JP5039469B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に係り、より詳しくは、干渉縞の抑制に効果的な電子写真感光体を得るための電子写真感光体の下地層の製造方法に関する。
電子写真装置は、高速でかつ高印字品質が得られ、複写機及びレーザービームプリンター等の分野において利用されている。電子写真装置に用いられる感光体として、有機の光導電材料を用いた有機感光体(OPC)の開発が進められ普及してきている。また、感光体の構成も、電荷移動型錯体構造や電荷発生材料を結着樹脂中に分散した単層型の感光体から、電荷発生層と電荷輸送層とを分離した機能分離型の感光体構成へと変遷し、性能が向上してきた。この機能分離型感光体構成において、現在では、アルミニウム支持体の上に、下地層を形成しその後電荷発生層、電荷輸送層を形成する構成が主流となっている。
しかしながら、半導体レーザーにて電子写真感光体に露光を行うと、形成されたトナー画像には、干渉縞模様が出現し、画像に濃度ムラが発生する場合がある。この理由の1つとしては、例えば、半導体レーザーが感光層内で完全に吸収されず、その透過光が支持体表面、或いは下地層の表面で正反射し、そのため、感光層内でレーザービームの多重反射光を生じることが考えられている。その結果、この多重反射光が感光層表面の反射光との間で干渉を生じ、上記の干渉縞模様の出現につながると考えられている。
この欠点を解消する方法としては、これまで、導電性支持体を改良する方法または下地層を改良する技術が提案されている。
導電性支持体の改良として、例えば、特許文献1には、導電性支持体の表面を陽極酸化法により粗面化する方法が開示されている。また、特許文献2には、導電性支持体の表面をバイトによる切削により粗面化する方法が開示されている。特許文献3には、ガラスビーズあるいはアルミナのような研磨剤を吹き付けるブラスト処理により支持体表面を適度に粗面化する技術が開示されている。特許文献4には、湿式ホーニング処理により支持体表面を適度に粗面化する技術が開示されている。これは、水等の液体に粉末状の研磨剤を懸濁させ、高速度で支持体表面に吹き付けて粗面化する方法である。この場合、表面粗さは、吹き付け圧力、速度、研磨剤の量、種類、形状、大きさ、硬度、比重及び懸濁温度等により制御することができ、様々な製造条件が提案され開示されている。
一方、下地層の改良としては、特許文献5には、支持体上に下地層を形成し、この下地層に導電性の金属酸化物を分散させて下地層表面を粗面化する技術が開示されている。特許文献6には、無切削のアルミニウム支持体表面に、下地層として、導電層、中間層の2層からなる下地層を有する電子写真感光体が開示されている。この電子写真感光体において、導電層には酸素欠損型SnO被覆TiO粒子を含有させ、更に導電層表面の粗さ制御の為、平均粒径が1μm以上3μm以下のシリコーン樹脂粒子のような粗し粒子を加えることにより、干渉縞を抑制することが開示されている。また、特許文献7には、下地層を塗布する工程で、この下地層が未乾燥な状態でこの塗膜に送風して下地層表面に平均ピッチ幅500μm以下で最大粗さが0.3μ以上の粗面を形成する製造方法が開示されている。
一方、粗面化方法として、非破壊で、より表面形状を微細に制御出来る方法として、特許文献8には、表面に凹凸形状を有するタッチロールやスタンパ(金型)を電子写真感光体の表面層に接触させ圧縮成形加工する技術が開示されている。この特許文献8には、加工時の電子写真感光体およびスタンパを加熱することで成型精度を向上させられることや、感光体の真円度を維持するために、加工圧力を1N以下とすることが開示されている。
この圧縮成形加工技術は、従来から知られているような、樹脂等の表面凹凸加工方法であるエンボス加工技術、あるいは近年、微細加工技術として積極的に研究が進められているナノインプリント技術を、電子写真感光体に応用したものである。
しかしながら、上述した導電性支持体の改良方法である、特許文献1に記載されている導電性支持体の表面を陽極酸化法により粗面化する方法では、電子写真特性がアルミニウム支持体表面の酸化被膜の状態によって左右される。また、部分的に酸化被膜が薄い部分抵抗が著しく低下し、黒ポチなどが発生する場合がある。また、酸化被膜のムラは、表面形状の粗さムラにも表れ、部分的に干渉縞が発生する場合もある。また、生産上の装置が複雑になる傾向もあり、生産性が十分に高いとは言えないのが実情である。
また、特許文献2乃至4に記載されている電子写真感光体支持体の表面では、切削、ブラストまたはホーニング処理で発生する、切削片、研磨剤残りやササクレによる黒ポチがこの技術では発生し易い。また、これらを除去するための洗浄工程などが複雑になる傾向がある。また、ここでも、洗浄後の支持体の汚れ、酸化被膜のムラが画像に影響を与える場合があり、製造上の制約が多い。
一方、下地層を改良する方法である、特許文献5に記載の方法では、微粒子を含有させることに伴う、塗工液の長期的な安定性に関して、金属酸化物の凝集や、沈降のような問題が生じる場合がある。また、分散条件や溶剤、バインダー樹脂のような制約が生じ、電子写真特性との両立が難しい場合がある。また、表面の粗さも均一にすることが難しく、部分的に粗さが大きくなるとガサツキ画像などが発生する原因となる。また、特許文献7では、下地層として導電層、中間層の2層からなる感光体が開示されているが、導電層表面を効果的に粗面化するために、粗し粒子を加える場合、熱硬化性樹脂との併用により、膜のクラックが発生し易い場合がある。また、クラックや、黒ポチの抑制に対し粗し粒子の適正な粒径、添加量、塗膜液の分散条件、使用溶剤の制御など生産上の制約があり、生産の自由度が狭まる場合がある。
また、特許文献8に記載の方法では、適度な加圧力および成型温度を設定することで、形状の転写は容易に起こることを想定されていると考えられるものの、想定以上の加圧力および温度制御を必要とすることが本発明者らの検討により示唆された。さらに、下地層表面への形状の転写については、下地層を構成する材料、下地層構成および物性の違い、また、干渉縞に効果的な形状形成について、その加工方法の最適条件があることが示唆された。
すなわち、電子写真感光体の下地表面の形状を微細に制御するための加工方法は、未だ十分な製造方法として提示されていなかった。さらには、生産性および品質安定性を考慮した製造方法が提示されていなかった。
特開平05−72785号公報 特開昭58−162975号公報 特開平08−292592号公報 特開2002−107958号公報 特開2005−140963号公報 特開2007−47736号公報 特開平5−88395号公報 特開2001−066814号公報
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、画像上の黒ポチ、白ポチ、ムラ、スジ、干渉縞、モアレのような画像欠陥のない画像を出力可能であり、生産性の高い電子写真感光体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明による電子写真感光体の製造方法は、支持体上に、少なくとも熱硬化後の熱硬化性樹脂を含む導電層、及び感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、(1)該支持体上に導電層用塗布液を塗布して塗膜を形成する工程と、(2)該導電層用塗布液の塗膜表面に凹凸形状を有するモールドを加温させながら加圧接触させることにより、該熱硬化性樹脂を熱硬化させて表面に凹凸形状を有する導電形成する工程と、(3)該導電層上に感光層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、画像上の黒ポチ、白ポチ、ムラ、スジ、干渉縞、モアレのような画像欠陥のない画像を出力可能な電子写真感光体を高い生産性で得ることができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
<本発明による電子写真感光体の製造方法>
本発明の電子写真感光体は、上述のとおり、支持体上に少なくとも熱硬化後の熱硬化性樹脂を含む導電層、および感光層を有する電子写真感光体において、下記の(1)〜(3)の工程によって製造されるものである。
(1)支持体上に導電層用塗布液を塗布して塗膜を形成する工程
(2)この導電層用塗布液の塗膜表面に凹凸形状を有するモールドを加温させながら加圧接触させることにより、この熱硬化性樹脂を熱硬化させて表面に凹凸形状を有する導電形成する工程
(3)この導電層上に感光層を形成する工程
(下地層塗布工程)
本発明による電子写真感光体の製造方法において、上記(1)で示す支持体上に下地層用塗布液を塗布する下地層塗布工程について説明する。
本発明の電子写真感光体において、下地層とは、支持体と感光層との間に存在するすべての層を指し、下地層の構成としては1層でも2層以上の積層構成でもよい。このように2層以上の積層構成の場合、上記の凹凸形状は、少なくともいずれかの層の表面に上述の下地層を塗布、乾燥後、下地層の塗膜表面に凹凸形状を有するモールドを加温させながら加圧接触させることにより、形成される。
本発明の電子写真感光体において、支持体は、従来の電子写真感光体で用いられる支持体でよい。すなわち、支持体としては、導電性を有するもの(導電性円筒状支持体)が好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスのような金属製の円筒状支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものも用いてもよい。また、アルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製円筒状支持体や樹脂製円筒状支持体を用いてもよい。なお、この樹脂製円筒状支持体の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレンまたはポリスチレン樹脂が挙げられる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子または銀粒子のような導電性粒子を樹脂や紙に含浸した円筒状支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックを支持体として用いてもよい。支持体及びその酸化被膜を含む体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体において、下地層としては、支持体と感光層との間に存在するすべての層を指し、下地層の構成としては1層でも2層以上の積層構成でもよい。
一般的に、下地層の役割としては、支持体と感光層との接着性の向上や、支持体から感光層へのキャリアの注入を防止することによる繰り返し使用時の明部電位と暗部電位との安定性の向上が挙げられる。この機能がないと、部分的なキャリアの注入により部分的に黒ポチが発生したり、画像にカブリが生じてしまうことがある。
ED管のような無切削のアルミニウム支持体表面の傷やササクレを被覆するために、支持体と、後述の中間層又は感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、支持体の傷やササクレの被覆を目的とした導電層を設けてもよい。導電層は、導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層である。
このような導電性粉体としては、下記のようなものが挙げられる。
カーボンブラック、アセチレンブラック、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛又は銀のような金属粉
導電性ポリマー
導電性酸化スズ、酸化チタン又は酸化亜鉛のような金属酸化物粒子
酸化スズについては、材料の製造時に、酸化アンチモンのようなスズとは異なる価数の金属の化合物や非金属元素などを混合して(ドープして)もよい。また、構成元素を増やさずにノンドープで酸化スズの抵抗をアンチモンドープと同程度に小さくした酸素欠損型酸化スズを用いてもよい。これらにより、粉体抵抗率を1/1000乃至1/100000に低下させることで、低抵抗化され、導電性の付与が可能となる。また、塗料の分散性の観点から、硫酸バリウム粒子に酸素欠損型酸化スズを被覆したり、硫酸バリウム粒子を用い、その上に、白色度を向上させるために酸化チタン(TiO)を被覆してもよい。さらに、その上に、導電性を付与するために酸化スズを被覆する3層構成の導電性粉体を用いることも好ましい。
更に、芯材粒子として酸化チタン粒子を用い、表面に酸素欠損型酸化スズを被覆した粒子を導電層用塗布液に用いることは、低抵抗化と、粒子の分散性向上の観点から好ましい。
