JP2019015927A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光体の表面に保護層を形成しても、画像ボケの発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置は、感光体1と、トナー像が転写された感光体1をクリーニングするクリーニング手段と、感光体1に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有する。感光体1は、導電性支持体上に感光層が形成されており、表面に保護層が形成されている。表面粗さ・輪郭形状測定機を用いて、保護層の表面粗さを測定して、MRA−1及びMRA−2を実施すると、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.01μm以上0.04μm以下であり、且つ、WRa(LMH)が0.003μm以下である。クリーニング手段は、クリーニングブレード15と、クリーニングブレード15を保持し、支持部材によって回転自在に支持されているアームと、アームに一端を係止され、クリーニングブレード15を感光体1に接触させる方向の復元力を付与するばね部材を有する。【選択図】図5
Description
本発明は、画像形成装置に関する。
近年、電子写真は、オフィス用途から出力物を商品として扱う商用印刷市場への展開が進んでいる。電子写真方式は、製版を必要とせず、必要枚数分のプリント物をオンデマンドに作成することができる利点がある。
しかしながら、商用印刷で一般的なオフセット印刷と比較すると、印刷物の画質と均質性が劣っているのが実情である。プリント毎に印刷物の画質が変わってしまうと、商品として扱えないため、商用印刷では、印刷物の均質性が特に重要である。
電子写真方式は、感光体(光導電体)の静電特性を利用して画像を形成するため、均質性を確保するためには、感光体の静電特性を安定化させる必要がある。更に、オフセット印刷と同等の仕様が要求される場合は、相応の感光体の静電特性の安定化が求められる。
一方、電子写真方式のプリンターメーカー各社のカタログ仕様値を参照すると、感光体の耐久寿命は、最大で500万枚程度に設定されている。感光体の耐久性が不足すると、交換に要する部品費や人件費が生じるため、収益性に影響が及ぶ。現在、感光体は、各社が究極とも言える耐久性を発現しているものの、商用印刷分野へ応用するとき、過去に経験しない画質と耐久性が要求されている。電子写真がオフセット印刷に代わるためには、感光体の信頼性を向上させることが必要となる。
ここで、感光体の表面に保護層を形成することで、感光体の耐久性を飛躍的に向上させることができる。
また、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を感光体の表面へ塗布することで、トナーのクリーニング性を高めることができる(例えば、非特許文献1参照)。潤滑剤を感光体の表面へ塗布すると、感光体を帯電ハザードから保護することもできる。
特許文献1には、電子写真感光体と、帯電手段と、電子写真感光体に当接し電子写真感光体表面に循環材の皮膜を塗布形成する塗布手段と、電子写真感光体に当接する接触部材と、を備える画像形成装置が開示されている。ここで、接触部材が電子写真感光体と当接することによって生じる作用力について、電子写真感光体の回転駆動方向に対して接線方向の力を接線力(Ft)とし、垂直方向の力を法線力(Fn)としたとき、Ftが1.15kgf以上1.35kgf以下である時のFt/Fnが0.90以上0.96以下の関係を満たす。
しかしながら、感光体の表面に塗布された潤滑剤や循環材は、長期間取り除かれない状態が続くと、帯電により、変質してしまい、蓄積してしまう。変質した潤滑剤や循環材は、帯電器から発生する放電生成物(窒素酸化物)を吸着しやすくなる。放電生成物は、感光体の表面抵抗を下げ、画像ボケが発生してしまう。
従来、感光体の表面の摩耗に伴い、変質した潤滑剤を除去してきた。
しかしながら、感光体の表面に保護層を形成して、耐久性を向上させると、感光体の表面の摩耗が低減するため、感光体の表面に蓄積している、変質した潤滑剤及び放電生成物が除去されにくくなってしまう。すなわち、感光体の耐久性を向上させることにより、画像ボケが発生するという問題があった。
本発明の一態様は、感光体の表面に保護層を形成しても、画像ボケの発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、画像形成装置において、感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記露光された感光体に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する現像手段と、前記感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像が転写された感光体をクリーニングするクリーニング手段と、前記感光体に潤滑剤を塗布する塗布手段を有し、前記感光体は、導電性支持体上に感光層が形成されており、表面に保護層が形成されており、(I)表面粗さ・輪郭形状測定機を用いて、前記保護層の表面粗さを測定して、第一の一次元データ配列を取得し、(II)前記第一の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分(HHH)から、2番目の周波数成分(HHL)、3番目の周波数成分(HMH)、4番目の周波数成分(HML)、5番目の周波数成分(HLH)及び最低周波数成分(HLL)に至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−1)を実施し、(III)前記最低周波数成分(HLL)の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きして、第二の一次元データ配列を取得し、(IV)前記第二の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分(LHH)から、2番目の周波数成分(LHL)、3番目の周波数成分(LMH)、4番目の周波数成分(LML)、5番目の周波数成分(LLH)及び最低周波数成分(LLL)に至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−2)を実施し、(V)前記(II)及び前記(IV)で分離された12個の周波数成分の算術平均粗さWRaのうち、WRa(HLL)を除く11個の算術平均粗さWRa(LLL)、WRa(LLH)、WRa(LML)、WRa(LMH)、WRa(LHL)、WRa(LHH)、WRa(HLH)、WRa(HML)、WRa(HMH)、WRa(HHL)及びWRa(HHH)を順に等間隔で対数プロットして線で結ぶことで作成されるプロファイルから規定される、WRa(LML)が0.01μm以上0.04μm以下であり、且つ、WRa(LMH)が0.003μm以下であり、前記クリーニング手段は、クリーニングブレードと、前記クリーニングブレードを保持し、支持部材によって回転自在に支持されているアームと、前記アームに一端を係止され、前記クリーニングブレードを前記感光体に接触させる方向の復元力を付与するばね部材を有する。
本発明の一態様によれば、感光体の表面に保護層を形成しても、画像ボケの発生を抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
本発明の実施の形態を説明する。
<画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置は、感光体と、感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光された感光体に形成された静電潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する現像手段と、感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、トナー像が転写された感光体をクリーニングするクリーニング手段を有する。また、本実施形態の画像形成装置は、感光体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有する。
本実施形態の画像形成装置は、感光体と、感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光された感光体に形成された静電潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する現像手段と、感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、トナー像が転写された感光体をクリーニングするクリーニング手段を有する。また、本実施形態の画像形成装置は、感光体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有する。
ここで、感光体は、導電性支持体上に感光層が形成されており、表面に保護層が形成されており、保護層の表面形状は、後述する特性を有する。
また、クリーニング手段は、クリーニングブレードと、クリーニングブレードを保持し、支持部材によって回転自在に支持されているアームと、アームに一端を係止され、クリーニングブレードを感光体に接触させる方向の復元力を付与するばね部材を有する。
本実施形態の画像形成装置は、画像ボケの発生を抑制することができ、かつ、トレードオフ関係で制限されてきた感光体の耐久性を改良することができ、その結果、オフセット印刷機を電子写真装置に置き換えることができる。これにより、オフセット印刷が対象とする印刷領域まで電子写真に特徴的なオンデマンド印刷の利便性を提供することが可能になる。また、感光体の耐久性を向上させることによって、電子写真の信頼性が底上げされ、従来必要とされてきたメンテナンス等のレイバーコストの削減ができ、プリントコストを下げることができる。
本実施形態の画像形成装置は、感光体の表面に形成されている保護層の表面形状を制御し、特性の構造を有するクリーニング手段を組み合わせることで、感光体の表面とクリーニングブレードの間に振動が発生するため、潤滑剤が除去されやすくなる。さらに、感光体の表面とクリーニングブレードの間に発生する振動の初期条件を持続することができる。
クリーニングブレードは、感光体の表面と摩擦しながら、感光体をクリーニングしている。このとき、クリーニングブレードは、感光体との接触状態に応じて、スティックスリップしている。ここで、クリーニングブレードのスティックスリップの状態は、感光体の表面に形成されている保護層の表面形状によって制御することができ、その結果、感光体の表面に付着している潤滑剤を効率よく除去することができる。
クリーニングブレードは、感光体と接触している部位が摩耗するが、クリーニングブレードの摩耗が進行するのに伴い、クリーニングブレードの圧縮力が変化し、クリーニングブレードのスティックスリップの状態も変化する。クリーニング手段に、ばね部材を設けることで、スティックスリップの状態の変化を抑制することができ、その結果、感光体の表面に付着している潤滑剤のクリーニング性を安定化させることが可能となる。
ここで、感光体の表面に付着している潤滑剤は、トナーへ移着し、トナーと共に除去されていると考えられる。
以下に、本実施形態の画像形成装置の特徴について、図面を用いて詳細に解説する。
<感光体の構成>
以下、本実施形態の感光体について詳細に説明する。
以下、本実施形態の感光体について詳細に説明する。
図1に、本発明の感光体の一例を示す。
感光体1は、導電性支持体21と電荷発生層27の間に下引き層23が設けられ、電荷発生層27の上に、電荷輸送層29と保護層31が順次設けられている。
