JP2020095236A - 電子写真感光体、画像形成装置、電子写真感光体の製造方法、皮膜用液、及び皮膜 - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置、電子写真感光体の製造方法、皮膜用液、及び皮膜 Download PDF

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Abstract

【課題】連続印刷時においても地肌汚れと画像ボケの両方を抑制できる電子写真感光体の提供。【解決手段】支持体と、前記支持体上に設けられた感光層と、前記感光層上に設けられた保護層とを有する電子写真感光体であって、前記保護層が、フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有する電子写真感光体である。前記保護層が、フッ素原子含有溶剤を更に含有し、前記感光層が、前記フッ素原子含有溶剤を1ppm以上10ppm以下で含有する態様が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、画像形成装置、電子写真感光体の製造方法、皮膜用液、及び皮膜に関する。
従来からコピー機などで用いられてきた電子写真技術は、書類の印刷などのあらゆるシーンで活用されてきた。しかしながら、近年ではペーパーレスや経費削減などによりオフィスでの書類の印刷量が年々縮小していることから、電子写真技術の商用印刷への応用が模索されている。
電子写真技術の商用印刷への応用を考えると、電子写真技術は、オフセット印刷のような製版工程が不要なため、極小ロットで多品種の原稿を大量に印刷するようなオンデマンド印刷に応用しやすい。しかしながら、電子写真技術による印刷物は、オフセット印刷による印刷物と比較すると、特に画像品質の均質性の点で格段に劣っているのが実情である。
ひいては、電子写真技術を用いたコピー機がオフセット印刷機に置き換わるようなことが現状では起きていないことからも、電子写真技術を商用印刷に応用するには未だ不十分であるといえる。
そこで、耐久性が良好で、高品質の画像を安定して得られるような電子写真感光体を提供するために、さまざまな提案がなされている。例えば、電子写真感光体の保護層が、導電性粒子、フッ素原子含有樹脂粒子、結着樹脂、及びフッ素原子含有化合物を含有し、かつ導電性粒子表面がシロキサン化合物で処理されている電子写真感光体について提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、連続印刷時においても地肌汚れと画像ボケの両方を抑制できる電子写真感光体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段としての本発明の電子写真感光体は、支持体と、前記支持体上に設けられた感光層と、前記感光層上に設けられた保護層とを有する電子写真感光体であって、前記保護層が、フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有することを特徴とする。
本発明によると、連続印刷時においても地肌汚れと画像ボケの両方を抑制できる電子写真感光体を提供することができる。
図1Aは、電子写真感光体の保護層のSEM画像の一例を示す断面図である。 図1Bは、図1AのSEM画像から、フッ素樹脂粒子を抽出した断面図である。 図1Cは、図1AのSEM画像から、その他の粒子を抽出した断面図である。 図2は、電子写真感光体の保護層のSEM画像に対して1μm×4μmの区画に分画し、各区画におけるフッ素樹脂粒子とその他の粒子とが占める位置と面積を表示した一例を示す断面図である。 図3は、図2のSEM画像において、各区画のフッ素樹脂粒子とその他の粒子とが占める面積を示した一例を示すグラフである。 図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 図5は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図6は、本発明の画像形成装置における画像形成手段の一例を示す概略構成図である。 図7は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図8は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図9は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 図10は、本発明の画像形成装置における潤滑剤供給手段の一例を示す概略構成図である。
(電子写真感光体)
本発明の電子写真感光体は、従来の電子写真感光体では連続印刷時においても地肌汚れと画像ボケの両方を抑制するには十分ではないという問題があるという知見に基づくものである。具体的には、従来の電子写真感光体では、地肌汚れの抑制と画像ボケの抑制はトレードオフの関係にあるため、地肌汚れと画像ボケの両方を抑制することは困難とされていた。
これは、電子写真感光体はコンデンサのような構造及び機能を有していることから、電子写真感光体の耐摩耗性が低い場合には、電子写真感光体の摩耗が進むと静電容量が増大して帯電性が劣化しやすくなり、印刷画像にはカブリが生じやすくなる。また、感光層が受ける電場が強くなると、電荷のブロッキング性が低下して地肌汚れが生じやすくなる。こうした不具合の発生を遅らせるために電子写真感光体の耐摩耗性を高めることは重要である。
一方、電子写真感光体の耐摩耗性が高い場合には、電子写真感光体表面が摩耗しにくくなることから、電子写真感光体表面の汚れはリフレッシュされずに蓄積しやすくなる。汚れた電子写真感光体表面は表面抵抗が低くなりやすく、例えば、湿気の多い日などには、静電潜像が横流れして画像がボケてしまうという画像ボケが生じやすくなる。
このように、耐摩耗性を高めて地肌汚れを抑制したいという要求はあるものの、耐摩耗性を高めすぎると画像ボケが生じてしまい、地肌汚れと画像ボケの抑制とはトレードオフの関係がある。このため、電子写真技術において、画像品質の均質性を保持することが困難であることから、電子写真技術の用途の拡大も制限されてきた。
そこで、本発明者らは、研究を重ねた結果、連続印刷時においても地肌汚れと画像ボケの両方を抑制できる電子写真感光体を見出した。
本発明の電子写真感光体は、支持体と、支持体上に設けられた感光層と、感光層上に設けられた保護層とを有し、更に必要に応じてその他の層を有するようにしてもよい。
なお、以下では「電子写真感光体」を単に「感光体」と称することがある。また、保護層は、表面層と称することもある。
<保護層>
保護層は、フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有し、更にフッ素原子含有溶剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の材料を含有する。
保護層は、フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有すると、電子写真特性を良好に維持することができるとともに、フッ素原子含有樹脂粒子を一次粒子に近い粒径にまで分散させることができ、またその分散状態を維持することができる。
<<フッ素樹脂粒子>>
フッ素樹脂粒子は、保護層に含有させると保護層上に付着した付着物を除去しやすくなる。
フッ素樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体などが挙げられる。
フッ素樹脂粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上0.3μm以下が好ましい。フッ素樹脂粒子の平均粒径が好ましい範囲であると、塗膜の均質性の点で有利である。この範囲であれば塗膜表面の激しい粗面化を抑えやすい。また、厚み方向の均質性が得られやすく、塗膜の耐摩耗性を均質にしやすい利点がある。
<<部分フッ素化アルコール置換グリコール>>
部分フッ素化アルコール置換グリコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記構造式(I)で表される基を有する化合物が好ましく、下記一般式(II)で表される化合物がより好ましい。
ただし、一般式(II)中、nは自然数であり、1〜40が好ましい。
一般式(II)で表される化合物としては、例えば、一般式(II)中、nが7〜17である化合物;一般式(II)中、nが25〜35である化合物;一般式(II)中、nが7〜17及び25〜35である化合物;一般式(II)中、nが5〜20である化合物;一般式(II)中、nが6〜22である化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、一般式(II)中、nが6〜22である化合物;一般式(II)中、nが5〜20である化合物;一般式(II)中、nが7〜17及び25〜35である化合物が特に好ましい。
一般式(II)で表される化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
市販品としては、例えば、Chemours社製のCapstone(キャップストーン、登録商標)FS−30(前記一般式(II)中、nが6〜22)、Capstone(キャップストーン、登録商標)FS−34(前記一般式(II)中、nが5〜20)、Capstone(キャップストーン、登録商標)FS−3100(前記一般式(II)中、nが7〜17及び25〜35)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