芯材粒子として酸化チタン粒子を用いるのは、酸素欠損型酸化スズの酸素欠損部位と酸化チタン粒子表面の酸化物部位の親和力により、酸素欠損型酸化スズの被覆層と芯材の結合が強化されるからである。また、酸素欠損型は、ドープ型と異なり、酸素存在下で酸化して酸素欠損部位が消失し、導電性が低下(粉体抵抗率が増加)してしまう場合があるが、芯材粒子として酸化チタン粒子を用いることにより、酸素欠損型酸化スズの酸素欠損部位が保護されるからである。被覆率は質量比率で30%〜70%が好ましい。
これらの導電性粉体の平均粒径としては、0.05μm以上2.0μm以下が好ましく、特に、0.1μm以上0.6μm以下がより好ましい。平均粒径がこれよりも大きいと、本発明の下地層の表面の凹凸形状が均一に形成されにくくなり、局所的な表面の荒れにより、感光層への局所的なキャリアの注入が起こり易く、画像上に黒ポチになりやすい。
従来の製造方法では、平均粒径が0.20未満の場合、導電層の体積抵抗率を後述の適正な範囲に収めるには、導電性粉体の使用量を増やす必要があった。ところが、導電性粉体の使用量を増やした場合、導電層の表面で反射した光が干渉して出力画像に干渉縞が発生することを抑制するために好適な導電層の表面粗さを達成することが難しくなっていた。
しかし、本発明の導電層の表面に凹凸形状を形成させる製造方法で製造された電子写真感光体では、平均粒径が0.20μm未満でも干渉縞が発生することなく良好な画像出力が得られる。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、下記の熱可塑樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂
ポリウレタン
ポリアミド
ポリイミド
ポリアミドイミド
ポリビニルアセタール
ポリカーボネート
エポキシ樹脂
アクリル樹脂
メラミン樹脂
ポリエステル樹脂
シリコーン樹脂
ポリスチレン
フェノキシ樹脂
酢酸セルロース樹脂
エチルセルロース樹脂
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルトルエン
ポリ−N−ビニルカルバゾール
アルキッド樹脂
スチレン−アクリロニトリル共重合体
スチレン−ブタジエン共重合体
スチレン−無水マレイン酸共重合体
ポリ塩化ビニル
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
ポリ酢酸ビニル
ポリ塩化ビニリデン
これらは1種または2種以上用いることができる。また、これらの各種樹脂のなかでも、他層へのマイグレーション(溶け込み)の抑制、支持体への密着性、導電性材料の分散性・分散安定性、成膜後の耐溶剤性の観点から、導電層の結着樹脂は、硬化性樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂がより好ましい。具体的には、熱硬化性のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シロキサン樹脂及びアクリル樹脂がより好ましい。導電層の結着樹脂として硬化性樹脂を用いる場合、導電層用塗布液に含有させる結着材料は、この硬化性樹脂のモノマーおよび/またはオリゴマーであってもよい。このような加熱による重縮合反応を行う場合、重合が十分に進行するように、100℃以上で加熱されることが好ましい。また、過度の加熱は電子写真感光体の特性を低下させる恐れがあるため、200℃以下であることが好ましい。さらには、120℃以上170℃以下で加熱が行われることが好ましい。重合工程に必要な時間は、重合が十分に進行するように、5分以上重合工程が行われることが好ましい。また、加熱時間が長すぎると電子写真感光体の特性を低下させる恐れがあるため、120分以下であることが好ましい。さらには、20分以上90分以下であることが好ましい。
導電層用塗布液における導電性粉体(P)と結着樹脂(B)との質量比(P:B)は、1.0:1.0乃至5.0:1.0の範囲にあることが好ましい。導電性粉体が少なすぎると、導電層の体積抵抗率を後述の範囲に収めることが難しくなる。導電性粉体が多すぎると、導電層における導電性粉体の結着が難しくなり、膜のクラックが発生しやすくなる。
更に、従来の製造方法では干渉縞の抑制するために、導電層用塗布液に、導電層の表面を粗面化するための表面粗し付与材を添加することが一般的であった。この粗し粒子は、平均粒径が1μm以上3μm以下の樹脂粒子が用いられ、硬化性ゴム、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、シリコーン樹脂、アクリル−メラミン樹脂のような硬化性樹脂の粒子が挙げられる。導電層中の表面粗し付与材の含有量は、導電層中の結着樹脂に対して5重量%以上20質量%以下になるように調節する必要があった。なぜなら、含有量が多いと、導電層の体積抵抗率が上昇しカブリ画像のような感光体の特性悪化を引き起こしたり、粗し粒子が凝集することによる膜のクラックが発生し易いからである。しかしながら、本発明の導電層の表面に凹凸形状を形成させる製造方法で作成された電子写真感光体では、粗し粒子を添加しなくても、干渉縞が発生せず、膜性の良好な導電層が形成できるという利点がある。従って、本発明では、粗し粒子は、上述の範囲内で添加してもよいし、添加しなくてもよい。また、導電層の表面性を高めるために、レベリング剤を添加してもよく、導電層の隠蔽性を向上させるために、顔料粒子を導電層に含有させてもよい。
導電層は、上記の導電性粉体と結着樹脂とを、適切な溶剤に分散し、または溶解し、これを塗布することにより形成することができる。
導電層に使用される溶剤の具体例としては下記のものが挙げられる。
メタノール、エタノール、メトキシプロパノール、イソプロパノール、1−ブタノールのようなアルコール系溶剤
アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロへキサノンのようなケトン系溶剤
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル系溶剤
酢酸メチルおよび酢酸エチルのようなエステル系溶剤
トルエン、クロロベンゼンおよびキシレンのような芳香族炭化水素溶剤
これらの溶剤は2種類以上混合して用いてもよい。
導電層塗布液の分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
前述の下地層は、支持体からのキャリアの注入に対するバリア機能や接着機能を有する中間層を有していてもよい。
中間層は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、あるいは、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、下記のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸又はカゼインのような水溶性樹脂
ポリアミド樹脂
ポリイミド樹脂
ポリアミドイミド樹脂
ポリアミド酸樹脂
メラミン樹脂
エポキシ樹脂
ポリウレタン樹脂
ポリグルタミン酸エステル樹脂
電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性および抵抗のような観点から、中間層の結着樹脂は、熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層中に、前述のような導電性粉体を分散させる、あるいは、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
熱可塑性樹脂から成る中間層の熱物性値は、ガラス転移温度として測定することができる。これらの樹脂のガラス転移温度は、30℃から300℃の範囲内である。なお、ガラス転移温度は、例えばセイコー電子工業(株)製のSSC5200Hのような熱分析装置を用いて測定することができる。具体的には、20℃から280℃まで、1分当たり10℃の昇温速度で測定を行ない、得られたチャートの固体側の接線と転移温度域の急峻な位置の接線との交点をガラス転移温度とする。
中間層は、上記の導電性粉体や結着樹脂を、適切な溶剤に分散し、または溶解し、これを塗布することにより形成することができる。
中間層に使用する溶剤の具体例としては下記のものが挙げられる。
アルキルアミン化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチルアミンアルキルアミン化合物のようなアルキルアミン化合物
メタノール、エタノール、1−ブタノール、メチルセロソルブ、メトキシプロパノールのようなアルコール系溶剤
アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロへキサノンのようなケトン系溶剤
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル系溶剤
酢酸メチルおよび酢酸エチルのようなエステル系溶剤
トルエン、クロロベンゼンおよびキシレンのような芳香族炭化水素溶剤
これらの溶剤は2種類以上混合して用いてもよい。
本発明による電子写真感光体の製造方法において、上記(1)で示す下地層塗布工程は、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法またはリングコーティング法のような塗布方法を用いることができるによって行われてもよい。なかでも、生産性の観点から、浸漬コーティング法であることが好ましい。
(凹凸形状形成工程)
次に、本発明による電子写真感光体の製造方法において、上記(2)で示す、上記(1)で塗布された下地層用塗布液の塗膜表面に凹凸形状を形成する凹凸形状形成工程について説明する。
上記(2)で示す凹凸形状形成工程は、上記(1)で塗布された下地層用塗布液の塗膜を乾燥後、凹凸形状を有するモールドを加圧接触させることにより、凹凸形状を下地層用塗布液の塗膜表面に形成する工程である。
上記の下地層用塗布液の塗膜を乾燥させる工程の乾燥方法は、加熱乾燥、送風乾燥、真空乾燥が挙げられ、これらの可能方法を組み合わせた方法を用いることができる。特に、生産性の観点から、加熱乾燥および加熱送風乾燥であることが好ましい。加熱乾燥を行う場合の乾燥温度および時間は、下地層が熱硬化性樹脂を含有する場合には、重合が十分に進行する温度や時間以下で行われることが重要である。従って、乾燥温度は、重合開始温度以下であることが好ましく、また乾燥は短時間で行われることが好ましい。
図1は、本発明において使用するモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の例を示す図である。加圧及び解除が繰り返し行なえる加圧装置Aに所定のモールドBを取り付けた後、下地層の塗膜表面を有する支持体Cの下地層塗膜表面に対して所定の圧力でモールドを当接させ形状転写を行なう。その後、加圧を一旦解除し、下地層の塗膜表面を有する支持体Cを矢印方向に回転させた後に、再度加圧そして形状転写工程を行なう。この工程を繰り返すことにより、下地層の塗膜表面を有する支持体の下地層の塗膜表面の全周にわたって所定の凹凸形状部を形成することが可能である。
また、例えば図2に示すように、まず、加圧装置Aに下地層の塗膜表面を有する支持体Cの下地層の全周長程度の所定形状を有するモールドBを取り付けてもよい。その後、下地層の塗膜表面を有する支持体Cの下地層塗膜表面に対して所定の圧力をかけながら、下地層の塗膜表面を有する支持体を矢印で示すように回転させ移動させてもよい。これにより、下地層の塗膜表面を有する支持体の下地層塗膜表面の全周にわたって所定の凹凸形状を形成してもよい。
また、シート状のモールドをロール状の加圧装置と下地層の塗膜表面を有する支持体の下地層塗膜表面との間に挟み、シート状のモールドを送りながら下地層の塗膜表面を有する支持体の下地層塗膜表面を加工することも可能である。下地層の塗膜表面を有する支持体の下地層塗膜表面に対して圧力の均一性を付与する目的で、モールドと加圧装置との間に弾性体を設けてもよい。
連続生産の観点からすれば、加圧装置に対して、複数の支持部材に固定された下地層の塗膜表面を有する支持体が加圧されながら相対的に回転移動することにより、量産性の確保が可能である。
