JP3944072B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、詳しくは、円筒状支持体上に感光層、保護層をこの順に有し、該円筒状支持体の外径が30mm未満である電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の高画質化および高速・高耐久化に伴って、有機光導電性物質を用いた有機電子写真感光体にも、さらなる機械的耐久性の向上が求められている。
【0003】
また、近年、電子写真感光体を使用したプリンター、複写機およびファクシミリなどの電子写真装置は、多種多様な分野で使用されるようになり、より様々な環境においても常に安定した画像を提供することがさらに厳しく要求されている。
【0004】
電子写真感光体は、電気的および機械的外力が直接加えられるために、それらに対する耐久性が求められている。具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生、また、帯電時に発生するオゾンや窒素酸化物などの活性物質の付着による表面層の劣化などに対する耐久性が要求される。
【0005】
さらに、電子写真感光体に対しては、帯電、露光、現像、転写、クリーニングおよび除電などの工程が繰り返し行われる。帯電および露光により形成された静電潜像は、トナーによりトナー画像となる。さらに、このトナー画像は転写手段により紙などの転写材に転写されるが、総てのトナーが転写されるわけではなく、一部が電子写真感光体上に残留トナーとして残る。
【0006】
この残留トナーの量が多いと、すなわち、転写不良が生じると、転写材の画像は、いわゆるボソ抜け状となり、画像の均一性に欠けるだけでなく、電子写真感光体へのトナーの融着やフィルミングの発生という問題が生じる。これらの問題に対して、電子写真感光体の表面層の離型性を向上することが求められている。
【0007】
上記要求を満たすために、各種の保護層を設ける試みがなされている。各種試みの中でも、樹脂(結着樹脂)を主成分とする保護層は数多く提案されている。例えば、特開昭57−30846号公報には、結着樹脂に導電性粒子として金属酸化物を添加することにより、体積抵抗率を制御することのできる保護層が開示されている。
【0008】
また、特公平6−82223号公報には、硬化性フェノール樹脂を保護層用樹脂に使用することが提案されている。しかし、この公報に記載された電子写真感光体では、保護層にフッ化カーボンを分散してあるため、保護層の樹脂の透明性が低下し、画像の1ドット再現性が悪い。
【0009】
電子写真感光体の保護層に金属酸化物を分散するのは、保護層自体の体積抵抗率を制御し、電子写真プロセスの繰り返しに伴う電子写真感光体内での残留電位の増加を防止するのがその主な目的であり、電子写真感光体の保護層の好適な体積抵抗率は1010〜1015Ω・cmであることが知られている。
【0010】
しかしながら、上記範囲の体積抵抗率では、保護層の体積抵抗率は、イオン電導によって影響を受けやすく、そのために環境の変化によって体積抵抗率が大きく変化する傾向にある。特に、金属酸化物を保護層中に分散している場合には、金属酸化物表面の吸水性が高いために、全環境において、しかも、電子写真プロセスの繰り返しを行う際に、保護層の体積抵抗率を上記範囲に保つことはこれまで非常に困難であった。
【0011】
特に、高湿下においては、放置により体積抵抗率が徐々に低下したり、また、帯電により発生するオゾンや窒素酸化物などの活性物質が表面に繰り返し付着したりすることにより、電子写真感光体表面層の体積抵抗率の低下や、表面層からのトナーの離型性の低下を引き起こし、いわゆる画像流れや画像ボケといったような欠陥が発生する、画像均一性が不十分になるなどの問題があった。
【0012】
また、一般的に保護層に粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために、粒子の粒径は入射光の波長よりも小さいこと、すなわち、0.3μm以下であることが好ましい。
【0013】
しかしながら、通常、金属酸化物粒子は樹脂溶液中において凝集する傾向があり、均一に分散しにくく、一旦分散しても、二次凝集や沈殿が起こりやすいので、粒径0.3μm以下といった微粒子の良好な分散膜を安定して生産することは非常に困難であった。
【0014】
さらに、保護層の透明度や導電均一性を向上させる観点から、特に粒径の小さい超微粒子(一次粒径0.1μm以下)を分散することが好ましいが、このような超微粒子の分散性や分散安定性はさらに悪くなる傾向にあった。
【0015】
上記欠点を補うために、例えば、特開平1−306857号公報には、フッ素原子含有シランカップリング剤、チタネートカップリング剤あるいはC15NCOなどの化合物を添加した保護層が、特開昭62−295066号公報には、結着樹脂中に、撥水処理することにより分散性および耐湿性の向上した金属微粒子または金属酸化物微粒子を分散した保護層が、特開平2−50167号公報には、結着樹脂中にチタネートカップリング剤、フッ素原子含有シランカップリング剤およびアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートで表面処理された金属酸化物微粒子を分散した保護層が開示されている。
【0016】
また、ヒドロキシル基を有する電荷輸送物質を保護層に含有する例としては、特開平10−228126号公報および特開平10−228127号公報などに開示されている。
【0017】
また、保護層に用いる結着樹脂としてフェノール樹脂を用いた例としては、特開平5−181299号公報などに開示されている。
【0018】
しかし、これらの保護層であっても、近年の高耐久、高画質化の要求に応えられるような、表面への様々な衝撃や、摩耗や傷の発生に対する耐久性、離型性が得られていないのが現状である。
【0019】
さらに、省スペース化のニーズが高まっており、電子写真装置本体のサイズを小さくする必然性に迫られている。そのため、本体サイズに合わせた電子写真感光体を製造する必要があり、電子写真感光体の小径化は必須となっている。
【0020】
しかし、上記ニーズに沿って、従来のものよりも硬く、耐摩耗性のある保護層を有する電子写真感光体を作製すること、さらに電子写真感光体を小径化するということを両立しようとした場合、非常に大きな課題が存在する。
【0021】
従来一般的に採用されている径の電子写真感光体では、さほど問題にならないが、小径化によって、保護層には、大きな応力がかかることになってしまい、電子写真装置に搭載したときに、帯電手段、現像手段、転写手段といった電子写真感光体に直接当接している部材からの負荷がかかり、結果としてプロセス中に付いた小さな傷から、保護層が剥がれてしまうという問題が発生してしまう。この問題は、保護層の結着樹脂に硬化性樹脂を用いるとさらに顕著になる。
【0022】
さらに、電子写真感光体が小径であるために、一枚の画像を出力するのに、通常の電子写真感光体より多くの回転を必要とし、電子写真感光体に一層の負荷がかかる。
【0023】
また、応力を緩和するために保護層の弾性変形率を小さくした場合、保護層に付着したトナーの外添剤を引きずったまま回転することになり、深い傷の原因となってしまい、保護層の役目を果たさなくなってしまう。
【0024】
さらに、画像出力中では、電子写真装置内の温度は上昇する傾向にあり、電子写真装置内の温度に合わせて電子写真感光体も昇温し、保護層と感光層の熱膨張率の違いから、保護層と感光層との密着性が悪くなる。このときに、電子写真感光体に負荷がかかると、密着性が悪い状態なので、感光層から保護層が剥がれてしまう。
【0025】
【特許文献1】
特開昭57−30846号公報
【特許文献2】
特公平6−82223号公報
【特許文献3】
特開平1−306857号公報
【特許文献4】
特開昭62−295066号公報
【特許文献5】
特開平2−50167号公報
【特許文献6】
特開平10−228126号公報
【特許文献7】
特開平10−228127号公報
【特許文献8】
特開平5−181299号公報
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題を解決し、小径の円筒状支持体上に、感光層および保護層を形成しても、保護層の剥がれや融着の発生がなく、耐傷性や耐摩耗性に優れた保護層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、小径の支持体上に感光層、硬化性フェノール樹脂と、導電性粒子および電荷輸送物質の少なくとも一方とを含有する保護層を有する電子写真感光体において、保護層の上から測定した熱膨張率と保護層を除去した後に測定した熱膨張率との差、および、保護層の上から測定した弾性変形率が特定の範囲にあれば、上記課題を解決できることを見いだした。
【0028】
すなわち、本発明は、円筒状支持体上に感光層、保護層をこの順に有し、該円筒状支持体の外径が30mm未満である電子写真感光体において、該保護層が、硬化性フェノール樹脂と、導電性粒子および電荷輸送物質の少なくとも一方とを含有するものであり、該保護層の上から測定した熱膨張率(α)と、該保護層を除去した後に測定した熱膨張率(α)との差(|α−α|)が、5.0×10−7[℃−1]より大きく1.0×10−4[℃−1]未満であり、該保護層の上から測定した弾性変形率(We%)が、30[%]より大きく60[%]未満であることを特徴とする電子写真感光体である。
【0029】
また、本発明は、電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、
該電子写真感光体が、上記電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0030】
また、本発明は、電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置において、
該電子写真感光体が、上記電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0032】
本発明において、熱膨張率の測定は、セイコー電子工業(株)製TMA/SS150を用いて行った。TMA/SS150は、試料の熱膨張や収縮による寸法変化を調べる装置で、膨張係数・膨張率、ガラス転移、軟化、膨潤、応力・歪および応力緩和などを測定することができる。
【0033】
TMA/SS150による熱膨張率の測定では、電子写真感光体の形状を考慮して、針入モードでの測定を選び、荷重が500mNで針と感光層が49.03mNの一定圧に当たるようにし、試料が膨張したときに針が上下にどのくらい動くのかをプロットした。また、室温(23℃)から170℃に5℃/minでの昇温過程で行った。
【0034】
測定を行うと、いずれの場合でも、昇温につれて試料の膨張が観察され、感光層(積層型感光層の場合は電荷輸送層。以下同じ。)のガラス転移点(Tg)まで比例的に膨張した。そして、感光層のTgを過ぎると、感光層が一気に軟化して、針が感光層に進入した。
【0035】
このため、本発明における熱膨張率は、感光層の樹脂のTgより手前、つまり軟化点手前の、比例的に膨張しているところで、近似線を引き、その傾きを求め、得られた傾きを、保護層上からの測定の場合は、保護層および感光層の室温での厚さの合計で、保護層を除去した後の測定の場合は、感光層の室温での厚さで割った値とした。
【0036】
保護層の上から測定して得られる値と、保護層を除去した後に測定して得られる値との差を取ることで、支持体や感光層よりも下の層の膨張の影響を無視できる。ここで、感光層よりも下の層とは、感光層が積層型の場合は、電荷発生層も含む。
【0037】
また、本発明において、保護層を剥がす際は、研磨による機械的除去を採用した。
【0038】
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、保護層の上から測定した熱膨張率(α)と、保護層を除去した後に測定した熱膨張率(α)との差(|α−α|)が、5.0×10−7[℃−1]より大きく1.0×10−4[℃−1]未満である。
【0039】
熱膨張率の差が5.0×10−7[℃−1]以下の場合、画像出力中に電子写真感光体への当接する部材、例えば、クリーニングブレードが当たっている場合、クリーニングブレードと電子写真感光体がこすれる音、いわゆる「鳴き」が大きくなる。
【0040】
