JP3991199B2 - 負帯電性トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法等により画像形成を行う画像形成装置に用いられ、この画像形成装置の潜像担持体上の静電潜像を現像するための一成分非磁性トナーの技術分野に属し、特に、トナー母粒子に対して疎水性の外添剤が少なくとも添加されてなる一成分非磁性トナーである負帯電トナーの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置に用いられるトナーとしては、一般的には二成分トナーが知られ、比較的安定した現像を可能とするが、現像剤と磁性キャリアとの混合比の変動が発生しやすく、その維持管理をする必要がある。そのため、一成分非磁性トナーが開発されている。この一成分非磁性トナーとしては、一成分磁性トナーが開発されているものの、磁性材料の不透明性から鮮明なカラー画像を得られないという問題がある。そこで、従来、カラートナーとして一成分非磁性トナーである負帯電トナーが開発されている。
【0003】
ところで、画像形成装置に用いられるトナーにおいては、帯電安定性、流動性、耐久安定性等を向上させることを目的として、従来、トナー母粒子に外添剤の微粒子を外添させる表面処理が行われている。
【0004】
従来、トナー用の外添剤として、トナー母粒子に負極性を付与する負帯電性を有する二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)および酸化チタン(チタニア)を単独または複数種組み合わせて使用することが知られている。この場合、それぞれの外添剤はそれらの有する特徴を活かすために、単独よりも複数種組み合わせて使用するのが一般的である。
【0005】
しかし、このように複数種の外添剤を単に組み合わせて使用したトナーであっても、次のような問題がある。すなわち、
▲1▼ トナーに外添剤を添加しても帯電量分布が存在するため、負帯電用トナーであっても正に帯電したトナーの発生は避けきれなかった。その結果、負帯電反転現像で作像する画像形成装置では、潜像担持体(感光体)の非画像部にトナーが付着するため、クリーニングトナー量が増大してしまう。また、印字枚数が増すに従い、トナー表面上の外添剤が埋没するため、実質上有効に機能する外添剤の量が減少して、カブリトナー量が更に増えると同時に、トナーの帯電量が低下してトナー飛散が発生してしまう。
▲2▼ トナーの劣化防止のために、シリカを多量に添加してトナーの流動性を維持しようとすると、流動性は改善されるが、定着性が低下してしまう。
▲3▼ シリカを増やすと、トナーの負帯電能力が高くなり過ぎて印字画像濃度が低下するため、比較的低電気抵抗のチタニアやアルミナを添加しているが、一般にチタニアやアルミナは一次粒子径が小さいため、印字枚数が増えるとトナー母粒子中に埋没し、それらの効果が発揮できなくなってしまう。
▲4▼ 良好なフルカラートナーを得るために、逆転写トナーの発生を可能な限り抑制することが求められる。
【0006】
そこで、アナターゼ型酸化チタンを含有し、シランカップリング剤で処理されている処理層を有するルチル型酸化チタンを外添剤として用い、紡錘形状のルチル型酸化チタンでトナー母粒子に付着した酸化チタンがこのトナー母粒子内に埋没しないようにし、またシランカップリング剤との親和性がよいアナターゼ型酸化チタンでトナー母粒子にシランカップリング剤の均一な被膜を得ることにより、帯電分布が均一で、摩擦帯電性を低下させることなく安定した帯電特性を得るとともに、環境依存性、流動性および耐ケーキング性を向上させることが特開2000−128534号公報において提案されている。この公開公報に開示されているトナーによれば、前述の諸問題▲1▼〜▲4▼がある程度解決することができる。
【0007】
また、トナーの外添剤として疎水性シリカにルチル/アナターゼ混晶型酸化チタンを添加することにより、フルカラー画像において、色再現性、透明性を損なうことなく、トナーの流動性を高め、温度・湿度の環境に左右されずに安定した摩擦帯電性を得るとともに、トナー飛散を防止して非画像部へのトナーのカブリを防止することが特開2001−83732号公報において提案されている。この公開公報に開示されているトナーによっても、前述の諸問題▲1▼〜▲3▼がある程度解決することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の各公開公報のトナーでは、ルチル型酸化チタンにより酸化チタンがトナー母粒子内に埋没することを抑制して安定した帯電特性をある程度得ることができるとともに、アナターゼ型酸化チタンにより流動性および環境依存性をともに向上させることができるものの、外添剤としてルチル/アナターゼ型酸化チタンを単に用いているだけであるので、ルチル/アナターゼ型酸化チタンの特性、つまりトナー母粒子内へ埋没し難い特質と電荷調整機能をより効果的に活かしているとは言えず、得られる安定した帯電特性、流動性の向上および環境依存性の向上にも限度があることが考えられる。すなわち、前述の諸問題▲1▼〜▲4▼をより効果的に解決するために、トナーの更なる改良が求められる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的はカブリトナーおよび逆転写トナーを可及的に少なくできるとともに転写効率を更に向上でき、しかも、帯電特性をより一層安定にできる負帯電トナーを提供することである。
本発明の他の目的は、フルカラートナーとして使用したときに逆転写トナーの発生をより効果的に抑制できるとともに画像濃度をより均一にかつより一層長期にわたって維持できる負帯電トナーを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明の負帯電性トナーは、トナー母粒子に対して疎水性の外添剤が少なくとも外添処理されてなる負帯電性トナーにおいて、前記外添剤として、少なくとも、疎水性のルチルアナターゼ型酸化チタンと、このルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数よりも小さな仕事関数を有する疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子とが用いられており、前記ルチルアナターゼ型酸化チタンに対する前記アルミナーシリカ複合酸化微粒子の混合比(ルチルアナターゼ型酸化チタン/アルミナーシリカ複合酸化微粒子)が重量比で、0 . 25/0 . 75ないし0 . 75/0 . 25であることを特徴としている。
【0011】
また、請求項2の発明は、前記二酸化ケイ素の平均一次粒子径が前記ルチルアナターゼ型酸化チタンのそれよりも小さいことを特徴としている。
【0012】
更に、請求項3の発明は、前記トナー母粒子が粉砕法または重合法で製造されていることを特徴としている。
【0013】
更に、請求項4の発明は、円形度が0.91(FPIAー2100測定値)以上に設定されていることを特徴としている。
更に、請求項5の発明は、個数基準の50%径(D50)が9μm以下に設定されていることを特徴としている。
【0014】
【作用】
このように構成された本発明の負帯電性トナーにおいては、ルチルアナターゼ型酸化チタンは紡錘形状を有していることから同様にトナー母粒子内に埋没し難くいので、トナー母粒子表面に確実に付着するようになる。そして、ルチルアナターゼ型酸化チタンよりも小さな仕事関数を有する疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子を用いるとともに、ルチルアナターゼ型酸化チタンに対するアルミナーシリカ複合酸化微粒子の混合比(ルチルアナターゼ型酸化チタン/アルミナーシリカ複合酸化微粒子)が重量比で、0 . 25/0 . 75ないし0 . 75/0 . 25であることから、ルチルアナターゼ型酸化チタンに、疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子が効果的に付着するようになる。
したがって、ルチルアナターゼ型酸化チタンの有するトナーの負の過帯電防止機能およびトナーの流動性の向上機能という固有の特性と疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子の有する固有の特性とが相乗された機能がトナー母粒子に付与される。すなわち、ルチルアナターゼ型酸化チタンの有する前述の2つの機能と疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子の固有の特性による機能とを単にプラスしただけでのものではなく、例えばルチルアナターゼ型酸化チタンの有する前述の2つの機能による過剰な効果が疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子の機能により調整可能となる。これにより、ルチルアナターゼ型酸化チタンの有する過帯電防止機能および流動性向上機能を効果的に活かすことができる。
【0015】
したがって、より良好な負帯電特性が得られ、その結果、逆転写トナーの発生およびカブリが効果的に抑制されるようになり、転写効率がより一層向上する。しかも、負帯電性トナーはその負帯電がより一層長期にわたり安定して、シャープ性を有する画像が作製されるとともに、連続印字における安定した画像品質が得られるようになる。そのうえ、トナーの流動性が向上することで、トナー規制部材によりトナーの均一な薄層が形成されるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明にかかる負帯電性トナーの実施の形態の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、この例の負帯電性トナー8は一成分非磁性トナーであり、トナー母粒子8aに外添剤12が外添されて構成されている。外添剤12には、金属酸化物微粒子13と、トナー母粒子8aおよび金属酸化物微粒子13の仕事関数よりも大きな仕事関数を有する、疎水性のルチルアナターゼ型酸化チタン14と、平均一次粒子径がこれらの金属酸化物微粒子13およびルチルアナターゼ型酸化チタン14より小さく、仕事関数がトナー母粒子8a、金属酸化物微粒子13およびルチルアナターゼ型酸化チタン14のいずれよりも小さい疎水性の負帯電性二酸化ケイ素(負帯電性シリカ;SiO2)15aと、平均一次粒子径が金属酸化物微粒子13およびルチルアナターゼ型酸化チタン14のいずれよりも大きい疎水性の負帯電性二酸化ケイ素15bとがそれぞれ使用されている。
