JP2008304699A - プロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】現像手段が電子写真感光体と接触して用いられる弾性層を有する現像ローラを有する系において、長期保存や停止時における現像ローラ圧接部の圧縮変形が低減されことにより画像欠陥が低減されたプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】現像手段が電子写真感光体と接触して用いられる弾性層を有する現像ローラを有し、電子写真感光体の表面が、複数の独立した凹形状部を有し、該凹形状部の長軸径をRpc、該凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に長軸径(Rpc)に対する深さ(Rdv)の比(Rdv/Rpc)が1.0より大きく、かつ、深さ0.1μm以上10μm以下の凹形状部の開孔部面積が感光体全面積の10%以上であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【選択図】図9
【解決手段】現像手段が電子写真感光体と接触して用いられる弾性層を有する現像ローラを有し、電子写真感光体の表面が、複数の独立した凹形状部を有し、該凹形状部の長軸径をRpc、該凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に長軸径(Rpc)に対する深さ(Rdv)の比(Rdv/Rpc)が1.0より大きく、かつ、深さ0.1μm以上10μm以下の凹形状部の開孔部面積が感光体全面積の10%以上であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【選択図】図9
Description
本発明は、プロセスカートリッジに関する。
近年のパーソナルコンピューター、デジタルカメラ及びイメージスキャナー等の画像入力装置の急速な普及により、フルカラープリンターや複写機の需要も大幅に拡大し、幅広いユーザー及び使用環境に対して十分に対応できることが必要となってきている。そのため、電子写真装置として安定した画像特性や高画質化が求められてきている。そのような中で、感光体上の静電潜像をトナーにより可視化する現像プロセスにおいては、現像ローラとして弾性体を用い、感光体に均一に圧接して現像を行う接触現像方式が提案されている。この接触現像において、現像ローラは感光体への均一な圧接幅を確保するために、弾性及び硬度、さらには適度な導電性を有する必要がある。
そのために必要な現像ローラの構造としては、従来から、以下のものが用いられている。金属等の良導電体から成る軸芯体の外周上に、EPDM、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム等の弾性ゴムやその発泡体に導電性を付与するためにカーボンブラック等の導電剤を配合したものを被覆したもの。さらには、その弾性層の外周上には現像ローラ表面への現像剤付着量のコントロールを目的として、導電剤や樹脂粒子を配合した塗膜を被覆したものも提案されている。
例えば特許文献1には、画像濃度ムラ及び現像剤劣化防止の観点から、弾性層の硬度が20°以上40°以下(アスカーC)である現像ローラが提案されている。
このようにして低硬度化された現像ローラは、一定加重により接触している層厚規制部材との接触部の変形量が大きくなるために、プリント停止時に発生した該接触部弾性層の変形が回復しにくくなる。このため、次回プリントする際に画像にはスジが発生して問題となる場合がある。
また、該現像ローラの弾性層を高反発弾性化することで、接触部材との長期接触による接触部の変形量自体を小さくして画像スジの発生を抑えることができることが知られている。例えば特許文献2に提案されている手法は、現像ローラを構成する弾性層の硬度を或る程度低硬度化して現像剤に対するストレスを低減して適度なニップを得る等を可能にしている。しかも、弾性層の反発弾性率を一定以上大きくすることで、低硬度領域の弾性材料を使用しても層厚規制部材との接触部の変形残りを或る程度低減することが可能になり、画像スジの発生を抑えている。
また、接触時間自体を短縮することで変形を低減させる目的で、例えば特許文献3のような離間保持部材を導入する手法も提案されている。
特開2000−112225号公報
特開平10−268631号公報
特開2003−241621号公報
しかしながら、現像ローラ自体での対策では、材質の自由度が狭まる可能性もあり、装置やプロセスカートリッジでの対策では、新規部材や新規機構が必要となる可能性がある。
本発明の課題は、現像手段が電子写真感光体と接触して用いられる弾性層を有する現像ローラを有する系において、長期保存や停止時における現像ローラ圧接部の圧縮変形が低減されることにより画像欠陥が低減されたプロセスカートリッジを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、電子写真感光体の表面に、所定の凹形状部を有することによって、上述の課題を効果的に改善することができることを見いだし、本発明に至った。
即ち、本発明は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段のうち少なくとも該電子写真感光体と該現像手段とをともに一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジにおいて、該現像手段が該電子写真感光体と接触して用いられる弾性層を有する現像ローラを有し、該電子写真感光体の表面が、複数の独立した凹形状部を有し、該凹形状部の長軸径をRpc、該凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に長軸径(Rpc)に対する深さ(Rdv)の比(Rdv/Rpc)が1.0より大きく、かつ、深さ0.1μm以上10μm以下の凹形状部の開孔部面積が感光体全面積の10%以上であることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
本発明により、長期保管での現像ローラの変形が低減されることにより画像欠陥が低減されたプロセスカートリッジを提供できる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る電子写真感光体は、上述のとおり、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面が、複数の独立した凹形状部を有する。しかも、該凹形状部の長軸径をRpc、該凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に長軸径(Rpc)に対する深さ(Rdv)の比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい。しかも、深さ0.1μm以上10μm以下の凹形状部の開孔部面積が感光体全面積の10%以上である。
本発明における各々独立した凹形状部とは、個々の凹形状部が、他の凹形状部と明確に区分されている状態を示す。本発明における電子写真感光体の表面に形成されている凹形状部は、感光体表面の観察では、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状あるいは直線及び曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形、五角形あるいは六角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、円形状あるいは楕円形状が挙げられる。直線及び曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形、角の円い六角形あるいは扇形が挙げられる。感光体表面の凹形状部の例を図1に示す。また、本発明における電子写真感光体の表面の凹形状部は、感光体断面の観察では、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状あるいは直線及び曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形あるいは五角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、部分円形状あるいは部分楕円形状が挙げられる。直線及び曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形あるいは扇形が挙げられる。本発明における電子写真感光体の表面の凹形状部の具体例としては、図1(凹形状部の形状例(表面))及び図2(凹形状部の形状例(断面))で示される凹形状部が挙げられる。本発明における電子写真感光体の表面の凹形状部は、個々に異なる形状、大きさあるいは深さを有してもよく、また、すべての凹形状部が同一の形状、大きさあるいは深さであってもよい。さらに、電子写真感光体の表面は、個々に異なる形状、大きさあるいは深さを有する凹形状部と、同一の形状、大きさあるいは深さを有する凹形状部が組み合わされた表面であってもよい。
上記凹形状部は、電子写真感光体の少なくとも表面に形成されている。感光体表面の凹形状部の領域は、現像ローラが接する領域であれば、表面層上の表面全域であってもよいし、表面の一部分に形成されていてもよい。
本発明における開孔部面積とは、開孔面の面積のことを示す。
本発明における長軸径とは、図1中の矢印で示されている長さ及び図2中の長軸径(Rpc)で示されているように、電子写真感光体における凹形状部の開孔部周囲の表面を基準とし、各凹形状部における最大長さのことを示す。例えば、凹形状部の表面形状が円状の場合は直径を示し、表面形状が楕円状の場合は長径を示し、表面形状が四角形の場合は対角線のうち長い対角線を示す。
本発明における深さとは、各凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す。具体的には、図2中の深さ(Rdv)で示されているように、電子写真感光体における凹形状部の開孔部周囲の表面を基準とし、凹形状部の最深部と開孔面との距離のことを示す。
本発明に用いられる電子写真感光体は、表面が、複数の独立した凹形状部を有する。しかも、該凹形状部の長軸径をRpc、該凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に長軸径(Rpc)に対する深さ(Rdv)の比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい。しかも、深さ0.1μm以上10μm以下の凹形状部の開孔部面積が感光体全面積の10%以上である。
本発明に係る電子写真感光体を用いることにより、現像ローラの永久変形による画像欠陥を低減させることができる。その理由は明確には理解されていないが、電子写真感光体の表面に凹形状を持たせることで、現像ローラへの圧力負荷が軽減され、それにより画像欠陥が低減すると考えられる。そのため、凹形状部分がある一定以上の面積を有していないと効果が低減してしまうと思われる。
また、現像ローラが弾性体の場合、電子写真感光体の表面形状にある程度追従することが考えられるため、効果を発現するためには0.1μm以上10μm以下の凹形状部の深さがあるのが好ましい。