本発明においては、加工プロセスを最適化する観点から、後述するモールドの温度を制御することが重要である。モールドの温度制御は、モールド自体を外部あるいは内部の加熱および冷却手段により直接的に行うことも可能である。特には、モールドを設置する加圧装置を温度制御することにより、モールドの温度を制御することが好ましい。加圧装置を温度制御する方法としては、加圧装置の内部に各種ヒーターを設置する方法、及び外部より加圧装置を加熱する方法等を用い得る。加熱手段としては、セラミックヒータ、遠赤外線ヒータ、ハロゲンヒータ、カートリッジヒータおよび電磁誘導加熱ヒータの如き公知の技術が適用可能であり、冷却手段としては、水冷または空冷の公知の技術が適用可能である。また、熱電対を利用した温調器のような温度コントロール装置を併用することにより、温度の均一性を確保することが好ましい。また、圧力均一性や温度均一性を向上させる目的で、加圧装置の接触部の部材の厚みは、弊害のない範囲で大きい方が好ましい。
本発明において、下地層の塗膜表面を有する支持体は、支持部材により保持され、駆動あるいは従動により回転する。下地層の塗膜表面を有する支持体上の下地層は、一般的に中空のシリンダー支持体上に形成されるが、加工圧力により変形が予想される場合には、シリンダー内部にSUSのような金属を用いた円柱状の保持ガイドを貫通させることも有効である。また、圧力不均衡を解消する目的で、バックアップロールのような併用も可能である。ただし、下地層の塗膜表面を有する支持体の下地層塗膜表面に直接接触することによる傷の発生には注意が必要である。その材質の選択や、さらにはバックアップロールと下地層の塗膜表面を有する支持体の下地層塗膜表面との間にゴムや樹脂の如き緩衝材を設置することも可能である。さらに、加圧装置と同様、内部あるいは外部からの加熱手段および冷却手段を併用し、下地層の塗膜表面を有する支持体自体を直接温度制御することが可能である。また、上記の保持ガイドの温度を制御することにより、間接的に下地層の塗膜表面を有する支持体の温度を制御することも可能である。このとき、温度の均一性や安定性を向上させる目的で、保持ガイドが十分な熱容量を有していることが好ましい。下地層の塗膜表面を有する支持体の温度制御については、その層構成も含め後に詳しく説明する。また、下地層の塗膜表面を有する支持体の下地層塗膜表面を加圧装置に対して加圧する方法については、前述の加圧装置の加圧方法と同様の方法を用いることが可能である。
モールドは、所定の形状が表面に形成された屈曲が可能なシート状あるいは板状の部材で、モールド自体の材質、大きさおよび形状は適宜選択すればよい。材質としては、表面加工された金属およびシリコンウエハーの表面にレジストによりパターニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルムおよび所定の表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングされたものが挙げられる。モールド形状の一例を図3および図4に示す。図3において、(1)は、モールドの上面図であり、(2)は、モールドを横から見た図である。また、図4において、(1)は、モールドの上面図であり、(2)は、を横から見た図である。ここで、凹凸形状が形成される下地層が、硬化性樹脂である場合、モールドの形状は、効果的な干渉縞の防止の観点から、図4に示すように、モールドの凸の先端形状は、曲線であることがより好ましい。
その理由として考えられることとしては、レーザー光の乱反射には、下地層の塗膜表面を有する支持体の下地層の表面の凹凸が曲線を持った凹凸であった方が、乱反射が効果的に起き易いと考えられる。また、直線から成る凹凸形状の場合、凹凸形状の大きさにもよるが、レーザー光が正反射し易く、感光層内で多重反射光となり、干渉縞が発生し易いことが考えられる。硬化性樹脂を下地層に用いた層の形状形成には、モールドを重合開始温度以上に加温しながら加圧接触させ、下地層を硬化させることにより、下地層に所望の表面形状を形成し得るものと考えられる。
次に、モールドの凸形状部の大きさについて説明する。モールドの凸形状部の幅の指標として、長軸径(ML)を用いる。この長軸径(ML)とは、各凸形状部の周囲の表面を基準とし、各凸形状部と周囲の表面とが接する部位の最大長さを示す。具体的には、図3及び図4中の長軸径(ML)で示されている長さを示す。例えば、図3及び図4の(1)の上から見た図で、モールドの凸形状部が円状の場合は直径を示し、四角形の場合は対角線のうち長い対角線を示す。また、モールドの凸形状部の高さについては、この凸形状部の指標として高さ(MH)を用いる。この高さ(MH)とは、凸形状部の最頂部と周囲の表面との距離を示す。具体的には、図3及び図4中の高さ(MH)で示されている距離を示す。本発明において、好ましくは、MHは、0.5μm以上20.0μm以下の範囲であり、MLは、0.5μm以上20.0μm以下の範囲であり、かつ、モールドの凸形状部が100μm四方当たり10個以上40000個以下存在する。特に、より好ましくは、MHは、1.0μm以上10.0μm以下の範囲であり、MLは、1.0μm以上10.0μm以下の範囲であり、かつ、前記モールドの凸形状部が100μm四方当たり100個以上20000個以下存在する。この範囲であると、下地層の表面の凹凸により、干渉縞を効果的に防止することが可能となる。
次に、本発明による電子写真感光体の製造方法において、感光体の下地層の塗膜表面に対するモールドの加圧力について説明する。本発明において、モールドを加圧接触する際の下地層の塗膜表面に対する圧力は、0.1MPa以上50MPa以下であることが好ましい。この範囲であると、所定の表面形状を高精度で転写することが可能である。上記範囲内での具体的な圧力は、使用される下地層の材料、下地層の構成およびモールドのパターン形状に応じて適宜選択すればよい。圧力の測定は、市販の感圧シートで測定が可能である。一般的に、熱可塑性樹脂を含む下地層の塗膜表面を加圧接触する場合には、1MPa以上50MPa以下が好ましく、熱硬化性樹脂を含む下地層の塗膜表面を加圧接触する場合には0.1MPa以上10MPa以下が好ましい。
次に、本発明による電子写真感光体の製造方法において、凹凸形状形成工程の加工時間について、説明する。
この凹凸形状形成工程は、好ましくは、円筒状の下地層の塗膜表面を有する支持体(円筒形のもの)が周方向に回転することにより、行われる。これにより、下地層の塗膜表面の周方向に対して連続的に凹凸形状が転写し、下地層の塗膜表面の周面に連続的に表面加工が施される。この時における下地層の塗膜表面を有する支持体の回転速度は、上記のモールドの温度制御および加圧力とともに最適化すればよい。例えば、概ね下地層の塗膜表面を有する支持体の表面移動速度として、1mm/秒から200mm/秒の範囲で調整されてもよい。このとき、モールド加圧接触工程におけるニップ通過時間は、装置構成や下地層の層構成、上記の温度や加圧力によって変化するニップ幅にもよるが、概ね数ミリ秒から数分の範囲内であってもよい。この間に、上記の加熱、加圧、冷却の一連のプロセスが行われる。
次に、モールドを加圧接触する際のモールドや下地層の塗膜表面を有する支持体の温度について説明する。
本発明において、形状転写を効率的に行なう目的で、前述した方法でモールドや下地層の塗膜表面を有する支持体を加熱してもよい。モールドおよび下地層の塗膜表面を有する支持体の加熱温度は、本発明の所定の凹凸形状が形成できる範囲で任意である。例えば、下地層を構成する樹脂が熱可塑性樹脂の場合、形状転写時のモールドの温度は、支持体上の下地層のガラス転移温度以上に加熱することが好ましい。さらには、モールドの加熱に加えて、形状転写時の支持体の温度を、感光層のガラス転移温度よりも低く制御することが好ましい。このように温度を制御することにより、下地層の塗膜表面に転写された凹凸形状を安定的に形成することが可能となる。モールド、又は下地層の塗膜表面を有する支持体の加熱温度としては、50℃以上200℃以下が好ましい。このとき、良好な形状転写を行うためには、モールドが加圧接触している時に、下地層の昇温を十分に行ってもよい。さらに、モールドの温度を十分に高い温度に設定しておくか、あるいは、下地層の塗膜表面を有する支持体の温度を予め制御しておくか、あるいはこれらの両者を併用してもよい。モールドの加圧接触工程後は、凹凸形状の固定化の観点から、除圧と同時にガラス転移温度以下冷却されるが好ましい。
また、下地層を構成する樹脂が熱硬化性樹脂の場合、熱硬化性樹脂の硬化開始温度以上にモールドを加熱しながら加圧接触させ、下地層の塗膜表面を熱硬化することが好ましい。このとき、良好な形状転写を行うためには、モールドが加圧接触している時に、下地層の昇温を十分に行ってもよい。さらに、モールドの温度を十分に高い温度に設定しておくか、あるいは、下地層の塗膜表面を有する支持体の温度を予め昇温させておくか、あるいはこれらの両者を併用してもよい。下地層の膜厚が5μm以上の厚さである場合、下地層を構成する熱硬化性樹脂が完全に重縮合反応が完結していない場合がある。このような場合は、その後、更に加熱乾燥により下地層を構成する樹脂全体の重縮合反応を完結させることが好ましい。乾燥温度は、前述のように100℃以上200℃以下であることが好ましく、さらには、120℃以上170℃以下で加熱が行われることが好ましい。乾燥時間についても、5分以上120分以下であることが好ましく、さらには、20分以上90分以下であることが好ましい。
また、モールドには、下地層の塗膜表面に加圧接触した後、下地層の塗膜表面から離れる工程において、モールドと下地層の塗膜表面との剥離を安定して行うために、離型剤を用いてもよい。この離型剤は、モールド自身に塗布してもよく、下地層に含有させてもよい。
このように、所定の形状を有するモールドを下地層用塗布液の塗膜表面に圧接し形状転写を行う凹凸形状の形成方法により、凹凸形状の大きさ、形状および配列の制御性が高く、高精度且つ自由度の高い塗膜表面の表面加工が可能である。
下地層の膜厚としては、下地層を構成する導電層及び中間層等の層の材料、構成等に応じて、適宜選択すればよい。下地層のうち、導電層の平均膜厚としては、支持体の傷の被覆の観点から、0.5μm以上100.0μm以下が好ましく、1.0μm以上50.0μm以下がより好ましく、5.0μm以上35.0μm以下がより一層好ましい。下地層のうち、中間層の平均膜厚としては、0.05μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上5.0μm以下がより好ましい。
なお、ここでいう表面の膜厚の基準点とは、凸形状部においては凸の頂点であり、凹形状部については凹の上面からの膜厚を指す。
なお、本発明において、下地層を含む電子写真感光体の各層の膜厚は、(株)フィッシャーインストルメンツ社製のFISHERSCOPE MMSで測定することができる。膜厚測定は、凹凸形状を形成した後に測定することができる。
また、本発明の下地層の体積抵抗率は、感光体の繰り返し電位安定性の観点から、1.0×10Ω・cmを超え1.0×1014Ω・cm以下であることが好ましい。なかでも、導電層の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cmを超え1.0×1011Ω・cm以下であることが好ましく、中間層の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cmを超え1.0×1014Ω・cm以下であることが好ましい。
本発明における下地層の体積抵抗率の測定方法は、以下のとおりである。
まず、下地層用塗布液を用いてアルミニウムシート上に下地層サンプル(膜厚は下地層と同程度の膜厚とする)を形成する。この下地層サンプル上に金の薄膜を蒸着により形成する。次に、アルミニウムシートと金薄膜の両電極間を流れる電流値をpAメーターで測定する。測定環境は、温度23℃/相対湿度60%であり、印加電圧は、導電層の場合は、0.1Vとし、中間層の場合は、100Vとする。電流値測定開始1分後の安定した値を読み取り、下地層の体積抵抗率を導き出す。
(感光層塗布工程)
次に、本発明による電子写真感光体の製造方法において、上記(3)で示す、凹凸形状が形成された下地層上に感光層用塗布液を塗布する感光層塗布工程について説明する。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質とを同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体において、感光層は、電子写真特性の観点から、積層型感光層であることが好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であっても、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。なかでも、本発明の電子写真感光体において、積層型感光層を採用する場合、電子写真特性の観点から、順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。さらに、耐久性能向上等を目的として、感光層上に保護層を設けることも可能である。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、下記のものが挙げられる。
