JP3693106B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潜像担持体上の静電潜像を、トナー母粒子が外添剤により外添処理された一成分非磁性トナーにより現像して得られた潜像担持体上のトナー像を中間転写媒体に中間転写することで画像形成を行う画像形成装置の技術分野に属し、特に、多数の母粒子と、少なくとも酸化チタンからなる外添剤の多数の粒子とからなり、逆転写トナーを抑制することのできる一成分非磁性トナーを用いた画像形成装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成装置に用いられるトナーとしては、一般的には二成分トナーが知られ、比較的安定した現像を可能とするが、現像剤と磁性キャリアとの混合比の変動が発生しやすく、その維持管理をする必要がある。そのため、一成分非磁性トナーが開発されている。この一成分非磁性トナーとしては、一成分磁性トナーが開発されているものの、磁性材料の不透明性から鮮明なカラー画像を得られないという問題がある。そこで、従来、カラートナーとして一成分非磁性トナーが開発されている。
【0003】
ところで、画像形成装置に用いられるトナーにおいては、帯電安定性、流動性、耐久安定性等を向上させることを目的として、従来、トナー母粒子に外添剤の微粒子を外添させる表面処理が行われている。
【0004】
従来、トナー用の外添剤として、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)および酸化チタン(チタニア)を単独または複数種組み合わせて使用することが知られている。この場合、それぞれの外添剤はそれらの有する特徴を活かすために、単独よりも複数種組み合わせて使用するのが一般的である。
【0005】
しかし、このように複数種の外添剤を単に組み合わせて使用したトナーであっても、次のような問題がある。すなわち、
▲1▼ トナーに外添剤を添加しても帯電量分布が存在するため、負帯電用トナーであっても正に帯電したトナーの発生は避けきれなかった。その結果、負帯電反転現像で作像する画像形成装置では、潜像担持体(感光体)の非画像部にトナーが付着するため、クリーニングトナー量が増大してしまう。また、印字枚数が増すに従い、トナー表面上の外添剤が埋没するため、実質上有効に機能する外添剤の量が減少して、カブリトナー量が更に増えると同時に、トナーの帯電量が低下してトナー飛散が発生してしまう。
▲2▼ トナーの劣化防止のために、シリカを多量に添加してトナーの流動性を維持しようとすると、流動性は改善されるが、定着性が低下してしまう。
▲3▼ シリカを増やすと、トナーの負帯電能力が高くなり過ぎて印字画像濃度が低下するため、比較的低電気抵抗のチタニアやアルミナを添加しているが、一般にチタニアやアルミナは一次粒子径が小さいため、印字枚数が増えるとトナー母粒子中に埋没し、それらの効果が発揮できなくなってしまう。
▲4▼ 良好なフルカラートナーを得るために、逆転写トナーの発生を可能な限り抑制することが求められる。
【0006】
そこで、アナターゼ型酸化チタンを含有し、シランカップリング剤で処理されている処理層を有するルチル型酸化チタンを外添剤として用い、紡錘形状のルチル型酸化チタンでトナー母粒子に付着した酸化チタンがこのトナー母粒子内に埋没しないようにし、またシランカップリング剤との親和性がよいアナターゼ型酸化チタンでトナー母粒子にシランカップリング剤の均一な被膜を得ることにより、帯電分布が均一で、摩擦帯電性を低下させることなく安定した帯電特性を得るとともに、環境依存性、流動性および耐ケーキング性を向上させることが特開2000−128534号公報において提案されている。この公開公報に開示されているトナーによれば、前述の諸問題▲1▼〜▲3▼がある程度解決することができる。
【0007】
また、トナーの外添剤として疎水性シリカにルチル/アナターゼ混晶型酸化チタンを添加することにより、フルカラー画像において、色再現性、透明性を損なうことなく、トナーの流動性を高め、温度・湿度の環境に左右されずに安定した摩擦帯電性を得るとともに、トナー飛散を防止して非画像部へのトナーのカブリを防止することが特開2001−83732号公報において提案されている。この公開公報に開示されているトナーによっても、前述の諸問題▲1▼〜▲4▼がある程度解決することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の各公開公報のトナーでは、ルチル型酸化チタンにより酸化チタンがトナー母粒子内に埋没することを抑制して安定した帯電特性をある程度得ることができるとともに、アナターゼ型酸化チタンにより流動性および環境依存性をともに向上させることができるものの、外添剤としてルチル/アナターゼ型酸化チタンを単に用いているだけであるので、ルチル/アナターゼ型酸化チタンの特性、つまりトナー母粒子内へ埋没し難い特質と電荷調整機能をより効果的に活かしているとは言えず、得られる安定した帯電特性、流動性の向上および環境依存性の向上にも限度があることが考えられる。すなわち、前述の諸問題▲1▼〜▲4▼をより効果的に解決するために、トナーの更なる改良が求められる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、逆転写トナーの発生をより効果的に抑制できるとともに画像濃度をより均一にかつより一層長期にわたって維持できるようにして、特に、中間転写媒体によるフルカラーの画像形成に好適な画像形成方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明の画像形成方法は、潜像担持体上の静電潜像を、トナー母粒子がこのトナー母粒子の仕事関数より大きいかまたは前記トナー母粒子の仕事関数と略同一の仕事関数を有しかつ紡錘形状である疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを少なくとも含む外添剤により外添処理された一成分非磁性トナーにより現像し、得られた前記潜像担持体上のトナー像を中間転写媒体に中間転写することにより画像を形成することを特徴としている。
【0012】
【作用】
このように構成された本発明の画像形成方法においては、使用する一成分非磁性トナーの外添剤に、トナー母粒子の仕事関数より大きいかまたはトナー母粒子の仕事関数と略同一の仕事関数を有するとともに、紡錘形状である疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン微粒子を用いることで、一成分非磁性トナーの平均帯電量がほとんど変わらずに逆帯電トナー量である正帯電量がより効果的に減少する。これにより、逆転写トナーの発生がより効果的に抑制されて転写効率が向上するとともに、カブリトナーが減少し、更に画像濃度の変動が抑制される。したがって、一成分非磁性トナーはその負帯電が長期にわたり安定し、連続印字における安定した画像品質を与えるようになる。
【0013】
そして、外添剤に疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを少なくとも含む一成分非磁性トナーを用いて逆転写トナーの発生を抑制することおよび中間転写媒体による中間転写(一次転写)を行うことを有機的に組み合わせることにより、フルカラーの画像形成を行ったときに、画像濃度がより均一にかつより一層長期にわたって維持される。これにより、高品質のフルカラーの画像が長期にわたって得られるようになる。
【0014】
特に、疎水性シリカが疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンと併用されることにより、疎水性シリカの仕事関数がトナー母粒子の仕事関数より小さいので、疎水性シリカがトナー母粒子に直接付着するようになり、また、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数がトナー母粒子の仕事関数と略同一でありかつ疎水性シリカの仕事関数より大きいので、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンはトナー母粒子に付着した疎水性シリカに付着する形でトナー母粒子の表面に付着するようになる。
【0015】
したがって、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンの有するトナー母粒子に埋没し難い特質と電荷調整機能とがより効果的に活かされるようになり、疎水性シリカの有する負帯電性能および流動性という固有の特性と、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンの有する比較的低抵抗でかつ負の過帯電防止特性という固有の特性とが相乗された機能がトナー母粒子に付与される。これにより、一成分非磁性トナーはその流動性低下が防止されるとともに、負の過帯電が防止されることからより良好な負帯電特性を有するようになり、その結果、逆転写トナーの発生およびカブリが更に効果的に抑制される。
【0016】
しかも、平均一次粒子径の異なる2種類の疎水性シリカを用いることで、小粒径の疎水性シリカがトナー母粒子に埋没し、この疎水性シリカの仕事関数より大きい仕事関数の疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが仕事関数差による接触電位差で埋没疎水性シリカに固着してトナー母粒子から遊離することが少なくなり、かつ大粒径の疎水性シリカがトナー母粒子の表面に固着していることから、トナー母粒子の表面が疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとによりまんべんなく覆われるようになり、一成分非磁性トナーはその負帯電がより一層長期にわたり安定し、連続印字におけるより安定した画像品質を与えるようになる。特に、少なくとも平均一次粒子が小粒径である疎水性シリカを疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンより多く添加することで、一成分非磁性トナーの負帯電がより一層長期にわたり安定する。
したがって、非画像部のカブリがより一層抑制されるとともに転写効率が更に向上し、更に逆転写トナーの発生がより効果的に抑制されるようになる。
【0017】
