JP2011043747A - 電子写真感光体、それを用いた画像形成装置及び装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】架橋された表面層を有する電子写真感光体において、表面層の表面に凸部が形成されており、表面層と前記凸部とが同一の電荷輸送性構造を有する構造単位(A)を含む架橋体を含有し、凸部は、構造単位(A)の他に電荷輸送性構造を有さない構造部分(B)を含み、かつ構造単位(A)の含有率が表面層より高く、且つ構造部分(A)は、構造部分(A)と構造部分(B)の合計重量に対して90wt%未満であり、且つ凸部形成後の表面層の表面粗さをRzJISで表したとき、1/2×RzJIS以上の高さを有する凸部の個数が測定長さ12mm当たり30個以上300個以下である。
【選択図】図1
Description
これらの電子写真感光体は、電子写真画像形成プロセスにおいて、機械的外力、電気的または化学的なハザードに曝されるため、種々の劣化を来たす。特に、最近においてはカラー画像の出力が増加し、繰り返し長期にわたって使用する電子写真有機感光体には、従来以上にこれらの劣化に対する耐久性が要求されている。
感光体表面の摩耗の最大原因はクリーニングブレードであるが、トナーの転写性を上げることができれば残留トナーが減り、クリーニングブレードに与える圧力を低減でき、ブレードの欠けを抑制できるので好都合である。特許文献6の特開2001−66814号公報においては、感光体表面にプリズム型、波型、円錐型、角錐型、或いは井戸型などからなる特定形状の凹凸部を、タッチロール或いはスタンパにて形成し、トナーの離型性を上げる検討がなされている。また、電荷輸送層の全層に珪素、弗素を含むフィラー粒子を含有させて、トナーの高い転写率と感光体にかかるストレスを低減させたとの記載がある。しかし、この検討にある凹凸部形状を有する感光体は、繰り返して画像形成する場合、感光体表面の摩擦抵抗が大きくなると、却ってクリーニングブレード先端のエッジが欠けることがあった。そのためトナーのすり抜けがあった。
このように、従来の技術では、クリーニング性と使用経時での安定性の両立は難しかった。また、感光体表面に形状を付与する場合に、画像の不均一性という問題も生じてしまう。
さらに、本発明は以下に記載するとおりの構成を備えているものを包含する。
(2).前記凸部の高さが測定長さ12mmに対して平均値として6μm以下であることを特徴とする前記(1)項に記載の電子写真感光体。
(3).前記表面層が凹部を有し、その上に前記凸部が形成されていることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の電子写真感光体。
(4).前記構造単位(A)は、前記電荷輸送性構造の部位と1つ以上のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物に由来するものであることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(5).前記構造部分(B)は、電荷輸送性構造を有さず2つ以上のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性材料に主に由来するものであることを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6).前記電荷輸送性構造を有する構造単位(A)がトリアリールアミン構造であることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7).前記架橋体が少なくとも下記一般式(1)で表されるラジカル重合性トリアリールアミン化合物を含有する塗工液を架橋させて形成されたことを特徴とする前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載の電子写真感光体;
又は
(9).前記凸部がスプレー塗工法によって形成されたことを特徴とする前記(1)項乃至(8)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(10).前記電子写真感光体の感光層が支持体側から下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、表面層の積層構成であることを特徴とする前記(1)項乃至(9)項のいずれかに記載の電子写真感光体。
(11).架橋された表面層を有する電子写真感光体を製造する方法において、該感光体は前記表面層の表面に凸部を有し、前記表面層と前記凸部とが同一の電荷輸送性構造を有する構造単位(A)を含む架橋体を含有し、前記凸部は、前記構造単位(A)の他に電荷輸送性構造を有さない構造部分(B)を含み、かつ前記構造単位(A)の含有率が前記表面層より高く、且つ前記構造部分(A)は、該構造部分(A)と前記構造部分(B)の合計重量に対して90wt%未満であり、且つ前記凸部形成後の表面層の表面粗さをRzJISで表したとき、1/2×RzJIS以上の高さを有する凸部の個数が測定長さ12mm当たり30個以上300個以下であり、前記凸部を、凸部形成用塗工液をスプレー塗工することにより前記表面層上に形成する工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(12).前記塗工液は、前記構造単位(A)を生じるラジカル重合性化合物と、前記構造部分(B)を主に生じるラジカル重合性材料を含有するものであることを特徴とする前記(11)項に記載の電子写真感光体の製造方法。
(13).前記スプレー塗工の後、UV照射して架橋凸部を形成する工程をさらに有することを特徴とする前記(11)項又は(12)項に記載の電子写真感光体の製造方法。
(14).少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置であって、該画像形成装置が前記(1)項
乃至(10)項のいずれかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
(15).前記画像形成装置において、前記現像工程に重合トナーを用いることを特徴とする前記(14)項に記載の画像形成装置。