モノアゾ、ジスアゾ又はトリスアゾのようなアゾ顔料
金属フタロシアニン又は非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料
インジゴ又はチオインジゴのようなインジゴ顔料
ペリレン酸無水物又はペリレン酸イミドのようなペリレン顔料
アンスラキノン又はピレンキノンのような多環キノン顔料
スクワリリウム色素、ピリリウム塩又はチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素;セレン、セレン−テルル又はアモルファスシリコンのような無機物質
キナクリドン顔料
アズレニウム塩顔料
シアニン染料
キサンテン色素
キノンイミン色素又はスチリル色素
これら電荷発生材料は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらのなかでも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンあるいはクロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため、好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、下記のものが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂
ポリエステル樹脂
ポリアリレート樹脂
ブチラール樹脂
ポリスチレン樹脂
ポリビニルアセタール樹脂
ジアリルフタレート樹脂
アクリル樹脂
メタクリル樹脂
酢酸ビニル樹脂
フェノール樹脂
シリコーン樹脂
ポリスルホン樹脂
スチレン−ブタジエン共重合体樹脂
アルキッド樹脂
エポキシ樹脂
尿素樹脂
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂
特に、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる(電荷発生層塗布工程に相当)。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択される。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
上述の通り、積層型感光層の場合、電荷発生層上には電荷輸送層が形成されてもよい。電荷輸送層には電荷輸送物質が含有される。この電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。更に、電荷輸送層には、耐久性を付与するためにバインダー樹脂をブレンドし、適当な溶剤を用いて溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することが一般的である。乾燥温度は、50℃以上の温度で乾燥させることが好ましい。
電荷輸送層に用いるバインダー樹脂としては、下記のものが挙げられる。
アクリル樹脂
アクリロニトリル樹脂
アリル樹脂
アルキッド樹脂
エポキシ樹脂
シリコーン樹脂
ナイロン
フェノール樹脂
フェノキシ樹脂
ブチラール樹脂
ポリアクリルアミド樹脂
ポリアセタール樹脂
ポリアミドイミド樹脂
ポリアミド樹脂
ポリアリルエーテル樹脂
ポリアリレート樹脂
ポリイミド樹脂
ポリウレタン樹脂
ポリエステル樹脂
ポリエチレン樹脂
ポリカーボネート樹脂
ポリスチレン樹脂
ポリスチレン樹脂
ポリスルホン樹脂
ポリビニルブチラール樹脂
ポリフェニレンオキシド樹脂
ポリブタジエン樹脂
ポリプロピレン樹脂
メタクリル樹脂
ユリア樹脂
塩化ビニル樹脂
酢酸ビニル樹脂
特に、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。これらは単独、混合として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送物質とバインダー樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は、5〜50μmであることが好ましく、特には7〜30μmであることがより好ましい。
電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤のような添加剤が含まれていてもよい。
また、感光層が単層型の場合は、上述のような電荷発生材料や電荷輸送材料を上述のようなバインダー樹脂に分散し及び溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法のような塗布方法を用いることができる。
塗工の際の塗工液の液粘度は、塗工性の観点から5mPa・s以上500mPa・s以下が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、下記のものが挙げられる。
アセトン又はメチルエチルケトンのようなケトン系溶剤
酢酸メチル又は酢酸エチルのようなエステル系溶剤
テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメトキシメタン又はジメトキシエタンのようなエーテル系溶剤
トルエン、キシレン又はクロロベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤
これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤のなかでも、エーテル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性のような観点から好ましい。
また、電荷輸送層には、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
本発明において、更なる耐久性向上が必要な場合、電荷輸送層上に第二の電荷輸送層或いは保護層を形成する構成を用いてもよい。
第二の電荷輸送層或いは保護層は、電荷輸送層のように可塑性を示す電荷輸送物質と結着樹脂により形成することもできるが、より耐久性能を発現させるためには表面層を硬化系樹脂で構成することが有効である。
本発明の電子写真感光体の表面層を硬化系樹脂で構成する方法としては、例えば、電荷輸送層を硬化系樹脂で構成することが挙げられ、また、上記の電荷輸送層上に第二の電荷輸送層或いは保護層として硬化系樹脂層を形成することが挙げられる。硬化系樹脂層に要求される特性は、膜の強度と電荷輸送能力との両立であり、電荷輸送材料及び重合或いは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。
これら表面層を硬化系樹脂で構成する方法には、電荷輸送材料としては、公知の正孔輸送性化合物及び電子輸送性化合物を用いることができる。これらの化合物を合成する材料としては、アクリロイルオキシ基又はスチレン基を有する連鎖重合系の材料が挙げられる。また、水酸基、アルコキシシリル基又はイソシアネート基を有する逐次重合系のような材料が挙げられる。特に、表面層を硬化系樹脂で構成された電子写真感光体の電子写真特性、汎用性や材料設計および製造安定性の観点から、正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料との組み合わせが好ましい。さらには、正孔輸送性基及びアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させた表面層で構成された電子写真感光体であることが特に好ましい。
硬化手段としては、熱、光又は放射線のような公知の手段が利用できる。
硬化層の平均膜厚は、電荷輸送層の場合、5μm以上50μm以下であることが好ましく、さらには10μm以上35μm以下であることが好ましい。第二の電荷輸送層或いは保護層の場合、0.3μm以上20μm以下であることが好ましく、さらには1μm以上10μm以下であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体の各層には、所望の特性に応じて、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤のような劣化防止剤などが挙げられる。
このようにして本発明による電子写真感光体の製造方法により製造された電子写真感光体の下地層の表面は、複数の凹凸形状を有する。
この電子写真感光体の下地層の凹凸形状としては、下地層の表面の観察では、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状あるいは直線および曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形、五角形あるいは六角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、円形状あるいは楕円形状が挙げられる。直線および曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形、角の円い六角形あるいは扇形が挙げられる。また、本発明の電子写真感光体における下地層の表面の凹凸形状は、感光体断面の観察では、例えば、直線により構成される形状、曲線により構成される形状あるいは直線および曲線により構成される形状が挙げられる。直線により構成される形状としては、例えば、三角形、四角形あるいは五角形が挙げられる。曲線により構成される形状としては、例えば、部分円形状あるいは部分楕円形状が挙げられる。直線および曲線により構成される形状としては、例えば、角の円い四角形あるいは扇形が挙げられる。なかでも、凹凸形状が曲線を持った部位により構成されることがより好ましい。その理由については前述したとおり、レーザー光の乱反射には、下地層の塗膜表面を有する支持体下地層表面の凹凸が曲線を持った凹凸であった方が、乱反射が効果的に起き易いと考えられるためである。また、直線からなる凹凸形状の場合、凹凸形状の直線部分がある程度大きい場合、レーザー光が正反射し易く、感光層内で多重反射光となり、干渉縞が発生し易いことが考えられる。
この電子写真感光体の下地層の表面の凹凸形状の具体例としては、図5乃至7に示す凹凸形状が挙げられる。ここで、図5は、本発明における凹凸形状の形状例(表面)を示す図であり、図6は、本発明における凹形状部の形状例(断面)を示す図であり、図7は、本発明における凸形状部の形状例(断面)を示す図である。
これらの図に示すように、本発明の電子写真感光体の下地層に形成された凹凸形状としては、個々に異なる形状、大きさあるいは深さ、高さを有してもよく、また、すべての凹凸形状が同一の形状、大きさあるいは深さであってもよい。さらに、本発明の電子写真感光体の下地層の表面は、個々に異なる形状、大きさあるいは深さ・高さを有する凹凸形状と、同一の形状、大きさあるいは深さを有する凹凸形状とが組み合わされた表面であってもよい。また、これらの形状が、重複部分を有しても、相互に重なり合ってもよい。
次に、本発明の電子写真感光体の下地層の表面の凹凸形状の大きさについて説明する。この凹凸形状のうち、凹形状部には、深さの指標として長軸径(L1)を用いる。この長軸径(L1)とは、各凹形状部の開孔部を横切る直線のうち、最大となる直線の長さを示す。具体的には、図6中の長軸径(L1)で示されているように、本発明の電子写真感光体の下地層の表面における凹形状部の開孔部周囲の表面を基準とし、各凹形状部における表面開孔部の最大長さを示す。例えば、凹形状部の表面形状が円状の場合は、直径を示し、表面形状が楕円状の場合は、長径を示し、表面形状が四角形の場合は、対角線のうち長い対角線を示す。本発明の電子写真感光体の下地層の表面における凹形状部の長軸径(L1)は、任意であるが、0.1μm以上7.0μm以下であることが好ましい。さらには、0.3μm以上5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがさらに好ましい。
