JP7229757B2 - クリーニング装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents
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Description
一般的な画像形成装置における現像剤のクリーニングプロセスについて説明する。クリーニングプロセスで採用されるクリーニング方式として、像担持体において転写後に残存している現像剤や通紙時の紙詰まりなどによって未転写となった現像剤を像担持体から除去するため、ブレードを像担持体に当接させて現像剤を掻き取る方式がある。この方式は、物理的な手法で現像剤を除去するため、安価な構成で実現でき、良好なクリーニング性も得られることから広く用いられている。
ブレードを用いるクリーニング方式の課題として、クリーニング不良がある。クリーニング不良は、現像剤がブレードによって除去されずにブレードをすり抜けてしまう現象である。クリーニング不良として、低印字率の画像印字を行う場合や現像剤および現像剤の外添剤の供給が少ない予備回転等の場合に、像担持体を回転させ続けることで、像担持体とブレードとの間の摩擦力が上昇してブレードの振動が生じる場合が挙げられる。なお、ブレードの振動を、びびりと称する場合もある。
ここで、上記のびびりの発生について説明する。現像剤のクリーニングが繰り返されるうちに、ブレードの先端には、現像剤の溜り(8μm程度)と外添剤の溜り(数nm~数百nm)が形成される。外添剤は、現像剤に対して、流動性を持たせること、電荷の調整などの帯電制御を行うこと、クリーニングを補助することなどを目的として現像剤に添加される。微視的に見ると、ブレードが像担持体に当接することでブレードと像担持体との間に形成されるニップ部は、現像剤よりも粒径の小さい外添剤によって占有されている。この部分に外添剤が存在することで、ブレードと像担持体との間の摩擦力が小さく保たれる。一方、この部分における外添剤の量が少なくなると、ブレードと像担持体との間の摩擦力が上昇する結果、びびりが発生しやすくなる。
外添剤は、像担持体の表面から現像剤が転写された後に、像担持体上に単体として残り、ニップ部に供給されることが多い。ニップ部への外添剤の供給量を増加させるためには、現像剤に対する外添剤の添加量を増やすのが一般的である。外添剤の中には、転写後に像担持体に残存している現像剤の表面に付着した状態で、現像剤と共にニップ部に到達し、クリーニング過程で現像剤と共に像担持体から除去される外添剤もある。そこで、特許文献1に示すように、強制的に印字処理を行うことでニップ部に外添剤を供給する技術がある。
クリーニング枠体と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が自由端となるクリーニング部材であって、外添剤が含まれる現像剤からなる現像剤像を担持し且つ回転可能な像担持体に当接し、前記像担持体から前記現像剤像が転写された後に前記像担持体に残留した現像剤を除去するクリーニング部材と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が前記クリーニング部材と前記像担持体の当接位置よりも前記像担持体の回転方向の上流側の位置で前記像担持体に当接し、前記像担持体上の外添剤と摺擦するシート部材と、
を有するクリーニング装置であって、
前記外添剤は、前記現像剤に対して正極性に帯電する無機塩類であり、
前記シート部材の仕事関数Φ(S)、前記外添剤の仕事関数Φ(A)、前記現像剤の仕事関数Φ(T)が、以下の式(1)、(2)、(3)を満たす
0(eV)≦|Φ(A)-Φ(S)|<0.57(eV)・・・(1)
Φ(A)<Φ(T)・・・(2)
Φ(S)<Φ(T)・・・(3)
ことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明であるプロセスカートリッジは、
外添剤が含まれる現像剤からなる現像剤像を担持し且つ回転可能な像担持体と、
クリーニング枠体と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が自由端となるクリーニング部材であって、前記像担持体に当接し、前記像担持体から前記現像剤像が転写された後に前記像担持体に残留した現像剤を除去するクリーニング部材と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が前記クリーニング部材と前記像担持体の当接位置よりも前記像担持体の回転方向の上流側の位置で前記像担持体に当接し、前記像担持体上の外添剤と摺擦するシート部材と、
を有するプロセスカートリッジであって、
前記外添剤は、前記現像剤に対して正極性に帯電する無機塩類であり、