本発明に係る電子写真感光体の表面には、上述の長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部を、電子写真感光体の表面100μm四方あたり50個以上有することが好ましく、100個以上有するこよがより好ましい。凹形状部を単位面積あたり多く有することにより、現像ローラの永久変形による画像欠陥を低減する電子写真感光体となる。また、単位面積中に上記形状を満たさない凹形状部を有しても良い。
また、前記凹形状部において、前記電子写真感光体の表面100μm四方あたりの平均長軸径(Rpc−A)に対する、表面100μm四方あたりの平均深さ(Rdv−A)の比(Rdv−A/Rpc−A)が1.0より大きいことが好ましい。
また、本発明に係る電子写真感光体の表面における、凹形状部の表面100μm四方あたりの平均深さ(Rdv−A)は3.0μm以上であることが好ましい。
本発明において、電子写真感光体の表面の凹形状部は、例えば、市販のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡あるいは原子力間顕微鏡を用いて測定可能である。
レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000及び超深度形状測定顕微鏡VK−9500(いずれも(株)キーエンス製)。表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機((株)菱化システム製)。走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000(オリンパス(株)製)。リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130(レーザーテック(株)製)。
光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。デジタルマイクロスコープVHX−500及びデジタルマイクロスコープVHX−200(いずれも(株)キーエンス製)。3DデジタルマイクロスコープVC−7700(オムロン(株)製)。
電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800及び3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(いずれも(株)キーエンス製)。走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)。走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550((株)島津製作所製)。
原子力間顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000((株)キーエンス製)。走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)。走査型プローブ顕微鏡SPM−9600((株)島津製作所製)。
上記顕微鏡を用いて、所定の倍率により、測定視野内の凹形状部の長軸径及び深さを計測することができる。さらには、単位面積あたりの凹形状部の開孔部面積率を計算により求めることができる。
一例として、Surface Explorer SX−520DR型機による解析プログラムを利用した測定例について説明する。測定対象の電子写真感光体をワーク置き台に設置し、チルト調整して水平を合わせ、ウェーブモードで電子写真感光体の周面の3次元形状データを取り込む。その際、対物レンズの倍率を50倍とし、100μm×100μm(10000μm2)の視野観察としてもよい。
次に、データ解析ソフト中の粒子解析プログラムを用いて電子写真感光体の表面の等高線データを表示する。
凹形状部の形状、長軸径、深さ及び開孔部面積のような凹形状部の孔解析パラメーターは、形成された凹形状部によって各々最適化することができる。例えば、長軸径10μm程度の凹形状部の観察及び測定を行う場合、長軸径上限を15μm、長軸径下限を1μm、深さ下限を0.1μm及び体積下限を1μm3以上としてもよい。そして、解析画面上で凹形状部と判別できる凹形状部の個数をカウントし、これを凹形状部の個数とする。
また、上記と同様の視野及び解析条件で、上記粒子解析プログラムを用いて求められる各凹形状部の開孔部面積の合計から凹形状部の合計開孔部面積を算出する。次いで以下の式から凹形状部の開孔部面積率(以下、単に面積率と表記したものは、この開孔部面積率を示す)を算出してもよい。
(凹形状部の合計開孔部面積/(凹形状部の合計開孔部面積+非凹形状部の合計面積))×100[%]
なお、凹形状部の短軸径が1μm程度以下の凹形状部については、レーザー顕微鏡及び光学顕微鏡による観察が可能であるが、より測定精度を高める場合には、電子顕微鏡による観察及び測定を併用することが望ましい。
次に、本発明による電子写真感光体の表面の形成方法について説明する。表面形状の形成方法としては、上記の凹形状部に係る要件を満たし得る方法であれば、特に制限はない。電子写真感光体の表面の形成方法の例を挙げれば、パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法が挙げられる。また、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法、電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法が挙げられる。
パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法について説明する。この方法で用いるレーザーの具体的な例としては、ArF、KrF、XeFあるいはXeClのようなガスをレーザー媒質とするエキシマレーザーや、チタンサファイアを媒質とするフェムト秒レーザーが挙げられる。さらに、上記、レーザー照射における、レーザー光の波長は、1,000nm以下であることが好ましい。
上記、エキシマレーザーは、以下の工程で放出されるレーザー光である。まず、Ar、Kr及びXeのような希ガスと、F及びClのようなのハロゲンガスとの混合気体に、例えば、放電、電子ビーム及びX線でエネルギーを与えて、上述の元素を励起して結合させる。その後、基底状態に落ちることで解離する際、エキシマレーザー光が放出される。上記、エキシマレーザーにおいて用いるガスとしては、ArF、KrF、XeCl及びXeFが挙げられるが、いずれを用いてもよい。特には、KrF、ArFが好ましい。
凹形状部の形成方法としては、図3に示されているレーザー光遮蔽部aとレーザー光透過部bとを適宣配列したマスクを使用する。マスクを透過したレーザー光のみがレンズで集光され、電子写真感光体の表面に照射されることにより、所望の形状と配列を有した凹形状部の形成が可能となる。上記、レーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法では、一定面積内の多数の凹形状部を、凹形状部の形状あるいは面積に関わらず瞬時に、かつ同時に加工できるため、表面形成工程は短時間ですむ。マスクを用いたレーザー照射により、1回照射当たり電子写真感光体の表面の数mm2から数cm2の領域が加工される。レーザー加工においては、図4に示すように、まず、ワーク回転用モーターdにより電子写真感光体fを自転させる。自転させながら、ワーク移動装置eにより、エキシマレーザー光照射器cによるレーザー照射位置を電子写真感光体の軸方向上にずらしていくことにより、電子写真感光体の表面全域に効率良く凹形状部を形成することができる。
上記、レーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法により、表面に複数の各々独立した凹形状部を有する電子写真感光体を作製することができる。しかも、凹形状部の長軸径をRpc及び凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部を有する電子写真感光体を作製することができる。凹形状部の深さは、上記範囲内で任意であり、レーザー照射による電子写真感光体の表面を形成する場合は、レーザー照射時間、回数のような製造条件の調整により深さは制御できる。製造上の精度あるいは生産性の観点から、レーザー照射による電子写真感光体の表面を形成する場合は、一回の照射により形成される凹形状部の深さは0.1μm以上2.0μm以下とすることが望ましい。さらには0.3μm以上1.2μm以下であることが好ましい。レーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法を用いることにより、凹形状部の大きさ、形状及び配列の制御性が高く、高精度かつ自由度の高い電子写真感光体の表面加工が実現できる。
また、レーザー照射による電子写真感光体の表面の形成方法では、同じマスクパターンを用いて上記の表面の形成方法を複数の部位あるいは感光体表面全域に施されてもよい。この方法により、感光体表面全体に均一性の高い凹形状部を形成することができる。その結果、電子写真装置において使用する際の現像ローラにかかる力学的負荷は分散されると考えられる。また、図5に示すように、感光体の任意の周方向線上に、凹形状形成部h及び凹形状非形成部gの双方が存在する配列となるようにマスクパターンを形成することにより、一層負荷の分散が期待できる。
次に、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法について説明する。
図6は、本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の例を示す図である。加圧及び解除が繰り返し行える加圧装置Aに所定のモールドBを取り付けた後、感光体Cに対して所定の圧力でモールドを当接させ形状転写を行う。その後、加圧を一旦解除し、感光体Cを回転させた後に、再度加圧そして形状転写工程を行う。この工程を繰り返すことにより、感光体全周にわたって所定の凹形状部を形成することが可能である。
また、例えば図7に示されるように、加圧装置Aに感光体Cの全周長程度の所定形状を有するモールドBを取り付けた後、感光体Cに対して所定の圧力をかけながら、感光体を回転、移動させることにより、感光体全周にわたって所定の凹形状部を形成してもよい。
また、シート状のモールドをロール状の加圧装置と感光体との間に挟み、モールドシートを送りながら表面加工することも可能である。
また、形状転写を効率的に行う目的で、モールドや感光体を加熱してもよい。モールド及び感光体の加熱温度は、本発明の形状が形成できる範囲で任意であるが、形状転写時のモールドの温度(℃)を支持体上の感光層のガラス転移温度(℃)より高くするように加熱されていることが好ましい。さらには、モールドの加熱に加えて、形状転写時の支持体の温度(℃)を感光層のガラス転移温度(℃)より低く制御されていることが、感光体表面に転写された凹形状部を安定的に形成するうえで好ましい。
また、本発明に係る感光体が電荷輸送層を有する感光体である場合は、形状転写時のモールドの温度(℃)を支持体上の電荷輸送層のガラス転移温度(℃)より高くするように加熱されていることが好ましい。さらには、モールドの加熱に加えて、形状転写時の支持体の温度(℃)を電荷輸送層のガラス転移温度(℃)より低く制御されていることが、感光体表面に転写された凹形状部を安定的に形成するうえで好ましい。