また、凹形状部の深さについて説明する。この凹形状部の指標として、深さ(D)を用いる。この深さ(D)とは、各凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す。具体的には、図6中の深さ(D)で示されているように、本発明の電子写真感光体の下地層の表面における凹形状部の開孔部周囲の表面を基準とし、凹形状部の最深部と開孔面との距離を示す。本発明の電子写真感光体の下地層の表面における凹形状部の深さ(D)は、任意であるが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。さらには、0.3μm以上7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体の下地層の表面の凹形状部の大きさについて説明する。この凹形状部の指標として、長軸径(L2)を用いる。この長軸径(L2)とは、各凸形状部の周囲の表面を基準とし、各凸形状部と周囲の表面とが接する部位の最大長さを示す。具体的には、図7中の長軸径(L2)で示されている長さを示す。例えば、凸形状部の表面形状が円状の場合は、直径を示し、表面形状が楕円状の場合は、長径を示し、表面形状が四角形の場合は、対角線のうち長い対角線を示す。本発明の電子写真感光体の下地層の表面における凸形状部の長軸径(L2)は、任意であるが、0.5μm以上7.0μm以下であることが好ましい。さらには、1μm以上5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがさらに好ましい。
次に、凸形状部の高さについて説明する。この凸形状部の指標として高さ(H)を用いる。この高さ(H)とは、各凸形状部の最頂部と周囲の表面との距離を示す。具体的には、図7中の高さ(H)で示されている距離を示す。本発明の電子写真感光体の下地層の表面における凸形状部の高さ(H)は、任意であるが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。さらには、0.3μm以上7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の電子写真感光体の下地層の表面の凹凸形状が形成されている領域は、下地層の表面の全域であってもよいし、表面の一部分に形成されていてもよい。特に、レーザー光の走査領域全域に凹凸形状が形成されていることが好ましい。また、凸形状部だけであっても凹形状部だけであってもよく、両者が混在して存在していてもよい。また、本発明の電子写真感光体の下地層の表面の凹凸形状は、下地層の塗膜表面を有する支持体表面の100μm四方中に10個以上40,000個以下有することが好ましい。さらには、100個以上20,000個以下有することが好ましい。なお、上記の100μm四方の領域は、支持体上の下地層の塗膜表面を支持体回転方向に4等分し、支持体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定している。
本発明の電子写真感光体の下地層の表面の凹凸形状は、市販のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡あるいは原子力間顕微鏡のような各種顕微鏡を用いて測定可能である。
レーザー顕微鏡としては、例えば、下記の機器が利用可能である。
超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000および超深度形状測定顕微鏡VK−9500(いずれも(株)キーエンス社製)
表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機((株)菱化システム社製)
走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000(オリンパス(株)社製)
リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130(レーザーテック(株)社製)
光学顕微鏡としては、例えば、下記の機器が利用可能である。
デジタルマイクロスコープVHX−500およびデジタルマイクロスコープVHX−200(いずれも(株)キーエンス社製)
3DデジタルマイクロスコープVC−7700(オムロン(株)社製)
電子顕微鏡としては、例えば、下記の機器が利用可能である。
3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800および3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(いずれも(株)キーエンス社製)
走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)
走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550((株)島津製作所社製)
原子力間顕微鏡としては、例えば、下記の機器が利用可能である。
ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000((株)キーエンス社製)
走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)
走査型プローブ顕微鏡SPM−9600((株)島津製作所社製)
上記顕微鏡を用いて、所定の倍率により、測定視野内の凹凸形状の長軸径、深さおよび高さを計測することが出来る。
一例として、Surface Explorer SX−520DR型機による解析プログラムを利用した測定例について説明する。まず、測定対象の形成された下地層を有する支持体をワーク置き台に設置し、チルト調整して水平を合わせ、ウェーブモードでこの支持体の周面の3次元形状データを取り込む。その際、対物レンズの倍率を50倍とし、100μm×100μm(10000μm)の視野観察としてもよい。この方法で、測定対象の支持体上の下地表面を支持体回転方向に4等分し、支持体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定する。
次に、データ解析ソフト中の粒子解析プログラムを用いて電子写真感光体の下地層の表面の等高線データを表示する。
凹凸形状の形状、長軸径、深さおよび高さのような凹凸形状の解析パラメーターは、形成された凹凸形状によって各々最適化すればよい。例えば、長軸径10μm程度の凹凸形状の観察及び測定を行なう場合、長軸径上限を15μm、長軸径下限を1μm、深さ下限を0.1μm、および体積下限を1μm以上としてもよい。そして、解析画面上で凹凸形状と判別できる凹凸形状の個数をカウントし、これを凹凸形状の個数とする。
なお、凹凸形状の長軸径が1μm程度以下の凹凸形状については、レーザー顕微鏡および光学顕微鏡による観察が可能であるが、より測定精度を高める場合には、電子顕微鏡による観察及び測定を併用することが望ましい。
<本発明によるプロセスカートリッジ及び電子写真装置>
次に、本発明によるプロセスカートリッジ及び電子写真装置について説明する。図8は、本発明による電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
図8において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段:例えば帯電ローラー)3により、正又は負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光のような露光手段(図示せず)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして、電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(例えば転写ローラー)6からの転写バイアスによって、転写材(例えば紙)Pに順次転写されていく。なお、転写材Pは、転写材供給手段(図示せず)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に、電子写真感光体1の回転と同期して給送されてもよい。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(例えばクリーニングブレード)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。
さらに、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(図示せず)からの前露光光(図示せず)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図8に示すように、帯電手段3が、例えば帯電ローラーを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上記の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成してもよい。また、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターのような電子写真装置の本体に対して着脱自在に構成してもよい。図8では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置の本体のレールのような案内手段10を用いて、電子写真装置の本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
温度23℃、相対湿度60%環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。なお、このアルミニウムシリンダーは、JISにおいて材料記号A3003として規定されているアルミニウム合金のED管であって、昭和アルミニウム(株)製である。また、この支持体端部から100〜150mmの領域の支持体表面のRzjisを測定したところ、0.8μmであった。
ここで、Rzjisの測定は、JIS−B0601(1994)に準じ、小坂研究所(株)製の表面粗さ計サーフコーダーSE3500を用いて、送り速度0.1mm/秒、カットオフλc0.8mm、測定長さ2.50mmの設定で行った。以下におけるRzjisの測定についても、同様の条件で測定した。
次に、以下の成分を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
酸素欠損型SnO被覆TiO粒子 55部
(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)
結着樹脂としてのフェノール樹脂 36.5部
(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)
メトキシプロパノール 20部
メタノール 15部
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液における酸素欠損型SnO被覆TiO粒子の平均粒径は、0.36μmであり、この粒子のうち、粒径が0.10μm以上0.40μm以下の範囲にある粒子の割合は、61.2質量%であった。
上記方法にて調製した導電層用塗料を、支持体の表面温度を20℃に調整した支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布した。塗布された導電層用塗布液の塗膜表面を乾燥させる目的で、50℃に加熱され保持されている乾燥機内で、15分間の簡易乾燥を行い、塗膜表面を形成した。簡易乾燥後、支持体の表面温度を20℃に調整した。その後、この塗膜表面に対し、図2に示されたモールドによる圧接形状転写加工装置において、図4に示された形状転写用のモールドを設置し表面加工を行った。ここで、加圧装置はSUS製とし、内部に加熱用のヒーターを設置した。円錐状のモールドは、ニッケル材質のものを使用し、加圧装置に固定した。支持体の内部には、支持体の内径と略同直径を有する円柱状のSUS製の保持部材を挿入した。このとき、保持部材の温度制御は、行わなかった。以上の構成を用いて、加工時のモールドの温度を150℃に制御し、2MPaの圧力で加圧しながら、2mm/秒のスピードで下地層の塗膜表面を有する支持体を周方向に回転させ連続的に形状転写を行った。この実施例で用いたモールドは、円錐形状を有しており、その長軸径(ML)は、2.0μm、高さ(MH)は、3.0μmであり、モールドとモールドとの距離Eは、1.0μmである。
上記方法により、形状形成を行った後、支持体を、予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化することにより、表面が凹凸形状を有し、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。