更に、粉砕法トナーおよび重合法トナーを問わず、トナー粒子径を小さくすると疎水性シリカの添加量を増大する必要があるが、疎水性シリカの添加量を増大すると、トナーの帯電量が初期では大きくなり過ぎるばかりでなく、印字が進むに連れて小粒径の疎水性シリカの埋没または飛散により、疎水性シリカの有効表面量が減少し、トナーの帯電量が低下する。このため、逆転写トナーや画像濃度の変動、あるいはカブリ量が増えるばかりでなく、トナー消費量が増加する傾向となるが、本発明の一成分非磁性トナーでは、大小2種の粒径の疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとを併用することで、疎水性シリカの量を少なくできるので、逆転写トナー、画像濃度の変動、および非画像部のカブリがより効果的に抑制されるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例に用いられる一成分非磁性トナーの一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、この例の一成分非磁性トナー8はトナー母粒子8aに外添剤12が外添されて構成されている。外添剤12には、平均一次粒径が小粒径および大粒径の2種類の粒径の疎水性シリカ(SiO2)13,14、および疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン(TiO2)15がそれぞれ使用されている。
【0019】
小粒径の疎水性シリカ13の平均一次粒径は20nm以下、好ましくは7〜16nm(この表記法は7nm〜16nmの意味である。他の単位の場合も同じである)であり、また大粒径の疎水性シリカ14のの平均一次粒径は30nm以上、好ましくは40〜50nmに設定されている。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15はルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンとが所定の混晶比で用いられており、例えば前述の特開2000−128534号公報に開示されている製造方法により製造することができる。この疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15は紡錘形状を呈しており、その長軸径が0.02〜0.10μmであるとともに、長軸と短軸との軸径比が2〜8に設定されている。
【0020】
この例の一成分非磁性トナー8では、トナー母粒子8aの仕事関数(例示は後述)より小さい仕事関数(例示は後述)を有する疎水性シリカ13,14によりトナー母粒子8aは負の帯電性が付与されるとともに、トナー母粒子8aの仕事関数より大きいかあるいはトナー母粒子8aの仕事関数と略同一(仕事関数差が0.25eV以内)である仕事関数(例示は後述)を有する疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15を混合使用することで、トナー母粒子8aの過帯電が防止されている。
【0021】
仕事関数(Φ)は、表面分析装置(理研計器(株)製AC−2)により、照射光量500nWで測定されるものであり、その物質から電子を取り出すために必要なエネルギーであり、仕事関数が小さいほど電子を出しやすく、大きい程電子を出しにくい。そのため、仕事関数の小さい物質と大きい物質を接触させると、仕事関数の小さい物質は正に、仕事関数の大きい物質は負に帯電するものであるが、仕事関数自体としてはその物質から電子を取り出すためのエネルギー(eV)として数値化されるものである。
【0022】
このように構成されたこの例の一成分非磁性トナー8に用いられるトナー母粒子は粉砕法および重合法のいずれの方法でも作製することができ、以下、その作製について説明する。
【0023】
まず、粉砕法によるトナー母粒子を用いた一成分非磁性トナー(以下、粉砕法トナーという)8の作製について説明する。
粉砕法トナー8は、樹脂バインダーに顔料、離型剤、荷電制御剤をヘンシェルミキサーで均一混合した後、2軸押し出し機で熔融・混練され、冷却後、粗粉砕−微粉砕工程を経て、分級処理されて得られたトナー母粒子8aに、さらに、外添剤である流動性改良剤が外添されてトナーとされる。
【0024】
バインダー樹脂としては、公知のトナー用樹脂が使用可能であり、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は混合して使用できる。特に本発明においては、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。本発明にあってはバインダー樹脂としてはガラス転移温度が50〜75℃、フロー軟化温度が100〜150℃の範囲が好ましい。
【0025】
着色剤としては、公知のトナー用着色剤が使用可能である。例えば、カーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料および顔料を単独あるいは混合して使用できる。
【0026】
離型剤としては、公知のトナー用離型剤が使用可能である。例えば、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、エステルワックス等を使用することが好ましい。
【0027】
荷電調整剤としては、公知のトナー用荷電調整剤が使用可能である。例えば、オイルブラック、オイルブラックBY、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業(株)製)、カリックスアレン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシルカルボン酸系金属錯体、芳香族ジカルボン酸系金属錯体、多糖類等が挙げられる。中でもカラートナー用には無色ないしは白色のものが好ましい。
【0028】
外添剤である流動性改良剤としては、少なくとも、前述の小粒径の疎水性シリカ13、前述の大粒径の疎水性シリカ14、および前述の疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15がそれぞれ用いられる。なお、これらに、更に他の公知の無機および有機のトナー用流動性改良剤を1種以上混合使用することも可能である。他の公知の無機および有機のトナー用流動性改良剤としては、例えば、アルミナ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、マグネタイト、二硫化モリブデン、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウム等のチタン酸金属塩、ケイ素金属塩の各微粒子を使用することができる。これらの微粒子はシランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して使用することが好ましい。その他の樹脂微粒子の例としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0029】
粉砕法トナー8における成分比(重量比)を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0003693106
【0031】
表1に示すとおり、バインダー樹脂100重量部に対して、着色剤は0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部であり、また、離型剤は1〜10重量部、好ましくは2.5〜8重量部であり、更に、荷電制御剤は0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部であり、更に、流動性改良剤は0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜4重量部である。
【0032】
この例の粉砕法トナー8にあっては、転写効率の向上を目的として、球形化処理により円形度をアップさせることがよい。粉砕法トナー8の円形度をアップさせるためには、
(A) 粉砕工程で、比較的丸い球状で粉砕可能な装置、例えば機械式粉砕機として知られるターボミル(川崎重工(株)製)を使用すれば円形度は0.93まで可能である。
または、
(B) 粉砕したトナーを市販の熱風球形化装置サーフュージングシステムSFS−3型(日本ニューマチック工業(株)製)を使用すれば円形度は1.00まで可能である。
【0033】
この例の粉砕法トナー8の望ましい円形度(球状化係数)は0.91以上であり、これにより良好な転写効率が得られる。そして、円形度は0.97まではクリーニングブレードにより、それ以上ではブラシクリーニングを併用することでクリーニングすることができる。
【0034】
また、このようにして得られる粉砕法トナー8としては、個数基準の50%径である平均粒径(D50)が9μm以下、好ましくは4.5〜8μmに設定される。これにより、粉砕法トナー8の粒径が比較的小粒径となり、この小粒径トナーに外添剤として疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとを併用することで、疎水性シリカの量を、従来のシリカ微粒子を単独用いた場合の疎水性シリカの量よりも少なくすることができるので、定着性が向上する。
なお、本発明におけるトナー粒子等における平均粒径と円形度は、シスメックス株式会社製のFPIA2100で測定する値である。
【0035】
更に、この粉砕法トナー8にあっては、外添剤の総量(重量)がトナー母粒子の重量に対して0.5重量%以上4.0重量%以下に設定されるが、好ましくは、1.0重量%から3.5重量%の範囲に設定するのがよい。これにより、粉砕法トナー8をフルカラートナーとして使用したときに逆転写トナーの発生を抑える効果を発現することができる。なお、外添剤を総量で4.0重量%以上添加すると、トナー表面より遊離したり、定着性を悪化させる要因となる。
【0036】
次に、重合法によるトナー母粒子を用いたトナー(以下、重合法トナーという)8の作製について説明する。
重合法トナー8としては、懸濁重合法、乳化重合法等がある。懸濁重合法においては、重合性単量体(モノマー)、着色顔料、離型剤とを、必要により更に、染料、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤を添加した混合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤(水溶性高分子、難水溶性無機物質)を含む水相中に攪拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズを有する着色重合トナー粒子を形成することができる。