−導電性支持体−
導電性支持体21としては、体積固有抵抗が1010Ω・cm以下である導電性を示す材料(例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の酸化物)を、蒸着又はスパッタリングによりフィルム状又は円筒状のプラスチック、紙等に被覆したものを使用することができる。また、導電性支持体21としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板を使用することができる。さらに、導電性支持体21としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板を、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化した後、切削、超仕上げ、研磨等により表面処理した管等を使用することができる。
導電性支持体21としては、体積固有抵抗が1010Ω・cm以下である導電性を示す材料(例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の酸化物)を、蒸着又はスパッタリングによりフィルム状又は円筒状のプラスチック、紙等に被覆したものを使用することができる。また、導電性支持体21としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板を使用することができる。さらに、導電性支持体21としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板を、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化した後、切削、超仕上げ、研磨等により表面処理した管等を使用することができる。
−下引き層−
感光体1には、導電性支持体21と電荷発生層27との間に下引き層23が設けられているが、必要に応じて、省略してもよい。
感光体1には、導電性支持体21と電荷発生層27との間に下引き層23が設けられているが、必要に応じて、省略してもよい。
下引き層23は、接着性の向上、モアレの防止、上層の塗布性の改良、導電性支持体21からの電荷注入の防止等の目的で設けられる。
下引き層23は、通常、樹脂を主成分とする。
下引き層23の上に、有機溶剤を含む感光層用の塗布液が塗布されるため、下引き層23に用いられる樹脂は、有機溶剤に難溶である熱硬化性樹脂の硬化物であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂を用いることが好ましい。
熱硬化性樹脂を、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いて適度に希釈し、下引き層用の塗布液とすることができる。
また、下引き層23には、電気伝導度の調節やモアレの防止等の目的で、金属、金属酸化物等の微粒子を加えてもよい。
微粒子を構成する材料としては、酸化チタンが特に好ましい。
この場合、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いて、微粒子を、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒に分散させた分散液と、熱硬化性樹脂を混合し、下引き層用の塗布液とすることができる。
下引き層23は、下引き層用の塗布液を、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビードコート法等で導電性支持体21上に塗布することにより、形成することができる。この場合、必要に応じて、熱硬化性樹脂を加熱し、硬化させることで、下引き層23が形成される。
下引き層23の厚さは、2〜5μm程度が適当になるケースが多い。
なお、感光体の残留電位の蓄積が大きくなる場合は、下引き層23の厚さを3μm未満にするとよい。
感光体1における感光層は、電荷発生層27と電荷輸送層29が順次積層されている積層型感光層である。ただし、本実施形態の感光体における感光層は、電荷発生能と電荷輸送能とを兼ね備えた単層型感光層であってもよい。
−電荷発生層−
次に、感光体1における各層のうち、電荷発生層27について説明する。
次に、感光体1における各層のうち、電荷発生層27について説明する。
電荷発生層27は、積層型感光層の一部を指し、露光によって電荷を発生する機能(電荷発生能)をもつ。
電荷発生層27は、電荷発生物質を主成分とする。電荷発生層27は、必要に応じて、バインダー樹脂を含むこともある。
電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、結晶セレン、アモルファスセレン、セレン−テルル化合物、セレン−テルル−ハロゲン化合物、セレン−ヒ素化合物、アモルファスシリコン等が挙げられる。
アモルファスシリコンとしては、ダングリングボンドを水素原子又はハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが好ましく用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン等の金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料、フルオレノン骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料、ペリレン系顔料等が挙げられる。このうち、金属フタロシアニン、フルオレノン骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型もしくは非対称型のアゾ顔料及びペリレン系顔料は、電荷発生の量子効率が軒並み高いため、好適である。
電荷発生物質は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
バインダー樹脂としては、公知の材料を用いることができ、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド等が挙げられる。このうち、ポリビニルブチラールが使用されることが多く、有用である。
また、バインダー樹脂として、後述する高分子電荷輸送物質を用いることもできる。
バインダー樹脂は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層27を形成する方法としては、真空薄膜作製法、キャスティング法を用いることができる。
真空薄膜作製法としては、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法等が挙げられ、電荷発生物質からなる層を良好に形成することができる。
また、キャスティング法を用いる場合には、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いて、電荷発生物質を、必要に応じて、バインダー樹脂と共に、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒に分散させた分散液を適度に希釈して、電荷発生層用の塗布液とすればよい。
溶媒のうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して、環境負荷の程度が低いため、好ましい。
電荷発生層用の塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、スプレーコート法、ビードコート法等が挙げられる。
電荷発生層27の厚さは、通常、0.01〜5μm程度が適当である。電荷発生層27は厚くすると、残留電位が低減したり、感度が向上したりすることが多いが、反面、帯電電荷の保持性が低下したり、空間電荷の形成等により帯電性が低下したりすることも多い。これらのバランスから、電荷発生層27の厚さは、0.05〜2μmの範囲であることが好ましい。
また、電荷発生層27に、必要に応じて、周知慣用の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物及びレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。低分子化合物及びレベリング剤を併用すると、感度が劣化するケースが多い。このため、低分子化合物及びレベリング剤の使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部程度であり、0.1〜10質量部程度であることが好ましい。また、レベリング剤の使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.001〜0.1質量部程度であることが適当である。
−電荷輸送層−
電荷輸送層29は、電荷発生層27で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた感光体1の表面電荷を中和する機能(電荷輸送能)を担う積層型感光層の一部を指す。
電荷輸送層29は、電荷発生層27で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた感光体1の表面電荷を中和する機能(電荷輸送能)を担う積層型感光層の一部を指す。
電荷輸送層29は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする。
電荷輸送成分としては、低分子電荷輸送物質(電子輸送物質及び正孔輸送物質)、高分子電荷輸送物質が挙げられる。
電子輸送物質としては、例えば、非対称ジフェノキノン誘導体、フルオレン誘導体、ナフタルイミド誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
電子輸送物質は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
正孔輸送物質としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体等の電子供与性物質が挙げられる。
正孔輸送物質は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
高分子電荷輸送物質としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール環を有する重合体、ヒドラゾン構造を有する重合体、ポリシリレン重合体、芳香族ポリカーボネートが挙げられる。
高分子電荷輸送物質は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
高分子電荷輸送物質は、保護層31を形成する際に、低分子電荷輸送物質と比べて、保護層31への滲み出しが少なく、保護層31の硬化不良を防止するのに適当な材料である。また、高分子電荷輸送物質は、耐熱性にも優れるため、保護層31を形成する際の硬化熱による劣化を抑制することができる。
バインダー成分としては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニル、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。このうち、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネートは、電荷移動特性が良好な性能を示すものが多く、有用である。
また、電荷輸送層29の上に保護層31が形成されるため、電荷輸送層29は、保護層31が形成されない場合と同程度の機械強度が要求されない。このため、ポリスチレン等、透明性が高いものの機械強度が多少低い材料も、電荷輸送層29のバインダー成分として有効に利用することができる。
