JP2010026240A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長期的な使用に対してクリーニング性能に優れ、画像欠陥の発生を抑制する電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供すること。
【解決手段】円筒状支持体上に架橋有機高分子からなる膜厚t(μm)[2≦t≦10]の表面層を有する感光体において、該感光体の周面には幅w(μm)[0.1≦w≦25]、深さd(μm)[0.1≦d≦0.3t]の溝が、該円筒状感光体の軸方向に対して90°±10°の角度をなして複数形成され、該周面の軸方向の幅100μmあたりの溝幅の合計値w[Sum]が50≦w[Sum]≦99、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて溝部の硬度試験を行い、最大押し込み深さが0.2d(μm)での弾性変形率をWe(A)%、0.2t(μm)での弾性変形率We(B)%としたとき|We(A)−We(B)|≦1である感光体、該感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは
所定の溝形状を設けた表面層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真感光体(以降、場合により単に「感光体」という)としては、低価格及び高生産性の利点から、光導電性物質(電荷発生物質や電荷輸送物質)として有機材料を用いた感光層(有機感光層)を支持体上に設けてなる有機電子写真感光体が普及している。有機電子写真感光体としては、高感度及び材料設計の多様性の利点から、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型感光層を有する電子写真感光体が主流である。なお、この電荷発生物質としては、光導電性染料や光導電性顔料が挙げられ、電荷輸送物質としては、光導電性ポリマーや光導電性低分子化合物が挙げられる。
電子写真感光体の表面には、帯電、露光、現像、転写、クリーニングの電気的外力及び/又は機械的外力が直接加えられるため、これら外力よって引き起こされる多くの課題が発生する。具体的な課題の例として、表面層の傷や磨耗の発生による耐久性能の低下、転写効率の低下、トナーの融着、クリーニング不良による画像欠陥が挙げられる。
これらの課題に対して、電子写真感光体においては、表面層の改良が積極的に検討されている。具体的には、表面層を高強度化することや、高離型性や滑り性の付与を目的とし、材料的側面から、表面層を構成する樹脂の改良、フィラーや撥水材料の添加が検討されている。
一方、物理的側面からの改良として、表面層を適度に粗面化することにより、前述の課題を解決する検討もなされている。表面層の粗面化により、表面層に接触するトナー、帯電部材、転写部材やクリーニング部材等に対して、当接時の接触面積を減らすことによる離型性の向上や摩擦力の低減の効果が期待される。中でも表面層とクリーニングブレードとの摩擦力は特に大きいため、それに起因するクリーニング性能の低下や耐久性能の低下は問題となり易い傾向にある。クリーニング性能の低下の具体例としては、クリーニングブレードのビビリやメクレ、更にはブレードエッジのえぐれや欠けによるクリーニング不良が挙げられる。ここで、クリーニングブレードのビビリとは、クリーニングブレードと電子写真感光体の表面との摩擦抵抗が大きくなることによりクリーニングブレードが振動する現象である。また、クリーニングブレードのメクレとは、電子写真感光体の移動方向にクリーニングブレードが反転してしまう現象である。一方、耐久性能の低下の具体例としては、摩擦抵抗の増大に起因する表面層の磨耗量の増大や、局所的な圧力集中による傷の発生が挙げられる。これらの課題に対して、前述の粗面化は有効に作用すると考えられる。
これらクリーニングブレードと電子写真感光体における課題は、一般的に電子写真感光体の表面層の機械的強度が高くなり、電子写真感光体の周面が摩耗し難くなるほど顕著になる傾向が見られる。よって、前述したような表面層樹脂の改良による高強度化に対しては、表面層の粗面化は、その弊害を改良するための非常に有効な手段の一つであると考えられる。
表面層を粗面化する技術として、例えば、下記の技術が開示されている:
・電子写真感光体の表面からの転写材の分離を容易にするために、電子写真感光体の表面粗さ(周面の粗さ)を規定の範囲内に収める技術。また表面層を形成する際の乾燥条件を制御することにより、電子写真感光体の表面をユズ肌状に粗面化する方法(特許文献1参照);
・表面層に粒子を含有させることで、電子写真感光体の表面を粗面化する技術(特許文献2参照);
・金属製のワイヤーブラシを用いて表面層の表面を研磨することによって、電子写真感光体の表面を粗面化する技術(特許文献3参照);
・特定のクリーニング手段及びトナーを用い、特定のプロセススピード以上の電子写真装置で使用した場合に問題となるクリーニングブレードの反転(メクレ)やエッジ部の欠けを解決するために有機電子写真感光体の表面を粗面化する技術(特許文献4参照);
・フィルム状研磨材を用いて表面層の表面を研磨することによって、電子写真感光体の表面を粗面化する技術(特許文献5参照);及びブラスト処理により電子写真感光体の周面を粗面化する技術(特許文献6参照)。
しかしながら、このようにして粗面化した電子写真感光体の表面の形状の詳細は具体的には記載されていない。
以上の従来技術による粗面化は、表面層を適度に粗くするという観点から、前述のクリーニングブレードとの摩擦力の低減に対して一定の効果は認められるもののさらなる改善が求められている。
電子写真感光体の表面形状の制御に着目し詳細な解析及び検討を行なうことによって、所定のスジ溝形状を有する電子写真感光体が提案されている(特許文献7参照)。この方法によって、機械的強度を向上させた表面層に対する種々の課題を解決する方向性を見出したが、さらなる性能の向上が求められている。特に、今後加速すると予測されるカラーシフト、高速化及び高プリントボリューム化の流れに対しては、更なる耐久性能の向上による長寿命技術が必要であると考えられる。
また、所定のディンプル形状を有する電子写真感光体も提案されている(特許文献8参照)。この方法によって、クリーニング性能や摺擦メモリーの如き課題を解決する方向性を見出したが、更なる性能の向上が求められている。これについても、上記と同様に更なる耐久性能の向上による長寿命技術が必要であると考えられる。
一方、表面に凹凸のついたスタンパを用いて電子写真感光体の表面を圧縮成型加工することにより、電子写真感光体の表面に所定の凹凸形状を形成させる技術が開示されている(特許文献9参照)。この技術は、前述の特許文献1乃至8に開示されたものと比較して、制御性よく電子写真感光体表面に凸凹を形成できるという観点から、前述の課題を解決するためにより効果的であると考えられる。この方法によれば、電子写真感光体表面に10nm乃至5000nmの長さやピッチを有する凹凸形状を形成することにより、トナーの離型性が向上し、クリーニングブレードのニップ圧を低減することが可能になる。その結果として感光体の磨耗を減少させることが可能であるとしている。しかしながら、用いられている表面層は一般的な熱可塑性樹脂からなる組成であるため、耐久が進行するにつれて、初期に形成した凸凹形状を維持することが出来ないと予想される。
上記課題を鑑みて、複数の各々独立した凹形状部を有する電子写真感光体について、形状の制御に着目し詳細な解析及び検討を行なうことによって、架橋有機高分子からなる表面層に対する課題を解決する技術が提案されている(特許文献10及び特許文献11参照)。この方法によって、機械的強度を向上させた表面層に対する種々の課題を解決する方向性を見出したが、更なる性能の向上が求められている。特に、今後加速すると予測されるカラーシフト、高速化及び高プリントボリューム化の流れに対しては、更なる耐久性能の向上による長寿命技術が必要であると考えられる。