【0037】
また、乳化重合法においては、単量体と離型剤を必要により更に重合開始剤、乳化剤(界面活性剤)などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤、荷電制御剤と凝集剤(電解質)等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子を形成することができる。
重合法トナー作製に用いられる材料において、着色剤、離型剤、荷電制御剤、流動性改良剤に関しては、上記の粉砕トナーと同様の材料が使用できる。
【0038】
重合性単量体(モノマー)としては、公知のビニル系モノマーが使用可能であり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレイン酸、無水フタル酸、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルナフタレン等が挙げられる。なお、フッ素含有モノマーとしては例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、四フッ化エチレン、トリフルオロプロピレンなどはフッ素原子が負荷電制御に有効であるので使用が可能である。
【0039】
乳化剤(界面活性剤)としては公知のものが使用可能である。例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等がある。
【0040】
重合開始剤としては、公知のものが使用可能である。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等がある。
【0041】
凝集剤(電解質)としては、公知のものが使用可能である。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等が挙げられる。
【0042】
乳化重合法トナー8における成分比(重量)を表2に示す。
【0043】
【表2】
Figure 0003693106
【0044】
表2に示すとおり、重合性モノマー100重量部に対して、重合開始剤は0.03〜2、好ましくは0.1〜1重量部であり、また、界面活性剤0.01〜0.1重量部であり、更に、離型剤は1〜40重量部、好ましくは2〜35重量部であり、更に、荷電制御剤は0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部であり、着色剤は1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部であり、更に、凝集剤(電解質)は0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0045】
この例の重合法トナー8にあっても、転写効率の向上を目的として、球形化処理により円形度をアップさせることがよい。重合法トナー8の円形度の調節法としては、
(A) 乳化重合法は2次粒子の凝集過程で温度と時間を制御することで、円形度を自由に変えることができ、その範囲は0.94〜1.00である。
また、
(B) 懸濁重合法では、真球のトナーが可能であるため、円形度は0.98〜1.00の範囲となる。また、円形度を調節するためにトナーのTg温度以上で加熱変形させることで、円形度を0.94〜0.98まで自由に調節することが可能となる。
【0046】
重合法トナー8は上記の方法以外の分散重合法でも作ることができ、例えば特開平63−304002号公報に開示されている方法でも作製できる。この場合には、形状が真球に近い形となるため、形状を制御するには、例えばトナーのTg温度以上で加圧し、所望のトナー形状にすることができる。
【0047】
前述の粉砕法トナー8の場合と同様に、この例の重合法トナー8の望ましい円形度(球状化係数)は0.95以上であり、円形度が0.97まではクリーニングブレードにより、それ以上ではブラシクリーニングを併用することでクリーニングすることができる。
【0048】
このようにして得られる重合法トナー8においても、個数基準の50%径である平均粒径(D50)が9μm以下、好ましくは4.5〜8μmに設定される。これにより、重合法トナー8の粒径が比較的小粒径となり、この小粒径トナーに外添剤として疎水性シリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンとを併用することで、疎水性シリカの量を、従来のシリカ微粒子を単独用いた場合の疎水性シリカの量よりも少なくすることができるので、定着性が向上する。
なお、この重合法トナー8の場合にも、トナー粒子等における平均粒径と円形度は、シスメックス株式会社製のFPIA2100で測定する値である。
【0049】
更に、この重合法トナー8にあっても、前述の粉砕法トナーと同様に、外添剤の総量(重量)がトナー母粒子の重量に対して0.5重量%以上4.0重量%以下に設定されるが、好ましくは、1.0重量%から3.5重量%の範囲に設定するのがよい。これにより、重合法トナー8をフルカラートナーとして使用したときに逆転写トナーの発生を抑える効果を発現することができる。なお、外添剤を総量で4.0重量%以上添加すると、トナー表面より遊離したり、定着性を悪化させる要因となる。
【0050】
このように構成されたこの例の一成分非磁性トナー8においては、重合法トナーおよび粉砕法トナーのいずれでも、図2に示すように小粒径の疎水性シリカ13がトナー母粒子8aに埋没し易くなる。この疎水性シリカ13の仕事関数より大きい仕事関数の疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15が仕事関数差による接触電位差で埋没疎水性シリカ13に固着してトナー母粒子8aから遊離することが少なくなり、かつ大粒径の疎水性シリカ14がトナー母粒子8aの表面に固着していることから、トナー母粒子8aの表面が疎水性シリカ13,14と疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15とによりまんべんなく覆われるようになる。したがって、一成分非磁性トナー8はその負帯電がより一層長期にわたり安定し、連続印字における安定した画像品質を与えるようになる。
【0051】
特に、少なくとも一次粒子が小粒径である疎水性シリカ13を疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン15より多く添加することで、一成分非磁性トナー8の負帯電がより一層長期にわたり安定する。したがって、非画像部のカブリがより一層抑制されるとともに転写効率が更に向上し、更に逆転写トナーの発生がより効果的に抑制されるようになる。
【0052】
図3は、この例の一成分非磁性トナー8を用いた非接触一成分現像方式の一例を模式的に示す図であり、図4は、この例の一成分非磁性トナー8を用いた接触一成分現像方式の一例を模式的に示す図である。図3および図4中、1は有機感光体、2はコロナ帯電器、3は露光、4はクリーニングブレード、5は転写ローラ、6は供給ローラ、7は規制ブレード、8は一成分非磁性トナー、9は転写材、10は現像ローラであり、Lは非接触一成分現像プロセスにおける現像ギャップである。
【0053】
有機感光体1としては、有機感光層が単層の有機単層型でもよいし、有機感光層が多層の有機積層型でもよい。
有機積層型感光体1は、図5(a)に示すように導電性支持体1a上に、下引き層1bを介して、電荷発生層1cおよび電荷輸送層1dからなる感光層を順次積層したものである。
【0054】
導電性支持体1aとしては、公知の導電性支持体が使用可能であり、例えば体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム合金に切削等の加工を施した管状物やポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着あるいは導電性塗料により導電性を付与した管状物、導電性ポリイミド樹脂を形成してなる管状物とから形成することができる。なお、他の形状例としては、ベルト状、板状、シート状支持体等が例示でき、また、他の材料、形状例として、ニッケル電鋳管やステンレス管などをシームレスにした金属ベルト等も好適に使用することができる。
【0055】
導電性支持体1a上に設けられる下引き層1bとしては公知の下引き層が使用可能である。例えば、下引き層1bは接着性を向上させ、モワレを防止し、上層の電荷発生層1cの塗工性を改良、露光時の残留電位を低減させるなどの目的で設けられる。下引き層1bに使用する樹脂はその上に電荷発生層1cを有する感光層を塗工する関係上、感光層に使用する溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。使用可能な樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、酢酸ビニル、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等であり、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。また、これらの樹脂に二酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物を含有させてもよい。
【0056】
電荷発生層1cにおける電荷発生顔料としては、公知の材料が使用可能である。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンおよびナフトキノン系顔料、シアニンおよびアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生顔料は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0057】
電荷発生層1cにおけるバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。バインダー樹脂と前記電荷発生物質の構成比は、重量比でバインダー樹脂100重量部に対して、10〜1000重量部の範囲で用いられる。
【0058】
電荷輸送層1dを構成する電荷輸送物質としては公知の材料が使用可能であり、電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、パラジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0059】