バインダー成分は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。また、バインダー成分は、二種以上の原料モノマーの共重合体であってもよいし、電荷輸送物質との共重合体であってもよい。
また、電荷輸送層29が二種以上の電荷輸送成分を含む場合、電荷輸送成分間のイオン化ポテンシャルの差は小さい方が好ましく、具体的には、電荷輸送成分間のイオン化ポテンシャルの差を0.10eV以下とすることが好ましい。これにより、一方の電荷輸送成分が他方の電荷輸送成分の電荷トラップとなることを防止することができる。
電荷輸送層29に含まれる電荷輸送物質と、後述する保護層31に含まれる重合性電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルの差も、同様に、0.10eV以下にすることが好ましい。
感度を向上させるためには、電荷輸送成分の配合量を、バインダー樹脂100質量部に対して、70質量部以上とすることが好ましい。
電荷輸送層29は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする組成物を溶媒に溶解ないし分散させた塗布液を塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。
塗布液の塗布方法としては、浸漬法、スプレー塗布法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗布法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して、環境負荷の程度が低いため、好ましい。
溶媒は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
電荷輸送層29の上には保護層31が形成されているため、実使用上の膜削れを考慮して、電荷輸送層の厚さの設計しなくてもよい。電荷輸送層29の厚さは、実用上、必要とされる感度と帯電能を確保するために、10〜40μm程度であることが適当であり、15〜30μm程度であることが好ましい。
また、電荷輸送層29に、必要に応じて、周知慣用の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物及びレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。低分子化合物及びレベリング剤を併用すると、感度が劣化するケースが多い。このため、低分子化合物及びレベリング剤の使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部程度であり、0.1〜10質量部程度であることが好ましい。また、レベリング剤の使用量は、0.001〜0.1質量部程度であることが適当である。
−保護層−
保護層31は、感光体1の表面に形成される層を指す。
保護層31は、感光体1の表面に形成される層を指す。
保護層31は、重合性電荷輸送材料、溶媒を含む塗布液を塗布した後、架橋させることによって架橋樹脂が形成される。保護層31は、架橋樹脂を含むため、感光体1の各層の中で最も耐摩耗性が強靱である。また、重合性電荷輸送材料が塗布液に配合されているため、電荷輸送層29と類似する電荷輸送性を示す。
重合性電荷輸送材料としては、(メタ)アクリロイルオキシ基やスチリル基を有する連鎖重合系の化合物、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の化合物が挙げられる。このうち、電荷輸送性構造を含み、(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ以上有する化合物が好ましい。
電荷輸送性構造を含み、(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ以上有する化合物としては、例えば、一般式
なお、重合性電荷輸送材料は、重合性基を2個以上有する架橋性電荷輸送材料を含んでいてもよい。
ここで、重合性電荷輸送材料が架橋性電荷輸送材料を含んでいない場合は、重合性基を2個以上有する架橋性材料を塗布液に添加する必要がある。
また、架橋性電荷輸送材料を、重合性材料と併用しても良い。
重合性材料としては、例えば、電荷輸送性構造を含まず、(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ以上有するモノマーやオリゴマーが挙げられる。
保護層31は、3官能以上のラジカル重合性モノマーを含む塗布液を塗布した後、熱、光、或いは、電子線、γ線等の放射線により、エネルギーを付与して架橋して形成することが好ましい。
3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートないしジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いることが好ましい。これにより、保護層31の耐摩耗性が向上したり、強靱性が増大したりすることが多い。
電荷輸送性構造を有さず、3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いることが好ましい。
電荷輸送性構造を有さず、3官能以上のラジカル重合性モノマーの市販品は、東京化成社等の試薬メーカーから入手することができる。市販品としては、例えば、日本化薬社製のKAYARD DPCAシリーズ、DPHAシリーズ等が挙げられる。
また、架橋を促進させたり、安定化させたりするために、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア184等の光重合開始剤を、塗布液の全固形分に対して、5〜10質量%程度添加してもよい。
塗布液を調製する際に使用する溶媒としては、前述の電荷輸送層用の塗布液を調製する際に使用することが可能な溶媒を適用することができ、重合性電荷輸送材料を十分に溶解させることが可能な溶媒が好ましい。
溶媒としては、例えば、エーテル類、芳香族類、ハロゲン類、エステル類の他、エトキシエタノールのようなセロソルブ類、1−メトキシ−2−プロパノールのようなプロピレングリコール類が挙げられる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、1−メトキシ−2−プロパノールは、電荷輸送層29も溶解させることができ、また、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トルエン及びキシレンと比較して、環境負荷の程度が低いため、好ましい。
溶媒は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
塗布液の塗布方法としては、浸漬法、スプレー塗布法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗布法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。多くの場合、塗布液は、ポットライフが長くないため、少量の塗布液で、必要な分量を塗布することができる塗布方法が、環境への配慮とコスト面で有利となる。このような観点から、スプレー塗布法とリングコート法が好適である。
保護層31を形成する際に、主に紫外線領域に発光波長を有する高圧水銀灯やメタルハライドランプ等のUV照射光源を利用することができる。また、3官能以上のラジカル重合性モノマーや光重合開始剤の吸収波長に合わせて、可視光光源を選択することも可能である。
照射光量は、50mW/cm2以上1000mW/cm2以下であることが好ましい。照射光量が50mW/cm2以上であることにより、架橋反応に要する時間を短縮することができる。一方、照射光量が1000mW/cm2以下であることにより、反応の進行が均一となり、保護層31の表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生じたりすることを抑制することができる。また、急激な架橋による内部応力の発生を抑制することができ、その結果、クラックや膜剥がれを抑制することができる。
保護層31に、必要に応じて、周知慣用の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤等の低分子化合物及びレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。低分子化合物及びレベリング剤を併用すると、感度が劣化するケースが多い。このため、低分子化合物及びレベリング剤の使用量は、概して、塗布液の全固形分に対して、0.1〜20質量%であり、0.1〜10質量%であることが好ましい。また、レベリング剤の使用量は、塗布液の全固形分に対して、0.1〜5質量%程度であることが適当である。
また、保護層31に、必要に応じて、電荷輸送層29と同様のバインダー成分を添加することもできる。
保護層31の厚さは、3〜15μm程度であることが適当である。保護層31の厚さの下限は、保護層31を形成するコストに対する効果の度合いから算定され、上限は、帯電安定性や光減衰感度等の静電特性と保護層31の均質性から設定される。
(保護層の粗面化)
保護層31の粗面化の具体的な方策としては、表面形状の制御が期待される試薬類の添加、例えば、塗布液へのフィラーの配合、ゾル−ゲル系塗料の配合や種々ガラス転移点の異なる樹脂のポリマーブレンド、有機微粒子の添加、発泡剤の添加、シリコーンオイルの大量添加が挙げられる。その他に、架橋樹脂膜を形成した後、追加工として、サンドブラスト処理やラッピングフィルム等の研磨紙で表面研磨し、保護層31を粗面化してもよい。
保護層31の粗面化の具体的な方策としては、表面形状の制御が期待される試薬類の添加、例えば、塗布液へのフィラーの配合、ゾル−ゲル系塗料の配合や種々ガラス転移点の異なる樹脂のポリマーブレンド、有機微粒子の添加、発泡剤の添加、シリコーンオイルの大量添加が挙げられる。その他に、架橋樹脂膜を形成した後、追加工として、サンドブラスト処理やラッピングフィルム等の研磨紙で表面研磨し、保護層31を粗面化してもよい。
一例として、塗布液にフィラーを添加すると、保護層31に凹凸形状を付与することができる。このとき、フィラーの凝集状態を制御することで、保護層31に多様な凹凸形状を付与することができる。
フィラーは、平均一次粒子径がナノオーダーである金属酸化物フィラーであることが好ましい。
金属酸化物としては、例えば、α−アルミナ、酸化スズ、チタニア、シリカ、セリア等が有用である。
保護層31の粗面化は、上述の通り、種々の方法が考えられる。
本実施形態では、保護層31のWRa(LML)が0.01μm以上0.04μm以下であり、且つ、WRa(LMH)が0.003μm以下である。保護層31のWRa(LML)が0.01μm未満又は0.04μmを超える場合、若しくは、WRa(LMH)が0.003μmを超える場合は、画像ボケが発生しやすくなる。
上記の保護層31の表面形状を満たすために、電荷輸送層29の上に塗布液を塗布し、架橋した後、再度スプレー塗布し、架橋することで、保護層31を粗面化することが好ましい。このとき、塗布液の塗出量、塗布速度、塗布時間等の塗布条件によって、塗布液の飛沫の付着状態が変化する。このため、これらの塗布条件と、保護層31の表面形状を対比して、塗布条件を調整することにより、保護層31の表面形状を制御することができる。
(保護層の硬度)
保護層31は、マルテンス硬度が200N/mm2以上であることが好ましく、220N/mm2以上であることがさらに好ましい。保護層31のマルテンス硬度が200N/mm2以上であることにより、長期使用によっても、保護層31の表面形状が変化しにくいため、クリーニング性を維持したまま長期に渡って使用することができる。