部分フッ素化アルコール置換グリコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<フッ素原子含有溶剤>>
フッ素原子含有溶剤としては、例えば、環状パーフルオロカーボン、環状モノハイドロフルオロカーボン、環状ジハイドロフルオロカーボン、環状トリハイドロフルオロカーボンなどが挙げられる。
具体的には、フッ素原子含有溶剤としては、パーフルオロシクロブタン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,2,3,3,4,4,5−ノナフルオロシクロペンタン、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロシクロペンタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロシクロヘキサン、1,1,2、2,3,3,4,4,5−ノナフルオロシクロヘキサンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<その他の材料>>
その他の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化樹脂、その他の粒子、後述する電荷発生層にも用いられる酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物及びレベリング剤、後述する電荷輸送層にも用いられる高分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化樹脂が好ましい。その他の材料として硬化樹脂を含有すると、ラジカル重合性材料成分の重合反応によって架橋構造となり、耐摩耗性が強靱となる点で有利である。
これらの中でも、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンが、フッ素樹脂粒子を安定して分散でき、保護層における耐摩耗性の品質も良好である場合が多い点で好ましい。塗膜の均質性が不良であると耐摩耗性が悪化する。フッ素樹脂粒子はその影響が強いため、フッ素樹脂粒子の均質な分散は重要である。
−硬化樹脂−
硬化樹脂としては、例えば、ラジカル重合性材料成分を含有するものなどが挙げられる。
ラジカル重合性材料成分を含有するものとしては、例えば、アクリロイルオキシ基を有するアクリレートなどが挙げられる。
アクリロイルオキシ基を有するアクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
硬化樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、東京化成工業株式会社製等の試薬メーカーのもの、日本化薬株式会社製KAYARD DPCAシリーズ、同DPHAシリーズなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、硬化を促進させたり、安定化させたりするためにチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社イルガキュア184等の開始剤を全固形分に対して5質量%以上10質量%以下程度加えてもよい。
また、硬化樹脂に架橋性の電荷輸送材料を含有し、後述する電荷輸送層と類似の電荷輸送性を示すようにしてもよい。
架橋性の電荷輸送材料としては、例えば、アクリロイルオキシ基、スチレン基を有する連鎖重合系の化合物;水酸基、アルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の化合物などが挙げられ、電荷輸送構造を含み(メタ)アクリロイルオキシ基を一つ以上有する化合物を用いることができる。
電荷輸送構造を含み(メタ)アクリロイルオキシ基を一つ以上有する化合物としては、例えば、以下の一般式1で表される電荷輸送性化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式1中、d、e、fは、それぞれ0及び1のいずれかを表す。R13は、水素原子、及びメチル基のいずれかを表す。R14、及びR15は、水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数の場合は異なってもよい。g、及びhは、0から3のいずれかの整数を表す。Zは、単結合、メチレン基、エチレン基、及び下記構造のいずれかを表す。
−その他の粒子−
その他の粒子は、保護層に含有させることにより、クリーニングブレードと感光体との摩擦力を高めることができる。このため、その他の粒子は、フッ素樹脂粒子と併用して保護層に含有させることにより、感光体表面を削らなくても良好な清浄状態を保つことができる。
その他の粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機系材料の粒子、無機系材料の粒子などが挙げられる。
有機系材料としては、例えば、シリコ−ン樹脂、炭素を主成分とする材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
炭素を主成分とする材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ダイヤモンドが好ましい。
無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウム、酸化珪素、シリカ、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをド−プした酸化錫、錫をド−プした酸化インジウム、チタン酸カリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、金属酸化物が、耐摩耗性を強化することができ、かつ表面形状の造形がしやすい点で好ましい。また、一緒に混合するフッ素樹脂材料に対して互いに悪影響を及ぼしにくい点でも好ましい。フッ素樹脂材料に対する悪影響としては、具体的には、電子写真技術においては、感光体表面をクリーニングブレードの摩擦によって清掃する場合が多い。この場合、フッ素樹脂の配合によって感光体表面が滑りやすくなるため、クリーニングブレードと感光体の摩擦が低下して清掃能力が悪化するときがある。このようなときに、無機系材料が金属酸化物であると、清掃能力が悪化するという悪影響を解消できることが多い点で有利である。
金属酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンが好ましい。
その他の粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上1.0μm以下が好ましい。その他の粒子の平均粒径が好ましい範囲内であると、その他の粒子を添加した効果が現れやすく、かつ平均粒径による塗膜の凹凸の発生を抑えられるといった配合による悪影響が生じにくい点で有利である。
フッ素樹脂粒子とその他の粒子との混合割合としては、0.1/100以上100/100以下が好ましく、1/100以上50/100以下がより好ましい。フッ素樹脂粒子とその他の粒子との混合割合が好ましい範囲であると、上記のようなフッ素樹脂粒子の配合により清掃能力が悪化するという悪影響を解消できる効果がある点で有利である。
保護層の全固形分に対するフィラー濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。保護層の全固形分に対するフィラー濃度が好ましい範囲であると、耐摩耗性と書込み光透過率とのバランスが良好となる点で有利である。
低分子化合物及びレベリング剤を合わせた含有量としては、塗工液総固形分中の0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。低分子化合物及びレベリング剤を合わせた含有量が好ましい範囲であると、感度劣化がしにくい点で有利である。
レベリング剤の含有量としては、塗工液総固形分中の0.1質量%以上5質量%以下が適当である。
保護層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm以上15μm以下が好ましい。保護層の平均厚みが好ましい範囲であると、製膜コストの点、帯電安定性や光減衰感度等の静電特性の点、膜質の均質性の点で有利である。
平均厚みは、例えば、断面SEM観察により測定することができる。
[SEM像からの粒子の平均粒径と各区分における粒子の面積率の算定]
本発明の電子写真感光体の保護層における粒子の平均粒径と保護層の断面を分画した各区分における粒子の面積率の算定について説明する。
図1Aは、電子写真感光体の保護層のSEM画像の一例を示す断面図である。図1Aは、フッ素樹脂粒子、その他の粒子、及び硬化樹脂を含有する電子写真感光体の保護層のうち、粒子が含まれる部位の保護層の断面を5千倍で観察したSEMから取得したtif画像の一例を表す。この画像を画像解析ソフトimageJでスケールバーを参照してスケール情報を付与し、必要に応じてコントラストの強調(Enhance Contrast)を行い、8bit画像(Type8−bit)に変換する。画像濃度のしきい値を設定する(Adjust/Threshold)ことで原図からフッ素樹脂粒子の画像を切り取ることができる。その結果を図1Bに示す。
