JP3984832B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは、特定の樹脂を含有する保護層を有し、かつ、特定の構造の結着樹脂を電荷輸送層に有する電子写真感光体、この電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、安全性が高い、生産性に優れる及び安価である等の利点から、有機光導電性物質を用いた電子写真感光体の研究開発が活発に行われ、これ迄に数多くの提案がされ、実用化されてきている。
【0003】
初期の有機光導電性電子写真感光体である、ポリ−N−ビニルカルバゾールに代表される光導電性ポリマーと、2,4,7−トリニトロフルオレン等から形成される電荷移動錯体とを主成分とする電子写真感光体は、感度、耐久性及び残留電位等の点で必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
一方、電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれぞれ別々の物質に分担させた機能分離型の電子写真感光体が、従来の有機電子写真感光体の欠点とされていた感度や耐久性に著しい改善をもたらした。また、機能分離型の電子写真感光体は、電荷発生材料と電荷輸送材料の各々の材料選択範囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点を有している。
【0005】
電荷発生材料としては、種々のアゾ顔料、多環キノン顔料、フタロシアニン顔料、シアニン色素、スクエアリック酸染料及びピリリウム塩系色素等が知られている。電荷輸送材料としては、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物及びトリフェニルアミン化合物等が知られている。
【0006】
ところで、近年の高画質化及び高速・高耐久化に伴って、有機電子写真感光体にも更なる機械的耐久性の向上が求められている。
【0007】
また、近年、電子写真感光体を使用したプリンター、複写機及びファクシミリ等は多種多様な分野で使用されるようになり、より様々な環境においても常に安定した画像を提供することが更に厳しく要求されていて、感光層の表面特性に対する化学的、電気的、機械的衝撃に曝される可能性が高くなり、表面層に対する要求が厳しくなっている。
【0008】
電子写真感光体は、上述のような電気的及び機械的外力が直接加えられるために、それらに対する耐久性が求められている。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷の発生、また、帯電時に発生するオゾンやNOx等の活性物質の付着による表面層の劣化等に対する耐久性が要求される。
【0009】
電子写真感光体に要求される上記のような要求を満たすために、各種の保護層を設ける試みがなされている。なかでも、樹脂を主成分とする保護層は数多く提案されている。例えば、特開昭57−30846号公報には樹脂に導電性粉末として金属酸化物を添加することにより体積抵抗率を制御することのできる保護層が開示されている。
【0010】
また、特開平2−271363号公報及び特開平5−181299号公報には熱硬化性フェノール樹脂を保護層に使用することが開示され、特開平7−120956号公報には熱イオン重合性官能基を有する化合物を用いた保護層が開示され、特開平10−177268号公報、特開平10−239887号公報及び特開平10−228126号公報等にはイソシアネートを用いた保護層が開示され、特開平9−190004号公報及び特開2000−171990号公報等にはシロキサン系樹脂を用いた保護層が開示されている。
【0011】
このように生産性が良好で、電子写真感光体の耐久性を向上させることのできる保護層の検討は進められてはいるが、特に感光層上に硬化性の保護層を形成した電子写真感光体に関するさまざまな問題についてはまだ解決策が見出されていない。
【0012】
即ち、感光層上に更に硬化性の保護層を塗布して作製する電子写真感光体において、感光層と保護層の界面における電荷の移動がスムーズでないことによって、残留電位の上昇、繰り返し使用の耐久時の電位変動、電子写真感光体上への前サイクルの露光履歴が次サイクルの特にハーフトーン画像上に濃度差等として出てくる所謂ゴースト現象、また、デジタル化に対応した反転現像系の装置において、一次帯電と転写帯電が逆極性であるため転写の有無による帯電性が異なり、画像上濃度ムラが出る所謂転写メモリー現象が発生し、これらは硬化性の保護層を施した電子写真感光体で特に顕著となる。
【0013】
また、感光層上に溶剤を含む塗工液を塗布して製膜し、その後硬化を行う製造工程においては残留した溶剤と硬化の条件が重なって、感光層のソルベントクラックが問題となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題を解決するであり、感光層上に硬化性の保護層を設けることにより特に発生する残留電位の上昇が殆どなく、繰り返し使用の耐久時の電位変動が少なく、前サイクルの露光履歴が次サイクルの濃度変化として現れる所謂ゴースト現象の発生も殆どなく、反転現像系で問題となる転写メモリー現象の発生も殆どない電子写真感光体を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、感光層上に保護層を作製する際に特有に発生する感光層のクラックに対する耐ソルベントクラック性の高い電子写真感光体を提供することにある。
【0016】
本発明の更に別の目的は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した感光層及び保護層を順次積層してなる電子写真感光体において、該保護層が硬化性樹脂を含有し、該電荷輸送層が下記式(I)で示される重量平均分子量が20万以上である結着樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0018】
【化9】
【0019】
式(I)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ水素原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基を示す。0.8≧n/(n+m)≧0.4である。
【0020】
本発明に従って、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
上記のように、感光層上に硬化性の保護層を設けた電子写真感光体に顕著に発生する残留電位の上昇、繰り返し使用時の電位変動、ゴースト現象、転写メモリー現象、及び保護層成膜時に発生する感光層のクラックを改善することが本発明の主題である。
【0023】
本発明者等は鋭意検討した結果、これら硬化性の保護層を施す電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した感光層の電荷輸送層に用いる結着樹脂が特定の構造を有し、特定の分子量以上である時に上記の問題点を総合的に改善できることを見出した。
【0024】
そのメカニズムは完全に解明されていないが、電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した感光層の電荷輸送層を構成する結着樹脂を特定の構造にすることによって電荷輸送層と保護層の間の界面での電荷の移動がスムーズになることによって残留電位の低下、電位変動の改善、ゴーストやメモリーの改良ができたものと考えられる。また、分子量を特定の値以上にすることで結着樹脂の分子鎖間の相互作用が強くなって耐クラック性が良好になったものと考えられる。
【0025】
本発明の電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した感光層の電荷輸送層に用いられる結着樹脂は、式(I)で示される重量平均分子量が20万以上であることが必須であり、より好ましくは重量平均分子量が30万以上である。重量平均分子量が20万未満であると、電荷輸送層上に保護層を塗工する工程での、感光層のソルベントクラックの発生が顕著になる。
