JP2009031418A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】黒ポチ、干渉縞、またはモアレなどの発生しない電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】支持体と、該支持体の上に形成された下地層と、該下地層の上に形成された感光層と、を少なくとも有する電子写真感光体であって、該支持体の表面粗さの10点平均粗さ(Rzjis)は2.0μm以下であり、該下地層の表面は、深さ0.5μm以上15μm以下の凹形状部を100μm四方中に10個以上有し、該下地層の周方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(C)は0.5μm以上20μm以下であり、該下地層の母線方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(c)は0.5μm以上20μm以下であり、および、該下地の表面においては、該凹形状部の開孔面からの高さが5.0μm以上の凸形状部は10個以下であることを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。より詳しくは、表面に複数の凹凸形状を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真装置は、高速でかつ高印字品質が得られる特徴を有しており、一般的には、複写機およびレーザービームプリンター等の分野において利用されている。現在、上記のような電子写真装置に用いられる電子写真感光体としては、有機の光導電材料を用いた有機電子写真感光体(OPC)の開発が積極的に進められ、広く普及してきている。また、そのような有機電子写真感光体の構成も、電荷移動型錯体構造や電荷発生物質を結着樹脂中に分散した単層型の電子写真感光体から、電荷発生層と電荷輸送層とを分離した機能分離型の電子写真感光体構成へと変遷し、性能が向上してきた。機能分離型の電子写真感光体構成としては、現在、アルミニウム支持体の上に下地層を形成し、その後、電荷発生層と電荷輸送層とを形成する構成が主流となっている。
ところで、デジタル複写機やレーザービームプリンター等のように、露光の際にレーザー光源を使用する場合、導電性支持体や下地層の表面形状等の要因により画像上に干渉縞等の画像欠陥が発生することがある。この問題を解決するために、これまで導電性支持体の改良や下地層の改良など様々な手段が講じられてきている。ここでの下地層とは、導電層または中間層のいずれか、あるいは2つの層を含む層を指す。
例えば、導電性支持体の改良としては、ガラスビーズあるいはアルミナ等の研磨剤を吹き付けるブラスト処理により支持体表面を適度に粗面化する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、湿式ホーニング処理により、支持体表面を適度に粗面化する方法も提案されている(特許文献2参照)。
一方、下地層の改良としては、無切削のアルミ支持体上に導電層および中間層の2層からなる下地層を用い、導電層表面の粗さ制御のため、シリコーン樹脂粒子などの粗し粒子を加えることにより干渉縞を抑制する方法が提案されている(特許文献3参照)。他にも、下地層が未乾燥な状態でこの塗膜に送風することで下地層表面に粗面を形成する方法も提案されている(特許文献4参照)。
特開平08−292592号公報 特開2002−107958号公報 特開2007−47736号公報 特開平05−88395号公報
しかしながら、上記のように導電性支持体の表面または下地層をランダムに粗面化する場合、感光体表面に凸形状が多数存在することになり、それが起点となり黒ポチが発生する可能性がある。また、下地層に粒子を添加して粗面化する場合、条件によっては塗膜にクラックが入りやすくなる。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、黒ポチ、干渉縞またはモアレが発生しづらい電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、電子写真感光体の下地層に、所定の凹形状部を形成することによって、上述の課題を効果的に改善することができることを見いだし、本発明に至った。以下に詳細を記す。
本発明は、支持体と、該支持体の上に形成された下地層と、該下地層の上に形成された感光層と、を少なくとも有する電子写真感光体であって、該支持体の表面粗さの10点平均粗さ(Rzjis)は2.0μm以下であり、該下地層の表面は、深さ0.5μm以上15μm以下の凹形状部を100μm四方中に10個以上有し、該下地層の周方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(A)は0.5μm以上20μm以下であり、該下地層の母線方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(B)は0.5μm以上20μm以下であり、および、該下地の表面においては、該凹形状部の開孔面からの高さが5.0μm以上の凸形状部は10個以下であることを特徴とする。また、前記凹形状部の長軸径をRpc、該凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとするとき、該長軸径Rpcに対する該深さRdvの比(Rdv/Rpc)は0.5より大きいことを特徴とする。
また、本発明は、前記の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、かつ電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
さらに、本発明は、前記の電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段と、を少なくとも有することを特徴とする電子写真装置である。
本発明により、黒ポチ、干渉縞またはモアレの発生しない電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
以下、本発明の電子写真感光体を図を参照しながら詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、下地層と、感光層とを、少なくとも有する。そして、該支持体の表面粗さの10点平均粗さ(Rzjis)は2.0μm以下である。また、該下地層の表面は、深さ0.5μm以上15μm以下の凹形状部を100μm四方中に10個以上有している。そして、下地層周面の周方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(A)は0.5μm以上20μm以下、下地層周面の母線方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(B)は0.5μm以上20μm以下の範囲にある。また、下地層表面における凹形状部開孔面からの高さが5μm以上の凸形状部は、10個以下となっている。
