以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に、中間転写方式の画像形成装置の一例として4色のフルカラーレーザービームプリンターの概略を示す。
図1に示す構成の電子写真装置は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを用いてカラー画像を形成するカラー電子写真装置であり、第1の画像形成ユニットSa、第2の画像形成ユニットSb、第3の画像形成ユニットSc、および、第4の画像形成ユニットSdを有している。
画像形成ユニットSa〜Sdは、それぞれ、円筒状(ドラム状)の電子写真感光体(以下「感光ドラム」ともいう。)1a、1b、1cおよび1dと、感光ドラム1a〜1dの周囲に配置された、一次帯電器(帯電手段)3a、3b、3cおよび3d、露光装置(露光手段)4a、4b、4cおよび4d、現像器(現像手段)5a、5b、5cおよび5d、ならびに、クリーニング装置(クリーニング手段)7a、7b、7cおよび7dとを有している。感光ドラム1a〜1dは、図中反時計周りに所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
感光ドラム1a〜1dの表面はその回転過程で、一次帯電器3a〜3dにより、所定の極性・電位に一様に帯電処理される。次いで、露光装置4a〜4d(カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系など)からの露光光(画像露光光)を受けることにより、目的とするカラー画像の各色成分像(イエロー成分像、マゼンタ成分像、シアン成分像およびブラック成分像)に対応した静電潜像が、それぞれ、感光ドラム1a〜1dの表面に形成される。
次いで、感光ドラム1aの表面の静電潜像が、現像器5a(ブラック現像器5a)により、ブラックトナーにより現像される。また、イエロー現像器5b、マゼンタ現像器5c、シアン現像器5dも作動して、それぞれ、感光ドラム1b〜1dの表面にイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を形成する。
ベルト状の中間転写体(中間転写ベルト)11は、それぞれ感光ベルト1a〜1dに対向する一次転写ローラー(一次転写部材)6pa、6pb、6pcおよび6pdにより、感光ドラム1a〜1dに所定の押圧力をもって当接され、感光ドラム1a〜1dおよび一次転写ローラー6pa〜6pdの回転に伴い、図中時計周りに感光ドラム1a〜1dと同じ周速度で回転駆動される。12は二次転写対向ローラー13とともに中間転写ベルト11を張架する張架ローラーである。
感光ドラム1aの表面に形成された上記のブラックトナー像は、感光ドラム1aと中間転写ベルト11との当接部を通過する過程で、一次転写ローラー6paから中間転写ベルト11に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト11の表面に一次転写されていく。
イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像も同様に、それぞれ、感光ドラム1b〜1dから順次中間転写ベルト11の表面に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した合成トナー像が形成される。
一次転写バイアスは、トナーとは逆極性である。トナーの極性が負の場合、一次転写バイアスは+100V〜2kVの範囲が好適である。
一次転写を終えた感光ドラム1a〜1dの表面は、それぞれ、クリーニング装置7a〜7dによりクリーニングされる。
二次転写ローラー(二次転写部材)6sは、二次転写対向ローラー13に平行に軸受させて中間転写ベルト11の下面部から、中間転写ベルト11に当接配置される。
転写材Pは、給紙カセットCPから転写材ガイドを通って、中間転写ベルト11と二次転写ローラー6sとの当接部に所定のタイミングで給送される。また、二次転写バイアスが二次転写ローラー6sに印加される。この二次転写バイアスにより中間転写ベルト11から転写材Pへ合成トナー像が二次転写される。
二次転写を終えた中間転写ベルト11の表面は、中間転写ベルト用クリーニング装置7iによりクリーニングされる。
合成トナー像の転写を受けた転写材Pは定着器8へ導入され、合成トナー像は転写材P上に加熱定着される。
ユニバーサル硬さ値(HU)、および弾性変形率は、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読することにより連続的硬さが求められる微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定することができる。圧子としては対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用することができる。具体的には、最終荷重6mNまで段階的に(各点0.1Sの保持時間で273点)測定する。
フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの概略を図3に示す。また、フィシャースコープH100V(Fischer社製)によって本発明の電子写真感光体を測定した結果の一例を図4に示す。これらの図中、縦軸は荷重F(mN)を、横軸は押し込み深さh(μm)を示す。これらの図は、段階的に荷重を増加させ6mNまで荷重をかけ、その後同様に段階的に荷重を減少させた時の結果を示している。
本発明において、電子写真感光体のユニバーサル硬さ値(以下、HUともいう)は、定めた最終荷重で押し込んだ時の同荷重下での押し込み深さから下記式(1)により求めることができる。
弾性変形率は、圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めることができ、具体的には下記式(2)により求めることができる。
弾性変形率=We/Wt (2)
上記式中、全仕事量Wt(nJ)は図3中のA−B−D−Aで囲まれる面積を示し、弾性変形仕事量We(nJ)はC−B−D−Cで囲まれる面積を示している。
本発明に用いる中間転写体は、25℃、湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて中間転写体の硬度を試験した時、中間転写体は荷重0.1mNで押し込んだ時の弾性変形率が50%以上、ユニバーサル硬さ値(HU)が220N/mm2以下であれば、電子写真感光体に対して良好に追従し、また、電子写真感光体の表面の上記特徴的な傷に起因する摩耗が発生しにくくなる。このような効果をより十分に発現させるためには、中間転写体の表面のユニバーサル硬さ値(HU)は100N/mm2以下であることがより好ましく、70N/mm2以下であることがより一層好ましく、また、その弾性変形率は80%以下であることが好ましい。
中間転写ベルトは、本発明では、無端状の弾性中間転写ベルトを備えている。図2は、弾性中間転写ベルトの一例の断面図である。弾性中間転写ベルト181は、樹脂層181a、弾性層181b、表層181cの3層構造からなる弾性ベルトである。
上記樹脂層181aを構成する樹脂材料としては、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体およびスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂およびポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、変性ポリカーボネート等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
また、上記弾性層181bを構成する弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)としては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
また、上記表層181cの材料は特に制限は無いが、中間転写ベルト181表面へのトナーの付着力を小さくして2次転写性を高めるものが要求される。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類の樹脂材料か、弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムの弾性材料のうち、2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。
上記樹脂層181aや弾性層181bには、抵抗値調節用導電剤が添加される。この抵抗値調節用導電剤は特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではない。
上記中間転写ベルト181の製造方法としては、例えば、回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、表層の薄い膜を形成させるスプレー塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型、外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け加硫研磨を行う方法があるがこれに限定されるものではなく複数の製法を組み合わせてベルトを製造することができる。
本発明に用いる電子写真感光体は、25℃、湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて電子写真感光体の硬度を試験した時、電子写真感光体は荷重6mNで押し込んだ時の弾性変形率が45%以上かつ65%以下、ユニバーサル硬さ値(HU)が150N/mm2以上、かつ220N/mm2以下で有り、かつその表面に円周方向にスジ状の連続した凹凸形状を有する電子写真感光体である。
一般的に外部応力に対する変形量が小さいほど膜の硬度は高い値を示すことから、電子写真感光体も当然の如く鉛筆硬度やビッカース硬度が高いものの方が機械的劣化に対する耐久性が向上すると考えられていた。しかし、本発明者らはこれらの測定により得られる硬度の値が高い感光体が必ずしも機械的劣化に対する耐久性を向上させることができるわけではないことを確認した。そこで、本発明者らは検討を重ねた結果、HUと弾性変形率との値を、特定の範囲に規定することで、その要件を満足した感光体が機械的劣化に対する耐久性を向上させることができることを見出した。この特定の範囲とは、上記のように25℃、湿度50%の環境下で、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて電子写真感光体の硬度を試験した時、荷重6mNで押し込んだ時のHUが150N/mm2以上、かつ220N/mm2以下の範囲をいい、かつ、弾性変形率が45%以上かつ65%以下の範囲をいう。
