JP2009031501A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合性材料の重合によって形成される表面層を有する電子写真感光体の表面粗面化方法として、形状均一性の良好な凹凸形状を感光体表面に形成する電子写真感光体の製造方法を提供する。
【解決手段】重合性材料を含有する表面層用塗布液を支持体に塗布する塗布工程および該重合性材料を重合させる重合工程とを経て製造される電子写真感光体の製造方法において、
該重合工程中に凹凸形状部を表面層塗膜の表面に形成する凹凸形状形成工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は電子写真感光体の製造方法に関する。
複写機、レーザープリンタ等の画像形成装置の分野で用いられる有機電子写真感光体(以下、感光体と称する)には、近年、画像形成装置の小型化に伴う感光体の小径化、画像出力スピードの高速化に伴う感光体の長寿命化の必要性から、高耐久性が要求されている。
感光体の高耐久化を実現するためには、第一に感光体表面の耐摩耗性と、第二に長期の繰返し使用における感光体の電位安定性とを向上させる必要がある。前者の耐摩耗性について、摩耗とは、クリーニング部材、トナー外添剤および放電といった感光体表面にかかる負荷によって感光体表面層が削れる現象を言う。摩耗によって感光体表面層の膜厚が減少すると、電界強度の上昇が進行して電位安定性の悪化が促進され、感光体の寿命が低減する要因となる。後者について、電位安定性とは、感光体の表面電位(帯電電位と露光部電位)の変化のことを言う。これらの電位安定性を損なうと、画像濃度低下やかぶりといった画像不良の発生に繋がり、出力画像としての寿命を早期に迎える要因となる。従って、感光体を高耐久化するにあたっては、上記二つの課題を同時に解決することが重要である。併せて、長期使用において感光体表面が、ブレードやブラシを用いたクリーニング手段によって、感光体表面上の不要物が適切に除去される能力(以下、クリーニング性と称する)を持続することも重要である。
耐摩耗性を向上させる手段としては、感光体の最表面に硬化性樹脂を主成分とする硬化表面層を形成する方法が有効である(特許文献1)。特許文献2には、置換ヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物を主成分として熱硬化により表面層を形成する方法が開示されている。特許文献3には、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を主成分として紫外線硬化により表面層を形成する方法が開示されている。特許文献4には、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を主成分として電子線硬化により表面層を形成する方法が開示されている。特許文献2〜4を含むいずれの硬化手段においても、良好な耐摩耗性を有する感光体を得ることができる。
しかし、耐摩耗性が良好な表面層は、摩耗しやすい表面層に比べて、クリーニング性が悪いという特徴を有する場合が多い。この理由としては、摩耗しやすい表面層を有する感光体を使用する場合には、クリーニングあるいはその他の研磨作用によって、感光体表面層が摩耗しながらクリーニングされていることに起因するものと考えられている。しかしながら、耐摩耗性が向上した表面層を使用した場合には、この効果が発現しにくくなることでクリーニング性が悪くなったと推察される。特に近年では、小粒径化されたトナーや、形状が球形に近い球形トナーが高画質化のために使用され始めており、クリーニング性がますます厳しくなっている現状にある。
そこで、クリーニング性を改善するために、各種機能剤やフィラーを表面層に添加する方法が試みられている。特許文献5には、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを表面層に添加する方法が開示されている。この方法では、表面エネルギー低減およびクリーニング性向上の効果は発揮するものの、表面層の硬化反応そのものがこの添加剤によって阻害されてしまい、耐摩耗性を著しく損なってしまう欠点がある。特許文献6には、反応性の官能基を有する各種添加剤を表面層に含有させる方法が開示されている。この方法では、添加剤の効果と耐摩耗性の維持が達成されているものの、反応性官能基を有する正孔輸送性化合物と合わせて使用した場合に、添加剤を使用しなかったときと比較して電荷移動度がやや遅くなるという欠点がある。このため、近年の画像出力スピードの速い画像形成装置に搭載する感光体としては、長期の繰返し使用における電位安定性に不利であることは否めず、課題を残している。特許文献7には、架橋型電荷輸送層にフィラーを分散させる方法が開示されている。この方法では、耐摩耗性は良好ではあるものの、フィラー添加によって表面層に傷が入りやすく、スジ状の画像欠陥の発生を招いたり、残留電位が上昇することによる画像濃度低下が発生しやすく、長期の繰返し使用において課題を有している。上述のように、耐摩耗性と電位安定性を高い次元で維持したうえで、クリーニング性を向上させることは難しい状況にある。
耐摩耗性とクリーニング性を両立させる提案として、感光体表面を粗面化することにより、クリーニング性を向上させる方法が試みられている。特許文献8には、フィルム状あるいはブラシ状の研磨材を感光体表面と摺擦させることによって表面を粗面化する方法が開示されている。特許文献9には、感光体表面に研磨粒子を衝突させることによって表面を粗面化する方法が開示されている。特許文献10には、表面に凹凸形状を有するタッチロールあるいはスタンパといった加圧部材を感光体表面に加圧接触させて凹凸形状を転写することによって粗面化する方法が開示されている。
特開昭53−103741号公報 特開2003−246771号公報 特開2004−302450号公報 特開2000−066425号公報 特開2004−011714号公報 特開2001−166510号公報 特開平4−281461号公報 特開2004−279967号公報 特開2006−267856号公報 特開2001−066814号公報
しかしながら、特許文献8に開示されている方法では、表面処理時に削れ粉およびささくれ状の表面層断片が表面層上に残留しやすく、これらが原因で長期の繰り返し使用において感光体表面上に深い傷を誘発させてスジ状画像欠陥を発生させることがある。また、特許文献9に開示されている方法では、削れ粉やささくれ断片といった欠陥物は発生しにくいが、硬化表面層にこの方法を適用した場合には、研磨粒子を高圧で噴き付ける必要がある。高圧での噴きつけでは強い衝撃により、研磨粒子および感光体に大きな負荷がかかるため、研磨粒子の破壊が起きやすくなり表面層の粗面状態の均一性が損なわれる可能性がある。また、表面層あるいは感光体を構成するその他の層が、部分的に剥がれたりひび割れが発生するといった欠陥が起こる可能性がある。従って、このような欠陥を抑制してかつ十分な粗面化を達成するための粗面化条件の設計が難しく、生産性の観点から改善が望まれている。また、特許文献10に開示されている方法では、長期使用において良好な離型性を維持できており、クリーニング性の向上が期待される。しかし、硬化表面層に特許文献10の加工を適用する場合には、十分な形状転写を達成するために高温かつ高圧での加圧接触が必要となる場合がある。高温で加工すると感光体構成材料が熱による劣化を受けて、感光体の電位安定性が悪化する傾向がある。さらに、高圧での加工は感光体支持体および加圧部材に歪みが生じることが原因と推察されるが、感光体表面における形状転写の均一性が損ないやすくなる懸念がある。以上の欠点から、特許文献10に開示される粗面化方法を硬化表面層に適用した場合においては、温度と圧力を軽減できるような改善がなされることが望ましい。
従って、本発明の課題は、重合性材料の重合によって形成される表面層を粗面化するに際し、粗面化時に感光体にかかる熱負荷および圧力を低減することにより、形状均一性が良好な凹凸形状形成を行うことができる電子写真感光体の製造方法を提供することである。
本発明は、重合性材料を含有する表面層用塗布液を支持体に塗布する塗布工程および該重合性材料を重合させる重合工程とを経て製造される電子写真感光体の製造方法において、
該重合工程中に凹凸形状部を表面層塗膜の表面に形成する凹凸形状形成工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明によれば、重合性材料を含有する表面層用塗布液を支持体に塗布する塗布工程および該重合性材料を重合させる重合工程とを経て製造される電子写真感光体の製造方法において、
該重合工程中に凹凸形状部を表面層塗膜の表面に形成する凹凸形状形成工程を有することによって、表面層の粗面化時に感光体にかかる熱負荷および圧力を低減でき、形状均一性が良好な凹凸形状形成を行うことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、前述のとおり、重合性材料を含有する表面層用塗布液を支持体に塗布する塗布工程および該重合性材料を重合させる重合工程とを経て製造される電子写真感光体の製造方法において、
該重合工程中に凹凸形状部を表面層塗膜の表面に形成する凹凸形状形成工程を有することを特徴とする。
まず、表面層用塗布液を支持体に塗布する塗布工程について説明する。
本発明における表面層とは、感光体の導電性支持体上に形成される層のうち、導電性支持体から最も遠くに位置する層を示す。例えば、導電性支持体側から導電層、中間層、電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した感光体の場合には、表面層は電荷輸送層を指す。電荷輸送層上にさらに保護層を有する場合には、表面層は保護層を指す。
本発明における表面層用塗布液とは、表面層を構成するための重合性材料を含有する塗布液を示す。表面層用塗布液には重合性材料以外に、溶剤、フィラー、樹脂微粒子、結着樹脂、電荷輸送物質、重合開始剤、酸化防止剤、耐光安定剤および離型性材料を必要に応じて含有させてもよい。また表面層塗布液中には、重合性材料を複数種類含有させてもよい。
本発明における塗布工程とは、支持体上に表面層塗膜を形成する工程を示す。表面層塗膜は、浸漬塗布法、スプレー塗布法、カーテン塗布法およびスピン塗布法のような塗工法によって支持体上に表面層塗布液を塗布し、その後、表面層塗布液中に存在する溶剤あるいは揮発成分を揮発させることによって形成される。塗工法としては、感光体を効率良く大量に生産できる浸漬塗布法が好ましい。揮発させる方法としては、溶剤あるいは揮発成分の沸点付近あるいは沸点以下の温度に設定した乾燥機中で加熱する方法、あるいは常温で静置する方法が挙げられる。揮発時には、表面層塗膜中の重合性材料の重合を起こさないことが好ましく、従って、揮発時の表面層塗膜の温度は重合性材料の重合反応が起こる温度よりも低く設定されることが好ましい。
次に、重合性材料について説明する。
本発明における重合性材料とは、縮合、重合あるいは架橋反応を起こして硬化する化合物を示す。重合性材料は重合可能な材料であれば任意であるが、重合性官能基を有する化合物であること、フェノール誘導体であることおよびアルコキシシラン誘導体の少なくともいずれかであることが好ましい。
前記重合性官能基を有する化合物が有する重合性官能基としては、重合可能な官能基はいずれの場合にも適応可能であるが、中でも反応性が良好なアクリル基、ビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。これらの重合性官能基は、重合性を著しく阻害しない範囲で置換基を有してもよい。有してもよい置換基としては、アルキル基、アリール基またはフルオロアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはイソプロピル基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基またはナフチル基であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
さらに、前記重合性官能基を有する化合物としては、重合性官能基を有する高分子化合物であることが好ましい。前記重合性官能基を有する高分子化合物としては、前記重合性官能基を有する樹脂であることが好ましい。重合性官能基を有する樹脂としては、以下のものが挙げられる。アクリル樹脂。スチレン樹脂。ポリエステル樹脂。ポリカーボネート樹脂。ポリアリレート樹脂。ポリサルホン樹脂。ポリフェニレンオキシド樹脂。エポキシ樹脂。ポリウレタン樹脂。アルキド樹脂。不飽和樹脂。特には、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂またはポリアリレート樹脂であることが好ましい。
