JP2004205890A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】像担持体上に静電潜像を形成し、複数色の現像器を用い、順次トナー像を形成した後に、形成されたトナー像を転写材上に一括して転写する画像形成装置において、仕事関数が像担持体の仕事関数よりも小さな複数色のトナーの現像器を、仕事関数の大きいトナー順に現像するように配置した画像形成装置。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に関するものであり、とくに複数色のトナーを用いて像担持体上にトナーを重ねた画像を形成してカラー画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法による画像形成装置では、光導電性物質を有する感光体等の像担持体上にの静電潜像を着色剤を含有した複数色のトナーを用いて現像を行った後に、紙等の記録媒体上に直接、または中間転写媒体を使用して、画像の転写を行ってトナーを加熱、加圧してトナーを形成する結着樹脂を軟化させることによって定着して複写物、印刷物を形成している。
【0003】
カラー画像形成装置には、各種のものが知られているが、なかでも帯電装置、画像露光装置をそれぞれ1個ずつ設け、各色の画像を現像する現像装置の複数個を単一の感光体ドラムの周囲に配置し、単一の感光体上に複数色のトナー画像を順次形成した後に、形成されたトナー画像を一括して、紙等の記録媒体に対して直接的に、あるいは中間転写媒体を介して転写することによって画像を形成している。
【0004】
このような画像形成装置においては、複数色のトナー像が単一の感光体上に重ね合わせて形成されるので、各色のトナー像間の位置ずれが少ない品質の優れたカラー画像の形成が可能であるいう特徴を有している。
【0005】
ところが、感光体上に複数色の画像形成を行う場合に、既に形成されたトナー画像上に他の色のトナーが重ね合わせて形成される部分と、感光体上に直接に形成される部分では、帯電状態等の相違によってトナー像の状態が異る。その結果、転写されるトナー像の転写効率が不十分なものとなり、色むらが生じたり、所望の色とは異なる色が形成される等の問題があった。画像形成に有効に利用されないトナーが増加する結果、トナーの消費量も増大するという問題点があった。
【0006】
また、感光体上に転写されないで残ったトナーをクリーニング装置によって廃トナーとして回収する場合には、転写されないで残るトナー量の増加は、廃トナー量の増大となり、大量の廃トナーを収納する容積が大きな廃トナー容器を必要とし、画像形成装置の容積の増大につながるとともに、クリーニング用の部材の劣化等の問題点もあった。
また、転写されなかったトナーを現像装置に回収して再度現像に利用する場合には、転写されないで回収されたトナー量が増加すると、トナーの帯電特性等が劣化したトナーの割合が増加することとなり、形成される画像特性にも悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0007】
また、形成されるカラー画像を高精細度化し、トナーの使用量を減少させるために、粒径の小さなトナーを用いることが行われている。
ところが、トナーを小粒径化すると、トナーの流動性が低下することにより、現像ローラ表面や規制ブレードとの摩擦帯電が困難になる結果、充分な電荷を付与できなかった。その為に、トナーに帯電量分布が存在し、負帯電用トナーであっても正に帯電したトナーを含有することは避けきれず、その結果、像担持体上の非画像部にカブリを生じた。また、カブリを抑えるために、非磁性一成分現像においては、規制圧を高くすることが知られているが、トナーが過帯電になり、現像時のトナー濃度が低くなったり、転写効率が低くなる傾向にあった。そこで、現像ローラ上の規制後の付着トナー量を適正な範囲とすることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0008】
また、小粒径トナーを用い、帯電性と画質の粒状性の向上のため、各色トナーの被記録材に対する最大付着量を所定の大きさとすることが提案されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、特許文献2記載の方法では、トナーを均一に熱定着をする低温定着性の向上には効果的であるが、トナーの転写効率については不十分なものであった。
【0009】
また、感光体上に形成された潜像を、イエロー、マゼンタ、シアンのカラートナー、及び黒トナーで現像し、各トナー像を中間転写体に転写した後に、黒トナ一による現像像を中間転写体上に一次転写して重ね合わせてから、他の転写材へ二次転写するフルカラー画像形成方法が提案されている(例えば、特許文献3)。
しかしながら、中間転写体が一次転写の繰り返しにより帯電することがなく、最後に現像および一次転写される黒トナーの転写効率が良くなることが記載されているが、トナーの転写効率については不十分なものであった。
【0010】
また、最初に黒トナーを、次いでイエロー、マゼンタ、シアンのカラートナーで現像することで、黒トナーに他の色トナーが混色することなく、黒色トナーのみのリサイクルが可能なカラー画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献4)。しかしながら、この場合にも、トナーの紙への転写効率は不充分なものであった。
【0011】
また、中間転写媒体を介して転写材の両面にトナー像を形成するとともに、イエロー、マゼンタ、シアン、黒からなるカラートナー像の重ね合わせ順が、最初と最後がシアンと黒、その間がイエローとマゼンタとするカラー画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献5)が、トナーの転写効率は不充分なものであった。
【0012】
また、帯電量の小さいトナーから現像することが提案されており(例えば、特許文献6)、更に、転写効率を高める為に、トナーの色毎に転写電圧を高くすることが提案されており(例えば、特許文献7)、また、最下層のトナーの転写効率が大きくなるように転写電圧を設定することが提案されており(例えば、特許文献8)、トナーの色を最初と最後がシアンと黒、その間がイエローとマゼンタとすることが(例えば特許文献9)、また、シアン、イエロー、マゼンタ、黒の順で現像することが(例えば特許文献10)知られている。
【0013】
複数色のトナーを使用して重ね画像を形成する場合には、2色目以降のトナーは、先に形成したトナー上にトナー像を形成することが必要であり、先に形成したトナー像上に安定したトナー像を形成することが求められていた。
重ね形成されたトナー像が先に形成されたトナー上、あるいは中間調の場合には、先に形成されたトナーに隣接した位置に正確に形成されないと、所望の色調の画像形成が困難であったり、あるいはトナーの飛び散りが発生し、画像品質が低下があった。
また、形成されたトナー像を定電圧電源によって転写電圧を印加して中間転写媒体に転写しようとすると、すべてのトナー画像が正確に転写されなかったり、大きな転写電圧を印加することが必要であった。
【0014】
【特許文献1】
特開平6−194943号公報
【特許文献2】
特開2002−131973号公報
【特許文献3】
特開平8−248779号報
【特許文献4】
特開2000−206755号公報
【特許文献5】
特開2002−31933号公報
【特許文献6】
特開平10−207164号
【特許文献7】
特開平10−260563号
【特許文献8】
特開平5−27548号公報
【特許文献9】
特開2002−31933号
【特許文献10】
特開平5−307310号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、感光体上に複数色のトナーを用いて、複数のトナー画像を重ね合わせて画像形成を行う画像形成装置において、複数色のトナー画像が重ね合わさった部分も、単色のトナーのみで画像形成される部分と同様に転写効率が高く、感光体上の転写残りトナー量が少なく、形成される画像特性が優れる画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、像担持体上に静電潜像を形成し、複数色の現像器を用い、順次トナー像を形成した後に、形成されたトナー像を転写材上に一括して転写する画像形成装置において、仕事関数が像担持体の仕事関数よりも小さな複数色のトナーの現像器を、仕事関数の大きいトナー順に現像するように配置した画像形成装置によって解決することができる。
このように、最初に現像されるトナーの仕事関数を感光体の仕事関数よりも小さな仕事関数のものとし、2色目以降のトナーを先行するカラートナーの仕事関数より小さいトナーを用いて、逐次、現像を行うことにより、色重ねをされるべきトナーは、先に現像されたトナー上に確実に画像形成されるとともに、転写電界の印加によって転写材に対して確実に転写されるので転写残りによって生成する廃トナーの量が少ないものとなり、色重ねされた複数色のトナー粒子から所期の発色が得られる。また、トナー粒子が目的とする個所以外に付着することも防止することができるので、高品質の画像を得ることができる。
