JP3661780B2 - 一成分非磁性トナーおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法等により画像形成を行う画像形成装置に用いられ、この画像形成装置の潜像担持体上の静電潜像を現像するための一成分非磁性トナーおよびその製造方法の技術分野に属し、特に、多数の母粒子と、少なくともシリカおよび酸化チタンからなる外添剤の多数の粒子とからなる一成分非磁性トナーおよびその製造方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置に用いられるトナーとしては、一般的には二成分トナーが知られ、比較的安定した現像を可能とするが、現像剤と磁性キャリアとの混合比の変動が発生しやすく、その維持管理をする必要がある。そのため、一成分非磁性トナーが開発されている。この一成分非磁性トナーとしては、一成分磁性トナーが開発されているものの、磁性材料の不透明性から鮮明なカラー画像を得られないという問題がある。そこで、従来、カラートナーとして一成分非磁性トナーが開発されている。
【0003】
ところで、画像形成装置に用いられるトナーにおいては、帯電安定性、流動性、耐久安定性等を向上させることを目的として、従来、トナー母粒子に外添剤の微粒子を外添させる表面処理が行われている。
【0004】
従来、トナー用の外添剤として、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)および酸化チタン(チタニア)を単独または複数種組み合わせて使用することが知られている。この場合、それぞれの外添剤はそれらの有する特徴を活かすために、単独よりも複数種組み合わせて使用するのが一般的である。
【0005】
しかし、このように複数種の外添剤を単に組み合わせて使用したトナーであっても、次のような問題がある。すなわち、
▲1▼ トナーに外添剤を添加しても帯電量分布が存在するため、負帯電用トナーであっても正に帯電したトナーの発生は避けきれなかった。その結果、負帯電反転現像で作像する画像形成装置では、潜像担持体(感光体)の非画像部にトナーが付着するため、クリーニングトナー量が増大してしまう。また、印字枚数が増すに従い、トナー表面上の外添剤が埋没するため、実質上有効に機能する外添剤の量が減少して、カブリトナー量が更に増えると同時に、トナーの帯電量が低下してトナー飛散が発生してしまう。
▲2▼ トナーの劣化防止のために、シリカを多量に添加してトナーの流動性を維持しようとすると、流動性は改善されるが、定着性が低下してしまう。
▲3▼ シリカを増やすと、トナーの負帯電能力が高くなり過ぎて印字画像濃度が低下するため、比較的低電気抵抗のチタンやアルミナを添加しているが、一般にチタンやアルミナは一次粒子径が小さいため、印字枚数が増えるとトナー母粒子中に埋没し、それらの効果が発揮できなくなってしまう。
【0006】
そこで、アナターゼ型酸化チタンを含有し、シランカップリング剤で処理されている処理層を有するルチル型酸化チタンを外添剤として用い、紡錘形状のルチル型酸化チタンでトナー母粒子に付着した酸化チタンがこのトナー母粒子内に埋没しないようにし、またシランカップリング剤との親和性がよいアナターゼ型酸化チタンでトナー母粒子にシランカップリング剤の均一な被膜を得ることにより、帯電分布が均一で、摩擦帯電性を低下させることなく安定した帯電特性を得るとともに、環境依存性、流動性および耐ケーキング性を向上させることが特開2000−128534号公報において提案されている。この公開公報に開示されているトナーによれば、前述の諸問題▲1▼〜▲3▼がある程度解決することができる。
【0007】
また、トナーの外添剤として疎水性シリカにルチル/アナターゼ混晶型酸化チタンを添加することにより、フルカラー画像において、色再現性、透明性を損なうことなく、トナーの流動性を高め、温度・湿度の環境に左右されずに安定した摩擦帯電性を得るとともに、トナー飛散を防止して非画像部へのトナーのカブリを防止することが特開2001−83732号公報において提案されている。この公開公報に開示されているトナーによっても、前述の諸問題▲1▼〜▲3▼がある程度解決することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の各公開公報のトナーでは、ルチル型酸化チタンにより酸化チタンがトナー母粒子内に埋没することを抑制して安定した帯電特性をある程度得ることができるとともに、アナターゼ型酸化チタンにより流動性および環境依存性をともに向上させることができるものの、外添剤としてルチル/アナターゼ型酸化チタンを単に用いているだけであるので、ルチル/アナターゼ型酸化チタンの特性、つまりトナー母粒子内へ埋没し難い特質と電荷調整機能をより効果的に活かしているとは言えず、得られる安定した帯電特性、流動性の向上および環境依存性の向上にも限度があることが考えられる。すなわち、前述の諸問題▲1▼〜▲3▼をより効果的に解決するために、トナーの更なる改良が求められる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は非画像部のトナーのカブリをより一層少なくできるとともに転写効率を更に向上でき、しかも、帯電特性をより一層安定にできる一成分非磁性トナーおよびその製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、フルカラートナーとして使用したときに逆転写トナーの発生をより効果的に抑制できるとともに画像濃度をより均一にかつより一層長期にわたって維持できる一成分非磁性トナーおよびその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明の一成分非磁性トナーは、トナー母粒子に外添剤が外添されている一成分非磁性トナーにおいて、前記外添剤が、少なくとも、前記トナー母粒子の仕事関数より小さい仕事関数を有するとともに、前記トナー母粒子に負の帯電性を付与する平均一次粒子径が20nm以下、好ましくは7nmないし12nmの小粒径の疎水性シリカと平均一次粒子径が30nm以上、好ましく40nmないし50nmの大粒径の疎水性シリカと、前記トナー母粒子の仕事関数と略同一の仕事関数を有するとともに、紡錘形状であってその長軸径が0.02μmないし0.10μmでありかつ長軸と短軸との軸径比が2ないし8である疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとからなることを特徴としている。
【0011】
また、請求項2の発明は、前記小粒径の疎水性シリカが前記疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンより多く添加されていることを特徴としている。
更に、請求項3の発明は、円形度が0.91以上であることを特徴としている。
更に、請求項4の発明は、個数基準の50%径(D50)が9μm以下であることを特徴としている。
【0012】
更に、請求項5の発明は、粉砕法により作製された前記トナー母粒子を用いた粉砕法トナーまたは重合法により作製された前記トナー母粒子を用いた重合法トナーであることを特徴としている。
更に、請求項6の発明は、前記外添剤の総量をトナー母粒子の重量に対して0.5重量%以上4.0重量%以下であることを特徴としている。
【0013】
更に、請求項7の発明の一成分非磁性トナーの製造方法は、請求項1ないし6のいずれか1記載の一成分非磁性トナーを製造する方法であって、最初に前記トナー母粒子と平均一次粒子径が2種類の異なる前記疎水性シリカとを混合し、次いでこれらの混合物に前記疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを添加して混合することにより、前記一成分非磁性トナーを製造することを特徴としている。
【0014】
【作用】
このように構成された本発明の一成分非磁性トナーにおいては、平均一次粒子径の異なる2種類の疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとを併用することにより、疎水性シリカの仕事関数がトナー母粒子の仕事関数より小さいので、疎水性シリカがトナー母粒子に直接付着するようになり、また、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数がトナー母粒子の仕事関数と略同一でありかつ疎水性シリカの仕事関数より大きいので、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンがトナー母粒子に直接付着し難くなり、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンはトナー母粒子に付着した疎水性シリカに付着する形でトナー母粒子の表面に付着するようになる。
【0015】
したがって、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンの有するトナー母粒子に埋没し難い特質と電荷調整機能とがより効果的に活かされるようになり、疎水性シリカの有する負帯電性能および流動性という固有の特性と、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンの有する比較的低抵抗でかつ負の過帯電防止特性という固有の特性とが相乗された機能がトナー母粒子に付与される。これにより、一成分非磁性トナーはその流動性低下が防止されるとともに、負の過帯電が防止されることからより良好な負帯電特性を有するようになる。
【0016】