HUと弾性変形率を切り離してとらえることはできないが、例えばHUが220N/mm2を超え、弾性変形率が低い感光体である場合には、感光体の弾性力が不足しているためにクリーニングブレードや帯電ローラーに挟まれた紙粉やトナーが擦られる際感光体に傷が生じ、それに伴い削れも生じる。また、HUが220N/mm2を超え、弾性変形率がたとえ高い感光体である場合でも弾性変形量は小さくなってしまうために、結果として局部的に大きな圧力がかかり感光体に深い傷が生じる。よって、HUの高い感光体が必ずしも好ましいものとはならない。
一方、HUが220N/mm2以下で弾性変形率が65%より大きい感光体である場合には、弾性変形率がたとえ高くても塑性変形量も大きくなってしまうためにクリーニングブレードや帯電ローラーに挟まれた紙粉やトナーが擦られる際感光体に削れや細かい傷が生じる。また、HUが220N/mm2以下で弾性変形率が45%未満である感光体、およびHUが150N/mm2未満である感光体の場合は、塑性変形量が非常に大きく削れおよび傷が生じる。HUと弾性変形率との値が上記特定の範囲にある感光体を得る手段として、感光体の表面層を硬化性樹脂を用いて形成することが有効である。本発明の電子写真感光体に使用する硬化性樹脂は、加熱または放射線照射により重合または架橋し硬化する樹脂であればいずれのものを用いても構わない。すなわち、加熱または放射線照射によりラジカル等の活性点が発生し、重合または架橋し硬化することが可能な化合物であれば、表面層の構成材料として用いることができる。中でも分子内に連鎖重合性官能基を有する化合物、特に不飽和重合性官能基を有する化合物は、反応性の高さ、反応速度の速さ、材料の汎用性等の点から好ましい。本発明における不飽和重合性官能基を有する化合物は、モノマー、オリゴマーまたはマクロマーのいずれにも限定されない。
更に表面層における電荷輸送等の機能面からは、該硬化性樹脂が連鎖重合性官能基を少なくとも1つ以上有する正孔輸送性化合物を硬化した樹脂を含有することが好ましい。
連鎖重合性官能基を少なくとも1つ以上有する正孔輸送性化合物とは、公知の正孔輸送性化合物の一部に連鎖重合性官能基が化学結合している化合物をいう。例えば、特開2000−66424号公報中に記載されている化合物を利用することができる。連鎖重合官能基は同一分子内に少なくとも1つ以上、好ましくは2つ以上有しているとよい。連鎖重合官能基の具体例としては、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)あるいはメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)が挙げられる。
本発明で表面層とは、感光層の一部として位置する場合または感光層の上に更に設けられる場合いずれにおいても、両者は硬化後に電荷輸送能を有していることが好ましい。感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質とを同一の層に含有する単一層で構成させたもの(以下、単層型ともいう)であってもよいし、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層させて構成させたもの(以下、積層型ともいう)であってもよい。より好ましくは積層型の感光層である方がよい。本発明でいう表面層は、感光層が上記単一層である場合には該層が相当し、該層の上にさらに保護層を形成させた場合には保護層が相当する。また、感光層が上記積層型である場合は電荷輸送層が相当し、該電荷輸送層上にさらに保護層を形成させた場合には保護層が相当する。
本発明で用いる電子写真感光体は筒状の導電性支持体上に感光層、更に必要な場合にはその上に保護層を形成するが、導電性支持体と感光層の間に、導電性顔料や抵抗調節顔料等を分散した導電層を形成してもよい。
更に、導電性支持体(または導電層)と感光層の間にバリアー機能と接着機能を備えた中間層を設けることができる。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、導電性支持体の保護、導電性支持体の欠陥の被覆、導電性支持体からの電荷注入性改良、また感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。本発明で用いる電子写真感光体が積層型感光層を有する電子写真感光体である場合には、電荷発生層および電荷輸送層を積層する。電荷発生層に用いる電荷発生材料としては、汎用の電荷発生材料が使用可能である。
電荷輸送層は、表面層が感光層の一部となる場合には、高硬度樹脂で形成されることが好ましく、熱、光または放射線照射により硬化された樹脂で形成されることがより好ましく、この工程により重合あるいは架橋し硬化する化合物から構成されることが好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送材料と熱可塑性の高硬度樹脂、あるいは熱、光または放射線照射により重合あるいは架橋し硬化する化合物を用いて構成される。前記電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびポリスチリルアントラセン等の複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物;ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾールおよびカルバゾール等の複素環化合物;トリフェニルメタン等のトリアリールアルカン誘導体;トリフェニルアミン等のトリアリールアミン誘導体;フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体およびヒドラゾン誘導体等の低分子化合物;が挙げられる。これらを高硬度樹脂、あるいは熱、光または放射線照射により重合あるいは架橋し硬化する化合物と共に適当な溶剤に分散または溶解させ、先の電荷発生層上に塗布した後、乾燥固化工程、または重合あるいは架橋し硬化させる工程により電荷輸送層を形成する。
熱可塑性の高硬度樹脂としては、変性ポリカーボネートや変性ポリアリレート樹脂のように一般のエンジニアリングプラスチックよりも機械的強度改善した高分子化合物が使用できる。熱、光または放射線照射により重合または架橋し硬化する化合物としては、熱による加水分解や縮合反応を経由して架橋するものとしてフェノール系、エポキシ系、アルコキシシラン系等、熱や光または放射線照射によりラジカル等の活性点を発生させ、重合または架橋することが可能な化合物であれば限定されないが、一般的には連鎖重合性官能基を有する化合物が反応性や強度の観点から挙げられ、中でも分子内に不飽和重合性官能基を有する化合物は反応性の高さ、反応速度の速さ、材料の汎用性等の点から好ましく、不飽和重合性官能基として、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基およびスチレン基等が特に好ましく、これらを有する化合物はモノマー、オリゴマー、マクロマー、ポリマーのいずれにも限定されることなく適宜選択または組み合わせて用いることが出来る。また、電荷輸送性、好ましくは正孔輸送性を有し、かつ熱、光または放射線照射により重合または架橋し硬化する化合物を用いる場合は、それ単独で電荷輸送層を形成することができ、この場合は特に電子写真特性に優れかつ高強度な表面層を形成することが可能となる。また、電荷輸送材料、および電荷輸送性を有さない熱、光または放射線照射により重合または架橋し硬化する化合物を更に適宜混合することも可能である。
電荷輸送性を有し、かつ熱、光または放射線照射により重合または架橋し硬化する化合物は、例えば不飽和重合性官能基を有する公知の正孔輸送性化合物や、公知の正孔輸送性化合物の一部に不飽和重合性官能基を付加した化合物が用いられる。公知の正孔輸送性化合物の例としては、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、トリフェニルアミン化合物、ベンジジン化合物およびスチルベン化合物等が挙げられるが、正孔輸送性化合物であればいかなる化合物も使用可能である。更に、本発明において電子写真感光体の表面層の硬度を十分に確保するためには、不飽和重合性官能基を有する化合物は、一分子中に複数の不飽和重合性官能基を有する化合物であることが好ましい。
本発明において、単層型感光層でかつ該単層型感光層自体が表面層となる構成の電子写真感光体の場合には、少なくとも電荷発生材料、電荷輸送材料、および熱、光または放射線照射により重合または架橋し硬化する化合物を分散または溶解した溶液を用いて硬化させることにより感光層が形成されることが好ましい。この場合においても先の積層型感光層を有する電子写真感光体と同様に、加熱または放射線照射により重合または架橋し硬化する化合物が電荷輸送性を有することが好ましい。
本発明において、表面層が感光層の上に構成される場合には、積層型感光層や単層型感光層の構成にかかわらず、表面層が熱、光または放射線照射により硬化された樹脂により形成されることが好ましい。この場合、表面層の下層となる感光層の構成は、電荷発生層および電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層、電荷輸送層および電荷発生層をこの順に積層した積層型感光層、または単層型感光層のいずれの構成も可能であるが、先に述べた理由により、電荷発生層および電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層構成が好ましい。この場合、電荷発生層は前述と同様な方法で形成され、電荷輸送層は前記電荷輸送材料を、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等のビニル化合物の重合体および共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂およびエポキシ樹脂等の結着樹脂中に分散または溶解した溶液を塗布液として用いて形成される。場合によっては電荷輸送層用塗布液に熱、光または放射線照射により重合または架橋し硬化する化合物の添加も可能である。
