JP6094864B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンター、ダイレクトデジタル製版機等の画像形成装置に関し、特に、長寿命でプリントコストが低減された画像形成装置に関する。
複写機やレーザープリンターなどに応用される電子写真感光体は、かつてはセレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機材料系の電子写真感光体が主流であった。しかしながら、現在では、地球環境への負荷低減、低コスト化、及び設計自由度の高さで無機材料系の電子写真感光体よりも有利な有機材料系の電子写真感光体(OPC)が主流になっている。現在、有機材料系の電子写真感光体は電子写真感光体総生産量の100%に肉薄する割合で利用されている。この有機材料系の電子写真感光体は、近年の地球環境保全の高まりを受けてサプライ製品(使い捨てされる製品)から機械部品への転換が求められている。
有機材料系の電子写真感光体の高耐久化は従来種々の試みがなされてきた。現在では架橋樹脂膜の電子写真感光体表面への成膜(例えば、特許文献1)とゾル−ゲル硬化膜の電子写真感光体表面への成膜(例えば特許文献2)が特に有望視されている。前者は電荷輸送性成分を配合してもワレやクラックが生じにくく生産上歩留まりが低減できるメリットを有する。なかでもラジカル重合性アクリル樹脂は強靱で感度特性の良好な電子写真感光体が得られやすく有利である。これらの架橋構造をとる二種の方策は複数の化学結合によって塗膜が形成されるため、塗膜がストレスを受けて化学結合の一部が切断しても直ちに摩耗へ進展することがない。
近年、地球環境保全に応じた炭酸ガスの排出量を規制する取り組みが強化され、このニーズは電子写真感光体を機械部品から、更に、リユース部品としての使用も必要となる。電子写真感光体は、機械部品としての地位を確立されつつも装置寿命を凌駕するほどのリユース性は未だ実現されていない。
電子写真感光体の高耐久化は3次元架橋構造をもつ樹脂膜を製膜することで飛躍的な向上が期待できる状況にある。
また、潤滑剤を電子写真感光体表面へ塗布する方法が、とりわけ重合トナーのクリーニング性を高める方法として利用されている。この方法は、他に、電子写真感光体を帯電ハザードから保護する機能も担っており、少なからず装置寿命の延命に貢献している。
しかしながら、これらの技術を組み合わせても、現在、電子写真感光体は交換使用されている状態である。
これは電子写真感光体の表面物性が長期使用により変質し、異常画像の生成やクリーニング性能が不調となるためである。これでは原材料の発掘から廃棄、リサイクル化に至る画像形成装置のライフサイクルが従来の枠組みから超越することはできない。このため、これまでのような画像形成には大量のエネルギーと莫大な炭酸ガスの排出を改善することはできない。
電子写真感光体の機械的強度の向上はほぼ頂点に至るほどの技術が重ねられている。そこで、電子写真感光体表面物性を安定化する電子写真感光体の使いこなし技術の改良が重要になる。このうち、潤滑剤塗布は非常に有利な方策と言えるが、潤滑剤の入出力制御が不十分で、電子写真感光体周囲が潤滑剤で汚染されるケースが多い。これが装置寿命の原因にもなっているのが現状である。
本発明は、電子写真感光体の表面物性を耐摩耗性と同等以上に高安定化させる技術により、これを用いた長寿命でプリントコストが低減された画像形成装置を提供することを目的とする。
更に、新造を控えられるリユース性能に優れる新規な電子写真感光体を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る画像形成装置は、具体的には下記に記載の技術的特徴を有する。
電子写真感光体と、帯電手段と、前記電子写真感光体に当接し当該電子写真感光体表面に循環材の皮膜を塗布形成する塗布手段と、前記感光体に当接する接触部材と、を備える画像形成装置であって、
前記接触部材が前記電子写真感光体と当接することによって生じる作用力について、電子写真感光体の回転駆動方向に対して接線方向の力を接線力(Ft)とし、垂直方向の力を法線力(Fn)としたとき、Ftが1.15kgf以上1.35kgf以下である時のFt/Fnが0.90以上0.96以下の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、寿命の延命を獲得し、プリントコストの低減が達成された画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
本発明に係わる画像形成装置の模式断面図を示す例である。 本発明に係わる画像形成装置の別の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 電子写真感光体に循環材を供給する手段を示す模式断面図である。 本発明に係わる電子写真感光体の層構成を示す断面図である。 本発明に係わる電子写真感光体の別の層構成を示す断面図である。 表面粗さ・輪郭形状測定システムの構成図である。 ウェーブレット変換による多重解像度解析結果を表す図の一例である。 一回目の多重解像度解析における周波数帯域の分離の図である。 一回目の多重解像度解析での最低周波数データのグラフである。 二回目の多重解像度解析における周波数帯域の分離の図である。 粗さスペクトルの一例図である。 粗さスペクトルの別の一例図である。 粗さスペクトルの更に別の一例図である。 粗さスペクトルの更に別の一例図である。 粗さスペクトルの更に別の一例図である。 粗さスペクトルの更に別の一例図である。 粗さスペクトルの更に別の一例図である。 粗さスペクトルの更に別の一例図である。 塗布ブレードまたはクリーニングブレードの作用力を計測する試験器の構成図である。 接線力と法線力の関係を表す概念図である。
本発明の画像形成装置は基本的な構成として、電子写真感光体と、帯電手段と、前記電子写真感光体に当接し当該電子写真感光体表面に循環材の皮膜を塗布形成する塗布手段と、前記感光体に当接する接触部材とを備えている。
そして、前記接触部材が電子写真感光体と当接することによって生じる作用力について、電子写真感光体の回転駆動方向に対して接線方向の力を接線力(Ft)とし、垂直方向の力を法線力(Fn)としたとき、Ftが1.15kgf以上1.35kgf以下における接線力(Ft)と法線力(Fn)との比(Ft/Fn)が0.90以上0.96以下の関係を満たすことを特徴とする。
次に、本発明に係る画像形成装置についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限りこれらの態様に限られるものではない。
本発明の画像形成装置は、電子写真装置内で循環材を電子写真感光体の下地表面層上へコーティングすることを特徴としており、良質な製膜を確保するために、長期使用をしても下地表面層の塗布面は清浄であることが望ましくかつ下地表面層を変質させない状態にすることが望ましい。下地表面層の塗布面を清浄にするためには、塗布面の清浄を崩すトナーを最大限排除する必要があり、そのためには、循環型表面層の塗布装置を電子写真感光体表面移動方向に対してクリーニング装置よりも下流に配置することが重要である。更に下地表面層を変質させない状態にするためには、特に電子写真感光体と接触する部材間のなじみに変調を来す下地表面層の形状変化を防止する必要がある。このため、下地表面層が直接、帯電ハザードに曝されないようにするために、以上の塗布装置は電子写真感光体表面移動方向に対して帯電装置よりも上流に配置して循環型表面層をコーティングすることが重要である。
本発明の電子写真感光体の表面には循環材の皮膜が形成されている。この皮膜の欠陥が10%未満であり、且つ、循環材の質量膜厚が一分子層以上三分子層未満となる場合、この皮膜を循環型表面層と称する。循環材は感光体表面を皮膜形成された後、排出される材料を表す。質量膜厚はICP分析や簡易的なXRF分析によって算出できる。ICP分析は特許文献3(特開2008−122870号公報)に準じて得ることができ、XRF分析はICP分析結果による検量線から付着量を算出している。質量膜厚は非特許文献1(中井泉編、蛍光X線分析の実際、154−161、朝倉書店、2005)に基づき算出している。
また、電子写真感光体の下地最表面層(下地表面層)の上に形成される循環型表面層の欠陥は100%から被覆率を引いた値として算出する。被覆率は特許文献3に記載の方法に準じてXPS分析法から求める値である。質量膜厚は非特許文献1に記載の面密度(g/cm)を密度(g/cm)で割ることで長さすなわち質量膜厚を得ている。本発明の実施例で扱うステアリン酸亜鉛は一分子の厚みを5nmとして重なる分子数を厚みの単位として用いている。この厚みは特許文献4(特開2006−91047号公報)の段落[0021]に基づいている。
尚、本発明の電子写真感光体は未使用の感光体表面に循環材を設ける場合のみ循環材の除去量と付着量の関係は無視される。なぜなら、循環材が全く存在しない状態で循環材の塗布量が循環材の除去量以下とすると循環材は全く塗布されなくなるためである。
循環材を設ける場合とは、感光体ドラムを画像形成装置へ装着するまでの非定常状態を指す。具体的には新たな感光体を画像形成装置に装着してから初期プリント1000枚以下を指す。
感光体表面へ循環材を設ける手段は、感光体表面の循環材塗布が不十分なために、画像形成装置のクリーニング機能が不十分な性状を利用して感光体表面に循環材を蓄積させても良いし、予め、セッティングパウダーなどを用いて塗布しても良い。
電子写真感光体表面の循環型表面層は以上の通り定義するが、画像形成装置内あるいは画像形成プロセスの最中に循環型表面層を形成させることは容易ではない。なぜなら、画像形成プロセスでは、電子写真感光体下地表面層の物性は絶えず履歴を堆積していくためである。
画像形成プロセスの途上において、循環材を電子写真感光体の下地表面層にコーティングするのみならず、トナーによる画像形成を伴う。このように循環型表面層のコーティングと画像形成とを同時に行う場合、循環材のコーティングが不十分なときには電子写真感光体の下地表面層は紙粉やトナー成分がフィルミングしたり、メダカ形状のフィルミングが生じたりする。これらのフィルミングは画像形成のサイクルを繰り返す度に循環材のコーティングを困難にしてしまう。また、循環材の被覆機能が弱く循環材の供給に対して皮膜形成が追いつかなくなると循環材のコーティング膜が粒だつことがある。また、電子写真感光体と接触する部材に循環材が滞留したりすり抜けたりして、電子写真感光体表面は砂利をまぶしたような付着状態になることがある。
こうなると、循環材が電子写真感光体周りの部材(帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置)を汚染して寿命を縮めたり、現像器へ循環材が混入してトナーの帯電を不調にさせたりするなど、画像形成装置を耐久使用するときの問題になる。このような粒だちは必ずしも0%である必要はないが、問題が回避できる目安として、□2mm程度領域で電子写真感光体表面を観察したときに粒だちの面積比率が0.05%未満、より好ましくは0.03%未満がよい。粒だちの面積比率はimageJ(アメリカ国立衛生研究所製)やImageProplus(メディアサイバネティックス社製)等の画像解析ソフトで算定できる。
現在、画像形成装置内で一般的な潤滑剤を塗布する場合、潤滑剤の被覆率は85%程度である場合が多く、その付着量は二分子層から四分子層程度である場合が多い。粒だちはプリントパターンによって変わるが、0.1%から2.5%程度である場合が多い。このため、耐久使用時に異常画像を来したり、電子写真感光体の交換を要したりしており、循環型表面層を形成しているとは言えない状態である。
従来「潤滑剤」は感光体表面の摺動性を改良する目的で用いられてきた。感光体表面の摩擦係数を下げる効果がある。これに対し、本発明の循環材は感光体表面を保護する目的で皮のような膜にしては除去する工程を繰り返す特徴がある。循環材の皮膜は感光体表面を保護するため適切な被覆率が必要となる。従来、感光体表面に供給される潤滑剤の被覆率は85%程度であるのに対し、循環型表面層は90%より大きい違いがある。
これに対し本発明は、電子写真感光体下地表面層のフィルミングと部材汚染による寿命を克服し、電子写真感光体の寿命を大幅に延長することを可能にする。
また、本発明の画像形成装置で用いる循環型表面層の塗布装置は既存の潤滑剤塗布手段を流用することが可能である。このため、本発明の画像形成装置は格別なコストアップを抑えることができる。
本発明では、画像形成装置内に電子写真感光体表面に循環材をコーティングする塗布装置を内蔵するため、電子写真感光体は事実上摩耗することがない。なお、以下において電子写真感光体を単に感光体と称することもある。
従来、電子写真感光体は消耗品として頻繁に交換して使用してきたが、本発明ではその必要がない。電子写真感光体は新たに製造することも回収することも不要であり、本発明の画像形成装置は省資源化による低環境負荷に対して極めて有利に働く。プリント一枚当たりのコストを比較した場合、リサイクルコストを要しない本発明の画像形成装置を用いる方法は、従来型の電子写真感光体を一度回収した後リサイクル使用するという方法と比べるとコストの低減効果の点で遙かに有利である。
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体の下地表面層上に循環型表面層を形成する材料(以下、循環材と称する)がコーティングされる。本発明は、コーティングされる循環材の塗布量が、次のコーティングを行う直前までに行われる清掃によって除去される循環材の量以下とする新規なプロセスであることを特徴とする。これは電子写真感光体最表面に循環型表面層を設けることを成立させる重要な要件となる。循環材の除去量に応じて循環材をコーティングすることで、電子写真感光体を中心に出入りする循環材のマスバランスは等価性を得ることができる。
本発明ではコーティングされる循環材の塗布量と除去される循環材の量が同量であることが理想である。次善の状態は、コーティングされる循環材の塗布量が僅かに除去される量より少ない状態である。また、コーティングされる循環材の塗布量が除去される量よりも極端に少ないと感光体表面の皮膜欠陥が増大するため望ましい状態とはならない。これに対し、コーティングされる塗布量が除去量よりも多い状態は望ましくない。なぜなら循環材の除去量が不足すると、除去されず残留する循環材が感光体上に蓄積するためである。循環材は通常、電子写真プロセスの帯電ハザードで分解されてしまう。このような分解物が感光体表面に蓄積すると蓄積した部分の電気的な表面抵抗が低下したり、摩擦性に変調を来したりして、プリント画像の欠陥が生じる為である。
循環材は主にクリーニング装置によって清掃されると考えられるが、感光体と現像剤との接触、感光体と中間転写ベルトとの接触なども清掃に作用する。本発明では循環材の清掃工程は、循環材が塗布された直後から次の循環材が塗布される直前までの工程全てを対象にする。
循環材を除去した後に循環材を塗布する場合、仮に循環材が感光体から完全に除去されても直ちに塗布工程で循環材が塗布されることになる。そして、循環材が除去されるまでの間は感光体表面に循環材が滞留することになるため、循環材の清掃と塗布の繰り返し工程では感光体表面の循環材が完全に枯渇することは無い。より具体的には、例えば循環材を100%除去した後に10%塗布すると、次の除去に至るまでは10%の循環材が塗布された状態になる。そして、次の除去工程で完全に除去された後、新たに10%の循環材が塗布されることになる。本発明はこの繰り返し工程を経るため、感光体表面の循環材が完全に枯渇することはない。