モールド自体の材質や大きさ、形状は適宜選択することができる。材質としては、微細表面加工された金属及びシリコンウエハーの表面にレジストによりパターニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルム及び所定の微細表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングされたものが挙げられる。モールド形状の一例を図8に示す。
また、感光体に対して圧力の均一性を付与する目的で、モールドと加圧装置との間に弾性体を設けてもよい。
上記、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法により、表面に複数の各々独立した凹形状部を有する電子写真感光体を作製することができる。しかも、凹形状部の長軸径をRpc及び凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部を有する電子写真感光体を作製することができる。凹形状部の深さは、上記範囲内で任意であるが、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成を行う場合は、深さは0.1μm以上10μm以下とすることが望ましい。所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行う表面の形成方法を用いることにより、凹形状部の大きさ、形状及び配列の制御性が高く、高精度かつ自由度の高い電子写真感光体の表面加工が実現できる。
次に、電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法を説明する。
電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法とは、次の順で行われる方法を示す。結着樹脂及び特定の芳香族有機溶剤を含有し、芳香族有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下で含有する表面層用塗布液を作製し、該塗布液を塗布する塗布工程を経る。次いで、該塗布液を塗布された支持体を保持し、該塗布液を塗布された支持体の表面を結露させた支持体保持工程を経る。その後、支持体を加熱乾燥する乾燥工程により表面に各々独立した凹形状部が形成された表面層を作製する。
上記、結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂及び不飽和樹脂が挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂あるいはジアリルフタレート樹脂が好ましい。さらには、ポリカーボネート樹脂あるいはポリアリレート樹脂であることが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
上記、特定の芳香族有機溶剤は、水に対して親和性の低い溶剤である。具体的には、1,2−ジメチルベンゼン、1,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼンあるいはクロロベンゼンが挙げられる。
上記、表面層用塗布液中に、芳香族有機溶剤を含有していることが重要であるが、凹形状部を安定的に作製する目的で、表面層用塗布液中に、さらに水との親和性の高い有機溶剤あるいは水を表面層用塗布液中に含有してもよい。水との親和性の高い有機溶剤としては、(メチルスルフィニル)メタン(慣用名:ジメチルスルホキシド)、チオラン−1,1−ジオン(慣用名:スルホラン)であることが好ましい。また、N,N−ジメチルカルボキシアミド、N,N−ジエチルカルボキシアミド、ジメチルアセトアミドあるいは1−メチルピロリジン−2−オンであることが好ましい。これらの有機溶剤は単独で含有することも、2種以上混合して含有することもできる。
上記、支持体の表面を結露させた支持体保持工程とは、表面層用塗布液を塗布された支持体を、支持体の表面が結露する雰囲気下に一定時間保持する工程を示す。この表面形成方法における結露とは、水の作用により表面層用塗布液を塗布された支持体に液滴が形成されたことを指す。支持体の表面を結露させる条件は、支持体を保持する雰囲気の相対湿度及び塗布液溶剤の揮発条件(例えば気化熱)によって影響される。しかし、表面層用塗布液中に、芳香族有機溶剤を全溶剤質量に対し50質量%以上含有しているため、塗布液溶剤の揮発条件の影響は少なく、支持体を保持する雰囲気の相対湿度に主に依存する。支持体の表面を結露させる相対湿度は、40%以上100%以下である。さらに相対湿度70%以上であることが好ましい。支持体保持工程には、結露による液滴形成が行われるのに必要な時間があればよい。生産性の観点から好ましくは1秒以上300秒以下であり、さらには10秒から180秒程度であることが好ましい。支持体保持工程には、相対湿度が重要であるが、雰囲気温度としては20℃以上80℃以下であることが好ましい。
上記、加熱乾燥する乾燥工程により、支持体保持工程によって表面に生じた液滴を、感光体表面の凹形状部として形成できる。均一性の高い凹形状部を形成するためには、速やかな乾燥であることが重要であるため、加熱乾燥が行われる。乾燥工程における乾燥温度は、100℃以上150℃以下であることが好ましい。加熱乾燥する乾燥工程の時間は、支持体上に塗布された塗布液中の溶剤及び結露工程によって形成した水滴が除去される時間があればよい。乾燥工程の時間は、20分以上120分以下であることが好ましく、さらには40分以上100分以下であることが好ましい。
上記、電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法により、感光体の表面には、各々独立した凹形状部が形成される。電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法は、水の作用により形成される液滴を、水との親和性の低い溶剤及び結着樹脂を用いて凹形状部を形成する方法である。この製造方法により作製された電子写真感光体の表面に形成された凹形状部の個々の形は、水の凝集力により形成されるため、均一性の高い凹形状部となっている。この製造方法は、液滴あるいは液滴が十分に成長した状態から液滴を除去する工程を経る製造方法であるため、電子写真感光体の表面の凹形状部は、例えば、液滴形状あるいはハニカム形状(六角形状)の凹形状部が形成される。液滴形状の凹形状部とは、感光体表面の観察では、例えば、円形状あるいは楕円形状に観察される凹形状部であり、感光体断面の観察では、例えば、部分円状あるいは部分楕円状に観察される凹形状部を示す。また、ハニカム形状(六角形状)の凹形状部とは、例えば、電子写真感光体の表面に液滴が最密充填されたことにより形成された凹形状部である。具体的には、感光体表面の観察では、例えば、凹形状部が円状、六角形状あるいは角の円い六角形状であり、感光体断面の観察では、例えば、部分円状あるいは角柱のような凹形状部を示す。
電子写真感光体の表面層形成時に表面を結露させた表面の形成方法により、表面に複数の各々独立した凹形状部を有する電子写真感光体を作製することができる。しかも、凹形状部の長軸径をRpc及び凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部を有する電子写真感光体を作製することができる。凹形状部の深さは、上記範囲内で任意であるが、個々の凹形状部の深さが、0.5μm以上20μm以下となる製造条件であることが好ましい。
上記、凹形状部は、製造方法で示した範囲内で製造条件の調整を行うことにより制御可能である。凹形状部は、例えば、本発明記載の表面層用塗布液中の溶剤種、溶剤含有量、支持体保持工程における相対湿度、保持工程における保持時間、加熱乾燥温度により制御可能である。
次に、本発明による電子写真感光体の構成について説明する。
上記のとおり、本発明に係る電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に設けられた有機感光層(以下、単に「感光層」ともいう。)とを有する。本発明による電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成した円筒状有機電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状或いはシート状などの形状も可能である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質とを同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体は、電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であっても、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体において、積層型感光層を採用する場合、電子写真特性の観点から、順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。さらに、耐久性能向上等を目的とし感光層上に保護層を設けることも可能である。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスのような金属製の支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解及び研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体を用いることもできる。また、樹脂製支持体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレンまたはポリスチレン樹脂)を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子または銀粒子のような導電性粒子を樹脂や紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止などを目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
支持体の体積抵抗率は、支持体の表面が導電性を付与するために設けられた層である場合、その層の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×106Ω・cm以下であることがより好ましい。
支持体と、後述の中間層または感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。これは導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層である。
このような導電性粉体としては、以下のようなものが挙げられる。カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛または銀のような金属粉;導電性酸化スズまたはITOのような金属酸化物粉体。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、以下の熱可塑樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂樹脂が挙げられる。ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン。ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール。アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂。
