぞれEO、AOの平均付加モル数であり、xは1〜20、yは1〜6であることが好ましい。EOとAOはランダム付加でもブロック付加でも、またその繰り返しの何れでもよく、EOとAOの付加順序は問わない。
【0012】
式(1)中の炭素数8〜20のアルキル基としては、例えば、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イソデシル基、1−エチルヘキシル等、アルケニル基としては、例えば、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、ペンタデセニル基、オレイル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数8〜12のものが好ましく、特にイソデシル基が好ましい。
【0013】
上記一般式(1)のポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンオクチルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンセチルエーテル、ポリオキシアルキレンステアリルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル、ポリオキシアルキレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレン1−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシアルキレンオクテニルエーテル等を例示できる。これらの中でも、ポリオキシアルキレンイソデシルエーテルが特に好ましい。
【0014】
ホルムアルデヒドの捕捉効果を得るためには、ホルムアルデヒド捕捉剤が木質材料の中に十分に浸透することが必要である。パーティクルボード及びMDF等の繊維板などの木質材料はホットプレスで成型した後、表面の平滑性を出すためにサンダーを掛けるが、浸透が十分でない場合にはホルムアルデヒド捕捉剤の浸透層が浅いために、サンダー掛けすることにより浸透層が切削され、ホルムアルデヒドの捕捉効果が十分に得ることが出来ない。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤をサンダー掛け後塗布または含浸する場合は、十分に浸透するため効率良くホルムアルデヒドを捕捉できる。
【0015】
ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤の含有量はホルムアルデヒド捕捉剤組成物中0.2〜3重量%が好ましく、更に好ましくは0.3〜1%である。ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤の含有量が0.2%以下の場合は本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物が木質材料に十分に浸透せず、ホルムアルデヒド発生を長期間抑制する効果が薄れる。またその含有量が3%を越えると、木質材料の強度低下が発生し好ましくない。
【0016】
本発明のホルムアルデヒドの捕捉剤組成物には、従来から知られているホルムアルデヒド捕捉剤として知られている、尿素、チオ尿素、メラミン、ジシアンジアミド等の分子内にアミノ基、アミド基、イミノ基を有する化合物、酢酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等亜硫酸塩または重亜硫酸塩、また天然蛋白質等を適宜添加しても良い。
【0017】
本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物は、例えば、水を溶媒にヒドラジン又はその誘導体とポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤を混合溶解して得られる。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物を木質材料へ塗布又は含浸するに際しては、一般的にはスプレー塗布が最適であるが、他の塗布又は含浸方法を用いても良い。含浸又は塗布は木質材料の片面でも両面でもよく、特に両面塗布した場合はホルムアルデヒド捕捉効果が大きい。
【0018】
木質材料への含浸量は特に制限されないが、通常、ホルムアルデヒド捕捉剤組成物を木質材料片面に5g〜100g/m2程度、好ましくは10g〜50g/m2程度となるように塗布又は含浸すればよい。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物は、ホルムアルデヒドを原料とした接着剤を使用して得られた木質材料に、塗布し含浸させることによって木質材料から発生するホルムアルデヒドを長期間抑制することができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例で本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1) アジピン酸ジヒドラジド(ホルムアルデヒドキャッチャー成分)及び、下記のポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤を水に溶解して、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物を製造した。尚、アジピン酸ジヒドラジドの濃度は5重量%、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤の濃度は0.6重量%とした。
界面活性剤:ポリオキシアルキレンイソデシルエーテル(非イオン界面活性剤、商品名;SDX−60、第一工業製薬(株)製)
【0020】