以上のように、従来技術によれば、耐久性能の向上やクリーニング性能の向上、画像欠陥の抑制に対して、一定の効果は認められる。しかしながら、前述の将来的な長寿命技術という観点では検討の余地が残されており、飛躍的な耐久性能の向上が求められているのが現状である。
特開昭53−92133号公報 特開昭52−26226号公報 特開昭57−94772号公報 特開平01−099060号公報 特開平02−139566号公報 特開平02−150850号公報 国際公開第2005/093519号パンフレット 国際公開第2005/093518号パンフレット 特開2001−066814号公報 特開2007−233354号公報 特開2007−233355号公報
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、長期的な使用に対して、クリーニング性能に優れ、画像欠陥の発生を抑制する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、電子写真感光体の表面に、所定の溝形状を設けることによって、上述の問題を効果的に解決することができることを見いだし、本発明をなすに至った。
本発明に従って、円筒状支持体、該円筒状支持体上に少なくとも架橋有機高分子からなる膜厚t(μm)[2≦t≦10]の表面層を有する電子写真感光体において、
該電子写真感光体の周面には幅w(μm)[0.1≦w≦25]、深さd(μm)[0.1≦d≦0.3t]の範囲内にある溝が、該円筒状電子写真感光体の軸方向に対して、90°±10°の角度をなすように複数形成されており、かつ、
該周面の軸方向の幅100μmあたりの溝幅の合計値w[Sum]が50≦w[Sum]≦99であり、更に、
温度25℃/湿度50%RHの環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて溝部の硬度試験を行い、最大押し込み深さが0.2d(μm)であるときの弾性変形率をWe(A)%、0.2t(μm)であるときの弾性変形率We(B)%としたとき、|We(A)−We(B)|≦1であることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明に従って、上記電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、該電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体上にトナー像を形成する現像手段及び該電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写材上に転写した後の該電子写真感光体上に残るトナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
更に、本発明に従って、上記電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対して露光を行って該電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段、該電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体上にトナー像を形成する現像手段及び該電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段とを備えることを特徴とする電子写真装置が提供される。
本発明によれば、長期使用に対して、クリーニング性能に優れ、画質欠陥の発生を抑制する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することが出来る。
本発明の最大の特徴は、特許文献7に対して、その表面物性が大きく異なることである。研磨テープを用いて溝形成を行うと、電子写真感光体の表面は摺擦により破壊されるため、表面近傍の弾性変形率値が、内部の弾性変形率値に対して大きく低下することがわかった。この膜厚方向の不均一な物性の違いにより、長期的な耐久試験において、傷の成長が助長され、傷の発生確率が高くなると推測している。一方、モールド圧縮による溝形成方法によれば、膜厚方向の弾性変形率値が均一であるため、良好な耐久性能を維持することが可能であると考えられる。
また、特許文献10及び11に対しては、その形状が独立した凹形状ではなく、電子写真感光体の周方向に形成された連続した溝であることが大きく異なる点である。所定の独立した凹形状により種々の課題が解決することを見出したが、長期的な耐久試験を行うと、架橋有機高分子からなる表面層においても、前記凹形状が消失することがわかった。
本発明者らは、詳細な検討を行った結果、上記のように膜厚方向の弾性変形率値が均一であり、かつ周方向に連続した溝形状を有する場合において、傷の発生や成長を飛躍的に抑制することを見出した。本発明によれば、長期試験に対してしても、溝形状が消失することなく、クリーニングを含めた所定の効果を安定的に維持することがわかった。
本発明の電子写真感光体は、円筒状支持体、該円筒状支持体上に少なくとも架橋有機高分子からなる膜厚t(μm)[2≦t≦10]の表面層を有する電子写真感光体において、
該電子写真感光体の周面には幅w(μm)[0.1≦w≦25]、深さd(μm)[0.1≦d≦0.3t]の範囲内にある溝が、該円筒状電子写真感光体の軸方向に対して、90°±10°の角度をなすように複数形成されており、かつ、
該周面の軸方向の幅100μmあたりの溝幅の合計値w[Sum]が50≦w[Sum]≦99であり、更に、
温度25℃/湿度50%RHの環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて溝部の硬度試験を行い、最大押し込み深さが0.2d(μm)であるときの弾性変形率をWe(A)%、0.2t(μm)であるときの弾性変形率We(B)%としたとき、|We(A)−We(B)|≦1であることを特徴とする。
はじめに、本発明における溝の形状について説明する。
本発明において電子写真感光体の表面層に形成された溝形状をレーザー顕微鏡によって観察した一例を図1に示す。図1においては、表面層膜厚t(μm)に対して幅w(μm)、深さd(μm)の溝が平坦部e(μm)を介して形成されている。
溝幅w(μm)は、0.1≦w≦25であり、0.5≦w≦5.0であることが好ましい。
溝深さd(μm)は、表面層の膜厚をt(μm)としたとき、0.1≦d≦0.3tである。dが0.3tを超えると、溝が画像不良として表れる傾向にある。またdが0.1を下回ると、本発明の効果が得られなくなる傾向にある。
図1において、溝は電子写真感光体の軸方向に対して略垂直である90°の角度をなして形成されている。本発明において、溝は軸方向に対して90°±10°の範囲内で複数形成される。前記範囲を超えると、本発明の効果が得られなくなる傾向にある。
また、本発明における溝形状は、下記に示す電子写真感光体周面の軸方向の幅100μmあたりの溝幅の合計値w[Sum]が50≦w[Sum]≦99であり、70≦w[Sum]≦97であることが好ましい。クリーニングブレードと電子写真感光体表面の摩擦力の低減の観点からw[Sum]は大きいことが好ましいが、100近傍になり溝間の平坦部がなくなってしまうと、本発明の効果が低減する傾向にあるため、w[Sum]は前記所定の範囲に設定することが必須である。
更に、本発明における溝形状は、その溝幅w及び溝深さdのばらつきが小さい方が好ましい。すなわち、溝幅w及び溝深さdの平均値w[Av]、d[Av]に対する標準偏差w[σ]、d[σ]の値が小さいことが好ましい。具体的には、下記に示した算出方法により得られた値がw[σ]/w[Av]<0.10、d[σ]/d[Av]<0.10であることが好ましく、実質的に0であることがより好ましい。溝幅及び溝深さが均一であることにより、電子写真感光体表面とクリーニングブレードの当接が微視的に安定化され、本発明の効果が得られる傾向にある。
