JP2010008898A - 電子写真装置 - Google Patents

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龍哉 池末
Shoji Amamiya
昇司 雨宮
Hidenori Ogawa
英紀 小川
Yoshihisa Saito
善久 斉藤
Mayumi Oshiro
真弓 大城
Miki Tanabe
幹 田辺
Takahiro Mitsui
隆浩 満居
Nobuo Kosaka
宣夫 小坂
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Abstract

【課題】種々の環境においても、クリーニング性能に優れ、耐久性能の向上や画像欠陥の抑制を兼ね備えた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供。
【解決手段】表面に複数の各々独立した凹形状を有し、有る凹形状(i)の開口面積がXi(x10-8)cm2、深さがYi(x10-4)cm、100μm四方あたりZ個を有する凹形状を有し、且つ、単位面積あたりの凹部形状を有している面積率が10%以上である電子写真感光体及び比重Aの潤滑剤の塗布手段を有する電子写真装置において、前記塗布手段の塗布量S(μg/cm2)は単位面積辺り、0.064−ΣXi(i=1〜Z)*100*100*0.064≦S≦1.5+K*ΣXi*Yi(i=1〜Z)*100*100*A(K:凹形状による係数)である。
【選択図】図13

Description

本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有する電子写真装置に関する。
電子写真装置の電子写真感光体としては、低価格及び高生産性の利点から、光導電性物質(電荷発生物質や電荷輸送物質)として有機材料を用いた感光層(有機感光層)を支持体上に設けてなる有機電子写真感光体が普及している。有機電子写真感光体としては、高感度および材料設計の多様性の利点から、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型感光層を有する電子写真感光体が主流である。なお、この電荷発生物質としては、光導電性染料や光導電性顔料が挙げられ、電荷輸送物質としては、光導電性ポリマーや光導電性低分子化合物が挙げられる。
電子写真感光体の表面には、帯電、露光、現像、転写、クリーニングの電気的外力及び/又は機械的外力が直接加えられるため、これら外力よって引き起こされる多くの課題が発生する。具体的な課題の例として、表面層の傷や磨耗の発生による耐久性能の低下、転写効率の低下、トナーの融着、クリーニング不良による画像欠陥が挙げられる。
これらの課題に対して、電子写真感光体においては、表面層の改良が積極的に検討されている。具体的には、表面層を高強度化することや、高離型性や滑り性の付与を目的とし、材料的側面から、表面層を構成する樹脂の改良、フィラーや撥水材料の添加が検討されている。
高強度化を行うと削れ量が減少する為、離形性が損なわれ、クリーニングブレードのエッジが欠ける、高湿環境下でクリーニングブレードが反転する不都合が発生しやすい。
フィラーの添加は、離形性を向上されるために好ましいが、写真画像のようなグラデーションのある原稿を電子写真装置で画出しをすると、極ハイライトの再現性が劣り、なめらかさにかける現象が見受けられる。
一方、物理的側面からの改良として、表面層を適度に粗面化することにより、前述の課題を解決する検討もなされている。表面層の粗面化により、表面層に接触するトナー、帯電部材、転写部材やクリーニング部材などに対して、当接時の接触面積を減らすことによる離型性の向上や摩擦力の低減の効果が期待される。中でも表面層とクリーニングブレードとの摩擦力は特に大きいため、それに起因するクリーニング性能の低下や耐久性能の低下は問題となりやすい傾向にある。クリーニング性能の低下の具体例としては、クリーニングブレードのびびりやめくれ、さらにはブレードエッジのえぐれや欠けによるクリーニング不良が挙げられる。ここで、クリーニングブレードのビビリとは、クリーニングブレードと電子写真感光体の表面との摩擦抵抗が大きくなることによりクリーニングブレードが振動する現象である。また、クリーニングブレードのメクレとは、電子写真感光体の移動方向にクリーニングブレードが反転してしまう現象である。一方、耐久性能の低下の具体例としては、摩擦抵抗の増大に起因する表面層の磨耗量の増大や、局所的な圧力集中による傷の発生が挙げられる。これらの課題に対して、前述の粗面化は有効に作用すると考えられる。
一方で、クリーニング性能の発現には、電子写真感光体とクリーニング部材の二つの要素に、トナー(トナー粒子および外添剤)の影響を加味する必要がある。
一般に良好なクリーニング性能とは、転写されずに感光体の表面に残存したトナーが、クリーニングブレードと電子写真感光体表面との間に介在し、両者の間に発生する摩擦抵抗を低減させることにより発現されている状態であると考えられている。しかしながら、電子写真プロセスによっては、前述のクリーニングブレードと電子写真感光体表面の間に介在するトナーが極端に少なくなる場合がある。例えば、印字濃度の薄いパターンの大量印刷時や、タンデム方式の電子写真システムにおいての単色連続印刷時などにおいては、クリーニングブレードと電子写真感光体の表面との摩擦抵抗が特に増大しやすいと考えられるため、前述したクリーニング性能の低下や耐久性能の低下が問題となりやすい傾向にある。さらには、摩擦抵抗の増大を起因とする融着の問題が発生することがある。
これらクリーニングブレードと電子写真感光体における問題は、一般的に電子写真感光体の表面層の機械的強度が高くなり、電子写真感光体の周面が摩耗しにくくなるほど顕著になる傾向が見られる。よって、前述したような表面層樹脂の改良による高強度化に対しては、表面層の粗面化は、その弊害を改良するための非常に有効な手段の一つであると考えられる。
表面層を粗面化する技術として、例えば、特許文献1には、電子写真感光体の表面からの転写材の分離を容易にするために、電子写真感光体の表面粗さ(周面の粗さ)を規定の範囲内に収る技術が開示されている。特許文献1には、表面層を形成する際の乾燥条件を制御することにより、電子写真感光体の表面をユズ肌状に粗面化する方法が開示されている。
また、特許文献2には、表面層に粒子を含有させることで、電子写真感光体の表面を粗面化する技術が開示されている。
また、特許文献3には、金属製のワイヤーブラシを用いて表面層の表面を研磨することによって、電子写真感光体の表面を粗面化する技術が開示されている。
また、特許文献4には、特定のクリーニング手段及びトナーを用い、有機電子写真感光体の表面を粗面化する技術が開示されている。これにより、特定のプロセススピード以上の電子写真装置で使用した場合に問題となるクリーニングブレードの反転(メクレ)やエッジ部の欠けが解決されるとしている。
また、特許文献5には、フィルム状研磨材を用いて表面層の表面を研磨することによって、電子写真感光体の表面を粗面化する技術が開示されている。
また、特許文献6には、ブラスト処理により電子写真感光体の周面を粗面化する技術が開示されている。しかしながら、このようにして粗面化した電子写真感光体の表面の形状の詳細は具体的には記載されていない。
以上の従来技術による粗面化は、表面層を適度に粗すという観点から、前述のクリーニングブレードとの摩擦力の低減に対して一定の効果は認められるもののさらなる改善が求められている。また、その表面形状がスジ状であったり、不定形あるいは大きさのばらつきを有する凸凹であったりする点において、微視的な観点におけるクリーニング性能の制御や現像材、紙粉などの付着という課題に対してはさらなる改善が求められていた。
電子写真感光体の表面形状の制御に着目し詳細な解析及び検討を行なうことによって、所定のディンプル形状を有する電子写真感光体が提案されている(特許文献7参照)。この方法によって、クリーニング性能や摺擦メモリーの如き問題を解決する方向性を見出したが、さらなる性能の向上が求められている。
一方で、特許文献8には、井戸型の凹凸のついたスタンパを用いて電子写真感光体の表面を圧縮成型加工する技術が開示されている。この技術は、前述の特許文献1から特許文献6に開示されたものと比較して、独立した凹凸形状を制御性よく電子写真感光体表面に形成できるという観点から、前述の課題に対して、効果的であると考えられる。この方法によれば、電子写真感光体表面に10〜3000nmの長さやピッチを有する井戸型の凹凸形状を形成することにより、トナーの離型性が向上し、クリーニングブレードのニップ圧を低減することが可能になり、結果として感光体の磨耗を減少させることが可能であるとしている。しかしながら、電子写真装置内で、この電子写真感光体を長期に使用していると、凸部の離形性が悪化して、細線、小文字の再現性が劣る結果が見受けられた。
すなわち、種々の環境下においても、良好なクリーニング性能を発揮し、画像欠陥の発生しない電子写真感光体の開発が必要とされる。
以上のように、従来技術によれば、耐久性能の向上やクリーニング性能の向上、画像欠陥の抑制に対して、一定の効果は認められるものの、総合的な性能を向上させるにあたって、未だ改良の余地が残されているのが現状である。
一方、表面層の傷や磨耗の発生による耐久性能の低下、転写効率の低下、トナーの融着、クリーニング不良による画像欠陥といった課題に、電子写真装置としても検討がなされている。
特許文献9には、電子写真感光体の表面に表面エネルギー低下剤を塗布する手段の技術が開示され、明細書中には電子写真感光体表面の面粗さを規定する記述がなされている。
特許文献10には、電子写真感光体の表面に塗布する潤滑剤の塗布量を制御する技術が開示され、明細書中には、電子写真感光体表層にフィラーが添加されているという記述がなされている。
特許文献11には、電子写真感光体の表面に存在する潤滑剤塗布量が規定されている。
電子写真感光体表面に潤滑剤を塗布し、離形性を向上させることは、画像プロセス、材料に負荷を与えないことから有用な方法であると思われる。が、潤滑剤の塗布量が多く、電子写真感光体表面に付着すると、帯電生成物により劣化が発現して、画像流れ、画像濃度不均一というような画像不都合を生じる場合がある。
そのため、電子写真感光体に極微量に均一に塗布することが望ましい。が、濃度及び位置の異なる画像、又は文字で形成された原稿に対して、均一に塗布することに関しては、未だ改良の余地が残されているのが現状である。
特開昭53−92133号公報 特開昭52−26226号公報 特開昭57−94772号公報 特開平01−099060号公報 特開平02−139566号公報 特開平02−150850号公報 国際公開第2005/093518号 特開2001−066814号公報 特開2003−241569号広報 特開2003−149995号広報 特開2004−198662号広報
本発明は、上記従来技術を鑑みた結果、クリーニング性能に優れ、クリーニングエッジ欠けの抑制や良好な細線、小文字の再現性を兼ね備えた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、電子写真感光体の表面に、所定の微細な凹形状部を有すること及び潤滑剤の塗布量を規定するによって、上述の問題を効果的に改善することができることを見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、表面に複数の各々独立した凹形状を有し、有る凹形状(i)の開口面積がXi(x10-8)cm2、深さがYi(x10-4)cm、100μm四方あたりZ個を有し、且つ、単位面積あたりの凹部形状を有している面積率が10%以上である電子写真感光体及び比重Aの潤滑剤の塗布手段を有する電子写真装置において、前記塗布手段の塗布量S(μg/cm2)は単位面積辺り、
0.064−ΣXi(i=1〜Z)*100*100*0.064
≦S≦1.5+K*ΣXi*Yi(i=1〜Z)*100*100*A
(K:凹形状による係数)
であることを特徴とする電子写真装置である。
本発明によれば、クリーニング性能に優れ、画質欠陥の抑制を兼ね備えた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することが出来る。
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
本発明の電子写真感光体の表面形状について説明する。
本発明による電子写真感光体は、表面に複数の各々独立した凹形状を有し、有る凹形状(i)の開口面積がXi(x10-8)cm2、深さがYi(x10-4)cm、100μm四方あたりZ個を有し、且つ、単位面積あたりの凹部形状を有している面積率が10%以上であることを特徴とする電子写真感光体(有機電子写真感光体)である。