(実施例2) アジピン酸ジヒドラジドと尿素(ホルムアルデヒドキャッチャー成分)及び、下記のポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤を水に溶解して、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物を製造した。尚、アジピン酸ジヒドラジドの濃度は5重量%、尿素の濃度は7.5重量%、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤の濃度は0.6重量%とした。
界面活性剤:ポリオキシアルキレンイソデシルエーテル(非イオン界面活性剤、商品名;SDX−60、第一工業製薬(株)製)
【0021】
(比較例1) 非イオン界面活性剤を使用しない以外は、実施例2と同様にして捕捉剤組成物を製造した。
【0022】
(1)試験片の調整 市販の20mmパーティクルボード(各35cm×35cm)に実施例1〜2及び比較例1で得られた各ホルムアルデヒド捕捉剤組成物を噴霧器を用いて22.2g/m2の割合で両面に均一にスプレーした。試料を室温にて乾燥し、各試料それぞれをビニール袋で密封し、24時間、1ヶ月および3ヶ月放置した。放置後、各試料から(15cm×5cm)の長方形状の試験片を8片ずつ切り取った。また、ブランクとして前記各試験片と同形状のホルムアルデヒド捕捉剤組成物を処理しない試験片を調整した。
【0023】
(2)ホルムアルデヒドの捕集および定量操作 JIS A 5908(パーティクルボード)に記載されている方法に準じて行った。
【0024】
結果(ホルムアルデヒド濃度(mg/l)=試験片のパーティクルボードから放出されるホルムアルデヒド濃度)を表に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、ホルムアルデヒドを原料とした接着剤を用いて得られた木質材料から発生するホルムアルデヒドを、木質材料に煩雑な処理を行うことなく、また、その強度や耐水性を失うことなく、長期間木質材料から発生するホルムアルデヒドを抑制することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はホルムアルデヒド捕捉剤、特に木質材料中のホルムアルデヒド捕捉剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、化学物質に過敏に反応するシックハウス症候群が大きな社会問題となっており、特に住宅用木質材料においてはホルムアルデヒドがその化学物質の対象となっている。住宅用木質材料は尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等のホルムアルデヒドを原料とした接着剤を使用した合板、パーティクルボード、MDFやハードボード等の繊維板を使用しており、これら木質材料に残存する、あるいは木質材料から分解によって発生するホルムアルデヒドがシックハウス症候群の原因の一つと言われている。
【0003】
これまで、木質材料からのホルムアルデヒドの発生を抑える種々の方法が提案されてきた。例えば、繊維板の製造に際し繊維マットをホットプレス装置にて加熱加圧成形した後、ホルムアルデヒド捕捉剤(ホルムアルデヒドキャッチャー剤)が添加された水を散布又は塗布することにより、繊維板の調湿と同時に繊維板製造に用いられるホルマリン系接着剤による残存ホルムアルデヒド臭を捕集することが公知である(例えば、特許文献1)。ホルムアルデヒド捕捉剤として尿素、酢酸アンモン、亜硫酸アンモン、亜硫酸ソーダ、チオセミカルバジド、エチレンジアミン、天然蛋白質等が挙げられている。
【0004】
また、多層構成の木質繊維板において、特定組成のアミノ樹脂をバインダーとして用い、かつ木質繊維にホルムアルデヒドと反応しうる捕捉剤を混合することにより、耐水性良好で、過酷な条件下においても長期間放散ホルムアルデヒド量を制御させうることも公知である(例えば、特許文献2)。この際使用されたホルムアルデヒド補足剤として硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニム等のアンモニウム塩、尿素、チオ尿素、メラミン、ジシアンジアミド、ベンゾグアナミン等の分子内にアミノ基、アミド基、イミノ基を有する化合物、さらに、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム等の亜硫酸塩または重亜硫酸塩が挙げられている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−293009号公報
【特許文献2】
特開平10−76505号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
繊維板等に従来公知のホルムアルデヒド捕捉剤を散布または塗布する方法では長期間ホルムアルデヒドの放出を抑制する効果が得られないという問題があった。また、接着剤の中にホルムアルデヒド捕捉剤を混合して使用した場合、接着剤の硬化反応時の架橋密度が低下し、合板や繊維板等の木質材料の満足する強度や耐水性が得られない問題があり、これら技術では長期間満足した強度とホルムアルデヒド発生を抑制することは困難であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は木質材料に煩雑な処理を行うことなく、また、その強度や耐水性を失うことなく、長期間、木質材料からのホルムアルデヒド発生の抑制に効果のあるホルムアルデヒド捕捉剤組成物を提供することにある。即ち、本発明は、ヒドラジン又はその誘導体と非イオン型界面活性剤からなるホルムアルデヒド捕捉剤組成物に関し、より詳しくは、ヒドラジン又はその誘導体とポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤からなるホルムアルデヒド捕捉剤組成物に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物中のヒドラジン又はその誘導体としては例えば、ヒドラジン及びメチルヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン等のヒドラジン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物等が挙げられ、特にアジピン酸ジヒドラジドが好ましい。含有量はホルムアルデヒド捕捉剤組成物中1〜15重量%が好ましく、更に好ましくは3〜10重量%である。ヒドラジン又はその誘導体の含有量が1%未満の場合はホルムアルデヒド発生を抑制する効果が十分に得られない。また、その含有量が15%を越えるとコストのみアップし効果は頭打ちとなりこれ以上の添加の必要がない。