【0017】
そして、疎水性の負帯電性シリカ15a,15bの仕事関数がトナー母粒子8a、金属酸化物微粒子13、およびルチルアナターゼ型酸化チタン14より小さいので、図1に示すように負帯電性シリカ15a,15bがトナー母粒子8aに付着し、次いで負帯電性シリカ15a,15bに、平均一次粒子径がこれらの負帯電性シリカ15a,15bより大きい金属酸化物微粒子13およびルチルアナターゼ型酸化チタン14が接触する形でトナー母粒子8aに付着している。
【0018】
この例の負帯電トナー8では、トナー母粒子8aの仕事関数より小さい仕事関数を有する疎水性の負帯電性シリカ15a,15bによりトナー母粒子8aは負の帯電性が付与されている。また、トナー母粒子8aの仕事関数より大きいかあるいはトナー母粒子8aの仕事関数と略同一(仕事関数差が0.25eV以内)である仕事関数を有するルチルアナターゼ型酸化チタン14を混合使用することにより、トナー母粒子8aの過帯電が防止されているとともに、トナーの流動性を向上させて線画像の境目に比較的小さいマイナスの負帯電トナーが付着することで発生するチリが防止されている。更に、金属酸化物微粒子13としてアルミナーシリカ複合酸化物微粒子を混合使用することで、トナーの凝集性を向上させて線画像の中心部におけるトナーが転写されないことで発生する中抜けが防止されている。
【0019】
仕事関数(Φ)は、表面分析装置{AC−2型、理研計器(株)製}により、照射光量500nWで測定されるものであり、その物質から電子を取り出すために必要なエネルギーであり、仕事関数が小さいほど電子を出しやすく、大きい程電子を出しにくい。そのため、仕事関数の小さい物質と大きい物質を接触させると、仕事関数の小さい物質は正に、仕事関数の大きい物質は負に帯電するものであるが、仕事関数自体としてはその物質から電子を取り出すためのエネルギー(eV)として数値化されるものである。
【0020】
このように構成されたこの例の負帯電性トナー8に用いられるトナー母粒子8aは粉砕法および重合法のいずれの方法でも作製することができるが、フルカラーに使用されるトナー母粒子は好ましくは重合法で作成するのがよい。以下、トナー母粒子8aの作製について説明する。
【0021】
まず、粉砕法によるトナー母粒子8aを用いた負帯電性トナー(以下、粉砕法トナーという)8の作製について説明する。
粉砕法トナー8は、樹脂バインダーに顔料(着色剤)、離型剤、荷電制御剤をヘンシェルミキサーで均一混合した後、2軸押し出し機で熔融・混練され、冷却後、粗粉砕−微粉砕工程を経て、分級処理されて得られたトナー母粒子8aに、さらに、外添剤12が外添されて負帯電トナー8とされる。
【0022】
バインダー樹脂としては、公知のトナー用樹脂が使用可能であり、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は混合して使用できる。特に本発明においては、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。本発明にあってはバインダー樹脂としてはガラス転移温度が50℃〜75℃、フロー軟化温度が70℃〜120℃の範囲が好ましい。
【0023】
着色剤としては、公知のトナー用着色剤が使用可能である。例えば、カーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料および顔料を単独あるいは混合して使用できる。
【0024】
離型剤としては、公知のトナー用離型剤が使用可能である。例えば、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、エステルワックス等を使用することが好ましい。
【0025】
荷電調整剤としては、公知のトナー用荷電調整剤が使用可能である。例えば、オイルブラック、オイルブラックBY、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業(株)製)、カリックスアレン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシルカルボン酸系金属錯体、芳香族ジカルボン酸系金属錯体、多糖類等が挙げられる。中でもカラートナー用には無色ないしは白色のものが好ましい。
【0026】
粉砕法トナー8における成分比(重量比)を表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0003991199
【0028】
表1に示すとおり、バインダー樹脂100重量部に対して、着色剤は0.5重量部〜15重量部、好ましくは1重量部〜10重量部であり、また、離型剤は1重量部〜10重量部、好ましくは2.5重量部〜8重量部であり、更に、荷電制御剤は0.1重量部〜7重量部、好ましくは0.5重量部〜5重量部である。
【0029】
この例の粉砕法トナー8にあっては、転写効率の向上を目的として、球形化処理により円形度がアップされている。粉砕法トナー8の円形度をアップさせるためには、
(A) 粉砕工程で、比較的丸い球状で粉砕可能な装置、例えば機械式粉砕機として知られるターボミル(川崎重工(株)製)を使用すれば円形度は0.93まで可能である。
または、
(B) 粉砕したトナーを市販の熱風球形化装置サーフュージングシステムSFS−3型(日本ニューマチック工業(株)製)を使用すれば円形度は1.00まで可能である。
【0030】
この例の粉砕法トナー8の望ましい円形度(球状化係数)は0.91以上であり、これにより良好な転写効率が得られる。そして、円形度は0.97まではクリーニングブレードにより、それ以上ではブラシクリーニングを併用することでクリーニングすることができる。
【0031】
また、このようにして得られる粉砕法トナー8としては、個数基準の50%径である平均粒径(D50)が9μm以下、好ましくは4.5μm〜8μmに設定される。これにより、粉砕法トナー8の粒子径が比較的小粒子径となり、この小粒子径トナーに外添剤として疎水性の負帯電性シリカ15a,15bと疎水性の金属酸化物13および疎水性のルチルアナターゼ型酸化チタン14とを併用することで、疎水性の負帯電性シリカの量を、従来のシリカ微粒子を単独用いた場合の疎水性の負帯電性シリカの量よりも少なくすることができるので、定着性が向上する。
なお、本発明におけるトナー粒子等における平均粒径と円形度は、シスメックス株式会社製のFPIA2100で測定する値である。
【0032】
更に、この粉砕法トナー8にあっては、外添剤12の総量(重量)がトナー母粒子8aの重量に対して0.5重量%(wt%)以上4.0重量%以下に設定されるが、好ましくは、1.0重量%から3.5重量%の範囲に設定するのがよい。これにより、粉砕法トナー8をフルカラートナーとして使用したときに逆転写トナーの発生を抑える効果を発現することができる。なお、外添剤12を総量で4.0重量%以上添加すると、トナー表面より遊離したり、定着性を悪化させる要因となる。
【0033】
次に、重合法によるトナー母粒子8aを用いた負帯電性トナー(以下、重合法トナーという)8の作製について説明する。
重合法トナー8としては、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等がある。懸濁重合法においては、重合性単量体(モノマー)、着色顔料、離型剤とを、必要により更に、染料、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤を添加した混合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤(水溶性高分子、難水溶性無機物質)を含む水相中に攪拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズを有する着色重合トナー粒子を形成することができる。
【0034】
また、乳化重合法においては、単量体と離型剤を必要により更に重合開始剤、乳化剤(界面活性剤)などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤、荷電制御剤と凝集剤(電解質)等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子を形成することができる。
重合法トナー作製に用いられる材料において、着色剤、離型剤、荷電制御剤、流動性改良剤に関しては、上記の粉砕トナーと同様の材料が使用できる。
【0035】
重合性単量体(モノマー)としては、公知のビニル系モノマーが使用可能であり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレイン酸、無水フタル酸、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルナフタレン等が挙げられる。なお、フッ素含有モノマーとしては例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、四フッ化エチレン、トリフルオロプロピレンなどはフッ素原子が負荷電制御に有効であるので使用が可能である。
【0036】