本発明における各々独立した凹形状部とは、個々の凹形状部が、ほかの凹形状部と明確に区分されている状態を示す。本発明における電子写真感光体の表面に形成されている凹形状部は、感光体表面の観察では、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状あるいは直線および曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形、五角形あるいは六角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、円形状あるいは楕円形状が挙げられる。直線および曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形、角の円い六角形あるいは扇形が挙げられる。また、本発明における電子写真感光体の表面の凹形状部は、感光体断面の観察では、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状あるいは直線および曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形あるいは五角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、部分円形状あるいは部分楕円形状が挙げられる。直線および曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形あるいは扇形が挙げられる。本発明における電子写真感光体表面の凹形状部の具体例としては、図1乃至図3で示される凹形状部が挙げられる。本発明における電子写真感光体表面の凹形状部は、個々に異なる形状、大きさあるいは深さを有してもよく、また、すべての凹形状部が同一の形状、大きさあるいは深さであってもよい。さらに、電子写真感光体の表面は、個々に異なる形状、大きさあるいは深さを有する凹形状部と、同一の形状、大きさあるいは深さを有する凹形状部が組み合わされた表面であってもよい。
本発明の凹形状部は、電子写真感光体の少なくとも表面に形成されている。感光体表面の凹形状部の領域は、感光体表面の全域であってもよいし、表面の一部分に形成されていてもよいが、良好な性能を発揮するためには、少なくともクリーニングブレードと接触する表面部位に凹形状部が形成されていることが好ましい。
本発明における長軸径とは、各凹形状部の開孔部を横切る直線のうち、最大となる直線の長さを示す。具体的には、図1中の長軸径(Rpc)および図3中の長軸径(Rpc)で示されているように、電子写真感光体における凹形状部の開孔部周囲の表面を基準とし、開孔部の端部に接する平行な2本の直線で凹形状部をはさんだ際、上記2本の直線間距離が最大となるときの長さを示す。例えば、凹形状部の表面形状が円状の場合は直径を示し、表面形状が楕円状の場合は長径を示し、表面形状が四角形の場合は対角線のうち長い対角線を示す。
本発明において、上記100μm四方の領域は、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直行する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定している。平均長軸径とは前記定義に従い100μm四方当たりの凹形状各々の長軸径を統計処理することにより、その平均値を本発明における平均長軸径(Rpc-A)を定義する。
本発明における短軸径とは、各凹形状部の開孔部を横切る直線のうち、最小となる直線の長さを示す。具体的には、図2中の短軸径(Lpc)で示されているように、電子写真感光体における凹形状部の開孔部周囲の表面を基準とし、開孔部の端部に接する平行な2本の直線で凹形状部をはさんだ際、上記2本の直線間距離が最小となるときの長さを示す。例えば、凹形状部の表面形状が円状の場合は直径を示し、表面形状が楕円状の場合は短径を示す。
本発明において、上記100μm四方の領域は、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直行する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定している。平均短軸径とは前記定義に従い100μm四方当たりの凹形状各々の短軸径を統計処理することにより、その平均値を本発明における平均短軸径(Lpc-A)を定義する。
本発明における凹形状部の深さは、図3で示すように、前述した長軸径をなす直線と凹形状部底面との最大距離と定義する。なお深さは、上記平均長軸径の測定と同様に、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直行する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定する。また平均深さとは、前記定義に従い100μm四方当たりの凹形状各々の深さを統計処理することにより、その平均値を本発明における平均深さ(Rdv-A)と定義する。
本発明の電子写真感光体は、表面に複数の各々独立した凹形状を有し、有る凹形状(i)の開口面積がXi(x10-8)cm2、深さがYi(x10-4)cm、100μm四方あたりZ個を有し、且つ、単位面積あたりの凹部形状を有している面積率が10%以上である凹形状を有する電子写真感光体である。
本発明のように電子写真感光体の表面に凹凸形状を有することにより、電子写真感光体とクリーニングブレードの接触面積が減少する。それにより、電子写真感光体とクリーニングブレードとの摩擦抵抗は、減少する傾向にある。クリーニング性能が良好に維持され、各種の画像欠陥の発生が抑制される。
特に、印字濃度の薄いパターンの大量印刷時及びタンデム形式の電子写真システムにおいての単色連続印刷時などには、クリーニングブレードと電子写真感光体との摩擦抵抗が増大しやすい傾向にある。が、本発明の電子写真感光体ならば、接触面積が減少しているため、クリーニング性能が良好に維持される。
凹形状の面積率が10%以下の場合は、上記の効果が得られない。
また、本発明の電子写真感光体は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、表面に複数の各々独立した凹形状部を有し、かつ凹形状部の長軸径をRpcおよび凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部を有することを特徴とする電子写真感光体である。
本発明の電子写真感光体では、長軸径よりも大きな深さを有する凹形状部を有することにより、凹形状部の内に外添剤及び被覆剤を保持できることも、良好なクリーニング性能に寄与していると考えられる。
本発明の電子写真感光体の表面には、上述の凹形状部の長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部を、電子写真感光体表面の100μm四方あたり50個以上有することが好ましい。特定の凹形状部を単位面積あたり多く有することにより、良好なクリーニング特性を有する電子写真感光体となる。さらには、凹形状部の長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部を、100μm四方あたり100個以上有することが好ましい。また、単位面積中に上記形状を満たさない凹形状部を有しても良い。なお、上記の100μm四方の領域は、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定している。
また、電子写真感光体表面に100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径(Rpc−A)に対する、100μm四方あたりの凹形状部の平均深さ(Rdv−A)の比(Rdv−A/Rpc−A)が1.0より大きいことが、良好なクリーニング特性の点で好ましい。さらには、平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)が1.3以上であることが、良好なクリーニング特性の点で好ましい。
また、本発明の電子写真感光体における凹形状部の深さは、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい範囲内で任意であるが、凹形状部の平均深さ(Rdv−A)が3.0μmより大きいことが、良好なクリーニング特性の点で好ましい。
また、本発明の電子写真感光体における長軸径は、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい範囲内で任意であるが、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径(Rpc−A)が0.1μm以上であることが、良好なクリーニング特性の点で好ましい。さらには、平均長軸径が0.5μm以上であることが好ましい。また、平均長軸径(Rpc−A)は、10.0μm以下であることが好ましく、さらには8.0μm以下であることが好ましい。
また、凹形状部の深さ(Rdv)は、10.0μm以下であることが好ましく、さらには8.0μm以下であることが好ましい。また、100μm四方あたりの凹形状部の平均深さ(Rdv−A)は、10.0μm以下であることが好ましく、さらには8.0μm以下であることが好ましい。凹形状部の長軸径(Rpc)は、10.0μm以下であることが好ましく、さらには8.0μm以下であることが好ましい。また、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径(Rpc−A)は、10.0μm以下であることが好ましく、さらには8.0μm以下であることが好ましい。また、凹形状部の長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)は、7.0以下であることが好ましく、さらには5.0以下であることが好ましい。また、平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)は、7.0以下であることが好ましく、さらには5.0以下であることが好ましい。
また、本発明の電子写真感光体の表面における、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の配列は任意である。詳しくは、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部が、ランダムに配置されてもよいし、規則性を持って配置されてもよい。クリーニング性能に対する表面の均一性を高める上では、規則性を持って配置されることが好ましい。
また、本発明の電子写真感光体は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面に、複数の各々独立した凹形状部を有し、各凹形状部の表面開孔部の長軸径(Rpc)が10μm以下であり、短軸径(Lpc)が0.1μm以上であり、かつ各凹形状部の最深部と開孔面との距離(Rdv)が0.1μm以上であり、該電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域Aのそれぞれの中に、一辺が該電子写真感光体回転方向に対して平行な、一辺50μmの正方形の領域Bを設け、各領域Bのそれぞれを該感光体回転方向に対して平行な499本の直線で500等分したとき、各領域Bのそれぞれにおいて、499本のうちの400本以上が該凹形状部と重なっていることを特徴とする電子写真感光体である。
上記凹形状部は、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域Aのそれぞれの中に、一辺が該感光体回転方向に対して平行な、一辺50μmの正方形の領域Bを設け、各領域Bのそれぞれを該感光体回転方向に対して平行な499本の直線で500等分したとき、各領域Bのそれぞれにおいて、該499本の直線うちの400本以上と重なるように凹形状部が存在する。
上記領域Aの取り方を図4および図5を用いて説明する。図4に示す電子写真感光体1における感光層表面20を、感光層表面において感光体回転方向と直交する方向に伸びる直線OPによって切り取り、展開したものを図5に示す。図5における点O’および点P’は、展開前に図4においてそれぞれ点Oおよび点Pと重なっていた点である。図5における四角形OPP’O’を、感光体回転方向に4等分、感光体回転方向と直交する方向に25等分することによって、合計100箇所の領域Aを図5に示すようにとることができる(図5においては、領域Aの一部を省略して示してある)。
このようにして得られた領域A中に設ける上記領域Bを、感光体回転方向に対して平行な直線L1からL499の計499本で500等分したものを図6に示す。図6中の矢印で示すように、各直線間の間隔は、0.1μmとなる。
上記凹形状部と領域B中の直線の重なりに関して、図7を用いて説明する。本発明における上記領域B中の直線と凹形状部が重なっていることは、具体的には図7中の(7−a)、(7−b)および(7−c)で示される状態を示す。反対に上記領域B中の直線と凹形状部が重なっていない状態とは、具体的には図7中の(7−d)で示される状態を示す。本発明においては、上記領域B中の直線が1つ以上の上記凹形状部の少なくとも一部と重なっている場合、上記直線は上記凹形状部と重なっている直線として数える。
以上の条件を満たす電子写真感光体においては、重なるように凹形状が存在する為、凹形状内に保持できない余分な被覆剤が重なる凹形状のいずれかに保持できる。その結果、電子写真感光体とクリーニングブレードの摩擦抵抗が均一になり、クリーニングブレードエッジの欠けを抑制することが可能となる。また、電子写真感光体の表面及び凹形状内に均一に被覆剤が保持されることから、細線及び小文字の再現性が良好となる。
本発明の電子写真感光体は、電子写真感光体表面に、長軸径(Rpc)が10μm以下であり、短軸径(Lpc)が0.1μm以上であり、かつ最深部と開孔面との距離(Rdv)が0.1μm以上である独立した凹形状部を複数有している。
さらに、本発明の電子写真感光体は、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、上記感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域Aのそれぞれの中に、一辺が上記感光体回転方向に対して平行な、一辺50μmの正方形の領域Bを設け、各領域Bのそれぞれを上記感光体回転方向に対して平行な499本の直線で500等分したとき、各領域Bのそれぞれにおいて、上記499本の直線のうちの400本以上が上記凹形状部と重なっている電子写真感光体である。
