JP3870155B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層をこの順に有する電子写真感光体、この電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体には更なる高耐久化が要求されており、例えば、特開平5−173350号公報には、感光層上に硬化性樹脂を含有する保護層を設けることによって、非常に優れた耐久性を有する電子写真感光体を提供することが開示されている。
【0003】
また、例えば、特開平7−5748号公報には、感光層上の保護層に実質的な放電を伴うことなく電荷を注入することによって電子写真感光体を帯電する、所謂注入帯電が開示されている。
【0004】
このように、電子写真分野において、電子写真感光体の感光層上に保護層を設けることは非常に重要な技術の一つとなっている。
【0005】
一方、近年のスモールオフィス化、ホームオフィス化に伴い、複写機やプリンターなどの電子写真装置の小型化が求められており、電子写真感光体の母線方向の長さも短くなる方向である。
【0006】
しかしながら、電子写真感光体の母線方向の現像領域の幅は紙などの転写材の大きさに依存するため、現像領域自体の幅を狭くすることはできない。つまり、より短い電子写真感光体を用いて、同じ通紙幅や現像幅を保証しなければならず、従来画像を形成することがなかったような電子写真感光体の端部領域にも画像を形成する必要が生じてきた。
【0007】
【特許文献1】
特開平05−173350号公報
【特許文献2】
特開平07−005748号公報
【特許文献3】
特開昭59−026044号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、感光層や保護層の端部には膜厚のムラが生じ易く、ムラが生じた部分においては帯電ムラや感度ムラが生じ、均一な画像を形成することが困難であった。
【0009】
現在、その優れた生産性という観点から、塗布方法としては、各層用の溶液に導電性支持体を母線方向に略垂直に投入し、引き上げる、所謂浸漬塗布法を採用することがほとんどであるが、浸漬塗布法では、各層用の溶液の塗布開始直後、即ち、電子写真感光体の母線方向塗布開始側の端部領域の層の厚さを中央部と同じにすることは極めて困難であった。なぜならば、塗布直後の塗液のダレを完全に防止することは不可能だからである。
【0010】
特に感光層上に保護層を有する電子写真感光体においては、保護層を有さない電子写真感光体よりも層の数が多い分、塗布ムラは顕著に生じ易かった。特開昭59−26044号公報には、電荷発生層と電荷輸送層の厚さを調節することによって、より均一な画像を得ることが開示されているが、保護層と感光層の関係についての知見は全くない。
【0011】
また、生産性を向上させるために、塗布速度を上げるには、塗布液の固形分の濃度を下げる必要があるが、塗布液の粘度が下がると、塗液のダレがより大きくなり、塗布ムラも顕著に生じてしまう。
【0012】
このように、生産技術の観点からは、優れた画像を得ることが非常に困難であるにもかかわらず、近年の電子写真のカラー化や1200dpi(dot per Inch)といった高精細化に伴って、より一層の高画質化が要求されている。
【0013】
本発明の目的は、今後ますますの小型化、低コスト化及び高画質化を成り立たせるために、電子写真感光体を製造する際に塗液のダレに起因する塗布ムラが生じてしまうことを前提としつつ、非常に優れた電子写真特性を有する電子写真感光体を提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、かかる電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、導電性支持体、電荷発生層、電荷輸送層及び保護層をこの順に有する電子写真感光体において、該導電性支持体の母線方向の中央部における電荷輸送層の膜厚a0(μm)、該導電性支持体の母線方向の中央部における保護層の膜厚b0(μm)、該中央部以外の電荷輸送層の膜厚a(μm)及び該中央部以外の保護層の膜厚b(μm)が、0.8(μm)≦(a0−a)≦3.0(μm)を満足する領域において、下記式(1)を満足することを特徴とする電子写真感光体である。
【0016】
b0×(a/a0)3≦b(μm)≦b0×(a/a0)1/4・・・(1)
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の電子写真感光体を母線方向に切断したときの断面の模式図である。図に示されているように、本発明の電子写真感光体は導電性支持体4上に少なくとも電荷発生層(不図示)、電荷輸送層2及び保護層1をこの順に有する電子写真感光体である。
【0019】
本発明において、導電性支持体の母線方向の中央部における電荷輸送層の膜厚a0(μm)、該導電性支持体の母線方向の中央部における保護層の膜厚b0(μm)、該中央部以外の電荷輸送層の膜厚a(μm)及び該中央部以外の保護層の膜厚b(μm)が、式(1)を満足するのは、0.8(μm)≦(a0−a)≦3.0(μm)、好ましくは(a0−a)≧0.5(μm)の範囲においてである。図から明らかなように、導電性支持体の母線方向の中央部における電荷輸送層の膜厚a0(μm)と比べて、該中央部以外の電荷輸送層の膜厚a(μm)が0.5μm以上薄い領域とは、浸漬塗布方法を採用した場合は、塗布開始側の端部領域である。そして、電荷輸送層の膜厚がa(μm)である位置における保護層の膜厚b(μm)を式(1)を満足するように形成することによって、上記課題を解決でき、良好な画像を得られる電子写真感光体を提供できるのである。
【0020】
本発明においては、保護層1の膜厚b(μm)が下記式(2)を満足することが好ましい。
【0021】
b0×(a/a0)2≦b(μm)≦b0×(a/a0)1/3・・・(2)
また、保護層の膜厚bは、導電性支持体の塗布開始側の端部から10〜100mmの範囲、好ましくは塗布開始側の端部から12mmの箇所から中央部までの範囲で、上記式(1)及び(2)を満足することが好ましい。通常は、現像領域の端部がその範囲に入るからである。
【0022】
また、上述のように、本発明においては、導電性支持体の母線方向の中央部における電荷輸送層の膜厚a0(μm)と該中央部以外の電荷輸送層の膜厚a(μm)が、下記式(3)を満足することが好ましい。
【0023】
0.5(μm)≦(a0−a)・・・(3)
電荷輸送層の膜厚が、中央部の膜厚と比べて薄い場合は、明部電位Vlは高くなり、反転現像の場合、画像としては濃度薄となる。この濃度ムラは、ハーフトーンなどの中間調の画像で特に見え易くなり、カラー画像や高精細な画像では更に見え易くなる。
【0024】
本発明者等は、この画像ムラの原因が、電荷輸送層と保護層の間に形成される界面に蓄積された電荷であると推測した。
【0025】
近年、電子写真感光体の保護層の開発はめまぐるしく進歩しているものの、電荷輸送層と保護層との間に界面が形成されることには変わりはない。特に、保護層に硬化性樹脂を用いる場合は、よりその傾向が強くなる。
【0026】
電荷発生層で発生した電荷は、電荷輸送層中を移動した後、上記界面に達し、その後、保護層に入っていくが、通常、界面で若干の電荷の蓄積があると考えられる。その若干の電荷の蓄積に起因する表面電位の上昇の程度は、保護層の膜厚に依存し、保護層の膜厚が厚いほど表面電位の上昇は大きく、逆に、保護層の膜厚が薄いほど表面電位の上昇は小さくなる。
【0027】
そこで、電荷輸送層の膜厚ムラに起因する表面電位のムラを保護層の膜厚を上記式(1)の関係を満足するように制御することによって抑えることができることを見出し、本発明に至った。本発明における式(1)及び(2)は、本発明者等が上記の観点に基づいて様々な検討を行った結果、経験的に導き出したものである。
【0028】
膜厚の制御は、塗工液の粘度、導電性支持体を塗工液から引き上げる際のスピード、更には塗布を始める位置などを調整することによって行うことができるが、本発明においては達成手段は特に限定されない。
【0029】
本発明における保護層の導電性支持体の母線方向の中央部における膜厚b0(μm)は、0.5〜5.5μmであることが好ましく、特には1〜4μmであることが好ましい。膜厚が0.5μmに満たないと保護層を設けたこと自体の効果を得にくくなり、5.5μmを超えると残留電位が上昇し易くなる。
【0030】
一方、電荷輸送層の導電性支持体の母線方向の中央部における膜厚a0は、5〜40μmであることが好ましく、特には7〜30μmであることが好ましい。膜厚が5μmに満たないと電子写真感光体にかかる電界強度が強くなり過ぎることがあり、40μmを超えると高精細な画像を得にくくなる。
【0031】
本発明においては、保護層や電荷輸送層の膜厚は、層の測定する点をマークして約5mm角に切断し、集束イオンビーム(FIB)FB−2000C(日立製作所(株)製)により、エッチングした後に、断面を45°の角度から観察し、角度補正を行って求めた。特に、導電性支持体の中央部での膜厚は、本発明において重要であるため、該中央部を周方向に4点サンプルを作成して、それらの平均値をa0(μm)及びb0(μm)とした。また、保護層の膜厚制御のための基準としての電荷輸送層の膜厚の測定は、光の干渉による瞬間マルチ測光システムMCD−2000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。
【0032】
本発明の電子写真感光体の保護層は、結着樹脂と、導電性粒子及び電荷輸送物質の少なくとも一方とを含有する層であることが好ましい。
【0033】
保護層用の結着樹脂としては、硬化性樹脂が好ましく、その中でも、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びシロキサン樹脂がより好ましい。更にその中でも、フェノール樹脂が保護層の抵抗の環境変動が小さく好ましい。そして、特には、表面硬度が硬く、耐摩耗性に優れ、微粒子の分散性、分散後の安定性にも優れるという点から熱硬化型レゾール型フェノール樹脂がより好ましい。
【0034】
硬化性フェノール樹脂は、一般的にフェノール類とホルムアルデヒドの反応によって得られる樹脂である。
【0035】
フェノール樹脂には2つのタイプがあり、フェノール類に対してホルムアルデヒドを過剰にしてアルカリ触媒で反応させて得られるレゾールタイプと、ホルムアルデヒドに対しフェノール類を過剰にして酸触媒で反応させて得られるノボラックタイプに分けられる。
【0036】
レゾールタイプは、アルコール類やケトン類の溶媒にも可溶であり、加熱することで3次元的に架橋重合して硬化物となる。一方、ノボラックタイプは一般にそのまま加熱しても硬化はしないが、パラホルムアルデヒドやヘキサメチレンテトラミンなどのホルムアルデヒド源を加えて加熱することで硬化物を生成する。
【0037】