なお、各種の温度測定は、以下の方法によって行った。モールドの温度は、テープ接触型の熱電対(安立計器株式会社製ST−14K−008−TS1.5−ANP)をモールド表面に接触させることにより測定した。支持体の温度は、支持体内面にテープ接触型の熱電対を予め設置しておくことにより測定した。
加工プロセス中における、下地層の塗膜表面を有する支持体の温度は、温度測定用の下地層を有する支持体を別途作製し、測定を行った。
以上により得られた温度測定用の下地層を有する支持体を使用し、加工プロセスを実際に行いながら、加工プロセス中の温度変化を連続的にモニターした。なお、電子写真感光体の下地層の表面とモールドとの加圧接触部における下地層の温度は、前記ニップ通過時におけるその最大値とした。また、下地層を有する支持体の下地層の表面とモールドとの加圧接触部以外の下地層の温度は、加圧接触部以外の温度における最大値とした。詳細について表1に示す。
次に、以下の成分を、メタノール600部に溶解した中間層用塗料を、上記導電層上に浸漬塗布し、直ちに100℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、下地層上端から130mm位置の平均膜厚が1.0μmの中間層を形成した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
次に、下記の成分を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折において、7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°(ブラッグ角度(2θ±0.2°))に強い回折ピーク有するもの)
下記構造式(1)で示されるカリックスアレーン化合物 0.2部
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)
シクロヘキサノン 600部
この電荷発生層用塗料を、中間層上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃に加熱されたオーブン内で10分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記の成分をクロロベンゼン350部及びジメトキシメタン150部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。
下記構造式(2)で示される化合物 35部
下記構造式(3)で示される化合物 5部
下記構造式(4)で示される共重合型ポリアリーレート樹脂 50部
(式中、mおよびnは、繰り返し単位の本樹脂における比(共重合比)を示し、本樹脂においては、m:n=7:3である。)
なお、上記ポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、120,000である。
このように調製した電荷輸送層用塗料を用いて、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
なお、本発明において、樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定したものである。
すなわち、測定対象樹脂をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象樹脂とテトラヒドロフランとよく混合し(測定対象樹脂の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置した。
その後、東ソー(株)製のサンプル処理フィルターマイショリディスクH−25−5を通過させたものをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とした。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mLの流速で流し、10μLのGPC用試料を注入して、測定対象樹脂の重量平均分子量を測定した。カラムには、東ソー(株)製のカラムTSKgel SuperHM−Mを用いた。
測定対象樹脂の重量平均分子量の測定にあたっては、測定対象樹脂が有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が下記のものを10点用いた。つまり、3,500、12,000、40,000、75,000、98,000、120,000、240,000、500,000、800,000、1,800,000の分子量を有するものである。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
このようにして、支持体、導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層をこの順に有し、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
<下地層の体積抵抗率の測定>
上記の通り調製した導電層用塗布液、及び中間層塗布液を用いて、アルミシート上に厚さ20μmの導電層サンプル、及び厚さ3μmの中間層サンプルをそれぞれ作製した。このサンプルに金の薄膜を蒸着により形成して、導電層及び中間層の体積抵抗率を下記の通り測定した。
つまり、まず、このように調製したサンプルにおいて、アルミニウムシートと金薄膜との両電極間を流れる電流値をpAメーターで測定する。測定環境は、温度23℃/相対湿度60%であり、印加電圧は、導電層の場合は、0.1Vとし、中間層の場合は、100Vとした。電流値測定開始1分後の安定した値を読み取り、導電層及び中間層の体積抵抗率を測定した。
その結果、導電層の体積抵抗率は、8.5×10Ω・cmであり、中間層の体積抵抗率は、2.0×1012Ω・cmであった。
<下地層表面の表面形状測定>
作製された下地層表面(本発明の製造方法により導電層に凹凸形状を作製した場合は導電層表面、中間層に凹凸形状を作製した場合は中間層表面)を超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス社製)を用いて観察した。測定対象の電子写真感光体を、円筒状支持体を固定できるよう加工された置き台に設置、対物レンズ倍率50倍とし、下地層を有する支持体の上端から130mm位置の下地層表面の100μm四方を視野観察とし、凹凸形状の測定を行った。上記の100μm四方の領域は、下地層の表面を支持体回転方向に4等分し、支持体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の領域のそれぞれの中に、一辺100μmの正方形の領域を設けて測定した。このようにして評価した範囲内で、下地層表面の凹凸観察を行った。観察された凹形状部については、凹形状部の長軸径(L1)、深さとして開口部から最深部までの長さ(D)とし、その平均値を算出した。凸形状部については、凸形状部の長軸径(L2)、高さとして凸形状部の高さ(H)とし、その平均値を算出した。なお、凹形状部、凸形状部の両方が存在する場合についても同じように計測し、絶対値としてL1、L2の平均値を算出し、同じように絶対値としてD及びHの平均値を算出した。また、この100μ四方当たりの凹凸形状の個数も算出した。測定結果を表1に示す。
<電子写真感光体の画像評価>
実施例により作製した電子写真感光体について、以下の評価装置にて干渉縞及び画像欠陥について評価を行った。
キヤノン(株)製LBP−2510(一次帯電:直流電圧のみを印可する接触耐電方式、プロセススピード:94.2mm/秒)を改造して用いた。改造は、像露光量を調整できるようにし、かつ600dpi及び1200dpiの解像度を出力できるように、下記のレーザー光を用いた。
(1)波長780nm、レーザースポット径60μmで解像度600dpiを出力できるレーザー光
(2)波長780nm、レーザースポット径40μmで解像度1200dpiを出力できるレーザー光を用いた。
評価は、常温常湿環境下(温度23℃、相対湿度65%)で行い、ハーフトーン画像(1ドット/2スペース、2ドット/3スペース)をそれぞれの解像度で出力し、干渉縞を目視にて以下の基準で干渉縞評価を行った。また、黒ポチ、カブリのような画像欠陥についても評価を行った。評価結果を表1に示す。
A:全く干渉縞模様が観察されない。
B:特定画像にのみ極軽微に干渉縞模様が観察される。
C:画像の一部に干渉縞模様が観察される。
D:画像の全面に干渉縞模様が観察される。
(実施例2)
実施例1と同様に導電層用塗布液を調製し、塗布し、塗膜表面を形成した。次に、この塗膜表面に、図4に示された形状転写用のモールドを加圧接触させながら表面加工を行った。ここで、用いたモールドの長軸径(ML)は、10.0μm、高さ(MH)は、10.0μm、モールドとモールドとの距離Eは、1.0μmとした。これら以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様に導電層塗布液を調製し、塗布し、塗膜表面を形成した。次に、この塗膜表面に図4に示された形状転写用のモールドを加圧接触させながら表面加工を行った。ここで、用いたモールドの長軸径(ML)は、1.0μm、高さ(MH)は、1.0μm、モールドとモールドとの距離Eは、1.0μmとした。これら以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様に導電層塗布液を調製し、塗布し、塗膜表面を形成した。次に、この塗膜表面に図4に示された形状転写用のモールドを加圧接触させながら表面加工を行った。ここで、用いたモールドの長軸径(ML)は、0.8μm、高さ(MH)は、0.8μm、モールドとモールドとの距離Eは、0.2μmとした。これら以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様に導電層塗布液を調製し、塗布し、塗膜表面を形成した。次に、この塗膜表面に図4に示された形状転写用のモールドを、モールド自身を170℃に加熱させ、4MPaの圧力で加圧接触しながら、15mm/秒のスピードで感光体を周方向に回転させ形状転写を行った。これら以外は、実施例1と同じ方法にて形状形成を実施した。その後の工程も、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様に導電層塗布液を調製し、塗布した。塗布後の支持体の温度を25度になるように調整し、この塗膜表面に図4に示された形状転写用のモールドを、モールド自身を180℃に加熱させ、5mm/秒のスピードで下地層の塗膜表面を有する支持体を周方向に回転させ形状転写を行った。これら以外は実施例1と同じ方法にて形状形成を実施した。その後の工程も、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1と同様に導電層塗布液を調製し、塗布した。この塗膜表面に図3に示された直線形状のみからなる形状転写用のモールドを加圧接触させながら表面加工を行った。ここで、用いたモールドの長軸径(ML)は、18.0μm、高さ(MH)は、15.0μm、モールドとモールドとの距離Eは、4.0μmとした。モールド自身を150℃に加熱させ、5MPaの圧力で加圧接触しながら、10mm/秒のスピードで下地層の塗膜表面を有する支持体を周方向に回転させ形状転写を行った以外は実施例1と同じ方法にて形状形成を実施した。その後の工程も、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1における、導電層用塗布液の調製を以下のように変更した。
下記の成分を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
酸化亜鉛粒子 55部
(商品名:パゼット23K、ハクスイテック(株)社製)
結着樹脂としてのフェノール樹脂 36.5部
(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)
メトキシプロパノール 30部
メタノール 5部
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液における分散後の酸化亜鉛粒子の平均粒径は、0.37μmであり、この粒子のうち、粒径が0.10μm以上0.40μm以下の範囲にある粒子の割合は、71.5質量%であった。
