JP2007148198A - 負帯電性一成分トナーおよびカラー画像形成装置 - Google Patents

負帯電性一成分トナーおよびカラー画像形成装置 Download PDF

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【課題】 本発明は、長時間連続印字を行ってもカブリやトナー飛散及びトナー漏れが無く、転写効率の低下も無く、クリーニングトナー量の増大をもたらすことがなく、廃トナー容器を小型化でき、画像形成装置を小型化しうる負帯電性一成分トナーおよびそのカラー画像形成装置の提供を課題とする。
【解決手段】 本発明の負帯電性一成分トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなる球形のトナー母粒子に(1)小粒径の負帯電性シリカ微粒子、(2)大粒径の負帯電性球形シリカ微粒子、(3)酸化チタン微粒子、(4)α型アルミナ微粒子、(5)金属石鹸粒子を外添処理したものであり、また、仕事関数の関係としてα型アルミナ微粒子の仕事関数(Φa)<トナー母粒子の仕事関数(Φt)<酸化チタン微粒子の仕事関数(Φs)とするものである。
【選択図】 図5

Description

本発明は、電子写真法における負帯電性一成分トナーおよびカラー画像形成装置に関する。
電子写真法では、光導電性物質を設けた潜像坦持体に形成した静電潜像を着色剤を含有したトナーを用いて現像した後に、トナー画像を中間転写媒体に転写し、更に紙等の記録材に再転写し、熱、圧力等により定着して複写物や印刷物を形成するものである。
このような画像形成方法においては、負帯電性一成分トナーを用いて長時間の印字或いは数万を越す印字を行うと、通常、クリーニングトナー量が多く発生し、廃トナー処理容器を大型化せざるを得なくなるという問題が生じ、画像形成装置を小型化する観点からは問題となる。また、ランニングコストを下げる観点からは、感光体ユニットや現像器ユニットの長寿命化を図る必要があるが、負帯電性一成分トナーによるドラムフィルミングの発生やトナー飛散、トナー漏れが生じる結果、感光体ユニットや現像器ユニットの所望の寿命達成が困難となり、ランニングコストを下げる観点からは問題となる。
従来、トナー母粒子に平均粒径が1mμ〜50mμのシリカ微粒子、それより粒径が大きく、平均粒径が6mμ〜100mμの酸化チタン、アルミナ等の微粒子、平均粒径が100mμ〜5000mμのチタン酸ストロンチウム粒子の3種の異なる平均粒径の外添剤を外添処理してトナー粒子とすることが知られ(特許文献1)、大小の粒径の外添剤を混在させることにより外添剤の埋没を防止しながら、トナーに対して流動性と帯電特性を付与することが知られている。また、トナー母粒子に、粒径10〜300nmのアルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄から選ばれる球状無機酸化物微粒子と、一次粒径が10〜50nmで、かつ、二次粒径が50〜500nmのシリカ微粒子を被覆してトナーとすることにより、長期に亘って良好な画質を維持できることが知られ(特許文献2)ている。また、球形ないし略球形トナー母粒子に、トナーの帯電特性とは逆極性であると共に体積平均粒径が0.3〜2μmのチタン酸ストロンチウム等の研磨剤微粒子と、比重が1.3〜1.9で平均粒径が80〜300nmの単分散シリカ微粒子、単分散シリカ微粒子より粒径の小さい有機化合物を外添処理することにより、外添剤の飛散や画質低下を防止しつつクリーニング不良を防止することが知られ(特許文献3)ている。
このように、種々の外添剤を組合せたトナーが知られているが、何れのトナーにおいてもランニングコストを下げる目的で、例えば図5に示すようなトナー補給式のタンデムカラープリンタで5万枚の印字を行うと、トナー母粒子の表面から外添剤の離脱が生じて、転写残りトナーや感光体上のカブリトナーの増大に伴い、クリーニングトナー量が増大し、頻繁に廃トナー容器の交換もしくは大型の廃トナー容器を準備する必要があり、画像形成装置を小型化する観点からは問題となる。
また、ポリエステル樹脂からなる負帯電性のトナー母粒子に、外添剤として正帯電性シリカ微粒子と負帯電性シリカ微粒子と低電気抵抗値を有する無機微粒子を用いることが知られているが(特許文献4)、トナー収容部内蔵の無補給式現像装置に使用されると、印字枚数が1万枚程度であるとあまり問題は生じないものの、例えば図5に示すようなトナー外部補給式の現像装置で連続印字を行うと、外添剤の離脱を生じたトナーや逆極性に帯電したトナーが現像装置に蓄積する結果、感光体上のカブリや転写残りトナーが増大し、クリーニングトナー量が増大し、画像形成装置を小型化する観点からは問題となる。
特開昭63−289559号公報 特開平11−327195号公報 特開2002−318467 特開2000−267337
本発明は、長時間連続印字を行ってもカブリやトナー飛散及びトナー漏れが無く、転写効率の低下も無く、クリーニングトナー量の増大をもたらすことがない負帯電性一成分トナーであって、廃トナー容器を小型化でき、画像形成装置を小型化しうる負帯電性一成分トナーおよびカラー画像形成装置の提供を課題とする。
本発明の負帯電性一成分トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなり、個数基準の平均粒径が4.5〜9μmであり、3μm以下の平均粒径の積算値が1%以下である粒度分布を有し、かつ、平均円形度が0.95〜0.99であるトナー母粒子に
(1) BET比表面積が80〜300m2 /gの負帯電性疎水性シリカ微粒子、
(2) BET比表面積が5〜40m2 /gで、かつ、個数平均一次粒子径が80〜350nmの負帯電性疎水性の球形シリカ微粒子、
(3) 個数平均一次粒子径が10〜30nmの疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子、
(4) BET比表面積が4〜15m2 /gのα型アルミナ微粒子、
(5) 個数平均一次粒子径が1.5μm以下の金属石鹸粒子
が外添処理されると共に、トナー母粒子の仕事関数(Φt)が5.3〜5.7eV、α型アルミナ微粒子の仕事関数(Φa)が4.9〜5.2eV、疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子の仕事関数(Φs)が5.5〜5.7eVであって、(Φa)<(Φt)<(Φs)の関係としたことを特徴とする。
BET比表面積が30〜50m2 /gの正帯電性疎水性シリカ微粒子により更に外添処理されたことを特徴とする。
トナー母粒子が、溶解懸濁法により得られるものであることを特徴とする。
本発明のカラー画像形成装置は、潜像坦持体に静電潜像を形成し、該静電潜像を、逐次、複数の現像器を用いて一成分方式により現像してカラートナー像を形成した後、該潜像坦持体に形成されたトナー像を中間転写媒体に転写してカラートナー像を形成し、記録材上に転写し、定着するカラー画像形成装置において、該複数の現像器を外部補給式の現像装置とし、該複数の現像器における現像部材上のトナー搬送量をそれぞれ0.5〜0.8mg/cm2 とすると共に、前記トナーが、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなり、個数基準の平均粒径が4.5〜9μmであり、3μm以下の平均粒径の積算値が1%以下である粒度分布を有し、かつ、平均円形度が0.95〜0.99であるトナー母粒子に、
(1) BET比表面積が80〜300m2 /gの負帯電性疎水性シリカ微粒子、
(2) BET比表面積が5〜40m2 /gで、かつ、個数平均一次粒子径が80〜350nmの負帯電性疎水性の球形シリカ微粒子、
(3) 個数平均一次粒子径が10〜30nmの疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子、
(4) BET比表面積が4〜15m2 /gのα型アルミナ微粒子、
(5) 個数平均一次粒子径が1.5μm以下の金属石鹸粒子
を外添処理すると共に、トナー母粒子の仕事関数(Φt)が5.3〜5.7eV、α型アルミナ微粒子の仕事関数(Φa)が4.9〜5.2eV、疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子の仕事関数(Φs)が5.5〜5.7eVであって、(Φa)<(Φt)<(Φs)の関係とした負帯電性一成分トナーであることを特徴とする。
トナーがBET比表面積が30〜50m2 /gの正帯電性疎水性シリカ微粒子により更に外添処理された負帯電性一成分トナーであり、現像方式が、非接触現像方式であることを特徴とする。
カラー画像形成装置が、タンデム方式の現像方式を採用したことを特徴とする。
本発明は、トナー母粒子と外添剤の組合せによって、長時間の連続印字に使用しても、カブリやトナー飛散及び漏れが防止され、また、転写効率の低下が抑えられ、クリーニングトナー量を大幅に低下しうることを見出したものであり、外部補給式の現像装置を有するカラー画像形成装置への適用に適した負帯電性一成分トナーとできることを見出したものである。
本発明の負帯電性一成分トナーにあっては、まず、トナー母粒子に(1) BET比表面積が80〜300m2 /gの負帯電性疎水性シリカ微粒子と(2) BET比表面積が5〜40m2 /gで、かつ、個数平均一次粒子径が80〜150nmの負帯電性疎水性の球形シリカ微粒子を同時に外添処理する。これにより、トナー母粒子表面を負に均一に帯電させると共に(1)(2)の両シリカ微粒子の仕事関数をトナー母粒子の仕事関数より少なくとも0.2eV小さくすることにより、(1)(2)の両シリカ微粒子がトナー母粒子表面より離脱することがないものとでき、また、(2)の大粒子径の球形シリカ微粒子をスペーサー粒子として配合することにより、長期の印字に耐えるトナーとできる。
また、後段処理として、(3) 個数平均一次粒子径が10〜30nmの疎水性酸化チタン微粒子と、(4) BET比表面積が4〜15m2 /gのα型アルミナ微粒子、(5) 個数平均一次粒子径が1.5μm以下の金属石鹸粒子が外添処理される。
個数平均一次粒子径が10〜30nmの疎水性酸化チタン微粒子は、電荷調整のために添加され、また、酸化チタン微粒子をルチル−アナターゼ型とし、その結晶形状を紡錘状とすることにより、トナー母粒子への埋没を防止できる。
また、現像部材上の非画像部ではトナーは消費されることがないので、長期に亘って印字されると、外添剤として付着した小粒径の微粒子がトナー母粒子表面に埋没することになるが、(4) BET比表面積が4〜15m2 /g{その個数平均粒子径(Dp 50)は100nm〜600nm程度である}のα型アルミナ微粒子を外添剤として添加することにより埋没を防止する。α型アルミナ微粒子は、その形状が不定形であり、連続印字すればするほど、規制部材の使用において埋没した外添剤を堀り起こす効果をもたらし、安定した流動性、帯電特性を付与できる。
また、α型アルミナ微粒子は、そのBET比表面積が15m2 /gを越える小粒径のものであると、トナー母粒子表面に埋没してしまう傾向となり、また、4m2 /gより小さい大粒径のものであると、感光体であるOPCを研磨しすぎ、OPCの寿命を短命にしてしまうという問題がある。そのため(4)と共に(5)の金属石鹸粒子を外添処理する。(5)の金属石鹸粒子は、トナー母粒子表面への外添剤の遊離を防止する接着剤として機能すると共にα型アルミナ微粒子によるOPC表面の研磨効果を防止する潤滑剤としても機能するため、OPCの長寿命化を図ることができる。
また、クリーニングトナー量が増大するという問題は、使用した外添剤がトナー母粒子表面からの脱離や表面に埋没することでその機能を果たすことかできなくなることに起因する。そのため、トナー母粒子表面から脱離しにくく、また、埋没しにくい外添剤を組合わせることにより、流動性の維持と帯電性を維持しつつ、トナー母粒子表面への外添剤の埋没を防止すると共に、現像ローラ、規制ブレード、感光体(OPC)の表面へのフィルミングを防止する必要がある。
