JPH07175229A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法

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JPH07175229A
JPH07175229A JP34486093A JP34486093A JPH07175229A JP H07175229 A JPH07175229 A JP H07175229A JP 34486093 A JP34486093 A JP 34486093A JP 34486093 A JP34486093 A JP 34486093A JP H07175229 A JPH07175229 A JP H07175229A
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coating
layer
film
electrophotographic photosensitive
coated
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JP34486093A
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Norio Ito
典夫 伊東
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性のバインダ樹脂を用いた厚膜の電子
写真感光層を浸漬塗工により形成する時、塗工開始部分
の塗膜タレの問題が少ない電子写真感光体の製造方法。 【構成】 浸漬塗工法により厚膜の感光層を設ける際、
厚膜を2回に分けて浸漬塗工する電子写真感光体の製造
方法。この時、一回目と二回目の浸漬塗工の間に、塗工
膜を予備乾燥時間または加熱乾燥をすることが望まし
い。また、感光体は積層型あるいは単層型いずれでもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複写機、プリンタ、ファ
クシミリ等の装置に使用される電子写真感光体の製造法
に関し、特に浸漬塗工法により電子写真感光体を得る場
合の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真プロセスは静電力による潜像の
可視化を行なうものであり、そのプロセスに用いられる
電子写真感光体には良好な帯電性と光照射による迅速な
表面電位の減衰が必要となる。これらの特性を満足する
ものとして従来からセレン、セレン−テルル合金、ヒ化
セレン等の無機化合物から構成された感光体が採用さ
れ、多くの複写機やプリンタ等で用いられてきた。
【0003】しかしながら、これらの材料は環境安全性
の面で若干の問題があり、またアモルファス状態で用い
られるため取扱いが厄介であり、また、数十μmの厚さ
に真空蒸着する必要があるためコストが高い等の欠点が
あり、電子写真感光体としての必要条件を充分に満たし
ているとは云えないものであった。
【0004】これらの欠点を改良するため、有機材料を
用いた電子写真感光体の開発が積極的になされ実用に供
されるようになってきた。実用化された電子写真感光体
の一つに電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)
からなる積層型構成の電子写真感光体があり、専ら負帯
電プロセスに限定して用いられているのが実情である
が、近年正帯電プロセス用に電荷輸送層上に電荷発生層
を設ける構成の提案もある。
【0005】さらにまた、積層型構成の電子写真感光体
は塗工工程が複雑であり、電荷発生材料及び電荷輸送材
料をバインダ樹脂中に一緒に分散し、電荷発生機能と電
荷輸送機能を兼ね備えた単層型の電子写真感光体の提案
もある。
【0006】一般に、電子写真感光体の導電性支持体と
して、エンドレスのベルト状金属箔や金属シリンダ上に
感光層を設ける場合、支持体を塗工液に浸漬し引き上げ
る方法が採用される。例えば、その上に予め形成した電
荷発生層を有する円筒状の導電性支持体を前記のCTL
を含む厚膜塗工液中に浸漬し、浸漬塗工することにより
電荷発生層上に電荷輸送層が形成され積層型感光体とな
る。
