JP2002273145A - ホルムアルデヒド捕捉剤、木質板の処理方法及び木質板 - Google Patents

ホルムアルデヒド捕捉剤、木質板の処理方法及び木質板

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JP2002273145A
JP2002273145A JP2001074864A JP2001074864A JP2002273145A JP 2002273145 A JP2002273145 A JP 2002273145A JP 2001074864 A JP2001074864 A JP 2001074864A JP 2001074864 A JP2001074864 A JP 2001074864A JP 2002273145 A JP2002273145 A JP 2002273145A
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weight
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water
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Mariko Koizumi
まり子 小泉
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  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホルムアルデヒドを含む接着剤で成形した木
質板からのホルムアルデヒドの発生を防止すること。 【解決手段】 全体を100重量%とした場合、尿素ま
たはその誘導体20〜50重量%;ヒドラジンまたはそ
の誘導体1〜15重量%;非揮発性アミン、酸アミド、
低級酸の塩および還元糖類からなる群から選ばれる少な
くとも1種0.01〜10重量%;浸透剤0.1〜7重
量%;水性樹脂(固形分)0.1〜30重量%;および
残り水重量%からなることを特徴とするホルムアルデヒ
ド捕捉剤、該捕捉剤またはその希釈液を用いる木質板の
処理方法および該捕捉剤またはその希釈液で処理された
木質板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホルムアルデヒド
捕捉剤、木質板の処理方法およびホルムアルデヒドの発
生が抑制された木質板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、化学物質に過敏に反応してしま
う、いわゆるシックハウス症候群に悩まされている人が
増加している。シックハウス症候群とは、住居などの建
築物のような密閉された空間に、毒性のある化学物質が
ごく僅かに存在する場合に、これに過敏に反応してしま
う症状乃至体質のことである。このような症状を引き起
こす原因とされている化学物質の一つに、ホルムアルデ
ヒド(ホルマリン)がある。
【0003】ホルムアルデヒドは、フェノール樹脂、尿
素樹脂、メラミン樹脂などの原料の1つとして使用され
ており、これらの樹脂は、住居や家具などに使用されて
いる合板などの木質板の接着剤として使用されている。
これらの樹脂中に微量に残存するホルムアルデヒドや、
後に樹脂が分解して発生したホルムアルデヒドが、上記
のような問題を引き起こすと現在では考えられている。
【0004】そこで、木質板からホルムアルデヒドが発
生しないように、種々の方法が提案されてきた。例え
ば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などのホ
ルムアルデヒド発生源である樹脂中に、予め塩基性物質
などのホルムアルデヒド反応性物質を混合しておく方法
や、木質板の表面に、ホルムアルデヒド反応性物質を含
有するコーティング剤を塗工する方法である。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】しかし、樹脂(接
着剤)中にホルムアルデヒド反応性物質を混合しておく
方法では、接着剤の接着力の低下につながり、十分に接
着剤としての役割を果たすことができないという問題が
ある。また、木質板の表面に、ホルムアルデヒド反応性
物質を含有するコーティング剤を塗工する方法では、ホ
ルムアルデヒド反応性物質は、木質板表面に留まるだけ
であり、木質板内部に浸透することがないため、ホルム
アルデヒドの発生を抑制する効果に乏しいといった問題
がある。さらに、木質板の表面を削って出荷する場合に
は、コーティング塗膜が除去されてしまい、ホルムアル
デヒドの発生を抑制することができない。従って、本発