使用される着色剤によっては、トナー母粒子の仕事関数が疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子の仕事関数と差がないか、またはトナー母粒子の仕事関数が大きくなる場合がある。その場合には外添剤の脱離が生じて、+トナーの個数%が多く、5%A4原稿1枚当りのトナー消費量、引いてはクリーニングトナー量が増大することが判明した。トナー母粒子の仕事関数(Φt)を5.3〜5.7eV、α型アルミナ微粒子の仕事関数(Φa)を4.9〜5.2eV、疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子の仕事関数(Φs)を5.5〜5.7eVとすると共に、(Φa)<(Φt)<(Φs)の関係とし、相互の仕事関数差が少なくとも0.02eVあるように設けることにより、外添剤がトナー母粒子より脱離することを防止することができる。
また、非接触現像を行う場合で、長期に亘り連続印字を行うと、トナーの負帯電量が高くなりすぎ、その結果、現像トナー量の低下をもたらし、印字画像濃度の低下をもたらす結果となるが、低抵抗の酸化チタン微粒子や導電性のα型アルミナ微粒子と共に、BET比表面積が30〜50m2 /gの正帯電性疎水性シリカ微粒子を併用すると過帯電が抑制され、画像濃度の低下がなくなる。
本発明の負帯電性一成分トナーは、外部補給式の現像手段を有するカラー画像形成装置に適用し、5万枚の連続印字を行っても、カブリや転写効率の低下が抑制され、低ランニングコストで小型化が可能な画像形成装置とできる。
本発明における負帯電性一成分トナーは、トナー母粒子に外添剤を外添させて形成される。トナー母粒子は粉砕法、重合法、溶解懸濁法のいずれによっても作製可能である。
粉砕法による方法としては、バインダー樹脂に少なくとも顔料を含有し、離型剤、荷電制御剤等を添加し、ヘンシェルミキサー等で均一混合した後、2軸押し出し機で溶融混練され、冷却後、粗粉砕−微粉砕工程を経て、分級処理されてトナー母粒子とされる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等を単独又は複合して使用できる。
バインダー樹脂には着色剤、離型剤、荷電制御剤等が添加される。フルカラー用着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料および顔料を単独あるいは混合して使用できる。
離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、エステルワックス等を使用することが好ましい。
荷電調整剤としては、オイルブラック、オイルブラックBY、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業(株)製)、カリックスアレン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシルカルボン酸系金属錯体、芳香族ジカルボン酸系金属錯体、多糖類等が挙げられる。中でもカラートナー用には無色ないしは白色のものが好ましい。
トナー母粒子における成分比としては、バインダー樹脂100質量部に対して、着色剤は0.5〜15質量部、好ましくは1〜10質量部であり、また、離型剤は1〜10質量部、好ましくは2.5〜8質量部であり、また、荷電制御剤は0.1〜7質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
粉砕法トナーにあっては、転写効率の向上のために球形化処理されるとよく、粉砕工程で、比較的丸い球状で粉砕可能な装置、例えば機械式粉砕機として知られるターボミル(ターボ工業製)を使用すれば円形度を0.93まで高めることができ、また、粉砕したトナーを熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製)を使用することによって円形度を1.00まで高めることができる。
本発明におけるトナー母粒子としては、後述する重合法により得られるトナー母粒子、溶解懸濁法により得られるトナー母粒子を含め、平均円形度が0.95〜0.99に調節される。円形度が0.95より小さいと所望の転写効率は得られず、また、0.99より大きいとクリーニング性に問題が生じる。
次に、重合法トナーは、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等により得られるものであり、フルカラートナーに適したものとできる。懸濁重合法においては、重合性単量体、着色顔料、離型剤と、更に、必要により染料、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤を添加した複合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤(水溶性高分子、難水溶性無機物質)を含む水相中に攪拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズを有する着色重合トナー粒子を形成するものである。重合法トナー作製に用いられる材料において、着色剤、離型剤、荷電制御剤に関しては、上述した粉砕トナーと同様の材料が使用できる。乳化重合法においては、単量体と離型剤、必要により更に重合開始剤、乳化剤(界面活性剤)などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤、荷電制御剤と凝集剤(電解質)等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子を形成するものである。
重合性単量体成分としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレイン酸、無水フタル酸、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルナフタレン等が挙げられる。なお、フッ素含有モノマーとしては、例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピレンなどはフッ素原子が負荷電制御に有効であるので負帯電トナーにおけるバインダー樹脂として使用が可能である。
乳化剤(界面活性剤)としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等がある。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等がある。
凝集剤(電解質)としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等が挙げられる。
重合法トナーの円形度の調節法としては、乳化重合法は2次粒子の凝集過程で温度と時間を制御することで、円形度を自由に変えることができ、その範囲は0.94〜1.00とでき、また、懸濁重合法では、真球のトナーが可能であるため、円形度は0.98〜1.00の範囲とできる。平均円形度を0.95〜0.99とするには、トナーのTg温度以上で加熱変形させることで適宜調節できる。
次に、溶解懸濁法トナーについて説明する。溶解懸濁法トナー母粒子は、乳化と会合を制御しながら製造することが可能で、例えば、少なくとも着色剤とポリエステル樹脂を含む混合物を水性媒体中に乳化させて混合物の微粒子を形成し、次いで、この微粒子を凝集させて所望の大きさの着色剤含有樹脂微粒子を造粒し、その後、水性媒体から造粒した着色剤含有樹脂微粒子を分離・洗浄、乾燥の各工程を踏むことによりトナー母粒子を製造することができる。
より具体的には、着色剤とポリエステル樹脂、必要により離型剤や荷電制御剤を有機溶媒に溶解して水性媒体中に分散する。ポリエステル樹脂、着色剤等と有機溶剤を含む混合物は、有機溶剤中にポリエステル樹脂を投入して樹脂等を溶解し、予備分散しておいた着色剤を追加投入することにより容易に分散混合物溶液を作製できる。作製した分散混合物溶液を水性媒体中で乳化するには、分散混合物溶液を塩基性中和剤の存在下で、水性媒体と混合して乳化するとよい。乳化は、ポリエステル樹脂と着色剤等と有機溶媒とからなる混合物溶液に水性媒体を徐々に添加することで、懸濁・乳化液の形成を行うとよい。
使用するポリエステル樹脂は、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基等の酸性基を有するポリエステル樹脂が好ましく、中でも、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂が分散安定性とトナー母粒子化した際の帯電極性が負になることを考慮すると、より好ましい樹脂といえる。
塩基性中和剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の無機塩基、有機塩基類が例示される。有機溶媒と水性媒体の使用比率は35〜65質量%の範囲内で、乳化した時の樹脂微粒子サイズを微調整しながら、その使用比率を決定していくことが必要であり、水性媒体はイオン交換水が好ましい。また、使用する有機溶媒としては、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン類、エステル類であり、具体的にはヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、塩化メチル、ジクロロメタン、塩化エチル、塩化プロピル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル等の単独、または2種以上混合して用いられる。また、前述の分散混合物溶液を乳化する際に使用される混合機としては、ホモミキサー、スラッシャ、ホモジナイザー、コロイドミル、メディアミル、キャビトロンなどの乳化分散機が使用できる。
このようにして得られるトナー母粒子や後述するトナー粒子の個数平均粒径は、9μm以下であることが好ましく、8μm〜4.5μmであることがより好ましい。個数平均粒径が9μmよりも大きいトナー粒子では、1200dpi以上の高解像度で潜像を形成しても、その解像度の再現性が小粒子径のトナーに比べて低下し、また4.5μm以下になると、トナーによる隠蔽性が低下するとともに、流動性を高めるために外添剤の使用量が増大し、その結果、定着性能が低下する傾向がある。
また、トナー母粒子の個数基準での粒度分布において、3μm以下の平均粒径を有する粒子の積算値が1%以下、好ましくは0.8%以下とするとよい。平均粒径が3μm以下の積算値が1%を超えると、トナー層規制部材による帯電付与が不十分となり、逆帯電トナーの発生、潜像坦持体上でのフィルミングの発生するので好ましくない。
また、本発明における上述したトナー母粒子や後述するトナー粒子の個数平均粒径、粒度分布、また、平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス製 FPIA2100)で測定した値である。
また、トナー母粒子形状としては、真球に近い形状のトナー粒子が好ましい。具体的には、トナー母粒子は下記式
R=L0 /L1
{但し、式中、L1(μm)は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0(μm)は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。}
で表される平均円形度(R)が0.95〜0.99、好ましくは0.972〜0.983とするとよい。この形状を維持することが、転写効率の向上とクリーニング性を考慮すると重要になる。平均円形度(R)が0.95未満では転写効率が初期は96%程度を維持できていても、連続印字を行うにつれて低下する傾向となる。また、0.99を越えると、潜像坦持体(感光体)や中間転写媒体(転写ベルト、転写ドラム)の転写残りトナーをクリーニングする時に、ブレードやブラシを用いても十分にクリーニングすることが困難な場合があり、特に、低温低湿度においてはクリーニングするのが顕著に困難となる。円形度が高いトナーの円形度を低くするには、例えば、トナーを密閉容器内に入れ、トナー樹脂のガラス転移温度近辺に加圧することにより調整することができる。もともと、円形度の低いトナーは、粉砕・分級後に熱風処理することで、表面形状を制御しながら所望の値に調整することができる。乳化重合、分散重合、懸濁重合の各方法でトナーを製造する時には工程の途中で形状係数を調整する工程、例えば会合、凝集等の手段を採用することで所望の値にすることができる。
次に、仕事関数(Φ)は、その物質から電子を取り出すために必要なエネルギーとして知られており、仕事関数が小さいほど電子を出しやすく、大きい程電子を出しにくい。仕事関数は下記の測定方法により測定されるものであり、その物質から電子を取り出すためのエネルギー(eV)として数値化され、種々の物質間の接触による帯電性を評価しうるものである。そのため、例えば、トナー母粒子にトナー母粒子の仕事関数より小さい仕事関数のシリカ微粒子を外添すると、トナー母粒子をより負帯電化させることができ、また、シリカ微粒子の付着性に優れるものとなると考えられる。