前記シート部材の仕事関数Φ(S)、前記外添剤の仕事関数Φ(A)、前記現像剤の仕事関数Φ(T)が、以下の式(4)、(5)、(6)を満たす
0(eV)≦|Φ(A)-Φ(S)|<0.57(eV)・・・(4)
Φ(A)<Φ(T)・・・(5)
Φ(S)<Φ(T)・・・(6)
ことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明である画像形成装置は、
外添剤が含まれる現像剤からなる現像剤像を担持し且つ回転可能な像担持体と、
前記像担持体に担持された前記現像剤像を記録材に転写する転写部材と、
クリーニング枠体と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が自由端となるクリーニング部材であって、前記像担持体に当接し、前記像担持体から前記現像剤像が転写された後に前記像担持体に残留した現像剤を除去するクリーニング部材と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が前記クリーニング部材と前記像担
持体の当接位置よりも前記像担持体の回転方向の上流側の位置で前記像担持体に当接し、前記像担持体上の外添剤と摺擦するシート部材と、
を有する画像形成装置であって、
前記外添剤は、前記現像剤に対して正極性に帯電する無機塩類であり、
前記シート部材の仕事関数Φ(S)、前記外添剤の仕事関数Φ(A)、前記現像剤の仕事関数Φ(T)が、以下の式(7)、(8)、(9)を満たす
0(eV)≦|Φ(A)-Φ(S)|<0.57(eV)・・・(7)
Φ(A)<Φ(T)・・・(8)
Φ(S)<Φ(T)・・・(9)
ことを特徴とする。
以下、本発明の実施例1について説明する。まず、実施例1に係る定着装置を備える電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)について説明する。図2は、実施例1の画像形成装置100の断面模式図である。
本実施例に係る画像形成装置100において実行される画像形成プロセスを、図2に示す装置内の各配置部材と共に説明する。画像形成装置100のシートカセット12から搬送ローラ(不図示)によって記録材である紙等のシートPが搬送される。このシート搬送
と同期して、回転可能な像担持体である感光ドラム1が回転可能な帯電手段である帯電ローラ2によって帯電された後、露光装置3による露光によって感光ドラム1に静電潜像が形成される。感光ドラム1と帯電ローラ2は、図中矢印の方向に回転する。露光装置3は、レーザーをポリゴンミラーによって反射し、感光ドラム1の表面を主走査及び副走査方向に露光する。
本実施例において使用される現像剤Tは、個数平均粒径が5~8μmである。以下の説明では、現像剤Tは、懸濁重合法で製造された負帯電性を有する磁性の現像剤であり、個数平均粒径は8μm程度であると想定する。
径が100nm程度である球形のチタン酸ストロンチウムを用いる。また、本実施例では、この外添剤が、現像剤Tに対して0.5%質量部外添される。
次に、回収シート部材14について説明する。図2に示すように、回収シート部材14は、クリーニングブレード8に対して、感光ドラム1の回転方向の上流側に配置される。現像剤像がシートPに転写された後に感光ドラム1に残留した現像剤がクリーニングブレード8によって除去されると、除去された現像剤は回収容器9に収容される。回収容器9に収容された現像剤は、回収シート部材14によって、回収容器9の外部に漏れ出すことが抑制される。
材質:PPS(ポリフェニレンサルファイド)シート
厚さ:38μm
仕事関数:5.80eV
ヤング率:80N/m2
ポアソン比:0.38
材14がクリーニング枠体15に接着される。なお、以下の条件において、「自由長」は、回収シート部材14が感光ドラム1に当接していない状態における、クリーニング枠体15に接着されていない回収シート部材14の部分の長さL1とする。また、「侵入量」は、感光ドラム1が存在しない状態において、感光ドラム1が存在すると想定した場合に回収シート部材14と感光ドラム1の表面とが交わる交点Qから、回収シート部材14の自由端までの長さL2とする。また、「設定角」は、交点Qにおける感光ドラム1の接線TLと回収シート部材14とがなす角θとする。
自由長L1:4.5mm
侵入量L2:2.0mm
設定角θ:23°