表面層が感光層の上に構成される場合でも、上述したように表面層は硬化後に電荷輸送性を有していることが好ましい。表面層に用いる重合または架橋し硬化する化合物自体が電荷輸送性を有さない化合物である場合には、電荷輸送層に用いる電荷輸送材料や導電性材料の添加により電荷輸送性を確保することが好ましい。この場合、電荷輸送材料は熱、光または放射線照射により重合、架橋可能な官能基を有しても有さなくてもかまわないが、電荷輸送材料の可塑性による機械的強度の低下を避けるためには、前者が好ましい。導電性材料としては、酸化チタンや酸化錫等の導電性微粒子が一般的ではあるが、その他として、導電性高分子化合物等の利用も可能である。表面層に用いる、熱、光または放射線照射による重合または架橋し硬化する化合物自体が電荷輸送性を有する場合においては、電荷輸送材料や導電性材料を添加しなくてもよい。本発明においては、表面層の膜硬度や種々の電子写真特性の点からして、後者のような、電荷輸送性を有しかつ熱、光または放射線照射により重合または架橋し硬化する化合物を用いて形成した表面層が好ましい。
本発明において、各々の層を形成するために溶液を塗布する方法は、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法およびスピンコーティング法等の公知の塗布方法が可能であるが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。また、蒸着、プラズマその他の公知の成膜方法も適宜選択できる。
本発明において、中間層、感光層等には各種添加剤を添加することが出来る。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の劣化防止剤;フッ素系樹脂微粒子等の滑材;等が挙げられる。
次に、表面層を重合または架橋して化合物を硬化させて形成する方法について説明する。本発明において表面層の形成は、熱、光または放射線照射により、重合または架橋し硬化する化合物を用いるが、熱あるいは光による硬化あるいは架橋反応による場合は反応開始材を必要とするが、放射線照射の場合には開始材を必要としない点において、電子写真特性の観点から特に好ましい。
放射線照射について説明する。本発明における放射線とは、特開2000−66425号公報において開示されたものと同様に、電子線およびγ線等が挙げられ、装置の大きさ、安全性、コスト、汎用性等、種々の点から電子線が好ましい。電子線照射をする場合、加速器としてはスキャニング型、エレクトロカーテン型、ブロードビーム型、パルス型およびミナー型等のいずれの形成も使用することが出来る。
電子線照射により電子写真感光体を形成する場合において、電子写真感光体の電気特性および耐久性能を十分に発現させる上で、電子線の加速電圧、吸収線量が非常に重要なファクターであり、加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下、また線量は好ましくは1〜100Mrad(1×104〜1×106Gy)の範囲、より好ましくは50Mrad(5×105Gy)以下の範囲である。加速電圧が300KVを超えたり、線量が100Mrad(1MGy)を超えると、電子写真感光体への劣化が起こり易い傾向にあることは該公報において示されるとおりである。電子線の加速電圧および線量を調整しても、得られる電子写真感光体は耐久性能が十分ではなく、更なる耐久性能の向上が必要とされていたが、重合・架橋の効率を上げるために加熱を併用することで、線量を低く抑えたまま十分な硬度を発現出来る硬化膜の製造方法は既に特開2004−12986号公報にて開示されたとおりである。
上記のようにして得られた、好適な弾性変形率およびユニバーサル硬度を示す表面層を持つ感光体により機械的劣化に対する耐久性を飛躍的に向上させることができるが、この感光体を前述の弾性層を表面層として有する中間転写体を装着した画像形成装置に用いた場合にはトナーのフィルミングの発生が顕著となる。この弾性層を有する中間転写体と上記好適な弾性変形率およびユニバーサル硬度を示す表面層を持つ感光体の組み合わせにおけるトナーフィルミングの問題は、本発明者らの検討の結果、感光体の表面形状を好適にコントロールすることにより解決されることが見出された。
即ち、本発明に用いる電子写真感光体はその表面形状として円周方向にスジ状の連続した凹凸形状を有する。電子写真感光体の表面形状をスジ状に形成することによりに弾性層を表面層として有する中間転写体を装着した画像形成装置に用いた場合にもトナーのフィルミングの発生が良好に抑えられた。
前述の弾性層を表面層として有する中間転写体を装着した画像形成装置との組み合わせにおいて、電子写真感光体の表面形状を円周方向にスジ状の連続した凹凸形状とすることでのトナーフィルミング防止効果のメカニズムは現在のところ定かではない。しかし、フィルミングが、削れにくい感光体表面層上に発生する付着性の強い部分へ、トナーが弾性層を有する中間転写体により長時間、均一に押し付けられることで発生することを想定すると、感光体の表面に凸凹を形成することで中間転写体の押し付けによる圧力が分散されてフィルミングが軽減されること、および感光体表面の凸凹形成によってクリーニング部材との摺擦が安定化することによって付着したトナーが削りとられやすくなることによりフィルミングが防止されることが予想される。
また、更に該表面形状として好ましくは、円周方向に形成された溝と平坦部の組み合わせからなり、該溝幅0.5〜40μmの感光体軸方向の単位長さ1000μm当たりの溝本数密度が20以上1000以下であり、これによりフィルミングのみならず、高い転写性、良好なトナーのクリーニング性を安定的に維持することが可能となる。
ここで「溝」とは、粗面化手段により形成された0.5μm〜40μmの溝幅のものを指す。具体的には、Rz(最大面粗さ)および十点平均面粗さRzの差(Rz−Rzjis)が0.3μm以下のものを指す。
電子写真感光体の表面形状をスジ状に形成する手段としては、研磨シートや砥石を用いて、電子写真感光体の表面を物理的に研磨する方法が一般的である。またその他の方法として、粗面化された支持体上に感光層/保護層を塗布する工程において支持体の表面形状を電子写真感光体表面まで維持させる方法や、感光層/保護層が塗布後乾燥前あるいは硬化前の流動性のある状態において粗面化手段により前記電子写真感光体表面形状を形成する方法等も可能である。
次に、本発明の電子写真感光体の製造に用いる粗面化手段として、研磨シートを含む研磨機の一例を図6に示す。研磨シートは、研磨砥粒が結着樹脂に分散されたものが基材に塗布されたシートである。研磨シート1は中空の軸αに巻かれており、軸αにシートが送られる方向と逆方向に、研磨シート1に張力が与えられるようモータ(不図示)が配置されている。研磨シート1は矢印方向に送られ、ガイドローラー2−1、2−2を介してバックアップローラ3を通り、研磨後のシートはガイドローラー2−3、2−4を介してモータ(不図示)により巻き取り手段5に巻き取られる。研磨は、基本的に未処理の研磨シートが電子写真感光体4の表面に常時圧接され、電子写真感光体表面を粗面化することで行われる。研磨シート1は基本的には絶縁性であるので、シートの接する部位はアースに接地されたもの、または導電性を有するものを用いることが好ましい。
研磨シートの送りスピードは10〜500mm/minの範囲が好ましい。送り量が少なければ電子写真感光体表面を研磨した研磨シートが再度電子写真感光体表面に接触することとなり、電子写真感光体表面への深傷の発生、表面溝のムラ、研磨シート表面の結着樹脂の付着等を生じる場合があり好ましくない。
電子写真感光体4は、研磨シート1を介してバックアップローラ3と対向した位置に置かれる。この際、研磨シート1の基材側からバックアップローラが所望の設定値でバックアップローラ3に所定時間押し当てられ、電子写真感光体表面が粗面化される。電子写真感光体の回転方向は、研磨シート1の送られる方向と同一、対向、または研磨途中で回転方向を変更してもよい。
バックアップローラの電子写真感光体に対する押し当て圧は、研磨砥粒の種類および粒径、研磨シートに分散される研磨砥粒の番手、研磨シートの基材厚、砥粒シートの結着樹脂膜厚、バックアップローラの硬度、電子写真感光体の表面を構成する表面層の硬度により最適値は異なるが、0.005〜15N/m2の範囲であれば、本発明における電子写真感光体表面の溝形状が達成される。なお、本発明における電子写真感光体表面の溝形状(溝幅、溝密度、表面粗さ等)は、例えば粗面化手段として研磨シートを用いる場合は、研磨シートの送りスピード、パックアップローラの押し当て圧、研磨砥粒の粒径、形状、研磨シートに分散される研磨砥粒の番手、研磨シートの結着樹脂膜厚、基材厚等を適宜選択することにより調整できる。
研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモンド、酸化鉄、ダイヤモンド、酸化セリウム、コランダム、珪石、窒化珪素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化珪素、炭化タングステン、チタンカーバイトおよび酸化珪素等が挙げられる。研磨砥粒の平均粒径は好ましくは0.01〜50μmであり、より好ましくは1〜15μmである。粒径が小さいと、本発明において好適な溝の深さ、溝の幅が得られず、大きいとRz−Rzjisの差が大きくなり、ハーフトーン画像上のムラ、傷が画に出る等の不具合を生じる傾向がある。なお、研磨砥粒の平均粒径は、遠心沈降法で測定されたメジアン径D50を指す。
研磨シートの結着樹脂に分散される研磨砥粒の番手は研磨砥粒の粒径と相関があり、番手数が小さい方が研磨砥粒の平均粒径が大きく、そのため、電子写真感光体表面に傷を生じさせることとなる。本発明において研磨シートに分散される研磨砥粒の番手の範囲は、500〜20000が好ましく、より好ましくは1000〜3000が好ましい。
本発明に用いられる研磨シートとしては、以下のような市販のものを用いることができる。例えば、レフライト(株)製MAXIMA、MAXIMA Tタイプ;(株)KOVAX製ラピカ;住友3M(株)製マイクロフィニッシングフィルム、ラッピングフィルム;三共理化学(株)製ミラーフィルム、ラップングフィルム;日本ミクロコーティング(株)製ミポックス等が挙げられる。
なお、電子写真感光体表面の溝幅、平坦部の幅および溝密度は、本発明においては、例えば非接触3次元表面測定機(商品名:マイクロマップ557N、(株)菱化システム製)を用いて以下のように測定を行う。