(16).前記画像形成装置において、ステアリン酸亜鉛をブラシ状ローラで掻きとり電子写真感光体に入力する手段を有することを特徴とする前記(14)項又は(15)項に記載の画像形成装置。
(17).少なくとも2色以上の現像ステーションを有し、且つ、タンデム方式であって更に重合トナーを用いて現像することを特徴とする前記(14)項乃至(16)項のいずれかに記載の画像形成装置。
(18).少なくとも感光体、現像手段、クリーニング手段を含む画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記感光体が前記(1)項乃至(10)項
のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
以下、図面を参照しつつ本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
図1は本発明の更には別の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)上に電荷発生層(25)と電荷輸送層(26)と架橋樹脂表面層(28)が設けられている。
図2は本発明の更には別の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)と電荷発生層(25)の間に下引き層(24)が設けられ、電荷発生層(25)の上に電荷輸送層(26)と架橋樹脂表面層(28)が設けられている。
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着またはスパッタリングによりフィルム状または円筒状のプラスチック、紙などに被覆したもの、或いはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、及び、それらを、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化後、切削、超仕上げ、研摩などにより表面処理した管などを使用することができる。
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体と感光層との間に下引き層(24)を設けることができる。下引き層(24)は、接着性の向上、モワレの防止、上層の塗工性の改良、導電性支持体からの電荷注入の防止などの目的で設けられる。
下引き層は通常、樹脂を主成分とする。通常、下引き層の上に感光層を塗布するため、下引き層に用いる樹脂は有機溶剤に難溶である熱硬化性樹脂が相応しい。特に、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂は以上の目的を十分に満たすものが多く、特に好ましい材料である。樹脂はテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いて適度に希釈したものを塗料とすることができる。
微粒子はテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液と樹脂成分を混合した塗料とする。
下引き層は以上の塗料を浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などで支持体上に成膜する。必要な場合、加熱硬化することで形成される。
下引き層の膜厚は2〜5μm程度が適当になるケースが多い。感光体の残留電位の蓄積が大きくなる場合、3μm未満にするとよい。
積層型感光体における各層のうち、電荷発生層(25)について説明する。電荷発生層は(25)、積層型感光層の一部を指し、露光によって電荷を発生する機能をもつ。この層は含有される化合物のうち、電荷発生物質を主成分とする。電荷発生層は必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファスシリコンなどが挙げられる。アモルファスシリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子またはハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子などをドープしたものが好ましく用いられる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法などがあり、上述した無機系材料や有機系材料からなる層が良好に形成できる。
また、キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系または有機系電荷発生物質を、必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布すればよい。このうちの溶媒として、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。塗布は浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などにより行うことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は通常、0.01〜5μm程度が適当である。
残留電位の低減や高感度化が必要となる場合、電荷発生層は厚膜化するとこれらの特性が改良されることが多い。反面、帯電電荷の保持性や空間電荷の形成など帯電性の劣化を来すことも多い。これらのバランスから電荷発生層の膜厚は0.05〜2μmの範囲がより好ましい。
電荷輸送層は電荷発生層で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた感光体の表面電荷を中和する機能を担う積層型感光層の一部を指す。電荷輸送層の主成分は電荷輸送成分とこれを結着するバインダー成分と言うことができる。
電子輸送物質としては、例えば非対称ジフェノキノン誘導体、フルオレン誘導体、ナフタルイミド誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。
これらの電子輸送物質は、単独でも二種以上の混合物として用いてもよい。
正孔輸送物質としては、電子供与性物質が好ましく用いられる。
その例としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。
これらの正孔輸送物質は、単独でも二種以上の混合物として用いてもよい。