本発明は一見、既存の電子写真感光体へ潤滑剤を塗布する手段に類似するが、潤滑剤塗布はクリーニング性を持続するなどの電子写真感光体表面の潤滑機能を確保するために潤滑剤を電子写真感光体へ厚塗りする設計になっている。これまでの潤滑剤を電子写真感光体へ塗布する方式は本発明の電子写真感光体表面に循環型表面層を積層する思想はない。従来の方式は、例えば電子写真感光体表面の保護や、あるいは電子写真感光体表面の摩擦係数を所定以下とするために潤滑剤を電子写真感光体表面に外部供給してきたに過ぎない。このような潤滑剤が外部から供給される感光体表面を観察すると、粒状の潤滑剤が感光体表面に付着している様相が観察できる。このような粒状の潤滑剤は装置内を汚染する原因になっている。
本発明において、循環材の清掃によって除去される量(除去量)は回収したトナーに含まれる循環材濃度から算出可能である。この分析には後述するICP(Inductively Coupled Plasma)分析またはXRF(X-ray Fluorescence)分析によってモニターすることができる。このように消失速度(循環材の消費量の総量)を予め求めておくことで、本発明における循環材の除去量と塗布量との関係を成立させることができる。
次に、1サイクル当たりの循環材の塗布量を清掃によって除去される量以下にする方法について述べる。循環材の消費量は電子写真感光体に対する循環材の付着効率と画像形成プロセスによって生じる損失分の補償を掛け合わせた値として決定される。
画像形成プロセスによって生じる損失分は、循環材全消費量のうち、ブラシによって粉体化された循環材が飛散や落下によって感光体表面にコーティングできなかった分である。前記損失分は循環材塗布手段の周囲に滞留している粉末を回収することで計量することができる。また、循環材が感光体表面から除去された成分はクリーニング手段以降、一般には廃トナーボトルに至る経路に残留する分を回収することで計量することができる。トナーが含まれる場合は回収した全粉末の重量を求め、更にこの粉末について循環材濃度を分析することで、感光体表面から除去された循環材の質量を求めることができる。
循環材の全消費量に対して以上のプロセスによる損失分と感光体表面からの除去分の差分が生じる場合、帯電手段などの他のモジュールへの汚染分とみなされる。
電子写真感光体表面の循環材の付着効率は、塗布ブレードなどの循環材を塗布する部材と感光体とのなじみによって決定される。塗布ブレードを用いる場合、循環材を薄く均質にかつ隈無くコーティングするには感光体と塗布ブレードとの摺擦に際して、塗布ブレードが循環材を完全に堰き止めてしまっては効率が悪い。適度なギャップを形成したり、ビビリを防止したりすることが重要となる。
画像形成プロセスの途上において、循環材を電子写真感光体の下地表面層にコーティングするのみならず、トナーによる画像形成を伴う。このように循環型表面層のコーティングと画像形成とを同時に行う場合、循環材のコーティングが不十分なときには電子写真感光体の下地表面層は紙粉やトナー成分がフィルミングしたり、メダカ形状のフィルミングが生じたりする。これらのフィルミングは画像形成のサイクルを繰り返す度に循環材のコーティングを困難にしてしまう。また、循環材の被覆機能が弱く循環材の供給に対して皮膜形成が追いつかなくなると循環材のコーティング膜が粒だつことがある。また、電子写真感光体と接触する部材に循環材が滞留したりすり抜けたりして、電子写真感光体表面は砂利をまぶしたような付着状態になることがある。
こうなると、循環材が電子写真感光体周りの部材(帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置)を汚染して寿命を縮めたり、現像器へ循環材が混入してトナーの帯電を不調にさせたりするなど、画像形成装置を耐久使用するときの問題になる。このような粒だちは必ずしも0%である必要はないが、問題が回避できる目安として、□2mm程度領域で電子写真感光体表面を観察したときに粒だちの面積比率が0.05%未満、より好ましくは0.03%未満がよい。粒だちの面積比率はimageJ(アメリカ国立衛生研究所製)やImageProplus(メディアサイバネティックス社製)等の画像解析ソフトで算定できる。
現在、画像形成装置内で一般的な潤滑剤を塗布する場合、潤滑剤の被覆率は85%程度である場合が多く、その付着量は二分子層から四分子層程度である場合が多い。粒だちはプリントパターンによって変わるが、0.1%から2.5%程度である場合が多い。このため、耐久使用時に異常画像を来したり、電子写真感光体の交換を要したりしており、循環型表面層を形成しているとは言えない状態である。
これに対し本発明は、電子写真感光体の下地表面層のフィルミングと部材汚染による電子写真感光体寿命の短寿命化を克服し、電子写真感光体の寿命を大幅に延長することを可能にする。
また、本発明の画像形成装置で用いる循環型表面層の塗布装置は既存の潤滑剤塗布手段を流用することが可能である。このため、本発明の画像形成装置は格別なコストアップを抑えることができる。
本発明の画像形成装置おいては、クリーニング装置に至るまでの清掃で除去される循環材の量よりも少ない量の循環材を電子写真感光体の下地表面層へコーティングすることを特徴とする。皮膜の欠陥が10%未満で、かつ、循環型表面層の質量膜厚が一分子層以上三分子層未満である循環型表面層を形成するには、循環材を電子写真感光体の下地表面層全面へ隈無く塗布することが鍵となる。
上記の循環型表面層の形成を実現する循環材の入出力制御が重要である。とりわけ、接触部材の特性が循環型表面層の品質に強い影響を及ぼす。感光体表面を清掃する接触部材が感光体に及ぼす作用力には互いに当接しあうことで生じる圧縮応力と、主に感光体の回転駆動によって生じるせん断力がある。
この作用力の測定は本発明では次の方法で求めることができる。
図25は接触部材としてクリーニングブレードを用いた場合のクリーニングブレードの作用力を計測する試験器の構成図である。
図25に記すクリーニングブレードを固定した板を2個の三分力計(動ひずみ測定器)(51)に吊し、電子写真感光体(11)と当接させる。このとき電子写真感光体に対するクリーニングブレードの当接角や食い込み量を適宜変える。電子写真感光体はモーター等の動力源(非図示)と接続されており、これも適当な速度で回転駆動する。動力源にはトルク計を取り付けて回転力を計測することもできる。
三分力計から得られる荷重測定値はデータロガーで収集し、左右の三分力計から得られる荷重の和を作用力として算出する。
クリーニングブレードのゴム板の位置関係について、長さ、幅、厚みに注意すると、三分力計では幅方向(エア面)fxと厚み方向(カット面)fyの荷重が得られる。クリーニングブレードと電子写真感光体との当接角をθとすると、電子写真感光体の回転駆動方向に対するクリーニングブレードの接線方向の作用力と垂直方向の力をそれぞれ接線力Ftと法線力Fnとして下記の式(2)及び式(3)から算出される。
Ft=fx・cosθ−fy・sinθ (2)
Fn=fx・sinθ+fy・cosθ (3)
接線力Ftは電子写真感光体とクリーニングブレードとのせん断力を反映し、法線力Fnはこれらの圧縮応力を反映する。これらの合応力のベクトル方向は下記式(4)から見積もられる。
arctan(Ft/Fn) (4)
以上はクリーニングブレードを塗布ブレードに変えた場合は塗布ブレードについて同じ事が言える。
以下では、クリーニングブレード及び塗布ブレードを単にブレードということがある。
感光体に当接するブレードには圧縮応力を伴う剪断力が生じる。圧縮応力と剪断力はそれぞれ感光体表面に対して法線方向に作用する力と感光体回転方向に作用する力として、ゴムの圧縮とドラムの回転駆動によって発生する。塗布ブレードは剪断力が強すぎるとめくれてしまい、反対に弱すぎるとトナーや潤滑剤等の粒子の剪断力にブレードの剪断力が抵抗できず、すり抜けが生じる。上記の式(4)から合応力の向きが56度以上の場合にブレードはめくれてしまい、35度以下ではトナーのすり抜けが生じる事例が得られている。
電子写真感光体の下地表面層の上に高品位な循環材の皮膜を形成するには下地が適度に清浄化される必要がある。発明者は以上の考えの基、上記の作用力に対し高品位な循環材の皮膜形成が実現できる特別な条件を見いだした。
すなわち、接線力Ftが1.15kgf以上1.35kgf以下であり、かつ、Ft/Fnが0.90以上0.96以下の関係を満たすと良い。これらの合応力ベクトルの方向は垂直抗力に対して42度から44度の方向となる。
皮膜効果の優れる材料にステアリン酸亜鉛がある。これはラメラ構造をとり、分子がせん断によって塗り広げられる作用をもつ。このような材料を適度に除去するには特定のせん断力が必要になる。他方、適度にブレードを通過させる循環材微粒子のふるい分けにはブレードの特定の圧縮応力が必要となる。感光体表面を中心とする循環材の入出力量を一定に保つにはこれらを最適の範囲にする必要があり、上記の、接線力Ftが1.15kgf以上1.35kgf以下であり、かつ、Ft/Fnが0.90以上0.96以下であるという関係を満たすことがすなわち前記のせん断力及び圧縮応力を最適の範囲にするための要件であると考えられる。
種々の外乱を含む画像形成プロセスに並行して循環材をコーティングする場合、この付着効率はプロセスに起因する損失とコーティングする下地表面層の汚染具合に起因する損失分を補償する必要がある。外乱の有無による循環材の付着効率差から損失分が算出される。
但し、循環型表面層が成立する画像形成装置の場合は、単純に循環材の消費量を増減させて循環材の皮膜欠陥と感光体表面のフィルミングの度合いを評価し、循環型表面層の成立点を特定することができる。
また、本発明では、以上の条件を満たす該非判定は耐久使用による循環材からなる循環型表面層の質量膜厚の変動から判定することができる。
感光体の下地表面層に供給される循環材の供給量が循環材の除去量を超えない限り、循環型表面層の膜厚は蓄積することがないため増大しない。新品の感光体に対して、比較的初期の段階における循環型表面層の膜厚と、ある程度使用したときの循環型表面層の質量膜厚を求めることで判断が可能である。
本発明では具体的な方法として、感光体回転数を塗布回数と同義と捉え、プリント試験による感光体回転数(ドラム形状の場合はドラム回転数)が2500回転及び25000回転し、循環材を塗布したときの質量膜厚をICP分析やXRF分析から算定し、質量膜厚の塗布回数依存性を評価する。ドラム回転数は便宜上、感光体の総走行距離を感光体の周長で割った値として算定することができる。上記のドラム回転数の2500回転は、極端に小さい回転数では非定常状態における循環材の質量膜厚を求める不合理を回避するために決定したものであり、25000回転は、質量膜厚の変動を評価するのに十分な条件として決定したものである。よって、これらの回転数は多少前後しても、本発明を逸脱するものではない。
少なくとも、塗布回数に対する質量膜厚の変化がゼロ以下の比例係数fであることが望ましく、比例係数fはより好ましくは下記式(1)の関係を満たすことが安定な表面の維持に有利である。
τ =fα+β (1)
(−0.1 ≦ f ≦ 0)
τ; 循環材の質量膜厚(nm)
α; 塗布回数(ドラムの場合、ドラム回転数(単位:千回転))
β; 任意定数
係数の上限は、感光体表面へ循環材を供給する量が除去量を超えないために重要となる。また、下限は表面の安定性を堅牢化するのに有利となる。
先のブレードの接線力ないし法線力はブレードの電子写真感光体に対する当接角と食い込み量およびブレードの材質によって調整されてきた。ところが法線力を所定量に合わせ、接線力を調整することは容易ではない。クリーニングブレードの食い込み量を増加させると、法線力は増加の末、降伏し接線力が急激に増大するような相互に関係をもつためである。特に、先に述べた3次元架橋樹脂膜を保護層に用いる電子写真感光体はこの食い込み量に対する作用力の変化が激しく調整が極めて困難となる。
本発明者は、感光体の表面形状を制御することでこの調整が容易に実現できると考え、これを実証することができた。
すなわち、本発明における電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に順に積層されてなる感光層、下地表面層及び循環型表面層とを備えている。そして、前記下地表面層はブレードとのなじみを改良するために以下の要件を備えている。
すなわち、前記下地表面層は、表面形状について下記(I)〜(V)の手順で、合計12個の周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求め、WRa(HLL)を除く合計11個の算術平均粗さWRa(LLL)からWRa(HHH)の対数を、左から右に順に線で結んで得られる曲線(便宜上、粗さスペクトルと称す)が、少なくとも、LLLからLHLの帯域に屈曲点をもたず、かつ、LHLからHMHの帯域に屈曲点を有し、かつ、WRa(LLH)が0.04μm未満であり、かつ、WRa(HLH)が0.005μm未満であるという要件を満たす。
(I)表面粗さ・輪郭形状測定機により測定して一次元データ配列を作成する。
(II)前記一次元データ配列を、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの6個の周波数成分(HHH、HHL、HMH、HML、HLH、HLL)に分離する。
(III)次いで、得られた6個の周波数成分の中で最低周波数成分の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きした一次元データ配列を作成する。
(IV)更に、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの、追加の6個の周波数成分(LHH、LHL、LMH、LML、LLH、LLL)に分離する。
(V)上記で得た12の各周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求める。
ここで、電子写真感光体下地表面層のJIS−B0601:2001で定義される算術平均粗さ(略号;Ra)を、ウェーブレット変換により凹凸の一周期の長さについて周波数成分に分離した個々の帯域における算術平均粗さを以下のように表すものとする。
WRa(HHH):凹凸の一周期の長さが0.3μm〜3μmの帯域におけるRa
WRa(HHL):凹凸の一周期の長さが1μm〜6μmの帯域におけるRa
WRa(HMH):凹凸の一周期の長さが2μm〜13μmの帯域におけるRa
WRa(HML):凹凸の一周期の長さが4μm〜25μmの帯域におけるRa
WRa(HLH):凹凸の一周期の長さが10μm〜50μmの帯域におけるRa
WRa(HLL):凹凸の一周期の長さが24μm〜99μmの帯域におけるRa
WRa(LHH):凹凸の一周期の長さが26μm〜106μmの帯域におけるRa
WRa(LHL):凹凸の一周期の長さが53μm〜183μmの帯域におけるRa
WRa(LMH):凹凸の一周期の長さが106μm〜318μmの帯域におけるRa
WRa(LML):凹凸の一周期の長さが214μm〜551μmの帯域におけるRa
WRa(LLH):凹凸の一周期の長さが431μm〜954μmの帯域におけるRa
WRa(LLL):凹凸の一周期の長さが867μm〜1654μmの帯域におけるRa
電子写真感光体下地表面層の形状は以上の関係を満たすと、循環材が効率よくコーティングできる性状を得た。この原因は現時点で明らかなっていないが、次の通りと推察される。