また、後段処理に際して外添剤を組合せ外添処理するにしても、相互に仕事関数差(少なくとも0.2eV)のある外添剤同士を組合せ、多段処理、すなわち、第2段目、また第3段目として追加混合すると、相互に付着性に優れるものとできる。
仕事関数は、表面分析装置(理研計器(株)製AC−2、低エネルギー電子計数方式)を使用して測定される。本発明にあっては、該装置において、重水素ランプを使用し、金属メッキを施した現像ローラは照射光量10nWで、それ以外の測定では照射光量500nWに設定し、分光器により単色光を選択し、スポットサイズ4mm角とし、エネルギー走査範囲3.4〜6.2eV、測定時間10sec/1ポイントでサンプルに照射する。そして、サンプル表面から放出される光電子を検知し、仕事関数計ソフトを使用して演算処理され得られるもので、仕事関数に関しては、繰り返し精度(標準偏差)0.02eVで測定されるものである。なお、データ再現性を確保するための測定環境としては、使用温湿度25℃、55%RHの条件下で、24時間放置品を測定サンプルとする。
トナー専用測定セルは、図1(a)(b)に示すように、直径13mm、高さ5mmのステンレス製円盤の中央に直径10mmで深さ1mmのトナー収容用凹部を有する形状を有する。サンプルトナーは、セルの凹部内にトナーを秤量サジを使用して突き固めないで入れた後、ナイフエッジを使用して表面を均して平らにした状態で測定に供する。トナーを充填した測定セルをサンプル台の規定位置上に固定した後、照射光量500nWに設定し、スポットサイズ4mm角とし、エネルギー走査範囲4.2〜6.2eVの条件で測定される。
また、後述する感光体や現像ローラ等の形状が円筒形状の画像形成装置部材をサンプルとする場合には、円筒形状の画像形成装置部材を1〜1.5cmの幅で切断し、ついで、稜線に沿って横方向に切断して図2(a)に示す形状の測定用試料片を得た後、サンプル台の規定位置上に、図2(b)に示すように、測定光が照射される方向に対して照射面が平滑になるように固定する。これにより、放出される光電子が検知器(光電子倍像管)により効率よく検知される。中間転写ベルト、規制ブレード、また、感光体がシート形状の場合は、測定光が上述のように、4mm角のスポットで照射されるので、試料片は少なくとも1cm角の大きさに切り欠いて図2(b)と同様にサンプル台に固定し同様に測定される。
この表面分析においては、単色光の励起エネルギーを低い方から高い方にスキャンするとあるエネルギー値(eV)から光量子放出が始まり、このエネルギー値を仕事関数(eV)という。図3に、トナーについて得られるチャートの1例を示す。図3は励起エネルギー(eV)を横軸とし、規格化光量子収率(単位光量子当りの光電子収率のn乗)を縦軸とするものであり、一定の傾き(Y/eV)が得られる。図3の場合、仕事関数はその屈曲点(A)における励起エネルギー値(eV)で示される。
次に、溶解懸濁法によるトナー母粒子の製造例と各物性を示す。
(トナー母粒子の製造例1)
・重縮合ポリエステル樹脂{三洋化成工業(株)製、ハイマーES−801、非架橋成分と架橋成分の質量比(45/55)} ・・・ 110質量部
・カルナバワックス ・・・ 55質量部
・シアン顔料(フタロシアニンα型) ・・・ 55質量部
を加圧ニーダーで溶融混練した。溶融混練物を冷却後、1〜2mm角のサイズに粗粉砕し、(株)日本精機製作所製のコロイドミルを用い、溶融混練粉砕物210質量部と、前述の重縮合ポリエステル樹脂80質量部及びメチルエチルケトン245質量部を混合攪拌した。
次に、1規定のアンモニア水26質量部を加えて十分に攪拌した後、イオン交換水160質量部を加え、更に30℃で1時間攪拌した。そして、150質量部のイオン交換水を滴下して転相乳化により微粒子分散物を調製した。次に、イオン交換水400質量部を加えた後、メチルエチルケトンの沸点以上の温度に加熱し、脱溶剤を行い、最終的に固形分含有量を約34%に調整した。
そして、得られた微粒子分散物235質量部をイオン交換水で希釈し、固形分含有量を約20%に調整した後、20%の食塩水60質量部を加え、温度を68℃に昇温し、60分間攪拌し、その後、ノニオン型乳化剤NL−250(第一工業製薬(株)製)0.6質量部を添加し、70℃、4時間攪拌し、造粒を完結させた。
得られたスラリーを遠心分離機で分離し、洗浄し、次いで、中央化工機(株)製の振動流動層装置を使用して、トナー母粒子中の水分量が質量比で0.5%以下となるまで乾燥し、シアントナー母粒子を得た。
得られたシアントナー母粒子を、シスメックス社製「フロー式粒子像分析装置 FPIA−2100」により測定した個数基準での平均粒子径、平均円形度を下記の表1に示すと共に、理研計器製「光電子分光装置 AC−2」を使用し、測定光量500nWで仕事関数を測定した結果を同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.34%であった。
(トナー母粒子の製造例2)
トナー母粒子の製造例1において、着色剤をカーミン6Bに代えた以外は同様にしてマゼンタトナー母粒子を作製した。
得られたマゼンタトナー母粒子の個数基準での平均粒子径、平均円形度、仕事関数を、同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.76%であった。
(トナー母粒子の製造例3)
トナー母粒子の製造例1において、着色剤をP.Y.185に代えた以外は同様にしてイエロートナー母粒子を作製した。
得られたイエロートナー母粒子の個数基準での平均粒子径、平均円形度、仕事関数を、同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.31%であった。
(トナー母粒子の製造例4)
トナー母粒子の製造例1において、着色剤を表面処理カーボンブラック1(三菱化学(株)製カーボンM1000)に代えた以外は同様にしてブラックトナー母粒子を作製した。得られたブラックトナー母粒子の個数基準での平均粒子径、平均円形度、仕事関数を、同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.31%であった。
(トナー母粒子の製造例5)
トナー母粒子の製造例1において、重縮合ポリエステル樹脂に代えて、芳香族ジカルボン酸とアルキレンエーテル化ビスフェノールAとの重縮合ポリエステル樹脂と、該重縮合ポリエステル樹脂の多価金属化合物による一部架橋物の50:50(質量比)混合物(三洋化成工業(株)製)を用い、また、着色剤をシアン顔料であるフタロシアニンβ型に代えた以外は同様にしてシアントナー母粒子を作製した。
得られたシアントナー母粒子の個数基準での平均粒子径、平均円形度、仕事関数を、同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.33%であった。
(トナー母粒子の製造例6)
トナー母粒子の製造例5において、着色剤をジメチルキナクリドンに代えた以外は同様にしてマゼンタトナー母粒子を作製した。
得られたマゼンタトナー母粒子の個数基準での平均粒子径、平均円形度、仕事関数を、同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.42%であった。
(トナー母粒子の製造例7)
トナー母粒子の製造例5において、着色剤をP.Y.93に代えた以外は同様にしてイエロートナー母粒子を作製した。
得られたイエロートナー母粒子の個数基準での平均粒子径、平均円形度、仕事関数を、同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.32%であった。
(トナー母粒子の製造例8)
トナー母粒子の製造例5において、着色剤を表面処理カーボンブラック2(三菱化学(株)製カーボンM1000)に代えた以外は同様にしてブラックトナー母粒子を作製した。得られたブラックトナー母粒子の個数基準での平均粒子径、平均円形度、仕事関数を、同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.31%であった。
(トナー母粒子の製造例9)
トナー母粒子の製造例1において、着色剤をP.R.238に代えた以外は同様にしてマゼンタトナー母粒子を作製した。
得られたマゼンタトナー母粒子の個数基準での平均粒子径、平均円形度、仕事関数を、同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.48%であった。
(トナー母粒子の製造例10)
トナー母粒子の製造例1において、着色剤をP.Y.74に代えた以外は同様にしてイエロートナー母粒子を作製した。得られたブラックトナー母粒子の個数基準での平均粒子径(μm)、平均円形度、仕事関数(eV)を、同様に下記表1に示す。なお、3μm以下の平均粒径の積算値は0.41%であった。
Figure 2007148198
溶解懸濁法によるトナー母粒子の仕事関数としては、5.3〜5.7eVとするとよい。
また、表2に各着色剤の仕事関数値を示す。
Figure 2007148198
溶解懸濁法による球形ケミカルトナーにおいては、そのトナー母粒子の仕事関数は、使用する着色剤の仕事関数に影響されることがわかる。これは、トナー母粒子表面近傍に着色剤が分布ないしは露出していることを示す。
次に、外添剤について説明する。
外添剤粒子を規定するBET比表面積は、窒素吸着によるBET比表面積の測定をマイクロメリティック社製「2200型」を使用して行うことにより得られるものであるが、BET比表面積が200m2 /gを越える場合にはサンプル量を減らして行う。
また、外添剤を規定する個数平均一次粒子径は、外添剤をイソプロピルアルコールに分散させた液滴を測定試料台に滴下し、乾燥後その試料台上の微粒子を10万倍の走査型電子顕微鏡撮影像の任意の粒子500個について、日立テクノロジーズ(株)製「S−4800」を使用してその粒径を実測して求められるものである。
(1) BET比表面積が80〜300m2 /gの負帯電性疎水性シリカ微粒子は、所謂「小粒径」のシリカ微粒子であり、好ましくは100〜250m2 /gであり、個数平均一次粒子径としては7〜16nm、好ましくは10〜12nmである。ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化(乾式法)により得られるものが好ましい。(1)のシリカ微粒子は、トナー母粒子100質量部に対して0.5〜2.0質量部、好ましくは0.7〜1.5質量部添加される。
負帯電性シリカ微粒子のBET比表面積が大きいか、または個数平均一次粒子径が小さい程、得られるトナーの流動性が高くなるが、BET比表面積が300m2 /gより大きいか、または個数平均一次粒子径が7nmより小さいと、シリカ微粒子がトナー母粒子に埋没してしまう虞がある。また、BET比表面積が100m2 /gより小さいか、または個数平均一次粒子径が16nmを超えると、流動性が悪くなる虞がある。
次に、(2)BET比表面積が5〜40m2 /gで、かつ、個数平均一次粒子径が80〜350nmの負帯電性疎水性の球形シリカ微粒子は、所謂「大粒径」のシリカ微粒子であり、BET比表面積は好ましくは8〜35m2 /gであり、個数平均一次粒子径としては好ましくは85〜330nmである。
球形シリカ微粒子は、単分散、すなわち、凝集体含め平均粒径に対する標準偏差がD50*0.22以下であり、また、形状としてはWadellの球形度が0.6以上、好ましくは0.8以上である。また、このような単分散球形シリカ微粒子は、湿式法であるゾルゲル法により得られ、比重が1.3〜2.1のものである。(2)の大粒子径シリカの場合、トナー母粒子100質量部に対して0.2〜2.0質量部、好ましくは、0.3〜1.5質量部添加される。
平均粒径が80nmより小さく、かつ、BET比表面積が40m2 /gより大きいと、小粒径のシリカ微粒子のトナー母粒子表面への埋没を防止して流動性や帯電安定性を維持することができなくなったり、また、スペーサ効果が得られず、また、350nmより大きく、5m2 /gより小さいと、トナー母粒子に付着しにくくなると共にトナー母粒子表面から脱離しやすくなる。