クリーニングブレード8は、回収容器9に固定される支持板金と感光ドラム1に当接する板状のゴムブレードにより構成される。ゴムブレードの材質はポリウレタンゴム等の弾性ゴムである。クリーニングブレード8は、感光ドラム1の回転方向に対して、いわゆるカウンター方向となるように配置され、感光ドラム1に当接することで、転写後に感光ドラム1に残存する現像剤をクリーニング、具体的には除去する。クリーニングブレード8の感光ドラム1に対する当接圧および当接角度が適切に設定されることで、クリーニングブレード8による感光ドラム1の現像剤の所望のクリーニング効果が得られる。本実施例では、クリーニングブレード8のウォーレス硬度を75°、厚さを2mmとする。また、クリーニングブレード8の感光ドラム1に対する当接角、即ちクリーニングブレード8と感光ドラム1の表面とがなす角度を25°とする。また、クリーニングブレード8の感光ドラム1に対する当接圧を0.03N/mmとする。
本実施例では、回収シート部材と外添剤のそれぞれの材料の帯電列(帯電系列)における位置関係に着目し、回収シート部材と外添剤が添加された現像剤とを、下記の測定方法によって測定される仕事関数を基に評価する。
次に、回収シート部材14の感光ドラム1に対する当接圧の算出方法について、図5を参照しながら説明する。
[N]は、片持ち梁における荷重と撓みの一般式を用いて、以下の式(7)によって算出される。
Pa=δEh3/{4L33(1-ν2)}・・・(7)
ここで、図5にも示すように、δは回収シート部材14の撓み量(mm)、L3は回収シート部材14の固定端から感光ドラム1との当接により形成されるニップ部16の上流側までの長さ(mm)、hは回収シート部材14の厚さ(mm)である。また、Eは回収シート部材14のヤング率(N/mm2)、νは回収シート部材14のポアソン比である。当接圧Paの算出において、回収シート部材14の撓み量δや長さL3は、回収シート部材14と感光ドラム1が共に静止して回収シート部材14が感光ドラム1に当接している状態の観察を基に求める。
図6に示すように、回収シート部材14が感光ドラム1に当接することで形成されるニップ部16の長さLは次のように算出される。温度23℃、湿度50%の環境下で、画像形成装置100により画像形成を行う。形成する画像は、複数の横線(感光ドラム1の回転軸の軸線方向に沿った線)が描画された画像比率が4%である画像を用いる。そして、画像形成装置100においてA4サイズの用紙を用いて連続的に1000枚の通紙を行い、回収シート部材14の表面に形成された摺擦跡を顕微鏡などで観察する。観察した摺擦跡の色味の変化や摺擦キズを基にニップ部16の長さLを算出する。
図7を参照しながら説明する。チタン酸ストロンチウムの外添剤Sの粒子は、現像剤Tの粒子に対して小さい正の電荷量を持つ。また、チタン酸ストロンチウムと現像剤の材料の帯電列における位置関係は、現像剤Tが負の電荷量を有するような位置関係にある。このため、本実施例の外添剤は、現像の過程においては、いわゆるベタ白部に外添剤単体として供給される。また、本実施例の外添剤は、転写の過程においては、転写電界の影響に逆らい、感光ドラム1に残存しやすい。したがって、本実施例の外添剤は、感光ドラム1の表面に単体として存在しやすい外添剤、即ちクリーニングブレード8の先端に供給されやすい外添剤であると言える。
本実施例では、ポリフェニンレンサルファイドとチタン酸ストロンチウムという外添剤の電荷量を低減する材料の組み合わせを選択している。従来例では回収防止シートとして安価で、汎用されるPET(ポリエチレンテレフタレート)を基材とした38μmのシートとを用いており比較対象とする。
材質:PETシート(東レ社製:ルミラー(登録商標))
厚み:38μm
仕事関数:5.33eV
ヤング率:2000N/m2
ポアソン比:0.21
自由長:4.5mm
侵入量:2.0mm
設定角θ:23°
外添剤はペレット化が難しいため、上記の仕事関数の測定方法の代替手法として摺擦テストを用いる。摺擦テストでは、外添剤の摩擦帯電極性が直接的に確認される。摺擦テストでは、図9Aに示すように、金属板MPに回収シート部材14の一端が固定される。このとき、回収シート部材14の他端が中空に張った状態となるように、回収シート部材14が金属板に固定される。一方、金属ローラMRの表面に絶縁体の接着剤が塗布され、その上に外添剤が一様に塗布される。なお、回収シート部材14と外添剤が塗布された金属ローラMRは、あらかじめイオナイザーなどによって除電される。そして、回収シート部材14と金属ローラMRを、互いに50往復摺擦させる。その後、図9Bに示すように金属板MPの表面に回収シート部材14が固定された状態で、回収シート部材14の表面電位を測定する。なお、回収シート部材14の表面電位の測定には、表面電位計としてトレック表面電位計(Model 344)が使用される。また、表面電位計のプローブPRの先端から回収シート部材14の表面までの長さは1.0mmとする。