【0007】このような電子写真感光体の感光体は、積
層型の場合には1μm以下のCGL層上に10μm以上
のCTLを設け、また、単層型の場合には一層で10μ
m以上の厚膜の塗工が必要である。
【0008】図1は、浸漬塗工法の概略を示す図であ
る。図1(a)は塗工槽3中の塗工液2に被塗工物1を
浸漬した状態、図1(b)は前記被塗工物全体を塗工液
中より引き上げて、被塗工物表面に塗工液層4が付着し
た状態を示す。この後、被塗工物上の塗工液層をオーブ
ンなどで加熱乾燥して、厚膜の塗膜をもた被塗工物が得
られる。この後、再び新しい支持体により、図1(a)
及び(b)の工程が繰り返される。
【0009】電子写真感光体の寿命は、電子写真プロセ
スのクリーニング工程における感光層の摩耗が大きく起
因しており、高耐久化へ向けて日々検討が進められてい
る。厚膜の電子写真感光体のバインダ樹脂として種々の
樹脂が検討されているが、特に所謂エンジニアリングプ
ラスチック、例えばポリカーボネート樹脂等が用いられ
ることが多い。
【0010】この感光層の耐摩耗性をさらに向上させる
ために、耐摩耗性の高い樹脂例えばポリカーボネート樹
脂等の高分子量化や、感光層の厚膜化の方向に開発が進
んでいる。これらの耐摩耗性の高いエンジニアリングプ
ラスチックをバインダ樹脂とする厚膜塗工液は、一般的
な溶剤に対する溶解性が低く、ジクロロメタン(以下M
DCと記す)等の特殊な溶剤を溶媒とすることが多い。
【0011】前記MDCは耐摩耗性の高い樹脂、例えば
ポリカーボネート樹脂等に対しても溶解性が良好で、沸
点も約40℃と低いため塗工時の蒸発が早く、塗膜タレ
(所定の膜厚を得るまでの薄い部分)の生じにくい性質
をもち、さらに低沸点溶剤ながら引火性もなく電子写真
感光体の製造に安全な溶剤である。
【0012】しかし、最近ジクロロメタンなどのハロゲ
ン系の溶剤の環境に及ぼす影響が問題視され始め、一部
のハロゲン系溶剤から規制が始まりつつある。前記MD
Cは、水質汚染防止のために規制が設けられ、今後その
他の環境汚染に対する規制も予想される。前記MDCが
使用可能な間に代替溶媒を見つけ変更する必要がある。
【0013】ここで問題になるのはMDCを使用して
も、浸漬塗工方式で厚膜化を進めると塗工開示部(引上
げ上部)の塗膜タレが長くなってしまうことである。図
2は、塗膜タレを説明する図で、被塗工物表面に浸漬塗
工法で厚膜を設けた時、被塗工物の引上げ上部の塗膜の
膜厚が、下側の所定の膜厚となった部分の膜厚D(安定
膜厚と呼ぶ)になるまでの薄い部分が塗膜タレである。
塗工開始位置から安定膜厚Dより1μm薄い部分までの
距離を塗膜タレ長さLとする。塗膜タレ長さLが短いほ
ど膜厚の立上りが早くタレが小さいことになる。また、
安定膜厚Dの膜厚傾斜の状態を示す下タレMとし、安定
膜厚Dより1μm薄い部分から被塗工物の下端までの傾
斜の水平長さをいう。
【0014】また、耐摩耗性を狙ってバインダ樹脂の高
分子量化をさらにに進めると、固形分に対する電荷輸送
液粘液度が高くなるため固形分濃度を上げられず、やは
り塗工開始部分の塗膜タレが長くなってしまうという問
題がある。これが非ハロゲン系の溶剤、例えばテトラヒ
ドロフラン(以下THFと記す)を使用するとタレの問
題がさらに顕著になる。
【0015】非ハロゲン系溶媒で有力な代替溶媒は、T
HF(沸点66℃)である。THFは溶解力が強く、耐
摩耗性が高い樹脂、例えばポリカーボネート樹脂及びそ
の他の感光体構成材料を充分に溶解できる。しかし、M
DC(沸点40℃)に比較して沸点が約20℃も高く蒸
発速度が遅いため、溶剤がMDCの電子写真用厚膜塗工
液に比較して浸漬塗工開始部のタレが長くなってしまう
欠点を持つ。
【0016】一方、浸漬塗工液の溶剤の面からではな
く、厚膜塗工液の固形部の高濃度化も塗膜タレ抑制効果
が確認されているが、厚膜塗工液の液粘度が上昇するた
め、厚膜塗工液中の除去が難しくなる。
【0017】また、部分的に上端のみ二重(あるいは、
多重)塗工する方法もあるが(特開昭59−80364
号、特開平5−66854号公報など)、塗膜タレ抑制
効果が小さく、溶媒MDCの塗工液の場合なら抑制効果
が小さくてもよいとしても、塗膜のタレの大きなTHF
の場合には効果が不足し、厚膜化は難しい。
