JPH07152166A - 電子写真用感光体及びその製造方法 - Google Patents

電子写真用感光体及びその製造方法

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JPH07152166A
JPH07152166A JP32583893A JP32583893A JPH07152166A JP H07152166 A JPH07152166 A JP H07152166A JP 32583893 A JP32583893 A JP 32583893A JP 32583893 A JP32583893 A JP 32583893A JP H07152166 A JPH07152166 A JP H07152166A
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smectite
layer
coating liquid
coating
resin
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JP32583893A
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Norio Ito
典夫 伊東
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性の樹脂をバインダ樹脂とした厚膜の
電子写真用感光層を浸漬塗工により形成する時、塗工開
始部分の膜厚タレの問題が少ない電子写真用感光体及び
その製造方法を提供する。 【構成】 導電性支持体上に浸漬塗工法により感光層を
設けてなる電子写真用感光体において、感光層をスメク
タイトを含有する塗工液に浸漬塗工して形成されたもの
とする。感光体は、積層型あるいは単層型いずれでもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複写機、プリンタ、ファ
クシミリ等の装置に使用される電子写真用感光体及びに
その製造方法に関し、特に浸漬塗工法により電子写真用
感光体を得る場合の塗工液の処方に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真プロセスは静電力による潜像の
可視化を原理として用いたものであるため、そのプロセ
スに用いられる電子写真用感光体には良好な帯電性と光
照射による迅速な表面電位の減衰が必要となる。これら
の特性値を満足するものとして従来から、セレン、セレ
ン−テルル合金、ヒ化セレン等の無機化合物から構成さ
れた感光体が採用され多くの複写機やプリンタで用いら
れてきた。しかしながら、これらの材料は環境安全性の
面で若干の問題があり、またアモルファス状態で用いら
れるため取扱いが厄介であり、数十μmの厚さに真空蒸
着する必要があるためコストが高い等の欠点があり、感
光体の必要機能を充分充たしているとは言えないもので
あった。
【0003】これらの欠点を改良するため、有機材料を
用いた電子写真用感光体の開発が積極的になされ実用に
供されるようになってきた。実用化された電子写真用感
光体の一つに電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CT
L)からなる積層型の構成の感光体があり、専ら負帯電
プロセスに限定して用いられているのが実状であるが、
近年正帯電プロセス用に電荷輸送層上に電荷発生層を設
ける構成の提案も多い。さらにまた、積層型の構成は塗
布工程が複雑であり、電荷発生材料及び電荷輸送材料を
バインダ樹脂中に一緒に分散し、電荷発生機能と電荷輸
送機能を兼ね備えた単層型の電子写真用感光体の提案も
ある。
【0004】このような電子写真用感光体の感光層は、
積層型の場合には1μm以下のCGL層上に10μm以
上のCTLを設け、単層型の場合には一層で10μm以
上の膜厚の塗工が必要である。
【0005】一般に、導電性支持体としてエンドレスの
ベルト状金属箔や、金属シリンダ上に感光層を設ける場
合、支持体を塗布液に浸漬して引き上げる方法が採用さ
れる。例えば、その上に予め形成した電荷発生層を有す
る円筒状の導電性支持体を前記のCTLを含む厚膜塗工
液中に浸漬し、浸漬塗工することにより電荷発生層上に
電荷輸送層が形成され積層型感光体となる。
【0006】一般に、上記の厚膜中のバインダ成分とし
て、感光体表面の電子写真プロセスによる繰返しの使用
に対する耐摩耗性を考慮して種々の樹脂が用いられる
が、特に所謂エンジニアリングプラスチック、例えばポ
リカーボネート樹脂等が用いられることが多い。
【0007】これらの耐摩耗性の高いエンジニアリング
プラスチックをバインダ樹脂とする厚膜塗工液は、一般
