JP2014186294A - 画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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顕洋 杉野
Keisuke Shimoyama
啓介 下山
Tomoharu Asano
友晴 浅野
Hidetoshi Kami
英利 紙
Nobutaka Eguchi
伸崇 江口
Kazuhiro Egawa
和宏 江川
Tomoyuki Shimada
知幸 島田
Ryota Arai
遼太 新居
Masanobu Nomura
正宜 野村
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Abstract

【課題】電子写真感光体の表面物性を耐摩耗性と同等以上に高安定化させることにより、長寿命でプリントコストが低減された画像形成装置を提供すること。
【解決手段】電子写真感光体の表面に電荷輸送性を有する下地表面層を積層し、前記下地表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物との硬化物を含有し、前記下地表面層は、表面の凹凸形状を表面粗さ計により測定して得られた測定値をウェーブレット変換を用いて処理して得られるHMH、HML、HLHの帯域における表面粗さWRaが0.002〜0.005μmで、かつWRa(LLH)が0.05μm以下であり、さらに下地表面層中に特定のオキサゾール化合物、及び特定のジアミン化合物のいずれかを含有する画像形成装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐傷性及び耐摩耗性が高く、かつ電気的特性が良好な感光層を有し、長期間に亘って高画質化を実現できる電子写真感光体(以下、「感光体」、「静電潜像担持体」、「光導電性絶縁体」と称することもある)を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
複写機やレーザープリンターなどに応用される電子写真感光体は、かつてはセレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム等の無機材料系の電子写真感光体が主流であった。しかしながら、現在では、地球環境への負荷低減、低コスト化、及び設計自由度の高さで無機材料系の電子写真感光体よりも有利な有機材料系の電子写真感光体(OPC)が主流になっている。現在、有機材料系の電子写真感光体は電子写真感光体総生産量の100%に肉薄する割合で利用されている。この有機材料系の電子写真感光体は、近年の地球環境保全の高まりを受けてサプライ製品(使い捨てされる製品)から機械部品への転換が求められている。また、近年は商業印刷の分野でも電子写真装置が利用されるようになってきており、従来以上の高画質が求められるようになり、感光体の印刷経時での電位のような画質に影響する特性は特に高い安定性が求められている。
有機材料系の電子写真感光体の高耐久化は従来種々の試みがなされてきた。現在では架橋樹脂膜の電子写真感光体表面への成膜(例えば、特許文献1)とゾル−ゲル硬化膜の電子写真感光体表面への成膜(例えば特許文献2)が特に有望視されている。
前者は電荷輸送性成分を配合してもワレやクラックが生じにくく生産上歩留まりが低減できるメリットを有する。なかでもラジカル重合性アクリル樹脂は強靱で感度特性の良好な電子写真感光体が得られやすく有利である。これらの架橋構造をとる二種の方策は複数の化学結合によって塗膜が形成されるため、塗膜がストレスを受けて化学結合の一部が切断しても直ちに摩耗へ進展することがない。
近年、地球環境保全に応じた炭酸ガスの排出量を規制する取り組みが強化され、このニーズは電子写真感光体を機械部品から、更に、リユース部品としての使用も必要となる。
電子写真感光体は、機械部品としての地位を確立されつつも装置寿命を凌駕するほどのリユース性は未だ実現されていない。
電子写真感光体の高耐久化は3次元架橋構造をもつ樹脂膜を製膜することで飛躍的な向上が期待できる状況にある。
また、潤滑剤を電子写真感光体表面へ塗布する方法が、とりわけ重合トナーのクリーニング性を高める方法として利用されている。この方法は、他に、電子写真感光体を帯電ハザードから保護する機能も担っており、少なからず装置寿命の延命に貢献している。
しかしながら、これらの技術を組み合わせても、現在、電子写真感光体は交換使用されている状態である。
これは電子写真感光体の表面物性が耐久使用により変質し、異常画像の生成やクリーニング性能が不調となるためである。これでは原材料の発掘から廃棄、リサイクル化に至る画像形成装置のライフサイクルが従来の枠組みから超越することはできない。このため、これまでのような画像形成には大量のエネルギーと莫大な炭酸ガスの排出を改善することはできない。
電子写真感光体の機械的強度の向上はほぼ頂点に至るほどの技術が重ねられている。そこで、電子写真感光体表面物性を安定化する電子写真感光体の使いこなし技術の改良が重要になる。このうち、潤滑剤塗布は非常に有利な方策と言えるが、潤滑剤の使用量の制御が不十分で、電子写真感光体周囲が潤滑剤で汚染されるケースが多く、これが装置寿命の原因にもなっている。
このような課題に対し、本発明者らは、電子写真感光体表面の粗さを多重解像度解析によってウェーブレット変換して周波数成分に分離し、その周波数成分の好適な帯域の算術平均粗さを好適な範囲に規定した(特許文献3参照)。これにより電子写真感光体表面に潤滑剤から為る循環型表面層を形成し、潤滑剤のマスバランスの等価性を得ることができることを見出した。そして、感光体表面を保護しつつ循環型表面層による表面物性を安定化させることができ、感光体の長寿命化、画質安定化を達成した。
前記循環型表面層は、潤滑剤の塗布量が一定の間は塗布量と除去量の等価性を維持できる。しかしながら、例えば、潤滑剤供給部材に搭載された潤滑剤が消費されるなどして、供給量が低減した場合、マスバランスの等価性が破綻し、循環型表面層が均一に形成されなくなり、感光体表面の摩耗や表面物性の変化を引き起こす。さらに、感光体表面が摩耗すると、当初の表面粗さが変化してしまうため、循環型表面層の均一性の維持は、さらに困難になる。また、トナーに含有しているシリカや酸化チタンなどの外添剤が感光体表面に固着していわゆるフィルミングが発生する。このフィルミングを除去するために、潤滑材中にフィラーを含有させる場合があるが、潤滑材中のフィラーは循環型表面層も除去しやすいため、感光体表面保護性が低下して、感光体の摩耗を促進させてしまう場合がある。このような場合も、当初の表面粗さが変化してしまうため、比較的短期間に循環型表面層の均一性維持が困難になってしまう。
その対策として、感光体表面の硬度を高めて耐摩耗性を高めることなどが挙げられる。UV硬化表面層の場合、硬度を高めるためにUV照度を高くしたり、照射時間を長くしたりするなどの手段を講じると、露光部電位上昇などの副作用が発生し、感光体としての性能が低下してしまう場合が多い。それに対して、色素の分解反応を抑制する添加剤として1重項酸素クエンチャー(例えばニッケルジチオラート錯体等)を用いることも知られている。しかしながら、このような材料を保護層中に添加すると感光体の光導電性が全くなくなるという弊害があり使用することができない。
このように、画像形成装置における循環型表面層の使いこなしには、多くの課題があるのが現状である。
本発明は、電子写真感光体の表面物性を耐摩耗性と同等以上に高安定化させる技術により、これを用いた長寿命でプリントコストが低減された画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る画像形成装置は、具体的には以下の通りのものである。
電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段と、
前記電子写真感光体の回転駆動方向に対して、前記クリーニング手段の下流で、かつ、前記帯電手段の上流に配設されてなり、前記電子写真感光体に当接し当該電子写真感光体表面に循環材を塗布して電子写真感光体最表面層となる循環型表面層を形成する循環材塗布手段と、
を備える画像形成装置において、
前記電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層、電荷輸送性を有する下地表面層を順に積層し、前記下地表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物との硬化物を含有し、
かつ前記下地表面層は、下記(I)〜(V)の手順で、各周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求めたとき、
(I)表面粗さ・輪郭形状測定機により測定して一次元データ配列を作成する。
(II)前記一次元データ配列を、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの6個の周波数成分(HHH、HHL、HMH、HML、HLH、HLL)に分離する。
(III)次いで、得られた6個の周波数成分の中で最低周波数成分の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きした一次元データ配列を作成する。
(IV)更に、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの、追加の6個の周波数成分(LHH、LHL、LMH、LML、LLH、LLL)に分離する。
(V)上記で得た12の各周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求める。
前記(II)及び(IV)で得られた周波数成分のうち、HMH、HML、HLHの帯域におけるWRaが0.002〜0.005μmであり、かつWRa(LLH)が0.05μm以下であり、さらに前記下地表面層中に下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるオキサゾール化合物、及び下記一般式(3)又は一般式(4)で表されるジアミン化合物のいずれかを含有することを特徴とする画像形成装置。
(式(1)中、R1とR2はそれぞれ水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し同一でも異なっていても良く、Xはビニレン基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基、2,5−チオフェンジイル基を表す。)
(式(2)中、Ar1とAr2はそれぞれ炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基を表し同一でも異なっていても良く、Yは炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基を表し、R3とR4はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し同一でも異なっていても良い。)
(式(3)中Xは置換基を有していても良いアリーレン基、あるいは、
を表す。ただし、Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
式中、A1、A2、A3、A4は、下記(i)、(ii)、及び(iii)より選択される基を表し、各々同一でも異なっていても良い。但し、(i)、(ii)の場合はA1及びA2、もしくはA3及びA4が各々同一であっても異なっていても良いが、(iii)の場合はA1及びA2のいずれか、もしくはA3及びA4のいずれかにのみ形成される。
(i)炭素数1〜4のアルキル基
(ii)−CH2(CH2)mZ
(iii)置換基を有しても良いアリール基
但し、Zは、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基を表し、さらに置換基を有しても良い。また、mは0及び1のいずれかの整数を表す。
式中、B1、B2は、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2−Ar−、−Ar−CH2−、−CH2CH2−Ar−、−Ar−CH2CH2−を表す。但し、Arは置換基を有していても良いアリーレン基を表す。)
(式(4)中、R1、R2は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の1価基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基を表す。Ar2およびAr3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の1価基を表す。Ar1、Ar2、もしくはAr2、Ar3は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。)
但し、前記得られた周波数成分は、下記のとおりである。
WRa(HHH):凹凸の一周期の長さが0.3μm〜3μmの帯域におけるRa
WRa(HHL):凹凸の一周期の長さが1μm〜6μmの帯域におけるRa
WRa(HMH):凹凸の一周期の長さが2μm〜13μmの帯域におけるRa
WRa(HML):凹凸の一周期の長さが4μm〜25μmの帯域におけるRa
WRa(HLH):凹凸の一周期の長さが10μm〜50μmの帯域におけるRa
WRa(HLL):凹凸の一周期の長さが24μm〜99μmの帯域におけるRa
WRa(LHH):凹凸の一周期の長さが26μm〜106μmの帯域におけるRa
WRa(LHL):凹凸の一周期の長さが53μm〜183μmの帯域におけるRa
WRa(LMH):凹凸の一周期の長さが106μm〜318μmの帯域におけるRa
WRa(LML):凹凸の一周期の長さが214μm〜551μmの帯域におけるRa
WRa(LLH):凹凸の一周期の長さが431μm〜954μmの帯域におけるRa
WRa(LLL):凹凸の一周期の長さが867μm〜1654μmの帯域におけるRa
本発明によれば、寿命の延命を獲得し、プリントコストの低減が達成された画像形成装置を提供することができる。
本発明に係わる画像形成装置の模式断面図を示す例である。 本発明に係わる画像形成装置の別の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 比較例で用いた画像形成装置の例を示す模式断面図である。 本発明に係わる画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 電子写真感光体に循環材を供給する手段を示す模式断面図である。 本発明に係わる電子写真感光体の層構成を示す断面図である。 本発明に係わる電子写真感光体の別の層構成を示す断面図である。 本発明に係わる電子写真感光体の更に別の層構成を示す断面図である。 ウェーブレット変換による多重解像度解析結果を表す図の一例である。 一回目の多重解像度解析における周波数帯域の分離の図である。 一回目の多重解像度解析での最低周波数データのグラフである。 二回目の多重解像度解析における周波数帯域の分離の図である。 粗さスペクトルの一例図である。 表面粗さ・輪郭形状測定システムの構成図である。 実施例で合成した化合物No.4のジアミン化合物の赤外線吸収スペクトル(NaCl法)である。 実施例で合成した化合物No.5のジアミン化合物の赤外線吸収スペクトル(NaCl法)である。 実施例で合成した化合物No.6のジアミン化合物の赤外線吸収スペクトル(NaCl法)である。
本発明に係る画像形成装置の具体例を図1に基づいて説明する。
図1に示す画像形成装置は下記の構成要素を有している。
・所定の方向に回転駆動される電子写真感光体11
・該電子写真感光体11表面を一様に帯電させる帯電手段12
・前記電子写真感光体11を露光して静電潜像を形成する露光手段13
・トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段14
・前記トナー像を前記電子写真感光体11から転写材上に転写する転写手段16
・当該トナー像が転写された後の電子写真感光体11を清掃するクリーニング手段17
・前記電子写真感光体11の回転駆動方向に対して、前記クリーニング手段17の下流かつ前記帯電装置12の上流に配設されてなり、前記電子写真感光体11に当接し当該電子写真感光体11表面に循環材3Aの皮膜を塗布形成する循環材塗布手段3
前記塗布手段3は、塗布ブラシ3Bと、塗布ブレード3Cとを有している。
また、前記電子写真感光体11は、前記循環材3Aよりなる循環型表面層を有している。
前記塗布手段3による前記循環材3Aの塗布量は、画像形成装置における画像形成サイクルの1サイクル当たりで、当該塗布手段3が次の画像形成サイクルで塗布する直前までに電子写真感光体11表面から除去される前記循環材の除去量相当となるようにする。
次に、本発明に係る画像形成装置についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
本発明では、画像形成装置内に電子写真感光体表面に循環材からなる循環型表面層の皮膜をコーティングする塗布装置を内蔵するため、電子写真感光体の摩耗は比較的抑えられ、表面形状の変化も著しく抑えられている。
本発明の画像形成装置においては、電子写真感光体の下地表面層上に循環型表面層を形成する材料(以下、循環材と称する)がコーティングされる。本発明においては、コーティングされる循環材の塗布量が、次のコーティングを行う直前までに行われる清掃によって除去される循環材の量と同等に近づけることが好ましい。これは電子写真感光体最表面に循環型表面層を設けることを成立させる重要な要件となる。循環材の除去量と同等量の循環材をコーティングすることで、電子写真感光体を中心に出入りする循環材のマスバランスは等価性を得ることができる。
循環材は主にクリーニング装置によって清掃されると考えられるが、感光体と現像剤との接触、感光体と中間転写ベルトとの接触なども清掃に作用する。本発明では循環材の清掃工程は、循環材が塗布された直後から次の循環材が塗布される直前までの工程全てを対象にする。
循環材を除去した後に循環材を塗布する場合、仮に循環材が感光体から完全に除去されても直ちに塗布工程で循環材が塗布されることになる。そして、循環材が除去されるまでの間は感光体表面に循環材が滞留することになるため、循環材の清掃と塗布の繰り返し工程では感光体表面の循環材が完全に枯渇することは無い。より具体的には、例えば循環材を100%を除去した後に10%塗布すると、次の除去に至るまでは10%の循環材が塗布された状態になる。そして、次の除去工程で完全に除去された後、新たに10%の循環材が塗布されることになる。本発明はこの繰り返し工程を経るため、感光体表面の循環材が完全に枯渇することはない。
本発明は一見、既存の電子写真感光体へ潤滑剤を塗布する手段に類似するが、潤滑剤塗布はクリーニング性を持続するなどの電子写真感光体表面の潤滑機能を確保するために潤滑剤を電子写真感光体へ厚塗りする設計になっている。これまでの潤滑剤を電子写真感光体へ塗布する方式は本発明の電子写真感光体表面に循環型表面層を積層する思想はない。従来の方式は、例えば電子写真感光体表面の保護や、あるいは電子写真感光体表面の摩擦係数を所定以下とするために潤滑剤を電子写真感光体表面に外部供給してきたに過ぎない。このような潤滑剤が外部から供給される感光体表面を観察すると、粒状の潤滑剤が感光体表面に付着している様相が観察できる。このような粒状の潤滑剤は装置内を汚染する原因になっている。
本発明において、循環材の清掃によって除去される量(除去量)は回収したトナーに含まれる循環材濃度から算出可能である。この循環材濃度は後述するICP(Inductively Coupled Plasma)分析またはXRF(X-ray Fluorescence)分析によってモニターすることができる。このように消失速度(循環材の消費量の総量)を予め求めておくことで、本発明における循環材の除去量と塗布量との関係を成立させることができる。
次に、1サイクル当たりの循環材の塗布量と清掃によって除去される量とを同等にする方法について述べる。循環材の消費量は電子写真感光体に対する循環材の付着効率と画像形成プロセスによって生じる損失分の補償とを掛け合わせた値として決定される。
画像形成プロセスによって生じる損失分は、循環材全消費量のうち、ブラシによって粉体化された循環材が飛散や落下によって感光体表面にコーティングできなかった分である。前記損失分は循環材塗布手段の周囲に滞留している粉末を回収することで計量することができる。
また、循環材が感光体表面から除去された成分はクリーニング手段以降、一般には廃トナーボトルに至る経路に残留する分を回収することで計量することができる。トナーが含まれる場合は回収した全粉末の質量を求め、更にこの粉末について循環材濃度を分析することで、感光体表面から除去された循環材の質量を求めることができる。
循環材の全消費量に対して以上のプロセスによる損失分と感光体表面からの除去分の差分が生じる場合、帯電手段などの他のモジュールへの汚染分とみなされる。
電子写真感光体表面の循環材の付着効率は、塗布ブレードなどの循環材を塗布する部材と感光体とのなじみによって決定される。塗布ブレードを用いる場合、循環材を薄く均質にかつ隈無くコーティングするには感光体と塗布ブレードとの摺擦に際して、塗布ブレードが循環材を完全に堰き止めてしまっては効率が悪い。適度なギャップを形成したり、ビビリを防止したりすることが重要となる。
例えば、電子写真感光体表面の粗さを好適な形状にすることで、上記適度なギャップ形成やビビリ防止の効果を発現すると、塗布ブレードの働きの効率が良くなり、循環型表面層を形成しやすくなる。循環型表面層が形成される画像形成装置の場合は、単純に循環材の消費量を増減させて循環材過多の場合に発生する不具合と、循環材不足に起因する感光体表面のフィルミングとの度合いを評価し、循環型表面層の形成点を特定することができる。
本発明の画像形成装置は、電子写真装置内で循環材を電子写真感光体の下地表面層上へコーティングすることを特徴としている。そして良質な循環型表面層の形成を確保するために、耐久使用をしても下地表面層の塗布面は清浄であることが望ましくかつ下地表面層を変質させない状態にすることが望ましい。下地表面層の塗布面を清浄にするためには、塗布面の清浄を崩すトナーを最大限排除する必要があり、そのためには、循環型表面層の塗布装置を電子写真感光体表面移動方向に対してクリーニング装置よりも下流に配置することが重要である。更に下地表面層を変質させない状態にするためには、特に電子写真感光体と接触する部材間のなじみに変調を来す下地表面層の形状変化を防止する必要がある。
このため、下地表面層が直接、帯電ハザードに曝されないようにするために、以上の塗布装置は電子写真感光体表面移動方向に対して帯電装置よりも上流に配置して循環型表面層をコーティングすることが重要である。
尚、本発明の電子写真感光体は未使用の感光体表面に循環材を設ける場合のみ循環材の除去量と付着量の関係は無視される。なぜなら、循環材が全く存在しない状態で循環材の塗布量が循環材の除去量以下とすると循環材は全く塗布されなくなるためである。
循環材を設ける場合とは、感光体ドラムを画像形成装置へ装着するまでの非定常状態を指す。具体的には新たな感光体を画像形成装置に装着してから初期プリント1000枚以下を指す。
感光体表面へ循環材を設ける手段は、感光体表面の循環材塗布が不十分なために、画像形成装置のクリーニング機能が不十分な性状を利用して感光体表面に循環材を蓄積させても良いし、予め、セッティングパウダーなどを用いて塗布しても良い。
電子写真感光体表面の循環型表面層は以上の通り定義するが、画像形成装置内あるいは画像形成プロセスの最中に循環型表面層を形成させることは容易ではない。なぜなら、画像形成プロセスでは、電子写真感光体下地表面層の物性は絶えず履歴を堆積していくためである。
画像形成プロセスの途上において、循環材を電子写真感光体の下地表面層にコーティングするのみならず、トナーによる画像形成を伴う。このように循環型表面層のコーティングと画像形成とを同時に行う場合、循環材のコーティングが不十分なときには電子写真感光体の下地表面層は紙粉やトナー成分がフィルミングしたり、メダカ形状のフィルミングが生じたりする。これらのフィルミングは画像形成のサイクルを繰り返す度に循環材のコーティングを困難にしてしまう。また、循環材の被覆機能が弱く循環材の供給に対して皮膜形成が追いつかなくなると循環材のコーティング膜が粒だつことがある。また、電子写真感光体と接触する部材に循環材が滞留したりすり抜けたりして、電子写真感光体表面は砂利をまぶしたような付着状態になることがある。
こうなると、循環材が電子写真感光体周りの部材(帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置)を汚染して寿命を縮めたり、現像器へ循環材が混入してトナーの帯電を不調にさせたりするなど、画像形成装置を耐久使用するときの問題になる。さらに被覆が不十分なため、電子写真感光体の下地表面層が摩耗しやすくなり、表面形状の変化を引き起こし、さらに循環材の被覆機能を低減してしまうことになったりする。このような粒だちは必ずしも0%である必要はないが、問題を回避することができる目安として、□2mm程度領域で電子写真感光体表面を観察したときに粒だちの面積比率が0.05%未満、より好ましくは0.03%未満がよい。粒だちの面積比率はimageJ(アメリカ国立衛生研究所製)やImageProplus(メディアサイバネティックス社製)等の画像解析ソフトで算定できる。