【0018】添加剤で塗工液をチクソトロピー化して、
塗膜タレの抑制を行う方法も知られているが、添加量が
1〜5wt%(塗工液比)必要なため、乾燥膜中の添加
剤の比率が高く、感光体としての静電特性の残留電位
(VR)の上昇等の副作用をもたらしたり、あるいは増
粘する為に気泡が抜けにくい等から実用化には至ってい
ない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐摩耗性の
高い樹脂をバインダ樹脂とした厚膜の電子写真感光層を
浸漬塗工法で形成する時、電子感光体の寿命を伸ばすた
めの感光層の厚膜化、あるいは耐摩耗性の高い樹脂の高
分子量化をさらに進めても、塗工開始部分の塗膜タレを
問題のないレベルに抑制した感光層からなる電子写真感
光体の製造方法を提供するものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、浸漬塗
工による電子写真感光体の製造方法において、塗工液中
に非塗工物を浸漬した後、前記非塗工物全体を塗工液よ
り引き上げて1回目の浸漬塗工を行ない、次いで同じ塗
工液中に非塗工物を再度浸漬して後、非塗工物全体を塗
工液中より引き上げて2回目の浸漬塗工を行なう電子写
真感光体の製造方法を提供される。
【0021】また、本発明によれば、前記の1回目の浸
漬塗工の後、塗工槽外に引き上げた状態で塗工液の蒸発
を促す予備乾燥時間をもち、次いで二回目の浸漬塗工を
行なう電子写真感光体の製造方法を提供される。また、
本発明によれば、前記一回目の浸漬塗工の後、加熱乾燥
を行ない、ついで二回目の浸漬塗工を行なう電子感光体
の製造方法を提供される。
【0022】また、本発明によれば、円筒状の導電性支
持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を順次積
層してなる電子写真感光体の製造方法において、浸漬塗
工液が電荷輸送層を形成する塗工液であって、被塗工物
が円筒状の導電性支持体上に少なくとも電荷発生層を予
め形成された被塗工物である電子感光体の製造方法が提
供される。
【0023】また、本発明によれば、円筒状の導電性支
持体上に少なくとも電荷発生機能と電荷輸送機能を兼ね
備える単層型の感光層を成膜してなる電子写真感光体の
製造方法において、浸漬塗工液が単層型の感光層を形成
する塗工液であって、塗工物が円筒状の導電性支持体で
ある電子写真感光体の製造方法が提供される。
【0024】さらに、前記浸漬塗工液の溶媒がテトラヒ
ドロフランまたはテトラヒドロフランを含有する混合溶
剤である電子写真感光体の製造方法が提供される。
【0025】以下、本発明を更に詳細に説明する。浸漬
塗工法で厚膜を得るのに固形分濃度の高い(従って、粘
度の高い)液は塗工液中の気泡の抜けにくく塗膜欠陥と
なり易く、また固形分濃度の低い(従って、粘度の低
い)液では浸漬して引き上げる間に溶剤が蒸発して被塗
工体上の塗工液の粘度が塗膜タレを起さないようになる
までに時間を要し、塗膜タレ長さLが長くなる。これが
非ハロゲン系の溶剤、例えばテトラヒドロフラン(以下
THFと記す)を使用するとタレの問題がさらに顕著に
なる。
【0026】本発明者等は、厚膜の電子写真感光層を浸
漬塗工により形成するときの上述の問題を解決するた
め、浸漬塗工の成膜過程について鋭意検討を行ない、1
回の浸漬塗工で所定の厚膜を得ようとすると長い塗膜タ
レの発生する塗工液を、塗工速度を遅くして浸漬塗工を
行なった場合、膜厚は薄いが塗膜タレの発生しないこと
を知見した。これを発展させて、一回で厚膜を得ようと
すると長い塗膜タレの発生する塗工液を用い、塗工速度
を遅くして浸漬塗工を二回行なって所定の膜厚を得れ
ば、塗膜タレのない厚膜が得られることを見い出し、本
発明を完成するに至った。
【0027】また、二回目の浸漬塗工時の上側層の膜厚
は下側層の膜厚に依存し、下側層の膜厚が厚い方が上側
層の厚膜も厚くなることもわかり、所定の膜厚を二回の
浸漬塗工法で得る場合には、第一回目の塗工液の固形分
濃度が支障のない程度に高濃度の方が良いことも知見し
た。
【0028】また、浸漬塗工方で厚膜を設ける場合、被
塗工物の表面の種類により膜厚の異なることも見い出し
た。例えば、金属表面を直接浸漬塗工した場合と、一旦