乳化剤(界面活性剤)としては公知のものが使用可能である。例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等がある。
【0037】
重合開始剤としては、公知のものが使用可能である。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等がある。
【0038】
凝集剤(電解質)としては、公知のものが使用可能である。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等が挙げられる。
【0039】
乳化重合法トナー8における成分比(重量)を表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 0003991199
【0041】
表2に示すとおり、重合性モノマー100重量部に対して、重合開始剤は0.03重量部〜2重量部、好ましくは0.1重量部〜1重量部であり、また、界面活性剤0.01重量部〜0.1重量部であり、更に、離型剤は1重量部〜40重量部、好ましくは2重量部〜35重量部であり、更に、荷電制御剤は0.1重量部〜7重量部、好ましくは0.5重量部〜5重量部であり、着色剤は1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部であり、更に、凝集剤(電解質)は0.05重量部〜5重量部、好ましくは0.1重量部〜2重量部である。
【0042】
この例の重合法トナー8にあっても、転写効率の向上を目的として、球形化処理により円形度がアップされている。重合法トナー8の円形度の調節法としては、
(A) 乳化重合法は2次粒子の凝集過程で温度と時間を制御することで、円形度を自由に変えることができ、その範囲は0.94〜1.00である。
また、
(B) 懸濁重合法では、真球のトナーが可能であるため、円形度は0.98〜1.00の範囲となる。また、円形度を調節するためにトナーのTg温度以上で加熱変形させることで、円形度を0.94〜0.98まで自由に調節することが可能となる。
【0043】
重合法トナー8は上記の方法以外の分散重合法でも作ることができ、例えば特開平63−304002号公報に開示されている方法でも作製できる。この場合には、形状が真球に近い形となるため、形状を制御するには、例えばトナーのTg温度以上で加圧し、所望のトナー形状にすることができる。
【0044】
前述の粉砕法トナー8の場合と同様に、この例の重合法トナー8の望ましい円形度(球状化係数)は0.95以上であり、円形度が0.97まではクリーニングブレードにより、それ以上ではブラシクリーニングを併用することでクリーニングすることができる。
【0045】
このようにして得られる重合法トナー8においても、個数基準の50%径である平均粒径(D50)が9μm以下、好ましくは4.5μm〜8μmに設定される。これにより、重合法トナー8の粒子径が比較的小粒子径となり、この小粒子径トナーに外添剤12として疎水性の負帯電性シリカ15a,15bと疎水性の金属酸化物13と疎水性のルチルアナターゼ型酸化チタン14とを併用することで、疎水性の負帯電性シリカ15a,15bの量を、従来のシリカ微粒子を単独用いた場合の疎水性の負帯電性シリカの量よりも少なくすることができるので、定着性が向上する。
なお、この重合法トナー8の場合にも、トナー粒子等における平均粒径と円形度は、シスメックス株式会社製のFPIA2100で測定する値である。
【0046】
更に、この重合法トナー8にあっても、前述の粉砕法トナーと同様に、外添剤12の総量(重量)がトナー母粒子8aの重量に対して0.5重量%以上4.0重量%以下に設定されるが、好ましくは、1.0重量%から3.5重量%の範囲に設定するのがよい。これにより、重合法トナー8をフルカラートナーとして使用したときに逆転写トナーの発生を抑える効果を発現することができる。なお、外添剤12を総量で4.0重量%以上添加すると、トナー表面より飛散したり、定着性を悪化させる要因となる。
【0047】
外添剤12である金属酸化物微粒子13は、乾式トナーにおける帯電特性の安定化、流動性改良を目的として用いられるものである。この金属酸化物微粒子13としては、アルミナ−シリカ複合酸化物微粒子、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム(Al)等を用いることができる。
これらの金属酸化物微粒子13は後述する表面処理を行い、疎水化された状態で使用することが望ましい。
【0048】
その場合、アルミナーシリカ複合酸化物微粒子13は例えば特許第2533067号公報に開示されているケイ素ーアルミニウム複合酸化物微粉末の製法等により作成することができる。このアルミナーシリカ複合酸化物微粒子は2種類の仕事関数を有している。そして、金属酸化物微粒子13はアルミナとシリカとの単なる混合酸化物粒子に比して仕事関数の差が大きく、トナー母粒子8aに外添されると正と負の2つの摩擦帯電サイトを与えやすいものであることが判明している。
【0049】
このようなアルミナーシリカ複合酸化物微粒子における正の摩擦帯電サイトにトナー母粒子8aが接触すると、単なる混合物粒子に比してトナー粒子を確実に負に帯電して正帯電トナーを減少させることができる。また、負の摩擦帯電サイトにトナー母粒子8aが接触すると、トナー粒子の過剰な負帯電性を抑制できるので、安定した負帯電性トナーとすることができる。
【0050】
ルチルアナターゼ型酸化チタン14はルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンとが所定の混晶比で用いられており、例えば前述の特開2000−128534号公報に開示されている製造方法により製造することができる。この疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン14は紡錘形状を呈しており、その長軸径が0.02μm〜0.10μmであるとともに、長軸と短軸との軸径比が2〜8に設定されている。
【0051】
このように、疎水性の負帯電性シリカ15a,15bより大きな仕事関数を有するルチルアナターゼ型酸化チタン14を負帯電性シリカ15a,15bとともに用いることにより、トナー母粒子8aに帯電した電荷を逃して帯電調整し、過帯電を防止することができる。すなわち、負帯電性シリカ15a,15bを入れすぎると、トナーが負に過帯電して画像濃度が低下するようになるが、ルチルアナターゼ型酸化チタン14を負帯電性シリカ15a,15bとともに添加することにより、トナー母粒子8aの過帯電を抑制して、トナーの良好な負帯電を得ることができる。
【0052】
外添剤12の粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して使用することが好ましい。疎水化処理剤としては、例えば、ジメチルジクロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル、オクチルートリクロシラン、デシルートリクロルシラン、ノニルートリクロシラン、(4−iso−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、ジヘキシルジクロシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロシラン、ジペンチルージクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−iso−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン等が例示される。
【0053】
本発明の負帯電性トナー8にあっては、前述のようにトナー母粒子8aに対する金属酸化物微粒子13の添加量は、0.1重量%〜3重量%、好ましくは0.2重量%〜2重量%である。また、トナー母粒子8aに対するルチルアナターゼ型酸化チタン14の添加量は0.1重量%〜2重量%、好ましくは0.2重量%〜1.5重量%である。また、トナー母粒子8aに対する全外添剤12粒子の添加量は、0.5重量%〜5重量%、好ましくは1重量%〜4重量%の割合とするとよい。
【0054】
更に、本発明の負帯電性トナー8は、金属酸化物微粒子13を外添したトナー粒子において、トナー母粒子8aをその仕事関数が5.3eV〜5.70eV、好ましくは5.35eV〜5.65eVのものとするとよい。
【0055】
トナー母粒子8aと外添剤12とは、前述のヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、反転ミキサー、ハイスピードミキサ、サイクロミックス、アキシャルミキサー等の公知の複合機に投入されて、トナー母粒子8aに対して外添剤12粒子が付着処理され、本発明の負帯電性トナー8が得られる。
【0056】
このようにして得られる負帯電性トナー8の仕事関数は5.3eV〜5.7eVであり、好ましくは5.35eV〜5.65eVである。なお、感光体表面の仕事関数より負帯電性トナー8の仕事関数を大きくすることにより、カブリをより低減でき、転写効率をより向上させることができる。また、トナー像担持体表面の仕事関数より負帯電性トナー8の仕事関数をあまり大きくし過ぎると、トナー規制部材による現像ローラへのトナー薄層規制に際して、帯電量が非常に高くなる「過帯電」の現象を生じることがあるが、本発明のように各仕事関数が設定されることで、この「過帯電」の現象を抑制することができる。
【0057】
また、本発明の負帯電性トナー8は、粉砕法トナーにあっては、個数基準の平均粒径が5μm〜10μm、好ましくは6μm〜9μmであり、また、重合法トナーにあっては、個数50%粒子径(D50)が、8μm以下、好ましくは4.5μm〜8μmであり、3μm以下が10%以下であり、好ましくは5%以下の粒径分布を有するものである。
【0058】