しかも、平均一次粒子径の異なる2種類の疎水性シリカを用いることで、小粒径の疎水性シリカがトナー母粒子に埋没し、この疎水性シリカの仕事関数より大きい仕事関数の疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが仕事関数差による接触電位差で埋没疎水性シリカに固着してトナー母粒子から遊離することが少なくなり、かつ大粒径の疎水性シリカがトナー母粒子の表面に固着していることから、トナー母粒子の表面が疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとによりまんべんなく覆われるようになり、一成分非磁性トナーはその負帯電がより一層長期にわたり安定し、連続印字における安定した画像品質を与えるようになる。特に、少なくとも平均一次粒子が小粒径である疎水性シリカを疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンより多く添加することで、一成分非磁性トナーの負帯電がより一層長期にわたり安定する。
したがって、非画像部のカブリがより一層抑制されるとともに転写効率が更に向上し、更に逆転写トナーの発生がより効果的に抑制されるようになる。
【0017】
更に、比較的小粒径のトナーに外添剤として疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとを併用することで、疎水性シリカの量を、従来の疎水性シリカ微粒子を単独用いた場合の疎水性シリカの量よりも少なくすることができるので、定着性が向上する。
【0018】
更に、粉砕法トナーおよび重合法トナーを問わず、トナー粒子径を小さくすると疎水性シリカの添加量を増大する必要があるが、疎水性シリカの添加量を増大すると、トナーの帯電量が初期では大きくなり過ぎるばかりでなく、印字が進むに連れて小粒径の疎水性シリカの埋没または飛散により、疎水性シリカの有効表面量が減少し、トナーの帯電量が低下する。このため、画像濃度の変動やカブリ量が増えるばかりでなく、トナー消費量が増加する傾向となるが、本発明の一成分非磁性トナーでは、大小2種の粒径の疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとを併用することで、前述のように疎水性シリカの量を少なくできるので、画像濃度の変動や非画像部のカブリがより効果的に抑制されるようになる。
【0019】
したがって、逆転写トナーの発生がより効果的に抑制されることから、本発明の一成分非磁性トナーをフルカラートナーとして使用したときに、画像濃度がより均一にかつより一層長期にわたって維持される。これにより、高品質のフルカラーの画像が長期にわたって得られるようになる。
【0020】
更に、本発明の一成分非磁性トナーを製造するにあたり、最初にトナー母粒子と平均一次粒子径が2種類異なる疎水性シリカとを混合し、次いでこれらの混合物に疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを添加して混合することにより、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンはトナー母粒子に付着した疎水性シリカに付着する形でトナー母粒子の表面に、より確実に付着するようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明にかかる一成分非磁性トナーの実施の形態の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、この例の一成分非磁性トナー8はトナー母粒子11に外添剤12が外添されて構成されている。外添剤12には、平均一次粒径が小粒径および大粒径の2種類の粒径の疎水性シリカ(SiO2)13,14、および疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン(TiO2)15がそれぞれ使用されている。
【0022】
小粒径の疎水性シリカ13の平均一次粒径は20nm以下、好ましくは7〜12nm(この表記法は7nm〜12nmの意味である。他の単位の場合も同じである)であり、また大粒径の疎水性シリカ14のの平均一次粒径は30nm以上、好ましくは40〜50nmに設定されている。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15はルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンとが所定の混晶比で用いられており、例えば前述の特開2000−128534号公報に開示されている製造方法により製造することができる。この疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15は紡錘形状を呈しており、その長軸径が0.02〜0.10μmであるとともに、長軸と短軸との軸比が2〜8に設定されている。
【0023】
この例の一成分非磁性トナー8では、トナー母粒子11の仕事関数より小さい仕事関数を有する疎水性シリカ13,14によりトナー母粒子11は負の帯電性が付与されるとともに、トナー母粒子11の仕事関数より大きいかあるいはトナー母粒子11の仕事関数と略同一(仕事関数差が0.25eV以内)である仕事関数を有する疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15を混合使用することで、トナー母粒子11の過帯電が防止されている。
【0024】
仕事関数(Φ)は、表面分析装置(理研計器(株)製AC−2)により、照射光量500nWで測定されるものであり、その物質から電子を取り出すために必要なエネルギーてあり、仕事関数が小さいほど電子を出しやすく、大きい程電子を出しにくい。そのため、仕事関数の小さい物質と大きい物質を接触させると、仕事関数の小さい物質は正に、仕事関数の大きい物質は負に帯電するものであるが、仕事関数自体としてはその物質から電子を取り出すためのエネルギー(eV)として数値化されるものである。
【0025】
このように構成されたこの例の一成分非磁性トナー8に用いられるトナー母粒子は粉砕法および重合法のいずれの方法でも作製することができ、以下、その作製について説明する。
まず、粉砕法によるトナー母粒子を用いた一成分非磁性トナー(以下、粉砕法トナーという)8の作製について説明する。
粉砕法トナー8は、樹脂バインダーに顔料、離型剤、荷電制御剤をヘンシェルミキサーで均一混合した後、2軸押し出し機で熔融・混練され、冷却後、粗粉砕−微粉砕工程を経て、分級処理されて得られたトナー母粒子11に、さらに、外添剤である流動性改良剤が外添されてトナーとされる。
【0026】
バインダー樹脂としては、公知のトナー用樹脂が使用可能であり、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は混合して使用できる。特に本発明においては、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。本発明にあってはバインダー樹脂としてはガラス転移温度が50〜75℃、フロー軟化温度が100〜150℃の範囲が好ましい。
【0027】
着色剤としては、公知のトナー用着色剤が使用可能である。例えば、カーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料および顔料を単独あるいは混合して使用できる。
【0028】
離型剤としては、公知のトナー用離型剤が使用可能である。例えば、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、エステルワックス等を使用することが好ましい。
【0029】
荷電調整剤としては、公知のトナー用荷電調整剤が使用可能である。例えば、オイルブラック、オイルブラックBY、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業(株)製)、カリックスアレン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシルカルボン酸系金属錯体、芳香族ジカルボン酸系金属錯体、多糖類等が挙げられる。中でもカラートナー用には無色ないしは白色のものが好ましい。
【0030】
外添剤である流動性改良剤としては、少なくとも、前述の小粒径の疎水性シリカ13、前述の大粒径の疎水性シリカ14、および前述の疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15がそれぞれ用いられる。なお、これらに、更に他の公知の無機および有機のトナー用流動性改良剤を1種以上混合使用することも可能である。他の公知の無機および有機のトナー用流動性改良剤としては、例えば、アルミナ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、マグネタイト、二硫化モリブデン、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、チタン酸金属塩、ケイ素金属塩の各微粒子を使用することができる。これらの微粒子はシランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して使用することが好ましい。その他の樹脂微粒子の例としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0031】