循環材を塗布ブレードで電子写真感光体の下地表面層にコーティングして循環型表面層を形成する際に、塗布ブレードが循環材を完全に堰き止めてしまうとコーティングができなくなる。そこで適度な厚みのコーティング膜を形成するには、循環材を塗布ブレードからすり抜けさせて薄膜化するような塗布ブレードと下地表面層との間で動的なギャップを形成する必要がある。例えば、ゴム板の塗布ブレードを電子写真感光体に当接させて循環材をコーティングしようとするとき、塗布ブレードを一般のクリーニングブレードのように当接してしまっては上述の通り循環材を堰き止めてしまい、コーティングが覚束ない。循環材のコーティングを目的とする場合、動的なギャップ形成には電子写真感光体表面と塗布ブレード間の当接状態の制御だけでは不十分であり、当接状態の制御に加えて、電子写真感光体表面と塗布ブレードとの摺擦状態の制御が必要である。ここで、当接状態とは電子写真感光体表面と塗布ブレードとの当たり方を表し、摺擦状態は塗布ブレードと電子写真感光体のこすれ方を表す。
一般的なドクターブレード法により均質な製膜を得るための条件を列記すると以下の(1)〜(5)の通りである。
(1)ウエット膜厚を均一にするブレードと塗布面間のギャップが常時均一であること
(2)ブレードがビビリなどの振動を抑えること
(3)塗工速度が一定であること
(4)塗布面が清浄であること
(5)塗料が均質であること循環材の製膜に対しても同じ事が言える。電子写真感光体表面の形状を前述した特徴的な粗面にすることで良質なコーティングに対して有利に作用していると考えられる。このことは塗布ブレードがゴムである特殊性も影響していると思われる。
そこで、電子写真感光体の表面を上記したような下地表面層の形状とすることで、塗布面を充分に清浄にすることができ、循環材の塗布性を飛躍的に向上させることができたと考えられる。循環材の効率的なコーティングを実現することにより循環材の消費量を低減できる効果が得られる。
以上の画像形成装置が備える電子写真感光体の最表面である循環型表面層の形成のためには、循環材は電子写真感光体下地表面層から除去しやすく、かつコーティングしやすい材料であることが望ましい。循環型表面層を永続させるために一サイクルでコーティングする物質量と清掃によって除去する物質量とが等価であることが特に好ましい。
また、循環材の消費率が過剰でないことも必要となる。循環材の消費率は画像形成プロセスで生じる電子写真感光体の走行距離に対する循環材投入量(mg/km)として定義する。
以上の要件に対して、循環材に用いられる材料としてワックスないし高級脂肪酸金属塩が有利である。ワックスはハゼろう、ウルシろう、パームろう、カルナウバろう等の植物系ワックス、蜜ろう、鯨ろう、イボタろう、羊毛ろう等の動物系ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス等の鉱物系ワックスを利用できる。
特に従来、一般に使用されてきた高級脂肪酸金属塩の多くは材料の性質面から有利である。この代表的な化合物であるステアリン酸亜鉛はラメラ構造をとり得る化合物である。ラメラ構造とは分子が規則的に折りたたまれて成す層が積み重なって配列する構造である。
このラメラ構造は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れてはがしやすい。この作用は循環材の循環を形成させるのに有利である。ステアリン酸亜鉛がせん断力を受けて均一に電子写真感光体表面を覆っていくラメラ構造の特性は、少量の循環材によって効果的に電子写真感光体表面を覆うことができる。

この方法で循環材を塗布する場合、その循環材の塗布状態を制御する方法としては様々な方法がある。例えば、固形循環材と塗布ブラシとの接触圧力を高めたり、塗布ブラシの回転速度を制御したりする挙げることができる。また、画像形成情報に応じて、塗布ブラシの回転数を制御することも考えられる。 循環材はワックスや高級脂肪酸金属塩を単独で用いても良いが、これらをバインダーとして、電荷輸送物質や酸化防止剤など他の機能材料と混合して利用することができる。
このような循環材を用い、画像形成装置内で皮膜形成と除去がしやすい材料を特定することにより、循環材の除去とコーティングの繰り返し工程に際して物質量の等価性を得やすい効果を享受することができる。このため、循環材の塗布と除去を担うモジュールを簡単にすることができる。また、循環型表面層を永きにわたって形成可能にすることができる。更に、前述の下地表面層の形状との組み合わせにより、一サイクル当たりの被覆能力を格別に高めることが実現でき、循環材の消費率の減量化を享受することができる。
さらに本発明における循環材としては、ラメラ構造をとり得る脂肪酸金属塩を用いることができる。このような脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸又はオレイン酸の亜鉛塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩又はリチウム塩が好ましく、また、これらの金属塩の混合物を用いても良い。
特に、ステアリン酸亜鉛は、工業的規模で生産され、かつ多方面での使用実績があることから、コスト、品質、安定性、及び信頼性において最も好ましい材料である。
また、従来、潤滑剤の効率的な塗布方法として蓄積してきた豊富な塗布技術を応用しやすい有利性をもつ。
尚、一般に工業的に使われる高級脂肪酸金属塩は、その名称の化合物単体組成ではなく、多かれ少なかれ類似の他の脂肪酸金属塩、金属酸化物、及び遊離脂肪酸を含むものであり、本発明における脂肪酸金属塩もこの慣例に従う。
このような循環材を用いることで、循環型表面層の形成に対して高信頼性と低コスト化を享受することができる。また、潤滑剤の塗布技術として蓄積のある塗布技術を応用しやすい装置開発の利便性を得ることができる。
前述の電子写真感光体の下地表面層の新規な表面形状により、循環材の塗布性を飛躍的に向上させる効果を享受することができる。この効果を永続するには下地表面形状の強度を高めることが有利である。電子写真プロセスによる画像形成で電子写真感光体が摩耗する場合、表面形状が変化する。その様子は表面粗さの変化からみることができ、本発明者は実験的に電子写真感光体の摩耗の進行とともに表面粗さが増加する傾向を確認している。
はじめに、前述の新規な形状の造形にはウエットプロセスによる製膜が有利である。これはミクロンからミリスケールにわたる表面形状を制御するもので機械的な加工よりも技術面とコスト面で有利であるためである。ウエットプロセスによる製膜では塗料の粘度は低粘度の方が形状制御の範囲を広くすることができる。具体的には0.9mPa・sから10mPa・s程度が良い。塗料の粘度の下限は溶媒粘度に漸近する値から決定しており、上限は形状制御がしにくくなる理由から決めている。塗料の粘度は低く、かつ、製膜後の下地表面層が実用上十分な強度を得るには、塗料に三次元架橋構造をとる反応タイプの樹脂モノマーを主成分に選ぶと良い。
電子写真感光体の下地表面層に三次元架橋構造をもつ樹脂を用いることで耐摩耗性に優れる下地表面層を得ることができる。この理由は、耐久劣化により、樹脂膜を形成する化学結合の一部が破断しても別の部位の化学結合が残存していれば直接摩耗に至らないためと考える。優れた耐摩耗性は表面形状の安定化に直接寄与する。その結果、下地表面層に三次元架橋構造をもつ樹脂を用いると、循環材の塗布性を安定化することができる。
三次元架橋構造をもつ樹脂の中でもアクリル樹脂はポリカーボネートと電荷輸送物質との固溶体と比較して誘電率が大きいため、静電特性面の凹凸形状の影響が小さいメリットを有する。
以上の通り、下地表面層に三次元架橋構造をもつ樹脂を用いることで、循環型表面層の下地表面層の造形を容易にする効果があり、循環材の塗布性を容易に改良できる。また、下地表面層の特別な表面形状の変化を抑え、循環材の塗布性を安定化させる効果を享受することができる。
下地表面層の造形に対して、比較的低粘度の塗料を基に、フィラーを添加すると凹凸形状を付与することができる。フィラーの凝集状態を制御することで多様な凹凸形状が得られる。電子写真感光体の最表層に三次元架橋構造をもつ樹脂を利用し、更にフィラーを配合する技術は過去にも知られていたが、ねらいが機械的強度に主眼を置くものが多く、意外にもフィラーの分散剤を併用する技術は多く見ることがなかった。更に分散剤によるフィラーの凝集状態を変えることで電子写真感光体の表面形状を制御しようとする概念は新規な概念であると思われる。フィラーの中でも、配合するフィラーは金属酸化物フィラーで平均1次粒子径がナノオーダーのものが好ましく、α−アルミナ、酸化スズ、チタニア、シリカ、セリアなどの金属酸化物のフィラーが有用である。
有機微粒子、無機微粒子などのフィラーの一部には、分散が困難で、表面粗さがミクロンオーダー以上のものしか得られないものやトゲ状の突起が多く、塗布ブレードやブレードの刃こぼれを生じるものがある。これに対し、金属酸化物フィラーはこのような不具合を抱えないものが多い。同じ理由から金属酸化物の含有量は下地表面層の1質量%以上20質量%以下が良い。金属酸化物含有量の下限と上限は下地表面層の形状制御が困難になる理由から規定している。
また、金属酸化物の併用により、機械的な強度が向上する効果は本発明においても同様に享受することができる。
リン酸エステルタイプの分散剤は、塗料中のフィラー分散安定性を得る効果、フィラーの小粒径化、及びバインダー樹脂との親和性を与える。フィラーの小粒径化とバインダー樹脂との親和性は、下地表面形状の制御に利用する因子として任意に制御する。この制御はフィラーの酸塩基性に応じて分散剤の酸価、アミン価の適当なものを選んだり、分散剤の成分のうち、フィラーのバインダー樹脂と相溶性の高い成分を選んだりすることで実現できる。また、塗料中のフィラー分散性はいかなる場合においても安定性が高い方が電子写真感光体を製造する上で望ましい。分散剤の成分にフィラーと吸着する官能基の種類や溶媒と相溶性の高い成分を選ぶことで実現できる。分散剤の使用量は電子写真感光体の静電特性への影響から下地表面層の全固形分に対して1質量%から2質量%が上限になることが多い。
以上の通り、リン酸エステルタイプの分散剤と、金属酸化物フィラーとを含有することで、循環型表面層の下地表面層の造形を容易にする効果がある。循環材の塗布性を容易に改良できる。また、下地表面層の耐摩耗性が向上する効果も得られやすい。
循環材のコーティングが万一、不十分な事態に陥った場合、電子写真感光体の下地表面層に紙粉やトナー成分がフィルミングしたり、メダカ形状のフィルミングが生じたりするケースが想定される。このとき、下地表面層の濡れ性が変質して循環材の所期の循環プロセスが破綻してしまいかねない。これに対し、電子写真感光体の下地表面層へ略球形のα−アルミナ微粒子を添加すると、以上のフィルミングを大幅に低減できることが実験的に得られており、有効である。
この理由は今のところ明らかになっていないが、その理由としては、α−アルミナの高い硬度が下地表面層への創傷予防に効果があり、この効果がフィルミングの機会を与えにくくしていることが考えられる。また、他の理由としては、循環材が不足してもα−アルミナの凹凸が電子写真感光体と塗布ブレードないしクリーニングブレードとの摺擦状態をある程度安定に保つ効果をもつためであることが考えられる。
略球形のα−アルミナのフィラーの体積平均粒径は多くの場合、0.01μm以上2.0μm以下、より好ましくは0.03μm以上1.5μm以下の場合、製膜時にトゲの様な極端な凹凸形成が抑制できるため、本発明における、WRa(LLH)が0.04μm未満であり、かつ、WRa(HLH)が0.005μm未満であるという要件を満たす形状を形成し易く有利である。
以上の通り、0.01μm以上2.0μm以下のα−アルミナを含有することで、電子写真感光体表面の変質を予防する効果を享受することができる。このため、循環型表面層を最表面にする電子写真感光体の安定化を獲得できる。なお、後述するようにα−アルミナの平均一次粒子径は特に好ましくは0.2μm以上0.5μm以下である。
循環材を用いる画像形成装置の一例として、図8を用いて説明する。図8の装置では、循環材(3A)は塗布ブラシ(3B)で電子写真感光体表面に供給され、次いで塗布ブレード(3C)で均され、次にクリーニングブレード(17)で除去され、再び塗布ブラシ(3B)へ戻るサイクルを経る。電子写真感光体(11)表面には循環材(3A)の他にトナーの供給及び除去があるため、循環材(3A)はトナーと混合される状態で存在する。
なお、帯電装置(12)には帯電装置(12)をクリーニングする帯電装置クリーナ(12c)が当接して設けられてなる。
また本発明は、図7に示すように、中間転写体は用いずに、電子写真感光体(11)の表面から、転写装置(16)により直接、転写材(18)に転写する画像形成方式であっても良い。
また、本発明は循環材の循環効率を高めるため、循環材が電子写真感光体表面に入力されるときの付着性、循環材がスプレッドされる均し性、そして適時循環材が電子写真感光体から系外へ排出される除去性の個々の性状を高めることを想定している。循環材の均しは循環材をスプレッドする塗布ブレードを用いる場合が多い。また、循環材の排出はクリーニングブレードが負うケースが多い。それぞれのブレードは電子写真感光体との摺擦状態を安定化させることが極めて重要である。
塗布ブレードの摺擦状態を安定化させる電子写真感光体下地表面層の形状は、前述の粗さスペクトルに対して、少なくとも、WRa(LLH)が0.04μm未満であり、かつ、WRa(HLH)が0.005μm未満であることにより、ブレードの荒れを抑えることが可能であり、特に重要である。
耐摩耗性に優れる架橋構造の樹脂を下地表面層の材料として用いると、耐摩耗性に優れる下地表面層が提供される。これに応じて表面形状の持続性が享受される。これは耐久劣化により、樹脂膜を形成する化学結合の一部が破断しても別の部位の化学結合が残存していれば摩耗を止められるためである。
架橋構造の樹脂の中でもアクリル樹脂は、ポリカーボネートと電荷輸送物質との固溶体と比較して誘電率が大きいため、静電特性面の凹凸形状の影響が小さいという効果を奏する。
循環材を電子写真感光体表面に塗布する画像形成装置について、循環材をブラシで掻き取り、そのブラシで掻き取った循環材を電子写真感光体表面に入力する機構を設けると、循環材の消費量を簡単に制御できるのみならず、電子写真感光体全体に亘って循環材を供給できるため有利である。更に、クリーニングブレードとは別に、上記のブラシよりも下流で且つ、クリーニングブレードよりも上流に電子写真感光体と摺擦する塗布ブレードを設けることで電子写真感光体表面に供給された循環材の量を規制したり、均しを促したりすることが可能となる。これらのブラシと塗布ブレードは循環材の循環を調整する上で有効な手段となる。
以下に、電子写真感光体断面曲線の多重解像度解析について説明する。
本発明では、はじめに画像形成装置用部品の表面の状態についてJIS B0601に定める断面曲線を求め、その断面曲線である一次元データ配列を得る。
この断面曲線である一次元のデータ配列は、表面粗さ・輪郭形状測定機からデジタル信号として得てもよく、あるいは表面粗さ・輪郭形状測定機のアナログ出力をA/D変換して得てもよい。
本発明において、一次元データ配列を得るための断面曲線の測定長さはJIS規格に定める測定長さであることが好ましく、8mm以上、25mm以下が好ましい。
また、サンプリング間隔は、1μm以下がよく、好ましくは0.2μm以上、0.5μm以下がよい。例えば、測定長12mmをサンプリング点数30720点で測定する場合、サンプリング間隔は0.390625μmとなり、本発明を実施するのに好適である。