本発明の電子写真感光体の表面に形成されている複数の凹形状部においては、個々の凹形状部が他の凹形状部と明確に区分されている。本発明の凹形状部の表面形状としては、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状、あるいは直線および曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形、五角形あるいは六角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、円形状あるいは楕円形状が挙げられる。直線および曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形、角の円い六角形あるいは扇形が挙げられる。そのような凹形状部の例を、図1に示す。また、凹形状部の断面形状としては、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状、あるいは直線および曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形あるいは五角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、部分円形状あるいは部分楕円形状が挙げられる。直線および曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形あるいは扇形が挙げられる。本発明における電子写真感光体表面の凹形状部の具体例としては、図1(凹形状部の表面形状例)および図2(凹形状部の断面形状例)で示される凹形状部が挙げられる。また、本発明の凹形状部は、個々に異なる形状、大きさあるいは深さを有してもよいし、すべての凹形状部が同一の形状、大きさあるいは深さであってもよい。さらに、凹形状部は、それぞれが個々に異なる形状、大きさあるいは深さを有してもよいし、同一の形状、大きさあるいは深さを有する凹形状部が組み合わされていてもよい。
また、上記凹形状部は、電子写真感光体の少なくとも表面に形成されている。感光体表面の凹形状部の領域は、現像ローラが接する領域であれば、表面層上の表面全域であってもよいし、表面の一部分に形成されていてもよい。
そして、本発明に用いられる電子写真感光体において、支持体の表面は、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよいが、表面粗さの10点平均粗さ(Rzjis)が2.0μm以下であることが好ましい。粗さが2.0μmより大きいと、それが画像のガサツキなどの欠陥となる可能性がある。また、下地層の表面は、深さ0.5μm以上10μm以下の凹形状部を100μm四方中に10個以上有している。凹形状数が10個より少ないと、干渉縞などの画像欠陥の抑制効果が薄れてしまう。また、下地層周面の周方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(A)は0.5μm以上20μm以下であり、下地層周面の母線方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(B)は0.5μm以上20μm以下である。というのも、必要数の凹形状が存在していても、ある程度まばらに存在しないと干渉縞などの画像欠陥の抑制効果が薄れてしまうからである。また、凹形状部開孔面からの高さは5μm以上の凸形状部が10個以下である。というのも、凸形状が多い場合はそこをポイントとして黒ポチが発生する可能性があるためである。これは実験結果より、おおよそ画像として許容されるレベルになる凸形状部の数を求めた。
以上のような、本発明の電子写真感光体を用いることにより、干渉縞、モアレなどの画像欠陥を低減させることができる。
本発明において、下地層の表面の凹形状部は、市販のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡あるいは原子力間顕微鏡を用いて測定することが可能である。レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000、超深度形状測定顕微鏡VK−9500(いずれも(株)キーエンス社製)。表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機((株)菱化システム社製)。走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000(オリンパス(株)社製)。リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130(レーザーテック(株)社製)。光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。デジタルマイクロスコープVHX−500、デジタルマイクロスコープVHX−200(いずれも(株)キーエンス社製)。3DデジタルマイクロスコープVC−7700(オムロン(株)社製)。電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(いずれも(株)キーエンス社製)。走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)。走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550((株)島津製作所社製)。原子力間顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000((株)キーエンス社製)。走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)。走査型プローブ顕微鏡SPM−9600((株)島津製作所社製)。
上記顕微鏡を用いて、所定の倍率により、測定視野内の凹形状部の長軸径および深さを計測することができる。さらには、単位面積あたりの凹形状部の開孔部面積率を計算により求めることができる。一例として、Surface Explorer SX−520DR型機による解析プログラムを利用した測定例について説明する。まず、測定対象の電子写真感光体をワーク置き台に設置し、チルト調整して水平を合わせ、ウェーブモードで電子写真感光体の周面の3次元形状データを取り込む。その際、対物レンズの倍率を50倍とし、100μm×100μm(10000μm)の視野観察としてもよい。次に、データ解析ソフト中の粒子解析プログラムを用いて電子写真感光体の表面の等高線データを表示する。
凹形状部の形状、長軸径、深さおよび開孔部面積のような凹形状部の孔解析パラメーターは、形成された凹形状部によって各々最適化することができる。例えば、長軸径10μm程度の凹形状部の観察および測定を行う場合、長軸径上限を15μm、長軸径下限を1μm、深さ下限を0.1μm、体積下限を1μmとしてもよい。そして、解析画面上で凹形状部と判別できる凹形状部の個数をカウントし、これを凹形状部の個数とする。
また、上記と同様の視野および解析条件で、上記粒子解析プログラムを用いて求められる各凹形状部の開孔部面積の合計から凹形状部の合計開孔部面積を算出し、下式から凹形状部の開孔部面積率を算出してもよい。これより、単に面積率と表記したものは、この開孔部面積率を示す。
(凹形状部の合計開孔部面積/凹形状部の合計開孔部面積+非凹形状部の合計面積)×100[%]
なお、凹形状部の長軸径が1μm程度以下の凹形状部については、レーザー顕微鏡および光学顕微鏡による観察が可能であるが、より測定精度を高める場合には、電子顕微鏡による観察および測定を併用することが望ましい。
本発明において、10点平均粗さ(Rzjis)、および平均間隔RSm(A)、RSm(B)は、JIS−B0601(2001)に準ずる。測定は、市販の表面粗さ計を用い測定することができる。例えば、表面粗さ計サーフコーダーSE3500((株)小坂研究所製)が利用可能である。
次に、本発明による電子写真感光体の下地層表面の形成方法について説明する。表面形状の形成方法としては、上記の凹形状部に係る要件を満たす方法であれば、特に制限はない。形成方法としては、パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー照射による方法、所定の形状を有するモールドを下地層表面に圧接し形状転写を行う方法、下地層層形成時に表面を結露させる方法が挙げられる。
まず、パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法について説明する。この方法で用いるレーザーの具体的な例としては、ArF、KrF、XeFあるいはXeClのようなガスをレーザー媒質とするエキシマレーザーや、チタンサファイアを媒質とするフェムト秒レーザーが挙げられる。さらに、上記、レーザー照射における、レーザー光の波長は、1,000nm以下であることが好ましい。