導電層は、上記導電性粉体と結着樹脂を、以下の溶剤に分散し、または溶解し、これを塗布することにより形成することができる。テトラヒドロフランまたはエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル系溶剤;メタノールのようなアルコール系溶剤;メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;トルエンのような芳香族炭化水素溶剤。導電層の平均膜厚は0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより一層好ましい。
導電性顔料や抵抗調節顔料を分散させた導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
支持体または導電層と、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、例えば、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。
中間層は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、あるいは、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸またはカゼインのような水溶性樹脂。ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリグルタミン酸エステル樹脂。電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性及び抵抗のような観点から、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。中間層の平均膜厚は、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、さらには0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層中に、半導電性粒子を分散させる、あるいは、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
次に本発明における感光層について説明する。
本発明に係る電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ、ジスアゾまたはトリスアゾのようなアゾ顔料;金属フタロシアニンまたは非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料;インジゴまたはチオインジゴのようなインジゴ顔料;ペリレン酸無水物またはペリレン酸イミドのようなペリレン顔料。アンスラキノンまたはピレンキノンのような多環キノン顔料;スクワリリウム色素、ピリリウム塩またはチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素。セレン、セレン−テルルまたはアモルファスシリコンのような無機物質;キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素スチリル色素。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンあるいはクロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため、好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂。酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂または塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂。特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂及び溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:10以上10:1以下(質量比)の範囲が好ましく、特には1:1以上3:1以下(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択される。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
本発明に係る電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物またはトリアリルメタン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂または不飽和樹脂。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはジアリルフタレート樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、1:2以上2:1以下(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、以下のものが挙げられる。アセトンまたはメチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;酢酸メチルまたは酢酸エチルのようなエステル系溶剤。テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメトキシメタンまたはジメトキシエタンのようなエーテル系溶剤;トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤。これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性のような観点から好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は5μm以上50μm以下であることが好ましく、特には10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤及び/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
本発明において電子写真感光体に要求される特性の一つである耐久性能の向上にあたっては、上記の機能分離型感光体の場合、表面層となる電荷輸送層の材料設計は重要である。例えば、高強度の結着樹脂を用いる方法、可塑性を示す電荷輸送物質と結着樹脂との比率を適正化する方法、高分子電荷輸送物質を使用する方法が挙げられるが、より耐久性能を発現させるためには表面層を硬化系樹脂で構成することが有効である。
上記、表面層を硬化系樹脂で構成する方法としては、例えば、電荷輸送層を硬化系樹脂で構成することが挙げられ、また、上記の電荷輸送層上に第二の電荷輸送層或いは保護層として硬化系樹脂層を形成することが挙げられる。硬化系樹脂層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力との両立であり、電荷輸送物質及び重合或いは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。
これら表面層を硬化系樹脂で構成する方法には、電荷輸送物質としては、公知の正孔輸送性化合物及び電子輸送性化合物を用いることができる。これらの化合物を合成する材料としては、アクリロイルオキシ基またはスチレン基を有する連鎖重合系の材料が挙げられる。また、水酸基、アルコキシシリル基またはイソシアネート基を有する逐次重合系のような材料が挙げられる。特に、表面層を硬化系樹脂で構成された電子写真感光体の電子写真特性、汎用性や材料設計及び製造安定性の観点から正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料の組み合わせが好ましい。さらには、正孔輸送性基及びアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させた表面層で構成された電子写真感光体であることが特に好ましい。
硬化手段としては、熱、光または放射線のような公知の手段が利用できる。
硬化層の平均膜厚は、電荷輸送層の場合は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、さらには10μm以上35μm以下であることが好ましい。第二の電荷輸送層或いは保護層の場合は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、さらには1μm以上10μm以下であることが好ましい。
本発明に係る電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子などの潤滑剤などが挙げられる。
本発明に係る電子写真感光体は、上記の通り、特定の凹形状部を電子写真感光体の表面に有する。
以上の各層の塗布液を塗布する際には、以下の塗布方法を用いることができる。浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、リングコーティング法。
次に、本発明のプロセスカートリッジについて説明する。図9は、本発明のプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
図9において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段:例えば帯電ローラ)3により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光のような露光手段(図示せず)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像ローラを有する現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。ここで、トナー像は電子写真感光体1の表面に形成担持されている。次いで、該トナー像が、転写手段(例えば転写ローラ)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(図示せず)から電子写真感光体と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体の回転と同期して給送された転写材(例えば紙)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーは、クリーニング手段(例えばクリーニングブレード)7によって除去、回収されて清浄面化される。さらに、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(図示せず)からの前露光光(図示せず)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図9に示すように、帯電手段3が、例えば帯電ローラを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上記の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7の構成要素のうち、少なくとも電子写真感光体と現像手段とを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成してもよい。また、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターのような電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図9では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールのような案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