明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、木質板から
発生するホルムアルデヒドを有効かつ長期的に抑制する
技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。すなわち、本発明は、全体を1 00重量%とした場合、下記の組成 尿素またはその誘導体 20〜50重量%; ヒドラジンまたはその誘導体 1〜15重量%; 非揮発性アミン、酸アミド、低級酸の塩および還元糖類からなる群から選ばれ る少なくとも1種 0.01〜10重量%; 浸透剤 0.1〜 7重量%; 水性樹脂 0.1〜30重量%;および 水 残りの重量%; からなることを特徴とするホルムアルデヒド捕捉剤、該
捕捉剤またはその希釈液を用いる木質板の処理方法およ
び該捕捉剤またはその希釈液で処理された木質板を提供
する。
【0007】本発明によれば、特定物質を組み合わせた
ホルムアルデヒドとの反応性物質を含有する水性組成物
に、さらに浸透剤を含有させることで、該水性組成物を
木質板中に容易に含浸させることができる。また、水性
樹脂を使用することにより、木質板の表面またはその近
傍に樹脂被膜を形成するので、処理後木質板を乾燥させ
てもホルムアルデヒド捕捉成分が木質板表面にブリード
アウトすることがなく、長期間有効にホルムアルデヒド
の発生を抑制することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明をさらに詳細に説明する。本発明のホルムアルデ
ヒド捕捉剤の1成分である尿素またはその誘導体として
は、例えば、尿素、チオウレア、N−メチルウレア、
N,N’−ジメチルウレアなどが挙げられ、特に少なく
とも尿素を含むことが好ましい。尿素またはその誘導体
の含有量は、全体を100重量%とした場合、20〜5
0重量%、好ましくは25〜35重量%である。尿素ま
たはその誘導体の含有量が50重量%を超えると、それ
らが水溶液中で析出するという問題がある。一方、含有
量が20重量%に満たないと、捕捉剤を水で希釈して使
用する場合に、実用上濃度が不足して充分な効果が得ら
れないという問題がある。
【0009】本発明のホルムアルデヒド捕捉剤の1成分
であるヒドラジンまたはその誘導体としては、例えば、
ヒドラジン、メチルヒドラジン、N,N’−ジメチルヒ
ドラジン、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられ、特
に少なくともアジピン酸ジヒドラジドを含むことが好ま
しい。ヒドラジンまたはその誘導体の含有量は、全体を
100重量%とした場合、1〜15重量%、好ましくは
5〜10重量%である。ヒドラジンまたはその誘導体の
含有量が15重量%を超えると、ヒドラジンまたはその
誘導体の種類によっては水に対する溶解度が不足する場
合があるという問題がある。一方、含有量が1重量%に
満たないと、捕捉剤を水で希釈して使用する場合に、濃
度が不足して充分な効果が得られないという問題があ
る。
【0010】本発明のホルムアルデヒド捕捉剤の1成分
である非揮発性アミンとしては、例えば、水溶性ポリア
ルキレンポリアミン、水溶性芳香族アミン、アニリンま
たはその誘導体、エタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプ
ロパノールアミン、トリプロパノールアミン、アミノメ
チルエタノールアミンなどのアルカノールアミン、ベン
ジルアミンなどのアリールアルキルアミンなどが挙げら
れる。また、酸アミドとしては、例えば、ホルムアミ
ド、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチロアミド、
ベンズアミドなどが挙げられる。
【0011】また、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤の
1成分である低級酸の塩としては、例えば、亜硫酸塩、
亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜硝酸塩、チオ硫酸塩お
よび亜燐酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が
挙げられる。塩としてはナトリウム塩またはカリウム塩
が好ましい。また、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤の
1成分である還元糖類としては、例えば、アスコルビン
酸、マルトースおよびラクトースからなる群から選ばれ
る少なくとも1種が挙げられる。
【0012】非揮発性アミン、酸アミド、低級酸の塩お