上記、エキシマレーザーは、以下の工程で放出される。まず、Ar、KrおよびXeのような希ガスと、FおよびClのようなのハロゲンガスとの混合気体に、例えば、放電、電子ビームおよびX線でエネルギーを与えて、上述の元素を励起して結合させる。その後、基底状態に落ちることで解離する際、エキシマレーザー光が放出される。上記、エキシマレーザーにおいて用いるガスとしては、ArF、KrF、XeClおよびXeFが挙げられるが、いずれを用いてもよい。特には、KrF、ArFが好ましい。
凹形状部の形成方法としては、図3に示されているレーザー光遮蔽部aとレーザー光透過部bとを適宣配列したマスクを使用する。マスクを透過したレーザー光のみがレンズで集光され、下地層表面に照射されることにより、所望の形状と配列を有した凹形状部の形成が可能となる。上記、レーザー照射による下地層表面の形成方法では、一定面積内の多数の凹形状部を、凹形状部の形状あるいは面積に関わらず瞬時に、かつ同時に加工できるため、表面形成工程は短時間ですむ。マスクを用いたレーザー照射により、1回照射当たり電子写真感光体の表面の数mmから数cmの領域が加工される。レーザー加工においては、図4に示すように、まず、ワーク回転用モーターdにより電子写真感光体を自転させる。自転させながら、ワーク移動装置eにより、レーザー照射位置を電子写真感光体の軸方向にずらしていくことにより、下地層表面全域に効率良く凹形状部を形成することができる。
上記、レーザー照射による下地層表面の形成方法により、表面層に複数の各々独立した凹形状部を有する下地層を製作することができる。
ところで、本発明の凹形状部において、図1および図2で示されているように、電子写真感光体における凹形状部の開孔部周囲の表面を基準とし、各凹形状部における最大長さのことを長軸径Rpcとする。例えば、凹形状部の表面形状が円状の場合は直径を、表面形状が楕円状の場合は長径を、表面形状が四角形の場合は対角線のうち長い対角線を示す。また、本発明の凹形状部において、各凹形状部の最深部と開孔面との距離を深さRdvとする。具体的には、図2で示されているように、電子写真感光体における凹形状部の開孔部周囲の表面を基準とし、凹形状部の最深部と開孔面との距離のことを示す。
本発明の特徴として、凹形状部の長軸径Rpcと凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さRdvにおいては、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が0.5より大きい。長軸径に対して上記範囲で凹形状部に深度をもたせることで、干渉縞等の画像欠陥に対する一層の抑制効果を得ることができる。凹形状部の深さは、上記範囲内で任意であり、レーザー照射による下地層表面を形成する場合は、レーザー照射時間、回数のような製造条件の調整で制御される。レーザー照射による下地層表面の形成方法を用いることにより、凹形状部の大きさ、形状および配列の制御性が高く、高精度かつ自由度の高い下地層の表面加工が実現できる。
また、図5に示すように、感光体の任意の周方向線に、凹形状部hおよび凹形状非形成部gの双方が存在する配列となるようにマスクパターンを形成することにより、一層露光の散乱が期待できる。
次に、所定の形状を有するモールドを下地層の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法について説明する。図6は、本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の例を示す図である。加圧および解除が繰り返し行える加圧装置Aに所定のモールドBを取り付けた後、下地層塗布後の感光体C(以下、感光体Cと表記する)に対して所定の圧力でモールドを当接させ形状転写を行う。その後、加圧を一旦解除し、感光体Cを回転させた後に、再度加圧そして形状転写工程を行う。この工程を繰り返すことにより、感光体全周にわたって所定の凹形状部を形成することが可能である。また、例えば図7に示されているように、加圧装置Aに感光体Cの全周長程度の所定形状を有するモールドBを取り付けた後、感光体Cに対して所定の圧力をかけながら、感光体を回転、移動させることにより、感光体全周にわたって所定の凹形状部を形成してもよい。
また、シート状のモールドをロール状の加圧装置と感光体との間に挟み、モールドシートを送りながら表面加工することも可能である。
また、形状転写を効率的に行う目的で、モールドや感光体を加熱してもよい。モールドおよび感光体の加熱温度は、本発明の形状が形成できる範囲で任意であるが、形状転写時のモールドの温度を支持体上の感光層のガラス転移温度より高くなるように加熱することが好ましい。さらには、モールドの加熱に加えて、形状転写時の支持体の温度を感光層のガラス転移温度より低く制御することが、感光体表面に転写された凹形状部を安定的に形成するうえで好ましい。
また、本発明の感光体が電荷輸送層を有する感光体である場合は、形状転写時のモールドの温度を支持体上の電荷輸送層のガラス転移温度より高くなるように加熱することが好ましい。さらには、モールドの加熱に加えて、形状転写時の支持体の温度を電荷輸送層のガラス転移温度より低く制御することが、感光体表面に転写された凹形状部を安定的に形成するうえで好ましい。
モールド自体の材質や大きさ、形状は適宜選択することができる。材質としては、微細表面加工された金属およびシリコンウエハーの表面にレジストによりパターニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルムおよび所定の微細表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングされたものが挙げられる。モールド形状の一例を、図8に示す。
また、感光体に対して圧力の均一性を付与する目的で、モールドと加圧装置との間に弾性体を設けてもよい。
上記、所定の形状を有するモールドを下地層の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法により、下地層の表面に複数の各々独立した凹形状部を形成できる。ここでも、凹形状部の長軸径Rpcと凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さRdvにおいては、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が0.5より大きい。凹形状部の深さは、上記範囲内で任意であるが、所定の形状を有するモールドを下地層の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成を行う場合は、深さは0.1μm以上10μm以下とすることが望ましい。所定の形状を有するモールドを下地層の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法を用いることにより、凹形状部の大きさ、形状および配列の制御性が高く、高精度かつ自由度の高い下地層の表面加工が実現できる。
次に、電子写真感光体の下地層形成時に表面を結露させるやり方の表面の形成方法を説明する。
電子写真感光体の下地層形成時に表面を結露させる方法とは、水の作用により形成される液滴によって、水との親和性の低い溶剤および結着樹脂よりなる下地層上に凹形状部を形成する方法である。それにはまず、結着樹脂および特定の有機溶剤を含有した下地層用塗布液を作製し、該塗布液を塗布する。次いで、該塗布液が塗布された支持体を保持し、該支持体の表面を結露させる。その後、支持体を加熱乾燥する乾燥工程により表面に各々独立した凹形状部が形成された下地層を作製する。
上記、結着樹脂としては、以下の熱可塑樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂樹脂が挙げられる。ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体。ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール。アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂またはアルキッド樹脂。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