直径30mm、長さ357.5mmの表面切削加工されたアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
直径30mm、長さ357.5mmの表面切削加工されたアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、以下の成分からなる溶液を約20時間、ボールミルで分散し導電層用塗料を調製した。
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体 60部
(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)
酸化チタン 15部
(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)
レゾール型フェノール樹脂 43部
(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70質量%)
シリコーンオイル 0.015部
(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)
シリコーン樹脂 3.6部
(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)
2−メトキシ−1−プロパノール 50部
メタノール 50部
(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)
酸化チタン 15部
(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)
レゾール型フェノール樹脂 43部
(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70質量%)
シリコーンオイル 0.015部
(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)
シリコーン樹脂 3.6部
(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)
2−メトキシ−1−プロパノール 50部
メタノール 50部
上記方法にて調製した導電層用塗料を、上記支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体上端から170mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、以下の成分をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した中間層用塗料を、上記導電層上に浸漬塗布し、100℃に加熱されたのオーブン内で30分間、加熱乾燥した。こうして、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
次に、以下の成分を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折において、7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°(ブラッグ角度(2θ±0.2°))に強い回折ピーク有するもの)
下記構造式(1)
(CuKα特性X線回折において、7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°(ブラッグ角度(2θ±0.2°))に強い回折ピーク有するもの)
下記構造式(1)
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)
シクロヘキサノン 600部
上記電荷発生層用塗料を中間層上に浸漬コーティング法で塗布し、80℃に加熱されたオーブン内で15分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次いで、以下の成分をクロロベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。これを用いて、上記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、100℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
下記構造式(2)
ポリカーボネート樹脂 100部
(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
次いで、以下の成分を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)20部及び1−プロパノール20部の混合溶剤に溶解した。
フッ素原子含有樹脂 0.5部
(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)
(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)
上記フッ素原子含有樹脂が溶解された溶液に、4フッ化エチレン樹脂粉体(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)10部を加えた。その後、4フッ化エチレン樹脂粉体を加えた溶液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)で58.8MPa(600kgf/cm2)の圧力で4回の処理を施し、均一に分散させた。さらに、上記分散処理を行った溶液をポリフロンフィルター(商品名PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、分散液を調製した。その後、下記構造式(3)
上記第二電荷輸送層用塗料を用いて、上記電荷輸送層上に第二電荷輸送層用塗料を塗布した後、大気中、50℃のオーブンで10分間乾燥した。その後、窒素雰囲気下において加速電圧150KV及びビーム電流3.0mAの条件で支持体を200rpmで回転させながら1.6秒間電子線照射を行った。引き続いて、窒素雰囲気下において、支持体周囲の温度を25℃から125℃まで30秒かけて昇温させ、第二電荷輸送層に含有される物質の硬化反応を行った。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15KGyであった。また、電子線照射及び加熱硬化反応雰囲気の酸素濃度は15ppm以下であった。上記処理を行った支持体を、大気中において25℃まで自然冷却し、その後、100℃に加熱されたのオーブン内で30分間、大気中で、加熱処理を行って、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が5μmの第二電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、図7に示された装置において、図10に示された形状転写用のモールドを設置し表面加工を行った。加工時の電子写真感光体及びモールドの温度は110℃に制御し、5MPaの圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させ形状転写を行った。
<電子写真感光体の表面形状測定>
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス製)を用いて表面観察を行った。測定対象の電子写真感光体を円筒状支持体を固定できるよう加工された置き台に設置し、電子写真感光体の上端から170mm離れた位置の表面観察を行った。その際、対物レンズ倍率を50倍とし、感光体表面の100μm四方を視野観察とし、測定を行った。測定視野内に観察された凹形状部を解析プログラムを用いて解析を行った。
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス製)を用いて表面観察を行った。測定対象の電子写真感光体を円筒状支持体を固定できるよう加工された置き台に設置し、電子写真感光体の上端から170mm離れた位置の表面観察を行った。その際、対物レンズ倍率を50倍とし、感光体表面の100μm四方を視野観察とし、測定を行った。測定視野内に観察された凹形状部を解析プログラムを用いて解析を行った。
測定視野内にある各凹形状部の表面部分の形状、長軸径(Rpc)及び凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さ(Rdv)を測定した。電子写真感光体の表面には、図11に示される円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の100μm四方あたりの個数を算出すると、2,500個であった。また、凹形状部の表面部分の平均長軸径(Rpc−A)は、1.0μmであった。また、凹形状部と、その凹形状部と最も近い距離にある凹形状部との平均距離(以下、凹形状部間隔と表記する)は、1.0μmの間隔で形成されていた。また、凹形状部の平均深さ(Rdv−A)は、1.5μmであった。さらに、100μm四方あたりの深さ0.1μm以上10μm以下の凹形状部の開孔部の面積率を算出すると、20%であった。結果を表1に示す。(表1中、個数は、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の100μm四方あたりの個数を示す。Rdv−A/Rpc−Aは、100μm四方あたりの凹形状部の平均長軸径に対する平均深さの比を示す。)
(現像ローラの作製)
軸芯体としてSUS製の芯金にニッケルメッキを施し、さらに接着剤を塗布、焼付けしたものを用いた。
軸芯体としてSUS製の芯金にニッケルメッキを施し、さらに接着剤を塗布、焼付けしたものを用いた。
次いで、軸芯体を金型に配置し、下記液状シリコーンゴム材料を金型内に形成されたキャビティに注入した。
・25℃における粘度が10000Pa・sの末端ビニル基封鎖の直鎖状ポリジメチルシロキサン40質量%と、
25℃における粘度が35Pa・sであり1つのビニル基を有する分岐ポリシロキサンセグメントと、二官能性のジメチルシロキサンを約200個連続して有する直鎖状オイルセグメントとからなるブロックポリマー60質量%とからなるポリシロキサン混合物に、