【0017】
また、画像形成される像担持体が有機感光体である前記の画像形成装置である。
転写材が、紙、合成樹脂製シートから選ばれる記録媒体、もしくは記録媒体への転写に使用される中間転写媒体である前記の画像形成装置である。
本発明の画像形成装置は、感光体等の像担持体上に一括して画像形成を行い、紙、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)用の合成樹脂フイルム等の記録媒体に対して一括して画像を転写する画像形成装置、あるいは感光体等の像担持体上に形成された画像を一括して、中間転写媒体に転写した後に、紙、合成樹脂フイルム等に転写する中間転写媒体を用いた画像形成装置のいずれに対しても同様に適用することが可能である。
【0018】
また、負帯電トナー、および反転現像器を用いた前記の画像形成装置である。
また、像担持体上に付着するトナーの厚さが規制ブレードによって搬送量が0.45mg/cm2 以下に規制された非磁性一成分トナーを用いた前記の画像形成装置である。
【0019】
また、像担持体上に静電潜像を形成し、複数色の現像器を用い、順次トナー像を形成した後に、形成されたトナー像を転写材上に一括して転写する画像形成装置に用いるトナーにおいて、仕事関数が像担持体の仕事関数よりも小さな複数色のトナーの現像器を、仕事関数の大きいトナー順に現像するように配置するとともに、トナーは、少なくとも疎水性の二酸化ケイ素粒子と疎水性二酸化チタンを流動性改良剤として含有するトナーである。
また、トナーは、トナー粒子の投影像の測定によって求めたトナー粒子の投影像の周囲長(μm)L1と、トナー粒子の投影像の面積に等しい真円の周囲長(μm)L0との比、L0/L1で表される円形度が0.94以上であるトナーである。
個数基準の平均粒子径が4.5〜9μmであるトナーであるトナーである。
また、トナーは有機化合物のモノマー、オリゴマーの少なくともいずれかを、着色剤を含有させて重合をすることによって形成したものである前記のトナーである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、像担持体上の静電潜像を複数色のトナーによって、順次現像した後に、一括して紙、あるいは中間転写媒体に転写する画像形成装置において、複数色のトナーの現像順序を、先に現像されたトナーの仕事関数よりも、仕事関数が小さなトナーとすることによって、転写効率の大きな画像の形成が可能な画像形成装置を得ることができることを見出したものである。
【0021】
本発明におけるトナー、潜像担持体の仕事関数の測定方法について説明する。
物質の仕事関数(Φ)は、その物質から電子を取り出すために必要なエネルギーとして知られており、仕事関数が小さいほど電子を放出しやすく、大きい程電子を出しにくい。そのため、仕事関数の小さい物質と大きい物質を接触させると、仕事関数の小さい物質は正に、仕事関数の大きい物質は負に帯電する。
仕事関数は下記の測定方法により測定されるものであり、その物質から電子を取り出すためのエネルギー(eV)として数値化され、種々の物質からなるトナーと画像形成装置における種々の部材との接触による帯電性を評価しうるものである。
【0022】
仕事関数(Φ)は、表面分析装置(理研計器製 AC−2、低エネルギー電子計数方式)を使用して測定される。本発明にあっては、該装置において、重水素ランプを使用し、照射光量500nWに設定し、分光器により単色光を選択し、照射面積を4mm角とし、エネルギー走査範囲3.4〜6.2eV、測定時間10sec/1個所で試料に照射する。そして、試料表面から放出される光電子を検出して求めたものであり、仕事関数に関しては、繰り返し精度(標準偏差)0.02eVで測定されるものである。なお、データ再現性を確保するための測定環境としては、使用温湿度25℃、55%RHの条件下で、24時間放置品を測定試料とする。
【0023】
試料トナーについては、トナー専用測定セルを用いて測定した。
図1に、仕事関数測定用の試料測定セルを説明する図を示す。図1(A)に平面図を示し、図2(B)に側面図を示すように、試料測定セルC1は、直径13mm、高さ5mmのステンレス製円盤の中央に直径10mmで深さ1mmのトナー収容用凹部C2を有する形状を有する。セルの凹部内にトナーを秤量スプーンを使用して突き固めないで入れた後、ナイフエッジを使用して表面を平らにした状態で測定に供する。
トナーを充填した測定セルを試料台の規定位置上に固定した後に、照射光量500nWに設定し、照射面積4mm角とし、エネルギー走査範囲4.2〜6.2eVの条件で測定される。
【0024】
また、像担持体およびトナーの仕事関数測定時の規格化電子収率が測定光量500nWで8以上である。規格化電子収率とは単位光量子当たりの光電子収率を0.5乗したときの一定の傾きを示すものである。
【0025】
また、図2に他の試料の測定方法を説明する。
潜像担持体のように、円筒形状の部材を試料とする場合には、円筒形状の部材を1〜1.5cmの幅で切断し、ついで稜線に沿って横方向に切断して図2(A)に形状を示すように、測定用試料片C3を得た後、図2(B)に示すように、試料台C4の規定位置上に、測定光C5が照射される方向に対して照射面が平行になるように固定する。これにより、放出される光電子C6が検知器C7、すなわち光電子倍像管により効率よく検知される。
【0026】
この表面分析においては、単色光の励起エネルギーを低い方から高い方にスキャンするとあるエネルギー値(eV)から光量子放出が始まり、このエネルギー値を仕事関数(eV)という。
【0027】
本発明の画像形成装置においては、上記の方法で測定されるトナーの仕事関数(Φt )を潜像坦持体(感光体)表面の仕事関数(Φopc )よりも、小さなものとするとともに、画像形成の順序を、仕事関数(Φt )の大きなトナーから仕事関数の小さなトナーへと順次、トナーを重ねて画像を形成することに特徴を有している。
【0028】
図3は、本発明の画像形成装置を説明する図である。
感光体1は回転する感光体ドラムで、帯電器2によりその表面が均一に負帯電された後、記録すべき情報に応じた露光3が行なわれることにより、静電潜像が形成される。
現像器10−1ないし10−4は、一成分現像装置であり、有機感光体上に一成分非磁性トナーTを供給することで有機感光体における静電潜像を反転現像し、可視像化するものである。現像手段には、一成分非磁性トナーTが収納されており、図示のごとく反時計方向で回転するトナー供給ローラ7によりトナーを現像ローラ9に供給する。現像ローラ9は反時計方向に回転し、トナー供給ローラ7により搬送されたトナーTをその表面に保持した状態で有機感光体との間隔dを保持した状態で、有機感光体1上の静電潜像を、仕事関数の大きなトナーから順次可視像化する。
【0029】
また、接触現像方式では弾性のある現像ローラを用い、有機感光体が弾性体である場合には、現像ローラ9は、例えば直径16〜24mmで、金属製管にめっきやブラスト処理したローラを用い、有機感光体が剛性体である場合には、金属製管の中心軸周面にブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等からなる体積抵抗値104〜108Ω・cm、硬度が40〜70°(アスカーA硬度)の導電性弾性体層が形成されたものを用いる。
そして、この管の軸等を介して図示しない電源より現像バイアス電圧が印加される。また、現像ローラ9、トナー供給ローラ7、トナー規制ブレード8からなる現像器10−1ないし10−4は、図示しないばね等の付勢手段により有機感光体に押圧力19.6〜98.1N/m、好ましくは24.5〜68.6N/mで、ニップが幅1〜3mmとなるように圧接されるとよい。
【0030】
規制ブレード8としては、現像ローラが剛体の場合には、ステンレス、リン青銅、ゴム板、金属薄板にゴムチップの貼り合わせたもの等が使用されるが、現像ローラが弾性体の場合には金属薄板をそのまま使用することができる。規制ブレード8は現像ローラに対して図示しないばね等の付勢手段により、あるいは弾性体としての反発力を利用して線圧245〜490mN/cmで押圧され、現像ローラ上のトナー層厚を薄層として規制すると良い。
【0031】
また、非接触現像方式では現像ローラ9と感光体1とを現像ギャップdを介して対向させるものである。現像ギャップとしては100〜350μmとすると良く、また、図示しないが直流電圧の現像バイアスとしては−200〜−500Vであり、これに重畳する交流電圧としては1.5〜3.5kHz、P−P電圧1000〜1800Vの条件とすると良い。また、非接触現像方式にあって、反時計方向に回転する現像ローラの周速としては、時計方向に回転する有機感光体に対して1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.2の周速比とするとよい。
【0032】