【0026】
また、本発明の電荷輸送層に用いられる結着樹脂は、式(I)で示されるnとmの関係が0.8≧n/(n+m)≧0.4であることが必須であり、より好ましくは0.8≧n/(n+m)≧0.6である。n/(n+m)<0.4であると、電荷輸送層中での電荷輸送能が著しく低下するばかりでなく、電荷輸送層から保護層への電荷の受け渡し効率が低下し、繰り返し使用時に残留電位が上昇する。
【0027】
本発明の保護層に用いられる結着樹脂は硬化性樹脂である。これは、低分子量のモノマーやオリゴマー等の混合物で適当な粘性を持つ液状物を原料とし、加熱や光照射等外部からエネルギーを与えることで付加、縮合等の反応が進行し、網状構造となって不溶不融の状態なる合成樹脂である。
【0028】
一般的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂及び尿素樹脂等が挙げられる。
【0029】
本発明においては、塗工液状態にして電荷輸送層上に塗工、製膜可能であれば、これら公知のいかなる硬化性樹脂の1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0030】
これらの中でも塗工性、製膜性及び製膜後の保護層としての強度、電子写真感光体としての利用性等の観点からフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂又はアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0031】
保護層を作製する際の塗工液に用いる希釈用溶剤は、メタノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール類、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル及び酢酸−n−ブチル等のエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン及びn−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類等、公知のいかなる溶剤を1種類又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0032】
これら溶剤の中でも、電荷輸送層の上に保護層を塗工する際に、電荷輸送層を溶解する等の悪影響を与えないと言う観点からアルコール類を主成分として用いることが好ましい。
【0033】
製造の際には、保護層を構成する硬化製樹脂はアルコール系溶剤に十分に溶解し、電荷輸送層を劣化させることない条件で容易に硬化するという観点から、硬化性樹脂の中でもフェノール樹脂を用いることがより好ましい。
【0034】
一般的にフェノール樹脂は、フェノール、クレゾール及びキシレノール等の各種フェノール類、又はビフェノール、ビスフェノールA及びビスフェノールF等の各種多価フェノール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類の反応によって得られる樹脂である。フェノール樹脂には2つの種類があり、フェノール類に対してホルムアルデヒドを過剰に用いてアルカリ触媒で反応させて得られるレゾール型と、ホルムアルデヒドに対してフェノール類を過剰に用いて酸触媒で反応させて得られるノボラック型に分けられる。
【0035】
本発明においてはこれら2種類のどちらを用いてもよいが、一液性であり、アルコール可溶性である、容易に硬化する等の点からレゾールタイプのフェノール樹脂を用いることがより好ましい。レゾールタイプは、アルコール類やケトン類の溶媒にも可溶であり、加熱することで3次元的に架橋重合して硬化物となる。本発明に用いるレゾール型フェノール樹脂は、アミン系化合物を用いて製造される樹脂が好ましく、該アミン系化合物が、2級若しくは3級アミン化合物であることがより好ましい。
【0036】
本発明の保護層はこれら硬化性樹脂を溶剤等で溶解又は希釈して得た塗工液を電荷輸送層上に塗工して成形するが、塗工後に重合反応が起きて硬化層を形成する。重合の形態として、加熱や光照射による付加及び縮合反応により進行し、保護層を塗工後必要に応じて塗工液溶媒の乾燥と樹脂の硬化工程を経て高分子硬化層を生成する。
【0037】
本発明の保護層には、硬化性樹脂と共に電荷輸送材料を含有することが好ましい。保護層に含有する電荷輸送材料としては、公知の各種トリアリールアミン系化合物、各種ヒドラゾン系化合物、各種スチリル系化合物、各種スチルベン系化合物、各種ピラゾリン系化合物、各種オキサゾール系化合物、各種チアゾール系化合物又は各種トリアリールメタン系化合物等を使用することができ、これらを1種類又は2種類以上を混合して用いてもよい。この際、電荷輸送材料は保護層用塗工液に溶解する化合物であることが好ましい。
【0038】
保護層に含有される電荷輸送材料としては、分子内にヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基及び置換基を有してもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも1つを有する化合物が好ましい。
【0039】
まず、本発明に用いられる電荷輸送材料のうち、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルコキシ基を有する電荷輸送材料は、下記式(1)〜(3)のいずれかで示される化合物であることが好ましい。
【0040】
【化10】
【0041】
式(1)中、R11、R12及びR13はそれぞれ炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、α、β及びγはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示し、a1、b1及びc1は1又は0であり、m1及びn1は0又は1である。
【0042】
【化11】
【0043】
式(2)中、R21、R22及びR23はそれぞれ炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、δ及びεはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示し、a2、b2及びc2は1又は0である。m2、n2及びp2は0又は1であり、総てが同時に0になることはない。τ及びυはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示す。なお、τとυは置換基を介して共同で環をなしてもよい。
【0044】
【化12】
【0045】
式(3)中、R31、R32、R33及びR34はそれぞれ炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、ζ、η、θ及びιはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示し、a3、b3、c3及びd3は1又は0であり、m3、n3及びp3は0又は1である。φ及びχはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示す。なお、φとχは置換基を介して共同で環をなしてもよい。
【0046】
なお、上記式(1)中のa1、b1及びc1、上記式(2)中のa2、b2及びc2、上記式(3)中のa3、b3、c3及びd3が0の時、上記式(1)〜(3)で示される構造を有する電荷輸送材料は、それらはヒドロキシアルキル基を有する電荷輸送材料であり、上記が1の時、それらはヒドロキシアルコキシ基を有する電荷輸送材料である。ヒドロキシアルキル基とヒドロキシアルコキシ基は同一分子内に混在してもよい。
【0047】
上記式(1)〜(3)における置換基等の構造について以下に詳しく説明する。
【0048】
式中、R11〜R13、R21〜R23、R31〜R34はそれぞれ炭素数1〜8の枝分かれしてもよい、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びブチレン等の2価の炭化水素基を示す。