本発明の溝部は、良好な性能を発揮するために、少なくともクリーニングブレードと接触する表面部位に形成されていることが好ましい。前記クリーニングブレードとしては、ウレタン材質のものを使用することが好ましく、離型性や撥水性および硬度を高める目的等でコーティングや表面処理を施されたものや、フィラー等を添加されたものの使用も可能である。クリーニングブレードの感光体表面への当接は公知の手段により行うことが出来るが、線圧は25g/cmから250g/cm、当接角度は15度から45度の範囲で調整することが好ましい。
次に、本発明における溝形状の観察方法及びデータの処理方法について詳細を説明する。
本発明において、電子写真感光体の表面の溝部の形状は、例えば、市販のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡あるいは原子力間顕微鏡を用いて測定可能である。
レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である:
超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000及び超深度形状測定顕微鏡VK−9500(いずれも(株)キーエンス社製);
表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機((株)菱化システム社製):
走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000(オリンパス(株)社製);
リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130(レーザーテック(株)社製)。
光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である:
デジタルマイクロスコープVHX−500及びデジタルマイクロスコープVHX−200(いずれも(株)キーエンス社製);
3DデジタルマイクロスコープVC−7700(オムロン(株)社製)。
電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である:
3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800及び3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(いずれも(株)キーエンス社製);
走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製);
走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550((株)島津製作所社製)。
原子力間顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である:
ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000((株)キーエンス社製);
走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製);
走査型プローブ顕微鏡SPM−9600((株)島津製作所社製)。
上記顕微鏡を用いて、所定の倍率により、測定視野内の溝部を計測することが出来る。具体的には、視野内の各々の溝の幅wと深さd、平坦部の幅eが測定出来る。また、視野内の単位長さあたりの溝部の平均溝幅w[Av]、標準偏差w[σ]、平均深さd[Av]、標準偏差[σ]、溝幅の合計値w[Sum]を計算により求めることが出来る。
なお、w[Av]、w[σ]、d[Av]、d[σ]、w[Sum]の値は、測定対象の感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて各々の観察を行い、最終的に100箇所の平均値として算出した。
次に本発明における、弾性変形率の関係について説明する。
本発明において、最大押し込み深さが0.2d(μm)であるときの弾性変形率We(A)は、溝形状加工された電子写真感光体のごく表面部分の物性を示す。一方、0.2t(μm)であるときの弾性変形率We(B)は、架橋有機高分子からなる表面層内部の物性を示す。本発明においては、前記弾性変形率値の差が小さいことが好ましく、|We(A)−We(B)|≦1である。研磨シートを用いた摺擦(破壊)工程を有する溝形状形成では、前記We(A)とWe(B)の差が大きくなるため、長期耐久において、傷の発生や成長が助長される傾向にあるため好ましくない。また、摺擦(破壊)工程を用いない非破壊形状形成方法を用いる場合においても、電子写真感光体の表面層が傾斜材料からなる場合等のように、We(A)がWe(B)に対して大きく低下する場合は、本発明の効果が得られない傾向にある。
本発明において、電子写真感光体の弾性変形率は、温度25℃/湿度50%RH環境下、微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した値である。このフィシャースコープH100Vは、測定対象(電子写真感光体の周面)に圧子を当接し、この圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読することにより連続的硬さが求められる装置である。
本発明においては、圧子として対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用い、電子写真感光体の周面に圧子を押し当て、以下の条件で行った。
なお測定は、前述の形状測定を行った計100箇所の領域に対して行った。前記100箇所各々においては、位置を変えて5回測定を行なった平均値を求め、最終的には更に、100箇所の平均値として算出した。
圧子の押し当て位置は、データのばらつきを抑制するため、溝幅wが5.0μmを超える場合には、フィッシャースコープに付属の顕微鏡により溝(図1におけるw部分)に対して圧子先端を接触させるように位置調整を行うことが好ましい。
[We(A)の測定]
圧子の押込み深さ:表面層に形成された溝の深さd(μm)に対して、0.2d(μm)
圧子が所定の押込み深さに達した状態を保持する時間(保持時間):0.1秒
また、測定点は273点とした。
[We(B)の測定]
圧子の押込み深さ:表面層の膜厚t(μm)に対して、0.2t(μm)
圧子が所定の押込み深さに達した状態を保持する時間(保持時間):0.1秒
また、測定点は273点とした。
図2は、フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの概略を示す図である。図2において、縦軸は圧子にかけた荷重F(mN)を、横軸は圧子の押し込み深さh(μm)を示す。図2は、圧子にかける荷重を段階的に増加させて荷重が最大になった(A→B)後、段階的に荷重を減少させた(B→C)ときの結果を示す。
弾性変形率は、圧子が測定対象(電子写真感光体の周面)に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち、圧子の測定対象(電子写真感光体の周面)に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めることができる。具体的には、弾性変形仕事量Weを全仕事量Wtで除した値(We/Wt)が弾性変形率である。なお、全仕事量Wtは図2中のA−B−D−Aで囲まれる領域の面積であり、弾性変形仕事量Weは図2中のC−B−D−Cで囲まれる領域の面積である。
<本発明による電子写真感光体の表面への溝部の形成方法>
本発明においては、所定の溝形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行なうことにより製造した電子写真感光体により、十分な効果を得ることが出来る。
図3及び図4は、本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の例を示す図である。
当該装置によれば、電子写真感光体1−1を回転させながら、連続的にその周面をモールド1−2に接触加圧することにより、所定の溝形状を電子写真感光体周面に形成することができる。