的な溶剤に対する溶解性が低く、ジクロロメタン(以下
MDCと記す)等の特殊な溶剤を溶媒とすることが多
い。
【0008】しかし、最近ジクロロメタンなどのハロゲ
ン系の溶剤の環境に及ぼす影響が問題視され始め、一部
のハロゲン系溶剤から規制が始まりつつある。前記MD
Cは、水質汚染防止のための規制がかかり、その他の規
制も予想される。前記MDCが使用可能なうちに、代替
溶媒を見つけ変更する必要がある。
【0009】しかるに、前記MDCは耐摩耗性の高い樹
脂、例えばポリカーボネート樹脂等に対しても溶解性が
良好で、沸点も約40℃と低いため塗工時の蒸発が速
く、タレにくい性質をもち、さらに低沸点溶剤ながら引
火性もなく電子写真用感光体の製造に安全な溶剤であ
る。
【0010】またさらに、電子写真用感光体は高性能、
高耐久化へ向けて日々進歩している。電子写真用感光体
の寿命は、電子写真プロセスのクリーニング工程におけ
る感光層の摩耗が大きく起因している。この感光層の耐
摩耗性を向上させるために、耐摩耗性の高い樹脂例えば
ポリカーボネート樹脂等の高分子量化や、感光層の厚膜
化の方向に開発が進んでいる。
【0011】ここで問題になるのはMDCを使用して
も、浸漬塗工方式で厚膜化を進めると塗工開始部(引上
げ上部)の膜厚タレ(所定の膜厚を得るまでの薄い部
分)が長くなってしまうことである。また、耐摩耗性の
高い樹脂の高分子量化をさらに進めると固形分に対する
電荷輸送液粘度が高くなるため、固形分濃度を上げられ
ず、やはり塗工開始部分の膜厚タレが長くなってしまう
という問題がある。非ハロゲン系の溶剤、例えばテトラ
ヒドロフラン(THF)を使用すると、このタレの問題
がさらに顕著になる。
【0012】添加剤で塗工液をチクソトロピー化して、
タレ抑制を行う方法が知られているが、添加量が1〜5
wt%(塗工液比)必要なため、乾燥膜中の添加剤の比
率が高く、感光体としての静電特性の残留電位(VR
の上昇等の副作用をもたらしたり、あるいは増粘するた
め気泡が抜けにくい等の不具合から実用化には至ってい
ない。
【0013】非ハロゲン系溶媒で有力な代替溶媒はTH
F(沸点66℃)である。THFは溶解力が強く、耐摩
耗性の高い樹脂、例えばポリカーボネート樹脂とその他
の感光体構成材料を充分溶解できる。しかし、MDC
(約40℃)に比較して沸点が約26℃も高く蒸発が遅
いため、溶剤がMDCの電子写真用厚膜塗工液に比較し
て浸漬塗工開始部分のタレが長くなってしまう欠点をも
つ。
【0014】塗工開始部分のタレを抑制するためには、
THFより低沸点の溶剤アセトン(沸点約56℃)を使
用してTHFとアセトンの混合溶剤とすると、THF単
独より多少のタレ抑制効果があるが、まだ不充分であ
る。また、電子写真用感光体の厚膜塗工液の高固形分化
によるタレ抑制効果が確認されているが、厚膜塗工液の
液粘度が上昇するため、電荷輸送液中の気泡の除去が難
しくなる等の問題が生じる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐摩耗性の
高い樹脂をバインダ樹脂とした厚膜の感光層を浸漬塗工
で形成する時、電子写真用感光体の寿命を延ばすための
感光層の厚膜化、あるいは耐摩耗性の高い樹脂の高分子
量化をさらに進めても、塗工開始部分の膜厚タレを問題
のないレベルに抑制した感光層からなる電子写真用感光
体及びその製造方法を提供するものである。
【0016】
【課題を解決しようとする手段】本発明は、導電性支持
体上に浸漬塗工法により少なくとも感光層を設けてなる
電子写真用感光体において、前記感光層が、減粘添加剤
としてスメクタイトを含有する塗工液に浸漬塗工して形
成されたものである電子写真用感光体を提供する。
【0017】また本発明は、前記感光層が電荷発生層及
び電荷輸送層を積層してなる上記積層型電子写真用感光
体を製造する方法であって、少なくとも電荷輸送材料、
バインダ樹脂及び溶剤からなる電荷輸送層用の塗工液中
に導電性支持体を浸漬して引上げた後、乾燥させて感光
層を形成することからなり、かつ減粘添加剤としてスメ
クタイトを含有させた塗工液を用いることを特徴とする
電子写真用感光体の製造方法を提供する。
【0018】また本発明は、前記感光層が電荷発生材料
及び電荷輸送材料を同一層内に有する上記単層型電子写
真用感光体を製造する方法であって、少なくとも電荷発
生材料、電荷輸送材料、バインダ樹脂及び溶剤からなる
塗工液中に導電性支持体を浸漬して引上げた後、乾燥さ
せて感光層を形成することからなり、かつ減粘添加剤と
してスメクタイトを含有させた塗工液を用いることを特
徴とする電子写真用感光体の製造方法を提供する。
【0019】さらにまた、本発明は、前記塗工液とし
て、スメクタイトが前記塗工液中の固形分に対して0.