【0049】
式中、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ及びιが示すベンゼン環が有してもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基又は置換基を有してもよいピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基等の複素環基を示す。
【0050】
式中、τ、υ、φ及びχが示すベンゼン環が有してもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基又は置換基を有してもよいピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基等の複素環基を示す。なお、τとυ、及び、φとχは共同でそれぞれが結合しているビフェニル骨格を介して、フルオレン骨格やジヒドロフェナントレン骨格等の環状構造を形成してもよい。
【0051】
式(1)〜(3)において有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等の芳香環基;メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基及びナフトキシ基等のアリールオキシ基;フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;ニトロ基及びシアノ基等が挙げられる。
【0052】
また、本発明に用いられる電荷輸送材料のうち、置換基を有してもよいヒドロキシフェニル基を有する電荷輸送材料は、下記式(4)〜(6)のいずれかで示される化合物であることが好ましい。
【0053】
【化13】
【0054】
式(4)中、R41は炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示し、R42は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。Ar41及びAr42は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を示す。Ar43は置換基を有してもよいアリーレン基又は2価の置換基を有してもよい複素環基を示す。m4及びn4はそれぞれ0又は1である。ただし、n4=0の時、m4=0である。κ及びλはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示す。
【0055】
【化14】
【0056】
式(5)中、R51は炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar51及びAr52は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を示す。μ及びνはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示す。なお、μとνは置換基を介して共同で環をなしてもよい。m5は0又は1である。
【0057】
【化15】
【0058】
式(6)中、R61及びR62はそれぞれ炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar61は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を示す。ξ、π、ρ及びσはそれぞれ置換基としてハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基を1つ以上有してもよいベンゼン環を示す。なお、ξとπ、及び、ρとσは置換基を介して共同で環をなしてもよい。m6及びn6はそれぞれ0又は1である。
【0059】
上記式(4)〜(6)における置換基等の構造について以下に詳しく説明する。
【0060】
式中、R41、R51、R61及びR62はそれぞれ炭素数1〜8の枝分かれしてもよい、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基等の2価の炭化水素基を示す。R42は水素原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基等のアラルキル基、又はフェニル基を示す。
【0061】
式中、κ、λ、μ、ν、ξ、π、ρ及びσが示すベンゼン環が有してもよい置換基としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基、又は置換基を有してもよいピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基等の複素環基を示す。また、μとν、ξとπ及びρとσは共同でそれぞれが結合している置換基等を介して、フルオレン骨格やジヒドロフェナントレン骨格等の環状構造を形成してもよい。
【0062】
式中、Ar41、Ar42、Ar51、Ar52及びAr61は置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基、置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基等のアラルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基等のアリール基、又は置換基を有してもよいピリジル基、チエニル基、フリル基及びキノリル基等の複素環基を示す。Ar43は置換基を有してもよいフェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基及びピレニレン基等のアリーレン基、ピリジレン基、又はチエニレン基等の2価の複素環基を示す。
【0063】
式(4)〜(6)において有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基及びジベンゾチオフェニル基等の芳香環基;メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びナフトキシ基等のアリールオキシ基;フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;ニトロ基及びシアノ基等が挙げられる。
【0064】
以下に、本発明で用いられる式(1)〜(6)で示される電荷輸送材料の具体例を示す。ただし、本発明の電荷輸送材料はこれらに限定されるものではない。
【0065】
【化16】
【0066】
【化17】
【0067】
【化18】
【0068】
【化19】
【0069】
【化20】
【0070】
【化21】
【0071】
【化22】
【0072】
【化23】
【0073】
【化24】
【0074】
【化25】
【0075】
【化26】
【0076】
【化27】
【0077】
【化28】
【0078】
これらの化合物例の中でも、No.3、4、5、8、11、12、13、17、21、24、25、26、27、28、30、31、34、35、39、48、49、50、52、55、56、58及び59が好ましく、特に好ましくはNo.3、8、12、25、31、39、49及び56である。
【0079】
本発明の保護層は、硬化性樹脂と共に導電性粒子を含有することが好ましい。
【0080】
保護層に用いられる導電性粒子としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウム及びカーボンブラック等が挙げられる。
【0081】
本発明においては、上述した導電性粒子の中でも透明性の点で金属酸化物を用いることが好ましい。更に、これら金属酸化物の中でも酸化スズを用いることが特に好ましい。酸化スズは、分散性や液安定性を改良する目的で後述の表面処理されていてもよく、抵抗制御性を良くする目的でアンチモンやタンタルをドープされていてもよい。
【0082】
本発明において用いられる導電性粒子の平均粒径は、保護層の透明性の点で0.3μm以下が好ましく、特には0.1μm以下が好ましい。