図3においては、加圧部材1−3は、加工圧力や加工面積に応じて、サイズ及び形状の設計が可能である。加圧部材の材質としては、任意の金属、金属酸化物、プラスチック、ガラスを用いることが出来るが、機械的強度、寸法精度、耐久性の観点からステンレス鋼(SUS)を用いることが好ましい。加圧部材は、その上面にモールドを設置し、下面の支持部材(不図示)及び加圧システムにより、支持部材1−4に支持された電子写真感光体に所定の圧力で接触させることにより、形状転写を行うことが出来る。また、電子写真感光体を保持する支持部材を該加圧部材に対して押し付けることにより加圧する方法、更には両者同時に加圧を行うことも可能である。
図3においては、加圧部材1−3が移動することにより、電子写真感光体が従動あるいは駆動回転しながら、その表面加工を連続的に行う例を示した。代わりに、電子写真感光体の支持部材1−4が移動することにより表面加工を連続的に行うことも可能である。
なお、形状転写を効率的に行なう目的で、モールドや感光体を加熱することが好ましい。
モールド自体の材質や大きさ、形状は適宜選択することが出来る。材質としては、微細な表面加工された金属や樹脂フィルム、シリコンウエハー等の表面にレジストによりパターニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルム、所定の微細表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングを施与したものが挙げられる。
また、感光体に対して圧力の均一性を付与する目的で、モールドと加圧装置との間に弾性体を設置することも可能である。
<本発明による電子写真感光体>
本発明の電子写真感光体は、支持体と、この支持体上に設けられた有機感光層(以下、単に「感光層」ともいう。)及び架橋有機高分子からなる表面層を有する。本発明による電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層及び表面層を形成した円筒状有機電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状或いはシート状の形状も可能である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体は、電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であっても、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体において、積層型感光層を採用する場合、電荷発生層を積層構造としてもよく、電荷輸送層を積層構成としてもよい。更に、耐久性能向上を目的とし感光層上に保護層を設けることも可能である。
支持体の材料としては、導電性を示すもの(導電性支持体)であればよい。例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスの如き金属製(合金製)の支持体が挙げられる。
また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子の如き導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体を用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光の散乱による干渉縞の防止を目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理を施してもよい。
支持体と、後述の中間層又は感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光の散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、導電性顔料や抵抗調節顔料を結着樹脂に分散及び/又は溶解させた導電層用塗布液を用いて形成されてもよい。導電層用塗布液には、加熱又は放射線照射により硬化重合する化合物を添加してもよい。導電性顔料や抵抗調節顔料を分散させた導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、更には5μm以上30μm以下であることがより一層好ましい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンの如きビニル化合物の重合体/共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂。
導電性顔料及び抵抗調節顔料としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレスの如き金属(合金)の粒子;これらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したものが挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズの金属酸化物の粒子でもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合するだけでもよいし、固溶体や融着の形にしてもよい。
支持体又は導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。
中間層の材料としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン。中間層は、これらの材料を溶剤に溶解させることによって得られる中間層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
中間層の膜厚は0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、更には0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
本発明において感光層に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。ピリリウム、チアピリリウム系染料;各種の中心金属及び各種の結晶系(α、β、γ、ε、X型等)を有するフタロシアニン顔料;アントアントロン顔料;ジベンズピレンキノン顔料;ピラントロン顔料;モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾの如きアゾ顔料;インジゴ顔料;キナクリドン顔料;非対称キノシアニン顔料;キノシアニン顔料;アモルファスシリコン。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、以下のものが挙げられる。ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物。
感光層を電荷発生層と電荷輸送層とに機能分離する場合、電荷発生層は、以下の方法で形成することができる。まず、電荷発生物質を質量比で0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤とともに、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミルを用いる方法で分散する。分散して得た電荷発生層用塗布液を塗布する。これを乾燥させることによって、電荷発生層を形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
電荷発生層及び電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンの如きビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、更には0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