この問題の詳細は解明しきれていないが、保護層と感光層の熱膨張率の差が小さいため、電子写真感光体を備える電子写真装置の機内が昇温しても、保護層と感光層とが密着し過ぎているため、当接部材などから受ける力をうまく分散できていないためだと考えている。
【0041】
一方、熱膨張率の差が1.0×10−4[℃−1]以上の場合、ある温度まで機内温度が上昇すると、熱膨張率の差から保護層と感光層との密着性が悪くなり、また、電子写真感光体の支持体の曲率が大きい(支持体の外径が小さい)ため、その応力に逆らいきれず、保護層が感光層から剥がれてしまう。
【0042】
また、保護層の上から測定した熱膨張率(α)と、保護層を除去した後に測定した熱膨張率(α)との差(|α−α|)は、1.0×10−6[℃−1]より大きく7.0×10−5[℃−1]未満であることが好ましい。
【0043】
本発明において、弾性変形率の測定は、ドイツ・フィッシャー社製硬度計フィッシャースコープH100を用いて行った。以下、これをフィッシャー硬度計と呼ぶ。
【0044】
測定環境は、総て23℃/55%RHとした。
【0045】
フィッシャー硬度計が採用している弾性変形率の測定方法は、従来のマイクロビッカース法のように、圧子を試料表面に押し込み、除荷後の残留くぼみを顕微鏡で測定し硬さを求める方法ではなく、圧子に設定荷重を段階的にかけて皮膜に押し込んでいったときの、荷重をかけた状態での押し込み深さを電気的に検出して読み取り、連続的硬さを求める方法である。
【0046】
具体的には、弾性変形率の測定は、次のようにして行った。
【0047】
四角錐で先端の対面角136°のダイヤモンド圧子で荷重をかけ、膜に1μmまで押し込み、その後、荷重を減少させて荷重が0になるまでの押し込み深さと荷重を測定する。
【0048】
上記フィッシャー硬度計を用いて、3μmの押し込み深さで測定した際の例を図4に示す。
【0049】
点Aは測定開始点であり、A→Bが圧子の押し込みに対応する曲線である。点Bは最大設定押し込み深さに到達したときの点であり、B→Cの曲線が、圧子を押し込んだ後の「戻り」に対応する曲線である。このとき、弾性変形の仕事量We(nJ)は、図中のC−B−D−Cで囲まれる面積で表され、塑性変形の仕事量Wr(nJ)は、図中のA−B−C−Aで囲まれる面積で表される。
【0050】
本発明における弾性変形率(We%)は、下記式で求められる。
【0051】
We%=We/(We+Wr)×100
一般に、弾性とは、外力によってひずみ(変形)を受けた物体がそのひずみを元に戻そうとする性質であり、その物体が、弾性限界を超すか、または、その他の影響で外力を取り除いた後も、ひずみの一部として残るのが、塑性分である。つまり、We%の値が大きいほど、弾性変形分が大きく、We%の値が小さいほど、塑性変形分が大きいことを意味する。
【0052】
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、保護層の上から測定した弾性変形率(We%)が、30[%]より大きく60[%]未満である。
【0053】
We%が30%以下の場合、保護層中の弾性分が不足していることを意味し、保護層がもろく、画像出力プロセス中にトナーの外添剤などが感光層に押しつけられ、傷の原因になる。
【0054】
一方、We%が60%以上の場合、高湿下においてフィルミングが生じる。
【0055】
この詳細は解明されていないが、弾性変形分が大き過ぎると種々の微粒子が保護層中に埋め込まれ、塑性分が少ないので、うまく削り取られず、この位置を起点としてフィルミングを生じていると予想される。
【0056】
また、保護層の上から測定した弾性変形率(We%)は、35[%]より大きく55[%]未満であることが好ましい。
【0057】
また、前述の種々の問題は、画像形成プロセスにおいて、電子写真感光体に当接する部材が電子写真感光体により強く当たれば、顕著に起こる。そのため、帯電手段が電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有する接触帯電手段であって、その帯電部材が直流電圧のみを印加されて電子写真感光体を帯電する部材である系においては、特に上記熱膨張率および弾性変形率の規定を満たすことが重要である。さらには、帯電部材と電子写真感光体との間に帯電粒子が介在するような系においてはより一層重要となる。
【0058】
本発明の電子写真感光体の保護層は、結着樹脂と、導電性粒子および電荷輸送物質の少なくとも一方とを含有する層である。
【0059】
保護層用の結着樹脂は、硬化性フェノール樹脂であり、フェノール樹脂保護層の抵抗の環境変動が小さく好ましい。そして、特には、表面硬度が硬く、耐摩耗性に優れ、微粒子の分散性、分散後の安定性にも優れるという点から熱硬化レゾール型フェノール樹脂がより好ましい。
【0060】
硬化性フェノール樹脂は、一般的にフェノール類とホルムアルデヒドの反応によって得られる樹脂である。
【0061】
フェノール樹脂には2つのタイプがあり、フェノール類に対してホルムアルデヒドを過剰にしてアルカリ触媒で反応させて得られるレゾールタイプと、ホルムアルデヒドに対しフェノール類を過剰にして酸触媒で反応させて得られるノボラックタイプに分けられる。
【0062】
レゾールタイプは、アルコール類やケトン類の溶媒にも可溶であり、加熱することで3次元的に架橋重合して硬化物となる。一方、ノボラックタイプは一般にそのまま加熱しても硬化はしないが、パラホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミンなどのホルムアルデヒド源を加えて加熱することで硬化物を生成する。
【0063】
一般的に、また工業的には、レゾールタイプは、塗料、接着剤、注型品および積層品用のワニスとして利用され、ノボラックタイプは、主として成形材料や結合剤として利用されている。
【0064】
本発明において、フェノール樹脂としては、レゾールタイプおよびノボラックタイプのどちらでも利用可能であるが、硬化剤を加えることなく硬化することや、塗料としての操作性などからレゾールタイプを用いることが好ましい。
【0065】
本発明においてフェノール樹脂を用いる際には、1種または2種以上のフェノール樹脂を混合して用いることができ、また、レゾールタイプとノボラックタイプを混合して用いることも可能である。また、公知のフェノール樹脂であればいかなるものを用いてもよい。
【0066】
通常、レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類化合物とアルデヒド類化合物をアルカリ触媒下で製造される。
【0067】
用いられる主たるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシンおよびビスフェノールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラールおよびアセトアルデヒドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
これらフェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、およびそれらの混合物、またはそれらをオリゴマー化したもの、およびモノマーとオリゴマーの混合物を作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子がオリゴマー、1つのものがモノマーである。
【0070】
用いられるアルカリ触媒としては、金属系アルカリ化合物およびアミン化合物が挙げられ、金属系アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物などが、アミン化合物としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびトリエタノールアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
本発明においては、高湿の環境下での抵抗の変動を考慮すると、アミン化合物を用いることが好ましいが、その他の電子写真特性を考慮して、金属系アルカリ化合物を用いたものを混合して用いても構わない。
【0072】
本発明の電子写真感光体の保護層は、硬化性フェノール樹脂を溶剤などで溶解または希釈して得た塗工液を感光層上に塗工して成形することが好ましく、これによって塗工後に重合反応が起きて硬化層が形成される。
【0073】
重合の形態は、熱による付加および縮合反応により進行し、保護層を塗工後、加熱することで重合反応を起こし、樹脂が硬化している高分子硬化層を生成する、というものである。
【0074】
なお、本発明において「樹脂が硬化している」とは、樹脂が、メタノールやエタノールなどのアルコール溶剤に湿潤しても、この樹脂が溶解しない状態のことをいう。
【0075】
保護層用の導電性粒子は、保護層の体積抵抗率を調整する補助的な役割を担うものであり、必要なければ必ずしも用いなくてよい。
【0076】
本発明の電子写真感光体の保護層に使用できる導電性粒子としては、金属および金属酸化物などが挙げられる。
【0077】
金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀およびステンレスなど、またはこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したものなどが挙げられる。
【0078】
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズおよびアンチモンをドープした酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
【0079】
これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
【0080】
本発明においては、導電性粒子の中でも、透明性の点で金属酸化物を用いることが好ましい。さらに、これら金属酸化物の中でも、酸化スズを用いることが特に好ましい。酸化スズは、分散性や液安定性を改良する目的で、後述の表面処理されていてもよく、抵抗制御性を良くする目的でアンチモンやタンタルをドープされていてもよい。
【0081】
保護層用の導電性粒子の平均粒径は、保護層の透明性の観点から、0.3μm以下、特に0.1μm以下が好ましい。一方、分散性や分散安定性の観点からは0.001μm以上が好ましい。
【0082】
保護層の膜強度の観点からすると、導電性粒子の量が増えれば増えるほど弱くなるため、導電性粒子の量は、保護層の体積抵抗率および残留電位が許容できる範囲において、少なくする方が好ましい。
【0083】
また、本発明の電子写真感光体の保護層は、潤滑性粒子を含有する層であることが好ましい。
【0084】
保護層用の潤滑性粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子およびアルミナ粒子が好ましく、より好ましくはフッ素原子含有樹脂粒子である。さらに、これらを2種以上混合してもよい。
【0085】
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂および二フッ化二塩化エチレン樹脂の樹脂粒子や、これら樹脂の共重合体の樹脂粒子の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂粒子およびフッ化ビニリデン樹脂粒子が好ましい。
【0086】
潤滑性粒子の分子量や粒子の粒径は、適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、平均分子量は3000〜5000000が好ましく、平均粒径は0.01〜10μmが好ましく、さらには0.05〜2.0μmがより好ましい。
【0087】
また、シリカ粒子やアルミナ粒子などの無機粒子は、粒子単独としては潤滑性粒子として働かない場合もあるが、これらを分散、添加することにより、保護層の表面粗さが大きくなり、結果的に保護層の潤滑性が増すことが、本発明者らの検討で明らかになっている。本発明においては、潤滑性粒子とは、潤滑性を付与する粒子を含む。
【0088】
フッ素原子含有樹脂粒子などの潤滑性粒子と導電性粒子とを共に樹脂溶液中に分散させる際には、相互の粒子を凝集させないように、フッ素原子含有化合物を導電性粒子の分散時に添加したり、また、導電性粒子の表面をフッ素原子含有化合物で表面処理したりするとよい。
【0089】