一般的に、また工業的には、レゾールタイプは、塗料、接着剤、注型品及び積層品用のワニスとして利用され、ノボラックタイプは、主として成形材料や結合剤として利用されている。
【0038】
本発明において、フェノール樹脂としては、レゾールタイプ及びノボラックタイプのどちらでも利用可能であるが、硬化剤を加えることなく硬化することや、塗料としての操作性などからレゾールタイプを用いることが好ましい。
【0039】
本発明においてフェノール樹脂を用いる際には、1種または2種以上のフェノール樹脂を混合して用いることができ、また、レゾールタイプとノボラックタイプを混合して用いることも可能である。また、公知のフェノール樹脂であればいかなるものを用いてもよい。
【0040】
通常、レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類化合物とアルデヒド類化合物をアルカリ触媒下で製造される。
【0041】
用いられる主たるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン及びビスフェノールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール及びアセトアルデヒドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
これらフェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、及びそれらの混合物、またはそれらをオリゴマー化したもの、及びモノマーとオリゴマーの混合物を作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子がオリゴマー、1つのものがモノマーである。
【0044】
用いられるアルカリ触媒としては、金属系アルカリ化合物及びアミン化合物が挙げられ、金属系アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物などが、アミン化合物としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリエタノールアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本発明においては、高湿の環境下での抵抗の変動を考慮すると、アミン化合物を用いることが好ましいが、その他の電子写真特性を考慮して、金属系アルカリ化合物を用いたものを混合して用いても構わない。
【0046】
本発明の電子写真感光体の保護層は、硬化性フェノール樹脂を溶剤などで溶解または希釈して得た塗工液を感光層上に塗工して成形することが好ましく、これによって塗工後に重合反応が起きて硬化層が形成される。
【0047】
重合の形態は、熱による付加及び縮合反応により進行し、保護層を塗工後、加熱することで重合反応を起こし、高分子硬化層を生成する、というものである。
【0048】
なお、本発明において「樹脂が硬化している」とは、樹脂が、メタノールやエタノールなどのアルコール溶剤に湿潤しても、この樹脂が溶解しない状態のことをいう。
【0049】
保護層用の導電性粒子は、保護層の体積抵抗率を調整する補助的な役割を担うものであり、必要なければ必ずしも用いなくてよい。
【0050】
本発明の電子写真感光体の保護層に使用できる導電性粒子としては、金属及び金属酸化物などが挙げられる。
【0051】
金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレスなど、またはこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したものなどが挙げられる。
【0052】
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
【0053】
これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
【0054】
本発明においては、導電性粒子の中でも、透明性の点で金属酸化物を用いることが好ましい。更に、これら金属酸化物の中でも、酸化スズを用いることが特に好ましい。酸化スズは、分散性や液安定性を改良する目的で、後述の表面処理されていてもよく、抵抗制御性を良くする目的でアンチモンやタンタルをドープされていてもよい。
【0055】
保護層用の導電性粒子の平均粒径は、保護層の透明性の観点から、0.3μm以下、特に0.1μm以下が好ましい。一方、分散性や分散安定性の観点からは0.001μm以上が好ましい。
【0056】
保護層の膜強度の観点からすると、導電性粒子の量が増えれば増えるほど弱くなるため、導電性粒子の量は、保護層の体積抵抗率及び残留電位が許容できる範囲において、少なくする方が好ましい。
【0057】
また、本発明の電子写真感光体の保護層は、潤滑性粒子を含有する層であることが好ましい。
【0058】
保護層用の潤滑性粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子及びアルミナ粒子が好ましく、より好ましくはフッ素原子含有樹脂粒子である。更に、これらを2種以上混合してもよい。
【0059】
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂及び二フッ化二塩化エチレン樹脂の樹脂粒子や、これら樹脂の共重合体の樹脂粒子の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂粒子及びフッ化ビニリデン樹脂粒子が好ましい。
【0060】
潤滑性粒子の分子量や粒子の粒径は、適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、平均分子量は3000〜5000000が好ましく、平均粒径は0.01〜10μmが好ましく、更には0.05〜2.0μmがより好ましい。
【0061】
また、シリカ粒子やアルミナ粒子などの無機粒子は、粒子単独としては潤滑性粒子として働かない場合もあるが、これらを分散、添加することにより、保護層の表面粗さが大きくなり、結果的に保護層の潤滑性が増すことが、本発明者らの検討で明らかになっている。本発明においては、潤滑性粒子とは、潤滑性を付与する粒子を含む。
【0062】
フッ素原子含有樹脂粒子などの潤滑性粒子と導電性粒子とを共に樹脂溶液中に分散させる際には、相互の粒子を凝集させないように、フッ素原子含有化合物を導電性粒子の分散時に添加したり、また、導電性粒子の表面をフッ素原子含有化合物で表面処理したりするとよい。
【0063】
フッ素原子含有化合物を添加または導電性粒子に表面処理を行うことにより、フッ素原子含有化合物のない場合に比べて、樹脂溶液中での導電性粒子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性及び分散安定性が格段に向上する。
【0064】
また、フッ素原子含有化合物を添加し、導電性粒子を分散した液、または、表面処理を施した導電性粒子を分散した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散することによって分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも非常に安定した分散性の良好な塗工液が得られる。
【0065】
フッ素原子含有化合物としては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0066】
以下に、好ましい化合物例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0067】
【外7】
【0068】
【外8】
【0069】
【外9】
【0070】
導電性粒子の表面処理方法としては、導電性粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、表面処理剤を導電性粒子表面に付着させる。分散の方法としては、ボールミルやサンドミルなどの通常の分散手段を用いることができる。次いで、この分散溶液から溶剤を除去し、導電性粒子表面に固着させればよい。
【0071】
また、必要に応じて、この後更に熱処理を行ってもよい。また、処理液中には反応促進のための触媒を添加することもできる。更に、必要に応じて表面処理後の導電性粒子に更に粉砕処理を施すことができる。
【0072】
導電性粒子に対するフッ素原子含有化合物の割合は、粒子の粒径、形状及び表面積などに影響を受けるが、表面処理済みの導電性粒子全質量に対し、1〜65質量%が好ましく、更には1〜50質量%が好ましい。
【0073】
更に、本発明においては、より環境安定性のある保護層とするために、下記式(1)で示される構造を有するシロキサン化合物を導電性粒子分散時に添加したり、または、下記式(1)で示される構造を有するシロキサン化合物で表面処理を施した導電性粒子を混合することにより、更に環境安定性により優れた保護層を得ることができる。
【0074】
【外10】
【0075】
(式(1)中、A11〜A18は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。ただし、Aの総数(a)に対する該水素原子の総数(b)の割合(b/a)は0.001以上0.5以下である。n11は、0以上の整数である。)
シロキサン化合物を添加後分散した塗工液、または、シロキサン化合物を表面処理した導電性金属酸化物粒子を溶剤に溶かした結着樹脂中に分散することによって、分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも安定した分散性の良い塗工液が得られ、更にこの塗工液より形成した保護層は透明性が高く、耐環境性に特に優れた膜が得られる。
【0076】
上記式(1)で示される構造を有するシロキサン化合物の分子量は特に制限されるものではないが、表面処理をする場合は、その容易さからは粘度が高過ぎない方がよく、重量平均分子量で100〜50000が好ましく、特にその中でも表面処理の処理効率から、500〜10000が好ましい。
【0077】
表面処理の方法としては、湿式と乾式の2通りがある。
【0078】
湿式処理では、導電性粒子である導電性金属酸化物粒子を、上記式(1)で示される構造を有するシロキサン化合物とを溶剤中で分散し、該シロキサン化合物を微粒子表面に付着させる。
【0079】
分散の手段としては、ボールミルやサンドミルなどの一般の分散手段を使用することができる。次に、この分散溶液を導電性金属酸化物粒子表面に固着させる。
【0080】
この熱処理においては、シロキサン中のSi−H結合が熱処理過程において空気中の酸素によって水素原子の酸化が起こり、新たなシロキサン結合ができる。その結果、シロキサンが三次元構造にまで発達し、導電性金属酸化物粒子表面がこの網状構造で包まれる。