(2)の大粒子径のシリカ:(1)の小粒子径のシリカの添加比(質量比)は、1:3〜3:1、好ましくは1:2.8〜2.8:1とするとよく、トナーに流動性を付与し、かつ帯電の長期安定性を得る上で好ましい。大粒子径シリカと小粒子径シリカとは、負帯電性一成分トナーの製造に際してトナー母粒子に同時に添加して混合するとよい。大粒子径シリカと小粒子径シリカは、両者の混合比率を考慮しつつトナー母粒子100質量部に対して合計量で1.0〜2.5質量部、好ましくは1.5〜2.3質量部添加される。
(1)と(2)の負帯電性シリカ微粒子は疎水化処理されていることが好ましい。負帯電性シリカ微粒子の表面を疎水性にすることにより、トナーの流動性および帯電性がさらに向上する。シリカ微粒子の疎水化は、アミノシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシランなどのシラン化合物;あるいはジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、フッ素変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイルを用いて、例えば、湿式法、乾式法など当業者が通常使用する方法により行われる。
(1)の疎水性の負帯電性シリカ微粒子としては、日本アエロジル(株)製の「R805」(BET比表面積150m2 /g、個数平均一次粒子径12nm、仕事関数5.22eV)などが例示される。
(2)の疎水性の負帯電性シリカ微粒子としては、(株)日本触媒製の「シーホスターKE−P10S」(BET比表面積10m2 /g、個数平均一次粒子径110nm、仕事関数5.26eV)、同「シーホスターKE−P30S」(BET比表面積17m2 /g、個数平均一次粒子径305nm、仕事関数5.27eV)等が例示される。
(1)と(2)の疎水性シリカ粒子の仕事関数としては、5.0〜5.3eVの範囲であるが、トナー母粒子より、少なくとも0.05ev以上小さいものとするとよい。これにより、仕事関数差による電荷移動により疎水性シリカ粒子をトナー母粒子に固着させることができる。
次に、(3) 個数平均一次粒子径が10〜30nmの疎水性酸化チタン微粒子は、好ましくは15〜25nmであり、また、BET比表面積としては100〜200m2 /g、好ましくは120〜180m2 /gのものである。
酸化チタンは比較的電気抵抗率が小さく、ルチル型、アナターゼ型、ルチル−アナターゼ型などの種々の結晶形を取り得るが、特に、ルチル−アナターゼ型酸化チタンは紡錘形状であり、電荷の調整をしやすい点、印字枚数が増えても、酸化チタン粒子がトナー母粒子内に埋没し難いなどの点で好ましく用いられる。酸化チタン微粒子は、トナー母粒子100質量部に対して0.2〜2.0質量部、好ましくは0.3〜1.5質量部添加される。
酸化チタンの微粒子の表面は、疎水性であることが、トナーの外部環境の変化に対する帯電性の変化を小さくし(すなわち、安定な帯電性を維持し)、かつトナーの流動性を良好にするために好ましい。酸化チタン微粒子の疎水化は、上記負帯電性シリカ微粒子の疎水化と同じ方法で行われる。疎水性でルチル−アナターゼ型の酸化チタン微粒子としては、チタン工業(株)製「STT−30S」(BET比表面積135m2 /g、仕事関数5.64eV)などが例示される。
疎水性酸化チタン粒子の仕事関数としては5.5〜5.7eVの範囲であり、トナー母粒子にまず疎水性シリカ粒子を外添処理した後、後段処理として添加されるとよい。また、酸化チタン微粒子の仕事関数は、トナー母粒子の仕事関数より少なくとも0.02eV大きいものとすることが必要である。その詳細な理由は不明であるが、後述する実施例において比較例との対比で検討するように、酸化チタン微粒子の仕事関数がトナー母粒子の仕事関数より小さいと外添剤の脱離が生じて、+トナーの個数%が多くなり、クリーニングトナー量の増大につながるので好ましくない。
次に、(4)BET比表面積が4〜15m2 /gのα型アルミナ微粒子について説明する。
アルミナ微粒子は、工業的には、ボーキサイト原料を水酸化ナトリウムで処理して得られる水酸化アルミニウムを大気中で焼成してα型アルミナとする、所謂バイヤー法により製造して得られるものが一般的であるが、多量のナトリウム分が残存し、電気絶縁性を阻害することから、例えば特開平8−290914号公報にはナトリウム分が100ppm以下の高純度で粒度分布の狭いα型アルミナ微粒子が記載され、また、特開2003−26419には酸処理によるα型アルミナ微粒子の製造方法が記載されるように、種々のアルミナ微粒子が開発されている。
(α型アルミナ微粒子の製造例1)
特開平8−290914号公報に記載される方法であり、バイヤー法により作製された水酸化アルミニウムを仮焼して得られる遷移アルミナを平均粒子径が0.1〜0.3nmになるように粉砕し、次いで塩化水素ガスを1体積%以上、水蒸気を0.1体積%以上含有する雰囲気ガス中で、1150〜1300度で焼成することによりα型アルミナ微粒子が得られる。表3におけるα型アルミナ1、3、5、6はこの方法により作製される。
(α型アルミナ微粒子の製造例2)
特開2003−26419に記載される方法であり、塩基性塩化アルミニウムを酸化アルミニウム換算で23質量%含有する水溶液に、DL−乳酸を10質量%添加した後、2Kg/cm2 、120℃、20時間の水熱処理し、60℃で加熱、乾燥させて、平均粒子径が0.1〜0.3nmとなるようにゲル化させ、得られた複合ゲルを大気中、約600℃で加熱処理することによりα型アルミナ微粒子が得られる。表3におけるα型アルミナ2、4はこの方法により作製される。
表3に、後述する実施例で外添剤として使用した各α型アルミナ微粒子におけるBET比表面積、仕事関数、市販品名を示す。
Figure 2007148198
本発明における外添剤である(4)のα型アルミナ微粒子としては、BET比表面積が4〜15m2 /g、好ましくは5〜14m2 /gであり、個数平均粒子径(Dp 50)としては100nm〜600nm程度である。α型アルミナ微粒子は、いずれもその形状が不定形であり、その特徴は、BET比表面積により示される。
本発明においては、種々のα型アルミナ微粒子を検討する中で、BET比表面積が15m2 /gを越えるものであると、トナー母粒子表面に埋没し、堀り起こし効果がなく、後述するように、+トナー個数が多く、クリーニングトナー量が増大することを見出した。また、アルミナ微粒子は、一般にはチタン酸ストロンチウムや酸化チタンと同様に研磨機能を示す外添剤として知られているが、後述するように、同程度のBET比表面積を有するチタン酸ストロンチウムや酸化チタンと比較して、+トナー個数を抑えることができ、クリーニングトナー量の増大を抑制できること、また、導電性α型アルミナ微粒子とすると、より優れる負帯電性一成分トナーとできることを見出した。
α型アルミナ微粒子がトナー母粒子に外添されると、連続印字すればするほど、規制部材の使用において埋没した外添剤を堀り起こす効果をもたらし、安定した流動性、帯電特性を付与できるが、BET比表面積が4m2 /gより小さいと、その粒径も大きく、トナー母粒子への付着性も低下し、また、感光体であるOPCを研磨しすぎてしまう結果、OPCの寿命を短命にしてしまうので好ましくない。
また、α型アルミナ微粒子として、例えばジルコニウムドーピング処理された導電性α型アルミナ微粒子とするとよい。導電性α型アルミナ微粒子を使用すると、導電性現像部材に印加した負帯電性の直流電圧によりトナー母粒子に負の電荷が注入され、その結果、トナー母粒子表面は負に帯電しやすくなり、逆極性に帯電するトナーの個数が減少し、カブリや転写効率の低下を防止できる。
トナー母粒子に対するα型アルミナ微粒子の添加量としては、トナー母粒子100質量部に対して、0.05〜1.3質量部、好ましくは0.1〜1.0質量部とするとよい。0.05質量部より少ないとスペーサとしての機能を果たさず、また、1.3質量部より多いと、大粒径のアルミナ微粒子の遊離量が多くなるので好ましくない。
また、α型アルミナ粒子における仕事関数としては、4.9〜5.2eVであり、トナー母粒子の仕事関数(5.3〜5.7eV)より、少なくとも0.05eV以上小さくすることにより、負帯電トナー母粒子をより負帯電化でき、外添されたアルミナ微粒子との付着性を強めることができる。
次に、金属石鹸粒子について説明する。
金属石鹸粒子は、α型アルミナ微粒子等の他の外添粒子の遊離率を低下させ、カブリの発生を防止することができ、また、潤滑剤としての機能からアルミナ粒子等による研磨作用から感光体(OPC)を保護することができ、長寿命化を図ることができる。金属石けん粒子としては、高級脂肪酸の亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミウムから選ばれる金属塩であり、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸モノアルミニウム、ステアリン酸トリアルミニウム等が例示される。
金属石けん粒子の平均粒子径は0.1〜1.5μm、好ましくは0.5〜1.3μmとするとよい。また、金属石けん粒子の仕事関数としては5.3〜5.8eVの範囲である。
金属石けん粒子の添加量は、トナー母粒子100質量部に対して0.05〜0.5質量部、好ましくは0.1〜0.3質量部である。0.05質量部より少ないと滑剤としての機能およびバインダーとしての機能が不十分であり、また、0.5質量部より多いと逆にカブリが増大する傾向にある。また、金属石けん粒子の添加量は、外添剤100質量部に対して2〜10質量部の添加割合とするとよい。2質量部よりも少ない場合には滑剤やバインダーとしての効果がなく、逆に10質量部を超えると流動性の低下やカブリの増大につながるので好ましくない。
(3)疎水性酸化チタン微粒子、(4)α型アルミナ微粒子、(5)金属石鹸粒子は、トナー母粒子に(1)の負帯電性疎水性シリカ微粒子と(2)の負帯電性疎水性シリカ微粒子を添加した後、後段処理として添加されるとよく、(3)〜(5)の合計量でトナー母粒子に対して0.5〜1.5質量%の割合で追加混合するとよい。
また、非接触現像を行う場合で、長期に亘り連続印字を行うと、トナーの負帯電量が高くなりすぎ、その結果、現像トナー量の低下をもたらし、印字画像濃度の低下をもたらす結果となるが、後段処理において、正帯電性シリカ微粒子が混合処理されることにより、過帯電が抑制され、画像濃度の低下がなくなる。
正帯電性シリカ微粒子としては、BET比表面積が30〜50m2 /gであり、個数平均一次粒子径としては20nm〜40nmである。正帯電性シリカ微粒子は、疎水化処理されていることが好ましい。正帯電性シリカ微粒子の表面を疎水性にすることにより、トナーの外部環境の変化に対する帯電性の変化を小さくし(すなわち、安定な帯電性を維持し)、かつトナーの流動性を良好にするために好ましい。正帯電性シリカ微粒子の疎水化は、アミノシランカップリン剤やアノ変性シリコンオイル等を使用して行われる。疎水性正帯電性シリカ微粒子としては、市販の日本アエロジル(株)製のNA50H、キャボット(株)製のTG820Fなどが例示される。正帯電性疎水性シリカ微粒子の仕事関数としては、5.2〜5.4eVである。
正帯電性シリカ微粒子は、トナー母粒子100質量部に対して0.1〜1.0質量部、好ましくは0.2〜0.8質量部添加される。
また、本発明の負帯電性一成分トナーおいては、上記した外添剤粒子以外にも、本発明における目的を阻害しない範囲で外添され得る。例えば、無機微粒子としては酸化ストロンチウム、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化インジウム等の金属酸化物の微粒子、窒化珪素等窒化物の微粒子、炭化珪素等の炭化物の微粒子、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩の微粒子、並びにこれらの複合物等の無機微粒子、また、樹脂微粒子等が挙げられる。
後段処理に際して、複数の外添粒子を同時に追加混合してもよいが、好ましくは、複数の外添剤粒子におけるそれぞれの仕事関数の差が少なくとも0.2eV以上あるように相違させて組合せて追加混合してもよく、外添粒子同士の付着性にも優れるものとできる。そのため、後段で添加される複数の外添剤粒子をわけ、後段処理を2段、3段等の多段処理として混合してもよい。なお、金属石鹸粒子、正帯電性シリカ微粒子はその添加目的からすると最後段て添加されるとよい。
トナー母粒子への外添剤の添加方法としては、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)等より行うとよいが、ヘンシェルミキサーを使用する場合、各段階の処理操作条件は、5,000rpm〜15,000rpm、1分〜3分である。