粉砕法トナー8における成分比(重量比)を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1に示すとおり、バインダー樹脂100重量部に対して、着色剤は0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部であり、また、離型剤は1〜10重量部、好ましくは2.5〜8重量部であり、更に、荷電制御剤は0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部であり、更に、流動性改良剤は0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜4重量部である。
【0034】
この例の粉砕法トナー8にあっては、転写効率の向上を目的として、球形化処理により円形度をアップさせることがよい。粉砕法トナー8の円形度をアップさせるためには、
▲1▼ 粉砕工程で、比較的丸い球状で粉砕可能な装置、例えば機械式粉砕機として知られるターボミル(川崎重工(株)製)を使用すれば円形度は0.93まで可能である。
または、
▲2▼ 粉砕したトナーを市販の熱風球形化装置サーフュージングシステムSFS−3型(日本ニューマチック工業(株)製)を使用すれば円形度は1.00まで可能である。
【0035】
この例の粉砕法トナー8の望ましい円形度(球状化係数)は0.91以上であり、これにより良好な転写効率が得られる。そして、円形度は0.97まではクリーニングブレードにより、それ以上ではブラシクリーニングを併用することでクリーニングすることができる。
【0036】
また、このようにして得られる粉砕法トナー8としては、個数基準の50%径である平均粒径(D50)が9μm以下、好ましくは4.5〜8μmに設定される。これにより、粉砕法トナー8の粒径が比較的小粒径となり、この小粒径トナーに外添剤として疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとを併用することで、疎水性シリカの量を、従来のシリカ微粒子を単独用いた場合の疎水性シリカの量よりも少なくすることができるので、定着性が向上する。
なお、本発明におけるトナー粒子等における平均粒径と円形度は、シスメックス株式会社製のFPIA2100で測定する値である。
【0037】
更に、この粉砕法トナー8にあっては、外添剤の総量(重量)がトナー母粒子の重量に対して0.5重量%以上4.0重量%以下に設定されるが、好ましくは、1.0重量%から3.5重量%の範囲に設定するのがよい。これにより、粉砕法トナー8をフルカラートナーとして使用したときに逆転写トナーの発生を抑える効果を発現することができる。なお、外添剤を総量で4.0重量%以上添加すると、トナー表面より飛散したり、定着性を悪化させる要因となる。
【0038】
次に、重合法によるトナー母粒子を用いたトナー(以下、重合法トナーという)8の作製について説明する。
重合法トナー8としては、懸濁重合法、乳化重合法等がある。懸濁重合法においては、重合性単量体(モノマー)、着色顔料、離型剤とを、必要により更に、染料、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤を添加した混合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤(水溶性高分子、難水溶性無機物質)を含む水相中に攪拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズを有する着色重合トナー粒子を形成することができる。
【0039】
また、乳化重合法においては、単量体と離型剤を必要により更に重合開始剤、乳化剤(界面活性剤)などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤、荷電制御剤と凝集剤(電解質)等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子を形成することができる。
重合法トナー作製に用いられる材料において、着色剤、離型剤、荷電制御剤、流動性改良剤に関しては、上記の粉砕トナーと同様の材料が使用できる。
【0040】
重合性単量体(モノマー)としては、公知のビニル系モノマが使用可能であり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレイン酸、無水フタル酸、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルナフタレン等が挙げられる。なお、フッ素含有モノマーとしては例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、四フッ化エチレン、トリフルオロプロピレンなどはフッ素原子が負荷電制御に有効であるので使用が可能である。
【0041】
乳化剤(界面活性剤)としては公知のものが使用可能である。例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等がある。
【0042】
重合開始剤としては、公知のものが使用可能である。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等がある。
【0043】
凝集剤(電解質)としては、公知のものが使用可能である。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等が挙げられる。
【0044】
乳化重合法トナー8における成分比(重量)を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示すとおり、重合性モノマー100重量部に対して、重合開始剤は0.03〜2、好ましくは0.1〜1重量部であり、また、界面活性剤0.01〜0.1重量部であり、更に、離型剤は1〜40重量部、好ましくは2〜35重量部であり、更に、荷電制御剤は0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部であり、着色剤は1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部であり、更に、凝集剤(電解質)は0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0047】
この例の重合法トナー8にあっても、転写効率の向上を目的として、球形化処理により円形度をアップさせることがよい。重合法トナー8の円形度の調節法としては、
▲1▼ 乳化重合法は2次粒子の凝集過程で温度と時間を制御することで、円形度を自由に変えることができ、その範囲は0.94〜1.00である。
また、
▲2▼ 懸濁重合法では、真球のトナーが可能であるため、円形度は0.98〜1.00の範囲となる。また、円形度を調節するためにトナーのTg温度以上で加熱変形させることで、円形度を0.94〜0.98まで自由に調節することが可能となる。
【0048】
重合法トナー8は上記の方法以外の分散重合法でも作ることができ、例えば特開平63−304002号公報に開示されている方法でも作製できる。この場合には、形状が真球に近い形となるため、形状を制御するには、例えばトナーのTg温度以上で加圧し、所望のトナー形状にすることができる。
【0049】
前述の粉砕法トナー8の場合と同様に、この例の重合法トナー8の望ましい円形度(球状化係数)は0.95以上であり、円形度が0.97まではクリーニングブレードにより、それ以上ではブラシクリーニングを併用することでクリーニングすることができる。
【0050】
このようにして得られる重合法トナー8においても、個数基準の50%径である平均粒径(D50)が9μm以下、好ましくは4.5〜8μmに設定される。これにより、重合法トナー8の粒径が比較的小粒径となり、この小粒径トナーに外添剤として疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとを併用することで、疎水性シリカの量を、従来のシリカ微粒子を単独用いた場合の疎水性シリカの量よりも少なくすることができるので、定着性が向上する。
なお、この重合法トナー8の場合にも、トナー粒子等における平均粒径と円形度は、シスメックス株式会社製のFPIA2100で測定する値である。
【0051】
更に、この重合法トナー8にあっても、前述の粉砕法トナーと同様に、外添剤の総量(重量)がトナー母粒子の重量に対して0.5重量%以上4.0重量%以下に設定されるが、好ましくは、1.0重量%から3.5重量%の範囲に設定するのがよい。これにより、重合法トナー8をフルカラートナーとして使用したときに逆転写トナーの発生を抑える効果を発現することができる。なお、外添剤を総量で4.0重量%以上添加すると、トナー表面より飛散したり、定着性を悪化させる要因となる。
【0052】
このように構成されたこの例の一成分非磁性トナー8においては、重合法トナーおよび粉砕法トナーのいずれでも、図2に示すように小粒径の疎水性シリカ13がトナー母粒子11に埋没し易くなる。この疎水性シリカ13の仕事関数より大きい仕事関数の疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15が仕事関数差による接触電位差で埋没疎水性シリカ13に固着してトナー母粒子11から遊離することが少なくなり、かつ大粒径の疎水性シリカ14がトナー母粒子11の表面に固着していることから、トナー母粒子11の表面が疎水性シリカ13,14と疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15とによりまんべんなく覆われるようになる。したがって、一成分非磁性トナー8はその負帯電がより一層長期にわたり安定し、連続印字における安定した画像品質を与えるようになる。