【0081】
このように表面処理は、該シロキサン化合物を導電性金属化物粒子表面に固着させることによって完了するが、必要に応じて処理後の粒子に粉砕処理を施してもよい。
【0082】
乾式処理においては、溶剤を用いずにシロキサン化合物と導電性金属酸化物粒子とを混合し混練を行うことによってシロキサン化合物を粒子表面に付着させる。その後は、湿式処理と同様に熱処理、粉砕処理を施して表面処理を完了する。
【0083】
本発明の電子写真感光体の保護層に使用できる電荷輸送物質としては、分子内にヒドロキシル基を少なくとも1つ有する化合物が好ましく、特には、分子内にヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシル基、または、ヒドロキシフェニル基を少なくとも1つ有する化合物が好ましい。
【0084】
分子内にヒドロキシアルキル基及びヒドロキシアルコキシル基の少なくとも一方を有する電荷輸送物質としては、下記式(2)〜(4)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質が好ましい。
【0085】
【外11】
【0086】
(式(2)中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。α、β及びγのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。a、b、d、m及びnは、それぞれ独立に、0または1を示す。)
【外12】
【0087】
(式(3)中、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。δ及びεのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。e、f及びgは、それぞれ独立に、0または1を示す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0または1であるが、総てが同時に0になることはない。Z31及びZ32は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示し、または、共同で環をなしてもよい。)
【外13】
【0088】
(式(4)中、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。ζ、η、θ及びιのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。h、i、j、k、s、t及びuは、それぞれ独立に、0または1を示す。Z41及びZ42は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示し、または、共同で環をなしてもよい。)
また、分子内にヒドロキシフェニル基を有する電荷輸送物質としては、下記式(5)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質が好ましい。
【0089】
【外14】
【0090】
(式(5)中、R51は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R52は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar51及びAr52は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。Ar53は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。v及びwは、それぞれ独立に、0または1を示す。ただし、v=0のときは、w=0である。κ及びλのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。)
【外15】
【0091】
(式(6)中、R61は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar61及びAr62は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。xは、0または1を示す。μ及びνのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよいし、また、μとνのベンゼン環は、置換基を介して共同で環をなしてもよい。)
【外16】
【0092】
(式(7)中、R71及びR72は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar71は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。y及びzは、それぞれ独立に、0または1を示す。ξ、π、ρ及びσのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよいし、ξとπのベンゼン環、及び、ρとσのベンゼン環は、それぞれ独立に、置換基を介して共同で環をなしてもよい。)
上記式(2)〜(7)中、R21、R22、R23、R31、R32、R33、R41、R42、R43、R44、R51、R61、R71及びR72の炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基などのアルキレン基、イソプロピレン基、シクロヘキシリデン基などが挙げられる。
【0093】
また、R52のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基などが挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基などが挙げられる。
【0094】
また、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、ι、κ、λ、μ、ν、ξ、π、ρ及びσのベンゼン環が有してもよい置換基のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子などが挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基などが挙げられ、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基などが挙げられ、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基などが挙げられ、芳香族複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基などが挙げられる。
【0095】
また、μとνのベンゼン環、ξとπのベンゼン環、及び、ρとσのベンゼン環が、置換基を介して共同で環をなす場合は、その置換基としては、プロピリデン基、エチレン基などが挙げられ、それらの基を介してフルオレン骨格やジヒドロフェナントレン骨格などの環状構造を形成する。
【0096】
また、Z31、Z32、Z41及びZ42のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子などが挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基などが挙げられ、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基などが挙げられ、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基などが挙げられ、芳香族複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基などが挙げられる。
【0097】
また、Ar51、Ar52、Ar61、Ar62及びAr71のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基などが挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基などが挙げられ、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基などが挙げられ、芳香族複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基などが挙げられる。
【0098】
また、Ar53の2価の芳香族炭化水素環基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基及びピレニレン基などが挙げられ、2価の芳香族複素環基としては、ピリジレン基及びチエニレン基などが挙げられる。
【0099】
上記各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基などのアルキル基や、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基などのアラルキル基や、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基などの芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基や、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基などのアルコキシル基や、フェノキシ基及びナフトキシ基などのアリールオキシ基や、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子などのハロゲン原子や、ニトロ基及びシアノ基などが挙げられる。
【0100】
上記式(2)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質は、フェノール樹脂との相溶性が良好で、均一に分散された保護層の膜を容易に作製できる。
【0101】
その相溶性を更に良好にするためには、上記式(2)〜(4)中のR21、R22、R23、R31、R32、R33、R41、R42、R43、R44の2価の炭化水素基は炭素数4以下であることが好ましく、また、ヒドロキシアルキル基及びヒドロキシアルコキシル基の数が2個以上であることが好ましい。
【0102】
また、上記式(5)〜(7)においては、電荷輸送物質に含まれるヒドロキシフェニル基がフェノール樹脂と反応して、保護層マトリックス中に電荷輸送物質が取り込まれ、保護層としての強度がより強くなる。
【0103】
上記式(2)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質は、保護層を作製するための塗工液中に均一に溶解または分散させ、塗布して形成する。
【0104】