マイクロマップの光学顕微鏡部に5倍の二光束干渉対物レンズを装着し電子写真感光体をレンズ下に固定し、表面形状画像をWaveモードでCCDカメラを用いて干渉像を垂直走査させて3次元画像を得る。得られる画像の範囲は1.6mm×1.2mmである。得られた画像を解析し、データとして単位長さ1000μm当たりの溝数、溝幅が得られる。このデータを基に溝幅、溝数の解析が可能となる。また、溝幅、溝数に関しては、マイクロマップ以外にも市販のレーザー顕微鏡(超深度形状測定顕微鏡VK−8550、VK−9000((株)キーエンス製)、走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000(オリンパス(株)製)、リアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130(レーザーテック(株)製))、デジタルマイクロスコープVHX−100、VH−8000((株)キーエンス製))等により、電子写真感光体表面画像を得、それを基に画像処理ソフト(例えばWinROOF(三谷商事(株)製))を用い溝幅、溝数を求めることが可能である。また、3次元非接触形状測定装置(NewView5032(ザイゴ(株)製))等を用いればマイクロマップと同様に測定することが可能である。
また、電子写真感光体の表面の表面粗さRz(十点平均面粗さ)は0.3μm〜1.3μmが好ましい。0.3μm未満の場合にはフィルミング、クリーニング性に効果が薄く、1.3μmを超える場合には文字再現性が劣り、3ポイントの文字画像が再現されずつぶれ易くなる。なお、本発明において電子写真感光体の表面の表面粗さRzは、溝の深さを表す指標とする。
本発明において、表面粗さの測定は、いずれも、JIS−B0601−2001を基準とし、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器サーフコーダSE3500型を用いて行った。測定条件は、測定長:0.4mm、測定速度:0.1mm/sとした。RSm(C)および(D)測定時のノイズカットのベースラインレベル設定値は10%(レベル設定)とした。
本発明の別の形態として、感光体の表面にディンプル状の微細な凹凸形状を持つようにした感光体が挙げられる。電子写真感光体の表面形状をディンプル状の微細な凹凸形状を持つように形成することによっても、弾性層を表面層として有する中間転写体を装着した画像形成装置に用いた場合にもトナーのフィルミングの発生が良好に抑えられた。
特に、粗面化する前の基準面よりも凹みを多くを持つように加工された表面であることが好ましく、凹部はできるだけ孤立して存在し、感光体表面の凹凸形状は適度な粗さ、適度な凹凸間隔、適度な凸部と凹部の比率を持ち、特に凹部分がスジ状に連なることがなく、凹部分の存在の仕方に方向性がない様に形成されていることが好ましい。
本発明において、最表面層に上記のディンプル形状を形成できればいかなる成膜法、または粗面化法を用いてよい。
ただし、本発明で求めているような表面形状を得るには何等かの機械的粗面化法を用いることが有効である。数ある機械的粗面化法の中でも、ディンプル形状を形成する方法として、乾式のブラスト法と湿式のホーニング法が好ましい。更に、乾式のブラスト法を用いることが湿度条件に敏感な電子写真感光体を水等の溶媒に接触させることなく粗面化できるためより好ましい。
ブラスト加工の方法としては、圧縮空気を用いて噴射する方法、モータを動力として噴射する方法等があるが、感光体の粗面化を精密に制御が可能で、かつ設備の簡易性という点において、圧縮空気を用いる方法が好ましい。
ブラストに用いる研磨材の材質としては、酸化アルミニウム、ジルコニア、炭化ケイ素、ガラス等のセラミック系、ステンレス、鉄、亜鉛等の金属系、ポリアミド、ポリカーボネート、エポキシ、ポリエステル等の樹脂系が挙げられる。特に粗面化効率およびコスト面から、ガラス、酸化アルミニウム、ジルコニアが好ましい。
本発明において用いるブラスト加工装置の例を図5に示す。容器(不図示)に貯留されている研磨材は1−4の経路よりノズルに導かれ、1−3の経路より導入された圧縮エアを用いて噴射ノズル1−1より噴射され、ワーク支持体(ワーク固定治具)1−6により支持され自転している感光体(ワーク)1−7に衝突する。1−5はブラスト砥粒である。
このときノズルとワークの距離は1−2や1−9のノズル固定冶具、アームにより調整されて決められる。ノズルは通常ワークの回転軸方向に対して移動しながら粗面化処理を行い、ノズル支持体1−8がワークの回転軸方向に移動することによりワークに対してムラ無く粗面化処理を施すことができる。
この時、ノズルと感光体表面の最短距離は適当な間隔に調整する必要がある。距離が過剰に近い、若しくは遠いと加工効率が落ちる、若しくは所望の粗面化が行えない場合がある。噴射の動力に用いる圧縮空気の圧力も適度な圧力に調整する必要がある。このように、有機感光体を成膜完成後に粗面化することで生産性の良い製造法が確立できる。
本発明の表面形状、または粗面化は感光体下地の導電性基体の面形状とは無関係である。特に、有機感光層の成膜法が浸漬塗布法の場合、しばしば成膜された面は非常に平滑で、仮に下地を粗面化したとしてもその面形状を反映することはない。
本発明のディンプル状表面形状を機械的粗面化を施して形成する場合、有機感光体を最終的に使用する層まで成膜した後、感光体の最表面層上から粗面化することが好ましい。
表面形状の測定法において、本発明において十点平均粗さ(Rzjis)、凹凸の平均間隔(RSm)、最大山高さ(Rp)、最大谷深さ(Rv)はJIS−B0601−2001に記載の方法に準じて測定したものをいう。
測定は表面粗さ測定器(商品名:サーフコーダSE3500型、(株)小坂研究所製)を用いて行った。
粗面化する感光体の表面粗さは、周方向および回転軸方向に測定した両方の場合とも十点平均粗さRzjisで0.3μm〜2.5μmであることが好ましく、更には0.4μm〜2.0μmであることが好ましい。表面粗さが0.3μm未満であると粗面化による本発明の改善効果が減少する傾向にあり、2.5μmを超えると得られる画像に粗面化に由来するガサツキが現れ、またクリーニングブレードからのトナーのすり抜けが多くなる傾向にある。
本発明において求められる表面形状は、所謂ディンプル形状と表現できる、できるだけ円形に近い、孤立した凹部を多数有する形状である。このディンプル形状は感光体表面の全ての方向に対して方向性がないことが好ましい。
感光体表面の凹凸において、谷部分がスジ状に連なった場合、帯電生成物等の低抵抗物質がそのスジ状部分に蓄積され、特に高温高湿下で長期間使用された場合などに表面形状に起因するスジ状の画像欠陥が発生するという問題が発生しやすくなる。このスジ状画像欠陥は特に上記の弾性変形率We%が45%以上の感光体や表面に硬化性樹脂を含有する高耐久を達成できる感光体において特に顕著となる問題である。
従って、あらゆる方向に測定したRzjis、RSm等がその測定方向によって大きく異なった値にならないことが面粗さ測定データから導き出される。よって、周面の周方向のRSm(C)の値と周面の母線方向(感光体が回転する軸方向)のRSm(D)の値の比率が1に近いほど好ましい。
凹凸の平均間隔RSmは周方向および母線方向に測定した両方の場合とも5μm〜120μm、かつ周方向のRSm(C)と母線方向のRSm(D)の比率が(RSm(C)/RSm(D))=0.5〜1.5であることが好ましい。
また、特に感光体表面とクリーニングブレードが速度差をもって当接する場合、最適な凹凸の間隔範囲が存在し、RSmが5μmより小さいと粗面化した効果が減少する傾向にあり、120μmより大きいとトナーすり抜け等のクリーニング不良が多くなる傾向にある。
また、本発明の表面形状は凸部よりも凹部を積極的に有するような形状を意図したものである。感光体上に凸形状が多く、凸部の高さが大きくなるとクリーニングブレードに対する局所的な抵抗が増加し、特に長期間耐久使用した際にクリーニングブレードのエッジ部を欠損させるという問題が発生する傾向にある。
従って、本発明においては凸部の高さを小さくし、凹部の深さを大きくするという形状を選択的に形成させるために、最大山高さRp(F)が0.6μm以下であることが好ましい。また、最大谷深さRv(E)の該最大山高さRp(F)に対する比の値(E/F)が1.2以上であることがより優れた効果を発揮する。
これらディンプルの形状を更に詳細に検討した結果について説明する。ディンプル形状の測定には、表面形状測定システム(Surface Explorer SX−520DR型機、(株)菱化システム製)を使用して評価した。
測定は、先ずドラムサンプルをワーク置き台に設置し、チルト調整して水平をあわせ、ウエーブモードで感光体表面の3次元形状データを取り込んだ。その際、対物レンズは50倍の倍率を用いて100μm×100μmの視野観察で行った。次に、データ解析ソフト中の、粒子解析プログラムを用いて表面の等高線データを表示した。
ディンプルの形状、面積等を求める際の孔解析パラメータは、最長径上限:50μm、最長径下限:1μm、深さ下限:0.1μm、体積下限:1μm3以上で観察して画面上ディンプルと見える部分の個数をカウントした。観察は100μm×100μmの視野で行い、ディンプル個数は解析画面の視野中で見えるディンプルの数をカウントして個数とした。
ディンプルの面積率は、上記と同じ視野、同じ解析条件で、総面積を10000μm2として、ディンプル部分の面積を粒子解析ソフトの計算値を合計して求め、(ディンプル合計面積/総面積)×100(%)として求めた。
ディンプルの平均アスペクト比は上記と同じ視野、同じ解析条件から、識別できるディンプルのデータを集めて、そのアスペクト比の平均値を求めて決定した。
本発明の感光体の適したディンプルの個数は、10000μm2あたり5個〜50個、更に5個〜40個が好ましい。好ましいディンプルの面積率は、3〜60%が好ましい。これらディンプルの個数や面積率が上限を上回っても、下限を下回っても粗面化した効果が得られ難くなる。
また、好ましいディンプルの平均アスペクト比は、0.5〜0.95である。アスペクト比が下限を下回った場合、高温高湿下において画像流れが発生しやすくなる。
本発明においては、これらの個数、面積率、平均アスペクト比の数値の規定に適合した表面形状が好ましい、円形に近い形状を有する孤立したディンプル状の凹凸を示している。このような形状を有することにより適度な粗面形状を有し、かつ方向性の無い粗面化表面であるため、前後で述べるような理由により、本発明の改善効果を効率よく得ることができる。
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンターおよびレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(電子写真感光体の製造例1〜11ならびに比較製造例C1〜C9)
(電子写真感光体の製造例1)