本発明の凹形状部の長軸径(Rpc)は10μm以下であるが、0.5μm以上であり、かつ9.0μm以下であることが好ましい。
また、本発明の短軸径(Lpc)は0.1μm以上であるが、0.4μm以上であり、かつ9.0μm以下であることが好ましい。
また、本発明の凹形状部の最深部と開孔面との距離(Rdv)は、0.1μm以上であるが、0.5μm以上であり、かつ5.0μm以下であることが好ましい。
また、本発明の凹形状部の長軸径(Rpc)に対する上記最深部と開孔面との距離(Rdv)の比の値(Rdv/Rpc)が0.1以上であり、かつ10以下であることが好ましい。
また、本発明の凹形状部は、上記領域Bのそれぞれにおいて、上記499本の直線のうちの450本以上が上記凹形状部と重なっていることが、感光体表面に生じた微小な傷の成長を抑える効果を高めるためにはより好ましい。
また、本発明においては、該凹形状部の個数が100μm四方あたり76個以上であることが好ましく、100個以上形成されていることがより好ましい。また平均長軸径(Rpc-A)が3.0μmより大きいことが好ましく、5μm以上、10μm以下であることがより好ましい。平均長軸径(Rpc-A)が3.0μmより大きい場合でも、100μm四方あたりの凹形状部の個数が76個未満である場合には、前述の電子写真感光体表面とクリーニングブレードの摩擦力の低減効果が十分に得られないため、本発明の効果が得られにくい傾向にある。また平均長軸径(Rpc-A)が3.0μm未満の場合においては、100μm四方あたりの凹形状部の個数が76個以上であっても、クリーニングブレードとの摩擦抵抗が増加する傾向に有る。
さらに、本発明においては、前記統計処理において、長軸径(Rpc-A)が3.0μm以下の凹形状部が少ないこと、さらにはないことが好ましい。単位面積当たりの平均長軸(Rpc-A)径が3.0μmより大きい場合でも、長軸径(Rpc)が3.0μm以下の凹形状部が多くなるにしたがって、クリーニングブレードエッジの欠けが発生しやすい傾向にある。具体的には、長軸径(Rpc)が3.0μm以下の凹形状部が50個数%以下であることが好ましく、10個数%以下であることがより好ましい。
本発明においては、凹形状部の深さ(Rdv)は、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。深さが0.1μmより小さい場合には、本発明の効果が得られにくい傾向にある。
本発明においては、さらに、凹形状部の合計面積が40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより一層好ましい。凹形状部の合計面積が小さすぎると本発明の効果が得られにくくなる。なお、この「凹形状部の合計面積」とは、上記100μm四方の領域において、下記式のように凹形状が形成された部分の占める面積の割合をいう。
{凹形状部の合計開本発明においては、各々の凹形状の配置は任意であり、最適化が可能である。
また、本発明においては、該凹形状部の個数が100μm四方あたり76個以上であることが好ましく、100個以上形成されていることがより好ましい。また平均長軸径(Rpc-A)が3.0μmより大きいことが好ましく、5μm以上、10μm以下であることがより好ましい。平均長軸径(Rpc-A)が3.0μmより大きい場合でも、100μm四方あたりの凹形状部の個数が76個未満である場合には、前述の電子写真感光体表面とクリーニングブレードの摩擦力の低減効果が十分に得られないため、本発明の効果が得られにくい傾向にある。また平均長軸径(Rpc-A)が3.0μm未満の場合においては、100μm四方あたりの凹形状部の個数が76個以上であっても、クリーニングブレードエッジの欠けが発生しやすくなる。特に、高温、高湿環境下においてこの現象は顕著になりやすい。
さらに、本発明においては、前記統計処理において、長軸径(Rpc)が3.0μm以下の凹形状部が少ないこと、さらにはないことが好ましい。単位面積当たりの平均長軸径(Rpc-A)が3.0μmより大きい場合でも、長軸径(Rpc)が3.0μm以下の凹形状部が多くなるにしたがって、クリーニングブレードエッジの欠けが発生しやすくなる。具体的には、長軸径(Rpc)が3.0μm以下の凹形状部が50個数%以下であることが好ましく、10個数%以下であることがより好ましい。
本発明においては、凹形状部の深さ(Rdv)は、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。深さが0.1μmより小さい場合には、本発明の効果が得られにくい傾向にある。
本発明において、電子写真感光体の表面の凹形状部は、例えば、市販のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡あるいは原子力間顕微鏡を用いて測定可能である。
レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000および超深度形状測定顕微鏡VK−9500(いずれも(株)キーエンス社製):表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機((株)菱化システム社製):走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000(オリンパス(株)社製):リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130(レーザーテック(株)社製)。
光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。デジタルマイクロスコープVHX−500およびデジタルマイクロスコープVHX−200(いずれも(株)キーエンス社製):3DデジタルマイクロスコープVC−7700(オムロン(株)社製)。
電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800および3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(いずれも(株)キーエンス社製):走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製):走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550((株)島津製作所社製)。
原子力間顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000((株)キーエンス社製):走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製):走査型プローブ顕微鏡SPM−9600((株)島津製作所社製)。
上記顕微鏡を用いて、所定の倍率により、測定視野内の凹形状部の個数、長軸径および深さを計測することが出来る。さらには、単位面積あたりの凹形状部の平均長軸径、平均深さ、開孔部の面積率を計算により求めることが出来る。
一例として、Surface Explorer SX−520DR型機による解析プログラムを利用した測定例について説明する。測定対象の電子写真感光体をワーク置き台に設置し、チルト調整して水平を合わせ、ウェーブモードで電子写真感光体の周面の3次元形状データを取り込む。その際、対物レンズの倍率を50倍とし、100μm×100μm(10000μm2)の視野観察としてもよい。この方法で、測定対象の感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定する。
次に、データ解析ソフト中の粒子解析プログラムを用いて電子写真感光体の表面の等高線データを表示する。
凹形状部の形状、長軸径、深さおよび開孔部面積のような凹形状部の孔解析パラメーターは、形成された凹形状部によって各々最適化することが出来る。例えば、長軸径10μm程度の凹形状部の観察及び測定を行なう場合、長軸径上限を15μm、長軸径下限を1μm、深さ下限を0.1μmおよび体積下限を1μm3以上としてもよい。そして、解析画面上で凹形状部と判別できる凹形状部の個数をカウントし、これを凹形状部の個数とする。
また、上記と同様の視野及び解析条件で、上記粒子解析プログラムを用いて求められる各凹形状部の開孔部面積の合計から凹形状部の合計開孔部面積を算出し、以下の式から凹形状部の開孔部面積率(以下、単に面積率と表記したものは、この開孔部面積率を示す)を算出してもよい。
{凹形状部の合計開孔部面積/(凹形状部の合計開孔部面積+非凹形状部の合計面積)}×100]
<本発明による電子写真感光体の表面形状の形成方法>
次に、本発明による電子写真感光体の表面形状の形成方法について説明する。表面形状の形成方法としては、上記の凹形状部に係る要件を満たし得る方法であれば、特に制限はない。電子写真感光体表面の形成方法の例を挙げれば、パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行なう表面の形成方法、電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法が挙げられる。
パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法について説明する。この方法で用いるレーザーの具体的な例としては、ArF、KrF、XeFまたはXeClのようなガスをレーザー媒質とするエキシマレーザーあるいはチタンサファイアを媒質とするフェムト秒レーザーが挙げられる。さらに、上記、レーザー照射における、レーザー光の波長は、1,000nm以下であることが好ましい。
上記、エキシマレーザーは、以下の工程で放出されるレーザー光である。まず、Ar、KrまたはXeのような希ガスと、FあるいはClのようなのハロゲンガスとの混合気体に、放電、電子ビームまたはX線のような高エネルギーを与えて、上記の元素を励起して結合させる。その後、基底状態に落ちることで解離する際、エキシマレーザー光が放出される。上記、エキシマレーザーにおいて用いるガスとしては、ArF、KrF、XeClまたはXeFが挙げられるが、いずれを用いてもよい。特には、KrFあるいはArFが好ましい。
凹みの形成方法としては、図8に示すような、レーザー光遮断部aとレーザー光透過部bとを適宣配列したマスクを使用する。マスクを透過したレーザー光のみがレンズで集光され、被加工物に照射されることにより、所望の形状と配列を有した凹みの形成が可能となる。一定面積内の多数の凹みを、凹みの形状、面積に関わらず瞬時に同時に加工できるため、工程は短時間で行うことが出来る。マスクを用いたレーザー照射により、1回照射当たり数mm2から数cm2が加工される。レーザー加工においては、図9に示すように、まず、ワーク回転用モーターdにより電子写真感光体を自転させる。自転させながら、ワーク移動装置eによりレーザー照射位置を電子写真感光体の軸方向上にずらしていくことにより、電子写真感光体の表面全域に効率良く凹みを形成することができる。凹みの深さは、レーザー光の照射時間や照射回数などによって、前記所望の範囲内に調整が可能である。本発明によれば、凹みの大きさ、形状、配列の制御性が高く、高精度且つ自由度の高い粗面加工が実現できる。
また、レーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法では、同じマスクパターンを用いて上記の表面の形成方法を複数の部位あるいは感光体表面全域に施されてもよい。この方法により、感光体表面全体に均一性の高い凹形状部を形成することができる。その結果、電子写真装置において使用する際のクリーニングブレードにかかる力学的負荷は均一となる。また、図10に示すように、感光体の任意の周方向線上に、凹形状部h及び凹形状非形成部gの双方が存在する配列となるようにマスクパターンを形成することにより、クリーニングブレードにかかる力学的負荷の偏在は一層防止できる。
次に、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行なう表面形状の形成方法について説明する。
図11は、本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の例を示す図である。加圧及び解除が繰り返し行なえる加圧装置Aに所定のモールドBを取り付けた後、感光体Cに対して所定の圧力でモールドBを当接させ形状転写を行なう。その後、加圧を一旦解除し、感光体Cを回転させた後に、再度加圧そして形状転写工程を行なう。この工程を繰り返すことにより、感光体の全周にわたって所定の凹形状を形成することが可能である。
また、図12に示したように、まず、加圧装置Aに感光体Cの全周長よりも長いモールドBを取り付ける。その後、感光体Cに対して所定の圧力をかけながら、感光体を回転、移動させることにより、感光体全周にわたって所定のディンプル形状を形成することも可能である。
他の例として、シート状のモールドをロール状の加圧装置と感光体の間に挟み、モールドシートを送りながら表面加工することも可能である。
なお、形状転写を効率的に行なう目的で、モールドや感光体を加熱してもよい。