浸漬塗工で成膜した上に再度同じ塗工液で浸漬した場合
の膜厚が異なることが判明した。即ち、実験した範囲で
膜厚は金属表面に浸漬した場合の膜厚より、一旦浸漬塗
工液で成膜した上に再塗工した場合の際と後部分の膜厚
の方が厚く、その膜厚は前者の1.8〜2.3倍にな
る。
【0029】このことは、金属表面上に直接厚膜の単層
型感光体を二回の浸漬塗工で設ける場合、塗膜タレを発
生させないで効率よく所定の膜厚を得るための重要な知
見である。またこれは、積層型感光体においても、バイ
ンダ樹脂を用いないで電荷発生層を金属層上に設けた上
に厚膜の電荷移動層を設ける場合にも重要な知見であ
る。
【0030】さらに、塗膜タレは上側層の膜厚の影響が
大きく、ほぼ上側層の塗膜の膜厚で塗膜タレの長さが決
まることと、及び金属上に塗膜に対する塗膜タレより、
塗膜を一回成膜した上に再度塗工した塗膜に対する塗膜
タレの方が小さいことがわかった。
【0031】本発明で用いることができるバインダ樹脂
として、耐摩耗性の高いエンジニアリングプラスチッ
ク、例えばポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド等好ましい
が、その他の樹脂を併用してもよい。ポリカーボネート
樹脂としては一般的なC、A及びZタイプがあるが、好
ましくはZタイプである。これらバインダ樹脂の積層型
の電荷輸送層あるいは単層型の感光層に占める量は30
〜90wt%、好ましくは40〜70wt%である。
【0032】併用されるその他のバインダ樹脂として
は、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、
酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂等の付加重合型樹脂、重付
加型樹脂、重縮合型樹脂、並びにこれらの繰り返しを単
位のうち2つ以上を含む共重合樹脂、例えば、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無
水マレイン酸共重合体樹脂を挙げることができる。
【0033】本発明において、バインダ樹脂には前述し
たような耐摩耗性の高い樹脂、例えばポリカーボネート
樹脂が使用され、その溶剤には非ハロゲン系のものを用
いることが望ましい。非ハロゲン系溶剤の種類は特に限
定されるものではないが、有力な代替溶剤はTHF(沸
点約66℃)である。溶剤THFは溶解能力が強くポリ
カーボネート樹脂と電荷輸送層材料を充分に溶解でき
る。しかし、MDC(沸点約40℃)に比較して沸点が
約26℃も高く蒸発が遅いため、溶剤がMDCの電荷輸
送層液に比較して、塗工開始部分の塗膜タレ長さLが長
くなってしまう欠点をもつ。
【0034】この塗工開始部分の塗膜タレを抑制するた
めには、溶剤THFより低沸点の溶剤、例えばアセトン
(沸点約56℃)を使用して混合液溶剤(THFとアセ
トン)とすると、溶剤THF単独より塗膜タレ抑制効果
があることが確認された。THFと混合する場合のアセ
トン以外の他の溶剤としては、安全面から沸点が30〜
65℃の溶剤が望ましく、例えば酢酸メチル(沸点約5
7℃)、メタノール(沸点約65℃)、n−ペンタン
(沸点約36℃)n−ブチルメチルエーテル(沸点約5
5℃)等が挙げられる。但し、THFとの混合率は、そ
れぞれ適切な比率で行われなければならない。
【0035】本発明で用いられる電荷発生材料として
は、モノアゾ顔料、ヒスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、フ
タロシアニン顔料、ペリレン系顔料、キノン系顔料、イ
ンジゴ系顔料、キナクリドン系顔料が挙げられる。これ
らの組成は0.1〜40wt%好ましくは0.3〜20
wt%が適当である。
【0036】本発明で用いることができる導電性支持体
としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等
の金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、酸
化錫、ヨウ化銅の薄膜を形成したプラスチックフィルム
またはガラス等が挙げられる。また、本発明の電子写真