【0053】
特に、少なくとも一次粒子が小粒径である疎水性シリカ13を疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15より多く添加することで、一成分非磁性トナー8の負帯電がより一層長期にわたり安定する。したがって、非画像部のカブリがより一層抑制されるとともに転写効率が更に向上し、更に逆転写トナーの発生がより効果的に抑制されるようになる。
【0054】
図3は、この例の一成分非磁性トナー8が適用される非接触一成分現像方式の画像形成装置の一例を模式的に示す図である。図3中、1は有機感光体、2はコロナ帯電器、3は露光、4はクリーニングブレード、5は転写ローラ、6は供給ローラ、7は規制ブレード、8は一成分非磁性トナー、9は転写材、10は現像ローラであり、Lは現像ギャップである。
【0055】
有機感光体1としては、有機単層型でも有機積層型でもよく、有機積層型感光体としては、導電性支持体上に、下引き層を介して電荷発生層、電荷輸送層を順次積層したものである。
【0056】
導電性支持体としては、公知の導電性支持体が使用可能であり、例えば体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム合金に切削等の加工を施した管やポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着あるいは導電性塗料により導電性を付与したもの、導電性ポリイミド樹脂を形成してなる管状、ベルト状、板状、シート状支持体等が例示される。他の例としては、ニッケル電鋳管やステンレス管などをシームレスにした金属ベルトも好適に使用することができる。
【0057】
導電性支持体上に設けられる下引き層としては公知の下引き層が使用可能である。例えば、下引き層は接着性を向上させ、モワレを防止し、上層の電荷発生層の塗工性を改良、露光時の残留電位を低減させるなどの目的で設けられる。下引き層に使用する樹脂はその上に感光層を塗工する関係上、感光層に使用する溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。使用可溶な樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、酢酸ビニル、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等であり、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。また、これらの樹脂に二酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物を含有させてもよい。
【0058】
電荷発生層における電荷発生顔料としては、公知の材料が使用可能である。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンおよびナフトキノン系顔料、シアニンおよびアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生顔料は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0059】
電荷発生層におけるバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。バインダー樹脂と前記電荷発生物質の構成比は、重量比でバインダー樹脂100重量部に対して、10〜1000重量部の範囲で用いられる。
【0060】
電荷輸送層を構成する電荷輸送物質としては公知の材料が使用可能であり、電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、パラジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0061】
正孔輸送物質としては、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、フェナジン化合物、ベンゾフラン化合物、ブタジエン化合物、ベンジジン化合物、スチリル化合物およびこれらの化合物の誘導体が挙げられる。これらの電子供与性物質は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0062】
電荷輸送層中には、これらの物質の劣化防止のために酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤などを含有することもできる。
電荷輸送層におけるバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂などを用いることができるが、電荷輸送物質との相溶性、膜強度、溶解性、塗料としての安定性の点でポリカーボネートが好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質の構成比は、重量比でバインダー樹脂100重量部に対して25〜300重量部の範囲で用いられる。
【0063】
電荷発生層、電荷輸送層を形成するためには、塗布液を使用するとよく、溶剤はバインダー樹脂の種類によって異なるが、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル類等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロルエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン等の芳香族類等を用いることができる。
また、電荷発生顔料の分散には、サンドミル、ボールミル、アトライター、遊星式ミル等の機械式の方法を用いて分散と混合を行うとよい。
【0064】
下引き層、電荷発生層および電荷輸送層の塗工法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スピンコーティング、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアナイフコーティング法等の方法を用いる。また、塗工後の乾燥は常温乾燥後、30〜200℃の温度で30から120分間加熱乾燥することが好ましい。これらの乾燥後の膜厚は電荷発生層では、0.05〜10μmの範囲、好ましくは0.1〜3μmである。また、電荷輸送層では5〜50μmの範囲、好ましくは10〜40μmである。
【0065】
また、単層有機感光体層は、上述した有機積層型感光体において説明した導電性支持体上に、同様の下引き層を介して、電荷発生剤、電荷輸送剤、増感剤等とバインダー、溶媒等からなる単層有機感光層を塗布形成することにより作製される。有機負帯電単層型感光体については、例えば特開2000−19746号公報に開示されている方法に準じて作製するとよい。
【0066】
単層有機感光層における電荷発生剤としてはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、キノシアトン系顔料、インジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、キナクリドン系顔料が挙げられ、好ましくはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料である。電荷輸送剤としてはヒドラゾン系、スチルベン系、フェニルアミン系、アリールアミン系、ジフェニルブタジエン系、オキサゾール系等の有機正孔輸送化合物が例示され、また、増感剤としては各種の電子吸引性有機化合物であって電子輸送剤としても知られているパラジフェノキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、クロラニル等が例示される。バインダーとしてはポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が例示される。
【0067】
各成分の組成比は、バインダー40〜75重量%、電荷発生剤0.5〜20重量%、電荷輸送剤10〜50重量%、増感剤0.5〜30重量%であり、好ましくはバインダー45〜65重量%、電荷発生剤1〜20重量%、電荷輸送剤20〜40重量%、増感剤2〜25重量%である。溶剤としては、下引き層に対して、溶解性を有しない溶媒が好ましく、トルエン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が例示される。
【0068】
各成分は、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、ペイントコンディショナー等の攪拌装置で粉砕・分散混合され、塗布液とされる。塗布液は、下引き層上にディップコート、リングコート、スプレーコート等により乾燥後の膜厚15〜40μm、好ましくは20〜35μmで塗布・乾燥されて単層有機感光体層とされる。
【0069】
そして、このように構成された有機感光体1は直径24〜86mmで表面速度60〜300mm/sで回転する感光体ドラムであり、コロナ帯電器2によりその表面が均一に負帯電された後、記録すべき情報に応じた露光3が行なわれることにより、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。
【0070】