図1Bは、図1AのSEM画像から、フッ素樹脂粒子を抽出した断面図である。同様に適当な画像濃度のしきい値を設定することでその他の粒子の画像も切り取ることが可能である。その結果を図1Cに示す。
図1Cは、図1AのSEM画像から、その他の粒子を抽出した断面図である。図1Bと図1Cを対象にimageJのAnalyze Particleコマンドから、保護層に存在する粒子の情報を取得することができる。
個々の粒子の面積から円相当径を算出することができる。算出した粒子の円相当径から粒子の平均粒径を求めることができる。少なくとも20個以上の粒子の測定結果をもとに、平均粒径を求めることができる。
粒子情報は縦方向と横方向の位置情報と面積情報が得られる。これを縦1μm横4μmの領域に分画してここの領域における粒子の面積を算定する。図2と図3をもとに説明する。
図2は、電子写真感光体の保護層のSEM画像に対して1μm×4μmの区画に分画し、各区画におけるフッ素樹脂粒子とその他の粒子とが占める位置と面積を表示した一例を示す断面図である。
図3は、図2のSEM画像において、各区画のフッ素樹脂粒子とその他の粒子とが占める面積を示した一例を示すグラフである。
図3のグラフで示すように、各区画におけるフッ素樹脂粒子とその他の粒子が占める面積を算出することにより、各区画におけるフッ素樹脂粒子とその他の粒子が占める面積の標準偏差を算定することができる。なお、図3において標準偏差は、図2において、区画No.7から区画No.24までの18区画を対象に算出している。このように、標準偏差を求める際は、分画した区画内に、フッ素樹脂粒子とその他の粒子が所定量以上(標準偏差を算出するに値する量程度以上)含有されている区画を算出対象とする。例えば、確率分布を描かせたときの確率変数が0.25から0.75の範囲にある区画を抽出することができる。
図2及び図3を例にとると、図2及び図3において区画No.2から区画No.6は、標準偏差の算出対象の区画ではない。保護層のSEM画像に対して1μm×4μmの区画に分画した場合、標準偏差を算出する対象となる区画数としては、保護層を構成する粒子や樹脂の種類、それらの混合割合に応じて、適宜選択することができる。ただし、図2及び図3で示すように、18区画程度を対象として標準偏差を算出するのが好ましい。
(保護層の製造方法)
保護層は、フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有し、例えば、ラジカル重合性材料成分、溶媒などを更に含有する保護層形成用塗工液を感光層表面に塗工して乾燥(硬化)することにより形成することができる。
保護層形成用塗工液を調製する際に用いる溶媒としては、モノマーを十分に溶解するものが好ましく、例えば、上述のエーテル類、芳香族類、ハロゲン類、エステル類の他、エトキシエタノールのようなセロソルブ類、1−メトキシ−2−プロパノールのようなプロピレングリコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、1−メトキシ−2−プロパノールが好ましい。溶媒がメチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、1−メトキシ−2−プロパノールの少なくともいずれかであると、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トルエン、キシレンと比較して環境負荷の程度が低い点で有利である。
保護層の製造方法としては、塗布工程と、乾燥工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
<塗布工程>
塗布工程は、フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを少なくとも含有する保護層形成用塗工液を感光層の表面に塗布する工程である。
保護層形成用塗工液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法などが挙げられる。これらの中でも、スプレー塗工法及びリングコート法が、塗工液のポットライフは長くないため、少量の塗工液で必要な分量のコーティングができ、環境への配慮とコスト面の点で有利である。
保護層を製膜する際、主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプ等のUV照射光源が利用できる。また、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量としては、50mW/cm以上、1,000mW/cm以下が好ましい。照射光量が好ましい範囲であると、適切な硬化反応となり得やすくなるとともに、反応の進行が均一となり、保護層の表面に局部的な皺が発生しにくく、多数の未反応残基、反応停止末端が生じにくくなる点で有利である。また、急激な架橋により内部応力が大きくなりにくく、クラックや膜剥がれが発生しにくくなる点でも有利である。
<乾燥工程>
乾燥工程としては、感光層の表面に塗布した塗工液の乾燥温度を130℃とし、乾燥時間を5分間以上20分間以内とする。
保護層は、例えば、少なくとも塗工液中にこのような化合物を含有させて、該塗工液を塗工して層を形成し、熱、光、電子線、γ線等の放射線によるエネルギーを与えて架橋し硬化させてできる。電荷輸送構造を含み(メタ)アクリロイルオキシ基を一つ以上有する化合物としては、例えば、以下の一般式1で表される電荷輸送性化合物が挙げられる。
<感光層>
感光層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、保護層にフッ素原子含有溶剤が含有されている場合には、感光層はフッ素原子含有溶剤を1ppm以上10ppm以下で含有することが好ましい。感光層がフッ素原子含有溶剤を1ppm以上10ppm以下で含有すると、保護層中のフッ素樹脂粒子の分散状態と電子写真感光体としての静電特性とのバランスが良好となる点で有利である。
なお、保護層形成用塗工液に含有するフッ素原子含有溶剤が感光層に浸出してしまうことから、感光層が含有するフッ素原子含有溶剤を1ppm以上10ppm以下にするためには、保護層形成用塗工液の乾燥条件が重要となる。
感光層が含有するフッ素原子含有溶剤の検出方法としては、例えば、以下のGCMSによる分析による方法などが挙げられる。
[GCMSによる分析]
GCMSによる分析による方法としては、まず、電子写真感光体を適当な大きさでアルミニウム支持体ごと切り出して測定試料とし、切り出した測定試料からアルミニウム支持体の質量を差し引いたものを皮膜質量とする。この測定試料をGCMSにより分析することで、感光層が含有するフッ素原子含有溶剤を検出することができる。
なお、GCMSによる分析は、GCMS−QP2010(株式会社島津製作所製、カラム:MICROPACKED ST)を用いて行うことができる。
感光層の形状、大きさ、及び材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
感光層の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単層(単層型感光層)であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを順次積層させた複数の層(積層型感光層)であってもよい。これらの中でも積層型感光層が好ましく、静電特性と耐久性を高いレベルで両立させることができる点で有利である。
<<電荷発生層>>
電荷発生層は、積層型感光層の一部であり、露光により電荷を発生する機能を有する。この電荷発生層は、電荷発生物質を主成分として含有し、更に必要に応じてその他の材料を含有する。
−電荷発生物質−
電荷発生物質としては、例えば、無機系材料、有機系材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機系材料としては、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファスシリコンなどが挙げられる。
アモルファスシリコンとしては、例えば、ダングリングボンドを水素原子又はハロゲン原子でターミネートしたもの、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが挙げられる。
有機系材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン等の金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有する対称型又は非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型又は非対称型のアゾ顔料、フルオレノン骨格を有する対称型又は非対称型のアゾ顔料、ペリレン系顔料などが挙げられる。これらの中でも、金属フタロシアニン、フルオレノン骨格を有する対称型又は非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型又は非対称型のアゾ顔料、及びペリレン系顔料が、電荷発生の量子効率が比較的高い点で好ましい。
−その他の材料−