JIS A3003アルミニウム合金を用いて、長さ370mm、外径84mm、肉厚3mmのアルミニウムシリンダーを切削加工により作製して支持体(円筒状支持体)とした。
次に、アンチモンをドープした酸化スズの被覆膜を有する酸化チタン粒子(商品名:クロノスECT−62、チタン工業(株)製)60部、酸化チタン粒子(商品名:titone SR−1T、堺化学(株)製)60部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライトJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)70部、2−メトキシ−1−プロパノール50部およびメタノール50部からなる溶液を、ボールミル装置で20時間分散することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを48分間、150℃に調整された熱風乾燥機中で乾燥および硬化させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部およびメトキシメチル化ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF30T、帝国化学産業(株)製)30部を、メタノール500部/ブタノール250部の混合溶剤に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。 この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを22分間、100℃に調整された熱風乾燥機中で乾燥させることによって、膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン(電荷発生物質)4部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部、および、シクロヘキサノン90部からなる溶液を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で10時間分散した後、これに酢酸エチル110部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。 この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、これを22分間、80℃に調整された熱風乾燥機中で乾燥させることによって、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(11)で示される構造を有する化合物(電荷輸送物質)35部、
および、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスティックス(株)製)50部を、モノクロロベンゼン320部/ジメトキシメタン50部の混合溶剤に溶解させることによって、第一電荷輸送層用塗布液を調製した。
この第一電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを40分間、100℃に調整された熱風乾燥機中で乾燥させることによって、膜厚が21μmの第一電荷輸送層を形成した。
次に、下記式(12)で示される構造を有する化合物(重合性官能基を有する正孔輸送性化合物)30部
を、1−プロパノール35部および1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラーH、日本ゼオン(株)製)35部の混合溶剤に溶解させた後、これをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の0.5μmメンブレンフィルターで加圧濾過することによって、第二電荷輸送層用塗布液を調製した。 この第二電荷輸送層用塗布液を第一電荷輸送層上に浸漬塗布した後、100℃の条件下5分間保持して溶剤を風乾させた。
これに、窒素雰囲気(酸素濃度10ppm)下で加速電圧150kV、線量15kGy(1.5Mrad)の条件で電子線を照射し、その後、同雰囲気下で電子写真感光体(=電子線の被照射体)の温度が120℃になる条件で90秒間加熱処理を行い、さらに大気中で100℃に調整された熱風乾燥機中で20分間加熱処理を行うことによって、膜厚が5μmの硬化性の第二電荷輸送層を形成した。
次に、概略、図1に示す構成の乾式ブラスト処理装置(不二精機製造所製)を用い、下記条件にて、第二電荷輸送層の表面に対して乾式ブラスト処理を施し、第二電荷輸送層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
・乾式ブラスト処理の条件
粒子(研磨粒子):平均粒径が30μmの球状ガラスビーズ(商品名:UB−01L(株)、ユニオン製)
エア(圧縮空気)吹き付け圧力:0.343MPa(3.5kgf/cm2)
噴射ノズル移動速度:430mm/s
ワークの自転速度:288rpm
噴射ノズルの吐出口とワークとの距離:100mm
粒子(研磨粒子)の吐出角度:90°
粒子(研磨粒子)の供給量:200g/min
ブラストの回数:片道×2回
乾式ブラスト処理後、ワークの周面に残存付着した粒子(研磨粒子)を、圧縮エアの吹き付けにより除去した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該第二電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体を作製した。
作製した電子写真感光体の周面の形状を測定したところ、表1および2に示す数値であった。
なお、電子写真感光体の周面の形状の測定は、上述のとおり、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器サーフコーダSE3500型を使用して行った。
Rzjis(A)およびRSm(C)の測定は、上記装置用の円周粗さ測定装置を使用して行った。測定条件は、測定長:0.4mm、測定速度:0.1mm/sとした。RSm(C)および(D)測定時のノイズカットのベースラインレベル設定値は10%(レベル設定)とした。
また、Rzjis(A)および(B)、RSm(C)および(D)、Rv(E)およびRp(F)、10000μm2(100μm×100μm)あたりのディンプル形状の凹部の個数、ディンプル形状の凹部の面積率、ディンプル形状の凹部の平均アスペクト比の測定は、それぞれ、円筒状の電子写真感光体の母線方向の、一端から5cmの部分、中央部、他端から5cmの部分の3部分で2箇所以上測定して、その平均値を測定値とした。
また、上記と同様にしてユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率測定用の電子写真感光体を作製し、上記乾式ブラスト処理前後の表面層(本実施例では第二電荷輸送層)の表面のユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率を測定したところ、表3に示す数値であった。なお、表面層(本実施例では第二電荷輸送層)を形成し、23℃/50%RH環境下に24時間放置した後、ユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率を測定し、次に、乾式ブラスト処理を施した後、ユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率を再度測定した。 このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該第二電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体1を作製した。
表面粗さ測定は、接触式面粗さ測定機(商品名:サーフコーダSE3500、(株)小坂研究所製)を用いて上述のように行った。なお、ディンプル形状の測定は、上述した方法で行い、それぞれの測定は、円筒状の電子写真感光体の母線方向の、一端から5cmの部分、中央部、他端から5cmの部分の3部分で2箇所以上測定して、その平均値を測定値とした。測定結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造例2)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および第一電荷輸送層を形成した。
次に、分散剤としてフッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)0.15部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラーH、日本ゼオン(株)製)35部/1−プロパノール35部の混合溶剤に溶解させた後、これに潤滑剤として四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)3部を加え、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)を用い、5880N/cm2(600kgf/cm2)の圧力で3回の分散処理を施し、均一に分散させた。
これを、PTFE製の10μmメンブレンフィルターで加圧濾過した。
これに、上記式(12)で示される構造を有する化合物(重合性官能基を有する正孔輸送性化合物)27部を加え、PTFE製の10μmメンブレンフィルターで加圧濾過することによって、第二電荷輸送層用塗布液を調製した。
この第二電荷輸送層用塗布液を第一電荷輸送層上に浸漬塗布した後、100℃の条件下5分間保持して溶剤を風乾させた。
これに、窒素雰囲気(酸素濃度10ppm)下で加速電圧150kV、線量15kGy(1.5Mrad)の条件で電子線を照射し、その後、同雰囲気下で電子写真感光体(=電子線の被照射体)の温度が120℃になる条件で90秒間加熱処理を行い、さらに大気中で電子写真感光体(=電子線の被照射体)の温度が100℃に調整された熱風乾燥機中で20分間加熱処理を行うことによって、膜厚が5μmの硬化性の第二電荷輸送層を形成した。
次に、噴射ノズルの吐出口とワークとの距離を100mmから110mmに変更した以外は実施例1の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、第二電荷輸送層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該第二電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体2を作製した。