一般に、粉砕法トナーと重合法トナーとを問わず、トナー粒子径を小さくすると、シリカ粒子の添加量を増す必要があり、そのためトナーの帯電量が初期では大きくなり過ぎるという問題がある。また、印字が進むにつれ、埋没または飛散によりシリカ粒子の有効表面量が減少してトナー帯電量が低下し、画像濃度変動やカブリ量が増大してトナー消費量が増加する傾向にあり、トナーとしては使用し難いという問題がある。これに対して、粒度分布がブロードである金属酸化物微粒子13を外添剤12として用いると、外添剤12粒子の埋没等の問題を抑制できるので、印字期間を通じ安定した負帯電性トナーとすることができる。
【0059】
更に、本発明の負帯電性トナー8としては、粉砕法、重合法のいずれの場合においても、円形度(球状化係数)を0.94以上とするとよく、望ましくは、0.95以上である。円形度(球状化係数)0.97まではクリーニングブレードにより、それ以上ではブラシクリーニングを併用するとよい。円形度(球状化係数)を0.94以上とすることにより、転写効率を向上させることができる。
【0060】
このように構成されたこの例の負帯電性トナー8においては、重合法トナーおよび粉砕法トナーのいずれでも、小粒子径の疎水性の負帯電性シリカ15a,15bがトナー母粒子8aに付着する。この疎水性の負帯電性シリカ13の仕事関数より大きい仕事関数の疎水性金属酸化物微粒子13および疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン14がそれぞれ仕事関数差による接触電位差でトナー母粒子8aに付着した負帯電性シリカ13に固着してトナー母粒子8aから遊離することが少なくなる。したがって、トナー母粒子8aの表面が疎水性金属酸化物微粒子13、疎水性のルチルアナターゼ型酸化チタン14、および疎水性の負帯電性シリカ15a,15bによりまんべんなく覆われるようになる。
【0061】
したがって、ルチルアナターゼ型酸化チタン14の有する比較的低い電気抵抗(例、1×109Ω・cm〜5×1011Ω・cm)の電荷調整機能をより効果的に活かすことができるとともに、金属酸化物微粒子13の有するトナーの凝集機能をより効果的に活かすことができるようになる。
すなわり、疎水性の負帯電性シリカ15a,15bの有するトナーの負帯電機能およびトナーの流動性向上機能という固有の特性と、疎水性のルチルアナターゼ型酸化チタン14の有する負の過帯電防止機能およびトナーの流動性向上機能という固有の特性と、金属酸化物微粒子13の有する固有の特性(例えば、金属酸化物微粒子13として、アルミナーシリカ複合酸化物微粒子を用いた場合は、トナーの凝集性向上機能という固有の特性等)とが相乗された機能をトナー母粒子8aに付与することができる。
【0062】
これにより、負帯電性トナー8の流動性低下を防止できるとともに負の過帯電を防止できることから、より良好な負帯電特性を得ることができるようになり、その結果、逆転写トナーの発生およびカブリを効果的に抑制することができる。また、トナーの流動性を向上させて線画像の境目に発生する前述のチリを防止でき、画像のシャープ性を向上できるとともに、例えば、金属酸化物微粒子13として、アルミナーシリカ複合酸化物微粒子を用いた場合は、トナーの凝集性を向上させて線画像の中心部に発生する前述の中抜けを防止することができる。
したがって、負帯電性トナー8はその負帯電がより一層長期にわたり安定し、中抜けを生じなくシャープ性を有する、連続印字における安定した画像品質を与えることができるようになる。
【0063】
図2は、この例の負帯電性トナー8を用いた非接触一成分現像方式の一例を模式的に示す図であり、図3は、この例の負帯電性トナー8を用いた接触一成分現像方式の一例を模式的に示す図である。図2および図3中、1は像担持体である有機感光体、2はコロナ帯電器、3は露光、4はクリーニングブレード、5は転写ローラ、6は供給ローラ、7は規制ブレード、8は負帯電性トナー、9は転写材、10は現像器、11は現像ローラであり、Lは非接触一成分現像プロセスにおける現像ギャップである。
【0064】
有機感光体1としては、有機感光層が単層の有機単層型でもよいし、有機感光層が多層の有機積層型でもよい。
有機積層型感光体1は、図4(a)に示すように導電性支持体1a上に、下引き層1bを介して、電荷発生層1cおよび電荷輸送層1dからなる感光層を順次積層したものである。
【0065】
導電性支持体1aとしては、公知の導電性支持体が使用可能であり、例えば体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム合金に切削等の加工を施した管状物やポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着あるいは導電性塗料により導電性を付与した管状物、導電性ポリイミド樹脂を形成してなる管状物とから形成することができる。なお、他の形状例としては、ベルト状、板状、シート状支持体等が例示でき、また、他の材料、形状例として、ニッケル電鋳管やステンレス管などをシームレスにした金属ベルト等も好適に使用することができる。
【0066】
導電性支持体1a上に設けられる下引き層1bとしては公知の下引き層が使用可能である。例えば、下引き層1bは接着性を向上させ、モワレを防止し、上層の電荷発生層1cの塗工性を改良、露光時の残留電位を低減させるなどの目的で設けられる。下引き層1bに使用する樹脂はその上に電荷発生層1cを有する感光層を塗工する関係上、感光層に使用する溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。使用可能な樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、酢酸ビニル、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等であり、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。また、これらの樹脂に二酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物を含有させてもよい。
【0067】
電荷発生層1cにおける電荷発生顔料としては、公知の材料が使用可能である。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンおよびナフトキノン系顔料、シアニンおよびアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生顔料は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0068】
電荷発生層1cにおけるバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。バインダー樹脂と前記電荷発生物質の構成比は、重量比でバインダー樹脂100重量部に対して、10重量部〜1000重量部の範囲で用いられる。
【0069】
電荷輸送層1dを構成する電荷輸送物質としては公知の材料が使用可能であり、電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、パラジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0070】
正孔輸送物質としては、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、フェナジン化合物、ベンゾフラン化合物、ブタジエン化合物、ベンジジン化合物、スチリル化合物およびこれらの化合物の誘導体が挙げられる。これらの電子供与性物質は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0071】
電荷輸送層1d中には、これらの物質の劣化防止のために酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤などを含有することもできる。
電荷輸送層1dにおけるバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂などを用いることができるが、電荷輸送物質との相溶性、膜強度、溶解性、塗料としての安定性の点でポリカーボネートが好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質の構成比は、重量比でバインダー樹脂100重量部に対して25重量部〜300重量部の範囲で用いられる。
【0072】
電荷発生層1c、電荷輸送層1dを形成するためには、塗布液を使用するとよく、溶剤はバインダー樹脂の種類によって異なるが、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル類等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロルエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン等の芳香族類等を用いることができる。
また、電荷発生顔料の分散には、サンドミル、ボールミル、アトライター、遊星式ミル等の機械式の方法を用いて分散と混合を行うとよい。
【0073】
下引き層1b、電荷発生層1cおよび電荷輸送層1dの塗工法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スピンコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアナイフコーティング法等の方法を用いる。また、塗工後の乾燥は常温乾燥後、30℃〜200℃の温度で30から120分間加熱乾燥することが好ましい。これらの乾燥後の膜厚は電荷発生層1cでは、0.05μm〜10μmの範囲、好ましくは0.1μm〜3μmである。また、電荷輸送層1dでは5μm〜50μmの範囲、好ましくは10μm〜40μmである。