その他の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物、レベリング剤などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、低分子化合物及びレベリング剤を併用すると感度が劣化する場合があるため、低分子化合物及びレベリング剤を合わせた含有量としては、0.1phr以上20phr以下が好ましく、0.1phr以上10phr以下がより好ましい。また、レベリング剤の含有量としては、0.001phr以上0.1phr以下が好ましい。
バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラールが好ましい。
また、バインダー樹脂としては、後述する高分子電荷輸送物質を用いることもできる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電荷発生層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空薄膜作製法、溶液分散系からのキャスティング法などが挙げられる。
真空薄膜作製法としては、例えば、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法などが挙げられ、上述した無機系材料や有機系材料を含む電荷発生層が良好に形成できる。
溶液分散系からのキャスティング法としては、例えば、上述した無機系材料や有機系材料を、必要ならばバインダー樹脂とともに溶媒を用いて分散し、得た分散液を適度に希釈して塗布することにより電荷発生層を設ける方法などが挙げられる。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどが挙げられる。これらの中でも、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、及びシクロヘキサノンが、環境負荷の程度が低い点で好ましい。
分散する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いる方法などが挙げられる。
分散液を塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法など挙げられる。
電荷発生層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以下5μm以上が好ましく、0.05μm以上2μm以下がより好ましい。電荷発生層の平均厚みがより好ましい範囲であると、厚膜化することによる、残留電位の低減や高感度化できるメリットと、帯電電荷の保持性や空間電荷の形成等の帯電性が劣化するデメリットとのバランスが良好となる点で有利である。
<<電荷輸送層>>
電荷輸送層は、電荷発生層で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた感光体の表面電荷を中和する機能を担う層であり、積層型感光層の一部である。
電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダーを含有し、更に必要に応じてその他の材料を含有する。
電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子電子輸送物質、正孔輸送物質、高分子電荷輸送物質などが挙げられる。具体的には、電子輸送物質としては、非対称ジフェノキノン誘導体、フルオレン誘導体、ナフタルイミド誘導体等の電子受容性物質などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
正孔輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子供与性物質が好ましい。
電子供与性物質としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
高分子電荷輸送物質としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール環を有する重合体、ヒドラゾン構造を有する重合体、ポリシリレン重合体、芳香族ポリカーボネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
高分子電荷輸送物質は、低分子の電荷輸送物質と比べて、電荷輸送層上に保護層を積層する際に、保護層へ電荷輸送層を構成する成分の滲みだしが少なく、保護層の硬化不良を抑制するのに有利である。また、電荷輸送物質の高分子量化により耐熱性にも優れる性状から保護層を成膜する際の硬化熱による劣化が少なく有利である。
電荷輸送層のバインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニル、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネートが、電荷移動特性が良好な性能を示す点で有利である。
また、電荷輸送層の上に保護層が積層されるため、電荷輸送層は機械強度の必要性が要求されない。このため、ポリスチレン等、透明性が高いものの機械強度が多少低い材料で従来技術では適用が難しいとされた材料も、電荷輸送層のバインダー成分として有効に利用することができる。
これらの高分子化合物は単独又は二種以上の混合物として、あるいはそれらの原料モノマー二種以上からなる共重合体として、更には、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
電荷輸送層の改質に際して電気的に不活性な高分子化合物を用いる場合には、フルオレン等の嵩高い骨格をもつカルドポリマー型のポリエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、C型ポリカーボネートのようなビスフェノール型のポリカーボネートに対してフェノール成分の3,3’部位がアルキル置換されたポリカーボネート、ビスフェノールAのジェミナルメチル基が炭素数2以上の長鎖のアルキル基で置換されたポリカーボネート、ビフェニル又はビフェニルエーテル骨格をもつポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンの様な長鎖アルキル骨格を有するポリカーボネートやアクリル樹脂、ポリスチレン、水素化ブタジエンなどが有効である。
ここで電気的に不活性な高分子化合物とは、トリアリールアミン構造のような光導電性を示す化学構造を含まない高分子化合物を指す。これらの樹脂を添加剤としてバインダー樹脂と併用する場合、光減衰感度の制約から、その添加量は、電荷輸送層の全固形分に対して50質量%以下とすることが好ましい。
低分子型の電荷輸送物質を用いる場合、その含有量は、40phr以上200phr以下が好ましく、70phr以上100phr以下がより好ましい。高感度化を満足させるには、電荷輸送成分の配合量を70phr以上とすることが好ましい。
また、高分子電荷輸送物質を用いる場合、電荷輸送成分100質量部に対して樹脂成分としては、0質量部以上200質量部以下、好ましくは80質量部以上150質量部以下の割合で共重合された材料が好ましい。
電荷輸送物質としては、α−フェニルスチルベン化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物の単量体、二量体及びこれらの構造を主鎖又は側鎖に有する高分子電荷輸送物質は電荷移動度の高い材料が多く有用である。
電荷輸送層は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散して電荷輸送層形成用塗工液を調製し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
電荷輸送層用塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等を挙げることができる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエン、及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。これらの溶媒は単独として又は混合して用いることができる。
電荷輸送層の平均厚みは、実使用上の膜削れを考慮した電荷輸送層の厚膜化の設計が不要である。電荷輸送層の厚みは、実用上、必要とされる感度と帯電能を確保する都合上、10μm以上40μm以下が好ましく、15μm以上30μm以下がより好ましい。
また、必要により、電荷輸送層中に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物及びレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独又は二種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物及びレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。このため、低分子化合物及びレベリング剤を合わせた含有量としては、0.1phr以上20phr以下が好ましく、0.1phr以上10phr以下がより好ましい。レベリング剤の含有量としては、0.001phr以上0.1phr以下が好ましい。
<支持体>
支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム状、円筒状などが挙げられる。