現像ローラ9は図示のごとく反時計方向に回転し、トナー供給ローラ7により搬送されたトナーTをその表面に吸着した状態で有機感光体との対向部にトナーTを搬送するが、有機感光体と現像ローラとの対向部において、交流電圧を重畳して印加することにより、トナーTは現像ローラ表面と有機感光体表面との間で振動することにより現像される。本発明にあっては、交流電圧の印加により現像ローラ表面と有機感光体表面との間でトナーTが振動する間にトナー粒子と感光体とを接触させることができるので、過帯電したトナーであってもトナーを適度な電荷に調整することができ、現像効率を向上させることができるものと考えられる。
【0033】
また、規制ブレード、現像ローラにおけるそれぞれの仕事関数と、トナーの仕事関数との関係に格別の制限はないが、好ましくは規制ブレード、現像ローラにおけるそれぞれの仕事関数をトナーの仕事関数より小さくして、規制ブレードと接触するトナーを負に接触帯電させておくことにより、より均一な負帯電トナーとできる。また、規制ブレード8に電圧を印加してブレードに接触するトナーへ電荷注入してトナー帯電量を制御してもよい。
【0034】
次に、本発明の画像形成装置における中間転写媒体について説明する。
図3において、中間転写媒体4は、感光体1とバックアップローラ6との間に送られ、電圧が印加されることにより、感光体1上の可視像が中間転写媒体上に転写され、中間転写媒体上にトナー画像が形成される。感光体上に残留するトナーは、クリーニングブレード5により除去され、感光体上の静電荷は消去ランプにより消去され、感光体は再使用に供せられる。本発明の画像形成装置にあっては転写効率を向上させることができるので、感光体上に残留するトナー量を少なくでき、クリーニングトナー容器を小さくできる。
【0035】
中間転写媒体を転写ドラムや転写ベルトとする場合には、その導電性層に一次転写電圧として+250〜+600Vの電圧が印加され、また、紙等の転写材への二次転写に際しては、二次転写電圧として+400〜+2800Vの電圧が印加されるとよい。
【0036】
中間転写媒体として、転写ベルトまたは転写ドラムを用いることができる。
転写ベルトとしては、合成樹脂製の基体からなるフィルムやシート上に転写層を設けるものであり、他方は弾性体の基層上に表層である転写層を設けるものである。また、転写ドラムとしては、感光体が剛性のあるドラム、例えばアルミニウム製のドラム上に有機感光層を設けた場合には、転写媒体としてはアルミニウム等の剛性のあるドラム基体上に弾性の表層である転写層を設けるものである。また、感光体の支持体がベルト状、あるいはゴム等の弾性支持体上に感光層を設けたいわゆる弾性感光体である場合には、転写媒体としてはアルミニウム等の剛性のあるドラム基体上に直接あるいは導電性中間層を介して転写層を設けるとよい。
基体としては、導電性あるいは絶縁性基体が使用可能である。転写ベルトの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは106 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。
【0037】
フィルムおよびシートに適する材質と作製方法としては、変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電性カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を分散した厚さ50〜500μmの半導電性フィルム基体を押し出し、あるいは成形でシームレス基体とし、その外側にさらに表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として厚さ5〜50μmのフッ素樹脂被覆を行ったシームレスベルトである。
【0038】
表面保護層の形成方法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法等を用いることができる。なお、転写ベルトの両端部には転写ベルトの端部での亀裂や伸び、および蛇行防止のために、膜厚80μmのポリエチレンテレフタレートフイルム等のテープやウレタンゴム等のリブを貼り付けて使用する。
【0039】
フィルムまたはシートで基体を作製する場合には、ベルト状とするために端面を超音波溶着を行うことで、ベルトを作製することができ、具体的にはシート、またはフィルム上に導電性層並びに表面層を設けてから、超音波溶着を行うことにより所望の物性を有する転写ベルトを作製することができる。より具体的には基体に厚さ60〜150μmのポリエチレンテレフタレートを絶縁性基体として用いた場合には、その表面にアルミニウム等を蒸着し、あるいはさらにカーボンブラック等の導電材料と樹脂からなる中間導電性層を塗工し、その上にそれより高い表面抵抗を有するウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電性材料からなる半導電性表面層を設けて転写ベルトとすることができる。塗工後の乾燥時に熱をさほど必要としない抵抗層を設けることができる場合には、先にアルミニウム蒸着フィルムを超音波溶着させてから上記の抵抗層を設け、転写ベルトを作製することも可能である。
【0040】
ゴム等の弾性基体に適する材質と作製方法としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム等に上記の導電材料を分散した厚さ0.8〜2.0mmの半導電性ゴムベルトを押出し成形で作製後、表面をサンドペーパーやポリシャー等の研磨材により所望の表面粗さに制御する。このときの弾性層をこのままで使用してもよいが、さらに上記と同じようにして表面保護層を設けることができる。
【0041】
転写ドラムの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは107 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。転写ドラムはアルミニウム等の金属円筒上に必要により弾性体の導電性中間層を設けて導電性弾性基体とし、さらにその上に表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として半導電性の厚さ5〜50μmの、例えばフッ素樹脂被覆を形成して作製することができる。
【0042】
導電性弾性基体としては、例えばシリコンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料に、カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を配合、混練、分散した導電性ゴム素材を、直径が90〜180mmのアルミニウム円筒に密着成形して、研磨後の厚さが0.8〜6mmで、体積抵抗が104 〜1010Ω・cmとするとよい。次いでウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電材料、フッ素系樹脂微粒子からなる半導電性の表面層を膜厚約15〜40μm設けて、所望の体積抵抗107 〜1011Ω・cmを有する転写ドラムとすることができる。このときの表面粗さは1μm(Ra)以下が好ましい。また、別の例としては上記のように作製した導電性弾性基体の上にフッ素樹脂等の半導電性のチューブを被せて、加熱により収縮させて所望の表面層と電気抵抗を有する転写ドラムを作製することも可能である。
【0043】
図4は、本発明の画像形成装置の一実施例を説明する図である。
図4において、感光体(潜像担持体)1が図示しない駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。感光体1の周りにはその回転方向に沿って、帯電手段として帯電器2、複数色の現像器10M、10Y、10C、10Kが、感光体の回転方向に、トナーの仕事関数が大きなトナーの現像器から順に配置されている。
【0044】
帯電器2は、感光体1の外周面に近接してその外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体1の外周面には露光ユニット3によって所望の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、この露光L1によって感光体1上に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器10M、10Y、10Cおよび10Kによって各色毎のトナーによって現像される。
【0045】
現像器は、感光体1の回転方向へ順に、仕事関数の大きなトナーから配置されている。この例では、マゼンタ用現像器10M、イエロー用現像器10Y、シアン用現像器10C、およびブラック用現像器10Kが順に配置されている。これら現像器10M、10Y、10C、10Kはそれぞれ揺動可能に構成されており、選択的に一つの現像器の現像ローラ9のみが感光体1に所定の間隔を保持して近接されるように構成されている。
【0046】
これらの現像器10M、10Y、10C、10K、は、負帯電トナーを現像ローラ上に保持しているものであり、これらの現像器10は、マゼンタM、イエローY、シアンC、ブラックKのうちのいずれかのトナーを感光体1の表面に付与して感光体1上の静電潜像を現像し、先に現像されたトナー上に順次異なる色のトナーを用いて画像を形成するものである。現像ローラ9は硬質のローラ、例えば表面を粗面化した金属ローラで構成されている。