また、電子写真感光体の製造例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造例3)
電子写真感光体の製造例2と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層を形成した。
次に、噴射ノズルの吐出口とワークとの距離を100mmから50mmに変更した以外は、実施例1の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、第二電荷輸送層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該第二電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体3を作製した。
また、実施例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造例4)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層および電荷発生層を形成し、また、該電荷発生層上に電子写真感光体の製造例1の第一電荷輸送層と同様の層を電荷輸送層として形成した。
次に、アンチモンドープ酸化スズ粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製、平均粒径0.02μm)100部を、下記式(19)で示される構造を有するフッ素原子含有化合物(商品名:LS−1090、信越化学工業(株)製)7部
で表面処理した(以下「処理量7%」と記す。)。この表面処理済みアンチモンドープ酸化スズ粒子10部、メチルエチルケトン200部、および、1,4−ジオキサン200部を、サンドミル装置で66時間分散した。
これに、下記式(21)で示される構造を有する熱硬化性エポキシ樹脂モノマー6部、
および、下記式(22)で示される構造を有する酸無水物(硬化触媒)1.4部
を添加することによって、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を電荷輸送層上にスプレーコーティングし、これを30分間80℃で、次いで2時間130℃で熱処理し、もってこれを熱硬化させることによって、膜厚が5μmの保護層を形成した。
次に、電子写真感光体の製造例1の第二電荷輸送層の表面に対する乾式ブラスト処理の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、保護層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層(硬化層)を設けてなり、かつ、該保護層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体4を作製した。
また、電子写真感光体の製造例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造例5)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層および電荷発生層を形成した。
次に、上記式(12)で示される構造を有する化合物70部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン15部/1−プロパノール15部の混合溶剤に溶解させた後、これをPTFE製の0.5μmメンブレンフィルターで加圧濾過することによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布した後、100℃の条件下5分間保持して溶剤を風乾させた。
これに、窒素雰囲気(酸素濃度10ppm)下で加速電圧150kV、線量50kGy(5Mrad)の条件で電子線を照射し、その後、同雰囲気下で電子写真感光体(=電子線の被照射体)の温度が120℃になる条件で90秒間加熱処理を行い、さらに大気中で100℃に調整された熱風乾燥機中で20分間加熱処理を行うことによって、膜厚が10μmの硬化性の電荷輸送層を形成した。
次に、エア(圧縮空気)吹き付け圧力を0.343MPa(3.5kgf/cm2)から0.441MPa(4.5kgf/cm2)に変更した以外は、電子写真感光体の製造例1の第二電荷輸送層の表面に対する乾式ブラスト処理の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、電荷輸送層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体5を作製した。
また、電子写真感光体の製造例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造例6)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および第一電荷輸送層を形成した。
次に、上記式(18)で示される構造を有する化合物(電荷輸送物質)10部に、トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランの加水分解縮合物を主成分とする熱硬化性シリコーン樹脂(東芝シリコーン(株)製トスガード510)を結着樹脂の不揮発分が13部になるように添加し、これに2−プロパノールを塗布液全体の固形分が30質量%になるように添加することによって、第二電荷輸送層用塗布液を調製した。
この第二電荷輸送層用塗布液を第一電荷輸送層上に浸漬塗布し、60分間130℃で熱処理し、もってこれを熱硬化させることによって、膜厚が5μmの第二電荷輸送層を形成した。
次に、電子写真感光体の製造例1の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、第二電荷輸送層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該第二電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体6を作製した。
また、電子写真感光体の製造例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造例7)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層を形成した。
次いで、研磨シート(商品名:C−2000(富士写真フィルム(株)製)、研磨砥粒:Si−C(平均粒径:9μm)、基材:ポリエステルフィルム(厚さ:75μm)を用い、研磨シート送りスピード:200mm/sec、感光体回転数:25rpm、押し当て圧:3N/m2、シートおよび電子写真感光体の回転方向は反対方向で、バックアップローラは外径:直径40cm、アスカーC硬度:40のものを用い、150sec間粗面化を行った。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該第二電荷輸送層が表面層であり、かつ、周方向にスジ状の連続したの凹凸形状を有する円筒状の電子写真感光体7を作製した。
なお、溝の測定においては、まず非接触3次元表面測定機(商品名:マイクロマップ557N、(株)菱化システム製)を用いて上述のように行った。
表面粗さ測定は、接触式面粗さ測定機(商品名:サーフコーダSE3500、(株)小坂研究所製)を用いて上述のように行った。電子写真感光体の表面の溝および表面粗さを測定したところ、溝本数密度は300、溝幅は4.8μm以下、Rzjisは0.51μm、Rzは0.60μmであった。
それぞれの測定は、円筒状の電子写真感光体の母線方向の、一端から5cmの部分、中央部、他端から5cmの部分の3部分で2箇所以上測定して、その平均値を測定値とした。測定結果を表1−2に示す。
(電子写真感光体の製造例8)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層、および電荷発生層を形成した。
次いで下記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物60部をモノクロロベンゼン30部、ジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調整した。
この電荷輸送層用塗布液を浸漬塗布した後、100℃の条件下5分間保持して溶剤を風乾させた。
これに、窒素雰囲気(酸素濃度10ppm)下で加速電圧150kV、線量15kGy(1.5Mrad)の条件で電子線を照射し、その後、同雰囲気下で電子写真感光体(=電子線の被照射体)の温度が150℃になる条件で180秒間加熱処理を行い、さらに大気中で100℃に調整された熱風乾燥機中で20分間加熱処理を行うことによって、膜厚が13μmの硬化性の電荷輸送層を形成した。
次いで、研磨シート(商品名:AX−3000(富士写真フィルム(株)製)、研磨砥粒:アルミナ(平均粒径:5μm)、基材:ポリエステルフィルム(厚さ:75μm)を用い、研磨シート送りスピード:150mm/sec、感光体回転数:15rpm、押し当て圧:7.5N/m2、シートおよび電子写真感光体の回転方向は同方向、バックアップローラは外径:直径40cm、アスカーC硬度:40のものを用い、400sec間、粗面化を行った。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該電荷輸送層が表面層であり、かつ、周方向にスジ状の連続したの凹凸形状を有する円筒状の電子写真感光体8を作製した。
また、電子写真感光体の製造例7と同様にして表面粗さ、溝の測定をした。その結果を表1−2に示す。
(電子写真感光体の製造例9)
電子写真感光体の製造例8と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層を形成した。
次に、押し当て圧:7.5N/m2を10N/m2、150secを300secに変更した以外は、電子写真感光体の製造例8と同様に粗面化を行った。このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該電荷輸送層が表面層であり、かつ、周方向にスジ状の連続したの凹凸形状を有する円筒状の電子写真感光体9を作製した。
また、電子写真感光体の製造例7と同様にして表面粗さ、溝の測定をした。その結果を表1−2に示す。
(電子写真感光体の製造例10)
電子写真感光体の製造例8と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層を形成した。