また、支持体の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
支持体の構造及び材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、金属酸化物等の蒸着又はスパッタリングにより基材に被覆したものなどが挙げられる。
金属としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などが挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウムなどが挙げられる。
基材としては、例えば、プラスチック、紙などが挙げられる。
支持体の構造及び材質の他の態様としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板を、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化した後、切削、超仕上げ、研磨等により表面処理したものなどが挙げられる。
<その他の層>
その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、中間層などが挙げられる。
支持体と感光層との間に中間層を設けるようにしてもよい。中間層は、接着性の向上、モアレの防止、上層の塗工性の改良、導電性支持体からの電荷注入の防止等の目的で設けられる。
中間層は、樹脂を主成分とする。中間層の上に感光層を形成するため、中間層に用いる樹脂としては、有機溶剤に難溶である熱硬化性樹脂が相応しやすい。特に、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂は、以上の目的を十分に満たすものが多く、特に好ましい材料である。テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いて、樹脂を適度に希釈したものを、中間層形成用塗工液とすることができる。
また、中間層には、伝導度の調節やモアレを防止するために、金属、又は金属酸化物等の粒子を加えてもよい。特に酸化チタンないし酸化亜鉛が好ましく用いられる。粒子を、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液と樹脂成分を混合した中間層形成用塗工液とすることができる。
中間層は、中間層形成用塗工液を浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法等で導電性支持体上に成膜する。必要な場合、加熱硬化することで形成される。
中間層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm以上20μm以下が好ましく、電子写真感光体の残留電位の蓄積が大きくなる場合には、2μm以上3μm未満がより好ましい。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置では、感光体の摩耗を低減させ、かつ感光体表面のクリーニング性を維持するために潤滑剤を用いる。潤滑剤を用いる画像形成装置においては、潤滑剤の供給と除去のバランスが電子写真感光体の地肌汚れと画像ボケの抑制に特に重要となる。
電子写真感光体の表面、即ち保護層の表面は、潤滑剤の塗布ムラに応じて偏摩耗が生じる。偏摩耗の進行する部位で地肌汚れ等の画像欠陥が生じるため、電子写真感光体の寿命は偏摩耗を来す最も摩耗速度の大きい局部で決定される。
また、保護層の表面に供給された潤滑剤が除去されずにいつまでも感光体表面に滞留し続けると、潤滑剤は保護層の表面で分子の切断などの変質を生じてしまう。変質した潤滑剤は、表面自由エネルギーが増大して放電生成物や水分を吸着しやすくなり画像ボケを誘発しやすくなる。
さらに、保護層にフッ素樹脂粒子を含有していることから、潤滑剤の適度な濡れ性が損なわれ、潤滑剤が塗布されることで得られる保護層表面を保護しにくくなる。
そして、フッ素樹脂粒子が電子写真感光体の表面に刺さってしまい、フィルミングが生じて画像ボケを誘発しやすくなる。この局部で生じる画像ボケも電子写真感光体の寿命に影響を及ぼす。
すなわち、均質性が必要なプリント画像を出力する場合、電子写真感光体の寿命を上げるには、平均的な性能よりも局所的に弱い性能を底上げすることが重要となる。これらの対策として、電子写真感光体の耐摩耗性と局部で生じる表面性能の底上げを図るため、本発明では電子写真感光体の保護層にフッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有させ、フッ素樹脂粒子の分散状態を良好にした。本発明の電子写真感光体を用いれば、潤滑剤を用いても、電子写真感光体の耐久性に優れ、大量プリントを行っても画像品質の均質性が高い印刷ができる画像形成装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置としては、本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、を有する。
<潤滑剤供給手段>
潤滑剤供給手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
電子写真感光体の表面に潤滑剤を供給する方法としては、例えば、固形の潤滑剤と塗布ブラシとの接触圧力を高める方法、塗布ブラシの回転速度を制御する方法などが挙げられる。また、画像形成情報に応じて、塗布ブラシの回転数を制御する方法などが挙げられる。
<<潤滑剤>>
潤滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪酸金属塩、ワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、潤滑剤としては、脂肪酸金属塩、ワックスなどをバインダーとして、電荷輸送物質や酸化防止剤など他の機能材料と混合して用いてもよい。これらの中でも、ラメラ構造を有し得る脂肪酸金属塩が好ましい。ラメラ構造とは、分子が規則的に折りたたまれて成す層が積み重なっている構造であり、両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有し、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れてはがれやすい。このようなラメラ構造を有し得る脂肪酸金属塩を潤滑剤として用いると、せん断力を受けて均一に感光体表面を覆っていくため、少量の潤滑剤であっても効果的に感光体表面を覆うことができる点で有利である。
ラメラ構造を有し得る脂肪酸金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸等の少なくとも一種以上の脂肪酸を含有し、かつ亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム等の少なくとも一種以上の金属を含有する脂肪酸金属塩などが挙げられる。具体的には、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−オキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸亜鉛が、工業的規模で生産され、かつ多方面での使用実績があることから、コスト、品質、安定性、及び信頼性において有利である。また、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物も好ましい。
ワックスとしては、例えば、ハゼろう、ウルシろう、パームろう、カルナウバろう等の植物系ワックス;蜜ろう、鯨ろう、イボタろう、羊毛ろう等の動物系ワックス;モンタンワックス、パラフィンワックス等の鉱物系ワックスなどが挙げられる。
<画像形成装置の実施形態>
以下、図面に沿って画像形成装置の構成例を説明する。本実施形態においては、画像形成装置には潤滑剤供給手段が取り付けられている。
図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図4において、電子写真感光体11は、電子写真感光体の保護層にフッ素樹脂粒子、その他の粒子、及び硬化樹脂を含む。電子写真感光体11は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
帯電装置12は電子写真感光体11の表面を一様に帯電させる手段であり、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラをはじめとする公知の手段が用いられる。帯電装置12は消費電力の低減の観点から、電子写真感光体11に対し接触若しくは近接配置したものが良好に用いられる。なかでも、帯電装置12への汚染を防止するため、電子写真感光体11と帯電装置12表面の間に適度なすきまを有する電子写真感光体11近傍に近接配置された帯電機構が望ましい。転写装置16には一般に上記の帯電器を使用できるが、転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
露光装置13、また他の形態で示す除電装置(図5の1A)等に用いられる光源には蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