これらの樹脂を添加剤としてバインダー樹脂と併用する場合、光減衰感度の制約から、その添加量は、電荷輸送層の全固形分に対して50wt%以下とすることが好ましい。
また電荷輸送層に二種以上の電荷輸送物質を含有させる場合、これらのイオン化ポテンシャル差は小さい方が好ましく、具体的にはイオン化ポテンシャル差を0.10eV以下とすることにより、一方の電荷輸送物質が他方の電荷輸送物質の電荷トラップとなることを防止することができる。
このイオン化ポテンシャルの関係は電荷輸送層に含有する電荷輸送物質と後述する硬化性電荷輸送物質との関係についても同様にこれらの差は0.10eVにするとよい。
電荷輸送層の膜厚は、実用上、必要とされる感度と帯電能を確保する都合、10〜40μm程度が適当であり、より好ましくは15〜30μm程度が適当である。
架橋樹脂表面層は感光体表面に製膜された保護層を指す。この保護層は塗料がコーティングされた後、重縮合反応によって架橋構造の樹脂が製膜されたものである。樹脂膜が架橋構造をもつため感光体各層の中で最も耐摩耗性が強靱である。また、架橋性の電荷輸送材料が配合されるため電荷輸送層と類似の電荷輸送性を示す。
本発明においては、電荷輸送層自体を架橋或いは硬化された樹脂で構成することができる。重合或いは架橋可能な材料の組成としては、電荷輸送構造を含み(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ以上有する化合物が利用できる。また、電荷輸送構造を含まない(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ以上有するモノマーやオリゴマーと併用した組成の構成にしても良い。少なくとも塗工液中にこのような化合物を含有させて表面層を形成し、熱、光、或いは電子線、γ線等の放射線によるエネルギーを与えて架橋し硬化させてできる。例えば、以下の一般式(1)にある電荷輸送性化合物が挙げられる。
水素原子以外の置換基R14、R15としては、電気的特性、塗工製膜性及び機械的強度の各観点から、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
以下に、例示化合物を挙げる。
架橋樹脂表面層塗料を調製する際に使用する分散溶媒はモノマーを充分に溶解するものが好ましく、上述のエーテル類、芳香族類、ハロゲン類、エステル類の他、エトキシエタノールのようなセロソルブ類、1−メトキシ−2−プロパノールのようなプロピレングリコール類を挙げることができる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、1−メトキシ−2−プロパノールは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
架橋樹脂表面層を製膜する際、主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できる。また、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、50mW/cm2未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cm2より強いと反応の進行が不均一となり、架橋電荷輸送層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生じたりする。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。
また、本発明における感光体の表面は、架橋表面層の表面に電荷輸送性化合物の架橋体を含有する凸部を多数設ける構成を備えている。
従来、感光体のブレードクリーニング性に関する現象について、感光体の表面粗さを表すRz、Ra等の性状パラメーターにて規定し、把握する方法が用いられてきたが、本発明はこれらの性状パラメーターでは把握できない表面性状を課題解決手段としている。即ち、本発明は表面に形成された特定凸部(特定材質と特定形状との選択的組合せ)がクリーニング性に特有な働きを有していることが判明してなされたものであり、該特定の凸部自体による予想外の効果を見出したものということもできる。
因みに、RzJISは下記計算式(1)によって表され、表面粗さ計から得られる測定断面曲線にカットオフ値λc及びλsの位相補償帯域通過フィルターを適用して得た基準長さの粗さ曲線において、最高の山頂から高い順に5番目までの山の高さの平均と最深の谷底から深い順に5番目までの谷深さの平均との和である。
(Zpi:i番目の山の平均線からの距離、Zvj:j番目の谷の平均線からの距離)
図4は、凸部のRzの2分の1の高さにおける横断面(平面図)の形状を示したものである。横断面の形状については上記の構成のものであれば如何なる形状でも良く、図示したものに限定されるものではない。凸部の配置はランダムでも規則的でも構わない。斜線の部分が凸部であり、凸部は斜線以外の領域から感光体の表面の外に出ていることを表す。
凸部の高さは、凸部が形成された架橋表面層の粗さ測定から得られるうねり曲線を基準にした凸の頂上までの距離である。粗さ計から得られた測定断面曲線についていえば、測定長さの位置、方向によって、凸部の頂上を通らずに裾を通る場合があるが、測定断面曲線にピークが認められれば、その近傍に頂上がある確率が高いと考え、測定断面曲線におけるピークの数を実際の感光体表面にある凸の数の代用にした。また、Rz以上の凸を数えることより、1/2×Rz以上の凸を数えることで実際の凸を把握する確率を上げようとした。
本発明は感光体表面の任意の位置において、指定された面積内にある凸部の個数を計測し密度(凸部の「面密度」ともいう)を規定することもできる。凸部の形状、大きさによって適切な範囲の計測のための面積が指定される。通常、その面積は100μm四方から15mm四方である。例えばスプレー塗工法による場合、1mmから15mm四方程度が選択される。しかしながら、凸部の面密度を規定する方法は測定機が限られ、専用の測定ソフトウエアが必要な場合が多く、簡便に測定できないことがある。本発明は、利用し易い面粗さ計を用いた簡便な測定を少なくとも4回行い、1/2×RzJIS以上の高さを有する凸部の個数の平均値を求めて、規定する方法を採用することで測定の信頼性を確保する。従って、表面の任意位置において測定長さ12mmを指定して表面にある凸部の個数を計測することで規定した。