フッ素原子含有化合物を添加または導電性粒子に表面処理を行うことにより、フッ素原子含有化合物のない場合に比べて、樹脂溶液中での導電性粒子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性および分散安定性が格段に向上する。
【0090】
また、フッ素原子含有化合物を添加し、導電性粒子を分散した液、または、表面処理を施した導電性粒子を分散した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散することによって分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも非常に安定した分散性の良好な塗工液が得られる。
【0091】
フッ素原子含有化合物としては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0092】
以下に、好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0093】
【外8】
Figure 0003944072
【0094】
【外9】
Figure 0003944072
【0095】
【外10】
Figure 0003944072
【0096】
導電性粒子の表面処理方法としては、導電性粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、表面処理剤を導電性粒子表面に付着させる。分散の方法としては、ボールミルやサンドミルなどの通常の分散手段を用いることができる。次いで、この分散溶液から溶剤を除去し、導電性粒子表面に固着させればよい。
【0097】
また、必要に応じて、この後さらに熱処理を行ってもよい。また、処理液中には反応促進のための触媒を添加することもできる。さらに、必要に応じて表面処理後の導電性粒子にさらに粉砕処理を施すことができる。
【0098】
導電性粒子に対するフッ素原子含有化合物の割合は、粒子の粒径、形状および表面積などに影響を受けるが、表面処理済みの導電性粒子全質量に対し、1〜65質量%が好ましく、さらには1〜50質量%が好ましい。
【0099】
さらに、本発明においては、より環境安定性のある保護層とするために、下記式(1)で示される構造を有するシロキサン化合物を導電性粒子分散時に添加したり、または、下記式(1)で示される構造を有するシロキサン化合物で表面処理を施した導電性粒子を混合することにより、さらに環境安定性により優れた保護層を得ることができる。
【0100】
【外11】
Figure 0003944072
【0101】
(式(1)中、A11〜A18は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。ただし、Aの総数(a)に対する該水素原子の総数(b)の割合(b/a)は0.001以上0.5以下である。n11は、0以上の整数である。)
シロキサン化合物を添加後分散した塗工液、または、シロキサン化合物を表面処理した導電性金属酸化物粒子を溶剤に溶かした結着樹脂中に分散することによって、分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも安定した分散性の良い塗工液が得られ、さらにこの塗工液より形成した保護層は透明性が高く、耐環境性に特に優れた膜が得られる。
【0102】
上記式(1)で示される構造を有するシロキサン化合物の分子量は特に制限されるものではないが、表面処理をする場合は、その容易さからは粘度が高過ぎない方がよく、重量平均分子量で100〜50000が好ましく、特にその中でも表面処理の処理効率から、500〜10000が好ましい。
【0103】
表面処理の方法としては、湿式と乾式の2通りがある。
【0104】
湿式処理では、導電性粒子である導電性金属酸化物粒子を、上記式(1)で示される構造を有するシロキサン化合物とを溶剤中で分散し、該シロキサン化合物を微粒子表面に付着させる。
【0105】
分散の手段としては、ボールミルやサンドミルなどの一般の分散手段を使用することができる。次に、この分散溶液を導電性金属酸化物粒子表面に固着させる。
【0106】
この熱処理においては、シロキサン中のSi−H結合が熱処理過程において空気中の酸素によって水素原子の酸化が起こり、新たなシロキサン結合ができる。その結果、シロキサンが三次元構造にまで発達し、導電性金属酸化物粒子表面がこの網状構造で包まれる。
【0107】
このように表面処理は、該シロキサン化合物を導電性金属化物粒子表面に固着させることによって完了するが、必要に応じて処理後の粒子に粉砕処理を施してもよい。
【0108】
乾式処理においては、溶剤を用いずにシロキサン化合物と導電性金属酸化物粒子とを混合し混練を行うことによってシロキサン化合物を粒子表面に付着させる。その後は、湿式処理と同様に熱処理、粉砕処理を施して表面処理を完了する。
【0109】
本発明の電子写真感光体の保護層に使用できる電荷輸送物質としては、分子内にヒドロキシル基を少なくとも1つ有する化合物が好ましく、特には、分子内にヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシル基、または、ヒドロキシフェニル基を少なくとも1つ有する化合物が好ましい。
【0110】
分子内にヒドロキシアルキル基およびヒドロキシアルコキシル基の少なくとも一方を有する電荷輸送物質としては、下記式(2)〜(4)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質が好ましい。
【0111】
【外12】
Figure 0003944072
【0112】
(式(2)中、R21、R22およびR23は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。α、βおよびγのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。a、b、d、mおよびnは、それぞれ独立に、0または1を示す。)
【外13】
Figure 0003944072
【0113】
(式(3)中、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。δおよびεのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。e、fおよびgは、それぞれ独立に、0または1を示す。p、qおよびrは、それぞれ独立に、0または1であるが、総てが同時に0になることはない。Z31およびZ32は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示し、または、共同で環をなしてもよい。)
【外14】
Figure 0003944072
【0114】
(式(4)中、R41、R42、R43およびR44は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。ζ、η、θおよびιのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。h、i、j、k、s、tおよびuは、それぞれ独立に、0または1を示す。Z41およびZ42は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示し、または、共同で環をなしてもよい。)
また、分子内にヒドロキシフェニル基を有する電荷輸送物質としては、下記式(5)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質が好ましい。
【0115】
【外15】
Figure 0003944072
【0116】
(式(5)中、R51は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R52は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar51およびAr52は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。Ar53は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。vおよびwは、それぞれ独立に、0または1を示す。ただし、v=0のときは、w=0である。κおよびλのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。)
【外16】
Figure 0003944072
【0117】
(式(6)中、R61は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar61およびAr62は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。xは、0または1を示す。μおよびνのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよいし、また、μとνのベンゼン環は、置換基を介して共同で環をなしてもよい。)
【外17】
Figure 0003944072
【0118】
(式(7)中、R71およびR72は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar71は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。yおよびzは、それぞれ独立に、0または1を示す。ξ、π、ρおよびσのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよいし、ξとπのベンゼン環、および、ρとσのベンゼン環は、それぞれ独立に、置換基を介して共同で環をなしてもよい。)
上記式(2)〜(7)中、R21、R22、R23、R31、R32、R33、R41、R42、R43、R44、R51、R61、R71およびR72の炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびブチレン基などのアルキレン基、イソプロピレン基、シクロヘキシリデン基などが挙げられる。
【0119】
また、R52のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などが挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基およびナフチルメチル基などが挙げられる。
【0120】
また、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、ν、ξ、π、ρおよびσのベンゼン環が有してもよい置換基のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などが挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などが挙げられ、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基などが挙げられ、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基およびピレニル基などが挙げられ、芳香族複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基およびキノリル基などが挙げられる。
【0121】
また、μとνのベンゼン環、ξとπのベンゼン環、および、ρとσのベンゼン環が、置換基を介して共同で環をなす場合は、その置換基としては、プロピリデン基、エチレン基などが挙げられ、それらの基を介してフルオレン骨格やジヒドロフェナントレン骨格などの環状構造を形成する。
【0122】
また、Z31、Z32、Z41およびZ42のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などが挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などが挙げられ、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基などが挙げられ、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基およびピレニル基などが挙げられ、芳香族複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基およびキノリル基などが挙げられる。