前記重合性官能基を有する高分子化合物の構造単位の例を下記式(1)
に示す。
上記式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはフルオロアルキル基を示す。Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子または下記式(1−a)
で示される二価の基であることを示す。
上記式(1−a)中、RおよびR10は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、フルオロアルキル基またはRとR10が結合することによる環構造を有する基を示す。
さらに、上記式(1)および上記式(1−a)中に記載のR〜R10の少なくともいずれか1つは、前記重合性官能基であることを示す。
上記式(1)中のR〜Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基またはノナフルオロブチル基が挙げられるが、トリフルオロメチル基であることが好ましい。これらの中でも、メチル基、エチル基またはフェニル基であることが好ましい。
上記式(1−a)中のR〜R10で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基またはノナフルオロブチル基が挙げられるが、トリフルオロメチル基であることが好ましい。これらの中でも、メチル基、エチル基またはフェニル基であることが好ましい。RとR10が結合することによる環構造を有する基としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレン基またはシクロオクチレン基が挙げられるが、シクロへキシレン基であることが好ましい。
上記式(1)および上記式(1−a)中に記載のR〜R10の少なくともいずれか1つは重合性官能基であるが、中でも、アクリル基、ビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。さらには、ビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。
また、前記重合性官能基を有する高分子化合物の構造単位の例を下記式(2)
に示す。
上記式(2)中、R11〜R18は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはフルオロアルキル基を示す。Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子または下記式(2−a)
で示される二価の基であることを示す。Yは、二価の有機基であることを示す。
上記式(2−a)中、R19およびR20は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、フルオロアルキル基またはR19とR20が結合することに環構造を有する基を示す。
さらに、上記式(2)および上記式(2−a)中に記載のR11〜R20の少なくともいずれか1つは前記重合性官能基であることを示す。
上記式(2)中のR11〜R18で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基またはノナフルオロブチル基が挙げられるが、トリフルオロメチル基であることが好ましい。これらの中でも、メチル基、エチル基またはフェニル基であることが好ましい。
上記式(2−a)中のR19〜R20で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基またはノナフルオロブチル基が挙げられるが、トリフルオロメチル基であることが好ましい。これらの中でも、メチル基、エチル基またはフェニル基であることが好ましい。R19とR20が結合することによる環構造を有する基としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレン基またはシクロオクチレン基が挙げられるが、シクロへキシレン基であることが好ましい。
上記式(2)中のYは、二価の有機基を示す。二価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキレン基または置換基を有してもよいアリーレン基が挙げられる。置換基を有してもよいアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基またはヘキシレン基が挙げられる。中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基が好ましい。置換基を有してもよいアリーレン基としては、下記式(2−b−1)〜(2−b−3)
で示される構造が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキレン基または置換基を有してもよいアリーレン基が有する置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、フルオロアルキル基または重合性官能基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基またはノナフルオロブチル基が挙げられるが、トリフルオロメチル基であることが好ましい。重合性官能基としては、アクリル基、ビニル基またはエポキシ基が挙げられるが、中でもビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。
上記式(2)および上記式(2−a)中に記載のR11〜R20の少なくともいずれか1つは重合性官能基であるが、中でも、アクリル基、ビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。
次に、前記重合性官能基を有する高分子化合物の具体的な構造単位の例を示すが、これらに限定はされない。
前記重合性官能基を有する高分子化合物は、重合性官能基を有さない構造単位と共重合させてもよい。
重合性官能基を有する高分子化合物は、重合性官能基を有する構造単位と重合性官能基を有さない構造単位との共重合が可能である。その場合の共重合比は、重合性官能基を有する構造単位が、高分子の全構造単位中に30モル%以上含有されることが好ましい。さらには、重合性官能基を有する構造単位が高分子の全構造単位中に50モル%以上含有されることが好ましい。
重合性官能基を有する高分子化合物の分子量は任意であるが、重量平均分子量(Mw)において、5,000以上300,000以下であることが感光体の塗工性が良好である点で好ましい。さらに、10,000以上200,000以下であることが好ましい。
本発明において、樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定されたものである。
すなわち、測定対象樹脂をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象樹脂とテトラヒドロフランとよく混合し(測定対象樹脂の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置した。
その後、東ソー(株)製のサンプル処理フィルターマイショリディスクH−25−5を通過させたものをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とした。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、GPC用試料を10μl注入して、測定対象樹脂の重量平均分子量を測定した。カラムには、東ソー(株)製のカラムTSKgel SuperHM−Mを用いた。
測定対象樹脂の重量平均分子量の測定にあたっては、測定対象樹脂が有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が以下の10点のものを用いた。3,500。12,000。40,000。75,000。98,000。120,000。240,000。500,000。800,000。1,800,000。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
また、前記重合性官能基を有する化合物としては、アリールアミン誘導体であることが好ましい。本発明における重合性官能基を有するアリールアミン誘導体とは、少なくとも1つの重合性官能基を有するアリール基を有するアミン化合物であることを示す。本発明における重合性官能基を有するアリールアミン誘導体を下記式(3)
に示す。
上記式(3)中、R51〜R55は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはフルオロアルキル基を示す。ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有しても良いアルキル基または置換基を有しても良いアリール基を示す。ただし、R51〜R55の少なくともいずれか1つは、下記式(3−a)
で示される構造であることを示す。
上記式(3−a)中、Zは、単結合、酸素原子、硫黄原子または二価の有機基であることを示し、Aは、重合性官能基であることを示す。
上記式(3)中のR51〜R55で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。これらの中でも、メチル基、エチル基またはフェニル基であることが好ましい。
上記式(3)中のArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有しても良いアルキル基または置換基を有しても良いアリール基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。これらが有しても良い置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基または重合性官能基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アミノ基としては、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基またはジアリールアミノ基が挙げられるが、ジアリールアミノ基であること好ましい。重合性官能基としては、アクリル基、ビニル基またはエポキシ基が挙げられるが、中でもアクリル基またはビニル基であることが好ましい。これら重合性官能基は、置換基を有しても良いアルキル基または置換基を有しても良いアリール基に対し、アルキレン基を介して結合しても良い。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基が挙げられるが、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。
上記式(3−a)中のZは、単結合、酸素原子、硫黄原子または二価の有機基であることを示す。二価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキレン基または置換基を有してもよいアリーレン基が挙げられる。置換基を有してもよいアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基またはヘキシレン基が挙げられる。中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基が好ましい。置換基を有してもよいアリーレン基としては、フェニレン基またはナフチレン基が挙げられるが、フェニレン基であることが好ましい。置換基を有してもよいアルキレン基または置換基を有してもよいアリーレン基の有する置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、フルオロアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基またはノナフルオロブチル基が挙げられるが、トリフルオロメチル基であることが好ましい。
上記式(3−a)中のAは、重合性官能基であることを示す。重合性官能基としては、アクリル基、ビニル基またはエポキシ基が挙げられるが、中でもアクリル基またはビニル基であることが好ましい。
以下に、重合性官能基を有するアリールアミン誘導体の具体的な例を示すが、これらに限定はされない。