電荷輸送層の膜厚は5μm以上50μm以下であることが好ましく、更には10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
電子写真感光体に要求される特性の一つである耐久性能の向上にあたっては、上述の機能分離型感光体の場合、表面層となる電荷輸送層の材料設計は重要である。その例としては、高強度の結着樹脂を用いたり、可塑性を示す電荷輸送物質と結着樹脂との比率をコントロールしたり、高分子電荷輸送物質を使用する等が挙げられる。更なる耐久性能を発現させるためには、本発明のように表面層を架橋有機高分子で構成することが有効である。
本発明においては、電荷輸送層自体を表面層として架橋有機高分子で構成することが可能である。また上述の電荷輸送層上に第二電荷輸送層或いは保護層として架橋有機高分子表面層を形成することが可能である。架橋有機高分子表面層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力の両立であり、電荷輸送物質及び重合或いは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。また場合によっては、電荷輸送能力の付与の目的で、抵抗制御された導電性微粒子の利用も可能である。
電荷輸送物質としては、公知の正孔輸送性化合物及び電子輸送性化合物を用いることができる。重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーとしては、アクリロイルオキシ基やスチレン基を有する連鎖重合系の材料、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の材料が挙げられる。得られる電子写真特性、汎用性や材料設計、製造安定性の観点から正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料の組み合わせが好ましく、更には正孔輸送性基及びアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させる系が特に好ましい。
硬化手段としては、熱、光、放射線を用いて公知の手段が利用できる。
架橋有機高分子からなる表面層の膜厚は、2μm以上10μm以下であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することが出来る。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤の如き劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子やアクリル樹脂粒子の如き有機樹脂粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナの如き無機粒子が挙げられる。
<プロセスカートリッジ及び電子写真装置>
図5に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
図5において、円筒状の本発明の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3(一次帯電手段:例えば、帯電ローラ等)により、正又は負の所定電位の均一に帯電される。次いで、原稿からの反射光であるスリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段5内の現像剤に含まれる荷電粒子(トナー)で正規現像又は反転現像により可転写粒子像(トナー像)として顕画化されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(例えば、転写ローラ等)6からの転写バイアスによって、転写材上に順次転写されていく。この時、転写材Pは転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送される。この時、転写手段にはバイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。
トナー画像の転写を受けた転写材P(最終転写材(紙やフィルム等)の場合)は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ搬送されてトナー像の定着処理を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。転写材Pが一次転写材(中間転写材等)の場合は、複数次の転写工程の後に定着処理を受けてプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段7(クリーニングブレード等)によって転写残りの現像剤(トナー)等の付着物の除去を受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも研究され、転写残り現像剤を直接、現像器等で回収することもできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図5に示すように、帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成してもよい。また、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図5では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7の少なくとも1つを共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段10を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合、原稿からの反射光や透過光、又は、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイや液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応し得る。更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用し得るものである。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、以下の成分
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体 60部
(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)
酸化チタン 15部
(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)
レゾール型フェノール樹脂 43部
(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70質量%)
シリコーンオイル 0.015部
(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)
シリコーン樹脂 3.6部
(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)
2−メトキシ−1−プロパノール 50部
メタノール 50部
からなる溶液を約20時間、ボールミルで分散し導電層用塗料を調製した。このようにして調製した導電層用塗料をアルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、温度140℃のオーブンで1時間加熱硬化することにより、膜厚が15μmの樹脂層を形成した。
次に、以下の成分
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した溶液を、上述の樹脂層の上に浸漬塗布し、温度100℃のオーブンで30分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
次に、以下の成分