その測定結果を以下の表1に示す。
また、1/2×Rz以上の高さを有する凸の個数を以下の表2に示す。ここで、条件1〜6は、吹き付け速度(mm/s)がそれぞれ5、5、10、10、15、15であり、感光体回転数(rpm)がそれぞれ100、300、200、300、200、100であり、スプレーガン開度(目盛り)がそれぞれ8,4,4,8,8,12であり、霧化圧力(kgf/mm2)がそれぞれ2,1,2,3、1,2である。
n=1〜4は、同一条件下での異なる4地点におけるデータ値である。
凸部の高さは、6μm以下が好ましい。これより大きいとトナーがすり抜ける場合がある。トナーの体積平均粒径に合わせて高さを決めることができる。トナーの体積平均粒径以下にすることが好ましい。また、0.5μm以上であることがより好ましい。
前記凸部材質について説明すると、表面層と同じ範疇の材料を用いることで、高い相溶性が得られこともあって、凸部の剥離がなく、高強度のものが得られるほか、OPC感光体製造の際、凸部の状態(凸部のサイズ、数)を、表面層の表面状態(輪郭)と相関させて調節することができる利点がある。本発明は、凸部が硬化性樹脂として特定の電荷輸送性化合物の架橋体を含有し、且つ特定範囲の含有量を有する構成である。そのため、凸部自体の強度が大きいので、クリーニングブレードに対して抵抗力がある。硬化性樹脂としては、凸部がテトラヒドロフラン、トルエン等の溶媒に溶解しない位に架橋密度が高い方が好ましい。即ち、クリーニングブレードの摩擦力に耐える凸部が構成される必要がある。クリーニングブレードは、一般的にポリウレタン等の硬いゴム状の弾性体からなり、板状を呈している。例えばこれをカウンター方向に感光体表面に当接した場合を説明する。
感光体の表面を摺動して転写残トナーをクリーニングするが、このときクリーニングブレードの先端は感光体表面との摩擦により微細な振動(ブレードと感光体間の摩擦力によって、ブレード自身がスティックとスリップを周期的に繰り返すスティックスリップ)を起こしているといわれており、クリーニングブレードの特性と感光体表面の条件によりその振動状態が変わる。安定的に微細な振動が継続することはクリーニングには好ましいとされている。本発明においては、微細な振動を助長する効果もあわせ持つと思われる。クリーニングブレードの先端の滑りを継続的に安定化するように構成される。
凸部の形成方法としては、上述の凸部に係る要件を満たし得る方法であれば、特に制限はなく、上記したような種々の方法が採用できるが、前記材質及び形状の凸形状を形成するための組成の塗工液をスプレーガンから電子写真感光体の表面に吹き付けて凸部を形成するスプレー塗工法が好ましい。
公知のスプレー加工(塗工)法が利用できる。図6にスプレー塗工装置の概要を示す。
図示しない回転駆動装置にて感光体ドラムを所定の速度で回転させておく。次いでスプレーガンを有する移動塗布体に塗工液と気体を所定の圧力で供給しつつ、感光体ドラムの軸方向にオシレート(移動)させ、霧状にした塗工液を感光体ドラムに吹き付けて塗布膜を形成できるようにしたものである。
また、用いる塗工材料によっても塗工液の粘度が異なり、したがって塗工による凸部携帯に影響がない訳ではないが、本発明における前記「構造部分(A)と前記構造部分(B)の合計重量に対して90wt%未満であり、且つ前記凸部形成後の表面層の表面粗さをRzJISで表したとき、1/2×RzJIS以上の高さを有する凸部の個数が測定長さ12mm当たり30個以上300個以下」は、例えば、塗工液中の前記電荷輸送性構造を有する化合物量と電荷輸送性構造を有さない多官能モノマー量の合計を10%〜20%(重量部/塗工液重量部)とすることにより、簡単に達成することができる。
また、前記のように、凸部の電荷輸送性構造を有する構造単位(A)を含む架橋体の含有濃度は、表面層よりも高い必要がある。これは、凸部と表面層との間の電荷輸送能力の差を緩和し、画像濃度をより均一にするためである。しかし、含有濃度が高すぎても、前記電荷輸送性構造を有さない構造部分(B)のためのモノマーの比率が低すぎて、凸部自体の強度が失われてしまうため、不都合がある。そこで、凸部における電荷輸送性構造を有する構造単位(A)のためのモノマー含有濃度(電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有するモノマーの合計量に対する)が90wt%未満である必要がある。
さらに凸部を形成する別の方法として、あらかじめ表面層に凹部を形成させておく方法も有用である。凹部を形成させておくことのメリットとしては、1.凸部と表面層における電荷輸送能力の差を緩和する; 2.スプレーで凸部を形成した場合に凸部の個数などを制御しやすい; 3.凸部が破壊されにくい、が挙げられる。1については、凹部に凸部が形成されると、凹部の深さの分だけ電荷輸送性構造を有する構造単位を含む架橋体の含有濃度が高い凸部部分の割合が増えるので、上記で説明した凸部における含有濃度の効果を助長する効果がある。2については、凸部をスプレーで形成する場合に、表面層の凹部の個数に応じて、塗工後に形成される凸部の個数を変化させることが可能となる。3については、平滑の面に凸部を形成させるのに比べ、凹部上に凸部を形成させた場合の方が、下地と接着面積が増加し、ブレードなどの摺擦に対してより強靭性を増す。
凹部の形成方法としては、特に制限はないが、表面層中に反応性シリコーンオイルを適量加える方法やサンドブラスト、レーザー加工、特定の形状を有するモールドによる方法が考えられる。
反応性シリコーンオイルは、ラジカル重合性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有し、且つジメチルシロキサン構造を繰り返し単位として有することを特徴とした反応性シリコーン化合物である。
具体例としてラジカル重合性官能基が1つ及び2つのものをそれぞれ一般式(4)、(5)に示す。