正孔輸送物質としては、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、フェナジン化合物、ベンゾフラン化合物、ブタジエン化合物、ベンジジン化合物、スチリル化合物およびこれらの化合物の誘導体が挙げられる。これらの電子供与性物質は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0060】
電荷輸送層1d中には、これらの物質の劣化防止のために酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤などを含有することもできる。
電荷輸送層1dにおけるバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂などを用いることができるが、電荷輸送物質との相溶性、膜強度、溶解性、塗料としての安定性の点でポリカーボネートが好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質の構成比は、重量比でバインダー樹脂100重量部に対して25〜300重量部の範囲で用いられる。
【0061】
電荷発生層1c、電荷輸送層1dを形成するためには、塗布液を使用するとよく、溶剤はバインダー樹脂の種類によって異なるが、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル類等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、トリクロルエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン等の芳香族類等を用いることができる。
また、電荷発生顔料の分散には、サンドミル、ボールミル、アトライター、遊星式ミル等の機械式の方法を用いて分散と混合を行うとよい。
【0062】
下引き層1b、電荷発生層1cおよび電荷輸送層1dの塗工法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スピンコーティング、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアナイフコーティング法等の方法を用いる。また、塗工後の乾燥は常温乾燥後、30〜200℃の温度で30から120分間加熱乾燥することが好ましい。これらの乾燥後の膜厚は電荷発生層1cでは、0.05〜10μmの範囲、好ましくは0.1〜3μmである。また、電荷輸送層1dでは5〜50μmの範囲、好ましくは10〜40μmである。
【0063】
また、有機単層型感光体1は、図5(b)に示すように上述した有機積層型感光体1において説明した導電性支持体1a上に、同様の下引き層1bを介して、電荷発生剤、電荷輸送剤、増感剤等とバインダー、溶媒等からなる単層有機感光層1eを塗布形成することにより作製される。有機負帯電単層型感光体については、例えば特開2000−19746号公報に開示されている方法に準じて作製するとよい。
【0064】
単層有機感光層1eにおける電荷発生剤としてはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、キノシアトン系顔料、インジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾール系顔料、キナクリドン系顔料が挙げられ、好ましくはフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料である。電荷輸送剤としてはヒドラゾン系、スチルベン系、フェニルアミン系、アリールアミン系、ジフェニルブタジエン系、オキサゾール系等の有機正孔輸送化合物が例示され、また、増感剤としては各種の電子吸引性有機化合物であって電子輸送剤としても知られているパラジフェノキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、クロラニル等が例示される。バインダーとしてはポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が例示される。
【0065】
各成分の組成比は、バインダー40〜75重量%、電荷発生剤0.5〜20重量%、電荷輸送剤10〜50重量%、増感剤0.5〜30重量%であり、好ましくはバインダー45〜65重量%、電荷発生剤1〜20重量%、電荷輸送剤20〜40重量%、増感剤2〜25重量%である。溶剤としては、下引き層に対して、溶解性を有しない溶媒が好ましく、トルエン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が例示される。
【0066】
各成分は、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター、ペイントコンディショナー等の攪拌装置で粉砕・分散混合され、塗布液とされる。塗布液は、下引き層上にディップコート、リングコート、スプレーコート等により乾燥後の膜厚15〜40μm、好ましくは20〜35μmで塗布・乾燥されて単層有機感光体層1eとされる。
【0067】
そして、このように構成された有機感光体1は直径24〜86mmで表面速度60〜300mm/sで回転する感光体ドラムであり、コロナ帯電器2によりその表面が均一に負帯電された後、記録すべき情報に応じた露光3が行なわれることにより、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。
【0068】
現像ローラ11を有する現像器10は、一成分現像器10であり、有機感光体1上に一成分非磁性トナー8を供給することで有機感光体1における静電潜像を反転現像し、可視像化するものである。現像器10には、一成分非磁性トナー8が収納されており、図3に示すように反時計方向で回転する供給ローラ6によりトナーを現像ローラ11に供給する。現像ローラ11は図示のごとく反時計方向に回転し、供給ローラ6により搬送されたトナー8をその表面に吸着した状態で、時計方向に回転する有機感光体1との現像領域に搬送し、有機感光体1上の静電潜像を可視像化する。
【0069】
現像ローラ11は、例えば直径16〜24mmで、金属製のパイプにメッキやブラスト処理したローラ、あるいは中心軸周面にNBR、SBR、EPDM、ウレタンゴム、シリコンゴム等からなる体積抵抗値104 〜108 Ω・cm、硬度が40〜70°(アスカーA硬度)の導電性弾性体層が形成されたもので、このパイプのシャフトや中心軸を介して、図示していない電源より現像バイアス電圧が印加される。
【0070】
規制ブレード7としてはSUS、リン青銅、ゴム板、金属薄板にゴムチップの貼り合わせたもの等が使用されるが、現像ローラ11に対して図示しないスプリング等の付勢手段により、あるいは弾性体としての反発力を利用して線圧20〜60gf/cmで押圧され、現像ローラ11上のトナー層厚を5〜20μm、好ましくは6〜15μm、トナー粒子の積層形態としては略1〜2層、好ましくは1〜1.8層とされるとよい。
【0071】
非接触現像方式の画像形成装置では、現像ローラ11と有機感光体1とを現像ギャップLを介して対向させるものであるが、現像ギャップLとしては100〜350μmとするとよく、また、図示しないが直流電圧(DC)の現像バイアスとしては−200〜−500Vであり、これに重畳する交流電圧(AC)としては1.5〜3.5kHz、P−P電圧1000〜1800Vの条件とするとよい。また、非接触現像方式にあって、反時計方向に回転する現像ローラ11の周速としては、時計方向に回転する有機感光体1に対して1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.2の周速比とするとよい。
【0072】
現像ローラ11は図示のごとく反時計方向に回転し、供給ローラ6により搬送された一成分非磁性トナー8をその表面に吸着した状態で有機感光体1との対向部に一成分非磁性トナー8を搬送するが、有機感光体1と現像ローラ11との対向部において、交流電圧を重畳して印加することにより、一成分非磁性トナー8は現像ローラ11表面と有機感光体1表面との間で振動することにより現像される。本発明にあっては、交流電圧の印加により現像ローラ11表面と有機感光体1表面との間でトナー8が振動する間にトナー粒子と現像ローラ11表面とが接触させることができるので、これによっても、小粒径の正帯電トナーを負帯電させることができ、カブリトナーを減少させることができるものと考えられる。
【0073】
また、紙等の転写材9や中間転写媒体(図3には不図示;後述する図5に図示)は可視像化された有機感光体1と転写ローラ5との間に送られるが、転写ローラ5による有機感光体1への押し圧荷重を、接触現像方式と同程度の20〜70gf/cm、好ましくは25〜50gf/cmとするとよい。
【0074】
図3に示す非接触現像プロセスおよび図4に示す非接触現像プロセスを、それぞれイエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKからなる4色のトナー(現像剤)による現像器と感光体1を組み合わせれば、フルカラー画像を形成することのできるフルカラー画像形成装置となる。このフルカラー画像形成装置としては、図6に示す4色の各現像器と回転可能な1つの潜像担持体からなる4サイクル方式(詳細は後述)、4色の各現像器と各潜像担持体とを1列に並べたタンデム方式、および、1つの潜像担持体と4色の回転可能な現像器を組み合わせたロータリー方式がある。
【0075】
次に、本発明の画像形成装置に用いられる一成分非磁性トナーの作製例、およびこの一成分非磁性トナーを用いた、図3に示す基本構成を有する図6に示す非接触または接触一成分現像プロセスによる画像形成装置の有機感光体、転写媒体の製造例について説明する。なお、図6に示す画像形成装置は接触一成分現像プロセスを行うこともでき、後述する作像化試験では、この画像形成装置を用いて接触一成分現像プロセスによる試験も行った。ただし、以下の説明においては、基本的にこの画像形成装置は非接触一成分現像プロセスを行うものとしている。
【0076】
(一成分非磁性トナーの作製例)