前記のように、この一次元データ配列を、ウェーブレット変換(MRA−1)して高周波数成分(HHH)から低周波数成分(HLL)に至る複数の周波数成分(例えば(HHH)(HHL)(HMH)(HML)(HLH)(HLL)の6成分)に分離する多重解像度解析を行う。更に、ここで得た最低周波数成分(HLL)を間引きした一次元データ配列を作り、この間引きされた一次元データ配列に対して更にウェーブレット変換(MRA−2)を行って、高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分(例えば(LHH)、(LHL)(LMH)(LML)(LLH)(LLL)の6成分)に分離する多重解像度解析を行う。これによって得た各周波数成分(12成分)に対して、算術平均粗さ(WRa)を求めたが、一般のRaと区別するために、本明細書ではこの粗さをWRaと称することとする。
本発明においては、実際のウェーブレット変換はソフトウエアMATLABを使用している。帯域幅の定義はソフトウエア上の制約であって、この定義する範囲に格別の意味はない。また、WRaは上記の理由(帯域幅の定義の理由)に因るため、帯域幅が変わればそれに応じて係数は変化する。
そして、HML成分とHLH成分、LHL成分とLMH成分、LMH成分とLML成分、LML成分とLLH成分、LLH成分とLLL成分の個々の帯域は、周波数帯域がオーバーラップしているが、オーバーラップの理由は、次のとおりである。
すなわち、ウェーブレット変換では、元の信号を一回目のウェーブレット変換(Level 1)でL(Low−pass Components)とH(High−pass Components)に分解し、更に、このLに関して、ウェーブレット変換を施すことでLLとHLに分解する。ここで、元の信号に含まれる周波数成分 f が、分離する周波数 F と一致した場合は、f は丁度分離の境界になるので、分離後は、LとHの両方の、それぞれに分離される。この現象は、多重解像度解析では不可避な現象である。そこで、観察したい周波数帯域がこのようにウェーブレット変換の際に分離されてしまわないように、元の信号に含まれる周波数を設定することも重要である。
[ウェーブレット変換(多重解像度解析)、各周波数波の記号]
本発明では2回のウェーブレット変換を行うが、最初のウェーブレット変換を第一回目のウェーブレット変換(便宜上、MRA−1と記すことがある)、その後のウェーブレット変換を第二回目のウェーブレット変換(便宜上、MRA−2と記すことがある)と呼ぶことにする。一回目と二回目の変換を区別するため、便宜上、各周波数帯域の略号に接頭語として、H(一回目)とL(二回目)を付ける。
ここで、第一回目、及び第二回目のウェーブレット変換に使用するマザーウェーブレット関数としては各種のウェーブレット関数が使用可能である。ウェーブレット関数としては、例えば、ドビッシー(Daubecies)関数、ハール(haar)関数、メーヤー(Meyer)関数、シムレット(Symlet)関数、そしてコイフレット(Coiflet)関数等が使用可能である。ここでDaubeciesはドベシィまたはドブシーと表記することがある。本発明ではハール関数を用いているが、必ずしもこれに制約される必要はない。
また、ウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分に分離する多重解像度解析を行う場合、その成分数は4以上、8以下がよく、好ましくは6である。
本発明において、第一回目のウェーブレット変換を行って、複数の周波数成分に分離し、ここで得た最低周波数成分を間引きしつつ取り出(サンプリング)して最低周波数成分データを反映した一次元データ配列を作り、この一次元データ配列に対して第二回目のウェーブレット変換を行って、高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分に分離する多重解像度解析を行う。
ここで、第一回目のウェーブレット変換(MRA−1)結果で得た最低周波数成分(HLL)に対して行う間引きは、データ配列数を、1/10から1/100にすることが特徴である。
ここで、データ間引きは、データの周波数を上げる(横軸の対数目盛幅を拡げる)効果があり、例えば、第一回目のウェーブレット変換結果で得た一次元配列の配列数が30000であった場合、1/10の間引きを行うと、配列数が3000になる。
この場合、間引きが1/10より小さいと、例えば、1/5であると、データの周波数を上げる効果が少なく、第2回のウェーブレット変換を行い、多重解像度解析を行ってもデータはよく分離されない。
また、間引きが1/100より大きいとデータの周波数が高くなりすぎ、第2回のウェーブレット変換を行い、多重解像度解析を行ってもデータは高周波成分に集中してよく分離されない。
間引きの仕方は、例えば、間引きを1/100とする場合、100個のデータの平均値を求め、その平均値を代表の1点としている。
図18は本発明に適用した、電子写真感光体の表面粗さ評価装置の一構成例を模式的に示す構成図である。図18中(41)は電子写真感光体であり、(42)は表面粗さを測定するプローブを取り付けた治具、(43)は上記治具(42)を測定対象に沿って移動させる機構、(44)は表面粗さ・輪郭形状測定機、(45)は信号解析を行うパーソナルコンピューターである。この図18において、パーソナルコンピューター(45)によって上記の多重解像度解析の計算が行われる。電子写真感光体がシリンダー形状の場合、電子写真感光体の表面粗さ測定は周方向でも長手方向でも適当な方向について計測することができる。
この図18は一例として示したものであり、構成は他の構成によってもかまわない。例えば、多重解像度解析はパーソナルコンピューターではなく、専用の数値計算プロセッサで行ってもよい。また、この処理を表面粗さ・輪郭形状測定機自体で行ってもよい。結果の表示は各種の方法が使用可能であり、CRTや液晶画面に表示してもよく、あるいは印字出力を行ったりしてもよい。また、他の装置に電気信号として送信してもよく、USBメモリやMOディスクに保存してもよい。
本発明者等の測定では、表面粗さ・輪郭形状測定機は東京精密社製Surfcom 1400Dを使用し、パーソナルコンピューターはIBM社製パーソナルコンピューターを使用し、Surfcom 1400DとIBM製パーソナルコンピューターの間はRS−232−Cケーブルで接続した。Surfcom 1400Dからパーソナルコンピューターに送られた表面粗さデータの処理とその多重解像度解析計算は、本発明者等がC言語で作成したソフトウエアで行った。
次に、電子写真感光体表面形状の多重解像度解析の手順について具体例によって説明する。
はじめに、電子写真感光体の表面形状を東京精密製Surfcom 1400Dで測定した。
ここで、一回の測定長は12mmであり、総サンプリング点数は30720であった。一度の測定では、これを四カ所測定した。測定した結果はパーソナルコンピューターに取り込み、これを本発明者等の作成したプログラムにより第一回目のウェーブレット変換と、そこで得た最低周波数成分に対する1/40の間引き処理、そして、第二回目のウェーブレット変換を行った。
このようにして得た第一回目、及び第二回目の多重解像度解析結果に対し、算術平均粗さWRa、最大高さRmax、十点平均粗さRzを求めた。演算結果の一例を図13に示す。
図13において、図13(a)のグラフはSurfcom 1400Dで測定して得た元のデータであり、粗さ曲線、あるいは断面曲線と呼ぶ場合もある。
図13には14個のグラフがあるが、縦軸は表面形状の変位であり単位はμmである。また横軸は長さであり、目盛は付けていないが測定長は12mmである。
従来の表面粗さ測定では図13(a)から算術平均粗さRa、最大高さRmax、Rz等を求めていた。
また、図13(b)の6個のグラフは第一回目の多重解像度解析(MRA−1)結果であり、最も上にあるのが最高周波成分(HHH)のグラフ、最も下にあるのが、最低周波数成分(HLL)のグラフである。
ここで、図13(b)において最も上にあるグラフ(101)は一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分であり、本発明ではこれをHHHと呼ぶ。
・グラフ(102)は、一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より1つ低い周波数成分であり、本発明ではこれをHHLと呼ぶ。
・グラフ(103)は、一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より2つ低い周波数成分であり、本発明ではこれをHMHと呼ぶ。
・グラフ(104)は、一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より3つ低い周波数成分であり、本発明ではこれをHMLと呼ぶ。
・グラフ(105)は、一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より4つ低い周波数成分であり、本発明ではこれをHLHと呼ぶ。
・グラフ(106)は、一回目の多重解像度解析結果の最低周波数成分であり、本発明ではこれをHLLと呼ぶ。
本発明において、図13(a)のグラフはその周波数によって、図13(b)の6個のグラフに分離するが、その周波数分離の状態を図14に示す。
図14において、横軸は凹凸の形状が正弦波とした場合の、長さ1mm当たりに出現する凹凸数である。また、縦軸は、各帯域に分離された場合の割合を示すものである。
図14において、(121)は一回目の多重解像度解析(MRA−1)における最高周波成分(HHH)の帯域、(122)は一回目の多重解像度解析における最高周波成分より1つ低い周波数成分(HHL)の帯域、(123)は一回目の多重解像度解析における最高周波成分より2つ低い周波数成分(HMH)の帯域、(124)は一回目の多重解像度解析における最高周波成分より3つ低い周波数成分(HML)の帯域、(125)は一回目の多重解像度解析における最高周波成分より4つ低い周波数成分(HLH)の帯域、(126)は一回目の多重解像度解析における最低周波数成分(HLL)の帯域である。
図14をより詳細に説明すると、1mm当たりの凹凸数が20個以下の場合は、すべてグラフ(126)に出現することを示す。例えば、凹凸数が1mm当たり110個の場合、グラフ(124)に最も強く出現し、これは図13(b)においてはHMLに出現する。また、凹凸数が1mm当たり220個の場合、グラフ(123)に最も強く出現し、これは図13(b)においては、HMHに出現することを示している。また、凹凸数が1mm当たり310個の場合、グラフ(122)と(123)に出現し、これは図13(b)においては、HHLとHMHの両方に出現することを示している。したがって、表面粗さの周波数によって、図13(b)の6本のグラフでどこに現われるか決まってくる。言い換えると、表面粗さにおいて、細かなザラツキは図13(b)において上の方のグラフに出現し、大きな表面うねりは図13(b)において下の方のグラフに出現する。
本発明ではこのように、表面粗さをその周波数によって分解する。これをグラフとしたものが図13(b)であるが、この周波数帯域ごとグラフからそれぞれの周波数帯域での表面粗さを求める。ここで、表面粗さとしては、算術平均粗さ、最大高さ、十点平均粗さを計算することが可能である。
このようにして、図13(b)では、それぞれのグラフに、算術平均粗さWRa、最大高さWRmax、十点平均粗さWRzを数値で示している。
ウェーブレット変換によって得られた粗さ曲線の算術平均粗さRa、最大高さRmax、および十点平均粗さRzの語頭に一般的な表記と区別するためWを付加している。
本発明ではこのように表面粗さ・輪郭形状測定機で測定したデータその周波数によって複数のデータに分離するので、各周波数帯域における凹凸変化量を測定できる。
さらに本発明では、このように周波数によって図13(b)のように分離したデータから、最も低い周波数、すなわちHLLのデータを間引きする。
本発明においては間引きをどのようにするか、すなわち何個のデータから取り出すかは実験によって決めればよい。間引き数を最適にすることによって図14に示す多重解像度解析における周波数帯域分離を最適化することが可能となり、目的とする周波数をその帯域の中心にとることが可能になる。
図13では40個から1個のデータを取る間引きを行った。
間引きした結果を図15に示す。図15では縦軸は表面凹凸であり、単位はμmである。また横軸に目盛は付けていないが、長さ12mmである。
本発明では図15のデータを更に多重解像度解析する。すなわち二回目の多重解像度解析(MRA−2)を行う。
図13(c)の6個のグラフは第二回目の多重解像度解析(MRA−2)結果であり、最も上にあるグラフ(107)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分であり、これをLHHと呼ぶ。
・グラフ(108)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より1つ低い周波数成分であり、これをLHLと呼ぶ。
・グラフ(109)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より2つ低い周波数成分であり、これをLMHと呼ぶ。
・グラフ(110)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より3つ低い周波数成分であり、これをLMLと呼ぶ。
・グラフ(111)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より4つ低い周波数成分であり、これをLLHと呼ぶ。
・グラフ(112)は、二回目の多重解像度解析結果の最低周波数成分であり、これをLLLと呼ぶ。
本発明において、図13(c)では、その周波数によって、6個のグラフに分離しているが、その周波数分離の状態を図16に示す。
図16において、横軸は凹凸の形状が正弦波とした場合の、長さ1mm当たりに出現する凹凸数である。また、縦軸は、各帯域に分離された場合の割合を示すものである。
図16において、(127)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分(LHH)の帯域、(128)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分より1つ低い周波数成分(LHL)の帯域、(129)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分より2つ低い周波数成分(LMH)の帯域、(130)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分より3つ低い周波数成分(LML)の帯域、(131)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分より4つ低い周波数成分(LLH)の帯域、(132)は二回目の多重解像度解析における最低周波数成分(LLL)の帯域である。
図16をより詳細に説明すると、1mm当たりの凹凸数が0.2個以下の場合は、すべてグラフ(132)に出現することを示す。
例えば、凹凸数が1mm当たり11個の場合、グラフ(128)が最も高くなっているが、これは、二回目の多重解像度解析における最高周波成分より1つ低い周波数成分の帯域に最も強く出現することを示しており、図13(c)においては、LMLに出現することを示している。
したがって、表面粗さの周波数によって、図13(c)の6本のグラフでどこに現われるか決まってくる。