現在、画像形成装置内で一般的な潤滑剤を塗布する場合、潤滑剤の被覆率は85%程度である場合が多く、粒だちはプリントパターンによって変わるが、0.1%から2.5%程度である場合が多い。このため、耐久使用時に異常画像を来したり、電子写真感光体の交換を要したりしており、循環型表面層が形成されているとは言えない状態である。
これに対し本発明は、電子写真感光体下地表面層を特定の表面形状とすることにより、循環材の塗布性を飛躍的に向上させ、循環型表面層のコーティングと画像形成とを同時に行っても、下地表面層のフィルミングと部材汚染を大幅に抑制し、電子写真感光体の寿命を大幅に延長する進歩性をもつ。
また、本発明の画像形成装置で用いる循環型表面層の塗布装置は既存の潤滑剤塗布手段を流用することが可能である。このため、本発明の画像形成装置は格別なコストアップを抑えることができる。
この塗布機能の強化は、電子写真感光体と塗布ブレードとの摺擦状態の制御が必要である。より簡単に言えば、これらのなじみを良くするプロセスが必要となる。
本発明者らは、本発明と同じ構成の画像形成装置を耐久使用し、塗布ブレードの電子写真感光体との摺擦部分を観察したところ、電子写真感光体の下地表面層の形状によって塗布ブレードの荒れ方が異なる特徴を知り得た。この観察ではブレード表面の真上から対物レンズが100倍の共焦点顕微鏡で□180μmの視野を観察している。また、塗布ブレードは電子写真感光体に対してトレーリング配置で使用している。塗布ブレードの荒れ具合は、塗布ブレードのカット面エッジ部から垂直方向に90μm幅で、全長180μm領域の面粗さ(Ra)と、凹凸の局部山頂の平均間隔(Sm)から計量した。RaとSmの大きさについてマッピングした粗さ加減の分類分けを試みたところ、電子写真感光体の下地表面層の断面曲線について、低周波成分の凹凸が小さい方と、中周波成分の凹凸が適度に高い方が粗さは小さいという特徴があることが分かった。更に耐久使用後の塗布ブレードの粗さに応じて循環型表面層の粒だちが強くなる傾向があることを知り得た。
塗布ブレードの粗さはレーザーテック社製共焦点顕微鏡OPTELICS H−1200による観察と付属するソフトウエアLMeyeを用いて面粗さRaを求めたところ、0.3μmから0.6μmに亘るサンプル差があることが分かった。また、局部山頂の平均間隔(Sm)は2.5μmから5.5μmに亘るサンプル差があることが分かった。耐久使用後の塗布ブレードの荒れ具合は電子写真感光体表面とのなじみを反映した結果であると考える。
そこで本発明では、電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に順に積層されてなる感光層、下地表面層及び循環型表面層と、を備え、塗布ブレードの荒れを小さくする電子写真感光体下地表面層の形状は、下記(I)〜(V)の手順で、各周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求めたとき、下記(II)及び(IV)で得られた周波数成分のうち、HMH、HML、HLHの帯域におけるWRaが0.002〜0.005μmであり、かつWRa(LLH)が0.05μm以下であることを特徴とする。
(I)表面粗さ・輪郭形状測定機により測定して一次元データ配列を作成する。
(II)前記一次元データ配列を、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの6個の周波数成分(HHH、HHL、HMH、HML、HLH、HLL)に分離する。
(III)次いで、得られた6個の周波数成分の中で最低周波数成分の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きした一次元データ配列を作成する。
(IV)更に、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの、追加の6個の周波数成分(LHH、LHL、LMH、LML、LLH、LLL)に分離する。
(V)上記で得た12の各周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求める。
ここで、電子写真感光体下地表面層のJIS−B0601:2001で定義される算術平均粗さ(略号;Ra)を、ウェーブレット変換により凹凸の一周期の長さについて周波数成分に分離した個々の帯域における算術平均粗さを以下のように表すものとする。
WRa(HHH):凹凸の一周期の長さが0.3μm〜3μmの帯域におけるRa
WRa(HHL):凹凸の一周期の長さが1μm〜6μmの帯域におけるRa
WRa(HMH):凹凸の一周期の長さが2μm〜13μmの帯域におけるRa
WRa(HML):凹凸の一周期の長さが4μm〜25μmの帯域におけるRa
WRa(HLH):凹凸の一周期の長さが10μm〜50μmの帯域におけるRa
WRa(HLL):凹凸の一周期の長さが24μm〜99μmの帯域におけるRa
WRa(LHH):凹凸の一周期の長さが26μm〜106μmの帯域におけるRa
WRa(LHL):凹凸の一周期の長さが53μm〜183μmの帯域におけるRa
WRa(LMH):凹凸の一周期の長さが106μm〜318μmの帯域におけるRa
WRa(LML):凹凸の一周期の長さが214μm〜551μmの帯域におけるRa
WRa(LLH):凹凸の一周期の長さが431μm〜954μmの帯域におけるRa
WRa(LLL):凹凸の一周期の長さが867μm〜1654μmの帯域におけるRa
電子写真感光体下地表面層の形状は以上の関係を満たすと、循環材が効率よくコーティングできる性状を得た。この原因は現時点で明らかにしていないが、次の通りと推察される。
循環材を塗布ブレードで電子写真感光体の下地表面層にコーティングして循環型表面層を形成する際に、塗布ブレードが循環材を完全に堰き止めてしまうとコーティングができなくなる。そこで適度な厚みのコーティング膜を形成するには、循環材を塗布ブレードからすり抜けさせて薄膜化するような塗布ブレードと下地表面層との間で動的なギャップを形成する必要がある。例えば、ゴム板の塗布ブレードを電子写真感光体に当接させて循環材をコーティングしようとするとき、塗布ブレードを一般のクリーニングブレードのように当接してしまっては上述の通り循環材を堰き止めてしまい、コーティングが覚束ない。
循環材のコーティングを目的とする場合、動的なギャップを形成するには電子写真感光体表面と塗布ブレード間の当接状態の制御だけでは不十分であり、当接状態の制御に加えて、電子写真感光体表面と塗布ブレードとの摺擦状態の制御が必要である。ここで、当接状態とは電子写真感光体表面と塗布ブレードとの当たり方を表し、摺擦状態は塗布ブレードと電子写真感光体のこすれ方を表す。
一般的なドクターブレード法により均質な製膜を得るための条件を列記すると以下の(1)〜(5)の通りである。
(1)ウエット膜厚を均一にするブレードと塗布面間のギャップが常時均一であること
(2)ブレードがビビリなどの振動を抑えること
(3)塗工速度が一定であること
(4)塗布面が清浄であること
(5)塗料が均質であること
循環材の製膜に対しても同じ事が言える。電子写真感光体表面の形状を前述した特徴的な粗面にすることで良質なコーティングに対して有利に作用していると考える。このことは塗布ブレードがゴムである特殊性も影響していると思われる。
そこで、上述の電子写真感光体の下地表面層の形状とすることで、循環材の塗布性を飛躍的に向上させる効果を享受することができるとともに、循環材の塗布量と除去量を同程度とする循環型表面層の形成を可能にする効果を享受することができる。
更に、循環材の効率的なコーティングを実現するため、循環材の消費量を低減できる効果が得られる。
以上の画像形成装置が備える電子写真感光体の最表面である循環型表面層の形成のためには、循環材は電子写真感光体下地表面層から除去しやすく、かつコーティングしやすい材料であることが望ましい。循環型表面層を永続させるために一サイクルでコーティングする物質量と、清掃によって除去する物質量とが等価であることが特に好ましく、また、循環材の消費率が過剰でないことも必要となる。
以上の要件に対して、循環材に用いられる材料として、ワックスないし高級脂肪酸金属塩が有利である。ワックスはハゼろう、ウルシろう、パームろう、カルナウバろう等の植物系ワックス、蜜ろう、鯨ろう、イボタろう、羊毛ろう等の動物系ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス等の鉱物系ワックスを利用できる。これらは液体状であっても固体状であっても構わないが、画像形成装置中に搭載することを考慮すると、棒状の固形状態をなすものが好ましい。
特に従来、一般に使用されてきた高級脂肪酸金属塩の多くは材料の性質面から有利である。この代表的な化合物であるステアリン酸亜鉛はラメラ構造をとり得る化合物である。
ラメラ構造とは分子が規則的に折りたたまれて成す層が積み重なって配列する構造である。
このラメラ構造は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れてはがしやすい。この作用は循環型表面層を形成させるのに有利である。ステアリン酸亜鉛がせん断力を受けて均一に電子写真感光体表面を覆っていくラメラ構造の特性は、少量の循環材によって効果的に電子写真感光体表面を覆うことを可能にする。
この方法で循環材を塗布する場合、その循環材の塗布状態を制御する方法としては様々な方法がある。例えば、固形循環材と塗布ブラシとの接触圧力を高めたり、塗布ブラシの回転速度を制御したりすることを挙げることができる。また、画像形成情報に応じて、塗布ブラシの回転数を制御することも考えられる。
循環材はワックスや高級脂肪酸金属塩を単独で用いても良いが、これらをバインダーとして、電荷輸送物質や酸化防止剤など他の機能材料と混合して利用することができる。
このような循環材を用い、画像形成装置内で皮膜形成と除去がしやすい材料を特定することにより、循環材の除去とコーティングの繰り返し工程に際して物質量の等価性を得やすい効果を享受することができる。このため、循環材の塗布と除去を担うモジュールを簡単にすることができる。また、循環型表面層を永きにわたって形成可能にすることができる。更に、前述の下地表面層の形状との組み合わせにより、一サイクル当たりの被覆能力を格別に高めることが実現でき、循環材の消費率の減量化を享受することができる。
さらに本発明における循環材としては、ラメラ構造をとり得る脂肪酸金属塩を用いることができる。このような脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸又はオレイン酸の亜鉛塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩又はリチウム塩が好ましく、これらを混合して使用してもよい。
特に、ステアリン酸亜鉛は、工業的規模で生産され、かつ多方面での使用実績があることから、コスト、品質、安定性、及び信頼性において最も好ましい材料である。
また、従来、潤滑剤の効率的な塗布方法として蓄積してきた豊富な塗布技術を応用しやすい有利性をもつ。
尚、一般に工業的に使われる高級脂肪酸金属塩は、その名称の化合物単体組成ではなく、多かれ少なかれ類似の他の脂肪酸金属塩、金属酸化物、及び遊離脂肪酸を含むものであり、本発明における脂肪酸金属塩もこの慣例に従う。
このような循環材を用いることで、循環型表面層の形成に対して高信頼性と低コスト化を享受することができる。また、潤滑剤の塗布技術として蓄積のある塗布技術を応用しやすい装置開発の利便性を得ることができる。また、近年、潤滑材の中にフィラーを含有させ、潤滑材と共に感光体表面に供給し、感光体表面のトナー成分のフィルミングやメダカ形状のフィルミングを掻き取る機能を付与する技術が用いられている。これは、トナーに低融点な樹脂を用いて定着温度を抑制する手段がとられ、フィルミングしやすくなる傾向があるためである。特にフィラーとして金属酸化物微粒子を用いることで上記フィルミング除去性能が飛躍的に向上する。特に、酸化アルミニウム微粒子は、フィルミング除去性能を向上させるとともに、循環材中に容易に分散含有させることができるため、好ましく用いられる。
前述の電子写真感光体の下地表面層の新規な表面形状により、循環材の塗布性を飛躍的に向上させる効果を享受することができる。この効果を永続するには下地表面形状の強度を高めることが有利である。電子写真プロセスによる画像形成で電子写真感光体が摩耗する場合、表面形状が変化する。その様子は表面粗さの変化からみることができ、本発明者は実験的に電子写真感光体の摩耗の進行とともに表面粗さが増加する傾向を確認している。
本発明に用いる電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層、電荷輸送性を有する下地表面層を順に積層し、前記下地表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物との硬化物を含有する。そして、前記下地表面層中に前記一般式(1)又は一般式(2)で表されるオキサゾール化合物、及び前記一般式(3)又は一般式(4)で表されるジアミン化合物のいずれかを含有する。前記感光体は、従来の感光層上に主として電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物及び電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとの混合物を活性エネルギー線照射でラジカル連鎖重合を開始させ3次元架橋膜とした表面層を有する感光体である。本発明は、この表面層を3次元架橋膜として形成する際に表面層中に特定のオキサゾール化合物及びはジアミン化合物のいずれかを含有させる点に特徴がある。
表面層中に前記オキサゾール化合物が存在することにより表面層中における電荷トラップの発生及びその発生ムラが抑制される。このため、電荷トラップによって生じる繰り返し経時での電位変動が生じることを防止し、連続印刷経時の画像濃度の変化のない商業印刷に要求されるような高画質な画像形成をも可能にしたものである。
また、表面層中に、酸化防止剤等の添加剤を加えることで電荷輸送機能が低下する恐れがあるが、前記ジアミン化合物を添加することにより、電荷輸送機能の低下がほとんど起きることがなく、樹脂等の酸化性ガスによる劣化を抑制することができる。それによって、連続印刷時の画像濃度の変化のない商業印刷に要求されるような高画質な画像形成をも可能にしたのである。
表面層は、前記一般式(1)又は一般式(2)で表されるオキサゾール化合物、及び前記一般式(3)又は一般式(4)で表されるジアミン化合物のいずれかを含有すれば良く、例えば、前記オキサゾール化合物のみ、又は前記ジアミン化合物のみを含有しても良い。前記オキサゾール化合物のみ、又は前記ジアミン化合物のみを含有しても、上記のそれぞれの効果が得られる。また、前記オキサゾール化合物及びジアミン化合物を含有しても良く、オキサゾール化合物及びジアミン化合物の両方を含有することにより、上記の両方の効果が得られ好ましい。
商業印刷に要求される高画質な画像を形成できる感光体には、連続印刷枚数経時での露光電位が同じになるような印刷枚数間電位安定性が要求され、架橋保護層の膜厚や均質性だけでなく表面層内部の電荷トラップの発生を抑えることが必要である。
下地表面層は、前述の通り、循環材による循環型表面層を形成させるために、好適な表面形状を形成している。しかしながら、下地表面層が繰り返し仕様によって摩耗すると、表面形状も変化してしまい、循環型表面層の形成に支障をきたすようになるため、三次元網目構造を有して機械的強度を向上させている。表面保護層として使われる場合は、摩耗によって表面保護層が消失しなければ、下層を保護する機能は損なわれない。しかしながら、本発明のように、循環型表面層を形成するという機能は、表面形状が変化するとその機能が損なわれるため、従来よりもさらに機械的強度を向上させる必要がある。
例えば、紫外線等の活性エネルギー線の照射量を増大させて全体を完全架橋に近づけることで、機械強度の低下を抑制することを試みたが、光照射の増大は静電潜像担持体の電気特性の劣化を引き起こした。これは、活性エネルギー線の照射量を増大させたことが、電荷輸送性を担うラジカル重合性電荷輸送性化合物の光分解物の生成を引き起こし、該光分解物が電荷トラップとなって、繰り返し経時での露光部電位上昇の要因となっていると推測された。従って、この光分解を抑制できれば保護層中の電荷トラップの発生を抑制でき、繰り返し経時での露光部電位上昇が抑制できると考えられた。
そこでこの光分解を防止し、且つ、紫外線等の活性エネルギー線照射時に硬化重合反応を阻害しない添加剤を鋭意検討したところ、特定のオキサゾール化合物の添加が有効であることを見出した。そのメカニズムの詳細は不明であるが、活性エネルギー線によって励起状態となったラジカル重合性電荷輸送性化合物と特定のオキサゾール化合物とが分子間励起子会合体(Exciplex)を形成し、そこから失活することで、ラジカル重合性電荷輸送性化合物の励起状態からの分解反応を抑制できるためと推測する。
さらに、特定のオキサゾール化合物は以下の条件を全て満たす材料群であるため、感光体としての基本的な電気特性や機械的特性を損なうことなく、紫外線照射等の活性エネルギー線照射時のラジカル重合性電荷輸送性化合物の光分解を抑制し表面層中の電荷トラップの発生を抑制することができると推測される。
・ラジカル重合性電荷輸送性化合物に比べて酸化電位の大きいオキサゾール化合物を選択することで、表面層中にあっても電荷トラップにはならず、電荷輸送能を低減させることがないこと
・オキサゾール化合物は吸収波長が短いものが多く、紫外線硬化の場合には重合開始に必要な波長域の吸収が少なく架橋反応を阻害しないこと
・ラジカル重合性電荷輸送性化合物の励起ポテンシャルレベルに比べてオキサゾール化合物のレベルが低く、励起子会合体(Exciplex)を形成しやすいこと
このように、表面層中の電荷トラップ生成が減少したことで、繰り返し経時での電位安定性が向上したと考えられる。このような電子写真感光体を用いることで電位と表面形状を長期間にわたり安定させることができるので、連続印刷経時でも商業印刷の要求にも応えられる画像濃度均一性に優れた高画質な画像出力が可能になる。
また、酸化防止剤を添加させることで表層の樹脂及び電荷輸送物質の酸化性ガスによる劣化を抑制し、それによって下地表面層の機械的強度および電気特性を向上させようと試みたところ、機械的強度は向上できたが静電潜像担持体の電気特性の劣化を引き起こした。これは、酸化防止剤を添加させたことによってそれ自身が電荷トラップとなってしまい、露光後電位の上昇を引き起こしたと推測された。従って、この酸化防止剤の電荷トラップ機能を抑制できれば、電荷輸送を妨げることなく、露光部電位上昇を抑制できると考えた。
そこで、この電荷トラップ機能を抑制する添加剤を検討したところ、特定のジアミン化合物が有効であることを見出した。それは、このジアミン化合物自体が電荷輸送機能を有するため電荷をトラップすることがなく、効率的に電荷を輸送することができる為である。
このようなジアミン化合物が樹脂の強度を向上できたのは、ジアミン化合物は分子内のアミノ基の塩基性が強いため酸化性ガスに対する樹脂の耐性を向上させることができ、それによって樹脂の変質を抑制し、強度が維持できたと推定される。その上、酸化防止剤と異なり、電荷がトラップしやすい極性基を持たず、またそれ自身が電荷輸送性を有するため、ある程度添加しても露光部電位や残留電位を上昇させる影響を低減できるものと推測される。
つぎに、本発明の新規な表面形状の造形について説明する。前述の新規な形状の造形にはウエットプロセスによる製膜が有利である。これはミクロンからミリスケールにわたる表面形状を制御するもので機械的な加工よりも技術面とコスト面で有利であるためである。ウエットプロセスによる製膜では塗料の粘度は低粘度の方が形状制御の範囲を広くすることができる。具体的には0.9mPa・sから10mPa・s程度が良い。塗料の粘度の下限は溶媒粘度に漸近する値から決定しており、上限は形状制御がしにくくなる理由から決めている。塗料の粘度は低く、かつ、製膜後の下地表面層が実用上十分な強度を得るには、塗料に三次元架橋構造をとる反応タイプの樹脂モノマーを主成分に選ぶと良い。
電子写真感光体の下地表面層に三次元架橋構造をもつ樹脂を用いることで耐摩耗性に優れる下地表面層を得ることができる。この理由は、耐久劣化により、樹脂膜を形成する化学結合の一部が破断しても別の部位の化学結合が残存していれば直接摩耗に至らないためと考える。優れた耐摩耗性は表面形状の安定化に直接寄与する。その結果、下地表面層に三次元架橋構造をもつ樹脂を用いると、循環材の塗布性を安定化することができる。
三次元架橋構造をもつ樹脂の中でもアクリル樹脂はポリカーボネートと電荷輸送物質との固溶体と比較して誘電率が大きいため、静電特性面の凹凸形状の影響が小さいメリットを有する。
以上の通り、下地表面層に三次元架橋構造をもつ樹脂を用いることで、循環型表面層の下地表面層の造形を容易にする効果があり、循環材の塗布性を容易に改良できる。また、下地表面層の特別な表面形状の変化を抑え、循環材の塗布性を安定化させる効果を享受することができる。
下地表面層の造形に対して、比較的低粘度の塗料を基に、フィラーを添加すると凹凸形状を付与することができる。フィラーの凝集状態を制御することで多様な凹凸形状が得られる。電子写真感光体の最表層に三次元架橋構造をもつ樹脂を利用し、更にフィラーを配合する技術は過去にも知られていたが、ねらいが機械的強度に主眼を置くものが多く、意外にもフィラーの分散剤を併用する技術は多く見ることがなかった。更に分散剤によるフィラーの凝集状態を変えることで電子写真感光体の表面形状を制御しようとする概念は新規な概念であると思われる。フィラーの中でも、配合するフィラーは金属酸化物フィラーで平均1次粒子径がナノオーダーのものが好ましく、α−アルミナ、酸化スズ、チタニア、シリカ、セリアなどの金属酸化物のフィラーが有用である。
有機微粒子、無機微粒子などのフィラーの一部には、分散が困難で、表面粗さがミクロンオーダー以上しか得られないものやトゲ状の突起が多く、塗布ブレードやクリーニングブレードの刃こぼれを生じるものがある。これに対し、金属酸化物フィラーはこのような不具合を抱えないものが多い。同じ理由から金属酸化物の含有量は下地表面層の1質量%以上20質量%以下が良い。金属酸化物含有量の下限と上限は下地表面層の形状制御が困難になる理由から規定している。
また、金属酸化物の併用により、機械的な強度が向上する効果は本発明においても同様に享受することができる。
リン酸エステルタイプの分散剤は、塗料中のフィラー分散安定性を得る効果、フィラーの小粒径化、及びバインダー樹脂との親和性を与える。フィラーの小粒径化とバインダー樹脂との親和性は、下地表面形状の制御に利用する因子として任意に制御する。この制御はフィラーの酸塩基性に応じて分散剤の酸価、アミン価の適当なものを選んだり、分散剤の成分のうち、フィラーのバインダー樹脂と相溶性の高い成分を選んだりすることで実現できる。また、塗料中のフィラー分散性はいかなる場合においても安定性が高い方が電子写真感光体を製造する上で望ましい。分散剤の成分にフィラーと吸着する官能基の種類や溶媒と相溶性の高い成分を選ぶことで実現できる。分散剤の使用量は電子写真感光体の静電特性への影響から下地表面層の全固形分に対して1wt%から2wt%が上限になることが多い。
以上の通り、リン酸エステルタイプの分散剤と、金属酸化物フィラーとを含有することで、循環型表面層の下地表面層の造形を容易にする効果がある。循環材の塗布性を容易に改良できる。また、下地表面層の耐摩耗性が向上する効果も得られやすい。
循環材のコーティングが万一、不十分な事態に陥った場合、電子写真感光体の下地表面層に紙粉やトナー成分がフィルミングしたり、メダカ形状のフィルミングが生じたりするケースが想定される。このとき、下地表面層の濡れ性が変質して循環材の所期の循環プロセスが破綻してしまいかねない。これに対し、電子写真感光体の下地表面層へ略球形のα−アルミナ微粒子を添加すると、以上のフィルミングを大幅に低減できることが実験的に得られており、有効である。
この理由は今のところ明らかになっていないが、その理由としては、α−アルミナの高い硬度が下地表面層への創傷予防に効果があり、この効果がフィルミングの機会を与えにくくしていることが考えられる。また、他の理由としては、循環材が不足してもα−アルミナの凹凸が電子写真感光体と塗布ブレードないしクリーニングブレードとの摺擦状態をある程度安定に保つ効果をもつためであると考えられる。
略球形のα−アルミナのフィラーの平均一次粒径(SEMによる)は多くの場合、0.01μm以上2.0μm以下、より好ましくは0.03μm以上1.5μm以下の場合、製膜時にトゲの様な極端な凹凸形成が抑制できるため、課題を解決する手段の記載において規定した下地表面層の形状に合致する形状を形成し易く有利である。
以上の通り、平均一次粒径0.01μm以上2μm以下のα−アルミナを含有することで、電子写真感光体表面の変質を予防する効果を享受することができる。このため、循環型表面層を最表面にする電子写真感光体の安定化を獲得できる。なお、後述するようにα−アルミナの平均一次粒子径は特に好ましくは0.2μm以上0.5μm以下である。
循環材を用いる画像形成装置の一例として、図8を用いて説明する。図8の装置では、循環材(3A)は塗布ブラシ(3B)で電子写真感光体表面に供給され、次いで塗布ブレード(3C)で均され、次にクリーニングブレード(17)で除去され、再び塗布ブラシ(3B)へ戻るサイクルを経る。電子写真感光体(11)表面には循環材(3A)の他にトナーの入出力があるため、循環材(3A)はトナーと混合される状態で存在する。
なお、帯電装置(12)には帯電装置(12)をクリーニングする帯電装置クリーナ(12c)が当接して設けられている。