上記式(2)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質と結着樹脂の混合割合は、質量比で、電荷輸送物質/結着樹脂=0.1/10〜20/10が好ましく、特には0.5/10〜10/10がより好ましい。結着樹脂に対して電荷輸送物質が少な過ぎると残留電位低下の効果が小さくなり、多過ぎると保護層の強度を弱める場合がある。
【0105】
以下、上記式(2)〜(7)のいずれかの式で示される構造を有する電荷輸送物質の具体例を示す。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0106】
【外17】
【0107】
【外18】
【0108】
【外19】
【0109】
【外20】
【0110】
【外21】
【0111】
【外22】
【0112】
【外23】
【0113】
【外24】
【0114】
【外25】
【0115】
【外26】
【0116】
【外27】
【0117】
【外28】
【0118】
【外29】
【0119】
これらの中でも、(3)、(4)、(5)、(8)、(11)、(12)、(13)、(17)、(21)、(24)、(25)、(26)、(27)、(28)、(30)、(31)、(34)、(35)、(39)、(44)、(48)、(49)、(50)、(52)、(55)、(56)、(58)、(59)が好ましく、更には、(3)、(8)、(12)、(25)、(31)、(39)、(44)、(49)、(56)がより好ましい。
【0120】
保護層の塗工液を分散する溶剤としては、結着樹脂を十分に溶解し、上記式(2)〜(7)で示される構造を有する電荷輸送物質も十分に溶解し、導電性粒子を用いる場合はその分散性が良く、フッ素原子含有化合物、フッ素原子含有樹脂粒子及びシロキサン化合物などの潤滑性粒子を用いる場合は相溶性や処理性が良好で、更に、保護層の塗工液と接触する電荷輸送層に悪影響を与えない溶剤が好ましい。
【0121】
従って、溶剤としては、メタノール、エタノール及び2−プロパノールなどのアルコール類、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル及び酢酸エチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどのエーテル類、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼン及びジクロロメタンなどのハロゲン系炭化水素類などが使用可能であり、更にこれらを混合して用いてもよい。これらの中でも、フェノール樹脂の形態に最も好適な溶剤は、メタノール、エタノール及び2−プロパノールなどのアルコール類である。
【0122】
従来の電荷輸送物質は、一般的にアルコール類の溶剤には不溶または難溶であり、一般のフェノール樹脂への均一な分散は困難であるが、本発明に用いる電荷輸送物質の多くはアルコール類を主成分とする溶剤に可溶であるのでフェノール樹脂塗工液への分散が可能となる。
【0123】
保護層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法およびブレードコーティング法などの塗工方法を用いることができる。
【0124】
本発明においては、上記保護層中に、帯電時に発生するオゾンや窒素酸化物などの活性物質の付着による表面層の劣化などを防止する目的で、酸化防止剤の添加材を加えてもよい。
【0125】
次に、電子写真感光体が有する感光層などについて以下に説明する。
【0126】
本発明における感光層は積層構造を有する。図2(a)に示す電子写真感光体は、導電性支持体4の上に電荷発生層3、電荷輸送層2が順に設けられており、更に表面層として保護層1が設けられている。
【0127】
導電性支持体4としては、支持体自身が導電性を持つもの、例えばアルミニウム、アルミニウム合金及びステンレスなどを用いることができ、その他にアルミニウム、アルミニウム合金及び酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成したプラスチック、導電性粒子(例えばカーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン及び銀粒子など)を適当なバインダーとともにプラスチックや紙に含浸した支持体、並びに導電性バインダーを有するプラスチックなどを用いることができる。
【0128】
導電性支持体4の形状は、円筒形のドラムタイプやベルト状などあるが、特に制限されるものではない。上述のように、電子写真装置の小型化に伴って、導電性支持体4の母線方向の長さが短くなる傾向がある。A4サイズやレターサイズの紙などの転写紙を縦方向に通紙して使用する場合は、現像領域の幅が約215mmくらいであり、A4の転写紙を横に通紙する場合は、現像領域の幅が約290mmである。それに対して、導電性支持体の長さはそれぞれの現像領域の幅+10〜+80mmくらいとなる。しかしながら、導電性支持体の長さが現像領域の幅+10〜+50mmの範囲では上記本発明の技術課題が発生し、更に現像領域の幅+10〜40mmではより顕著に発生する。
【0129】
本発明においては、導電性支持体4と感光層の間には、バリアー機能と接着機能を持つ結着層(接着層)5を設けることができる(図2(b))。
【0130】
結着層5は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。結着層5は、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどによって形成できる。結着層5の膜厚は、5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜3μmであることが好ましい。
【0131】
また、本発明においては、図2(c)のように導電性支持体4と電荷発生層3の間に、結着層5、更には干渉縞防止などを目的とする下引き層6を設けてもよい。
【0132】
電荷発生層3は、電荷発生物質及び必要に応じて結着樹脂を含有する。
【0133】
電荷発生物質としては、モノアゾ、ジスアゾ及びトリスアゾなどのアゾ系顔料、金属フタロシアニン及び非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレン酸無水物及びペリレン酸イミドなどのペリレン系顔料、アンスラキノン及びピレンキノンなどの多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩及びチアピリリウム塩類などの塩類、トリフェニルメタン系色素、セレン、セレン−テルル及びアモルファスシリコンなどの無機物質、キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素、硫化カドミウム、並びに酸化亜鉛などが挙げられる。
【0134】
結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂及び塩過ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独、混合あるいは共重合体ポリマーとして1種または2種以上用いることができる。
【0135】
電荷発生層3は、電荷発生物質を質量比で0.3〜4倍量の結着剤樹脂及び溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミルなどの方法で分散することによって得られた溶液を、塗布し、乾燥することにより形成される。その膜厚は、5μm以下であることが好ましく、特には0.01〜1μmであることが好ましい。
【0136】
用いられる溶剤は、使用する電荷発生物質や結着樹脂の溶解性や分散安定性を考慮して選択されるが、有機溶剤としてはアルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類または芳香族化合物などを用いることができる。
【0137】
また、電荷発生層3には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0138】
電荷輸送層2は、電荷輸送物質及び必要に応じて結着樹脂を含有する。
【0139】
電荷輸送物質としては各種トリアリールアミン系化合物、各種ヒドラゾン系化合物、各種スチリル系化合物、各種スチルベン系化合物、各種ピラゾリン系化合物、各種オキサゾール系化合物、各種チアゾール系化合物及び各種トリアリールメタン系化合物などが挙げられる。
【0140】
結着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂及び不飽和樹脂などが挙げられる。これらの中では、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂及びジアリルフタレート樹脂が特に好ましい。
【0141】
電荷輸送層2は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解することによって得られた溶液を、塗布し、乾燥することにより形成される。電荷輸送物質と結着樹脂との混合割合は質量比で2:1〜1:2程度である。
【0142】
溶剤としてはアセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル及び酢酸エチルなどのエステル類、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素類、並びにクロロベンゼン、クロロホルム及び四塩化炭素などの塩素系炭化水素類などが挙げられる。
【0143】
この溶液を塗布する際には、例えば浸漬塗布法、スプレー塗布法及びスピンナー塗布法などの塗布法を用いることができるが、特に、浸漬塗布法ように、電荷輸送層用塗布液に対して導電性支持体4を垂直方向に上下させることにより塗布する塗布方法において、本発明の技術課題が発生し易いため、本発明の効果が有効に発揮される。
【0144】
乾燥温度は10℃〜200℃であることが好ましく、特には20℃〜150℃であることが好ましい。また、乾燥時間は5分〜5時間であることが好ましく、特には10分〜2時間であることが好ましい。
【0145】
更に、電荷輸送層2には、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0146】
本発明においては、この電荷輸送層2の上に更に保護層1を上記の方法によって形成するのである。
【0147】
以下に、本発明にかかる電子写真感光体を用いた電子写真装置の具体的な実施形態を示す。
【0148】
<実施形態1>
図3に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0149】
図において、11はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸12を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0150】