市販品としては、例えば、X−22−164A(官能基当量860、信越化学工業株式会社製)、X−22−164B(官能基当量1630、信越化学工業株式会社製)、X−22−164C(分子量2370、信越化学工業株式会社製)、X−22−164E(官能基当量3900、信越化学工業株式会社製)、X−22−174DX(官能基当量4600、信越化学工業株式会社製)、X−22−2426(官能基当量12000、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ここでの官能基当量とは、官能基数に対する分子量の割合を意味する。これらの反応性シリコーンオイルは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
官能基当量に関しては、500より低い場合は、反応性が高く膜中に取り込まれてしまう分が多くなり、表面の凹部が形成されなくなる。逆に12000よりも高い場合は反応性が十分でなく、膜と反応しないシリコーンオイルが多くなり、多量に表面に出てくるため、狙いの膜が形成されない。
添加量に関しては、反応性シリコーンオイルの官能基数が2で、且つ官能基当量が500〜4000である場合は、硬化表面層を形成する塗工液固形分に対して1〜25%であることが望ましい。
また、反応性シリコーンオイルの官能基数が1で、且つ官能基当量が4000〜12000である場合は、硬化表面層を形成する塗工液固形分に対して1〜10%であることが望ましい。
以下、図面に沿って本発明で用いられる画像形成装置を説明する。
図7は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図7において、感光体(11)は、架橋樹脂表面層を積層する電子写真感光体である。感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
帯電手段(12)は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。帯電手段は、消費電力の低減の観点から、感光体に対し接触若しくは近接配置したものが良好に用いられる。中でも、帯電手段への汚染を防止するため、感光体と帯電手段表面の間に適度な空隙を有する感光体近傍に近接配置された帯電機構が望ましい。転写手段(16)には、一般に上記の帯電器を使用できるが、転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また、正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。係る現像手段には、公知の方法が適用され、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
以上の電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
本発明では、図13に示すように潤滑剤(3A)を感光体表面に供給するためのステアリン酸亜鉛供給手段として、潤滑剤塗布装置(3C)を上記の画像形成装置について設けてもよい。
この潤滑剤塗布装置は、塗布部材としてのファーブラシ(3B)、固体潤滑剤(3A)、潤滑剤をファーブラシ方向に押圧するための加圧バネ(3D)を有している。このときの固体潤滑剤(3A)はバー状に成型されたステアリン酸亜鉛である。ファーブラシ(3B)は感光体表面にブラシ先端が当接しており、軸を中心に回転することによって固体潤滑剤(3A)を一端ブラシに汲み上げ、感光体表面との当接位置までブラシ上に担持搬送して感光体表面に入力する。
また、経時で固体潤滑剤(3A)がファーブラシ(41)に掻き削られて減少してもファーブラシ(3B)に接触しなくならないように、加圧バネ(3D)によって所定の圧力で固体潤滑剤(3A)がファーブラシ(3B)側に押圧されている。これによって、微量の固体潤滑剤3Aでも常に均一にファーブラシ3Bに汲み上げられる。
また、感光体表面に付着した固体潤滑剤の定着性を高めるための固体潤滑剤定着手段を設けてもよい。この手段はクリーニングブレードのような板をトレーリング方式で設ける手段や、ゴムロールを感光体に押し合てる手段がある。
固体潤滑剤(3A)としては、例えば、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−オキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられるが、特に感光体(1)の摩擦係数を低減する効果の大きいステアリン酸金属塩、更にはステアリン酸亜鉛が一層好ましい。
Al製支持体(外径40mmφ)に、乾燥後の膜厚が3.5μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
(下引き層用塗工液)
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 40部
(CR−EL:石原産業)
メチルエチルケトン 50部
この下引き層上に下記構造のビスアゾ顔料を含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生層用塗工液)
下記構造のビスアゾ顔料 2.5部
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
この電荷発生層上に下記構造の電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚22μmの電荷輸送層とした。
(電荷輸送層用塗工液)
ビスフェーノルZ型ポリカーボネート 10部
下記構造の低分子電荷輸送物質 10部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
電荷輸送層上に下記構成の架橋表面層塗工液を用いて、ドラム回転速度;80rpm、スプレーガン送り速度;16.5mm/s、吐出量4.5ml/min、吹きつけ圧力;2.5kgf/cm2、吹きつけ回数;1回の条件でスプレー塗工を行い、10分間の指触乾燥を行った。続いて、このドラムとUV硬化ランプから120mm距離を置いて、ドラムを回転させながらUV硬化を施した。この位置でのUV硬化ランプ照度は550mW/cm2(紫外線積算光量計UIT−150、ウシオ社製による測定値)であった。また、ドラムの回転速度は25rpmとした。UV硬化を行う際、アルミニウムドラム内に30℃の水を循環させて連続3分間、UV硬化した。その後、130℃にて30分間加熱乾燥した。結果、5.0μmの架橋樹脂表面層を設け本発明の電子写真感光体を得た。