本発明の負帯電性一成分トナーは、トナー母粒子、または外添処理されトナー粒子とされた段階で、THF可溶分におけるポリスチレンを基準としたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定での数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000、好ましくは2,000〜15,000、より好ましくは3,000〜12,000のものである。数平均分子量(Mn)が1,500より小さいと、低温定着性に優れるものの、着色剤の保持性や耐フィルミング性、耐オフセット性、定着像強度、保存性に劣るものであり、また、20,000より大きいと低温定着性に劣るものとなる。また、重量平均分子量(Mw)は3,000〜300,000、好ましくは5,000〜50,000であり、Mw/Mnが1.5〜20、好ましくは1.8〜8である。
また、フロー軟化温度(Tf1/2)は100℃〜140℃の範囲にある。フロー軟化温度が100℃より低いと高温オフセット性に劣るものとなり、また、140℃より高いと低温での定着強度に劣るものとなる。また、ガラス転移温度(Tg)は55℃〜70℃の範囲にある。ガラス転移温度(Tg)が55℃より低いと保存性に劣るものとなり、また、70℃より高いとそれにともなってTf1/2が上昇し、低温定着性に劣るものとなる。また、本発明におけるトナーは、50%流出点における溶融粘度が2×103 〜1.5×104 Pa・sであり、オイルレス定着用トナーとして適したものとできる。
また、本発明の負帯電性一成分トナーの仕事関数は、一般的には5.25〜5.85eV、好ましくは5.3〜5.7eVとするとよい。トナーの仕事関数が5.25eV未満であると、使用できる潜像担持体や中間転写媒体の使用範囲が狭まるという問題があり、また、5.85eVを超えるとトナー中の着色剤の含有量が低下することを意味し、着色性が低下するという問題がある。
次に、本発明のカラー画像形成装置について説明する。
図4は、本発明のカラー画像形成装置における潜像坦持体、現像部および中間転写媒体の関係を説明するための図である。潜像担持体1には、帯電手段2、露光手段3、現像手段4および中間転写媒体5が配設される。なお、潜像坦持体には図示しないがクリーニング手段としてロールブラシ(ファーブラシ)を設けてもよく、また、潜像坦持体にはクリーニング手段を設けず、中間転写媒体に設け、潜像坦持体をクリーナーレスとしてもよい。なお、図中7はバックアップローラ、8はトナー供給ローラ、9はトナー規制ブレード(トナー層厚規制部材)、10は現像ローラ、Tは負帯電性一成分トナーであり、Lは現像ギャップである。
潜像坦持体1は直径24〜86mmで表面速度60〜300mm/sで回転する感光体ドラムで、コロナ帯電器2によりその表面が均一に負帯電された後、記録すべき情報に応じた露光3が行なわれることにより静電潜像が形成される。
潜像担持体としては、有機単層型でも有機積層型でもよく、有機積層型感光体としては、導電性支持体上に、下引き層を介して電荷発生層、電荷輸送層を順次積層したものである。
導電性支持体としては、公知の導電性支持体が使用可能であり、例えば体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム合金に切削等の加工を施した20mm〜90mmφの管状支持体、また、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着あるいは導電性塗料により導電性を付与したものや導電性ポリイミド樹脂を成形してなる20mm〜90mmφの管状、ベルト状、板状、シート状支持体等が例示される。他の例としてはニッケル電鋳管やステンレス管などをシームレスにした金属ベルトも好適に使用することができる。
導電性支持体上に設けられる下引き層としては、公知の下引き層が使用可能である。例えば、下引き層は接着性を向上させ、モワレを防止し、上層の電荷発生層の塗工性を改良、露光時の残留電位を低減させるなどの目的で設けられる。下引き層に使用する樹脂はその上に感光層を塗工する関係上、感光層に使用する溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。使用可溶な樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、酢酸ビニル、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等であり、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。また、これらの樹脂に二酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物を含有させてもよい。
電荷発生層における電荷発生顔料としては、公知の材料が使用可能である。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンおよびナフトキノン系顔料、シアニンおよびアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生顔料は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
電荷発生層におけるバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。バインダー樹脂と前記電荷発生物質の構成比は、質量比でバインダー樹脂100部に対して、10〜1000部の範囲で用いられる。
電荷輸送層を構成する電荷輸送物質としては公知の材料が使用可能であり、電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、パラジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
正孔輸送物質としては、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、フェナジン化合物、ベンゾフラン化合物、ブタジエン化合物、ベンジジン化合物およびこれらの化合物の誘導体が挙げられる。これらの電子供与性物質は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。電荷輸送層中には、これらの物質の劣化防止のために酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤などを含有することもできる。
電荷輸送層におけるバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂などを用いることができるが、電荷輸送物質との相溶性、膜強度、溶解性、塗料としての安定性の点でポリカーボネートが好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質の構成比は、質量比でバインダー樹脂100部に対して25〜300部の範囲で用いられる。
電荷発生層、電荷輸送層を形成するためには、塗布液を使用するとよく、溶剤はバインダー樹脂の種類によって異なるが、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル類等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロルエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン等の芳香族類等を用いることができる。
また、電荷発生顔料の分散には、サンドミル、ボールミル、アトライター、遊星式ミル等の機械式の方法を用いて分散と混合を行うとよい。
下引き層、電荷発生層および電荷輸送層の塗工法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スピンコーティング、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアナイフコーティング法等の方法を用いる。また、塗工後の乾燥は常温乾燥後、30〜200℃の温度で30から120分間加熱乾燥することが好ましい。これらの乾燥後の膜厚は電荷発生層では、0.05〜10μmの範囲、好ましくは0.1〜3μmである。また、電荷輸送層では5〜50μmの範囲、好ましくは10〜40μmである。
また、単層有機感光体層は、上述した有機積層型感光体において説明した導電性支持体上に、同様の下引き層を介して、電荷発生剤、電荷輸送剤、増感剤等とバインダー、溶媒等からなる単層有機感光層を塗布形成することにより作製される。有機負帯電単層型感光体については、例えば特開2000−19746号公報に準じて作製するとよい。
単層有機感光層における電荷発生剤としてはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、キノシアトン系顔料、インジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、キナクリドン系顔料が挙げられ、好ましくはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料である。電荷輸送剤としてはヒドラゾン系、スチルベン系、フェニルアミン系、アリールアミン系、ジフェニルブタジエン系、オキサゾール系等の有機正孔輸送化合物が例示され、また、増感剤としては各種の電子吸引性有機化合物であって電子輸送剤としても知られているパラジフェノキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、クロラニル等が例示される。バインダーとしてはポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が例示される。
各成分の組成比は、バインダー40〜75質量%、電荷発生剤0.5〜20質量%、電荷輸送剤10〜50質量%、増感剤0.5〜30質量%であり、好ましくはバインダー45〜65質量%、電荷発生剤1〜20質量%、電荷輸送剤20〜40質量%、増感剤2〜25質量%である。溶剤としては、下引き層に対して、溶解性を有しない溶媒が好ましく、トルエン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が例示される。
各成分は、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、ペイントコンディショナー等の攪拌装置で粉砕・分散混合され、塗布液とされる。塗布液は、下引き層上にディップコート、リングコート、スプレーコート等により乾燥後の膜厚15〜40μm、好ましくは20〜35μmで塗布され、単層有機感光体層とされる。
現像装置は、潜像坦持体上の静電潜像を非接触で反転現像し、可視像化するものである。現像装置は、負帯電性一成分トナーTが収納され、トナーを補充しないトナー収容部と現像ローラ10からなる現像部とからなり、図示のごとく反時計方向で回転する供給ローラ8によりトナーを現像ローラ10に供給する。現像ローラは図示のごとく反時計方向に回転し、供給ローラ8により搬送されたトナーTをその表面に吸着した状態で潜像坦持体との対峙部に搬送し、潜像坦持体1上の静電潜像を可視像化する。
現像ローラは、例えば直径16〜24mmの金属製のパイプの表面をメッキやブラスト処理したローラ、あるいは中心軸周面にNBR、SBR、EPDM、ウレタンゴム、シリコンゴム等からなる体積抵抗値104 〜108 Ω・cm、硬度が40〜70°(アスカーA硬度)の導電性弾性体層が形成されたものが使用できる。現像ローラのパイプのシャフトや中心軸を介して現像バイアス電圧が印加される。
規制ブレード9としてはSUS、リン青銅、ゴム板、金属薄板にゴムチップの貼り合わせたもの等が使用され、そのトナー接触面における仕事関数としては4.8〜5.4eVとするとよく、トナーの仕事関数より小さいものとするとよい。規制ブレードは、現像ローラに対して図示しないスプリング等の付勢手段により、あるいは弾性体としての反発力を利用して線圧0.08〜0.6N/cmで押圧される。