一成分非磁性トナー8は、いずれも、前述の重合法トナーと粉砕法トナーの両トナーについて作製した。その場合、各例のトナーの作製に用いた流動性改良剤(外添剤)は、長軸長が20nmである疎水性のルチルアナターゼ型酸化チタン(20nm)、平均一次粒径が12nmである小粒径の、ヘキサメチルジシラン(HMDS)により表面処理された疎水性の気相法シリカ(12nm)、平均一次粒径が40nmである大粒径の、同様にして疎水化された気相法シリカ(40nm)、同様にして疎水化された気相法シリカ(7nm)、および同様にして疎水化された気相法シリカ(16nm)のいずれかの組合せであり、それらの仕事関数Φを測定した結果を表3に示す。なお、各仕事関数Φは、前述の理研計器(株)製の光電子分光装置AC−2により、照射光量500nWで測定した。
【0077】
【表3】
Figure 0003693106
【0078】
表3からわかるように、各疎水化処理されたルチルアナターゼ型酸化チタン(20nm)の仕事関数Φは5.64eVであり、このときの規格化光電子収率は8.4であった。また、気相法シリカ(12nm)の仕事関数Φは5.22eVであり、規格化光電子収率は5.1であった。更に、気相法シリカ(40nm)の仕事関数Φは5.24eVであり、規格化光電子収率は5.2であった。更に、疎水性の気相法シリカ(7nm)の仕事関数Φは5.18eVであり、規格化光電子収率は6.1であった。更に、疎水性の気相法シリカ(16nm)の仕事関数Φは5.19eVであり、規格化光電子収率は6.8であった。
【0079】
(非接触または接触一成分現像プロセスによる画像形成装置の例)
図3に示す非接触一成分現像プロセスによる画像形成装置あるいは図4に示す接触一成分現像プロセスによる画像形成装置として、図6に示す非接触現像プロセスおよび接触現像プロセスが可能なフルカラープリンタがある。このフルカラープリンタを示す図6において、100は像担持体ユニットが組み込まれた像担持体カートリッジである。この例では、感光体カートリッジとして構成されていて、感光体と現像部ユニットが個別に装着できるようになっており、本発明の相対関係にある仕事関数を有する負帯電用電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)140が図示しない適宜の駆動手段によって図示矢印方向に回転駆動される。感光体140の周りにはその回転方向に沿って、帯電手段として帯電ローラ160、現像手段としての現像器10(Y、M、C、K)、中間転写装置30、およびクリーニング手段170が配置される。
【0080】
帯電ローラ160は、感光体140の外周面に当接してその外周面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体140の外周面には露光ユニット40によって所望の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、この露光L1によって感光体140上に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器10によって現像剤が付与されて現像される。
【0081】
現像器10としてイエロー用の現像器10Y、マゼンタ用の現像器10M、シアン用の現像器10C、およびブラック用の現像器10Kが設けられている。これら現像器10Y、10C、10M、10Kはそれぞれ揺動可能に構成されている。そして、選択的に一つの現像器の現像ローラ(現像剤担持体)11のみが、非接触現像プロセスの場合は感光体140に対して所定の現像ギャップLを置いてセットされ、また、接触現像プロセスの場合は感光体140に圧接し得るようになっている。これらの現像器10は、感光体における仕事関数と相対関係にある仕事関数を有する負帯電トナーを現像ローラ上に保持しているものであり、これらの現像器10はイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKのうちのいずれかのトナーを感光体140の表面に付与して感光体140上の静電潜像を現像する。現像ローラ11は硬質のローラ、例えば表面を粗面化した金属ローラで構成されている。現像されたトナー像は、中間転写装置30の中間転写ベルト36上に転写される。クリーニング手段170は、上記転写後に感光体140の外周面に付着しているトナーTを掻き落とすクリーナブレードと、このクリーナブレードによって掻き落とされたトナーを受けるクリーニングトナー回収部とを備えている。
【0082】
中間転写装置30は、駆動ローラ31と、4本の従動ローラ32、33、34、35と、これら各ローラの周りに張架された無端状の中間転写ベルト36とを有している。駆動ローラ31は、その端部に固定された図示しない歯車が感光体140の駆動用歯車とかみ合っていることによって感光体140と略同一の周速で回転駆動され、したがって中間転写ベルト36が感光体140と略同一の周速で図示矢印方向に循環駆動されるようになっている。
【0083】
従動ローラ35は駆動ローラ31との間で中間転写ベルト36がそれ自身の張力によって感光体140に圧接される位置に配置されており、感光体140と中間転写ベルト36との圧接部において、一次転写部T1が形成されている。従動ローラ35は、中間転写ベルトの循環方向上流側において一次転写部T1の近くに配置されている。
【0084】
駆動ローラ31には中間転写ベルト36を介して図示しない電極ローラが配置されており、この電極ローラを介して中間転写ベルト36の導電性層に一次転写電圧が印加される。従動ローラ32は、テンションローラであり、図示しない付勢手段によって中間転写ベルト36をその張り方向に付勢している。従動ローラ33は二次転写部T2を形成するバックアップローラである。このバックアップローラ33には中間転写ベルト36を介して二次転写ローラ38が対向配置されている。二次転写ローラには二次転写電圧が印加され、図示しない接離機構により中間転写ベルト36に対して接離可能になっている。従動ローラ34はベルトクリーナ39のためのバックアップローラである。ベルトクリーナ39は図示しない接離機構により中間転写ベルト36に対して接離可能になっている。
【0085】
中間転写ベルト36は、導電層と、この導電層上に形成され、感光体140に圧接される抵抗層とを有する複層ベルトで構成されている。導電層は合成樹脂からなる絶縁性基体の上に形成されており、この導電層に前述した電極ローラを介して一次転写電圧が印加される。なお、ベルト側縁部において、抵抗層が帯状に除去されることによって導電層が帯状に露出し、この露出部に電極ローラが接触するようになっている。
【0086】
中間転写ベルト36が循環駆動される過程で、一次転写部T1において、感光体140上のトナー像が中間転写ベルト36上に転写され、中間転写ベルト36上に転写されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ38との間に供給される用紙等のシート(記録材)Sに転写される。シートSは、給紙装置50から給送され、ゲートローラ対Gによって所定のタイミングで二次転写部T2に供給される。51は給紙カセット、52はピックアップローラである。
【0087】
二次転写部T2で二次転写されたトナー像が定着器60で定着され、排紙経路70を通って装置本体のケース80上に形成されたシート受け部81上に排出される。なお、この画像形成装置は、排紙経路70として互いに独立した2つの排紙経路71、72を有しており、定着装置60を通ったシートはいずれかの排紙経路71又は72を通って排出される。また、この排紙経路71、72はスイッチバック経路をも構成しており、シートの両面に画像を形成する場合には排紙経路71又は72に一旦進入したシートが、返送ローラ73を通って再び二次転写部T2に向けて給紙されるようになっている。
【0088】
次に、画像形成装置の各構成部材の製造例を説明する。
(有機感光体[図3および図4では1、図6では140]の製造例)
有機積層型感光体1の作製にあたって、まず、直径85.5mmのアルミ素管を表面研磨した導電性支持体1aの周面に、下引き層1bとして、アルコール可溶性ナイロン{東レ(株)製「CM8000」}6重量部とアミノシラン処理された酸化チタン微粒子4重量部とをメタノール100重量部に溶解、分散させてなる塗工液をリングコーティング法で塗工し、温度100℃で40分乾燥させ、膜厚1.5〜2μmの下引き層1bを形成した。
【0089】
次いで、電荷発生顔料としてのオキシチタニルフタロシアニン顔料1重量部と、ブチラール樹脂{BX−1、積水化学(株)製}1重量部と、ジクロルエタン100重量部とを、φ1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで8時間分散させて顔料分散液を得、得られた顔料分散液をこの下引き層1b上に、リングコーティング法で塗工し、80℃で20分間乾燥させ、膜厚0.3μmの電荷発生層1cを形成した。
【0090】
この電荷発生層1c上に、下記構造式(1)のスチリル化合物の電荷輸送物質40重量部とポリカーボネート樹脂(パンライトTS、帝人化成(株)製)60重量部をトルエン400重量部に溶解させ、乾燥膜厚が22μmになるように浸漬コーティング法で塗工、乾燥させて電荷輸送層1dを形成し、2層からなる感光層を有する有機積層型感光体1を作製した。
得られた有機積層型感光体1の一部を切り欠いて試料片とし、この試料片の仕事関数は、市販の表面分析装置(AC−2型、理研計器(株)製)を用い、照射光量500nWで測定したところ、5.48eVを示した。
【0091】
【化1】
Figure 0003693106
【0092】
(現像ローラ11の作製例)
現像ローラ11は、直径18mmのアルミパイプ表面に、導電性シリコンゴム(硬度JIS−A、63度、シートでの体積抵抗3.5×106 Ω・cm)チューブを、研磨後の厚さが2mmとなるように貼り付けて作製した。表面粗さ(Ra)は5μmであり、仕事関数は5.08eVであった。
【0093】
(トナー規制ブレードの作製例)
トナー規制ブレード7としては80μm厚のSUS板であって、端部を10°の角度で曲げており、突き出し長さを0.6mmとし、仕事関数は5.01eVである。
【0094】
(中間転写装置の転写媒体の作製例)
中間転写装置30の転写媒体である中間転写ベルト36における導電層である中間導電性層を、
アルミニウムを蒸着した厚さ130μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に、
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30重量部