下地層として導電層を考えた場合、まず、上記結着樹脂と導電性粉体を、次のような溶剤に分散または溶解し、塗布することによって形成することができる。テトラヒドロフランまたはエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル系溶剤。メタノールのようなアルコール系溶剤。メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤。トルエンのような芳香族炭化水素溶剤。
凹形状部を安定的に作製する目的で、表面層塗布液中に、さらに水との親和性の高い有機溶剤あるいは水を表面層用塗布液中に含有してもよい。水との親和性の高い有機溶剤としては、以下のものが好ましい。(メチルスルフィニル)メタン(慣用名:ジメチルスルホキシド)、チオラン−1,1−ジオン(慣用名:スルホラン)、N,N−ジメチルカルボキシアミド、N,N−ジエチルカルボキシアミド、ジメチルアセトアミドあるいは1−メチルピロリジン−2−オン。これらの有機溶剤は単独で含有することも、2種以上混合して含有することができる。
上記、支持体の表面を結露させた支持体を保持する工程においては、表面層塗布液を塗布された支持体を、支持体の表面が結露する雰囲気下に一定時間保持する。この表面形成方法における結露とは、水の作用により下地層塗布液が塗布された支持体に液滴が形成されたことを指す。支持体の表面を結露させる条件は、支持体を保持する雰囲気の相対湿度および塗布液溶剤の揮発条件(例えば気化熱)によって影響される。しかし、下地層塗布液中に、沸点の高い有機溶剤を全溶剤質量に対し50質量%以上含有する場合、塗布液溶剤の揮発条件の影響は少なく、支持体を保持する雰囲気の相対湿度に主に依存する。支持体の表面を結露させる相対湿度は、40〜100%である。さらに、相対湿度は70%以上であることがより好ましい。支持体保持工程は、結露による液滴形成が行われるのに求められる時間だけなされればよい。生産性の観点からして、好ましくは1〜300秒であり、さらには10〜180秒程度であることがより好ましい。支持体保持工程には、相対湿度が重要であるが、雰囲気温度としては20〜80℃であることが好ましい。
上記、加熱乾燥する乾燥工程により、支持体保持工程によって表面に生じた液滴を、下地層表面の凹形状部として形成できる。均一性の高い凹形状部を形成するためには、速やかな乾燥であることが重要であるため、加熱乾燥が行われる。乾燥工程における乾燥温度は、100℃〜150℃であることが好ましい。加熱乾燥する乾燥工程時間は、支持体上に塗布された塗布液中の溶剤および結露工程によって形成した水滴が除去される時間があればよい。乾燥工程時間は、20分〜120分であることが好ましく、さらには40分〜100分であることが好ましい。
上記、電子写真感光体の下地層形成時に表面を結露させる方法により、下地層の表面には、各々独立した凹形状部が形成される。この製造方法により作製された下地層表面の凹形状部の個々の形は、水の凝集力により形成されるため、均一性の高い凹形状部となっている。また、液滴あるいは液滴が十分に成長した状態から液滴を除去する工程を経る製造方法であるため、電子写真感光体の下地層の凹形状部は、例えば、液滴形状あるいはハニカム形状(六角形状)をしている。液滴形状の凹形状部において、その表面形状は、例えば、円形状あるいは楕円形状であり、その断面形状は、例えば、部分円状あるいは部分楕円状である。また、ハニカム形状の凹形状部は、下地層の表面に液滴が最密充填されたことにより形成されたものであり、その表面形状は、例えば、凹形状部が円状、六角形状あるいは角の円い六角形状であり、断面形状は、例えば、部分円状あるいは角柱である。
ここでも、電子写真感光体の下地層形成時に表面を結露させる方法により、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が0.5より大きい凹形状部を有する電子写真感光体を作製することができる。凹形状部の深さは、上記範囲内で任意であるが、個々の凹形状部の深さが、0.5μm以上20μm以下となる製造条件であることが好ましい。
上記、凹形状部は、製造方法で示した範囲内で製造条件の調整を行うことにより制御可能である。凹形状部は、例えば、本発明記載の下地層塗布液中の溶剤種、溶剤含有量、支持体保持工程における相対湿度、保持工程における保持時間、加熱乾燥温度により制御可能である。
次に、本発明の電子写真感光体の全体構成について説明する。
上記のとおり、本発明の電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に設けられた下地層と、有機感光層(以下、単に「感光層」ともいう)と、を有する。本発明による電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成した円筒状有機電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状あるいはシート状などの形状も可能である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質とを同一の層に含有する感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体は、電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であっても、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体において、積層型感光層を採用する場合、電子写真特性の観点から、順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。さらに、耐久性能向上等を目的として感光層上に保護層を設けることも可能である。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスのような金属製の支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体や樹脂製支持体を用いることもできる。該樹脂製支持体は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレンまたはポリスチレン樹脂よりなる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子または銀粒子のような導電性粒子を樹脂や紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
支持体の表面は、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよいが、前述したように、表面粗さの10点平均粗さ(Rzjis)が2.0μm以下となっている。
支持体の表面が導電性を付与するために設けられた層である場合、その層の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。
本発明では、支持体と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした下地層を設ける。下地層とは、導電層または中間層のいずれか、あるいは2つの層を含む層を指す。
導電層は導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層である。このような導電性粉体としては、以下のようなものが挙げられる。カーボンブラック、アセチレンブラック。アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛または銀のような金属粉。導電性酸化スズまたはITOのような金属酸化物粉体。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、以下の熱可塑樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂樹脂が挙げられる。ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体。ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール。ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂。