また本発明は、図7に示すように、中間転写体は用いずに、電子写真感光体(11)の表面から、転写装置(16)により直接、転写材(18)に転写する画像形成方式であっても良い。
また、本発明は循環材の循環効率を高めるため、循環材が電子写真感光体表面に入力されるときの付着性、循環材がスプレッドされる均し性、そして適時循環材が電子写真感光体から系外へ排出される除去性の個々の性状を高めることを想定している。
循環材の均しには循環材をスプレッドする塗布ブレードを用いる場合が多い。また、循環材の排出はクリーニングブレードが負うケースが多い。それぞれのブレードは電子写真感光体との摺擦状態を安定化させることが極めて重要である。
塗布ブレードの摺擦状態を安定化させる電子写真感光体下地表面層の形状は、前述の周波数成分のうち、HMH、HML、HLHの帯域におけるWRaが0.002〜0.005μmであり、かつWRa(LLH)が0.05μm以下であることにより、ブレードの荒れを抑えることが可能であり、特に重要である。
耐摩耗性に優れる架橋構造の樹脂を下地表面層の材料として用いると、耐摩耗性に優れる下地表面層が提供される。これに応じて表面形状の持続性が享受される。これは耐久劣化により、樹脂膜を形成する化学結合の一部が破断しても別の部位の化学結合が残存していれば摩耗を止められるためである。
架橋構造の樹脂の中でもアクリル樹脂は、ポリカーボネートと電荷輸送物質との固溶体と比較して誘電率が大きいため、静電特性面の凹凸形状の影響が小さいという効果を奏する。
表面層へフィラーを添加すると微細な凹凸形状を付与することができる。これにより、循環材の循環効率を高める効果が得られやすい。フィラーを配合することで電子写真感光体表面にソフトフィールな生地を形成させることができ、以上のテクスチャー効果を更に高める手段として有効である。また、フィラーの配合による更なる耐摩耗性の向上が獲得でき、表面形状の持続性が一層有利となる。配合するフィラーは平均1次粒子径がナノスケールのものが好ましく、アルミナ、酸化スズ、チタニア、シリカ、セリア等が有用である。特に0.2μm以上0.5μm以下のα−アルミナが有利である。
これらのフィラーは電子写真感光体表面を棘状にさせないため、電子写真感光体と摺動する部材に与えるダメージを低減できる。
循環材を電子写真感光体表面に塗布する画像形成装置について、循環材をブラシで掻き取り、そのブラシで掻き取った循環材を電子写真感光体表面に入力する機構を設けると、循環材の消費量を簡単に制御できるのみならず、電子写真感光体全体に亘って循環材を供給できるため有利である。更に、クリーニングブレードとは別に、上記のブラシよりも下流で且つ、クリーニングブレードよりも上流に電子写真感光体と摺擦する塗布ブレードを設けることで電子写真感光体表面に供給された循環材の量を規制したり、均しを促したりすることが可能となる。これらのブラシと塗布ブレードは循環材の循環を調整する上で有効な手段となる。
なお、塗布ブラシは、ブラシ、または機能上においてブラシに相当するスポンジローラなどの手段も適用できる。
以下に、電子写真感光体断面曲線の多重解像度解析について説明する。
本発明では、はじめに画像形成装置用部品の表面の状態についてJIS B0601に定める断面曲線を求め、その断面曲線である一次元データ配列を得る。
この断面曲線である一次元のデータ配列は、表面粗さ・輪郭形状測定機からデジタル信号として得てもよく、あるいは表面粗さ・輪郭形状測定機のアナログ出力をA/D変換して得てもよい。
本発明において、一次元データ配列を得るための断面曲線の測定長さはJIS規格に定める測定長さであることが好ましく、8mm以上、25mm以下が好ましい。
また、サンプリング間隔は、1μm以下がよく、好ましくは0.2μm以上、0.5μm以下がよい。例えば、測定長12mmをサンプリング点数30720点で測定する場合、サンプリング間隔は0.390625μmとなり、本発明を実施するのに好適である。
前記のように、この一次元データ配列を、ウェーブレット変換(MRA−1)して高周波数成分(HHH)から低周波数成分(HLL)に至る複数の周波数成分(例えば(HHH)(HHL)(HMH)(HML)(HLH)(HLL)の6成分)に分離する多重解像度解析を行う。更に、ここで得た最低周波数成分(HLL)を間引きした一次元データ配列を作り、この間引きされた一次元データ配列に対して更にウェーブレット変換(MRA−2)を行って、高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分(例えば(LHH)、(LHL)(LMH)(LML)(LLH)(LLL)の6成分)に分離する多重解像度解析を行う。これによって得た各周波数成分(12成分)に対して、算術平均粗さ(WRa)を求めたが、一般のRaと区別するために、本明細書ではこの粗さをWRaと称することとする。
ここで、各周波数成分の個々の算術平均粗さ(WRa)は電子写真感光体表面の凹凸形状を表面粗さ・輪郭形状測定機により測定して得た一次元データ配列を、ウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至る周波数成分に分離する前記多重解像度解析(MRA−1)、(MRA−2)を行って得られた一次元データ配列の算術平均粗さを表す。本発明においては、実際のウェーブレット変換はソフトウエアMATLABを使用している。帯域幅の定義はソフトウエア上の制約であって、この定義する範囲に格別の意味はない。また、WRaは上記の理由(帯域幅の定義の理由)に因るため、帯域幅が変わればそれに応じて係数は変化する。
そして、HML成分とHLH成分、LHL成分とLMH成分、LMH成分とLML成分、LML成分とLLH成分、LLH成分とLLL成分の個々の帯域は、周波数帯域がオーバーラップしているが、オーバーラップの理由は、次の通りである。
すなわち、ウェーブレット変換では、元の信号を一回目のウェーブレット変換(Level 1)でL(Low−pass Components)とH(High−pass Components)に分解し、更に、このLに関して、ウェーブレット変換を施すことでLLとHLに分解する。ここで、元の信号に含まれる周波数成分 f が、分離する周波数 F と一致した場合は、f は丁度分離の境界になるので、分離後は、LとHの両方の、それぞれに分離される。この現象は、多重解像度解析では不可避な現象である。そこで、観察したい周波数帯域がこのようにウェーブレット変換の際に分離されてしまわないように、元の信号に含まれる周波数を設定することも重要である。
[ウェーブレット変換(多重解像度解析)、各周波数波の記号]
本発明では2回のウェーブレット変換を行うが、最初のウェーブレット変換を第一回目のウェーブレット変換(便宜上、MRA−1と記すことがある)、その後のウェーブレット変換を第二回目のウェーブレット変換(便宜上、MRA−2と記すことがある)と呼ぶことにする。一回目と二回目の変換を区別するため、便宜上、各周波数帯域の略号に接頭語として、H(一回目)とL(二回目)を付ける。
ここで、第一回目、及び第二回目のウェーブレット変換に使用するマザーウェーブレット関数としては各種のウェーブレット関数が使用可能である。ウェーブレット関数としては、例えば、ドビッシー(Daubecies)関数、ハール(haar)関数、メーヤー(Meyer)関数、シムレット(Symlet)関数、そしてコイフレット(Coiflet)関数等が使用可能である。ここでDaubeciesはドベシィまたはドブシーと表記することがある。本発明ではハール関数を用いているが、必ずしもこれに制約される必要はない。
また、ウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分に分離する多重解像度解析を行う場合、その成分数は4以上、8以下がよく、好ましくは6である。
本発明において、第一回目のウェーブレット変換を行って、複数の周波数成分に分離し、ここで得た最低周波数成分を間引きしつつ取り出して(サンプリングして)、最低周波数成分データを反映した一次元データ配列を作り、この一次元データ配列に対して第二回目のウェーブレット変換を行って、高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分に分離する多重解像度解析を行う。
ここで、第一回目のウェーブレット変換(MRA−1)結果で得た最低周波数成分(HLL)に対して行う間引きは、データ配列数を、1/10から1/100にすることが特徴である。
ここで、データ間引きは、データの周波数を上げる(横軸の対数目盛幅を拡げる)効果があり、例えば、第一回目のウェーブレット変換結果で得た一次元配列の配列数が30000であった場合、1/10の間引きを行うと、配列数が3000になる。
この場合、間引きが1/10より小さいと、例えば、1/5であると、データの周波数を上げる効果が少なく、第2回のウェーブレット変換を行い、多重解像度解析を行ってもデータはよく分離されない。
また、間引きが1/100より大きいと、例えば、1/200であると、データの周波数が高くなりすぎ、第2回のウェーブレット変換を行い、多重解像度解析を行ってもデータは高周波成分に集中してよく分離されない。
間引きの仕方は、例えば、間引きを1/100とする場合、100個のデータの平均値を求め、その平均値を代表の1点としている。
図18は本発明に適用した、電子写真感光体の表面粗さ評価装置の一構成例を模式的に示す構成図である。図18中(41)は電子写真感光体であり、(42)は表面粗さを測定するプローブを取り付けた治具、(43)は上記治具(42)を測定対象に沿って移動させる機構、(44)は表面粗さ・輪郭形状測定機、(45)は信号解析を行うパーソナルコンピューターである。この図18において、パーソナルコンピューター(45)によって上記の多重解像度解析の計算が行われる。電子写真感光体がシリンダー形状の場合、電子写真感光体の表面粗さ測定は周方向でも長手方向でも適当な方向について計測することができる。
この図18は一例として示したものであり、構成は他の構成によってもかまわない。例えば、多重解像度解析はパーソナルコンピューターではなく、専用の数値計算プロセッサで行ってもよい。また、この処理を表面粗さ・輪郭形状測定機自体で行ってもよい。結果の表示は各種の方法が使用可能であり、CRTや液晶画面に表示してもよく、あるいは印字出力を行ったりしてもよい。また、他の装置に電気信号として送信してもよく、USBメモリやMOディスクに保存してもよい。
本発明者等の測定では、表面粗さ・輪郭形状測定機は東京精密社製Surfcom 1400Dを使用し、パーソナルコンピューターはIBM社製パーソナルコンピューターを使用し、Surfcom 1400DとIBM製パーソナルコンピューターの間はRS−232−Cケーブルで接続した。Surfcom 1400Dからパーソナルコンピューターに送られた表面粗さデータの処理とその多重解像度解析計算は、本発明者等がC言語で作成したソフトウエアで行った。
次に、電子写真感光体表面形状の多重解像度解析の手順について具体例によって説明する。
はじめに、電子写真感光体の表面形状を東京精密製Surfcom 1400Dで測定した。ここで、一回の測定長は12mmであり、総サンプリング点数は30720であった。一度の測定では、これを四カ所測定した。測定した結果はパーソナルコンピューターに取り込み、これを本発明者等の作成したプログラムにより第一回目のウェーブレット変換と、そこで得た最低周波数成分に対する1/40の間引き処理、そして、第二回目のウェーブレット変換を行った。
このようにして得た第一回目、及び第二回目の多重解像度解析結果に対し、算術平均粗さWRa、最大高さRmax、十点平均粗さRzを求めた。演算結果の一例を図13に示す。
図13において、図13(a)のグラフはSurfcom 1400Dで測定して得た元のデータであり、粗さ曲線、あるいは断面曲線と呼ぶ場合もある。
図13には14個のグラフがあるが、縦軸は表面形状の変位であり単位はμmである。
また横軸は長さであり、目盛は付けていないが測定長は12mmである。
従来の表面粗さ測定では図13(a)から算術平均粗さRa、最大高さRmax、Rz等を求めていた。
また、図13(b)の6個のグラフは第一回目の多重解像度解析(MRA−1)結果であり、最も上にあるのが最高周波成分(HHH)のグラフ、最も下にあるのが、最低周波数成分(HLL)のグラフである。
ここで、図13(b)において最も上にあるグラフ(101)は一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分であり、本発明ではこれをHHHと呼ぶ。
・グラフ(102)は、一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より1つ低い周波数成分であり、本発明ではこれをHHLと呼ぶ。
・グラフ(103)は、一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より2つ低い周波数成分であり、本発明ではこれをHMHと呼ぶ。
・グラフ(104)は、一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より3つ低い周波数成分であり、本発明ではこれをHMLと呼ぶ。
・グラフ(105)は、一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より4つ低い周波数成分であり、本発明ではこれをHLHと呼ぶ。
・グラフ(106)は、一回目の多重解像度解析結果の最低周波数成分であり、本発明ではこれをHLLと呼ぶ。
本発明において、図13(a)のグラフはその周波数によって、図13(b)の6個のグラフに分離するが、その周波数分離の状態を図14に示す。
図14において、横軸は凹凸の形状が正弦波とした場合の、長さ1mm当たりに出現する凹凸数である。また、縦軸は、各帯域に分離された場合の割合を示すものである。
図14において、(121)は一回目の多重解像度解析(MRA−1)における最高周波成分(HHH)の帯域、(122)は一回目の多重解像度解析における最高周波成分より1つ低い周波数成分(HHL)の帯域、(123)は一回目の多重解像度解析における最高周波成分より2つ低い周波数成分(HMH)の帯域、(124)は一回目の多重解像度解析における最高周波成分より3つ低い周波数成分(HML)の帯域、(125)は一回目の多重解像度解析における最高周波成分より4つ低い周波数成分(HLH)の帯域、(126)は一回目の多重解像度解析における最低周波数成分(HLL)の帯域である。
図14をより詳細に説明すると、1mm当たりの凹凸数が20個以下の場合は、すべてグラフ(126)に出現することを示す。例えば、凹凸数が1mm当たり110個の場合、グラフ(124)に最も強く出現し、これは図13(b)においてはHMLに出現する。また、凹凸数が1mm当たり220個の場合、グラフ(123)に最も強く出現し、これは図13(b)においては、HMHに出現することを示している。また、凹凸数が1mm当たり310個の場合、グラフ(122)と(123)に出現し、これは図13(b)においては、HHLとHMHの両方に出現することを示している。したがって、表面粗さの周波数によって、図13(b)の6本のグラフでどこに現われるか決まってくる。言い換えると、表面粗さにおいて、細かなザラツキは図13(b)において上の方のグラフに出現し、大きな表面うねりは図13(b)において下の方のグラフに出現する。
本発明ではこのように、表面粗さをその周波数によって分解する。これをグラフとしたものが図13(b)であるが、この周波数帯域ごとグラフからそれぞれの周波数帯域での表面粗さを求める。ここで、表面粗さとしては、算術平均粗さ、最大高さ、十点平均粗さを計算することが可能である。
このようにして、図13(b)では、それぞれのグラフに、算術平均粗さWRa、最大高さWRmax、十点平均粗さWRzを数値で示している。ウェーブレット変換によって得られた粗さ曲線の算術平均粗さRa、最大高さRmax、および十点平均粗さRzの語頭に一般的な表記と区別するためWを付加している。
本発明ではこのように表面粗さ・輪郭形状測定機で測定したデータその周波数によって複数のデータに分離するので、各周波数帯域における凹凸変化量を測定できる。
さらに本発明では、このように周波数によって図13(b)のように分離したデータから、最も低い周波数、すなわちHLLのデータを間引きする。
本発明においては間引きをどのようにするか、すなわち何個のデータから取り出すかは実験によって決めればよい。間引き数を最適にすることによって図14に示す多重解像度解析における周波数帯域分離を最適化することが可能となり、目的とする周波数をその帯域の中心にとることが可能になる。
図13では40個から1個のデータを取る間引きを行った。
間引きした結果を図15に示す。図15では縦軸は表面凹凸であり、単位はμmである。また横軸に目盛は付けていないが、長さ12mmである。
本発明では図15のデータを更に多重解像度解析する。すなわち二回目の多重解像度解析(MRA−2)を行う。
図13(c)の6個のグラフは第二回目の多重解像度解析(MRA−2)結果であり、最も上にあるグラフ(107)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分であり、これをLHHと呼ぶ。
・グラフ(108)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より1つ低い周波数成分であり、これをLHLと呼ぶ。
・グラフ(109)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より2つ低い周波数成分であり、これをLMHと呼ぶ。
・グラフ(110)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より3つ低い周波数成分であり、これをLMLと呼ぶ。
・グラフ(111)は、二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より4つ低い周波数成分であり、これをLLHと呼ぶ。
・グラフ(112)は、二回目の多重解像度解析結果の最低周波数成分であり、これをLLLと呼ぶ。
本発明において、図13(c)では、その周波数によって、6個のグラフに分離しているが、その周波数分離の状態を図16に示す。
図16において、横軸は凹凸の形状が正弦波とした場合の、長さ1mm当たりに出現する凹凸数である。また、縦軸は、各帯域に分離された場合の割合を示すものである。
図16において、(127)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分(LHH)の帯域、(128)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分より1つ低い周波数成分(LHL)の帯域、(129)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分より2つ低い周波数成分(LMH)の帯域、(130)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分より3つ低い周波数成分(LML)の帯域、(131)は二回目の多重解像度解析における最高周波成分より4つ低い周波数成分(LLH)の帯域、(132)は二回目の多重解像度解析における最低周波数成分(LLL)の帯域である。
図16をより詳細に説明すると、1mm当たりの凹凸数が0.2個以下の場合は、すべてグラフ(132)に出現することを示す。
例えば、凹凸数が1mm当たり11個の場合、グラフ(128)が最も高くなっているが、これは、二回目の多重解像度解析における最高周波成分より1つ低い周波数成分の帯域に最も強く出現することを示しており、図13(c)においては、LMLに出現することを示している。
したがって、表面粗さの周波数によって、図13(c)の6本のグラフでどこに現われるか決まってくる。
言い換えると、表面粗さにおいて、細かなザラツキは図13(c)において上の方のグラフに出現し、大きな表面うねりは図13(c)において下の方のグラフに出現する。
本発明ではこのように、表面粗さをその周波数によって分解する。これをグラフとしたものが図13(c)であるが、この周波数帯域ごとグラフからそれぞれの周波数帯域での表面粗さを求める。ここで、表面粗さとしては、算術平均粗さRa(WRa)、最大高さRmax(WRmax)、十点平均粗さRz(WRz)を計算することが可能である。
このようにして電子写真感光体表面の凹凸形状を表面粗さ・輪郭形状測定機により測定して得た一次元データ配列を、ウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分に分離する多重解像度解析を行い、更に、ここで得た最低周波数成分を間引きした一次元データ配列を作り、この一次元データ配列に対して更にウェーブレット変換を行って、高周波数成分から低周波数成分に至る複数の周波数成分に分離する多重解像度解析を行い、得た各周波数成分に対して、算術平均粗さRa(WRa)(μm)、最大高さRmax(WRmax)(μm)、十点平均粗さRz(WRz)(μm)を求めた結果を表1に示す。
なお、図13(d)のグラフは第2回目の多重解像度解析結果の6つの周波数成分の上から4番目と5番目から推定した表面形状であり、グラフに、算術平均粗さRa、最大高さRmax、十点平均粗さRzを数値で示している。
その数値を以下に示す。
算術平均粗さWRa : 0.0848(μm)
最大高さWRmax : 0.4125(μm)
十点平均粗さWRz : 0.3557(μm)
先の図13の断面曲線について、本発明の多重解像度解析結果から求めた算術平均粗さ(WRa)を各信号順にプロットして線で結ぶと、図17のプロファイルを得る。ここで、HLL成分は算術上、突出した値になるため、この帯域の多重解像度解析結果から求めた表面粗さを省略している。本発明ではこのプロファイルを表面粗さスペクトルまたは粗さスペクトルと称する。尚、省略するHLLの粗さ曲線を対象にウェーブレット変換したものがLHH成分かLLL成分になるため、HLLに関する情報がLHH成分かLLL成分に反映されるため、HLL成分を省略しても問題にはならない。
(潜像担持体)
以下に、図10〜12を用いて、潜像担持体について詳細に説明する。
本発明に用いられる電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層、電荷輸送性下地表面層をこの順に有する積層型感光層を設けてなり、必要に応じて、中間層、その他の層を有してなる。
図10は、本発明の静電潜像担持体の模式断面図であり、支持体201上に、感光層202、電荷輸送性下地表面層203を設けた構成のものである。また、図11、図12は、各々本発明で好ましく用いられる他の潜像担持体の層構成例を示すものであり、図11は、感光層が電荷発生層204と、電荷輸送層205とから構成される機能分離型タイプのものである。図12は、感光層が電荷発生層204と電荷輸送層205とから構成される機能分離型タイプのものにおいて、支持体201と、電荷発生層204との間に下引き層206を入れたものである。なお、本発明で好ましく用いられる潜像担持体は、支持体201上に感光層202、電荷輸送性下地表面層203を少なくとも有していれば、上記のその他の層、及び感光層のタイプは任意に組み合わされていても構わない。
[下地表面層]
下地表面層は電子写真感光体表面に製膜される保護層を指す。この保護層は樹脂(モノマー)成分を含有する塗料がコーティングされた後、重縮合反応によって架橋構造の樹脂が製膜される。樹脂膜が架橋構造をもつため電子写真感光体各層のなかで最も耐摩耗性が強靱である。また、架橋構造の樹脂に電荷輸送性の構造単位が含まれるため電荷輸送層と類似の電荷輸送性を示す。
(粗面化)
本発明では前述の、電子写真感光体表面の粗さの周波数成分のうち、HMH、HML、HLHの帯域におけるWRaが0.002〜0.005μmであり、かつWRa(LLH)が0.05μm以下であることが重要である。このための電子写真感光体表面の特別な粗面化が必要となる。この具体的な方策として、表面形状の制御が期待される試薬類の添加として、下地表面層へのフィラーの配合、ゾル−ゲル系塗料の配合や種々ガラス転移点の異なる樹脂のポリマーブレンド、有機微粒子の添加、発泡剤の添加、シリコーンオイルの大量添加が挙げられる。これら試薬類の添加量やフィラー分散状態を適宜設計することで、本発明の表面粗さの範囲とすることが可能である。また、表面層の製膜条件の制御として、塗料中に多量の水分を加えたり、種々の沸点の異なる液体試薬を添加したりする手段が挙げられる。これらの手段を用いる場合、塗料中の含有量や塗布条件、乾燥工程を用いる場合は乾燥温度や乾燥時間などを適宜調整して、本発明の表面粗さの範囲とすることが可能である。また、下地表面層用塗料をコーティングした直後の未硬化のウェット膜に対して、有機溶剤や水を散布する手段も考えられる。他に、架橋型樹脂膜を硬化した後、追加工として、サンドブラスト処理やラッピングフィルム等の研磨紙で表面研磨する手段も考えられる。これらの手段を用いる場合、サンドブラスト処理に用いるメディアの粒径や材質、噴射ノズルの角度や噴射速度等を適宜調整したり、研磨紙の砥粒の粒径や材質、研磨時の押圧力や方向、速度等を適宜調整して、本発明の表面粗さの範囲とすることが可能である。
(架橋型樹脂層)