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKαの特性X線回折においてブラッグ角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°に強いピークを有する結晶形)
下記構造式(1)で示されるカリックスアレーン化合物 0.2部
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)
シクロヘキサノン 600部
を直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬コーティング法で塗布し、温度80℃のオーブンで15分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.170μmの電荷発生層を形成した。
次いで、以下の成分
下記構造式(2)で示される正孔輸送性化合物 70部
ポリカーボネート樹脂 100部
(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)
をモノクロロベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。これを用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、温度100℃のオーブンで30分間加熱乾燥することにより、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
次いで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)80部及び1−プロパノール80部の混合溶剤に、下記式(3)で示される正孔輸送性化合物100部を加えた。
これを、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過し、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
この塗料を用いて、前記電荷輸送層上に第二電荷輸送層を塗布した後、大気中温度50℃のオーブンで10分間乾燥した。その後、窒素中において加速電圧150kV、ビーム電流3.0mAの条件でシリンダーを200rpmで回転させながら1.6秒間電子線照射を行った。引き続いて、窒素中において温度25℃から温度125℃まで30秒かけて昇温させ硬化反応を行なった。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ15kGyであった。また、電子線照射及び加熱硬化反応雰囲気の酸素濃度は15ppm以下であった。これを、大気中において温度25℃まで自然冷却し、温度100℃のオーブンで30分間、大気中で、後加熱処理を行なって、膜厚5μmの保護層(第二電荷輸送層)を形成し、電子写真感光体を得た。
<モールド圧接による溝形状転写>
得られた電子写真感光体を、図3に示した表面形状加工装置に設置した。加圧部材は、材質をステンレス鋼(SUS)製とし、内部に加熱用のヒータを設置した。モールドは図6に示したように、凸部の幅X:3.0μm、凹部の幅Y:0.5μm、凸部の高さZ:2.0μmの溝形状を有する厚さ50μmのニッケル材質のモールドを使用し、前記加圧部材上に固定した。支持体の内部には、支持体の内径と略同直径を有する円柱状のSUS製の保持部材を挿入した。以上の構成の装置を用いて、モールドの温度140℃、加工圧力10MPa、加工速度20mm/sの条件で、電子写真感光体の表面に溝形状の加工を行った。
<形成した溝形状の観察>
得られた電子写真感光体表面をレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製VK−9500)により拡大観察した。その結果、図7に示すように、幅w:3.0μm、深さd:1.0μm、平坦部e:0.5μmの溝が形成されていることがわかった。溝幅の平均値:w[Av]、溝幅の標準偏差w[σ]、溝深さの平均値:d[Av]、溝深さの標準偏差d[σ]及び電子写真感光体周面の軸方向の幅100μmあたりの溝幅の合計値w[Sum]は、前述のように100μm四方あたりの観察データの平均値として算出した。結果を表1に示す。
<弾性変形率の測定>
得られた電子写真感光体を、温度23℃/湿度50%RH環境下に24時間放置した後、前述したように弾性変形率We(A)及びWe(B)を測定した。結果を表1に示す。
<電子写真感光体の実機評価>
得られた電子写真感光体を、キヤノン(株)製の電子写真複写機GP−40の改造機に装着し、以下のように試験及び評価を行なった。
まず、23℃/50%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200Vになるように電位の条件を設定し、電子写真感光体の初期電位を調整した。
次に、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを、電子写真感光体表面に対して当接角26°、当接圧30g/cmとなるように設定した。
その後、印字比率5%のテストチャートを用いて、10枚間欠モードでA4サイズ紙500000枚を印刷する耐久試験を行なった。耐久中は、25000枚ごとに、ベタ白及びハーフトーン画像のテスト画像を出力し、傷による画像欠陥の有無を確認した。また耐久後のドラム表面の観察を行った。結果、500000枚の耐久試験後においても、ベタ白及びハーフトーン画像ともに、傷による画像欠陥は観察されなかった。また、500000枚耐久後の電子写真感光体表面を観察したところ、画像傷を引き起こす傷の発生は見受けられなかった。
(実施例2乃至15)
実施例1において、モールドを表2に示した形状のものに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。溝幅の合計値が70未満になると、傷による画像欠陥が観察される傾向にあり、また電子写真感光体上に対応する深傷の発生が観測された。また、概して溝幅が5.0μm以下と小さくなるにしたがって、傷の発生確率が低くなる傾向にあった。
(実施例16)
実施例1において、モールドを図8に示した形状のものに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
(実施例17乃至19)
実施例16において、モールドを表2に示した形状のものに変更した以外は、実施例16と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。概して、溝幅のばらつきの小さい方が、傷の発生確率が低くなる傾向にあった。
(実施例20)
実施例1において、モールドを下記のように変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。
[モールドの作製]
直径40mm、長さ360mmのアルミニウムシリンダー上に、実施例1で使用した塗料を用いて、膜厚0.45μmの中間層及び膜厚15μmの電荷輸送層を積層した(被処理体1とする)。その後、富士写真フィルム(株)製の研磨シートC−2000を用いて、被処理体1の周面を研磨し、被処理体の電荷輸送層周面の周方向に感光体の軸方向に対して90°の角度をなす溝を形成した。更に、得られた溝形状を有する被処理体1の電荷輸送層表面に対して、電鋳処理を行い厚さ50μmのNiを析出させた後、電荷輸送層から剥離したものを本実施例のモールドとした。前記モールドを、レーザー顕微鏡により観察したところ、凸部の幅X:0.5μm乃至20.0μm、凹部の幅Y:0.1μm乃至2.5μm、凸部の高さZ:0.1μm乃至3.5μmのランダムな溝形状を有していた。
(実施例21)
実施例1において、第二電荷輸送層の膜厚を10μm、モールドを表2に示したものとし、更に、溝形状転写時の条件を下記のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。
[溝形状転写条件]
モールドの温度150℃、加工圧力10MPa、加工速度20mm/s。
(実施例22)