導電層は、上記導電性粉体と結着樹脂を、以下の溶剤に分散または溶解し、これを塗布することによって形成される。テトラヒドロフランまたはエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル系溶剤、メタノールのようなアルコール系溶剤、メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤、トルエン。導電層の平均膜厚は0.2μm以上40μm以上であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより一層好ましい。
中間層は、例えば、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。中間層は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、あるいは結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸またはカゼインのような水溶性樹脂。ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリグルタミン酸エステル樹脂。電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性および抵抗のような観点から、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。中間層の平均膜厚は、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、さらには0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層中に、半導電性粒子を分散させる、あるいは電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
次に、本発明の感光層についてより詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ、ジスアゾまたはトリスアゾのようなアゾ顔料。金属フタロシアニンまたは非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料。インジゴまたはチオインジゴのようなインジゴ顔料。ペリレン酸無水物またはペリレン酸イミドのようなペリレン顔料。アンスラキノンまたはピレンキノンのような多環キノン顔料。スクワリリウム色素、ピリリウム塩またはチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素。セレン、セレン−テルルまたはアモルファスシリコンのような無機物質。キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素またはスチリル色素。これら電荷発生材料は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンあるいはクロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂。フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂または塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂。特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択される。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物またはトリアリルメタン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂または不飽和樹脂。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはジアリルフタレート樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、以下のものが挙げられる。アセトンまたはメチルエチルケトンのようなケトン系溶剤。酢酸メチルまたは酢酸エチルのようなエステル系溶剤。テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメトキシメタンまたはジメトキシエタンのようなエーテル系溶剤。トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤。これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性のような観点から好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は5〜50μmであることが好ましく、特には10〜35μmであることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
本発明の電子写真感光体に要求される特性の一つである耐久性能の向上にあたっては、上記の機能分離型感光体の場合、表面層となる電荷輸送層の材料設計が重要となる。例えば、高強度の結着樹脂を用いる方法、可塑性を示す電荷輸送物質と結着樹脂との比率を適正化する方法、高分子電荷輸送物質を使用する方法が挙げられるが、より耐久性能を発現させるためには表面層を硬化系樹脂で構成する方法が有効である。
上記、表面層を硬化系樹脂で構成する方法としては、例えば、電荷輸送層を硬化系樹脂で構成することが挙げられ、また、上記の電荷輸送層上に第二の電荷輸送層あるいは保護層として硬化系樹脂層を形成することが挙げられる。硬化系樹脂層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力との両立であり、電荷輸送材料および重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。
これら表面層を硬化系樹脂で構成する方法には、電荷輸送材料としては、公知の正孔輸送性化合物および電子輸送性化合物を用いることができる。これらの化合物を合成する材料としては、アクリロイルオキシ基またはスチレン基を有する連鎖重合系の材料が挙げられる。また、水酸基、アルコキシシリル基またはイソシアネート基を有する逐次重合系のような材料が挙げられる。特に、表面層を硬化系樹脂で構成された電子写真感光体の電子写真特性、汎用性や材料設計および製造安定性の観点から正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料の組み合わせが好ましい。さらには、正孔輸送性基およびアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させた表面層で構成された電子写真感光体であることが特に好ましい。
硬化手段としては、熱、光または放射線のような公知の手段が利用できる。
硬化層の平均膜厚は、電荷輸送層の場合は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、さらには10μm以上35μm以下であることが好ましい。第二の電荷輸送層あるいは保護層の場合は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、さらには1μm以上10μm以下であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子などの潤滑剤などが挙げられる。