【0074】
また、有機単層型感光体1は、図4(b)に示すように上述した有機積層型感光体1において説明した導電性支持体1a上に、同様の下引き層1bを介して、電荷発生剤、電荷輸送剤、増感剤等とバインダー、溶媒等からなる単層有機感光層1eを塗布形成することにより作製される。有機負帯電単層型感光体については、例えば特開2000−19746号公報に開示されている方法に準じて作製するとよい。
【0075】
単層有機感光層1eにおける電荷発生剤としてはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、キノシアトン系顔料、インジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、キナクリドン系顔料が挙げられ、好ましくはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料である。電荷輸送剤としてはヒドラゾン系、スチルベン系、フェニルアミン系、アリールアミン系、ジフェニルブタジエン系、オキサゾール系等の有機正孔輸送化合物が例示され、また、増感剤としては各種の電子吸引性有機化合物であって電子輸送剤としても知られているパラジフェノキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、クロラニル等が例示される。バインダーとしてはポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が例示される。
【0076】
各成分の組成比は、バインダー40重量%〜75重量%、電荷発生剤0.5重量%〜20重量%、電荷輸送剤10重量%〜50重量%、増感剤0.5重量%〜30重量%であり、好ましくはバインダー45重量%〜65重量%、電荷発生剤1重量%〜20重量%、電荷輸送剤20重量%〜40重量%、増感剤2重量%〜25重量%である。溶剤としては、下引き層に対して、溶解性を有しない溶媒が好ましく、トルエン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が例示される。
【0077】
各成分は、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、ペイントコンディショナー等の攪拌装置で粉砕・分散混合され、塗布液とされる。塗布液は、下引き層上にディップコート、リングコート、スプレーコート等により乾燥後の膜厚15μm〜40μm、好ましくは20μm〜35μmで塗布・乾燥されて単層有機感光体層1eとされる。
【0078】
そして、このように構成された有機感光体1は直径24mm〜86mmで表面速度60mm/s〜300mm/sで回転する感光体ドラムであり、コロナ帯電器2等の帯電部材によりその表面が均一に負帯電された後、記録すべき情報に応じた露光3が行なわれることにより、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。
【0079】
現像ローラ11を有する現像器10は、一成分現像器10であり、有機感光体1上に負帯電性トナー8を供給することで有機感光体1における静電潜像を反転現像し、可視像化するものである。現像器10には、負帯電性トナー8が収納されており、図2に示すように反時計方向で回転する供給ローラ6によりトナーを現像ローラ11に供給する。現像ローラ11は図示のごとく反時計方向に回転し、供給ローラ6により搬送されたトナー8をその表面に吸着した状態で、時計方向に回転する有機感光体1との接触部に搬送し、有機感光体1上の静電潜像を可視像化する。
【0080】
現像ローラ11は、例えば直径16mm〜24mmで、金属製のパイプにメッキやブラスト処理したローラ、あるいは中心軸周面にNBR、SBR、EPDM、ウレタンゴム、シリコンゴム等からなる体積抵抗値104 Ω・cm〜108 Ω・cm、硬度が40°〜70°(アスカーA硬度)の導電性弾性体層が形成されたもので、このパイプのシャフトや中心軸を介して、図示していない電源より現像バイアス電圧が印加される。
【0081】
規制ブレード7としてはSUS、リン青銅、ゴム板、金属薄板にゴムチップの貼り合わせたもの等が使用されるが、現像ローラ11に対して図示しないスプリング等の付勢手段により、あるいは弾性体としての反発力を利用して線圧20gf/cm〜60gf/cmで押圧され、現像ローラ11上のトナー層厚を5μm〜20μm、好ましくは6μm〜15μm、トナー粒子の積層形態としては略1層〜2層、好ましくは1層〜1.8層とされるとよい。
【0082】
図5に示す非接触現像方式の画像形成装置では、現像ローラ11と有機感光体1とを現像ギャップLを介して対向させるものであるが、現像ギャップLとしては100μm〜350μmとするとよく、また、図示しないが直流電圧(DC)の現像バイアスとしては−200V〜−500Vであり、これに重畳する交流電圧(AC)としては1.5kHz〜3.5kHz、P−P電圧1000V〜1800Vの条件とするとよい。また、非接触現像方式にあって、反時計方向に回転する現像ローラ11の周速としては、時計方向に回転する有機感光体1に対して1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.2の周速比とするとよい。
【0083】
現像ローラ11は図示のごとく反時計方向に回転し、供給ローラ6により搬送された負帯電性トナー8をその表面に吸着した状態で有機感光体1との対向部に負帯電性トナー8を搬送するが、有機感光体1と現像ローラ11との対向部において、交流電圧を重畳して印加することにより、負帯電性トナー8は現像ローラ11表面と有機感光体1表面との間で振動することにより現像される。本発明にあっては、交流電圧の印加により現像ローラ11表面と有機感光体1表面との間でトナー8が振動する間にトナー粒子と現像ローラ11表面とが接触させることができるので、これによっても、小粒子径の正帯電トナーを負帯電させることができ、カブリトナーを減少させることができるものと考えられる。
【0084】
また、紙等の転写材9や中間転写媒体(図2には不図示;後述する図5に図示)は可視像化された有機感光体1と転写ローラ5との間に送られるが、転写ローラ5による有機感光体1への押し圧荷重を、接触現像方式と同程度の20gf/cm〜70gf/cm、好ましくは25gf/cm〜50gf/cmとするとよい。
【0085】
図2に示す非接触現像プロセスおよび図3に示す接触現像プロセスを、それぞれイエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKからなる4色のトナー(現像剤)による現像器と感光体1を組み合わせれば、フルカラー画像を形成することのできるフルカラー画像形成装置となる。このフルカラー画像形成装置としては、図5に示す4色の各現像器と回転可能な1つの潜像担持体からなる4サイクル方式(詳細は後述)、4色の各現像器と各潜像担持体とを1列に並べたタンデム方式、および、1つの潜像担持体と4色の回転可能な現像器を組み合わせたロータリー方式がある。
【0086】
次に、本発明の負帯電性トナーの作製例、およびこの負帯電性トナーを用いた、図2および図3に示す基本構成を有する図5に示す非接触または接触一成分現像プロセスによる画像形成装置の有機感光体、転写媒体の製造例について説明する。なお、図5に示す画像形成装置は接触一成分現像プロセスを行うこともでき、後述する作像化試験では、この画像形成装置を用いて接触一成分現像プロセスによる試験も行った。ただし、以下の説明においては、基本的にこの画像形成装置は非接触一成分現像プロセスを行うものとしている。
【0087】
次に、本発明の負帯電性トナーの製造例を示す。その場合、負帯電性トナー(1)ないし(4)は重合法により製造されたトナーであり、また、負帯電性トナー(5)ないし(8)は粉砕法で製造されたトナーの例である。
【0088】
[負帯電性トナー(1)の製造例]
スチレンモノマー80重量部、アクリル酸ブチル20重量部、およびアクリル酸5重量部からなるモノマー混合物を、
・水 105重量部
・ノニオン乳化剤 1重量部
・アニオン乳化剤 1.5重量部
・過硫酸カリウム 0.55重量部
からなる水溶性混合物に添加し、窒素気流中下で攪拌して70℃で8時間重合を行った。重合反応後冷却し、乳白色の粒子径0.25μmの樹脂エマルジョンを得た。
【0089】
次に、
・この樹脂エマルジョン 200重量部
・ポリエチレンワックスエマルジョン{三洋化成工業(株)製} 20重量部
・フタロシアニンブルー 7重量部
を、界面活性剤のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部を含んだ水中へ分散し、ジエチルアミンを添加してpHを5.5に調整後攪拌しながら電解質の硫酸アルミニウムを0.3重量部を加え、次いでTKホモミキサーで高速攪拌し、分散を行った。
【0090】
更に、スチレンモノマー40重量部、アクリル酸ブチル10重量部、サリチル酸亜鉛5重量部を水40重量部と共に追加し、窒素気流下で攪拌しながら同様にして90℃に加熱し、過酸化水素を加えて5時間重合し、粒子を成長させた。重合停止後、この二次粒子の会合と造膜結合強度を上げるため、pHを5以上に調整しながら95℃に昇温し、5時間保持した。その後、得られた粒子を水洗いし、45℃で真空乾燥を10時間行ってシアントナーの母粒子を得た。
【0091】