保護層31は、マルテンス硬度が200N/mm2以上であることが好ましく、220N/mm2以上であることがさらに好ましい。保護層31のマルテンス硬度が200N/mm2以上であることにより、長期使用によっても、保護層31の表面形状が変化しにくいため、クリーニング性を維持したまま長期に渡って使用することができる。
なお、保護層31のマルテンス硬度は、感光体1の表面に形成されている保護層31を、ビッカース圧子を用いて、荷重0.25mNで30秒間押し込んだときの硬度のことをいう。
マルテンス硬度は、例えば、Fisher社製のFisherScope HM2000により測定することができる。
<保護層の表面形状>
本実施形態における保護層31の表面形状、即ち、WRa(LML)及びWRa(LMH)は、以下の手順(I)〜(V)により測定される。
(I)表面粗さ・輪郭形状測定機を用いて、保護層の表面粗さを測定して、第一の一次元データ配列を取得する。
(II)第一の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分(HHH)から、2番目の周波数成分(HHL)、3番目の周波数成分(HMH)、4番目の周波数成分(HML)、5番目の周波数成分(HLH)及び最低周波数成分(HLL)に至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−1)を実施する。
(III)6個の周波数成分の中で最低周波数成分(HLL)の一次元データ配列に対してデータ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きして、第二の一次元データ配列を取得する。
(IV)第二の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分(LHH)から、2番目の周波数成分(LHL)、3番目の周波数成分(LMH)、4番目の周波数成分(LML)、5番目の周波数成分(LLH)及び最低周波数成分(LLL)に至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−2)を実施する。
(V)(II)及び(IV)で分離された12個の周波数成分の算術平均粗さWRaのうち、WRa(HLL)を除く11個の算術平均粗さWRa(LLL)、WRa(LLH)、WRa(LML)、WRa(LMH)、WRa(LHL)、WRa(LHH)、WRa(HLH)、WRa(HML)、WRa(HMH)、WRa(HHL)及びWRa(HHH)の対数を左から右に順にプロットして線で結ぶことで得られるプロファイルからWRa(LML)及びWRa(LMH)を規定する。
本実施形態における保護層31の表面形状、即ち、WRa(LML)及びWRa(LMH)は、以下の手順(I)〜(V)により測定される。
(I)表面粗さ・輪郭形状測定機を用いて、保護層の表面粗さを測定して、第一の一次元データ配列を取得する。
(II)第一の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分(HHH)から、2番目の周波数成分(HHL)、3番目の周波数成分(HMH)、4番目の周波数成分(HML)、5番目の周波数成分(HLH)及び最低周波数成分(HLL)に至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−1)を実施する。
(III)6個の周波数成分の中で最低周波数成分(HLL)の一次元データ配列に対してデータ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きして、第二の一次元データ配列を取得する。
(IV)第二の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分(LHH)から、2番目の周波数成分(LHL)、3番目の周波数成分(LMH)、4番目の周波数成分(LML)、5番目の周波数成分(LLH)及び最低周波数成分(LLL)に至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−2)を実施する。
(V)(II)及び(IV)で分離された12個の周波数成分の算術平均粗さWRaのうち、WRa(HLL)を除く11個の算術平均粗さWRa(LLL)、WRa(LLH)、WRa(LML)、WRa(LMH)、WRa(LHL)、WRa(LHH)、WRa(HLH)、WRa(HML)、WRa(HMH)、WRa(HHL)及びWRa(HHH)の対数を左から右に順にプロットして線で結ぶことで得られるプロファイルからWRa(LML)及びWRa(LMH)を規定する。
以下に、保護層31の表面における断面曲線の多重解像度解析について詳しく説明する。本実施形態では、まず、保護層31の表面粗さについて、JIS B0601に定める断面曲線を求め、その一次元データ配列(第一の一次元データ配列)を得る。
一次元データ配列は、表面粗さ・輪郭形状測定機からデジタル信号として得てもよく、あるいは、表面粗さ・輪郭形状測定機のアナログ出力をA/D変換して得てもよい。
本実施形態において、一次元データ配列を得るための断面曲線の測定長さは、JIS規格に定める測定長さであることが好ましく、具体的には、8mm以上25mm以下であることが好ましい。また、一次元データ配列のサンプリング間隔は、1μm以下であることが好ましく、0.2μm以上0.5μm以下であることがさらに好ましい。
例えば、測定長12mmをサンプリング点数30720点で測定する場合、サンプリング間隔は0.390625μmとなり、好適である。
次に、第一の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分(HHH)から最低周波数成分(HLL)に至る6個の周波数成分[(HHH)(HHL)(HMH)(HML)(HLH)(HLL)]に分離する多重解像度解析(MRA−1)を実施する。
更に、最低周波数成分(HLL)の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きして、第二の一次元データ配列を取得する。
次に、第二の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分から最低周波数成分に至る6個の周波数成分[(LHH)、(LHL)(LMH)(LML)(LLH)(LLL)]に分離する多重解像度解析(MRA−2)を実施する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、HHH、HHL、HMH、HML、HLH、HLL、LHH、LHL、LMH、LML、LLH、LLLとは、以下の帯域を意味する。
HHH:凹凸の一周期の長さが0.3μm〜3μmの帯域
HHL:凹凸の一周期の長さが1μm〜6μmの帯域
HMH:凹凸の一周期の長さが2μm〜13μmの帯域
HML:凹凸の一周期の長さが4μm〜25μmの帯域
HLH:凹凸の一周期の長さが10μm〜50μmの帯域
HLL:凹凸の一周期の長さが24μm〜99μmの帯域
LHH:凹凸の一周期の長さが26μm〜106μmの帯域
LHL:凹凸の一周期の長さが53μm〜183μmの帯域
LMH:凹凸の一周期の長さが106μm〜318μmの帯域
LML:凹凸の一周期の長さが214μm〜551μmの帯域
LLH:凹凸の一周期の長さが431μm〜954μmの帯域
LLL:凹凸の一周期の長さが867μm〜1654μmの帯域
次に、(II)及び(IV)で分離された各周波数成分(12個)の算術平均粗さWRaを求める。
HHL:凹凸の一周期の長さが1μm〜6μmの帯域
HMH:凹凸の一周期の長さが2μm〜13μmの帯域
HML:凹凸の一周期の長さが4μm〜25μmの帯域
HLH:凹凸の一周期の長さが10μm〜50μmの帯域
HLL:凹凸の一周期の長さが24μm〜99μmの帯域
LHH:凹凸の一周期の長さが26μm〜106μmの帯域
LHL:凹凸の一周期の長さが53μm〜183μmの帯域
LMH:凹凸の一周期の長さが106μm〜318μmの帯域
LML:凹凸の一周期の長さが214μm〜551μmの帯域
LLH:凹凸の一周期の長さが431μm〜954μmの帯域
LLL:凹凸の一周期の長さが867μm〜1654μmの帯域
次に、(II)及び(IV)で分離された各周波数成分(12個)の算術平均粗さWRaを求める。
ここで、一般の算術平均粗さRaと区別するために、本明細書及び特許請求の範囲では、ウェーブレット変換して分離された周波数成分の算術平均粗さをWRaと称することとする。
本実施形態においては、ソフトウエアMATLABを使用して、一次元データ配列をウェーブレット変換する。
各周波数成分の帯域の定義は、ソフトウエア上の制約であって、この定義する範囲に格別の意味はない。
そして、HMLとHLH、LHLとLMH、LMHとLML、LMLとLLH、LLHとLLLの個々の帯域がオーバーラップしているが、その理由は、以下の通りである。
すなわち、多重解像度解析では、元の信号をウェーブレット変換(Level 1)して、L(Low−pass Components)とH(High−pass Components)に分離し、更に、このLに関して、ウェーブレット変換して、LLとHLに分離する。ここで、元の信号に含まれる周波数fが分離する周波数Fと一致した場合は、fは、丁度分離する境界になるので、LとHに分離した後は、LとHの両方に分離される。この現象は、多重解像度解析では不可避な現象である。そこで、観察したい周波数成分の帯域がウェーブレット変換する際に、分離されてしまわないように、元の信号に含まれる周波数を設定することも重要である。
[多重解像度解析、各周波数成分の略号]
本実施形態では、多重解像度解析を2回実施するが、一回目の多重解像度解析をMRA−1、二回目の多重解像度解析をMRA−2と呼ぶことにする。MRA−1とMRA−2を区別するため、便宜上、各周波数成分の略号に接頭語として、H(一回目)とL(二回目)を付ける。
本実施形態では、多重解像度解析を2回実施するが、一回目の多重解像度解析をMRA−1、二回目の多重解像度解析をMRA−2と呼ぶことにする。MRA−1とMRA−2を区別するため、便宜上、各周波数成分の略号に接頭語として、H(一回目)とL(二回目)を付ける。
ここで、MRA−1及びMRA−2に使用するマザーウェーブレット関数としては、各種のウェーブレット関数を使用することができ、例えば、ドビッシー(Daubecies)関数、ハール(haar)関数、メーヤー(Meyer)関数、シムレット(Symlet)関数、コイフレット(Coiflet)関数等を使用することができる。
ここで、Daubeciesはドベシィ又はドブシーと表記することがある。
本実施形態では、ハール関数を用いているが、ハール関数を用いなくてもよい。
本実施形態において、MRA−1で得た最低周波数成分(HLL)の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きする。この場合、データ配列数が1/10を超えるように間引きすると、データの周波数を高くする(横軸の対数目盛幅を拡げる)効果が少なく、MRA−2を実施しても、データがよく分離されない。また、データ配列数が1/100未満になるように間引きすると、データの周波数が高くなりすぎ、MRA−2を実施しても、データが高周波成分に集中してよく分離されない。
例えば、MRA−1で得た最低周波数成分(HLL)の一次元データ配列の配列数が30000であった場合、データ配列数が1/10に減少するように間引きすると、データ配列数が3000になる。
また、例えば、データ配列数が1/100に減少するように間引きする場合、100個のデータの平均値を求め、その平均値を代表の1点とする。
図2に、本実施形態で用いる保護層の表面形状の評価装置の一例を示す。
図2中、1は、感光体であり、42は、表面粗さを測定するプローブ付き治具であり、43は、感光体1に沿って、プローブ付き治具42を移動させる機構であり、44は、表面粗さ・輪郭形状測定機であり、45は、信号を解析するパーソナルコンピューターである。