次に、研磨シートの番手を#800(商品名:C−800(富士写真フィルム(株)製)、押し当て圧:7.5N/m2を6.5N/m2に変更した以外は、電子写真感光体の製造例8と同様に粗面化を行った。このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該電荷輸送層が表面層であり、かつ、周方向にスジ状の連続したの凹凸形状を有する円筒状の電子写真感光体10を作製した。
また、電子写真感光体の製造例7と同様にして表面粗さ、溝の測定をした。その結果を表1−2に示す。
(電子写真感光体の製造例11)
電子写真感光体の製造例8と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層を形成した。
次に、粗面化工程の時間を1200secに変更した以外は、電子写真感光体の製造例10と同様に粗面化を行った。このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該電荷輸送層が表面層であり、かつ、周方向にスジ状の連続したの凹凸形状を有する円筒状の電子写真感光体11を作製した。
また、電子写真感光体の製造例7と同様にして表面粗さ、溝の測定をした。その結果を表1−2に示す。
(電子写真感光体の製造比較例C−1)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層を形成し、電子写真感光体C−1とした。
また、電子写真感光体の製造例1と同様にして表面粗さ、溝の測定をした。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造比較例C−2)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層、および電荷発生層を形成した。
次に、下記式(E−2)
で示される構造を有するスチリル化合物10部、および、下記式(E−3)
で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量(Mv):20000)10部を、モノクロロベンゼン50部、ジクロロメタン30部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、1時間120℃で乾燥させることによって、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成した。
次に、電子写真感光体の製造例1の第二電荷輸送層の表面に対する乾式ブラスト処理の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、電荷輸送層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層を設けてなり、かつ、該電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体C−2を作製した。
また、電子写真感光体の製造例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造比較例C−3)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および、第一電荷輸送層を形成した。次に、下記式(E−1)
で示される構造を有する正孔輸送性化合物30部、および、下記式(E−11)
で示される構造を有する正孔輸送性化合物10部を、モノクロロベンゼン50部/ジクロロメタン50部の混合溶剤に溶解させることによって、第二電荷輸送層用塗布液を調製した。この第二電荷輸送層用塗布液を、第一電荷輸送層上にスプレーコーティングした後、100℃の条件下5分間保持して溶剤を風乾させた。
次に、第一電荷輸送層層上に塗布した第二電荷輸送層用塗布液に、酸素濃度10ppmの雰囲気下で加速電圧150kV、照射線量20Mradの条件で電子線を照射し、その後、同雰囲気下で電子写真感光体(=電子線の被照射体)の温度が100℃になる条件で10分間加熱処理を行い、膜厚2μmの第二電荷輸送層を形成した。
次に、電子写真感光体の製造例1の第二電荷輸送層の表面に対する乾式ブラスト処理の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、第二電荷輸送層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該第二電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体C−3を作製した。
また、電子写真感光体の製造例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造比較例C−4)
第二電荷輸送層用塗布液に電子線を照射した後の加熱処理を行わなかった以外は、電子写真感光体1と同様にして電子写真感光体を作製した。
次に、電子写真感光体の製造例1の第二電荷輸送層の表面に対する乾式ブラスト処理の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、第二電荷輸送層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該第二電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体C−4を作製した。
また、電子写真感光体の製造例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造比較例C−5)
電子写真感光体の製造例1と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および、第一電荷輸送層を形成した。
次に、上記式(E−3)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量(Mv):20000)10部を、モノクロロベンゼン100部、ジクロロメタン60部の混合溶剤に溶解させ、これに疎水性シリカ粒子1部を混合・分散することによって、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を、第一電荷輸送層上にスプレーコーティングし、60分間110℃で乾燥させることによって、膜厚が1.0μmの保護層を形成した。
次に、電子写真感光体の製造例1の第二電荷輸送層の表面に対する乾式ブラスト処理の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、保護層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層(電荷輸送層)および保護層をこの順に設けてなり、かつ、該保護層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体C−5を作製した。
また、電子写真感光体の製造例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造比較例C−6)
電子写真感光体の製造例2と同様にして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層を形成した。
次に、噴射ノズルの吐出口とワークとの距離を100mmから50mm、エア(圧縮空気)吹き付け圧力を0.343MPa(3.5kgf/cm2)から0.490MPa(5.0kgf/cm2)に変更した以外は、実施例1の条件と同様の条件の乾式ブラスト処理によって、第二電荷輸送層の表面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
このようにして、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層および第二電荷輸送層(硬化層)を設けてなり、かつ、該第二電荷輸送層が表面層であり、かつ、周面にディンプル形状の凹部を複数有する円筒状の電子写真感光体C−6を作製した。
また、実施例1と同様にして表面粗さ、ディンプル形状を測定した。その結果を表1−1に示す。
(電子写真感光体の製造比較例C−7)
電子写真感光体の製造例8において、粗面化工程の時間を50secに変更した以外は、電子写真感光体の製造例8と同様に電子写真感光体C−7を作製した。
また、電子写真感光体の製造例7と同様にして表面粗さ、溝の測定をした。その結果を表1−2に示す。
(電子写真感光体の製造比較例C−8)
電子写真感光体の製造例8において、粗面化工程の時間を1800secに変更した以外は、電子写真感光体の製造例8と同様に電子写真感光体C−8を作製した。
また、電子写真感光体の製造例7と同様にして表面粗さ、溝の測定をした。その結果を表1−2に示す。
(電子写真感光体の製造比較例C−9)
電子写真感光体の製造例8において、研磨シートの番手を#800(商品名:C−800(富士写真フィルム(株)製)に変更した以外は、電子写真感光体の製造例8と同様に電子写真感光体C−9を作製した。
また、電子写真感光体の製造例7と同様にして表面粗さ、溝の測定をした。その結果を表1−2に示す。
(中間転写ベルトの製造例1〜3ならびに比較製造例C1およびC2)
表2に示すとおりの材料構成で、基層(下層)、中間層および表面層(上層)の3層構成または単層構成の中間転写ベルトを作製した。製造例1の中間転写ベルトを中間転写ベルト1、製造例2の中間転写ベルトを中間転写ベルト2、製造例3の中間転写ベルトを中間転写ベルト3、比較製造例1の中間転写ベルトを中間転写ベルトC1、比較製造例2の中間転写ベルトを中間転写ベルトC2とする。
なお、中間転写ベルト1〜3の基層および中間層ならびにC1およびC2の各層には、導電剤としてカーボンブラックが分散してある。
(中間転写ベルトの表面物性の測定)
表面物性測定用の中間転写ベルト1〜3ならびにC1およびC2について、それぞれ、25℃/50%RH環境下に24時間放置した後、上述のとおりにして、表面のユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率の測定を行った。測定結果を表3に示す。
(実施例1−1)
電子写真感光体1および中間転写ベルト1を図1に示す構成の電子写真装置に装着し、常温常湿(23℃、50%RH)環境下、100000枚の通紙耐久試験を行い、耐久試験後の画質(電子写真感光体の表面の傷部(上記特徴的な傷部)でのフィルミング発生に伴う転写性)および中間転写ベルトの耐久性を評価した。画質の評価にはハーフトーン画像およびベタ画像を用い、画像上の白スジおよび黒スジの発生のレベルを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例1−2)