14と酸化ケイ素の外添剤との構成における測定結果である。この場合、回収シート部材14と金属ローラMRとを50往復摺擦させた時点での表面電位は、150Vの電位である。したがって、酸化ケイ素の外添剤の帯電電位は、-150V程度であると考えられる。このように、本実施例によれば、外添剤と回収シート部材の材料との組み合わせによって、外添剤の帯電量を抑えることができる。
-正極性-
PET 5.33eV
PPS 5.88eV
SrTiO3 5.9eV程度
現像剤 6.03eV
-負極性-
ここで、チタン酸ストロンチウムはPPSに近い極性であり、PPSとチタン酸ストロンチウムの間では、PPSが正極性に若干近くなる、即ちチタン酸ストロンチウムが負極性に若干近くなる。このことから、チタン酸ストロンチウムの仕事関数は、5.9eV程度と見積もることができる。
|Φ(SrTiO3)-Φ(PET)|=0.57・・・(8)
そして、外添剤の仕事関数と回収シート部材の仕事関数との差が上記の仕事関数より小さくなる範囲、即ち以下の式(9)が満たされるときに、従来よりもクリーニング効果を高めることができると言える。
0(eV)≦|Φ(SrTiO3)-Φ(PET)|<0.57(eV)・・・(9)
Φ(SrTiO3)<Φ(現像剤)・・・(10)
次に、本実施例において現像剤に対する外添剤の供給量の目標値を決定するための、クリーニングブレード8の先端における外添剤の溜り量の測定について説明する。外添剤の溜り量は、上記と同様の温度23℃、湿度50%の環境下で、画像形成装置100において通紙を行って測定する。具体的には、複数の横線(感光ドラム1の回転軸の軸線方向に沿った線)が描画された画像比率が4%である画像を用いる。そして、画像形成装置100においてA4サイズの用紙を用いて連続的に10枚の通紙を行い、クリーニングブレード8と感光ドラム1との間に形成されるニップ部を観察する。ここで、測定対象の外添剤の溜り部分は、現像剤によって覆われていることがあるため、エアブローによって現像剤を飛ばした後にニップ部を観察する。ここでは、外添剤の溜り量は、外添剤の溜り部分の高さ(μm)と幅(μm)との積で算出する。
いて外添剤の溜り量が他の組み合わせよりも多くなることがわかる。このことの理由について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、外添剤の粒子(図中「S」)は感光ドラム1と回収シート部材14との間に形成されるニップ部において、回収シート部材14との摺擦によって帯電する。このとき、PPSの回収シート部材14とチタン酸ストロンチウムの外添剤の組み合わせでは、上記の他の組み合わせの場合に比べて外添剤の帯電量の増加が抑えられる。外添剤の帯電量がより小さいと、回収シート部材14に対する外添剤の静電付着力もより小さくなる。この結果、外添剤が回収シート部材14に付着し続けることなく、クリーニングブレード8と感光ドラム1との間のニップ部に溜りやすくなると言える。
本実施例における上記の構成によるクリーニング効果を確認するため、外添剤の溜り量の測定と同様に、温度23℃、湿度50%の環境下で、画像形成装置100において通紙を行う。具体的には、複数の横線(感光ドラム1の回転軸の軸線方向に沿った線)が描画された画像比率が4%である画像を用いる。そして、画像形成装置100においてA4サイズの用紙を用いて連続的に3000枚の通紙を行い、通紙された3000枚の用紙にクリーニング不良が顕在しているか否かの観察を行う。ここでクリーニング不良とは、一般的に画像形成装置100のユーザーが許容できないと判断されるような濃い縦スジが用紙に形成されている状態を意味する。観察結果を以下の表1に示す。表中、「発生」は、用紙に上記の縦スジが複数本確認されることを意味し、「なし」は、用紙に上記の縦スジが複数本は確認されないことを意味する。
したがって、本実施例のPPSの回収シート部材14とチタン酸ストロンチウムの外添剤とを用いる構成により、従来の構成に比べてより良好なクリーニング効果が得られると言える。
次に、本発明の実施例2について説明する。なお、実施例2において、実施例1と同様の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施例では、回収シート部材14の材料として、実施例1における材料とは異なる材料を用いる。具体的には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)(テフロン(登録商標))を回収シート部材
14の材料として用いる。本実施例におけるPTFEの回収シート部材14の特性は以下の通りである。
厚み:38μm
仕事関数:6.0eV
ヤング率:560N/m2
ポアソン比:0.46
自由長:4.5mm
侵入量:2.0mm
設定角θ:23°