【0083】
本発明の保護層は、トナーの離型性、滑り性等表面性の改質のために潤滑性粒子を含有することが好ましく、特にはフッ素原子含有樹脂粒子、シリカ粒子、シリコーン樹脂粒子及びアルミナ粒子が好ましく、更に好ましくはフッ素原子含有樹脂粒子である。更に、これらを2種以上混合してもよい。
【0084】
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。これらの中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。樹脂粒子の分子量分布や粒径は、適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0085】
また、シリカ粒子及びアルミナ粒子等の無機粒子は、粒子単独としては潤滑性粒子として働かないかもしれないが、これらを分散、添加することにより、保護層の表面粗さが大きくなり、結果的に保護層の潤滑性が増すことが、本発明者等の検討で明らかになっている。ここでいう潤滑性粒子とは、潤滑性を付与する粒子を含めて表している。
【0086】
本発明で用いられる導電性粒子や潤滑性粒子は溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター及びロールミル等の公知の分散方法により十分に分散し、保護層用塗工液とする。
【0087】
このフッ素原子含有樹脂を導電性粒子と共に樹脂溶液中で相互の粒子を凝集させないように、フッ素原子含有化合物を導電性粒子の分散時に添加したり、また、導電性粒子の表面をフッ素原子含有化合物で表面処理するとよい。フッ素原子含有化合物を添加又は導電性粒子に表面処理を行うことにより、フッ素原子含有化合物のない場合に比べて、樹脂溶液中での導電性粒子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性及び分散安定性が格段に向上した。また、フッ素原子含有化合物を添加し導電性粒子を分散した液、又は表面処理を施した導電性粒子を分散した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散することによって分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも非常に安定した分散性の良好な塗工液が得られる。
【0088】
フッ素原子含有化合物としては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。表1〜表3に好ましい化合物例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
導電性粒子の表面処理方法としては、導電性粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、表面処理剤を導電性粒子表面に付着させる。分散の方法としては、ボールミルやサンドミル等の通常の分散手段を用いることができる。次に、この分散溶液から溶剤を除去し、導電性粒子表面に固着させればよい。また、必要に応じて、この後に更に熱処理を行ってもよい。また、処理液中には反応促進のための触媒を添加することもできる。更に、必要に応じて表面処理後の導電性粒子に更に粉砕処理を施すことができる。
【0093】
導電性微粒子に対するフッ素原子含有化合物の割合は、粒子の粒径、形状及び表面積等に影響を受けるが、表面処理済みの導電性粒子全質量に対し、1〜65質量%が好ましく、特には1〜50質量%である。
【0094】
更に、本発明においては、より環境安定性のある保護層とするために、下記式(7)で示されるシロキサン化合物を導電性粒子分散時に添加したり、又は下記式(7)で示されるシロキサン化合物で表面処理を施した導電性粒子を混合したりすることが好ましい。
【0095】
【化29】
【0096】
式中、Aは水素原子又はメチル基であり、かつ、Aの全部における水素原子の割合は0.1〜50%の範囲、nは0以上の整数である。
【0097】
このシロキサン化合物を添加後分散した塗工液、又はこれを表面処理した導電性金属酸化物微粒子を溶剤に溶かした結着樹脂中に分散することによって、分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも安定した分散性の良好な塗工液が得られ、更にこの塗工液より形成した保護層は透明性が高く、耐環境性に特に優れた膜が得られる。
【0098】
上記式(7)で示されるシロキサン化合物の分子量は、特に制限されるものではないが、表面処理をする場合は、その容易さからは粘度が高過ぎない方がよく、重量平均分子量で数百〜数万程度が適当である。
【0099】
表面処理の方法としては、湿式と乾式の二通りがある。湿式処理では、導電性金属酸化物粒子を上記式で示されるシロキサン化合物とを溶剤中で分散し、該シロキサン化合物を粒子表面に付着させる。分散の手段としては、ボールミルやサンドミル等の一般の分散手段を使用することができる。次に、この分散溶液を導電性金属酸化物粒子表面に固着させる。この熱処理においては、シロキサン中のSi−H結合が熱処理過程において空気中の酸素によって水素原子の酸化が起こり、新たなシロキサン結合ができる。その結果、シロキサンが三次元構造にまで発達し、導電性金属酸化物粒子表面がこの網状構造で包まれる。このように表面処理は、該シロキサン化合物を導電性金属酸化物粒子表面に固着させることによって完了するが、必要に応じて処理後の微粒子に粉砕処理を施してもよい。
【0100】
乾式処理においては、溶剤を用いずにシロキサン化合物と導電性金属酸化物粒子とを混合し混練を行うことによってシロキサン化合物を粒子表面に付着させる。その後は、湿式処理と同様に熱処理、粉砕処理を施して表面処理を完了する。
【0101】
本発明の保護層の塗布方法としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピンナー塗布法、ローラー塗布法、マイヤーバー塗布法及びブレード塗布法等の一般的な塗工方法を用いることができる。
【0102】
本発明の保護層は硬化反応を起こし高い強度を達成できる保護層である。硬化の形態は、熱や光等いかなる工程でもよい。熱硬化によって作製される場合、保護層塗布後の溶剤乾燥時に強加熱して同時に行うこともできる。従って、乾燥及び硬化温度は樹脂の種類によっても異なるが、70℃〜300℃が好ましく、更には90℃〜200℃の範囲の温度で乾燥することが好ましい。乾燥時間は5分〜5時間が好ましく、より好ましくは10分〜2時間の範囲で送風乾燥又は静止乾燥下で行うことができる。
【0103】
本発明の保護層の膜厚は、薄過ぎると電子写真感光体の耐久性を損ない、厚過ぎると保護層を設けたことによる残留電位が上昇し過ぎるため、適度な厚さにする必要がある。具体的には0.1μm〜15μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5μm〜7μmの範囲である。
【0104】
本発明においては、前記保護層中に、帯電時に発生するオゾンやNOx等の活性物質の付着による表面層の劣化等を防止する目的で、酸化防止剤等の添加材を加えてもよい。
【0105】
次に、感光層について以下に説明する。
【0106】
本発明の電子写真感光体は、主に積層型構造を有し、図1(a)の様に、導電性支持体4の上に電荷発生層3、電荷輸送層2をこの順に設け、更に最表面に保護層1を設けるものである。また、図1(b)及び(c)の様に導電性支持体と電荷発生層の間に、結着層5、更には干渉縞防止等を目的とする下引き層6を設けてもよい。
【0107】
導電性支持体4としては、支持体自身が導電性を持つもの、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等を用いることができ、その他にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金等を真空蒸着によって被膜形成された層を有する前記導電性支持体やプラスチック、導電性微粒子(例えば、カーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン及び銀粒子等)を適当なバインダーと共にプラスチックや紙に含浸した支持体、導電性バインダーを有するプラスチック等を用いることができる。