また、トナー搬送量としては0.5〜0.8mg/cm2 とされるとよい。トナー搬送量が0.8mg/cm2 を越えると、+トナー個数%が増大する傾向にあり、クリーニングトナー量も増大する結果となる。また、トナー搬送量が0.5mg/cm2 より少ないと、数万枚の連続印字を行うと画像濃度が低下する傾向にあり、得策ではない。
また、現像ローラ上のトナー層厚を5〜20μm、好ましくは6〜15μm、トナー粒子の積層形態としては1層〜2層となるように規制されることにより、トナー粒子の摩擦帯電を充分なものとできる。現像ローラ上のトナー層厚が2層を越える厚さ(トナー搬送量0.8mg/cm2 を越える量)に規制すると、球形トナーのすり抜けが生じ、摩擦帯電作用を充分なものとできず、また、小粒径のトナーはトナー層規制部材と接触しない状態で通過して正帯電トナー化し、規制後のトナー層中に混在しやすくなり、カブリや転写効率の低下の原因となる。規制ブレード9に電圧を印加してブレードに接触するトナーへ電荷注入してトナー帯電量を制御してもよい。
現像ローラ10は潜像坦持体1と現像ギャップLを介して対峙される。現像ギャップとしては100〜350μmとするとよい。また、図示しないが直流電圧(DC)の現像バイアスとしては−200〜−500Vであり、これに重畳する交流電圧(AC)としては1.5〜3.5kHz、P−P電圧1000〜1800Vの条件とするとよい。また、反時計方向に回転する現像ローラの周速としては、時計方向に回転する潜像坦持体に対して1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.2の周速比とするとよい。
潜像坦持体と現像ローラとの対峙部において、トナーTは現像ローラ表面と潜像坦持体表面との間で振動し、静電潜像が現像されるが、トナー粒子と潜像坦持体は、現像ローラ表面と潜像坦持体表面との間でトナー8が振動する間に接触するので、正帯電トナーが存在しても後述する仕事関数の関係から正帯電トナーの負帯電化を可能とする。
次に、中間転写媒体5は潜像坦持体1とバックアップローラ(転写ローラ)7との間に送られる。転写ローラは、中間転写媒体を潜像坦持体に圧接させると共に、転写電圧として負帯電トナーとは逆極性の電圧が印加される。
中間転写媒体としては、電子導電性の転写ドラムや転写ベルトが例示される。まず、転写ベルト方式の転写媒体は2種類の基体を用いるタイプに分けることができる。1つは樹脂からなるフィルムやシームレスベルト上に表層である転写層を設けるものであり、他は弾性体の基層上に表層である転写層を設けるものである。また、ドラム方式の転写媒体も2種類の基体を用いるタイプに分けることができる。1つは潜像坦持体が剛性のあるドラム、例えばアルミ製のドラム上に有機感光層を設けた場合には、中間転写媒体としてはアルミ等の剛性のあるドラム基体上に弾性の表層である転写層が設けられる。また、潜像坦持体の支持体がベルト状、あるいはゴム等の弾性支持体上に感光層を設けた所謂「弾性感光体」である場合には、中間転写媒体としてはアルミ等の剛性のあるドラム基体上に直接あるいは導電性中間層を介して表層である転写層を設けられるとよい。
基体としては、公知の導電性あるいは絶縁性基体が使用可能である。転写ベルトの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは106 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。使用する基体により次の2種類に分けることができる。
フィルムおよびシームレスに適する材質と作製方法としては、変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、ポリカーボネート、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに、導電性カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を分散した厚さ50〜500μmの半導電性フィルム基体を押し出し成形でシームレス基体とする。そして、その外側にさらに表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として厚さ5〜50μmのフッ素コーティングを行ったシームレスベルトが挙げられる。塗工方法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法その他の方法を用いることができる。なお、転写ベルトの両端部には転写ベルトの端部で亀裂や伸びおよび蛇行防止のために、膜厚80μmのPETフイルム等のテープやウレタンゴム等のリブを貼り付けて使用する。
フィルムシートで基体を作製する場合には、ベルト状とするために端面を超音波溶着を行うことでベルトを作製することができる。具体的にはシートフィルム上に導電性層並びに表面層を設けてから、超音波溶着を行うことにより所望の物性を有する転写ベルトを作製することができる。具体的には、基体として厚さ60〜150μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを絶縁性基体として用いた場合には、その表面にアルミ等を蒸着し、必要によりさらにカーボンブラック等の導電材料と樹脂からなる中間導電性層を塗工し、その上にそれより高い表面抵抗を有するウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電材料、フッ素系微粒子からなる半導電性表面層を設けて転写ベルトとすることができる。塗工後の乾燥時に熱をさほど必要としない抵抗層を設けることができる場合には、先にアルミ蒸着フィルムを超音波溶着させてから上記の抵抗層を設け、転写ベルトとすることも可能である。
ゴム等の弾性基体に適する材質と作製方法としては、シリコンゴム、ウレタンゴム、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等に上記の導電材料を分散した厚さ0.8〜2.0mmの半導電性ゴムベルトを押し出し成形で作製後、表面をサンドペーパーやポリシャー等の研磨材により所望の表面粗さに制御する。このときの弾性層をこのままで使用してもよいが、さらに上記と同じようにして表面保護層を設けることができる。
転写ドラムの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは107 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。転写ドラムはアルミ等の金属円筒上に必要により弾性体の導電性中間層を設けて導電性弾性基体とし、さらにその上に表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として半導電性の厚さ5〜50μmの、例えばフッ素コーティングを行い作製することができる。
導電性弾性基体としては、例えばシリコンゴム、ウレタンゴム、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料に、カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を配合、混練、分散した導電性ゴム素材を、直径が90〜180mmのアルミ円筒に密着成形して、研磨後の厚さが0.8〜6mmで、体積抵抗が104 〜1010Ω・cmとするとよい。次いで、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電材料、フッ素系微粒子からなる半導電性の表面層を膜厚約15〜40μm設けて、所望の体積抵抗107 〜1011Ω・cmを有する転写ドラムとすることができる。このときの表面粗さは1μmRa以下が好ましい。また、別の例としては上記のように作製した導電性弾性基体の上にフッ素樹脂等の半導電性のチューブを被せて、加熱により収縮させて所望の表面層と電気抵抗を有する転写ドラムを作製することも可能である。
転写ドラムや転写ベルトにおける導電性層には、一次転写電圧として+250〜+600Vの電圧が印加され、また、紙等の転写材への二次転写に際しては、二次転写電圧として+400〜+2800Vの電圧が印加されるとよい。
また、転写ローラ7は、直径10〜20mmの金属シャフトの周表面に弾性層、導電層、抵抗性表面層の順で積層した構造を有する。抵抗性表面層はフッ素樹脂、ポリビニルブチラール等の樹脂、ポリウレタン等のゴムに導電性カーボン等の導電性微粒子を分散させた可撓性に優れた抵抗性シートを使用することができ、表面が平滑であることが好ましく、体積抵抗値107 〜1011Ω・cm、好ましくは108 〜1010Ω・cmのものであり、膜厚は0.02〜2mmである。
導電層としては、ポリエステル樹脂等に導電性カーボン等の導電性微粒子を分散させた導電性樹脂、金属シート、また、導電性接着剤から選ばれるとよく、体積抵抗値が105 Ω・cm以下のものである。弾性層は、転写ローラが潜像坦持体に圧接して用いられる際にその圧接時に柔軟に変形し、圧接開放時にはすみやかに原形に復帰することが必要であり、発泡ゴムスポンジ等の弾性体を用いて形成される。発泡構造としては、連続発泡(通泡)構造、独立気泡構造のいずれてもよく、ゴム硬度(アスカーC硬度)30〜80のものとするとよく、膜厚は1〜5mmである。転写ローラの弾性変形により、潜像坦持体と中間転写媒体は幅広いニップ幅で密着させることができる。転写ローラによる潜像坦持体への押圧荷重は、0.245〜0.588N/cm、好ましくは0.343〜0.49N/cmとするとよい。
本発明のカラー画像形成装置においては、中間転写媒体の仕事関数をトナーの仕事関数よりも小さくすることにより、潜像坦持体上の転写残トナーを中間転写媒体に転写することができ、また、中間転写媒体から紙等の記録部材への転写後における中間転写媒体上の転写残トナー量を少なくできる。
潜像坦持体(感光体)表面の仕事関数(Φopc )としては5.2〜5.6eV、好ましくは5.25〜5.5eVとするとよく、5.2eV未満であると、使用可能な電荷輸送剤の選択が困難になるという問題があり、また、5.6eVを超えると使用可能な電荷発生剤の選択が困難になるという問題がある。
中間転写媒体表面の仕事関数(ΦtM)としては、4.9〜5.5eV、好ましくは4.95〜5.45eVとするとよい。中間転写媒体表面の仕事関数(ΦtM)が5.5eVより大きいと、トナーとしての材料設計が困難となるので好ましくなく、また、4.9eVより小さいと中間転写媒体中の導電剤の量が多くなりすぎ、中間転写媒体の機械的強度が低下するという問題がある。また、規制ブレードの仕事関数をトナーの仕事関数より小さいものとしておくとよく、逆帯電トナーの発生をより防止できる。
本発明のカラー画像形成装置は、負帯電性一成分トナーの平均円形度Rが高くすることにより、転写効率の高いものとできる。トナーの仕事関数(Φt )と、画像形成装置における潜像担持体表面の仕事関数(ΦOPC)と中間転写媒体の仕事関数(ΦM )の関係として、Φt >ΦOPC>ΦtMとすることにより、より転写効率に優れるものとでき、潜像坦持体表面への転写残トナーの量を少なくできる。
また、中間転写媒体表面の仕事関数(ΦtM)としては4.9〜5.5eVとでき、また、負帯電性一成分トナーの仕事関数として5.25〜5.85eVとできるが、本発明のカラー画像形成装置においては、中間転写媒体の仕事関数をトナーの仕事関数より少なくとも0.2eV小さくすることにより、紙等の記録部材への転写後における中間転写媒体上の転写残トナー量を少なくできる。
図4に示す画像形成装置において、現像プロセスをイエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKからなる4色のトナー(現像剤)による現像器と感光体を組み合わせれば、本発明におけるカラー画像形成装置となる。
図5は、トナー補給式のタンデムカラープリンタの概略正面図であり、感光体と現像部ユニットが同一のユニットすなわち、プロセスカートリッジとして装着できるように構成されている。また、現像は接触方式とされてもよいが、後述する実施例においては非接触方式とされる。
この画像形成装置は、駆動ローラ11、従動ローラ12の2本のローラのみ張架されて図示矢印方向(反時計方向)に循環駆動される中間転写ベルト30と、この中間転写ベルト30に対して配置された4個の単色トナー像形成手段20Y、20C、20M、20Kとを備え、中間転写ベルト30に対して複数個の単色トナー像形成手段20によるトナー像が個別の転写手段13、14、15、16で順次一次転写されるように構成される。それぞれの一次転写部をT1Y、T1C、T1M、T1Kで示す。