また、本発明において重合可能な材料として、フェノール誘導体であることが好ましい。本発明におけるフェノール誘導体とは、重合工程後、フェノール樹脂となる原料を示す。フェノール誘導体は、重合モノマーであっても、フェノール部位が繰り返されるオリゴマーであってもよいし、複数の原料を組み合わせてもよい。
本発明におけるフェノール誘導体は、下記式(4)
で示される構造を有する。
上記式(4)中のR61〜R65は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、置換基を有してもよいアミノ基、水酸基または重合性官能基を示す。
上記式(4)中のR61〜R65で示される置換基を有してもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基または下記式(4−a)
で示される基が挙げられるが、メチル基、エチル基または上記式(4−a)で示される基であることが好ましい。さらには、上記式(4)中のR61あるいはR65の少なくともいずれか1つが上記式(4−a)で示される基であることが特に好ましい。置換基を有してもよいアリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基またはノナフルオロブチル基が挙げられるが、トリフルオロメチル基であることが好ましい。置換基を有してもよいアミノ基としては、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基またはジアリールアミノ基が挙げられるが、ジアリールアミノ基であること好ましい。重合性官能基としては、アクリル基、ビニル基またはエポキシ基が挙げられるが、中でもビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。これら重合性官能基は、アルキレン基を介して結合しても良い。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基が挙げられるが、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。
上記式(4)中のR61〜R65で示される置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいアミノ基が有する置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基または重合性官能基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アミノ基としては、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基が挙げられるが、ジアリールアミノ基であること好ましい。重合性官能基としては、アクリル基、ビニル基またはエポキシ基が挙げられるが、中でもビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。これら重合性官能基は、アルキレン基を介して結合しても良い。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基が挙げられるが、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。
次に、本発明におけるフェノール誘導体の構造の例を示すが、これらに限定はされない。
また、本発明において重合可能な材料として、アルコキシシラン誘導体であることが好ましい。本発明におけるアルコキシシラン誘導体とは、加水分解による重合が可能なケイ素原子含有化合物であることを示し、アルコシキ基を少なくとも1つ以上置換基に有するケイ素原子化合物であることを示す。アルコキシシラン誘導体は、重合モノマーであっても、重合可能な置換基を有するケイ素原子を複数個有するオリゴマーであってもよいし、複数の原料を組み合わせてもよい。
本発明におけるアルコキシシラン誘導体はアルコキシ基を少なくとも1つ有する。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基およびエトキシ基であることが好ましい。
本発明におけるアルコキシシラン誘導体の構造を下記式(5)
で示す。
上記式(5)中のR71〜R74は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、アルコシキ基、フルオロアルキル基、水酸基、ハロゲン原子および重合性官能基を示す。但し、R71〜R74のうち少なくとも1つはアルコシキ基である。
上記式(5)中のR71〜R74で示される置換基を有してもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基が挙げられるが、メチル基、エチル基で示される基であることが好ましい。置換基を有してもよいアリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基およびエトキシ基であることが好ましい。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基またはノナフルオロブチル基が挙げられるが、トリフルオロメチル基であることが好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子および臭素原子が挙げられるが、塩素原子であることが好ましい。重合性官能基としては、アクリル基、ビニル基またはエポキシ基が挙げられるが、中でもビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。これら重合性官能基は、アルキレン基を介して結合しても良い。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基が挙げられるが、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。
上記式(5)中のR71〜R74で示される置換基を有してもよいアルキル基および置換基を有してもよいアリール基が有する置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基または重合性官能基が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が挙げられるが、メチル基またはエチル基であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基またはナフチル基が挙げられるが、フェニル基であることが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が挙げられるが、メトキシ基であることが好ましい。アミノ基としては、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基が挙げられるが、ジアリールアミノ基であること好ましい。重合性官能基としては、アクリル基、ビニル基またはエポキシ基が挙げられるが、中でもビニル基またはエポキシ基であることが好ましい。これら重合性官能基は、アルキレン基を介して結合しても良い。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基が挙げられるが、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。
次に、本発明におけるアルコキシシラン誘導体の構造の例を示すが、これらに限定はされない。
次に、重合工程について説明する。
本発明における重合工程とは、重合性材料の縮合、重合あるいは架橋反応(以下、縮合、重合、架橋反応をまとめて重合と記す)を起こすためのエネルギーを表面層塗膜に付与する工程を示す。使用できるエネルギーとしては、重合性材料の性質によって適宜選択する必要があるが、熱、光および放射線より選択されることが好ましい。
熱エネルギーを使用する重合工程について説明する。
表面層塗膜に熱エネルギーを付与する方法としては、重合性材料の重合が表面層塗膜上で均一に進行する方法であれば特に制約はない。方法として、高温雰囲気中で感光体を加熱する方法、電磁誘導により感光体を発熱させる方法および熱線を照射して感光体を加熱する方法が挙げられる。高温雰囲気中で感光体を加熱する方法としては、高温乾燥機を用いることが挙げられる。電磁誘導により感光体を発熱させる方法としては、IH(Induction Heating)ヒータを用いることが挙げられる。熱線を照射して感光体を加熱する方法としては、赤外線を用いることが挙げられる。いずれの方法においても、重合性材料の重合を起こすために、重合が起こる温度以上に感光体の表面層塗膜を加熱することが必要である。注意が必要な点として、加熱温度が高いあるいは加熱時間が長い条件下に感光体が曝されると、電子写真感光体としての残電や電位安定性などの電気的特性を損なうことがある。従って、熱エネルギーを付与する重合工程においては、重合反応が積極的に起こる温度以上の余分な温度を感光体に付与しないことが重要である。
光エネルギーを使用する重合工程について説明する。
表面層塗膜に光エネルギーを付与する方法としては、水銀灯やメタルハライドランプのような光源を用いて表面層塗膜に紫外線を照射する方法が挙げられる。紫外線照射の手順としては、重合性材料の重合が表面層塗膜上で均一に進行する手順であれば特に制約はない。方法として、表面層塗膜を有する支持体をその円筒軸周方向に回転させながら紫外線を照射する方法、前記支持体を回転させずに光源を回転させながら照射する方法および前記支持体を複数の光源から照射する方法が挙げられる。いずれの方法においても光源が、表面層塗膜上を走査しながら照射してもよい。
放射線エネルギーを使用する重合工程について説明する。
表面層塗膜に放射線エネルギーを付与する方法としては、カーテン型や走査型の方式による電子線照射装置を用いて電子線を感光体に照射する方法が挙げられる。電子線照射の手順としては、紫外線照射と同様に、重合性材料の重合が表面層塗膜上で均一に進行する方法であれば特に制約はない。方法として、表面層塗膜を有する支持体がその円筒軸周方向に回転させながら照射する方法、前記支持体を回転させずに線源を回転させながら照射する方法および前記支持体を複数の線源から照射する方法が挙げられる。いずれの方法においても線源が、表面層塗膜上を走査しながら照射してもよい。
上述の各種のエネルギーを使用する重合工程において、重合の反応性を高めるため、および紫外線および電子線を使用する場合には照射に伴うオゾンの発生量を低減するために、低酸素濃度雰囲気下で重合を行うことが好ましい。酸素濃度を低くする方法としては、空気を窒素やアルゴンなどの不活性ガスに置換する方法が挙げられる。また、装置内を減圧することにより、酸素量を低下する方法も挙げられる。
重合工程において、重合の反応性を高める必要性に応じて、上述の熱、光および放射線のエネルギーを適宜組み合わせて使用することが可能である。組み合わせて使用する方法の例として、電子線によってアクリル基を有する重合性材料を重合させる際においては、電子線を照射する段階が本発明における重合工程を示すが、さらに、以下の加熱する段階も本発明で述べる重合工程を示す。すなわち、電子線照射段階の後に不活性ガス雰囲気下のまま引き続いて、電子線照射を受けた表面層塗膜を加熱する段階を設けた場合、電子線照射段階だけでなく、電子線照射後の不活性ガス雰囲気下における加熱段階も本発明で述べる重合工程を示す。
上述の重合工程、特に熱や紫外線を使用する重合工程においては、表面層用塗布液に重合開始剤やpH調整剤のような反応促進剤を含有させて、重合の反応性を促進させてもよい。本発明における重合開始剤とは、熱あるいは紫外線を付与すると、ラジカルを発生する化合物を示す。具体的には、以下のものが挙げられる。p−メトキシ過酸化ベンゾイル。m,m’−ジメトキシ過酸化ベンゾイル。2,2’−アゾビスイソブチルニトリル。2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルエステルまたは4,4’−アゾビス−4−シアノヘプタン酸。ベンゾフェノン。ミヒラーケトン。チオキサントン。ベンゾインブチルエーテル。アシロキシムエステル。ジベンゾスロベン。また、本発明におけるpH調整剤とは、表面層塗膜のpHを所望の域に維持するための化合物や溶剤を示す。具体的には酢酸、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、水酸化ナトリウムが挙げられる。
凹凸形状部を表面層塗膜の表面に形成する凹凸形状形成工程について説明する。