よび還元糖類は単独で使用してもよいし、併用してもよ
い。非揮発性アミンおよび/または酸アミドの含有量
は、全体を100重量%とした場合、0.1〜10重量
%、好ましくは1〜5重量%である。非揮発性アミンお
よび/または酸アミドの含有量が10重量%を超える
と、捕捉剤が臭気を有するようになるという問題があ
る。一方、0.1重量%に満たないと、捕捉剤を水で希
釈して使用する場合に、濃度が不足して充分な効果が得
られないという問題がある。
【0013】上記低級酸の塩の含有量は、全体を100
重量%とした場合、0.01〜5重量%、好ましくは
0.1〜1重量%である。低級酸の塩の含有量が5重量
%を超えると、木質板を黄色や赤色に変色させる危険性
がある。一方、0.01重量%に満たないと、捕捉剤を
水で希釈して使用する場合に、濃度が不足して充分な効
果が得られないという問題がある。
【0014】還元糖類の含有量は、全体を100重量%
とした場合、0.05〜10重量%、好ましくは0.3
〜5重量%である。還元糖類の含有量が10重量%を超
えると、還元糖類の吸湿性により木質板の強度を低下さ
せる危険性がある。一方、0.05重量%に満たない
と、捕捉剤を水で希釈して使用する場合に、濃度が不足
して充分な効果が得られないという問題がある。
【0015】本発明のホルムアルデヒド捕捉剤の1成分
である浸透剤としては、水溶性であって、木質板に対し
て浸透力のある化合物なら特に限定されないが、最も好
適な化合物は、二塩基酸のモノまたはジアルキルエステ
ルである。二塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸
などが挙げられ、これらの二塩基酸は、その分子中にス
ルホン酸基またはその塩の基を有してもよい。塩として
は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩であり
得る。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシルなどが
挙げられ、特に滲透剤としては少なくともジ2−エチル
ヘキシルサクシネートスルホン酸ソーダを含むことが好
ましい。浸透剤の含有量は、全体を100重量%とした
場合、0.1〜7重量%、好ましくは0.2〜3重量%
である。浸透剤の含有量が7重量%を超えると、木質板
の強度を低下させるという問題がある。一方、0.1重
量%に満たないと、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤ま
たはその希釈液が木質板に対して十分浸透しないという
問題がある。
【0016】本発明のホルムアルデヒド捕捉剤の有効成
分は上記の通りであるが、本発明ではさらに水性樹脂を
使用する。水性樹脂としては、被膜形成性を有する水不
溶性樹脂のエマルジョンが好ましく使用される。このよ
うなエマルジョンとしては、アクリル酸アルキルエステ
ル、メタクリル酸アルキルエステルなどのアクリルモノ
マーの単独乳化重合液、酢酸ビニルの単独乳化重合液、
アクリルモノマーと酢酸ビニルとの共重合乳化重合液、
上記アクリルモノマーおよび/または酢酸ビニルと、エ
チレン、塩化ビニル、スチレンなどの他のビニルモノマ
ーとの共重合乳化液が挙げられる。これらのエマルジョ
ンは通常固形分10〜50重量%であり、本発明では、
これらの濃度で使用することが好ましい。これらのエマ
ルジョンは、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤を100
重量%とした場合、固形分として5〜30重量%、好ま
しくは10〜25重量%の量で使用する。使用量が少な
いと、使用後に木質板の表面またはその近傍に充分な樹
脂被膜が形成されず、多すぎると捕捉剤の性能が低下す
る。
【0017】本発明では、水性樹脂として、ヒドロキシ
エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの
水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポ
リ(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、ポリ(メタ)
アクリル酸N,N−ジアルキルアミノアルキレンエステ
ル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ酢酸ビニルの部
分鹸化物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコ
ール、ポリビニルアルコール、澱粉、キトサンなどの水
溶性樹脂を使用することができる。これらの水溶性樹脂