【0123】
また、Ar51、Ar52、Ar61、Ar62およびAr71のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などが挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基およびナフチルメチル基などが挙げられ、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基およびピレニル基などが挙げられ、芳香族複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基およびキノリル基などが挙げられる。
【0124】
また、Ar53の2価の芳香族炭化水素環基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基およびピレニレン基などが挙げられ、2価の芳香族複素環基としては、ピリジレン基およびチエニレン基などが挙げられる。
【0125】
上記各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基や、ベンジル基、フェネチル基およびナフチルメチル基などのアラルキル基や、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基およびジベンゾチオフェニル基などの芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基や、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などのアルコキシル基や、フェノキシ基およびナフトキシ基などのアリールオキシ基や、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などのハロゲン原子や、ニトロ基およびシアノ基などが挙げられる。
【0126】
上記式(2)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質は、フェノール樹脂との相溶性が良好で、均一に分散された保護層の膜を容易に作製できる。
【0127】
その相溶性をさらに良好にするためには、上記式(2)〜(4)中のR21、R22、R23、R31、R32、R33、R41、R42、R43、R44の2価の炭化水素基は炭素数4以下であることが好ましく、また、ヒドロキシアルキル基およびヒドロキシアルコキシル基の数が2個以上であることが好ましい。
【0128】
また、上記式(5)〜(7)においては、電荷輸送物質に含まれるヒドロキシフェニル基がフェノール樹脂と反応して、保護層マトリックス中に電荷輸送物質が取り込まれ、保護層としての強度がより強くなる。
【0129】
上記式(2)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質は、保護層を作製するための塗工液中に均一に溶解または分散させ、塗布して形成する。
【0130】
上記式(2)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質と結着樹脂の混合割合は、質量比で、電荷輸送物質/結着樹脂=0.1/10〜20/10が好ましく、特には0.5/10〜10/10がより好ましい。結着樹脂に対して電荷輸送物質が少な過ぎると残留電位低下の効果が小さくなり、多過ぎると保護層の強度を弱める場合がある。
【0131】
以下、上記式(2)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質の具体例(化合物例)を示す。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0132】
【外18】
Figure 0003944072
【0133】
【外19】
Figure 0003944072
【0134】
【外20】
Figure 0003944072
【0135】
【外21】
Figure 0003944072
【0136】
【外22】
Figure 0003944072
【0137】
【外23】
Figure 0003944072
【0138】
【外24】
Figure 0003944072
【0139】
【外25】
Figure 0003944072
【0140】
【外26】
Figure 0003944072
【0141】
【外27】
Figure 0003944072
【0142】
【外28】
Figure 0003944072
【0143】
【外29】
Figure 0003944072
【0144】
【外30】
Figure 0003944072
【0145】
これらの中でも、(3)、(4)、(5)、(8)、(11)、(12)、(13)、(17)、(21)、(24)、(25)、(26)、(27)、(28)、(30)、(31)、(34)、(35)、(39)、(44)、(48)、(49)、(50)、(52)、(55)、(56)、(58)、(59)が好ましく、さらには、(3)、(8)、(12)、(25)、(31)、(39)、(44)、(49)、(56)がより好ましい。
【0146】
保護層の塗工液を分散する溶剤としては、結着樹脂を十分に溶解し、上記式(2)〜(7)で示される構造を有する電荷輸送物質も十分に溶解し、導電性粒子を用いる場合はその分散性が良く、フッ素原子含有化合物、フッ素原子含有樹脂粒子およびシロキサン化合物などの潤滑性粒子を用いる場合は相溶性や処理性が良好で、さらに、保護層の塗工液と接触する電荷輸送層に悪影響を与えない溶剤が好ましい。
【0147】
したがって、溶剤としては、メタノール、エタノールおよび2−プロパノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチルおよび酢酸エチルなどのエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼンおよびジクロロメタンなどのハロゲン系炭化水素類などが使用可能であり、さらにこれらを混合して用いてもよい。これらの中でも、フェノール樹脂の形態に最も好適な溶剤は、メタノール、エタノールおよび2−プロパノールなどのアルコール類である。
【0148】
従来の電荷輸送物質は、一般的にアルコール類の溶剤には不溶または難溶であり、一般のフェノール樹脂への均一な分散は困難であるが、本発明に用いる電荷輸送物質の多くはアルコール類を主成分とする溶剤に可溶であるのでフェノール樹脂塗工液への分散が可能となる。
【0149】
本発明の電子写真感光体の保護層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法およびブレードコーティング法などの一般的な塗工方法を用いることができる。
【0150】
本発明の電子写真感光体の保護層の膜厚は、薄過ぎると電子写真感光体の耐久性を損なうことがあり、一方、厚過ぎると保護層を設けたことによる残留電位が上昇することがあるため、0.1μm〜10μmの範囲が好ましく、0.5μm〜7μmの範囲がより好ましい。
【0151】
本発明においては、上記保護層中に、帯電時に発生するオゾンや窒素酸化物などの活性物質の付着による表面層の劣化などを防止する目的で、酸化防止剤の添加材を加えてもよい。
【0152】
次に、感光層などについて以下に説明する。
【0153】
本発明の電子写真感光体の感光層は、積層構造であることが好ましい。図1(a)の電子写真感光体は、支持体4の上に電荷発生層3、電荷輸送層2が順に設けており、さらに最表面に保護層1を設けている。また、図1(b)および(c)の様に支持体と電荷発生層の間に、中間層5、さらには干渉縞防止などを目的とする導電層6を設けてもよい。
【0154】
本発明の電子写真感光体の支持体としては、導電性を有し、外径が30mm未満であればよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金およびステンレスなどの金属を用いることができ、その他に、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成された層を有する支持体やプラスチック、導電性粒子(例えば、カーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン、銀粒子など)を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体、導電性結着樹脂を有するプラスチックなどを用いることができる。
【0155】
また、支持体と感光層の間には、バリアー機能と接着機能を持つ中間層(接着層)を設けることができる。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。中間層には、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチンまたは酸化アルミニウムなどによって形成できる。中間層の膜厚は、5μm以下が好ましく、特には0.1〜3μmが好ましい。
【0156】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、
(1)モノアゾ、ジスアゾおよびトリスアゾなどのアゾ系顔料、
(2)金属フタロシアニンおよび非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、
(3)インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、
(4)ペリレン酸無水物およびペリレン酸イミドなどのペリレン系顔料、
(5)アンスラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、
(6)スクワリリウム色素、
(7)ピリリウム塩およびチアピリリウム塩類、
(8)トリフェニルメタン系色素、
(9)セレン、セレン−テルルおよびアモルファスシリコンなどの無機物質、
(10)キナクリドン顔料、
(11)アズレニウム塩顔料、
(12)シアニン染料、
(13)キサンテン色素、
(14)キノンイミン色素、
(15)スチリル色素、
(16)硫化カドミウム、および
(17)酸化亜鉛
などが挙げられる。
【0157】
これらの中でも、熱硬化性樹脂を保護層に用いた場合、高い耐熱性を有し、加熱後でも比較的感度を維持しやすい点でフタロシアニン系顔料が好ましい。
【0158】
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂および塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独、混合あるいは共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0159】
電荷発生層用塗工液に用いる溶剤は、使用する樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としては、アルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類または芳香族化合物などを用いることができる。
【0160】
感光層が積層構造の場合は、電荷発生層は、上記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂および溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミルなどの方法で十分に分散し、塗布、乾燥されて形成される。膜厚は、5μm以下が好ましく、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。
【0161】
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤および公知の電荷発生物質を必要に応じて添加することもできる。
【0162】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、各種トリアリールアミン系化合物、各種ヒドラゾン系化合物、各種スチリル系化合物、各種スチルベン系化合物、各種ピラゾリン系化合物、各種オキサゾール系化合物、各種チアゾール系化合物および各種トリアリールメタン系化合物などが挙げられる。