本発明における凹凸形状部とは、表面層塗膜の表面を粗面化した後の表面層の粗面部を示す。また、凹凸形状形成工程とは、表面層塗膜の表面に凹凸形状部を形成させる働きを感光体に付与している状態をいう。感光体表面に凹凸形状を形成する手段としては、凹凸形状の形の選択肢が幅広いという観点から、凹凸形状を有するモールドを加圧接触させることにより、凹凸形状を表面層塗膜の表面に形成する方法であることが好ましい。
凹凸形状を有するモールドを加圧接触させることにより、凹凸形状を表面層塗膜の表面に形成する方法の使用例を以下に挙げる。図1に示すような、加圧部材Aに所定の凹凸形状を有するモールドBを取り付けて、円筒状支持体Cに対して所定の圧力をかけることにより、凹凸形状を転写する方法がある。また、図2に示すような、モールドBを具備するロール状の加圧部材Aを、円筒状支持体Cに対して所定の圧力をかけ、加圧部材Aと円筒状支持体Cとを回転させながら凹凸形状を転写する方法がある。さらに、図3に示すような、シート状のモールドBをロール状の加圧部材Aと円筒状支持体Cとの間に挟み、モールドを移送しながら凹凸形状を転写する方法がある。上述のいずれの方法においても、加圧部材Aの内部に円筒状支持体Cを加熱できる加熱手段を具備してもよく、また、円筒状支持体Cを加熱する手段を円筒状支持体Cの近辺に別途設けてもよい。これらの加熱手段としては、セラミックヒータ、赤外線ヒータ、ハロゲンヒータ、カートリッジヒータ、電磁誘導加熱ヒータが挙げられる。また、加圧部材Aの内部に円筒状支持体Cを冷却できる冷却手段を具備してもよく、円筒状支持体Cを冷却する手段を円筒状支持体Cの近辺に別途設けてもよい。冷却手段としては、水冷および各種ガスによる空冷が挙げられる。また、凹凸形状形成工程において、モールドを表面層塗膜の表面に加圧接触させているときのモールドの温度は一定としなくてもよい。方法としては、凹凸形状形成工程の始まりから終わりにかけて加圧部材Aあるいは円筒状支持体Cの温度を徐々に上げていく方法、その後さらに引き続いて冷却する方法がある。
モールド自体の材質、大きさ、形状、光あるいは放射線に対する透過性は適宜選択することができる。モールドの材質としては、金属やガラスやシリコンウエハーの表面にレジストによりパターニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルムまたは所定の微細表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングされたものが好ましい。モールドの凹凸形状(以下、モールド形状と称する)の一例を、図4および図5に示す。図4において、(1)は上から見た、モールド形状を示し、(2)は横から見た、モールド形状を示す図である。また、図5において、(1)は上から見た、モールド形状を示し、(2)は横から見た、モールド形状を示す図である。
凹凸形状形成工程において、モールドを表面層塗膜の表面に加圧させるときの圧力は、使用される電子写真感光体の材料や層構成、使用されるモールドのパターン形状や温度に対して適宜調整される。圧力の測定は市販の感圧シートを用いればよい。
また、凹凸形状形成工程の施行中においては、モールドを表面層塗膜の表面に加圧接触させているときの圧力は一定としなくてもよい。方法としては、凹凸形状形成工程の始まりから終わりにかけて圧力を徐々に上げていく方法、あるいは、凹凸形状形成工程の始まりから終わりにかけてモールド形状の幅や深さ(高さ)が徐々に変化するようなモールドを用いる方法がある。
また、感光体に対して圧力の均一性を付与する目的で、モールドと加圧部材との間にゴムなどの弾性体を設けてもよい。
重合工程中に上述の凹凸形状形成工程を有することによる製造方法上の利点として、重合性材料の重合後に凹凸形状形成を行う場合と比べて、温度および圧力を低減して加工することができることが挙げられる。さらにこの低減効果によるものと推察されるが、高い均一性を有する凹凸形状を表面層表面に形成することができることが挙げられる。
本発明の電子写真感光体の製造方法により製造された電子写真感光体の表面の、凹凸形状について説明する。
前記電子写真感光体表面の凹形状としては、感光体表面の観察では、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状あるいは直線および曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形、五角形あるいは六角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、円形状あるいは楕円形状が挙げられる。直線および曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形、角の円い六角形あるいは扇形が挙げられる。また、本発明における電子写真感光体の表面の凹形状は、感光体断面の観察では、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状あるいは直線および曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形あるいは五角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、部分円形状あるいは部分楕円形状が挙げられる。直線および曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形あるいは扇形が挙げられる。前記電子写真感光体表面の凹形状の具体例としては、図6乃至図12(凹形状の形状例(表面))および図13乃至19(凹形状の形状例(断面)))で示される凹形状が挙げられる。前記電子写真感光体表面の凹形状は、個々に異なる形状、大きさあるいは深さを有してもよく、また、すべての凹形状が同一の形状、大きさあるいは深さであってもよい。さらに、前記電子写真感光体表面は、個々に異なる形状、大きさあるいは深さを有する凹形状と、同一の形状、大きさあるいは深さを有する凹形状が組み合わされた表面であってもよい。また、これらの形状が、重複部分を有しても、相互に重なり合ってもよい。
また、前記電子写真感光体表面の凹形状の大きさについて説明する。前記凹形状の指標として長軸径(L1)を用いる。前記長軸径(L1)とは、各凹形状部の開孔部を横切る直線のうち、最大となる直線の長さを示す。具体的には、図6乃至図12中の長軸径(L1)および図13乃至図19中の長軸径(L1)で示されているように、前記電子写真感光体表面における凹形状の開孔部周囲の表面を基準とし、各凹形状における表面開孔部の最大長さを示す。例えば、凹形状の表面形状が円状の場合は直径を示し、表面形状が楕円状の場合は長径を示し、表面形状が四角形の場合は対角線のうち長い対角線を示す。前記電子写真感光体表面における凹形状の長軸径(L1)は、任意であるが、0.5μm以上80μm以下であることが好ましい。さらには、1μm以上40μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
また、前記電子写真感光体表面の凹形状の深さについて説明する。前記凹形状の指標として深さ(D)を用いる。前記深さ(D)とは、各凹形状の最深部と開孔面との距離を示す。具体的には、図13乃至図19中の深さ(D)で示されているように、前記電子写真感光体表面における凹形状の開孔部周囲の表面を基準とし、凹形状の最深部と開孔面との距離を示す。前記電子写真感光体表面における凹形状の深さ(D)は、任意であるが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。さらには、0.3μm以上7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
また、前記電子写真感光体表面の凹形状は、感光体表面の凹形状が形成されている領域が、感光体表面の全域であってもよいし、表面の一部分に形成されていてもよいが、表面全域に凹形状が形成されていることが好ましい。また、前記電子写真感光体表面の凹形状は、前記電子写真感光体表面の100μm四方中に1個以上70,000個以下有することが好ましい。さらには、100個以上50,000個以下有することが好ましい。なお、上記の100μm四方の領域は、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定している。
前記電子写真感光体表面の凸形状としては、感光体表面の観察では、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状あるいは直線および曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形、五角形あるいは六角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、円形状あるいは楕円形状が挙げられる。直線および曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形、角の円い六角形あるいは扇形が挙げられる。また、本発明における電子写真感光体の表面の凸形状は、感光体断面の観察では、例えば、直線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形あるいは五角形が挙げられる。前記電子写真感光体表面の凸形状の具体例としては、図20乃至図26(凸形状の形状例(表面))および図27乃至31(凸形状の形状例(断面))で示される凸形状が挙げられる。前記電子写真感光体表面の凸形状は、個々に異なる形状、大きさあるいは高さを有してもよく、また、すべての凸形状が同一の形状、大きさあるいは高さであってもよい。さらに、前記電子写真感光体表面は、個々に異なる形状、大きさあるいは高さを有する凹形状と、同一の形状、大きさあるいは高さを有する凸形状が組み合わされた表面であってもよい。また、これらの形状が、重複部分を有しても、相互に重なり合ってもよい。
また、前記電子写真感光体表面の凸形状の大きさについて説明する。前記凸形状の指標として長軸径(L2)を用いる。前記長軸径(L2)とは、各凸形状部の周囲の表面を基準とし、各凸形状と周囲の表面とが接する部位の最大長さを示す。具体的には、図20乃至図26中の長軸径(L2)および図27乃至図31中の長軸径(L2)で示されている長さであることを示す。例えば、凸形状の表面形状が円状の場合は直径を示し、表面形状が楕円状の場合は長径を示し、表面形状が四角形の場合は対角線のうち長い対角線を示す。前記電子写真感光体表面における凸形状の長軸径(L2)は、任意であるが、0.5μm以上40μm以下であることが好ましい。さらには、1μm以上20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。
また、前記電子写真感光体表面の凹形状の高さについて説明する。前記凹形状の指標として高さ(H)を用いる。前記高さ(H)とは、各凸形状の最頂部と周囲の表面との距離を示す。具体的には、図27乃至図31中の高さ(H)で示されている距離を示す。前記電子写真感光体表面における凸形状の高さ(H)は、任意であるが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。さらには、0.3μm以上7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
また、前記電子写真感光体表面の凸形状は、感光体表面の凸形状が形成されている領域は、感光体表面の全域であってもよいし、表面の一部分に形成されていてもよいが、表面全域に凸形状が形成されていることが好ましい。また、前記電子写真感光体表面の凸形状は、前記電子写真感光体表面の100μm四方中に1個以上70,000個以下有することが好ましい。さらには、100個以上50,000個以下有することが好ましい。なお、上記の100μm四方の領域は、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定している。
前記電子写真感光体表面の凹凸形状は、例えば、市販のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡あるいは原子力間顕微鏡を用いて測定可能である。
レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000および超深度形状測定顕微鏡VK−9500(いずれも(株)キーエンス製)。表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機((株)菱化システム製)。走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000(オリンパス(株)製)。リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130(レーザーテック(株)製)。