【0108】
また、導電性支持体と感光層の間には、バリアー機能と接着機能を持つ結着層(接着層)を設けることができる。結着層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。結着層には、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン又は酸化アルミニウム等によって形成できる。結着層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。
【0109】
本発明に用いられる電荷発生材料としては、(1)モノアゾ、ジスアゾ及びトリスアゾ等のアゾ系顔料、(2)金属フタロシアニン及び非金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、(3)インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ系顔料、(4)ペリレン酸無水物及びペリレン酸イミド等のペリレン系顔料、(5)アンスラキノン及びピレンキノン等の多環キノン系顔料、(6)スクワリリウム色素、(7)ピリリウム塩及びチアピリリウム塩類、(8)トリフェニルメタン系色素、(9)セレン、セレン−テルル及びアモルファスシリコン等の無機物質、(10)キナクリドン顔料、(11)アズレニウム塩顔料、(12)シアニン染料、(13)キサンテン色素、(14)キノンイミン色素、(15)スチリル色素、(16)硫化カドミウム及び(17)酸化亜鉛等を用いることができる。
【0110】
積層型電子写真感光体の場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独、混合あるいは共重合体ポリマーとして1種又は2種以上用いることができる。
【0111】
電荷発生層用塗工液に用いる溶剤は、使用する樹脂や電荷発生材料の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類又は芳香族化合物等を用いることができる。
【0112】
電荷発生層は、前記の電荷発生材料を0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミル等の方法で十分に分散し、塗布、乾燥されて形成される。その厚みは、5μm以下が好ましく、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。
【0113】
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び公知の電荷発生材料を必要に応じて添加することもできる。
【0114】
本発明において、感光層に用いられる電荷輸送材料として、公知の電荷輸送剤である各種トリアリールアミン系化合物、各種ヒドラゾン系化合物、各種スチリル系化合物、各種スチルベン系化合物、各種ピラゾリン系化合物、各種オキサゾール系化合物、各種チアゾール系化合物及び各種トリアリールメタン系化合物等が挙げられ、これらを1種類又は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0115】
積層型電子写真感光体の場合、電荷輸送層を形成するのに用いられる結着樹脂としては、本発明の上記式(I)で示される重量平均分子量が20万以上である結着樹脂を含有する。
【0116】
電荷輸送層は、一般的には前記の電荷輸送材料と上記式(I)で示される重量平均分子量が20万以上である結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送材料と結着樹脂との混合割合は2:1〜1:2程度である。
【0117】
電荷輸送材料/結着樹脂比は、高いほど電子写真感光体としての特性は良くなるが、一方ではこの比が高いほど電荷輸送層のクラックや電荷輸送材料の析出といった製膜上の欠陥が発生する可能性が高くなる。特に、本発明のように電荷輸送層の上に更に保護層を製膜しようとした際にはこれらの欠陥が顕著となる。
【0118】
電荷輸送層を作製する際の溶剤としては、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル及び酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル及びジイソプロピルエーテル等のエーテル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、クロロホルム及び四塩化炭素等の塩素系炭化水素類等が用いられる。
【0119】
電荷輸送層用塗工液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法又はスピンナー塗布法等の塗布法を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃が好ましく、より好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で、5分〜5時間が好ましく、より好ましくは10分〜2時間の時間で送風乾燥又は静止乾燥下で行うことができる。
【0120】
電荷輸送層は、上述の電荷発生層と電気的に接続されており、電界の存在下で電荷発生層から注入された電荷キャリアを受け取ると共に、これらの電荷キャリアを保護層との界面まで輸送する機能を有している。この電荷輸送層は電荷キャリアを輸送する限界があるので必要以上に膜厚を厚くすることができないが、5〜40μmが好ましく、特には7〜30μmの範囲が好ましい。
【0121】
電荷輸送層が感光層の最上層の場合、本発明では更に、この電荷輸送層の上に前記保護層を塗布、硬化させて成膜することで作製される。その際には電荷輸送層に用いる結着樹脂が重量平均分子量において本発明の示す範囲でなくてはならない。
【0122】
本発明に用いる電荷輸送層の結着樹脂の分子量は、本発明の通り、一定の値以上にすることが必要であるが、電荷輸送層を塗工する際の操作性を考えて、闇雲に分子量を高くすればよいわけではなく、おおよそ、重量平均分子量で80万以下にすることが好ましく、60万以下にすることが更に好ましい。
【0123】
更に、感光層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤及び公知の電荷輸送材料を必要に応じて添加することもできる。
【0124】
本発明の電荷輸送層に用いられる結着樹脂の重量平均分子量の測定法は、公知の方法を用いて測定することができる。
【0125】
図2に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0126】
図2において、11はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸12を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体11は、回転過程において、一次帯電手段13によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光14を受ける。こうして電子写真感光体11の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0127】
形成された静電潜像は、次いで現像手段15によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体11と転写手段16との間に電子写真感光体11の回転と同期して取り出されて給送された転写材17に、電子写真感光体11の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段16により順次転写されていく。
【0128】