モールド自体の材質や大きさ、形状は適宜選択することが出来る。材質としては、微細表面加工された金属や樹脂フィルム、シリコンウエハーなどの表面にレジストによりパターンニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルム、所定の微細表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングされたものが挙げられる。モールド形状の一例を図13に示す。
また、感光体に対して圧力の均一性を付与する目的で、モールドと加圧装置との間に弾性体を設置することも可能である。
次に、電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させることによる表面形状の形成方法について説明する。
電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法とは、結着樹脂および特定の芳香族有機溶剤を含有し、芳香族有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下で含有する表面層用塗布液を作製し、該塗布液を塗布する塗布工程、次いで、該塗布液を塗布された支持体を保持し、該塗布液を塗布された支持体の表面を結露させた支持体保持工程、その後、支持体を加熱乾燥する乾燥工程により表面に各々独立した凹形状部が形成された表面層を作製することを特徴とする電子写真感光体製造方法を示す。
上記、結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和樹脂が挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂あるいはジアリルフタレート樹脂が好ましい。さらには、ポリカーボネート樹脂あるいはポリアリレート樹脂であることが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
上記、特定の芳香族有機溶剤は、水に対して親和性の低い溶剤である。具体的には、1,2−ジメチルベンゼン、1,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼンあるいはクロロベンゼンが挙げられる。
上記、表面層塗布液中に、芳香族有機溶剤を含有していることが重要であるが、凹形状部を安定的に作製する目的で、表面層塗布液中に、さらに水との親和性の高い有機溶剤あるいは水を表面層用塗布液中に含有してもよい。水との親和性の高い有機溶剤としては、(メチルスルフィニル)メタン(慣用名:ジメチルスルホキシド)、チオラン−1,1−ジオン(慣用名:スルホラン)、N,N−ジメチルカルボキシアミド、N,N−ジエチルカルボキシアミド、ジメチルアセトアミドあるいは1−メチルピロリジン−2−オンであることが好ましい。これらの有機溶剤は単独で含有することも、2種以上混合して含有することができる。
上記、支持体の表面を結露させた支持体保持工程とは、表面層塗布液を塗布された支持体を、支持体の表面が結露する雰囲気下に一定時間保持する工程を示す。この表面形成方法における結露とは、水の作用により表面層塗布液を塗布された支持体に液滴が形成されたことを指す。支持体の表面を結露させる条件は、支持体を保持する雰囲気の相対湿度および塗布液溶剤の揮発条件(例えば気化熱)によって影響されるが、表面層塗布液中に、芳香族有機溶剤を全溶剤質量に対し50質量%以上含有しているため、塗布液溶剤の揮発条件の影響は少なく、支持体を保持する雰囲気の相対湿度に主に依存する。支持体の表面を結露させる相対湿度は、40%〜100%である。さらに相対湿度70%以上であることが好ましい。支持体保持工程には、結露による液滴形成が行われるのに必要な時間があればよい。生産性の観点から好ましくは1秒〜300秒であり、さらには10秒から180秒程度であることが好ましい。支持体保持工程には、相対湿度が重要であるが、雰囲気温度としては20℃以上80℃以下であることが好ましい。
上記、加熱乾燥する乾燥工程により、支持体保持工程によって表面に生じた液滴を、感光体表面の凹形状部として形成できる。均一性の高い凹形状部を形成するためには、速やかな乾燥であることが重要であるため、加熱乾燥が行われる。乾燥工程における乾燥温度は、100℃〜150℃であることが好ましい。加熱乾燥する乾燥工程時間は、支持体上に塗布された塗布液中の溶剤および結露工程によって形成した水滴が除去される時間があればよい。乾燥工程時間は、20分〜120分であることが好ましく、さらには40分〜100分であることが好ましい。
上記、電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法により、感光体の表面には、各々独立した凹形状部が形成される。電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法は、水の作用により形成される液滴を、水との親和性の低い溶剤および結着樹脂を用いて凹形状部を形成する方法である。この製造方法により作製された電子写真感光体表面に形成された凹形状部の個々の形は、水の凝集力により形成されるため、均一性の高い凹形状部となっている。この製造方法は、液滴あるいは液滴が十分に成長した状態から液滴を除去する工程を経る製造方法であるため、電子写真感光体の表面の凹形状部は、例えば、液滴形状あるいはハニカム形状(六角形状)の凹形状部が形成される。液滴形状の凹形状部とは、感光体表面の観察では、例えば、円形状あるいは楕円形状に観察される凹形状部であり、感光体断面の観察では、例えば、部分円状あるいは部分楕円状に観察される凹形状部を示す。また、ハニカム形状(六角形状)の凹形状部とは、例えば、電子写真感光体の表面に液滴が最密充填されたことにより形成された凹形状部である。具体的には、感光体表面の観察では、例えば、凹形状部が円状、六角形状あるいは角の円い六角形状であり、感光体断面の観察では、例えば、部分円状あるいは角柱のような凹形状部を示す
本発明において、所望の凹形状部を形成するために、表面層塗布液中の溶剤種、溶剤含有量、支持体保持工程における相対湿度、保持工程における保持時間、加熱乾燥温度による制御が可能である。
<本発明による電子写真感光体>
次に、本発明による電子写真感光体について説明する。
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、支持体と、この支持体上に設けられた有機感光層(以下、単に「感光層」ともいう。)とを有する。本発明による電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成した円筒状有機電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状或いはシート状の形状も可能である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体は、電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であっても、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体において、積層型感光層を採用する場合、また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。さらに、耐久性能向上を目的とし感光層上に保護層を設けることも可能である。
支持体の材料としては、導電性を示すもの(導電性支持体)であればよい。例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスの如き金属製(合金製)の支持体が挙げられる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子の如き導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体を用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光の散乱による干渉縞の防止を目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理を施してもよい。
支持体と、後述の中間層又は感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光の散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、導電性顔料や抵抗調節顔料を結着樹脂に分散及び/又は溶解させた導電層用塗布液を用いて形成されてもよい。導電層用塗布液には、加熱又は放射線照射により硬化重合する化合物を添加してもよい。導電性顔料や抵抗調節顔料を分散させた導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、さらには1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより一層好ましい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン,酢酸ビニル,塩化ビニル,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステル,フッ化ビニリデン,トリフルオロエチレンの如きビニル化合物の重合体/共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂およびエポキシ樹脂。
導電性顔料及び抵抗調節顔料としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレスの如き金属(合金)の粒子;これらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したものが挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズの金属酸化物の粒子でもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合するだけでもよいし、固溶体や融着の形にしてもよい。
支持体又は導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。
中間層の材料としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ及びゼラチン。中間層は、これらの材料を溶剤に溶解させることによって得られる中間層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
中間層の膜厚は0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、さらには0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
次に本発明における感光層について説明する。
本発明において感光層に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。
ピリリウム、チアピリリウム系染料;各種の中心金属及び各種の結晶系(α、β、γ、ε、X型など)を有するフタロシアニン顔料;アントアントロン顔料;ジベンズピレンキノン顔料;ピラントロン顔料;モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾの如きアゾ顔料;インジゴ顔料;キナクリドン顔料;非対称キノシアニン顔料;キノシアニン顔料;アモルファスシリコン。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、以下のものが挙げられる。ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物などが挙げられる。また、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物。
感光層を電荷発生層と電荷輸送層とに機能分離する場合、電荷発生層は、以下の方法で形成することができる。つまり、まず、電荷発生物質を0.3〜4倍量(質量比)の結着樹脂及び溶剤とともに、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミルを用いる方法で分散する。分散して得た電荷発生層用塗布液を塗布する。これを乾燥させることによって、電荷発生層を形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
電荷発生層及び電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン,酢酸ビニル,塩化ビニル,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステル,フッ化ビニリデン,トリフルオロエチレンの如きビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂及びエポキシ樹脂。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、さらには0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
電荷輸送層の膜厚は5μm以上50μm以下であることが好ましく、さらには10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
電子写真感光体に要求される特性の一つである耐久性能の向上にあたっては、上述の機能分離型感光体の場合、表面層となる電荷輸送層の材料設計は重要である。その例としては、高強度の結着樹脂を用いたり、可塑性を示す電荷輸送物質と結着樹脂との比率をコントロールしたり、高分子電荷輸送物質を使用するなどが挙げられるが、より耐久性能を発現させるためには表面層を硬化系樹脂で構成することが有効である。