現像ローラ10からなる現像装置は、一成分現像装置であり、有機感光体1上に一成分非磁性トナー8を供給することで有機感光体1における静電潜像を反転現像し、可視像化するものである。現像装置には、一成分非磁性トナー8が収納されており、図示のごとく反時計方向で回転する供給ローラ6によりトナーを現像ローラ10に供給する。現像ローラ10は図示のごとく反時計方向に回転し、供給ローラ6により搬送されたトナー8をその表面に吸着した状態で有機感光体1との接触部に搬送し、有機感光体1上の静電潜像を可視像化する。
【0071】
現像ローラ10は、例えば直径16〜24mmで、金属製のパイプにメッキやブラスト処理したローラ、あるいは中心軸周面にNBR、SBR、EPDM、ウレタンゴム、シリコンゴム等からなる体積抵抗値104 〜108 Ω・cm、硬度が40〜70°(アスカーA硬度)の導電性弾性体層が形成されたもので、このパイプのシャフトや中心軸を介して、図示していない電源より現像バイアス電圧が印加される。また、現像ローラ10、供給ローラ6、トナー規制ブレード7からなる現像装置全体は、図示しないスプリング等の付勢手段により有機感光体に押し圧荷重20〜100gf/cm、好ましくは25〜70gf/cmで、ニップが幅1〜3mmとなるように圧接されるとよい。
【0072】
規制ブレード7としてはSUS、リン青銅、ゴム板、金属薄板にゴムチップの貼り合わせたもの等が使用されるが、現像ローラ10に対して図示しないスプリング等の付勢手段により、あるいは弾性体としての反発力を利用して線圧25〜50gf/cmで押圧され、現像ローラ10上のトナー層厚を10〜30μm、好ましくは13〜25μm、トナー粒子の積層形態としては1.2〜3層、好ましくは1.5〜2.5層とされるとよい。
【0073】
非接触現像方式の画像形成装置では、現像ローラ10と有機感光体1とを現像ギャップLを介して対向させるものであるが、現像ギャップとしては100〜350μmとするとよく、また、図示しないが直流電圧(DC)の現像バイアスとしては−200〜−500Vであり、これに重畳する交流電圧(AC)としては1.5〜3.5kHz、P−P電圧1000〜1800Vの条件とするとよい。また、非接触現像方式にあって、反時計方向に回転する現像ローラ10の周速としては、時計方向に回転する有機感光体1に対して1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.2の周速比とするとよい。
【0074】
現像ローラ10は図示のごとく反時計方向に回転し、供給ローラ6により搬送された一成分非磁性トナー8をその表面に吸着した状態で有機感光体1との対向部に一成分非磁性トナー8を搬送するが、有機感光体1と現像ローラ10との対向部において、交流電圧を重畳して印加することにより、一成分非磁性トナー8は現像ローラ10表面と有機感光体1表面との間で振動することにより現像される。本発明にあっては、交流電圧の印加により現像ローラ10表面と有機感光体1表面との間でトナー8が振動する間にトナー粒子と感光体1とが接触させることができるので、これによっても、小粒径の正帯電トナーを負帯電させることができ、カブリトナーを減少させることができるものと考えられる。
【0075】
また、紙等の転写材9や中間転写媒体は、可視像化された有機感光体1と転写ローラ5との間に送られるが、転写ローラ5による有機感光体1への押し圧荷重を、接触現像方式に比して3割程度高くして25〜60gf/cm、好ましくは35〜50gf/cmとするとよい。これにより、トナー粒子と有機感光体1との接触を確実なものとでき、トナー粒子をより負帯電化して転写効率を向上できる。
【0076】
図3に示す非接触現像プロセスをイエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKからなる4色のトナー(現像剤)による現像器と感光体1を組み合わせれば、フルカラー画像を形成することのできるフルカラー画像形成装置となる。このフルカラー画像形成装置としては、4色の各現像器と回転可能な1つの潜像担持体からなる4サイクル方式と4色の各現像器と各潜像担持体とを1列に並べたタンデム方式とがある。また、他の方式としては、1つの潜像担持体と4色の回転可能な現像器を組み合わせたロータリー方式がある。
【0077】
【実施例】
一成分非磁性トナーの本発明の実施例および比較例を作製し、作像化の試験を行った。以下、これらの各実施例および各比較例、および作像化の試験で使用した図3に示す非接触一成分現像プロセスによる画像形成装置の有機感光体、転写媒体の製造例について説明する。
【0078】
(一成分非磁性トナー8の作製)
一成分非磁性トナー8の実施例および比較例は、いずれも、前述の重合法トナーと粉砕法トナーの両トナーについて作製した。その場合、各例のトナーの作製に用いた流動改良剤(外添剤)は、長軸長が20nmである疎水性のルチルアナターゼ型酸化チタン(20nm)、平均一次粒径が12nmである小粒径の、ヘキサメチルジシラン(HMDS)により表面処理された疎水性の気相法シリカ(12nm)、平均一次粒径が40nmである大粒径の、同様にして疎水化された気相法シリカ(40nm)、シランカップリング処理された疎水性のアナターゼ型酸化チタン(30〜40nm)、およびシランカップリング処理された疎水性のルチル型酸化チタン(長軸100nm、短軸20nm)のいずれかの組合せであり、それらの仕事関数Φを測定した結果を表3に示す。なお、各仕事関数Φは、前述の理研計器(株)製の光電子分光装置AC−2により、照射光量500nWで測定した。
【0079】
【表3】
【0080】
表3からわかるように、各疎水化処理されたルチルアナターゼ型酸化チタン(20nm)の仕事関数Φは5.64eVであり、このときの規格化光電子収率は8.4であった。また、気相法シリカ(12nm)の仕事関数Φは5.22eVであり、規格化光電子収率は5.1であった。更に、気相法シリカ(40nm)の仕事関数Φは5.24eVであり、規格化光電子収率は5.2であった。更に、疎水性のアナターゼ型酸化チタンの仕事関数Φは5.66eVであり、規格化光電子収率は15.5であった。更に、疎水性のルチル型酸化チタンの仕事関数Φは5.61eVであり、規格化光電子収率は7.6であった。
【0081】
(1) 乳化重合法トナーの実施例と比較例の作製
(a) 実施例1の乳化重合法トナーの作製
スチレンモノマー80重量部、アクリル酸ブチル20重量部、およびアクリル酸5重量部からなるモノマー混合物を、
・水 105重量部
・ノニオン乳化剤 1重量部
・アニオン乳化剤 1.5重量部
・過硫酸カリウム 0.55重量部
からなる水溶性混合物に添加し、窒素気流中下で攪拌して70℃で8時間重合を行った。重合反応後冷却し、乳白色の粒径0.25μmの樹脂エマルジョンを得た。
【0082】
次に、
・この樹脂エマルジョン 200重量部
・ポリエチレンワックスエマルジョン(三洋化成工業(株)製) 20重量部
・フタロシアニンブルー 7重量部
を、界面活性剤のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部を含んだ水中へ分散し、ジエチルアミンを添加してpHを5.5に調整後攪拌しながら電解質の硫酸アルミニウムを0.3重量部を加え、ついでTKホモミキサーで高速攪拌し、分散を行った。
【0083】
更に、スチレンモノマー40重量部、アクリル酸ブチル10重量部、サリチル酸亜鉛5重量部を水40重量部と共に追加し、窒素気流下で攪拌しながら同様にして90℃に加熱し、過酸化水素を加えて5時間重合し、粒子を成長させた。重合停止後、この二次粒子の会合と造膜結合強度を上げるため、pHを5以上に調整しながら95℃に昇温し、5時間保持した。その後、得られた粒子を水洗いし、45℃で真空乾燥を10時間行ってシアントナーの母粒子を得た。
【0084】
得られたシアントナーの母粒子は、測定の結果、平均粒径が6.8μm、円形度が0.98のトナーであり、その仕事関数は5.57eVであった。このシアントナーの母粒子に対し、いずれも重量比で、流動性改良剤である負帯電性疎水性シリカの平均一次粒子径が約12nmのものを0.8重量%、負帯電性疎水性シリカの平均一次粒子径が約40nmのものを0.5重量%、およびルチルアナターゼ型で混晶比がルチル型10重量%、アナターザ型が90%のシランカップリング剤で疎水化処理したルチルアナターゼ型酸化チタン(疎水化度58%、比表面積150m2/g)を0.5重量%添加し、実施例1のシアントナーを作製した。この実施例1のトナーの仕事関数は、測定の結果、5.56eVであった。
【0085】
(b) 実施例2の乳化重合法トナーの作製
前述の実施例1のトナーにおいて、顔料をフタロシアニンブルーの代わりにキナクドリンに変更するとともに、二次粒子の会合と造膜結合強度を上げるための温度を90℃のままに保持したことが異なり、それ以外は実施例1と同じにして実施例2のマゼンタトナーを作製した。この実施例2のマゼンタトナーの円形度は0.97であり、また、このマゼンタトナーの仕事関数は、測定の結果、5.65eVであった。
【0086】
(c) 比較例1の乳化重合法トナーの作製
前述の実施例1のトナーにおいて、負帯電性疎水性シリカの一次粒子径が約12nmのものを1.1%、負帯電性疎水性シリカの一次粒子径が約40nmのものを0.7%を添加したことが異なり、それ以外は実施例1と同じにして比較例1のトナーを作製した。この比較例1のトナーの仕事関数は、測定の結果、5.55eVであった。
【0087】
(d) 比較例2の乳化重合法トナーの作製
前述の実施例1のトナーにおいて、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンに代わりに疎水化処理されたアナターゼ型酸化チタン(疎水化度62%、比表面積98m2/g)を0.5%添加したことが異なり、それ以外は実施例1と同じにして比較例2のトナーを作製した。この比較例2のトナーの仕事関数は、測定の結果、実施例1のトナーと同様に5.56eVであった。