現像されたトナー像は、用紙11上に転写される。転写後に、感光体上に残ったトナーは、クリーニング手段12によって除去される。
【0047】
用紙11は、給紙装置12の給紙カセット13からピックアップローラ14によって給送され、所定のタイミングで供給される。そして、感光体1に対向配置された当離接する転写ローラ15によって印加される転写電流によって感光体上に形成された画像が用紙11に一括して転写される。
【0048】
定着装置16によってトナーは加熱されて軟化し用紙上に定着されて画像が形成されて、排出部17へと排出される。なお、この画像形成装置においては、この排紙経路には、スイッチバック経路18をも有しており、シートの両側に画像を形成する場合には排紙経路に進入した紙が、返送ローラ19を通って再び転写ローラ15へと給紙されて、反対面に対して画像が形成される。
【0049】
次に、本発明の他の画像形成装置について説明する。
図5は、本発明の画像形成装置を説明する図である。
図5において、100は像担持体ユニットが組み込まれた像担持体カートリッジである。この例では、感光体カートリッジとして構成されていて、感光体と現像部ユニットが個別に装着できるようになっており、電子写真感光体(潜像担持体)140が図示しない適宜の駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。感光体140の周りにはその回転方向に沿って、帯電手段として帯電ローラ160、現像器10(M,Y,C,K)、中間転写装置30、およびクリーニング手段170が配置される。現像器は、仕事関数が大きなトナーから現像が行われる用に配置される。
【0050】
帯電ローラ160は、感光体140の外周面に当接してその外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体140の外周面には露光ユニット40によって所望の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、この露光L1によって感光体140上に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器10によって現像剤が付与されて現像される。
【0051】
現像器としてマゼンタ用の現像器10M、イエロー用の現像器10Y、シアン用の現像器10C、およびブラック用の現像器10Kが、トナーの仕事関数の大きな順に重ねて画像形成が形成されるように設けられている。
これら現像器10M、10Y、10C、10Kはそれぞれ揺動可能に構成されており、選択的に一つの現像器の現像ローラ9のみが感光体140に圧接されるように構成されている。これらの現像器10は、負帯電トナーを現像ローラ上に保持しているものであり、これらの現像器10はマゼンタM、イエローY、シアンC、ブラックKのうちのいずれかのトナーを感光体140の表面に付与して感光体140上の静電潜像を現像する。
現像ローラ9は硬質のローラ、例えば表面を粗面化した金属ローラで構成されている。現像されたトナー像は、中間転写装置30の中間転写ベルト36上に転写される。クリーニング手段170は、上記転写後に感光体140の外周面に付着しているトナーTを掻き落とすクリーナブレードと、このクリーナブレードによって掻き落とされたトナーを受けるクリーニングトナー回収部とを備えている。
【0052】
中間転写装置30は、駆動ローラ31と、4本の従動ローラ32、33、34、35と、これら各ローラの周りに張架された無端状の中間転写ベルト36とを有している。駆動ローラ31は、その端部に固定された図示しない歯車が感光体140の駆動用歯車とかみ合っていることによって感光体140とほぼ同一の周速で回転駆動され、したがって中間転写ベルト36が感光体140とほぼ同一の周速で図示矢印方向に循環駆動されるようになっている。
【0053】
当離接する従動ローラ35は駆動ローラ31との間で中間転写ベルト36がそれ自身の張力によって感光体140に圧接される位置に配置されており、感光体140と中間転写ベルト36との圧接部において、一次転写部T1が形成されている。従動ローラ35は、中間転写ベルトの循環方向上流側において一次転写部T1の近くに配置されている。
【0054】
駆動ローラ31には中間転写ベルト36を介して図示しない電極ローラが配置されており、この電極ローラを介して中間転写ベルト36の導電性層に一次転写電圧が印加される。従動ローラ32は、テンションローラであり、図示しない付勢手段によって中間転写ベルト36をその張り方向に付勢している。従動ローラ33は二次転写部T2を形成するバックアップローラである。このバックアップローラ33には中間転写ベルト36を介して二次転写ローラ38が対向配置されている。二次転写ローラには二次転写電圧が印加され、図示しない間隔調整機構により中間転写ベルト36に対して間隔が調整可能に構成されている。従動ローラ34はベルトクリーナ39のためのバックアップローラである。ベルトクリーナ39は図示しない間隔調整機構により中間転写ベルト36に対して間隔調整可能に構成されている。
【0055】
中間転写ベルト36は、導電層とこの導電層上に形成され、感光体140に圧接される抵抗層とを有する複層ベルトで構成されている。導電層は合成樹脂からなる絶縁性基体の上に形成されており、この導電層に前述した電極ローラを介して一次転写電圧が印加される。なお、ベルト側縁部において、抵抗層が帯状に除去されることによって導電層が帯状に露出し、この露出部に電極ローラが接触するようになっている。
【0056】
中間転写ベルト36が循環駆動される過程で、一次転写部T1において、感光体体140上に複数色のトナーを重ねて形成したトナー像が中間転写ベルト36上に一括して転写され、中間転写ベルト36上に転写されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ38との間に供給される用紙等の記録媒体Sに転写される。シートSは、給紙装置50から給送され、ゲートローラ対Gによって所定のタイミングで二次転写部T2に供給される。51は給紙カセット、52はピックアップローラである。
【0057】
2次転写部T2でトナー像が定着され、排紙経路70を通って装置本体の筐体80上に形成されたシート受け部81上に排出される。なお、この画像形成装置は、排紙経路70として互いに独立した2つの排紙経路71、72を有しており、定着装置60を通ったシートはいずれかの排紙経路71又は72を通って排出される。また、この排紙経路71、72はスイッチバック経路をも構成しており、シートの両側に画像を形成する場合には排紙経路71又は72に一旦進入したシートが、返送ローラ73を通って再び二次転写部T2に向けて給紙されるようになっている。
【0058】
以上のような画像形成装置全体の作動の概要は次の通りである。
(1)図示しないパーソナルコンピュータ等から画像情報が画像形成装置の制御部90に送信されると、感光体140、現像器10の各ローラ9、および中間転写ベルト36が回転駆動される。
(2)感光体140の外周面が帯電ローラ160によって一様に帯電される。(3)一様に帯電した感光体140の外周面に、露光ユニット40によって、仕事関数が最も大きな第1色目のトナー(例えばマゼンタ)の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、マゼンタ用の静電潜像が形成される。
(4)感光体140には、第1色目のマゼンタ用の現像器10Mの現像ローラのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目のマゼンタのトナー像が感光体140上に形成される。
【0059】
(5)次いで、仕事関数が大きなトナーから順に複数のトナーを重ねて画像を形成される。
(6)すべての画像が感光体上に形成された後に、中間転写ベルト36には、上記トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体140上に形成されたトナー像が一次転写部T1において中間転写ベルト36上に一括して転写される。このとき、二次転写ローラ38およびベルトクリーナ39は中間転写ベルト36から離間している。
(7)感光体140上に残留しているトナーがクリーニング手段170によって除去された後、除去手段41から徐電光L2によって感光体140が除電される。
【0060】
(8)所定のタイミングで給紙装置50からシートSが給送され、シートSの先端が二次転写部T2に達する直前あるいは達した後に、すなわちシートS上の所望の位置に、中間転写ベルト36上のトナー像が転写されるタイミングで、二次転写ローラ38が中間転写ベルト36上のトナー像、すなわち4色のトナー像が重ね合わせられたフルカラー画像がシートS上に転写される。また、ベルトクリーナ39が中間転写ベルト36に当接し、二次転写後に中間転写ベルト36上に残留しているトナーが除去される。
(9)記録媒体Sが定着装置60を通過することによってシートS上のトナー像が定着し、その後、シートSが所定の位置に向け(両面印刷でない場合にはシート受け部81に向け、両面印刷の場合にはスイッチバック経路71または72を経て返送ローラ73に向け)搬送される。