【0163】
感光層が積層構造の場合は、電荷輸送層を形成するのに用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂および不飽和樹脂が好ましく、さらには、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂およびジアリルフタレート樹脂が好ましい。
【0164】
電荷輸送層は、一般的には上記電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送物質と結着樹脂との混合割合は2:1〜1:2程度である。溶剤としては、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチルおよび酢酸エチルなどのエステル類、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、クロロホルムおよび四塩化炭素などの塩素系炭化水素類などが用いられる。この溶液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法およびスピンナーコーティング法などのコーティング法を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃が好ましく、より好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で、好ましくは5分〜5時間、より好ましくは10分〜2時間送風乾燥または静止乾燥下で行うことができる。
【0165】
電荷輸送層は、上記電荷発生層と電気的に接続されており、電界の存在下で電荷発生層から注入された電荷キャリアを受け取ると共に、これらの電荷キャリアを保護層との界面まで輸送する機能を有している。
【0166】
この電荷輸送層は電荷キャリアを輸送する限界があるので、必要以上に膜厚を厚くすることができないが、5〜40μmが好ましく、特には7〜30μmの範囲が好ましい。
【0167】
さらに、電荷輸送層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤および公知の電荷輸送物質を必要に応じて添加することもできる。
【0168】
本発明ではさらに、この電荷輸送層の上に上記保護層を塗布、硬化させて成膜することで完成される。
【0169】
以下に、本発明の電子写真感光体を用いた電子写真装置の具体的な実施形態を示す。
【0170】
<実施形態1>
図2に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0171】
図2において、11はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸12を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0172】
電子写真感光体11は、回転過程において、(一次)帯電手段13により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光14を受ける。こうして電子写真感光体11の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0173】
形成された静電潜像は、次いで現像手段15によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体11と転写手段16との間に電子写真感光体11の回転と同期して取り出されて給送された転写材17に、電子写真感光体11の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段16により順次転写されていく。
【0174】
トナー画像の転写を受けた転写材17は、電子写真感光体表面から分離されて定着手段18へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0175】
像転写後の電子写真感光体11の表面は、クリーニング手段19によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化される。また、クリーニング手段を有さずに(クリーナーレス)、転写残りトナーを直接、現像手段などで回収することもできる。さらに、前露光手段(不図示)からの前露光光20により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段13が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0176】
本発明においては、上述の電子写真感光体11、帯電手段13、現像手段15およびクリーニング手段19などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、帯電手段13、現像手段15およびクリーニング手段19の少なくとも1つを電子写真感光体11と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレールなどの案内手段22を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ21とすることができる。
【0177】
また、露光光14は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。また、必要に応じて他の補助プロセスを加えてもよい。
【0178】
<実施形態2>
図3に帯電粒子供給手段を備え本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを具備した電子写真装置の概略構成を示す。
【0179】
ドラム形状の電子写真感光体31は矢印方向に一定速度をもって回転駆動される。
【0180】
帯電手段が有する帯電ローラー32は、帯電粒子33(電子写真感光体を帯電するための導電性粒子)と、粒子担持体としての中抵抗層32bおよび芯金32aにより構成される。帯電ローラー32は、電子写真感光体31に所定の侵入量をもって当接し、接触部nを形成する。
【0181】
本実施形態における帯電ローラー32は、芯金32a上にゴムあるいは発泡体の中抵抗層32bを形成し、さらにその表層に帯電粒子33を担持して構成される。
【0182】
中抵抗層32bは、樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤および発泡剤などにより処方され、芯金32aの上にローラー状に形成される。その後、表面を研磨される。
【0183】
本実施形態における帯電ローラーは、実施形態1における帯電ローラー(放電用の帯電ローラー)に対し、以下の点で特に異なる。
(1) 表層に高密度の帯電粒子を担持するための表面構造や粗さ特性
(2) 注入帯電に必要な抵抗特性(体積抵抗率、表面抵抗)
放電用の帯電ローラーの表面は平坦であって、表面の平均粗さRaでサブμm以下であり、ローラー硬度も高い。放電を用いた帯電において、放電現象は帯電ローラーと電子写真感光体の接触部から少し離れた数十μmの隙間で放電現象が起きる。帯電ローラーおよび電子写真感光体表面に凹凸が存在する場合、部分的に電界強度が異なるため放電現象が不安定になり、帯電ムラを生じる。したがって、放電用の帯電ローラーは平坦で高硬度な表面を必要とする。
【0184】
ではなぜ放電用の帯電ローラーでは注入帯電できないのかというと、前述のような表面構造では外観上ドラムと密着しているように見えるが、電荷注入に必要な分子レベルでのミクロな接触性という意味ではほとんど接触していないのである。
【0185】
一方、注入帯電用の帯電ローラー32は、帯電粒子33を高密度に担持する必要からある程度の粗さが要求される。平均粗さRaにして、1μm〜500μmが好ましい。1μm未満では帯電粒子33を担持するための表面積が不足すると共に、絶縁物(例えばトナー)などがローラー表層に付着した場合、その周辺が電子写真感光体31に接触できにくくなり、帯電性能が低下しやすくなる。逆に、500μmを超えると帯電ローラー表面の凹凸が電子写真感光体の面内帯電均一性を低下しやすくなる。
【0186】
平均粗さRaの測定は、キーエンス社製表面形状測定顕微鏡VF−7500、VF7510を用い対物レンズ1250倍から2500倍を用い非接触にてローラー表面の形状およびRaの測定を行うことができる。
【0187】
放電用の帯電ローラーは、芯金に低抵抗の基層を形成した後、表面を高抵抗層で被覆している。放電によるローラー帯電は印加電圧が高く、ピンホール(膜の損傷による支持体の露出)があるとその周辺にまで電圧降下が及び、帯電不良を生じる。したがって、1011Ω□以上にすることが好ましい。
【0188】
一方、注入帯電方式においては、低電圧による帯電を可能とするため表層を高抵抗にする必要がなく、帯電ローラーを単層で構成することができる。むしろ、注入帯電においては、帯電ローラーの表面抵抗は10〜1010Ωであることが好ましい。1010を超えると帯電面内の均一性が低下し、帯電ローラーの摺擦によるムラが中間調画像にスジ状となって現れ、画像品位の低下が見られやすくなる。一方、10未満の場合は、注入帯電であっても電子写真感光体のピンホールによる周辺の電圧降下を生じやすくなる。
【0189】
さらに、体積抵抗率については10〜10Ω・cmの範囲であることが好ましい。10未満の場合は、ピンホールリークによる電源の電圧降下を生じやすくなる。一方、10を超える場合は、帯電に必要な電流が確保できにくくなり、帯電電圧が低下しやすくなる。
【0190】
帯電ローラーの抵抗測定は以下の手順で行った。
【0191】
ローラー抵抗は、帯電ローラー32の芯金32aに総圧1kgの荷重がかかるよう外径30mmの絶縁体ドラムに電極を施し測定した。電極は、主電極の周りにガード電極を配して測定を行った。主電極とガード電極間の距離はおよそ弾性層32bの厚さ程度に調整し、主電極がガード電極に対し十分な幅を確保した。測定は、主電極に電源から+100Vを印加して、電流計AvおよびAsに流れる電流を測定し、それぞれ体積抵抗率、表面抵抗を測定した。
【0192】
注入帯電方式においては、帯電部材は柔軟な電極として機能することが重要である。磁気ブラシにおいては、磁性粒子層自体がもつ柔軟性により実現している。本実施形態においては、中抵抗層32bの弾性特性を調整して達成している。アスカーC硬度は、15度〜50度が好ましい範囲であり、25〜40度がより好ましい範囲である。硬度が高過ぎると必要な侵入量が得られず、電子写真感光体との間に接触部nを確保できないため、帯電性能が低下する。また、物質の分子レベルの接触性が得られないため、異物の混入などによりその周辺への接触が妨げられる。一方、硬度が低過ぎると形伏が安定しないため、被帯電体との接触圧にムラを生じて帯電ムラを生じる。あるいは、長期放置によるローラーの永久変形ひずみによる帯電不良を生じる。
【0193】
帯電ローラー32の材質としては、EPDM、ウレタン、NBR、シリコーンゴムや、IRなどに抵抗調整のためのカーボンブラックや金属酸化物などの導電性物質を分散したゴム材が挙げられる。導電性物質を分散せずにイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。その後、必要に応じて表面の粗さ調整、研磨などによる成型を行う。また、機能分離した複数層による構成も可能である。
【0194】
ローラーの形態としては多孔体構造がより好ましい。前述の表面粗さをローラーの成型と同時に得られるという点で製造的にも有利である。発泡体のセル径としては、1〜500μmが適切である。発泡成形した後に、その表面を研摩することにより多孔体表面を露出させ、前述の粗さを持った表面構造を作製可能である。
【0195】
帯電ローラー32は、電子写真感光体31に対して侵入量を配設し、接触部nを形成させて、この接触部nにおいて電子写真感光体31の回転方向と逆方向(カウンター)で回転駆動され、電子写真感光体31面に対して速度差を持って接触することができる。また、プリンターの画像記録時には帯電ローラー32に帯電バイアス印加電源S1から所定の帯電バイアスが印加されるこれにより電子写真感光体1の周面が注入帯電方式で所定の極性・電位に一様に帯電処理される。
【0196】
帯電粒子33は、トナーに添加して蓄積され、トナーの現像と共に電子写真感光体31を介して帯電ローラー32に供給される。
【0197】