言い換えると、表面粗さにおいて、細かなザラツキは図13(c)において上の方のグラフに出現し、大きな表面うねりは図13(c)において下の方のグラフに出現する。
本発明ではこのように、表面粗さをその周波数によって分解する。これをグラフとしたものが図13(c)であるが、この周波数帯域ごとグラフからそれぞれの周波数帯域での表面粗さを求める。ここで、表面粗さとしては、算術平均粗さRa(WRa)、最大高さRmax(WRmax)、十点平均粗さRz(WRz)を計算することが可能である。
このようにして電子写真感光体表面の凹凸形状を表面粗さ・輪郭形状測定機により測定して得た一次元データ配列を、ウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分に分離する多重解像度解析を行い、更に、ここで得た最低周波数成分を間引きした一次元データ配列を作り、この一次元データ配列に対して更にウェーブレット変換を行って、高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分に分離する多重解像度解析を行い、得た各周波数成分に対して、算術平均粗さRa(WRa)、最大高さRmax(WRmax)、十点平均粗さRz(WRz)を求めた結果を表1に示す。
Figure 0006094864
先の図13の断面曲線について、本発明の多重解像度解析結果から求めた算術平均粗さ(WRa)を各信号順にプロットして線で結ぶと、図17のプロファイルを得る。ここで、HLL成分は算術上、突出した値になるため、この帯域の多重解像度解析結果から求めた表面粗さを省略している。本発明ではこのプロファイルを表面粗さスペクトルまたは粗さスペクトルと称する。尚、省略するHLLの粗さ曲線を対象にウェーブレット変換したものがLHH成分かLLL成分になるため、HLLに関する情報がLHH成分かLLL成分に反映されるため、HLL成分を省略しても問題にはならない。
以下、図10、図11を参照しつつ本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
図10は本発明の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)上に電荷発生層(25)と電荷輸送層(26)と下地表面層(28)が設けられている。
図11は本発明の更に別の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)と電荷発生層(25)の間に下引き層(24)が設けられ、電荷発生層(25)の上に電荷輸送層(26)と下地表面層(28)が設けられている。
−導電性支持体−
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の酸化物を、蒸着またはスパッタリングによりフィルム状または円筒状のプラスチック、紙等に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板、及び、それらを、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化後、切削、超仕上げ、研磨等により表面処理した管等を使用することができる。
−下引き層(24)−
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体と感光層(前記電荷発生層25と前記電荷輸送層26とが積層したもの)との間に下引き層(24)を設けることができる。下引き層は、接着性の向上、モアレの防止、上層の塗工性の改良、導電性支持体からの電荷注入の防止等の目的で設けられる。
下引き層は通常、樹脂を主成分とする。通常、下引き層の上に感光層を塗布するため、下引き層に用いる樹脂は有機溶剤に難溶である熱硬化性樹脂が好ましい。特に、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂は以上の目的を十分に満たすものが多く、特に好ましい材料である。樹脂はテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いて適度に希釈したものを塗料とすることができる。
また、下引き層には、伝導度の調節やモアレを防止するために、金属、または金属酸化物等の微粒子を加えてもよく、特に酸化チタンが好ましく用いられる。
微粒子はテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液と樹脂成分を混合した塗料とする。
下引き層は以上の塗料を浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法等で導電性支持体上に成膜する。必要な場合、加熱硬化することで形成される。
下引き層の膜厚は2〜5μm程度が適当になるケースが多い。電子写真感光体の残留電位の蓄積が大きくなる場合、3μm未満にするとよい。
本発明における感光層は、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層させた積層型感光層が好適である。ただし、本発明における感光層は、電荷発生能と電荷輸送能とを兼ね備えた単層型感光層であってもよい。
−電荷発生層(25)−
積層型電子写真感光体における各層のうち、電荷発生層(25)について説明する。
電荷発生層は、積層型感光層の一部を指し、露光によって電荷を発生する機能(電荷発生能)をもつ。この層は含有される化合物のうち、電荷発生物質を主成分とする。電荷発生層は必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファスシリコン等が挙げられる。アモルファスシリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子またはハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが好ましく用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン等の金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料、フルオレノン骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料、ペリレン系顔料等が挙げられる。このうち、金属フタロシアニン、フルオレノン骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料及びペリレン系顔料は電荷発生の量子効率が軒並み高く、本発明に用いる材料として好適である。これらの電荷発生物質は、単独でも二種以上の混合物として用いてもよい。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド等が挙げられる。また、後述する高分子電荷輸送物質を用いることもできる。このうちポリビニルブチラールが使用されることが多く、有用である。これらのバインダー樹脂は、単独でも二種以上の混合物として用いてもよい。
電荷発生層を形成する方法としては、大きく分けて真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法がある。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法等があり、上述した無機系材料や有機系材料からなる層が良好に形成できる。
また、キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系または有機系電荷発生物質を、必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布すればよい。このうちの溶媒として、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法等により行うことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は通常、0.01〜5μm程度が適当である。
残留電位の低減や高感度化が必要となる場合、電荷発生層は厚膜化するとこれらの特性が改良されることが多い。反面、帯電電荷の保持性や空間電荷の形成等帯電性の劣化を来すことも多い。これらのバランスから電荷発生層の膜厚は0.05〜2μmの範囲がより好ましい。
また、必要により、電荷発生層中に従来において周知慣用の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物及びレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または二種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物及びレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。このため、これらの使用量は概して、0.1〜20phr、好ましくは、0.1〜10phr、レベリング剤の使用量は、0.001〜0.1phr程度が適当である。
−電荷輸送層(26)−
電荷輸送層は電荷発生層で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた電子写真感光体の表面電荷を中和する機能(電荷輸送能)を担う積層型感光層の一部を指す。電荷輸送層の主成分は電荷輸送成分とこれを結着するバインダー成分ということができる。
電荷輸送物質に用いることのできる材料としては、低分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質が挙げられる。
電子輸送物質としては、例えば非対称ジフェノキノン誘導体、フルオレン誘導体、ナフタルイミド誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独でも二種以上の混合物として用いてもよい。
正孔輸送物質としては、電子供与性物質が好ましく用いられる。その例としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体等が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独でも二種以上の混合物として用いてもよい。
また、以下に表される高分子電荷輸送物質を用いることができる。例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾ−ル環を有する重合体、特開昭57−78402号公報等に例示されるヒドラゾン構造を有する重合体、特開昭63−285552号公報等に例示されるポリシリレン重合体、特開2001−330973号公報の一般式(1)〜一般式(6)に例示される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。これらの高分子電荷輸送物質は、単独または二種以上の混合物として用いることができる。特に特開2001−330973号公報の例示化合物は静電特性面の性能が良好であり有用である。
高分子電荷輸送物質は下地表面層を積層する際、低分子型の電荷輸送物質と比べて、下地表面層へ電荷輸送層を構成する成分の滲みだしが少なく、下地表面層の硬化不良を防止するのに適当な材料である。また、電荷輸送物質の高分子量化により耐熱性にも優れる性状から下地表面層を成膜する際の硬化熱による劣化が少なく有利である。
電荷輸送層のバインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニル、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。このうち、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネートは電荷輸送成分のバインダー成分として用いる場合、電荷移動特性が良好な性能を示すものが多く、有用である。
また、電荷輸送層はこの上層に下地表面層が積層されるため、電荷輸送層は従来型の電荷輸送層に対する機械強度の必要性が要求されない。このため、ポリスチレン等、透明性が高いものの機械強度が多少低い材料で従来技術では適用が難しいとされた材料も、電荷輸送層のバインダー成分として有効に利用することができる。
これらの高分子化合物は単独または二種以上の混合物として、あるいはそれらの原料モノマー二種以上からなる共重合体として、更には、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
電荷輸送層の改質に際して電気的に不活性な高分子化合物を用いる場合にはフルオレン等の嵩高い骨格をもつカルドポリマー型のポリエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、C型ポリカーボネートのようなビスフェノール型のポリカーボネートに対してフェノール成分の3,3’部位がアルキル置換されたポリカーボネート、ビスフェノールAのジェミナルメチル基が炭素数2以上の長鎖のアルキル基で置換されたポリカーボネート、ビフェニルまたはビフェニルエーテル骨格をもつポリカーボネート、ポリカプローラクトン、ポリカプローラクトンの様な長鎖アルキル骨格を有するポリカーボネート(例えば、特開平7−292095号公報に記載)やアクリル樹脂、ポリスチレン、水素化ブタジエンが有効である。
ここで電気的に不活性な高分子化合物とは、トリアリールアミン構造のような光導電性を示す化学構造を含まない高分子化合物を指す。これらの樹脂を添加剤としてバインダー樹脂と併用する場合、光減衰感度の制約から、その添加量は、電荷輸送層の全固形分に対して50質量%以下とすることが好ましい。
低分子型の電荷輸送物質を用いる場合、その使用量は40〜200phr、好ましくは70〜100phr程度が適当である。また、高分子電荷輸送物質を用いる場合、電荷輸送成分100部に対して樹脂成分が0〜200部、好ましくは80〜150部程度の割合で共重合された材料が好ましく用いられる。
また電荷輸送層に二種以上の電荷輸送物質を含有させる場合、これらのイオン化ポテンシャル差は小さい方が好ましく、具体的にはイオン化ポテンシャル差を0.10eV以下とすることにより、一方の電荷輸送物質が他方の電荷輸送物質の電荷トラップとなることを防止することができる。
このイオン化ポテンシャルの関係は電荷輸送層に含有する電荷輸送物質と後述する硬化性電荷輸送物質との関係についても同様にこれらの差は0.10eVにするとよい。なお、本発明における電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル値は理研計器社製大気雰囲気型紫外線光電子分析装置AC−1により一般的な方法で計測して得られた数値である。
高感度化を満足させるには電荷輸送成分の配合量を70phr以上とすることが好ましい。また、電荷輸送物質としてα−フェニルスチルベン化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物の単量体、二量体及びこれらの構造を主鎖または側鎖に有する高分子電荷輸送物質は電荷移動度の高い材料が多く有用である。
電荷輸送層塗料を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等を挙げることができる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
電荷輸送層は電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