得られたシアントナーの母粒子は、前述のFPIA2100装置で平均粒径および円形度を測定するとともに、前述のAC−2型表面分析装置で仕事関数を測定した結果、平均粒径が6.8μm、円形度が0.98のトナーであり、その仕事関数は前述の表面分析装置により測定した結果、5.57eVであった。このシアントナーの母粒子に対し、流動性改良剤である平均一次粒子径が約12nmでかつ仕事関数が5.22eVの疎水性シリカを重量比で1%、平均一次粒子径が約40nmでかつ仕事関数が5.24eVの疎水性シリカを0.5重量%添加混合して添加混合し、シアントナー(1)を作製した。得られたシアントナー(1)は前述の各装置を用いて測定した結果、平均粒径が6.86μm、円形度が0.983、仕事関数が5.54eVであった。
【0092】
[負帯電性トナー(2)の製造例]
前述のシアントナー(1)において、同様にしてフタロシアニンブルーの顔料の代わりに顔料をキナクリドンに変更し、また二次粒子の会合と造膜結合強度を上げる温度を90℃のままで行い、マゼンタトナー(2)を同様に作製した。前述のシアントナー(1)と同様にして、マゼンタトナー(2)の母粒子およびマゼンタトナー(2)の平均粒径、円形度、および仕事関数を測定した結果、トナー母粒子の平均粒径が6.9μm、円形度が0.97、仕事関数が5.65eV、マゼンタトナー(2)の平均粒径が6.96μm、円形度が0.975で、仕事関数が5.61eVであった。
【0093】
[負帯電性トナー(3)および(4)の製造例]
前述のマゼンタトナー(2)において、顔料をピグメントイエロー180とカーボンブラックとに変えた以外はマゼンタトナー(2)と同様にして重合を行い、流動性改良剤を添加し、イエロートナー(3)とブラックトナー(4)とを作製した。このとき、イエロートナー(3)は、トナー母粒子の平均粒径が6.93μm、円形度が0.968、仕事関数が5,55eV、イエロートナー(3)の平均粒径が7.01μm、円形度が0.971、仕事関数が5.52eVであった。また、ブラックトナー(4)は、トナー母粒子の平均粒径が6.89μm、円形度が0.965、仕事関数が5.49eV、ブラックトナー(4)の平均粒径が7.08μm、円形度が0.975、仕事関数が5.45eVであった。
【0094】
[負帯電性トナー(5)の製造例]
重縮合ポリエステル樹脂(三洋化成工業(株)製、ハイマーESー801、非架橋成分と架橋成分の比率45/55)100重量部に、シアン顔料のフタロシアニンブルー5重量部、離型剤として融点が152℃、Mwが4000のポリプロピレン3重量部、および荷電制御剤としてのサリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)4重量部をヘンシェルミキサーを用いて均一混合した後、内温150℃の二軸押し出し機で混練し、冷却した。この冷却物を2mm角以下に粗粉砕し、次いでこの粗粉砕品をターボミルで微粉砕し、ローター回転による分級装置により分級し、平均一次粒径7.29μmで、円形度0.924のシアントナーのトナー母粒子を得た。また、このトナー母粒子の仕事関数は、測定の結果、5.39eVであった。
【0095】
得られたトナー母粒子に対して、前述のトナー(1)で使用した2種類の疎水性シリカのうち、小粒子径のシリカを平均一次粒子径が約7nm、仕事関数が5.18eVの疎水性シリカに変えてその量を0.8重量%にし、大粒子径のシリカを平均一次粒子径が約40nm、仕事関数が5.24eVの疎水性シリカに変えてその重量を0.5重量%添加し、更に、一次粒子の粘度分布が7nm〜80nmで、平均一次粒子径が約17nm、第1仕事関数が5.18eV、第2仕事関数が5.62eVの疎水性アルミナーシリカ複合酸化微粒子を0.5重量%、金属酸化物として平均一次粒子径が約20nm、仕事関数が5.64eVのルチルアナターゼ型酸化チタンを0.4重量%添加混合し、シアントナー(5)を作製した。このとき、シアントナー(5)は、平均一次粒子径が約7.35μm、円形度が0.929、仕事関数が5.47eVであった。
【0096】
[負帯電性トナー(6)、(7)、(8)の製造例]
前述のシアントナー(5)の製造例に従い、同様にしてマゼンタトナー(6)(マゼンタトナー顔料としてカーミン6Bを使用)、イエロートナー(7)(イエロートナー顔料としてピグメントイエロー93を使用)およびブラックトナー(8)(ブラックトナー顔料としてカーボンブラックを使用)を作製した。
【0097】
このとき、マゼンタトナー(6)は、そのトナー母粒子の平均一次粒子径が約7.28μm、円形度が0.925、仕事関数が5.42eVであり、マゼンタトナー(6)の平均一次粒径と円形度がいずれもほぼシアントナー(5)とほぼ同じであり、仕事関数が5.49eVであった。また、イエロートナー(7)は、そのトナー母粒子の平均一次粒子径が約7.29μm、円形度が0.924、仕事関数が5.55eVであり、イエロートナー(7)の平均一次粒径と円形度がいずれもほぼシアントナー(5)とほぼ同じであり、仕事関数が5.56eVであった。更に、ブラックトナー(8)は、そのトナー母粒子の平均一次粒子径が約7.27μm、円形度が0.925、仕事関数が5.60eVであり、ブラックトナー(8)の平均一次粒径と円形度がいずれもほぼシアントナー(5)とほぼ同じであり、仕事関数が5.61eVであった。
【0098】
(非接触または接触一成分現像プロセスによる画像形成装置の例)
図2に示す非接触一成分現像プロセスによる画像形成装置あるいは図3に示す接触一成分現像プロセスによる画像形成装置として、図5に示す非接触現像プロセスおよび接触現像プロセスが可能なフルカラープリンタがある。このフルカラープリンタを示す図5において、100は像担持体ユニットが組み込まれた像担持体カートリッジである。この例では、感光体カートリッジとして構成されていて、感光体と現像部ユニットが個別に装着できるようになっており、本発明の相対関係にある仕事関数を有する負帯電用電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)140が図示しない適宜の駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。感光体140の周りにはその回転方向に沿って、帯電手段として帯電ローラ160、現像手段としての現像器10(Y、M、C、K)、中間転写装置30、およびクリーニング手段170が配置される。
【0099】
帯電ローラ160は、感光体140の外周面に当接してその外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体140の外周面には露光ユニット40によって所望の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、この露光L1によって感光体140上に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器10によって現像剤が付与されて現像される。
【0100】
現像器10としてイエロー用の現像器10Y、マゼンタ用の現像器10M、シアン用の現像器10C、およびブラック用の現像器10Kが設けられている。これら現像器10Y、10C、10M、10Kはそれぞれ揺動可能に構成されている。そして、選択的に一つの現像器の現像ローラ(現像剤担持体)11のみが、非接触現像プロセスの場合は感光体140に対して所定の現像ギャップLを置いてセットされ、また、接触現像プロセスの場合は感光体140に圧接し得るようになっている。これらの現像器10は、感光体における仕事関数と相対関係にある仕事関数を有する負帯電性トナーを現像ローラ上に保持しているものであり、これらの現像器10はイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKのうちのいずれかのトナーを感光体140の表面に付与して感光体140上の静電潜像を現像する。現像ローラ11は硬質のローラ、例えば表面を粗面化した金属ローラで構成されている。現像されたトナー像は、中間転写装置30の中間転写ベルト36上に転写される。クリーニング手段170は、上記転写後に感光体140の外周面に付着しているトナーTを掻き落とすクリーナブレードと、このクリーナブレードによって掻き落とされたトナーを受けるクリーニングトナー回収部とを備えている。
【0101】
中間転写装置30は、駆動ローラ31と、4本の従動ローラ32、33、34、35と、これら各ローラの周りに張架された無端状の中間転写ベルト36とを有している。駆動ローラ31は、その端部に固定された図示しない歯車が感光体140の駆動用歯車とかみ合っていることによって感光体140と略同一の周速で回転駆動され、したがって中間転写ベルト36が感光体140と略同一の周速で図示矢印方向に循環駆動されるようになっている。
【0102】
従動ローラ35は駆動ローラ31との間で中間転写ベルト36がそれ自身の張力によって感光体140に圧接される位置に配置されており、感光体140と中間転写ベルト36との圧接部において、一次転写部T1が形成されている。従動ローラ35は、中間転写ベルトの循環方向上流側において一次転写部T1の近くに配置されている。
【0103】
駆動ローラ31には中間転写ベルト36を介して図示しない電極ローラが配置されており、この電極ローラを介して中間転写ベルト36の導電性層に一次転写電圧が印加される。従動ローラ32は、テンションローラであり、図示しない付勢手段によって中間転写ベルト36をその張り方向に付勢している。従動ローラ33は二次転写部T2を形成するバックアップローラである。このバックアップローラ33には中間転写ベルト36を介して二次転写ローラ38が対向配置されている。二次転写ローラには二次転写電圧が印加され、図示しない接離機構により中間転写ベルト36に対して接離可能になっている。従動ローラ34はベルトクリーナ39のためのバックアップローラである。ベルトクリーナ39は図示しない接離機構により中間転写ベルト36に対して接離可能になっている。
【0104】