本発明においては、電荷輸送層自体を硬化系樹脂で構成することが可能である。また上述の電荷輸送層上に第二の電荷輸送層或いは保護層として硬化系樹脂層を形成することが可能である。硬化系樹脂層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力の両立であり、電荷輸送材料及び重合或いは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。また場合によっては、電荷輸送能力の付与の目的で、抵抗制御された導電性微粒子の利用も可能である。
電荷輸送材料としては、公知の正孔輸送性化合物および電子輸送性化合物を用いることができる。重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーとしては、アクリロイルオキシ基やスチレン基を有する連鎖重合系の材料、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の材料が挙げられる。得られる電子写真特性、汎用性や材料設計、製造安定性の観点から正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料の組み合わせが好ましく、さらには正孔輸送性基およびアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させる系が特に好ましい。
硬化手段としては、熱、光、放射線を用いて公知の手段が利用できる。
硬化層の膜厚は、電荷輸送層の場合は前述と同様5μm以上50μm以下であることが好ましく、さらには10μm以上35μm以下であることがより好ましい。第二の電荷輸送層あるいは保護層の場合は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、さらには1μm以上10μm以下であることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することが出来る。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤の如き劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子やアクリル樹脂粒子の如き有機樹脂粒子、シリカ,酸化チタン,アルミナの如き無機粒子が挙げられる。
本発明においては上述の方法により作製された表面層を有する電子写真感光体に対して、前述のレーザー加工あるいはモールドによる圧接形状転写加工を行なうことにより、所望の凹形状部を形成することが可能である。また、表面層形成時に表面を結露させることによる表面形状の形成方法を用いる場合には、前述のように表面層の製造方法を制御することにより、所望の凹形状部を形成することが可能である。
本発明による電子写真感光体は、上述の通り、特定の凹形状部をその表面に有する。この形状は、表面が摩耗しにくい電子写真感光体を適用したときに最も効果的に作用する。上述のとおり、表面が摩耗しにくい電子写真感光体は、高耐久である一方で、クリーニング性能や各種の画像欠陥などの問題が顕著になるからである。
<プロセスカートリッジ及び電子写真装置>
次に、本発明によるプロセスカートリッジ及び電子写真装置について説明する。図14は、本発明の電子写真感光体を備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
図14において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の周面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正又は負の所定電位に均一に帯電される。帯電手段3は、図14に示すような帯電ローラーを用いた接触帯電手段に限られない。帯電ローラを用いているが、電子写真感光体とローラ間に空隙を設けた近接帯電でも良い。また、コロナ帯電器を用いたコロナ帯電手段であってもよいし、その他の方式の帯電手段であってもよい。
次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光、LEDのような露光手段(図示せず)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。
こうして電子写真感光体1の周面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。電子写真感光体1の周面に形成された静電潜像は、現像手段5のトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の周面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(普通紙.コート紙など)Qに順次転写されていく。
なお、転写材Qは、転写材供給手段(図示せず)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して給送されてもよい。また、転写材の代わりに、一旦中間転写体や中間転写ベルトにトナー像を転写した後、さらに転写材に転写するシステムも可能である。
トナー像の転写を受けた転写材Qは、電子写真感光体1の周面から分離されて、搬送手段7により図示されない定着手段へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像を転写した後の電子写真感光体1の周面は、クリーニング手段8に回転してゆく。クリーニング手段の内部にはクリーニングブラシ8aが、電子写真感光体1の周面を摺擦し、転写残りのトナーを除去する。本発明のように、被覆剤を塗布することを考慮するとあることが望ましい。クリーニングブラシ8aはブラシである必要はなく、ローラーでもよい。ローラーの場合は、弾性のある物が好ましい。その回転方向は、図14と逆方向でもかまわない。また、図示しないが、8aの後方に転写残りのトナーを除去する為のブレードを設けても良い。
被覆剤塗布手段により、被覆剤が塗布される。被覆剤塗布手段は常時、電子写真感光体に接触していても良いし、離間させて、塗布時に接触させても良い。その後、クリーニングブレード8bによって転写残りのトナーの除去を受けて清浄面化される。さらに前露光手段10からの露光光により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
なお、図14に示すように、帯電手段3が帯電ローラーを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
図15には、クリーニング手段8と被覆剤塗布手段9が分離している電子写真装置の異例を示している。
以下に、本発明の被覆剤及び被覆剤塗布手段について説明する。
被覆剤9aは、帯電手段3等で発生する帯電生成物質が、電子写真感光体1表面に直付着するのを防止するため、感光体1表面に実質的に全域に塗り伸ばされる必要がある。また被覆剤9aは帯電生成物が付着し、高湿環境下では感光体表面同様に低抵抗化するため、適宜除去される必要がある。更に電子写真感光体1最表面に塗布されることから、窓材としての機能、また帯電、現像、転写、クリーニング等の他の工程を阻害しない事も必要である。
よって、いわゆる使い捨ての表面層として、該被覆剤9aには被膜生成容易性(軟らかくて塗伸ばしやすい)、掻き取り易さ、被膜の透明性、適宜な抵抗を有する事等が求められる。
該被覆剤としては、これらの物性からフッ素系樹脂、脂肪酸金属塩、シリコーンオイル等の材料が挙げられる。
中でも脂肪酸金属塩、特にステアリン酸亜鉛は、上記の各特性に優れ、また固体状への加工容易性も優れて好ましい。
該被覆剤を感光体表面へ塗布する方法としては粉末状、液状、あるいは該粉末状の材料を固体状に加工し、これらを直接塗りつける方法や、別途塗布部材を設けても良い。また、気体状の場合には噴霧などにより供給する事ができる。固体状に加工し、塗布部材を使用する形態は該被覆剤のメンテナンスや省スペース、また塗布量の制御も容易であり好ましい。塗布部材としては、ファーブラシ、スポンジ等の弾性部材、磁気ブラシ、ブレード状など、周知の形態のものを使用できる。
ファーブラシは0.56〜3.33tex(5D〜30D)のファーブラシである時に良好な結果が得られた。0.56tex未満の場合にはファーが損耗や変形等により、塗布作用を長期に維持できなる場合がある。また3.33texを超える場合には感光体の損耗や塗布むらが生じる場合があった。
弾性部材はAskerC硬度で5〜30°の範囲が好ましい。30°を超える硬い弾性部材では、塗布むらや感光体の損耗が生じる場合がある。また、5°未満の低硬度の弾性部材では、弾性部材が破損したり、外径が変化するなど、耐久性が低下する場合がある。
これらの部材は、感光体表面に対して相対速度差を持って駆動される。また、特に長期放置後は、該放置により帯電生成物が蓄積している場合がある。該放置後の画像形成前等では上記摺擦・回収機構の駆動速度を、相対速度差を大きくなる様にして、摺擦性を向上させるなど、通常の画像形成時とは異なる速度で駆動する事も好ましい。
該塗布部材の駆動条件として、感光体の面速度に対する相対速度[%]は、部材の材料の物性、感光体の面速度や侵入圧等にもよるが、概ね−100〜+200%が良好な範囲である。−10〜+10%、および略連れ回りの+90〜+110%を除く範囲が好ましい。
なお、該相対速度[%]は、+は感光体に対し順方向、−はカウンター方向であり、例えば+100%は感光体と連れ回る状態、0%は停止状態、−100%は、感光体面速度と同速度でカウンター方向に回転している状態を指す。
該相対速度の差は大きい方が良いが、大きすぎると部材の損耗が発生したりする場合がある。
また、感光体表面の表面形状及び凹部形状の面積率が、特にクリーニングブレードのエッジ欠けに影響することが判明した。特に感光体表面の凹部形状の面積率が小さくなると欠けは悪化する方向にある。またエッジ欠けを抑止する為の上記被覆剤の必要塗布量は凹部形状の面積率及び平均深さに依存する事を見出した。
具体的には、単位面積あたり(被覆剤長手方向1cmあたり、感光体が1cm進んだ時)の被覆剤の塗布量S[μg/cm2]が、下式を満たす範囲が好ましい。
0.064−ΣXi(i=1〜Z)*100*100*0.064
≦S≦1.5+K*ΣXi*Yi(i=1〜Z)*100*100*A
不等式の左辺は、塗布量の下限を示している。我々の検討により、凹部形状のない場合の感光層表面上に最低必要とされる塗布量が0.064gであることが確認された。
本発明の感光層表面には凹形状が形成され、その部分には、被覆剤が塗布されない。その結果、凹部形状部分に相当する塗布量が下記のように示される。
ΣXi(i=1〜Z)*100*100*0.064
これにより、塗布量の左辺の不等式は表されている。
一方、右辺は、凹部形状のない場合の感光層表面上にクリーニング性、画像特性として問題のない被覆剤の最大塗布量が1.5gであることが確認された。本発明の場合は、更に感光体表面に形成された凹部形状に被覆剤が満たされた場合が、最大塗布量となる。凹部形状の体積は、ΣXi*Yi(i=1〜Z)*100*100で表される。被覆剤の重量を求めるには、比重Aを乗する必要がある。従って、その数値は、
K*ΣXi*Yi(i=1〜Z)*100*100*A
によって示される。Kは形状係数で、例えば、円錐、角錐は1、円錐、角錐の場合は1/3である。
これにより塗布量の最大を表す、不等式の左辺は
1.5+K*ΣXi*Yi(i=1〜Z)*100*100*A
となる。
被覆剤の塗布量としては、被覆剤及び塗布部材、被覆剤容器の合計重量の、通紙評価前後の差から求めた。成型品についても同様に求める事が出来る。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
直径84mm、長さ370mmの表面切削加工されたアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に以下の成分からなる溶液を約20時間、ボールミルで分散して、分散液を調整した。
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体 60部
(商品名:パストランPC1、満居金属鉱業(株)製)
酸化チタン 15部
(商品名:TITANIX(登録商標) JR、テイカ(株)製)
フェノール樹脂 43部
(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分70%)
2−メトキシ−1−プロパノール 50部
メタノール 50部
この分散液に、以下の成分を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調整した。
シリコーン樹脂粒子 3.6部
(商品名:トスパール(登録商標)120、GE東芝シリコーン(株)製)
シリコーンオイル 0.015部
(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