電荷輸送層の上層には、下地表面層が積層されているため、この構成における電荷輸送層の膜厚は、実使用上の膜削れを考慮した電荷輸送層の厚膜化の設計が不要である。電荷輸送層の膜厚は、実用上、必要とされる感度と帯電能を確保する都合、10〜40μm程度が適当であり、より好ましくは15〜30μm程度が適当である。
また、必要により、電荷輸送層中に従来において周知慣用の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物及びレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または二種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物及びレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。このため、これらの使用量は概して、0.1〜20phr、好ましくは、0.1〜10phr、レベリング剤の使用量は、0.001〜0.1phr程度が適当である。
−下地表面層(28)−
下地表面層は電子写真感光体表面に製膜される保護層を指す。この保護層は樹脂(モノマー)成分を含有する塗料がコーティングされた後、重縮合反応または付加重合反応によって架橋構造の樹脂が製膜される。樹脂膜が架橋構造をもつため電子写真感光体各層のなかで最も耐摩耗性が強靱である。また、架橋の電荷輸送性の構造単位が含まれるため電荷輸送層と類似の電荷輸送性を示す。
(粗面化)
本発明では電子写真感光体表面の粗さスペクトルが少なくとも、WRa(LLH)が0.04μm未満であり、かつ、WRa(HLH)が0.005μm未満であることが重要である。このための電子写真感光体表面の特別な粗面化が必要となる。この具体的な方策として、表面形状の制御が期待される試薬類の添加として、下地表面層へのフィラーの配合、ゾル−ゲル系塗料の配合や種々ガラス転移点の異なる樹脂のポリマーブレンド、有機微粒子の添加、発泡剤の添加、シリコーンオイルの大量添加が挙げられる。また、表面層の製膜条件の制御として、塗料中に多量の水分を加えたり、種々沸点の異なる液体試薬を添加したりする手段が挙げられる。また、下地表面層用塗料をコーティングした直後の未硬化のウェット膜に対して、有機溶剤や水を散布する手段も考えられる。他に、架橋型樹脂膜を硬化した後、追加工として、サンドブラスト処理やラッピングフィルム等の研磨紙で表面研磨する手段も考えられる。特に下地表面層の塗料にフィラーを加え、フィラーの凝集状態の違いを利用する方法は表面形状を制御できる自由度が高いため、特に有効と言える。
フィラーの凝集状態は併用する分散剤の官能基、分岐量、分子量、および分子骨格の種類の違いにより大きく変化する。また、分散剤の添加量や分散時間によってもフィラーの凝集状態が変わるため、これらの性状と得られる表面形状を対比して条件を調整すると形状が制御可能になる。
架橋型樹脂表面層は電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーのバインダー成分を硬化することにより形成され、この架橋型樹脂膜は感光体の感度特性と高耐久性のバランスと上記のリサイクルが容易であるため良好である。
3官能以上のバインダー成分はカプローラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートないしジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有させるとよい。これにより架橋膜自体の耐摩耗性が向上したり、強靱性が増大したりすることが多い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーはトリメチロールプロパントリアクリレート、カプローラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
これらは東京化成社等の試薬メーカー、日本化薬社KAYARD DPCAシリーズ、同DPHAシリーズ等を入手することができる。
また、硬化を促進させたり、安定化させたりするためにチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社イルガキュア184等の開始剤を全固形分に対して5〜10質量%程度加えてもよい。
架橋性の電荷輸送材料としては、アクリロイルオキシ基やスチレン基を有する連鎖重合系の化合物、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の化合物が挙げられ、電荷輸送構造を含み(メタ)アクリロイルオキシ基を一つ以上有する化合物が利用できる。また、電荷輸送構造を含まない(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ以上有するモノマーやオリゴマーと併用した組成の構成にしても良い。少なくとも塗工液中にこのような化合物を含有させて表面層を形成し、熱、光、或いは電子線、γ線等の放射線によるエネルギーを与えて架橋し硬化させることで下地表面層を形成できる。架橋性の電荷輸送材料としては、例えば、以下の一般式1で表される電荷輸送性化合物が挙げられる。
Figure 0006094864
(一般式1中、d、e、fはそれぞれ0または1の整数、g、hはそれぞれ0〜3の整数を表す。R13は水素原子またはメチル基を表し、R14、R15はそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数の場合は異なってもよい。Zは単結合、メチレン基、エチレン基、または下記式(2)〜(4)に示す2価基のいずれかを表す。)
Figure 0006094864
Figure 0006094864
Figure 0006094864
具体的な化合物として以下に示す構造式No.1乃至No.26のものが挙げられる。
Figure 0006094864
Figure 0006094864
Figure 0006094864
下地表面層の耐摩耗性を高めるために硬度の高いフィラーを含有することができる。代表的なフィラーとしてシリカ、アルミナ、セリアなどを挙げられる。特に比較的低コストで高い表面硬度が付与できるものとして気相重合により得られる六方稠密構造のα−アルミナが良い。このフィラーは略球形で感光体表面を棘状にさせないため感光体と摺動する部材に与えるダメージを低減できる。フィラーの含有量は下地表面層の全固形分質量に対して1質量%から30質量%が適当である。
フィラーを含有すると露光部電位が上昇することがあるがこれに対し酸化スズを混合すると露光部電位の上昇が解消されるため有効である。α−アルミナと比較して酸化スズは硬度が小さいため、上記のフィラーを酸化スズに変えていくと機械的強度の低下が認められる。これから、酸化スズの混合比率は混合フィラーの全質量に対して5質量%から50質量%が機械的強度と露光部電位の両立に有利な条件となる。他にクエン酸やマレイン酸などの有機酸を加えることも露光部電位の低減化に有効となる。
下地表面層塗料を調製する際に使用する分散溶媒はモノマーを十分に溶解するものが好ましく、上述のエーテル類、芳香族類、ハロゲン類、エステル類の他、エトキシエタノールのようなセロソルブ類、1−メトキシ−2−プロパノールのようなプロピレングリコール類を挙げることができる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、1−メトキシ−2−プロパノールは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
下地表面層塗料のコーティングとして、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。多くの場合、塗料はポットライフが長くないため、少量の塗料で必要な分量のコーティングができる手段が環境への配慮とコスト面で有利となる。このうちスプレー塗工法とリングコート法が好適である。更に本発明の特別な形状を付与するためにインクジェット方式を用いることもできる。
下地表面層を製膜する際、主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプ等のUV照射光源が利用できる。また、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、50mW/cm未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cmより強いと反応の進行が不均一となり、架橋型電荷輸送層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生じたりする。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。
必要により、下地表面層中に従来において周知慣用の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物及びレベリング剤、また電荷輸送層で記載した高分子化合物を添加することもできる。これらの化合物は単独または二種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物及びレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。このため、これらの使用量は概して塗料総固形分中の0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、レベリング剤の使用量は0.1〜5質量%程度が適当である。
下地表面層の膜厚は3〜15μm程度が適当である。下限は製膜コストに対する効果度合いから算定される値であり、上限は帯電安定性や光減衰感度等の静電特性と膜質の均質性から設定される。
(画像形成装置の形態)
以下、図面に沿って本発明で用いられる画像形成装置を説明する。本発明の画像形成装置には後述する循環材を電子写真感光体表面に入力する手段が取り付けられる。簡単のため、この手段は画像形成装置の説明の後に別に説明する。
図1は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において、電子写真感光体(11)は、下地表面層を積層する電子写真感光体である。電子写真感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
帯電装置(12)は、電子写真感光体(11)の表面を一様に帯電させる手段であり、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラをはじめとする公知の手段が用いられる。帯電装置は、消費電力の低減の観点から、電子写真感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。なかでも、帯電装置への汚染を防止するため、電子写真感光体と帯電装置表面の間に適度な空隙を有する電子写真感光体近傍に近接配置された帯電機構が望ましい。転写装置(16)には、一般に上記の帯電器を使用できるが、転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
露光装置(13)、また他の形態で示す除電装置(1A)等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
現像装置(14)により電子写真感光体上に現像されたトナー(15)は、印刷用紙やOHP用スライド等の印刷メディア(18)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、電子写真感光体上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニング装置(17)により、電子写真感光体より除去される。クリーニング装置は、ゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。
電子写真感光体に帯電装置(12)によって正(負)帯電を施し、露光装置(13)によって画像露光を行うと、電子写真感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを現像装置(14)によって負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像装置には、公知の方法が適用され、また、除電装置にも公知の方法が用いられる。印刷メディア(18)上に現像されたトナー画像は、電子写真感光体(11)と転写装置(16)との対向位置から定着装置(19)に搬送され、この定着装置(19)により印刷メディア(18)に定着される。
循環材(3A)及び循環材を塗布する塗布ブレード(3C)は電子写真感光体移動方向に対して図に示される通りクリーニング装置(17)と帯電装置(12)の間に配置される。
即ち、循環材(3A)及び塗布ブレード(3C)は、電子写真感光体(11)の移動方向において、クリーニング装置(17)の下流、且つ、帯電装置(12)の上流に配置されてなる。これらの配置関係については以下に示す他の実施の形態においても同様である。
図2には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。図2において、電子写真感光体(11)は、下地表面層を積層する電子写真感光体である。電子写真感光体(11)はベルト状の形状を示しているが、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。電子写真感光体(11)は駆動手段(1C)により駆動され、帯電装置(12)による帯電、露光装置(13)による像露光、現像(図示せず)、転写装置(16)による転写、クリーニング前露光装置(1B)によるクリーニング前露光、クリーニング装置(17)によるクリーニング、除電装置(1A)による除電が繰返し行われる。循環材(3A)及び循環材を塗布する塗布ブレード(3C)は電子写真感光体移動方向に対して図に示される通りクリーニング装置(17)と帯電装置(12)の間に配置される。
図2においては、電子写真感光体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行われる。
以上の電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図2において支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、電子写真感光体に光照射を行うこともできる。
また、以上に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジの形状は多く挙げられるが、一般的な例として、図3に示すものが挙げられる。電子写真感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