中間転写ベルト36は、導電層と、この導電層上に形成され、感光体140に圧接される抵抗層とを有する複層ベルトで構成されている。導電層は合成樹脂からなる絶縁性基体の上に形成されており、この導電層に前述した電極ローラを介して一次転写電圧が印加される。なお、ベルト側縁部において、抵抗層が帯状に除去されることによって導電層が帯状に露出し、この露出部に電極ローラが接触するようになっている。
【0105】
中間転写ベルト36が循環駆動される過程で、一次転写部T1において、感光体140上のトナー像が中間転写ベルト36上に転写され、中間転写ベルト36上に転写されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ38との間に供給される用紙等のシート(記録材)Sに転写される。シートSは、給紙装置50から給送され、ゲートローラ対Gによって所定のタイミングで二次転写部T2に供給される。51は給紙カセット、52はピックアップローラである。
【0106】
二次転写部T2で二次転写されたトナー像が定着器60で定着され、排紙経路70を通って装置本体のケース80上に形成されたシート受け部81上に排出される。なお、この画像形成装置は、排紙経路70として互いに独立した2つの排紙経路71、72を有しており、定着装置60を通ったシートはいずれかの排紙経路71又は72を通って排出される。また、この排紙経路71、72はスイッチバック経路をも構成しており、シートの両面に画像を形成する場合には排紙経路71又は72に一旦進入したシートが、返送ローラ73を通って再び二次転写部T2に向けて給紙されるようになっている。
【0107】
次に、画像形成装置の各構成部材の製造例を説明する。
{有機感光体(OPC1)の製造例}
この製造例の有機感光体(OPC1)1の作製では、まず、アルミ素管の径85.5mmの導電性支持体1aの周面に、下引き層1bとして、アルコール可溶性ナイロン{東レ(株)製「CM8000」}の6重量部とアミノシラン処理された酸化チタン微粒子4重量部とをメタノール100重量部に溶解、分散させてなる塗工液をリングコーティング法で塗工し、温度100℃で40分乾燥させ、膜厚1.5μm〜2μmの下引き層1bを形成した。
【0108】
次いで、の下引き層1b上に、電荷発生顔料としてのオキシチタニウムフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂{BX−1、積水化学(株)製}1重量部と、ジクロルエタン100重量部とを、φ1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで8時間分散させて顔料分散液を得た。得られた顔料の分散液をこの下引き層1b上に、リングコーティング法で塗工し、80℃で20分間乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層1cを形成した。
【0109】
この電荷発生層1c上に、下記構造式(1)のスチリル化合物の電荷輸送物質40重量部とポリカーボネート樹脂(パンライトTS、帝人化成(株)製)60重量部をトルエン400重量部に溶解させ、乾燥膜厚が22μmになるように浸漬コーティング法で塗工、乾燥させて電荷輸送層1dを形成し、2層からなる感光層を有する有機積層型感光体1(OPC1)を作製した。
得られた有機積層型感光体1の一部を切り欠いて試料片とし、この試料片の仕事関数は前述のAC−2型表面分析装置を用い、照射光量500nWで測定したところ、5.48eVを示した。
【0110】
【化1】
Figure 0003991199
【0111】
{有機感光体(OPC2)の製造例}
有機感光体(OPC1)1において、導電性支持体1aにシームレスの厚さ40μmで直径85.5mmのニッケル電鋳管を用い、また、電荷発生顔料としてチタニルフタロシアニンを用い、更に、電荷輸送物質に下記構造式(2)のジスチリル化合物を用い、それ以外は製造例1と同様にして有機積層型感光体(OPC2)2を作製した。この有機積層型感光体の仕事関数を同様に測定すると、5.50eVであった。
【0112】
【化2】
Figure 0003991199
【0113】
(現像ローラ11の作製例)
現像ローラ11は、直径18mmのアルミパイプ表面にニッケルメッキ(厚さ23μm)を施し、表面粗さ(Ra)4μmの表面を得た。この現像ローラ11表面の一部を切り欠き、同様にして仕事関数を測定したところ、4.58eVであった。
【0114】
(トナー規制ブレードの作製例)
トナー規制ブレード7は、厚さ80μmのSUS板に厚さ1.5mmの導電性ウレタンフゴムチップを導電性接着剤で貼り付けて作製し、このときにウレタン部の仕事関数は約5eVとした。
【0115】
(中間転写装置の転写媒体の作製例)
中間転写装置30の転写媒体である中間転写ベルト36における導電層である中間導電性層を、
アルミニウムを蒸着した厚さ130μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に、
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30重量部
・導電性カーボンブラック 10重量部
・メチルアルコール 70重量部
からなる均一分散液を、厚さが20μmになるようにロールコーティング法にて塗工乾燥することにより、形成した。
【0116】
次いで、この中間導電性層上に、抵抗層である転写層を、
Figure 0003991199
の組成を混合分散してなる塗工液を厚さ10μmとなるようにロールコーティング法にて同様に塗工乾燥して、形成した。
【0117】
そして、この塗工シートを長さ540mmに裁断し、塗工面を上にして端部を合わせ、超音波溶着を行うことにより中間転写ベルト36を作製した。この中間転写ベルト36の体積抵抗は2.5×1010Ω・cmであった。また、仕事関数は5.37eV、規格化光電子収率6.90を示した。
【0118】
(定着器の作製例)
定着器60はヒータローラおよびプレスローラの二本の加圧ローラ(約38kgfの荷重)を備えている。ヒータローラはハロゲンランプ600wを内蔵し、シリコンゴム2.5mm(60°JISA)上にPFAを厚み50μmに成膜してφ40に形成した。また、プレスローラはハロゲンランプ300wを内蔵し、シリコンゴム2.5mm(60°JISA)上にPFAを厚み50μmに成膜してφ40に形成した。定着温度は190℃に設定している。
【0119】
このように構成されたフルカラープリンタの作動の概要は次の通りである。
(i) 図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置の制御部90に入力されると、感光体140、現像器10の各ローラ11、および中間転写ベルト36が回転駆動される。
【0120】
(ii) 感光体140の外周面が帯電ローラ160によって一様に帯電される。
(iii) 一様に帯電した感光体140の外周面に、露光ユニット40によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0121】
(iv) 感光体140には、第1色目の例えばイエロー用の現像器10Yの現像ローラのみが感光体140に対して所定の現像ギャップLをおいてセットされるかまたは感光体140に接触し、これによって上記静電潜像が非接触現像または接触現像され、第1色目のイエローのトナー像が感光体140上に形成される。
(v) 中間転写ベルト36には、上記トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体140上に形成されたトナー像が一次転写部T1において中間転写ベルト36上に転写される。このとき、二次転写ローラ38およびベルトクリーナ39は中間転写ベルト36から離間している。
【0122】
(vi) 感光体140上に残留しているトナーがクリーニング手段170によって除去された後、除去手段41から除電光L2によって感光体140が除電される。
(vii) 上記(ii)〜(vi)の動作に必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号に応じて第2色目、第3色目、第4色目と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト36上において重ね合わされて形成される。
【0123】
(viii) 所定のタイミングで給紙装置50からシートSが給送され、シートSの先端が二次転写部T2に達する直前あるいは達した後に(要するにシートS上の所望の位置に、中間転写ベルト36上のトナー像が転写されるタイミングで)二次転写ローラ38が中間転写ベルト36上のトナー像(基本的には4色のトナー像が重ね合わせられたフルカラー画像)がシートS上に転写される。また、ベルトクリーナ39が中間転写ベルト36に当接し、二次転写後に中間転写ベルト36上に残留しているトナーが除去される。
【0124】
(ix) シートSが定着装置60を通過することによってシートS上のトナー像が定着し、その後、シートSが所定の位置に向け(両面印刷でない場合にはシート受け部81に向け、両面印刷の場合にはスイッチバック経路71または72を経て返送ローラ73に向け)搬送される。
【0125】
次に、本発明の負帯電トナーの実施例について説明する。
(実施例1)
この実施例1で使用した外添剤12の仕事関数の一覧表を表3に示す。その場合、金属酸化物微粒子13として、この実施例1ではアルミナーシリカ複合酸化物微粒子が用いられている。
【0126】
【表3】
Figure 0003991199
【0127】
アルミナーシリカ複合酸化物微粒子は変曲点があって2つの仕事関数を有しており、表3には、外添剤▲4▼のアルミナーシリカ複合酸化物微粒子の2つの仕事関数が示されている。これらの仕事関数がそれぞれ前述の正と負の摩擦帯電サイトを与えると考えられる。
【0128】