電子写真感光体11は、回転過程において、(一次)帯電手段13により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光14を受ける。こうして電子写真感光体11の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0151】
形成された静電潜像は、次いで現像手段15によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体11と転写手段16との間に電子写真感光体11の回転と同期して取り出されて給送された転写材17に、電子写真感光体11の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段16により順次転写されていく。
【0152】
トナー画像の転写を受けた転写材17は、電子写真感光体表面から分離されて定着手段18へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0153】
像転写後の電子写真感光体11の表面は、クリーニング手段19によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化される。また、クリーニング手段を有さずに(クリーナーレス)、転写残りトナーを直接、現像手段などで回収することもできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露光光20により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段13が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0154】
本発明においては、上述の電子写真感光体11、帯電手段13、現像手段15及びクリーニング手段19などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、帯電手段13、現像手段15及びクリーニング手段19の少なくとも1つを電子写真感光体11と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレールなどの案内手段22を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ21とすることができる。
【0155】
また、露光光14は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。また、必要に応じて他の補助プロセスを加えてもよい。
【0156】
<実施形態2>
図4に帯電粒子供給手段を備えた本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを具備した電子写真装置の概略構成を示す。
【0157】
ドラム形状の電子写真感光体31は矢印方向に一定速度をもって回転駆動される。
【0158】
帯電手段が有する帯電ローラー32は、帯電粒子33(電子写真感光体を帯電するための導電性粒子)と、粒子担持体としての中抵抗層32b及び芯金32aにより構成される。帯電ローラー32は、電子写真感光体31に所定の侵入量をもって当接し、接触部nを形成する。
【0159】
本実施形態における帯電ローラー32は、芯金32a上にゴムあるいは発泡体の中抵抗層32bを形成し、更にその表層に帯電粒子33を担持して構成される。
【0160】
中抵抗層32bは、樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤及び発泡剤などにより処方され、芯金32aの上にローラー状に形成される。その後、表面を研磨される。
【0161】
本実施形態における帯電ローラーは、実施形態1における帯電ローラー(放電用の帯電ローラー)に対し、以下の点で特に異なる。
(1) 表層に高密度の帯電粒子を担持するための表面構造や粗さ特性
(2) 注入帯電に必要な抵抗特性(体積抵抗率、表面抵抗)
放電用の帯電ローラーの表面は平坦であって、表面の平均粗さRaでサブμm以下であり、ローラー硬度も高い。放電を用いた帯電において、放電現象は帯電ローラーと電子写真感光体の接触部から少し離れた数十μmの隙間で放電現象が起きる。帯電ローラー及び電子写真感光体表面に凹凸が存在する場合、部分的に電界強度が異なるため放電現象が不安定になり、帯電ムラを生じる。従って、放電用の帯電ローラーは平坦で高硬度な表面を必要とする。
【0162】
ではなぜ放電用の帯電ローラーでは注入帯電できないのかというと、前述のような表面構造では外観上ドラムと密着しているように見えるが、電荷注入に必要な分子レベルでのミクロな接触性という意味ではほとんど接触していないのである。
【0163】
一方、注入帯電用の帯電ローラー32は、帯電粒子33を高密度に担持する必要からある程度の粗さが要求される。平均粗さRaにして、1μm〜500μmが好ましい。1μm未満では帯電粒子33を担持するための表面積が不足すると共に、絶縁物(例えばトナー)などがローラー表層に付着した場合、その周辺が電子写真感光体31に接触できにくくなり、帯電性能が低下しやすくなる。逆に、500μmを超えると帯電ローラー表面の凹凸が電子写真感光体の面内帯電均一性を低下しやすくなる。
【0164】
平均粗さRaの測定は、キーエンス社製表面形状測定顕微鏡VF−7500、VF7510を用い対物レンズ1250倍から2500倍を用い非接触にてローラー表面の形状及びRaの測定を行うことができる。
【0165】
放電用の帯電ローラーは、芯金に低抵抗の基層を形成した後、表面を高抵抗層で被覆している。放電によるローラー帯電は印加電圧が高く、ピンホール(膜の損傷による支持体の露出)があるとその周辺にまで電圧降下が及び、帯電不良を生じる。従って、1011Ω□以上にすることが好ましい。
【0166】
一方、注入帯電方式においては、低電圧による帯電を可能とするため表層を高抵抗にする必要がなく、帯電ローラーを単層で構成することができる。むしろ、注入帯電においては、帯電ローラーの表面抵抗は104〜1010Ωであることが好ましい。1010Ωを超えると帯電面内の均一性が低下し、帯電ローラーの摺擦によるムラが中間調画像にスジ状となって現れ、画像品位の低下が見られやすくなる。一方、104Ω未満の場合は、注入帯電であっても電子写真感光体のピンホールによる周辺の電圧降下を生じやすくなる。
【0167】
更に、体積抵抗率については104〜107Ω・cmの範囲であることが好ましい。104Ω・cm未満の場合は、ピンホールリークによる電源の電圧降下を生じやすくなる。一方、107Ω・cmを超える場合は、帯電に必要な電流が確保できにくくなり、帯電電圧が低下しやすくなる。
【0168】
帯電ローラーの抵抗測定は以下の手順で行った。
【0169】
ローラー抵抗は、帯電ローラー32の芯金32aに総圧1kgの荷重がかかるよう外径30mmの絶縁体ドラムに電極を施し測定した。電極は、主電極の周りにガード電極を配して測定を行った。主電極とガード電極間の距離はおよそ弾性層32bの厚さ程度に調整し、主電極がガード電極に対し十分な幅を確保した。測定は、主電極に電源から+100Vを印加して、電流計Av及びAsに流れる電流を測定し、それぞれ体積抵抗率、表面抵抗を測定した。
【0170】
注入帯電方式においては、帯電部材は柔軟な電極として機能することが重要である。磁気ブラシにおいては、磁性粒子層自体がもつ柔軟性により実現している。本実施形態においては、中抵抗層32bの弾性特性を調整して達成している。アスカーC硬度は、15度〜50度が好ましい範囲であり、25〜40度がより好ましい範囲である。硬度が高過ぎると必要な侵入量が得られず、電子写真感光体との間に接触部nを確保できないため、帯電性能が低下する。また、物質の分子レベルの接触性が得られないため、異物の混入などによりその周辺への接触が妨げられる。一方、硬度が低過ぎると形伏が安定しないため、被帯電体との接触圧にムラを生じて帯電ムラを生じる。あるいは、長期放置によるローラーの永久変形ひずみによる帯電不良を生じる。
【0171】
帯電ローラー32の材質としては、EPDM、ウレタン、NBR、シリコーンゴムや、IRなどに抵抗調整のためのカーボンブラックや金属酸化物などの導電性物質を分散したゴム材が挙げられる。導電性物質を分散せずにイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。その後、必要に応じて表面の粗さ調整、研磨などによる成型を行う。また、機能分離した複数層による構成も可能である。
【0172】
ローラーの形態としては多孔体構造がより好ましい。前述の表面粗さをローラーの成型と同時に得られるという点で製造的にも有利である。発泡体のセル径としては、1〜500μmが適切である。発泡成形した後に、その表面を研摩することにより多孔体表面を露出させ、前述の粗さを持った表面構造を作製可能である。
【0173】
帯電ローラー32は、電子写真感光体31に対して侵入量を配設し、接触部nを形成させて、この接触部nにおいて電子写真感光体31の回転方向と逆方向(カウンター)で回転駆動され、電子写真感光体31面に対して速度差を持って接触することができる。また、プリンターの画像記録時には帯電ローラー32に帯電バイアス印加電源S1から所定の帯電バイアスが印加されるこれにより電子写真感光体1の周面が注入帯電方式で所定の極性・電位に一様に帯電処理される。
【0174】
帯電粒子33は、トナーに添加して蓄積され、トナーの現像と共に電子写真感光体31を介して帯電ローラー32に供給される。
【0175】
供給手段として、規制ブレード34を帯電ローラー32に当接させ、帯電ローラー32と規制ブレード34の間に帯電粒子33を保持する構成を採る。そして、電子写真感光体31の回転に伴い一定量の帯電粒子33が帯電ローラー32に塗布され、次いで、帯電ローラー32と電子写真感光体31との間の当接部nに至る。
【0176】
更に帯電粒子33の粒径は、高い帯電効率と帯電均一性を得るために10μm以下が好ましい。本発明においては、帯電粒子が凝集体を構成している場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義した。粒径の測定には、電子顕微鏡による観察から100個以上抽出し、水平方向最大弦長を持って体積粒径分布を算出し、その50%平均粒径を持って決定した。
【0177】
帯電粒子33は、一次粒子の状態で存在するばかりでなく、二次粒子の凝集した状態で存在することもなんら問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電粒子としての機能が実現できればその形態は重要ではない。
【0178】