5wt%以下である塗工液を用いることを特徴とする請
求項2又は3に記載の電子写真用感光体の製造方法を提
供する。
【0020】一般的に塗膜のタレ長さには、塗工時の湿
潤膜厚の影響が大きく、湿潤膜厚の2乗でタレ長さある
いはタレ量に寄与すると言われている。同じ乾燥膜厚を
浸漬塗工法で得る場合、湿潤膜厚が薄い方がタレ長さが
短くなる。つまり、固形分の高い液で薄めの湿潤膜を塗
工した方がタレが短くなるわけである。
【0021】しかし、電子写真用感光体の厚膜塗工液の
ような樹脂液の固形分を高くすると液粘度が上昇し、塗
工装置の液循環系で発生する気泡の除去が難しくなる。
また樹脂の粘度は膜厚に影響し、粘度が上昇すると湿潤
膜厚が厚くなり、膜厚調整のために塗工速度を遅くする
必要が出てきて生産性も低下する等から、厚膜塗工液の
粘度は150〜500cpsが好ましく、より好ましい
のは280cps前後である。
【0022】厚膜塗工液に減粘特性のある物質を所定量
加えることで、厚膜塗工液の粘度は50〜90%低下す
る。低下した粘度を塗工装置に合った水準の粘度(28
0cps前後)に戻すことにより固形分を増加させるこ
とができる。添加前に比較して、粘度一定でも固形分を
増加できるわけで、同じ乾燥膜厚を得るための湿潤膜厚
を薄くでき、タレ長さも短くできる。
【0023】本発明は、厚膜塗工液に微量の添加で大き
く粘度低下するスメクタイトを添加することで、所定の
範囲内の粘度でも高固形分化ができ、浸漬塗工時の著し
いタレの抑制効果を得ることを見出したものである。
【0024】本発明に使用するスメクタイトは、粘土鉱
物の分類におけるスメクタイト族に属する物質であり、
層状のケイ酸塩型鉱物の一種で他ケイ酸塩型鉱物に比し
て層間結合力の弱いことが特徴である。このことによ
り、高い耐摩耗性の樹脂を感光層のバインダ樹脂とした
厚膜の塗工液の減粘剤として少量の添加でも効果を発揮
するものと思われる。
【0025】特に、合成されたスメクタイトは含有する
不純物の量が少なく、その添加が電子写真特性を損なう
ことがなく好適である。市場では、親油性スメクタイト
STNあるいは親油性スメクタイトSAN(いずれもコ
ープケミカル社製)がある。
【0026】添加量としては、厚膜塗工液の固形分に対
し0.5wt%以下が好ましく、より好ましくは0.1
wt%以下である。0.5wt%を超えると電子写真用
感光体の静電特性に悪影響を与える。
【0027】表1は、厚膜塗工液を減粘するのに使用す
る従来の添加剤と本発明による添加剤の減粘特性を、固
形分当たりの添加量を一定にして、比較したものであ
る。膜厚塗工液として下記式(I)の電荷輸送材料10
6重量部とZタイプのポリカーボネート樹脂(帝人社
製:パンライトTS−2050)118重量部をテトラ
ヒドロフラン(THF)1270重量部に溶解し(固型
分15%、粘度100cps)、固型分当たり6.5%
の各添加剤を添加したものを用い、20℃における粘度
を測定した。
【0028】
【化1】
【0029】
【表1】
【0030】表2は、膜厚塗工液を減粘するのに使用す
る従来の添加剤と本発明による添加剤の減粘特性を、固
型分当たりの添加量を変化させて、比較したものであ
る。膜厚塗工液としては、前記と同一の固型分比の電荷
輸送材料とZタイプのポリカーボネート樹脂をテトラヒ
ドロフラン(THF)に溶解して固型分濃度22.5%
(粘度700cps)とし、固型分当たりの表2に示す
各添加物の添加量を変化させたものを用い、20℃にお
ける粘度を測定した。
【0031】
【表2】
【0032】表1及び表2から明らかなように、電子写
真用感光体の電荷輸送層液のような厚膜用塗布液に合成
スメクタイトを添加することにより、他の減粘添加剤に
比べ電子写真特性を損なわないような少ない添加量で優
れた減粘効果を発揮し、浸漬塗工時に塗工開始部分の膜
厚タレの問題を大幅に減少することができる。
【0033】本発明で用いることができるバインダ樹脂
として、耐摩耗性の高いエンジニアリングプラスチッ