単色トナー像形成手段は、イエロー用のもの20Yと、マゼンタ用のもの20Mと、シアン用のもの20Cと、ブラック用のもの20Kとが配置されている。これらの単色トナー像形成手段20Y、20C、20M、20Kはそれぞれ外周面に感光層を有する感光体21と、この感光体21の外周面を一様に帯電させる帯電手段としての帯電ローラ22と、この帯電ローラ22より一様に帯電させられた外周面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段23と、この露光手段23により形成された静電潜像に現像剤(トナー)を付与して可視像(トナー像)とする現像手段としての現像ローラ24と、この現像ローラ24により現像されたトナー像が一次転写対象である中間転写ベルト30に転写された後に感光体21の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード25とを有している。
これら単色トナー像形成手段20Y、20C、20M、20Kは中間転写ベルト30の弛み側に配置されている。中間転写ベルト30に順次一次転写され、中間転写ベルト30上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写部T2において用紙等の記録材の記録材Sに二次転写され、定着ローラ対61を通ることで記録材の記録材S上に定着され、排紙ローラ対62によって所定の場所、すなわち図示しない排紙トレイ上等へ排出される。51は記録材の記録材Sが積層保持されている給紙カセット、52は給紙カセット51から記録材Sを一枚ずつ給送するピックアップローラ、Gは二次転写部T2へのシートSの給紙タイミングを規定するゲートローラ対である。
また、63は中間転写ベルト30との間で二次転写部T2を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、64は二次転写後に中間転写ベルト30の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。二次転写後のクリーニングブレード64は、従動ローラ12にではなく駆動ローラ11への中間転写ベルト30の巻きかけ部において中間転写ベルト30に当接している。
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
カラー画像形成装置における各部材の作製例を示す。
有機感光体の作製
直径30mmのアルミ素管の導電性支持体に、下引き層としてアルコール可溶性ナイロン{東レ(株)製「CM8000」}6質量部とアミノシラン処理された酸化チタン微粒子4質量部とをメタノール100質量部に溶解、分散させてなる塗工液をリングコーティング法で塗工し、温度100℃で40分乾燥させ、膜厚1.5〜2μmの下引き層を形成した。
この下引き層上に、電荷発生顔料としてのオキシチタニルフタロシアニン顔料1質量部とブチラール樹脂{BX−1、積水化学(株)製}1質量部とジクロルエタン100質量部とを、φ1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで8時間分散させて得られる顔料分散液をリングコーティング法で塗工し、80℃で20分間乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
この電荷発生層上に、下記構造式(1)のスチリル化合物の電荷輸送物質40質量部とポリカーボネート樹脂(パンライトTS、帝人化成(株)製)60質量部をトルエン400質量部に溶解させ、乾燥膜厚が22μmになるように浸漬コーティング法で塗工、乾燥させて電荷輸送層を形成し、2層からなる有機感光体を作製した。
構造式(1)
Figure 2007148198
得られた有機感光体の一部を切り欠き、試料片として、仕事関数を表面分析装置(AC−2型、理研計器(株)製)を用い、照射光量500nWで測定したところ、5.47eVを示した。
現像ローラの作製例
直径18mmのアルミパイプ表面にニッケルメッキ(厚さ10μm)を施した。表面粗さ(Rz)は7μmであった。この現像ローラ表面の仕事関数を同様の条件で測定したところ、4.58eVであった。
規制ブレードの作製例
厚さ80μmのSUS板に厚さ1.5mmの導電性ウレタンゴムチップを導電性接着剤で貼り付けた。同様の条件でのウレタンゴム面の仕事関数は5eVであった。
中間転写ベルトの作製例
ポリブチレンテレフタレート85質量部、ポリカーボネート15質量部およびアセチレンブラック15質量部を窒素雰囲気下でミキサーにより予備混合し、得られた混合物を引続き窒素ガス雰囲気下で二軸押出機により混練し、ペレット化した。このペレットを環状ダイスを有する一軸押出機により260℃にて外径170mm、厚さ160μmのチューブ状フイルムに押出した。次に、押し出した溶融チューブを、環状ダイスと同じ軸線上に支持した冷却インサイドマンドレルにより内径を規制し、冷却固化させてシームレスチューブを作製した。規定寸法に切断し、外径172mm、幅342mm、厚さ150μmのシームレスベルトを得た。この転写ベルトの体積抵抗は3.2×108 Ω・cmであった。仕事関数を同様の条件で測定したところ5.19eV、規格化光電子収率10.88であった。
(実施例1)
トナー母粒子の製造例3で得られたトナー母粒子(イエロートナー母粒子)に対して
(1) 個数平均一次粒子径が約12nmの疎水性シリカ(BET比表面積150m2 /g、仕事関数5.22eV、日本アエロジル(株)製「R805」)
・・1.2質量%と
(2) 個数平均一次粒子径が110nmの疎水性球形シリカ(BET比表面積23m2 /g、仕事関数5.26eV、(株)日本触媒製「シーホスターKE−P10S」)
・・0.3質量%
とを、ヘンシェルミキサーを使用し、8,000rpm、1分添加混合処理した。
混合処理終了後、さらに、トナー母粒子に対して、
(3) 個数平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン(BET比表面積135m2 /g、仕事関数5.64eV、チタン工業(株)製「STT−30S」)
・・0.5質量%と
(4) 表3の各α型アルミナ ・・0.3質量%と
(5) 個数平均一次粒子径が1μmのステアリン酸亜鉛粒子(仕事関数5.36eV、日本油脂(株)製) ・・0.1質量%と
(6) 個数平均一次粒子径が30nmの疎水性の正帯電性シリカ(ヘキサメチルシラザンとアミノシランによる処理品、BET比表面積40m2 /g、仕事関数5.37eV、日本アエロジル(株)製「NA50H」) ・・0.2質量%
とを追加添加し、8,000rpm、1.5分間外添処理し、負帯電性一成分トナーを作製した。
作製した負帯電性一成分トナーの入った現像ユニットを、図5に示す非磁性一成分非接触現像のカラー画像形成装置(外部トナー補給方式のタンデムカラー画像形成装置)におけるシアン現像部にセットした。規制後のトナー搬送量は0.65mg/cm2 に調整して使用した。作製した各イエロートナーを用い、30,000枚の連続印字試験を行った。その結果を下記表4に示す。なお、トナーは補給しながら行い、過不足が生じない状態で印字を行い、また、トナー搬送量は住友3M社製のメンディングテープを用いてテープ転写法で単位面積当りの付着量として換算したものである。
表4には、5%原稿に相当する原稿を30,000枚印字した後の現像ローラ上のトナー帯電特性を、ホソカワミクロン(株)製の帯電量分布測定装置「E−SPARTアナライザー3型」で測定したトナーの平均帯電量(−μc/g)、+トナー個数%、及び5%A4原稿1枚当りのトナー使用量(mg/cm2 )、OPC上の転写残りトナーとカブリトナーをクリーニングしたトナー量(g)を示す。
また、作像条件はプロセス速度210mm/sec、OPC上の表面電位−600V、現像バイアスはパッチ制御により可変、一次転写定電圧制御の+360V、二次転写電圧は定電流制御で行った。また、転写紙は(株)リコーのマイリサイクルペーパーを使用した。
また、比較例として、トナー母粒子の製造例3で得られたトナー母粒子(イエロートナー母粒子)に代えて、トナー母粒子の製造例10で得られたトナー母粒子(イエロートナー母粒子)を使用し、同様に外添処理し、負帯電性一成分トナーを作製し、その印字結果も同様に示す。また、表中、α型アルミナ5は、両方共比較例である。
Figure 2007148198
表からわかるように、本発明のBET比表面積4〜15m2 /gの範囲にあるα型アルミナ微粒子を用いたトナーは、逆極性である+トナーの発生個数%が、α型アルミナ5を使用した比較例に比べて少なく、また、5%A4原稿1枚当りの消費量も少なく、その結果クリーニングトナー量も少なくなる結果を与えた。
また、本発明においては、イエロートナー母粒子の仕事関数は、α型アルミナの仕事関数とルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数との間に入るのに対して、ルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数5.64eV以上の仕事関数値を示す製造例10で得られたトナー母粒子(5.68eV)は、相対的に5%A4原稿1枚当りのトナー使用量が多く、また、クリーニングトナー量も100g以上と多い値を示すことがわかる。
クリーニングトナー量が多くなると、廃トナー容器も大きくなり、今回の連続印字試験では3万枚であったが、この印字枚数以上に設定する画像形成装置においては、クリーニング部や廃トナー搬送部、並びに廃トナー容器も含めた装置の容量を大きくする必要があり、これは画像形成装置の大型化に結びつくので、画像形成装置の小型化には不利になるものである。
(実施例2)
トナー母粒子の製造例2で得られたトナー母粒子(マゼンタトナー)に対して (1) 個数平均一次粒子径が約12nmの疎水性シリカ(BET比表面積150m2 /g、仕事関数5.22eV、日本アエロジル(株)製「R805」)
・・1.3質量%と
(2)個数平均一次粒子径が305nmの疎水性球形シリカ(BET比表面積7m2 /g、仕事関数5.26eV、(株)日本触媒製「シーホスターKE−P30S」)
・・0.5質量%
とを、ヘンシェルミキサーを使用し、8,000rpm、1分添加混合処理した。
混合処理終了後、さらに、トナー母粒子に対して、
(3) 個数平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン(BET比表面積135m2 /g、仕事関数5.64eV、チタン工業(株)製「STT−30S」)
・・0.5質量%と
(4) 表3の各α型アルミナ ・・0.3質量%と
(5) 個数平均一次粒子径が1μmのステアリン酸亜鉛粒子(仕事関数5.36eV、日本油脂(株)製) ・・0.15質量%と
(6) 個数平均一次粒子径が30nmの疎水性の正帯電性シリカ(ヘキサメチルシラザンとアミノシランによる処理品、BET比表面積40m2 /g、仕事関数5.37eV、日本エアロジル(株)製「NA50H」) ・・0.2質量%
とを追加添加し、8,000rpm、1.5分間外添処理し、負帯電性一成分トナーを作製した。
そして、実施例1と同様にして負帯電性一成分トナーの入った現像ユニットを、図5に示す非磁性一成分非接触現像のカラー画像形成装置(外部トナー補給方式のタンデムカラー画像形成装置)におけるマゼンタ現像部にセットした。規制後のトナー搬送量は0.65mg/cm2 に調整して使用した。作製した各マゼンタトナーを用い、30,000枚の連続印字試験を行った。測定結果を実施例1と同様に下記表5に示す。なお、トナーは補給しながら行い、過不足が生じない状態で印字を行った。
また、比較例として、トナー母粒子の製造例2で得られたトナー母粒子(マゼンタトナー母粒子)に代えて、トナー母粒子の製造例9で得られたトナー母粒子(マゼンタトナー母粒子)を使用し、同様に外添処理し、同様に、連続印字試験を行った結果も同様に示す。また、表中、α型アルミナ5は、両方共比較例である。
Figure 2007148198
表からわかるように、本発明のBET比表面積4〜14m2 /gの範囲にあるα型アルミナ微粒子を用いたトナーは、逆極性である+トナーの発生個数%が、α型アルミナ5を使用した比較例に比べて少なく、また、5%A4原稿1枚当りの消費量も少なく、その結果クリーニングトナー量も少なくなる結果を与えた。