図4には本発明による画像形成装置の別の例を示す。この画像形成装置では、電子写真感光体(11)の周囲に帯電装置(12)、露光装置(13)、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の色ごとの現像装置(14Bk、14C、14M、14Y)、中間転写体である中間転写ベルト(1F)、クリーニング装置(17)が順に配置されている。ここで、図4中に示す(Bk、C、M、Y)の添字は上記のトナーの色に対応し、必要に応じて添字を付けたり適宜省略する。電子写真感光体(11)は、下地表面層を積層する電子写真感光体である。各色の現像装置(14Bk、14C、14M、14Y)は各々独立に制御可能となっており、画像形成を行う色の現像装置のみが駆動される。電子写真感光体(11)上に形成されたトナー像は中間転写ベルト(1F)の内側に配置された第1の転写装置(1D)により、中間転写ベルト(1F)上に転写される。第1の転写装置(1D)は電子写真感光体(11)に対して接離可能に配置されており、転写動作時のみ中間転写ベルト(1F)を電子写真感光体(11)に当接させる。各色の画像形成を順次行い、中間転写ベルト(1F)上で重ね合わされたトナー像は第2の転写装置(1E)により、印刷メディア(18)に一括転写された後、定着装置(19)により定着されて画像が形成される。第2の転写装置(1E)も中間転写ベルト(1F)に対して接離可能に配置され、転写動作時のみ中間転写ベルト(1F)に当接する。
転写ドラム方式の画像形成装置では、転写ドラムに静電吸着させた印刷メディアに各色のトナー像を順次転写するため、厚紙にはプリントできないという印刷メディアの制限があるのに対し、図4に示すような中間転写方式の画像形成装置では中間転写体(1F)上で各色のトナー像を重ね合わせるため、印刷メディアの制限を受けないという特長がある。このような中間転写方式は図4に示す装置に限らず前述の図1、図2、図3及び後述する図5(具体例を図6に記す。)に記すような画像形成装置に適用することができる。
循環材(3A)及び循環材を塗布する塗布ブレード(3C)は電子写真感光体移動方向に対して図に示される通りクリーニング装置(11)と帯電装置(12)の間に配置される。
図5には本発明による画像形成装置の別の例を示す。この画像形成装置は、トナーとしてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色を用いるタイプとされ、色ごとに画像形成部が配設されている。また、各色の電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)が設けられている。この画像形成装置に用いられる電子写真感光体11は、下地表面層を積層する電子写真感光体である。各電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)の周りには、帯電装置(12Y、12M、12C、12Bk)、露光装置(13Y、13M、13C、13Bk)、現像装置(14Y、14M、14C、14Bk)、クリーニング装置(17Y、17M、17C、17Bk)等が配設されている。また、直線上に配設された各電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)の各転写位置に接離する転写材担持体としての搬送転写ベルト(1G)が駆動手段(1C)にて掛け渡されている。この搬送転写ベルト(1G)を挟んで各電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)に対向する転写位置には転写装置(16Y、16M、16C、16Bk)が配設されている。循環材(3A)及び循環材を塗布する塗布ブレード(3C)は電子写真感光体移動方向に対してクリーニング装置(17)と帯電装置(12)の間に配置される(図示せず)。
図5の形態のようなタンデム方式の画像形成装置は、色ごとに電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)をもち、各色のトナー像を搬送転写ベルト(1G)に保持された印刷メディア(18)に順次転写するため、電子写真感光体を一つしかもたないフルカラー画像形成装置に比べ、はるかに高速のフルカラー画像の出力が可能となる。転写材としての印刷メディア(18)上に現像されたトナー画像は、電子写真感光体(11Bk)と転写装置(16Bk)との対向位置から定着装置(19)に搬送され、この定着装置(19)により印刷メディア(18)に定着される。
なお、本発明は図5に示される実施の形態における構成に限らず、例えば図6に示されるような実施の形態における構成であってもよい。
即ち、図5に示される搬送転写ベルト(1G)を用いた直接転写方式にかえて、図6に示される中間転写ベルト(1F)を用いる構成とすることができる。
図6に示す例では、色ごとに電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)をもち、これらに形成された各色のトナー像を、ローラ(1C)により駆動張架されてなる中間転写ベルト(1F)上に1次転写手段(1D)により順次転写して積層し、フルカラー画像を形成する。次いで、中間転写ベルト(1F)はさらに駆動され、これに担持されてなるフルカラー画像は、2次転写手段(1E)と2次転写手段(1E)に対向して配置されてなるローラ(1C)との対向位置まで搬送される。そして、2次転写手段(1E)により転写材(18)に2次転写され、転写材上に所望の画像が形成される。
(循環材供給)
本発明では、図9に示すように循環材(3A)を電子写真感光体表面に供給するための循環材供給手段として、循環材塗布装置(3)を上記の画像形成装置の全てについて設けている。この循環材塗布装置(3)は、塗布部材としてのファーブラシ(3B)、循環材(3A)、循環材をファーブラシ方向に押圧するための加圧バネ(不図示)、及び循環材(3A)を規制あるいは均すための塗布ブレード(3C)を有している。このときの循環材(3A)はバー状に成型された循環材である。ファーブラシ(3B)は電子写真感光体表面にブラシ先端が当接しており、軸を中心に回転することによって循環材(3A)をいったんブラシに汲み上げ、電子写真感光体表面との当接位置までブラシ上に担持搬送して電子写真感光体表面に塗布する。
また、経時で循環材(3A)がファーブラシ(3B)に掻き削られて減少してもファーブラシ(3B)に接触しなくならないように、加圧バネ(不図示)によって所定の圧力で循環材(3A)がファーブラシ(3B)側に押圧されている。これによって、微量の循環材(3A)でも常に均一にファーブラシ(3B)に汲み上げられる。
また、電子写真感光体表面に循環材をコーティングする循環材供給装置を設けてもよい。この手段はクリーニングブレードのような板をトレーリング方式またはカウンター方式で電子写真感光体に押し合てる手段がある。
循環材(3A)は例えば、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−オキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられる、特にラメラ構造をとる材料が循環効率が高く、更にステアリン酸亜鉛がコスト面で有利である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において部は、質量部を意味する。
<画像形成装置の作製>
(実施例1)
−電子写真感光体の作製−
肉厚1mm、長さ352mm、外径Φ40mmのアルミニウムドラムに、下記組成の下引き層用塗料、電荷発生層用塗料、電荷輸送層用塗料を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層を形成した。その上に下地表面層用塗料をスプレーで塗工した。スプレー塗工はスプレーガンにオリンポス社 PC−WIDE308を使用し、2.5kgf/cmの霧化圧力でスプレーガンのノズル先端と電子写真感光体間の距離が50mmとなる位置で行った。吐出量は約3ccであった。
その結果、3μmから4μmの膜厚の下地表面層が形成された電子写真感光体を得た。
尚、下地表面層用塗料の調製次のようにして行った。予め50ml用マヨネーズびん(UMサンプル瓶)にφ2mmのニッカトー社YTZボール100gを仕込み、平均一次粒径0.3μmのα−アルミナ1.2gと分散剤と溶媒(THF)との混物10.8gを加え、1600rpmの振動強度でイカ社バイブレーションシェーカーにて2時間分散してミルベースを得た。得られたミルベースにビヒクルを加えて塗料を得た。
また、複数の分散剤を用いる場合、分散剤1品種毎に以上の方法でアルミナフィラーのミルベースを作製し、ミルベースとビヒクルを混合する時点で必要に応じてミルベースを所定の割合になるように調合した。
特に断らない限り、後述する他の実施例及び比較例の下地表面層用塗料も同様にして得た。
〔下引き層用塗料〕
・アルキッド樹脂溶液 12部
(ベッコライト M6401−50,大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂溶液 8.0部
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)
・酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40部
・メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗料〕
・下記構造のビスアゾ顔料(リコー社製) 5.0部
Figure 0006094864
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 1.0部
・シクロヘキサノン 200部
・メチルエチルケトン 80部
〔電荷輸送層用塗料〕
・Z型ポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成社製) 10部
・下記構造の電荷輸送物質 7.0部
Figure 0006094864
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン溶液 1部
〔下地表面層用塗料〕
・下記構造の架橋型電荷輸送物質 43部
Figure 0006094864
・トリメチロールプロパントリアクリレート 21部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
・カプローラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 21部
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬社製)
・アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと
プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート混合物 0.1部
(BYK−UV3570、ビックケミー社製)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・α−アルミナ
(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 10部
・分散剤(HIPLAAD ED−151、楠本化成社製) 0.35部
・分散剤(フローレンWK−13E、共栄社化学社製) 0.65部
・テトラヒドロフラン 566部
―循環材―
ステアリン酸亜鉛(日本油脂製、ジンクステアレートGF200)を蓋付きのガラス製容器に入れ、160℃から250℃に温度制御したホットスターラーにより、攪拌しつつ溶融した。
予め150℃に加熱した内寸法12mm×8mm×350mmのアルミニウム製の金型を満たすように、攪拌溶融した該保護剤を流し込み、木製の台の上で40℃まで放冷後、固形物を型から外し、反り防止のため重りを乗せ室温まで冷却した。
冷却後、長手方向の両端を切断し、底面を切削して6mm×6mm×322mmの角柱形状の保護剤バーを作成した。
保護剤バーの底面に両面テープを貼り付け金属製支持体に固定した。
−循環材塗布装置−
循環材塗布装置は循環材を電子写真感光体に供給する手段と電子写真感光体に供給された循環材をコーティングする手段を併せて画像形成装置に取り付けた。
循環材の供給手段は、支持体に保持されるように角柱状に成形した固形状のステアリン酸亜鉛を所定の消費量となるようなバネ定数の加圧スプリングで塗布ブラシに加圧し、塗布ブラシが回転することよりステアリン酸亜鉛を削って電子写真感光体上に削り粉を設ける装置を取り付けた。加圧バネはバネ定数と循環材の消費量との関係から適当なものを選んだ。ここでは循環材の消費率(感光体への塗布量に加えて、塗布ブラシからの飛散及び落下による損失分などを含み、循環材の減少する量を意味する。)が125mg/kmとなる条件として、ばね定数が0.041N/mmの引張ばねを使用した。支持体の両サイドに一点支持の可動式のフィンを取り付け、これに引張ばねをまわすことで、ばねの引っ張り応力によって塗布ブラシと循環材との接触圧を調整した。
塗布ブラシは金属シャフトにファーブラシを貼り合わせた純正品をそのまま用いた。この塗布ブラシは電子写真感光体面移動方向に対してカウンター方向に回転するようにした。
塗布ブレードとしては鋼板のブレードホルダーに前記電子写真感光体に:19°で当接する方向に支持されたポリウレタンゴム(ShoreA硬さ;84、反発弾性;52%、厚さ;1.3mm)を用いた。
クリーニングブレードとしては鋼板のブレードホルダーに前記電子写真感光体に:23°で当接する方向に支持されたポリウレタンゴム(ShoreA硬さ;72、反発弾性;17%、厚さ;1.8mm)を用いた。
前記電子写真感光体と前記循環材供給手段を、図8に示すレイアウトでimagio MP C4500(リコー社製)のマゼンタ現像ステーションに搭載し画像形成装置を得た。
前記循環材供給手段は、imagio MP C4500専用の電子写真感光体カートリッジ内に本来設置されている循環材塗布手段に取り替えて設置した。
(実施例2)
実施例1の下地表面層用塗料に用いた2種の分散剤を竹本油脂社製AL−10(1部)に変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体および画像形成装置を得た。
(実施例3)
実施例1の下地表面層用塗料に用いた2種の分散剤を竹本油脂社製スーパーダインV201(1部)に変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体および画像形成装置を得た。
(実施例4)
実施例1の下地表面層用塗料に用いた2種の分散剤を竹本油脂社製スーパーダインV201(0.33部)と共栄社化学社製フローレンWK−13E(0.33部)および楠本化成社製HIPLAAD ED151(0.33部)に変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体および画像形成装置を得た。
(実施例5)
実施例1の下地表面層用塗料に用いた2種の分散剤を楠本化成社製HIPLAAD ED151(0.05部)に変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体および画像形成装置を得た。
(比較例1)
実施例1の下地表面層用塗料に用いた2種の分散剤を楠本化成社製HIPLAAD ED360(1部)に変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体および画像形成装置を得た。
(比較例2)
実施例1の下地表面層用塗料に用いた2種の分散剤を楠本化成社製HIPLAAD ED425(1部)に変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体および画像形成装置を得た。
<評価試験>
以上の実施例1から実施例5,および比較例1、比較例2の電子写真感光体と画像形成装置について下記(1)から(3)の試験を行った。
(1)電子写真感光体表面形状の測定