供給手段として、規制ブレード34を帯電ローラー32に当接させ、帯電ローラー32と規制ブレード34の間に帯電粒子33を保持する構成を採る。そして、電子写真感光体31の回転に伴い一定量の帯電粒子33が帯電ローラー32に塗布され、次いで、帯電ローラー32と電子写真感光体31との間の当接部nに至る。
【0198】
さらに帯電粒子33の粒径は、高い帯電効率と帯電均一性を得るために10μm以下が好ましい。本発明においては、帯電粒子が凝集体を構成している場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義した。粒径の測定には、電子顕微鏡による観察から100個以上抽出し、水平方向最大弦長を持って体積粒径分布を算出し、その50%平均粒径を持って決定した。
【0199】
帯電粒子33は、一次粒子の状態で存在するばかりでなく、二次粒子の凝集した状態で存在することもなんら問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電粒子としての機能が実現できればその形態は重要ではない。
【0200】
帯電粒子33は、特に電子写真感光体の帯電に用いる場合に潜像露光の妨げにならないよう白色または透明に近いことが好ましい。さらに、帯電粒子が電子写真感光体31上から転写材Pに一部転写されてしまうことを考えると、カラー記録では無色あるいは白色のものが好ましい、また、画像露光時に帯電粒子33による光散乱を防止するためにもその粒径は構成画素サイズ以下、さらにはトナー粒径以下であることが好ましい。粒径の下限値としては、粒子として安定に得られるものとして10nmが限界と考えられる。
【0201】
36は現像装置である。電子写真感光体1表面の静電潜像は、この現像装置36により現像部位aにてトナー画像として現像される。現像装置36内にはトナーに帯電粒子を添加した混合剤が備えられている。
【0202】
また、本実施形態の電子写真装置(プリンター)は、トナーリサイクルプロセスであり、画像転写後の電子写真感光体31表面上に残留した転写残トナーは専用のクリーニング手段(クリーナー)で除去されるのではなく、電子写真感光体31の回転に伴いカウンター回転する帯電ローラー32に一時的に回収され、帯電ローラー32外周を周回するにつれて、反転したトナー電荷が正規化されて順次電子写真感光体31に吐き出されて現像部位aに至り、マグネットローラー36aと現像スリーブ36bを有する現像手段36において現像同時クリーニングにて回収・再利用される。S2は現像手段36に現像バイアスを印加する電源である。
【0203】
35はレーザーダイオード・ポリゴンミラーなどを含むレーザービームスキャナー(露光手段)である。このレーザービームスキャナー35は、目的の画像情報の時系列デジタル画像信号に対応して強度変調されたレーザー光を出力し、該レーザー光で上記電子写真感光体31の一様帯電面を走査露光Lする。この走査露光光Lにより電子写真感光体31の表面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0204】
38は熱定着方式などの定着手段である。電子写真感光体31と転写ローラー37との間の転写当接部bに給紙されて電子写真感光体31側のトナー画像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体31の表面から分離されてこの定着手段38に導入され、トナー画像の定着を受けて画像形成物(プリント・コピー)として装置外へ排出される。S3は転写ローラー37に転写バイアスを印加する電源である。
【0205】
39はプロセスカートリッジである。この実施形態においては、電子写真感光体、帯電手段および現像手段が一体に支持されている。プロセスカートリッジ39は、電子写真装置に設けられたレール40などの案内手段により、電子写真装置本体に着脱自在となっている。
【0206】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンターおよびレーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
【0207】
【実施例】
以下、実施例において本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって制限されるものではない。なお、実施例中の「部」は質量部を示す。
【0208】
(実施例1)
共重合ポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部をメタノール60部/ブタノール40部の混合液に溶解した溶液を、外径29mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.5μmの導電層を形成した。
【0209】
次に、下記式で示されるCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°および27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料4部、
【外31】
Figure 0003944072
【0210】
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部、シクロヘキサノン70部からなる混合溶液をサンドミルで10時間分散した後、酢酸エチル100部を加えて電荷発生層用塗工液を調製した。この塗工液を上記導電層上に浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
【0211】
次に、下記式で示されるトリアリールアミン系化合物7部、
【外32】
Figure 0003944072
【0212】
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部をクロロベンゼン70部に溶解して調製した溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間加熱乾燥して、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0213】
次に、保護層用に下記式で示される構造を有する化合物で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微粒子50部、
【外33】
Figure 0003944072
【0214】
エタノール150部を、サンドミルにて66時間かけて分散を行った(平均粒径0.03μm)。その後、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4804;群栄化学工業(株)製、アミン系触媒(アミン化合物)を使用して合成される。)を樹脂成分として30部を溶解し、調合液とし、浸漬塗布法により、上記電荷輸送層上に、膜を形成し、145℃の温度で1時間熱風乾燥し、保護層を有する電子写真感光体を得た。保護層用塗工液の分散状態は良好で、作製された保護層はムラのない均一な膜であった。
【0215】
得られた電子写真感光体のWe%を測定したところ、45.3[%]であった。また、│α−α│は、2.7×10−6[℃−1]であった。
【0216】
評価は、下記の評価装置を用いて行った。
【0217】
<評価装置1>
作製した電子写真感光体を、ヒューレットパッカード社製プリンター(レーザージェット4000)を以下のように改造した(実施形態2の装置の構成となるように改造した)電子写真装置に装着して評価をした。
【0218】
電子写真感光体の帯電部分について、帯電ローラーは芯金上にゴムの中抵抗層を形成することにより作製した。ここで、中抵抗層はウレタン樹脂、導電性粒子(カーボンブラック)、硫化剤および発泡剤などにより処方され、芯金の上にローラー状に成形した後、表面を研磨して直径12mm、長手長さ250mmの弾性導電ローラーを作製した。このローラーの抵抗を測定したところ100kΩであった。ローラーの芯金に総圧1kgの荷重がかかるように電子写真感光体に圧着した状態で、芯金と支持体に100Vを印加することで計測した。
【0219】
本評価装置では、注入帯電するための帯電粒子として、比抵抗が10Ω・cm、平均粒径3μmの導電性酸化亜鉛粒子を用いた。
【0220】
また、帯電粒子を帯電ローラーと電子写真感光体との当接部に均一に供給するために、まず、帯電粒子を帯電ローラーに塗布するための帯電粒子塗布手段を設けた。規制ブレードを帯電ローラーに当接させ、帯電ローラーと規制ブレードの間に帯電粒子を保持する構成を採る。そして、電子写真感光体の回転に伴い、一定量の帯電粒子が帯電ローラーに塗布される。
【0221】
本評価装置では、帯電ローラーを電子写真感光体に対して速度差を持って回転させている。本発明の電子写真感光体は、直径30mm未満の小径ドラム形状であり、周速110mm/sの一定速度で回転する。
【0222】
本評価装置では、実施例における電子写真感光体の円筒状支持体の直径に合わせ改造した。まず、この帯電ローラー表面に帯電粒子が規制ブレードによって塗布される。その後、帯電ローラーと電子写真感光体との当接部に到達する。帯電ローラーは、ローラー表面が電子写真感光体と互いに逆方向に等速度で移動するよう150rpmで駆動し、そのローラー芯金に印加電圧としてDC電圧−620Vを印加した。これにより、電子写真感光体表面は印加電圧と等しい電位に帯電される。本評価装置における帯電は、帯電ローラーと電子写真感光体の当接部に存在する帯電粒子が電子写真感光体表面を隙間無く摺擦することで注入帯電が行われるものである。
【0223】
<評価装置2>
ヒューレットパッカード社製プリンター(レーザージェット4000)を、実施例における電子写真感光体の円筒状支持体の直径に合わせ改造した。帯電、現像、転写、クリーニングなどの電子写真プロセスの方式はそのままとした。実施形態1の装置の構成である。
【0224】
得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。出力した画像はいずれも高品位のものであった。出力後、顕微鏡で電子写真感光体の表面観察を行ったところ、傷などは全く見受けられなかった。
【0225】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったが、鳴きは発生しなかった。
【0226】
結果を表に示す。
【0227】
(実施例2)
実施例1において、電子写真感光体の保護層を以下のように作製し、かつ円筒状支持体の外径を24mmにした以外は、全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0228】
保護層用塗工液として、エタノール82部と、上記化合物例No.8で示される構造を有する電荷輸送物質21部、樹脂成分として、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PR−53123、不揮発分45%、住友デュレズ(株)製、金属系触媒を使用して合成される。)を不揮発分として67部を溶解し、4時間攪拌して、保護層用塗工液とした。これを電荷輸送層上に、145℃の温度で1時間熱風乾燥し、保護層を有する電子写真感光体を得た。
【0229】
得られた電子写真感光体のWe%を測定したところ、50.7[%]であった。また、また、│α−α│は、5.6×10−5[℃−1]であった。
【0230】
得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。この電子写真感光体では、部分的に帯電が十分できずにかぶりが発生したものの、連続出力を試みたところ、出力した画像には傷の発生は見られなかった。
【0231】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったが、鳴きは発生しなかった。
【0232】
結果を表に示す。
【0233】
(実施例3)
実施例1に用いたアミン系触媒(アミン化合物)を使用して合成されたフェノール樹脂を、金属系触媒を使用して合成されたフェノール樹脂に代えた以外は、実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0234】
得られた電子写真感光体のWe%を測定したところ、52.7[%]であった。また、得られた電子写真感光体の保護層上から測定した熱膨張率と保護層を除去した後の熱膨張率の差は、7.2×10−6[℃−1]であった。