上記方法にて調製した導電層用塗料を、上記支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体上端から170mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、以下の成分をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した中間層用塗料を、上記導電層上に浸漬塗布し、100℃に加熱されたのオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミラン(登録商標)CM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジン(登録商標)EF−30T、帝国化学(株)製)
次に、以下の成分を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折において、7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°(ブラッグ角度(2θ±0.2°))に強い回折ピーク有するもの)
下記構造式(1)
Figure 2010008898
で示されるカリックスアレーン化合物 0.2部
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1(登録商標)、積水化学製)
シクロヘキサノン 600部
上記電荷発生層用塗料を中間層上に浸漬コーティング法で塗布し、80℃に加熱されたオーブン内で15分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次いで、以下の成分をクロロベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。これを用いて、上記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、110℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が21μmの電荷輸送層を形成した。
下記構造式(2)
Figure 2010008898
で示される電荷輸送物質(正孔輸送物質) 70部
ポリカーボネート樹脂 100部
(ユーピロンZ400(登録商標)、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)
次いで、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラ(登録商標)H、日本ゼオン(株)社製)80部、1−プロパノール80部、および構造式(3)で示される正孔輸送性化合物90部を混合攪拌したのち、ポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)社製)で濾過を行い、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
Figure 2010008898
上記第二電荷輸送層用塗料を用いて、上記電荷輸送層上に第二電荷輸送層用塗料を塗布した後、大気中、50℃のオーブンで10分間乾燥した。その後、窒素雰囲気下において加速電圧150KVおよびビーム電流3.0mAの条件で支持体を200rpmで回転させながら1.6秒間電子線照射を行った。引き続いて、窒素雰囲気下において、支持体周囲の温度を25℃から125℃まで30秒かけて昇温させ、第二電荷輸送層に含有される物質の硬化反応を行なった。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15KGyであった。また、電子線照射及び加熱硬化反応雰囲気の酸素濃度は15ppm以下であった。上記処理を行った支持体を、大気中において25℃まで自然冷却し、その後、120℃に加熱されたのオーブン内で30分間、大気中で、加熱処理を行なって、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、図7に示された装置において、図16に示された形状転写用のモールドを設置し表面加工を行なった。加工時の電子写真感光体及びモールドの温度は110℃に制御し、50kg/cm2の圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させ形状転写を行なった。
<電子写真感光体の表面形状測定>
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス社製)を用いて表面観察を行った。測定対象の電子写真感光体を円筒状支持体を固定できるよう加工された置き台に設置し、電子写真感光体の上端から170mm離れた位置の表面観察を行った。その際、対物レンズ倍率50倍とし、感光体表面の100μm四方を視野観察とし、測定を行った。測定視野内に観察された凹形状部を解析プログラムを用いて解析を行った。
測定視野内にある各凹形状部の表面部分の形状、長軸径(Rpc)および凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さ(Rdv)を測定した。電子写真感光体の表面には、図13に示される円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の100μm四方あたりの個数を算出すると、2,500個であった。また、凹形状部の表面部分の平均長軸径(Rpc−A)は、1.0μmであった。また、凹形状部と、その凹形状部と最も近い距離にある凹形状部との平均距離(以下、凹形状部間隔と表記する)は、1.0μmの間隔で形成されていた。また、凹形状部の平均深さ(Rdv−A)は、1.5μmであった。さらに、面積率を算出すると、20%であった。結果を表1に示す。(表1中、個数は、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の100μm四方あたりの個数を示す。Rpc−Aは、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径を示す。Rdv−Aは、100μm四方あたりの凹形状部の平均深さを示す。Rdv−A/Rpc−Aは、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径に対する平均深さの比を示す。)
<電子写真装置の構成及び設定>
上記の方法により作製された電子写真感光体を、キヤノン(株)製のカラー電子写真複写機imagePRESS(登録商標) C1改造機を用いた。改造は、図17に示すようにクリーニング手段の下部に被覆剤塗布手段を設けた。また、図示しないが、露光系の解像度を1200dpiにした。
図17を用いて、実施例の電子写真感光体を画像評価した条件を説明する。
まず、電子写真感光体1は280mm/secの周速で矢印方向に回転している。前露光手段10は670nmの波長のLEDを用い、光量は100μWとした。帯電手段3はスコロトンの帯電器を用い、ワイヤーの総電流を−1000μAにした。露光手段4は660nmのレーザーを用いた。現像手段5には2成分現像剤を用い、キャリアとトナーの比を8%とした。現像器スリーブにはかぶり取り電位として電子写真感光体の帯電電位に対して+180V印加した。imagePRESS C1は中間転写体12を用い、転写ローラー6により、電子写真感光体1に現像されたトナーを中間転写体12に転写する。塗布手段9はアース電位に接地した塗布手段9b及び被覆剤9aからなる。塗布手段9bは1texのレーヨン系導電糸を使用し、100KF/inch*2で毛の長さを4mmとした、外径18mmのファーブラシとした。このファーブラシを電子写真感光体への侵入量を0.5mm、駆動速度は順方向に75%とした。被覆剤9aは市販のステアリン酸亜鉛(堺化学工業製:SZ−2000)を用い、A3長の直方体上に成型した。成型品の硬度はJIS鉛筆硬度でH〜Fであった。クリーニング手段8は、硬度77°、厚さ3mmのクリーニングブレード8aを用い、自由長3mm、線圧22g/cmとした。
<被覆剤塗布量の好適な範囲>
本発明の不等式から実施例1の不等式は
右辺 0.064−2500*0.5*0.5*Π*(10-8)*100*100*
0.064=0.051
左辺 1.5+2500*0.5*0.5*Π*(10-8)*1.5*(10−4)*100*100*1.1=1.5+3.2×10-5≒1.5
実施例1は塗布量を0.9μg/cm2とした。
<電子写真感光体及び電子写真装置の評価>
上記の電子写真装置を用いて23℃5%RH及び30℃80%RHの環境で5%原稿で100、000枚を連続通紙を行った。
連続通紙後の1200dpiでの1ライン/3スペース(主走査方向に1ドットの細線の画像を形成し、次いで、副走査方向に3ドット細線の画像を形成しないことを繰り返す)の細線画像をA4原稿で画出しした。また、2ライン/3スペース(主走査方向に2ドットの細線の画像を形成し、次いで、副走査方向に3ドット細線の画像を形成しないことを繰り返す)の細線をA4原稿で画出しし、以下の様にレベル評価した。
○;良好 顕微鏡で観察し、1ライン/3スペースの細線が断裂した箇所が5箇所以内、2ライン/3スペースの細線は断裂した箇所がない。
△;実用可能 1ライン/3スペースの細線が断裂した箇所が10箇所以内、2ライン/3スペースの細線は断裂した箇所がないが、細線が欠けた箇所が見受けられる。
×;上記以外 1ライン/3スペースの細線が断裂した箇所が10箇所以上、2ライン/3スペースの細線は断裂した箇所が見受けられる。
また、連続通紙後のクリーニング性を以下のようにレベル評価した。クリーニング性は、フィルミング・トナー融着や擦り抜け、異音(振動音、共鳴音)を評価した。特にブレードクリーニングを使用する際に評価するが、耐久前後で該クリーニングブレードのエッヂ部を顕微鏡観察し、損耗レベルを評価した。
耐刷試験後に摺擦・除去部材の表面、またクリーニングブレードではカット面と当接面を顕微鏡観察し、欠けや抉れや部材損耗領域の大きさ及び個数、またトナーすり抜けや、ビビリ、捲れといったクリーニング不良を評価した。判定基準は下記の通りである。
○;良好 欠け、えぐれ、またはファーの損耗領域無し。トナー粒径以下の欠け、えぐれ
またはファーの損耗領域が5箇所以内。擦り抜けなし。めくれ、ビビリ、共鳴音、何れも無し。
△;実用可能 トナー粒径以下の欠け、えぐれ、またはファーの損耗領域が6〜15箇所。トナー粒径以上のものが有るが、トナー粒径の2倍以上のものは無し。擦り抜け無し。共鳴音またはビビリが発生する場合がある(頻度少)
×;上記以外 欠け、えぐれ、またはファーの損耗領域等に起因する擦り抜け有り、又はブレードの場合はメクレが発生す場合がある。ビビリと共鳴音が発生する乃至は頻度が高い。
なお、連続通紙及び通紙後の画出しの電子写真装置の各環境での設定条件を以下に示す。
Figure 2010008898
実施例1において被覆剤の塗布量を0.08μg/cm2とした。結果を表1に示す。
実施例1において被覆剤の塗布量をと1.35μg/cm2した。結果を表1に示す。
実施例1において被覆剤の塗布量を0.4μg/cm2とした。結果を表1に示す。
(参考例1)
実施例1において被覆剤の塗布量を0とした。結果を表1に示す。1ライン/3スペースの細線が断裂した箇所が9箇所、2ライン/3スペースの細線は断裂した箇所がないが、
細線が欠けた箇所が見受けられた。クリーニング性は、クリーニングブレードに欠け、えぐれ起因したと思われる画像スジが通紙中に見受けられた。
(参考例2)
実施例1において被覆剤の塗布量を0.04μg/cm2とした。結果を表1に示す。結果を表1に示す。1ライン/3スペースの細線が断裂した箇所が7箇所、2ライン/3スペースの細線は断裂した箇所がないが、細線が欠けた箇所が見受けられた。クリーニング性は、クリーニングブレードに欠け、えぐれ起因したと思われる画像スジが通紙中に見受けられた。
(参考例3)
実施例1において被覆剤の塗布量を1.8μg/cm2とした。結果を表1に示す。1ライン/3スペースの細線が断裂した箇所が15箇所、2ライン/3スペースの細線は断裂した箇所が見受けられた。
(参考例4)
実施例1において被覆剤の塗布量2.5μg/cm2をとした。結果を表1に示す。1ライン/3スペースの細線が断裂した箇所が20箇所、2ライン/3スペースの細線は断裂した箇所が見受けられた。
(参考例5)
実施例1において表面に凹形状を形成しなかった。結果を表1に示す。23℃5%RH環境下で80000枚通紙以降にクリーニングブレードから共鳴音が発生した。30℃80%RH環境下で50000枚通紙中にメクレが発生した。そのため、細線画像の評価はおこなわなかった。
(参考例6)
実施例1において表面の凹形状の個数を1000個とした。結果を表1に示す。1ライン/3スペースの細線が断裂した箇所が8箇所、2ライン/3スペースの細線は断裂した箇所が見受けられた。クリーニング性は、クリーニングブレードに欠け、えぐれ起因したと思われる画像スジが通紙中に見受けられた。
(参考例7)
実施例1において表面を#2000のラッピングテープ(砥粒:SiC、日本レフライトでし、Rzを1.0μmとした。結果を表1に示す。
(比較例1)
参考例5において、被覆剤の塗布を行わなかった。23℃5%RH環境下で30000枚通紙中にクリーニングブレードから共鳴音が発生した。30℃80%RH環境下で8000枚通紙中にメクレが発生した。そのため、細線画像の評価はおこなわなかった。結果を表1に示す。
(比較例2)