は、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤を100重量%と
した場合、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5
重量%の量で使用する。使用量が少ないと、使用後に木
質板の表面またはその近傍に充分な樹脂被膜が形成され
ず、多すぎると捕捉剤の粘度が高くなりすぎて使用しず
らくなる。なお、水性樹脂として水溶性樹脂を用いた場
合には、該水溶性樹脂も木質板内部に含浸されるが、乾
燥時に表面近傍に樹脂層が形成されるものと思われる。
【0018】本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、以上
の成分を水に混合溶解することで得ることができる。ま
た、必要に応じて上記捕捉剤は、各種界面活性剤、防腐
剤、防かび剤、防虫剤などの各種添加剤を含み得る。な
お、実際に使用する際には、このまま濃厚物として使用
することもでき、さらに水で2〜10倍程度に水で希釈
して使用することもできる。
【0019】本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、フェ
ノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂などのホルムア
ルデヒドを原料の1つとする樹脂を接着剤や粘着剤など
として使用して製造された木質板から発生するホルムア
ルデヒドを効果的に捕捉し、無害化することができる。
特に水性樹脂を使用することによって木質板の表面また
はその近傍に樹脂被膜が形成され、ホルムアルデヒド捕
捉成分が表面にブリードアウトするのが防止され、ホル
ムアルデヒド捕捉効果が長期間持続する。
【0020】本発明の木質板の処理方法は、ホルムアル
デヒドを原料の1つとする接着剤を接着成分として含有
する木質板に、前記本発明のホルムアルデヒド捕捉剤ま
たはその希釈液を含浸させることを特徴とする。本発明
で処理される木質板としては、ホルムアルデヒドを原料
の1つとする接着剤を接着成分として含有する合板、M
DF合板、パーティクルボード、その他の木質板であ
る。
【0021】上記木質板に本発明のホルムアルデヒド捕
捉剤またはその希釈液を含浸させる方法としては特に限
定されず、例えば、木質板の片面または両面に、本発明
のホルムアルデヒド捕捉剤またはその希釈液を吹き付け
または塗布する方法、木質板の製造工程の最後に本発明
のホルムアルデヒド捕捉剤またはその希釈液をスプレー
塗布する方法などが挙げられる。本発明の方法では、使
用するホルムアルデヒド捕捉剤またはその希釈液が滲透
剤を含んでいるので、水性樹脂を木質板の表面またはそ
の近傍に残してホルムアルデヒド捕捉剤またはその希釈
液が速やかに木質板の内部に浸透し、木質板の表面また
はその近傍に樹脂被膜が形成される。この際、浸透させ
る深さは、木質板の厚さの少なくとも30%であり、木
質板の全厚にわたって浸透させてもよい。浸透深さが3
0%未満であると、長期にわたる充分なホルムアルデヒ
ド捕捉効果が得られない。また、従来の方法では、後に
処理した木質板の表面調整のために、表裏5%程度の厚
みを研削して出荷する場合があり、その場合にホルムア
ルデヒド捕捉効果が低減するという問題がある。
【0022】本発明の木質板は、前記本発明のホルムア
ルデヒド捕捉剤またはその希釈液を、木質板の厚みの少
なくとも30%の深さまで浸透させ、木質板の表面また
はその近傍に樹脂被膜を形成してなることを特徴とす
る。このような本発明の木質板は上記本発明の方法によ
って得られ、上記捕捉剤またはその希釈液は、接着剤が
硬化した後に木質板内に含浸させられるので、木質板に
使用されている接着剤の強度を低下させることがなく、
また、前記樹脂被膜によって有効成分が木質板の表面に
ブリードアウトすることがないので、長期にわたって残
留または新たに発生するホルムアルデヒドを木質板内で
吸収し、外部に発生させることがない。また、ホルムア
ルデヒド捕捉剤またはその希釈液は、実質的に木質板の
内部に含浸させるので、後に該木質板の粗表面を、その
厚みの10%以下を削って、後に化粧紙や塗料で化粧す
る場合に、それらの接着性や品質を低下させることがな
い。
【0023】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて本発明を
さらに具体的に説明する。なお、以下の記載で「%」と
あるものは特に断らない限り重量基準である。以下の実
施例では、下記の組成からなるホルムアルデヒド捕捉剤
を使用した。なお、各成分の量は組成物全量に対する%