【0235】
得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。出力した画像はいずれも高品位のものであった。出力後、顕微鏡で電子写真感光体の表面観察を行ったところ、傷などは全く見受けられなかった。
【0236】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったが、鳴きは発生しなかった。
【0237】
結果を表に示す。
【0238】
(実施例4)
実施例1にて保護層用に使用したレゾール型フェノール樹脂を、BKS−316(昭和高分子(株)製、アンモニア以外のアミン系触媒(アミン化合物)を使用して合成された。)に代えた以外は、全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0239】
得られた電子写真感光体のWe%を測定したところ、30.2[%]であった。また、得られた電子写真感光体の保護層上から測定した熱膨張率と保護層を除去した後の熱膨張率の差は、8.3×10−7[℃−1]であった。
【0240】
得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。出力した画像はいずれも高品位のものであった。しかし、出力後、顕微鏡で電子写真感光体の表面観察を行ったところ、画像上には現れなかった若干の傷が見受けられた。
【0241】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったが、鳴きは発生しなかった。
【0242】
結果を表に示す。
【0243】
(比較例1)
実施例1において、電荷輸送層までは同様に作製し、保護層で用いたフェノール樹脂を下記式で示される構造を有するアクリルモノマー20部に代え、さらに2−メチルチオキサントン3部を加え塗工液とした以外は、全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0244】
【外34】
Figure 0003944072
【0245】
得られた電子写真感光体のWe%を測定したところ、28.9[%]であった。また、得られた電子写真感光体の保護層上から測定した熱膨張率と保護層を除去した後の熱膨張率の差は、5.2×10−6[℃−1]であった。
【0246】
得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。出力した画像には、画像欠陥が現れた。出力後の電子写真感光体を、顕微鏡にて表面観察を行ったところ、画像欠陥のある場所と同じ場所に、深傷が見受けられた。
【0247】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったところ、鳴きは発生しなかったものの、評価装置1の場合と同様に、出力した画像には、画像欠陥が現れた。出力後の電子写真感光体を、顕微鏡にて表面観察を行ったところ、画像欠陥のある場所と同じ場所に、深傷が見受けられた。
【0248】
結果を表に示す。
【0254】
(比較例2)
実施例において用いたフェノール樹脂をメラミン樹脂(商品名:サイメル701、三井サイテック(株)製)50部に代えた以外は、全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0255】
得られた電子写真感光体のWe%を測定したところ、60.8[%]であった。また、得られた電子写真感光体の保護層上から測定した熱膨張率と保護層を除去した後の熱膨張率の差は、5.7×10−6[℃−1]であった。
【0256】
得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。出力した画像には、画像欠陥が現れた。出力後の電子写真感光体を、顕微鏡にて表面観察を行ったところ、フィルミングが見られた。これが画像欠陥を引き起こしているものと判断した。
【0257】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったところ、鳴きは発生しなかったものの、評価装置1の場合と同様に、出力した画像には、画像欠陥が現れた。出力後の電子写真感光体を、顕微鏡にて表面観察を行ったところ、フィルミングが見られた。
【0258】
結果を表に示す。
【0264】
(比較例3)
実施例1において用いたフェノール樹脂を、油化シェル(株)製のエピコート#815とエポメートB002を質量比2:1で配合したエポキシ樹脂90部に代えた以外は、全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0265】
得られた電子写真感光体のWe%を測定したところ、52.8[%]であった。また、得られた電子写真感光体の保護層上から測定した熱膨張率と保護層を除去した後の熱膨張率の差は、4.9×10−7[℃−1]であった。
【0266】
得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。出力された画像は高品位なものであった。出力後の電子写真感光体を、顕微鏡にて表面観察を行ったところ、傷やフィルミングは全く見られなかった。
【0267】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったところ、同様に高品位は画像が出力できたが、電子写真感光体が回転するたびに「鳴き」が発生した。
【0268】
結果を表に示す。
【0269】
(実施例
実施例2にて保護層に用いた電荷輸送物質を上記化合物例No.31で示される構造を有する化合物に代えた以外は、実施例2と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0270】
得られた電子写真感光体のWe%を測定したところ、49.2[%]であった。また、得られた電子写真感光体の保護層上から測定した熱膨張率と保護層を除去した後の熱膨張率の差は、9.7×10−5[℃−1]であった。
【0271】
得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行ったところ、出力した画像は高品位なものであった。出力後の電子写真感光体の表面を顕微鏡にて、観察したところ、画像領域ではない端部の表面層が剥がれかかっていた。
【0272】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったところ、同様に高品位は画像が出力でき、騒音もなかった。
【0273】
結果を表に示す。
【0274】
(比較例4)
実施例において用いたフェノール樹脂を、油化シェル(株)製のエピコート#815とエポメートB002を質量比2:1で配合したエポキシ樹脂30部に代え、電荷輸送物質を下記式で示される構造を有する化合物に代えた以外は、実施例と全く同様にして電子写真感光体を作製した。
【0275】
【外35】
Figure 0003944072
【0276】
得られた電子写真感光体のWe%を測定したところ、37.2[%]であった。また、得られた電子写真感光体の保護層上から測定した熱膨張率と保護層を除去した後の熱膨張率の差は、1.2×10−4[℃−1]であった。
【0277】
得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。出力した画像は画像欠陥があった。出力後の電子写真感光体の表面を顕微鏡にて、観察したところ、表面層は剥がれ、剥がれた後の面に多数の傷が観察された。
【0278】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったところ、同様に高品位は画像が出力でき、「鳴き」などの騒音もなかった。
【0279】
結果を表に示す。
【0280】
(実施例
実施例1において形成した電子写真感光体の保護層を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層の上に保護層を形成して電子写真感光体を作製し、評価を行った。
【0281】
保護層用に、下記式で示される構造を有する化合物で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微粒子30部、
【外36】
Figure 0003944072
【0282】
メチルハイドロジェンシリコーンオイル(商品名:KF99、信越シリコーン(株)製)で表面処理した(20%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子20部を添加し、エタノール150部を、サンドミルにて、66時間かけて分散を行った(平均粒径0.03μm)。さらに、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)20部を加えて、さらに、2時間分散を行った。
【0283】
その後、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852;群栄化学工業(株)製、アミン系触媒(アミン化合物)を使用して合成された。)を樹脂成分として30部を溶解し、調合液とした。これで、浸漬塗布法によって電荷輸送層上に膜を形成し、145℃の温度で1時間熱風乾燥して、膜厚2μmの保護層を有する電子写真感光体を得た。このとき、保護層塗料の分散状態は良好で、形成された保護層はムラのない均一な膜であった。
【0284】
得られた電子写真感光体のWe%と│α−α│を測定した。
【0285】
さらに、得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。出力した画像はいずれも高品位のものであった。
【0286】
出力後、顕微鏡で電子写真感光体の表面観察を行ったところ、傷などは全く見受けられなかった。さらに実施例1と比較して、16階調の色再現性が特に優れていた。
【0287】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったが、鳴きは発生しなかった。
【0288】
結果を表に示す。
【0289】
(実施例12
実施例1において、電子写真感光体の保護層を以下のように形成し、かつ、円筒状支持体の外径を24mmにした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0290】
保護層用塗工液として、エタノール82部と、実施例から12の順に、上記化合物例No.12、No.25、No.31、No.44、No.49、No.56をそれぞれ21部、樹脂成分として、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852、群栄化学製、アミン系触媒(アミン化合物)を使用して合成された。)を不揮発分として30部を溶解し、4時間攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)10部を加えて、2時間分散を行って、保護層用塗工液とした。これで、浸漬塗布法によって電荷輸送層上に膜を形成し、145℃の温度で1時間熱風乾燥して、膜厚2μmの保護層を有する電子写真感光体を得た。
【0291】
得られた電子写真感光体のWe%と│α−α│を測定した。
【0292】
さらに、得られた電子写真感光体を評価装置1に装着し、高温高湿(30℃/80%RH)の環境下で10000枚連続画像出力を行った。出力した画像はいずれも部分的に帯電が十分されずにややかぶり気味の画像ではあったが、連続出力後も画像上での傷の発生は見受けられなかった。
【0293】
さらに、出力後、顕微鏡で詳細に電子写真感光体の表面観察を行ったところ、傷などは全く見受けられなかった。
【0294】
また、得られた電子写真感光体を評価装置2に装着し、10000枚連続画像出力を行ったが、鳴きは発生しなかった。さらに、実施例2と比較しても細線の再現性は、非常に優れていた。
【0295】
結果を表に示す。
【0296】
【表1】
Figure 0003944072
【0297】
(参考例1〜4)
外径30mmの支持体上に比較例1〜4と同様にして電子写真感光体を作製し、同様な評価を行ったが、小径化した電子写真感光体に顕著に起きる剥がれや傷、鳴き、融着などの問題は発生しなかった。
【0298】
【発明の効果】