ク、例えばポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド等が好ましい
が、その他の樹脂を併用してもよい。ポリカーボネート
樹脂としては一般的なC、A及びZタイプがあるが、好
ましくはZタイプである。
【0034】併用されるその他のバインダ樹脂として
は、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、
酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂等の付加重合型樹脂、重付
加型樹脂、重縮合型樹脂、並びにこれらの繰り返し単位
のうち2つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水
マレイン酸共重合体樹脂を挙げることができる。これら
バインダ樹脂の積層型の電荷輸送層あるいは単層型の感
光層に占める量は30〜90wt%、好ましくは40〜
70wt%である。
【0035】本発明において、バインダ樹脂には前述の
ような耐摩耗性の高い樹脂、例えばポリカーボネート樹
脂が使用され、その溶剤には非ハロゲン系のものを用い
ることが望ましい。非ハロゲン系溶剤の種類は特に限定
されるものではにが、塗工作業上の点からTHFを主と
した溶剤が望ましい。この時、THFと他の溶剤と混合
する場合の溶剤としては、沸点が30〜65℃の溶剤が
望ましく、例えばアセトン(沸点約56℃)、酢酸メチ
ル(沸点約57℃)、メタノール(沸点約65℃)、n
−ペンタン(沸点約36℃)、n−ブチルメチルエーテ
ル(沸点約55℃)等が挙げられる。
【0036】本発明で用いられる電荷発生材料として
は、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、フ
タロシアニン顔料、ペリレン系顔料、キノン系顔料、イ
ンジゴ系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられる。こ
れらの組成は0.1〜40wt%、好ましくは0.3〜
20wt%が適当である。
【0037】本発明で用いることができる導電性支持体
としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等
の金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、酸
化錫、ヨウ化銅の薄膜を塗布したプラスチックフィルム
またはガラス等が挙げられる。また、本発明の感光体で
は帯電性を改良する目的で感光層と導電性支持体の間に
下引き層を設けることができる。これらの材料としては
前記結着剤材料の他に、ポリアミド樹脂、ポリビニルア
ルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン等を用いる
ことができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】実施例1 前記式(I)の電荷輸送材料106重量部とZタイプの
ポリカーボネート樹脂(帝人社製:パンライトTS−2
050)118重量部をテトラヒドロフラン(THF)
776重量部に溶解し、さらに減粘剤の親油性スメクタ
イトSTN(コープケミカル社製)0.224重量部を
添加して電荷輸送液(固形分22.4wt%、粘度約2
80cps)とした。
【0040】上記電荷輸送液に円筒状支持体を浸漬塗工
して、オーブン乾燥機により130℃で25分間乾燥後
の安定膜厚(後述)が28μmになるように引上げ速度
を調節して、電荷輸送層を形成し膜厚評価サンプルを作
成した。
【0041】感光体特性評価用サンプルは円筒状支持体
に下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した
電子写真用感光体で、下記のように作成評価した。下引
き層はアルコール可溶性ポリアミド樹脂(ナイロン6/
66/610/12、CM−8000;東レ社製)8重