架橋剤として1分子中にケイ素結合水素原子を2個以上有したオルガノシロキサンと白金系触媒を加え、混合した付加型シリコーンゴム組成物100質量部に、
・無機微粉体である耐熱性付与剤としてシリカ粉体「AEROSIL130」(商品名、日本アエロジル社製)8質量部、
・石英粉末「Min−U−Sil 15」(商品名、U.S.Silica Company社製)35質量部及び
・導電性付与剤としてカーボンブラック「デンカブラックFX−35」(商品名、電気化学工業社製)22質量部
を添加し、混合した液状シリコーンゴム材料。
・25℃における粘度が10000Pa・sの末端ビニル基封鎖の直鎖状ポリジメチルシロキサン40質量%と、
25℃における粘度が35Pa・sであり1つのビニル基を有する分岐ポリシロキサンセグメントと、二官能性のジメチルシロキサンを約200個連続して有する直鎖状オイルセグメントとからなるブロックポリマー60質量%とからなるポリシロキサン混合物に、
架橋剤として1分子中にケイ素結合水素原子を2個以上有したオルガノシロキサンと白金系触媒を加え、混合した付加型シリコーンゴム組成物100質量部に、
・無機微粉体である耐熱性付与剤としてシリカ粉体「AEROSIL130」(商品名、日本アエロジル社製)8質量部、
・石英粉末「Min−U−Sil 15」(商品名、U.S.Silica Company社製)35質量部及び
・導電性付与剤としてカーボンブラック「デンカブラックFX−35」(商品名、電気化学工業社製)22質量部
を添加し、混合した液状シリコーンゴム材料。
続いて、金型を120℃で10分間加熱し、その後室温に冷却した後に脱型し、再び200℃で30分間加熱してシリコーンゴムを加熱硬化して、厚み3mmの弾性体層を軸芯体の外周に設けた弾性体層を有するローラを作製した。
ウレタン樹脂(商品名:ニッポラン5230、日本ポリウレタン社製)の固形分10質量%となるよう調整したメチルエチルケトンを主溶媒とする混合溶液に、
さらにカーボンブラック(商品名:#52、三菱化学社製)を、樹脂成分に対し14質量部添加し十分に攪拌したものをディップ液とした。
さらにカーボンブラック(商品名:#52、三菱化学社製)を、樹脂成分に対し14質量部添加し十分に攪拌したものをディップ液とした。
この液中に弾性体層が設けられた軸芯体を浸漬してコーティングした後、引き上げて乾燥させ、100℃にて2時間加熱処理することで、樹脂層を弾性体層の外周に設けた。このようにして現像ローラを得た。
<セット性能(変形回復性)の評価>
セット性能は、現像ローラをカートリッジに組み込み電子写真感光体と当接させた状態でL/L環境下(15℃、10%RH)で6日間放置した。その後、J/J環境下(常温、常湿)に移動し1日放置し、その後、図9に示す構成を有するカートリッジを電子写真装置に組み込み、ベタ及びハーフトーンの画像の評価を行った。なお、上記カートリッジは、現像ローラ、現像剤供給ローラ、現像剤規制部材、現像剤及び現像容器を具備するものとした。
セット性能は、現像ローラをカートリッジに組み込み電子写真感光体と当接させた状態でL/L環境下(15℃、10%RH)で6日間放置した。その後、J/J環境下(常温、常湿)に移動し1日放置し、その後、図9に示す構成を有するカートリッジを電子写真装置に組み込み、ベタ及びハーフトーンの画像の評価を行った。なお、上記カートリッジは、現像ローラ、現像剤供給ローラ、現像剤規制部材、現像剤及び現像容器を具備するものとした。
◎:圧接跡が画像上にみられないもの
○:圧接跡がごく薄くみられる
△:圧接跡が薄くみられる
×:圧接跡が明瞭にみられる
○:圧接跡がごく薄くみられる
△:圧接跡が薄くみられる
×:圧接跡が明瞭にみられる
(実施例2)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから0.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから0.5μm及びFで示された高さを3.0μmから2.4μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.5μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから0.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから0.5μm及びFで示された高さを3.0μmから2.4μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.5μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから0.2μm、Eで示された間隔を1.0μmから0.2μm及びFで示された高さを3.0μmから2.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.2μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから0.2μm、Eで示された間隔を1.0μmから0.2μm及びFで示された高さを3.0μmから2.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.2μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから0.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから0.2μm及びFで示された高さを3.0μmから2.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.2μmの間隔で形成され、面積率を算出すると40%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから0.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから0.2μm及びFで示された高さを3.0μmから2.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.2μmの間隔で形成され、面積率を算出すると40%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから0.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから0.1μm及びFで示された高さを3.0μmから2.4μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.1μmの間隔で形成され、面積率を算出すると55%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから0.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから0.1μm及びFで示された高さを3.0μmから2.4μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.1μmの間隔で形成され、面積率を算出すると55%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドを図12に示した山型形状のモールドに代えた以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図13に示される山状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドを図12に示した山型形状のモールドに代えた以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図13に示される山状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドを図14に示した円錐形状のモールドに代えた以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図15に示される円錐状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.2μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドを図14に示した円錐形状のモールドに代えた以外は実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図15に示される円錐状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.2μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1と同様に支持体上に導電層、中間層及び電荷発生層を作製した。
実施例1と同様に支持体上に導電層、中間層及び電荷発生層を作製した。
次いで、以下の成分をクロロベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。これを用いて、上記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、100℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
上記式(2)で示される電荷輸送物質(正孔輸送物質) 70部
下記構造式(4)
下記構造式(4)
(式中、m及びnは、繰り返し単位の本樹脂における比(共重合比)を示し、本樹脂においては、m:n=7:3である。)
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。また、重量平均分子量(Mw)は、130,000である。
本発明において、樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定されたものである。
すなわち、測定対象樹脂をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象樹脂とテトラヒドロフランとよく混合し(測定対象樹脂の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置した。
その後、東ソー(株)製のサンプル処理フィルターマイショリディスクH−25−5を通過させたものをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とした。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、GPC用試料を10μl注入して、測定対象樹脂の重量平均分子量を測定した。カラムには、東ソー(株)製のカラムTSKgel SuperHM−Mを用いた。