トナー画像の転写を受けた転写材17は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段18へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0129】
像転写後の電子写真感光体11の表面は、クリーニング手段19によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光20により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段13が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0130】
本発明においては、上述の電子写真感光体11、一次帯電手段13、現像手段15及びクリーニング手段19等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段13、現像手段15及びクリーニング手段19の少なくとも1つを電子写真感光体11と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段22を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ21とすることができる。
【0131】
また、露光光14は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0132】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
【0133】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明の実施の形態は、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0134】
(実施例1)
長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、加熱乾燥して、膜厚が0.5μmの下引き層を設けた。
【0135】
次に、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料4部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学工業(株)製)2部、シクロヘキサノン80部からなる混合溶液をサンドミルで3時間分散した後、酢酸エチル100部を加えて電荷発生層用塗工液を調製した。この塗工液を上記下引き層を形成させたアルミニウム支持体上に浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
【0136】
次に、下記式(8)で示される電荷輸送材料7部と、
【0137】
【化30】
【0138】
前記式(I)におけるn/(n+m)=0.8である、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(重量平均分子量:420000)10部をモノクロロベンゼン70部/ジメトキシメタン7部に溶解して調製した溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間加熱乾燥して、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0139】
次に、樹脂成分としてレゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852、群栄化学工業(株)製)40部(不揮発分75%)、例示化合物No.12で示される電荷輸送材料21部と、エタノール82部を溶解し4時間攪拌して保護層用塗工液とした。この塗工液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬塗布法により膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。
【0140】
得られた電子写真感光体における感光層のクラック発生状況の観察法として、光学顕微鏡を用いて感光層上に焦点を合わせクラックの発生状況を観察した。電子写真感光体上の任意の位置において10cm2の中にクラックの発生数が0の時を○、1〜2個の時を△、3個以上の時を×として表示した。
【0141】
また、電子写真特性の評価はレーザープリンター(商品名:HPレーザージェット4000、米国ヒューレットパッカード社製)で、帯電電位と露光光量を任意に設定できるように改造した装置に取り付けて行った。電子写真感度として、暗部電位Vdが−700Vになるように帯電設定をし、これに波長780nmのレーザー光を照射して−700Vの電位を−200Vまで下げるのに必要な光量を測定し感度とした。
【0142】
また、20μJ/cm2の光量を照射した場合の電位を残留電位Vrとして測定した。
【0143】
更に、この設定の状態で3000枚のパターン画出しによる通紙耐久を行った後、初期と同様の設定のまま、暗部電位Vdと明部電位Vl及び、感度、残留電位Vrを測定し、電位変動の値を得た。初期と3000枚後で電位の絶対値の変動を変動量として表中に示した。表中の記号はΔVd(V)=|Vd(初期)|−|Vd(3000)|、ΔVl(V)=|Vl(初期)|−|Vl(3000)|、ΔVr(V)=|Vr(初期)|−|Vr(3000)|を表す。
【0144】
ゴーストの評価としては、常温常湿(23℃/55%RH)の環境下で、初期に、ドラム一周分適当な文字パターンを印字し、その後全面ハーフトーン画像を取りゴースト現象が出ているかどうかを確認した。画像サンプルは全面黒と、1ドット1スペースのドット密度の画像を用い、プリンターで設定できる濃度の、F5(中心値)とF9(最も薄い濃度)で各々サンプリングした。評価基準はいかなる条件でもゴーストが見えないものをランク5とし、1ドット1スペースF9で見えるものをランク4、1ドット1スペースF5で見えるものをランク3、全面黒F9で見えるものをランク2、全面黒F5で見えるものをランク1とした。
【0145】
また、転写メモリーの評価としては、上記と同様の方法で作製した電子写真感光体を、上記と同様の改造機に装着し常温常湿(23℃/55%RH)の環境下で、転写電流OFF時の一次帯電電圧をVd1、転写電流ON時の一次帯電電圧をVd2として、いわゆる転写メモリー(|Vd1|−|Vd2|)を測定し、その後画像形成テストを行った。
【0146】
更に、同様のレーザービームプリンターを用いて5000枚の耐久による削れ量の測定を行った。これらの結果を表4に示す。
【0147】
(実施例2)
実施例1において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量300000のものに代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0148】
(実施例3)
実施例1において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量230000のものに代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0149】
(実施例4)
実施例1において、電荷輸送層に用いたポリスチレン樹脂を、前記式(I)におけるn/(n+m)=0.4である、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(重量平均分子量:400000)10部に代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0150】
(実施例5)
実施例4において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量350000のものに代えた以外は、実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0151】
(実施例6)