量部をメタノール130重量部に溶解させ、さらにブタ
ノールを60重量部加えて塗工液(以後、下引き液と記
す)を調合し、円筒状支持体をこの下引き液に浸漬塗工
し、乾燥をオーブン乾燥機で110℃で10分行い膜厚
0.3μmの塗膜を形成した。
【0042】下記式(II)のビスアゾ顔料2重量部及
びシクロヘキサノン40重量部をボールミル中で48時
間混練分散し、高粘度のクリーム状分散液を得た。次
に、この液にメチルイソブチルケトン40重量部とシク
ロヘキサノン20重量部とからなる混合液を加え再度2
時間混練分散した後、さらにメチルイソブチルケトン1
00重量部で希釈して塗工液(以後、電荷発生液と記
す)とし、前記下引き層形成済みの円筒状支持体を電荷
発生液に浸漬塗工し、乾燥をオーブン乾燥機で110℃
で10分行い、前記下引き層上に膜厚0.2μmの電荷
発生層を形成した。塗膜は光沢のある均一な平滑膜であ
った。
【0043】
【図2】
【0044】さらにまた、前記の下引き層と電荷発生層
を順次浸漬塗工した円筒状支持体を、乾燥後の電荷輸送
層膜厚が28μmになるように引き上げ速度を調整し
て、前記の電荷輸送層の膜厚評価サンプルを作成した電
荷輸送塗工液に浸漬して実施例1の感光体特性評価サン
プルを作成した。
【0045】比較例1 前記式(I)の電荷輸送材料90重量部とZタイプのポ
リカーボネート樹脂(帝人社製:パンライトTS−20
50)100重量部を、THF810重量部に溶解し、
電荷輸送液(固形分19.0wt%、粘度約280cp
s)とした他は実施例1と同様にして膜厚評価サンプル
と感光体特性評価用サンプルを作成した。
【0046】実施例2 前記式(I)の電荷輸送材料165重量部とZタイプの
ポリカーボネート樹脂(帝人社製:パンライトTS−2
050)183部をTHF652重量部に溶解し、更に
減粘剤の親油性スメクタイトSTN(コープケミカル社
製)1.74重量部を添加して電荷輸送液(固型分3
4.9wt%、粘度約280cps)とし、実施例1と
同様に膜厚評価用サンプルと感光体特性評価用サンプル
を作成した。
【0047】以上の円筒状支持体を用いて作成した実施
例1〜2及び比較例1〜3のサンプルにより次の方法で
膜厚測定及び感光体特性評価を行なった。
【0048】[膜厚測定法]図1は、渦電流式膜厚計に
よる膜厚の測定位置を示す図である。膜厚の測定は渦電
流式膜厚計で図1に示すように、塗工開始部分より円筒
状支持体の軸方向に5〜50mmの範囲は測定間隔5m
mで、50〜100mmの範囲は測定間隔10mm、1
00mm以後は測定間隔25mmで行なった。
【0049】図2は、円筒状支持体上に設けられた膜厚
の軸方向の膜厚分布の測定結果の一例である。この例に
おいて、膜厚約28μmの水平部分を膜厚安定部分と
し、この膜厚安定部分の膜厚を安定膜厚とした。塗工開
始位置から安定膜厚より1μm薄い部分までの距離をタ
レ長さ(以後、Lと記す)とした。Lが短いほど膜厚の
立上りが早くタレが小さい。
【0050】[感光体特性評価法]感光体特性評価装置
は、円筒状支持体を一定速度で回転させる手段、帯電さ
せる手段、露光させる手段及び表面電位測定手段とを備
えた装置(特開昭60−100167号公報で示されて
いる装置)に挿着し、1000rpmで回転させて、暗
中で−6kVの電圧を印荷してコロナ放電を行ない感光
体を帯電させた。
【0051】帯電電位を800Vになるようにコントロ
ールし、次いでタングステンランプの色温度2854°
Kの光で感光体表面における照度が26Lux/cm2
となる状態でスリット幅6mmの光を照射して、感光体
表面電位を80Vに減衰せしめるのに必要な露光量E1
/10を求めた。さらに同様の光を30秒照射した後の
感光体表面電位を残留電位VRとした。
【0052】以上の膜厚測定及び感光体特性評価結果を
表3に示す。
【0051】
【表3】 減粘剤添加量は、電荷輸送液の固形分に対する比率。 E1/10は、各実施例、比較例で差なし。
【0052】表3より次のことがわかる。比較例1と実