パーソナルコンピューター45によって、MRA−1及びMRA−2が実施される。感光体1がシリンダー形状である場合、感光体1の表面粗さは、周方向又は長手方向の適当な方向に計測することができる。
図2の保護層の表面形状の評価装置は、一例であり、他の構成であっても構わない。
例えば、MRA−1及びMRA−2を、パーソナルコンピューター45ではなく、専用の数値計算プロセッサで実施してもよい。また、MRA−1及びMRA−2を表面粗さ・輪郭形状測定機44で実施してもよい。
保護層31の表面形状の評価結果の表示方法としては、各種方法を使用することが可能である。
例えば、保護層31の表面形状の評価結果を、CRTや液晶の画面に表示してもよいし、あるいは、印字出力してもよい。また、保護層31の表面形状の評価結果を、他の装置に電気信号として送信してもよいし、USBメモリやMOディスクに保存してもよい。
本実施形態においては、表面粗さ・輪郭形状測定機44として、東京精密社製Surfcom 1400Dを使用し、パーソナルコンピューター45としては、IBM社製パーソナルコンピューターを使用し、Surfcom 1400DとIBM社製パーソナルコンピューターの間を、RS−232−Cケーブルで接続することができる。
Surfcom 1400Dからパーソナルコンピューターに送られた保護層31の表面粗さのデータの処理とMRA−1及びMRA−2は、本発明者等がC言語で作成したソフトウエアで実施することができる。
次に、保護層31の表面形状の評価手順について具体的に説明する。
まず、保護層31の表面粗さを東京精密社製Surfcom 1400Dで測定して、第一の一次元データ配列を取得する。ここで、保護層31の表面粗さは、測定長12mm、総サンプリング点数30720の条件で、4ヶ所測定する。次に、測定結果をパーソナルコンピューターに取り込んだ後、本発明者等が作成したプログラムにより、第一の一次元データ配列をウェーブレット変換して、MRA−1を実施する。さらに、最低周波数成分(HLL)の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/40に減少するように間引きして、第二の一次元データ配列を取得した後、第二の一次元データ配列をウェーブレット変換して、MRA−2を実施する。次に、MRA−1及びMRA−2で分離された12個の周波数成分の算術平均粗さRa、最大高さRmax、十点平均粗さRzを求める。
図3に、保護層31の表面形状の評価結果の一例を示す。
図3(a)のグラフは、Surfcom 1400Dで測定して得られる元のデータであり、断面曲線と呼ぶ場合もある。
図3には、14個のグラフがあるが、縦軸は、表面形状の変位[μm]であり、横軸は、長さであり、目盛りを記載していないが、測定長は12mmである。
一般の表面粗さは、図3(a)から求められる算術平均粗さRa、最大高さRmax、Rz等である。
図3(b)の6個のグラフは、MRA−1の結果であり、最も上にあるグラフ101が、最高周波数成分(HHH)のグラフであり、最も下にあるグラフ106が、最低周波数成分(HLL)のグラフである。また、グラフ102〜105は、それぞれ2〜5番目の周波数成分(HHL、HMH、HML、HLH)である。
本実施形態では、保護層31の表面粗さを測定して取得される第一の一次元データ配列をウェーブレット変換して、周波数帯域によって分離する。これにより、周波数帯域毎のグラフ101〜106(図3(b)参照)が得られるが、グラフ101〜106から、それぞれの周波数帯域における表面粗さを求める。
ここで、表面粗さとしては、算術平均粗さ、最大高さ、十点平均粗さを計算することが可能である。
図3(b)には、それぞれのグラフに、算術平均粗さWRa、最大高さWRmax、十点平均粗さWRzの数値を示している。
本実施形態では、表面粗さ・輪郭形状測定機で測定したデータをその周波数帯域によって複数のデータに分離するので、各周波数帯域における表面粗さを測定することができる。
さらに、本実施形態では、最低周波数成分(HLL)の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100、好ましくは1/40に減少するように間引きして、第二の一次元データ配列を取得する。
本実施形態では、間引きをどのようにするか、すなわち、何個のデータから取り出すかを実験によって決めればよく、間引き数を最適にすることによって、MRA−2における周波数帯域による分離を最適化することが可能となり、目的とする周波数をその帯域の中心にとることが可能になる。
本実施形態では、第二の一次元データ配列をウェーブレット変換して、MRA−2を実施する。
図3(c)の6個のグラフは、MRA−2の結果であり、最も上にあるグラフ107が、最高周波数成分(LHH)のグラフであり、最も下にあるグラフ112が、最低周波数成分(LLL)のグラフである。また、グラフ108〜111は、それぞれ2〜5番目の周波数成分(LHL、LMH、LML、LLH)である。
表1に、MRA−1及びMRA−2を実施することにより、分離された各周波数成分の算術平均粗さWRa、最大高さWRmax、十点平均粗さWRzの一例を示す。
ここで、WRa(HLL)は、算術上、突出した値になるため、省略している。
本実施形態では、上記のプロファイルを表面粗さスペクトルと称する。
尚、LLL、LLH、LML、LMH、LHL及びLHHは、省略するHLL由来であり、HLLに関する情報が反映されるため、HLLを省略しても問題にはならない。
図4に、表面粗さスペクトルの一例を示す。
本実施形態では、表面粗さスペクトルから規定されるWRa(LML)及びWRa(LHL)を用いて、保護層31の表面形状を判断する。
<画像形成装置>
図5に、本実施形態の画像形成装置(電子写真装置)の一例を示す。なお、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図5に、本実施形態の画像形成装置(電子写真装置)の一例を示す。なお、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
感光体1は、ドラム状であるが、シート状、エンドレスベルト状等であってもよい。
帯電手段としての、帯電チャージャ3、転写前チャージャ7、転写手段としての、転写チャージャ10、分離チャージャ11、クリーニング前チャージャ13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラ等の公知の手段が用いられる。
なお、分離チャージャ11を省略してもよいし、転写チャージャ10の代わりに、転写ローラを用いてもよい。
露光手段としての、画像露光部5、除電ランプ2の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を用いることができる。
このとき、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
画像露光部5、除電ランプ2の他に、転写手段、除電手段、クリーニング手段に光源を設けてもよいし、あるいは、前露光手段をさらに設けてもよい。
図5中、符号4は、イレーサを示し、符号8は、レジストローラを示し、符号12は、分離爪を示す。
現像手段としての、現像ユニット6により供給されたトナーで感光体1上に現像されたトナー像は、被転写体としての、被転写紙9に転写されるが、トナーの全てが転写されるわけではなく、一部のトナーが感光体1上に残留する。感光体1上に残留したトナーは、クリーニング手段としての、ファーブラシ14及び/又はクリーニングブレード15により、感光体1から除去される。
図6に、クリーニングブレード15の一例を示す。
クリーニングブレード15の感光体1の外周面と接触する接触端とは反対側の基端は、L字型のブレードホルダ52によって保持されている。ブレードホルダ52は、保持板53にねじ54によって固定されている。保持板53は、枠体55によって、枢軸56を回転中心として、回転自在に支持されている。カウンターウエイト57は、保持板53の回転中心である基端53Aから遠い位置にある他端53Bの近傍に固定されている。ばね58は、一端が保持板53の他端53Bに、他端が枠体55にそれぞれ係止され、保持板53の他端53Bに矢印59の方向の緊縮力を付与する。即ち、ばね58は、クリーニングブレード15を感光体1に接触させる方向の復元力を付与する。ばね58のばね定数は、感光体1が等速回転する際に、カウンターウエイト57の重量が付与する接触点Pにおける接触力を、感光体1の回転速度の急峻な変化又は高速回転に伴って急峻に変動する保持板53の振動の変化に対して、十分に応答することができるように設定されている。
感光体1の回転が停止しているとき、クリーニングブレード15が接触点Pで感光体1から付与されている接触力は、ばね58の矢印59の方向への緊縮力に基づいて、保持板53に付与される力と釣り合う力である。
一方、感光体1が矢印1Aの方向に回転を開始し、定常回転速度に達する際の急峻な加速過程において、クリーニングブレード15には、接触点Pにおける動摩擦力に重畳されて、感光体1の加速に基づく感光体1の偏心運動等による振動力が作用する。動摩擦力は、保持板53に、図6中、時計方向の力を与え、振動力は、保持板53に振動性の力を与える。これらの力に基づいて、クリーニングブレード15を変形させようとする作用エネルギーは、応答性の高いばね58の伸縮運動によって吸収され、クリーニングブレード15の変形が抑制されるため、感光体1の外周面とクリーニングブレード15との接触状態が保持される。
感光体1が定常回転状態から回転停止状態に達する際の急峻な減速過程において、クリーニングブレード15には、感光体1の減速に基づく感光体1の偏心運動等による振動力が作用する。クリーニングブレード15を変形させようとする作用エネルギーは、前述と同様に、ばね58の伸縮運動によって吸収される。
感光体1が定常回転している際も、振動に基づく前述の作用エネルギーは、ばね58によって吸収される。
本実施形態において、ブレードクリーニングユニットは、図6の構成に限らず、例えば、ブレードホルダ52の他端に直接ばね18が係止されていてもよい。
図7に、クリーニングブレード15の位置関係を示す。
クリーニングブレード15の幅方向(エア面)の荷重をfx、厚み方向(カット面)の荷重をfy、クリーニングブレード15と感光体1との接触角をθとすると、感光体1の回転駆動方向に対するクリーニングブレード15の接線方向の力(接線力)Ftと、垂直方向の力(法線力)Fnは、それぞれ式(1)及び式(2)から算出される。
Ft=fx・cosθ−fy・sinθ・・・(1)
Fn=fx・sinθ+fy・cosθ・・・(2)
接線力Ftは、感光体1とクリーニングブレード15との剪断力を表し、法線力Fnは、感光体1とクリーニングブレード15との圧縮力を表す。
Fn=fx・sinθ+fy・cosθ・・・(2)
接線力Ftは、感光体1とクリーニングブレード15との剪断力を表し、法線力Fnは、感光体1とクリーニングブレード15との圧縮力を表す。
剪断力と圧縮力の合力の大きさは、クリーニングブレード15が感光体1の表面に及ぼす圧接力に相当する。
圧接力の方向は、式(3)から見積もられる。
arctan(Ft/Fn)・・・(3)
感光体1に接触するクリーニングブレード15には、圧縮力を伴う剪断力が生じる。圧縮力と剪断力は、クリーニングブレード15の圧縮と感光体1の回転駆動によって発生する。クリーニングブレード15は、剪断力が強すぎると、めくれてしまう。また、クリーニングブレード15の剪断力が弱すぎると、トナーや潤滑剤のすり抜けが生じる。
感光体1に接触するクリーニングブレード15には、圧縮力を伴う剪断力が生じる。圧縮力と剪断力は、クリーニングブレード15の圧縮と感光体1の回転駆動によって発生する。クリーニングブレード15は、剪断力が強すぎると、めくれてしまう。また、クリーニングブレード15の剪断力が弱すぎると、トナーや潤滑剤のすり抜けが生じる。