上記方法にて調製した導電層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布した。その後、支持体の温度を20℃に調整し、この塗膜表面に対し、実施例1に記載と同じモールドによる加工条件にて、表面加工を行った。形状形成を行った後、前記支持体を、予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化することにより、表面が凹凸形状を有し、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を作製した。その後の工程においても、実施例1と同様に電子写真感光体を作成し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
なお、実施例1に記載した方法と同様の方法で導電層の体積抵抗率の測定を行った結果、8.5×10Ω・cmであった。
(実施例9)
実施例1における、導電層用塗布液の調製を以下のように変更した。
下記の成分を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
酸化亜鉛粒子 55部
(商品名:パゼットCK、ハクスイテック(株)社製)
結着樹脂としてのフェノール樹脂 36.5部
(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)
トルエン 35部
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液における分散後の酸化亜鉛粒子の平均粒径は、0.11μmであり、この粒子のうち、粒径が0.10μm以上0.40μm以下の範囲にある粒子の割合は、25.3質量%であった。
上記方法にて調製した導電層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布した。その後、支持体の温度を20℃に調整し、この塗膜表面に対し、実施例1に記載と同じモールドによる加工条件にて、表面加工を行った。形状形成を行った後、前記支持体を、予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化することにより、表面が凹凸形状を有し、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。その後の工程においても、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
なお、実施例1に記載した方法と同様の方法で導電層の体積抵抗率の測定を行った結果、2.0×1011Ω・cmであった。
(実施例10)
実施例1における、導電層用塗布液の調製を以下のように変更した。
下記の成分を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる導電粉体 55部
(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)社製)
結着樹脂としてのフェノール樹脂 36.5部
(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)
トルエン 35部
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液における分散後の粒子の平均粒径は、0.22μmであり、この粒子のうち、粒径が0.10以上0.40μm以下の範囲にある粒子の割合は、45.3質量%であった。
上記方法にて調製した導電層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布した。その後、支持体の温度を20℃に調整し、この塗膜表面に対し、実施例1に記載と同じモールドによる加工条件にて、表面加工を行った。形状形成を行った後、前記支持体を、予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化することにより、表面が凹凸形状を有し、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。その後の工程においても、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
なお、実施例1に記載した方法と同様の方法で導電層の体積抵抗率の測定を行った結果、3.0×1012Ω・cmであった。
参考例11)
実施例1と同様に調製・作製した導電層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布した。その後、直ちに予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化することにより、表面が凹凸形状を有さない、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。
次に、下記の成分を1−ブタノール50部及びメタノール350部の混合液に溶解した中間層用塗料を、上記導電層上に浸漬塗布した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
塗布された中間層用塗布液の塗膜表面を乾燥させる目的で、100℃に加熱され保持されている乾燥機内で、10分間の乾燥を行い、塗膜表面を形成した。乾燥後、支持体の表面温度を20℃に調整した。その後、この塗膜表面に対し、図2に示されたモールドによる圧接形状転写加工装置において、図3に示された形状転写用のモールドを設置し表面加工を行った。このモールドを用いて、加工時の電子写真感光体及びモールドの温度は130℃に制御し、15MPaの圧力で加圧しながら、10mm/秒のスピードで感光体を周方向に回転させ形状転写を行った。この実施例で用いたモールドは、円柱形状を有しており、その長軸径(ML)は、3.0μm、高さ(MH)は、2.0μmであり、モールドとモールドとの距離Eは1.0μmである。
上記方法により、形状形成を行った後、支持体を、再び20℃に冷却し、形状を固定化させた。このようにして、表面が凹凸形状を有し、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が4.0μmの中間層を形成した。
また、前述で説明した方法により中間層のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、約55℃であった。
その後の工程においても、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
参考例12)
参考例11における、中間層表面の形状形成工程において、用いたモールドの長軸径(ML)を、1.0μm、高さ(MH)を、1.2μm、モールドとモールドとの距離Eを、1.0μmとした。これら以外は、参考例11と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
参考例13)
参考例11における、中間層表面の形状形成工程において、用いたモールドの長軸径(ML)を、15.0μm、高さ(MH)を、11.0μm、モールドとモールドとの距離Eを、5.0μmとした。これら以外は、参考例11と同様に電子写真感光体を作成し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例8における、導電層用塗布液の調製において、使用する樹脂をフェノール樹脂、並びにメトキシプロパノール及びメタノールを、下記の通りに変更した以外は、実施例8と同様に導電層用塗布液を調製した。
アクリルメラミン樹脂 36.5部
(商品名:商品名:アクローゼ#6000、大日本塗料(株)製、樹脂固形分60%)
キシレン 15部
メトキシプロパノール 20部
この導電層用塗布液を用いて、実施例8と同様に、導電層を形成し、導電層表面が凹凸形状を有し、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。その後の工程においても、実施例8と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
なお、実施例に記載した方法と同様の方法で導電層の体積抵抗率の測定を行った結果、4.4×1010Ω・cmであった。
参考例15)
実施例1における支持体を、下記の切削管に変更した。
熱間押し出しすることにより得られた、外径30.5mm、内径28.5mm、長さ260.5mm、振れ精度100μm、Rzjis10μmのアルミニウム素管を旋盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて切削加工した。その結果、外径30.0±0.02mm、振れ精度15μm、Rzjis0.2μmである切削管を得た。なお、このアルミニウム素管は、JIS H4000:1999において材料記号A6063として規定されているアルミニウム合金製のものである。
なお、切削加工において、主軸回転数は、3000rpm、バイトの送り速度は、0.3mm/revであり、加工時間は、被加工物の着脱を除き、24秒であった。
この切削管を支持体とし、導電層は塗布せず、支持体上に参考例11と同様の方法で、調製・作製した中間層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に中間層用塗布液を塗布した。中間層塗布後の表面形状加工についても参考例11に記載と同じ方法・条件にて行った。
その後の工程においても、参考例11と同様に実施し、支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順で積層した電子写真感光体を作製した。作製した感光体について実施例1と同様に測定・評価を行った。測定・評価結果を表11に示す。
参考例16)
参考例11における、中間層表面の形状形成工程において、モールドの加熱温度を130℃から35℃に変更した以外は参考例11と同じ条件にて中間層表面の形状形成を行った。また、その後の工程においても参考例11と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例17)
実施例1と同様に導電層用塗布液を調製し、塗布した。この塗膜表面に図4に示された形状転写用のモールドを、モールド自身を80℃に加熱させ、2MPaの圧力で加圧接触しながら、2mm/秒のスピードで感光体を周方向に回転させ形状転写を行った。これら以外は実施例1と同じ方法にて形状形成を実施した。その後の工程も、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例18)
実施例1と同様に導電層用塗布液を調製し、塗布した。この塗膜表面に図4に示された形状転写用のモールドを、モールド自身を150℃に加熱させ、70MPaの圧力で加圧接触しながら、2mm/秒のスピードで感光体を周方向に回転させ形状転写を行った。これら以外は実施例1と同じ方法にて形状形成を実施した。その後の工程も、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
参考例19)
参考例11における、中間層表面の形状形成工程において、モールドの加圧力を15MPaから0.5MPaに変更した以外は参考例11と同じ条件にて中間層表面の形状形成を行った。また、その後の工程においても参考例11と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表1に示す。
(実施例20)
実施例1と同様に導電層用塗布液を調製し、塗布した。その後、直ちに予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化することにより、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。その後、支持体の表面温度を20℃に調整し、この塗膜表面に対し、図2に示されたモールドによる圧接形状転写加工装置において、図3に示された形状転写用のモールドを設置し表面加工を行った。
加工時のモールドの温度を70℃に制御し、70MPaの圧力で加圧しながら、20mm/秒のスピードで下地層の塗膜表面を有する支持体を周方向に回転させ連続的に形状転写を行った。使用したモールドの長軸径(ML)は、2.0μm、高さ(MH)は、3.0μmであり、モールドとモールドとの距離Eは、1.0μmである。
(比較例1)
実施例1と同様に調製・作製した導電層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布した。その後、直ちに予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化することにより、表面が凹凸形状を有さない、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。