感光体では、帯電性を改良する目的で感光層と導電性支
持体の間に下引き層を設けることができる。これらの材
料としては、前記結着剤材料の他に、ポリアミド樹脂、
ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリド
ン等を用いることができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】実施例1 下記式(I)の電荷輸送材料94重量部とZタイプのポ
リカーボネート樹脂(パンライトTS−2050;帝人
社製)104重量部を、THF802重量部に溶解し、
電荷輸送液(固形分19.8wt%、粘度300cp
s)とする。
【化1】 上記電荷輸送液にアルミニウム製の長さ340mmの円
筒状支持体を浸漬し、塗工速度2.0mm/秒で一回塗
工し、再度上記の電荷輸送液に円筒状支持体を浸漬し、
塗工速度2.0mm/秒で二回目を塗工しオーブン乾燥
機130℃で30分の乾燥を行い、膜厚評価サンプルを
作成した。後述の測定法による安定膜厚は40μmで、
塗膜タレは20mmであった。
【0039】感光体特性評価用サンプルは円筒状支持体
に下引き層、電荷発生層及び前記の電荷輸送層を順次積
層した電子写真感光体で、下記のように作成し評価し
た。アルコール可溶性ポリアミド樹脂(ナイロン6/6
6/610/12、CM−8000;東レ社製)8重量
部をメタノール130重量部に溶解させ、さらにブタノ
ールを60重量部加えて塗工液(以後、下引き液と記
す)を調合し、円筒状支持体をこの下引き液に浸積塗工
し、乾燥をオーブン乾燥機で110℃で10分行ない膜
厚0.3μmの下引き層を形成した。
【0040】下記式(II)のビスアゾ顔料2重量部及
びシクロヘキサノン40重量部をボールミル中で48時
間混練り分散し、高粘度のクリーム状分散液を得る。次
に、この液にメチルイソブチルケトン40重量部とシク
ロヘキサノン20重量部とからなる混合液を加え再度2
時間混練り分散した後、さらにメチルイソブチルケトン
100重量部で希釈して塗工液(以後、電荷発生液と記
す)とし、前記下引き層形成ずみの円筒状支持体を電荷
発生液に浸漬塗工し、乾燥をオーブン乾燥機で110℃
で10分行ない、前記下引き層上に膜厚0.2μmの電
荷発生層を形成した。塗膜は光沢のある均一な平滑膜で
あった。
【化2】 さらにまた、円筒状支持体上に前記の下引き層と電荷発
生層を順次浸漬塗工した後、前記の電荷輸送層の膜厚評
価サンプルを作成した電荷輸送塗工液に浸漬して、実施
例1の膜厚評価サンプルと同様に電荷輸送層を形成し
て、実施例1の感光体特性評価サンプルを作成した。
【0041】実施例2 実施例1の電荷輸送層液に前記の円筒状支持体を浸漬
し、塗工速度2.0mm/秒で一回塗工し、塗工層外で
約1分静止後、再度電荷輸送液に円筒状支持体を浸漬
し、塗工速度2.0mm/秒で二回目を塗工し、オーブ
ン乾燥機130℃で30分の乾燥を行ない、膜厚評価サ
ンプルを作成した。安定膜厚は40μmで、塗膜タレは
20mmであった。
【0042】実施例1と同様に、円筒状支持体上に下引
き層と電荷発生層を順次浸漬塗工した後、前記の電荷輸
送層の膜厚評価サンプルを作成した電荷輸送塗工液に浸
漬して、実施例2の膜厚評価サンプルと同様に電荷輸送
層を形成して、実施例2の感光体特性評価サンプルを作
成した。
【0043】実施例3 実施例1の電荷輸送層液に前記の円筒状支持体を浸漬
し、塗工速度2.0mm/秒で一回塗工し、オーブン乾
燥機130℃で30分の乾燥を行った後、再度電荷輸送
液に円筒状支持体を浸漬し、塗工速度2.0mm/秒で
二回目を塗工しオーブン乾燥機130℃で30分の乾燥
を行い、膜厚評価サンプルを作成した。安定膜厚は40
μmで、塗膜タレは20mmであった。
【0044】実施例1と同様に、円筒状支持体上に下引
き層と電荷発生層を順次浸漬塗工した後、前記の電荷輸
送層の膜厚評価サンプルを作成した電荷輸送塗工液に浸
漬して、実施例3の膜厚評価サンプルと同様に電荷輸送
層を形成して、実施例3の感光体特性評価サンプルを作
成した。
【0045】実施例4 実施例1の電荷輸送層液の電荷輸送材料101重量部
と、Zタイプのポリカーボネート樹脂(パンライトTS
−2050;帝人社製)112重量部を、THF551