式(3)から、合力の向きが56°以上である場合に、クリーニングブレード15は、めくれてしまい、35°以下である場合に、トナーのすり抜けが生じる事例が得られている。
一方、クリーニングブレード15が感光体1の表面に及ぼす圧接力を評価する際には、クリーニングブレード15が接触している感光体1を回転駆動させ、感光体1のトルクを感光体1の圧接力として評価するのが実際的である。
感光体1のトルクの算出方法を以下に説明する。まず、モータ電流の実効値をオシロスコープで計測し、モータの定格電流の百分率を算出する。次に、モータの定格トルクに百分率をかけたものをモータ軸トルクとする。そして、モータを用い、ギアを介して、感光体1を回転駆動させるギアの減速比にモータ軸トルクをかけたものを、トルクとして算出する。
トルクは、画像形成装置を用いることで、評価することができる。
図8に、クリーニングブレードの押し込み量と感光体のトルクの関係を示す。
図8を参照すると、ばね18を有さない場合、クリーニングブレードの押し込み量に対し、感光体のトルクが直線的に増加している。しかしながら、クリーニングブレードの押し込み量が3.0mmを超えると、クリーニングブレードがめくれるため、上記の関係を維持することができなくなる。
一方、ばね18を有する場合、ばね18を有さない場合と比較すると、クリーニングブレードの押し込み量に対し、感光体のトルクが緩やかに増加している。これは、ばね18の復元力が影響しているためである。ただし、クリーニングブレードの押し込み量が1.0mm未満である場合又は3.0mmを超える場合には、ばね18が正常に作用しないため、上記の関係を維持することができなくなる。
図8中の関係式は、クリーニングブレードの押し込み量xと感光体のトルクyの関係(点線部)を示す式である。この関係式の傾きと切片は、例えば、ばね18の長さやばね18の弾性力により変化するため、特に限定されるものではない。
本実施形態では、クリーニングブレードの押し込み量に対する感光体のトルクの変化が小さい状態で画像を形成することが好ましい。
具体的には、クリーニングブレード15の押し込み量[mm]の変化量に対する感光体1のトルク[kgf・cm]の変化量の比が0.425以下であることが好ましく、0.300以下であることがさらに好ましい。クリーニングブレード15の押し込み量[mm]の変化量に対する感光体1のトルク[kgf・cm]の変化量の比が0.300以下であることにより、変質した潤滑剤を除去しやすくなる。
図9に、本実施形態の潤滑剤塗布手段の一例として、潤滑剤塗布装置を示す。
図9に示す潤滑剤塗布装置は、回転するファーブラシ等の塗布ブラシ3Bを介し、潤滑剤3Aを感光体1へ塗布する。塗布ブラシ3Bは、潤滑剤3Aと接触して回転し、その一部を削ぎ取る。削ぎ取られた潤滑剤3Aが付着した塗布ブラシ3Bが回転し、感光体1に潤滑剤3Aが塗布される。感光体1に塗布された潤滑剤3Aは、塗布ブレード3Cによって感光体1の表面に広げられる。
潤滑剤3Aとしては、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸金属塩が一般的である。これらは、代表的なラメラ結晶の粉体であるが、このような物質を潤滑剤3Aとして使用することは好適である。ラメラ結晶は、両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有しており、せん断力が加わると、層間にそって結晶が割れて滑りやすい。このため、感光体1とクリーニングブレード15の摩擦係数を低下させることができる。せん断力を受けて均一に感光体1の表面を覆っていくラメラ結晶の特性により、少量の潤滑剤3Aで効果的に感光体1の表面を覆うことができる。
潤滑剤3Aを塗布する場合、潤滑剤3Aの塗布状態を制御する方法としては、様々な方法がある。
例えば、潤滑剤3Aと塗布ブラシ3Bとの接触圧力を高めたり、塗布ブラシ3Bの回転速度を制御したりする方法が挙げられる。
また、画像形成情報に応じて、塗布ブラシ3Bの回転数を制御する方法も挙げられる。
図10に、本実施形態の画像形成装置の他の例として、潤滑剤を用いる画像形成装置を示す。
図10の画像形成装置では、潤滑剤3Aは、塗布ブラシ3Bにより、感光体1の表面に塗布された後、塗布ブレード3Cによって感光体1の表面に広げられる。次に、帯電チャージャ3としての、帯電ローラ、露光手段及び現像ユニット6により、感光体1の表面にトナー像が形成された後、転写ローラ10'により、被転写紙9にトナー像が転写される。最後に、感光体1の表面に残留したトナーは、クリーニングブレード15により除去されるサイクルを経る。
感光体1の表面には、潤滑剤3Aが塗布されることに加え、トナーが供給されるため、潤滑剤3Aは、トナーと混合された状態で存在する。
なお、帯電ローラをクリーニングするクリーナが接触して設けられていてもよい。
また、感光体1の表面に形成されたトナー像を中間転写体に転写した後、被転写紙9に転写してもよい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、部は、質量部を意味する。
<実施例1>
−感光体の作製−
肉厚2mm、長さ380mm、外径100mmのアルミニウムドラムに、下記組成の下引き層用塗布液、電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液を順次塗布した後、乾燥させる操作を繰り返し、厚さ3.5μmの下引き層、厚さ0.2μmの電荷発生層、厚さ27μmの電荷輸送層を形成した。
−感光体の作製−
肉厚2mm、長さ380mm、外径100mmのアルミニウムドラムに、下記組成の下引き層用塗布液、電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液を順次塗布した後、乾燥させる操作を繰り返し、厚さ3.5μmの下引き層、厚さ0.2μmの電荷発生層、厚さ27μmの電荷輸送層を形成した。
〔下引き層用塗布液〕
・アルキッド樹脂溶液(ベッコライト M6401−50,大日本インキ化学工業社製)12部
・メラミン樹脂溶液(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)8.0部
・酸化チタン(CR−EL,石原産業社製)40部
・メチルエチルケトン200部
〔電荷発生層用塗布液〕
・チタニルフタロシアニン顔料15部
・ポリビニルブチラール(エスレックBX−1,積水化学社製)10部
・メチルエチルケトン600部
〔電荷輸送層用塗布液〕
・Z型ポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成社製)14部
・化学式
・アルキッド樹脂溶液(ベッコライト M6401−50,大日本インキ化学工業社製)12部
・メラミン樹脂溶液(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)8.0部
・酸化チタン(CR−EL,石原産業社製)40部
・メチルエチルケトン200部
〔電荷発生層用塗布液〕
・チタニルフタロシアニン顔料15部
・ポリビニルブチラール(エスレックBX−1,積水化学社製)10部
・メチルエチルケトン600部
〔電荷輸送層用塗布液〕
・Z型ポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成社製)14部
・化学式
・テトラヒドロフラン100部
・1質量%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製)のテトラヒドロフラン溶液1部
次に、得られたドラムに、回転速度170rpm、吹きつけ速度11mm/s、吹きつけ圧力5.0kgf/cm2、吐出量3ccの条件で、下記組成の保護層用塗布液をスプレー塗布した後、4分間指触乾燥させた。続いて、指触乾燥したドラムを、UVランプから120mmの距離を隔てて、ドラムを回転させながら1回目の架橋を2秒間実施した。このとき、UVランプの照度を550mW/cm2、ドラムの回転速度は25rpmとした。なお、UVランプの照度は、紫外線積算光量計(UIT−150,ウシオ社製)による測定値である。また、1回目の架橋を実施する際、ドラム内に30℃の水を循環させた。
〔保護層用塗布液〕
・化学式
・化学式
・トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA,日本化薬社製)21部
・カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA−120,日本化薬社製)21部
・アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとプロポキシ変性−2−ネオペンチルグリコールジアクリレートの混合物(BYK−UV3570,ビックケミー社製)0.1部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184,チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)4部
・α−アルミナ(スミコランダムAA−03,住友化学工業社製)7部
・分散剤(BYK−P104,ビックケミー社製)0.2部
・テトラヒドロフラン566部
1回目の架橋を実施したドラムに、前述と同じスプレー塗布条件で保護層用塗布液をスプレー塗布した後、4分間指触乾燥させた。続いて、指触乾燥したドラムを、前述と同じ架橋条件で2回目の架橋を2分40秒間実施した。
2回目の架橋を実施したドラムを、130℃にて30分間加熱乾燥させることで、厚さ5μmの保護層を形成し、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.010μmであり、WRa(LMH)が0.001μmであり、マルテンス硬度が223N/mm2であった。
−画像形成装置の作製−
リコー社製RICOH Pro C9110のクリーニング装置を改造し、感光体を搭載することで画像形成装置を得た。具体的には、RICOH Pro C9110に使用されているクリーニング装置を図6の構成に改造した後、感光体を搭載することで画像形成装置を得た。このとき、潤滑剤として、ステアリン酸亜鉛を用いた。
リコー社製RICOH Pro C9110のクリーニング装置を改造し、感光体を搭載することで画像形成装置を得た。具体的には、RICOH Pro C9110に使用されているクリーニング装置を図6の構成に改造した後、感光体を搭載することで画像形成装置を得た。このとき、潤滑剤として、ステアリン酸亜鉛を用いた。
クリーニング装置を取り付ける際に、厚さ0.5mmのスペーサーを使用し、65mm伸張時の荷重が12.1Nのばねを使用することで、感光体へのクリーニングブレードの押し込み量が1.0mmとなるように調整した。このとき、クリーニングブレードの押し込み量[mm]の変化量に対する感光体のトルク[kgf・cm]の変化量の比は0.132であった。
なお、クリーニングブレードは、素材がウレタンゴムであり、23℃における硬度が70〜75度であり、反発弾性率が50〜68%であり、幅360mm、奥行き14mm、厚さ2mmである。
<実施例2>
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さと、ばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が0.5mmになるように調整した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.050であった。