光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。デジタルマイクロスコープVHX−500およびデジタルマイクロスコープVHX−200(いずれも(株)キーエンス製)。3DデジタルマイクロスコープVC−7700(オムロン(株)製)。
電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800および3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(いずれも(株)キーエンス製)。走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)。走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550((株)島津製作所製)。
原子力間顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000((株)キーエンス製)。走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)。走査型プローブ顕微鏡SPM−9600((株)島津製作所製)。
上記顕微鏡を用いて、所定の倍率により、測定視野内の凹凸形状の長軸径、深さおよび高さを計測することができる。
一例として、Surface Explorer SX−520DR型機による解析プログラムを利用した測定例について説明する。測定対象の電子写真感光体をワーク置き台に設置し、チルト調整して水平を合わせ、ウェーブモードで電子写真感光体の周面の3次元形状データを取り込む。その際、対物レンズの倍率を50倍とし、100μm×100μm(10000μm)の視野観察としてもよい。この方法で、測定対象の感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定する。
次に、データ解析ソフト中の粒子解析プログラムを用いて電子写真感光体の表面の等高線データを表示する。
凹凸形状の形状、長軸径、深さおよび高さのような凹凸形状の解析パラメーターは、形成された凹凸形状によって各々最適化することができる。例えば、長軸径10μm程度の凹凸形状の観察および測定を行なう場合、長軸径上限を15μm、長軸径下限を1μm、深さ下限を0.1μmおよび体積下限を1μm3以上としてもよい。そして、解析画面上で凹凸形状と判別できる凹凸形状の個数をカウントし、これを凹凸形状の個数とする。
なお、凹凸形状の長軸径が1μm程度以下の凹凸形状については、レーザー顕微鏡および光学顕微鏡による観察が可能であるが、より測定精度を高める場合には、電子顕微鏡による観察および測定を併用することが望ましい。
次に、本発明による電子写真感光体の構成について説明する。
上記のとおり、本発明による電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に設けられた有機感光層(以下、単に「感光層」ともいう。)とを有する。本発明による電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成した円筒状有機電子写真感光体が広く用いられる。また、形状形成時の圧力に対する抗力を与えることができる台座などの部材を設けることによって、ベルト状或いはシート状などの形状も可能である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質とを同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体は、電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であっても、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構造としてもよい。
支持体としては、前述のように、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスのような金属製の支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体や樹脂製支持体を用いることもできる。樹脂製支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレンまたはポリスチレン樹脂が挙げられる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子または銀粒子のような導電性粒子を樹脂や紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止などを目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
支持体の体積抵抗率は、支持体の表面が導電性を付与するために設けられた層である場合、その層の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。
支持体と、後述の中間層または感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。これは導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層である。
このような導電性粉体としては、以下のようなものが挙げられる。カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛または銀のような金属粉;導電性酸化スズまたはITOのような金属酸化物粉体。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、以下の熱可塑樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂樹脂が挙げられる。ポリスチレン。スチレン−アクリロニトリル共重合体。スチレン−ブタジエン共重合体。スチレン−無水マレイン酸共重合体。ポリエステル。ポリ塩化ビニル。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体。ポリ酢酸ビニル。ポリ塩化ビニリデン。ポリアリレート樹脂。フェノキシ樹脂。ポリカーボネート。酢酸セルロース樹脂。エチルセルロース樹脂。ポリビニルブチラール。ポリビニルホルマール。ポリビニルトルエン。ポリ−N−ビニルカルバゾール。アクリル樹脂。シリコーン樹脂。エポキシ樹脂。メラミン樹脂。ウレタン樹脂。フェノール樹脂。アルキッド樹脂。
導電層は、上記導電性粉体と結着樹脂を、以下の溶剤に分散し、または溶解し、これを塗布することにより形成することができる。テトラヒドロフランまたはエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル系溶剤。メタノールのようなアルコール系溶剤。メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤。トルエンのような芳香族炭化水素溶剤。導電層の平均膜厚は0.2μm以上40μm以上であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより一層好ましい。
支持体または導電層と、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、例えば、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。
中間層は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、あるいは、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸またはカゼインのような水溶性樹脂。ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリグルタミン酸エステル樹脂。電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性および抵抗のような観点から、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。中間層の平均膜厚は、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、さらには0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層中に、半導電性粒子を分散させる、あるいは、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
次に本発明における感光層について説明する。
本発明による電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ、ジスアゾまたはトリスアゾのようなアゾ顔料。金属フタロシアニンまたは非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料。インジゴまたはチオインジゴのようなインジゴ顔料。ペリレン酸無水物またはペリレン酸イミドのようなペリレン顔料。アンスラキノンまたはピレンキノンのような多環キノン顔料。スクワリリウム色素、ピリリウム塩またはチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素。セレン、セレン−テルルまたはアモルファスシリコンのような無機物質。キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素またはスチリル色素。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンあるいはクロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため、好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリカーボネート樹脂。ポリエステル樹脂。ポリアリレート樹脂。ブチラール樹脂。ポリスチレン樹脂。ポリビニルアセタール樹脂。ジアリルフタレート樹脂。アクリル樹脂。メタクリル樹脂。酢酸ビニル樹脂。フェノール樹脂。シリコーン樹脂。ポリスルホン樹脂。スチレン−ブタジエン共重合体樹脂。アルキッド樹脂。エポキシ樹脂。尿素樹脂。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂。特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:10以上10:1以下(質量比)の範囲が好ましく、特には1:1以上3:1以下(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択される。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
電荷発生層が表面層である場合には、重合性を有する結着樹脂やその他の重合性材料を前記電荷発生層塗布液に含有し、本発明の製造方法により感光体が製造される。
本発明による電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物またはトリアリルメタン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂または不飽和樹脂。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはジアリルフタレート樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、1:2以上2:1以下(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、以下のものが挙げられる。アセトンまたはメチルエチルケトンのようなケトン系溶剤。酢酸メチルまたは酢酸エチルのようなエステル系溶剤。テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメトキシメタンまたはジメトキシエタンのようなエーテル系溶剤。トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤。これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性のような観点から好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は5μm以上50μm以下であることが好ましく、特には10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