重量部とアセトン236重量部の混合溶剤に溶解して電
荷輸送層液(固形分21.3wt%、粘度約300cp
s)とした。この電荷輸送層液に前記の円筒状支持体を
浸漬し、塗工速度2.0mm/秒で一回塗工し、オーブ
ン乾燥機130℃で30分の乾燥を行った後、再度電荷
輸送液に円筒状支持体緒浸漬し、塗工速度2.0mm/
秒で二回目を塗工しオーブン乾燥機130℃で30分の
乾燥を行い、膜厚評価サンプルを作成した。安定膜厚は
43μmで、塗膜タレは20mmであった。
【0046】実施例1と同様に、円筒状支持体上に下引
き層と電荷発生層を順次浸漬塗工した後、前記の電荷輸
送層の膜厚評価サンプルを作成した電荷輸送塗工液に浸
漬して、実施例4の膜厚評価サンプルと同様に電荷輸送
層を形成して、実施例4の感光体特性評価サンプルを作
成した。
【0047】比較例1 実施例1の電荷輸送層液に前記の円筒状支持体を浸漬
し、塗工速度2.0mm/秒で一回塗工し、オーブン乾
燥機130℃で30分の乾燥を行い、膜厚評価サンプル
を作成した。安定膜厚が14μmで塗膜タレは0mmで
平坦に近かった。
【0048】比較例2 実施例1の電荷輸送液に円筒状支持体を浸漬し、塗工速
度10.0mm/秒で一回塗工し、オーブン乾燥機13
0℃で30分の乾燥を行い、膜厚評価サンプルを作成し
た。安定膜厚は40μmで、塗膜タレは120mmであ
った。
【0049】実施例1と同様にして、円筒状支持体上に
下引き層と電荷発生層を順次浸漬塗工した後、前記の電
荷輸送層の膜厚評価サンプルを作成した電荷輸送層液に
浸漬して比較例2の膜厚評価サンプルと同様に電荷輸送
層液を形成して比較例2の感光体特性評価用サンプルを
作成した。
【0050】以上の実施例1〜4及び比較例1及び2の
サンプルにより、次の方法で膜厚測定及び感光体特性評
価を行った。
【0051】[膜厚測定法]膜厚の測定は、渦電流式膜
厚計により、塗工開始部分より円筒状支持体の軸方向に
測定間隔5mmで行ない、先に定義した安定膜厚D、塗
膜タレ長さL及び安定膜厚Dの膜厚傾斜の状態を示す下
タレMを測定した。 〔感光体特性評価法〕感光体特性評価装置は、円筒状支
持体を一定速度で回転させる手段、帯電させる手段、露
光させる手段及び表面電位測定手段とを備えた装置(特
開昭60−100167号公報で示されている装置)に
装着し、1000rpmで回転させて、暗中で−6kV
の電圧を印加してコロナ放電を行ない感光体を帯電させ
る。帯電電位を800Vになるようにコントロールし、
次いでタングステンランプの色温度2854°Kの光で
感光体表面における照度が26Lux/cm2となる状
態でスリット幅6mmの光を照射して、感光体表面電位
を80Vに減衰せしめるのに必要な露光量E1/10を求め
た。さらに同様の光を30秒照射した後の感光体表面電
位を残留電位VRとした。画像評価はRICPY FT
−330(リコー社製)により行なった。
【0052】実施例1〜4及び比較例1、2の膜厚測定
及び感光体特性評価結果を表1及び図3に示す。
【0053】
【表1】 表1より次のことがわかる。比較例2からわかるよう
に、塗工速度を10.0mm/秒と速くして一回の浸漬
塗工で40μmの膜厚を得ようとすると、極めて長い1
20mmの塗膜タレ長さの塗膜ができる。しかし、比較
例1からわかるように、比較例2と同じ塗工液を塗工速
度を遅く2.0mm/秒として浸漬塗工すると、14μ
mの薄い膜厚ではあるが塗膜タレのない塗膜が得られる
ことがわかる。
【0054】実施例1、2及び3は、比較例1で一回塗
工で14μmの均一な膜厚が得られ塗工液を、比較例1
と同一速度で二回塗工を行なっていたものであり、塗膜
タレ長さLが20mmと極めて短い。なお、実施例1及
び2には、画像に影響を与える下タレがある。しかし、
実施例2の下タレは第一回塗工後の塗工膜に対して実施
例2において若干の予備乾燥時間があるため、実施例1
の下タレよりも短い。従って、実施例3のように第一回
塗工後の塗工膜のオーブン乾燥を行なわなくても、予備
乾燥時間を長くすれば塗膜タレが短く、かつ、画像品質
にも優れた電子写真感光体が得られる。実施例4は、T
HFとアセトンの混合溶剤を用いた塗工液による実施例