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さと、ばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が0.5mmになるように調整した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.050であった。
<実施例3>
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が3.0mmになるように調整した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.298であった。
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が3.0mmになるように調整した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.298であった。
<実施例4>
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が4.0mmになるように調整した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.425であった。
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が4.0mmになるように調整した以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.425であった。
<実施例5>
−感光体の作製−
2回目の架橋を1分30秒実施した以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.010μmであり、WRa(LMH)が0.001μmであり、マルテンス硬度が175N/mm2であった。
−感光体の作製−
2回目の架橋を1分30秒実施した以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.010μmであり、WRa(LMH)が0.001μmであり、マルテンス硬度が175N/mm2であった。
−画像形成装置の作製−
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
<実施例6>
−感光体の作製−
保護層用塗布液に含まれるα−アルミナ(スミコランダムAA−03,住友化学工業社製)を除いた以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.010μmであり、WRa(LMH)が0.001μmであり、マルテンス硬度が203N/mm2であった。
−感光体の作製−
保護層用塗布液に含まれるα−アルミナ(スミコランダムAA−03,住友化学工業社製)を除いた以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.010μmであり、WRa(LMH)が0.001μmであり、マルテンス硬度が203N/mm2であった。
−画像形成装置の作製−
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
<実施例7>
−感光体の作製−
1回目の架橋を6秒実施した以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.039μmであり、WRa(LMH)が0.003μmであり、マルテンス硬度が222N/mm2であった。
−感光体の作製−
1回目の架橋を6秒実施した以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.039μmであり、WRa(LMH)が0.003μmであり、マルテンス硬度が222N/mm2であった。
−画像形成装置の作製−
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
<実施例8>
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が0.5mmになるように調整した以外は、実施例7と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.050であった。
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が0.5mmになるように調整した以外は、実施例7と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.050であった。
<実施例9>
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が3.0mmになるように調整した以外は、実施例7と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.298であった。
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が3.0mmになるように調整した以外は、実施例7と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.298であった。
<実施例10>
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が4.0mmになるように調整した以外は、実施例7と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.425であった。
−画像形成装置の作製−
スペーサーの厚さとばねの弾性力を調整し、クリーニングブレードの押し込み量が4.0mmになるように調整した以外は、実施例7と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.425であった。
<実施例11>
−感光体の作製−
2回目の架橋を1分30秒実施した以外は、実施例7と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.039μmであり、WRa(LMH)が0.003μmであり、マルテンス硬度が177N/mm2であった。
−感光体の作製−
2回目の架橋を1分30秒実施した以外は、実施例7と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.039μmであり、WRa(LMH)が0.003μmであり、マルテンス硬度が177N/mm2であった。
−画像形成装置の作製−
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
<実施例12>
−感光体の作製−
1回目の架橋を6秒実施した以外は、実施例6と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.038μmであり、WRa(LMH)が0.002μmであり、マルテンス硬度が202N/mm2であった。
−感光体の作製−
1回目の架橋を6秒実施した以外は、実施例6と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.038μmであり、WRa(LMH)が0.002μmであり、マルテンス硬度が202N/mm2であった。
−画像形成装置の作製−
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
<比較例1>
−感光体の作製−
1回目の架橋を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.002μmであり、WRa(LMH)が0.001μmであり、マルテンス硬度が223N/mm2であった。
−感光体の作製−
1回目の架橋を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.002μmであり、WRa(LMH)が0.001μmであり、マルテンス硬度が223N/mm2であった。
−画像形成装置の作製−
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
<比較例2>
−感光体の作製−
1回目の架橋を7秒実施した以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.154μmであり、WRa(LMH)が0.056μmであり、マルテンス硬度が221N/mm2であった。
−感光体の作製−
1回目の架橋を7秒実施した以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。このとき、感光体は、表面粗さスペクトルから規定される、WRa(LML)が0.154μmであり、WRa(LMH)が0.056μmであり、マルテンス硬度が221N/mm2であった。
−画像形成装置の作製−
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
得られた感光体を用いた以外は、実施例1と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
<比較例3>
−画像形成装置の作製−
クリーニング装置において、ばねの代わりに、金属板を用いた以外は、実施例2と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
−画像形成装置の作製−
クリーニング装置において、ばねの代わりに、金属板を用いた以外は、実施例2と同様にして、画像形成装置を得た。このとき、クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比は0.132であった。
(保護層の表面形状)
表面粗さ・輪郭形状測定機(東京精密社製,Surfcom 1400D)を用い、ピックアップ:E−DT−S02Aを取り付け、測定長さ12mm、総サンプリング点数30,720、測定速度0.06mm/sの条件で、保護層の表面粗さを測定して、第一の一次元データ配列を取得した。
表面粗さ・輪郭形状測定機(東京精密社製,Surfcom 1400D)を用い、ピックアップ:E−DT−S02Aを取り付け、測定長さ12mm、総サンプリング点数30,720、測定速度0.06mm/sの条件で、保護層の表面粗さを測定して、第一の一次元データ配列を取得した。
取得した一次元データ配列をウェーブレット変換して、HHHからHLLに至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−1)を実施した。更に、HLLの一次元データ配列に対して、データ配列数が1/40に減少するように間引きした第二の一次元データ配列を取得した。取得した第二の一次元データ配列をウェーブレット変換して、LHHからLLLに至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−2)を実施した。そして、得られた合計12個の各周波数成分の算術平均粗さを計算した。12個の周波数成分の算術平均粗さWRaのうち、WRa(HLL)を除く11個の算術平均粗さWRa(LLL)、WRa(LLH)、WRa(LML)、WRa(LMH)、WRa(LHL)、WRa(LHH)、WRa(HLH)、WRa(HML)、WRa(HMH)、WRa(HHL)及びWRa(HHH)を順に等間隔で対数プロットして線で結ぶことで、表面粗さスペクトルを作成した。
保護層の表面粗さは、一つの感光体につき、70mm間隔で4箇所測定し、それぞれの箇所に対して、各周波数成分の算術平均粗さを計算した。
なお、ウェーブレット変換には、MATLAB(The MathWorks社製)のWavelet Toolboxをそのまま利用した。上述の通り、本実施例では、2度ウェーブレット変換した。4箇所の各周波数成分の算術平均粗さの平均値を、各周波数成分の算術平均粗さWRaとした。