【0088】
(e) 比較例3の乳化重合法トナーの作製
前述の実施例1のトナーにおいて、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンに代わりに疎水化処理されたルチル型酸化チタン(疎水化度60%、比表面積97m2/g)を0.5%添加したことが異なり、それ以外は実施例1と同じにして比較例3のトナーを作製した。この比較例3のトナーの仕事関数は、測定の結果、実施例1のトナーと同様に5.64eVであった。
【0089】
(2) 粉砕法トナーの実施例の作製
(a) 実施例3の粉砕法トナーの作製
芳香族ジカルボン酸とアルキレンエーテル化ビスフェノールAとの重縮合ポリエステルと該重縮合ポリエステルの多価金属化合物による一部架橋物の50:50(重量比)混合物(三洋化成工業(株)製)100重量部に、シアン顔料のフタロシアニンブルー5重量部、離型剤として融点が152℃、Mwが4000のポリプロピレン3重量部、および荷電制御剤としてのサリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)4重量部をヘンシェルミキサーを用いて均一混合した後、内温150℃の二軸押し出し機で混練し、冷却した。この冷却物を2mm角以下に粗粉砕し、更にこの粗粉砕品をジェットミルで微粉砕し、分級装置により分級し、平均粒径7.6μmで、円形度0.91のトナーを得た。
【0090】
得られたトナーに対して、前述の実施例1と同様にして、流動性改良剤を添加し、実施例3の粉砕法トナーを作製した。この実施例3のトナーの仕事関数は、測定の結果、5.45eVであった。
そして、これらの実施例1〜3および比較例1〜3を用いて、図3に示す非接触一成分現像プロセスによる画像形成装置を用いて作像化を行った。まず、画像形成装置の各構成部材の製造例を説明する。
【0091】
(有機感光体1の製造例)
直径30mmのアルミ引き抜き管を表面研磨した導電性支持体周面に、下引き層として、アルコール可溶性ナイロン{東レ(株)製「CM8000」}6重量部とアミノシラン処理された酸化チタン微粒子4重量部とをメタノール100重量部に溶解、分散させてなる塗工液をリングコーティング法で塗工し、温度100℃で40分乾燥させ、膜厚1.5〜2μmの下引き層を形成した。
【0092】
次いで、電荷発生顔料としてのオキシチタニルフタロシアニン顔料1重量部と、ブチラール樹脂{BX−1、積水化学(株)製}1重量部と、ジクロルエタン100重量部とを、φ1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで8時間分散させて顔料分散液を得、得られた顔料分散液をこの下引き層上に、リングコーティング法で塗工し、80℃で20分間乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0093】
この電荷発生層上に、下記構造式(1)のスチリル化合物の電荷輸送物質40重量部とポリカーボネート樹脂(パンライトTS、帝人化成(株)製)60重量部をトルエン400重量部に溶解させ、乾燥膜厚が22μmになるように浸漬コーティング法で塗工、乾燥させて電荷輸送層を形成し、2層からなる感光層を有する有機感光体1を作製した。
得られた有機感光体1の一部を切り欠き、試料片としては仕事関数を市販の表面分析装置(AC−2型、理研計器(株)製)を用い、照射光量500nWで測定したところ、5.47eVを示した。
【0094】
【化1】
【0095】
(現像ローラの作製)
直径18mmのアルミパイプ表面に、導電性シリコンゴム(硬度JIS−A、63度、シートでの体積抵抗3.5×106 Ω・cm)チューブを、研磨後の厚さが2mmとなるように貼り付けて作製した。表面粗さ(Ra)は5μmであり、仕事関数は5.08eVであった。
【0096】
(転写媒体の作製)
転写媒体として転写ベルトを作製した。
アルミニウムを蒸着した厚さ130μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に、
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30重量部
・導電性カーボンブラック 10重量部
・メチルアルコール 70重量部
からなる均一分散液を、厚さが20μmになるようにロールコーティング法にて塗工乾燥し、中間導電性層を形成した。
【0097】
次いで、この中間導電性層上に
の組成を混合分散してなる塗工液を厚さ10μmとなるようにロールコーティング法にて同様に塗工乾燥し、転写層を形成した。
【0098】
この塗工シートを長さ540mmに裁断し、塗工面を上にして端部を合わせ、超音波溶着を行うことにより転写ベルトを作製した。この転写ベルトの体積抵抗は2.5×1010Ω・cmであった。また、仕事関数は5.37eV、規格化光電子収率6.90を示した。
【0099】
(トナー規制ブレード7の作製)
トナー規制ブレード7としては80μm厚のSUS板であって、端部を10°の角度で曲げており、突き出し長さを0.6mmとし、仕事関数は5.01eVである。
【0100】
次に、非接触一成分現像プロセスによる画像形成装置を用いて行った作像化の試験について説明する。
作像化のプロセスを行った時の作像条件は、有機感光体1の周速を180mm/sとし、有機感光体1と現像ローラ10との周速比2とした。また、規制ブレード7を、現像ローラ10上のトナー層厚が15μm、トナー粒子の積層形態として2層となるように線圧33gf/cmで現像ローラ10に押圧した。
【0101】
有機感光体1の暗電位を−600Vにかつ明電位を−100Vにそれぞれ設定し、また、図示しない電源により、DCの現像バイアスを−200Vに、重畳するACの現像バイアスを周波数2.5kHzでP−P電圧1500Vの条件に設定し、現像ローラ10と供給ローラ6とを同電位に設定した。
【0102】
また、図3に示す転写材9に相当する転写媒体として、前述の転写ベルトからなる中間転写ベルトを使用した。そして、図3に示す転写ローラ5に相当する背面側の一次転写ローラに+300Vを印加し、一次転写ローラによる中間転写ベルトの有機感光体1への押し圧荷重を33gf/cmに設定した。
【0103】
そして、有機感光体1上の静電潜像を現像ローラ10によって搬送された一成分非磁性トナー8を非接触現像(ジャンピング現像)により現像し、現像された有機感光体1上のトナー像を中間転写ベルトに転写する。中間転写ベルトに転写されたトナー像を、図3に示されていない二次転写部で転写電圧+800Vで普通紙に転写し、図示しない熱ローラで定着した。
【0104】
こうして作像された普通紙において、ベタ部の画像部の先端中央と後端中央の濃度、および中央部とその左右両端の各濃度の5箇所の各濃度をマクベス反射濃度計で測定し、平均値を求めた。また、それと同じ条件で有機感光体1上に作像し、非画像部のカブリをテープ転写法で求め、同様に有機感光体1上のカブリ濃度を求め、それらの結果を表4に示す。なお、テープ転写法とはトナー上に住友3M製のメンディングテープを貼り付け、カブリトナーをテープ上に転写し、次いで白紙上に貼り付けてテープ上から反射濃度計で濃度測定を行うもので、測定値よりテープ濃度を差し引いてカブリ濃度と規定している。また、現像ローラ10上のトナーの帯電電荷量を、ホソカワミクロン(株)製の帯電量分布測定装置EーSPARTIIIを用いて、平均帯電量(μc/g)を測定し、同じく表4に示す。
【0105】
【表4】
【0106】
表4からわかるように、実施例1〜3のトナーはいずれもカブリが少なく、また作像時におけるベタ画像部の中央部とその両端、およびベタ画像部の先端中央と後端中央の各ベタ画像の濃度がほぼ均一であり、現像ローラ10上のトナーの帯電性と流動性(搬送性)が安定していると判断できた。これに対して、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが含まれない大小粒径の疎水性シリカのみの比較例1のトナーは、帯電量が高すぎ、ベタ画像部の中央では濃度が保持されるものの、左右両端および前後端ではベタ画像濃度の低下をもたらした。また、比較例2および3のトナーは帯電量に問題はなかったが、カブリが比較的多く、画像部での左右両端でベタ画像濃度が低下する傾向にあった。
【0107】
(本発明の一成分非磁性トナー8の他の実施例の作製、作像化の試験に用いた画像形成装置、作像化の試験およびその試験結果)
更に、本発明の一成分非磁性トナー8の他の実施例のトナーを作製し、作像化の試験を行った。以下、これらのトナー作製、作像化の試験に用いた画像形成装置、作像化の試験およびその試験結果について説明する。
【0108】
(a) 実施例4の粉砕法トナーの作製
実施例4の粉砕法トナーとして、前述の実施例3の粉砕法トナーの製造例に従い、顔料をキナクリドンに変更したマゼンタトナーを作製した。この実施例4のマゼンタトナーの仕事関数は、測定の結果、5.58eVであった。
【0109】
(b) 実施例5の粉砕法トナーの作製
実施例5の粉砕法トナーとして、前述の実施例3の粉砕法トナーの製造例に従い、顔料をピグメントイエロー180に変更したイエロートナーを作製した。この実施例5のイエロートナーの仕事関数は、測定の結果、5.61eVであった。
【0110】
(c) 実施例6の粉砕法トナーの作製