である。 ホルムアルデヒド捕捉剤 ・尿素 25% ・N−メチル尿素 5% ・ヒドラジン 5% ・ホルムアミド 1% ・ジプロパノールアミン 1% ・コハク酸ジメチル 2% ・下記のアクリル樹脂エマルジョン 50% ・水 11% 合計 100%
【0024】<アクリル樹脂エマルジョンの調製>反応
容器に下記成分を装入し、70℃で2時間乳化重合し
た。 ・アクリル酸エチル 50% ・ポリオキシエチレン(40モル)ノニルフェニルエーテル 3.5% ・ポリエチレングリコール3000 1.5% ・過流酸カリウム 0.8% ・重亜硫酸ソーダ 0.4%・水 43.8% 合計 100%
【0025】(実施例1)尿素−ホルムアルデヒド樹脂
を接着剤として使用して製造される厚さ3mmのMDF
合板について、接着剤を硬化させるために高温加熱プレ
スした後冷却し、70℃になった合板に対して、反り防
止のためにシャワーする冷水中に、本発明のホルムアル
デヒド捕捉剤の3倍水希釈液を1分間シャワーした。そ
の後、乾燥させたところ合板の表面には樹脂被膜が形成
されていた。後処理を行った合板について、JIS−A
−5905に準拠してホルムアルデヒド放出量を測定し
たところ、0.08mg/Lであった。また、処理2日
後に合板の表裏0.3mmずつを研削した場合のホルム
アルデヒド放出量は0.12mg/Lであった。なお、
合板を切断したところ、捕捉剤は合板の厚み全体にわた
っていた。それに対して、本発明のホルムアルデヒド捕
捉剤を使用しなかったMDF合板についても、同様の方
法でホルムアルデヒド放出量を測定したが、5.5mg
/Lであり、明らかに本発明の処理の効果が認められ
た。
【0026】(実施例2)フェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂を使用して製造された厚さ20mmのパーティク
ルボードについてJIS−A−5905に準拠してホル
ムアルデヒド放出量を測定したところ、3.2mg/L
であった。次いで、このボードの両面に、塗工量8.0
g/m2の条件で本発明のホルムアルデヒド捕捉剤の3
倍水希釈液を塗工した。塗工後乾燥し、ホルムアルデヒ
ド放出量を測定したところ、0.11mg/Lであっ
た。60日後に表裏0.6mmずつを研削してJIS−
A−5905に準拠してホルムアルデヒド放出量を測定
したところ、0.10mg/Lであった。ホルムアルデ
ヒド減少率は96.8%であり、充分な効果が認められ
た。また、実施例1と同様に捕捉剤の含浸深さを調べた
ところ、板の厚みの50%が含浸されていた。
【0027】(実施例3)フェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂を使用して製造された厚さ3mmのベニヤ合板に
ついてJIS−A−5905に準拠してホルムアルデヒ
ド放出量を測定したところ、9.36mg/Lであっ
た。次いで、この合板の両面に、塗工量8g/m2の条
件で本発明のホルムアルデヒド捕捉剤の3倍水希釈液を
塗工した。塗工後乾燥し、ホルムアルデヒド放出量を測
定したところ、0.12mg/Lであった。60日後に
表裏0.6mmずつを研削してJIS−A−5905に
準拠してホルムアルデヒド放出量を測定したところ、
0.09mg/Lであった。ホルムアルデヒド減少率は
99.0%であり、充分な効果が認められた。また、実
施例1と同様に捕捉剤の含浸深さを調べたところ、板の
厚みの30%が含浸されていた。
【0028】(実施例4〜6)下記のホルムアルデヒド
捕捉剤を用いた以外は、実施例1〜3と同様にして実施
したところ、実施例1〜3と同様な結果が得られた。 ホルムアルデヒド捕捉剤 ・尿素 24% ・N,N−ジメチル尿素 1% ・アジピン酸ジヒドラジド 5% ・N,N−ジメチルヒドラジン 1% ・ベンジルアミン 1% ・トリエタノールアミン 0.5% ・ジ2−エチルヘキシルサクシネートスルホン酸ソーダ 1.2% ・リノールスルホン酸ソーダ 1% ・ポリ酢酸ビニルエマルジョン(固形分40%、市販品) 40% ・水 25.3% 合計 100%
【0029】(実施例7)下記のホルムアルデヒド捕捉
剤を用いた以外は、実施例1と同様にして実施したとこ
ろ、実施例1と同様な結果が得られた。 ホルムアルデヒド捕捉剤 ・尿素 25% ・アジピン酸ジヒドラジド 6% ・亜硫酸ソーダ 0.6% ・ジ2−エチルヘキシルサクシネートスルホン酸ソーダ 1.2% ・ポリ酢酸ビニルエマルジョン(固形分40%、市販品) 20% ・エポリエチレングリコール5000(市販品) 3.0% ・水 44.2% 合計 100%
【0030】(実施例8)下記のホルムアルデヒド捕捉
剤を用いた以外は、実施例1と同様にして実施したとこ