電子写真感光体の表面形状の測定は、表面粗さ・輪郭形状測定機(東京精密社、Surfcom 1400D)を用い、ピックアップ:E−DT−S02Aを取り付け、測定長さ;12mm、総サンプリング点数;30,720、測定速度;0.06mm/sの条件で行った。
測定により取得した電子写真感光体の表面形状の一次元データ配列をウェーブレット変換して、HHHからHLLに至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−1)を行った。更にここで得たHLLの一次元データ配列に対してデータ配列数が1/40に減少するように間引きした一次元データ配列を作り、該間引きした一次元データ配列に対して更にウェーブレット変換を行って、LHHからLLLに至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−2)を行った。そして、得られた合計12個の各周波数成分について算術平均粗さを計算した。
前記表面形状の測定を一つの電子写真感光体につき70mm間隔で4箇所行い、それぞれの箇所に対して前記各周波数成分についての算術平均粗さの計算を行った。
なお、ウェーブレット変換にはMATLAB(The MathWorks社製)のWavelet Toolboxをそのまま利用した。上述の通り、本発明では2度に分けてウェーブレット変換を行った。
4箇所の各周波数成分の算術平均粗さの平均値を、測定結果の各周波数成分の算術平均粗さ(WRa)とした。
測定結果を表2に示す。また、表面粗さスペクトルを図18から図24に示す。
(2)電子写真感光体表面の循環性評価試験
以上の電子写真感光体と画像形成装置を用いて、感光体ドラムが2500回転および25000回転相当の全ベタパターンでプリント試験を行った後、電子写真感光体を画像形成装置から取り出した。このときのプリント枚数は前者が951枚、後者は9500枚だった。
循環材付着量を求めるため、試験停止時に感光体表面を4MPaの圧縮エアーでエアーブローしたのち、感光体ドラム周方向について試験停止時における循環材塗布部から僅かに離れた下流側部分を□34mmのサイズで長手方向に等間隔に3カ所から電荷輸送層から最表面層に至る感光層の一部を剥離した。
剥離したフィルムを上述の方法によりXRF分析による質量膜厚を算定した。感光体ドラム回転数が2500回転と25000回転時における付着量差を下記式から算定し、感光体表面の循環材付着量の変動を評価した。回転数に対し、循環材付着量の変動量がプラスに増加するときは循環材の除去性に問題があると判断した。反対に変動量がマイナスに変動する場合も変動量が大きな場合は感光体の表面安定性に支障をきたすものとして不良と判断する。
τ = fα + β (式1)
τ; 循環材の質量膜厚(単位;nm)
α; 塗布回数(単位;×1000回)
β; 任意定数
係数fとβは次のようにして算定する。
横軸に回転数(単位;千回転)、縦軸に付着量として2.5(千回転)と25(千回転)時の付着量をプロットする。2点のプロットを結ぶ線形近似直線の傾きをf、切片をβとして算定した。線形近似直線は表計算ソフトを用いて算出できる。例えば、Microsoft Excelを用いて散布図を描き、近似直線の追加コマンドでfとβを求めることができる。
XRF分析は、予めICP−AES分析で得られる亜鉛分析値とXRF分析値との検量線データを用意し、XRF分析で得られる強度をICP−AES分析値に対比して付着量を求めた。付着量は皮膜欠陥が多い場合、見かけ上層厚が薄くなり皮膜部分の厚みが推定できない。そこで、XRFから算出される質量膜厚をXPSから算出される被覆率で割った値を平均的な層厚として算出した。
ICP−AES分析は硫酸と硝酸で分解した検液に対して島津製作所製ICPS−7500を用いて分析した。XRF分析はリガク社製ZSX−100eを用い、□34mmのサイズで電子写真感光体表面から剥離したフィルムを対象に分析を行った。
評価結果を表3に記す。
(3)ブレード作用力測定
図25に記す構成の試験器を用いて塗布ブレードとクリーニングブレードの作用力を測定した。これらのブレードの角度、食い込み量、感光体ドラムの回転速度はimagio MP C4500専用の電子写真感光体カートリッジと同じ条件に合わせてブレード作用力を測定した。
また感光体はimagio MP C4500を用いる循環性試験において、感光体ドラムを2500回転させることで循環材を被膜させた状態でブレード作用力測定を行った。試験環境は26℃50%RHであった。測定結果を表3に記す。
Figure 0006094864
Figure 0006094864
表3に記す実施例1から実施例5および2つの比較例は何れも塗布ブレード及びクリーニングブレードの接線力が1.15kgf以上1.35kgf以下を満足する条件が得られている。いずれの画像形成装置もこの条件であることが循環材の被膜形成を安定化できる条件であった。
このうち、実施例1の画像形成装置は耐久試験後も感光体表面が新品と区別できない程の品位が維持されており、電子写真感光体は高品位な循環型表面層が形成されていると評価できる。実施例1における感光体表面の循環材付着量は感光体ドラム回転数が2500回転時と25000回転時で安定しており、感光体表面における循環材の入出力量が等価である状態が形成されている。
実施例2から実施例5も実施例1と同様の性状を呈しているが、特に実施例1と実施例4の滑剤付着量の変化率が小さく有利である。これらは本発明の感光体表面粗さパラメータについて、WRa(LLH)が0.04μm未満であり、かつ、WRa(HLH)が0.005μm未満である特徴を有する。感光体の表面形状でFt/Fnに差が見られ、特別な表面形状の形成により循環材の被膜形成が高度に安定化されると解釈される。
一方、2つの比較例はFt/Fnが0.90以上0.96以下の関係を逸脱するもので、感光体表面の循環材付着量が経時で大きな変化を来す結果を得た。感光体表面における循環材の入出力量が非等価のため、感光体表面は経時で変質することとなる。
<図1〜6について>
11 電子写真感光体
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
15 トナー
16 転写装置
17 クリーニング装置
18 印刷メディア(印刷用紙、OHP用スライド)
19 定着装置
1A 除電装置
1B クリーニング前露光装置
1C 駆動手段
1D 第1の転写装置
1E 第2の転写装置
1F 中間転写体
1G 搬送転写ベルト
<図8について>
1F 中間転写体
3A 固体循環材
3B 塗布ブラシ
11 電子写真感光体
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
17 クリーニング装置
3C 塗布ブレード
<図9について>
3 循環材塗布装置
3A 循環材
3B 塗布ブラシ
3C 塗布ブレード
<図10、図11について>
21 導電性支持体
24 下引き層
25 電荷発生層
26 電荷輸送層
28 下地表面層
<図18について>
41 測定対象である電子写真感光体
42 表面粗さを測定するプローブを取り付けた治具
43 上記治具を測定対象に沿って移動させる機構
44 表面粗さ計
45 信号解析を行うパーソナルコンピューター
<図13について>
101 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分
102 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より一つ低い周波数成分
103 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より二つ低い周波数成分
104 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より三つ低い周波数成分
105 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より四つ低い周波数成分
106 一回目の多重解像度解析結果の最低周波数成分
107 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分
108 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より一つ低い周波数成分
109 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より二つ低い周波数成分
110 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より三つ低い周波数成分
111 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より四つ低い周波数成分
112 二回目の多重解像度解析結果の最低周波数成分
<図14について>
121 一回目の多重解像度解析における最高周波成分の帯域
122 一回目の多重解像度解析における最高周波成分より一つ低い周波数成分の帯域
123 一回目の多重解像度解析における最高周波成分より二つ低い周波数成分の帯域
124 一回目の多重解像度解析における最高周波成分より三つ低い周波数成分の帯域
125 一回目の多重解像度解析における最高周波成分より四つ低い周波数成分の帯域
126 一回目の多重解像度解析における最低周波数成分の帯域
<図16について>
127 二回目の多重解像度解析における最高周波成分の帯域
128 二回目の多重解像度解析における最高周波成分より一つ低い周波数成分の帯域
129 二回目の多重解像度解析における最高周波成分より二つ低い周波数成分の帯域
130 二回目の多重解像度解析における最高周波成分より三つ低い周波数成分の帯域
131 二回目の多重解像度解析における最高周波成分より四つ低い周波数成分の帯域
132 二回目の多重解像度解析における最低周波数成分の帯域
<図25について>
51 三分力計
特開2000−66424号公報 特開2000−171990号公報 特開2008−122870号公報 特開2006−91047号公報
中井泉編、蛍光X線分析の実際、154−161、朝倉書店、2005

Claims (10)

  1. 電子写真感光体と、帯電手段と、前記電子写真感光体に当接し当該電子写真感光体表面にワックス又は脂肪酸金属塩の皮膜を塗布形成する塗布手段と、
    前記感光体に当接する接触部材と、
    を備える画像形成装置であって、
    前記接触部材が前記電子写真感光体と当接することによって生じる作用力について、電子写真感光体の回転駆動方向に対して接線方向の力を接線力(Ft)とし、垂直方向の力を法線力(Fn)としたとき、Ftが1.15kgf以上1.35kgf以下である時のFt/Fnが0.90以上0.96以下の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記皮膜が循環型表面層であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記接触部材がクリーニングブレードであることを特徴する請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記接触部材が塗布ブレードであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  5. 前記電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に順に積層されてなる感光層、下地表面層及び前記循環型表面層と、を備え、
    前記下地表面層は、表面形状について下記(I)〜(V)の手順で、合計12個の周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求め、WRa(HLL)を除く合計11個の算術平均粗さWRa(LLL)からWRa(HHH)の対数を左から右に順に線で結んで得られた曲線が、少なくとも、LLLからLHLの帯域に屈曲点をもたず、かつ、LHLからHMHの帯域に屈曲点を有し、かつ、WRa(LLH)が0.04μm未満であり、かつ、WRa(HLH)が0.005μm未満であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の画像形成装置。

    (I)表面粗さ・輪郭形状測定機により測定して一次元データ配列を作成する。
    (II)前記一次元データ配列を、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの6個の周波数成分(HHH、HHL、HMH、HML、HLH、HLL)に分離する。
    (III)次いで、得られた6個の周波数成分の中で最低周波数成分の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きした一次元データ配列を作成する。
    (IV)更に、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの、追加の6個の周波数成分(LHH、LHL、LMH、LML、LLH、LLL)に分離する。
    (V)上記で得た12の各周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求める。 但し、前記得られた周波数成分は、下記のとおりである。
    WRa(HHH):凹凸の一周期の長さが0.3μm〜3μmの帯域におけるRa
    WRa(HHL):凹凸の一周期の長さが1μm〜6μmの帯域におけるRa
    WRa(HMH):凹凸の一周期の長さが2μm〜13μmの帯域におけるRa
    WRa(HML):凹凸の一周期の長さが4μm〜25μmの帯域におけるRa
    WRa(HLH):凹凸の一周期の長さが10μm〜50μmの帯域におけるRa
    WRa(HLL):凹凸の一周期の長さが24μm〜99μmの帯域におけるRa
    WRa(LHH):凹凸の一周期の長さが26μm〜106μmの帯域におけるRa
    WRa(LHL):凹凸の一周期の長さが53μm〜183μmの帯域におけるRa
    WRa(LMH):凹凸の一周期の長さが106μm〜318μmの帯域におけるRa
    WRa(LML):凹凸の一周期の長さが214μm〜551μmの帯域におけるRa
    WRa(LLH):凹凸の一周期の長さが431μm〜954μmの帯域におけるRa
    WRa(LLL):凹凸の一周期の長さが867μm〜1654μmの帯域におけるRa
  6. 前記下地表面層は、三次元架橋構造を有する樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記下地表面層に少なくともフィラー微粒子が分散されていることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
  8. 前記フィラー微粒子が金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記金属酸化物微粒子として、少なくとも酸化アルミニウムを含有していることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記酸化アルミニウムは、平均1次粒子径が0.2μm以上0.5μm以下のα−アルミナであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
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