本発明は、従来の積層感光体上に主として電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と多官能ラジカル重合性モノマーとの混合物を活性エネルギー線照射でラジカル連鎖重合を開始させ3次元架橋膜とした表面層を有する感光体に関し、この表面層を3次元架橋膜として形成する際に表面層中に特定のオキサゾール化合物を含有させることで表面層中における電荷トラップの発生及びその発生ムラを抑制し、それによって生じる繰り返し経時での電位変動が生じることを防止し、連続印刷経時の画像濃度の変化のない商業印刷に要求される高画質な画像形成を可能にしたものである。
また、前記表面層中に特定のジアミン化合物を含有させることにより、電荷輸送機能の低下がほとんど起きることがなく、酸化性ガスによる樹脂等の劣化を抑制することができる。それによって、長期にわたって、表面層の耐ガス性及び電気安定性を維持することができ、連続印刷時の電位変動を抑制できる。酸化性ガスによる樹脂等の劣化を抑制するために、表層中に酸化防止剤を加えると電荷輸送機能が低下する恐れがある。
商業印刷に要求される高画質な画像を形成できる感光体には、連続印刷枚数経時での露光電位が同じになるような印刷枚数間電位安定性が要求され、架橋保護層の膜厚や均質性だけでなく表面層内部の電荷トラップの発生を抑えることが必要である。
前記下地表面層は、少なくとも電荷輸送機能を有する架橋構造を有する層であり、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物と、さらに下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるオキサゾール化合物、及び下記一般式(3)又は(4)で表されるジアミン化合物のいずれかとを適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを感光層上に塗布、必要に応じて乾燥した後、紫外線照射等の外部エネルギーにより硬化反応を開始させて、形成される。
(式(1)中、R1とR2はそれぞれ水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し同一でも異なっていても良く、Xはビニレン基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基、2,5−チオフェンジイル基を表す。)
(式(2)中、Ar1とAr2はそれぞれ炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基を表し同一でも異なっていても良く、Yは炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基を表し、R3とR4はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し同一でも異なっていても良い。)
(式(3)中Xは置換基を有していても良いアリーレン基、あるいは、
を表す。ただし、Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
式中、A1、A2、A3、A4は、下記(i)、(ii)、及び(iii)より選択される基を表し、各々同一でも異なっていても良い。但し、(i)、(ii)の場合はA1及びA2、もしくはA3及びA4が各々同一であっても異なっていても良いが、(iii)の場合はA1及びA2のいずれか、もしくはA3及びA4のいずれかにのみ形成される。
(i)炭素数1〜4のアルキル基
(ii)−CH2(CH2)mZ
(iii)置換基を有しても良いアリール基
但し、Zは、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基を表し、さらに置換基を有しても良い。また、mは0及び1のいずれかの整数を表す。
式中、B1、B2は、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2−Ar−、−Ar−CH2−、−CH2CH2−Ar−、−Ar−CH2CH2−を表す。但し、Arは置換基を有していても良いアリーレン基を表す。)
(式(4)中、R1、R2は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の1価基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基を表す。Ar2およびAr3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の1価基を表す。Ar1、Ar2、もしくはAr2、Ar3は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。)
このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記構造式(1)で表される官能基が好適に挙げられる。
CH2=CH−X1−・・・構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(ただし、R10は、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、又はS−基を表す。
これらの置換基としては、具体的には、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基、等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記構造式(2)で表される官能基が好適に挙げられる。
CH2=C(Y)−X2−・・・・構造式(2)
ただし、前記構造式(5)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(ただし、R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、又は−CONR1213(ただし、R12及びR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)、また、X2は前記構造式(1)のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。これらの置換基としては、例えば、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基。等が挙げられる。なお、これらX、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、などが挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。1個のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基をその分子中に1個有する化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、メタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。
本発明における特定のオキサゾール化合物は、下記一般式(1)または一般式(2)で表される。
(式(1)中、R1とR2はそれぞれ水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し同一でも異なっていても良く、Xはビニレン基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基、2,5−チオフェンジイル基を表す。)
(式(2)中、Ar1とAr2はそれぞれ炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基を表し同一でも異なっていても良く、Yは炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基を表し、R3とR4はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し同一でも異なっていても良い。)
ここで、R1、R2の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。Xの炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基としては、o−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、1,4−アントラセンジイル基、4,4’−ビフェニルジイル基、4,4’−スチルベンジイル基等を挙げることができる。
Ar1とAr2の炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等の芳香族炭化水素基を挙げることができる。Yの炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基としては、o−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、1,4−アントラセンジイル基、4,4’−ビフェニルジイル基、4,4’−スチルベンジイル基等を挙げることができる。
以下に一般式(1)または(2)で表されるオキサゾール化合物の具体例を示すがこれらに限定されるわけではない。
これらオキサゾール化合物は、下地表面層中に0.1〜30質量%の割合で添加される。少なすぎる場合は0.1質量%以上であることにより繰り返し経時の露光部電位変動量を低減する効果が十分に得られ、30質量%以下であることにより感光体の感度特性が悪くなることがない。
前述のようにこれらオキサゾール化合物は、電荷輸送性を示さないため、表面層中に過剰に添加すると電荷輸送性化合物を希釈することになり電荷輸送特性を低下させて感度劣化等を引き起こす。また、過剰添加はラジカル重合による架橋密度も低下させることになるため、下地表面層の機械的強度を弱め、耐摩耗性が悪くなる。従って、効果の有る範囲でできるだけ少量添加することが望ましい。添加量を変えた実験により表面層中のラジカル重合性電荷輸送性化合物に対し0.5〜10質量%の範囲で添加するのが電荷トラップの発生を抑制する効果が明確に見られ、表面層への副作用が少ない点でより好ましい。
本発明における特定のジアミン化合物は、下記一般式(3)又は一般式(4)で表される。
(式(3)中Xは置換基を有していても良いアリーレン基、あるいは、
を表す。ただし、Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
式中、A1、A2、A3、A4は、下記(i)、(ii)、及び(iii)より選択される基を表し、各々同一でも異なっていても良い。但し、(i)、(ii)の場合はA1及びA2、もしくはA3及びA4が各々同一であっても異なっていても良いが、(iii)の場合はA1及びA2のいずれか、もしくはA3及びA4のいずれかにのみ形成される。
(i)炭素数1〜4のアルキル基
(ii)−CH2(CH2)mZ
(iii)置換基を有しても良いアリール基
但し、Zは、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基を表し、さらに置換基を有しても良い。また、mは0及び1のいずれかの整数を表す。
式中、B1、B2は、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2−Ar−、−Ar−CH2−、−CH2CH2−Ar−、−Ar−CH2CH2−を表す。但し、Arは置換基を有していても良いアリーレン基を表す。)
(式(4)中、R1、R2は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の1価基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基を表す。Ar2およびAr3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の1価基を表す。Ar1、Ar2、もしくはAr2、Ar3は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。)
以下、表3に一般式(3)で表されるジアミン化合物の具体例を示すが、これらに限定されるわけではない。
以下、表4に一般式(4)で表されるジアミン化合物の具体例を示すが、これらに限定されるわけではない。
これらジアミン化合物は表面層中に質量比で0.5%以上5.0%以下である事が好ましい。ジアミン化合物の含有量が表面層に対して質量比で0.5%以上であると、酸化性ガスによる感光層の劣化を抑制する効果が高くなる。一方、ジアミン化合物の含有量が質量比で5.0%以下であると、感光体の感度特性に悪影響を及ぼすことがないため、残留電位上昇などの問題が生じない。また、架橋表面層の場合、ジアミン化合物の過剰添加は架橋密度を低下させることにもなるため、感光体の機械強度が低下し、耐摩耗性が悪化することがある。したがって、ジアミン化合物の含有量は表面層に対して、質量比で0.5%以上、5.0%以下、好ましくは0.5%以上2.0%以下の範囲で添加することが、電荷トラップの発生を抑制する効果と耐磨耗性とを両立できるため、好ましい。
本発明で用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造を有しておらず、かつラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを挙げることができる。また、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、かつラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを挙げることができる。
これについても、ラジカル重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。
また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。
また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
本発明において、前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの少なくとも1つがラジカル重合性官能基当量300以上の化合物であると、感光体の電気特性が良好となり、より好ましい。
これは、後述する電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、電荷輸送に好適なπ電子の広がりを分子内に有するため、比較的大きな分子量の化合物が用いられる。このとき、三次元網目構造を形成する3官能以上のラジカル重合性モノマーの官能基当量が小さいということは、架橋点が多く、網目が小さい構造となることを意味する。そして、その架橋膜中に存在する比較的大きな分子量の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、立体的な自由度が小さく、コンフォメーションの歪みを生じてしまうと考えられる。すなわち、本来有しているはずのπ電子の広がりが寸断され、電荷輸送能の低下を引き起こしてしまうと考えられるのである。発明者らの検討の結果、含有させる3官能以上のラジカル重合性モノマーの少なくとも1種類に、官能基当量300以上の化合物を用いることで、官能基当量300以上の化合物を含有させない場合に比べて、電気特性が顕著に改善されることがわかった。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、特に限定されないが、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート等が挙げられ、二種以上を併用し、そのうちの少なくとも1つは官能基当量が300以上であることが好ましい。
なお、EO変性及びPO変性は、それぞれエチレンオキシ変性及びプロピレンオキシ変性を意味する。
官能基当量が300以上の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
また、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの少なくとも1種類は、官能基当量が250以下であることが好ましい。すなわち、官能基当量300以上のモノマーと250以下のモノマーを混合して含有していることがより好ましい。官能基当量250以下のモノマーを含有させていない場合、耐摩耗性が低下することがある。
下地表面層中の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量は、通常、20〜80質量%であり、35〜65質量%が好ましい。下地表面層中の電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量が20質量%以上であることにより、十分な耐摩耗性が得られ、80質量%以下であることにより、下地表面層中の電荷輸送構造を有する1官能のラジカル重合性化合物の含有量が十分となり、静電特性が低下することがない。
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造、又は、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基等の電子吸引性基を有する芳香族環等の電子輸送構造を有し、ラジカル重合性基を有する化合物を意味する。ラジカル重合性基は、電荷輸送性を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基と同様であり、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、静電特性の点から、ラジカル重合性官能基を1つだけ有する単官能構造であることが好ましく、さらにはトリアリールアミン構造を有することが好ましく、下記一般式で表される化合物がさらに好ましい。
(式中、R1は、水素原子、ハロゲン基、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基、置換基により置換されていてもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、一般式
−COOR2
(式中、R2は、水素原子、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基又は置換基により置換されていてもよいアリール基である。)
で表される基、ハロカルボニル基、又は、一般式
−CONR34
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、置換基により置換されていてもよいアルキル基、置換基により置換されていてもよいアラルキル基又は置換基により置換されていてもよいアリール基である。)
で表される基であり、Ar1は、置換基により置換されていてもよい二価の芳香族基であり、Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、置換基により置換されていてもよい一価の芳香族基であり、Xは、単結合又は一般式
−Y−Ar4
(式中、Yは、単結合、置換基により置換されていてもよいアルキレン基、置換基により置換されていてもよいシクロアルキレン基、置換基により置換されていてもよいアルキレンオキシ基、オキシ基、チオ基又はビニレン基であり、Ar4は、置換基により置換されていてもよい二価の芳香族基である。)
で表される基であり、Zは、置換基により置換されていてもよいアルキレン基、置換基により置換されていてもよいアルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基であり、nは、0〜3の整数である。)
1におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、R1におけるアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が挙げられる。さらに、R1におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、R1におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
1における置換基としては、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Ar2及びAr3における一価の芳香族基としては、一価の縮合多環式炭化水素基、一価の非縮合環式炭化水素基、一価の複素環基等が挙げられる。
一価の縮合多環式炭化水素基としては、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基等が挙げられる。一価の縮合多環式炭化水素基は、環を構成する炭素数が18個以下であることが好ましい。
一価の非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物由来の基、ビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、ポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物由来の基、9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物由来の基等が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール等の複素環芳香族化合物由来の基等が挙げられる。
Ar2及びAr3における置換基を以下に示す。
〔1〕ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基
〔2〕アルキル基
アルキル基の炭素数は、通常、1〜12であり、1〜8が好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキル基は、フルオロ基、水酸基、シアノ基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、フェニル基、又は、ハロゲン基、炭素数が1〜4のアルキル基若しくは炭素数が1〜4のアルコキシ基により置換されているフェニル基により置換されていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
〔3〕アルコキシ基
アルコキシ基におけるアルキル基は、〔2〕におけるアルキル基と同様である。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
〔4〕アリールオキシ基
アリールオキシ基におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリールオキシ基は、炭素数が1〜4のアルコキシ基、炭素数が1〜4のアルキル基又はハロゲン基により置換されていてもよい。
アリールオキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
〔5〕アルキルメルカプト基又はアリールメルカプト基
アルキルメルカプト基としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。また、アリールメルカプト基としては、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
〔6〕置換基により置換されていてもよいアミノ基
置換基により置換されていてもよいアミノ基は、一般式
−NR12
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、〔2〕におけるアルキル基又はアリール基であり、R1及びR2は、共同で環を形成してもよい。]
で表される。
1及びR2におけるアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アリール基は、炭素数が1〜4のアルコキシ基、炭素数が1〜4のアルキル基又はハロゲン基により置換されていてもよい。
置換基により置換されていてもよいアミノ基としては、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
〔7〕アルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基
アルキレンジオキシ基としては、メチレンジオキシ基等が挙げられる。また、アルキレンジチオ基としては、メチレンジチオ基等が挙げられる。
〔8〕その他
置換基により置換されていてもよいスチリル基、置換基により置換されていてもよいβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
Ar1及びAr4における二価の芳香族基としては、Ar2及びAr3における一価の芳香族基から誘導される基が挙げられる。
Yにおけるアルキレン基の炭素数は、通常、1〜12であり、1〜8が好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキレン基は、フルオロ基、水酸基、シアノ基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、フェニル基、又は、ハロゲン基、炭素数が1〜4のアルキル基若しくは炭素数が1〜4のアルコキシ基により置換されているフェニル基により置換されていてもよい。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、イソプロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