本発明によれば、小径の円筒状支持体上に、感光層および保護層を形成しても、保護層の剥がれや融着の発生がなく、また、鳴きなどの騒音が発生しない、耐傷性や耐摩耗性に優れた保護層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の層構成を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置である実施形態1の概略構成例を示す図である。
【図3】本発明の電子写真感光体に帯電粒子供給手段を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置である実施形態2の概略構成例を示す図である。
【図4】フィッシャー硬度計による押し込み深さ3μmの測定チャートである。
【符号の説明】
1 保護層
2 電荷輸送層
3 電荷発生層
4 支持体
5 中間層
6 導電層
11 電子写真感光体
12 軸
13 帯電手段
14 露光光
15 現像手段
16 転写手段
17 転写材
18 定着手段
19 クリーニング手段
20 前露光光
21 プロセスカートリッジ
22 案内手段
31 電子写真感光体
32 帯電ローラー
32a 芯金
32b 中抵抗層
33 帯電粒子
34 規制ブレード
35 レーザービームスキャナー
36 現像手段(現像装置)
37 転写手段(転写ローラー)
38 定着手段(定着ローラー)
40 レール
Wt 全仕事量(nJ)A−B−D−A
We 弾性変形の仕事量(nJ)C−B−D−C
Wr 塑性変形の仕事量(nJ)A−B−C−A

Claims (21)

  1. 円筒状支持体上に感光層、保護層をこの順に有し、該円筒状支持体の外径が30mm未満である電子写真感光体において、
    該保護層が、硬化性フェノール樹脂と、導電性粒子および電荷輸送物質の少なくとも一方とを含有するものであり、
    該保護層の上から測定した熱膨張率(α)と、該保護層を除去した後に測定した熱膨張率(α)との差(|α−α|)が、5.0×10−7[℃−1]より大きく1.0×10−4[℃−1]未満であり、
    該保護層の上から測定した弾性変形率(We%)が、30[%]より大きく60[%]未満であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記硬化性フェノール樹脂がレゾール型フェノール樹脂である請求項に記載の電子写真感光体。
  3. 前記レゾール型フェノール樹脂が、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を用いて合成された樹脂である請求項に記載の電子写真感光体。
  4. 前記レゾール型フェノール樹脂が、アミン化合物を用いて合成された樹脂である請求項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記保護層が、少なくとも導電性粒子を含有し、該導電性粒子が、金属粒子または金属酸化物粒子である請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記保護層が、フッ素原子含有化合物およびシロキサン化合物の少なくとも一方を含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記保護層が、少なくともフッ素原子含有化合物を含有し、該フッ素原子含有化合物が、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイルおよびフッ素系界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記保護層が、少なくともシロキサン化合物を含有し、該シロキサン化合物が、下記式(1)で示される構造を有するシロキサン化合物である請求項またはに記載の電子写真感光体。
    【外1】
    Figure 0003944072
    (式(1)中、A11 18は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。ただし、Aの総数(a)に対する該水素原子の総数(b)の割合(b/a)は0.001以上0.5以下である。n11は、0以上の整数である。)
  9. 前記保護層が、潤滑性粒子を含有する請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 前記潤滑性粒子が、フッ素原子含有樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子およびアルミナ粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子である請求項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記保護層が、少なくとも電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送物質が、分子内にヒドロキシル基を有する請求項1乃至10のいずれかに記載の電子写真感光体。
  12. 前記電荷輸送物質が、分子内にヒドロキシアルキル基およびヒドロキシアルコキシル基の少なくとも一方を有する請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記分子内にヒドロキシアルキル基およびヒドロキシアルコキシル基の少なくとも一方を有する電荷輸送物質が、下記式(2)(4)からなる群より選択される1つの式で示される構造を有する請求項12に記載の電子写真感光体。
    【外2】
    Figure 0003944072
    (式(2)中、R21、R22およびR23は、それぞれ独立に、炭素数18の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。α、βおよびγのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。a、b、d、mおよびnは、それぞれ独立に、0または1を示す。)
    【外3】
    Figure 0003944072
    (式(3)中、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に、炭素数18の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。δおよびεのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。e、fおよびgは、それぞれ独立に、0または1を示す。p、qおよびrは、それぞれ独立に、0または1であるが、総てが同時に0になることはない。Z31およびZ32は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示し、または、共同で環をなしてもよい。)
    【外4】
    Figure 0003944072
    (式(4)中、R41、R42、R43およびR44は、それぞれ独立に、炭素数18の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。ζ、η、θおよびιのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。h、i、j、k、s、tおよびuは、それぞれ独立に、0または1を示す。Z41およびZ42は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示し、または、共同で環をなしてもよい。)
  14. 前記保護層が、少なくとも電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送物質が、分子内にヒドロキシフェニル基を有する請求項1乃至13のいずれかに記載の電子写真感光体。
  15. 前記分子内にヒドロキシフェニル基を有する電荷輸送物質が、下記式(5)(7)からなる群より選択される1つの式で示される構造を有する請求項14に記載の電子写真感光体。
    【外5】
    Figure 0003944072
    (式(5)中、R51は、炭素数18の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R52は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar51およびAr52は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。Ar53は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。vおよびwは、それぞれ独立に、0または1を示す。ただし、v=0のときは、w=0である。κおよびλのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。)
    【外6】
    Figure 0003944072
    (式(6)中、R61は、炭素数18の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar61およびAr62は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。xは、0または1を示す。μおよびνのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよいし、また、μとνのベンゼン環は、置換基を介して共同で環をなしてもよい。)
    【外7】
    Figure 0003944072
    (式(7)中、R71およびR72は、それぞれ独立に、炭素数18の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar71は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。yおよびzは、それぞれ独立に、0または1を示す。ξ、π、ρおよびσのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよいし、ξとπのベンゼン環、および、ρとσのベンゼン環は、それぞれ独立に、置換基を介して共同で環をなしてもよい。)
  16. 電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が、請求項1乃至15のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  17. 前記電子写真感光体と前記帯電手段とを一体に支持し、該帯電手段が該電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有する接触帯電手段であり、該帯電部材が直流電圧のみを印加されて該電子写真感光体を帯電する接触帯電部材である請求項16に記載のプロセスカートリッジ。
  18. 前記接触帯電部材が、電子写真感光体に接触するための帯電粒子と、該帯電粒子を担持するための導電性と弾性を有する表面を備えた帯電粒子担持体により構成される部材であり、該帯電粒子の粒径が10nm10μmであり、前記接触帯電手段が、該帯電粒子により電子写真感光体表面に直接電荷を注入して該電子写真感光体を帯電する注入帯電手段である請求項16または17に記載のプロセスカートリッジ。
  19. 電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置において、該電子写真感光体が、請求項1乃至15のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  20. 前記帯電手段が前記電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有する接触帯電手段であり、該帯電部材が直流電圧のみを印加されて該電子写真感光体を帯電する接触帯電部材である請求項19に記載の電子写真装置。
  21. 前記接触帯電部材が、電子写真感光体に接触するための帯電粒子と、該帯電粒子を担持するための導電性と弾性を有する表面を備えた帯電粒子担持体により構成される部材であり、該帯電粒子の粒径が10nm10μmであり、前記接触帯電手段が、該帯電粒子により電子写真感光体表面に直接電荷を注入して該電子写真感光体を帯電する注入帯電手段である請求項19または20に記載の電子写真装置。
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