電荷輸送層が表面層である場合には、重合性を有する電荷輸送物質や重合性を有する結着樹脂やその他の重合性材料を前記電荷輸送層塗布液に含有し、本発明の製造方法により感光体が製造される。
表面層としては、例えば、電荷輸送層を重合性樹脂で構成することが挙げられ、また、上記の電荷輸送層上に第二の電荷輸送層或いは保護層として重合性材料よりなる樹脂層を形成することが挙げられる。
これらの第二の電荷輸送層或いは保護層の平均膜厚は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、さらには1μm以上10μm以下であることが好ましい。
第二の電荷輸送層或いは保護層が表面層である場合には、重合性材料を前記第二の電荷輸送層或いは保護層用塗布液に含有し、本発明の製造方法により感光体が製造される。
本発明による電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤あるいは耐光安定剤のような劣化防止剤や、有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系対光安定剤、硫黄原子含有酸化防止剤、リン原子含有酸化防止剤が挙げられる。有機微粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン樹脂粒子のような高分子樹脂粒子が挙げられる。無機微粒子としては、シリカ、アルミナのような金属酸化物が挙げられる。
図32に本発明による電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
図32において、1は円筒状の本発明による電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受ける。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
形成された静電潜像は、次いで現像手段5内の荷電粒子(トナー)で正規現像または反転現像により可転写粒子像(トナー像)として顕画化される。次いで不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材Pに、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が転写手段6により順次転写されていく。この時、転写手段にはバイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。
トナー画像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ搬送されてトナー像の定着処理を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段7によって転写残りトナー等の付着物の除去を受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも研究され、転写残りトナーを直接、現像器等で回収することもできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露光光により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7等の構成要素のうち、複数のものを選択して容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成してもよい。また、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7の少なくとも1つを選択して電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化する。これを、電子写真装置本体のレール等の案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9とすることができる。
また、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化する。露光光4は、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
本発明による電子写真感光体は、電子写真複写機に利用する。その他に、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
図33はフルカラー接触帯電方式の電子写真装置の一例を示す図である。図32で示したプロセスカートリッジを下からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に縦型にタイデム式に並列した方式である。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
(実施例1)
温度23℃、相対湿度60%の環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ357.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金のED管、昭和アルミニウム(株)製)を導電性円筒状支持体とした。
導電性粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO)を被覆した酸化チタン(TiO)粒子(粉体抵抗率80Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)6.6部、
結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)5.5部
および溶剤としてのメトキシプロパノール5.9部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部、
レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を上記導電性円筒状支持体上に浸漬塗布し、温度140℃の乾燥機中で30分間乾燥、熱硬化して、導電性円筒状支持体上端から179mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、
メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解し、中間層用塗布液を調製した。
この中間層用塗布液を上記導電層上に浸漬塗布し、温度100℃の乾燥機中で10分間乾燥して、円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が0.6μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部、
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を上記中間層上に浸漬塗布し、温度100℃の乾燥機中で10分間乾燥して、円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(CTM−1)
で示される電荷輸送物質5部、下記構造式(CTM−2)
で示される電荷輸送物質5部、結着樹脂としてポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)[粘度平均分子量(Mv)40,000]10部を、
クロロベンゼン70部およびジメトキシメタン30部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調合した。
この電荷輸送層用塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、温度110℃の乾燥機中で60分間乾燥して、円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。ここまでで、導電性円筒状支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、電荷輸送層を積層した感光体を製造した。
次に、重合性材料として上記構造式(4−3)で示される化合物10部、フェノール樹脂(商品名:PL−4804、群栄化学(株)製)10部およびエタノール80部により表面層用塗布液を調合した。この表面層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、温度70℃の乾燥機中で10分間乾燥し、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
その後、室温25℃の環境において、図1に示す構成の形状形成装置に上記感光体を設置した。加圧部材Aは、材質がSUS製で内部にカートリッジヒータを具備している。モールドBは、材質がニッケル製で図34に示すような直径(A)1.0μm、高さ(C)3.0μm、凸形状間の距離(以下、ピッチと称する)(B)1.0μmの円柱状の凸形状を有し、加圧部材A上に固定されている。モールド表面の温度が加圧部材内部のヒータにより135℃に維持されている。
形状形成装置に感光体を設置してから5分後に、モールド表面を感光体の表面に2Mpaの圧力で押し付け、押し付けた状態で20分間保持した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された硬化表面層を有する電子写真感光体について、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。
*1:感光体表面の外観評価
作製された電子写真感光体の表面を超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス製)を用いて観察した。測定対象の電子写真感光体を円筒状支持体を固定できるよう加工された置き台に設置、対物レンズ倍率50倍とし、感光体表面の100μm四方を視野観察とし、凹形状部の測定を行った。上記の100μm四方の領域は、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定した。このようにして評価した範囲内で、外観評価を行った。結果を表1に示す。
*2:凹凸形状均一性評価
前記外観評価で測定している範囲の測定視野内に観察された凹形状あるいは凸形状を解析プログラムを用いて解析を行った。測定視野内にある凹形状あるいは凸形状の表面部分の長軸径を測定し、その平均値を算出した。測定視野内にある凹形状あるいは凸形状のうち、前述の長軸径の平均値に対し、0.8倍以上の長軸径かつ1.2倍以下の長軸径を有する凹形状あるいは凸形状の個数を計測した。凹形状あるいは凸形状の均一性は、100μm四方あたりの全凹形状あるいは凸形状の個数に対し、100μm四方あたりの長軸径の平均値に対し、0.8倍以上の長軸径かつ1.2倍以下の長軸径を有する凹形状あるいは凸形状の個数の割合より求めた。この値を形状均一性値とした。(即ち、形状均一性値とは、(100μm四方あたりの長軸径の平均値に対し0.8倍以上の長軸径かつ1.2倍以下の長軸径を有する凹形状あるいは凸形状の個数)/(100μm四方あたりの全凹形状あるいは凸形状の個数)の値を示す。)
実施例1で作製された感光体表面の外観評価により、電子写真感光体の表面には、図35に示される円柱状の凹形状が形成されていることが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸径(L1)の平均値は1.2μmで、凹形状間のピッチ(E)の平均は0.8μmで、深さ(D)の平均値は1.3μmで、また、形状均一性値は0.88であることが確認された。
(実施例2)
電荷輸送層を形成するまでは、実施例1と同様に感光体を作製した。
次に、重合性材料として上記構造式(5−3)で示される化合物10部、トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランの加水分解縮合物を主成分とする熱硬化型シリコーン樹脂(商品名:トスガード510、東芝シリコーン(株)製)10部、
および2−プロパノール70部により表面層用塗布液を調合した。
この表面層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