【0009】
本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物は、ヒドラジン又はその誘導体とポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤とからなる。前記ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤としては、下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤が好ましい。
【0010】
【化1】
【0011】
式(1)中、Rはアルキル基アルケニル基を表し、直鎖状でも分岐状でもよい。Rは炭素数8〜20が更に好ましい。EOはオキシエチレン基、AOはオキシプロピレン基及び/又はオキシブチレン基を表す。x及びyはそれぞれEO、AOの平均付加モル数であり、xは1〜20、yは1〜6であることが好ましい。EOとAOはランダム付加でもブロック付加でも、またその繰り返しの何れでもよく、EOとAOの付加順序は問わない。
【0012】
式(1)中の炭素数8〜20のアルキル基としては、例えば、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イソデシル基、1−エチルヘキシル等、アルケニル基としては、例えば、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、ペンタデセニル基、オレイル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数8〜12のものが好ましく、特にイソデシル基が好ましい。
【0013】
上記一般式(1)のポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンオクチルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンセチルエーテル、ポリオキシアルキレンステアリルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル、ポリオキシアルキレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレン1−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシアルキレンオクテニルエーテル等を例示できる。これらの中でも、ポリオキシアルキレンイソデシルエーテルが特に好ましい。
【0014】
ホルムアルデヒドの捕捉効果を得るためには、ホルムアルデヒド捕捉剤が木質材料の中に十分に浸透することが必要である。パーティクルボード及びMDF等の繊維板などの木質材料はホットプレスで成型した後、表面の平滑性を出すためにサンダーを掛けるが、浸透が十分でない場合にはホルムアルデヒド捕捉剤の浸透層が浅いために、サンダー掛けすることにより浸透層が切削され、ホルムアルデヒドの捕捉効果が十分に得ることが出来ない。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤をサンダー掛け後塗布または含浸する場合は、十分に浸透するため効率良くホルムアルデヒドを捕捉できる。
【0015】
ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤の含有量はホルムアルデヒド捕捉剤組成物中0.2〜3重量%が好ましく、更に好ましくは0.3〜1%である。ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤の含有量が0.2%以下の場合は本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物が木質材料に十分に浸透せず、ホルムアルデヒド発生を長期間抑制する効果が薄れる。またその含有量が3%を越えると、木質材料の強度低下が発生し好ましくない。
【0016】
本発明のホルムアルデヒドの捕捉剤組成物には、従来から知られているホルムアルデヒド捕捉剤として知られている、尿素、チオ尿素、メラミン、ジシアンジアミド等の分子内にアミノ基、アミド基、イミノ基を有する化合物、酢酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等亜硫酸塩または重亜硫酸塩、また天然蛋白質等を適宜添加しても良い。
【0017】
本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物は、例えば、水を溶媒にヒドラジン又はその誘導体とポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤を混合溶解して得られる。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物を木質材料へ塗布又は含浸するに際しては、一般的にはスプレー塗布が最適であるが、他の塗布又は含浸方法を用いても良い。含浸又は塗布は木質材料の片面でも両面でもよく、特に両面塗布した場合はホルムアルデヒド捕捉効果が大きい。
【0018】