帯電粒子33は、特に電子写真感光体の帯電に用いる場合に潜像露光の妨げにならないよう白色または透明に近いことが好ましい。更に、帯電粒子が電子写真感光体31上から転写材Pに一部転写されてしまうことを考えると、カラー記録では無色あるいは白色のものが好ましい、また、画像露光時に帯電粒子33による光散乱を防止するためにもその粒径は構成画素サイズ以下、更にはトナー粒径以下であることが好ましい。粒径の下限値としては、粒子として安定に得られるものとして10nmが限界と考えられる。
【0179】
36は現像装置である。電子写真感光体31表面の静電潜像は、この現像装置36により現像部位aにてトナー画像として現像される。現像装置36内にはトナーに帯電粒子を添加した混合剤が備えられている。
【0180】
また、本実施形態の電子写真装置(プリンター)は、トナーリサイクルプロセスであり、画像転写後の電子写真感光体31表面上に残留した転写残トナーは専用のクリーニング手段(クリーナー)で除去されるのではなく、電子写真感光体31の回転に伴いカウンター回転する帯電ローラー32に一時的に回収され、帯電ローラー32外周を周回するにつれて、反転したトナー電荷が正規化されて順次電子写真感光体31に吐き出されて現像部位aに至り、マグネットローラー36aと現像スリーブ36bを有する現像手段36において現像同時クリーニングにて回収・再利用される。S2は現像手段36に現像バイアスを印加する電源である。
【0181】
35はレーザーダイオード・ポリゴンミラーなどを含むレーザービームスキャナー(露光手段)である。このレーザービームスキャナー35は、目的の画像情報の時系列デジタル画像信号に対応して強度変調されたレーザー光を出力し、該レーザー光で上記電子写真感光体31の一様帯電面を走査露光Lする。この走査露光光Lにより電子写真感光体31の表面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0182】
38は熱定着方式などの定着手段である。電子写真感光体31と転写ローラー37との間の転写当接部bに給紙されて電子写真感光体31側のトナー画像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体31の表面から分離されてこの定着手段38に導入され、トナー画像の定着を受けて画像形成物(プリント・コピー)として装置外へ排出される。S3は転写ローラー37に転写バイアスを印加する電源である。
【0183】
39はプロセスカートリッジである。この実施形態においては、電子写真感光体、帯電手段および現像手段が一体に支持されている。プロセスカートリッジ39は、電子写真装置に設けられたレール40などの案内手段により、電子写真装置本体に着脱自在となっている。
【0184】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
【0185】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、実施例中の「部」、「%」は、それぞれ質量部、質量%を示す。
【0186】
(実施例1)
導電性支持体としてのφ30mm×261mmのアルミニウムシリンダー上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)の5質量%メタノール溶液を浸漬塗布法で塗布し、乾燥することによって、膜厚が0.5μmの結着層を形成した。
【0187】
次に、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶2部とポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)1部をシクロヘキサノン120部に添加し、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散し、更に酢酸エチル120部を加えて希釈して電荷発生層用塗工液を調製した。この電荷発生層用塗工液を上記結着層上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥することによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0188】
図5に上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図を示す。粉末X線回折の測定にはCuKα線を用い、次の条件で行った。
【0189】
使用測定機:マック・サイエンス社製、全自動X線回折装置MXP18
X線管球:Cu
管電圧:50kV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:2deg./min
サンプリング間隔:0.020deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):40deg.
ダイバージェンススリット:0.5deg.
スキャッタリングスリット:0.5deg.
レシービングスリット:0.3deg.
湾曲モノクロメーター使用
次いで、電荷輸送物質として下記式で示される化合物10部及び結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン60部及びテトラヒドロフラン(THF)60部に溶解して電荷輸送層用塗工液を調製した。
【0190】
【外30】
【0191】
この溶液の粘度は、170mPa・sであった。この電荷輸送層用塗工液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、105℃で1時間乾燥することによって、電荷輸送層を形成した。浸漬塗布は、シリンダーを下端から浸漬し始め、上端から2mmの位置まで浸漬し、その位置から180mm/minの速さで引き上げることによって行った。
【0192】
保護層の膜厚制御の基準にするため、得られた電荷輸送層のシリンダー上端から12mm(電荷輸送層塗布上端から10mm)及び中央部である130.5mmの位置の膜厚を瞬間マルチ測光システムMCPD−2000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。それぞれの位置で周方向に4点測定し、それらの平均値を求めたところ、17.2μm及び20.2μmであった。
【0193】
次に、下記式で示される化合物で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微粒子20部、
【外31】
【0194】
メチルハイドロジェンシリコーンオイル(商品名:KF99、信越化学(株)製)で表面処理した(処理量20%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子30部及びエタノール170部を、サンドミル装置にて66時間かけて分散を行い、更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)20部を加えて2時間分散を行った。その後、レゾール型熱硬化型フェノール樹脂(商品名:PL−4804、アミン系化合物を含む、群栄化学工業(株)製)を樹脂成分として30部溶解し、調合液1とした。前述の電荷輸送層の膜厚の差を考慮して、調合液1を固形分23.4%となるようにエタノールで希釈し、調合液2とした。
【0195】
この調合液2を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、145℃で1時間乾燥することによって、保護層を形成した。浸漬塗布は、シリンダーを下端から浸漬し始め、上端から3mmの位置まで浸漬し、その位置から引き上げることによって行った。引き上げる際の速度は、引き上げ開始から5秒間は230mm/min、その後の10秒間は220mm/min、その後の10秒間は210mm/minとし、その後塗布終了までは200mm/minで一定に保った。時間経過に対する支持体の上昇速度を示すグラフを図6に示す。
【0196】
得られた電子写真感光体をシリンダー上端から12mm(電荷輸送層塗布上端から10mm)、22mm、42mm、62mm、102mm及び中央部である130.5mmの位置の膜厚(中央部のみ4点)の位置をマークして、それを含む形で約5mm角を切り取り、FIB(日立製作所(株))を用いて表面保護層、感光層、結着層までエッチングし、サンプルを45°に傾けて観察し、角度補正を行って、保護層及び電荷輸送層の膜厚を測定した。中央部のみは4点について測定を行い、それらの平均値を膜厚とした。
【0197】
その結果、電荷輸送層の膜厚は、端部に近い方から、17.2μm、18.3μm、18.9μm、19.4μm、19.8μm及び20.2μm(中央部)であった。同様に、保護層の膜厚は、1.84μm、1.96μm、2.03μm、2.10μm、2.14μm及び2.20μm(中央部)であった。本実施例においては代表点5点においてのみ膜厚の測定を行ったが、製造方法を考慮すれば、a0、a、b0及びbが式(1)及び(2)を満足するか否かを判断するにはこれら5点での測定だけでも十分である。
【0198】
一方、上述のようにして得た電子写真感光体を上記実施形態1と同様の電子写真システムである電子写真装置(商品名:レーザージェット4000、ヒューレットパッカード(株)製)の改造機に搭載し、画像を評価した。主な改造点は、シリンダー上端から12mmの位置から画像を形成するようにしたところである。レーザーの光量は、導電性支持体の母線方向における中央部で明部電位Vl(V)が−150(V)になるように設定し、初期と5000枚耐久後の1200dpiのハーフトーン画像を目視にて評価した。耐久時には印字率6%の文字画像を用い、評価時には1200dpiの1ドットの黒が1ドットの白で囲まれている状態が連続している、所謂1ドット1スペースのハーフトーン画像を用いた。結果を表1に示す。
【0199】
(実施例2)
電子写真装置を実施形態2に示すように改造して用いた実施例1と同様にして電子写真感光体を評価した。
【0200】
帯電ローラーは、芯金上にゴムの中抵抗層を形成することにより作製した。中抵抗層は、ウレタン樹脂、導電性粒子(カーボンブラック)、硫化剤及び発泡剤などを用いて、芯金の上にローラー状に成形した後、表面を研磨することによって形成し、直径を12mm、長手方向の長さを230mmとした。このローラーの抵抗を測定したところ100kΩであった。抵抗はローラーの芯金に総圧1kgの荷重がかかるように電子写真感光体に圧着した状態で、芯金と導電性支持体に100Vの直流電圧を印加することによって測定した。
【0201】
本例では、帯電ローラーと電子写真感光体との接触部の幅は3mmであった。この接触部において帯電ローラー表面と感光体表面と互いに逆方向に移動するように、帯電ローラーをおよそ1.33Hzで矢印の時計方向に回転駆動させた。即ち、帯電ローラーの表面は電子写真感光体の表面に対して速度差をもたせるようにした。