本発明の電子写真感光体は、上記の通り、特定の凹形状部を中間層の表面に有する。
以上の各層の塗布液を塗布する際には、次のような方法を用いることができる。すなわち、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法またはリングコーティング法などである。
次に、本発明のプロセスカートリッジおよび電子写真装置について説明する。
図9は、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。指示番号1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段:例えば帯電ローラ)3により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光のような露光手段(図示せず)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像ローラを有する現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(例えば転写ローラ)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(図示せず)から給送された転写材(例えば紙)Pに順次転写されていく。トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(例えばクリーニングブレード)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。さらに、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図9に示すように、帯電手段3が、例えば帯電ローラを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上記の本発明の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを、容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成してもよい。また、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターのような電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図9では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、レールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の例に限定されはしない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
本実施例では、本発明にしたがう電子写真感光体を製造した。
まず、直径30mm、長さ260.5mmの表面切削加工されたアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。この支持体の端部から100〜150mm領域の表面のRzjisを測定したところ、1.3μmであった。
ここで、Rzjisの測定は、JIS−B0601(2001)に準じ、表面粗さ計サーフコーダーSE3500((株)小坂研究所製)を用いて、送り速度0.1mm/秒、カットオフλc0.8mm、測定長さ2.50mmの設定で行った。以下におけるRzjisの測定、およびRSm(A)、RSm(B)の測定についても同様の条件で測定した。
次に、以下の成分からなる溶液を約20時間、ボールミルで分散し導電層用塗料を調製した。
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体 60部
(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)
酸化チタン 15部
(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)
レゾール型フェノール樹脂 43部
(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)
シリコーンオイル 0.015部
(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)
2−メトキシ−1−プロパノール 50部
メタノール 50部
上記方法にて調整した導電層用塗料を、上記支持体上に浸漬法によって塗布した。塗膜を乾燥させる目的で、60℃に加熱され保持されている乾燥機内で10分の簡易乾燥を行った。簡易乾燥後、支持体の表面温度を20℃に調整した。その後、この塗膜面に対し、図7に示すモールドによる圧接形状転写加工装置に、図10に示す形状転写用モールドを設置し表面加工を行った。ここで、加圧部材はSUS製とし、内部に加熱用のヒーターを設置した。円錐状のモールドはニッケル材質のモールドを使用し、前記加圧部材に固定した。支持体の内部には、支持体の内径と略同直径を有する円柱状のSUS製の保持部材を挿入した。このとき、保持部材の温度制御は行わなかった。
以上の構成を用いて、加工時のモールドの温度は150℃に制御し、2MPaの圧力で加圧しながら、2mm/秒のスピードで感光体を周方向に回転させ、連続的に形状転写を行った。ここで、図10に示すモールドは円柱形状を有しており、その長軸径Dは1.0μm、高さFは3.0μm、間隔Eは1.0μmである。
上記方法により形状加工を行った後、前記支持体を、あらかじめ装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間加熱することにより、支持体の塗布上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmである表面が凹形状を有する導電層を形成した。
次に、以下の成分をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した中間層用塗料を、上記導電層上に浸漬塗布し、100℃に加熱されたのオーブン内で30分間、加熱乾燥した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
そうすることで、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
次に、以下の成分を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折において、7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°(ブラッグ角度(2θ±0.2°))に強い回折ピーク有するもの)
下記構造式(1)
で示されるカリックスアレーン化合物 0.2部
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)
シクロヘキサノン 600部
上記電荷発生層用塗料を中間層上に浸漬コーティング法で塗布し、80℃に加熱されたオーブン内で15分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次いで、以下の成分をクロロベンゼン600部およびメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。
下記構造式(2)
で示される電荷輸送物質(正孔輸送物質) 70部
下記構造式(3)
で示される電荷輸送物質(正孔輸送物質) 10部
ポリカーボネート樹脂 100部
(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)
これを用いて、上記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、110℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