現像装置14により電子写真感光体11上に現像されたトナー15は印刷用紙やOHP用スライド等の印刷メディア18に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、電子写真感光体上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーはクリーニング装置17により、電子写真感光体11より除去される。クリーニング装置17はゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。
電子写真感光体11に帯電装置12によって正(負)帯電を施し、露光装置13によって画像露光を行うと、電子写真感光体11表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを現像装置14によって負(正)極性のトナー(検電粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像装置14には公知の方法が適用され、また、除電装置にも公知の方法が用いられる。印刷メディア18上に現像されたトナー画像は電子写真感光体11と転写装置16との対向位置から定着装置19に搬送され、この定着装置19により印刷メディア18に定着される。
また、潤滑剤3A及び潤滑剤を塗布する塗布ブラシ3B、塗布ブレード3Cは電子写真感光体11の回転方向において、クリーニング装置17の下流であって、帯電装置12の上流に配置される。これらの配置関係については、以下に示す他の実施の形態においても同様である。
図5に、画像形成装置の他の例を示す。電子写真感光体11は駆動手段1Cにより駆動され、帯電装置12による帯電、露光装置13による像露光、現像、転写装置16による転写、クリーニング前露光装置1Bによるクリーニング前露光、クリーニング装置17によるクリーニング、除電装置1Aによる除電が繰り返し行われる。潤滑剤3A及び潤滑剤を塗布する塗布ブラシ3B、塗布ブレード3Cは電子写真感光体11の移動方向に対して図示のようにクリーニング装置17と帯電装置12の間に配置される。
図5においては、電子写真感光体11(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行われる。
以上の電子写真プロセスは一例であって、例えば、図5において支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、電子写真感光体に光照射を行うこともできる。
また、上記に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジの形状は多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。電子写真感光体11はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
プロセスカートリッジは、静電潜像を担持する電子写真感光体と、該電子写真感光体上に担持された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、潤滑剤を電子写真感光体上に供給する潤滑剤供給手段とを、少なくとも有してなる。更に必要に応じて、適宜選択した、帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。現像手段としては、トナー乃至現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、現像剤担持体に担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンタに着脱可能に備えさせることができ、本発明の画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
図7に画像形成装置の他の例を示す。この画像形成装置では電子写真感光体11の周囲に帯電装置12、露光装置13、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の色ごとの現像装置14Bk,14C,14M,14Y、中間転写体である中間転写ベルト1F、クリーニング装置17が順に配置されている。
なお、図7中に示す(Bk、C、M、Y)の添字は上記のトナーの色に対応し、必要に応じて適宜省略する。電子写真感光体11は、例えば、表面のビッカース硬度が31Hv(2.45/5)以上870Hv(2.45/5)以下であり、且つ、表面自由エネルギーが20mJ/m以上78mJ/m以下である電子写真感光体である。各色の現像装置14Bk,14C,14M,14Yは各々独立に制御可能となっており、画像形成を行う色の現像装置のみが駆動される。電子写真感光体11上に形成されたトナー像は中間転写ベルト1Fの内側に配置された第1の転写装置1Dにより、中間転写ベルト1F上に転写される。
第1の転写装置1Dは電子写真感光体11に対して接離可能に配置されており、転写動作時のみ中間転写ベルト1Fを電子写真感光体11に当接させる。各色の画像形成を順次行い、中間転写ベルト1F上で重ね合わされたトナー像は第2の転写装置1Eにより、印刷メディア18に一括転写された後、定着装置19により定着されて画像が形成される。第2の転写装置1Eも中間転写ベルト1Fに対して接離可能に配置され、転写動作時のみ中間転写ベルト1Fに当接する。
転写ドラム方式の画像形成装置では、転写ドラムに静電吸着させた印刷メディアに各色のトナー像を順次転写するため、厚紙にはプリントできないという印刷メディアの制限がある。一方、図7に示すような中間転写方式の画像形成装置では、中間転写体1F上で各色のトナー像を重ね合わせるため、印刷メディアの制限を受けないという特長がある。このような中間転写方式は、図7に示す装置に限らず前述の図4、図5、図6及び後述する図8、図9に記すような画像形成装置にも適用することができる。
潤滑剤3A及び潤滑剤を塗布する塗布ブラシ3B、塗布ブレード3Cは電子写真感光体11の回転方向に対して図示のように、クリーニング装置17と帯電装置12の間に配置される。
図8に画像形成装置の他の例を示す。この画像形成装置は、トナーとしてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色を用いるタイプとされ、色ごとに画像形成部が配設されている。また、各色の電子写真感光体11Y,11M,11C,11Bkが設けられている。各電子写真感光体11Y,11M,11C,11Bkの周りには帯電装置12Y,12M,12C,12Bk、露光装置13Y,13M,13C,13Bk、現像装置14Y,14M,14C,14Bk、クリーニング装置17Y,17M,17C,17Bk等が配設されている。
また、直線上に配設された各電子写真感光体11Y,11M,11C,11Bkの各転写位置に接離する転写材担持体としての搬送転写ベルト1Gが駆動手段1Cにて掛け渡されている。この搬送転写ベルト1Gを挟んで各電子写真感光体11Y,11M,11C,11Bkに対向する転写位置には転写装置16Y,16M,16C,16Bkが配設されている。
図8に示すタンデム方式の画像形成装置は色ごとに電子写真感光体11Y,11M,11C,11Bkをもち、各色のトナー像を搬送転写ベルト1Gに保持された印刷メディア18に順次転写するため、電子写真感光体を一つしかもたないフルカラー画像形成装置に比べ、はるかに高速のフルカラー画像の出力が可能となる。転写材としての印刷メディア18上に現像されたトナー画像は電子写真感光体11Bkと転写装置16Bkとの対向位置から定着装置19に搬送され、この定着装置19により印刷メディア18に定着される。
また、例えば、図9に示されるような実施の形態における構成であってもよい。すなわち、図8に示した搬送転写ベルト1Gを用いた直接転写方式にかえて、図9に示すように中間転写ベルト1Fを用いる構成とすることができる。
図9に示す例では色ごとに電子写真感光体11Y,11M,11C,11Bkをもち、これらに形成された各色のトナー像を、駆動手段であるローラ1Cにより駆動張架されてなる中間転写ベルト1F上に第1の転写手段である1次転写手段1Dにより順次転写して積層し、フルカラー画像を形成する。
次いで、中間転写ベルト1Fはさらに駆動され、これに担持されてなるフルカラー画像は第2の転写装置である2次転写手段1Eと2次転写手段1Eに対向して配置されてなるローラとの対向位置まで搬送される。そして、2次転写手段1Eにより転写材18に2次転写され、転写材上に所望の画像が形成される。
<潤滑剤供給手段の実施形態>
以下、図面に沿って潤滑剤供給手段の構成例を説明する。図10に示すように潤滑剤3Aを電子写真感光体11の表面に供給するための潤滑剤供給手段として、潤滑剤塗布装置3を上記の画像形成装置のすべてについて設けている。この潤滑剤塗布装置3は塗布部材としての塗布ブラシ(ファーブラシ)3B、潤滑剤3A、潤滑剤をファーブラシ方向に押圧するための加圧バネ3D、及び潤滑剤3Aを規制あるいはならして塗布するための塗布ブレード3Cを有している。
潤滑剤3Aはバー状に成型された潤滑剤である。ファーブラシ3Bは電子写真感光体表面にブラシ先端が当接しており、軸を中心に回転することによって潤滑剤3Aをいったんブラシにくみあげ、電子写真感光体11の表面との当接位置までブラシ上に担持搬送して電子写真感光体11の表面に塗布する。