測定対象樹脂の重量平均分子量の測定にあたっては、測定対象樹脂が有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が次のものを10点用いた。、3,500、12,000、40,000、75,000、98,000、120,000、240,000、500,000、800,000、1,800,000。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のFで示された高さを3.0μmから6.0μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例8と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから4.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから5.0μm及びFで示された高さを3.0μmから10.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、5.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると18%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例8と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから4.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから5.0μm及びFで示された高さを3.0μmから10.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、5.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると18%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例8と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから2.0μm及びFで示された高さを3.0μmから5.0μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると35%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例8と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから2.0μm及びFで示された高さを3.0μmから5.0μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると35%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例8と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから3.0μm、Eで示された間隔を1.0μmから2.0μm及びFで示された高さを3.0μmから9.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、2.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると28%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例8と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから3.0μm、Eで示された間隔を1.0μmから2.0μm及びFで示された高さを3.0μmから9.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、2.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると28%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例1と同様に支持体上に導電層、中間層及び電荷発生層を作製した。
実施例1と同様に支持体上に導電層、中間層及び電荷発生層を作製した。
次いで、以下の成分をクロロベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。これを用いて、上記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、100℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から170mm位置の平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
上記式(2)で示される電荷輸送物質(正孔輸送物質) 70部
下記構造式(5)
下記構造式(5)
(式中、m及びnは、繰り返し単位の本樹脂における比(共重合比)を示し、本樹脂においては、m:n=7:3である。)
また、上記ポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、120,000である。
上記の方法により作製された電子写真感光体に対して、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから5.5μm、Eで示された間隔を1.0μmから5.0μm及びFで示された高さを3.0μmから12.0μmとした。それ以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、5.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると22%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例13)
実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから2.0μm及びFで示された高さを3.0μmから6.0μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると34%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから2.0μm及びFで示された高さを3.0μmから6.0μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると34%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体に対して、図7に示された装置において、図16に近似したニッケル材質の形状転写用のモールドを設置し表面加工を行った。加工時の電子写真感光体の温度を55℃及びモールドの温度を150℃に制御し、モールドを4.9MPa(50kg/cm2)の圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させ形状転写を行った。ただし、図16中のDで示された長軸径を2.0μmから4.0μm、Eで示された間隔を1.0μmから2.0μm及びFで示された高さを6.0μmから9.0μmとした。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体に対して、図7に示された装置において、図16に近似したニッケル材質の形状転写用のモールドを設置し表面加工を行った。加工時の電子写真感光体の温度を55℃及びモールドの温度を150℃に制御し、モールドを4.9MPa(50kg/cm2)の圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させ形状転写を行った。ただし、図16中のDで示された長軸径を2.0μmから4.0μm、Eで示された間隔を1.0μmから2.0μm及びFで示された高さを6.0μmから9.0μmとした。
実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図17に近似した円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、2.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると63%であった。また、実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例15)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体の表面に対して、図4で示されるようなKrFエキシマレーザー(波長λ=248nm)を用いた凹形状部作製方法を用いて、凹形状部を形成した。図18で示されるように直径5.0μmの円形のレーザー光透過部が2.0μm間隔で図のように配列するパターンを有する石英ガラス製のマスクを用い、照射エネルギーを0.9J/cm2とした。さらに、1回照射あたりの照射面積は2mm四方で行い、2mm四方の照射部位あたり3回のレーザー光照射を行った。同様の凹形状部の作製を、図4に示すように、電子写真感光体を回転させ、照射位置を軸方向にずらす方法により、感光体表面に対する凹形状部の形成を行った。
実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図19で示される凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.6μmの間隔で形成され、面積率は44%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体の表面に対して、図4で示されるようなKrFエキシマレーザー(波長λ=248nm)を用いた凹形状部作製方法を用いて、凹形状部を形成した。図18で示されるように直径5.0μmの円形のレーザー光透過部が2.0μm間隔で図のように配列するパターンを有する石英ガラス製のマスクを用い、照射エネルギーを0.9J/cm2とした。さらに、1回照射あたりの照射面積は2mm四方で行い、2mm四方の照射部位あたり3回のレーザー光照射を行った。同様の凹形状部の作製を、図4に示すように、電子写真感光体を回転させ、照射位置を軸方向にずらす方法により、感光体表面に対する凹形状部の形成を行った。
実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、図19で示される凹形状部が形成されていることが確認された。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、0.6μmの間隔で形成され、面積率は44%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例16)
実施例1と同様に支持体上に導電層、中間層及び電荷発生層を作製した。
実施例1と同様に支持体上に導電層、中間層及び電荷発生層を作製した。
次に、上記式(1)で示される構造を有する電荷輸送物質10部、結着樹脂として上記式(5)で示されるポリアリレート樹脂10部、クロロベンゼン50部、オキソラン30部ジメトキシメタン20部の混合溶媒に溶解した。こうして、電荷輸送物質を含有する表面層用塗布液を調合した。このように調製した表面層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、支持体上に表面層用塗布液を塗布した。表面層用塗布液を塗布する工程は、相対湿度45%及び雰囲気温度25℃の状態で行った。塗布工程終了から60秒後、予め装置内を相対湿度70%及び雰囲気温度60℃の状態にされていた支持体保持工程用装置内に、表面層用塗布液が塗布された支持体を120秒間保持した。支持体保持工程終了から60秒後、予め装置内が120℃に加熱されていた送風乾燥機内に、支持体を入れ、乾燥工程を60分間行った。