これら以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1における、導電層用塗布液の調製を以下のように変更した。
下記の成分を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
酸素欠損型SnO被覆TiO粒子 55部
(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)
結着樹脂としてのフェノール樹脂 36.5部
(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)
メトキシプロパノール 10部
メタノール 25部
この分散液に、下記の成分を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子 1.0部
(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)
レベリング剤としてのシリコーンオイル 0.001部
(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
この導電層用塗布液における酸素欠損型SnO被覆TiO粒子の平均粒径は、0.33μmであり、この粒子のうち、粒径が0.10μm以上0.40μm以下の範囲にある粒子の割合は、63.1質量%であった。
上記方法にて調製した導電層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布した。その後、直ちに予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化することにより、表面が凹凸形状を有さない、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。
これら以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表2に示す。
なお、実施例に記載した方法と同様の方法で導電層の体積抵抗率の測定を行った結果、8.2×10Ω・cmであった。
(比較例3)
実施例1における、導電層用塗布液の調製を以下のように変更した。
下記の成分を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
酸素欠損型SnO被覆TiO粒子 55部
(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)
結着樹脂としてのフェノール樹脂 36.5部
(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)
メトキシプロパノール 10部
メタノール 25部
この分散液に、下記成分を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子 13部
(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)
レベリング剤としてのシリコーンオイル 0.001部
(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
この導電層用塗布液における酸素欠損型SnO被覆TiO粒子の平均粒径は、0.30μmであり、この粒子のうち、粒径が0.10μm以上0.40μm以下の範囲にある粒子の割合は、66.1質量%であった。
上記方法にて調製した導電層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布した。その後、直ちに予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化することにより、表面が凹凸形状を有さない、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。
これら以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表2に示す。
なお、実施例に記載した方法と同様の方法で導電層の体積抵抗率の測定を行った結果、4.3×1013Ω・cmであった。
(比較例4)
実施例1における支持体を以下の切削管に変更した。
熱間押し出しすることにより得られた、外径30.5mm、内径28.5mm、長さ260.5mm、振れ精度100μm、Rzjis10μmのアルミニウム素管を旋盤に装着し、ダイヤモンド焼結バイトにて切削加工した。その結果、外径30.0±0.02mm、振れ精度15μm、Rzjis0.2μmである切削管を得た。なお、このアルミニウム素管は、JIS H4000:1999において材料記号A6063として規定されているアルミニウム合金製のものである。
なお、切削加工において、主軸回転数は、3000rpm、バイトの送り速度は、0.3mm/revであり、加工時間は、被加工物の着脱を除き24秒であった。
この切削管を支持体とし、実施例1における電子写真感光体の作製において、支持体上に導電層を塗布せず、支持体上に中間層を直接浸漬コーティングした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表2に示す。
(比較例5)
参考例11における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
下記の成分を、同一容器中で、メタノール600部に加え、超音波ホモジナイザーを用いて分散して、中間層塗布液を作製した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
酸化チタンSMT500SAS 5部
(1回目:シリカ・アルミナ処理、2回目:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、数平均一次粒径35nm:テイカ社製)
このようにして調製した中間層用塗料を、上記導電層上に浸漬塗布し、予め装置内が100℃に加熱されたオーブン内で10分間、加熱乾燥することにより、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が0.8μmの中間層を形成した。なお、中間層乾燥工程後に表面の形状加工は実施しなかった。
それ以外の工程についても参考例11と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。
(比較例6)
実施例1と同様に調製・作製した導電層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布し、50℃15分間の簡易乾燥を行った。その後、導電層に実施例1に記載と同じモールドを用いて、形状加工を行った。但し、加工条件は以下に変更した。
加工時のモールドの温度:制御なし(室温23℃)
加工圧力:15MPa
加工スピード:15mm/秒
加工工程が終わった後、直ちに予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化させた。このようにして、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。
これら以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表2に示す。
(比較例7)
実施例1と同様に調製・作製した導電層用塗料を、支持体上に直接浸漬コーティングし、支持体上に導電層用塗布液を塗布し、簡易乾燥を行った。その後、導電層に実施例1に記載と同じモールドを用いて、形状加工を行った。但し、加工条件は以下に変更した。
加工時のモールドの温度:制御なし(室温23℃)
加工圧力:70MPa
加工スピード:15mm/秒
加工工程が終わった後、直ちに予め装置内が140℃に加熱されたオーブン内で60分間、加熱硬化させた。このようにして支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が20μmの導電層を形成した。
これら以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表2に示す。
(比較例8)
参考例11における、中間層表面の形状形成工程において、加工条件を以下に変更した。
加工時のモールドの温度:制御なし(室温23℃)
加工圧力:70MPa
加工スピード:15mm/秒
形状形成を行った後、前記支持体を室温に保持した。このようにして、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が4.0μmの中間層を形成した。
これら以外は、参考例11と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表2に示す。
(比較例9)
参考例11における、中間層表面の形状形成工程において、加工条件を以下に変更した。
加工時のモールドの温度:制御なし(室温23℃)
加工圧力:0.5MPa
加工スピード:15mm/秒
形状形成を行った後、前記支持体を室温に保持した。このようにして、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が4.0μmの中間層を形成した。
これら以外は、参考例11と同様に電子写真感光体を作製し、測定・評価を行った。測定・評価結果を表2に示す。
本発明において使用するモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の例を示す図である。 本発明において使用するモールドによる圧接形状転写加工装置の概略図の別の例を示す図である。 本発明において使用するモールドの形状の一例を示す図であって、(1)は、このモールドの上面図であり、(2)は、このモールドを横から見た図である。 本発明において使用するモールドの形状の他の例を示す図であって、(1)は、このモールドの上面図であり、(2)は、このモールドを横から見た図である。 本発明における凹凸形状の形状例(表面)を示す図である。 本発明における凹形状部の形状例(断面)を示す図である。 本発明における凸形状部の形状例(断面)を示す図である。 本発明による電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
符号の説明
A 加圧装置
B モールド
C 下地層の塗膜表面を有する支持体
ML モールドの長軸径
MH モールドの高さ
E モールドとモールドとの距離
L1 凹形状部の長軸径
D 凹形状部の深さ
L2 凸形状部の長軸径
H 凸形状部の高さ
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材

Claims (4)

  1. 支持体上に、少なくとも熱硬化後の熱硬化性樹脂を含む導電層、及び感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
    (1)該支持体上に導電層用塗布液を塗布して塗膜を形成る工程と、
    (2)該導電層用塗布液の塗膜表面に凹凸形状を有するモールドを加温させながら加圧接触させることにより、該熱硬化性樹脂を熱硬化させて表面に凹凸形状を有する導電形成する工程と、
    (3)該導電層上に感光層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 該熱硬化性樹脂は、少なくともフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シロキサン樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記導電層は金属酸化物粒子を含有し、該金属酸化物粒子は、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンのいずれかの粒子である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記モールドの凸形状部の長軸径をML、高さをMHとするとき、
    該MLは、1.0μm以上10.0μm以下であり、
    該MHは、1.0μm以上10.0μm以下であり、
    該モールドの凸形状部は、100μm四方当たり10個以上40000個以下存在する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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