また、経時で潤滑剤3Aがファーブラシ3Bにかき削られて減少してもファーブラシ3Bに接触しなくならないように、加圧バネ3Dによって所定の圧力で潤滑剤3Aがファーブラシ3B側に押圧されている。これによって、微量の潤滑剤3Aでも常に均一にファーブラシ3Bにくみあげられる。
また、電子写真感光体11の表面に潤滑剤3Aをコーティングする潤滑剤供給装置を設けてもよい。この手段はクリーニングブレードのような板をトレーリング方式又はカウンター方式で電子写真感光体11に押し当てる手段がある。
(皮膜用液)
皮膜用液としては、フッ素樹脂粒子、部分フッ素化アルコール置換グリコール、及びフッ素原子含有溶剤を含有し、更に必要に応じてその他の材料を含有する。
フッ素樹脂粒子、部分フッ素化アルコール置換グリコール、及びフッ素原子含有溶剤は、保護層に用いたものと同様である。
(皮膜)
皮膜としては、フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有し、更に必要に応じてその他の材料を含有する。
フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールは、保護層に用いたものと同様である。
皮膜用液及び皮膜の用途としては、例えば、電子写真用帯電ローラやクリーニングブレード表面の皮膜、建築用外壁表面の皮膜、ジャー、ポット、鍋部材表面の皮膜など多様な用途が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。以下の例で「部」、「%」とあるのは、それぞれ「質量部」、「質量%」を意味する。
なお、平均厚みの測定方法は、断面SEM観察により測定した。
(実施例1)
<電子写真感光体の作製>
アルミニウム製支持体(外径φ100mm)に、下記の中間層形成用塗工液を、浸漬法により塗工した後、170℃で30分間乾燥させて中間層を形成した。乾燥後の中間層の平均厚みは10μmであった。
<<中間層形成用塗工液>>
・酸化亜鉛粒子(MZ−300、テイカ株式会社製):350部
・1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン:1.5部
(カレンズ(登録商標)MT NR1、昭和電工株式会社製)
・ブロック化イソシアネート:60部
(スミジュール(登録商標)3175、固形分濃度75%、住化バイエルウレタン株式会社製)
・ブチラール樹脂を2−ブタノンで溶解させた20%の溶解液:225部
(BM−1、積水化学工業株式会社製)
・2−ブタノン:365部
得られた中間層上に、下記の電荷発生層形成用塗工液を浸漬塗工し、電荷発生層を形成した。電荷発生層の平均厚みは0.3μmであった。
<<電荷発生層形成用塗工液>>
・Y型チタニルフタロシアニン:6部
・ブチラール樹脂:4部
(エスレックBX−1、積水化学工業株式会社製)
・2−ブタノン(関東化学製):200部
得られた電荷発生層上に、下記の電荷輸送層形成用塗工液を浸積塗工し、電荷輸送層を形成した。135℃で20分乾燥した後の電荷輸送層の平均厚みは22μmであった。
<<電荷輸送層形成用塗工液>>
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート:10部
(パンライトTS−2050、帝人株式会社製)
・下記構造式で表される低分子電荷輸送物質:10部
・テトラヒドロフラン:80部
<保護層>
得られた電荷輸送層上に、下記の保護層形成用塗工液を窒素気流中でスプレー塗工後、10分間窒素気流中に放置して指触乾燥した。その後、酸素濃度が2%以下となるようにブース内を窒素ガスで置換したUV照射ブースにて、光照射を行った。さらに、130℃で20分乾燥し、実施例1の電子写真感光体を得た。保護層の平均厚みは3.5μmであった。
<<光照射条件>>
・メタルハライドランプ:160W/cm
・照射距離:120mm
・照射強度:700mW/cm
・照射時間:60秒
<<保護層形成用塗工液(ビヒクル)>>
・トリメチロールプロパントリアクリレート:10部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬株式会社製、アクリル当量99、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物)
・下記構造式の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(アクリル当量420):10部
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン:1部
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、光重合開始剤)
・テトラヒドロフラン:119部
・シリコーンオイル:0.0042部
(KF−50−100CS、信越化学工業株式会社製)
<<<フッ素樹脂粒子の分散液>>>
50cc用のマヨネーズ瓶に、
・φ1mmのPSZボール(部分安定化ジルコニアボール):100部
・ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA):11.25部
(MPE−056、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)
・フッ素系界面活性剤:4.5部
(CAPSTONE FS−3100、CHEMOURS社製)
・フッ素原子含有溶剤(1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン):66.75部
(ZEORORA H、ゼオン社製)
を加え、160rpmの回転速度でマヨネーズ瓶を6時間回転し、PSZボールを分離してフッ素樹脂粒子の分散液を得た。
<<<アルミナ粒子の分散液>>>
50cc用のマヨネーズ瓶に、
・φ5mmアルミナボール:60部
・アルミナ粒子:9部
(スミコランダムAA−03、住友化学株式会社、平均1次粒径0.3μm)
・分散剤:0.36部
(BYK−P105(ビックケミー社)の50%THF溶液)
・シクロペンタノン::9.8部
を加えたものを、160rpmで24時間回転したのち、アルミナボールを除去し、固形分濃度が15%となるようTHFで希釈したものをアルミナ粒子分散液とした。
フッ素樹脂粒子の分散液10部とアルミナ粒子の分散液5部の混合液に保護層形成用塗工液(ビヒクル)85部を注いで得られた保護層形成用塗工液を用いて成膜した。このときの感光層中のフッ素原子含有溶剤は1ppmであった。
(SEMによる分析)
SEM像からの粒子の平均粒径と各区分における粒子の面積率の算定は、上記のように図1A〜図1C、図2、及び図3で示したとおり行った。また、SEM観察条件は以下のようにした。
<SEM観察条件>
・測定装置:Quanta200 3D(日本FEI株式会社製)
・加速電圧:0.8kV
・Grid電圧:0V
・WD:3.4mm
・絞り径:30μm
・観察モード:SE2image
(GCMSによる分析)
作製した電子写真感光体1を2mm×10mmの大きさでアルミニウム支持体ごと切り出して測定試料とした。皮膜質量は、切り出した測定試料からアルミニウム支持体の質量を差し引いたものを皮膜質量とした。なお、GCMSによる分析は、GCMS−QP2010(株式会社島津製作所製、カラム:MICROPACKED ST)を用いて行った。
(画像ボケ評価)
次に、作製した電子写真感光体1を、画像形成装置(Ricoh Pro C901、株式会社リコー製)のブラック現像ステーションに搭載して30℃90%RHの環境下で10万枚の連続プリント試験を行った。なお、連続プリントした画像は、文字及び矩形パッチが配置されており、画像面積率が5%となるテストパターンとした。この連続プリント試験の終了後、電源スイッチを落として16時間放置した後、評価画像として中間調の画像パターンと全シロパターンをプリントした。
なお、連続プリント試験に用いた画像形成装置は、RICOH PRO C901の純正品である潤滑剤塗布手段を搭載しており、潤滑剤を回転駆動するブラシで擦りとって電子写真感光体表面に塗布した。また、潤滑剤は、RICOH PRO C901の純正品であり、ステアリン酸亜鉛とパルチミン酸亜鉛の混合物をスティック状に成型されたものを用いた。電子写真感光体の走距離に対する潤滑剤の消費量は、潤滑剤の質量減少量を電子写真感光体の走行距離で除した値で算定すると、180±20mg/kmであった。
上記のようにしてプリントした中間調の画像パターンの画像600,000枚に対し、下記評価基準で画像の優劣について評価した。画像評価は評価画像の画像ボケを5段階のランクに分類して評価した。
[画像ボケ評価基準]
ランク5 :画像ボケが識別されない
ランク4 :微かな画像ボケが生じる心象を受ける
ランク3 :微かな画像ボケが識別されるものの実用上問題とならない
ランク2 :僅かな画像ボケが識別される
ランク1 :明らかな画像ボケが識別される
(地肌汚れ評価)
地肌汚れは1,200dpiのイメージスキャナーで取り込んだ、前述の全シロパターンのプリント画像に対して、画像解析ソフトimageJ(米国NIH配布)を用いて評価した。評価基準は次の通りとした。ここで、「%」は、画像面積率を表す。
[地肌汚れ評価基準]
ランク5 :0.01%未満
ランク4 :0.01%以上0.02%未満
ランク3 :0.02%以上0.07%未満
ランク2 :0.07%以上0.29%未満
ランク1 :0.29%以上