【0202】
帯電粒子としては、比抵抗が106Ω・cmで、二次凝集体を含めた平均粒径が3μmである導電性酸化亜鉛粒子を用いた。また、帯電粒子の供給手段は、規制ブレードを電子写真感光体に当接させ、電子写真感光体と規制ブレードの間に帯電粒子を保持する構成とした。これにより、電子写真感光体の回転に伴って一定量の帯電粒子が帯電ローラーに塗布される。
【0203】
帯電ローラーへの印加電圧は、DCのみで−600Vとした。このときの電子写真感光体の暗部電位Vdは、−580(V)であった。
【0204】
また、クリーニングブレードは取り外し、クリーナーレスプロセスとし、転写後の残留トナーなどは現像器で回収するようにした。
【0205】
結果を表1に示す。
【0206】
(実施例3及び4)
保護層の結着樹脂をフェノール樹脂からメチルフェニルポリシロキサン(KF−50700CS:信越化学工業(株)製)に変え、ポリテトラフルオロエチレン微粒子を小粒径シリコーン樹脂粒子(平均粒径0.2μm)に変え、浸漬塗布時のシリンダーの上昇速度を図10に示すように、初期は240mm/minとし、その後、徐々に速度を下げて25秒後に200mm/minとなるように変化させ、その後は塗布終了まで200mm/minで一定に保った以外は実施例1及び2と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0207】
なお、保護層の膜厚は、実施例1及び2と同様の位置において2.08μm、2.12μm、2.15μm、2.17μm、2.18μm及び2.20μm(中央部)であった。
【0208】
(実施例5及び6)
保護層用調合液2の固形分を22.2%に変え、保護層を浸漬塗布する際のシリンダーの上昇速度を、初期は290mm/minとし、その後徐々に速度を下げて25秒後に250mm/minとなるように変化させ、その後は塗布終了まで250mm/minで一定に保った以外は実施例3及び4と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0209】
なお、保護層の膜厚は、実施例3及び4と同様の位置において1.49μm、1.69μm、1.80μm、1.90μm、1.97μm及び2.05μm(中央部)であった。
【0210】
(実施例7及び8)
保護層を浸漬塗布する際のシリンダーの上昇速度を、初期は240mm/minとし、その後の15秒間は240mm/minを保ち、その後は塗布終了まで200mm/minで一定に保った以外は実施例3及び4と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0211】
なお、保護層の膜厚は、実施例3及び4と同様の位置において2.11μm、2.14μm、2.16μm、2.17μm、2.18μm及び2.20μm(中央部)であった。
【0212】
(実施例9及び10)
保護層を浸漬塗布する際のシリンダーの上昇速度を、初期は270mm/minとし、その後徐々に速度を下げて25秒後に250mm/minとなるように変化させ、その後は塗布終了まで250mm/minで一定に保った以外は実施例7及び8と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。結果を表1に示す。
【0213】
なお、保護層の膜厚は、実施例7及び8と同様の位置において1.27μm、1.53μm、1.68μm、1.82μm、1.94μm及び2.05μm(中央部)であった。
【0214】
(比較例1及び2)
保護層を浸漬塗布する際のシリンダーの上昇速度を、250mm/minで一定とした以外は、実施例5及び6と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0215】
なお、保護層の膜厚は、実施例5及び6と同様の位置において1.15μm、1.43μm、1.58μm、1.75μm、1.92μm及び2.05μm(中央部)であった。
【0216】
(比較例3及び4)
電荷輸送層及び保護層を下記のようにして形成した以外は実施例3及び4と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。
【0217】
まず、導電性支持体としてのアルミニウムシリンダーの長さを261mmから359mmと長くした。
【0218】
また、電荷輸送層の浸漬塗布を、シリンダーを下端から浸漬し始め、上端から100mmの位置まで浸漬し、その位置から実施例3と同様にして引き上げた。更に、保護層の浸漬塗布を、シリンダーを下端から浸漬し始め、シリンダー上端から2mmの位置まで浸漬し、その位置から200mm/minの一定の速度で引き上げることによって行った。
【0219】
得られた電子写真感光体の電荷輸送層が塗布されていない部分をシリンダー上端から98mmの位置でカットして、261mmの長さにした。
【0220】
電荷輸送層の膜厚は、実施例3と同様の位置において17.1μm、18.1μm、18.8μm、19.3μm、19.8μm及び20.2μm(中央部)であった。同様に、保護層の膜厚は、2.19μm、2.19μm、2.19μm、2.20μm、2.20μm及び2.20μm(中央部)であった。
【0221】
結果を表1に示す。
【0222】
(実施例11)
電荷輸送層に用いる結着樹脂をビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:Z−400、三菱ガス化学(株)製)12部に変え、保護層を下記のようにして形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。
【0223】
電荷輸送物質として前記化合物例No.8で示される化合物30部及び樹脂成分としてレゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852、アミン系化合物を含む、群栄化学工業(株)製)30部をエタノール220部に溶解し、保護層用調合液3とした。更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)20部をエタノール20部中にマイクロフルイタイザーで分散した溶液を調合液3に添加し、調合液4とした。
【0224】
この調合液4を用い、浸漬塗布時のシリンダーの上昇速度を、初期から10秒間は230mm/minで一定に保ち、その後の10秒間は210mm/minで保ち、その後は塗布終了まで200mm/minで一定に保った。
【0225】
電荷輸送層の膜厚は、実施例1と同様の位置において15.3μm、16.5μm、17.1μm、17.5μm、17.7μm及び18.2μm(中央部)であった。同様に、保護層の膜厚は、2.94μm、3.01μm、3.05μm、3.07μm、3.09μm及び3.12μm(中央部)であった。
【0226】
結果を表1に示す。
【0227】
(実施例12)
レゾール型フェノール樹脂PL−4852をレゾール型フェノール樹脂PL−5294(アルカリ金属含有、群栄化学工業(株)製)に変えた以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0228】
保護層の膜厚は、実施例11と同様の位置において2.27μm、2.57μm、2.76μm、2.89μm、3.00μm及び3.12μm(中央部)であった。
【0229】
(実施例13)
保護層の結着樹脂をエポキシ樹脂に変え、更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子をアルミナ微粒子(粒径0.2μm)に変えた以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0230】
保護層の膜厚は、実施例11と同様の位置において3.74μm、3.80μm、3.82μm、3.85μm、3.87μm及び3.92μm(中央部)であった。
【0231】
(実施例14)
保護層を下記のようにして形成した以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。
【0232】
保護層の結着樹脂をポリウレタン樹脂(関西ペイント(株)製:レタン6000)に変え、溶剤をTHFに変え、硬化剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン(株)製)を3.5部を添加し、更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子をシリコーン微粒子(平均粒径0.25μm)に変えて、THFを50部添加して保護層用調合液を作成した。
【0233】
この調合液を用い、浸漬塗布時のシリンダーの上昇速度を、初期は250mm/minとし、その後徐々に速度を下げて60秒後に200mm/minになるように変化させ、その後は塗布終了まで200mm/minで一定に保った。
【0234】
保護層の膜厚は、実施例11と同様の位置において3.27μm、4.10μm、4.57μm、4.89μm、5.06μm及び5.50μm(中央部)であった。
【0235】
結果を表1に示す。
【0236】
(比較例5)
保護層を浸漬塗布する際のシリンダーの上昇速度を、初期は170mm/minとし、その後徐々に速度を上げて40秒後に190mm/minとなるように変化させ、その後は塗布終了まで200mm/minで一定に保った以外は実施例14と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0237】
保護層の膜厚は、実施例11と同様の位置において3.01μm、3.85μm、4.23μm、4.56μm、4.95μm及び5.50μm(中央部)であった。
【0238】
(比較例6)
下記のようにして電荷輸送層及び保護層を形成した以外は実施例13と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。
【0239】
まず、導電性支持体としてのアルミニウムシリンダーの長さを261mmから359mmと長くした。
【0240】
また、電荷輸送層の浸漬塗布を、シリンダーを下端から浸漬し始め、上端から100mmの位置まで浸漬し、その位置から実施例13と同様にして引き上げた。更に、保護層の浸漬塗布を、シリンダーを下端から浸漬し始め、シリンダー上端から2mmの位置まで浸漬し、その位置から200mm/minの一定の速度で引き上げることによって行った。
【0241】
得られた電子写真感光体の電荷輸送層が塗布されていない部分をシリンダー上端から98mmの位置でカットして、261mmの長さにした。
【0242】
電荷輸送層の膜厚は、実施例13と同様の位置において15.1μm、16.2μm、16.9μm、17.2μm、17.4μm及び18.2μm(中央部)であった。同様に、保護層の膜厚は、3.89μm、3.89μm、3.90μm、3.91μm、3.91μm及び3.92μm(中央部)であった。