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。この時の電荷輸送層の膜厚は18μmであった。
実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、凹形状部が形成されていることが確認された。図20に、実施例16で作製された電子写真感光体の表面のレーザー顕微鏡による画像を示す。測定結果を表1に示す。また、凹形状部間隔は、2.6μmの間隔で形成され、面積率は47%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のFで示された高さを3.0μmから1.4μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。電子写真感光体表面の100μm四方あたりの凹形状部の総数を算出すると、2,500個の凹形状部が形成されていたが、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の形成は見られなかった。凹形状部の100μm四方あたりの平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のFで示された高さを3.0μmから1.4μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。電子写真感光体表面の100μm四方あたりの凹形状部の総数を算出すると、2,500個の凹形状部が形成されていたが、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の形成は見られなかった。凹形状部の100μm四方あたりの平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから5.0μm及びFで示された高さを3.0μmから1.0μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。電子写真感光体表面の100μm四方あたりの凹形状部の総数を算出すると、278個の凹形状部が形成されていたが、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の形成は見られなかった。凹形状部の100μm四方あたりの平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると55%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のDで示された長軸径を1.0μmから5.0μm及びFで示された高さを3.0μmから1.0μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。電子写真感光体表面の100μm四方あたりの凹形状部の総数を算出すると、278個の凹形状部が形成されていたが、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の形成は見られなかった。凹形状部の100μm四方あたりの平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると55%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のFで示された高さを3.0μmから1.6μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。電子写真感光体表面の100μm四方あたりの凹形状部の総数を算出すると、2,500個の凹形状部が形成されていたが、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の形成は見られなかった。凹形状部の100μm四方あたりの平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例12と同様に電子写真感光体を作製し、実施例1で使用したモールドにおいて、図10中のFで示された高さを3.0μmから1.6μmとした以外は、実施例1と同様に加工を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、円柱状の凹形状部が形成されていることが確認された。電子写真感光体表面の100μm四方あたりの凹形状部の総数を算出すると、2,500個の凹形状部が形成されていたが、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の形成は見られなかった。凹形状部の100μm四方あたりの平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)を表1に示す。また、凹形状部間隔は、1.0μmの間隔で形成され、面積率を算出すると20%であった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、表面の加工を行わなかった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、表面の加工を行わなかった。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、平均粒径35μmのガラスビーズを感光体表面に吹き付けるサンドブラスト法により、電子写真感光体の表面の疎面化を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、部分球状の凹形状部が形成されていることが確認された。電子写真感光体表面の100μm四方あたりの凹形状部の総数を算出すると、6個の凹形状部が形成されていたが、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の形成は見られなかった。凹形状部の100μm四方あたりの平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)を表1に示す。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、平均粒径35μmのガラスビーズを感光体表面に吹き付けるサンドブラスト法により、電子写真感光体の表面の疎面化を行った。実施例1と同様に表面形状測定を行ったところ、部分球状の凹形状部が形成されていることが確認された。電子写真感光体表面の100μm四方あたりの凹形状部の総数を算出すると、6個の凹形状部が形成されていたが、長軸径に対する深さの比(Rdv/Rpc)が1.0より大きい凹形状部の形成は見られなかった。凹形状部の100μm四方あたりの平均長軸径に対する平均深さの比(Rdv−A/Rpc−A)を表1に示す。実施例1と同様に、セット性能の評価を行った。結果を表1に示す。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
a レーザー光遮蔽部
b レーザー光透過部
c エキシマレーザー光照射器
d ワーク回転用モーター
e ワーク移動装置
f 電子写真感光体
g 凹形状非形成部
h 凹形状形成部
A 加圧装置
B モールド
C 感光体
P 転写材
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
a レーザー光遮蔽部
b レーザー光透過部
c エキシマレーザー光照射器
d ワーク回転用モーター
e ワーク移動装置
f 電子写真感光体
g 凹形状非形成部
h 凹形状形成部
A 加圧装置
B モールド
C 感光体
P 転写材
Claims (4)
- 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段のうち少なくとも該電子写真感光体と該現像手段とをともに一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジにおいて、該現像手段が該電子写真感光体と接触して用いられる弾性層を有する現像ローラを有し、該電子写真感光体の表面が、複数の独立した凹形状部を有し、該凹形状部の長軸径をRpc、該凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す深さをRdvとした場合に長軸径(Rpc)に対する深さ(Rdv)の比(Rdv/Rpc)が1.0より大きく、かつ、深さ0.1μm以上10μm以下の凹形状部の開孔部面積が感光体全面積の10%以上であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 前記電子写真感光体の表面が、前記凹形状部を100μm四方あたり50個以上有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記凹形状部において、前記電子写真感光体の表面100μm四方あたりの平均長軸径(Rpc−A)に対する、表面100μm四方あたりの平均深さ(Rdv−A)の比(Rdv−A/Rpc−A)が1.0より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記電子写真感光体の凹形状部の表面100μm四方あたりの平均深さ(Rdv−A)が3.0μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007151643A JP2008304699A (ja) | 2007-06-07 | 2007-06-07 | プロセスカートリッジ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007151643A JP2008304699A (ja) | 2007-06-07 | 2007-06-07 | プロセスカートリッジ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008304699A true JP2008304699A (ja) | 2008-12-18 |
Family
ID=40233486
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007151643A Pending JP2008304699A (ja) | 2007-06-07 | 2007-06-07 | プロセスカートリッジ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008304699A (ja) |
-
2007
- 2007-06-07 JP JP2007151643A patent/JP2008304699A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
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RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20090427 |