本実施例の回収シート部材14に対して実施例1と同様の摺擦テストを行う。図12は、本実施例の回収シート部材14の摺擦テストの結果を示す。図中「PTFE」と「SrTiO3」との組で示される測定結果が、PTFEの回収シート部材14とチタン酸ストロンチウムの外添剤との構成における測定結果である。この場合、回収シート部材14と金属ローラMRとを50往復摺擦させた時点での表面電位は、-50Vである。したがって、チタン酸ストロンチウムの外添剤の帯電電位は、50V程度であると考えられる。ところで、実施例1に示すように、PETの回収シート部材14とチタン酸ストロンチウムの外添剤との構成における回収シート部材14の測定結果によれば、回収シート部材14と金属ローラMRとを50往復摺擦させた時点での表面電位は、200Vである。したがって、回収シート部材14の表面電位の絶対値においては、PTFEの回収シート部材14の表面電位がPETの回収シート部材14の表面電位よりも小さい、即ち、摩擦帯電性は低いと言える。以上のことから、仕事関数に基づくPET、チタン酸ストロンチウム、PTFE、現像剤のそれぞれの極性の並びは以下の通りになると考えられる。
-正極性-
PET 5.33eV
SrTiO3 5.9eV程度
PTFE 6.0eV
現像剤 6.03eV
-負極性-
そして、外添剤の仕事関数と回収シート部材14の仕事関数との差が上記の仕事関数より小さくなる範囲、即ち以下の式(12)が満たされるときに、従来よりもクリーニング効果を高めることができると言える。
0(eV)≦|Φ(SrTiO3)-Φ(PET)|<0.57(eV)・・・(12)
Φ(SrTiO3)<Φ(現像剤)・・・(13)
実施例1と同様に、本実施例において外添剤の溜り量の測定を行った結果を図13に示す。図13に示すように、PTFEとチタン酸ストロンチウムとの組み合わせにおける外添剤の溜り量は、回収シート部材14の材料がPPSである場合の溜り量に近く、回収シート部材14の材料がPETである場合よりも多い。このことの理由は、実施例1と同様である。即ち、PTFEの回収シート部材14とチタン酸ストロンチウムの外添剤の組み合わせでは、PETの回収シート部材14とチタン酸ストロンチウムの外添剤の組み合わせの場合に比べて外添剤の帯電量の増加が抑えられる。そして、外添剤の帯電量がより小さいと、回収シート部材に対する外添剤の静電付着力もより小さくなる。この結果、外添剤が回収シート部材14に付着し続けることなく、クリーニングブレード8と感光ドラム1との間のニップ部に溜りやすくなると言える。
実施例1と同様に、本実施例における上記の構成によるクリーニング効果を確認する。観察結果を以下の表2に示す。
したがって、本実施例のPTFEの回収シート部材14とチタン酸ストロンチウムの外添剤とを用いる構成でも、実施例1と同様に、従来の構成に比べてより良好なクリーニング効果が得られると言える。
本実施例では、チタン酸ストロンチウムの外添剤の粒子形状を変えた場合において、各形状の外添剤によるクリーニング効果について検討する。
実施例1、2と同様に、本実施例におけるクリーニングブレード8の先端における外添剤の溜り量の測定を行う。外添剤の溜り量の測定結果を図14に示す。図14に示すように、立方体形状のチタン酸ストロンチウムの外添剤は球形状のチタン酸ストロンチウムの外添剤に比べて、クリーニングブレード8の先端における溜り量が増加している。
形状である場合を示す。図16は、チタン酸ストロンチウムの外添剤の粒子径状が立方体形状である場合を示す。
実施例1、2と同様に、本実施例における上記の構成によるクリーニング効果を確認した結果を表3に示す。表中のクリーニング不良について、「なし」は表1、2と同様の意味を表し、「軽微に発生」は、一般的に画像形成装置100のユーザーが許容できると判断されるような薄い縦スジが用紙に形成されている状態を意味する。
本発明によれば、ニップ部へ外添剤の供給効率を上げることによって、クリーニング性能を維持すると共に、外添剤の使用量を抑えることができる。また、外添剤の量を抑えることによって、さらに、トナー(現像剤)の低融点化が実現しやすくなり、画像形成動作の定着工程における消費エネルギーを抑えることができる。
Claims (11)
- クリーニング枠体と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が自由端となるクリーニング部材であって、外添剤が含まれる現像剤からなる現像剤像を担持し且つ回転可能な像担持体に当接し、前記像担持体から前記現像剤像が転写された後に前記像担持体に残留した現像剤を除去するクリーニング部材と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が前記クリーニング部材と前記像担持体の当接位置よりも前記像担持体の回転方向の上流側の位置で前記像担持体に当接し、前記像担持体上の外添剤と摺擦するシート部材と、