実施例6の粉砕法トナーとして、前述の実施例3の粉砕法トナーの製造例に従い、顔料をカーボンブラックに変更したブラックトナーを作製した。この実施例6のブラックトナーの仕事関数は、測定の結果、5.71eVであった。
【0111】
(d) 作像化の試験に用いた画像形成装置
作像化の試験に用いた画像形成装置は、図4に示す非接触現像プロセスが可能なフルカラープリンタを使用して、非接触現像プロセスによりフルカラーの作像を行った。図4に示すように、このフルカラープリンタは1つの負帯電用電子写真感光体(潜像担持体)140による4サイクル方式のフルカラープリンタである。
【0112】
図4において、100は像担持体ユニットが組み込まれた像担持体カートリッジである。この例では、感光体カートリッジとして構成されていて、感光体と現像部ユニットが個別に装着できるようになっており、本発明の相対関係にある仕事関数を有する負帯電用電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)140が図示しない適宜の駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。感光体140の周りにはその回転方向に沿って、帯電手段として帯電ローラ160、現像手段としての現像器10(Y、M、C、K)、中間転写装置30、およびクリーニング手段170が配置される。
【0113】
帯電ローラ160は、感光体140の外周面に当接してその外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体140の外周面には露光ユニット40によって所望の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、この露光L1によって感光体140上に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器10によって現像剤が付与されて現像される。
【0114】
現像器としてイエロー用の現像器10Y、マゼンタ用の現像器10M、シアン用の現像器10C、およびブラック用の現像器10Kが設けられている。これら現像器10Y、10C、10M、10Kはそれぞれ揺動可能に構成されており、選択的に一つの現像器の現像ローラ(現像剤担持体)11のみが感光体140に圧接し得るようになっている。これらの現像器10は、感光体における仕事関数と相対関係にある仕事関数を有する負帯電トナーを現像ローラ上に保持しているものであり、これらの現像器10はイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKのうちのいずれかのトナーを感光体140の表面に付与して感光体140上の静電潜像を現像する。現像ローラ11は硬質のローラ、例えば表面を粗面化した金属ローラで構成されている。現像されたトナー像は、中間転写装置30の中間転写ベルト36上に転写される。クリーニング手段170は、上記転写後に感光体140の外周面に付着しているトナーTを掻き落とすクリーナブレードと、このクリーナブレードによって掻き落とされたトナーを受けるクリーニングトナー回収部とを備えている。
【0115】
中間転写装置30は、駆動ローラ31と、4本の従動ローラ32、33、34、35と、これら各ローラの周りに張架された無端状の中間転写ベルト36とを有している。駆動ローラ31は、その端部に固定された図示しない歯車が感光体140の駆動用歯車とかみ合っていることによって感光体140と略同一の周速で回転駆動され、したがって中間転写ベルト36が感光体140と略同一の周速で図示矢印方向に循環駆動されるようになっている。
【0116】
従動ローラ35は駆動ローラ31との間で中間転写ベルト36がそれ自身の張力によって感光体140に圧接される位置に配置されており、感光体140と中間転写ベルト36との圧接部において、一次転写部T1が形成されている。従動ローラ35は、中間転写ベルトの循環方向上流側において一次転写部T1の近くに配置されている。
【0117】
従動ローラ31には中間転写ベルト36を介して図示しない電極ローラが配置されており、この電極ローラを介して中間転写ベルト36の導電性層に一次転写電圧が印加される。従動ローラ32は、テンションローラであり、図示しない付勢手段によって中間転写ベルト36をその張り方向に付勢している。従動ローラ33は二次転写部T2を形成するバックアップローラである。このバックアップローラ33には中間転写ベルト36を介して二次転写ローラ38が対向配置されている。二次転写ローラには二次転写電圧が印加され、図示しない剥離機構により中間転写ベルト36に対して接離可能になっている。従動ローラ34はベルトクリーナ39のためのバックアップローラである。ベルトクリーナ39は図示しない接離機構により中間転写ベルト36に対して接離可能になっている。
【0118】
中間転写ベルト36は、導電層と、この導電層上に形成され、感光体140に圧接される抵抗層とを有する複層ベルトで構成されている。導電層は合成樹脂からなる絶縁性基体の上に形成されており、この導電層に前述した電極ローラを介して一次転写電圧が印加される。なお、ベルト側縁部において、抵抗層が帯状に除去されることによって導電層が帯状に露出し、この露出部に電極ローラが接触するようになっている。
【0119】
中間転写ベルト36が循環駆動される過程で、一次転写部T1において、感光体140上のトナー像が中間転写ベルト36上に転写され、中間転写ベルト36上に転写されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ38との間に供給される用紙等のシート(記録材)Sに転写される。シートSは、給紙装置50から給送され、ゲートローラ対Gによって所定のタイミングで二次転写部T2に供給される。51は給紙カセット、52はピックアップローラである。
【0120】
2次転写部T2でトナー像が定着され、排紙経路70を通って装置本体のケース80上に形成されたシート受け部81上に排出される。なお、この画像形成装置は、排紙経路70として互いに独立した2つの排紙経路71、72を有しており、定着装置60を通ったシートはいずれかの排紙経路71又は72を通って排出される。また、この排紙経路71、72はスイッチバック経路をも構成しており、シートの両面に画像を形成する場合には排紙経路71又は72に一旦進入したシートが、返送ローラ73を通って再び二次転写部T2に向けて給紙されるようになっている。
【0121】
このように構成されたフルカラープリンタの作動の概要は次の通りである。
(i) 図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置の制御部90に入力されると、感光体140、現像器10の各ローラ11、および中間転写ベルト36が回転駆動される。
【0122】
(ii) 感光体140の外周面が帯電ローラ160によって一様に帯電される。
(iii) 一様に帯電した感光体140の外周面に、露光ユニット40によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0123】
(iv) 感光体140には、第1色目の例えばイエロー用の現像器10Yの現像ローラのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目のイエローのトナー像が感光体140上に形成される。
(v) 中間転写ベルト36には、上記トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体140上に形成されたトナー像が一次転写部T1において中間転写ベルト36上に転写される。このとき、二次転写ローラ38およびベルトクリーナ39は中間転写ベルト36から離間している。
【0124】
(vi) 感光体140上に残留しているトナーがクリーニング手段170によって除去された後、除去手段41から除電光L2によって感光体140が除電される。
(vii) 上記(ii)〜(vi)の動作に必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号に応じて第2色目、第3色目、第4色目と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト36上において重ね合わされて形成される。
【0125】
(viii) 所定のタイミングで給紙装置50からシートSが給送され、シートSの先端が二次転写部T2に達する直前あるいは達した後に(要するにシートS上の所望の位置に、中間転写ベルト36上のトナー像が転写されるタイミングで)二次転写ローラ38が中間転写ベルト36上のトナー像(基本的には4色のトナー像が重ね合わせられたフルカラー画像)がシートS上に転写される。また、ベルトクリーナ39が中間転写ベルト36に当接し、二次転写後に中間転写ベルト36上に残留しているトナーが除去される。
【0126】
(ix) シートSが定着装置60を通過することによってシートS上のトナー像が定着し、その後、シートSが所定の位置に向け(両面印刷でない場合にはシート受け部81に向け、両面印刷の場合にはスイッチバック経路71または72を経て返送ローラ73に向け)搬送される。
【0127】
(e) 作像化の試験およびその試験結果
前述の実施例3のシアントナー、実施例4のマゼンタトナー、実施例5のイエロートナー、実施例6のブラックトナーの4色のトナーを用いて、前述のフルカラープリンタによりフルカラーの作像を行った。作像は、環境試験室内で10℃の低温かつRH15%の低湿、23℃の常温かつRH60%の常湿、35℃の高温かつRH80%の高湿の各条件下で、各5000枚の20%デューティのフルカラー印字を行った。画像品質をチェックした結果、安定した画像品質の試験結果が得られた。