(保護層のマルテンス硬度)
Fisher社製のFisherScope HM2000を使用し、保護層のマルテンス硬度を測定した。このとき、ビッカース圧子を用いて、最大荷重0.25mNで30秒間押し込んだときの硬度をマルテンス硬度とた。
Fisher社製のFisherScope HM2000を使用し、保護層のマルテンス硬度を測定した。このとき、ビッカース圧子を用いて、最大荷重0.25mNで30秒間押し込んだときの硬度をマルテンス硬度とた。
(クリーニングブレードの押し込み量の変化量に対する感光体のトルクの変化量の比)
クリーニングブレードを感光体に押し込んだ際に生じる感光体のトルクをトルクモーターから読み取り、クリーニングブレードの押し込み量を変化させて感光体のトルクを読み取ることで作成した検量線から、上記の比を算出した。
クリーニングブレードを感光体に押し込んだ際に生じる感光体のトルクをトルクモーターから読み取り、クリーニングブレードの押し込み量を変化させて感光体のトルクを読み取ることで作成した検量線から、上記の比を算出した。
次に、画像形成装置の画像ボケ及び感光体の表面の潤滑剤の残存量を評価した。
(画像ボケ)
トナーとしては、RICOH ProトナーC9110を使用し、用紙としては、A4用紙のリコー社製・マイペーパーを使用し、25℃、55%RHの環境下で、画像濃度が5%となるハーフトーン画像パターンを100万枚出力した。
トナーとしては、RICOH ProトナーC9110を使用し、用紙としては、A4用紙のリコー社製・マイペーパーを使用し、25℃、55%RHの環境下で、画像濃度が5%となるハーフトーン画像パターンを100万枚出力した。
次に、画像形成装置を32℃、54%RHの環境下で8時間放置した後、23℃、54%RHの環境下で、上記のハーフトーン画像パターンを3枚連続で出力し、帯電機の直下に該当する部分のドット形成状態を目視及び顕微鏡で確認し、画像ボケを評価し、以下の判定条件で判定した。
◎:ドットが鮮明に解像している場合
○:ドットが解像している場合
×:ドットが解像していない場合
(感光体の表面の潤滑剤の残存量)
画像ボケを評価した後、画像形成装置から感光体を取り出した後、4MPaの圧縮エアーで感光体の表面に残留しているトナーを取り除いた。次に、停止時における感光体のクリーニングブレードと接触している領域の下流側部分を、34mm×34mmのサイズで、長手方向に等間隔で3カ所から、電荷輸送層から保護層に至るフィルムを剥離した。
○:ドットが解像している場合
×:ドットが解像していない場合
(感光体の表面の潤滑剤の残存量)
画像ボケを評価した後、画像形成装置から感光体を取り出した後、4MPaの圧縮エアーで感光体の表面に残留しているトナーを取り除いた。次に、停止時における感光体のクリーニングブレードと接触している領域の下流側部分を、34mm×34mmのサイズで、長手方向に等間隔で3カ所から、電荷輸送層から保護層に至るフィルムを剥離した。
蛍光X線分析装置(ZSX−100e,リガク社製)を用いて、剥離したフィルムの亜鉛元素の蛍光X線強度を測定し、感光体の表面に残存した潤滑剤の残存量を評価した。
表2に、画像形成装置の画像ボケ及び感光体の表面の潤滑剤の残存量の評価結果を示す。
これに対して、比較例1の画像形成装置は、表面粗さスペクトルから規定されるWRa(LML)が0.002μmであるため、画像ボケが発生している。これは、保護層の表面形状が不適切であり、変質した潤滑剤が十分に除去されていないためであると考えられる。
比較例2の画像形成装置は、表面粗さスペクトルから規定されるWRa(LML)が0.154μmであり、WRa(LMH)が0.056μmであるため、画像ボケが発生している。これは、保護層の表面形状が不適切であり、変質した潤滑剤が十分に除去されていないためであると考えられる。
比較例3の画像形成装置は、クリーニング装置において、ばねの代わりに、金属板を用いられているため、画像ボケが発生している。これは、クリーニングブレードが金属板により固定されている状態となっており、保護層の表面とクリーニングブレードの接触条件が不適切となり、変質した潤滑剤が十分に除去されていないためであると考えられる。
以上、本実施形態の画像形成装置は、変質した潤滑剤を十分に除去することができ、画像ボケの発生を抑制することができる。その結果、本実施形態の画像形成装置は、長期に渡って繰り返し使用しても、異常画像の発生を抑制することができ、安定して高品質の画像を形成することが可能である。本実施形態の画像形成装置を用いると、複写機、レーザープリンター、ファクシミリ等に強く要請されている高速化、小型化、カラー化、高画質化に対応することができる。
1 感光体
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
10 転写チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
21 導電性支持体
23 下引き層
27 電荷発生層
29 電荷輸送層
31 保護層
44 表面粗さ・輪郭形状測定機
53 保持板
55 枠体
58 ばね
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
10 転写チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
21 導電性支持体
23 下引き層
27 電荷発生層
29 電荷輸送層
31 保護層
44 表面粗さ・輪郭形状測定機
53 保持板
55 枠体
58 ばね
百武信男,丸山彰久,重崎聡,奥山裕江,Japan Hardcopy Fall Meeting,24−27,2001
Claims (5)
- 感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電手段と、
前記帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光された感光体に形成された静電潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する現像手段と、
前記感光体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記トナー像が転写された感光体をクリーニングするクリーニング手段と、
前記感光体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有し、
前記感光体は、導電性支持体上に感光層が形成されており、表面に保護層が形成されており、
(I)表面粗さ・輪郭形状測定機を用いて、前記保護層の表面粗さを測定して、第一の一次元データ配列を取得し、
(II)前記第一の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分(HHH)から、2番目の周波数成分(HHL)、3番目の周波数成分(HMH)、4番目の周波数成分(HML)、5番目の周波数成分(HLH)及び最低周波数成分(HLL)に至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−1)を実施し、
(III)前記最低周波数成分(HLL)の一次元データ配列に対して、データ配列数が1/10〜1/100に減少するように間引きして、第二の一次元データ配列を取得し、
(IV)前記第二の一次元データ配列をウェーブレット変換して、最高周波数成分(LHH)から、2番目の周波数成分(LHL)、3番目の周波数成分(LMH)、4番目の周波数成分(LML)、5番目の周波数成分(LLH)及び最低周波数成分(LLL)に至る6個の周波数成分に分離する多重解像度解析(MRA−2)を実施し、
(V)前記(II)及び(IV)で分離された12個の周波数成分の算術平均粗さWRaのうち、WRa(HLL)を除く11個の算術平均粗さWRa(LLL)、WRa(LLH)、WRa(LML)、WRa(LMH)、WRa(LHL)、WRa(LHH)、WRa(HLH)、WRa(HML)、WRa(HMH)、WRa(HHL)及びWRa(HHH)を順に等間隔で対数プロットして線で結ぶことで作成されるプロファイルから規定される、WRa(LML)が0.01μm以上0.04μm以下であり、且つ、WRa(LMH)が0.003μm以下であり、
前記クリーニング手段は、クリーニングブレードと、前記クリーニングブレードを保持し、支持部材によって回転自在に支持されているアームと、前記アームに一端を係止され、前記クリーニングブレードを前記感光体に接触させる方向の復元力を付与するばね部材を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記クリーニングブレードの押し込み量[mm]の変化量に対する前記感光体のトルク[kgf・cm]の変化量の比が0.3以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記保護層は、架橋樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記保護層は、マルテンス硬度が200N/mm2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記保護層は、フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017135007A JP2019015927A (ja) | 2017-07-10 | 2017-07-10 | 画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017135007A JP2019015927A (ja) | 2017-07-10 | 2017-07-10 | 画像形成装置 |
Publications (1)
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JP2019015927A true JP2019015927A (ja) | 2019-01-31 |
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ID=65356491
Family Applications (1)
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JP2017135007A Pending JP2019015927A (ja) | 2017-07-10 | 2017-07-10 | 画像形成装置 |
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JP (1) | JP2019015927A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021193678A1 (ja) * | 2020-03-25 | 2021-09-30 | 三菱ケミカル株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置 |
-
2017
- 2017-07-10 JP JP2017135007A patent/JP2019015927A/ja active Pending
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WO2021193678A1 (ja) * | 2020-03-25 | 2021-09-30 | 三菱ケミカル株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置 |
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