Yにおけるシクロアルキレン基の炭素数は、通常、5〜7である。シクロアルキレン基は、フルオロ基、水酸基、炭素数が1〜4のアルキル基、又は、炭素数が1〜4のアルコキシ基により置換されていてもよい。
シクロアルキレン基としては、シクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
Yにおけるアルキレンオキシ基としては、化学式
−CH2CH2O−
で表される基、化学式
−CH2CH2CH2O−
で表される基、一般式
−(OCH2CH2O−
(式中、nは1〜4の整数である。)
で表される基、化学式
−(OCH2CH2CH2O−
(式中、mは1〜4の整数である。)
で表される基等が挙げられる。
アルキレンオキシ基は、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基により置換されていてもよい。
Yにおけるビニレン基としては、一般式
−(C(R1)=CH)
(式中、R1は、水素原子、アルキル基(前述の〔2〕におけるアルキル基と同様)、又は、二価の芳香族基(前述のAr2及びAr3における二価の芳香族基と同じ)であり、nは1又は2である。)
で表される基、一般式
−C(R2)=CH−(CH=CH)
(式中、R2は、水素原子、アルキル基(前述の〔2〕におけるアルキル基と同様)、又は、二価の芳香族基(前述のAr2及びAr3における二価の芳香族基と同じ)であり、mは1〜3の整数である。)
で表される基等が挙げられる。
Zにおけるアルキレン基は、Yにおけるアルキレン基と同様である。
Zにおけるアルキレンオキシ基は、Yにおけるアルキレンオキシ基と同様である。
Zにおけるアルキレンオキシカルボニル基としては、カプロラクトン変性基が挙げられる。
電荷輸送性構造を有する一官能のラジカル重合性化合物は、下記一般式で表される化合物であることが好ましい。また、R2及びR3は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
(式中、o、p及びqは、それぞれ独立に、0又は1であり、s及びtは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2及びR3は、それぞれ独立に、置換基により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基であり、Zは、単結合、メチレン基、エチレン基、又は
を表す。)
2及びR3は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
下地表面層中の電荷輸送性構造を有する一官能のラジカル重合性化合物の含有量は、通常、20〜80質量%であり、35〜65質量%が好ましい。下地表面層中の電荷輸送性構造を有する一官能のラジカル重合性化合物の含有量が20質量%以上であることにより、十分な静電特性が得られ、80質量%以下であることにより、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量が十分となり、耐摩耗性が低下することがない。
下地表面層は、さらに電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性化合物及び/又はラジカル重合性オリゴマーをさらに含んでいてもよい。
電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性化合物としては、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
電荷輸送性構造を有さない2官能のラジカル重合性化合物及びラジカル重合性オリゴマーの添加量は、耐摩耗性の点から、通常、電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性化合物に対して、50質量%以下であり、30質量%以下が好ましい。
本発明の下地表面層を架橋する際には、重合開始剤を用いてもよい。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤が挙げられ、二種以上併用してもよい。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
これら以外の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
また、本発明の下地表面層を架橋する際には、光重合促進効果を有する化合物を単独又は光重合開始剤と併用して用いることもできる。
光重合促進効果を有する化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、ラジカル重合官能基を有する化合物総量に対して、0.5〜40質量%であり、1〜20質量%が好ましい。
本発明の下地表面層は、前述のラジカル重合性化合物を含む塗布液を塗布することにより形成することができる。塗布液は、可塑剤、レベリング剤、電荷輸送物質等をさらに含んでいてもよい。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等が挙げられる。
可塑剤の添加量は、通常、塗布液の固形分に対して、通常、20質量%以下であり、10質量%以下が好ましい。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマー等が挙げられる。
レベリング剤の添加量は、通常、塗布液の固形分に対して、3質量%以下である。
塗布液は、溶媒をさらに含んでいてもよい。
溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
下地表面層は、フィラー微粒子をさらに含むことが好ましい。これにより、耐摩耗性の向上が獲得でき、表面形状の持続性が一層有利となる。また、下地表面層の表面に微細な凹凸形状を付与することが出来るので、循環材の循環効率を高める効果が得られやすい。フィラーを配合することで電子写真感光体表面にソフトフィールな生地を形成させることができ、以上のテクスチャー効果を更に高める手段として有効である。
フィラーとしては、有機フィラーと無機フィラーを用いることが出来、有機フィラーを構成する材料としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
無機フィラーを構成する材料としては、特に限定されないが、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の金属酸化物、チタン酸カリウム等、アモルファスカーボン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
フィラーは、硬度の点から、無機フィラーであることが好ましく、フィラーを構成する材料は、静電特性の点から、金属酸化物が好ましく、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンがさらに好ましい。このとき、無機フィラーとして、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等を用いることができる。
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm未満であると、耐摩耗性が低下することがあり、0.5μmを超えると、下地表面層の光の透過率が低下することがある。
下地表面層中のフィラーの含有量は、通常、5〜50質量%であり、5〜30質量%が好ましい。下地表面層中のフィラーの含有量が5質量%以上であることにより、十分な耐摩耗性が得られ、30質量%以下であることにより、静電特性が低下したり、下地表面層の光の透過率が低下したりすることがない。
フィラーは、分散剤等の表面処理剤により表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、特に限定されないが、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、シリコーン樹脂、ステアリン酸アルミニウム、有機酸エステル系分散剤、リン酸エステル系分散剤等が挙げられ、二種以上併用してもよい。また、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸、有機酸エステル系分散剤、リン酸エステル系分散剤と、シランカップリング剤とを併用してもよい。
中でも、リン酸エステルタイプの分散剤は、前述の通り、塗料中のフィラー分散安定性を得る効果、フィラーの小粒径化、及びバインダー樹脂との親和性を与えるため、特に好ましい。
表面処理剤により表面処理されている量は、通常、フィラーに対して、3〜30質量%であり、5〜20質量%が好ましい。表面処理剤により表面処理されている量が、フィラーに対して、3質量%以上であることにより、下地表面層中のフィラーの分散性を向上させることができ、30質量%以下であることにより、静電特性が低下することがない。
下地表面層塗料を調製する際に使用する分散溶媒はモノマーを十分に溶解するものが好ましく、エーテル類、芳香族類、ハロゲン類、エステル類の他、エトキシエタノールのようなセロソルブ類、1−メトキシ−2−プロパノールのようなプロピレングリコール類を挙げることができる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、1−メトキシ−2−プロパノールは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
例えば、下地表面層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、下地表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
下地表面層塗料のコーティングとして、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。多くの場合、塗料はポットライフが長くないため、少量の塗料で必要な分量のコーティングができる手段が環境への配慮とコスト面で有利となる。このうちスプレー塗工法とリングコート法が好適である。更に本発明の特別な形状を付与するためにインクジェット方式を用いると良い。
本発明において電荷輸送性を有する下地表面層の形成には紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することで重合を開始させ、硬化物を含有する架橋膜を形成させることが好ましい。これは熱重合開始剤等を用いて加熱により重合反応させるよりも架橋密度の高い硬くて弾性仕事率の大きな膜が形成できるためで、本発明の表面層耐摩耗性確保のために好ましい。しかるに熱に比べて照射エネルギーが高いために電荷輸送性構造の励起が生じることがある。
通常、このような活性エネルギー線照射による材料の分解を防ぐために、窒素ガス下で酸素濃度を下げたり、照射時の温度上昇を防ぐために冷却したりするが、本発明でもその様な条件下で架橋させることができる。紫外線照射は、高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できる。
照射光量は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましい。50mW/cm2以上であれば硬化反応に時間を要せず、1000mW/cm2以下であることにより蓄熱が激しくなることがなく、冷却下でも温度上昇が制御できなくなり変形したり、電気特性の劣化を抑制できなくなったりすることがない。
硬化し、作製された下地表面層は、有機溶媒に対して、不溶であることが好ましい。硬化が充分でない膜は、有機溶媒に対して、可溶であり、且つ架橋密度が低いため、機械的耐久性も低くなる。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布、指触乾燥を経て、光照射して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、例えば700mW/cm2のUV光を照射する場合、例えば硬化に際し、ドラムを回転して全ての面を均一に3分程度照射する。このとき熱媒体等を用いて、表面温度が高くなりすぎないように制御する。
硬化終了後は、残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の潜像担持体を得る。
本発明の下地表面層の厚みは、1〜30μmであることが好ましく、より好ましくは、2〜20μmであり、さらに好ましくは3〜10μmである。
1μm以上であることにより、キャリア付着などが起こった場合の潜像担持体表面へのめりこみ量に対して、下地表面層膜厚が小さすぎることがないため、十分な耐久性を確保できる。一方、30μm以下であることにより、残留電位の上昇などの不具合を発生させることがない。摩耗や傷に対する余裕度の確保と残留電位の発生が少なくなるような好適な膜厚で下地表面層を形成する必要がある。
次に電子線照射による下地表面層の作製方法について記す。
電子線照射は、光重合開始剤を添加する必要がなく、ラジカル重合性電荷輸送性化合物単独あるいはラジカル重合性モノマーとの混合物を適当な溶媒に溶解させ、電荷輸送層上に塗布した後に、照射することで3次元架橋表面層を形成できる。これらの架橋条件については特開2004−212959公報にも記載されており、公知技術をそのまま使用することができる。例えば、電子線の加速電圧は250kV以下、照射線量は1Mrad〜20Mradの範囲が好ましく、照射時の酸素濃度を10000ppm以下とするのが好ましい。
本発明で言う活性エネルギー線とは前記紫外線及び電子線(加速電子線)の他にその他の放射線(α線、β線、γ線、X線、加速イオン等)等も含むが、工業用途としては主に紫外線と電子線が使用される。
[感光層]
次に、本発明の静電潜像担持体を構成する複層型感光層および単層型感光層について説明する。
<複層型感光層>
複層型感光層は、支持体上に電荷発生層と電荷輸送層が、通常この順に積層されて形成される。
〔電荷発生層〕
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含有し、バインダー樹脂やさらに必要に応じてその他の成分を含んでなる。
電荷発生物質としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機系材料と有機系材料とのいずれかを用いることができる。
無機系材料としては限定するものではないが、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、などが挙げられる。
前記有機系材料としては限定するものではないが、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタンまたはトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノンまたはナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
電荷発生層のバインダー樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として、上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送物質を添加することもできる。
前記電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と、溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等が挙げられる。この真空薄膜作製法は、上述した無機系材料または有機系材料を良好に形成することができる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、電荷発生層形成用塗工液を用いて、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などの慣用されている方法を用いて行うことができる。
電荷発生層形成用塗工液に用いられる有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、沸点が40℃〜80℃のテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、メタノール、エタノールは、塗工後の乾燥が容易であることから特に好適である。
電荷発生層形成用塗工液は、上記有機溶媒中に前記電荷発生物質と、バインダー樹脂を分散、溶解して製造することができる。有機顔料を有機溶媒に分散する方法としては、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、振動ミルなどの分散メディアを用いた分散方法や、高速液衝突分散方法などが挙げられる。
電荷発生層の厚みに応じて、電子写真特性、特に光感度が変化し、一般的に厚みが厚いほど光感度が高くなる。従って、前記電荷発生層の厚みは、要求される画像形成装置の仕様(スペック)に応じて好適な範囲に設定することが好ましく、電子写真方式の感光体として要求される感度を得るためには、通常、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
〔電荷輸送層〕
電荷輸送層は電荷発生層で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた電子写真感光体の表面電荷を中和する機能(電荷輸送能)を担う積層型感光層の一部を指す。
電荷輸送層の主成分は電荷輸送成分とこれを結着するバインダー成分ということができる。
電荷輸送物質に用いることのできる材料としては、低分子型の電荷輸送物質及び高分子電荷輸送物質が挙げられる。
本発明に用いられる電子写真感光体は、電荷輸送層の上に下地表面層を積層した構成となるため、電荷輸送層の耐摩耗性は低くても構わない。また、帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする。電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質等の低分子型の電荷輸送物質が用いられ、更に必要に応じて高分子電荷輸送物質を添加することもできる。
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一方、高分子電荷輸送物質としては、以下のような構造を有するものが挙げられる。
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
また、高分子電荷輸送物質としては、上記以外にも例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、などが挙げられる。前記高分子電荷輸送物質としては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報、等に記載の化合物が挙げられる。
また、電子供与性基を有する重合体としては、上記重合体だけでなく、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー、更には例えば、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることもできる。
また、電荷輸送層に含有される電子輸送物質としては、従来公知の電子輸送物質が使用でき、例えば、トリニトロフルオレノン、あるいはフルオレニリデンメタン誘導体などのフルオレン系化合物、ジフェノキノン、あるいはアントラキノン誘導体などのキノン系化合物などを挙げることができ、二種以上併用してもよい。
前記電荷輸送層のバインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
前記電荷輸送層は、上記電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成することができる。電荷輸送層には、更に必要に応じて、前記電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
前記電荷輸送層の厚みは、5μm〜100μmが好ましく、近年の高画質化の要求から、電荷輸送層を薄膜化することが図られており、1200dpi以上の高画質化を達成するためには、5μm〜30μmがより好ましい。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。また、前述の電荷輸送層と同様に、本発明に用いられる感光体においては、単層型感光層の上に下地表面層を積層した構成となるため、単層型感光層の耐摩耗性は低くても構わない。
前記単層型感光層の厚みは、5μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μmがより好ましい。前記厚みが、5μm未満であると、帯電性が低下することがあり、100μmを超えると、感度の低下をもたらすことがある。
<支持体>
前記支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したものを用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板又はそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。また、厚み50μm〜150μmのニッケル箔でもよく、或いは厚み50μm〜150μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にアルミニウム蒸着等の導電加工を行ったものでもよい。
その他、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工し、導電性層を設けたものについても、本発明の支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、或いは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、導電性支持体として良好に用いることができる。
<下引き層>
前記支持体と前記感光層との間には、必要に応じて下引き層を設けてもよい。下引き層は、接着性の向上、モアレなどの防止、上層の塗工性改良、残留電位の低減などを目的として設けられる。
前記下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂は、その上に感光層を溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒を用いて慣用される塗工法によって形成することができる。
前記下引き層としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えば、ゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層、Al23を陽極酸化にて設けたもの、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法により設けたものなどを用いることもできる。
前記下引き層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜10μmが好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。
前記電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、前記感光層、前記下地表面層、前記電荷輸送層、前記電荷発生層、前記下引き層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
(画像形成装置の形態)
以下、図面に沿って本発明で用いられる画像形成装置を説明する。本発明の画像形成装置には後述する循環材を電子写真感光体表面に塗布する手段が取り付けられる。簡単のため、この手段は画像形成装置の説明の後に別に説明する。
図1は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において、電子写真感光体(11)は、下地表面層を積層する電子写真感光体である。電子写真感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
帯電装置(12)は、電子写真感光体(11)の表面を一様に帯電させる手段であり、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラをはじめとする公知の手段が用いられる。帯電装置は、消費電力の低減の観点から、電子写真感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。なかでも、帯電装置への汚染を防止するため、電子写真感光体と帯電装置表面の間に適度な空隙を有する電子写真感光体近傍に近接配置された帯電機構が望ましい。
転写装置(16)には、一般に上記の帯電器を使用できるが、転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
露光装置(13)、また他の形態で示す除電装置(1A)等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