参考例6において、被覆剤の塗布を行わなかった。1ライン/3スペースの細線が断裂した箇所が8箇所、2ライン/3スペースの細線は断裂した箇所が見受けられた。クリーニング性は、クリーニングブレードに欠け、えぐれ起因したと思われる画像スジが通紙中に見受けられた。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図16中のDで示された長軸径を1.0μmから0.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから0.5μmおよびFで示された高さを3.0μmから2.0μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.5μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に電子写真感光体の特性評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドを図18に示した円錐形状のモールドに代えた以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図19に示される円錐状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.2μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。
被覆剤塗布量は、
下限 0.064−0.03×10−8*62500*640=0.052
上限 0.03×10−8*62500*100*100*1.0×10−4
1.5+1.88×10−5≒1.5
実施例1と同様の塗布量とした。
実施例1と同様に電子写真感光体の特性評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1において、フッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)を1.5部、4フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2(登録商標)、ダイキン工業(株)製)を30部、構造式(3)で示される正孔輸送性化合物を70部とした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例1と同様に支持体上に導電層、中間層および電荷発生層を作製した。
次いで、以下の成分をクロロベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。これを用いて、上記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、110℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
上記式(2)で示される電荷輸送物質(正孔輸送物質) 70部
下記構造式(4)
Figure 2010008898
で示される共重合型ポリアリーレート樹脂 100部
(式中、mおよびnは、繰り返し単位の本樹脂における比(共重合比)を示し、本樹脂においては、m:n=7:3である。また、共重合の形態は、ランダム共重合体である。)
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。また、重量平均分子量(Mw)は、130,000である。
本発明において、樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定されたものである。
すなわち、測定対象樹脂をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象樹脂とテトラヒドロフランとよく混合し(測定対象樹脂の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置した。
その後、東ソー(株)製のサンプル処理フィルター、マイショリディスク(登録商標)H−25−5を通過させたものをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とした。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、GPC用試料を10μl注入して、測定対象樹脂の重量平均分子量を測定した。カラムには、東ソー(株)製のカラムTSKgel SuperHM−Mを用いた。
測定対象樹脂の重量平均分子量の測定にあたっては、測定対象樹脂が有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が、3,500、12,000、40,000、75,000、98,000、120,000、240,000、500,000、800,000、1,800,000のものを10点用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、実施例1で使用したモールドにおいて、図16中のFで示された高さを3.0μmから6μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。
被覆剤塗布量は下限=実施例1と同様。
上限=1.5+6.47×10-5≒1.5
実施例1と同様の塗布量とした。
実施例1と同様に電子写真感光体の特性評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体の表面に対して、図9で示されるようなKrFエキシマレーザー(波長λ=248nm)を用いた凹形状部作製方法を用いて、凹形状部を形成した。その際に、図20で示すように直径10μmの円形のレーザー光透過部が5.0μm間隔で図のように配列するパターンを有する石英ガラス製のマスクを用い、照射エネルギーを0.9cJ/m2とした。さらに、1回照射あたりの照射面積は2mm四方で行い、2mm四方の照射部位あたり3回のレーザー光照射を行った。同様の凹形状部の作製を、図4に示すように、電子写真感光体を回転させ、照射位置を軸方向にずらす方法により、感光体表面に対する凹形状部の形成を行った。
実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図21に示される凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表2に示す。また、凹形状部間隔は、1.4μmの間隔で形成され、面積率は41%であった。
塗布量は、下限 0.064−6.6×10−8*625*640=0.038
上限 6.6×10−8*625*100*100*3.2×10−
41.5+1.32×10−4≒1.5
塗布量は実施例1と同様にした。
実施例1と同様に電子写真感光体の特性評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1と同様に支持体上に導電層、中間層および電荷発生層を作製した。
次に、上記式(1)で示される構造を有する電荷輸送物質10部、結着樹脂としてポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10部、クロロベンゼン65部およびジメトキシメタン35部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する表面層用塗布液を調合した。このように調製した表面層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、支持体上に表面層用塗布液を塗布した。表面層用塗布液を塗布する工程は、相対湿度45%および雰囲気温度25℃の状態で行った。塗布工程終了から60秒後、予め装置内を相対湿度70%および雰囲気温度60℃の状態にされていた支持体保持工程用装置内に、表面層用塗布液が塗布された支持体を120秒間保持した。支持体保持工程終了から60秒後、予め装置内が120℃に加熱されていた送風乾燥機内に、支持体を入れ、乾燥工程を60分間行った。
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、凹形状部が形成されていることが確認された。図22に、実施例10で作製された電子写真感光体の表面のレーザー顕微鏡による画像を示す。測定結果を表2に示す。また、凹形状部間隔は、1.8μmの間隔で形成され、面積率は44%であった。
塗布量は、下限 0.064−13.85×10−8*320*640=0.03

上限 13.85×10−8*320*100*100*6×10
−41.5+2.66×10−4≒1.5
実施例1と同様の塗布量とした。
実施例1と同様に電子写真感光体の特性評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1と同様に支持体上に導電層、中間層および電荷発生層を作製した。
次に、上記式(1)で示される構造を有する電荷輸送物質10部、結着樹脂として上記式(5)で示されるポリアリレート樹脂10部、クロロベンゼン50部、オキソラン30部およびジメトキシメタン20部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する表面層用塗布液を調合した。このように調製した表面層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、支持体上に表面層用塗布液を塗布した。表面層用塗布液を塗布する工程は、相対湿度45%および雰囲気温度25℃の状態で行った。塗布工程終了から60秒後、予め装置内を相対湿度70%および雰囲気温度60℃の状態にされていた支持体保持工程用装置内に、表面層用塗布液が塗布された支持体を120秒間保持した。支持体保持工程終了から60秒後、予め装置内が120℃に加熱されていた送風乾燥機内に、支持体を入れ、乾燥工程を60分間行った。
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表2に示す。また、凹形状部間隔は、2.6μmの間隔で形成され、面積率は47%であった。
塗布量は、下限 0.064−36.3×10−8*120*640=0.036
上限 36.3×10−8*120*100*100*6×10−
41.5+2.61×10−4≒1.5
実施例1と同様の塗布量とした。
実施例1と同様に電子写真感光体の特性評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドを用いて加工を行った。
また、この電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域を領域Aとし、計100箇所の領域Aのそれぞれの中に、一辺が感光体回転方向に対して平行な、一辺50μmの正方形の領域Bを設けた。各領域Bのそれぞれを該感光体回転方向に対して平行な499本の直線で500等分したとき、計100箇所の全ての領域Bにおいて、この499本の直線の全てが作製した凹形状部と重なっていることが確認された。
実施例1と同様に表面形状測定をおこなったところ、平均長軸径(RPc-A)が1.0μm、平均短軸径(Lpc-A)が1.0μm、および特性評価を行なった結果を表2に示す。
実施例8において、実施例1で使用したモールドを、図16中のFで示された高さを1.4μmとした以外は、実施例12と同様に加工を行った。これらの結果を表2に示す。
実施例9において、図20にされる石英ガラス製のマスクを、直径30μmの円形のレーザー光透過部5が10μm間隔で配列するパターンとして加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図23に示すように、長軸径Rpcが8.6μm、短軸径Lpcが8.6μm、深さ(Rdv)が0.9μmの凹形状部が形成されていることが確認された。
塗布量は、下限 0.064−58.1×10−8*43*640=0.048
上限 58.1×10−8*43*100*100*8.6×10−
41.5+9.2×10−3≒1.51
これらの結果を表2に示す。
実施例1において、図16に示した形状転写用のモールドを(長軸径:5.0μm、間隔:0.5μm、高さ:2.0μmの円柱形状)として、表面加工を行なった。加工時の電子写真感光体表面の温度が120℃になるように、電子写真感光体およびモールドの温度を制御し、30kg/cm2の圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させ形状転写を行なった。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、長軸径(Rpc):5.0μm、深さ(Rdv):1.0μmの円柱状の凹みが0.5μm間隔で形成されていることがわかった。なお、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径、平均深さ、個数及び面積率は表3に示した通りであった。
塗布量は、下限 0.064−19.6×10−8*324*640=0.023
上限 19.6×10−8*324*100*100*1.0×10
−41.5+6.35×10−5≒1.5
塗布量は実施例1と同様にした。
実施例1と同様に電子写真感光体の特性評価を行なった。結果を表3に示す。
実施例1で使用したモールドを、図24に示した形状転写用のモールド(長軸径:5.0μm、間隔:0.5μm、高さ:2.0μmの六角柱形状)にかえた以外は、実施例15と同様に加工を行なった。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図25に示すように、長軸径:5.0μm、深さ:1.0μmの六角柱状の凹みが0.5μm間隔で形成されていることがわかった。なお、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径、平均深さ、個数及び面積率は表3に示した通りであった。
塗布量は、下限 0.064−13×10−8*324*640=0.037