そこで、この実施例1では、前述のシアントナー(1)に対して、ジメチルシラン(DMS)により表面処理された疎水性アルミナ−シリカ複合酸化物微粒子{かさ密度75g/L、平均粒径17nm、比表面積110m2/g、シリカ35/アルミナ65の重量構成比(混晶比)}と、シランカップリング処理された疎水性ルチルアナターザ型酸化チタン(長軸径および軸比が、それぞれ、0.02μm〜0.10μmおよび2〜8、平均粒径20nm、比表面積135m2/g、ルチル含有量10.0%、)とを、表4に示す割合で重量比で1%添加混合したトナー1ー▲1▼ないし1ー▲6▼をそれぞれ作製した。
【0129】
【表4】
Figure 0003991199
【0130】
これらのトナーについて、図2に模式的に示す非接触現像方式で、前述の有機感光体(OPC1)1、前述の現像ローラ11、中間転写装置30の中間転写ベルト36、およびトナー規制部材7を使用した図5に示すフルカラープリンタを用いて、現像ギャップLを220μmに設定した非接触現像方式(作像条件:有機感光体1の暗電位−600V、有機感光体1の明電位−80V、DC現像バイアス−300V、AC現像バイアス(P−P電圧)1320V、AC周波数2.5kHz)でベタ画像濃度を約1.1になるように作像してトナーの帯電特性試験を行った。そして、その時の現像ローラ11上のトナーの平均帯電量q/m(μc/g)と正帯電トナー量(wt%)を市販のホソカワミクロン(株)製の帯電量分布測定器(E−SPARTアナライザEST−3型)で測定した。これらのトナーの帯電特性測定結果を表4に示す。
【0131】
表4に示す測定結果から明らかなように、ルチルアナターゼ型酸化チタンとアルミナーシリカ複合酸化物微粒子の混合外添剤を添加するに従い、添加しない場合に比し、平均帯電量は大きくなるかあるいはさほど変わらないが、正帯電トナー量は減少することがわかった。しかも、ルチルアナターゼ型酸化チタンとアルミナーシリカ複合酸化物微粒子との混合比が0.25対0.75のときには、それぞれそれらの単独の1.0wt%添加量のときよりも、正帯電トナー量が最少となることがわかった。
【0132】
(実施例2)
前述の実施例1で使用したトナー1ー▲1▼ないし1ー▲6▼を用い、図2に模式的に示す非接触現像方式と図3に模式的に示す接触現像方式とにより、前述の有機感光体(OPC1)1、前述の現像ローラ11、中間転写装置30の中間転写ベルト36、およびトナー規制部材7を使用した図5に示すフルカラープリンタを用いて、作像試験を行った。このときの作像条件は、非接触現像方式では、有機感光体1の暗電位−600V、有機感光体1の明電位−80V、DC現像バイアス−300V、AC現像バイアス(P−P電圧)1320V、AC周波数2.5kHz)であり、また接触現像方式では、前述の有機感光体2の暗電位−600V、有機感光体2の明電位−80V、DC現像バイアス−200V、供給ローラと現像ローラが同電位である。
この作像試験の結果を表5および表6にそれぞれ示す。
【0133】
【表5】
Figure 0003991199
【0134】
【表6】
Figure 0003991199
【0135】
表6において、△は中抜けあるいはチリがある程度発生し、良好なベタ画像が得られなく、また、○は中抜けあるいはチリがほとんど発生しなく、良好なベタ画像が得られた結果を示す。
表5および表6に示す作像試験結果から明らかなように、シリカ単独のトナー1ー▲1▼よりも、アルミナーシリカ複合酸化物微粒子を添加したトナー1ー▲2▼やルチルアナターゼ型酸化チタンを添加したトナー1ー▲6▼の方がベタ画像濃度が向上するだけでなく、カブリ、逆転写トナー、中抜け、チリが少なくなる。更に、アルミナーシリカ複合酸化物微粒子とルチルアナターゼ型酸化チタンとの混合物を添加したトナー1ー▲3▼、1ー▲4▼および1ー▲5▼は、カブリ、逆転写トナー、中抜け、チリが更に一層少なくなることがわかった。
【0136】
なお、各トナーの転写効率は、トナー1ー▲1▼が90%〜94%であったのに対して、トナー1ー▲2▼〜1ー▲6▼は98%前後の値を示し、アルミナーシリカ複合酸化物微粒子およびルチルアナターゼ型酸化チタンを外添させることで、より良好な転写を行うことができることがわかった。
【0137】
また、カブリおよび逆転写トナーのOD値はテープ転写法で求めた。テープ転写法とは住友3M製のメンディングテープを感光体上に存在するトナー上に貼り付けてカブリトナーや逆転写トナーをテープ上に転写し、次いでこのメンディングテープおよび貼り付け前のメンディングテープをそれぞれ白紙上に貼り、これらの反射濃度をマクベスの反射濃度計で測定し、その測定値よりテープの反射濃度を差し引いた値をカブリおよび逆転写トナーの各反射濃度としている。また、転写効率は転写前後の感光体上に存在するトナーに前述のテープを貼り付け、剥がしたテープの重量を測定することで、その重量差により計算し求めた。逆転写トナーは1色目のベタ画像を作像し、次いで、2色目の白ベタ画像を作像させたときに、白ベタ画像に相当する非画像部となる感光体上に逆転写された1色目のシアントナーを逆転写トナーとして、テープ転写法で求めた値である。
【0138】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の負帯電トナーによれば、紡錘形状を有するルチルアナターゼ型酸化チタンをトナー母粒子表面に確実に付着するとともに、ルチルアナターゼ型酸化チタンよりも小さな仕事関数を有する疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子を用い、かつルチルアナターゼ型酸化チタンに対するアルミナーシリカ複合酸化微粒子の混合比(ルチルアナターゼ型酸化チタン/アルミナーシリカ複合酸化微粒子)を重量比で、0 . 25/0 . 75ないし0 . 75/0 . 25にしているので、ルチルアナターゼ型酸化チタンに、疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子を効果的に付着することができる。したがって、ルチルアナターゼ型酸化チタンの有するトナーの負の過帯電防止機能およびトナーの流動性の向上機能という固有の特性と疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子の有する固有の特性とが相乗された機能がトナー母粒子に付与できる。これにより、ルチルアナターゼ型酸化チタンの有する過帯電防止機能および流動性向上機能を効果的に活かすことができる。
【0139】
したがって、より良好な負帯電特性を得ることができ、その結果、逆転写トナーの発生およびカブリを効果的に抑制できるようになり、転写効率をより一層向上できる。しかも、負帯電性トナーの負帯電をより一層長期にわたり安定でき、シャープ性を有する画像が作製できるとともに、連続印字における安定した画像品質を得ることができるようになる。そのうえ、トナーの流動性が向上することで、トナー規制部材によりトナーの均一な薄層を形成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる負帯電性トナーの実施の形態の一例を模式的に示す図である。
【図2】 本発明にかかる負帯電性トナーが使用される画像形成装置の非接触現像プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図3】 本発明にかかる負帯電性トナーが使用される画像形成装置の接触現像プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図4】 図2および図3に示す画像形成装置の有機積層型感光体を示す図である。
【図5】 本発明の負帯電性トナーによる作像試験に用いた非接触現像プロセスおよび接触現像プロセスによる4サイクル方式のフルカラープリンターの一例を示す図である。
【符号の説明】
1,140…有機感光体、2…コロナ帯電器、3…露光、4…クリーニングブレード、5…転写ローラ、6…供給ローラ、7…規制ブレード、8…負帯電性トナー(一成分非磁性トナー)、8a…トナー母粒子、9…転写材または転写媒体、10…現像器、11…現像ローラ、12…外添剤、13…金属酸化物微粒子、14…ルチルアナターゼ型酸化チタン、15a,15b…疎水性の負帯電性シリカ(SiO2)、L…現像ギャップ

Claims (5)

  1. トナー母粒子に対して疎水性の外添剤が少なくとも外添処理されてなる負帯電性トナーにおいて、
    前記外添剤として、少なくとも、疎水性のルチルアナターゼ型酸化チタンと、このルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数よりも小さな仕事関数を有する疎水性二酸化ケイ素およびアルミナーシリカ複合酸化微粒子とが用いられており、
    前記ルチルアナターゼ型酸化チタンに対する前記アルミナーシリカ複合酸化微粒子の混合比(ルチルアナターゼ型酸化チタン/アルミナーシリカ複合酸化微粒子)が重量比で、0 . 25/0 . 75ないし0 . 75/0 . 25であることを特徴とする負帯電性トナー。
  2. 前記二酸化ケイ素の平均一次粒子径は前記ルチルアナターゼ型酸化チタンのそれよりも小さことを特徴とする請求項1記載の負帯電性トナー。
  3. 前記トナー母粒子は粉砕法または重合法で製造されていることを特徴とする請求項1または2記載の負帯電性トナー。
  4. 円形度が0.91(FPIAー2100測定値)以上に設定されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1記載の負帯電性トナー。
  5. 個数基準の50%径(D50)が9μm以下に設定されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1記載の負帯電性トナー。
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