施例1から、溶媒THFの電荷輸送液に固形分に対して
0.1%の添加剤を入れることで、電荷輸送層のタレが
約60mmから約40mmに約20mm短くなった。即
ち、微量の減粘剤の添加で電荷輸送液の粘度の減少が可
能で、その分固形分を増加できる。因って、塗工開始部
分のタレを効果的に抑制し、均一な膜厚の電子写真用感
光体を提供できる。さらに減粘剤の添加量が微量で有効
なため電荷輸送層への残留分も小量で済み、副作用の残
留電位VRの上昇も比較的小さくてすむ。
【0053】しかし、実施例1、実施例2及び比較例1
から、溶媒THFの電荷輸送液に減粘添加剤なしでVR
が0Vで、固形分に対して0.1%の添加剤を入れるこ
とでVRが25Vに、固形分に対して0.5%の添加剤
を入れることでVRが139Vに上昇することがわか
る。VRが25V程度なら充分許容可能できるが、13
9Vは許容できる限度である。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、浸漬塗工法を用いて導
電性支持体上に耐摩耗性の樹脂をバインダ樹脂とした膜
厚の感光層を形成する際、感光層をスメクタイトを含有
する塗工液により浸漬塗工することにより、環境に影響
の少ない非ハロゲン系溶剤を使用しても塗工開始部分の
膜厚タレの少ない電子写真用感光体の製造が可能とな
る。この時、感光体は積層型あるいは単層型いずれでも
よい。
【図面の簡単な説明】
【図1】渦電流式膜厚計による膜厚の測定位置を示す図
である。
【図2】円筒状支持体上に設けられた膜厚の軸方向の膜
厚分布を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に浸漬塗工法により少な
    くとも感光層を設けてなる電子写真用感光体において、
    前記感光層が、減粘添加剤としてスメクタイトを含有す
    る塗工液に浸漬塗工して形成されたものであることを特
    徴とする電子写真用感光体。
  2. 【請求項2】 前記感光層が電荷発生層及び電荷輸送層
    を積層してなる請求項1に記載の積層型電子写真用感光
    体を製造する方法であって、少なくとも電荷輸送材料、
    バインダ樹脂及び溶剤からなる電荷輸送層用の塗工液中
    に導電性支持体を浸漬して引上げた後、乾燥させて感光
    層を形成することからなり、かつ減粘添加剤としてスメ
    クタイトを含有させた塗工液を用いることを特徴とする
    電子写真用感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記感光層が電荷発生材料及び電荷輸送
    材料を同一層内に有する請求項1に記載の単層型電子写
    真用感光体を製造する方法であって、少なくとも電荷発
    生材料、電荷輸送材料、バインダ樹脂及び溶剤からなる
    塗工液中に導電性支持体を浸漬して引上げた後、乾燥さ
    せて感光層を形成することからなり、かつ減粘添加剤と
    してスメクタイトを含有させた塗工液を用いることを特
    徴とする電子写真用感光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記塗工液として、スメクタイトが前記
    塗工液中の固形分に対して0.5wt%以下である塗工
    液を用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の電
    子写真用感光体の製造方法。
JP32583893A 1993-11-30 1993-11-30 電子写真用感光体及びその製造方法 Pending JPH07152166A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1078669A (ja) * 1996-09-03 1998-03-24 Mitsubishi Chem Corp 電子写真感光体
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