上限 13×10−8*324*100*100*1.0×10−
41.5+6.35×10−5≒1.5
塗布量は実施例1と同様にした。
実施例1と同様に電子写真感光体の特性評価を行なった。結果を表3に示す。
実施例1で使用したモールドを、図26に示した形状転写用のモールド(裾部長軸径:7.5μm、間隔:0.5μm、高さ:2.0μmの山形形状)にかえた以外は、実施例15と同様に加工を行なった。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図27に示すように、長軸径:7.5μm、深さ:1.0μmの山形形状の凹みが0.5μm間隔で形成されていることがわかった。なお、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径、平均深さ、個数及び面積率は表1に示した通りであった。
塗布量は、下限 0.064−44.1×10−8*144*640=0.023
上限 44.1×10−8*144*100*100*1.0×10
−41.5+6.35/3≒1.5
得られた感光体は、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表3に示す。
実施例1で使用したモールドを、図28に示した形状転写用のモールド(長軸径:8.0μm、間隔:1.0μm、高さ:2.0μmの四角柱形状)にかえた以外は、実施例15と同様に加工を行なった。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図29に示すように、長軸径:8.0μm、深さ:1.0μmの四角柱形状の凹みが1.0μm間隔で形成されていることがわかった。なお、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径、平均深さ、個数及び面積率は表3に示した通りであった。
塗布量は、下限 0.064−64×10−8*225*640=0.028
上限 64×10−8*225*100*100*1.0×10−
41.5+1.44×10−4≒1.5
塗布量は実施例1と同様にした。
得られた感光体は、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表3に示す。
実施例1で使用したモールドを、図30に示した形状転写用のモールド(長軸径:6.0μm、短軸径:3.0μm、間隔:1.0μm(長軸側)、0.5μm(短軸側)、高さ:2.0μmの楕円柱形状)にかえた以外は、実施例15と同様に加工を行なった。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図31に示すように、長軸径:6.0μm/短軸径:3.0μm、深さ:1.0μmの楕円柱形状の凹みが、長軸側:1.0μm/短軸側:0.5μm間隔で形成されていることがわかった。なお、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径、平均深さ、個数及び面積率は表1に示した通りであった。
塗布量は、下限 0.064−14.1×10−8*392*640=0.02

上限 14.1×10−8*392*100*100*1.0×10
−41.5+5.53×10−5≒1.5
塗布量は実施例1と同様にした。
得られた感光体は、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表3に示す。
実施例9において、直径30μmの円形のレーザー光透過部b(不図示)が10μm間隔で配列するパターンを有する石英ガラス製のマスクを用いて、行った。なお、エキシマレーザーの照射エネルギーは、0.9cJ/m2とし、1回照射当たりの照射面積は、2mm四方とした。図9に示すように、感光体を回転させ、照射位置を軸方向にずらしつつ照射を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図14に示すように、長軸径:8.6μm、深さ:0.9μmのエッジを有さない円柱状の凹みが2.9μm間隔で形成されていることがわかった。なお、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径、平均深さ、個数及び面積率は表3に示した通りであった。
塗布量は、下限 0.064−58.1×10−8*76*640=0.036
上限 58.1×10−8*76*100*100*2.9×10−
41.5+1.28×10−4≒1.5
塗布量は実施例1と同様にした。
得られた感光体は、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表3に示す。
実施例8において、加工時の電子写真感光体表面の温度を150℃とした以外は、実施例15と同様に加工を行なった。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、長軸径:5.0μm、深さ:1.0μmの円柱状の凹みが0.5μm間隔で形成されていることがわかった。なお、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径、平均深さ、個数及び面積率は表3に示した通りであった。
塗布量は、下限 0.064−19.6×10−8*324*640=0.023
上限 19.6×10−8*324*100*100*1.0×1
0−41.5+6.35×10−5≒1.5
塗布量は実施例1と同様にした。
得られた感光体は、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表3に示す。
実施例8において、実施例19のマスクを用いて同様なレーザー加工により、電子写真感光体の表面形状加工を行なった。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図31に示すように長軸径:8.1μm、深さ1.0μmのエッジを有さない円柱状の凹みが2.5μm間隔で形成されていることがわかった。なお、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径、平均深さ、個数及び面積率は表3に示した通りであった。
塗布量は、下限 0.064−51.5×10−8*94*640=0.033
上限 51.5×10−8*84*100*100*1.0×10−
41.5+4.84×10−5≒1.5
塗布量は実施例1と同様にした。
得られた感光体は、実施例1と同様に評価を行なった。結果を表3に示す。
Figure 2010008898
Figure 2010008898
Figure 2010008898
本発明における凹形状部の表面形状の例を示す図である。図中の矢印は凹形状部における長軸径(Rpc)を示す。 本発明における凹形状部の表面形状の例を示す図である。図中の矢印は凹形状部における短軸径(Lpc)を示す。 本発明における凹形状部の断面形状の例を示す図である。図中の矢印は、凹形状部における長軸径(Rpc)および最深部と開孔面との距離(Rdv)を示す。 本発明の電子写真感光体における支持体および該支持体上に設けられた感光層を示す図である。(図中の直線OPは、感光層上における感光体回転方向と直交する直線である。) 本発明における領域Aの取り方を示す図である。(領域Aの一部を省略して図示している。) 本発明における領域Bを、感光体回転方向に対して平行な499本の直線で500等分した図である。(図中の直線は一部のみ図示している。) 本発明における領域B中の直線と凹形状部の重なりの例を示す図である。 本発明におけるマスクの配列パターンの例(部分拡大図)を示す図である。 本発明におけるレーザー加工装置の概略図の例を示す図である。 本発明により得られた電子写真感光体表面の凹形状部の配列パターンの例(部分拡大図)を示す図である。 本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の例を示す図である。 本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の別の例を示す図である。 本発明におけるモールドの形状の例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 実施例1で使用したモールドの形状(部分拡大図)を示す図である。 実施例1のimegePRESS C1改造機の概略を示す図である。 実施例6で使用したモールドの形状(部分拡大図)を示す図である。 実施例6により得られた感光体最表面の凹形状部の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。 実施例9で使用したマスクの配列パターンを示す図(部分拡大図)である。 実施例9により得られた感光体最表面の凹形状部の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。 実施例10で作製された感光体の表面のレーザー顕微鏡による凹形状部の画像を示す。 実施例14により得られた電子写真感光体表面の凹形状部の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。 実施例16で使用したモールドの形状(部分拡大図)を示す図である。 実施例16により得られた電子写真感光体表面の凹形状部の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。 実施例17で使用したモールドの形状を示す図である。 実施例17により得られた電子写真感光体表面の凹形状部の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。 実施例18で使用したモールドの形状を示す図である。 実施例18により得られた電子写真感光体表面の凹形状部の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。 実施例19で使用したモールドの形状を示す図である。 実施例19により得られた電子写真感光体表面の凹形状部の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 搬送手段
8 クリーニング手段
8a 補助ブラシ
8b クリーニングブレード
9 被覆剤塗布手段
9a 被覆剤
9b 塗布部材
10 前露光
11 中間転写体
20 感光層表面
a レーザー光遮断部
b レーザー光透過部
c エキシマレーザー光照射器
d ワーク回転用モーター
e ワーク移動装置
f 感光体ドラム
g 凹み非形成部
h 凹み形成部
A 加圧装置
B モールド
C 感光体
Q 転写材

Claims (7)

  1. 支持体及び前記支持体上に設けられた感光層表面に複数の各々独立した凹形状を有し、有る凹形状(i)の開口面積がXi(x10-8)cm2、深さがYi(x10-4)cm、100μm四方あたりZ個を有する凹形状を有し、且つ、単位面積あたりの凹部形状を有している面積率が10%以上である前記電子写真感光体及び比重Aの潤滑剤の塗布手段を有する電子写真装置において、前記塗布手段の塗布量S(μg/cm2)は単位面積辺り、
    0.064−ΣXi(i=1〜Z)*100*100*0.064
    ≦S≦1.5+K*ΣXi*Yi(i=1〜Z)*100*100*A
    (K:凹形状による係数)
    であることを特徴とする電子写真装置。
  2. 前記凹形状が円筒、直方体、円錐、角錐であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 前記凹形状の平均軸長径(Rpc-A)が0.1μm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真装置。
  4. 凹形状部の長軸径をRpcおよび凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きいことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真装置。
  5. 各凹形状部の表面開孔部の長軸径(Rpc)が10μm以下であり、短軸径(Lpc)が0.1μm以上であり、かつ各凹形状部の最深部と開孔面との距離(Rdv)が0.1μm以上であり、前記電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、前記感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域Aのそれぞれの中に、一辺が前記電子写真感光体回転方向に対して平行な、一辺50μmの正方形の領域Bを設け、各領域Bのそれぞれを該感光体回転方向に対して平行な499本の直線で500等分したとき、各領域Bのそれぞれにおいて、499本のうちの400本以上が該凹形状部と重なっていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真装置。
  6. 前記電子写真感光体において、前記凹形状の平均軸長径(Rpc-A)が3.0μm以上で、前記凹形状の個数が100μm四方内に76個以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子写真装置。
  7. 前記電子写真感光体の表層は、重合、硬化により形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子写真装置。
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