(架橋表面層塗工液)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 9部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:382、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 9部
(アクリル酸2−[4’−(ジ−p−トリル−アミノ)−ビフェニル−4−イル]−エチル)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
テトラヒドロフラン 100部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
次いで、得られた電子写真感光体上に、上記架橋表面層塗工液を電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー(表1中では「ドナー」と略記)を7.2部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を10.8部に、それぞれ変更したものを用いてスプレー塗工した。
塗工条件は、同じスプレーガンであり、ドラム回転速度;80rpm、スプレーガン送り速度;8.4mm/s、吐出量1.6ml/min、吹きつけ圧力;3.0kgf/cm2、吹きつけ回数;1回の条件で行った。同様に、UV硬化し、加熱乾燥した。その結果、架橋された樹脂を含有する凸部が形成された。
変更内容;塗工条件をドラム回転速度;80rpm、スプレーガン送り速度;8.4mm/s、吐出量1.0ml/min、吹き付け圧力3.0kgf/mm2、吹きつけ回数;1回に変更。
変更内容;二回目の凸部の塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを5.4部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を12.6部にそれぞれ変更。
変更内容;二回目の凸部塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを3.6部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を14.4部にそれぞれ変更。
変更内容(1);1回目の表面層の架橋表面層塗工液において、ラジカル重合性官能基を有する反応性シリコーンオイル(両末端型メタクリル変性ポリシロキサン:X−22−164A、信越シリコーン社製)を1部添加。
変更内容(2);2回目の凸部の塗工条件をドラム回転速度;80rpm、スプレーガン送り速度;8.4mm/s、吐出量0.6ml/min、吹き付け圧力2.5kgf/mm2、吹きつけ回数;1回に変更。
変更内容;二回目の架橋凸部の塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを5.4部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を12.6部にそれぞれ変更。
変更内容;二回目の架橋凸部塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを3.6部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を14.4部にそれぞれ変更。
変更内容(1);1回目の表面層の架橋表面層塗工液において、ラジカル重合性官能基を有する反応性シリコーンオイル(片末端型メタクリル変性ポリシロキサン:X−22−174DX、信越シリコーン社製)を1部添加。
変更内容(2);2回目の凸部の塗工条件をドラム回転速度;80rpm、スプレーガン送り速度;8.4mm/s、吐出量0.6ml/min、吹き付け圧力2.5kgf/mm2、吹きつけ回数;1回に変更。
変更内容;二回目の架橋凸部塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを5.4部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を12.6部にそれぞれ変更。
変更内容;二回目の架橋凸部塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを3.6部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を14.4部にそれぞれ変更。
変更内容;二回目の架橋凸部塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを5.4部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を12.6部にそれぞれ変更。
変更内容;二回目の架橋凸部塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを3.6部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を14.4部にそれぞれ変更。
実施例2において、凸部の塗工を以下の条件に変更する以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作成した。
変更内容;2回目の表面層の架橋凸部塗工液を1回目と同じものを使用。
実施例5において、凸部の塗工を以下の条件に変更する以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作成した。
変更内容;2回目の凸部の架橋凸部塗工液を第1回目と同じものを使用。
実施例5において、凸部の塗工を以下の条件に変更する以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作成した。
変更内容;二回目の架橋凸部塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを1.8部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を16.2部にそれぞれ変更。