温度135℃の乾燥機中に設置された図1に示す構成の形状形成装置に上記感光体を設置した。加圧部材Aは材質がSUS製である。モールドBは、材質がニッケル製で図34に示すような直径1.0μm、高さ3.0μm、ピッチ1.0μmの円柱状の凸形状を有し、加圧部材A上に固定されている。尚、形状形成装置およびモールドは、乾燥機中で温度135℃に維持されている。
感光体を形状形成装置に設置してから5分後に、モールド表面を感光体の表面に2Mpaの圧力で押し付け、押し付けた状態で35分間保持した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、電子写真感光体の表面には円柱状の凹形状が形成されていることが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸径の平均値は1.2μmで、凹形状間の平均ピッチは0.8μmで、深さの平均値は1.3μmで、また、形状均一性値は0.83であることが確認された。
(実施例3)
電荷輸送層を形成するまでは、実施例1と同様に感光体を作製した。
次いで、重合性材料として上記構造式(3−3)で示される化合物10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:KAYARAD TMPTA、日本化薬(株)製)10部、
2,4−ジエチルチオキサントン(商品名:Chemcure JETX、サンケミカル社製)4部およびトルエン80部により表面層用塗布液を調合した。
この表面層用塗布液を上記電荷輸送層上にスプレー塗布し、温度50℃の乾燥機中で10分間乾燥し、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
図3に示す構成の形状形成装置に上記感光体を設置した。加圧部材Aは、材質がSUS製で内部にカートリッジヒータを具備している。モールドBは、材質がシート状のポリイミド樹脂で図34に示すような直径1.0μm、高さ3.0μm、ピッチ1.0μmの円柱状の凸形状を有し、加圧部材Aの回転によって移送されるように設置されている。
その後、感光体を速度60rpmで円筒軸周方向に回転させながら、感光体を挟んで加圧部材とは180°反対側から、高圧水銀灯を用いて光強度130mW/cmの条件で感光体に紫外線の照射を開始した。照射開始から10秒経過した時点で、感光体と周速差がない速度で回転させている加圧部材によってモールドシートを感光体の表面に2Mpaの圧力で押し付け、モールドシートの移送を伴って加圧部材および感光体を回転させながら10秒間の形状転写を行った。引き続き、モールドシートを感光体表面から離して、感光体を回転させながら紫外線照射をさらに30秒間継続して紫外線照射を終了した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、電子写真感光体の表面には円柱状の凹形状が形成されていることが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸径の平均値は1.1μmで、凹形状間の平均ピッチは0.9μmで、深さの平均値は1.4μmで、また、形状均一性値は0.88であることが確認された。
(実施例4)
電荷輸送層を形成するまでは、実施例1と同様に感光体を作製した。
次いで、重合性材料として上記構造式(3−5)で示される化合物10部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)15部
および1−プロパノール15部を混合し、溶解させた表面層用塗布液を調合した。
この表面層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、温度50℃の乾燥機中で10分間乾燥し、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
酸素濃度25ppmの窒素雰囲気下に設置された図2に示す構成の形状形成装置に、上記感光体を設置した。加圧部材Aは、材質がSUS製である。モールドBは、材質がニッケル製で図34に示すような直径1.0μm、高さ3.0μm、ピッチ1.0μmの円柱状の凸形状を有し、加圧部材Aの全周を覆うように設置されている。
その後、上記窒素雰囲気下において感光体を60rpmの速度で円筒軸周方向に回転させた。回転させながら、感光体を挟んで加圧部材と180°反対側から、電子線照射装置(電子線取出窓箔材質:チタン、窓箔厚み:8μm、岩崎電気社製)を用いて、加速電圧70kVおよびビーム電流3mAの条件で感光体に電子線の照射を開始した。照射開始から2秒経過した時点で、感光体の回転速度を10rpmに落とした。引き続き、照射開始から5秒経過した時点で、感光体と周速差がない速度で加圧部材を回転させている状態で、モールド面を感光体の表面に2Mpaの圧力で押し付け、押し付けた状態で加圧部材および感光体を回転させながら6秒間だけ形状転写を行った。引き続き、モールドを感光体表面から離して、感光体の回転速度を60rpmに戻した。引き続き、電子線照射をさらに2秒間継続して電子線照射を終了した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、電子写真感光体の表面には円柱状の凹形状が形成されていることが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸径の平均値は1.0μmで、凹形状間の平均ピッチは1.0μmで、深さの平均値は1.5μmで、また、形状均一性値は0.94であることが確認された。
(実施例5)
表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、温度50℃の乾燥機中で10分間乾燥するまでは、実施例4と同様に、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
図1に示す構成の形状形成装置を、酸素濃度25ppmの窒素雰囲気下に設置した。加圧部材Aは、材質がSUS製で内部にカートリッジヒータを具備している。モールドBは、材質がニッケル製で図34に示すような直径1.0μm、高さ3.0μm、ピッチ1.0μmの円柱状の凸形状を有し、加圧部材A上に固定されている。
その後、上記窒素雰囲気下において感光体を300rpmの速度で円筒軸周方向に回転させた。回転させながら、電子線照射装置(電子線取出窓箔材質:チタン、窓箔厚み:8μm、岩崎電気社製)を用いて、加速電圧150kV、ビーム電流2mAおよび照射時間2秒の条件で感光体に電子線を照射した。引き続き、感光体の回転を止めて、感光体を上記形状形成装置に設置した。引き続き、モールド表面を感光体表面に2Mpaの圧力で押し付け、押し付けた状態でモールドの加熱を開始し、感光体の温度を120℃にまで2分間かけて昇温させた。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、電子写真感光体の表面には円柱状の凹形状が形成されていることが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸径の平均値は1.0μmで、凹形状間の平均ピッチは1.0μmで、深さの平均値は1.5μmで、また、形状均一性値は0.98であることが確認された。
(実施例6)
表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、温度50℃の乾燥機中で10分間乾燥するまでは、実施例4と同様に、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
図1に示す構成の形状形成装置を、酸素濃度25ppmの窒素雰囲気下に設置した。加圧部材Aは、材質がSUS製で内部にカートリッジヒータを具備している。モールドBは、材質がニッケル製で図34に示すような直径1.0μm、高さ3.0μm、ピッチ1.0μmの円柱状の凸形状を有し、加圧部材A上に固定されている。
その後、上記窒素雰囲気下において感光体を300rpmの速度で円筒軸周方向に回転させた。回転させながら、電子線照射装置(電子線取出窓箔材質:チタン、窓箔厚み:8μm、岩崎電気社製)を用いて加速電圧150kV、ビーム電流2mAおよび照射時間2秒の条件で感光体に電子線を照射した。引き続き、感光体の回転を止めて、感光体を上記形状形成装置に設置した。引き続き、モールドを感光体表面に2Mpaの圧力で押し付け、押し付けた状態でモールドの加熱を開始し、感光体の温度を120℃にまで2分間かけて昇温させた。引き続き、感光体の円筒の内側こ窒素ガスを勢い良く流し、感光体の円筒の内面が40℃になるまで冷却した。冷却が完了した後、感光体からモールドを離した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、電子写真感光体の表面には円柱状の凹形状が形成されていることが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸径の平均値は1.0μmで、凹形状間の平均ピッチは1.0μmで、深さの平均値は1.7μmで、また、形状均一性値は0.95であることが確認された。
(実施例7)
表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、温度50℃の乾燥機中で10分間乾燥するまでは、実施例4と同様に、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
図1に示す構成の形状形成装置を、酸素濃度25ppmの窒素雰囲気下に設置した。加圧部材Aは、材質がSUS製で内部にカートリッジヒータを具備している。モールドBは、材質がニッケル製で図34に示すような直径1.0μm、高さ3.0μm、ピッチ1.0μmの円柱状の凸形状を有し、加圧部材A上に固定されている。
その後、上記窒素雰囲気下において感光体を300rpmの速度で円筒軸周方向に回転させた。回転させながら、電子線照射装置(電子線取出窓箔材質:チタン、窓箔厚み:8μm、岩崎電気社製)を用いて加速電圧150kV、ビーム電流2mAおよび照射時間2秒の条件で感光体に電子線を照射した。引き続き、感光体の回転を止めて、感光体を形状形成装置に設置した。引き続き、モールドを感光体表面に2Mpaの圧力で押し付け、押し付けた状態でモールドの加熱を開始し、感光体の温度を120℃にまで2分間かけて昇温させた。このとき、モールドの押し付け開始から120℃にまで到達するまで、感光体への押し付け圧力を2Mpaから4Mpaにまで連続的に変化させた。昇温が完了後、さらに、モールドを押し付けた状態で20秒間保持した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、電子写真感光体の表面には円柱状の凹形状が形成されていることが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸径の平均値は1.0μmで、凹形状間の平均ピッチは1.0μmで、深さの平均値は1.7μmで、また、形状均一性値は0.97であることが確認された。
(実施例8)
表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、温度50℃の乾燥機中で10分間乾燥するまでは、実施例4と同様に、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
図2に示す構成の形状形成装置を、酸素濃度25ppmの窒素雰囲気下に設置した。加圧部材Aは、材質がSUS製で内部にカートリッジヒータを具備している。モールドBは、材質がニッケル製で図36に示すような直径(A)1.0μm、高さ(C)3.0μm、ピッチ(B)1.0μmの円柱状の凸形状を有し、加圧部材A上に固定されている。モールド表面の温度は加圧部材内部のヒータにより70℃に維持されている。さらに、上記窒素雰囲気下に感光体を加熱するための電磁誘導加熱ヒータを別途設置した。