・導電性カーボンブラック 10重量部
・メチルアルコール 70重量部
からなる均一分散液を、厚さが20μmになるようにロールコーティング法にて塗工乾燥することにより、形成した。
【0095】
次いで、この中間導電性層上に、抵抗層である転写層を、
Figure 0003693106
の組成を混合分散してなる塗工液を厚さ10μmとなるようにロールコーティング法にて同様に塗工乾燥して、形成した。
【0096】
そして、この塗工シートを長さ540mmに裁断し、塗工面を上にして端部を合わせ、超音波溶着を行うことにより中間転写ベルト36を作製した。この中間転写ベルト36の体積抵抗は2.5×1010Ω・cmであった。また、仕事関数は5.37eV、規格化光電子収率6.90を示した。
【0097】
(定着器の作製例)
定着器60はヒータローラおよびプレスローラの二本の加圧ローラ(約38kgfの荷重)を備えている。ヒータローラはハロゲンランプ600wを内蔵し、シリコンゴム2.5mm(60°JISA)上にPFAを厚み50μmに成膜してφ40に形成した。また、プレスローラはハロゲンランプ300wを内蔵し、シリコンゴム2.5mm(60°JISA)上にPFAを厚み50μmに成膜してφ40に形成した。定着温度は190℃に設定している。
【0098】
このように構成されたフルカラープリンタの作動の概要は次の通りである。
(i) 図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置の制御部90に入力されると、感光体140、現像器10の各ローラ11、および中間転写ベルト36が回転駆動される。
【0099】
(ii) 感光体140の外周面が帯電ローラ160によって一様に帯電される。
(iii) 一様に帯電した感光体140の外周面に、露光ユニット40によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光L1がなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0100】
(iv) 感光体140には、第1色目の例えばイエロー用の現像器10Yの現像ローラのみが感光体140に対して所定の現像ギャップLをおいてセットされるかまたは感光体140に接触し、これによって上記静電潜像が非接触現像または接触現像され、第1色目のイエローのトナー像が感光体140上に形成される。
(v) 中間転写ベルト36には、上記トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、感光体140上に形成されたトナー像が一次転写部T1において中間転写ベルト36上に転写される。このとき、二次転写ローラ38およびベルトクリーナ39は中間転写ベルト36から離間している。
【0101】
(vi) 感光体140上に残留しているトナーがクリーニング手段170によって除去された後、除去手段41から除電光L2によって感光体140が除電される。
(vii) 上記(ii)〜(vi)の動作に必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号に応じて第2色目、第3色目、第4色目と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト36上において重ね合わされて形成される。
【0102】
(viii) 所定のタイミングで給紙装置50からシートSが給送され、シートSの先端が二次転写部T2に達する直前あるいは達した後に(要するにシートS上の所望の位置に、中間転写ベルト36上のトナー像が転写されるタイミングで)二次転写ローラ38が中間転写ベルト36上のトナー像(基本的には4色のトナー像が重ね合わせられたフルカラー画像)がシートS上に転写される。また、ベルトクリーナ39が中間転写ベルト36に当接し、二次転写後に中間転写ベルト36上に残留しているトナーが除去される。
【0103】
(ix) シートSが定着装置60を通過することによってシートS上のトナー像が定着し、その後、シートSが所定の位置に向け(両面印刷でない場合にはシート受け部81に向け、両面印刷の場合にはスイッチバック経路71または72を経て返送ローラ73に向け)搬送される。
【0104】
(作像化の試験およびその試験結果)
そして、図6に示す非接触現像プロセスが可能なフルカラープリンタを用いてフルカラーの作像化の試験を行った。その場合、比較参考のために、この図6に示すフルカラープリンタを用いて非接触現像プロセスおよび接触現像プロセスにより、それぞれ、フルカラーの作像化の試験を行った。
【0105】
まず、非接触一成分現像プロセスおよび接触一成分現像プロセスによる画像形成装置を用いて行った作像化の試験について説明する。
作像化のプロセスを行った時の作像条件は、有機感光体1の周速を180mm/sとし、有機感光体1と現像ローラ11との周速比2とした。また、規制ブレード7を、現像ローラ11上のトナー層厚が15μm、トナー粒子の積層形態として2層となるように線圧33gf/cmで現像ローラ11に押圧した。
【0106】
有機感光体1の暗電位を−600Vにかつ明電位を−100Vにそれぞれ設定する。非接触現像の場合、現像ギャップをギャップコロを用いて210μmに調節し、また、図示しない電源により、DCの現像バイアスを−200Vに、重畳するACの現像バイアスを周波数2.5kHzでP−P電圧1500Vの条件に設定し、現像ローラ11と供給ローラ6とを同電位に設定した。また、接触現像の場合にはDCの現像バイアスを−200Vで現像を行った。
【0107】
また、一次転写部T1において、図3に示す転写ローラ5に相当する背面側の一次転写ローラ(従動ローラ35に相当し、電圧は電極ローラを介して印加される)に+300Vを印加し、一次転写ローラによる中間転写ベルト36の有機感光体1への押し圧荷重を33gf/cmに設定した。
【0108】
そして、有機感光体1上の静電潜像を、現像ローラ11によって搬送された一成分非磁性トナー8により非接触現像(ジャンピング現像)および接触現像でそれぞれ現像を行った。現像された有機感光体1上のトナー像を中間転写ベルト36に転写する。中間転写ベルト36に転写されたトナー像を、二次転写部T2で転写電圧+800Vで普通紙Sに転写し、定着器60の熱ローラで定着した。
【0109】
(作像試験に使用した一成分非磁性トナー)
作像試験に使用した一成分非磁性トナー8は乳化重合法トナーである。
まず、スチレンモノマー80重量部、アクリル酸ブチル20重量部、およびアクリル酸5重量部からなるモノマー混合物を、
・水 105重量部
・ノニオン乳化剤 1重量部
・アニオン乳化剤 1.5重量部
・過硫酸カリウム 0.55重量部
からなる水溶性混合物に添加し、窒素気流中下で攪拌して70℃で8時間重合を行った。重合反応後冷却し、乳白色の粒径0.25μmの樹脂エマルジョンを得た。
【0110】
次に、
・この樹脂エマルジョン 200重量部
・ポリエチレンワックスエマルジョン(三洋化成工業(株)製) 20重量部
・フタロシアニンブルー 7重量部
を、界面活性剤のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部を含んだ水中へ分散し、ジエチルアミンを添加してpHを5.5に調整後攪拌しながら電解質の硫酸アルミニウムを0.3重量部を加え、ついでTKホモミキサーで高速攪拌し、分散を行った。
【0111】
更に、スチレンモノマー40重量部、アクリル酸ブチル10重量部、サリチル酸亜鉛5重量部を水40重量部と共に追加し、窒素気流下で攪拌しながら同様にして90℃に加熱し、過酸化水素を加えて5時間重合し、粒子を成長させた。重合停止後、この二次粒子の会合と造膜結合強度を上げるため、pHを5以上に調整しながら95℃に昇温し、5時間保持した。その後、得られた粒子を水洗いし、45℃で真空乾燥を10時間行ってシアントナーの母粒子を得た。
【0112】
得られたシアントナーの母粒子は、測定の結果、個数基準の50%径である平均粒径(D50)が6.8μm、円形度が0.98のトナーであり、その仕事関数は5.57eVであった。このシアントナーの母粒子に対し、いずれも重量比で、流動性改良剤である負帯電性疎水性シリカの平均一次粒子径が約12nmの小粒子径の気相法シリカを0.8重量%、負帯電性疎水性シリカの平均一次粒子径が約40nmの大粒子径の気相法シリカを0.5重量%、およびルチルアナターゼ型で混晶比がルチル型10重量%、アナターゼ型が90%のシランカップリング剤で疎水化処理したルチルアナターゼ型酸化チタン(疎水化度58%、比表面積150m2/g)の微粒子を0.2重量%、0.5重量%、1.0重量%、および2.0重量%それぞれ混合した重合法トナーである各シアントナー8を作製した。
【0113】
これらの各シアントナー8の仕事関数は、測定の結果、それぞれ、0.2重量%の場合は5.53eV、0.5重量%の場合は5.56eV、1.0重量%の場合は5.57eV、2.0重量%の場合は5.58eVであった。また、シアントナーの母粒子に対し、いずれも重量比で、流動性改良剤である負帯電性疎水性酸化シリカを混合せずに、同様にしてルチルアナターゼ型酸化チタンのみを混合した場合の各シアントナー8の仕事関数は、それぞれ、0.2重量%の場合は5.40eV、0.5重量%の場合は5.46eV、1.0重量%の場合は5.50eV、2.0重量%の場合は5.54eVであった。
【0114】
したがって、この作像試験における各仕事関数は、
現像ローラ11の仕事関数<中間転写ベルト36の仕事関数<有機感光体1の仕事関数<シアントナー8の仕事関数≒トナー母粒子8aの仕事関数<ルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数
に設定されている。なお、本発明においては、
現像ローラ11の仕事関数<中間転写ベルト36の仕事関数<有機感光体1の仕事関数<シアントナー8の仕事関数≒トナー母粒子8aの仕事関数≒ルチルアナターゼ型酸化チタンの仕事関数
でもよい。また、これらの仕事関数の大小関係はこの作像試験に限定されることなく、本発明の画像形成装置において一般的に設定することができる。
【0115】
また、比較例として、シアントナー8に負帯電性疎水性シリカの平均一次粒子径が約7nmの小粒子径の気相法シリカを1.3重量%と前述のルチルアナターゼ型酸化チタンを0.5重量%それぞれ混合した比較例トナー(1)と前述の大粒子径気相法シリカを1.3重量%と前述のルチルアナターゼ型酸化チタンを0.5重量%それぞれ混合した比較例トナー(2)を作製した。この比較例のトナーの仕事関数は5.52eVと5.49eVであった。