実施例1−1において、中間転写ベルト1を中間転写ベルト2に変更した以外は、実施例1−1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
(実施例1−3)
実施例1−1において、中間転写ベルト1を中間転写ベルト3に変更した以外は、実施例1−1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
(比較例1−1)
実施例1−1において、中間転写ベルト1を中間転写ベルトC1に変更した以外は、実施例1−1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
(比較例1−2)
実施例1−1において、中間転写ベルト1を中間転写ベルトC2に変更した以外は、実施例1−1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
実施例1−1〜1−3ならびに比較例1−1および1−2の結果から、以下のことがわかる。
画質すなわち電子写真感光体の表面の上記特徴的な傷部の転写性は、中間転写10000μm連鎖重合性官能基電荷輸送機能硬化性樹脂RSm体(中間転写ベルト)の表面のユニバーサル硬さ値(HU)が電子写真感光体の表面のユニバーサル硬さ値(HU)よりも低い方が有利となっている。
また、中間転写体(中間転写ベルト)の耐久性は弾性変形率に依存している。実施例1−3の中間転写ベルト3と比較例1−1の中間転写ベルトC1とを対比すると、両者ともユニバーサル硬さ値が60N/mm2程度で近い値を示しているにも関わらず、中間転写ベルトC1の表面はヒビ割れが発生した。両者では弾性変形率が大きく異なり、弾性変形率が大きい方が有利となっている。そしてまた、実施例1−1の中間転写ベルト1および実施例1−2の中間転写ベルト2は、ともにユニバーサル硬さ値が低いにも関わらず、耐久性が良好であった。その要因として、両者ともに弾性変形率が大きいことが挙げられる。
(実施例2−1)
電子写真感光体2および中間転写ベルト3を図1に示す構成の電子写真装置に装着し、常温常湿(23℃、50%RH)環境下、100000枚の通紙耐久試験を行い、耐久試験後の画質(電子写真感光体の表面の傷部(上記特徴的な傷部)でのフィルミング発生に伴う転写性)の評価および耐久試験後の電子写真感光体の表面の削れ量を測定した。画質の評価にはハーフトーン画像およびベタ画像を用い、画像上の白スジおよび黒スジの発生のレベルを評価した。削れ量の測定には、フィッシャー社製渦電流式膜厚計 PERMASCOPE TYPE E111 を使用した。また、耐久試験時の電子写真感光体とクリーニングブレード間のトルク上昇起因によるブレード鳴きの評価もあわせて行った。
ブレード鳴きの評価は、ブレード鳴きがない場合は◎、軽微で問題とならない場合は○、画像欠陥などは生じないがブレード鳴きが聞こえる場合は△、クリーニングブレードの欠けなどが発生して画像欠陥が生じる場合は×とした。
(実施例2−2)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体3に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表5に示す。
(実施例2−3)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体4に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表5に示す。
(実施例2−4)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体5に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表5に示す。
(実施例2−5)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体6に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表5に示す。
(比較例2−1)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体C−1に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表6に示す。
(比較例2−2)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体C−2に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表6に示す。
(比較例2−3)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体C−3に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表6に示す。
(比較例2−4)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体C−4に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表6に示す。
(比較例2−5)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体C−5に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表6に示す。
(比較例2−6)
実施例2−1において、電子写真感光体2を電子写真感光体C−6に変更した以外は、実施例2−1と同様にして評価を行った。評価・測定結果を表6に示す。
比較例2−1の電子写真感光体C−1は、トルクの上昇により耐久試験初期からブレード鳴きが発生したため、耐久試験を1000枚程度までしか継続することができなかった。また、ハーフトーン画像でフィルミングの発生に伴い転写不良がハーフトーン画像に見られた。
比較例2−2の電子写真感光体C−2は、削れ量が多く、通史耐久試験途中で感光層が消失してしまい耐久試験を継続することができなかった。
比較例2−3、2−5の電子写真感光体C−3、C−5は、ユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率ともに上記範囲になく、摩耗および傷の少なくとも一方に問題があり、良好な画像を形成することはできなかった。
比較例2−4の電子写真感光体C−4は、弾性変形率が45%以上65%以下であっても、ユニバーサル硬さ値(HU)が150N/mm2未満であるため、削れ量が非常に大きく耐久試験を最後まで行うことができなかった。
比較例2−6の電子写真感光体C−6は、ユニバーサル硬さ値(HU)が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ、弾性変形率が45%以上65%以下であるが、Rzjis(A)、Rzjis(B)ともに大きいために、電子写真感光体とクリーニングブレードとの間でトナーのすり抜けが発生し、耐久試験の初期からスジ画像が発生した。
これに対し、ユニバーサル硬さ値(HU)が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ、弾性変形率が45%以上65%以下、Rzjis(A)、Rzjis(B)が0.3〜2.5μmである電子写真感光体2〜7は削れ量も少なく、ブレード鳴きがなく、フィルミングが発生することなく良好な画像が得られた。
また、通紙耐久試験後、実施例2−1〜2−6の中間転写ベルト3の表面には傷・摩耗はほとんどなく、耐久性は良好であり、また、電子写真感光体の表面に対する追従性も良好であった。
(実施例3−1)
電子写真感光体7および中間転写ベルト3を図1に示す構成の電子写真装置に装着し、常温常湿(23℃、50%RH)環境下、100000枚の通紙耐久試験を行い、耐久試験後の画質(電子写真感光体の表面の傷部(上記特徴的な傷部)でのフィルミング発生に伴う転写性)の評価を行った。画質の評価にはハーフトーン画像およびベタ画像を用い、画像上の白スジおよび黒スジの発生のレベルを評価した。また、実施例2−1と同様にブレード鳴きの評価も行った。
ブレード鳴きの評価は、ブレード鳴きがない場合は◎、軽微で問題とならない場合は○、画像欠陥などは生じないがブレード鳴きが聞こえる場合は△、クリーニングブレードの欠けなどが発生して画像欠陥が生じる場合は×とした。
(実施例3−2)
実施例3−1において、電子写真感光体7を電子写真感光体8に変更した以外は、実施例3−1と同様にして評価を行った。評価結果を表7に示す。
(実施例3−3)
実施例3−1において、電子写真感光体7を電子写真感光体9に変更した以外は、実施例3−1と同様にして評価を行った。評価結果を表7に示す。
(実施例3−4)
実施例3−1において、電子写真感光体7を電子写真感光体10に変更した以外は、実施例3−1と同様にして評価を行った。評価結果を表7に示す。
(実施例3−5)
実施例3−1において、電子写真感光体7を電子写真感光体11に変更した以外は、実施例3−1と同様にして評価を行った。評価結果を表7に示す。
(比較例3−1)
実施例3−1において、電子写真感光体7を電子写真感光体C−7に変更した以外は、実施例3−1と同様にして評価を行った。評価結果を表7に示す。
(比較例3−2)
実施例3−1において、電子写真感光体7を電子写真感光体C−8に変更した以外は、実施例3−1と同様にして評価を行った。評価結果を表7に示す。
(比較例3−3)
実施例3−1において、電子写真感光体7を電子写真感光体C−9に変更した以外は、実施例3−1と同様にして評価を行った。評価結果を表7に示す。
比較例3−1の電子写真感光体C−7は、トルクの上昇によりクリーニングブレード鳴きが発生し、耐久試験を開始して35000枚程度でハーフトーン画像上にスジ画像が見られた。また、クリーニングブレードを観察したところ、エッジに欠けが見られた。また、フィルミングが発生したのに伴い、転写不良がハーフトーン画像に見られた。
比較例3−2の電子写真感光体C−8は、Rz−Rzjisが0.3を超える領域の濃度が薄く見受けられた。
比較例3−3の電子写真感光体C−9は、Rzが1.3μmを超えたところは、白スジ画像として表れ、比較例3−2と同様にRz−Rzjisが0.3を超える領域の濃度が薄く見受けられた。
これに対し、Rzjisが0.3〜1.3μmである電子写真感光体7〜11は、スジ画像、ブレード鳴きが発生することなく、かつフィルミングが発生することない良好な画像が得られた。