現像装置(14)により電子写真感光体上に現像されたトナー(15)は、印刷用紙やOHP用スライド等の印刷メディア(18)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、電子写真感光体上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニング装置(17)により、電子写真感光体より除去される。クリーニング装置は、ゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。
電子写真感光体に帯電装置(12)によって正(負)帯電を施し、露光装置(13)によって画像露光を行うと、電子写真感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを現像装置(14)によって負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像装置には、公知の方法が適用され、また、除電装置にも公知の方法が用いられる。印刷メディア(18)上に現像されたトナー画像は、電子写真感光体(11)と転写装置(16)との対向位置から定着装置(19)に搬送され、この定着装置(19)により印刷メディア(18)に定着される。
循環材(3A)及び循環材を塗布する塗布ブレード(3C)は電子写真感光体移動方向に対して図に示される通りクリーニング装置(17)と帯電装置(12)の間に配置される。
即ち、循環材(3A)及び塗布ブレード(3C)は、電子写真感光体(11)の移動方向において、クリーニング装置(17)の下流、且つ、帯電装置(12)の上流に配置される。これらの配置関係については以下に示す他の実施の形態においても同様である。
図2には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。図2において、電子写真感光体(11)は、下地表面層を積層する電子写真感光体である。電子写真感光体(11)はベルト状の形状を示しているが、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。電子写真感光体(11)は駆動手段(1C)により駆動され、帯電装置(12)による帯電、露光装置(13)による像露光、現像(図示せず)、転写装置(16)による転写、クリーニング前露光装置(1B)によるクリーニング前露光、クリーニング装置(17)によるクリーニング、除電装置(1A)による除電が繰返し行われる。循環材(3A)及び循環材を塗布する塗布ブレード(3C)は電子写真感光体移動方向に対して図に示される通りクリーニング装置(17)と帯電装置(12)の間に配置される。図2においては、電子写真感光体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行われる。
以上の電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図2において支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、電子写真感光体に光照射を行うこともできる。
また、以上に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジの形状は多く挙げられるが、一般的な例として、図3に示すものが挙げられる。電子写真感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
図4には本発明による画像形成装置の別の例を示す。この画像形成装置では、電子写真感光体(11)の周囲に帯電装置(12)、露光装置(13)、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の色ごとの現像装置(14Bk、14C、14M、14Y)、中間転写体である中間転写ベルト(1F)、クリーニング装置(17)が順に配置されている。ここで、図4中に示す(Bk、C、M、Y)の添字は上記のトナーの色に対応し、必要に応じて添字を付けたり適宜省略する。電子写真感光体(11)は、下地表面層を積層する電子写真感光体である。各色の現像装置(14Bk、14C、14M、14Y)は各々独立に制御可能となっており、画像形成を行う色の現像装置のみが駆動される。電子写真感光体(11)上に形成されたトナー像は中間転写ベルト(1F)の内側に配置された第1の転写装置(1D)により、中間転写ベルト(1F)上に転写される。第1の転写装置(1D)は電子写真感光体(11)に対して接離可能に配置されており、転写動作時のみ中間転写ベルト(1F)を電子写真感光体(11)に当接させる。各色の画像形成を順次行い、中間転写ベルト(1F)上で重ね合わされたトナー像は第2の転写装置(1E)により、印刷メディア(18)に一括転写された後、定着装置(19)により定着されて画像が形成される。第2の転写装置(1E)も中間転写ベルト(1F)に対して接離可能に配置され、転写動作時のみ中間転写ベルト(1F)に当接する。
転写ドラム方式の画像形成装置では、転写ドラムに静電吸着させた印刷メディアに各色のトナー像を順次転写するため、厚紙にはプリントできないという印刷メディアの制限があるのに対し、図4に示すような中間転写方式の画像形成装置では中間転写体(1F)上で各色のトナー像を重ね合わせるため、印刷メディアの制限を受けないという特長がある。このような中間転写方式は図4に示す装置に限らず前述の図1、図2、図3及び後述する図5(具体例を図6に記す。)に記すような画像形成装置に適用することができる。
循環材(3A)及び循環材を塗布する塗布ブレード(3C)は電子写真感光体移動方向に対して図に示される通りクリーニング装置(11)と帯電装置(12)の間に配置される。
図5には本発明による画像形成装置の別の例を示す。この画像形成装置は、トナーとしてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色を用いるタイプとされ、色ごとに画像形成部が配設されている。また、各色の電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)が設けられている。この画像形成装置に用いられる電子写真感光体11は、下地表面層を積層する電子写真感光体である。各電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)の周りには、帯電装置(12Y、12M、12C、12Bk)、露光装置(13Y、13M、13C、13Bk)、現像装置(14Y、14M、14C、14Bk)、クリーニング装置(17Y、17M、17C、17Bk)等が配設されている。また、直線上に配設された各電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)の各転写位置に接離する転写材担持体としての搬送転写ベルト(1G)が駆動手段(1C)にて掛け渡されている。この搬送転写ベルト(1G)を挟んで各電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)に対向する転写位置には転写装置(16Y、16M、16C、16Bk)が配設されている。循環材(3A)及び循環材を塗布する塗布ブレード(3C)は電子写真感光体移動方向に対してクリーニング装置(17)と帯電装置(12)の間に配置される(図示せず)。
図5の形態のようなタンデム方式の画像形成装置は、色ごとに電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)をもち、各色のトナー像を搬送転写ベルト(1G)に保持された印刷メディア(18)に順次転写するため、電子写真感光体を一つしかもたないフルカラー画像形成装置に比べ、はるかに高速のフルカラー画像の出力が可能となる。転写材としての印刷メディア(18)上に現像されたトナー画像は、電子写真感光体(11Bk)と転写装置(16Bk)との対向位置から定着装置(19)に搬送され、この定着装置(19)により印刷メディア(18)に定着される。
なお、本発明は図5に示される実施の形態における構成に限らず、例えば図6に示されるような実施の形態における構成であってもよい。
即ち、図5に示される搬送転写ベルト(1G)を用いた直接転写方式にかえて、図6に示される中間転写ベルト(1F)を用いる構成とすることができる。
図6に示す例では、色ごとに電子写真感光体(11Y、11M、11C、11Bk)をもち、これらに形成された各色のトナー像を、ローラ(1C)により駆動張架されてなる中間転写ベルト(1F)上に1次転写手段(1D)により順次転写して積層し、フルカラー画像を形成する。次いで、中間転写ベルト(1F)はさらに駆動され、これに担持されてなるフルカラー画像は、2次転写手段(1E)と2次転写手段(1E)に対向して配置されてなるローラ(1C)との対向位置まで搬送される。そして、2次転写手段(1E)により転写材(18)に2次転写され、転写材上に所望の画像が形成される。
(循環材供給)
本発明では、図9に示すように循環材(3A)を電子写真感光体表面に供給するための循環材供給手段として、循環材塗布装置(3)を上記の画像形成装置の全てについて設けている。この循環材塗布装置(3)は、塗布部材としてのファーブラシ(3B)、循環材(3A)、循環材をファーブラシ方向に押圧するための加圧バネ(不図示)、及び循環材(3A)を規制あるいは均しめ塗布するための塗布ブレード(3C)を有している。このときの循環材(3A)はバー状に成型された循環材である。ファーブラシ(3B)は電子写真感光体表面にブラシ先端が当接しており、軸を中心に回転することによって循環材(3A)をいったんブラシに汲み上げ、電子写真感光体表面との当接位置までブラシ上に担持搬送して電子写真感光体表面に塗布する。
また、経時で循環材(3A)がファーブラシ(3B)に掻き削られて減少してもファーブラシ(3B)に接触しなくならないように、加圧バネ(不図示)によって所定の圧力で循環材(3A)がファーブラシ(3B)側に押圧されている。これによって、微量の循環材(3A)でも常に均一にファーブラシ(3B)に汲み上げられる。
また、電子写真感光体表面に循環材をコーティングする循環材供給装置を設けてもよい。この手段はクリーニングブレードのような板をトレーリング方式またはカウンター方式で電子写真感光体に押し合てる手段がある。
循環材(3A)は例えば、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−オキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられる、特にラメラ構造をとる材料が循環効率が高く、更にステアリン酸亜鉛がコスト面で有利である。
実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。なお、部は、質量部を意味する。
(実施例1)
<画像形成装置の作製>
−電子写真感光体の作製−
肉厚1.5mm、長さ380mm、外径Φ100mmのアルミニウムドラムに、下記組成の下引き層用塗料、電荷発生層用塗料、電荷輸送層用塗料を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成した。その上に下地表面層用塗料をスプレーで塗工した。スプレー塗工はスプレーガンにオリンポス社 PC−WIDE308を使用し、2.1kgf/cm2の霧化圧力でスプレーガンのノズル先端と電子写真感光体間の距離が50mmとなる位置で行った。吐出量は約3ccであった。その後、酸素濃度が2%以下となるようにブース内を窒素ガスで置換したUV照射ブース内で、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:700mW/cm2、照射時間:120秒の条件で光照射を行なった。次いで、130℃で20分乾燥を加え3.5μmの下地表面層を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
尚、下地表面層用塗料の調製は次のようにして行った。
予め50ml用マヨネーズびん(UMサンプル瓶)にφ2mmのニッカトー社YTZボール100gを仕込み、α−アルミナ(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製;平均一次粒子径0.3μm)1.2gと分散剤と溶媒(THF)との混物10.8gを加え、1600rpmの振動強度でイカ社バイブレーションシェーカーにて2時間分散してミルベースを得た。得られたミルベースにビヒクルを加えて塗料を得た。
特に断らない限り、後述する他の実施例及び比較例の下地表面層用塗料も同様にして得た。
〔下引き層用塗料〕
・アルキッド樹脂溶液 12部
(ベッコライト M6401−50,大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂溶液 8.0部
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)
・酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40部
・メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗料〕
・下記構造のビスアゾ顔料(リコー社製) 5.0部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 1.0部
・シクロヘキサノン 200部
・メチルエチルケトン 80部
〔電荷輸送層用塗料〕
・Z型ポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成社製) 10部
・下記構造の電荷輸送物質 7.0部
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン溶液 1部
〔下地表面層用塗料〕
・下記構造の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 43部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 21部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 21部
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬社製)
・前記具体例II-1オキサゾール化合物 2部
・アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとプロポキシ
変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレートとの混合物 0.1部
(BYK−UV3570、ビックケミー社製)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・α−アルミナ
(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 10部
・分散剤(ED−151、楠本化成社製) 1.0部
・テトラヒドロフラン 566部
―循環材―
ステアリン酸亜鉛(日本油脂製、ジンクステアレートGF200)を蓋付きのガラス製容器に入れ、160℃から250℃に温度制御したホットスターラーにより、攪拌しつつ溶融した。
予め150℃に加熱した内寸法12mm×8mm×350mmのアルミニウム製の金型を満たすように、攪拌溶融した該保護剤を流し込み、木製の台の上で40℃まで放冷後、固形物を型から外し、反り防止のため重りを乗せ室温まで冷却した。
冷却後、長手方向の両端を切断し、底面を切削して6mm×6mm×322mmの角柱形状の保護剤バーを作成した。
保護剤バーの底面に両面テープを貼り付け金属製支持体に固定した。
−循環材塗布装置−
循環材塗布装置は循環材を電子写真感光体に供給する手段と電子写真感光体に供給された循環材をコーティングする手段を併せて画像形成装置に取り付けた。
循環材の供給手段としては、支持体に保持されるように角柱状に成形した固形状のステアリン酸亜鉛を所定の消費量となるようなバネ定数の加圧スプリングで塗布ブラシに加圧し、塗布ブラシが回転することよりステアリン酸亜鉛を削って電子写真感光体上に削り粉を設ける装置を取り付けた。加圧バネはバネ定数と循環材の消費量との関係から適当なものを選んだ。ここでは循環材の消費率(感光体への塗布量に加えて、塗布ブラシからの飛散及び落下による損失分などを含み、循環材の減少する量を意味する。)が125mg/kmとなる条件として、ばね定数が0.039N/mmの引張ばねを使用した。支持体の両サイドに一点支持の可動式のフィンを取り付け、これに引張ばねをまわすことで、ばねの引っ張り応力によって塗布ブラシと循環材との接触圧を調整した。
塗布ブラシは金属シャフトにファーブラシを貼り合わせた純正品をそのまま用いた。この塗布ブラシは電子写真感光体面移動方向に対してカウンター方向に回転するようにした。
塗布ブレードは鋼板のブレードホルダーに前記電子写真感光体に:19°で当接する方向に支持されたポリウレタンゴム(ShoreA硬さ;84、反発弾性;52%、厚さ;1.3mm)を用いた。
前記電子写真感光体と前記循環材供給手段を、図8に示すレイアウトでimagio MP C4500(リコー社製)のシアン現像ステーションに搭載し画像形成装置を得た。前記循環材供給手段は、imagio MP C4500専用の電子写真感光体カートリッジ内に本来設置されている循環材塗布手段に取り替えて設置した。
<測定・評価>
(1)電子写真感光体表面形状の測定
電子写真感光体の表面形状の測定は、表面粗さ・輪郭形状測定機(東京精密社、Surfcom 1400D)を用い、ピックアップ:E−DT−S02Aを取り付け、測定長さ;12mm、総サンプリング点数;30,720、測定速度;0.06mm/sの条件で行った。
測定により取得した電子写真感光体の表面形状の一次元データ配列をウェーブレット変換して、HHHからHLLに至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−1)を行った。更にここで得たHLLの一次元データ配列に対してデータ配列数が1/40に減少するように間引きした一次元データ配列を作り、該間引きした一次元データ配列に対して更にウェーブレット変換を行って、LHHからLLLに至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−2)を行った。そして、得られた合計12個の各周波数成分について算術平均粗さを計算した。
前記表面形状の測定を一つの電子写真感光体につき70mm間隔で4箇所行い、それぞれの箇所に対して前記各周波数成分についての算術平均粗さの計算を行った。
なお、ウェーブレット変換にはMATLAB(The MathWorks社製)のWavelet Toolboxをそのまま利用した。上述の通り、本発明では2度に分けてウェーブレット変換を行った。
4箇所の各周波数成分の算術平均粗さの平均値を、測定結果の各周波数成分の算術平均粗さ(WRa)とした。
このうち、前述のMHM、MHL、HLHの帯域の算術平均粗さ、及びLLHの算術平均粗さについて、後述のプリント試験前後における測定結果を表6に示す。
(2)画像評価
前記電子写真感光体と前記循環材供給手段を、図8に示すレイアウトでimagio MP C4500(リコー社製)のシアン現像ステーションに搭載し画像形成装置を得た。前記循環材供給手段は、imagio MP C4500専用の電子写真感光体カートリッジ内に本来設置されている循環材塗布手段に取り替えて設置した装置にプリント試験を行った感光体を搭載し、画素密度が600dpi×600dpiで8×8のマトリクス中に4ドット×4ドットを描いたハーフトーンパターンと白紙パターンを交互に1枚ずつ連続5回印刷し、ハーフトーンパターンの画像濃度や、白紙パターンの地肌汚れを以下の基準で評価した。
プリント試験は、前述の画像評価を実施した装置とは別に、これと同じ構成の画像形成装置をもう1機用意して行った。プリント試験は、コピー用紙の通紙方向に対して平行となる幅34mm、長さ210mmの帯と幅34mm長さ105mmの帯が並ぶパターン画像を連続10万枚プリントした。試験はシアン現像ステーションで行った。
評価結果を表7に示す。
〔基準〕
5; 極めて優れている
4; 優れている
3; 実使用上問題なし
2; 僅かに異常が見受けられるが、実使用上許容できるレベル
1; 明らかな異常で、実使用上許容されないレベル
(3)フィルミング評価
前記の画像評価を行った電子写真感光体の表面を共焦点顕微鏡で観察した。共焦点顕微鏡はレーザーテック社製OPTELICS H1200を用い、10倍、20倍及び、100倍の対物レンズに変えて画像データを収集した。このうち、10倍の対物レンズによって得られる□1.776mmの観察で識別される電子写真感光体表面の異物(フィルミング)の面積比率(%)を画像解析ソフトimage J(アメリカ国立衛生研究所製)のAnalyze Particlesコマンドで算出した。
結果を表7に示す。
(実施例2)
実施例1の循環材で使用したステアリン酸亜鉛をオレイン酸亜鉛(関東化学社)に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例3)
実施例1の循環材で使用したステアリン酸亜鉛を、ステアリン酸亜鉛8部、窒化ホウ素2部、アルミナ微粒子(α−アルミナ;住友化学社製、AA−03;平均一次粒子径0.3μm)1部の混合物に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例4)
実施例3の循環材で使用したアルミナ微粒子を、シリカ微粒子KMPX100(信越化学工業社製)に変えた以外は実施例3と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例5)
実施例1の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた平均一次粒子径が0.3μmのα−アルミナを平均一次粒子径が0.5μmのα−アルミナ(住友化学社製、AA−05)に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例6)
実施例1の電子写真感光体の下地表面層用塗料を下記の塗料に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
〔下地表面層用塗料〕
・下記構造の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 43部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 21部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 21部
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬社製)
・前記具体例II-1オキサゾール化合物 2部
・アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとプロポキシ
変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレートとの混合物 0.1部
(BYK−UV3570、ビックケミー社製)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・α−アルミナ
(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 9部
・α−アルミナ用分散剤(ED−151、楠本化成社製) 0.9部
・酸化スズ 1部
(NanoTek SnO2,シーアイ化成社品)
・酸化スズ用分散剤(ED−152、楠本化成社製) 0.1部
・テトラヒドロフラン 566部
(実施例7)
実施例1の下地表面層用塗料の分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(ED−151、楠本化成社製)0.35部と分散剤(WK−13E、共栄社化学社)0.65部に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例8)
実施例1の下地表面層用塗料の分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(スーパーダインV−201、竹本油脂社製)1部に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例9)
実施例1の例示化合物No.II−1の代わりに例示化合物No.II−4を用いた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例10)
実施例1の例示化合物No.II−1の代わりに例示化合物No.II−6を用いた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例11)
実施例1の例示化合物No.II−1の代わりに例示化合物No.II−7を用いた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例12)
実施例1の例示化合物No.II−1の代わりに例示化合物No.II−10を用いた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例13)
実施例1の例示化合物No.II−1の代わりに例示化合物No.II−12を用いた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例14)