<電子写真感光体の表面形状測定>
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス社製)を用いて表面観察を行った。測定対象の電子写真感光体を、円筒状支持体を固定できるよう加工された置き台に設置し、電子写真感光体の上端から170mm離れた位置の表面観察を行った。その際、対物レンズ倍率50倍とし、感光体表面の100μm四方を視野観察とし、測定を行った。測定視野内に観察された凹形状部を解析プログラムを用いて解析を行った。
測定視野内にある各凹形状部の表面部分の形状、長軸径Rpcおよび凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さRdvを測定した。電子写真感光体の表面には、図13に示される円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が0.5より大きい凹形状部の100μm四方あたりの個数を算出すると、2,500個であった。また、凹形状部の表面部分の平均長軸径Rpc−Aは、1.0μmであった。また、凹形状部と、その凹形状部と最も近い距離にある凹形状部との平均距離(以下、凹形状部間隔と表記する)は、1.0μmの間隔で形成されていた。また、凹形状部の平均深さRdv−Aは、1.5μmであった。結果を表1に示す。表1中の凸個数とは、凹形状部の開孔面からの高さが5.0μm以上の凸形状部の個数を示す。また、Rpc−Aは、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径を示す。また、Rdv−Aは、100μm四方あたりの凹形状部の平均深さを示す。また、Rdv−A/Rpc−Aは、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径に対する平均深さの比を示す。
<電子写真感光体の画像評価>
実施例により作製した電子写真感光体について、以下の評価装置にて干渉縞および画像欠陥について評価を行った。
キヤノン(株)製LBP−5500(一次帯電:直流電圧のみを印可する接触帯電方式。プロセススピード:94.2mm/秒)を改造して用いた。改造は像露光量を調整できるようにした。
評価は、常温常湿環境下(23℃、60%)で行い、ハーフトーン画像(1ライン1スペース、1ライン2スペース、2ライン3スペース)をそれぞれの解像度で出力し、干渉縞を目視にて以下の基準でレベル付けを行った。また、黒ポチについても評価を行った。以下の評価基準にて評価した結果を下記の表1に示す。
A:全く干渉縞模様が観察されない。
B:特定画像にのみ極軽微に干渉縞模様が観察される。
C:画像の一部に干渉縞模様が観察される。
D:画像の前面に干渉縞模様が観察される。
(実施例2)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10の形状を、長軸径Dが6.0μm、高さFが30.0μm、間隔Eが2.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(実施例3)
電荷輸送層用塗料の樹脂を以下の樹脂に替えた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
下記構造式(4)
で示される共重合型ポリアリレート樹脂 100部
(式中、mおよびnは、繰り返し単位の本樹脂における比(共重合比)を示し、本樹脂においては、m:n=7:3である)
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。また、重量平均分子量(Mw)は、130,000である。
本発明において、樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定されたものである。すなわち、測定対象樹脂をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象樹脂とテトラヒドロフランとをよく混合し(測定対象樹脂の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置した。その後、東ソー(株)製のサンプル処理フィルターマイショリディスクH−25−5を通過させたものをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とした。次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、GPC用試料を10μl注入して、測定対象樹脂の重量平均分子量を測定した。カラムには、東ソー(株)製のカラムTSKgel SuperHM−Mを用いた。
測定対象樹脂の重量平均分子量の測定にあたっては、測定対象樹脂が有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が以下のものを10点用いた。3,500、12,000、40,000、75,000、98,000、120,000、240,000、500,000、800,000、1,800,000。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
実施例1で使用したモールドにおいて、図10の形状を、長軸径Dが0.5μm、高さFが2.4μm、間隔Eが1.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10の形状を、長軸径Dが5.0μm、高さFが4.0μm、間隔Eが15.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10の形状を、長軸径Dが0.5μm、高さFが1.0μm、間隔Eが0.5μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、下地層表面の形状加工の際は、図11のモールドを用いた。モールドの形状を、長軸径Dが1.0μm、高さFが6.0μm、間隔Eが1.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行った測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(実施例7)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、下地層表面の形状加工の際は、図12のモールドを用いた。モールドの形状を、長軸径Dが1.5μm、高さFが7.0μm、間隔Eが0.2μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行った測定結果を表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、下地層表面の形状加工の際は、図13のモールドを用いた。モールドの形状を、長軸径Dが4.0μm、高さFが9.0μm、間隔Eが2.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(実施例9)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製したが、導電層表面の凸形状部を形成する際、モールドの圧接の代わりに図4で示されるようなKrFエキシマレーザー(波長λ=248nm)を用いた凹形状部作製方法を用いた。その際に、図14で示すように直径5.0μmの円形のレーザー光透過部が2.0μm間隔で図のように配列するパターンを有する石英ガラス製のマスクを用い、照射エネルギーを0.9J/cmとした。さらに、1回照射あたりの照射面積は2mm四方で行い、2mm四方の照射部位あたり3回のレーザー光照射を行った。同様の凹形状部の作製を、図4に示すように、電子写真感光体を回転させ、照射位置を軸方向にずらす方法により、感光体表面に対する凹形状部の形成を行った。