【0243】
結果を表1に示す。
【0244】
(比較例7)
保護層を形成しなかった以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0245】
(実施例15)
保護層に用いる電荷輸送物質を化合物例No.8から化合物例No.18に変えた以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0246】
なお、保護層の膜厚は、実施例11と同様の位置において2.85μm、2.91μm、2.95μm、2.98μm、3.00μm及び3.12μm(中央部)であった。
【0247】
(実施例16)
保護層に用いる電荷輸送物質を化合物例No.8から化合物例No.27に変え、保護層を浸漬塗布する際のシリンダーの上昇速度を、初期は250mm/minとし、その後の5秒間は250mm/minで一定とし、その後徐々に速度を下げて60秒後に200mm/minとなるように変化させ、その後は塗布終了まで200mm/minで一定に保った以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0248】
なお、保護層の膜厚は、実施例11と同様の位置において3.52μm、3.69μm、3.75μm、3.80μm、3.85μm及び3.92μm(中央部)であった。
【0249】
(実施例17)
保護層に用いる電荷輸送物質を化合物例No.8から化合物例No.36に変え、保護層を浸漬塗布する際のシリンダーの上昇速度を、初期は230mm/minとし、その後の20秒間は230mm/minで一定に保ち、その後は塗布終了まで210mm/minで一定に保った以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0250】
なお、保護層の膜厚は、実施例11と同様の位置において3.23μm、3.38μm、3.40μm、3.42μm、3.45μm及び3.53μm(中央部)であった。
【0251】
(実施例18)
保護層に用いる電荷輸送物質を化合物例No.36から化合物例No.47に変えた以外は実施例17と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0252】
なお、保護層の膜厚は、実施例17と同様の位置において3.15μm、3.25μm、3.35μm、3.45μm、3.55μm及び3.62μm(中央部)であった。
【0253】
(実施例19)
保護層に用いる電荷輸送物質を化合物例No.36から化合物例No.57に変えた以外は実施例17と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0254】
なお、保護層の膜厚は、実施例17と同様の位置において3.02μm、3.15μm、3.24μm、3.30μm、3.35μm及び3.42μm(中央部)であった。
【0255】
【表1】
【0256】
【表2】
【0257】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、将来の高画質化にも対応できるわずかな画像濃度の差もなく、高安定で良好な画像を得ることができる電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電子写真感光体を母線方向に切断したときの断面の模式図である。
【図2】本発明にかかる電子写真感光体の層構成の一例を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを具備した電子写真装置である実施形態1の概略構成を示す図である。
【図4】本発明にかかる電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを具備した電子写真装置である実施形態2の概略構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施例に用いたヒドロキシガリウムフタロシアニンのCuKαの特性X線回折図である。
【図6】実施例1において保護層を塗布する際の、時間経過に対する支持体の上昇速度を示すグラフである。
【図7】保護層を塗布する際の、時間経過に対する円筒形支持体の上昇速度の変化を示すグラフである。
Claims (13)
- 導電性支持体、電荷発生層、電荷輸送層及び保護層をこの順に有する電子写真感光体において、
該導電性支持体の母線方向の中央部における電荷輸送層の膜厚a0(μm)、該導電性支持体の母線方向の中央部における保護層の膜厚b0(μm)、該中央部以外の電荷輸送層の膜厚a(μm)及び該中央部以外の保護層の膜厚b(μm)が、0.8(μm)≦(a0−a)≦3.0(μm)を満足する領域において、下記式(1)を満足することを特徴とする電子写真感光体。
b0×(a/a0)3≦b(μm)≦b0×(a/a0)1/4・・・(1) - a0(μm)、b0(μm)、a(μm)及びb(μm)が、0.8(μm)≦(a0−a)≦3.0(μm)を満足する領域において、下記式(2)を満足する請求項1に記載の電子写真感光体。
b0×(a/a0)2≦b(μm)≦b0×(a/a0)1/3・・・(2) - 前記a 0 、a、b 0 及びbが、0.5(μm)≦(a 0 −a)<0.8(μm)を満足する領域においても、前記式(1)を満足する請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- b0(μm)が0.5〜5.5μmである請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- a0(μm)が5〜40μmである請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 保護層が結着樹脂と、導電性粒子及び電荷輸送物質の少なくとも一方とを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 結着樹脂が硬化性樹脂である請求項6に記載の電子写真感光体。
- 硬化性樹脂がフェノール樹脂である請求項7に記載の電子写真感光体。
- 電荷輸送物質が分子内にヒドロキシル基を少なくとも1つ有する化合物である請求項6〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
- ヒドロキシル基がヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシル基またはヒドロキシフェニル基である請求項9に記載の電子写真感光体。
- 分子内にヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシル基またはヒドロキシフェニル基を少なくとも1つ有する化合物が下記式(2)〜(7)で示される請求項10に記載の電子写真感光体。
【外1】
(式(2)中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。α、β及びγのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。a、b、d、m及びnは、それぞれ独立に、0または1を示す。)
【外2】
(式(3)中、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。δ及びεのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。e、f及びgは、それぞれ独立に、0または1を示す。p、q及びrは、それぞれ独立に、0または1であるが、総てが同時に0になることはない。Z31及びZ32は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示し、または、共同で環をなしてもよい。)
【外3】
(式(4)中、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。ζ、η、θ及びιのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。h、i、j、k、s、t及びuは、それぞれ独立に、0または1を示す。Z41及びZ42は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示し、または、共同で環をなしてもよい。)
【外4】
(式(5)中、R51は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R52は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar51及びAr52は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。Ar53は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。v及びwは、それぞれ独立に、0または1を示す。ただし、v=0のときは、w=0である。κ及びλのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよい。)
【外5】
(式(6)中、R61は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar61及びAr62は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。xは、0または1を示す。μ及びνのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよいし、また、μとνのベンゼン環は、置換基を介して共同で環をなしてもよい。)
【外6】
(式(7)中、R71及びR72は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar71は、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。y及びzは、それぞれ独立に、0または1を示す。ξ、π、ρ及びσのベンゼン環は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシル基、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を置換基として有してもよいし、ξとπのベンゼン環、及び、ρとσのベンゼン環は、それぞれ独立に、置換基を介して共同で環をなしてもよい。) - 請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を具備することを特徴とする電子写真装置。
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