その後、上記窒素雰囲気下において感光体を300rpmの速度で円筒軸周方向に回転させた。回転させながら、感光体を挟んで加圧部材と180°反対側から、電子線照射装置(電子線取出窓箔材質:チタン、窓箔厚み:8μm、岩崎電気社製)を用いて加速電圧150kV、ビーム電流2mAおよび照射時間2秒の条件で電子線を感光体に照射した。引き続き、感光体の回転速度を10rpmに落とした。引き続き、感光体と周速差がない速度で加圧部材を回転させている状態で、モールド面を感光体表面に2Mpaの圧力で押し付け、押し付けた状態で加圧部材および感光体を回転させながら6秒間だけ形状転写を行った。引き続き、モールドを感光体表面から離して、感光体の回転速度を300rpmに戻した。引き続き、別途設置してある電磁誘導加熱ヒータを用いて感光体を120℃にまで30秒かけて加熱した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、電子写真感光体の表面には、図37に示される円柱状の凹形状が形成されていることが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸径の平均値は1.0μmで、凹形状間のピッチ(E)の平均は1.0μmで、深さ(D)の平均値は1.5μmで、また、形状均一性値は0.99であることが確認された。
(比較例1)
表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、温度50℃の乾燥機中で10分間乾燥するまでは、実施例3と同様に、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
その後、感光体を速度60rpmで円筒軸周方向に回転させながら、高圧水銀灯を用いて光強度130mW/cmおよび照射時間50秒の条件で感光体に紫外線を照射し、重合を行った。
図38に示した装置において、研磨シート(商品名:C−2000(富士写真フィルム(株)製)、研磨砥粒:Si−C(平均粒径:9μm)、基材:ポリエステルフィルム(厚さ:75μm)を用い、
研磨シート送りスピード:150mm/min、感光体の回転速度:50rpm、感光体への押当て圧:3.0N/m、シートおよび感光体の回転方向はカウンター方向、バックアップローラは外径:直径4cm、アスカーC硬度:40のものを用い、
150秒間の条件で感光体表面の粗面化を行った。
図38中、1研磨シート、2−1〜2−4はガイドローラ、3はバックアップローラ、4は電子写真感光体、5は巻き取り手段である。
このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、電子写真感光体の表面には線状の溝形状が感光体の周方向に多数形成されていること、および、線状の溝形状に沿って部分的にささくれ状の断片が突出していることが確認された。均一性評価は、線状の溝形状の傷幅や長さが無秩序であったため評価できなかった。
(比較例2)
表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、温度50℃の乾燥機中で10分間乾燥するまでは、実施例4と同様に、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
その後、酸素濃度25ppmの窒素雰囲気下において感光体を300rpmの速度で円筒軸周方向に回転させた。回転させながら、電子線照射装置(電子線取出窓箔材質:チタン、窓箔厚み:8μm、岩崎電気社製)を用いて加速電圧150kV、ビーム電流2mAおよび照射時間2秒の条件で電子線を感光体に照射した。引き続き、電磁誘導加熱ヒータを用いて感光体を120℃にまで30秒かけて加熱した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
その後、図39に示すブラスト装置を用いて研磨粒子を噴き付ける処理を行った。研磨粒子として、球状ガラスビーズ(商品名:UB−01L、(株)ユニオン製、体積平均粒径28.5μm)を用いた。
研磨粒子の噴き付け処理における圧縮空気の圧力は78kPa、噴射ノズルの回転軸方向への移動速度は430mm/分、ワーク(円筒状支持体)の回転速度は60rpm、噴射ノズルとワークとの距離は100mmの条件で、
感光体の表面に対して研磨粒子の噴き付け処理を行った。
このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
図39中、3−1は噴射ノズル、3−2はノズル固定治具、3−3は圧縮空気流路、3−4は研磨粒子流路、3−5は研磨粒子、3−6はワーク支持体、3−7は円筒状支持体、3−8はノズル支持体、3−9はアームである。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価では、電子写真感光体の表面の凹凸形状はほとんど確認されなかった。
(比較例3)
比較例2において、研磨粒子噴き付け条件のうち、圧縮空気の圧力を900kPaに上げて研磨粒子を表面に噴き付けた以外は、比較例2と同様に表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、上記100μm四方中に多数の凹形状が密に形成されていることが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸の平均値は10.1μmで、凹形状間の平均ピッチはほとんどなく、0μm以上0.1μm以下で、凹形状の深さの平均値は0.6μmであった。また、上記100μm四方中において部分的に長軸の長さおよび凹形状の深さが平均値の倍以上深い凹形状が確認された。形状均一性値は0.71であることが確認された。
(比較例4)
表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、温度50℃の乾燥機中で10分間乾燥するまでは、実施例4と同様に、表面層塗膜を有する感光体を作成した。
その後、酸素濃度25ppmの窒素雰囲気下において感光体を300rpmの速度で円筒軸周方向に回転させた。回転させながら、電子線照射装置(電子線取出窓箔材質:チタン、窓箔厚み:8μm、岩崎電気社製)を用いて加速電圧150kV、ビーム電流2mAおよび照射時間2秒の条件で電子線を感光体に照射した。引き続き、IHヒータを用いて感光体を120℃にまで30秒かけて加熱した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
その後、室温25℃の環境において、図1に示す構成の形状形成装置に感光体を設置した。加圧部材Aは、材質がSUS製で内部にカートリッジヒータを具備している。モールドBは、材質がニッケル製で図34に示すような直径1.0μm、高さ3.0μm、ピッチ1.0μmの円柱状の凸形状を有し、加圧部材A上に固定されており、モールド表面の温度は加圧部材内部のヒータにより80℃に維持されている。
上記モールド表面を上記感光体に2Mpaの圧力で押し付け、押し付けた状態で2分間保持した。このようにして円筒状支持体上端から179mm位置の平均膜厚が4μmの表面層を形成した。
以上のようにして製造された電子写真感光体について、実施例1と同様に、感光体表面の外観評価*1および凹凸形状の均一性評価*2を行った。その結果、外観評価により、電子写真感光体の表面には円柱状の凹形状はほとんど形成されていないことが確認された。均一性評価により、上記100μm四方中の凹形状について、長軸径の平均値は0.9μmで、凹形状間の平均ピッチは1.1μmで、深さの平均値は0.2μmで、また、形状均一性値は0.94であることが確認された。
実施例1〜8、および比較例1〜4で作成された電子写真感光体の、外観評価と均一性評価の結果を表1に示す。

本発明を適用できるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図を示す図である。 本発明を適用できるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図を示す図である。 本発明を適用できるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図を示す図である。 本発明で使用できるモールドの形状の一例を示す図であり、(1)は上から見た、モールド形状を示し、(2)は横から見た、モールド形状を示す図である。 本発明で使用できるモールドの形状の一例を示す図であり、(1)は上から見た、モールド形状を示し、(2)は横から見た、モールド形状を示す図である。 本発明の凹形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の表面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の断面観察における一形状を示す。 本発明の凸形状の断面観察における一形状を示す。 接触帯電方式のプロセスカートリッジおよび電子写真装置の一例を示す図である。 フルカラー接触帯電方式の電子写真装置の一例を示す図である。図2で示したプロセスカートリッジを下からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に縦型にタイデム式に並列した方式である。 実施例1で使用したモールドの形状(部分拡大図)を示す図である。図34における(1)は上から見たモールド形状を示し、(2)は横から見たモールド形状を示す図である。 実施例1により得られた感光体最表面の凹形状の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。図35における(1)は感光体の表面に形成された凹形状の配列状態を示し、(2)は凹形状の断面形状を示す。 実施例8で使用したモールドの形状(部分拡大図)を示す図である。図36における(1)は上から見たモールド形状を示し、(2)は横から見たモールド形状を示す図である。 実施例8により得られた感光体最表面の凹形状の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。図37における(1)は感光体の表面に形成された凹形状の配列状態を示し、(2)は凹形状の断面形状を示す。 比較例1で使用した研磨装置を示す図である。 比較例2および比較例3で使用したブラスト装置を示す図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材
1Y 第1色用電子写真感光体
1M 第2色用電子写真感光体
1C 第3色用電子写真感光体
1K 第4色用電子写真感光体
2Y 軸
2M 軸
2C 軸
2K 軸
3Y 第1色用帯電手段
3M 第2色用帯電手段
3C 第3色用帯電手段
3K 第4色用帯電手段
4Y 露光光
4M 露光光
4C 露光光
4K 露光光
5Y 第1色用現像手段
5M 第2色用現像手段
5C 第3色用現像手段
5K 第4色用現像手段
6Y 第1色用転写手段
6M 第2色用転写手段
6C 第3色用転写手段
6K 第4色用転写手段
7Y 第1色用クリーニング手段
7M 第2色用クリーニング手段
7C 第3色用クリーニング手段
7K 第4色用クリーニング手段
9Y プロセスカートリッジ
9M プロセスカートリッジ
9C プロセスカートリッジ
9K プロセスカートリッジ
12 張架ローラー
14 転写材搬送部材
A モールドの形状部分の長軸径
B モールドの形状部分の形状間隔
C モールド形状部分の高さ(深さ)
D 凹形状の深さ
E 凹形状の形状間隔
1 研磨シート
2−1〜2−4 ガイドローラ
3 バックアップローラ
4 電子写真感光体
5 巻き取り手段
3−1 噴射ノズル
3−2 ノズル固定治具
3−3 圧縮空気流路
3−4 研磨粒子流路
3−5 研磨粒子
3−6 ワーク支持体
3−7 円筒状支持体
3−8 ノズル支持体
3−9 アーム

Claims (5)

  1. 重合性材料を含有する表面層用塗布液を支持体に塗布する塗布工程および該重合性材料を重合させる重合工程とを経て製造される電子写真感光体の製造方法において、
    該重合工程中に凹凸形状部を表面層塗膜の表面に形成する凹凸形状形成工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記凹凸形状形成工程において、凹凸形状を有するモールドを前記表面層塗膜の表面に加圧接触させていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記凹凸形状形成工程において、前記モールドを前記表面層塗膜の表面に加圧接触させているときの圧力を一定としない請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記凹凸形状形成工程において、前記モールドを前記表面層塗膜の表面に加圧接触させているときのモールドの温度を一定としない請求項2または3に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記重合工程において、熱、光および放射線の少なくとも一つのエネルギーを付与することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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