実施例1の例示化合物No.II−1の量を、2部から0.5部に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例15)
実施例1の例示化合物No.II−1の量を、2部から4部に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例16)
実施例1の下地表面層用塗料で用いたα−アルミナ微粒子を、シリカ微粒子KMPX100(信越化学工業社製)に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(実施例17)
実施例1の下地表面層用塗料で用いたα−アルミナ微粒子を、酸化チタン微粒子CR−97(石原産業社製)に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例1)
実施例1の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた平均一次粒子径が0.3μmのα−アルミナを平均一次粒子径が0.7μmのα−アルミナ(住友化学社製、AA−07)に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例2)
実施例1の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(BYK−P104、ビックケミー社製)0.2部に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例3)
実施例1の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(共栄社化学社製、DOPA33)0.2部に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例4)
実施例1の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたα−アルミナと分散剤を除き、テトラヒドロフランを566部から504部に変えた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例5)
実施例5の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたオキサゾール化合物を除き、テトラヒドロフランを566部から504部に変えた以外は実施例5と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例5と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例6)
実施例5の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたオキサゾール化合物を除き、テトラヒドロフランを566部から504部に変え、UV照射時間を240秒とした以外は実施例5と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例5と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例7)
実施例5の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたオキサゾール化合物を除き、テトラヒドロフランを566部から504部に変え、UV照射時間を60秒とした以外は実施例5と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例5と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例8)
実施例5の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたオキサゾール化合物の代わりに下記構造の紫外線吸収剤(UV−1)を添加した以外は実施例5と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例5と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例9)
実施例5の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたオキサゾール化合物の代わりに下記構造の紫外線吸収剤(UV−2)を添加した以外は実施例5と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例5と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
(比較例10)
実施例5の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたオキサゾール化合物の代わりに下記構造の紫外線吸収剤(Q−1)を添加した以外は実施例5と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例5と同様の評価を行った。結果を表6、表7に示す。
実施例1〜17の画像形成装置は耐久試験後も感光体表面が新品と区別できない程の品位が維持されており、試験前後の表面粗さの変化も非常に小さい。これは、電子写真感光体表面に循環型表面層が形成されているためであり、その結果、出力画像のフィルミング面積も非常に少なくなっていた。これに対して、比較例1〜4は、出力画像のフィルミング面積が大きく、下地表面層が汚染されている様子が見られた。また、それに起因すると思われるスジ状の地肌汚れや、濃度ムラが出力画像に見られた。これは、下地表面層の表面形状が循環型表面層を形成するのに不利な形状となっていたため、実施例のような循環型表面層が形成されなかったためと考えられる。
また、実施例3〜4は、循環材中に無機フィラーを含有させているため、特にフィルミングが少なく、良好な画像出力が達成できており、さらに試験後にも表面形状変化が小さく抑えられている。また、画像濃度も問題ないレベルである。これは、循環材中の無機フィラーで下地表面層が摩耗しないように、架橋時の光エネルギーを大きくしているにもかかわらず、オキサゾール化合物を含有させているために、電荷輸送物質の分解が抑えられ、露光部電位上昇が抑えられているためと考えられる。
対して、比較例5〜6は、フィルミングは抑えられているが、全体的に画像濃度の低下が見られた。これは、比較例5〜6は、オキサゾール化合物を含有していないため、架橋時の光照射によって電荷輸送物質の分解が起こり、露光部電位上昇が起きているためと考えられる。また、比較例7は、通常の照射エネルギーで架橋したもので、フィルミング面積が大きくなってしまっている。これは、フィラー含有循環材によって、下地表面層が摩耗し表面形状が変化したため、循環型表面層の形成が破綻したためと考えられる。また、比較例8〜10は、紫外線吸収剤が電荷輸送機能を持たせている下地表面層に含有することで、電荷輸送を阻害して、露光部電位が上昇したために、画像濃度が低下してしまったと考えられる。
(実施例18)
<画像形成装置の作製>
−電子写真感光体の作製−
肉厚1.2mm、長さ346mm、外径Φ40mmのアルミニウムドラムに、下記組成の下引き層用塗料、電荷発生層用塗料、電荷輸送層用塗料を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成した。その上に下地表面層用塗料をスプレーで塗工した。スプレー塗工はスプレーガンにオリンポス社 PC−WIDE308を使用し、2.1kgf/cm2の霧化圧力でスプレーガンのノズル先端と電子写真感光体間の距離が50mmとなる位置で行った。吐出量は約3ccだった。その後、酸素濃度が2%以下となるようにブース内を窒素ガスで置換したUV照射ブースにて、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:700mW/cm2、照射時間:40秒の条件で光照射を行なった。次いで、130℃で20分乾燥を加え3.5μmの下地表面層を設け、本発明の電子写真感光体を得た。
尚、下地表面層用塗料の調製は、次にようにして行った。
予め50ml用マヨネーズびん(UMサンプル瓶)にφ2mmのニッカトー社YTZボール100gを仕込み、平均一次粒径0.3μmのα−アルミナ(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製)1.2gと分散剤と溶媒(THF)との混物10.8gを加え、1600rpmの振動強度でイカ社バイブレーションシェーカーにて2時間分散してミルベースを得た。得られたミルベースにビヒクルを加えて塗料を得た。
特に断らない限り、後述する他の実施例及び比較例の下地表面層用塗料も同様にして得た。
〔下引き層用塗料〕
・アルキッド樹脂溶液 12部
(ベッコライト M6401−50,大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂溶液 8.0部
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)
・酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40部
・メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗料〕
・下記構造のビスアゾ顔料(リコー社製) 5.0部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) 1.0部
・シクロヘキサノン 200部
・メチルエチルケトン 80部
〔電荷輸送層用塗料〕
・Z型ポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成社製) 10部
・下記構造の電荷輸送物質 7.0部
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン溶液 1部
〔下地表面層用塗料〕
・下記構造の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 43部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 21部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 21部
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬社製)
・ジアミン化合物A−1 1部
・アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと
プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート混合物 0.1部
(BYK−UV3570、ビックケミー社製)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・α−アルミナ
(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 10部
・分散剤(ED−151、楠本化成社製) 1.0部
・テトラヒドロフラン 566部
―循環材―
ステアリン酸亜鉛(日本油脂製、ジンクステアレートGF200)を蓋付きのガラス製容器に入れ、160℃から250℃に温度制御したホットスターラーにより、攪拌しつつ溶融した。
予め150℃に加熱した内寸法12mm×8mm×350mmのアルミニウム製の金型を満たすように、攪拌溶融した該保護剤を流し込み、木製の台の上で40℃まで放冷後、固形物を型から外し、反り防止のため重りを乗せ室温まで冷却した。
冷却後、長手方向の両端を切断し、底面を切削して6mm×6mm×322mmの角柱形状の保護剤バーを作成した。
保護剤バーの底面に両面テープを貼り付け金属製支持体に固定した。
−循環材塗布装置−
循環材塗布装置は循環材を電子写真感光体に供給する手段と電子写真感光体に供給された循環材をコーティングする手段を併せて画像形成装置に取り付けた。
循環材の供給手段としては、支持体に保持されるように角柱状に成形した固形状のステアリン酸亜鉛を所定の消費量となるようなバネ定数の加圧スプリングで塗布ブラシに加圧し、塗布ブラシが回転することよりステアリン酸亜鉛を削って電子写真感光体上に削り粉を設ける装置を取り付けた。加圧バネはバネ定数と循環材の消費量との関係から適当なものを選んだ。ここでは循環材の消費率(感光体への塗布量に加えて、塗布ブラシからの飛散及び落下による損失分などを含み、循環材の減少する量を意味する。)が125mg/kmとなる条件として、ばね定数が0.039N/mmの引張ばねを使用した。支持体の両サイドに一点支持の可動式のフィンを取り付け、これに引張ばねをまわすことで、ばねの引っ張り応力によって塗布ブラシと循環材との接触圧を調整した。
塗布ブラシは金属シャフトにファーブラシを貼り合わせた純正品をそのまま用いた。この塗布ブラシは電子写真感光体面移動方向に対してカウンター方向に回転するようにした。
塗布ブレードは鋼板のブレードホルダーに前記電子写真感光体に:19°で当接する方向に支持されたポリウレタンゴム(ShoreA硬さ;84、反発弾性;52%、厚さ;1.3mm)を用いた。
前記電子写真感光体と前記循環材供給手段を、図8に示すレイアウトでimagio MP C4500(リコー社製)のシアン現像ステーションに搭載し画像形成装置を得た。前記循環材供給手段は、imagio MP C4500専用の電子写真感光体カートリッジ内に本来設置されている循環材塗布手段に取り替えて設置した。
<測定・評価>
実施例1と同様に
(1)電子写真感光体表面形状の測定
(2)画像評価
(3)フィルミング評価
を行った。
結果を表8及び表9に示す。
(実施例19)
実施例18の循環材で使用したステアリン酸亜鉛をオレイン酸亜鉛(関東化学社)に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例20)
実施例18の循環材で使用したステアリン酸亜鉛を、ステアリン酸亜鉛8部、窒化ホウ素2部、アルミナ微粒子α−アルミナ(住友化学社製、AA−03)1部の混合物に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例21)
実施例20の循環材で使用したアルミナ微粒子を、シリカ微粒子KMPX100(信越化学工業社製)に変えた以外は実施例20と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例22)
実施例18の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた一次粒子径が0.3μmのα−アルミナを一次粒子径が0.5μmのα−アルミナ(住友化学社製、AA−05)に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例23)
実施例18の電子写真感光体の下地表面層用塗料を下記の塗料に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
〔下地表面層用塗料〕
・下記構造の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 43部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 21部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 21部
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬社製)
・ジアミン化合物A−1 1部
・アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと
プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート混合物 0.1部
(BYK−UV3570、ビックケミー社製)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・α−アルミナ
(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 9部
・α−アルミナ用分散剤(ED−151、楠本化成社製) 0.9部
・酸化スズ
(NanoTek SnO2,シーアイ化成社品) 1部
・酸化スズ用分散剤(ED−152、楠本化成社製) 0.1部
・テトラヒドロフラン 566部
(実施例24)
実施例18の下地表面層用塗料の分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(ED−151、楠本化成社製)0.35部と分散剤(WK−13E、共栄社化学社)0.65部に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例25)
実施例18の下地表面層用塗料の分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(スーパーダインV−201、竹本油脂社製)1部に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例26)
実施例18の下地表面層用塗料のジアミン化合物A−1の代わりにジアミン化合物A−2を用いた以外は実施例18と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例27)
実施例18の下地表面層用塗料のジアミン化合物A−1の代わりにジアミン化合物A−3を用いた以外は実施例18と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例28)
実施例18の下地表面層用塗料のジアミン化合物A−1の代わりにジアミン化合物A−4を用いた以外は実施例18と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例29)
実施例18の下地表面層用塗料のジアミン化合物A−1の代わりにジアミン化合物A−5用いた以外は実施例18と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例30)
実施例18の下地表面層用塗料のジアミン化合物A−1の代わりにジアミン化合物A−6を用いた以外は実施例18と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例31)
実施例18の下地表面層用塗料のジアミン化合物A−1の代わりにジアミン化合物A−7を用いた以外は実施例18と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例32)
実施例18の下地表面層用塗料のジアミン化合物A−1の量を、1部から0.5部に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例33)
実施例18の下地表面層用塗料のジアミン化合物A−1の量を、1部から2部に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例34)
実施例18の下地表面層用塗料で用いたα−アルミナ微粒子を、シリカ微粒子KMPX100(信越化学工業社製)に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(実施例35)
実施例18の下地表面層用塗料で用いたα−アルミナ微粒子を、酸化チタン微粒子CR−97(石原産業社製)に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(比較例11)
実施例18の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた一次粒子径が0.3μmのα−アルミナを一次粒子径が0.7μmのα−アルミナ(住友化学社製、AA−07)に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(比較例12)
実施例18の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(BYK−P104、ビックケミー社製)0.2部に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(比較例13)
実施例18の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(共栄社化学社製、DOPA33)0.2部に変えた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(比較例14)
実施例22の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたジアミン化合物を除き、テトラヒドロフランを566部から504部に変えた以外は実施例22と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例22と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(比較例15)
実施例22の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたジアミン化合物の代わりに下記構造の酸化防止剤を添加した以外は実施例22と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例22と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
(比較例16)
実施例22の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたジアミン化合物の代わりに下記構造の酸化防止剤を添加した以外は実施例22と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例22と同様の評価を行った。結果を表8、表9に示す。
実施例18〜35の画像形成装置は耐久試験後も感光体表面が新品と区別できない程の品位が維持されており、試験前後の表面粗さの変化も非常に小さい。これは、電子写真感光体表面に循環型表面層が形成されているためであり、その結果、出力画像のフィルミング面積も非常に少なくなっていた。これに対して、比較例11〜13は、出力画像のフィルミング面積が大きく、下地表面層が汚染されている様子が見られた。また、それに起因すると思われるスジ状の地肌汚れや、濃度ムラが出力画像に見られた。これは、下地表面層の表面形状が循環型表面層を形成するのに不利な形状となっていたため、実施例のような循環型表面層が形成されなかったためと考えられる。
また、実施例20〜21は、循環材中に無機フィラーを含有させているため、特にフィルミングが少なく、良好な画像出力が達成できており、さらに試験後にも表面形状変化が小さく抑えられている。また、画像濃度も問題ないレベルである。
比較例14はジアミン化合物を添加していないもので、フィルミングが大きくなっており、画像濃度も低下している。これは、下地表面層の劣化によって、表面が磨耗し表面形状が変化したために、循環型表面層の形成が破綻したためと考えられる。また、合わせて、電荷輸送物質の劣化も起きたために、露光部電位の上昇がおき、画像濃度の低下となっている。
また、比較例15〜16は、酸化防止剤を電荷輸送機能を持たせている下地表面層に含有させたことで、電荷輸送を阻害して、露光部電位が上昇したために、画像濃度が低下してしまったと考えられる。
[合成例1(ジアミン化合物No.4の合成)]
下記式(M1)で表されるアルデヒド化合物5.00g(16.6mmol)、ジベンジルアミン3.27g(16.6mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド5.18g(23.2mmol)、THF 70mlをアルゴン気流下、25℃の内温にて2時間撹拌をおこなった。
2時間後、内容物に1M炭酸ナトリウム水溶液50mlを注ぎ、30分間撹拌をおこなった後、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を水洗し、濃縮することにより以下の構造式(M2)で表される化合物No.4のジアミン化合物を無色透明オイルで得た。6.44g(13.3mmol) 収率80.1%
得られたオイルをLC−MSで分析したところ、目的とする化合物No.4のジアミン化合物(分子量計算値:482.66)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当する483.52のピークが観測された。
赤外線吸収スペクトル(NaCl法)を図19に示す。
[合成例2(ジアミン化合物No.5の合成)]
下記式(M3)で表されるアルデヒド化合物5.00g(16.6mmol)、N−エチル−p−トルイジン2.75g(18.3mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド5.18g(23.2mmol)、THF 70mlをアルゴン気流下、25℃の内温にて22時間撹拌をおこなった。
22時間後、内容物に1M炭酸ナトリウム水溶液50mlを注ぎ、30分間撹拌をおこなった後、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を水洗し、濃縮することにより以下の構造式(M4)で表される化合物No.5のジアミン化合物を黄色オイルで得た。2.59g(6.2mmol) 収率37.3%