木質材料への含浸量は特に制限されないが、通常、ホルムアルデヒド捕捉剤組成物を木質材料片面に5g〜100g/m2程度、好ましくは10g〜50g/m2程度となるように塗布又は含浸すればよい。本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物は、ホルムアルデヒドを原料とした接着剤を使用して得られた木質材料に、塗布し含浸させることによって木質材料から発生するホルムアルデヒドを長期間抑制することができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例で本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1) アジピン酸ジヒドラジド(ホルムアルデヒドキャッチャー成分)及び、下記のポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤を水に溶解して、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物を製造した。尚、アジピン酸ジヒドラジドの濃度は5重量%、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤の濃度は0.6重量%とした。
界面活性剤:ポリオキシアルキレンイソデシルエーテル(非イオン界面活性剤、商品名;SDX−60、第一工業製薬(株)製)
【0020】
(実施例2) アジピン酸ジヒドラジドと尿素(ホルムアルデヒドキャッチャー成分)及び、下記のポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤を水に溶解して、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤組成物を製造した。尚、アジピン酸ジヒドラジドの濃度は5重量%、尿素の濃度は7.5重量%、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤の濃度は0.6重量%とした。
界面活性剤:ポリオキシアルキレンイソデシルエーテル(非イオン界面活性剤、商品名;SDX−60、第一工業製薬(株)製)
【0021】
(比較例1) 非イオン界面活性剤を使用しない以外は、実施例2と同様にして捕捉剤組成物を製造した。
【0022】
(1)試験片の調整 市販の20mmパーティクルボード(各35cm×35cm)に実施例1〜2及び比較例1で得られた各ホルムアルデヒド捕捉剤組成物を噴霧器を用いて22.2g/m2の割合で両面に均一にスプレーした。試料を室温にて乾燥し、各試料それぞれをビニール袋で密封し、24時間、1ヶ月および3ヶ月放置した。放置後、各試料から(15cm×5cm)の長方形状の試験片を8片ずつ切り取った。また、ブランクとして前記各試験片と同形状のホルムアルデヒド捕捉剤組成物を処理しない試験片を調整した。
【0023】
(2)ホルムアルデヒドの捕集および定量操作 JIS A 5908(パーティクルボード)に記載されている方法に準じて行った。
【0024】
結果(ホルムアルデヒド濃度(mg/l)=試験片のパーティクルボードから放出されるホルムアルデヒド濃度)を表に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、ホルムアルデヒドを原料とした接着剤を用いて得られた木質材料から発生するホルムアルデヒドを、木質材料に煩雑な処理を行うことなく、また、その強度や耐水性を失うことなく、長期間木質材料から発生するホルムアルデヒドを抑制することができる。
Claims (2)
- ヒドラジン又はその誘導体とポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン及び/又はポリオキシブチレン)アルキルエーテル型非イオン界面活性剤からなるホルムアルデヒド捕捉剤組成物。
- 前記ヒドラジン又はその誘導体がアジピン酸ジヒドラジドである請求項1に記載のホルムアルデヒド捕捉剤組成物。
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JP2002359223A JP2004189873A (ja) | 2002-12-11 | 2002-12-11 | ホルムアルデヒド捕捉剤組成物 |
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JP (1) | JP2004189873A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006255991A (ja) * | 2005-03-16 | 2006-09-28 | Mitsubishi Motors Corp | 合成板 |
WO2008099604A1 (ja) * | 2007-02-15 | 2008-08-21 | Hokkaido Mitsui Chemicals, Inc. | ホルムアルデヒド捕捉剤及びその製造方法 |
US8895216B2 (en) | 2011-11-14 | 2014-11-25 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Image forming apparatus |
CN105504146A (zh) * | 2016-01-06 | 2016-04-20 | 上海保立佳新材料有限公司 | 一种吸醛乳液及其制备方法 |
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2002
- 2002-12-11 JP JP2002359223A patent/JP2004189873A/ja active Pending
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