本発明に係る画像形成装置では、感光体140には現像ローラ9、中間転写媒体36は非接触状態で接触される。
【0061】
本発明のトナーの製造に使用するトナー母粒子としては、粉砕法および重合法により得られるトナー母粒子のいずれでも良いが、円形度が良好な重合法トナーが好ましい。
粉砕法トナーとしては、樹脂バインダーに少なくとも顔料を含有し、離型剤、荷電制御剤等を添加し、ヘンシェルミキサー等で均一混合した後、2軸押し出し機で溶融混練され、冷却後、粗粉砕−微粉砕工程を経て、分級処理され、さらに、外添粒子が付着されてトナー粒子とされる。
【0062】
バインダー樹脂としてはトナー用樹脂として使用されている合成樹脂が使用可能であり、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は複合して使用できる。
【0063】
特に本発明においては、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。バインダー樹脂としてはガラス転移温度が50〜75℃、フロー軟化温度が100〜150℃の範囲が好ましい。
【0064】
着色剤としては、トナー用着色剤が使用可能である。例えばカーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料および顔料を単独あるいは複合して使用できる。
【0065】
離型剤としては、トナー用離型剤が使用可能である。例えばパラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、エステルワックス等を使用することが好ましい。
【0066】
荷電調整剤としては、トナー用荷電調整剤が使用可能である。例えば、オイルブラック、オイルブラックBY、ボントロンS−22およびS−34(オリエント化学工業製)、サリチル酸金属錯体E−81、E−84(オリエント化学工業製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業製)、カリックスアレン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシルカルボン酸系金属錯体、芳香族ジカルボン酸系金属錯体、多糖類等が挙げられる。なかでもカラートナー用には無色ないしは白色のものが好ましい。
【0067】
粉砕法トナーにおける成分比としては、バインダー樹脂100重量部に対して、着色剤は0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部であり、また、離型剤は1〜10重量部、好ましくは2.5〜8重量部であり、また、荷電制御剤は0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0068】
本発明の粉砕法トナーにあっては、転写効率の向上を目的とした場合、球形化処理されるとよく、そのためには、粉砕工程で、比較的丸い球状で粉砕可能な装置、例えば機械式粉砕機として知られるターボミル(川崎重工業製)を使用すれば円形度は0.93まで高めることができる。または、粉砕したトナーを熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製)を使用することによって円形度を1.00まで高めることができる。
なお、本発明において、トナー母粒子やトナー粒子の平均粒径と円形度は、粒子像分析装置(シスメックス製 FPIA2100)で測定した値である。
【0069】
また、重合法トナーとしては、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等により得られるトナーが挙げられる。懸濁重合法においては、重合性単量体、着色顔料、離型剤とを必要により更に、染料、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤を添加した複合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤(水溶性高分子、難水溶性無機物質)を含む水相中に撹拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズを有する着色重合トナー粒子を形成することができる。
【0070】
乳化重合法においては、単量体と離型剤を必要により更に重合開始剤、乳化剤(界面活性剤)などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤、荷電制御剤と凝集剤(電解質)等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子を形成することができる。
重合法トナー作製に用いられる材料において、着色剤、離型剤、荷電制御剤、に関しては、上述した粉砕トナーと同様の材料が使用できる。
【0071】
重合性単量体成分としては、公知のビニル系モノマーが使用可能であり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレイン酸、無水フタル酸、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルナフタレン等が挙げられる。なお、フッ素含有モノマーとしては例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピレンなどはフッ素原子が負荷電制御に有効であるので使用が可能である。
【0072】
乳化剤(界面活性剤)としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等がある。
【0073】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等がある。
【0074】
凝集剤(電解質)としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等が挙げられる。
【0075】
重合法トナーの円形度の調節法としては、乳化重合法は2次粒子の凝集過程で温度と時間を制御することで、円形度を自由に変えることができ、その範囲は0.94〜1.00である。また、懸濁重合法では、真球のトナーが可能であるため、円形度は0.98〜1.00の範囲となる。また、円形度を調節するためにトナーのTg温度以上で加熱変形させることで、円形度を0.94〜0.98まで自由に調節することが可能となる。
また、トナーの個数平均粒径は、9μm以下であることが好ましく、8μm〜4.5μmであることがより好ましい。9μmよりも大きなトナーでは、1200dpi以上の高解像度で潜像を形成しても、その解像度の再現性が小粒子径のトナーに比べて低下し、また4.5μm以下になると、トナーによる隠蔽性が低下するとともに、流動性を高めるために外添剤の使用量が増大し、その結果、定着性能が低下する傾向があるので好ましくない。
【0076】
次に、外添剤について説明する。本発明のトナー粒子には、外添剤として、シリカ粒子と、シリカの表面をチタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、水酸化物によって修飾した表面修飾シリカ粒子を含み、シリカ粒子に対して表面修飾シリカ粒子が重量比で1.5倍以下の比で含有されている。
【0077】
また、その他の外添剤としては、各種の無機および有機のトナー用流動性改良剤が使用可能である。例えば、正帯電性シリカ、二酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ案、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、マグネタイト、二硫化モリブデン、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸金属塩、ケイ素金属塩の各微粒子を使用するこるとができる。これらの微粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して使用することが好ましい。その他の樹脂微粒子の例としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。流動性改良剤は単独あるいは混合して使用でき、その使用量はトナー100重量部に対して0.1ないし5重量部、より好ましくは0.5ないし4.0重量部であることが好ましい。
【0078】
シリカ粒子としては、ケイ素のハロゲン化物等から乾式で作製した粒子、およびケイ素化合物から液中で析出した湿式法によるもののいずれをも用いることができる。
そして、シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、7nm〜40nmとすることが好ましく、10nm〜30nmとすることがより好ましい。また、シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径が7nmより小さいと、トナーの母粒子に埋没しやすくなり、また、負に帯電しやすくなる。そして、40nmを超えるとトナー母粒子の流動性付与効果が悪化し、トナーを均一に負に帯電させることが困難になる結果、逆帯電である正に帯電したトナー量が増加する傾向となる。