【0116】
このように作製した各シアントナー8を用い、図6に示すフルカラープリンタによる非接触現像(ジャンピング現像)プロセス(ギャップL210μm)および接触現像プロセス(有機感光体1と現像ローラ11との接触圧20gf/cm)で、それぞれ、ベタ画像濃度が約1.1となるように作像した。そのときの現像ローラ11上のトナーの平均帯電量q/m(μc/g)および正帯電トナー量(重量%;wt%)を求めてその結果を表4、表5および表6に示すとともに、カブリOD値、逆転写トナーOD値、およびベタ画像内濃度差を求めてそれらの結果を表7、表8および表9に示す。なお、トナーの帯電量分布測定はホソカワミクロン(株)E−SPARTアナライザEST−3型を用いて行った。
(イ) トナー帯電特性試験結果
【0117】
【表4】
Figure 0003693106
【0118】
【表5】
Figure 0003693106
【0119】
【表6】
Figure 0003693106
【0120】
表4からわかるように、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0wt%でまったく含まれないトナーでは、平均帯電量q/mが−17.96μc/gであり、また、正帯電トナー量が10.40wt%であった。また、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.2wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−15.95μc/gであり、また、正帯電トナー量が5.83wt%であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.5wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−21.86μc/gであり、また、正帯電トナー量が3.70wt%であった。
【0121】
更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが1.0wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−20.71μc/gであり、また、正帯電トナー量が2.10wt%であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが2.0wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−15.40μc/gであり、また、正帯電トナー量が5.61wt%であった。
【0122】
また、表5からわかるように。得られたシアントナーの母粒子にシリカを混合せずに疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを0.2wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−7.41μc/gであり、また、正帯電トナー量が39.14wt%であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.5wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−9.32μc/gであり、また、正帯電トナー量が13.17wt%であった。
【0123】
また、更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが1.0wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−4.26μc/gであり、また、正帯電トナー量が35.22wt%であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが2.0wt%含まれたトナーでは、平均帯電量q/mが−1.86μc/gであり、また、正帯電トナー量が31.83wt%であった。そして、表6からわかるように、比較例トナー(1)の平均帯電量q/mは−11.56μc/gであり、また、正帯電トナー量が10.35wt%であった。更に、比較例トナー(2)の平均帯電量q/mは−10.45μc/gであり、また、正帯電トナー量が5.83wt%であった。
【0124】
したがって、これらの試験結果によると、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン微粒子を添加することで、平均帯電量はほとんど変わらずに逆帯電トナー量である正帯電トナー量が減少することがわかった。
【0125】
また、シアントナー母粒子に疎水性シリカを混合せずに疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンのみを混合した場合には、混合するに従い負の帯電量が上がり、0.5wt%でピークを示した後は、負の帯電量が低下することがわかった。そして、それについて、逆帯電トナー量である正帯電トナー量も0.5%wtの混合量で13.17wt%の最小量を示した後は増大することがわかった。
【0126】
更に、平均一次粒子径が約7nmの疎水性シリカのみを1.3wt%と疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.5wt%含まれた比較例(1)のトナーおよび平均一次粒子径が約40nmの疎水性シリカのみを1.3wt%と疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン0.5wt%含まれた比較例(2)のトナーでは、負の平均帯電量はさほど大きくならず、また、流動性改良剤の組み合わされた添加量が同じである本発明のトナー(表4に示す0.5wt%のトナー)に比べて逆帯電トナー量である正帯電トナー量も多くなることがわかった。
(ロ) カブリOD値、逆転写トナーOD値、およびベタ画像内濃度差の試験結果
【0127】
【表7】
Figure 0003693106
【0128】
【表8】
Figure 0003693106
【0129】
【表9】
Figure 0003693106
【0130】
表7からわかるように、非接触現像プロセスでは、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0wt%でまったく含まれないトナーでは、カブリOD値が0.013であり、逆転写トナーOD値が0.083であり、およびベタ画像濃度差が0.130であった。また、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.2wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.004であり、逆転写トナーOD値が0.023であり、およびベタ画像濃度差が0.097であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.5wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.001であり、逆転写トナーOD値が0.012であり、およびベタ画像濃度差が0.054であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが1.0wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.000であり、逆転写トナーOD値が0.009であり、およびベタ画像濃度差が0.053であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが2.0wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.002であり、逆転写トナーOD値が0.001であり、およびベタ画像濃度差が0.050であった。
【0131】
また、表8からわかるように、非接触現像プロセスでは、疎水性ルチルアナターゼ型が0wt%でまったく含まれないトナーでは、均一なトナー層が形成されないことより、画像が形成されなかった。しかし、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.2wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.299であり、逆転写トナーOD値が0.039であり、およびベタ画像濃度差が0.158であった。
【0132】
更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.5wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.276であり、逆転写トナーOD値が0.058であり、およびベタ画像濃度差が0.170であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが1.0wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.260であり、逆転写トナーOD値が0.161であり、およびベタ画像濃度差が0.075であった。
【0133】
更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが2.0wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.222であり、逆転写トナーOD値が0.183であり、およびベタ画像濃度差が0.058であった。そして、表9からわかるように、比較例トナー(1)では、カブリOD値が0.009であり、逆転写トナーOD値が0.019であり、およびベタ画像濃度差が0.168であった。更に、比較例トナー(2)では、カブリOD値が0.007であり、逆転写トナーOD値が0.022であり、およびベタ画像濃度差が0.140であった。
【0134】