実施例21において、モールドを表2に示したものに変更した以外は、実施例21と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。
(実施例23)
実施例1において、モールドを図9に示したように変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。得られた感光体は、図10に示すように、幅w:3.0μm、深さd:1.0μm、平坦部e:0.5μmの溝が、感光体の軸方向に対して80°の角度を有して、溝が形成されていることがわかった。結果を表3に示す。
(実施例24)
実施例1において、モールドを図11に示したものに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。得られた感光体は、図12に示すように、幅w:3.0μm、深さd:1.0μm、平坦部e:0.5μmの溝が、感光体の軸方向に対して100°の角度を有して、溝が形成されていることがわかった。結果を表3に示す。
(実施例25)
実施例1において、第二電荷輸送層の塗料を下記のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。
[第二電荷輸送層用塗料]
分散剤として、以下の成分を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)20部及び1−プロパノール20部の混合溶剤に溶解した。
フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)0.5部
得られた溶液に、潤滑剤として4フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)10部を加えた。その後、これを、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)で600kgf/cmの圧力で4回の処理を施し均一に分散させた。更に、これをポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過を行い、潤滑剤分散液を調製した。その後、上記式(3)で示される正孔輸送性化合物90部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン70部及び1−プロパノール70部を潤滑剤分散液に加えた。これを、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過し、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
(実施例26)
実施例1において、第二電荷輸送層の塗料を下記のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。500000枚耐久後も画像上は問題なかったが、電子写真感光体表面を観察すると、浅い傷が数本見受けられた。
[第二電荷輸送層用塗料]
分散剤として、以下の成分を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)20部及び1−プロパノール20部の混合溶剤に溶解した。
フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)1.5部
得られた溶液に、潤滑剤として4フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)30部を加えた。その後、これを、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)で600kgf/cmの圧力で4回の処理を施し均一に分散させた。更に、これをポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過を行い、潤滑剤分散液を調製した。その後、上記式(3)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン70部及び1−プロパノール70部を潤滑剤分散液に加えた。これを、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過し、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
(実施例27)
実施例1において、第二電荷輸送層の塗料を下記のように変更し、膜厚を2μmとした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。
[第二電荷輸送層用塗料]
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)80部及び1−プロパノール80部の混合溶剤に、上記式(3)で示される正孔輸送性化合物70部及び下記構造式(4)で示されるアクリルモノマー30部を加えた。これを、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過し、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
(実施例28)
実施例27において、モールドを図13に示したものに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。形成した溝の凸凹が小さいため、やや傷が発生し易い傾向にあった。
(実施例29)
実施例1において、第二電荷輸送層の塗料を下記のように変更し、電子線照射による硬化を140℃で1時間の熱による硬化に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。
[第二電荷輸送層用塗料]
下記式(5)で示される正孔輸送性ヒドロキシメチル基含有フェノール化合物100部を1−プロパノール150部に溶解し、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過し、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
(実施例30)
実施例28において、第二電荷輸送層の塗料を下記のように変更し、電子線照射による硬化を145℃で1時間の熱による硬化に変更した以外は実施例28と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。
[第二電荷輸送層用塗料]
2−プロパノール10部に下記式(6)で示される正孔輸送性化合物10部を添加した。また、トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランの加水分解縮合物を主成分とする熱硬化型シリコーン樹脂(商品名:トスガード510、東芝シリコーン(株)製)を結着樹脂の不揮発分が13部になるように添加した。これらを2−プロパノールに溶解した後、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過し、第二電荷輸送層用塗料を調製した(塗布液全体の固形分が40質量%になるようにした)。
(実施例31)
実施例1において、モールドを図14に示したものに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。
(実施例32)
実施例1において、モールドを図15に示したものに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表3に示す。
(比較例1)
実施例1において、モールド圧接による溝形状形成を下記の研磨テープによる溝形状形成に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表4に示す。
<研磨テープによる溝形状形成>
富士写真フィルム(株)製の研磨シートC−2000を用いて、電子写真感光体の周面を研磨し、電子写真感光体の周方向に溝を形成した。
<形成した溝形状の観察>