実施例4において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量210000のものに代えた以外は、実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0152】
(実施例7)
実施例1と同様に、電荷輸送層の結着樹脂として、前記式(I)におけるn/(n+m)=0.8である、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(重量平均分子量:420000)を用いて、電荷輸送層までを作製した。
【0153】
次に、平均粒径0.02μmのアンチモンドープ酸化スズ微粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製)100部を下記式(9)で示されるフッ素原子含有化合物(商品名:LS−1090、信越化学工業(株)製)7部、エタノール250部を撹拌装置で48時間攪拌した後、ろ過、洗浄後更に150℃で2時間加熱処理を行い、酸化スズの表面処理を行った。
【0154】
【化31】
【0155】
この処理済み酸化スズ微粒子35部とエタノール150部を、サンドミルにて、66時間かけて分散を行い、更に、四フッ化エチレン樹脂微粒子(体積平均粒径0.18μm)18部を加えて、更に12時間サンドミルで分散を行った。
【0156】
その後、樹脂成分として、レゾール型硬化性フェノール樹脂(商品名:PR−53123、住友デュレズ(株)製)54部(不揮発分45%)、更にヒドロキシアルキル基を有する電荷輸送材料として例示化合物No.21を15部溶解し、エタノール35部で希釈して保護層用塗工液とした。
【0157】
この塗工液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。保護層塗工液の分散性は良好で、作製された保護層はムラのない均一な膜であった。得られた電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0158】
(実施例8)
実施例7において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量300000のものに代えた以外は、実施例7と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0159】
(実施例9)
実施例7において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量230000のものに代えた以外は、実施例7と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0160】
(実施例10)
実施例7において、電荷輸送層に用いた結着樹脂のポリスチレン樹脂を、前記式(I)におけるn/(n+m)=0.4である、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(重量平均分子量:400000)10部に代えて電荷輸送層を作製した以外は、実施例7と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0161】
(実施例11)
実施例10において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量350000のものに代えた以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0162】
(実施例12)
実施例10において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量210000のものに代えた以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0163】
(実施例13)
実施例1と同様に、電荷輸送層の結着樹脂として、前記式(I)におけるn/(n+m)=0.8である、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(重量平均分子量:420000)を用いて、電荷輸送層までを作製した。
【0164】
次に、平均粒径0.02μmのアンチモンドープ酸化スズ(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製)100部、上記式(9)で示されるフッ素原子含有化合物(商品名:LS−1090、信越化学工業(株)製)12部、エタノール250部を撹拌装置で48時間攪拌した後、ろ過、洗浄後、更に150℃で2時間加熱処理を行い、酸化スズの表面処理を行った。
【0165】
保護層用塗工液として、エタノール175部中に、前記表面処理済み酸化スズ50部、四フッ化エチレン樹脂微粒子(平均粒径0.18μm)18部を加えて60時間サンドミルにて分散を行った。その後、エタノール50部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4804、群栄化学工業(株)製)42部(不揮発分:72%)とを混合し、十分に攪拌して溶解させ保護層用塗工液とした。
【0166】
この塗工液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬塗布法により、保護層膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を作製した。作製された保護層はムラのない均一な膜であった。得られた電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0167】
(実施例14)
実施例13において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量300000のものに代えた以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0168】
(実施例15)
実施例13において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量230000のものに代えた以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0169】
(実施例16)
実施例13において、電荷輸送層に用いたポリスチレン樹脂を、前記式(I)におけるn/(n+m)=0.4である、スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(重量平均分子量:400000)10部に代えて電荷輸送層を作製した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0170】
(実施例17)
実施例16において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量350000のものに代えた以外は、実施例16と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0171】
(実施例18)
実施例16において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量が210000のものに代えた以外は、実施例16と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0172】
(実施例19)
実施例1において、保護層を以下の構成に代えて作製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
保護層用塗工液として、例示化合物No.31で示される電荷輸送材料10部及び下記式(12)で示されるビュレット変性体溶液(固形分67質量%)20部をテトラヒドロフラン350部/シクロヘキサノン150部に溶解した。
【0173】
【化32】
【0174】
この保護層用塗工液を感光層の上にスプレー塗布法により製膜した後、乾燥機投入前に30分間室温で放置し、その後145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。得られた電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0175】