(実施例2)
実施例1において、保護層の製膜における加熱乾燥条件を130℃20分間から130℃5分間に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体2を作製し、これらの評価を実施した。なお、電子写真感光体2の感光層におけるフッ素原子含有溶剤は、10ppmであった。
(実施例3)
実施例1において、保護層の製膜における加熱乾燥条件を130℃20分間から130℃60分間に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体3を作製し、これらの評価を実施した。なお、電子写真感光体3の感光層におけるフッ素原子含有溶剤は、検出不能であったため0ppmとみなした。
(実施例4)
実施例1において、保護層の製膜における加熱乾燥を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体4を作製し、これらの評価を実施した。なお、電子写真感光体4の感光層におけるフッ素原子含有溶剤は、77ppmであった。
(実施例5)
実施例1において、保護層形成用塗工液に含有させたフッ素樹脂粒子の分散液を次の組成に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体5を作製し、これらの評価を実施した。なお、電子写真感光体5の感光層におけるフッ素原子含有溶剤は、5ppmであった。
<<<フッ素樹脂粒子の分散液>>>
50cc用のマヨネーズ瓶に、
・φ1mmのPSZボール:100部
・ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA):11.25部
(MPE−056、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)
・フッ素系界面活性剤:0.56部
(CAPSTONE FS−3100、CHEMOURS社製)
・フッ素原子含有溶剤(1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン):66.75部
(VERTREL XF、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)
(比較例1)
実施例1において、保護層形成用塗工液に含有させたフッ素樹脂粒子の分散液を次の組成に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体6を作製し、これらの評価を実施した。なお、電子写真感光体6の感光層におけるフッ素原子含有溶剤は、1ppmであった。
<<<フッ素樹脂粒子の分散液>>>
50cc用のマヨネーズ瓶に、
・φ1mmのPSZボール:60部
・ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA):11.25部
(MPE−056、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)
・フッ素系界面活性剤:0.45部
(モディパーF606、日油株式会社製)
・フッ素原子含有溶剤(1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン):66.75部
(ZEORORA H、ゼオン社製)
(比較例2)
実施例1において、保護層形成用塗工液に含有させたフッ素樹脂粒子の分散液を次の組成に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体7を作製し、これらの評価を実施した。なお、電子写真感光体7の感光層におけるフッ素原子含有溶剤は、検出不能であったため0ppmとみなした。
<<<フッ素樹脂粒子の分散液>>>
50cc用のマヨネーズ瓶に、
・φ1mmのPSZボール:100部
・ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA):11.25部
(MPE−056、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)
・フッ素系界面活性剤:0.45部
(モディパーF606、日油株式会社製)
・テトラヒドロフラン:51.6部
・シクロヘキサノン:14.7部
表1の結果から、実施例1〜5は「画像ボケ」及び「地肌汚れ」の評価において良好な結果であった。
このように、以上、実施例で示されるとおり、本発明の電子写真感光体によれば、地肌汚れと画像ボケの両方を抑制することができ、商用印刷に十分適応できる画像形成装置の提供が可能となる。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 支持体と、前記支持体上に設けられた感光層と、前記感光層上に設けられた保護層とを有する電子写真感光体であって、
前記保護層が、フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有することを特徴とする電子写真感光体である。
<2> 前記保護層が、フッ素原子含有溶剤を更に含有し、
前記感光層が、前記フッ素原子含有溶剤を1ppm以上10ppm以下で含有する前記<1>に記載の電子写真感光体である。
<3> 前記フッ素原子含有溶剤が、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを含有する前記<2>に記載の電子写真感光体である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置である。
<5> 支持体と、前記支持体上に設けられた感光層と、前記感光層上に設けられた保護層とを有する電子写真感光体の製造方法であって、
フッ素樹脂粒子、部分フッ素化アルコール置換グリコール、及びフッ素原子含有溶剤を含有する塗工液を前記感光層の表面に塗布する塗布工程と、
前記感光層の表面に塗布した前記塗工液の乾燥温度を130℃とし、乾燥時間を5分間以上20分間以内とする乾燥工程と、
を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
<6> フッ素樹脂粒子、部分フッ素化アルコール置換グリコール、及びフッ素原子含有溶剤を含有することを特徴とする皮膜用液である。
<7> フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有することを特徴とする皮膜である。
前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真感光体、前記<4>に記載の画像形成装置、前記<5>に記載の電子写真感光体の製造方法、前記<6>に記載の皮膜用液、及びに前記<7>に記載の皮膜によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2000−122329号公報
1A 除電装置
1B クリーニング前露光装置
1C 駆動手段
1D 第1の転写装置
1E 第2の転写装置
1F 中間転写体
1G 搬送転写ベルト
3 潤滑剤塗布装置
3A 潤滑剤
3B 塗布ブラシ
3C 塗布ブレード
3D 加圧バネ
11、11Bk、11C、11M、11Y 電子写真感光体
12、12Y、12M、12C、12Bk 帯電装置
13、13Y、13M、13C、13Bk 露光装置
14、14Bk、14C、14M、14Y 現像装置
15 トナー
16、16Y、16M、16C、16Bk 転写装置
17、17Y、17M、17C、17Bk クリーニング装置
18 印刷メディア
19 定着装置

Claims (7)

  1. 支持体と、前記支持体上に設けられた感光層と、前記感光層上に設けられた保護層とを有する電子写真感光体であって、
    前記保護層が、フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記保護層が、フッ素原子含有溶剤を更に含有し、
    前記感光層が、前記フッ素原子含有溶剤を1ppm以上10ppm以下で含有する請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記フッ素原子含有溶剤が、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンを含有する請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  5. 支持体と、前記支持体上に設けられた感光層と、前記感光層上に設けられた保護層とを有する電子写真感光体の製造方法であって、
    フッ素樹脂粒子、部分フッ素化アルコール置換グリコール、及びフッ素原子含有溶剤を含有する塗工液を前記感光層の表面に塗布する塗布工程と、
    前記感光層の表面に塗布した前記塗工液の乾燥温度を130℃とし、乾燥時間を5分間以上20分間以内とする乾燥工程と、
    を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  6. フッ素樹脂粒子、部分フッ素化アルコール置換グリコール、及びフッ素原子含有溶剤を含有することを特徴とする皮膜用液。
  7. フッ素樹脂粒子及び部分フッ素化アルコール置換グリコールを含有することを特徴とする皮膜。

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