また、本発明においては、マゼンタトナー母粒子の仕事関数は、α型アルミナの仕事関数とルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数との間に入るのに対して、ルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数5.64eV以上の仕事関数値を示す製造例9で得られたトナー母粒子(5.69eV)は、相対的に5%A4原稿1枚当りのトナー使用量が多く、また、クリーニングトナー量も90g以上と多い値を示すことがわかる。
クリーニングトナー量が多くなると、廃トナー容器も大きくなり、今回の連続印字試験では3万枚であったが、この印字枚数以上に設定する画像形成装置においては、クリーニング部や廃トナー搬送部、並びに廃トナー容器も含めた装置の容量を大きくする必要があり、これは画像形成装置の大型化に結びつくので、画像形成装置の小型化には不利になるものである。
(実施例3)
トナー母粒子製造例3で得られたトナー母粒子(イエロートナー)とα型アルミナ微粒子として表3のα型アルミナ3を使用した以外は、実施例1と同様にして印字評価用の負帯電性一成分トナーを作製した。作製した負帯電性一成分トナーの入った現像ユニットを、図5に示す非磁性一成分非接触現像のカラー画像形成装置(外部トナー補給方式のタンデムカラー画像形成装置)におけるシアン現像部にセットした。規制後のトナー搬送量は下記表6に示す範囲内となるように調整して使用した。作製した各イエロートナーを用い、30,000枚の連続印字試験を行った。その結果を下記表6に示す。なお、トナーは補給しながら行い、過不足が生じない状態で印字を行い、実施例1同様に測定結果を下記表6に示す。
また、下記表6には現像幅における左右のベタ部の最小と最高の画像濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製「RD−19I」)で測定し、その濃度差を同時に示す。
Figure 2007148198
表からわかるように、搬送量が0.5mg/cm2 未満であると、現像幅における画像濃度の左右差が0.26と大きく、微妙な規制条件の変動が影響していることが示され、安定した画像濃度を維持するためには、搬送量が0.5mg/cm2 以上必要であることがわかる。また、規制後の搬送量が0.8mg/cm2 を越えると+トナーの個数%やクリーニングトナー量が増大することから、搬送量としては0.8mg/cm2 以下とすることが必要であることがわかる。
(実施例4)
トナー母粒子の製造例の1〜4で得られたトナー母粒子に対して、
(1) 個数平均一次粒子径が約12nmの疎水性シリカ(BET比表面積150m2 /g、仕事関数5.22eV、日本アエロジル(株)製「R805」)
・・1.5質量%と
(2) 個数平均一次粒子径が110nmの疎水性球形シリカ(BET比表面積23m2 /g、仕事関数5.26eV、(株)日本触媒製「シーホスターKE−P10S」)
・・0.5質量%
とを、ヘンシェルミキサーを使用し、8,000rpm、1分添加混合処理した。
混合処理終了後、さらに、トナー母粒子に対して、
(3) 個数平均一次粒子径が20nmの疎水性酸化チタン(BET比表面積135m2 /g、仕事関数5.64eV、チタン工業(株)製「STT−30S」
・・0.2質量%と
(4) 表3のα型アルミナ3(BET比表面積7.0m2 /g)・・0.4質量%と
(5)下記表7の金属石鹸粒子を下記表8のトナー母粒子との組合せで
・・0.1質量%と
(6)個数平均一次粒子径が30nmの疎水性の正帯電性シリカ(ヘキサメチルシラザンとアミノシランによる処理品、BET比表面積40m2 /g、仕事関数5.37eV、日本アエロジル(株)製「NA50H」) ・・0.2質量%
とを追加添加し、8,000rpm、1.5分間外添処理し、4点の評価用の負帯電性一成分トナーを作製した。
Figure 2007148198
Figure 2007148198
作製した各色トナーの入った現像ユニットを、図5に示す非磁性一成分非接触現像のカラー画像形成装置(外部トナー補給方式のタンデムカラー画像形成装置)における各現像部にセットした。規制後のトナー搬送量は0.65mg/cm2 に調整し、現像・転写順は、紙が供給される側からみて、シアン現像器、マゼンタ現像器、イエロー現像器、ブラック現像器である。作像条件は一次転写電圧を+420Vとした以外は実施例1と同じとした。
次いで、JIS X 9201−1995に準拠の標準画像データのN−2A「カフェテリア」の画像を、初期と5%原稿を50,000枚印字した後に出力し、1枚目と50,001枚目の色再現性について評価した。尚、色再現性については1枚目の画像品質を10点満点とし、50,001枚目の画像を主観的に評価した。その結果を表9にクリーニングトナー量と共に示す。
また、上記の負帯電性一成分トナーの作製に際して、トナー母粒子の製造例の2、3で得られたトナー母粒子に代えて製造例9で作製したマゼンタトナー母粒子、また、製造例10で作製したイエロートナー母粒子を用い、また、シアントナーとブラックトナーは同じトナー母粒子、すなわち製造例1、製造例4で得られたトナー母粒子を用い、同様にして比較用の負帯電性一成分トナーを作製し、同様に評価した。表9には、結果を比較用の外添剤使用カラートナーとして示す。
Figure 2007148198
表からわかるように、カラー画像の再現性に差はなかったが、クリーニングトナー量が本発明に比して約2倍の容量があることがわかる。クリーニングトナー量が多くなると、廃トナー容器も大きくなり、今回の連続印字試験では3万枚であったが、この印字枚数以上に設定する画像形成装置においては、クリーニング部や廃トナー搬送部、並びに廃トナー容器も含めた装置の容量を大きくする必要があり、これは画像形成装置の大型化に結びつくので、画像形成装置の小型化には不利になるものである。
(実施例5)
トナー母粒子の製造例の5〜8で得られたトナー母粒子を用い、負帯電性一成分トナーを実施例2と同様に作製した。トナー母粒子に対して使用する金属石鹸粒子の組合せは実施例4と同じとし、その添加量はトナー母粒子に対して0.15質量%とした。また、比較例のマゼンタトナーとイエロートナーには、製造例9で作製したマゼンタトナー母粒子、製造例10で作製したイエロートナー母粒子を用いた。
作製した各色トナーの入った現像ユニットを、図5に示す非磁性一成分非接触現像のカラー画像形成装置(外部トナー補給方式のタンデムカラー画像形成装置)における各現像部にセットした。規制後のトナー搬送量は0.65mg/cm2 に調整し、現像・転写順は、紙が供給される側からみて、シアン現像器、マゼンタ現像器、イエロー現像器、ブラック現像器である。作像条件は一次転写電圧を+420Vとした以外は実施例1と同じとした。
次いで、JIS X 9201−1995に準拠の標準画像データのN−2A「カフェテリア」の画像を、初期と5%原稿を50,000枚印字した後に出力し、1枚目は50,001枚目の色再現性について評価した。尚、色再現性については1枚目の画像品質を10点満点とし、50,001枚目の画像を主観的に評価した。その結果を表10にクリーニングトナー量と共に示す。
Figure 2007148198
表からわかるように、カラー画像の再現性に差はなかったが、クリーニングトナー量が本発明に比して約2倍の容量があることがわかる。クリーニングトナー量が多くなると、廃トナー容器も大きくなり、今回の連続印字試験では3万枚であったが、この印字枚数以上に設定する画像形成装置においては、クリーニング部や廃トナー搬送部、並びに廃トナー容器も含めた装置の容量を大きくする必要があり、これは画像形成装置の大型化に結びつくので、画像形成装置の小型化には不利になるものである。
図1は、トナーの仕事関数を測定するために使用される測定セルを示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。 図2は、円筒形状の画像形成装置部材の仕事関数を測定する方法を説明する図であり、(a)は測定試料片の形状を示す斜視図、(b)は測定状態を示す図である。 図3は、トナーの仕事関数を表面分析装置を使用して測定したチャートの一例である。 図4は、非接触現像方式の説明図である。 図5は、本発明における外部補給方式のタンデムカラー画像形成装置の説明図である。
符号の説明
1は潜像担持体、2は帯電手段、3は露光手段、4は現像手段、5は中間転写媒体、7はバックアップローラ、8はトナー供給ローラ、9はトナー規制ブレード(トナー層厚規制部材)、10は現像ローラ、Tは負帯電性一成分トナーであり、Lは現像ギャップである。

Claims (6)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤とからなり、個数基準の平均粒径が4.5〜9μmであり、3μm以下の平均粒径の積算値が1%以下である粒度分布を有し、かつ、平均円形度が0.95〜0.99であるトナー母粒子に
    (1) BET比表面積が80〜300m2 /gの負帯電性疎水性シリカ微粒子、
    (2) BET比表面積が5〜40m2 /gで、かつ、個数平均一次粒子径が80〜350nmの負帯電性疎水性の球形シリカ微粒子、
    (3) 個数平均一次粒子径が10〜30nmの疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子、
    (4) BET比表面積が4〜15m2 /gのα型アルミナ微粒子、
    (5) 個数平均一次粒子径が1.5μm以下の金属石鹸粒子
    が外添処理されると共に、トナー母粒子の仕事関数(Φt)が5.3〜5.7eV、α型アルミナ微粒子の仕事関数(Φa)が4.9〜5.2eV、疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子の仕事関数(Φs)が5.5〜 5.7eVであって、(Φa)<(Φt)<(Φs)の関係としたことを特徴とする負帯電性一成分トナー。
  2. BET比表面積が30〜50m2 /gの正帯電性疎水性シリカ微粒子により更に外添処理されたことを特徴とする請求項1記載の負帯電性一成分トナー。
  3. トナー母粒子が、溶解懸濁法により得られるものであることを特徴とする請求項1記載の負帯電性一成分トナー。
  4. 潜像坦持体に静電潜像を形成し、該静電潜像を、逐次、複数の現像器を用いて一成分方式により現像してカラートナー像を形成した後、該潜像坦持体に形成されたトナー像を中間転写媒体に転写してカラートナー像を形成し、記録材上に転写し、定着するカラー画像形成装置において、該複数の現像器を外部補給式の現像装置とし、該複数の現像器における現像部材上のトナー搬送量をそれぞれ0.5〜0.8mg/cm2 とすると共に、前記トナーが、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなり、個数基準の平均粒径が4.5〜9μmであり、3μm以下の平均粒径の積算値が1%以下である粒度分布を有し、かつ、平均円形度が0.95〜0.99であるトナー母粒子に、
    (1) BET比表面積が80〜300m2 /gの負帯電性疎水性シリカ微粒子、
    (2) BET比表面積が5〜40m2 /gで、かつ、個数平均一次粒子径が80〜350nmの負帯電性疎水性の球形シリカ微粒子、
    (3) 個数平均一次粒子径が10〜30nmの疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子、
    (4) BET比表面積が4〜15m2 /gのα型アルミナ微粒子、
    (5) 個数平均一次粒子径が1.5μm以下の金属石鹸粒子
    を外添処理すると共に、トナー母粒子の仕事関数(Φt)が5.3〜5.7eV、α型アルミナ微粒子の仕事関数(Φa)が4.9〜5.2eV、疎水性ルチル−アナターゼ型酸化チタン微粒子の仕事関数(Φs)が5.5〜5.7eVであって、(Φa)<(Φt)<(Φs)の関係とした負帯電性一成分トナーであることを特徴とするカラー画像形成装置。
  5. トナーがBET比表面積が30〜50m2 /gの正帯電性疎水性シリカ微粒子により更に外添処理された負帯電性一成分トナーであり、現像方式が、非接触現像方式であることを特徴とする請求項4記載のカラー画像形成装置。
  6. カラー画像形成装置が、タンデム方式の現像方式を採用したことを特徴とする請求項4記載のカラー画像形成装置。
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