【0079】
本発明においては、シリカ粒子として、個数平均粒径分布が異なるシリカを混合して用いることが好ましく、粒径が大きな外添剤を含有することによって、トナー粒子中に外添剤が埋まってしまうことを防止し、小径のシリカ粒子によって好ましい流動性を得ることができる。
具体的には、一方のシリカの個数平均一次粒子径が5nm〜20nmであることが好ましく、7〜16nmであることがより好ましい。また、他方のシリカの個数平均一次粒子径が30nm〜50nmであることが好ましく、30〜40nmである粒子を併用することがより好ましい。
【0080】
なお、本発明における外添剤の粒径は、電子顕微鏡像によって観察して測定したものであり、個数平均粒子径を平均粒子径としている。
【0081】
本発明において外添剤として使用するシリカ粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して使用することが好ましく、例えばジメチルジクロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジペンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン等が例示される。
【0082】
また、シリカ粒子と、金属化合物によって表面を修飾したシリカをシリカ粒子に対して所定の量を併用することが好ましい。表面修飾シリカとしては、50〜400m2/gの比表面積を有するシリカ粒子を、チタン、スズ、ジルコニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一種の水酸化物あるいは酸化物で被覆したものである。
【0083】
これらの配合量は、シリカ粒子100重量部に対し、1〜30重量部のこれらの水酸化物、酸化物で被覆したスラリーとし、引き続いてスラリー中の固形分に対し、アルコキシシランを3〜50重量部を被覆した後、アルカリで中和し、ろ過、洗浄、乾燥及び粉砕を行うことによって得ることができる。表面修飾シリカに使用するシリカ微粒子は、湿式法あるいは気相法で製造されたいずれの粒子を使用することができる。
【0084】
また、シリカ粒子の表面修飾は、チタン、スズ、ジルコニウム、アルミニウムを少なくとも一種を含有する水系の溶液を使用することができ、例えば、硫酸チタン、四塩化チタン、塩化スズ、硫酸第一スズ、オキシ塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を挙げることができる。
シリカ粒子をこれらの金属酸化物、水酸化物での表面修飾は、これらの金属化合物の水系溶液によってシリカ粒子のスラリーを処理することによっておこなうことができる。処理温度は、20〜90℃とすることが好ましい。
【0085】
次いで、アルコキシシランによって被覆することによって、疎水化処理を行う。疎水化処理は、スラリーのpHを2〜6、好ましくはpH3〜6に調整した後、少なくとも一種のアルコキシシランをシリカ微粒子100重量部に対して30ないし50重量部を添加し、スラリーの温度を20〜100℃、好ましくは30〜70℃に調整し、加水分解及び縮合反応を行うことによって実現することができる。
【0086】
また、アルコキシシランを添加した後には、スラリーを撹拌した後、pH4〜9、好ましくは5〜7とpHの調整を行って縮合反応を促進することが好ましい。pHの調整は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水、アンモニアガス等を使用することができる。この様な処理を行うことで、均一に疎水化処理された安定な微粒子が得られる。
次いで、スラリーをろ過、水洗後に乾燥を行うことによって表面修飾されたシリカ微粒子を得ることができる。
乾燥は、100〜190℃、好ましくは110〜170℃である。100℃未満だと乾燥効率が悪く疎水化度が低くなるので好ましくない。また、190℃を超えると、炭化水素基の熱分解により変色と疎水化度の低下が起こるので好ましくない。
疎水化処理は、表面修飾シリカ粒子にアルコキシシランを添加した後にヘンシェルミキサー等を用いて被覆することもできる。
【0087】
本発明において、これらの外添剤は、トナー母粒子100重量部に対して0.05〜2重量部とすることが好ましい。
0.05重量部よりも少ない場合には、流動性付与、および過帯電防止に効果がなく、逆に2重量部を超えると、負帯電の電荷量が低下すると同時に、逆極性である正帯電のトナー量が増加し、カブリや逆転写トナー量を増加する結果となる。
【0088】
【実施例】
以下に、実施例を示し本発明を説明する。
(トナー1の製造例)
スチレンモノマー80重量部、アクリル酸ブチル20重量部、およびアクリル酸5重量部からなるモノマー混合物を、水105重量部、ノニオン乳化剤(第一工業製薬製エマルゲン950)1重量部、アニオン乳化剤(第一工業製薬製ネオゲンR)1.5重量部、および過硫酸カリウム0.55重量部の水溶液混合物に添加し、窒素気流中下で撹拌行いながら70℃で8時間重合を行った。重合反応後冷却し、乳白色の粒径0.25μmの樹脂エマルジョンを得た。
【0089】
次に、この樹脂エマルジョン200重量部、ポリエチレンワックスエマルジョン(三洋化成工業 製)20重量部およびフタロシアニンブルー7重量部を界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部を含んだ水中へ分散し、ジエチルアミンを添加してpHを5.5に調整後撹拌しながら電解質として硫酸アルミニウム0.3重量部を加え、次いで撹拌装置(TKホモミキサー)で高速撹拌して分散を行った。
更に、スチレンモノマー40重量部、アクリル酸ブチル10重量部、サリチル酸亜鉛5重量部を水40重量部と共に追加し、窒素気流下で撹拌しなが同様にして、90℃に加熱し、過酸化水素水を加えて5時間重合し、粒子を成長させた。重合停止後会合粒子の結合強度を上げるため、pHを5以上に調整しながら95℃に昇温し、5時間保持した。
【0090】
その後得られた粒子を水洗し、45℃で真空乾燥を10時間行った。得られたシアントナーは平均粒径6.8μmの円形度0.98のトナーを得た。
なお、円形度の測定は、フロー式粒子像解析装置(シスメックス株式会社製FPIA2100)を用いて行い、下記式(1)で表現した。
R=L0/L1…(1)
ただし、L1は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長(μm)である。
L0は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい真円の周囲長(μm)である。
【0091】
このトナーに対して、重量比で流動性改良剤である平均一次粒子径が約12nmの疎水性シリカを1重量%、平均一次粒子径が40nmの疎水性シリカを0.7重量%添加混合し、次いで平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタンを0.5重量%と平均一次粒子径が30nmの疎水性のシリカをアミノシランで表面処理した正帯電性疎水性シリカを0.4重量%添加混合しトナー1(C1)を得た。
得られたトナーの仕事関数を表面分析装置(理研計器製AC−2型)を用い、照射光量500nWで測定すると5.54eVであった。
【0092】
(トナー2の製造例)
トナー1において、顔料のフタロシアニンブルーをキナクリドンに変更し、また二次粒子の会合と造膜結合強度を上げる温度を90℃で行い、トナー2(M2)を作製した。得られたマゼンタトナーの円形度は0.972、仕事関数は5.63eVであった。このトナーの個数基準の平均粒径は6.9μmであった。
【0093】
(トナー3、4の製造例)
トナー2において、顔料をピグメントイエロー180とカーボンブラックに変えた点以外はトナー2と同様にして重合を行い、流動性改良剤を添加し、円形度0.972、仕事関数5.58eV、平均粒径7.0μmのイエロートナー3(Y3)と、円形度0.973、仕事関数5.48eV、平均粒径6.9μmのブラックトナー4(Bk4)を作製した。
【0094】
(トナー5の製造例)
芳香族ジカルボン酸とアルキレンエーテル化ビスフェノールAとの重縮合ポリエステルと該重合ポリエステルの多価金属化合物による一部架橋物の50:50(重量比)混合物(三洋化成工業製)100重量部、シアン顔料のピグメントブルー15:1を5重量部、離型剤として融点が152℃、重量平均分子量Mwが4000のポリプロピレン1重量部、および荷電制御剤としてのサリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業製)4重量部をヘンシェルミキサーを用い、均一混合した後、内温130℃の二軸押し出し機で混練した後、冷却した。
【0095】
冷却物を2mm角以下に粗粉砕し、次いでジェットミルで微粉砕し、ローター回転による分級装置により分級し、平均粒径6.2μmで、円形度0.905の分級トナーを得た。分級したトナーに対し、重量比で0.2質量%の疎水性シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積250m2/g)を加え表面処理を行った後、
熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製 SFS−3型)を使用し、熱処理温度200℃において、部分的に球形化処理を行った後、同様にして再度分級し平均粒径6.3μm、円形度0.940のシアントナー5のトナー母粒子を得た。このトナー母粒子に対し、トナー1と同様にして流動性改良剤を添加混合し、トナー5(C5)を作製した。得られたトナーの仕事関数をトナー1と同様に測定すると5.48eVであった。
【0096】
(トナー6、7、8の製造例)
トナー5において、顔料をナフトールAS系の6Bに変えた以外はトナー5と同様にして粉砕、分級、熱処理、再分級および表面処理を行い、平均粒径6.5μmで円形度0.942のマゼンタトナー6(M6)を得た。このトナー6の仕事関数を測定したところ、5.53eVであった。同様にして、イエロー顔料として、ピグメントイエロー93を使用してトナー7(Y7)を調製し、またカーボンブラックを使用してトナー8(Bk8)を作製した。
得られたトナーの平均粒径と円形度は、同様のトナー6と同じ値を示し、またそれぞれのトナーの仕事関数は、トナー7(Y7)は、5.57eV(イエロー)およびトナー8(Bk8)は5.63eV(ブラック)であった。
【0097】
(有機感光体(OPC1)の製造例)
直径アルミニウム管からなる導電性支持体に、下引き層として、アルコール可溶性ナイロン(東レ製 CM8000)の6重量部とアミノシラン処理された酸化チタン微粒子4重量部をメタノール10O重量部に溶解、分散させてなる塗工液を、リングコーティング法で塗工し、温度100℃で40分乾燥させ、膜厚1.5〜2μmの下引き層を形成した。
この下引き層上に、電荷発生顔料のチタニルフタロシアニン1重量部とブチラール樹脂(積水化学工業製 BX−1)1重量部とジクロルエタン100重量部とを、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで8時間分散させた。得られた顔料の分散液を、上記で作製した支持体を用いて、リングコーティング法で塗工し、80℃で20分間乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0098】
この電荷発生層上に、下記構造式(1)のべンジジン化合物からなる電荷輸送物質40重量部とポリカカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトTS)60重量部をトルエン400重量部に溶解させ、乾燥膜厚が22μmになるように浸漬コーティング法で塗工、乾燥させて電荷輸送層を形成し、2層からなる感光層を有する有機感光体(OPC1)を作製した。
得られた有機感光体の一部を切り欠いて試料片とし、その仕事関数を表面分析装置(理研計器製 AC−2型)を用い、照射光量500nWで測定したところ、5.72eVを示した。
【0099】
【化1】
【0100】
(有機感光体(OPC2)の製造例)
有機感光体(OPC1)において、電荷発生顔料としてオキシチタニルフタロシアニン、電荷輸送物質に下記構造式(2)のブタジエン化合物に代えた点以外は有機感光体1と同様にして有機感光体(OPC2)を作製した。この有機感光体の仕事関数を同様にして測定すると、5.27eVであった。
【0101】
【化2】
【0102】
(現像ローラの作製)
直径18mmのアルミニウム管表面に、厚さ10μmのニッケルメッキ層を形成し、表面粗さ(Rz)4μmの表面を得た。この現像ローラ表面の仕事関数を測定したところ、4.58eVであった。
【0103】
(規制ブレードの作製)
厚さ80μmのステンレス板に厚さ1.5mmの導電性ウレタンチップを導電性接着剤で貼り付けて製造した。ウレタン部の仕事関数を同様に測定したところ5eVであった。
【0104】
実施例1および2、比較例1ないし7
有機感光体(OPC1またはOPC2)を用い、前述の現像ローラと規制ブレードを装着した図4に示す一括転写方式のカラープリンターを用いて、前述したトナー1〜トナー4の入った各現像カートリッジを装着し、表1に示すようなトナーの順序で非接触1成分現像方式による作像試験を行った。
なお、作像に際しては、有機感光体の周速を200mm/s、現像ローラの周速は有機感光体に対して周速比1.4とし、そして、前述のトナー規制ブレードの規制条件を調整して、現像ローラ上のトナー搬送量を、トナーを略一層、すなわち、画像形成する部分の面積の1ないし1.3倍の投影面積に相当するトナー層を形成する量である0.4mg/cm2〜0.43mg/cm2に設定した。
【0105】
作像条件は現像ローラと感光体の間隔を210μmに隙間を調整し、直流現像バイアス−200Vに重畳するACは周波数2.5kHz、P−P電圧1400Vの設定で、現像ローラと供給ローラは同電位とした。
【0106】
次に、図4のプリンターの作像条件を、各色トナーのベタ印字画像の有機感光体上の現像付着トナー量を0.48mg/cm2〜0.51mg/cm2となるように設定した。そして、ベタ画像印字のデータを与え、3色のトナー像を感光体上に形成させた。
次いで、転写部である転写ローラの転写電流を20μAにし、転写材の紙(80g/m2 )に転写を行い、有機感光体上に残る転写残りトナー量と転写前の現像付着トナー量をテープ(住友スリーエム製メンディングテープ)を貼り付け、貼り付け前後のテープ重量の差から現像トナー量、転写残りトナー量を求めるテープ転写法で求め転写効率を計算した。
【0107】
その結果を表1に示す。これは、トナーの現像付着量を最大300%とし、3色のコンポジットブラックの形成と、中間調の再現性を想定したものであり、またブラックトナーは墨いれと黒線画像や文字原稿を想定して3色転写実験を行った。
また、4色の現像器の内、必要な現像順に応じて各色のトナーを該当する現像ユニットに装填した。ここで、4色目に相当する現像器は空にしてベタ印字試験を行えるようにした。
使用したトナーは、シアントナー1(略記号C1、仕事関数:5.54eV)、マゼンタトナー2(略記号M2、仕事関数:5.63eV)、イエロートナー3(略記号Y3、仕事関数:5.58eV)およびブラックトナー4(略記号BK4、仕事関数:5.48eV)であり、現像順は略記号で表1中に示した。
【0108】
【表1】
【0109】
表1の結果から、本発明のように、トナーの仕事関数より仕事関数が大きな有機感光体を用いて、仕事関数の大きいトナーより順に重ね現像を行うことで、高い転写効率を得ることが示された。
【0110】
実施例3、4および比較例8ないし14
実施例1と同様の条件で、表2に記載の前述でトナー5〜8で色重ね画像の作像試験を行い転写効率を求め、結果を表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
使用するトナーは、シアントナー5(略記号C5、仕事関数:5.48eV)、マゼンタトナー6(略記号M6、仕事関数:5.53eV)、イエロートナー7(略記号Y7、仕事関数:5.57eV)およびブラックトナー8(略記号BK8、仕事関数:5.63eV)であり、現像順は略記号で表2中に示した。
表2の結果から、本発明である仕事関数の大きいトナーより順に現像を行うことで、高い転写効率を得ることが示された。
【0113】
実施例5
前述のトナー1〜4を使用し、図4の一括転写方式のカラープリンターによる連続印字試験を行った。なお、有機感光体には、OPC1を用い、他の条件は実施例1と同様にした。
そして、現像器にはマゼンタトナー2(仕事関数:5.63eV)を、現像器にはイエロートナー3(仕事関数:5.58eV)を、現像器にはシアントナー1(仕事関数:5.54eV)を、現像器にはブラックトナー4(仕事関数:5.48eV)を装填した。
連続印字試験は、各色5%カラー原稿(文字およびカラーの線画像含む)に相当する文字原稿を10000枚連続して画像形成を行い、その後感光体のクリーニングトナー量を計測した。そして、これとは別に比較例15とし、現像部材上のトナーの搬送量を0.51mg/cm2〜0.53mg/cm2となるように規制条件を設定し、かつ、有機感光体上の現像されたトナー量を0.56mg/cm2〜0.58mg/cm2となるようにした場合についても同様な連続印字試験を行った。それらの連続印字試験後の計測したクリーニング量を表3に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
これらの結果からは、現像順をトナーの仕事関数の大きいトナーからおこなっても、1色あたりのトナーの搬送量が0.5mg/cm2 より多く、かつ現像付着量が0.55mg/cm2 より多くなると転写効率が低下し、クリーニング量が増大することが示された。これは、トナーの薄層化がおこなえず、トナーの摩擦帯電不良に伴う逆極性のプラストナー量の増加と、トナー層間で電子(電荷)の移動後には正電荷を生じ、部分的に正トナーとなり、総体的にプラストナー量が増えることで転写性能の低下をもたらすものとと考えられる。
【0116】
実施例6