【0128】
また、2色目、3色目、4色目の作像時にプリンタの印字動作を止めて、感光体上の前の印字したトナーが中間転写ベルトより逆転写されているかを調べたが、このトナーの逆転写はほとんど見られず、トナーの逆転写防止にも効果があることがわかった。
【0129】
(f) 定着試験およびこの定着試験に用いる定着器
実施例1のトナーと比較例1のトナーとを用い、次の定着器を使用して定着性の比較を行った。
【0130】
定着器は、φ40のヒータローラ{ハロゲンランプ600w内蔵、シリコンゴム2.5mm(60°JISA)上にPFAを厚み50μmに成膜}とφ40のプレスローラ{ハロゲンランプ300w内蔵、シリコンゴム2.5mm(60°JISA)上にPFAを厚み50μmに成膜}の二本加圧ローラ(約38kgfの荷重)を用い、設定温度190℃にて定着を行い、各トナー間の定着性を比較した。綿布に200gの重りをのせて、ベタ画像上に50回擦り、擦る前後のベタ画像濃度を測定し、トナーの定着性を保持率(%)に換算して、定着性の評価の指標とした。
【0131】
定着試験の結果を比較したところ、実施例1のトナーは95%の保持率を示したの対して、比較例1のトナーは90%の保持率であり、比較例1のトナーの定着性が実施例1のトナーより低かった。更に、比較例1のトナーに実施例1のトナーと同じ重量の疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを添加した結果では、実施例1のトナーとほぼ同じ定着性を示した。すなわち、疎水性シリカ単独の比較例1のトナーに疎水性ルチルアナターゼ型の酸化チタンを少量添加するだけで、定着性を低下させることなく、実施例1〜5に見られるようにトナーの帯電性能や画像維持性に優れることが示された。
【0132】
(i) トナー帯電特性試験
実施例1で得られた、円形度が0.98で、個数基準の50%径である平均粒径(D50)が6.8μmである重合法トナーの母粒子に、予め疎水性の負帯電性小粒子径(一次粒子径12nm)の気相法シリカ(12nm)を0.8重量%および疎水性の負帯電性大粒子径(一次粒子径40nm)の気相法シリカ(40nm)を0.5重量%を混合した重合法トナー、更にこの重合法トナーに、疎水性のルチルアナターザ型酸化チタンの微粒子を、0.2重量%、0.5重量%、1.0重量%、および2.0重量%それぞれ混合した各重合法トナーを作製した。そして、これらの重合法トナーを用い、図4に示すフルカラープリンタによる非接触現像プロセスで、ベタ画像濃度が約1.1となるように作像した。そのときのトナーの平均帯電量q/m(μc/g)および正帯電トナー量(重量%;wt%)を表5に示す。なお、トナーの帯電量分布測定はホソカワミクロン(株)E−SPARTアナライザEST−3型を用いて行った。
【0133】
【表5】
【0134】
表5からわかるように、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0wt%でまったく含まれないトナーでは、平均帯電量q/mが−17.96μc/gであり、また、正帯電トナー量が10.40wt%であった。また、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.2wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−15.95μc/gであり、また、正帯電トナー量が5.83wt%であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.5wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−21.86μc/gであり、また、正帯電トナー量が3.70wt%であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが1.0wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−20.71μc/gであり、また、正帯電トナー量が2.10wt%であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが2.0wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−15.40μc/gであり、また、正帯電トナー量が5.61wt%であった。
【0135】
したがって、この試験結果によると、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン微粒子を添加することで、平均帯電量はほとんど変わらずに逆帯電トナー量である正帯電量が減少することがわかった。
なお、本発明の一成分非磁性トナーは前述の非接触現像プロセスによる画像形成装置に限定されることなく、図5に示す接触現像プロセスによる画像形成装置にも適用することができる。
【0136】
【発明の効果】
このように構成された本発明の一成分非磁性トナーによれば、非画像部のカブリをより一層少なくできるとともに転写効率を更に向上でき、しかも、帯電性能をより一層安定にできる。また、カブリを少なくでき、しかもに転写効率を向上できることから、トナー消費量を抑制することができる。
【0137】
また、本発明の一成分非磁性トナーをフルカラートナーとして使用したときに、逆転写トナーの発生をより効果的に抑制できるとともに画像濃度をより均一にかつより一層長期にわたって維持できる。
更に、本発明の一成分非磁性トナーの製造方法によれば、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンをトナー母粒子に付着した疎水性シリカに付着する形でトナー母粒子の表面に、より確実に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる一成分非磁性トナーの実施の形態の一例を模式的に示す図である。
【図2】 図1に示す例の一成分非磁性トナーの挙動を説明する説明図である。
【図3】 本発明の一成分非磁性トナーの試験に用いた非接触現像プロセスによる画像形成装置の一例を模式的に示す図である。
【図4】 本発明の一成分非磁性トナーの試験に用いた非接触現像プロセスによる4サイクル方式のフルカラープリンターの一例を示す図である。
【図5】 本発明の一成分非磁性トナーの試験に用いた接触現像プロセスによる画像形成装置の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…有機感光体、2…コロナ帯電器、3…露光、4…クリーニングブレード、5…転写ローラ、6…供給ローラ、7…規制ブレード、8…一成分非磁性トナー、9…転写材または転写媒体、10…現像ローラ、11…トナー母粒子、12…外添剤、13…小粒径の疎水性シリカ(SiO2)、14…大粒径の疎水性シリカ(SiO2)、15…疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン(TiO2)、L…現像ギャップ
Claims (7)
- トナー母粒子に外添剤が外添されている一成分非磁性トナーにおいて、
前記外添剤は、少なくとも、前記トナー母粒子の仕事関数より小さい仕事関数を有するとともに、前記トナー母粒子に負の帯電性を付与する平均一次粒子径が20nm以下、好ましくは7nmないし12nmの小粒径の疎水性シリカと平均一次粒子径が30nm以上、好ましく40nmないし50nmの大粒径の疎水性シリカと、前記トナー母粒子の仕事関数と略同一の仕事関数を有するとともに、紡錘形状であってその長軸径が0.02μmないし0.10μmでありかつ長軸と短軸との軸径比が2ないし8である疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとからなることを特徴とする一成分非磁性トナー。 - 前記小粒径の疎水性シリカが前記疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンより多く添加されていることを特徴とする請求項1記載の一成分非磁性トナー。
- 円形度が0.91以上であることを特徴とする請求項1または2記載の一成分非磁性トナー。
- 個数基準の50%径(D50)が9μm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の一成分非磁性トナー。
- 粉砕法により作製された前記トナー母粒子を用いた粉砕法トナーまたは重合法により作製された前記トナー母粒子を用いた重合法トナーであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載の一成分非磁性トナー。
- 前記外添剤の総量をトナー母粒子の重量に対して0.5重量%以上4.0重量%以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1記載の一成分非磁性トナー。
- 請求項1ないし6のいずれか1記載の一成分非磁性トナーを製造する方法であって、
最初に前記トナー母粒子と平均一次粒子径が2種類の異なる前記疎水性シリカとを混合し、次いでこれらの混合物に前記疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを添加して混合することにより、前記一成分非磁性トナーを製造することを特徴とする一成分非磁性トナーの製造方法。
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