を有するクリーニング装置であって、
前記外添剤は、前記現像剤に対して正極性に帯電する無機塩類であり、
前記シート部材の仕事関数Φ(S)、前記外添剤の仕事関数Φ(A)、前記現像剤の仕事関数Φ(T)が、以下の式(1)、(2)、(3)を満たす
0(eV)≦|Φ(A)-Φ(S)|<0.57(eV)・・・(1)
Φ(A)<Φ(T)・・・(2)
Φ(S)<Φ(T)・・・(3)
ことを特徴とするクリーニング装置。 - 前記シート部材は、前記一端から前記他端に向かって延びる方向が、前記他端が当接する領域における前記像担持体の前記回転方向と略同じ方向である、ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
- 前記像担持体に対する前記シート部材の当接圧の範囲が、8.24×10-6~3.05×10-2N/mmであり、
前記シート部材が前記像担持体に当接することで形成されるニップ部の、前記像担持体の回転方向における幅の範囲が、10~1000μmである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニング装置。 - 前記シート部材の基材がポリフェニレンサルファイド(PPS)である、ことを特徴と
する請求項1から3のいずれか一項に記載のクリーニング装置。 - 前記シート部材の基材がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
- 前記シート部材の基材がポリエチレンテレフタレート(PET)ではない、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
- 前記外添剤がチタン酸ストロンチウムの粒子である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
- 前記外添剤の粒子の形状が直方体形状である、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
- 前記外添剤の一次粒子の個数平均粒径の範囲が、50~300nmである、ことを特徴とする請求項8に記載のクリーニング装置。
- 外添剤が含まれる現像剤からなる現像剤像を担持し且つ回転可能な像担持体と、
クリーニング枠体と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が自由端となるクリーニング部材であって、前記像担持体に当接し、前記像担持体から前記現像剤像が転写された後に前記像担持体に残留した現像剤を除去するクリーニング部材と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が前記クリーニング部材と前記像担持体の当接位置よりも前記像担持体の回転方向の上流側の位置で前記像担持体に当接し、前記像担持体上の外添剤と摺擦するシート部材と、
を有するプロセスカートリッジであって、
前記外添剤は、前記現像剤に対して正極性に帯電する無機塩類であり、
前記シート部材の仕事関数Φ(S)、前記外添剤の仕事関数Φ(A)、前記現像剤の仕事関数Φ(T)が、以下の式(4)、(5)、(6)を満たす
0(eV)≦|Φ(A)-Φ(S)|<0.57(eV)・・・(4)
Φ(A)<Φ(T)・・・(5)
Φ(S)<Φ(T)・・・(6)
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 外添剤が含まれる現像剤からなる現像剤像を担持し且つ回転可能な像担持体と、
前記像担持体に担持された前記現像剤像を記録材に転写する転写部材と、
クリーニング枠体と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が自由端となるクリーニング部材であって、前記像担持体に当接し、前記像担持体から前記現像剤像が転写された後に前記像担持体に残留した現像剤を除去するクリーニング部材と、
一端が前記クリーニング枠体に取り付けられ、他端が前記クリーニング部材と前記像担持体の当接位置よりも前記像担持体の回転方向の上流側の位置で前記像担持体に当接し、前記像担持体上の外添剤と摺擦するシート部材と、
を有する画像形成装置であって、
前記外添剤は、前記現像剤に対して正極性に帯電する無機塩類であり、
前記シート部材の仕事関数Φ(S)、前記外添剤の仕事関数Φ(A)、前記現像剤の仕事関数Φ(T)が、以下の式(7)、(8)、(9)を満たす
0(eV)≦|Φ(A)-Φ(S)|<0.57(eV)・・・(7)
Φ(A)<Φ(T)・・・(8)
Φ(S)<Φ(T)・・・(9)
ことを特徴とする画像形成装置。
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