実施例8において、凸部の塗工を以下の条件に変更する以外は実施例8と同様に電子写真感光体を作成した。
変更内容;2回目の凸部の架橋凸部塗工液を第1回目と同じものを使用。
実施例8において、凸部の塗工を以下の条件に変更する以外は実施例8と同様に電子写真感光体を作成した。
変更内容;二回目の架橋凸部塗工液において、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーを1.8部に、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の添加量を16.2部にそれぞれ変更。
前記特許文献6記載の従来の感光体と比較した。
[下引き層]
すなわち、特許文献7に記載されているような表面に井戸型凹凸がある感光体を用意した。まず、Al製円筒状支持体にホーニング加工し、中心線粗さRa=0.18μmに粗面化処理し、以下の下引き層用塗工液を浸漬塗工法にて1.2μmの下引き層を形成した。
(下引き層用塗工液)
ポリビニールブチラール(エスレックBM−S、積水化学) 4部
アセチルアセトンジルコニウムブチレート 30部
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 3部
次いで、以下の組成の電荷発生層用塗工液を用意し、浸漬塗工法にて0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生層用塗工液)
電荷発生物質として、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°のクロルガリウムフタロシアニンを含む以下の混合物をサンドミルにて4時間分散した分散液
クロルガリウムフタロシアニン 3部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー) 2部
酢酸ブチル 180部
次いで、以下の組成の電荷輸送層用塗工液を用意し、浸漬塗工法にて25μmの電荷輸送層を形成し、3層からなる感光体を得た。
(電荷輸送層用塗工液)
N、N’−ジフェニル−N、N−ビス(3−メチルフェニル)−[1、1’−ビスフェニル]−4、4’−ジアミン 4部
ポリカーボネート(三菱化学社製、ユーピロンZ400) 6部
テトラヒドロフラン 60部
2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール 0.2部
以上の組成を溶液にした後、SiO2粒子(体積平均粒径500nm、東芝シリコーン社製トスパール102)を3部添加し、分散して電荷輸送層用塗工液を製造した。
次いで、特許文献6に従って、複数の凸形状を有するスタンパを取り付けた金型を用意し、圧力をかけて得られた感光体に形状を転写した。レーザー顕微鏡を用いて観察したところ、感光体の表面に1つの井戸が直径約0.7μm、平均深さが約0.5μm、井戸間の平均ピッチが約1.1μmである凹形状が複数形成されていたことを確認した。
実施例1において、凸部の塗工を以下の条件に変更する以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作成した。
変更内容;2回目の凸部塗工条件をドラム回転速度;80rpm、スプレーガン送り速度;4.2mm/s、吐出量0.6ml/min、吹き付け圧力3.0kgf/mm2、吹きつけ回数;1回に変更。
実施例1において、凸部の塗工を以下の条件に変更する以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作成した。
変更内容;2回目の凸部塗工条件をドラム回転速度;80rpm、スプレーガン送り速度;16.5mm/s、吐出量0.6ml/min、吹き付け圧力3.0kgf/mm2、吹きつけ回数;1回に変更。
測定条件は、算出規格:JIS2001年、測定長さ:12mm、カットオフ波長:0.8mm、測定倍率×20K、測定速度0.06mm、カットオフ:R2C(位相補償)、傾斜補正最小二乗法であった。
トナーは体積平均粒径6μmの重合トナーを用いた。常温常湿(25℃、60%RH)で、感光体のVd(暗部電位)を−800V、Vl(明部電位)を−200Vになるように感光体の初期電位を設定した。
紙は(株)リコー製6200ペーパー(A4、T目)を使用した。テストチャートは写真画像と文字の混在したものであり、地肌部、ベタ黒部、中間調が評価できものである。
表面粗さ・輪郭形状測定機(東京精密社、Surfcom 1400D)にて、電子写真感光体表面をピックアップ:E−DT−S02Aを取り付けて、測定長さ12mm、測定速度;0.06mm/sの条件で測定した。
5万枚通紙後の電子写真感光体表面の様相変化については以下の基準で評価した。
(表面観察評価)
○:初期と比べてほとんど変化なし
△:初期と比べてわずかな変化認められるが、問題ない程度
×:初期の形状がほとんど残っていない
画素密度が600dpi×600dpiで8×8のマトリクス中に4ドット×4ドットを描いたハーフトーンパターンと白紙パターンを交互に連続5枚ずつ印刷し、白紙パターンの地肌汚れを目視により、以下の基準で評価した。
ランク◎:問題なし
ランク○:出力画像に、極めて僅かなトナーのすり抜けによるスジもしくは若干の濃度ムラがあり
ランク△:出力画像に、トナーのすり抜けによるスジもしくは濃度ムラが明確にあり
ランク×:出力画像の複数位置にトナーのすり抜けによるスジもしくは濃度ムラが明確にあり
また、測定長さ12mmにおける凸部の個数が30個に満たないと異常画像になり、300個を越えた場合も異常画像になった。また、凸部の高さが6μmを越えると出力画像にわずかに不具合が出る場合があった。
比較例1は、凸部の電荷輸送性構造を有する構造単位を含む架橋体の含有率が表面層と同じため、画像濃度にムラが生じていた。
比較例2、4は、表面層と凸部における電荷輸送性構造を有する構造単位を含む架橋体の含有率に差がないため、出力画像に濃度ムラが生じていた。
比較例3、5は、凸部における電荷輸送性構造を有する構造単位を含む架橋体の含有率が非常に高いため、凸部自体の強度が低く、繰り返し使用後において凸部が破壊され、本発明の効果が得られなくなっていた。