得られたオイルをLC−MSで分析したところ、目的とする化合物No.5のジアミン化合物(分子量計算値:420.59)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当する421.60のピークが観測された。
赤外線吸収スペクトル(NaCl法)を図20に示す。
[合成例3(ジアミン化合物No.6の合成)]
下記式(M5)で表されるアルデヒド化合物5.00g(16.6mmol)、N−エチルベンジルアミン2.69g(18.3mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド5.18g(23.2mmol)、THF 70mlをアルゴン気流下、25℃の内温にて4時間撹拌をおこなった。
4時間後、内容物に1M炭酸ナトリウム水溶液50mlを注ぎ、30分間撹拌をおこなった後、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を水洗し、濃縮することにより以下の構造式(M6)で表される化合物No.6のジアミン化合物を黄色オイルで得た。4.56g(10.8mmol) 収率65.1%
得られたオイルをLC−MSで分析したところ、目的とする化合物No.6のジアミン化合物(分子量計算値:420.59)にプロトンが付加した分子イオン[M+H]に相当する421.52のピークが観測された。
赤外線吸収スペクトル(NaCl法)を図21に示す。
(実施例36)
実施例18の下地表面層用塗料で用いたジアミン化合物A−1の代わりに上記No.4のジアミン化合物を用いた以外は実施例18と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例18と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例37)
実施例36の循環材で使用したステアリン酸亜鉛をオレイン酸亜鉛(関東化学社)に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例38)
実施例36の循環材で使用したステアリン酸亜鉛を、ステアリン酸亜鉛8部、窒化ホウ素2部、アルミナ微粒子α−アルミナ(住友化学社製、AA−03)1部の混合物に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例39)
実施例38の循環材で使用したアルミナ微粒子を、シリカ微粒子KMPX100(信越化学工業社製)に変えた以外は実施例38と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例40)
実施例36の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた一次粒子径が0.3μmのα−アルミナを一次粒子径が0.5μmのα−アルミナ(住友化学社製、AA−05)に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例41)
実施例36の電子写真感光体の下地表面層用塗料を下記の塗料に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
〔下地表面層用塗料〕
・下記構造の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 43部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 21部
(KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 21部
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬社製)
・ジアミン化合物(化合物No.4) 1部
・アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと
プロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレート混合物 0.1部
(BYK−UV3570、ビックケミー社製)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4部
(イルガキュア184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・α−アルミナ
(スミコランダムAA−03、住友化学工業社製) 9部
・α−アルミナ用分散剤(ED−151、楠本化成社製) 0.9部
・酸化スズ
(NanoTek SnO2,シーアイ化成社品) 1部
・酸化スズ用分散剤(ED−152、楠本化成社製) 0.1部
・テトラヒドロフラン 566部
(実施例42)
実施例36の下地表面層用塗料の分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(ED−151、楠本化成社製)0.35部と分散剤(WK−13E、共栄社化学社)0.65部に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例43)
実施例36の下地表面層用塗料の分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(スーパーダインV−201、竹本油脂社製)1部に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例44)
実施例36の下地表面層用塗料のジアミン化合物No.4の代わりにジアミン化合物No.1を用いた以外は実施例36と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例45)
実施例36の下地表面層用塗料のジアミン化合物No.4の代わりにジアミン化合物No.2を用いた以外は実施例36と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例46)
実施例36の下地表面層用塗料のジアミン化合物No.4の代わりにジアミン化合物No.3を用いた以外は実施例36と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例47)
実施例36の下地表面層用塗料のジアミン化合物No.4の代わりにジアミン化合物No.5を用いた以外は実施例36と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例48)
実施例36の下地表面層用塗料のジアミン化合物No.4の代わりにジアミン化合物No.6を用いた以外は実施例36と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10,表11に示す。
(実施例49)
実施例36の下地表面層用塗料のジアミン化合物No.4の代わりにジアミン化合物No.11を用いた以外は実施例36と同様にして、画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10,表11に示す。
(実施例50)
実施例36の下地表面層用塗料のジアミン化合物No.4の量を、1部から0.5部に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例51)
実施例36の下地表面層用塗料のジアミン化合物No.4の量を、1部から2部に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例52)
実施例36の下地表面層用塗料で用いたα−アルミナ微粒子を、シリカ微粒子KMPX100(信越化学工業社製)に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(実施例53)
実施例36の下地表面層用塗料で用いたα−アルミナ微粒子を、酸化チタン微粒子CR−97(石原産業社製)に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(比較例17)
実施例36の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた一次粒子径が0.3μmのα−アルミナを一次粒子径が0.7μmのα−アルミナ(住友化学社製、AA−07)に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(比較例18)
実施例36の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(BYK−P104、ビックケミー社製)0.2部に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(比較例19)
実施例36の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いた分散剤(ED−151、楠本化成社製)1.0部を、分散剤(共栄社化学社製、DOPA33)0.2部に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(比較例20)
実施例36の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたα−アルミナと分散剤を除き、テトラヒドロフランを566部から504部に変えた以外は実施例36と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例36と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(比較例21)
実施例40の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたジアミン化合物を除き、テトラヒドロフランを566部から504部に変えた以外は実施例40と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例40と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(比較例22)
実施例40の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたジアミン化合物の代わりに下記構造の酸化防止剤を添加した以外は実施例40と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例40と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
(比較例23)
実施例40の電子写真感光体の下地表面層用塗料で用いたジアミン化合物の代わりに下記構造の酸化防止剤を添加した以外は実施例40と同様にして画像形成装置を得た。得られた画像形成装置について、実施例40と同様の評価を行った。結果を表10、表11に示す。
実施例36〜53の画像形成装置は耐久試験後も感光体表面が新品と区別できない程の品位が維持されており、試験前後の表面粗さの変化も非常に小さい。これは、電子写真感光体表面に循環型表面層が形成されているためであり、その結果、出力画像のフィルミング面積も非常に少なくなっていた。これに対して、比較例17〜20は、出力画像のフィルミング面積が大きく、下地表面層が汚染されている様子が見られた。また、それに起因すると思われるスジ状の地肌汚れや、濃度ムラが出力画像に見られた。これは、下地表面層の表面形状が循環型表面層を形成するのに不利な形状となっていたため、実施例のような循環型表面層が形成されなかったためと考えられる。
また、実施例38〜39は、循環材中に無機フィラーを含有させているため、特にフィルミングが少なく、良好な画像出力が達成できており、さらに試験後にも表面形状変化が小さく抑えられている。また、画像濃度も問題ないレベルである。
比較例21はジアミン化合物を添加していないもので、フィルミングが大きくなっており、画像濃度も低下している。これは、下地表面層の劣化によって、表面が磨耗し表面形状が変化したために、循環型表面層の形成が破綻したためと考えられる。また、合わせて、電荷輸送物質の劣化も起きたために、露光部電位の上昇がおき、画像濃度の低下となっている。
また、比較例22〜23は、酸化防止剤を電荷輸送機能を持たせている下地表面層に含有させたことで、電荷輸送を阻害して、露光部電位が上昇したために、画像濃度が低下してしまったと考えられる。
このように、本発明の画像形成装置、プロセスカートリッジは、比較例に示す従来の画像形成装置に対して、長期間にわたり、高品質な画像を出力することができるのである。
<図1〜6について>
11 電子写真感光体
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
15 トナー
16 転写装置
17 クリーニング装置
18 印刷メディア(印刷用紙、OHP用スライド)
19 定着装置
1A 除電装置
1B クリーニング前露光装置
1C 駆動手段
1D 第1の転写装置
1E 第2の転写装置
1F 中間転写体
1G 搬送転写ベルト
<図8について>
1F 中間転写体
3A 固体循環材
3B 塗布ブラシ
11 電子写真感光体
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
17 クリーニング装置
3C 塗布ブレード
<図9について>
3 循環材塗布装置
3A 循環材
3B 塗布ブラシ
3C 塗布ブレード
<図10、図11、図12について>
201 導電性支持体
202 感光層
203 下地表面層
204 電荷発生層
205 電荷輸送層
206 下地表面層
<図13について>
101 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分
102 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より一つ低い周波数成分
103 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より二つ低い周波数成分
104 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より三つ低い周波数成分
105 一回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より四つ低い周波数成分
106 一回目の多重解像度解析結果の最低周波数成分
107 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分
108 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より一つ低い周波数成分
109 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より二つ低い周波数成分
110 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より三つ低い周波数成分
111 二回目の多重解像度解析結果の最高周波数成分より四つ低い周波数成分
112 二回目の多重解像度解析結果の最低周波数成分
<図14について>
121 一回目の多重解像度解析における最高周波成分の帯域
122 一回目の多重解像度解析における最高周波成分より一つ低い周波数成分の帯域
123 一回目の多重解像度解析における最高周波成分より二つ低い周波数成分の帯域
124 一回目の多重解像度解析における最高周波成分より三つ低い周波数成分の帯域
125 一回目の多重解像度解析における最高周波成分より四つ低い周波数成分の帯域
126 一回目の多重解像度解析における最低周波数成分の帯域
<図16について>
127 二回目の多重解像度解析における最高周波成分の帯域
128 二回目の多重解像度解析における最高周波成分より一つ低い周波数成分の帯域
129 二回目の多重解像度解析における最高周波成分より二つ低い周波数成分の帯域
130 二回目の多重解像度解析における最高周波成分より三つ低い周波数成分の帯域
131 二回目の多重解像度解析における最高周波成分より四つ低い周波数成分の帯域
132 二回目の多重解像度解析における最低周波数成分の帯域
<図18について>
41 測定対象である電子写真感光体
42 表面粗さを測定するプローブを取り付けた治具
43 上記治具を測定対象に沿って移動させる機構
44 表面粗さ計
45 信号解析を行うパーソナルコンピューター
特開2000−66424号公報 特開2000−171990号公報 特開2012−208468号公報

Claims (12)

  1. 電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段と、
    前記電子写真感光体の回転駆動方向に対して、前記クリーニング手段の下流で、かつ、前記帯電手段の上流に配設されてなり、前記電子写真感光体に当接し当該電子写真感光体表面に循環材を塗布して電子写真感光体最表面層となる循環型表面層を形成する循環材塗布手段と、
    を備える画像形成装置において、
    前記電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層、電荷輸送性を有する下地表面層を順に積層し、前記下地表面層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物との硬化物を含有し、
    かつ前記下地表面層は、下記(I)〜(V)の手順で、各周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求めたとき、
    (I)表面粗さ・輪郭形状測定機により測定して一次元データ配列を作成する。
    (II)前記一次元データ配列を、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの6個の周波数成分(HHH、HHL、HMH、HML、HLH、HLL)に分離する。
    (III)次いで、得られた6個の周波数成分の中で最低周波数成分の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きした一次元データ配列を作成する。
    (IV)更に、多重解像度解析によってウェーブレット変換して高周波数成分から低周波数成分に至るまでの、追加の6個の周波数成分(LHH、LHL、LMH、LML、LLH、LLL)に分離する。
    (V)上記で得た12の各周波数成分について算術平均粗さ(WRa)を求める。
    前記(II)及び(IV)で得られた周波数成分のうち、HMH、HML、HLHの帯域におけるWRaが0.002〜0.005μmであり、かつWRa(LLH)が0.05μm以下であり、さらに前記下地表面層中に下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるオキサゾール化合物、及び下記一般式(3)又は一般式(4)で表されるジアミン化合物のいずれかを含有することを特徴とする画像形成装置。
    (式(1)中、R1とR2はそれぞれ水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し同一でも異なっていても良く、Xはビニレン基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基、2,5−チオフェンジイル基を表す。)
    (式(2)中、Ar1とAr2はそれぞれ炭素数6〜14の芳香族炭化水素の1価基を表し同一でも異なっていても良く、Yは炭素数6〜14の芳香族炭化水素の2価基を表し、R3とR4はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し同一でも異なっていても良い。)
    (式(3)中Xは置換基を有していても良いアリーレン基、あるいは、
    を表す。ただし、Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
    式中、A1、A2、A3、A4は、下記(i)、(ii)、及び(iii)より選択される基を表し、各々同一でも異なっていても良い。但し、(i)、(ii)の場合はA1及びA2、もしくはA3及びA4が各々同一であっても異なっていても良いが、(iii)の場合はA1及びA2のいずれか、もしくはA3及びA4のいずれかにのみ形成される。
    (i)炭素数1〜4のアルキル基
    (ii)−CH2(CH2)mZ
    (iii)置換基を有しても良いアリール基
    但し、Zは、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基を表し、さらに置換基を有しても良い。また、mは0及び1のいずれかの整数を表す。
    式中、B1、B2は、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2−Ar−、−Ar−CH2−、−CH2CH2−Ar−、−Ar−CH2CH2−を表す。但し、Arは置換基を有していても良いアリーレン基を表す。)
    (式(4)中、R1、R2は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の1価基を表し、同一でも異なっていてもよい。Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基を表す。Ar2およびAr3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の1価基を表す。Ar1、Ar2、もしくはAr2、Ar3は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。)
    但し、前記得られた周波数成分は、下記のとおりである。
    WRa(HHH):凹凸の一周期の長さが0.3μm〜3μmの帯域におけるRa
    WRa(HHL):凹凸の一周期の長さが1μm〜6μmの帯域におけるRa
    WRa(HMH):凹凸の一周期の長さが2μm〜13μmの帯域におけるRa
    WRa(HML):凹凸の一周期の長さが4μm〜25μmの帯域におけるRa
    WRa(HLH):凹凸の一周期の長さが10μm〜50μmの帯域におけるRa
    WRa(HLL):凹凸の一周期の長さが24μm〜99μmの帯域におけるRa
    WRa(LHH):凹凸の一周期の長さが26μm〜106μmの帯域におけるRa
    WRa(LHL):凹凸の一周期の長さが53μm〜183μmの帯域におけるRa
    WRa(LMH):凹凸の一周期の長さが106μm〜318μmの帯域におけるRa
    WRa(LML):凹凸の一周期の長さが214μm〜551μmの帯域におけるRa
    WRa(LLH):凹凸の一周期の長さが431μm〜954μmの帯域におけるRa
    WRa(LLL):凹凸の一周期の長さが867μm〜1654μmの帯域におけるRa
  2. 前記循環型表面層は、ラメラ構造の化合物を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記循環型表面層は、前記ラメラ構造の化合物がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記循環材塗布手段によって供給される循環材が、フィラー微粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記フィラー微粒子が金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記金属酸化物微粒子として、少なくとも酸化アルミニウムを含有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記下地表面層が前記オキサゾール化合物を含有し、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対する前記オキサゾール化合物の質量比が0.5〜10質量%であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記下地表面層が前記ジアミン化合物を含有し、前記ジアミン化合物の質量比が下地表面層に対して0.5〜2.0%であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記下地表面層に少なくともフィラー微粒子が分散されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記フィラー微粒子が金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記金属酸化物微粒子として、少なくとも酸化アルミニウムを含有していることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段、循環材供給手段、循環材塗布手段のうちの少なくとも一つとを一体に支持し、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置の本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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