また、接触現像プロセスでは、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0wt%でまったく含まれないトナーでは、カブリOD値が0.027であり、逆転写トナーOD値が0.080であり、およびベタ画像濃度差が0.123であった。また、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.2wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.009であり、逆転写トナーOD値が0.025であり、およびベタ画像濃度差が0.096であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.5wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.008であり、逆転写トナーOD値が0.010、およびベタ画像濃度差が0.057であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが1.0wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.008であり、逆転写トナーOD値が0.009、およびベタ画像濃度差が0.050であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが2.0wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.010であり、逆転写トナーOD値が0.003、およびベタ画像濃度差が0.051であった。
【0135】
そして、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0wt%でまったく含まれないトナーでは均一なトナー層が形成されなくても、接触現像では画像が形成されたが、カブリOD値が0.327であり、逆転写トナーOD値が0.037であった。また、ベタ画像濃度差は比較するにも均一性が欠けるため、数値化ができなかった。
【0136】
しかし、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.2wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.356であり、逆転写トナーOD値が0.031、およびベタ画像濃度差が0.155であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが0.5wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.477であり、逆転写トナーOD値が0.049、およびベタ画像濃度差が0.158であった。
【0137】
更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが1.0wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.517であり、逆転写トナーOD値が0.166、およびベタ画像濃度差が0.060であった。更に、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンが2.0wt%含まれたトナーでは、カブリOD値が0.382であり、逆転写トナーOD値が0.208であり、およびベタ画像濃度差が0.018であった。
【0138】
また、表9からわかるように、比較例トナー(1)では、カブリOD値が0.143であり、逆転写トナーOD値が0.008であり、およびベタ画像濃度差が0.213であった。更に、比較例トナー(2)では、カブリOD値が0.095であり、逆転写トナーOD値が0.009であり、およびベタ画像濃度差が0.100であった。
【0139】
したがって、これらの試験結果によると、小粒子径の疎水性シリカと大粒子径の疎水性シリカおよび疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン微粒子を添加することで、非接触現像および接触現像のいずれにおいても、カブリおよび逆転写トナーがともに減少するとともに濃度差が小さくなり、均一なベタ画像が得られることがわかった。特に、表7から明らかなように非接触現像においては、小粒子径の疎水性シリカと大粒子径の疎水性シリカおよび疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン微粒子を添加することで、カブリおよび逆転写トナーがともにより効果的に減少するとともに濃度差が更に小さくなり、均一な濃度のベタ画像が効果的に得られることがわかった。なお、小粒子径の疎水性シリカを平均一次粒子径が約7nmおよび約16nmのシリカに代えても同様な効果が得られた。
【0140】
なお、本発明においては、シリカは小粒径と大粒径に2種類の粒径に限定されることなく、1種類の粒径のシリカを用いることもできる。しかし、カブリおよび逆転写トナーをより効果的に減少し、より均一な濃度のベタ画像を効果的に得るためには、異なる2種類の粒径のシリカと疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを用いることが好ましい。
【0141】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の画像形成方法によれば、一成分非磁性トナーの外添剤に、トナー母粒子の仕事関数より大きいかまたはトナー母粒子の仕事関数と略同一の仕事関数を有するとともに、紡錘形状である疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン微粒子を用いているので、一成分非磁性トナーの平均帯電量がほとんど変わらずに逆帯電トナー量である正帯電量をより効果的に減少させることができる。これにより、逆転写トナーの発生をより効果的に抑制することができて転写効率を向上できるとともに、カブリトナーを減少でき、更に画像濃度の変動を抑制することができる。したがって、一成分非磁性トナーの負帯電を長期にわたり安定にでき、連続印字における安定した画像品質を与えることができるようになる。
【0142】
そして、外添剤に疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを少なくとも含む一成分非磁性トナーを用いて逆転写トナーの発生を抑制することおよび中間転写媒体による中間転写(一次転写)を行うことを有機的に組み合わせることにより、フルカラーの画像形成を行ったときに、画像濃度をより均一にかつより一層長期にわたって維持できるようになる。これにより、高品質のフルカラーの画像を長期にわたって得ることができる。
【0143】
特に、仕事関数がトナー母粒子より小さい疎水性シリカを、仕事関数がトナー母粒子とほぼ同一またはトナー母粒子より大きいルチルアナターゼ型酸化チタンと併用することにより、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンをトナー母粒子に付着した疎水性シリカに付着する形でトナー母粒子の表面に付着させることができる。
【0144】
したがって、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンの有するトナー母粒子に埋没し難い特質と電荷調整機能とがより効果的に活かすことができるようになり、疎水性シリカの有する負帯電性能および流動性という固有の特性と、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンの有する比較的低抵抗でかつ負の過帯電防止特性という固有の特性とが相乗された機能をトナー母粒子に付与することができる。これにより、一成分非磁性トナーの流動性低下を防止できるとともに負の過帯電を防止できることから、より良好な負帯電特性を得ることができるようになり、その結果、逆転写トナーの発生およびカブリを更に効果的に抑制することができる。
【0145】
しかも、平均一次粒子径の異なる2種類の疎水性シリカを用いることで、一成分非磁性トナーの負帯電をより一層長期にわたり安定させることができ、連続印字における安定した画像品質を与えることができる。したがって、カブリをより一層抑制できるとともに転写効率を更に向上でき、しかも逆転写トナーの発生をより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例に用いられる一成分非磁性トナーの一例を模式的に示す図である。
【図2】 図1に示す例の一成分非磁性トナーの挙動を説明する説明図である。
【図3】 本発明にかかる画像形成装置の非接触現像プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図4】 本発明にかかる画像形成装置の接触現像プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図5】 図3および図4に示す画像形成装置の有機積層型感光体を示す図である。
【図6】 本発明の一成分非磁性トナーによる作像試験に用いた非接触現像プロセスおよび接触現像プロセスによる4サイクル方式のフルカラープリンターの一例を示す図である。
【符号の説明】
1,140…有機感光体、2…コロナ帯電器、3…露光、4…クリーニングブレード、5…転写ローラ、6…供給ローラ、7…規制ブレード、8…一成分非磁性トナー、8a…トナー母粒子、9…転写材または転写媒体、10…現像器、11…現像ローラ、12…外添剤、13…小粒径の疎水性シリカ(SiO2)、14…大粒径の疎水性シリカ(SiO2)、15…疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン(TiO2)、30…中間転写装置、36…中間転写ベルト、L…現像ギャップ

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  1. 潜像担持体上の静電潜像を、トナー母粒子がこのトナー母粒子の仕事関数より大きいかまたは前記トナー母粒子の仕事関数と略同一の仕事関数を有しかつ紡錘形状である疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタンを少なくとも含む外添剤により外添処理された一成分非磁性トナーにより現像し、得られた前記潜像担持体上のトナー像を中間転写媒体に中間転写することにより画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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