実施例1と同様に表面形状測定を行った。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(実施例10)
実施例1の導電層用塗料を以下のように調整し、塗膜を形成した。
酸素欠損型SnO被覆TiOPc粒子55部、結着樹脂としてフェノール樹脂36.5部、溶剤としてのメトキシプロパノール30部、メタノール5部、を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して分散液を調整した。ここで、前記酸素欠損型SnO被覆TiOPc粒子は、SnO被覆率(質量比率)が40%である。また、前記フェノール樹脂は、商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分60%である。
この分散液にレベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して撹拌し、導電層用塗布液を調整した。
上記方法にて調整した導電層用塗料を、支持体の表面温度を20℃に調整した支持体に直接浸積コーティングし、支持体上に導電性塗布液を塗布した。塗布工程終了から60秒後、あらかじめ相対湿度80%および雰囲気温度60℃の状態にしていた支持体保持工程用装置内に、導電層用塗布液が塗布された支持体を120秒間保持した。支持体保持工程終了から60秒後、あらかじめ140℃に加熱されたオーブン内で60分間加熱硬化することにより、表面が凹形状を有し、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。測定結果を下記の表1に示す。導電層以降は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(実施例11)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10の形状を、長軸径Dが0.3μm、高さFが3.0μm、間隔Eが0.2μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(比較例1)
導電層の表面の形状加工を行わなかった以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10の形状を、長軸径Dが0.5μm、高さFが1.0μm、間隔Eが50.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(比較例3)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10の形状を、長軸径Dが1.0μm、高さFが20.0μm、間隔Eが15.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。表面形状形成の際、モールドが押し込まれているときに感光体を無理に回転させることで、凹形状部開孔面からの高さが8μmとなる凸形状を形成した。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることも確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(比較例4)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10の形状を、長軸径Dが1.0μm、高さFが20.0μm、間隔Eが15.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。表面形状形成の際、モールドが押し込まれているときに感光体を無理に回転させることで、凹形状部開孔面からの高さが8μmとなる凸形状を形成した。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることも確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
(比較例5)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10の形状を、長軸径Dが0.5μm、高さFが2.0μm、間隔Eが1.0μmとなるようにした以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を下記の表1に示す。また、実施例1と同様に、干渉縞および画像の評価を行った。結果を下記の表1に示す。
以上の結果より、本発明のように、電子写真感光体の下地層表面に深さ0.5〜15μmの凹形状部を100μm四方中に10個以上形成することによって、干渉縞性能を良化できることがわかった。
本発明の凹形状部の表面形状例を示す図である。 本発明の凹形状部の断面形状例を示す図である。 マスクの配列パターンの例(部分拡大図)を示す図である。 レーザー加工装置の概略図の例を示す図である。 本発明の感光体最表面の凹形状部の配列パターンの例(部分拡大図)を示す図である。 モールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の例を示す図である。 モールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の別の例を示す図である。 モールドの形状の例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 実施例1で使用したモールドの形状(部分拡大図)を示す図である。 実施例6で使用したモールドの形状(部分拡大図)を示す図である。 実施例7で使用したモールドの形状(部分拡大図)を示す図である。 実施例8で使用したモールドの形状(部分拡大図)を示す図である。 実施例9で使用したマスクの配列パターンを示す図(部分拡大図)である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
a レーザー光遮蔽部
b レーザー光透過部
c エキシマレーザー光照射器
d ワーク回転用モーター
e ワーク移動装置
f 感光体ドラム
g 凹み非形成部
h 凹み形成部
A 加圧装置
B モールド
C 感光体
P 転写材

Claims (4)

  1. 支持体と、該支持体の上に形成された下地層と、該下地層の上に形成された感光層と、を少なくとも有する電子写真感光体であって、
    該支持体の表面粗さの10点平均粗さ(Rzjis)は2.0μm以下であり、
    該下地層の表面は、深さ0.5μm以上15μm以下の凹形状部を100μm四方中に10個以上有し、
    該下地層の周方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(A)は0.5μm以上20μm以下であり、
    該下地層の母線方向に測定した凹凸の平均間隔RSm(B)は0.5μm以上20μm以下であり、および、
    該下地の表面においては、該凹形状部の開孔面からの高さが5.0μm以上の凸形状部は10個以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記凹形状部の長軸径をRpc、該凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとするとき、該長軸径Rpcに対する該深さRdvの比(Rdv/Rpc)は0.5より大きいことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 請求項1または2に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、かつ電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  4. 請求項1または2に記載の電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段と、を少なくとも有することを特徴とする電子写真装置。
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