実施例1と同様に、レーザー顕微鏡により観察したところ、幅w:0.5μm乃至20.0μm、深さd:0.1μm乃至1.7μm、平坦部e:0.1μm乃至2.5μmのランダムな溝が形成されていることがわかった。なお、溝幅の平均値:w[Av]、溝幅の標準偏差w[σ]、溝深さの平均値:d[Av]、溝深さの標準偏差d[σ]及び電子写真感光体周面の軸方向の幅100μmあたりの溝幅の合計値w[Sum]は、実施例1と同様に100μm四方あたりの観察データの平均値として算出した。結果を表1に示す。実施例と比較して、溝幅の平均値:w[Av]、溝深さの平均値:d[Av]、及び溝幅の合計値w[Sum]は実施例と同様であったが、溝幅の標準偏差w[σ]や溝深さの標準偏差d[σ]が大きい値を示した。また、モールド圧接による非破壊形状転写に対して、研磨テープによる破壊(摺擦)形状形成であるため、We(A)とWe(B)の値の差が大きく、結果として、耐久による傷の発生が加速される傾向にあった。
(比較例2)
実施例27において、モールド圧接による溝形状形成を比較例1と同様に、研磨テープによる溝形状形成に変更した以外は実施例27と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表4に示す。
(比較例3)
実施例26において、モールド圧接による溝形状形成を比較例1と同様に、研磨テープによる溝形状形成に変更した以外は実施例26と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表4に示す。
(比較例4)
実施例23において、モールドを図16に示したものに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。得られた感光体は、図17に示すように、幅w:3.0μm、深さd:1.0μm、平坦部e:0.5μmの溝が、感光体の軸方向に対して60°の角度を有して、溝が形成されていることがわかった。結果を表4に示す。
(比較例5)
実施例1において、モールドを図18に示したものに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。得られた感光体は、図19に示すように、長軸径α:5.0μm、深さβ:1.0μm、間隔γ:0.5μmの独立したディンプルが形成されていることがわかった。結果を表4に示す。
(参考例1)
実施例1において第二電荷輸送層を積層せず、モールドを表2に示したものに変更し、また溝形成加工条件を、モールドの温度120℃、加工圧力5MPa、加工速度50mm/sに変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。なお、耐久試験は、架橋有機高分子からなる表面層でないため、5000枚ごとにテスト画像を確認した。結果を表4に示す。20000枚まで傷画像は発生しなかったが、電荷輸送層の膜厚が薄いことによるカブリ画像が発生したため、耐久を中止した。耐久後の電子写真感光体の表面を観察したところ、画像欠陥につながるような深い傷は見受けられなかった。実施例に対して耐久枚数が少ないものの、参考例2と比較すると、熱可塑性樹脂からなる電荷輸送層においても、溝形状形成による傷発生及び成長が抑制される傾向にあることがわかった。
(参考例2)
参考例1において溝形成加工を行わなかった以外は、参考例1と同様に電子写真感光体を作製し評価した。結果を表4に示す。10000枚以降、画像上で傷の発生が確認され、耐久後の電子写真感光体の表面を観察したところ、画像欠陥に対応する位置に傷の発生が見られた。
本発明における電子写真感光体表面の溝形状の表面及び断面から見た一例を示す図である。 フィッシャースコープH100V(Fisher社製)の出力チャートの概略を示す図である。 本発明におけるモールドによる溝形状形成に使用される圧接形状転写加工装置の例を示す概略図である。 本発明におけるモールドによる溝形状形成に使用される圧接形状転写加工装置の例を示す概略図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 実施例1で使用したモールドの形状を示す図である。 実施例1により得られた電子写真感光体表面の溝形状を示す部分拡大図である。 実施例16で使用したモールドの形状を示す図である。 実施例23で使用したモールドの形状を示す図である。 実施例23により得られた電子写真感光体表面の溝形状を示す部分拡大図である。 実施例24で使用したモールドの形状を示す図である。 実施例24により得られた電子写真感光体表面の溝形状を示す部分拡大図である。 実施例28で使用したモールドの形状を示す図である。 実施例31で使用したモールドの形状を示す図である。 実施例32で使用したモールドの形状を示す図である。 比較例4で使用したモールドの形状を示す図である。 比較例4により得られた電子写真感光体表面の溝形状を示す部分拡大図である。 比較例5で使用したモールドの形状を示す図である。 比較例5により得られた電子写真感光体表面の溝形状を示す部分拡大図である。

Claims (6)

  1. 円筒状支持体、該円筒状支持体上に少なくとも架橋有機高分子からなる膜厚t(μm)[2≦t≦10]の表面層を有する電子写真感光体において、
    該電子写真感光体の周面には幅w(μm)[0.1≦w≦25]、深さd(μm)[0.1≦d≦0.3t]の範囲内にある溝が、該円筒状電子写真感光体の軸方向に対して、90°±10°の角度をなすように複数形成されており、かつ、
    該周面の軸方向の幅100μmあたりの溝幅の合計値w[Sum]が50≦w[Sum]≦99であり、更に、
    温度25℃/湿度50%RHの環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて溝部の硬度試験を行い、最大押し込み深さが0.2d(μm)であるときの弾性変形率をWe(A)%、0.2t(μm)であるときの弾性変形率We(B)%としたとき、|We(A)−We(B)|≦1であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記周面の軸方向の幅100μmにおいて複数形成された溝幅wの平均値をw[Av]、標準偏差をw[σ]としたとき、w[σ]/w[Av]<0.10である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記周面の軸方向の幅100μmにおいて複数形成された溝深さdの平均値をd[Av]、標準偏差をd[σ]としたとき、d[σ]/d[Av]<0.10である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記周面に形成された溝幅がw(μm)[0.5≦w≦5.0]であり、かつ前記w[Sum]が70≦w[Sum]≦97である請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、該電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体上にトナー像を形成する現像手段及び該電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写材上に転写した後の該電子写真感光体上に残るトナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対して露光を行って該電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段、該電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像して該電子写真感光体上にトナー像を形成する現像手段及び該電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写材上に転写する転写手段とを備えることを特徴とする電子写真装置。
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