(実施例20)
実施例19において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量300000のものに代えた以外は、実施例19と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0176】
(実施例21)
実施例19において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を重量平均分子量230000のものに代えた以外は、実施例19と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0177】
(比較例1)
実施例1において、電荷輸送層に用いたスチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂を重量平均分子量160000のものに代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、同様に評価した。結果を表5に示す。
【0178】
(比較例2)
実施例4で作製した電子写真感光体において、電荷輸送層に用いたスチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂を重量平均分子量180000のものに代えた以外は、実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、同様に評価した。結果を表5に示す。
【0179】
(比較例3)
実施例1において、電荷輸送層に用いたポリスチレン樹脂を重量平均分子量340000のポリメタクリル酸メチル樹脂(前記式(I)におけるn=0)に代えた以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、同様に評価した。結果を表5に示す。
【0180】
(比較例4)
実施例7で作製した電子写真感光体において、電荷輸送層に用いたポリスチレン樹脂を重量平均分子量340000のポリメタクリル酸メチル樹脂(前記式(I)におけるn=0)に代えた以外は、実施例7と同様に電子写真感光体を作製し、同様に評価した。結果を表5に示す。
【0181】
(比較例5)
実施例13において、電荷輸送層に用いたポリスチレン樹脂を重量平均分子量340000のポリメタクリル酸メチル樹脂(前記式(I)におけるn=0)に代えた以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製し、同様に評価した。結果を表5に示す。
【0182】
(比較例6)
実施例1において、保護層を設けなかった以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、同様に評価した。結果を表5に示す。
【0183】
(比較例7)
実施例4において、保護層を設けなかった以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を作製し、同様に評価した。結果を表5に示す。
【0184】
【表4】
【0185】
【表5】
【0186】
【発明の効果】
上述したように、本発明によって、電荷輸送層上に硬化性の保護層を設けることにより特に発生する残留電位の上昇、繰り返し使用の耐久時の電位変動、前サイクルの露光履歴が次サイクルの濃度変化として現れる所謂ゴースト現象、反転現像系で問題となる転写メモリー現象等の問題点を効果的に改善することのできる電子写真感光体、この電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供することが可能となった。
【0187】
また、電荷輸送層上に保護層を作製する際に特有に発生する感光層のクラックの発生を効果的に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体の層構造の例を示す図である。
【図2】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 保護層
2 電荷輸送層
3 電荷発生層
4 導電性支持体
5 結着層
6 下引き層
11 電子写真感光体
12 軸
13 帯電手段
14 露光光
15 現像手段
16 転写手段
17 転写材
18 定着手段
19 クリーニング手段
20 前露光光
21 プロセスカートリッジ
22 案内手段
Claims (14)
- 導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に積層した感光層及び保護層を順次積層してなる電子写真感光体において、該保護層が硬化性樹脂を含有し、該電荷輸送層が下記式(I)で示される重量平均分子量が20万以上である結着樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体:
- 前記式(I)で示される結着樹脂の重量平均分子量が30万以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に用いられる硬化性樹脂がフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つである請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記硬化性樹脂がフェノール樹脂である請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記フェノール樹脂がレゾール型フェノール樹脂である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記保護層が電荷輸送材料を含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有される電荷輸送材料が、分子内にヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基及び置換基を有してもよいヒドロキシフェニル基からなる群より選択される少なくとも一つを有する化合物である請求項6に記載の電子写真感光体。
- 前記保護層に含有する電荷輸送材料が、下記式(1)乃至(6)からなる群より選択される式で示される構造の少なくとも1種類である請求項7に記載の電子写真感光体:
- 前記保護層が導電性粒子を含有する請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記導電性微粒子が表面処理あるいはドープされた酸化スズである請求項9記載の電子写真感光体。
- 前記保護層がフッ素原子含有化合物及びシロキサン化合物の少なくとも一方を含有する請求項9又は10に記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体を、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも1つの手段と共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感光体にトナーで現像する現像手段及び電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えることを特徴とする電子写真装置。
- 導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の順に積層された感光層及び保護層を順次積層してなる電子写真感光体において、該保護層が、該感光層上の、硬化性樹脂と溶剤とを含む塗工膜中の該硬化性樹脂を重合せしめた高分子硬化層であって、該電荷輸送層が下記式(I)で示される重量平均分子量が20万以上である結着樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体:
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