ろ、実施例1と同様な結果が得られた。 ホルムアルデヒド捕捉剤 ・尿素 25% ・アジピン酸ジヒドラジド 6% ・アスコルビン酸 1% ・ジ2−エチルヘキシルサクシネートスルホン酸ソーダ 1.2% ・メタクリル酸エチル−酢酸ビニルエマルジョン(固形分40%、 市販品) 35% ・水 31.8% 合計 100%
【0031】(実施例9)実施例1と同じMDF合板に
ついて、接着剤を硬化させるために高温加熱プレスした
後冷却し、70℃になった合板に対して、反り防止のた
めにシャワーする冷水中に、実施例7のホルムアルデヒ
ド捕捉剤の3倍水希釈液を1分間シャワーした。その
後、乾燥させたところ合板の表面には薄い樹脂被膜が形
成されていた。この処理板を2分割し、一方はそのまま
とし、他方は塗装後2日目に合板の表裏0.3mmずつ
を研削した。次に未処理の合板(A)、未研磨の処理合
板(B)および研磨した処理合板(C)について、実施
例1と同様にホルムアルデヒド放出量を測定したとこ
ろ、下記表の結果が得られた。
【0032】
【0033】
【発明の効果】本発明の効果は、特定の成分を組み合わ
せたホルムアルデヒド反応性物質を含有する水性組成物
に、さらに浸透剤および水性樹脂を含有させることで、
木質板中にホルムアルデヒド反応性物質が浸透して、よ
り確実にホルムアルデヒドの発生を防止することがで
き、かつ木質板の表面またはその近傍に樹脂被膜を形成
させることで、ホルムアルデヒドの発生が長期間充分に
抑制される木質板の処理方法および木質板を提供したこ
とにある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/20 C08K 5/20 5/21 5/21 5/24 5/24 C08L 101/12 C08L 101/12 C09K 3/00 C09K 3/00 S Fターム(参考) 2B230 AA21 BA01 BA04 CB10 CB12 CB25 EA08 EA20 EB01 EB05 EB13 2B250 AA01 CA11 FA33 FA46 GA03 HA01 4D020 AA08 BA16 BA19 BB07 CA02 CC30 4J002 AB031 AB041 AB051 BE021 BF021 BG011 BG041 BG051 BG071 BG131 BJ001 DE029 DF038 DG038 DG048 EL068 EL088 EN028 EN068 EN108 EP018 EQ027 ET016 GH02 GK00 HA04 HA07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全体を100重量%とした場合、下記の
    組成 尿素またはその誘導体 20〜50重量%; ヒドラジンまたはその誘導体 1〜15重量%; 非揮発性アミン、酸アミド、低級酸の塩および還元糖類からなる群から選ばれ る少なくとも1種 0.01〜10重量%; 浸透剤 0.1〜 7重量%; 水性樹脂(固形分) 0.1〜30重量%;および 水 残りの重量%; からなることを特徴とするホルムアルデヒド捕捉剤。
  2. 【請求項2】 水性樹脂が、被膜形成性水不溶性樹脂の
    エマルジョンであり、該エマルジョンの固形分が10〜
    50重量%である請求項1に記載のホルムアルデヒド捕
    捉剤。
  3. 【請求項3】 水性樹脂が、水溶性樹脂である請求項1
    に記載のホルムアルデヒド捕捉剤。
  4. 【請求項4】 ホルムアルデヒドを原料の1つとする接
    着剤を接着成分として含有する木質板に、請求項1〜3
    の何れか1項に記載のホルムアルデヒド捕捉剤またはそ
    の希釈液を含浸させ、かつ表面またはその近傍に樹脂被
    膜を形成することにより、残留ホルムアルデヒドまたは
    発生するホルムアルデヒドを捕捉することを特徴とする
    木質板の処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3の何れか1項に記載のホル
    ムアルデヒド捕捉剤またはその希釈液を、木質板の厚み
    の少なくとも30%の深さまで浸透させ、かつ表面また
    はその近傍に樹脂被膜を形成する請求項4に記載の木質
    板の処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3の何れか1項に記載のホル
    ムアルデヒド捕捉剤またはその希釈液を、木質板の厚み
    の少なくとも30%の深さまで浸透させ、かつ表面また
    はその近傍に樹脂被膜を形成してなることを特徴とする
    木質板。
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