実施例5と同様にして、有機感光体(OPC1)を用い、前述の現像ローラと規制ブレードを装着した図4に示す一括転写方式のカラープリンターを用いて、前述したトナー5〜トナー8を入れた各色の現像器を装着し、非接触1成分現像方式による作像試験を行った。
【0117】
なお、現像器1にはブラックトナー8(仕事関数:5.63eV)を、現像器2にはイエロートナー7(仕事関数:5.57eV)を、現像器3にはマゼンタトナー6(仕事関数:5.53eV)を、現像器4にはシアントナー5(仕事関数:5.48eV)を装填し、現像をトナーの仕事関数の大きい順とした。
そして、プリンターの作像条件を、現像ローラ上のトナー搬送量を、表面積に対して1.3倍の被覆率となる量の0.4mg/cm2〜0.43mg/cm2に、各色トナーのベタ印字画像の有機感光体上の現像付着トナー量を0.48mg/cm2〜0.51mg/cm2となるように設定した。
【0118】
連続印字試験は、各色5%カラー原稿(文字およびカラーの線画像含む)に相当する文字原稿を10000枚連続してプリントを行い、その後感光体のクリーニングトナー量を計測した。そして、これとは別に比較例16とし、有機感光体(OPC2)を用いた場合について、比較例17として有機感光体(OPC1)を用いながらも、現像順を変えて同様な連続印字試験を行った。それらの連続印字試験後の計測したクリーニング量を表4に示す。また、表4には3色が重ねられる線画像のトナーの均一性をトナーの散り(線画像の周辺に重ねられなかった色のトナーを識別した)を5倍のルーペで目視で確認し、トナーが散っていないものを良、トナーの散りが生じたものは不良と評価して記入している。
【0119】
【表4】
【0120】
以上の結果から、現像順をトナーの仕事関数の大きい順で、しかも有機感光体(OPC)の仕事関数がトナーより大きい場合が最もクリーニング量が少ないことが示された。
【0121】
本発明におけるトナーの現像順序による転写効率の違いは以下のように考えられる。
図6は、本発明の実施例の有機感光体上に重ね合わされたトナーを説明する図である。
図6(A)に示すように、仕事関数ΦTm=5.63のマゼンタトナーTmは、ΦTy=5.58のTyはイエロートナー、ΦTc=5.54のシアントナー、ΦTbk=5.48のブラックトナーが、仕事関数ΦOPC =5.72の有機感光体(OPC)上に、仕事関数が大きな順に4色のトナーが順次重ね現像されている。
【0122】
矢印aの方向に電子(電荷)が移動し、第1のマゼンタトナーを中心に静電的に有機感光体上に付着しており、各トナー間の色ずれや飛散が生じることを防止している。有機感光体上の第1色目のマゼンタトナーの電子(電荷)は有機感光体に移動するが、現像の間はその鏡像力、すなわち静電力によって感光体に静電的に付着している。
【0123】
次いで、図6(B)に示すように、転写材Pに転写される時には、色重ね現像されたトナー間での電荷の移動によって電荷量に調整される。転写時には、その結果、鏡像力が弱まると同時に有機感光体上の電荷(負帯電)との斥力(反発力)である矢印b方向の力が増大する。また、転写材P背面に転写ローラに正の転写電圧を印加することで、転写電界方向cと、反発力bの方向が一致する結果、転写効率が向上するものと考えられる。
【0124】
図7は、本発明の比較例における有機感光体上に重ね合わされたトナーを説明する図である。
図7(A)に示すように、仕事関数ΦTm=5.63のマゼンタトナーTmは、ΦTy=5.58のTyはイエロートナー、ΦTc=5.54のシアントナー、ΦTbk=5.48のブラックトナーが、仕事関数ΦOPC =5.27の有機感光体(OPC)上に、仕事関数が大きな順に4色のトナーが順次重ね現像されている。
【0125】
マゼンタトナーには背後のトナー層と、マゼンタトナーよりも仕事関数が小さな有機感光体から矢印a1およびa2の方向へ双方から電子(電荷)が移動しトナー層の中では一番電荷が高い状態が形成されている。
静電的に有機感光体上に付着(鏡像力)しており、各トナー間の色ずれや飛散が生じることを防止している。有機感光体上に最初に形成されたトナー像であるマゼンタトナーの電子(電荷)は有機感光体側から移動するが、現像を通じその間はその鏡像力で感光体に静電的に付着している。
一方、転写材Pに転写される時には第1トナー層であるマゼンタトナーの電荷量がより大きくなっているので、鏡像力を示す矢印dが小さくなることはなく、転写に有利な斥力の増大も見られない。
そして、図7(B)に示すように転写時には、転写材背面に正の転写電圧を印加しても、第1層のマゼンタトナーの電荷が最も大きいので転写材への転写電界を示す矢印cと鏡像力dとが相反する方向へ作用する結果、転写電界が弱まる。
その結果、図6に示したものに比べて転写効率が低下するものと考えられる。
【発明の効果】
本発明においては、潜像担持体の表面に、複数色のトナーを仕事関数が大きな順に重ねて画像形成をした結果、色重ねされたトナーは確実に重なりあって、トナーの散り等を生じることはなく、色再現性に優れた高画質の画像形成が可能となり、転写効率も向上する。その結果、潜像担持体から転写残りトナーとして回収されるトナー量を減少することが可能となり、廃トナー容器をより小さくできるので、画像形成装置の小型化も可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、仕事関数の測定に使用する試料測定セルを説明する図である。
【図2】図2は、仕事関数の測定方法を説明する図である。
【図3】図3は、本発明の画像形成装置を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の画像形成装置を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の他の例の画像形成装置を説明する図である。
【図6】図6は、本発明の実施例の有機感光体上に重ね合わされたトナーを説明する図である。
【図7】図7は、本発明の比較例における有機感光体上に重ね合わされたトナーを説明する図である。
【符号の説明】
1…感光体、2…帯電器、3…露光、4…中間転写媒体、5…クリーニングブレード、6…バックアップ、7…トナー供給ローラ、8…規制ブレード、9…現像ローラ、10…現像器、10(Y),10(M),10(C)、10(K)…現像器、11…用紙、12…給紙装置、13…給紙カセット、14…ピックアップローラ、15…転写ローラ、16…定着装置、17…排出部、18…スイッチバック経路18、19…返送ローラ、20(M),20(Y),20(C),20(K)…単色トナー像形成手段、30…中間転写装置、40…露光ユニット、50…給紙装置、100…像担持体カートリッジ、140…感光体、160…帯電ローラ、170…クリーニング手段、L1…露光、T…トナー
Claims (9)
- 像担持体上に静電潜像を形成し、複数色の現像器を用い、順次トナー像を形成した後に、形成されたトナー像を転写材上に一括して転写する画像形成装置において、仕事関数が像担持体の仕事関数よりも小さな複数色のトナーの現像器を、仕事関数の大きいトナー順に現像するように配置したことを特徴とする画像形成装置。
- 画像形成される像担持体が有機感光体であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 転写材が、紙、合成樹脂製シートから選ばれる記録媒体、もしくは記録媒体への転写に使用される中間転写媒体であることを特徴とする請求項1または記載の画像形成装置。
- 負帯電トナー、および反転現像器を用いたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 像担持体上に付着するトナーの厚さが規制ブレードによって搬送量が0.45mg/cm2 以下に規制された非磁性一成分トナーを用いたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 像担持体上に静電潜像を形成し、複数色の現像器を用い、順次トナー像を形成した後に、形成されたトナー像を転写材上に一括して転写する画像形成装置に用いるトナーにおいて、仕事関数が像担持体の仕事関数よりも小さな複数色のトナーの現像器を、仕事関数の大きいトナー順に現像するように配置するとともに、トナーは、少なくとも疎水性の二酸化ケイ素粒子と疎水性二酸化チタンを流動性改良剤として含有することを特徴とするトナー。
- トナーは、トナー粒子の投影像の測定によって求めたトナー粒子の投影像の周囲長(μm)L1と、トナー粒子の投影像の面積に等しい真円の周囲長(μm)L0との比、L0/L1で表される円形度が0.94以上であることを特徴とする請求項6記載のトナー。
- 個数基準の平均粒子径が4.5〜9μmであるトナーであることを特徴とする請求項6または7記載のトナー。
- トナーは有機化合物のモノマー、オリゴマーの少なくともいずれかを、着色剤を含有させて重合をすることによって形成したものであることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のトナー。
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