で、極めて優れた結果を示している。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、全体的な二重塗工を行
なうことで、塗膜タレを抑制しながら厚膜化が可能であ
る。副作用の下タレは、中間に予備乾燥または乾燥を行
なうことで解決できる。画像の濃度ムラは下タレの影響
である。また、一回目の塗工と二回目の塗工の間に塗工
膜の充分な乾燥過程を設ければ下タレを防ぐことがで
き、二重塗工の感光体特性への影響はない。さらに、塗
料の溶媒として、塗膜タレの大きくなってしまう非ハロ
ゲハ溶剤を使用しても効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】浸漬塗工法の概略を示す図である。
【図2】塗膜タレを説明する図で、浸漬塗工法で円筒状
支持体上に設けられた厚膜の軸方向の膜厚分布の典型例
を示す図である。
【図3】本発明による実施例及び比較例の厚膜の軸方向
の膜厚分布の例を示す図である。
【符号の説明】
1 被塗工物 2 塗工液 3 塗工槽 4 塗工液層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸漬塗工法による電子写真感光体の製造
    方法において、塗工液中に被塗工物を浸漬した後、前記
    被塗工物全体を塗工液中より引き上げて一回目の浸漬塗
    工を行ない、次いで同じ塗工液中に被塗工物を再度浸漬
    した後、被塗工物全体を塗工液中より引き上げて二回目
    の浸漬塗工を行なうことを特徴とする電子写真感光体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記の一回目の浸漬塗工の後、塗工槽外
    に引き上げた状態で塗工液の蒸発を促す予備乾燥時間を
    もち、次いで二回目の浸漬塗工を行なうことを特徴とす
    る請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記の一回目の浸漬塗工の後、加熱乾燥
    を行ない、次いで二回目の浸漬塗工を行なうことを特徴
    とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 円筒状の導電性支持体上に少なくとも電
    荷発生層及び電荷輸送層を順次積層してなる電子写真感
    光体の製造方法において、浸漬塗工液が電荷輸送層を形
    成する塗工液であって、被塗工物が円筒状の導電性支持
    体上に少なくとも電荷発生層が予め形成された被塗工物
    であることを特徴とする請求項1〜3に記載の電子写真
    感光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 円筒状の導電性支持体上に少なくとも電
    荷発生機能と電荷輸送を兼ね備える単層型の感光層を製
    膜してなる電子写真感光体の製造方法において、浸漬塗
    工液が単層型の感光層を形成する塗工機であって、被塗
    工物が円筒状の導電性支持体であることを特徴とする請
    求項1乃至3いずれか記載の電子写真感光体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記浸漬塗工液の溶媒がテトラヒドロフ
    ランまたはテトラヒドロフランを含有する混合溶剤であ
    ることを特徴とする請求項4又は5に記載の電子写真感
    光体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001312078A (ja) * 2000-04-28 2001-11-09 Sharp Corp 電子写真感光体およびその製造方法
JP2015221402A (ja) * 2014-05-22 2015-12-10 富士ゼロックス株式会社 回転体の製造方法、感光体の製造方法

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JP2001312078A (ja) * 2000-04-28 2001-11-09 Sharp Corp 電子写真感光体およびその製造方法
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