比較例6は、画像形成を繰り返すと、感光体表面の一部の領域で凹部が破壊されて複数の凹部が多数繋がった大きな傷が認められた。それに伴い、この傷からトナー融着とトナーすり抜けが発生した。また、この傷に対応したクリーニングブレードの先端には欠けが認められた。
比較例7は凸部の個数が少なすぎるため、本発明の効果が十分に得られなかった。
比較例8は凸部の個数が多すぎるため、ブレードの欠けが発生してしまい、トナーのすり抜けが発生してしまった。
21・・・導電性支持体
24・・・下引き層
25・・・電荷発生層
26・・・電荷輸送層
28・・・架橋樹脂表面層
図7〜12について
11・・・電子写真感光体
12・・・帯電手段
13・・・露光手段
14・・・現像手段
15・・・トナー
16・・・転写手段
17・・・クリーニング手段
18・・・印刷メディア(印刷用紙、OHP用スライド)
19・・・定着手段
1A・・・除電手段
1B・・・クリーニング前露光手段
1C・・・駆動手段
1D・・・第1の転写手段
1E・・・第2の転写手段
1F・・・中間転写体
図13について
3C・・・潤滑剤供給手段
Claims (18)
- 架橋された表面層を有する電子写真感光体において、該表面層の表面に凸部が形成されており、前記表面層と前記凸部とが同一の電荷輸送性構造を有する構造単位(A)を含む架橋体を含有し、前記凸部は、前記構造単位(A)の他に電荷輸送性構造を有さない構造部分(B)を含み、かつ前記構造単位(A)の含有率が前記表面層より高く、且つ前記構造部分(A)は、該構造部分(A)と前記構造部分(B)の合計重量に対して90wt%未満であり、且つ前記凸部形成後の表面層の表面粗さをRzJISで表したとき、1/2×RzJIS以上の高さを有する凸部の個数が測定長さ12mm当たり30個以上300個以下であることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記凸部の高さが測定長さ12mmに対して平均値として6μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層が凹部を有し、その上に前記凸部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記構造単位(A)は、前記電荷輸送性構造の部位と1つ以上のラジカル重合性官能基とを有するラジカル重合性化合物に由来するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記構造部分(B)は、電荷輸送性構造を有さず2つ以上のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性材料に主に由来するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送性構造を有する構造単位(A)がトリアリールアミン構造であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 上記置換基R14、R15が炭素数1〜6のアルキル基であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
- 前記凸部がスプレー塗工法によって形成されたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電子写真感光体の感光層が支持体側から下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、表面層の積層構成であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 架橋された表面層を有する電子写真感光体を製造する方法において、該感光体は前記表面層の表面に凸部を有し、前記表面層と前記凸部とが同一の電荷輸送性構造を有する構造単位(A)を含む架橋体を含有し、前記凸部は、前記構造単位(A)の他に電荷輸送性構造を有さない構造部分(B)を含み、かつ前記構造単位(A)の含有率が前記表面層より高く、且つ前記構造部分(A)は、該構造部分(A)と前記構造部分(B)の合計重量に対して90wt%未満であり、且つ前記凸部形成後の表面層の表面粗さをRzJISで表したとき、1/2×RzJIS以上の高さを有する凸部の個数が測定長さ12mm当たり30個以上300個以下であり、前記凸部を、凸部形成用塗工液をスプレー塗工することにより前記表面層上に形成する工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 前記塗工液は、前記構造単位(A)を生じるラジカル重合性化合物と、前記構造部分(B)を主に生じるラジカル重合性材料を含有するものであることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記スプレー塗工の後、UV照射して架橋凸部を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項11又は12に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置であって、該画像形成装置が請求項1乃至10のいずれかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
- 前記画像形成装置において、前記現像工程に重合トナーを用いることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置において、ステアリン酸亜鉛をブラシ状ローラで掻きとり電子写真感光体に入力する手段を有することを特徴とする請求項14又は15に記載の画像形成装置。
- 少なくとも2色以上の現像ステーションを有し、且つ、タンデム方式であって更に重合トナーを用いて現像することを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の画像形成装置。
- 少なくとも感光体、現像手段、クリーニング手段を含む画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記感光体が1乃至10のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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